委 員 森 山 由美子 委 員 村 上 ひとし
委 員 池 田 由 美 委 員 千 葉 なおこ
委 員 佐 藤 綾 委 員 石 川 さわ子
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開 議 午後1時
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○
小竹ともこ 委員長 ただいまから、第一部
決算特別委員会を開会いたします。
報告事項でありますが、松井委員からは村山委員と、長屋委員からは千葉委員と交代する旨、それぞれ届け出がございました。
それでは、議事に入ります。
最初に、第8款 消防費 第1項 消防費の質疑を行います。
◆
森山由美子 委員 私からは、
消防団活動の充実についてと、ICTを活用した
救急活動についての2項目について質問をさせていただきます。
初めに、
北海道胆振東部地震の発生から見えてきた
消防団活動に関する課題と今後の対応について伺います。
昨年の
北海道胆振東部地震においては、地域の被害状況の把握や、傾いた
灯油ホームタンクへの応急対応、
火災報知機が鳴っている建物の安全確認など、多くの
消防団員が市民生活の安全確保のために活動されたと聞いております。一方で、初めての大規模な震災対応であったこともあり、複数の課題が浮かび上がったのではないかと思いますし、我が会派に所属する
消防団員からも、
災害対応において幾つかの課題があったと聞いております。
そういった課題への対応の一つとして、
デジタル簡易無線機と
特定小電力トランシーバーを追加配備するために補正予算が提案され、さきの
総務委員会では審議が行われたところであります。全ての課題を一朝一夕に解決することは難しいことと思いますが、できることから少しずつでも解決していくことが、市民の安全・安心を確保する上で重要であります。
そこで、質問です。
さきの
北海道胆振東部地震では、いわゆる
ブラックアウトの発生もあり、市民生活に大きな影響を及ぼしました。そのような中、消防団としての活動においてさまざまな課題があったことがうかがえます。札幌市には、10の消防団がありますが、その10消防団として、
北海道胆振東部地震における課題をどのように捉え、今後どのように対応を進めていくのか、消防局としての認識について伺います。
◎川本 総務部長
北海道胆振東部地震の発生から見えてきた
消防団活動に関する課題と今後の対応についてお答えさせていただきます。
委員のご指摘のとおり、無線機の台数不足を初め、一部で円滑な活動が行えなかったことなど、消防団の活動において改善すべき点があることを認識したところでございます。
札幌市に10ある消防団では、実務的な検討を行う
本部長会議や消防団長の会議の中で課題を抽出するとともに、それへの対応策の検討を進めてきたところでございます。その中では、
消防団員に対する研修の実施や、無線機の追加配備を要望することについて決定したほか、活動する上で必要な資機材が不足していることもあったことから、新たな資機材等の導入について検討を進めてきたところでございます。
具体的には、転倒した
ホームタンクから漏れた灯油を処理するための
吸着マットや、市民に危険箇所を示す立入禁止のテープ、さらには、
消防団員が
災害発生場所を詳しく把握するための地図などが不足しているところでございます。このような資機材等については、今年度中の購入をするべく準備を進めているところでございます。
いずれにいたしましても、消防局としては、いつ起こるかわからない大規模災害に備えて、
消防団員などからの声を聞きながら、地道ではありますけれども、必要と思われる対応をしっかりと行ってまいります。
◆
森山由美子 委員
北海道胆振東部地震の発生から見えてきた
消防団活動に関する課題と今後の対応については理解いたしました。
消防団の方々は、消防・防災体制の
中核的存在として、ふだんから地域防災の
指導的役割を担っておられます。平時の災害はもちろんのこと、昨年の地震のような大
規模災害発生時には、特に、その
地域密着性や
要員動員力、
即時対応力を生かして、地域住民の安全・安心を確保していただくことが大変重要であります。そういったことから、このたび挙げられた課題への対応は大いに評価できるものですので、今後も引き続き迅速な対応をしていただきたいと思います。
次に、平成30年に開催された札幌市
女性消防団員活性化推進会議の内容と成果について伺います。
札幌市の
女性消防団員については、政令市の中でも、団員全体に占める割合が1位、2位を争うぐらい極めて高いことが特徴と伺いました。令和元年9月1日現在、405名で、全体の22.7%と伺っております。こうした
女性消防団員は、地域での
応急手当て指導に精力的に取り組まれており、物腰がやわらかく、きめ細かい指導が好評を得ていると聞いております。そのため、札幌市に10ある消防団のうち、
女性消防団員のみで
救命指導隊を設けている消防団が七つになっているとも伺っております。
また、過去に2回、札幌市においても開催されておりますが、全国の
女性消防団員が一堂に会する
全国女性消防団員活性化大会がことしで25回目を迎えました。第1回大会は平成6年に静岡県沼津市で開催され、札幌市の
女性消防団員は、第6回
北海道大会を機に、毎回参加され、この大会を通じて、全国各地の
女性消防団員と活発な情報交換や交流を図り、
消防団活動の幅を広げられていると伺っております。
このようにいろいろな活動を通して活躍されている
女性消防団員ですが、我が会派からも、平成28年の
決算特別委員会の質疑において、
女性消防団員の10区全体の交流の機会を求めたところ、このときの答弁では、札幌市では、
女性消防団員同士の交流の場として一層の活性化を図ることを目的に、平成29年から札幌市
女性消防団員活性化推進会議が開催されるとのことでした。そして、平成29年の第1回目の会議では、参加した
女性消防団員からさまざまな意見や要望が出され、その幾つかが実現されるなど、非常に意義深い会議であったと伺っております。
災害が多く発生する昨今、防災、減災、
災害対応など、女性の細やかな視点は市民にとって安心な視点です。また、一般的に見ても、女性の社会進出が目覚ましい中、市民感覚や市民目線を持っている女性の視点を生かすことは、
消防団活動を充実強化していく上でも極めて重要であると考えます。
そこで、質問ですが、平成30年に開催された第2回目の札幌市
女性消防団員活性化推進会議はどのような内容であったのか、また、どのような成果があったのか、お伺いいたします。
◎川本 総務部長 札幌市
女性消防団員活性化推進会議の内容と成果についてお答えいたします。
昨年の札幌市
女性消防団員活性化推進会議は、札幌市内の
女性消防団員が168名出席し、開催されたものでございます。会議の内容でございますが、
全国女性消防団員活性化大会の参加者からの報告を受けたほか、救命講習に関する知識の向上を目的とした講話の受講、さらには、
北海道胆振東部地震における対応をテーマに
グループミーティングなどを行ったところでございます。会議全体を通じ、救命講習を実施する際に疑問に思っていたこと、例えば、心肺停止になった
車椅子使用者への効果的な応急処置などといった新たな知識を共有したことや、今まで知らなかったほかの消防団の先進的な取り組みに触れることにより、今後の活動の向上につながるといった声が上がるなど、一定の成果があったものと捉えているところでございます。
消防局といたしましては、
地域防災力の一層の向上を図っていく上で、
女性消防団員の活性化が必要不可欠であると認識しておりますので、今後も
消防団活動の意欲が高まるような有意義な会議になるよう取り組んでまいります。
◆
森山由美子 委員 会議の内容と成果については理解いたしました。
女性消防団員の活性化や活動の推進を図るといった観点からも、さまざまなことについて意見交換し、また情報共有することは、
消防団活動の一層の充実に重要であると強く感じるところであります。
女性消防団員の活動の一つとして、具体的には、小・中学校の教職員やPTAの方に
女性消防団員による救命講習が日常的に開催されていることなど、その活動は多岐にわたっております。このような背景からも、消防団の一層の活性化は、
女性消防団員の活躍なくしてはないのではないかと認識しております。
こういったことをしっかり踏まえて、今後も、このような会議を開催して、
女性消防団活動を推進していただきますとともに、より多くの
女性消防団員が参加できるよう、平日、仕事が忙しい方や小さいお子さんをお持ちで夜の参加が厳しい方などにも配慮し、例えば土・日に開催をするなどといった方法についても今後検討を進めていただくことを要望し、この質問を終わります。
次に、ICTを活用した
救急活動について、2点伺います。
まず初めに、
画像伝送機能の
使用実績と有効な使用事例について伺います。
消防局では、札幌市
まちづくり戦略ビジョン・
アクションプラン2015のICTを活用した消防と医療の
連携強化事業において、全ての救急車に配備した
タブレット端末を活用し、消防と医療が
コミュニケーションを密接にすることで、
救急活動の円滑化を図っているところです。
我が会派では、これまでもICTを活用した消防の
救急活動について議会で取り上げており、消防局では、平成28年度に全ての救急車に
タブレット端末を配備し、平成29年1月31日から
多言語翻訳機能を導入、平成30年2月1日からは
画像伝送機能の運用を開始しております。
多言語翻訳機能は、
外国人救急患者等との
コミュニケーションを円滑にするツールであり、現在、15カ国の言語に対応できるよう機能を強化したところです。
消防局の救急隊は、平成29年に401人、平成30年に428人の
外国人救急患者を搬送したと伺っております。今後も、
多言語翻訳機能の活用により、
外国人救急患者に対して安心を提供していただきたいと考えております。
続いて、運用を開始した
画像伝送機能は、
救急現場で撮影した心電図や重篤な外傷等の画像を
インターネット回線を利用して搬送先の病院へ伝送する
システムです。昨年2月1日から、症状が急速に進行する心臓疾患を治療する病院と、
救命救急センターなど計23施設の協力により運用を開始しました。現在は、新たに1施設を加え、計24施設の協力により運用されていると聞いております。この
画像伝送機能は、救急隊と病院内の
医療スタッフが画像を共有できることから、消防と医療の連携強化に有効な
システムと考えております。
昨年の第1回
定例市議会予算特別委員会において、
画像伝送機能の
使用実績等について我が会派から伺ったところ、運用を開始した平成30年2月1日から28日までの1カ月間で四つの事例があったことを確認することができました。
そこで、質問ですが、運用開始から約1年半経過いたしましたけれども、
画像伝送の
使用実績について伺います。
あわせて、具体的な奏功事例についてお伺いいたします。
◎山本
救急担当部長 まず、
画像伝送の
使用実績についてでございますが、平成30年度中につきましては、心電図の
画像伝送が32件、外傷などの
画像伝送が8件、合計40件の
使用実績がございました。
なお、今年度につきましては、7月末までの速報値ではありますが、心電図の
画像伝送が16件、外傷などの
画像伝送が2件、合計18件の
使用実績となってございます。
次に、心電図の
画像伝送の奏功事例といたしましては、就寝中に胸が苦しくなった70歳代の男性の救急事案がございます。病院では、伝送された心電図を確認し、
救急搬送中に患者の
受け入れ準備を整えることができたため、
救急隊到着後、直ちに適切な検査や治療を行うことができたところでございます。
急性心筋梗塞の診断でありましたが、これにより、長期入院することなく、退院に至ったところでございます。
また、40歳代の男性の右足に重量鉄骨が落下した救急事案につきまして、外傷の画像を伝送したところでございます。この外傷事案でも、同様に、病院では負傷した状況を画像で確認したため、
救急隊到着後、直ちに緊急治療を開始することができたところでございます。
治療に当たる医師からは、病院到着前に傷病者の状態が把握できるため、迅速な検査及び治療につなげることができ、病院側にとっても活用の意義が高いとのご意見をいただいているところでございます。
◆
森山由美子 委員 有効に使用した事例があらわれていますし、治療に当たる医師から、迅速な治療等につなげることができ、病院側にとっても活用の意義が高い等と、具体の効果について意見をいただいていることからも、
画像伝送は極めて有効な
システムであると改めて理解できました。これからも治療の向上等のすばらしい効果が得られるよう、より積極的に使用して事例を積み重ねていただきたいと考えております。
次に、
病院選定支援システムについてお伺いいたします。
消防局では、平成30年度予算で
病院選定支援システムを構築し、本年2月1日に運用を開始しております。昨年の第1回
定例市議会予算特別委員会において、我が会派から
病院選定支援システムの概要を伺いましたところ、救急隊が病院選定する際のさまざまな支援情報を救急隊の
タブレット端末にリアルタイムで表示し、全ての救急隊が情報を共有することにより、最適な医療機関の選定を迅速化する
システムとの答弁をいただいております。
病院の受け入れ可能な患者数が限られている中、
救急出動件数はふえ続けております。そのような中で、速やかに
受け入れ病院を選定することは難しいことだと承知しておりますが、救急患者は容体が短時間に急変し得ることから、効率的に
受け入れ要請を行うことが、多くの命を救い、病状の悪化を防ぐ意味でも大変重要であると考えております。
そこで、質問ですが、
病院選定支援システムによる効果はどのようなものなのか、お伺いいたします。
◎山本
救急担当部長 病院選定支援システムによる効果といたしましては、傷病者の容体に適した診察、治療などができる最寄りの病院を検索し、傷病者にとって最適な病院を選定できることがございます。また、ほかの救急隊の搬送状況などについて情報を共有できることから、同一病院への
受け入れ要請の重複を防ぎ、より受け入れやすい病院を選定することができます。
救急隊が現場に到着し、傷病者の処置や病院の選定などを行い、病院搬送を開始するまでの現場に滞在している時間につきましては、
システム導入前の平成30年2月から6月の5カ月と本年同月で比べたところ、速報値ではございますが、出動件数が1カ月
当たり平均約300件増加している中で、平均約0.3分短縮されているところでございます。
当該システムは、運用を開始して間もないため、継続して状況を把握していきたいと考えているところでございます。
◆
森山由美子 委員
救急要請がふえ続ける状況にあって、この
システムの運用は迅速な
救急搬送につながるものと考えておりますので、今後も有効に活用していただきたいと思います。これからも、
高齢者人口の増加などの要因により、
救急出動件数は増加していくと予想されます。また、札幌市で開催される
東京オリンピックサッカー競技や
北海道新幹線の札幌延伸などを考えても、
救急出動件数の増加は不可避であろうと思うところです。つきましては、今後の
救急出動に適切に対応するための有用なツールとして、
救急活動においてICTを活用いただきたいと思います。
加えて、これからの
ICT活用の可能性として、例えば、大
規模災害現場や、多数の負傷者が発生した現場での情報収集、情報共有に活用できる機能、また、日常活動の中でも救急隊員の事務処理の負担軽減や効率化に生かすなど、これまでにない新しい見地からのICTの有効活用や機能の強化が図られていく必要もあるかと思います。
消防局におかれては、
現場救急隊の
ICTシステム習熟の度合いを見ながら、適宜、
機能強化等に努めていただくことを求め、私の質問を終わります。
◆小田昌博 委員 私からは、
救急出動の増加に係る対応について、2点質問いたします。
1点目は、日中運用する救急隊の増強効果と
救急出動の増加に係る対応についてお伺いします。
札幌市の平成30年の
救急出動は9万8,182件と、平成23年から8年連続で過去最多を更新しております。
救急出動の増加に適切に対応することは、救急車を利用する市民の安全・安心にとって重要な課題と考えています。
このことから、我が会派においては、平成30年の
予算特別委員会で、消防局が予定していた救急隊の増強について、なぜ北区と東区に増強するのか、なぜ日中のみ運用する救急隊を配置するのかという2点を伺い、消防局から、平成28年に中央区に救急隊を配備した後も出動件数は増加しており、そのほとんどが日中の時間帯であることから、日中の時間帯に救急隊を配備し、その配備に当たっては中央区に次いで
救急要請が多い北区、東区としたとの答弁がありました。
そこで、一つ目の質問ですが、北区と東区に増強配置した救急隊について、その効果がどのように出ているのか、お伺いいたします。
◎山本
救急担当部長 増強配置した救急隊の効果についてでございますが、消防局では、平成30年10月1日から、北消防署と東消防署に1隊ずつ、日中の時間帯に運用する救急隊を増強配置したところでございます。速報値ではございますが、この2隊の救急隊は、平成30年10月1日から平成31年3月31日までの半年間で合計1,634件出動しておりまして、増強配置前の同じ時期と比較いたしますと、札幌市全体の日中の時間帯の
救急出動件数が約1,800件増加している中、救急隊が
救急現場に到着するまでの平均時間が0.2分短縮しているところでございます。
◆小田昌博 委員 北区、東区へ増強配置した救急隊の効果についてわかりました。
救急需要の多い地域に日中の時間帯に運用する救急隊を増強配置する手法で、効果的に対応したことについてもわかりました。
続きまして、一方で、今後、さらに高齢化が進み、
救急需要がさらに増加していくことが見込まれており、消防局では、増加する
救急需要に対してさまざまな対策を講じていると聞いております。救急車を利用する市民向けには、救急車の適正利用や救急車を呼ぶか迷った際の相談窓口である救急安心センターさっぽろの利用、高齢者の家庭内での転倒などによるけがの防止、夏は熱中症の予防、冬は雪道での転倒防止など、マスメディアや関係団体と連携して広報を行っていると聞いております。
その上で、
救急要請の増加に対し、心肺停止などの重症症例にはAEDなどの
救急資機材を積んだ消防車を先行して出動させる消防隊による
救急活動支援、例年、
救急要請が多くなる年末年始だけではなく、今年度から、熱中症に備えた夏の時期にも一時的に救急隊を増強する
特設救急隊の臨時配置など、
救急搬送体制の強化にも取り組んでいるようです。
しかしながら、
救急需要がこのまま増加し続けると、
救急要請が一定の時間に幾つも重なり、その結果として出動できる救急隊がゼロになってしまう事態も想定され、懸念されているところです。他の政令都市においては、既存の
消防車両や
消防隊員を有効活用し、一時的な
救急要請の急増にも備えた体制を整備しているところもあると聞いております。
そこで、二つ目の質問です。
今後の
救急需要の増加に対しては、今ある
消防車両や
消防隊員を有効活用することも重要と考えますが、消防局はどのように考えているか、お伺いいたします。
◎山本
救急担当部長 救急需要の増加への対策についてでございますが、委員のご指摘のとおり、今後の
救急需要の増加に対しましては、救急隊の増強配置だけでなく、今ある消防局の人員、車両を活用した体制の整備も必要と認識しております。
そのような体制の一つといたしまして、心肺停止などの重症症例において、消防隊による
救急活動支援出動を行っているところでございます。
今後の対策といたしましては、一定の時間帯に
救急要請が重なり、出動可能な救急隊が残り少なくなった際に、一部の
消防出張所において、
救急救命士などの救急資格を持った
消防隊員が消防車から非常用の救急車に乗りかえて出動する体制について検討しているところでございます。ことしの11月下旬からこの取り組みを試行的に行い、課題や効果などを検証していく予定となってございます。火災などの災害への対応を主眼とする消防隊の体制を維持しつつ、試行実施の結果を踏まえ、より効率的な救急車の出動体制の整備に向けて検討を進めてまいりたいと考えているところでございます。
◆小田昌博 委員
消防隊員が消防車から救急車に乗りかえて
救急出動する体制は、限られた行政財産の効果的かつ効率的な活用の観点からも望ましいことと考えます。また、
救急需要の増加に対し、救急隊の増強配置だけではなく、あらゆる方策について検討して取り組んでいる姿勢は心強く感じております。
最後に、救急車の利用に不安を感じることなく、札幌市民が安心して暮らせるよう、消防局が一丸となって
救急需要対策を講じられるよう要望し、私からの質問を終わります。
◆たけのうち有美 委員 私からは、道内他都市との連携、危険物の取り扱い及び事故防止について、大きく2点について伺います。
まず最初に、消防局の道内他都市との連携について伺います。
昨年発生した
北海道胆振東部地震では、札幌市内での
災害対応に加えて、大きな被害のあった厚真町の
土砂災害現場においても、札幌市消防局が主体となって道内外の応援隊と連携を図り、無事に任務を遂行されました。このことについては、昨年の
決算特別委員会において、我が会派からも高く評価をさせていただいたところです。
この
災害対応については、道内の消防部隊による対応のほか、道外からの応援部隊である
緊急消防援助隊も活動を行い、その多くは陸路とフェリーによる長時間の移動でした。具体的に、被災地までの時間は、北海道に一番近い青森県の応援部隊では、青森港から函館港を経由して約16時間、東京都からの応援部隊では、大洗港から
苫小牧港を経由して約37時間もの時間を要したとのことで、災害活動を行うまでに大変なご苦労があったことと思います。
そこで、質問ですが、
北海道胆振東部地震での災害を受け、
緊急消防援助隊が速やかに災害現場へ到着するまでの課題はどのようなものであったのか、伺います。
◎岡本 警防部長
緊急消防援助隊の課題についてお答えいたします。
道外からの応援部隊である
緊急消防援助隊の多くが夜間の時間帯の移動となり、北海道に到着となりました。この時間帯に営業している給油所が限られ、被災地まで移動するための燃料供給体制に課題があったところでございます。そのため、燃料の確保につきましては、停電時でも給油が行える自家発電設備を備え、緊急車両に対し、優先的に給油する中核給油所を有効に活用するよう、中核給油所との連絡体制の確保など、連携強化について道内の各消防本部に対して働きかけを行ったところでございます。
また、
緊急消防援助隊が到着するまでの間は、道内の応援部隊のみでの対応となることから、さらなる連携強化が必要と認識しているところでございます。
◆たけのうち有美 委員 応援部隊に対する夜間の給油体制についての課題が浮き彫りとなり、中核給油所との連絡体制を確保する取り組みを始めたとお聞きしました。今後も継続して取り組みの強化をお願いしたいと思います。
また、道内の応援部隊との連携強化は重要であると認識されていますが、今回の
北海道胆振東部地震は、内陸を震源とするもので、津波の発生はありませんでした。しかし、震源が海域の場合は、津波によりフェリーでの移動も断たれ、道外からの応援部隊の到着はさらに遅くなることが危惧されます。このことは、道内の応援部隊のみで
災害対応をする時間が長くなることを意味しており、日ごろから顔の見える関係を構築し、さらなる連携強化を図らなければならないと考えます。
さらに、近年は、地震のみならず、台風やゲリラ豪雨により、地元の消防本部だけでは対応ができない広範囲に被害が及ぶ災害が毎年のように発生している状況があります。
そこで、次の質問です。
消防局として、道内の消防本部との連携は具体的にどのように強化を図っているのか、お伺いします。
◎岡本 警防部長 道内消防本部との具体的な連携についてのご質問でございます。
委員がご指摘のとおり、
災害対応に当たっては、道外の
緊急消防援助隊が到着するまでの間、道内の消防部隊のみでの活動となるため、顔の見える関係の構築を行い、さらなる連携強化が重要というふうに再認識したところでございます。
このことから、ことしの2月には、道内の8割を超える49の消防本部から554名の消防職員が参加した全道消防救助事例研究会を開催し、胆振東部地震の土砂災害によって倒壊した家屋からの救出方法などの事例について発表を行い、情報共有を行ったところでございます。また、今月25日、26日に倶知安町で開催されるG20観光大臣会合では、地元の消防本部のほか、札幌市消防局や近隣の小樽市消防本部など五つの消防本部が連携協力し、現地の消防警戒に当たることとしており、災害発生時に万全を期するため、札幌市消防学校や現地倶知安町において、合同による研修や訓練を実施するところであります。
今後も、こうした大規模イベントなどさまざまな機会を捉え、研修や訓練などを積極的に行い、道内の各消防本部とさらなる連携強化に努める所存でございます。
◆たけのうち有美 委員 道内の消防本部とさまざまな連携強化に向けた取り組みがなされているとのことで、大変頼もしく感じたところです。
毎年のように発生する自然災害に加え、来年は、東京2020オリンピック・パラリンピックが開催され、ここ札幌市においてもサッカーの試合が行われます。オリンピック・パラリンピックなどの大規模イベントはテロの標的にもなり得ることから、一たび災害が発生すると大きな被害となり、道内消防本部からの応援も予想されるところです。そのため、
災害対応をより円滑に行えるよう、消防局は、引き続き、道内の消防本部とのさらなる連携強化を図り、市民の安全・安心に努めていただくことを要望し、道内他都市との連携についての私の質問を終わります。
次に、大きな二つ目の質問として、危険物の取り扱いについて伺います。
まず、ガソリンの取り扱いについてです。
ことし7月18日に、京都市のアニメーションスタジオ会社、京都アニメーションで火災が発生し、従業員36名のとうとい命が犠牲となり、33名が負傷するという重大な被害が発生しました。この火災の出火原因は、容疑者の男性がガソリンスタンドにおいて金属製の容器で購入したガソリンをアニメーションスタジオの室内にまいて火をつけたとされ、炎や煙が一気に建物全体に広がったためとのことです。建物に消防法や建築基準法上の問題点は確認されていなかったものの、これほど多くの犠牲者が出たことは、ガソリンの持つ特性にも大きな影響があったと考えます。
ガソリンは、自動車や機械、器具の燃料として、私たちの生活の中で必要不可欠なものであり、特に北海道では、除雪機が一般家庭にも普及していることや、昨年の
北海道胆振東部地震を踏まえ、非常用発電機の普及も広がっていることなどから、自動車で使用する以外にも身近な存在となっており、ガソリンスタンドで容易に購入することができます。今回発生した京都アニメーションの火災においても同様で、悪意を持って犯罪などに使用される危険性があること、さらには、使用方法を間違えると大惨事につながるということを私たちは再認識しなくてはなりません。
札幌市内には、294カ所のガソリンスタンドがあります。そのうち、顧客みずからが容易にガソリンを給油できるセルフ方式のガソリンスタンドは117カ所あります。セルフ方式のガソリンスタンドでは、消防法により、自動車以外への給油は顧客みずからが行わず、スタッフに声をかけるよう促すステッカーが張られているのを目にしますが、セルフ方式という状況から、自動車と同様に携行缶などへの給油が容易にできる状況にあるのではないかと考えます。京都アニメーションの火災の後、悪質な犯罪を抑制するためにも、ガソリンの販売方法について規制を強化したほうがよいのではという意見もあります。
そこで、質問ですが、ガソリンスタンドでガソリンを携行缶などの容器で購入する場合の消防法の規制はどうなっているのか、伺います。
◎山陰 予防部長 ガソリンスタンドで携行缶などの容器にガソリンを入れる場合につきましては、消防法で火災予防上の安全を確保するためのルールが定められております。具体的には、危険物取り扱いの資格を持つ従業員みずから、または立ち会いのもとで、ガソリンを容器に漏れやあふれがないように入れることとなっております。
なお、ガソリンを入れる容器は、金属製の携行缶など消防法令に定める構造、材質に適合するものを用いることとされており、容器の容量についても制限されている状況でございます。
◆たけのうち有美 委員 ただいまの答弁にあったとおり、消防法に基づき、危険物取扱者が取り扱うことや立ち会うことを徹底することが必要と考えます。
次に、京都アニメーション火災を受けた対応について伺います。
事件があった京都市の消防局では、火災発生からすぐに、ガソリンスタンドに来店する市民に対して、身分や販売目的などの確認による犯罪抑止に協力するようリーフレットを配布するなど、ガソリン販売についての安全対策を行ったと聞いています。
ガソリンを悪用して放火される火災は、過去に、2009年7月、大阪市のパチンコ店で5人が亡くなる火災が発生し、今回の火災と同様に、ガソリンスタンドから携行缶で購入したガソリンによるものでした。当時、大阪市では、犯罪を抑止するための取り組みとして、地元の石油商業組合に対し、運転免許証等による身元確認や販売目的などの記録作成について協力を要請し、ガソリンを携行缶で購入する際のルールをつくり、京都アニメーションの火災が起きる前から取り組まれているそうです。
そこで、質問ですが、札幌市では、このような悪質な放火火災は幸いにも発生していないと聞いておりますけれども、京都アニメーションの火災を受け、どのように安全対策を行っているのか、伺います。
◎山陰 予防部長 京都アニメーションの火災を受けまして、総務省消防庁は、全国のガソリンスタンドの関係団体に対し、安全対策の要請を行うとともに、消防本部にも同様の内容を通知したところでございます。この通知につきましては、ガソリンの容器への詰めかえ販売を行う際に、身分証の確認、使用目的の問いかけ、販売記録の作成、不審者発見時の通報を行うことについて協力要請したものでございます。
この通知を受け、当局におきましては、直ちに札幌市内のガソリンスタンドを運営する事業所に、ガソリンを容器に販売する際の身分証や使用目的の確認など、安全対策の実施について協力要請を行ったところでございます。また、セルフスタンドでは、顧客みずからガソリンを容器に入れないよう、市民向けのリーフレットを作成し、配布していただくとともに、札幌市のホームページにも掲載したところでございます。
なお、身分証や使用目的の確認につきましては、札幌市内のガソリンスタンドの約7割の191カ所においてこのような安全対策を既に行っているところであり、未実施のところにつきましては、多くが実施に向けて検討中であることから、継続して協力要請を行っているところでございます。
◆たけのうち有美 委員 犯罪抑止のためにもしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
次に、危険物の事故防止に向けた取り組みについて伺います。
8月末に九州地方を襲った大雨により、佐賀県の鉄工所において、河川の氾濫に伴い、建物全体が浸水し、金属加工用の危険物の油が大量に流出して周辺地域にも油が滞留するという事故が発生しました。油の流出は11万リットルに及び、広範囲に広がった油の除去作業は困難をきわめ、また、周辺の畑は、収穫を前に大きな被害を受け、社会的にも影響を及ぼし、大きくニュースとなりました。
このように、危険物は、私たちの生活に必要不可欠な存在ではありますが、取り扱いに誤りがあると大惨事につながりかねないため、保管や取り扱いには十分に注意を払わなければなりません。積雪寒冷地の札幌市においては、本州の都市に比べ、暖房用の貯蔵タンクの設置数が圧倒的に多く、特に灯油は需要が高く、一般家庭で貯蔵、取り扱いをしている身近な危険物でもあります。それゆえに、危険物の事故の多くは家庭用で貯蔵している灯油用
ホームタンクであり、毎年、危険物の事故全体の3分の2程度となる70件から100件もの事故が発生しています。昨年は、
北海道胆振東部地震の発生により、一般住宅に設置されていた
ホームタンクが転倒または傾くなど、地震の影響で156件の事故が発生したと聞いています。転倒したものには、老朽化やタンクをしっかり固定していなかったといった原因もあるとのことです。
そこで、質問ですが、市民に身近な危険物を安心して安全に取り扱って生活できる環境づくりが必要と考えますけれども、
ホームタンクの事故が多い状況において、札幌市における危険物の事故防止に向けた取り組みはどうなっているのか、伺います。
◎山陰 予防部長 委員のご指摘のとおり、
ホームタンクの事故原因の多くは老朽化によるタンクの腐食や配管の亀裂によるもので、一般家庭ではなかなか気づきづらいことから、灯油販売業者などに協力を依頼して、配達時には外観などを確認していただき、異常があった場合には消防に連絡をいただくよう連携体制を強化して取り組んでいるところでございます。この取り組みにつきましては、
北海道胆振東部地震により発生した
ホームタンクの被害状況を踏まえ、タンクローリーで配達する危険物取扱資格者が灯油を入れる際に効率的に
ホームタンクをチェックしていただいているところでございます。
この効果としましては、危険物取扱資格者のチェックによって、市民からの相談もあり、
ホームタンクについての関心をうかがえたことから、採暖期を迎えるに当たり、より安全に安心して危険物を貯蔵、取り扱う環境が構築できるものと考えているところでございます。
◆たけのうち有美 委員 昨今、地震や風水害などの大規模災害時において、燃料不足などに対応するため、ガソリンや灯油などの燃料の確保、供給体制が注目されています。一方で、危険物は、使用方法を一たび間違えることで犯罪などに悪用され、また、社会的影響の大きい事故が発生するものでもあります。
ガソリンスタンドでガソリンを購入する人への対策はもちろんですが、除雪機や発電機を購入する人に対しても、ガソリンの適正利用などの意識づけが必要であると考えます。危険物に対する適正利用と保安の確保について指導を徹底し、安全対策をさらに推進することが重要と考えますので、消防局には、引き続き、鋭意取り組まれることを要望し、私からの質問を終わります。
◆成田祐樹 委員 私からは、児童虐待を発見したときの対応と周産期救急の2点について質問をしたいと思います。
まず最初に、児童虐待を発見した場合の消防局の対応についてお伺いします。
本年5月に、札幌市で児童虐待を起因とする痛ましい事件が起こり、児童虐待への対応については、より高めてほしいという声が市民からも上がっているところです。
ここで、虐待を発見した際の法について少しだけ触れたいと思います。児童虐待の防止等に関する法律の第5条においては、「学校、児童福祉施設、病院その他児童の福祉に業務上関係のある団体及び学校の教職員、児童福祉施設の職員、医師、保健師、弁護士その他児童の福祉に職務上関係のある者は、児童虐待を発見しやすい立場にあることを自覚し、児童虐待の早期発見に努めなければならない。」と記されており、第6条においては、「児童虐待を受けたと思われる児童を発見した者は、速やかに、これを市町村、都道府県の設置する福祉事務所若しくは児童相談所又は児童委員を介して市町村、都道府県の設置する福祉事務所若しくは児童相談所に通告しなければならない。」とされております。簡単に言うと、職務上、関係ある者は、さらに上乗せした形で児童虐待について、早期に対応しなければならない旨、法律にて定められているということになります。
参考までに、同じ政令市の福岡市では、福岡市消防救急業務規程の第22条において、「救急隊員等は、救急業務の実施に際し次に掲げる者を発見した場合には、虐待等に関する速報により警防部救急課長に速報するとともに、必要に応じ、関係機関へ通知するものとする」と規定され、児童虐待、配偶者からの暴力、高齢者への虐待についてそれぞれ記載されており、実際に、虐待に関しては警察と保健福祉局に連絡をすることで運用していると福岡市消防局の方からお話を伺いました。
札幌市においても、さまざまな災害現場に出動する救急隊が児童虐待を疑うような現場に遭遇することや、119番通報の受け付け時に児童虐待を疑うような通報というものもあるのではないかなと思います。
そこで、質問ですが、消防局において、児童虐待を認めた場合にどのような対応を行っているのか、お伺いします。
◎岡本 警防部長 児童虐待の発見時の対応についてお答えいたします。
消防局では、児童虐待の疑いを認めた場合を含め、児童相談所へ速やかに連絡、通報する体制を構築しております。具体的には、119番通報時に児童虐待の疑いが認められる場合、救急隊が現場到着時に児童虐待の疑いを認めた場合の二つの場合につきましては、指令管制センターを通じて速やかに児童相談所に通報しているところでございます。
◆成田祐樹 委員 札幌市では、児童相談所への連絡体制が構築されているとお伺いしましたので、安心したところです。
もちろん、本来であれば、児童相談所が中心となって児童虐待の防止や早期発見に努めなければならないところですが、119番通報を受ける指令管制センターでは、年間14万件を超える市民からの多種多様な通報に対応している状況とも聞いております。その中において、児童虐待を疑うようなケースがあった場合には、引き続き、関係機関への情報提供を速やかに行っていただくことと、その対応の周知につきましても引き続き局内でしていただくことを求めて、この質問を終わります。
次に、周産期救急時の体制についてお伺いします。
周産期救急には、母体、胎児の救急医療と新生児の救急医療がありますが、特に産科救急の場合、状況によっては自宅など医療機関外での分娩の可能性があるため、通報を受けてから助けるべき命が二つになる可能性があります。その場合に、救急隊は、母体と新生児双方への対応をすることになるかと思われます。通常、救急隊は1隊3名で活動されていると思いますが、仮に母体または新生児が心肺停止状態などで蘇生処置が必要になった場合、この1隊3名では対応が極めて難しいのではないかと考えます。
そこで、質問ですが、消防局では医療機関外分娩時の搬送をどのように行っているのか、お伺いいたします。
◎山本
救急担当部長 医療機関外分娩時の搬送体制についてでございます。
自宅などの医療機関外での分娩では、母体と新生児ともに正常な通常分娩時には救急隊1隊で対応しているところでございますが、通報時や救急隊接触時において、母体と新生児のどちらか、または双方が重篤な可能性がある場合は、救急隊1隊を追加指令し、2隊で対応しているところでございます。これに加えまして、必要に応じて
救命救急センターなどの医師を救急隊で
救急現場まで搬送するいわゆるドクターカー運用も行い、対応しているところでございます。
◆成田祐樹 委員 今、医療機関外での分娩事案については、母体、新生児とも救急資源を最大限活用して対応に当たられているというお答えだったと思いますが、そのような体制を構築していただいていることは心強く感じているところです。
ただ、もう少しだけ確認させていただきたいのですが、周産期救急においては、通報を受けた段階では安定していても、分娩の前後においては母体と新生児双方が重篤な状態へと変化する可能性もあります。そのような症例への迅速、的確な救急救命措置のためには、ドクターカーの要請はもとより、複数の救急隊での早期対応が必要になることが考えられます。最悪の展開の場合、母体と新生児の2人に蘇生措置する可能性があることを踏まえ、本年1月に、高松市で実施された2019全国救急隊員シンポジウムにおいて、周産期救急のスキルトレーニングの場では、産科救急時には救急車を2台出すことについて触れられているところです。また、既に一部の消防では、分娩事案とわかった時点で2隊を出す形で運用している地域もあると聞いております。
そこで、質問ですが、消防局では、医療機関外分娩への早期対応についてどのように考えているのか、お伺いしたいと思います。
◎山本
救急担当部長 医療機関外分娩への早期対応についてでございます。
分娩時には、通報時などでも重篤な可能性を考慮して、救急隊の追加指令を行っているところでございますが、委員のご指摘のとおり、周産期救急においては、通報を受けた段階では安定していても、母体と新生児双方が重篤な状況へと変化する可能性はあると認識してございます。
今後、他都市の対応症例などの情報収集をしながら、早期に複数隊による救急対応について検討を行ってまいりたいと考えているところでございます。
◆成田祐樹 委員 早期の複数隊による救急対応の検討についてお答えいただいたと思います。
先ほど自民党の小田委員へのお答えの中にも、さまざまな医療資源を利用するという話がございました。千葉県では、ポンプ隊と救急隊が同時出動、PA連携をしており、静岡県では、本年に入ってからPAA連携、救急隊2隊と消防隊1隊という形で3隊出しているなど、さまざまな連携方法があるというふうにも聞いております。ぜひ、先ほどお答えいただいたように、複数隊の対応についてご検討いただければと思います。
とりわけ、分娩事案については、搬送対象が2人になる可能性だけでなく、母子ともに急な状態の変化が想定されます。また、今後は、産科の医療資源の減少も想定されますことから、少しでも整った環境で対応できるよう、救急車の出動体制について検討を進めていただければ非常にありがたく思います。
最後に、母体や新生児蘇生を含めた研修体制についてお伺いしたいと思います。
これまで質問で触れてきた搬送体制も大事ですが、救急対応において何よりも大切なのは、救急隊員の知識、技術の維持や向上であるかと思います。隊員のスキルアップは、そのまま市民の命を守ることに直結することから、教育や研修、訓練についてはより一層の充実をお願いしたいところです。
ただ、日ごろの救急救命に当たっては、さまざまな研修があるかと思いますし、全体の件数を見ても、外傷などの研修に多くの時間を割くことも理解できるところです。周産期救急については、搬送件数が少ないことから、経験する機会も少ないと聞いております。
そこで、質問ですが、周産期救急の救急隊員への研修について、消防局の取り組みをお伺いしたいと思います。
◎山本
救急担当部長 周産期救急の救急隊員への研修についてでございます。
委員のご指摘のとおり、周産期救急については、搬送件数が少ないことから、経験する機会も少なく、救急隊員の研修については、救急救命の観点からも必要性は認識してございます。
現在、救急救命を担う医師による助言をいただきながら、各種研修会を開催し、知識、技術の向上に努めているところでございますが、今後につきましては、産婦人科医の協力もいただきながら、周産期救急への対応も含め、救急救命に万全を期するよう、研修体制の充実に向けて努力してまいりたいと考えているところでございます。
◆成田祐樹 委員 今お答えいただきまして、周産期救急の研修体制について、今後も積極的に取り組む旨のお話を伺えたのかなと思います。これまでの答弁の中で、研修や訓練の話が何度も出てきました。医師を交えての研修になると、当然ながら、講師料などの費用がかかると思います。また、これらさまざまな資格を取るとしても、高額な研修料や旅費など、消防局の職員の皆さんがみずから負担しながらスキルアップをしているのが現状だと思います。市民の命を守るためのさらなる向上を消防局職員自身の負担という善意だけに頼って果たしてよいのでしょうか。
ここからは、要望になります。
今回の質問で、虐待、周産期と2点お伺いしましたが、どちらも、結果的に必要なのは研修であるということです。虐待については、法解釈などについても考える必要があります。さらに、最近は、国が在宅医療を進めてきたことから、みとり救急の問題も出てきています。救急車を呼んだけど、救命処置を拒否されるといったことにどうやって対処していくのか、法的な部分も含めて議論がされていますが、こういった研修にも参加し、勉強しなければ、昨今、目まぐるしく変わる環境に対応できないことと思います。
先ほど回答いただきました周産期についても、外部から講師を招く必要がありますし、先ほど、我が会派のたけのうち委員からも消防の道内連携について触れておりましたが、いずれにせよ、こういった訓練や研修に関しては必ずコストがかかるということです。そして、何より救急隊の昨年の出動件数は9万8,182件、前年比で5%弱ふえるなど、物すごい勢いでふえております。ふえ続ける
救急需要に対して、市民の命と安全を守るには、何より訓練、研修、教育が必要であり、消防局には、その充実を要望するところです。特に財政局に関しては、命を守るために必要な研修、訓練に対して、今まで以上にしっかりと財政的な措置をとり、支援することを強く要望して、私の質問を終わります。
○
小竹ともこ 委員長 以上で、第1項 消防費の質疑を終了いたします。
ここで、理事者交代のため、委員会を暫時休憩いたします。
――――――――――――――
休 憩 午後1時58分
再 開 午後2時
――――――――――――――
○
小竹ともこ 委員長 委員会を再開いたします。
次に、第4款 環境費 第1項 環境計画費及び第2項 清掃事業費について、一括して質疑を行います。
◆千葉なおこ 委員 私からは、札幌市のヒグマ対策について、幾つか質問いたします。
南区において、ことし8月、簾舞、藤野の市街地で連日出没し、家庭菜園を荒らしたヒグマや、常盤地域や真駒内公園での目撃、石山陸橋付近での目撃情報などを含め、ヒグマの生息地が一番近い南区にあって、市街地に出没するヒグマの行動がこれまで以上に大胆でありました。
本市では、さっぽろヒグマ基本計画を策定しています。本計画は、市民生活の安全の確保を図りながら、ヒグマとの共生を目指すもので、そのために、ヒグマとのあつれきを軽減する方策として、特に市街地への侵入抑制策に重点を置くとしています。市内のヒグマ出没ゾーンは大きく三つに分かれており、特に市街地周辺ゾーンでの取り組みが重要であると書かれています。市街地への侵入を防ぐ対策では、ヒグマがやぶなどに隠れて行動する特性に着目し、開けた空間をつくる、つまり隠れにくい緩衝地帯をつくれば、ヒグマ侵入の抑制に効果があると書かれていて、実際に南区の石山大橋付近では草刈りなどで緩衝地帯づくりが取り組まれております。
そこで、質問ですが、そのような管理が必要な河畔林と林や茂みは、札幌市内でどのくらいあるのか、伺います。
◎菅原 環境管理担当部長 管理が必要な河畔林と林、茂みはどのくらいあるのかにつきましてお答えいたします。
札幌市は、ヒグマの生息する山林と市街地が非常に広範囲にわたって接していることから、山林からつながる河畔林も含めて、ヒグマが出没する可能性がある緑地が広く存在します。このような状況の中で、ヒグマ対策を目的とした管理が必要な河畔林や林、茂みを量的に把握することは困難であります。このため、出没情報がある地域を中心に適正な管理の普及を目指しているところであります。
◆千葉なおこ 委員 広範囲にわたり広く存在し、具体的には把握されていないというふうに受け取りました。
この間、さまざまなヒグマ対策について伺っている中で、いろいろな侵入経路はあるようですが、特に多いのが河畔林であるということでした。
そこで、質問ですが、ヒグマの一番の侵入経路となっている河畔林の適正な伐採や管理は、今どのくらい進んでいるのか、伺います。
◎菅原 環境管理担当部長 河畔林の適正な伐採管理の進捗状況につきましてお答えいたします。
さきにお答えしましたとおり、管理が必要な河畔林を量的に把握することは難しいことから、出没情報のあった地域に対しまして河畔林の適正な管理を働きかけているところであります。この中で、ヒグマ対策を目的とした河畔林の管理として本市がかかわっているものとしましては、石山地区で毎年実施している豊平川石山大橋付近の草刈りのほか、藤野地区の野の沢川の草刈りがあります。
◆千葉なおこ 委員 先ほども量的には把握していないということですが、石山地区の豊平川や野の沢川ではされていることがわかりました。
河畔林には貴重な動植物も生息していることから、環境に配慮しながら、適正な伐採の必要があるとお聞きしておりますし、豪雨などによる流木などといった災害時の管理もあわせて急ぐべき問題だとも思っております。
そこで、質問ですけれども、河川の管理者は国、道、市であることから、侵入抑制のためには、3者の担当部局がしっかりと連携していく必要があると考えますがいかがか、伺います。
◎菅原 環境管理担当部長 河畔林の管理に関する国、道、市の連携につきましてお答えいたします。
河畔林の管理は、治水や防災、動植物の生息環境の保全などのさまざまな目的に応じて行われております。このため、ヒグマ対策を目的とする河畔林対策につきましては、河川管理者と協力しながら実行可能な手法について検討することとしており、現在は、石山地区の豊平川石山大橋付近で、河川管理者の協力のもと、地域住民や大学と連携した取り組みを行っているところであります。今後も、出没が繰り返される場所等において連携を図って対応してまいります。
◆千葉なおこ 委員 河川は国や北海道、本市が管理しているわけですから、何より率先して取り組み、ヒグマ侵入抑制のために連携を強めていただきたいと思います。
次に、重要なゾーンとなっております市街地周辺の林、茂みの管理について質問いたしますが、市街地周辺の林、茂みの管理を土地管理者または地域に普及啓発とありますけれども、どのようなことですか、伺います。
◎菅原 環境管理担当部長 土地管理者または地域への普及啓発についてお答えいたします。
市街地周辺の林、茂みなどを適正に管理するには、ヒグマの市街地侵入抑制のための土地管理の重要性について、土地管理者や地域住民に理解を得ることが不可欠であります。したがって、まずは、その重要性について、出前講座やホームページ等により普及啓発を行っているところであります。
◆千葉なおこ 委員 重要性を地域に理解してもらうために、出前講座やホームページにより普及啓発を行っているというふうに受け取りました。
私は、今ご答弁いただいたような普及啓発だけで、適正な伐採や茂みの管理が本当に十分に行われるのかどうかということが少し心配です。もしこの中で課題があれば、伺います。
◎菅原 環境管理担当部長 出前講座やホームページなどで普及啓発を行っているところでありますが、平時におきましては、当事者意識が高まりづらく、十分な理解が得られないという課題がございます。このため、周辺で出没情報が寄せられた場合に直接働きかけを行うようにしているところであります。
◆千葉なおこ 委員 こちらも、まだまだ課題があるということを確認いたしました。必要なところには、市も積極的に電気柵をするなど、そのようにかかわっていくことが必要ではないかと思います。
次の質問に移ります。
耕作放棄地や不在地主の市街化調整区域などについては、手入れがされない里山などが餌となる作物を実らせ、侵入経路になり得るため、関係機関とともに予防的取り組みを行っていくよう検討するとのことですが、どのような検討をするのか、また、課題があれば伺います。
◎菅原 環境管理担当部長 耕作放棄地等に関する予防的取り組みの検討内容と課題につきましてお答えいたします。
耕作放棄地等につきましては、その周辺でヒグマの出没情報が寄せられた場合に、土地管理者に対して電気柵の設置や果樹の伐採、草刈りなどの管理を行うよう求めているところでありますが、高齢化や費用面といった課題のほか、土地管理者が必ずしもその地域の方であるとは限らず、土地管理者との接触が難しいなどの課題もあり、対応に苦慮しているところであります。
◆千葉なおこ 委員 電気柵の設置や草刈りを求めていることや、高齢化や遠くにお住まいになっているため、接触が難しいという課題もあることを確認いたしました。未然防止の対策においては、さまざまなこうした大きな問題があるということが、今回、本当にわかりました。
現在の危機管理体制としては、出没対策や連絡系統、対応手順といった職員研修やヒグマ出没時の連携体制はありますが、未然防止の点については、現在、専任係長1人という今の体制では、この大きな課題を考えても不十分ではないでしょうか。ヒグマの生息地と市街地が直接接するという世界的に見てもまれな札幌市でありますから、下水道河川局を初め、全庁的な連携体制を求めまして、私の質問を終わります。
◆小須田ともひろ 委員 私からも、ヒグマ対策について、3点ほど質問させていただきます。
昨年、ことしとヒグマの出没情報が加速度的に増加してきており、これまでは考えられなかったような場所や住宅街などでも出没情報が多くあります。今年度は、10月3日時点で過去最高の183件の出没情報が寄せられましたが、札幌市が駆除したのは、簾舞・藤野地区の住宅街に連日あらわれた1頭ということでした。このような状況が続くようですと、住宅街からなかなか離れない問題個体の発生や、人との接触による不測の事態なども発生するリスクが高まっていくのではないかと思います。
そこで、質問ですが、ヒグマの出没情報が急増している原因について、札幌市ではどのように認識しているのか、また、今後もふえる可能性は考えられるのか、伺います。
そして、ヒグマの出没情報に対し、札幌市ではどのような対応を行ってきているのか、あわせてお伺いいたします。
◎菅原 環境管理担当部長 ヒグマ出没情報が急増している原因と出没情報が今後も増加する可能性につきましてお答えいたします。