次に、3の
計画期間でありますが、国の第2期
総合戦略の
計画期間を踏まえて5年間としたいと考えております。
次に、4の全体構成についてでありますが、現プランと同様に、
人口ビジョン編と
総合戦略編の2編構成を予定しております。
人口ビジョン編では、人口の将来展望や目指すべき将来像をお示しし、
総合戦略編では、新たに現プランの総括を加えますほか、5年間の目標や施策の方向性と
重要業績評価指標、いわゆるKPIを設定して効果的に施策を進めてまいりたいと考えております。
次に、右上の5の
策定スケジュールをごらんください。
本日は、
人口ビジョン編の
素案概要と
総合戦略編の骨子案をお示しいたしますが、12月ごろの
総務委員会では、全体の計画案をお示ししたいと考えており、その後、
パブリックコメントで市民意見を頂戴した後に、年度内の
計画策定を予定しております。
次に、右上の6の現プランの評価についてであります。
現プランでは、大きく二つの
数値目標を設定しております。
数値目標1につきましては、
合計特殊出生率を平成26年の1.16から平成31年までに1.36とすることを目標としておりましたが、少子化の傾向は変わらず、最新の平成29年でも1.16にとどまっている状況でございます。
数値目標2につきましては、平成26年に2,600人程度であった20代の道外への
転出超過数を半減させることを目標としておりました。平成29年まで
減少傾向が続いておりましたが、主に
転出者数の増により、平成30年に増加して、当初値を上回る水準になっている状況でございます。
そのグラフの下にありますKPIについては、詳細は別につけている
参考資料1にお示ししておりますが、
基本目標1の安定した雇用を生み出すと、
基本目標2の結婚・出産・子育てを支える
環境づくりについて設定した各KPIについての評価をここでまとめております。Aについては目標を達成済みのもの、Bについては達成していませんが、
改善傾向にあるもの、Cについては当初より悪化しているものとしております。
基本目標1も2も、6割から7割の指標が改善しておりますが、中には当初より悪化しているものもありますので、これらを踏まえて新たな
計画策定に当たる考えでございます。
おめくりいただいて、
報告資料2−1をごらんください。
こちらでは、
次期プランにおける
人口ビジョン編の
素案概要をお示ししております。
まず、左上の1の札幌市の
人口推移についてでございます。
直近の2015年の
国勢調査の結果では、札幌市の人口は195万人となっております。内訳をごらんいただきますと、
生産年齢人口が減少してきており、近年、
老年人口が増加している状況でございます。その下に、札幌市の
人口増加数の推移という棒グラフを記載しておりますが、1970年近辺をピークに
減少基調にあり、2010年から2015年の5年間では3.8万人の増にとどまっている状況でございます。
次に、2の札幌市の
人口動態についてです。
まず、左側が、出生数と死亡数の差である
自然動態についてでございます。2009年にマイナスに転じて以降、減少幅が大きくなっており、2018年には約6,000人の減となっております。次に、
社会動態につきましては、
転入者数から
転出者数を差し引いた数値をお示ししており、景気動向にも左右されますが、全体的に
漸減傾向にあり、2018年には約7,600人の増加となっております。
次に、3の札幌市の
人口推計をごらんください。
こちらは、最新の
国勢調査をもとに札幌市で独自に推計を行ったものでございます。現在の出生率が変わらないとしますと、2015年には195万人であったものが2040年には183万人、2060年には40万人減の155万人になるものと推計しております。2015年から2060年にかけてその内訳を見てみますと、一番色の濃い
老年人口は48万人から66万人へ18万人ほど増加する一方で、
生産年齢人口につきましては124万人から76万人へと48万人ほど減少する見込みでございます。
下段に移りまして、4の直近の
社会変化につきましては、今後、
総合戦略編における施策を検討するに当たって考慮すべき統計についてお示ししております。
まず、一番左側の(1)女性と高齢者の
社会進出についてでございます。
上のグラフは、女性の
労働力人口が
増加傾向にあることがわかり、下のグラフでは、65歳以上の
労働力人口が大きく増加していることがご確認いただけるかと思います。
次に、(2)女性の
年齢階級別の就業率についてですが、このグラフの中で点線は過去のものを示しており、
労働力人口の高まりに応じて年を経るごとに上昇しておりますけれども、25歳から29歳をピークとして、その後の年代でいずれの線も落ち込む、いわゆる
M字カーブがなお残っており、就労し続けられる
環境整備が重要であると考えております。
次に、その横の(3)
人手不足についてであります。業種別に
人手不足と回答した企業の割合を示しており、
オレンジ色が直近の状況を示しております。特に顕著なのは、建設業、運輸業、
情報通信業でありまして、近年、
人手不足感が非常に高まっている状況です。
次に(4)
インバウンドにつきましては、近年、非常に増加しておりまして、直近では257万人に達している状況です。
最後に、(5)
外国人人口につきましても、増加が続いておりまして、2019年には1万3,000人に達している状況でございます。
おめくりいただきまして、資料2−2をごらんいただきたいと思います。
5の
自然動態からの考察についてであります。
合計特殊出生率の推移をお示ししておりますが、札幌市の
合計特殊出生率は一番下の実線の1.16であり、その上の1.21が東京都、1.29が北海道、一番上の1.43が全国となっております。全国的に同様の傾向で推移しておりますが、札幌市はその中でも水準が低い状況となっております。
右隣に移りまして、6−1の
社会動態からの考察です。
札幌市の
人口移動は、道内からは
転入超過である一方で、道外へは
転出超過です。全体としては
転入超過となっており、特に、若年層の道内からの転入が多いのと同時に、道外への転出が多いという特徴がございます。
次に、6−2の
大学等卒業者の就職地についてでございます。
これまでは、理系人材については、市内での
就職希望がかなわず、道外に就職してしまうことを主な課題と認識しておりましたが、それは必ずしも理系だけではないということがわかってまいりました。上のグラフは、各大学が集計している男女の文系、理系についての
就職地別の就職者の割合を示したものです。下のグラフは、私どもが独自に
アンケート調査をしたもので、学生に
就職希望地を尋ねたものでございます。例えば、下のグラフ、つまり希望地のほうですが、文系の男性は、55.5%の方が市内での就職を希望しておりますけれども、上のグラフの実際に選んだ就職地のほうでは41.7%にとどまっている状況です。これらのグラフについては、質問している対象者やサンプルの数も異なるのでその点は留意が必要ですが、文系学生の就職地の希望が十分にかなっていない傾向が見えてくると考えております。
なお、
希望就職地のグラフの中で、赤線で囲っている部分は、就職地にこだわらない方と、首都圏、それから首都圏以外の道外に就職したいと回答した方の合計の数値です。例えば、文系の男性は23%と赤字でお示ししておりますが、実際に道外に就職された方は、上のグラフで3割を超えている状況です。このことから、就職地にこだわらないと回答した方も結果として道外に就職してしまっている、つまり、道内での就職は選ばれていないといった現状があるものと推測しております。
次に、6−3の就職先について重視することを学生に尋ねたものでございます。
福利厚生、賃金、職場の環境を重視していることがうかがえます。
これまでご説明した内容を踏まえまして、今後、札幌市が目指すべき将来像について、
基本的方針を二つ掲げております。
一つ目は、現在のプランと同様に、結婚や出産を望む市民の希望がかなえられる社会の実現を目指すということでございます。先ほど触れましたとおり、札幌市の
合計特殊出生率は1.16ですが、今回、私どもの
アンケートによる市民の
希望出生率は1.65となっており、十分に希望がかなえられていないことがうかがえます。このため、所得の向上や
子育て世帯の
経済的負担などについて、市民の希望がかなうような施策に取り組んでいく必要があると考えております。
下にある二つ目として、人をひきつける魅力のある
環境づくりを進めるということです。先ほど、道内での就職が学生から選ばれていないということを申し上げましたが、誰もが働きやすく生きがいを感じられるような社会をつくって、人を引きつけるような魅力のある
環境づくりをしていきたいと考えております。
最後に、下段の右側のグラフは、今後の
人口推移の長期的な見通しについて、
パターン別にあらわしたものでございます。先ほどごらんいただきました
報告資料2−1の右上のグラフをさらに延長していくと、一番下にあります黒い実線になりまして、2100年には人口が100万人を下回る水準になると推計しております。赤色と青色の線につきましては、今後の施策への
取り組みなどによって
合計特殊出生率が徐々に上昇するというシナリオのもとで推計したものでございます。例えば青色の線は、2050年に出生率が2.07に達した場合の予測となっております。さらに、赤線は青線よりも10年おくれて出生率が2.07となった場合のものでございます。
ちなみに、2.07という水準は、人口置きかえ水準と呼ばれるもので、
人口規模を同程度に維持するために必要な出生率となっております。
おめくりいただきまして、
報告資料3をごらんください。
総合戦略編の骨子案でございます。
詳細については、今後検討していくこととなりますが、お示ししている内容を柱として、今後、事業の構築を進めたいと考えております。
先ほどの二つの
基本方針を踏まえて、二つの
基本目標を設定いたします。
一つ目の
基本目標は、質の高い魅力的な雇用を生み出すとしたいと考えております。その施策の柱として、ア 札幌市の魅力・産業の
競争力強化、イ 札幌市産業を支える
基盤づくり、ウ 地域が必要とする人材の育成・定着・還流に取り組んでいきたいと考えております。
右側に移りまして、
基本目標2の結婚・出産・子育てを支える
環境づくりについてでございます。施策の柱として、ア 結婚・出産・子育ての切れ目のない支援、イ 子どもへの支援の充実、ウ 子育てを支える社会の形成に取り組んでいきたいと考えております。
本日ご用意している
報告資料については、以上となります。
最後になりますが、先ほど触れました
参考資料1に加えまして、
参考資料2として、
未来創生プランに掲載しております
主要事業の
取り組み結果、さらに、
参考資料3として、
地方創生関連交付金の
対象事業についてを添付しておりますので、後ほどごらんいただきたいと思います。
○
小竹ともこ 委員長 それでは、質疑を行います。
◆
小田昌博 委員 私からは、(仮称)第2期さっぽ
ろ未来創生プランの策定について、2点お伺いいたします。
1点目は、現プラン全体の進捗の評価についてお伺いします。
国の人口は、2008年をピークに減少に転じ、札幌市においても、ここ数年のうちにいよいよ減少の局面を迎えます。こうしたことから、国の動向を踏まえて、
人口減少の緩和を目指し、
先ほどお話もありましたように、具体的な計画として、2016年にさっぽ
ろ未来創生プランを策定し、安定した雇用を生み出す、結婚・出産・子育てを支える
環境づくりを
基本目標として進めてまいりましたが、国においては、本年6月21日、まち・ひと・し
ごと創生基本方針2019を閣議決定し、現在のまち・ひと・し
ごと創生総合戦略の成果と課題を検証し、年内に第2期の
総合戦略を策定することを決定しています。
さっぽ
ろ未来創生プランも、今年度が
計画期間の最終年となっており、これまでの
取り組みの成果、課題をしっかりと分析した上で、国の新しい
総合戦略も踏まえながら、第2期のプランを策定することが必要であると考えます。現プランの
数値目標の中で、
合計特殊出生率は横ばいにとどまり、新卒者の道外への流出も
高どまりの状況となっており、さきの本会議でも市長もそのように答弁しております。
そこで、一つ目の質問ですが、所管する
まちづくり政策局として、現プランの全体の進捗をどのように評価しているのか、お伺いいたします。
◎芝井
政策企画部長 現在のプランの進捗の評価についてお答えいたします。
現在の
未来創生プランでは、施策を実現していく約150の
主要事業を掲げておりますが、そのほぼ全ての事業に着手しており、半数以上の事業においてその
活動指標を達成している状況でございます。また、施策の効果をはかるKPI、
重要業績評価指標については、当初値より低くなっているものもありますが、目標値を前倒しして達成しているものや
上昇傾向にあるものが6割以上ある状況でございます。
しかしながら、ご質問にもありましたとおり、二つの
数値目標に関しますと、
合計特殊出生率は全国的な傾向とほぼ同様に
横ばい傾向にあり、また、20歳代の
道外転出超過数については、全国的な
人手不足を背景にして、なお
高どまりの状況にございます。こうしたことから、
人口減少の緩和に向けてより一層
取り組みの強化が必要であると認識をしております。
◆
小田昌博 委員 次に、二つ目の質問です。
第2期プランにおいて力を入れるところについてお伺いいたします。
現行プランでの
子育て支援や札幌市の産業の競争力の強化についてさまざまな
取り組みを行っていることは、計画書や
配付資料からもうかがうことができます。しかしながら、今現在、生活をしている市民や就職を控えている学生などに札幌市が行っているさまざまな
取り組みが知られておらず、現時点では、観光客には魅力があるまちとして認識されていても、札幌市の魅力を理解して住んでみたい、働きたいというイメージがなかなかできていないのではないかと思います。このことが、新卒者、そして若年層の道外流出の一因ではないかと思います。
また、出産、子育てというところでは、昨年の
調査特別委員会において、我が会派の
中川委員が、
合計特殊出生率の向上については、複雑な要因が重なり合い、すぐに改善するのは難しいこと、さらには、道外からの
人口流入を促進させるため、大胆に他都市との違いを明確に打ち出すべきとも述べているところであります。
私自身も、
人口減少対策については、息の長い
取り組みであると認識しておりますが、雇用や
子育て環境を整えることを進める
取り組みを着実に行うのはもちろんですが、その
取り組みを市民に知ってもらい、市民にしっかりと示して共有していくことが必要ではないかと考えます。
そこで、二つ目の質問ですが、
人口減少の緩和に向け、第2期プランではどのようなところに力を入れていくのか、お考えを伺います。
◎芝井
政策企画部長 第2期プランにおける力点についてお答えいたします。
昨年度、市内の大学生を対象にして行った調査におきまして、理系、文系を問わず、
市内就職の希望がかなっていないことに加え、先ほどもご説明申し上げましたが、就職地にこだわらない学生にも市内が選ばれていないことが新たな課題として見えてきたところでございます。
こうしたことから、第2期プランの骨子案では、人をひきつける魅力のある
環境づくりを
総合戦略編の
基本的方針に据えたところでありまして、これに基づく
取り組みをより強化していきたいと考えております。また、若年層の転出入につきましては、景気などの
社会情勢による影響も大きいことから、市単独の
取り組みはもとより、国や北海道などとの連携や、広域的な視点を持った
取り組みをより進めていく必要があると考えております。
委員からご指摘のありました市の
取り組みやまちの魅力の共有、PRにつきましては、ことしの秋に予定しているシンポジウムやワークショップにおいて、市の将来像を市民と共有するとともに、札幌市が多くの人にとって希望がかなう魅力のある
まちづくりを進めていることについて、内外に効果的かつ継続的に発信していくことも今後検討していきたいと考えております。
◆
小田昌博 委員 札幌市と大学の連携も重要であると考えます。大学の知見を生かした産業振興、雇用創出などで地元定着を推進し、他都市の事例もしっかり見ながらプランを前に進めていただくことを要望し、私の質問を終わります。
◆田島央一 委員 私からも、(仮称)第2期さっぽ
ろ未来創生プランの
策定方針についてお伺いしていきたいと思います。
我が会派の代表質問で、次期さっぽ
ろ未来創生プランの策定に当たって、基本的な考え方について質問し、市長から、
子育て世代への育児支援や
経済的負担の軽減策などを
充実強化していく旨の答弁がありました。
人口減少社会の対応は、一朝一夕に成果が出るものではないと承知しておりますが、粘り強く継続的な
取り組みが求められると考えております。特に、
数値目標を設定している
合計特殊出生率に関しては、単に出生数をふやすという捉え方ではなく、さまざまな事情をお持ちの方でも、子どもを産み育てたいという希望がかなえられることが重要だと考えております。そのため、
先ほど報告にあった
希望出生率と
合計特殊出生率が乖離していることについて、
次期プランの策定に当たっては、どういったことが要因になっているのかを改めて考えるべきではないかと思います。
そこで、お伺いしますが、
希望出生率と
合計特殊出生率の間に乖離があることについてどのように捉えているのか、札幌市の認識をお伺いしたいと思います。
◎芝井
政策企画部長 希望出生率と
合計特殊出生率の乖離についてお答えいたします。
市民が安心して子どもを産み育てることができる環境をつくっていくために、その希望がかなえられない理由を継続的に把握していくことは重要であると考えております。現在のプランでは、
予定子ども数を実現できない理由といたしまして、収入が不安定なことや、年齢や健康上の理由を主なものと捉えてきたところでございます。
昨年、改めて
アンケートを実施いたしましたところ、収入や年齢などの割合についてはこれまでと同様に高いのですが、さらに、全国と比較すると、札幌市は、自分や配偶者の仕事の事情や、家事や育児の協力者がいないといった理由を挙げる割合が多い状況となっております。これらのことから、
希望出生率と
合計特殊出生率に乖離があることについては、家計所得の不安のほか、仕事と家事、育児の両立についても不安を抱えていることが影響しているものと認識しております。
◆田島央一 委員
希望出生率と
合計特殊出生率の乖離については理解いたしました。
これからの
総合戦略編の策定に当たって、
子育て世代の不安を解消するような施策を盛り込むよう求めておきたいと思います。
今回の報告の中で、今後策定していく
総合戦略編の骨子について報告がありましたが、我が会派が要望している若者の起業支援や女性活躍に資する内容が盛り込まれている一方で、働く意欲のある高齢者の
社会参加の促進といった視点も必要だと考えます。
札幌市においては、2015年には25%であった
高齢化率が、2026年には40%を超えるという推計が示されたところであり、
高齢化社会を見据えた
取り組みも重要ではないかと考えます。
数値目標の
達成状況や反省点を踏まえた事業の
充実強化はもちろんですが、このような
社会情勢の変化なども視野に入れた新たな視点を施策に盛り込むことが必要なことと認識しております。
そこで、お伺いしますが、今回、骨子のみ提示されている
総合戦略編について、これからさらに検討が進められることと思いますが、
社会情勢の変化をどのように
総合戦略編の施策に反映しようと考えているのか、札幌市の認識をお伺いしたいと思います。
◎芝井
政策企画部長 社会情勢の変化を反映した
総合戦略編の策定についてお答えいたします。
今回お示しした新しいプランの二つの
基本目標は、現プランと同様に、雇用の創出と結婚、出産、
子育て環境の整備とする方向でございます。その上で、
人口ビジョン編でお示しした直近の
社会情勢の変化や
アンケート結果などを踏まえて施策の充実を図っていきたいと考えております。具体的には、全国的な課題となっている保育人材を含む
人手不足対策や、
訪日外国人の増加を受けた
観光施策の
充実強化などについて、
総合戦略編の骨子案で新たにお示ししたところでございます。
ご質問にありました働く意欲のある高齢者への視点も大変重要だと考えており、
社会参加のさらなる促進に加えて、健康寿命の延伸についても施策に盛り込んでいきたいと考えております。今後も、国の議論や
社会情勢の変化を注視して、
次期中期実施計画とも連動させることによって実効性を担保しながら、
総合戦略編の施策に反映していきたいと考えております。
◆田島央一 委員 承知しました。
ここにぶら下がっている事業も110ほどあるということだったので、今回は、細かい具体的な事業ではなく、大きい視点ということで質問させていただきましたが、私は、
まちづくり政策局の思いの部分と、それぞれ事業がぶら下がっている各課の意識には温度差があるのではないかと感じていました。
まちづくり政策局は、
総合戦略があってここを目指すのだということで進んでいると思うのですが、いろいろな課に行くと、そういう意識を持たないまま淡々と事業を進めているということがあると、別の組織を見てきた中で感じましたので、今後は、ぜひとも、
まちづくり政策局の熱意みたいなものを各課に落としていくような形での事業の進め方をお願いしたいと思います。その点を申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。
◆小口智久 委員 私からも、(仮称)第2期さっぽ
ろ未来創生プランの策定について質問いたします。
まず初めに、若者の道外転出に関連して伺います。
先月、2020年の春に卒業予定の大学生、大学院生に対する主要企業の選考活動が解禁されました。
人手不足による学生優位の売り手市場、都市圏での就職の志向が高まっており、道内では、札幌やその近郊に
就職希望が偏っているとの新聞報道がありました。また、大手就職情報誌の全国調査によりますと、道内出身者の地元
就職希望は、全国平均の49.8%を上回る65.4%となっているものの、初めて調査を開始した2012年に比べて14%減少、道外に進学した学生のUターン
就職希望者も、2012年に比べて19.4%減の25%にとどまり、地元離れの傾向は年々強まっているとのことでございます。
全国的な対策として、6月21日に、まち・ひと・し
ごと創生基本方針2019が閣議決定され、来年度から始まる第2期
総合戦略では、地方への新しい人の流れをつくる
取り組みが強化される方向性になると聞いており、UIターンを促進する大きな流れができているものと期待しております。
私も18年前の34歳のときにUターンをしましたが、道外に転出していった若者たちにも、機会があれば、ぜひ札幌に戻ってきて地域のために活躍していただきたいと思います。
さて、先ほどの説明の中で、人口の
社会動態として、道内から札幌への転入は超過傾向である一方、20代の若年層に関しては、就職などの理由で道外への
転出超過が大きいとありました。特に理系の学生の流出は顕著にあらわれ、文系の学生も、地元で就職したいという希望がありながらも、仕事がないため、やむを得ず、道外転出につながっているとのことでした。これは、せっかくの人材が道内からいなくなってしまうという、とても残念で、かつ、学生たちに大変申しわけないというべき事態ではないかと思います。
そこで、質問ですが、UIターンを初め、若者の
市内就職に関して、これまでどのような施策を行い、また、今後の
取り組みの方向性についてどのように考えているのか、伺います。
◎芝井
政策企画部長 若者の
市内就職に関する
取り組みについてお答えいたします。
札幌市の
人口増加数が、近年、
減少傾向にある中で、若年層の道外
転出超過が高い水準で推移しておりますことから、人材の還流や定着に向けた
取り組みは大変重要であると認識しております。
これまで、東京圏の学生などに対しては、札幌UIターン就職センターなどを通じて、札幌市内企業の情報提供や就職の相談機会を設けてまいりました。また、地元で働きたいと考える若者に対して、市内企業の情報提供に加えて、インターンシップなど就職に役立つ技術や能力などが得られる機会を提供してきたところでございます。
今後は、発展が期待できる食や健康・医療分野などの産業を振興して魅力のある雇用の創出につなげるとともに、東京圏からの移住支援など人材を呼び戻す
取り組みについて力を入れて検討していきたいと考えております。
◆小口智久 委員 わかりました。
次に、子どもを産み育てやすい
環境づくりに関連した
取り組みについて伺います。
札幌市の
合計特殊出生率は1.16と、47都道府県の中で最も低い、東京都の1.21をさらに下回っており、大変危機感を抱いております。
先ほど田島委員からもございましたが、出生率が低い要因として、未婚率の高さと出生数の少なさが挙げられ、6月18日に閣議決定された令和元年度版少子化社会対策白書では、結婚を希望している者が結婚に至るためには、経済的な余裕と、異性と知り合う機会があることが必要であると考えている割合が高くなっております。また、出生数の少なさに関連するものとして、夫の家事・育児時間が少ないほど第2子以降の出生率が低い傾向にあり、男性が子育てできる
環境づくりを進めていく必要があると考えております。
こうしたことを踏まえて、
次期プランでは、子どもを産み育てやすい
環境づくりに向け、男性の家事、育児への参加の観点から、どのように取り組んでいくのか、伺います。
◎芝井
政策企画部長 男性の家事、育児への参加に向けた
取り組みについてお答えいたします。
先月14日にありましたさっぽ
ろ未来創生プラン推進有識者会議におきましても、男性が家事や育児に参加するための働き方改革が必要であるとの意見がございました。就業構造基本調査によりますと、市内の25歳から34歳で、勤務時間が週60時間以上となる就労者の男女割合を比較してみますと、一貫して男性のほうが高い状況にあり、さらに、全国と比べても札幌の男性は長時間労働をしている割合が高い状況にございます。
これまでも、男女ともに働きやすい社会を目指して
取り組みを進めてまいりましたが、今後は、経済界などと連携しながら、男性の長時間労働に対する意識改革と家事、育児への参加促進に
取り組み、子どもを産み育てやすい
環境づくりを一層進めていきたいと考えております。
◆小口智久 委員 最後に、要望です。
若者の流出対策には、多様な労働環境が重要であると考えますので、質の高い雇用を生み出せる企業の誘致や、寒冷地という立地を生かしたエネルギー関連産業、また、最近、道内でも模索しております航空機の部材産業への参入、またさらに、現在、我が会派が取り組んでおります医療産業集積など、魅力的な雇用をつくっていただきたいと思います。
UIターンについては、私がUターンを考えた時分は、情報が余りなく、メリット・デメリットが明確でない中での転職活動だったので、大変悩みました。その経験上、就労の情報だけではなく、生活面、子どもの就学問題など、さまざまな悩みを相談できる窓口があれば、UIターン希望者にとって心強いのではないかと思いますので、一層の相談体制の強化を願います。
最後に、育児参加については、男性が女性の手伝いをするといったスタンスではなく、男性が主体となって子育てをするという意識がこれからの社会に重要と思われますので、行政がその後押しをできるような施策を要望し、私の質問を終わります。
◆池田由美 委員 私からも、質問させていただきます。
さっぽ
ろ未来創生プランの現プランがつくられるときに、今後始まる
人口減少に向けて、市民・企業・行政が一丸となって
人口減少の緩和に努めるとされております。そして、目標や施策がつくられ、定められ、計画も策定してきたところであります。
先ほどから、
合計特殊出生率の引き上げなどがお話しされておりましたが、本市の将来人口に与える効果が大きいとして、結婚、出産、子育てを支える
環境づくりに取り組んできましたが、出生率が改善されず、1.16と横ばいの状況が続いてきている状況です。現プランの評価でも、出生率は横ばいで、目標値1.36との乖離が大きいという話が先ほどからされているところです。
そこで、出生率が改善されない原因についてどのように考えているのか、伺いたいと思います。
◎芝井
政策企画部長 合計特殊出生率が改善しない原因についてお答えいたします。
札幌市の
合計特殊出生率が低位にある背景といたしましては、全国に比べて、高い未婚率と夫婦間の出産数の少なさと捉えております。昨年度実施いたしました調査結果によりますと、高い未婚率につきましては、男女ともに生活や結婚のための資金への不安があること、また、出産数の少なさにつきましては、年齢上の理由のほか、不安定な収入や仕事の事情が主な要因となっていることが改めて確認できました。
したがいまして、
合計特殊出生率が改善しない原因として、収入や資金面でなお課題があると考えております。
◆池田由美 委員 未婚率の問題とか夫婦間の出生率の低さ、その中でも収入の問題が大きな課題なのではないかという答弁だったと思います。
KPIの指標を見ますと、24の妊娠・出産や子育ての悩みについて、相談相手や情報収集の手段があり、相談等により不安や負担が軽減されている人の割合が、81.6%とAの評価となっております。そして、23の子どもを産み育てやすい環境だと思う市民の割合は、50.9%とCの評価となっています。
不安や負担が軽減されていれば、子どもを産み育てやすい環境につながると考えますが、そうはなっていない実態があります。今は、その両方を比較して整合性が感じられない状況があるのかなと私は見ております。結婚、出産、子育ての切れ目のない支援として掲げられているそれぞれの施策が関連し合って、どう効果を上げているのか、どこが不十分なのか、やはり丁寧に検証していくことが重要ではないかと思いますので、その結果を第2期
未来創生プランに生かすべきだということを求めておきたいと思います。
そして、先ほどから出生率の改善が見られない原因として収入の問題も挙げられておりましたが、
未来創生プランの策定の際の意識調査では、答弁にありましたように、やはり、結婚や出産に対する経済的な不安定さ、不安定雇用が多く挙げられており、暮らしの安心を支える雇用の問題も大きな課題ではないかと感じております。
そこで、質問いたしますが、現プランの
基本目標は安定した雇用を生み出すとして取り組んできましたけれども、新しいプランでは、その部分が質の高い魅力的な雇用を生み出すとなっています。この間、安定した雇用を生み出すという目標への
取り組みの到達度と課題について伺いたいと思います。
◎芝井
政策企画部長 基本目標であります安定した雇用を生み出す部分の到達度と課題についてお答えいたします。
市民の結婚や子どもを産み育てたいという希望をかなえていくためには、安定した雇用を生み出して、経済面での不安を軽減していくことが重要だと考えております。先ほどご説明したとおり、関連するKPIにつきましては、全体の7割程度が改善しており、また、就業構造基本調査におきましても、平成24年から29年にかけて非正規雇用の割合は
減少傾向にございます。一方で、当初より悪化しているKPIもあることや、非正規雇用の割合が全国と比べてやや高い水準にあることから、依然としてそれらが課題であると認識しております。
◆池田由美 委員 先ほど、非正規雇用が41.7%から39.9%に引き下がってきている実態があることもおっしゃっていたと思います。私は、非正規雇用など働き方の問題がやはり大きいので、安定した雇用を生み出すというところをしっかりと支えていく施策が必要ではないかと考えております。
本市の2018年の給与所得の推移を見ますと、100万円以上200万円以下の段階での納税義務者が減ってきて、200万円以上300万円以下の段階がふえておりまして、賃金は少し上がっているけれども、依然として100万円以上300万円以下の段階の納税義務者が24万6,382人と全体の3割となっております。私は、この中に若い世代が多く含まれているのではないかと予測します。そして、物価が上がり、税金などの負担もふえてきていますから、給料が上がったとしても実質賃金は減ってきており、今、大多数の人が景気回復を実感できない状況にあるというふうに考えます。貯蓄ゼロ世帯の割合を見ても、20年間で全ての世代でふえております。特に20代では61%が貯蓄ゼロ世帯となっておりますし、30代では40.4%と増加している実態があります。ぎりぎりの暮らしを余儀なくされ、
子育て世帯の暮らしはさらに深刻だということが予測されると思います。こうした暮らしを支えていく雇用の安定と暮らせる賃金が、結婚や出産を望む市民の希望がかなえられることにつながると感じております。
そこで、質問いたしますが、
基本目標1の安定した雇用を生み出す
取り組みとして、札幌市の産業の
競争力強化、産業を支える
基盤づくり、地域が必要とする人材の育成、定着などの施策の
取り組みが行われてきておりますが、安定した雇用というものにどのように結びついているのか、伺いたいと思います。
◎芝井
政策企画部長 基本目標の中の施策群が
基本目標の達成にどのように結びついているかというご質問でした。
委員からもありましたが、
基本目標の安定した雇用を生み出すための施策に対して、産業の
競争力強化と産業の
基盤づくり、それから人材の育成、定着という三つの大きな柱を据えておりまして、それらを相互に関連づけながら目標達成に向けて
取り組みを進めてまいりました。中でも、市内総生産が伸びる中で、有効求人倍率も改善するなど、市内産業の成長であるとか競争力の強化が安定した雇用を生み出すことにもつながるという考え方から、
競争力強化、それから
基盤づくりにも力を入れてきました。こうした中で、観光・MICEや食、エネルギー、健康・福祉など成長が期待できる分野での産業を振興することなどを通じて、雇用の受け皿の拡大を図ってきたところでございます。
◆池田由美 委員 観光・MICEなど、さまざまな分野の競争力を強化する中で雇用も広がっているという中身だと理解いたします。
観光産業での雇用というところでは、やはりサービス業がふえていくことにつながりますが、宿泊業、飲食・サービス業は非正規雇用が7割を占めておりまして、そのうち女性の比率が58.8%で、圧倒的に女性が多い職場となっております。ただ、宿泊業、飲食・サービス業というところでは、現金給与の総額も低いわけですね。さらに、その中で働く女性は、男性よりも10万円以上も給与が低く抑えられてきております。私は、やはり、女性に対して非正規雇用を常態とする雇用差別というものがまだまだ広く存在しているのではないかと考えておりまして、こうした実態の改善と暮らしを支えることこそが求められているのだと考えます。
また、医療や福祉産業の従業者数はKPIの中でもふえてきておりますが、2019年5月に、全国労働組合総連合で行った
アンケート結果が発表されておりますけれども、介護労働実態調査では、介護職の賃金は全産業平均よりも8万円も低く、そして、
人手不足による過重労働によって63.6%の方が肩こりや腰痛など健康に不安を持っている、この間の国の処遇改善を十分と答えた人はわずか3.5%で、多くの労働者が仕事にやりがいを感じながらも、賃金が安くて仕事が忙し過ぎる、つら過ぎる、もうやめたいと思っているということが明らかにされてきております。働き続けられる介護職にしていくためには、やはり、賃金の引き上げ、
人手不足の解消が大きな課題となっています。今、介護職と宿泊業や飲食・サービス業のお話をしましたが、私は、こうした働き方が改善に向かっていくことが、若者が札幌に定着し、安心して結婚、出産、子育てに前向きになっていけることにつながっていくと思っております。
こうした今の働き方の実態をどのように把握しているのか、伺いたいと思います。
◎芝井
政策企画部長 働き方の実態把握についてお答えいたします。
国勢調査とか就業構造基本調査におきまして、被用者の雇用形態や所得、就業時間など雇用に関するさまざまな実態について、定期的かつ長期間にわたって把握しているところでございます。こうした調査・分析から得られる実態を踏まえまして、安定した雇用を生み出す
取り組みについて今後も継続していく必要があると考えております。
◆池田由美 委員
国勢調査、そして就業構造基本調査などを見ながら、定期的、長期的に把握してきているという答弁でした。
私は、やはり、札幌市民がどのような状態に置かれて、苦労しながら働いてきているのか、こういうことを念頭に置いて、そこに心を寄せていくことが非常に重要ですし、実際に話を聞いていくことが必要ではないかという思いをしているところです。当事者から実態を聞き取り、当事者の声を生かしていくことが
計画策定に必要かと思いますけれどもいかがか、伺います。
◎芝井
政策企画部長 当事者の意見をプランの策定に生かしていく考え方についてお答えいたします。
先ほどもご答弁申し上げましたけれども、今回の策定に当たりまして、シンポジウムとかワークショップを行い、若者を初めとした幅広い年齢層からご意見をいただく予定でございます。さらに、労働団体など関係団体とも連携しながら実態を把握し、
計画策定に生かしていきたいと考えております。
◆池田由美 委員 これから、シンポジウムなど、また、労働団体と連携して情報をつかんでいきたいということでした。労働団体も含めて、広くいろんなところから情報を集めて共有していくことが必要ではないかと思っています。
人口ビジョン編から導かれた1.16という全国的にも低い出生率の改善、そして、20代若年層の首都圏への流出などの課題の根本的な解決は、結果がどうなっていくのか、まだ見えていない実態があると思います。これまでの施策の検証をもう少し丁寧に見直して、市民の暮らしを支える雇用の安定、質の高い雇用へとつなげていく、結婚や出産を望む市民の希望がかなえられる社会の実現にしっかりと向かっていく第2期さっぽ
ろ未来創生プランとなるよう求めて、質問を終わります。
○
小竹ともこ 委員長 ほかに質疑はございませんか。
(「なし」と呼ぶ者あり)
○
小竹ともこ 委員長 なければ、質疑を終了いたします。
ここで、理事者交代のため、委員会を暫時休憩いたします。
――――――――――――――
休 憩 午後1時55分
再 開 午後1時56分
――――――――――――――
○
小竹ともこ 委員長 委員会を再開いたします。
次に、篠路清掃工場跡地利活用
基本方針についてを議題とし、資料に基づき、理事者から説明を受けます。
◎平木 環境局長 環境局では、平成23年3月に篠路清掃工場を廃止いたしましたけれども、廃止した篠路清掃工場の解体及びその敷地内にある篠路破砕工場、ごみ資源化工場などの更新が必要となっており、今回、篠路清掃工場敷地全体の有効活用と効果的な施設の配備方針につきまして、篠路清掃工場跡地利活用
基本方針として取りまとめを行いました。
本日は、この方針につきましてご報告させていただきます。
詳細につきましては、お手元に配付させていただいた資料に基づきまして、所管部長から説明させていただきますので、よろしくお願いいたします。
◎齋藤 環境事業部長 詳細につきましてご説明させていただきたいと思います。
篠路清掃工場につきましては、平成23年3月に廃止いたしましたが、廃止した篠路清掃工場の解体及び同敷地内にある破砕工場、ごみ資源化工場、チップ工場の更新が必要となっております。篠路清掃工場につきましては、既に本年度の当初予算において解体工事の実施設計費を計上させていただいておりますので、今回は、篠路清掃工場敷地全体の有効活用及び効果的な施設の配備方針についてご報告申し上げます。
まず、各施設の概要ですが、敷地内には、昭和55年に竣工し、平成23年に廃止した清掃工場のほか、現在もごみ処理を担っている老朽化した施設が複数あります。昭和55年に竣工して大型ごみなどを破砕する篠路破砕工場、昭和63年に竣工して剪定枝などを木質チップとしてリサイクルするチップ工場、事業系の紙くず、木くず、軟質
プラスチックをごみ固形燃料、いわゆるRDFとしてリサイクルするごみ資源化工場があり、それぞれ老朽化のために更新が必要な状況となっております。そこで、今回、これら老朽化した施設の更新や篠路清掃工場敷地の跡地利活用として
基本方針を示すものでございます。
それでは、改めまして、
配付資料をごらんください。
左上の事業の概要でございますが、基本コンセプトといたしましては、木質
バイオマスの利用拡大基地として活用でございます。内容としては、清掃工場の早期解体、ストックヤードの整備、破砕工場の移転更新、チップ工場やごみ資源化工場の更新と規模の最適化、リサイクル施設の将来の更新用地の確保、剪定枝などの乾燥ヤードの確保でございます。
続きまして、各施設に係る具体的な対応でございます。
最初に、資料の左上の篠路清掃工場の解体につきましては、廃止後も老朽化が進んでおりますため、現在のスケジュールでは、本年度に実施設計を行い、来年度から4年間かけて工場棟及び煙突を解体撤去する予定でございます。
なお、電気室にある変圧器に微量PCBが含まれていることから、PCBの法定処理期限となる2026年度よりも前に解体を完了するスケジュールといたしました。解体後には、剪定枝や剪定枝をリサイクルした木質チップなどの保管庫を建設いたします。解体費用につきましては、詳細は今後の実施設計によりますが、現時点で約34億円を見込んでおり、そのうち3分の1の10億円程度を国庫補助として想定しております。また、保管庫の整備費用には1億円余りを見込んでおります。
次に、資料左側の中ほどの篠路破砕工場についてでございます。
大型ごみなどを破砕して小さくし、清掃工場において焼却する役割を担っておりまして、清掃工場の附帯施設としての運用が望ましいことから、現在、破砕工場を併設していない白石清掃工場の敷地内への建設を想定しております。
なお、敷地につきましては、白石清掃工場の建設時に破砕工場の予定地として現地に確保してあったものでございます。新しい破砕工場を白石に建設した後、篠路破砕工場は解体する予定でございます。
次に、資料の左下のチップ工場でございます。
街路樹の剪定枝などをリサイクルする施設であり、リサイクルした木質チップは、近年、再生可能エネルギーとして利用が注目されております。そこで、老朽化したチップ工場を更新することに合わせ、剪定枝や間伐材などの保管庫や乾燥ヤードを併設し、木質
バイオマスの燃料利用拡大基地としての活用を目指してまいります。
木質チップの燃料利用を拡大するためには、品質が重要になってまいります。剪定枝などは、搬入された時点で水分が多く含まれており、燃料として利用するためには適切に乾燥する必要がございます。そこで、敷地の南側の土地を生かし、剪定枝などを広げて乾燥させ、燃料としての品質を向上していく予定でございます。
また、現在も、リサイクルした木質チップの一部は、再生可能エネルギーとして地域熱供給事業者に利用されております。今後、利用をさらにふやすことで、札幌市内の二酸化炭素排出量削減に寄与するとともに、札幌都心の低炭素で持続可能な
まちづくりを目指す都心エネルギーマスタープランの実現にも寄与してまいりたいと考えております。
次に、資料の右上のごみ資源化工場でございます。
事業用の紙くず、木くず、軟質
プラスチックや、家庭から排出された雑がみで紙としてリサイクルできなかったものなどを、ごみ固形燃料、RDFとしてリサイクルするものです。
平成2年の建設当初は、建設廃材の木くずなども多くあり、年間3万トンを超える量を処理しておりましたが、平成14年度の建設リサイクル法施行などによりまして民間でのリサイクルが進んだため、平成29年度の処理量は約1万6,000トンと半減しております。この施設の更新に当たりましては、こうしたごみの量や種類などの現状を踏まえ、規模や処理ラインを適正化してリサイクル費用の低減を図ってまいります。また、リサイクルしたRDF燃料は、厚別地区の地域熱供給で燃料として利用されており、市営住宅もみじ台団地などに供給されております。こちらでの重油などの化石燃料の使用量削減にも寄与しております。
次に、資料の右側中ほどのリサイクル施設の将来の更新用地確保についてでございます。
東区中沼にある札幌市リサイクル団地内には、平成10年に竣工した家庭から集めた瓶・缶・ペットボトルなどを選別する中沼資源選別センター、平成12年に竣工した容器包装
プラスチックを選別する中沼
プラスチック選別センター、平成21年に供用を開始した中沼雑がみ選別センターがございます。今後、これら施設の老朽化が進み、更新が必要となったときに、リサイクル団地内に更新用の空き区画がないことから、三つの施設のうち、一つの更新用地として敷地内の北側にスペースを確保いたします。
次に、資料の右側中ほどの旧最終処分場についてでございます。
敷地のうち、南側部分につきましては、昭和50年から54年に最終処分場として利用されており、廃棄物処理法上の指定区域として規制を受けるため、建物を建てるなど立体的利用は困難となっております。また、先ほど申し上げましたとおり、剪定枝チップの燃料としての品質を向上させるためには、剪定枝を広い場所に広げ、天日乾燥をする必要があることから、南側の土地を乾燥ヤードとして利用してまいります。
なお、現在、敷地の南側に立地しているチップ工場やごみ資源化工場などを解体した後には、剪定枝の乾燥・保管ヤードなどとして利用する予定でございます。
加えて、敷地のさらに南側には、将来の一般廃棄物最終処分場となる北部事業予定地があることから、敷地の一部を北部事業予定地への進入路として利用する予定となっております。
最後に、資料の右下の今後のスケジュールについてですが、今年度におきましては、清掃工場解体の実施設計やごみ資源化工場等の更新の基礎調査を行ってまいります。来年度には、清掃工場の解体工事に着手するとともに、破砕工場、チップ工場、ごみ資源化工場の更新に必要な各種調査などに取り組んでいく予定となっております。
○
小竹ともこ 委員長 それでは、質疑を行います。
◆小口智久 委員 私から、篠路清掃工場跡地利活用
基本方針について質問いたします。
篠路清掃工場は、昭和55年の稼働開始以来、札幌市におけるごみ処理の根幹を担う施設の一つとして、長きにわたり運用されてきました。その間、札幌市民、事業者の努力と環境保全意識の高まりにより、次第にごみの排出量が減少していき、さらに、平成21年度に実施された家庭ごみ有料化を契機とした大幅なごみ減量を受けて、篠路清掃工場におけるごみ焼却処理が停止できたことは、札幌市の誇るべき歴史であり、今なお記憶に新しいところでございます。
その後も、燃やせないごみや大型ごみを処理する破砕工場や、木材、紙などのリサイクル施設は、代替することのできない重要な施設として稼働し、また、時代の移り変わりに伴うごみの組成変化や設備等が経年劣化しながらも、今日まで一般的な耐用年数を大きく超えて稼働を継続してきたと聞いております。もちろん、市民、事業者のごみ減量と分別への協力が施設の延命に大きく寄与したものと考えております。
このたび、この篠路清掃工場を初めとする各種施設の跡地利活用に関する
基本方針が示され、清掃工場の解体や各種リサイクル施設の更新の道筋ができたことは、市民の安定的な生活を継続するためにも重要なことであると考えます。これからが篠路清掃工場跡地利活用のスタートラインとなります。篠路清掃工場の解体について、安全な市民生活や環境保全の観点から質問いたします。
篠路清掃工場は、今から39年前の昭和55年に竣工した施設であることから、現在の環境基準では有害と認定されている物質を含む資材等が使用されている可能性があります。また、ごみの焼却処理に伴って発生する有害物質の残留についても懸念されるところです。
そこで、質問ですが、これらの有害物質について、この篠路清掃工場には、先ほどのお話にあった微量PCBのほか、どのようなものが存在するのか、また、それらについて、解体工事に伴う飛散、流出を防止するため、どのように対処するのか、伺います。
◎村田 施設担当部長 現在の篠路清掃工場に存在する有害物質についてでございますが、さきに上げましたとおり、微量のPCBを含む絶縁油が一部の変圧器で使用されているほか、ごみの焼却により生成されたダイオキシンを含む残留物質があること及び一部の外壁塗装の下地にアスベストが含まれていることが判明しているところでございます。
これらの物質への対応については、まず、微量のPCBを含む絶縁油を使用した変圧器は、絶縁油が流出しないように、変圧器ごと、民間の処理事業者に引き渡すこととしております。この民間事業者は、廃棄物処理法に定めのある無害化処理認定を受けており、国のガイドラインに基づいてPCBを焼却処分しているところでございます。
次に、ダイオキシン汚染物質についてでございますが、これは、焼却炉から煙突までの機器内部において付着物として存在していることがわかっております。これにつきましては、機器内部を洗浄し、その洗浄水を全て回収することにより機器内部の無害化を図るとともに、除去したダイオキシン物質を全量回収することとしております。
また、塗装下地に含まれるアスベストについてですが、解体部分を囲みまして内部の空気が外部に流出しないような環境のもとで塗料及び下地材の除去を行います。除去物は、密閉したまま、最終処分場の管理区分域にて焼却処分を行う計画でございます。
さらに、ダイオキシン、アスベストは、ともに工事施工箇所及び敷地境界などの適切な位置でサンプリング調査を行い、排出基準を下回ることを確認しながら解体工事を行うこととしております。
◆小口智久 委員 今、さまざまな有害物質への対応方法を説明していただきましたので、まず、それを基本として現場対応をお願いいたします。
また、解体現場では、今のような特定有害物質以外にも、注意を要する油、冷媒、わけのわからない液体、強アルカリ、強酸性の液体、また、なかなかわからないボックスもあって、その中に水銀が入っていたり、また、あるかどうかはわかりませんが、海外の製品等も、マニュアルがなくなっていたりしますので、あけたときに変なものが出ることを私も過去に経験しております。例えば、経験上、埋設されたA重油タンクの解体のときにも、残存する油を拡散させて油汚染を引き起こすような現場もございましたので、くれぐれも細心の注意を払っていただきたいと思います。
それでは、次の質問に移ります。
このたびの工事は、一気に全ての施設を解体できるわけではないので、作業スペースが少ない中、有害物質が存在すると考えられる煙突の解体をしなければならないなど、難工事も予想されます。
そこで、次の質問ですが、解体工事着手前、あるいは解体工事中に、これらの有害物質の処理状況について地域住民や市民に対して安全に工事が行われていることがわかるように、その都度、周知していくことが大変重要と考えます。そのために地域住民にどのような対応をするお考えか、伺います。
◎村田 施設担当部長 まず、工事を実施する前に、地域の方々に向けて住民説明会を開催して、解体工事の工程や工事の安全対策等についてご説明いたします。また、工事中、さきの飛散・流出対策においてお話ししましたサンプリング調査の結果について、検査を実施するごとに公表したいと思っております。解体工事には万全を期しますが、万が一にもサンプリング調査で基準値を上回る汚染物質が検出された場合は、直ちに工事を中止し、その原因究明と対策を施すこととしております。周辺環境が改善し、施工方法の安全性が確認されるまでは、工事を再開することはいたしません。
◆小口智久 委員 わかりました。
次に、篠路清掃工場跡地利活用における各施設の更新についてお伺いいたします。
今回、更新の方針が示された破砕工場、チップ工場、ごみ資源化工場については、法律の定める環境影響評価の実施を必要としない施設と聞いておりますが、ごみ処理を行う施設であることから、周辺環境に対する何らかのチェックが必要ではないかと考えます。
そこで、質問ですが、篠路清掃工場跡地を今後利活用していくに際し、周辺環境に与える影響についてどのような確認を行うのか、伺います。
◎村田 施設担当部長 ごみ処理施設を設置するに当たりましては、あらかじめ、廃棄物処理法第9条の3により、一般廃棄物の処理施設設置届の提出が求められております。廃棄物処理施設を設置することに対し、周辺地域の生活環境影響調査の結果を記載した書類を添えて届け出ることとされております。
この生活環境影響調査とは、環境影響評価、いわゆる環境アセスと同様に、施設を設置した場合に予測される大気汚染、騒音、振動、悪臭、水質汚染を検討し、それらが生活環境にどのような影響を与えるのかを評価するものでございます。調査結果は、届け出とあわせて縦覧し、環境アセスと同様に、市民の方々からの意見をいただく予定となっているところでございます。
跡地利活用において更新を検討しております施設は、全て生活環境影響調査を行う予定でありまして、当該調査により周辺環境への影響の確認を行ってまいりたい、このように考えております。
◆小口智久 委員 ただいま答弁いただきましたように、アセスと同じように評価して、市民の安全確保や環境保全に努めて、その情報の周知についても配慮していくということでございました。