札幌市議会 2019-02-18
平成31年第 1回定例会−02月18日-02号
去る2月8日、議長は、議案第45号 札幌市職員の勤務条件に関する条例の一部を改正する条例案につきまして、
地方公務員法第5条第2項の規定により、
人事委員会の意見を求めております。これに対し、去る2月13日、
人事委員会委員長から意見書が提出されましたので、その写しを各議員控室に配付いたしました。
本日の議事日程、
陳情受理付託一覧表、議案審査結果報告書、質問順序表は、お手元に配付いたしております。
以上でございます。
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○議長(山田一仁) これより、議事に入ります。
日程第1、議案第55号を議題といたします。
委員長報告を求めます。
財政市民委員長 小竹ともこ議員。
(
小竹ともこ議員登壇)
◆
小竹ともこ議員 財政市民委員会に付託されました議案第55号 宮の森・北24条通仮称北24条
大橋新設工事請負契約締結の件について、その審査結果をご報告いたします。
主な質疑として、本件に係る施工管理に当たっては、今後の工事発注を見据えて、経験を積ませるため、職員を現場に常駐させるべきと考えるが、どのように認識しているのか等の質疑がありました。
討論はなく、採決を行いましたところ、議案第55号は、全会一致、可決すべきものと決定いたしました。
以上で、報告を終わります。
○議長(山田一仁) ただいまの
委員長報告に対し、質疑はありませんか。
(「なし」と呼ぶ者あり)
○議長(山田一仁) 質疑がなければ、討論に入ります。
通告がありますので、発言を許します。
松浦 忠議員。
(松浦 忠議員登壇)
◆松浦忠議員 私は、ただいま上程されております議案第55号 宮の森・北24条通仮称北24条
大橋新設工事請負契約締結の件について、我が会派として反対であります。
さて、皆さん、平成19年の選挙で当選された方は記憶にあろうかと思うんですが、平成21年に―まず、平成12年に、突然として、札幌市の都市局長の本間さん、建築部長の野川さんが、途中辞任、退職をすることになりました。何であったかといったら、札幌市発注の建築工事、これが、
歴代建築部長のところで、指名競争をその部長が指名をする、さらに、落札業者をそこで決めて業者に通達をする、こういうことが長年行われてきたのが、本間部長が建築部長のときに、
公正取引委員会の調査が入り、そして、その途中で
本間建築部長は都市局長に昇任、そして新たに野川部長と、結果として平成12年に
公正取引委員会がその不当性を認める、いわゆる公正な競争入札がされていないということで責任をとって途中退職と、こういう事件がありました。
さて、今度は、平成19年4月に当選の皆さん、今3期目の皆さん、それ以降、これもまた
全国ニュースになりましたが、
下水道河川部発注の
下水道電気設備工事に関し、部長などが工事入札前に受注業者を決定する
割りつけ行為と当該業者への伝達を繰り返していたという、いわゆる官製談合を行い、
公正取引委員会から
官製談合防止法に基づく改善措置の命を受けたわけであります。そして、平成21年の3月に、特別職、
建設局下水道の
電気設備談合の件で、下水道談合の件で、時の市長が1カ月、50%の減給、建設局所管の副市長が30%、1カ月の減給、その他の副市長が20%、1カ月の減給と、こういうことでした。
そして、この入札結果を報告していただいたら、実は1者入札でした。これを調べてみますと、建築に至っては、平成22年4月から30年の9月まで、10億円以上の工事が29件あって、30年7月の工事で1者入札1件、それから、30年8月の工事で1者入札が1件、土木の工事では、ここ4年のものを見てみますと、4年分、23年から見てみると、1者入札というのは、今回の、昨年12月の本件1件だけなんですね。
さて、この建築の2件と土木の1件、1者入札3件、これを見てみますと、建築の1件は、
株式会社丸竹竹田組、もう1件の平成30年9月、昨年の9月ですね。
東白石小学校改築ほか主体工事、これが、実は、岩田地崎・丸竹竹田・
中井聖特定共同企業体であります。そして、土木の1件が、岩田地崎・
旭イノベックス・日進特定共同企業体、1者入札が3件あるうち、2件が
岩田地崎建設。
さて、皆さん、この3件の工事内容、例えば特許技術を持っていて、その会社しかできないというような条件かといったら、全くそうではありません、これ。誰でもができるような普遍的な技術です。何で、岩田地崎が、去年、平成30年度で建築と土木でそれぞれ1者入札になっているのか。
さて、
岩田地崎建設は、札幌市の建設局長、そして
水道事業管理者を歴任された長利さんが専務執行役で天下っております。そして、岩田社長さんは、
札幌商工会議所並びに
北海道商工会議所の会頭もされております。そしてまた、いち早く秋元市長の次期選挙への支援も表明しております、建設業界として、あるいは商工会議所として。こういうような構図を考えていくと、誰もが頭の中に連想するものがあるんじゃないですか。
私は、こういうことが、札幌市の土木技術者の最も中心である建設局長を歴任した人が、あるいは、過去には下水道局長を歴任した人もいました。ずっと、札幌市から技術の局長が岩田建設には行っていますし、伊藤組にも行っています。しかし、これを見る限り、伊藤組は1者入札ないんですね。余りにも露骨過ぎる。ならば、市長として考えなきゃならぬことは、1者入札だったら入札をやり直します、複数が応募してくるまで、応札してくるまで開封はしません、やり直します、こうすべきなんです。
私は、なぜこういうことを言うかといったら、かつて、水道局、下水道局など、大容量の蓄電池を使う設備があります。この蓄電池の入札をめぐって、この
蓄電池メーカーが、水道局や、あるいは下水道局で1者入札を繰り返して、100%に近い落札率で落札をしておりました。全国を調べたら、全国で同じ傾向にあって、私は、
公正取引委員会にも通知をしました、調べてくださいと。このごろは、少し影を潜めているようであります。
こういうことが1者入札で応募がないからということで行われれば、まさに、裏で何がしかのことがない限りあり得ない、これは。そういうことを防止するために、市長はきちっと知恵を働かせ、当たり前のことをやらなきゃだめなんです、当たり前のこと。ましてや、次期選挙をめぐって、4回、上田市長の初選、2回目の選挙、そして、その後、さらに2期、3期の選挙、4回、自民党は対抗馬を立てて公明党と一緒に戦ったけれども、上田市長に敗れた。秋元市長にも敗れた。そうしたら、自民党も公明党も、いち早くすり寄ってオール与党体制みたいになってきた。そういう中で、市民の税金がこういう形で不公正に使われていく、不当に使われていくということは、これは許すべきことではありません。
市長に申し上げます。
今後、1者入札、応札しかなかった場合には、入札は開封しない、不調にする、こういう制度に改めるべきであります。このことを市長に強く求めておきます。
また、予算議会の
特別委員会がありますから、私も、堀川議員と交代して、市長に出席いただいて、
特別委員会でこのことについて市長の見解を具体的に求めていきたいというふうに思いますので、きょうはこの程度にして終わっておきます。
反対の理由は、以上であります。
とりわけ、平成19年以前から当選組の議員の皆さん、しっかりと、市民の税金が公正に使われていくような、そういう仕組みをつくること、これが我々の役割であります。1期、2期の皆さんはそういうことを経験していないから私は問いませんけれども、少なくとも平成19年以前から当選組の皆さん、3期以上の皆さん、もう一回、この私の説明を聞いた上で調べてみてください、何があったのか。それが議員の仕事です。このことを申し上げて、終わります。(拍手)
○議長(山田一仁) 以上で討論を終了し、採決に入ります。
本件を可決することに賛成の方は、ご起立願います。
(賛成者起立)
○議長(山田一仁) 起立多数です。
したがって、本案は、可決されました。
次に、日程第2、議案第1号から第54号まで、第56号から第63号までの62件を一括議題といたします。
ただいまから、代表質問に入ります。
通告がありますので、順次、発言を許します。
宮村素子議員。
(
宮村素子議員登壇・拍手)
◆
宮村素子議員 私は、ただいまから、
自由民主党議員会を代表し、本定例市議会に上程されました平成31年度予算案、その他諸議案並びに市政の諸課題について、順次、質問を行います。
質問に先立ちまして、私ごとではありますが、6期24年間務めてまいりました市議会議員を今任期をもって退任いたします。
私は、清田区の豊かな環境を守り、地域を活性化するために必要な清田区への地下鉄延伸や地域経済の発展に取り組むとともに、我が会派における初めての女性議員としての目線に立って、赤ちゃんからお年寄りの方々までが地域で安心して暮らせる
まちづくりを目指し、議員活動を続けてまいりました。初当選しました平成7年は、1月の阪神・淡路大震災、3月の
地下鉄サリン事件など、戦後50年かけて築かれた日本の安心・安全神話が大きく崩れるなど、安全・安心な
まちづくりの重要性を強く感じ、初めての選挙に臨んでいたと記憶しております。
また、当時の経済情勢は、景気回復がおくれ、失業率も3%を超え、全国の失業者数は300万人とも言われた時代であり、その後の北海道拓殖銀行の破綻につながるなど、極めて厳しい状況でありました。その後も、平成20年の
リーマンショックや、今から8年前の平成23年3月に発生した
東日本大震災の影響など、まさに議員として活動した時期は激動の時代でありました。
さらに、昨年9月の
北海道胆振東部地震は、札幌にて経験したことのない震度6弱を記録し、特に私どもの清田区は、地震に伴う液状化による道路、家屋の陥没など大きな被害に見舞われ、今も地域の方々が不自由な生活を余儀なくされており、一日も早い復旧を願うところであります。
日本は、これまでの災害の経験を生かし、ある程度想定した災害対策を講じてきましたが、近年の災害を見ますと、これまでの想定外とされてきた災害が普通に起きており、行政が市民を守る立場でいかに機動的に柔軟に取り組むべきか、真価が問われているものと考えます。このように、私が議員を務めた期間は、経済の活性化や各種災害への対応を図るとともに、いかに市民生活を向上させ、安全・安心な
まちづくりを推進すべきかが問われた時代でもあり、多くの試練の中から教訓を学び、さらなる市政の発展に生かしていくことの大切さを痛感させられました。札幌市の発展は、歴史的にも偉大な先人たちのご苦労により培われてきたものであることをいま一度認識し、今後も、市民が札幌に住み続けたいと思える施策の推進に、職員一丸となって取り組んでいただくことを強く願うところであります。
また、
次期統一地方選挙における
札幌市長選挙におきましては、我が会派として、今期の秋元市政の動向について検証を行い、その実績について一定評価するとともに、市政執行に対する基本的考え方において大きな対立軸がないとの考えから、秋元市長への支持を表明したものであり、今後も、安定的な市政運営と持続的な経済発展に向け、積極的に取り組むよう、大いに期待するところであります。
それでは、順次、質問に入らせていただきます。
まず最初に、市民が夢を語れるまち並みの創造について伺います。
1点目は、冬季オリンピック・パラリンピック招致等を見据えた将来の札幌の都市づくりの方向性について伺います。
札幌市は、約150年というわずかな間に、人口196万人を擁する大都市へと飛躍的な発展を遂げました。とりわけ、昭和47年に開催されたアジアで初めての冬季オリンピック大会を契機に、市役所本庁舎、地下鉄南北線、札幌地下街、都市部の地域暖房などさまざまな都市基盤の整備が進み、民間投資によるビルの建設ラッシュと相まって、急激に都市が発展し、市民の生活が大きく変わったのがこのころでありました。その後、45年以上が経過し、未来を担う次の世代にこの札幌を引き継ぎ、新たな都市づくりを進めていく上で、冬季オリンピック・パラリンピックの招致や北海道新幹線の札幌延伸は極めて大きなターニングポイントになるもので、今後の50年のまちの姿を形づくっていく上で千載一遇のチャンスであり、その際には、施設等の社会資本面の整備、リニューアルを進めることはもちろん、その整備が市民の暮らしの質をどのように高めるのかという視点を持って進めていくことが極めて重要であります。
数年後には札幌の人口も減少に転じることが見込まれる中にあって、高齢化や人口減少によるさまざまな影響を緩和するためには、企業活動や操業が活発で、誰もが働きがいのある仕事につけるようなまちにしていくことや、誰もが安心して子どもを産み育てることができる環境をつくっていくことが大事であり、このことによって、札幌が次世代を担う若者にとって希望や誇りを持てるまちになっていくものと考えます。
さらに、市民が良識とおもてなしの心を持って積極的に
まちづくりに参画し、札幌を訪れる多くの方々と触れ合うことで、札幌のまちの豊かさ、人のすばらしさを感じていただき、札幌を好きになり、札幌に住んでみたいと思っていただける、そのような
まちづくりを進めていくべきであります。
そこで、質問ですが、市長は、冬季オリンピック・パラリンピックの招致や北海道新幹線の札幌延伸などを見据えて、将来の札幌の都市づくりの方向性をどのように考えているのか、その考えを伺います。
2点目は、
北海道胆振東部地震に対する本格的な復旧についてであります。
まず、甚大な被害を受けた清田区里塚地区への本格的な復旧について伺います。
昨年9月に発生した
北海道胆振東部地震は、本市において避難者1万人を超え、停電、上下水道の被災など市民生活を直撃し、特に甚大な被害を受けた清田区里塚地区では、100人を超える被災者が清田体育館などで1カ月も避難が続いたところであります。
市は、この地域の家屋被害が、全壊64戸、大規模半壊や半壊が60戸と被害が集中しているため、地震発生後、直ちに被害発生の原因究明と、市街地復旧に向けた専任職員を配置する部署として清田区里塚地区市街地復旧推進室を設置し、道路と宅地の一体的復旧を大方針に、インフラの緊急・応急復旧やさまざまな支援策の提示、拡大、手続のワンストップ化など、ハード・ソフトの両面で取り組まれてきました。また、12月に実施された第4回地元説明会では、具体的な復旧方法を示すなど異例の早さで対策をまとめ、1月21日からは、現地事務所で個別具体の相談を受けるなど、市長のリーダーシップのもと、スピード感を持った取り組みが進められていることに大変感謝をいたしております。
こうした中、一時的に里塚地区を離れている住民60世帯余りの方は、住宅再建の時期がいつになるのか、先への不安は尽きないところでありますが、一日も早く全員がそろってもとの生活に戻れることを願っているとのことであります。
そこで、質問ですが、甚大な被害を受けた清田区里塚地区の本格的な復旧を一日でも早く実現するため、市長はどのように取り組む考えか、伺います。
次に、本格復旧に向けた市街地復旧推進室の機能について伺います。
今回の地震は、里塚地区以外の地域においても家屋や宅地に被害が発生したほか、東15丁目・屯田通が陥没するなど、札幌市内各所で道路や下水道などのインフラにも被害が発生し、応急的に復旧したところでありますが、今後は、本格的復旧に向け、積極的に取り組みを進めていくことが重要と考えます。
札幌市は、被害が大きかった里塚地区の復旧工事の本格化とともに、被害が発生したインフラの本格復旧に向け、2月1日付で機構改革を行い、建設局内に部長職を室長とする市街地復旧推進室を設置し、道路、宅地、下水道などを担当する職員を兼任させ、多岐にわたる復旧業務を調整し、迅速に対応する局横断的な連携体制を構築しましたが、多くの職員が関係し、部署が点在する中で、効率的に連携を図りながら取り組みを進めることができるのか、心配であります。
そこで、質問ですが、札幌市全域で今後本格化する復旧に取り組むため、復旧推進室をどのように機能させ、具体的に進めていく考えか、伺います。
次に、新年度における復旧支援策の取り組みについて伺います。
個人の家屋や宅地の復旧、保全については、基本的に所有者の責任で行うものでありますが、札幌市が被災者の速やかな生活再建を支援し、コミュニティーの維持や地域安全の確保を図るため、宅地復旧工事にかかわる補助や被災家屋の公的撤去制度などの公的支援策を講じたことは評価するところであります。
被災者が行う復旧工事に対する支援、補助事業は、平成30年度補正予算で措置され、年度内に申請されたものについて対象となると承知しており、このうち、被災家屋の公費撤去費用は国の30年度の補助金を主要財源としていることなどから、30年度末が申請期限となっています。一方で、家屋や宅地の修理、復旧、撤去などの工事は、冬期間は積雪や凍結のため調査や復旧工事等の実施が難しく、また、積雪、融雪に伴う被害の拡大、進行も予想されるなど、被害者からは雪解け後の被災状況を見た上で、補修するか、撤去するか、また、工事の支障等を検討したいとの意向が多く寄せられていると聞いております。
そこで、質問ですが、雪解けを待って4月以降に復旧等の工事を行い、これに対する支援、補助を受けたいと考えている被災者が多数想定される中、札幌市は、これらの支援、補助事業について、新年度、どのように取り組んでいくのか、伺います。
次に、財政運営と札幌市の経済について伺います。
まず、財政運営における防災、減災を初めとする建設事業費の規模についてであります。
閣議決定された平成31年度の政府予算案は、一般会計総額において、前年度比3.8%増の101.5兆円と初めて100兆円を超え、一般歳出では、社会保障関係費が前年度から1.1兆円増の34.1兆円となったものの、このうち、幼児教育の無償化や社会保障の充実を除いた実質的な伸びは0.4兆円余と、高齢化による増加分におさめるという目標を達成したところであります。そのような予算編成上の工夫をしながら、我が国全体の懸案である防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策を推進するため、平成31年度予算において1.3兆円、また、平成30年度第2次補正予算と合わせて国費2.4兆円の規模で集中的に取り組みを進めるとしており、札幌市においても、政府の緊急対策に合わせて防災、減災の取り組みを進め、災害に強いまちを築いていく必要があると考えます。
札幌市の平成31年度当初の予算案を見ますと、災害からの復旧、復興、防災、減災を予算の柱の一つに据え、関連予算を191億円、このうち一般会計は154億円を計上しており、さらに、本定例会に上程されております平成30年度補正予算案において、道路等の災害復旧費を初め、学校施設の新増改築等による防災、減災の関連予算として約60億円を計上したことは、一定の評価をするところであります。
一方で、本年10月に実施される消費税率引き上げは、社会保障の充実のためと理解いたしますが、地域経済への影響にも配慮が必要と考えられることから、投資の誘発につながる再開発事業に関する建設事業費を積極的に計上するなど、経済活性化に向けた取り組みを強化すべきと考えます。
そこで、質問ですが、経済活性化の観点も含め、平成31年度において防災、減災を初めとする建設事業費の規模について、市長の認識を伺います。
次に、市債残高の見通しと財政運営について伺います。
必要な投資を行う上で、市債残高の見通しにも注意を払う必要があり、とりわけ臨時財政対策債の見通しが重要になるものと考えられます。平成31年度の税収動向は、アベノミクスの成果により、国の一般会計税収が史上最高の62.5兆円、地方税収も11年ぶりの40兆円台を回復する見通しであることから、臨時財政対策債の発行は前年度から0.7兆円の減となる3.3兆円となり、地方全体における残高縮減に道を開くものと理解できます。
札幌市においても、当初予算案における臨時財政対策債の発行額は480億円と前年度比98億円の減であるものの、依然として多大な額が見込まれており、平成31年度末の残高も5,291億円と増加する見通しであります。臨時財政対策債の元利償還金の全額に対して地方交付税措置があるとはいえ、財政運営の維持、持続可能性という観点から懸念もあります。また、臨時財政対策債に建設債を合わせた一般会計全体の市債残高についても、平成31年度末の残高見込みは1兆1,322億円と、過去最高となる平成30年度末の1兆1,057億円を上回る見通しであり、必要な投資を行う上での制約となることも懸念されます。
そこで、質問ですが、臨時財政対策債の残高見通しに対する認識と、一般会計市債残高が過去最高となる見通しの中でも必要な投資を行うため、どのような財政運営を図っていくのか、市長の考えを伺います。
次に、アベノミクスによる札幌経済への影響と今後の取り組みについて伺います。
日本経済は、2012年11月を底に緩やかな景気回復が続いているところであり、昨年12月の内閣府からの発表では、今回の景気は2002年2月から73カ月にわたったいざなみ景気に次ぐ戦後2番目の長さとのことであります。これは、アベノミクスの3本の矢、企業、家計に定着したデフレマインドを払拭する大胆な金融政策、持続的成長に貢献する分野に重点を置く機動的な財政政策、経済を力強い成長軌道に乗せていく民間投資を喚起する成長戦略の成果であると認識しております。
これらの経済政策により、企業の稼ぐ力が高まり、企業収益が過去最高となる中で、雇用・所得環境が改善し、所得の増加が消費や投資の拡大につながるという経済の好循環が生まれたものと考えます。こうした好循環は、首都圏のみにとどまらず、全国に波及しており、有効求人倍率は、1963年の統計開始以来、初めて全ての都道府県で1倍を超え、また、2012年と比較すると企業の景況感は全ての地域で改善し、就業者数も全ての地域で増加している状況であります。
札幌市においても、有効求人倍率は106カ月連続で前年同月比を上回っており、札幌市産業振興ビジョンにおける数値目標となっている市内企業の売上高は、2016年に21兆1,623億円となっており、2021年の16兆8,500億円の達成目標を大きく上回るなど、アベノミクスの波及効果が北海道、札幌にも及んでいるものと認識しているところであります。
しかし、ハローワークやあいワークにはまだ多くの求職者がいる一方で、職種により有効求人倍率に大きく差があることから、求人している企業、特に中小企業においては、雇用のミスマッチにより人手不足を解消できず、全てがうまくいっているわけではないのが現状であります。アベノミクスの効果を中小企業にしっかりと波及させるためにも、積極的な経済・雇用施策を今後とも継続実施することが重要であると考えます。
そこで、質問ですが、アベノミクスによる札幌経済への影響について、札幌市としてどのように認識しているのか、また、その影響を踏まえ、今後どのように取り組んでいくのか、伺います。
次に、子どもを産み育てやすい環境を整備する総合的対策について伺います。
私は、近い将来、人口減少社会を迎えるに当たって、未来の子どもたちを健やかに育むため、母子保健のあり方や児童虐待等の動向を見きわめ、家庭のきずなの再生や子育ての喜びを実感できる施策の推進を一貫して求めてきました。このような視点に立って、親と子が健やかに安心して暮らせる社会の実現に向けた総合的な対策について、数点にわたり、その事業の必要性や認識等について伺います。
まず、1点目は、母子保健事業における新生児聴覚スクリーニング検査の公費負担導入についてです。
私は、札幌市の母子保健施策の充実について訴え、その結果、乳幼児健康診査の見直し、5歳児健診、初妊婦訪問や産後ケア事業など、着実に施策の推進が図られてきましたが、新生児聴覚スクリーニングの公費負担導入に関しては、いまだ実現できていない状況にあります。
我が会派は、昨年の第1回定例会の代表質問において、子どもの難聴は、発見のおくれが言語発達や学習のおくれにつながり、さまざまな深刻な問題に発展するため、乳幼児における聴覚障がいの早期発見・早期療育体制の充実が必要であるとし、公費負担の実施と体制整備の方向性を質疑し、答弁として、公費負担の実施は、先行導入している政令市の事業効果や課題について実態把握を行い、検討したいとのことでありました。
平成31年現在、札幌市耳鼻咽喉科医会の調べでは、政令指定都市20市中、既に8都市が助成しており、道内でも、30年現在、38市町村が実施しています。先天性難聴は1,000人に1人と、ほかのマススクリーニング対象の疾患よりも多く出現し、特に第1子の場合は、親は子どもが聞こえていないことに気づかず、あえて高額な検査を行わず、入学して初めて聞こえていないことに気づかされ、難聴であったとわかる場合もあると聞いております。また、出産後は、乳幼児の健診など検査も数多くあり、その中で聴覚検査を受けていなかったということに気づかず、聞こえづらいまま3歳を迎える場合もあると伺っております。さらに、聞こえにくさから言葉のおくれにつながり、年齢が進むと、そのことにより仲間外れやいじめにつながっている実態もあると聞いているところであります。
先日は、この新生児聴覚スクリーニング公費助成について、難聴児を持つ親の会等の皆様から、1カ月弱で1,900筆もの署名が集まりました。難聴児を育てる親の思いが詰まった署名です。子どもに対する適切な療育とともに、親が難聴児について学ぶ機会を逸してしまうことは避けなければなりません。聞こえにくさのある子どもと親への支援は、まさに、子どもを産み育てやすい札幌の
まちづくりに必要不可欠ではないかと考えます。
そこで、質問ですが、この新生児聴覚スクリーニング検査は、地方交付税措置がされており、国は公費負担にて全員に実施すべきとの立場であると聞いておりますが、先行実施している政令市の実態把握がどのようなものであったのかも含め、札幌市における公費負担の導入の方向性について伺います。
次に、子どもを産みやすい環境整備の基本でありますこれからの母子保健のあり方について伺います。
母子保健は、次世代を担う子どもが心身ともに健やかに育つことを目的に行われる、思春期から妊娠、出産、育児期にわたる一連の保健支援を指し、生涯を通じた健康や生活習慣を築く出発点として重要な役割を担っております。近年、晩婚化、未婚化などにより出生率は低下し、核家族化や地域とのつながりの希薄化から、妊婦や母親の負担感や孤立感が高まり、育児不安や育児困難を来し、児童虐待が増加するなど、母子保健を取り巻く環境は大きく変化しております。
このような中、平成28年には、母子保健法上、全ての母子保健施策が児童虐待の予防に資するものであると位置づけられ、国民運動計画である第2次健やか親子21においても妊娠期から虐待防止対策が重点課題の一つとして設定されたところであります。子どもがこの世に生を受け、健やかに育っていくためには、親からの愛情を存分に受け、周囲の大人からも自分が大切な存在として尊重される中で自己肯定感や他者への思いやりを身につけていくことが重要ですが、残念ながら、親みずからが子どもを虐待してしまう例が後を絶たない状況にあります。
この背景にはさまざまな要因がありますが、その一つに、親自身が子どものころに十分な愛情を受けて育っていなかったり、大切に育てられていないため、接し方がわからない、育て方がわからないといった世代間の負の連鎖が生まれていると考えます。私は、いわゆる愛着関係を十分に築けていない親が子育てをするという状況がふえているのではないかと懸念しているところです。望まない妊娠や離婚、貧困などで子どもを受け入れるのが容易ではない状況においても、子どもが愛情の中で育つ母親の愛着形成の過程を支えることが母子保健の重要な役割であると考えます。
虐待を受けた子どもは、長期的に健康、成長・発達、心の問題が高率に発生しやすく、反社会的行動や我が子への虐待も心の傷の結果であると推測されており、児童虐待は、人権問題のみならず、子どもの健康問題であります。母親に手を差し伸べ、支援することで母子の愛着形成を促し、児童虐待を未然に防ぎ、子どもの人権と健康を守ることができるのは母子保健であることを忘れてはならず、札幌市が掲げる女性が輝き子どもたちが健やかに育つ街として成長していくためにも、今後、母子保健が大きな意味を持つと考えます。
そこで、質問ですが、このような現状を踏まえ、これからの母子保健のあり方について市長の認識を伺うとともに、今後どのように進めていくのか、伺います。
次に、家庭教育支援について伺います。
近年、子育て中の親や、これから子どもを育てようという若い世代の不安は根強いものがあります。平成26年度に内閣府で実施した結婚・家族形成に関する意識調査によると、子育ての不安要素を尋ねる問いに対し、経済的にやっていけるかとの不安が63.9%と最も多く、次いで、仕事をしながら子育てをすることが難しそうが51.1%、きちんとした子どもに育てられるか自信がないが40.7%となっており、経済的な不安のほかにも、仕事と子育ての両立、子育て自体の不安といったものが大きいことが明らかになっています。少子化や核家族化が進行し、子どもと接したことがない、子育てのモデルが近くにないといった中で子どもを育てていく親がふえており、子育て自体への不安を抱くのも無理はないことと考えます。
我が会派は、昨年、第2回定例会の代表質問において、乳幼児期からの子どもの健やかな成長を育むため、家庭教育の重要性について市長の認識を伺い、札幌市では、これまでも、妊娠、出産その後のさまざまなライフステージと場面において、子育て支援の施策とともに家庭教育学級や親育ち応援団など親育ちに資する事業を行っており、今後も、親などとかかわるさまざまな機会を捉えて、子育ての支援及び家庭教育を応援する取り組みを一層進めたいとの答弁でありました。それぞれの取り組みは、妊娠期から子どもが18歳になるまで継続して行う必要があり、そのためには、切れ目のない支援の体制づくりや、行政だけではなく、社会全体で子どもを育てていく取り組みがより効果的であると考えます。
また、静岡県では、家庭を取り巻く学校、地域、住民、企業、行政など、社会全体で家庭教育を支援することを目指した家庭教育支援条例を制定し、県内の民間団体の情報も含めた子育て支援情報を一元的に発信するポータルサイトの開設や、働く親を支援するための企業内家庭教育講座を実施するなど、行政だけでなく、企業や地域を巻き込んださまざまな取り組みを行っており、このような取り組みは札幌市においても参考になると考えております。
そこで、質問ですが、家庭教育支援の取り組みは、妊娠期から18歳まで継続して支援していくことが重要と考えますが、今後どのように切れ目のない支援を行っていくのか、伺います。
またあわせて、静岡県のように、条例を定め、地域全体で家庭教育支援に取り組んでいる事例もありますが、札幌市として、今後どのように地域や企業と連携して家庭教育支援を進めていくのか、伺います。
次に、この項目の最後として、これまで述べた対策の根本となります少子化対策についての認識を伺います。
札幌市は、人口減少の緩和の方向性を具現化することを目的として、平成28年にさっぽろ未来創生プランを策定し、安定した雇用を生み出す、結婚・出産・子育てを支える環境づくりの二つの基本目標を掲げ、これまでさまざまな施策に取り組んできております。しかし、昨年末に発表された平成29年度の合計特殊出生率は1.16と、依然として全国水準より低い実態が続いております。若い世代の結婚、出産の希望が実現した場合の出生率である希望出生率の1.5にはほど遠い状況であります。札幌市の合計特殊出生率の低さはさまざまな要因が考えられますが、雇用形態や収入など、経済面での不安が大きな障害となり、結婚、出産に踏み切れない方々が全国に比べて多いことが市の調査で示されていることから、他都市よりもさらに手厚い支援を行い、この問題の改善に積極的に取り組んでいくべきと考えます。
全国的に見ても、合計特殊出生率の低い東京都の各区ではさまざまな独自の支援制度を設けており、その一例に、港区では、出産費用の助成として、出産にかかった入院費用から健康保険で支給される出産育児一時金を差し引いた額を負担することで、子育てに係る経済的負担を軽減し、子どもを産み育てやすい環境整備を積極的に進めているとのことであります。
そこで、質問ですが、札幌市においても、来年度はさっぽろ未来創生プランの計画最終年度を迎えることから、改めて、これまでの取り組みを総括し、次期プランの方向性を検討していく中で、少子化対策、とりわけ経済面での不安に配慮した取り組みの構築が必要と考えますが、市長の認識を伺います。
次に、市民の健康増進と高齢者支援対策について伺います。
まず、がん対策についてであります。
国は、平成29年10月に閣議決定した第3期がん対策推進基本計画において、がん予防、がん医療の充実及びがんとの共生をがん対策の三つの柱として、その中で、がんの約40%は予防できるため、がん予防は全てのがん対策において最も重要で費用対効果のすぐれた長期的施策になるとしております。
札幌市においては、平成29年3月に札幌市がん対策推進プランを策定し、がん予防、早期発見・早期治療、がん患者や家族等への支援を重点施策としてさまざまな取り組みを進めているところであります。しかしながら、今後、札幌市においても高齢化が進展し、2025年には高齢化率30.5%に、老年人口が約58万人になると推計されており、がんとの因果関係の強い喫煙率が政令市の中でも最も高いことなどから、これまで以上にがんの罹患者数がふえると予想され、ますます予防の重要性が高くなっております。
我が会派においては、これまでがん予防における生活習慣との関係やがん検診受診率の向上の必要性について訴えてきており、その中で、今後、がん対策を効果的に進めていくためには、成人へのアプローチだけでなく、子どものころからさまざまな疾病予防や望ましい生活習慣の確立の取り組みが重要と考えております。
子どもに向けた健康教育の一つとして、国においては、がんの教育総合支援事業を実施しており、札幌市においても、その一環として、平成26年度から小・中学校のモデル校で効果的な指導方法等に関する研究を進めており、その中では、2020年度から小学校、2021年度から中学校において新学習指導要領を踏まえたがん教育が実施されることに向け、医師等の外部講師の確保、教職員のがん教育に対する認識を高めることなどの課題が明らかになったと聞いております。また、保健福祉局では、医療機関やがん患者団体等から成るがん対策の普及啓発を目的とした実行委員会において、小学生向けにがんガイドブックの作成やがん予防メッセージの募集などを通じ、子どもたちの関心を高める取り組みを進めているとのことであります。
そこで、質問ですが、今後、がん対策を進めていく上で、特に子どもへのがん教育の推進に向け、どのように取り組むのか、伺います。
次に、風疹対策について伺います。
風疹は、昨年から首都圏を中心に全国的に流行し、1月には、全国で2014年以来となる先天性風疹症候群の患者が埼玉県で発生しております。札幌市においても複数の患者が発生しており、患者増加や先天性風疹症候群の発生を心配しているところであります。
これまで、我が党本部では、国に先駆けて、党内において抗体検査とワクチン接種の勧奨を積極的に行い、先天性風疹症候群によりお子さんを亡くされた母親たちに耳を傾け、街頭啓発を行ってきました。このような活動が実を結び、昨年12月、国は、我が国の風疹の集団発生を防止することを方針に掲げ、現在の39歳から56歳の男性に対し、風疹抗体検査を補助事業に位置づけ、抗体の低い方に対して定期予防接種として風疹ワクチンの接種を実施することが決定されました。
この国の方針における抗体検査の対象者はちょうど働き盛りの年齢に当たることから、検査を受ける方の負担をできるだけ減らすよう、健康診断と合わせた実施方法を我が党として提案しており、現在、国においてその手法を検討していると聞いております。これまでの妊婦に加え、成人男性に抗体検査の対象が拡大されたこと、成人男性の予防接種が定期接種として位置づけられたことは、母子保健政策の観点からも大変意義のあることと思っております。
札幌市においても、産休前まで働く女性がふえており、社会全体で妊婦を守ることが重要であります。市が実施している国民健康保険の加入者に対して、また、他の保険者に協力を求め、積極的に抗体検査の受診を促していただきたいと思います。
現在、札幌市では、抗体検査の対象を妊娠を希望する女性と妊婦のパートナーとしておりますが、妊婦へのより配慮ある環境をつくるため、検査対象の拡大が必要と考えます。既に、国では、昨年、風疹が流行した自治体に対し、抗体検査の対象を妊婦の同居家族まで拡大するよう呼びかけており、実施済み、または来年度から予定している自治体もあります。
そこで、質問ですが、札幌市においても、風疹患者が複数発生している状況の中、先天性風疹症候群の発生を防ぐため、風疹抗体検査の対象範囲を拡大するなど、市独自の取り組みが必要と考えますが、市の見解を伺います。
次に、高齢者が安心して暮らせるための支援策について伺います。
札幌市では、少子高齢化が進み、高齢化率は2018年10月で26.6%と、高齢単身世帯は、2020年には11万2,000世帯、2025年には12万3,000世帯、2035年には13万9,000世帯と年々増加することが予想されており、それに伴い、一定割合で所得が低い高齢者の方々が地域の中で増加するものと見込まれています。その結果、日常生活や経済面でさまざまな不安を抱える高齢者が安心して暮らせる住まいへの需要が増加するものと想定され、これまで以上に養護老人ホームや軽費老人ホーム、ケアハウスといった施設の整備が必要になってくると考えます。
私は、平成28年の1定予算
特別委員会において、現計画である札幌市高齢者支援計画2018の策定に当たり、養護老人ホームの役割や10年後の必要数等について検討を求めたところでありますが、現計画において施設整備は計画されておらず、また、軽費老人ホーム、ケアハウスについても、2013年以降、整備されておりません。現在、養護老人ホーム、軽費老人ホーム、いずれの施設も待機者は年々減少傾向にあるとはいえ、いまだ相当数の方々が待機している現状を考えると、整備は必要だったのではないかと考えます。
そこで、質問ですが、現在の状況についてどのように考えているのか、また、待機している高齢者の方々に何らかの支援が必要と思いますが、どのように考えているのか、伺います。
次に、地域力の向上と町内会にかかわる条例について伺います。
まず、地域力の向上についてであります。
昨今、少子高齢化による核家族化、単身世帯の増加、居住形態の変化などにより、地域内でも住民同士の関係の希薄化を招き、一部の地域では隣近所の方の名前や顔がわからない、そんな社会が現実のものとなってきており、実際、平成27年度の市民アンケートでは、住民相互のつながりが希薄になっていると思うかという設問に対し、希薄になっていると思う、どちらかというと希薄になっていると思うという回答が合わせて約90%となっております。このようなことがますます進展することで、住民同士は無論、町内会を初め、地域にかかわるさまざまな主体間での情報共有にも大きな支障が生じてくるのではないか、そのことが、防災や防犯、福祉、環境美化など、住民の暮らしにかかわるさまざまな分野にマイナスの影響を及ぼしていくのではないかという懸念を強く抱いております。
一方で、昨年9月の
北海道胆振東部地震では、市内においても大きな被害を受け、地域の方々も暗闇の中で避難するのに大きな混乱もあったところでありますが、避難に当たっては、病気を抱えたご高齢の方や障がいのある方など、災害弱者と言われる方々に対して、町内組織を初めとする地域の方々が、災害時の対応マニュアルに基づき、安否確認の見守り活動等に献身的に対応していただきました。日ごろからの地域での支え合い、助け合い、いわゆる共助の活動の重要性、さらには、住民や町内会、企業などの地域のさまざまな方が協力し合いながら身近な問題を解決していく地域力の大切さを痛感したところです。
地震等の災害時のみならず、常日ごろからこの地域力が十分に発揮されるよう高めていくことが重要であり、そのことに対する支援は行政が担う大きな役割と考えます。
そこで、質問ですが、地域力の向上に対する支援について、これまでどのように取り組んできたのか、また、今後の支援についてどのような認識を持っておられるのか、伺います。
次に、町内会にかかわる条例についてであります。
地域力を高めていくためには、町内会の存在が欠かせません。その町内会の活性化のためには、団体組織としての自主性・自律性を尊重した上で、地域住民と行政が一体となって地域意見を尊重、理解し、住民が住みやすい、暮らしやすい地域を、公助、共助の精神に基づき、つくり上げることが重要であります。また、これらを理解し、賛同する住民がふえていただき、各種事業に多く参加していただくことが理想であり、そのことにより、初めて一つの組織として成り立つものではないかと考えます。
現在、町内会が抱えている大きな課題は加入率の低下と担い手不足であります。しかしながら、その解決策を簡単に見つけ出すことは非常に難しいものであり、その一方策として町内会にかかわる条例を策定することも理解いたしますが、最終的には、我が会派が主張しております町内会の加入促進につながるものでなければ、条例の意味はないのではないかと考えます。
今回実施された条例素案に対するパブリックコメントにおいても、数多くの疑問や意見が提出されたと聞いております。それだけ関心が高いことがうかがえるものであり、提出された意見内容について、時間をかけ、十分精査するとともに、いま一度、原点に戻り、立ちどまって条例素案の見直し、検討を行うことが重要ではないかと考えます。
そこで、質問ですが、実施されたパブリックコメントの内容を受けて、真に地域が納得でき、具体的な町内会の加入促進につながる条例とすべきと考えますが、市長の認識を伺います。
次に、雪対策のこれからについて伺います。
我が会派は、毎年、定期に国への予算要望を実施しており、先般は、積雪寒冷特別地域における道路交通の確保として、除雪等の補助の特別措置、つまり国の補助の継続が決まるなど、我が会派と国会与党の取り組みが功を奏しています。
しかし、そうした手厚い補助や交付金を元手に本市雪対策は一定の成果を上げているはずですが、その成果が市民に伝わりづらいとの声も聞こえ、我が会派としても、こうした成果をしっかり市民にご理解いただきたく、これまでも会派所属の各議員が政務活動に励んできました。
そこで、質問ですが、国の補助等によって本市雪対策はどのような成果を上げてきたのか、伺います。
次に、パートナーシップ制度でありますが、高齢化等によって町内会では維持、運営に大変苦労しており、昨年には私の地元清田区の連合町内会長連名で除雪パートナーシップ制度と町内会運営に関する苦言と要望があり、これ以上の町内会負担は不可能との厳しい声は本市全域にわたる大きな問題です。
そもそも、この制度は、地域の発意で主体的に行い、行政がそれに補助し、支援するものですが、制度そのものの継続を望む声や、制度をそもそも導入していない町内会があるなど、市内の状況はさまざまであり、また、パートナーシップは担い手あっての事業でもあり、除排雪事業者の人件費や燃料代の高騰といった経済変化など、発注者の町内会だけでなく、事業者側の経営事情にも十分な配慮が必要です。
本市は、パートナーシップ制度の継続とともに、地域の諸事情を踏まえ、昨冬からパートナーシップでの排雪範囲、つまり発生する排雪量を地域が独自に選択することで費用総額を抑え、町内会負担額も結果的に減るという実証実験を行い、今冬は、さらに市内全域に対象を広げ、排雪量の選択肢をふやす実証実験を行っています。
そこで、質問ですが、パートナーシップ制度は、市民にとってどうあるべきと考えているのか、また、本市として、パートナーシップ制度を今後どのようにしようと考えているのか、伺います。
言うまでもなく、市民にとって最も興味があり、課題を感じるのが雪であり、都市化とともに除排雪技術が上がり、暮らしやすさも向上したものの、市民の除排雪への見方は厳しくなったと言えます。一方で、いかに雪と生活し、乗り越えてきたかを振り返り、雪の生活の中にも豊かさがある札幌の文化をいま一度見出していかなければなりません。
しかしながら、市民に身近な生活道路の問題など、雪を取り巻く現状を見ますと、札幌市民はもちろん、札幌を訪れた人にとっても、雪のまち札幌の魅力が果たして感じられるような状況でしょうか。確かに、本市が策定したばかりの冬のみちづくりプラン2018では市民力の結集を掲げていますが、雪のまちに住む市民としての当事者意識と、自助、共助の精神が充足しなければ、市民力の結集はなし得ません。ですから、市民一人一人のよりどころである町内会の存在意義をきちんと見直すとともに、本市の雪対策にあっても、市民文化局が町内会活動にみずから参画し、理解を深め、
まちづくり政策局が市民に身近な技術を磨き、つくり出すなど、雪のまちである以上は、市役所が総力で行動しなければ、市民の理解を得た雪対策は決して実現できません。
そこで、質問ですが、町内会の存在意義と今後の役割の重要性を雪対策としてはどう考えているのか、また、市民が身近に感じられるような市の雪対策や市民がみずから取り組む雪対策をどう生み出していくのか、伺います。
次に、児童相談体制の強化について伺います。
児童虐待については、全国的にも児童相談所への児童虐待相談が増加の一途をたどり、昨年度は年間13万件を超え、ことしに入り、仙台市では生後1カ月の乳児の衰弱死や、千葉県野田市で小学校4年生が亡くなった事件が報道されたように、重篤な児童虐待が後を絶たず、極めて深刻な社会問題となっております。
1年前に東京都目黒区で起こった大変痛ましい事件を契機として、子どもの安全を最優先に、昨年7月には、国において、児童虐待防止対策の強化に向けた緊急総合対策が取りまとめられ、12月には児童虐待防止対策体制総合強化プラン、いわゆる新プランが策定されました。この国の新プランでは、特に体制強化について目標を定め、専門機関として、児童虐待に対する児童相談所においては、2022年度までに全国で2,000人を超える児童福祉司の増員など、市町村の体制と専門性の強化を進めることとされております。
札幌市においても、児童虐待について、第2次児童相談体制強化プランのもと、児童相談所や区役所家庭児童相談室などの機関が連携して取り組んでおりますが、平成25年度からの5年間で児童虐待として通告を受けた件数は1.5倍にふえており、体制の強化は急務であります。暮らす場所や年齢にかかわらず、全ての子どもが地域でのつながりを持ち、切れ目のない支援を受けられる体制が重要であることは言うまでもなく、我が会派として、これまでも児童相談体制整備の重要性について指摘してきたところでありますが、一方で、体制強化に向けて単に人数をふやすだけでは、質が低下するのではないかと危惧しているところであります。
児童虐待への対応には緊急性が求められ、かつ、困難性の高い事例も多く、実際には対応に当たる職員の層を厚くし、専門性をさらに強化していかなければ、重篤な事案などへの対応力は、結局のところ、向上しないものと考えます。
そこで、質問ですが、このたびの野田市の事件を受け、2月8日の関係閣僚会議において改めて緊急総合対策のさらなる徹底強化が求められたことも踏まえて、札幌市として、児童相談所や各区家庭児童相談室など、児童虐待対応に当たる職員の専門性の確保、向上を進めていくことが喫緊の課題と考えますが、どう取り組んでいくのか、伺います。
また、国の示した新プランに基づく児童虐待の防止に向け、児童相談体制全般の強化にどのように取り組んでいくのか、市長の見解を伺います。
最後に、未来を見据えた清田区の交通体系について、2点伺います。
1点目は、清田方面への地下鉄延伸についてであります。
清田区は、昨年、誕生20周年を迎え、この間、自然環境を大切にした計画的なニュータウンが次々と生まれ、魅力あふれる地域へと発展してきたところであります。今後も、
まちづくりの環境が整えば、若者や子育て世代の流入を促進し、さらに活気あふれるまちに発展していく可能性を十分に秘めております。
その環境整備として、清田区役所周辺の拠点機能の強化のほか、人々の生活の基盤となる交通の利便性を高めていくことが必要であります。そのためには、私たち清田区民の長年の悲願でもある清田方面への地下鉄延伸が最も重要な取り組みであると認識しています。
近年、札幌を訪れる観光客が増加傾向にある中、新千歳空港からの札幌市の東の玄関口として、清田区は人や物の交流が盛んになっていくことが予想され、今後の冬季オリンピック・パラリンピックの招致動向によっては、清田区内の交流人口がさらに増加する可能性があり、地下鉄延伸の必要性はますます高まっていくものと思われます。現在、札幌市の将来交通に対する基本的な考え方や交通戦略を示す総合交通計画の見直しに向け、検討を行っており、来年度末には計画を改定する予定とのことから、私も清田区民の一人として、長年、要望し続けている地下鉄延伸について前向きに検討を進めてほしいと切に願っております。
そこで、質問ですが、総合交通計画見直しの議論を踏まえ、清田方面への地下鉄延伸について、現時点での市長の認識を伺います。
2点目は、当面の交通課題への対策について伺います。
ご承知のとおり、清田区は、10区の中で、唯一、軌道系交通機関が整備されておらず、公共交通は地下鉄福住駅や大谷地駅に向かうバスルートを中心にネットワークが形成されており、重要な役割を担っておりますが、バスの定時性、運行頻度、乗りかえなどの課題があるため、利便性の確保に取り組むべきであると考えます。
また、このようなバスの現状から、タクシーや自家用車に頼らざるを得ないのが区民の実情であります。近年の大型商業施設の立地など、北広島インターチェンジ周辺、里塚・美しが丘地区を中心に、国道36号や羊ケ丘通等の主要な幹線道路において渋滞が発生しており、渋滞の解消が喫緊の課題となっております。清田区の交通利便性を高めるためには、地下鉄の延伸が最も重要な取り組みでありますが、その実現に向けては時間を要することも想定される中、当面の交通課題に対し、しっかりとした対策を早急に講じていくことが必要と考えます。
そこで、質問ですが、バスの利便性確保や道路の渋滞対策など、現在直面している交通課題の解消に向けて、札幌市はどのように取り組んでいくのか、伺います。
以上で、私の質問の全てを終わりますが、最後に、一言、述べさせていただきます。
私の24年間にわたる議員活動において、先輩・同僚議員はもちろん、多くの議員の皆様、さらに、市長や歴代の理事者の方々を初め、多くの職員の皆様方に大変お世話になりました。改めて、これまでのご厚情に対し、心から感謝を申し上げます。ありがとうございました。(拍手)
私は市政の一線から退きますが、私が住む清田区が大きな地震災害に見舞われ、その復旧、復興に全力で取り組んでいるところであり、議員各位及び理事者の皆様におかれましては、今後とも災害からの復興にご尽力とご支援を賜りたく、重ねてお願い申し上げます。
私も、地域の一員として、これまでの経験を生かし、地域再生に向け、頑張り続けたいと考えております。
最後に、次期統一地方選に臨まれます市長及び議員の皆様におかれましては、所期の目的を達成され、本市市議会の良識と伝統を守りつつ、今まで以上に活発な議論を展開され、本市のさらなる発展にご尽力いただきますよう心からご期待を申し上げまして、終了とさせていただきます。ご清聴、ありがとうございました。(拍手)
○議長(山田一仁) 答弁を求めます。
秋元市長。
◎市長(秋元克広) ただいま、全体で8項目のご質問をいただきました。私からは、1項目めの市民が夢を語れるまち並みの創造について、2項目めの財政運営と札幌市の経済について、5項目めの地域力の向上と町内会に係る条例についてお答えをさせていただきます。その余のご質問に対しましては、担当の吉岡副市長、岸副市長、教育長からご答弁をさせていただきますので、よろしくお願い申し上げます。
まず、答弁に先立ちまして、ただいま代表質問にお立ちになられました自民党・宮村議員の長年にわたるご活躍、ご労苦に対し、感謝を申し上げさせていただきます。
平成7年の初当選以来、6期24年の長きにわたり、札幌市議会議員として、市民の声を届け、市政の発展に寄与していただいたことに、心からの感謝を申し上げます。
とりわけ、助産師としての豊富な経験を生かして、母子保健に対する施策について数多くのご提言をいただき、政策の実現にご尽力をされてきました。また、自民党会派で初めての女性議員として、その目線に立って、子どもから高齢者まで、誰もが安心して暮らせる
まちづくりを目指し、市政に対し、指導・ご助言をいただいたことにつきまして、深く感謝の意を表したいと思います。
宮村議員におかれましては、議員残任期間はもとより、その後におかれましても、これまでのご経験を生かし、大所高所から札幌市政へのご提言、ご助言を賜りますようお願い申し上げます。
それでは、答弁に入らせていただきます。
まず、1項目めの市民が夢を語れるまち並みの創造についてお答えをいたします。
1点目の冬季オリンピック・パラリンピック招致等を見据えた将来の札幌の都市づくりの方向性についてであります。
人口減少を間近にした札幌市として、今後は、都市の魅力と活力を一層高めつつ、国籍や文化、障がいの有無などを超え、互いの個性や違いを認め合う共生社会を実現するなど、成熟した持続可能な都市づくりを目指していく考えであります。こうした今後50年、100年先を見据えた
まちづくりを進める上で、冬季オリンピック・パラリンピックの招致や北海道新幹線の札幌延伸は、歴史的にも、また、経済圏域や交流人口の拡大の観点からも重要なプロジェクトであると認識をしております。
今後、これらのプロジェクトを円滑に実現すべく取り組みを進めるとともに、施設や心のバリアフリー化を初め、エネルギー施策と連動した都心の再構築、さらには、ニセコなどとの広域的な周遊観光による経済の活性化など、将来を見据えた重要課題に取り組んでいく考えであります。それらにより、世界の人々を魅了し、誰もが、いつまでも住み続けたいと思うまちを築き、将来の世代に引き継いでまいりたいと考えております。
次に、
北海道胆振東部地震に対する本格的な復旧についてであります。
まず、清田区里塚地区への本格的な復旧についてでありますが、これまで4回の地元説明会を開き、私自身も出席し、説明をさせていただく中で、基本的な対策工法と進め方について住民の方々に一定の理解をいただいたものと考えております。今後は、早期に工事工程を示し、個々の住民の皆さんの再建スケジュールと調整をしながら、これを進めていくことが必要不可欠と考えているところであります。
このため、相談体制として、既に現地事務所を設置したところであり、引き続き、一刻も早く工事発注をし、双方にとって最適なスケジュールを共有しながら、一日も早い復旧につなげてまいりたいと考えております。
次に、本復旧に向けた市街地復旧推進室の機能についてであります。
市街地復旧推進室は、災害復旧に関して関係する複数の部署が連携して取り組み、復旧を加速させるために前倒しで発足させたものであります。この推進室において、情報や課題の共有を図り、連絡会議を設けて、対策工事の調整や進捗管理を行うとともに、一元的な情報発信を行うなど、地域とのつなぎ役を担い、迅速かつ円滑な復旧につなげてまいります。
次に、新年度における復旧支援策の取り組みについてでありますが、冬期間の被害の進行状況や、復旧工事の実情等を踏まえ、札幌市独自の支援策であります宅地復旧支援事業等につきましては、平成31年度も引き続き実施をしてまいります。
また、国の制度に基づく被災家屋の公費撤去や応急修理、応急仮設住宅の提供といった各種の対策につきましても、引き続き実施できるよう、国などに対して求めているところであります。
このうち、公費撤去につきましては、申請期間を平成31年6月末まで延長する方向で協議中であります。今後とも、被災者に寄り添った取り組みを進めてまいりたいと考えております。
次に、2項目めの財政運営と札幌市の経済についてお答えをいたします。
まず、財政運営についてであります。
まず、防災、減災を初めとする建設事業費の規模についてでありますが、平成31年度予算における建設事業費につきましては、中期計画でありますアクションプランに掲げた事業を着実に計上するとともに、清田区里塚地区の面的な復旧工事を初め、喫緊の課題である災害からの復旧、復興、防災、減災関連に重点的に予算を配分したところであります。また、民間投資の誘発につながる再開発事業など、経済の活性化に資する事業についても積極的に予算計上をいたしました。
加えて、骨格予算ではありますが、発注時期の平準化の観点から、公共事業については、予算計上を留保することなく、現時点で必要と見込まれる事業費の全額を計上したところであります。
災害に強い
まちづくり、経済の活性化を進めつつ、インフラを含む公共施設の的確な維持・更新についてもしっかりと対応した予算としており、誰もが安心して暮らせる
まちづくりに向けて必要な予算規模を確保したものと認識をしております。
次に、市債残高の見通しと財政運営についてであります。
今後、人口減少が見込まれる中で市債残高が増加していくことは、財政運営の持続可能性という観点から望ましいことではないと認識をしております。
市債残高削減の指標となっております臨時財政対策債については、国の財政状況が依然厳しいことから、今後を見通すことそのものは難しいものでありますが、引き続き廃止に向けて国に要望していく考えであります。今後、都市基盤の再整備や公共施設の更新需要が本格化する中で必要な投資を行っていくためには、公共施設の総量管理や事業費の平準化、新規投資の優先順位づけなどの取り組みにより、可能な限り市債発行額の抑制に努め、将来に過度な負担を残さないよう財政規律を維持してまいりたいと考えております。
次に、アベノミクスによる札幌経済への影響と今後の取り組みについてであります。
札幌市におきましては、先ほどお話しいただいた有効求人倍率、市内企業の売上高のほか、市内総生産や市内企業の設備投資なども、第2次安倍内閣が発足した2012年と比較をして上昇しているところであります。また、産業振興ビジョンにおいて数値目標としております民間の市内従業者数について、生産年齢人口が減少している中、2012年の83万1,700人から2016年の83万8,911人へ増加をしており、経済の好循環は札幌市にも及んでいるものと認識をしております。
今後の取り組みにつきましては、市内企業における経営上の問題点の第1に挙げられている人手不足が、経済の好循環を阻むものとならないように施策を講ずる必要があります。具体的には、テレワーク導入などの就業環境の整備や、企業と求職者のマッチングに係る取り組みに力を入れていくことで、女性やシニアの有業率向上を図るとともに、より多くの若者が札幌での就職を希望し、そして、その希望をかなえることができるように、これまで以上に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
次に、5項目めの地域力の向上と町内会に関する条例についてお答えをいたします。
まず、地域力の向上についてでありますが、これまで、札幌市では、地域力の向上に対する支援として、地域コミュニティーの活性化に主眼を置き、事業に取り組んできたところであります。具体的には、地域活動の場の整備支援や町内会未来塾等の開催、さらには、次世代の活動の担い手育成、地域活動の実践体験会の実施など、各種多様な事業を展開してまいりました。今後も、これらの事業を通して地域コミュニティーへの関心を高めていくことで、地域力の向上につなげてまいりたいと考えております。
次に、町内会に係る条例についてであります。
このたびの町内会に関する条例素案につきましては、パブリックコメントなどでいただいたご意見に基づき、見直す予定であり、その場合、改めて地域に説明をしていく必要がありますことから、十分時間をかけて丁寧に議論を進めていきたいと考えております。
また、新たな条例案を地域の方々に納得していただくには、実効性のある取り組みを伴う必要がありますので、今後は、町内会の加入促進につながる具体的な施策もあわせて提示できるよう、しっかりと検討を進めてまいりたいと考えております。
私からは、以上であります。
○議長(山田一仁) 吉岡副市長。
◎副市長(吉岡亨) 私からは、6項目めの雪対策のこれからについて、8項目めの未来を見据えた清田区の交通体系についてお答えをいたします。
最初に、6項目めの雪対策のこれからについてであります。
最初に、国の補助等による雪対策の成果についてでありますが、これまで、札幌市では、国からの補助等について、幹線道路の除排雪作業や除雪機械の購入などに活用しており、一般財源の負担軽減や安定的な除雪体制の確保などに大きく役立っているところでございます。
近年、除雪費が急増する中、国からの支援の重要性が一層増してきておりますことから、今後も、さまざまな方面のご協力をいただきながら、財源の確保と事業の拡充に努めてまいります。
2点目のパートナーシップ制度についてであります。
雪対策は、市民一人一人にかかわる全市的な課題であり、札幌市による除雪事業に加え、自助、共助それぞれの取り組みにより課題を克服するべきものと考えているところでございます。
パートナーシップ排雪制度は、地域と協働で冬の生活環境を改善することを目的とし、大雪であっても地域の方々が安心して暮らすことができるような身近な制度として浸透してきたものでありますことから、今後も継続すべきものと考えているところでございます。
一方、除雪事業については、労務単価の上昇や担い手不足などのさまざまな課題がありますことから、パートナーシップ排雪制度を含め、事業全体が持続可能なものとなるようさらなる検討を進めてまいります。
3点目の市民が身近に感じられる雪対策についてであります。
町内会の存在意義と今後の役割の重要性につきましては、町内会は地域コミュニティーの中心的な役割を担っており、冬のみちづくりプラン2018におきましても、町内会を初めとした団体を地域における除雪の主体として位置づけているところでございます。
次に、市民が身近に感じ、みずから取り組む雪対策についてでありますが、これまでも、市民が雪に親しみを感じられるよう、地域懇談会や子ども向けの雪体験事業などに取り組んできております。また、市民みずから取り組む雪対策の支援に向け、公園への雪入れや小型除雪機の貸し出しなどに加え、ボランティアの拡充などにも取り組むこととしており、今後も、関係する部局間で課題の共有を図り、効果的な施策について市民議論を深めてまいります。
次に、8項目めの未来を見据えた清田区の交通体系についての1点目、清田方面への地下鉄延伸についてであります。
現在、総合交通計画の見直しに向けた検討を進めており、先般開催した専門部会では、交通需要や
まちづくりの観点から公共交通ネットワークの方向性について議論いただいたところでございます。その中でも議論されておりますとおり、今後は、人口減少局面を迎え、輸送力の拡充を要するほどの需要は発生しないことが予測され、地下鉄等の大量輸送機関の新たな整備について、交通需要という面からは全市的にその必要性はないと考えているところでございます。
一方で、
まちづくりの面では、多くの地域交流拠点において地下鉄・JR駅を中心とした高い利便性が確保されているのに対し、清田は、他の拠点に比べて都心部へのアクセス性に課題があると考えているところでございます。
清田方面への地下鉄延伸につきましては、地域住民の皆様から数多くのご要望をいただいている中、現状では採算性の確保など難しい課題があると認識しているところではありますが、引き続き、地下鉄の実現性も含め、さまざまな視点から公共交通の機能の向上に向けた検討を行ってまいります。
次に、清田区における当面の交通課題への対応についてであります。
バスの利便性確保については、バス事業者と連携しながら、バスの現在地をスマートフォンなどで確認できるバスロケーションシステムを導入するなど、バス待ち環境の改善を進めるとともに、ノンステップバスの導入も推進しているところでございます。
道路の交通円滑化につきましては、国や北海道などと連携しながら、ハード・ソフトの両面からさまざまな対策を計画的に行っているところでございます。具体的には、札幌新道や羊ケ丘通の延伸のほか、渋滞箇所に集中する交通の分散化を図るため、ドライバーへの渋滞情報の提供などの取り組みを行ってきており、引き続き、国道36号と厚別東通の交差点改良の検討を初め、必要な対策を進めていくこととしております。
今後、これらの取り組みを確実に進めることにより、清田区の交通利便性の向上に鋭意努めてまいります。
私からは、以上でございます。
○議長(山田一仁) 岸副市長。
◎副市長(岸光右) 私からは、ご質問の中の3項目めの子どもを産み育てやすい環境を整備する総合的対策についての1点目と2点目と4点目、それから、ご質問の4項目めの市民の健康増進と高齢者支援対策について、7項目めの児童相談体制の強化について、以上についてお答えをさせていただきます。
まず、3項目めの子どもを産み育てやすい環境を整備する総合的対策についての1点目、新生児聴覚スクリーニング検査の公費負担導入についてであります。
公費負担導入の先行8市におきましては、事業開始から2年から3年と実施期間が短い市が多く、事業効果は今後の推移を見ていく必要があります。しかしながら、療育等の支援を要する乳児の早期把握が可能になったとの意見も見られるところです。
現在の札幌市における受検率は約8割となっておりますが、今後は、保健師等の家庭訪問時における検査状況の確認、未受検の場合における医療機関への受診勧奨、さらに、円滑な早期療育に移行するための連携体制の整備に取り組んでまいります。
新生児聴覚スクリーニング検査の公費負担導入につきましては、保護者や医療・福祉関係者のご意見も踏まえつつ、札幌市で実施する場合の課題等の検証を行い、鋭意検討してまいりたいと考えております。
2点目のこれからの母子保健のあり方についてでありますが、近年、母子保健施策には、母子の心身の健康保持のみならず、母親の育児不安に対する支援や児童虐待防止の取り組みがより求められるようになっております。平成28年の母子保健法の改正におきましても、児童虐待予防が母子保健の重要な施策となり、地方公共団体の役割として明記をされたところです。このような状況を踏まえ、さまざまなリスクを有する妊婦の早期把握や継続支援の充実など、児童虐待予防の観点から母子保健事業の強化を図ることがこれからの母子保健のあり方と認識をしております。
また、今後の進め方につきましては、育児不安や精神的な問題といったさまざまなリスクを有している母親が増加しており、一人一人の気持ちに寄り添いながら、きめ細やかな支援を行うことが重要と考えております。このため、支援が必要な母親等の早期把握、医療機関とのネットワーク体制の拡充、母子保健事業に従事する全ての職員の資質向上に努めるなど、妊娠期からの包括的な支援体制の充実を図り、児童虐待の予防に取り組んでまいります。
次に、4点目の少子化対策についてであります。
家計収入への不安が、未婚率が高く、夫婦間の出生数が少ない主な理由となっている実態から、これまで、未来創生プラン等の計画に基づき、さまざまな取り組みを進めてきたところです。具体的には、食や観光を初めとする産業振興施策とともに、女性活躍や正社員就職の促進など家計収入の充実に取り組むこととあわせ、3歳未満の児童の第2子保育料の無料化など経済的負担の緩和に努めてまいりました。これらの取り組みにより、市税収入額や女性の有業率などにおいて目に見える成果が出ている一方、合計特殊出生率につきましては、全国的な動向と同様にいまだ上昇基調には至ってはおらず、今後もさまざまな取り組みを粘り強く進める必要があると認識をしております。
子育て世代の経済的負担の軽減は重要な視点でありますことから、今後も引き続き、家計所得の向上策とあわせて、その両面から施策の充実を図り、少子化対策を進めていく考えでございます。
次に、ご質問の4項目めの市民の健康増進と高齢者支援対策についてであります。
まず、1点目のがん対策についてでありますが、一人一人の子どもががんについて正しく理解し、健康と命のとうとさについて主体的に考えることができる力を身につけることが大切であり、がん教育は、将来的な市民の健康増進につながる重要な取り組みと認識をしております。
札幌市におきましては、がん経験者を、みずからの体験を子どもに伝える語り手として養成し、学校の授業での外部講師に活用するための検討を進めております。さらに、教職員ががん教育の意義等について理解を深めることができるよう、新年度、新たな研修の実施を予定しているところです。今後も、こうした取り組みを通じてがん教育が効果的に実施されるよう、さらなるがん教育の推進を図ってまいりたいと考えております。
2点目の風疹対策についてでありますが、今回の国の方針に基づく抗体の値が低い39歳から56歳の男性への風疹対策については、健康診断と合わせた抗体検査の実施など受診率向上のための取り組みを含め、来年度からの制度開始を目指し、準備を進めているところであります。
また、国の方針の対象となっている男性のほかに、妊婦の同居家族が抗体検査を受けることができる体制づくりは、先天性風疹症候群を予防するために意義があるものと認識をしております。そのため、課題の洗い出しを行い、他都市の状況等も踏まえて検討を進めてまいりたいと考えております。
3点目の高齢者が安心して暮らせるための支援策についてでありますが、民間による高齢者向け住宅が増加をし、住まいの選択肢が広がったことから、待機者が減少してきているものと認識をしております。
また、養護老人ホームにおいては、待機状況を踏まえ、緊急性の高い方を優先的に入所させるなど必要な対応をとっていることから、現計画におきましては、養護老人ホームや軽費老人ホームの整備は予定をしていないところであります。
待機者を初め、高齢者の方が住みなれた自宅や地域で暮らし続けられるように、地域全体で支えていくことが重要であります。引き続き、見守り活動の推進や介護サービスの充実など、高齢者が暮らしやすい生活環境の整備を進めてまいりたいと考えております。
次に、ご質問の7項目めの児童相談体制の強化についてであります。
まず、1点目の職員の専門性の確保、向上への取り組みについてでありますが、これまでも、要支援世帯への評価チェックシート、いわゆるアセスメントツールの運用や、子どもの安全に焦点を当てた実践的な支援手法の研修を導入してきたところであります。新年度からは、毎週1回、弁護士を児童相談所に迎え、虐待等への法的対応の強化を図るとともに、児童相談所を初めとした関係職員の研修を体系的に拡充し、対応力の向上を図ってまいりたいと考えております。
2点目の国の新プランに基づく児童虐待防止に向けた相談体制の強化についてであります。
現在も、第2次札幌市児童相談体制強化プランに基づき、着実に推進をしているところでございますが、虐待件数の増加や専門性の確保への対応に加え、国の新たな方針の実現のため、現プランを改定し、第3次札幌市児童相談体制強化プランとして取りまとめ、推進をしていく考えです。プランの改定に当たりましては、子どもの安全を守るための介入保護機能と、介入後の支援機能の分担のあり方や、関係機関も含めた家族支援のマネジメント機能の強化など、児童虐待への対応がさらに的確に行えるよう検討を進めるとともに、児童福祉司などの専門職の配置につきましても計画的に対応してまいりたいと考えております。
私からは、以上です。
○議長(山田一仁) 長谷川教育長。
◎教育長(長谷川雅英) 私から、3項目めの子どもを産み育てやすい環境を整備する総合的対策についての3点目、家庭教育支援についてお答えをいたします。
1点目の切れ目のない支援についてでございますが、家庭教育は、全ての教育の出発点であり、家族との触れ合いを通して子どもが基本的な生活習慣や自立心、社会的マナーなどを身につけていく上で、重要な役割を果たしているものと認識をしております。
教育委員会では、これまでも、さまざまな機会を捉え、家庭教育支援に取り組んできたところではございますが、乳幼児を抱える家庭などへの支援につきましては、さらなる充実が求められているところでございます。このため、今後、母子保健や子育て支援の事業と一層連携し、関係部局が提供する情報の一元化を図るほか、より効果的な普及啓発や相談事業を実施するなど、妊娠期から切れ目のない家庭教育支援を進めてまいりたいと考えております。
2点目の地域や企業との連携についてでございますが、企業と連携した支援といたしましては、家庭教育をテーマとした講座を、直接、職場に出向いて開催するなど、仕事を持つ親の学びの機会の充実に取り組んでいるところでございます。また、子どもたちに学びの場や体験の場を提供しているサッポロサタデースクール事業の中でも、親子で料理やスポーツ、清掃などの活動に参加できるプログラムを取り入れるなど、地域と連携して家庭教育に資する取り組みを行っております。
今後も、地域で子どもを産むことの大切さを広く周知するとともに、地域や企業に対し、事業への参加、協力を積極的に働きかけるなど、地域全体での家庭教育支援の一層の充実に努めてまいりたいと考えております。
私からは、以上でございます。
○議長(山田一仁) ここで、およそ30分間休憩いたします。
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休 憩 午後2時50分
再 開 午後3時22分
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○副議長(三宅由美) これより、会議を再開します。
代表質問を続行します。
畑瀬幸二議員。
(畑瀬幸二議員登壇・拍手)
◆畑瀬幸二議員 私は、民主市民連合議員会を代表して、今定例会に上程されました諸議案並びに諸課題について、順次、質問をいたします。
さて、皇位継承に伴って、本年4月末、平成の時代が幕を閉じます。平成という年号は、中国の古典である「史記」の中の「内平かに外成る」という言葉が由来の一つとなっています。国も人間も、その内側、内面が平和で穏やかであれば、それは外的な世界に形となってあらわれてくるという意味が込められています。平成の時代に生きてきた私たちは、そうした意味合いをしっかり踏まえてこれからの時代も日々の生活に生かしていくことが大切な視点であることを願いつつ、質問に入ります。
最初に、秋元市長の政治姿勢について伺います。
今定例会は、平成最後の定例会となりますので、少しく平成の30年間における札幌市の歩みを振り返ってみたいと思います。
今からさかのぼること30年前、平成元年当時の札幌市の人口は、現在より30万人以上も少ない161万人ほどであり、一般会計規模は約5,753億円と2019年度予算の半分程度の規模でありましたが、その年の11月に白石区、西区の分区を控えていたほか、地下鉄東豊線の豊水すすきの−福住間の建設工事が本格着手となるなど、21世紀を目指してまちが大きく変わり行く時期でありました。以来、1997年には豊平区の分区により、今日の10区制へ移行となったほか、同じ年に札幌コンサートホールKitaraがオープンしました。また、その後、地下鉄東西線琴似−宮の沢間が開通し、札幌ドームがオープンしたほか、札幌駅前通地下歩行空間が開通するなど、今日の札幌市を代表する多くの公共インフラが整備されました。
一方で、平成の30年間は、バブル景気の崩壊を皮切りに、北海道拓殖銀行の破綻や
リーマンショックに端を発した世界的な景気低迷など、地方自治体にとって厳しい財政状況が続いた時代でもありましたが、そのような中にあっても、市民自治という共通の理念を掲げ、議会と行政が一体となってまちの成長を模索し続けてまいりました。
さて、ことしは、平成最後の統一地方選挙の年でありますが、こうした中、昨年12月21日、秋元市長は、2期目への立候補の意向を表明し、来年度以降も札幌市政のかじ取りを担う決意を示されました。4年前、秋元市政は、人口減少・超高齢社会という時代の転換期を控えた困難な状況の中、船出を迎え、以来、秋元市長は一貫して人を大事にするということを原点に据え、誰もが安心して暮らし生涯現役として輝き続ける街、そして、世界都市としての魅力と活力を創造し続ける街の実現に向け、市政運営を進めてきました。
具体的には、積極的な企業誘致や観光産業の振興を初めとした市内経済の活性化に取り組むことにより、安定した雇用の場を創出し、若者層が地域に定着できる環境づくりを進めました。また、保育所や認定こども園の整備などによる保育定員の拡大を進め、子どもを安心して産み育てられる
まちづくりに力を尽くされました。加えて、女性の就労と保育に関する一体的な相談窓口であるここシェルジュを開設するなど、女性が生き生きと輝き、その持てる能力を存分に発揮できる環境の整備にも積極的に取り組まれました。
こうした取り組みが実を結び、札幌を訪れる観光客は1,500万人を突破し、有効求人倍率も好調を維持しているほか、国が定義する待機児童ゼロを達成し、女性の有業率も向上しています。また、積極的な都心の再開発支援などにより、民間投資が活発となり、まちの至るところで建てかえなどの大規模プロジェクトが進んでおり、まちの姿は大きく変わりつつあります。さらには、我が会派が推し進めてきた、ともに支え合う共生社会の実現を目指した取り組みとして、障がい者コミュニケーション条例や手話言語条例を制定し、さらには、性的マイノリティーへの支援やアイヌ文化の発信といった先導的な取り組みを進められました。
我が会派としては、こうした施策により、まさに未来の札幌市を支える礎が着実に固められてきたものと捉えており、これまでに秋元市長が取り組んできた方向性を高く評価するものであります。
しかし、こうした成果の一方で、今後も進めていかなければならない取り組みもあります。秋元市長が就任した2015年から現在に至るまでの間、日本各地は、平成28年度熊本地震や昨年7月に発生したいわゆる西日本豪雨など、多くの自然災害に見舞われました。とりわけ、昨年9月の
北海道胆振東部地震で、かつて経験したことのない震度6弱の揺れとブラックアウトの複合災害に見舞われた本市においては、市民の安全を守る災害に強い
まちづくりに取り組んでいくことが喫緊の課題となっています。また、これまで経験したことのない人口減少・超高齢社会という時代の転換期の到来を踏まえ、将来を見据えた持続可能な
まちづくりが今後一層求められていくものと考えます。
このような中にあって、秋元市長は、これからの札幌市の進むべき道筋を明らかにすべく、2期目への挑戦を決断され、出馬表明の際にも、今後の
まちづくりの基本的な考え方を述べておられました。
そこで、質問ですが、公約の達成状況と、これを踏まえた1期目を振り返っての所感、さらには、この議会の場において、改めて2期目を目指すに当たっての決意を伺います。
次に、2019年度予算編成の考え方について、2点伺います。
1月の閣議で政府予算案を最終決定しましたが、この案によると、地方交付税交付金を約16兆円計上することにより、地方全体が安定的に財政運営を行うための地方一般財源総額について、前年度比1.0%増の62.7兆円を確保しました。この地方一般財源の確保については、指定都市市長会と議長会が連携した提案を初め、札幌市議会においても個別に意見書を提出するなど、その必要性を強く訴えてきたところであり、そういった取り組みの成果だと捉えることができます。また、公共事業関係費は、前年度比15%増の6.9兆円となりました。これは、
北海道胆振東部地震を初めとする大規模な自然災害が相次ぎ発生し、その復旧、復興のために措置されたものであり、一定の理解はできます。ただし、今後の議論の中で、防災や国土強靱化に名をかりた無駄な事業がないかどうか、常に心がけていかなければなりません。
その一方で、市民サービスを直接担う地方自治体においては、予算案に対する考え方はいささか異なってきます。事業費の精査が必要なことはもちろんでありますが、適切な時期に事業を実施し、市民生活の不安や不便を解消していくことを意図した予算編成が求められます。2018年第4回定例会で我が会派が指摘したように、札幌市の2019年度当初予算においては、喫緊の市政課題に対するための事業を積極的に予算計上することが優先されるべきと考えます。
我が会派の指摘に対する答えが、このたび上程された2019年度当初予算案となります。4月に予定されている市長・市議選を踏まえ、義務的な経費や経常的な事務事業を中心とした骨格予算として編成されたものではありますが、
一般会計予算において過去最大の1兆193億円を計上されました。このことは、市民生活の安定確保という観点で評価できるものですが、財政運営の健全性確保との両立について市長も苦心されたのではないかと思います。
そこで、質問ですが、2019年度当初予算案が骨格予算でありながら市政史上最大規模となったことについての所感と、財政運営の健全性に対する基本的な認識について伺います。
次に、2019年度当初予算案には三つの予算の柱が設けられています。この三つの柱の中では、災害からの復旧、復興、防災、減災が新しいものですが、これは、2018年第3回定例会に補正予算案が提出されて以降、優先度の高い市政課題として取り組むべき事業だと考えます。また、子ども・子育て支援、経済活性化、まちのリニューアルは継続事業として取り組んできたものであり、2019年度は任期最後の予算としてこれまでの取り組みが一歩進んだ内容になっていることを期待しています。
そこで、次の質問ですが、2019年度当初予算案において特に力を入れた施策について、市長の考えを伺います。
次は、災害に強い
まちづくりについて、4点伺います。
昨年発生した
北海道胆振東部地震以降、秋元市長は、災害に強い
まちづくりを強調されてきました。直近の市民意識調査でも、今後、力を入れてほしい政策課題として防災が上位に上げられており、私も同感であります。
質問の第1点目は、人を育てる防災教育の充実であります。
1995年の阪神・淡路大震災以降、本市の幼稚園から小・中・高等学校を初め、全国の学校で防災教育が浸透しつつあります。2002年に、兵庫県舞子高等学校では防災を専門に学ぶ環境防災科が設けられ、2016年には、宮城県多賀城高等学校にも災害科学科が新設されました。そこでは、地震や津波、台風などの災害メカニズムや、歴史、防災、減災などを総合的に学べる教科が新設され、両校の活動には国内外の注目が集まっており、私も、昨年、両校を視察してきたところであります。
神戸市にある兵庫県舞子高等学校の環境防災科は、阪神・淡路大震災を教訓に、市民のリーダーとして活躍する人材の育成を目指し、全国で初めて高校に設けられた防災教育の専門学科であります。2002年4月に1期生が入学、各学年に40人ずつ在籍し、カリキュラムの約3分の1が防災教育に充てられていました。災害を人間社会とのかかわりから学び、外部講師が過去の自然災害を説明する専門授業や小学校への出前講座などで知識の定着化を図っています。授業のほかにも、環境防災関連の行事も多く、地域との連携やボランティア活動など、生徒一人一人が積極的に参加しています。これまで、531人が卒業し、防災を推進し続ける人材として活躍をしています。
また、宮城県多賀城高等学校災害科学科では、2011年に発生した
東日本大震災から学んだ教訓を次世代に伝承するとともに、今後、国内外で発生する災害から一人でも多くの命と暮らしを守ることができる人材を養成するため、2016年4月、全国で2例目となる防災系学科を開設し、大学進学型理系科目を中心とした文理融合型の学習、教科横断的な学習や、校外に出て体験的に学ぶフィールドワークの充実などを基本コンセプトにしています。各学年40人ずつ在籍し、災害を切り口とした自然科学的なアプローチと課題探究的に学ぶアクティブラーニング型授業を取り入れるなどして特色ある学習展開を図っており、ことし初めて卒業生が輩出されます。
両校を視察して感じたことは、大震災の教訓が防災、減災の考え方、目的を確立していることです。そして、カリキュラムの設定、マネジメント、教員の体制づくりを進める中で、将来を見据えて人を育てることに努力されており、防災教育を進める上で現場の声を参考にすることが重要であると認識してきたところであります。
私たちは、自然災害が多発する国土に住んでおります。地震に限るならば、世界の地震の約2割が日本で発生しております。世界の国土面積のうち0.25%しかない日本で約2割もの地震が起きていることは、実に特異なことであります。さきの阪神・淡路大震災や
東日本大震災に学ぶならば、多くの犠牲者を出してから防災教育に力を入れるのではなく、札幌市のように震度6弱の地震を経験した自治体こそ、できることから取り組み、多くの人が確かな防災知識を身につけられるならば、真に災害に強い
まちづくりにつながるのではないでしょうか。
札幌市では、学校の現場で計画的に防災教育に取り組んでいることは承知していますが、この機会に防災教育をもっと充実すべきであります。特に、高等学校では、市立高校教育改革方針に基づき、各市立高等学校の教育改革がそれぞれの目指す生徒像や学校の将来像に向かって歩みを進めている中で、例えば、自然災害を切り口とした防災系学科の新設を含めた教科化を進めていくなど、防災教育への取り組みを強化すべきと考えます。
そこで、質問ですが、胆振東部地震の経験を踏まえ、札幌市教育委員会として、幼稚園から小学校、中学校、高等学校までのそれぞれの段階に応じて、将来の災害に対応できるような防災教育の充実を図るべきと考えますがいかがか、伺います。
質問の2点目は、液状化による地盤被害についてです。
北海道胆振東部地震によって、清田区里塚地区では、地盤が液状化するとともに、傾斜した谷地形に沿って地下の土砂が大きく流れ出たために、地盤が大きく沈下する事態となりました。そのため、家屋が傾いたり沈下したりするという被害が生じました。被災した地区は、谷地形で水路となっていた部分を40年ほど前に土砂で埋め立て、造成して宅地化したところであります。市は、早急に復旧方針を立て、これまで4回にわたり住民説明会を開催し、協議を進めてきているところであります。
また、東区の東15丁目・屯田通では、約4.3キロメートルで最大1.6メートルの地盤沈下や陥没が発生し、最大で11日間、通行どめとなり、北区の西4丁目線では、約270メートルの区間で最大56センチメートルの沈下や陥没が発生し、3日間、通行どめとなりました。両路線では、ボーリング調査の結果、地盤の緩みや高い地下水位を確認しており、道路が沈下した箇所では噴砂も確認されました。道路の沈下、陥没の原因は、地下鉄建設工事の埋め戻し砂が地震動により液状化したものと考えられております。こうした液状化による一連の地盤災害対策について、札幌市は最優先課題と位置づけて対応してきたことは、高く評価しているところであります。
そこで、質問ですが、今回の被害に対して、最終的にどのような復旧方法と復旧スケジュールになったのか、伺います。
あわせて、建物や宅地の安全対策についてですが、全国各地で発生している地震のたびに、埋立地や地盤の脆弱な地域で液状化などの地盤災害が多発していることがうかがえます。都市における建物や
まちづくりそのもののもろさを示していると考えられ、そうしたことから、市民がみずからを守る手段の一つとして、居住する土地や地盤の状況を把握してみずからが対応していくことが重要と考えます。
札幌市では、胆振東部地震の発生後、地震防災マップを全戸配布しており、マップの中には液状化危険度図も記載されておりますが、図が小さくて自宅の位置を確認しづらいとの声も多数聞いております。
そこで、質問ですが、液状化の危険度については、より一層わかりやすい内容で市民周知を図ることが必要ではないかと考えますがいかがか、また、この点も含めて、札幌市として、土地や地盤の状況等に関する市民ニーズに対してどのように対応されるのか、伺います。
質問の3点目は、災害対応に際しての情報収集、情報共有についてであります。
災害時における情報ということに関しては、これまで、さまざまな観点から問題が提起されてきました。例えば、住民への情報伝達という点については、災害時に必要な情報を確実に住民へ伝えるために、停電やシステムの故障によって伝達手段がうまく活用できなくなることも考慮し、複数の手段を用意しておくよう、多様な情報伝達手段の整備を国から自治体に求めてきた経緯があります。また、過去の災害においては、行政が発信する情報の持つ意味や、情報の受け手側に求めている行動が住民に正しく認知されておらず、避難情報の発令が実際の避難行動に結びつかなかったとの指摘もあります。
このような問題については解決すべき重要な問題と考えますが、今回は、災害対応に際しての職員における情報収集、情報共有について伺いたいと思います。
現在、札幌市においては、大雨に伴う避難勧告等の発令判断に当たっては、国や北海道が発表する情報に基づき、複数区画に分かれた土砂災害危険度や河川ごとの情報を、職員が一つ一つ情報が更新されるたびにチェックする対応をとっているとのことですが、限られた人員で変化する大量の情報を常時監視することは情報の見落としにつながるおそれがあるなど、情報収集体制の改善が必要と考えます。
また、札幌市は、大都市で市域も広く、被害状況等の全容を把握するための時間を要することが想定されるとともに、災害に伴う各種事象や対策等の流れを時系列にまとめた一覧である、いわゆるクロノロジーについては、災害時には紙ベースのものが災害対策本部内に掲示されるとのことですが、現在活用している災害用システム上では職員間の共有ができないなど、情報共有についても改善の余地があるのではないかと考えます。情報を正確に把握することや関係部局の職員間で共有することは、適切な災害対応や市民への情報伝達の上で極めて重要であると考えます。
そこで、質問ですが、頻発する大雨災害や、今後もいつ発生するかわからない地震災害に備え、刻々と変化する気象状況や被害状況などに関する情報収集や、職員間の情報共有をより強固に、かつ効果的に行うための対策も必要であると考えますが、見解を伺います。
質問の4点目は、災害時のボランティアの受け入れ体制についてです。
今回の震災について、札幌では最大震度6弱を観測しましたが、札幌市としての災害ボランティアセンターを開設せず、既存のボランティア支援体制により、ボランティア活動センターや各区の社会福祉協議会が受け皿となって、延べ183名の災害ボランティアが札幌市内で家具、家財の片づけや引っ越しのお手伝いなどに従事されたと聞いております。これらの活動に当たったボランティアの方には深く敬意を表するところですが、一部の市民の方から、何かできることはありませんかといったボランティア活動を希望する声が聞かれました。市民の善意をどのように支援や復旧の力に変えていくかということを常に意識しておく必要があるものと考えます。
今回の震災では、一部の地域において大きな被害があったものの、多くの地域では、停電解消に伴い、短期間で日常生活をほぼ取り戻すことができたこと、また、避難所運営も職員により賄われていたことから、災害ボランティアセンターの開設は見送られたものと考えますが、より大きな規模の災害が起きた際にボランティアを受け入れる体制を整えることができるのか、また、各種団体の協力を得ることができるのかといったことが課題となり、事前の準備が非常に大切になるものと考えます。
そこで、質問ですが、札幌市内でより大規模な災害が起きた際に、ボランティアや団体等の支援の受け入れに関してはどのような体制をとることになるのか、伺います。
次に、札幌市自治基本条例に基づく
まちづくりについて伺います。
札幌市自治基本条例は、2006年10月に、札幌市の
まちづくりの最高規範として制定されました。これまで、本市は、条例の掲げる基本理念、
まちづくりは市民が主体であることを基本とする及び基本原則、
まちづくりは市民の参加により行われるものとする、このことを基本として市民とともに
まちづくりを進めてきました。条例制定後、ワークショップや意見交換会、市民会議など、政策形成過程における市民参加の促進、市民の自由な発想から多種多様な
まちづくりの取り組みが花開き、定着するなど、市民自治の取り組みは一定の浸透が図られており、地域の課題を市民みずから解決していこうとする素地が育っているものと考えます。
現在、大きな市政課題となっている子どもの貧困問題、高齢化等による町内会を初めとした地域コミュニティーの担い手不足、
北海道胆振東部地震により明らかになった防災へのさらなる対策の必要性など、さまざまな困難な課題に取り組んでいく必要がありますが、今後、市民自治の取り組みをさらに推し進めていくことがより一層求められると考えます。
また、近年、社会にかかわるさまざまな分野で、持続可能性という考え方が重視されています。国連サミットにおいて、持続可能な世界を実現するため、SDGs、持続可能な開発目標が定められましたが、このSDGsを具体化し、実現していくために、2018年8月に札幌市SDGs未来都市計画が策定されました。本計画では、次世代の子どもたちが笑顔で暮らせる持続可能な都市、環境首都・札幌を実現するため、環境の取り組みを起点とし、経済や社会への波及を目指していますが、その取り組みの前提として、市民みずからが考え、行動する市民自治の取り組みを推進していくことが不可欠であります。
一人一人の市民にとって、安全・安心、快適に暮らし続けることができ、次世代にしっかりと引き継ぐことができる、より住みやすい地域としていくためには、そこに暮らす市民が主体的に
まちづくりに参加し、地域コミュニティーを継続的に発展させていくことが必要であり、そのためには行政による
まちづくりに関する適切な情報提供・開示が求められます。市民や企業と市は、
まちづくりのパートナーであり、市は、情報共有のために積極的に取り組むべきと考えます。
また、自治基本条例では、身近な地域において市民自治による
まちづくりを推進していくための拠点として
まちづくりセンターを位置づけています。地域の実情はさまざまであり、おのおのの地域の課題やニーズを把握し、市民の
まちづくり活動にきめ細やかな支援を行うことが必要であり、そのための核となる拠点として
まちづくりセンターを位置づけたことは、札幌市における市民自治推進を大きく特徴づけるものと言えます。
そこで、質問ですが、
まちづくりセンター及び区において、地域における市民の
まちづくり活動支援に、この4年間、どのように取り組んできたのか、伺います。
また、これまでの市民参加と情報共有の取り組み、
まちづくりセンター及び区による市民の
まちづくり活動への支援の成果や課題等を踏まえ、今後の市民自治推進についてどのように認識しているのか、伺います。
次に、子どもの貧困対策として昨年から開始した子どものくらし支援コーディネート事業について伺います。
子どもの貧困が全国的な社会問題として広く取り上げられ始めてから、おおむね10年がたちました。2014年に子どもの貧困対策の推進に関する法律が施行され、それに基づいて子供の貧困対策に関する大綱が閣議決定されてから、ことしで5年が過ぎたところであります。この間、全国の自治体では、子どもの貧困対策の計画を策定、実行に移し、また、民間では子ども食堂に代表されるような取り組みが広がりを見せ、先日、大手コンビニチェーンがイートインを利用した子ども食堂を開始することが報じられたばかりであります。
こうした対策が講じられたこともあり、子どもの貧困率はわずかに減少しているものの、13.9%、7人に1人の子どもが貧困状態にあり、ひとり親家庭で見ると半数が貧困状態という現実があります。このことは、必要な制度やサービスが届いていないということであり、困難を抱える世帯の孤立する状態が浮き彫りになっております。
また、子どもの貧困が社会問題となって一定の時間が経過しており、当事者である子どもたちの生活環境も成長とともに変化しています。幼いころ、地域に見守られていた子が、中・高生になったことで地域社会から離れてしまい、深刻な非行など、貧困とは別の問題を抱えてしまうケースもあり、困難を抱える子どもを早い段階で支援につなげるとともに、より広い世代をターゲットにした対策を講じることも重要です。
札幌市では、昨年3月に札幌市子どもの貧困対策計画を策定し、社会的に孤立傾向にある子どもや家庭を早期に把握して必要な支援につなげるため、相談支援に豊富な経験を持つ子どもコーディネーターを配置する子どものくらし支援コーディネート事業を8月から一部の地域で開始しました。その後、我が会派は、コーディネーターのさらなる充実を求めてきたところですが、昨年11月以降、コーディネーターを3人体制とし、北区、東区に加えて、白石区、豊平区、清田区、西区まで対象を拡大して実施しており、今後の取り組みについて注目しているところであります。
そこで、質問ですが、拡大した子どものくらし支援コーディネート事業の実施状況はいかがか、また、現状をどのように評価し、今後どのように展開していくことを考えているのか、伺います。
次に、プラスチックごみの削減に向けた今後の札幌市の取り組みについて伺います。
2018年6月に発表された国連環境計画の報告書「シングルユースプラスチック」によれば、1950年以降、世界で生産されたプラスチックの総量は約83億トンに達し、そのうち63億トンがごみとして廃棄され、リサイクルされたものはわずか6億トン、割合としては9%にすぎないと推計されています。そして、各国のプラスチック容器包装廃棄量を比較すると、総量では中国、EU、米国、インドに次いで日本は5位ですが、人口1人当たりの廃棄量は米国に次いで2位と多いことが明らかになっています。近年では、海岸に漂着したり、海水中を浮遊したりするなど、プラスチックによる海洋汚染が世界的な問題となっており、汚染の範囲が広い場所に及ぶことや、自然界での分解が困難なことから、海の環境や生物、生態系への影響が懸念されています。
札幌市では、現在、ポリ袋、ラップ類、発泡スチロールなどの容器包装プラスチックは、分別収集により資源物としてリサイクルの対象としており、国内において100%リサイクルされています。また、減量への取り組みとしては、レジ袋を削減し、マイバッグの持参を促進するため、レジ袋削減に向けた取組みに関する協定を事業者、市民団体と締結し、レジ袋の削減を進めており、2008年度から始まったこの取り組みにより、削減できたレジ袋の累計枚数は、2017年度までで10億枚を突破したと聞いています。
一方で、札幌市の組成調査によると、瓶・缶・ペットボトルの分別協力が2017年度には96%を超えているのに比べると、容器包装プラスチックでは60%台と分別が徹底されているとは言えず、燃やせるごみに混入し、リサイクルされず、焼却処分されている容器包装プラスチックも多いものと推測されます。また、容器包装以外の製品プラスチックについても、札幌市では燃やせるごみとして熱利用されているのが現状です。
昨年6月に閣議決定された第四次循環型社会形成推進基本計画では、誰もが持続可能な形で資源を利用でき、環境への負荷が地球の環境容量内に抑制され、健康で安全な生活と豊かな生活を確保するため、国においては、そのための取り組みの一つとしてプラスチックの資源循環を総合的、戦略的に進めるために、プラスチック資源循環戦略を策定することとされました。国は、今年度末を目途に策定作業を進めており、昨年11月に公表された中間整理案では、2030年までに、ワンウエーのプラスチック、いわゆる使い捨てのプラスチックを累積で25%排出抑制することや、プラスチック製包装容器の6割をリサイクルまたはリユースすること、バイオマスプラスチックを最大限導入することなど、具体的な数値目標を掲げたマイルストーンが提示され、政府、地方自治体を初め、国民各界各層が連携・協働して取り組んでいくこととしています。プラスチックは、限りある化石燃料を原料として製造されていることからも、持続可能な社会を実現するためには、札幌市としても、より積極的な取り組みを進めていくべきと考えます。
そこで、質問ですが、プラスチックごみの削減に向けて、札幌市としては、どのように認識し、今後どのように取り組んでいこうとされているのか、伺います。
次に、ポートランド市との姉妹都市提携60周年の取り組みについて伺います。
札幌市は、これまで、ポートランド市を初め、ミュンヘン市、瀋陽市、ノボシビルスク市、大田広域市の5都市と姉妹・友好都市提携を締結し、青少年交流や文化、スポーツ、芸術などの幅広い分野における交流を通じて友好親善を深めてきました。姉妹・友好都市との交流は、市民の異文化や国際社会への興味・関心を喚起し、国際都市さっぽろに必要な国際理解の醸成を図る身近な実践の場でもあり、これまで蓄積してきた姉妹・友好都市との関係は札幌市にとっても貴重な財産と言えます。
特に、1959年に札幌市として初めて姉妹都市となったアメリカ・ポートランド市は、これまで多くの市民が交流をし、高校生が相互訪問する青少年交流や、さまざまな競技におけるスポーツ交流など、異文化を実体験する草の根交流事業が活発に行われています。また、行政でも、2016年に秋元市長がポートランド市を視察したことを契機に、本市職員をポートランド州立大学の
まちづくり人材育成プログラムに派遣しております。経済分野でも、本市と札幌物産協会が現地で札幌フェアを開催することで札幌の食文化を発信するなど、両市の関係はさまざまな分野で活用されるようになりました。
私も、20年前の40周年記念の際、ポートランドを訪問してまいりましたが、都心部の交通規制や均一運賃制度並びに緑化対策などを学び、その後の政策提言に生かすことができたものと考えています。これまで、5年ごとの周年行事においては、両市の市長や議員、市民が往来し、友好と信頼を育み続けてきた結果、こうした継続的な交流につながっていることは一定の評価をしています。
ポートランド市との姉妹都市提携60周年を迎えることし、既に、札幌市では、交流の担い手を広く巻き込んでいくための新たな仕掛けとして、昨年5月に産・学・官・民のさまざまな主体による札幌・ポートランド姉妹都市提携60周年事業連携連絡会議を立ち上げ、情報共有を通じて両市における60周年に向けた事業の充実化を図っているほか、関係者がポートランド市に出向いて事前の協議を行っていると聞いています。オール札幌での機運醸成にはこうした工夫はよいことだと評価するとともに、これを生かしながら、新たな時代に向けた良好で有益な両市の関係につなげていくことが重要であると考えます。
そこで、質問ですが、ポートランド市との姉妹都市提携60周年を迎えることし、今後の交流も見据え、どのように取り組んでいくお考えか、伺います。
次に、水道法改正への対応と今後の見通しについて伺います。
昨年の第197回臨時国会において、改正水道法が成立しました。この改正は、事業の統合や施設の共同化を促すほか、自治体が施設を所有したまま運営権を民間事業者に売却するコンセッション方式を導入しやすくする規定を盛り込んでおり、コンセッション方式の導入に踏み切る自治体もあると聞いています。
しかし、コンセッション方式をめぐっては、1980年代から欧州やアフリカを中心に世界各国で進められてきましたが、経営効率化などが期待される一方、水道料金の高騰や水質悪化、過疎地域に水が届かないなどの事態を招き、民営化後に再び公営化したケースが少なくありません。また、再公営化に際しては企業に多額の違約金が支払われる例もあり、拙速な民営化は非常に危険であると言えます。
札幌市においては、インフラ施設が老朽化し、更新時期を迎えていますが、水道施設についても例外ではありません。1937年の創設から給水需要の増加に合わせて水道施設の拡張や整備を進めてきた結果、市内に張りめぐらされた配水管は約6,000キロメートルにも達しています。これら全てを更新するには巨額な費用と時間を要するため、計画的に更新を行っていくことが必要です。水道事業は、今後とも水道管の健全性を維持して、市民に安心・安全な水を供給していくという重大な使命があります。
昨年の
北海道胆振東部地震では、ブラックアウトが発生し、多くの市民が断水を経験しましたが、安心で安全な水が供給される大切さを札幌市民は改めて痛感していることと思います。また、本市の震災対応を振り返って、特に応急給水所の設置など迅速な対応は、市民からも高く評価されています。こうした職員の気質は、一朝一夕に養われるものではありません。札幌市の水道は一昨年に創設80年を迎えましたが、その間、長い年月をかけて培ってきた技術や知識、さらには、市民のもとへ水道を届けるという職員のプロ意識が代々継承されてきているからこそと考えます。
このたびの水道法改正により、民間企業へ運営委託できるコンセッション方式の導入が可能となりますが、歴史を積み重ねてきた本市の水道インフラは、今後とも市の責任のもとでしっかりと健全経営され、市民に安心・安全な水を供給していくべきと考えます。
そこで、2点質問です。
本市水道事業へのコンセッション導入について、秋元市長の定例記者会見では検討していない旨の説明がありましたが、本市の水道事業へのコンセッション方式導入に対する考えと今後の見通しについて改めて伺います。
また、今後も市民に安全な水を供給し続けていくためには、水道施設の適切な更新、維持管理が必要不可欠です。今後、水道資産の約7割を占めると言われる水道管の更新、維持管理をどのように行っていく考えなのか、伺います。
次に、札幌市平和都市宣言の取り組みについて伺います。
札幌市議会においては、1991年12月に平和都市宣言を求める決議を全会一致で議決し、翌1992年3月30日に、当時の桂 信雄市長が議場において核兵器廃絶と世界平和を願う札幌市平和都市宣言を行いました。当時、私は、議員に初当選した1年目であったこともあり、大変印象深い出来事でありました。
この宣言を行ったころの世界情勢としては、東西冷戦の終結による東西ドイツの統一、東欧諸国の民主化など、対立のない平和な世界の構築が期待された時代でした。その一方で、湾岸戦争や旧ユーゴスラビアでの民族紛争、ソビエト連邦崩壊による小国への核拡散などの新たな不安も発生しておりました。このような時代背景のもと、札幌市平和都市宣言は、戦争のない平和な世界を築き、核兵器廃絶を願うという札幌市民の思いを表明した意義深いものとなりました。
この宣言以降、札幌市では、戦争の悲惨さや核兵器の恐ろしさ、平和のとうとさなど、宣言の理念を広く市民に普及し、ともに考えていくためのさまざまな事業を行ってきています。宣言初年度には、ユニセフ親善大使として活動されていた女優の黒柳徹子さんを招いて記念講演会を開催しました。私もこの講演会に出席しましたが、黒柳さんは、戦争や飢餓で骨と皮だけになった多くの子どもが、それでも必死になって生きようとしている話を交えながら、平和都市宣言の制定はすばらしいことと訴え、参加者の共感を呼んでいました。
また、市有施設や市立の全小・中学校などに札幌市平和都市宣言パネルを設置したほか、宣言5周年に当たる1997年には、国連軍縮会議を誘致し、広島原爆展も開催しました。2003年6月の上田文雄前市長就任後も、平和に関する取り組みはしっかりと引き継がれ、2004年に、札幌都心部と白石区を結ぶ新たな橋には、平和な世界が築けるよう願うという思いを込めて平和大橋と名づけ、宣言文を刻んだモニュメントやタイムカプセルが設置されました。このほか、子どもたちに対しては、平和へのメッセージの募集や広島、長崎などへの平和訪問団の派遣などを行うとともに、PMFとの連携による平和都市宣言セレモニーの開催、市民の戦争体験をまとめた書籍の発行など、市民が直接かかわる平和事業も行ってきています。
間もなく、平和が達成されるという意味から名づけられた平成の時代が幕を閉じますが、宣言から27年を迎えた札幌市平和都市宣言は、平和のうちに終わろうとしているこの時代をまさに象徴するものであったと思います。これから迎える次なる時代には、戦争や被爆の体験のない世代がますます多くなります。加えて、最近は、中距離核戦力、INF全廃条約の破棄をめぐり、核保有国が核軍拡競争時代に逆戻りするのではとの懸念が出ています。そのような時代であるからこそ、原爆の被爆体験を持つ唯一の国として、私たちは、核兵器廃絶と世界平和の実現をうたう札幌市平和都市宣言の理念に立ち返り、より一層、平和創造への多元的な努力を継続していく必要があると考えます。
そこで、質問ですが、新しい時代に向けて、札幌市平和都市宣言に掲げる核兵器廃絶と世界平和の実現について、市長はどのような考え方で取り組んでいかれるのか、伺います。
次に、成年年齢が18歳に引き下げられることに伴う成人式のあり方について伺います。
ことしも、成人の日を中心に全国各地で成人式がにぎやかに行われてきたところですが、成人式に関しては、その実施方法を定めた法律等がないため、各自治体で創意工夫を凝らして開催されております。札幌市においては、青少年育成委員会を中心とする地域の諸団体により、区ごとに成人の日に開催されているところです。
成人式のこれまでの状況を見ると、1993年から2001年にかけて参加率が50%を割り込む事態になったことから、対象者を学齢に変更するなどの見直しを行ったところ、参加率は向上し、今は60%台前半まで回復したとのことです。ただ、近年は停滞ぎみであることから、さらなる参加率の向上を図るため、来年の成人式からは、開催日を、これまでの成人の日から、その前日の日曜日に変更することにしたと伺いました。これにより、新成人にとっては、成人式の翌日も休日になるので、余裕を持って式を満喫できることになるなど、参加される新成人に配慮した見直しはとても大切なことだと思います。
ところで、その成人式にも影響を与える民法の改正が昨年6月に行われ、成年年齢が18歳に引き下げられることになりました。施行は2022年4月からですが、それに伴い、成人式についても対象年齢を18歳に引き下げることになるのか、全国的に関心が高まっています。
そうした中、政令市の京都市では、いち早く、成年年齢引き下げ後も、受験や就職を控えた多忙な時期であることなどのため、はたちの集いという形で継続することを表明しました。また、先月、ある公益財団法人が全国の18歳の若者に対して意識調査を行ったところ、成人式のふさわしい年齢について、18歳という回答が23.9%だったのに対し、20歳という回答が74.0%にも及んだことが報じられておりました。20歳と回答した理由としては、18歳だと受験や就職準備の時期に重なる、酒、たばこができないが多かったとのことです。
成年年齢引き下げ後の成人式まではまだ4年ありますが、仮に成人式の対象を18歳に引き下げることにした場合、最初の年は18歳から20歳までが対象となり、例年の約3倍となるため、会場の手配など検討しなければならない課題が多々あると思われます。
成人式は、生まれ育った地域からお祝いや励ましを受け、社会人としての自覚を高めてもらう貴重な機会であることから、できる限り多くの新成人に参加してもらうことが重要であります。したがって、成人式の対象年齢についても、家族も含めた当事者の意向を最大限尊重し、検討すべきであると考えます。また、和装レンタルや理美容などの業者の方、当日の運営を担う地域の方々など、関係者が多岐にわたることから、こうした方々のご意見も踏まえながら万全の準備を図っていくことが必要ではないかと思います。
そこで、質問ですが、成年年齢引き下げに伴う成人式のあり方について、できる限り早目に方針を決めるべきと考えますが、札幌市としては、スケジュールを含めて、今後どのように検討を進めていくつもりなのか、伺います。
次に、(仮称)札幌博物館の展示について伺います。
私は、2001年の第1回定例会で、札幌市の博物館計画の推進について質問をいたしました。その時点で事業の検討開始から15年余りが経過しており、一日も早い実現を望んで質問をいたしましたが、そこからさらに18年が経過しております。2001年の質問以降、札幌市では、2015年3月に(仮称)札幌博物館基本計画を策定し、個別具体の計画を策定していくとされ、現アクションプランでは、来年度には整備基本計画の策定に向けた調査検討を行うとされております。整備基本計画策定後のスケジュールにつきましては、今後改めて検討することになると思いますが、博物館計画の歩みをとめることなく、着実に進めていっていただきたいと考えております。
今回は、(仮称)札幌博物館展示・事業基本計画について、展示、事業に係る提案も含めて質問をいたします。
札幌の博物館は、今や、政令指定都市では最も後発の博物館となりましたことから、来場者、特に子どもたちの関心をいかに引きつけられる展示にすることができるのか、そこが最大のポイントであると考えます。ここ札幌でも、サッポロカイギュウや小金湯産鯨など、世界的にも貴重な化石が発見されておりますことは重々承知しておりますが、私がこれまで国内外の自然史系の博物館を視察してきた中で、やはり関心が高いのは恐竜の化石であり、多くの子どもたちが熱心に見学をしているのを目の当たりにしてまいりました。そうした子どもたちは、何度も博物館に足を運ぶことから、リピーターの確保にも寄与しているようであります。
私は、2001年にベルギーの王立自然史博物館を視察してまいりましたが、ここは、ベルギー国内の炭鉱で発見された数十体もの草食恐竜イグアノドンの実物の全身骨格の化石を初め、多くの恐竜の化石が展示されている非常に迫力のある施設となっており、ベルギー国内外からの多くの来場者が集まっておりました。札幌の博物館におきましても、こうした展示内容を参考にすることはもちろんのこと、あわせて、国内外の博物館と連携協力をすることで、博物館における調査研究活動、さらには展示内容についても充実させることができるものと考えられます。
そこで、質問ですが、(仮称)札幌博物館の展示・事業基本計画につきまして、その概要をお伺いいたします。
あわせて、国際都市さっぽろとして、国内はもとより、海外の博物館との積極的な交流を行い、そうした交流を通じて恐竜化石の展示を行ってはどうかと考えますが、その可能性についてお伺いをいたします。
質問の最後に、公立夜間中学について伺います。
公立夜間中学の設置については、2016年12月に教育機会確保法が成立し、その後、都道府県で各1校の設置が推進されてきました。それを受け、地方公共団体においては設置にかかわる検討が進められ、本市においても設置に向けた課題をさまざまな角度から議論し、2017年第1回定例会において、公立夜間中学校の速やかな設置を求める陳情を全会一致で採択したところであります。
しかし、国からは設置の推進がうたわれる一方、予算措置など具体的な動きはなく、設置に至らない地域が多いのが現状であり、今後は国に対して要望を強めていく必要があると考えます。
そのような背景の中、札幌市教育委員会においては、公立夜間中学に通学が想定される方々の多様な教育ニーズを把握するため、個別の聞き取り調査にも着手されたと伺っています。寄せられた多くの声をもとに、バリアフリー化など誰もが平等に学べるよう十分配慮された環境を整備することや、夜間中学で学び直すニーズは今後ますます多様化していくことが予想されますので、一人一人の学びにしっかり寄り添える環境を整えていくための十分な検討が必要です。また、さまざまな理由で学ぶ機会を失った多くの人たちの権利を取り戻す大切な学校となるよう、大きな期待を寄せています。
先日開催された北海道設置の夜間中学等に関する協議会の会議においても、今後の方向性として、ニーズの高いであろう札幌市内に公立夜間中学を設置していくべきという意見が多かったと聞いています。そういった意見を受けて、いよいよ札幌市が設置について明確な見解を示す時期が来ているものと考えます。
そこで、質問ですが、札幌市として公立夜間中学を設置すべきだと考えますが、本市の見解を伺います。
結びに、我が会派では、今期をもって5人が退任する予定です。清田区の恩村一郎さん、南区の三宅由美さん、中央区の
長谷川 衛さん、厚別区の小川直人さん、そして、私、畑瀬の5人であります。在任中、それぞれの議員が多くの皆様に貴重な出会いとご縁をいただき、お支えをいただきましたことに、深く感謝とお礼を申し上げます。
今春の選挙に臨まれる秋元市長を初め、議員候補予定者におかれましては、ここ札幌の恵まれた可能性をさらに引き出し、平和で住みよいふるさと札幌を市民の皆様とともに築いてくださることを心からご期待申し上げて、私の質問の全てを終了いたします。ご清聴、まことにありがとうございました。(拍手)
○副議長(三宅由美) 答弁を求めます。
秋元市長。
◎市長(秋元克広) ただいま、全体で12項目のご質問をいただきました。私からは、1項目めの私の政治姿勢について、2項目めの2019年度予算編成の考え方について、4項目めの札幌市自治基本条例に基づく
まちづくりについて、8項目めの水道法改正に対する対応と今後の見通しについての4項目についてお答えをさせていただきます。その余のご質問に対しましては、担当の副市長、そして教育長からお答えをさせていただきますので、よろしくお願い申し上げます。
まず初めに、答弁に先立ちまして、ただいま代表質問にお立ちになられました民主市民連合の畑瀬議員の長年にわたるご活躍、ご労苦に対し、感謝を申し上げる次第であります。畑瀬議員は、平成3年の初当選以来、7期28年の長きにわたり、札幌市議会議員として、市民の声を届け、市政の発展に寄与していただいたことに、心から感謝を申し上げます。
その中でも、ご質問にもございましたが、市民自治の理念を掲げられ、市民の力を生かした
まちづくりについて数多くのご提言をいただき、政策の実現にご尽力をされました。畑瀬議員におかれましては、議員在任期間はもとより、その後におかれましても、これまでのご経験を生かし、札幌市政へのご提言、ご助言を賜りますようお願い申し上げます。
また、今期でご退任をされる議員の皆様方におきましても、長年のご労苦に改めて感謝を申し上げる次第でございます。ありがとうございます。
それでは、答弁に入らせていただきます。
まず、1項目めの私の政治姿勢についてお答えをいたします。
市長就任以来、196万人の市民の生命と財産、そして幸せを守る、その使命の大きさと重責に身を引き締め、全力で、この4年間、取り組んでまいりました。雇用創出に向けた経済活性化や、子育て支援、女性活躍支援など、市民の皆様とお約束した事柄はほぼ達成し、その成果もあらわれつつありますことから、これまでの政策の方向性に間違いはなかったと認識をしております。
一方で、今後の人口減少・超高齢社会に向けて、豊かで安定した市民生活を実現するための取り組みは、なお道半ばであると考えているところであります。とりわけ、人手不足や働き方改革など、現下の諸課題への対応が急務でありますほか、若者の定着や子育て支援の取り組み、さらには、誰もが住みなれた地域で安心して暮らせる
まちづくりが重要という思いを強くしているところであります。
また、
北海道胆振東部地震からの早期の復旧、復興に引き続き取り組みますとともに、市民の安全を守る災害に強いまちづくりを、より一層、進めていかなければならないと考えているところであります。
こうした思いを新たに、私が4年前に描きました札幌の未来像の実現に向けて引き続き市政を担ってまいりたい、このように考えているところであります。
次に、2項目めの2019年度の予算編成の考え方についてお答えをいたします。
まず、予算案の規模と財政運営の健全性についてでありますが、2019年度、平成31年度当初予算は、いわゆる骨格予算ではありますが、災害に強い
まちづくりや、誰もが安心して暮らせるまちの実現に向け、さきの震災を踏まえた復旧、復興や防災、減災、子ども・子育て支援や経済の活性化等の喫緊の課題についてもしっかりと対応できる予算としております。例えば、清田区里塚地区の本格的な復旧に着手するための経費や、児童福祉を中心とした扶助費等、必要となる予算を積み上げた結果、過去最大規模の予算額となったものと認識をしております。
なお、予算規模は過去最大となりましたが、一般会計の市債発行額は昨年度より110億円抑制をし、中期財政フレームにおける一般会計の市債残高の見込み額を457億円下回るなど、将来世代に過度な負担を残さない財政規律にも配慮した予算編成ができたものと認識をしております。
次に、予算案において特に力を入れた取り組みについてでありますが、まずは、さきの災害において被災された方が、一日も早く日常を取り戻し、安心して暮らしていただけるよう、被災者支援や災害からの復旧、復興に取り組むとともに、災害に強い
まちづくりのための防災、減災に関する予算については重点的に計上したところであります。特に、震災により大きな被害を受けました清田区里塚地区におきましては、道路等の公共インフラだけでなく、被害を受けた宅地を含む地域の面的な復旧という困難な課題に対し、住民の皆様のご理解とご協力を得ながら、スピード感を持って取り組みを本格化するべく意を用いたところであります。また、安心して子育てできる環境を整備するために、新たに2,073人分の保育の受け皿を確保するほか、子ども医療費助成制度の拡充や、医療的ケアを必要とする児童への支援の充実など、子育て世帯への支援の充実にも注力したところであります。
このように、平成31年度予算は、市民の不安に寄り添い、誰もが安心して暮らせるまちの実現に向けた安心生活予算として編成をしたところであります。
次に、4項目めの札幌市自治基本条例に基づく
まちづくりについてお答えをいたします。
まず、
まちづくりセンター及び区のこの4年間の取り組みについてでありますが、
まちづくりセンターでは、町内会を初め、多くの地域活動団体に対して、市政情報の提供や連絡調整などさまざまな形で支援に取り組んできており、その活動事例は全市で約740件に及んでいるところであります。また、区におきましては、これまで、
まちづくりセンターへの支援等を通じて地域の特性を生かした
まちづくり活動を推進してきたところであります。特に、平成28年度から実施をしております未来へつなぐ笑顔の
まちづくり活動推進事業におきましては、地域ネットワーク構築の一層の促進に取り組んできたほか、区の裁量を拡充し、アクションプランに各区の独自事業を盛り込み、取り組んできたところであります。
次に、今後の市民自治推進に関する認識でありますが、市民自治の根幹であります市民参加と情報共有、このことを進めるために、パブリックコメントや出前講座の実施、ワークショップ等の開催、市民会議等の委員公募など、積極的に取り組んできたところであります。
これらの取り組みに加え、
まちづくりセンターや区における市民の
まちづくり活動支援等によって、札幌市が行ったアンケート調査では、継続的に
まちづくり活動を行っている市民は、この4年間、一定数を維持しており、市民の
まちづくり活動は定着してきているものと考えております。一方で、高齢化と担い手不足により
まちづくり活動に取り組んでいる人が固定化をしており、関心の低い層の底上げなどが大きな課題と認識をしております。
今後も、引き続き、多くの市民に
まちづくり活動に参加していただけるよう、積極的に情報提供や参加機会の充実に努めるなど、市民自治の推進、ひいては市民が主役の
まちづくりの実現に向け、取り組んでまいりたい、このように考えております。
次に、8項目めの水道法改正に対する対応と今後の見通しについてお答えをいたします。
まず、コンセッション導入に対する考えと今後の見通しについてでありますが、札幌市におきましても、将来的な人口減少による給水収益の減少や、施設の更新需要の増大、水道技術の継承などの問題を抱えているところであります。このような中、水道施設の延命化や、業務効率化など経費節減等により、良好な経営状況を維持し、また、計画的な研修等を通して長年培った技術や知識を次世代の担い手へ継承するなど、持続可能な水道事業の実現に向けた取り組みを推進しているところであります。
水道は、市民の生活や健康に直接かかわる重要なライフラインでありますことから、今後とも札幌市が水道事業の運営を担っていく所存であります。
次に、水道管の更新、維持管理の考え方についてであります。
水道管の更新につきましては、腐食の危険性や水道管の口径、緊急時における重要度などにより優先順位を定め、事業の効率化と予算の平準化を両立させながら計画的に進めているところであります。このような取り組みにより水道管を長期にわたり健全で安定的に維持できるものと考えておりますが、
北海道胆振東部地震の被害状況を踏まえた優先順位の見直しなど、今後もさまざまな状況の変化に柔軟かつ適切に対応しながら、安心・安全で安定した水道水の供給に努めてまいりたい、このように考えております。
私からは、以上であります。
○副議長(三宅由美) 町田副市長。
◎副市長(町田隆敏) 私からは、7項目めのポートランド市との姉妹都市提携60周年の取り組みについてお答え申し上げます。
ポートランド市との姉妹都市提携60周年では、これまでの長きにわたる友好と信頼を祝するとともに、未来に向けて関係を深め、発展させていく新たな出発点とする視点が重要と認識するものでございます。そのために欠かせない人的ネットワークを維持・発展させていくため、ポートランドにある日本庭園、この日本庭園は、ポートランドにおける札幌とポートランドの友好親善のシンボルとも言うべき施設であり、事業でもありますが、この日本庭園の最高経営責任者、CEOを、昨年12月、札幌にお招きし、日本側の関係者とのパネルディスカッションを実施するとともに、各界要人との会談機会を設けるなど、これからの札幌、ポートランドの未来についての議論を始めたところでございます。また、ことしのポートランド市訪問の際にも、行政のみならず、学術、経済、観光など幅広い分野で、双方の代表者による関係づくりを進めていくこととしているところでございます。
このように両市のつながりのさらなる拡充に取り組み、今後の多種多彩な主体による連携や交流の創出につなげてまいりたいと考えております。
以上でございます。
○副議長(三宅由美) 吉岡副市長。
◎副市長(吉岡亨) 私からは、3項目めの災害に強い
まちづくりについてのうち、2点目の液状化による地盤被害について、3点目の災害対応に際しての情報収集、情報共有について、4点目の災害時のボランティアの受け入れ体制について、それと、6項目めのプラスチックごみの削減に向けた今後の札幌市の取り組みについてお答えをいたします。
最初に、3項目めの災害に強い
まちづくりについての2点目、液状化による地盤被害についてでございます。
最初に、復旧方法と復旧スケジュールについてでありますが、里塚地区につきましては、液状化による土砂の流出防止策として、家屋の下には薬液注入を、道路ではセメント系固化材による地盤改良などを行った上で、宅地と道路で一体的な復旧を行うこととしております。工事は、平成31年度、2019年度当初から2カ年を予定しておりますが、早期の住宅再建が進むよう、2019年度中におおむねの地盤改良を終えたいと考えているところでございます。
東15丁目・屯田通、西4丁目線につきましては、地震による陥没や段差などの液状化被害を低減させるため、地下鉄工事の埋め戻し砂の一部を砕石で置きかえるとともに、シート状の補強材などを敷設することとしております。東15丁目・屯田通は、交通や沿道に与える影響が大きいことから、工事短縮のため、複数工区に分割し、一斉に施工を行い、舗装工事の一部は残りますものの、2019年内、本年中には4車線での交通開放を行う予定でございます。また、西4丁目線は、2019年内、本年中に全ての工事の完了を予定しております。
次に、2点目の建物や住宅の安全対策についてでございます。
液状化に対する市民意識を高めることは、液状化による被害の軽減という観点からも大変重要であると認識しております。現在、国においては、液状化被害の推計手法や市民への効果的な周知手法などについて検討を行っているところでございまして、このような国の動向を十分に踏まえて、液状化に関する市民周知に取り組んでまいります。
また、個別の情報を得たいとの要望や相談に対しましては、過去の開発行為や区画整理事業などの経緯を踏まえて、土地、地盤に関する情報提供や助言を行うことで市民に寄り添った対応に努めてまいります。
3点目の災害対応に際しての情報収集、情報共有についてでございます。
災害時においては、気象状況等に応じて適切に避難情報の発令を行ったり、被害の概要等を迅速に把握、共有し、必要な応急対策等につなげることが行政の重要な使命だと認識するところでございます。今後は、さまざまな状況に的確に対応できるよう、災害対応に係るシステムの見直しの検討を含め、より効率的で漏れのない情報収集・共有体制の確立に取り組んでまいります。
4点目の災害時のボランティアの受け入れ体制についてでございます。
札幌市では、大規模な災害が発生し、災害ボランティアセンターが必要になる場合は、札幌市社会福祉協議会にその開設、運営を要請し、ボランティアの受け入れや被災者への支援に対応することとしており、そのために、平常時から札幌市社会福祉協議会と連携し、災害ボランティアの登録、育成や、災害支援団体などの関係機関との情報交換などを定期的に行っているところでございます。
今回の災害では、避難所運営は職員により賄われていたことや、より甚大な被害があった胆振3町でのボランティア活動への影響なども考慮して、災害ボランティアセンターの開設は見送ったところでありますが、今後も、より大規模な災害に備え、引き続きボランティア受け入れ体制の強化に努めてまいります。
次に、6項目めのプラスチックごみの削減に向けた今後の札幌市の取り組みについてでございます。
プラスチックごみによる環境汚染は世界規模の環境問題となっておりますことから、札幌市としても削減に取り組むことが重要であると認識しており、このため、これまでスーパーなどの事業者や市民団体と連携したレジ袋の削減、あるいは、市民へのさまざまな啓発による容器包装プラスチックの分別などに取り組んできたところでございます。
今後は、まずは市役所が率先して事務用品などのプラスチックごみの削減やさらなるプラスチックごみ分別の徹底などに取り組み、さらには、講演会の開催や環境広場さっぽろ、チ・カ・ホでのキャンペーンなどを通じて、市民や事業者のプラスチックごみ削減に向けて積極的に働きかけていきたいと考えているところでございます。こうした取り組みを、環境首都・札幌として、国の動向を待つことなく、しっかりと進めてまいります。
私からは、以上でございます。
○副議長(三宅由美) 岸副市長。
◎副市長(岸光右) 私からは、ご質問の中の5項目めの子どものくらし支援コーディネート事業について、9項目めの札幌市平和都市宣言の取り組みについて、10項目めの成年年齢引き下げに伴う成人式のあり方について、11項目めの(仮称)札幌博物館の展示について、以上4項目についてお答えをさせていただきます。
まず、5項目めの子どものくらし支援コーディネート事業についてであります。
子どもコーディネーターは、児童会館を初めとして、子ども食堂や学習支援団体などの子どもの居場所にも出向き、相談を受けるなど、活動の幅を広げているところです。11月から1月末までの3カ月間で、3名のコーディネーターが、経済的な問題を初め、子どもの学習面や発達面など多岐にわたる相談を230件余り受けており、それぞれの世帯の状況に応じた支援につなげているところです。
コーディネーターの機能は、直接、地域に出向き、つながりを深める中で、これまで相談に至らなかった事案を把握し、支援につなげる役割を果たすものと考えており、効果の検証を行いながら事業の拡大に向けて検討してまいりたいと考えております。
次に、9項目めの札幌市平和都市宣言の取り組みについてであります。
平成の時代が終わり、新しい時代を迎える中で、戦争や被爆の記憶が風化しないよう、改めて、核兵器廃絶と世界平和の実現を願う札幌市平和都市宣言に込められた思いを伝えていくことが必要であると考えております。そのためには、後世の人々に核兵器の恐ろしさや戦争の悲惨さ、平和のとうとさをいかに伝えていくかということが重要な視点になってくるものと認識をしております。
今後も、引き続き、この宣言の意義や取り組みをアピールし、市民とともに平和について考える機会をつくっていくほか、平和首長会議や非核宣言自治体協議会の加盟都市と連携をしながら、核兵器の廃絶と世界の平和に向けて取り組んでまいります。
次に、10項目めの成年年齢引き下げに伴う成人式のあり方についてであります。
現在、国におきましては、各自治体の検討に資するための情報提供を行う目的で、関係府省庁から成る連絡会議を設け、成人式の時期やあり方等について検討を行っているところです。今後、札幌市といたしましては、参加対象者を初め、成人式関係者の意向をしっかり把握するとともに、国の会議の検討状況や他都市の動向も参考にしながら、平成31年度中をめどに方針を定められるよう取り組んでまいりたいと考えております。
次に、11項目めの(仮称)札幌博物館の展示についてであります。
展示・事業基本計画では、「北・その自然と人」という基本テーマのもと、博物館事業の基盤となる調査研究、収集、保存はもとより、展示、教育、普及といった各種事業に取り組むこととしております。特に、展示につきましては、札幌の自然に隠された謎とその秘密に迫ることを目的に、札幌の生命と進化、札幌の自然、札幌のまちと人、この三つのテーマに基づいた構成を想定しているところです。
恐竜化石の展示につきましては、国内外の博物館との連携、交流を通じまして、例えば企画展といった枠組みの中で実物の化石を展示することなどを検討してまいりたいと考えております。
私からは、以上でございます。
○副議長(三宅由美) 長谷川教育長。
◎教育長(長谷川雅英) 私から、3項目めの災害に強い
まちづくりについての1点目、防災教育の充実についてと、12項目めの公立夜間中学についてお答えをさせていただきます。
まず、災害に強い
まちづくりについての1点目、防災教育の充実についてでございます。
札幌市では、子どもたちが授業の中で災害や防災、減災について学ぶとともに、学校や地域それぞれの実態に合わせた避難訓練を行うなど、日ごろから防災教育に取り組んできたところでございます。今回、これまでにない大きな地震を経験したことを踏まえまして、幼児期から発達の段階に応じて、災害に備え、安全に行動できる子どもを育むことが重要と改めて認識をしております。また、市立高校で取り組んでおります課題探究的な学習におきましても、各教科で学ぶ専門的な知識や技能と防災を関連づけた内容を取り入れるなど、みずから考え、適切に判断できるようにすることも重要であります。
今後、子どもたちが率先して、自他の生命を尊重し、行動できるようになることはもとより、災害に強い
まちづくりに主体的に貢献しようとする意識を育むことができるよう、防災教育を一層推進してまいります。
次に、項目の12、公立夜間中学についてでございますが、公立夜間中学につきましては、義務教育を終了しないまま学齢期を経過した方や、不登校などさまざまな事情により十分な教育を受けられないまま中学校を卒業された方、近年増加する日本国籍を有しない方などに、教育を受ける機会を保障するため、重要なものと認識をしております。
また、国からも、昨年、夜間中学の設置推進のため、具体的な運用の基準などが示されたところであり、このたび、北海道の夜間中学等に関する協議会におきましても、札幌市内への公立夜間中学の設置について一定の意見集約が図られたところでございます。
こうした状況を踏まえまして、札幌市といたしましても、公立夜間中学の設置に向け、前向きに検討してまいりたいと考えております。
私からは、以上でございます。
○副議長(三宅由美) お諮りします。
本日の会議はこれで終了し、明日2月19日午後1時に再開したいと思いますが、ご異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○副議長(三宅由美) 異議なしと認めます。
したがって、そのように決定しました。
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○副議長(三宅由美) 本日は、これで散会します。
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散 会 午後4時52分
上記会議の記録に相違ないことを証するためここに署名する。
議 長 山 田 一 仁
副 議 長 三 宅 由 美
署名議員 長 内 直 也
署名議員 林 清 治...