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平成30年第一部決算特別委員会−10月16日-04号
平成30年第二部決算特別委員会−10月16日-04号

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  1. 札幌市議会 2018-10-16
    平成30年第一部決算特別委員会−10月16日-04号


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    平成30年第一部決算特別委員会−10月16日-04号平成30年第一部決算特別委員会  札幌市議会第一部決算特別委員会記録(第4号)               平成30年(2018年)10月16日(火曜日)       ―――――――――――――――――――――――――――――――――― ●議題 付託案件の審査 ●出席委員 33名     委 員 長  福 田 浩太郎      副委員長   阿部 ひであき     委   員  三 上 洋 右      委   員  鈴 木 健 雄     委   員  高 橋 克 朋      委   員  五十嵐 徳 美     委   員  長 内 直 也      委   員  小須田 悟 士     委   員  こじま ゆ み      委   員  飯 島 弘 之     委   員  小 竹 ともこ      委   員  村 山 拓 司     委   員  松 井 隆 文      委   員  福 士   勝     委   員  小 野 正 美      委   員  大 嶋   薫     委   員  ふじわら 広昭      委   員  峯 廻 紀 昌     委   員  長谷川   衛      委   員  山 口 かずさ     委   員  林   清 治      委   員  岩 崎 道 郎     委   員  成 田 祐 樹      委   員  丸 山 秀 樹     委   員  小 口 智 久      委   員  わたなべ 泰行     委   員  竹 内 孝 代      委   員  太 田 秀 子
        委   員  池 田 由 美      委   員  田 中 啓 介     委   員  堀 川 素 人      委   員  坂本 きょう子     委   員  中 山 真 一       ――――――――――――――――――――――――――――――――――       開 議 午前10時     ―――――――――――――― ○福田浩太郎 委員長  ただいまから、第一部決算特別委員会を開会いたします。  報告事項でありますが、宮村委員からは鈴木委員と、中川委員からは村山委員と交代する旨、それぞれ届け出がありました。  それでは、議事に入ります。  第9款 教育費 第1項 教育委員会費から第9項 学校整備費まで及び第12款 職員費 第1項 職員費中関係分について、一括して質疑を行います。 ◆松井隆文 委員  私からは、児童生徒の携行品に係る配慮について質問させていただきます。  私自身、小学生の子どもがおりまして、その子どもの友人あるいはその兄弟等、子どもたちの登下校時のかばんが重いということについて、報道等でも取り上げられておりまして、全国的にこのことへの関心が高まっております。  報道によりますと、重いかばんを長時間背負うことによって椎間板の潰れ方が大きくなるとか背骨が傾く、腰痛など体の痛みが強くなるなど、健康面への影響などの問題が指摘されております。  子どもが通学時に持ち運ぶ携行品には、教科書やその他の教材に加えて、学用品や体育用品などがあり、これらを全て合わせると相当の量や重さになると想像されるところであります。実際に小・中学生の子どもを持つ保護者から、登下校時の負担が非常に大きいことへの配慮を求める声を耳にしており、私も一刻も早く改善することが必要ではないかと考えております。  そこで、最初の質問ですが、教育委員会では、子どもたちの登下校における教科書等学習用具持ち運びについてどのように捉えているのか、認識を伺います。 ◎檜田 学校教育部長  登下校時における学習用具持ち運びについての認識ということでございます。  児童生徒にとりまして、教科書などの学習用具が常に手元にあって、必要なときに活用することができる環境があることは大切であると考えており、学校で学んだ後には家庭に持ち帰ることが望ましいと考えております。しかしながら、学習用具等持ち運び児童生徒に過重な負担とならないよう配慮することは重要であると認識しております。 ◆松井隆文 委員  子どもの過重な負担とならないよう配慮することは大変重要であり、子どもの健やかな発育に大きな影響を及ぼす問題でもありまして、どの学校においても重点的に取り組むべき問題だと私も考えております。  この問題の解決を図るためには、各学校が取り組むことはもちろんのことながら、教育委員会でもこの課題を認識し、学校と連携しながら取り組みを進める必要があるのではないかと思います。  そこで、次の質問ですが、子どもたちの通学上の負担を軽減するために、各学校では全市的にこれまでどのような取り組みを進めてきたのか、伺います。 ◎檜田 学校教育部長  負担軽減に係るこれまでの取り組みについてでございます。  負担軽減に関する各学校の取り組みといたしましては、これまで、小学校においては、学期末の学習用具の持ち帰りが一度に重ならないように配慮したり、中学校においては、書道あるいは美術の道具など、学校保管が可能な用具のリストを示して学校に置いて帰ることができるようにするなど、発達の段階に応じた取り組みを進めているところでございます。  教育委員会では、全ての学校がそれぞれの実情に合わせて負担軽減取り組みを進めていくために、校長会あるいはPTAの団体と連携を図りながら、教育委員会の考え方や各学校の取り組み例を具体的に伝えるなどしてきたところでございます。 ◆松井隆文 委員  ただいまの答弁では、各学校において、それぞれの実情に合わせて負担軽減取り組みを進めているということでした。それぞれの実情に合わせてということであれば、その取り組み状況には、学校による差もあるのではないかと思われます。  そういった中、先日、文部科学省から教育委員会に対して、児童生徒の携行品の重さや量について改めて検討し、必要に応じて適切な配慮を講じることを求める通知が出されました。  そこで、最後の質問ですが、今回の文部科学省の通知を踏まえて、今後、教育委員会ではどのように対応を進めていくつもりなのか、伺います。 ◎檜田 学校教育部長  今後の教育委員会の対応についてでございます。  文部科学省の通知では、教科書などの教材は家庭学習を行う上でも重要なものではありますが、通学上の負担等の実態を踏まえて配慮する必要があるということが示されております。これは、札幌市の考え方と同様でございまして、教育委員会では、各学校がこれまでの取り組みを改めて検証するとともに、児童生徒、保護者の意見を取り入れながら、さらなる工夫改善を図ることができるよう、各学校にも周知したところでございます。  今後も、校長会等と連携を図りながら、効果的な事例を共有するなど取り組みを進め、各学校において適切な配慮がなされるよう努めてまいりたいと考えております。 ◆松井隆文 委員  私は、昨日、本件につきまして、文部科学大臣政務官とやりとりをさせていただきました。学習用具等の持ち物についてだけではなく、児童生徒の健康には最大限の配慮をしていただくよう求めたところ、政務官からは、私がお伝えする子育て世代からの声は尊重してまいりますとのお答えをいただいたところであります。  札幌市におきましても、児童生徒の健康に最大限配慮した取り組みを進めていただきますことを求めて、私の質問を終わります。 ◆長谷川衛 委員  私からは、まず一つは、今、松井委員からもありました通学における携行道具について、もう一つは公立夜間中学校について、2項目について質問いたします。  まず最初に、通学時の携行道具についてでありますが、今、質問がありましたので、私からは、ちょっと視点を変えた質問にしたいと思います。  この道具の問題は、振り返ってみますと、過去にもこのことが問題とされる時期がありました。その時々で議論になり、改善されてきたものと承知しております。  私の経験で一番大きな問題になったのは、学校指定の肩かけかばんのときです。この肩かけかばんは、皆さんもご存じだと思いますが、私たちの時代は手提げの皮のかばんが主流でしたが、学校指定ができて肩かけかばんとなりました。それは、確かにたくさん物が入って便利でしたが、非常に重くて、成長期の子どもたちの背骨の形成に非常に悪影響を与えるということで大変問題になりました。  確かに、その当時は、弁当もまだ一部で残っておりましたので、勉強道具や弁当、そして部活の道具など、かなり重い荷物を持っていて、やはり成長に問題があるということでした。業者もいろいろ考えたと思いますが、その後、肩かけかばんは余り見かけなくなり、ボストンバック型、今はリュック式がほとんどですし、学校指定も余りなくなり、自由にリュックサックなどで通っている子が多いのが現状です。  また、学習用具の一部を教室で保管することについても、これまで各学校が実情に合わせて行ってきましたが、何せA判化が大きな一つの転機になっています。最初にノートがA判化になり、その後、教科書もA判になりました。2011年の学習指導要領の改訂のときには、その前から教科書も徐々にA判化が進み、かなり大きくなって重たくなってきました。さらに、脱ゆとりということで、2011年ころから教科書のページ数がかなりふえました。そして、見やすいものをということでカラーになったり、分量が相当ふえたことも大きな問題になっている一つであり、保護者から余りにも重過ぎるということでクローズアップされてきたものと承知しております。  私も以前からこういう声を聞いており、市民の方々から心配も寄せられましたので、学校をずっと回りました。学校を回る中で、先生方からも現状についていろいろな話を聞いてまいりました。その中で、私も悩んできた共通の課題は、やはり部活動の用具の問題です。部活動にかかわる用具について、昔はサッカーシューズを学校の下駄箱にぽんと入れていた子どもたちが多かったのが一転して、非常に高価なシューズを履いている子も多くて、とられたら大変だと親からも厳しく言われているので、毎日持って帰ります。ラケット、グローブ、剣道においては防具など、さまざまな道具が部活動にはあります。文化系の部活動においても、道具というものは必要であります。  個人が使うものについては、ほぼ毎日の練習に合わせて持ち運んでいる子どもが多いのではないかと考えますが、心配するのは、中学入学時、特に1年生、小学校から中学校にかわって急に道具がふえて、そして部活にも入って、部活の道具も持ち運ぶことになります。このように、なれない当初は、安全面も含めて相当な負担ではないかと危惧しております。  そこで、最初の質問ですが、特に中学生においては、教科書等学習用具に加えて、部活動の用具がかさばるなどの問題もあると考えますが、教育委員会では現状をどのように捉えておりますか。 ◎檜田 学校教育部長  中学校の部活動の用具の持ち運びにおける負担軽減教育委員会の認識についてでございます。  現在、札幌市の中学校では、全生徒の5割弱が運動部に、2割弱が文化部に所属しており、多くの生徒が部活動に取り組んでいる状況にございます。部活動の用具のうち、活動時に生徒が共通して使用する、例えばボールなどは学校保管となっておりますが、個人が所有するラケットや練習着などにつきましては、都度、持ち運んでいることがほとんどであると認識しております。  こうした用具類の持ち運びの負担感は、種目の違いのほか、発達の段階による差が大きいと思われます。特に、入学後間もない中学校1年生にとっては、負担を感じる生徒も少なからずいると考えております。 ◆長谷川衛 委員  今、部長から答弁がありましたように、負担感には個人差もあるということです。この個人差という問題で常に念頭に置いておかなければならないのは、一つは体格差というものです。見ていても、体格のしっかりした子は余り重さを感じませんが、さまざまな体格の子がおりますし、それから、持ち物もさまざまです。部活動の種目もさまざまですから、子どもたちによっては個人差があることも念頭に置いていただきたいと思います。  私は、自分も部活動を指導していたものですから、以前から、毎日、道具を持ち運ぶのは非常に負担になるため、何とか置いていけないかということで、テニスコートの外にボールとかネットとかさまざまな清掃道具などを入れる小さなロッカーを置かせてもらって、そこにラケットを入れていきなさい、鍵もかかるのだから心配するなということで置いていかせました。私の部だけではなく、たくさんの部がある中で、持ち運びは大変だということで場所をいろいろ当たりました。でも、残念ながら、学校というところは意外とロッカーが整備されていないものですから、体育器具室特別教室に置かせてもらいましたが、そのときは必ず教員の許可をもらわなければなりません。頭を下げて何とか置かせてくれませんかとお願いして、保管場所に苦労した経験があります。  私が疑問に思うのは、文科省も含めて、部活動を教育活動の一環だとしながら、施設・設備には財政関与を一切していません。こうした問題というのは、現在の部活動でも、学習用具と同様に見られる大きな課題です。やはり、発達段階に応じた軽減を図るために、この辺の設備の問題はしっかり念頭に入れていただきたいと思います。  そこで、質問ですが、教育委員会では、部活動の用具の持ち運び負担軽減についてはどのように考えていますか。 ◎檜田 学校教育部長  部活動の用具の負担軽減についてということです。  教育委員会といたしましては、部活動は生徒の健やかな心身を育むことを目的の一つとしており、活動に必要な用具の持ち運びが生徒の安全や健康を損ねることがないよう配慮することは重要であるというふうに考えております。  今回、文部科学省から出された児童生徒の教科書など携行品に係る配慮の通知を受けて教育委員会が各学校に周知した中には、学習用具だけでなく、部活動の用具のことも含まれており、各学校では実情に応じて適切な配慮がなされる必要があると捉えております。  今後は、部活動の用具の保管も含めた持ち運び負担軽減を図るためにどのような取り組みができるのか、学校とともに検討してまいりたいと考えております。 ◆長谷川衛 委員  検討していきたいという話でしたが、財政的な裏づけがないと大変です。  きょうは梅田財政部長も来ていると思いますが、学校は、本当に少ない予算の中でやらなければならないので、財政的に非常に厳しいです。国は、今回、負担軽減の通知を出しましたが、学校で困っているのは、道具を保管するロッカーがない、場所もないということで、いろいろと工夫しながらやっています。  私が驚いたのは、新設校でもロッカーがないのです。教室の後ろに棚がありまして、その上に本箱を置いている学校が多いのですが、この本箱はどうしたのですかと聞いたら、うちの技術の先生につくってもらったとか、百均で見繕って使っていますとか、非常に苦労しています。  教育というのは、いろんな問題点を抱えていながら、常に予算はなかなか割り当たってきません。部活の道具をどうしたらいいかを学校で考えろと言われても、結局は、ロッカーがないと置けないのです。先ほど言いましたように、個人差がありますし、結構高価な道具を使っている子が多いのです。そうすると、最低でもロッカーが必要です。学校は、ロッカーをそろえようと思っても、配当予算ではとても無理だと言うのです。ですから、この辺を財政局にしっかり要望してもらいたいですし、梅田部長にはこの実情をよく知っていただいて、これからの教育予算を考えるときにぜひ配慮をお願いしたいと思います。  実は、私は、机上の話ではだめだと思って、昨日、荷物の平均が5キログラムぐらいだというので、どれぐらい重いのか、5キロの荷物を中島公園から市役所までしょって往復しました。年のせいもあるのですが、5キロは結構きついです。中には、10キロぐらいになる子もいるのです。うちの議員の子どもさんも聞いたら、たまに10キロぐらいあるという話でした。これでは、体力増進よりも弊害のほうが大きいとかねがね感じておりますので、この辺も含めた検討をよろしくお願いしたいと思います。  この件は終わりまして、次に、公立夜間中学校の件について質問いたします。  これまでさまざまな取り組みをしてきましたので、もう一度、大きな振り返りをしてみたいと思います。  夜間中学の歴史は、1945年初頭の戦後の混乱期に始まりました。当時は、生活困窮などの理由から、昼間に就労や家事の手伝いなどを余儀なくされた学齢生徒が多くいたことから、それらの生徒に義務教育の機会を提供することを目的に、既設の中学校に夜間中学が付設されました。その後、各地に広がり続け、1954年には12都道府県に87校、1955年には生徒数が5,000人を超えたとの記録があります。その後、就学援助の充実や社会情勢の変化に伴い、1968年には21校、生徒数が400人余りと記録されております。  近年は、外国籍の生徒が増加する一方、不登校などさまざまな事情から、十分な教育を受けられないまま、形式的に卒業した生徒も多数おります。  現在、これは2017年度末の調査ですが、全国には、夜間中学については8都府県、25市や区に31校が設置されて、2,000名余りの生徒が学んでおります。しかし、北海道を含む北日本には一校も設置しておらず、これまで市民ボランティアの方々による自主夜間中学校が受け皿となってきました。  このような状況の中で、国会において、義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律、いわゆる教育機会確保法が2016年12月に成立し、同月に公布、施行されたところです。また、我が札幌市議会においては、公立夜間中学校の速やかな設置を求める陳情が、北海道に夜間中学をつくる会、札幌遠友塾自主夜間中学の連名で提出され、2017年2月の第1回定例市議会で採択されたところであります。  国が2017年7月に実施した調査によりますと、夜間中学の新設に向けた検討の準備を行っていると回答した自治体は、6都道府県74市町村とのことであります。その中で、埼玉県川口市と千葉県松戸市については、2019年4月の開校に向けた準備が進められております。  このような状況の中、北海道教育委員会は、昨年10月に夜間中学に関する協議会を立ち上げ、夜間中学の設置に向けた検討を始め、札幌市も参加していると聞いております。夜間中学の設置はもとより、教育を受けることを希望する一人でも多くの方々に対し、教育の機会を確保することは極めて重要と考えます。  そこで、1点目の質問ですが、北海道における協議会の検討状況について伺います。 ◎早川 教育推進労務担当部長  公立夜間中学校の北海道における協議会の検討状況についてお答えいたします。  昨年10月、北海道教育委員会におきまして、公立夜間中学の設置に係る検討を行うため、学識経験者を初め、自主夜間中学などの民間団体の方、北海道や札幌市の関係職員等から構成される協議会が設置され、さまざまな視点から幅広い議論をしているところでございます。具体的には、通学が想定される方々の多様な教育ニーズの把握や、個々の経歴や年齢等に応じたきめ細かな指導の必要性などについて意見交換が行われているところでございます。  現在、北海道が実施している公立夜間中学への入学希望の有無等に関するアンケート調査の結果などを踏まえながら、夜間中学の具体像について今後も議論が進められる見通しでございます。 ◆長谷川衛 委員  現在の検討状況についてはわかりましたので、そこで、設置に向けてであります。  私も、議員になってからも含めてですが、これまで、東京、神奈川を中心に5校ほど夜間中学校を視察してまいりました。どの学校でも大変丁寧に対応してくれて、熱心に経過や課題、さまざまな問題を説明していただきました。また、遅くなっても、全部一緒に回って、私も全ての授業を参観させていただきました。  それぞれ聞いてみますと、地域特性、時代背景によって生徒の属性や学校の運営体制に違いはありますが、いずれの中学校においても、生徒たちが真剣に学んでいるという実態を見てまいりました。ただ、いろいろな話を聞いている中で、どの学校も、専用教室などの施設面の問題、カリキュラム編成と授業時数の問題、それから、非常勤教員を含めた教員の確保の問題、さらには、外国人が多くなっていることから言葉の問題など、さまざまな課題を抱えているのを知ることができました。  文部科学省公立夜間中学の設置促進に向けて作成した手引によりますと、潜在的な入学希望者について、義務教育未修了者、入学希望既卒者、不登校となっている学齢生徒、外国籍の者などと示されています。このうち、戦後の混乱期の中で生活困窮などの理由から義務教育を十分に受けられなかったような方々、いわゆる義務教育未修了者や外国籍の者については、私が視察してきた公立夜間中学校を含め、他の自治体においても既に設置されている公立夜間中学校において、受け入れがかなり進められていると思います。  一方で、不登校などの事情から、実質的に教育を受けられないまま、学校の配慮などにより卒業したような、いわゆる入学希望既卒者、あるいは、不登校となっている学齢生徒については、今後の検討課題となっているところが多いと聞いております。こうした状況を踏まえ、今後、夜間中学の検討を進めていくに当たっては、入学希望既卒者あるいは不登校となっている学齢生徒等を念頭に置く必要があるのではないかと思っております。  そこで、質問ですが、夜間中学の対象者については、どういう方が学ぶことを想定しているのか、伺います。 ◎早川 教育推進労務担当部長  公立夜間中学においてどういう方が学ぶことを想定しているのかというご質問でございます。  従来から指摘されておりますとおり、就学の機会が得られなかった高齢者や基礎学力の取得が必要な外国の方の受け皿として、公立夜間中学の役割は重要であるとの意見が協議会においても出されているところでございます。また、ただいま委員からご指摘がございました、不登校などのさまざまな要因により高校へ進学できなかった方や中途退学せざるを得なくなった方の学び直しについては、札幌市におきましても重要な課題でございまして、こうした方々への学びの場としての公立夜間中学の役割は、協議会でも強く期待されているところでございます。  今後、アンケート調査などを通して、通学が想定される方がより具体化されてくることから、札幌市といたしましては、通学対象者についても、北海道教育委員会を初め、関係機関等とともに、協議会における議論を深めてまいる所存でございます。 ◆長谷川衛 委員  今後の方向といいますか、協議会のこれからに私は大変期待しております。  しかし、よく考えてみますと、2016年に陳情を採択して、ことしでもう2年になろうとしております。2年という時間が過ぎましたが、いつまで引っ張っていくのかなと。国の法律もでき、札幌市も陳情を採択し、さあ、つくるぞという中で、今までの協議会の議論をいろいろ調べてみましたが、いま一歩、踏み込んでいないなという印象を受けます。当然、主体は道教委だということはわかりますし、道が主導で進めており、この協議会も道が設置したということはわかります。ただ、道も、まずは札幌市に設置しなければならないという認識を持っているので、札幌市の教育委員会はもっともっと積極的に絡んでいって、そしてリードしてもらいたい。  何といっても、今まで述べてきた現状があるわけですから、一日も早く札幌に公立夜間中学校の設置が実現されるよう努力することを求めて、私からの質問を終わります。 ◆わたなべ泰行 委員  私からも、公立夜間中学校について質問させていただきます。  公立夜間中学校においては、今定例会の代表質問で会派として取り上げたところであり、その答弁では、公立夜間中学の設置に向け、北海道教育委員会を初め、関係機関等とともに議論を深めていくとのことでありましたが、平成27年第3回定例市議会の代表質問でも、会派として、公立夜間中学の設置について質問を行いました。当時はまだ教育機会確保法が成立していない中でしたが、答弁の中で言及があり、平成27年に北海道教育委員会が受託した文部科学省の設置促進に係る事業をきっかけに、公立夜間中学の設置に向けた検討が進んできたのは大変喜ばしいことであります。  この間、国においては、先ほどもお話がありましたが、平成28年12月に教育機会確保法が施行され、翌年の3月には同法第7条に基づく基本方針も定められ、全ての都道府県に少なくとも一つは夜間中学を設置することを目指すという方針が掲げられました。また、基本方針の策定に合わせ、都道府県夜間中学を設置する場合においても、教職員給与等に要する経費が国庫負担の対象となることや、実情に応じた教育課程を編成できることなどの法令改正が行われております。  そうした中、本年5月には、秋元市長に対して、会派として公立夜間中学の早期開設を求める要望を申し入れたところです。その後、平成30年6月には、今後5年間の国における教育政策の目標等を示す第3期教育振興基本計画が閣議決定され、夜間中学教育活動の充実など、教育機会の確保等に関する施策を総合的に推進することとなっております。  こうした動きを受けて、本年7月には、文部科学省が地方自治体向けに発行する夜間中学の設置・充実に向けてという手引書が改訂されたところですが、改訂版の手引書においては、効果的なニーズの把握の方法等についてモデルを提示するなど、入学が想定される方の教育ニーズを把握することを重要視する姿勢がうかがわれております。  さきに触れた平成27年に北海道教育委員会が受託した文部科学省の設置促進にかかわる事業の中では、自主夜間中学校など一部の対象者へのアンケート調査も行ったようですが、より具体的な検討が進んできた今日においては、より精密な調査が必要であり、先ほどもお話がありましたが、実際に北海道教育委員会によるアンケート調査が行われている最中と伺っております。  そこで、質問ですが、北海道教育委員会によるアンケート調査の内容について伺います。 ◎早川 教育推進労務担当部長  公立夜間中学北海道教育委員会におけるアンケート調査の内容についてお答えいたします。  現在、北海道教育委員会が行っておりますアンケート調査は、潜在的なニーズを幅広く掘り起こし、把握することを目的としております。対象は石狩管内の市町村で、氏名、年齢、性別、住所、国籍など、入学に関心のある方の個々の個性、属性や、義務教育修了の有無、個別調査への協力の可否が調査項目となっております。  調査の手法といたしましては、公立夜間中学の概要や回答用紙が掲載されたパンフレットを公共施設等に配架し、それを見た入学に関心のある方から電話、ファクス、メール、封書等により回答をいただく方法となっております。 ◆わたなべ泰行 委員  ただいまの答弁で、北海道教育委員会による今回のアンケート調査が潜在的なニーズを幅広く掘り起こして把握することを目的にしているのは理解できました。ただ、実際に夜間中学を設置するに当たっては、入学を想定されている方の教育ニーズを具体的に把握する必要があり、より詳しい調査を行う必要があると考えております。  そこで、質問ですが、今後、公立夜間中学校へのニーズ把握をどのように行うのか、伺います。 ◎早川 教育推進労務担当部長  公立夜間中学へのニーズの把握についてお答えいたします。  公立夜間中学に対する具体的なニーズを把握するためには、入学に関心がある方への面談等による個別調査を行うことが必要でございます。そのためには、入学に関心がある方と関連を持つ既存の支援機関や支援団体等とも連携し、北海道教育委員会アンケート調査への回答があった方以外にもさらに調査を進める必要があると考えております。  札幌市といたしましては、アンケートの調査結果を踏まえながら、札幌市内においても関連が想定される札幌遠友塾や、札幌市若者支援総合センターなどの団体や機関と連携し、入学に関心がある方について情報収集を行っていく考えでございます。 ◆わたなべ泰行 委員  ただいまの答弁で、札幌市教育委員会公立夜間中学の設置に向けて積極的にニーズの把握を行っていく姿勢があるということを伺いました。  代表質問でも触れましたが、札幌市の現状として、中学校に進学した後に不登校になってしまった方々、さまざまな理由から、形式的には卒業したものの、進路が決まらないまま、自信を持てずにひきこもりの状況になってしまった方々、さらに、育った時代、場所、家庭が基礎的な教育を受ける環境になかった方々など、さまざまな事情によって十分な教育が受けられなかった方々が一定程度の数で存在しております。  こうしたことを踏まえ、多様な教育的ニーズを支え、幾つになっても学んでいける権利を生かして、誰もが安心して教育を受けるための施策として、公立夜間中学校は大変意義深いものと考えております。この公立夜間中学校の設置を求める人の中には、高齢者も大変多く、一刻も早い設置を願われている方が多数いらっしゃいます。  私も、自主夜間中学校を会派で視察に行かせていただきました。高齢者などさまざまな方がいらっしゃって、意見を交換させていただきました。先ほど長谷川委員からもありましたが、札幌市におきましては、そうした方々の思いに応えて、スピード感を持って一日も早い公立夜間中学校の設置を目指し、恒常的に門戸を広げていただくことを求めて、私の質問を終わります。 ◆池田由美 委員  私からは、ことし4月に改定された本市の学校統廃合の適正化に関する基本方針について質問いたします。
     学校規模適正化の取り組み対象校を拡大するという見直しについてですが、ここでは、今までは小規模校同士が隣接している学校の統廃合だった計画を、校区の隣接を求める条件をなくして、適正な学校規模を下回るとされる全ての学校を対象としています。例えば、隣同士が13学級ある統廃合の対象となっていない学校と6学級など統廃合の対象となっている学校が統合できるようにするとしています。通学区域についても、統廃合により徒歩や公共交通機関での通学が困難になってしまう場合も、スクールバス等を利用することで統廃合を可能としています。しかも、これまでおおむね5年ごとに地域を選定してきたものを、順次、取り組み計画を設定し、加速させるとしています。新しい基本方針を見ますと、学校統廃合を急いでいると思わざるを得ません。これまでも、保護者や地域住民から統廃合に反対する陳情が出されています。  新たな基本方針によると、取り組みの加速、迅速に検討と記述されており、さらに住民との合意形成を軽視した取り組みとなる懸念がありますがいかがか、伺います。 ◎長谷川 学校規模適正化担当課長  取り組みの加速、迅速化が住民の意見を軽視することにつながるのではないかという質問だと思いますが、基本方針を見直した際の観点の一つである取り組みの加速といった観点につきましては、住民意見を軽視するものではなく、少子化に伴う小規模校の増加に対応することで、速やかに子どもたちの良好な教育環境を整えることが目的でございます。 ◆池田由美 委員  子どもの教育環境の改善と、小規模校がふえたという観点で答弁されたと思いますが、議論の迅速化、時間をかけないという見直しですから、住民合意はさらに遠のくことを私は指摘しておきたいと思います。  次に、検討委員会について伺います。  検討委員会を小規模検討委員会から学校規模適正化検討委員会に名称を変え、委員の負担を軽減する目的で議論の迅速化を図るとしていますが、どのように住民議論が尊重されていくのか、伺います。  また、効率にとらわれず、住民議論を深める取り組みが必要だと考えますが、認識を伺います。 ◎長谷川 学校規模適正化担当課長  まず、どうやって住民議論を深めていくかということについてです。  繰り返しになりますが、基本方針の見直しの観点の一つである取り組みの迅速化につきましては、少子化に伴う小規模校増加への対応が主な目的であるということは先ほどもご答弁させていただきましたけれども、むしろ、学校規模の適正化を進めるためには、学校や地域の実情に合わせた検討が大切であると考えております。そのために、基本方針においては、学校規模のみではなく、将来の児童生徒数の見込みや隣接校の状況、通学区域や地理的条件などを総合的に勘案して取り組み地域を選定することとしているところでございます。  さらに、具体的な検討段階において、取り組み地域ごとに、保護者や地域の方々、学校関係者などから構成される学校規模適正化検討委員会を設置し、学校や地域の実情に合わせた多様な観点から深くご検討いただくこととしておりますので、効率化という目的ではなく、適切なたたき台等を示しながら、ポイントを明確にして議論を深めていただきたいと考えているところでございます。 ◆池田由美 委員  どうして検討委員会の名称が変わるのか、よくわかりません。学校は、子どもや住民にとって本当に大切な場所であると同時に、まちづくりに重要なかかわりがあります。ですから、住民議論には、当然時間がかかるわけです。議論の迅速化は、教育委員会の一方的な進め方をさらに進めるということです。検討委員会にはPTAの役員や連合町内会長などが構成メンバーに入っているということですが、この方たちが組織を代表して委員に選ばれているわけではありません。これから入学するお子さんをお持ちの子育て世帯の代表や地域住民の声を反映するような構成にするべきだと思います。検討委員会の構成や委員の選出についても見直すべきです。  厚別区の青葉小学校地域では、一度きりの住民説明会でした。住民との話し合いは、統廃合が決定した後に行われた説明会が一度だけ、このようなやり方について見直すべきと思いますがいかがか、伺います。 ◎長谷川 学校規模適正化担当課長  上野幌・青葉北側地区につきましては、これまでの他の地区と同様に、取り組み開始時の地域説明会の開催を初め、検討委員会による検討、委員会開催ごとのニュースの配布、町内会の回覧、そして、意見書提出後には説明会を開催するなど、丁寧に情報提供、対話の機会を設けてきたと認識しているところでございます。  学校規模適正化の必要性についてですが、保護者や地域の方が対話し、理解を深めていただくことは非常に重要であると考えておりますので、必要な取り組みについては新たな地域においても継続してまいりたいと考えております。 ◆池田由美 委員  私が聞いたのは、一度きりの住民説明会でいいのかということなので、再度聞きたいと思います。 ◎長谷川 学校規模適正化担当課長  説明会は一度きりではないかというご質問ですが、教育委員会といたしましては、住民参加の手法は多様であると考えております。これまでも意見を寄せていただく機会は十分に設けてきたというふうに認識しておりますし、実際に、このたび陳情が上がった上野幌・青葉北側地区におきましては、検討途中で100件を超える意見が検討委員会に寄せられたところでございます。その意見は全て検討委員会に報告され、その意見を踏まえた検討が真摯に行われており、その結果として結論が出てきたと考えております。  具体的な検討は、保護者や地域の方々、学校関係者等で構成される学校規模適正化検討委員会で行うこととしており、今後も丁寧に議論を重ねてまいりたいと考えているところでございます。 ◆池田由美 委員  さまざまな意見が寄せられたと話をされておりました。私が求めているのは、そして、前回の文教委員会での陳情の審査の中でも求められていたのは、双方向できちんと対話ができる話し合いの場が必要だということであり、そのことが明らかになったと思っています。一方的に情報を丁寧にお知らせするということではなく、きちんと同じテーブルで双方向での話し合いの場が必要なのだということ改めて指摘しておきたいと思います。  新たな基本方針では、全市の小学校のうち39校が統廃合の対象であり、12学級の学校を含めると85校となります。中学校では4校が対象であり、6学級の対象を含めれば8校になります。統廃合を進めようとする文科省の学校規模適正化に対応した学校教育の充実策に関する実態調査でさえ、統廃合において地域や保護者の理解を得る工夫についての設問に、地域との意見交換会を系統的に実施したのが83%と一番多い結果となっています。つまり、住民と議論を重ねることが重要であるということです。  統廃合については、住民と議論する場を継続的につくる必要があると思いますがいかがか、伺います。 ◎長谷川 学校規模適正化担当課長  地域での双方向の意見のやりとりについてということだと思います。  学校規模適正化検討委員会での検討の結果につきましては、毎回、検討委員会ニュースというものを発行させていただきまして、学校では子どもを通じての配付、そして、町内会の回覧、地域の公共施設等での配架、また、未就学児のために保育園、幼稚園等での配架も行っており、広く情報を提供していると考えております。その上で、ニュースを通じて寄せられた意見についても広く公募させていただいておりますので、そういった意見については全て検討委員会で共有し、委員の皆様は、その思いを受けとめた上で、真摯にご議論いただいているというふうに考えております。 ◆池田由美 委員  子どもを通して自宅に検討委員会のニュースをお知らせしているし、幼稚園や保育園にも置いて、いろいろな方法によって丁寧に情報提供しており、その中できちんと意見を聞いていくという答弁だったと思います。  しかし、前回の文教委員会の審議の中で、厚別の青葉地域の1回の説明会に85名が参加しましたが、この中で、ほとんどの方から知らなかったという声が寄せられているという話が明らかになりました。丁寧に配付物としてニュースを発行しているので、これを見ていたらわかるという思いなのかもしれませんけれども、じっくりと見て、我が子の学校をどう考えていくのかといった立場にしっかりと立つためには、説明された中身について、子どもたちの教育がどうあるべきなのか、地域にとって学校はどうなのか、そういった視点でのしっかりとした双方向での話し合い、議論がなくては、きちんとした住民合意は得られないと思います。  学校は、地域の避難所でもあります。町内会活動など、地域を規定する重要な役割があります。だからこそ、学校統廃合の問題は、保護者だけでなく、地域住民の問題であり、地域住民の意見を尊重することが重要です。学校がなくなることは、子育て世帯が減っていくことにもつながるなど、まちづくりの視点で検討していくことが重要です。  地域住民との間で合意が得られない画一的な統廃合はやめるべきであり、十分に住民議論が保障される仕組みが位置づけられるように基本方針そのものを見直すべきと申し上げて、質問を終わります。 ◆村山拓司 委員  私からは、学校における郷土資料の取り扱いについて伺います。  先日行われた代表質問において、我が会派の村松議員の質問に対し、教育長は、学校に保管されている郷土資料の継承については、寄贈者のご意向に配慮するなど適切な取り扱いを周知してまいりたいと答弁されました。  過日、私の地元である西区の小学校において、校舎の改築に当たり、新校舎の展示場所の関係から、学校に保管していた郷土資料を廃棄処分したという事例もあることから、具体的にどのように適切な取り扱いを進めていくのか、確認させていただきたいと思います。  そこで、質問ですが、札幌市立の小・中学校のうち、何校において郷土資料室あるいは展示コーナーが設置されているのか、伺います。 ◎永本 学校施設課長  札幌市立の小・中学校における郷土資料室や展示コーナーの設置状況についてでございます。  札幌市立小学校では、分校を除く201校のうち111校に、また、中学校におきましては同じく97校のうち10校に郷土資料室または展示コーナー等を設置しております。 ◆村山拓司 委員  半数以上の小学校に展示コーナーや郷土資料室が設置されているとのことであります。多くの子どもたちが郷土資料を直接見て、触れられる環境にあることは、大変喜ばしいことであります。学校に保管されている郷土資料は、子どもたちの学びを深めることに役立つのはもちろんのこと、地域の歴史や文化を将来に伝える貴重な財産であります。また、札幌に転入された方などがその地域がどのように開拓されたのかを知る唯一の資料でもあります。  そこで、質問ですが、教育委員会は、学校に保管されている郷土資料をできる限り長く後世に引き継ぐよう努めるべきと考えますがいかがか、伺います。 ◎永本 学校施設課長  学校に保管されている郷土資料の継承についてのご質問かと思います。  郷土資料を保管している学校では、ふるさと札幌の学びを深めるために、それらを活用している学校もございます。ただ、今回の事例のように、それらの学校の改築等に当たりましては、新しくできる学校の面積や形状等の関係から保管のための十分な場所を確保できないことから、やむを得ず、引き継ぐものを整理しなければならない場合もあるところでございます。しかしながら、今後も、子どもたちの学びを深めるために、できる限り郷土資料を継承していくことが望ましいと認識しているところでございます。 ◆村山拓司 委員  以前、教育委員会の方から、郷土資料室は、空き教室を活用して設置しているところが多いと伺ったことがあります。新校舎に最初から空き教室が存在することは、現実的にはあり得ない話でありますし、保管している郷土資料が多い学校では、改築等の際に、その取り扱いについて苦慮していることもお聞きしております。しかしながら、郷土資料の多くは地域の方から寄贈されたものであり、その当時に寄贈した方々の思いを考えると、行政側の一方的な判断で整理や処分を行うべきものではないと思います。  そもそも今回の質問をするに当たって、私は、小学校に寄贈した一族の方から、学校の前を通るとがらくたのように郷土資料が捨ててあったため、学校側に確認すると全てを処分することになっていると知り、大変憤りを感じているというお話をお聞きしました。また、処分された学校の隣接校でサタデースクール事業が行われていて、この地域のルーツを知るということで、地域の方が講師となり、ほかの学校の小学生と一緒に処分したこの学校にも足を運んでいたそうです。地域の歴史を知るための郷土資料を処分してしまうと、今後活用することができないこととなりますので、私は個人的にも大変遺憾に思っているところであります。  そこで、質問ですが、今後、このような事態を再度起こさないために、教育委員会としてどのような郷土資料が収蔵されているのかを把握する必要があると考えますがいかがか、伺います。  また、郷土資料室がある学校で改築などを行う場合には、郷土資料の取り扱いなどについて事前に住民に確認すべきと考えますがいかがか、伺います。 ◎永本 学校施設課長  郷土資料を教育委員会として把握する必要があるのではないかというご質問と、改築等の際に地域の方の意向を確認すべきではないかというご質問かと思います。  まず、1点目の郷土資料を教育委員会として把握する必要についてでございますが、学校にどのような郷土資料があるかを把握することは、その活用を図るという観点からも大変大事なことでございまして、今後は、各学校から情報提供を受け、教育委員会としても状況を把握してまいりたいと考えております。  続きまして、2点目の改築等の際に地域の方の意向を確認すべきであるという点でございますが、郷土資料を保管している学校を改築する際には、まず、学校関係者及び地域の代表者、市の職員、設計業者などで構成する改築検討協議会において意見交換を行いますほか、保護者や地域の方々に改築計画をご説明する住民説明会において郷土資料の取り扱いについても説明するなど、住民等の意向に配慮しながら進めてまいりたいというふうに考えております。 ◆村山拓司 委員  まず、各学校にどのような郷土資料があるのか確認していただき、郷土資料の取り扱いの判断については、ぜひ地域の方々の意向を積極的に反映させていただきたいと思います。また、話し合いの中で、新校舎の面積等の関係から処分せざるを得ないという決断に至ったとしても、廃棄ありきではなくて、例えば地域の郷土資料館やほかの学校への譲渡など、さまざまな手法を検討していただきたいと思います。  繰り返しになりますが、地域から寄贈された郷土資料は、子どもたちが地域の歴史を知るための貴重な財産でもあります。寄贈した方々や地域住民の皆さんの郷土資料に対する思いを十分しんしゃくしていただくとともに、この件に関しては今後も注視していくことをお伝えして、質問を終わります。 ◆岩崎道郎 委員  私からは、スクールソーシャルワーカーによる支援体制の充実について、3点ほど質問させていただきます。  まず初めに、現在のスクールソーシャルワーカーの体制についてです。  私は、いじめや不登校など教育的な課題を解決するためには、福祉的な視点から学校を支えるスクールソーシャルワーカーが有効だと考えており、これまで本議会で幾度となく質問させていただいたところです。そして、その機能を実効性あるものとするために、スクールソーシャルワーカーと地域の連携が強化されることについて要望してきました。  教育委員会では、そうした要望も踏まえて、スクールソーシャルワーカーの役割について、各区の民生委員・児童委員に説明する機会を設けたり、スクールソーシャルワーカーを要保護児童対策地域協議会に派遣したりするなど、連携強化に努めていると聞いているところです。  一方で、子どもの貧困問題は、冒頭に申し上げましたいじめや不登校と同様に、子どもにまつわる非常に大きな問題だと思っていますが、札幌市でも、本年3月に札幌市子どもの貧困対策計画が策定されたところです。  私は、本会議や委員会の中で、さまざまな子どもの貧困対策に対する思いや考え方を述べさせていただきましたが、やはり、学校という現場において子どもたちの貧困に気づくことが非常に重要であり、そして、何よりも、小学校が気づきの最後のタイミングだと強く感じております。そういった中において、スクールソーシャルワーカーの役割はますます大きくなってきているのではないかと思っているところです。  そこで、最初の質問ですが、現在のスクールソーシャルワーカーの体制について伺います。 ◎長谷川 児童生徒担当部長  現在のスクールソーシャルワーカーの体制についてお答えいたします。  子どもの貧困や虐待など子どもを取り巻く状況が厳しさを増しておりますことから、今年度、スクールソーシャルワーカー7名を増員し、統括的な役割を果たすスーパーバイザー1名と合わせて18名体制としたところでございます。また、そのうち5名につきましては、小学校等を巡回して支援する巡回スクールソーシャルワーカーとして配置する新たな取り組みを開始しているところでございます。 ◆岩崎道郎 委員  私が初めてこの札幌市議会で子どもの貧困対策について質問させていただいて、教育委員会の皆さんとともに協議させていただいている中で、スクールソーシャルワーカーという名前が生まれて、年々、数がふえていることに対しては本当に感謝申し上げたいと思いますし、それだけスクールソーシャルワーカーの存在が学校にとって、そして子どもたちにとっても非常に重要な存在であるということが同時に言えると思います。  今、巡回スクールソーシャルワーカーというお話がありましたが、この点についても少しお聞かせいただきたいと思います。  冒頭に申し上げたとおり、学校で子どもの貧困に気づくということが今求められているとは思いますが、同時に、先生たちの負担も非常に大きくなっています。小学校ではクラブ活動もありますし、保護者とのさまざまな関係、PTAとの関係、そして、何よりも、子どもの貧困は、数値で見ますと、6人に1人、7人に1人の子どもと言われるように、単純計算では1クラスに貧困の状態にある子どもが複数人いると言えます。そういった中において、全てが先生によって解決に導かれるということは非常に難しいのだろうと思っています。そういった中で、巡回スクールソーシャルワーカーが、順次、学校に来て先生の声なども聞いてくれるということは、先生にとっても非常にありがたいものだと思っておりますし、新しい取り組みですので、私も大変興味深く思っております。  そこで、次の質問ですが、巡回スクールソーシャルワーカーの目的と役割について伺います。 ◎長谷川 児童生徒担当部長  巡回スクールソーシャルワーカーの目的と役割についてでございます。  巡回スクールソーシャルワーカーは、学校においてまだ大きな問題となっていないような子どもの生活環境などの情報を収集し、子どもや家庭への早期の支援を進めることを目的としております。具体的には、これまでは学校からの要請に基づいてスクールソーシャルワーカーを派遣しておりましたが、巡回スクールソーシャルワーカーは、みずからが小学校や各区の児童相談室などの関係機関を巡回して、支援が必要なケースを掘り起こす役割をしております。 ◆岩崎道郎 委員  子どもの貧困をできるだけなくしていくための唯一の方法は、やはり、必要な支援を必要な現場に届けることだろうと思います。そういった意味においては、学校現場で気づいた子どもの貧困を巡回スクールソーシャルワーカーを通じてさまざまな支援につなげていくことが何よりも大切だと思います。とにかく、気づいてつなげるところが、学校現場にも、そしてスクールソーシャルワーカーの皆さんにも期待されているところだと思います。  委員会で何度かお話しさせていただきましたが、私の経験として、学校現場で先生がそれに気づいても、なかなか福祉の現場につなげていくことができないのは、負担の部分もありますし、先生の職域から少しはみ出てしまいます。さらには、子どもの家庭の個人情報の取り扱いは非常に丁寧にしなければいけないと思いますので、学校で知り得た子どもの情報を外に出すことに対して、先生たちもさまざまに配慮されています。  そういった中において、私がPTA会長と主任児童委員を兼任させていただいていたときに、主任児童委員には守秘義務がありますので、学校からそういった相談を受けることができました。しかし、これは、あくまでも属人的に私が与えていただいた役割がたまたまそうであったからですので、多くの学校の中では、先生たちは自分で気づいてもなかなか外に出せないという困り事もあるのかなと思っています。  いずれにしても、学校に入学する前の子どもたちの貧困を見つけ出すのは本当に難しいことだと思いますが、逆説的に言えば、子どもが学校に入学することは、もしかすると貧困家庭が初めて社会とつながる大きなタイミングなのかなと思っています。ですから、その機をしっかりと捉えていただきたいと思います。  今、るる申し上げたとおり、巡回スクールソーシャルワーカーが小学校や関係機関を巡回することによって、早期に家庭環境の問題を把握し、その解決に向けて取り組むことは非常に価値のあることだと考えています。  そこで、最後の質問ですが、巡回スクールソーシャルワーカーの活動状況と成果について伺います。 ◎長谷川 児童生徒担当部長  巡回スクールソーシャルワーカーの活動状況と成果についてでございます。  今年度から、全小学校を巡回して、この1学期の間に300件を超えるケースについて新たに情報を得て、早期の支援につなげてきたところでございます。また、中でも、特に福祉的な支援等を進めていく必要があると考えられるケースにつきましては、スーパーバイザー等とともに検討し、関係機関と連携しながら、現在、対応を進めております。  今後も、こうした成果を踏まえまして、スクールソーシャルワーカーの効果的な活用方法について検討を進め、支援体制の一層の充実に向けて取り組んでまいりたいと考えております。 ◆岩崎道郎 委員  これからの巡回スクールソーシャルワーカーの取り組みに大いに期待させていただきたいと思っています。そして、何よりも、子どもの貧困対策計画は、札幌市としても大きな事業だと思っています。今さら言うまでもありませんけれども、子どもの貧困ほど不条理はないと思っています。札幌市においては、生まれた家庭によって自分の可能性がどんどん狭まってしまう状況の子どもが一人もいなくなるように取り組んでいただきたいなと心から願っております。一方で、学校やスクールソーシャルワーカーだけではなく、地域全体で子どもたちをしっかり見守っていったり、スポーツとか児童館とか、もしかすると塾みたいなレベルのところまで、子どもにかかわる地域の皆さんが一堂に会して、子どもたちの育みについて一緒に考える機会が全市的に広がれば、本当に子どもの貧困というものはなくなっていくのかなと思っております。  ぜひとも、教育委員会だけではなく、全庁を挙げて皆さんが連携していただき、さらに、学校現場がそのプラットホームになっていただくことを強く望みまして、私の質問を終わります。 ◆竹内孝代 委員  私からは、先日の代表質問において取り上げた新しい学習指導要領を踏まえた取り組みについて、引き続き質問させていただきます。  その前に、まず初めに、このたびの震災によりまして、教育委員会が入っているビルも翌日まで停電の被害を受けましたけれども、速やかに本庁舎地下の会議室に場所を設け、パソコンを持ち込み、学校の臨時休校の対応、また、学校施設の避難所開設など重要な役割を果たしてこられたこと、また、代表質問でも震災後の子どものケアについて質問させていただきましたが、スクールカウンセラーの増配置を行い、細やかに配慮されているとのことで、教育委員会及び学校現場の皆さんに改めて敬意を表します。まだ、応急仮設住宅、親戚宅から通学している子ども、また、損傷した住宅に住むお子さんも多数いらっしゃいますので、引き続きのケアをどうぞよろしくお願いいたします。  それでは、質問に入ります。  まず初めに、学習指導要領を踏まえた授業の改善について伺います。  札幌市では、新しい学習指導要領を踏まえて、このキーワードとなっている主体的、そして対話的で深い学びの視点からの授業改善に向けて、これまでも課題探究的な学習の推進など、その取り組みを具体的に進めているという答弁もいただきました。  学校で過ごす時間の多くを占める授業ですが、子どもにとって、まず、わかりやすいものにすることはとても重要であり、これまでも、先生方が授業の方法を工夫するなど努力をしてこられたことは十分理解しております。しかし、外国語や道徳など新しく始まる教科について、先生方の授業の準備、また、新たな教材の研究が必要になるなど、学習指導要領の趣旨に基づいた授業に改善していくための努力がこれまで以上に求められていると言えます。  そこで、最初の質問ですが、新しい学習指導要領を踏まえた授業の改善に向けて、教育委員会としては、今後、具体的にどのような取り組みを進めていこうとされているのか、伺います。 ◎檜田 学校教育部長  学習指導要領を踏まえた授業改善についてのご質問でございます。  新しい学習指導要領では、子どもが主体的に学び、これからの時代に求められる力を身につけることが示されており、これまで以上に、みずから疑問や課題を見つけて主体的に解決する課題探究的な学習を充実させることが必要でございます。  札幌市では、全ての教科等において課題探究的な学習が推進されるよう、校内研修等の場に教育委員会の職員が出向いて指導方法等について助言を行うなど、教員の指導力の向上に努めてきているところでございます。  また、今年度からは、課題探究的な学習の充実を図る取り組みの一環として、全ての小学校の5年生と6年生を対象に、算数にーごープロジェクト事業も実施しているところであります。  今後も、学習指導要領の趣旨を踏まえた授業改善の要点をわかりやすく学校に伝えるとともに、効果的な指導方法等について教員が互いに学び合うことなど、さまざまな研修の機会を通して課題探究的な学習の一層の充実に努めてまいりたいと考えております。 ◆竹内孝代 委員  授業の充実に向けてさまざまな取り組みを行い、努力されている様子がわかりました。  次に、学習指導要領の実施に向けた学校の取り組みに対する支援についてお聞きしたいと思います。  新しい学習指導要領が目指している子どもたちによりよい社会のつくり手となるための力を育む理念はとても重要なことであり、ぜひとも、その実現に向けて具体的な授業改善の取り組みを進めていっていただきたいと考えております。とは言っても、例えば、小学校では、新たな教科である外国語の授業が始まることによって授業の時数が増加するため、年間を通した計画を見直す必要があり、中には、遠足や運動会など、これまで行われていた行事を変更する状況も聞いています。また、中学校では、大きな時数の変更等はありませんけれども、学習指導要領の趣旨に基づいた授業の改善を図ることが求められていると聞いております。  加えて、実際に学校の様子を聞いてみますと、代表質問でも取り上げましたが、中学校では、人権の観点から、いわゆる制服や名簿についてもきめ細やかな配慮を必要とするなど、新たな課題への対応も求められているところです。  先ほど来、お話がありましたけれども、学習内容が多くなるにつれて、教科書の厚さも増すことで、通学用のかばんが重くなることによる子どもの負担が大きくなっていることへの配慮も必要になっており、現在、さまざまな教育課題の解決に向けて苦心しているようにも見受けられます。  こうした状況の中で、学校が新しい学習指導要領の実施に向けた取り組みを進めていくためには、教育委員会の支援が必要であると考えます。  そこで、次の質問ですが、教育委員会としては、新しい学習指導要領の実施に向けた学校のさまざまな取り組みを今後どのように支えていくのか、伺います。 ◎檜田 学校教育部長  学習指導要領の実施に向けた学校の取り組みに対して、教育委員会としてどのように支援していくかということでございます。  現在、学校は、さまざまな教育課題を抱えており、教職員が非常に多忙な状況にあるというふうに認識しております。そのような中、新しい学習指導要領の理念の実現を図っていくためには、まずは、教員の理解促進とか、教育実践の検証、あるいは、改善のサイクルの確立を図ることが重要であると捉えております。  教育委員会では、各学校が学習指導要領の趣旨に沿った教育計画を立てるための指針として、新しく加わる小学校の外国語や小・中学校の道徳を含め、全ての教科等について学習指導要領の全面実施に向けた準備を進めるための手引を新たに作成し、日々の授業等での活用を図っているところでございます。  今後も、新しい学習指導要領への対応に加えて、さまざまな教育課題の改善を図ることができるよう、個々の学校の取り組みの成果と課題を受けとめながら、教育委員会として適切な支援に努めてまいりたいと考えております。 ◆竹内孝代 委員  教育委員会としては、教員の皆さんの理解とか、手引の作成やその活用などさまざまな支援を考えており、一生懸命取り組まれているということが伝わりました。  学習指導要領や札幌市の取り組みについて、今後、家庭や地域の理解を得ることも大変重要になってまいりますので、このことについてお聞きしたいと思います。  私も教育現場におりまして、そこで痛感していたことは、学校が課題の改善に取り組む際には、管理職のリーダーシップはもちろん重要ですが、全ての教職員が同じ方向に向かって一体となって取り組んでいくことが大変重要だということです。また、新しい学習指導要領においては、学んだことをふだんの生活や将来に生かすことができる力を子どもに育むことが重視されていることを踏まえると、必要に応じて地域や保護者の意見を聞くなど、社会のさまざまな人材、地域の力を学校教育に生かして、連携を密にしながら取り組んでいくことがますます重要になるものと考えています。チーム学校の観点からも、地域の人材を有効に活用していくことについては、我が会派がこれまでも重視してきたところです。保護者や地域の協力を得るためには、教育委員会や学校が進めていることを家庭や地域にしっかりと伝えていただき、理解を得て一緒に歩んでいくことが必要です。  そこで、最後の質問ですが、今後、教育委員会として、新しい学習指導要領の考え方、また、札幌市が進めているさまざまな取り組みを家庭や地域にどのように広め、理解を促していくのか、伺います。 ◎檜田 学校教育部長  学習指導要領や札幌市の取り組みを家庭、地域にどのように広げていくのかということでございます。  新しい学習指導要領の中には、よりよい学校教育を通じてよりよい社会をつくるという考え方がございまして、これを学校と社会が共有しながら連携協力し、子どもを育んでいくことが重視されております。
     教育委員会では、昨年度から、リーフレット、さっぽろっ子「学び」のススメを小・中学校を通じて全ての保護者に配布し、学校、家庭、地域が方向性を同じくしながら、子どもの学びを支えることができるよう努めてきたところでございます。  今後は、これからの教育のあり方について、教員と市民、保護者がともに理解を深める場を設けたり、あるいは出前講座を実施するなど、学校と家庭、地域が一体となって子どもを育むことの大切さを共有しながら、新しい学習指導要領の理念の普及啓発に努めてまいりたいと思っております。 ◆竹内孝代 委員  このたびの新しい学習指導要領というのは、子どもにこれからの時代を生きていくために必要な力を育むことを目指して改訂されたものです。そして、全面実施に向けて、今年度から具体的に推進されているものでもあります。主体的に学ぶ子どもを育てるには、教員自身がより主体的に教育に携われるような教育環境づくりが重要であると考えます。新しい学習指導要領を踏まえた取り組みの推進には、教員のスキルアップは欠かせませんけれども、研修の充実、また、具体的な実践例の共有などを通して、教員の創意工夫を促しながら、深い深い学びを生み出すための授業の実現を後押しすべきと申し上げまして、質問を終わります。 ◆田中啓介 委員  私は、学校給食費と就学援助制度について、それぞれ質問いたします。  まず、学校給食費についてです。  給食が唯一のまともな食事と言う子どもの存在が明らかになり、フードバンクや子ども食堂で子どもの健康のために栄養バランスのよい食事をという支援活動がふえております。夏休み後に痩せて登校する子どもがいるという話題は、決して過去のことではありません。  本市が2016年に子どもの貧困対策計画策定に係る実態調査を行っておりますが、6割以上の子育て世代の生活が苦しいため、17.2%の家庭が必要とする食料を買えなかったと回答するなど、深刻な状況が明らかになっております。  文科省は、2016年度に子供の学習費調査を行っております。これでは、副教材費、部活動費など学校への納付金は、小学校では年間約10万円、中学校では年間約18万円にも上ります。そのうち、学校給食費の割合は4割に上っております。札幌市では今年度から食材の高騰を理由として学校給食費が値上げされ、さらに保護者の負担は重くなっております。  そこでまず、質問いたしますが、この間、我が党は、代表質問で学校給食費無償化は、子どもの貧困対策、子育て世帯支援策として効果的な政策であるとただしてまいりました。  改めて伺いますが、学校給食費の無償化は、子育て世帯への直接的な支援になると思いますがいかがか、伺います。 ◎木村 保健給食課長  ただいまの質問についてですが、現在、生活困窮世帯に対しましては、就学援助制度等で給食費の支援等をしているところでございます。給食費の無償化にはさまざまな目的があると認識はしておりますが、年間72億円と大きな財政負担を伴うため、その実施については難しいものと考えております。 ◆田中啓介 委員  私は、学校給食費の無償化が子育て世帯へ直接的に有効な政策ではないかとの認識を聞いたのです。  実際に、子どもの貧困対策計画に当たっての実態調査で、6割以上の世帯が生活的に苦しいということでした。今、課長は、就学援助制度で学校給食費の支援を行っていると言っておりましたが、その認定率は全児童の15%程度にとどまっておりますので、まだまだ足りないと言わざるを得ません。  学校給食法では、食材費は保護者の負担とすると規定されておりますが、これについて文科省に確認しましたら、この規定は、あくまでも負担のあり方を示したものであり、補助金を出すことによって実質無償化にすることを禁止するものではないという見解を示しております。  そもそも、憲法第26条では、義務教育はこれを無償とするとあり、経済的な理由なく、どの子も安心して勉強できる権利を保障するように示しております。食育と言われるように、子どもたちが豊かな人間性を育み、生きた力を身につけるためには何よりも食が重要だと食育基本法ができ、文科省の食に関する指導の手引にも、学校の給食が生きた教材としてさらに活用されるよう取り組むとあります。  2017年の予算特別委員会で、我が党の学校給食費の無償化に関する質問で、給食費の無償化や一部補助などを行っている自治体が、道内、また全国的にふえている、このような全国的な流れや取り組みをどのように受けとめているかとただしたところ、把握していない、ふえている全国的な流れについての受けとめについても、流れがあるかどうか答えられないという答弁でした。  その後、文科省は、2017年度の学校給食費の無償化等の実施状況について調査しておりますが、2017年度時点で無償化しているのは76自治体に上り、小学校、中学校のどちらか、または一部補助などを実施している自治体は前年よりもふえ、430自治体、全地方自治体の約3割まで拡大しております。  そこで、質問ですが、文科省が行った調査結果で明らかになったように、給食費の無償化など負担軽減のための支援策を実施している自治体がふえていることについて、また、無償化などを実施している自治体の取り組みについて、どう認識し、受けとめているのか、伺います。 ◎木村 保健給食課長  給食費の無償化や一部補助などの施策は、各自治体がそれぞれの実情に応じて独自の判断で実施しているものと認識しております。ただいま、委員がおっしゃいました文部科学省の調査によりますと、政令指定都市では無償化している市がなく、全国の4.4%、76自治体が無償化しておりますが、そのほとんどが1万人未満の町村であることから、特に、定住、転入の促進、地域創生などを目的としている場合が多いと推察されるところでございます。 ◆田中啓介 委員  今の課長の答弁で、実施しているのは人口1万人未満の小さい自治体で、若者定住や流入などの過疎化対策のために独自に行っているという答弁だったと思いますけれども、小さい自治体だからできるということではありません。確かに、対象児童数が札幌市の児童数よりも少なく、先ほど課長は約72億円とおっしゃいましたけれども、その予算も札幌市よりは少ないかもしれません。でも、小さい自治体は、小さい自治体なりに財政規模も小さいのです。子育て世代のためにどれだけ教育費をかける割合を割いていくか、どれだけ本気で取り組んでいくかということが問題だと思います。  もし、札幌市で小・中学校の給食費を無償化する場合は、先ほど課長が答弁されたとおり、約72億円と伺っております。大きい金額ですけれども、学校給食費に必要な額、72億円は、一般会計1兆円から見ると0.7%にすぎません。  また、文科省の2017年度の学校給食費の無償化等の実施状況の調査では、無償化を開始した目的、無償化による成果も調査しております。先ほどの課長の答弁にもありましたが、給食費を無償化した目的は、保護者の経済的な負担の軽減、子育て支援、少子化対策、定住、転入の促進、また、無償化による成果は、経済的な負担の軽減と、安心して子育てできる環境の享受となっております。  そこで、子どもの貧困対策、子育て支援、若者の市外への流出をとめるための取り組みをしている本市として、学校給食費の無償化はこれら本市の政策に資すると思いますがいかがか、伺います。 ◎木村 保健給食課長  繰り返しにはなりますが、給食費の無償化には、今、委員のお話にありましたようにさまざまな目的があると認識はしておりますが、年間約72億円と大きな財政負担を伴うため、その実施については難しいものと考えております。 ◆田中啓介 委員  72億円が大きい額なのはそのとおりですが、札幌の一般会計の規模から見ると、割合としては0.7%です。子どものための教育費にどれだけお金や力を割いていくか、本気度が問われていると思います。  2017年第2回定例会で、札幌市議会として、国への学校給食の無償化を求める意見書を可決しております。本市としても、国に対して毎年行っている札幌市重点要望の中の子ども・子育て支援の充実強化を求めていますので、ここに学校給食費の無償化のための財政支援を盛り込み、国に対して強く求めるべきと申し述べて、この質問は終わります。  次に、就学援助制度について質問いたします。  質問に入る前に、生活保護基準の見直しが10月から行われました。就学援助制度は、生活保護基準に連動するものです。2013年の生活保護基準額の大幅引き下げの際は、文科省からも影響が及ばないようにという通知が出され、このときは連動されておりません。今回の生活保護基準の見直しに当たっても、文科省から、影響が及ばないようにという通知が来ております。札幌市民の所得状況、また、子どもの貧困が広がっている中で、その通知のとおり基準額の引き下げをすべきではないと申し述べておきます。  それでは、質問に移ります。  就学援助制度は、義務教育は無償という憲法の理念に基づき、経済的な理由で就学が大変な小・中学生がいる世帯に対して、どの子も安心して学校生活を送れるように、学用品、給食費、修学旅行費、学校医療費などの費用を援助する制度です。  子どもの貧困が7人に1人と言われ、深刻な問題になっている中で、先ほども言いましたが、本市は、2016年に子どもの貧困対策計画策定に向けての実態調査を行っております。その実態調査では、就学援助の受給状況について、受けていない世帯が79.6%、就学援助を受けていない理由では、就学援助を申請しても認定されなかったが35名の1.6%、申請要件を満たしていなかったが743名の34.1%でした。一方で、就学援助制度を利用できている就学援助認定率は、調査を行った同じ2016年では、小学校が14.3%、中学校で16.9%、全体では15.2%にとどまっております。  本市が行った実態調査によると、生活が苦しいという子育て世代が6割を超えている一方で、就学援助を利用したくても利用できない世帯が約36%にも上ることについてどう受けとめているのか、認識を伺います。 ◎早川 教育推進労務担当部長  ただいま、委員がご指摘のとおりの数字が出ておりますが、子どもたちの保護者の生活実態につきましては、さまざまな状況にあるものと認識しております。生活が困窮している世帯に対しては、就学援助制度あるいは奨学金制度を通しまして、引き続き必要な支援をしていきたいというふうに考えております。 ◆田中啓介 委員  札幌市の就学援助制度は、4人家族の場合、年間の総収入が369万9,000円以下が対象基準となっております。生活保護基準の1.1倍ですが、20政令市の半分は1.2倍以上になっております。もし本市が生活保護基準の1.2倍に拡大すると、先ほどと同じ4人家族では約403万円までの収入の世帯が対象となります。子どもの貧困対策、子育て支援策として放置してはならない問題だと思います。  そこで、質問ですが、就学援助の年収基準額の引き上げを検討して、就学援助制度を受けられる世帯の対象がふえるようにすべきだと思いますけれどもいかがか、伺います。 ◎早川 教育推進労務担当部長  就学援助制度につきましては、適宜、有識者や学校関係者等から構成される札幌市就学援助審議会に諮問しているところでございます。したがいまして、今後も、この審議会におきまして、どのような基準がいいのかということを含めた議論が行われると考えておりますので、今後とも、議論を深めながら、制度の見直し等についても検討していくべきものと考えております。 ◆田中啓介 委員  札幌市は、子どもの貧困対策計画を策定しているのですから、就学援助制度の対象を拡大すべきです。  次に、就学援助の支給時期について伺います。  この間、我が党は、就学援助の新入学準備金については入学前に支給すべきと求めてまいりました。昨年、中学1年生になる子どもがいる世帯に対しては、入学前に支給することになり、来年度に小学1年生になる子どもがいる世帯に対しても、入学前に支給するようになりました。まさに対象の世帯の保護者からは、本当に助かったと喜びの声が上がっております。  学校に入学し、また進級すると、その4月以降、例えば、絵の具セット、書道セット、リコーダーなどの授業で必要な教材をそろえていかなければなりません。本市の就学援助の学用品費の支給は、4月から9月分を9月に、10月以降の分を2月に支給する後払いになっております。  現在の9月と2月の後払いではなく、4月から9月の分は、教材をそろえる時期に合わせて4月か、せめて5月に支給するなど、前払いにして必要な時期に支給するよう検討すべきだと思いますがいかがか、伺います。 ◎早川 教育推進労務担当部長  就学援助における学用品費等の支給時期を早めることに関するご質問でございました。  札幌市では、先ほど申し上げましたとおり、就学援助制度の運用の見直しにつきましては、就学援助審議会からご意見をいただきながら行っているところでございます。具体的には、これまで入学後に支給しておりました入学準備金につきまして、中学校では平成29年度入学者から、小学校においては来年度の入学者から、それぞれ入学前に支給時期を前倒しにしたところでございます。  今後も、支給費目について、あるいは、委員からご質問がありました支給時期も含めて、よりよい就学援助のあり方について、社会情勢等を踏まえて引き続き検証を行うとともに、子どもたちが安心して学ぶことができるよう検討を進めてまいる所存でございます。 ◆田中啓介 委員  ぜひ、前向きに検討していただきたいと思います。  例えば、学用品費の給付に関しては、北九州市では随時支給するとなっておりますし、横浜市では年8回に分けて支給しております。まさに、今、部長の答弁にもありましたとおり、その世帯の実態にできるだけ即した形で支給している他の自治体の取り組みも参考に、子育て世帯が利用しやすい制度にしていくべきと申し上げ、質問を終わります。 ○福田浩太郎 委員長  ここで、およそ1時間、委員会を休憩いたします。     ――――――――――――――       休 憩 午前11時46分       再 開 午後0時59分     ―――――――――――――― ○福田浩太郎 委員長  委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、質疑を行います。 ◆小竹ともこ 委員  私からは、特別支援学級の就学相談について、ブロック塀を初めとした外構物の安全対策等について、2点質問いたします。  まず、特別支援学級の就学相談について質問いたします。  全国的な少子化の流れの中で、本市においても、ことしの学校基本調査によりますと、札幌市の小・中学生の数は、平成20年度の約14万人から、ことしは約13万3,000人へと約7,000人も減少しており、札幌市においても少子化が加速している状況にあります。一方で、特別な教育的支援が必要で特別支援学級等に在籍する小・中学生の数は、全国的に増加傾向にあると聞いております。  そこで、質問いたしますが、札幌市の特別な支援が必要な児童生徒の状況について伺います。 ◎檜田 学校教育部長  特別な支援が必要な児童生徒の状況についてでございます。  市内の特別支援学級に在籍している小・中学校の児童生徒数は、現在、2,800名を超えており、ここ10年間で約2倍となっているほか、特別支援学級を設置している学校数につきましても、平成20年度の168校に対して、平成30年度は272校となっており、全小・中学校の9割近くに設置している状況にございます。  また、子どもの障がいが多様化している近年の動向を踏まえ、難聴あるいは病・虚弱の新たな種別の特別支援学級を開設するなど、身近な地域においても特別な支援が必要な児童生徒の状況に応じた適切な支援を行うことができる体制づくりを進めているところでございます。 ◆小竹ともこ 委員  札幌市においても、特別な支援を必要とする児童生徒が実際に増加している状況についてお示しいただきました。  先月、私は、特別支援学校である札幌伏見支援学校を視察してまいりました。札幌伏見支援学校は、旧札幌盲学校跡地に平成28年に開校し、本年度で3年目を迎える学校です。さらに、私は、さかのぼること2012年、今から6年前に、厚別区にある札幌養護学校にも視察に伺っております。  この2校に共通する問題は狭隘化です。児童生徒数が増加したことにより教室が不足し、特別教室を一般教室に転用するなどしており、将来の社会参加や自立を目指すために必要な知識や技能を身につけるための大切な作業学習にも支障を来たすなど、この厳しい狭隘化の状況は、教育環境を確実に悪化させていると私は思っております。  そもそも、札幌養護学校での狭隘化を緩和、解消すべく、新たに伏見支援学校を設置し、中央区、豊平区、南区に居住している児童生徒が転籍、転校したわけですが、開校して1年にも満たない去年の2月に、私を含め、我が会派の議員数名で視察に伺ったときには、既に当時の校長先生が現在の狭隘化の問題を心配しておられました。その予想は的中し、平成28年度に児童生徒数49名という小規模でゆとりある状態でスタートした伏見支援学校ですが、現在は、その2倍以上の103名、そして、開校からわずか3年、来年度、平成31年度には123名の在籍数になると予想されております。これは、開校当初の2.5倍もの児童生徒数であり、個別的に特別な対応が必要な子どもたちに対して、校内で十分なスペースを確保して教育活動を行うことが一層困難になることが想定されます。  義務教育における特別支援学校は、学校教育法第80条に都道府県に設置義務があるとうたわれていることは私も承知しておりますが、特別支援学校の児童生徒数の著しい増加は、札幌市内の小・中学校における特別支援学級の動向とも大きく影響し合っているのではないかと私は考えております。  例えば、本来は、特別支援学級の対象になる児童生徒であるにもかかわらず、札幌市の就学支援の委員会において、特別支援学校に該当するという判断を市の教育委員会が行い、そのことが道立特別支援学校の狭隘化を招く一因になっているのではないかとも思われます。  そこで、質問いたしますが、特別支援学級への就学希望者に対してどのような相談対応をしているのか、伺います。 ◎檜田 学校教育部長  特別支援学級等への就学を希望する場合の相談体制についてでございます。  札幌市では、発達に心配のあるお子さんなどの就学先の決定及び変更を行うに当たっては、まず、本人、そして保護者に札幌市教育センターにおいて教育相談を受けてもらっております。この相談では、本人の障がいの状況や発達の程度等について把握するとともに、本人、保護者が抱えている困難や希望を聞き取りながら、そのお子さんに応じた教育について相談を進める中で、就学に関する情報提供も行っているところでございます。その結果、本人、保護者が特別支援学級などを希望する場合には、札幌市学びの支援委員会に対して就学相談を申し込むという手続になっております。  札幌市学びの支援委員会では、道立の特別支援学校の教員を含む複数の委員の方々が、医療機関など関係機関とも連携しながら、総合的かつ専門的な見地から適切な学びの場について検討し、就学先に関する意見を出しております。教育委員会では、この意見に基づきながら、本人、保護者の意向も可能な限り尊重し、就学先の決定を行っているという手続になっております。 ◆小竹ともこ 委員  特別支援学級の就学希望者に対しての相談対応について、今ほどご答弁をいただきました。学びの支援委員会においても、本人、そしてまた保護者の希望も含め、障がいの度合いに応じてきめ細やかな対応をしてくださっているものと私は思いたいところですが、実際に特別支援学校の視察のときに、また、これまでも、特別支援学校に通うお子さんをお持ちの保護者の数名からお話を伺っております。例えば、数人の保護者の方から、地域の特別支援学級へ我が子の就学を希望され、見学に行った際、具体的なやりとりはここでは避けますが、その場で対応した先生から、門前払いをするかのような言葉を投げかけられたり、そうでなくても、やんわりと拒否され、諦めることにしたというお話を実際に伺いましたし、あるいは、学校関係者の方からも同様のお話をお聞きしております。  こうしたことが、結果として、住みなれた地域の特別支援学級ではなく、特別支援学校への就学しかないと思われる保護者の方がふえている実態もあると思います。  そこで、最後の質問となりますが、特別支援学級にかかわる就学相談について、今後どのように取り組んでいくのか、伺います。 ◎檜田 学校教育部長  特別支援学級に係る就学相談の今後の取り組みについてでございます。  特別支援学級あるいは特別支援学校など、個々の児童生徒の状況に応じて可能な支援内容について情報提供することは非常に重要でございまして、教育委員会としても、相談窓口の周知を図るなどしながら、早い段階から相談ができる体制づくりを行っているところでございます。また、通常の学級に通う子どもが特別支援学級への就学を希望した場合などには、学びの支援委員会による就学相談の一部を当該児童生徒の在籍する学校で実施する試行的な取り組みなども進めているところでございます。  今後も、児童生徒あるいはその保護者に寄り添いながら、就学先にかかわる意向を十分尊重し、より丁寧な相談体制づくりに取り組んでまいりたいと考えております。 ◆小竹ともこ 委員  少し矛盾するようですが、私は、一律に障がいのある子どもたちが住みなれた地域の特別支援学級に行くことが一番望ましいと言うつもりもございません。一人一人の子どもたちが、その障がいの度合いや重複等に合わせて十分に配慮した上で、みずから望んだ教育環境を選択できることが最も理想であると考えているところです。  以前は、住みなれた地域の学校へ行きたいと望んでいるにもかかわらず、養護学校へ入れられた、つまり、半ば強制的に入れられてしまったということがあったのではないかとも言われていますが、現在は、特別支援教育が浸透し、障がいを受け入れる保護者の方々の意識の変化とともに教育的ニーズも変わり、特別支援学校への就学をより強く希望される家庭も多いのではないかと考えております。  今回取り上げさせていただいた伏見支援学校は確かに道が所管する学校ですが、そこに通う子どもたちは札幌市の子どもたちであり、その保護者の皆さんもまた札幌市民であるわけです。  ことし6月には、我が会派の教育プロジェクトのメンバーで、神戸市が設置し、昨年4月に開校した特別支援学校の神戸市立いぶき明生支援学校に視察、調査に伺っております。本来は兵庫県に設置義務がありますが、小学部から高等部の義務並置、そして、知的障がいと肢体不自由の生徒が学ぶ知肢並置の特別支援学校を政令指定都市である神戸市が設置したことは、その成り立ちは各支援学校の統合によるものですけれども、多様化する教育的ニーズに対応したものであると考えます。  今定例会におきまして、我が会派からの代表質問で、特別な教育的支援等が必要な子どもたちへの支援について、長谷川教育長から、「特別な教育的支援に対するニーズは多様化・複雑化していることから、こうした子どもたちへの支援の充実は喫緊の課題であります。全ての子どもが安心して学びに向かい、みずからの可能性を伸ばしていくことができるよう、子どもや保護者に一層寄り添い、一人一人を大切にした教育を進めてまいりたいと考えております。」とご答弁をいただきました。  私も、本当にこのとおりであると思います。普通の学校であれば、児童生徒数が増加し、教室が不足しているからといって、例えば音楽室や図書室の一部を潰して一般教室にしますと言えば、大変な問題になるのではないでしょうか。いずれにしても、障がいのあるなしにかかわらず、一人一人の子どもたちに寄り添い、最もふさわしい教育環境を与えることが望ましいことであり、そこに対して丁寧に対応する札幌市の教育行政であってほしいと申し上げまして、次の質問に移らせていただきます。  続いて、2点目のブロック塀を初めとした外構物の安全対策等について伺います。  本年6月に、大阪府北部で最大震度6弱を観測した地震により、登校中の児童が倒壊したブロック塀に挟まれて亡くなるという大変痛ましい事故が発生し、とうとい命が奪われたことに大きな衝撃を受けました。改めて、心からのご冥福をお祈り申し上げる次第です。  先月の北海道胆振東部地震では、札幌市内の最大震度は6弱でありました。6月の大阪での事故の際、市内では28校にブロック塀があり、うち9校のブロック塀が建築基準法で規定している使用基準に合致していないとお聞きしました。  そこで、質問ですが、まず、ブロック塀にかかわる対策について、教育委員会における対応はどのような状況なのか、伺います。 ◎永本 学校施設課長  ブロック塀の対策状況についてのご質問でございます。  まず、現行法の基準に適合していない9校のうち、7校につきましては、既にブロック塀の撤去が終了したところでございます。残る2校については、校舎改築等の事情によりまだ撤去が済んでいないものの、児童らが近づかないようにロープを張るなどの安全対策を講じており、今後、できるだけ早急に撤去する考えでございます。また、基準に適合している残り19校のブロック塀につきましては、このたびの地震に起因する損傷等の報告は受けておりません。 ◆小竹ともこ 委員  市立学校のブロック塀については早急に対応がなされ、また、現在残っているブロック塀についても大きな損傷がないとのことに一旦は安心しましたが、ことし8月に文部科学省から出された通知の中では、外観に基づく点検で問題があるとされなかったブロック塀についても内部点検等を進めるよう求められており、現在残っているブロック塀の安全対策についても怠りなく進めていただきたいと思います。  ブロックづくりではありませんが、私の母校である月寒小学校では、れんがでつくられた旧校舎時代の校門の門柱1本に今回の地震の影響で大きなひびが入りました。そのままでは倒壊の危険があることから、今現在は、大変親切な地元の災防協の業者のご厚意で丁寧に地面におろしていただき、ブルーシートに覆われて、分解された万全な状態でバックネットの裏のほうに保管されています。  このように、塀のほかにも、門柱なども古い物については同様に被害があったのではないかと推測いたしますが、市立学校において旧校舎時代の門柱が残っている学校は月寒小学校以外にあるのか、また、ある場合はどの程度の被害があったのか、伺います。 ◎永本 学校施設課長  月寒小学校以外に旧校舎時代の門柱が残っている学校の有無について、また、旧門柱が残っている場合の被害状況についてでございます。  まず、月寒小学校以外に旧校舎時代の門柱が残っている学校の有無についてでございますが、私どもとしても、全ての市立学校の状況を把握しているわけではございませんけれども、現在、大通高校の敷地内に旧大通小学校時代の門柱が残されているなどの例がございます。  そうした旧門柱の被害状況についてでございますが、今のところ、月寒小学校以外の学校から、門柱等について被害があったという報告は受けておりません。 ◆小竹ともこ 委員  少々意外な感じもいたしましたが、市内では、月寒小学校以外には被害の報告が上がっていないとご答弁いただきました。まずは一安心といったところですが、この月寒小学校の旧門については、私を含め、多くの方々が案じております。  この旧門は、明治時代から、月寒にあった大久保レンガ工場でつくられたれんがを使って、大正14年に製作、寄贈されたものです。大久保レンガ工場のれんがは、月寒歩兵25連隊の多くの建物を初め、道庁旧庁舎やサッポロビール工場にも使われていたものであります。また、昭和47年に現在の校舎ができるまでは、私もその一人ですが、毎日ここを通って子どもたちが通学しており、卒業生にとってだけではなく、地域の方々にとっても大変ゆかりのあるものです。  さらには、とよひらふるさと再発見として豊平区内にある文化遺産や地域のシンボルとして親しまれている景観など151箇所が選定されていますが、この旧門もその中の一つに選ばれております。現在、門としては使われておりませんので、安全面のことだけを考えますと、撤去してしまうといった選択肢も考えられるかもしれませんが、午前中の村山委員の質疑にもありましたように、大変大切な郷土資料の一種ではないかと私は考えております。  そこで、質問ですが、月寒小学校の旧門について、今後どのような取り扱いを考えておられるのか、伺います。 ◎永本 学校施設課長  月寒小学校の旧門の今後の取り扱いについてのご質問でございます。  委員からもご説明がありましたが、このたびの地震によりまして、2本ある旧門柱のうち、1本に横方向のひび割れが生じ、一時期、危険な状態にございました。しかし、現在は、ひび割れた箇所より上の部分を取り除き、ひびが入った門柱については、倒壊等の危険性がない状況でございます。また、もう1本の門柱につきましては、外観を目視した範囲ですが、地震に起因する損傷等は、現在のところ確認されておりません。
     これらの状況から、現時点においては、旧門を直ちに撤去するという考えはございませんが、改めて安全性を確認しながら、今後、具体的な取り扱いの方向性を検討したいと考えております。 ◆小竹ともこ 委員  すぐに撤去することは考えていないということで安心いたしました。修繕に係る経費の問題のほかに、何より、安全の確保や、新しいれんがを使ってこれをつくり直したということでは、せっかくの由緒が失われてしまうこともあり、難しい点があろうかと思います。特に、技術的な面におきましては、古いれんがを使っての補修といったものは、相当の経費も、また、技術的な難しさもあると聞いております。  現在、札幌市では、歴史的資産活用推進事業が市民文化局において行われており、札幌市歴史文化基本構想策定委員会も構成されております。偶然ですが、この構想策定委員の中のお1人の角 幸博先生は、北海道大学の名誉教授で、実は月寒小学校の卒業生であり、今現在も月寒に在住していらっしゃいます。NPO法人歴史的地域資産研究機構、歴研の代表をされており、こういった技術的なことに関しても、れんが職人の方をご紹介してくださるという大変心強いアドバイスもいただけるのではないかと考えております。  この件に関して、何より安全性を第一に確保できるのであれば、できるだけ残したい、何より危険性がないことを大前提に修復、保存したいなどの多数の意見を私にもお寄せいただいております。今後も、地域や学校と十分に対話を重ねた上で、この取り扱いについては慎重に決めていただくことを求めて、私の質問を終わります。 ◆ふじわら広昭 委員  質問する前に、去る9月26日に逝去された平野 誠学校施設担当部長のご冥福を心からお祈り申し上げます。  私は、2項目質問いたします。  1項目めは、札幌市青少年科学館活用基本構想案について、2項目めは札幌市の幼児教育の推進についてです。  初めは、札幌市青少年科学館活用基本構想案についてであります。  最初の質問は、展示物等の更新期間や整備費用についてです。  ことしの予算特別委員会の質疑で、次のことが明らかになりました。第1は、有識者会議の議論として、来館した子どもたちを、受け身ではなく、能動的発想に導くような展示物、また、展示については、札幌、北海道ならではのテーマ性を持たせるべきなどの貴重なご意見が出されていること、第2は、基本構想作成に当たって、三つの視点で検討していることです。その1点目は、時代や社会状況を踏まえた展示物や、施設・設備の機能の充実について、2点目は、新さっぽろ地区の再開発も踏まえ、科学館も科学に関して市民の誰もが学べる環境づくりを進める一助となること、3点目は、理科教育の重要性を踏まえて、科学館を理科授業で活用しやすくなるような施設及び設備や学習プログラムの充実についてです。第3は、展示物などの更新に要する期間は、策定中の同基本構想の上位計画、第3次札幌市生涯学習構想の計画期間となっている2026年度までに成果を出したい、第4は、展示室に限定した年間パスポートを2018年度、平成30年度から導入したいとの答弁が生涯学習部長からありました。  そこで、質問です。  青少年科学館活用基本構想が今年度内に策定される見込みとのことですが、更新期間はどの程度になりそうなのか、伺います。  また、整備に要する費用の総額はどの程度を想定しているのか、あわせて伺いたいと思います。 ◎鈴木 生涯学習部長  展示物等の更新期間や整備費用についてでございますが、展示物等につきましては、老朽化や故障が多く見られることから、早期の対応が必要であると認識しておりますので、札幌市全体の次期中期実施計画の期間内において一定の更新を図ってまいりたいと考えております。  具体的な整備の内容やスケジュール、費用につきましては、今後、次期中期実施計画の策定作業と並行して検討してまいりますが、仮に全ての展示物を更新するとした場合には、費用の総額は18億円程度になるものと試算しているところでございます。 ◆ふじわら広昭 委員  展示物の更新期間や整備費用の概要が明らかになりました。私どもの会派としても、更新期間中の予算確保に向け、教育委員会と連携していきたいと思いますので、しっかりとした対応を求めておきます。  次の質問は、展示物更新の進め方についてです。  青少年科学館は、開館してから、ことしの10月6日で37年目に入ります。基本構想策定の事前調査資料を見ますと、平成28年度時点での展示物等の経過年数については、展示物総数245点のうち、31年以上経過しているものが30点、全体の12.3%、21年から30年までのものが78点、31.8%、16年から20年までのものが41点、16.7%となっております。今申し上げた展示経過年数16年から31年までの展示物は149点、60.8%、展示物全体の約6割が16年以上経過しております。また、同年度に実施したアンケート調査においても、科学館を訪れた印象は、新しい展示品が少ないが16.5%と、新しい展示物が多いと答えた方の約4倍、施設が古く感じるが21.5%で、新しく感じると答えた方の3倍になっております。このように、現在、科学館の展示物は、古いものが多く、故障による休止のものも点在しているため、展示物の改修が急務であります。  そこで、質問ですが、今後、基本構想に基づいて展示物の更新を行っていく際には、部分的に順次更新をしていくのか、あるいは全体的に更新をしていくのか、整備の進め方についてどのように考えているのか、伺います。 ◎鈴木 生涯学習部長  展示物更新の進め方についてでございますが、展示物の更新につきましては、活用基本構想案でも、科学館全体の統一感や分野ごとの統一感を明確化することを期待しております。具体的な整備の進め方につきましては、今後、検討することとしておりますが、休館を伴うような補強工事の時期に合わせて複数の展示コーナーをまとめて更新するなど、利用者への影響が最小限になるような整備の進め方を検討してまいります。 ◆ふじわら広昭 委員  ぜひとも、大規模な改修などの計画に合わせて、利用者に余り不便をかけないような取り組みにしていただくとともに、スピード感を持ってしっかり整備していただきたいと思います。  次の質問は、学校教育との連携内容についてです。  現在、科学館では、科学を通した理科教育の普及啓発という観点から、学校教育との連携事業として、サイエンスショーや学習投影など、学びのきっかけとなる取り組みを実施しております。例えば、小学校4年生の授業でプラネタリウムを活用した学校は、平成29年度で特別支援学校、また、分校を含む206校中184校となっております。実験実習室はサイエンスショーとして活用されておりますが、実験実習室が狭く、活用しづらいという声が私どもの会派に寄せられております。また、科学館の展示物を活用した事業が学校教育に位置づけられていないという課題もあります。基本構想を見ますと、今後の方向性として、青少年科学館と学校教育との連携強化が記載されており、大変重要なことと言えます。  そこで、質問ですが、青少年科学館をどのように学校教育に活用していくのか、伺います。 ◎鈴木 生涯学習部長  学校教育との連携内容についてでございます。  学校教育におきまして科学館を活用するためには、例えば、学校ではできないような実験を伴う授業のために、現在は定員32名の実験室を、最低でも1学級40名の児童が入ることができる広さに増床したり、児童生徒の調べ学習のために、科学関連図書の充実やタブレットなどのICT環境を整えたりすることなどが想定されております。今後も、学校教育でどのような活用が可能となるか、さらに検討を進めてまいりたいと考えております。 ◆ふじわら広昭 委員  実験室などが狭くなっておりますので、部長の答弁のように早急に対策を講じていただきたいと思います。  次は、青少年科学館の年間パスポートの導入状況と受け付けシステムの改修についてです。  質問の1点目は、販売枚数や利用状況についてです。  1981年、昭和56年10月に開館して以来、平成29年度末までの36年間の総入場者数は約1,314万人に達しており、同年の入場者数は約35万人となっています。基本構想の中では、多くの市民が利用しやすい環境づくりを目指すとしています。多くの市民に利用していただくための方法の一つとして、私どもの会派が提言した年間パスポートをことし4月から展示室限定で発売しております。  そこで、質問です。  年間パスポートを導入してからまだ期間はわずかですが、現在までの販売枚数や利用状況はどのようになっているのか、伺いたいと思います。 ◎鈴木 生涯学習部長  年間パスポートの現在の状況についてでございます。  月によるばらつきはありますが、9月末までの販売枚数の合計は792枚であり、平均しますと毎月の販売枚数は約130枚でございます。また、これまでの年間パスポートの利用件数は延べ1,927件ですので、年間パスポートを購入された方は、平均しますと2.4回ほど、科学館の展示室をご利用いただいているところでございます。 ◆ふじわら広昭 委員  今、販売枚数や利用状況などが明らかになりました。やはり、夏休みや冬休みの期間あるいは土・日・祝日であったり、ことしは9月6日に地震が起きたり、また、天候などによっても大きく左右されるものと考えます。  昨年度、青少年科学館で実施したアンケート調査の250人の回答結果を見ますと、平成28年に、同科学館を年間で何回利用しましたかという質問に対し、1回から2回が100件で全体の40%、ゼロ回が91件で36.4%、3回から4回が42件で16.8%、5回から9回が13件で5.2%、10回から15回及びそれ以上を合わせると4件で1.6%となっております。また、保護者の来館割合は、女性が約76.5%、男性が約23.5%、保護者の来館目的は、子どもの付き添いが76.8%、家族サービス、レジャーが22.5%、この2項目で99.3%を占めております。  現在、中学生以下の観覧は無料、また、65歳以上の方と身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳を持っている方は減額対象となっています。また、展示室とプラネタリウムのセット割引観覧券などもあります。このようなことから、特に小学生までのご家庭では、保護者の負担が多くなっているのではないかと推測するわけです。  次の質問は、受け付けシステムの更新についてですが、ことしの予算特別委員会における現在の老朽化した受け付けシステムの更新についての質問に対し、受け付けシステムの更新も視野に入れる必要があるとの答弁がありました。  そこで、質問ですが、今後の受け付けシステム更新の見通しについて伺いたいと思います。 ◎鈴木 生涯学習部長  今後の受け付けシステムの改修見通しについてでございますが、発券や入場管理を行う受け付けシステムの更新につきましては、機器全体の老朽化も進んでおりますことから、平成32年度末までにはシステムを更新する必要があるものと考えております。 ◆ふじわら広昭 委員  ぜひとも、システムの更新を早くやっていただきたいと思います。  部長は以前もこうしたシステム関係の職場にいたわけですから、新しくソフトを開発するということもありますが、既存のパッケージとか、他の科学館でも活用しているものを一部改修するという方法もあると思いますので、ぜひとも、そういうこともあわせて取り組んでいただきたいと思います。  次の質問は、展示室とプラネタリウムをセットにした年間パスポートの導入についてです。  受け付けシステムを更新することは、年間パスポートを利用する際の混雑緩和や事務の簡素化を図ることにつながり、プラネタリウムについても、年間パスポートを導入しやすくなるのではないかと思うわけです。  そこで、質問ですが、受け付けシステムの更新に合わせてプラネタリウムの年間パスポートを導入すべきと思いますが、どのように考えているのか、伺います。 ◎鈴木 生涯学習部長  プラネタリウムへの年間パスポートの導入につきましては、安定した経営の確保の面や具体的な運用方法などについて検討する必要があるものと考えております。このようなことから、現在発行している展示室の年間パスポートの利用状況や収入の動向などを踏まえた上で、受け付けシステム更新後におけるプラネタリウムの年間パスポートの導入につきまして、指定管理者とともに検討してまいりたいと考えております。 ◆ふじわら広昭 委員  要望を申し上げて、次の質問に移りたいと思います。  青少年科学館が開館して、ことしで37年目を迎えております。37年目にして初めて、展示物の更新や学校教育との連携、施設及び設備等の機能充実などを盛り込んだ基本構想案が策定されましたが、今後、この基本構想に基づいて青少年科学館がリニューアルされ、これまで以上に魅力ある施設となることを多くの市民が望んでいると思います。  10月9日から11月8日まで、基本構想案に対するパブリックコメントが実施されております。当然、この素案をつくる際に山崎直子名誉館長にもご相談されたと聞いておりますが、パブリックコメントを経て、成案をまとめる際に、改めて山崎直子名誉館長にも助言やアドバイスを求めていただきたいと思います。  また、プラネタリウムと展示室を合わせた年間パスポートについてですが、先ほども申し上げましたように、女性の保護者の皆さんが約76.5%、男性は約23.5%という状況であり、こうした方々は利用料の減免対象にはなっておりません。ですから、多くの子どもが来たいということであれば、こういう方の負担軽減をするためにも、展示室とプラネタリウムのセットでの年間パスポートを導入する取り組みを改めて求めておきます。そのためにも、私どもとしては、予算の確保に向けて教育委員会としっかり連携していく必要があると思っておりますので、ぜひとも皆さん方にしっかり取り組んでいただくことを求めて、次の質問に移りたいと思います。  次は、2項目めの札幌市の幼児教育の推進についてです。  最初の質問は、札幌市教育振興基本計画に基づく前期5年間における市立幼稚園の成果と課題についてです。  私は、昨年の決算特別委員会で、札幌市の幼児教育を担っている幼児教育センターと市立幼稚園について質疑を行いました。札幌市は、2005年、平成17年に札幌市幼児教育振興計画を策定し、その後、平成26年3月に策定された札幌市教育振興基本計画に統合し、平成35年までの10年計画で、現在は、前期5年間の教育アクションプランに具体的な取り組みが示されております。  今年度は、前期の教育アクションプランの最終年で、現在、後期のアクションプランについて検討されております。その検討に当たっては、前期の取り組みを検証する必要があります。前期アクションプランに掲載されている幼児教育の取り組みは、幼児教育センターと市立幼稚園におけるセンター機能の充実があります。その内容は、幼児教育センターと市立幼稚園、認定こども園が札幌市の質の高い幼児期の学校教育を推進するためのセンター機能を担い、研究、研修の実施を初め、私立幼稚園訪問支援策などを通して、特別支援教育や小学校との幼保小連携の推進などが事業として記載されております。これらを具体化するために、市立幼稚園10園に幼児教育支援員という経験豊かな幼稚園教諭を各1名配置し、地域教育相談を初め、私立幼稚園などの要請に応じて訪問し、幼児への個別指導計画作成支援や特別支援教育の充実に貢献しております。  また、私立幼稚園の定員は約3万人で、現在の在籍児童数は約2万5,000人と聞いております。札幌市の幼児教育支援員が担当する私立幼稚園等訪問支援対象幼児数は、平成29年度で5,347人に及んでおります。このほかにも、保護者等の啓発として、未就学児の子育て広場、ポロップひろばも開設し、利用人数は5,789人となっております。  そこで、質問でありますが、市立幼稚園が担ってきた機能に関するこの5年間の取り組みの成果と課題について伺いたいと思います。 ◎長谷川 児童生徒担当部長  市立幼稚園が担ってきた機能の成果と課題についてお答えいたします。  札幌市立幼稚園は、市内各区における研究、研修や教育相談、あるいは幼保小の連携を推進する拠点となり、約150園の私立幼稚園等を含めて、幼児教育の水準の向上を図るための機能を担ってまいりました。成果といたしましては、市立幼稚園において蓄積してきた研究成果の発信や、幼児教育の理論や技術を学ぶ研修機会の提供などにより、望ましい幼児教育のあり方の理解が進むなど、札幌市全体でより質の高い教育実践が浸透してきていると認識しております。  また、今、委員からご紹介いただきましたが、特別な教育的支援を必要とする子どもが年々増加していることを受け、市立幼稚園教諭が私立幼稚園等を訪問して支援を行ったり、市立幼稚園におきまして地域の保護者の教育相談を実施したりすることにより、一人一人に寄り添ったかかわりができるようになってきているところでございます。  一方で、近年、いわゆる小1プロブレムなどの問題が生じていることや、小学校への円滑な接続を図る必要性が高まっていることを受け、入学時のカリキュラムの工夫なども進めておりますが、幼保小の連携につきましては、今後さらに取り組みを進めていく必要があると考えております。 ◆ふじわら広昭 委員  次の質問は、市立幼稚園10園の将来的な展望と、市立幼稚園教諭の採用と育成についてであります。  先ほど、市立幼稚園が各区の幼児教育の推進にかかわる重要な役割を担い、それぞれ成果を上げているという趣旨の答弁がありました。また、課題としては、幼稚園などと小学校との連携推進の一層の充実は、新幼稚園教育要領などでも、幼児期と児童期における教育の円滑な接続の観点から重要視されております。今後、これらの成果と課題を踏まえ、札幌市の幼児教育のさらなる充実を図っていくに当たり、研究実践園としての市立幼稚園の役割が一層重要になると言えます。そのためには、市立幼稚園10園の将来的な展望と、市立幼稚園教諭の安定的な確保や質的向上が大変重要と言えます。  私は、昨年の決算特別委員会で、市立幼稚園の正規教諭は、園長も含めて72名という実例を挙げました。今年度、改めて調べてみますと、20代が前年と同じくゼロ人、30代が4人、40代前半が15人、40代後半が17人、50代前半が16人、50代後半が18人、60代が1人、合計71人と、前年よりも1人の減となっております。今後、5年あるいは10年経過しますと、今申し上げた30代、40代の方がさらに年齢を増し、50代の方は10年足すと退職という状況になります。幼児教育支援員の知識や経験を継承するためには、いびつにならない年齢構成による幼稚園教諭の採用が極めて重要だと思うわけです。  そこで、質問ですが、今後の札幌市全体の幼児教育を推進していくために、後期5年計画における市立幼稚園10園の将来的展望と、市立幼稚園教諭の採用や育成についてどのように考えているのか、伺います。 ◎長谷川 児童生徒担当部長  市立幼稚園の将来的な展望と、市立幼稚園教諭の採用や育成についてでございます。  市立幼稚園のあり方につきましては、幼児教育の拠点としての役割や機能、将来的な展望なども含め、多様な観点から検討することを札幌市教育振興基本計画の後期アクションプランに位置づける見通しとなっております。  また、市立幼稚園教諭につきましては、市立幼稚園が質の高い幼児教育を推進するためのセンター機能を果たすことができるよう、幼児教育の実践を積み上げ、その成果等を普及、継承していくための人材として必要であるというふうに認識しております。  今後は、引き続き、子どもを取り巻く社会状況の変化や幼児教育に係る国の動向などを踏まえながら、市立幼稚園のあり方とあわせて、幼稚園教諭の採用のあり方についても検討してまいりたいと考えております。 ◆ふじわら広昭 委員  次の質問は、今後の札幌市における幼児教育の推進についてです。  今ほどの答弁では、幼児教育を推進する人材育成を重要な課題であると考えているということでした。また、市立幼稚園10園の位置づけについても、今後、5年の中で検討していくという趣旨の答弁がありました。今後は、市立幼稚園10園と、市立幼稚園教諭の人材の確保と育成を図りつつ、新幼稚園教育要領や幼児教育の無償化など、幼児を取り巻く社会の状況などの変化を踏まえて幼児教育を推進することが重要と言えます。  そこで、質問ですが、幼児教育を取り巻く環境が変化する中、これまでの成果と課題を踏まえ、札幌市の幼児教育を今後どのように推進していこうと考えているのか、伺いたいと思います。 ◎長谷川 児童生徒担当部長  札幌市の幼児教育を今後どのように推進していくかについてお答えいたします。  教育委員会としましては、認定こども園化や預かり保育の実施など、幼児教育施設や教育、保育のあり方が多様化しておりますため、そうした中、札幌市全体の幼児教育の質の確保、向上を進めていく必要があると認識しております。そのためには、今後も市立幼稚園の研究実践園としての機能を発揮することが重要でありますので、時代や社会のニーズを捉えながら見直しや強化を図っていく必要があると考えております。  また、幼児教育から義務教育までの一貫した教育を進めるため、幼保小の連携を一層深めることや、特別な教育的支援を必要とする子どもの早期からの支援を充実できるよう、各関係機関、関係部局と連携しながら幼児教育を推進し、札幌市の子どもたちの健やかな成長を支えてまいりたいと考えております。 ◆ふじわら広昭 委員  要望を申し上げて、質問を終わりたいと思います。  札幌市の幼児教育は、政令市の中でもトップクラスだと私は思います。なぜならば、一つには、幼児教育センターを設置し、そこには幼稚園教諭を指導主事として複数配置して、10園との連携をしっかりとっております。そういう意味では、私立幼稚園や多くの保護者との信頼関係もしっかり築いてきているのではないかと評価しております。後期の5年の計画の中で、教育委員会が市立幼稚園と一体となって幼児教育の推進に取り組むこと、また、そのために必要な人材の確保と育成のために、幼稚園教諭の採用をできる限り早く再開して、今後の札幌市の幼児教育の質の向上を目指すことを強く求めて、質問を終わります。 ◆太田秀子 委員  私からは、ALTの処遇改善について質問いたします。  教育委員会は、本市の公立小学校の5・6年生において、外国語活動の授業におけるネーティブスピーカー、いわゆる英語を母国語とする人が授業に参加する機会を設けるためにNON−JETのALTを配置しており、小学校3年生以上にも、外国語活動において活用したい場合には、NON−JETのALTが必要に応じて派遣されております。  我が会派は、ことしの7月、小学5年生でのNON−JETのALTの授業を視察させていただきました。子どもたちがとても生き生きとしていて、ALTの先生と子どもたちのコミュニケーションもとてもよくて、見ている私たちも本当に楽しい授業でしたし、感動しました。  希望されるALTがこのような現場で長く働けて、経験を積むことがさらに授業にも生きてくるであろうと改めて思いました。JETのALTは、外国語青年招致事業として国からの交付税措置があるALTで、学校教育部研修担当課、教育センターの所属となり、NON−JETは民間委託会社の所属です。  我が党は、このNON−JETは、JETに比べて給料が大幅に低く、極めて不安定な雇用であるため、その改善を求めてまいりました。  2016年、教育委員会の業務委託による外国語指導助手、NON−JETのALTの配置の改善についてを作成し、見直しが行われました。  それについて3点質問いたします。  2017年度の見直し事業に、複数年契約の導入が盛り込まれました。毎年の事業者の変更により、学校は、事業者ごとの教材、授業の進め方などへの対応が必要であり、ALTも、次年度の見通しが立たないため、それらを改善するものです。それにより、2017年度より受託業者と本市の契約が1年から2年になっています。  そこで、伺いますが、本年度に複数年契約を終えるに当たり、ALTや受託業者、教育委員会にどのような改善が見られたとお考えなのか、伺います。 ◎檜田 学校教育部長  いわゆるNON−JETの複数年契約を終えるに当たりまして、ALTの方あるいは受託者、教育委員会にどのような改善、メリットがあったかというご質問についてお答えいたします。  民間委託によるALTにとりましては、なれた環境あるいは同じ条件のもとで継続的に働く機会を得られるというメリットがあるとともに、受託者にとっても、長期的な見通しを持ってALTの雇用や安定的な業務の遂行が可能となっているものと考えております。  また、教育委員会にとりましても、札幌の学校、子どもたちのことを理解しているALTを小・中学校へ計画的かつ安定的に配置することが可能となり、より効果的に子どもたちの英語によるコミュニケーション能力の育成を図ることができるというメリットがあると捉えております。 ◆太田秀子 委員  ALTと委託業者の間では今までと同じ1年契約ですが、2017年に契約したALTがどれぐらい継続しているかを調べている資料をいただきました。そうしますと、72人が2017年度に契約していますが、そのうちの59人、81.9%が2018年度に契約を更新していますので、この数字を見ますと、改善による効果なのかなと思いました。  見直し事業の複数年契約の導入という項目では、導入当初は、複数年契約の検証を行うため、2年間で実施するとあります。今のご答弁を伺いますと、学校も事業者も、そして働くALTの皆さんも、ともに一定の成果があったという認識だと思います。  続いて、伺いますが、来年度に向けてどのようにするおつもりなのか、将来的に2年によらないこともあるのか、伺います。 ◎檜田 学校教育部長  契約が将来的に2年によらないこともあるのかというご質問でございますが、札幌市といたしましては、複数年契約のメリットを踏まえて、引き続き、複数年の契約等ができるよう進めてまいりたいというふうに考えております。  なお、契約の年数につきましては、札幌市の学校あるいは子どもたちにとって、より効果的にALTの配置が可能となるよう、他都市の動向も踏まえながら、引き続き検討してまいりたいと考えております。 ◆太田秀子 委員  続いて、社会保険の加入について伺います。  2018年1定の予算特別委員会で、2016年10月から社会保険の適用拡大が図られたと述べて、ALTの勤務は1日最大6時限であり、社会保険加入の対象になる方もいると考えるが、それに伴う必要な経費が委託費に含まれているのかとの我が党の質問に対し、当時の学校教育部長は、委託費は社会保険料も含めて積算していると答弁しております。  本市は、総合評価一般競争入札において、落札者を選定するための評価基準及び必要な事項を定めております。2016年12月末時点で雇用しているALTについて、厚生年金や健康保険への加入割合という評価に基づいての採点表を見ますと、入札業者であり、受託している株式会社リンク・インタラックのこの項目の評価はゼロです。ゼロというのは、雇用しているALTのうち、厚生年金や健康保険の加入者が3割未満であるということです。  そこで、伺います。  本市が委託費に含んでいる社会保険料は、ALTの社会保険料として使われるべきものと思いますが、いかがなのか。  あわせて、選定の評価基準に、このように厚生年金や健康保険への加入割合の項目が入っている理由をお聞かせください。 ◎檜田 学校教育部長  今、ご質問いただきました社会保険料に係る部分と評価基準の部分についてお答えいたします。
     ALTの契約に要する費用につきましては、賃金あるいは交通費等に加え、社会保険料も含めて積算しているところでございます。受託者は、適用法令を遵守し、契約を履行しなければならないということは、契約上、明記しており、社会保険につきましても、受託者において、法令にのっとり、適切に運用されているものと認識しております。  また、ALTの安定的な雇用や優秀な人材の確保につなげるため、契約に当たっては、労働時間や社会保険加入割合等の項目を評価基準に加えているところであり、今後も適切に評価を行い、児童生徒に対して生きた英語に触れる機会を安定的かつ効果的に提供できるように努めてまいりたいと思っております。 ◆太田秀子 委員  1カ月に30時間働いているALTの方が社会保険加入の対象になりますが、NON−JETのALTで働いている人は、全てが対象ではないとなっています。でも、およそ半分の方は該当するだろうと思われます。委託した本市の責任として、税金である委託費ですから、委託先が見込みどおりの賃金や社会保険料を払っていることを確認するのは必要なことです。今までとてもいい評価をされてきましたので、実態がどうなのか、きちんと監督してもらいたいと思います。  複数年契約で2年間に延びたのは、本市と事業者の契約ですから、ALTにとって次の契約があるのかどうかという不安は変わりません。安定した雇用と安定した生活ができる賃金が保障されてこそ、今、部長がおっしゃった優秀な人材が確保できるのだと思います。そして、委託という契約は、校長や担当教員がALTに、直接、相談や指導することはできません。一歩間違うと、偽装請負になるのです。ですから、私たちは、直接雇用に切りかえて、ALTと教員が直接話し合い、授業の準備ができる環境をつくり出すことが子どもたちによりよい授業ができることであると望んできましたし、これからもそのように検討していただきたいと思います。  夜間中学校については、午前中の質疑で複数の方が質問されましたので、質問いたしませんけれども、我が党から要望だけしておきます。  公立夜間中学の設置を求めることを長く熱望されてきた方たちは、なかなか設置が具体化されず、待ち遠しい思いでおられます。本市は、2019年度の札幌市重点要望、いわゆる白本で、国に対し、公立夜間中学の設置に向けた支援を求めているところです。しかし、国に求めるのと同時に、まず、札幌市として早く決断すべきだと思って聞いておりました。  午前中に、そのアンケートのことが出ておりました。アンケートをとってニーズを把握し、アンケートの結果を見て、関心のある方から電話などをもらっているとお話しされていました。私はそのアンケートを持っていますが、これには、公立の夜間中学があったら通いたいか、または、公立の夜間中学があったら知らせたい人がいるか、そういう人がいたらここに連絡をくださいと書いてあります。そして、裏には、お話を聞かせてくださる方のお名前、住所、電話番号かメールアドレスを書いて、ファクスか電話かメールでください、封筒でもいいですよとありますが、その封書も、自分で書いて、切手を張って出すわけです。これは、北海道教育庁義務教育課宛てに送るわけですが、これはちょっと集まりにくいだろうなと思いました。  先ほどニーズを把握してやるというご答弁がありましたが、余り返事が来なかった場合に、ニーズがなかったという片づけられ方をされてはいけないなと思いました。やはり、いつまでにつくるのかという決断をして、それに向けたスケジュールを立てて進めていく、その中にこのアンケートも参考にしていくということだと思います。  私からも、いつまでつくるのか、札幌市として早急に決断していただくことを要望して、質問を終わります。 ◆坂本きょう子 委員  私からは、市立札幌開成中等教育学校について質問したいと思います。  ふじわら委員からもありましたが、本来、理事者の席にお顔があってしかるべき学校施設担当部長の平野さんのお姿をきょうは拝見できません。議員になってから、随分いろいろと教えていただきました。感謝を申し上げるとともに、心からお悔やみを申し上げたいと思います。  部長、本当にありがとうございました。  それでは、開成中等教育学校の質問をします。  札幌初の公立中高一貫教育校として開校したのが2015年4月でした。それ以前にも、札幌市中高一貫教育校設置構想ということで、いろいろな議論を経た中で、開成高校を閉じて、中等教育校として生まれ変わる道を歩んでおります。  開校4年目になりますが、既に認定されている1年生から4年生向けの国際バカロレア、IBの教育プログラムであるMYPを取得し、さらに、ことし9月に、通常の高校の2・3年生に相当するのが開成では5・6年生になりますが、DP、ディプロマ・プログラムという国際バカロレア、IBの教育プログラムの認定を国際バカロレア機構から正式に受けたということです。国際バカロレアの導入に関しては、今のところ、こういう形で認定もうまく進んでいます。開校当初からの開成の理念を大切にしながら、国際バカロレアの教育プログラムを活用したさまざまな取り組みを進めている4年間だったと思います。  札幌の公立としては初の中高一貫校ですが、4年がたち、5・6年生向けのディプロマ・プログラムが正式に認定を受けたことから、学校の理念と、今進めている国際バカロレアの教育プログラムを導入するに至った理由について、改めてこの場で確認したいと思います。 ◎檜田 学校教育部長  開成の開校理念と国際バカロレア、いわゆるIB導入の理由についてお答えさせていただきます。  今後ますます、将来の予測が困難になる時代を迎え、子どもたちには、さまざまな課題に立ち向かい、他者と協働しながら主体的に解決する力を育むことが求められております。こうした力を育むため、開成中等教育学校は、大学受験の準備に偏することなく、中高の区分によらない6年間の連続した学びを生かして、将来の札幌や日本を支え、国際社会で活躍できる知・徳・体のバランスのとれた人材の育成を掲げ、開校いたしました。  国際バカロレア、いわゆるIBは、課題発見あるいは解決力、コミュニケーション力といったグローバル人材育成に必要な力を育む国際標準の教育プログラムとして、国際バカロレア機構、IBOが提供するもので、文部科学省もその推進を図っているところでございます。  そのため、開成では、6年間を通した課題探究的な学習を重点的に取り入れるための手段として、この国際バカロレア、IBの教育プログラムの認定を目指し、その教育理念や手法を活用することとしたところでございます。 ◆坂本きょう子 委員  開校の理念と国際バカロレアとの関係についてお話しいただきました。今の部長のご答弁の中では、やはり、6年間という連続した学びの中で、受験勉強に偏しない教育プログラム、学習の体制が大事だというお話があったかと思いますが、まさに、中高一貫校を設置するときのさまざまな議論の中心はそこにあったのだろうと思います。高校受験に特化せずに、本当に知的にも精神的にも肉体的にも伸び伸びといろいろなものを吸収していける時期に、いかに子どもたちの個性、能力を生かしていくのかというところに着目する中高一貫だったのかなと思っております。その体系、理念自体については、全く否定するものではないと思っています。  これが開成中等教育学校のパンフレットですが、この中に国際バカロレアのことについても一部記載がございます。多文化に対する理解と尊敬を通じ、平和でよりよい世界に貢献できる若者を育成する目的で、機構が国際標準の教育プログラムを編成しているということです。札幌で唯一の公立中高一貫校が認定を受けることは大変大切なことだろうと思いますし、グローバル化の進展等々というお話も先ほどありましたが、いかに国際人として札幌の子どもたち、若者を育てていくのかというところにもつながるとても大事なものだと思っています。  まさに、ことしの9月に、ディプロマ・プログラム、DPの教育プラグラムを認定するに至ったわけですが、開校初年度、すなわち1期生である現在の4年生がこのDPの授業を受けることになっていくわけで、これまでの4年間の学びの積み重ねがとても大事になってくると思います。まさに、この4年間は、この学校において、先生も新しい挑戦や取り組みの中で教育活動をやっていらしたと思いますし、子どもたちも胸をわくわくさせて学校で学んできたのだと思います。そして、最後の5年生、6年生に向かってDP、ディプロマ・プログラムを受けていくことになりますが、その間に子どもたちはさまざまな特色ある授業をもちろん受けてきたでしょうし、ほかの学校では展開できなかった教育プログラムがあったと思います。  改めて、国際バカロレアの教育プログラムを活用してどのような取り組みが行われてきたのか、成果などについても伺いたいと思います。 ◎檜田 学校教育部長  この4年間の開成の取り組み状況についてお答えさせていただきます。  開成中等教育学校では、これまで、繰り返しになりますが、IBの教育プログラムによる少人数のグループ学習を通して、互いの意見を交換し、多様な物の見方、考え方に触れるなど、生徒がみずから疑問や課題を持って主体的に課題を解決する学習に取り組んできたところでございます。また、英語を活用して多様な人たちとかかわりながら学びを深めていくことができるように、外国人講師なども活用し、理科あるいは数学などの学習においても英語を用いた授業を実施するなど、国際的なコミュニケーション力の育成に努めてきたところであります。  さらに、IBの教育プログラムでは、日常の学習と社会とのつながりについてみずから探究することを重視しており、職場体験など体験学習の場面におきましても、生徒同士でテーマを設定し、みずから体験先を探るなどしながら調査研究し、主体的な取り組みとなるよう工夫している、そうした取り組みを行っているところでございます。 ◆坂本きょう子 委員  今までの学校プログラムの中ではなかなか取り組めなかったような、本当に一人一人の生徒が主体的、能動的に動いていくこと、それから、教師と生徒ということではなく、生徒同士がさまざまなディスカッションを通じながら互いを尊重し、また成長していくというようなことが図られてきたのかなと思います。まだまだ途上だと思いますし、どういう形で成果が出てくるのでしょうか。教育ですから、それは点数的なもので評価できるようなものではないと思います。これから、まさに来年、再来年と、5年生、6年生を、そして今回の体制になってから初めての卒業生を出すというところで改めていろいろなところが問われてくるのかなと思いますので、そこら辺はしっかりと注視していきたいと思っております。  これは、公立高校ですから、もちろん開成中等教育学校だけがうまくいけばいいということではありませんし、そこだけ成果が出ればいいというものでもありません。やはり、中高一貫校が札幌市の公立学校の中にできたという意味を、市民の中にも、あるいは子どもたちの中にもしっかりと返していかなければならないと思っております。そういう意味では、今ほど部長がお話しされたような取り組みについては、全ての市立学校の子どもたちに還元され、共有していくことが必要だと思いますが、この開成中等教育学校の取り組みをほかの学校の教育現場にどのような形で普及させていくのか、聞かせていただきたいと思います。 ◎檜田 学校教育部長  開成の取り組みを他の学校にどのように普及していくかということについてでございます。  開成中等教育学校の取り組みの成果を、このたび、開校以来、IBの教育プログラムへの理解を深めるために、まずは、開成を会場として毎年実施している国際バカロレア機構、IBO主催の研修会に他の市立学校の教員も参加できるようにしたり、あるいは、初任者の教員に対して、開成の実践内容を研修プログラムの一部として組み込むなどの取り組みを進めているところです。  また、IBを活用したグループ学習の授業を進める場面で、開成の教員あるいは生徒が直面した戸惑いとか、それに対する解決方法をわかりやすくイラストにして冊子にまとめ、これを全ての小学校、中学校、高等学校に配布し、各校における研修とか授業での活用に生かしてもらうように図っているところでございます。  さらに、開校4年目の今年度は、これまでの取り組み成果を広めるため、第1回の実践研究大会を開催し、市立学校を含む国内外の教育関係者とともに、IBを活用した授業の進め方等についても議論を行ったところです。  今後も、開成で得られたノウハウを他校との共有を一層進め、全市の市立学校における課題探究的な学習の推進に役立ててまいりたいと考えております。 ◆坂本きょう子 委員  公開授業も国内外にということで、韓国から研修に来てくださったということも聞いております。こういうグループワークの冊子を配っているということですが、今、アクティブラーニングとか、部長が答弁された開成中等教育学校でやられていることは、一般の小・中・高でも取り組まれているものです。少人数のグループで、いかにお互いを尊重し合いながら自分の意見をきちんと述べ、そしてまた、そこから一定の方向性を見出していく、何か動機づけなども含めてつくっていくことが盛んに行われていると思います。そういう意味では、開成中等教育学校というものができた意味があると思いますので、これからも伸ばすべきところはしっかりと伸ばしていっていただきたいし、今学んでいる子どもたちが自分の能力をいかんなく発揮できるような、花咲くことができるような環境をさらに追求していっていただきたいと思います。  そして一方で、やはり、中高一貫校が設置される過程でさまざまな議論がありました。現実的には、今お話しされたいい面だけではもちろんないと思います。今、開校して4年目ですが、さまざまな見直しも必要になっていくだろうと思いますので、そこできちんと成果をアピールし、伸ばしていきながら、改善すべきところについては、現場の先生の声はもとより、いろんな立場、いろんな方の意見など、教育にかかわる多くの皆さんの声なども聞きながらしっかりと対応していっていただきたいということを申し上げて、終わります。 ○福田浩太郎 委員長  以上で、第1項 教育委員会費等の質疑を終了いたします。  以上で、本日の質疑を終了いたします。  次回の委員会ですが、10月18日木曜日午前10時から、市民文化局関係の質疑を行いますので、定刻までにご参集ください。  本日は、これをもちまして散会いたします。     ――――――――――――――       散 会 午後2時21分...