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平成30年総合交通調査特別委員会−06月28日-記録

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  1. 札幌市議会 2018-06-28
    平成30年総合交通調査特別委員会−06月28日-記録


    取得元: 札幌市議会公式サイト
    最終取得日: 2021-04-26
    平成30年総合交通調査特別委員会−06月28日-記録平成30年総合交通調査特別委員会  札幌市議会総合交通調査特別委員会記録            平成30年6月28日(木曜日)       ────────────────────────       開 会 午後0時59分     ―――――――――――――― ○福田浩太郎 委員長  ただいまから、総合交通調査特別委員会を開会いたします。  報告事項でありますが、堀川委員からは、欠席する旨、連絡がございました。  それでは、議事に入ります。  北海道新幹線についてを議題といたします。  本日は、北海道大学大学院工学研究院副研究院長の五十嵐敏文氏を参考人としてお招きしております。  本日の委員会の進め方としては、最初に、五十嵐参考人にお話しいただいた後、各委員から質問を受けたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  委員会を開催するに当たり、一言、ご挨拶を申し上げます。  五十嵐参考人におかれましては、ご多忙な中、本委員会への出席をご快諾いただき、心より御礼申し上げます。  本市議会においては、本市を取り巻くさまざまな交通課題に対応するため、特別委員会を設置し、活動しているところであり、本日の議題である北海道新幹線につきましても、報告を受け、議論を行ってきたところです。  五十嵐参考人には、土壌・地下水汚染の評価と対策の専門家としてのお立場からお話を伺いたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。  それでは、参考人をご紹介いたします。  昭和58年に北海道大学大学院工学研究院修士課程を修了され、財団法人電力中央研究所にお勤めした後、北海道大学大学院工学研究院の教授を経て、現在は副研究院長を務められております。また、建設工事における自然由来重金属等含有土砂への対応マニュアル検討委員会の対策・統括ワーキンググループリーダーを初め、さまざまな公職を務められるなど、土壌・地下水汚染の評価と対策、鉱山廃水対策の専門家として高い見識をお持ちでいらっしゃいます。  それでは、五十嵐参考人からお話をいただきます。よろしくお願いいたします。 ◎五十嵐敏文 参考人  過分なご紹介をいただき、まことにありがとうございます。
     本日、お招きいただきました北海道大学の五十嵐でございます。  私自身も、こういう場が初めてなものですから、うまくお伝えできるかどうか自信がございませんけれども、できるだけわかりやすく皆様方にご理解いただけるよう努力したいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。  本日いただいたテーマでございますが、北海道新幹線建設残土ということでご紹介させていただきます。詳細は、お手元の資料に詳しい中身を書いております。パワーポイントでお示しするのも同じ中身でございますので、もし見にくいところ等がございましたらお手元の資料をごらんいただければと思います。話はなるべく短くして、できれば45分以内で終わるつもりでおりますので、質疑に時間をとらせていただきたいと思います。  きょう、話題提供させていただきますのは、まず初めに、法律のことを少し簡単にご紹介させていただきます。  これは、土壌汚染対策法というものですが、我々は、簡略化して、通常は土対法と呼んでおります。それから、今回問題になっておりますのは、自然由来重金属が対象になっておりますので、自然由来重金属とは何かということ、この土対法に基づいて、汚染土とはどういうもので、非汚染土とはどういうものかということ、そして、土壌ではなくて、岩塊という岩石の塊、我々はそれに対して通称ずりとか岩ずりと言っておりますが、これは、汚染という言葉ではなくて、通常、要対策ずりとか無対策ずりとか、そういう形で使われることが多いです。それから、具体的な対策案としてどういうものがあるか、そして、特に北海道内を中心としてこれまで幾つか対策されていますので、その辺の対策事例の概要について簡単にご紹介して、最後に、課題についてご説明させていただきます。  これは、もともとの土壌汚染対策法は平成15年につくられたものでございますが、ちょうど平成22年に新しい土壌汚染対策法に改正されて、そのときに幾つかの改正点がございました。上のほうにそれを書いておりますが、このときの改正で一番問題だったのが、人為由来自然由来というものがあって、もとの土壌汚染対策法では人為由来が対象で、自然由来は対象ではありませんでした。ところが、改正法ではこの区別がなくなったということがそもそも問題の発端となっています。  ここで、自然由来とは何かということですが、項目としてはカドミウム、六価クロム、水銀、セレン、鉛、ヒ素、フッ素、ホウ素というものが対象になります。厳密に言えば、重金属ではないものも重金属等ということで含めておりますが、この中で、特にこれまで報告があったのがヒ素による汚染です。汚染と言ってはおかしいのですが、ヒ素の問題が非常に大きく、また、頻度が高かったということでございます。  土壌汚染対策法ですが、まず、土壌のほうから先に少しお話しさせていただきますと、法律でどういうときに対象になるかという項目がございますが、今、全国ではこの二つに区分されております。要措置区域と形質変更時要届出区域、この2種類の指定区域がありまして、要措置区域というのは、直ちに対策してくださいというものです。形質変更時要届出区域というのは、すぐには汚染が広がらないので、何らかの契機のときに対策を施してくださいというものです。全国では、それぞれ208カ所、2,044カ所ございます。北海道ではどうかといいますと、今回、札幌市ですので要措置区域は3カ所、そして、形質変更時要届出区域は9カ所あります。全国の208カ所と2,044カ所の地点は、環境省のホームページに一覧があるので、全部見ることができます。この一例ですが、そのうち、札幌市の件数は、例えばどういう分類なのか、どういう項目が対象元素となっているかとか、例えばどういう基準が満足していないかということも一覧表で見ることができます。現在、札幌市でもこれくらいの地点が指定区域として指定されております。  何でこういう指定区域、例えば要措置区域になるかというと、法律の中では、主に溶出量基準というものと含有量基準というものがございます。溶出量基準というのは、例えば、重金属等を含有する地下水を飲用することで健康リスクに影響を及ぼすということで、その該当する水を1日2リットル、70年間飲み続けたときに健康影響がないと判断されるレベルが基準値になっております。ですから、例えばヒ素で言いますと、0.01ミリグラム/リットルが飲料水基準にもなっていますし、汚染土壌を判定するための溶出量基準にもなっております。  もう一つの基準は、直接、これを食べることもあるかもしれません。故意に食べる場合はなかなかありませんが、大人で言うと1日100ミリグラム、子どもの場合は、例えば砂場で遊んで誤って砂を口に含むことがありますので200ミリグラム、万が一、摂取したとしても、これを70年間摂取したときにも健康には影響がないという基準として、ヒ素で言うと150ミリグラム/キログラム、土1キロ当たりに150ミリグラムのヒ素が含まれている量ということで、この二通りの基準がございます。これは、土壌の基準でございます。  そこで、今、我々は日常生活でどれぐらい摂取しているかということですが、例えば、基準ぎりぎりの0.01ミリグラム/リットルのヒ素を2リットル飲むと、我々は大体1日当たり0.02ミリグラムぐらい摂取します。また、基準ぎりぎりの150ミリグラム/キログラムのヒ素を食べると、1日大体0.015グラムです。食べ物からはどうかというと、やはり、魚介類とか海藻、あるいは米等の食べ物にも若干のヒ素が含まれますが、いろいろな統計的処理をしたり、あるいはアンケート調査などのいろいろな市場調査をすると、日本の平均的なヒ素の摂取量は約0.2ミリグラム/日ぐらいらしいのです。そして、飲料水と食べ物では大体1対10の割合、すなわち食べ物から9割、飲み物から1割ぐらいを摂取しているような状況なので、そのうちの1割分は必ず安全なものでなければいけないということで0.01ミリグラム/リットルという基準が定められております。  もしこの0.01ミリグラム/リットルよりももうちょっと濃度が高いものを摂取したらどうかということです。これは、日本ではなく、バングラデシュの例ですが、皮膚疾患が発生します。いろいろな情報から言うと、10年ぐらいヒ素を含む水を飲み続けると、10年間は大丈夫だけれども、10年間を過ぎたごろからこういう皮膚疾患を発症するということで、日本のいろいろな団体も、いかにこのリスクを減らすかということで協力しているようです。ヒ素に関して言えば、今、こんな情報がございます。  もう一つ、今まで、土壌汚染対策法の中では、粒径が2ミリメートル以下のものが土壌と定義されているようです。ただ、岩ずりというのは、皆さんも想像がつくように、本当に大きい塊から、数十センチ、数メートル、もちろん細かいものもあって、粒度分布が非常にばらばらなことから、実は、こういう岩ずりに対しても何か対策が必要ではないかということになりました。しかし、基本的には、法律では少し難しいということで、平成22年に国交省がその対応マニュアルをつくりました。ですから、法律はないのですが、国交省の自主規制として、今現在、いろいろな要対策ずり、無対策ずり、あるいはその対策法などが提示されているのは、ちょうどこのマニュアルに準拠しているところでございます。  試験ではどうかというと、土はそのまま水につけて浸透させ、反応させて溶出させるのですが、ずりの場合は、通常は、わざわざ2ミリ以下に細かく砕いて、土壌と同じような性状にしたものを試験に供しております。  もう一つ、改正土対法でちょっと問題になりますのは、自然由来人為由来ということです。人為由来というのは、もともとの土壌汚染対策法の精神をもとに、人為的に汚れているものはきちんと浄化しなさいということを反映した法律ですが、これは、汚染されていない前の状況に修復することを目的としております。  ところが、これを自然由来にも適用すると、幾つか問題点が出てきます。その一つは、ある地層が汚染されているとして、その汚染範囲が非常に広いし、また、汚染前のもともとの状態がわからないので、ちょっと評価しがたい。もちろん、環境省が言うようにリスクの低減は必要ですが、どこまで浄化すればいいかがなかなかわかりにくい。もう一つ、最大の問題が責任の有無です。これは自然のものだから、誰も責任はとれません。そして、その修復費用は誰が出すかということが非常に大きな問題になっております。通常の公共事業では、我々の税金を使って、できるだけ周辺の住民に迷惑がかからないように税金で対応しているのが実態でございます。ただ、民間の場合はどうかとなると、また非常に難しい問題が出てまいります。  このように、土壌と岩塊という問題と、自然由来人為由来ということが複雑に絡み合っているということがございます。  実は、国交省マニュアルで定義しているのは、トンネル掘削などで発生量が膨大となるものです。もちろん一部の土砂も含みますが、特にこういうトンネル掘削に伴うものは主に国交省マニュアルで対応しております。これは、岩盤などがそうですが、特に今回の新幹線の問題で言うと、札幌市の場合は手稲区でも富丘より西のほうが岩盤になってきます。逆に言うと、ちょうど富丘のほうからずっとJRの線路伝いに地下を掘削してきますが、そうすると、西区、中央区では余りかたくないような地盤が出てくると思います。また、全然話が違いますが、やはり、しゅんせつ土というのが問題で、これは特に豊平川が大きな問題になります。このほかにも、鉱山がたくさんありますねと言われます。例えば、手稲鉱山を初めとして、小樽から倶知安まで行く間に幾つかの鉱山があります。ただ、鉱山の場合は、土壌汚染対策法というよりも、鉱業権ということで、それは法律の対象が全く違うので、現状では別扱いになっております。  ですから、札幌市内の場合は、岩の場合と未固結の地盤の両方が対象になってきますが、実は、こういうような状態について、産業技術総合研究所で2000年ぐらいから分析しています。これは、地球化学図と呼ばれているもので、河川堆積物のヒ素全含有量を分析した北海道バージョンのものを持ってきました。この色分けがヒ素の堆積物中の全含有量となりまして、赤い部分は濃度が高いのです。これはどういうことかというと、河川堆積物中というのは、上流のいろいろな地質の条件を反映していますから、上流で地質的にヒ素が非常に高いところは赤く出てきます。そして、カルデラ湖も含めて、特に火山地帯で非常に多くヒ素が検出されます。このあたりがちょうど札幌市内で、後でまた詳しく図をお示ししたいと思いますが、札幌市等はヒ素の潜在的な含有量が非常に高いことがわかります。  同じように、鉛はどうかというと、鉛もヒ素と余り変わらないような状況のところに分布しております、クロムは少し意味合いが違いますので、分布状況が違います。  それでは、札幌市内はどうかということです。実は、土壌汚染対策法が出された後に、札幌市環境局が非常に頑張られて、札幌市内の実態を調べました。いろいろなマークが描いてありまして、これは分析するためのサンプリング地点ですが、特にヒ素に注目して、平成16年度から20年度にわたり、余り空白地帯がないように分析しました。そうすると、左の図にありますように、黒丸の大きいところが土に含まれているヒ素の含有量が多いところです。左の図は、そのヒ素の量に対して、溶出試験をして溶出濃度がどれぐらいかという相関をとったものです。そうすると、必ずしもきれいな相関はとられておりませんが、ヒ素の含有量が多くなるとヒ素の溶出量もふえるという特徴があります。  すなわち、これがJRの線路ですが、極端に言いますと、線路の北側部分、一部手稲ですけれども、そこでヒ素の含有量が大きいという実態になります。ですから、南区等は余り問題ない、しかし、JRの北側は、潜在的にと言いますか、実態としてヒ素の含有量が多いということです。  当時、土壌汚染対策法が改正される前の環境省の意向としては、バックグラウンドの値、すなわち地域によってもともとの濃度が違うのではないか、産総研等で指摘されているように、火山地帯とか平野部とか山間部などそれぞれの地域で違うだろう、だから、そういう違いを想定した上で各地方自治体の規制の方向を検討してくださいということで、当初の土壌汚染対策法はそういう指示でした。ですから、札幌市環境局ではここまで詳しく調査していただきました。つまり、本来的に言うと、現状の自然状態での値よりも濃度が高くなるのが汚染であって、これくらいの濃度であれば汚染とは言えないと。  ただ、札幌市の北側は、どうもヒ素濃度の値が高いということであります。何で高いかということですが、これは水道局等の事業でもそうなので、皆様もご存じの方が多いと思いますが、いろいろな要因があります。例えば上流に国立公園がありますので、風光明媚だということは、逆に言うと変質帯がいろいろありますし、温泉もあります。鉱山廃水は処理されているので最近は問題ないですが、豊平川の上流から供給されてきたものが、ちょうど豊平川扇状地の線路よりも北側のところにずっと沈着してしまうということで、自然の原理で北区、東区の北側でこういうものが多く濃縮している状態になっています。  先ほどの札幌市内の分布は、もちろん汚染されていないところでサンプリングしていますので、人為的な汚染は含まないようなところでの結果となります。  こういうような札幌市の現状の中で、パンフレットからとってきましたが、北海道新幹線は、新函館北斗から札幌までの全体が211キロメートル、そのうち160キロぐらいがトンネルという実態です。先ほどの地球化学図と呼ばれている図と重ね合わせると、どうも倶知安から小樽、札幌あたりはかなり潜在的なリスクが高そうだなというようなことが推察できるわけでございます。そして、特に、今回は札幌市ということで、もともとは手稲トンネルでしたが、これを札幌駅近くまでトンネルにして、全長26キロの札樽トンネルができます。26キロのトンネルを掘るということは、26キロ分の発生土が出てくることになります。  さらに、今、もしうまくいけばもう少し前倒しするとか、あるいは、速度を高速化するような議論がありまして、非常に便利になりますけれども、実は、こういう議論は北海道新幹線だけではありません。毎日新聞の記者が中央リニア新幹線について検討していますが、中央リニア新幹線建設残土東京ドームの50杯分になるということでございます。この部分の記事を拡大すると、各県ごとに発生量を積算しておりまして、その結果、合計が5,680万立方メートルとなります。中央リニア新幹線は246キロで、北海道新幹線が160キロで約210万立方メートルですから、問題ないものも含めた全体量として東京ドーム20杯分ぐらい出てくることになります。  こうした事業があるので、国交省としても、マニュアルを整備するときにはかなり迅速に、本当に数年という短期間でまとめております。そして、自然由来重金属を含有するもので、岩石、土壌及びそれらの混合物がマニュアルの対象になっています。これは、なぜかというと、岩石と土壌をそれぞれ分けて掘削することができなくて、トンネル入り口付近だとある程度の土砂もまじりますから、そういったものに対してマニュアルをつくったということであります。  ただ、法律の対象ではありません。なぜかというと、法律では、自然状態で2ミリ以下のものを土壌としていますが、これは岩塊なので物が違うということから、法律がないために自主規制を行ったということです。当然、岩石と土壌は物理的にも違いますし、化学的にもいろいろ違いが出てまいります。特に、トンネル掘削ずりについては、札幌市は別として、主に市街地から離れたところで出てくることと、掘り始めたら一挙に出てきます。これは溶出量基準ですが、例えば基準値が0.01とか0.02とか、通常は数倍ぐらいの範囲内の濃度が比較的薄い状況で、わずかに基準値を上回るということでございます。そして、人はほとんど住んでいないところが多いです。  対策としては、最終的には盛り土するか、リサイクルするかということになります。今までどういうふうにしてきたかということですが、15年ぐらい前までは、遮水というか、水を通さない対策で、くるむということをよくやっていました。最近は、重金属を溶け出さないようにするとか、溶け出してもそれを吸着するようなものを天然材料や人工材料を使って検討するとか、あるいは、周辺地盤にも重金属の吸着能がございますので、そういったものを活用して評価するような方法、あるいは、発生したものに含まれているのだったら、少し洗浄してはというような方法もあります。こうした方法が今使われておりまして、国交省のマニュアルを踏まえて、北海道のいろいろな業界の人たちも、皆さんがより具体的に使えるように、いろいろなマニュアルをつくったり検討を進めていました。  ここで、私が知っている対策事例を幾つか紹介させていただきます。  これは、東北新幹線の八戸から青森までの八甲田トンネルでどういう対策をしたかということです。ここは、典型的な例として重金属を含む岩ずりがありました。この外側にもずりの山がありますが、これは全く問題ないずりでした。  そこで、問題がある重金属を含むずりを、シートと不織布ということで二重シート、三重の不織布、さらに中に砂を入れます。砂を入れるというのは、シートが破れたら困るから、砂を入れて、さらに不織布を入れます。岩塊なので、その岩塊の角に当たってシートが破れないようにしておりますが、八甲田トンネルではほぼ100%にこの対策をとっております。  最近、開発局等でよく使われているシートでくるむというのは、ちょっとだめです。  これは、道路トンネルの例で、高規格道路あるいは高速道路などが相当しますが、自分のところで建設発生土の量を減らさなければいけませんので、掘ったものを自分のところに盛るわけです。ですから、平地部分の高速道路は一段高くなっています。あれは、わざと高くしているわけではなくて、トンネルで掘削したものをあそこに埋めて発生量をなくしております。ですから、一種のリサイクルです。そういうことで、ここに入れたとき、例えば雨がしみ込んだりして下にヒ素が出てきても、それをうまく捕捉するような材料を置いて周辺には広がらないようにしようという対策が非常によく行われるようになってきています。  これは典型的な模式例です。  今、ほかにもいろいろな薬剤が開発されていますが、これは、セリウム系の薬剤を用いて、下にセリウムと周辺の表土をまぜた吸着層みたいなものをつくり、その上に土砂を盛っている例でございます。  これは、泥岩ですが、泥岩もちょっとヒ素を出すということで、泥岩にこういう白色の薬剤をまぶして、それを下に敷き、この上に泥岩を乗せますが、この層で出てきたヒ素を吸着する対策を行っております。  これは、マグネシウム系で、まだマグネシウムを入れていなかったのですが、これからマグネシウムを入れて、ずりを上に乗せていきます。  このように、ヒ素を溶出するような岩石は道内のあちこちに出てまいります。  これは、道路の例ですが、セリウム系の薬剤をここの表土とまぜて使って、この上に泥岩を乗せているような状態でございます。  国交省では、特に最近、もう少し合理化できないかということで、国交省のマニュアルで紹介されておりますのは、こういうふうに盛り土をして、最終的に、例えばヒ素などが移動してくるけれども、きちんと管理している区域の中では何らかの将来的な対策ができるので、常にモニタリングしながら、周辺地盤の吸着能を使って問題ないところは特に対策をとらなくてもいいのではないかという議論もされております。  典型的な例として、音威子府バイパスの例を持ってきました。これはコストの試算例でございますが、シートでくるんだ場合、ここの現場では1立米当たり1万円ぐらいかかるそうです。人工資材の吸着材を用いて対策した場合は7,000円です。ところが、ここは周辺に天塩川があります。天塩川のしゅんせつ土は余計なものだから、それをうまくリサイクルできないかということで、それを使った場合、調査費はちょっとかかるけれども、材料費はゼロなので、仮に河川のしゅんせつ土を使った場合はどうか、いろいろな悪条件のもとで評価しました。すると、これでも十分やっていけるということで、現在は天塩川のしゅんせつ土を吸着層として使って対策しております。  ここでポイントになるのは、1立米当たりの単価です。先ほどちょっと申したように、北海道新幹線東京ドーム20杯分ぐらいなので何万立米かが出てきますが、そうすると、その何万立米掛けるこの単価になりますので、実際の対策費は物すごい金額がかかってしまうという実例です。  これは、また別の現場です。ヒ素を溶出しますが、周辺地盤を活用してヒ素を含む建設残土をこれだけ盛っています。上はもう開通しましたので、周辺の井戸でモニタリングしておりますが、現状で特に問題ないと報告されている事例でございます。  そのためには、いろいろと工夫しなければいけません。すぐに持っていけないときには仮置きをしますので、仮置きのときの管理も非常に重要だと考えております。これは、実際の写真ですが、仮置きの現場の一つの典型的なイメージでございます。  それから、新幹線の場合、もう一つ重要なことがあります。すごくわかりにくくて申しわけありませんが、道路や電力というのは管理するのが同じ組織なのです。例えば、国がトンネルをつくって盛り土場をつくったら、その後もやはり国が維持管理をします。ところが、鉄道の場合は、鉄道・運輸機構が新幹線をつくり、最終的にはJR北海道にその維持管理を任せることになっています。そこが違います。道や札幌市もそうですし、国もそうですが、自分のところで維持管理できます。電力もほとんどそうですね。ところが、新幹線の場合には引き継がなければいけません。そうすると、今のJR北海道に対して、いかにその負担を軽減しなければいけないかということも非常に大きな課題の一つになってございます。  そのために、法律に基づいていろいろな試験をしております。こういうビーカー試験もやっていますし、カラムを使って、上から水を与えて、下から水を回収して、どれだけヒ素が出てくるかとか、どれだけ吸着されているかという試験もしております。それでは現場の条件を反映していないのではないかということに対しては、現場にカラムを持ち出して試験をしたり、あるいは、こんな小さなスケールではわからないではないかということに対しては、しようがないから盛り土してみましょう、盛り土をしてどれだけヒ素が出てくるか、どういうような対策がいいのかということを少し検討してみてはどうかという形で試験をやっております。  これは、最終的な受け入れ地といいますか、土捨て場といいますか、その一つです。現に使っているところなので問題ないと思いますが、採石場の跡地です。採石場の跡地というのは、私も何カ所か行きましたが、非常に劣悪です。見た目にも、本当にこんな状態で放置していいのかと思うぐらいひどいです。だから、受け入れてくれるということもあります。  しかし、こういうところに対して、受け入れてもらえれば何らかの環境修復等をする、それができれば重金属を少し含んだ岩石でもいいのではないかということです。例えば、今、札幌市内でも受け入れ地で非常に難航しております。そういう中で、対象地について、受け入れ地ですよ、あるいは土捨て場ですよということだけではなくて、少し付加価値をつけて公園にするとかですね。もちろんこれには対策が必要ですが、少し市民に親しんでもらえるような、そういう跡地利用を考えるのが非常に重要な課題ではないかというふうに思います。  もう一つは、正のイメージと負のイメージがあります。マスコミ関係などは、今、報道していますが、非常に批判的なのですね。どんな事業でも、例えば開通して非常に便利になったら、当然、それに対するデメリットもあります。そこをいかにバランスよくうまく検討していくかというのが、非常に重要なことではないかというふうに思っております。  非常に駆け足でいろいろな情報を提供させていただいて混乱を招いたかもしれませんが、もしご不明な点等があればお聞きいただければと思います。  以上で、ご説明を終わらせていただきます。 ○福田浩太郎 委員長  五十嵐参考人、どうもありがとうございました。  どうぞ、ご着席いただければと思います。  それでは、参考人に対する質問を行います。 ◆村山拓司 委員  長時間にわたってのご講演、ありがとうございました。  先ほどのご講演にもありましたが、札幌市内トンネル工事で210万立方メートルぐらいの土が発生すると想定されておりますけれども、札幌市は、ほかの地域と比べて要対策土が出る可能性が高いのかということと、あわせて、要対策土はどの程度あると想定されるか、教えていただければと思います。 ◎五十嵐敏文 参考人  わかっている範囲でお答えさせていただきます。  札幌市内の特徴として、やはり、豊平川の上流からのヒ素の供給があるということで、ここのサンプリング地点でもわかりますように、他地域に比べますと、ヒ素のバックグラウンドといいますか、自然状態の含有量がかなり高いので、ちょうど手稲から西区、中央区に至るまで、このデータから見てもヒ素の出る可能性は非常に高くなっています。なおかつ、手稲区には鉱山もありますから、かなり高いのではないかということがわかります。  ただ、具体的に掘削量の何割が対策土かというと、いろいろ評価をしておりますが、実は、通常は、道路トンネルは、大体1キロから2キロ、そして、トンネルの標高から地表面までの標高はそんなにないものですから、事前に地表面から縦方向にボーリングを掘って調査して、掘削する前から大体何割はヒ素が超過します、何割は超過しませんということがわかります。しかし、新幹線の場合は非常に長いトンネルなので、地上から調査しても、ほんの先端だけがトンネル区域に該当するということで、調査が非常に難しいものですから、現状だと100%はわかりません。だから、対策が必要かもしれないけれども、対策が必要ではないかもしれないということで、そのあたりは、今、掘りながら検討することを考えられているそうですが、掘って判定しながら進めるということですから、現時点で何割ぐらいが要対策土かということはなかなか答えにくい、今はそういう状況かと思います。 ◆村山拓司 委員  現在、札幌市内の発生土の受け入れ先は中央区の盤渓地区のみしか決まっていない状況であります。  そこで、受け入れ地の確保に関して、札幌市の都市規模や地理的条件などを踏まえて、札幌市では特にどのような課題があるのか、教えていただければと思います。 ◎五十嵐敏文 参考人  それに関しては、余り明確なお答えを持っておりませんが、まず、実態としてこういう状態にあるということと、また、採石場の跡地がどういうところにあって、その状態をいろいろ見ながら検討していくことが必要ではないかと思います。特に、札幌以外の北海道の他の市町村と比べて、やはり市街地の中を工事するということです。そういう意味では、地域住民と十分な議論をした上で、十分な安全性を確保した上で実施しなければいけないのではないかというふうには考えております。 ◆村山拓司 委員  JR北海道は2030年度末の新幹線開業を目指している状況でありますが、発生土の受け入れ先の確保ができなければ開業自体がおくれるといった懸念もあると思います。  そこで、受け入れ地の確保に向けて、特にどのような観点を重視して取り組む必要があるのか、わかれば教えてください。 ◎五十嵐敏文 参考人  ちょっとお答えにくいのですが、やはり、地域住民と十分な協議をして、きちんと対策をするのであれば全く問題ないということをご理解していただき、その上で、その地域について、ただ掘削土を処分したところだということではなくて、それをもっとアクティブにいろいろな施設として有効活用するとか、そういうことで負の遺産を正のものに変えていくような考えが必要ではないかなと。そのためには、やはり、十分な市民との議論が必要だと思いますし、それにはかなり時間がかかるということで、前倒しというのはなかなか難しいと言われているのではないかと思います。技術的にはかなり頑張ればという気もしますけれども、市民とのそういう協議を踏まえて進めていくことがまず大事かなというふうに考えてございます。 ◆村山拓司 委員  最後の質問ですが、無対策土の搬入先が盤渓地区の1カ所だけ決まっているということですけれども、実際には要対策土を受け入れる先はまだ決まっていない状況で、もし要対策土が出てきたときに、恐らくダンプトラックなどでそれを受け入れ先まで運ぶことになると思います。  そこで、実際に要対策土を運搬するときに、どのようなことに配慮しなければいけないのか、また、運搬する最中に沿線地域に何かしらの影響が生じないのか、教えていただきたいと思います。 ◎五十嵐敏文 参考人  ただいまのご指摘ですが、通常の汚染土壌の搬送というのは法律にのっとってきちんとやっております。例えば、ダンプカーから汚染土壌が漏れ出さないとか、掘削土がきちんとシートの中におさまっていて飛散させないとか、あるいは、工事現場等では通常どこでもやっておりますが、タイヤを洗浄するとか車体を洗浄するとか、そういったことは本当に山間部の現場でもやっております。ですから、搬送に関してはそういう法律がありますので、それに準拠してやっていけば問題ないかと思います。  あとは、交通がかなり混雑するということですが、それは、どこからどこに持っていくかとか、どういう道路かにもよりますので、今の時点でどういうことが想定されるかということはなかなか考えが及びません。盤渓地区のほうでは、通勤・通学時間帯は避けるとか、余り交通渋滞にならないような工夫をするとか、そういうお話をいろいろ伺っておりますので、現状でお答えできるのはその程度でございます。 ◆かんの太一 委員  五十嵐先生、詳細な説明をまことにありがとうございます。  北海道新幹線の事業は、札幌市のまちづくりにおいても大きな影響がありますが、やはり、市民の方々にとって安全・安心にこの事業が遂行されることが非常に重要だと思いますので、このようにご説明いただいたことに、まずはお礼を申し上げます。  そこで、いただいている資料に沿って少し質問させていただきたいと思いますが、パワーポイントシートの6番に、汚染土か、非汚染土かというところがございます。その中で、先ほど溶出量の基準であるとか含有量基準のことをご説明いただきましたが、今回の北海道新幹線の事業において、発生土の試験のサンプル採取方法とか試験頻度、また、試験頻度設定の根拠について、わかれば教えていただきたいと思います。 ◎五十嵐敏文 参考人  ただ一つのデータで、いい、悪いとか、もしよくても、もうちょっと厳密に詳しく分析すればだめになるのではないかとか、そのあたりはご指摘があるところでございます。  ただ、基本的には、地質の状況にもよりますけれども、かなりの数といいますか、データの質だけではなくて、データの量が本当にその地質を代表するものなのかということで詳しく検討しているようでございます。例えば、一日に発生するずりの量に相当するような分を、毎回、きちんとチェックするとか、事前にも、地質が簡単なところは50メートル置きに測定する、あるいは、複雑なところは10メートル置きに測定する、その10メートル、50メートルというのも、全体を平均化するために例えば10メートルであれば2メートル間隔で試料をとって、それを混合して分析するということで、現状はできるだけ均質なずりの性状を有するような形でデータをとっていると伺っております。 ◆かんの太一 委員  続きまして、25のシートですが、岩ずりへの適用対策例といっているようなところがございます。  要対策土の対策工について、こちらのシートにもあるように、遮水とか吸着層対策などさまざまな対策工があることが先ほどからのご説明でわかったところです。そういう中で、事前の試験結果とか受け入れ地の状態とか評価などによってどの対策工を選択するのかということが決定されると思うのですが、施工後のモニタリング調査については、どのくらいの期間が必要であるかということと、また、モニタリング結果が当初の想定と反して基準値を超えた例がないのか、教えていただきたいと思います。 ◎五十嵐敏文 参考人  土壌汚染対策法でもそうですが、実は国交省のマニュアルもそれに準拠して定めておりまして、特に濃度の変動等がなくて基準値以下の期間が2年間続けば、法律の中ではモニタリングをやめてもいいというような記載がございます。ですから、基本的には、それに従って2年間でやめている例があるようです。しかし、地元との調整、協議もあって、地元の理解が得られないとすぐにやめるということはなかなかできませんので、地元と協議しながら最終的にモニタリングを終了しているのが実情かと思います。  私が聞いているところで言いますと、どうも、土壌汚染対策法も、モニタリングは2年間ではなくて5年間に延ばされるという法律の改正があることが指摘されているようです。ですから、法律が変われば、モニタリング期間も確保されるようなことになるのではないかと思います。問題がなくても2年間は必ずモニタリングを継続する、なおかつ、地元のご理解も得るということだと思います。 ○福田浩太郎 委員長  先生、今の質問の中では、超えた例ということも聞いておりました。 ◎五十嵐敏文 参考人  超えた例というのは、私自身は伺ったことがありません。報道等で出ているのは、仮置きしているときに、何か、雨でちょっと漏水したということはありますが、道内では、通常の仮置きしているところ、なおかつ、最終的に処分したところで基準値を超えたという情報は、私は持ち合わせておりません。 ◆かんの太一 委員  今、モニタリングの期間は法律上、2年間であり、地元との協議で理解が得られない場合はその期間に縛られないということでした。今後、その法律が5年間に延びるかもしれないというようなことでしたが、それは、地元の意向などを勘案して法律も改正するようなことを検討されているのか、知っていることでいいので、少しご意見を聞かせていただければと思います。 ◎五十嵐敏文 参考人  これは、私は環境省の土対法の委員会のメンバーではないので、直接、私が伺っているわけではなく、そのメンバーから間接的に伺ったものですから、私はその理由等について把握しておりません。 ◆かんの太一 委員  続いて、対策工のことですが、シートの28番に吸着層工法模式図というところがございます。これについてもご説明いただきましたが、図に描いてある吸着層の一番下に、吸着層の厚さが30センチで、現地発生土と吸着材を使ってと書いてあります。  そこで、この吸着層の吸着力ですが、経年劣化などによって低下しないのか、また、一度吸着した重金属等が再溶出することがないのかどうか、教えていただけますでしょうか。 ◎五十嵐敏文 参考人  非常にそういうご心配があることはよく存じ上げております。  現状は、いろいろな室内試験で結果を整理して吸着能の評価をしておりますが、実は、モデル化をするに当たりまして、吸着したものは全て脱離するという前提で評価しております。ですから、吸着層というのは、一度吸着したらもう二度とそこから溶出しないということではなくて、一旦はそちらで吸着されますが、周辺の濃度が薄くなればまた徐々に漏えいしていく、そういうような評価をしております。すなわち、重金属のピークの濃度があるけれども、そのピークの濃度を下げて少しずつ基準値以下で出している、そういう評価をして、それで問題がないという判定を通常はしております。実際のところ、もう一回、再溶出するというのは非常に考えにくいことではありますが、今は、再溶出するという前提での評価になっているということでございます。 ◆かんの太一 委員  最後の質問になりますが、今の吸着層の工法とあわせて、遮水シートなども工法としてあるということでした。要対策土をシートで覆って、そのシートの耐用年数ですが、それはどのくらいのものなのか、50年とか100年とか遮水の性能が保証されているものなのかどうか、教えていただけますでしょうか。 ◎五十嵐敏文 参考人  私が存じ上げているのは、国産で言うとブリヂストンだと思いますが、国産のメーカーは、どれぐらい耐久性があるか、ある程度の実験等をしていると伺っておりまして、その結果がどれくらいなのかというのは、例えば年間0.何ミリ劣化するだとか、多分、物すごい小さな数値で評価されているのだと思います。一方で、外国産のものに関しては、余りそういう知見がないということを伺っております。  いずれにしても、どれぐらいもつかということはなかなか難しくて、私も100年間は大丈夫ですと言えるほど、今はそこまでの知見は持ち合わせておりません。ただ、半永久といいますか、何十年もつかというのは非常に難しい回答になるのではないかと思います。 ◆わたなべ泰行 委員  五十嵐先生、ご講演ありがとうございました。大変わかりやすくて、勉強になりました。  私からは、要対策土と無対策土の管理についてお伺いさせていただきます。  最初に、要対策土ですが、私の認識では、要対策土の管理は、やはり、外に漏らさないように、そしてまた拡散しないように努めていくことがとても重要だと認識しております。しかし、先日、八雲町の新幹線のトンネル工事で、要対策土を仮置きしている場所から濁水が発生して近隣の河川に流出した事例があったと伺いました。  こういった実際に起きた事例を踏まえて、要対策土の施工管理を適切に実施していくためにはどのような点が重要になっていくのか、伺いたいと思います。  もう1点は、先ほど吸着層のお話を伺いましたが、吸着材とか不溶化材を無対策土に混入していくのは現場で作業をされると伺いました。何か、メーカーとかどこかの工場でちゃんと品質管理をしてつくったものを持ち込み、現場で混入していくときの品質管理について、現場では、先ほど先生のお話にあった吸着材の効果を正しく発揮させていくための管理をどういうふうにやっていくのか、まず、この2点を伺います。 ◎五十嵐敏文 参考人  まず、初めのご指摘の適切な管理ということですが、最終的にきちんと処分すればいい、土捨てすればいいというだけではなくて、今までもご指摘いただいたように、いかにきちんと適切に運ぶか、もう一つは、きちんと仮置きするかということだと思います。  立岩トンネルにおきましては、仮置き中の濁水の問題がいろいろ言われております。私も現地を見せていただきましたが、近年の異常気象等もありますから、例えばシートをかけているからいいとか、そういう議論ではなくて、それはもちろんそうだけれども、万が一のときにもちゃんとバックアップをするためのこういう対策がありますということを地元にきちんと説明していかないと、受け入れというのはなかなか難しいと思います。そういうことは、余り節約をせずにといいますか、必ず、基本的にはこういう対策でいい、しかし、何らかのときには、例えば調整池があふれないように大きくとるとか、あるいは、ほかの対策を用意しておくとか、特に札幌周辺ではそういうバックアップの体制をきちんととるべきではないかと考えています。それに対して、シートをかぶせているから安心だとか、そういうようなことに余りにも自信があり過ぎたのではないかなと。いろいろなことが想定されるのであれば、もう少し謙虚にバックアップの体制をきちんととっておくべきだというふうに感じております。  それから、2点目にご指摘いただいた品質管理です。  いろいろな薬剤もそうですが、人工材料もそうですし、天然材料を使う場合もそうですけれども、品質管理については、どちらも、材料の時点で均質に混合するとか、材料の不均質性がないことを確認するのはもちろんのことです。また、現場では、例えば何かの対策をしたときに、ある一定間隔ごとに任意にサンプリングして、その性能を担保しているかどうかということをきちんと確認しております。最低限の仕様でいろいろな薬剤の添加量を決めているわけではなくて、かなり安全側に転化しておりまして、きちんとそういう配合になっているかどうかと。現場でも実際にそういうところを拝見させていただいたことがありますが、そんなふうに現場で確認して均質性をチェックしている状況でございます。
    ◆わたなべ泰行 委員  バックアップが大変大切だということで、勉強になりました。ありがとうございます。  最後に、無対策土について質問させていただきます。  無対策土は、土対法で安全だと言われていますが、それでも大丈夫なのかという一抹の不安を持ってしまいます。無対策土は安全だと言われているのですが、それでは、それを仮置きした場合に何もしなくていいものなのか、それとも、市民にご迷惑がかかるとか、地域とか環境に配慮していかなければいけないこととか、気をつけていかなければならない点があれば教えてください。 ◎五十嵐敏文 参考人  要は、安全なずりだけれども、悪いものがまじっている可能性もあるのではないかと、そういう危険性が100%ないとはなかなか言い切れないところでございます。ただ、そういうことがないように、できるだけ安全側で試験をしております。まず、試験の段階で、かなり細かくして粉状にして試験をして、それでも大丈夫だというように、まず分別のところで評価しているということが一つございます。  それから、私の知っている範囲で、全く問題ないところでもモニタリングをしているところもあるようなのですね。それは、地元の要望もございまして、本当に大丈夫か確認してくださいということであれば、定期的にモニタリングして地域住民にデータを提供するとか、そういうことをやっています。どの期間をやるかというのはちょっと難しいところもありますが、そういうところもあるようですので、それは受け入れ地周辺の町内会との話し合いでいろいろ検討を進めていくことは可能ではないかと思います。 ◆池田由美 委員  五十嵐先生、ありがとうございました。  私からは、仮置き場での残土の受け入れの問題で、どのくらいの量の残土を受け入れることができるのか、また、要否判定にどういった日程がかかるのか、そのことをまず最初にお聞きしたいと思います。 ◎五十嵐敏文 参考人  ちょっとご質問の意図を余り理解していませんが、通常、土捨て場というか、受け入れ地として、現状は主に市町村などからあっせんを受けたところに掘削土を持っていきますけれども、そのとき、もう初めから容量が決まっているので、その容量について搬出します。ですから、面積とか高さが決まれば、それで容量は初めから全て決まるということでございます。 ◆池田由美 委員  シールド工法の場合は、仮置き場で要否判定を行うと聞いていますから、その要否判定にはどのくらいの日数がかかるのか、言葉足らずで申しわけありませんが、教えてほしいなと思ったのです。 ◎五十嵐敏文 参考人  シールド工法の関係ですが、特に札幌市内に入りますとシールド工法ということで、通常の発破とか機械掘削と違いまして、掘りながら判定するということです。事前にある程度はそれがどういうものか推定できますが、実際に掘削するときにいろいろな薬剤等も使いますので、出てきたものが最終的にどうなるかというのはわからない場合があります。その場合は、それぞれ保管するヤードを何区画か設けまして、そこで判定しながら要対策か対策不要かを判定していくので、試験日数を考えた上で仮置きのヤードを確保しているというふうなことを聞いております。ただ、余りにも日数がかかってしまうと逆に工事がストップしてしまうので、そういう危惧は若干あります。しかし、試験日数は数日程度だと聞いておりますので、判定するために、仮置きできるようなヤードは用意するようです。 ◆池田由美 委員  要否判定は数日とおっしゃっていましたので、その間、ヤードにきちんとおさまるような広さを設けていくのだということでよかったでしょうか。  また、そのとき、仮置き場には残土がどんどん来て、少しずつ分けて置いておくというお話でしたから、常に残土が置かれているようなイメージでよかったでしょうか。 ◎五十嵐敏文 参考人  まさにご指摘のとおりで、これは何月何日に出てきた残土です、その次の日の残土はここですということで、各日ごとか、あるいは掘削深度にもよりますので、ある期間ごとのシールドでの掘削残土が分かれて置かれている状況かと思います。 ◆池田由美 委員  昨今、地震や集中豪雨なども多くなっていますが、先ほどの先生の説明の中にも、そういった対応としてバックアップの体制をとっておく必要があるのだとお話しされておりましたけれども、その対策はどういった中身になるのか、どういった対策なのかということを教えていただきたいと思います。 ◎五十嵐敏文 参考人  水処理等をやるということで、当然、地表面は遮水して、側溝があって、しみ出た水をそれで集めまして、それを水処理施設に入れて処理する、そういうような体制が一般的になっています。ですから、それをもうちょっと安全にするということであれば、調整池を設けてかなりの豪雨にも耐えられるような容積量とする。要は、水処理施設をフルに稼働してもそれ以上の雨が降りますと対応できなくなりますので、ある程度は過剰な流出水を保持するような調整池とか、あるいは、水処理ではなくて、あふれてもいいように吸着対策をしたりします。通常は水処理で十分ですが、万が一のときのために、先ほど申し上げたようにそれをバックアップするような施設を何かちょっと設けておくと随分違うかと思います。 ◆池田由美 委員  そういったバックアップ体制は、北海道新幹線札樽トンネルの場合も必要だということだと思います。また、仮置き場ですから、やはり、短期間に処理場に運んでいくことが大事だと思いますし、適切な処理を行うことが大事なのだなというふうに感じました。  続いて、札樽トンネルのシールド区間のところでは、地下水の下を掘削するということで水分を多く含んだ残土が出てくるというふうにお聞きしております。  そこで、水分を多く含んだ残土にはどういった対応をして、そして、どうやってダンプに積み込んでいくのかなと思うのですが、具体的な手法を教えていただければと思います。 ◎五十嵐敏文 参考人  まことに申しわけないのですが、私は、そこまで土木の施工に詳しくないのです。恐らくは、脱水をして、きちんとした輸送ができるような、運搬できるような性状に持っていって輸送するのではないかと思いますが、具体的にどういう工法をとられるかということまでちょっと存じておりませんので、ご容赦をお願いいたします。 ◆池田由美 委員  水を含んだ残土は脱水していくというお話もありましたが、固定材の使用とか、ダンプで運ぶ場合のトラックも、脱水カバーが密着して荷台から漏れないような特殊なトラックがあるというふうにお聞きしておりますので、専門家としてのお立場で、どの方法が一番安全だとお考えか、お聞きしたいなと思います。 ◎五十嵐敏文 参考人  ご指摘いただいた点は、済みませんが、私はそこまでよく答えられません。多分、鉄道・運輸機構の担当者しかわからないような内容ではないかなと思いますので、私はお答えをちょっと控えさせていただきます。 ◆池田由美 委員  要対策土を運搬する上で、先ほどトラックはタイヤも車体も洗浄するというお話がありましたが、そういった対策をしても本当に100%大丈夫なのかなということが心配です。例えば、運搬路での側溝とか道路の端にある土の測定など、そういった調査をしていくことが必要ではないのかなというふうに感じますが、そういった具体例として、どこかの地域では調査をしているとか、そういったことがあったら教えていただきたいと思います。 ◎五十嵐敏文 参考人  汚染土壌の運搬車両が公道に入る、あるいは、最終的には埋立地に入るというところでは、かなり気を使ってそういう調査がされることもあることは伺っております。ただ、新幹線の場合、どこに搬出するかもまだわからない段階ですから、モニタリング点をどこに設置するかも決まっていないので、今回ご指摘いただいた点は、恐らく、これから具体的な地点等が決まった段階で詳細に検討していくことになろうかと思います。 ◆池田由美 委員  先ほどの質問の中でもありましたが、八雲町での立岩トンネルの仮置き場で、実際に降雨によって基準値を超える鉛を含む濁水が外に流れたという話もありました。これまで皆さんの質問を聞きながら、事業者が仕事を受けていくとき、その事業者は下請や孫請という形で仕事をおろしていくと思うのですが、そういった中で、本来、絶対必要だとされる基準とか手順とか、そういったものがどんどんルーズになるというか、きちんと伝わらない中で工事が行われたとしたら、汚染物が流出していく危険が非常にあるのかなというふうに考えます。  立岩トンネルのこととか、これまでいろいろな地域でそういう問題が起きていますけれども、そうした原因の一つとして、仕事の手順がしっかりと伝わっていかない、そういった実態もあるのかなと思うのですが、先生のお考えをお聞かせいただければなと思います。 ◎五十嵐敏文 参考人  ご指摘いただいた点に関しましては、やはり、北海道にとっても非常に重要な事業ですので、やはり、そういう意識を末端まで持っていただくように、各JVでもきちんと教育するといいますか、検討していただきたいと思います。同じ現場で働く人は同じ意識を持ってやっていくことが非常に重要で、ふだんからそういう研修といったことをぜひやっていただきたいなというふうに私も思っております。 ◆池田由美 委員  八雲町のようなことが起きないように、それを防ぐために、やはり丁寧に着実に対策を進めることが本当に大事だなと感じました。そのためにも、残土の受け入れ先がまだ決まっていないということは非常に大きな問題だなというふうに思いましたし、市民や、特に残土などにかかわる地域住民に対して丁寧に情報を提供することとか、地域環境を守り、地域住民の安心・安全を重視して進めることが本当に一番大事だなということを感じました。きょう、勉強させていただいたことを、今後に生かしていきたいというふうに思います。ありがとうございました。 ◆ふじわら広昭 委員  五十嵐先生、きょうは、ありがとうございました。  2点だけ質問させていただきたいと思います。  1点目は、25番の岩ずりへの適用対策例というところです。その中で不溶化というのがありますけれども、不溶化にも、天然の材料、または人工材料を混合したもので対策をしていくと思うのですが、その点について、先生のわかっている範囲でもう少し教えていただければと思います。  それから、2点目は、27番の二重シートの例で八甲田トンネルがありました。八甲田トンネルは、斜坑も含めて約224万立米の残土が出てきて、そのうちの約47万立米がいわゆる要対策土として、先生のご説明にあった管理型の対策をとられたと思います。  そこで、参考までに、この八甲田トンネルの場合にはどのぐらいの費用がかかったのか、もしわかればで結構ですので、この2点を教えていただきたいと思います。 ◎五十嵐敏文 参考人  まず、人工資材とか、そういったことですが、最近、道の地質研究所でも、北海道というのは火山灰が豊富だということで、逆に、天然の火山灰を使って対策をしてはどうかという案が出されております。火山灰というのは非常に長期間安定していて、ということは、長期間、非常に安定な性能を発揮するということですから、耐久性という面では問題ありません。ただ、人工資材については、先ほどご指摘がありましたように、劣化するのではないかといったことも懸念されております。もちろん、メーカーサイドでも使う側でも、どれくらいの耐久性があるかということについてできる範囲では検討しております。ですから、人工資材を使う場合には、多分、それをどうやって評価して安全を担保するかということが重要なことになるのではないかと思います。天然材料は、性能はそんなに変質するわけではないので、そういうことは余り危惧しなくてもいいのではないかと思います。  もう一つ、八甲田トンネルの対策費用は、私が伺った範囲では3割か4割増しだと聞いております。ですから、25キロぐらいのトンネルですから、対策費用を含めると35キロ近くに相当する費用がかかっていたということは伺っております。 ◆ふじわら広昭 委員  ありがとうございました。  委員長に要望を申し上げて、質問を終わりたいと思います。  なぜ私が八甲田トンネルを取り上げたかというと、札樽トンネルとほぼ近いトンネル距離数になるのかなと思いますし、それから、要対策土も約47万立米ということです。この間、新幹線推進室にもいろいろな資料を求めてきましたが、札樽トンネルの場合も、この間の事例を見ると、多く見て残土の2割と考えれば、約50万立米の対策を必要とする残土が出てくるので、今、先生にも八甲田トンネルのお話を聞いたところであります。  そういう意味では、委員長に二つお願いしたいのですが、一つは、今、札幌市は、豊平川の水道水保全のシールド工事を行っております。新幹線は直径12メートルのトンネルですが、札幌市水道局の工事は直径2メートルなので、単純な比較はできません。しかし、ここで出た要対策土は、函館の上磯にある太平洋セメントに持ち込んで、セメントの原材料の一部として有効活用しております。当然、質問にもあったように、毎日、掘り出された要対策土を保管してJRで運んでおりますが、やっぱり委員会でそれを見に行って、どういった取り組みをしているのかというようなことを我々の目できちっと見て、今後の対策をしっかり進めていくべきではないかと思います。  二つ目は、そうしたことを行った上で、きょうは先生にいろいろと貴重なアドバイスをたくさんいただきましたので、議会として、これらに対して、札幌市の新幹線推進室はどのようにやっていこうとしているのか、あるいは、鉄道・運輸機構にどういうふうに求めていくのか、そして、新幹線推進室だけではなく、参考人として鉄道・運輸機構の方にもその場に出席いただいて、原局と鉄道・運輸機構に質問し、新幹線の安全対策、そして、市民に不安がないような残土の処理をやっていく必要があると思います。  そこで、委員長にこの2点の要望を申し上げて、後日、また理事会などでご検討いただければと考えております。 ◆細川正人 委員  申しわけございません。本当は質問する予定ではなかったのですが、ちょっとわからないところがあったものですから、教えていただきたいなと思って立ちました。  16番に札幌市内ヒ素バックグラウンド調査ヒ素全含有量と溶出量とありまして、左の図は大きな丸だと200ミリグラム/キログラム以上の含有量ということなのかなと思っておりました。そして、右側の図で見ますと、グラフになっていますが、含有量100ミリグラム/キログラム以下がかなり多くなっている中で、溶出量については0.01を超えるものが半分ぐらいあるようなことになっているのかなと思います。汚染土か非汚染土かの一つの基準として含有量というのがあって、それは、ヒ素の場合は150ミリグラム/キログラムというのがありましたね。そうすると、地下に埋まっているままの土壌だとすると、これについては100ミリグラム/キログラム以下が多いですから、そうすると、ヒ素を含有している札幌市の土は、岩ずりかどうかわかりませんが、含有量だけを見れば安全ということが言えるのかどうかということが一つです。  もう一つは、0.01を超える溶出量、つまり100ミリグラムでも10ミリグラムのところでも超えているところがあるとなっていますね。そうしますと、この溶出量はどういうふうに調査してこういったものになっていったのか、それは地下水を調べたのか、僕はわかりませんので、そのことを教えていただきたいなと思いました。 ◎五十嵐敏文 参考人  私の説明が少しわかりにくくて、申しわけございません。  一つは、これは横軸がヒ素全含有量ということです。土壌汚染対策法で言う含有量というのは、1モルの塩酸抽出量、すなわち我々の胃酸で溶ける量ということですが、これは、全部を溶かした場合で高いのがあるということで、含有量についてはほとんど基準値を満足しております。これは全含有量なので150を超えるものが何点か出てきておりますが、通常の1モルの塩酸、胃酸で溶かした場合には問題ないということになります。この基準を超えるのは、高くても低くても超えるものは超えるということで、これは、例えば粒度が細かいか、あるいはpHがちょっと違うとか、いろいろな条件があってこれが出たり出なかったりしているのが実態です。  実は、これも少し苦肉の策で、全含有量でお示しするのは問題ないのですが、溶出量で分布を示してしまうと、それを見てうちの土壌が汚染されているよとすぐとられてしまって、実際でもそういうことがあります。しかし、それは、土地を形質変更するというものではないので、現時点では問題ありませんから、そういう誤解を生むとまずいということでちょっと回りくどい示し方をさせていただきました。  これは、土壌なので、ごく表層のデータでこういう状態です。ですから、深い岩になるとまた少し違ってきます。 ◆細川正人 委員  わかりました。  要は、土壌汚染なのか、非土壌汚染なのかということは、例えば、土壌汚染ですと指定されたときに、それでは、どういう危険があって、それを回避するためにはどうしたらいいのかということを考えていかなければいけないだろうと思うのですね。そうしますと、当然、これから出てくるであろうものをどう処理していくのか、どう対策をとっていくのか、市民の方々に対して、これはここまでちゃんとやれば安全なのですとしっかりとお示しできるような体制づくりをこれからやっていかなければいけないだろうと思っております。  そういった面で、きょうは五十嵐先生にお越しいただいてお話を聞きましたが、これからも、さまざまなところで、いわゆる安全対策をどうしていくのか、そして、不要な不安をあおることがないような形でこのことを進めていかなければならないだろうと思っておりますので、また、いろいろな機会に教えていただければありがたいなと思っております。 ○福田浩太郎 委員長  ほかに質疑はございませんか。  (「なし」と呼ぶ者あり) ○福田浩太郎 委員長  なければ、参考人に対する質問を終了いたします。  本日は、五十嵐参考人にご出席いただき、大変有意義な委員会となりましたことに心から感謝申し上げます。  いただきました貴重なご意見を今後の委員会活動に生かしてまいります。  本日は、本当にありがとうございました。  以上で、委員会を閉会いたします。     ――――――――――――――       閉 会 午後2時37分...