委 員 太 田 秀 子 委 員 池 田 由 美
委 員 堀 川 素 人 委 員 石 川 佐和子
委 員 中 山 真 一
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開 議 午後1時
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○こじまゆみ 委員長 ただいまから、第一部
予算特別委員会を開会いたします。
報告事項でありますが、前川委員からは、竹内委員と交代する旨、届け出がありました。
それでは、議事に入ります。
第3款
保健福祉費 第2項
子ども福祉費及び議案第4号 平成30年度札幌市
母子父子寡婦福祉資金貸付会計予算について、一括して質疑を行います。
◆よ
こやま峰子 委員 私は、
児童相談体制の強化と里親制度の推進についてお伺いいたします。
今月9日の報道で、警察が児童虐待の疑いがあるとして
児童相談所に通告した平成29年度の全国の件数は過去最多の6万5,341人で、13年連続で増加していると発表されました。
都道府県別では、大阪府の9,305人が最も多く、北海道は3,520人であり、これも過去最多でありました。また、札幌市が公表している平成28年度の
児童虐待通告件数については、警察からは781件、さらに、近隣住民、各種機関を含めた全通告件数は1,398件で、過去最多でありました。平成29年度の通告件数は、さらに増加する見込みと聞いております。この増加の要因としては、児童の面前での夫婦間の暴力を警察が
心理的虐待として通告する件数がふえたとともに、
児童虐待防止の国民意識の高まりによって近隣住民などからの通報がふえ、これによって顕在化する児童虐待がふえていると見られています。さらに、札幌市における児童の養育や非行、育成等の平成28年度の全相談件数は6,735人であり、これも過去最多で、2年前の相談件数と比較して16%も増加しており、虐待通告以外の対応件数も大きく増加しております。
これだけふえ続ける児童の虐待通告や各種相談に対して速やかに調査、対応を行い、児童の安全を確保し、適切な措置や支援につなげていくためには、
児童相談所の体制を含めた札幌市全体の
児童相談体制の強化が急がれております。札幌市では、これまで、
児童相談所の人員増や一時保護所の改修等を図りながら、平成29年4月には第2次札幌市
児童相談体制強化プランを策定し、計画的に体制の強化を進めてきていると伺っております。
そこで、質問ですが、第2次札幌市
児童相談体制強化プランについて、平成29年度の
取り組み状況と今後の見通しをお伺いいたします。
◎天田
児童相談所長 第2次札幌市
児童相談体制強化プランの平成29年度の
取り組み状況と今後の見通しについてであります。
まず、平成29年度の主な取り組みといたしましては、関係機関と共有の要支援世帯への
評価チェックシート、いわゆる
アセスメントツールの開発を進めてきたところであり、ことし1月末から試行運用をしており、この4月からは本格的な運用を開始する予定となっております。また、昨年12月から
養育支援員の派遣による家事支援及び育児支援を開始しており、派遣した世帯では養育状況の改善等の効果が見られているところでございます。
次に、今後の見通しについてでありますが、来年度は、これまでの取り組みをさらに充実させていくとともに、第2
児童相談所の設置検討や
区家庭児童相談室の専門性の強化など、今後の
児童相談体制のあり方を検討することとしております。この4月から新たに所内に配置される
企画担当課が中心となり、中長期的な
児童相談体制の強化に向けた課題を整理するとともに、他都市の事例調査や国の動向の
情報収集等を行いながら、精力的に検討を進めてまいりたいと考えております。
◆よ
こやま峰子 委員 平成29年度の
児童相談体制強化プランの取り組みでは、
アセスメントツールを開発して、ことし1月から試験運用をしていらっしゃって、また、昨年12月からは
養育支援員の派遣も開始したとのことでありますので、その効果を大いに期待したいと思います。
また、平成30年度からは、第2
児童相談所の設置へ向けた検討が本格的になされるようであります。私は、相談所が一つふえるというのは、窓口がふえるということで、非常に喜ばしいことではありますが、その反面、職員というのは限られていて、その限られた人員の中でどのように運営していくのか、本庁機能はどこが担うのか、あるいは、各地区の
家庭相談室との連携をどのようにしていくのかなど、さまざまな課題も多いのではないかと危惧しているところであります。しかし、ぜひ、そういった課題をクリアして、相談のあった事案に一つでも多く、そして、少しでも迅速な対応ができるような体制強化としての第2
児童相談所の設置を望むものであります。
さて、重大な虐待や何らかの事情により親が育てられなくなった児童は、本来、受けるべき親の愛情に恵まれずに育っているケースが多く、愛着形成の問題やPTSDにより、生育の過程でさまざまな困難な状況が発生すると言われております。私は、これらの児童に提供する代替養育の場は家庭的な養育環境であるべきであり、そのためには里親への委託をより一層推進すべきと考えます。
施設や里親等の
社会的養育に係る措置児童全体に占める里親、
ファミリーホームへの委託率は、平成28年度末の全国平均では18%でありますが、札幌市は25%ということで、里親への委託を推進している状況がうかがわれます。札幌市は、里親委託を推進するための新たな事業として平成30年度に
里親トレーニング事業を開始するとのことであります。
そこで、質問です。
まず、札幌市の里親登録の現状について並びに
里親トレーニング事業とはどのようなものであるのか、どのような効果を期待しているのか、お伺いいたします。
◎天田
児童相談所長 札幌市の里親登録の現状と
里親トレーニング事業についてでございます。
まず、札幌市の里親登録の現状についてでございますが、平成30年2月末現在で、養育里親の登録数は201組となっております。このうち、児童を委託中の里親は92組であり、残る未委託の里親109組のうち、一度も委託の経験がない里親は52組となっております。この委託の経験がない、あるいは、長期間未委託となっている里親の中には、仕事、介護などの家庭事情や委託期間の空白による不安が解消されれば、児童の委託につながるケースが少なくない状況でございます。
そうしたことから、2点目の
里親トレーニング事業の関係で、この事業の内容とその効果についてでございます。
この事業につきましては、まず、未委託の里親を対象に、児童を養育する上で必要となる基礎知識や子育ての技能まで学ぶ講義、そして、事例検討による子育ての
イメージトレーニング、里親宅での実習による再
研修プログラムなどを予定しております。
この事業によりまして期待される効果でありますが、即戦力となる委託可能な里親が養成されることが第1点です。そして、里親委託のさらなる拡大につながることが見込まれており、ひいては、委託児童の
家庭的養育環境が促進されるというふうに考えております。
◆よ
こやま峰子 委員 札幌市の平成28年度の措置児童全体に占める里親、
ファミリーホームへの委託率は、全国平均が18%であるのに対して、札幌市は25%と非常に高くなっております。一方、ただいまのご答弁によりますと、札幌市の
里親登録数201組中、児童を委託されていない未委託の里親が109組もおりまして、その中で一度も委託経験のない里親は52組もいるとのことであります。これは非常にもったいないような気がいたしますので、答弁にありましたように、研修、基礎知識などのいろいろな
トレーニングによって不安や不明な点が解消されれば、児童を預かることをちゅうちょしている里親が児童の委託を受けることに踏み切るのではないかと大いに期待しているところであります。
さて、国においても、
厚生労働省は、平成28年度から、
学識経験者を委員に加えて、新たな
社会的養育の在り方に関する検討会を開催しており、昨年8月に検討会の報告書として新しい
社会的養育ビジョンが公開されました。この中で、児童の代替養育は、家庭と同様の養育環境を原則とし、里親への包括的な支援体制の
抜本的強化と里親制度の改革を進めていく必要があることが示されました。これを受けて、国からは、近く里親制度の推進のための指針が示されると聞いており、札幌市としても、国の指針に基づき、具体的な検討に入ることと思います。
そこで、質問ですが、札幌市における里親の取り組みについて、現状における課題と今後の里親支援のあり方や推進策に関する考え方をお伺いいたします。
◎天田
児童相談所長 里親の推進に係る現状の課題等と今後の里親支援のあり方、推進策についての考え方でございます。
まず、現状の課題等といたしましては、今後の里親の需要に対応するため、質の高いより多くの里親を確保すること、そして、里親に対する専門性の高いソーシャルワークの実現とそれを行う人材の確保、さらには、里親と児童との的確な
マッチングなどと認識しております。
これらの課題等に対する取り組みといたしまして、第2次札幌市
児童相談体制強化プランにおいては、里親への各種支援や新規開拓を継続して担うことができる拠点機能の整備を目指しているところでございます。また、国の
検討会報告による新しい
社会的養育ビジョンの中においては、里親の開拓から児童の委託を受けた里親の支援までの一連の過程を包括的に実施する機関が必要という考え方も示されております。国からは、この
里親制度推進の指針が近く示される予定であると聞いておりますので、札幌といたしましても、この指針を踏まえまして
里親拠点機能の検討を進めてまいりたいと考えております。
◆よ
こやま峰子 委員 要望でありますが、毎年増加する児童虐待に対して、警察を初めとする周囲からの通告に対して速やかに対応して児童を保護する、あるいは、多様な相談案件にしっかりと応えていくために、今後、ますます
児童相談体制の強化が望まれているところであります。そのために、第2
児童相談所の準備体制を早急に整えていただき、なるべく早い時期の第2
児童相談所の設置を切に要望いたします。
また、里親制度に関してですが、私も、重大な虐待や何らかの事情で親が育てられなくなったこれらの児童の養育の場は、やはり家庭的な養育環境であるべきだと考えます。先ほどのご答弁からは、ソーシャルワーカーとその人材の確保、里親と児童の
マッチングなど里親制度に課題があることも理解いたしますが、幸い、札幌市は、全国と比較して里親の登録数も多く、制度への関心も高いと思われますので、未委託の里親への
里親トレーニングなど、有効と思われる研修を積極的に拡大させていただきたいと思います。
今後は、国も包括的な
里親支援実施機関が必要とうたっており、それに対して札幌市は
里親拠点機能を検討するとのことでありますので、ぜひ実現していただき、里親制度のさらなる推進を願いまして、私の質問を終わります。
◆かんの太一 委員 私からは、
子どもアシストセンターの取り組みについて、
児童虐待防止に向けた関係機関との連携強化について、2点お伺いいたします。
まずは、
子どもアシストセンターの取り組みについて質問いたします。
子どもアシストセンターは、平成21年4月の子どもの最善の利益を実現するための権利条例、いわゆる子どもの権利条例の施行とともに、子どもの権利救済を図る子どもの
権利救済機関として新たに発足し、公的な
第三者機関として、いじめや虐待などの深刻な権利侵害だけでなく、子どもが抱えるさまざまな悩みを幅広く受けとめ、必要な助言や適切な支援を行ってきたものと認識しております。
こうした取り組みを着実に行っていくことは、悩みを持つ
子どもたちが、自分が大切にされていることを実感し、自分と同じように他の人も大切にするべき存在であるということを学び、互いを尊重し合うことを身につけ、規範意識を育むなど、
子どもたちが健やかに成長していくためにとても重要なことであると考えております。
センターの最近の相談状況ですが、
活動報告書を拝見しますと、平成28年度に寄せられた相談件数は、一昨年に比べて減少したとのことです。そこで、直近の状況を確認させていただきたいのですが、今年度の相談件数及び昨年度と比較した状況、また、相談内容の傾向についてお伺いいたします。
◎有塚 子どもの
権利救済事務局長 子どもの
権利救済機関、
子どもアシストセンターの平成29年度の相談の実績についてのご質問でございます。
平成29年度の2月末までの相談件数は実件数で873件でございまして、昨年度の2月末と比較いたしまして15.8%増加しております。延べ件数は3,019件でございまして、同じく昨年度の2月末と比較して5.4%減少しておりますが、減少幅は改善しているところでございます。実件数の内訳でございますが、
子ども本人からの相談が46.4%、母親からの相談が45.2%でございまして、合わせて実件数の90%以上を占めております。また、相談内容でございますが、友人関係や不登校などの学校生活に関する相談が半数以上を占めておりまして、いずれも例年と同様の傾向となってございます。
毎年、小学生、中学生、高校生の
児童生徒全員に
相談カードを配付し、また、保護者には、広報誌、
アシスト通信の配付や
大人用相談カードの
ドラッグストア店舗への配架、さらには、救済委員がラジオ番組に出演するなど、さまざまな広報・啓発活動を積極的に行っておりまして、相談実件数の増加はその効果があらわれているものというふうに認識しているところでございます。
◆かんの太一 委員 ただいまのご答弁で、2月末までの実績ですが、実件数873件で、昨年度に比べると15.8%の増ということで、
アシストセンターの取り組みとして、
児童生徒全員への
カード配付、保護者には広報誌の配付やその他さまざまな方法で広報活動が行われていることは、一定の評価をするところでございます。
一方で、子どもに関する問題が多様化・複雑化する中で、相談内容によっては、
子どもアシストセンターへの相談だけで解決、改善を図っていくことは困難なのではないかと考えます。
そこで、質問ですが、子どもの悩みを受けとめ、権利救済を実現するため、関係機関に対し、どのような場合にどのように働きかけや調整を図っているのか、また、子どもの相談を受ける相談窓口は、公的なものから民間が行っているものまで数多くあり、たくさんあるがゆえに、どこに相談すればよいのかわからないといったことも起こり得るのではないかと考えます。
こうした子どものための相談窓口は、横のつながりを持って他の行政機関や民間団体も含めて幅広い連携が必要なのではないかと考えますがいかがか、伺います。
◎有塚 子どもの
権利救済事務局長 子どもアシストセンター等の関係機関の協力連携といったご質問でございます。
委員からもご指摘がございましたように、子どもを権利侵害から適切に救済する上で、調整活動や関係機関との連携が重要であると認識しているところでございます。
その相談対応だけで問題の解決を図ることに限界がある場合、
子どもアシストセンターが
公的第三者として当事者間に入りまして、相談者の要望を学校などの関係機関に伝えるのみならず、相談者と関係機関が相互に協力して、子どもの置かれた状況を改善するために環境を整える調整活動を積極的に行ってございます。一方で、
子どもアシストセンターから法務局や道警、民間団体など20の機関に呼びかけて子どものための
相談窓口連絡会議を毎年開催して情報交換をしておりまして、各機関が持つ機能や特徴をお互いに理解するとともに、相談内容に応じて他の機関を紹介するなど、
相談機関相互で円滑な連携を図っているところでございます。
◆かんの太一 委員 子どもにとって最適なサポートが図られるように、
子どもアシストセンターが、連携のための会議を呼びかけたり、調整活動の機能を駆使して子どもに関する問題の解決、改善に能動的に対応することは評価できますし、今後も
子どもたちのためにこの取り組みを続けていただきたいと思います。
ところで、我が会派では、平成26年第2回定例会の
文教委員会において、子どもからのEメールによる相談が減少していることについて質問し、昨年、第2回定例会の
文教委員会においても、
子どもたちが
アシストセンターを気軽に利用しやすくする工夫の観点から、相談相手にLINEなどのSNSの導入について質問し、その際には、想定される課題やその対応策について調査研究をしていきたいとの答弁があったところです。
子どもアシストセンターが果たす役割については、子どもに関する問題が多様化している昨今、間もなく開設10年目を迎えることも踏まえ、その重要性を再認識し、大いに期待しているところであり、それに応えていくためにも、悩みを抱える
子どもたちの声を少しでも酌み取り、寄り添っていくことに有効な手段を取り入れることは大切と考えます。
そこで、質問ですが、今後も
子どもアシストセンターを多くの
子どもたちに知ってもらうための取り組みをどのように行っていくのか、また、相談方法にSNSを導入することについて、昨年の第2回定例会以降、どのような検討がなされているか、2点についてお伺いいたします。
◎有塚 子どもの
権利救済事務局長 より多くの
子どもたちの声を酌み取るための取り組みということで、2点のご質問をいただきました。
まず、知ってもらうほうの取り組みでございますが、広報活動の取り組みが相談件数の増加に効果があることを実感しているところでございます。現在、広報物の配布に加えまして、相談員が直接児童会館に出向き、
子どもアシストセンターを紹介する、あしすと
子ども出前講座とか、
家庭教育学級や
青少年育成団体などを対象にしたあしすと出前講座を行っておりまして、今後も広報、啓発の仕方には工夫を加えて、多くの
子どもたちに認知されるように取り組んでまいりたいというふうに考えております。
また、相談方法にSNSを導入することについてでございますが、LINEなどのSNSが
子どもたちにとって身近なコミュニケーションの手段として浸透してきている状況から、有効な手段であると考えております。一方で、導入するに当たりましては、相談体制や経費、また、技術的な面でのさまざまな課題が考えられますので、その対応としてどのような方策が必要かなど、施行の実施に向けて調査研究を進めているところでございます。
◆かんの太一 委員 要望です。
子どもアシストセンターの
活動報告書で言及されておりますが、札幌市が行う3年に1度の児童生徒の実態に関する基礎調査の質問の中に、困ったときに誰に相談することが多いですかという項目がありまして、誰にも相談しないと回答した児童生徒は、小学校5年生で11.3%、中学校2年生で15.3%、高校3年生で13.3%という数値が示されております。悩みを抱える
子どもたちが、その気持ちを吐露できず、反社会的な行動や自傷行為などに追い込まれないためにも、
子どもたちの悩みに寄り添い、地道に活動している
子どもアシストセンターの役割は今後も非常に大切であると認識しております。
子どもの権利条例の前文では、「大人は、
子ども自身の成長・発達する力を認めるとともに、言葉や表情、しぐさから、気持ちを十分に受け止め、子どもの最善の利益のために、子どもが直面することについて、ともに考え、支えていく責任があります。」と明記されています。子どもの出すサインを敏感に感じ取り、子どもを守っていくことは、全ての大人に課された責任です。先ほど言及した
アシストセンターの認知度を高める周知・広報活動、また、より多くの
子どもたちの声を酌み取るための取り組みを引き続き進めていただきますよう要望して、この質問を終わります。
続きまして、
児童虐待防止に向けた関係機関との連携強化について伺います。
先ほどのよ
こやま委員の質疑でも触れられましたが、全国的な傾向として、近年、警察からの
児童相談所への虐待通告が急増しております。本市が受ける警察からの虐待通告についても、全国的な状況と同じく増加傾向にあり、平成28年度は、全体の通告件数1,398件のうち、警察からの通告は781件で過半数を占めました。このような状況の中、
児童相談所運営指針において、児童虐待における通告受理後の安全確認については48時間以内とする旨が定められており、110番通報等により警察が現場に臨場した後に警察から
児童相談所に通告があった場合には、速やかに
児童相談所の職員が児童の安全確認、調査を行うことが求められているため、その対応に追われる職員の負担は増大しているように感じております。
さらに、他都市の
児童虐待死事案を受けて、平成28年4月に、警察庁及び
厚生労働省から出された通達の趣旨に照らして、札幌市、北海道、
北海道警察の3者により、平成29年3月に児童虐待の防止のための連携協定が締結されたところです。
そこで、質問ですが、これまで札幌市は警察との間でどのように連携してきたのか、また、連携協定の締結により今後はどのような取り組みを行うのか、お伺いします。
◎天田
児童相談所長 児童虐待防止に向けた警察と札幌市との連携についてでございます。
まず、これまでの取り組みについてでありますが、
児童相談所と警察とは、個別の事案について情報共有の上、協力して対応するなどの連携を図るほか、
強制立入調査の合同演習や道警本部及び
市内警察署との
連絡協議会を通じて顔の見える
関係づくりに努めてきたところでございます。また、平成26年度より、
北海道警察本部から
児童相談所に現職の警察官の派遣を受け、虐待の初期対応を担う部署への配置を行ったことにより、個別の事案における迅速かつ的確な対応が可能となり、警察との連携が円滑になってきたところでございます。
次に、
連携協定締結後の取り組みについてであります。
昨年3月の
連携協定締結後の状況といたしまして、警察は、110番通報等を受けて家庭に臨場した際に、児童虐待が明確な事案のみならず、少しでも虐待が疑われる事案についても
児童相談所への情報照会、情報共有を徹底しております。今後におきましても、この協定に基づいて情報共有等の取り組みを継続することにより、児童虐待への適切な対応を一層進めていくことができるものと考えております。
◆かんの太一 委員 ただいまの答弁で、連携協定の締結によってさらなる連携を図っていくことがわかりました。答弁の中で言及されていましたが、情報共有について、さきのマスメディアの報道によると、茨城県では、本年1月より、県内の
児童相談所が把握している被虐待児童の情報を電子データにまとめ、県警に全件を提出する取り組みを開始したとのことです。本来、個人情報については慎重に取り扱うべきですが、子どもの命にかかわるこのような情報に限っては、緊急時に24時間対応する体制が整っている警察に
児童相談所から積極的に情報提供していくことは、児童虐待の未然防止や早期発見のためにやむを得ないと考えております。札幌市においても、警察との連携協定の締結を契機に、
児童虐待防止の分野については、警察との情報共有を強化していく必要があると考えます。
そこで、2点目の質問ですが、児童虐待の防止に向けた警察との情報共有について、札幌市では今後どのように強化していく考えか、具体的に伺います。
◎天田
児童相談所長 警察との情報共有を今後どのように強化していくかということでございます。
警察とは、これまでも、個別の事案を通じて問い合わせを受けた際には、その都度、紙媒体や電話などにより情報共有を図ってきたところでございます。今後につきましては、他県の取り組みを参考としまして、
児童相談所と各
区家庭児童相談室が、要保護児童対策地域協議会、いわゆる要対協と呼んでおりますが、この要対協で進行管理しております児童やその世帯の支援計画等に関する情報を電子データにまとめまして、年3回、各区の要対協が開催している実務者会議の終了後に
児童相談所から一括して警察に提供することを検討しております。これによりまして、緊急事態が発生した際、警察がこの電子データをあらかじめ確認することで、迅速かつ正確な対応が可能となるものでございます。また、札幌市としましても、特に、土・日や夜間に発生した事案について、警察から電話照会があった際に対応時間を短縮できることから、
児童相談所の職員の負担軽減が期待できるものでございます。
今後におきましても、警察と
児童相談所の効果的な情報共有について工夫してまいりたいと考えております。
◆かんの太一 委員 警察との情報共有については、他都市の取り組みも参考に進めていきたいということでしたが、個人情報の慎重な取り扱いに留意しつつ進めていただきたいと思います。
一方で、情報共有を強化していけばいくほど、その情報に基づいて対応を求められる
児童相談所の職員の負担が増大していくことは課題であると感じております。そのような状況に適切に対応していくためには、
児童相談所の職員体制の増強が必要であることは言うまでもありませんが、それと同時に、
児童相談所と地域や関係機関との連携の中で、包括的、継続的に児童を支援する体制づくりが必要であると考えます。
札幌市が平成29年4月に策定した第2次
児童相談体制強化プランにおいては、そのような課題に対して、
児童相談所と子どもにかかわる相談機関の適切な役割分担と連携体制の構築に取り組んでいくこととしており、とりわけ地域の相談機関である児童家庭支援センターとの連携強化に焦点を当てています。児童養護施設や乳児院に併設されている児童家庭センターでは、地域において子どもの福祉に関する相談に専門スタッフが対応しており、大切な関係機関の一つであると考えます。
そこで、3点目の質問ですが、第2次強化プランに掲げている
児童相談所と児童家庭支援センターとの連携強化についてどのように進めていく考えか、検討の状況を伺います。
◎天田
児童相談所長 児童家庭支援センターとの連携強化に関する検討状況についてでございます。
児童家庭支援センターは、現在、札幌市に4カ所設置されておりまして、この4カ所に対して
児童相談所から連携強化に関するヒアリングを行いました。その結果、養護事情が解消し、施設から家庭引き取りとなった子どもとその親について、両機関が共同して支援していくことが特に重要であり、そのためには、お互いの機能や役割についてさらに理解を深めていく必要があるとのご意見をいただきました。また、各区の家庭児童相談室との関係性につきましても、連携を一層深めることで、地域においてより丁寧な相談、援助が可能となるとのご意見もいただいているところでございます。
これらの意見につきましては、来年度から、児童家庭支援センター、各
区家庭児童相談室、そして、私ども
児童相談所の係長級による定期的な連絡会議を実施し、話し合いを積み重ねていくこととしておりまして、今後とも、双方の専門性を共有し、共同による支援や相談内容に応じた適切な役割分担を整理するなど、連携体制のさらなる構築に努めてまいりたいと考えております。
◆かんの太一 委員 最後に、要望です。
先ほどの
子どもアシストセンターの質問でも子どもの権利条例に言及しましたが、子どもは、生まれたときから権利の主体であり、あらゆる差別や不利益を受けることなく、自分らしく生きていくことが保障されています。児童虐待は、その権利を侵害する最たるものであり、一旦、虐待を受けてしまうと、その後の人生に大きな影響を及ぼします。例えば、幼少期に両親から虐待を受けることで、必要な時期に十分な愛情を得られず、保護者との安定した愛着が絶たれたことによって、他人との良好なコミュニケーション、人間関係が築けないなどさまざまな障がいが出る、いわゆる愛着障がいが大きな社会問題となっています。負の連鎖が続くことのないよう、児童虐待の防止は、札幌市として全力で取り組むべき課題です。
平成30年度は、第2次
児童相談体制強化プランに沿い、第2
児童相談所の設置検討に着手するなどさまざまな施策を進めていくわけですが、今後の関係機関との連携のあり方、計画的な人材育成、人員体制の強化を意識しながら、引き続き子どもを虐待から守る取り組みを強力に進めていただきますよう要望し、私の質問を終了いたします。
◆好井七海 委員 私からは、ひとり親家庭就業機会創出事業について伺います。
経済観光局が公表しているさっぽろ経済の動きでは、1月の札幌圏の有効求人倍率は1.08%となっており、95カ月連続で対前年同月を上回るなど、札幌市の雇用情勢は改善の方向に向かっております。
しかしながら、ひとり親家庭の親については、子育てと仕事をしながら、新たな条件のよい就職先を探したくても探す時間がないことから、意欲がありながらも思うような働き方ができていない方が多くいるのが現状であります。私が相談を受けた方々も、生活が苦しく、ダブルワークやトリプルワークで経済的困難な状況を少しでも克服し、2人、3人の子育てに奮闘している方々や、中には障がいのある子の子育てをしている方からのご相談もあり、本当に大変な状況にいる方がおります。ひとり親家庭の経済的自立のためには就業支援策が重要であることは言うでもなく、現在、策定中の第4次札幌市ひとり親家庭等自立促進計画においても就業支援の充実が基本目標の一つとされているほか、これまでにも、資格の取得や職業能力向上のための訓練、就職機会の創出など、さまざまな事業に取り組んでいることは承知しております。
その数ある就業支援策の中、ひとり親家庭就業機会創出事業は、ひとり親家庭に理解のある企業を開拓し、就職の機会を提供する合同企業説明会を開催する事業であり、我が会派の要望を受け、今月3日に4回目となるひとり親のための合同企業説明会が開催されております。当日は我が会派から何名かが視察しており、明るい雰囲気の中、にぎわいもあり、大変盛況であったとの報告を受けたところであります。
そこで、1点目の質問ですが、3月3日に開催された合同企業説明会の実施結果についてお伺いいたします。
◎川原 子育て支援部長 私から、合同企業説明会の実施結果についてお答えさせていただきます。
合同企業説明会は、3月3日土曜日に札幌駅に隣接する商業ビルで開催いたしまして、趣旨にご賛同いただいた企業25社に参加いただいたほか、57社に求人情報の掲載をいただきました。当日は、弁護士等による専門相談や子どもの預け先に関する相談、新しい働き方の提案といたしましてテレワークセミナーなども実施したところでございます。また、子ども連れでも安心して参加できるようにということで、託児コーナーやキッズスペースを設置したほか、開催日が3月3日であったこともあり、7段飾りのひな人形を設置しての写真撮影会といったイベントも行ったところであります。その結果、154名の方にご参加いただき、加えて59名のお子さんにもご来場いただき、会場がにぎわったところであります。
◆好井七海 委員 当日の参加者数などについては説明がありまして理解できましたし、今年度も多くの方が参加していたことは非常に喜ばしく思います。ぜひとも、一人でも多くの方が自分の生活状況に合った働き先に就職できることを願っております。
ひとり親家庭に対する就業支援策は幾つもありますが、ひとり親家庭就業機会創出事業は、ひとり親家庭の親とひとり親家庭に理解のある企業を結びつけ、就職の機会を直接的に提供するものであり、極めて有効な事業と考えます。
続けて、企業への働きかけについて伺いますが、この事業は企業の協力があってこそ成り立つ事業であり、企業側の理解の促進が重要と考えます。
そこで、質問ですが、今回の合同企業説明会の開催に当たって、参加企業の開拓や企業への理解促進にどのように取り組んだのか、伺います。
◎川原 子育て支援部長 参加企業の開拓や企業への理解促進の取り組みについてお答えいたします。
企業への働きかけといたしましては、ダイレクトメールや電話、訪問により、市内企業計530社に対して参加への理解と協力を求めたところでございます。こうした働きかけの結果、32社から参加の意思をいただきましたが、ひとり親の希望に沿った幅広い業種、職種を前提に、ひとり親が働きやすい環境であるか、安定した雇用であるか、複数の求人があるか、そういった視点で参加企業を選定いたしました。働きかけの際には、ひとり親等を雇用することで企業に助成金が支給される特定求職者雇用開発助成金などの国の制度も紹介しており、参加に至らなかった企業に対しましても、ひとり親の雇用について理解の促進に取り組んだところでございます。
◆好井七海 委員 事業の開始以来、安定的に多くの企業に参加いただいているようで、また、数多くの企業に参加を呼びかけ、理解を求める取り組みをされていることは非常に評価いたします。
今回の参加企業の業種は多様で、選択肢が広がり、中でもテレワークセミナーも席が埋まっており、好評で、4回目の開催も盛況に終わり、ひとり親家庭への就業支援策としてすっかり定着してきた感のある合同企業説明会でありますが、年1回の開催では、希望に合う仕事や企業に出会うことができなかったり、開催日に別の予定が入っている方は大切な機会を逸してしまうことにもなります。このことから、昨年の
予算特別委員会において我が会派の丸山委員が質問し、合同企業説明会の複数開催について要望してまいりました。
最後に、参加されている方からは、場所が札幌駅の近くでしたので公共交通で来るには非常に便利だと思ったのですが、一方で、子どもを連れてまち中まで行くのは大変だったといった声も上がっているようでありますから、場所についてはもう少し検討する必要があるのではないかと考えております。
そこで、質問ですけれども、これから行う平成30年度事業のプロポーザル内容では、開催場所についてより効果的な提案を求めるべきと考えますがいかがか、お伺いします
◎川原 子育て支援部長 平成30年度事業のプロポーザルについてお答えいたします。
今年度開催の合同企業説明会では、3割以上の方が子どもを連れて参加されていたこともございまして、多くの方にご参加いただくといった集客の観点からも開催場所は重要と考えているところであります。このことから、開催場所はもちろんのこと、開催日時や広報手段などについても、よりよい提案を求めてまいりたいというふうに考えてございます。
ひとり親家庭就業機会創出事業については、ひとり親家庭への就業支援策として有効な取り組みであると認識している一方で、先ほどもお答えいたしましたように、参加者数が減少傾向にあるといった課題もあることから、民間事業者の知識や経験、技術を生かしながら、より効果的な事業となるようにこれからも努めてまいりたいと考えてございます。
◆村松叶啓 委員 子連れの方が3割以上ということで、そういう方に配慮した提案を求めるなど、民間企業のノウハウを生かした運営をしたいという答弁だったかと思います。
私の身近には、私の元家内を含めてひとり親家庭の方が結構多くおりまして、いろいろな話を聞かせていただいておりますが、やはり、就業に関しては、収入といった面もそうですけれども、職種を絞って探したいとか、お子さんの学校の近くがいいとか、この時間帯に働きたいとか、求める条件がさまざまであります。先ほどのご答弁では参加者に対する広報に力を入れていきたいということでしたが、企業への呼びかけにも頑張っていただいて、さらにより多くの企業に参加していただき、できるだけさまざまなニーズに応えていただきたいというふうに思います。
本日、質疑で伺いましたこの4年間の事業成果と課題を踏まえた内容による公募を行い、5年目に当たる次年度事業については、一人でも多くのひとり親の方々に活用いただき、必要な方々に本市の支援が行き届くことを期待いたします。実は、たまたま私の小・中学校時代の同級生がある企業の採用担当で来ておりまして、話を聞きましたところ、今、人手不足と言われている中で、企業にとっても、こうしたことを通じてひとり親への理解を深め、働きやすい環境を整えることで労働力の確保にもつながる大変いい機会だと、実際にそのようにおっしゃっていただきましたので、企業のメリットといった点も含めて本事業の拡充を求めまして、質問を終わりたいと思います。
◆しのだ江里子 委員 私からは、子育て支援として、保育所以外の子どもの預かりサービスとひとり親家庭への支援の2件、そして、ひきこもり支援対策のあわせて3件について質問させていただきます。
まず、子育て支援の1件目ですが、保育所以外の子どもの預かりサービスについて質問させていただきます。
札幌市では、保育所や幼稚園といった施設入所型の預かりサービスのほかに、市民同士が助け合うボランティアの仕組みを利用したファミリー・サポート・センター事業に取り組んでいます。この事業は、通常利用を想定した子育てサポートセンター事業と病気や緊急時の利用を想定した緊急サポートネットワーク事業とに分けていますが、さらに、病気に関連した預かりということでは、病院事業者が実施している病後児デイサービス事業もあり、いざというときの預け先として、さまざまなサービスが用意されていると言えます。
これら三つの預かりサービスを利用するためには、事前に登録する手続が必要になり、これらの事業の担い手は、ボランティアや病院などでお子さんの状況、アレルギーや障がいの有無、緊急連絡先などを事前に把握しておく必要があります。また、預けるほうの保護者も、あらかじめルールやリスクの説明を十分に聞いて、納得した上で利用する必要があり、こうした確認のために事前登録というプロセスが不可欠であることは理解しております。
しかし、その事前登録のための窓口や手続がばらばらであり、それぞれ使いたいと思ったならば、保護者自身があちこちに出向き、別々に手続をしなければなりませんでした。これは、利用する市民の側から見ますと、同じ札幌市の事業で同じような預かりサービスなのに、いかにも縦割りのように感じられ、煩雑で手間がかかっていたことも事実です。
また、緊急サポート事業については、利用に当たり、預かってくださったボランティアに謝礼として定められた利用料を支払うこととなっていますが、この利用料の一部を補助する制度があります。これは、病気理由など一定の条件を満たした場合に市から一定の補助金を交付するものですが、この補助金を受け取るためには、利用後、保護者自身が自分で市役所へ申請しなければなりませんでした。後で補助金が出ることがわかっているのに、ボランティアに利用料を支払う時点では差し引いていただくことができず、一旦、全額を支払う必要があったのです。こうした事前、事後に係る手間暇は、これらの預かりサービスを利用する機会の多い、特にひとり親を初めとする子育て世帯にとっては、時間的な余裕のない中で大きな負担となっておりました。
私は、この点についてこれまでも改善を訴えてまいりましたが、このたび、2018年度予算案において、女性の活躍推進という観点で、これら三つの預かりサービスに関し、来年度後半から区役所に一括で受け付けする窓口を設けること、補助金を現地精算化することなどの費用が盛り込まれました。まさに市民が求めていたものであり、大きく利便性の向上につながるものと評価します。
さて、この一括受付窓口ですが、さきに公表された予算の概要によりますと、3区で試行となっております。初めてのことであり、いきなり10区全てで実施するのが難しいということは理解できますが、実施しない区の方たちにとっては利便性としてどうなのかという疑義もあるわけです。
そこで、質問ですが、今回の試行の考え方と、実施する3区をどのように選定する予定なのか、まず、伺います。
◎川原 子育て支援部長 一括受付窓口の試行の考え方と試行区の選定についてお答えさせていただきます。
今回の取り組みは、初めての試みであり、どれだけの利用があるかが見込みづらいこと、実際にやってみてわかる課題や問題もあると思われることから、試行的に3区で実施することとしたものでございます。
なお、試行区におきましては、他の区民の方々の届け出も受け付ける予定であるため、交通の便や全市的なバランスも考慮して選定したいと考えてございます。具体的には、主要な公共交通機関である地下鉄3線の沿線に1カ所ずつ、その中でも、地下鉄駅近くに庁舎がある区役所が望ましいというふうに考えております。今後、候補となる区とも調整し、しかるべき時期までに試行区を決定してまいりたいと考えております。
◆しのだ江里子 委員 実施区の選定の考え方に関しては理解いたしました。そしてまた、試行区ではない他区の方たちも利用していただけるということで、それに関しては安心いたします。
これまで、サービスによっては全市で1カ所しか受け付けることができなかったものもあったため、1カ所しかなかったものが4カ所にふえることを考えれば、これまでよりも便利になるということは言えると思います。しかし、実施されない7区の方たちにとっては、実施している3区と比べてまだまだ不便であることも事実です。今回は試行ということなので全区拡大も視野に入っていると思いますが、今後の試行状況を検証する必要があるものの、できるだけ早期に10区で実施できるように検討を進めていただきたいと思います。
次に、区役所内のどこで受け付けをするのか、伺っていきたいと思います。
一口に区役所庁舎と申しましても、本体のほか、区民センターや保健センターもありまして、庁舎内は広く、余り人通りのない目立たない場所も実際にございます。せっかく専用窓口を設けるのですから、やはり人目につく場所、とりわけ子育て世代の目につく場所で展開していただくことが望ましいと考えます。
そこで、質問ですが、この一括受付窓口について、区役所庁舎のどこに開設するご予定なのか、伺います。
◎川原 子育て支援部長 区における一括受付窓口の設置場所についてでございます。
この窓口につきましては、去る3月8日の定例市長記者会見で公表いたしましたこそだてインフォメーション内に開設する予定でございます。こそだてインフォメーションは、これまで子育て相談や情報提供を行ってきた区子育て情報室を全区一斉にリニューアルしたものでございますが、今回を機に庁舎内での設置場所も見直した結果、そのうち4区では新たな場所に開設することとなったものでございます。
今後は、10区とも、保健センター出入り口や待合ロビーの近くなど、親子連れが必ず通る場所、よく目につく場所で展開するため、一括受付窓口としても立ち寄っていただきやすくなるものと認識してございます。
◆しのだ江里子 委員 新たな一括受付窓口について、区子育て情報室をリニューアルしたこそだてインフォメーション内に開設する予定であるというご答弁がありました。まさに、親子連れの通るところ、そして、目につくところというのが何より大切だと感じます。
子育て情報室は、区における子育て相談、情報提供の入り口となる場所でありましたけれども、こそだてインフォメーションに衣がえをし、預かりサービスの受け付けまでできるようになることで、場所そのものの利用価値が大きく上がり、そして、知名度や認知度アップも期待できると思います。認知度などが上がれば、さまざまな悩みや困り事が持ち込まれる機会もふえ、より広範に子育て世帯を支援するきっかけづくりにもつながると考えますので、しっかりと準備をして、万全の体制で開始していただくようお願いします。
今回は、緊急サポート等の利便性の向上に力点を置いた改善策を講じたわけですが、これらのサービスを利用する方のうち、特に経済的に厳しい状況に置かれているひとり親世帯からは、道内中核市などで実施されている利用料負担の軽減を望む声も聞いております。しかし、あれもこれも一遍に改善していくのは難しいということは理解いたします。今回の取り組みが軌道に乗った暁には、ぜひ経済的な支援にも目を転じていただきたい、そのことを求めて、この質問は終わります。
次に、ひとり親家庭への支援についてです。
ひとり親家庭の方は、子育てや家事、仕事などのさまざまな場面で困難を抱えていることが多く、1人で子育てなどを行うひとり親家庭の親本人の努力だけでは解決できず、社会的な支援が必要な場面が多く見られます。また、ひとり親家庭には、ダブルワーク、トリプルワークと仕事に追われている方も多く見られ、日々の生活に支障を来すこともあると聞いております。
ひとり親家庭の生活を支援するための事業であるひとり親家庭等日常生活支援事業は、就学や疾病などの事由により生活援助などが必要な場合に家庭生活支援員を派遣する事業であり、生活保護世帯や市民税非課税世帯は費用も無料と非常にすぐれた制度であると認識しておりますが、余り利用されていないのが現状です。第4次札幌市ひとり親家庭等自立促進計画の策定に当たり、ひとり親家庭などを対象に実施したアンケート調査の結果では、母子家庭でひとり親家庭等日常生活支援事業を利用したことがあると回答した方はわずか1.3%でありまして、利用したことはないけれども、制度を知っていると回答した方も18.6%と、認知度が余りにも低い状況があります。
そこで、質問ですが、ひとり親家庭等日常生活支援事業がより多くの方に利用されるために認知度向上の取り組みが急務と考えますけれども、今後の取り組みについて伺いたいと思います。
◎川原 子育て支援部長 ひとり親家庭等日常生活支援事業の認知度向上の取り組みについてお答えさせていただきます。
これまでも、パンフレットやホームページ、窓口での相談において制度の周知を行ってまいりましたが、昨年8月に実施したアンケート調査の結果では、ひとり親家庭等日常生活支援事業を含めた多くの事業で認知度が5年前の調査を下回る結果となっており、広報の必要性が課題として明確になったところでございます。このことから、新たな取り組みといたしまして、ひとり親家庭の方を対象としたパンフレットを作成し、離婚届の提出時に配付することや、児童扶養手当の対象世帯に支援制度の案内を一斉送付することなどを検討しております。また、昨年4月には、さっぽろ子育て情報サイトとさっぽろ子育てアプリを立ち上げ、その中にひとり親家庭専用のページも作成したところでございますが、今後、作成するパンフレット等の中にアプリのQRコードを掲載するなどいたしまして、さらに効果的な広報に取り組む考えでございます。
各種支援制度の認知度の向上が制度利用者の増加、多くのひとり親家庭の自立促進へとつながりますよう、より積極的な広報に努めてまいりたいと考えてございます。
◆しのだ江里子 委員 パンフレットの配付であったり、児童扶養手当のときの一斉配付であったり、さまざまな広報をしていただけるということです。そしてまた、私どもが以前より求めてまいりましたホームページなどのサイトにおいて、ひとり親家庭へのという文言もきちんと入れていただけるようになりましたし、さらに、アプリという形で進んでまいります。
そういう中で、ひとり親家庭等日常生活支援事業は、利用料も無料であったり、極めて低額など有効な支援ですが、実際に必要とされる方とサービスがうまく
マッチングしていないと思えるところもあります。主な提供会員は、退職された寡婦が多いということで、実際には提供会員不足も危惧されているとも聞いております。さまざまな周知によって潜在的にニーズが呼び起こされますと、現在のサービス主体である札幌市母子寡婦福祉連合会だけでは担い手として不足してくる可能性も出てくるのではないかと思います。しかし、まずは何より広報、周知に努めていただき、その上で、サービスの担い手の問題についても今後検討していただければと思います。
続けて、母子父子寡婦福祉資金貸付金について伺います。
母子父子寡婦福祉資金貸付金は、ひとり親家庭など専用の貸し付け制度であり、特に子どもの進学に関しては経済的に大きな後押しになっております。また、2月の
文教委員会でも取り上げた看護師や保育士などの資格取得を支援する高等職業訓練促進給付金は、非課税世帯には月10万円、課税世帯には月7万500円を支給する制度であり、支給される方は、生活費の負担軽減を図りながら修学に励むことができますが、仕事と修学の両立は非常に厳しく、そして、学費や教材などを賄うにはこの給付金だけでは足りずに二の足を踏む方も多いと聞いております。このことから、母子父子寡婦福祉資金貸付金を組み合わせて利用したいという声もよく聞かれ、私は、ひとり親家庭の経済的自立が期待される場合には積極的に支援すべきと考えます。
しかしながら、この貸し付けを受けるためには、原則、連帯保証人が必要とされておりまして、保証人をお願いする人がいないがために貸し付けを断念するといった話も聞きます。
そこで、質問ですが、2009年度、平成21年度の母子寡婦福祉法施行令の改正では、児童本人への貸し付けを除き、連帯保証人がない場合でも貸し付けを可能とするよう要件が緩和されてまいりましたけれども、連帯保証人を必要とする場合の札幌市の基準について伺います。
◎川原 子育て支援部長 母子父子寡婦福祉資金貸付金における連帯保証人を必要とする場合の札幌市の基準についてお答えさせていただきます。
平成21年度の制度改正時におきまして、私どもとして、その趣旨について
厚生労働省に照会を行っております。そのときの制度改正の趣旨は、連帯保証人がいなくても返済が可能であると判断される方には単独での貸し付けを可能とするものであり、返済能力の有無については各実施主体で判断することという回答を得たところでございます。このことから、札幌市では、生活保護受給世帯及び住民税が非課税相当の収入である世帯を除き、連帯保証人がいなくとも貸し付けを可能としているところであります。
ただし、単独での貸し付けが可能な場合であっても、貸し付けの種類によっては、連帯保証人がいない場合、利率1.0%の有利子貸し付けとなることから、可能な場合には連帯保証人を得ることを推奨させていただいているところであります。
貸付金は、将来にわたり返済の負担が発生する制度でございますことから、貸し付けの可否に当たりましては、貸し付けを受けようとする方の資力や必要性、返済能力のほか、ほかに利用できる制度がないかなどを十分に確認させていただいた上で、ひとり親家庭の経済的自立に資するかどうかといった判断をさせていただいているところでございます。
◆しのだ江里子 委員 札幌市においては、今おっしゃっていただきましたように、単独での貸し付けをしていただける方たちもおりますけれども、実際には、非課税世帯の方が職業訓練を受けて技能習得をしようと考えていても、やはり、連帯保証人が見つからずに、その機会を奪われてしまうケースが多々あるのだということを聞いております。もちろん保証協会の利用もありますが、これは1.0%の有利子ということで、負担として決して軽いものではありません。慎重な判断が必要とは思いますけれども、柔軟な対応をお願いしたいと思います。
先ほど、保育所以外の子どもの預かりサービスに関して、先行3区の一括受付窓口について質問させていただきました。ひとり親家庭への支援についても、今後、同じくワンストップ窓口で対応していただけるならばどれほど負担軽減につながるかと私は思いますので、ぜひ、今後を大いに期待させていただき、子育て支援についての質問を終わります。
次に、ひきこもり支援対策についてです。
2015年の4定では政審会として質問を作成させていただき、2017年の3定の代表質問では、私は、みずからひきこもり支援について質問させていただいております。2回の代表質問とも、高年齢化が進んでいるひきこもり者への実態把握、また、悩みを抱えるひきこもり者やその家族にしっかりと寄り添うことができるように、ひきこもりサポーター養成研修や有意義な仲間づくりができる常設の居場所など、支援の充実を図っていくべきと重ねて質問を行ってまいりました。
昨年の3定では、これまで、ひきこもり支援については、主に40歳未満の若者支援として教育委員会から子ども未来局に所管がえとしましたが、これから、ひきこもりの長期化、高齢化に伴い、40歳以上のひきこもり当事者が増加する状況を目の当たりにしますと、果たして子ども未来局所管がふさわしいのかと懸念する中で、札幌市ひきこもり地域支援センターの状況と40歳以上も対象に含めた実態調査の早急な実施、そして、本人や家族を支える民間団体との連携の方法を質問させていただきました。
副市長からは、2016年度のひきこもり地域支援センターの相談状況では、年齢により対象を区切ることなく、ひきこもりの当事者や家族からの相談に応じ、そのうち、40歳以上の相談者の割合が全相談者の27.1%を占め、さらに50歳以上についても9.5%という結果だったこと、そしてまた、実態調査の実施と民間支援団体との連携については、40歳以上の相談者が相当数いることが判明し、初回の調査から6年経過することから、札幌市のひきこもりの現状を把握し、より適切な支援を進めるため、40歳以上も調査対象に含めた実態調査実施の検討について答弁されております。また、連携については、相談に結びついていない方がまだなお多くいらっしゃるものと考えられ、今後は、当事者に寄り添いながら活動している民間支援団体との連携により、一層強化することで、どこにも相談せず、悩みを抱えているひきこもりの当事者や家族を相談窓口につなげる取り組みを広げてまいりたいとご答弁されております。
2018年度の今回の予算で、このひきこもり対策推進費が予算要求より100万円減額されましたが、ひきこもり地域支援センター運営に加え、ひきこもり実態調査、仮称)よりどころ運営の試行実施が予算化されたのは何よりと思います。
今議会冒頭の各会派からの代表質問で、実態調査についての答弁では、より効果的な支援の検討に当たり、人数推計も含めた本市の実態把握とともに、ひきこもりの当事者や支援団体など広く意見を伺うことが必要、そして、無作為抽出によるアンケート調査では、より精度を向上させるため、サンプル数を前回の5倍の1万人とし、また、ひきこもりの長期化、高年齢化を確認するため、対象年齢の上限を64歳まで拡大する、地域の実情に通じた民生委員、児童委員へのアンケート調査、そして、支援者やひきこもり経験者への聞き取りを実施していくと答弁されております。また、支援についても、ひきこもり地域支援センターの体制を強化し、より居住地に近い地域での出張相談会を大幅にふやし、訪問支援も拡充する、家庭以外での居場所であり、学び、交流機能、相談窓口をあわせ持つ仮称)よりどころを試行的に開設し、社会参加に向けた緩やかな動き出しを支援するとご答弁いただき、今まで声を上げてきましたひきこもり当事者やご家族にとって一歩前に進んだものと思います。
そこで、質問ですが、昨年12月30日の報道によりますと、内閣府は、2018年度に40歳から59歳を対象にした初のひきこもり実態調査を行うこととされていますけれども、札幌市が64歳まで調査対象を拡大する意義をどのように認識されているのか、また、この調査結果をどのように生かしていくおつもりか、伺います。
◎有塚 子ども育成部長 調査の対象年齢を64歳まで拡大する意義、それから、調査結果の活用についてのご質問でございます。
質問にもございましたが、ひきこもり地域支援センターの相談状況では、40歳以上は全体の約3割、さらに50歳以上についても約1割あることから、札幌市におきましても、ひきこもりの高年齢化、長期化は深刻化しておりまして、社会的損失が非常に大きなものになっているのではないかと認識してございます。
このため、中高年のひきこもり者の実態と特有の課題も把握する必要があることから、これまでの40歳未満から、生産年齢の上限である64歳までを調査対象に加えることとしたところでございます。そして、この調査において把握する実態を踏まえまして、80代の親と50代の子どもから成る世帯が社会から孤立し、困窮するなど、いわゆる8050問題と言われておりますが、ひきこもりの高年齢化、長期化による課題への対応策の検討などに生かしてまいりたいというふうに考えております。
◆しのだ江里子 委員 札幌市では、2011年にひきこもりに関する実態調査を行っておりまして、その結果、当時の札幌市内の15歳から39歳のひきこもり群の推計数は9,500人、同年齢層人口の1.6%と発表されておりましたので、40歳以上も含めますと、実際には推計で1万人をはるかに超えるひきこもり当事者が存在しているものと考えられます。当事者団体であるNPO法人全国ひきこもり家族会連合会が会員向けに実施した2015年の調査におきましても、平均年齢が34.1歳、年々高齢化し、引きこもっている期間の平均が10年を超えている状況にあったことが明らかになっています。今まで、信頼できる統計的なデータが札幌市には存在しなかったことで実態の把握ができない状況でしたが、今回の実態調査で札幌市の現状が明らかになってくるものと考えられます。
当事者団体によりますと、ひきこもり専門相談員の質の確保、養成研修、ひきこもりピアサポーターの活用とか仲間づくりとしての常設の居場所の設置など、さまざまな支援のあり方についての必要性を指摘しております。
そこで、質問ですけれども、このたび、家庭以外での居場所である学び・交流機能、相談窓口をあわせ持つ仮称)よりどころを試行的に開設されますが、どのように運営されるのか、また、このような居場所でピアサポーターを活用すべきと考えますがいかがか、伺います。
◎有塚 子ども育成部長 仮称)よりどころの運営とピアサポートの活用についてのご質問でございます。
仮称)よりどころは、ひきこもりのご本人にとっては家庭以外の居場所であり、また、家族にとっては精神的安定を得られる支え合いの場として、社会から孤立せずにつながり続けることができるような場としたいと思ってございます。来年度は、年10回程度、市内全域から集まりやすい場所での開催を考えておりまして、参加者にとって有益な時間となるように、支援団体や家族会等の意見を取り入れながら試行を重ねていきたいというふうに考えてございます。
また、ひきこもりのご本人やその家族が社会参加に向けた第一歩を踏み出すためには、これまでの苦悩を受けとめてもらえることが大切だと考えておりますので、ひきこもり経験を持つピアサポーターに、その一翼を担う立場でかかわっていただくことを予定しております。
◆しのだ江里子 委員 仮称)よりどころを10回程度開設され、また、団体の声を聞くということでした。そしてまた、ピアサポーターにも一翼を担っていただくということで、まさにピアサポーターがしっかりと活用されるのではないかと思います。
先日、3月18日に、ひきこもりの人たちの高年齢化を考える集いという会が東京で開催されました。その集会では、社会学専門の愛知教育大学の川北准教授が自治体の151の生活困窮に関する窓口にアンケートを行った結果、ひきこもりに関する相談は、年代別では40代がおよそ61%と最も多かったと指摘しております。そして、准教授は、ひきこもりの人の多くは、家族以外との接触を持たず、親の病気や死亡をきっかけに経済的に困窮したり社会的に孤立したりするため、早い段階から地域で支える取り組みが必要だと指摘しております。
先ほど部長からもございましたように、今まさに8050問題が取り沙汰されておりまして、80歳の高齢の親が50歳代の息子とか娘を年金で養い、双方が立ち行かなくなり、命の問題にもなっております。稼働人口であります64歳までを調査対象とすることで、今回、札幌市が進めていかなければならないことがしっかりと見えてくると思います。居場所については、当事者が自主的に進めていくことがとても大切なことではないかと考えます。支援、支援と言うと、当事者をますます卑屈にしてしまい、居心地の悪いものにしてしまうことが往々にしてあります。障がいのある方たちからよくお聞きする言葉に、障がい者のことは障がい者を抜きに決めないでほしいということです。ひきこもりに関することも、ひきこもり当事者の意見をしっかりと聞いていただき、そして受けとめていただき、当事者の思いに沿った事業であってほしいと思います。
そしてまた、この実態調査の結果を検討した上で、子ども未来局から保健福祉局への移行の検討も求め、私の質問を終わります。
◆國安政典 委員 私からは、社会的養護のもとで暮らす
子どもたち、若者たちの自立のための支援について質問させていただきます。
さまざまな事情によって家庭で暮らせないために、施設や里親など、いわゆる社会的養護のもとで生活している子どもは全国で4万5,000人にも上り、札幌市内では500人を超えている状況であると聞いております。このような
子どもたちは、家庭環境の改善によって家庭に戻ることができる場合もありますが、施設や里親などのもとで暮らしながら高校卒業を迎えることも少なくありません。
厚生労働省の調査によりますと、そのうちの約7割の子どもが高校卒業後に就職しているということであります。
厚生労働省が昨年9月に公表しました新規学卒者の就職の3年以内の離職率は、高校を卒業した場合で40.8%、大学を卒業した場合で32.2%となっており、若いほど離職率が高い状況にあります。これは全体の数字でありますが、さらに、社会的養護のもとで生活してきた子どもの場合は、離職率がこの全体平均よりも高いという調査もございます。高校卒業までに家庭に復帰できないまま長期にわたって施設や里親などのもとで生活していた子どもの場合は、18歳となった後でも、親からの支援を十分に受けられず、離職とともに生活に困窮する場合も少なくないと思います。
平成28年の児童福祉法改正によりまして、全ての児童は健やかな成長・発達や自立等を保障される権利を有すること等が明確化されたところであります。しかしながら、社会的養護のもとで生活してきた
子どもたちの自立を保障するためには、まだまだ支援が不足しているのが現状であると感じております。
このたびの札幌市の平成30年度当初予算では、18歳から22歳までの若者に対する児童養護施設等への入所等にかかわる支援として、社会的養護自立支援費3,700万円が計上されております。
そこでまず、質問ですが、社会的養護自立支援費を計上した具体的な目的について伺います。
◎天田
児童相談所長 社会的養護自立支援費を計上した具体的な目的についてでございます。
児童福祉施設や里親などへの公的な措置による支援は、原則として18歳までとされており、18歳になった時点で引き続き支援が必要なため、措置を延長した場合にあっても20歳までが支援の限度とされております。
しかしながら、現状として、18歳や20歳になっても自立が困難な若者や、一旦就職しても、その後、離職するなどとなった場合、生活が安定せず、安心して戻れる場所を必要としているという若者も少なからずおられます。そのため、このような若者たちがこれまで生活してきた施設や里親などのもとで原則として22歳まで生活できるようにするため、居住費と生活費に関する支援を行うことで、自立に向けた生活基盤の安定を図ることを目的としているものでございます。
◆國安政典 委員 自立に向けた生活基盤の安定ということで、この支援の目的については理解したところでございます。
私は、これまで、何度か社会的養護の関係の質問をしてまいりました。
きょうの質問に当たりまして、さかのぼって確認してみましたところ、約10年近く前になりますが、平成20年の第3回定例会決算特別委員会で、社会的養護体制の充実ということで、児童養護施設等を退所し、自立するに当たって、ほかの
子どもたちと公平なスタートが切れるよう支援が必要であること、その中で、特に自立援助ホームの整備が必要であることを訴えさせていただきました。このときは、自立援助ホームは、北海道に1カ所、函館にできたばかりのところでありまして、札幌市にはまだございませんでした。お聞きしますと、現在ではそれが市内に4カ所、札幌市からの措置では昨年12月1日現在で12人の子どもが支援を受けていると聞いております。
約10年前のころの実態は、児童養護施設やその関係者など、こういった問題に直面した心ある方の善意に支えられていたところが大きかったと記憶しております。みずからアパートを借りて、そういった子どもを住まわせ、就職を支援している方にも実際にお会いしました。今でも少なからずそういった善意に支えていただいているところもあるかとは思いますが、そのころから考えると施策は進んでいるというふうに思います。このたびの社会的養護自立支援事業については、居住費や生活費に関する経済的な支援を行うということであり、そしてまた、それぞれの状況に応じて22歳まで生活することができるようになりますから、支援の幅が広がったという意味で評価させていただきたいと思っております。
さて、施設や里親のもとで22歳までの生活を保障することについては理解しました。しかしながら、生活を保障するだけでは、必ずしも社会的かつ経済的な自立につながらない場合もあるために、一人一人の状況に応じた計画的かつ継続的な支援が重要であるというふうに考えております。
国におきましては、平成28年の児童福祉法の改正を受けて、従来から一部の自治体で実施してきた施設や里親などのもとで暮らす若者たちの退所の際の生活支援と就労支援に加えて、一人一人に必要な支援をコーディネートし、関係機関と連携しながら支援を統括するための支援コーディネーターの配置が重要と考えているようであります。
さらに、昨年8月に国の新たな
社会的養育の在り方に関する検討会で取りまとめられた新しい
社会的養育ビジョンにおきましても、全国の自治体における自立支援の拡充を後押しするため、国において自治体で行う自立支援に関するガイドラインを策定することなどについて提言されております。このような流れの中で、札幌市においても、社会的養護のもとで生活してきた
子どもたちの真の自立につなげるため、支援のメニューをさらに充実させるとともに、一人一人の状況に応じて支援をコーディネートするための取り組みを進める必要があると考えます。
そこで、質問ですが、施設や里親などのもとで暮らしてきた若者たちが、社会での自立した生活を営むことができるための支援のあり方について、どのように考えているのか、伺います。
◎天田
児童相談所長 施設や里親などのもとで暮らしてきた若者たちの社会的自立のための支援のあり方についてであります。
自立に向けた支援では、若者たちがみずからの進路を決める過程において、若者たちの希望や適性を踏まえながら十分にサポートしていくことが重要と認識しております。
しかしながら、虐待を受けた経験によって心に深い傷を負っている場合や、退所後に親からの援助が受けられないことなどが要因となって、社会的にも経済的にも自立が難しく、よりきめ細やかな支援が必要となっている若者も見受けられているところでございます。
札幌市では、これまでも施設の退所予定者などへの就労支援を行ってきたところでございますが、このような若者たちの自立のためには、生活相談等の日常的な支援や一人一人に応じた支援をコーディネートし、計画的に支援していくことが重要と考えております。そのため、自立支援ガイドラインの策定など国の動向も見きわめながら、新たな支援の枠組みの構築や担い手の検討など、自立に向けた支援の充実に向けて検討してまいりたいと考えております。
◆國安政典 委員 施設や里親などの社会的養護のもとで暮らす若者たちが真の意味で自立するためには、一人一人の希望を尊重しながら、自立に向けて継続的にかかわっていくような一人一人に寄り添った支援が重要であるというふうに考えます。
札幌市でも、先ほど就労支援とおっしゃっておりましたし、さらには、就職支度金や貸し付けなどさまざまな支援策を行っていることも聞いております。さらに、そういったことをしっかりとコーディネートしていく支援コーディネーターなどの施策の充実もしっかりと進めていただきたいと思います。
それから、障がい者の自立については、今では就労後3年間の定着支援が主流になってきております。社会的養護のもとで育ってきた若者の自立のための入り口である初めての就労時における継続的なフォローは、とりわけ重要であるというふうに考えております。私が調べましたところ、京都市では、退所児童自立定着促進事業という相談援助の事業をやっているようであります。ぜひ、他都市の先進的な事例も参考にしながら充実させていただきたいと思います。また、国の動きを待つだけではなく、支援コーディネーターの配置と生活支援の開始を早期に実現して、退所前から退所後数年間まで切れ目なく継続的に支援できる体制を構築して、社会的養護のもとで暮らす若者たちの自立に向けた支援のさらなる充実に向けて取り組んでいただきたいと思います。
私は10年前にも公平なスタートが切れるようにと申し上げましたが、横浜市にフェアスタートサポートというNPOがございました。これは、このような
子どもたち、また若者を支援しているNPOでございます。この代表の方の言葉をおかりしたいと思いますが、施設出身者は、企業が採用して育ててみたいと思える要素をたくさん持っているとおっしゃるのです。ですから、基本的なスタンスは、かわいそうではなく、もったいないということだそうであります。要するに、社会的損失であるということのようであります。さらに、このようにおっしゃっていまして、本人自身に難しさがあるのではなく、本人を取り巻いてきた環境が機会不十分であった、もったいない若者を一人でも多く減らしていきたいという思いで活動を展開されているということでございました。札幌の子ども、若者たちが、生まれた環境や育った環境に左右されずに、公平なスタートラインから社会へ巣立つことができるように、誰一人取り残さないとのSDGsの理念を根底に据えて施策の充実に取り組んでいただきたいと思うわけであります。
最後になりますが、今月で退職される天田
児童相談所長に、多少脱線しても大丈夫ですし、感想でも結構でございますから、ここには後任者もいらっしゃるようでございますので、ご示唆をいただいて、私の質問を終わります。
◎天田
児童相談所長 子ども、若者たちが社会へ巣立つための支援施策の充実についてでございます。
感想めいた答弁になるかと思いますが、どうかご容赦いただきたいと思います。
児童養護施設や里親、そして自立援助ホームなど、子どものケアに携わる支援者の皆様は、子ども一人一人を大切にし、そして、できるだけの支援に当たっていただいております。この思いは、私ども
児童相談所の職員も同じでございます。
しかしながら、先ほど答弁で申し上げましたとおり、現状では、施設や里親などのもとで生活し、退所した若者の中には、さまざまな困難を抱え、勉学あるいは仕事が長続きせず、苦戦している例も聞いてございます。若者たちが安心して学び続け、そして働き続けるための支援や、生活の安定などのための寄り添ったきめ細やかな支援が重要であると考えておりますが、現状におきましては、その支援施策は必ずしも十分なものにはなっていないというふうに思っております。