委 員 村 上 ひとし 委 員 田 中 啓 介
委 員 平 岡 大 介 委 員 松 浦 忠
委 員 坂本 きょう子
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開 議 午前10時
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○
佐々木みつこ 委員長 ただいまから、第二部
決算特別委員会を開会いたします。
報告事項は、特にございません。
それでは、議事に入ります。
最初に、第6款 経済費 第2項 農政費のうち
農業委員会関係分の質疑を行いますが、通告がありませんので、質疑を終了いたします。
農業委員会の説明員の方は、退席されて結構です。
次に、第5款 労働費 第1項 労働費の質疑を行います。
◆
北村光一郎 委員 皆さん、おはようございます。
好調な経済の中で、日本政府は、一億総活躍社会ということで、皆さんでしっかりと働きましょうという提案をしております。そうした中、最近、労働問題について、新聞紙上では長時間労働や働き方の改革という話が出ておりますが、私からは、特に
中小企業の働き方改革支援について質問させていただきます。
先ほども述べましたように、好調な経済情勢を受け、
有効求人倍率は、平成29年7月時点の全国平均で1.52倍を記録し、既に、企業規模にかかわらず、人手不足が経営課題の上位に上げられているところですが、
中小企業においては、その傾向が強く、業種を問わず、必要な人材も人手も確保できないとの声が多く寄せられております。
国では、このような人手不足に対応するため、いわゆる働き方改革に力を入れることとしており、先ごろ、その実現に向けた働き方
改革実行計画を定めたところであります。この計画に基づく取り組みは、非
正規雇用労働者の待遇改善を初め、外国人材の活用など多岐にわたるものとなっておりますが、中でも特に重要と言えるものが潜在的な労働力である高齢者や女性の就業促進であります。
札幌市では、高齢者の有業率が14.8%で20政令市中最下位、女性に関しては45.2%で18位となっています。こうした背景には、
サービス業を中心とした
産業構造等のさまざまな要因があると考えますが、逆に言えば、人材を確保できる可能性が大きく広がっているものと言えるのではないでしょうか。
そこで、質問ですが、高齢者や女性といった
潜在的労働力を労働市場に呼び込むための課題についてどのように認識し、これまでどう取り組んできたのか、まず、伺います。
◎金谷
雇用推進部長 潜在的労働力を労働市場に呼び込むための課題認識と取り組みということでございます。
高齢者につきましては健康状態、女性につきましては家庭と仕事との両立への懸念から、
中小企業がこうした方々の採用に消極的であることが課題であると認識しております。
こうしたことから、札幌市
就業サポートセンターにおける求人開拓を通じまして、
中小企業の経営者の皆さんに、活用できる国の助成金などもお示ししながら、高齢者や女性の雇用について働きかけております。また、金融機関や業界団体が主催する
企業向けセミナーにおいても、雇用情勢の好転を踏まえ、人材確保には高齢者や女性などの
潜在的労働力の活用に向けた意識改革が必要であることを説明しているところでございます。
◆
北村光一郎 委員 ただいま答弁があったとおり、高齢者や女性と企業の
マッチングを促進するために、さまざまな機会を通じて企業側の意識改革に取り組んできたということでありました。高齢者は健康状態に合わせた就労を希望し、女性は子育てと仕事の両立を重視するなど、そのニーズは多様であります。しかし、共通しているのは、短時間でもいいので働きたいという点です。
一方で、ハローワークに掲出されている求人に目を転じてみれば、そうした求人はまれで、ほとんどがフルタイムの求人となっています。行政として、企業に対し、例えば
ワークシェア等、一つの仕事を複数人で分け合う方法を提案していくべきではないでしょうか。長時間労働が多いと言われる札幌市の
中小企業でこうした取り組みが進められていけば、長時間労働も縮減されていき、
労働生産性も高まると考えます。
そこで、質問ですが、
中小企業における
業務切り出し支援について、どのように認識し、今後取り組んでいくおつもりか、お伺いいたします。
◎金谷
雇用推進部長 中小企業における
業務切り出し支援の認識と今後の取り組みについてでございます。
国の調査によれば、25歳から39歳までの男性社員のうち、週60時間以上働く長時間労働者の割合は、全国が18.8%であるのに対して札幌市では28.8%と10%も高くなっており、長時間労働の是正が急務であると認識しております。改善のためには、仕事の工程の見直しを進めるとともに、従業員が担う
業務一つ一つの必要性を検証し、ご指摘の
ワークシェアを取り入れるなど、負担の軽減を図ることが必要であると考えております。一方で、
中小企業の多くは、こうした業務の見直しや切り出しについて、その必要性を認識しつつも、具体的な手法がわからず、実際に取り組みを進める段階には至っていないというふうに考えております。
今後は、経済団体と連携しながら、
中小企業の業務の見直し、あるいは業務の切り出しを支援することで、長時間労働是正の
ロールモデルづくりを検討してまいりたいと考えております。
◆
北村光一郎 委員 ただいまの答弁で、今後、経済団体とも連携し、業務の
切り出し支援を検討していくということでございました。ぜひとも、札幌市として、
中小企業の
職場環境改善のためにもしっかりと取り組みを行っていっていただきたいということを申し上げて、質問を終わらせていただきます。
◆
中村たけし 委員 私からは、東京圏からの
UIターンの促進について質問させていただきます。
局別施策の概要では、74ページの
東京圏新卒者等UIJターン就職支援事業になると思いますが、3,400万円余の事業費になっております。
札幌市の人口動態を見ますと、現在では、社会増が自然減を上回っておりまして、若干ではありますが、人口が増加している状況にあります。しかしながら、
住民基本台帳によって転出入の状況を見ますと、札幌市と道内の他地域との間ではほとんどの年代で転入超過であるのに対し、札幌市と道外の間では、20歳代の若者について、転入者が7,490人に対して転出者が9,860人と、2,370人の大幅な転出超過になっております。この背景には、東京圏への大学進学や就職が大きな要因だと考えられます。
このような中、本市では、昨年4月に
札幌UIターン就職センターを開設して、東京圏から札幌市への人材還流を目指しているところでございます。
札幌UIターン就職センターにつきましては、我が会派でも数人で視察させていただきましたが、観点を変えますと、人材不足に悩む
市内企業が東京圏から社員採用を行うことを支援する一面もあるというふうに考えております。今年度は、東京でのセンターの相談員を1名、札幌市内における
企業開拓員を1名それぞれ増員して、昨年度より幅広く
UIターン促進のための取り組みを行っているとお聞きしております。
そこで、質問ですが、
札幌UIターン就職センターの昨年度の実績と今年度の進捗状況について、まず、お伺いします。
◎金谷
雇用推進部長 札幌UIターン就職センターにおける昨年度の実績についてですが、
求人掲載企業数が251社、
求職登録者数は568名、
就職相談件数が1,732件、
就職内定件数が71件となっております。
今年度の進捗については、8月末までの状況を見てみますと、昨年同時期よりも大幅に伸びている状況でございます。具体的な数字を申し上げますと、
求人掲載企業数につきましては、昨年8月末の数字が148社でしたが、今年度は267社となっております。以下、
求職登録者数は98人に対して322人、
就職相談件数は488件に対して877件、
就職内定数は33件に対して65件となっております。大幅に伸びている要因といたしましては、開設から2年を迎えて当センターの認知度が高まってきたことがあるというふうに考えているところでございます。
◆
中村たけし 委員
センター開設後2年目を迎えて、昨年度と比較すると、
求人掲載企業数や
就職内定数などが大幅に増加していることが今の答弁でわかりました。特に、
就職内定数は、8月末時点の段階で昨年度は33件だったのが65件ということで、本当に大きく伸びていることがわかりました。今後も、当センターの周知などについて引き続き精力的に取り組んでいただきたいというふうに思います。
しかし、現在は、いわゆる
売り手市場ということもあり、先ほど申し上げたように、
市内企業の人材確保という観点も重要というふうに考えております。中でも、市内の大多数を占める
中小企業については、採用活動に対する時間や費用を十分に捻出することができない状況があります。そのため、求職者に自社の魅力を十分に発信することができずに人材確保に苦労されているとお聞きしております。その一方、大学生の人気業種として公的機関や金融業界、広告業界が上位になっているというのが実情で、また、大企業が人気というのも事実でございます。
そこで、私は、
中小企業の魅力を十分に発信すると同時に、札幌と東京圏の通勤時間や家賃の違いについて、東京圏は本当に家賃が高くて札幌は安い、東京圏は通勤時間が本当に長いけれども、札幌は職住近接していることなどをしっかり説明して、就職以外での札幌の魅力も求職者に伝えていく必要があるというふうに思っております。
そこで、質問ですが、
市内企業の人材確保を支援していくためにどのような取り組みを進めていくつもりなのか、お伺いします。
◎金谷
雇用推進部長 人材確保に対する
市内企業への支援ということでございます。
人材不足に対応するためには、地元からだけではなく、東京圏からも広く採用活動を行っていくことも有益なことだろうと考えております。そのため、今年度から、札幌市に駐在している
企業開拓員を2名から3名に増員いたしまして、東京圏からの採用に積極的な企業の掘り起こしを精力的に行っております。また、新たな取り組みといたしまして、金融機関にご協力をいただいて、人材確保に悩む
市内中小企業等をご紹介いただいているところでございます。
今後も、多くの
市内企業に求人掲載をしていただきまして、そうした企業の詳しい情報あるいは魅力、さらに、委員がご指摘の札幌市の持つ優位性などにつきまして、東京圏の求職者の皆様に対して広く発信していくことにより、
市内企業の人材確保を支援してまいりたいと考えております。
◆
中村たけし 委員
市内企業にとっては、このセンターを活用して自社の情報を広く発信し、また、今の部長の答弁にあるような取り組みによって、求職者と接触する機会がふえてくれば、社員採用につながっていくと考えます。また、当センターの
求職掲載企業がふえればふえるほど、求職者にとっては魅力を感じることができ、
就職内定数などの増加につながるといった相乗効果が期待できるというふうに思っております。
先ほど道外における20歳代の若者の転出超過について述べさせていただきましたが、平成26年度の
学校基本調査によりますと、北海道から約3,400人が東京圏の大学に進学しております。しかし、このうち、1割から2割程度の学生しか
Uターン就職していないという状況があります。したがいまして、東京圏に暮らす大学生に対して、札幌市により多く戻ってきてもらうような取り組みも重要だと考えております。
一方で、ある民間企業の調査によりますと、約5割の大学生が
Uターン就職を希望しているにもかかわらず、その希望がかなっていないという状況もあります。このようなことから、今後、特に道内出身の学生が多い東京圏の大学との連携を深めて
UIターン就職を促進していくことが重要だというふうに考えております。
そこで、質問ですが、今後、大学生の
UIターン就職を促進するために大学とどのように連携していくおつもりなのか、お伺いします。
◎金谷
雇用推進部長 大学生の
UIターン就職を促進していくための大学との連携ということでございます。
委員がご指摘のとおり、
UIターン就職を促進していくためには、大学との連携を深めていくことが重要であるというふうに認識しております。そのために、当センターには
大学訪問員を配置しておりまして、今年度は8月末までに88校の大学を訪問しているところでございます。大学と良好な関係を築くことによりまして、大学の
キャリアセンターで働く皆さんから大学の学生に対して当センターの活動を積極的に伝えていただいております。そのほかに、
学内就職イベントなどへの参加を通じて、
UIターンを希望する学生への直接的な働きかけも行っているところでございます。
また、東京圏の大学と
UIターン就職促進協定の締結を進めておりまして、昨年度は専修大学と高崎経済大学の二つの大学と、今年度につきましては既に駒澤大学、立教大学、神奈川大学の3校と協定を締結させていただきましたが、現在、さらに数校との間で協定締結の準備を進めている状況でございます。今後も、
道内出身学生が多い大学を主なターゲットとして
就職促進協定の締結を進めて、大学との連携を積極的に広げてまいりたいというふうに考えております。
◆
中村たけし 委員 最後に、要望して終わります。
多くの大学と
就職促進協定を結び、その大学に札幌のよさがしっかりと伝わるようにお願いしたいと思います。先ほどの質疑でも申し上げましたが、職住近接していることや物価が安いこと、また、夏の暑さがないといったように、札幌で働くメリット、利点というのは多くあるはずです。札幌に
Uターン就職したいと考える大学生は本当に多いですから、待ちの姿勢ではなく、
大学訪問員や
企業開拓員がフットワークよく足を運んだり顔を出すなどして、東京圏の皆さんに札幌の魅力をしっかり発信していただきますことをお願い申し上げまして、質問を終わります。
◆丸山秀樹 委員 私からは、ことしの1定の代表質問における高齢社会への対応の中でも取り上げさせていただきました
高齢者雇用の推進について質問させていただきます。
1995年以降、15歳から64歳までの
生産年齢人口は一貫して減り続けている中、年齢制限を設けず、働く意欲のある方で構成される
労働力人口は、2013年から4年連続で増加を続けております。こうした背景には、女性や高齢者といった潜在的な労働力とされていた方々が労働市場に参加してきたことが挙げられますが、特に65歳以上の高齢者の就業率は高く、2016年の数値で22.3%と、主要国の中でも高水準となっております。国は、働き方改革の実現に向け、65歳以上の高齢者の就業率をさらに高めていくということで、その目標の達成には、心身ともに健康で働ける状態にありながらも、労働市場に参加されていない方々の就業意欲を高め、人手不足に悩む企業と
マッチングしていくことが必要であります。
一方、札幌市の高齢者の
就業希望率に目を転じてみますと、最下位ではないものの、7.9%と政令市の中でも19位に低迷しております。
そこで、質問ですが、全国と比較して低い高齢者の
就業希望率を高めるとともに、就業につなげるため、本市ではこれまでどのように取り組んできたのか、お伺いいたします。
◎金谷
雇用推進部長 高齢者の就業に係るこれまでの取り組みということでございます。
高齢者の就業意欲の向上に関しましては、平成28年度から、各区で高齢者の就業事例や雇用情勢を説明する
高齢者向けセミナーを開催し、働くことへの不安の解消、あるいは後押しに努めてきたところでございます。このセミナーは、昨年度の1年間で22回開催しており、初年度でございましたが、定員の約8割となる392名に参加いただき、好評を得ているものと考えております。セミナーのカリキュラムを通じて札幌市
就業サポートセンターや
あいワークの利用を促すなど、単なる意欲向上だけではなく、企業との
マッチングにつながるような支援をしてきたと考えております。
◆丸山秀樹 委員 高齢者の就業を後押しするセミナーを22回実施されたというお話でございました。多くの方の参加を得たことは、大変評価ができるものと考えます。
しかし、高齢者の雇用の一層の促進のためには、行政だけではなく、人手不足に悩む民間企業としっかり連携し、取り組みを進めていかなければなりません。札幌市においては、民間企業と協働して地域の行政課題の解決を図るために、
まちづくりパートナー協定を締結し、さまざまな分野で取り組みを進めているところであります。取り組みの中には
高齢者雇用の推進に係るものも含まれており、
セブン−イレブン・ジャパンやセコマとの連携によって高齢者の
コンビニエンスストアでの就職を実現していると聞き及んでおります。私の地元でもこの取り組みに参加した店舗のオーナーがおり、最近では、学生のコンビニでの
バイトニーズが低下傾向にある中、高齢者が求人に来てくれ、大変にすばらしいものだというお話をいただいたところでもあります。こうした取り組みを一層推進していくことができれば、先進事例も多く生まれ、市内の企業に波及させることができるのではないかと考えます。
そこで、質問ですが、
まちづくりパートナー協定を活用した
高齢者雇用の推進の現状と今後の取り組みについて伺います。
◎金谷
雇用推進部長 まちづくり協定を活用した
高齢者雇用の推進の現状と今後の取り組みということでございます。
高齢者雇用の推進に係る連携につきましては、
セブン−イレブン・ジャパンと本年1月から、セコマとは本年7月からそれぞれ取り組みを進めているところでございます。具体的には、高齢者の就労状況や
コンビニエンスストアの仕事内容を紹介する
高齢者向けの説明会を共催させていただいておりまして、これまで14回の開催で204名が参加し、うち33名の高齢者が就職を実現しております。こうした取り組みを通じまして、高齢者の雇用に当たっては、勤務時間帯への配慮、研修内容に工夫を加えるというようなさまざまなノウハウが蓄積されてきたところでございます。
今後は、こうしたノウハウを広く市内の企業に紹介いたしまして、積極的に取り入れていただくことで
高齢者雇用を一層推進してまいりたいと考えております。
◆丸山秀樹 委員 既にコンビニで多くの
高齢者雇用を実現しており、募集から採用後の研修に関するノウハウを今後は広く市内の企業にも提供していくということであったと思います。この取り組みは、就労を望む高齢者にとっても、人手不足に直面している企業にとっても、有効な取り組みであり、積極的に進めていただければと思います。
しかし、高齢者が求職活動を進める上で、選択する業種がある程度固定化してしまう傾向があるようにも感じております。でき得ることならば、長年の職業経験で培ったスキルをさまざまな業界で生かしていけるよう、高齢者に職業理解を促す取り組みがあればと思うところであります。
そうした中、あすから2日間、シニアワーキングさっぽろが開催されます。このイベントは、60代からの仕事の説明会が北海きたえーるで開催されるもので、実際に働く際のイメージがつかめるように、参加企業のブースでレジ打ちやパソコンを使った
書類づくりなども体験できるほか、コンビニや
タクシー会社、
コールセンターや飲食店など、多種多様な業種から高齢者を戦力と位置づける企業が60社ほど来て、2日間にわたって出展されると聞いております。短時間のアルバイトが中心ということですが、正社員や契約社員の求人もあるとも伺っております。高齢者がさまざまな業界の企業の仕事を気軽に体験できるイベントとして、大いに期待しているところであります。
しかし、単発のイベントでは、イベントに参加した方々の業種理解を進めることはできても、当然、イベントに参加できなかった方の理解を広げていくことはできません。
そこで、質問ですが、高齢者と多様な業種を結びつけるため、今後どのような取り組みを進めていくおつもりなのか、お伺いいたします。
◎金谷
雇用推進部長 高齢者と多様な業種を結びつける取り組みについてでありますが、高齢者が求職活動を進める際、一般の求職者と比べて希望する職種や業種が限定される傾向にあるものと認識しております。今後、高齢者の就業を推進するためには、シニアワーキングさっぽろのようなイベントはもちろんのこと、委員がご指摘のとおり、職種、業種への理解を促す取り組みが恒常的に必要であるというふうに考えております。
札幌市
就業サポートセンターでは、
高齢者向けに
職場体験機会を提供しているほか、未経験の仕事につく際に有効なセミナーの開催、資格取得に対する支援など、多様なメニューを展開しているところでございます。今後は、こうしたメニューの充実なども図りまして、高齢者がより多くの職種や業種と
マッチングできるような支援を実施してまいりたいと考えております。
◆丸山秀樹 委員 イベントだけではなく、高齢者の方々にもいろいろな業種の理解が進むよう、札幌市
就業サポートセンターの機能充実を進めるということでございました。特に、資格取得などは、やる気と生きがいにもつながり、それがしっかりと就業に結びつくことが非常に重要だと思っているところでございます。ぜひとも、人手不足に悩む企業のためにも、そうした支援の拡充を図っていただければと思います。
最後に、要望ですが、高齢者と申しましても、昨今の高齢者は、まだまだ元気で、気力、体力とも充実している方がたくさんいらっしゃいます。先ごろ改定された
産業振興ビジョンでは、数値目標として、平成33年までに現在の85万人である市内の就業者数を90万人まで増加させることを掲げております。この増加は、高齢者の就業意欲が高まり、企業側が高齢者を採用することで初めて実現されるものではないでしょうか。
ぜひとも、目標の実現に向け、高齢者、そして企業が希望の持てる効果的な取り組みを積極的に進めていただくことを要望し、私の質問を終わります。
◆坂本きょう子 委員 私は、女性の継続就労について質問したいと思います。
女性は、結婚、出産を機に、一旦、仕事から離れなければならないという状況について、常々、問題視されてまいりました。
生産年齢人口の減少はとどまることを知らず、ちょっと先ですが、日本の総人口は2065年には9,000万人を割り込み、高齢者率も38%台の水準となることが見込まれております。こうした中、札幌市では、人口減少に対応するため、さっぽろ未来創生プランを定め、目標指標の一つとして合計特殊出生率を2019年に1.36とすることを掲げております。この合計特殊出生率は、現時点では政令市で最下位にとどまっているということですから、1.36にまで引き上げることに関しては、意欲的ではあるものの、現在の数値を見る限り、実際にこの水準に到達することは極めて難しく、厳しい状況にあると言わざるを得ません。
また、出生率の向上に関しては、保育所整備等の多様な問題があると考えますが、出産が女性の仕事上のキャリアの中断につながり、いわゆるM字カーブにも大きく影響していると推察できます。全国的に見れば、第1子の出産後の継続就業率は改善の傾向にあるものの、いまだに5割ほどの方が退職を余儀なくされているということでございます。仕事でもしっかりと活躍したいと考えている女性、能力を発揮したいと考えている女性は、確実に増加しています。出産を経ても子育てと仕事が両立できる、安心して働くことができる環境が十二分に整ってこそ、生活面も、またキャリアの面でも安心が確保でき、子どもを産み育てていこうという気持ちが湧いてくるものと考えています。
私ごとで恐縮ですけれども、ことし、私の娘も子どもを授かりました。今、育児休暇をとりながら子育てに奮闘しているところですが、やはり、育児休暇があっても、どういうふうに仕事に復帰できるのだろうか、保育所も見つけなければいけないなど、いろいろなことで不安を口にしております。制度があってもきちんと利用できなければ、女性のキャリアをそのまま継続するようには進んでいかず、合計特殊出生率も低迷を続けるままとなっていくのではないかなと思います。
本市では、これまで女性の継続就労に向けていろいろな取り組みを行ってきていると思いますが、具体的にどのようなことに留意をして取り組みを行ってきたのか、そしてまた、その取り組みの評価について今現在どのように認識をしているのか、伺いたいと思います。
◎金谷
雇用推進部長 女性の継続就労に向けたこれまでの取り組みと評価ということでございます。
求職活動を行う方、就労する方の割合である労働力率につきましては、本市の女性の場合、25歳から29歳までの年齢層では全国とほぼ同じですが、30歳以上の全ての年齢層で全国を大きく下回っている状況になっております。その背景には、委員がご指摘のとおり、出産により退職される女性の方が多く、仕事と家庭の両立が難しいという環境があるのではないかと考えております。
このため、平成26年度から、働く女性と企業を対象として女性社員の活躍応援事業に取り組んでおります。継続就労に利用可能な制度、あるいは、テレワークなど職場環境整備に関する情報等を提供いたしまして、これまでに731名の女性、262社の企業に参加いただいております。本年度からは、人手不足の深刻化を踏まえまして、企業に対して育児や介護などのライフイベントに合わせた人材活用の手法を伝える働き方改革セミナーも実施しており、女性の継続就業に一定の成果があったものと考えているところでございます。
◆坂本きょう子 委員 いろいろな取り組みをなさっていて、働く女性向けにも、企業向けにも、セミナー等を開催して制度の利活用も含めて啓発を図ってきているということでした。
今の部長の答弁にもありましたように、30歳以上の方たちの労働力率が全国に比べると大幅に下がっているということです。両立が難しいというご認識も出されました。M字カーブの解消に向けては、働く女性自身の考え方も変えていく必要があるのかなとは思いつつも、やはり、何よりも女性を雇用する企業が柔軟な勤務形態を受け入れていくことが求められているというふうに思います。
市内の民間事業者が子育て中の女性の就労希望について調査した結果ですが、子育て女性の多くは、育児と仕事の両立のために、復帰後、勤務時間短縮、あるいは、子どもを抱えながらだと病気やさまざまな事情でどうしても休まなければならないような状況がありますので、休日を取得しやすい勤務を望むことが明らかになっています。
また、人口の減少と
有効求人倍率の一定の好転に伴って、企業の人材確保が難しくなってきています。先ほども人手不足というお話をセミナーの中でも聞いているということでしたが、企業の人材確保が難しくなってきていて、人手不足によって業務を回すことができず、企業倒産に追い込まれていることも統計の中では明らかになってきております。
冒頭に申し上げたように、育休を取得した後に職場に復帰し、仕事と子育てを両立できるかどうかという不安は、お母さん世代、ご夫婦にとってはとても大きなものになっています。ここの足かせをしっかりと取り除いていくことが求められているというふうに思います。育児休暇を取得したものの、職場復帰を断念してしまう女性も多くいらっしゃいます。実際には、やはり、保育所が見つからずに、もう1年、もう半年、企業に待ってくれと言っても、復帰のめどが立たなければ、そこで一般職員から派遣に戻してしまうという話も聞いていますし、本当に仕事をすることが厳しいというような状況もございます。そうした際、短時間勤務等の柔軟な雇用形態を選択することができれば、企業の側でそういうものを導入することができれば、女性の職場復帰へのハードルも随分下がると考えられます。
女性の活躍に向けて企業が柔軟な雇用形態を一層取り入れていくことが必要だというふうに思いますけれども、この点については企業に対してどのような働きかけを行っているのか、伺いたいと思います。
◎金谷
雇用推進部長 柔軟な雇用形態の導入に向けた企業への働きかけということでございます。
民間金融機関が、昨年11月から12月にかけて、道内企業を対象に女性の活躍に向けた取り組みについて調査した結果がございますが、約35%の企業の方が特にないと回答しておりまして、引き続き働きかけが必要と考えております。
委員がご指摘のとおり、特に子育て中の女性は、育児と仕事の両立に当たり、短時間勤務等の柔軟な雇用形態を望んでいるということでございます。このため、女性社員の活躍応援事業における
企業向けセミナーでは、短時間で働く正社員など、柔軟な雇用形態を採用する
市内企業の事例を取り上げて紹介してきたところでございます。今後は、経済団体とも連携しながら、こうした好事例を
市内企業の大部分を占める
中小企業の皆さんに広く伝えることで、女性が働き続けられる環境整備を進めてまいりたいと考えております。
◆坂本きょう子 委員 企業の取り組み状況では35%の企業が特に何もやっていないということですから、働きかけが必要だということでしたけれども、積極的に改善を求めていくことが必要だと思います。
札幌市でつくっている働き方セミナーのパンフレットを頂戴しましたが、札幌市の人口に占める女性の割合は20政令市中最も高いのですね。しかし、女性の有業率は政令市中18位となっていますから、やはり働きづらい状況があって、冒頭でM字カーブのこともお話ししましたが、ここがなかなか平らになっていかないということがあります。経営戦略と言うと大げさですが、女性が十分に力を発揮し、働きやすい職場環境づくりに企業の側から取り組むことが本当に求められていると思います。柔軟な雇用についての普及に努めているというご答弁もありましたから、短時間勤務を取り入れている企業の事例等も紹介しながら、そこを積極的に進めていっていただきたいと思います。あわせて、時間が短縮された分、賃金も安くていいということであってはならないと思いますので、賃金の確保も含めて、ここはしっかりと対応していただきたいと思います。柔軟な雇用が実現し、そして、女性がそれぞれの人生設計、ライフステージに合わせて勤務の形態を選択することができれば、キャリアを継続することを諦める女性は大きく減っていくものだというふうに考えます。
しかし、女性が単に働き続けられればいいということではございません。国においては、女性活躍推進法を定めて、大企業などに対しては女性の管理職割合等の指標目標を義務づけていますけれども、この裾野がなかなか広がっていかない。特に札幌市は
中小企業が大多数を占めているわけですから、ここでの女性の雇用がしっかりと守られなければならないですし、女性の活躍に向けた認識をしっかり持ってもらうことが大事だと思います。女性を企業の重要な戦力として捉え、子どもの成長とともに能力、キャリアをアップさせていく、そして、それを遺憾なく発揮してもらえるような仕組みづくりが求められているというふうに思いますので、女性の企業内における能力開発支援についても力を入れていただきたいと思います。
この点については、どのように取り組んできたのか、あるいは、これからどのように取り組んでいこうとしているのか、伺いたいと思います。
◎金谷
雇用推進部長 女性の企業内における能力開発支援ということでございます。
人手不足が深刻化する中で、人材の育成は、
中小企業の経営課題の上位に位置しております。男女を問わず、従業員がキャリアプランを定め、実現に向けて取り組んでいけるような職場環境が重要であると考えております。一方で、
中小企業は、大企業と比べて人材育成に投じる費用が限られております。OJTに大きく依存するなど、社内研修制度も十分に整えられておらず、組織的な能力開発の機会が少ない傾向にあると思います。
今後は、社内研修制度の導入に対する支援など、人材の育成や定着に向けた取り組みを研究してまいりたいというふうに考えております。
◆坂本きょう子 委員 最後の研究という言葉が気になるところですが、男女を問わず、働く皆さんの能力開発の支援をやっていくのは当たり前のことだと思います。女性が働きやすい職場環境づくりは、
中小企業では個別対応がなかなか難しいというご答弁がございましたけれども、ここをしっかりと整えていくことが大事です。環境と女性に優しい社会、職場というのは、もちろん男性にとっても働きやすい環境だということになるわけです。
広く見ますと、我が国は、ヨーロッパ諸国と比較して労働時間がとても長い、その一方で、生産性は低い状況となっています。やはり、ここを改善していかなければならないというふうに思います。働く全ての方々が、能力を高め、発揮する機会が与えられることによって、労働時間の短縮や生産性の向上も見込めるわけですから、そこに対しての働きかけ、支援をしっかりとやっていただきたいと思います。
本当に札幌市を支えているのは
中小企業でございますので、そこにより一層の支援を実施していただくように申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
現在の大通公園1丁目のスケートリンクは、雪を敷き詰めて自然の寒さにより製氷しております。現状の2週間程度でも、日々、リンクのコンディションの維持に大変な苦労をしている状況となってございます。これまでも、実際に降雨によるコンディション不良のためにリンクが使えないこともあり、さらに、一度、氷が溶けてしまうと、改めての製氷作業には多大な労力を費やすこととなります。そういう中で開催期間を延長する場合、雨や気温上昇のリスクがさらに高まることから、利用者の安全性を確保するための氷のメンテナンスが最も大きな課題と考えてございます。さらに、大通公園の芝生保護の観点からも、現状リンクでの開催期間の延長についてはハードルが高いものと認識しております。
なお、仮に冷却管を使用した人工のスケートリンクを設置するとなると、これまでの数倍もの費用がかかることが想定されますことから、利用料、企業協賛などの収入の確保も課題になるというふうに考えております。
◆丸山秀樹 委員 自然の寒さでの製氷によるリンクの維持には大変難しい課題があるようでございまして、大通公園でのスケートリンクの開設期間の延長にはさまざまな課題があることがわかりました。
一方、本州に目を向けますと、東京や横浜では、冬になると2カ月以上にわたって都心部にスケートリンクが設けられ、観光やデートスポットとして人気を博しております。東京では、周辺商業施設との連携などで民間企業が各地でリンクを設置、営業しており、また、横浜では、官民連携の取り組みにより設置、運営され、リンク上では文化芸術分野を中心に趣向を凝らしたイベントが開催されるなど、集客効果を生み出しているとも伺っております。また、こうしたところは企業もついているようでございまして、赤坂サカスではTBSが、東京ミッドタウンでは三井不動産が、また東京スカイツリーなどでもそうです。さらに、今挙げたところは全て駅に直結した形で運営されていまして、調べさせていただくと、利便性のいいところで、しかも、しっかりとした企業がついていることがわかったところでございます。
こうした先進事例を参考に、札幌市においても、大通公園に限らず、都心部において札幌の顔であるウインタースポーツを活用した体験型観光コンテンツを長期間提供することは、閑散期の観光振興にとって極めて有効ではないかと考えるところです。さらに、冬季オリンピック・パラリンピックの招致に向けて機運醸成につながっていくということも考えられ、その招致活動と組み合わせていくなどすれば、実現が可能になるのではないかと期待するところでもあります。
そこで、質問ですが、札幌の都心部に、アイスショーやスケート教室など、さまざまなイベントなどにも活用できるスケートリンクを長期間設置することを積極的に検討してはどうかと考えますがいかがか、お伺いいたします。
◎森 観光・MICE推進部長 都心部でのスケートリンクの長期間設置についてでございます。
先ほど申し上げましたとおり、さまざまな課題はあるものの、長期間にわたりスケートリンクを都心部に設置することは、札幌観光の冬の閑散期対策として有効であると認識しております。特に、アイスショー等ができるような光や音の演出を活用した都市型スケートリンクの設置は、スケートをする人も見る人も楽しめる札幌の冬の新たな魅力として、さらなる集客効果を生み出すことができるのではないかと考えているところでございます。さらには、ウインタースポーツのすばらしさを市民、道民にこれまで以上に伝えることが可能となり、冬季オリンピック・パラリンピック招致機運の醸成にも貢献できるものと考えてございます。
このことから、リンクの設置場所や経費面など乗り越えなければならないハードルは極めて高いものの、民間企業や関係団体、関係部局とも連携しながら、その実現可能性について探ってまいりたいと考えてございます。
◆丸山秀樹 委員 最後に、要望させていただきます。
都心部でのまち中スケートリンクは、ビジネス帰りの人や、買い物などでまちの中に出かけたときに気軽に楽しめるのが魅力であり、その設置にはやはりロケーションというところがとても大切だろうと考えます。地下歩行空間が整備された後、冬の地上でのにぎわいには何らかのインパクトが必要ではないのかと思っていたところ、ここ数年で都心部のビルの建てかえも進んでおり、例えば北3条広場にもすばらしい憩いの空間が生まれております。企業や周辺の飲食店などの効果も期待できる場所と思われ、ぜひご検討いただき、都心部にまち中スケートリンクの設置を検討していただくことを求めて、私の質問を終わります。
◆田中啓介 委員 私は、MICE事業と定山渓の観光振興について質問いたします。
本市は、大規模MICEが行える施設の整備を目指し、札幌パークホテルの敷地を有力候補として挙げ、周辺ホテルを含む最大1万人が参加するMICEの誘致を目指す方針としています。
我が党は、代表質問や委員会で、大規模なMICE事業、施設整備ではなく、札幌市の特性を生かし、既存の施設を利用した小規模、中規模な会議をたくさん誘致することを最優先にした事業にしていくべきこと、また、MICE事業を行うに当たっては、地元企業に仕事が回り、正規雇用をふやすなど、域内経済の循環を生み出していくような事業にすべきと申し上げてきました。
2016年の国際会議の開催件数は130件、参加者数は5万人以上、また、インセンティブツアーを誘致、支援した件数は78件で、この参加者数は1万人を超えています。MICEの開催は、その会議だけではなく、飲食、宿泊、観光など幅広く、滞在期間が比較的長い傾向にあると言われています。その中で、例えば広島市では、MICE事業として、広島市内での国際会議参加者に対し、世界遺産である宮島で商店街での飲食、買い物、また、厳島神社の参拝、浴衣の着つけなど、日本文化体験の取り組みをしております。
札幌市の場合は、定山渓という観光地、温泉郷がございます。この定山渓温泉の宿泊施設は21軒、客室数で言うと2,052室、定員数が8,407人、昨年度の客室稼働率は67.9%となっています。それ以外にも自然を生かしたさまざまなアクティビティーもあり、また、今月、地元の方がガイドして定山渓エリアを周遊する紅葉かっぱバス、さらに、昨年からスタートしましたが、地元の人が中心になって、川沿いの散歩通を自然で繊細なイルミネーションで飾り、宿泊客やそこを訪れた方が浴衣を着てそぞろ歩いて楽しめる定山渓ネイチャールミナリエもイベントとして行っています。
そこで、質問ですけれども、市内中心部で会議などをしたMICE参加者に対して、定山渓を観光してもらう、また宿泊してもらうことは定山渓観光振興のためにも大切であり、本市が誘導するような支援が必要だと思いますがいかがか、伺います。
◎森 観光・MICE推進部長 定山渓へのMICE誘致、それから、定山渓の活用策についてというご質問だったと思います。
国際会議や学会等の開催場所につきましては、主催者が会場の収容力や利便性等を考慮した上で決定するものでございますが、これまでも、主催者のニーズに応じて、適宜、定山渓地区の情報をPRしてきたところでございます。実績といたしましては、おおむね100人から300人規模の国際会議ではございましたが、平成28年では定山渓地区で4件が開催されました。
今後につきましては、定山渓の観光振興の重要性を踏まえまして、より一層の定山渓地区の活用につながるよう、国際会議の誘致活動の際に積極的に定山渓地区の魅力等をPRしてまいりたいと考えているところでございます。
◆田中啓介 委員 今、森部長からありましたが、MICE事業そのものとしては、昨年は100人から300人規模の会議が4件ということでした。当局からいただいた資料で言うと、昨年、MICE全体の国際会議が130件あって、そのうちの4件となると思いますが、ここ5年間で言うと昨年の4件も含めて6件と聞いていますので、まだまだ少ないなという思いがしています。国際会議というのは、都心ばかりではなくて、工夫を重ねることで、MICE事業における開催の成功と同時に観光の振興にも新しい視点をもたらして、これがまた地域の活性化にもつながっていくと思います。
先ほど広島の話をしましたが、神戸市には有馬温泉がございまして、地域の資源を生かしたMICE事業として、地元関係者・団体と連携し、誘客を支援するための有馬温泉観光振興策を行っていると聞いています。また、山形県の上山市は、人口は約3万2,000人のまちで、江戸時代には宿場町として栄えましたが、現在は温泉で知られておりまして、この上山市のかみのやま温泉で、2010年に計算機と情報科学に関する国際会議ICIS2010が開催されました。約200人の参加者の半数近くがアジアや欧米からの外国人でしたが、この温泉で開催した理由として、大都市での開催に飽きている参加者が多く、前例のない地方の温泉旅館への誘致は逆にチャンスがあると考えたそうです。実際に、旅館の和室や温泉が好評で、外国人参加者からは、温泉や浴衣を着る体験によって日本に来ている実感ができた、大都市を離れ、地域の多様性を感じることができてよかったという声が上がっているそうです。また、参加者の方々だけではなくて、実際に受け入れたかみのやま温泉でも、観光振興の新しい視点が発掘されて、地域の活性化の機運が高まったということでした。
今定例会でも、定山渓の観光施策に関する代表質問で、町田副市長は、重点施策と位置づけ、さまざまな手法で定山渓への誘導策を行うと答弁しています。
そこで、質問ですが、MICE誘致をするに当たって、特に小規模なMICEをどんどん定山渓へ誘致または誘導するべきであり、また、その支援を本市が行っていくべきと思いますがいかがか、伺います。
◎森 観光・MICE推進部長 定山渓へのさらなるMICEの誘致というご質問でございました。
繰り返しになって大変申しわけございませんが、先ほども答弁させてもらいましたように、会場そのものに関しましては、さまざまな条件の中から主催者が決めるものとなっております。ただ、その中で、私どもも、コンベンションビューローで相談があった場合には、規模感等々も含めながら定山渓地域もご紹介させていただいているところであります。よって、これらについては、コンベンションビューローとももう少し情報交換を図りながら、規模にもよりますが、定山渓のさらなる魅力をお伝えして推し進めてまいりたいというふうに考えます。
◆田中啓介 委員 ぜひ、積極的にアピールしていただきたいと思います。
ただ、定山渓観光魅力アップ構想の中でも、課題の一つとして定山渓までの移動や交通アクセスの魅力強化を挙げておりますし、アンケートなどでもまさにそこが課題として出てきております。現在は、市中心部から定山渓まで1日数便の直行便のバス、かっぱライナーがありまして、運行事業所と本市で協議を重ねて増便されていると聞いています。また、このほかに、路線バスも運行されております。市中心部と定山渓の間には、南区の真駒内、川沿、南沢、中ノ沢、石山、藤野、簾舞、豊滝、小金湯が沿線にございます。
そこで、質問ですけれども、定山渓観光協会、また定山渓の地元の方々、交通事業者、そして沿線住民に本市が加わって、移動や観光アクセスの魅力強化のための協議が必要だと思いますがいかがか、その中で課題点や提案案件などを確認できて地域振興にもつながると思いますが、あわせていかがか、伺います。
◎森 観光・MICE推進部長 定山渓へのアクセスの魅力強化についてでございます。
定山渓は、札幌中心部から約1時間で訪れることができる距離の近さが強みでございますが、主な移動手段は車またはバスでありまして、観光客が快適に定山渓まで行けるよう、交通アクセスの充実が課題であることは認識しております。
そうした中、今、委員からお話があった札幌中心部と定山渓を結ぶ直行バスのかっぱライナーにつきましては、交通事業者において平成23年度に全4便でスタートして以降、海外からの個人観光客の増加に伴い、平成29年度には全13便と大幅に増便を図ってきており、その周知に当たりましては、連携して6言語による多言語対応を行うなどの取り組みを行っているところでございます。また、平成28年度からは、体験型観光事業者と連携した雪を活用したイベントである定山渓雪三舞の会場を八剣山エリアに移し、会場と定山渓温泉を結ぶ無料シャトルバスを全6便運行し、回遊性の向上を図っているところでございます。
今後は、札幌中心部と定山渓を結ぶ主要幹線道路である国道230号線の拡幅整備に伴ってマイカーやレンタカー利用者の利便性が増すことが期待されますが、必要に応じて、交通アクセスの魅力強化についてどうあるべきか、交通事業者や定山渓エリアの観光関連事業者の皆様と議論してまいりたいと考えてございます。
◆田中啓介 委員 観光都市さっぽろとして、定山渓観光の発展は本当に重要なテーマだというふうに思います。大規模なMICE開催や市内中心部への誘致だけではなくて、地元の個人、団体、事業者とも連携を図って、地域の資源を積極的に活用したMICE事業を行っていくべきと申し上げて、質問を終わります。
◆松井隆文 委員 私からは、大通公園における観光イベント開催の効果についてと、医療分野の産業振興について、2点質問いたします。
まず、大通公園における観光イベント開催の効果についてであります。
平成28年度に札幌市を訪れた観光客は1,388万人となり、対前年度22万7,000人、1.7%増加しており、さらに、外国人宿泊者数も年間209万人と、対前年度9.2%の増加となっております。その中でも、中心部、特に大通公園で行われている観光イベントは、春のライラックまつりに始まり、YOSAKOIソーラン祭り、夏のさっぽろ夏まつり、秋のオータムフェスト、冬のホワイトイルミネーションやさっぽろ雪まつりと、四季折々にそれぞれの特徴を生かしたイベントとなっており、集客面で非常に大きな影響を及ぼしているものと考えております。また、近年は、オータムフェストの会期延長やイルミネーションのリニューアル、会場拡大、さらに、今年度には雪まつり大通会場の会期も1日延長するなど、年々魅力アップを図り、来場者をふやそうとする取り組みは評価しているところであります。
一方で、その取り組みには相当の予算を投入しているわけでありまして、観光イベントの開催が札幌市の経済にとってどれだけの効果を与えているかを検証する必要があると考えます。
そこで、質問ですが、大通公園において観光イベントを開催することによる経済波及効果についてどのように捉えているのか、伺います。
◎森 観光・MICE推進部長 大通公園における観光イベントの経済波及効果についてございます。
さっぽろ雪まつり及びオータムフェストにおいて、平成26年の調査によりますと、ともに400億円を超える非常に大きな効果を生み出しております。また、昨年度は、27年度からリニューアルを図ってきましたさっぽろホワイトイルミネーションにおいても、初めて来場者へのアンケート調査を実施し、回答を集約した結果、約134億円の効果があることが判明しております。さらに、今年度は、ミュンヘン・クリスマス市についても検証を行うこととしており、今後も、各イベントの効果について順次検証を進めながら、事業や施策の検討につなげていくとともに、イベントのさらなる魅力向上を図り、来場者数の増加に努めてまいりたいと考えているところでございます。
◆松井隆文 委員 さっぽろ雪まつりやオータムフェストを初めとした観光イベントの本市経済への効果は大変高いということですので、今後も魅力的なイベントの運営に心がけていただきたいと思うところであります。
それぞれの観光イベントの来場者数をふやして経済効果を高めていくことは、当然、重要なことであります。しかし、大通公園という限られたエリアでのイベント開催には、物理的にも限界があることもまた事実であります。今後は、雪まつりのつどーむ会場のように、大通公園とは別の会場での同時開催といった取り組みとか、市内のほかの地域での既存イベントとの連携を深めることによって、観光客の市内周遊を図り、イベントの相乗効果を高めていくことがこれまで以上に求められているのではないかというふうに考えるところであります。
そこで、観光イベントの開催に当たって、大通公園だけではなく、都心部も含め、まち全体で盛り上げるような取り組みを進め、イベント開催による経済効果を初めとしたさまざまな効果を市内に広げていく必要があると思いますがいかがか、伺います。
◎森 観光・MICE推進部長 観光イベントのまち全体への広がりについてでございます。
委員がご指摘のとおり、観光イベントの開催によってイベント来場者の市内周遊を促進する取り組みは、まち全体での盛り上がりの創出、さらには、経済波及効果の観点からも重要であると認識しているところでございます。
例えば、オータムフェストにおいては、市内4エリアで北海道の秋のオリジナルメニューを提供するなど飲食店との連携を行っているほか、新たな切り口として、スイーツに特化した特別会場を北3条広場に設けるなど、市内への広がりを念頭に取り組んでおります。また、さっぽろ雪まつりにおいても、同じ時期に市内各所で行われる29の冬のイベントと連携し、相互にイベントのPRを図ってきているところでございます。
ただ、観光イベントのまち全体への広がりについては、まだまだ伸ばす余地があると認識しておりますことから、市民、観光客の市内周遊を促進させるための他イベントとの相互交流の方策につきまして、各実行委員会とも協議、検討を進めてまいりたいと考えているところでございます。
◆松井隆文 委員 ぜひとも、大通公園から札幌市全体へとよい循環が生まれるよう、創意工夫することによりまして、より一層の魅力向上につなげていただくことを求めて、次の質問に移りたいと思います。
次に、医療分野の産業振興について伺います。
札幌市内には、北海道大学や札幌医科大学を初め、医療分野の高度な研究を行う大学があり、医療機関も多く存在しております。こうした大学で行われている画期的な研究成果や医療現場のニーズを取り込むことによりまして、企業は新たな製品を創出することが可能となります。具体的には、医薬品を初め、心臓ペースメーカーやCTスキャン装置、メス、はさみといった多種多様なものがある医療機器のほか、電子カルテのような医療用ITシステムなどが挙げられます。
これらの製品は、大企業でしか手がけられないやに思われがちですが、実際にはさまざまな技術や部品を組み合わせてでき上がることから、独自の技術を持った研究開発型ベンチャーや
中小企業が大きな役割を果たしております。特に、医療機器は、大型の装置を除けば、用途に応じてさまざまなニーズがあり、少量多品種が求められるため、大企業よりも小回りのきく
中小企業が活躍できるとも言われております。札幌には、確かな技術や魅力的な製品を持つものづくり企業が数多く存在しているとともに、IT産業が集積しております。その力を考慮しますと、もっと多くの市内
中小企業が医療分野に参入して活躍できるものと確信するところであります。
人口減少により、市場の縮小が懸念される中にあっても、高齢化を背景として医療分野の産業は成長が見込まれております。このビジネスチャンスを確実に捉え、医療分野のビジネスに取り組む市内のものづくり・IT企業をふやしていかなければなりません。そうすることによりまして、流出する理系人材の雇用拡大も期待できるものであります。
一方、医療分野の産業は、薬事規制や医事法などに囲まれた規制産業とも言われており、参入するにはハードルが高いとの声もございます。このため、行政の支援で企業の後押しをしていただくことが非常に重要ではないかと考えております。
そこで、質問ですが、札幌市は、健康関連産業研究開発支援事業において医療分野への新規参入を促進するセミナーを開催しておりますけれども、その実施状況と評価について、まず、お伺いします。
◎知野 国際経済戦略室長 医療分野への参入促進セミナーの実施状況と評価についてお答えいたします。
まず、実施状況につきましては、IT企業やものづくり企業などを対象として、平成27年度に3回、平成28年度に2回のセミナーを実施いたしまして、延べ362名の参加をいただいたところでございます。セミナーでは、法規制の対応方法に関する講義や参入事例の紹介などを行っておりまして、今年度も3回実施することとしており、既に2回の実施を終えているところでございます。
次に、評価についてでございますが、今年度の参加者アンケートによりますと、88%の参加者が満足との回答でありますことから、企業ニーズを捉えた内容のセミナーを実施できているものと考えております。セミナーに参加した企業の中には、大学と連携して医療機器の試作開発に取り組む動きも見られますので、こうしたビジネス事例がふえるように、さらなる支援を行ってまいりたいと考えております。
◆松井隆文 委員 参加企業の満足度が高く、また、参入につながる具体的な動きも見られるということですので、今後も継続的に取り組んでいただきたいと思います。
ただし、セミナーの実施だけでは、決して十分な支援とは言えないと思います。セミナーを通じて参入のポイントを頭で理解することはできても、ビジネスにつなげていくということであれば、自社の技術を取り入れてくれる医療機器メーカーを探す必要もありますし、医療現場のニーズを把握するためには、大学の研究者や病院の医師などとの関係構築も不可欠であります。こうした複数のパートナー関係を構築することで、ビジネスのきっかけをつかむことにつながり、企業は新分野に参入することが可能となります。しかしながら、人もお金も限られた
中小企業がこれらの取り組みを単独で進めていくのは非常に大変でありまして、行政の支援が期待されるところであります。
そこで、次の質問ですが、医療分野への新規参入を促進するため、メーカーや大学の研究者、病院の医師などとのビジネス
マッチングを支援すべきと思いますけれども、どのようにお考えか、伺います。
◎知野 国際経済戦略室長 医療分野への参入促進に向けたビジネス
マッチング支援についてお答えいたします。
市内のものづくり・IT企業がメーカーや研究者、医師との関係を構築していくためには、まず、全国で行われる医療分野の商談会あるいは学会への企業展示に参加し、自社の技術をPRすることが重要でございます。このため、札幌市では、北海道経済産業局、北海道、ノーステック財団とも連携の上、
市内企業に対し、医療分野の展示商談会に参加する機会を提供しているところでございます。
また、北海道経済産業局では、医療分野への参入に関心があるものづくり・IT企業などで構成する北海道医療機器関連産業ネットワークを昨年11月に立ち上げております。札幌市は、北海道とともに運営会議のメンバーになっており、現在、46の企業、団体等が参画しているところであり、こうしたネットワークを生かしながら、関係機関とも連携を深め、医療分野への参入促進を力強く支援してまいりたいと考えております。
◆松井隆文 委員 札幌市では、北海道医療機器関連産業ネットワークといったすばらしい組織があるということですので、これを十分に生かし、関係機関とも連携を深めながら、一層、積極的に支援を進めていただきたいと思うところであります。
関係機関との連携という観点で申しますと、私は、札幌商工会議所にも注目をしているところであります。札幌商工会議所では、一昨年12月に、さっぽろ成長戦略2015を取りまとめた上、札幌市に対しても提言を行っておりますが、その中には、新たに創出を目指す成長産業として医療を切り口とした新たな産業集積、メディカル・クラスター・シティ・サッポロの形成が盛り込まれております。これは、医療を核として、IT、食、ものづくりなどのさまざまな分野を組み合わせた新たな産業集積を目指す構想であります。
産業振興ビジョンにおいて健康福祉・医療を重点分野に掲げる札幌市とまさに軌を一にするものではないでしょうか。
そこで、最後の質問ですが、札幌商工会議所の動きともしっかり連携しながら医療分野の産業振興を進めていくべきと思いますけれども、どのようにお考えか、伺います。
◎知野 国際経済戦略室長 札幌商工会議所と連携した医療分野の産業振興についてお答えいたします。
札幌商工会議所では、メディカル・クラスター・シティ・サッポロの実現に向け、昨年11月に産学官医療連携協議会を立ち上げておりまして、札幌市は、北海道大学や札幌医科大学とともにこの協議会に参画しているところでございます。この動きに呼応いたしまして、札幌市といたしましては、医療分野への参入を目指す
市内企業の機運を高めるため、協議会のメンバーと連携しながら、札幌商工会議所との共催で今年度3回のフォーラムを開催する予定でございます。第1回目は、「これからの産業とさっぽろの未来〜医療関連産業の集積に向けて〜」と題しまして、医療を軸としたITや食、ものづくりなど、さまざまな分野による産業集積を目指すための講演と討論会を11月14日に開催することとしております。
今後も、札幌商工会議所としっかり連携の上、医療分野の一層の産業振興に取り組んでまいりたいと考えております。
◆松井隆文 委員 札幌市内の産学官が連携してそうしたフォーラムを盛大に開催するということは、医療分野の産業集積に向けた機運を高める上で大変意義深いというふうに感じるところであります。
現在、さまざまな地域におきまして医療分野の産業振興を進める動きがあります。札幌に強みがあるとは言いましても、札幌の産学官が一丸とならなければ都市間競争に打ち勝つことはできないと思います。札幌市内の産学官が力を合わせ、先進的な研究環境やビジネス環境を実現することができれば、日本中から有望な研究者や企業が札幌に集まり、さらに、そのマグネット効果でさまざまな人や資源、情報などを呼び寄せることができます。医療関連産業の集積に向けて、ほかの都市に負けないように、連携体制を一層強固にするとともに、スピード感を持って進めていただくよう要望しまして、私の質問を終わります。
◆小形香織 委員 私からは、札幌型環境・エネルギー技術開発支援事業費が4,636万915円という決算額になっておりますので、これに関連して質問したいと思います。
9月27日の我が党の代表質問で、再生可能エネルギー分野の振興について質問したところ、吉岡副市長は、大幅な導入を大規模から家庭向けの小規模なものまで促進していくことが重要であるという認識をお答えになりました。地球温暖化対策は、一刻の猶予もありません。温暖化対策は、環境局のみならず、あらゆる局、あらゆる分野での取り組みを急がなければならず、経済観光局の所管でも環境エネルギー分野の産業振興を図ることが重要だと考えております。特に、地域を中心とした地元
中小企業が環境・エネルギー分野で活躍できるようになれば、CO2削減と地元企業の活性化、雇用の創出にもつながると考えております。
そこでまず、環境・エネルギー分野の振興について、経済観光局としてどのように認識しているのか、伺いたいと思います。
◎小野 産業振興部長 環境・エネルギー分野の振興に対する認識についてでございます。
環境・エネルギー分野につきましては、札幌市
産業振興ビジョンにおいて、今後成長が見込まれるとして重点分野の一つと位置づけております。2015年にはパリ協定が採択されたところであり、世界的にはCO2削減の取り組みはさらに加速していくものと想定され、環境・エネルギー分野にはビジネスの大きな可能性が眠っているものというふうに認識しております。特に、札幌市は、世界的にもまれな積雪寒冷地域にある大都市であり、冬期間の熱需要が突出しているなど、他の地域とは異なる特徴を持っております。こうした地域特性を踏まえた省エネルギーや再生可能エネルギーに関する製品やサービスが生まれる土壌があるというふうに認識しており、産業振興の余地は大きいものと考えているところでございます。
◆小形香織 委員 おっしゃるとおり、環境・エネルギー関連の産業というのは伸びております。環境省は、ことし7月に、環境産業の市場規模・雇用規模等の推計結果の概要の2015年版を出しました。毎年調査をしておりますが、全産業に占める環境産業の市場規模の割合は、2000年の6.2%から2015年の11.3%まで増加し、環境産業が我が国の経済成長に与える影響が大きくなっていますと結果を述べております。また、同じく環境省が6月に出しております環境経済観測調査、環境短観と呼ぶそうですが、この概況でも、今後実施したいと考えている環境ビジネスという調査の中では、今後発展が見込まれると考えるビジネスについて、半年先は省エネルギー自動車、10年先は再生可能エネルギーと回答する割合が最も高くなってきており、今後実施したいと考えている環境ビジネスについて回答を求めたところ、再生可能エネルギーと回答する割合が最も高くなりましたという結果が出されております。つまり、環境省の調査でも、再生可能エネルギーの分野はこれから先も伸びていく産業だと多くの事業所が考えていることがわかったということであります。
本市の経済観光局では、札幌型環境・エネルギー技術開発支援事業を行って、環境・エネルギー分野の新技術、新製品開発などに係る費用、あるいは、販路拡大を目指す企業への展示会出展費用などの補助を行っていることをお聞きしております。例えば、雪に反射する太陽光発電も、太陽光をきちんとエネルギーにするために、片面の太陽光パネルではなくて、両面を太陽光パネルにして雪の反射を活用した製品にするなど、地域の特徴を踏まえたものも多いと聞いております。
一方で、この事業の補助の上限額は、1,000万円となっておりまして、比較的規模が大きいかなと思います。3分の2の補助ということですから、1,500万円規模の事業を行って、そのうちの1,000万円まで補助されるチャンスがあるということですが、そこまで資金が出せるとなりますと、比較的、大手の企業が対象にならざるを得ないのではないかというふうにも思います。数人の従業員で経営しているような小規模企業には、額がちょっと大きくて使いにくいのではないかなというふうに考えております。これまでも、地元企業の中心的なところはやはり
中小企業ですし、とりわけ小規模企業への十分な支援が必要だということは私どもも求めてきたところでありまして、今年度から経済観光局で小規模企業に向けても新製品・新技術開発に関する補助制度がつくられております。この対象には、環境・エネルギー分野も含まれているとお聞きしております。
そこで、伺いますが、小規模企業向けの新製品、新技術に関する制度に環境・エネルギーの分野も対象としたのはどのような狙いがあったからか、また、それについてどのような成果があったのか、伺いたいと思います。
◎小野 産業振興部長 小規模企業向けの補助制度に環境・エネルギー分野を対象とした狙いとその成果についてでございます。
委員がご指摘のとおり、これまでの補助制度は、補助金額が比較的大きく、小規模企業にとっては若干活用しにくいという課題があったことは認識しておりました。一方で、企業訪問を行う中で、小規模企業の中には、環境・エネルギー分野も含め、将来性のある取り組みを行っている企業が多くあることも実感していたところでございます。
そこで、補助上限はこれまでの制度に比べて低いものの、対象を小規模企業に絞るとともに、申請手続や製品開発における相談にも対応するなど、支援を強化した補助制度を構築し、今年度から運用しているところでございます。その結果、採択予定件数が3件のところ、35件もの応募があり、多くのニーズを感じております。結果として5件を採択し、そのうち1件は環境・エネルギー分野の案件を採択しており、今後の新たな可能性を感じるスタートになったものというふうに認識しているところでございます。
◆小形香織 委員 本市でも、小規模企業の中でも環境・エネルギーに関する事業をやりたいというニーズがあることがわかってきたところであります。たくさんの技術開発を支援していくことで、環境・エネルギー分野の振興をぜひ進めていただきたいと思っております。
本市が行った札幌型環境・エネルギー技術開発支援事業は、この3年間で21件の応募があったと聞いておりますが、もっと応募があってもいいのではないかというふうにも思っております。札幌市が実施した1万社アンケートでは、市内2,527社から回答を得て、その結果の中で、新分野、新業務への取り組みについてという質問に、今後取り組む予定がある、あるいは、その意向があると答えた企業が47%で、そのうちの9.4%が環境・エネルギー関連に取り組みたいという意向を示しております。先ほどの部長のご答弁とあわせて、アンケートにおいても、環境・エネルギー分野に進出していきたいという希望を持っている企業がある、しかも、小規模企業の中にもあるということがわかってきたわけでございます。
そこで、環境・エネルギー分野への技術開発に取り組む企業をどのようにふやしていこうとお考えなのか、伺いたいと思います。
◎小野 産業振興部長 環境・エネルギー分野に取り組む企業をどのようにふやしていく考えなのかというお尋ねでございます。
昨年度から、さっぽろ産業振興財団にものづくりコーディネーターという職員を配置しまして、企業訪問を行う中で、環境・エネルギー分野の補助金を含めた各種制度の周知を図っているところでございます。また、当該補助金の実績について、これまでも冊子にまとめて周知に努めてまいりましたが、これに加え、今年度から成果発表会を開催し、
市内企業の取り組みをより積極的に発信していくことを予定しております。環境・エネルギー分野に限ったことではございませんけれども、小規模企業を対象とした新製品・新技術開発に向けた補助制度も今年度開始したところであり、これらの取り組みを通して引き続き企業の技術開発を促進してまいりたいというふうに考えております。
◆小形香織 委員 新しい技術を開発するところから、それが事業として成り立つようになるまでというのは、数年間はいろいろな形で支援していくことが必要になると思います。ぜひ、再生可能エネルギーが札幌の産業として大きく育つように、技術開発からビジネスまで支援を強めていただきたいなと思います。さらに、小規模企業などに対しても、現在は今の事業で言うと3分の2の補助率でございますが、もう少し補助率を引き上げて、小規模企業が技術開発に乗り出しやすくするなどの工夫もしていただけるように求めまして、質問を終わりたいと思います。
◆坂本きょう子 委員 私からは、大きく2点について、創業支援におけるインキュベーション施設の取り組み、それから、食関連企業に対する海外展開支援策がそれぞれ決算に出ておりますので、順次、質問したいと思います。
まず、創業支援におけるインキュベーション施設の取り組みについて質問いたします。
9月13日から17日にかけて、札幌−ミュンヘン姉妹都市提携45周年記念事業ということで、市議会議員訪問団の一員としてミュンヘンを訪問してまいりました。表敬訪問だけではなくて、非常にタイトな日程ではありましたが、幾つもの施設の視察を行ってまいりました。その際、ミュンヘンのテクノロジーセンターというところの視察に行ってまいりました。創業間もない企業の支援を行ういわゆるインキュベーション施設で、非常に立派な建物でしたが、そのうち、入居している企業2社から、プレゼンテーションというのでしょうか、ぜひ札幌でも買ってくれという説明も受けながら、事業にかける熱意というものを感じることができました。
札幌で同様の機能を果たす施設といえば、札幌市産業振興センター内のスタートアップ・プロジェクトルーム、略称でSPRですけれども、改めてこちらの資料を見ました。三つのタイプで、20室を設けて創業の支援を行っているということでありました。2002年10月の開設ですから、もう既に15年が経過しているところであります。
そこで、15年たっていることもありますので、SPRで行っている取り組み、また、15年間の成果も含めて、どのような評価をしているのか、伺いたいと思います。
◎小野 産業振興部長 スタートアップ・プロジェクトルーム、SPRで行っている取り組みとこれまでの成果についてでございます。
SPRは、3年という限られた期間内ではありますが、創業間もない企業、個人が低廉な賃料で入居することが可能な施設であり、これまでの15年間で全部で86社が入居し、73社が卒業をしており、現在は13社が入居中でございます。入居企業に対する経営アドバイスや公的補助メニューの紹介、展示会、商談会への出展サポートなど、企業として自立できるようさまざまな支援に取り組んでおり、ここ3年間の入居率は平均で約7割となっております。これまでの成果につきましては、卒業企業へのアンケート調査によりますと、入居時から現在までの間に回答企業の約6割の売り上げが3倍以上になっていることから、企業の成長や経営基盤の安定に寄与しているものと考えております。
なお、本日の北海道新聞の朝刊第1面に、
市内企業が道産米の輸出を拡大するという記事が掲載されておりましたが、この企業は株式会社Wakka Japanと申しまして、現在、SPRに入居している企業であり、今後の活躍を期待しているところでございます。
◆坂本きょう子 委員 15年で86社、そのうち73社が卒業して今も頑張っているということでした。7割程度の入居率ということですから、かなり頑張っているのかなという印象があります。また、起業に向けてのアドバイスとか法的なサポートもやっているというお話でした。
実は、ミュンヘンのテクノロジーセンターの建物には120の企業、個人が入っており、全体では600名がお仕事をされていて、市内、市外を問わず、それこそ国外に向けても販路を拡大していこうとしております。先ほど2社からプレゼンがあったというお話をしましたが、電気自動車の充電ステーションのアプリを開発している会社と、手術室、集中治療室で多臓器に対する透析を行う企業から説明を受けまして、それぞれ非常にすぐれたノウハウを持っていて、国際的に羽ばたいていこうとしている企業だったという印象がございました。そして、そういう施設がミュンヘンの中には10カ所あって、それぞれに役割分担しながら、交流もしつつ、お互いのレベルを高めていこうということが視察の中で出てまいりました。さらに、創業間もない入居者に対して、今、部長がおっしゃったように、煩雑な手続のサポートや経営・販売戦略を支援したり、あるいは、いろいろな開発をしているので、例えば特許の申請などに対しても法的なアドバイスをしているということでしたが、今の答弁を聞いて、札幌でもそれに類する支援を行っているのかなというふうに思ったところです。
また、札幌においても、ミュンヘン同様、市内各所にインキュベーション施設を持っております。その一覧をいただきましたが、北海道大学の北キャンパスに立地して、大学発でベンチャー等を支援する北大ビジネス・スプリング、また、商工会議所が開設する創業ビレッヂ、ほかにも市内には民間事業者が運営するインキュベーション施設が多数あります。このような市内のインキュベーション施設と連携をしていけば、札幌市創業支援施策ももっと効果が期待できるのではないか、さらなる効果が出てくるのではないかというふうに思います。
そこで、市内のインキュベーション施設の連携について、これまでどのようなことを行って、今後、ネットワークづくりなども含めて、どういうふうに進めていこうとお考えになっているのか、伺いたいと思います。
◎小野 産業振興部長 市内のインキュベーション施設との連携について、どのようなことを行い、今後どのように進めていくかというお尋ねでございます。
SPRでは、北大ビジネス・スプリングや商工会議所の創業ビレッヂと連携しまして、入居企業同士の情報交換会や交流会、事業発表会を実施するとともに、他の施設運営者との情報交換により得られたノウハウをSPRでの起業支援や運営に生かしております。さらに、札幌市では、市内の創業支援機関とネットワークを構築し、総合的な創業支援を行っており、その枠組みの中で支援機関同士が情報交換を行い、インキュベーション施設がそれぞれの特徴を生かした支援を実施しております。
今後は、インキュベーション施設同士の連携をさらに活発にして、市全体で創業支援を盛り立てていけるよう、環境づくりに努めてまいりたいというふうに考えております。
◆坂本きょう子 委員 今、申し上げた北大や商工会議所等々、ほかにも民間のインキュベーション施設がありますから、部長のご答弁のとおり、その中での情報交換、あるいは、お互いのノウハウの交換、蓄積はとても大事なことだと思いますので、これは、ぜひ積極的にやっていっていただきたいというふうに思います。
札幌市では、2014年から創業支援事業計画をやっておりますが、創業前から創業後に至るフォローアップをきちんとやっていこうということで、それこそネットワークをつくりながら進めてきております。若い人たちあるいは年代、世代を問わず、若い発想を持った人の創業をしっかり支援していくのは大変大事なことだろうと思いますし、札幌市の産業の活性化、それから雇用の創出にもかかわってまいります。さっき卒業という言葉を使っていらっしゃいましたが、今後も、人材や企業を発掘し、育て、巣立っていけるような創業支援をぜひ進めていただきたいというふうに思います。
今、ちょうど目に入りますが、北1西1再開発事業を進めておりまして、愛称もつきましたけれども、市民交流プラザの中に札幌市図書・情報館が一緒にオープンすることになっています。都心にふさわしいという当初のコンセプトどおり、ビジネスや観光、食などいろいろなものに特化した情報館になるということですが、この中にコワーキングスペースが設置されるという話を図書館から聞いています。ここも、インキュベートとの一連の役割もあるということで、ぜひ、経済観光局が一緒にいろいろと仕掛けをつくっていってほしいなと思っていました。そうしたところ、この間、経済観光局では、今の中央図書館を会場にして、女性のための起業ヒント、あるいは、起業志望者向け講座というものを実施しているとお聞きしましたので、これをさらに発展させていっていただきたいというふうに思います。
プラザ情報館の開業は来年10月で、ちょうど1年後ぐらいですから、すみ分けをしながらですが、経済観光という部分に関しても図書館と一緒にしっかりとタッグを組んで、縦割りではなく、それぞれの持ち味を生かした活動を展開していっていただきたい、そして、それがインキュベートにつながるように芽吹かせていただくことを求めて、この質問は終わりたいと思います。
二つ目は、先ほど申し上げましたように、食関連企業に対する海外展開支援策ということでございます。
今、選挙が行われているところですが、経済の伸び悩みがあり、北海道、札幌には景気回復の波が聞こえてこない、足音がまだ遠い状況になっています。国内の市場が縮小傾向にあるということは、やはり、否めない状況だというふうに思います
私は、かねてから、域内経済の活性化あるいは内需の拡大について、経済観光局の立ち位置といいますか、支援について質問してきましたけれども、今後も本市の経済が持続的に成長を続け、雇用を創出していくためには、表題にもありますように、海外に目を向け、成長活力に積極的に取り組んでいくことも重要だというふうに考えております。
とりわけ、北海道は、我が国最大の食料生産基地であります。市内には、食料品製造業が多数存在しています。また、北海道の食は高いブランドイメージを有していて、北海道、札幌と言えば食、食べ物というイメージを持って来札、来道する観光客も多いと思います。2016年度の外国人市内宿泊者数を見てみますと、初めて200万人を突破し、209万3,000人となっております。5年連続で過去最多を更新してきているということで、アジア諸国との直行便も多数就航し、今後も海外旅行客の増加が見込まれる状況だと思っております。
そういう中で、本市の魅力、強みの一つである食は、第1次産業である農業はもちろんのこと、第2次産業である製造業、また、卸売、飲食、小売といった第3次産業へと大きくつながって、さまざまな産業への波及効果が期待できる分野であると思っております。こういうことから、海外展開を目指す食関連企業を支援することで、一層の経済波及効果が見込まれるとともに、雇用創出も期待できる、ひいては、ここから内需の拡大にも広がっていくのではないかというふうに思っています。
海外展開、海外進出というと、とかく大企業というイメージが先行します。札幌市内の企業の9割以上が
中小企業ですから、海外展開の意思はあるものの、情報が不足している、資金が足りないというようなことから、海外展開をやりたいけれども、踏み切れないという企業がまだまだ多いのが実態でございます。そこで、この間、海外展開を目指す食関連の中小あるいは小規模事業者に対してどのような支援を講じてきているのか、具体的にお示しいただきたいと思います。
◎知野 国際経済戦略室長 海外展開を目指す食関連の
中小企業に対する支援についてお答えいたします。
食関連の
中小企業が積極的に海外展開に取り組み、外需を獲得することは、札幌市の産業全体の活性化にとって極めて重要であると認識しております。
そこで、札幌商工会議所やJETRO、さっぽろ産業振興財団等の関係機関と連携し、輸出相談やセミナーを実施しているほか、海外食品商談会への出展支援を行っております。また、今年度におきましては、新たな取り組みとして、海外展開を目指す新規企業を対象として、企業ニーズの高い台湾において現地視察会を実施し、現地マーケットの把握や現地バイヤーとのネットワーク構築を図り、企業の海外展開を後押ししています。さらに、
中小企業におきましては、輸出に適した商品開発が課題となっていることから、輸出向け商品開発に係る経費補助を行う輸出仕様食品製造支援事業を実施しているところでございます。
◆坂本きょう子 委員 外需拡大が大事であること、商工会議所、JETROと一緒にセミナー等を開催していること、海外販路拡大のこと、また、輸出仕様食品製造支援事業という具体的な事業名も出していただきまして、
中小企業に対する海外展開に向けた支援を行っているということでした。
ただ、決算額で見ても数千万円というお金が関連でいろいろ使われておりますけれども、行政の支援を受けたとしても、なかなか海外ビジネスにつなげられない、あるいは成果が上がらない企業もあると思います。やはり、頑張っているところは、一定の体力をつけてあげるとそのまま自力でもやっていけると思いますが、そうならない企業もあると思いますので、企業にとってより効果的で有効な施策を検討するのはとても大事だと思いますし、その事業効果をしっかりと把握することが欠かせないというふうに思います。今の部長の答弁にもありましたように、市内食関連企業に対する海外展開支援策が行われておりますが、経済波及効果であるとか雇用の拡大、あるいは定着というような事業効果についてはしっかりと検証していくべきだというふうに思います。
そこで、この効果については、どのように認識をされていらっしゃるのか、伺いたいと思います。
◎知野 国際経済戦略室長 市内食関連企業に対する海外展開支援策の事業効果の認識についてお答えいたします。
輸出仕様食品製造支援事業につきましては、平成25年度から平成28年度の4年間で39件に対して合計5,000万円の補助金を交付し、その開発商品の輸出販売額は平成29年3月末時点で累計3億1,900万円となっております。こうした取り組みを初めとした海外展開支援の結果、市内食関連企業を対象に実施している調査におきましては、平成28年の食品輸出額は約61億円で、前年の約54億円から7億円の増加となり、伸び率は14%となっております。
このようなことから、これまでの海外展開支援策は一定の成果を上げているものと認識しております。
◆坂本きょう子 委員 輸出仕様食品製造支援事業は、2013年度から始まった補助制度だと伺っております。4年間で39件の実績があり、補助額5,000万円に対して3億1,900万円ですから、
中小企業としての売り上げはかなり大きいものなのかなというふうに思います。年度ごとで見ていくと、直近では、2016年度は応募20件に対して補助採択が10件、今年度については応募件数が19件に対して採択件数が10件ですから、予算をふやすべきなのか、採択に至らない企業がまだあったのかというところの評価もあろうかと思います。しかし、少なくない売り上げですから、そこは評価をさせていただきながら、さらに、本当に海外展開を頑張りたいのだという企業に対する補助制度として充実させていただきたいというふうに思います。
支援の実績の一覧を頂戴したのですが、2013年度でいきますと、皆さんも名前を知っている食品会社だと思いますけれども、パッケージの開発と食味開発に対する100万円の補助で2年間の売り上げ累計が2,500万円あったということです。次の年の2014年度でいくと、お菓子ですが、100万円の補助額に対して2年間での累計がおよそ3,000万円ということで、補助に対する売り上げ金額が非常に大きい企業もあります。今、申し上げたのは、全部が私たちの身近にある会社ですので、こういうところに対する支援をしっかりと行っていくことはとても大事ですし、やはり、北海道発、札幌発のブランド力をもっと世界に広げていくことが大事だろうというふうに思います。
海外展開支援策を有効に活用し、多くの
中小企業が海外への販路拡大を軌道に乗せ、その成功事例を積み重ねることで、
中小企業全体の機運が高まり、海外進出を目指す企業がふえるといった好循環をつくっていくことが大事なのかなと思っています。したがって、海外への販路拡大を目指す市内
中小企業に対し、切れ目なく、かつ積極的に支援していくことが肝だというふうに思います。
中小企業が海外に目を向け、販路拡大をしていくことは、冒頭にも申し上げましたが、雇用の拡大につながっていく、賃金の安定につながっていくということですから、ここはとても大事なところだと思います。
食関連企業に対する今後の海外展開支援策の方向をどのようにお考えになっているのか、伺いたいと思います。
◎知野 国際経済戦略室長 食関連企業に対する今後の海外展開支援策の方向性についてお答えいたします。
今後も国内マーケットの縮小が見込まれる一方、アジア諸国を中心とした海外においては堅調な経済成長が見込まれておりますことから、市内
中小企業が海外需要を獲得していくことは極めて重要だと認識しております。したがいまして、海外への販路拡大を目指す企業の増加を図るとともに、
中小企業に対する支援策を引き続き講じていくことが必要であると考えております。
今後も、起業ニーズを踏まえながら、北海道経済産業局や北海道を初め、札幌商工会議所、JETRO、金融機関などの関係機関と連携を密にして、食関連企業の海外展開支援に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
◆坂本きょう子 委員 先ほど、創業支援の関係で、小野部長からWakka Japanの話が出ておりました。また、けさほど、ニュースを見ておりましたら、これは北海道と国になると思いますが、大きいロッドで輸出できない企業向けに、国際流通機構をつくって、小さいものであっても軽いものであっても運ぶということで、
中小企業がより海外に販路を目指していく道筋をつくっていこうじゃないかということがまさに基調として今出てきているのかなというふうに思っています。
外需、外需と言うと、どうも地に足がつかないイメージもあるようですけれども、結局、それが内需に返ってくるのだということについては、先ほど知野室長から具体の数字を挙げてのご答弁もございました。海外、道外からお客様がいらしたときに、パッケージの後ろで北海道産なのかどうなのかということを見ますが、それが札幌市内近郊のものであるのかどうかということを見ながら買い物したり、お客様にも勧めるということになります。もちろん札幌だけがひとり勝ちすればいいということではなく、私も、この間、商店街のレクリエーションで足を伸ばしてまいりましたけれども、今、道の駅などがいろいろある中で、その土地でとれて製造して販売するものが道内それぞれのネットワークの中で広がっていけばいいのだろうというふうに思います。
札幌は札幌として、地元の
中小企業でパート、フルタイムに関係なく一生懸命働いていらっしゃる皆さん、そして、研究開発をして販路を拡大していこうとしている皆さんに報いるような、また、そういう方たちをたくさんふやしていくような施策をしっかりと実現していっていただきたい、実施をしていっていただきたいということを申し上げて、質問を終わります。
○
佐々木みつこ 委員長 以上で、第1項 商工費の質疑を終了いたします。
次に、第2項 農政費のうち経済観光局関係分の質疑を行います。
◆竹内孝代 委員 私からは、農業と福祉の連携、いわゆる農福連携について質問いたします。
国は、一億総活躍社会を目指して、若者や高齢者、また障がいのある方を含めて、国民一人一人が生きがいを持って活躍できる社会を推進しています。中でも、障がいのある方が生きがいを持って働ける仕事として、近年、農業が注目されており、就労という観点だけでなく、精神面や身体面でも一定の効果が期待されている分野です。また、農業に携わることは、さまざまな人と触れ合う機会がふえることから、障がいのある方の社会参加の向上にもつながると言われております。一方、市内の農業就労人口は年々減少しており、農林業センサスによれば、平成27年には1,000人を下回り、担い手不足が一層深刻化しています。また、労働人口が減少している中で、農業分野における人材の確保も厳しい情勢にあるとお聞きしております。
その中において、第2次さっぽろ都市農業ビジョンでは、既存の農業者だけではなく、企業や市民、団体など、多様な担い手の農業参入の推進を主要な施策に位置づけています。障がいのある方も、農業の担い手あるいは農作業従事者として位置づけることで雇用が確保できれば、農地の保全や農業の振興にもつながるものと考えております。
ある札幌市内の農業法人では、障がいのある方の就労支援事業所に委託して、障がいのある方に、収穫した野菜の計量やパック詰めのほか、水耕栽培のパネルの洗浄などを任せているそうですけれども、能力を発揮されて重要な労働力となっているとお聞きしました。また、障がいのある方の中には、農作業を行うことで、運動機能や仲間とのコミュニケーション能力が向上して社会での自立を果たす人もいるとのことで、我が会派では、農業と福祉の連携、いわゆる農福連携の重要性に着目して、その推進をすべきと考えています。
そこで、質問ですが、把握している範囲で結構なので、市内における障がいのある方の農業における就労実態と、どのような課題が考えられているのか、お伺いいたします。
◎長谷川 農政部長 障がいのある方の農業における就労実態と課題についてお答えいたします。
市内で障がいのある方を受け入れている農業法人、正式には農地所有適格法人と申しますが、これは2団体あり、合わせて10名を雇用しております。
なお、法人以外の農業者が障がいのある方の就労を受け入れているケースについては把握しておりません。
また、農地法の改正により、企業の農業参入が容易になったことから、改正のありました平成22年度以降、農地を借り受けて農業に参入している福祉や医療系の事業所は5団体ありまして、聞き取りによりますと100名を超える障がいのある方が何らかの形で農作業に携わっております。
次に、課題としまして、札幌の主要な農業は労働集約型でございます。多様な農作業をこなさなければならない点や、冬場の作業がないため、周年雇用の求めに応じられないといった課題が挙げられます。また、障がいのある方の就労支援事業所などが農業を展開する場合、農地の確保、栽培指導者の確保、収穫物の販路の確保といった課題も挙げられるところでございます。
◆竹内孝代 委員 今、おわかりの範囲で、農業法人が2団体だったり、5団体100名規模で農作業をされている障がいをお持ちの方がいらっしゃること、また、課題についてもさまざまなお話を伺いました。課題によっては解決がとても困難なものもあるかと思いますけれども、農福連携に向けて行政がかかわっていくのは大切なことだと考えています。
国は、平成26年に北海道地域の農業分野における障がい者就労促進ネットワークを立ち上げ、障がいのある方の就労を促進する企業や個人、機関などと情報交換会や現地見学会、シンポジウムを開催するなど、農福連携への支援を進めています。今年度も、9月20日にその情報交換会を開催しています。また、道も、関係機関による農業分野における農福連携連絡会議を設置して、農福連携に係る施策や情報共有を進めているところです。
そこで、質問ですが、札幌市としても農福連携を推進していくべきと考えますけれども、今後の対応について伺います。
◎長谷川 農政部長 今後の農福連携の推進についてお答えいたします。
本市では、これまでも、障がいのある方の就労支援事業所などの農業参入に対しては、農地の確保や栽培指導者の紹介などの支援を行ってきたところでございます。また、委員の話にもございましたが、国や道が行う会議あるいは研修会にも参加するなど、農福連携に関する情報収集に努めているところでございます。今後も、国や道、関係機関、さらには庁内の関係部局などとも連携しつつ、農福連携に向けた取り組みを進めていきたいというふうに考えております。
◆竹内孝代 委員 情報収集に努めていたり、また、関係部局とも連携して考えていきたいということでした。
厚労省は、2020年までに農福連携の好事例の普及を図って、東京五輪、またパラリンピック会場付近での大々的なマルシェの開催を目指しております。障がいを持つ方々が育てた農産物を使ったレストランやカフェの展開を支援し、外国人観光客に向けて対外的に農福連携をアピールするということも聞いております。
最近は、障がい者施設が自然栽培によって付加価値の高い農作物を生産し、加工、販売まで手がける6次産業化によって高い工賃水準を実現しているという事例もあります。農業分野には多様な作業があることから、障がいを持つ方の特性に応じた仕事を開発することにより、より多くの雇用、就労にもつながるとされています。さらには、地域の農家ともつながることにより、地域活性化による地方創生も図られるものと考えています。
障がいを持つ方々にとっては就労先拡大や賃金上昇につながるとともに、農業の重要な担い手として労働力、人材力を補っていけるという大切な視点から、農福連携を後押しする本市の力強い推進を求めて、質問を終わります。
○
佐々木みつこ 委員長 以上で、第2項 農政費のうち関係分の質疑を終了いたします。
最後に、議案第3号 平成28年度札幌市中央卸売市場事業会計決算認定の件について質疑を行います。
◆松浦忠 委員 私は、中央市場の決算書を見まして、まずは、物がだんだん売れなくなった、流通も多様化したという状況の中で、中央市場は一生懸命に頑張っているなというふうに評価しております。
そこで、もうちょっとやれないことがないのだろうかということで見ますと、決算書の26ページに企業債明細書というのが出ております。この中の利率のところを見ると、今現在、償還中で一番高いのが4.65%の利率であります。そして、0.1%が最も安い利率となっております。また、これを見まして、残存期間が長いところで言うと、下のほうで、返済期間が平成44年3月1日までで15年あるものは3月末現在の残高がまだ12億円、その下の平成39年3月20日までで10年のものは約7億円あります。この利率が2%であります。
これは、財務省と地方公共団体金融機構ということになっておりますが、借りるときに条件はいろいろあったと思うけれども、これらについて借りかえをすることになったらどういう問題があるのか。借りたときの条件がありますから、まず、借りかえができるのか、できないのか、するとしたら、どういうことをしなければいかぬか。それから、もしこれを借りかえたら手数料がどのぐらいかかって、今の残存15年と10年、平成44年3月1日と39年3月20日のものの金利を引き合いにしてやったらどのぐらいの差益が出るか、まず、その辺について説明をいただきたいと思います。
◎片貝 中央卸売市場長 当市場の企業債の借りかえについてのご質問でございます。
まず、企業債の借りかえに関しましては、特例として平成24年度までの時限措置ということで、利息免除での繰り上げ償還制度という形での借りかえとなっておりましたので、今は制度的に行っておりません。また、特例で行われた時代につきましても、市場事業は対象になっておらず、上水道あるいは工業用水道、鉄道、下水道、病院など、住民の生活に密着していて、かつ、初期のインフラ投資が莫大な事業についてだけ認められたものでございます。
差益に関しては、今、手元に試算したものがございませんので、別途、作成してお示ししたいと思います。
◆松浦忠 委員 その昔は財政投融資と言っていましたが、財政法上、今も投融資制度そのものは残っていて、国が調達して貸すということをやっております。もともとは、郵便貯金などを運用して、地方公共団体がそこから借りるということでした。したがって、利息は固定するということだったのですが、その後、制度がいろいろ変遷していきまして、金利の自由化もあったりして繰り上げ償還が可能になってきました。今現在も、市場の厳しい経営状況からいったら、公設市場を抱えているそれぞれの自治体は、国に対して繰り上げ償還を認めてもらうように働きかけ、その実現を求めていかないと、いつまでたっても高い金利で、売り上げは下がっていく中でまた一般会計からお金を入れなきゃならぬようなことになっていきます。
ですから、ここのところは、市場会計のあり方そのものを農水省に対して求めていかなければならぬと思うのですが、全国の大都市の市場長会議などにおいて、そういうことを国に求めようというような意見になっているのか、なっていないのか、お尋ねします。
◎片貝 中央卸売市場長 中央卸売市場は全国に64ありまして、この市場によって構成されている全国中央卸売市場協会という組織があります。ここでは、各市場が抱えている問題、あるいは、制度改正があった場合に、農水省なり総務省なりに共同で要望書を提出しております。
ご質問を受けている繰り上げ償還につきましても、実は、平成24年度に、一度、全国中央卸売市場協会長名で総務省に要望書を出した経緯はございます。ただ、残念ながら、それについては明確な回答を得られませんでしたし、実用的な要望にはならなかったという経緯があります。
ただ、1月にことし3回目の理事会がございまして、私も理事でございますのでそこに参加することになっておりますが、第2回目の市場長会議のときにいろいろ情報交換した結果、私どもと同じように過去の企業債の償還になかなか息苦しいところがある市場が多くて、次回の1月の理事会ではこれを議題にしようかというお話がありました。そこで、今、委員がおっしゃったことについては、その理事会にお諮りして議論してみたいというふうに思っています。
◆松浦忠 委員 地方自治体ですから総務省ですけれども、市場そのものを法的に統帥しているのは農水省ですね。市場は農産物の大事な流通機関ですから、したがって、農産物を扱っている農水省なども含めて要請していただきたい。理事をやっているなら特にですが、あなたが理事会に行ってそういうことをきちっとお話しし、まず市場協会においてみんなで借りかえを認めてもらおうと決める、さらに、市長にもお話しして、何といっても消費する側の大半は20の政令市の人口で占めているわけですから、指定都市市長会でも取り組んでもらうなど、私はそういうふうにして金利の軽減を図っていくことが大事だと思います。
そんなふうに、今の中央市場でできることは全部やる、これが大事だと思うのです。市場の大事な競りにおいても、早朝のものは民間の経験者を臨時職員で雇用して立ち会ってもらうなど、ある意味では経費節減の努力も既にされていると思いますが、市場独自での努力というのはなかなか限界があろうかなと思います。
そこで、もう一つ努力ができるものがあると思うのは、前からも指摘しているのですが、電気料金の関係です。今、どこと契約して、それがどのような料金体系になっているか、もし何か効果の出るようなことをやっていたら、その効果金額は幾らになっているか、それを答えてください。
◎片貝 中央卸売市場長 私どもの市場の電力の契約状況についてであります。
市場では、従来から一般競争入札により特別高圧電力を調達しておりましたが、平成28年までは、北海道電力1社しか応札がない状況で、そこと契約させていただいておりました。しかし、ことし6月15日に、契約期間は10月1日から3月31日まで半期ずれる形での1年間の契約で、もう一度、一般競争入札をさせていただきましたところ、そのときは、電力自由化ということで、インフラも大体そろってきていたのかなと思うのですが、6社から応札がありました。市場が1年間に恐らく使うであろう電力ということで入札したのですが、最低価格を提示したのは株式会社パネイルで1億688万円余、北海道電力につきましては、前の1年間を通して使っていた電力ベースでの入札になっていたと思いますけれども、1億2,060万円余でした。したがいまして、北海道電力よりも11.4%安い金額になっておりますので、この6月の入札の結果、市場が今までと同じ状態の電力をこれから1年間使ったとすると、通年で1,300万円ぐらいの電力料金の契約差金が生じることになります。
◆松浦忠 委員 節約できるところはほぼ節約し切ったのでないかなという感じはしております。あとは金利かなと思うので、試算して、後日でいいですから提出してください。
○
佐々木みつこ 委員長 以上で、中央卸売市場事業会計決算の質疑を終了いたします。
以上で、本日の質疑を終了いたします。
次回は、明後日、10月19日木曜日午後1時から、交通局及びスポーツ局関係の質疑を行いますので、定刻までにご参集ください。
本日は、これをもちまして散会いたします。
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散 会 午後3時18分...