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平成29年第二部決算特別委員会−10月11日-03号
平成29年第一部決算特別委員会-10月11日-03号

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  1. 札幌市議会 2017-10-11
    平成29年第二部決算特別委員会−10月11日-03号


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    平成29年第二部決算特別委員会−10月11日-03号平成29年第二部決算特別委員会  札幌市議会第二部決算特別委員会記録(第3号)               平成29年(2017年)10月11日(水曜日)       ―――――――――――――――――――――――――――――――――― ●議題 付託案件の審査 ●出席委員 33名     委 員 長  佐々木 みつこ      副委員長   福 田 浩太郎     委   員  武 市 憲 一      委   員  鈴 木 健 雄     委   員  高 橋 克 朋      委   員  五十嵐 徳 美     委   員  細 川 正 人      委   員  小須田 悟 士     委   員  宗 形 雅 俊      委   員  北 村 光一郎     委   員  小 竹 ともこ      委   員  中 川 賢 一     委   員  松 井 隆 文      委   員  畑 瀬 幸 二     委   員  大 嶋   薫      委   員  恩 村 一 郎     委   員  三 宅 由 美      委   員  峯 廻 紀 昌     委   員  小 川 直 人      委   員  山 口 かずさ     委   員  中 村 たけし      委   員  岩 崎 道 郎     委   員  成 田 祐 樹      委   員  本 郷 俊 史     委   員  丸 山 秀 樹      委   員  わたなべ 泰行     委   員  竹 内 孝 代      委   員  小 形 香 織
        委   員  村 上 ひとし      委   員  田 中 啓 介     委   員  平 岡 大 介      委   員  松 浦   忠     委   員  坂本 きょう子       ――――――――――――――――――――――――――――――――――       開 議 午後1時     ―――――――――――――― ○佐々木みつこ 委員長  ただいまから、第二部決算特別委員会を開会いたします。  報告事項は、特にございません。  それでは、議事に入ります。  最初に、議案第2号 平成28年度札幌市病院事業会計決算認定の件について質疑を行います。 ◆竹内孝代 委員  私からは、乳がん検診についてと、チーム医療を生かした経営改善の取り組みについて質問いたします。  初めに、乳がん検診についてお聞きします。  先日、国立がん研究センターは、2013年に新たにがんと診断された患者のデータを発表しましたが、これによると女性の第1位は乳がんでした。ことしの6月に、アナウンサーやキャスターとして活躍していた女性が、小さいお子さんを残して亡くなったということが報道でも大きく取り上げられて以降、乳がんで闘病している方のお話をテレビなどで拝見することも最近はより多くなりました。今や、女性の11人に1人が一生のうちに乳がんにかかると言われています。しかし、乳がんは、早期発見・早期治療ができれば治る可能性も高く、また、早期発見なら、乳房を温存するなど、自分の希望する手術法や治療法を医師と相談して選択できる可能性も高いと聞いております。  公明党では、がん検診の推進に力を入れており、乳がんや子宮がんといった女性特有のがん検診を受診できるクーポンの配付や、対象者に個別に受診を呼びかけるコール・リコールなども進めてまいりました。乳がん検診の受診率は、年々、徐々に上がり、44.9%まで上昇しておりますけれども、政府が掲げている目標の50%には届いていませんし、まだまだ十分な水準とは言えないと思っております。ついては、市立病院に乳がん検診を推進するいわば旗振り役を担っていただきたいと考えています。  そこで、質問ですが、昨年度、市立病院で乳がん検診を受けた方の人数についてお伺いします。  また、市民の乳がん検診の受診を推進するために、具体的にどのように取り組んできているのか、お伺いいたします。 ◎西川 病院局理事  お答えいたします。  まず初めに、平成28年度に当院で乳がん検診を受けた方の人数は242人でした。  次に、乳がん検診の受診を推進するための取り組みですが、まず、当院のホームページに当院で実施しているがん検診のページを作成し、トップページからワンクリックで閲覧できるようにしております。また、仕事や子育てなどで平日は病院に行きにくい方のために、全国の医療機関が協力して10月の第3日曜日には乳がん検診を受けられるようにしようというジャパン・マンモグラフィーサンデーに、今年度、初めて参加することとし、10月15日の日曜日に当院でも乳がん検診を実施する予定です。そのほかにも、今月28日に「がん検診の現状とこれから」をテーマとした市民公開講座を予定しておりますが、そこで、当院の乳腺外科の医師が「乳がん検診の賢い利用方法」と題する講演を行います。 ◆竹内孝代 委員  市立病院は、地域のがん診療連携拠点病院として、また市民のための病院として、乳がん検診の推進にも取り組んでいるというふうに思います。特に、今、答弁がありましたけれども、休日に乳がん検診ができるというのは、仕事や育児、介護などで平日はなかなか病院に行けない女性にとっても受診できるとてもよい取り組みだと思いますので、ぜひ継続していただきたいと思います。  さて、乳がん検診を受けて、残念ながら要精密検査となり、さらには、乳がんであることが判明した場合は治療を行うことになります。市立病院には、乳がんを疑われた方、また乳がんの患者の不安を少しでも早く和らげ、精密で迅速な乳がん治療の提供を期待しているところです。  平成28年度決算の病院事業会計では、乳房エックス線撮影装置、いわゆるマンモグラフィーの購入が計上されています。また、ことしの4月からは、乳腺外科を外科から独立させて、乳腺外科・乳腺センターをスタートさせたというふうにも伺っています。  そこで、質問ですが、このたび購入したマンモグラフィーの特徴についてお尋ねします。また、乳がんの診断や治療における市立病院の特徴、また強みについてどのように考えているか、あわせて伺います。 ◎西川 病院局理事  お答えいたします。  このたび当院が購入したマンモグラフィー装置の特徴は、乳房に対して多方向からエックス線を照射して撮影された画像をもとに、3次元、いわゆる3Dの画像を再構成することができることです。複数の角度から画像を収集するため、これまでの画像では見つけにくかった病変を発見しやすくなりました。また、従来の装置と比較して、低い放射線量で高画質の画像が得られるようにもなっております。  次に、乳がんの診断や治療における当院の特徴や強みについてですが、一言で申し上げますと、総合力とチーム医療であります。乳がん治療、画像診断、放射線治療、病理診断、形成外科、がん薬物療法、緩和医療など、乳がんの診断や治療にかかわる専門医が常勤しており、手術療法、化学療法、放射線療法のいずれも対応可能であります。  また、マンモグラフィーやエコー検査は、女性技師が担当しており、検査を受ける方の気持ちに配慮した対応を心がけております。加えて、当院の精神科外来において、精神科医師及び臨床心理士が必要に応じてがん患者やご家族の精神的なケアを行っております。  設備面につきましても、ただいまご紹介したマンモグラフィーのほかに、乳腺MRI、PET−CTなど最新の機器を設置しております。 ◆竹内孝代 委員  今たくさんお話がありましたけれども、スタッフの面でも、また設備の面でも、大変充実した体制を整えていることがよくわかりました。ぜひとも、地域の医療機関などにも積極的にそのPRをして、患者のために市立病院の充実した体制をしっかり役立てていただけるように推進をお願いいたします。  乳がんについては、見つかることではなく、乳がんになっていても知らないままでいることが本当に怖いことだと言われています。市立病院でも、市民一人一人が正しい知識を持って、早期発見・早期治療を実現させて、乳がんで失われる命が減るように、市民への啓発を含めて、がん診療連携拠点病院としての役割を果たしていただきたいと要望します。  次に、先ほどの答弁の中でもお話がありましたが、強みの一つであります市立病院におけるチーム医療の取り組みについてお聞きします。  病院には、医師、看護師のほかに、薬剤部門、リハビリ部門、検査部門、放射線部門、栄養部門など、多くの専門職のスタッフがおります。チーム医療というのは、主治医や看護師だけではなく、これらのスタッフが、それぞれの高い専門性を前提に、業務分担しつつ連携して患者の治療に当たることです。近年、このチーム医療が重要視されて、診療報酬でもそれが評価されるようになってきました。昨年度には、さらにこれを後押しするような診療報酬の改定もされたと聞いております。現在、経営状況の厳しい中、市立病院の強みである、先ほどお話がありました総合力や、また、チーム医療をしっかり生かして、質の高い医療を提供することによって、経営の健全化にもつながっていくのではないかと思います。  そこで、質問ですが、チーム医療を生かした経営改善への取り組みについて、具体的にどのように行っているのか、伺います。 ◎向井 副院長  チーム医療を生かした経営改善についてお答えいたします。  経営改善の取り組みといたしましては、医療の質を高めるとともに、提供している医療の診療報酬の面からも適切に評価を受けることを目的に、平成28年度から医療の質向上プロジェクトを実施しております。中でも、患者の療養や生活の質向上にとって効果のある項目については、医師、歯科医師、看護師、薬剤師、栄養士、理学療法士、言語聴覚士など関係する多職種から成るチームを結成し、必要な患者に対してより適切に実施できるように業務フローの見直し等を行い、算定件数をふやす取り組みを行いました。  昨年度に取り組んだ項目は、手術前に口腔機能の管理を行うことで術後肺炎などを予防する周術期口腔機能管理、摂食機能障害を有する方に口からの食事摂取を促進する摂食機能療法、薬剤師が入院患者への服薬指導などを行う薬剤管理指導、さらに、栄養食事指導及び救急医療管理加算等であります。  これらの取り組みの効果額としては、年間で約4,200万円でした。この取り組みは、今年度についても認知症ケアなど一部項目を追加して継続しております。 ◆竹内孝代 委員  今、質の高い医療の提供についていろいろお話しいただきまして、それが経営改善にも直接つながっていることもわかりました。  しかし、このような取り組みを一生懸命行っていても、平成28年度の決算についてはかなり厳しい状況にあることがわかっております。特に、平成28年度の経常収支では16億円の赤字、資金不足が4億円という決算状況であり、さらなる経営改善が求められるところであります。  市立札幌病院では、昨年、経営健全化会議を立ち上げるとともに、財政局とも協議しながら、救急患者の受け入れ体制の構築を初めとするさまざまな経営健全化の取り組みを実施してきていると聞いております。その上で、秋元市長は、市立病院の資金不足については、一般会計からの支援も視野に入れていく旨の発言もされているところです。  そこで、質問ですが、平成29年度においては経営状況は改善しつつあるのか、また、今後の収支状況の見通しはどのようになっているのか、お伺いいたします。 ◎蓮実 経営管理部長  まず、平成29年度の経営状況につきましては、昨年度からの経営健全化の取り組みの効果により、現状の収支状況が続いた場合、今年度は億単位での好転が見込まれておりますが、なお一定程度の赤字となる見込みであり、引き続き厳しい状況であります。  今後の収支状況につきましては、平成30年度の診療報酬改定も厳しいものになることが予想され、また、医療機器や電子カルテシステム、建物設備の更新といった病院を維持するための多額の経費が見込まれることなどにより、厳しい経営が続く見通しにならざるを得ないというのが現状でございます。 ◆竹内孝代 委員  今、億単位の好転も見込まれているけれども、まだまだ厳しい状況が続くというお話がありました。  資金不足の解消に向けて課題が山積しているということであれば、今後もさらなる経営の改善を図るために、病院としてはできる限りの努力をしていかなければならないと思いますし、その努力をした上で、必要があれば一般会計からの支援も考えなくてはなりません。  そこで、質問ですが、病院として、さらなる経営改善を図るためにどのような方策を考えているのか、また、一般会計からの支援について、病院局としてはどのような認識を持って、財政局とどのようなやりとりをしているのか、お伺いいたします。 ◎蓮実 経営管理部長  経営改善を図るための方策についてですが、今まで病床利用率向上に取り組んできたものの、若干の伸びにとどまっている状況と認識しております。このため、昨年に続きまして、経営健全化会議を立ち上げ、さらなる増収と経費削減を図るとともに、病床規模の見直しも含め、効率的な運営体制なども検討してまいります。  また、一般会計からの支援につきましては、さらなる取り組みが成果を上げるまでの一定の期間は何らかの支援は必要になると考えており、財政局とは、経営改善への対応策や財政支援のあり方、今後の経営上の課題への対応について継続して協議を行っているところであります。 ◆竹内孝代 委員  資金不足に対する何らかの支援が必要ということで、財政局とも協議していることがわかりました。  財政局が病院事業会計にどのような認識を持っているかということについては、先日の財政局部門の特別委員会で我が会派からその認識を尋ねたところですが、改めて、本日出席している財政局に、病院局に対する支援のあり方についてはどのように考えているのか、お伺いいたします。 ◎浅村 企画調査課長  病院局に対する支援のあり方ということについてのご質問でございます。  ご指摘のとおり、病院局と財政局とは、経営健全化の取り組み状況や収支の状況について定期的に協議を行っているところでございますが、病院局には、まずは経常収支の黒字化を目指して、より一層の経営健全化を図っていただく必要があると考えております。  しかし、その取り組みの成果を上げるまでには一定程度の期間が必要になってくるというふうに考えられるため、この間の資金繰りを可能とするための一時的な運転資金の手当てや、経営健全化がより促進されるような取り組みに係る経費の支援といったことについて検討しているところでございまして、引き続き、病院局との協議を進めてまいりたいと考えております。 ◆竹内孝代 委員  黒字化を目指して病院局と財政局で連携し、そして、それは時間がかかるものでもあるので、それまでの資金繰りをしっかりと考えていきたいということもよくわかりました。  市立札幌病院で受けることのできる良質な高度医療というのは、安定的かつ継続的に提供されなくてはいけないと考えます。今後も、市立札幌病院においては、その機能の強化に力を入れていただくとともに、財政局とも連携しながら、さまざまな経営健全化の取り組みを力強く推進していただくことを求めまして、質問を終わります。 ◆村上ひとし 委員  私は、周産期医療について質問させていただきます。  我が国では、出生数は減少しておりますが、出生体重が2,500グラム未満の低出生体重児の割合は増加しております。厚生労働省の人口動態統計によりますと、2,500グラム未満の赤ちゃん、低出生体重児の割合は、1980年が5.2%だったのに対して2013年は9.6%でありました。中でも、1,000グラムから1,499グラムの赤ちゃん、さらには、1,000グラム未満の赤ちゃんの割合がふえており、その出生数はこの35年間で見ると約2倍にもなっております。  近年、新生児の集中治療を行うベッド、いわゆるNICUの整備や医療従事者の技術の向上によって、低出生体重児の救命率は非常に高くなりました。昔と違い、1,000グラム前後で生まれても命が助かる確率が飛躍的に向上したということであります。  しかし、その後の育児という点では、また別の課題があります。通常よりも早く、そして小さく生まれた赤ちゃんは、しばらくの間、母乳を吸う力が弱いなど、発達もおくれがちであることから、育てる上で多くの困難が伴います。また、生まれてから、母子の分離が長期間に及ぶことがあります。その結果、母と子の愛情が育まれにくい傾向もあります。さらに、これは低出生体重児の親だけに限りませんけれども、周囲に育児を支えてくれる人がおらず、社会的に孤立している、あるいは、経済的に困窮状態にある、それらが複合的に重なり合うことで出産後の育児に支障を来す懸念があります。  そうした状況のもと、周産期医療を担う市立病院として、子どもへの虐待やネグレクトにつながらないよう、支援を必要とする妊産婦を把握し、地域の保健師や児童相談所との情報交換と連携が重要であると思います。  そこで、最初にお伺いいたしますが、市立病院では、育児にリスクのある妊産婦の把握をどのように行っているのか、また、地域の保健師や児童相談所との連携についてお伺いいたします。 ◎勝見 看護部長  育児にリスクのある妊産婦の把握についてですが、当院では、特定妊婦スクリーニングシートを用いて、本人や周囲の状況、生活環境等の項目について妊娠初期から継続的に確認を行い、育児におけるリスクを把握しております。そのほか、看護師が、お父さんやお母さんの新生児との面会時の様子を観察し、育児をする上で心配なことがないかどうかの確認をしております。  また、地域の保健師や児童相談所との連携についてですが、特に、継続して育児を支援していくことが適当と思われるご家族に対しては、退院前に看護師やソーシャルワーカーから地域の保健師や児童相談所に連絡して、必要な情報交換を行うことにより相互に連携をとっているところであります。 ◆村上ひとし 委員  出産の前後にいろいろな情報をキャッチするということだと思うのですけれども、私は、特に、リスクのあるような場合には、市立病院の側から地域の保健師によく情報を提供していくことが非常に重要だと思います。スクリーニングシートなどを用いてチェックされたり、あるいは、面会のときの様子も観察し、そこで声もかけていくことも当然重要なことだと思います。育児が未熟であることを放置していくと、やはり、虐待やネグレクトにつながる可能性が非常に強いと私は思うわけでありまして、そういう点では、市立病院は内部でもいろいろな連携を図りながら地域の保健師などに大いに発信していっていただきたいと思います。家に戻った後まで必要な支援を切れ目なく受けられるよう、地域との連携を一層図っていただきたいというふうに思います。  次の質問をいたしますが、市立病院において、退院後の育児などをフォローするために行っている取り組みなどがございましたらお聞かせいただきたいと思います。 ◎勝見 看護部長  退院後の育児をフォローするために行っている取り組みについてお答えいたします。  当院では、新生児内科の病棟内にマザーリングルームを設置しまして、お母さんが長期入院している新生児と退院前に1泊して生活をともにし、家庭での育児のイメージを体験していただくことにより、育児不安の解消を図る取り組みを行っております。また、専任の臨床心理士を新生児内科内に配置して、子どもの成長・発達に不安のあるお母さんに対して精神的なフォローを行っており、退院後についても、外来で引き続き子どもの発達心理検査等でもかかわっております。  そのほか、当院で出産した産後1カ月以内の方を対象として、助産師が担当する母乳外来を行っております。母乳外来では、母乳についての相談を初め、育児についての相談に広く対応しています。さらに、育児にリスクのあるお母さんに対しては、必要に応じて退院後に助産師が電話をかけ、状況についてお話を伺っています。また、新生児の1カ月健診の際に、育児についての相談を受けたり、フォローが必要にもかかわらず受診のなかった方に対しては、電話をかけるなどの対応を行っております。 ◆村上ひとし 委員  いろいろな取り組みをされておりますが、これは、残念ながら、全てが診療報酬で手厚く支えられているものではないと思いますし、ほとんど無料だというふうに聞いておりまして、先ほど経営的な話もありましたけれども、これが経営的に直結して何か改善されるのかというと、そうではないと思います。しかし、普通でも非常に忙しい中、助産師などを中心にしたこういう取り組みというのは、市立病院で出産し、しかも体重が少なくて長期間NICU等に入った子どもとお母さんを支える上では非常に重要だというふうに思います。  このように、市立病院の周産期医療というのは、さまざまな形で重要な役割を果たしておりますが、一方で、周産期医療は危機的な状況であると言われ続けております。その背景には、産婦人科医の不規則で苛酷な勤務による離職や、産婦人科医を目指す研修医も減少し、都市部への偏在が顕著となって、ハイリスク分娩のみならず、正常分娩を担う産科医療でさえ確保することができない地域が広がっております。  全道の周産期医療というのは、道内に37の周産期母子医療センターがあり、さらに、そのネットワークの中心的な役割を担っているのが3次医療圏ごとの総合周産期母子医療センターですが、このセンターは全道で6施設あり、市立病院は札幌を含む道央圏の総合周産期母子医療センターとして指定を受けております。そういう中で、道央圏では17病院が周産期母子医療センターとして位置づけられていますが、そのうち、北海道社会事業協会小樽病院、滝川市立病院、深川市立病院については、現在、分娩を中止している状況であります。さらに、天使病院においても、最近、再開したようでありますが、この間、天使病院ですら受け入れ制限をしておりました。  本来であれば、周産期医療の拠点となるべき病院が分娩を中止しているというのは、衝撃的な事実であります。その結果、特別な医療が必要となるハイリスク児や、母体などに危険を及ぼす可能性の高いハイリスク分娩の患者は、相当数を札幌で受け入れざるを得ない厳しい実態にあります。中でも、市立病院は、母体、胎児及び新生児の集中治療が可能なベッド数が道内で最も多い病院の一つです。まさしく、北海道の周産期医療の中心的存在であり、その役割はますます大きくなっていると言えます。  市立病院に確認したところ、母体、胎児の集中治療を行うベッド、いわゆるMFICUは6床あり、昨年度の稼働率は95%、新生児の集中治療を行うベッド、いわゆるNICUは15床あって、同じく稼働率は96%ということでありました。極めて高い稼働率であります。これだけ稼働率が高い状況の中で懸念されるのは、集中管理の必要な患者を断らずに受け入れることが果たしてできているのかどうかということが問題であります。  そこでお伺いいたしますが、母体と新生児の受け入れ依頼があったものについて、その受け入れ状況と受け入れ率がどのようになっているのか、お伺いいたします。 ◎勝見 看護部長  母体の受け入れ依頼件数ですが、平成28年度は157件で、うち121件を受け入れています。受け入れ率は77%で、27年度の65%から12ポイント上昇しています。また、院外出生新生児受け入れ依頼件数については、平成28年度では50件で、うち46件を受け入れています。受け入れ率は92%で、27年度の72%から20ポイント上昇しています。  患者の受け入れ依頼があった場合には、例えば、NICUが満床であっても、状態が安定した新生児がいれば後方病床に移すなど、ベッドコントロールを行うなどにより可能な限り受け入れるよう努力しております。また、病棟が満床、対応可能な医師の不在などで当院に受け入れることのできない方に関しては、他の医療機関をご紹介するなどの対応を行っております。 ◆村上ひとし 委員  他の医療機関を紹介することもあると言いながら、157件の依頼のうち121件を受けて77%だというのは、ベッドコントロールも大変だと思います。  周産期医療というのは、市立病院の医療機能として最も重要な役割の一つだと私は思います。とりわけ、北海道の周産期医療が危機的な状況下にある中、市民と道民の最後のとりでとなっています。特に、私は、市立病院のホームページを見せていただきまして、大変感動いたしました。新生児内科のページに、胎児から新生児への切れ目ない周産期医療を実現し、後遺症なき生存を目指す、そして、当院の総合周産期母子医療センターは、いつでも、どんな疾患でも、生まれて間もない新生児にかかわることであれば、NICUに電話いただければ対応する、産科はもちろんのこと、外科、脳神経外科、形成外科、呼吸器外科、眼科、耳鼻科、泌尿器科など、関係する診療科と密接な連携をとって当院の総合力を生かした診療を進めると書いてあります。これは、市民にとって、あるいは道民にとっても、すごく安心できるというか、頼りにされる部分だと思うのですよ。  経営的な問題ももちろんあろうかと思いますし、国の低医療政策、それから、診療報酬の大幅な増もなかなか見込めない中、経営的に引き続き厳しい状況は続くという見通しも示されておりまして、病院全体としての経営的な課題というのはいろいろあると思います。しかし、市立病院の果たす責任や役割からすると、私は、このような周産期医療の充実は一層進めていくべきだというふうに思います。  後ろのほうに財政の方もいらっしゃいますが、一般会計からの繰り入れ、あるいは支援ということで質疑が出ておりましたけれども、守らなければならないものの一つが市立病院の周産期医療だというふうに思いますし、大変重要な役割を果たしております。財政の皆さんも、ぜひそういうことを重く捉えていただきたいというふうに思います。  そこで、院長にお伺いいたしますけれども、病院全体としては経営的に苦戦を強いられている部分もあろうかと思いますが、院長として、市立病院の周産期医療について今後どのようにお考えになっているのか、お伺いいたします。 ◎関 病院事業管理者  ご質問をありがとうございました。また、周産期医療に携わっている現場の医師に対する激励をありがとうございました。  今の村上委員のご質問にお答えいたします。  当院の総合周産期母子医療センターは、北海道の周産期医療体制整備計画において道央圏の基幹病院として位置づけられているものであります。道内全体の周産期医療においても、大変重要な役割を担っているというふうに考えています。当院の経営は、ご指摘のように本当に厳しい状況にありますけれども、今後とも、ほかの周産期母子医療センターや地域の医療機関などと連携協力しながら、最後のとりでとしてこの重要な役割をしっかりと担い、安心してお子さんを産み育てられる地域づくりに貢献するべく、病院を挙げて努力してまいりたいというふうに考えております。 ◆松浦忠 委員  まず、市立病院について、どうやったら経営がうまくいくかということで、私も、今までに、無駄を省くことだとか、あるいはまた民間委託などを指摘し、時々の病院長にいろいろと実施してもらってきました。しかし、昨今の医療を供給する側の病院と、それから医療を受ける側の市民、患者の数との関係でいったら、どうも、地方都市の中核的な民間病院であったところも札幌市に拠点を移してくるような傾向が見られます。そういう意味では、ほかの政令指定都市などと比べて、非常に経営的にというか、患者に来てもらうということでは、患者が選択する対象の病院が多過ぎて実態としてなかなか総合病院である市立札幌病院に来る数が少ない、こういう状況かなというふうに私は実は思っているのです。  なぜ、そういうことを申し上げるかといったら、札幌には、北海道大学があり、道立札幌医科大学があり、そして、総合病院では札幌市立病院、それから、もう一つは民間の病院と四つあります。そんな状況の中で、さらに地方からそれぞれ特色を持った病院が札幌に移ってきて、さらに分野別に磨きをかけて、患者がそこに集まっていく、市内には幾つかのそういう病院がありますね。そういうことからすると、市立病院はなかなか大変だなというふうに私は思っております。  そして、昨年から、資金的に、医療報酬として得ている毎日の収入と、市の一般会計からこの病院に支出されているお金を合わせても、日々の暮らしに事欠く状況が出てきております。そういう病院の実態は、私は、病院の経営者として院長が一番よく掌握されているのではないかなと思うのです。そういう実態の中にあって、市立病院は、今のような市からの繰出金の範囲の中でやっていけるのかどうか。例えば、今年度ですが、平成29年度はこのまま行ったらどのぐらいの赤字となるのか、赤字をどのぐらいに見込んでいるか、ひとつそれをお尋ねしたい。まず、ここからです。 ◎蓮実 経営管理部長  まず、決算では4億円の収支不足になったところであります。また、先ほどの答弁でも申し上げましたが、億単位での好転が見込まれておりますが、なお一定程度の赤字となる見込みということで、現在の状況からは、大体、億単位の赤字になる見込みと推計しております。 ◆松浦忠 委員  そこで、院長、どうですか。今よりベッドの利用率をさらに上げる、そして、患者の紹介率も、さらに頑張って診療所の先生方にお願いしていく。こういう中で、収支とんとんの経営というのは可能だというふうに考えていますか。それとも、いや、これはなかなか大変だなと思っているか。だめかとは聞かないから、なかなか大変だなと思っているか、可能だと思っているか、この点について院長にお聞きしたいと思います。 ◎関 病院事業管理者  なかなか答えづらいご質問ですけれども、私どもの病院の運営に関しては、今、経営管理部長からお答えしたように、確かにかなり厳しい今年度末の決算も見込まれていて、今後どうやって病院の経営を立て直そうかといったことを日々考えているところです。今、委員がおっしゃられたように、診療報酬にかなり左右される面もありますので、非常に厳しいことはご理解いただけると思いますが、ただ、厳しい、厳しいと言って赤字のままでいるわけにもまいりませんので、その点に関しては職員全員で何とか頑張っていきたいというふうに考えています。  それに対していろいろな方策を出すために経営健全化会議の立ち上げ等、各部門の効率化ないしは収益を上げる方策等に関して、今、議論を重ねているところでございます。 ◆松浦忠 委員  今、私は、院長の答弁の中で非常に気にかかることが一つあったのですよ。みんなで収益を上げる方策を経営健全化会議で考えていると。その答えを聞いていて私の頭にぱっと浮かんだのは、富士見産婦人科事件というのがありましたが、これが浮かんだのです。この事件は、富士見産婦人科の経営者で、たしか女性のお医者さんだったと思いますが、病院の収入をふやすために正常な人の子宮までとってしまいました。治療をして治すよりも、手術したほうが1回の収入は多いですからね。後ほど、これが大きな刑事事件になりました。  私が心配するのは、無駄を省くというのはいいのですが、収入をふやすということは、連携している病院に一人でも多く紹介してもらうということ以外にはなかなかありません。市立病院には、札幌市内にある北大、医大といったほかの専門的な病院よりも、これだけはすぐれているというようなものがあるぞと市民に呼びかけて、たくさんの患者が来ることになるようなものは、なかなか見つけづらいと思うのです。  そんな中で一生懸命に収益を上げることを考えていくと、次にどういうことが起こっていくかといったら、必要はないけれども、CT撮ったからついでにMRIももう一ついくかと、こういうふうになってきます。民間病院の患者からよく聞くのは、例えば、機械検査ということで、診療報酬の中で標準的に定められているのが1カ月に1回だとしたら、月末に退院させないで、翌月に検査してから退院させるとか、こういうようなことが今までよく聞かれましたね。そういう、いわば過剰診療ということも起きかねないわけです。過剰診療になっていけば、また医療保険会計を圧迫していくし、札幌市からの繰出金もふえる、こういうことになるわけです。  したがって、市立病院について言えば、やっぱり、無駄を省くということはよしとしても、過剰診療に至らないようにしなければなりません。今の仕組みの中では紹介者をふやす努力以外のものはないわけですから、そういう点で、余りそこのところを強調すると、今度、一番心配になるのは、お医者さんも、一生懸命やってこんなにもうからぬ病院でいつも収益上げろと言われたら、俺はとっても嫌だな、過剰診療もしたくないし、適切な治療で薬も最小限でと、こう思っているお医者さんはやめていくことになるわけですよ。ですから、私は、その辺は余り意識するのではなくて、市立病院としての形態を保つか、保たないか、もうそろそろここを判断しなきゃならぬ時期に来ていると私は見ております。今も、これから先も、見て考えるとですね。  そういうことからいくと、これは、もう事業管理者である病院長の責任の範疇ではなくて、設置者である札幌市長としてどうするか、また、市民の代表である我々議員として病院の財政問題をどう判断していくか、今、そういう分かれ道に来ていると私は思っています。  そういう点からいったら、岸副市長、あなたは、分担上、財政局も担当し、そしてこの病院を担当しております。そこで、岸副市長に尋ねるのですが、私は、やっぱりもうそろそろこの病院の繰出金について考えるべき時期に来ているのではないかと。  そこで、副市長に二つお尋ねします。  一つは、副市長から見て、病院の中に無駄を省くところがまだあるのか。金額はいいですが、具体に、こんなところとあんなところは見直しできるのではないかということで目につくものがあるかどうか。なければ、ないでよし。  二つ目は、今まで、病院も過去にいろいろと繰り出しをしてきました。上田市長のときに、一旦、膨らんだ財政をきちっとやりくりのつくような財政に見直しをしようということで、全部、交通局も含めて、繰出金などを相当に削ったり、あるいは廃止したりして絞ってきましたが、少なくとも去年、あるいはことし、平成28年度、あるいは29年度については、この2年度ぐらいの赤字になる分についてはもう繰出金でもって整理しなければだめではないかと思うのです。
     そこで、資本会計のほうでありますが、病院の建設費については、残債と利息を市が肩がわりして全部払ったとしても、病院の経営上、安定してやっていくには、それだけではもう間に合わぬぐらいの状況になっているのですね。したがって、今、言ったように、平成28年度、29年度で生じた収支不足については、とりあえず、一旦、29年度末で整理してあげる、そして、30年度からは、病院の経営をしていくに当たって市がどれだけの金を出していくかということをきちっと決めてあげる。  そうしないと、特に、お医者さん方は、いつも事あるごとに、働けど働けど収入ふえず、しかし、頑張れ、頑張れと院長から号令がかかる、これでは、さっき心配して指摘したようなことも起きかねないし、また意欲も低下していく。私は、よくないと思うのです。心身ともに元気に患者を診なきゃならないお医者さんが、経営面でいろいろ言われて、心の中で重たい気持ちで診察に当たっているというのでは、患者に向かって笑顔も出てきませんからね。  したがって、市は、今、私が質問したようなことをぜひやるべきだ、市長はやるべきだと思うわけですけれども、副市長、いかがですか。 ◎岸 副市長  病院の経営について、今、2点のご質問がございました。  前段、病院事業としていろいろと厳しい経営環境にある中で、今、効率化を求めるとして、具体的にどういうことが想定できるのかということが1点目かと思います。先ほどの竹内委員のご質問に、部長のほうから、病床規模の見直し等も含めてというようなところに踏み込んでご答弁させていただいておりますが、そうしたことも含めて、今、病院内部で、あれができるのではないか、これができるのではないかということで、全体的な見直しの事項を考えておりますので、そういう中で具体的な事項として整理していきたいというふうに思います。これまで積み重ねてきている経営努力の中で、今これをやればこれだけの効果がすぐ出るというのは非常に難しいことであろうとは思いますけれども、その中でも、効果がある事項をさらに検討してまいりたいというふうに考えるところでございます。  それから、一般会計の繰り出しについてのご質問でございます。  原理原則から言えば、病院事業は公営企業法に基づく独立採算ということでございますので、一般会計からの支援というのは、制約がある中で行うのが基本であろうかというふうに考えております。その中で、現状も行っておりますが、努力をしても、なお不採算になるであろうという救急医療であったり周産期の部分、あるいは、現在の本院の建設に当たっての用地の取得に係る経費等々については、一般会計からの繰り出しという整理をしているところでございます。  ただ、昨今の診療報酬の改定が病院の経営に対して必ずしもプラスにならないというか、マイナスに働いているのは事実でございまして、非常に厳しい状況がこれからも続くであろうということが予想されます。そこで、一般会計からの支援をどうするかということについて、今、病院局と財政局が協議、検討しながら成案をつくっていこうというところでございますので、その中で、一般会計からどういう形の支援が適当であるかということについて整理していきたいというふうに考えます。 ◆松浦忠 委員  政令市や県庁所在地などの病院を調べてみると、例えば、政令市でいえば新潟は比較的経営がいいと言われております。何がいいのかということを聞けば、人件費を大幅に削減している、こう言うのです。  そこで、もうそう長くはしませんけれども、院長、新潟で人件費を削減した結果、ほかの病院にはないどういう特徴が出ていますか。 ◎関 病院事業管理者  今、委員のご質問の新潟市民病院で人件費を削減したときに出てきたほかの病院とは違う取り組みに関しては、私は、ちょっと今、お答えすべき資料が余り頭の中に浮かんでまいりません。ただ言えるのは、これは働き方の問題にもなると思うのですが、やっぱり、人が少ない中で、現場の医師、看護師を初め、医療スタッフが現場で一生懸命働いているときに、人員を削減しつつ、なおかつ仕事の量を多く与えると、長時間労働にもつながりますし、そうなってくると医療者が疲弊してしまうということもあります。ですから、私どものところとしましては、病院の規模の見直しだとか、そういったことはもちろん考えますけれども、今のところ、大きな仕事をそのままにしておいて人員だけを削減するといったようなことは考えておりません。 ◆松浦忠 委員  新潟の場合、正職員の比率が低いとか、あるいは、心身に疾患が生じているとか、あるいはまた、それが死に至っているとか、いろいろなことが言われております。  今、市立札幌病院では、平成28年度でいったら人件費は116億円か117億円ぐらいになっていますね。そして、直接の診療報酬だけで入ってくるのは180億円台、そうすると6割近くが人件費です。こういう実態からいったら、自治体病院として、日常の市民の診療だけではなくて、救急、災害の復旧など、それも国内だけではなくて国際的な災害復旧にも対応していく、こういったいろいろな役割を考えたら、やっぱり、私は、今の形の中で一般会計からある程度の金を出してやらざるを得ないというふうに思います。  私は、長年、市立病院の問題にも真摯に取り組んできて、専門的な病院では北海道でも一、二と言われる病院も幾つかありますが、そういうところと親しくしていて、比較してみたり、いろいろなことをしてみました。また、市立病院の持っている役割上からいったら、市立病院だけは臨時職員がうんと多くなるとか、あるいは、横浜市の交通局のように一般会計と交通局の賃金の差をつけるとか、そんなこともなかなか難しいだろうと考えます。そういうようなことを考えると、やっぱり、行き着くところは財政的な支援をきちっと決断してやっていくことに尽きるかなと思います。無駄というのは、どこの職場でも常にあって、日々、これを省く努力はしていかなきゃならぬことでありますけれども、それをやって補いのつくような問題ではないと私は見ています。  そういうことで、岸副市長、財政局にいろいろ検討させるのはいいけれども、最後にどうするかというのは市長の決断です。その進言役はあなたですから、あなたの決断にかかっているということだけを申し上げて、ぜひひとつ、きちっとした手当てをしてあげていただきたい。病院の医者の手当てをするのは、副市長、あなたです。医者から手当てを受けるのは、患者の私たちです。そういうことで、ひとつ、財政的な手当てをしっかりやっていただきたいということを申し上げて、終わります。 ◆中川賢一 委員  私のほうからは、きょう、経営改善の関係のことがいろいろ出ておりましたが、そういったことのために、今、病院局で契約しておられる経営コンサルタントの活用につきまして、何点かお伺いさせていただきたいと思います。  本日は、先ほど来、経営状況について、いろいろなお話が出てまいりました。経営状況が非常に厳しいということで、皆さんのほうも認識は大体一致しておられるかなと思います。先ほどのお話の中でも、今年度、平成29年度は、いろいろな経営改善の方策をとった影響で、億単位の好転が見られているというようなお話もございました。しかしながら、昨年、平成28年度も、当初の予定では、相当の経営改善が見られるというような状況でございましたが、ふたをあけてみると、28年度決算は4億円の資金不足が生じているというような厳しい結果となっておりまして、このところ、なかなか思うようにならない経営状況が続いているというふうに言わざるを得ないのかなと思うところでございます。  公的な病院として、良質な医療とか社会的な使命というものと、また一方で、経営効率というものを両立していくことは、口で言うほど簡単ではないことは十分に承知しているところでもございます。そういった危機感があってのことだと思いますが、病院局におきましては、平成27年度から、経営基盤強化のため、経営コンサルタントと業務委託契約をして、昨年28年度の契約額は648万円でございました。公営企業でありましても、やはり、根本のところでは企業経営であることには変わりがございませんので、企業の経営や病院の経営に詳しい専門のコンサルタントなどに適切にアドバイスをいただくことは、経営健全化に向けて一定の効果が期待できるというふうに私も考えるところでございます。  しかし、コンサルを使う場合に、ただ漠然と契約しても、使えば結果が出るというような単純なものではないわけでございます。依頼する側、その企業、今回で言えば市立札幌病院でありますが、この企業がどのようになっていってほしいのか、いかなくてはならないのかと。例えば、経常段階で赤字を解消したいとか、売り上げを拡大するのか、経費を削減するのか、そういったことも含めて利益率をどうするのかというような、ある程度きちんとした目標意識を持って向かわないと、コンサルのほうも、何をしてよいのか戸惑って、ありきたりのことしかやれないようなことにもなるのではないかなと懸念するところでございます。  そこでまず、基本的なところをお伺いしたいのですが、病院局では、平成27年度と28年度、このコンサルの契約につきまして、どのような成果を期待して、また、どのような業務を委託したのか、そして、それに対してどのような成果があったのかという点をお伺いしたいと思います。 ◎蓮実 経営管理部長  まず、病院の経営基盤を強化するためには、入院患者をふやすこと、また、質の高い医療の提供に伴う入院診療単価の増が必須であることから、それらを最終的な成果として期待し、業務委託を行ったところです。  まず、入院患者の増につきましては、特に紹介患者をふやすため、積極的な訪問活動等による地域連携の強化を依頼しました。  また、単価を上げるには、新たな診療報酬の施設基準の取得や各種加算の確実な算定などが必要になりますので、具体的な項目の絞り込みや、実際の算定に当たりまして専門的な知識や他院での経験等を生かした助言、勉強会、実行支援などを依頼しております。例を挙げますと、総合的かつ専門的な急性期医療を24時間提供できる体制を評価した総合入院体制加算1の施設基準の取得を目指しまして、平成27年度に、コンサルの支援のもと、病院全体で取り組みました結果、28年4月に取得し、単価増を図ることができたということがございます。  これらの結果、新入院患者は、平成27年度の1万5,992人から、28年度は1万6,369人と2.4%ふえ、入院診療の単価は、27年度の6万5,335円から、28年度は6万7,155円と2.8%ふえているところです。 ◆中川賢一 委員  今いろいろと挙げていただきましたが、経営の細かいところを見ますと、そういったことも一つ一つ見逃せないことなのかなというふうには思うところでございます。  しかし、それが、今の厳しい赤字経営の根本的な原因なのかどうかというところは、検証してみないとわからないなと思う部分もございます。先ほど、私の前の松浦委員の質疑で、札幌市における医療の需給バランスの変化など、そういった大きな視点からのご指摘もありましたが、そういったもろもろも含めて、いろいろな構造的な問題もあるのかもしれないというふうに考えます。これだけの不採算体質でございますから、ちょっとした改正をすれば短期間で改善できるような簡単なものではないというふうにも思いますので、ある程度の時間軸を持って取り組んでいく必要があると思います。いずれにしましても、立てた目標に対して、入院患者数とか単価といった部分である程度の成果があったのだなと思っております。  ただ、事前にいただいたもので、契約の内容をまとめた資料がここにございますけれども、これを拝見しますと、委託業務の内容について、経営基盤の強化策、地域連携の推進、情報提供、院内学習会というような抽象的な言葉や作業が羅列されております。しかし、そもそもこの経営状態をどうしていくのかというようなことは、コンサルときちんと合意しているのか。方向性、認識を共有しているというような部分は余り感じられないなと思います。例えば、平成27年度の業務項目の中で、高度急性期を維持、達成するためにあるべき姿を追求するという業務を委託しておりますけれども、果たして、このあるべき姿というのはきちんと浮かび上がってきたのかなと思っております。  浮かび上がってきたのであれば、そのあるべき姿に向けて、どういうふうなロードマップを描き、段階ごとに達成していくのか、そして、それらを進めていく上での課題や解決策も同時に浮き彫りになっているのかなというと、平成28年度、29年度の業務内容を見ていてもなかなかはっきりしてきません。やはり、平成27年度にあるべき姿を追求したのであれば、28年度、29年度には、次の段階として、そういったことが連続的にきちんと計画され、委託の内容にも反映されてこなくてはならないのではないかなというふうに考えるところでございます。  先ほど一般会計の繰り出しの話もいろいろ出ておりましたが、財政局のほうも、経営改善にはいろいろ時間がかかるので、その間のつなぎの運転資金はある程度検討しなければならないというようなお話でありました。しかし、一定期間の運転資金と言っても、やはり、その間の事業計画がある程度きちんと見えていないことには、それが妥当なのかどうか、運転資金として一般会計から繰り出しをするのが妥当なのかどうかという判断そのものもできないのではないかなと考えるところでございます。  そこで、次に、もう一つお伺いしたいのですが、病院局としましては、そういう事業の連続性、計画性を持ってこれまでコンサルを活用してきたのか。してきたのだという期待を込めまして、今年度につきましては、これまでの経緯を踏まえて、具体的にどのような経営指標の改善などを目指してコンサル契約をしたのか、この点についてお伺いしたいと思います。 ◎蓮実 経営管理部長  まず、NPO法人病院経営支援機構のコンサルにつきましては、前年度から引き続き、収入増のかなめである患者数増と、新たに委託料などの経費節減を目指し、委託したものでございます。具体的内容としては、患者数増の柱である救急患者と紹介患者の増について、患者受け入れ体制の整備や地域連携強化を図るため、医療現場からのヒアリングや意見交換などの実施、地域医療機関への訪問同行などにより、課題抽出の支援をしていただいたものでございます。経費節減につきましては、委託仕様書の見直し及び競争性向上を図るため、現場や受託事業者から聞き取りを行い、他病院の事例などを踏まえて支援していただいております。  また、もう一つのエムスリードクターサポートにつきましては、次年度の診療報酬改定に対応した収益確保を目的としまして、診療報酬改定に向けた経営課題及び達成手法の検討と支援、留意すべき項目に関する院内学習会の開催などを委託しております。 ◆中川賢一 委員  先ほどもそうだったのですが、細かいいろいろな業務委託、何をしてもらうのかというところはたくさんお答えをいただきました。しかし、平成27年度から、コンサルに対して、病院をどうしていってほしいのかと、病院の方向性がこうであって、そこのところをどのようにしていくのかという大きな方向性がなかなかよく見えないなという感じを受けるわけでございます。  誤解を与えているかもしれませんけれども、私は、コンサルの活用ということに反対しているわけではないわけでございまして、むしろ賛成している立場でございます。失礼ながら申し上げますと、一般的に、行政職員が企業経営のノウハウに十分にたけているわけではないと思われますので、やはり、経営の専門家の力をかりるのは望ましいと考えますし、場合によっては、経営そのものの中に経営能力にたけた外部人材を入れることなどもあってよいのではないかなと考えております。本来、経営コンサルの仕事といいますのは、具体的な経営状況の改善に向けて、経営側とともに、一緒にその戦略を考えて実践を促していくところにございますので、やはり、依頼する側に経営の本質に向き合う意識、その企業をどうするのかという明確な意識が希薄でありましたら、せっかく高い能力があるコンサルとご縁があっても、場合によっては宝の持ち腐れになってしまわないかなというふうに懸念するところでございます。  先ほど、契約の相手方ということでお名前が出ましたけれども、私は、病院経営支援機構のホームページも拝見しました。この中に、コンサルの方針として、ただ単にコンサルするだけではなくて、徹底した現場主義、彼らは「DOSULTANT!」とうたっておりますが、このあたりを拝見しますと、病院側や現場の視点といったものを非常に大事にするという、コンサルとして非常に望ましい姿を持った契約先なのではないかなと推察いたします。こういったコンサルの力を生かすのも無駄にするのも、委託側である病院の姿勢いかんにかかってくるのではないかなというふうに思うところでございます。  そこで、改めてお伺いしますが、現在の市立病院の経営状況に照らし合わせて、そもそも何をしてもらうことを目的としてコンサルと契約しておられるのか、さらに、今後もコンサルを利用して厳しい経営状況の打破ということを期待していくのであれば、明確な目標や方向性を持ってコンサルを活用し、具体的な経営改善を達成していくべきと考えますけれども、今後の対応と見解についてお伺いしたいと思います。 ◎関 病院事業管理者  まず、コンサル契約につきましては、一人でも多くの患者を受け入れまして、高度急性期医療の提供を行い、地域医療支援病院としての責務を果たしながら経営の改善を図っていくといったことを目的としているところであります。  また、診療報酬制度は非常に複雑でありますことから、当院の責務を踏まえつつ、増収や経費削減を図るためには、高度な専門知識や経営改善にかかわる豊富な経験、最新の医療関係の情報が不可欠でありますので、これからも医療分野専門のコンサルの活用が必要であるというふうに考えています。  また、経営改善につきましては、患者数の増加や、当院の役割を踏まえた施設基準などの取得、維持に継続して努めてまいりますけれども、今後の方向性としましては、病床規模の見直しも含めた効率的な運営体制も検討していくようにしておりますので、コンサルからは、当院に合った具体的手法などについて適切な助言や提案等の支援を受けまして、当院みずから主体性を持ってそれらを着実に実現する努力をしてまいりたいというふうに考えています。 ◆中川賢一 委員  院長からお答えいただきまして、大変ありがとうございます。  今、最後に主体的にという部分もお話にございました。確かに、病院の経営というところは、いろいろ大きな課題等もございましてなかなか難しい部分があろうかと思います。大変ご苦労されていることは、私も十分にうかがい知るところでございます。  今、こういった方向でというお話がいろいろございましたけれども、現在の公的病院としての市立病院の立場からしますとそういったことになるのかなと思います。その点、方向性を明確にして、できるだけコンサルをうまく使い倒すということを期待したいなと思います。  あわせて、これは余談になるかもしれませんけれども、比較する事例としてちょっと適正ではないのですが、私は、かつてシンガポールにおりまして、そのときに、いろいろと病院を利用しました。あの国は何でもうまく使うのが得意な国でございまして、向こうの病院というのは、商業施設、レストラン、お店、ショップなど、いろいろな事業者が入っていて、商業ビルの中に病院があるのか、病院の中に商業施設があるのか、わからないような部分があったりいたします。  私は、こういった事例が札幌もしくは日本の病院に必ずしも適合すると申し上げるつもりはございませんが、やはり企業経営でございますので、持っている経営資源をあらゆる角度からしっかりと洗い出して、そして評価してみる、こういうところから、いろいろな活路が出てくるのかなということも期待したいわけでございます。そういった観点からも、やはり、経営ノウハウのあるコンサルのいろいろなお知恵やアイデアも利用してみてはいかがかなと思うところでございまして、そういったこともご提案させていただいて、私の質問を終わらせていただきたいと思います。 ◆成田祐樹 委員  まずは、日ごろから市民のために高度な医療を提供してくださっていることに、心より感謝申し上げたいと思います。  本来であれば、医療スタッフの方々は現場で専念していただくのが一番よいとは思っておりますが、年2回ですので、どうかご容赦いただければと思います。  それでは、市立病院の経営に関して、順次、質問を行いたいと思います。  平成28年度決算において、資金不足比率2.3%となり、資金不足が生じました。直ちに病院経営に大きな影響を及ぼすものと考えてはおりませんが、資金不足によってスピード感が失われる場合もあり、一つの課題になったのは間違いありません。  一方で、市立病院の現況を見ますと、医業収支比率は約85%と苦しい経営状況ですが、医師数は、平成26年度の145名から、27年度は152名、28年度は159名と増加しており、これは大変よい状況であると認識しております。また、入院患者数や救急受け入れ件数もふえており、札幌を代表する高度医療機関として、しっかりとその役割を果たしているということは数字を見ても明らかです。他の地域でよく散見される自治体病院の経営状態が悪いといった状況と、市立札幌病院の状況は、ちょっと違っているかなという印象を受けております。ただ、収支改善については、引き続き目を向けていかなければなりません。一体何が課題であるのか、実際、どのように市立病院の経営改善を行っていくのか、その方向性が気になるところです。  一般的には、改善のために経費削減を行うといった手法が単純に思い浮かぶと思いますが、果たしてそれがよい施策でしょうか。実態は、そうではありません。総務省自治財政局準公営企業室が、平成28年3月に発行した公立病院経営改革事例集の12ページ、13ページを見ると、平成20年度決算から平成25年度決算において、医業収支比率が5%以上改善した病院において、300床以上の病床を持つ病院の場合、収入減・費用減で改善した病院が全体の2.7%、収入増・費用減で改善した病院が8.9%であるのに対し、収入増・費用増で改善した病院が88.4%、つまり費用も経費もふえたが、それによって収入をふやして経営改善に至った病院が9割近かったという結果が出ております。  つまり、収入の増をもって医業収支比率を向上させている場合がほとんどでありますが、この点について、市立札幌病院はどのような方向性を持って経営改善を行っていくのか、お聞かせ願えればと思います。 ◎蓮実 経営管理部長  まず、経営改善につきましては、費用の抑制も大切ですが、収入増加の取り組みは、より重要なものであると認識しております。そのため、これまでも、増収を図るため、救急患者の受け入れや紹介患者の増、また、加算取得のための施設基準への対応などに継続して取り組んできたところであります。  この結果、先ほども述べましたが、新入院患者は、平成27年度の1万5,992人から28年度は1万6,369人と増加した一方、平均在院日数の短縮によりまして、延べ入院患者数は、27年度が19万6,171人だったのが平成28年度は19万1,773人と減少しております。  なお、本年5月8日からは、2次救急当番病院をバックアップするため、3次以外の救急患者の受け入れを24時間365日に拡大したところです。この効果もありまして、患者数につきましては、昨年度と比べて伸びてきているところではありますが、病床利用率については70%台で推移している状況であります。  このため、これからもさらなる救急患者の受け入れや紹介患者の増に取り組んでまいりますが、先ほどの答弁でも申し上げましたとおり、病床規模の見直しも含めまして、効率的な運営体制などについても検討の上、経営改善に取り組んでいきたいと考えております。 ◆成田祐樹 委員  収入増を図っていくということで、施設改修の話や病床規模の見直しもお話ししていただきました。もしかすると、病床規模の見直しでハイケアユニットを導入して点数を上げるとか、もしくは、そういった人員もふやすのか、いろいろ費用がかさむ部分があると思いますが、こういった施設改修等を含めて、収入増をもってやっていくのだというのであれば費用の増もいたし方ないと考えます。しっかりと方向性を持ってそういった部分をやっていただくというところをまず確認したかったので、ぜひ、そのとおり推し進めていただければなと思います。  次に、DPC機能評価係数2についてお伺いします。  機能評価係数2とは、厚労省の目指す医療の方向性を基準に質の評価を行うものであり、保険診療指数、効率性指数、カバー率指数など、さまざまな指数によって評価につながっています。平成29年第1回診療報酬調査専門組織・DPC評価分科会資料によると、北海道内の自治体病院において、この評価係数2を見比べると、道内1位は市立函館病院の0.0857、2位は苫小牧市立病院の0.0843、3位が名寄市立総合病院の0.0839、4位が市立札幌病院で0.0741という値でした。市立札幌病院は、さまざまな疾患に対応できる総合的な体制を評価するカバー率などで断トツに高い評価を受けておりますが、一方で、地域医療など、他の自治体病院よりかなり低い数値のものも見受けられます。また、市立札幌病院は、DPC病院3群と呼ばれる群に入っております。大学病院本院は1群とされ、大学病院本院と同程度の一定機能を有すると考えられる医療機関については2群とされており、それ以外が3群とされています。単に係数の数値で2群、3群が分かれるわけではありませんが、2群になるには、医師研修の実施や高度な医療技術の実施などが要件になっているとされています。このDPC機能評価係数2が完全なものではないとは思いますが、評価を横並びに見る際の一つの指標になるかと考えられます。  ここで、お伺いしますが、本市立病院は、機能評価係数2についてどのような分析をしているのか、見解をお聞かせください。  また、評価係数2を上げるために、どのような努力をしているか、あわせてお聞かせ願えればと思います。 ◎蓮実 経営管理部長  機能評価係数2についてですが、まず、包括医療費支払い制度というものがありまして、いわゆるDPC制度、正確にはDPC/PDPSと言いますけれども、この制度のもとでは、病気の種類によって決められた点数に医療機関別に定められた係数を掛けることによって請求できる点数が決まってまいります。その掛ける係数の一つが機能評価係数2でございまして、これは、医療機関が担っている役割や機能を評価する係数でありまして、当院としても重要なものであると認識しております。  現在、機能評価係数2は8項目に分かれておりまして、当院では、平成28年度におきまして、委員もご指摘のように、さまざまな疾患に対応できる総合力を評価したカバー率係数、在院日数短縮の努力を評価した効率性係数などは全国平均を大きく上回っておりました。しかし、ジェネリック医薬品の使用率を評価した後発医療品係数、それから、救急医療や緊急入院の対象となる患者治療に関する評価をした救急医療係数については平均を下回っておりました。  そこで、これらの係数を上げるために、ジェネリック医薬品の使用率の向上や救急医療係数の向上に資する加算を確実に算定するためのマニュアル作成、院内勉強会の開催などの取り組みを行いました結果、平成29年度の機能評価係数2は上昇しております。 ◆成田祐樹 委員  こういった指標が出てくると課題がしっかり見えてくると思いますので、ぜひまた、そういったものを見比べながら課題に取り組んでいただきたいなというふうに思います。  続いて、診療報酬についてお伺いしたいと思います。  平成27年度地方公営企業年鑑によると、市立札幌病院の1日平均入院単価は6万5,536円となっておりました。他の自治体病院を見ると、先ほど取り上げさせてもらった評価係数道内1位の函館市立病院は、1日平均入院単価が7万602円と本院より5,000円ほど高いことがわかりました。稼働率を上げることももちろん重要ですが、単価を上げることも必要です。単価を上げるという話をするとどうしても過剰な診療などが思い浮かびますが、本院はDPCを導入しておりますから、そういう形ではなく、さらに加算できる診療報酬がないかどうか、それを気づける人材がいるかが重要となってくるのではないかと思います。  新たな公立病院改革ガイドラインには、事務職員に関して、外部人材の活用や職員プロパー化、専門的なスキルを持った職員を計画的に育成する仕組みの構築等の必要が盛り込まれております。また、本年10月3日に総務省で行われた地域医療の確保と公立病院改革の推進に関する調査研究会の最後の会議でまとめられた報告書案についても、その会の特徴として、病院マネジメントの観点から、経営手段の充実についての指摘が挙がっており、その中でも特に公立病院の事務局の強化、経営人材の確保、育成が盛り込まれていることを確認しております。  ここで、お伺いしますが、市立病院における最近の診療報酬加算の状況と、今後どのような加算取得を目指すのか、見解をお聞かせください。  また、職員のプロパー化についてどのように考えているか、あわせてお聞かせ願えればと思います。 ◎蓮実 経営管理部長  まず、加算等の施設基準につきましては、当院の機能や役割に合ったものや医療の質を向上させるものを中心として、可能な限り積極的に取得するよう努めているところであります。昨年4月の診療報酬改定に伴いまして、新たに取得した特に効果額の大きなものとしては、北海道内では当院を含めて2病院のみである総合入院体制加算1でございまして、これにより約1億2,000万円の増収を図ることができました。そのほかにも、退院支援加算1など、新たに取得したものがございます。  次回の改定は来年4月でありまして、これから徐々に具体的な改定の内容が明らかになってくると思いますので、積極的な情報収集を行って、取得による効果とコストを比較検討しながら、可能な限り医療の質向上と経営改善につながるよう努めていきたいと考えております。  2点目の職員のプロパー化についてですが、病院局におきましては、診療報酬、診療情報管理等の高い専門性が求められる業務を安定的に遂行する観点から、医療事務に精通した事務職員を確保するため、平成24年度に医療情報職を設置し、平成25年1月、26年4月にそれぞれ2名を病院局で採用し、現在4名が在籍しております。この医療情報職は、診療情報管理士の資格を有し、3年以上の病院事務経験を有する人材を登用しており、この間、診療報酬請求や医事統計等の医療事務においてその高い専門性を発揮してくれております。  今後とも、専門性と総合力を兼ね備えた病院事務職員として、病院経営に大きく寄与していくことを期待しているところです。 ◆成田祐樹 委員  今のご答弁でも総合入院体制加算1を取得されているということがございましたが、これはなかなか取れない難しいものだということで、本当に事務方の皆さんがいろいろ努力された結果、こういうことにつながったのかなというふうに思っております。ただ、やっぱり診療報酬は非常に難しい部分がございますので、加算を取れるものはしっかり取っていく、そういった姿勢をこれからもぜひしっかりと続けていただきたいなと思います。  最後の質問ですが、新病院改革ガイドラインにおいては、経営指標の目的達成に向けた具体的な取り組み例として、職員採用の柔軟化、勤務環境の整備、研修機能の充実、医師等の医療スタッフを確保するための取り組みを強化すべきことが盛り込まれております。  ちなみに、そこには、職員定数を守れということは一言も盛り込まれておりません。  また、最近の診療報酬制度は、専門資格の取得により加算を取ることができ、収益改善にもつながると言われています。つまり、医療技術の向上は点数の加算につながるわけです。病院局における質問では毎回申し上げておりますが、医療スタッフに対する勤務環境の整備や研修の充実化を行うことは、札幌市民に対してさらなる高度医療の提供にもつながりますし、収益改善にも導いていくのではないでしょうか。ドクター、コメディカルを含めて、より進んだ医療を学んでいただくことが大切だと私は考えます。  ここで、お伺いしますが、本市立病院は、勤務環境の向上や研修の充実化についてどのように考えているのか、また、昨年までに比べてどのように改善したか、来年度からはどのように改善を図っていくか、改めてお伺いいたします。 ◎蓮実 経営管理部長  病院は、高い専門知識を持った医療従事者がチームとなって個々の患者に医療サービスを提供することによって診療報酬を得ております。そのため、病院として安定した診療報酬を確保し、質の高い医療を提供していくためには、優秀な人材を確保し、研修等を通じて継続的に専門性を高め、その能力を良好なコンディションで発揮できる勤務環境を整えることが極めて重要となってまいります。  そうした認識に基づきまして、まず、研修環境としましては、院内図書室の整備充実のほか、年間150回以上の研修を計画的に実施しております。また、専門資格取得支援にも力を入れておりまして、例えば、看護職においては、認定看護師の資格取得費を予算措置して計画的に育成しており、今年度までに14分野、27名の認定看護師を確保したところであります。さらに、指導的役割を担える職員の育成を目指して、平成27年度に院内認定制度を整備し、これまでに急変看護、がん看護領域で18名の院内認定看護師を育成し、今年度はさらに褥瘡ケア領域を追加して、現在12名が研修受講中です。  次に、勤務環境の改善としては、医師等勤務環境検討委員会を設置してさまざまな取り組みを進めており、例えば、医師事務作業補助者や看護補助員の配置による業務移譲を進めているほか、チーム医療の推進等による時間外勤務の縮減や年次休暇の取得促進、業務実態に即した勤務時間帯の見直しなどに取り組んできております。また、当直仮眠室の拡充や医師職に対する時間外勤務手当の支給、看護職の夜間勤務手当の増額などの処遇改善にも取り組んできたところであります。  今後とも、当院が果たすべき医療を提供できる専門性の高い人材の育成を目指して、研修や資格取得の促進に取り組むとともに、経営状況を踏まえながら勤務環境改善を図り、質の高い医療サービスを提供していけるよう最大限に取り組んでまいりたいと考えております。 ◆成田祐樹 委員  ぜひ、今後も、今お答えいただいたようなことをより一層推し進めていただきたいなと思います。  最後に、1点、事務方の皆さんに申し上げたいのですが、本当に研修の充実を図ろうとしているのか、地域連携を図ろうとしているのか、少々不安に思っている部分もございます。  市立札幌病院は、市内、市外問わず、研修の場としても使われていると聞きます。当然、高度な医療を学ぶために、道内の遠くから車に乗ってくる方もいるわけです。しかし、こういった研修の受講者、スタッフの駐車料金は、一切、免除もなく、料金がかかると言われています。終日受講したら1,000円近くになります。しかも、利用者の少ない土・日です。何で、地域連携につながったり医療の向上につながる取り組みに課金しなければならないのでしょうか。  市立病院の駐車場料金において、一般の受診者は1回100円です。お見舞いの方もそんなに多くかかりません。でも、その医療を地域で連携して提供しようと頑張っている人には1,000円のお金を負担させる、おかしくありませんか。また、その方たちは研修のために費用を使ったりしています。  今、公立病院においても、駐車場の運営をタイムズ24などに委託して一定の収益を上げているケースもあるようです。先ほど中川委員もおっしゃっていましたが、資源をどういうふうに使うか、いろいろ考えるべきではないでしょうか。夜間や土・日の利用者が少ないときは、定額で開放したりしてもいいわけです。駐車場運営だけとってみても、果たして今のやり方でいいのでしょうか。  今回は突っ込みませんが、それ以外にも、医業に直接関与しない保守管理費用において高いなと見受けられる契約が幾つかあるように思えます。私が言いたいのは、先ほどお話しさせていただいた駐車場のような目先の小銭を追いかけるのではなく、この病院をどうやって地域と連携させていくのか、より高度な医療を提供する機関としてどうやって発展させるのか、それを収益につなげていくのか、私は、そういった意識がまだまだ薄い部分があるかなというふうに思うわけです。  今後、事務方には、そのあたりをしっかり考えていただくことを強く要望するとともに、医療スタッフの方々には、引き続きより高度な医療の提供にご尽力いただくことをお願いしまして、質問を終わりたいと思います。 ◆岩崎道郎 委員  経営やお金の話が続いておりますが、私からは、救急診療についてお伺いしたいと思います。  昨年度末、12名中7名の医師が退職いたしました救命救急センターについて、本年の第1回定例会予算特別委員会におきまして私から質問させていただき、7月に1名、10月には退職された先生が復帰の見込み、さらには、北大病院からの応援体制も構築する旨の答弁がありました。また、全国から多くの救急医が集まってくるような救命救急センターを目指してほしい旨、私のほうからお伝えいたしました。  そこでまず、その後、医師数はふえているのか、また、今後の見通しはどうなっているのか、お伺いいたします。 ◎蓮実 経営管理部長  救命救急センターの救命医ですが、実際に、7月には1名を採用し、9月にも1名が予定よりも1カ月早く復帰されたところでありまして、現在は7名が在籍しております。このほか、8月からは3名の初期研修医がローテーションで臨床研修を行っております。  今後につきましては、現時点では明確な増員の見通しが立っている状況ではありませんが、この間、大学に対する人事の相談を重ねてきているところでございまして、引き続き要請を継続し、一日も早く常勤医をふやせるよう取り組んでまいります。 ◆岩崎道郎 委員  余りふえていらっしゃらないのだなという率直な印象でございます。  第1回定例会のやりとりにおいては、24時間365日、3次救急体制を維持していくというふうにお伺いしておりました。もちろん、今いるメンバーの皆さんでしっかり頑張っていただいているのだろうなとは思うのですけれども、やはり、12名で運営していたものが5名になり、そして、今、7名プラス3というところでしょうか。そもそものところからは随分減っている印象があります。  そういった中において、どういう診療体制で、どのような実績となっているのか、また、やはり、先生たちの負担が非常に大きくなっているのではないかと思いますので、そのあたりについてお伺いいたします。 ◎蓮実 経営管理部長  3次救急の診療体制は、4月以降、院内外の支援体制を整えながら、24時間体制で休むことなく維持しているところでございます。具体的には、院内の支援体制としまして、他の診療科である、泌尿器科、呼吸器外科、形成外科の先生たちが7月まで救命救急センターに勤務して支援したほか、院外からは北海道大学と札幌医科大学の救急医の支援を得ることができ、多い月では40回、約2人工に相当する規模で支援をいただいているところでございます。  こうした支援体制により、3次救急の患者の受け入れ実績は8月までに241件とほぼ前年並みを維持しておりまして、平均在院日数は19.2日程度と前年より2割以上短縮している状況にございます。また、医師の勤務については、院内外の支援体制により週休2日制を確保し、時間外勤務も昨年度より削減できておりまして、引き続き、大きな負担を強いることのないよう努めてまいりたいと考えております。 ◆岩崎道郎 委員  院内の先生たちのご協力をいただいているということでございます。とはいえ、先生たちは自分の持ち場があってお仕事をされている、そして、イレギュラー的に救命のほうに行っているということであれば、やはり、目に見えない負担というものはあるのかなと想像してしまいます。もちろん、市民の命をしっかり守っていただく役割がありますので、先生たちにも頑張っていただかなければいけないと思いますけれども、やはり、一日も早く、これまでどおりのセンターの機能というか、先生たちの配置に取り組んでいただきたいなというふうに思います。
     一方、先ほどの答弁にもありましたが、救命救急センターとは別の体制によって3次救急以外の救急診療に力を入れていくと聞いております。病院経営の観点からも、さらには、今、申し上げた市民の生命を守る市立病院の役割からも、広い救急診療の体制を整えることが必要であると思います。  そこで、質問ですが、現在、3次救急以外の救急診療についてどのような状況になっているのか、お伺いいたします。 ◎関 病院事業管理者  委員もご存じのように、近年、札幌市におきましては、中等症、いわゆる2次救急患者の数がふえておりまして、そういった患者が搬送されることが非常に多くなっております。そういう患者の特徴としましては、さまざまな病態、複合病態と申しますが、そうした病態を抱えていて、なおかつ高齢者が多いといったことが特徴になっています。こういった救急医療のニーズに対応していくために、ことしの5月8日から、3次救急以外の救急診療を24時間体制とし、夜間・休日にも拡大して受け入れているところであります。また、この診療体制としましては、救命救急センターとは全く別の取り組みとして、院内全体で輪番制をとって対応しているところであります。  診療実績としましては、当院かかりつけ中の患者の病態悪化などによる救急搬送のほか、それ以外にも、札幌市の医師会が決めておりますが、市内の2次救急当番病院が受け入れ困難だと言って断られている場合のバックアップを中心に行っておりまして、5月から8月の末までに839件受け入れを行い、おおむねその半数が入院となっているところです。また、受け入れた患者の病態としましては、本当にさまざまでありまして、お子さんからお年寄りまで幅広い疾患に及んでいて、各診療科がバックアップしながら、文字どおり病院全体で取り組んでいるといったところであります。  本取り組みに対しましては、札幌市の地域の医療機関の先生方からも大変高く評価を受けておりまして、地域医療支援病院として当院が行わなければいけない役割を一層果たすために、今後も病院一丸となって取り組んでいかなければいけないと思っております。 ◆岩崎道郎 委員  非常に多数の受け入れをされているということで、札幌市の中でもその役割を十分に果たしていただいているのだろうと思います。  きょうは、これまでほとんど経営のお話でありました。厳しい経営状況であることは、もう十分承知の上です。お医者さん、看護師を初め、さまざまな医療スタッフの皆さんが市民のために全力でお仕事をしてくださっているということは、本当にありがたく思っております。  そういう中で、これまでの議論で質というお話がたくさん出てまいりました。質を高めることが、経営力を高めることだというふうにおっしゃっていました。今いる先生たちの質が決して低いとは思いません。数少ない中でやりくりをしてくださっていることは、本当に頭が下がります。それでも、やはり、先生の数、スタッフの数がしっかり整っていること、このことが質の向上の大前提ではないかなというふうにも感じております。  先生たちは非常に厳しい事情もありますが、1定のやりとりで、スキルアップをして、また戻ってきたい先生もいらっしゃる旨も伺っておりました。そういった方々に本当に市立病院に戻ってきていただけるような、そういった体制を今後も諦めずに続けていただきたいと思います。そして、何よりも、今いる先生たちとのさまざまなコミュニケーションも含めて、経営にも参加していただき、先生たちの声、スタッフの声が生かされる病院になっていただきたいと思いますので、これからもしっかりと努力をしていただきたいと思います。 ◆坂本きょう子 委員  私は、この間、地域包括ケアにかかわって委員会で質問をしてまいりました。入院受け入れから、在宅医療などにつなげる役割というものが重要視されますけれども、公立病院である市立札幌病院にもこれらの役割が求められているというふうに思いますので、ここにかかわって幾つか質問したいと思います。  言わずもがな、2025年にはいわゆる団塊の世代が全て75歳以上になる中で、医療のあり方も変わることが求められています。これまでの治すことを重視した医療、それからまた病院完結型の医療から、治すということだけではなくて、生活の質を重視しながら患者が住みなれた地域で暮らしていくことを支える医療、地域完結型の医療という変化だと思っています。  そこで、ポイントとなるのは、私は二つあると思っています。一つは、スムーズに切れ目なく、医療機関同士、また医療と介護・福祉との連携を実現すること、そして、在宅医療の充実です。市立札幌病院は、地域医療支援病院として急性期の医療を担っています。それは、地域の医療機関から紹介を受けた患者の治療を行い、また、この患者を地域の医療機関に戻していく、バトンタッチをしていくということです。基本的には、紹介状を持っての外来受診となりますので、患者から見ると、かかりつけ医から紹介を受けて市立札幌病院に足を運ぶ中で、わずかな回数の外来受診の後に入院して手術、治療を行いましょうということになるわけですから、ここでの患者、あるいは、そのご家族の不安は大変大きなものだというふうに思います。まして、手術ということになれば一大事ということになりますので、ここで、患者であるとか家族の皆さんに対し、入院生活に対する不安あるいは経済的な不安といったものに丁寧に対応していく、説明していくことが求められると思います。  この間の議論の中でも、病院のスタッフの皆さんが本当に忙しく動き回っている状況だということは理解できます。ただ一方で、そういう状況を見て、患者も不安に感じることがふえていくということもあるのかなと思います。  市立札幌病院新ステージアッププランによりますと、各部門にまたがっている入退院の説明、相談、手続業務を一元化して行う(仮称)総合サービスセンターの設置ということが掲げられています。このことによって、患者の利便性の向上、それからまた、病棟看護師の入院に係る業務の軽減、退院支援の早期実現を図ることがうたわれていて、実施時期が2016年度、この総合サービスセンターの設置は、2015年に検討が始まり、昨年度、2016年度から本格的に実施しているということです。  それからまた1年が経過しているわけですから、現在の体制、業務の内容、患者の反応といったものが、さまざま蓄積されていると思いますので、この点について伺いたいと思います。  またあわせて、今申し上げた病棟の負担軽減というところから見ましても、今どのような評価をしている状況にあるのか、この点について伺いたいと思います。 ◎高木 医療品質総合管理部長  新ステージアッププランに掲げた総合サービスセンターにつきましては、現在、入退院支援センターとして入院支援業務を実施しております。入院支援業務につきましては、看護師5名と受付事務職員1名が担っておりまして、外来で入院が決定した患者の入退院の説明や相談、患者情報の収集、電子カルテ入力などの業務を一元的に行っています。  次に、患者の対応につきましては、入退院支援センターがスタートして、10カ月が経過したことし1月に、入院支援を利用した患者を対象にして行ったアンケート調査結果では、落ちついた雰囲気で話せたかという設問に対して、全員がはいと答えております。また、説明がわかりやすかったかにつきましても、97%の方がはいと答えるなど、全体的に高い評価を得ております。これは、1人の患者に30分前後の時間をかけて、プライバシーに配慮したブースで個別対応していることなどが評価されたものと考えております。  次に、病棟の負担軽減ですが、同じく看護師を対象とした1月のアンケート調査では、入院支援による患者情報の事前聴取及び入力について、90%以上が業務の効率化につながっていると回答しております。病棟の看護業務に係る職務環境の改善が図られたものと評価しております。 ◆坂本きょう子 委員  入退院支援センターを発足させたということでしたけれども、患者にとっても、看護師さんにとっても高い評価を受け、それから、業務の効率化、改善が図られているということでした。  今回の決算の議案とあわせて、札幌市の公営企業会計決算審査意見書を見せていただきました。その中の病院局の業務実績表ですが、先ほども幾つかの観点からこの話が出ており、数字も出ておりましたけれども、事、平均在院日数に関して言いますと、この実績表で見ますと、2012年度に13.5日だったものが、昨年度決算ですから2016年度には10.7日になっています。さらにさかのぼってどういう数字だったか伺いましたところ、2008年度には平均在院日数は15.1日であったということなので、わずか8年間でこれが3分の1も縮まっております。  ですから、患者の負担はもとより、病棟スタッフの皆さん、それから、検査だとか、いろいろなことにかかわる皆さんの負担が大変大きい、そういう中でなかなか収支に結びつかないという逆の側面などもあるのだろうというふうに思います。この短期間の中で、入院する、必要な検査を受ける、手術、そして治療、またリハビリにつなげていくということですから、あっという間に経過してしまうということになります。この短い日数の中でも、患者が安心して退院する、それからまた、次のステップにつなげるためにも、今おっしゃった入院支援の仕組みというのは大変有効なところだというふうに思います。  退院支援を円滑に行う上で、この入院支援にどのような効果があるというふうに考えているのか、実際にどのようなことが行われているのか、伺いたいと思います。 ◎高木 医療品質総合管理部長  平均在院日数の短縮化が進む中、入院治療後の患者が安心して地域での生活に移行するためには、早期から退院を見据えた情報の収集と、在宅療養等における課題の抽出、整理をすることが必要となっています。  入院支援としまして、入院前にこれらの情報を収集することにより、例えば、退院後の生活に介護などが必要になることが見込まれる患者については、事前に関係する医療職で情報を共有し、入院当初から地域のケアマネジャーとも連携して退院支援を開始することができています。また、介護認定を受けていない患者には、認定を受ける手続を説明しておりまして、退院後に速やかにサービスを受けられることにつながっております。 ◆坂本きょう子 委員  早期に対応するということで、入院支援が役立っているということでした。速やかに介護サービスにつなげられるような対応もしているということでした。  こうした相談機能は極めて重要でありますが、冒頭に申し上げたように、いかに在宅医療につなげていくのかというところは、また次のステップとして病院局として対応していただきたいと思います。短い在院日数の中で、そこにかかわる病院スタッフの皆さんは大変なことが多いでしょうし、いろいろなご苦労もされているというふうに思いますけれども、地域連携のサイクルの中心にあるのは、やはり患者とそのご家族ですから、その気持ちにしっかりと寄り添って、丁寧に進めていっていただきたいということを申し上げておきたいと思います。  次に、在宅医療について話を移したいと思います。  この間、保健福祉局などでも取り上げてまいりました在宅医療ですが、札幌市が65歳以上の方を対象に行った2013年の調査では、約8割の方が現在住んでいる地域に住み続けることを希望しています。さらに、約6割の方は、体が弱くなっても、現在の場所で、あるいは、住みかえにより在宅を続けたいという希望を持っています。住みなれた地域で暮らしたいという希望のもと、入院にかわり、自宅などの住まいで医療を受ける在宅医療を選択する方がふえてきているというのは、先ほどから指摘しているところです。  今、札幌市では次期さっぽろ医療計画の策定が進められておりますが、現行の計画の進捗状況に関する資料をいただきました。札幌市内の在宅療養支援医療機関は、目標値の147カ所を超えて、2016年3月には170カ所となっています。今は、以前の在宅医療のイメージとは異なって、在宅でもできる医療の幅が非常に広がってきているというお話は在宅医療を専門になさっている地元のお医者様からも聞いておりますが、市立札幌病院においても、治療して退院した患者の中に在宅医療を希望される方が多くなっているのではないかというふうに思います。  ただ、やはり、患者さんにとって、また家族にとって、具体的にどのような医療を受けることができるのか、不安を抱えている方も多いというふうに思います。そこにしっかりと対応すべきというふうに考えますが、市立札幌病院では、在宅医療を希望する患者にどのような対応をしているのか、どういう体制でこの対応をしているのかという点について伺いたいと思います。 ◎高木 医療品質総合管理部長  7名の看護職員と社会福祉士6名が退院支援に当たっております。  在宅医療を希望される患者には、不安や疑問に応じて、在宅で受けられる医療、介護サービスについて十分ご説明し、安心して在宅での療養に移行できるよう、関係するスタッフと情報共有しながら進めております。また、患者の望む生活を実現するために、札幌市医師会の在宅療養支援システムを活用して在宅医を紹介するとともに、ケアマネジャーや訪問看護師との橋渡しの役割を担っております。退院前には、地域の訪問医師、訪問看護師、ケアマネジャー、当院の主治医、担当看護師、退院支援看護師、ソーシャルワーカーなどの関係する職種による退院前カンファレンスを実施しまして、退院後の療養に必要な情報の共有を行っております。それらの対応により、病院から在宅へ途切れることのない医療、看護を提供できているものと考えております。 ◆坂本きょう子 委員  丁寧にきめ細やかに頑張っておられるのかなと思います。  さっぽろ医療計画の進捗状況ですが、在宅医療ネットワークを拡充する必要があるということが主な課題というところに出ています。在宅医療を提供する医療機関がふえていること、在宅医療を担う関係者間の連携を強化すべきだということで、まさに、今、部長が答弁してくださった中身がこのような形で進められているのかなというふうに思います。  在宅医療の現場では、その方向を示す言葉として、時々入院、ほぼ在宅という言葉があるそうです。やはり、在宅医療を中心に据えていても、患者の急変など、そこに対応する、バックアップする病院も必要になってくるという声が聞かれています。市立札幌病院は、地域医療支援病院の指定を受け、また、地域完結型医療の中核となる病院として位置づけられております。北海道の公立病院としては唯一の地域医療支援病院でもありますから、札幌市、また北海道の中での役割も大変大きなものがあるというふうに思います。在宅医療の目的でもある患者が最期まで家で安心して暮らせること、これを達成するために、多くの在宅医や関係スタッフが奮闘していると思います。市立札幌病院がどのような立場で札幌市の在宅医療を支える考えなのか、ここがとても重要なことだというふうに思います。  今ほど、患者自身が望む生活が在宅で送れるように、しっかりと連携を図っていきたいのだという部長答弁がございましたけれども、市立札幌病院は、在宅医療を支えるために、どのような役割を果たすべきだと考えているのか、また、その役割を果たすために、どのような取り組みを行っているのか、この点について伺いたいと思います。 ◎関 病院事業管理者  当院は、地域医療支援病院ということでございますので、在宅医療を支えるための当院の役割としましては、入院が必要となった在宅療養中の患者を速やかに受け入れて治療を行うことがメーンだろうと考えております。そのためには、緊急の患者のスムーズな受け入れとかかりつけ医との診療連携、これが大切になってくるというふうに考えています。  具体的な取り組みとしましては、まず、札幌市医師会からの呼びかけに応じまして、当院も在宅医療を支える後方支援施設として登録してもらいました。それから、昨年の8月に、平日の日中における在宅医等からの入院依頼を担当医師に速やかにつなげる、いわゆるドクター・ツー・ドクター、患者紹介専用ダイヤルを設けまして、入院が必要になった患者をよりスムーズに受け入れできるような取り組みを行っています。加えまして、本年5月からは、先ほども申し上げましたように、3次以外の救急外来の取り組みを開始して、2次救急当番病院で受け入れが困難な場合などに、365日24時間体制で患者を受け入れることに取り組んでいます。また、院内の職員が在宅医療について理解を深めるために、ことし7月に当院で在宅医療講演会を開催しまして、お2人の在宅医の先生から札幌市における在宅医療の現状や課題についてお話をしてもらいました。  当院としましては、今後も、引き続き、在宅医療に対する支援と連携の強化に向けた取り組みを継続して行っていきたいというふうに考えています。 ◆坂本きょう子 委員  速やかな受け入れに始まって、在宅医療に向けての取り組みも行われているというお話がありました。  市立札幌病院には、生活の質を重視しながら、患者が住みなれた地域で暮らしていくことを支える医療の実現のために力を尽くしていただきたいと思います。あわせて、医療機関の連携、また介護の現場との連携ということもしっかりと図っていっていただきたいというふうに思います。  最後になりますけれども、この委員会の中でも段々の質疑がありましたが、なかなか厳しい経営状況に置かれている中で、スタッフの皆さんも本当にご苦労されながらお仕事をされているというふうに思います。先ほど管理者からのご答弁の中でも経営が本当に大変だということが何度もありましたが、私は、やはり、市民の、ひいては道民の命と健康を支えていくという観点から申し上げましても、一般会計からの繰り入れも含めて、ここは企業会計と言うだけではなくて、行政全体として財政面の裏打ちをしっかりとやっていくべきだと思いますし、市立札幌病院からのさまざまな連携の発信や情報の発信だとか、医師会との連携というお話もありましたが、こういうものがある中でそうしたことが前に進んでいくのだろうというふうに思います。  実際に、私がお話をした在宅医療をなさっている若いお医者様、かかりつけ医ですが、本当に若い方たちがこれからの高齢社会を医療の場面から支えていきたいという思いで真剣にやっていらっしゃいます。そういう方たちとともに手を携えて、その先鞭をつけながら、旗振り役としての市立札幌病院の役割を積極的に担っていっていただきたいということを申し上げて、終わりたいと思います。 ○佐々木みつこ 委員長  以上で、病院事業会計決算の質疑を終了いたします。  ここで、およそ20分間、委員会を休憩いたします。     ――――――――――――――       休 憩 午後3時10分       再 開 午後3時30分     ―――――――――――――― ○佐々木みつこ 委員長  委員会を再開いたします。  次に、第3款 保健福祉費 第1項 社会福祉費の質疑を行います。 ◆平岡大介 委員  私から、自殺総合対策における自殺未遂者支援と医療機関の連携について、本市の状況、取り組み、そして医療機関との連携など、大きく3点伺いたいと思います。  日本財団が4万人以上を対象として行った自殺意識調査2016によれば、過去1年以内に自殺未遂を行ったという人は、推計で全国に53万人以上もおり、特に20代、30代の若年層が多く、その多くが1回だけでなく何度も自殺未遂を繰り返しているということでありました。しかも、半数以上が、自殺未遂を経験しても誰にも相談していない、できないということであります。また、自殺未遂経験者の8割が、複合的な原因が重なって自殺未遂に至ったとのことであり、経済的な問題、家庭や勤務問題など、その原因はさまざまですけれども、若年層で言えば、昨今の低賃金、非正規、長時間労働などの働き方や、学校卒業後にそのまま借金としてのしかかる奨学金など、頑張っても頑張っても将来に希望を持てない社会構造が背景にあるのではないかと思います。  本市の第2次行動計画では、20代から30代の女性の自殺者に占める自殺未遂歴のある者の割合は半数以上を占めており、自殺未遂歴や精神疾患がある場合は自殺の可能性が高いと考えられるため、自殺未遂者に対する対策を強化していく必要があるというふうに書かれております。  そこで、伺いますけれども、自殺未遂者への支援、いわゆる2次予防が自殺対策として重要と考えますが、本市の自殺未遂の状況は現在どのようになっているのか、また、この間、自殺未遂者への支援はどのように取り組まれてきたのか、伺いたいと思います。 ◎鎌田 精神保健担当部長  自殺未遂者の状況と、これまでの取り組みについてお答えいたします。  自殺未遂者の全てを把握することは難しいですが、これに関連するデータといたしまして、自損行為のため、市消防局が救急出動をした件数の統計がございます。その統計によりますと、平成28年は1,185件の救急出動があり、5年前の平成23年の1,714件に比べて529件減少しております。行為別に見ますと、最も多いのは、毒物、薬物を使用したものが489件であり、次いで多いのが刃物を使用したもので252件となっております。また、実際に医療機関に搬送された人員は、平成28年は男性301人、女性586人の計887人であり、自殺者数とは逆に女性が多いという特徴があります。これも、5年前の平成23年に比べまして、男性で78人、女性で363人、計441人減少しています。  次に、これまでの取り組みですが、自殺未遂者などさまざまな心の悩みに関する相談を受けるため、こころの健康づくり電話相談を実施しているほか、平日の夜間や休日に精神科救急に関する相談を受け、必要に応じ、当番病院や関係機関との調整を行う精神科救急情報センターを運営しております。また、自殺未遂者への理解を深め、その対応を学んでもらうため、市民や専門職を対象とした研修会の開催や小冊子を作成するなどの取り組みを進めてまいりました。 ◆平岡大介 委員  今、減っていったというご答弁がございましたが、これは、減っていたとしても、一定の数があるという点では看過できない問題だと思いますけれどもいかがか、伺いたいと思います。 ◎鎌田 精神保健担当部長  委員がご指摘のとおり、さまざまな対策により自殺者数、自殺未遂者数は減ってきている傾向にありますけれども、まだまだ看過できない状態だと認識しています。 ◆平岡大介 委員  これまでのさまざまな研究や調査から、自殺の危険因子というものが明らかにされています。この中で、最も明確で強力な因子と認められているのが、自殺未遂の既往、つまり自殺未遂経験の有無ということであります。自殺予防学では、効果的な自殺未遂者対策をとらなければ、自殺者数を継続的に減らしていくことは難しいというふうに考えられています。私は、その自殺未遂者への対応の最後のとりでとなるのは医療機関ではないかというふうに思っています。だからこそ、自殺未遂者が搬送された医療機関がどういうふうにかかわっていくのか、どうやって介入していくのかということが重要であると思います。  本市の第2次行動計画には、自殺未遂歴のある方が再び自殺を企図する可能性は、自殺未遂歴のない方に比べて著しく高いことがわかっている、このため、精神科医療体制の充実や、精神科以外の医療機関及び相談機関等においても自殺未遂者への適切な対応や支援が行われるような支援体制の充実を図ると明記されています。そして、これは病院局が主体となって取り組むとされております。  そこで、病院局に確認いたしました。市立病院では、この間の自殺未遂を原因とする救命救急センターへの搬送件数は、2014年で46件、2015年で51件、2016年で30件、2017年7月末までで18件あった、そして、市立病院では、医師、看護師、精神保健福祉士、臨床心理士ら約10人で構成される自殺予防対策チームが編成され、自殺企図などにより入院した方に対して、生活上の課題や精神疾患の治療の継続上の課題を確認し、助言・指導する、同時に、患者一人一人に向き合うケースマネジャーも専任する、そして、週に1回、自殺予防対策チームによって情報の共有がなされ、今後の方針の検討を行うカンファレンスなども行っているということであります。さらに、退院後に外来通院している患者に対して、その後の精神状態、生活状況などについて最長6カ月間フォローを行っております。  そして、これらの取り組みについては、2016年の診療報酬改定により、救急患者精神科継続支援料として診療報酬が認められたことで実施できているということでありました。しかし、条件として、救急医療体制と精神科が整っていなければならないという体制の問題、そして、そもそも報酬金額が少ないことなどがネックとなっており、道内では市立病院を含めて3カ所、全国でも約24カ所しかこの加算を受けていないということでありました。  精神科と救急体制が整っている医療機関はそう多くはありませんが、本市がそういった医療機関に対してこの救急患者精神科継続支援料を使えるように働きかけていくべきと思いますがいかがか、また、関係する医療機関などと連携して、自殺の原因について把握、分析していくことが大事だというふうに考えていますけれどもいかがか、伺います。 ◎鎌田 精神保健担当部長  自殺未遂者の再度の自殺企図を防ぐためには、救急医療と精神医療の連携強化を図ることが非常に重要であるというふうに認識しております。今後も、自殺未遂者が継続して必要な支援を受けられるよう、さまざまな機会を通じまして市立札幌病院のような手厚い自殺未遂者への支援の取り組みについて情報提供するなど、医療機関に働きかけてまいりたいと考えております。  また、救急患者精神科継続支援料を加算できる医療機関を広げていくためには、国レベルの取り組みが必要であり、札幌市といたしましては、医療機関の意見を参考にしながら、より効果的で活用しやすい仕組みとなるよう、機会を捉えて国へ要望していきたいと考えています。  次に、自殺の原因にかかわる把握や分析についてでありますが、このことにつきましても、大学や医療機関等の関係各機関と連携していくことが重要であると考えています。今後、国から都道府県及び市町村ごとの地域自殺実態プロファイルが示される予定がございますので、これらのデータにあわせまして、各関係機関が保有している情報や知見等につきましても把握や分析に活用してまいりたいと考えています。 ◆平岡大介 委員  なぜ私がこの質問を取り上げたかといいますと、ほかの自治体に比べて、札幌市は、特に自殺未遂者に対する医療機関のかかわりが薄いのではないかなというふうに思ったからです。  ほかの自治体の例を挙げさせてもらいますと、青森県では、医師などが入院中や退院後も支援が必要だと判断した自殺未遂者やその家族を対象に、公的機関が連携し、再企図を防止する仕組みがつくられ、これまで精神科や支援機関につながらなかった患者たちに有効に働いています。東京都でも、救急医療機関における自殺未遂者に関するデータの収集から小まめに始めて、そして、精神科がない救急医療機関を対象にして、地域の相談機関、保健所、ほかの精神科病院にどのように連携していくのか、つないでいくのか説明するガイドラインを作成、周知しています。さらに、山梨県でも、自殺再企図防止ケア事業として、救急医療機関に搬送された自殺未遂者に対して、外部の支援者である保健師、山梨県ではライフコーディネーターと呼んでいましたが、こういう人を派遣して、退院から地域の生活に戻るまでの過程の中で、自殺の背景にある問題点を明らかにし、必要な医療・福祉サービス、地域の相談支援機関などにつないでいくという支援を行っています。  そこで、最後に質問いたします。  現在、本市では、第3次行動計画の策定に向けて自殺総合対策の在り方検討部会が開かれていると聞いております。このようなほかの自治体の取り組みも参考に、自殺未遂者の再企図防止に取り組んでいくべきと考えますがいかがか、伺います。 ◎鎌田 精神保健担当部長  委員のお話にございましたとおり、本年2月より、精神保健福祉審議会のもとに、有識者で構成された自殺総合対策の在り方検討部会が設置され、自殺対策にかかわるさまざまなテーマごとに検討を進めております。そこでも、自殺未遂者支援は自殺対策の最も重要なテーマの一つとして取り上げられ、例えば、精神科医療機関における自殺未遂者支援モデルの構築であるとか、地域の保健福祉分野での自殺未遂者へのアプローチなど、有意義な議論がなされているところであります。  今後は、この部会での議論を踏まえた審議会の答申を受けまして次期行動計画の策定作業に入りますが、策定に当たりましては、先進事例も参考にしながら、自殺未遂者が再び自殺に追い込まれることを防ぐ支援のあり方を検討してまいりたいと考えております。 ◆平岡大介 委員  前段で、日本財団の調査では半数以上の自殺者が事前に相談していないというふうに言いましたけれども、厚生労働省の調査でも、8割以上が事前に家族や知人に相談していなかったというデータもございました。  自殺しよう、死にたいというふうに考え出すと、自分の後先について考える余裕がなくなってきますし、知人や友人、家族に自分は死にたいのだというふうに打ち明けるのはかなり勇気の要ることであります。悲しいことですけれども、運ばれてきた先の医療機関が本当に最後のとりでとなる可能性は大きいのです。だからこそ、先ほども述べておりますように、本市の自殺対策として医療機関との連携に力を入れていただきたい、このことを改めて求めて、質問を終わります。 ◆松浦忠 委員  私は、二つについて質問いたします。  最初に、配付された平成28年度決算局別施策の概要の44ページに、中国残留邦人等支援事業費として、決算額2,451万7,198円と、その実施した内容などについてまとめて記載されております。 そこで、中国残留孤児に対して札幌市はいろいろな支援をしてきたと思うのですが、まず、この支援が始まったのはいつからか、そして、どのような支援から始まったか、これについてお尋ねいたします。 ◎菱谷 総務部長  ただいま生活支援事業がいつから始まったかというお尋ねでございますけれども、私どもは、さまざまな事業を展開しておりまして、一つ一つの開始年度について、今ちょっと把握していない状況でございます。大変申しわけございません。 ◆松浦忠 委員  今、理事者側の席にお座りの皆さんも、それから委員席のほうにお座りの皆さんも、この残留孤児について、いつどのようなことが起きて、どうかという記憶のある方は、極めて少ないのではないかなと思います。  実は、残留孤児というのは、ご承知の方は知っているし、知らない人は知らないと思いますが、昭和7年、1932年に当時の日本政府が満州国を日本の支配地とするというところに始まるわけですね。そして、昭和7年から昭和20年の敗戦直前まで、たくさんの国民を満州に送り込んで、建国、開拓に当たらせました。  昭和20年8月15日、1945年8月15日に、時の日本の最高執権者である昭和天皇が、国民に向けて、戦争に負けた、戦争は終戦、敗戦という声明によって戦争が終わります。ところが、その満州国の国民を守るべく日本国陸軍の関東軍と言われる人たちが派遣されていたわけですが、戦争が終わる前に、もう引き揚げ準備をして、満州の国民、日本国から開拓団として現地に行っていた国民よりも先に本国に引き揚げてしまいました。残された人たちは、当時、ソビエト軍が侵攻してきて、いろいろ迫害に遭う中で、命からがら引き揚げた人、亡くなった人、やむなく小さな子どもを当時の中国の現地人の方々に預けた人などがいて、その預けたお子さん方がいわゆる残留孤児なのです。その後、田中角栄さんが総理大臣になって、そして、訪中して電撃的に日中国交回復を図ったことによって、この人たちを日本に引き揚げることになっていって、引き揚げてきたのが残留孤児の方々でした。したがって、これらの方々はほとんど日本語がわからない、こういう中で引き揚げてきたわけですね。  そういう中で、本市として、この問題を議会で最初に取り上げたのが私です。ここに昭和61年の札幌市議会会議録という冊子がありますが、私が昭和61年第1回定例議会の代表質問で取り上げて、まず一つは雇用、さらに、生活支援、就労支援などに取り組むべきだと訴えて、時の板垣市長が、就労支援については札幌市としてもぜひ考えたいということで、最初に実現したのが市の清掃部門のごみ収集のところに残留孤児の方を採用したのが始まりであります。以来、30年を経ておりますけれども、私は、その間に、実態調査をしてもっといろいろな支援を深めるべきだという質問などもしてきました。  そこで、まず尋ねたいのは、引き揚げてきた残留孤児の方の中には、もう子どもさんあるいはお孫さんがいる方もいるでしょう。これらの生活実態はどうなったか。私は、以前に調査を要請したことがあるのですが、今、それらの人を含めてどういうふうになっているか、これを把握されているかどうか、ご答弁ください。 ◎菱谷 総務部長  中国残留邦人等のお子様だとかお孫さんの実態についてでございますけれども、まず、札幌市の支援給付受給者、つまり本人、配偶者は現在156人でございまして、市内に居住するお子様やお孫さんは240人程度というふうに認識しているところでございます。本人の支援給付受給世帯には、職員や生活支援員が定期的、また不定期に家庭訪問などを行っておりまして、その世帯のお子様やお孫さんの生活状況や直面している問題について可能な範囲で聞き取っているものでございます。また、適切に対応した上で把握したものにつきましては、その支援受給者の情報とともに記録等に残しておりまして、私どもとしてはそれなどによって把握しているような状況でございます。 ◆松浦忠 委員  私は、このときの質問に当たって、市のほうに調べていただいて、そして、当時、何世帯あって、何人いてという数値も出してありますから、これをよく読んでください。そこからが始まりなのですよ。  私は、なぜ、こうやってこのことをずっと取り上げていくかといったら、我々の親の代が犯した過ち、親の代が日本国民として犯した過ちによって残留孤児となり、そして、言葉もわからないで引き揚げてきて、当時、生活保護の人、就労している人というふうに分かれていたわけです。したがって、そういう収入的に恵まれない家庭の人というのは、高校の進学あるいは大学の進学がかなわないわけですよ。能力があってかなわないのではなくて、能力をつけていくその訓練が、勉強が、一般の普通の所得があれば、頑張って塾に通わせたりできるけれども、生活保護を受けている方は、そこまでいかぬ、あるいは、所得の少ない方はそこまでいかぬ、そうすると、進学もままならずと。この質問のとき、当時、市に調べてもらったし、私も調べました。そうしたら、高校に行きたいと言って受験したけれども、落ちた、翌年に、医師会の准看護師の学校を受けた数名が合格したというようなこともここで述べておりますし、また、市側の調査した結果についても報告されております。  したがって、そうやって2代、3代にわたってきちっとそういうことの償いをし、支援していかないといけない。当時、こうした人たちが、いわゆる外地と言われた満州や樺太に行っていましたね。それから、今の北方四島と言われるところにもいて、これらの人たちが引き揚げてきました。それでも、日本語圏の中にいた人はまだいいですが、赤ちゃんのときに向こうに置かれてきて、そこで育って、向こうの生活習慣、向こうの言葉で育った人たちはなかなかそうならぬわけです。  したがって、これは、少なくとも3代ぐらいにわたって孫の代ぐらいまで、やっぱり手厚く支援していって、そして、少なくとも札幌市民の平均的な所得が得られるぐらいまでは―私は、お金の支援だけせよと言っているのではないのです。そういう当たり前の努力ができるような環境をつくってあげていくことが、少なくとも私の親の世代が犯した国家的な過ちに対する償いだというふうに私は思っております。  ゆうべのNHKのBSかな、何かのテレビでしたが、ナチスドイツのときに、有名なピカソとかゴッホなどいろいろな人の絵がありますけれども、全部の絵画を強権的に略奪したということがあったのですね。そのうち200点が、ある一人の画商の息子によって、72年間、親が死んだ後もマンションの1室に持っていたということが、近年、たまたまわかったそうです。そして、そのうちの1枚のことについて出ていました。あるユダヤ人ですが、家が手広く商売をやっていて、子どものときにその絵があったという記憶が残っていた、ある日、父さん、母さんはナチスに連行されて殺される、子どもは命からがら逃げる、その絵だけが印象に残っていた、そこで、その絵のことを問い合わせたら、あったということになりました。その人は、今、アメリカに住んでもう90歳を過ぎている方ですが、ドイツ政府は、最終的にその人のもとに返すことにしました。  そして、ドイツは、今どういうことをやっているかといったら、絵を保管していた方の息子の意思によって、所有者が完全に不明なものについてはスイスの図書館に寄附されました。また、所有者がわかりそうなものについては、今、国が責任を持って展示して、返すべくいろいろな情報集めをしております。ドイツは、そこまで、第二次世界大戦、ナチスに対する償いをやっています。これは、ゆうべのNHKのBSですよ。  私は、日本人の子孫として、札幌市議会議員として、少なくとも、こうやって苦労してきた残留孤児の人が札幌に住んでいるとしたら、やっぱり札幌市としてそういうことにきちっと取り組んでいくべきだなというふうに思っているわけですよ。ですから、私は、このことについて間断なく取り上げております。  まず、ぜひ、してほしいことは、いわゆる引き揚げてきた方々、今、名簿にある方々に聞いて、趣旨を説明して、子どもさん、お孫さんがどうなっているか、可能な限り調べてください。そして、それを報告してください。それに対して、さっき話したように、札幌市の平均的な所得と比べてどうなっているか、子どもたちがどうなっているか、孫たちがどうなっているか、これを明らかにする中でできるだけの措置を講じていただきたいというふうに思うので、ぜひその調査をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。 ◎菱谷 総務部長  お子様やお孫さんの実態の調査と申しますか、そういうことでございます。  先ほども一部答弁いたしましたが、子や孫の生活状況の調査につきましては、給付の対象となる本人とその配偶者には札幌市において調査する権限が及びますが、その子やお孫さんに関しましては、個人情報でもございますので、慎重な対応が必要かなというふうに思っております。  先ほど申しましたお子さんやお孫さんの生活状況などにつきましては、今後も、家庭訪問を含め、直接お会いする機会を活用し、より積極的な協力を求め、きめ細かくその把握に努めてまいりたいというふうに考えております。 ◆松浦忠 委員  個人情報であってもなくても、嫌だと言ったらこれはできないのです。きちっと、札幌市が何を目的としてこういう調査をするか、議会でどういうことが求められて、それに基づいて、市としてもこういう考え方のもとにまず調査させてもらいます、そして、できるだけの支援はしていきますと、このことがはっきりすれば、ほとんどの人は協力してくれますよ。単なる身元調査と違うんですから、これは。  そちらに座っている皆さんも、こちらにいる皆さんも、全部が、自分たちの親の世代、あるいは、おじいちゃんの世代、おばあちゃんの世代に日本国民として犯した間違いに対する償いをどうするか、ここのところをきちっとせんきゃならぬ。そういうことを認識した上で、これはぜひやっていただきたい。
     岸副市長、今の話、質問、説明を聞いて、この調査についてどういうふうに認識しますか。 ◎岸 副市長  ご質問にございましたいわゆる中国残留孤児の方々、さらに、そのお子さん、お孫さん、いわゆる2世、3世の方々に対する支援に対して、まずは実態の調査・把握をということでございます。  苛酷な環境の中で、中国あるいは日本で過ごされてきた中国残留孤児の方々のご苦労は、大変なものであったかというふうに思います。また、お子さんやお孫さんについても、現実問題、言葉の習得等、相当なご苦労があったというふうに想像するところでございます。  今、部長からお答えさせていただきましたけれども、直接、私どもが接するのは残留孤児の方あるいは配偶者の方々ですので、お会いしてお話を聞く機会を設けてきておりますが、そうした直接お会いできる方を通して、お子さんあるいはお孫さんの今の状況がどうなっているか、ご協力できますかということをお聞きしながら実態の把握には努めてまいりたいというふうに思います。 ◆松浦忠 委員  この問題は、まずは調査して、その実態によって札幌市としてどういうような支援をしていくかということは、その次の問題であります。したがって、ぜひ早急に実態を把握していただきたいということを求めておきます。  次に、ことしの1定の予算特別委員会でも質問したのですが、このごろ、民生委員になっていただける方がなかなかいなくて欠員ができております。私は、春の議会のときに、厚生労働省に対して、民生委員のいわゆる年齢制限を撤廃するか、引き上げるか、ぜひどちらかを求めてほしいということを求めたのですが、札幌市として、民生委員の年齢制限の引き上げについて、厚生労働省とどういうような話し合いの経過があったか、説明を求めます。 ◎菱谷 総務部長  今の民生委員の年齢要件の問題でございますが、厚生労働省の定める民生委員・児童委員の選任要領におきましては、将来にわたって積極的な活動を行えるよう75歳未満の者を選任するように努めるとなっております。札幌市の年齢要件は、厚生労働省の要領に沿ったものとなっておりまして、今、具体的にこれを改正するというような動きは聞いているところではございません。 ◆松浦忠 委員  もらったこの表を見ますと、定員が2,955人に対して122人の欠員がある。人数割でいったら、一番欠員率の高いのが中央区で333人に対して21人の欠員がある、その次は北区が389人に対して22人、次に東区、その次は豊平と、こういうことで20人前後となっているわけですね。  やはり、今、生活保護率の関係からいっても、豊平区だとか東区など、生活保護率の比較的高い区で欠員が多い、こういう実態かなと思うのですよ。それゆえに、民生委員の受け持ち世帯数がふえてご苦労が多くなっていると思うのです。そういう中で、札幌市だけではなくて、全国を見ますと、特に過疎地なんかに行ったら、大体、対象の年齢の人がそんなにいなくて、もうずっとやっているという人、年齢を超えてやっている人をテレビなんかでも見ましたよ。  これは、年齢を超えて申請したら委嘱状は絶対に出ないという仕組みなのですか。それとも、状況によっては出すということなのですか。どっちなのですか。 ◎菱谷 総務部長  私どもの札幌市における年齢要件につきましては、札幌市が定めているものでございまして、その札幌市が定めている中で適任者を選任し、そして厚生労働大臣に具申することになっております。ですから、適任者を選ぶ段階におきましては札幌市の年齢要件で選ぶことになると思います。 ◆松浦忠 委員  私は、昭和60年ごろ、1980年ごろ、当時、民生委員の推薦委員に出ていた会派の先輩から、どうももう幾つかになるのに民生委員をやめないと。そこで、私は1年生だったのですが、議会で定年制をしけという質問をせよとある先輩から言われたのですよ。私は、果たしてそれがいいかどうかわからぬから、そのときは、いろいろ調べて、質問しないで終わったのです。しかし、その後に定年制がしかれて、よくよく調べてみたら、何のことはない、札幌市の代表などに長くついていた人がいて、次の人がなりたくてその人を外すのに定年制の話が出てきているのですね。当時は。ところが、今はなる人がいなくて困っている。したがって、札幌市で定めている定年制だとすれば、やっぱり、欠員を解消してそれぞれの民生委員は無理のない平等な活動をしていただくことが大事だと思うのですよ。  それに対して、これだけの欠員を抱えて、3月の議会で私がそのことを求めていたのに、全然何も変わっていない。中央区、東区、北区、それから豊平区の四つの区で、それぞれおよそ20人の欠員があります。  したがって、これが札幌市の判断だとすれば、この程度の民生委員の欠員があっても、まあまあ、分け合ってやれば何とかなるのだと思っておられるというふうにとられてもしようがないかなと思うのだけれども、そうとってもいいということですか。どうなのですか。 ◎菱谷 総務部長  民生委員の欠員に対する認識ということだと思いますが、もちろん、欠員を解消していくことはとても重要な課題だというふうに思っております。  そもそも、私どもとしましては、なぜ、今、担い手が不足しているかといいますと、幾つかあろうかと思っております。地域でのいろいろなつながりが希薄化傾向になっていること、また、民生委員活動の責任が重いというふうに思っていらっしゃる市民もたくさんいらっしゃること、また、60歳で退職した後も仕事を続けられる方がふえていることなどによりまして、見つけることが困難になっているのかなというふうに認識しているところでございます。  現在の区域の民生委員の年齢要件は、新任ですと72歳未満でございまして、再任は75歳未満でございます。それから、任期3年間をご活動いただくことになりまして、この再任要件の75歳を超えて民生委員・児童委員としてご活躍していただけるかは、それぞれの身体状況や健康状況なども大きく影響いたしまして、人それぞれに異なる部分も多いのかなと思っております。ですから、現状の再任75歳未満の要件を超える一律の年齢要件の見直しというのは、慎重に行っていく必要があるのかなというふうに考えております。そのようなことから、他都市でも年齢要件の状況はさまざまなものになっていると認識しているところでございます。  しかし、年齢要件の見直しは、担い手不足解消の手段の一つとして検討すべき課題と認識しておりますことから、現在、現場を担っている特に札幌市の民生委員児童委員協議会の専門部会において検討しているところでございまして、本市といたしましても、民生委員・児童委員の皆様のご意見を踏まえて検討していきたいというふうに思っているところでございます。 ◆松浦忠 委員  民生・児童委員の専門部会で検討しているという話ではないのではないですか、これ。厚生労働大臣から委嘱を受けて、法に基づいてその選定をして、実務的に任命行為をやっている札幌市長が、法律なり国の基準で年齢制限がないということであれば、当然、札幌市長として、この欠員解消をどうするか、市長が特に要請した人についてはその年齢を超えて任命するとか、それは市長が定めればいいことです。  定年制をしくということで、さっき30年前の話をしたけれども、元気な人でやめない人がいて、後がつかえていて、俺が札幌市の長になりたい、でも、あの人がやめなかったらなれないということで、当時はその話が出てきたんですよ。今は、逆なんですよ。また、年齢制限を置いていなければ、肉体的は別にしても、脳の判断能力の問題でちょっと問題が生じるということも、人によっては年齢に関係なく出るかもしれません。そうしたときに、本人がそれを認識されないでずっとやると言ったときに困っちゃうなと。だから、年齢制限を置いて、そこで、一旦、制限はあるけれども、健康なので、ぜひやってくださいと市長が要請して、さらに任命していくという方法もあります。あながち、制限が悪いばかりではないんです。制限をつくった経緯はそういうことで、最初はなかったんですから。  ですから、そこは何とでも運用できる話で、民生児童委員協議会の人たちがどうする、こうするではなくて、要はそういう意見も聞いて市長が定めることであって、欠員を解消することが第一なのです。生活保護者に対して適正な支援をしていく上では、民生委員の活動というのは欠かせないわけですよ、民生委員の活動はね。したがって、これは、もうあしたにでも、じゃあ、こういうふうにして、これを超えた人でも市長として元気だと判断した人については委嘱していく、こういうふうに内規を変えればそれでできる話なんですよ、これ。  ぜひ、これをやってくださいよ。そうしないと、民生委員の主な活動、仕事である生活保護受給世帯の適正な生活指導なり救済措置というものが図られていかないわけですよ。法の適正な運用にかかわるし、人権問題にかかわっていくわけですよ。これは、判断一つでできることなんですから、私はやるべきだと思いますよ。  局長ね、私は、春のときには、国の法律でこれをつくっていないということはよくわかっていたし、そもそも制限をつくるときも、私が先輩に言われて、そして、質問しなかった、調べたら当時はそういう状況だった、その最年長という人も元気な人で、私のよく知った人だったということもあって私は質問しなかったんですよ、当時。そのように、私はつくったときの経緯も知っている。今、なり手がいなくて困って、私の住んでいる菊水も、ちょっと前に私の町内でやめた人がいて、関係者がいろいろ努力してくれて、この間、ようやっと後継者が見つかったような状況ですよ。それでも、白石はまだ9名の欠員ですよ。ですから、これは、やっぱり早急に欠員を埋めるように、そういった元気な人には年齢制限を超えてお願いしていく、それがこういう高齢化社会に合った分担の仕方だと思うのですよ。  これは、早急にやるべきだと思うけれども、いかがですか。 ◎長谷川 保健福祉局長  担い手不足の解消、欠員の解消ということについては、喫緊の課題であると私も認識しておりますし、委員と同じ考えでございます。  ただ、一つの選択肢として、年齢要件の緩和、撤廃というのがあろうかと思いますが、実際に、平成24年に年齢要件を緩和したその前後の欠員状況、一斉改選の状況を見ますと、緩和した後のほうが欠員がふえておりまして、その辺もあって、先ほど部長から答弁いたしましたとおり、今、協議会のほうで、どうしてこういうふうになっているのだろうというところを改めて検討いただいております。  選択肢の一つではありますけれども、そのほかに、いろいろ方法があろうかと思いますので、いましばらく、年齢要件の件についてはその検討結果をもって考えてまいりたいと思っております。 ◆松浦忠 委員  皆さんね、市長は法律で定められていることを執行しなきゃいかぬのですよ。それを権限のない人に検討してもらって、その結果を待ってなんてことはいわゆる責任放棄なんですよ、市長の。参考までに意見を聞くというならわかるよ。結論を待ってなんていうことではないですよ、これ。  いつから検討して、何回の検討委員会が開かれて、どういうことがその検討委員会で課題に上がっているのか、答えてください。 ◎菱谷 総務部長  先ほどから答弁させていただいております民生委員児童委員協議会の専門部会での検討というのは、あくまでも現場を担っている民生委員・児童委員の皆様のご意見なので、それを踏まえて札幌市として最終的に判断したいと思っているところでございます。その専門部会では、民生委員の中でのいろいろな議論はもう既に始まっているというふうに聞いております。 ◆松浦忠 委員  私が聞いているのは、いつから札幌市が専門部会を開いてもらうように要請して、何回開いて、どんな課題が出てきて、札幌市はそれにどう対応しようとしているのか、あるいは、出てきたものにどう応えているのか、そういうことについて答えてくださいと私は質問しているのですよ。 ◎菱谷 総務部長  札幌市と札幌市民児協の間でもいろいろな議論、また意見交換をしているところでございまして、今年度に入ってからそういった要請をしておりまして、要請の結果、もう既に検討会も開いていただいております。回数については、私もまだ把握していないところでございます。途中、札幌市では民生委員の皆様とも意見交換をしておりますが、今は年齢要件のことについてまだ結論が出ているような状況ではございません。 ◆松浦忠 委員  基本的に参考意見ですからね。皆さんに、市長に与えられている執行権限、これを怠ってはだめですよ。今の状況は、これを怠っている。私は、少なくとも3月の1定の予算特別委員会でこのことを求めております。そうしたら、皆さんは、厚生労働省とも相談してと言っているのです。  これは、早急に結論を出して、そして、やっぱり、年齢を超えても任命できるような措置をきちっと講じるなど、具体にそれをしなきゃだめですよ。そうでないと、生活保護あるいは民生委員・児童委員の関係も含めて、適切な対応をしていけないでしょう。きちっとやってくださいよ、これ。手抜きしたらだめだって、ちゃんと手抜きせんで、市長に与えられている権限に基づいて決めることは決めると。  さらに、探すならば、区の保健福祉部も一体となってそういう人を探すと。例えば、札幌市内にだって、市役所の職員をやめられた方が多くいらっしゃいます。事務能力、行政事務にたけた方がたくさんいらっしゃいます。後輩の皆さんがそういう先輩の方々に声をかけることだって一つの方法です。道や国の公務員でやめた方もいらっしゃるでしょう。そういう方々に声をかける、これも一つの方法だと思うのですよ、私は。したがって、札幌市役所が本気になって取り組めば、欠員を埋めるのはそう難しい問題ではないと私は思っています。  ぜひ、これをやっていただきたい。いかがですか、岸副市長。これは、執行権を適切に執行しているか、それとも、ちょっと手抜きしているか、このどっちかの話なんですよ。いかがですか。私はやるべきだと思いますよ。やってくださいよ。どうですか。 ◎岸 副市長  今、民生委員・児童委員のご質問が続いておりますけれども、私どもとして最も大事なのは、欠員が生じていることをどう解消していくかということであろうかというふうに思います。欠員が生じております地区について、大方は、隣接する地区を担当されている民生委員・児童委員の方が、あわせて欠員が生じている地区をご担当されていることが多いのかなというふうに想像いたしますけれども、そういうご苦労を一刻も早く解消するのが最も大事だと思っております。  したがいまして、欠員を解消する、あるいは、民生委員・児童委員の数を充足させることが大事でございますので、年齢要件の見直しも一つの手法としてあることは認識してございますけれども、ほかの方法もあわせて早急に検討していきたいというふうに思います。 ◆松浦忠 委員  ぜひ、これを早急にやってください。このことを求めて、終わります。 ◆宗形雅俊 委員  私からは、頼れる身寄りのないひとり暮らしの方の人生の幕の引き方、いわゆる終活の支援について質問したいと思います。  ご存じのとおり、高齢化社会の進行で高齢化率も年々上がってきておりますけれども、比例して高齢単身世帯数も増加しております。札幌市まちづくり戦略ビジョンによりますと、平成27年度では、高齢単身世帯数は約9万5,000世帯で、全世帯に占める割合では約11%、また、10年後の平成37年度には、高齢単身世帯数は約12万世帯、世帯全体での割合は12.5%と予測され、8世帯に1世帯が高齢単身世帯であるとしております。  高齢単身世帯の増加につれて、地域においては、病死などによる孤立死の問題などに対応するため、高齢者や障がい者の見守り活動の取り組みも盛んに行われていることは、周知の事実でございます。少子高齢化、核家族化の進展などに伴って、ひとり暮らしの高齢者が増加していき、こうした独居のお年寄りが亡くなられた場合、身寄りがなく、葬儀や埋葬、遺品整理に困るケースがふえていると聞いています。また、民間のアパートなどの大家さんも、そういう方々に部屋を貸し渋るケースも出ているということも聞いているところでございます。  そこでまず、質問でありますが、札幌市において、ひとりで亡くなられた後、身寄りがいない、見つからないなどで遺体の引き取り手がなく葬祭を行ったケースはどのぐらい発生しているのか、また、引き取り手のない遺骨については、3年間保管しても引き取り手があらわれない場合は平岸霊園合同納骨塚に納骨されることとなっていると聞いておりますけれども、こうしたケースはどのぐらい発生しているのか、過去の推移を含めてお伺いいたします。 ◎大野 保護自立支援担当部長  引き取り手がいないか、葬祭を行う者がないため、行旅病人及行旅死亡人取扱法または墓地埋葬法の規定に基づきまして、札幌市長が実施した葬祭の数は、平成26年度が37件、27年度42件、28年度56件でございます。  また、遺族等が葬祭を行った場合を含め、遺骨の引き取り手があらわれなかった場合で合同納骨塚に納骨された数は、平成26年度111体、27年度144体、28年度145体でございます。 ◆宗形雅俊 委員  今の答弁をお聞きしますと、引き取り手のいない遺体で葬祭を行ったケースや、引き取り手のない遺骨で平岸のほうに納骨されたケースとも、増加傾向にあるということでございます。  人は、病気を患ったり、がんなどにかかって医者に余命宣告などをされたときに、人生の幕引きや死を意識することはあっても、多くの健常な方々は、自分自身の幕引きや葬送について意識する機会は、これまで少なかったのではないかと思います。  しかしながら、近年、自分自身の残された生涯をどう過ごすのか、また、どのような死を迎え、どのような葬儀や埋葬をしていくかなどについて元気なうちに考えようと、2012年の新語・流行語大賞にもノミネートされた終活の機運というのが今高まっていることは皆さんもご存じのとおりかと思います。終活は、民間葬儀社などが終活セミナーと題して、人生の幕の引き方や葬送、埋葬など、生前中にこれまでの自分史や死に直面したときに自分の希望をエンディングノートなどに記し、配偶者や子どもなどの身寄りに伝えることが多くなってきているということであります。  そういう中で、さきの引き取り手のいない遺体や遺骨の方々の中には、同様に、自分の人生の幕引きや、万が一のときの葬送や埋葬のあり方、遺品整理などに希望があったにもかかわらず、その意思が伝えられずに望む形になっていない人たちもいたのではないかと思いをはせているところでございます。  神奈川県横須賀市では、こうした人たちの終活をお手伝いするエンディングプラン・サポート事業を2015年7月に開始しております。また、この横須賀市のエンディングプラン・サポート事業と同様な事業を福岡市も行っており、両市の事業を調査するために、本年の4月に、私を含め、我が会派の有志と視察調査に行ってまいりました。  横須賀市のエンディングプラン・サポート事業は、ひとり暮らしで身寄りがなく、生活にゆとりがない高齢者等の葬儀、埋葬、死亡届出人確保及び生前に意思表示が困難となったときの延命治療に関する意思伝達方法等、いわゆるリビングウィルについて、当事者の希望により、意思明瞭な生前において相談に応じ、死後の支援計画を策定し、生前の訪問支援を行うことによって、生き生きとした人生を送ることを目的に、自治体が終活課題の窓口になっております。加えて、葬儀、納骨については、自治体が地元の協力葬祭事業者の情報を提供し、その事業者と生前に死後事務委任契約を締結することによって解決策を提示する事業でもあります。  具体的な概要は、原則としてひとり暮らしで身寄りがなく、税や健康保険などを除き、月収16万円以下、預貯金の合計額が225万円程度以下、また、本人が所有する不動産がないか、固定資産評価額の合計が500万円以下程度の不動産を所有している者で、この事業を望む対象者は、生前中に死後事務委任契約を締結する際には、当該年度の生活保護法による葬祭扶助基準額の1.3を乗じた額以内、約26万円と思いますけれども、対象者がその意思で選定した協力葬祭事業者に預託する事業であります。また、福岡市は、社会福祉協議会で同様な事業を行っておりまして、横須賀市とは違いはあるものの、死後事務委任契約が50万円という高額になっているのは課題であると感じました。横須賀市からの情報では、そのほか、神奈川県大和市も同様な事業を開始し、また、千葉市も、現在、平成30年度を目途にその事業の導入に向けて仕組みづくりを検討していると聞いております。  そこで、質問でございます。  さきの例のように、亡くなった後の葬儀や埋葬に希望があるにもかかわらず、その意思が伝えられず、望む形になっていない人たちがいると推察しますが、こうした現状について、本市はどのように考えているのか、また、こうした状況を解消するために、札幌市としてどのような取り組みをしていくのか、お伺いいたします。 ◎菱谷 総務部長  終活支援についてのお尋ねでございます。  生前の意思に基づく葬祭等が行われない危惧への札幌市の考え及び解消へ向けての取り組みという趣旨かというふうに理解しております。  市民の皆様にとりまして、生前の意思に基づき葬儀、埋葬、または遺品整理などが行われるということは、最後まで自分の尊厳を守るという意味で重要なことであると認識しております。  このため、ひとり暮らしで身寄りのない方などが亡くなられた後の葬儀や埋葬等への不安を抱いているかなどについて、日ごろからこれらの方々と接することが多い地域の福祉関係者や関係機関に確認するなどして把握した上で、他都市の取り組み事例も参考にして社会福祉協議会など関係団体と連携しながら調査研究してまいりたいというふうに考えております。 ◆宗形雅俊 委員  今、頼れる身寄りなどがいない単身者に向けて、生前中に希望する葬送や埋葬のあり方などを聞き取りして、万が一のときには、希望どおりの葬送や埋葬をする生前契約をして、見守りも含めて、それを請け負う民間葬儀社やNPO法人がふえていると聞いております。  ただ、そのような事業者から話を聞きましたところ、頼れる身寄りのいない単身者が、自分の葬送や埋葬のあり方の生前契約をした場合に、入院先の病院や民生委員にその意思を伝えておいたり、また、自宅にその旨の意思をあらわす張り紙をしたりしているようであります。しかし、中には、その意思が伝わらない、また、そういった生前契約をしていること自体が、亡くなったときに漏れてしまうことも考えられると思います。  そうした契約の完全履行や葬送や埋葬の生前意思を実現することができない事態を考えますと、そういった方々に対して、やはり、行政が最後の防波堤になるよう、その仕組みづくりができないものかと提言したいわけであります。事業者と生前契約した者が、生前中に行政にその旨を伝え、死亡届等が提出されたときにそうした事業者へ連絡する仕組みができれば、その方の死の尊厳が保たれ、そういう方がふえていけば、現在、市が負担している直葬の労力や費用の軽減にもつながっていくのではないかと思うのであります。  そこで、質問でございますが、その仕組みづくりについては、当然、多くの課題もあることは承知しておりますけれども、頼れる身寄りのいない単身者がそのような事業を行っている事業者と生前契約した場合の連携など、今後、札幌市として検討していくべきと考えますがいかがか、お伺いいたします。 ◎菱谷 総務部長  生前契約を行っている場合のその事業者との連携というお尋ねでございます。  委員のご質問にありましたとおり、生前の意思に基づき、葬儀、埋葬など亡くなられた後におけるサービスを提供するいわゆる終活支援につきましては、民間事業者やNPOのほか、一部の地方自治体、社会福祉協議会などさまざまな事業主体や手法によって取り組まれている事例があることは承知しているところでございます。行政が民間サービスにどのようにかかわるのが適当なのか、また、市民がどのような福祉サービスを求めているかということなども考慮しながら、先ほど答弁いたしましたが、関係団体と連携しながら調査研究してまいりたいというふうに考えているところでございます。 ◆宗形雅俊 委員  行政の側は、こういった生活保護の方などが亡くなった場合の直葬に関する仕組みはでき上がっていると思いますけれども、それ以外の方々です。先ほどから言っているように、単身でも兄弟、子どもがいるのであればそう問題はないかと思います。ただ、ちょっと表現が悪いかもしれませんが、やはり、兄弟、身寄りがいても、そうした後始末をできる能力のある身寄りがいるかというと、いない方々も大変多いわけでございます。  そういう人たちの中で、ご自身は生前中に少々の蓄えがあるので、生前契約をして亡くなったときに地域の方々に迷惑をかけないようにしていきたいという方も多いと私は思うのですね。そういうことで、今、民間の事業者、NPO法人がそういった事業をしながら生前契約をする、また、民間の葬儀社でも契約をしたときには見守りもしていきますということもあるわけです。先ほど民生委員の話もありましたが、今、民生委員も一人一人の仕事が大変多くなっています。そういう中で、一部の方が生前契約をして見守りも受けられるのであれば、ある意味では行政の負担軽減に少しはつながっていくのではないかと僕は思うのですね。  当然、亡くなったときには病院に入っていたりして、最初は地域の方々にご迷惑をかけるかもしれないけれども、家にはそういう契約をしているという張り紙をしたり、ふだんから近所に言っておけば、そうなった場合にはその葬儀社に連絡することになっていくと思うのです。しかし、私の地元にもそういう方がいらっしゃって、病院から連絡を受ける例もたくさんあるようですが、ただやはり、漏れてしまう懸念があるというのですね。最終的に行政には戸籍等々の問題がありますから、今、個人情報のことが言われておりますが、事前に届け出をしていれば、そういったものが履行されているかどうか、区役所から業者に連絡がいくような仕組み自体ができないものなのかというのが今回の提言だったわけでございます。  今、菱谷部長から調査研究という答弁がありましたが、その調査研究の度合いというのはどこまでか、私もちょっとわかりません。段々の答弁の中で、今はそんなに件数がないと言われますが、高齢化社会となって、これからそういった方々がどんどんがふえていくと思います。また、高齢者ばかりではないと思うのですね。若い方でもそういう方がいらっしゃるかもしれません。そういった方々がこれからふえていくというときに、NPOや民間事業者がそういった形でやっているということは、一つの仕組みづくりをすれば行政の負担軽減に少しはつながっていくと思うのです。  そこで、長谷川局長、僕は、こういった課題というのは今まで持っていらっしゃらなかったと思うのですね。ですから、あえて提言したいのですが、その辺の課題意識について、先ほど部長からも聞きましたが、局長としてどう思われているか、改めて確認したいと思います。 ◎長谷川 保健福祉局長  宗形委員から段々のお話がございました。  ご指摘のとおりだと思います。市民の皆様にとって、やはり、生前の意思によって葬儀や埋葬、遺品整理等々を決定していくということは、みずからの尊厳を守っていくということで、非常に大事なことだと認識をしてございます。一方で、現状におきましては、ひとり暮らしで身寄りのない高齢者の方々が、ご自分の葬儀や埋葬についてどういった不安をお抱えなのか、まずはそういったところも確認していく必要があるのかなというふうに思ってございます。  そういった意味で、日ごろからひとり暮らしの高齢者に寄り添っておられる民生・児童委員の方や、地区の福祉のまち推進センターの方、それから地域包括支援センターの方々、そういった方々から情報をきちんと入手した上で現状を把握するところから始めてまいりたいというふうに思っております。その上で、札幌市として、民間のサービス事業者との連携、それから、どういった支援をするのが適当なのか、仕組みづくりも含めて、社会福祉協議会やその他の関係団体とともに検討してまいりたいというふうに考えてございます。 ◆宗形雅俊 委員  ぜひとも、調査して、少しでも前に進むよう、よろしくお願いしたいと思います。 ◆岩崎道郎 委員  私からは、監査指導室の体制についてお伺いいたします。  近年、人口減少社会の到来、そして超少子高齢社会を迎え、公的な福祉サービスは分野ごとに飛躍的に充実してきており、それらのサービスの多くを主に担っているのは社会福祉法人です。そして、社会福祉法人は、行政が認可することにより設置され、また、定期的に行政のチェックが入ります。利用者が安心して福祉サービスを受けるには、運営の主体である社会福祉法人や福祉施設の運営が適正になされなければなりません。そして、市内の社会福祉法人やその運営する福祉施設が適切に運営されているのかを監督しているのは、監査指導室です。  そこで、初めに、監査指導室の監査の対象はどういうものか、また、現行の体制はどうなっているのか、伺います。 ◎山縣 監査指導室長  監査の対象と現行の体制というご質問でございます。  まず、監査の対象でございますが、札幌市内に本部を置く社会福祉法人のほか、市内にある特別養護老人ホーム、障がい者支援施設や認可保育所などの福祉施設でございます。  また、組織体制でございますが、現在、室長1名、課長1名、担当係長8名の合計10名の職員という構成になってございます。  なお、実地監査に際しましては、対象が老人施設であれば高齢保健福祉部の職員、障がい者施設であれば障がい保健福祉部の職員、また、認可保育所であれば子ども未来局の職員など事業所管部の職員も同行いたしまして、事業所管部の職員は専ら利用者の処遇を中心に監査をしているところでございます。 ◆岩崎道郎 委員  体制については、わかりました。  昨今、待機児童対策のための保育所などの児童福祉施設、特別養護老人ホームといった老人福祉施設など、これらの新設の話を本当にあちこちで見聞きするところであります。施設がふえるということは、同時に監査の対象がふえるのは当たり前のことだと思います。  そこで、ここ2年の監査対象の件数の増加と、それに対応する職員数の変遷についてお伺いいたします。 ◎山縣 監査指導室長  ここ2年間の監査対象件数の増加と、それに対応する職員数というご質問でございます。  平成27年度と平成29年度を比較いたしますと、監査対象は、法人が180件から205件、施設が457件から497件となり、法人で25件、施設で40件、合わせて65件増加をしております。  また、職員数の変遷についてですが、平成27年が室長1名、課長1名、担当係長7名という構成でございましたけれども、昨年度、平成28年度に担当係長が1名ふえまして現行の体制となってございます。 ◆岩崎道郎 委員  2年間で、それなりにというか、結構ふえているにもかかわらず、職員は係長1名増ですので、非常に厳しいというか、しっかり監査されているのかなと不安になるところも若干ございます。  時代の要請ですので、施設が増設されていくのは当たり前のことだと思います。そういった意味において、誰もが安心して利用できるというのは、施設の特性上、単に施設の数をふやすことが市民の皆さんの安心につながるわけではなくて、施設の質もしっかりと担保していかなければいけないと感じています。  そこで、今後、施設数などがさらに増加していくことが見込まれる中で、監査指導室として、監査の実施に当たり、どのような対応を考えているか、お伺いいたします。 ◎山縣 監査指導室長  施設の増に対する監査実施への対応というようなご質問かと思います。  監査は、対象が社会福祉法人や福祉施設でございまして、監査を実施する際には、現地に出向いて行います。そういたしますと、やはり、監査を実施するのは平日の日中しかできないという制約がございます。このような中で、監査対象件数の増加への対応といたしましては、1日に1カ所しか行っていなかった監査を、午前と午後に分けて2カ所を行ったり、あるいは、近接する施設を同日に行ったりなどというような工夫をして対応してまいりました。  しかし、毎年、このように監査件数が増加し、さらにまた、今後も特に保育所や高齢施設が急ピッチに増加していくようなことを考えますと、監査の質の維持という観点からは大変厳しいものがあろうかと存じます。もちろん、私どもといたしましては、今後も監査実施方法をさらに工夫できないか検討してまいりますけれども、あわせまして、関係部局と協議しながら、人員体制の充実という点についても考えてまいりたいというふうに思っております。 ◆岩崎道郎 委員  今まで1日1件だったところを午前と午後に行う、単純に仕事が倍になっているのではないかなと思う部分もあります。職員の皆さんのご苦労もすごく感じますし、職員の皆さんの能力の問題ではなく、見る場所が複数になっていくことによって単純に仕事量がふえていくわけですから、ちゃんとした監査が行われているのかということでは、皆さんも非常に感じるところがあるのかなというふうに思います。  当然、法人や施設がふえていく時代の中にあって、やはり、今のようにふえていったときに監査の質が低下してしまってはいけないなと強く感じています。まずは適切な人員配置を行っていただいて、その上で適切でしっかりとした監査を行っていただきたいと思います。今の職員の皆さんの能力が低いと言うつもりは全くございませんが、ひとりで見なくてはいけない数がふえるのであれば、当然、皆さんの監査能力の向上にもしっかりと努めていただきたいと思います。  あわせて、先ほど札幌に本部に置くという言葉がありましたが、広域的にやられているところも多々あると思います。本部は別のところにあって札幌に施設があるというところもあるのですね。そういったものに対してしっかりとした監査が行われているのかどうか。  さらには、近年、社会福祉法人以外の団体や株式会社が福祉サービスに参入してきております。これも時代の要請で必要なことだとは思いますが、そうした民間の参入によってたくさんのサービスを提供できるようになる一方で、企業ですから、もうかる、もうからないという判断の中で、経営状況によって倒産とか事業撤退ということになり、利用者の皆さんが大きな迷惑を受けるというか、本当に困惑する事態になることもあるだろうと思います。特に、福祉の施設に入っている方々ですから、自分の力でどうこうならない場合もあろうかと思いますので、そういったところに大きな危惧を感じております。先日も、倒産によって事業を継続できなくなった施設に入居している人がやむを得ず退去ということがあって、そういったケースが明らかになりました。  こういった人たちを出さないために札幌市の中だけでできることは限られていると思いますが、やはり、国へしっかり要望していただくことも含めて、今後さまざまな検討課題があるのであろうということだけ問題提起して、私の質問を終わります。 ◆竹内孝代 委員  私からは、来週10月18日に配付が開始されるヘルプマークとヘルプカードについて質問いたします。  ヘルプマークは、皆さんもご存じのとおり、義足や人工関節を使用している方、また内部障がい、難病の方、妊娠初期の方まで、援助や配慮を必要としていることが外見からわかりづらい方などを対象としたストラップ型のマークであり、今、ホームページでも公開されております。また、ヘルプカードは、緊急連絡先や必要とする支援内容などが記載できて、困った際に周囲の援助や配慮をお願いしやすくするというカードになっております。  先月の市長記者会見では、札幌市でも10月18日から配付することが発表されました。市民の皆さんの要望を受けて、我が会派が提案し、本市がヘルプマークの導入を決めてから1年半になります。ようやく実現までたどり着いて、非常に感慨深いものがあります。また、同時に、配付されるヘルプカードについても、我が会派が要望させていただき、導入を決められ、安心して暮らせる、人に優しいまちづくりを目指している札幌市の姿勢について大変評価できるものであります。
     ただ、このヘルプマークとヘルプカードは、これらを持つ方のみならず、市民の皆さんにこのマークとカードの意味を広く知っていただかなければ意味をなさず、導入後においても継続的な周知の取り組みが必要と考えております。市民の方はもちろん、医療や福祉等の各関係団体からもその周知の徹底について要望をいただいておりますので、まず初めに、導入が直前に迫ったこの時期において、配付が開始された後の周知方法についてどのように考えているのか、お伺いします。 ◎山本 障がい保健福祉部長  配付開始後の周知方法についてでございます。  配付開始後におきましても、ヘルプマークやヘルプカードを必要とする方のみならず、広く市民の皆さんに対しても継続して制度の周知を図っていくことが重要と認識しております。  今後は、広報さっぽろへの掲載など、これまでの取り組みに加え、市長がヘルプマークを紹介する動画を公式ホームページや街頭の大型ビジョンなどで放映するほか、市の広報番組でも、ヘルプマークとヘルプカードを取り上げることとしております。また、12月上旬の障害者週間に開催される各種イベントにおいてリーフレットを配布する予定でございます。このような取り組みを通じて、多くの市民にヘルプマークとヘルプカードの存在を知っていただきたいと考えております。 ◆竹内孝代 委員  配付開始後においても、機を捉えて、また市長みずからということで、積極的な周知を進めていくというお話がありました。大変重要な制度ですので、ぜひともお願いしたいと思います。  加えて、このヘルプマークとヘルプカードについては、まず援助や配慮が必要な方に広く行き渡ることが重要であると考えます。一言で障がいや難病などと言っても、その状況や症状はさまざまで、程度の差や、障害者手帳の有無、また難病指定の有無などがありますが、そうしたことにかかわらず、援助や配慮が必要な方はたくさんいらっしゃいます。したがって、窓口で配付する際に、申請書類の記載、障害者手帳の提示を条件としてしまうと本当に必要とする方に行き渡らないことも想定されると言われています。また、ヘルプマークを必要としている方の中には、外見からはわからなくても、家から遠いところまで出かけることが難しい方もおり、このような方のためには、より身近な場所で配付し、受け取れるようにすることが重要であると考えます。  そこで、次の質問ですが、ヘルプマークやヘルプカードを必要とする方がこれらを受け取りやすくなるよう、配付方法についてはどのような点に配慮しているのか、お伺いします。 ◎山本 障がい保健福祉部長  配付方法についてでございます。  ヘルプマークとヘルプカードの配付の際には、委員のご指摘のとおり、申請書類の提出などの条件をつけることで必要な方に行き渡らなくなることが想定されるため、申請書の記載や障害者手帳の提示を不要とするなど、手続を簡素なものとしたところでございます。  また、配付場所についても、地下鉄駅、区役所、保健センターなどの札幌市の施設だけではなく、さっぽろまちづくりパートナー協定を結んでいるアインホールディングスにもご協力をいただき、市内に39カ所あるアイン薬局でもヘルプマーク等を配付していただけることになったところでございます。これらの取り組みにより、ヘルプマークとヘルプカードを必要としている方が身近な地域で手軽に受け取りやすくなるものと考えてございます。 ◆竹内孝代 委員  今お話がありましたように、さまざまな場所で、また、配付方法も積極的に配慮してくださったようで、ぜひともよろしくお願いいたします。  これにより、必要な方にヘルプマークやヘルプカードが行き渡ることを期待しているところですが、ヘルプマークというのは、身につけている方に対して思いやりのある行動をお願いするというものであります。その行動の代表的なものとしては、電車やバスの中で席を譲るということが挙げられます。  しかしながら、例えば、外見では健康に見えても、疲れやすいなどで立ち続けることが難しい方が専用席などに座っている場合、外見からはわからないため、周囲の方が違和感を持つこともあるかと思います。このような方が、自然に席を譲っていただいたり、安心して専用席などに座れたりするためには、ヘルプマークの周知に関して、地下鉄、路面電車、バス、JRなど交通事業者の協力が不可欠であり、各事業者に対してこれらの趣旨を説明し、協力を呼びかけることが重要であると考えます。  そこで、最後に、ヘルプマークの周知に関する交通事業者への協力依頼についてどのように取り組んできているのか、お伺いいたします。 ◎山本 障がい保健福祉部長  交通事業者への協力依頼についてでございます。  地下鉄及び路面電車におきましては、札幌市交通局に依頼し、専用席と優先席付近の全てのステッカーについて、先月末までにヘルプマークを追加したものに張りかえ、ヘルプマークを身につける方が席を譲っていただきやすい環境としたところでございます。また、地下鉄大通駅に設置されておりますデジタルサイネージでのPR動画の放映、車両内でのポスター掲示など、配付開始に合わせてさまざまな手段で制度の周知を図っていくこととしております。  一方、バス事業者やJRにつきましては、札幌市外を運行している便があることなどから、今後、北海道と連携いたしまして市民への周知に関する協力を呼びかけてまいりたいと考えてございます。 ◆竹内孝代 委員  ヘルプマークとヘルプカードの導入に当たっては、本当に多くの方が大きな期待を寄せています。そして、札幌市が1年半をかけて準備してきた事業でもあります。こうした札幌市の導入決定が後押しとなり、北海道が導入に踏み切り、そして、待ち望んでいた道内各市町村もその準備を積極的に行っていることも聞いております。  現在は、市営地下鉄、また市電を中心にその協力を要請しているとのことですけれども、北海道が導入に踏み切った今は、今後は、JRや、バス会社なども含めて、利用促進のための協力を要請していただきたいこと、そして、より多くの市民にこの制度を知っていただき、当事者の方々の利用促進が図られるよう、積極的に、また継続的に制度の周知を行っていただきたいことを求めまして、質問を終わります。 ◆田中啓介 委員  私からは、精神障がい者の運賃割引について、障がい者相談支援事業について、この2点を質問させていただきます。  まず、精神障がい者の運賃割引についてですが、1993年の障害者基本法の改正で、精神障がいの方も身体や知的障がいの方と一緒に明確に障がい者と位置づけられ、つまり3障がい同一とされました。精神障がいの当事者の方々は、精神障がい者も身体や知的障がいの方と同等に運賃割引をしてほしいと、長年、何度も要望してきております。  本市の現行の障がい者の運賃割引制度では、例えば、同じ作業所に通っている身体障がいの方、知的障がいの方、精神障がいの方の3人が地下鉄1区間を片道利用した場合は、身体障がいの方と知的障がいの方は半額の割引が適用されて100円、一方、精神障がいの方は割引なしの200円です。身体や知的障がいのある方と、精神障がいのある方とでは実質2倍の運賃の差が生じております。  そこで、質問ですけれども、障害者基本法の趣旨から考えると、現行の運賃割引制度によってこのような差が生じることはおかしいと思うのですがいかがか、伺います。 ◎山本 障がい保健福祉部長  精神障がいの方の運賃割引についてでございます。  まず、認識についてでございますが、障害者基本法の理念により、精神障がいの方にも、身体障がいの方や知的障がいの方と同様に運賃の割引が実施されることが望ましいものと考えております。今後も、各交通事業者に対しまして、引き続き早期実施に向けて要望を続けてまいりたいと考えてございます。 ◆田中啓介 委員  今まで、委員会や代表質問でのこの問題への答弁としては、法律の趣旨にのっとって3障がい同一というのが望ましいという認識だと思います。その中で、今、精神障がいの当事者の方々が求めているのは地下鉄、市電の先行実施です。バスは民間事業ですが、地下鉄や市電は札幌市が運営しているものだから、まずそこから運賃割引を先行実施してほしいということ、今、これが強く求められている声だと思います。  しかし、本市は、先行実施することで、例えば、地下鉄では券売機で福祉割引券を別に購入する必要がある、また、市電では手帳の提示が必要になる、さらに、バス事業者とは運賃割引が異なることから、地下鉄とバスを乗り継ぐ際の現行の乗り継ぎ割引が適用されない、さらに、SAPICAでは10%のポイントがつきますが、そのポイントが券売機では使えないことなどがあって、利用者の利便性が課題だというふうに言っております。  そこで、質問ですけれども、これらの課題について、実際に当事者の方々は何と言っているのか、伺います。 ◎山本 障がい保健福祉部長  当事者の方からの声についてでございます。  これまで、さまざまな団体の方々とやりとりを重ねておりまして、その中で、一部の方からは、利便性に課題があることや乗り継ぎ割引が適用されないことなどは理解しているが、それ以上に実質的な料金負担が減ることを望んでいるとの趣旨のご意見を伺っておりますけれども、保健福祉局といたしましては、全ての交通事業者に運賃の割引を実施していただくことが望ましいものと考えていることから、今後も引き続き各交通事業者に対して要望してまいりたいと考えてございます。 ◆田中啓介 委員  当事者から実際にそういう声も上がっていることは札幌市保健福祉局としても認識しているということで、この続きは交通局のほうで質問させていただきたいと思います。  次は、障がい者相談支援事業について質問させていただきます。  障がい者相談支援事業所は、本市からの委託を受けて、現在、基幹事業所を含めて20カ所ございます。障がいのある方が地域で安心して生活していけるように、障がい当事者はもちろん、その家族、また、民生委員やケースワーカーなどまさに公的な機関などからも相談を受けていると聞いております。相談の内容も、医療や福祉制度だけではなく、生活全般についての相談を受けていて、相談方法も、電話だけではなくて、事業所に来所してもらって相談する、また逆に、相談者宅を相談支援員が訪問してする、さまざまな関係機関への同行など、相談者の要望に応じて対応しております。  このような事業をしている障がい者相談支援事業ですが、本市は、アクションプラン2015で、障がい者相談支援事業所の体制強化のために、障がい者相談支援事業の拡充として相談支援員を73名までふやすという目標を掲げました。このアクションプラン2015を策定した当初、2014年度の相談件数は6万2,529件でした。そのときの相談支援員数は61人で、相談支援員1人当たりの相談件数は1,025件でありました。現在、この相談員数は、目標の73人を達成しております。しかし、2016年度の相談件数は7万6,533件と、2014年度よりも1万4,000件以上ふえ、相談員1人当たりの相談件数は、減るどころか、むしろ1,063件とふえております。  そこでまず、質問ですが、アクションプランを策定したときより、相談件数は1万4,000件以上もふえ、相談員1人当たりの相談件数もふえております。現在の相談員数で、障がい者相談支援事業の体制強化は十分だと思いますか、いかがか、伺います。 ◎山本 障がい保健福祉部長  相談員数についてお答えいたします。  市内20カ所の障がい者相談支援事業所におきます相談員の数は、先ほどお話がございましたように、平成26年度に61人だったところ、アクションプランに基づきまして、相談件数の多い12カ所の事業所に増員を行い、29年度までに73人まで増員を行ったところでございます。相談員1人当たりの相談支援件数は、26年度は1,025件、2年後の28年度は1,063件と、ほぼ横ばいと捉えてございまして、おおむね相談員数の増加が相談支援件数の増加に対応しているものと考えてございます。  相談件数が年々増加し、支援内容も複雑多様化していることは承知しておりますが、アクションプランによる計画的な増員を行ったところであり、その効果を検証しながら、今後の相談支援体制について検討してまいりたいと考えてございます。 ◆田中啓介 委員  次に、1事業所当たりの相談員配置ですが、今、基本は3名となっていることについて質問いたします。  札幌市障がい者相談支援事業実施要綱では、常勤専任職員、つまり相談支援員は3名配置が基本になっております。相談内容は、制度を紹介して終わりということだけではありません。また、相談に来られる方も、障がいを持っているために、困っているのだけれども、実際に何に困っているのか、うまく伝えることができません。こういうことが多々ございます。また、何に困っているのかを聞き出す最初の段階でもかなり時間がかかります。先ほど部長の答弁であったように、1人当たりの抱えている問題も複数であって、その問題が複雑に絡み合っていることもございます。  ある相談員からは、一人一人、じっくりと相談に乗りたい、でも、次々と相談があり、一人一人にしっかりと向き合って支援できていないのではないか、日々、不安だという声、また、次の相談者を待たせるわけにはいかない、でも、現実にはできないことに葛藤があるというふうなお話がありました。また、相談する障がい当事者は、相談を受けられるまで待っている間、特に精神疾患の方の場合は症状を悪化させてしまいます。みずから命を絶つなど、事故や事件という最悪のケースにつながりかねません。また、家族からも、子どもが何カ月も引きこもっている、どうしていいかわからないというとき、まさに、その相談の電話が相談所になかなかつながらない、せっかくつながっても対応できず、支援が受けられるまで何日も、何週間も、何カ月も路頭に迷わせてしまうと。このようなことは、決してあってはならないと思います。  この要綱では、基本は3名になっております。この3名だと、例えば、1人は同行支援で外出中、1人は来所している相談者と面談中、1人は電話で相談中となると、その次に相談したいという方は、まさに電話をかけてもなかなかつながらない、来所しても対応してくれる人がいないという実態が実際に起きていると聞いています。  そこで、現在、1事業所当たりの相談員の基本の配置が3名では対応し切れないと思いますがいかがか、伺います。 ◎山本 障がい保健福祉部長  常勤専任職員の配置についてでございます。  札幌市障がい者相談支援事業実施要綱では、各相談支援事業所での常勤専任職員の基本の配置を3名としてこれまで対応していただいたところでございます。  しかしながら、相談件数が年々増加し、支援内容も複雑多様化していることから、要綱には、札幌市長が特に必要と認める場合は常勤専任職員を増員するものとするという規定がございますので、その規定に基づき、アクションプランでは、20カ所の相談支援事業所のうち、相談件数の多い12カ所の事業所に1名ずつ増員を割り当てたところでございます。  今後とも、事業所間の連携強化や各種研修の充実などにより対応していきながら、引き続き、相談支援体制についても検討してまいりたいと考えてございます。 ◆田中啓介 委員  確かに、要綱の第6条の職員の配置の部分に、私が紹介した3名配置を基本とするという文の後には、「また、札幌市長が特に必要と認める場合は、常勤専任職員を増員するものとする。」という文言があります。ただ、その後の第14条には、費用の支弁とあって、「相談支援事業に要する費用は、予算額の範囲内で支弁するものとする。」となっております。附帯では、確かに相談員を増員することに対して加算がつく形にはなっていますが、この第14条の関係で、予算の範囲内でというふうな縛り、上限があるので、ぜひ、こちらはもっと引き上げていくべきだというふうに思います。  先ほど部長は、2014年度と2016年度の相談員1人当たりの件数は1,000件のまま横ばいだというふうに言いましたが、実際、1人で1,000件を見る、相談を受けるというのはとても大変なことです。一人一人に対して相談員がもっと充実した支援をしっかりとできるようにしていくためにも、相談体制の強化が必要だと思います。  本市は、さっぽろ障がい者プランの計画期間が2017年度までになっております。新たに作成するというふうにも聞いております。この次期さっぽろ障がい者プランの策定に当たって、障がい者相談支援事業のさらなる拡充を盛り込む必要があると思いますがいかがか、伺います。 ◎山本 障がい保健福祉部長  さっぽろ障がい者プランについてでございます。  平成30年度から始まりますさっぽろ障がい者プランにつきましては、札幌市障がい者施策推進審議会に学識経験者、各障がい者団体、支援者団体の代表者等をメンバーとした検討部会を設け、現在、策定作業を行っているところでございます。次期プランにおきましても、引き続き相談支援事業の果たす役割は重要なものと考えてございまして、各相談支援事業所の連携や関係機関との協力、役割分担のあり方について検討しながら、その機能の充実を図っていくことを盛り込む方向で現在考えているところでございます。 ◆田中啓介 委員  ぜひ、重要だという認識のもとに、新しい障がい者プランに盛り込んで体制強化をしていただきたい、そのことを求めて、終わります。 ○佐々木みつこ 委員長  以上で、第1項 社会福祉費の質疑を終了いたします。  最後に、第4項 生活保護費の質疑を行います。 ◆岩崎道郎 委員  本日3度目でございますが、生活保護費について伺いたいと思います。  まず、1点目は、生活保護法の改正についてです。  生活保護法が改正され、2014年以降、特に不正受給に対する対応が強化されたと認識しております。国民の最後のセーフティネットである生活保護については、何よりも公正であることが求められており、不正受給に関しては決して許されるものではないこと、これは言うまでもありません。国においては、2018年度にさらに生活保護法の改正が行われると聞いており、制度の充実に期待しているところです。  そこで、最初の質問ですが、2018年度に予定されている生活保護法の改正について、内容はどのようなものになると聞いているのか、また、2014年以降、法改正等に対して札幌市はどのような対応を行ってきたのか、伺います。 ◎大野 保護自立支援担当部長  平成30年、2018年に予定されている生活保護法の改正については、厚生労働省所管の社会保障審議会の部会において、就労支援のあり方、医療扶助のさらなる適正化などについて議論しているところでございまして、今後ともこれらの動向を注視してまいりたいと考えております。  また、平成26年、2014年の改正生活保護法の施行により就労による自立の促進、不正受給対策の強化、医療扶助の適正化などを目的とした改正が行われたところでございます。平成26年の改正法施行を受け、札幌市においては、就労自立給付金の支給や、特に悪質な不正受給に対して不正受給額に40%の金額を上乗せして徴収しております。また、後発医薬品については、使用を勧めるパンフレットを各保護世帯に配付するとともに、ケースワーカーが家庭訪問を行った際、可能な限り後発医薬品を使用するよう指導しているところでございます。さらに、平成26年以降、住宅扶助基準の見直しに伴う単身世帯の居室の面積を個別に確認する必要が生じた一方、これに対する緩和措置の適用を検討したり、冬季加算の支給期間の拡大及びこれに伴って必要となった特別基準の設定、年1回、全保護世帯から資産申告書の徴取などの新たな事務が加わっておりますが、本市において適切に対応しているところでございます。 ◆岩崎道郎 委員  まず、すごくたくさん仕事がふえたなという印象があります。  冒頭に申し上げた2014年の改正においては、不正受給についてのところがあろうかと思います。そこで、不正受給について、本市の状況を少し伺いたいと思います。  近年の本市における生活保護の不正受給の件数、金額、発生割合などの実態についてはどのようなものか、伺います。 ◎大野 保護自立支援担当部長  不正受給の件数及び金額は、近年、増加傾向にございまして、平成26年度は791件、3億4,083万円、27年度は991件、3億9,638万円、28年度は1,227件、4億7,330万円と増加しております。また、保護世帯数に対する発生件数の割合は、平成26年度1.5%、27年度1.8%、28年度2.2%となっており、こちらも増加しております。  これらは、課税調査等のさらなる徹底に加え、平成28年度から、年1回、徴取している資産申告書により、未申告の送金や借り入れといった収入が発覚したという事例によるものと分析しております。 ◆岩崎道郎 委員  3億、4億というお金でございますので、決して少なくない、多いと言えるのだと思います。一番最初に申し上げたとおり、不正受給というのは決して許されるものではないと思います。ゼロになることが最も望ましいのは、間違いないことであると思います。  しかし一方で、額としては非常に大きいのですが、発生割合は2%程度なのです。その2%の不正受給をしている人のせいで、生活保護の仕組み自体がマイナスイメージに引っ張られてしまって、正しく受給されている方々も疑いの目を向けられ、いわれのない後ろめたさを感じるようなことがあれば、さらに大きな問題であろうというふうに感じております。  そこで、質問ですが、不正受給の対策の強化が、結果として、本来受給されるべき方の保護の申請をためらわせるようなことがないのか、さらには、これらの方が受給をちゅうちょするようなことがないようにどのようなアプローチをしているのか、伺います。 ◎大野 保護自立支援担当部長  不正受給対策の強化による保護申請への影響についてでございます。  委員がご指摘のとおり、一部の保護受給者の不正行為により、大多数の善良な保護受給者が肩身の狭い思いをしたり、真に生活に困窮している方が保護申請をためらうようなことがあってはならないと考えております。  札幌市では、保護の相談があった場合、相談者の状況を把握した上で、他法他施策の活用等についての助言を適切に行うとともに、生活保護制度の仕組みについて十分な説明を行い、保護申請の意思を確認しております。保護申請の意思が確認された方に対しては、速やかに保護申請書を交付し、申請手続についての助言を行うことにより、保護を必要とする方が確実に申請できるように対応しているところでございます。また、平成27年度から、生活困窮者自立支援法に基づく相談窓口としてステップ、JOINを設置し、生活保護が必要と認められる方については区保護課の窓口に同行するなど、相談者の状況に応じた助言等を行っております。  今後とも、保護を必要とする方が確実に申請できるよう、適切な面接相談の実施に努めてまいりたいと考えております。 ◆岩崎道郎 委員  そういった対策をしていただいていることは、十分理解しました。  先ほど答弁いただいた生活保護の仕組みの仕事量ということでは、やらなければいけないさまざまなことが本当にふえています。そういった中において、不正受給の部分に目が行くことで、結果的に保護課職員の事務負担が重くなって、本来業務、保護受給者への支援に十分な力を注ぐことができないようなことがあるのではないかと推測するのですが、そのあたりはいかがでしょうか。 ◎大野 保護自立支援担当部長  不正受給対策のみならず、制度改正等によって区保護課の事務負担が重くなっていると認識しております。  区保護課では、創意工夫を凝らし、効率的な事務処理に努めておりまして、事務負担の増加が被保護者への必要な指導・援助の実施に影響が及ばないように努めているところでございます。 ◆岩崎道郎 委員  本当に区の保護課の職員の皆さんの仕事量、事務負担というものが、年々、非常に大きくなっているのだと思います。そういった中において、その軽減について少し質問させていただきます。  先ほど、2014年度以降、法改正などに伴い、不正受給対策の強化以外に、資産申告書の徴取が導入されたり、後発医薬品、ジェネリック薬品の使用強化など新たな事務負担が生じていると答弁がありました。また、年金受給資格期間の短縮などにも対応しなければならないなど、ここ数年、区保護課の職員は業務負担の増加を強いられていると思います。  不正受給の後処理を含め、ケースワーカーの事務負担をしっかりと軽減をすることによって、向き合う時間がふえ、被保護者の方への丁寧な対応ができるようになったり、被保護者だけでなく、保護を受けていない方も含めて市民の方からの信頼獲得につながっていくものではないかと考えております。  そこで、質問ですが、これらの事務負担の増加に対して、市ではどのような対策を講じているのか、伺います。 ◎大野 保護自立支援担当部長  委員がご指摘のとおり、区保護課においては、平成26年以降、年々担当する事務がふえているところでございます。一方、負担軽減につながるような制度改正はほとんど行われておらず、区保護課職員の負担は増しております。  このようなことから、生活保護OAシステムの改修を行うことで、保護受給者の他法他施策の活用状況、具体的に申し上げると、児童手当や児童扶養手当、さらに自立支援医療や障害者手帳の適用状況などが、システムの連携により、従来よりも容易に、かつ確実に入手可能となりました。  なお、年金の受給資格期間の短縮への対応についてですが、ことし4月から9月まで、専門的知識を持つ社会保険労務士会に対して、保護受給者の年金請求にかかわる事務の一部を業務委託しまして保護課職員の事務負担の軽減を図ってきました。  今後とも、保護課職員が保護受給者の自立助長に向けた支援、援助に十分な時間を確保できるよう、事務の負担軽減に可能な限り努めてまいりたいと考えております。 ◆岩崎道郎 委員  事務負担が重くなっているので、軽減に向けて取り組んでいただきたいというふうに思うのですが、ここで、個別の事案について少し質問させていただきます。  若いケースワーカーの皆さんの不祥事防止についてという観点です。ことしの8月に、北区保護課ケースワーカーの不祥事が発覚し、報道されました。2015年度には南区、2016年度には厚別区、白石区、そして2017年度は北区と、若いケースワーカーの不祥事が続いており、厚別区の事案を除いては新採3年目の若い職員が起こしたものと聞いております。保護に係る申請の処理がおくれたり、書類の破棄、改ざんなどにより、適正な保護費が支給されなかったという事案です。  各区保護課では書類の集中管理、申請等の書類の管理の徹底、相互チェックなどの対策を講じていると聞いておりますけれども、なぜこのような事案が続くのか、そして、生活保護事務負担軽減だけでなく、係長、課長のマネジメント上の問題なのか、最近の若い職員の心理はどうなのか、生活保護業務そのものの内容がどうなのかなど、より広い観点からきちんと分析し、防止策を考えるべきと思いますがいかがか、伺います。 ◎大野 保護自立支援担当部長  生活保護における不適正な処理は、札幌市の生活保護行政に対する市民の信頼を損なうものでございまして、札幌市においては、これまで再発防止に向けて研修の実施や区保護課でのチェック体制の充実を図ってきたところでございます。  このような中、区保護課において不適正事例が発生したことは、極めて遺憾でございます。  札幌市には定員で646名おりますが、ほとんどのケースワーカーは、大変で困難な業務の中で懸命に励んでいると私は信じております。しかし、今回の不祥事を重く受けとめまして、さらに、バックアップする体制あるいは再発防止策の一助として、不適正事例の発生原因を改めて認識し、マネジメント機能の強化や、職員の物理的負担、心理的負担の軽減を図るために専門的な識見を有する外部の方からの意見を聞く場を設けまして、広い観点からの意見を不適正事例発生の未然防止につなげてまいりたいと思います。 ◆岩崎道郎 委員  冒頭に申し上げましたとおり、生活保護という仕組み自体、不公正であってはいけない、不正受給があってはいけないということが大前提だと思います。そして、生活保護を受けている方々も、生活保護をもらうということが着地点ではなく、今、本市が取り組んでいるような就労支援や自立支援などにしっかりとつなげていく、こういうことを考えると、職員の方々の負担というのは決して軽くないですし、今後ますます重くなっていくことも考えられるのかなというふうに思います。今ご答弁いただいたような内容だけでなく、ぜひとも、そういったことがないように、職員の声を庁内で共有できる、そして、適切なアドバイスができる先輩、後輩の親密な関係みたいなものも構築していただきたいと思います。  実は、私も、きょう話題になりました民生委員を務めていた時期がありました。やめてしまったので人員が減っているというところもありますが、私も民生委員・児童委員を担っていて、ケースワーカーの皆さんの仕事が大変お忙しいというのは十分承知しております。仕事が忙しくなることは、イコール、生活に困窮されている方をお支えするということなので、そういった両立が図られるように今後ともしっかりと取り組んでいただきたい、そのことを要望して、私の質問を終わります。 ◆村上ひとし 委員  私も若いケースワーカーの質問をしようと思いましたが、今の岩崎委員の質疑で全般的なところは相当出ておりますので、少し個別のところに焦点を絞って簡潔に質問したいと思います。  今の質疑の中でもありましたけれども、保護課職員の事務負担は重いし、ふえているということであります。そういう中で、先ほどもありましたが、2017年4月時点で保護課ケースワーカーの定数は646名であります。ケースワーカー1人当たりが担当する世帯数は、84.6世帯であります。また、ケースワーカーの年齢構成は、20歳代が61.7%と非常に若いという数字でありまして、30歳代の22.4%を合わせると20歳代、30歳代で80%を超えるという若さです。40歳代が11.1%、50歳代が3.2%ということで、ケースワーカーの平均年齢は30.3歳というように若い職員が多い状況であります。  そこで、お伺いいたしますが、新規に採用された職員のうち、保護課ケースワーカーに配属となった人数及び割合はどのようになっているのか、また、これらの職員に対する研修の状況というのはどんなふうになっているのか、最初にお伺いいたします。 ◎大野 保護自立支援担当部長  平成29年4月に、新たに採用された大卒事務職員は144人、そのうち各区保護課に配属となった職員は89人であり、割合は61.8%でございます。  研修については、保護自立支援課が主催する新任ケースワーカーを対象とした研修を年に4回、2年次と3年次目のケースワーカーを対象とした研修をそれぞれ年に1回実施しているほか、年次を問わずに生活保護に関連した制度等に関する研修を年に2回実施しております。このほか、各区においても、それぞれの実情に応じて、新任ケースワーカー研修や、年次を問わずに保護課職員に対する研修を年に複数回実施しております。 ◆村上ひとし 委員  新規採用された職員の人数で言いますと、144人のうち89人がケースワーカーで、61%を超えるということであります。やはり、新規採用の方でも、ケースワーカーに配属になる状況が多いということでありました。  それから、大野部長、当然、研修は必要ですよ。必要ですけれども、医療や介護、あるいは年金とか、最近はさまざまな分野で制度が非常に多岐にわたっていて、それを受給する市民のありようもさまざまな形態になっております。そういうことから、制度を中心に学ぶ研修というのはもちろん必要ですけれども、それ以外に、新規採用された職員の成長をどう見ていくのか、あるいは、職場にとって有意義な研修でなければならないというふうに思うのです。つまり、いろいろな制度や新しい対応が必要だということでそのための研修をふやしていくだけでは、若い人たちは詰め込みになっていくおそれがあるなと、そんなところも懸念しております。
     そこで、次の質問に入りますが、新規採用職員と人事異動により配属されるケースワーカーがいらっしゃると思うのですけれども、それぞれどのような基準によって決めているのか、お伺いいたします。  また、新規採用職員はケースワーカーとして保護課に配属される人数が多いわけですけれども、保護課全体の年齢構成も20歳から30歳の若い職員が多くなっています。新規採用職員を多く配置していること、それから、保護課職員の年齢構成が若くなっていることについて、その理由と狙いをお伺いしたいと思います。 ◎大野 保護自立支援担当部長  札幌市は、基礎的自治体として市民サービスを提供する役割を担っていることから、まずは、直接、市民と接する仕事を経験させるという考え方のもと、多くの新採用職員を区役所に配属しているところでございます。  ケースワーカーへの配置については、市全体の人事異動の中で区役所勤務を発令された者の中から、これまでの経歴、経験や適性、保有する資格などを考慮し、各職場の年齢構成や男女比なども踏まえて配置しております。多くの新採職員を保護課に配属することで、ケースワークを通じて、福祉的な視点での市民対応力、市職員として必要な年金や医療などの社会保障制度全般、あるいは、戸籍や税といった基本的な自治体業務に関して幅広い知識と経験の習得につなげ、また、市民サービスの提供という自治体職員の責務を果たすという強い意識を醸成していくことができるものと認識しております。 ◆村上ひとし 委員  問題は、それが本当にできるのかどうかということだと思うのです。先ほど来、申し上げておりますように、保護課職員の仕事量はふえております。もちろん、年齢が若いですから、いろいろな意味で市民と直接かかわって経験を積んでもらったり、いろいろなノウハウを蓄積していくことも重要なことだと思います。しかし、それが本当に環境的に保障されて成長していけるのかどうかということが非常に重要であると思います。  そこで、次の質問に入りますが、職場内部での若いケースワーカーへのかかわり方、同僚や係長など上司との関係を含め、職場内での働き方や支援といった職員へのフォロー体制や相互チェック体制が重要になると思いますけれども、この点で、以前と比較して職場内で変化していることや工夫していることなどがあれば教えていただきたいと思います。 ◎大野 保護自立支援担当部長  経験の浅い職員は、職務上あるいは職務外においてさまざまな不安や悩みを抱えていると思われまして、上司である課長、係長は、従前から積極的にコミュニケーションを図るなど、不安や悩みの早期発見やその解消に努めているところでございます。また、ケースワーカーが対応に苦慮している保護世帯への家庭訪問についても、積極的に係長が同行し、ケースワーカーの精神的な負担の軽減を図るなどしております。  以上のとおり、新任職員に対するフォロー体制の基本は従前と大きく変化していることのない一方で、一連の不適正事例については、当事者から相談しづらかった、言えなかったという声が上がったことから、これまで以上に積極的、意識的にコミュニケーションを図るとともに、事務処理のチェック体制を充実、書類の集中管理や職員相互による書類のチェック、基準等の誤り防止等のためのチェックなどを行うことにしております。 ◆村上ひとし 委員  それができるようになると、すばらしいと思います。  質問に入りますが、ケースワーカー業務を経験した職員で、非常にノウハウを持っている方というのはいらっしゃると思うのですね。冒頭に述べましたが、割合から言うと40代、50代のそういう方が非常に少ないことは数字を見てもはっきりしていると思いますので、こうした40代、50代の一定数の職員をケースワーカーとして再び保護課に配置するような枠組みをつくっていく必要性を感じていますけれども、この点、どのようにお考えでしょうか。 ◎大野 保護自立支援担当部長  先ほど申し上げましたとおり、ケースワーカーの配置については、市全体の人事異動の中で区役所勤務を発令された者の中から配置しておりまして、多くの新採用職員が保護課に配属となっているところです。このようなことから、仕組みとして、40代、50代の職員のケースワーカー経験者をケースワーカーとして再配置することは難しいと考えております。  ただし、ケースワーカーの経験のある者が、他の業務を複数経験した後に係長に昇任して、査察指導員として保護課に配属されております。こうした職員はケースワーカーとしての経験に加えて他部局でのさまざまな行政経験を踏まえておりまして、これにより、新任職員の指導・育成、業務進行管理等に能力を活用して有効に機能しているものと認識しております。 ◆村上ひとし 委員  次は、不適正な事務処理の事例に関して少し質問させていただきたいと思います。  先ほどの北区と白石区の事例ですが、北区における不適正な事務処理で言いますと、過大支給、保護費が多く支払われたのが2世帯で218万2,309円、それから、過少支給、少なく支払われた世帯が1世帯で49万6,613円ということであります。それから、白石区で言いますと、過大支給が4世帯で107万7,410円、過少支給が4世帯で28万3,649円となっておりまして、いずれも金額的には非常に大きいものであります。  白石区と北区で発生した不適正な事務処理にかかわっては、お2人とも20代というふうに聞いているのですが、新規採用者だったのかどうか、この点、お願いいたします。 ◎大野 保護自立支援担当部長  20代の新規採用者でございます。 ◆村上ひとし 委員  白石区、北区双方が20代の新規採用者であったということです。  では、なぜこのような不適正な事務処理を行ったのかということですが、北区のケースワーカーは、事務処理のおくれを隠すために、台帳から書類を抜き取ったり、あるいは、廃棄したということであります。それから、白石区で言うと、この方は計画的な業務の進行管理がうまくいっていなくて、ふだんから事務処理がおくれがちだった、また、机や外勤用のかばんの中も書類が散乱している状況であり、そして、基本的な仕事の進め方の徹底ができなかったと、原因について、このように言っているわけであります。新規採用者であったということですが、先ほど来言っているように6割以上が20歳代ということで、研修にいろいろ取り組んでいると言っておりますけれども、特に机や外勤用のかばんの中もぐちゃぐちゃだというのは、基本的には、職場内部で同僚や役職者が見てもわかるんじゃないかと思うのです。そういう意味では、見ればわかるのに、職場内部ではほかの職員に対して無関心だったのでしょうか。それから、北区で言えば、事務処理のおくれを隠すというのは、なぜ隠すのでしょうか。それは、やっぱり、相談しづらいだとか、そういう雰囲気が少なからず職場にあるのではないでしょうか。  それだけではないと思いますけれども、現実にこういう事態が若い新規採用者で起こっているわけですから、職場の内部、特に同僚や係長、課長になろうかと思いますが、こうしたことへの対策を具体化していくことが必要だと思うのですよ。例えば、ヒヤリ・ハットの取り組みをされているのであれば、そのことについて職場内部で情報を共有して、重大な過ちに結びつかないように会議を設けるとか、そういったことが必要だと思うのです。外に出る研修とは別に、職場内部でそういう対策を具体化していくことが重要だと思いますけれども、この辺の認識についてお伺いいたします。 ◎大野 保護自立支援担当部長  現在、区保護課においては、それぞれ工夫を凝らしまして、文書の集中保管、あるいは、ケース台帳の職員間相互の点検、それから、生活保護OAシステムを活用したチェックリストによる扶助費の確認などを行いまして再発防止に努めているところでございます。  委員がおっしゃっていたように、なぜ、隠したりして周囲にわからないようにしてしまうのかということですが、事務処理につまずいていることを周囲に知られたくなかった、仕事ができないと思われたくなかったという心理で、これは、環境の面もあるかもしれませんし、若い方の意識の面もあるかもしれません。その辺については、正直言って私のような年寄りには理解できないところもございまして、そういう意味を含めて、その専門の方からどういう心理なのかというご意見もいただきたいと思っております。そして、区のほうにもいろいろとフィードバックして、みんなで考えていこうというふうに思っております。 ◆村上ひとし 委員  大野部長、個人の資質や人間性というのはもちろんあると思うのですが、今回起こったこういう事例をもとに、やっぱり、そういう職員を生まない、そういうことをさせないということについて職場内部で徹底して議論していただきたいし、あらゆる対策をとっていただきたいというふうに私は思います。  次の質問に入りますが、北区の事例で言いますと、入院期間が相当長かったのですけれども、何カ月入院されていたのか。入院となる場合については、要否意見書というのを病院に求めますね。そして、それに基づいて医療券が発行されたりしますが、結局、そういう書類上の病院とのやりとりの中でも発見できなかったのだと思います。  なぜ、何カ月、何年間も発見できなかったのか。チェック体制に問題があったと思いますけれども、その辺についてお伺いいたします。 ◎大野 保護自立支援担当部長  医療券発行の仕事については、担当する管理係の職員が1カ月ごとに所管分をまとめて医療券を発行して送付している形になっています。また、入院用の初回医療要否意見書を送付して、入院治療の必要性及び入院期間の見込みを主治医に記入してもらった後、区保護課に返送され、返送された医療要否意見書は、医師職である各区の実施機関医の審査を受け、必要な期間、入院治療を認めていくという流れが事務としてございます。その医療要否意見書をなくしたとか、隠したという状況になると、入院しているのかどうか、台帳を見てもすぐにはわからない状況ができてしまいまして、入院しているのかどうかわからないような状況が生まれたものと思っております。  ただ、システム上は、きちっと見るとわかるということも間違いないことであります。例えば、係長がこれはおかしいのではないかと思って、自分でシステムをあけて、この人の基準はどうなっているのかというチェックは可能です。ただ、職員自体が大丈夫ですと言えば、周りでは信頼ある職員だったというお話でしたので、係長も信用してそこまでは見なかったと。ケースワーカー一人一人のOA処理の中身まで入って見るということまでは、これまで余りやってこなかったということでございます。 ◆村上ひとし 委員  何年何カ月ですか。 ○佐々木みつこ 委員長  何年何カ月か、入院についても答弁をお願いします。 ◎大野 保護自立支援担当部長  失礼しました。  平成27年2月から29年4月まで、2年2カ月でございます。 ◆村上ひとし 委員  2年2カ月ということでしたか。2年2カ月の間、わからなかったということは非常に深刻だと思います。  先ほどのお話を聞いていると、わかったような、わからないような話ですけれども、結論からすると、医療券を発行し続けても入院しているかどうかというのはつかめないということでいいですか。 ◎大野 保護自立支援担当部長  発行し続けている状況があったとして、とりたててそれを別の人が見ておかしいと思わない限りわからない状況だと思います。 ◆村上ひとし 委員  ということは、ケースワーカーがする、あなたは何月何日に入院しましたという報告や書類上の処理をして、あるいは、システムにも入れるかもしれない。そして、要否意見書に、こういう病気やけがで、この期間、こんな治療が必要だということを医者が記入して、病院から役所に送り返してきて、それをもとに医療券も発行するということだと思うのです。  こういう一連の作業は、それぞれ見る人が別で、不備があっても気がつかなかった、そういうことですか。 ◎大野 保護自立支援担当部長  今回の場合は、そのような状況だったと思います。 ◆村上ひとし 委員  それは、大野部長、システム的に改善されたのでしょうか。 ◎大野 保護自立支援担当部長  現在、入院用の医療券と生活扶助の入院基準が自動的に連動しているシステムではなく、先ほど申し上げましたとおり、医療券が出ていたら出っ放しで、そこら辺のチェックができないようなシステムになっています。そこで、生活扶助基準が居宅基準のままで入院している方についてのチェックリストは発行することができるということで、今、そのチェックを始めているところです。  現時点では、システム全体を変えて全区というふうにはまだなっていませんが、そこについては、今後も検討していきたいと思っています。 ◆村上ひとし 委員  個々人は責任を持って仕事をされていると思いますが、私は、やっぱりいろいろな担当者が進めた仕事を誰かが総合的にチェックすることが必要だと思います。そこを十分やらないと、やっぱり、市民の皆さんも信頼という点では十分に得られなくなる可能性があると思いますので、ぜひ、システム的に同じような問題を繰り返さないような仕組みを大いに検討していただきたいと思うのです。それから、システムをつくっても、それに対応してチェックしたりいろいろな働きをする職員はやっぱり必要だと思いますので、そういう点では、体制上の問題もセットで検討していただきたいと思います。  それから、今後の北区などの対応についてお伺いします。  過大支給についてどうするのかということでありますが、返還に向けて協議を進めているというふうに聞いておりますけれども、過大支給した世帯に落ち度があったのかどうか、これが1点目です。  それからまた、不適正な事務処理が発覚してから、その世帯の方にどう対応されたのか、そして、対応する際には、最低限度の生活を保障する趣旨に実質的に反することになるおそれがあるのか否か、また、世帯の自立を阻害することがあってはならないと思いますが、そういうおそれがあるのかどうか、具体的に検討して協議していくことが極めて重要だと思いますけれども、この辺のご見解についても伺います。 ◎大野 保護自立支援担当部長  過支給が生じた世帯に対して謝罪の上、一連の経緯等を繰り返し説明して、具体的な返還について、先方のご事情やご負担を考慮しながら丁寧な対応を心がけているということでございます。具体的な状況については、今後、審査請求などの可能性もございますので、この場での答弁は控えさせていただきたいと考えております。 ○佐々木みつこ 委員長  その方の落ち度があったかどうかについては、いかがされますか。審査請求の中に入りますか。 ◎大野 保護自立支援担当部長  はい。それも含めてです。 ○佐々木みつこ 委員長  審査請求に入るということですね。 ◎大野 保護自立支援担当部長  はい。 ◆村上ひとし 委員  大野部長も当然ご存じだと思いますけれども、似たようなケースで、ことしの2月1日に東京地裁で判決が出ました。これは、どんな概要の事案かといいますと、児童扶養手当について収入認定されていなかった、それから、冬季加算の削除の処理もされていなかったということで、生活保護費の過支給が生じていたという事案であります。  これについて、少しお尋ねしたいと思うのですが、大野部長、この判決の中で行政側に対していろいろ要請されたようなことについてどう理解されているか、まず最初にお伺いいたします。 ◎大野 保護自立支援担当部長  この判例につきましては、いわゆる生活保護法の第63条の返還ということで、今回のような事例について過支給分の返還を求めたところ、裁判になりまして、その裁判の際に、第63条の返還の決定というのはいわゆる裁量処分なのですけれども、その裁量に当たり、損害の公平な負担の見地から、職員の損害賠償の請求とか、過支給費用を負担したかどうか、そういうことも、全部、裁量に入れた上で、社会通念に照らして著しく妥当性を欠くと認められると考えられまして、行政庁側を負かせたものだというようなものでございます。(「わかりやすく、裁判用語でなくていいから、市民がわかるように」と呼ぶ者あり) ○佐々木みつこ 委員長  判例の認識についてご答弁をお願いいたします。 ◎大野 保護自立支援担当部長  職員が間違ったというような事案でございます。職員が間違ったから、保護を受けている人にそれを負担させるのは、そういう間違いのところも考慮してちゃんと返還請求しなさいよと、簡単に申せばそのような形のものでございます。 ◆村上ひとし 委員  その東京地裁の事例ですが、要するに、生活保護費が過支給された、そして、それを全額返してくださいということで行政側は交渉したわけですね。ところが、その世帯が、いやいや返せない、大変だということで争いになった、ここまではいいですね。  そして、その判決が2月に出たのですが、行政側が返還を求めていることが認められなかったということです。この判決で最も注意しなければならないのは、単に漫然と返還を求めるべきではないし、それはだめですよということを言っているんですよ。だから、これから協議されると思いますが、生活保護費自体、最低限の生活を保障するお金ですから、その返還が本人にとってどうなのかということを十分慎重に議論しなきゃならない、協議しなきゃならないということだと思います。  ですから、その辺も含めて、当然、本人の大変な事情もいろいろあると思いますけれども、こうした判例も出ていることも踏まえて、慎重に対応していくべきだということを指摘しておきたいと思います。  最後ですけれども、やはり、20代がちょっと多いんじゃないでしょうか。若い人がだめだということを言っているんじゃないんです。やっぱり、それをサポートする体制がまだ不十分であろうということです。それから、医療、介護だとか年金だとか、いろいろな制度が急速に変わってきています。また、高齢者もふえているし、貧困も拡大している中では、学校を出た20代前半のケースワーカーが、自分のお父さん、おじいちゃんのような方に対応していくのは極めて大変だと思うのです。  そういう意味で、保護課のケースワーカーの体制のあり方を抜本的に改革するための検討に入るべきだと思いますけれども、長谷川局長、どんなふうに考えていらっしゃいますか。 ◎長谷川 保健福祉局長  段々のお話がございましたが、体制の整備については、部長の答弁にございましたように、これまでも続けてきているところでございます。  ただ、委員からもご指摘がございましたように、今の問題は、ただ単に職員が若いからというところで生じているものではなくて、それをサポートする体制も含めてこれから検討していきたいと思います。また、これは初めてでございますが、外部の意見も入れながら、今の区保護課の体制を今後どうしたらいいかということについてきちんと検討していきたいというふうに考えてございます。 ○佐々木みつこ 委員長  以上で、第4項 生活保護費の質疑を終了いたします。  以上で、本日の質疑を終了いたします。  次回は、明後日10月13日金曜日午前10時から、保健福祉局関係のうち、高齢保健福祉部、保険医療部、保健所及び衛生研究所の質疑を行いますので、定刻までにご参集ください。  本日は、これをもちまして散会いたします。     ――――――――――――――       散 会 午後6時6分...