札幌市議会 2017-02-27
平成29年第 1回定例会−02月27日-02号
平成29年第 1回定例会−02月27日-02号平成29年第 1回定例会
平成29年 第1回定例会
札 幌 市 議 会 会 議 録 ( 第 2 号 )
平成29年(2017年)2月27日(月曜日)
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〇議事日程(第2号)
開議日時 2月27日 午後1時
第1 議案第37号、第38号、第49号、第55号(市長提出)
陳情第240号
(5件に対する
委員長報告等)
第2 議案第61号、第62号(市長提出)
第3 議案第1号から第36号まで、第39号から第48号まで、第50号から第54号まで、
第56号から第60号まで(市長提出)
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〇本日の会議に付した事件
日程第1 議案第37号 西2丁目
地下歩道新設工事請負変更契約締結の件
以上でございます。
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○議長(鈴木健雄) これより、議事に入ります。
日程第1、議案第37号、第38号、第49号、第55号、陳情第240号の5件を一括議題とします。
委員長報告を求めます。
まず、
財政市民委員長 村上ゆうこ議員。
(
村上ゆうこ議員登壇)
◆
村上ゆうこ議員 財政市民委員会に付託されました議案3件について、その審査結果をご報告いたします。
最初に、議案第37号 西2丁目
地下歩道新設工事請負変更契約締結の件及び議案第38号 円山動物園(仮称)
ゾウ舎新築工事請負契約締結の件についてですが、主な質疑として、今回の
請負変更契約は掘削中に判明した埋設物の撤去等によるものだが、施工現場付近で過去に多数の工事が行われていたことを踏まえると、最初の設計段階でしっかり事前調査すべきではなかったのか。円山動物園(仮称)
ゾウ舎新築工事の入札について設定した調査基準価格、落札率や失格業者数はどうだったのか等の質疑がありました。
討論はなく、採決を行いましたところ、いずれも全会一致、可決すべきものと決定いたしました。
次に、議案第55号 平成28年度札幌市
公債会計補正予算(第4号)についてですが、質疑・討論はなく、採決を行いましたところ、全会一致、可決すべきものと決定いたしました。
以上で、報告を終わります。
○議長(鈴木健雄) 次に、文教委員長 山口かずさ議員。
(山口かずさ議員登壇)
◆山口かずさ議員 文教委員会に付託されました陳情第240号
公立夜間中学校のすみやかな設置を求める陳情について、その審査結果をご報告いたします。
主な質疑といたしまして、
公立中学校夜間学級へ就学したい方が潜在的に多くいる中、入学要件を厳格に整理するには詳細なニーズ調査が必要だが、どのように実施していくのか。四半世紀の実績がある札幌遠友塾の取り組みは参考となる内容が多くあると考えるが、
公立中学校夜間学級にどのように生かしていくことができるのか。夜間中学の整備と拡充等を求める意見書を国に提出した本市議会の強い意思を踏まえ、本市も主体的な立場で具体化していくことが重要と考えるが、どうか。
公立中学校夜間学級の設置に当たっては、
教育機会確保法の基本理念にもうたわれている、国や民間団体等との密接な連携が非常に重要と考えるが、どのように実現していくのか。また、道との役割分担の協議や多くのノウハウを持つ札幌遠友塾との連携等が必要であり、
教育機会確保法で定める協議会を組織し、積極的に活用すべきと考えるがどうか等の質疑がありました。
これらに対し、理事者からは、ニーズ調査は、札幌遠友塾、
若者支援総合センター等との連携や義務教育未修了者、形式的卒業者が利用することが想定される場所での
アンケート実施など、より多くの方々のニーズを酌み取る方法について工夫してまいりたい、
公立中学校夜間学級を開設するためのソフト面、ハード面の検討など、
北海道教育委員会とも連携・協議し、学校の構想等を着実に進めてまいりたい旨の答弁がありました。
続いて、討論を行いましたところ、自由民主党・伴委員、日本共産党・池田委員から、採択すべきものとの立場でそれぞれ意見の表明がありました。
採決を行いましたところ、陳情第240号は、全会一致、採択すべきものと決定いたしました。
以上で、報告を終わります。
○議長(鈴木健雄) 次に、建設委員長
飯島弘之議員。
(
飯島弘之議員登壇)
◆
飯島弘之議員 建設委員会に付託されました議案第49号 平成28年度札幌市
一般会計補正予算(第5号)について、その審査結果をご報告いたします。
主な質疑として、除雪費の補正について、12月の記録的な大雪を受け、作業の増大による財源不足は理解するが、今後の気象状況も十分勘案して予算額を算出すべきと考えるが、どうか。
冬季アジア大会開催に伴う除排雪の強化に当たり、臨時に多額の経費を要することから、国による財政措置が必要と考えるが、関係省庁への要望は行っているのか。バス路線における除排雪について、今冬の大雪に伴う運休や大幅な遅延が市民生活に大きな影響を与えたことから、今後、同様の事態を防ぐためにどう対応していくのか等の質疑がありました。
討論はなく、採決を行いましたところ、議案第49号は、全会一致、可決すべきものと決定いたしました。
以上で、報告を終わります。
○議長(鈴木健雄) ただいまの各委員長報告に対し、質疑はありませんか。
(「なし」と呼ぶ者あり)
○議長(鈴木健雄) 質疑がなければ、討論の通告がありませんので、採決に入ります。
議案4件は可決することに、陳情1件は採択することにご異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○議長(鈴木健雄) 異議なしと認めます。
したがって、議案4件は可決することに、陳情1件は採択することにそれぞれ決定されました。
――
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○議長(鈴木健雄) 次に、日程第2、議案第61号、第62号の2件を一括議題とします。
いずれも、市長の提出によるものです。
提案説明を求めます。
秋元市長。
(
秋元克広市長登壇)
◎市長(秋元克広) ただいま上程をされました議案2件につきましてご説明申し上げます。
まず、議案第61号は、
固定資産評価審査委員会委員選任に関する件であります。
札幌市
固定資産評価審査委員会委員であります原 敦子氏は、来る3月27日をもって任期満了となりますが、引き続き同氏を選任することを適当と認め、議会の同意を得るため、本案を提出したものであります。
原 敦子氏は、昭和59年に弁護士の登録をされ、現在、
北海道公安委員会委員等をされているほか、平成26年3月から札幌市
固定資産評価審査委員会委員に就任されている方であります。
次に、議案第62号は、札幌市
オンブズマン委嘱に関する件であります。
札幌市
オンブズマンであります岩田雅子氏、三木正俊氏の両氏は、いずれも来る2月28日をもって任期満了となりますが、岩田雅子氏につきましては引き続き委嘱することを適当と認め、また、三木正俊氏の後任者といたしまして房川樹芳氏に委嘱することを適当と認め、議会の同意を得るため、本案を提出したものであります。
岩田雅子氏は、現在、
札幌地方裁判所及び
札幌簡易裁判所の
民事調停委員をされているほか、
北海道公害審査会委員等をされている方で、平成27年3月から札幌市
オンブズマンに就任されております。
房川樹芳氏は、昭和57年に弁護士の登録をされ、
札幌弁護士会会長、
日本弁護士連合会副会長等を歴任された方であります。
両氏とも、人格、識見ともに高く、札幌市
オンブズマンとして適任と考えるものであります。
以上で、ただいま上程をされました各議案についての説明を終わりますが、何とぞ原案のとおりご同意くださいますようお願いを申し上げます。
○議長(鈴木健雄) これより、質疑の通告がありませんので、質疑を終了し、討論に入ります。
通告がありますので、発言を許します。
松浦 忠議員。
(松浦 忠議員登壇)
◆松浦忠議員 私は、ただいま上程されました人事案件の中で、
オンブズマンについて反対の立場で、討論をいたします。
オンブズマン制度というのは、皆さん、ご承知のように、1990年、川崎市で初めて導入をされました。その前には、埼玉県で、すぐやる課、こういうのが導入された市があったり、いわゆる行政に対する市民の不満、そして、議員に対する市民の不満、こういう中から、ヨーロッパに発祥したこういう制度が導入されたわけであります。その後、都道府県、あるいはまた各自治体でこれらの制度が導入されたわけでありますが、川崎市は、導入のときの
オンブズマンは2名であります。川崎市は2名、本市は、その後、3名で発足いたしました。そして、今現在、既に
オンブズマンの制度がマンネリ化をしている、こういう中から廃止をした市も出ております。埼玉県の鴻巣市であります。ここは、人口が11万8,000人のまちであります。廃止をしております。
私は、
堀川議員ともども、もう
オンブズマン制度は廃止していいのではないかということをかねがね時の市長に申し上げてきました。その理由というのは何か。
オンブズマン、少し方言的に言うと、おんぶしてもらって、だっこしてもらって楽だなと、
オンブズマン。誰が楽なのか。市長と市の職員、そして議員であります。本来、市長と市の職員、そして私ども議員は、憲法のもとにある各種法律、地方自治法、これらの解釈をめぐって、市民が行政に対してこれは違うんでないか、今は合わないんでないか、いつできた制度だ、戦後すぐです、もう70年もたっています、そのときと今の札幌市民の人口だとか、あるいは人の生活形態、変わっているんじゃないかと。でも、市の職員はかたくなに前例を踏襲していきます。一方、議員のほうも、市の職員の説明を求め、そこといろいろ見解を述べ合うわけでありますけれども、どうも説得し切れぬ。まあ、市民に対しては、残念ながら、皆さんの考えていることは受け入れてもらえぬということで答える。そうすると、市民は、何でこんなことがということで不満を持つ。そこで、
オンブズマンのところに行く。何件かは、直接、市民が市の職員に問いただしたこと、拒否されたこと、あるいは、議員を通じて問いただして拒否されたこと、これらを
オンブズマンが解決する。そうすると、市民は、頼りになるのは
オンブズマンだ、議員よりも
オンブズマンだ、こうなるわけであります。
これをよくよく考えてみると、私自身の立場が危うくなる、身分が。そういうことを考えたら、やっぱり、これは
オンブズマンはやめたほうがいいなと。しかし、一気にやめると、これまた、いろいろと、市民からも、おまえたち、そんなにいつ豹変したんだ、こう言われますから、段階的に減らすのがいいんではないか。川崎市は最初から2人でやっているんですから、したがって、札幌市もまずは2人に減らすべきではないですかということを上田市長の時代から私どもは求めてきております。
今、市長が提案された方の能力、識見、人格、これにおいてとやかく言うのではありません。私、議員松浦 忠と、そして秋元市長を初めとする約1万4,000人の職員の皆さん、いわゆるこの身分にかかわるから、私はやめるべきでないかと。とりあえず、まずは1名減らすべきではないですかと申し上げているのが反対の理由でございます。
どうぞ、議場におられます皆さん、それぞれの身分にかかわる問題でありますから、ぜひひとつ、私ども、堀川議員も、反対しているこの理由についてよくよく考えていただいて、特に鴻巣市が既に廃止をしている、こういう事実について、恐らく皆さんは知らなかったのではないかと思うのです。私も、今回、調べてみて初めてわかったんです。そういうことなので、ぜひひとつ、これについてみんなで反対をしていただくことを皆さんに求めまして、終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○議長(鈴木健雄) 以上で討論を終了し、採決に入ります。
この場合、分割して採決を行います。
まず、議案第62号を問題とします。
本件を同意することに賛成の方は、ご起立願います。
(賛成者起立)
○議長(鈴木健雄) 起立多数です。
したがって、本件は、同意されました。
次に、議案第61号を問題とします。
議案第61号を同意することにご異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○議長(鈴木健雄) 異議なしと認めます。
したがって、議案第61号は、同意されました。
――
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○議長(鈴木健雄) 次に、日程第3、議案第1号から第36号まで、第39号から第48号まで、第50号から第54号まで、第56号から第60号までの56件を一括議題とします。
ただいまから、代表質問に入ります。
通告がありますので、順次、発言を許します。
佐々木みつこ議員。
(佐々木みつこ議員登壇・拍手)
◆佐々木みつこ議員 私は、ただいまから、自由民主党議員会を代表し、本定例市議会に上程されました平成29年度予算案、その他議案並びに市政の諸課題について、順次、質問を行います。
最初に、市長の政治姿勢について伺います。
まず、平成29年度予算における建設事業や経済活性化に対する考え方について伺います。
平成29年度の
一般会計予算額は過去最高の9,965億円となり、特別会計、企業会計も合わせた全会計では1兆6,532億円となったところであります。しかしながら、これは、これまで道が所管していた義務教育教職員の給与等の負担、教職員定数や学級編制基準の決定に関する権限が移譲された影響によるものであり、北海道の歳出を札幌市につけかえたことと見ることもでき、その要素を除くと、一般会計では、前年度比1.7%減の9,207億円、全会計においても、1.5%減の1兆5,775億円であります。
我が会派は、これまでも、繰り返し、積極的な投資が雇用回復や所得環境の改善を図り、個人消費や民間投資を力強くするために必要であると主張してきたところであります。平成31年度までの中期実施計画であるアクションプランにおいては、建設事業について毎年1,000億円規模を確保するとともに、都心の再開発などこれからの札幌市を再構築する大型事業を積極的に展開していくこととしておりますが、このたびの平成29年度予算における建設事業費を見ると、一般会計では1,121億円となり、1,000億円は確保しておりますが、前年度比で171億円、13.2%の減となっており、いささか物足りなさを感じるところであります。
また、先月の総務省統計局が発表した平成28年の住民基本台帳人口移動報告によると、札幌市への転入者は9,137人となり、前年を上回ってはいるものの、北海道全域では、転出超過が6,874人となり、4年連続で都道府県別で最も転出者が多い状況でありました。この北海道全体の人口減少が続くことは、言うまでもなく、近い将来、札幌市の活力衰退にもつながる憂慮すべき事態と考えます。
さっぽろ未来創生プランにおいても、特に20歳代の首都圏への大幅な転出超過が課題となっており、特に男性においては、市内、道内に希望の就職先がなく、首都圏へ行かざるを得ないといった状況にあり、中でも、理系の大学や大学院を卒業した男性はその傾向が顕著で、このことが、ひいては札幌市の合計特殊出生率の低さにもつながっていると分析しているところであります。こうしたことから、札幌市が先頭に立ち、しっかりと経済の活性化を図り、雇用の場を確保することが人口減少対策の面からも求められるものと考えます。
そこで、質問ですが、市長は、今後の雇用の受け皿にもつながる建設事業費の確保をどのように行っていく考えか、また、このたびの平成29年度予算において、経済活性化の観点でどのような取り組みを行っていく考えか、伺います。
次に、増収への考え方について伺います。
これまでも、我が会派は、収入の確保の重要性について繰り返し訴えてきたところであり、昨年の第3回定例市議会においても、中期財政フレームについては、地方交付税や扶助費など今後の動向が不透明な部分も多いことから、一般財源の中で、特に市税などの自主財源の確保をしっかりと図り、アクションプランに盛り込んだ事業を確実に実施していくことが重要であると指摘したところであります。
平成29年度予算においては、アクションプランに掲げた事業、プラス、プラン策定後の社会情勢等の変化を踏まえ、喫緊の課題にも対応したものになっておりますが、今後もさらに臨機応変に対応していくことが求められます。また、アクションプランにおけるさらなる内部効率化や企業会計繰出金の見直しについても、歳出面だけの取り組みではやや限界があらわれてきている感があり、やはり、本市の歳入の基幹となる市税を中心とした自主財源の確保が重要と考えます。
そこで、質問ですが、市税を初めとする自主財源の確保について、どのように増収を図っていく考えか、伺います。
次に、都心整備について伺います。
まず、1点目は、今後の都心整備の考え方と進め方についてであります。
全国的な景気浮揚の流れにより、札幌都心部でのオフィスの空室率は下がり続け、昨年の夏ころからは、全国主要都市よりも低い3%台を維持している中で、札幌オリンピックを機に整備されたビルは建てかえ時期を迎えております。また、平成28年度上期に札幌を訪れた観光客は880万8,000人で、前年度上期より約3%の増加となっており、民間は投資のチャンスと捉えています。
これから、冬季オリンピック・パラリンピックの招致、北海道新幹線の札幌開業を見据えた民間事業者による再開発の動きが活発化するここで、今後の人口減少に歯どめをかける、稼げるまちづくりを進められるか否かが本市の将来を大きく左右するものと、これまでも我が会派は指摘をしてきたところであります。
民間事業者による再開発の動きは、現在、ホテルを中心とした事業が多いように見受けられますが、稼げるまちづくりを進めるためには、企業誘致を促すようなオフィス供給の誘導や、災害時でも業務継続可能なエネルギー供給体制の構築なども必要と考えます。また、都心部においては、本市も多くの取り組みを検討しており、中でも、札幌都心部と高速道路を結ぶ創成川通の機能強化により、観光やビジネス、物流などの面で大きな効果が期待されるとともに、北海道新幹線の札幌開業に向けた札幌駅周辺の再開発については、北5西1街区、西2街区や旧札幌西武百貨店跡地についても動きが見られるようになり、本市の新たな玄関口での札幌の顔づくりという点で大いに期待しているところであります。
さらに、MICE施設や博物館といった新規市有施設の整備、JR札幌駅と大通に分散したバスターミナルの再編、都心全体をつなぐ地下歩行ネットワークの拡充検討など、札幌都心部の魅力をさらに高める重要な取り組みが検討されております。このほか、中央区役所及び本庁舎の建てかえなども検討されており、本市の都市部が大きく変化していくことに期待感を持っているところであります。
これらの事業によるまちづくりへの波及効果を最大化していくためには、民間事業者の再開発による動き、本市が検討を進めているさまざまな事業について、個別ばらばらに進めるのではなく、札幌ブランドを確立するという大きな考え方のもと、国内外の活力を取り込む一つの方向に事業を束ねていくことが必要と考えます。
一方で、中長期的な本市の財政状況を踏まえると、大きな投資を伴うさまざまな事業を同時並行で進めていくことは現実には困難で、各事業に優先順位をつけ、計画的、戦略的に進めていくことが重要であります。
そこで、質問ですが、今後、冬季オリンピック・パラリンピックの招致、北海道新幹線の札幌開業に向け、官民合わせて都心への投資が増加していく中で、市長のかじ取りが大変重要な役割を担っていくものと考えており、この観点において、今後の都心整備の考え方と進め方について、市長のお考えを伺います。
2点目は、路面電車の車両導入計画と今後の経営の見通しについてであります。
路面電車については、平成27年12月にループ化が開業し、以降、乗車人員も好調に推移している一方、昨年12月10日の大雪による終日の運休や、ことし2月2日の違法駐車による運行遅延など、依然として課題もあると認識しております。
また、車両については、ループ化開業当時、3両の低床車両が導入され、バリアフリー対応となることで利便性の向上が図られたばかりでなく、そのポラリスの魅力的なデザインにより観光客を含む多くの人を引きつけるなど、ループ化した風景と相まって、札幌の新たな魅力となっているところであります。
しかしながら、路面電車活用に関する基本的考え方と方向性を示した札幌市路面電車活用計画やその実行計画である軌道運送高度化実施計画によれば、ループ化後も、毎年、低床車両を導入するとのことでありましたが、その後、導入はなく、現在に至っております。
そこで、質問ですが、平成29年度より、ポラリスとは形式の異なる低床車両を導入するとのことでありますが、これまでの低床車両導入計画のおくれについてどのように考えているのか、また、今後の導入計画について伺います。
さらに、路面電車の計画は、ループ化の開業、料金改定の実施、そして低床車両の導入と全て当初の計画からおくれており、経営計画においても、当初計画の平成33年度ごろの単年度黒字予定は、既に昨年6月の審議会で平成35年からの予定と、おくれる予定が出ています。今後の予定する計画には上下分離制度の導入がありますが、効率的な運行と利用者サービスの向上を図り、持続可能な経営のために必要なものと聞いており、その導入には、まさかおくれが生じることのないよう着実に進めていただきたいと考えます。
そこで、質問ですが、さきの平成28年第1回定例市議会における我が会派の村松議員の代表質問を初め、さまざまな場において、上下分離制度の導入時期の答弁では平成30年代前半と伺っておりますが、改めて現時点での見通しについて伺います。
次に、観光振興について伺います。
まず、産業振興の視点による観光施策の展開についてであります。
ことしの雪まつりは、日程や天候に恵まれ、過去最高の264万人余りの観客動員を記録しました。また、ここ数年の外国人入り込み数も急拡大しており、平成27年度の外国人宿泊者数は190万人を突破し、この4年間で4倍以上になっています。観光を地方再生の切り札の一つと位置づけている国は、インバウンドの入り込み4,000万人、道も500万人を目標に掲げており、本市としても、早急に明確な将来展望を数値化する必要があると考えます。
しかしながら、これまでの観光施策は、観光資源やイベントの魅力アップなど、観光客誘致や客数拡大ばかりに主眼が置かれていましたが、数が一定水準に達した今の段階にあっては、観光客の方々の消費拡大を図り、ホテルなどの観光関連産業の投資意欲を喚起するなど、経済的な果実をしっかりと確保し、売り上げ、利益、雇用などといった地域産業に対する具体的な効果を上げる施策へと転換すべきであります。
平成27年度に策定した本市のまちづくり戦略ビジョン・アクションプラン2015では、観光を北海道、札幌の経済成長を牽引する産業分野であると位置づけ、機構改革では、経済と観光部門を統合して経済観光局としたことは一定の前進でありますが、今後は、産業振興にふさわしい目標設定を行い、それを実現するための具体的な取り組みを推進することが重要と考えます。
そこで、質問ですが、来年度改定予定の観光まちづくりプランにも産業振興としての観点を反映させ、目標と取り組みを明示していくことが重要であると考えますが、どのような方向性を持って改定を進めていくのか、伺います。
続いて、観光客に対する空港アクセス環境の満足度向上について伺います。
記録的な大雪でスタートしたこの冬は、降雪が交通に与える影響の大きさを改めて思い知らされた年となっています。昨年12月22日から24日にかけての大雪の際には、新千歳空港で欠航が相次ぎ、空港ビル内での長時間の滞在を余儀なくされた多くの観光客からは、極めて厳しい不満の声も聞かれるなど、北海道、札幌のイメージダウンを招いたのではないかと大いに懸念されるところであります。
観光立国を目指す国にとって、また事業者にとっても、北海道のインバウンドに対する期待は大変大きく、ことし3月から拡大される新千歳空港の発着枠には、国内外の11社から週往復79便の国際定期便が国土交通省に申請されていると聞いております。
こうした環境下において、新千歳空港と札幌の間の交通アクセスは、量的に拡充することはもとより、質的にも利用者の満足度を満たすものとなっていくことが重要であります。特に冬期間は交通の乱れが生じやすいものであり、札幌も、冬の魅力を強みとしている以上、大雪などを理由に観光客の満足感を損ねるようなことは極力避けるべきであり、交通環境の整備充実に加え、交通アクセスに関する情報提供の強化など、あらゆる対策を講じていくべきであります。当然、新千歳空港とのアクセス改善は、国や道、交通事業者などにもかかわることでありますが、まずは、本市として、こうした課題認識に立ち、改善に向けたアクションを率先して起こすべきと考えます。
そこで、質問ですが、インバウンドを初めとした来札観光客の満足度を向上させるために、新千歳空港からの交通アクセス環境の整備・改善について、札幌市としてどのように考えているのか、認識を伺います。
次に、若者が定着するまちづくりについて伺います。
札幌市は、民間メディアにおける調査において、移り住んでみたい自治体で全国1位となったことが注目されており、他の地域ブランド調査においても、例年、上位に評価されているところであります。札幌市が全国でもトップクラスのシティーブランドを有していることは大変誇るべきことであり、この評価が認知度の向上にもつながり、観光や移住を初め、さまざまな場面で優位に働くものと考えられます。
しかしながら、現実には、さっぽろ未来創生プランで主要指数として掲げ、縮小を目指している20代の道外への転出超過数は、依然として2,000人以上の水準で推移しており、ブランド力が若者の定着に結びついてはいないところであります。札幌には教育機関が集積していることもあり、進学を機に道内から若者が集まる傾向にあるものの、その多くが市内、道内への就職を希望していながらそれがかなわず、首都圏に転出している実態にあるものと考えられます。
そこで、質問ですが、札幌市は、都市ブランドへの高い評価を受けているにもかかわらず、若者の転出超過が拡大しているという現実をどのように捉えているのか、市長の認識を伺います。
さらに、札幌市の転出超過のこれまでの傾向を見ますと、首都圏の求人に比例して拡大することが見てとれ、今後の景気動向によっては、首都圏の求人がふえ、これまで以上に若者の道外流出が広がるのではないかと懸念されるところであります。
少子高齢化が進む中、地域や地元企業にとって、将来を担う働き手である若者が流出してしまうことは、まさに死活問題とも言えます。首都圏への転出超過は、札幌市と同様に、全国でも地方都市の課題となっており、都市間競争が激化している中、これまでの都市ブランドだけではなく、若者の定着に結びつけるようなまちづくりを進めることが肝要であり、そのためには、建設投資によるハード面の開発や個々の産業振興策を強化し、雇用を創出していくことはもとより、長期的に先を見据えた広い視野を持って取り組むことが必要と考えます。
そこで、質問ですが、若者が定着し、人や企業を呼び込めるまちづくりについてどのように取り組む考えか、伺います。
次に、医療分野の産業集積と第4次産業革命について伺います。
国は、経済社会全体にわたる大きなうねりをつくり出すため、戦後最大となる名目GDP600兆円の実現を掲げ、その大きな柱となっているのがIoT、ビッグデータ、人工知能などの先端技術を活用した第4次産業革命であります。特に、私は、国が力を入れている医療分野と第4次産業革命を牽引する先端技術との組み合わせこそがイノベーションを生み出す最大のテーマであり、新たな産業集積の実現に向けて札幌が取り組むべき方向ではないかと考えます。
ここで、医療分野と先端的なIT技術が融合した事例を幾つかご紹介しますと、一つ目は、精密医療であります。これは、個人の生活習慣や遺伝子の情報に基づき、少ない副作用で高い治療効果を発揮する革新的な医療であり、特にがんの分野で、最近、大きな注目を集めております。二つ目は、人工知能であります。既に医療分野への応用も本格的に始まりつつあり、その人工知能の情報収集、分析能力が特殊な白血病患者の病名も10分ほどで見抜き、抗がん剤の種類を変えるよう提案し、患者の命を救った事例もあるとのことです。
こうした解析技術が進化する一方で、もととなるデータベース、すなわち血圧や脈拍といった生体情報、医療機器で撮影した画像データ、さらには、遺伝子情報などを集めた医療ビッグデータの構築が急務となっております。この医療ビッグデータは、国民のさらなる健康につながるだけでなく、新たな産業を生む可能性もあり、非常に大きな期待が寄せられるところであります。
このような状況のもと、札幌市にあっては、全国的にも最先端の研究をする北海道大学医学部や札幌医科大学があり、医療分野の産業集積に向けて大変すぐれた地域資源を有していると考えます。神戸の医療産業都市、川崎のキングスカイフロントなど、さまざまな地域が医療を軸とした産業振興に取り組んできており、海外でも同様な動きがあることから、札幌における医療分野の産業集積は、その特色を十分に生かし、差別化していくことが不可欠であります。
さらに、今後の注目すべき観点は、IT産業の集積と業種を超えた連携と拡大による産業の活性化を目指す視点であります。先ほど事例に挙げたような医療分野と第4次産業革命を牽引する先端技術を融合した取り組みを札幌で生み出し、発信するチャンスが到来しているのではないでしょうか。
市内では、札幌市IoTイノベーション推進コンソーシアムが立ち上がるなど、新たなビジネスの創出に向けた動きが見られることから、すぐれた地域資源をつなげ、成功の面的な広がりを生み出していくことで産業集積を図ることが重要であり、そのためには、特区や規制緩和などの活用を検討することが有効であると考えます。このような医療分野の新たな産業集積の実現は、本市において大きな政策課題となっている人材の流出、特に道外流出の著しい理系男子の雇用創出にも大いに期待できるものであります。
そこで、質問ですが、医療分野の産業集積を進めるに当たって、第4次産業革命のキーワードとなるIoT、ビッグデータ、人工知能などの先端技術との組み合わせも視野に入れつつ、他都市との差別化も図りながら、札幌の強みを発揮していくべきと考えますがいかがか、伺います。
次に、札幌市パートナーシップ制度について伺います。
いわゆる性的マイノリティーに関しては、社会の理解が必ずしも進んでいるとは言えず、いじめや差別、偏見をなくさなければならないものと認識しております。しかし、同性婚やそれに相当する法制度については、国民的な議論を経た国政での法律改正が必要であり、自治体の権限の範疇ではなく、多くの市民もこのような認識に立っているものと考えるところです。
日本国憲法や民法は、婚姻を男女の関係に限っており、これは、国の将来の担い手である子どもを安心して産み、健やかに育つように、男女の親の関係を強化して保護、優遇しているものであります。
市の提案しているパートナーシップ制度については、さきの
財政市民委員会において、性的マイノリティー当事者の気持ちを受けとめる趣旨であり、法的な権利や義務を一切生じないものとの説明を受け、理解したところであります。
また、IOC、国際オリンピック委員会が、オリンピック憲章において、いかなる種類の差別も受けることなくと2014年に明文化したことなど、オリンピック・パラリンピック招致を目指す札幌市としてさまざまな多様性を認めることは必要と考えます。
しかしながら、内閣府などの調査からも、日本国内における性的マイノリティーの人権課題についての認知度は極めて低い状況にあり、加えて、札幌市のパートナーシップを取り上げた報道の中の表現でさえ、結婚に相当する関係として認める制度といったものもあり、市民の中には札幌市が同性婚を認めるかのような誤解をした人も少なくないのではないかと思われます。
我が会派としては、パートナーシップ制度やその他の性的マイノリティーに対する支援を円滑に進めていく上で、札幌市として、制度を利用する性的マイノリティー当事者のみならず、制度を利用しないが、受けとめる立場となる市民に対し、その取り組みについて実態を把握し、理解を求め、不安を払拭することが重要なことと考えます。
そこで、質問ですが、改めて、いわゆる同性婚との関係でパートナーシップ制度はどのような位置づけになるのか、伺います。
また、先ほどの報道などにより市民に混乱がある状況を踏まえて、性的マイノリティー当事者のみならず、一般市民に対しても制度趣旨を知っていただくために、一定の周知期間が必要と考えるがいかがか、お伺いします。
次に、女性の活躍推進について伺います。
これまで、札幌市は、女性の再就職支援やワーク・ライフ・バランスの推進、保育定員の拡大等といった女性の社会参加の推進に資する事業に取り組んでおります。それにもかかわらず、平成24年の数値ではありますが、札幌の女性の有業率は、東京都区部を含めた21大都市の中で19番目の水準となっており、女性が社会で働く割合が低い水準にとどまっております。ここ数年のうちに人口減少に転じていくことが見込まれる札幌市にあっては、持続的な発展を図るため、札幌に暮らす女性がより一層活躍できるまちを目指していくことが重要と考えます。
平成28年度版少子化社会対策白書によると、仕事を続けたかったが、仕事と育児の両立の難しさでやめた人が退職者の26.1%を占めるなど、依然として女性の就労継続は厳しい状況にあります。また、共働き家庭がふえてきたとはいえ、家庭での家事、育児、介護の負担は依然として女性に偏っており、男性の働き方や社会の意識を変えていかなければならないと考えます。さらには、女性が社会で活躍するには、配慮すべきさまざまな観点があることを忘れてはなりません。例えば、女性はライフステージごとに特有の心身の変化が生じるため、それに的確に対応した健康支援対策やその配慮も求められます。
我が会派では、日ごろから、積極的に機会を捉え、さまざまな立場で働く女性の意見を伺っており、先日も、女性起業家が運営するレンタルサロンを視察してまいりました。そこでは、女性のためのつながるオフィスとして、ビジネスにおける知識や経験の習得、女性経営者のネットワークの構築支援に取り組んでおられ、本市の施策に不足する点や総合的な相談窓口の設置の必要性など、さまざまな意見を伺ってきたところであります。
今回上程された平成29年度予算案の中では、経済・雇用と子ども・子育て支援、そして女性の活躍推進の3本柱を打ち出しています。女性の活躍推進では、官民協働の会議体を立ち上げ、女性一人一人の希望に応じた活躍を社会全体で応援するための施策の検討を行う事業が盛り込まれており、同時に、女性を対象としたアンケート調査及びヒアリングを行うとしています。
ぜひ、施策の検討、構築に当たっては、社会の現場で実際に活躍している女性のみならず、活躍を望みながらかなわずにいる女性を含めて、それぞれに抱える課題や必要とするニーズといった生の声を酌み取りながら進めていくことを期待しております。
そして、何より会議で議論して終わりではなく、早期に具体的な取り組みを進めていくことが必要であり、そのためには、まず、市長の意気込みとして、目指すまちの姿を明確にしていただくことが重要と考えます。
そこで、質問ですが、次年度予算の3本柱の一つに、女性の活躍推進を掲げられ、取り組みを強く推し進めていかれるとのことですが、秋元市長は、この取り組みを通じてどのようなまちを目指すのか、伺います。
次に、日本ハムファイターズの新球場建設構想について伺います。
本件につきましては、昨年12月3日の4者協議において、札幌ドームはこれまでどおりの多目的施設としての継続となり、12月19日、ファイターズ球団が日本ハム株式会社本社とタスクフォース、緊急性の高い問題を処理するための組織を設置し、新球場の建設を目指して平成30年3月までに一定の方向性を出すと公表され、その翌日には北広島市が新球場誘致に向けた構想を提案したところであります。
このような動きの中で、市長としても、札幌ドームではなくても、ファイターズにはぜひ札幌に残ってもらいたいとの思いから、市内での新球場の建設に向けての検討に転じたものと認識しており、いち早く、新球場の候補地を探し、提案し、球団との具体的な協議に入るべきと考えます。
市長は、これまでの記者会見において、交通アクセスがよく、一定程度のまとまった土地を探した上で、今年度中あるいは新年度明けにも提案ができるようにしていくとのことでありましたが、先週、豊平区の学校法人八紘学園所有地や北大構内を候補地とする方向で協議との報道もあり、その事実と真意をはかりかねているところであります。
そこで、質問ですが、新球場建設の候補地を含めて、ファイターズへの提案に向けた検討の進捗状況がどのようになっているのか、伺います。
次に、スポーツ都市を目指した施策について、数点伺います。
まず、冬季アジア札幌大会の成果についてであります。
本市で3回目の開催となる冬季アジア大会は、札幌のウインタースポーツの歴史に新たな一ページをつけ加え、昨日、無事閉幕しました。本大会は、選手、役員数が2,000名を超え、これは、1972年の冬季オリンピックを大きく上回るものであり、本市が開催してきた国際スポーツ大会では、歴史上、最大の規模の大会でありました。
市長は、かねてより、このアジア大会をオリンピック・パラリンピック招致の試金石と位置づけ、昨年の第4回定例市議会においても、札幌が持つ大規模国際大会の高い運営能力と、ボランティアや市民の皆さんによる札幌ならではのおもてなしによって、この大会を必ずや成功に導き、将来のオリンピック・パラリンピック招致に弾みをつけたいと答弁をしております。
大会運営は、大きなトラブルもなく、主催者のアジアオリンピック評議会からも高い評価をいただいたと伺っておりますが、改めて、本市の大会運営能力の高さを世界に示すことができたものと考えます。一方で、単に大会が無事終了したからそれでよしとするのではなく、この冬季アジア大会を本市におけるウインタースポーツのさらなる振興、ウインタースポーツ文化の醸成にしっかりとつなげ、将来、オリンピック・パラリンピックを開催するにふさわしい都市にすべきと考えます。
平成29年度予算には、冬季オリパラ招致にかかわる予算として、招致機運醸成のための事業費や、札幌ドーム周辺の土地利活用にかかわる計画調査費を計上しておりますが、まずは、今回のアジア大会の成果をしっかりと総括し、次の歩みに生かすことが重要であります。
そこで、質問ですが、今回の冬季アジア札幌大会は、シティPRや市民の盛り上がり等の観点から、どのような成果があったと考えているのか、伺います。
次に、さっぽろグローバルスポーツコミッションについて伺います。
札幌、北海道は、良質な雪と冷涼な気候、さまざまなスポーツに対応する屋内外の高品質なスポーツ施設とそのアクセス性、そして、国際大会の実績など豊富なスポーツ資源に恵まれています。スポーツコミッションは、平成28年3月に設立された非営利公的組織で、スポーツ資源を生かし、冬季国際大会並びに合宿やスポーツイベント、国際会議の誘致を、道内市町村と連携し、地域活性化と交流人口拡大に貢献することを目的につくられたものです。
平成28年度実施計画では、プロモーションのための情報発信、調査、人脈形成を行いながら国際大会、合宿誘致を具体的に進めるとともに、スポーツを通じた集客交流を促進し、冬季アジア大会からボランティア管理事業を受け継ぐなどして市民の活躍の場を創出するとしており、この1年で少しずつ取り組みが進み始めていると伺っております。
しかしながら、こうした誘致活動は、そもそも都市間競争にさらされており、本市ならではのノウハウを着実に蓄積し、組織強化していかなければなりません。
そこで、質問ですが、設立から、この1年においてどのような実績が得られたのか、また、今後も、本市が主体的にスポーツコミッションにかかわる重要性がある中で、内外のノウハウをもとにした札幌らしい戦略的な取り組みを機動的かつ柔軟に行えるような組織体制を確立することが急務と考えますがいかがか、伺います。
次に、市民スポーツの振興の視点で、日本スポーツマスターズ2018札幌大会について伺います。
札幌市では、ライフステージや体力に応じて市民みずからがスポーツを楽しむことで健康や生きがいを得るための事業を実施しておりますが、近年の本市のスポーツ実施率調査結果によりますと、60歳代はスポーツ実施率が48%程度ですが、30歳代から50歳代のスポーツ実施率は33%程度と低迷しており、スポーツをするための仕掛けとなる取り組みやきっかけづくりがまだまだ必要であると考えられます。
こうした中で、2001年の第1回大会以来、各県または政令指定都市によって毎年開催されてきた大会、日本スポーツマスターズが札幌市で平成30年9月に開催されることが決定しており、平成29年度スポーツ局予算にも日本スポーツマスターズ2018開催準備費として700万円が計上されているところであります。
この大会は、競技性の高い、原則35歳以上の方々が対象で、シニア版国体とも呼ばれ、スポーツの普及から健全な心身の維持・向上、そして、生涯学習や社会形成までも目的としており、13競技に全国から約8,000名が参加、元トップアスリートも出場する市民スポーツの祭典であります。
本市が目指すスポーツのまちを考えれば、スポーツマスターズを単に一過性のイベントと捉えるのではなく、各種関連団体との緊密な連携をもとに、この大会を市民にさらに身近なものへとし、スポーツへの興味を高め、スポーツをすることへのきっかけにつなげるべきと考えます。
そこで、質問ですが、この大会を札幌市で開催する意義をどのように考えているのか、また、各競技団体との連携や市民への周知をどのように図るのか、あわせて伺います。
続いて、アマチュア野球振興のための球場整備について伺います。
昨年の道内野球界は、日本ハムファイターズのリーグ制覇に続く日本シリーズ優勝、さらに、高校野球では北海高校の夏の選手権大会準優勝など、北海道全体が大いに沸いた一年となりました。
このような中で、札幌市は、これまでも北海道の高校野球の聖地として歩み続けてきたところであり、今後も、それにふさわしい球場等の整備が必要であると考えますが、本市の硬式野球場の現状は、アマチュアの方々が硬式野球の大会を開催できる球場が実質的に円山球場、麻生球場の2カ所だけであり、試合日程消化のためのナイター施設の設置も困難な状況であります。また、両球場の利用状況は、稼働率が高く、その利用形態については、高校野球や大学・社会人野球の大会利用が大半を占めており、中学生の大会など多くの大会は、札幌市以外の球場での開催を余儀なくされており、保護者等からは遠征に係る負担も大きいと伺っております。
こうした状況の改善に向け、NPO法人北海道野球協議会は、札幌市内に照明つき野球場と屋内トレーニング施設の建設を求める署名活動を行い、昨年の9月2日には約15万筆の署名を、直接、市長に手交したと伺っております。また一方で、円山球場、麻生球場の老朽化が著しいことから、その老朽化対策として、平成31年度以降に両球場の大規模改修に向けた検討がされているとも伺っております。こうした大規模改修をする際には1年間の休みが必要とのことであり、野球関係者は、札幌市以外での大会の会場の確保や試合出場のための遠征費負担などを既に懸念しております。
そこで、質問ですが、約15万筆もの署名の提出があったことを踏まえ、札幌市内での新たな照明つき硬式野球場の整備と円山、麻生の両球場の大規模改修について、今後どのように取り組まれようとしているのか、伺います。
次に、子育て支援について伺います。
市長は、平成29年度予算案において、子ども・子育て支援を地域経済の活性化と並ぶ柱の一つとして掲げております。待機児童対策では、昨年10月の保育ニーズに関する調査結果を受け、保育ニーズ量が大きく増加しているとの判断に立って、私立保育所や認定こども園などの整備に対する補助により、アクションプランの計画値383人を大幅に上回る1,069人分の保育定員の増加を図るとのことであります。
また、就学後の児童に対する放課後児童クラブへのニーズも高まっており、小学校全体を受け入れ始めた平成25年度と比較し、平成28年度ではおよそ1.4倍、1万7,125人に登録がふえている状況にあります。
札幌市では、各小学校区に1カ所、児童の放課後の居場所を整備する方針としており、既に児童会館104館、ミニ児童会館97館の整備を終え、ほぼ全ての小学校区に公的な放課後の居場所が整備されている一方、放課後児童クラブは、地域によっては過密化しており、質の確保の点が課題となっているものと考えます。特に、学校施設内で開設しているミニ児童会館については、児童の安全・安心の確保の観点からも保護者のニーズが高く、登録児童数で見れば、その半分以上で過密化している実態にあります。
今後、札幌市は、市有建築物の配置基本方針に基づき、小学校施設の改築に合わせて児童会館を複合化して整備していく方針を打ち出しておりますが、こうした方向性を踏まえると、現状においても、学校施設の活用を検討し、ミニ児童会館の過密化の解消を図っていくことが必要ではないかと考えます。
そこで、質問ですが、放課後児童クラブの過密化解消を進める中で、小学校施設の活用についてどのように進めていく考えか、伺います。
また、保育等を必要としている子どもたちの居場所が量的な拡大に質の維持・向上が伴っているか、特に担い手となる保育士や放課後児童支援員といった有資格者の育成や確保が不可欠と考えます。今後とも、担い手の確保については難しい面も多くありますが、例えば今の中・高生が、将来、保育士になりたいという希望を育み、将来の有資格者を育てる取り組みなど、長期的な視点も必要ではないかと考えます。
そこで、質問ですが、認可保育所や児童会館等の増加を踏まえ、子育て支援の質の維持・向上を図るためには、人材の育成や確保は非常に重要と考えますが、札幌市としてどのように考え、対処しようとしているのか、伺います。
次に、高齢者の社会参加推進について伺います。
国の一億総活躍社会に向けた重要な取り組みの生涯現役社会の実現については、誰もが活躍できる社会を目指し、特に意欲ある元気な高齢者には、豊富な経験を生かし、社会を支える役割を担うことが期待されております。
我が会派は、数年来、福岡県の70歳現役応援センターなどを視察した知見を踏まえ、高齢者が力を発揮し、生かせる社会づくりのため、総合的な支援体制を構築する必要性について繰り返し提言してきたところであります。
昨年8月に実施された市民8,000人を対象としたアンケートでも、高齢者の社会参加の取り組みについての質問に対し、65歳以上の方の回答で、仕事や活動の体験機会をふやすことの期待が最も多く、高齢者の社会参加機会の拡大が求められているものとうかがえます。また、昨年12月に取りまとめられた外部委員会の検討報告書では、今後の高齢者の社会参加支援について取り組みの方向性が示され、既存事業の見直しと新たな取り組み事業費の組みかえを一体的に進めるよう提言がされたところであります。
今後は、これらの調査結果や提言を踏まえ、札幌市として基本方針を策定し、施策立案を進めるとのことでありますが、急速に少子高齢化が進む中、団塊の世代が75歳を超えて後期高齢者となる2025年問題が迫っており、元気な高齢者には、若い世代とともに社会を支える側として活躍していただけるよう、高齢者施策の転換、再構築を図ることは急を要する問題となっていると考えます。
しかしながら、アクションプランでは、平成29年度に基本方針を策定し、それから施策の立案、実施に進むとのことであり、人口構造の変化に伴う社会情勢への対応が立ちおくれているのではないかと懸念するところであります。
そこで、質問ですが、スピード感を持って高齢者の社会参加推進に取り組むためには、平成29年度中に策定予定としている基本方針については、一日でも早い策定を目指すべきと考えるがいかがか、お伺いします。
また、昨年の第3回定例市議会の代表質問において、我が会派の阿部議員が高齢者の社会参加支援についての進め方について取り上げた際には、複数の分野にわたる内容であるため、施策の立案、実施に当たっても、関連部局間の緊密な連携を図るとの答弁がありましたが、多岐にわたる取り組みを着実に進めるためには、立案の段階はもちろんのこと、進行管理や効果測定など、所管する各局における個別事業の実施状況を集約的にマネジメントすることが重要であり、組織縦割りの弊害に陥ることのない横断的な推進体制の確保が必要と考えますがいかがか、あわせて伺います。
続きまして、高齢者の就労支援対策について伺います。
全国では、65歳から69歳の就業率が平成24年の37.1%から4年間で5%以上上昇していますが、札幌市の65歳以上の有業率は、平成24年の就業構造基本調査によれば14.7%で、全国平均の21.3%よりも低く、20政令指定都市の中で最下位であります。
我が会派では、このことを重大な課題として捉え、かねてから、今後の高齢者への就労支援の重要性を指摘し、私も、平成25年の代表質問を初め、再三にわたり、元気な高齢者への就労支援の仕組みづくりを強く求めてきたところであります。
このような経過もあり、札幌市においても、まちづくり戦略ビジョン・アクションプラン2015において、未来の札幌の姿として、誰もが安心して暮らし生涯現役として輝き続ける街を掲げ、専任の求人開拓員の配置や各区での高齢者向けセミナーを開催するなど、ようやく高齢者の求職活動への支援が緒についたところではあります。しかしながら、実績に目を向けてみますと、就職に結びついたのは23人と、まだまだ十分とは言えない状況にあります。
札幌市が昨年実施した高齢者の社会参加に関する意識調査の結果を見ますと、健康状態や経済状況によって就労の目的、形態、時間など希望はさまざまであり、きめ細かい相談や多くの選択肢の提供など、多様な働き方をみずから選べる環境整備が重要であると考えます。そのためには、高齢者専用の総合的な就労支援窓口などの整備が早急に求められていると考えます。
そこで、質問ですが、生涯現役社会を目指す札幌市として、実効性のある高齢者の就労支援対策についてどのように考えているのか、伺います。
次に、地域包括ケアの推進について伺います。
介護保険サービス利用者は、17年前の制度創設時の3倍を超え、全国では500万人に達しており、介護が必要な高齢者の生活の支えとして定着、発展してきているところであります。制度は、高齢者が可能な限り住みなれた地域で自立した日常生活を営むことができるよう、施策等を包括的に推進し、地域包括ケアシステムを構築することが求められております。
札幌市においても、平成30年度を開始年度とする次の計画策定に当たっては、基本目標の「いくつになっても住み慣れた地域で安心して暮らし続けることができるまちづくり」をさらに効果的に進めていくことが重要と考えます。そのためには、高齢者自身がその人生設計を描くことが必要でありますが、今は、家族や自分が認知症になった場合、どのように対応するのか、体が弱ったとき、在宅で暮らせるのか、十分な医療が受けられるのかという住まいと介護と医療とお金に対する不安、また、最期をどのように迎えるかなど、高齢となって初めて多岐の問題に直面している状況であります。
そこで、質問ですが、地域包括ケアをさらに推進し、深化していくためには、関係する部局が単独でそれぞれの事業に取り組むのではなく、札幌市が一体となって戦略的に取り組まなければ実現できないものであり、そのためには、必要な人員を効果的に配置しなければならないと考えます。
札幌市は、来年度の機構改革で地域包括ケア推進担当部署を新設するとのことでありますが、市長は、これらの課題をどのように認識しているのか、また、組織新設の目的と役割について伺います。
さらに、高齢化の進展に伴い、介護費用の総額も、全国では制度創設時から約3倍の10兆円となっており、今後は、制度を長期にわたり維持していく観点も必要であると考えますが、札幌市として、地域包括ケアシステムの推進や制度の持続性の確保のため、今後どのような施策を重点的に進めていく考えか、あわせて伺います。
次に、生活保護について伺います。
まず、1点目は、民間住宅における住宅扶助代理納付についてであります。
この代理納付は、保護の実施機関から民間住宅の家主や管理会社等に直接住宅扶助が支払われる仕組みであり、平成21年度から制度化され、徐々に代理納付の対象要件を拡充し、実績も増加傾向にあります。平成28年11月からは、これまでの要件に加え、保護開始時において安定した住居のない要保護者や過去に家賃滞納により退去させられたことのある要保護者についても代理納付の対象に加えたところであります。
家主にとっては確実に家賃を受け取ることができることはもちろんでありますが、今後増加していくご高齢の方、あるいは心身に障がいをお持ちで家賃の支払いに苦慮する方など、生活に困窮している要保護者が、家賃を滞納することにより住居を失ったり、新たに住みかえの入居を断られてしまうといったリスクを避けるためにも、代理納付の一層の拡充がぜひとも必要であります。
このため、我が会派は、これまでもこの制度の実施拡充について質問、要望をしてきたところであり、今回の対象範囲の拡大は一定評価するところでありますが、今後の高齢者世帯の確実な増加といった社会状況の変化を見据え、心身にさまざまなハンディを抱える要保護者の家賃滞納防止と利便性の向上に向け、今後も代理納付の実施をより拡充していくことは大変重要なことと考えます。
そこで、質問ですが、要件が拡充されたばかりではありますが、民間住宅に住む要保護者の住宅扶助代理納付の今後の拡充についてどのように考えているのか、伺います。
2点目は、生活保護費不正受給への対策についてであります。
本市の生活保護費の受給状況は、平成28年10月現在、5万4,214世帯、7万3,604人であり、昨年より900人程度減少しているものの、依然として、保護率は、政令指定都市中ワースト2位の現状にあります。
このような状況は、今後の経済動向にもよりますが、低年金高齢者の増加からは拡大が予想され、生活保護はセーフティネットとして重要な制度であると認識しているものであります。しかしながら、ことしに入り、暴力団員の不正受給や、旭川市と札幌市で重複しての生活保護費不正受給など悪質な不正受給が立て続けに発覚しており、本市における不正受給問題が大きくクローズアップされております。
これらの事例は、いずれも受給者本人が不正の意図を持って事実を隠蔽し、保護費を受給したものであり、悪質な犯罪でありますが、一方で、札幌市が行っている不正受給への対策がこのままでいいのか、大いに疑問であり、これまでも、我が会派として、適正な対応を求めてきたところであります。
平成27年度の札幌市の不正受給件数は、厚生労働省からの厳格な適用を求められた結果もありますが、991件と前年度より200件も増加しております。一般的に、暴力団構成員の活動は、一見して暴力団員とわかるようなことはほとんどなく、また、対応するケースワーカーは、多くが大学を卒業してすぐの新採用職員が担い、かつ、1人80件程度のたくさんのケースを抱える中で、怪しい人を見きわめていくというのは難しい状況です。
複雑化、高度化していく不正の実態を把握するためには、ケースワーカーとは別に第三者の目が必要ではないでしょうか。ほとんどの生活保護受給者は、善良で生活にお困りの方々でありますが、不正受給が頻発すると、全体に与える影響は大きく、不正受給の防止こそ、善良な方々を守り、制度の健全性を高めていくことにつながると考えます。制度に対する信頼性を高め、札幌市における生活保護制度は、先々、本当に大丈夫なのかという不安を解消するためにも、不正受給対策の推進が必要であります。
そこで、質問ですが、これまでの取り組みをさらに進めた不正受給対策が必要であり、この対策として専門組織を設け、対処していくことが必要と考えますが、今後どのようにしていくつもりなのか、伺います。
最後に、教育について伺います。
1点目は、キャリア教育の充実についてであります。
ここ数年、我が国の雇用情勢は改善され、札幌においても、例えば市立高校の就職内定率が平成27年度91.8%と高い水準に達していると聞いておりますが、一方で、北海道労働局の調査によると、北海道の高校を平成24年度に卒業し、就職した生徒のうち、48.2%が卒業後3年以内に離職しているとのことで、これは、全国平均よりも高い数字であります。昔のような終身雇用制が崩れてきたとはいえ、再就職は簡単なことではなく、無職の期間が長引けば本人のやる気や自信が失われるなど、悪循環が生じることが予想されます。こうした問題を防ぐためには、子どもたちが働くことの大変さやとうとさについてしっかり実感を伴って理解し、将来の夢を持ち、長い人生を見通した上で社会人として旅立っていくことが重要であると考えます。
このようなことを踏まえ、我が会派は、平成26年の決算特別委員会において、札幌市で行っているキャリア教育、いわゆる進路探究学習の取り組みについて質問し、その一層の充実に努めるべきと指摘したところであります。その後、教育委員会においては、専修学校や各種学校の協力を得ながら実施している中学生対象の進路探究学習オリエンテーリング事業や、高校生を対象としたインターンシップ等推進事業などの充実に努めてきたところであります。
しかし、これからの時代は、ますます高齢化が進み、納税世代が減ってくることが予想され、さらに、最近では、第4次産業革命とも言われる人工知能の進化によって職業そのものの種類も変わってくるものと予想されます。そのような時代を目前に控え、次期学習指導要領の改訂に向けて中央教育審議会の答申が出され、子どもたちが学校で学ぶこととともに、いかに社会が変化しようとも一人一人の社会的・職業的自立に向けて必要な基盤となる資質、能力の育成の重要性が示されたところであります。
そこで、質問ですが、本市における進路探究学習の充実に向けて、どのような姿勢で取り組んでこられたのか、あわせて、今後、進路探究学習の質を高めるためにどのように展開していくのか、伺います。
2点目は、学校施設のアスベスト問題について伺います。
昨年10月、区民センターの剥落した煙突断熱材にアスベストが含有していることが判明したことにより、札幌市は、市有施設の断熱材を使用した煙突の緊急点検を実施し、その結果、学校施設関係では、10月26日に、5校の給食用ボイラーの煙突内に剥落物が確認され、ボイラーを停止するとともに、学校給食も停止することとなり、簡易給食の提供やお弁当の持参による対応など合計で30校、児童生徒1万2,867人に大きな影響が出たところであります。
この間、議会の各委員会においても議論となり、特に文教委員会においては、文部科学省に対する不適正な対応と報告、学校施設における全煙突を対象とした再調査、給食用ボイラー停止による給食提供への影響等について報告があり、質疑を行いました。
我が会派は、子どもたちの安全・安心な学校施設の維持に向け、緊急性を要するものと判断し、昨年12月16日に、文部科学省に対し、アスベスト調査に必要な予算措置について要請を行ったところであり、また、同日、市長は、札幌市石綿問題調査検証委員会の設置を表明し、先週20日に報告書を受けたところであります。
そこで、質問ですが、教育委員会として、これまでの経緯を踏まえ、今回の報告書の内容をどのように受けとめ、今後どのように対応していくのか、伺います。
以上で、私の質問の全てを終了させていただきます。ご清聴、ありがとうございました。(拍手)
○議長(鈴木健雄) 答弁を求めます。
秋元市長。
◎市長(秋元克広) 全体で大きく6項目のご質問をいただきました。私からは、1項目めの市長の政治姿勢について、2項目めのスポーツ都市を目指した施策について、残余のご質問につきましては、担当の板垣副市長、そして教育長のほうからご答弁をさせていただきます。
まず、1項目めの私の政治姿勢についてお答えをいたします。
1点目の財政問題についてであります。
まず、平成29年度予算における建設事業や経済活性化に対する考え方についてでありますが、平成29年度の一般会計建設事業費につきましては、国の補正予算を活用した平成28年度補正予算への前倒し計上分112億円を加えますと、1,233億円の規模となっているところであります。一部、再開発事業などに事業の進捗状況に応じた年度間のずれ、調整ということはございますものの、おおむねアクションプランのとおりの事業費を確保できたと考えているところであります。今後も、中期財政フレームに基づいた予算編成を行い、アクションプランに掲げる目標達成に必要な事業費を計上してまいりたいと考えております。
また、経済活性化につきましては、人口減少対策という観点も踏まえつつ、特に雇用の受け皿の創出に意を用いたところでありまして、具体的には、本市への企業立地の促進に向けた取り組みの拡充を図るほか、理系人材の定着を図るために、今後成長が見込まれる医療関連産業の集積や、人工知能や物のインターネットといった先端技術を活用したIT産業の活性化など、新たな産業の創出、育成ということを推進してまいります。
このほか、いわゆるMICE誘致のための補助金の拡充や新たなMICE施設の整備基本計画の策定など、国内外からの人の流れを呼び込むための観光活性化策について充実を図ったところであります。
次に、増収への考え方についてであります。
私といたしましても、本市の財政基盤の強化のために自主財源を充実させていくこと、このことは重要と認識しております。アクションプランにおきましても、税源涵養の取り組みなどにより、市税等の自主財源中心の歳入構造を目指すこととしているところであります。
平成29年度におきましても、産業育成や企業誘致のほか、都心部及びその周辺における再開発事業による民間投資の誘発を推進することによって税源を涵養するとともに、収納率向上の取り組み等により自主財源の確保を図ってまいりたいと考えております。
次に、都心整備についてであります。
まず、今後の都心整備の考え方と進め方についてでありますが、昨年5月に策定をいたしました第2次都心まちづくり計画における都心まちづくりの目標の一つに、国内外から活力、投資を呼び込む札幌都心ブランドの確立ということを掲げているところであります。
これを実現するために、札幌駅交流拠点における北5西1、北5西2街区の一体的な再開発を初めとしたまちづくりの取り組みを通じて、災害時でもエネルギーを供給できる体制の確立や高水準のオフィス環境の形成などを進めていく必要があるものと認識しているところであります。一方で、いわゆるMICE施設などの整備や都心における市有地の利活用につきましては、大きな投資が見込まれますことから、民間活力の導入を基本とし、その資金調達力や創意工夫を生かしつつ、財政負担の平準化ということも図りながら進めてまいりたい、このように考えております。
次に、路面電車の車両導入計画と今後の経営見通しについてであります。
本市の低床車両につきましては、平成25年度までに3両を導入して以来、近年の車両の製造環境の変化ということにより、その導入におくれが生じておりまして、このことは早期に解決を図るべき課題と認識をしているところであります。
このため、これまでの間、車両メーカーへのヒアリングや国との協議ということを進めてまいりました結果、車両型式を単車タイプとするなどの工夫によって製造が可能と判断されましたことから、まず、平成30年度に1両を導入することとし、その後も、計画的に導入を進めてまいりたいと考えております。
次に、上下分離制度の導入に向けましては、これまで、路線のループ化や運賃改定といった今後の経営に大きな影響を与える取り組みの動向なども踏まえながら検討を重ねてきております。また、制度導入までに必要となる軌道運送高度化実施計画の変更ということを見据え、認可庁であります国と、安全運行を安定的に確保していくための体制や手法などについて事前の協議を精力的に行っているところでありまして、当初の計画どおり、平成30年代前半の導入を進めてまいりたいと考えております。
次に、観光振興についてであります。
まず、1点目の産業振興の視点による観光施策の展開についてでありますが、現在、堅調に推移しております札幌の観光動向でありますが、今後、札幌の産業振興を持続的に牽引する分野として確立するためには、経済と観光を一体的に捉えた目標と施策の展開が必要と認識をしております。
外国人観光客の増加ということが見込まれますものの、人口減少で国内の観光市場の縮小ということも予想されますことから、観光客数はもとより、消費額の増加といった経済効果にもより注視していく必要があると考えております。
このような状況を踏まえまして、観光まちづくりプランの改定に当たりましては、観光需要と供給を的確に把握し、産官学連携による誘客や人材育成、ニーズに応じた受け入れ環境整備など、産業振興につながる目標や取り組みを検討してまいります。
2点目の観光客に対する空港アクセス環境の満足度向上についてであります。
来札観光客につきましては、新千歳空港の利用者が多いということから、今後の発着便の増加を見込み、2次交通の拡充や利便性の向上などを検証していく必要があると認識をしております。
また、荒天時の交通機関の運行状況を観光客にいち早く伝達するということになれば、交通手段の変更などが可能となりまして、来札者の安心感ということも向上するものと考えております。このことから、国や北海道、各交通事業者などと交通アクセス環境の充実に向けた課題というものを共有し、関係機関が協議する場の設置というようなことで働きかけてまいりたいというふうに思っております。
次に、若者が定着するまちづくりについてであります。
まず、若者の転出超過拡大ということへの認識についてでありますが、札幌は、移り住みたい、住み続けたいと感じさせる都市でありながらも、現実には働くことへの希望をかなえられていないということが転出超過の主たる要因と認識をしております。将来を担う若者の転出超過を抑制していくということは、札幌はもとより、人口減少が進む北海道の持続的な発展に不可欠であると考えておりまして、これまで以上に積極的に取り組む必要があると考えているところであります。
次に、若者が定着し、人や企業を呼び込むまちづくりについてであります。
人や企業を引きつけるためには、安定した雇用があって、優秀な人材というものを確保できる、そういうことに加え、活気にあふれ、多様なライフスタイルが実現できるまちであることが重要と認識をしております。そのために、食や観光はもとより、ITや医療といった札幌の強みを生かした産業の振興や、本社機能を初めとした企業誘致など、安定した雇用の創出により一層力を入れてまいりたいと考えております。
また、高度な都市機能の集積や世界のモデルとなるエネルギーネットワークの構築など、都心のビジネス環境・機能の強化ということを戦略的に進め、国内外に札幌の発展の可能性ということを明確に発信してまいります。
さらに、女性の活躍推進に官民を挙げて取り組みますほか、ICTの先進的な活用に取り組むなど、創業を含めたさまざまなチャレンジができる環境というものを整備し、新しいサービスの創出などにつなげていきたいと考えております。こういったまちづくりを加速させていくことで、若者や企業をより一層引きつける札幌というものを実現してまいりたいと考えております。
次に、医療分野の産業集積と第4次産業革命についてであります。
先月改定をいたしました産業振興ビジョンの重点分野におきまして、健康福祉・医療とIT・クリエイティブを拡充、追加したところであります。医療分野の産業集積に向けましては、市内大学の先駆的な研究成果を踏まえ、札幌の強みを発揮できる再生医療、ゲノム医療、バイオベンチャーの3点に関する産業振興に力を入れてまいります。
具体的には、脊髄損傷などに対する札幌医科大学の再生医療や、遺伝子解析に基づいてがんを治療する北海道大学のゲノム医療といった最先端の研究を生かし、企業誘致や地元産業の活性化を目指してまいりたいと考えております。
さらには、研究成果を事業化に結びつけるバイオベンチャーを支援し、新たな成長の芽を創出してまいりたいと考えており、これらの取り組みは、IT分野における先端技術の活用促進というものを図りながら、経済界、大学、国、北海道などとしっかり連携の上、進めてまいりたいと考えております。
次に、札幌市パートナーシップ制度についてお答えをいたします。
まず、制度の位置づけについてでありますが、札幌市が導入を予定しておりますパートナーシップ制度につきましては、性の多様性を尊重する取り組みとして、自分たちの存在を公に認めてほしいとする当事者の気持ちを受けとめるものであります。具体的には、性的マイノリティーの方がパートナーとして宣誓する手続について要綱で定めるものでありまして、法的な権利が発生するということではありませんことから、諸外国で認められている同姓婚とは異なるものと認識をしております。
次に、市民理解のための周知期間についてでありますが、パートナーシップ制度案をご説明した1月の
財政市民委員会に前後いたしまして、多くの市民意見が寄せられたところであります。1,000件を超える賛成意見があった一方で、160件程度は反対を表明しているということがございまして、中には、札幌市のパートナーシップ制度を同性婚と同様なものと誤解しているものも見られたところでございます。
性的マイノリティーに係るパートナーシップ制度につきましては、全国的にも取り組み事例が少なく、余りこのこと自体が知られていないということなどから、市民理解を深めるための周知期間をある程度設けた上で制度をスタートさせたいと考えているところであります。
次に、女性の活躍推進についてであります。
札幌は、女性の割合が高いものの、他の政令市に比べ、有業率が低く、仕事の面から見ますと、女性の社会進出が進んでいないと認識をしているところであります。この背景には、経営者及び被雇用者の意識や雇用環境、女性と男性の家庭における家事、育児、介護の役割分担といったさまざまな要因が重なり合っているということが考えられ、これまで以上に女性の視点を生かした施策に取り組む必要があると考えているところであります。
また、女性が、仕事のみならず、家庭、地域社会などのさまざまな場においてその個性や希望に応じ、生き生きと活躍できる環境を整えていくことで、今後、人口減少社会を迎える札幌にとりましても、市民の暮らしの充実とまちの持続的な発展をもたらすものと考えているところであります。こうした取り組みを通じて、女性一人一人がそれぞれの希望に応じて活躍できる心豊かで明るい未来を描ける、そういった札幌を目指してまいります。
次に、日本ハムファイターズの新球場建設構想についてであります。
昨年12月、ファイターズ球団が新球場建設に向けた本格的な検討に入ったということを受けまして、札幌市といたしましては、市内で建設してもらうということが望ましいと考え、候補地の選定作業を進めているところであります。
新球場の立地に当たりましては、公共交通機関の利便性が高いこと、車両を円滑に処理できる周辺道路環境であること、そして、周辺住環境への影響といったさまざまな視点が重要と認識をしているところでありまして、現在、札幌市の基本的な考え方をファイターズに提案すべく、複数箇所の候補地において、土地所有者と協議をしているところでございます。調整が整い次第、球団側に提案してまいりたいと考えております。
次に、2項目めのスポーツ都市を目指した施策についてお答えをいたします。
まず、冬季アジア札幌大会の成果についてであります。
まずは、大会を無事に終えることができましたことについて、市長といたしまして、そして、大会の組織委員会の会長として、議会の皆様を初め、スポンサー企業、市民、競技役員並びにボランティアの方々など、全ての関係者皆様に心からお礼を申し上げたいと存じます。
約3万人の観客で埋まった開会式を初め、各競技会場におきましても、アジア各地から集まる選手たちに多くの市民から声援が送られるとともに、町内会などによる炊き出しや子どもたちの応援手旗の作成など、市民の皆様とともに大会を盛り上げることができたと考えております。
中でも、大会を主催するアジアオリンピック評議会、OCAのアハマド会長が札幌を離れる際に、札幌の開催能力は非常に高く、加えて、市民の支援は札幌の宝であると発言されたことは、今回の大会に対する最大の賛辞であると受けとめているところであります。
このようにウインタースポーツ都市札幌を大いにアピールできたということは、今大会における大きな成果と考えておりまして、今後のオリンピック・パラリンピック招致にもつながるものと確信しているところであります。
次に、スポーツコミッションについてであります。
昨年3月の設立以来、各競技団体やJOC、日本オリンピック委員会などと連携を図りながら、札幌で初めて開催されるIPCノルディックスキーワールドカップ大会やスウェーデンチームの2018年平昌オリンピック事前合宿の誘致ということに成功したところであります。
今後、さらに機動的な組織とするために、このたび、北海道出身のオリンピアン、パラリンピアンの方々にスポーツコミッションのアンバサダーとしてご登録をいただいたところであり、彼らの高い知名度や国際競技連盟などとの人脈を生かしながら、今後、より戦略的な誘致活動を展開してまいりたいと考えております。
次に、市民スポーツの振興についてであります。
まず、日本スポーツマスターズ2018札幌大会についてでありますが、この大会は、全国各地の予選を勝ち抜いた8,000人もの方が参加をするアマチュアスポーツの祭典であり、開催地として多くの札幌市民も参加できますことから、本市のスポーツ人口の裾野拡大を図る上で大きな意義があるものと認識をしております。
今後、各競技団体とも連携を図りながら、札幌市民体育大会やさまざまなスポーツ教室などにおいて、より多くの市民に大会開催をPRするとともに、予選会などへの参加を促してまいりたいと考えております。
次に、アマチュア野球振興のための球場整備についてでありますが、新たな硬式野球場の整備を求める約15万筆の署名が提出されたことにつきましては、重く受けとめているところであります。
そこで、今後、硬式野球場の利用実態の調査を行うとともに、野球関係者と綿密な連携を図りながら、硬式野球を取り巻く環境の改善に向けて、例えば既存の軟式野球場の転用や民営球場の活用など、具体的な検討を進めてまいりたいと考えております。その上で、北海道における高校野球の聖地である円山球場、そして麻生球場につきましては、その改修時期や整備のあり方について関係者と協議の上、検討してまいりたいと考えております。
私からは、以上であります。
○議長(鈴木健雄) 板垣副市長。
◎副市長(板垣昭彦) 私からは、大きな3項目めの子育て支援について、4項目めの高齢者施策について、そして、5項目めの生活保護についての3項目についてお答え申し上げたいと思います。
まず、3項目めの子育て支援についてであります。
一つ目の放課後児童クラブの過密化解消策についてでありますが、ミニ児童会館について、学校施設の活用を一層進めることは、児童の安全・安心な放課後の居場所を確保するとともに、放課後におけます多様な体験活動の場を充実する意味からも大きな効果があるものと認識をしております。
具体的には、現在のミニ児童会館のスペースに加えまして、放課後に一時的にあいております教室の活用をさらに充実するなど、学校本来の運営に支障がないよう配慮をしながら過密化の解消に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
次に、子育て支援の質の維持と向上についてでありますが、子育て支援の担い手であります人材の育成や確保は、施設の量的な拡大と車の両輪の関係にございまして、極めて重要な課題であるというふうに認識をしております。
これに対応するため、保育士や放課後児童支援員などの資質向上に係る研修機会の充実に加えまして、平成29年度におきましても、そうした職員の処遇改善に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
さらに、今年度からは、札幌市保育士・保育所支援センターにおけます潜在保育士等への就労支援や、資格取得を目指します学生向けの貸し付け事業等に取り組んでいるところでございまして、平成29年度以降もこうした施策により人材の育成確保を進めてまいりたいというふうに考えております。
次に、大きな4項目めの高齢者施策についてであります。
まず、一つ目の高齢者の社会参加の推進についてでありますが、1点目の基本方針の策定時期についてであります。
高齢福祉にとどまらない幅広い分野にわたる施策の指針とするため、基本方針の策定に向けた組織横断的な検討を行います高齢者の社会参加推進プロジェクト会議を昨年12月に立ち上げたところでございます。高齢者の社会参加の推進は、喫緊の課題であり、できるだけ早期の対応が望ましいというふうに思っておりますが、新たな事業実施と既存事業の見直しを含めました施策の再構築を図っていき、その指針を定めるためには、全庁的にある程度時間をかけましてしっかり議論をしていくことも必要だろうというふうに考えております。
2点目の施策の推進体制についてであります。
基本方針の策定後、複数の部局に分かれまして個別事業を実施する際には、施策全体の進捗管理や効果検証を行う一元的なマネジメントが不可欠であるというふうに認識しておりまして、事業の実施段階におきましても、統括的な調整、管理を行い、施策全体を一体的に推進する体制を確保してまいりたいというふうに考えております。
次に、高齢者の就労支援対策についてであります。
高齢者の就労につきましては、これまでも就業サポートセンターでの求人開拓を初め、資格取得や職場体験などを通じた支援をしておりまして、今後は、シルバー人材センターを介した派遣での就労も拡大することとしております。生涯現役社会の実現に向けまして、さらに高齢者の就労を促進していくために、一人一人のニーズに応じた支援策をワンストップで提供する仕組みが重要であろうというふうに考えております。このため、先ほどの基本方針を策定する中で、高齢者就労の総合的な支援対策について検討してまいりたいというふうに考えております。
次に、地域包括ケアの推進についてであります。
1点目の現状に対する課題認識と組織新設の目的と役割についてでありますが、地域包括ケアの実現につきましては、医療、介護、介護予防、住まい、生活支援、これらが一体的に提供される体制を構築することが求められております。そのためには、関係いたします庁内の部局がそれぞれ個別に取り組むだけではなく、課題を共有し、密接に連携して施策を進めていく必要があるというふうに認識をしております。
こうしたことから、新設いたします地域包括ケア推進担当部長は、関係部局の取り組みを総合的に調整していく役割を担うものと考えております。
2点目の今後の重点的に進めていく施策についてでありますけれども、制度の持続可能性の確保のため、国におきましては、さまざまな見直しを進めております。札幌市におきましても、高齢者の運動や交流の場をつくるなど、介護予防施策を推進してきたところであります。
今後は、介護を必要とする方が適切なサービスを受けられる体制を強化する一方で、高齢者の健康を維持するための介護予防のさらなる充実、地域におけます多様な主体による生活支援体制の整備などの施策に重点的に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
次に、大きな5項目めの生活保護についてでございます。
まず、生活保護受給者の民間住宅におけます住宅扶助代理納付についてでございます。
札幌市におけます生活保護受給者の民間住宅の住宅扶助代理納付につきましては、平成21年4月から、一部の民間住宅に入居する方々を対象に試行実施しておりまして、その後、平成21年11月から、それ以外の物件に住む入居者に範囲を拡大してきたところでございます。
生活保護法では、住宅扶助は世帯主等への金銭給付を原則としておりまして、代理納付はあくまでも家賃の滞納がある方など特例として認められておりますため、札幌市における代理納付は、一定の要件に限定して運用しているところでございます。
この要件につきましては、ご質問にもありましたとおり、昨年11月に拡大したばかりでありますことから、今後は、その運用状況を見きわめながら、さらなる拡大の要否について検討してまいりたいというふうに考えております。
次に、生活保護不正受給への対策についてであります。
生活保護の不正受給は、金額の多寡にかかわらず、制度に対する市民の信頼を揺るがす深刻な問題であるというふうに認識をしております。本市では、これまでも、保護のしおりの配付によります収入申告義務の周知及び全受給者の課税調査、金融機関等関係先調査の徹底、告訴、告発の実施など不正受給の未然防止と捕捉に努めているところでございます。
一方で、生活保護は、被保護者の自立助長を図ることを目的としますことから、指導・援助を行うに当たりましては、相手との信頼関係の構築が非常に重要なわけでございます。不正受給が疑われる者への通常のケースワーク業務を超えるような現地調査等を行う専門組織は、取り締まり的性格が強くならざるを得ないことから、相互信頼を基本といたします生活保護制度の趣旨にはなじまないものというふうに考えております。
私からは、以上でございます。
○議長(鈴木健雄) 長岡教育長。
◎教育長(長岡豊彦) 6項目めの教育については、私からお答えいたします。
1点目のキャリア教育の充実についてでございます。
全ての子どもが将来に展望を持ち、主体的に自己の生き方や進路について考え、社会人、職業人として自立していくことができるようにするため、進路探究学習は極めて重要であると認識してございます。
本市では、子どもが勤労の意義や働く人々の思いを実感できるよう、地域の事業所での職場体験や見学など本物に触れる体験を重視しており、地域への理解や愛着の深まりにもつながっているものと考えております。さらに、体験や見学にとどまらず、子どもが学ぶ目的をしっかりと持ち、主体的に活動し、振り返ることができる学習を工夫するなど、自分の生き方を探究する学びの充実に努めてきたところでございます。
今後は、身近な事業所や公共施設のみならず、体験先の業種の幅を広げるとともに、学校と体験先が、事前事後の学習を含め、内容や狙いを共有するなど、一層、地域、企業等との連携を強化してまいります。
加えて、小学校、中学校、高校それぞれで進めてきた学習をより効果的なものにするために、連続性や系統性を重視した取り組みを推進し、子どもたち一人一人にふさわしい職業観、勤労観を育んでまいります。
2点目の学校施設のアスベスト問題についてでございます。
学校施設の煙突断熱材の不適正な対応により、多くの方々に不安を与え、また、30校で十分な給食を提供できず、児童生徒、保護者の方々に多大なご迷惑をおかけしたことにつきまして、改めておわびを申し上げます。
今回の石綿問題調査検証委員会の報告書では、問題の原因は、煙突断熱材等に係る文部科学省からの調査への不適正な対応であると指摘されており、これは、重大な事柄への認識の甘さによる誤った判断、また、組織的な対応が十分でなかったことが要因であったと重く受けとめております。
指摘、提言の内容を十分踏まえ、しっかりと組織体制の強化を図り、学校現場とも緊密な連携を図りながら、安全・安心な学校施設を維持していくとともに、不測の事態にあっても給食を提供できる体制づくりにも取り組んでまいります。
私からは、以上でございます。
(佐々木みつこ議員「議長」と呼び、発言の許可を求む)
○議長(鈴木健雄) 佐々木みつこ議員。
◆佐々木みつこ議員 ご答弁、ありがとうございました。
私からは、4点の再質問をさせていただきたいと思います。
まず、1点目ですけれども、都心再開発整備の考え方についてです。
国内外の活力を取り込むということは民間を基本とするということでございましたが、全体的には平準化を図りながら進めていくとのご答弁であったかと思います。
平準化を最優先にしますと、本市の判断は慎重になり、スピードが遅くなるのではないかと私は指摘いたします。なぜなら、景気はスピードであると思うからです。民間はビジネスチャンスを逃さないため、先を予測して早期に判断したいと思うものであり、かつ、失敗したくないものです。財政の平準化という課題の中で、民間のスピードや投資意欲をそぐことなく、安心して投資していただき、活力を生むためには、再開発の方針は、民間と情報共有して、巻き込んで一緒に進めるべきと思いますが、改めてもう一度お伺いします。
二つ目は、路面電車についてです。
当初より、前市長のときではありますが、このループ化、路面電車活用計画は、見通しが甘かったと指摘いたします。今回、車両はポラリスとは違う単車タイプということでございます。お話を伺いますと、今や、札幌の特殊車両は全国で1社しか製作できない状況になっており、完全に先方にコントロールされている状況です。しかしながら、ループ化はもう始まっています。平成35年度の単年度黒字と、上下分離は当初の計画どおり30年代前半にするとご答弁いただきました。30年代前半の上下分離制度の導入は計画どおりですよね。その点について、いま一度、認識をお伺いします。
三つ目は、増収への考え方及び若者の定着及び女性活躍推進及び高齢者施策について、関連するので、一括して再質問させていただきます。
ただいまご答弁いただきましたが、その取り組みの重要性を認識し、その取り組みが緒についたことは大変評価するものでございます。ですが、スピードは期待に反して非常に遅いように感じます。
人口の半分を占めるのは女性です。この女性の活躍施策がまだこれから検討するということ、そして、高齢者施策も、品川区などでは高齢者の仕事は引く手あまたで人手が足りないなどの状況にもなっているこの時期に、本市ではなかなか進んでいません。
それらのことが歳入における市税増収が伸びないこと、そして、景気がよくならないから、若者の雇用創出にならずに人口が流出しているのではないか、そして、歳出の義務的経費がふえている要因ではないかというふうにも思えるところです。なかなか進まない原因には、縦割り組織の問題があるのではと指摘いたします。
女性支援については経済局や保健福祉部、男女共同参画など、高齢者活躍支援についても高齢福祉部や経済部など、多数の部局にまたがります。また、このたび、高齢福祉部の中に包括ケアの窓口の部署を置くということでしたが、これも都市局や病院局など部局をまたぐ調整を行うとのことで、難しさを予想するところです。
秋元市長の公約達成任期の折り返し後半に入りましたが、女性、高齢者、包括ケアもその部署がまたがる特殊性に鑑みて、横断的な位置に推進体制を組むなどして、今年度、一刻も早い段階で方針検討、議論だけでなく、具体的施策をスタートさせていくべきではないかと思いますが、いま一度、市長の考えをお伺いします。
最後に、4点目の再質問です。
生活保護不正受給対策について伺います。
取り締まり的な性格の組織は難しいというご答弁であったかと思います。全国的に札幌市は保護率2位の状況であり、実際に必要な方が多いのか、不正受給の件数が991件もあれば不正がまだ相当あるのか、そんな意見も寄せられています。この汚名返上のためにも、より踏み出した不正受給対策をすべきと考えます。
それには、先ほど言ったような入り口の取り締まり的な性格の組織ではなくても、不正受給の実態をより正確に把握していく組織をつくることにより、牽制効果も生まれるものと思いますし、現在のケースワーカーの業務負担を減らすためにも必要と考えますが、市長のお考えを改めて伺います。
○議長(鈴木健雄) 秋元市長。
◎市長(秋元克広) 最初に、都心の再開発の事業に関係してお答えをさせていただきます。
もちろん、これは、民間事業者とまちづくりについての意識、イメージを共有してスピードを上げて進めていかなければいけないことであります。したがいまして、民間の投資のタイミングということ、これらも含めて、事業の進捗状況に合わせて財政の問題も考えていかなければいけないというふうに思います。そういう意味では、民間の事業者との連携ということが最も重要かなというふうに思っております。いずれにしましても、タイミングを失することのないように、事業の具体的な計画を進めてまいりたいというふうに思います。
それから、路面電車の関係でございますが、これは、先ほどご答弁させていただきましたように、上下分離の制度につきましては、当初の計画どおり、平成30年代の前半に進めていきたいというふうに思っております。これは、引き続き、上下の事業者の役割分担のあり方、何といっても安全運行ということの体制をどうとっていくのかということもあります。加えて、事業採算性を含めて、さまざまな検討、国との協議もございますけれども、これらを精力的に進めてまいりたいというふうに考えております。
それから、女性あるいは高齢者への対応ということであります。
これまでもさまざまな施策に取り組んでまいりましたけれども、改めて、女性の立場で、あるいは高齢者の立場でさまざまな施策を見直していったときに、どのように改善をしていかなければいけないのかということで、今回、例えば女性の活躍についての応援をする会議体、こういったものを官民でつくりたいというふうに思っています。ですから、会議体をつくるということが目的なのではなく、そこにさまざまな立場のご意見を反映しながら、女性の立場でいろいろな政策を見たときにどう改善をしていけばいいのか、そういったことを議論できる、そういう場をつくりたいというふうに思っています。
ですから、当然のことながら、何かここから提言をいただいて全体の計画がまとまっていかなければ手をつけないということではなくて、その場で出たさまざまな事柄につきましては、逐次、できるものから手をつけていく、こういうスピード感を持って進めていきたいというふうに考えております。
○議長(鈴木健雄) 板垣副市長。
◎副市長(板垣昭彦) 不正受給対策のための専門組織というご質問でございますけれども、先ほども申し上げましたとおり、取り締まりをするというような専門組織は、やはり、相互の信頼に重きを置きます生活保護制度の趣旨にはなじまないのではないかなというふうには考えております。
一方で、ご質問にございますとおり、不正受給を許さないという何らかの姿勢は、やっぱり、札幌市としてもしっかりと対策をとっていかなければならないというふうに考えておりまして、例えば、幾つかの区に配置しております警察のOBであります特別指導員の方たち、その方たちを通じまして、これまで以上に警察との緊密な連携、告訴・告発事案の発生時におきます本庁から各区へのサポート体制の強化を図ってまいりたいというふうに考えております。また、新たな取り組みといたしまして、不正受給防止マニュアルを活用しました保護課係長職の研修の強化、さらに、法改正によりまして可能となりました悪質な不正受給者から不正受給をした保護費を徴収する際に上乗せをいたします加算措置制度、それをしっかり活用していきたいというふうに考えておりまして、これらの取り組みによって、札幌市は決して不正受給を許さないというような姿勢をしっかり見せていきたいというふうに考えております。
以上でございます。
○議長(鈴木健雄) ここで、およそ30分間休憩します。
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休 憩 午後3時7分
再 開 午後3時35分
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――――――――――――――――
○副議長(恩村一郎) これより、会議を再開します。
代表質問を続行します。
小川直人議員。
(小川直人議員登壇・拍手)
◆小川直人議員 私は、民進党市民連合を代表して、本定例会に秋元市長が上程されました諸議案並びに当面する諸課題について質問いたします。
初めに、市長の政治姿勢について、4点伺います。
1点目は、これまでの市政運営の総括と今後の取り組みについてです。
2015年4月の札幌市長選挙で、秋元市長は、人口減少・超高齢社会といった時代の転換点を迎える札幌のまちづくりに、35年の行政経験をもとに即戦力の強みを生かすと訴え、市民から多くの支持を受け、初当選されました。市長は、就任直後の補正予算では、観光予算を倍増させたほか、待機児童解消に向けた取り組みに着手するなど重要課題に対する施策をいち早く打ち出し、即戦力にふさわしい任期のスタートを切りました。さらに、就任から半年という短期間で、任期中に取り組む全ての政策的事業と財源を明示した中期実施計画、まちづくり戦略ビジョン・アクションプラン2015を策定されました。このようにスピード感を持って市政運営の方向性を明確にしたことは、新市長のかじ取りに注目していた市民に対し、安心感を与えることにつながったものと評価しているところです。
このアクションプランに盛り込まれた取り組みは、次々と実行に移され、例えば企業の本社機能の移転に対する補助金を倍増することにより、アフラックなどの本社機能の誘致も含め、26社の誘致を実現したほか、観光イベントの魅力アップとして雪まつりやオータムフェストの会期を延長し、いずれも過去最高の来場者数を更新するなど、目に見える成果があらわれています。
また、就任以来、一貫して取り組んできました待機児童対策では、2016年度に、保育所整備による保育定員を拡大するとともに、保育人材の確保に向けた保育士・保育所支援センターを開設したほか、今定例会に提出された2017年度予算案においても、アクションプランを大きく上回る1,000人以上の保育定員の拡大を盛り込んでいます。さらに、交差点排雪の強化や特別養護老人ホームの定員拡大など、市民生活に密着したきめ細やかな政策から、2026年冬季オリンピック・パラリンピックの札幌招致など、札幌のまちの将来に大きくかかわるダイナミックな政策まで、財政規律を堅持しながら幅広い取り組みを進めており、秋元市長のバランス感覚にすぐれた政治手腕が大いに発揮されているものと考えております。
今後の市政運営に当たっては、新たな課題を整理しつつ、これまでの取り組みの成果をしっかりと総括し、次へとつなげる必要があると考えますが、秋元市長は、これまでの市政運営をどう総括しているのか、また、それらを踏まえ、残り2年の任期においてはどこに力点を置いて取り組むのか、伺います。
2点目は、長期的視点に立った札幌市のまちづくりについてです。
市政運営に当たっては、将来の札幌市をどのようなまちにしていきたいかという長期的な視点を持ちながら進めていくことも重要です。秋元市長は、札幌市は、明治時代に1段、札幌オリンピックで1段、都市としてのレベルを上げたが、今は、もう一段、レベルを上げるとき、今後は、50年先を見据えた政策を実施していかなくてはならないと述べておりますが、私もこの考えに深く共感するところであります。
現在の札幌市は、1972年、札幌オリンピックの開催を契機に、地下鉄や高速道路、民間商業ビルなどの社会インフラが整備され、発展してきました。札幌オリンピック開催から50年が経過しようとしている中にあって、白石区役所の建てかえや都心部の再開発などまちのリニューアルが進み出しており、こうして更新された都市基盤は今後の都市の骨格となるものです。
また、社会情勢に目を転じますと、オリンピック開催時に年間4万人を超えていた人口増加数は、2015年には6,000人程度の増加と大幅に減少しており、今後、数年のうちに札幌市の人口は減少に転じ、その後は人口減少が続くことが見込まれています。
このような状況を踏まえると、札幌市は時代の転換点に立っており、これからの札幌市のまちづくりを進めていく上で、長期的な視点は欠かすことができないものと考えております。
そこで、質問ですが、長期的視点に立った札幌市のまちづくりについて、市長の基本的な考えを伺います。
3点目は、札幌駅交流拠点のまちづくりについてです。
札幌駅交流拠点のまちづくりは、2030年度末の北海道新幹線札幌延伸を見据え、札幌が世界都市として道都札幌の玄関口としてふさわしい空間形成と高次都市機能、交通結節機能を強化していく上で、重点的に取り組んでいかなければならない重要施策です。
北海道新幹線の札幌駅ホームの問題の影響を受け、予定より大幅におくれたものの、今月初め、この拠点のまちづくりを先導し、中核となる街区の整備に対する市の基本的な考え方を示した札幌駅交流拠点先導街区整備基本構想が策定されました。さらに、去る2月22日には、地権者や関係機関を初めとする20もの団体が参加し、札幌駅交流拠点まちづくり協議会が開催され、今後、土地利用や基盤整備の基本方針等について議論し、2017年度を目標に、(仮称)札幌駅交流拠点まちづくり計画を策定する予定と聞いております。
この計画区域内では、札幌駅に隣接する北5西1、北5西2街区を初め、旧札幌西武百貨店跡地のある北4西3街区、一体的な開発を検討している札幌総合卸センター地区、北8西1街区における再開発の動きなど、多くの民間開発の動きが顕在化してきています。これら以外にも、水面下で検討を行っている地権者や、周囲の動きに刺激され、今後検討を始める地権者も多くいると思われます。私は、これらの動きを的確に捉え、まちづくり計画に反映させ、相互に連携のとれた開発を誘導していく必要があると考えます。
そこで、質問ですが、札幌駅交流拠点のまちづくりを進めるに当たり、民間開発との連携をどのように考えているのか、市長の見解を伺います。
また、それらの民間開発の中でも、ヨドバシカメラが取得し、約6年間動きのない北4西3街区の動向は、大変に気になるところです。先般、札幌市が主導し、関係地権者を集め、北4西3街区まちづくり検討会を立ち上げたという報道もあり、将来の整備のあり方に向けた議論が始まったことは、今後のこの街区のまちづくりを進めていく上で重要な一歩を踏み出したものと考えております。
特に、この街区は、JR札幌駅の南口駅前広場の正面に位置し、駅前通に面するまさに札幌の顔と言えるところであり、私は、世界都市さっぽろ、道都札幌としてふさわしい土地利用がなされなければならないと考えております。そのため、この街区での開発が、個々の権利者の意向を尊重しながらも、統一感のとれた方向に進むよう、周辺開発や各種基盤整備と連携をとりながら、周辺街区をリードする道都札幌の玄関にふさわしいまちづくりが行われるべきと考えます。
そこで、質問ですが、札幌市としてどのような考えでこの検討会を立ち上げ、今後、進めていこうとしているのか、伺います。
4点目は、北海道日本ハムファイターズの新球場建設構想についてです。
昨年、球団が新球場建設構想を打ち出してから、多くのマスコミが取り上げ、市民もこの問題に強い関心を持っています。私どもの会派にも、熱心なファイターズファンや札幌ドームでボランティアをしている市民などから、札幌市内に残留してもらうよう力を注いでほしいとの声をいただいていますが、こうした声は、当然、札幌市にも届いているものと思います。
秋元市長は、当初、継続して札幌ドーム使用を希望する発言をしていましたが、球団との意見交換、関係団体との協議などを踏まえ、球団に対して新球場建設候補地の提案を検討する方向性を打ち出しました。マスコミ報道によりますと、球団は、新球場の建設に約20ヘクタールの土地を必要としている中、北広島市は、球団に対し、約36.7ヘクタールを有するきたひろしま総合運動公園の土地を提供する内容の提案をしたと聞いております。札幌市では、現在、市内での新球場建設に向けた土地の確保を含めた検討作業をしていますが、秋元市長も記者会見などでおっしゃっているとおり、札幌市の所有地において大規模な土地を確保することは難しい状況にあると考えます。
そこで、質問です。
札幌市が球団に新球場建設の候補地を提案する際には、土地の広さという優位性がない中、土地の広さとは異なる観点で検討を進め、札幌の優位性を提案することが重要と考えますが、球団への提案に当たっては、どのような観点を重視していく考えか、伺います。
次に、財政問題について、2点伺います。
1点目は、2017年度予算の考え方についてです。
2017年度の予算は、秋元市長の任期折り返しとなる重要な年の予算であり、アクションプランに掲げる計画目標を着実に達成し、公約に掲げた施策を実施していくために、一層、取り組みを加速させる必要があります。昨年10月に発表された2017年度の予算編成方針では、札幌市の財政状況は義務的支出である扶助費の増加や市債発行額増による公債費の増加が見込まれる中、今後の財政見通しは全く楽観できないとしつつも、社会経済情勢の変化や喫緊の市政課題に対して機動的に対応するため、子ども・子育て支援の取り組みや経済活性化、観光振興の取り組みについてもしっかりと対応していくとのことでした。
昨年の第4回定例会において、我が会派は、格差社会が顕在化、拡大していく中において、市民が安心して暮らしていくためには、子どもの貧困など新たな社会問題に対してはアクションプランの計画を超えて積極的に実施していくことを求めました。これに対し、秋元市長は、安心して暮らせるまちの実現のため、重点的に予算措置を講じるとして、子どもの貧困対策や児童相談体制の強化などの取り組みはしっかりと対応していくとの答弁がありました。
厚生労働省が昨年12月に発表した人口動態統計の年間推計では、2016年に全国で生まれた子どもの数は過去最少の98万1,000人ほどで、初の100万人割れとなりました。札幌市においても、2015年の合計特殊出生率は1.18で、前年の1.16を上回ったものの、依然として低い水準にあります。少子化は、札幌市政にとって極めて重要な喫緊の課題であり、特に子ども・子育て支援の分野については、総合的に取り組みを強化していくことが重要と考えます。
そこで、質問ですが、市長の掲げる、誰もが安心して暮らし生涯現役として輝き続ける街の実現に向けて、子どもの安心や少子化対策といった観点で、2017年度予算においてどのような形で取り組もうとしているのか、伺います。
2点目は、市債についてです。
2017年度の予算規模は、
県費負担教職員の権限移譲の影響により、前年度と比較して600億円増の9,965億円となり、過去最大規模となりました。この
県費負担教職員に対する財政措置としては、歳入においては、2017年度から新設された所得割臨時交付金や分離課税所得割交付金のほか、義務教育費国庫負担金や地方交付税などにより対応している状況です。こうしたことから、2017年度の地方交付税と臨時財政対策債を合わせた総額ベースでは、前年度比20.9%増の1,634億円と大幅な伸びとなっていますが、これに伴い、市債である臨時財政対策債についても前年度比18.8%増の600億円となり、当初予算計上額としては2013年度に続く大規模な計上額となっています。
一方、2017年度の国家予算の状況を見ると、公債依存度は35.3%となり、一般会計の基礎的財政収支は10.8兆円の赤字となっています。1月に内閣府が経済財政諮問会議に提出した試算では、国が黒字化を目指している2020年度のプライマリーバランスは、約8兆3,000億円の赤字になる可能性も示されている状況です。このような国の財政状況を踏まえると、国、地方を通じて厳しい財政状況は今後も続くものと見られ、臨時財政対策債の残高増加には不安を感じるところです。
また、建設債については、585億円を計上しており、前年度比13.7%減となっていますが、ここ数年、建設債の発行額が大きくなっており、2017年度末の市債残高は、建設債で前年度末比104億円増、臨時財政対策債で364億円増、これらを合わせて468億円、4.5%増加する見込みとなっています。
加えて、2017年度予算においては、MICE施設整備基本計画の策定のほか、創世交流拠点のまちづくりや都心アクセス道路の整備にかかわる検討、さらには、オリンピック・パラリンピック招致など多額の経費が見込まれる大型事業に関する経費が計上されています。今後の札幌のまちづくりにとって大型事業の検討を進めていくことは必要ですが、その一方で、今後、建設債の残高が増加し、財政の健全性が損なわれないかということも心配されるところです。
そこで、質問ですが、こうした市債残高の状況に対して、市長はどのような認識を持っているのか、伺います。
次に、2017冬季アジア札幌大会について、2点伺います。
1点目は、2017冬季アジア大会の検証についてです。
2月19日から8日間にわたり、熱戦が繰り広げられた冬季アジア大会も、昨日、閉幕しました。無事に大会を終え、ホストシティーとしての責務を果たしたことに安堵しているところです。期間中は、32の国と地域から2,000人を超える選手、役員のほか、国内外から多くの方が来札されましたが、4,600名のボランティアの献身的な活動により市民レベルの交流が随所に見られ、当初の目的の一つである市民・企業・行政による心のこもったおもてなしができ、札幌の高いホスピタリティーを世界に示すことができたのではないかと思っています。
また、何よりも、札幌ドームで行われた大会の花である開会式において、満員の観客のもとで選手、役員をお迎えできたことは、アジアのみならず、全世界に対し、ウインタースポーツ都市札幌をアピールできたのではないかと考えています。私も、開会式に参加し、盛り上がりを体感いたしました。中でも、北海道出身の吉田美和さんをボーカルに幅広い世代に支持されているDREAMS COME TRUEの起用が開会式の成功に大きく貢献したことを感じるとともに、北海道などの先住民族であるアイヌ民族が国際スポーツ大会の式典へ初めて出演したほか、YOSAKOIソーランの演出など随所に工夫が見られ、北海道、札幌の魅力についてもアピールできたと感じております。
私は、幾つもの会場を観戦いたしました。国際色豊かな会場にあって、多くの市民の皆さんが応援に駆けつけ、会場を盛り上げていただき、日本人選手の活躍にも大きく貢献したと感じました。また、今注目されている仮想現実、いわゆるVRを取り入れたカーリング競技での選手の視点やストーン目線での映像体験のほか、スマートフォンを活用したリプレーやさまざまなアングルからの映像、ルールや選手の紹介なども新たな楽しみ方として今後の発展に期待をしたいと思います。
円滑な大会運営はもとより、満員の開会式の盛り上がりに代表されるように、総じてどの競技にも多くの観戦者が訪れたことを考えると、今回のアジア大会は、将来の冬季オリパラ招致につながる大会であったと評価していいのではないかと考えております。
アジアオリンピック評議会のアハマド会長も、公式会見において、既存施設を利用するなどオリンピックを開催した経験を生かしている、札幌はオリンピック・パラリンピックを開催する能力がある、さらに、市民の支援は札幌の宝であり、特別なものと高く評価されております。
一方で、大きなトラブルがなかったことに安堵するだけでなく、例えば、交通網における雪対策やさらなる高度化が見込まれるセキュリティー対策や市民の盛り上がりといった面も含め、課題や改善の余地がないかどうかを厳しい目で検証し、次の国際スポーツ大会に生かし、その先のオリンピック・パラリンピックにつなげていくことが重要であると考えます。
そこで、質問ですが、今回の冬季アジア大会をどのように検証していくのか、伺います。
2点目は、アジア大会後に控えるIPCノルディックスキーワールドカップ札幌大会についてです。
国際パラリンピック委員会が主催するIPCノルディックスキーワールドカップは、冬季アジア大会と並んで、将来のオリンピック・パラリンピック招致の試金石と言える大会であり、健常者の大会である冬季アジア大会の終了後、間もなく、障がい者のスポーツ大会が開催される意義は大きいと思います。冬季アジア大会の勢いをつなげるためにも、札幌出身の星澤選手、新田選手には頑張っていただきたいと思いますし、多くの市民の皆さんに応援に駆けつけていただきたいと思います。
札幌市においては、障がい者スポーツで初めての国際大会となるIPCノルディックスキーワールドカップを必ずや成功させ、この大会での経験、実績を将来のオリンピック・パラリンピック招致にしっかりと生かしていかなければならないと考えます。
そこで、質問ですが、3月18日の開催を間近に控え、本大会にかける市長の意気込みについて伺います。
次に、性的マイノリティーへの支援について伺います。
新年度に導入する札幌市パートナーシップ制度に関しては、先月末の
財政市民委員会において説明及び質疑がなされましたが、性的マイノリティーの当事者や関係者などから多くの注目や期待を集め、各メディアなどからも高く評価されていることから、改めて、その方向性について伺います。
国際的にも性的マイノリティーに対する支援の声が広がっている中、国連は、2010年12月、ニューヨークで性的マイノリティーの平等に関する演説を行い、世界各国での同性愛の犯罪指定解除のほか、性的マイノリティーに対する暴力や差別に取り組む措置を求めるとともに、私たちは、良識ある人として、差別全般、特に性的指向や性同一性に基づく差別を拒絶します、文化的な意識と普遍的人権の間に緊張がある場合には人権を優先させなければならないと発表しました。
また、IOC、国際オリンピック委員会は、2014年12月の総会で、オリンピック憲章に性的指向による差別禁止を盛り込むとの決議を採択いたしました。そして、アメリカの報道機関の発表では、性的マイノリティーの権利保護に力を入れてきたことによって、昨年開催されたリオデジャネイロ五輪には、少なくとも過去最高の41人の当事者が出場したと伝えられています。
2026年に冬季オリンピック・パラリンピックの招致を目指している札幌市においても、IOCの決議を踏まえると、性的マイノリティーへの対応及び支援の充実が招致活動の大きな要素になると考えます。性的マイノリティーに対する理解は、国内においても少しずつ広がりを見せており、ソニーやパナソニック、IBMなどの大手企業が同姓パートナー同士を配偶者とみなす社内規定を設けています。また、NTTドコモなどの各通信会社においても、電話料金の家族割を導入しているほか、ANAやJALなどの航空会社ではマイレージプログラムの共有を可能にするなど、日常生活の中においても性的マイノリティーに対する支援制度がふえてきています。
2016年の第2回定例市議会において、我が会派は、同性パートナーシップ制度を要望してきたところですが、札幌市が政令市として初めて性別にかかわらないパートナーシップ制度を設けることは、差別や偏見のないまちを実現する取り組みであり、大変評価しているところであります。
しかしながら、性的マイノリティーに対する理解は、まだまだ市民に浸透しているとは言えない状況にあり、無理解や偏見などを理由に社会の中で孤立し、みずから命を絶つことにつながってしまう事例も報告されております。宝塚大学の日高庸晴教授によると、異性愛男性の方に比べ、ゲイ、バイセクシュアル男性の自殺未遂の割合が約6倍になるとの研究結果も発表されています。また、厚労省の自殺総合対策大綱においても、自殺念慮の割合等が高いことが指摘されている性的マイノリティーについて、無理解や偏見等がその背景にある社会的要因の一つであると捉えて、理解促進の取り組みを推進すると明記されています。
札幌のパートナーシップ制度は、同性パートナーに限らず、トランスジェンダーなども含めた多様な価値観を認めていることについて、当事者から、誰もが理不尽に社会の中から追い出されるいわれがないことを感じたり、この制度があることで社会が自分たちにも開かれており、私たちも居場所があると思えるといった感想の声とともに、当事者以外からも、この制度に対する賛同の声が上がっており、今後の方向性に強く期待が持たれているところです。
そこで、質問ですが、札幌市パートナーシップ制度を導入することにより、どのような効果を期待しているのか、また、国内外において多様な価値観への理解が浸透していく中で、今後、性的マイノリティーへの支援をどのように進めていくのか、伺います。
次に、指定管理者制度について伺います。
2006年度に指定管理者制度が本格導入されて以降、現在、札幌市の421施設において指定管理者が管理運営を行っています。このうち、2017年度末に約9割に当たる378施設で指定期間が終了し、現在、2018年度の一斉更新に向けた取り組みがなされています。
我が会派では、これまで、指定管理者制度について、制度の運用や雇用問題、公共サービスのあり方などを指摘してきました。それに対し、札幌市は、評価制度や評価項目の見直しなどの取り組みを進めてきましたが、制度の本格導入から10年が過ぎ、指定管理者制度の成果と課題が明らかになってきていると考えています。例えば、市民サービスの向上については、利用時間の延長や駐車場と貸しホールの利用料金の一部引き下げを実施しました。こうした取り組みに、施設の総合満足度や職員接遇に関しては、利用者アンケートでおおむね市民から良好な評価を得ています。
また、労働環境の維持・向上についても、指定管理者の選定の際に、前指定管理者の職員を継続雇用することや非正規職員を正規職員に転換する意思を示している場合には高い評価をしています。また、一部業務を第三者に委託する際に、再委託先職員の労働環境に配慮した契約方針の提案があった場合においても高い評価をするなど、労働環境の維持・向上に向けた工夫をしています。
その一方で、正規職員と非正規職員との格差が国の重要課題となっていますが、指定管理者制度における職員の雇用安定化に向けても改善の余地があると考えます。指定管理施設は、指定期間が4年に定められており、施設で働く多くの職員が有期雇用契約という傾向にあり、正規職員をふやすことができない実態があります。
我が会派においては、昨年12月に、秋元市長に提出した2017年度札幌市予算編成に対する要望書において、安定した雇用や労働条件の確保などの観点から、指定管理者制度の見直しを重点項目と掲げ、一斉更新に向けて指定期間を見直す必要があると強く求めてきたところであります。指定期間を見直し、指定管理施設で雇用される職員の契約期間が延長されることは、職員の雇用不安が緩和されるとともに、勤労意欲の向上につながることも期待されます。
そこで、質問ですが、多くの政令指定都市で指定管理者制度導入当初は指定期間を3年から4年に定めていましたが、大阪市や名古屋市などは5年に変更しており、現在では原則5年とする政令指定都市が最も多くなっています。札幌市の原則4年のサイクルで指定管理者を決定する指定期間を見直すべきと考えますがいかがか、お伺いいたします。
次に、期日前投票所の増設について伺います。
期日前投票制度は、2003年12月1日施行の改正公職選挙法によって創設されました。制度導入から既に13年が過ぎますが、これまで、札幌市では、15回の各級選挙が行われ、期日前投票を利用する市民は回を重ねるごとに増加している傾向にあります。このことは、投票日に限らない選択の自由度が選挙人の利便性の向上に寄与しているものと考えられます。
一方、期日前投票所の設置状況を見ると、主たる期日前投票所から遠距離に多くの選挙人が居住している北区、東区、南区の3区については、区役所などに設置する期日前投票所のほかに第2期日前投票所を増設し、それぞれ計2カ所の期日前投票所を設置しておりますが、ほかの7区については増設されていません。昨年実施された第24回参議院選挙では4人に1人が期日前投票をされたように、利用者数が増加傾向にある実情や、投票環境の向上に向けて法改正がなされている現状を踏まえますと、残り7区についても積極的な対応が必要であると考えます。また、北区、東区、南区の3区の第2期日前投票所は、コミュニティセンター、地区センターを利用しており、これらの施設は、地域活動で使用頻度が高いことから、3日間と短期間の設置となっていますが、市民の利便性を考慮すると、さらなる充実が必要です。
他都市の増設状況を見ますと、地域の集会施設を初め、多くの市民が利用するショッピングセンターや図書館などに設置が進み、設置期間も選挙期間中おおむね8日間が多く、投票機会が十分に確保されております。
我が会派は、これまで、期日前投票所の増設を求めてきましたが、市選挙管理委員会からは、統一地方選挙では四つの選挙を同時に実施することから、施設の広さや人材確保の面で適当な施設がないという趣旨の回答が示されていました。選挙管理委員会では、今期、期日前投票に関するプロジェクトチームを設置し、検討を進めると聞いておりますが、2年先には統一地方選挙を控え、課題解決に向けて一歩踏み出した検討を進める時期と考えます。
そこで、質問ですが、期日前投票所の増設についての考え方を伺います。
また、期日前投票所の増設は、区選挙管理委員会の権限に属することではありますが、市選挙管理委員会として、今後どのように進めていこうとしているのか、伺います。
次に、子育て支援策について、2点伺います。
1点目は、子ども・子育て支援事業計画の見直しについてです。
国の子ども・子育て関連3法の成立により、市町村が子ども・子育て支援事業計画を策定、実施することが求められ、札幌市においても、子育てを総合的に支援する新・さっぽろ子ども未来プランが策定されました。本事業計画は、基本目標に、子どもの権利を大切にする、安心して子どもを産み育てられる、子どもと若者の成長と自立を支える、配慮を要する子どもと家族を支えるなどの4点を掲げ、これらの環境の充実を図ろうとしています。札幌市では、基本目標の達成に向けた取り組みのほか、今後必要とされる保育サービス等のニーズ量や供給量を市内10区ごとに把握するため、2013年度に市民アンケート調査等を行い、その結果に基づいて子ども・子育て支援事業計画を策定しております。
保育施策については、その重要性とともに、市民の関心が年々高まっていることから、本事業計画の取り組みを着実に実行するとともに、その時々の実情に応じた対策を講じていくことは大変重要であり、常に見直しを行っていく必要があります。本事業計画の見直しについては、国の基本指針において、計画期間の中間年を目安として、必要な場合には見直しを行うとされており、2017年度中に改めて見直しのあり方を含む基本指針が国から示されます。
札幌市は、この見直しを検討するに当たり、昨年11月に市民アンケート調査を再度実施し、保育サービスのニーズ量を改めて把握しました。それによりますと、本事業計画では、保育の利用意向率、つまり保育所等の保育サービスを利用したいという方の就学前児童全体に占める率を30.5%で想定したのに対し、今回の再調査による結果は36.3%となっており、保育サービスのニーズ量の増大が明らかとなりました。
秋元市政がスタートしてから、子どもを産み育てやすい環境を実現するため、さまざまな施策が実行され、保育所定員の拡充については、2016年度は1,035人の増員を実施し、2017年度予算では1,069人の増員が予定されており、スピード感を持って対応していることは我が会派としても評価しているところですが、少子高齢化が進んでいるにもかかわらず、保育サービスのニーズ量が想定よりも増大している現状に今後も速やかに対応していかなければならないと考えます。
そこで、質問ですが、今回の保育サービスのニーズ量の増大という結果を踏まえ、子ども・子育て支援事業計画の見直しが必要と考えますがいかがか、伺います。
2点目は、放課後の子どもの居場所についてです。
子どもが豊かに育つまちを実現するため、放課後の子どもの居場所を確保することや、子どもにさまざまな体験を通して自主性を育む取り組みを提供していくことは、重要と考えています。
我が会派は、新・さっぽろ子ども未来プランにおいても、放課後児童クラブの質の向上、新型児童会館整備事業等の推進、自主性を育むという観点から言えば、旧真駒内緑小学校跡地を利用した常設プレーパークを開設している、まこまるにおける地域と連携した各種取り組みなどについて、一定の評価をしているところです。
札幌市においては、全国的な受け皿不足の傾向に比べ、児童クラブ等における留守家庭への支援を着実に進めたことにより、放課後の子どもの居場所の環境については待機児童ゼロを実現していますが、児童会館の過密化等の問題があり、さらに質の向上を図っていくことが求められます。
そこで、質問ですが、放課後の子どもの居場所の現状について、本市としてどのように認識しているのか、また、今後も高まるニーズにどのように応えていくのか、伺います。
次に、障がい者の社会参加について伺います。
我が会派では、これまでも、共生社会の実現のため、障がい者の自立と社会参加の支援が大変重要であり、障がい者の就労を通じた社会参加によって、障がい者が地域で自立して生き生きと暮らせるよう、官民一体となって取り組むべきであると主張してきたところです。
障がい者の働く場としては、企業での一般就労や就労継続支援事業所等での福祉的就労があります。一般就労については、企業等での就労を希望する障がい者が一人でも多く雇用につながることが求められております。また、福祉的就労については、一般就労への移行の促進とともに、事業所から障がい者に支払われる賃金や工賃の向上に向けた事業所への発注促進も求められています。これらについては、国、自治体、民間それぞれにおいて積極的に取り組んでいく必要があります。
札幌市においては、昨年12月に開店10周年を迎えた障がい者施設製品の常設販売所である元気ショップや、障がい者施設における受注増のための営業活動を行う元気ジョブアウトソーシングセンターを設置するなど、福祉的就労の工賃向上に関係者とともに積極的に取り組んでまいりました。これらの取り組みは評価できるところですが、企業での一般就労についても積極的に取り組む必要があると認識しております。
秋元市長は、一昨年6月の就任時に表明された施政方針において、人を大事にするということを原点に、誰もが安心して暮らし、人とつながり、生涯現役として必要とされ、札幌の市民であることに誇りを持ちながら生き生きと輝けるまち札幌を目指すとしたところであり、我が会派も、障がい者の社会参加、とりわけ就労支援は重要と考えています。
そこで、最初の質問ですが、障がい者の働く場の拡充等について、これまでの取り組みとその成果に対する認識を伺います。
2点目は、障がい者の働く場の拡充に関する課題と今後の取り組みについてです。
札幌市では、障がい者の雇用について、総合評価入札制度の評価項目に加えるなど、一定の取り組みを進めているところですが、北海道労働局発表の昨年の法定雇用率達成企業の割合によりますと、札幌圏の50人以上の企業における法定雇用率達成企業の割合は46.9%にとどまっており、このように半数以上の企業が法定雇用率を満たしていない中、2018年度から、改正障害者雇用促進法の施行により、法定雇用率の引き上げが予想されており、未達成企業のさらなる増加が懸念されています。
また、福祉的就労についても、過去に、国において工賃倍増計画等により取り組みが進められたものの、その後は、各事業所の主体的な取り組みに委ねられており、各事業所の工賃や賃金はまだまだ低い水準にあります。先ほども申し上げましたが、障がい者が地域で生き生きと暮らすためには、一般就労や福祉的就労を通じた社会参加が大変重要であり、障がい者の自立という観点から欠くことができないものと考えています。
そこで、質問ですが、市長は、障がい者の働く場の拡充等をさらに進めるための課題をどう認識し、今後どのように取り組む考えか、伺います。
次に、ユニバーサルデザインタクシーの導入について伺います。
ユニバーサルデザインタクシー、いわゆるUDタクシーは、一般のセダン型のタクシーと違い、ミニバン型で車内もゆとりがあるほか、スロープを使って車椅子のまま乗車することが可能となっています。また、ドアの開閉に合わせて乗りおりの際のステップも利用できるように設計されており、車椅子使用者に限らず、高齢者、ベビーカー利用の親子連れ、妊産婦など、誰もが利用しやすい新しいタクシー車両として注目されています。
超高齢社会が進み、安心して外出することができる移動手段の必要性が高まる中、国は、2011年3月に移動等円滑化の促進に関する基本方針を改正し、東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年度までに、全国24万台のタクシーのうち、UDタクシーを含む福祉タクシーを約2万8,000台に切りかえていく方針を決定し、タクシー事業者に対し、1台当たり60万円を補助する標準仕様UDタクシー認定制度を導入しました。
UDタクシーは、現在、全国で約700台が営業運転されており、東京では、2020年までに、都内を走るタクシー5万台のうち1万台のUD化を目指す取り組みを進めています。また、鳥取県では、2018年度までに200台の運行を目指しているほか、横浜市、川崎市などにおいても、UDタクシーの普及促進策が講じられているところです。
我が会派は、環境首都・札幌の実現や2026年の冬季オリンピック・パラリンピックの招致を目指す国際都市さっぽろとしてUDタクシーの普及は不可欠として、昨年末に行った2017年度札幌市の予算編成に対する要望においてUDタクシーの導入補助を求めました。こうした中、秋元市長が2017年度予算案にUDタクシー導入補助を盛り込んだことは、共生社会を実現する取り組みとして高く評価するところです。
そこで、質問ですが、アクションプラン2015では想定していなかったUDタクシー導入を、今予算で計上した市長の思いをお聞かせください。
また、多くの市民がUDタクシーは誰もが利用できるタクシーであることを認識していない中で、同事業を継続した取り組みとしていくためには市民への周知が重要と考えますが、今後どのように取り組まれるのか、伺います。
次に、食産業の海外への販路拡大について伺います。
国内の市場が縮小傾向にある中で、札幌市経済が将来にわたり、持続的な成長を続けていくためには、北海道、札幌の強みである食を初め、地域資源を生かして海外市場への販路を開拓し、世界の成長活力を積極的に取り込んでいくことが重要です。
札幌市は、2017年1月に改定した産業振興ビジョンにおいて、従来のビジョンに引き続き、食を重点分野として位置づけており、今後も、食の販路拡大や高付加価値化の取り組みを通して札幌市の産業振興を推進するとしています。
内閣府が公表している「2030年のアジア」というレポートによれば、今後も、アジアは高い成長率が続く見通しであり、食産業などの販路拡大先としてアジアに重点を置くべきとしています。アジアの中でも、特にASEAN10カ国は、今後、全ての国で人口の増加が予想され、引き続き高い経済成長が見込まれていることから非常に有望な市場と言えます。さらに、その中でも、シンガポールは、1人当たりのGDPが最も高く、人や物が集まるアジアの拠点となっています。また、インドネシア、マレーシア、フィリピン、タイ、ベトナムなどの5カ国、いわゆるASEAN5においては、極めて堅調な経済成長が続いており、IMFによる世界経済見通しでは2016年の成長率は4.8%、2018年は5.2%へ上向くと予測され、引き続き高い経済成長率が見込まれています。
また、2015年末に広域経済連携の枠組みであるASEAN経済共同体を発足させ、2018年までに域内関税を撤廃し、さらなる経済成長の加速化を目指しています。このASEAN経済共同体の域内人口は、EUを上回る6億2,000万人と巨大な経済圏と言えるものであり、域内総生産は2兆5,000億ドルに達し、世界経済における存在感は、今後もますます大きくなっていくと考えられています。
一方、外務省が2014年に実施したASEAN諸国を対象とした対日世論調査結果によれば、9割以上が日本との友好関係は重要と回答するなど、日本に対する信頼は大変大きいものとなっています。加えて、北海道の食はブランド化しつつあり、2015年11月にシンガポールにオープンした道産食品のアンテナショップであるどさんこプラザは、人気を博していると聞いています。このようなASEAN市場の有望性と道産食品の人気を背景に、札幌市が2015年度に市内の食関連企業を対象に実施した調査では、輸出希望国としてベトナムやタイ、インドネシアといった国を挙げる企業が多く、その割合は6割を超える結果となっています。
そこで、質問ですが、今後、本市が食を中心とした道産品の海外への販路拡大を目指す上で、アジアの中でもASEAN諸国を対象とした取り組みを進めていくことが重要であると考えますが、今年度のASEAN諸国への販路拡大の取り組みの現状と、新年度の取り組み内容をどのように考えているのか、伺います。
最後に、大谷地流通業務団地の高度化について伺います。
大谷地流通業務団地は、物流関連施設を郊外へ移転、集約し、物流の効率化を図ることを目的として、1967年に流通業務団地として造成されました。同団地は、札幌貨物ターミナル駅やトラックターミナルを擁し、苫小牧港や小樽港、新千歳空港につながる高速道路のインターチェンジに隣接するなど、内陸に位置する流通団地として極めて高い利便性を有しており、造成以来、約50年にわたり、札幌都市圏のみならず、北海道の経済を支える広域物流基地として機能してきました。
一方、近年の人口減少や少子高齢化、グローバル化を背景に、我が国の物流を取り巻く環境は急速に変化しています。特にネット通販の普及など、消費者物流分野の発展などを受け、輸送の急増、小口化が進んでおり、抜本的な物流効率化を進めていく必要があります。
また、国においては、関係省庁が連携して物流施策の総合的な推進を図るため、2013年9月に総合物流施策推進会議で総合物流施策推進プログラムが策定されたほか、2016年10月には改正物流総合効率化法が施行され、共同輸配送や物流施設の共同化といった物流効率化の実現に向けたさまざまな取り組みが進められているところです。
このような状況の中、大谷地流通業務団地に立地する企業においても、物流効率化を図るため、倉庫業や卸売業、運送業といった業種の垣根を超えた取り組みが求められております。しかし、団地内には、区域ごとに建設できる施設が定められている都市計画上の制限があり、例えば倉庫業に指定された区域では、倉庫業以外の用途の施設や複合的な用途の施設を建設できないなど、企業の新たな取り組みを阻害する要因の一つとなっています。さらに、造成から約50年が経過し、近い将来、多くの施設が更新時期を迎えることになるものの、近隣には営業を継続しながら施設更新を進めていくためのいわゆる種地がなく、施設更新とともに流通施設の高度化、効率化が進まない一因となっているなど、課題も顕在化してきています。
物流は、経済活動の根幹をなすものであり、特に北海道は日本有数の食料生産地域として道外への食料の安定的な供給が求められており、昨年の熊本地震や北海道へのたび重なる台風の上陸といった災害の際には、その重要性が改めて認識されたところです。北海道の物流は、季節変動が大きいことや長距離輸送が多いことなどの地域特性があると言われておりますが、昨今の環境の変化や災害リスクに対応し、引き続き、その役割を果たしていくためには、安定的かつ効率的な物流網の維持は必須であります。今後、北海道の物流循環を一層活性化し、北海道経済の底上げを図るためには、この団地が抱える諸課題を解決し、物流機能の高度化を進めていく必要があると考えます。
そこで、質問ですが、これらの状況を踏まえ、大谷地流通業務団地の諸課題についてどのような認識を持ち、これまでどのような検討を行ってきたのか、伺います。
また、ことし1月に策定した札幌市産業振興ビジョン改定版においても、団地の高度化に向けて、土地利用計画の見直しや立地企業の施設更新に必要な土地の確保等の環境整備について検討を進めるとしていますが、これまでの検討を踏まえ、今後どのように対応していくつもりか、伺います。
以上で、私の質問の全てを終了いたします。ご清聴、まことにありがとうございました。(拍手)
○副議長(恩村一郎) 答弁を求めます。
秋元市長。
◎市長(秋元克広) 全体で11項目のご質問をいただきました。私からは、1点目の私の政治姿勢について、2点目の財政問題について、そして、3点目の2017冬季アジア札幌大会についてお答えをさせていただきます。その余のご質問に対するご答弁につきましては、担当の副市長、それから選挙管理委員長のほうからお答えをさせていただきます。
最初に、1項目めの私の政治姿勢についてお答えを申し上げます。
まず、これまでの市政運営の総括と今後の取り組みについてでありますが、私は、この魅力的なまち札幌を未来へつなげていきたい、「つづける、つなぐ、つぎへ」という思いで、この2年間、札幌市長としての重責に全身全霊を傾けてまいりました。
そのような強い思いのもと、雇用を生み出す経済、そして、未来を担う子どもを安心して産み育てられる子育て、この取り組みに注力してきたところであります。とりわけ子育て支援におきましては、保育の受け皿の拡充や子育て世代の経済的負担の軽減などに積極的に取り組んでまいりました。また、昨日終了いたしました冬季アジア札幌大会の成功により、子どもたちに夢と希望を与え、まちの活力につながる冬季オリンピック・パラリンピックの招致にも弾みをつけることができたと考えているところであります。これらの成果を含め、この2年間の取り組みを通じて、未来につなぐまちづくりを着実にスタートさせることができたと認識をしております。
任期折り返しに当たりましては、これまでの取り組みをさらに進めることはもとより、時代の変化を的確に捉えた柔軟な視点で、女性が輝くまちづくりの推進などの新しい施策を展開していく所存であります。引き続き、人を大事にすることを原点に据え、決断力とリーダーシップを持ってまちづくりを加速させてまいりたいと考えております。
次に、長期的視点に立った札幌市のまちづくりについてであります。
長期的には超高齢社会、人口減少社会の進展が避けられない中にありましても、札幌が持続的な発展を遂げていくためには、まちの魅力と活力を引き続き高めていくとともに、地域でのつながりや支え合いが定着をし、誰もが安心して暮らし、活躍できる社会を築いていくことが必要と考えております。そのため、民間投資を誘発しながら都心のまちづくりを進め、国内外から人、物、情報などを呼び込むことに加え、地域交流拠点への多様な都市機能の誘導などを通じて、市民が歩いて暮らせるまちづくりにも取り組んでまいります。
また、このような都市空間のもとで、市民が互いに交流する機会を広げつつ、地域福祉のネットワーク化の推進や、誰もが生涯現役で活躍できる環境づくりなどを進め、活力ある地域コミュニティーの形成を目指してまいります。こうしたまちづくりを進め、魅力と活力にあふれ、豊かな暮らしを営めるまちを次の世代に引き継いでまいりたいと考えております。
次に、札幌駅交流拠点のまちづくりについてであります。
まず、民間開発との連携についてでありますが、民間開発との連携を図るためには、その動向を事前に把握するということが極めて重要であると認識をしております。そのため、仮称でありますが、札幌駅交流拠点まちづくり計画の検討区域内の地権者の方々へアンケートを行い、開発への意向などを把握するとともに、札幌駅交流拠点まちづくり協議会への参加もあわせて働きかける考えであります。その上で、幅広く議論を行い、まちづくりの方向性を官民で共有することを通じて、各種基盤整備や民間開発相互の連携が図られるよう積極的に取り組んでまいります。
次に、北4西3街区まちづくり検討会立ち上げに対する札幌市の考えと今後の進め方についてであります。
この北4西3街区は、道都札幌の玄関口であるとともに、札幌駅のにぎわいを大通方面につなぐ、札幌の都心のまちづくりを考える上で非常に重要な街区と認識をしております。このような認識から、この街区全体でこれまでにない魅力ある都市空間や都市景観が創出されることが望ましいと考え、これまで地権者に働きかけを重ね、検討会を立ち上げたものであります。今後は、地権者個々のご意向をお聞きした上で、北5西1、北5西2街区を核とする札幌駅交流拠点先導街区整備基本構想とも整合性を図りながら進めてまいりたいと考えております。
次に、北海道日本ハムファイターズの新球場建設構想についてでございます。
ファイターズ球団が構想しております新球場に対しましては、札幌が196万人もの人口を有する都市であるということ、そして、地下鉄を初めとする交通環境が整っていることにより、集客のしやすさという観点が最大の優位性であると考えているところでありまして、球団への提案につきましては、候補地の立地環境として既存の公共交通網を生かすという観点に加え、新球場によるにぎわい創出や周辺地域のまちづくりへの波及効果という観点も重視をしてまいりたいと考えております。
大きな2項目めの財政問題についてお答えをいたします。
まず、2017年度予算の考え方についてであります。
2017年度予算における子ども・子育て支援の分野につきましては、誰もが安心して暮らし生涯現役として輝き続ける街の実現に向け、アクションプランに掲げる取り組みに加えまして、児童虐待相談の増加や保育ニーズの急増などの顕在化する社会情勢の変化に対応するため、アクションプラン策定時には想定されていなかった取り組みについても、スピード感を持って予算化をしたところであります。
具体的には、仮称でありますが、子ども貧困対策計画の策定や児童相談体制の強化など、困難な環境に置かれている子どもたちが安心して暮らせるための取り組みを進めることとしております。また、3歳未満の第2子の保育料の無料化や1,000人を超える保育の受け皿の整備、妊娠後の流産などにより子どもに恵まれない不育症の方への医療費の助成など、安心して子どもを産み育てられる環境の整備も進めてまいります。少子化や子どもの貧困問題などへの対応は、待ったなしの状況であり、今後も、子ども・子育て支援の分野につきましては、積極的かつ機動的に取り組んでまいりたいと考えております。
次に、市債についてであります。
近年の市債発行額の増加要因としては、臨時財政対策債の増加ということが挙げられますが、これは、国の厳しい財政状況の中で、地方財政の必要額を確保するための措置であり、この傾向は継続するものと認識をしております。また、建設債につきましても、昭和47年の政令市移行に合わせて整備が進められてまいりました道路などの都市基盤や学校などの公共施設が、今後、一斉に更新時期を迎えているということで、この対応に伴う発行需要は今後高まっていくものと考えております。さらには、都市の活力や経済の活性化を促す取り組みなど、札幌市の将来を見据え、必要な投資ということも着実に進めていく必要もございます。
一方で、このように市債発行の増加傾向が強まる状況におきましても、財政規律を堅持しながら市政運営を行っていくということが不可欠であると認識をしておりまして、これまでも予算編成段階における事業の厳選や年度間の平準化、さらには、効率的な事務執行などにより市債発行額の抑制に努めた結果、来年度末における全会計の市債残高は、アクションプラン策定時の見込み額、計画額で1兆7,642億円でありますが、これを294億円下回る見込みでございます。
今後も、将来世代に過度な負担を残さないよう、中長期的な視点を持った上でこれまでの取り組みを継続し、めり張りのきいた財政運営を行うことで市債残高の抑制に努めてまいりたいと考えております。
次に、3項目めの2017冬季アジア札幌大会についてお答えをいたします。
まず、大会の検証についてでありますが、今後、大会の組織委員会におきまして、競技のみならず、式典や輸送、さらにはセキュリティーなど大会運営全般にわたって、当初計画に対し、どのような課題があったのか、さまざまな角度から検証を行った上で、大会報告書としてまとめるとともに、アジアオリンピック評議会に報告を行う予定でございます。
また、このたびの大会におきましては、各競技会場などで来場者へのアンケート調査を行ったところでありまして、これに加え、今後、大会に従事した競技役員やボランティアの方々にヒアリングを実施することでさまざまな意見や課題を集約してまいりたいと考えております。こうした検証結果を札幌市が目指す冬季オリンピック・パラリンピックの招致の取り組みに積極的に生かしながら、札幌らしい開催モデルというものを提案していきたいと考えております。
次に、IPCノルディックスキーワールドカップにかける意気込みについてということでございます。
世界15カ国から約130人の選手、役員が集うこの大会でありますけれども、札幌市におきましては、障がい者スキーの国際大会として初めて開催をされるものでありまして、招致を目指す冬季オリンピック・パラリンピックのモデル的な大会として位置づけているところであります。
そこで、現在、万全な形で大会を実施するため、各競技団体と連携を図りながらパラリンピック特有の競技環境の整備や選手のサポート体制など、運営準備に全力で取り組んでいるところであります。さらに、大会期間中、より多くの方に障がい者スポーツを身近に感じてもらえるよう、例えば、地下歩行空間での総合表彰式の開催でありますとか、選手による学校訪問など、市民と選手のさまざまな交流の機会の創出、こういったことも考えていきたいということでありまして、こうした取り組みにより、市民の障がい者スポーツへの理解や関心を深め、ひいては、ともに生きる共生社会の実現につながる意義のある大会としてまいりたい、このように考えてございます。
私からは、以上であります。
○副議長(恩村一郎) 町田副市長。
◎副市長(町田隆敏) 私からは、大きく三つの項目について、5項目めの指定管理者制度について、10項目めの食産業の海外への販路拡大について、そして、11項目めの大谷地流通業務団地の高度化についてお答え申し上げます。
まず、5項目めの指定管理者制度についてでございますが、これまで指定期間を原則4年とする中で、例えば管理者選定の際に現在の管理実績を反映するなど、施設運営の継続に配慮しながら労働環境の維持・向上に取り組んできたところでございます。
一方、全国的に指定期間は見直されてきているところでございまして、指定管理者や他都市のヒアリングなどからも、期間を延ばすことで人材の確保や育成がしやすくなり、労働者の熟練度も増すといった効果が見込まれるところでございます。このような状況を踏まえまして、平成30年度に迎える一斉更新の時期を見据えて、指定期間の見直しについて検討してまいります。
次に、10項目めの食産業の海外への販路拡大についてでございますが、今年度、北海道と連携して北海道・札幌市海外拠点連携協議会を設立し、ASEAN諸国に向けた道産食品などの販路拡大に取り組んでいるところでございます。具体的には、北海道がシンガポールに設置しましたASEAN事務所から現地情報や人材派遣を受け、シンガポールとベトナムにおいて、北海道産品フェア、そして商談会を開催したところでございます。
新年度におきましては、タイとマレーシアを対象国として、引き続き、北海道と連携のもと、フェアと商談会を実施したいと考えております。さらに、これまでの取り組みを通じて関係を構築したバイヤーを札幌へ招聘して商談会を開催するなど、ASEAN諸国への販路拡大を積極的に進めてまいります。
次に、11項目めの大谷地流通業務団地の高度化についてのご質問でございますが、施設に関する都市計画上の規制につきましては、物流環境の急速な変化の中で、団地内企業からも見直しを求められているほか、現時点では、施設更新に必要となる種地の確保も困難な状況にあると認識しております。
昨年度は、団地内企業を中心とした検討会議を開催し、団地の高度化に向けた方向性を取りまとめ、本市としては、土地利用計画の見直しや種地の確保等の課題に取り組むことと整理したところでございます。
今年度は、土地利用計画の見直しに向けて調査を進めているところであり、今後は、団地内企業等と十分に協議を行い、企業が物流効率化を進めやすい環境を整備してまいりたいと考えているところでございます。また、種地の確保につきましては、団地内の市有地の活用も含め、中長期的な視点に立って引き続きその手法を検討してまいります。
私からは、以上でございます。
○副議長(恩村一郎) 板垣副市長。
◎副市長(板垣昭彦) 私からは、大きな4項目めの性的マイノリティーへの支援について、7項目めの子育て支援策について、そして、8項目めの障がい者の社会参加について、この3項目についてお答え申し上げたいと思います。
まず、4項目めの性的マイノリティーへの支援についてであります。
パートナーシップ制度導入による効果についてでございますけれども、札幌市のパートナーシップ制度につきましては、性の多様性を尊重する取り組みとして導入するものでございまして、自分たちの存在を公に認めてほしいとする当事者の気持ちを受けとめるとともに、市民理解の増進につなげてまいりたいというふうに考えております。また、冬季オリンピック・パラリンピックの招致を目指します札幌市にとりましても、人権を尊重し、多様性を認め合うまちとして国際的にもアピールできるものというふうに考えております。
次に、今後の性的マイノリティーの方への支援の進め方についてでございますけれども、性の多様性についての市民理解はまだ十分とは言えず、そのことが性的マイノリティー当事者の深刻な困難や孤立化につながっているものと考えております。そのため、まずは、性的マイノリティーに開かれたまちのシンボルとも言えるパートナーシップ制度を導入するとともに、今年度作成いたしましたリーフレットなどを活用いたしまして、一層、市民理解増進に取り組んでまいりたいというふうに考えております。また、新たに電話相談を開始するなど、当事者の個々の悩みや困難を受けとめまして、生きづらさを少なくするよう取り組みを進めてまいりたいというふうに考えております。
次に、7項目めの子育て支援策についてであります。
子ども・子育て支援事業計画の見直しについてでありますけれども、ニーズ量の増大に伴いまして保育サービスの供給量が大きく不足することなどが見込まれておりますことから、この計画につきましては、中間年であります平成29年度中の見直しが必須であるというふうに認識しております。このことから、幼稚園を含む需給の見通しや現計画策定後のサービスの多様化等を踏まえまして、札幌市子ども・子育て会議等で幅広く議論を行い、人材の確保といった観点も含めまして、供給量確保のあり方について検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
放課後の子どもの居場所についてでありますけれども、放課後児童クラブの登録児童数は、ここ数年、10%程度の高い伸びを示しておりまして、児童の安全・安心の確保はもとより、女性の社会参加を促進するためにも、過密化への対応は重要な課題であるというふうに考えております。
今後におきましても、児童会館等の過密化対策を着実に進めるとともに、学校施設との複合化の機会を捉えまして機能の充実を図るなど、子どもたちが放課後を健やかに過ごせることができるよう、環境整備により一層努力してまいりたいというふうに考えております。
次に、大きな8項目めの障がい者の社会参加についてであります。
働く場の拡充などの取り組みと成果についてでございますけれども、これまで、札幌市では、障がい者の求職活動や職場定着などを専門の職員が支援いたします就業・生活相談支援事業や、多くの障がい者を雇用いたします特例子会社の開設などに対しましての助成などを積極的に実施してきたところであります。また、国と共同で障がい者を対象といたしました就職面接会を継続的に開催しているほか、昨年11月には、元気カフェの4店目を白石区複合庁舎にオープンするなど、障がい者の雇用拡大に向け、さまざまな取り組みを行ってきております。
これらに加えまして、障がい者自身の就労意欲の高まりや、雇用に対する企業意識の変化もございまして、障がい者の働く場は着実に広がっているものと認識をしております。
次に、課題の認識と今後の取り組みについてであります。
障がい者雇用を今後一層進めていくためには、法定雇用率の遵守はもとより、企業のニーズに合った教育、訓練、人材育成のあり方やさまざまな障がい特性に応じた就労支援、雇用環境の整備などが課題であるというふうに認識しております。そのため、企業や就労支援施設、教育施設などの関係機関における障がい者の就労実態を踏まえました対応が重要であるというふうに考えておりまして、この4月に開校いたしますみなみの杜高等支援学校におきましても、生徒本人の意思や就労意欲を重視した教育を行う予定となっております。
今後とも、これまでの取り組みに加えまして、より企業や障がい者の意向に沿った事業を展開するなど、福祉や雇用、教育などの庁内各部局、国や北海道、関係機関等が連携し、障がい者の働く場の拡充に努めてまいりたいというふうに考えております。
私からは、以上でございます。
○副議長(恩村一郎) 吉岡副市長。
◎副市長(吉岡亨) 私からは、9項目めのユニバーサルデザインタクシーの導入についてお答えいたします。
最初に、予算計上した思いについてでございます。
誰もが安心して暮らせるまちづくりのため、障がい者や高齢者、妊産婦、ベビーカー利用者、外国人など全ての人々にとってバリアを生じさせないユニバーサルデザインの考えを施策に取り入れていくことは非常に重要と思うところでございます。誰もが乗りおりしやすく、大きな荷物の積みおろしも容易なユニバーサルデザインタクシーの普及は、市民はもちろんのこと、国内外からの訪問客の利便性向上にもつながるものと考えるところでございます。これらの思いを具体化するため、アクションプランにはないものの、スピード感を持って取り組むべき施策と考え、新年度予算に計上したものでございます。
次に、市民への周知についてでございます。
現時点では、ユニバーサルデザインタクシーは市内で走行していないこともあり、市民の認知度は高くないと思われるところでございます。そのため、ユニバーサルデザインタクシーの導入に向けましては、札幌ハイヤー協会やタクシー事業者と協力しながら、市民の皆様に対する効果的な周知方法を検討してまいります。
私からは、以上でございます。
○副議長(恩村一郎) 川口谷選挙管理委員長。
◎
選挙管理委員会委員長(川口谷 正) 期日前投票所の増設についてのご質問にお答えをいたします。
札幌市選挙管理委員会としましては、期日前投票所を増設することは選挙人の投票環境の向上に寄与するものと考えております。このため、期日前投票所の増設に当たっては、交通の結節点にあるか、移動手段は確保されているか、地区のバランスはどうかなど多面的に検討し、できるだけ多くの区民にとって利便性の高い場所を厳選して設置すべきものと考えております。
一方で、期日前投票所は、日曜日に開設する投票日当日の投票所と異なり、平日を含んだ数日間の開設となるため、場所の安定的な確保や、事故が生じないような従事体制の確保といった課題もあります。
したがいまして、札幌市選挙管理委員会としましては、ご指摘の趣旨も踏まえまして、区と連携しながら検討してまいりたいと考えております。
以上であります。
○副議長(恩村一郎) お諮りします。
本日の会議はこれで終了し、明日2月28日午後1時に再開したいと思いますが、ご異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○副議長(恩村一郎) 異議なしと認めます。
したがって、そのように決定しました。
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○副議長(恩村一郎) 本日は、これで散会します。
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散 会 午後5時2分
上記会議の記録に相違ないことを証するためここに署名する。
議 長 鈴 木 健 雄
副 議 長 恩 村 一 郎
署名議員 中 川 賢 一
署名議員 福 田 浩 太 郎...