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平成29年(常任)財政市民委員会−01月31日-記録

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  1. 札幌市議会 2017-01-31
    平成29年(常任)財政市民委員会−01月31日-記録


    取得元: 札幌市議会公式サイト
    最終取得日: 2021-04-26
    平成29年(常任)財政市民委員会−01月31日-記録平成29年(常任)財政市民委員会  札幌市議会財政市民委員会記録            平成29年1月31日(火曜日)       ────────────────────────       開 会 午前9時58分     ―――――――――――――― ○村上ゆうこ 委員長  ただいまから、財政市民委員会を開会いたします。  報告事項は、特にございません。  それでは、議事に入ります。  札幌市パートナーシップ制度についてを議題とし、資料に基づき、理事者から説明を受けます。 ◎池田 市民文化局長  本日は、札幌市パートナーシップ制度についてご報告いたします。  本制度の対象となる性的マイノリティーの方につきましては、民間の調査によりますと、人口の8%前後存在し、その多くが学校や職場、社会生活などにおいて深刻な困難を感じている状況にあるとされております。また、一昨年来、渋谷区や世田谷区など一部の自治体において、性的マイノリティーへの偏見や差別をなくし、性の多様性を尊重する方策の一つとして、独自の同性パートナーシップ制度を設ける取り組みが広がってきております。札幌市におきましても、昨年6月、当事者団体からパートナーシップ認証制度を創設し、自分たちの存在を公に認める方策をとってほしいとする要望をいただきました。  このようなさまざまな状況を踏まえて、札幌市としては、性別や性自認性的指向にかかわりなく、市民一人一人の人権が尊重され、個性や能力が十分に発揮できることが必要であるという認識のもと、性の多様性に対応したパートナーシップ制度を要綱により創設することで、当事者の方々の思いを受けとめるような取り組みを進めたいと考えております。  それでは、取り組みの背景、制度の概要について、男女共同参画室長からご説明いたします。 ◎芝井 男女共同参画室長  札幌市パートナーシップ制度について、お手元の資料に沿ってご説明いたします。  1の取組の背景をごらんください。  まず、(1)性的マイノリティとはですが、レズビアン、ゲイ、バイセクシュアルトランスジェンダーなど、典型的とされていない性自認性的指向を持つ方々を指し、直近の民間調査では約8%の割合で存在しているとされております。  次に、(2)当事者が抱える困難についてです。  学校で誰にも相談できず、自死に追い込まれた、居場所がなく孤立した、同性のパートナーが入院した際に付き添いができなかったなど、日常生活の中で深刻な困難に直面していることが関係団体により報告されております。  次に、(3)社会の認識について、各種のアンケート調査をお示ししております。
     上段の内閣府の調査では、性的指向について、人権問題として差別的な言動をされると約4割の方が認識している一方、特にない、わからないとする割合が4割を超えている状況にございます。また、下段は、連合の調査ですが、LGBTの方が身近にいるとした方では、職場での差別的取り扱いを3人に1人は受けたり見聞きしていると回答しており、また、ハラスメントの原因は差別や偏見であると6割の方が回答しております。  これらの結果から、性的マイノリティーに対して差別や偏見があるという認識がある一方で、理解が進んでいないものと考えられます。  続きまして、2ページ目をごらんください。  (4)国際社会の動きについてです。  国連人権理事会性的マイノリティー人権侵害に関する決議を採択しているほか、IOC、国際オリンピック委員会オリンピック憲章性的指向による差別禁止を明文化しております。また、欧米の主要国が同性婚を認めているなど、国際社会では性的マイノリティーを差別しない法整備などが進んでいる状況でございます。  次に、(5)日本国内の動きについてでございます。  まず、1の政府の取組につきましては、2004年に性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律が施行されたほか、各種の計画や指針などにおいて、性的マイノリティーへの配慮やきめ細やかな対応を位置づけている状況でございます。  次に、2の国内先進都市の状況についてですが、現在、パートナーシップ制度を導入している自治体は、渋谷区を初めとして五つございます。渋谷区につきましては、同性カップルに関して、婚姻と同様の実質を公正証書により確認してパートナーシップ証明書を発行することや、区民や事業者に対する当該証明書配慮義務を条例で規定しております。世田谷区以下の四つの自治体では、パートナーの関係にあることを宣誓する同性カップルに対して、自治体から、宣誓書の写しと受領証、那覇市では登録証明書の発行について要綱に規定しております。  次に、3の主な企業の動きですが、携帯電話家族割サービス生命保険の受取人、飛行機のマイルについて共有できるなど、同性パートナーへのサービスの適用が広がっており、また、大手企業を中心に、従業員の福利厚生同性パートナーにも拡大する取り扱いが進んでいる状況でございます。  次に、(6)性的マイノリティについての札幌市の取組状況についてでございます。  平成26年に、性同一性障がいについて相談できる窓口をホームページ上で紹介したほか、昨年、啓発用のリーフレットを作成しました。  続きまして、3ページ目をごらんください。  2のパートナーシップ制度の概要についてでございます。  まず、(1)位置付けについてですが、先ほどの民間調査にありましたとおり、性的マイノリティーは人口の8%前後いると考えられ、その多くが深刻な困難を抱えている現状にあることなどから、性の多様性に対応した制度を創設することで、当事者の思いを受けとめつつ、市民理解の増進や人権尊重意識の醸成を図るものでございます。  次に、(2)要綱案の概要です。  まず、1の趣旨につきましては、札幌市まちづくり戦略ビジョンの理念に沿って、互いの個性や多様性を認め合い、誰もが生きがいと誇りを持つことができるまちの実現を目指して、性的マイノリティーにかかわるパートナーシップの宣誓の取り扱いを定めるものでございます。  次に、2のパートナーシップ制度の内容についてです。  互いを人生のパートナーとして相互に協力し合うことを約束した2人の関係をパートナーシップと定義して、そのパートナーシップの関係にあるお2人が市長に対して宣誓する制度であり、法的な権利や義務が生ずるものではございません。  宣誓の対象者は、二十歳以上であること、市内に住所を有している、もしくは転入予定であること、ほかに配偶者パートナーシップ関係がないことを満たす方としております。また、今回の制度につきましては、性同一性障がいの方を念頭に、同性同士に限定しない扱いにしたいと考えております。  宣誓の方法などにつきましては、市職員の面前で宣誓書にみずから記載していただき、市は、宣誓書提出書類を受領した後、宣誓に対する受領証と宣誓書の写しを交付いたします。  なお、提出書類につきましては、住民票、独身を証明する書類のほか、来庁時に免許証など本人確認書類の提示を求めたいと考えております。  そのほか、パートナーシップが解消されたときや、双方が市外へ転出される場合などには、受領証を返還していただくほか、性同一性障がいによる性別違和など、特に必要があると認められる場合には、通称名の使用を認める予定でございます。  また、市は、受領した宣誓書を10年間保存することとしております。  最後に、実施時期ですが、平成29年4月の施行を目指しております。 ○村上ゆうこ 委員長  それでは、質疑を行います。 ◆松井隆文 委員  いわゆる性的マイノリティーに関してですが、現在、性自認性的指向の多様なあり方について、社会の理解が進んでいるとは必ずしも言えず、いまだにいじめや差別の対象とされやすいという現実もあり、学校や職場、社会生活等において、当事者が直面するさまざまな困難に向き合い、課題の解決に向けて取り組むことが求められていると認識しております。  先ほどの説明で、札幌市で考えているパートナーシップ制度については、いわゆる同性婚や渋谷区で行われている同性パートナーの証明とは一線を画すものであり、法的な権利や義務が生じない範囲で性的マイノリティーの方の気持ちを受けとめるためのものと理解いたしました。  昨年末に札幌市が政令市で初めて同性カップルを認定するとの報道があり、市民の皆さんからは、同性婚を認めるのかなど、さまざまな声が私どものもとに寄せられておりますが、中には誤解に基づくものもあるのではないかと思っております。私は、今月、先行都市である東京都世田谷区に伺って、パートナーシップ制度やその他の取り組みについて現地調査をしてまいりました。  そこで、札幌市のパートナーシップ制度について、他の自治体取り組み事例との比較や、市民が疑問に思っていることなどを中心にして確認していきたいと思います。  まず初めに、性的マイノリティーの定義と認識について、関連して伺います。  性的マイノリティーについては、レズビアン、ゲイなどのアルファベットの頭文字を使ってLGBTと呼ばれることもありますが、このLGBTの中でも、レズビアン、ゲイ、バイセクシュアルの三つと、T、トランスジェンダーでは法律的にも医学的にも取り扱いが異なっております。  トランスジェンダーとは、日本語で性同一性障がいと言い、性自認が身体の性と異なる方ですが、障がいであるという認識のもと、心の性と身体の性を一致させるための医療や法制度が整っている状況です。一方で、レズビアンやゲイ、バイセクシュアルについては、性的指向が典型的でない方ですが、基本的に治療の対象ではなく、本人の意思や趣味によるものと考える人も少なくないのではないかというふうに思われます。市民からは、性自認だけではなく、レズビアンやゲイなどの性的指向についてまでもパートナーシップ制度の対象とすることに対して違和感があるという声も聞かれるところです。  そこで、札幌市が性自認性的指向性的マイノリティーとして同列に扱い、行政支援の対象にしようとする認識をお伺いいたします。 ◎芝井 男女共同参画室長  行政支援の対象とする性的マイノリティーの認識についてお答えしたいと思います。  性のあり方は、ご質問にもありましたとおり、体の性のみではなくて、性自認性的指向の要素が、それぞれ、男性なのか、女性なのか、どちらでもないのかなど、多種多様な組み合わせの方々が存在しており、グラデーションと例えられることもあるかと思います。こうした性自認性的指向はともに本人の意思で選択したり変えられるものではないと認識しております。  こうしたことから、札幌市としては、性自認性的指向にかかわらず、性のあり方のために日常生活において深刻な困難を抱えている方を支援したいと考えております。 ◆松井隆文 委員  次に、パートナーシップ制度の性における位置づけについて伺いたいと思います。  先ほど出た世田谷区においては、区の基本計画多様性の尊重を位置づけており、その方向性に沿って同性パートナーシップの宣誓に取り組んでいると聞いております。この点、札幌市は、今回の性的マイノリティーに係るパートナーシップ制度について、どのような政策的な位置づけの中で行うのか、確認いたします。 ◎芝井 男女共同参画室長  パートナーシップ制度の政策的な位置づけについてお答えいたします。  平成25年に策定した札幌市まちづくり戦略ビジョンの中では、市民が互いの個性や多様性を認め合う寛容さと相互の信頼感のもとでつながる共生のまちづくりを進めることなどが明記されております。また、現行の第3次男女共同参画さっぽろプランでは性的マイノリティーへの支援を位置づけており、今回のパートナーシップ制度につきましては、こうした方針に沿って性の多様性を尊重する方策の一つとして取り組む位置づけであると考えております。 ◆松井隆文 委員  次に、パートナーシップ制度の対象を同性に限定していないということですが、その点について伺います。  先ほどの説明では、性同一性障がいの方を念頭に同性に限定しないということでしたが、性同一性障がいの方は、性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律により、医師の診断や家庭裁判所の審判などを経て、戸籍上の性を他の性別に変更できることから、みずからが望む性別での異性婚ができる仕組みになっているのではないかと思います。この特例法を利用して異性婚が可能な方にまで、パートナーシップ制度の対象を広げるという趣旨について確認いたします。 ◎芝井 男女共同参画室長  パートナーシップ制度の対象を異性婚が可能な人にまで広げる趣旨についてお答えしたいと思います。  ご質問にありました特例法による性別変更につきましては、高額な医療費負担性別適合手術に伴う身体負荷などの理由で選択できない当事者もいらっしゃると認識しております。加えて、当事者団体からの要望も、性同一性障がいの方を念頭に、対象者同性パートナーに限定しない制度を求めるものとなっております。  こうしたことを踏まえて、例えば、特例法による性別変更を選択できない異性パートナーがみずからの性自認とは異なる戸籍上の取り扱いを望まない場合を念頭にして、制度の対象を同性に限定しない取り扱いにしたいと考えております。 ◆松井隆文 委員  次に、いわゆる同性婚とは全く異なって、あくまで気持ちを受けとめるための制度だという視点から伺います。  市民の中には、札幌市で婚姻を想起させるような取り組みを行うと聞くと、区役所でパートナーシップの宣誓の受け付けができるのではないかと考える方がいらっしゃると思いますが、具体的な宣誓の手続はどこで担うのか、確認いたします。  あわせて、今回、札幌市では住民票や戸籍などを求めるという説明がありましたが、これらの書類は世田谷区では求めておりません。法的な権利義務が生じないで、気持ちを受けとめるだけの制度ということであれば必要ないとも思えますが、札幌市として住民票などを求めている趣旨について確認いたします。 ◎芝井 男女共同参画室長  パートナーシップ制度に関する手続についてのご質問です。  1点目の宣誓の手続につきましては、性的マイノリティーの方に対する市民理解がまだ十分ではない現状を考慮して、宣誓される当事者のプライバシーの保護などの観点から、当面、各区役所の窓口ではなく、市役所本庁舎市民文化局男女共同参画室において行うことを考えております。  2点目の住民票などを求める趣旨につきましては、パートナーシップ宣誓対象者の要件とする、双方に配偶者がいないことや、居住地などを確認する上での最低限のものを求めるという趣旨でございます。 ◆松井隆文 委員  最後の質問ですが、性的マイノリティーの課題に関して、学校教育への働きかけについて伺いたいと思います。  市民文化局では、男女共同参画などの人権課題について担当しており、小・中学校へのパンフレットの配付など、学校教育における普及啓発にも取り組んでいると承知しております。  世田谷区では、性的マイノリティーに係る小学校への出前授業なども行っているようですが、小学校といいますと、男性と女性の違いなどを学び始める段階です。このような早い時期から性的指向などまで学ぶというのは慎重に考えたほうがいいといった意見も聞かれるところです。  そこで、パートナーシップ制度をスタートさせることに関連して、性的マイノリティーの課題等について、市民文化局として学校教育への働きかけをどのように考えているのかという点について伺います。 ◎芝井 男女共同参画室長  性的マイノリティーの課題などに関する学校教育への働きかけについてのご質問です。  学校教育における男女共同参画性的マイノリティーなどのさまざまな人権課題にかかわる普及啓発につきましては、児童の発達の段階や学習の進捗状況に応じて行うことが必要であると考えております。  こうしたことを踏まえて、お話にありましたような性的マイノリティーにかかわる小学校向け出前講座などを実施することについては、今のところ考えておりません。 ◆松井隆文 委員  本パートナーシップ制度の不透明な部分や市民が不安に感じている点について何点か伺い、また、当事者の気持ちを受けとめるというパートナーシップ制度の意義についても認識したところです。  冒頭の説明において、各種の民間調査でのデータが出ており、性的マイノリティーの方が8%程度いるという説明がありましたが、これはインターネットを使った全国調査であり、札幌市における実態調査ではございませんでした。また、パートナーシップ制度を活用する予定がない性的マイノリティー皆さんは一体どういったニーズを持っているのかについても十分に把握できていないようにも思えるところです。  札幌市におけるそうした現状や実態の把握に努めることを含めて、今後、丁寧に進めるように要望して、私の質問を終わります。 ◆中村たけし 委員  私からも、何点か質問します。  私たち民進党は、性的マイノリティーについて、単なる性的指向の問題ではなくて、先天的に備わった個人の特徴であるという認識を持って取り組んできました。これまで、性的マイノリティー皆さんの生きづらさをなくすために、市として、相談窓口の充実や周知、啓発、条例を含めた同性パートナーシップ制度の検討について求めてまいりました。会派としても、東京都渋谷区に視察に行ったり、実態の調査もしてまいりました。相談窓口の充実については私が2012年の財政市民委員会で、それから、周知、啓発、同性パートナーシップ制度の検討については昨年の第2回定例会の代表質問の中で松原議員が取り上げたところです。  こうした中で、市としては、第3次男女共同参画さっぽろプランの中で、相談窓口への案内などの取り組みを行っており、そして、関係団体の要望や民間団体の調査などを踏まえて、先ほど室長から説明があったパートナーシップ制度をスピーディーに制定しようとしているということで、私たちの会派としては大変評価したいと考えております。  しかしながら、先ほど説明があったとおり、性的指向や性同一性障がいの課題について、わからないと考えている方が多い状況にあります。性的マイノリティーについて、必ずしも市民理解が進んでいない状況にあると言えるのではないかと思います。  そこでまず、質問ですが、今後、性的マイノリティーへの支援を進めていくためには、より一層、周知、啓発を行うべきと考えますが、これまでの取り組み状況と今後の見通しについてお伺いします。 ◎芝井 男女共同参画室長  性的マイノリティーに関する周知、啓発についての今までの取り組み状況と今後の見通しについてお答えしたいと思います。  札幌市では、性的マイノリティーへの市民理解がまだ十分ではないという認識のもと、昨年10月に性的マイノリティーに関する理解を深めるためのリーフレットを作成いたしました。このリーフレットは、「LGBTってなんだろう?」と題して、性的マイノリティーの特性や当事者の困っていること、皆さんに実践していただきたいことなどについて、当事者との意見交換を重ねて作成したものでございまして、1万部を作成して、現在までに6,000部を配布している状況でございます。また、市の各種相談における性的マイノリティーの方からの相談を念頭に、配偶者暴力相談センターや区健康・子ども課などの相談員に対して、昨年、専門家による研修を実施したところです。  今後、まずは、今回のパートナーシップ制度の趣旨や内容について、当事者だけではなく、広く市民に知っていただけるよう、市のホームページへの掲載や、地域や企業への出前講座などを行うとともに、先ほどのリーフレットをさらにPRして理解増進を図ってまいりたいと考えております。 ◆中村たけし 委員  「LGBTってなんだろう?」というリーフレットを活用して、市民の皆さんの理解がどんどんと広がるように啓発活動を行っていただきたいと思います。  次に、この制度を始めるに当たって、当事者が抱える困難がさまざまな分野にわたっていると聞いておりますが、そうした困難の解消のために、民間企業で広がっている同性カップルの方を対象としたサービスの適用について、さらに拡大させる働きかけが必要だと思います。  そこで、質問ですが、パートナーシップ制度に関する民間への働きかけについてはどのように進める考えなのか、お伺いします。 ◎芝井 男女共同参画室長  パートナーシップ制度に関する民間への働きかけについてお答えいたします。  性的マイノリティーの方が抱えている困難な事例には、先ほどご説明したとおり、病院での対応や賃貸住宅への入居に関するものなどがありますが、その一方で、携帯電話生命保険などの取り扱いにおいて、性的マイノリティーの方にもサービスが拡大していることは歓迎すべきことだと考えております。  今回の制度が事業者の自主的な取り組みを一層促すきっかけとなるよう、医療や住宅などの関係団体に対して制度の周知の説明を行って、理解していただけるよう努めてまいりたいと考えております。 ◆中村たけし 委員  この資料にあるとおり、アパートなどへの入居を拒否されたり、宿泊施設、店舗などへの入店を拒否されるといった偏見がまだまだある状況ですから、民間への働きかけが大変重要であるというふうに思います。  市民に対して広く効果的に周知、啓発を行っていくことは大変大切な取り組みで、これからも市民の皆さん、民間の皆さんにしていただきたいと思いますが、市内部に対しても徹底的に行っていただきたいと思います。市の内部への周知を徹底的に行って、市の幹部の皆さんが民間のさまざまなところに出かけていってお話しする機会があると思いますので、パートナーシップ制度について触れたりして啓発を進めていただきたいと思います。  もう一つ要望ですが、本当に啓発が重要であるということで、今、法務省の人権擁護局では、人権啓発ビデオ「あなたがあなたらしく生きるために性的マイノリティと人権」というものをつくっております。これは法務省のホームページで見られますが、本来、人のありようというのはさまざまです。ちょっと違うというだけで排除されたり、そもそも人と違って当たり前ですが、そういった多様性が世の中を豊かにしていると思います。今、世界中で多様性を認めない、共生社会を否定する動きがありますが、差別と偏見をなくしていくという強い思いで市としても男女共同参画室としても取り組んでいただきたいということを要望して、質問を終わります。 ◆本郷俊史 委員  先ほど、理事者から、LGBTにかかわる国際社会の動き、日本国内の動き、札幌市の取り組み状況の説明がありました。世界的に見ても、国内においても、これまでさまざまな取り組みが行われてきているわけですが、偏見や差別がなくなったわけではなくて、性的マイノリティーに対する理解が進んでいるとは言えない状況だと思います。こうした中で、札幌市パートナーシップ制度をことし4月から導入したいとの説明でございます。ここまで来るには、当事者はもとより、支援する方たちの長年にわたるこれまでの地道な努力、活動、取り組みが大きかったのではないかと思います。制度導入を検討している自治体もあるように聞いておりますが、現在、導入している自治体は、先ほど説明があったとおり、大変少ないです。また、政令市では札幌市が初ということです。  そういった中で、札幌市がパートナーシップ制度を導入する理由、あわせて意義について、最初にお伺いしたいと思います。 ◎芝井 男女共同参画室長  パートナーシップ制度を導入する理由と意義についてお答えいたします。  まず、導入する理由ですが、近年、民間調査などで、性的マイノリティーの方が人口の一定数存在しており、その多くが深刻な困難を感じている実態が明らかになってきました。加えて、他都市でも、性の多様性を尊重する方策として、パートナーシップ制度を導入する事例が出てきている状況にございます。  こうした中、昨年6月に当事者団体からの要望があったことから、先ほどのさまざまな状況を総合的に勘案して制度を導入したいと考えております。  次に、制度の意義ですが、まずは、当時者の要望の中心である性的マイノリティーの存在を公に認める制度として、札幌市における取り組みの第一歩となったことであると考えております。加えて、国内でも有数の大都市であり、転居や観光などで幅広い交流人口を持つ札幌市が性的マイノリティー支援に先導的に取り組むことにより、性の多様性を尊重する取り組みがそれぞれの地域の実情に応じて広がっていくことを期待しているものでございます。 ◆本郷俊史 委員  この制度には法的拘束力はないということですが、2015年の渋谷区、世田谷区の制度導入の動きもあって、先ほど説明があったとおり、生命保険会社、携帯電話会社等々の民間事業者においてもさまざまな動きが出てきました。そのことを狙って条例や要綱をつくったということでもないと思いますが、先ほど言ったように、全国でわずか五つの自治体しかやっておりません。しかし、その五つの自治体が導入したことにより、民間への波及効果は大変大きかったと思います。  今、室長が答弁したように、大都市である札幌が制度を導入することの影響というのは小さくなく、むしろインパクトは大きいと思います。道内他都市を初め、他の政令市への影響、また、社会的な認知、理解の促進につながっていくと思います。  次に、制度の中身についてです。  この制度を導入している先行自治体として、渋谷区では条例、世田谷区など他の四つの自治体では要綱で実施しております。  そこで、札幌市が条例ではなく要綱とした理由についてお伺いいたします。  あわせて、札幌市のパートナーシップ制度の特徴についてもお伺いいたします。 ◎芝井 男女共同参画室長  パートナーシップ制度を要綱とする理由についてと札幌市の制度の特徴についてお答えします。  初めに、パートナーシップ制度を要綱とする理由についてです。  渋谷区のパートナーシップ制度は、渋谷区男女平等及び多様性を尊重する社会を推進する条例の中に盛り込まれておりまして、性的マイノリティーに対する差別禁止や区のパートナーシップ証明への配慮義務など、条例によらなければならない権利義務を定め、必要な場合には指導、勧告などができるとされております。一方で、世田谷区など四つの自治体におきましては、性的マイノリティーの方々の気持ちを受けとめることを主眼にして、条例ではなく要綱により手続を進めております。  札幌市としては、世田谷区などと同様に、まずは性的マイノリティーの存在を公に認めて、広い意味での理解増進を図ることなどを目的として制度を創設するものでありまして、市民の権利を制限する、あるいは義務を課す内容を含めないことから、条例ではなく要綱としたいと考えております。  続きまして、札幌市のパートナーシップ制度の特徴についてです。  パートナーシップ制度は、現在、全国で5例あると確認しておりますが、ご質問にもありましたとおり、政令指定都市では札幌市が初めてになるものと思います。  札幌市の特徴としては、当事者団体の意見などを勘案して、パートナーシップの対象として、性同一性障がいの方を念頭に、同性のみに限定しない予定であり、これは他の自治体に例がないと承知しております。また、札幌市は、都市間の人口移動が多いことなどを踏まえて、市内居住者に限定せず、転入予定の方も対象とする予定でして、先行自治体の中では那覇市のみが同様の取り扱いとなっている状況でございます。このほか、パートナーシップの宣誓について、性別違和に対応した通称名での使用も認める予定でありまして、これも那覇市のみが同様の取り扱いとなっております。  全体的に、先行自治体に比べると、より多くの当事者の方々がその実情に即して利用できる内容になっているものと考えております。 ◆本郷俊史 委員  今、答弁があったとおり、より多くの当事者にというお話でございました。札幌市のパートナーシップ制度については、婚姻が認められるものではないわけですが、法的根拠がなくても当事者の2人が認められるという幸福感を得られることが重要と考えます。したがって、このたびの制度については、我が会派としても評価したいと思っております。  最後に、性的マイノリティー支援の進め方についてです。
     今回のパートナーシップ制度については、当事者の切なる希望である性的マイノリティーが存在していることを前提とした公的な制度が政令市で初めてできるという点で大変大きな意義があります。しかし、この制度を実際に利用して恩恵が受けられるのは、性的マイノリティーの中でも、パートナーになる希望を持っている方に限られます。このようなことから、さらに性的マイノリティーを幅広く支援するような取り組みが必要と考えます。  今後、札幌市として性的マイノリティー支援をどのように進めていくのか、お伺いいたします。 ◎芝井 男女共同参画室長  今後の性的マイノリティー支援の進め方についてお答えいたします。  まずは、今回のパートナーシップ制度の趣旨や内容について、当事者だけではなく、広く市民に知っていただけるよう、市のホームページへの掲載などを通じた周知、啓発を行いたいと考えております。  加えて、昨年作成した性的マイノリティーに関するリーフレットの一層の活用などにより、市民理解促進に取り組んでまいります。  また、性的マイノリティーの方々は、深刻な困難を抱えており、その困難を誰にも相談できず、孤立しがちであることなどから、幅広い当事者の悩みや困難を少しでも軽くできるような取り組みを検討してまいりたいと考えております。 ◆本郷俊史 委員  この4月からの制度導入が、当事者が抱えるさまざまな困難の事象や生きづらさの解消につながるよう、また、性的マイノリティーに関する市民理解が広がるよう、しっかり取り組んでいただきたいと申し上げて、質問を終わります。 ◆小形香織 委員  私も、昨年の春から、ドメスティックパートナー札幌の方々が開く学習会などに参加させていただいて、さまざまな要望をお聞きしていたところです。具体的には、パートナーと一緒に生活しているのに、倒れたときに手術などの同意書の記入が認められなかったり、付き添いの介護を病院から断られることがあったという話とか、アパートの賃貸契約をしようと思って準備していたら、家主から、男性同士の2人暮らしは困るのだと言われて契約ができなくなったという話などをお聞きしました。パートナーとして認められないことから、実生活で非常に苦労したり、嫌な思いをすることが多々あるというお話でした。今回、パートナーシップ制度を本市が導入することで、こうした困難が今までよりはスムーズになる機会がふえるのではないかと思っております。  私の質問は、多様性の内容について、改めて認識を伺いたいと思っております。  いただいた資料にも国がつくった法律などの動きが書かれておりますが、2004年に施行された国の法律は、性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律となっていて、性同一性障がいに限っております。それから、レズビアンやゲイという言葉そのものは社会に広く知られている言葉だと思いますが、これも多様性のあらわれの一つですし、LGBTという言葉も同様だと思っております。  世田谷で導入されたパートナーシップ制度の場合には、その要綱の中では同性カップルという表現をしております。そんな中で、今回、本市が提示している要綱の中では性的マイノリティーという言葉を使っておりますが、この言葉にされた意味やお考えなどを改めてお聞かせいただきたいと思います。 ◎芝井 男女共同参画室長  パートナーシップ制度の対象として性的マイノリティーを選んだ理由についてのご質問かと思います。  性のあり方につきましては、体の性だけではなくて、性自認性的指向の要素など多種多様な組み合わせの方々が存在しておりまして、これら典型的ではない方々をあらわす表現として、性的マイノリティーあるいはLGBTなどいろいろございます。  私たちとしては、ご質問にもありましたとおり、性自認だけではなく、性の指向のことについてもこの制度の中に含めて取り組みたいという趣旨を込めて性的マイノリティーという言葉にして、この要綱の中で位置づけております。 ◆小形香織 委員  性的指向性自認など、人によってさまざまであり、実に多様なのだという意味合いを指しての性的マイノリティーということだと思っております。私は、多様であるという点が非常に大事だと思っております。そういう意味では一歩前進だと思っておりますが、これをさらに進めるために札幌市ができることはまだまだあるというふうに思っております。  一つは、例えば、札幌市が所管する市営住宅の入居です。条例では、入居の資格を、現に同居し、または同居しようとする親族があることとしておりますが、この親族とする範囲の中にパートナーシップ宣誓書の写しを持っている方などを含めていただきたいと思います。先ほど言いましたように、アパート賃貸契約で不快な思いをさせられているケースが既に存在しているわけですから、市営住宅への入居を希望する場合も、ぜひ対応するような仕組みをつくっていただきたいと思います。  また、先ほど民間への普及というやりとりがありましたが、民間企業などに普及するという点からいっても、この制度の精神を考えれば、札幌市の職員みずからの福利厚生の中に民間が既にやっているような育児休業や介護休暇がとれるような仕組みを取り入れるべきだと思っております。  こうした先進例などに倣って、札幌市が独自にできることとして、今回の制度導入にとどまらず、今後も課題があると思いますが、どのように認識されているのか、伺いたいと思います。 ◎芝井 男女共同参画室長  性的マイノリティーにかかわる課題への認識についてのご質問でした。  先ほどご説明した当事者団体がまとめた困難事例などを通じて、ご質問にもありましたが、暮らしの中でさまざまな困難や課題があると承知しております。私どもとしては、昨年6月に当事者団体から寄せられた要望の中で中心となったパートナーシップ制度について、まずは優先して取り組んでまいりたいと考えております。  今後は、市営住宅への入居や民間への普及などさまざまな課題があると承知しておりますが、制度の周知などを通じて性的マイノリティーに関する市民理解の増進を図るとともに、当事者の方々からさらにお話を伺って、札幌市としてできることを検討してまいりたいと思います。 ◆小形香織 委員  札幌市としてできることというのが、私が先ほど申し述べた市営住宅への入居や本市職員の福利厚生に関するものでございます。これは、札幌市独自の判断でできることですし、札幌市がこうしたことを取り入れることで、一層、制度の周知あるいは性的マイノリティーの方々への市民の理解が進むだろうと思っております。特に、子どものころから自分が持っている性的な能力と自分を意識する性が一致しないと悩んでいて、そこから思春期の悩みが一層深まるといった事例があるわけです。  私は、「ルポ保健室」という文庫本をたまたま読みました。そこでは、中学生になってから自分の性的違和を感じるのです。そして、みずから友達にカミングアウトするけれども、カミングアウトを機にいじめに発展してしまいます。その後、ようやく出会った保健室の先生にありのままの自分でいいんだよ、あなたはあなただからねと言われたことで胸がいっぱいになって居場所を見つけた思いだったと語っているシーンがあります。  しかし、居場所を見つけながらも、今度は両親にわかってもらおうと思って父親に告白するのですが、父親は、そのうち治るだろう、そういう先生とはもう会うなと言われて理解されなかったということです。こうした性的な悩みというのは、身近な頼りたい人に対してカミングアウトしても、なかなか正面から受けとめてもらえずに苦しむということがあります。この本は、保健室の役割について、事実からルポルタージュした本ですが、こうした差別や偏見に苦しめられる事例がまだまだたくさんあると思っております。  ですから、今回の制度導入を機に、身近な家族や友人、あるいは、学校や民間を含めた公共的な役割を発揮する機関に対して、性的な多様性について理解を進めること、そして、相互が尊重し合う気風をつくることがとても大事だと思います。したがいまして、今後も普及や啓発などを一層広げていただいて、人権尊重のまちをつくることを進めていくように求めて、質問を終わりたいと思います。 ◆ふじわら広昭 委員  質問ではなくて、要望を申し上げておきたいと思います。  各会派の委員の皆さんから貴重な意見が出されて、課題も多いと思います。市の職員も、いろいろな制度や法律があって、たくさんの勉強をしなければならないので大変かと思いますが、札幌市には自治研修センターがあります。これから、4月には、新年度採用になる方への研修、あるいは、係長、課長、部長に昇任した人の研修、係長、課長になって3年になった人の研修などもありますので、議会から託されたさまざまな課題や行政の皆さんが取り組もうとしていることについて、自治研修センターを活用して多くの職員に周知を図っていただくことによって、さまざまな課題に対する新たな取り組みの問題などが出されてくるのではないかと思います。  いずれにしても、そういう取り組みをしっかりしていただくのと同時に、短期間にこういう取り組みをされた行政の皆さんには、私どもとしても高く評価しておきたいと思います。 ○村上ゆうこ 委員長  ほかに質疑はございませんか。  (「なし」と呼ぶ者あり) ○村上ゆうこ 委員長  なければ、質疑を終了いたします。  以上で、委員会を閉会いたします。     ――――――――――――――       閉 会 午前10時47分...