今回の
パートナーシップ制度については、
当事者の切なる希望である
性的マイノリティーが存在していることを前提とした公的な制度が政令市で初めてできるという点で大変大きな意義があります。しかし、この制度を実際に利用して恩恵が受けられるのは、
性的マイノリティーの中でも、
パートナーになる希望を持っている方に限られます。このようなことから、さらに
性的マイノリティーを幅広く支援するような
取り組みが必要と考えます。
今後、札幌市として
性的マイノリティー支援をどのように進めていくのか、お伺いいたします。
◎芝井
男女共同参画室長 今後の
性的マイノリティー支援の進め方についてお答えいたします。
まずは、今回の
パートナーシップ制度の趣旨や内容について、
当事者だけではなく、広く市民に知っていただけるよう、市の
ホームページへの掲載などを通じた周知、啓発を行いたいと考えております。
加えて、昨年作成した
性的マイノリティーに関する
リーフレットの一層の活用などにより、
市民理解促進に取り組んでまいります。
また、
性的マイノリティーの方々は、深刻な困難を抱えており、その困難を誰にも相談できず、孤立しがちであることなどから、幅広い
当事者の悩みや困難を少しでも軽くできるような
取り組みを検討してまいりたいと考えております。
◆
本郷俊史 委員 この4月からの
制度導入が、
当事者が抱えるさまざまな困難の事象や生きづらさの解消につながるよう、また、
性的マイノリティーに関する
市民理解が広がるよう、しっかり取り組んでいただきたいと申し上げて、質問を終わります。
◆小形香織 委員 私も、昨年の春から、ドメスティック
パートナー札幌の方々が開く学習会などに参加させていただいて、さまざまな要望をお聞きしていたところです。具体的には、
パートナーと一緒に生活しているのに、倒れたときに手術などの同意書の記入が認められなかったり、付き添いの介護を病院から断られることがあったという話とか、アパートの賃貸契約をしようと思って準備していたら、家主から、男性同士の2人暮らしは困るのだと言われて契約ができなくなったという話などをお聞きしました。
パートナーとして認められないことから、実生活で非常に苦労したり、嫌な思いをすることが多々あるというお話でした。今回、
パートナーシップ制度を本市が導入することで、こうした困難が今までよりはスムーズになる機会がふえるのではないかと思っております。
私の質問は、
多様性の内容について、改めて認識を伺いたいと思っております。
いただいた資料にも国がつくった法律などの動きが書かれておりますが、2004年に施行された国の法律は、
性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律となっていて、性同一性障がいに限っております。それから、
レズビアンやゲイという言葉そのものは社会に広く知られている言葉だと思いますが、これも
多様性のあらわれの一つですし、
LGBTという言葉も同様だと思っております。
世田谷で導入された
パートナーシップ制度の場合には、その要綱の中では
同性カップルという表現をしております。そんな中で、今回、本市が提示している要綱の中では
性的マイノリティーという言葉を使っておりますが、この言葉にされた意味やお考えなどを改めてお聞かせいただきたいと思います。
◎芝井
男女共同参画室長 パートナーシップ制度の対象として
性的マイノリティーを選んだ理由についてのご質問かと思います。
性のあり方につきましては、体の性だけではなくて、
性自認や
性的指向の要素など多種多様な組み合わせの方々が存在しておりまして、これら典型的ではない方々をあらわす表現として、
性的マイノリティーあるいは
LGBTなどいろいろございます。
私たちとしては、ご質問にもありましたとおり、
性自認だけではなく、性の指向のことについてもこの制度の中に含めて
取り組みたいという趣旨を込めて
性的マイノリティーという言葉にして、この要綱の中で
位置づけております。
◆小形香織 委員
性的指向と
性自認など、人によってさまざまであり、実に多様なのだという意味合いを指しての
性的マイノリティーということだと思っております。私は、多様であるという点が非常に大事だと思っております。そういう意味では一歩前進だと思っておりますが、これをさらに進めるために札幌市ができることはまだまだあるというふうに思っております。
一つは、例えば、札幌市が所管する市営住宅の入居です。条例では、入居の資格を、現に同居し、または同居しようとする親族があることとしておりますが、この親族とする範囲の中に
パートナーシップ宣誓書の写しを持っている方などを含めていただきたいと思います。先ほど言いましたように、アパート賃貸契約で不快な思いをさせられているケースが既に存在しているわけですから、市営住宅への入居を希望する場合も、ぜひ対応するような仕組みをつくっていただきたいと思います。
また、先ほど民間への普及というやりとりがありましたが、
民間企業などに普及するという点からいっても、この制度の精神を考えれば、札幌市の職員みずからの
福利厚生の中に民間が既にやっているような育児休業や介護休暇がとれるような仕組みを取り入れるべきだと思っております。
こうした先進例などに倣って、札幌市が独自にできることとして、今回の
制度導入にとどまらず、今後も課題があると思いますが、どのように認識されているのか、伺いたいと思います。
◎芝井
男女共同参画室長 性的マイノリティーにかかわる課題への認識についてのご質問でした。
先ほどご説明した
当事者団体がまとめた困難事例などを通じて、ご質問にもありましたが、暮らしの中でさまざまな困難や課題があると承知しております。私どもとしては、昨年6月に
当事者団体から寄せられた要望の中で中心となった
パートナーシップ制度について、まずは優先して取り組んでまいりたいと考えております。
今後は、市営住宅への入居や民間への普及などさまざまな課題があると承知しておりますが、制度の周知などを通じて
性的マイノリティーに関する
市民理解の増進を図るとともに、
当事者の方々からさらにお話を伺って、札幌市としてできることを検討してまいりたいと思います。
◆小形香織 委員 札幌市としてできることというのが、私が先ほど申し述べた市営住宅への入居や本市職員の
福利厚生に関するものでございます。これは、札幌市独自の判断でできることですし、札幌市がこうしたことを取り入れることで、一層、制度の周知あるいは
性的マイノリティーの方々への市民の理解が進むだろうと思っております。特に、子どものころから自分が持っている性的な能力と自分を意識する性が一致しないと悩んでいて、そこから思春期の悩みが一層深まるといった事例があるわけです。
私は、「ルポ保健室」という文庫本をたまたま読みました。そこでは、中学生になってから自分の性的違和を感じるのです。そして、みずから友達にカミングアウトするけれども、カミングアウトを機にいじめに発展してしまいます。その後、ようやく出会った保健室の先生にありのままの自分でいいんだよ、あなたはあなただからねと言われたことで胸がいっぱいになって居場所を見つけた思いだったと語っているシーンがあります。
しかし、居場所を見つけながらも、今度は両親にわかってもらおうと思って父親に告白するのですが、父親は、そのうち治るだろう、そういう先生とはもう会うなと言われて理解されなかったということです。こうした性的な悩みというのは、身近な頼りたい人に対してカミングアウトしても、なかなか正面から受けとめてもらえずに苦しむということがあります。この本は、保健室の役割について、事実からルポルタージュした本ですが、こうした差別や偏見に苦しめられる事例がまだまだたくさんあると思っております。
ですから、今回の
制度導入を機に、身近な家族や友人、あるいは、学校や民間を含めた公共的な役割を発揮する機関に対して、性的な
多様性について理解を進めること、そして、相互が尊重し合う気風をつくることがとても大事だと思います。したがいまして、今後も普及や啓発などを一層広げていただいて、人権尊重のまちをつくることを進めていくように求めて、質問を終わりたいと思います。
◆ふじわら広昭 委員 質問ではなくて、要望を申し上げておきたいと思います。
各会派の委員の
皆さんから貴重な意見が出されて、課題も多いと思います。市の職員も、いろいろな制度や法律があって、たくさんの勉強をしなければならないので大変かと思いますが、札幌市には自治研修センターがあります。これから、4月には、新年度採用になる方への研修、あるいは、係長、課長、部長に昇任した人の研修、係長、課長になって3年になった人の研修などもありますので、議会から託されたさまざまな課題や行政の
皆さんが取り組もうとしていることについて、自治研修センターを活用して多くの職員に周知を図っていただくことによって、さまざまな課題に対する新たな
取り組みの問題などが出されてくるのではないかと思います。
いずれにしても、そういう
取り組みをしっかりしていただくのと同時に、短期間にこういう
取り組みをされた行政の
皆さんには、私どもとしても高く評価しておきたいと思います。
○
村上ゆうこ 委員長 ほかに質疑はございませんか。
(「なし」と呼ぶ者あり)
○
村上ゆうこ 委員長 なければ、質疑を終了いたします。
以上で、委員会を閉会いたします。
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閉 会 午前10時47分...