札幌市議会 2016-10-24
平成28年第一部決算特別委員会−10月24日-07号
平成28年第一部
決算特別委員会−10月24日-07号平成28年第一部
決算特別委員会
札幌市議会第一部
決算特別委員会記録(第7号)
平成28年(2016年)10月24日(月曜日)
――
――――――――――――――――――――――――――――――――
●議題
付託案件の審査
●
出席委員 33名
委 員 長 小 川 直 人 副委員長 阿部
ひであき
委 員 武 市 憲 一 委 員 宮 村 素 子
委 員 高 橋 克 朋 委 員 五十嵐 徳 美
委 員 細 川 正 人 委 員 小須田 悟 士
委 員 佐々木 みつこ 委 員 小 竹 ともこ
委 員 伴 良 隆 委 員 中 川 賢 一
委 員 松 井 隆 文 委 員 福 士 勝
委 員
ふじわら 広昭 委 員 三 宅 由 美
委 員 長谷川 衛 委 員 山 口 かずさ
委 員 村 上 ゆうこ 委 員 中 村 たけし
委 員 かんの 太 一 委 員 成 田 祐 樹
委 員 本 郷 俊 史 委 員 國 安 政 典
委 員 丸 山 秀 樹 委 員 小 口 智 久
委 員 竹 内 孝 代 委 員 伊 藤 理智子
委 員 小 形 香 織 委 員 池 田 由 美
委 員 平 岡 大 介 委 員 堀 川 素 人
委 員 石 川 佐和子
――
――――――――――――――――――――――――――――――――
開 議 午後1時
――――――――――――――
○
小川直人 委員長 ただいまから、第一部
決算特別委員会を開会いたします。
報告事項は、特にございません。
それでは、議事に入ります。
最初に、第8款 消防費 第1項 消防費の質疑を行います。
◆
池田由美 委員 私からは、救急安心都市さっぽ
ろ推進事業について質問いたします。
昼夜を分かたず
救命救急の仕事に携わっている皆さんに、心から感謝を申し上げます。
最初に、
救急出動件数について伺います。
救急搬送については、より迅速に、効果的に
救急事業・業務を行うことが目的とされています。
現場到着時間については、
アクションプランにおいても、札幌市
救急業務計画策定委員会から出された答申で救命率が下がらないとされた6.5分が目標とされております。いただいた資料を見ますと、
救急出動件数は、2011年は7万9,247件、2015年は8万8,507件、5年間で9,260件ふえております。
そこで、質問ですが、
救急出動件数がふえている要因について、どのように認識し、分析されているのか、伺います。
◎岡本
救急担当部長 救急出動が増加している要因についてお答え申し上げます。
委員がご指摘のとおり、
救急出動件数につきましては、平成23年と平成27年を比べたところ、9,260件、率にして11.7%増加しているところでございます。この間における高齢者の
搬送人員でございますが、3万3,070人から4万168人と7,098人、率にして21.5%が増加していることから、
救急出動の大きな要因は高齢者によるものと推測しております。
◆
池田由美 委員 7,098人、21.5%の高齢者の搬送がふえているというご答弁でございました。私も、65歳以上の搬送がふえているという実態を資料で見ており、これからもふえていくと予測されるというふうに考えております。
ひとり暮らしの高齢者がふえてきていることや、さまざまなことで意思の疎通が難しい状況もあるのではないかなというふうに思います。救急隊が早く到着しても、傷病者の既往歴または服用している薬など情報を聞き取ることが大変で、病院への搬送に時間がかかるなどの大変さもあるのではないかというふうに考えます。
そこで、質問ですが、この5年間で
救急車滞在時間がどのように推移しているのか、また、実際に現場で苦労している事例などがありましたらお話が聞けたらいいと思っておりますので、その2点についてお伺いします。
◎岡本
救急担当部長 現場滞在時間、それから現場での実際の活動についてお答え申し上げます。
現場活動時間につきましては、平成23年が15.8分であったところ、平成27年は18.3分と2.5分延びているところでございます。この
現場活動時間の内容でございますが、一つは、救命士の処置が拡大されてさまざまな観察が可能になったこと、もう一つは、
医療機関からその観察の内容について詳細に伝達を求められていることが原因であるというふうに考えてございます。
◆
池田由美 委員 今後も、傷病者の情報の聞き取りに苦労していくことがさらにふえてくるのではないかというふうに私は考えております。
介護の分野で、自分の病歴や服用している薬、
かかりつけ医、
緊急連絡先を記入して所定の場所に保管しておく99(救急)カードの
取り組みについては、町内会でも取り組まれている状況でございます。本市の
ホームページに、実際に99カードのおかげで命が助かったという
東月寒中央町内会の会長さんの、救急隊の対応が少しでもおくれていたら亡くなっていたかもしれない、99カードは、活用されないのが一番だが、いざというときのために準備しておくようお願いしたいという声が紹介されております。
今後、患者の情報を正確にスピーディーに把握し、病院への搬送時間が短縮されていくように、99カードの普及や住民への
応急手当の
普及啓発の活動も重要と考えます。今後も、救命率の向上のために、さまざまな
取り組みと連携していくことを求めておきたいというふうに思います。
次に、救急隊の配備について伺います。
各区の救急隊の配備数を見ますと、中央区では6隊、北区、東区が4隊、白石区、豊平区、南区、西区が3隊、厚別区、清田区、手稲区が2隊となっており、32隊が現状と伺っております。いただいた資料を見ますと、昨年12月は、清田区へ平岸から出動して28分かかっています。このときは、急病ではなくて、運動中の事故だったということで、大事には至らなかったのですけれども、心臓や脳疾患などの救急であれば、大変なことだったというふうに思います。
指定都市基本施策比較検討調を見ますと、本市の
救急車配備率は91.2%で、消防力の基準に示す救急車の台数は34台とされています。中央区にことし1隊ふえましたから、配備率は94.1%となりましたが、熊本市、岡山市、千葉市では
救急車配備率が100%となっております。本市も、高齢化が進んで、
救急搬送の件数がこれからふえていくことが既に予想されております。他区からの応援ということも大切ですが、なるべくなら区内で解決していくことが大切です。そういった視点から考えると、最低でも
救急車配備率を100%としていくことを早急に進めるべきと思いますがいかがか、伺います。
◎岡本
救急担当部長 救急隊の増隊に対する見通しについてお答えしたいと思います。
委員ご指摘のように、増隊に関しましては、
救急業務に携わる
救命救急センターの医師、
公共政策を専門とする
北海道大学公共政策大学院の教授など外部の有識者による検討会を設置いたしまして、平成27年3月にこの検討会から札幌市の
救急業務に関する提言書という形で審議結果が提出されたところでございます。
この提言書におきまして、重篤な状況の傷病者の1カ月の生存率を示した、いわゆる救命率でございますが、平成26年の全国が12.2%に対して、本市は22.4%と2倍程度高い状況にあること、それから、過去の
データ分析から、平均の
現場到着時間が7分台に落ちますと救命率が著しく低下する傾向にあることから、今後も高い救命率を維持するためには、現在の
平均現場到着時間は少なくとも維持しなければならないと考えております。そのためには、平成28年当初までに1隊、平成32年から平成42年当初までに2隊の増強が必要と試算されていることから、このたび、札幌市
まちづくり戦略ビジョン・
アクションプラン2015に救急隊の増強を盛り込んだところでございます。
本年10月1日より、
大通救急隊を配備し、運用を開始したことから、今後は、最新のデータをもとに詳細な
統計分析を進め、増隊する隊数やタイミングなどについて
関係部局と協議調整し、計画的に配備してまいりたいと思っております。
◆
池田由美 委員
救急救命士についても、現場での
処置範囲が拡大されて、
心肺機能停止者への除細動、
気管挿管、
薬剤投与、さらに、2014年4月からは
重度傷病者に対する
静脈路確保、
血糖測定と低
血糖発作時の
ブドウ糖溶液の投与の処置が追加されています。
救急救命士の専門性が求められて、神経を張り詰めて仕事に当たられていると予想されます。一度出動して、戻らずに次の現場へ向かうこともあるそうで、現場で働く職員の皆さんの健康も懸念されるところでございます。
救急搬送については、より迅速に、効果的に
救急業務を行うことが目的とされておりますが、それを進めていく保障は、やはり人の配置が重要だと思います。
高齢化に伴い、
救急搬送の件数がふえると予想されている実態を見据えて、
消防力基準100%を早急に進めて、さらなる充実へ向かうべきと申し上げて、質問を終わります。
◆
中川賢一 委員 私からは、大きく2点、今もちょっと話題に上りましたが、増加する救急車の需要への対応と、建物の
防火安全情報に関してお伺いしたいと思います。
まず、
救急需要への対応ですが、今、
池田委員からもるるご指摘等がございました。
私は、せんだって、10月1日だったと思いますが、札幌市で32隊目となる新たな救急隊として
大通救急隊の運用が始まりましたので、その開始式に出席させていただきました。その式典の際に、新たな救急隊を立ち上げた背景等についてもご説明がございまして、今の
池田委員のお話の中にもありましたように、
出動件数が過去最高の8万8,000件を超えているという状況や、救急車の出動から現場への到着が、平成23年には6分ほどであったのが、昨年は6.5分と、この5年間で時間にして約30秒も延びているということです。この6.5分というのは、一応、計画の範囲内だと伺ってはおりますが、延びている状況でございまして、これがいつまで守れるのかなという危機感を持ったところでもございます。
ご承知のとおり、高齢化の進展等も加速の一途でございまして、それに伴って、今後、
救急需要が拡大していくことは容易に想像されるところでございます。このたびの救急隊の増隊というのは、今後の増加する需要に対して
現場到着の延びに歯どめをかけるとか、そういった一定の効果をもたらすものと大きく期待するところでございます。ただいま、
池田委員からいろいろなご指摘がありましたが、札幌市の配備率がまだ100%ではないということでございまして、ご答弁の中でも、救急隊の増隊をこれからさらに検討していくということでした。それはそれで大変結構でございますし、そういった体制を充実させるのは望ましいことかなというふうに私も考えるところでございます。
一方で、搬送の内容というものにもちょっと目を当ててみますと、平成27年の救急車での
搬送人数を先日確認させていただきましたら、全体で7万6,634人の実績があったということでございまして、そのうち、軽症と診断された方の数が4万849人、全体の半分以上の53.3%が軽症と診断されたということでございます。
最近は、テレビなんかでも、救急車を
タクシーがわりに使っているのではないかとか、軽いけがや病気で簡単に救急車を呼ぶのはどうなんだという論調の報道等も多数見かけるようになりまして、必ずしも適正ではないような救急車の利用が世の中で若干着目されるようになっているというふうに感じるところでございます。
ただ、多数に上る
救急出動のケースの中には、その重症性や緊急性にさまざまなレベル、状態のものがあると思われますし、中には、客観的にはどうなのかなと思われるような理由がもしかしたらあるのかもしれません。実際にけがや病気になった際には、本人もそうですし、周りにいた人間も、当然、びっくりしたり焦ったりしますし、心配もするわけでございますので、救急車の必要性の判断がケース・バイ・ケースで異なったとしても、ある程度は仕方がないのかなというふうにも考えるところでございます。ですから、先ほど述べた53.3%の軽症の方々について、一概に、本当に救急車を呼ぶべきだったのかなと考えることは適切ではないのかなというふうに思います。
しかしながら、救急車や救急隊も限りある設備でございます。本当に緊急性のある患者さんのもとへ出動させるのが望ましいことは言うまでもない状況でございますので、市民に対して、救急車の適正な利用や、特に緊急性や重症性の判断というものに関して、きっちりと周知していくことも大切なのではないかなというふうに考えます。
そこでまず、質問ですが、消防局では、救急車の
利用方法や緊急性や重症性の判断の市民への周知についてどのように取り組んでおられるのか、お伺いしたいと思います。
◎岡本
救急担当部長 増加する
救急要請に対する救急車の
適正利用の
取り組みについてお答え申し上げます。
救急出動が
増加傾向にある中、市民の皆様に、救急車の
利用方法や、どの程度のけがや病気で救急車が対応する必要があるかということも含めて、救急車の
適正利用をご理解いただくことが大切なことであるというふうに認識しております。
このことから、
公共施設等に掲示している
ポスターや
リーフレットを初め、消防局の
ホームページでも、突然の激しい頭痛や締めつけられる胸の痛みなど、より緊急性が高く、直ちに救急車を呼んでほしい症状について、重点的に広報しているところでございます。
また、市民の皆様が救急車を呼ぶか迷った際の
相談窓口として、
消防局指令管制センターに隣接して
救急安心センターさっぽろが設置されており、
保健福祉局と連携して広報しているところでございます。
◆
中川賢一 委員 緊急性や重症性の判断に関して、
ポスターや
ホームページを利用してさまざまな
広報活動をされているということでございましたし、救急車を呼ぶかどうか迷ったときには
救急安心センターのほうに相談できる体制を築いているというご答弁をいただきました。この
救急要請というものは今後ますます増加が予想されるわけでございまして、先ほどの議論の中でありました救急隊の増強もそうですし、救急車の
適正利用を周知して呼びかけていくことも必要なことと評価したいと思います。
ただ、もう一つ、日常の生活の中で、病気やけがにならないために各個人が少し注意を払うことで、救急車を呼ぶような深刻な事態の発生を未然に防ぐことができるのではないかなというふうに思います。こういったことが浸透すると、
患者本人、また
救急当局にとっても望ましいのではないかなと考えるところでございます。
よくあるのは、例えば、お年寄りが段差に気づかないで、つまずいて転んでしまってけがをしたとか、子どもがお湯をこぼしてやけどをしてしまったとか、季節的なことでは、夏の暑い日にちょっと水をとればいいものを、我慢して熱中症になっちゃったとか、北海道の場合でしたら、雪道を歩いて転んでけがをしたとかというようなことが頻繁にございます。これらは、本人なり、周りの方がちょっと気を配れば防げるものもあったのではないかなと思うわけでございます。そういった意味では、ちょっとしたことを
注意喚起していくことも大切なのではないかなと考えるところでございます。
そこで、次の質問ですが、
救急出動につながるようなけがや病気などを未然に防ぐために何か
取り組みを行っておられるのか、そのあたりについてお伺いしたいと思います。
◎岡本
救急担当部長 けが等を未然に防止するための
取り組みについてお答え申し上げます。
けが等を未然に防ぐための
取り組みとしましては、
ホームページを初め、
リーフレットや
ポスターなどの掲示、さらには、
応急手当の普及の際に事例を交えて広報しております。さらに、昨シーズンからは、雪道の
転倒事故に関しまして、土木工学の研究者や
気象予報士などの
関係機関で構成された
ウインターライフ推進協議会が提供する、路面の滑りやすさを3段階で予測したつるつる予報というものを活用した広報を行っているほか、ことしの夏からは、熱中症を予防するため、環境省が気温や湿度などの
気象データをもとに算出した暑さ指数を踏まえて
注意喚起を行うなど、
報道機関と連携した
取り組みを行っているところでございます。
◆
中川賢一 委員 私が言うまでもなく、いろいろな
広報活動をしておられるというお話でございました。私もつるつる予報や暑さ指数も目にしたことがございますが、こういう機会にもされているのだなというふうに改めて理解したところでございます。
ただ、今後、救急車で運ばれる方は高齢者がふえてくると思われますので、特に高齢者に配慮した周知の仕方が必要なのではないかなと思います。高齢者の場合、何か発生してしまうと、治癒力が低下しているので、重篤な事態になりやすいということが想定されますし、そういった方々へのけがや病気の防衛策というものは、やはり、工夫をして重点的にやっていくべきではないかなというふうに考えるところでございます。
さらに、当局側でいろいろな形で周知していても、高齢者になると、やはり認識力が低下してまいりますので、ただ単に
ポスターを張っておけばいいとか、ただ単にテレビで流せばわかるというのは、ある程度若い方であればいいのですけれども、なかなかそうもならない部分も想定されるわけでございます。やはり、そのあたりに対しての配慮や工夫も必要なのではないかなというふうに考えるところでございます。
そこで、高齢者に対する周知や広報について、現在の消防局の考え方や対応についてお伺いさせていただきたいと思います。
◎岡本
救急担当部長 高齢者向けの広報についてお答え申し上げます。
高齢者向けの広報としましては、今年度から新たに、
高齢者向けの情報誌に、家庭内の事故や季節の変わり目の寒暖差による疾病など、高齢者に多く見られるけがや病気の予防をするための注意点に関する記事を連載しているところでございます。委員がご指摘のとおり、高齢者への
救急出動は
増加傾向にあることから、
高齢者向けの広報が今後も重要であると認識しているところでございます。
また、高齢者の広報に当たりましては、外出の少ない方やパソコンになれていない方々にも配慮した、従来にも増してきめ細やかな対応が必要であると考えているところでありまして、高齢者にわかりやすく、見やすいように工夫した
ポスターまたは
リーフレットの作成、さらに、その配布に当たっては、地域におけるさまざまな方の力をかりることを含めて、今後、速やかに検討してまいりたいと思います。
◆
中川賢一 委員 いろいろ工夫を凝らしているということでございました。私もそうですが、なるべく救急車に乗りたくないものですので、そういった事態が少しでも少なくなるように、できる限りのお力を尽くしていただければと思います。
救急車に関しましてはとりあえずこのぐらいにさせていただきまして、次に、二つ目の建物の
防火安全情報の取り扱いについてお伺いしたいと思います。
我が会派では、かねてより、
消防法令に違反のない
まちづくりというものを目指して、より一層の
違反是正の推進を求めてきたところでございます。これらに対して、消防局では、これまで、札幌市
火災予防条例の
違反公表制度の創設の
取り組みを進めてきたと認識しております。
こうした中におきまして、昨年の3定の決特の中で、我が会派の
村山議員の質疑の中でも、消防局としましては、これまでの査察を中心とする直接的な
違反是正活動に加えて、平成27年10月に
公益社団法人北海道宅地建物取引業協会との間で新たに締結しました
消防用設備の
点検報告の
情報提供に係る協定を結び、
不動産会社、建物の所有者、そして利用者に対してさらなる
安全情報を提供する新たな
取り組みということで進めておりまして、
村山議員からは、これに対して、効果をしっかりと検証して安全な
まちづくりを推進していただきたいというご指摘をさせていただいたところでございます。
この協定ですが、
協会会員であります
不動産会社の管理物件に対して、消防局が持っている
消防用設備の設置の状況と
点検報告の
提出状況を
不動産契約の際の
重要事項説明書に記載することで、所有者や居住しようとしている方々に対して
当該建物の防火面の安全性を周知するという
取り組みでございます。これによって、業者のほうでは
消防用設備の点検の報告率が上がりまして、
利用者等に対する
安全情報がしっかりと提供されることが期待されると伺っておりまして、これは全国でも初めての
取り組みだと聞いてございます。
宅建業協会とこの協定を締結してからおよそ1年が経過するところですが、これまでの
取り組みの状況やその効果についてお伺いしたいと思います。
◎萬年
予防部長 点検報告の
情報提供に係る協定の
取り組み状況についてでございます。
昨年10月の協定締結後、
公益社団法人北海道宅地建物取引業協会の会員であります
大手不動産会社との間で、2月から協定に基づく
消防用設備の
点検報告状況に係る
情報提供を行ってきているところでございます。この情報が
建物所有者などに周知されたことで、
当該不動産会社が管理する3,149件の建物のうち、平成28年2月の時点では2,477件、報告率79%であったところですが、9月末では2,907件、報告率92%となり、
消防用設備の点検が未報告であった建物の多くが改善されたところでございます。
本市全体の
点検報告率を見ますと、9月末で76%となっていることからも、このたびの
取り組みは非常に高い効果となっております。
これを踏まえまして、
当該不動産会社にさらなる
点検報告率の向上を働きかけてまいりますとともに、新たに連携する企業の拡大や、ほかの
関係団体に対しても働きかけていくところでございます。
◆
中川賢一 委員 この協定が結ばれて、
点検報告率が79%から92%ぐらいに向上したということで、かなりの効果があったことはわかりました。
ただ、そうは言っても、いろいろな
法令違反等が引き続き発生していると聞いてございますし、特に、札幌の場合、ビルが集積しているような地域もございますので、そういったところに向けても、
業界団体等と連携した
取り組みをできるだけ進めていければなというふうに考えるところでございます。
こうした中、昨年、消防局では、多くの市民や観光客が訪れる薄野の
安全向上のために、すすきの
観光協会や
札幌薄野ビルヂング協会などと連携し、法令を遵守していこうという
取り組みを始められたと伺っております。私も、
取り組みをしていることについてはすすきの
観光協会の関係者から伺っておりまして、効果があるという声も聞いているところでございます。これは大変結構な
取り組みでございまして、やはり、消防、行政にも限界がある中で、
業界団体や企業や地域等がしっかりと協力するような体制をつくって
法令遵守を進めていくことは、これからのあるべき姿なのかなと考えるところでございます。
そういった意味で、今後、薄野だけではなくて、人が多く集まるその他の地域においても、連携できる
業界団体、企業、地域の団体を拡大していくことも望まれるのではないかなというふうに考えますが、消防局におきましては、連携する地域や
業界団体等を今後拡大していくことについてどのようなご見解を持っておられるのか、また、何か取り組んでおられるのか、お伺いしたいと思います。
◎萬年
予防部長 関係業界・団体などとの連携拡大についてです。
一昨年、薄野地区で発生したプリンス会館の大規模な火災を受けまして、昨年11月にすすきの
観光協会及び薄野ビルヂング協会と当局とで連携し、ススキノ階段・廊下クリーンキャンペーンと題して展開してまいりました。加盟する95棟につきまして、ビルの避難施設の管理状況や火気設備の一斉点検、薄野の安全をPRするための街頭啓発、
ポスターの掲示などを行ったところでございます。その結果、避難経路の物品放置など多くの違反が自主的に改善されており、その後、歳末期に当局が行った査察におきましても、良好な状況が維持されていたものでございます。
こうしたことから、ことし6月には、琴似地区におきまして、琴似商店街振興組合と琴似飲食業組合と連携し、地域のイベントであるキャンドルナイト in 琴似の開催にあわせて琴似クリーンキャンペーンを実施し、会員店舗に防火管理のチェックポイントを啓発するチラシの配布、あるいは、組合会員によるパトロール隊を結成し、防火チェックを行ったところでございます。
今後はさらに、北24条地区及び新札幌地区においても今年度内に拡大してまいる所存でございます。
◆
中川賢一 委員 薄野などでのいろいろな効果についてお話いただきまして、自主的な
取り組みの成果が出ているということでした。そういったことから、北24条や新札幌でも同じような
取り組みを拡大させていきたいということでしたので、当事者の自主的な
取り組みが促進されるように工夫していただければと思います。
少し話が飛びまして、先般、報道等でも随分取り上げられておりましたが、6年前に本市において7名の死者が発生した認知症高齢者グループホーム火災の刑事裁判がございまして、判決も含めて、事業者側の過失の有無がいろいろと議論されているところでございます。
このほかにも、平成21年の10人の死者を出した群馬県渋川市の火災とか、平成25年には、長崎県で5名の死者を出した火災、10名の死者が出た福岡市の火災など、近年、福祉関連施設などにおける痛ましい火災が全国的に相次いでおります。高齢化が非常に進んでいき、需要が多くなってくる中で、重大な法令違反などもあったのではないかなというふうに思います。
通常の多くの市民にとりまして、福祉施設だけではありませんが、自分が利用する建物は、
消防法令上、安全なのかどうかなど、ふだんは余り考えることはございませんし、知るすべもなかなかないのではないかと考えます。本市では、こういった部分につきまして、昨年度から、重大な
消防法令違反に関する危険情報を一般に提供していくため、
違反公表制度を実施しておられるということです。不特定多数の方が利用するような建物を対象に、スプリンクラーの未設置などについて公表して、火災が発生した場合、人命に危険が及ぶおそれの高い建物を利用者が事前に情報収集できるようにしているとお伺いしております。
ただ、こういったことは、私も初めて聞きましたし、一般に広く知られ、利用しやすいものになっているのかどうかということになりますと、まだまだ十分ではないというふうに考えられます。私はずっと観光等の仕事をしておりましたが、札幌にも全国から多くのお子さんが修学旅行に来ておられますけれども、こういった時代ですから、当然、宿泊先のホテルや旅館が安全なのかどうかが学校の心配事なのに、なかなか知り得ない部分もあるというお話をよく聞いております。
そういった意味合いから、利用者が建物の防火体制や
安全情報を把握した上で、自分の選択の材料とできるような環境をできるだけ利用しやすい形で整えていくことが望まれるのではないかなというふうに思います。昨年の決特において、
村山議員から、利用者に対する建物の
安全情報の重要性については指摘させていただいているところです。
そこで、改めて質問ですが、建物の安全・安心に係る防火体制等の
情報提供の環境の改善につきまして、消防局としてどのように対応しておられるのか、お伺いしたいと思います。
◎萬年
予防部長 建物等の防火体制等に関する
情報提供についてでございます。
委員ご指摘のとおり、最近の社会福祉施設での火災に加えて、多くの死者が発生いたしました平成24年の広島県福山市のホテル火災、あるいは、平成27年の川崎市での簡易宿泊所火災などを契機として、社会福祉施設の
消防法令の適合状況、あるいは、学校関係者からの修学旅行の宿泊施設についての問い合わせが多くなってきておりまして、その都度、札幌市情報公開条例に基づいて、個別に回答してきたところでございます。このニーズに応えるため、これまでの建物の違反情報に加えて、関心を寄せられます市民や観光客などの利用者に対し、最近のインターネット環境に対応させた
消防法令上の安全に係る情報を閲覧できる仕組みづくりが必要となってきたところでございます。
こうしたことから、市民、観光客などに対して安全・安心情報を提供する札幌市消防局法令適合
情報提供サービス、私どもは、通称、消防“ホッと”インフォメーションと呼んでおりますが、今年度から全国に先駆けて開始したところでございます。
具体的に申しますと、消防職員による定期的な査察の結果、
消防法令に適合している施設を消防局
ホームページに掲載するもので、まず、ことし7月から、最も利用者などの関心の高い夜間の就寝を伴う社会福祉施設を先行して実施しております。現在、786件の情報を掲載しており、さらに、社会福祉
関係団体の協力を得て、消防局以外の
ホームページにおいても閲覧できるようにリンクをしたところでございます。
また、来年2月のさっぽろ雪まつりや2017年冬季アジア札幌大会の開催による観光客の増加を見据え、ホテル、旅館につきましては12月1日からの公表を予定しており、既に各種ホテル、旅館の
業界団体、大手旅行会社等との意見交換を終え、当該制度の趣旨に賛同いただいているところでございます。
今後、より多くの利用者に対して
情報提供できるよう、
関係団体と連携した広報を推進してまいりたいというふうに考えております。
◆
中川賢一 委員 こういった時代ですから、インターネットを活用し、検査の状況が閲覧できるというシステムをつくられたということです。これは、全国に先駆けてということですので、それは結構なことでございます。ホテルでは12月から新たにということですので、効果的に運用できるように取り組んでいただきたいと思います。また、システムをつくってしまえばいいというものではございませんので、今後の効果の検証にはしっかりと努めていただきたいと思います。そして、非常にデリケートな情報ですので、場合によっては風評被害などにつながりかねませんので、そのあたりにも十分に配慮して運用していただきたいなというふうに思います。
ここまで、段々、防火体制等の
安全情報のあり方について質疑をさせていただきましたけれども、今後、必要な情報の発信、
業界団体や企業、地域などとの協力を通じて、さらなるコンプライアンスの徹底や自主的な防火管理体制の充実強化に努めていただくことに期待するところでございます。
また、近年、札幌では、外国人の訪問客も急増しております。今般、インターネットを通じた
情報提供を始めるということですので、多言語化や外国人観光客の利用を見据えたような環境整備もぜひ検討していただいて、国際都市を目指す本市として取り組んでいっていただければなというふうに考えるところでございます。
こういった点も検討していただくことを指摘して、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
◆かんの太一 委員 私からは、ICTを活用した消防と医療の連携強化事業の進捗と外国語対応について、住宅火災の防止策について、この2点についてお伺いいたします。
まず、ICTを活用した消防と医療の連携強化事業についてお伺いします。
平成28年第1回定例市議会予算特別委員会において、我が会派の福士委員がICTを活用した消防と医療の連携強化事業について質問したところ、救急隊にタブレット端末を配備し、外国語を翻訳する機能、傷病者のけが等の画像を医師へ伝送する機能、搬送先の受け入れ要請を効率化する機能などを導入する予定であり、タブレット端末の選定やシステム構築に向けた整備のため、専門業者にコンサルティングを依頼しているとの答弁を受けました。
救急隊に導入するシステムに関しては、機能面の充実はもちろんのこと、導入するタブレットは、苛酷な災害現場でも正確に動作し、かつ快適に使用できるものが求められ、セキュリティー面なども十分考慮しなければなりません。加えて、他都市での先行事例や
医療機関側の状況も踏まえなければならず、さまざまな観点からの専門的で高度な調査が要求されるものと思われます。そのような状況を踏まえて、消防局では、救急隊へICTを導入するに当たり、専門業者のコンサルティングを受けたものと認識しております。
そこで、1点目の質問として、昨年度末に受けたコンサルティングの結果はどのような内容であったのか、お伺いします。
また、2点目として、そのコンサルティングを受け、今後この事業をどのようなスケジュールで進めていくのか、お伺いいたします。
◎岡本
救急担当部長 コンサルティングの内容とその結果についてお答え申し上げます。
このたびのコンサルティングにつきましては、多言語翻訳機能、画像伝送機能、受け入れ要請効率化機能などの大きく三つの機能を中心に、その整備手法や整備に当たっての課題について技術的な調査を行ったものでございます。その結果、多言語翻訳機能については、既存のソフトウェアの活用で整備ができることがわかりました。一方で、その他の機能については、
医療機関の規模や診療体制によってニーズが異なることがわかりました。このことから、これらの状況を踏まえて、さらに検討や調整を行っているところでございます。
次に、導入スケジュールでございますが、今年度、タブレットに多言語翻訳機能を搭載して市内32の全ての救急隊に配備し、来年2月に開催される冬季アジア札幌大会までに運用を開始する予定でございます。
画像伝送機能、それから受け入れ要請効率化機能などについては、セキュリティー対策や
医療機関のニーズの調整などに時間を要することから、平成29年度以降、段階的に整備することも含めて検討しているところでございます。
◆かんの太一 委員 ただいまの答弁で、コンサルティングを受け、
医療機関と調整を十分に行った上で導入を図るということでしたが、タブレットの活用の場は大変広い上、さまざまな機能を組み込むことができると思います。加えて、総務省消防庁が刊行している平成27年の消防白書では、
救急業務におけるICTの活用推進は重要と認識されており、他都市からも札幌市でのICTの導入成果が注目されていると思いますので、費用対効果が最大限と考えられる機能として、将来のことも考え、拡張性を持ったシステムを時期を逃さずに導入していただきたいと思います。
次の質問ですが、このたび導入する多言語翻訳アプリについては、国立研究開発法人情報通信研究機構と総務省が共同研究中であるもので、消防局もその共同研究に参画していると伺っております。現在、誰もがダウンロードして使える状況にあるので、私も早速スマートフォンにインストールして使ってみましたが、日本語の音声入力に対して外国語の音声が出力され、それにあわせて画面にも日本語と外国語の両方が文字として表示されるため、自分の意図が正しく伝わっているか確認でき、大変使いやすい機能であると感じたところです。日常的に使用する場合であれば、ゆっくり話したり何度か話しかけてやり直すことができるのですが、救急隊員が使用する言葉は、医学的な用語も多く使われます。さらに、重篤な患者の場合は、親族などに対して救命処置に関する事前の同意や病院に搬送する旨を速やかに説明しなければならない場面なども考えられますが、そのような緊迫した場面でも、導入するソフトは素早く正確に翻訳できることが求められると思います。研究に参画している貴重な消防機関の立場として、救急現場におけるこれらの課題に対して、翻訳アプリの改善に向けた対応が求められると考えます。
そこで、質問ですが、消防局の参画によって多言語翻訳アプリがどのように改善されたのか、お伺いいたします。
◎岡本
救急担当部長 多言語翻訳アプリの改善についてお答え申し上げます。
委員ご指摘のとおり、今回導入する翻訳アプリは、救急現場で使用するために必要な医療用語の改善や時間短縮が必要なところでございます。このことから、救急現場でよく使用する言葉の検討、抽出を行うとともに、本年7月には外国人観光客を乗せたバス事故を想定した訓練を実施し、災害現場での活用に関しての検証を行ったところでございます。
これらにより、傷病者の説明や同意に関することなど40項目にわたり、救急隊員が簡単な言葉で翻訳アプリに話しかけると丁寧に翻訳されることになったほか、画面のレイアウトの変更や、災害現場でも声を聞き取りやすくするなど、救急現場での使いやすさが高まるよう、改善されたところでございます。
◆かんの太一 委員 最後に、要望ですが、救急隊へのICTの導入によって、救急隊員の負担軽減や
医療機関との連携強化が図られ、結果として救命率の向上に大きく寄与するものと期待しているところです。また、外国人への対応については、
救急業務ばかりではなく、
医療機関での診療の際などにご苦労があると伺っておりますので、このたびの翻訳アプリの導入によって、外国の方々へのサービス向上につながることも期待しているところです。
このように、ICTはさまざまなサービスの向上につながりますが、日進月歩の分野でありますので、救急隊に配置されるタブレット端末をより一層活用できるよう、さまざまな検討をお願いするとともに、可能な限り速やかに各機能の運用を始めていただくことを要望し、次の質問に移りたいと思います。
続きまして、住宅火災の防止策についてお伺いいたします。
高齢化の進展とともに、高齢者が犠牲となる火災の増加により、平成16年に消防法が改正され、住宅用火災警報器の設置が義務づけられたところであります。本市においては、平成17年10月に
火災予防条例を改正して、住宅用火災警報器の設置義務化から10年が経過しておりますが、本年6月現在の設置率は約86%で、全国平均も約81%と普及が進んでいることを実感したところであります。
住宅用火災警報器の効果として、ストーブの熱により、近くに置かれた椅子が燃え、居住者が住宅用火災警報器の警報音に気づき、水をかけて消火したものや、共同住宅の居住者がこんろの火をつけたまま眠ってしまい、警報音に気づいた隣人が早期に119番通報し、大事に至らなかったなどの奏功事例も多くあると伺っております。
しかしながら、本市における過去5年間の火災発生状況を見ますと、住宅火災は1,202件で、全火災件数2,840件の約4割、火災による死者は約9割を占めています。
そこで、質問ですが、住宅用火災警報器の効果として、設置の有無による焼損程度や、死者及び負傷者の発生など、どのような分析をされているのか、お伺いいたします。
◎萬年
予防部長 住宅用火災警報器の設置効果についてでございます。
統計をとり始めた平成23年から5年間で火災となった建物のうち、住宅用火災警報器が設置されていた建物は196件でございます。このうち、ぼや火災、ぼやというのは焼けが1平米未満のもの、あるいは、収容物のみが燃えたという比較的小さな火災ですが、ぼやでおさまったのが134件、68.4%であるのに対して、住宅用火災警報器が設置されていない建物が320件、このうち、ぼやでおさまったのが128件、40%と、28.4ポイント高い結果となっております。また、火災による死者、負傷者は164人で、このうちの115人、70.1%が住宅用火災警報器を設置していない建物で発生しております。
このように、焼損程度あるいは死者・負傷者数のいずれを見ましても、住宅用火災警報器が設置されている場合におきまして、火災による被害の軽減に大きな効果が認められているところでございます。
◆かんの太一 委員 ただいまの答弁で、住宅火災の被害軽減には、住宅用火災警報器が有効であることがわかりました。ぜひとも、その効果を広く市民に知らしめて、さらなる設置促進に努めていただきたいと思います。
次に、昨年の本市の住宅火災の発生状況を見ると、全住宅火災236件中、こんろ火災は、前年比15件増加の68件と最も多く発生し、住宅火災の約3割を占め、出火原因第2位の放火34件の2倍発生しています。過去5年間で見ると、こんろ火災は、第2位の放火の1.5倍に当たる341件発生しています。
一方、火災による死者に着目しますと、昨年は15人と前年比8人減少となっているものの、過去5年間で見るとやや
増加傾向にあり、また、自殺を除く死者における高齢者の割合は、2011年から2013年まではおおむね40%でありましたが、2014年以降は50%近くにふえています。
そこで、質問ですが、住宅におけるこんろ火災及び火災による高齢者の死者が多いのはどのような要因によるものか、お伺いいたします。
◎萬年
予防部長 まず、こんろ火災が多い要因についてでございます。
揚げ物の調理中に来客あるいは電話対応などでその場を離れている間や、魚焼きグリルの消し忘れによる過熱発火などのうっかり型の火災が増加しているところでございます。また、高齢者世帯で多く発生している要因といたしまして、ホースがつながっていない側のガスコックを誤って開放し、漏えいしたガスにこんろ火が引火するなど、考え違いによる使用方法の誤りが多くなってきてございます。さらには、温度センサーがついていないこんろからの出火割合が高く、揚げ物調理中の火災、いわゆるてんぷら油火災の約6割を占めている状況となっております。
次に、火災による高齢者の死者が多い要因についてですが、逃げおくれによるものが多く、過去5年間の死者52名中23名、44%発生しております。また、出火原因ではたばこが多く、喫煙中の火種の落下や吸い殻のごみ箱への投げ捨て、また、寝たばこなどにより発生している状況にあります。
◆かんの太一 委員 ただいまの答弁で、こんろ火災は、使用中にその場を離れたり、消し忘れなどのうっかり型の火災が多いことや、高齢者では、ガスコックを誤って開放するなど誤操作による火災が多いこと、また、ハード面では、てんぷら油火災を防ぐ温度センサーなどの安全装置の有無による違いもよくわかりました。このような調理中に発生する火災を防ぐためには、市民一人一人の防火の意識を高めるように効果的に訴えることが大切であると考えます。
また、高齢者が火災で亡くなられた要因としては、逃げおくれやたばこに起因する火災が多いことがわかりました。これからの高齢化率の上昇を見据えますと、高齢者に対して、これまで実施していた街頭防火啓発等に加えて、暮らしに密着した、よりきめ細やかな火災予防策が必要であると考えます。
そこで、質問ですが、こんろ火災に対する市民へのより効果的な
注意喚起を図るためにどのような対策をとっているのか、また、今後の高齢者の住宅防火策におけるきめ細やかな
取り組みについてお伺いいたします。
◎萬年
予防部長 まず、こんろ火災に対する市民への
注意喚起についてでございます。
委員ご指摘のとおり、これまで実施している街頭防火啓発などのほか、新たな
取り組みとして、調理中の火災を防ぐために、コープさっぽろ宅配事業トドックとイオン北海道のネットスーパーのご協力により、食材の提供にあわせて啓発用チラシをご利用のご家庭へお届けすること、あるいは、消し忘れなどのうっかり型火災を未然に防げるSiセンサーこんろの普及について、パロマのご協力により、
ポスターなどを用いた広報をスタートさせたところでございます。このほか、北海道コカ・コーラボトリングによる自動販売機への防火
ポスターの掲示、あるいは、常口アトムが管理するアパート入居者への火災予防啓発など、地域貢献活動として防火広報に協力していただける企業を暮らしの火の用心協力隊として募り、官民一体となった
取り組みを開始したところでございます。
次に、高齢者に対する住宅防火策の
取り組みについてでございます。
民生委員による高齢者宅訪問時のたばこ火災防止などの
注意喚起、あるいは、札幌公衆浴場商業協同組合加盟浴場による利用者への火災予防の声がけなどに加え、今年度から、ホームヘルパーやケアマネジャーが高齢者宅で早く火災危険を見つけて対処できるよう、札幌市社会福祉協議会の訪問介護事業所などと連携を図り、暮らしの中に潜む火災危険やその防止策を紹介する防火研修会を実施しているところであります。
今後も、さまざまな
関係団体と連携を深め、あらゆる場面での火災予防広報を展開してまいりたいと考えております。
◆かんの太一 委員 最後に、要望ですが、2014年には23.6%の本市の高齢化率が2025年には30.5%となり、市民の3人に1人が高齢者になると予想されています。これまで経験したことのない人口減少、超高齢社会の到来を迎えるに当たり、今後、火災の被害に遭う高齢者の割合は高くなることが予想されます。
地域における防火意識の向上を図るためには、先ほどご説明いただきましたコープさっぽろやイオン、またパロマなどの民間事業者などからより一層の連携協力を得ることにより、市民の家庭の中へ一歩踏み込んだきめ細かい火災予防広報を行うことが何よりも大切であると考えます。また、高齢者を火災から守るためには、市民が主体となって、住民同士が協力し、助け合う社会の構築に加え、在宅福祉サービス事業者と連携して高齢者世帯における防火策を推進すべきと考えます。
市民生活の安全・安心の確保に向け、今後さらに地域におけるネットワークを広げ、より一層、住宅防火策の強化に努めていただくことを要望して、私からの質問を終了いたします。
◆竹内孝代 委員 私からは、消防団の活性化について質問いたします。
本年6月、全国の女性消防団員が一堂に会する全国女性消防団員活性化北海道大会が札幌市で開催され、3,000名を超える女性消防団員が参加、地域特性に応じた先駆的な活動事例、また、女性消防団員が考案した防火啓発劇の発表なども行われました。この大会を通じて、全国の女性消防団員の間では、ほかの都市ではどのような活動を行っているのか、さらに、どのような課題を抱えて、どのように解決しているのか、また、女性消防団員としての悩みはどんなものなのかという情報交流が積極的に行われ、それがお互いによい刺激となり、女性消防団員の活性化、また活動推進が大いに図られたと伺っております。
大切な地域の安全、そして、市民の皆さんの命を守る消防署と連携しながら活動していく各地の消防団ですが、現在、札幌市内には約400名の女性消防団員が在籍しておりまして、全国的に見ても女性の割合が大変高く、活動も活発であるという特徴があります。私も地元の清田消防団に入団しておりますが、女性消防団員が、特有のソフトな対応を生かし、消防署の職員と一緒に、
応急手当指導を初め、さまざまな消防団活動で活躍される姿を目にしております。一方で、札幌市の消防団は、各区に設置されておりまして、10の組織がありますが、同じ消防団の中では女性消防団員同士が情報交流する機会があるものの、他の消防団とはそういった機会がほとんどないというのが現状です。
男性の消防団員の方もそうですが、特に、女性消防団員は、お仕事をされながら、また、家事や育児をされながら、多忙な中で時間を割いて消防団活動をされている方がとても多く、もしも札幌市内10区の女性消防団員全体が情報交流できる場があれば、各地のさまざまな工夫や
取り組みを知ることができ、より一層、団員の活性化、活動推進が図られることが期待できるのではないか、また、それは消防団全体の活動の幅や質の底上げにもつながるものではないかと考えます。
このような中、私の所属する清田消防団を含めて6消防団の女性消防団員が集まり、情報交流を目的とした研修会が11月に開催されることとなり、私も参加する予定ですが、これは市内でも初めて行う先進的な
取り組みで、女性消防団員が所属する消防団の垣根を越えて情報交流できる貴重な機会になります。また、こうした
取り組みが広がり、地域の中で消防団の話題がふえていってほしいと願っておりますが、こうしたことは女性消防団員の確保にもつながっていくのではないかと考えます。
そこで、初めの質問ですが、今後の女性消防団員の情報交流のあり方についてはどのように考えていらっしゃるのか、お伺いいたします。
◎中塚 総務部長 女性消防団員の情報交流のあり方についてのご質問でございます。
委員のご質問にもありましたとおり、札幌の消防団の特色としては、女性消防団員の比率が非常に高いというところでございます。このため、女性消防団員の活性化あるいは活動の推進を図るといった観点から、女性消防団員が情報交流できる機会を設けるのは大変有意義なことだと認識しております。
委員のお話にもありました研修会につきましては、南消防団の女性消防団員からの要望を受けまして、いわゆるレディース隊という女性消防団員のみから成る活動隊がある消防団が六つございます。その6消防団が共同して開催することになったというものでございます。ただ、札幌市の各消防団、女性消防団員からは、10の消防団全体での開催について強い要望もあると伺っているところでございます。
こうした要望を踏まえ、消防局といたしましても、10消防団全体の女性消防団員による研修会の実施に向けて積極的に協力してまいりたいと考えております。
◆竹内孝代 委員 今、女性消防団員の情報交流について、10区全体の機会を設けることに積極的に協力していきたいというお話をお聞きしました。女性消防団員の要望が実現して、全市的な交流、また、研修の機会が設定されていくことを期待していきたいと思っております。消防団が活性化するためには、女性消防団員の情報交流が重要なことはもちろんですが、消防団員がしっかりと確保されるなど、組織の基盤が安定して、魅力ある消防団づくりをしていかなければなりません。
札幌市の消防団には、年間で100名を超える方が入団しております。一方で、入団者を上回る数の退団者がいるため、全体では団員が減少しているというのが現状です。地域によって団員数や活動家の人数に違いがあり、私も区内各分団の訓練現場にお伺いしておりますが、地域によっては、若手が少なく、年配の先輩が重たい救助服を着用し、全速力で訓練をされており、息を切らしながら、体力的にはきついけれども、若手が入るまでは自分がやるんだとお話しされている姿に胸が打たれました。消防団員の確保という課題は、入団者をふやすだけではなく、退団者を抑制し、活動家を育成することで、消防団への定着率を上げることが必要であると考えております。
退団の理由は、仕事や学業、家庭の事情などにより消防団活動を続けることが困難となった場合が多いと伺っておりますが、中には、活動の目的、目標を明確に持つことができないことが原因で、結果的に消防団にうまくなじめず、退団に至るケースもあるとお聞きしました。消防団がより魅力ある組織となり、団員一人一人がこれまで以上に消防団活動にやりがいを感じることができれば、退団者の抑制につながり、消防団への定着率も上がるのではないかと考えております。
現在は、永年表彰という形で団員の労をねぎらい、感謝の機会を設けているとお聞きしていますが、例えば、他の模範となるような活動を行った消防団員への表彰の機会を設け、褒めたたえ合う中で、互いにさらなる士気を上げていくなどといったことも魅力ある消防団づくりへの一つの方策ではないかと考えます。
そこで、質問ですが、魅力ある消防団づくりに向けてどのような
取り組みを行っているのか、お伺いいたします。
◎中塚 総務部長 魅力ある消防団づくりに向けての
取り組みについてお答え申し上げます。
委員からお話がありましたとおり、消防団の活性化に当たっては、消防団が魅力的な組織であることが非常に大切な要素であろうと考えます。
現在、札幌市の消防団におきましては、中長期の計画であります消防団ビジョンというものの策定を進めております。その中におきまして、消防団が目指すべき将来像の一つとしては、魅力あふれる消防団という項目も掲げていると伺っているところでございます。この計画の策定を受けて、各消防団においては、魅力ある組織を目指して、地域実情に応じた
取り組みを進めることになります。
また、魅力ある消防団づくりに向けた
取り組みの第一歩として、委員のお話にもありましたが、ほかの模範となる消防団員を表彰する新たな表彰制度の導入についても検討が進められております。このことによって消防団員のモチベーションが向上することで、新入団員の定着率がアップすることを大いに期待しているところでございます。
消防局としては、引き続き、魅力ある消防団づくりに積極的に協力してまいりたいと考えております。
◆竹内孝代 委員 大変積極的な
取り組みをされ、また、それに協力されているということで、引き続きよろしくお願いいたします。
消防団員の減少、また高齢化という全国的にも課題となっている抜本的な解決策がなかなか見出せない状況ですが、消防団が地域防災の中核として将来にわたり役割を果たすためには、こうした課題の解決に根気強く取り組むことが必要であると思います。
例えば、町内会、自主防災組織、幼年・少年消防クラブなど、地域と連携した活動を積極的に行うことで、地域の中で消防団に対する関心が高まり、消防団に入団しようという機運も生まれるのではないかと考えます。特に、幼年・少年消防クラブ員は、幼少期から防火・防災について学ぶことにより、地域の中で防火・防災に携わっていきたいという気持ちが醸成され、将来、消防団に入団する可能性もあるのではないかと皆さんおっしゃっております。消防団の中長期計画の策定について、先ほどお話をいただきましたが、この計画に基づき、消防団がさまざまな
取り組みを進めるに当たっては、これまで申し上げたことを取り入れていただくことを期待していきたいと思います。
これらは一例ですが、消防局においては、消防団と綿密な連携を図り、団員の減少、高齢化に対する効果的な対策の検討を進めていただくとともに、今後とも地域の安心と安全を守る大切な消防団活動に対する積極的な支援を行うことを要望いたしまして、質問を終わります。
◆丸山秀樹 委員 私からは、異常気象による水害及び土砂災害対策の際の消防団と消防局の活動の
取り組みについてお伺いしたいと思います。
ことしは、8月に観測史上初となる三つの台風が本道に上陸いたしました。特に、台風10号が接近した際には、道内でも、十勝や上川地方を中心に川の氾濫や土砂崩れなどが発生し、甚大な被害に見舞われました。このときのテレビ報道で、道内の相互応援で出動した札幌市の消防ヘリコプターが孤立した住民をつり上げ、救出する映像が映し出されましたけれども、緊迫した状況の中、困難な活動を展開された消防局の皆さんに改めて感謝と敬意を表するものであります。
危機管理対策室のときに質問させていただきましたが、市内では、幸い川の氾濫など大きな被害はございませんでしたけれども、断続的な大雨による気象警報の発令、ゲリラ豪雨により、住宅への床上、床下、車庫内への浸水や道路冠水などが多数発生したところであります。8月16日には、午後8時から午後9時にかけて、この約1時間で40ミリ以上の豪雨が厚別区内に降り、私も、日ごろから浸水等の被害で注意を要する場所をパトロールさせていただきますとともに、浸水現場で消防隊の皆様とともに対応に当たらせていただいたところでしたが、今回、消防署の皆さんには、冠水した道路の封鎖、床上浸水した家屋からの排水など、実に迅速な対応をしていただいたものと思っております。
私は、国内のみならず、世界的にも異常気象と言われる気象の変動によって台風や大雨の被害が
増加傾向にある中、迅速に現場に駆けつけ、活動を行う消防局や消防団の役割は今後ますます重要になるものと思っております。
そこで、質問ですが、消防局では、今回のようなゲリラ豪雨による水害や土砂災害に対してどのような対策を講じているのか、また、災害発生時にどのような体制をもって対応されているのか、お伺いいたします。
◎安中 警防部長 水害及び土砂災害発生時の対策と体制についてです。
まず、災害発生時の事前対策につきましては、災害発生時に効率的かつ効果的な消防活動が展開できるよう、札幌市地域防災計画に定める崖地や浸水が予想される区域について調査を行い、危険箇所や消防活動上必要な事項を定めた警防計画を策定しております。
さらに、活動資機材につきましては、以前から各消防署に配備しております排水ポンプや救命ボートなどの資機材に加えて、ことし3月に、新たに全ての水槽車、救助車に軽量で持ち運びしやすい吸水性ゲル土のうを積載するとともに、救命胴衣などの個人装備を増強配備し、初動体制を強化したところであります。
また、災害発生時の体制につきましては、大雨または洪水警報が発令された段階で司令員を招集して119番の受け付け体制を強化するほか、災害の状況に応じて非常警備体制を発令し、招集した非番職員と非常用消防車両をもって部隊の増強を図ることとしております。
◆丸山秀樹 委員 今、ご答弁いただきましたように、消防局による水害及び土砂対策の体制として、吸水性の土のうを初め、資機材の整備が積極的に図られていること、また、職員の招集による体制の強化が図られていることは、大変重要なことであると思います。
次に、消防団と消防局の連携についてお伺いいたします。
今般の台風では、消防職員のみならず、全道で延べ約5,000名もの消防団員が災害対応に当たっており、消防団の活動によって被害が軽減された地域も数多くあったと伺っております。国会におきましても南富良野で農業生産をされている消防団員の事例が紹介されましたが、みずからが被害者であるにもかかわらず、地域のために懸命な活動に当たった消防団員の皆様には頭の下がる思いであります。
仮に、札幌市において大規模な水害、土砂災害が発生し、市内各地で対応しなければならない事例が重なると、消防職員だけで全てに対応することは到底困難となるために、日常的な災害では消防職員の後方支援を中心に活動している消防団についても単独で災害対応に当たることとなります。また、水害、土砂災害では、消防団の特徴である要員動員力をもって、土のう積みや堆積した土砂の除去活動などに従事することも想定されるところであります。その際に、消防団が持てる力を最大限に発揮し、効果的・効率的な活動で災害による被害を最小限に抑えるためには、消防団と消防局がしっかりと情報共有を行い、お互いの役割をよく理解した上で綿密な連携を図ることが非常に重要であります。
そこで、質問ですが、異常気象による水害、土砂災害における消防団と消防局の連携のあり方及びその推進についてどのように考えているのか、お伺いいたします。
◎中塚 総務部長 消防団と消防局の連携についてお答え申し上げます。
水害あるいは土砂災害などの際に消防団と消防局が綿密な連携を図るためには、消防団の災害活動を統括する消防団指揮本部と消防署の災害活動を統括する署隊本部が顔の見える環境にあることが最も望ましいと考えております。幸い、札幌市におきましては、同じ消防署の中に消防団の指揮本部と署隊本部が設置されるということで、災害対応に必要な情報の共有あるいは意思疎通が十分に図られた上で消防団の活動方針を決定できるという点では非常に理想的な体制と考えております。
また、昨年度から今年度にかけて、消防団に無線機を配備いたしました。消防団の情報伝達体制がより整備されたということで、仮に消防隊とは別の災害現場で活動していたとしても、消防団の活動状況が、逐次、両方の本部で把握できるようになったものでございます。これにより、例えば、消防隊が対応に着手していない災害へ消防団に迅速に出動していただいたり、逆に、消防団だけでは対応が難しい場合に消防隊の応援を要請できるなど、より効果的・効率的な活動が期待できるものとなりました。
各消防団長及び消防団並びに消防署においては、高いレベルでこうした連携を図ることができるよう、これからもより実践的な訓練に取り組んでまいりたいと考えております。
◆丸山秀樹 委員 消防団と消防局につきましては、これからも顔の見える綿密な連携を図り、効果的・効率的な活動をぜひ行っていっていただきたいと思います。
次に、消防団における水害、土砂災害の対応力の強化についてお伺いいたします。
今般の台風対応では、私の所属いたします厚別消防団でも、管内を流れる河川の増水状況を確認するためにパトロールが実施されました。パトロールでは、河川の増水状況を確認した結果について、先ほども出ておりましたが、無線機を活用して消防団指揮本部に報告をいたしました。しかし、パトロールに当たった消防団員自身が、川の水位がどの程度上がっていたら危険なのか、また、氾濫注意水位や氾濫危険水位といった言葉の持つ意味とその基準がわからないなど、河川の増水状況を確認する上で必要な知識が不足していたという反省点もございました。
こうした反省を踏まえ、先般、厚別消防団と厚別消防署の協力によって、厚別区土木職員を講師とした水害、土砂災害に関する研修会が初めて開催され、私も消防団員として参加したところであります。研修会では、冠水が引き起こされる仕組みや地域の冠水危険箇所などについての説明を受け、災害時の活動に必要となる専門的な知識を学びました。そして、小さな橋の名前など、ふだんは余り気にかけないことを確認しておくことで、例えば、何々橋の下流100メートル付近で川が氾濫しそうだといったように具体的でわかりやすい状況報告も可能となります。この研修会では、今回の大雨のように、緊迫した状況においてもスムーズに活動を展開するために必要となる情報、知識を学ぶことにつながり、大変有意義でございました。研修会では、当日、大雨時に冠水危険箇所を記したマップが配付されましたが、このマップを見るだけでも、50カ所以上が降雨時に確認をする必要がある場所だとされておりまして、こうした場所がしっかりわかることが消防団員にとっても非常に重要であります。
消防団員が異常気象による水害、土砂災害に迅速かつ的確に対応するためには、消防団と消防局の連携が大変重要であることはもちろんですが、消防団員一人一人が災害対応の視点から地域特性に応じた知識を身につけることで、さらなる災害対応力の強化を図ることができると考えます。
そこで、質問ですが、消防団における水害、土砂災害への対応力強化についてどのように考えているのか、お伺いいたします。
◎中塚 総務部長 消防団における水害あるいは土砂災害への対応力の強化についてのご質問でございます。
今、委員のお話にありましたとおり、水害あるいは土砂災害に迅速、的確に対応するためには、地域の地形的な特性あるいは危険箇所を事前に把握しておくというのは非常に大切なことだと思います。そういった点で、厚別消防団が開催した研修会というのは大変有意義な
取り組みでありまして、ほかの消防団にも広がっていくことが期待されるところでございます。
消防局といたしましても、例えば、石狩振興局管内には17の消防団がありますが、この17の消防団が一堂に会する研修会の中で活動事例として発表する場を設けるなど、こうした
取り組みが水害、土砂災害への対応に有用であることをほかの消防団の皆様にも広く周知できるよう、できるだけ後押ししてまいりたいと考えております。
また、災害のときには一つの消防団だけでは手に余るということもあろうかと思いますので、ことしの4月に、先ほどの石狩管内の17の消防団において、災害時の相互の応援協定を締結したところであります。これを契機として、先般、9月に実施した札幌市の総合防災訓練におきましては、近隣の7市町村の消防団の方々にも初めてご参加いただいたところでございます。
このように、市町村の垣根を越えた消防団相互の連携も始まっておりまして、消防団の水害、土砂災害への対応力はより一層強化されているものというふうに認識しているところでございます。
◆丸山秀樹 委員 今回の厚別消防団のような研修は、水害、土砂災害対策はもちろんのこと、万が一、状況が一変した場合の想定や自分自身の対応のあり方、具体的に行動するにも、どの道が危険で、川がどのように変化するので近づかないほうがよいといったような具体的な判断にも応用できるようになり、現場に向かおうとする消防団員の安全確保にもつながるものと考えます。消防局には、こうした厚別消防団の先進的な
取り組みが他の消防団に広がっていくための積極的な支援を行っていただきますことを要望させていただきます。
また、札幌市の消防団では、大規模地震時の対応マニュアルを初め、無線機運用マニュアル、消防ポンプ取り扱いマニュアルを策定しておりますが、最近の気象状況などを見ると、水害、土砂災害に対応したマニュアルの必要性も高まっていると感じます。仮に、こうしたマニュアルをベースに、消防団員が基礎的な知識を身につけた上で、厚別消防団が実施したような専門的で地域特性に応じた研修を行えば、その効果はより一層高まるのではないでしょうか。
ついては、消防局におかれましては、水害、土砂災害に対応したマニュアルの策定について、消防団と検討を進めていただきますとともに、今後とも、消防局と消防団が、一層、連携強化を図り、市民に信頼と安心を与え、災害時には柔軟に対応できる体制構築を進めていただくことを要望し、質問を終わります。
○
小川直人 委員長 以上で、第1項 消防費の質疑を終了いたします。
ここで、理事者交代のため、委員会を暫時休憩いたします。
――――――――――――――
休 憩 午後2時28分
再 開 午後2時31分
――――――――――――――
○
小川直人 委員長 委員会を再開いたします。
次に、第2款 総務費 第1項 総務管理費中環境局関係分、第4款 環境費 第1項 環境計画費、第2項 清掃事業費及び第7款 土木費 第6項 公園緑化費中環境局関係分について、一括して質疑を行います。
◆
中川賢一 委員 私からは、有料の指定ごみ袋のあり方についてお伺いいたします。
本市におきましては、ごみの減量・資源化を進めることを目的に、平成21年に一部のごみ袋を有料化し、およそ7年が経過しているところでございます。その成果を伺いますと、ごみの減量・資源化については、これまでのところ、一定の効果を上げていることが見受けられるところでございます。
では、そのごみ袋の収支がどうなっているのかというところですが、平成27年度の決算を拝見しますと、家庭ごみ袋の手数料収入は約30億円ということでございます。これらを分別の収集や排出の抑制、資源化といった各種の活動の経費などに使用しておられるということですが、当然、ごみ袋自体の製造や保管、手数料収入の管理などもろもろの経費もかかっておりまして、その額は、27年度の決算では約6億4,000万円とご報告いただいております。このあたりの額は、このところ、毎年、おおむね同じようなレベルで推移しているとご報告いただいております。
この6億5,000万円ぐらいのコストで4種類の指定ごみ袋、5リットル、10リットル、20リットル、40リットルと倍、倍、倍で4種類を製造し、運用しているところですが、まず、確認的な意味で最初にお伺いさせていただきたいと思います。
ごみ袋を有料化するに当たりまして、サイズをこの5、10、20、40リットルの4種類と決定するに至った考え方につきまして、他の政令指定都市などの状況もあわせてお伺いしたいと思います。
◎浅野 環境事業部長 指定袋を現行の4種類のサイズとした際の考え方と他政令市の指定袋の現況についてお答えいたします。
まずは、指定袋のサイズを決定した際の考え方についてであります。
ごみの減量・資源化の推進を目指して、平成21年7月から家庭ごみの有料化の実施に当たって指定ごみ袋を導入したところでございます。
指定ごみ袋のサイズを決める際に、道内で札幌市に先行して有料化を実施しておりました市の状況を調査したところ、5、10、20、30、40リットルの袋の中から何種類かを組み合わせて採用していることが多いことがわかりました。札幌市は、全世帯の約4割を比較的ごみの排出量が少ない単身世帯が占めることから、まずは5リットルの袋の採用を決定したところであります。
一方、袋の種類をふやすことは、製造や保管、配送等の管理経費の増加につながることになります。そこで、最も大きな袋を30か40リットルのいずれかにすることとして検討した結果、当時多く使用されていたごみ袋のサイズが40リットルであったために、40リットルを採用したところであります。
このようにして、5、10、20、40リットルの4種類のサイズに決定したものであります。
次に、他の政令指定都市の現況についてお答えいたします。
九つの政令市で有料化を実施しておりますが、指定ごみ袋の種類については、全部で4種類のところが札幌市を含めて5都市で最も多くなっております。そのほか、5種類と定めている都市が3都市、3種類が1都市となっております。
次に、各都市で採用している袋のサイズについてですが、5リットルを採用している都市は、札幌市を含め、5市となっております。また、10リットル以上のサイズで見ますと、札幌市の10、20、40リットルに対しまして、6都市が10、20、30、45リットル、2都市が15、30、45リットルといった状況となっております。
◆
中川賢一 委員 4種類にしたのは、道内の先行事例を参考にされたということで、また、他都市の状況も伺いました。
ところで、私の家庭でのごみ捨て役は私でございますので、毎日毎日、黄色い袋を持って活躍しておりますが、そういった意味では本当に実感がありますので、次の話題に移らせていただきたいと思います。
5、10、20リットル、次が40と倍、倍となっておりますが、20から40に20リットルも飛ぶというのは、かなり飛び過ぎで、なかなか不便だなと感じるときが頻繁にあります。けさは燃やせるごみの日でしたから、大変な工夫と苦労をして出勤しました。20リットルだと少し入り切らないのですが、40となるとこれまた大き過ぎる、もう一つとなると、20のほかに10リットルや5リットルでどれが適正なのかと考えるのも結構面倒くさいのです。最近は大分上達してまいりましたが、結構まめなことをやらなければなりませんし、特に出勤のときに二つ持つのは意外と面倒です。これは私だけの実感ではなくて、中間のサイズがあればいいのにねというようなことをいろいろなところで頻繁に聞くことがあります。
今、他の政令指定都市のお話も伺いましたが、有料のごみ袋を使用している政令指定都市の中で30リットルを使用していないのは本市だけでございます。また、袋と袋の大きさの差ですが、次の段階に行くのに20リットルもあけて設定しているのも札幌市だけで、ほかは大体15から30、30から45と、札幌以外は最大で15しかあいていないわけでございます。それから、お使いもまた私の仕事ですから、よくホームセンター等に行くのですが、ごみ箱等を見ますと、札幌では40リットルになっておりますが、他の指定都市では45リットルのごみ箱がよくあるなと実感をしております。
こういった意味から、20と40の間の30リットルのサイズの袋をつくると利用者の利便性が向上するのではないか、私にとっては飛躍的に向上するのではないかなと思うところですが、新たなサイズの袋を作成することに対するメリットや必要性についてどのようにお考えになっているか、お伺いしたいと思います。
◎浅野 環境事業部長 新たなサイズの指定袋を作成するメリットと必要性についてお答えいたします。
昨年12月に実施したごみ減量・資源化に関する市民意識調査の中で、現行の4種類以外に必要なごみ袋のサイズについて質問したところ、現行どおりでよいとの回答が64%で最も多かったところであります。一方、ただいまご指摘がありました30リットルの袋を求める方や40リットルよりもさらに大きな袋を求める方もそれぞれ1割程度いるという結果も得られております。こうしたニーズもありますので、袋の種類をふやすことは、市民の利便性が向上するという点ではメリットがあると考えております。
しかしながら、新しいサイズの袋を作成する場合、製造費や保管・配送料などの経費が増加するというデメリットもございますので、市民への調査結果を踏まえますと、現時点では、新たなサイズの指定袋を作成する必要性があるとは考えておりません。
◆
中川賢一 委員 アンケートをした結果、大半の方は今のままでいいけれども、ほかのサイズに対してもニーズがあったということで、いろいろなものがあると利便性は向上するというご認識は一定程度あるのだと思います。ただ、コストなど種々の問題があって、すぐにこれに取りかかれる状況ではないということであったと思います。
確かに、新たな袋をつくることになりますと、当然、特に初期投資等に一定のコストがかかってしまうことが容易に予想されますので、それなりの負担は当然あると思います。ただ、初期投資であれば一時的なものでございますから、これがある程度軌道に乗れば、コストがアップしたままという状態がいつまでも続くわけではないと思いますので、施策的なメリットや利便性を含めて、そのコストがどうなのかという視点で考えてみることも一案ではないかなと考えます。
また、アンケートでは、現行どおりでよいという方が6割以上いたということですが、これは、特に大きな危機感があるわけではなくて、別にとりたてて騒ぐほど不便ではないという意味かもしれません。別に、必要がないとか、ないほうがいいということではなくて、あったらあったでうれしいということも含めてかもしれません。これはわかりません。どちらにしても、アンケートの回答というのは聞き方次第でどうにでも変わります。私はマーケティング等をずっとやっておりましたので、今回がそうだったとは言いませんけれども、意図的にアンケートをつくることは自分なりにわかっているつもりでございます。むしろ、今、部長の話にもありましたが、1割以上の方が30リットルや45リットルのもっと大きなものをという声を上げられている部分に着目していくべきではないかなと考えるところでございます。
また、利便性というところだけお話しさせていただきましたが、有料化の本来の目的はごみ減量でございます。そういった意味合いから、これも私の実感で大変恐縮ですが、きょうはごみがちょっと多いなと思って40リットルを用意しても、いざ入れ込んでしまうと40リットルの袋が全然いっぱいになりません。40リットルの袋は1枚80円ですから、やっぱりもったいないので、緊急性があるようなものでないものもどんどん入れて、40リットルをぱんぱんにして捨てるということも結構少なくありません。これは、私だけの不遜なことなのかもしれませんが、お金を払ってごみを捨てる以上、当然、入れるだけ入れてしまおうと考えるのは自然な人情ではないかなと考えますので、こういうことは、我が家のみならず、札幌全体で、朝、広く起こっているのではないかと推測するところでございます。
こういう意味合いからしますと、ごみ袋の差が一気に飛び過ぎることによって、ごみ減量という根本の政策目的の阻害を引き起こしているということももしかすると考えられると思います。例えば、30リットルの袋があれば市のごみ減量はもう少し進んでいたのかなと、あくまで推測、仮定の話では思うところでございます。
そこで、改めてお伺いしたいと思います。
ごみ減量という本来の政策目的に照らして、また、7年たって市民のいろいろな声があると思いますので、再度、そういったニーズを把握するという意味合いからも、ごみ袋のあり方を多様な面から調査・研究していくことは非常に有意義なのではないかなと思いますが、ご見解をお伺いしたいと思います。
◎浅野 環境事業部長 指定袋のあり方の調査・研究の考え方についてお答えいたします。
4種類の指定ごみ袋で制度を開始して以来7年が経過しておりますので、だだいまご指摘がありましたように、市民のニーズを継続的に把握していくことは必要であると考えております。
仮に、新しいサイズの指定袋を導入する場合には、市民ニーズの把握に加えまして、先ほどお話がございましたけれども、ごみの減量や、適正な分別を促進するという観点からの検証や、費用対効果の検討など、さまざまな角度からの検討が必要でありますので、今後、調査・研究に着手していきたいと考えております。
◆
中川賢一 委員 私の切実な声に一定のご理解を示していただいたというふうにも感じました。
もし研究することがあればとおっしゃらずに、ぜひぜひ研究して、ごみ減量を積極的に進めて、利用者の利便性に応えていただきたいと思います。
◆中村たけし 委員 私からは、不用品、ごみとして出されたものの再使用・再利用の促進、推進について質問します。
2000年、平成12年に循環型社会形成推進基本法が定められまして、廃棄物の発生抑制と適正な循環的利用・処分によって、天然資源の消費を抑制して、環境への負荷ができる限り低減される社会である循環型社会の構築を目指すこととされました。循環型社会を構築するには、発生抑制、リデュース、先ほど申し上げました再使用、リユース、それと再利用のリサイクル、この3Rにつながる
取り組みというものが不可欠となってまいります。
その一方で、廃棄物は、一旦発生してしまえば、資源としてリサイクルする場合であっても、少なからず環境への負荷が生じることから、環境省が平成25年、2013年に定めた第3次循環型社会形成推進基本計画において、3Rのうちでも、特にリデュースとリユース、この2Rの
取り組みをより強化するとの方向性が示されました。これは、国内における
取り組みということで、質にも着目した循環型社会の形成、2Rの
取り組みがより進む社会経済システムの構築がこの計画の中に盛り込まれております。
リユース、すなわち、一旦使用された製品、部品、容器などの形状を維持したまま再使用することは、再生使用、リサイクルに比べて、一般的に資源の滅失が少なく、また、その過程で発生する廃棄物の量も少なくて済みます。そして、このリサイクルにはさまざまなコストがかかります。
リユースの
取り組みは、ごみの排出という外部不経済を内部化させていく
取り組みであります。つまり、従来であれば、ごみとして焼却されたり埋め立てされて、地球温暖化であったり土地の有効利用について、マイナスの方向に働くものをリユース品として市場で循環させて、経済市場において内部化させていくという大変重要な
取り組みであると考えております。もっとも、廃棄物処理に伴う環境負荷を低減させるという意味におきましては、廃棄物の発生自体を抑制するリデュースが最も効果的であるということは改めて言うまでもありません。
札幌市では、スリムシティさっぽろ計画の中で、重点施策の一つとして、ごみ発生・排出抑制のための行動の実践を掲げておりまして、その実現のため、ごみ減量キャンペーンでは、食品ロス削減、紙類及び容器包装プラスチックの適正排出に重点を置いた
普及啓発を実施してまいりました。その結果、ごみの減量・資源化は順調に進みまして、昨年度は、家庭から出る1人1日当たりの廃棄ごみ量については、過去最少の395グラムとなっております。
このように、これまで、リサイクルには積極的に取り組んで、リデュースも進めてきたところですが、さらなるごみの減量・資源化の推進に向けて、2Rのもう一つの柱であるリユースへの積極的な
取り組みが必要であるというふうに考えております。
そこで、質問ですが、札幌市におけるリユースの
取り組み状況についてお伺いします。
◎浅野 環境事業部長 リユースの
取り組み状況についてお答えいたします。
木製家具や自転車、子ども用遊具は、大型ごみとして出す際に、市民からの申し出がありますと、リユースの対象品として通常の大型ごみとは別の車で回収を行っております。回収した家具等は、リサイクルやリユースの
普及啓発施設であります発寒工房で修繕や清掃を行い、宮の沢にあるリサイクルプラザや厚別のリユースプラザで展示・提供を行っております。
また、昨年度からは、札幌クリーニング協同組合と連携をいたしまして、市民の身近にあって持ち込みに便利な地域のクリーニング店で古着を回収することで、市民の皆様のリユース意識の向上を図っているところであります。
そのほか、車椅子や介護用電動ベッドなどについては、札幌市社会福祉協議会で、福祉用具リサイクル
情報提供事業ということで、不用となって譲る方とそれを受け取る方、双方の情報を結びつける調整を行っております。
◆中村たけし 委員 今の答弁で、木製家具や古着、車椅子のリユースに関しての
取り組みがわかったわけですが、木製家具等は、大型ごみとして出す際に、市民から申し出があれば、リサイクルプラザ発寒工房で修理を行って、リユースに回せるということでした。市民の方々には、この点について余り知られていないと感じております。リユースを推進する上で、市民一人一人の意識の向上が不可欠でありまして、札幌市の
取り組みを通じて啓発を強化していく必要があるというふうに考えております。
そこで、質問ですが、リユースを推進していくために市民に対してどのような啓発を行っていくのか、伺います。
◎浅野 環境事業部長 リユースの推進に向けた市民への啓発についてお答えいたします。
リユースの推進に当たっては、市民一人一人が主体的に取り組むことが重要でありますので、リユースに向けた意識の醸成と行動につなげるための情報発信を行う必要があると考えております。
このため、来年度改訂予定のごみ分けガイドにリユースについて重点的に掲載するほか、ごみに関するさまざまな情報を伝えるクリーンミーティングや各種イベントなど、あらゆる機会を通じて、リユースの重要性を伝えていきたいと考えております。さらに、若い世代向けには、スマートフォン用の分別アプリやフェイスブックなどのツールも活用して情報発信を行っていきたいと考えております。
◆中村たけし 委員 リユースに対しての啓発を積極的に行っていただきたいというふうに思っております。
私も不勉強で知らなかったのですが、大型ごみとして出す際に、このごみをリサイクルしてほしいというときには、そのシールに大きく赤字で「リ」と書いて出すこととなっているようです。このことについて知らない市民は、大変多いというふうに私も思います。実際に出ているごみに、シールを張っているものをよく見ることはありますが、「リ」という赤字を見たことがいまだにないものですから、こういったことを知らない市民が多いと思います。
ごみ分けガイドのリニューアルのときに啓発の部分を多くしていただけるようなので、こういったことに積極的に取り組んで、リユースがもう少し活発になっていくように要望しまして、質問を終わります。
○
小川直人 委員長 ここで、およそ20分間、委員会を休憩いたします。
――――――――――――――
休 憩 午後2時57分
再 開 午後3時20分
――――――――――――――
○阿部
ひであき 副委員長 委員会を再開します。
休憩前に引き続き、質疑を行います。
◆小口智久 委員 私からは、本市における土壌汚染対策について質問いたします。
東京では、豊洲新市場の土壌汚染対策が計画どおりに行われていなかったことが問題になっております。私は、土壌汚染に関する有資格者として、本市の土壌汚染対策がどのように行われているのか、順次確認させていただきます。
土壌汚染を対策する法律、正式には土壌汚染対策法、以下、土対法と呼びますが、平成15年に施行され、平成22年に現行制度に大幅に改正された比較的新しい法律です。水質汚濁防止法、大気汚染防止法と比較しますと、内容が複雑でわかりにくい面が多々あります。水質や大気の場合は、汚染が拡散しやすいため、河川、海域、事業所等、また、公共の地域で定期観測を行い、積極的にいち早く環境汚染の拡散を防止しますが、それに対して、土壌は、流動性がなく、拡散性がないことから、定期観測は行いません。
土壌汚染調査が行われるのは、重金属、農薬、揮発性有機物などの有害物質を使用している施設を廃止する場合や、盛り土、切り土など、3,000平米以上の土地の改変の届け出の際に、自治体が汚染のおそれがあると認めた場合に行われます。そして、土壌汚染が見つかった場合には、すぐに対処しなければならない要措置区域と、管理されていればすぐに対処しなくてもよい形質変更時要届出区域に区域指定されます。札幌市でも区域指定されている土地が幾つかあり、現在、要措置区域は3カ所、形質変更時要届出区域は9カ所の計12カ所が指定されております。
このような中、先日、東区のガソリンスタンド跡地において、ベンゼンの土壌汚染が見つかりました。一般的に、ガソリンスタンドについては、土対法の調査の対象とはならず、自治体に届け出を行う法的義務もありません。しかし、現代では、ガソリンスタンド跡地の土地取引を行う際には、土地の所有者等が自主的に土壌汚染の調査を行うことが一般的であり、今回も自主調査の中で汚染が発見されたと聞いております。
土壌汚染が確認された場合に重要な初動対応は、地下水に達しているかどうかを確認することです。札幌市では、この報告を受け、ガソリンスタンド近辺の5カ所の飲用井戸の汚染状況を速やかに調査して、その結果、ベンゼンは検出されなかったことを確認しております。しかし、汚染物質は時間をかけてゆっくり拡散していくため、今後も安心して地下水を使用できるのか、飲用井戸の所有者は不安を抱えていると思います。
そこで、質問ですが、周囲にベンゼンの汚染が拡散していないことを9月20日に1度確認しておりますが、今後、継続的な調査を行う予定はないのか、お伺いいたします。
さらに、札幌市では、周辺の井戸所有者の不安を解消すべく、先ほどの5カ所の飲用井戸だけでなく、汚染が拡散する可能性のある半径1キロ圏内の飲用井戸の所有者に対して地下水調査の案内を行い、希望者にはベンゼンの水質調査を行うこととしたと聞いております。
そこで、質問ですが、追加の水質調査について、何件の希望があって、現時点でベンゼンの基準超過があったのか、お伺いいたします。
加えて、万一、この水質調査を行った周辺の飲用井戸でベンゼンの汚染が見られた場合には、札幌市としてどのような対応を行うことになるのか、お伺いいたします。
◎高木 環境管理担当部長 私から、土壌汚染対策についてお答えいたします。
まずは、周辺井戸における継続的な調査についてですが、今回調査した5カ所の飲用井戸のうち、地下水の流れの下流側に位置し、ガソリンスタンドに最も近い井戸1カ所について、札幌市では、今後3年間、年1回のベンゼンの検査を行うことで汚染の状況把握に努めてまいります。
次に、追加で実施した周辺井戸調査の件数とその検査結果についてお答えいたします。
委員のお話にもありましたとおり、緊急で調査した5カ所の飲用井戸のほか、札幌市では、今回、土壌汚染があったガソリンスタンドから半径1キロメートル圏内にあります14カ所の飲用井戸の所有者に対して、希望があればベンゼンの水質検査を行う旨の案内を行いました。その結果、14カ所の飲用井戸のうち、6カ所の井戸の所有者から検査の依頼があったところであります。依頼のあった6カ所の井戸につきましては、現在、水質検査を行っているところであり、速報値ではありますが、6カ所いずれもベンゼンは検出されなかったとの報告を受けているところでございます。
次に、ベンゼンの汚染が見つかった場合の札幌市の対応についてお答えいたします。
今後行います継続調査におきまして、基準超過が判明した場合には、その基準超過が見つかった井戸の周辺において、さらに地下水調査を拡大して行うことで、ベンゼンの地下水汚染がどの程度広がっているのかを把握してまいります。また、基準を超過した飲用井戸の所有者に対しましては、その地下水を飲用しないよう、保健所と連携して指導を行うことで健康被害の防止に努めてまいります。
◆小口智久 委員 答弁いただきまして、地下水については、動水勾配で下流側の部分で観測を続けていくこと、また、1キロ圏内の飲用井戸では6カ所を調査した結果、今のところは不検出でございますが、汚染を確認した場合、保健所と連携して飲用しないように呼びかけていくということでございました。
今回の土壌汚染に関する札幌市の対応は、事業者から詳細な報告を受けた翌日に公表、関連する市議会議員への速やかな説明、汚染状況把握当日に周辺の地下水調査、さらには、半径1キロ圏内の飲用井戸に対する追加の地下水調査など、適切な対応がなされていたと考えます。しかしながら、汚染が拡散しないように、札幌市としては今後も引き続き事業者を十分に指導していく必要があります。
また、今回の件については、自主調査であるものの、土壌汚染が存在することが明確であることから、要措置区域もしくは形質変更時要届出区域の区域指定の申請をすることが可能であります。しかし、自主調査の場合、申請は義務ではないため、あくまで土地の所有者からの申請があった場合に自治体が指定することができるという規定になっております。したがって、積極的に届け出がなされるよう、土地の所有者に働きかけていくことが必要であります。
そこで、質問ですが、このガソリンスタンド跡地について、土地の所有者から区域指定に向けた手続がなされているのか、お伺いいたします。
また、届け出がされてから区域指定され、汚染対策が行われるまでにはある程度の時間がかかると思いますが、その間も汚染拡散の可能性があります。このような状況において、札幌市では土地の所有者に対してどのような指導をしていくのか、お伺いいたします。
◎高木 環境管理担当部長 ガソリンスタンド跡地の区域指定の手続についてお答えいたします。
札幌市では、今回の土壌汚染に関する詳細な報告を受けた後、当該事業者に対しまして、土壌汚染対策法に基づいて、土壌汚染のある区域としての指定を受けるため、自主的な申請を行うよう指導してきたところでございます。その結果、10月13日に区域指定のための申請書が事業者から提出されたところでありますが、今回の事案においては、健康被害が生ずるおそれがあることから、要措置区域という汚染の除去等の対策が必要となる区域に指定する見込みでございます。
次に、対策実施までの間の汚染拡散防止に向けた指導についてお答えいたします。
今回の土壌汚染では、地下水汚染がガソリンスタンドの敷地から拡散する可能性があるため、札幌市では、土壌汚染の報告を受けた当初から、拡散防止策を講じるよう、指導してきたところであります。具体的な対策としては、汚染された地下水のくみ上げ処理が行われる予定であります。
今後とも、要措置区域への区域指定のみならず、敷地外への汚染拡散防止策についても遺漏のないよう指導してまいります。
◆小口智久 委員 ただいまご答弁いただきましたが、ガソリンスタンド跡地については、土対法に基づいて、10月13日に自主的に申請がなされ、区域指定される見込みであり、また、要措置区域については、地下水をポンプアップする緊急措置を行うことで拡散を防止するということでございました。これ以上、汚染が広がらないよう、今後も土地所有者に対して十分な指導をし、緊急措置については立会などで現場確認も行っていただきたいと思います。
さて、土壌汚染のおそれを認識している事業者の場合はこのように対応できますが、一方、土地の開発行為などを行う事業者については、ふだん有害物質を取り扱うこともないことから、土壌汚染への認識が薄く、土地の改変面積が3,000平米を超える場合であっても、土対法の届け出を失念するケースがあるのではないかと考えます。
この法律自体は、最近、豊洲でクローズアップされたものの、比較的新しい法律で、一般的にはなじみがないと思われます。建物を建てた後に土壌調査を行うことは困難であり、法で規定されている
事前届け出を確実に行うことが、土壌汚染対策を徹底することの第一歩になります。
そこで、質問ですが、札幌市では、適切な届け出がなされるためにどのような
取り組みを行っているのか、お伺いいたします。
◎高木 環境管理担当部長 適切な届け出のための
取り組みについてお答えいたします。
土壌汚染対策法においては、3,000平米以上の土地の改変を行う場合は事前の届け出が義務づけられているところであり、環境局では、開発行為の許可申請や建築確認申請などの情報を確認することで、法に基づく届け出が適切になされているか、把握に努めるとともに、土壌汚染対策法の概要を説明した
リーフレットを
ホームページに掲載したり本庁舎に配架するなど、建設業者のみならず、土地の所有者等に対しても法律の周知を図ってきたところであります。委員のお話にもありましたとおり、建物の工事に着手した後に土壌調査を行うことは困難であり、汚染状況の正しい把握、さらには、適切な対策を行うためには、法に規定した
事前届け出を遵守することが不可欠であります。
今後は、土壌汚染対策法のさらなる周知徹底を図るために、これまでの建設業者への
取り組みに加えまして、コンサルタントや解体業者など大規模な土地改変工事に関係する事業者や、その
関係団体などに対しましても積極的な
情報提供をしてまいります。
◆小口智久 委員 最後に、要望でございます。
ただいまありましたように、土対法はなかなかなじみがないということで、今、
関係機関にも周知徹底するということでございました。また、土壌汚染の対策法というものは、法律内の部分はまだいいのですが、土地売買が起因となるような、自主調査のような部分がありまして、法律外の対応が混在するということでございますので、対応に苦慮することも多いと思います。
今後も、指導や現場立会による丁寧な確認を行いながら、万全を期していただくことを要望して、質問を終わります。
◆
ふじわら広昭 委員 私は、2項目質問いたします。
1項目めは、駒岡清掃工場の更新事業について、2項目めは、スプレー缶類の排出・収集方法の変更による全市実施に向けた今後の処理体制について質問いたします。
最初に、駒岡清掃工場の更新事業について質問いたします。
最初の質問は、予算特別委員会以降の同工場の更新事業の進捗状況についてであります。
新しく予定をしている清掃工場については、当初から、総務委員会などでも、高効率発電が可能となるという条件設定の説明を受けてきたわけであります。
こうした中で、私は、ことしの予算特別委員会で駒岡清掃工場の更新事業について質問し、今後の主要なスケジュールが明らかになりました。その第1点目は、平成28年度中に基本計画の策定と事業予定地の取得を予定していること、第2点目は、環境影響評価手続は、平成28年度に方法書を作成し、最終的な評価書は平成30年度にまとめるということであります。第3点目は、都市計画決定の変更に関する手続を平成30年度までに行い、建設は平成31年度に着工し、運転開始は平成36年度を目標にしていることが明らかになりました。その後、ことし8月には、駒岡清掃工場更新基本計画策定のための基本となる同清掃工場更新基本構想が策定され、公表されております。
そこで、質問です。
駒岡清掃工場更新基本構想が策定されましたが、基本計画の策定状況及び事業予定地の取得あるいは業務委託しているコンサル業務の調査項目、また入札時期など、現在の清掃工場更新事業の進捗状況と今後のスケジュールについて、改めて伺いたいと思います。
◎日當 施設担当部長 駒岡清掃工場更新事業の現在の進捗状況と今後のスケジュールについてでございます。
事業は、平成26年度より、環境影響評価、いわゆる環境アセスメントの手続に着手し、これまで、配慮書、方法書に関する市民説明会をそれぞれ開催し、環境影響評価審議会の答申を受けたところでございます。加えて、本年度につきましては、方法書にかかわる現地調査を開始しているところでございます。また、平成27年度には、地域の方々にもご参加いただきまして、今、委員のお話にもございましたように、本年8月に基本構想の策定を終え、市
ホームページで公開を行ったところでございます。現在は、引き続き、施設の基本構成並びに災害時の対応、環境教育機能などに関する基本計画の作成を進め、本年度中にまとめる予定としているところでございます。その後、事業用地については、本年第2回定例会におきまして用地取得にかかわる議案を提出し、ご可決いただいたところでございます。
今後、より具体的な施設の内容を基本設計としてまとめ、それをもとに発注仕様の詳細についての検討を逐次進めながら、環境影響評価書の作成や都市計画決定等の手続を経て、平成31年度中に工場の更新事業に係る入札及び契約を行う予定でございます。
なお、地域の方々との意見交換や事業の進捗状況に関する
情報提供におきましても、引き続き丁寧に行っていく予定でございます。
◆
ふじわら広昭 委員 今、新たに建てる工場の基本構成、そしてまた、委員会でもこの間質疑がありました環境教育を図っていく意味での調査、そして、もろもろの調査をした中で、平成31年度中に入札を行い、また、入札終了後の契約の締結を行っていきたいということが明らかになったわけであります。
そこで、今後も業務委託等でコンサルの調査が行われると思いますが、1点だけ要望を申し上げておきたいと思います。
コンサルの能力にも格差がありますので、もし、プラントメーカーなどの調査にかかわるようなことがあれば、そのコンサルは、少なくとも5社以上のメーカーに同じ項目の調査をして、それを市役所側に報告させて、今後、どういう機種を選定していくのか、あるいは、どのような入札方法にしていくのかというときに生かしていく必要がありますので、5社以上からもきちんと情報をもらうようにしていただきたいと思います。
次に、ごみを焼却する処理方式の検討についてであります。
今、申し上げたように、ことし8月に公表された基本構想を見ますと、平成36年度の札幌市内の焼却ごみ量は年間41万900トンと試算し、季節変動率を考慮した1日平均三つの清掃工場の必要焼却能力は、焼却可能日数243日を前提に、1,880トンと推定しております。老朽化してきております発寒及び白石両清掃工場の焼却能力を考慮し、新たに建設する駒岡清掃工場に必要な焼却炉の施設規模は1日600トン、300トン炉を2基建設すると試算をしております。焼却灰の処理については、焼却灰リサイクルの推進、費用対効果を考慮すると、焼却灰の溶融に大きなエネルギーを消費するガス化溶融施設は適さないことが明らかにされております。また、焼却灰を熱処理する灰溶融施設も、併設しない方針を明記しております。その上で、同基本構想では、ごみを焼却する炉の処理方式を、ストーカ式と流動床式の2種類の処理方式を前提とし、平成28年度中に策定される基本計画に基づいて検討し、結論を出すことになっていると思います。
しかし、処理方式のかなめとなる焼却炉は、ストーカ式や流動床式の中にもいろいろな種類があります。私は、ことしの予算特別委員会で指摘しましたが、この8月に公表された基本構想の中には、素案と同様に、ストーカ式と流動床式の一部しか記載しておりません。今後、策定する基本計画に基づいて処理方式を内部または外部委員会等で検討することになると思いますので、市民や検討委員会、そして議会にも、私の調べた限りでは、ストーカ式が10種類程度、流動床式においても、その3分の1程度、3〜4種類の焼却炉が明らかになっていますので、ぜひとも必要な資料を基本計画の中に示し、透明性・公平性を担保して、市民や議会にもわかりやすく説明していくことが重要であると言えます。
そこで、質問ですが、今後策定する基本計画の中に今申し上げた処理方式をどのように取り扱っていく考えなのか、伺いたいと思います。
◎日當 施設担当部長 処理方式の検討についての質問でございます。
現在検討を進めております駒岡清掃工場更新基本計画におきましては、処理施設の基本構成や設備能力及び炉の形式について、十分検討してまいりたいというふうに考えております。
今後、他都市あるいはプラントメーカーへのヒアリングを十分に行った上、焼却炉の形式、特性などの把握に努め、市民にもわかりやすく、基本計画の中において反映していきたいというふうに考えております。
◆
ふじわら広昭 委員 ぜひとも、ストーカ方式の種類や流動床式の種類を詳細に書いた基本計画書を策定していただきたいということを申し上げて、この関係の最後の質問に移ります。
次は、発注に当たっての入札参加条件の考え方についてであります。
私は、今年の予算特別委員会でも指摘しましたが、札幌市が準備を進めている同工場の基本構想の中では、先ほども申し上げましたけれども、2炉で600トンの焼却能力を持った施設を建設する予定です。同様の施設を調べていきますと、東京23区清掃一部事務組合が発注し、現在稼働している大田清掃工場は、土地代は別だと思いますが、プラント建設に約180億円から200億円前後の費用がかかっているわけであります。
世界貿易機関、WTOの対象となるこうした工事については、平成28年度で24億7,000万円を超えるものがその対象となっており、28年度から2カ年、この24億7,000万円が適用されます。今後、平成30年度には、こうした金額は見直される可能性がありますが、いずれにしてもWTO案件になることは間違いがないわけであります。
WTOの対象になりますと、原則、世界の国々から入札に参加することが可能となり、当然、一般競争入札が大前提となります。また、環境省の廃棄物処理施設建設工事等の入札・契約の手引きでは、価格に加えて技術提案の優劣を総合的に評価することで、最も評価の高いものを落札者とすることを原則とする総合評価落札方式も検討すべきと書かれており、他自治体でも総合評価落札方式を導入しているところがふえてきております。私は、総合評価落札方式を導入するに当たっては、当然、WTOに抵触しない評価項目や配点を心がけること、そして、特定の焼却炉メーカーに有利となるような評価項目にならないように注意すべきだと思っているわけであります。
最近の他都市の入札結果を調査したところ、廃棄物処理施設建設の一般競争入札に参加する事業者は1者または2者と少なく、最近行われた東京近郊の自治体では1者のみの状況となっております。処理施設としての性能を担保するために、発注者である自治体が多くの時間をかけて発注仕様書や要求水準書を作成しても、競争性を確保することにつながらない場合があります。やはり、より多くのメーカーが入札に参加するための工夫が極めて重要と言えます。一方、仕様書などのほかに、納入あるいは施工実績などの入札参加条件を設定している事例も見られます。
そこで、質問ですが、WTO案件では、地元要件はつけられませんが、施工実績など、ある程度の条件設定は可能であり、必要と思います。今後、札幌市は、環境省の廃棄物処理施設建設工事等の入札・契約の手引きを参考に入札参加条件の設定について検討されると思いますが、こうした入札参加条件についてどのように考えているのか、伺いたいと思います。
◎日當 施設担当部長 入札参加条件に対する考え方についてでございます。
委員ご指摘のとおり、他都市が廃棄物処理施設を発注するに当たり、一般競争入札を実施したところ、入札に参加する事業者が少ない事例があったというのは承知しているところでございます。
入札参加条件につきましては、一定の納入実績などを求めることが必要であるとともに、競争性の確保も大変重要であるというふうに認識しております。とりわけ、他の政令市における一般競争入札、総合評価落札方式の事例も多くなってきておりますことから、それらの発注条件などを十分に調査検討した上で札幌市としての考え方を整理してまいりたいというふうに考えております。
◆
ふじわら広昭 委員 何点か要望を申し上げて、次の質問に移りたいと思います。
先ほどの答弁にもありましたように、今後、他都市の実績や運転の安全性、維持管理等を調べて、基本計画の中で処理方式を決めていくということでした。そういう意味では、国内の実例だけを調査しようとしていると思いますが、WTO案件ですから、それだけでは少し不足していると思います。応札してくる可能性は極めて低いですが、海外ではどのような炉を使用しているのか、あるいは、日本のメーカーも世界に引けをとらないだけの技術を持っておりますので、国内ばかりではなくて、海外に納入した炉にどのような実績があるのかということも含めて基本計画に反映していくことが必要だと思います。また、今までも、炉の大きさの実績の中で、何トン以上ということがありましたが、今回は300トンの炉を考えているようですので、少なくても150トン以上の施工実績があるものにしていく必要があると思います。
それから、これまでは、過去10年とか15年など、年数によって納入あるいは施工実績を求めていた場合もありますが、今後は環境問題を重視するのであれば、平成11年にダイオキシンの特措法が改正され、平成12年1月15日の省令で具体的な
取り組みが示されておりますので、平成12年のダイオキシンの政省令に基づいた実績も含めて検討していくべきだと思います。
また、最後ですが、一番問題なのは維持管理コストであります。私が求めておきたいのは、どのメーカーも保証期間を設定しますが、その保証期間というのは、機械が新しいこともあって、よほどのことがない限りは故障などが起きないと思います。保証期間を過ぎた後にどのくらいの維持管理コストがかかるのかが一番大きな問題ですので、そうしたことをしっかりと評価項目の中に入れるべきであると思いますが、いずれにしても、透明性、公平性のある対応をしていただきたい。
さらには、一般競争入札で行くのか、あるいは総合評価落札方式の一般競争入札で行くのか、あるいは、DBOのような公設民営という手法もありますので、今後検討することになると思いますけれども、幅広く検討して、導入に向けて札幌市として最善の基本計画をつくっていただきたいということを申し上げておきたいと思います。
次に、スプレー缶類の排出・収集方法の変更による全市実施に向けた今後の処理体制について質問いたします。
私ども民進党は、平成27年の予算特別委員会で、多くの市民から寄せられておりましたごみ収集車両の火災対策及び室内でのスプレー缶類の穴あけによる火災、負傷、死亡事故をなくすための対策について取り上げてまいりました。私ども民進党は、1年前に市内のスプレー缶処理施設を視察調査し、その後も、同年の
決算特別委員会、ことしの予算特別委員会でも取り上げてまいりました。
札幌市では、この間の質疑を通じ、スプレー缶類の排出ルール変更に向けて、平成27年10月から清田区の清田中央地区でモデル地区収集を開始し、ことし4月からはそのルールを清田区全域へ拡大し、今後の全市実施に向けた準備を進めております。現在も、収集した穴のあいていないスプレー缶については、防爆装置がついた処理機1台を所有する市内の業者と委託契約を行い、安全に穴あけの処理を行っております。
最初の質問は、排出量と処理する機械についてであります。
全市レベルで排出される大量のスプレー缶類を安全に効率よく処理するためには、これまで同様、専用の機械を用いて処理が行われると思いますが、全市実施に向けては、これらの処理機械が相当数必要になると思います。
そこで、質問ですが、清田区のモデル地区収集の経過から、排出ルールの変更を全市で行った場合のスプレー缶の排出量をどのくらいと想定しているのか、伺います。
また、収集したスプレー缶を処理するために何台くらいの処理機が必要と考えているのか、最初に2点、あわせて質問いたします。
◎新津 清掃事業担当部長 まず、全市におけるスプレー缶類の想定排出量についてでございますが、現在、清田区のモデル地区収集では、1日に約300キロのスプレー缶が排出されております。これを全市に拡大した場合、年間約600トン、本数に換算しますと約730万本の排出量になると想定しております。
次に、スプレー缶を処理するための機械の必要台数についてお答えいたします。
スプレー缶の穴あけ処理に当たっては、作業中の爆発事故を防止するため、本市としましても、これまでの処理と同様に、防爆装置のついた安全な処理機械を使用することを想定しております。全市拡大後に排出が想定される年間約600トンのスプレー缶を処理するためには、現在の委託業者が使用している機械と同じ機械で、1日8時間の稼働とした場合、全市で6台程度の処理機械が必要になると考えております。
◆
ふじわら広昭 委員 今、年間で約600トン、本数に直して約730万本、そして、それを処理するための機械として6台程度が必要になるという答弁がありました。
処理については、全市実施後も業務委託で行うことになると思いますが、私どもの調査でも、処理機械を導入するに当たっては、高額な費用が必要となります。複数台の高額な処理機械を受託業者が導入することから、札幌市は、私どもの提言を取り入れて、業務を複数年契約するため、今回の定例議会では、平成29年度から平成33年度までの5年間で4億6,000万円の債務負担行為が既に可決されております。
次の質問は、参入機会の確保についてです。
このように、受託する業者が処理機械を導入し、さらに、それらを設置する施設やスプレー缶を貯留する場所を確保しなければならないことを考慮しますと、入札に参加できる業者が限られてくると思われます。しかし一方では、業務への参入機会を広げ、競争性を確保することも重要であります。
そこで、質問ですが、全市実施時におけるスプレー缶の穴あけ処理の業務委託に当たり、参入機会を確保するため、具体的にどのような手法を検討しているのか、伺いたいと思います。
◎新津 清掃事業担当部長 全市実施時の処理委託における参入機会の確保についてであります。
本市としても、穴あけ処理を委託するに当たっては、参入機会を広げ、競争性を確保する必要があると考えております。このため、大量に排出されるスプレー缶の処理を全市一つにまとめた業務とはせず、入札に参加しやすいよう、複数の区域に分割して発注したいと考えております。
具体的には、スプレー缶の主な一時保管場所であります清掃工場の箇所数にあわせて、全体を三つの区域に分けて入札を行うことを検討しているところでございます。
◆
ふじわら広昭 委員 参入の機会を確保するために、清掃工場のエリアを三つのエリアに分けて入札の機会を設定していきたいということでありました。
次に、処理施設の設置に関して伺います。
受託した業者が処理施設を設置するに当たっては、札幌市が委託する業務であることから、単に関係法令の基準を満たしていることだけではなく、業務の安定性や確実性を確保するとともに、設置場所についても配慮が必要と言えます。例えば、処理前のスプレー缶を野外へ大量に貯留することで、近隣の住民との間に問題が生じたり、搬入車両の往来により、道路が混雑するなどの支障が出ることは避けなければなりません。
そこで、質問ですが、処理施設の設置に当たって、業務の安定性、確実性の確保や設置場所の配慮についてどのようなことを検討しているのか、伺いたいと思います。
◎新津 清掃事業担当部長 処理施設の設置に当たっての業務の安定性、確実性の確保や設置場所の配慮についてお答えいたします。
業務の安定性、確実性を確保するためには、委託業者に廃棄物を適切に扱っている実績があることが必要と考えられるため、廃棄物の処分業の許可を有していることを入札参加の要件としたいと考えております。また、スプレー缶の貯留につきましても、安全に配慮した適正な管理を委託業者に求めることを考えております。
次に、設置場所の配慮についてですが、近隣住民に迷惑がかからないよう配慮することが必要であると考えており、設置場所を工業地域等の住居が近接しない地域とすることを検討しているところでございます。
◆
ふじわら広昭 委員 住宅地と隣接しないということであれば、工業専用地域や準工、準工の中でも建物の制限をしている用途地域が対象になると思います。ぜひ、施設が速やかに設置でき、安全に処理できるよう、設置場所の用途地域については改めて適切な判断を求めておきたいと思います。
次に、全市実施に向けての質問です。
先月12日の総務委員会において、札幌市は、穴あけ処理の業務委託に当たって、業者の準備期間を確保する必要があることから、スプレー缶収集のルール変更に伴う全市実施について、来年夏ころを目途としているとの説明がされております。
そこで、質問です。
全市実施までの具体的なスケジュールについて検討が進んでいると思いますが、いつから全市実施を行う予定であるのか、伺いたいと思います。
また、そのために、処理委託業務についてはいつごろ入札を行う予定なのか、この2点について伺いたいと思います。
◎新津 清掃事業担当部長 全市実施までのスケジュールについてであります。
モデル地区の経過が良好であると判断されるため、穴あけ事故の防止や車両火災防止の観点から、できるだけ早期に全市実施に移行する必要があると考えております。一方、移行に当たっては、スプレー缶回収後の穴あけ処理を業務委託するため、業者の準備期間を確保する必要があるほか、市民周知の期間も勘案する必要がございます。
これらのことから、全市実施への移行時期は最短で平成29年7月になると考えており、そのためには、穴あけ処理の委託業務について、年内の入札を目指しているところでございます。
◆
ふじわら広昭 委員 準備期間やPR期間を含めると、最短で来年7月ころということですし、入札は年内ということであります。
この間、車両火災や、室内などでスプレー缶に穴をあけることによってけがをしたり、やけどをしたり、亡くなった方もいらっしゃいますので、早急にこうした
取り組みができるよう、ぜひ準備に万全を期して取り組んでいくことを求めて、質問を終わります。
◆石川佐和子 委員 私からは、家庭から出る廃棄ごみの削減に向けた分別の徹底と地球温暖化対策の2点について伺います。
まず、家庭から出る廃棄ごみの削減に向けた分別の徹底についてですが、分別協力の状況について伺います。
札幌市におきましては、2009年7月に家庭ごみの有料化を含む新ごみルールを開始し、それによって、ごみが大量に、大幅に減量し、篠路清掃工場を廃止することができております。また、2014年3月には、さらなるごみの減量・リサイクルを推進するためにスリムシティさっぽろ計画を改定し、家庭から出る廃棄ごみ量の減量目標を政令市トップとなる1人1日当たり380グラムに設定するなど、高い目標値が設定されております。
市民一人一人が減量、分別に取り組んだ結果、2015年度の家庭から出る1人1日当たりの廃棄ごみ量は、初めて400グラムを下回りまして、過去最少の395グラムとなり、ごみ減量が順調に進んでいると聞いております。
しかしながら、改定計画の目標年度であります2017年度に向けてはさらなるごみ減量が必要だと思いますし、そのためには、まずは家庭にごみとなるものを持ち込まないこと、そして、使わなくなったものを繰り返し使用するという発生・排出抑制と再使用の
取り組み、いわゆる2Rの
取り組みが発生量自体を減らすことに大変重要であるというふうに考えております。
私ども市民ネットワークとしても、これまでも2Rの
取り組みの推進を求めてきておりまして、先ほど2R推進の重要性の質疑がありましたが、この2Rに加えて大変重要と思いますのは、分ければ資源という言葉がありますように、各家庭におけるごみの分別の徹底であるというふうに考えます。
そこで、まず初めに、市民の資源物の分別に対する協力の状況について伺います。
◎浅野 環境事業部長 市民の皆様によります分別への協力状況についてお答えいたします。
新ごみルールの開始に伴い、新たに雑がみと枝・葉・草を分別収集することとして、従来から分別収集をしておりました瓶・缶・ペットボトル、容器包装プラスチックとともに市民の皆様に分別への協力をお願いし、資源化を推進しているところでございます。
札幌市では、市民の皆様がどれくらい分別に協力していただいているかを数値であらわすために、分別協力率を算定しております。この分別協力率は、資源物ごとに、分別誤りを含めて、ごみステーションに出された総量に対して、決められた収集日に正しく出された量の割合として計算しております。昨年度の分別協力率を見てみますと、瓶・缶・ペットボトルが96%で最も高く、次いで枝・葉・草が89%となっておりますが、雑がみが61%、容器包装プラスチックが55%となっております。このように、瓶・缶・ペットボトルが有料化開始当初から90%台で協力率が高いのに対して、ここ3年間、雑がみは60%台、容器包装プラスチックは55%前後の協力率にとどまっている状況でございます。
◆石川佐和子 委員 過去3年間の分別協力率を伺いまして、なかなか上がっていないというお話でありましたが、次は、燃やせるごみに含まれている資源物の量について、また、分別協力率が上がらない理由について伺っていきます。
瓶・缶・ペットボトルにつきましては、有料化を始めて以降、分別協力率が高い状況は今もご説明がありました。こうしたことからも、市民の中に分別が根づいていると思うところですが、お話がありましたように、容器包装プラスチックは55%、雑がみは61%と、ほかの資源物に比べて分別協力率が低い状況であるということです。
そこで、質問ですが、分別をされなかった容器包装プラスチックと雑がみの多くは燃やせるごみの中にまぜて出されていると思いますけれども、2015年度の燃やせるごみに含まれるそれらの資源物の量について伺います。
また、容器包装プラスチックと雑がみの分別協力率が思うように上がらない理由について、あわせて伺います。
◎浅野 環境事業部長 燃やせるごみに含まれる資源物の量と分別協力率が思うように上がってこない理由についてお答えさせていただきます。
まずは、燃やせるごみに含まれる資源物の量についてであります。
昨年度の燃やせるごみの総量は約25万1,000トンであり、この中には、資源物である容器包装プラスチックが約1万9,000トン、雑がみは約8,000トン、加えて、新聞、雑誌などの主要古紙が約1万1,000トン、合わせて約3万8,000トンのリサイクル可能な資源物が含まれている状況であります。
次に、分別協力率が上がってこない理由についてであります。
平成25年度に広報部で実施した市民アンケート調査で、これらの資源物を燃やせるごみに出す理由を質問したところ、分別の仕方がよくわからない、あるいは、分別するのが面倒との回答が多かったところであります。
こうした理由をさらに詳しく分析してみますと、容器包装プラスチックについては、平成26年3月にスリムシティさっぽろ計画を改定するに当たり、審議をお願いした第7期札幌市廃棄物減量等推進審議会の場でも議論されておりますが、汚れがついているものについては、どの程度の汚れのものまでを資源として分別して出してよいのか、どこまで許されるのかといった判断が非常に難しくて扱いに迷うケースが多いのではないかと考えております。
また、雑がみについては、定期的に札幌市で行うごみの組成調査の結果からは、燃やせるごみの中に一定量の混入が認められますので、これについても、ご家庭での保管スペースの問題、あるいは手元にたまる量の問題など、さまざまなことから少量の雑がみの分別について負担を感じているケースが多いのではないかと考えております。
◆石川佐和子 委員 ただいまのご答弁で、2015年度に家庭から排出された25万1,000トンの燃やせるごみの中には、約3万8,000トンのリサイクル可能な紙類やプラスチック類が含まれていることがわかりました。これらが適正に分別して排出されると、ごみの減量、資源循環がさらに進むのは言うまでもないことだと思います。また、分別協力率が上がらない理由については、汚れ方の判断、分別の方法がよくわからないという意見があったことからも、さらに協力率を向上させるためには、正しい分別方法に対するさらなる市民理解が必要であると考えます。
また、改定されたスリムシティさっぽろ計画においては、スリム行動指標という新たな指針を設けております。それを見ますと、燃やせるごみに含まれる紙、容器プラの量を、2012年度の実績に比べて、2017年度までに1世帯1カ月当たり1キログラム以上減量するという目標にしております。この実績としては、2012年度が3.0キログラムに対し、2015年度が3.4キログラムと逆に増加しておりまして、正しく出してもらうためには施策にしっかり取り組むことが重要だというふうに思います。
そこで、ごみの分別に関する最後の質問ですが、市民の皆さんに容器包装プラスチックや雑がみの分別に協力していただくために、これまでどのような
取り組みを行ってこられたのか、また、今後どのように取り組むのかについて伺います。
◎浅野 環境事業部長 分別への協力をお願いするためのこれまでの
取り組みと今後の
取り組みについてお答えいたします。
平成26年度のごみ分けガイドの改定に当たりましては、資源物の適正排出に向け、容器包装プラスチックや紙類の分別ポイントについて、写真などを用いてわかりやすくまとめた特集ページを新たに設けて全戸配布したところであります。また、さらなるごみの減量・リサイクルの推進を目的に行う出前講座として、平成26年度からクリーンミーティングを開始し、これまでに約700回開催して延べ3万6,000人の参加があったところですが、その場で地域の皆様に資源物の適正排出のポイントを直接お伝えする
取り組みも行っております。そのほか、昨年度のごみ減量キャンペーンでは、商業施設での啓発イベントやインターネットでの動画配信などを通じて、幅広い層の市民に向けて周知を図ったところでございます。
さらに、平成26年3月からは、スマートフォンの普及に合わせてごみの分別、排出ルールなどを簡単に調べられるごみ分別アプリを配信しておりまして、これまでダウンロード数は累計で約5万1,000件となっており、若い世代を中心にご利用いただいている状況でございます。今後につきましても、資源物の適正な分別を日常の生活に定着していただくことが重要でありますので、ごみ減量キャンペーンやクリーンミーティングなどさまざまな機会を活用して、より一層の周知啓発を続けていきたいと考えております。
そして、各事業の実施に当たりましては、リサイクルの重要性について理解を深めていただくために、分別された資源物がどのようにリサイクルされていくのかを示すなど、年齢層や世帯構成に見合った効果的な周知方法となるように、工夫を凝らしながら
普及啓発を行っていきたいと考えております。
◆石川佐和子 委員 ごみ分別アプリやクリーンミーティングを行っていることを伺いました。そうした
取り組みがある中でも、なかなか分別協力率が上がっていないということをきょうは指摘させていただきました。
お話にありましたように、私も、家庭で、汚れかげんを見て燃やせるごみに入れてしまおうかと迷う場合が多々あります。そうした習慣というのは、ある程度変わらない現状があるのではないかなと思います。例えば、封筒にフィルムがついているものとか、レトルト袋に入っている食品の汚れとかは、ついつい燃やせるごみに入れてしまう方も多いと思います。そうした資源物は、25万トン中3万8,000トンですから、計算してみると年間の燃やせるごみの中で15%でした。これは非常に多い量だと思いますので、こうした現状を踏まえて、正しい分別が市民の皆さんに伝わり、日常生活に定着していくようにしっかりと取り組むとともに、スリムシティさっぽろ計画の改定におきましても、分別の徹底についてしっかりと盛り込んで取り組んでいただくことを求めて、この点についての質問を終わります。
引き続きまして、地球温暖化対策について伺います。
まず、札幌市の温室効果ガスの排出状況等について伺ってまいります。
地球温暖化の現象として異常気象が言われておりますが、昨今の日本の気温は、毎年、過去最高を記録し、また、ことしの8月の台風は、観測史上初めて東北太平洋側に直接上陸し、北海道にも大変大きな被害をもたらしました。温暖化が進むと、台風の力は強くなりまして、動きが複雑になるとも予測されており、ことしの状況は将来を予見しているのではないかというふうに考えるところです。地球温暖化の影響を身近なことと捉え、一層対策を強化していくべきだというふうに考えます。
札幌市におきましては、地球規模の温暖化の進行や東日本大震災に伴う福島第一原発事故を踏まえ、低炭素社会と脱原発依存社会の実現を目指した施策の一つとして地球温暖化対策を進めてきたと認識しております。温暖化対策推進ビジョンを2011年に策定し、温暖化対策推進計画を2015年3月に策定し、この中で、長期的には2050年に温室効果ガスを1990年比で80%削減、そして、中期的には2030年に1990年比で25%削減するという目標を立てております。しかし、このような削減目標に関して、温室効果ガス削減の度合いを国やほかの自治体と比較しようとすると、その基準としている年度がまちまちで、比較することが難しい状況であると思います。
そこでまず、伺いますが、札幌市の温室効果ガスの排出量の経過と排出量削減に向けた
取り組みの効果について伺います。
また、現在の国の削減目標は、2030年までに2013年比で26%削減としておりますが、札幌市の削減目標を国と同様に2013年比に換算した場合、2030年には何%削減することになるのか、あわせて伺います。
◎佐藤 環境都市推進部長 札幌市の温室効果ガス排出量の経過と削減に向けた
取り組みの効果についてお答えいたします。
札幌市内から排出されている温室効果ガスは、2012年の1,322万トンがピークでございましたが、この値は、札幌市温暖化対策推進計画における基準年である1990年と比べて約40%の増加となっております。その後、市民や事業者の皆様におきまして、節電、省エネなどの
取り組みや再生可能エネルギーの導入が進んだことにより、2014年は1,307万トンと徐々に削減されてきたところでございます。
次に、札幌市の削減目標を2013年比にした場合の2030年の削減率でございます。
札幌市温暖化対策推進計画の中期目標は、市内から排出される温室効果ガスを2030年に1990年比で25%削減し、701万トンとすることを目指しており、これを2013年の排出量である1,310万トンから比較しますと、2030年には約46%削減する計算となります。
この目標は国における2013年比で26%削減するという数値を上回るものであり、今後も目標達成に向けて着実に
取り組みを進めてまいりたいと考えております。
◆石川佐和子 委員 国は、2030年の排出量を2013年に比べて26%削減することを目標としており、札幌は、それと同様に比較すると46%の削減を目標にしているということです。つまり、国の計画よりも札幌市の目標が上回っていることは理解いたします。
しかし、2015年12月に、気候変動枠組条約の締約国会議、いわゆるCOP21で、途上国を含む全ての国が参加した法的拘束力のあるパリ協定が採択されました。その前のCOP16で気温上昇を2度C以下に抑えるとの目標が国際合意されておりましたが、これは自主的に努力をするだけの合意にとどまっていたことを考えますと、パリ協定が法的拘束力を持ったことの意義は大変大きいと評価されております。
今回のパリ会議で強調されたことは、温室効果ガスの排出量の傾向がこのまま続くと、今世紀末には現在よりも平均気温が4度以上も上昇するという予想であります。環境省によりますと、温暖化が進むと、熱中症などによる死亡者が急増し、2度の上昇で死亡者は2倍以上になり、また、4度上昇すると熱帯病のデング熱を媒介するヒトスジシマカという蚊の分布域が日本の国土の7割以上に達すると予測されております。さらに、国際エネルギー機関の計算によると、各国がこれまで目標として公表している削減量を合計しても、今世紀末には少なくとも2.7度上昇してしまうということも問題の大きさをあらわしているというふうに考えるところです。
こうしたリスクに対する問題意識を世界レベルで共有し、産業革命からの気温上昇を2度C未満に抑えることを長期目標としたわけでありますが、その足元である一人一人、私たちが暮らす自治体におきましても、この危機感を十分に認識することが重要であると考えます。また、札幌市における環境基本計画や温暖化対策推進計画等においても、こうした危機意識を踏まえなくてはならないというふうに考えます。
そこで、パリ会議での平均気温上昇予測を踏まえた札幌市の対応について伺います。
また、地球温暖化問題に対する危機感を事業者や市民の皆さんと共有することが重要だと考えますが、どのように取り組むのか、伺います。
◎佐藤 環境都市推進部長 パリ会議での平均気温上昇予測を踏まえた札幌市の対応についてお答えいたします。
札幌市における温室効果ガス削減目標は、先ほども申し上げましたが、国の目標以上に設定しておりますことから、まずは、計画で定めた目標達成に向け、省エネルギーの推進や再生可能エネルギーの導入拡大などによって
取り組みを推進してまいります。
次に、危機感を事業者や市民などと共有するための
取り組みについてでございます。
札幌市では、これまでも、学校や町内会などを対象とした出前講座や事業者向けセミナーなどで
普及啓発を行ってきております。昨年度実施した市民アンケートでは、地球温暖化は真剣に取り組まなければならない身近な問題であることや重大で深刻な問題であると回答した割合が約7割であったことから、地球温暖化については、多くの市民が関心を持ち、身近な問題として浸透しているものと認識しております。
今後も引き続き、出前講座などの各種啓発事業を通じて、地球温暖化が原因と言われている最近の大雨など、異常気象に見られる気候変動リスクの増大などにつきまして情報共有を図るとともに、温暖化対策の重要性について周知を図ってまいりたいと考えております。
◆石川佐和子 委員 パリ協定については、アメリカや中国に引き続いてEU諸国が批准したことで、批准した国の温室効果ガス排出量に関する発効の条件である55%を超え、11月4日の発効が確定となったというニュースがありましたが、日本がちょっと出おくれていることが気になるところです。
札幌市におきましては、低炭素型の
まちづくりを目指し、中期目標の達成に向けていろいろな
取り組みをされております。省エネや再エネ機器の普及、次世代自動車の導入、また、事業者に対しての施策としては、札幌市生活環境の確保に関する条例により、一定規模の事業者には二酸化炭素の排出抑制などの計画を届け出るようにしております。
先ほど、市民アンケートにおいて、回答した方の7割が真剣に温暖化対策に取り組まなければならないと捉えているという結果がありましたが、一方で、同じアンケートの中には、解決が難しく今後も悪化すると思うという半分諦めぎみに答えた方たちが約50%おりました。ですから、気温上昇の危機意識をしっかりと共有し、排出量全体の3分の1が家庭から出ていることとか、環境配慮行動を実践していくことの重要性の認識について、地道な
取り組みをしっかりと広めていくことが求められていると思います。
そこで、質問ですが、環境に配慮する行動の実践として、市民に向けて、また、将来を担う子どもたちに対しては具体的にどのような
取り組みをしておられるのか。
また、それらの
取り組みを今後、拡充することが必要というふうに考えますが、どのようにしていくお考えか、伺います。
◎佐藤 環境都市推進部長 市民や子どもたちに環境配慮行動を促す
取り組みについてお答えいたします。
札幌市温暖化対策推進計画で掲げた高い温室効果ガス削減目標を達成するためには、本市において最も温室効果ガス排出量の多い家庭部門からの排出削減を一層進める必要があると認識してございます。
市民向けに環境配慮行動を促す
取り組みとしては、昨年度から、Let’s スマート!を合い言葉に、一人一人が省エネ・節電を楽しむ暮らし方を呼びかけるさっぽろスマートシティプロジェクトを開始してございます。今年度は、テレビリポーターである石井雅子さんにLet’s スマート!アンバサダーに就任していただき、省エネ、節電を身近に感じられるような夏編、冬編、キッチン編という季節や生活場面に応じた動画を使うなど、通年にわたって呼びかけを行っているところでございます。
また、札幌市の将来を担う子どもたちに向けては、学校の授業で環境についての学びを深める環境副教材を市立小学校の1年生、3年生、5年生全員に、2001年から、毎年改訂の上、配付しているところでございます。さらに、夏休み、冬休みに家庭内で手軽にできるエコ活動を確認するエコライフレポート、また、子どもたちの環境活動成果を表彰するこども環境コンテストの
取り組みを実施するなど、子どもたちに環境について考え、学ぶ機会を創出してきているところでございます。
取り組みの今後についてですが、温室効果ガス排出削減にかかわるさまざまな事業は、地道に継続していくことが重要だと我々も考えてございます。今後も、社会情勢にあわせて事業内容の充実を図るなど、市民や子どもたちの環境配慮行動がさらに広まり、深まるよう、引き続き
取り組みを進めてまいりたいと考えております。
◆石川佐和子 委員 最後に、要望を申し上げたいと思います。
先ほど市民のアンケートのお話がありましたが、札幌市が温暖化対策や省エネ、節電の
取り組みとして行っているさまざまな事業を市民の皆さんがどのくらいご存じかというようなアンケートがありまして、今、説明がありましたさっぽろスマートシティプロジェクトも含めて、この事業を全く知らないとお答えになった方は75%おられました。また、電力の見える化機器貸し出し事業も、全く知らない方が71.7%、次世代自動車の購入、リースに対する補助制度を全く知らない方も66.7%、札幌・エネルギーecoプロジェクトを全く知らない方は69.2%でした。これは、もしかしたら事業の中身は知っていて、設問の聞き方での答えかもわかりませんが、いずれにしても、市民一人一人の
取り組みが非常に求められているときに、全く知らない方が70%内外であるということは、市民の浸透はいま一歩という感じを私はしております。
今、地道な
取り組みというお答えがありましたが、温暖化対策の緊急性や重要性とあわせて、子どもを含めた市民の皆さんへの省エネ、節電の周知に地道に取り組んでいただき、
取り組みが広がるよう強く求めて、私の質問を終わります。
○
小川直人 委員長 以上で、第1項 総務管理費中環境局関係分等の質疑を終了いたします。
最後に、第7款 土木費 第6項 公園緑化費中環境局関係分及び平成27年度札幌市駐車場会計歳入歳出決算のうち環境局関係分について一括して質疑を行いますが、通告がありませんので、質疑を終了いたします。
以上で、本日の質疑を終了いたします。
次回の委員会ですが、10月26日水曜日午後1時から、子ども未来局関係の質疑を行いますので、定刻までにご参集ください。
本日は、これをもちまして散会いたします。
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散 会 午後4時37分...