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平成28年第二部予算特別委員会−03月22日-08号
平成28年第一部予算特別委員会−03月22日-08号

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  1. 札幌市議会 2016-03-22
    平成28年第二部予算特別委員会−03月22日-08号


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    平成28年第二部予算特別委員会−03月22日-08号平成28年第二部予算特別委員会  札幌市議会第二部予算特別委員会記録(第8号)               平成28年(2016年)3月22日(火曜日)       ―――――――――――――――――――――――――――――――――― ●議題 付託案件の審査 ●出席委員 33名     委 員 長  しのだ 江里子      副委員長   坂本 きょう子     委   員  武 市 憲 一      委   員  宮 村 素 子     委   員  こんどう 和雄      委   員  長 内 直 也     委   員  細 川 正 人      委   員  小須田 悟 士     委   員  佐々木 みつこ      委   員  こじま ゆ み     委   員  阿部 ひであき      委   員  伴   良 隆     委   員  中 川 賢 一      委   員  松 井 隆 文     委   員  小 野 正 美      委   員  大 嶋   薫     委   員  三 宅 由 美      委   員  桑 原   透     委   員  村 上 ゆうこ      委   員  林   清 治     委   員  かんの 太 一      委   員  成 田 祐 樹     委   員  本 郷 俊 史      委   員  國 安 政 典     委   員  丸 山 秀 樹      委   員  小 口 智 久     委   員  竹 内 孝 代      委   員  村 上 ひとし
        委   員  池 田 由 美      委   員  田 中 啓 介     委   員  松 浦   忠      委   員  石 川 佐和子     委   員  中 山 真 一       ――――――――――――――――――――――――――――――――――       開 議 午後1時     ―――――――――――――― ○しのだ江里子 委員長  ただいまから、第二部予算特別委員会を開会いたします。  報告事項は、特にございません。  それでは、議事に入ります。  最初に、第2款 総務費 第2項 市民生活費のうち関係分、議案第16号 札幌ドーム条例の一部を改正する条例案及び議案第21号 札幌市都市公園条例の一部を改正する条例案のうち関係分について、一括して質疑を行います。 ◆松浦忠 委員  一つは、新中央体育館の関係、二つ目は、税金を使ってスポーツを奨励するのは何なのかということ、この2点について質問してまいります。  まず、新中央体育館の進捗状況について、現在どうなっているか、これが一つ。  それから、2点目は、新体育館はどういう活用の仕方をするのか、この二つについて、まず、お尋ねいたします。 ◎西田 スポーツ部長  新中央体育館の現在の進捗状況ということでございます。  昨年の3月に、中央体育館を含めた北4東6周辺地区の再開発事業の都市計画決定がされております。当初の計画では、平成27年7月に再開発組合が設立されて、年度内には権利変換計画が認可される予定でしたが、近年の労務費の上昇などの影響によりまして、再開発事業の採算性といった観点から、組合設立に向けた関係権利者の合意形成が整わなかったことから、基本設計の見直しとか収支計画の再検討など事業計画の見直し作業に時間を要しており、組合設立が大幅におくれたところでございますけれども、組合の設立につきましては、2月16日に認可申請書が提出され、去る3月18日に認可されたところでございます。  組合設立が当初の予定から半年以上おくれているということでございますが、現在、組合と施設計画の見直しによる工期の短縮といったことが可能かどうか、鋭意、検討を進めているところでございます。  次に、新体育館の機能についてというご質問だったかと思います。  新中央体育館の機能としましては、大規模な競技大会が開催できる面と、市民の健康づくりとか体力づくりといったことでスポーツができる場を担うということもあわせて目的としているところでございます。 ◆松浦忠 委員  中央体育館を含めて、日中、特に午前中から午後4時ぐらいまでの時間帯の利用率はどういう状況になっているか、把握されていますか。されていましたら答えてください。 ◎西田 スポーツ部長  日中の利用率ということかと思いますが、時間帯を区切った統計のようなものはございませんけれども、利用率という意味では100%と考えております。 ◆松浦忠 委員  100%ということですが、やっぱり、体育館も多額のお金をかけて建設するわけですけれども、使いたい方もいろいろいると思うのです。この後、また質問しますが、一つは、競技をする人が自分の身体能力を強化していくような目的で使う方がいて、特に中央体育館ではそういう方が多いのではないかと思います。そして、それ以外の目的もありますので、体育館をどういうふうに使っていくかということになると、体育館の面積からいったらそんなに多くの市民が使えるわけではありませんから、体育館によって使う目的を定めていくことが大事だと思います。そこで、中央体育館について言えば、新しくつくる体育館ですから、私は、そういう意味で時間帯によって使用目的をきちっと区分けしていくことも必要かなと思うのです。  そういう中で、税金をかけてこういうスポーツ施設をつくるということは、競技者のためにつくっているという一つの考え方もあると思いますが、今の札幌市の状況からすると、健康維持をどう図るかということが札幌市の最大の課題ではないかと思います。それからいったら、やっぱり、体を動かすことによってどういうふうに自分の健康増進を図れるかということが数値的にわかるような設備にして、利用促進を図っていくことが大切ではないかと思うのですね。  こういうことについて、スポーツ部として新体育館建設に当たって考えてきたかどうか、お尋ねします。 ◎西田 スポーツ部長  先ほどご答弁申し上げたとおり、新中央体育館には競技の面と健康づくりの面があるかと思いますが、現在の中央体育館は、相撲室とかボクシング室、重量挙げ室などが整備されておりまして、どちらかというと競技スポーツの振興に重点を置いた施設になっております。新中央体育館の建設に当たりましては、これらの機能に加えまして、これまでになかったトレーニング室とかランニングコースを整備することで、他の区体育館と同様に、市民の健康づくり体力づくりの場としての役割を担えるように整備してまいりたいというふうに考えております。  そのほか、スポーツ部として、機能の関係で調査しているのかというお話もあったと思いますが、これまで、体育館あるいは健康づくりセンターにおきましては、利用者のサービス向上を目的として、さっぽろ健康スポーツ財団が利用者に対して年2回の満足度調査を行っているところでございます。その調査結果によりますと、総合的な体育館の利用に関して、9割以上の方が満足というふうに答えられておりますが、具体的な項目の中では、例えば2割弱の方は運動器具に対して不満があるというような結果が出ているところでございます。 ◆松浦忠 委員  そこで、実は、2002年に、当時、高知県高知市に近いところに香北町という人口1万人ぐらいのまちがあって、そこで、京都大学の教授が、10年間にわたって、65歳以上の高齢者に運動に取り組んでもらいまして、その結果、医療費がどうなったかということについて県の平均と比べることをやりました。そうすると、県よりも医療費が高かったものが、3年目ぐらいから逆転して、ずっと医療費が少なくなってきたという結果が残されております。さらにまた、茨城県の大洋村では、乗馬施設なども含めた運動施設をつくって、村を挙げて大々的に高齢者に運動に取り組んでもらうようなことも、当時、国の指定を受けてやっておりました。  やっぱり、人間の体の機能から考えると、骨にはちょうつがい的な関節をつないでいる心棒のようなものはなくて筋肉でもたせていますが、その筋肉というのは、日ごろ、筋肉に負荷をかけて動かすことによって量がふえたり、丈夫になっていくものです。したがって、中央体育館は、少なくとも完成した時点では全国で最も新しいわけですから、そういう機能を持った最も新しい器具を備えて実態調査に取り組むべきではないかと思いますが、それについてどのように検討しているか、お答えください。 ◎西田 スポーツ部長  中央体育館における健康づくりの器具ということですが、まずは市民ニーズを的確に把握した上で、そのためにはどのように備品を導入すればいいのか、さらには、それを活用してどのような指導メニューを構築していくかということについて、今後整備する中央体育館や毎年度の区体育館の備品の購入に際してハード・ソフトの両面から総合的に検討してまいりたいというふうに考えております。  それから、先ほど満足度調査のお話を申し上げましたが、この調査の中では、健康づくりに関する細やかな調査は項目として入っておりませんけれども、超高齢社会を迎える中で、市民が求めている機能は何かということについて把握することはとても大切なことかなというふうに認識しております。 ◆松浦忠 委員  ちょっと予算にかかわることなのですが、実は、私が調べている範疇では、国の補助金をもらって愛知県の大学の教授と慶應大学が共同研究して、今の3Dの技術を活用して非常にいい健康測定方法を開発しています。聞いてみたところ、こういうものなどは、そんなにびっくりするような価格ではないということです。ですから、札幌市が高齢者の健康対策、あるいは一般の人たちの健康対策も含めて、こういうものを実験的に取り入れて、値段が手ごろになれば各体育館に備えつけていくことなど、新体育館の中で取り組みとして先々はそういうことをやっていくことが必要ではないかなと思いますが、市長は、こういうことについてどういう見解をお持ちですか、お尋ねしたいと思います。 ◎秋元 市長  健康寿命をいかに長くしていくかということは、これからの札幌市にとっても大きな課題だというふうに思います。いろいろな運動能力を高める、あるいは、健康を維持していくための研究をされている方はたくさんいると思います。大学あるいは研究機関がやっていることも勉強させていただいて効果的なものを導入していく、そういう形で考えていきたいというふうに思います。 ◆松浦忠 委員  これの最後にしますが、スポーツ担当局長は、今度は担当が外れて、札幌市政始まって以来、歴史にずっと名前の残る初代のスポーツ局長に内示を受けている石川担当局長に要請したいと思います。  今、市長も答えているように、多少のお金がかかっても、医療費などを全部総合して計算したら十分にもとがとれると。特に、石川担当局長は過去に財政局にもいてお金の管理もやっておられましたからよくわかると思いますが、そういう視点できちっとそういったものの整備を図っていく。採算についても、単体ではちょっと高目かなと思っても、全体の中で収支がとれていくならば、そういうことを図っていくべきだというふうに思います。  全部を経験している石川担当局長、今度は実質的にあなたが責任者で新体育館をつくるわけですが、これについて、市長はやったほうがいいと言っているけれども、そういう方向でやりたいか、やりたくないか、お聞きします。 ◎石川 スポーツ担当局長  ご質問にありましたとおり、ただいま市長からもご答弁を申し上げましたとおり、これからの超高齢社会に向かって市民の健康づくりというのは大変重要な視点です。先ほど部長からも答弁しましたとおり、器具の導入というのは、どんな器具を入れるかという研究とあわせて、どんな体育館でメニューをつくり上げていくかというハードとソフトの両輪で考えていかなければならない問題だと考えておりますので、研究を重ねて検討してまいりたいと思っております。 ◆松浦忠 委員  最後に、これらを進めるに当たって、研究開発ですから、恐らく多少のお金がかかる部分も出てくるかと思います。したがって、そういう研究開発をして試作品をつくる、実験をする、そして、よりこれがといういいものをつくるまではそういった経費も多少かかると思いますが、それらを含めて、市長、ひとつ、惜しみなく―惜しみなくと言っても億単位の話ではないですよ。せいぜい1,000万円か500万円か800万円か、千万単位程度の話ですから、そういうことも含めてきちっと取り組んでいただくことを求めて、終わります。 ◆伴良隆 委員  私は、2項目にわたって質疑させていただきます。  1項目めは、札幌市スポーツ施設配置活用計画策定事業について、2項目めは、札幌市の歴史的文化財の保護と検証について伺ってまいります。  まず、スポーツですが、札幌市スポーツ施設配置活用計画策定事業について、事業の内容について伺ってまいります。  これまで、札幌市では、1区1体育館、1区1公的温水プールという方針のもとに施設が整備され、市民のスポーツ環境の充実が図られてきたところでございます。しかし、区の体育館やプール、学校開放事業などを利用する市民からの、施設が混雑して利用しづらい、また、なかなか予約がとれないといった声は、皆さんもよくご承知のことだと思います。  今回、平成28年度予算案に、(仮称)札幌市スポーツ施設配置活用計画策定事業費が計上されておりまして、私も大変注目しております。  そこで、質問でありますが、(仮称)札幌市スポーツ施設配置活用計画策定事業とは一体どのようなものか、まず、伺いたいと思います。 ◎西田 スポーツ部長  札幌市スポーツ施設配置活用計画策定事業の内容についてでございます。  平成26年2月に策定した札幌市スポーツ推進計画における計画推進のための取り組みの一つとしまして、今後の人口減少や超高齢社会への移行、多様化する市民ニーズ、さらには、施設の更新需要への対応を念頭に、将来を見据えたスポーツ施設のあり方や配置、資産の有効活用について、民間施設の活用も含めて検討を行い、スポーツ施設の配置・活用計画をつくることを掲げております。  また、平成26年12月に策定した札幌市市有建築物の配置基本方針におきまして、区体育館に関しまして、運動・健康づくり機能については、より身近な地域で確保するため、小学校をより一層活用し、民間施設と連携すること、また、競技機能につきましては、現行の配置基準を見直し、利便性の高い地域交流拠点などへ配置していくこととしております。区温水プールにつきましては、運動・健康づくり機能を確保するため、類似機能を持つ民間施設との一層の連携について検討し、現行の配置基準を見直していくこととしております。  こうしたことを踏まえ、現行の画一的な配置基準により設置されている本市のスポーツ施設につきまして、機能面に着目して小学校、複合施設や民間施設の配置状況を考慮しながら、より効率的な配置や民間施設等の活用を検討し、計画化していこうというものでございます。 ◆伴良隆 委員  今、機能面というお話もございまして、恐らく、これは地域性といったこともそうですし、効率的ということで、縮小という意味ではなく、いかに効率的に長寿命化を図っていくかということだと思います。  次に、計画の内容について伺ってまいります。  市民のスポーツ環境を施設機能という面から検討しますと、札幌市スポーツ推進計画が掲げるスポーツ元気都市さっぽろ、スポーツを通じて、市民が、地域が、さっぽろが元気にという基本理念の実現に資するものでなければなりません。  また、現実的な問題として、施設の更新に要する財政負担などを考えますと、今後のスポーツ環境を整備するに当たっては、各学校施設はもとより、例えばフィットネスクラブやトレーニングジムなどといった総合的にスポーツや健康にかかわる民間事業者、私は、個人的には老健施設も含まれていると思いますけれども、こういった民間事業者とも積極的に連携を図っていくことが大変重要となります。  そこで、質問ですが、札幌市スポーツ施設配置・活用計画の策定に当たっての基本的な考え方について伺います。 ◎西田 スポーツ部長  計画の基本的な考え方についてであります。  将来の人口減少・超高齢社会の到来などの社会情勢や、おおむね20年から30年後に集中することが見込まれる札幌市のスポーツ施設建てかえ等への対応を念頭に、単なる施設の維持・更新から、必要な機能の維持・充実を図っていく施設維持から機能重視へという考え方のもと、スポーツ施設の再構築について検討を進めてまいりたいと考えております。  検討に当たりましては、身近な地域での運動・健康づくり機能の確保や地域コミュニティーの醸成、また、競技機能の充実と利便性の高い地域交流拠点等への配置によるまちの活性化、さらには、民間施設などとの連携を広めながら市民がスポーツを楽しむことができる環境を整備していくという三つの視点から検討を進めてまいりたいと考えております。 ◆伴良隆 委員  計画の内容については、まだこれからのキックオフですので、今、概念を整理していただいたと思います。機能の維持はしっかり重視していきたいという方針がつけ加わったこととともに、総論は皆さんも賛成だと思いますけれども、地域性になったら各論は反対ということなど、いろいろご意見があろうかと思います。  そこで、今後の取り組みについて伺ってまいりたいと思います。  スポーツに対する市民の関心は高く、今後の冬季オリンピックパラリンピック招致を見据え、さらに、市民がスポーツを身近に感じる環境を整え、機運を盛り上げ、昨年の私の質疑へのご答弁のとおりですが、スポーツのまちづくりに結びつけていく必要があるわけです。今回の計画策定に当たっては、各地区のエリアマネジメント、つまり、地域特性を本市関連部署と客観的に分析した上で慎重に作業を進めていくべきであります。  そこで、質問ですが、計画の策定に向けて、今後どのように進めていくのか、伺います。 ◎西田 スポーツ部長  今後の進め方についてであります。  現在、身近な運動・健康づくりなどを中心に、市のスポーツ施設が担っている機能と類似した役割を持つ民間事業者の施設の状況について調査を実施しているところでございます。その結果等を参考にしまして、新年度には、附属機関であるスポーツ推進審議会における議論を初めとして、施設の利用者や運営主体、競技団体などとの意見交換を行いながら骨子案を作成の上、市民アンケート調査やワークショップの実施などにより、幅広く市民の皆様とも意見交換をさせていただき、これらのご意見を踏まえまして最終的な計画を策定してまいりたいと考えております。 ◆伴良隆 委員  ご答弁では、ご紹介も含めて、この計画に対する事業を上げていただきました。私も、札幌市有施設だけではございませんが、混雑しているとか、使い勝手が悪いとか、なかなか予約がとれないという声もいろいろ伺っております。しかしながら、ハードはなかなか整備しづらいということもあります。一部、体育施設等いろいろな施設がこれから備品関係を含めて補填されるとか整備されることは聞いておりますが、総合的に施設というものがどうあるべきかということは、ぜひ、今後、原局の皆さん方で慎重に議論をしていただいた上で、地域の方々のお話をよく聞いていただきたいなと思っております。まずは、調査をしっかりして、審議会等でもむということでございますので、ぜひ頑張っていただきたいと思います。  それでは、次の質問に移りたいと思います。  札幌市の歴史的文化財の保護と検証について伺ってまいります。  本日は、市長にもご出席をいただきました。ありがとうございます。  まず、質問でございます。  建物の有効活用には、経済や観光といった時流に乗って改築され、活用されるようなことがよくありますけれども、広く歴史的価値が認知され、永久的に保存されなければならないような文化財の場合、建物そのものが持つ価値、つまり、ルーツが少しでも失われないようにする文化財保護の概念が常にまず優先されるべきと考えますが、本市の文化財保護を担う責任部署としての基本姿勢と基本的考えについて、川上文化部長に伺います。 ◎川上 文化部長  まず、文化財につきましては、現在の札幌を形づくっておりますこれまでの歴史、あるいは、先人たちの営みというものを有形あるいは無形の形でこれまでしっかりと引き継がれ、残されてきたもの、いわば市民、ひいては国民の貴重な財産であるというふうに私どもは認識しております。  こういったことで、国のほうでも文化財保護法というものが示されまして、そこで活用と保護についての考え方を示しているところでございます。第1条を読み上げさせていただきますと、「この法律は、文化財を保存し、且つ、その活用を図り、もつて国民の文化的向上に資するとともに、世界文化の進歩に貢献することを目的とする。」と規定されておりまして、文化財の保護は保存と活用により進められるものというふうに私どもは認識しております。  この文化財の活用につきましては、本来の機能、あるいは用途といったものを維持することで文化財に対する理解を深めていくことにつながることが一つございます。また、その文化財に新しい機能や用途を付加し、使い続けることで、文化財を身近に親しむ機会を提供していくことにもつながるものと考えております。  文化財は多様でございまして、望ましい使い方も一様ではありません。まずは、その歴史的な価値を保存することを大前提にしながら、それぞれの文化財が持つ特徴あるいは諸条件などを踏まえて、それにふさわしい活用方法を検討していかなければいけないというふうに私どもは認識しているところでございます。 ◆伴良隆 委員 市で言うところの文化財の保護、そして活用というところで、まさに責任者であられる川上文化部長からのご答弁でございました。  国の法令はもとよりですが、今のご答弁にありましたとおり、文化財に指定されていたとしても、指定されなかったとしても、歴史的文化財として資するものであれば、有形無形に保護されなければいけませんし、これは、国民的財産であるということで、市民だけのものではないということでもございました。そして、機能とか用途というものをしっかりと理解した上で、守った上で、活用していくものということで、基本は保護にあるということでございます。  そこで、皆さん方もご承知のとおり、先日、豊平館の記事がございました。豊平館は4年間の大規模改修が終了ということでございますけれども、ここのところでも、今、文化部長がお話しになった部分が既に反映されていると私は認識しております。  結婚式場として存続してほしいという市民の声に対して、文化財、建築物としては、式場スペース確保のために撤去されている客室間仕切り壁を復元することは望ましいけれども、これは現状のままとする方針で行きたいと。ここはもともと高級ホテルということでつくられたものですけれども、その中で、トイレ、事務室は附属棟に移しました。今までは結婚式場として活用していましたが、リニューアル後は、日中は建物の歴史が学べる施設としました。ですから、旧ホテルということですが、この建物の機能性、そしてまた文化財的な価値というものを何とか検証していこうということで、立ち位置をプラスアルファしたということでございます。  それでは、次の質問でございます。  札幌市資料館が国の登録有形文化財に選ばれた理由は何でしょうか。  また、本市として高等裁判所に当たる旧控訴院であった札幌市資料館の歴史的価値について、主にどのような点に価値があるとしているのか、あわせて伺います。 ◎川上 文化部長  資料館が登録有形文化財に選定されておりますが、その価値はどのようなものかというご質問でございます。  まず、資料館につきましては、大きく四つの視点から価値があるのではないかと私どもでは考えております。  まず、委員からご指摘がありました歴史的価値でございます。  これは、ご存じのとおり、全国8カ所で建築された控訴院のうち、現在残っておりますのは、札幌市と名古屋市の控訴院の2カ所であり、控訴院の建築技術の最後を飾る貴重な建築物であるということが一つの歴史的価値として挙げられると思います。また、資料館に隣接しております今の教育文化会館には、札幌地方裁判所が立地しておりまして、資料館とあわせて、当時の司法的機能を担っていた空間をあらわす場所性というものが一つの価値としてあるのではないかと考えているところでございます。  また、建築的価値につきましては、いろいろな部分でありますが、主なものを申し上げますと、一つは、現存する唯一の石づくり建築でございまして、かつ、組積造になっております。壁の外側を札幌軟石、内側をれんが積みということで、これを組積づくりと申します。それから、2階が鉄筋コンクリート造になっておりまして、組積づくりから鉄筋コンクリートの移行期を確認できる貴重な建築物の一つであると考えているところでございます。そのほか、皆さんもごらんになってわかりますように、外観的意匠ということで、正面の車寄せにあります女神の彫刻とか、札幌控訴院という字が丸みを帯びた特別な意匠になっており、こういった意匠的な部分にも価値があるというふうに考えているところでございます。  また、3番目といたしましては、環境的価値があるというふうに考えております。  これは、資料館が大通公園の西端に位置しておりまして、いわゆるアイストップとよく言われますが、大通公園の西端を引き締める景観となっております。また、札幌の都市景観に風格を備える貴重な資産であることで、景観的な価値があるというふうに思っております。また、資料館の裏にはカッコウの森ということで緑豊かな空間がございます。これも、市民の貴重なオアシス空間としての緑地ということで価値があると考えております。  最後は、活用的価値ということでございます。  こちらは、現在、ミニギャラリーやおおば比呂司記念室など、そういった部分で文化芸術活動を中心とした市民の日常的な利用が多いこと、あるいは、小・中学生が来て写生会をしたり、冬休みや夏休みの自由研究に活用されるなど子どもたちに使われているような場面がありますし、さらには、多くの観光客が訪れていわゆる観光スポットの一つとして活用されているという意味で、活用的価値というものがあるのではないかと考えております。 ◆伴良隆 委員  詳細に項目ごとに分けてご説明をいただきました。  現存する控訴院の建築物では、国内では札幌と名古屋ということでご紹介がありました。それから、札幌軟石が使われており、建築材や建築方法についても、特殊性や希少性があるということでございます。それから、ご説明で触れていただきましたが、まちづくりの中で欠かせない機能が三権の一つの司法ということでございます。当時のまちづくりの原点でございますが、司法という観点では、周辺には、おっしゃったとおり、現教育文化会館の土地にはもともと地方裁判所の跡がありまして、設計者である田上氏は、旧控訴院に特段配慮した設計建築を行ったという記述もございますが、司法関係施設が集積し、一体となっていた名残が今もあるわけでございます。また、司法ということでは、世に言う白鳥決定として知られる白鳥事件の裁判が行われるなど、司法だけでなく、当時の世相を知る手がかりとなる知の拠点でもあります。それから、物ということに関して言えば、物質性ですが、最高裁判所にも正義の女神などがある中で、日本最古の正義の女神像とは、旧札幌高裁である札幌市資料館の法の女神像と言われていることなど、いろいろな価値がございまして、先ほどアイストップという専門用語を使っていただきましたけれども、まさにそういった皆さん方の声がございます。  そこで、質問ですが、旧控訴院という歴史的な建造物は、外観も内観も周辺施設や環境も一体として守らなければなりませんけれども、今の札幌市資料館は、これまでどのようにして一体的に保全されてきたのか、伺います。  また、旧控訴院である札幌市資料館の歴史的価値を本市は市民に対してこれまでどのようにして伝え、広げてきたのか、そして、本市は市民が広くその価値を認識していると考えているのかどうか、伺います。 ◎熊谷 国際芸術祭担当部長  現在、資料館の施設を所管している担当部長ということでご答弁申し上げたいと思います。  全体としては、今まで資料館の価値を市民の方とどのように共有してきているのかという趣旨のご質問だったと認識しております。  資料館が今日に至る経緯としましては、いろいろな検討の経過がございますけれども、平成25年に企画調整システムという庁内の意思決定がなされましたが、このときに、一つは、文化芸術の振興、それから観光面にも寄与する施設として、今後リニューアルしていきたい、それから、所管を教育委員会から私ども観光文化局の芸術祭担当部に移したいという意思決定があって、今日に至っているところでございます。  この経緯の中でも、今ほど資料館の四つの価値ということで答弁を申し上げましたが、当然、そういった価値を大事にしていきたいということを十分認識しております。また、現在、リノベーションに向けた検討委員会を進めているところですが、この中でも、そうした価値にきちっと着目し、また、ぜひこれを市民と共有していきたい、そして、いわゆるトータルとしての文化財の保護につなげていきたい、こういうことで今も議論を進めているところでございます。  具体的にはまだまだ不十分だというご指摘もあろうかと思いますが、今ほど例として引き合いに出していただきましたように、資料館の中にも、事件、判例など、こういう事件をこの場所で裁いたという展示がありましたり、大通周辺の歴史を含むようなまちの歴史展示室といったものも設けて、この場所、この施設の価値をぜひ皆さんにわかっていただきたいと工夫しているところでございます。 ◆伴良隆 委員  今のご答弁で不十分だったということですが、もう一度確認しますけれども、保全というハードの考え方、そして、価値の共有というソフトの部分について、これまでの取り組みで確かに行われてきたのか、不十分だったのか、そこをはっきりさせてください。 ◎熊谷 国際芸術祭担当部長  保全と共有という点で不十分だったのかどうかというご質問でございます。  今、リノベーションを検討している中では、大きく三つの観点があります。一つは耐震改修の工事をしたいということ、それから、今話題の出た経年劣化等に対応した保全をしなければならないこと、そして、今後のユニバーサル化に対応して、例えばエレベーターやトイレを確保するための増築工事と、大きく三つの観点からリノベーションを進めなければならないと認識しております。その中で、二つ目で申し上げた保全改修、すなわち経年劣化に対応する措置というのは、やはり、これからもっともっと必要になってきますし、充実させなければいけないというのがリノベーションの理由として挙げられております。  そういった意味で、これまで保全が十分であったのかということについては、100%万全で十分であったとはなかなか申し上げづらい状況になっております。一定の年数も経過しておりますので、そこをよりきちっとしていかなければならないというのが私どもの認識でございます。  それから、市民との価値の共有ということにつきましても、同様に、この検討委員会の中では、今後、リノベーションに伴って、さらに、この施設のこれまでの歴史、価値、あるいは場所性ということも先ほど川上部長から答弁を申し上げましたが、こうしたことについて、より一層、市民の皆さんにきちっと理解をしていただく工夫が必要なのだろうという議論を今行っているところでございます。
    ◆伴良隆 委員  これについては、これ以上、追及しません。実際に、今、共有に当たって工夫が必要だ、ハードに関しても保全が必要だということは、裏返せば、実際に当時は不十分だったという部分もあるのだと私は解釈させていただきます。  しかし、一部の部屋などの壁が白く塗りたくられているといった事例もございます。そして、来場客数が減少傾向にある。それから、実際に控訴院や札幌の歴史を知るための展示が少ないといったことなど、施設のスタッフはもとより、観覧に来ている方々からもそういった声があると私も聞いております。  次の質問ですが、札幌市資料館保存活用検討委員会のこれまでの議論では、建物の外観、内観の改築とともに、その中で行われる事業について、旧控訴院という価値をどのようにして守り、検証するという議論になっているのか、現在の状況、主な内容を伺います。 ◎熊谷 国際芸術祭担当部長  検討委員会での議論の内容というご質問についてでございました。  今ほどの答弁の中で少し申し上げてきたかもしれませんが、検討委員会では、資料館の歴史的・建築的価値など多様な価値をまずは再確認しよう、その上でそれらを守りながら耐震工事ということを申し上げ、安全性や利便性を高めていこう、さらに、魅力的な施設にしていくべきだといったような意見交換を行っております。その中では、現在の、特に古い雰囲気が残されている玄関を入ったところは非常に貴重なものとしてきちんと保存していこうといった議論になっておりまして、外観も含めて変えてしまおうといったような方向性での議論は行っておりません。 ◆伴良隆 委員  4回の議論が行われてきたということで、私も内容を精査しましたけれども、魅力を高めていく、活用していく、融合していく、コラボしていくというふうな中で、どうやってその価値を守り高めていくのかということに関しては、川上部長としっかりと連携を持っていただきたいと思っております。  次の質問でございます。  私も、札幌市資料館リノベーション事業ということで今まで質問してきましたが、本市所管施設で、主に文化芸術にかかわる事業を恒常的に開催できる施設はどちらでしょうか。既存のものと整備計画が進行しているものとあわせて、施設名称を挙げていただきたいと思います。  また、それらの既存の施設の中で、貸出率が比較的低い施設はどちらなのか、伺います。 ◎熊谷 国際芸術祭担当部長  まず、恒常的に文化的な利用ができる施設についてでございます。  今現在、手元に網羅的な資料がございませんので、全部ここで申し述べることはできませんけれども、基本的に、総体として文化部が所管しているホール関係、芸術の森関係、そういった施設などなど、それから、広く見ると、例えば区民センターのような施設も、市民のさまざまな活動の場を提供するといった意味では文化的な活動の場と言えるのではないかと考えております。  また、もう一つ、貸出率についてですけれども、冒頭に申し上げたように、私は全部の施設を網羅的に掌握しておりませんので、大変申しわけございませんが、貸出率の高い、低いということについてここではご答弁できない状況でございます。 ◆伴良隆 委員  一つは、天神山の施設です。これは貸出率が低いということで、私も前回指摘させていただいたところでございますが、札幌市にはスペースやハードでも使えるような施設がいろいろあるということだと思います。芸文やいろいろなところを使いますが、そういったところが点在している状況だと私は思っておりますし、必ずしも貸出率が高いとは言えない施設もあるということでございます。  次に伺いますが、第1回国際芸術祭は、教育委員会が札幌市資料館を手放した後に札幌市資料館内外を会場として使用されてきましたけれども、旧控訴院である資料館で国際芸術祭をやるべきとした原因とは一体何なのか、伺います。 ◎熊谷 国際芸術祭担当部長  芸術祭で資料館を使うことになった理由ということと理解いたします。  今おっしゃったように、文化芸術として使える場所というのは、恐らくいろいろな場所があろうかと思います。ただ、その中でも、資料館につきましては、実際にそういうタイミングで使用できる状況にあったかどうか、それから、利用していただく方の利便性がどうだったのか、そういった観点があったかと思います。  そして、もう一つは、何よりも、今ほど委員からもご指摘いただいたように、資料館という施設の持つ歴史の重み、あるいは、ああいう古く温かみのある資料館ということで、まず、多くの人を引きつける魅力があったのだろうというふうに認識しております。そして、そういった場で芸術祭のような新しいことが起きたり、人との新しいつながりが生まれること自体が、新しい大きな価値を生み出すとともに、その資料館というものの存在自体も、再度、皆さんにアピールする大きな効果を持つのではないか、そういった判断があって、そういった理由で資料館を芸術祭に活用しようというふうに考えてきたところでございます。 ◆伴良隆 委員  今のお話にあったのは、そのやるべきとした理由、原因というのは、まず、タイミングがあったということでございます。それから、利便性が高い。交通のという意味合いだと思いますが、来やすいということです。そうなりますと、当然、来客も見込まれますので、来ていただくことによって知っていただくことも一つの価値だとは思います。しかしながら、既存の施設の中でその価値を芸術祭でどこまでしっかりそれを伝えたのか。今、私はそこのところにクエスチョンがあるのです。  それは、効果があっただろうと言われれば、なかったことはないと思います。しかし、先ほど来挙げていただいた価値の項目をどうやって芸術祭に落とし込んだのかというのは不明なのです。私は、少なくとも、芸術祭をやる中で、こういうコンセプトで価値を引き出すために、こういう価値があるのでと説明を受けて、芸術祭の予算に賛成したわけではありません。  そういう中で、次に伺ってまいりますが、資料館の1階や2階、外庭が第1回国際芸術祭で使われましたけれども、旧控訴院の成り立ちや歴史的価値などを市民に知らせ、控訴院の価値を高めるような芸術祭事業とは具体的にどのようなものであったのでしょうか。  先ほどのご答弁にありましたように、控訴院という価値を広く知らせ、価値を向上させたとするこの芸術祭の事業と効果について、具体的事例を明示してご説明いただきたいと思います。 ◎熊谷 国際芸術祭担当部長  芸術祭の中で、特に資料館の歴史、建物の成り立ちについて何かクローズアップするような事業内容があったかと言われますと、そういうことはなかったとお答えせざるを得ないと思います。  ただ、先ほども申し上げたように、あの場所自体が持っている力というのを私どもは非常に信じておりますので、そういった中で、一定の効果はあったものというふうに信じております。また、これも先ほどご答弁申し上げましたけれども、今後、リノベーションの中でも、そういったことについてはより力を入れて考えてまいりたいと思います。それから、次回の芸術祭の準備も始まっておりますけれども、この中でも、今ほどご指摘いただいたことについては、より意を用いて進んでいきたいと考えております。 ◆伴良隆 委員  やはり、課題をしっかりと浮き彫りにしていただいて、どうしていくのかということは、きょうの質疑もそうですが、ぜひ頑張っていただきたいわけであります。  しかしながら、実際に芸術祭の事業として資料館の価値というものをクローズアップさせたものはなかったとおっしゃいましたよね。それから、もう一つは、信じるとおっしゃいましたけれども、私も信じるのは好きですが、やっぱり、行政は予算をちゃんとつけてここでやるんだとなったら、信じるではなくて、こういうことでやっていくから、そういう方々にここを貸し出して、そして、アウトプットとして資料館の価値というのはこうなっていますよということを示さないと、ただ、来客していただいたから効果があったと言われたら、ちょっと心もとないところがあるわけでございます。  そこで、参考までに質問しますが、北1西1の複合施設のスペースには、フレキシブルに利用されるものも予定したいというご答弁をいただいておりますので、芸術祭の事務局やワークスペースといった機能性がありますけれども、そういった事業についてハード面のスペースとして利用できる可能性はあるのか、そのことをお伺いします。 ◎林 市民交流複合施設担当部長  今、複合施設の中に予定されている部屋といたしましては、貸し室として利用できるスペース、また、1階のクリエーティブモールというところは、いろいろなフレキシブルな催し物を企画、実行できるような場所としてしつらえようとしておりますので、そういうところを使って、芸術祭のときに市内の文化施設などといろいろ連携をとってイベント等を開いていくことは可能だと考えております。 ◆伴良隆 委員  大変参考になりました。  それでは、もし仮に、今後、札幌市資料館で何らかの市民利用や事業が行われていくときに、本来の文化財の保存、活用の趣旨とかけ離れていったりすることで、知らぬうちに旧控訴院というさまざまな価値を毀損することがないよう、それら事業や市民利用は、すべからく旧控訴院の歴史を正しく伝え、その価値をさらに高めていくことに寄与しているのかどうか、客観的かつ適切に評価される中身でなければなりません。  そこで、伺いますが、札幌市資料館リニューアルの後、仮に建物内外で市民利用があるときに、旧控訴院の歴史的価値をどう市民に伝え、あるいは、この歴史的価値の検証に資するに違いない市民利用を徹底していくために、保存、活用や整備に関する基本計画の策定に向けて進んでいる今、本市としては、どのような課題認識を持ち、今後、いかなる検討をしていくべきなのか、お考えを伺います。 ◎熊谷 国際芸術祭担当部長  今後、利用していただく皆さんにどのように伝えていくかということにについてでございます。  これも答弁が重複するかもしれませんが、今現在開いている検討委員会の中で、市民の方にそういったことをより知っていただくような展示を充実させなければいけないという議論が出ておりますので、まだ具体化はしておりませんけれども、資料館の中で、そういった歴史、あるいは建物の価値を皆さんにきちっとご理解いただくような展示を充実させていきたいというふうに考えております。 ◆伴良隆 委員  私も、前回の質疑で取り上げましたが、いい悪いは別ですけれども、旧控訴院という場所で介護保険に関する健康フェアみたいなものをやっていたのです。これは大事なことですけれども、旧控訴院でやらなければいけないものなのかなと、ふと疑問に思ったところでございます。今後、いろいろな事業が行われるのであれば、それはきちっとした形で事業やイベントが行わなければならない。ここは、熊谷部長もうなずいていらっしゃるので、そうなっていくと思いますけれども、しっかりと担保してお約束いただきたいと思います。  控訴院という性質上、これまでの保存活用検討委員会の議論も踏まえながら、今後は、司法関係者からも助言を求めるのも有効だと思いますがいかがか、伺います。  また、札幌市資料館という今の名称についてでありますけれども、控訴院、つまり高等裁判所だったということが名称の面から市民にわかりづらいということもあろうかと思いますので、札幌控訴院ということを前面に出した名称に変えていくべきですがいかがか、それぞれお考えを伺います。 ◎熊谷 国際芸術祭担当部長  まず、司法関係者への意見聴取ということについてですが、今現在、まだ具体的にどなたにどういうふうに意見を聞くということまでは考えておりませんけれども、今後、計画を立てていく中で、パブリックコメント等を初めとしまして、いろいろな市民の意見や、現在、資料館を利用してくださっている方々からも意見を聞いていきたいということは考えておりますので、そういった中でいろいろ工夫をしてまいりたいというふうに思っております。  それから、2点目の名称についてでございますが、これも、これまでの経緯があって、資料館という現在の内容とは直接関係のない名前になっております。この点についても、やはり、委員会の中でも、旧控訴院という名称がいいのか、具体化はしておりませんが、そういう機能を持っていた建物であることをきちっと表に出していくべきだという議論が出ておりますので、十分配慮して進めてまいりたいと考えております。 ◆伴良隆 委員  旧控訴院ということについては、名称もそうですし、今、司法ということを提案させていただきましたが、そういった関係者もそうですけれども、外も中も前庭も、教育文化会館も全部一体なんです。そういった意味でも、札幌資料館という名称についても検討しなければならないというお話がありましたが、ぜひともその辺のところを深めていただきたいと思っております。  次の質問でありますが、札幌市資料館は、国の登録有形文化財でございますけれども、先ほど来のご答弁のとおり、札幌市だけではなく、相当な歴史的価値があります。そこで、今後は重要文化財指定の可能性も模索していくべきと考えますが、いかがでしょうか。 ◎熊谷 国際芸術祭担当部長  重要文化財ということを考えるべきではないかということについてでございます。  これも、再三引き合いに出して申しわけございませんが、委員会の中でも十分に議論になっているところでございまして、可能性があるのかどうかというのは、今の時点では私にはちょっと判断できないところですけれども、そういったことも十分視野に入れてまいりたいと思います。 ◆伴良隆 委員  その辺は、ぜひ視野に入れて検討していただきたいと思っております。そのために今何をすべきかという計画は、これから行政が主体となってつくっていくわけでありますので、ぜひ頑張っていただきたいと思います。  今までるる議論がございましたが、次に、文化部長に伺ってまいります。  有効活用だ、経済だ、観光だ、芸術だ、コラボだ、融合だ、このように浮足立って文化財をいじることがありますが、京都などのように、文化財の中も、外も、付随する書物も、周辺環境までも一体的な歴史・文化として最大限尊重し、当時のままの姿で保存することで、文化財に宿る魂が生き続け、国内外の多くの観光客がそのありのままの荘厳な姿を見に行き、歴史に思いをはせ、感動して、またリピーターになる、そうして結果的に文化財に付加価値がつき、観光産業と経済効果につながるというのがまさに正しい順序であり、それこそが本当のあるべき歴史的文化財の有効活用なのであります。  これは、決して空論ではございませんで、本市も、誇るべき新渡戸稲造が設立にかかわったユネスコは、記念物遺跡国際会議を設立し、1965年に採択したヴェニス憲章にて、記念歴史的遺産とは、建造物単体は無論、周辺環境と一体のものであり、物的環境だけでなく、地域の伝統や固有の文化といった人々の生活環境など目に見えないものも含めるとしておりまして、こうした記念建造物の真正な価値を完全に守りながら後世に伝えていくことは義務であるとしています。つまり、歴史的環境とは、文化社会のあかしであり、市民の誇りなのであります。  そこで、質問ですが、足を踏み入れ、人の手が加わることで歴史的文化財が本来持っているそのものの価値が次第に失われていくことがないように、歴史的文化財の価値を保全し、市民に広く知らせ、検証し、守っていくことについて、どのような点を大切にしていくべきと考えているか、川上文化部長に伺います。 ◎川上 文化部長  今、伴委員のご指摘のとおり、文化財は、非常に歴史的価値の高い国民の財産の一つであるということを先ほど申し上げさせていただきました。活用ということも大事ですが、活用が前面に行って、本来あるべき価値を毀損することはあってはならないと思っております。そういった意味では、やはり、その文化財が持つさまざまな価値がございます。これを保全しながら、なおかつ、それをどのようにして活用していくのか。その活用の方法も、その価値を多くの方に知っていただく、理解していただく、保存の気持ちを持っていただく、そういったものにつながるような活用方法が一番大事ではないかというふうに考えているところでございます。 ◆伴良隆 委員  まさに川上文化部長のおっしゃったとおりだと、今ご答弁を聞いて私も納得したところでございます。有形無形に歴史的な価値というもの、文化的価値があるというのが最初のご答弁でした。今のご答弁では、そういった目に見えないものも含めて一体として守られ、そしてまた、価値というものが守って高められていくことが前提になった上での活用であって、その活用が先に来て価値が毀損され、低下されるようなことがあってはならない、こういったご答弁でございました。  そこで、本日、秋元札幌市長にいらしていただいていますので、伺ってまいります。  秋元市長の選挙公約とも言える秋元克広の政策と、市長としてこれまで進めてこられた政策目標と施策や事業について、私も、今のところ、おおむね評価しているところでございます。この秋元克広の政策の中に、歴史・文化の象徴であり、よりどころともなる歴史的・文化的な財産について、まちの魅力に活用するとあるものの、自治体の最重要責務である歴史的財産や文化的財産の保護、それから保存、検証について、文言上はこの観点がはっきりと読み取れませんので、大丈夫かと思いますが、念のために伺いたいと思います。  秋元市長は、歴史的財産や文化的財産のどのような点にご興味があるのでしょうか。 ◎秋元 市長  先ほど来るるご質問と答弁のやりとりをさせていただいている内容のとおりだと思いますが、それぞれの文化財が持っている歴史的なもの、そして、それを将来にわたって保存していくためには、それが持っている有形無形の価値、あるいは、当時の生活、文化も含めて、そういった歴史的なものをしっかりと保存しつつ、将来につなげていくためには、単に保存することではなくて、時代に合わせて活用していく、それは、ベースに基本的なものを持ちながら活用し、将来にわたってそれをつなげていくことが最も重要だというふうに思っております。今の質疑のやりとりの中で、そういったことについては、私もそのとおりだと思っております。 ◆伴良隆 委員  活用ということで、公約の中にまちづくりの魅力アップに使いたいのだというお話がありましたので、今、どこに興味がありますかという言い方をしましたが、もう一度確認させていただきたいと思います。  保存、保護というのは、川上文化部長から基本に据えなければいけないというお話もございまして、市長もそのような感じでご答弁がありました。しかし、もう一方で、経済とか観光といった大事な視点があるときに、どのように活用していくかというときのフローはしっかりしなければいけません。これは、首長のリーダーシップとして、今までの市長たちが脈々と守ってきた歴史的文化財というものが毀損されないように、秋元市長にも頑張っていただかなければいけないというふうに思うわけです。  そこで、私の最後の質問になりますが、秋元市長に伺います。  札幌の歴史を知り、歴史的遺産と環境を一体として守り、検証し、後世に伝えていくことは、私たちの基本的責務であり、札幌市民としてのアイデンティティーとシビックプライドを確立していくことにもなります。札幌の古代から現在に至る脈々とした各分野の歴史や、それを知るための本市固有のかけがえのない歴史的財産や文化的財産のあり方について、いま一度、札幌市長としてどのように考えているのか、伺います。 ◎秋元 市長  これまでの歴史的なもの、その価値ということをしっかりと認識しながら、やはり、それを市民と共有していかなければいけないのだろうと思います。その上で、それは有効に活用されていかなければならないわけですから、そのものを保存しつつ、その価値を継続させるために活用ということが必要だろうというふうに考えております。 ◆伴良隆 委員  有効活用というのは、そのものの価値を広く皆さん方に共感し、認識していただくことと、それを有効に使わなければいけないということですが、それは、あくまでも価値のための有効な活用ということで概念整理をされたところでございます。先ほど熊谷担当部長のお話もありましたし、川上部長のお話が基本になりますが、ぜひとも、その辺のところは要注意をしてやっていただきたいと思います。  私は、これまでこういった質問を繰り返してきたのは、有効活用という名のもとに、外も内も変化したとしたら、当時、この建物は何ですかとタイ人の方から聞かれて答えられなかったと言いましたけれども、旧控訴院だったのか、何だったのか、なぜその地にあったのか、周辺施設とはどんな一体性があったのかと、今の札幌市資料館はこうした歴史的・文化的価値がわかりづらくなっておりますので、資料館の保存、活用に向けてこうした欠点がしっかり改善されるよう強く指摘させていただきます。  また、当時、札幌市資料館を取り壊したほうがいいという議論が市役所内であったことは言語道断でありまして、維持管理という聞こえのいい理由で、我々市民、国民の固有の財産を汚したり、手放したり、壊していくようなことは、自治体としてこの上ない恥であり、今後、二度とあってはならないということも強く指摘させていただきます。  私のこうした文化財への考え方については、市役所内でも共有していただいている部分もございますが、肝心な札幌市博物館計画がいまだに翻弄されていることなど、市内の歴史的文化財に関してはまだまだ課題が山積しておりますので、次年度も精力的に議論してまいりたいと思います。少々長くなりまして、申しわけありません。市長も、本日はどうもありがとうございました。 ◆成田祐樹 委員  新年度に予算計上された運動部活動アスリート派遣事業についてお伺いします。  学校へのアスリート派遣は、元コンサドーレ札幌の曽田雄志さんが立ち上げたA−bank北海道により、アスリート先生として平成26年から本格的に実施されていると伺っております。産官学連携によって、市内の小・中学校の体育授業、部活動にアスリートを指導者として継続的に派遣し、スポーツを通して子どもの成長機会の提供や可能性を引き出すこと、専門種目外の指導者不足解消などを目的として実施されてきたとのことです。  各学校における実施アンケートの中では、ほぼ全員が派遣について肯定的であり、子どもたちにとって貴重な経験になった、ぜひ来年もお願いしたい、指導者不足で悩んでいる中でありがたい、回数が少なかったので継続的にやってほしいとの感想が上がるなど、各学校の先生からも高く評価を受けていると聞いております。  その中の一つの例ですが、向陵中学校では、バレーボール元日本代表の成田郁久美さんが指導に訪れ、その後、バレー部が全道大会に出場したという結果が出るなど、アスリート派遣だけが要因ではないとは思いますけれども、一つの大きなきっかけができたと考えられます。このように、運動部活動アスリート派遣事業においては、新年度から始まる事業として大変期待が持てるものだと考えております。  一方で、気になりますのは、既に熱心に部活の指導している先生方もいることについてです。既に継続的に指導をしていることや、児童生徒や学校の状況をよく知っていることなどを考えると、そういう努力をされている先生方への配慮も必要となってくるのではないでしょうか。  そこで、お伺いしますが、新年度から新たに事業化された運動部活動アスリート派遣事業について、どのように事業が行われるのか、詳細をお聞かせ願います。 ◎西田 スポーツ部長  運動部活動アスリート派遣事業の詳細についてでございます。  現在、市内の中学校では、教員が競技経験のない種目の顧問を引き受けることも少なからず見受けられ、専門的な技術指導が課題の一つになっております。このようなことから、スポーツ部としましては、中学生の充実した運動環境を整え、スポーツに対する意欲、関心の向上を図るために、専門的な技能、知識を有するアスリートを中学校の運動部活動に派遣することとし、さきに公表されたアクションプランに位置づけられたところでございます。  本事業の実施に当たりましては、全ての市立中学校及び中等教育学校に対して派遣希望の調査を行い、派遣を希望する学校のうち、10部活動を選定いたします。また、派遣期間は1カ月に2回をめどに5月から翌年3月までとし、年間を通して同一アスリートが継続して指導に当たり、平成28年度につきましては、陸上競技、軟式野球、サッカー、バレーボール、バスケットボール、ソフトボールの6種目への派遣を予定しております。  なお、派遣校の選定に当たりましては、先ほど述べたような技術指導等に課題を抱えている部活動への派遣を優先させていただきますが、これまで顧問教諭が行ってきた指導の過程や個々の生徒及び学校の状況を十分に踏まえた上で、アスリートが指導に当たるように配慮してまいりたいと考えております。 ◆成田祐樹 委員  アスリートの派遣について、そういったことを考慮されていることを確認させていただきました。  1年間を通してというご答弁でしたが、継続性の面からも期待が持てるものだというふうに考えております。  もう少しお伺いしたいと思いますが、実際にアスリートが派遣されることが決まった学校によっては、顧問の先生がアスリートから指導法まで深く教わりたいというところもあれば、部員にとって一つの経験としておきたい学校など、さまざまなスタンスがあるというふうに思われます。  そこで、お伺いしますが、指導するアスリート側においては、こういうさまざまな学校事情を酌み取る方針を持っていくやり方で行っていくのか、見解をお聞かせ願いたいと思います。 ◎西田 スポーツ部長  学校事情を酌み取ることについてでございます。  委員のご指摘のとおり、アスリートの活用につきましては、学校によってさまざまなスタンスがあることが想定されます。例えば、顧問教諭が生徒の技能向上に向けたニーズに的確に応えるためにアスリートを活用しようとする場合や、アスリートにこれまでの経験を生徒に伝えてもらうことで、その種目に対する興味・関心を高め、部活動の活性化を図ろうとする場合もありますし、一方で、一定の指導経験を持つ顧問教諭がアスリートによる指導場面をじかに見ることで、専門的知識をさらに高めたいと考える場合も予想されます。  このように、中学校の運動部活動を取り巻く環境は多様なことから、学校側の要望を取り入れた指導となるように、事前にアスリート側と調整したいというふうに考えております。 ◆成田祐樹 委員  児童生徒への指導だけに限らず、顧問の先生への指導やアドバイスも含めて、第1には子どものために、第2は先生のためにある、あくまで子どもと先生のサポート役に立っているということを聞きまして、アスリートがよい立ち位置について事業が展開されるということは理解させていただきました。  最後に、今後の運営についてお伺いしたいと思います。  学校側のアンケートにもありましたが、やはり、時間の短さや継続性についてもっと必要であるとの回答が多かったことから、市が新たに取り組む新年度においては、この事業の効果や評価についてはしっかりとピックアップする必要があると思います。また、その内容をアスリート側にフィードバックすることで、より子どもや学校の要望する事業になっていくのではないでしょうか。  そこで、お伺いしますが、依頼した学校側の評価や意見などをしっかり受け取り、アスリートへの要望を伝えながらできる限り改善を図り、評価が得られるのであれば継続して事業を進めていくことが必要であると考えておりますけれども、今後の事業に対する本市の見解をお聞かせ願えればと思います。 ◎西田 スポーツ部長  今後の事業展開についてであります。  先ほども答弁いたしましたとおり、それぞれの派遣期間中において、アスリートと顧問教諭が連携を密にし、随時、短期的な改善を行ってまいります。その上で、年度末の事業終了後には、派遣校からの事業に対する評価をまとめた報告書を各校に配付しながら、札幌市中学校体育連盟等の関係団体の協力を得て、本事業の成果を全ての中学校でも共有し、事業を継続してまいりたいと考えております。  なお、今後は、さまざまな種目に派遣できるよう、今回派遣を予定しているアスリートのネットワークを活用するなど、新たな人材発掘に取り組んでまいりたいと考えております。 ◆成田祐樹 委員  よりよいものにさらに改善を促していっていただくことは、3者にとって大変よいことだと考えております。一番の目的として、児童生徒のためという部分がありますが、一方で、側面としてアスリートのセカンドキャリアをバックアップする部分もあるのかなというふうに考えております。スポーツ活性化の一翼を担うのではないかという部分で、この事業には大変期待しております。多くの市民の方が、また、多くの児童生徒が、スポーツに触れることによって健康に結びつく、健康に結びつけば、当然、医療費の削減にもつながり、本市の財政の負担軽減にもつながることから、ぜひこの事業を継続して行っていただくことを要望いたしまして、質問を終わりたいと思います。 ◆國安政典 委員  私からは、オリンピック・パラリンピックなどのスポーツ競技、また大会などへの取り組みについて、これまで、私ども会派が主張し、議論してまいりました内容を踏まえて、その進捗状況などを確認させていただきながら、大きく2点にわたって質問させていただきます。  まず、1点目は、障がい者スキーの国際大会の誘致、開催について伺います。  このことにつきましては、昨年、平成27年第3回定例会の代表質問におきまして、私ども会派の丸山議員が障がい者の競技スポーツの振興をいかに進めていくかと質問したことに対しまして、秋元市長からは、障がい者スポーツの市民理解と普及活動を行うためにも、パラリンピック競技種目の国際大会の招致にも積極的に取り組んでまいりたいとの答弁をいただいたところであります。  先日の新聞報道によりますと、日本障害者スキー連盟が障がい者のバイアスロンとクロスカントリースキーのワールドカップを来年3月に札幌市を会場候補地として誘致することを決めて、その方針を札幌市に伝えたということでした。もし、この札幌開催が実現すれば、バイアスロンは国内で初となります。また、クロスカントリーは、昨年2月に旭川市で開催されて以来、2回目の開催となります。  そこでまず、伺いますが、この大会は具体的にどのような内容になるのか、また、誘致実現に向けたこれまでの動きと今後のスケジュールについて伺います。 ◎西田 スポーツ部長  障がい者スキーの国際大会の内容及び誘致実現に向けたこれまでの動きと今後のスケジュールについてであります。  日本障害者スキー連盟との協議の中では、会場は西岡バイアスロン競技場とし、開催期間は7日間、10程度の国、地域から、各競技それぞれ50人から60人程度の参加を想定しているとのことでございます。  これまでの動きにつきましては、昨年11月に日本障害者スキー連盟に出向き、冬季オリンピック・パラリンピックのコンセプト案を説明した際に、大会の札幌開催についての協議も行ってきたところでございます。ことし1月には同連盟による会場視察がありまして、誘致実現に向け、運営スタッフや開催経費の確保などの課題について協議を進めてまいりました。そして、委員からもお話がありましたとおり、ことし3月に、日本障害者スキー連盟として西岡バイアスロン競技場を会場候補地として大会誘致を目指す旨、札幌市に連絡があったところでございます。  今後のスケジュールにつきましては、日本障害者スキー連盟からの札幌市など関係団体に対する正式な協力依頼に基づき、札幌と同連盟で競技運営を担う競技団体や会場管理者、銃の取り扱いを所管する警察庁などと協議を進めながら、4月には、日本障害者スキー連盟から国際パラリンピック委員会へ立候補申請を行う予定となっております。 ◆國安政典 委員  障がい者スキーのワールドカップの誘致の実現に当たりましては、運営スタッフの確保とか、もちろん大会運営資金の確保など、さまざまな課題もあるかと思います。運営資金につきましては、聞くところによりますと、主催者側もさまざまな工夫をしてコンパクトに開催できないか検討していくという話も聞いております。  いずれにいたしましても、障がい者スポーツの国際競技大会を開催することは、障がい者スポーツの普及のみならず、市民が障がい者スポーツに親しむ環境づくりも進みますから、障がいのある方々への市民の理解が進むことにもつながっていくものと考えます。私たちがその意義の重要性をずっと訴え続けてまいりましたが、いわゆる心のバリアフリーを大きく広げるきっかけになると思います。そういう意味からも、ぜひ、札幌市としてこの誘致実現に向けて積極的に取り組むべきと考えます。  そこで、質問ですが、札幌市として、この大会をどのように位置づけて誘致に取り組んでいくのか、伺います。 ◎西田 スポーツ部長  大会の位置づけ及び誘致に向けた取り組みについてでございます。  障がい者スポーツの国際大会を開催することは、障がい者のトップアスリートを間近で見る貴重な機会となるだけではなく、障がい者スポーツへの市民理解が進むほか、障がい者の競技力向上にもつながる重要な取り組みであると認識しております。また、2017年2月には、冬季アジア札幌大会が開催されます。その大会直後に、同じ会場を使用して障がい者スポーツの国際大会を開催することは、オリンピックとパラリンピックの融合を進めるきっかけとなる絶好の機会でもあると考えております。
     札幌市としましては、2026年冬季オリンピックパラリンピック招致を目指す上で、この大会を、誰もが互いにつながり、支え合う共生のまちの実現に向け、委員からもお話のあった心のバリアフリーを推進していくための起点として位置づけ、誘致に向けて積極的に取り組んでまいりたいと考えております。 ◆國安政典 委員  共生のまちづくりの起点としていく、積極的に取り組んでいくという力強いご答弁をいただきまして、大変心強く思っているところであります。私も、スポーツを通して障がいのある方々への理解を促進していくことで、札幌市の共生のまちの実現にもつなげていけるものと思います。また、こういった取り組みは継続的に行っていくことが大事であるとも思います。ぜひ、この大会を毎年開催できるような枠組みを構築して、一過性の取り組みとして終わらせないようにしていただくことを要望し、次の質問に入ります。  次は、オリンピック・パラリンピックの事前合宿の誘致について伺います。  質問の前に、この後は、オリンピック・パラリンピックをオリパラと言わせていただきます。昨年の4定の代表質問で、私どもの会派の好井議員からも紹介させていただきましたが、先ほど融合というお話もありましたように、オリンピックとパラリンピックを区別なく平等に捉えたいという思いから、これを略する場合、「オリ」と「パラ」の間に点を入れないでオリパラと言わせていただきたいと思います。これにつきましては、既に国の組織におきましても、内閣官房オリパラ事務局という略称で呼ばれております。私たちも、この呼び方の言葉の普及と定着にしっかり取り組んでまいりたいと考えておりますので、議事録もよろしくお願いします。  さきに質問しました障がい者スポーツの国際大会につきましては、開催実績を積み重ねることが札幌市が進める冬季オリパラ招致の機運の醸成にもつながっていくものと考えております。来年の2017年には冬季アジア札幌大会、さらに、再来年の2018年には平昌オリパラがあります。今後、アジア地域においてウインタースポーツの国際大会が連続して開催されます。これを絶好のチャンスと捉えて、札幌市でウインタースポーツを一層盛り上げていかなければ、冬季オリパラの招致にもつながっていかないものと考えます。  札幌冬季オリパラ招致を成功させるためには、市民の機運醸成に加えて、海外から選手を受け入れる土壌をつくることが必要であると思います。そのためには、国際競技大会の開催のほか、事前合宿の誘致も効果的であると考えております。事前合宿を行う選手と市民との交流などを通して、その国を知り、その国に対する理解を深め、そして、日本、札幌を伝えていくことにもつながっていくと思いますし、また、選手を応援しよう、スポーツを観戦しようといった雰囲気づくりにもつながっていくと思います。  また、今から事前合宿に取り組むことで、その後に控えております2022年の北京オリパラの事前合宿の誘致にも有利になると思います。この事前合宿の誘致につきましては、昨年の2定の代表質問で、私から市長に見解をただしたところ、秋元市長は、ウインタースポーツシティーとしての優位性を訴えながら、東京オリンピック・パラリンピックのみならず、平昌オリンピック・パラリンピックの事前合宿誘致についても積極的に取り組んでまいりたいと答弁をいただいたところであります。  そこで、事前合宿の誘致に関して、これまでどのような取り組みを行い、現在どのような状況になっているのか、伺います。 ◎西田 スポーツ部長  事前合宿誘致のこれまでの取り組みと現況についてでございます。  冬季オリンピック・パラリンピック、オリパラの招致を目指す上で影響力のある一流選手が札幌を訪れる機会となる事前合宿誘致に取り組むことは、札幌の魅力を世界に発信することにつながるなど、アジアにおけるウインタースポーツシティーとしての都市ブランドを確立していく上で極めて効果の高い取り組みであるというふうに認識しております。  そこで、直近の大規模国際大会である平昌オリパラの事前合宿誘致に照準を定め、これまで培ってきた日本オリンピック委員会や国内外の競技連盟などとのネットワークを最大限活用した情報発信や情報収集に努めてきたほか、東京事務所においては、各国在京大使館を訪問するなどの取り組みを展開してきました。その結果、クロスカントリーやジャンプなどスキー競技やバイアスロン競技を中心に、本年の1月にカナダ、2月にスウェーデン、3月にはノルウェー及びロシアのオリンピック委員会や競技団体が札幌市内の競技施設や宿泊施設の視察に訪れ、札幌市としてもその受け入れ支援を積極的に行うなど、事前合宿誘致活動を行ってきたところでございます。 ◆國安政典 委員  東京事務所も含めて、さまざまな活動を展開してきたことがわかりました。そしてまた、カナダ、スウェーデン、ノルウェー、ロシアなど多くの国が平昌オリパラの事前合宿の候補地として札幌を視察に訪れているということでした。こういった積極的な受け入れ支援の活動については評価させていただきます。  札幌市には、冬季競技施設や多くの宿泊施設もあります。また、くつろげる温泉もあります。こういった地域資源をしっかりと活用して、冬季競技の合宿誘致に取り組むことが重要であると考えます。  そこで、質問ですが、今後、これらの取り組みを加速していくためにも、具体的にどのような活動を展開していくのか、伺います。 ◎西田 スポーツ部長  今後の事前合宿誘致活動についてであります。  札幌市では、スポーツイベントや事前合宿等の誘致を戦略的に行う専門組織である地域スポーツコミッションを3月末に設立する予定となっております。先ほど答弁いたしました誘致活動を、今後は札幌版の地域スポーツコミッションに引き継ぎ、国際プロモーションや受け入れ支援の充実など、誘致活動の強化を図ってまいりたいと考えております。具体的には、札幌オリンピックのレガシーである冬季競技施設や多種多様な宿泊施設を紹介するホームページやパンフレットなどの広報ツールを整備し、国際展示会や会議などの場において、各国のオリンピック委員会や競技連盟に積極的に札幌の魅力を発信するなどの誘致活動を行ってまいりたいと考えております。  さらに、合宿誘致が実現した際には、例えば海外のトップアスリートと札幌の子どもたちとの交流機会の創出や、市民がスポーツに関心を持つきっかけづくりを行うなどの取り組みをあわせて展開していきたいというふうに考えてございます。 ◆國安政典 委員  さらに加速して積極的に取り組むという答弁だったかと思います。  障がい者スポーツの国際競技大会や事前合宿を誘致することによって、海外から多くの選手や関係者が札幌市を訪れることになります。このことは、札幌の魅力を発信する絶好の機会になると思いますし、このような国際交流の取り組みを通してさまざまな国々とのつながりを持つこともできると思います。きょうは、平昌オリパラの事前合宿について質問しましたが、こういった取り組みは、ウインタースポーツだけではなく、夏季も含めたスポーツ全般、さらには、スポーツ以外の分野にも広げていくことが大事であると考えております。今後とも、しっかりと進めていただきたいと思います。  東京オリパラに係る取り組みとして、ホストタウン構想というものもあります。このホストタウン構想は、2020年東京オリパラ競技大会の開催によって多くの選手や観客が日本を訪れることを契機に、全国の地方公共団体と大会に参加する国や地域との人的な交流、また、経済的、文化的な相互交流を図ると同時に、地域の活性化を推進することを目的としたものです。既に1月に決定された1次登録では、北海道からは網走市、士別市、名寄市の3市が決定されました。東京オリパラにつきましては、札幌市におきましても札幌ドームを会場としてサッカーの予選が行われることが予定されておりまして、多くの選手や観客が札幌を訪れることになります。  また、本日指摘させていただきましたとおり、障がい者スポーツの国際大会の開催や事前合宿の誘致活動を通じて構築した人的なネットワークを活用するなど、ホストタウン構想による取り組みについてもこれから2次登録、3次登録とまだチャンスがあるようですので、積極的に進めていただきたいと思います。  いずれにいたしましても、こういった全ての取り組みは、札幌市が目指している共生のまちの実現、しかも、成熟した共生社会、新しい時代の札幌を築いていくことにつながっていくものと思いますので、今後ともしっかりと取り組んでいただきたい、このことを求めまして、私の質問を終わります。 ◆村上ひとし 委員  私は、スポーツまちづくり推進費に関連して、さっぽろっ子ウインタースポーツ料金助成事業について質問いたします。  この事業は、子どもたちがウインタースポーツに親しめるよう、1シーズンに一度、市内の全小学校の3年生を対象に、スキー場を利用する際のリフト料金やスケート場を利用する際の貸し靴料に対する助成を行うものです。対象児童数は約1万5,000人、2016年度の予算計上額は1,500万円になっています。助成方法は、リフト料金として1人当たり1,000円分、スケート貸し靴料金として1人当たり2時間分の貸し靴料の300円分をそれぞれクーポン券として配付するというものです。対象となる施設は、スキー場では札幌国際スキー場、札幌藻岩山スキー場、サッポロテイネスキー場、ばんけいスキー場、滝野スノーワールド、Fu’sスノーエリアスキー場、スケート場では月寒体育館、星置スケート場、美香保体育館、円山スケート場となっております。  そこで、今回、この事業ではどの程度の利用を見込んでいるのか。  また、スキー場でクーポンを利用する場合、子どもの中には1回とか2回しかリフトを利用しない子どもがいて1,000円に満たない利用金額になることもあると思いますが、このような場合にはどのような扱いとなるのか、お伺いいたします。 ◎西田 スポーツ部長  さっぽろっ子ウインタースポーツ料金助成事業の利用見込みとクーポン利用のあり方についてです。  まず、利用見込みということについて、どれぐらい子どもが利用するのだろうかということで、昨年、スポーツ部におきまして小学校を対象に実施した調査によりますと、スキーにつきましては、小学3年生ではスキー学習以外にスキー場でスキーをした児童の割合は81.5%、また、スケートをした割合は44.5%という結果でございました。この結果を踏まえまして、新年度予算では、スキーについては90%、スケートについては50%の利用率を見込んでいるところでございます。  この事業につきましては、スキー場でのスキー学習が始まる小学3年生が冬季休業中にスキー場でのスキー経験を積むことを支援するものであることから、何度もリフトを利用していただくため、助成クーポン券は一日券や回数券等の1,000円以上のリフト券を購入際に使用できるものとすることを想定しております。 ◆村上ひとし 委員  事業の実施について、授業以外の利用は、スキーは8割以上、スケートは4割以上という数字をもとに、予算としてはスキーが90%以上、スケートで50%の利用を見込んでいるということです。  スキー場というと、非常に気温が低い日だったり、あるいはリフトに乗ってすぐ吹雪になるとか、場所的にもいろいろな問題がございますし、当然、余りうまくない子どもはそんなに何回も乗れないというように、いろいろなことがあろうかと思います。ですから、事業の実施については、クーポン券のあり方も含めて、子どもや保護者、学校やスキー場、スケート場の施設関係者の意見を聞くなど、どの子どもたちもウインタースポーツに親しめるように事業内容に改善を図っていく必要があると思います。  そこで、この点をどのようにお考えになっているのか、また、今後は対象学年の拡大も検討すべきと思いますが、そのようなお考えはないのか、お伺いいたします。 ◎西田 スポーツ部長  さっぽろっ子ウインタースポーツ料金助成事業の内容の改善ということでございます。  この事業につきましては、きっかけづくりとして有効であったかということを調査するために、誰とスキーに行ったのか、また、何回スキーに行ったのかなどについて、シーズン終了後に学校を通して児童アンケートを実施するとともに、スキー場及びスケート貸し靴業者を対象に、子どもの利用者数の推移や民間企業に与える影響についてヒアリングを行い、翌年度以降のよりよい助成手法のあり方などについて検証したいと考えているところでございます。  もう1点の対象学年の拡大ということがございましたが、この事業につきましては、子どもがウインタースポーツに親しむきっかけづくりを目的としておりますことから、スキー場でスキー学習が始まる市内全小学3年生を対象に助成クーポン券を配付することとしております。したがいまして、現段階では対象学年を拡大することは想定しておりません。 ◆村上ひとし 委員  誰と何回行ったのかという声は把握していくということですけれども、どういうことが改善できればもっと行けるのかとか、そのあたりも探れるような調査の仕組みにしていただければと思います。  それから、事業の対象学年は今のところ3年生ということですが、市内の全小学校の3年生というのは市立以外も含めた全ての小学校を指すということでよろしいですか。 ◎西田 スポーツ部長  市立以外についても、小学校3年生を対象にクーポン券を配付することを検討していきたいと考えております。 ◆村上ひとし 委員  ウインタースポーツは札幌の特色の一つでもあり、全ての子どもたちが楽しめる環境づくりは、子どもの心身の発達や成長、将来のトップアスリートを養成していく上でも重要となります。そのためには、子どものころからウインタースポーツに親しむことができる裾野の拡大が必要だと思います。そういう点でも、先ほども申し上げましたが、ぜひこの事業を発展的に捉えていただいて、裾野の拡大という点では小学生の全てに事業が行き渡るようなことも必要かと思います。  しかし、スキーには、リフト代のほか、スキーの板、金具、靴、あるいはスキーウエア、交通費などかなりの金銭的な負担が伴います。特に、毎年のように体が成長する小学生を持つ保護者の負担は非常に大きく、経済的に余裕のない家庭ではなかなか子どもをスキーに連れていけないのが実態です。  そこで、今、教育委員会では、スキー学習に向けた保護者の負担軽減を図る目的で、すぐにサイズが合わなくなってしまう子どものスキーをリサイクルするさっぽろっこスキーリサイクルを実施しております。これは、市民から不要となったスキーセットを募集し、集まったスキーの点検、整備を実施し、安全性を確認した上で、抽せんの結果、無料でスキーを配付するというものであります。2011年から2015年の5年間では、リサイクルスキーを希望する市民の応募数は1万6,312件ですが、実際にスキーが配付されたのは1,583件にとどまり、応募数のわずか1割にも満たないものでした。つまり、応募が多数で、抽せんのため、希望してもなかなか当たらず、必要とする家庭にリサイクルスキーが十分に配付されていないのです。  あるお母さんは、小学生の2人の子どもがいます、2人ともリサイクルに応募したが、2人とも当たらず、残念でした、それから、子どもはすぐに大きくなるので、我が家では、今まで子どもに新品のスキーを買ってあげたことがない、もっとリサイクルを進めてほしい、さらには、リサイクルが進めばもっとたくさんの人がスキーの道具を手に入れられることになり、その結果、スキーに行く人がふえるかもしれない、こういう声がたくさん寄せられているようです。お金の心配をしないで全ての子どもたちがウインタースポーツを楽しむことができる環境づくりというのは、市の対策として非常に必要だと思います。  そこで、今後は、本市がリサイクルスキーの受け入れを大幅に拡大するとともに、新たなレンタルの仕組みなども構築すべきと考えますがいかがか、お伺いいたします。 ◎西田 スポーツ部長  リサイクルによるレンタルの仕組みの構築についてというご質問かと思います。  ウインタースポーツの振興にとりまして、手軽にスキーに親しめる環境を整備することは大変重要であると認識しております。  ただ、この事業につきましては、先ほど答弁しましたとおり、子どもがウインタースポーツに親しむきっかけづくりを目的としておりまして、保護者の経済的な負担を軽減することにつきましては、教育委員会で実施しておりますさっぽろっこスキーリサイクルなどを活用していただきたいと考えているところでございます。 ◆村上ひとし 委員  私が申し上げたのは、きっかけをつくったとしても、お金がなければスキー場に行けない子どもたちが現実にたくさんいらっしゃるのではないかということです。そういうことで、教育委員会がやっているリサイクル事業に非常に多くの保護者が応募しています。ところが、抽せんのため、当たるのは1割未満の保護者ということであります。さっぽろっ子と言うのですから、札幌の子どもたち全体が―きっかけをつくるのは大事です。しかし、同時に、経済的な負担を軽減させる意味でも、今でもせっかくリサイクル事業をやっているわけですから、札幌市としてこの事業をもっともっと大きく見直して、その結果、たくさんの希望するご家庭がリサイクルを利用して子どもをスキーに連れていける、そういう環境整備の一層の推進が必要だと思います。きっかけをつくることと同時に、その辺は、教育委員会とも連携しながら検討を進めるぐらいは必要だと思いますが、どうですか。 ◎西田 スポーツ部長  繰り返しの答弁で恐縮ですが、保護者の経済的な負担の軽減ということを目的とした事業ではないということで、この事業はきっかけづくりというお話もございましたけれども、手軽にスキーに親しめる環境を整備することの一環であり、新規事業でもございますので、まずはスタートをさせていただきたいということでございます。 ◆村上ひとし 委員  西田部長、この事業を通じて学校関係者と保護者に対して誰と何回スキー場に行ったかを調べるということでしたが、私は、きっかけをつくって、大いにウインタースポーツに親しんでもらって、その結果、やっぱり雪のある札幌の子どもたちはスキーもスケートもうまいな、そして、アスリートも生み出すまちだというところを目指す意味も含めて、新しくスポーツ局ができるのかなというような期待もしておりました。私は、そうあるべきだと思うのですよ。ですから、どうやったらスキー場により行けるのかというあたりも、ぜひ、学校関係者と保護者に対する調査をすべきだということを申し上げて、質問を終わります。 ◆中川賢一 委員  私からは、1点目は国際芸術祭の取り組み、2点目は市民交流プラザの今後の事業展開、3点目は冬季オリンピック・パラリンピックの招致活動、大きくこの3点についてお伺いさせていただきたいと思います。  まず、札幌国際芸術祭への取り組みについてでございます。  昨年の第3回定例会の決算特別委員会におきまして、私は、開催報告書の分析等から、前回の平成26年開催の総括が余りにも楽観的で甘く、都合がよ過ぎるものであったのではないか、また、次回開催に向けて改めて総括を行い、正しい認識を関係者や市民と共有した上で取り組むべきではないかということを指摘させていただきました。  しかしながら、当時、観光文化局では、前回開催の評価手法が一面的であって客観性に欠けていたことはお認めになりながらも、次回の開催に向けては非常に甘い認識に終始され、前回の反省、検証等を改めて十分にすることがないまま、次に進むというようなご答弁でございました。  そこで、改めて確認させていただきますが、あれから5カ月ほど時間が経過いたしました。その間、既に次回の芸術祭のゲストディレクターが決まり、テーマなども発表された段階に進んでおりますが、私から指摘させていただいた点につきまして、やはり、再評価等の対応は全くなさらなかったのか、お伺いしたいと思います。 ◎熊谷 国際芸術祭担当部長  前回の芸術祭の再評価に関するご質問についてでございます。  このことにつきましては、これまでも大変厳しいご指摘をいただいているものと考えております。お話しいただきましたように、昨年10月にゲストディレクターを決定いたしまして、先月16日には開催概要も発表したところですが、私どもといたしましても、前回課題となった点を一つ一つ解決しながら次へ向かっていきたいというふうに考えているところでございます。  そうした取り組みの一環としまして、この間の議会での議論、あるいは委員からのご指摘等を踏まえまして、市内の業界団体や事業者に対して、前回の芸術祭をどのように見ていたのか、また、それぞれのお立場から見て改善できるようなことはないのか、そういったことについて直接訪問してお話を伺うといった取り組みを行ったところでございます。そういった結果も踏まえまして、より広がりを持った芸術祭にしてまいりたいというふうに考えて、現在、準備を進めているところでございます。 ◆中川賢一 委員  あれからいろいろお考えになり、いろいろな業界の団体とか事業者を訪問して、前回はどうだったかというようなことについてヒアリングされたということでございました。大変興味深いことだなと思います。  そこで、ヒアリングされた調査についてお伺いしたいと思いますが、具体的にはどのような企業や団体から聞き取り調査を行い、そして、その評価の内容はどのようなものであって、また、何か新たな側面等をうかがい知るといった収穫は得られたのか、その点についてお伺いしたいと思います。  またあわせて、それらの声を踏まえて、次回の芸術祭にどのようにつなげていくお考えなのか、お伺いしたいと思います。 ◎熊谷 国際芸術祭担当部長  聞き取りの具体的な内容と、それをどう次回につなげていくのかというご質問でございます。  まず、聞き取りを行いました具体的な対象についてですが、経済団体を初め、タクシーやホテルなどの業界団体、それから、旅行会社から直接お話を伺うことができました。  少し長くなりますが、内容としましては、やはり、開催意図がわかりづらかった、市民には余り浸透していなかったという意見をいただいたほか、PRの関連で、なかなかまちの中に祝祭感がなかったとか、ホームページの見づらさというのが大きなマイナスだった、露出するのがちょっと遅かったんじゃないか、こういった厳しいご意見をいただいたほか、経済効果についてもさほど感じられなかったといった意見も頂戴したところでございます。  また、次回の開催に向けたご意見としては、市民がどのように参加できるのかがやはり大切だろう、会場へのアクセスを工夫する必要があるといった意見をいただいたほか、私どもにとって収穫と言えるかもしれませんけれども、早い時期に次回に向けたこういうお話を直接聞けて非常によかったとか、きちんと情報をいただければPRには全面的に協力するぞといったお言葉もいただきました。  こうした声を次回の芸術祭にどのようにつなげるかということについてでございますが、今ほど申し上げたとおり、非常に厳しい意見があった一方で、芸術祭というものへの期待、あるいは、ぜひ一緒にまちを盛り上げていきたいといったような思いも感じることができたところでございます。したがいまして、私どもといたしましては、今回いただいたご意見等を真摯に受けとめまして、早目早目の情報提供などに意を用いるとともに、市民、そして事業者の皆様とも手を携えながら、次回に向けてしっかりと準備を進めてまいりたいというふうに考えております。 ◆中川賢一 委員  前回の開催におきましては芸術関連分野の関係者ばかりで事業が進められたというところがございましたが、今回は経済関係とかホテルや旅行関係者の方々など別の分野の声も聞かれたということです。その結果、市民には十分に浸透していなかったとか、そういった業者の方々から見ると、経済効果も余り感じられなかったという評価をされたことは、極めて重大な事実ではなかったのかなと思うところでございます。やはり、前回の開催は、一部の方の非常に強い思い入れがあったせいかもしれませんが、かなり盲目的に突き進んでしまった結果、このように大いに反省すべき点があったのではないかなというふうに考えます。  今回、思い切って新たに調査を行っていただいたことで、今、部長からも言われたように、このような重大な問題点が浮き彫りになったことが収穫であり、その結果、いろいろな関係者から今度は協力するよというようなお話もあったということですから、これは意義深く大きな収穫であったというふうに私も思います。そういった意見と反省を真摯に受けとめて、次回に向けて幅広い市民や関係者の理解、共感を得られるように進めていこうというご答弁でしたので、そういった姿勢は大きな進歩ではないかと評価したいと思います。  次回のゲストディレクターですが、昨年、音楽家の大友良英氏に決まったと伺っておりますけれども、報道等を拝見しますと、氏は、札幌にも随分頻繁に足を運ばれて、市内を非常に積極的に探索されるなど、精力的に動いておられると私も感じております。2月に行われた記者会見とかパブリックミーティングを拝見しますと、早くも次回芸術祭のテーマを「芸術祭ってなんだ?」ということに決めたと発表されておりますが、大友氏が設定したこのテーマは、どういった趣旨で、そして、事務局としてはどのように受けとめておられるのか、お伺いしたいと思います。 ◎熊谷 国際芸術祭担当部長  芸術祭のテーマの趣旨、それから、私ども事務局の受けとめ方についてのご質問です。  まず、このテーマですが、大友ゲストディレクターが就任依頼を受けて以降、そもそも芸術祭というのは一体何だろうか、札幌で芸術祭をやる意味合いというのは何だろうかということをずっと考え続けてくださっていまして、そのことを率直にテーマに据えたものというふうに聞いております。芸術祭は何かということについて、一人で答えを出すよりは、市民の皆さんとともに手を動かしたり、また汗をかいたりして答えを見つけていきたい、そして、その答えは、当然、100人いれば100通りあって、そういった多様性を受け入れる豊かさこそが先行きの見えにくい未来に向かっても大切だ、こういう趣旨であるというふうに認識しております。  また、私ども事務局としても、こうしたテーマは全国で数ある芸術祭の中でも極めてユニークなものであるというふうに受けとめております。同時に、多くの市民の皆さんにご参加いただきまして、また、楽しんでいただきながら、芸術祭とは何か、あるいは祭りとは何かという問いかけに対しまして、札幌ではこうなんだというような答えを見つけていこう、そういう力強いゲストディレクターからのメッセージであるというふうに受けとめております。 ◆中川賢一 委員  このテーマですが、芸術祭の意義をどうやって浸透させていくのかというところで、ディレクターも悩まれたということがございましたけれども、一人では考えずに、市民とともに考えていこうという姿勢は、本当に興味深い視点だなと私も思いますし、これは、ある意味で前回の開催とは真逆の姿勢だというようにも感じるところでございます。非常にユニークなテーマだと思いますので、ぜひとも、市としても、このテーマの思いに沿って、しっかりと市民が理解でき、共感できるような取り組みを進めていただきたいと思うところでございます。  国際芸術祭に関してはこれで最後にしたいと思いますが、冒頭に述べさせていただきましたように、昨年の決算特別委員会におきましては、前回開催の再評価の必要性につきまして、残念ながら、観光文化局からは後ろ向きと言わざるを得ない答弁をいただきました。しかし、本日の質疑におきましては、これまで目を向けていなかった分野や業界の方々の声も勇気を持って改めてお聞きになり、再評価した結果、重大な反省点などが浮き彫りになり、その結果、次回に向けて大きな収穫があったということだと思います。  そこで、最後に、今回、思い切って改めて事業を再評価してみた意義と、その上で、前回開催についての局長ご自身の改めてのご評価、そして、次回開催に向けてどのような姿勢で取り組んでいかれるのか、小西局長に総括的なお考えをお伺いしたいと思います。 ◎小西 観光文化局長  前回の芸術祭の再評価の意義と次に向けての取り組み姿勢というご質問でございます。  前回の芸術祭は、第1回目ということで、何もかも初めてで、限られた時間の中、手探りで開催したものでございまして、これまでの議会の場でもいろいろとご指摘いただいたように、及ばないところが多々あったものと認識しております。今回、こうした議論を契機に、委員のご意見やご提案も含めまして、市内の業界団体あるいは事業者に対する丹念な聞き取り調査を行い、生の声を聞くことができたことは、前回の反省を踏まえ、次に向かっていくために大変意義深いものであったと考えております。  また、次回の芸術祭の開催テーマの設定、あるいは、先日の大友さんの記者会見あるいはパブリックミーティングからもおわかりのとおり、市民を巻き込むプロジェクトの手腕にたけている大友さんをゲストディレクターとして迎えることができたことは、私どもとしては大いに幸いなことだったというふうに考えております。  いずれにいたしましても、前回の課題をしっかりと踏まえるとともに、芸術祭ということですから、芸術に関するお祭りを市民とともにつくり上げ、みんなで盛り上がり、楽しむことができるものにしたいですし、そして経済効果もと考えておりまして、その実現に向けて今後も組織を挙げて邁進してまいりたいと考えております。 ◆中川賢一 委員  第1回目ですのでいろいろ課題がありましたが、これは、課題があることに問題があるのではなくて、課題を課題としてきっちり受けとめて、そして、よりよいものにしていくことが重要だと思います。今、局長からご答弁がございましたけれども、今回のいろいろな新たな情報等も踏まえまして、市民の方々が楽しみにして誇りに思えるような事業にぜひ育てていただきたいと思うところでございます。  次に、市民交流プラザの事業展開につきまして、ある意味では同じような観点から少しお伺いしたいと思います。  札幌市民交流プラザにつきましては、昨年1月に着工して、1年以上を経過したところであります。我が会派としましては、北1西1地区について、民間事業者を含めた再開発事業として土地を高度利用していくことについてはある程度の理解をさせていただいております。しかし一方で、多額の経費を投じる以上、芸術文化ばかりに固執せず、人のにぎわいを幅広く創出していくことを通じ、事業効果と波及効果をしっかりと確保する姿勢が重要であると主張させていただいたところです。私も、昨年2定の委員会で、条例の設置目的である地域のにぎわいの創出に寄与することをしっかりと実現していくために、芸術文化のみならず、幅広い視点から人の集まる仕掛けをしていき、まずは、人のにぎわいをつくってから、集まってきた人たちに芸術文化に関心を持ってもらえるような仕掛けをしていくべきだと指摘させていただきました。  ただいまの芸術祭の質疑におきましても、事業の意思決定、運営が一部の関係者によってなされたことで、その結果、多くの市民や業界からかけ離れたところで行われ、事業効果を損なった部分があったことが大きな反省点であることが明らかになったと思います。  そこでまず、確認させていただきますが、昨年2定で私が指摘させていただいて以来、にぎわいの創出に向けてどのような事業展開を検討してこられたのか、お伺いしたいと思います。 ◎林 市民交流複合施設担当部長  にぎわいの創出に向けた事業展開についてお答えいたしたいと思います。  事業展開につきましては、委員のご指摘のとおり、条例の設置目的にも記載しておりますが、文化芸術の振興はもちろんのこと、都心のにぎわい創出も非常に重要であると考えておりまして、指定管理者に決定した芸術文化財団と一緒になって多様な事業を展開してまいりたいと考えているところでございます。  なお、主催事業の企画、立案などの事業展開につきましては、より効果的な事業とするため、有識者や関係者などを含む検討委員会を設置いたしまして、そこで議論をした上で決定してまいりたいと考えております。 ◆中川賢一 委員  今後、検討委員会を組織して、今後の計画、運営、企画等を検討していくというようなご答弁でございました。  それは大変結構でございますが、その委員会はどのような分野のメンバーで構成されているのかということも大変重要であると思っております。先ほど来明らかにしてまいりましたとおり、文化芸術の事業ですが、この分野に偏っていては幅広い議論や検討ができず、その結果、都心のにぎわいを創造できなくなってしまうおそれも感じるところでございます。  また、指定管理予定者の芸術文化財団ですが、当然、文化芸術に関する事業につきましては一定のスキルや実績があると思いますが、やはり、人のにぎわい創出という意味では必ずしも専門というわけではないのかなと推察いたします。文化芸術に限らない多様な取り組みを通じて各種の波及効果を上げていくためには、文化の関係者、芸術文化財団の職員だけで検討していくのはなかなか困難なのではないかと思いますので、やはり、さまざまな分野の方々に対して事業をしっかりと丁寧に説明したり、意見を聞いたりしながら進めていくべきではないかと考えるところでございます。  私自身もいろんな業界の方々とお会いしますが、北1西1の大きな工事現場で何がつくられているのかということさえわかっていない方が驚くほど多いですから、まだまだ市民に十分な浸透しているとは言えないのが現状ではないかと思います。当然、そこから推しはかることのできる市民の期待感も、現状ではどの程度かなと察するところです。  そこで、次の質問ですが、これまで計画を立案し、進めてこられた中で、どのような方々に意見を聞き、理解を得ながら進めてこられたのか、経済界や商店街、観光業界といった幅広い分野の方々の意見等も把握しながらこの事業計画を進めてこられたのか、その点についてお伺いしたいと思います。 ◎林 市民交流複合施設担当部長  これまでの意見聴取の幅などについてお答えしたいと思います。  札幌市民交流プラザにつきましては、有識者や文化芸術の関係者などで構成する検討会議での議論を踏まえ、市民の意見を聴取した上で施設整備や管理運営の基本方針などを決定してまいりました。また、再開発事業であることから、再開発組合における民間の組合員との意見交換のほか、経済界の代表といたしまして札幌商工会所への事業概要の説明などを行いながら進めてきたところでございます。 ◆中川賢一 委員  事業管理組合やその関係者の方とか、一部は商工会議所等との協議もなさっていたというご説明でしたが、本当にこれで幅広い議論が十分にできているのかなというふうに不安を感じざるを得ません。やはり、人のにぎわいづくりですから、もう少し広く、経済、観光などの幅広い分野の方々とできるだけ情報共有をしながら意見を聞いて進めていくほうが、多様なアプローチから都心部にふさわしいにぎわい創出ができていくのではないかと考えます。  そこで、再度の質問になりますけれども、これからでも結構ですから、経済界や都心部の商店街、観光など人のにぎわいに密接にかかわる分野の方々に意見を聞きながら、より幅広い多くの人たちにとって魅力的な施設となるよう事業検討を進めていくべきではないかと考えますがいかがか、お伺いしたいと思います。 ◎林 市民交流複合施設担当部長  多様な業界の方の意見を踏まえるべきということについてお答えいたします。  多様な業界の方々に札幌市民交流プラザの事業展開についてご理解をいただくことにつきましては、事業連携や事業協賛などにつながるほか、新たな事業展開やにぎわい創出も期待できることから、非常に重要であると考えております。経済や観光など多様な業界の方々に事業などにご協力いただくため、意見交換や情報提供などを行うに当たりまして、その手法について今後検討してまいりたいと考えているところでございます。 ◆中川賢一 委員  ぜひ、いろんな方々にできるだけ幅広く声を聞きながら進めていただきたいと思います。こういった情報収集とか意見交換などに向けて、具体的な手法についてはこれから検討していただけるということでしたので、今後、逐次、機会を見て議論させていただければと思います。  最後になりますが、冬季オリンピック・パラリンピックの招致活動について、何点か質問させていただきます。  札幌市におきましては、目下、冬季オリンピック・パリンピックの開催概要計画案を作成中でございまして、これまでも冬季五輪招致・スポーツ振興調査特別委員会などを初め、市議会においても、大会コンセプトや施設配置計画案などについてさまざまに議論されているところでございます。今後、引き続き、議会議論、市民議論を経て、この夏には全体の計画案をJOCに提出する予定だと伺っております。
     近年、アジアにおきましては、冬とか雪があるライフスタイルを楽しむために北海道を訪れる観光客が急増しておりまして、今後、2018年の平昌、2022年の北京と続くオリンピック・パラリンピックの開催を控えまして、ウインタースポーツ人口の飛躍的な伸びも期待されております。そのような中で、札幌が2度目のオリンピック、そして初のパラリンピックを招致することの意義は、アジアで唯一、積雪寒冷地域に位置する先進国の大都市であるというオンリーワンの強みを生かしながら、アジアのウインタースポーツセンターとして確固たる地位を築き、アジアとともに繁栄していく新しい北海道、札幌の姿を未来に向けてつくり上げていくことではないのかなというふうに思うところでございます。  そのためには、やはり、公共投資のみならず、国内外の民間投資も期待しながら、都市のリニューアルを進めていく視点が大変重要でございまして、札幌や北海道の持つ特徴や魅力がどのような新しい価値や事業を生み出し、人々に提供してきているのかということを真剣に考え、アジアを初め、世界からの投資意欲を刺激していくことが不可欠ではないかと考えます。昨年12月には、施設配置計画案が示されたようでございますが、そういった意味では、この計画の内容も民間の投資意欲を促すようなものであることが重要でありまして、今後、計画決定に向けては、その点の戦略も念頭に置いた調整や示し方が求められると思います。  そこで、質問ですが、競技施設や選手村、メディアセンター等の整備に当たりまして、民間資本の活用についてどのように考えておられるのか、お伺いしたいと思います。 ◎梅田 招致推進担当部長  施設整備に当たっての民間資本の活用についてのご質問にお答えいたします。  現在作成中の開催概要計画案の中では、大会コンセプトとして、オリンピック・パラリンピックを契機に、競技施設や社会基盤のほか、再開発などの手法を活用しながらホテルや民間ビルの建てかえを支援するなど、民間投資を促し、官民一体でまちのリニューアルを進めることとしております。  そこで、競技施設の整備に当たりましては、例えば、民間スキー場の再整備と連携することや、ボブスレーやリュージュ競技場などの施設を民間のスキー場と一体的に管理する手法について検討を行ってまいりたいと考えております。また、選手村につきましては、後利用としてスポーツ関連施設や利便施設など多くの人が集うスポーツパークとして整備をいたしますほか、超高齢社会に対応したバリアフリー化や最先端の環境技術を駆使した人と環境に優しいモデルタウンとしていくことを想定しております。  これらの施設整備には民間投資を呼び込むことを検討しているところでございまして、こうした民間投資を進めるために、今後、民間事業者の提案も取り入れながら、PFIやPPPなど施設整備やまちづくりを進める手法について検討を進めてまいりたいと考えております。 ◆中川賢一 委員  民間投資を促進するためにいろいろお考えであるというご答弁でございました。ぜひ、国内外の関係事業者が投資したくなるような開催概要計画をつくっていただきたいと思います。  しかしながら、一方で、招致をめぐる情勢というものは厳しさを増しているようにもうかがえるところでございます。本市は、一昨年11月に、いち早く、2026年の招致を正式表明しまして、計画策定や招致機運の醸成などに取り組んできているところですが、ことしの1月には、新潟の経済団体が2030年の冬季オリンピック・パラリンピックの招致に向けて県知事宛てに提言書を提出するなど、国内にも、札幌の招致活動に今後影響を及ぼしかねないような動きも出てきているように見受けられます。また、国外に目を向けますと、スイスやスウェーデン、カナダでも2026年の招致を目指す都市が出てきているという情報もありまして、平昌、北京と2大会連続でアジアの開催が続く中で、2026年はやはりヨーロッパが有利なのではないかというような声も耳にいたします。  そのような情勢を踏まえますと、札幌としても、2度目のオリンピックを目指す意義というものをしっかり市民・道民に共有していただく活動をするとともに、他都市の動向も踏まえて戦略的に取り組むことがますます重要になってくるのではないかと考えるところでございます。  そこで、次の質問ですが、これまで、国内におきましては新潟の動き、また、海外ではスイスなどヨーロッパ勢の動きをどのように捉えていらっしゃるのか、お考えを伺いたいと思います。  また、こういった新潟の動きや世界の動向を踏まえまして、2026年招致に向けて当面はどのように取り組んでいかれるお考えか、お伺いしたいと思います。 ◎梅田 招致推進担当部長  ライバル地域の動向と札幌市の取り組みについてのご質問にお答えいたします。  新潟につきましては、2030年の招致ということで、経済界が中心となって活動を行っていることは関係者からも情報をいただいております。また、世界では、スイスのオリンピック委員会が2026年の冬季オリンピック・パラリンピックの招致を目指すことを発表されておりますほか、ヨーロッパ、北米など複数の都市が2026年大会に向けて立候補の検討を進めているという情報もございます。こうした国内外のライバルが出現する中で、札幌の優位性をアピールする計画づくりを進めますとともに、何よりも市民・道民の熱意が必要であるというふうに認識しているところでございます。  そのため、札幌市といたしましては、平成28年度は、2026年招致を目指し、現在作成を進めている開催概要計画の案を市民にお示しした上で、市民議論を行いながら招致機運の醸成の取り組みを進めてまいりたいと考えております。また、IOC、国際オリンピック委員会から出される2026年に向けての招致プロセスや、各国の動きも注視しながら、開催概要計画の提出に向け、引き続き、JOC、日本オリンピック委員会やスポーツ庁など関係機関と協議を進めてまいりたいと考えております。 ◆中川賢一 委員  いろいろな情報は入っているということでした。そんな中で、これから闘っていく上で、やはり市民・道民の熱意が必要だというようなお答えだったと思います。地元の機運の醸成とか、オール北海道で取り組んでいくといったことはもちろん大変重要な視点ですが、こうやって現実に国内外にライバルの姿がちらついているような状況でございますので、そういった中、招致活動は単なる地元の夢や熱意の結集といったものを超えて、厳しく冷徹な競争であることを改めて認識していただきたいなと思います。そういった意味では、戦略の構築上、競合分析というものは極めて重要な要素でございますので、今後、アンテナを高くして対応していただきたいと思います。  この夏には全体の計画案をJOCに提出し、その後は、招致推進組織を構成して、具体的に招致活動を展開していくような流れになると思いますけれども、そういった活動をしていく上で、有力な参考材料となるのが過去の大会の招致活動というもので、過去の各開催都市は、どのような点に着目して計画を立案し、IOCなどの関係者にどういった視点や手法でアピールをしてきたのか、恐らく、こういった中に豊富なヒントがあるのではないかと思うところでございます。  そこで、さらに質問いたしますが、これまでの本市の招致活動の中で最近の招致活動等を事例として研究しておられるのか、していないのであれば、これから研究していく予定はあるのか、その必要性も含めてお伺いしたいと思います。 ◎梅田 招致推進担当部長  今後の招致活動に向けた招致活動の事例研究、情報収集についてのご質問でございます。  開催概要計画の検討に当たりましては、計画が決定した都市が最終的にどのように勝ち抜いてきたかという事例調査は行っております。一例を挙げますと、2018年の平昌につきましては、アジアで新たなウインタースポーツのハブをつくるということが、2020年の東京では、大会開催における運営、財政の安定性といったことが、2022年の北京では、夏季五輪の施設の活用、国際大会の主催経験といったようなことがそれぞれ高く評価されているところでございます。  そこで、これらの評価ポイントを参考にしながら、開催概要計画の大会コンセプトづくりを進めておりまして、札幌の持つ充実した都市基盤や競技施設、数多くの国際大会の開催実績、そして、市民に根づいたウインタースポーツ文化などの強みを生かした札幌らしい持続可能なオリンピック・パラリンピックモデルの提案を基本理念として打ち出しているところでございます。今後も、過去大会の勝因分析や、IOCが開催都市を評価する昨今の傾向などについてさらに研究を重ね、有効な招致活動につなげてまいりたいと考えております。  招致活動を進めるに当たりましては、今後の招致戦略上、ライバルを意識したアピールポイントの打ち出し方が非常に重要になってきます。そこで、国内外の動きを見きわめつつ、開催概要計画にさらに何をつけ加えていくべきか、2019年の開催都市決定まで、さまざまな関係者からアドバイスを受けながら検討してまいりたいと考えております。 ◆中川賢一 委員  ぜひ、幅広い情報収集をしていただきたいと思います。  重ねて申し上げますが、誘致活動が地元の思いや熱意だけで成就するのであれば大変ありがたい話でございますけれども、現実にはライバルがいる厳しい冷徹な競争でございます。今、お話にありましたけれども、ぜひ、ライバルの動向とか、これまでのいろいろな誘致活動について突っ込んで、いろいろな角度から客観的、論理的、そして戦略的なアプローチをしていただきたいと思います。  今回取り沙汰されている新潟県湯沢町は、1972年の札幌のオリンピックの際にも国内選考で札幌のライバルになったところでございまして、その後も、アルペンのワールドカップの開催を初め、北海道、長野と並ぶスキー王国で、数多くのオリンピアンも輩出されております。新潟県の経済界も精力的に動いているというような情報もございますので、当面はこういった国内のライバルも意識しながら、国やJOCなどに精力的に要請活動をしていかなくてはなりません。そして、国内で首尾よく選考されたとしても、その後も、引き続き世界のライバルを向こうに回したIOCへの要請活動が待っております。  これらの一連の活動には、オール北海道で機運を盛り上げるというようなことがよく言われますが、これは当然重要でございますけれども、こういった言葉の響きのよさとは裏腹に、実際の活動は極めて地道で泥くさいものになるのではないかというふうに予想されます。恐らく、競合相手もそういった泥くさい動きを展開してくるはずですので、今後、厳しい闘いを勝ち抜いていくために、それにふさわしい開催概要計画の策定と、提出後の招致活動をどう展開していくのか。最後になりますが、昨年、我が党の麻生副総裁からもライバルの動向を見ながら活動してくださいとエールを送られたところですので、町田副市長からお考えと決意のほどをお伺いしたいと思います。 ◎町田 副市長  国内で選ばれるためには、まず、世界で闘える計画をつくり上げるとともに、札幌の強みである1972年開催のレガシーの活用、そして、その後、いろいろな国際大会を開催してきている実績などを国や関係機関に強く訴えていきたいと思っているところでございます。  そのためにも、まずは、来年の冬季アジア札幌大会を成功に導くとともに、その後の障がい者の国際大会などの誘致により、さらなる実績づくりを行い、国の内外の競技関係者の信頼をかち取り、ウインタースポーツシティー札幌を世界に強くアピールしてまいりたいと考えるところでございます。  そして、何よりも招致に当たりましては、今、委員がお話のとおり、市民・道民が夢を共有し、招致に向けての支持率を上げていくことが極めて大切だと認識しております。先日、北海道議会議員によるスポーツ振興議員連盟が設立されたと伺っておりますが、こうしたことも含めまして、今後は、札幌市はもちろん、北海道や関係自治体、競技団体、経済界など、オール北海道で機運醸成の取り組みを精力的に行ってまいります。よろしくお願いいたします。 ◆中川賢一 委員  いろいろな分野も踏まえた大変力強いご答弁だったと思います。ぜひ、今後に向けて、我々議会もしっかりと協力しながら、市民・道民の方々が夢を持てるような招致活動を一緒にしていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。 ○しのだ江里子 委員長  ここで、およそ20分間、委員会を休憩いたします。     ――――――――――――――       休 憩 午後3時22分       再 開 午後3時45分     ―――――――――――――― ○坂本きょう子 副委員長  委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、質疑を行います。 ◆林清治 委員  私からは、札幌国際芸術祭について質問していきたいと思います。  昨年10月に次回芸術祭のゲストディレクターが音楽家の大友良英氏に決定し、2月16日には、第1回目となる記者会見が行われ、テーマなどが発表されたところであります。記者会見では、女性ボーカルグループMAREWREWがマスコミ関係者を巻き込みながら歌を輪唱するワークショップが行われるなど、これまでにない記者会見でした。当日は見ることはできませんでしたが、ホームページにアップされている映像を見ると、大友氏の熱き思いが伝わってくる記者会見です。そして、その記者会見の場所に時計台を選んでいただいたことも大変うれしいことであります。札幌開拓の歴史の一つであり、今なお多くの観光客が訪れる場所での記者会見でした。また、翌17日には、大友氏が札幌市民と初めて直接対話するパブリックミーティングが「大友良英大風呂敷を広げる」と題して開催され、次回芸術祭のテーマや内容について、大友氏がみずからの言葉で熱く語ったようです。  そこで、最初の質問ですが、パブリックミーティングには、何人の参加があり、来場者はどのような反応だったのか、お伺いしたいと思います。 ◎熊谷 国際芸術祭担当部長  パブリックミーティングの参加者とその反応はどうだったのかというご質問についてでございます。  去る2月17日のパブリックミーティングにつきましては、私どもといたしましても、事前のPRに力を入れたほか、ただいまお話しいただきました前日の記者会見からパブリックミーティングまでの間に、テレビ2本、ラジオ3本の生放送にゲストディレクターである大友良英さんにご出演をいただいたことなどもありまして、定員の2倍近い約250人の方々のご参加をいただいたところでございます。  お客様の反応についてでございますが、立ち見が出るような状況であったにもかかわらず、会場内だけでなく、ロビーに設置したモニターにも食い入るようにごらんいただきまして、また、後半に行われた意見交換の場面でも途切れることなく質問が出まして、大変熱心なやりとりが行われたところでございます。さらに、会場内で実施したアンケートの結果を見ましても、99%の方々から次の国際芸術祭2017に興味を持ったといったような回答をいただいたほか、自由記載欄への記載が極めて多く、私どもとしても大変驚いているところでございます。用紙の裏面にびっしりと記載している方も多く、具体的なアイデアなども含め、ぜひ参加したい、あるいはかかわりたいという熱い思いを書いている方が多数いらっしゃいまして、全体として非常によい反応だったというふうに感謝しているところでございます。 ◆林清治 委員  ただいまの答弁で、パブリックミーティングの模様も答えていただきました。大友氏は、本当に時間も忘れて芸術祭に対する熱い思いを語っていただいたようでございます。参加者のアンケート結果についても、今、ご答弁があったとおり、大いに興味を引きつけたのかなというふうに思います。もともと定員が130名のパブリックミーティングですので、会場も狭く、なかなか多くの人が入れなかったのかなと思いますが、今回、足を運んでくれた250名がいろいろなところで口コミで広げていただくことも、今後、市民の関心を呼ぶ大事な契機となるのかなと思います。そして、大友氏も、今回の来札を機会に、地元のテレビ、ラジオにみずから出演して、芸術祭についてとても気さくにみずからの言葉で語り、情報発信しまして、本当に次回の芸術祭に興味を持った市民も多く出たのかなと思っております。  大友氏は、市民とともに芸術祭をつくり上げていきたいと話しており、そのことについては大いに共感するところであります。前回、課題に挙がっていた地元アーティストを初めとした文化関係者の巻き込みについても、関係者は大変期待しているというふうに思っております。  そこで、次の質問ですが、次回芸術祭において、地元の文化関係者がかかわる枠組みについてはどのように考えているのか、お伺いします。 ◎熊谷 国際芸術祭担当部長  地元の文化関係者のかかわりについてでございます。  委員がご指摘のとおり、地元の文化関係者をどのように巻き込んでいくのか、また、どのように一緒に盛り上がっていくのかということがこれからの大きな課題であると考えております。SIAF2017の企画につきましては、現在、大友ゲストディレクターが中心となって、私ども事務局とも話し合いをしながら固めていっているところですけれども、地元の文化関係者を巻き込んでいく取り組みの一つとして、一緒につくろう芸術祭公募プロジェクトというものを実施することにしております。  具体的には、道内の団体や個人が次回芸術祭の開催期間中に札幌市内で開催する展覧会やイベントなどを広く募集いたしまして、応募のあったプランから5件から10件程度を選定したいと考えており、これらを芸術祭の公式事業として位置づけて実施までサポートしていこうといったプロジェクトでございます。この公募プロジェクトを通じまして、地元の文化関係者の皆さんと一緒につくり上げる芸術祭というものを実現してまいりたいと考えております。  また、このプロジェクトにとどまらず、他の事業におきましてもできる限りさまざまな関係者に情報を提供していくなどして、参加を促す取り組みを進めてまいりたいと考えております。 ◆林清治 委員  今、答弁があったとおり、地元の文化関係者とのかかわりについてしっかりと考えていかなければいけないと思いますし、まさに、大友氏が記者会見やパブリックミーティングで言われていたとおり、一緒につくろう、これがコンセプトとして今後は大事になってくるのかなと思っております。テーマは「芸術祭ってなんだ?」ということですから、地元の芸術関係者も市民も、そして市役所もみんな一緒に考えていくことが大事なことなのかなというふうに思っております。  次に、前回の芸術祭に合わせてオープンしたさっぽろ天神山アートスタジオについてお伺いしたいと思います。  この施設は、市内を初め、国内外のアーティストが札幌に滞在しながら創作を行うアーティスト・イン・レジデンス型のスタジオと、市民とアーティストが交流できる機能をあわせ持つ施設として、一昨年の5月にオープンし、特に昨年度の芸術祭期間中は大いに活用されたと聞いております。  そこで、次の質問ですが、間もなくオープンから2年余を迎えようとしている天神山アートスタジオについて、1点目は今年度の利用状況等がどのようになっているのか、また、2点目として次回芸術祭に向けた活用について、2点お伺いします。 ◎熊谷 国際芸術祭担当部長  天神山アートスタジオに関して、利用状況、それから、次回芸術祭に向けた活用というご質問についてでございます。  1点目の現在の利用状況でございますが、夏のハイシーズンである8月は、芸術祭が行われた前年度並みの70%を超えるような稼働率となっております。また、芸術祭終了後の冬場は利用が低調だったのですが、ことしの冬については、大幅に稼働率が向上している状況でございます。年間を通してみますと、ことし2月末までの稼働率は、滞在スタジオが51.7%、交流スタジオは26.7%となっておりまして、芸術祭のあった昨年度と比べますと、滞在スタジオでは同程度の水準を維持し、また、交流スタジオはおよそ2倍となっております。  また、利用実態としましても、国内外に向けて対外的なPRに努めました結果、今年度は18の国と地域から昨年度のほぼ倍となる46人の外国人アーティストが来札いたしまして、札幌でのリサーチや作品制作などを行ったほか、市民の皆様とさまざまな交流の機会も設けられたところでございます。  さらに、今年度は、子どもたちを対象としたアートキャンプや、滞在中のアーティストと来館者が気軽に触れ合うアート&ブレックファスト、これは朝ごはんという意味ですが、そういったイベントを開催しました。延べ3,600人の市民がアーティストとの交流などを楽しんだところでございます。また、地域との交流も進んでおりまして、ことしも南平岸地区のまちづくり会との共催で天神山文化祭を開催したほか、豊平区と連携して天神山スポーツバイキングというイベントを初めて実施されたこともありました。  次に、2点目の次回芸術祭に向けた活用についてでありますが、さっぽろ天神山アートスタジオの機能を最大限に活用したSIAF2017アーティスト・イン・レジデンスプロジェクトというものを展開することとしております。このプロジェクトは、次回芸術祭の出展アーティストが札幌に長期的に滞在し、作品制作を行っていくものでございます。このプロジェクトの実施によりまして、より札幌の地域特性を生かした作品が制作され、地域の魅力の再発見などにつながることが期待できるほか、長期の滞在の中でリサーチや作品制作に市民がかかわることとなり、市民の皆さんと共同した作品の制作が実現できるのではないかというふうに考えております。 ◆林清治 委員  ただいま答弁いただいた天神山アートスタジオについては、ぜひ、地元の方々との交流を大事にしながら、その存在感を高めていってもらいたいと思います。今の答弁にあったとおり、豊平区での活動、また、さまざまな活動もございますが、しっかりと実行していっていただきたいと思います。  これまで、芸術祭と市民や地元関係者、そして施設とのかかわりについて伺ってきましたが、いよいよ開幕が来年の夏に迫り、今後、本格的に準備が動き出すのかなと思います。  そこで、次の質問ですが、開幕までに既に1年半を切っている状況で、次回の芸術祭に向けた市民の機運醸成について具体的にどのように取り組んでいくのか、お聞きしたいと思います。 ◎熊谷 国際芸術祭担当部長  次回芸術祭に向けた機運醸成についてのご質問でございます。  市民の皆さんとともにつくり上げる芸術祭を実現するために、2017年の本祭につながる六つのプロジェクトをこの春から順次スタートさせていきたいと考えております。先ほどご答弁申し上げましたが、一緒につくろう芸術祭公募プロジェクトのほか、例えば、中・高生を中心に楽器演奏の経験の有無を問わないオーケストラを編成し、ワークショップを重ねて2017年での公演を目指すさっぽろコレクティブ・オーケストラなどのプロジェクトをこの春から順次スタートさせていきたいというふうに考えております。  また、札幌市資料館を活動拠点としているSIAFラボという活動がございますが、こちらでは、自然や歴史などさまざまな札幌らしさを探るSAPPORO STUDYや、アートの現場の第一線で活躍する人たちを紹介するトークイベント、あるいは、現代アートの作品展示などを実施してきたところでありまして、新年度につきましても、さらにこれらを発展させる取り組みを進めてまいりたいと考えております。  さらに、今後のイベントといたしましては、ことし8月には、ちょうど開催1年前となりますが、そのプレイベントとしてさっぽろ八月祭を開催するほか、大友ゲストディレクターがより詳しく事業内容を発表するとともに、再びパブリックミーティングを開催する予定でございます。また、来年2月には、雪まつりや冬季アジア大会の開催に合わせたPRイベントなども実施してまいりたいと考えております。また、これらの事業につきましては、ワークショップなどの制作過程も公開していくことを通じて、市民の皆さんの関心を高めながら、来年夏の開幕に向けて機運を醸成してまいりたいというふうに考えてございます。 ◆林清治 委員  今、答弁いただいたとおり、この4月から三つのプロジェクトが動き出していき、SIAFラボの動きもさらに活発になり、そして、プレイベントの開催や、ほかのイベントとのコラボも動き出していきまして、まさにこれから機運の醸成が進んでいくのかなと思います。今まで議会の中でさまざま議論されているように、市民のかかわりをつくる、そして、地元のアーティストの参加を促す、多くのお客様に来ていただくなど、この準備期間を生かして盛り上げていかなければなりません。テーマのとおり、「芸術祭ってなんだ?」と。大友氏が言うように、さらに芸術、国際、札幌などについても考えていき、祭りを通して市民一人一人が参加し、結論を考えていくということは、大変おもしろいことだなと思っております。さらに、機運の醸成のためには、SIAFラボの活動も大事ですが、先ほど質疑した天神山アートスタジオの施設も有効に活用していただきたいし、ましてや、芸術の森などのさまざまな場所をこれからも活用していただきたいと思っております。  このように大きなイベントは、本当に2回目が大事であるとよく言われております。この2回目が成功することが、3回、4回とさらに期待感が高まり、そして、大きなイベントとして育っていくことになるのかなというふうに思います。そうした意味でも、これから残された期間、大友氏をバックアップして、市内のあらゆるイベントや施設を利用して今後の機運の醸成に努めていただくことを求めて、質問を終わります。 ◆小口智久 委員  私からは、写真文化の振興についてお伺いいたします。  札幌のまちづくりは、写真の技術が日本に普及し始めたころに進められてきたことから、開拓当初からのまちの発展の記録が写真として残っている大変珍しいまちだと言われております。こうした背景から、他都市では余り例のない写真専用の施設としてサッポロファクトリーのレンガ館の中に写真ライブラリーという施設がありましたが、行政評価で指摘を受けたことを契機に、2010年1月末をもって閉館となりました。  常設の写真専用施設はなくなりましたが、2011年9月には、地下歩行空間と北1条地下駐車場をつなぐ地下通路に、常設の写真展示場である北一条さっぽろ歴史写真館が整備されました。私も、先日、この歴史写真館を見てまいりましたが、現在は定山渓をテーマとした写真が展示されており、写真を通して、かつての札幌の生活や風景をかいま見ることができ、改めて写真文化の魅力や重要性を再認識したところです。また、あしたからは、路面電車をテーマに展示がえを行う予定と伺っており、札幌市民の一人として非常に楽しみにしております。  写真というものは、その時代の歴史や風俗等を記録する従来の役割に加え、デジカメが普及してきた今日では、SNSなどにおいてコミュニケーションツールにもなるなど、さまざまな魅力をあわせ持っていると思います。単に人物や風景などを記録するだけでなく、撮る人にとって、そのときの感情や感動を一枚におさめ、写真を通して後世にそのことを伝えるものであります。私は、そうした意味からも、写真の持つ役割と魅力、そして可能性を子どもたちの世代にも伝えていく必要があると思います。  そのためにも、写真文化の振興については、その拡充に向けて改善していくことが必要なのではないかと考えます。先日伺いました北一条さっぽろ歴史写真館は、上田前市長の時代に開設されたものでありますが、定期的にテーマを変えて展示がえを行っているものの、写真館の意義や思いが記されている1枚目のパネル、市長の言葉が、いまだに上田前市長のものでありました。このことは、一つ一つの文化事業がしっかりと評価、検証されているのかどうか、疑問を持ってしまう一例なのではないでしようか。  そこでまず、1問目の質問は、札幌市の写真文化の振興について、これまでどのように市民意見を把握してきたのか、また、秋元市長が就任し、約1年を迎えますけれども、改めて、市民の声を聞きながら事業のあり方について評価、検証を行い、事業に反映させる必要があると考えますがいかがか、伺います。 ◎川上 文化部長  これまでどのように市民意見を把握してきたのか、また、事業のあり方について評価、検証を行い、事業に反映する必要があるのではないかというご質問にお答え申し上げます。  まず、本市におきましては、効果的な文化芸術施策を展開していくために、文化芸術に対する市民の関心度やニーズ等を広く把握することを目的に、5,000人の市民を対象とした文化芸術意識調査を実施しているところでございます。この調査は、平成23年度に初めて実施したものでございますが、市民意見をきめ細かく把握し、適宜、文化芸術施策に生かしていこうという考えのもと、平成26年度に続き、市長が就任いたしました平成27年度以降、毎年実施する予定でございまして、この調査結果を踏まえて事業の評価、検証を適宜行ってまいりたいと考えているところでございます。  そこで、直近で行いました平成27年度の調査結果を見ますと、他都市よりもすぐれていると考える文化芸術分野は何かという質問に対して、約20%の市民の方がクラシックやミュージカルと答えたのに対しまして、写真と回答した市民は全体の5.2%という結果になっております。一方、今後、力を入れるべき分野は何かという質問に対して写真と回答した市民は、さきの質問の回答よりも多い10.4%であり、市民の約10人に1人が写真文化の振興を期待していることがわかる結果となったところでございます。  私どもといたしましては、この調査結果を踏まえながら、今後とも本市の特徴を生かした写真文化の振興について検討を続けてまいりたいと考えているところでございます。 ◆小口智久 委員  今のご答弁の中から、調査の結果、市民の写真文化に対する期待は一定程度存在し、また、期待も大きくなっていっていることがわかりました。また、市長の言葉については、速やかに秋元市長の思いが記された新たなものに直すように求めておきます。  東日本大震災のあの悲劇からはや5年がたちましたが、震災直後から今もなお活動が広がっている写真でつながるプロジェクトというものがあります。これは、津波に流され、水や泥で汚れた写真を回収、洗浄し、持ち主に返すという取り組みです。持ち主の手元に戻ることはなかなか難しいようですが、受け取ることができた持ち主からは、津波で失われたまちの風景が写る写真は、そのまちで生きてきたことのあかしであり、復興の支えになる、写真は一番の思い出、宝物になったなどと大変喜ばれているという話を聞きました。  写真の役割は、まちの歴史や都市の発展を記録し、後世に伝えゆくというアーカイブ機能にとどまりません。東日本大震災の被災者の皆さんの例のように、写真を見て思い出がよみがえり、心の支えになるなど、写真にはまさにその人の生きざまのようなものがあらわれる大切なコミュニケーションツールの一つとも言えます。私は、ぜひ、このようなさまざまな魅力や可能性を持つ写真のすばらしさを子どもたちに伝えることで、写真を愛好する市民の裾野を広げ、市の写真文化の振興につなげていくべきではないかと思います。  そこで、2問目の質問ですが、人材育成という観点から、子どもを対象とした写真文化の振興について、これまでどのように取り組んできたのか、また、今後のお考えを伺います。 ◎川上 文化部長  子どもを対象とした写真文化の振興について、これまでどのように取り組んできたのか、また、今後の考えはというご質問についてお答え申し上げます。  私どもは、平成19年度から、写真関係団体の協力をいただきまして、さまざまな子ども向けの体験教室やワークショップを実施しておりまして、直近では、昨年12月に市内の小学5年生、6年生を対象に子ども向け写真教室「札幌の古を探る」というワークショップを開催したところでございます。この教室では、先人たちが写真に残した札幌の歴史的な場所をバスでめぐりながら、子どもたちが実際に一眼レフカメラを手にとって写真を撮る基本などについて、楽しみながら学んだところでございます。このように、子どもたちが写真の撮影から展示までの一連の流れを気軽に体験できる機会を提供いたしまして、将来の写真愛好家の育成、あるいは写真文化の振興にもある程度寄与できたのではないかというふうに考えているところでございます。  今後につきましても、札幌市文化芸術基本計画に施策として掲げている多様な文化芸術に親しむ機会の提供といった観点から、引き続き、子どもを対象としたさまざまな事業を展開してまいりたいと考えているところでございます。 ◆小口智久 委員  子ども向け写真教室のような子どもを対象とした事業は、人材育成という観点からもぜひ続けていってほしいと思います。  他市の写真文化に関する事業を見てみますと、例えば、道北の東川町では写真文化によるまちづくりが行われており、関東の相模原市では総合写真祭、フォトシティさがみはらというイベントが開催されております。  私は、札幌市においても、写真文化振興施策の拡充という観点から、例えば国際芸術祭やアートステージなどの既存のイベントや、市民ギャラリーなどの既存施設と連携することなどにより、子どもを対象とした写真コンテストのような事業が実施されることを要望して、私の質問を終わります。 ◆こんどう和雄 委員  我が自民党会派から、博物館活動センターと博物館建設にかかわる進捗状況について、思いのたけを話して質問させていただきます。  まず、1点目は、博物館活動センターについてお伺いします。  博物館活動センターは、博物館の開設準備施設として平成13年に開設し、これまでに札幌市内豊平川で発見された820万年前の世界最古の大型海牛であるサッポロカイギュウの化石の研究成果を初め、地道な研究活動を続けており、これこそまさに博物館建設推進の原動力になるのではないかということで、我が会派は今日までしっかりと応援してまいりました。  先日、取り壊しが決まりました博物館活動センターは、中央区のリンケージプラザから、今度は私の住んでいる豊平区平岸5条15丁目に移転しなければならないということから、私は、引っ越し中であったにもかかわらず、平岸の新しい施設を訪ねてみました。ところが、使われなくなった施設を少し改修した程度で、本市の博物館建設を担う施設としては全くと言っていいぐらい粗末なもので、わかりやすく言うと単なる倉庫ではないかというのが私の印象でございます。また、最寄りの地下鉄南平岸駅から徒歩12分のところにありますが、自分は平岸で生まれ育ったのである程度はわかっていましたけれども、ここに移ったことも初めて知りましたし、場所もわかりにくく、札幌市を代表する博物館活動センターとして多くの市民に利用してもらえる施設と言うにはほど遠いと断言できるのではないかと思います。  私が行ったところ、南平岸駅で地下鉄をおりて、少し行った信号機のところから長く上り坂になっています。平岸霊園のお墓がずっと東側にありまして、その登り切ったところには、子ども発達支援センターかしわ学園があり、さらにはひまわり整肢園があります。そして、信号機を越えたその先には、平岸高台小学校、平岸高校がございます。私は、2回行きましたけれども、ここなのかという印象です。  私は、先月の2月15日、16日の2日間にわたり、一日も早い博物館建設を願う我が会派の議員6人とともに、いのちのたび博物館と呼ばれている北九州市八幡にある北九州市立自然史・歴史博物館を視察いたしました。その壮大なコンセプトと申しますか、展示と施設のすばらしさに、そこに行った議員の先生方も非常に感動して帰ってきました。日本国内はもちろん、アメリカ等の世界各国から収集された展示物が、来館された一人一人に満足感と感動を与えていたのが大変印象に残っております。説明をお聞きいたしますと、いのちのたび博物館も、仮設の施設でスタートして、開館まで多くの年月を費やし、その間、熱心な調査研究などの事業はしっかりと続けられ、その成果がすばらしい博物館建設に結びついたということをお聞きして帰ってきました。  ところが、似たような状況にある本市の博物館活動センターは、施設も残念ながら十分ではなく、人材と申しますと、学芸員がお2人で、さらには、博物館を応援していただけるボランティアの方も札幌の場合は少人数でありまして、人員配置の面でも大変貧弱な状況です。このままでは本当に札幌に博物館が建設されるのかどうか、それに結びついていくのかどうか、私も我が会派も大変疑問に思っている次第です。  そこで、お伺いいたします。  今回の博物館活動センターの整備状況は、博物館開館の準備施設としては余りにはお粗末という感じがいたしますが、このことをどのようにお考えなのか、まず、お答えいただきたいと思います。 ◎川上 文化部長  今回の博物館活動センターの整備状況についてどのように考えているのかというご質問についてお答え申し上げます。  博物館活動センターにつきましては、平成13年度に博物館開館に向けた準備施設として開設され、これまで、調査研究とその成果の発信や、ボランティアを初めとする市民活動の展開といったソフト事業を中心にその成果を蓄積してきたところでございます。このたびの博物館活動センターの移転は、平成13年から入居しておりましたリンケージプラザのある旧市立病院跡地の土地交換に伴いまして、やむを得ず移転を余儀なくされたものでございまして、あくまでも博物館開館までの暫定的なものであると認識しているところでございます。  そのため、このたびの移転整備に当たりましては、これまでの研究活動や寄贈等によって収集した貴重な資料のための収蔵庫の整備、また、市民活動のためのスペースの確保を目的とした必要最低限の改修工事にとどめたところでございます。しかしながら、整備された施設の内容が十分とは言えないことは、ただいま委員から厳しくご指摘を受けたとおりでございます。
     我々といたしましては、新たな場所におきまして、隣接する平岸高台小学校を初めとする地域の学校との連携、あるいは、広報やPRの充実を図りながらソフト事業をしっかりと積み重ね、その成果を来るべき博物館開館に向けて蓄積してまいりたいというふうに考えているところでございます。 ◆こんどう和雄 委員  博物館活動センターはどうしてもやむを得ずリンケージプラザから移ること、それから、博物館ができるまでの暫定施設であることはわかりました。その視点から、今回の移転に当たっては、大きな投資をして施設の整備は行わなかったことは十分わかりました。しかし、そういう思いを持って整備したというならば、もっと文化部が頑張らなくてはいけないのではないかというのが私どもの考えでございます。ハードの足りない部分をカバーするのはソフトであります。ソフト事業で何をするか、汗をかいていただいて、しっかりと真剣にお考えいただいていると思いますけれども、さらに、いろいろな形で困難な部分も結実していくという気持ちもしっかりと持っていただきたいというのが私どもの思いでございます。そうしなければ、札幌に博物館建設ということはなかなか結びつかないのではないかと思っております。川上文化部長は大変しっかりとお仕事をやっていただいておりますが、いま一度、この博物館について熱く燃えていただきたいと思っております。  次に、2点目ですが、博物館建設の進捗状況等についてお伺いします。  博物館の建設は、札幌の新たな魅力を創出することにつながる事業として、また、札幌の一番大事なこととして、未来を担う子どもたちにとって大変貴重な財産であるということは言うまでもありません。大きな期待を寄せてきたところであります。  私ごとで大変恐縮ですが、私は、かつて信託銀行時代にいろいろな都市に転勤になりました。転勤先に行くたび、着任後は必ずそのまちの博物館に見学いたします。そのまちにある博物館は、展示物である貴重な資料から、そのまちの歴史、文化、伝統、あるいは、そこで暮らしている住民の生活様式を手にとるようにつぶさに学ぶことができます。そのことによって、そのまちが大好きになったり、少しでもこのまちを理解しようという気持ちにもなってまいります。それがつながり、仕事の上でも取引先との人間関係が非常によく築かれて、仕事も順調に行くようになりました。これは、そう言い切って間違いのない事実です。博物館は、申し上げるまでもなく、まちの貴重な財産であり、宝物なのですよ。  私がいのちのたび博物館の視察に行って感じたことは、いまだに我がまち札幌には博物館がないことです。全国の政令市の中で博物館がないのは、札幌市を含めてわずか3市だけでありまして、このことが非常に残念でなりません。いのちのたび博物館は、国内有数の非常にレベルの高い博物館であります。昨年は、何と年間62万人以上の方が来館されて、集客力が高く非常に魅力ある施設であることは間違いのない事実であります。私は、札幌の博物館はこれに負けないものになっていただきたいし、札幌市にはそういう博物館があるべきだと思います。  そして、いのちのたび博物館は、家族と行きたい博物館という中で全国で2番目になっております。  札幌の博物館構想は、昭和61年から、行革による建設凍結を含めて、建設に至るまで非常に長い時間と紆余曲折がございましたけれども、昨年3月、多くの専門家も参加して、博物館にかける思いが詰まった(仮称)札幌博物館基本計画が策定されました。これでようやく念願の博物館建設が進むということで、我が会派は大変喜んでおりました。ところが、その後、建設地もいまだ決まらないということで、進んでいる感じはしますが、再び足踏みをしてしまっているのではないかと強く感じます。  そこで、質問ですが、現在の博物館整備の進捗状況と、今後、博物館整備に向けてどのようにお話を進めていこうとしているのか、お考えをお聞かせ願いたいと思います。 ◎川上 文化部長  現在の博物館整備の進捗状況と、今後、どのように博物館整備に向けて進めていく考えなのかというご質問にお答え申し上げます。  昨年3月に策定いたしました(仮称)札幌博物館基本計画を受けまして、札幌市まちづくり戦略ビジョン・アクションプラン2015の中で、(仮称)札幌博物館整備推進事業を盛り込んだところでございます。これによりまして、まず、本年度は、今後の博物館整備に向けた展示や事業活動の基本的な枠組みを整備するとともに、施設整備や運営手法の参考となる先進事例の収集を進めまして、(仮称)札幌博物館展示事業活動基本スキームの内容のおおむねの取りまとめを終えたところでございます。  この後、博物館整備の具体化に向けましては、まず、平成28年度、29年度の2年間で展示内容や事業活動の詳細について検討、立案し、展示事業基本計画として策定する予定でございます。続いて、平成30年度、31年度の2年間で、必要となる諸室の内容や施設構成を検討、立案いたしまして、これを整備基本計画として策定し、博物館の整備に向けて順次進めていきたいと考えております。  先ほど申し上げました平成28年度から策定に着手する展示事業計画につきましては、私どもは博物館整備の根幹となる計画であると認識しておりまして、並行して建設地に関する議論も行いながら、計画策定に向けてしっかりと検討を進め、着実に博物館整備の具体化に結びつけてまいりたいというふうに考えているところでございます。 ◆こんどう和雄 委員  アクションプラン2015にも盛り込まれているのは、私も確認しております。今、部長から、札幌にふさわしい博物館のありようをしっかり検討していくという心強い答弁でございまして、建設に向けた計画策定についてもしっかりと検討を続けると理解させていただきます。  さきの代表質問において、我が会派の小竹議員も質問いたしました。私は、ここで、ぜひともスピード感を持って検討をしっかり進めていただいて、そのためには、早く建設地を決めていただき、博物館建設の道筋を早期につけることが最も重要だと思います。このことについては、私から指摘させていただきますが、その上で、札幌博物館の建設候補地としての案が出ております。一つ目は札幌駅、大通駅の周辺都心部、二つ目が札幌駅から大通西11丁目周辺地域、三つ目が閉鎖、解体予定のさっぽろ芸術文化の館ということで、この三つが(仮称)札幌博物館基本計画でも候補地になっております。  ただ、博物館建設には、一方では建設費という大きな財政面の課題もありまして、まだまだ多くの困難が待ち受けているのではないかと思います。だからこそ、担当する文化部の皆様が一番熱く燃えていただいて、市役所全体を巻き込み、もっともっと積極的に議論を重ねていただいて、先ほど申し上げた困難をぜひ乗り越えていただきたいと思っております。その熱意があれば、財政局も動かすことができるのではないかと思います。きょう、一番後ろの席に財政課の加藤課長が座っていらっしゃいます。その課長にも熱意が伝わればありがたいなと思います。  それでは、最後になりますが、この博物館建設に係る熱い思いや意気込みを、誰よりもわかりやすく、小西局長にぜひ語っていただきたく思います。 ◎小西 観光文化局長  札幌市の博物館整備につきましては、昭和61年に検討が開始されて以来、途中、平成9年の行財政改革推進計画による建設計画の凍結を経つつ、その後も内部的に検討を重ねまして、昨年3月の(仮称)札幌博物館基本計画の策定によってようやく博物館整備に向けて第一歩を踏み出したところでございます。これまでさまざまな困難を乗り越えて博物館整備の検討を続けてくることができましたのも、博物館に対するこんどう委員の熱い思いを初めとして、博物館を求める多くの市民の声に支えていただいたからこそであると認識しております。  委員がご指摘のとおり、今後も、展示や施設整備の内容、立地場所など整理していかなければならない課題が山積していることは十分に理解しておりますが、さまざまな課題を一つ一つ乗り越え、博物館整備の早期実現に向けまして、市民の期待に応えられますよう、しっかりと検討、議論を重ねてまいりたいと思っております。 ◆こんどう和雄 委員  小西局長、ありがとうございました。  他の都市の博物館に劣らないと申しますか、道都札幌を象徴するすばらしい博物館の建設を一日も早く実現することを心から期待しております。このままでは、博物館活動センターに眠っている化石に大変申しわけないと思っております。その前に、小西局長、私も化石になってしまいそうで大変危惧しております。そういうことで、余り要望したことはありませんが、この博物館に限っては、全議員も賛成していると断言できると思いますので、ぜひとも、すばらしい未来の博物館の建築を早期に行って、化石にならないようにお願いしたいと思います。 ◆桑原透 委員  私から、6月20日にリニューアルオープンいたします豊平館について、何点かお伺いいたします。  札幌市では、2009年からの有識者の検討を経て、2012年から4年間かけて豊平館の保存・活用工事を実施しました。私は、先日も現地を見てきました。まず、目に飛び込んできたのは、縁取りに使用しているウルトラマリンブルーの色でした。これは、幸せを呼ぶ宝石のラピスラズリからつくられた高貴な色だそうです。今回の工事は、附属棟を新設し、エレベーターを設置し、バリアフリー化を図ったほか、その附属棟に事務室や多目的トイレなど、後から追加された機能を移設するなど、明治時代に建設された豊平館を可能な限り当初の状態に復元したと聞いています。国指定重要文化財である豊平館が今回の工事によって文化財としての価値が高まり、適切な形で次世代に引き継がれていくことは、大変喜ばしいと感じています。  一方、豊平館の使われ方についてですが、豊平館が結婚式場をメーンとして多くの市民の門出を祝ってきたことは、多くの方がご承知のことと思います。この間、並行して文化財施設としての公開も行っていたようですが、婚礼事業を優先し、多くの部屋を婚礼専用に割り当てたため、観覧に来られた方が豊平館を十分に見ることができない状態でした。そこで、今後は、文化財公開を第一とした活用を基本として、その上で、婚礼行事にこだわらず、市民利用施設として活用することを基本方針に掲げ、運用方法の変更を行いました。重ねて、以前は無料であった観覧料ですが、小・中学生は無料とし、それ以外の方は300円として徴収する形の変更も行いました。  そこで、質問ですが、これらのことは、2014年に設置された札幌市豊平館修理整備等検討委員会において検討し、決定したものだと思いますが、どのような議論を経て変更することになったのか、まず、お伺いいたします。 ◎川上 文化部長  検討委員会でどのような議論を経て変更に至ったのかというご質問についてお答え申し上げます。  札幌市豊平館修理整備等検討委員会では、委員会が設置されました前年に当たる平成23年に策定いたしました豊平館保存活用基本計画に基づきまして具体的な活用方法を議論してきたところでございます。この基本計画では、観光資源として地域経済に生かす文化財の公開を第一とした活用を基本的な考え方としているところでございます。このような考え方のもと、検討委員会ではさまざまな意見が出されたところでございます。  主な意見をご紹介申し上げますと、例えば、公開第一の施設として多くの方に興味や関心を持って観覧していただける環境をつくるため、豊平館の歴史や価値を学ぶことができるよう展示を充実させるべきである、あるいは、観覧にふさわしい良好な環境を整備することなどを踏まえると、受益者にある程度の負担を求めてもいいのではないか、また、豊平館を積極的に見せていくとともに、結婚式などこれまで同様に晴れの場として利用できるよう、夜と昼の使い方に工夫があってもよいのではないかといった意見が交わされたところでございます。  こうした議論を経まして、平成27年第2回定例市議会におきまして、昼間は観覧施設、夜間は貸し室施設とすること、また、観覧料を設定することなどを内容とした条例改正を行ったところでございます。 ◆桑原透 委員  今までの貸し室だけではなく、広く観覧いただく使い方に変更したということで、全く異論はありません。ただ、個人的には、300円を払って一体どのぐらいの方が来館してくれるのか、これがちょっと心配なところであります。  リニューアル後の豊平館の目標観覧者数は年間2万1,000人とお聞きしていますが、休館前の2011年は1万2,893人でしたので、かなり大きな目標を掲げられています。立地条件も考えますと、文化財や歴史的建造物に興味のある方は別として、手間をかけて行って、なおかつ観覧料を払う方がどれだけいるかと思うと心配です。  そこで、質問ですが、今回、多くの方が来てもらえるよう、展示等においてどのような工夫をしたのか、お伺いいたします。 ◎川上 文化部長  展示等の工夫についてのご質問にお答え申し上げます。  まず、このたびの改修では、豊平館が持つ文化財の価値を高めるため、建設当初の間取りとするなど、可能な限り豊平館内部の復元を図ったところであり、建物そのものを見ていただくことが展示要素の大きな一つであると考えております。  また、明治天皇が行幸に当たって滞在されましたお部屋、天皇御座所でございますけれども、これを当初のしつらえに再現した展示に加えまして、大型モニターなどにより、豊平館が建築された当時の背景から、結婚式場として利用されてきたこれまでの歴史を紹介する予定でございます。また、スマホやタブレットなどの画面を通して、現実にはない物体が見えるバーチャルリアリティー技術の一種であるAR技術を活用して室内の解説などを行う展示も予定しております。  さらに、結婚式場として使われていた当時の様子や、これまでの改修工事の記録などにつきましても、部屋の壁面の白さを生かし、その壁面へ映像を映すことで来館者が興味を持って楽しく観覧できるような展示の工夫もする予定でございます。 ◆桑原透 委員  新しい技術も取り入れ、魅力的な展示を工夫されるということです。白い壁面を生かして映像を投影して展示が行われるということですが、部屋の内部だけではなく、あそこにはすばらしい廊下があります。最近、さまざまな場所でプロジェクトマッピングをやっていますが、これは、映すだけではなく、今、いろいろな使われ方もしておりますし、料金も大分安くなっていますから、私はかなりいいものができるのかなと思っておりますので、検討の余地があるのではないかなと思います。想定している展示によってオープン当初は物珍しさで人も集まると思いますが、何度来ても同じでは、やはり飽きてしまうなと思います。  そこで、質問ですが、2年目、3年目と安定した入館者数を維持するためには、季節ごとのイベントや他文化財施設との連携など、いろいろな視点から豊平館の魅力を伝える方法やリピーターをふやす事業展開が必要になります。この点についてどのように考えているのか、お伺いいたします。 ◎川上 文化部長  リピーターをふやす事業展開についてのご質問でございます。  私どもも、オープン後も継続して来館者数を維持していくことが大きな目標でございまして、そのためには、ご指摘のとおり、リピーターを確保することが重要であるというふうに考えております。  リピーターをふやす事業展開につきましては、現在の指定管理者である株式会社NTTファシリティーズ北海道とともに検討中ですが、今のところ、例えば、豊平館の歴史に関する講座の開催、また、豊平館を題材としてお子さんなどを中心とした写生会の開催、あるいは、歴史的な雰囲気を感じる空間での音楽鑑賞会など、さまざまな事業の実施を想定しているところでございます。また、期間限定にはなると思いますが、ふだんごらんいただけない地下室にある資料の見学ツアーとか、あるいは、同じ中島公園内にある国指定の重要文化財の八窓庵と連携した見学会など、さまざまな取り組みによって集客の確保に努めてまいりたいと考えているところでございます。 ◆桑原透 委員  最近、中島公園を見ていると、外国の方がかなり来ているというふうに思います。あれは、やはり、今のSNSとかインターネットを見ながら、私たちが行かないようなところを回るツアーもあると聞いています。ぜひ、そのあたりも取り入れていただければ、いろいろな部分で豊平館の魅力が発揮されると思っていますので、よろしくお願いします。豊平館の歴史の講座やイベントを開催しながら来客を見込むということですが、ぜひ実になる企画を検討していただきたいと思います。  さて、昼間の活用方法についてはお伺いしましたが、次に、夜の使い方についてお伺いいたします。  夕方5時以降は貸し室として専用利用するための時間帯とのことですが、どのような用途に利用されることを想定しているのか、お伺いいたします。 ◎川上 文化部長  夜間の利用のされ方についてお答え申し上げます。  リニューアル後の豊平館の活用といたしましては、先ほど申し上げましたが、昼間は多くの人に自由に観覧して楽しんでいただくことを予定しております。また、夜間につきましては、広間を初めとする五つの部屋を貸し室として提供いたしまして、例えば、音楽会、さらには婚礼、講演会から小規模な会議まで、大きさに応じて活用していただくことを今のところは考えております。  また、夜間利用者に対する飲食の提供も予定しておりまして、現在、指定管理者との間でその具体的な内容について協議を詰めているところでございます。 ◆桑原透 委員  夕方5時というのはちょうど昼間の利用と夜の利用が重なる時間ですが、貸し室としてあけなければだめな部屋もあるということです。このタイミングも含めて、私もどのようにやっていくのかちょっと疑問なのですが、そこは指定管理者といろいろ検討していただいて、余りみっともない格好にはできないと思いますので、その点についてはぜひお願いします。  また、飲み物などの提供については、これから指定管理者とも考えていくようですが、恐らく、飲食は管理棟でしかできないのかなと思っています。豊平館の中に入って飲みながら歩くことはまず無理だと思いますから、そのことも検討が必要だと思っています。また、中島公園という立地を生かして、前にもやっていましたが、夏の期間限定で外でカフェやビアガーデンを行うと人を呼び込むことになると思いますので、ぜひこのあたりも検討をお願いしたいと思います。それから、冬については、雪も多くてなかなか行く方もいないのかなと思いますが、そのあたりも検討が必要なのかと思います。さらに、せっかくつくった厨房ですが、なかなか生かせないのが現状なのかなと思います。厨房を借りるとかなりの使用料が発生するので、そこと組んでやるのはなかなか難しいのも現実だと思います。しかし、せっかくある施設ですからいろいろな使い方もできると思いますので、ぜひ検討していただきたいと思います。  続いて、市民への周知についてお伺いいたします。  これまで、市営結婚式場として多くの方に利用されてきたとはいえ、豊平館は、時計台に比べてまだまだ認知度が低いのではないでしょうか。今後は、集客交流資源として活用していくということですから、より多くの方に豊平館の存在を積極的にアピールしていく必要があると思っています。  一方で、これまでも豊平館を利用されて親しんできた方も多くいらっしゃると思います。豊平館は4年間の長期にわたって休館しておりますが、このような市民の方々は、工事が終わったらまた利用しようとその再開を心待ちにしていると思いますけれども、再開後も、これまでと同様に、昼夜を問わずに部屋を借りたり結婚式を行えると思っていらっしゃる方がいるかもしれません。昼間は観覧施設、夜は貸し室施設と時間帯によって用途を変えるなど、使い方はこれまでと大きく変わるわけですから、その内容を十分に周知する必要があると考えます。  また、オープンの日である6月20日の翌日6月21日から、一般観覧に加えて貸し室を開始すると聞いております。市のホームページによると、3月より貸し室の仮予約を開始されているようですが、まだまだ周知されているとは言いがたい状況にあると思います。4月からは指定管理者による管理運営が開始されますので、その後は指定管理者によるPRも行われると思いますが、豊平館の管理運営を軌道に乗せるためには市としても積極的に広報していくことが必要だと考えます。  そこで、質問ですが、オープンに向けてどのように広報していくのか、お伺いいたします。 ◎川上 文化部長  オープンに向けてどのような広報をしていくのかというご質問でございます。  豊平館のリニューアルにつきましては、先日、新聞でも紹介されたほか、ただいま委員からもお話がありましたとおり、現在、本市のホームページで貸し室の仮予約の案内を行っているところでございますが、4月1日から指定管理者による管理運営が開始されるのに合わせて本格的にPRを行ってまいりたいと考えております。  具体的には、ホームページはもちろんのこと、広報さっぽろで特集記事を掲載するほか、準備が整い次第、報道機関に対する現地説明会を設けるなど、報道機関のご協力をいただきながらPRをしていくことも考えております。このほか、指定管理者のほうでは、ホテルや観光案内所へのパンフレット配付など観光関係者へ向けた広報活動を行うことを予定しており、指定管理者と連携しながら積極的なPRに努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。 ◆桑原透 委員  オープンに当たってはさまざまな媒体を使ってPRされるということですが、初めが肝心であり、先ほども申し上げたとおり、年間目標観覧者数の2万1,000人を確保するためには、指定管理者に任せるだけではいけないと思います。集客を増加させる方策としては、例えば、ほかに駐車場を設置し、車での来場を呼び込む方法があります。豊平館には身障者用以外の駐車場はないと聞いています。積極的な観光客の受け入れという観点から、観光バスなどへの対応も必要かと思います。私としては、札幌市としてもっともっと力を注いでもらいたいと思います。  ここで、改めて、町田副市長にお伺いいたします。  豊平館がいよいよオープンし、これから本格的に運用を開始するわけですが、今後、集客交流施設として積極的に活用していくに当たっての意気込みをお聞かせください。 ◎町田 副市長  結婚式場として愛されてきた豊平館について、今回、観覧施設としての魅力を充実させてきたところでございます。委員のご指摘のとおり、多くの方々に来ていただくことが何より重要なことと認識しております。そのためには、まずは新たな出発となるリニューアルオープンに向け、指定管理者と協力しながらしっかりと準備してまいりたいと考えております。また、本日いただいたご提案を参考にさせていただき、リニューアルオープン後の豊平館の事業展開に向けて検討してまいります。  新年度には、文化部は市民文化局の所属となる予定でございますが、今後も、新たな経済観光局と連携して、豊平館の集客交流資源としての活用を図り、その魅力を多くの方々に知っていただくとともに、豊平館の持つ歴史・文化の価値を次世代に伝えていくため、文化財施設として適切に保存していくことが我々の使命であると決意を新たにしているところでございます。  先ほど、オリンピック・パラリンピックの招致について私としての決意を語らせていただきましたが、オリンピック・パラリンピックの招致となりますと、海外から多くのゲスト、賓客をお招きし、この札幌でもてなすことが必要になりますが、そういう場合にも、この豊平館というのは非常に貴重な場になるのではないかと考えているところでございます。 ◆桑原透 委員  副市長、ありがとうございました。  事業の完了まで9年間をかけましたが、豊平館は、ことしの11月には創建136年を迎える、非常に長い歴史を持つ建物であります。その中で、さまざまな用途に使われ、利用されて、多くの方の思いが詰まっている建物ですから、この施設が、これからもより多くの市民や観光客に親しまれ、将来にわたって貴重な財産として受け継がれて積極的に活用していかれるよう要望して、質問を終わります。 ◆石川佐和子 委員  私からは、札幌市の野外彫刻について伺います。  きょうは、答弁に当たりまして、みどりの施設担当部長と円山動物園長にお越しいただきまして、ありがとうございます。  札幌市におきましては、四季折々の美しい自然環境を背景に約650点の野外彫刻が設置され、そのうち、市が所有しているのは約380点と聞いております。札幌彫刻美術館友の会という野外彫刻の清掃や保全、解説等を定期的に行うなど、市の文化的財産を守る活動をされている市民ボランティア団体がありまして、以下、友の会と言わせていただきますが、友の会の調査によりますと、北海道全体ではブロンズ像が圧倒的に多いとのことですけれども、札幌においては、コンクリート像も多いのが特徴で、36点ほどあるということです。一つ一つがさまざまな経緯によって設置されておりますが、コンクリート彫刻の設置時期には波があって、1950年から1960年にかけて、札幌駅前、大通公園、中島公園などに本郷 新、山内壮夫、佐藤忠良ら札幌にゆかりある作家の作品が設置され、1970年代には学校の敷地に集中的に設置されましたが、以降は激減しているとのことです。  野外彫刻については、真駒内公園など札幌冬季オリンピックを記念した彫刻群、バブル期には駅前通や公園など身近な場所にも彫刻が設置され、大地を彫刻する夢を実現したモエレ沼公園や石山緑地など市内全域に舞台を広げ、また、彫刻美術館や芸術の森野外美術館なども市民が彫刻に親しむ機会を提供しております。  そこでまず、質問いたしますが、野外彫刻は、設置されたらそれで終わりというものではなく、札幌の歴史と文化を語り続けるものと考えますけれども、札幌市における野外彫刻をどのように捉えておられるのか、認識を伺います。 ◎川上 文化部長  札幌市における野外彫刻をどのように捉えているのかというご質問でございます。  委員がご指摘のとおり、札幌市が保有する野外彫刻は約380点ございますが、大通公園にございます泉の像のように札幌の顔となっているような彫刻から各学校の校庭等にある彫刻まで、その役割はさまざまであると考えております。恵まれた自然環境やまち並みと調和した本市の野外彫刻は、人々が集まる公園や広場のシンボルにもなるなど、市民や観光客に憩いや安らぎを与える札幌のまちの魅力を増す要素の一つであり、大切な財産の一つであると私どもは認識しているところでございます。 ◆石川佐和子 委員  札幌の美しい自然、まち並みに調和しているというご答弁でした。  私も、パブリックアートとしてまち中で彫刻を楽しむことができることは、札幌市のとてもよいところだというふうに思います。しかし、屋外に設置された作品は、積雪寒冷地という中、長く風雪にさらされ続けて、鳥のふんなどでも汚れ、特にコンクリート像は、経年劣化や腐食が進みやすいことから、著しい劣化や破損の状態にあるものが少なくありません。円山動物園正門前にある「よいこつよいこ」は、1952年に設置された札幌で最も古いコンクリート像ですが、塗装が剥がれ、内部がむき出しになっている痛ましい写真が昨年11月に新聞でも掲載されました。  ブロンズや花崗岩は数千年、大理石は数百年と、彫刻の耐久性は素材によって大きく異なり、コンクリートは50年くらいと言われています。この「よいこつよいこ」のほかにも、1962年に設置された月寒公園の永遠の像、中島中学校の前庭にある「協力」など50年を超えているものは11点ほどあり、破損、劣化が進み、大変痛ましい状況と聞いております。  こうした野外彫刻の現状把握や補修、保全等について、この間、議会でも議論があったと承知しておりますが、私は、抜本的な解決には至っていないと考えます。現状として、札幌市は、管理については、彫刻が設置されている場所の所管部局が維持管理を行い、情報は文化部で一元化し、芸術の森美術館と相談するなど相談記録票によるやり方にすると、2010年3月、一旦、整理したというふうに伺っております。  そこで、質問ですが、文化部では、野外彫刻の現状をどのように把握しているのか、また、十分な補修ができず、大変傷みが激しい状態になっている理由について伺います。  また、野外彫刻の維持管理は、野外彫刻を設置している施設や場所を管理している所管部局が担い、文化部がそれらの情報収集を行うとのことですが、2010年以降、相談記録票による所管や市民からの野外彫刻に関する設置、補修、撤去などの情報収集、問い合わせについて、また、芸術の森美術館との相談、助言の状況について、あわせて伺います。 ◎川上 文化部長  ただいまは大きく二つのご質問をいただきました。  まず、野外彫刻の現状をどのように把握しているのか、また、十分な補修ができず、傷みが激しい状況になっている理由についてのご質問でございます。  野外彫刻の現状につきましては、その管理を各所管部局が行っていることから、直近では、2013年から2年間にわたりまして文化部で全庁的な調査を行い、作品名、作家名、設置の場所、所管部局、損傷状況などについて把握を行ってきました。彫刻を設置した経緯はさまざまでございますが、寄贈を受けた際、その多くはあらかじめ作家または遺族にその保全や修復方針を確認していないため、その可否について改めて承諾を得る必要があること、また、修復技術を持つ専門家が少ないこと、さらには、修復に多額の費用がかかる場合が少なくないことなど、思うように修復が進まない状況になっているものと私どもは認識しているところでございます。  文化部といたしましては、先ほど申し上げました調査結果を踏まえまして、特に劣化の激しい作品につきましては、所管部局に対して計画的に修復を進めるよう、今後も引き続き働きかけを行ってまいりたいというふうに考えております。  続いて、2010年以降、相談記録票による所管や市民からの彫刻に関する設置、補修、撤去等についての情報提供、問い合わせ、それから、札幌芸術の森美術館との相談、助言の状況についてのご質問でございます。  野外彫刻の管理に関する取り扱いを定めた2010年以降、各所管部局からの情報提供や問い合わせは全部で17件ありまして、そのほとんどが彫刻の損傷状況や修復方法に関するものでございました。修復方法や修復可能な業者を教えてほしいという所管部局からの問い合わせにつきましては、いずれも札幌芸術の森美術館に相談して助言を受けてきました。美術館のほうからは、修復を行うには、まずその可否や方法も含めて作家または遺族の承諾が必要になるとの助言をいただき、また、彫刻の素材によっては修復できる業者が道内で限られていることから、あわせて、道外の修復業者を紹介いただいたケースがございます。 ◆石川佐和子 委員  相談記録票17件について、少しご報告をいただきました。  私も、相談記録票を見せていただきました。例えば、月寒公園にある1962年に設置された永遠の像は、所管が豊平区の土木部で、2013年に友の会から著しく破損、劣化しているので確認して対応してほしいという相談を文化部が仲介しておりますが、土木部の返答は、破損状況は確認しているけれども、現段階では修繕などの対応は考えておりませんという結論になっておりました。また、南9条緑地にある1958年に設置された「春風にうたう」は、中央区土木部の所管で、やはり、2013年に友の会から著しく破損、劣化しているから確認をして対応してほしいという相談があったのに対して、所管の土木部は、土台部のひびや欠損、本体のこすれ跡など一部見られるが、補修については現在考えていないと返答しております。  先ほど計画的に修復するよう所管部局に働きかけるというようなご答弁もありましたが、こうした所管部局の対応について、果たしてこれで野外彫刻を管理していると言えるのか、大きな疑問を感じるところです。  そこで、みどりの施設担当部長に伺います。  公園の中にある野外彫刻の維持管理について、業務の中でどのように行っており、また、今後どのように行っていくのか、伺います。 ◎長谷川 環境局みどりの施設担当部長  公園内の野外彫刻の維持管理について、私からお答えさせていただきます。  市内の公園に設置された彫刻は、全部で84点ございまして、日常の維持管理としては、彫刻の数も多い大通公園など一部の公園では指定管理者が定期的な清掃を行っておりますが、大部分の公園では清掃を行っていない状況でございます。また、これらの彫刻の補修履歴については、最近行った補修、具体的には前田森林公園や科学館公園が該当しますが、そういったものについては把握しておりますけれども、その他の公園については過去の記録がほとんどないために不明となっております。  今後は、彫刻も一つの公園施設として公園維持管理業務の中で日常点検を行いながら異常がないかどうかを確認し、文化部とも連携しながら必要な措置を図っていきたいと考えております。 ◆石川佐和子 委員  彫刻も施設の一つとして維持管理を行っているということですが、今のご答弁によりますと、その彫刻の清掃は一部の公園でしか行っておらず、また、補修についても最近のもの以外は記録もないということで、私は、これでは作家に対して大変申しわけない状況だと考えます。必要な措置を行っていきたいということでありましたが、先ほどの相談記録票での回答のように実際には補修が行われていないわけですから、私は、これは放置以外の何物でもないというふうに考えます。  札幌市が所有する野外彫刻の27%、約3割が公園や緑地にあると聞いておりますが、所管部局が補修は考えていないという結論を出しますと、50年以上経過しているコンクリート像がさらに放置され、劣化が進み、余計に補修費用がかかるようになりまして、私は悪循環だというふうに考えます。財政的措置を講じ、計画的に補修するなど、早急に抜本的な対策を講じるべきだと考えます。  円山動物園の正門前にある「よいこつよいこ」に至りましては、既に63年が経過しておりまして、塗装は剥がれ、内部がむき出しになり、酸性雨や二酸化炭素がしみ込んで、いずれは自壊する爆裂という現象が起きるのは避けられませんと友の会会長の橋本さんは指摘しております。  そこで、円山動物園長にお伺いいたします。  円山動物園にある野外彫刻「よいこつよいこ」の維持管理について、日常的にどのように行い、また、今後どのようにしていくのか、伺います。 ◎田中 環境局円山動物園長  「よいこつよいこ」の像は、委員のお話にありましたとおり、昭和27年に制作され、正門前に設置されたものでございます。過去に数回、塗り変えが行われた形跡がありますが、記録が残っていないため、具体的な施工年や回数については不明となっております。  近年におきましては、札幌彫刻美術館友の会の皆さんがボランティア清掃していただいているほか、専門家のアドバイスにより、冬季間の養生を行って劣化をおくらせるよう維持管理を行っているところでございます。  円山動物園といたしましては、今後、正門前のロータリーの再整備事業を実施する予定でございます。その際にはこの彫刻の移設も必要となりますことから、これに合わせて補修を行いたいと考えているところでございます。
    ◆石川佐和子 委員  動物園正門前のロータリーの再整備事業を実施する際の移設時に「よいこつよいこ」を補修する見通しだということで少し安堵しますが、長期間にわたって痛々しい姿を市民や観光客にさらしながら、工事による移動の必要性があって初めて彫刻の補修にこぎつけるというのは、文化行政としていかがなものかというふうに思います。  札幌市内には、同様に、一刻も早い修復を必要としている野外彫刻は公園、緑地以外にも多数あります。野外彫刻の28%は学校に設置されておりまして、先ほどの相談記録票によりますと、例えば「協力」という作品名のコンクリート彫刻は、像の保存を卒業生、地域、PTAが切望していますが、ひび割れのほか、一部鉄製の骨組みが露出し、さびているほど著しい破損、劣化状態であり、学校と教育委員会が修繕について芸術の森美術館に相談しましたが、費用が高額になるため、引き続き検討となりました。文化部では、その旨を受けて、経過を観察しつつ必要に応じて協力すると報告されておりますが、要するに、これもさらに放置され、風雪や酸性雨等にさらされ、劣化が進むことになるわけです。学校においては、感受性豊かな子どもたちに芸術的な感性や豊かな心を育む教育が求められていることから、速やかに補修するべきと考えます。  また、建設局の道路維持課が把握している道路上の彫刻、モニュメントなどは、真駒内五輪大橋東側の本郷 新の「花束」など、35点あるということです。道路管理の中で簡単な補修は行っているとのことですが、記録は一切なく、仮に補修が著作権にかかわるようなときはどのようにしてよいかわからないというふうに聞いております。  こうした野外彫刻の補修、保全にかかわる問題は、札幌だけではなく、ほかの自治体においても、同様の課題認識を持っているとのことです。現代日本彫刻展として有名なUBEビエンナーレを開催し、野外彫刻都市宣言をしている山口県宇部市、また、彫刻のあるまちづくりを進めている仙台市、そして、彫刻のまちとして知られている旭川市などでも、市民に親しんでもらうために野外彫刻を設置するなど文化行政に取り組まれております。仙台市や旭川市においても、市民ボランティアが清掃等に積極的にかかわり、特に旭川市では、ボランティアが補修等の必要性に気がついたとき、美術館の学芸員に報告書を提出し、市内の専門業者に依頼して修復しているとのことですが、学芸員のお話によりますと、市民ボランティアの活動が欠かせないということでした。  札幌彫刻友の会の活動は、1981年、札幌彫刻美術館の開設時にスタートし、札幌の歴史を刻む美しい芸術作品を末永く後世に伝えるため、草の根ボランティアとして自主的に野外彫刻の美化と保全に惜しみなく力を注いでおります。こうした活動は、先ほど申し上げた自治体の学芸員から大変評価が高く、清掃ボランティアは、雑巾や歯ブラシを手に持った学齢期の子どもたちや高校生、町内会など多様な参加があるそうです。友の会による野外彫刻の調査と清掃活動により、とりわけコンクリート彫刻は経年劣化や破損によって崩壊寸前であることが明らかになり、2013年12月に、野外彫刻の調査体制、補修、管理体制の確立や設置環境の改善等を求める要請を前上田市長に対して提出しております。  そこで、質問いたしますが、札幌市は、傷みが激しい野外彫刻の保全と補修を求めた市民団体の要請書をどのように受けとめ、また、要請内容についてどのように対応してこられたのか、伺います。 ◎川上 文化部長  市民団体からの要請をどのように受けとめ、その内容にどのように対応してきたのかというご質問についてでございます。  2013年に提出されました野外彫刻に関する市民団体からの要請につきましては、野外彫刻の調査体制の確立、野外彫刻の補修管理体制の確立、野外彫刻の設置環境の改善、市民ボランティアによる運動の推進といったさまざまな観点から多岐にわたる要請をいただいたところでございます。この要請の中には、彫刻に及ぼす排気ガスや酸性雨対策など環境面からのアプローチが必要な大きな課題が含まれているほか、彫刻の診断、評価、修復等の一元化、あるいは外部委員会の設置など課題が数多く存在し、所管部局との連携のもと、中長期的な検討が必要なものや、また、設置状況の把握など比較的速やかに取り組むことができるものなど、広範囲にわたったご要望であり、その内容につきましては私どもも重く受けとめているところでございます。  このうち、彫刻の設置状況につきましては、2013年から2年間にわたって全庁的な調査を行い、その把握に努めてきたほか、彫刻に関する情報について、一旦、文化部で一元化して清掃ボランティアとの橋渡しも行っているところでございます。  一方、彫刻の診断、評価、修復等の一元化につきましては、全ての彫刻を修復するのかどうか、あるいは、作品の一部を修復するとした場合、どの芸術作品から修復するのか、その優劣をつけることが適切なのかどうか、また、先ほどもご答弁いたしましたが、寄贈を受けた際、その多くはあらかじめ作家または遺族の方にその修復方針を確認していないことから、修復方法、移設、撤去の可否等について改めて承諾を得る必要があるなど、多くの課題が明らかになっておりまして、私どもといたしましては非常に悩ましい問題であると認識しているところでございます。  しかしながら、彫刻の損傷をそのままにしておくことは決して好ましいことではないと考えております。したがいまして、彫刻の修復につきましては、財政状況を勘案しながら、設置経緯を熟知している所管部局と連携しながら、損傷が目立つものから一歩一歩着実に進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。 ◆石川佐和子 委員  今、損傷の目立つものから一歩一歩修復を進めていきたいというふうにおっしゃいました。ぜひ、スピード感を持って進めていただかなければいけないと思います。友の会の皆さんの30年以上に及ぶ調査や清掃、保全等の活動を踏まえた要請は、札幌市内の悲惨な状態の彫刻の存在、とりわけ設置から半世紀以上経過しているコンクリート彫刻の補修、保全の管理体制の必要性を強く訴えるものです。近年、文化部が野外彫刻の情報集約や橋渡しを行っていることは一定の評価をしておりますが、芸術文化や観光振興をうたいながら、これまで財政逼迫を理由に野外彫刻の美化や保全対策をほとんど講じられてこなかったことは本当に残念なことであり、関係部局が連携のもと、札幌市として考えていかなくてはならないと思います。  デジタル彫刻美術館などさまざまな彫刻関連情報を掲載している友の会のホームページは、海外からのアクセスも多いということで、これは、札幌の野外彫刻の評価が高く、注目されていることではないかと考えます。また、友の会の野外彫刻の清掃や保全等の活動は、環境首都・札幌の実現に資するとして、2013年、環境保全創造部門で特別賞を受賞しており、環境と文化が一体となった札幌らしい美しいまち並みの保全、創造に大きく貢献していると評価されています。私は、評価するだけではなく、その活動の趣旨を踏まえ、友の会の要請に最大限応えるべきだと考えます。  旭川市におきましては、市民ボランティアによる清掃の際に、専門業者もボランティア参加し、補修のアドバイスを行っているということをお聞きしました。また、同市におきましては、2001年から、彫刻がもっと市民に親しまれるようにと、野外彫刻設置・管理検討会議を設置し、専門家や公募の市民と行政が、例えば彫刻をどこに設置すべきかなど、協議の場を持っており、これは管理体制の参考になるのではないかというふうに考えます。友の会が長年継続している活動を通し、コンクリート彫刻の原形をできるだけ保ち、作家の意図を伝えるために、定期的に清掃を行い、ポリマー塗料などの保護材塗布は汚れや雨水を防いで保存効果を高めていることを確認しているそうです。こうした清掃や補修、保全の技術等を共有し、誰もが対応できるように標準化するとともに、技術を伝え、地元施工業者を養成していくべきです。  市が課題としている作家との関係性におきましても、友の会においては、作家、または作家が亡くなっている場合は家族とも信頼関係を築くことに努められており、こうした力をかりながら、札幌市においても、市民がいつ、いかなるときでも野外彫刻を芸術作品として鑑賞できるようにするため、先を見通した展望を持つとともに、補修、保全の体制を市民と協働でつくっていくことが必要だと考えます。  そこで、局長に伺いますけれども、野外彫刻の現状を把握し、適切に美化、保存・保全するとともに、必要に応じて補修を行うなどの管理体制を市民参画のもとで早急に確立すべきと考えますが、どのように取り組まれるのか、伺います。 ◎小西 観光文化局長  市民参画のもと、野外彫刻の管理体制を確立すべきというご質問でございました。  札幌のまちの魅力の一つである野外彫刻を、行政だけではなく、市民の皆さんの力をおかりしながら守っていこうという考えは大変有意義であり、既にご紹介がありましたが、市民ボランティアの皆様による定期的な清掃活動が市内の至るところで行われていることは、本市にとっても大変心強いと思っております。今後、札幌市は、超高齢社会を迎え、財政を初め、行政を取り巻く環境は一層厳しさを増すことが予想されますが、さまざまな分野で市民・企業・行政の総力である市民力を結集し、諸課題に取り組んでいくことがより重要になるというふうに思っております。  野外彫刻につきましても、今後どのような部分で市民の皆さんにご協力いただくべきか、野外彫刻を所管するそれぞれの部局の意見も聞きながら検討を深めてまいりたいと思っております。 ◆石川佐和子 委員  先ほど他の委員への答弁の中で、文化芸術意識調査報告書の話題がございました。札幌市において他都市よりもすぐれていると考える文化芸術分野は何ですかということへの回答ですが、2015年、2014年、2011年と、どの年代も大体同じで、クラシック、ミュージカル、ジャズ、そして彫刻が上位に入っております。また、文化行政として期待する効果としては、子どもの心が豊かに成長すること、市民が生きがいや楽しみを見出せるということが多く回答されております。  しかし、野外彫刻のように、鳥のふんで汚れ、劣化や破損により傷み、最初の姿でなくなっているものは、子どもや市民の心に届くどころか、目にもとまらないのではないかと懸念します。美しい野外彫刻は、札幌市民の誇りであり、また、そのままの美しさを保つことは、札幌市民の文化度の高さにほかならず、日本国内はもとより、広く海外からも注目されると考えます。  前札幌市長の上田文雄さんの著作の「札幌ちょっといいはなし」にモエレ沼公園の誕生秘話が書かれておりますが、イサム・ノグチとの出会いがあって、そして、当時の公園づくりの担当係長の強い思いが伝わって、モエレ沼公園、そして道路を潰してつくったブラック・スライド・マントラの実現につながったということです。イサム・ノグチは、札幌市に対して、市民が芸術文化を大切にしている姿勢がとても気に入ったというふうに語ったそうです。こうしたイサム・ノグチを初め、札幌に作品を残したたくさんの作家の思いを継続して受けとめ、文化部の皆さんが芸術文化をつくり出す取り組みだけではなく、野外彫刻を含め、芸術文化を補修、保全していくことにリーダーシップを持ってぜひ取り組んでいただきたいと改めて求めます。  また、札幌市において、展望を持って彫刻のあるまちづくりを考え、次世代につなげていくために、清掃ボランティアの周知や参加の呼びかけ、補修、保全等の管理体制を市民とともに構築するために、委員会の設置など、市民、企業、大学、行政等が連携した官民一体の取り組みを積極的に進めることを強く求めて、私の質問を終わります。 ○しのだ江里子 委員長  以上で、第2項 市民生活費のうち関係分等の質疑を終了いたします。  次に、第6款 経済費 第1項 商工費のうち観光文化局関係分及び議案第19号 札幌コンベンションセンター条例の一部を改正する条例案について、一括して質疑を行います。 ◆伴良隆 委員  私は、藻岩山利用者増に向けての課題と今後の対策について、1点お伺いしてまいります。  藻岩山利用者増に向けては、特に市民利用に重点を置いて質疑させていただきます。  藻岩山の施設は、リニューアル後当初から、今まで藻岩山を利用していた市民から足が遠のいたといった声を聞くようになりましたので、私は4年前から大変心配してきました。しかし、取り組みの効果を判断していくには数年は様子を見たいと思っていまして、見守ってきたところでもございます。ただ、リニューアル後、4年がたち、いよいよ締めの5年目に向かっていきますので、そういった今日、いろいろな取り組みについて伺ってまいりたいと思いますが、こういう中で、運営主体の札幌振興公社と市の取り組みについて、私は一定の評価をしているところでございます。  そこで、質問に入りたいと思います。  藻岩山施設再整備、いわゆるリニューアル前後の藻岩山利用者の推移はどうなっているか、また、どのような認識を持っているのか、伺います。 ◎大島 観光コンベンション部長  藻岩山のリニューアル前後の利用者数推移はどうなっており、どのような認識を持っているかというご質問でございます。  藻岩山ロープウェイのリニューアル前の平成21年度は31万人でしたが、リニューアル後の利用人員は60万人台で推移しており、リニューアル前と比較して一定の成果を上げたものと認識いたしております。  なお、リニューアルから4年が経過したところですが、今年度は日本新三大夜景の認定の効果もあり、2月末までで58万6,000人と、前年同期と比較して約1万5,000人多い利用人員となっております。 ◆伴良隆 委員  リニューアル後は、当然、ある種の興味を持って来ていただく方がわっとふえるわけですから、自然な形で言えばリニューアル直後からは少しお客さんも足が遠のくのは何となくわかります。その後、三大夜景の認定等もありましたので、ここで少し回復しているような兆しがありまして、市の一定の取り組みは評価できるのかなと思っております。札幌振興公社もそうです。  それでは、次に伺ってまいりますが、札幌市役所と札幌振興公社のおのおのの責任と役割分担とは何か、また、いつ、どのような協議をしているのか、伺います。 ◎大島 観光コンベンション部長  札幌市と札幌振興公社の責任と役割分担についてでございますが、まず、札幌市は、藻岩山を重要な観光資源の一つとして位置づけつつ、ほかのさまざまな観光資源とともに総合的に札幌の魅力をプロモーションする立場であり、札幌振興公社は、藻岩山ロープウェイ事業を担う立場として安全な運行管理と施設の利用者増を目指すものであると認識いたしております。  また、いつ、どのような協議をしているのかとのご質問でございますが、札幌市は、札幌振興公社と年に2〜3回、増員、増収対策、おもてなし、外国人観光客対応等について意見交換を行っているほか、日常的に情報共有や各種プロモーション連携について協議いたしております。また、関係団体等とともに、年に6回から7回、藻岩山の日などのイベント運営の協議を行う藻岩山観光運営委員会を開催しているところでございます。 ◆伴良隆 委員  一定のコミュニケーションもとられてきているということで課題の認識も共有されていると思います。  ただ、利用者に関しては、先ほど私は評価できる部分もあるとは申しましたが、数字上の計画目標という意味では、目標数字がどんどん減っていっているのですね。利用者ももちろん減っていますが、そういったことでちょっと大丈夫かという心配の声もあるので、伺います。  藻岩山の利用者数について、札幌振興公社の目標設定の算定方法、つまり算定根拠となる条件は何か、ご承知であれば具体的に伺います。  また、日本新三大夜景に認定決定後の利用者増はあるものの、近年はおおよそ利用者が減り続けてきた傾向がありますが、それと並行して利用者目標設定も減らしてきているのはどのような理由からか、伺います。 ◎大島 観光コンベンション部長  目標設定の算定根拠となる条件は何かというご質問でございますが、札幌振興公社が前年度の利用人員実績を踏まえながら、新規の旅行商品であるとかイベントなどの取り組みによる集客を加味して目標を設定しているものと認識しております。また、毎年度の目標設定が前年度計画値より減らしていっていることにつきましては、先ほど委員もご指摘になったとおり、リニューアル効果は数年をかけて薄れていくという実情を反映し、前年度より減少してきているという状況でございます。 ◆伴良隆 委員  当然、実態に見合ったということが根拠になってくると思いますが、それでは、次の質問です。  実態に見合っていくというと、ずっと減り続けていくのではないかという心配もありますので、今後の利用者目標数値について、目標設定の下げを底どまりにするのは何年度からなのか、伺います。  また、目標数値を維持し、あるいは上昇とするのは何年度からなのか、それぞれ伺います。 ◎大島 観光コンベンション部長  先ほど申し上げたとおり、それぞれの年の目標設定というのは前年度の利用実績を踏まえながら設定しているところでございます。今年度は、先ほど申し上げましたが、日本新三大夜景効果などの追い風もあり、実績を上回る見込みであることから、新年度以降もこの状況を維持し、上回るよう、札幌振興公社と連携を図り、努めてまいりたいと考えております。 ◆伴良隆 委員  これから札幌振興公社と協議しますので、前年度の実績に基づくといいますと、日本新三大夜景の認定というのは非常に大きな事柄でございましたので、ぜひそこのところを押さえていただいて、今度は右肩上がりのほうに目標設定を向けて取り組みを強化していただきたいと思います。  円山動物園ですが、今、いろいろと課題や問題があって議論されております。私は、円山動物園というのは実は評価されるべきところがあると思っております。円山動物園は、平成17年から20年にかけて、当時、利用者の方々、来園者の方々が伸び悩んできたという数値をいただいております。そういった中で、円山動物園は、採算性はもとより、もう一度、市民に動物園に来ていただきたいという考え方に立ち返りまして、わたしの動物園、それから環境教育といったことに力を入れ始めました。  市民の利用割合は、平成27年で71.6%、平成26年は77.9%、25年は72.6%と、いずれにしても、大体7割から8割は札幌市民が来園して利用されております。円山動物園に聞きましたら、ここからが大事なのですが、やはり市民へのサービスが基本である、その上で、観光事業としても今後力を入れなければいけないということでした。私は、この順序が非常に適切であると思っておりまして、市民に愛されてこそ、市外の観光客への対策があるのだというふうに思っておりますので、円山動物園のこういった取り組み姿勢というのは非常に評価できると思っております。  そこで、伺いますが、藻岩山は市民にとってどのような存在で、どうあるべきとしているのか、また、札幌市民が藻岩山を利用する意義と各種効果について、本市と札幌振興公社はどのような認識を持っているのか、伺います。 ◎大島 観光コンベンション部長  市民にとっての藻岩山の存在意義、市民利用の意義及び効果について、札幌市と振興公社はどのように認識しているのかというご質問でございます。  藻岩山は、世界的にも貴重な原始の姿をとどめた国有林を有する山であり、市民の心を潤す憩いの場であると同時に、札幌の重要な観光スポットであると、札幌市及び札幌振興公社では共通の認識を持っているところでございます。 ◆伴良隆 委員  基本姿勢を問うたわけですが、平成14年の藻岩山観光ビジョンと平成19年の藻岩山魅力アップ構想、それぞれに今ご答弁があった部分がありますが、やはり、札幌市にとって藻岩山はシンボル的存在であり、心の山ということであります。  私は、市民の声という意味で着目したところがございます。これは藻岩山魅力アップ構想に載っておりますが、市民の声の中に、観光資源としても貴重な財産だと思うけれども、幅広く市民が行きたくなるような工夫が必要であるということでございます。こういった市民の声もありますし、私もそのように考えております。  そこで、伺いますが、札幌市役所と札幌振興公社がどのような取り組みをすることで市民の利用者増にどのような効果をもたらすことができてきたのか、伺います。 ◎大島 観光コンベンション部長  市民の利用増に向けて、札幌市と振興公社では、どのような取り組みをして、どのような効果をもたらしてきたかというご質問です。  札幌振興公社が主体となって、ロープウエーの市民割引や年間パスポート、山頂レストランの登山者割引など、市民にとってお得な料金設定を行い、利便性の向上を図ってきたという取り組みがまずございます。また、札幌市と振興公社が連携いたしまして、藻岩山の日を初め、夏休みの子ども向け工作体験や音楽ライブ、天体観測など、年間を通じてさまざまなイベントを実施して市民の興味・関心を高め、藻岩山に親しんでもらっているところでございます。 ◆伴良隆 委員  市民の利用ということで、市民も観光客だという概念もそちらではあるようですが、市民の利用という意味ではさまざまな事業を周知して興味を持ってもらう取り組みをしてきているといったご紹介でした。  私は、4年前にはリニューアル後を大変心配していたわけですが、3年前に利用しない人について注目してほしいと。つまり、山頂等でアンケートをとっていらっしゃいますが、そこだけではなくて、利用していない市民はなぜかということを確かめるべきだということを皆さん方にお伝えしました。  やっとアンケートをやっていただきましたけれども、アンケートの結果は、必ずしもサンプル数は多くありませんが、一応の傾向としてお伝えします。これは、藻岩山のリニューアル後に利用しましたかという市民へのアンケートですが、8割弱となる77%が利用していないということです。それから、二つ目は、市民のためにやったという市民割引ですが、市民割引を知っていましたかという質問には、知らなかったという方は72%でした。これと関連して申し上げますと、市民割引料金なら今後利用したいですかという質問に関しては、実に8割弱の79%の方が利用したいと思うと言っていただいているので、まだまだ伸び代はあるのかなというふうに思っております。  それから、山頂等でアンケートをとったときに、ロープウエーの往復料金は高いという声が非常に多いのです。この料金ですが、道内の8施設での1メートル当たりの単価では1.18円ということで低いほうから4番目ですから、必ずしも高いわけではないと思います。しかし、高いかどうかという判断は個人によって分かれますから、魅力があれば高いとは思わないわけですね。そういう意味では、皆さん方の取り組みの課題はいろいろありますし、伸び代もまだまだあるのかなというふうに思っています。  そこで、質問ですが、札幌市民が藻岩山を利用しない理由について、もともと利用しないとか、リニューアル後に利用しなくなったとか、何となく利用しないなどといった大枠の中で、本市と札幌振興公社は、札幌市民が利用しないという原因をどう分析し、共有し、おのおの対応してきているか、伺います。 ◎大島 観光コンベンション部長  ただいま委員からご紹介をいただきました平成26年度のチ・カ・ホで行った市民アンケートですが、その中で、藻岩山ロープウェイを利用していない理由といたしまして、何となくという理由が33%、自宅からの交通の便が悪く、遠いからというのが21%、知らなかった、これはロープウエー自体を知らなかった、あるいは料金設定を知らなかったということもあると思いますけれども、これが9%ということで、実は、必ずしも利用しない明らかな理由というのはございません。さらに、先ほど委員にご紹介いただきましたように、市民割引の制度を知らない市民が4分の3ほどいたということもございます。  そこで、基本的に市民へのPRや訪れたくなるきっかけづくりが不足していると分析して、テレビCMでの市民割引の告知、あるいは、現在やっております夜景写真コンテストといったもので話題づくりをして、市民の関心を引くような取り組みを進めているところでございます。 ◆伴良隆 委員  市民に向けた周知をして魅力を感じてもらうという取り組みはいいと思います。先ほど33%の方が何となく行かないということですから、今後も、もちろん広告やアナウンスは頑張っていただきたいのですが、そもそもの施設、あるいはその中で行われている事業は果たしてどうなのかということを伺ってまいります。  藻岩山にかかわる施設で、特にリニューアルした頂上や中腹施設などといったハード、つまりスペースのあり方や使い勝手など、藻岩山を市民や観光客にもっと知ってもらい、魅力を感じてもらえるようなソフト部分、つまりアナウンス方法やイベントなどの事業について、リニューアルから5年がたとうとしている今、本市と札幌振興公社は、これら藻岩山のハード・ソフトそれぞれで具体的にどのように課題があると認識されているのか、伺います。 ◎大島 観光コンベンション部長  ハード・ソフト両面で、札幌市と札幌振興公社はどのような課題認識を持っているかとのご質問です。  ハード面では、特に中腹駅にあるフォレストギャラリーや自然レクチャールームが必ずしも有効に活用されておりませんので、こういったものの稼働率を上げることが必要であると認識いたしております。  また、ソフト面では、先ほどお答えいたしましたように、市民利用を促進していく取り組みを進めるほか、外国人観光客向けには多言語表記や接客などの外国人観光客対応、あるいは藻岩山周辺にある施設や飲食店などとの連携といったものが課題であるというふうに認識いたしております。 ◆伴良隆 委員  課題、課題といっぱいお聞きして大変心苦しいところがありますが、次に結びつく形でどんどんお聞きしてまいりたいと思います。  私も、ロープウエーでも、自分の足でも、藻岩山を登りました。そして、山頂の藻岩山の歴史と自然を3Dで見せていただいていまして、いい映像だなと思いましたし、非常におもしろくて、また見るかは別にしても、私はとてもいいと思います。それから、夕方から夜間にかけてプラネタリウムを事業としてやられておりますが、例えば、あのスペースはフレキシブルなスペースだと思いますので、あのスペースをもっと有効活用したらどうかなというふうに思いました。これも市民のアイデアですが、3Dじゃなくてもいいので、例えば壁面にディスプレイを埋め込んで、常時、観光客も市民も見られるようにしていくなどすれば、日中の時間帯に山頂に来たときにも、そのスペースを有効活用できるのではないかと思います。それから、東京のタワーではないですが、上がっていくごとに、プレミアというか、価値が上がっていくという意味で、そこ限定のお土産を移動可能なカートで置いたりして、付加価値をつけてリピーター等をふやしていくという考え方もあるかなというふうに思います。私は、経済的な部分は必ずしも強くなくて、ご商売とか運営ということに関しては札幌振興公社のほうがプロだと思いますので、そういった声があるということだけはご紹介したいと思います。  そこで、伺ってまいりますが、藻岩山を利用しない札幌市民が相当数いる中で、そうした市民に藻岩山に興味を持ち、利用してもらい、魅力を感じて周囲に宣伝したりリピーターになってもらうためには、市役所と札幌振興公社は今後どのような連携と協議が必要であるのか、伺います。  また、リニューアルから5年近くたとうとしている今、施設やサービスなどさまざまな課題が出てきておりますけれども、市役所関係部署と札幌振興公社が、今後、それらの課題の洗い出しと整理、そして課題解決に向けて、これまで行ってきているイベントを主とした打ち合わせや不定期な意見交換だけではなく、専ら今後の計画的な利用者増に向けた課題検証と改善策づくりを定期的に話し合う正式な会議を早急に立ち上げるべきだと考えますがいかがか、伺います。  そして、そうした会議の中で、藻岩山利用者増に向けて、プラン、ドゥー、チェック、アクションといったPDCAサイクルが明確にされている状況をより私たちにもわかりやすい形でつくり出すことは、札幌市側としても大切な責務であると考えますがいかがか、伺います。 ◎大島 観光コンベンション部長  市民利用の促進に向け、どのような連携と協議が必要と考えるか、また、定期的な会議の設置が必要と考えるが、どうかというお尋ねでございます。  これまでも、振興公社との間では定期的に情報交換等を行ってきたところではございますが、利用促進を含めた諸課題を明確にして目標を共有し、さらなるPRやイベント連携を強化するために、今、PDCAサイクルというお話もございましたけれども、藻岩山の魅力アップにつながるように、計画的に検証あるいは改善を図るための協議が必要であると考えております。それを実現するため、委員のご指摘のとおり、札幌振興公社と定期的な協議の場を設けてまいりたいと考えております。 ◆伴良隆 委員  いろいろな声があることは私も承知しておりますが、市の取り組みも、札幌振興公社の取り組みも、今まで有効に働いてきたとは思いますけれども、5年を目の前にしてやはり課題も出てきております。こういった中で、今、前向きなご答弁をいただいて、課題をしっかり共有し、生かして、そしてまたアクションしていくといったお話でございました。  そこで、伺いますが、市外からの利用者、つまり観光客にも利用され楽しんでもらうための取り組みは当然で言うまでもございませんけれども、一方で、藻岩山とは市民にとって何なのかという原点に立ち返りまして、市民へのサービスを基本に、市民に親しまれ、愛されることで、さらに多くの市民に利用してもらうことは、基礎的かつ恒常的な利用者を確保し、安定的な収益に結びつくだけでなく、市民が誇る山となっていれば市外観光客へのおもてなしにつながるなど、観光施策にも資するものであります。  よって、本市コンベンション部門は、市役所関係部署に対して藻岩山の市民利用に積極的に協力してもらうなど、藻岩山の札幌市民利用に関する取り組みについて見直すべき課題はきちんと見直し、強化すべき効果的な取り組みはしっかり強化していくべきでありますけれども、今後の姿勢を小西観光文化局長に伺います。 ◎小西 観光文化局長  藻岩山の市民利用の促進に当たり、観光部局と連携してしっかり取り組むべきというご質問でございます。  市民に藻岩山の魅力を再認識して、みずから足を運び、愛着を持っていただくことは大変意義深いということに関しては、委員と思いを同じくするところでございます。こうしたことから、これまでも、隣接する水道記念館や市電と連携して利用を促すプロモーションなどについて関係部局と連携してきたところでございます。  先ほど来の答弁にありましたが、ここに来て、日本新三大夜景の効果による追い風もあり、実は、昨年の11月以降は、ロープウエー等の市民利用が急激にふえているところもございます。そういった追い風にあるということも踏まえまして、今後につきましては、庁内の広報部門、学校利用という面で教育委員会、市電との連携という意味での交通局、あるいは区役所を含めまして、関係部局と連携を密にするとともに、また、藻岩山を愛する関係団体もありますし、市民団体もありますので、そういったところとの連携も深めて市民利用の促進につながるよう取り組んでまいりたいと思っております。 ◆伴良隆 委員  今、局長からご答弁をいただきましたが、私は、観光客ということは非常に大事でありますけれども、先ほどのアンケートの調査結果も申し上げましたように、やっぱり市民に愛されている観光施設だからこそ意義があるというふうに思っております。ですから、藻岩山の頂上などで、札幌市民の高齢者、おじいさんやおばあさん、そして子どもたち、そこから孫にということで、みんなが藻岩山を愛していけば世代がずっと続いていくわけですね。そういう意味では、例えば6人で行くこともありましょうし、あるいは、おじいちゃんと一緒に登った山だということになるわけで、こういった基礎力というのは経済的視点からも私は非常に大事だと思っておりまして、そういう意味では円山動物園も頑張ってほしいなと思っております。  平成25年度から34年度ということで観光まちづくりプランがつくられておりますが、この中の観光地域づくりということで定義があります。「地域に息づく暮らし、自然、歴史、文化等を最大限活用し、住まう人にとっても訪れる人にとっても心地よい空間、また訪れたいと思う地域づくりを進めることです」「『観光地域づくり』という考え方へ、住まう人の意識をスイッチすることです」と書いてあります。住まう人というのは、つまり市民をあらわしておりますので、ぜひとも強化をしていただきたいと思っております。  施設がリニューアルされて4年がたち、もうすぐ5年という節目を迎える今、施設やサービスや事業などにはさまざまな課題が出てきていることと思います。藻岩山観光ビジョンの作成から15年近くたち、また、平成26年3月に策定された札幌市観光まちづくりプランにおいて基本と掲げられた藻岩山魅力アップ構想自体も策定から10年近くたとうとしている今、先ほど局長と部長からもご答弁がありましたが、改めて、原点に立ち返った上で、時勢と課題に本格的に対応していくべき時期に来たことを最後に重ねて指摘させていただきまして、質問を終わります。 ◆成田祐樹 委員  託された質問もあり、長くなりますが、ご容赦いただければと思います。  ユニバーサル観光と観光広域連携の2点についてお伺いしたいと思います。  まず最初に、ユニバーサル観光についてお伺いしたいと思います。  昨年12月3日に北海道初となるユニバーサル観光専門の観光案内所の北海道ユニバーサル観光センター・札幌がJR札幌駅1階の構内にオープンし、北海道、札幌市、北海道観光振興機構、札幌観光協会の支援のもと、北海道ユニバーサルツーリズム推進協議会が運営していると伺っております。全国でも、沖縄、神戸、伊勢志摩が先進的にユニバーサルツーリズムセンター及びバリアフリーセンターを設置・運営しており、この事例を参考に北海道初となる設置を行ったことから、新聞やテレビ等でもセンセーショナルに取り上げられ、大変期待しております。  このセンターは、たくさんの観光客が訪れる札幌で、誰もが安心・安全、楽しい旅行ができるように、市民みずからが案内所に立ち、北海道、札幌に旅行したいという車椅子の利用者、聴覚・知的障がいのある方、高齢者など歩行に自信のない方、介護が必要な方々の安全と安心、思い出に残る楽しい北海道・札幌観光をサポートしていると聞いております。ユニバーサル観光レポート3月速報によると、12月のオープンから2月末までの約3カ月で400件以上の来訪や電話、メール、ファクスなどによる相談や問い合わせがあり、その内容としては、北海道や札幌旅行をしたいのだが、車椅子を貸してほしい、ユニバーサル観光対応の観光地を教えてほしいなどといった話が出ており、高齢者や障がい者の旅行については通常よりも早い時期から旅行の計画を立てる方が多いことから、今後、センターの認知度が広がることでさらなる利用者増加が予想されるのではないでしょうか。  特に、2月は、雪まつり時期に外国人利用者が多く、また、障がい当事者の利用客もあり、車椅子ユーザーだけではなく、聴覚・視覚障がい者など多くの方が利用されています。当初、3月末までの試行的な取り組みとされており、心配していたところ、一旦、9月までの延長が決まったようですが、関係者からは長期的な運営を求められており、継続的な取り組みとなることを期待されていると聞いております。  この取り組み自体は、道庁の支援のもとに実施されているものでありますが、札幌市としても、今後、観光まちづくりを積極的に展開する上で、ユニバーサルツーリズムの推進こそ重要課題として認識すべきであり、迅速に展開すべきと考えますが、その推進にはさまざまな課題があると考えております。  そこで、お伺いしますが、札幌市として、ユニバーサルツーリズムに対する評価と課題をどのように認識しているのか、見解をお聞かせ願えればと思います。 ◎大島 観光コンベンション部長  ユニバーサルツーリズムに対する評価と課題認識についてというご質問です。  まず、評価についてでございますが、障がいをお持ちの方や高齢者などを含めて、誰もが安心して旅行できる環境づくりを行う、いわゆるユニバーサルツーリズムを進めることは、札幌を訪れる多様な観光客の満足度向上につながることから、重要な視点であると考えております。  一方、課題認識についてでございますが、ユニバーサルツーリズムの推進には、バリアフリーなどのハード整備から、観光情報の提供や相談受け付けといったソフト事業まで幅広い対策が必要であり、民間の観光事業者の取り組みを含め、まち全体で受け入れ環境を整えていくことが課題であると認識しているところでございます。 ◆成田祐樹 委員  ユニバーサルツーリズムの重要性を認識されていると確認させていただきました。  ユニバーサルツーリズムは、国も力を注いでいる取り組みであり、札幌市においても、観光振興と地域のまちづくりを一体に進める観光まちづくりの推進を挙げており、ぜひ積極的に進めていただきたいと思います。  この取り組みには、北海道との連携はもとより、例えば保健福祉局やスポーツ部など庁内のさまざまな部局が関係しており、その推進には、庁内の関係部局が連携し、一体的に取り組むことや、また、民間事業者やNPOなどもユニバーサルツーリズムに関するさまざまな取り組みを始めており、さまざまな箇所との連携が必要です。一方、これまで具体的な取り組みが進んでこなかった現状を見ますと、やはり、観光コンベンション部がイニシアチブをとって推進していく必要があると考えております。  そこで、お伺いしますが、札幌市は、ユニバーサルツーリズムを推進する上で、北海道との連携が重要であると考えておりますけれども、いかがでしょうか。
     また、観光コンベンション部は、庁内や民間事業者とどのようにかかわっていく考えなのか、見解をお聞かせ願えればと思います。 ◎大島 観光コンベンション部長  北海道や庁内関係部局、民間事業者とのかかわりに対する考え方についてということでございます。  来札観光客は、道内を広域的に周遊する傾向にございますことから、ユニバーサルツーリズムの推進に当たっても、オール北海道で切れ目のない対策が必要となることから、今後は、北海道や他市町村との連携を深めていくことが重要であると考えております。また、庁内の関係部局に対しては、推進に向けた働きかけや情報共有などについて取り組んでまいりたいと考えております。さらには、民間の観光事業者の取り組みに対しても、他都市の先進事例を参考にしながら、支援のあり方について研究してまいりたいと考えているところでございます。 ◆成田祐樹 委員  ぜひ、オール北海道の取り組みをお願いしたいと思います。  札幌市が誰もが安心して訪れることができる優しいまちとしての評価を得ることは、札幌観光の魅力をより一層高めることにつながり、さらなる観光客の増加をもたらすものと考えております。また、来年2月には冬季アジア大会があり、その後の3月には、障がい者スキーワールドカップの誘致もすると聞いておりますから、2026年にも冬季オリンピック・パラリンピックを目指す札幌市として、ユニバーサルツーリズムの視点はさらに重要性を増していくことから、今後しっかりと進めていただきたいと考えております。  また、これまで確認した視点からも、冒頭でお話しさせていただきましたユニバーサル観光センターについては、まだまだ認知度が低いですが、潜在的なニーズは多くあると思われますし、積極的なPRも必要かと思われます。運営していく上でのバリアフリーの情報が不足しているとも聞いており、定期的な調査、取材、情報の更新など、北海道、札幌市の協力が不可欠であることから、今後は、北海道との密な連携を図り、札幌市は財政的な部分のかかわりなども考慮しながら、今後も、安定的、長期的、継続的な運営ができることを求めて、この部分についての質問は終わりたいと思います。  次に、北海道新幹線開通における観光広域連携についてお伺いいたします。  いよいよ今週末の26日に北海道新幹線が新函館北斗駅まで開通し、札幌延伸まであと一歩のところまでやってまいりました。北海道新幹線の開通によってまた北海道全体への注目が集まるとともに、札幌市にとっても、観光客を呼び込む一つの機会になると考えます。ただ、現状では、新函館北斗駅から札幌までは距離があり、それまで他の市町村を通ることを考えると、新幹線開通における需要を取り込むためには、他市町村との観光における広域連携はより重要なものとなってくると考えております。  そこで、お伺いいたしますが、札幌市が行っている広域観光連携については、現在どのように行われているのか、お聞かせ願えればと思います。 ◎大島 観光コンベンション部長  現在、札幌市が行っている広域観光連携についてでございます。  広域観光連携の取り組みといたしましては、まず、石狩管内8市町村で構成するさっぽろ広域観光圏推進協議会と、旭川市、函館市などの道内中核6都市で構成する道内中核都市観光連携協議会という二つの協議会があり、どちらも札幌市が事務局となって道内外の観光客の周遊を促進する連携事業を実施いたしているところでございます。 ◆成田祐樹 委員  石狩管内等と中核都市を軸として連携しているということで、ぜひ、こういった連携事業を機に、札幌への誘客や道内周遊をより図っていただきたいと思っております。  少し関連してお話を続けたいと思いますが、先日、北海道新幹線の試乗のために函館に向かう際に大変驚いたのが、季節柄もあると思いますけれども、インバウンドの多さでした。札幌から千歳、登別、洞爺において多くのインバウンドの方がJRを利用しており、登別の駅では大変多くの外国人観光客が大きな荷物を持って乗降したことから、特急が遅延してしまったことなどを目の当たりにいたしました。先ほどお答えいただいた地域以外でも、札幌から近いところに観光地として人気のある地域が複数あり、これらとの連携を深めていくことも大変重要だというふうに考えております。  また、新幹線を利用した観光については、近年、インバウンドが訪れる東京、富士山、名古屋、京都、関西といったゴールデンルートと呼ばれる部分が人気を呼んでおります。しかしながら、当該地域の宿泊施設などは既に飽和状態とも言われ、このインバウンドを北海道に引き込む余地はまだまだ残されているのではないかというふうに考えております。  さきに上げたゴールデンルートが形成された要因としては、新幹線という高速・大量輸送機関の存在が大きく、北海道新幹線にも同様の期待が持たれますが、こういったルートの形成は、札幌延伸までに準備を行わなければ、いざ開通時にPRを重ねても遅いのではないでしょうか。函館から札幌の延伸ルート区間は、現在は交通の便がよくありませんが、世界的にも魅力のあるまちが多いのは皆さんもご存じのとおりかと思います。函館は、夜景や朝市、海鮮などで全国的にも有名な観光都市であり、すばらしい始発点です。ニセコは、世界的にも有名なスキー場を兼ね備え、既に多くのインバウンドが訪れ、今後のオリンピック競技施設となる可能性も含めると、非常に高いポテンシャルを持っています。余市は、国内ではマッサンで有名になりましたが、ニッカウイスキーは世界からも高い評価を受けております。また、小樽は、ガラスと運河とすしのまちとして多くの観光客を既に集めており、札幌近郊では、唯一、クルーズ船やフェリーに対応できる港を所持していることから、インバウンドにとって一つの大きな目的地になる場所でもあります。こういった魅力ある地域をつないでゴールデンルートのようにルート化することで、札幌市にとっても、インバウンドを含めて観光を軸とした経済発展につながるというふうに考えております。  そこで、お伺いしますが、北海道新幹線がまず函館まで開通したことにより、札幌と函館を結ぶ既存幹線の沿線及び近辺にある洞爺、登別といった地域についても連携を図っていく必要があると思いますけれども、本市はどのように考えていますでしょうか。  また、今後の新幹線延伸を見込み、函館、ニセコ、余市、小樽、札幌といったような函館から札幌まで抜ける新たなルート開拓及びPRを沿線自治体と協力して行い、将来に向けて先手を打つべきではないかと考えますが、札幌市の見解をお聞かせ願えればと思います。 ◎大島 観光コンベンション部長  札幌と函館間の自治体との連携について、二つに分けてご質問いただきましたが、まとめで答えさせていただきます。  北海道新幹線の開業効果を広域的に波及させるためには、既に人気のある洞爺や登別などにとどまらず、ご指摘のありましたニセコ、倶知安、余市、小樽などの都市、道南から道央を大きな観光圏と捉えまして、それらの市町村と連携協力を進め、さらには、JR北海道など交通事業者ともタイアップしながら、新幹線来道者の周遊、滞在につながるPR事業を展開してまいりたいと考えております。 ◆成田祐樹 委員  札幌を点でPRすることも大事なことだと思いますが、線で北海道の多くの地域を共同でPRすることで札幌が得られる需要もあるかと思います。ぜひ、北海道新幹線延伸の後押しになるような観光ルートができればと願っております。その際には、ぜひ、札幌が起点だけではなく終点になるように、最後に札幌でお土産を買ってもらうことも含めていろいろ取り組んでいただきたいと思います。  インバウンドのお話をいたしましたが、もちろん国内のお客様に札幌に来ていただくことも安定した観光の喚起につながりますので、最後に、北海道新幹線開通による東北沿線との連携についてお伺いしたいと思います。  北海道新幹線の開通によって東京への時間などが話題となっておりますが、何より北海道にとって時間距離が縮まるのは東北地域です。飛行機の便の少なさや空港接続の不便さなどから、札幌から青森や岩手などの地域に行く場合は、東京や関西に行くよりも時間がかかるケースが多々あります。しかし、一定間隔で出発している鉄路を利用すると、その大きな障壁が小さくなっていきます。また、新幹線といった大量輸送の可能な公共交通機関を利用することによって、個人客だけではなく、会社の慰安旅行や修学旅行など団体へのさらなるアプローチも可能となることから、これまで近くて遠かった東北へのプロモーション活動はより重要性を増すのではないでしょうか。  そこで、お伺いしますが、東北地域へのプロモーション活動について、これまでどのような取り組みを行ってきたか、また、今後は、新幹線開業を踏まえてどのようにさらなるPR活動を行っていくのか、見解をお聞かせ願えればと思います。 ◎大島 観光コンベンション部長  東北へのプロモーションの状況と今後の取り組みについてということでございます。  北海道新幹線の函館開業を目がけまして、JR東日本主要駅での北海道新幹線PRキャラバンへの参加や、本市において開催している観光商談会、視察会に東北の旅行会社を招聘したほか、東北の旅行会社を訪問し、旅行商品づくりに向けた情報提供をこれまで行ってきたところでございます。  今後は、さらに、北海道新幹線を修学旅行誘致強化の絶好の機会と捉えまして、修学旅行生用のまち歩きガイドブックを新たに制作し、東北を中心に旅行会社や教育委員会に対する誘致活動を強化してまいりたいと考えております。 ◆成田祐樹 委員  北海道新幹線にかかわるルート形成や東北地域への需要喚起を行って、どんどんお客様に来ていただければ、札幌への経済的な発展だけではなく、北海道新幹線の延伸前倒しといった呼び水にもつながると考えております。ぜひ、こういった部分も含めて、北海道新幹線の開業を機に、さらなる観光へのPRや取り組み等を進めていただきたいということを要望して、質問を終わります。 ◆田中啓介 委員  私は、おもてなし推進事業について質問いたします。  この事業は、札幌に来る観光客の満足度向上やリピーターの増加、札幌で行うさまざまな会議や大会などをふやすことを目的に、市民向け意識啓発、事業者向け人材育成、観光ボランティアの活動支援等が事業内容と聞いております。  国内外の観光客が札幌に来てよかった、今度は家族も連れてきたいというふうに思ってもらうために、その大前提となっていくのは、本市が平和で安全なことではないでしょうか。これこそ、観光客を迎えるまちとして必要不可欠なことです。事実、世界的にも有名な観光都市であるトルコのイスタンブールでは、2016年に入って大規模なテロが相次ぎ、観光業にも深刻な影響を与えております。  そこで、最初の質問です。  札幌市は、平和都市宣言をしているまちでございます。しかし、残念ながら、花フェスタや雪まつりの期間中にヘイトスピーチがありました。それを目の当たりにした観光客の中で、心を痛める方は少なくありませんでした。このような人種間の差別、偏見を助長するようなことは許さない、このことを本市が内外に広くアピールすることが必要だと思いますが、いかがか。  また、おもてなし推進事業には、市民向けの意識啓発とあります。市民の人種間の偏見、差別を持たないようにすることが必要だと思いますが、どのようなことを検討し、取り組もうとしているのか、あわせて伺います。 ◎大島 観光コンベンション部長  市民向け意識啓発において、人種間の偏見や差別を持たないようにすることについてのご質問でございます。  私どもがおもてなし推進事業に取り組んでいくに当たりましては、市民が外国の文化や宗教あるいは生活習慣などを理解することが当然のごとく前提になるものと認識いたしております。このため、関係部局と連携しながら、市民の異文化理解を深めていくことが必要であると認識いたしております。 ◆田中啓介 委員  日本や札幌に世界中からたくさんの観光客が来ることは、日本は平和な国だという信頼があるからだと思っております。何よりもまず平和であること、このことをさまざまな機会を通じてアピールすることを重ねて求めておきます。  また、他国の人と触れ合うことは、異文化や生活様式の違いを知るだけではなく、多様性を認め合うことにもつながりますし、おもてなしの意識を育むことにもつながっていくと思いますので、ぜひ、この点にも力を入れていただきたいと思います。  あわせて、来年4月からは、障害者差別解消法が施行されます。他の国に対する偏見や差別だけではなくて、障がいをお持ちの方に対する偏見や差別をなくすことも、市民向け意識啓発の中に入れていただくこともあわせて求めておきます。  次に、内閣府が昨年8月に観光立国の実現に関する世論調査を行っております。その結果、項目の中に、国外旅行に行きたいと思うようになるための条件はという設問に対して、魅力的な観光地が38.7%、魅力的な旅行商品が19%ですが、1位になっているのは宿泊料が安いことで55.3%、2番目は連続して休めることで45.7%になっております。また、4番目は、家族と一緒に休みをとれることが40.7%と上位を占めております。  この調査結果は、観光客を迎える側にとっても同じことが言えるのではないでしょうか。つまり、観光客を迎え入れる市民に経済的な余裕、時間的な余裕が必要だということです。しかし、札幌市民の実質所得は上がらず、むしろ下がり続けております。また、早朝から深夜まで仕事に追われる生活、非正規労働で収入が不安定、将来に対して不安を感じながらの仕事、ダブルワーク、トリプルワークで自分の趣味の時間、家族と過ごす時間が持てないなど、これではとても周りのことを考える余裕はありません。まして、観光客を迎え入れる気持ちの余裕など生まれるはずがありません。  一方で、経済的・時間的余裕ができると、周りにもしっかりと目が行きます。さまざまなことに関心を持つことができるようになり、いろいろなところに観光に行きたい、イベントに参加する、見聞を広げて、そこからおもてなしの意識が育まれたり、観光ボランティアなどに参加する方々もふえていくと思います。観光客がまた訪れたいと思う大きな要因となるのが、観光した先で触れ合った方々の表情、態度が大きな影響を与えていくのではないでしょうか。迎え入れる人が今を生きるのに精いっぱいでは、なかなか周りに対して思いやりの気持ちは持てません。  そこで、質問ですが、経済的・時間的余裕を多くの市民が持てるようになることが観光客の満足度の向上を目的としている本市として必要だと思うのですけれども、どのような認識か、お伺いいたします。 ◎大島 観光コンベンション部長  市民が経済的・時間的余裕を確保することの意義についての認識でございます。  市民の経済的・時間的余裕を確保することは、市民の心のゆとり、あるいは、おもてなし意識を育み、最終的に観光振興を図る上でも大変意義のあることだというふうに認識しております。このため、実際にさまざまな部局におきまして、雇用の場の確保やワーク・ライフ・バランスの推進などを積極的に推進しているところでございます。 ◆田中啓介 委員  ぜひ、他の部局とも連携していただきたいと思います。市民の日常の生活に余裕があってこそ、観光の振興、おもてなしのうねりにつながっていくと思います。  そして、観光の振興にとって大切なことは、市民の声を反映させていくことでなければなりません。日本中のどこを見ても、観光で成功しているところは、呼び込み型、また押しつけ型ではなくて、その地域にある資源を生かして、地域の住民が主体となって自発的に観光を盛り立てています。まちづくりと観光は、まさに一体のものです。そもそもおもてなしの意識を持つということは、誰かに言われてではなく、自分が住んでいる地域にこんないいものがある、もっと多くの人に見せたい、知らせたいと自分のまちに誇りを持って自発的に発信することではないでしょうか。それが、札幌市中心街だけではなくて、札幌のあちこちで生まれてくれば、同事業の目的にもまたつながっていくと思います。  例えば、私は、西区に住んでいますが、そばに農試公園があります。農試公園はお花見として有名ですが、すぐ隣に国家公務員の団地があります。今は閉鎖しているのが15棟で、まだ30棟ほど建っているので面積としてはかなり広いです。その一つの団地の約1キロ弱の道路の両脇に桜の木が植えられております。この桜並木は、歩くとピンクのベールに包まれているようで、満開のときには圧巻でございまして、ぜひ皆さんにも見に来ていただきたい場所です。しかし、静内の二十間道路の桜並木のように有名な観光スポットではありません。そこを通った方がスマホで写真を撮って、それを拡散していくことによって、毎年のようにそれをバックに写真を撮ったり、そこを歩く方がふえております。  そこで、質問ですが、札幌市にはまだまだ知られていない観光名所がたくさんあると思います。その情報を持っているのが地域に住んでいる地元の市民であり、その地元の方々が独自にさまざまな方法でアピールする、ボランティア活動をするなどして頑張っておりまして、そのような取り組みに光を当てることが本市の役割だと思います。本市がそういう情報を積極的に取り上げることで、また、市民もやりがいを感じますし、みずから宣伝していくことにもつながるというふうに思いますが、現在どのようなことを行い、また、今後どのようなことを検討しているのか、伺います。 ◎大島 観光コンベンション部長  市民による自発的な取り組みを観光施策の中に取り入れていくことについてのご質問でございます。  ご指摘の内容につきましては、観光を所管する立場といたしましては、まず、観光ボランティアの活動支援の取り組みがあり、ボランティアが自主的に企画している研修や広報誌の発行などを支援しております。また、ボランティアにとどまらず、市民がお勧めの夜景スポットを紹介する夜景フォトコンテストの取り組みや、観光スポットを紹介するガイドマップの市民の参画による制作なども行っているところでございます。  今後とも、関係部局と連携を図りながら、市民が主体的に携わる取り組みを支援し、促進してまいりたいと考えております。 ◆田中啓介 委員  ぜひ、市民主体の観光に力を入れていただきたいと思います。何よりも市民一人一人の生活実態の把握し、また、一人一人の経済的、時間的な余裕を持てるようにすることが本市としての役割だと思います。余裕を持てることで、さまざまな文化のことを学ぶことができ、さまざまな国の人たちと交流できるようになって、人種間の偏見、差別のない平和なまちづくりにもつながり、また、観光の発展にもつながっていくと思います。市民一人一人にこそ目を向けて光を当てるべき、このことを述べて、私の質問を終わります。 ○しのだ江里子 委員長  ここで、およそ20分間、委員会を休憩いたします。     ――――――――――――――       休 憩 午後6時20分       再 開 午後6時39分     ―――――――――――――― ○しのだ江里子 委員長  委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、質疑を行います。 ◆松浦忠 委員  それでは、もう日が沈みまして、だんだん夜も更けてまいりましたから、あしたの朝、太陽が上るまでは同じ状況です。外はそういう状況ですが、お家でお待ちの方もいらっしゃるでしょうから、できるだけ簡潔に行きます。  そこでまず、観光振興費について、局別施策の74ページを見ますと、宿泊施設改修支援検討事業費というので200万円となっています。これを見ますと、宿泊施設のグレードアップ改修に対する支援制度の創設に向けた基礎調査というのですが、この対象はどういうところか、どういうものを調査しようとしているのか。これは観光振興費ですから大島部長のほうですね。これを答えてください。 ◎大島 観光コンベンション部長  ご質問の宿泊施設改修支援検討事業費の200万円についてでございますが、備考欄に書いておりますとおり、支援制度創設に向けた基礎調査を行おうと考えております。基本的には、グレードアップ改修に含まれる内容につきましても調査対象とする考え方でおりますが、例えば、部屋の面積の拡大、内装の向上、それからWi-Fiの整備であるとか、さまざまなメニューが考えられる中でどういったものを対象に制度を創設するか、あるいは、調査の部分では施設のグレードアップ改修の意向調査といったものも行った上で、制度創設について検討してまいる考え方でおります。 ◆松浦忠 委員  わかりました。  そこで、観光振興費というのは、1,663万8,000円、昨年に比べて1.2%の減額でありますが、私は、別に減額したことに問題があるとは思っていません。何かといったら、人が集まってくるのは、さまざまな方法でそうなってくると思います。そういう中で、札幌市のことしの予算に、職員がそれぞれの職場での対応を向上させるための研修が組まれておりまして、3月19日日曜日の北海道新聞の報道記事を見ると、リーダーシップ、リスク管理、業務改善、民間手法、市課長職へ、市が札商と共同研修と出ております。  そこで、観光の集客対策、あるいはサービスの向上などを含めて、観光部局としては職員の研修についてどういう視点で研修センターに求めているか、これについて説明していただきたいと思います。 ◎大島 観光コンベンション部長  観光部門における職員研修に関して、どのような研修を求めているかというご質問でございます。  観光分野につきましては、他の行政分野と比べて民間企業と連携した取り組みが多く、民間企業のノウハウを職員が吸収することは非常に効果的であると認識いたしております。そういったことから、旅行関連の事業者に対して職員を派遣して研修するということは有効な手法であるかというふうに考えております。 ◆松浦忠 委員  わかったような、わからぬような答えなのですが、きょうは、自治研修センターの所長に出席をいただいております。  そこで、所長にお尋ねしたいのですが、研修センターではいろいろな研修をしますけれども、観光部局に限っては、職員に対してどういう方向性、視点で研修を行ってきましたか、さらに、これから行おうとしているのか、お尋ねします。 ◎茶谷 総務局自治研修センター所長  今、職員研修について、特に観光分野に限ってということでご質問がございましたが、自治研修センターでは全職員に共通する事項に関して研修を行っているところでございます。特に、平成28年度につきましては、市民感覚を大切にした職員の育成ということで、それを通じて組織力の強化につなげていきたいというふうに考えております。そこで、新聞報道等にもありましたように、例えば民間企業との共同研修とか、民間企業への派遣というような研修につきましては、その一環というふうに捉えているところでございます。  そのほか、職員が札幌の魅力をもっとよく知って、みずから語れるようになることも非常に大事なことと考えております。特に、観光分野という専門的な事柄になりますと、その知識の習得等につきましては、所管部局である観光文化局が主体的に研修を企画して実施すべきものだというふうに考えておりまして、自治研修センターとしてはその取り組みに対して必要な支援を行っていきたい、このように考えているところでございます。 ◆松浦忠 委員  そこで、私が事前に聞いていたのでは、ことし、観光部門から外部に1年ないし2年の研修派遣をする、こういうことを聞いております。どういうような企業に派遣しようとしているのか、お尋ねします。 ◎茶谷 総務局自治研修センター所長  来年度は、民間企業への長期派遣の拡充を予定しております。具体的な派遣先としましては、パートナー企業を中心に考えておりまして、サッポロビール株式会社、北海道コカ・コーラボトリング株式会社、イオン北海道株式会社、株式会社JTB北海道などを予定しており、今、受け入れについてお願いしているところでございます。 ◆松浦忠 委員  観光は、どっちかというと旅行業者かなと思うのですが、観光部局のほうから外部に派遣する人ありというふうに私は伺ったのです。そこで、会社の固有名詞はいいですが、具体にどういう会社に派遣しようとしているのか、お伺いします。 ◎茶谷 総務局自治研修センター所長  今ご答弁申し上げましたが、観光分野につきましては、株式会社JTB北海道に係長職1名の受け入れをお願いして、内諾をいただいているところであります。派遣の中で具体的にどういったことを学ぶかというと、例えば観光マーケティングとか、道内の観光地域の活性化などについて研修をお願いしているところでございます。 ◆松浦忠 委員  私は、観光について言うと、大体、日本では日本交通公社が一番古いのですね。そのほかに日本旅行などがあって、その後に近畿日本ツーリストや阪急交通社とか私鉄の関係が旅行会社を持つということでずっと来た経緯があります。その仕事というのは、コースをつくって、人を募集して、そして、あっせんしてその手数料で会社が成り立っていくという商売です。ですから、季節の変わり目などに新聞などに随分出ますよね。そういうところは、別に札幌市が呼びかけなくても、彼らが商売になると思うところを選んでコースをつくるわけですよ。  実は、札幌市内に、創業して50年以上もたつ旅館があります。ここは、1泊2食で大体5,000円台の旅館です。あるとき、ここに韓国の少年とその親が来て泊まりまして、初めての外国の人なので戸惑ったのですが、とにかく片言で身ぶり手ぶりも交えて親切にしてあげたそうです。そうしたら、その少年は、旅館の周りや中の写真を撮って、帰ったらインターネットに載せて宣伝してあげると言ったそうです。しばらくしたら、インターネットで韓国から見ず知らずの人の宿泊申し込みがありました。お客さんが来て泊まったときにいろいろ話を聞いたら、実は、インターネットに載せられていた案内を見て来ましたということで、もう80歳を過ぎた大おかみと50歳ぐらいの若おかみの2人はびっくりしたと私に言うのです。そこで私は何を言ったかといったら、どこでどんな縁があってどんなことが起きるかわからないから、とにかく人には丁重に親切にしておくとどこかで必ずいいことがあるよと、こんな話をしてきました。  そこで、今回の派遣も、JTBではなくて、例えば、今、いろいろなところでいろいろな旅行会社が活躍して、それなりにご飯を食べています。また、今、大都会の中では、退職後に連れ合いを亡くし、ひとりになった人同士を紹介して、結婚はしないで、中には一緒になる人もいますが、籍を入れなくても一緒に住むような紹介をしていまして、そういう人たちを集めて旅行に出している会社もあります。私は、むしろ、そういうようなところを見つけて、研修に行って、潜在的にあるものを札幌市が掌握する手だてをどうやって覚えてくるか。  今は、インターネットの時代ですし、あるいは、インターネットばかりではなくて、携帯やスマホを使ったり、いろいろな伝達方法がありますので、札幌市がいろいろなところとつながってネットワークをつくるようにしていくべきだと思います。通常の旅行会社が案内広告を出しても集められない人たちがたくさんいると思いますから、札幌市は、やっぱりそういうものにもずっとつながりを持っていく、そして、そういう人たちが四季折々に札幌に来てくれるようにする。そうやって、旅行会社を通さずに札幌市に来てくれれば、ホテルにしても旅館にしても旅行会社への手数料を払わなくて済み、実質的に余計にお金が入るようになりますから、経営的にも安定することになっていくわけです。  これは、旅行会社の話ばかりでなく、大企業で一番先にやったのはトヨタです。トヨタは、下請が品物をつくったら、倉庫にためておきません。例えば、あした使うものだったら、その下請会社にきょうの何時までに発注して、あしたの朝の何時には品物を入れてもらう、そしてすぐ組み立てラインに乗せていくようにする、それでなくなったのが倉庫業なのですね。世の中というのは、通信手段が発達してそういう方向に向かっているわけですから、1人の研修をやるにしてもそういうところに研修に出していく、そういうことが本当の意味で札幌の旅館や中小の宿泊施設を潤すことになっていくと思いますので、私はそういう派遣の仕方をすべきだと思います。  そこで、市長、今、私は一つの事例を出しましたけれども、やっぱり、職員の派遣あるいは研修についても、そういう視点で研修をしていくことが本当の意味で各分野で新しくやっていこうということにつながっていくと思うのです。そういうことをするか、しないかというのは、札幌市の場合には、市長にかかっていると思うのです。もし、市長が、俺には強い3人の副市長がいる、助さん、格さんのほかにもう一人、大岡越前がいる、こういうことならば、3人の副市長を順番にそういうところに研修に出して、そして、まずは市長にかわってそういうことを覚えてきて、局長以下、所管のそれぞれのところにこういうことでちょっとやってみろと号令をかける、そうすると、下のほうは、えっとびっくりはするものの、そうかな、副市長が研修を受けてきているのだから、じゃ、俺らもと言ってやる、これも一つの方法なのです。  そんなことを含めて、やっぱり、研修のあり方、ここが特に観光では大事だと思うのです。私が説明したようなことを聞いて、今、市長はどう対処しようと思ったか、お答えください。 ◎秋元 市長  職員の研修について、時代のいろいろな流れというもの、変化というものを的確に捉えて、行政の仕組みの中にどう取り込んでいくのか、そういう人材育成というのは重要だということで、今、民間の企業のノウハウ、あるいは民間の物事の考え方を学ぶ一つとして先ほど一つの実績として挙げられたと思います。そういう意味で、委員がご指摘のように、例えば観光についても、今、団体旅行で来られる方もいらっしゃいますが、個人で旅行で来られて観光パンフレットに出てこないような情報をインターネット等で取得しながら回っていくこともあります。したがって、今、海外、特にアジアのお客様が何を求めてくるのかということについて、さまざまな視点で物事を捉えながら、新しい商品といいますか、札幌の魅力をどうつくっていくのか、北海道の魅力をどう発信していくのかという意味では、先ほどいろいろご指摘があったような点もしっかり考えていかなければいけないだろうというふうに思います。 ◆松浦忠 委員  観光の場合の研修は、特にそういうことが大事です。既存の鉄道会社系の旅行会社というのは歴史もありますし、そういう意味では組織も長い積み重ねがありますから、札幌市の職員が行って、組織運営その他を含めて、ためになったなということはそんなにないと私は思っております。大体は広告を出して集めるというやり方がほとんどです。したがって、派遣先については、さっき言ったようなことでしっかり考えてやっていただきたい。とりわけ、観光は、ほかの部門と違って、一般に観光に来る方には縛りというものがありません。縛りというのは、観光するにはこういう規則に沿ってやらなければいけないというものがなくて、これぐらい自由な市場はないわけであります。そういう意味で、私は、そういう組織的な制約のない小さなところに行って研修してくることが大事ではないかなと思いますので、ぜひ、そういう視点で研修、派遣をしていただくことを求めます。観光については大いなる期待をしていますので、観光部局の研修が見本になって札幌市の研修体制が変わることを期待して、終わります。 ◆佐々木みつこ 委員  私からは、ホワイトイルミネーションの魅力アップ事業についてお伺いいたします。  私は、平成26年3定においてホワイトイルミネーション事業について質問いたしました。当時、観光のまちづくりプランにホワイトイルミネーションのリニューアルについて触れられていなかったことから、その見直しを提言して、3丁目までしかなかったホワイトイルミネーションの魅力アップについて取り組むべきと指摘いたしました。  さっぽろホワイトイルミネーションは、昭和56年に始まる全国初のイルミネーション事業でございます。知名度はそれなりにありますが、その後の節電方針などを受け、今や、全国の中では見劣りするレベルになってしまいました。札幌の観光、経済の閑散期における底上げの事業として大胆なリニューアルが必要であることを指摘し、当局からは検討していくとの答弁をいただきました。その後、平成27年2定では5,000万円の肉づけ予算がつき、総額7,900万円の予算で5丁目まで会場の拡大を図られたところです。  そこでまず、このたびのイルミネーション会場拡大の結果についてどのように認識しているか、お伺いします。 ◎大島 観光コンベンション部長  ホワイトイルミネーションの今年度の結果についてのご質問でございます。  今年度は、会場構成や内容の大幅な見直しを図るため、まず、会場展開に係る提案公募を実施したところでございます。それに基づきまして、今年度の事業といたしましては、先ほどご指摘がありましたとおり、昨年まで大通西1丁目から3丁目までだった会場を2丁角拡大して西5丁目までとして、スノークリスタルといった大型の新規オブジェを2基設置し、参加型イベントや温かい飲み物を提供する飲食サービスを実施して魅力アップを図ったところでございます。 ◆佐々木みつこ 委員  公募して企画を募り、5丁目まで拡大して、オブジェも2基ふやしたということでございました。私も行ってみましたが、人通りはある程度あったかなとは思っております。けれども、政府の政策によりまして、昨年から、中国とかアジアからの観光客が日本全国にたくさん流入している状況で、リニューアルしたからにぎわいがふえたとは一概に言えないのではないかと私は思います。5丁目まで拡大して、1丁角で何人ふえたのか、一つオブジェがふえたから何人ふえたかというと、全体が変わっていますので、それを数えるのもなかなか厳しいものがあるだろうとは思います。しかし、単純に何かをやったから何人ふえたという数ではなくても、日本全体とか札幌全体に比べてホワイトイルミネーションではどのくらいの率で上がっているかということで見るのは必要ではないかと思います。  私は、前回、平成26年に魅力アップを目指すべきと提言いたしましたのは、たくさん電気をつけて見劣りしないようにしなさいと言ったわけではありません。札幌の中心の大通公園において、雪まつり、夏まつり、オータムフェスタ、YOSAKOI、全て200万人規模の集客イベントになっており、そのことが札幌の経済に寄与していることから、このホワイトイルミネーションも、200万人規模のイベントになるようにということで、特に11月から2月は札幌の経済の閑散期ですから、その底上げのメーンイベントとして200万人規模の経済効果を上げるイベントに成長させて、札幌の経済全体の牽引役になるべきだと求めたものでございます。前回の質問でも、200万人規模のイベントにする目標を立てて、その経済効果について調査、確認をして、結果を公表して、観光業の中での共有はもちろん、海外からの企業誘致などにもつながるようにと求めました。  そこで、質問ですが、前回は、ご答弁で200万人規模を目指すと言われておりますけれども、目標数値及び効果の結果検証はどのようにするつもりか、お伺いします。 ◎大島 観光コンベンション部長  200万人規模を目指すというご答弁をしたということですが、基本的な事業の効果検証の考え方についてご答弁をさせていただきます。  イルミネーションは、ご存じのとおり、会場が大通、駅前通、そして南1条通と3会場ございまして、ふだんの通行量も多いことから、ホワイトイルミネーションを見に来られた観客を把握することは非常に難しいものと認識いたしております。逆に、通行量だけを捉えれば200万人という数字も多分達成できるのかなというふうに考えております。  ただ、今年度の実績について申し上げますと、同時期に大通西2丁目で開催されたミュンヘン・クリスマス市の来場者数が昨年に比べて35%ふえております。また、同じく、西1丁目のテレビ塔の入場者数も、11月が18%増、12月が38%増となっておりますことから、前年に比べてホワイトイルミネーションの改修がにぎわい創出にある程度寄与したのではないかと、こういった数字から判断させていただいております。 ◆佐々木みつこ 委員  先ほど申し上げましたが、全体の通行量とか観光客数がふえているところですので、ミュンヘン・クリスマス市が昨年より35%ふえたとか、テレビ塔が18%、38%ふえたと言っても、単純にそのせいではない可能性もあると言えると思います。ただ、把握が難しい、通行量の分割が難しいと言われましたけれども、やはり、タイムリーに状況がどうだったかを把握する努力が必要だと考えます。  通行なのでというお話がありましたが、まず、大通公園の飾りつけであるという認識について、私はちょっといかがなものかと思っています。閑散期のイベントとしてホワイトイルミネーションがあるわけですから、そのように捉えるならばやはり効果検証が必要だと考えています。終わったら、ことしは何人入ったか、去年よりどこを工夫したから何がよかったとか、外人より日本人が多かったとか、そういったところを関係者で話し合ってすぐに検証することが次に生きる総括になるし、仕事のあり方ではないかなと考えます。  そして、このイベントは、先ほどから何回も申し上げますが、北海道全域の経済、そして、北海道の観光リーダーである札幌の経済の底上げのイベントだということを私は申し上げたいと思います。関係者、そして協賛企業もたくさん入っておりますが、ぜひ、そこと一緒に総括の会議をやっていくことが必要だと思います。先ほどはおっしゃいませんでしたが、多分、分析を委託するための費用もかかるということもあるのではないかと思います。しかし、ホテルとか飲食、物販など商工会や観光業はもちろん、北海道庁の担当などとも一体となって札幌全体をみんなで盛り上げる、最近はやりのオール北海道、チーム札幌という形で総括することもぜひご検討いただきたいと思います。  何度も申し上げますが、これは閑散期に対するにぎわいのイベントであり、事業でございますが、ある程度の人通りはありましたけれども、今回は余り売り上げが上がっていないという話も出店者から聞いています。何人かの海外の観光客の方々にも聞きましても、イルミネーションが目的で来たという回答はなかなか得られなかったように感じます。今回は、ある程度の集客はできたということですが、目的である閑散期の牽引役になったのかどうかということは、もうちょっと結果を突き詰めていただきたいですし、それについてはまだまだ可能性を秘めているのではないかと思います。今回のアクションプランには、メディアアーツを活用した新しいイルミネーションを設置するという記述もありました。これから地に足のついた改革をして、イルミネーションを稼ぐ事業にしていただきたいと考えるところでございます。
     そこで、質問ですが、今回の予算ではホワイトイルミネーション事業費として7,900万円から大きく伸びて2億円計上されています。また、今回は、国際部から予算の800万円とともに移管されるミュンヘン・クリスマス市が追加されて、一体となって展開できることを期待しておりますが、どのように魅力アップ事業を実施するのか、お伺いします。 ◎大島 観光コンベンション部長  来年度の取り組みについてのご質問でございます。  来年度は、さらに3丁角拡大いたしまして、大通西8丁目までをエリアとして、改めて会場全体の構成やオブジェのデザイン、配置等についても検討し、さらに魅力的なものになるよう努めてまいりたいと考えております。また、来年度は、ミュンヘン・クリスマス市が総務局国際部より移管される予定でありますことから、これまで以上に、イルミネーションとミュンヘン・クリスマス市を一体的に展開することで相乗効果が生まれるよう取り組んでまいりたいと考えております。 ◆佐々木みつこ 委員  ぜひ、期待しております。  この時期というのは、昭和56年当時は、きらめく粉雪の中に電飾があって、本物のホワイトイルミネーションということですごくロマンチックでした。しかし、最近は温暖化の影響で雪はまだ舞っておらず、こういう状況なのは仕方がないなと思いますけれども、こうした季節の札幌の自然は特にアジアや南からの観光客にはとてもロマンチックで素敵なものです。アジアへのプロモーションも積極的に行う中で、すてきな構図の映像を撮れるような仕掛けも念頭に置いてはいかがかと私は思います。例えば、新幹線が札幌に延伸したとき、またはオリパラの誘致に成功したときのために、札幌の玄関口である札幌駅に着いて、駅からのイルミネーションがばっと広がる光景に観光客の感動が爆発する様子をおさめた映像など、今からそのようなことを想定して準備しておけばいいのではないかと思います。  そのためには、予算には限りがありますし、また、駅前といいますと赤れんがテラスなどの商店街がありますので、そういった民間との連携協力体制も必要だし、大事だと思います。また、大通公園に行って例えばテレビ塔の展望台に上がれば、そこからははっとして息をのむような大通公園の景色が広がりますから、周りのデパートやホテルなどのご協力も得てきれいに飾りつけていただくことも必要かと思います。さらに、Wi-Fi環境とともに、訪れた観光客が次にどこに行けばいいかすぐにわかる周遊ルートのページがあって、大通公園や札幌駅の会場を散歩する方々が自撮りの映像をきれいに撮れるようなスポット、あるいは、さまざまな感動ポイントを整備して、リピーターを生む仕掛けをつくっていくことが必要ではないかと思います。ほかの地区に比べて、札幌のホワイトイルミネーションは何で優位性を持っているのかということを踏まえ、1回だけではなく、何回も来たくなるリピートの可能性をどうつくるかが今回のリニューアルで一番求められるところだと思います。  予算としては、今回の2億円が一番大きいと思います。無理なく続けるためには、事業の本来の目的である閑散期の経済波及効果をしっかり上げて、そして、それを周りの商工会や観光業の方々と共有することが必要だと思います。今回、観光部局は経済局と一体になりますので、もはや経済の閑散期のない観光都市さっぽろをつくることができたという結果検証となることを求めて、質問を終わります。 ◆池田由美 委員  私からは、MICE事業について、4点ほど質問いたします。  本市は、札幌MICE総合戦略に基づいた事業を本市の重要な施策と位置づけて取り組まれております。札幌MICE総合戦略の資料を見ますと、2013年で国際会議が89件、参加者総数は5万1,777人、インセンティブツアーは37件で5,057人となっています。その後の2年間でまた数値が上がっているのかなと思いますけれども、これまでの事業の中で、本市にとって市民の暮らしや雇用、地元の企業の経営が安定して市民消費が向上していく、つまり、域内経済の活性化につながることが一番重要だというふうに考えますが、どのような認識をお持ちか、伺います。 ◎大島 観光コンベンション部長  MICEを開催することによる効果をどのように考えているのかというご質問だと思います。  MICEの開催は、国内外から多くの来訪者が見込まれるとともに、滞在期間が比較的長く、飲食、宿泊、買い物などのさまざまな分野で消費活動が行われるほか、会議に必要な物品やサービスが市内で調達されるため、高い経済効果があるものと認識いたしております。また、観光の閑散期に開催されるMICEの場合は、季節変動による札幌の観光需要を補完する効果も期待できるところでございます。さらに、滞在中に札幌の魅力を楽しんでいただくことで、将来、再びプライベートで札幌を訪れていただくことが期待できるなど、観光客の増加にもつながるものと考えております。 ◆池田由美 委員  MICEによって会議に来られた方たちが札幌で飲食し、宿泊していく、市内のサービスを調達していくことで経済効果が上がるというご答弁だったと思います。  会議に来られた方の宿泊先は都心部のホテルが多いと思いますが、都心部のホテルというのは、本市の地場の企業ではなくて、多くは本州資本だと思います。そして、都心部の百貨店などで買い物をしたとしても、これもやはり本州資本です。こういうことでは、札幌に必ずお金が落ちるような仕組みではないと感じております。  そこで、質問ですが、地場のどんな企業に経済波及効果があるのか、また、雇用がどのように広がって域内経済の活性化につながっているのか、伺いたいと思います。 ◎大島 観光コンベンション部長  MICEによる消費効果というのは地場にはなかなか落ちないのではないかというご指摘だろうと思います。  確かに、都心部のホテル、あるいは商業施設については、地場資本ではないところも含まれているかと思います。ただ、特にサービス業におきましては、そこで発生する雇用は必ず地場の人間の雇用につながっているというふうにまず認識いたしております。さらには、そこで商業活動が行われることによりまして、事業所税等の形で税源の涵養にもつながっているものと認識いたしております。 ◆池田由美 委員  地元に落ちない部分もあるけれども、サービスなどでは札幌の人の雇用が広がるというご答弁だったと思います。  ただ、本市の労働者の41.7%が非正規雇用となっております。製造業やホテルなどでの雇用が広がるのかなと思いますが、非正規雇用がふえているというふうにも聞いておりますので、その辺はどのようにお考えなのか、また、このことをどのように検証していくのか、伺いたいと思います。  また、MICE事業を進めるには、あわせて正社員化の見込みも持って、冷え込んでいる消費につなげて域内経済の循環を生み出していくべきでして、こういうことも含めて見ていく必要があるのではないかと思いますがいかがか、伺います。 ◎大島 観光コンベンション部長  雇用自体も非正規雇用の形につながって、実際の市民の所得の増大効果ではちょっとはてなマークがつくのではないかというご指摘だろうと思います。  まず、私どもは、基本的に、労働行政の部分を所管しておりませんから、データ的なことを申し上げることはちょっとできない状況でございます。しかしながら、今、実際に観光が非常に好調ですので、そういった中では、ホテルのほうでも人手不足が起きていますから、例えば給与条件であるとか勤務条件を上げてでも人を確保したいという動きがあります。ですから、観光あるいはMICEによって札幌の来訪客がふえることによりまして、観光需要に対応するだけの人間、あるいは、非正規から正規にしても確保したい、そういう流れをつくり出すことに寄与するものだと考えております。 ◆池田由美 委員  人が足りなくなってきていることは聞いていますが、やはり、非正規雇用というところが問題なのだなというふうに思います。先ほど労働行政ではないためにそういうデータは持っていないというお話でしたが、今後、MICEの事業を進めるに当たって、どのようにして雇用を広げるのか、正社員化の見込みをどう持っていくのかということも、経済局と一緒になってしっかり検討していく必要があるのではないかと考えておりますので、ぜひ今後に生かしていただきたいと思います。  先ほど田中委員の質問にもありましたけれども、会議や観光で札幌に来られる方々に市民がどんなふうに接していくのかということが、札幌に来た方にまた来たいという思いを持たせてリピーターをふやしていく鍵になっていくと私は思います。現在、多くの都市がMICE事業に取り組み、海外でも国際会議の誘致に躍起となっている状況だと思いますが、今、その競争に勝ち抜いていくための施設整備が重視されて、本市も新しいMICE施設の建設に向かっていっていると思います。  そこで、質問ですが、この間の会議の誘致の数、規模を見ますと、89回のうち3,000人規模の会議が5回、そして、50人から1,000人という小規模な会議が81回と一番多く開催されています。そこで、他都市と競争していくためには、MICE施設を建てていくことよりも、こうした小規模な会議をたくさん誘致し、丁寧に取り組んで、また札幌に来たいと感じてもらってリピーターをふやしていくこと、こういう取り組みを札幌の特質として進めていくことが大事なのではないかと思いますがいかがか、伺います。 ◎大島 観光コンベンション部長  誘致をするMICEの規模について、比較的小規模のものをより多く誘致していくべきではないかというご指摘であろうかと思います。  それらにつきまして、今年度は、主催者へのニーズ調査などによりまして、札幌に求められるMICE施設の機能等について検討を行っているところであり、来年度は、これらの結果を踏まえて具体的な計画策定に向けて着手していく予定でおります。  そのような中で、今、大規模なMICEにつきましては、施設のないところでは開催できないという現状がある中で、私どもは、関係者、特に学会を主宰する大学関連とか経済界からはそういう大規模施設の整備要望なども受けているところでございます。 ◆池田由美 委員  今、ニーズ調査をされていて、具体的にどう進めていくのかは、この調査の結果をもとにしてこれから考えていくということだと思います。  今、札幌市は、新しいMICEの施設を建てる方向に向いていっていると思います。ただ、市民の一番の願いは、やはり暮らしや雇用の安定だというふうに思います。暮らしや雇用の安定こそが、個人消費につながって、域内経済の活性化にもつながると考えています。市民が、気持ちの上でもゆとりを持ち、札幌市に会議や観光で訪れる方たちを心から歓迎することができる力をつけていくことが、今、本当に大切なのではないかと私は考えます。  国が進めるMICEの事業、そして、経済界からさまざまな求めもあったりニーズもあるのだというお話もありましたが、やはり、本市に見合った施策を進めていくことが大事なのではないかなと思います。税金をどこから取って、誰のために使うのか、今このことが問われてきているなというふうに私は感じます。これから札幌の経済を総合的に検証してMICE事業の今後の進め方を検討されると言っておりましたが、新たなMICE施設の建設は立ちどまって考え直すべきではないか、再度、このことを申し上げまして、質問を終わります。 ◆中山真一 委員  私からは、国際観光誘致についてとおもてなし推進事業について伺います。  まずは、国際観光誘致におけるインバウンド消費の取り込みについて伺います。  観光は、その経済効果がさまざまな業種に波及するとも言われておりまして、本市経済の牽引役としてその役割が期待されております。本市の今年度上半期の外国人宿泊者数は、前年度比44.3%増の86万5,000人で過去最高を記録いたしました。一方で、多くの市民や事業者にとっては、まだまだその果実が実感されていないのも事実であります。インバウンド誘致に力を入れる目的は、結局は市民の所得を上げることです。企業の稼ぎを上げていくことが必要です。そのためには、観光客にできるだけ多く地域で消費してもらうための仕掛けが欠かせません。  これは、反面教師ですけれども、例えばスペインのバルセロナは、毎年、2,700万人もの観光客が訪れ、世界を代表する観光都市であり、オリンピックの開催都市でもあります。ハード整備など観光客対応の支出が増大していく一方、地元事業者の売り上げや利益に余りつながっておらず、税収も思ったよりもふえておりません。市民が期待していたほどの恩恵を受けておらず、行政は頭を悩ませております。このような轍を踏まないようにしないといけないと考えます。  現状を見ますと、今年度の4月から6月の北海道のデータですが、道内の外国人旅行者1人当たりの消費額は平均15万761円、全国平均の17万6,198円と比べて15%も低くなっております。  私は、昨年2定の特別委員会において、国際観光誘致では実際に企業の稼ぎにつながる取り組みを強化すべきと提言させていただきました。その際、大島部長より、今後はより多くの民間事業者を巻き込む取り組みを強化したい旨の答弁がありました。  そこでまず、伺いますが、さまざまな業種の事業者の稼ぎを上げ、インバウンドの果実を少しでも多くの市民に還元するため、インバウンド客の消費の取り込みを拡大するための施策の強化や、いわゆるナショナルチェーンだけでなく、意欲のある地元の事業者も含め、事業者の拡大を図る必要があると考えますけれども、札幌市はどのように認識しておられるのか、また、具体的にどのような取り組みを進めていらっしゃるのか、伺います。 ◎大島 観光コンベンション部長  インバウンド消費の取り込みを図る事業者拡大に向けた認識と取り組みについてのご質問でございます。  外国人観光客の増大は、地域の幅広い産業分野に経済効果をもたらすことから、私どもとしても、市内の多くの民間事業者が外国人観光客への積極的な対応を進めていくことを期待しているところでございます。そのような観点から、今年度、事業者の外国語対応の強化に資する外国語コミュニケーション講座を実施したほか、海外のキーパーソンの招聘事業におきまして、都心部や円山地区の飲食店や商業店舗を視察に組み込むなど、事業者のインバウンド消費の取り込み強化を支援してきたところでございます。  今後も、引き続き、こうした事業に取り組んでいくとともに、商工会議所等とも連携して、市内のさまざまな業種や規模の事業者の参入を促進してまいりたいと考えております。 ◆中山真一 委員  これまでもいろいろな取り組みをなされてきて、今後もより大きく事業者を巻き込んで取り組まれるということを伺いました。今後、経済局と一体になるということもありますが、爆買いのその先ということも言われますので、地元の事業者や商店街、美容室などのサービス業といった地場のものからオリジナルな札幌の魅力を発信し、ぜひ持続可能なインバウンド消費の取り込みにつなげていただければと思います。  次に、国際観光誘致の成果をはかる指標について伺います。  インバウンドについて語られる場面で、これまでは入り込み客数の増加ばかりが喧伝される傾向がありました。入り込み客数で見るというのは、例えば、ショッピングセンターで今月は何人のお客さんが来たか、来場者数で見るようなものです。普通は、当然、店の売上高で見るはずです。  今後は、インバウンド消費の拡大、その取り込みというように観光の力点や課題が変化してきている中で、市民の所得を上げる、事業者の稼ぎをふやすという目的に向けて的確な打ち手を展開し、随時、各事業を検証、修正していくことが欠かせません。そのためには、新たな指標が必要であると考えます。例えば、短期旅行、長期リゾート、富裕層といった観光スタイル別の消費額や、インバウンド取り込みに係る企業数、滞在期間など、さまざまな定量的指標が考えられると思います。  そこで、伺います。  このような観光をめぐる新たな課題が認識されている中、従来の入り込み客数に加え、真に市民所得の向上につながる新たな指標の開発や設定が必要だと思いますけれども、ご見解を伺います。 ◎大島 観光コンベンション部長  特にインバウンドの拡大に対応した、観光振興における新たな指標の設定についての考え方ということでございます。  今後の国際観光振興におきましては、インバウンド消費の拡大とその取り込みを通じて経済効果を高めていくことが最も重要な視点であるというのは、私どももご指摘のとおりである考えております。ただ、実際に定量的な指標をとるとなりますと、調査自体が頻繁に毎年できるかとか、正直に言ってさまざまな課題がございます。そこで、今後は、先ほど申し上げましたように、誘客プロモーションにおける事業者の参加促進であるとか、事業者の外国語対応の支援等を一層推進していくつもりでございます。  そこで、そういった取り組みの成果をはかるために、例えば、そうした講座への受講者数や参加企業数など、そういった直接的な事業指標なども含めて、新たな指標の設定について検討してまいりたいと考えております。 ◆中山真一 委員  今、調査はお金がかかるというお話もありましたし、もう1点、外国語講座の受講者数というお話がありました。しかし、これは、多分、成果指標ではなくてアウトプットの指標ですので、皆さんもご経験があるかと思いますが、これで事業成果を検証するのは難しいかなというふうに率直に感じました。確かに、調査は、頻度を重ねれば重ねるほど、精度を上げようとすればするほどお金がかかるものですけれども、成果を検証しないで事業をやることのほうが、どちらかというと費用対効果が悪いのではないかと私自身は考えておりますので、皆様方におかれましても、今後、定量的な指標についてしっかりと検討されることを求めまして、次の質問に移りたいと思います。  次は、おもてなし推進事業について、札幌市の本気度を確認する観点で伺います。  この事業は、アクションプランの中でもリーディングプロジェクトとして位置づけられておりまして、一番最初に出てくる1丁目1番地の事業です。このように位置づけている以上、札幌市役所の力量が問われる事業だというふうにも言えます。ここでは、まち全体で観光客を受け入れるおもてなしのうねりを創出するという何とも壮大なビジョンが掲げられております。  しかしながら、このおもてなしという言葉は、個人的には大変使い勝手が悪いというふうにも思います。人によって解釈やイメージするものが違います。例えば、情報発信やキャンペーンでこのおもてなしという言葉を使った瞬間に、見た人は思考停止に陥って、具体的な意識変革や行動にはなかなかつながっていかないのではないかというふうに思います。  旅のだいご味は、ゲストとホストの交流です。私も、会社員時代、仕事で国内全ての都道府県に行きました。旅行も含め、海外70都市ほど、さまざまなまちを訪れましたけれども、結局、一番思い出に残り、また訪れたいと思うのは、現地の人との交流が思い出深い場所です。そういうまちの根底にあるのは、観光客に対しての一つの思い、それは、愛する我がまちに来てくれてありがとう、数ある選択肢の中から私のまちを選んでくれてありがとうという気持ちであり、我がまちへの愛や誇りです。  また、再び訪れたいと思える観光地は、市民からも、事業者からも、まち全体からもそのことが伝わってきます。私は、国内では例えば沖縄や広島、福岡などでそれを強く感じました。これは、本日もるる議論がありましたように、本質的には郷土の文化や歴史への理解や敬意、教育の問題に行き着くような課題でありますが、このように人の意識や行動を変えることは簡単ではありません。先日の保健福祉局のとくとく健診の審議の際にも申し上げましたが、戦略的に取り組まないと成果は出ません。地道な取り組みを積み重ねていくしかありません。このように戦略的に事業を実施していくためには、まずは現状をしっかりと把握することが必要です。そうしないと、成果も上がりません。  本事業では、おもてなしに関する基礎調査を実施すると伺っております。  そこで、質問ですが、その調査では、どのような仮説をもとに、どのような内容の調査をやられるのか、伺います。 ◎大島 観光コンベンション部長  おもてなしに関する基礎調査の内容と想定している仮説というご質問でございます。  まず、外国人観光客に向けましては、期待するおもてなしの内容等についてのニーズ調査を行うとともに、市民に対しては、おもてなし活動への関心等についての意識調査を行う予定でございます。  調査結果を得る際の仮説というものにつきましては、外国人観光客は、今、委員もご指摘のとおり、地元の人との交流を含めたさまざまな形のおもてなしを期待している一方で、市民は、おもてなし活動に関心はあるものの、特に言葉の壁などの問題から、実際に一歩を踏み出せない方が多いのではないか、今の段階ではこのようなことを仮説的に考えております。 ◆中山真一 委員  今、大島部長がおっしゃっていた仮説は、私もおおむね同意するところですが、私自身が思うのは、本当に使える調査にするには、加えて、二つの視点が必要かなと思います。  一つは、観光客を対象とする調査は、国別に傾向やニーズを探ることが必要ではないかと思います。同じASEAN内でも、宗教や食習慣も含め、国ごとに全く違います。当然、中国も、韓国も、欧米もそれぞれ違います。押しつけではなく、相手の立場に立って喜んでいただくには、まず相手のことを知ることが必要であります。例えば、イギリスの官公庁やパリ観光局では、事業者向けに国ごとの観光客対応の手引も制作しております。  もう一つ、市民対象の調査は、ベンチマークを設定することが大切ではないかなと思います。札幌と他都市を比較する調査と同じものを国内他都市の市民に対しても行い、比較することで本市の特質が浮かび上がり、初めて改善の余地が見えてくると思います。例えば、福岡市は、世界ナンバーワンのおもてなし都市の実現ということでさまざまな施策を展開しております。東京は、2020オリンピックに向けてカウントダウンが始まっております。これらの都市と比較することで、より取り組むべき課題が見えてきます。札幌ならではの課題を把握し、市民気質を踏まえたおもてなしの推進が可能になると思います。札幌らしいおもてなしのあり方が見えてくることで、それが差別化要因にもつながります。加えて、例えば今後2年ごとにトレンド分析をすると、それが指標にもなります。他都市と比べて、どの部分がどれくらい伸びたのかと検証も可能になります。  そこで、伺いますが、データは比較しないと真に使える調査にはなりません。より使える調査にするために、また、今後の事業成果の検証をするためにも、国別に傾向、ニーズを探ること、そして、他都市比較の調査をすべきだと考えますけれども、見解を伺います。 ◎大島 観光コンベンション部長  観光客への意識調査に関して、来訪者の国別の比較、あるいは、他都市での調査との比較によって札幌のおもてなしをはかるようにすべきではないかというご指摘でございます。  まず、札幌市が行う満足度調査におきましては、来訪者の出身国別にデータを抽出して傾向を把握する取り組みとしたいと考えております。また、他都市での調査に関しては、現段階では他都市で調査するような事業について来年度予算では確保しておりません。ただ、国や民間の調査研究機関がこれまでに実施してきた外国人観光客の訪日旅行に関する意識調査の中では地域比較などもございますので、そういったものを参考にして今後のベンチマークの設定等について考えてまいりたいと考えております。 ◆中山真一 委員  今、来年度は、直接の調査は考えていないけれども、国のいろいろなデータを参考にしながら、ベンチマークも意識して取り組まれるということですので、ぜひ進めていただければなと思います。  先ほど市民向けの意識啓発についてのお話がありましたが、加えて、来年度の取り組みの中には事業者向けのものもあると伺っております。私は、この事業者向けの部分が最も肝となる部分であると思います。観光客にとって一番の接点であり、最も求められているところではないかと思います。加えて、事業者のサービスの質を高めていくことが、市民の意識や行動に波及していくものと考えます。  しかし、現実には、先ほどもありましたが、観光事業者にとっては人手不足が深刻です。生産性の向上が求められており、人材育成、高付加価値化、マネジメント強化などが喫緊の課題となっております。これらの課題を解決しない限り、幾ら多くの観光客を誘致しても、先ほどのインバウンド消費の取り込みもままならないというふうに思います。  そこで、質問ですが、来年度の取り組みのもう一つの柱である事業者向けの取り組みについて伺います。  事業者向け人材育成については、先ほども少しありましたが、そのほかも含め、具体的にはどのようなことに取り組んでいかれるのか、伺います。 ◎大島 観光コンベンション部長  おもてなし推進事業における事業者人材育成の具体的な取り組みについてのご質問でございます。  事業者向けの人材育成では、新たに、外国人観光客が旅行先に求めているサービスを提供している事業者を対象に、これは、宿泊だけではなくて、飲食、物販、さらには交通事業者も含まれると思いますが、サービスアップに関しての研究会などを開催するほか、現場で外国人観光客と接する従業員の異文化理解に関する講座などを実施する予定でございます。また、通訳案内士の活用、あるいは外国人向けスキーインストラクターの養成などを支援して、外国人観光客の総合的な満足度向上につなげてまいりたいと考えております。 ◆中山真一 委員  今、事業者向けのさまざまな取り組みの予定を伺いましたが、ぜひ、成果につながるように取り組んでいただければなと思います。  市民向けの取り組みについては先ほど田中委員の質疑でもありましたが、今、事業者向けの取り組みについても伺いました。  私は、もう一つ、大きな当事者は行政ではないかと思います。私は、この視点が最も必要ではないかなというふうに考えています。観光客との接点がある行政施設はもちろんですが、それ以外でも、市職員の皆さんが自分事として当事者意識を高めていくことが重要だと思います。そうでないと、到底、おもてなしのうねりなどというものは起きないと思います。まず、身内からでありまして、それは私ども議員も含めてだと思いますが、率先して取り組むことが必要だと思います。  そういう意味でも、全庁的な連携が必要だと思います。というより、外からのお客様を心から迎え入れるというのは、観光文化局だけではなくて、教育委員会や交通局なども含め、全庁全局の仕事であり、役割だと思います。もちろん、市長は、観光を重視するとか、世界都市であるとか、オリンピック・パラリンピックを招致するぞというふうに明確におっしゃっているわけですから、全庁的に取り組むべきことだと思います。  ただ、自分も数万人の組織で働いていたことがあるので、わかりますが、部門間の連携というのは言葉で言うほど簡単ではありません。手間もかかります。それぞれ各部署には目の前の業務や役割がある中で、当事者意識を持つことはなかなか難しいことであります。観光で稼いで、そのお客様の落としたお金のおかげで自分の事業がある、もっと言えば、税収につながって自分たちの給料がある、そういったことを頭でわかっているだけではなく、肌で感じる、行動に落とし込むことが必要ではないかと思います。札幌市は、何か知らないけれども、どこへ行っても、いわゆるおもてなし的なことを言っている、やっているというふうになって、初めておもてなしのうねりのようなものになるというふうに思います。リーディングプロジェクトであるおもてなしの推進の成否は、全庁的な一体感や組織としての力量が問われる取り組みであると思います。  一方で、これまでの私自身の各局の皆さんとのやりとりや、本日も含め、議会での議論を見ていましても、正直に言って、局を超えた連携は余り得意ではないのかなというふうに感じることも多いです。まれにですが、これは担当外だ、自分たちは当事者ではないとして、市政にかかわることは全て自分のことだと思わない当事者意識の希薄さが散見されます。  このような中、庁内連携を実効性のあるものにし、成果を出すためには、市長を初め、トップの強力なリーダーシップが必要だと思います。連携しましょうと言うだけではなく、具体的な仕組み化が必要であると思います。例えば、市長、副市長、各局長が勢ぞろいする場で、市長が、一つは全庁、各局でおもてなしにつながる取り組みをやるようにということを課す、各局は期限までに関連事業を一つ提案してくる、それを責任持って実行する、年度末には取り組み成果の報告義務を負う、少なくともそれぐらいやらないと有効には機能しないと思います。それぞれの事業は大きなものでなくてもいいと思います。ちょっと想像してみると、各局それぞれがこの事業の目的につながる事業が創出可能だということがわかります。実際に手足を動かして汗をかかないと、当事者意識も高まりません。  そこで、最後に、町田副市長に伺いたいと思います。  市の全部局で取り組み、全庁一体となっておもてなしのうねりを創出するために、例えば、今申し上げた形のようなものでもいいのですが、強力なリーダーシップのもとで進めていく仕組みが必要だと考えますけれども、どのように考えるか、伺います。 ◎町田 副市長  国際観光都市さっぽろの市民として、市民がまち全体でおもてなしのうねりを創出していくことは、市内経済の活性化をもたらすことはもとより、市民みずからが札幌の魅力を自覚し、愛着を持つことにつながるものでございます。このため、札幌市の中期的戦略を定めるアクションプランのリーディングプロジェクトとして、おもてなし推進事業を位置づけたところであります。札幌市として例えば拡大局長会議等の枠組みを活用するなど、関連する部局が十分に連携するよう、市長のもとで私もリーダーシップをしっかり果たしてまいります。 ◆中山真一 委員  今、町田副市長から、副市長ご自身もしっかりとリーダーシップを発揮していかれるということですので、本年度の取り組みに期待しております。成果の出る取り組みにしていただくことを最後に提言しまして、私の質問を終わります。 ○しのだ江里子 委員長  以上で、第1項 商工費のうち関係分等の質疑を終了いたします。  以上で、本日の質疑を終了いたします。  次回は、明後日、3月24日木曜日午後1時から、病院局関係の質疑を行いますので、定刻までにご参集ください。  本日は、これをもちまして散会いたします。     ――――――――――――――       散 会 午後7時51分...