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平成28年第一部予算特別委員会−03月08日-04号
平成28年第二部予算特別委員会−03月08日-04号

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  1. 札幌市議会 2016-03-08
    平成28年第二部予算特別委員会−03月08日-04号


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    平成28年第二部予算特別委員会−03月08日-04号平成28年第二部予算特別委員会  札幌市議会第二部予算特別委員会記録(第4号)               平成28年(2016年)3月8日(火曜日)       ―――――――――――――――――――――――――――――――――― ●議題 付託案件の審査 ●出席委員 33名     委 員 長  しのだ 江里子      副委員長   坂本 きょう子     委   員  武 市 憲 一      委   員  宮 村 素 子     委   員  こんどう 和雄      委   員  長 内 直 也     委   員  よこやま 峰子      委   員  小須田 悟 士     委   員  佐々木 みつこ      委   員  こじま ゆ み     委   員  阿部 ひであき      委   員  伴   良 隆     委   員  中 川 賢 一      委   員  松 井 隆 文     委   員  小 野 正 美      委   員  大 嶋   薫     委   員  三 宅 由 美      委   員  桑 原   透     委   員  村 上 ゆうこ      委   員  林   清 治     委   員  かんの 太 一      委   員  成 田 祐 樹     委   員  本 郷 俊 史      委   員  國 安 政 典     委   員  丸 山 秀 樹      委   員  小 口 智 久     委   員  竹 内 孝 代      委   員  村 上 ひとし
        委   員  池 田 由 美      委   員  田 中 啓 介     委   員  松 浦   忠      委   員  石 川 佐和子     委   員  中 山 真 一       ――――――――――――――――――――――――――――――――――       開 議 午後1時     ―――――――――――――― ○しのだ江里子 委員長  ただいまから、第二部予算特別委員会を開会いたします。  報告事項でありますが、細川委員からは、よこやま委員と交代する旨、届け出がございました。  それでは、議事に入ります。  最初に、第3款 保健福祉費 第1項 社会福祉費及び議案第29号 札幌市発達医療センター条例の全部を改正する条例案について、一括して質疑を行います。 ◆松浦忠 委員  きょうは、全部で17名いらっしゃいます。また、きょうは、札幌市の福祉事業がどういう状況にあるかということで、はるばる埼玉県から傍聴に来られている方がいらっしゃいます。したがいまして、できるだけわかりやすく、簡潔に質問していきます。  一つ目は民生委員選任、二つ目は中国残留邦人支援事業、三つ目は障がい者の福祉事業、この3点について伺います。  まず、1点目の民生委員の指名についてでありますが、民生委員は、3年に1回、任期で改選されていきます。ことしがその改選期であります。民生委員の推薦については、それぞれの区で推薦会などを持っておりますけれども、民生委員が活動できている分野とできづらい分野があります。  具体に言いますと、マンションの住人については、民生委員が入っていくことがなかなか難しいです。例を一つ挙げますと、東札幌の昔のダイエー付近高層マンションがかなり密集しております。つい先週、私が相談を受けたのは、白石で一番高い30階建ての高層マンションと、同じ敷地の中に中層マンションの二つがあって、約300戸あります。このマンションは、総事業費124億円、そして、札幌市と道と国を合わせて27億円の補助金を出して建てたもので、白石区では値段も結構高いマンションです。入居後10年がたちまして、介護を受けなければならない人、あるいは施設に移る人などが出ております。  マンションに入る方というのは、どちらかというと、隣近所とのおつき合いなど余り煩わしいことをしたくないという人が多いのです。そんなことで、実態としては、マンションの管理組合も、あるいは入居者も、手を差し伸べるのはなかなか大変です。そして、ここからも見えるのですが、300戸のマンションには民生委員がいませんので、民生委員が1人いるといいなと。そこで、どういう話になったかというと、300戸前後で民生委員が1人いますから、200戸のマンションと100戸のマンションを合わせて、マンション担当民生委員ということで、マンションに居住している人を民生委員として任命してほしい、こういう相談が寄せられました。私も、特にこの地区については、避難場所の指定とかいろいろなことで10年ぐらい深くかかわってきていますが、やっぱりそうだなと思います。  そこで、今度の改選期の民生委員の選任に当たって、今、指摘したような実態に基づく対応を求めて、全部とは言いませんが、各区に1カ所ぐらい、モデル的に民生委員が選任されるのがいいのではないかと思うわけですけれども、これについていかがですか。 ◎白岩 総務部長  ただいま、マンションのみを担当する民生委員の導入について、どこかの地区でモデルとして実施できないかということでございます。  民生委員の地区割りあるいは担当区域につきましては、民生委員法の第24条第1項で民生委員児童委員協議会が定めるということになっております。ただいまご提案いただきましたモデルの実施につきましては、実際に地域で活動を行っている民生委員児童委員協議会の意見を聞きながら検討してまいりたいと考えております。 ◆松浦忠 委員  昨今、なかなか民生・児童委員のなり手がいないのです。なり手がいなくて、私の住んでいる町内で長年やっていただいた方は、まだ定年前ですが、ことしの正月に会ったら、実はやめさせてほしいと。何でですかと聞いたら、実は、私が長年飼っている犬が老衰で介護しなければいけない、自分が長年飼っていた犬だから、ちゃんと最期までみとってやりたい、それで、ことしの11月の改選期にやめさせてほしい、後任を誰か見つけてくれませんかという相談も受けているのです。そういうことで、推薦会をつくっても苦慮しているのが実態なのです。そういう中で、先ほど言ったようなことがありますので、各区に1カ所と言っても無理でしょうから、私が長年かかわってきている東札幌の連合町内会の中にマンションが密集していますし、先ほど言ったマンションもその中にありますから、ここをモデルにして、ぜひひとつ、区に話して取り組んでいただきたい。  実態としては、そこで推薦会をやっているけれども、連合町内会ではその地区に誰かいませんかということで、ある区域に固まって民生委員が出ています。そして、ご承知かと思いますが、自分の家もない遠く離れたところを受け持ち区域としてやっている実態がそこらここらにあります。そういうような状況からいったら、今、私が提起した問題というのはマンションには共通してあると思います。11月が改選期ですから、今からやれば十分間に合うと思うけれども、役所の仕事ですからなかなか動いていかないので、あれこれ言いませんから、ぜひひとつ、その実態に合うように東札幌でモデルとして1カ所やってください。  そういうふうに区と話をして、そういう取り組みをしますと答えれば、これで終わりますが、いかがか。 ◎白岩 総務部長  ただいまのご提言でございますけれども、先ほどの繰り返しになりますが、私どもは、この選任の場合は地元の民生委員児童委員協議会の意見を聞くことになっておりますので、その方々の意見を十分に酌み上げながら対応してまいりたいと考えております。 ◆松浦忠 委員  実態は、区であれこれ人を探してもらって、何とか数を間に合わせているのです。それから、民生委員児童委員協議会も、そんな自主性はないです。やめたいという人は、あとは探してと言ってやめます。以前はやめる人が後任を探すということだったのですが、今はそれもままならぬのが実態です。したがって、行政主導でやらざるを得ないわけですから、きちんと取り組んでもらわなければできていきません。  法律に書いていることを暗記してきてここで読むような実態と合わないことを言っても、ここは実態に合わせて審議しているのですから、行政は実態にどう合わせるかなんです。民生委員法はいつできた法律ですか。こんな何十年も前にできた法律を、こうやって実態に合わなくなってもいまだに答弁しているようではだめです。したがって、これ以上言いませんから。市長、これはよく覚えておいてください。  それでは、次に移ります。  次に、障がい者の就労支援ということで、靴の修理、シュリーの店がありますね。ここの経営が何年か前に非常に赤字になって大変だということで、議会でもいろいろと議論になりました。靴の修理をやっているシュリーの店の経営実態は今どうなっていますか。赤字か黒字か、お答えください。 ◎嶋内 障がい保健福祉部長  さっぽろシュリーにつきましては、委員から今お話がありましたとおり、平成23年に経営危機になりまして、その後、10年間の長期計画と、当初、平成24年度、25年度、26年度の3年間を集中取り組み期間として、不採算店舗の整理などを行いまして、ここ3年間につきましては、収入、支出はおおむね均衡している状態になっております。 ◆松浦忠 委員  安い靴が出てきてみんなは履き捨てることが多くなっていますが、実は、札幌市白石区の栄通17丁目に長く靴の修理をやっている方がいらして、そこには、全国のデパートとか、いわゆる高価な靴を扱っている店から修繕依頼が来ています。なぜかというと、高い靴をきちっと修復する技術力を持っているのですね。そして、忙しくてどうにもならぬと言っているのです。そういう職人がいなくなってきているのが今の実態です。ですから、一つは、数いる中で、1人か2人はそういう技能を持った職人をぜひ育てていただきたい。これが一つです。  それから、二つ目は、障がい者の皆さんの支援のお店ですから、市民に広く知ってもらうことが大事だと思います。そのためには、私は、広報さっぽろを開いたら広告の次に出てくるぐらいのところに、シュリーの店の仕事の内容や標準的な値段を書いてお知らせするぐらいのことはやらなきゃならぬと思うのだけれども、今まで一回も見たことがありません。  こういうことについて、やろうと思ったことがあったか、ないか、お尋ねします。 ◎嶋内 障がい保健福祉部長  広報につきましては、極めて重要な案件というふうに考えておりまして、これまでは、さっぽろシュリーだけではなくて、元気ショップとか、さまざまな障がい関係の事業所がございますので、そういったものについてトータルで広報したことは過去にございます。札幌市トータルとして、障がい者の就労、ましてや工賃向上に関しては力を入れておりますので、今後、広報の仕方についても十分検討してまいりたいと考えております。 ◆松浦忠 委員  では、後でまとめて市長に質問することにして、次に移ります。  最後に、中国残留邦人の支援活動についてです。  実は、私は、昭和61年の3月議会でこの問題を取り上げました。言葉の壁があってなかなか職につけないということから、当時、引き揚げた方には市営住宅を提供して入居していただき、また、当時、3月議会の代表質問で取り上げ、板垣市長と話して、札幌市の現業職の中でも余り言葉を交わさなくてもいい職場ということでごみ収集の仕事に採用してもらいました。ところが、子どもあるいは孫も含めて、生まれたときから日本の家庭で育つという状況と違って、なかなか普通の状況に行かない部分がありました。  そこで、お尋ねしたいのは、これら残留邦人で帰還された方々について、今現在、就労可能な人のうち、就労している人と、やむなく生活保護を受給している人は何人ぐらいいらっしゃるのか、わかる範囲でお答えいただきたいと思います。 ◎白岩 総務部長  中国残留邦人のお子様、お孫さんの中で生活保護を受けている方、生活保護を受けていない方の数ということでございます。  お子さん、お孫さんがどういった状況にあるか、どれぐらいの人数がいるかということについては、現在、240名ほどいると把握しております。その中で、生活保護を受けている方は何名かということについては、現段階では把握しておりません。 ◆松浦忠 委員  そこで、市長に、今までの3点についてまとめて質問いたします。  一つは、民生委員の関係は、私は、実態に合わせて民生委員の役割を果たせるようにすべきだと思っています。  そこで、マンションについて言えば、300戸なり300戸ちょっとに1人が担当するということなので、東札幌地区の中でモデル的にマンションの入居者から選んでいただきたいと思います。東札幌では連合町内会の中にマンションがかなり固まっていますから、対象とする300戸ぐらいの入居者のグループをつくって、そして理事会や協議会みたいなものをつくって、何かあれば理事会も一緒に対応してもらう、こういうことが実態に合うと思いますので、そういうことについて、行政が働きかけて協議会にもそうした対応を求めていくことがいいと思うのです。このことについて、ぜひひとつ、市長としてやっていただきたいと思いますが、いかがでしょうかということが一つです。  それから、2点目のシュリーの靴の修理についてです。  いろいろな靴を直せる高度な技能を持った人が少なくなってきていますから、やはり、そういう人を養成することが一つです。  それから、もう一つは、今、スーパーなどに行くと、例えば、昔のダイエー東札幌店でも靴修理の店が入っています。ですから、皆さんは、買い物に来て、ぱっと修理していきます。そういう中で、札幌市が税金を投入して、そういう団体をつくって、そして補助金を出しながらやるということは、やっぱり、みんなで支え合うという仕組みでやっているわけですから、それを皆さんにきちっとお知らせすることが必要です。私は、広報さっぽろが一番いいと思います。お知らせして、福祉に関心のある市民は、それじゃ、そこに持っていって直してもらおうかという形で来ていただく。関心があっても、わからなければそのままやり過ごしてしまうわけです。  したがって、元気ショップなどいろいろな事業をいっぱいやっているけれども、私は、技能継承も含めて、ぜひ一回、広報さっぽろを開いたら広告の次ぐらいに、本当にすぐ目に入るところに靴修理の店のお知らせを出してほしい。そうやって皆さんが持っている気持ちに応えてもらうようにしてほしいと思うわけですが、いかがでしょうか。これが2点目です。  それから、3点目の中国残留孤児についてです。  我々札幌市民も日本国民の一員であります。国が満州国をつくって東南アジアを侵略して、イギリスとかヨーロッパの先進国などに伍して近代国家として占領地を求めていくという国策の中でやってきたことなのですよ。そして、その戦争に敗れたときに、国民を守ると言った関東軍、日本では泣く子も黙る関東軍と言われた人たちが満州国にいて、戦争に負けたとなったら、軍隊はいち早く引き揚げて、そして、開拓に行っていた人たちが置き去りにされた。その人たちが引き揚げるときに、やむにやまれず、子どもを中国の現地の方々に託してきた。この子どもたちが引き揚げてきているわけですよ。したがって、負の遺産が今はまだここにあるわけですから、私は、札幌市長として、日本国として、札幌市民としても、それに対してほかの生活困窮者とは別の手だてをきちっと講じていくべきだと思います。  それは、就職のあっせんであったり、子どもであれば勉強の支援とか、いろいろあると思います。板垣さんは、雇用までやってくれました。しかし、残念ながら、桂さんも上田さんもそういうことについて手を差し伸べませんでした。私は、特に上田さんに期待したんです。黙っていてもやるだろうなと思いました。やっぱり、黙っていれば気づかない。  そこで、今度は市の業務に精通した市長が就任されましたから、私は、市長にぜひここのところをやっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。  この3点です。 ◎秋元 市長  3点のご質問をいただきました。  最初に、民生委員の選任の件でございますが、委員のご提案のように、地域の実態に合わせて民生委員のお仕事をしていただくのは重要なことだろうと思います。集合住宅等の集まっているようなところで、どのような方を選べばいいのかということについても、今のご指摘の点も踏まえてしっかり検討させていただきたいと思います。  それから、シュリーの店の障がい者の就労支援についてであります。  そういう方々の就労支援について、多くの市民に知っていただくことも重要だと思います。元気ショップも含めてでありますが、障がい者の就労支援について、広報の点も含めて、しっかり検討させていただきたいと思います。  それから、中国の残留邦人についてです。  これは、実態も含めて、年に1度、家庭にお邪魔してお話を伺っているようでありますけれども、必要な支援について、どういうような声が多いのか、そのことを踏まえて検討させていただきたいというふうに思います。 ◆松浦忠 委員  市長、最後の中国の問題ですが、私は、昭和21年、戦争の負けた翌年に1年生に上がりました。戦前のこともおよそわかりますし、戦後の困難も知っています。引き揚げの方が残留孤児探しをやって、日本に第1陣が引き揚げてきたこともテレビで数多く見ました。この議場にいる皆さんの中で、恐らく、そちら側においでの方で昭和21年に小学校に上がった人は誰もいないと思います。こちら側でも、戦後の混乱期を知っている人は私しかいないと思います。  したがって、私は、そういう実態をわかっている人間の一人として、国民の一人として、市長には、特にこの事態を早急に把握して、そして、ほかの支援とは別に必要な支援をきちっとやっていただきたいということを求めて、終わります。 ◆松井隆文 委員  私からは、障がい児通所支援について質問させていただきます。  札幌市内の障がい児通所支援事業所数は、全国でもトップレベルの多さでありまして、現在も増加していると聞いております。そんな中、障がい児とその家族に対して本当に適切なサービスが行われているのか、市民からいまだに不安の声が消えてない現状がある一方、行政としては、日々、この事業に対して監査や助言を行ってきていることと思います。  そこでまず、確認の意味で、ここ数年の児童発達支援等事業所数と利用者数の推移について、数字とともに、どのように認識しているのか、伺います。 ◎嶋内 障がい保健福祉部長  まず、児童発達支援等事業所数の推移でございますが、現行制度となった平成24年4月に153カ所だったものが、27年4月には279カ所、そして、この3月1日現在では305カ所という状況となっております。  次に、利用者数につきましては、平成24年4月には2,914人だったものが、27年4月には5,344人、直近実績の本年1月分では6,136人となっております。  事業所数及び利用者数ともに伸びておりまして、当面、この傾向は続くものと考えております。 ◆松井隆文 委員  事業所の数は相変わらずふえており、同じように利用者も増加しているということです。利用者がふえるということは、それだけ多くのお子さんが療育を受けて成長しているというふうに考えられますが、それは、あくまで事業所が適切な支援をしてこそ成り立つものであります。  そこで、質問ですが、昨年10月の決算特別委員会において、我が会派の村山委員から障がい児通所支援について質問した際に、理事者からは、新規事業所への指導は特に重要と考えていることから、例えば新規事業所向けの集団指導を別途開催するなど、効果的な指導方法を検討したい旨のお答えをいただきました。  そこで、今後、利用者に対する適切な福祉サービスを提供するために、事業所に対してはどのように質の確保を求めていくつもりなのか、改めて伺います。 ◎嶋内 障がい保健福祉部長  事業所に対する質の確保についての質問でございます。  障がい児通所支援事業所は、先ほど申しましたように300カ所を超えておりまして、例年、秋に開催している通常の集団指導とは別に、開設からまだ日が浅い事業所、開設後1年程度の事業所を想定しておりますが、年度の早い時期に新たに集団指導を開催する準備を現在進めているところでございます。この新規事業所向け集団指導において、根拠法令等をわかりやすく明示したチェックシートを提供いたしまして、事業所みずからが定期的に点検できる仕組みを構築したいというふうに考えております。 ◆松井隆文 委員  そういった動きをしっかり進めていただきたいと思います。  最後に、障がい児通所支援事業の中の保育所等訪問支援について要望させていただきたいと思います。  この事業は、平成24年度から新たに創設されたサービスで、保育所や幼稚園等に通う障がいのある児童が円滑に集団生活等に適応することができるよう、事業所の訪問支援員が保育所等を訪問し、障がい児本人に対する支援や訪問先施設の職員に対する支援を行うものであり、その保護者からは大変よいサービスであると聞いております。療育としては、児童発達支援などの事業所への通いサービスがメーンとなっており、保育所等の訪問支援というのは、こうしたサービスの補完的な位置づけであるという点は理解できるものの、まだまだ利用児童が少ないように思われます。  この事業の推進に当たっては、制度開始当初に、保健福祉局教育委員会との連名で幼稚園や小学校などに周知し、また、同様に、子ども未来局から保育所に対しても周知をしたほか、昨年4月には利用日数の見直しにも取り組んだと聞いているところであります。しかし、療育が必要とされる児童には、日ごろの児童発達支援等と組み合わせて、総合的な活用が図られるように、さらに取り組みを進めることを求めまして、私の質問を終わらせていただきます。 ◆かんの太一 委員  私からは、本市における自殺総合対策について、何点か質問いたします。  平成18年の自殺対策基本法制定から10年を迎え、昨年6月には参議院厚生労働委員会において自殺総合対策のさらなる推進を求める決議が行われ、今国会において法改正が審議されます。  この間、国内の自殺者数は、平成23年まで14年連続して3万人を超えていたものが、その後、減少傾向に転じ、平成27年の暫定値では18年ぶりに2万5,000人を下回るまでに減少しました。これは、失業率が低下していることなど、経済、景気、雇用環境の改善が背景にあると言われていますが、平成19年の自殺総合対策大綱の策定を経て、平成21年度から各都道府県に設けられた地域自殺対策緊急強化基金を財源として、全国で取り組まれてきた自殺対策の取り組みの成果でもあると考えます。  札幌市においても、平成22年度末には最初の5年計画である自殺総合対策行動計画、平成25年度末には現行の第2次札幌市自殺総合対策行動計画を策定し、関係部局を含めて全庁的な取り組みを続けてこられました。2月23日の北海道新聞で報道されましたが、年間の自殺者数も、ピーク時には480人であったものが、平成27年には暫定値ながら327人まで減少しています。  そこで、質問ですが、札幌市の自殺者数の推移とその傾向を伺います。  また、平成26年度からスタートした第2次札幌市自殺総合対策行動計画に基づき、どのような取り組みを進めてきたのか、お伺いいたします。 ◎鎌田 精神保健担当部長  まず、札幌市における自殺者数の推移と傾向についてお答えしたいと思います。  大手金融機関の経営破綻がありました翌年の平成10年に自殺者数が急増し、その後、ほぼ400人台という高い水準で推移してまいりました。平成21年度に自殺総合対策事業を開始した後、内閣府が取りまとめている地域における自殺の基礎資料によりますと、札幌市の自殺者数は、委員がご指摘のとおり、平成22年、23年は480人と高どまりが続いておりましたが、平成24年には437人とようやく減少に転じまして、25年には413人、26年には381人と、近年、着実に減少しております。直近の平成27年は、先ほどもありましたように、327人という暫定値が新聞報道されましたが、その後、修正がありまして、最新の暫定値では343人となっております。  傾向といたしましては、自殺者数の男女別では、男性が女性の約2倍と多くなっておりますが、近年の減少率は男性が高く、女性のほうは横ばいあるいは微増という傾向がございます。19歳以下は10人前後と絶対数では少ないのですが、死亡の原因、死因順位で見ますと30歳までは自殺が死因順位の1位となっております。  次に、第2次札幌市自殺総合対策行動計画に基づく取り組み状況についてお答えします。  自殺という問題は、さまざまな経済的・社会的要因と、その人の健康、家族状況等の要因が複雑に関係して起きているという認識に立って取り組みを進めております。具体的には、こころの健康づくり電話相談の夜間・休日への時間延長、弁護士会、司法書士会との共催によるワンストップの相談会などの相談事業、相談業務担当者あるいは保健、福祉、医療、教育、司法等の専門職、さらには、一般市民を含むゲートキーパー養成等の人材養成事業、そして、9月の自殺予防週間あるいは3月の自殺対策強化月間を軸に、こころの健康づくり講演会を初めとした普及啓発事業などを地道に行っております。  中でも、40歳未満の若年層向けの自殺対策では、平成26年度は若者のリスナーが多いFMラジオを活用した普及啓発を、27年度は市民アンケートや各種統計資料を用いた若年層の実態分析を実施しております。また、自殺未遂者の支援としまして、自殺未遂者の調査を26年度に実施し、27年度は自殺未遂者支援研修会の開催などにも取り組んでまいりました。 ◆かんの太一 委員  ただいまの答弁でさまざまな対策を講じてきたということであります。  札幌市における自殺者数が平成24年度以降は大幅に減少してきた要因としては、全国的な失業率の低下など経済・社会環境の改善に加え、札幌市が庁内外の関係機関、関係団体と連携して取り組んできた自殺総合対策の効果のあらわれであると評価したいと思います。  しかしながら、自殺者数が今もって年間三百数十人といえば、この札幌市のどこかで、ほぼ毎日、1人の市民がみずからとうとい命を絶っているわけですから、現状は依然として憂慮すべき事態が続いていることに変わりはありません。札幌市においても、自殺対策基本法改正案で述べられているように、誰もが自殺に追い込まれることのない社会の実現を目指してという理念に沿って自殺総合対策の取り組みを一層効果的に進めていく必要があると考えます。  そこで、質問ですが、札幌市は今後どのような自殺総合対策を進めていくのか、平成28年度に力を入れる事業などもあわせてお伺いいたします。 ◎鎌田 精神保健担当部長  今後の自殺総合対策の進め方と平成28年度の取り組みについてのご質問にお答えしたいと思います。  現在、通常国会で審議中の自殺対策基本法改正案では、地域の実態を踏まえた対策を促すため、これまでの都道府県に加えまして、市町村にも自殺対策の計画づくりを義務づけることなどが柱とされています。  札幌市では、平成21年度から既に自殺総合対策行動計画を策定し、庁内外の関係部局、関係機関・団体等と連携しながら地道な取り組みを重ねてきておりまして、これまでの自殺対策を今後も継承してまいりたいと考えております。  平成28年度におきましては、これまで蓄積した事業を基本としつつ、具体的には、昨年作成したゲートキーパー養成研修テキストを活用した研修会の拡充、若年層対策として、これまでの紙媒体中心の普及啓発に加えて、スマートフォンを介した普及啓発の実施を考えております。さらに、自殺未遂者対策としては、未遂者調査を踏まえた人材養成の継続に力を入れるなど、一人でも多くの命を救うための取り組みを進めてまいりたいと考えております。また、支援のすき間に漏れる市民を一人でも減らすために、教育関係、法律関係、介護・医療関係など、これまで築いてまいりました専門分野の関係機関・団体との連携をさらに強めてまいりたいと考えております。 ◆かんの太一 委員  最後に、要望です。  近年、自殺者数は減っていますけれども、自殺対策の取り組みは決して後退させてはならず、例えば、将来的に国の補助金が減額されるケースなど、外部環境が変化したとしてもしっかりと事業を進めていただきたいと考えております。  平成27年度と平成28年度のほっとけない・こころ推進事業費の内訳を比較してみると、普及啓発に重きを置いていた予算配分が、ゲートキーパーの養成など人材養成事業に重点配分されております。自殺に至るまでには複雑な要因があり、自殺を未然に防ぐためにも、行政職員のみならず、法曹界、介護・医療分野などさまざまな方のかかわりをより深化させ、ネットワークの構築に努めていただきたいと思います。  また、19歳以下、20代、30代の若者世代の死因順位第1位が自殺となっており、絶対数は減っているものの、未来に夢を抱く若者がとうとい命を失うという憂慮すべき状況を少しでも解消するため、不断の取り組みを続けていただくことをお願い申し上げ、私の質問を終了いたします。 ◆竹内孝代 委員  私からは、福祉のまち推進センター事業、いわゆる福まち事業の補助金について質問いたします。  近年、加速化する高齢社会において、特に高齢者のひとり暮らしや高齢夫婦世帯数はますます増加し、頼れる人が身近にいないという悩みを抱える方々がふえております。高齢者の皆さんは、住みなれた地域で自分らしく生き生きと暮らせる生活を望んでおりますが、その中にあって、地域ぐるみで互いに支え合う環境づくりと、ボランティアによる福祉サービスを推進する福祉のまち推進事業の存在は、大変重要であり、貴重であると思います。  私の住む清田区でひとり暮らしをされている高齢のご婦人から、救急医療情報ポストというものを見せていただきました。これは、長さ20センチほどでプラスチック製の透明な筒型のケースですが、この中に氏名、住所、生年月日、さらには既往症や緊急連絡先を記載した連絡カードを丸めて入れ、冷蔵庫などわかりやすい場所にステッカーを張り、保管しておくものです。このご婦人を初め、おひとり暮らしの高齢者にとっては、万が一に備えて心強いものだとお聞きしました。このような高齢者の見守り活動グッズというのは福まちの活動の中で配付している例が多く、取り組む地域がふえてきております。民生委員や福まち推進委員、協力員の方々が日ごろから行う見守り活動の中で異変を発見した場合、また、病気やけがの緊急時に救急隊員等が駆けつけた際、同居家族がいらっしゃらない方でも、カードの記載内容を確認することで素早く適切な対応が可能になる非常に効果的な活動です。  こうした取り組みを初め、高齢者や障がい者の見守り活動や、ひきこもり予防を目的とした交流会やサロンなど、地域では地区福まちによるさまざまな活動が行われていますが、活動に係る費用は札幌市からの補助金が原資となっており、各地域で必要とされるさまざまな事業が進みやすいような仕組みが求められております。
     そこで、質問ですが、市内89地区ある地区福まちの活動への補助金の仕組みはどのようになっているのか、また、現在、それぞれの地区はどの程度の補助を受けているのか、お伺いいたします。 ◎白岩 総務部長  地区福まちへの補助金の仕組みはどのようになっているのかということでございます。  これにつきましては、平成22年度までは各地区50万円の一律補助でございましたが、1年間の経過措置を経まして、平成24年度からは、地区福まちの運営や広報活動等に対する基本活動費と、地域の活動状況に応じた事業加算費の2階建て方式へと制度変更いたしております。これによりまして、平成27年度は、各地区に最小26万円から最大67万円の補助を行っておりまして、1地区当たりの平均額は50万円程度となっております。 ◆竹内孝代 委員  ただいまの答弁で、現在の補助金の仕組みは、平成24年度に2階建て方式に大きな見直しを行って、補助金額は平均すると1地区当たり約50万円とのことでした。高齢化が急速に進み、地域での見守り活動の重要性が増すなど地域を取り巻く環境は刻々と変化しており、福まちの活動内容も、地域による特性に配慮したものが必要となるため、補助金は、安定した事業執行を可能にするだけでなく、福まちにとって使いやすい仕組みであることが求められます。  そこで、質問ですけれども、地区福まちの補助金について、前回の見直しから4年が経過しようとしているところであり、今後も福まち活動が効果的に進められるよう、札幌市として、適宜、補助制度の検証を行うべきと考えますがいかがか、お伺いいたします。 ◎白岩 総務部長  札幌市におきましては、ここ数年のうちに総人口が減少に転じる一方で、高齢者の占める割合はより一層高くなっていくことが予測されております。そうした中、誰もが住みなれた地域で安心して暮らし続けるためには、地域住民同士の支え合い活動を今まで以上に活性化していく必要があるものと考え、補助制度につきましても、適宜、検証を行い、必要に応じて見直しを行うべきであると認識しております。  そこで、昨年10月には、各地区に福まち活動の取り組み状況や補助金の見直しに対する意見を把握するためのアンケート調査を実施いたしました。また、本年1月から3月には、各地区の代表者が出席する区の福まち運営委員会で意見を聴取するなど、見直しに向けた検討を鋭意進めているところでございます。 ◆竹内孝代 委員  補助金のあり方について、今後、検証し、見直しに着手されるとのことなので、ぜひお願いしたいと思います。  私も、日ごろより、福まち推進委員等で活動されている方々からお話を伺いますが、地域によって状況がさまざまで、必要としている取り組みやその事業規模にも違いがあります。今回の検証と見直しにおいては、地域のニーズが反映されていることが重要であると考えます。  そこで、質問ですが、地域からはこれまでにどのように意見が出されているのか、また、社会情勢の変化や地域からの意見を踏まえた見直しの方向性及び今後のスケジュールについてもあわせてお伺いいたします。 ◎白岩 総務部長  1点目の地域からの意見についてでございますが、補助対象となる事業の拡大や申請手続の簡素化など、活用しやすい制度へと見直しを求める意見が数多く寄せられております。  それから、2点目の見直しの方向性についてでございますが、札幌市といたしましては、身近な地域での見守り活動を一層拡大していきたいと考えておりますので、見守りを必要とする方を漏れなくカバーするきめ細かい活動が展開されるような枠組みへと見直すとともに、手続面でも簡素化を図るなど、活用しやすい制度にしてまいりたいと考えております。  3点目のスケジュールについてでございますが、平成28年度は、事業の実施主体である社会福祉協議会と補助制度のあり方についての協議を重ねるとともに、福まち活動者向けの説明会を随時開催するなど、地域の方々のご理解をいただきながら丁寧に進め、新制度による補助については平成29年度から実施してまいりたいと考えております。 ◆竹内孝代 委員  ただいまの答弁では、地域の皆様へのアンケート調査や意見聴取を開始して、その内容によって必要な見直しを行っていきたいということでしたけれども、今後は、説明会を開催するなど、丁寧に補助制度を見直し、そして手続を進めていただきたいと思います。  最後ですが、福まち事業の補助金は、地域住民同士の支え合い活動を進める上で大変重要な役割を果たしているものと考えますので、よりよい活動が広がるように、今後も、定期的な検証と見直しを行うとともに、各地域同士の情報交換の場の確保や好事例を通じたアドバイスなど、本市が地域に寄り添い、積極的に事業に取り組んでいただくことを求めて、私の質問を終わります。 ◆田中啓介 委員  私からは、視覚障がい者に対する日常生活用具の給付について質問させていただきます。  昨年の第3回定例会の決算特別委員会で、視覚障がい者用のICタグレコーダーを日常生活用具の給付対象にすることを求めさせていただきました。  ICタグレコーダーについて、改めて簡単に説明させていただきますと、製品によって多少の違いはございますが、ICタグという切手のようなタグにあらかじめ判別したいものの特徴を自分の声などで録音し、そのものにタグをつけておいて、ペンのような専用の読み取り装置を近づけて再生ボタンを押すと録音していた内容が音声化されるというものです。物の情報が音声で簡単に確認できるようになることで、同じ形状の食品の種類や詰めかえ用の洗剤が何なのか、音声でわかります。また、生活の質の向上だけではなく、薬局などでもらう薬、血圧用の薬だったり睡眠薬など、まさに命にかかわるような薬の誤飲も防ぐことができるようになります。  私がICタグレコーダーを給付対象にするよう求めたのに対して、視覚障がい者用の音声ICタグレコーダーについては、他都市の給付状況や他の障がい種別の対象品目とのバランスを考慮して給付対象とすべきか検討するという内容のお答えだったと思います。  そこで、質問ですが、音声ICタグレコーダーの給付の検討結果はどうなったのか、伺います。 ◎嶋内 障がい保健福祉部長  日常生活用具の給付品目につきましては、厚生労働省の通知で示されている参考例や関係団体などのご意見のほか、他都市の給付状況等も考慮しながら拡大を図ってきたところでございます。特に、情報支援分野につきましては、日進月歩で機器が進歩して用具も多様化している状況にございます。他の障がい種別の対象品目とのバランスなども考慮しながら、こういう機器につきまして拡大を図っているところでございます。  そこで、ご質問の音声ICタグレコーダーにつきましては、視覚障がい者の団体からご要望をいただいていることや、他都市における給付状況、また、この機器が重度の視覚障がいのある方の日常生活の改善を図る効果が高い用具であることなどを総合的に考慮いたしまして、平成28年度から日常生活用具として給付することができるよう、現在、準備を進めているところでございます。 ◆田中啓介 委員  今の回答は、当事者には本当に朗報だと思います。ICタグレコーダーを給付品目に追加するということですが、さきの決算特別委員会では、対象者は視覚障がい1、2級の方、約3,000人ということでした。  今後、予算化するに当たって、給付予定の人数、また、給付基準額などを考えていると思いますけれども、準備するに当たって、2016年度は何名ぐらいを想定して予算化しているか、伺います。 ◎嶋内 障がい保健福祉部長  平成28年度予算におきましては、同様の障がいのある方を給付対象としている視覚障がい者用ポータブルレコーダーの給付実績等を参考にいたしまして、年間60件程度を見込んでいるところでございます。 ◆田中啓介 委員  日常生活用具給付の予算の中で対応できるということだと思いますが、ICタグレコーダーを利用することで、嶋内部長も答弁されたように、生活の質は本当に向上すると思います。まさに、在宅で安心・安全に生活できるようになっていくと思います。  そこで、質問ですが、多くの対象者、その家族や支援をされている関係者にも広く周知していくこともまた大切だと思います。今後どのように周知を図っていくのか、札幌市のご見解、また検討していることをお知らせいただければと思います。 ◎嶋内 障がい保健福祉部長  給付対象として追加されたことの周知についてでございますけれども、各区役所窓口での周知のほか、要望のございました関係団体、さらには市内の登録業者へのお知らせ等を通じまして、給付対象となる方々にしっかりと周知してまいりたいと考えております。 ◆田中啓介 委員  ICタグレコーダーがあることによって、今後は給付申請される方がふえていくことも考えられると思います。本市として想定している予算をオーバーするようなことがあって、障がい者がせっかく申請したのに給付の対象にならなかった、また、給付を受けられなかったということは、決してあってはならないと思います。また、これは、日常生活用具給付費の予算の中で盛り込んでいるものだと思います。日常生活用具給付費というのは、他の障がい者の給付の部分でも一緒に含まれていると思いますが、他の障がい者への給付に支障が出るようなことはあってはならないと思います。  そこで、質問です。  給付予定者数を超えて日常生活用具給付費の予算では対応し切れなくなったとき、今は当初予算の審議の場ではございますが、補正予算などもしっかりと考えて全ての申請者が給付対象になるようにすべきだと思いますけれどもいかがでしょうか、伺います。 ◎嶋内 障がい保健福祉部長  給付予定人数を超えた場合の対応等についてのご質問でございますが、日常生活用具給付費の予算額については、平成28年度は4億2,500万円程度でございます。こういった全体の予算額の中で、支障のないようしっかり対応してまいりたいと考えております。 ◆田中啓介 委員  改めて、給付の申請をした方が給付を受けられないことがないように対応していただきたいと思います。  また、今後、障がいを持っている方の日常生活用具の給付対象品目は、今回取り上げた視覚障がい者用だけでなく、たとえどんな障がいを持っている方であっても、人間として自分らしく生活できるように、当事者の声をしっかりと反映した給付品目の拡大を今後もしていただくよう求めて、私の質問を終わります。 ◆伴良隆 委員  私は、地域福祉社会の実現に向けた姿勢と取り組みについて伺ってまいります。  私がこの質問に至った経緯は、若い世代のお父さんから連絡がありまして、土・日・夜間に、子どもが急病で、心配だから病院に行きたいと思ったところ、WEST19もありますが、その方のところから当番医まではタクシーだと往復1万円かかるので大変ちゅうちょしたということです。伴君、札幌市は子育てに優しいまちづくりと言っているけれども、なかなかそうもいかないねという厳しいお話を受けたわけでございます。医師会とのことや医療資源の限界ということもございまして、地域の中に病院をつくれとか、クリニックの医師に当番病院でやってくれとは、こちらからはなかなか言いづらいこともございます。やはり、ただふやせということではなくて、介護もそうですが、その地域になぜその支援が必要なのかということを総じて考えるにはどうしたらいいか、私も悩んでまいりました。  医療政策のほうでもお話を聞きましたが、医療あるいは在宅医療とも言いますけれども、それを包含しているのは地域包括ケアといった考え方でございます。地域の中で、さらにもっと大きくなると地域福祉という考え方になりまして、札幌市も地域福祉社会計画をつくっていらっしゃいますし、この中に全てを網羅しているということでございますが、実際はどうなのかということについて質疑してまいりたいと思います。  また、保健福祉施策総合推進本部というものがあるやに聞いておりまして、地域福祉社会計画のチェックをしていくということですけれども、実態はどうなっているのかという部分はクエスチョンでございます。  本市の保健福祉費の推移を見ても、各項の当初予算額の推移は軒並み右肩上がりでありまして、20年で約2.5倍にまで膨れ上がってきております。こうした状況下で、限られた資源の中でいかにして必要な人に必要なサービスを提供していくかは、まずもって、一人でも多くの人が健康で、一人でも多くの人が社会参加して活躍していくことが大変重要であり、私は、これまで高齢福祉部門ではいわゆる元気な高齢者について質疑してまいりました。  もう一つ重要なことは、ある一定の地域エリアで保健福祉が好循環している体制でありまして、そのことによって、福祉や医療や介護や予防、そして、生活支援などを必要とする人が余計な負担をかけることなくサービスを受けられ、また、逆に、過度なサービスを受けることによって福祉費や医療費などの経費が必要以上に支出されないようにしていくこともまた大変重要であると考えております。本市が策定した地域福祉社会計画においては、こうした地域性という考えを前面に出し、区ごと、地区ごとのエリアを定めた地域支援ネットワークの強化を進め、よりきめ細かく必要なサービスが行き届く仕組みづくりを推進するとしております。  そこで、伺いますけれども、地域福祉社会の確立について、本市は、どのようにして地域事情に見合った課題を収集し、また、関係機関と連携し、そして、施策、つまり予算に反映することで本市独自の地域福祉社会にいかに向かっているのか。地域福祉社会計画を着実に進めている根拠として、子どもから高齢者まで、保健福祉の各分野で取り組んでいる代表的事例を部門ごとに挙げ、その取り組み内容も簡潔にご説明いただきたいと思います。 ◎白岩 総務部長  まず、高齢福祉分野におきましては、地域の最前線に立つ地域包括支援センターが総合相談の機能を担っておりまして、運営方針の明確化、好事例等の情報共有や研修の実施など、センターの体制強化を図ってきているところでございます。また、今年度から、高齢者個人に対する支援の充実と、地域に共通する課題の解決に向けた地域づくりの取り組みにつなげるため、地域ケア会議の充実を図っているところでございます。  次に、障がい福祉分野におきましては、障がいのある方が地域で安心して生活できるよう、市内20カ所に相談支援事業所を設置し、障がいのある方やその家族からの相談に応じ、福祉サービスの利用や制度の紹介等の支援を行ってきたところでございます。また、このうち、10カ所の事業所に地域支援員を配置し、区役所を初めとする関係機関や地域福祉関係者と連携を図ってまいりました。  また、地域医療分野におきましては、誰もが住みなれた地域で安心して療養できるよう、在宅医療を担う医師や看護師の人材育成のほか、主治医と副主治医等がグループで診療する在宅医療の仕組みの構築等の取り組みを進めているところでございます。  一方、地域福祉活動の分野におきましては、民生委員や地区福祉のまち推進センターを中心とした住民主体の見守り活動が活発化する支援を図るとともに、地域で発見された支援を必要とする方が適切なサービスに結びつくよう、活動者への研修あるいは情報提供を行ってきたところでございます。 ◆伴良隆 委員  当然、さまざまな取り組みは地域性というものに準ずるものだということはわかりますが、単純に地域性というもので横串を刺したときに、面的に何をされているかということを確認したかったわけでございまして、今のご答弁でさまざまございました。  国では、今、地域福祉ということで地域に矢印が向いております。そのコンセプトに基づいて言いますと、これは、あくまで大きな方向性を示しているものでありまして、各自治体や各地域エリアでの具体的な取り組みこそが、本市の持続可能かつ地域事情に見合った地域福祉社会の確立につながると考えております。  地域事情からの地域課題の掌握と、それに伴う本市各部門の施策展開は非常に重要であり、私は、保健福祉部署以外の部署にも、これまで、市のエリアマネジメントについて既にいろいろと伺い、議会で議論してまいりました。確かに、個人、つまり個別になればなるほど個々人の事情となり、より各論になりますので、特に福祉部門は大変難しいことになるとは思いますが、本市が地域事情や地域課題をある一定のエリアごとで積極的に把握し、コーディネートし、あるいは、関係機関や専門職と一緒になって、いわゆる福祉のエリアマネジメントをしていく動きに今後は一層期待したいところでございます。  そこで、伺いますが、札幌市として、今後も、より地域密着型、つまり一定の生活圏内で、子どもから高齢者にとって保健福祉が好循環し、できる限り生活圏内でそれらが完結していくためには、実際に地域支援を行っている実例を収集し、本市が積極的にそれらをコーディネートし、各エリアで実証と検証を実際に繰り返していくようなサイクルをつくるために、今後はいわゆる福祉のエリアマネジメントに資する取り組みをさらに積極的に進めていくべきと考えますが、いかがでしょうか。 ◎白岩 総務部長  先ほどの答弁と重複いたしますが、各分野におきましても、地域でさまざまな取り組みを行っているところでございます。また、地域ごとでも抱える問題、課題等が異なっている状況でございますので、保健福祉の各分野の地域支援の実例を情報共有しながら、私ども札幌市と関係機関が十分連携して、よりよい地域福祉社会の実現に向けてさらに積極的に取り組んでまいりたいと考えております。 ◆伴良隆 委員  答弁にもるるございましたけれども、基本的には、保健福祉全般で言えば、その都度、起きてくる事案に対して各部門が責任を持って精力的に取り組んでいただいているものと思い、私も評価しているところでございます。  一方で、保健福祉全体で言いますと、地域福祉という切り口での質疑に至るまでに、私は、地域福祉、つまり地域性を重んじた施策がどうなっているのかについて、各部門別に聞いて回らなければいけなかったわけでございます。その意味で、福祉で言うところのエリアマネジメントというコンセプトを札幌市全体としてどう共有しているのか、正直に言って地域住民からは見えづらいところがあるのが現実なのではないかと思っております。  先ほども申し上げましたけれども、福祉を個別に落としていくと、十人十色で多種多様であるとは思います。しかし、せめてある一定の区域の地域諸事情を捉えた上での福祉施策の展開は、たとえ各部門が縦割りであったとしても、地域という横串で刺した状況が私たち市民側にもより色濃く見えるように工夫し、また、より地域性を捉えて施策展開を積極的にしていただきたいことをあわせて指摘させていただきまして、私の質問を終わりたいと思います。 ◆村上ゆうこ 委員  私は、事業者による見守りと地域見守りネットワーク推進会議について質問いたします。  まず最初に、事業者による見守りについてです。  本市にも間もなく人口減少の到来が確実に訪れると言われておりますが、そのような中にあっても、世帯数は、昨年1月とことし1月で比較してみても約1万1,000世帯以上ふえており、単身世帯や核家族化の増加がうかがえます。また、本市のことし1月の65歳以上の高齢者は、47万9,535人で、比率にしますと24.7%と、間もなく4人に1人が高齢者となり、この高齢化の進展により、2025年にはおおむね8世帯に1世帯が高齢単身世帯となることが見込まれております。今後、さらに見守りを必要とする方の増加が本当に必須であると思います。  こうした状況を踏まえまして、札幌市では、2012年12月から札幌市、事業者等による見守り事業が実施の運びとなり、生活協同組合のコープさっぽろ、株式会社エンパイヤー、札幌ヤクルト販売株式会社の3社と協定を結び、2014年3月には道新会札幌八日会と協定を結び、各事業者には、訪問先で倒れている方を発見するなど緊急と判断される場合には警察署や消防署への通報を、また、郵便物がたまっているなど異変が疑われる場合には区役所に通報していただくようにお願いしているとお聞きしています。事業所は、顧客として契約しているお宅を訪問して、その際に見守りや安否確認もあわせて行うということですので、民生委員の安否確認を拒む高齢者宅などにとっては、無理なく自然に見守りをできるメリットがあるのではないかと考えます。また、アクションプラン2015の地域福祉力創造戦略の中でも、孤立死を防止するため、宅配業者などの民間事業者と地域の見守りに関する協定を締結し、万一の場合の通報体制の充実を図りますと活動指標に掲げているところです。  そこで、質問ですが、事業所の見守りによってこれまで実際にどの程度の通報があったのか、お伺いします。  また、アクションプラン2015では、目標値について、2014年度末時点での協定締結先が4社であったものを、2019年度には9社にすることを掲げています。今後の協定締結事業者数の推移についてどのように見込んでおられるのか、あわせてお伺いいたします。 ◎白岩 総務部長  1点目の見守り協定に基づく通報件数の実績でございます。  平成25年度は22件、平成26年度は14件の通報がそれぞれ区役所に対してなされております。通報を受けた区役所では、速やかに対象者とつながりのある介護サービス事業者や民生委員などと連携を図って、対象者宅を直接訪問して安否確認を行っております。この結果、残念ながらお亡くなりになっている事例もございましたが、家の中で動けなくなっているところを発見し、救急搬送によって救出につながった事例も複数件あったところであります。  2点目の今後の協定締結事業者数の見込みであります。  平成27年度には、明治安田生命保険相互会社と株式会社セブン−イレブン・ジャパンの2者と協定をしておりまして、現段階における協定締結事業者数は6事業者となっているところであります。現在も協定の締結に関して打診を受けている事業者もありますことから、今後とも、着実に協定締結を進め、多様な事業者による見守りを一層進めてまいりたいと考えております。 ◆村上ゆうこ 委員  ただいまの答弁で、実際に協定を締結した効果として、事業者から区役所に通報があり、救急搬送により救出に結びついたケースもあったということです。また、今後も多様な事業者と協定を結んでいきたいということでした。  一方、地域では、市民の方々による自主的な福祉活動を行う組織として、おおむね連合町内会ごとの地区社会福祉協議会、地区には福祉のまち推進センターを設置し、各地区における活動の中で、通称福まちによる身近な近隣住民による見守りが行われており、これらが連携した重層的な見守りを実現していくことが重要と考えます。  そこで、次に、地域見守りネットワーク推進会議に関して質問いたします。  札幌市では、札幌市社会福祉協議会を事務局として、福祉のまち推進センターや、見守り協定を締結している事業者などで構成される地域見守りネットワーク推進会議を2014年度に設立したところです。私は、昨年の予算特別委員会で、地域見守りネットワーク推進会議の目的や方向性について質問しました。それに対して、全市レベルでの会議に加えて、区、地区レベルに所在するさまざまな関係機関とのネットワークづくりにつなげて実践的な取り組みを行っていくことが重要ですという答弁があったところです。  そこで、質問です。  2015年度は地域見守りネットワーク推進会議をどのように進めてこられたのか、お伺いいたします。 ◎白岩 総務部長  平成27年度につきましては、昨年度と同様に、行政や協定締結企業等が参加する全市レベルでの会議を2回開催したことに加えて、今後、福まちと民間事業者が連携して見守りに取り組んでいけるように、西区八軒中央地区においてモデル的な取り組みを進めております。具体的に申し上げますと、福まちと民間事業者が互いの見守りや訪問活動についての理解を深めるための実践発表や、実際に異変等が疑われる場合の連携方法を協議するために、福まち活動者と販売員、配達員との交流打ち合わせ会といったものを開催しているところでございます。 ◆村上ゆうこ 委員  地域での見守りのネットワークが、全市レベルの情報交換にとどまらず、地域の住民と事業者との間の連携の構築まで進みつつあるのは、とても大きな一歩だと思います。八軒中央地区の皆さんには、本当に頑張っていただいたと思います。今後は、さらに地区レベルでの連携を全市的に拡大していくことが重要な課題になってくるのではないかと思っております。  そこで、質問です。  この地域見守りネットワーク推進会議は、2016年度に向けてどのように実施することを計画しているのか、お伺いします。 ◎白岩 総務部長  平成28年度につきましては、モデル地区である西区八軒中央地区以外の地区にも福まちと民間事業者の連携をさらに拡大させていくために、地区福まちの代表者が出席する区福まち運営委員会におきまして八軒中央地区の実践紹介を行うなど、連携に向けた機運を一層高めていきたいと考えております。この実践紹介を受けまして、民間事業者との連携による見守りを希望する地区に対しては、区社協が福まちと事業者の仲介を行い、活動者と配達員等との顔合わせや、具体的な連携方法を検討する場を設定するなどの支援を行ってまいります。  また、地域見守りネットワーク推進会議には、北海道マンション管理組合連合会等の集合住宅管理団体の役員の方々にもご参加いただいておりますことから、見守り活動が難しい集合住宅での見守り活動の拡大にも十分取り組んでまいりたいと考えております。具体的には、社協が作成する広報紙あるいは出前講座などによって見守りサロン活動を周知し、興味を示した集合住宅に対して個別的にアプローチを行い、見守りの方法について助言を行ってまいりたいと考えております。 ◆村上ゆうこ 委員  最後に、要望でございます。  札幌市は、隅々まで多くの地区に、さらには集合住宅に対してもネットワークづくりをしていくという決意を述べていただきまして、ありがとうございます。  地域の中で支援を必要とするひとり暮らしの高齢者、障がいのある方、また、高齢者のみの世帯の方々は、誰もが住みなれた地域で、できるだけ自立して尊厳ある生活を最期まで送り、また、地域社会の一員として孤立することなく暮らし続けることを望まれております。  2014年度から設置された地域見守りネットワーク推進会議の構成メンバーには多くの団体や関係機関が入っており、公的な機関、民間事業者、学識経験者もいらっしゃいます。それぞれの立場に応じた役割をしっかり担っていただき、そして、ネットワークの中で連携を強化し、相互に助け合い、支え合いができるネットワークの構築をさらに進めていただきたいと思います。まさに、漏れなく、切れ目なく、すき間なく、この見守り活動や安否確認の仕組みが市内全域に早急に行き渡るように、やはり、本市が中心となってさまざまな働きかけを行っていただくよう、そして、ネットワーク推進会議の充実強化を図っていただくことを求めて、私の質問を終わります。 ◆村上ひとし 委員  私は、意思疎通支援事業費に関連して質問します。  2006年、厚生労働省の身体障害児・者実態調査によりますと、聴覚障がい者のコミュニケーション手段として18.9%の方が手話を使用しているということです。本市では1級から6級までの身体障害者手帳を持っている方が全体で5,230人いるということですから、全国の手話を使用している方18.9%の割合から推計すると、手話を使用している方は本市では1,000人程度いるということです。  また、手話通訳者の派遣件数でありますが、2010年から2012年の3年間は5,500件以上の派遣がありました。ところが、2013年は5,084件になり、2014年は4,833件と減少傾向であります。さらに、主な手話通訳の派遣対象を見ると、通院や入院など健康や医療に関するものが全体の約6割を超えており、圧倒的に健康や医療に関する部分で手話通訳の派遣が多いということであります。2番目に、子どもの父母会やPTA、進路指導など教育や保育関連、3番目には、運転免許証の取得や更新、各種相談など、社会生活に関係するもので手話通訳者の派遣数が多いという実態であります。  そこで、質問ですが、聴覚障がい者と手話通訳者の現状について、どのように分析し、評価しているのか。  また、意思疎通支援事業でありますが、今年度の予算額を見ますと昨年度より約400万円減額されていますけれども、その理由についてもお伺いしたいと思います。 ◎嶋内 障がい保健福祉部長  手話通訳者の現状と予算のご質問でございます。  まず、札幌市としては、公益社団法人札幌聴覚障害者協会に委託して手話通訳業務を実施しておりますけれども、本年3月1日現在、専任通訳者が10人、登録通訳者が49人、合わせて59人体制で行っております。  直近3年間の派遣件数につきましては、ただいま委員からご指摘がありましたように、少しずつ減っている状況になっております。派遣件数が減少となっている理由については、さまざまな理由があると思われますが、札幌聴覚障害者協会からは、聾者と健常者である相手方が筆談等でコミュニケーションをとれるようになったほか、健常者が簡単な手話を覚えることで手話通訳の必要がなくなったなどのケースもあるとの報告をいただいております。また、近年、スマートフォンで無料のコミュニケーション支援アプリケーションが提供されることになったことも理由の一つと考えられております。  次に、意思疎通支援事業の予算の関係でございますが、主な理由としては、盲聾者通訳介助員の養成事業につきまして、これまで北海道で実施しておりました。しかし、障害者総合支援法の改正によって札幌市にも実施義務が生じました。平成27年度につきましては、札幌市の参加者の事業費負担分を北海道から求められておりまして、平成27年度の予算策定時には、北海道が積算した提示額を一旦計上いたしましたけれども、その後、実施段階における北海道との協議の結果、札幌市の負担分が減少することとなったことが理由の一つでございます。  また、手話通訳者養成派遣事業につきましては、先ほども申し上げましたとおり、派遣件数が減少しており、こうしたことを平成28年度予算に反映した結果、事業費が前年度よりも減少となったものでございます。 ◆村上ひとし 委員  健康や医療に関する手話通訳者の派遣など、コミュニケーション支援はいろいろなものがありますけれども、今後、高齢化の進展などもあって、その必要性がますますふえると思います。派遣件数が減ったということですが、単に予算を削減するのではなく、手話通訳の派遣を受ける際に、どんな問題があり、どう解決を図っていくのか、ぜひ、実態を把握しながら対策を充実させていってほしいと思います。  そこで、今後、さまざまなコミュニケーション支援を進めていくことになると思いますが、視覚障がい者あるいは聴覚障がい者はもちろん、通訳者の要望把握も求められていると思いますけれども、今後どのように取り組んでいくのか。  また、市民が手話を学びやすい環境づくりの推進も必要だと思いますが、現在の各講座の開催状況についてもお伺いいたします。 ◎嶋内 障がい保健福祉部長  視覚障がい者、聾者、通訳者の要望把握などについてでございます。  これまでも、聾者や中途失聴、難聴などの聴覚障がい者及び通訳者の皆様からのご要望につきましては、毎年、各団体からご意見、ご要望等をいただく場を設けているほか、各関係者の会議や行事に積極的に出席するなど、当事者からもご意見等を直接いただいております。今後もこのような取り組みを続けることによりまして、それぞれの要望等の把握にしっかり努めてまいりたいと考えております。  次に、各講座の状況でございますが、札幌市では、現在、初心者向けの講座として入門手話講習会を、また、初歩の日常会話ができる方を対象とした中級の講習会、さらに、日常会話ができる方を対象とした手話通訳者養成講座の三つの講座を開催しております。平成27年度につきましては、入門の講習会を修了された方は225人、中級の講習会を修了された方は41人、手話通訳者養成講座を修了された方は11人となっております。 ◆村上ひとし 委員  三つの講習会を実施しているということでした。  受講者の年齢区分の表をいただいて見ましたが、40代が24.4%、50代が22.1%、60代以上が26.1%という構成比率になっています。一方で、10代が2.3%、20代が8.6%にとどまっており、受講者の比率は若いほど低いという状況でした。本市は、手話によって障がい者のコミュニケーションの促進を図っていく上で条例化を目指しており、市民への普及啓発が大切になってくると思います。  私は、特に、若者を対象とした手話を学びやすい環境づくりが必要であると思っておりますが、この点をどのようにお考えなのか、お伺いしたいと思います。 ◎嶋内 障がい保健福祉部長  若者を対象とした手話を学びやすい環境づくりという面では、この世代の方々については、高校のクラブ活動や大学等のサークル活動などで手話を学ばれている方々もいらっしゃるとお聞きしておりますし、医療や福祉の専門学校などの中には、授業の中で手話を学ぶ機会を設けている場合もあるようでございます。今後、手話を学びやすい環境づくりのために、若者を対象とした対応についてもしっかりと検討して、多くの方々が永続的に手話通訳の業務ができるような体制を築いてまいりたいと考えております。 ◆村上ひとし 委員  高校のクラブ活動や大学のサークルなど、さまざまな形で手話その他を学ぶ機会があるということですが、障がいのある方がその障がいの程度あるいは特性に応じたコミュニケーション手段を利用しやすい環境の整備を進めるために、手話のほか、要約筆記や点字やピクトグラムなどを積極的に進めていくことが必要だと思います。その上で、専門学校では手話の授業もあるということですが、私は、本市として、小学校や中学校などでも可能な限り体験できるような授業や、市から何らかの形で出前講座をしていくこともぜひ検討していただきたいと思います。できるだけ若い時期にこうした問題に触れていって、いろいろな形でコミュニケーションの手法を学んでいくことは非常に大切だと思いますので、こうした点については、もっと工夫をして新しい何らかの形を進めていただきたいと思います。
     若い人の話から、今度は高齢者のことに変わります。  高齢になると、どなたでもだんだん聴力が落ちてきたり、中には、途中からほとんど聞こえなくなってしまう方もいらっしゃいます。障がい者自身の高齢化も当然起こってきますし、昨今では認知症の問題もあります。ですから、介護が必要となった高齢者あるいは障がい者などに対する情報・コミュニケーション支援が非常に大切になってくると思いますが、この点についてどのように考えているのか、お伺いします。  次に、今後、区役所や地域包括支援センター、さまざまな介護施設などとのコミュニケーション支援の連携強化も求められてくると思いますが、この点の認識についてもお伺いしたいと思います。  そして、手話あるいは障がい者のコミュニケーションの検討委員会が開かれておりますけれども、その検討委員会ではこうした点についてどのような意見が出ているのか、この点についても、わかればお伺いしたいと思います。 ◎嶋内 障がい保健福祉部長  介護が必要となった高齢者や障がい者などに対するコミュニケーション支援についてでございます。  本年1月27日に開催された第1回目の検討委員会の中で、さまざまな障がい種別の方々や支援する立場の方々から、それぞれの障がいの種別や程度によって情報取得の方法やコミュニケーションの手段が異なること、また、必要とする支援の内容も異なることについてご意見があったところでございます。こうした方々に対する情報・コミュニケーション支援の課題につきましても、今後の検討会の中でしっかり議論を進めてまいりたいと考えております。  また、高齢関係の各施設との連携の問題でございますが、当然、各施設との連携を深めながら、そういった課題を踏まえて、しっかり連携をとるように考えたいと思いますけれども、この点も検討委員会の中で議論になると思われますので、しっかりと議論を煮詰めていきたいと考えております。 ◆村上ひとし 委員  介護が必要になった高齢者はもちろんですが、とりわけ聴覚や視覚に障がいを持つ方が介護施設などに入所したとき、あるいは、そういう過程でどれだけ豊かなコミュニケーションを保障していくのかということは、非常に重要な課題だと思います。  手話通訳者の派遣の状況を見ると、通院や入院が非常に多くて、6割を超えている状況であります。病院は、この間、障がいをお持ちの方と非常に長くかかわりを持っておりまして、技術職の中でもコミュニケーションの技術を一定程度持った方がいると聞いております。そういう点では、介護施設の分野を見ると、コミュニケーションに関する経験と技術の蓄積はまだ不十分なところがあると思います。しかし、高齢化は待ってくれませんから、お年寄りの方が障がいを持っていても、あるいは、少し認知症になってきたかなという状況であっても、豊かなコミュニケーションを保障していくことが非常に重要になりますので、その点の取り組みをぜひ強化していただきたいと思います。  先ほど、第1回検討委員会が既に1月に行われたということでしたが、今後、9月までに4回ぐらいの検討委員会を想定しているということなので、ぜひ、この検討委員会の中で、高齢化に向かう上でのさまざまな不安、あるいは、現時点での要望などについて積極的に議論できるように期待して、質問を終わりたいと思います。 ○しのだ江里子 委員長  以上で、第1項 社会福祉費等の質疑を終了いたします。  次に、第4項 生活保護費の質疑を行います。 ◆よこやま峰子 委員  私は、子どもの学習支援事業についてお伺いいたします。  我が国における子どもの貧困率は、厚生労働省が実施している国民生活基礎調査によりますと、平成24年には過去最悪の16.3%となっており、実に子どもの6人に1人が平均的な所得の半分以下の世帯で暮らしている状況となっております。親の収入が少ないと、その家庭の子どもは、塾などにも行けず、教育を十分に受けられない状況のもと、進学や就職に不利となり、結果として不安定な仕事につかざるを得なくなって、親の世帯から独立した後も子どもの世帯は収入を十分に得られず、いわゆる貧困の連鎖を繰り返す傾向が強いと言われております。このような連鎖に陥ると、収入をふやして自分の力で抜け出すことがなかなか容易ではありません。いかにして貧困の連鎖をなくすための支援を提供していくかが大きな課題であると考えます。  統計によりますと、生活保護世帯の中学生は一般の世帯と比べて高校進学率が低く、その原因としては、経済的事情による教育格差が挙げられております。そこで、放課後に定期的な学習環境を提供することにより、高校進学を促進し、貧困の連鎖をなくそうという取り組みが子どもの学習支援事業であります。  札幌市においては、生活保護世帯の中学生を対象とした子どもの学習支援事業を平成24年度にまず西区でスタートさせ、その後、順次、対象区を拡大し、平成26年度には全10区に対象を広げて実施してまいりました。また、本年度からは、新たに施行された生活困窮者自立支援法における任意事業として、これまでの生活保護世帯に加え、新たに就学援助利用世帯の中学生も対象に実施しているとのことであります。  我が会派としても、子どもの学習支援事業は貧困の連鎖を防ぐための重要な取り組みであると考えており、この事業の拡充と継続的な実施を要望してまいりました。  そこで、質問ですが、現在実施されている子どもの学習支援事業について、本年度の実施状況並びにその課題についてお伺いいたします。 ◎大野 保護自立支援担当部長  子どもの学習支援事業について、本年度の実施状況とその評価についてでございます。  本年度は、就学援助利用世帯の中学生にも対象を広げたことに伴い、事業周知については、従来の各区保護課からの周知に加えまして、各中学校からの就学援助利用世帯に対する周知も行ったところです。対象数は、従来の約2,500人から約1万人へと大幅にふえたため、参加申し込みも大幅に増加いたしました。全体の受け入れ定員は昨年度と同様に450人でしたが、1月時点の参加者数は233人から451人へと大幅にふえており、また、全体の出席率についても59.9%から65.7%に向上していることから、事業規模に応じた学習支援が十分実施されているものと認識しております。  また、本事業では、お互いの信頼関係を深め合うことを目的としたレクリエーションなども行っておりまして、こうした取り組みに参加した子どもからは、飽きることなく参加できた、ポジティブになったなどの前向きな意見が多く聞かれていることから、放課後の居場所を提供するという点においても一定の効果があったと考えております。  一方、今後の課題としては、事業規模を超える申し込みがあったことから、希望者全員の受け入れができなかったことが挙げられます。 ◆よこやま峰子 委員  今、ご答弁を伺いまして、現在実施されている子どもの学習支援事業においては、昨年度に実施してきた学習支援事業と比べると、対象者の拡充に伴う大幅な参加者増や全体的に出席率も高くなってきており、加えて、自己肯定感を持てるような居場所としての役割も果たしているということですので、その点は私も大変高く評価したいと思います。  しかしながら、非常に残念なのは、参加を希望しているにもかかわらず、受け入れ体制が不十分であることから、結果的に漏れた子も少なからずおりまして、そういうことが課題になっているということでありますけれども、せっかく学ぼうと申し込んできた子どもたちの勉学の意欲が損なわれないかが非常に心配されます。  そこで、二つ目の質問ですが、こうした問題を踏まえて、来年度にはこの事業をどのように展開していこうと考えておられるのか、伺います。 ◎大野 保護自立支援担当部長  来年度の実施内容についてでございます。  来年度についても、引き続き、生活保護受給世帯と就学援助利用世帯の中学生に対して、みずから考えて学ぶことの大切さを教えることにより、学習習慣の定着を図るとともに、自分の明るい将来を思い描くことができるような事業となるように実施していきたいと考えております。  事業規模としては、今年度の事業実施については全体の受け入れ定員数450名を超える申し込みがあったことから、現在30カ所で実施している学習支援の会場を10会場増設して40会場とするとともに、全体の受け入れ定員数としては現行の450名から150名ふやして約600名とすることにより、さらに多くの中学生を受け入れる予定でございます。全体の受け入れ定員数をふやすことにより、本事業への参加を希望する子どものニーズに可能な限り応えていきたいと考えております。 ◆よこやま峰子 委員  今、伺いますと、来年度は、学習支援の会場を30カ所から40カ所に、そして、定員も150名プラスして600名になるということで、定員からあふれる子どもがいなくなるのかなという点ではちょっと安心いたしました。  札幌市では、このように保健福祉局が生活困窮世帯の子どもを対象とする学習支援事業を実施する一方で、子ども未来局がひとり親世帯の子どもを対象とする学習支援事業を実施しております。この両事業は、ほぼ同じ内容の子どもに対する学習支援事業であるにもかかわらず、それぞれ別々の対象者に実施している状況となっております。  そこで、質問ですけれども、限られた財源の中で、札幌市の事業として一人でも多くの子どもたちが参加できるような学習支援事業を実施していくためには、両方の事業の対象者になり得る世帯については、どちらか一方の事業に参加してもらうような検討をすべきだと思いますがいかがか、お伺いいたします。 ◎大野 保護自立支援担当部長  子ども未来局の同種事業とのかかわりについてでございます。  ひとり親家庭の子どもへの学習支援は、親との離別等に伴うさまざまな悩みに寄り添うとともに、基礎学力の向上を目指すことを目的として、全てのひとり親家庭の小学校3年生から中学校3年生までを対象に実施しております。一方、生活困窮者世帯の子どもへの学習支援は、貧困の連鎖を防ぐために、高校進学を促進することに加え、学習習慣の定着を図ることや、自己肯定感を持つことができるような居場所づくりを提供することを目的として、中学生を対象に実施しております。各事業は、国の異なる制度に基づいて実施されておりまして、対象者や役割が異なっているものであり、また、子どもたちに選択の幅を広げることにもなることから、来年度以降もそれぞれ別々に実施していくことが効果的だと考えております。  いずれにしましても、今後も必要に応じた連携をとりつつ、各事業を進めていくことが必要だと認識しております。 ◆よこやま峰子 委員  保健福祉局子ども未来局がそれぞれ実施する子どもの学習支援事業であり、両局の間で役割分担をしながら進めていくということでありますが、私は、目的は違っても、一人でも多くの子どもに参加してもらうためには、本当に連携してやっていくことが大事ではないかと思っております。子どもにとって有意義な事業となるように進めてほしいと願うところであります。  この事業の来年度の予算は、本年度の3,300万円から1,200万円増の約4,500万円を予定しているとのことですが、この増額分は受け入れ人数の拡大に対応するための支援スタッフの人件費であると伺いました。  そこで、質問ですが、来年度は、この事業規模で実施すれば、対象世帯で参加を希望する子どもについては全て受け入れることができるかどうか、お伺いいたします。  また、最後に、私は、個人的に、約1万世帯に呼びかけて450人の参加というのは余りにも少ないように思います。将来的にできるだけ多くの中学生にこの支援を活用してほしいと思いますが、仮に今よりかなり多くの中学生の希望があった場合、今後の予算はどのように考えておられるのか、札幌市としての見解をお伺いいたします。 ◎大野 保護自立支援担当部長  来年度の参加希望者は全て受け入れ可能かどうかということ、また、将来的にこの事業の予算をどう考えているかということでございます。  来年度については、本年度に事業を実施した際の参加希望者数をおおむね受け入れることができる体制によって実施していくことを予定しております。  しかしながら、本事業の対象とする世帯数からすると、さらに多くのニーズがある可能性も想定されるところです。一方で、本事業においては、限られた財源の中で最大限の効果を出すことが求められていると認識しております。そのため、今後については、貧困の連鎖を防止するための効果的な事業として、実施状況や実施効果を踏まえた上で、必要に応じた検証を行いながら、さらに有意義な事業となるように取り組んでまいりたいと思っております。 ◆よこやま峰子 委員  この事業は、子どもの教育の格差をなくすと同時に、時間はかかりますが、長期的に見て貧困の連鎖を防ぐためにも大変有効な取り組みの一つであるということは、国も札幌市も市民も共通の認識であると思います。  私は、今いろいろ聞いた中で、正直な感想としては、生活保護世帯2,000世帯、就学援助世帯8,000世帯、約1万世帯に配付しているにもかかわらず、450人というわずか1割にも満たない中学生しか受けていないというのは、余りにも少ないのではないかと思います。このご案内は、各学校の担任が生徒に個人的に渡すということですけれども、そういうときには、非常に勉強になるから一回行ってみなさいとか、先生たちには背中を押すような努力をしていただいて、少しでも多くの子どもたちが受けられるようにしてほしいと思います。また、仮に、それが功を奏して多くの子どもたちが来た場合に、今度は予算がありませんということにならないように、体制づくりもしっかりとしてほしいと思います。  来年度より国からの補助が減額となって、札幌市としても限られた予算の中で大変になることは十分理解いたしますが、国からの補助に左右されることなく、優先的に予算措置をして、恵まれない教育環境にある子どもたちの人生に大きな影響を与える重要な事業として、今後とも最大限の効果が得られるように実施されることを切に願いまして、私の質問を終わります。 ◆かんの太一 委員  私からは、本市における生活困窮者自立支援制度について、何点か質問いたします。  さきの平成27年第3回定例会において、私から、札幌市生活就労支援センターステップでの臨時的な相談窓口について質疑を行いました。ステップでは、区民センター会議室などを1日借り上げ、相談支援員を配置して行う出張相談会を7月下旬から順次開催しており、今後も、定期的に各区を巡回しながら出張相談会を継続していくとの答弁があったところです。  そこで、質問ですが、この出張相談会のこれまでの相談回数や実績についてお伺いいたします。 ◎大野 保護自立支援担当部長  出張相談会の実績についてでございます。  平成27年7月から平成28年1月までの間に、出張相談会を32回開催しております。例えば、8月開催は5回、清田区、南区、西区、手稲区、拓北・あいの里、9月開催は4回、中央区民センター、白石区民センター、東区民センター、新琴似プラザなどです。相談人数は合計322名で、1回当たり10人程度の方々にご利用いただいており、多くの方々が引き続きステップでの支援を受けている状況でございます。 ◆かんの太一 委員  ただいまの答弁により、身近な場所で相談を受けたいという生活困窮者のニーズがあって、ステップとしても、月平均で5回程度、平成27年7月から28年1月までで合計32回、322名の参加者があったということです。ステップとしても、通常の相談支援業務を行いながらの出張相談会の開催であり、その開催頻度には限界があるものと推察しますが、月に5回ということは、各区から見れば2カ月に1回程度の開催ということで、十分にニーズに応え切れているかどうかの評価は難しいところだと思います。  そこで、質問ですが、出張相談会の結果をどのように評価しているのかについてお聞きします。  また、その評価を踏まえた上で、今後どのような対応を考えているのか、お伺いいたします。 ◎大野 保護自立支援担当部長  出張相談会の結果の評価と今後の取り組みについてでございます。  これまでの実績から、出張相談会に対するニーズは一定程度存在していると認識しております。また、出張相談会での相談内容は、就労に関することのみならず、生活全般にわたる内容も確認できており、潜在的なニーズはさらにあるものと認識しております。  一方で、委員もご指摘のとおり、出張相談会の開催頻度には限界がありまして、潜在的なニーズまで全てをステップのみで酌み取ることは難しいと認識しております。そのため、区役所やハローワークのような行政機関を初めとした関係する支援機関や支援団体との連携による生活困窮者の把握をさらに進めていく方針でございます。 ◆かんの太一 委員  出張相談会や関係機関からの紹介によってステップでの支援につながる生活困窮者については、みずからステップへ相談に訪れる方に比べて、社会とのかかわりが薄く、健康面でも不安を抱えるなど、複合的かつ困難な課題を抱えることが多いと推察します。このような方々が自立を目指すに当たっては、個々人の状況に応じて多種多様な支援方法を組み合わせることが重要であると考えます。  このため、生活困窮者自立支援法や、札幌市生活困窮者自立支援計画の基本理念である生活困窮者支援ネットワークづくりの考えに沿って、行政機関を初め、既存の地域組織等を含めたネットワーク構築によるチームでの支援を提供できる体制づくりを行っていかなければなりません。また、相談者の中には、一般就労を目指す方ばかりではなく、先ほどの答弁の中でも少し触れておりましたが、社会とのつながりを持ちながら生活していくことを目標とする方もおり、単に就労を目指した支援体制だけではなく、社会生活、自立を目標とした支援体制づくりも行っていかなければならないことから、ネットワーク構築に当たっては支援方法に関する明確なビジョンが必要であると考えます。  そこで、質問ですが、これらの就労困難者に対する支援に関する基本的な考え方をお聞きいたします。  また、このような支援をより充実させていくために、今後どのような取り組みを行っていくのか、お伺いいたします。 ◎大野 保護自立支援担当部長  就労困難者に対する支援の基本的な考え方と今後の取り組みについてでございます。  就労困難者に対する支援に際しては、相談者の就労能力の見きわめを最初に行うこととなります。就労能力の把握に当たっては、ステップのみならず、医療機関の診断書などによって評価を行うこととしています。一般就労を目指した支援を行っていく場合には、ステップ、ハローワーク、就労準備支援事業の受託団体、就労体験や就労訓練事業の受け入れ先など、さまざまな団体等で実施している就労の準備段階の支援について検討し、相談者に最も適した支援を提供していくこととしております。すぐに一般就労を目指すことが難しいと判断された場合は、障がいなどの福祉サービスの検討が基本となりますが、本人や家族が支援を望まない場合や、サービスの要件に該当しない場合などには、他の支援方法についてネットワークの中で情報収集するなどし、適切な支援団体や自助努力などへのつなぎを行っていきます。  いずれの場合についても、ネットワークに参加する団体等の数が支援の充実に直結することから、制度の周知や事例検討会などを引き続き積極的に行い、ネットワークを広げる取り組みを地道に進めていく方針でございます。 ◆かんの太一 委員  最後に、要望ですが、平成27年4月の開設からほぼ1年が経過し、札幌市、受託業者ともにさまざまなノウハウの蓄積がされてきていると思います。現在はセンター方式をとっていますが、例えば出張所をつくるなど、地域に根差したきめ細かい運営体制を構築し、よりニーズの掘り起こしができるような体制づくりを心がけていただきたいと思います。  また、生活困窮者と一口に言っても、その対応はさまざまで、一人の方が複合的な事情を抱えているケースも多いので、今後も、一人一人の問題点がどこにあり、どのような支援が必要とされているのかを酌み取る努力を続けていただくことをお願い申し上げて、私からの質問を終了いたします。 ○しのだ江里子 委員長  ここで、およそ20分間、委員会を休憩いたします。     ――――――――――――――       休 憩 午後2時55分       再 開 午後3時19分     ―――――――――――――― ○しのだ江里子 委員長  委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、質疑を行います。 ◆小口智久 委員  私からは、札幌市生活就労支援センターについて質問させていただきます。  札幌市生活就労支援センターステップでは、昨年4月の開設から本年1月までの10カ月間で、これまで1,697人の新規相談があり、うち320人が就労に結びついたとのことですが、我が会派としても、昨年、直接、ステップに視察に伺い、私も、実際に活発に取り組まれている現状を見せていただきました。その中で、ステップでは、現在、利用される相談者に対し、1人の主任相談支援員のもと、17人の相談支援員と8人の就労支援員が相談業務に従事していると伺っております。  制度の開始前、札幌市生活困窮者自立支援計画の審議を行った平成26年4定の厚生委員会で、我が会派からは、相談支援員の質の確保と技量の向上について質疑を行いました。業務委託に当たっては、企画提案により事業者を選定すること、国が行う相談支援員の養成研修に参加させること、札幌市としても支援員の技量の向上に努めていくとの答弁内容でありました。プロポーザル方式による公募型の企画競争の結果、キャリアバンク株式会社が受託者となりましたが、同社の中心事業は人材派遣、人材紹介であり、相談支援員が他の福祉相談窓口や地域組織等との連携を進めていくに当たっては、この点の技量の向上に特に配慮を行う必要があったのではないかと考えます。  そこで、最初の質問ですが、ステップの相談支援員の技量の向上に向けたこれまでの取り組みについてお聞きいたします。 ◎大野 保護自立支援担当部長  ステップの相談員の技量向上についてでございます。  相談員の技量向上に関しましては、まずは、国において研修を実施しているところでございまして、ステップからは主任相談支援員研修と就労支援員研修に参加いたしました。また、国の研修では募集定員に限りがあることから、都道府県においても地域の実情に応じた研修を開催することが望ましいとされており、北海道が開催した研修には相談支援員が参加いたしました。  国や北海道での研修内容については、ステップ内部で、テーマを決めて、随時行われている全体のミーティングで、研修受講者から他の相談支援員や相談就労支援員への伝達を行っているところでございます。また、それだけでは不十分だと思われますので、障がい者、若者支援、DV、債務整理といったように、さまざまな窓口での相談員を対象とした研修の場にステップの相談員も積極的に参加し、就労支援以外の支援に関するノウハウを蓄積するように努めてきたところでございます。  また、札幌市としても、より実践的なノウハウの蓄積を重視して、支援方法や関係する支援機関を具体的に検討することが、技量の向上に大きく寄与すると考えているところです。このため、例えば、個別ケースの支援方針を定める支援調整会議の中で議論を行うことや、関係する支援団体などが集まる会議に積極的に事例を提供して事例検討を行っていただくなど、日常業務の中でも相談員の技量が磨かれていくように最大限に配慮を行ってきたところでございます。 ◆小口智久 委員  ただいまの答弁によりまして、札幌市の支援のもと、ステップとしても、国の養成研修のみならず、多様な機会を捉えて研さんに努めていることがわかりました。また、実際のテーマを用いながら、支援方法や関係する支援機関を具体的に検討し、ノウハウの習得、また技量の向上に大きく寄与したことはうなずける点がございます。  札幌市生活困窮者自立支援計画では、支援の対象者増について、仕事探しや生活費のほか、病気や障がい、ひきこもり、債務等、複数あるとし、経済的な自立に向けた就労支援を中心としつつも、就労を妨げる生活面や健康面での課題についても、本人に寄り添いながら一つ一つ課題を解決していくこととしております。また、制度の目指す自立については、経済的自立のほか、日常生活の自立や社会生活の自立も含まれる点に留意し、できるだけ対象者を幅広く捉え、関係機関との連携により、生活困窮者が制度のはざまに陥らないようにするとしております。相談支援員の技量の向上は、このような対象者に対して効果的な支援を提供できるように取り組まれるべきでありますが、非常に幅広い範囲の課題を抱える方々が含まれており、実際の相談者に対する支援方策を適切に具体化できているのかどうか、検証していく必要があると考えます。  そこで、質問ですが、ステップでは、それぞれの課題や背景を持った相談者の方々に対し、実際にどのような形で支援を行ってきたのか、伺います。 ◎大野 保護自立支援担当部長  相談者に対する具体的な支援についてです。  相談者に対しては、まず、雇用保険などの公的給付、ほかの方からの仕送り、預貯金などの情報をできるだけ正確に聞き取り、あとどのくらいの期間、生活を維持できるのかを確認することとしております。その上で、仕事探しを初めとしたその他の課題について、取り組みの優先順位とそれぞれの達成目標を設定することとしており、支援の期間が十分にとれない場合には、生活保護の申請を視野に入れながら支援を行うこととなります。  就労支援を中心に行う方の中には、精神面での健康不安などを抱える方も多いため、障がい福祉サービスの利用なども検討しながら、受託者のノウハウを生かし、病状回復の期間も考慮した上で、きめ細かな就労支援を行っております。  病気や健康の問題、滞納や債務整理など就労支援以外の支援を中心に行う方については、その課題に応じた適切な支援機関につなぐことを目標とした支援を行うこととなりますが、こうした方々は、みずから課題を整理できていないことや、課題があること自体を語りたがらない場合も多くあります。このため、関係する可能性のある支援機関との情報交換を行いながら、相談者との信頼関係を築いていき、各相談窓口への同行相談につなげていけるよう支援を行っているところでございます。 ◆小口智久 委員  ただいまご答弁がありましたように、さまざまな課題がある中、本人の側に立って、達成目標を掲げながら、しっかり寄り添いながら生活できる力をつけられるようにきめ細やかな対応をしていくということでございました。利用される相談者の方々の悩みや課題は多種多様であると考えられますので、今後も、それらに対応できるよう、相談支援員の技量の向上に力を注いでいただくことを求めます。  ステップを利用される方々が一人でも多く直接就労につながる実績を上げていくこと、また、現在は1カ所で行っておりますが、より身近な相談場所の必要性があることから、今後はさらにもう1カ所拡充することを求めて、私の質問を終わります。 ◆池田由美 委員  私からも、生活困窮者自立支援事業についてと生活保護のケースワーカーについて、2点質問いたします。  最初に、生活困窮者自立支援事業についてです。  本市の生活困窮者自立支援計画に基づいて、生活保護に至る前の段階から早期に支援を行う第2のセーフティネットとして自立相談支援事業、一時生活支援事業などが行われています。  最初に、本市は、独自の計算で約2万2,000人が生活困窮者自立支援制度の対象となる可能性があると算出しておりますが、この数はどのような算出方法で出しているのか、また、その数をどう認識されているのか、伺いたいと思います。 ◎大野 保護自立支援担当部長  生活困窮者自立支援計画においては、生活困窮者2万2,000人の推計として、平成22年の国勢調査において、労働力人口のうちの完全失業者7万1,834人と、15歳から16歳の非労働力人口のうちのその他4万1,323人を合計した11万3,157人の中で、平成25年国民生活基礎調査において仕事がなくて生活が大変苦しい方の割合26.4%を掛けまして2万9,873人、さらに、その中から生活保護を受給している方のその他世帯のうち不就労の7,285世帯を引いた2万2,588人を生活困窮者としての対象者の推計数字として出したところでございます。 ◆池田由美 委員  国民生活基礎調査や完全失業者数などで算出しているというご答弁でした。  私の市政事務所には、スーパーのレジ打ちをしながら働いている独身女性から、低賃金のために家賃の支払いがおくれてアパートから立ち退きを迫られているとか、親の介護のために仕事をやめざるを得なかった方から、貯金が底をついて暮らしが困難になったとか、こんな相談が届いております。そして、中央大学教授の宮本太郎氏は、2015年には、相対的貧困層が16.1%に達し、現役世代の単身女性は3人に1人が相対的貧困と指摘しております。こういう点から考えても、私たちの身近なところにも困窮している方がたくさんいらっしゃるのではないかと思います。  対象数として2万2,000人というのは全く少ないのではないかと思いますがいかがか、伺います。 ◎大野 保護自立支援担当部長 ご承知のとおり、生活困窮者自立支援法は昨年の4月1日から施行されていますが、生活困窮者の定義について、現に経済的に困窮し、最低限度の生活を維持することができなくなるおそれのある者と規定しております。これについては、どのような方が対象になるのか、内部でも非常に議論になったところです。広く考えればいろいろな方も含まれますが、狭く考えれば、まさに就労の機会がなくてなかなか仕事につけない方のみとなります。ただ、自立相談支援機関では、さまざまな方の相談があったときは広く受け入れていこうという姿勢を持っております。  ただ、国のほうでも、問答の中で、生活困窮者からの相談を排除することなく対応することを前提に、制度の立ち上げにおいては、地域の事情に応じ、より重点的に対応する対象を設定することは可能だということで、よりターゲットを絞った形で計画として立てた次第でございます。 ◆池田由美 委員  今、ターゲットを絞ってと答弁されたと思いますが、先ほどの質問の中でも、子どもの貧困率が6人に1人ということもありましたし、生活保護の捕捉率が本当に低いという実態も含めて、絞ってはいるのかもしれませんけれども、この数が妥当かどうかははっきりしていないということなのでしょうか、伺いたいと思います。 ◎大野 保護自立支援担当部長  1年3カ月ほど前に豊平区と厚別区でモデル事業を展開しておりまして、そのときの実績では失業している方の割合が結構な部分を占めており、失業で困っている方が結構いらっしゃったということで、全体的な完全失業者数や非労働力人口のうちのその他を使った数字として計算しているところです。
     これが妥当な数字かと言われますと、正直に言うと、子どもがいる方など就労以外の課題を抱える方もほかにいらっしゃいますので、今の制度をやりながらいろいろ検証していかなければならないと思っております。 ◆池田由美 委員  妥当かと言われたら、そうではないかもしれないので、これから検証していくというお話だったと思います。  現在、働いている方でも、非正規など低賃金で働いている方がおりまして、本当にぎりぎりで、いつ困窮者に転落していくかわからない方たちがたくさんいらっしゃるのではないかと私は思います。今後、計画が見直しされる時期にもなってくると思いますが、支援を必要とする2万2,000人という数が本当に妥当なのかどうか、しっかりと検証していただくことを求めたいと思います。  続いて、自立支援事業のステップの相談支援の実施状況を見ますと、支援プラン策定後、途中で53人が支援を終結していまして、相談終結の内訳では、連絡がとれないとか情報提供のみで終了している方が617人だとお聞きしております。つまり、この方たちは、問題が解決したとは言えないと思います。  そこで、途中で相談を終結してしまった方への対応はどうされているのか、お伺いしたいと思います。 ◎大野 保護自立支援担当部長  ステップでは、相談者への支援を終結した際には、支援の経過、目標の達成状況、職場への定着、あるいは世帯の困窮状況などについて、札幌市も同席する支援調整会議で必ず確認しておりまして、委託先がみずから決めるわけではございません。したがって、ステップでのフォローが必要な状態で支援を終結してしまうということは、基本的にはありません。  ただし、電話連絡や家庭訪問などの手段を尽くしても相談者に全く連絡がとれなくなるケースがございます。ステップとしても、対応に苦慮しているところでございます。 ◆池田由美 委員  電話だけでの相談という中身もあるということで、対応に苦労されているというご答弁だったと思います。  計画では、新規相談受け付け件数について、1年目3,000人、2年目3,500人、3年目4,000人という目標を持っております。そこで、相談数を目標にして取り組んでいくということが全く悪いとは言いませんが、先ほど言いましたように、今後、途中で相談を終結してしまう方がふえていくようなことがあったとしたら、途中で終わったということは問題が解決していないことになります。手放さないで具体的に対応を進めていかなければ、相談はするけれども、本当の意味で問題を解決して自立につながるところに結びついていかない方がふえていくと考えられますので、ぜひ手放さないでやっていただきたいと思います。  次に、相談する方の年齢の内訳を見ますと、30代、40代、50代の相談が多いことがわかりますが、その年代は、子育て世代でもありますし、親の介護も重なると思います。そこで、30代、40代、50代の方たちの相談の中身をどのように検証されて、どんな対応をされているのか、伺いたいと思います。 ◎大野 保護自立支援担当部長  40代から50代の相談者への支援についてですが、年齢が比較的高い方への相談支援については、一般的に厳しいというのが近年の雇用情勢であるとの認識は持っていますが、受託者の就労支援に関するノウハウを生かし、できるだけ安定した職につけるように支援を行っているところです。これは、本人の希望もかなりありますが、そのほか、子育ての問題とか、先ほど委員がおっしゃいました介護の問題など、世代特有の問題を抱える方もいることから、その課題を一つ一つ解決するための支援を行っていこうとしているところでございます。 ◆池田由美 委員  40代、50代の方々の相談が多いということは、子どもの貧困にもつながることや、医療や介護など複雑多岐にわたる問題につながっていく深刻な状況ではないかというふうに私は感じております。今後、相談支援が広く周知されていく中で、子どもの貧困や、命にかかわる医療や介護の課題もふえていくことが予測されますので、さらに関連する部局や施設との連携が必要になっていくと考えられます。  そういう中で、自立相談支援事業の全国の実施状況を見ますと、役所内でやっているのは61.5%、委託先の施設内でやっているのは36.2%、民間物件でやっているのは5%という結果が出ております。運営方法としては、40%が直営方式になっております。50%を切ってはいますが、直営でやっているところもあるのだな、この数字はすごいなと思って見ております。先ほどから言ってきましたが、自立相談支援事業は、多岐にわたる相談があり、市民の暮らしや命を守ったりするためにはいろいろな部局との関連が本当に求められてくるのではないかと思います。そういうさまざまな相談に対応していく上でも、直営方式にして全庁を挙げて取り組まなければ進まないのではないかと考えますがいかがか、伺います。 ◎大野 保護自立支援担当部長  生活困窮者支援の基本的な考え方については、生活困窮者自立支援法の成立の前に、ご承知のとおり、国の社会保障審議会の生活困窮者の生活支援の在り方に関する特別部会の中で検討が行われておりました。平成25年1月に取りまとめられた同部会の報告書の中では、相談支援事業を既存の福祉事務所で全て担うことは困難であって、地方自治体からの委託を受けて民間団体も事業を実施できるよう必要な法整備を行うことが必要とされており、これを受けて、国は自立相談支援事業を民間委託できるとした通知を発出しております。その上で、ステップの運営については、札幌市生活困窮者自立支援計画に基づいて、既存の制度、機関では対応が難しい生活困窮者へ柔軟に対応できることや、支援のノウハウの蓄積が期待できることから、外部委託を活用することとしております。  この外部委託については、例えば、市の税金を滞納しているとか、国保の保険料を払わずに滞納している方がいますが、札幌市の区役所に行きづらいけれども、民間委託をしているステップのほうには行きやすいという面があるかもしれません。それから、直営の市もあるということですが、必ずしも正職員ではなく、非常勤の職員が運営しているところもあると聞いております。また、委託ということですが、札幌市は先ほど申しました支援調整会議に全面的に参加しておりまして、保護自立支援課の職員がそこに行きまして、直接、会議の中で議論して決定していくという仕組みをとっておりますので、相当にコントロールしているものと思っております。 ◆池田由美 委員  委託とは言っても、札幌市がしっかりと中に入って主導でやっているのだというご答弁だと思います。  私は、札幌市の職員みずからが市民の困難な状況などを聞いていく、そして、見ていく、その立場に立っていくことが大事なことではないかというふうに思っております。これから見直しがされていくときに、今後の対応について、委託で行くのかどうか、そんなことなども含めて検討していくことが必要ではないかと私は感じております。  次の質問ですが、急に親の介護が必要になって、所得が減って、自分もストレスで参ってしまう、低所得でも何とか暮らしてきたけれども、家族や自分の病気やけがで暮らせなくなって生活困窮に陥る可能性が今は誰にでもあるし、そういう不安を持ちながら生活している市民がふえてきているのではないかと思います。貧困は、地域社会からの孤立にもつながりますし、問題を深刻にしていきます。本市にとって、さらに自立相談活動が必要とされていく状況が広がっているのではないかと思います。誰もが安心して相談に行くことができることが大切だと思います。  そこで、よりよい支援を届けるために、どこに相談したらいいかわからないという市民の声に応えていくための周知が必要だと思います。公共施設にリーフレットやチラシを置くこと、広報さっぽろなどで周知していくこととあわせて、24時間営業の店舗にチラシを置いたり、リーフレットを配置し、大きさもカードサイズでとりやすいように工夫していくことも大事なのではないかと思いますが、いかがですか。 ◎大野 保護自立支援担当部長  現在、ステップでは、A4判サイズの配架用とA4判三つ折りサイズの携帯用の2種類のパンフレットを主に使用してPRに努めております。他のPR媒体についても、費用対効果を検証しながら検討してまいりたいと思っております。 ◆池田由美 委員  2017年までの計画ですので、先ほど言いましたが、直営方式ではどうかということ、札幌市の職員が市民の相談を直接聞き取っていくこと、全庁で連携をとっていくこと、そして、本市の職員がしっかりと経験を蓄積していくことが望ましいのではないかと思います。私は、将来は各区にできるのが望ましいのかなと思っていますけれども、急にそうはならないと思いますが、市民にとって、行きやすく、安心感を持っていけるように、箇所数を検討していくことも求めて、生活困窮者自立支援事業についての質問は終わりたいと思います。  続いて、生活保護課のケースワーカーの働き方について質問いたします。  本市の生活保護受給世帯は、ことし1月で5万3,871世帯です。日々、受給世帯の相談に寄り添って、自立に向けてかかわっていくケースワーカーの役割は、本当に重要だと感じています。半分のケースワーカーが新人であり、新卒で配置される若いケースワーカーが自分の祖父母や親の年齢の受給者の話を聞き取って対応していくことは、新人職員にとっては本当に困難な中身だと感じています。  3カ月ぐらいは訪問などで援助していくことや、問題のある方のところは2人体制で行くという支援があると聞いておりますが、ことし1月のケースワーカーの持ち人数は82.5人となっています。2012年は89.7人となっておりまして、ケースワーカーがふやされて、2012年よりは持ち人数が大分少なくなってきている状況ではありますが、国の基準では80人に1人となっています。  そこで、年度末の数字が80人となっていくように、年度当初から80人を超えないようにしていくことが大事なのではないかと思いますが、ケースワーカーの持ち人数についてはどのようにお考えでしょうか。 ◎大野 保護自立支援担当部長  社会福祉法第16条において、ケースワーカー1人当たりの世帯数は80世帯が標準になっておりまして、私どもとしては、この数字を標準として努力目標としていきたいと思っております。  ケースワーカーの増員については、今後も、被保護世帯数の動向を見きわめながら職員配置を行っていきたいと考えております。 ◆池田由美 委員  困難で大変な仕事ですので、今後、増員していく方向なども検討していくことが大事だというふうに思います。  続いて、生活保護制度について、初めて仕事をする若いケースワーカーの中で、制度を熟知していなくて問題が起きているケースも出てきております。皆さんは、1カ月の訪問計画を持ち、就労指導やさまざまな相談に向き合いながら仕事をされていると思いますが、例えば、眼鏡の購入について聞いたけれども、保護費からは出ませんと冷たく言われたとか、あるいは、子どもの奨学金の扱いについて、説明がない中、奨学金を生活費と一緒にしてしまって、後日、領収書がないものに関しては収入認定されて返還しなければならないというトラブルなどが私の市政事務所に届いています。  このような状況についてどういう認識をされているのか、最初に伺いたいと思います。 ◎大野 保護自立支援担当部長  生活保護費の支給に当たっては、生活保護手帳と言われる分厚い本があって、年々厚くなっているものですから、恐らくこれを全部読むのはなかなか大変なことですけれども、生活している方は多様な需要を持っていますので、それに対応していくために、先輩に聞いたり、自分で調べたり、そういう方法でみずから身につけようとしております。その辺については、私どもも、研修を十分にやりながら、若いケースワーカーが早く一人前になっていくように努力していきたいと思います。 ◆池田由美 委員  それぞれの力量に任されているということかなと思いましたが、研修もされているというご答弁がありました。  たくさんの担当を持っており、忙しい仕事ですが、受給者一人一人にとっては、本当は、自分のことをよく知ってくれて、心のよりどころとなるのがケースワーカーなのではないかと思います。信頼関係ができなければ、自立へ向かうことも困難になりかねません。一人一人の受給者に寄り添って話を聞くことが信頼関係の始まりですし、そのことがしっかり保障されていくことが大切だと思います。  また、研修などもされていると言われていましたが、今の答弁を聞いて、経験を蓄積して質の向上を図ることが何よりも大切なのだと感じているところです。そこで、質の向上という視点から、新人に対して、1年間、どういうスタンスで研修に取り組まれているのか、この点はいかがでしょうか。 ◎大野 保護自立支援担当部長  まず、研修内容についてですが、着任間もない新任ケースワーカーに対しては、生活保護の基本的な知識を身につけることに加えて、生活保護の仕事はケースワーカーと当事者の信頼関係に基づく対人的な支援であることから、相手の立場や痛みを理解する思いやりの心を持つなど、ケースワーカーとしての心構えを身につけるための講義を取り入れています。また、当然、生活保護のより実践的な知識を得たり、年金など関連する制度を理解するための研修も実施しています。  新任ケースワーカーに対しては、平成27年度は4月、7月、8月、12月の年4回の研修をしております。また、2年次、3年次のケースワーカーに対する研修は、年1回実施しております。また、査察指導員である係長に対しても、今回は、ディビジョン研修ということで、ロールプレーイング的に、自分のケースワーカーが外勤から戻ってきたときに困った顔をしている、何か悩んでいる、そこに対して査察指導員がどういう対応をすればいいかというように、実技をもとにした研修をやっております。 ◆池田由美 委員  さまざまな研修がされているという答弁でした。  最後に、まとめたいと思います。  生活保護を受けている方は、一人一人さまざまな事情があって苦労されている方も多いと思いますし、困難なケースもふえてきているなという思いもあって、若いケースワーカーにとって今は大変な状況であると思います。よりよくというか、相手の思いをしっかりと聞き取っていく支援ができるようにしていくためには、やはりケースワーカーの働き方がネックになると感じておりますので、働く環境整備とベテラン職員の配置に配慮することが大事ではないかと思います。ケースワーカーの質の向上、ケース検討会など、日々、わからないことをしっかりと聞けるような状況が大事なのではないか、そのことが受給者の信頼を得ていく大きな力になっていくと思います。研修も大事でありますが、日常の中で若いケースワーカーが一人で問題を抱え込むことがないように、ぜひ、今後もベテラン職員の配置にも配慮していただくことを求めて、質問を終わります。 ◆松浦忠 委員  それでは、簡潔に質問いたします。  まず、予算の生活困窮者福祉事業費のうち、自立支援事業の実施に関してですが、ステップで行っているものと、札幌市が生活保護の窓口で行っている支援事業の二つについて平成27年4月からことし1月末までの実績の資料をいただきました。  まず、ステップのほうですが、平成27年度はキャリアバンクに幾らで委託しているのか、それから、就労支援事業のうち、市の生活保護課で相談をしている支援員の配置数が30人いますけれども、この経費は幾らか、これを示してください。 ◎大野 保護自立支援担当部長  生活困窮者自立支援制度の予算についてですが、予算額として2億4,550万円でございます。それから、就労支援相談員に対する平成26年度の事業費は、8,544万5,000円になっております。 ◆松浦忠 委員  ステップのほうは、キャリアバンクに委託していますね。もらった資料とちょっと数字が違うようですが、これは幾らですか。 ◎大野 保護自立支援担当部長  大変失礼しました。JOINのほうの事業も入っていました。  1億387万6,000円でございます。 ◆松浦忠 委員  この中身を見ますと、1億円余の委託費で就労に結びついたのが320人なのですね。就労数で割ると、1人当たりおよそ300万円ぐらいかかっております。一方、市の窓口でやっているのは、週20時間ちょっとで働いていただいている相談員が30人です。この数字を見ると、相談をしたのは去年の4月からことしの1月までで1,640人、それからステップのほうも1,697人とほぼ同じなのです。自立に至ったのはステップのほうが167人、こちらは、自立かどうかはわかりませんけれども、就労したという数字で言うと1億300万円をかけて320人、市の窓口で非常勤職員がやっている八千何ぼのお金で1,160人が就労したということです。  担当者の皆さん方から説明を受けると、これは国からの補助金だからと言うのです。しかし、国からの補助金であれ、北海道であれ、札幌市であれ、国民が払っている税金には間違いないわけですから、どういうふうにすると、より少ないお金で効果が上がるか考えていかなければいけないと思うのですね。そういう点からいったら、ステップの事業は極めて割高ではないか。320人で1億300万円ですから、1人約300万円かかっています。そうすると、極論を言うと、この300万円を配っただけで生活できるのではないかと、数字からはそういう話をしたくなるぐらい違うのですよ。  この辺について、どっちで、どういう方法でやるのがいいのかということについて、皆さん方で検討されたことがあるか、ないか、お尋ねいたします。 ◎大野 保護自立支援担当部長  制度が始まって1年近くになりますけれども、その実施状況や費用対効果の検証については、今回、生活困窮者自立支援法の計画を持っていますが、それがまた見直しになりますので、今後、その機会も活用しながら、庁内の連絡会議や関係機関との協議等を含めて見直していきたいと思っております。 ◆松浦忠 委員  こればかりではなくて、障がいをお持ちの方への支援事業がたくさん行われていまして、それらをいろいろ見ております。そうすると、障がい者を支援しているのか、健常者がその委託費によって職を得ているのか、えっ、これはどっちなのかということが結構見受けられるのです。また、そういう批判が私に寄せられているのです。それがあるがゆえに、きょうは、わざわざ市長においでいただいてこのことを提起しました。私は、本当に効果の上がる支援は何なのか、ぜひ検証するべきだと思うのですが、市長、いかがでしょうか。 ◎秋元 市長  さまざまな支援事業の中で費用とその効果をしっかり検証していかなければならないのは、おっしゃるとおりだと思います。 ◆松浦忠 委員  私はあれもこれもとは言いませんが、新年度で委託する前に、今の事業の中で、一つはステップでやっていることと、もう一つは市の窓口でやっていることの二つでいいですから、ステップの制度をやるにしても、市が直接やっていることに比べて、なぜこんなに費用が違って、こんなに効率が悪いのかということを検証して、ぜひ効率の上がる方法をとっていただきたいということを市長に求めて、終わります。 ◆佐々木みつこ 委員  私からは、生活保護受給者の民間住宅における住宅扶助代理納付の実施状況についてお伺いします。  秋元市政における本格予算となった今年度の一般会計予算額は、対前年度比3.9%増、金額にして356億円増の9,365億5,000万円になっているものの、その中で、義務的経費である扶助費は、2,881億円と対前年度比4.9%の増加を示しており、今後も高齢世帯の増加などにより増加することが予想されています。扶助費の半分近くを占める生活保護の扶助費が1,326億円と前年より9.2億円の増、その内訳は、医療扶助がほぼ半分の636億円、次いで生活扶助444億円、住宅扶助206億円と続いております。被保護世帯数は昨年7月時点で5万3,564世帯、人数にして7万4,533人、人口に対する保護率は38.3パーミル、また、年齢別では60歳以上が生活保護受給者の半分近くを占めています。生活保護世帯数では東区がトップであるものの、保護率では白石区が56.4パーミルと断然トップであり、私の事務所にもご相談が寄せられることから、議員に当選したときから関心を持っているところでございます。  住宅扶助受給世帯に占める公営住宅、民間賃貸住宅の世帯数を見ますと、平成26年7月のデータでは、住宅扶助支給世帯4万9,535件のうち、4万4,880件が民間住宅と圧倒的に民間住宅に住まわれていることがわかります。  私は、平成21年の1定の予算特別委員会で、住宅扶助費について、家賃支払いのための支給にもかかわらず、一部の不払いや滞納のケースがあることを指摘しました。平成21年当時、3万3,000世帯の住宅扶助受給世帯のうち、500世帯以上に滞納があるという新聞報道もございまして、私は、国において平成18年度の生活保護法の改正により各自治体判断で可能にしていた代理納付の仕組み、つまり、家賃を、被保護者ではなく、直接、家主などに支払う制度を本市も適用するように求めました。その結果、平成21年度4月より、範囲限定での代理納付を開始するとの答弁を受け、その動向をうかがってきたところです。  そこでまず、伺います。  代理納付の一部適用スタートから7年目を迎えようとしており、その間に1万人の被保護者がふえている状況ですが、現在、どのようになっているのか、本市における代理納付を適用するための要件と実施状況についてお伺いします。 ◎大野 保護自立支援担当部長  代理納付の現在の全市の実施状況と適用する要件についてでございます。  札幌市における生活保護受給者の民間住宅の住宅扶助代理納付については、平成21年4月から民間住宅に入居する一部の方々を対象に試行実施され、その後、平成21年11月からそれ以外の物件に住む入居者に範囲を拡大してきました。また、代理納付対象者世帯の件数については、平成21年度の29件から次第にふえまして、平成24年10月時点では152件、平成27年10月時点では367件になっております。  代理納付の対象となる世帯は、家賃を滞納している者で納付指導に従わない者、入院により物理的に本人が支払うことが困難な単身世帯で身寄りのない者、後見人や社会福祉審議会の金銭管理等が活用できず、ほかに家賃を支払う者がおらず、障がいや疾病等で金銭管理能力が乏しいと判断される者のいずれかに該当する場合としています。生活保護法では、住宅扶助は世帯主等への金銭給付を原則としております。代理納付はあくまでも特例として認められるものであるため、札幌市における代理納付は、これら3要件に限定して運用しているところでございます。 ◆佐々木みつこ 委員  世帯主への金銭支給が原則であるということで、代理納付の制度適用は特例ということでした。平成21年度当初は市営住宅のみであったと思いますが、現在は、民間住宅においても、毎年、代理納付の適用状況はふえており、370件近くに適用できていることは、毎年、数歩ずつ前進している状況と認めます。  また、代理納付適用のための滞納状況の判定等、手続には大変時間と手数がかかり、努力もされていることは推察いたします。代理納付の要件は、大変厳しい限定された条件であるとただいま伺いました。例えば、現実には、月末に当月分の家賃が入らず、翌月に指導を受ける、翌月はまだ入らない、そこでさらに指導を受けて、では滞納ですねと認定したときには既に3カ月分の滞納家賃がたまっています。代理納付の手続をしても、4カ月目にようやく1カ月分が納付されて、先にたまっていた3カ月分については分割で支払わなければいけないとか、そうした状況がわかります。また、数カ月滞納している保護者がほんの少しでも入金すれば、全部ではなくても指導に従ったということになり、代理納付の要件から外れますが、その後、また滞納を繰り返している例も見受けられ、大変な労力を求められます。  そういった滞納未満を除いてもこれだけあるということは、相当数の家賃が円滑に支払われていない状況が想像にかたくありません。大家さんにしてみれば、市営住宅では代理納付が前提になっており、民間住宅の家主や管理会社の場合は本人支給が前提になっていて、不安と労力がかかるため、円滑な家賃支払い状況を願う上では不公平感があります。先ほど申し上げたとおり、滞納を事実確定するためには既に数カ月分が滞納されており、生活保護者からその数カ月分の家賃を回収することは困難をきわめますから、保護受給開始と同時に代理納付をしてほしいとの声を聞くところであります。  そこで、質問ですけれども、家賃の滞納予防を目的に保護受給中の全世帯を代理納付の対象としてはどうかと考えますがいかがか、お伺いします。 ◎大野 保護自立支援担当部長  先ほども申し上げましたとおり、生活保護法では住宅扶助は世帯主等への金銭給付を原則としており、代理納付はあくまでも特例として認められているものです。また、現在、札幌市の保護受給世帯で住宅扶助を受給しているのは約5万世帯であり、事務的に膨大な作業になるため、全世帯を対象とすることは難しいと考えております。また、保護を受けている方が無届けで転居した場合や病気などで何らかの異変があった場合、家賃の支払いが滞ることでその事実発見の端緒となることがありますが、代理納付で定期的に家賃が振り込まれることにより、その端緒の一つがなくなってしまうこともあります。また、保護を受けている方の住宅確保に対する意識が薄れるなど、自立助長に影響が生じることも考えられます。具体的には、社会生活を営む上で当然発生する家賃の支払いという行為自体がなくなってしまうことから、みずからの住居に関する関心が薄れるとともに、家賃の支払いに関心がなくなることが懸念されます。  以上の点を考慮すると、問題なく月々の家賃を支払っている世帯まで代理納付の対象とすることは難しいと考えております。 ◆佐々木みつこ 委員  全世帯を対象にするのは難しいということですが、道内では、保護世帯数や公営住宅数など条件が違うことはあると思いますけれども、幾つかの自治体では全世帯を対象に代理納付をしているという話も聞こえてきています。また、個別の被保護者と家主や管理会社に委任関係があれば家賃の代理受領が可能であるということで、全国では、例えば東京都大田区や松山市などでは、こうしたサービスを事業化しているNPO法人などが代理納付を受けるなどの仕組みを先進的事例としてやっている動きもあり、札幌市にも幾つかの法人ができてきたと聞いています。  生活保護受給者の住宅扶助の代理納付について、家主や管理会社の委任を受け、スムーズに事務を執行できるようになれば、民間賃貸住宅の家主や管理会社は窓口の滞納回収の苦労が減って助かります。また、被保護者にとってもあらかじめ大事な家賃支払いを忘れずにできるということは何よりも便利なことであり、かつ、単身高齢者にとっては、生活保護者に限らず、NPO法人の見守りサービスなども受けられればもっと安心なセーフティネットになる可能性があるのではないかと思います。  そこで、質問いたします。  こういったNPO法人などの民間団体を活用し、住宅扶助を一括で団体に支給し、家主などに振り分けてもらうような仕組みを導入して住宅扶助代理納付について進めていくことはいかがか、お考えをお伺いします。 ◎大野 保護自立支援担当部長  NPO法人等の民間の団体を活用し、住宅扶助を一括で団体に支給し、家賃等に振り向けてもらうような仕組みを導入してはどうかということでございます。  ある程度まとまった件数を一括して代理納付することができれば、札幌市が負担する振り込み手数料などが少なく済むため、メリットがあるものとは感じますが、その団体の事業がどういったものか、詳細を把握していないので確認する必要があると思います。また、現行の札幌市の代理納付の仕組みにおいても、家主からの委託を受けた管理会社等の法人が住宅扶助を代理受領している事例が既にありますが、NPO法人等の活用に際し、これら既存の代理納付先と同様に取り扱えるものかどうかについては、検討を要するものと考えております。  ただ、繰り返しになりますが、代理納付はあくまでも特例として認められた仕組みであり、保護受給世帯全体に広げるには法改正が必要になると思われるため、国の動向を見据えていきたいと思っておりますので、ご理解をお願いいたします。 ◆佐々木みつこ 委員  ぜひ、ご検討いただきたいと思います。  札幌市は、全国でも大阪に次いで保護率が高くなっています。政令指定都市ですからサービスが充実していますし、医療機関も集中しているため、生活扶助を求める周辺市町村からの人口流入によって生活保護者がふえることはある程度否めないと思います。昨年7月の北海道の資料では、札幌周辺には10万938人の生活保護者がおり、全道では12万3,199世帯が生活保護の受給世帯になっております。この全てが札幌に集中するとは思いませんが、応募倍率の高い市営住宅では、ほとんどの生活保護者を賄い切れず、民間住宅に委ねていくことが想像されますので、民間住宅の経営がしっかりなされていくようにしっかりと見ていく必要があると考えます。生活保護の本来の目的は被保護者の自立へ向けての支援ですが、支援して住宅を提供した大家さんが得るべき家賃を得られず、かえって負債になってしまうような事態になれば本市の経済にも支障が出てきますので、ぜひ代理納付を前提に進めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。  極端な例をご紹介しますと、ギャンブルに走って家賃が払えなくなって、5カ月間に分けてようやく回収したとか、また、アルコール依存症のため、お酒の代金を優先して家賃を滞納した上に、突然入院することになって扶助費が打ち切られ、家賃を回収できなくなるケースもあります。一部であるとはいえ、そういうことがなくならない現状では、やはり、民間賃貸住宅も保護されないと、回り回って被保護者などの生活弱者に対する住宅提供がなくなる危険性もあるというふうに思います。また、生活保護者の死亡などの場合、即、住宅扶助が支給中止になってしまうため、退去の諸経費も入らず、遺体や残留物の処理費も出ず、原状回復の費用も持ち出しになるなど、さまざまな問題があります。そうした場合の費用も、市営住宅では市が持っているのに、民間は家主負担というのではやはり不公平感、負担感が生まれます。  今後、高齢者の単身世帯などもふえてくることが予想されることから、孤独死の対応などの問題も含めて、国も検討中ではあると思いますが、生活保護制度を取り巻く本市のセーフティネットの方法をあわせてご検討いただけるように求めて、質問を終わります。 ◆田中啓介 委員  私からは、生活保護費の基準引き下げによる他制度への影響について、また、一時扶助、臨時的生活費に新設された暖房器具について、そして、冬季加算の特別基準について、3点質問させていただきます。  働く人の実質賃金は、今、下がり続けております。年金も下がり、働く人の所得や年金の収入が生活保護を受給している人の所得よりも低い中で生活を送っており、本来であれば、生活保護基準以下で生活せざるを得ない人たちの対策を講じていかなければいけません。しかし、国は、最後のセーフティネットである生活保護の基準の引き下げを行ってきております。  まず、最初の質問ですが、第3回定例会の決算特別委員会で、我が党の村上ひとし委員が、生活保護費の基準引き下げによる他制度への影響がないのか、また、実態を把握し、生活保護基準に連動している制度には影響がないようにさせるべきと求めました。板垣副市長は、この求めに対し、生活保護制度の基準が引き下げられたことに伴ってどのような影響があるかということは調査してみたいと答弁されております。  この板垣副市長の答弁のように調査を行ったのか、また、その調査の結果が出ているのであれば、どのような結果になっているのか、お伺いさせていただきます。 ◎大野 保護自立支援担当部長  生活保護基準の引き下げに伴う他制度への影響についての調査ということでございます。  生活保護基準の見直しが影響すると考えられる札幌市の施策は、国の法制度等に根拠を持つものを含めて64と認識しております。関係する部局に対して調査を行いましたところ、市民生活に影響が大きいと思われる就学援助制度、特別支援教育就学奨励費、保育料利用者負担額等の減免などについては、見直し前の基準に基づいて対応しております。  一方で、介護保険各種サービスの利用者負担上限額や自立支援医療の利用者負担上限額の設定、墓地使用料の減免など13の制度については、法令に基づき、生活保護基準を用いたり生活保護の受給を要件に用いたりしていることから、これについては連動していると言えると思います。 ◆田中啓介 委員  今、大野部長からは、13の制度については影響がある、連動しているというような答弁だったと思います。第3回定例会の決算特別委員会における我が党の村上ひとし委員の生活保護の基準が引き下がることによって他制度への影響はないかという質問に対して、大野部長は、「生活保護基準は客観的な指標等により合理的に決定されたと認識しておりまして、この基準によって市の施策について大きな影響が出るものではないと考えております」、また、村上ひとし委員が実態調査を行うべきだということに対しても、「とりわけ調査の必要はない」と答弁しております。また、今出ました生活保護基準に連動している制度64件についても、調査をするべきではないか、また、影響があるのではないかという質問に対して、影響はないというふうにお答えしておりました。  今の答弁がそのときと違うのはなぜなのでしょうか。 ◎大野 保護自立支援担当部長  調査したことによって制度に対する影響があるかということについては、私はそのように答えた記憶は余りなくて、貧困に対して影響があるのかということに対してお答えした覚えがあります。  制度自体についての影響ということで13項目ありますが、これは、先ほど私が申しましたとおり、生活保護基準そのものに連動する、あるいは、生活保護を受給することを要件としています。例えば、墓地の使用料減免については、保護を受けている方については減免されるという制度ですから、その方は今の基準で減免されることになります。その方が、平成25年7月の改定前の基準に従って減免されるというふうにはならないということだと思います。このように、生活保護基準とまさにつながっている形の制度でございますので、今言われたことに対して特に問題を持ってはおりません。 ◆田中啓介 委員  特に問題は持っていないということだったのですが、例えば、介護保険料も、まさに、今、大野部長がおっしゃったように、生活保護を受けている方は無料だったり減免になっております。その生活保護の基準が下がることによって、今まで、保険料は納めなくてもよい、また、納めたらむしろ生活保護基準以下になってしまう世帯が、今度、生活保護の基準が下がったことによって、本来であれば減免されていたものが納めなければいけません。生活の実態は変わっておりません。収入はふえていない、むしろ減っているほうです。そういう中で、基準が下がったことによって、今までは納付しなくてもよかった保険料を逆に納付しなければいけないというのがまさに介護保険料だと思いますし、だから、影響があると大野部長も答弁されているというふうに思います。  貧困には影響がないということですが、確かに、こちらの議事録には、貧困層ということで、例として、今まで10万円もらっていたものが9万5,000円というふうに答弁されております。本人にとっては、確かに10万円支給されていたものから5,000円減ったということでの不利益は感じると思うけれども、それは貧困層がふえることにはつながらないというか、貧困層がふえるというような影響ではないと答弁されております。でも、生活扶助費、まさに生活費が削られていくということは、貧困につながっていくことだと思います。  例えば、親戚が亡くなると葬式や通夜に行かなければいけませんが、もちろんそのときには香典を持っていきます。でも、削られたことによって香典を出すだけのお金がなくなってきた。また、生活費が削られたことによって、今までは友達と一緒にお茶会に行っていたけれども、行けなくなる。どんどん貧困となっていって、まさに孤立していきます。  今、札幌市は、こういう対策をさまざまな分野、さまざまな世代でやろうとしていると思います。それに対して問題がないと言うのはちょっと納得できないのですけれども、改めてお聞きしますが、いかがでしょうか。 ◎大野 保護自立支援担当部長  生活保護基準についてのお話ですが、それは、国の基準部会の中で、低所得層の実態を把握しながら生活保護基準についての検証を行ったとお聞きしていまして、その基準は国が責任を持って決定したということですから、生活保護基準というのはある意味で最低限の生活の貧困線という見方もできると思います。それに対して、調査に基づいて、日本の国の最低線はそこですと定められたものですから、そこが下がったことによって貧困に影響があるか、ないかという見方は、私としてはまた別の観点から見ているというふうに解釈できると思います。  それから、先ほどおっしゃられた介護保険料に関しては、生活保護受給によっても介護保険料が生じていまして、その金額については、代理納付という形で生活保護費の中から納付している形になっております。 ◆田中啓介 委員  貧困の基準線がまさに生活保護の基準ということだったというふうに思います。ただ、一番最初に私がお話をさせていただきましたが、そもそも生活保護の基準が引き下げられた理由として、生活保護の基準よりも低い収入で働いている人がいるから、また、低い水準での年金収入しかない、それで生活をせざるを得ない人がいる、その対比では生活保護の基準のほうが上だから下げられてきていると私自身は感じております。  平行線になるかもしれませんので、改めて、札幌市として行っていくべきことについて、前回、板垣副市長がまた調査をしたいとおっしゃっていたので、実際に調査をされたというふうに思います。今後も、札幌市民の生活実態がどうなっているのか、しっかりと調査を行って、その行った調査の結果を国の基準に反映させていくことが大切だと思います。  そこで、2点目に移りますが、生活保護の一時扶助の中で、今までは、生活保護開始のときに、生活に必要な家電製品を購入するに当たって家具什器費というものがありまして、家具什器費の中でストーブを購入することになっておりました。これが生活の実態に合わないのです。特に、寒冷地の場合、ストーブは必需品です。ただ、高額のため、国は上限5万円を支給する制度を新設いたしました。  しかし、この5万円という金額ですが、私が実際にホームセンターなどで売っているストーブの価格を見ましたら、煙突式のストーブは7万円、FF式だと10万円が大体の相場だと思います。私が見つけたのは、どんなに安くても6万円ぐらいでした。国の上限5万円では、さらに自腹を切らなければいけません。製品だけでも既にオーバーしているのに、これに加えて、取りつけ工事費で生活保護費がさらに削られてしまいます。このような実態があることについては北海道にも確認いたしました。北海道は、ストーブ購入費の市場調査を行って、その上で国に要望することを検討しておりますとお答えしております。
     札幌市としても、この実態調査を行うべきだと思いますがいかがか、伺います。  あわせて、この部分は、北海道とも連携して、国に対し、寒冷地ではストーブがないと命にかかわる大きな問題としてストーブ購入費の限度額を実態に見合ったものにするよう求めるべきだと思いますがいかがか、伺います。 ◎大野 保護自立支援担当部長  生活保護におけるストーブの支給ということです。  住居のない状態で札幌市に生活保護を申請した方とか、生活保護受給中に転居が必要な方ということになりますが、最近は、アパートの部屋の半分ぐらいにはストーブが備えつけられている実態にございます。そうではないところに住まわれた方からそういう申請があるということですが、2月末の状況では16件ほど申請されております。ただ、この基準では賄い切れないという情報は、区からは一切いただいておりません。  また、5万円で足りるのかということですが、FF式と煙突式の暖房器具ということでしたけれども、通常のポータブルの石油ストーブなら2万円ぐらいで買えることは私も存じております。5万円でどうなのかということについて調査が必要かどうかとおっしゃいましたが、私どもも、去年4月に要領が出た時点から量販店のチラシなどを見ておりまして、5万円のストーブはなかなかないのではないかと思いますので、その辺の情報については、直接、厚労省のほうに提供しております。  それから、住居の広さで、どうしても5万円を超えたものが必要だという場合もあるかもしれません。そういう場合は、社会福祉協議会の貸し付けなどを使って、償還金を世帯の収入から控除する方法も考えておりますので、実際としてそれだけの問題が生じてくるとは思っておりませんし、とりわけ実態調査をする予定はございません。 ◆田中啓介 委員  大野部長自身がホームセンターのチラシを見たり、実際に厚労省に意見を言うというのは、立派な一つの実態調査だと思います。札幌市の市場ではストーブの価格がどうなのか、それを国の基準にもしっかりと反映してほしいということもあわせて要望していただきたいと思います。  もう一つは、冬季加算の特別基準を適用する支給について質問いたします。  冬季加算の特別基準というのは普通の冬季加算の1.3倍になると思いますが、特別基準は何をもって判断しているのか、伺います。 ◎大野 保護自立支援担当部長  これは、国の通知によって定められているもので、傷病、障がいによる療養のため、外出が著しく困難で常時在宅せざるを得ない方、または、1歳未満の乳児が世帯にいる場合で、通常の冬季加算額によりがたい場合を対象として、このような状態にいる方の世帯については原則として1.3倍の特別基準を適用しております。 ◆田中啓介 委員  常時在宅の状態という中で、重度障がい者加算が算定されている者、または、日常生活において常時介護を必要とするため、外出が著しく困難である要介護3以上の者、また、1歳未満の乳児がいる世帯ということでした。  ただ、医者などの診断によって、介護3ではなく、また、重度障がい加算には認定されていないけれども、なかなか外出が困難な方も実際にいらっしゃいます。例えば、その一つが鬱の疾患を持っている方です。私自身が障がい者施設で働いていたときもそうでしたが、鬱の疾患を持っている方は本当に起き上がれません。お手洗などに行く際にも、実際には立って行けないのです。下半身が不自由なのではなくて、本人も立とうと頑張るのですが、実際には立てない状態なのです。そういうときには、私どもスタッフが買い物をしたり、食事を運んだりしますが、これは、1日で済むことではなくて、長いときには2週間、3週間かかります。入院が必要ということもあると思いますが、今はなかなか入院も受け入れてくれませんし、クリニックの場合はそもそも入院する施設がありませんから、そういう方は常時在宅しているのです。そういうときには、認定基準が適用されるのかどうか、私が言ったような症状なので常時在宅になりますというお医者さんのご意見があった場合には、常時在宅として特別基準の対象になるのか、伺います。 ◎大野 保護自立支援担当部長  先ほど、重度障がい者加算を算定している方などについて申し上げておりませんでしたが、これはもう少し細かい話になります。  国の通知によると、重度障がい者加算を算定している方や要介護3以上の方で、食事、排便、入浴などの日常生活において常時介護を必要とする生活状態にある方のほか、医師の診断書等により、傷病、障がい等による療養のため、外出が著しく困難であり、常時在宅せざるを得ない状態にある方に対しては、区の保護課が認めた形で特別基準の適用を行っているところでございます。 ◆田中啓介 委員  ぜひ、お医者さんの診断でもしっかりと適用の対象になるということもあわせて周知していただきたいと思います。また、実態に見合った特別基準の算定もあわせて行っていただきたいと思います。  札幌市として、貧困対策の一番の土台、最後のセーフティネットと言われる生活保護の行政の部分では、札幌市民の生活実態はどうなっているのか、そこを踏ん張っていくことが最後のセーフティネットになっていくと思います。一つ一つの世帯の実態というのは違うと思いますけれども、そこを画一的、機械的にやらないで、個別の実態に見合った対応をしていただくことを求めて、質問を終わります。 ◆伴良隆 委員  私は、生活保護ケースワーカー等の職務内容と配置のあり方について伺います。  生活保護にかかわる現業所員、つまりケースワーカーは、平成12年度で292人、平成27年度現在で653人とのことであります。ケースワーカー定数は、先ほどもお話がありましたが、社会福祉法第16条第2号において、「市の設置する事務所にあつては、被保護世帯の数が二百四十以下であるときは、三とし、被保護世帯数が八十を増すごとに、これに一を加えた数」とされておりまして、置きかえて単純計算しますと、本市ではケースワーカー1人当たり80世帯を上回る82.5世帯に対応していることになります。  そこで、質問でありますが、国が言う現業所員、つまりケースワーカーの定数は被生活保護世帯数が80という基本になっておりますけれども、本市は、実際はどのような計算をもって適切な定数としているのでしょうか。 ◎大野 保護自立支援担当部長  定数の計算の仕方についてでございます。  本市においては、最小二乗法というもので5年間の生活保護の伸びを予測いたしまして、予測する年度の保護世帯数に対してケースワーカーを何人配置したらいいか、計算して出しております。実際がその計算の予測と外れた場合は、80対1以上の82対1や83対1という数字が出てくる場合がございます。  ただ、保護受給世帯の換算の仕方についてでございますが、例えば、高齢者世帯は1人のところを0.8人の持ち分で、母子世帯やその他世帯については1.1人とか、そういう係数を使って実態に見合った形の持ち数で全体の予測の数値を割るようにしております。 ◆伴良隆 委員  今、実態に見合った世帯数というお話がございました。  それでは、相談担当職員や就労支援相談員、あるいは警察OBの安全管理といったスタッフの数は、計算上、どのような形で当てはまるのでしょうか。 ◎大野 保護自立支援担当部長  札幌市における相談担当者の数は、ケースワーカーの数に含めておりません。国の系数の80対1の中では相談員を含めるのが実態ですが、札幌市においては、ケースワーカー数は別のものとして計算しております。また、就労支援相談員と特別指導員についても定数とは別個のものとして計算しております。 ◆伴良隆 委員  それでは、事例を出したいと思います。大阪市では、一般職員は、59歳以下の保護受給者に重点配置し、目安として60世帯に1ケースワーカーを、嘱託職員は、60歳以上の保護受給者の見守りを中心に、目安として380世帯に1ケースワーカーをそれぞれ配置しているとのことでございます。その他年金調査や財産調査、安全管理、そして就労支援の専門嘱託職員も採用しているとのことでございます。  そこで、質問でありますが、被生活保護世帯に対する支援の一環としてかかわる職員総数の中で80世帯を維持していく考え方もあろうかと思いますけれども、被生活保護世帯にかかわる個々の職員配置と仕事内容、それにかかわる支援対象世帯とその総数については、本市も独自にアレンジできるということなのでしょうか、ご見解を伺います。 ◎大野 保護自立支援担当部長  独自にアレンジできるかというお話ですが、確かに、大阪市や、また釧路市でもいろいろなアレンジの仕方をしていると聞いております。ただ、札幌市においては、基本として、差し当たりは1対80という形を維持していく方法を続けていきたいと考えております。 ◆伴良隆 委員  どうしても80にこだわっているということでございますが、そのこだわり方に関して、私から提案を含めてお話ししたいと思います。  これまでも、被生活保護世帯に対して、その世帯に応じた必要な支援をしっかりやっていくこと、あるいは、一方で、不正受給のようなケースや、それに準じた不適切なケースにしかるべき対応をしていくことは、公平・平等の観点から当然のこととして求められております。しかし、実際は、本市の1ケースワーカーが対応する世帯の年齢層もさまざまであり、1ケースワーカーが対応すべき内容も多岐にわたっており、実際はケースワークの対象世帯が80世帯を超えている現状などから、本来やるべきケースワーキングに支障を来すことがあってはなりませんし、適時適切なケースワーキングが行われていなければならないわけであります。一方で、生活保護上の安定的生活という基本を考えますと、実際は、65歳以上の高齢者世帯は1年に1回ないしは2回といった訪問レベルで対応できている現状にございます。  そこで、提案を込めた質問ですが、ケースワーカーを役割分担し、今後も増加が見込まれる高齢者の被生活保護世帯の見守りを専門に扱うようなケースワーカー、現業所員、または嘱託を設けること、つまり、地域面積にもよりますけれども、仮に高齢者世帯を65歳以上として少なくとも120世帯から300世帯台を専属1名とするのであれば、総じて1ケースワーカーがそれ以外に抱える世帯数は相対的に減り、職務負担が軽減され、年12回、月1回の訪問が必要とされるような被保護世帯により手厚く対応できたり、万が一、不正受給がないようにチェックする体制がより行き届くなどの好影響があると思います。  こうした職務内容と配置に関する改善策について、全く検討できないような理由が何かあるのか、検討の余地が少しでもあるのかどうか、ご見解を伺います。 ◎大野 保護自立支援担当部長  検討できない理由というのは全くありませんので、検討はできると思います。  ただ、高齢者世帯について、本当に問題がないかといいますと、実際にはいろいろ問題がございます。その具体的内容についてはここではなかなか述べにくいのですが、総じて、いろいろな問題を抱えた方がそのまま高齢になっている場合もありますので、完全に分けてやるのは必ずしもどうかなと思っています。  何より、新しい仕組みをつくっていくというのは、国の基本的な法定受託事務という形で行われていますので、確かに、人員を配置したりサービスを提供するのは我々地方自治体の仕事ではあるのですが、国が何か制度を変えたときにどう対応していったらいいかというときに非常に非効率な可能性が出てきます。例えば、今回の国庫負担の問題でも、実際に補助金として全額が国庫負担でなされていたものが、急遽、4分の3なり半分になりました。そうすると、うちの事業はかなり打撃を受けて、その転換に非常に悩む事態になります。ですから、ケースワーカーも含め、制度の仕組みをいじっていくというのは、非常に不安な部分もあるし、覚悟が要ると思っています。 ◆伴良隆 委員  検討の余地がないかというと、他都市もやっていますし、あるとは思います。  高齢者のお話がございました。私も、決して、高齢者が見守りだけで済むと言ったわけではありません。ただ、相対的には、高齢者の方々は見守りという視点が非常に強いわけであります。もし、特異な事例が出てくれば、それは専門のケースワーカーにお任せすればいいわけですから、最初から高齢者世帯を完全に分けてしまって問題が起きたらどうするのだと言われれば、そのときにはすぐに専門の職員に渡していけばいいということになるわけでございます。  それから、国の制度ということがございました。これも確かに一理あります。しかし、目の前のケースワーキングの中で、80を超える、あるいは、80の中でA地区、B地区、C地区とあっていろいろな層の方々がいる中で、どこまで見守りができるのか、就労支援ができるのか、そういったことがあります。あるいは、不正受給の件もございますが、そういったことをきちんと見きわめていく、まさに実態に見合った方法で積極的にやっていただきたいというふうに私は思っております。80世帯にこだわるのは何なのかというところは、いま一度、検討の余地があるということですので、ぜひ、改めてお願いしたいと思っております。  被保護世帯の生活安定と自立支援、あるいは、不正受給防止といった今後の適切な生活保護行政が必須なことは言うまでもなく、こうした必須の取り組みを確実に行うことが、恐らく今後も増大する保健福祉への対策に本市として少しでも寄与するものと思います。そのためにも、ケースワーカーはとても大切な職務でありますから、その責務を全うするための職務内容と人員配置、つまり、被生活保護世帯への本市の体制については柔軟な改善が望まれていることを指摘させていただきます。  このことにつきましては、制度のこともあろうかと思いますが、今後どのような検討をしていくのか、また時期を見て改善状況を確認していきたいと思います。 ◆石川佐和子 委員  私からは、生活困窮者自立支援事業について伺います。  生活困窮者自立支援法が2015年に施行され、札幌市では、生活困窮者の自立と尊厳の確保、生活困窮者を通じた地域づくりを達成するとして、生活困窮者自立支援計画を策定し、昨年4月より取り組んでおります。  支援はもちろん相談から始まりますが、私は、2015年の3定の決算特別委員会におきまして、生活困窮者に対する自立相談支援機関における相談や就労などの支援状況について伺ったところです。その後の相談などの実施状況としては、2015年4月から本年1月までの累計を伺ったところ、札幌市生活就労支援センターステップにおける新規相談が1,697名、また、住居など生活の場を失っている方を対象とした自立相談支援機関である札幌市ホームレス相談支援センターJOINにおきましては、同期間で674名の相談が寄せられたということです。また、自立支援の結果、就労に結びつき、支援を終結した件数につきましては、この二つの相談機関を合わせて同期間で421名と伺っているところです。  厚別区と豊平区におけるモデル事業からスタートして、昨年4月から生活困窮者自立支援制度を本格的に施行し、みずから声を上げることが難しい生活困窮者の早期把握、一人一人の状況に応じた支援、経済的自立に向けた就労支援の充実などを目標に掲げて取り組んできたと思いますが、札幌市が策定した事業計画においては、成果目標として、1年目の新規相談を3,000人、支援センターで相談した人の就労率を30%などと掲げております。これまで、ステップやJOINで行ってきた支援につきましては、こうした自立支援計画で掲げた計画や理念に沿った支援となっているかどうかを確認しながら実施していくことが必要だと考えます。  そこで、一つ目の質問ですが、本市の自立相談支援機関におけるこれまでの取り組みについて、札幌市生活困窮者自立支援計画で掲げた計画目標等を踏まえた上でどのように評価しているのか、伺います。 ◎大野 保護自立支援担当部長  自立相談支援機関におけるこれまでの取り組みへの評価です。  平成27年3月に策定した生活困窮者自立支援計画では、完全失業者数等に着目して、支給対象者数を約2万2,000人と推計いたしまして、初年度の今年度における新規相談受け付け件数の成果目標を3,000人としたところです。ステップ及びJOINにおけるこれまでの実績を踏まえると、両機関を合わせた今年度の新規相談受け付け件数は約2,850人、成果目標の95%程度になる見込みでございます。また、経済的自立に向けた就労支援の充実を掲げ、利用者の就職率を各年度30%となることを同じく成果目標としましたが、平成28年1月まででは約17.8%にとどまっているところでございます。  この利用者の就職率については、失業期間が長期にわたっているなど、就職して就労が定着するまで一定以上の支援期間を必要とする方の割合が高いことなどが要因と考えられます。一人一人の状況に応じた支援を行うことが何よりも重要であることから、今後も相談者個々の自立のあり方を尊重した手厚い支援を心がけたいと思います。  一方で、いまだ相談機関に結びついていない生活困窮者や、1回から2回の相談のみで継続的な支援に至らないケースも多数あると認識しております。こうした方に対する効果的なアプローチを今後の課題の一つとして取り組みたいと思っております。 ◆石川佐和子 委員  ステップでの相談内容としては、資料によりますと、仕事探しや就労に関することが一番多く、次に生活費に関すること、次に病気や健康、障がい、家賃やローンの支払いとなっておりますが、こうしたものが複数に絡まっている場合が多いと聞いております。そうした課題を一つ一つ解決しながら、相談者に寄り添った適切な支援を行っていくこと、また、支援経過を的確に把握し、随時、伴走的に支援を行っていく必要があるというふうに考えます。  ただいまの答弁で、相談件数はほぼ目標に達しているということですけれども、今、部長がおっしゃったように、みずから声を上げることに難しさを感じている方とか、そこにとどまっている方、そもそもこの仕組みを知らない方々もまだまだいるのではないかと考えます。適切なタイミングで必要な支援を受けられずに、社会のセーフティネットの網からこぼれ落ちないようにすることが重要であり、先ほどの質疑の中にもありましたが、相談に向けては、出張相談会の場所や回数をふやすなど、さらに充実させていただきたいと思います。  生活困窮者自立支援事業には、行政サービスを横断的につないでサービスのすき間を補うことも求められていると私は考えます。こうした生活困窮者の早期把握や包括的支援を行うためには、自立相談支援機関を中核として、生活困窮者を支援するための公的機関やNPOなど社会資源をつなぐネットワークづくりが欠かせないものになると思います。札幌市生活困窮者自立支援計画においても、関係機関との協議の場の設定など、地域ネットワークの構築をうたっているところであります。  そこで、二つ目の質問ですが、生活困窮者の早期把握や包括的支援を行う際に欠かせない関係機関とのネットワークづくりについて、これまでどのように取り組んできたのか、伺います。  また、そうした取り組みにおいて、どのようなことを課題と捉え、今後どのように対応していくのか、伺います。 ◎大野 保護自立支援担当部長  関係機関とのネットワークづくりについてでございます。  これまで、庁内各部門を初め、民生委員児童委員協議会、若者サポートステーション、法テラス、ライフライン事業者など、庁内外のさまざまな機関と会議や研修の機会等を通じて生活困窮者自立支援事業との関係構築に努めてきたところです。とりわけ、住居喪失者に対する支援では、地域生活定着支援センター、障がい者支援機関、救護施設等を招いたネットワーク会議を開催し、一層の連携の必要性を確認したほか、ホームレス支援全国ネットワークから理事長を講師に招いて実践報告会等の活動も行ったところです。これらの機関との共同会議や事例検討会等を重ねる中で、複雑な家族関係を抱え、ひきこもりやDV等が疑われる方への支援など、経済的困窮の背景にあるさまざまな潜在的課題への対処について連携の中身が問われる場面も生じているところです。今後は、市全体の視点から、ネットワーク構築とともに、より地域に根差した地域固有の社会資源を生かしたネットワークづくりにも力点を置き、フォーマルな制度だけでは対応しがたい課題に対する新たな支援の仕組みづくりが必要と感じております。  さまざまな問題を抱えた生活困窮者の支援に当たっては、就労支援や福祉の窓口等に結びつけるだけでは解決できない問題があることから、さまざまな関係機関、関係者を交えた支援調整会議の開催などを通じて、柔軟かつ重層的な支援を目指すこととしたいと考えております。 ◆石川佐和子 委員  この制度の目的は、生活困窮者の自立と尊厳の確保、また、生活困窮者を通じた地域づくりということで、ただいまご答弁がありましたように、地域固有のネットワークづくりをさらに進めていくとか、福祉の窓口や就労につなぐだけではなく、しっかりと取り組んでいくのだということをお聞きできました。  しかし、自立ということは、今おっしゃったように、私も、就労だけに特化すべきものではないと思いますし、その人らしさを尊重していくことが尊厳の確保だと思います。したがって、単なる支援のみならず、ともに生きるという視点が重要であって、働くだけではなく、暮らし、生活を支えてこそ、本当の生活困窮者自立支援になるのではないかと私も考えております。制度から漏れる方がいないように、関係機関とのネットワークを柔軟に駆使し、さまざまな資源をつなぐ中で、地域づくりに発展するよう積極的な取り組みをぜひ進めていただきたいと思います。  次に、2015年2定の補正予算に計上され、その後、委託事業として実施しております就労訓練事業及び就労体験の場を開拓する事業について伺います。  この事業についても、昨年の決算特別委員会において質問させていただいておりますが、生活のリズムが整っていなかったり、コミュニケーションが苦手だったり、多様な働きにくさを抱えて、すぐには一般就労することが難しい方に対する一般就労に向けた支援として、モデル事業の実績も生かしながら効果的に実施していくよう、質問の中で要望させていただきました。  昨年10月の時点では、まだこの事業が始まったばかりで、特に就労訓練事業についてはまだ認定実績がないという状況でした。生活困窮者のさまざまなニーズに対応した就労支援を行うためには、多種多様な受け入れ先を開拓し、受け皿をつくることが必要です。また、来年度以降もそうした支援を継続的に実施していく必要があると考えます。  そこで、最後の質問ですが、就労体験などの場を開拓する事業について、これまでの具体的な実施状況と、来年度以降はどのように取り組んでいくのか、伺います。 ◎大野 保護自立支援担当部長  就労体験等の場を開拓する事業の実施状況と来年度以降の取り組みについてでございます。  就労体験の受け入れ事業所については、これまでに68カ所を開拓しておりまして、分野別の内訳としては福祉が57、小売業が5、造園が1、サービスが4、運輸が1となっています。また、12人に対して就労体験による支援を実施しており、そのうち7人が就労を実現したところです。就労訓練事業の受け入れ事業所については、4カ所を開拓しており、分野別の内訳としては福祉が3、サービスが1となっており、3人に対して就労訓練による支援を実施したところです。  就労体験の場を開拓することは、課題を抱えた生活困窮者に対する支援メニューがふえることになる一方で、受け入れる事業所にとっても大きな社会貢献や人材の発掘につながるというプラスの効果があると考えられます。来年度についても、就労準備支援事業として実施予定である就労ボランティア体験事業等の取り組みにより、引き続き就労体験等の場の開拓に努めてまいりたいと思っております。 ◆石川佐和子 委員  最後に、要望ですけれども、引き続き就労訓練や就労体験等の場を開拓していくことは、生活困窮者自立支援制度の効果を高めていく上で非常に重要だと思います。そうした受け皿づくりに向けては、受け入れ事業所にとってインセンティブとなるような経済的支援等も今後は検討していくべきだと思いますし、ノウハウの面における総合的な支援も積極的に進めていくべきだと思います。また、この間、実際に受け入れを行った事業者にとっても、社会的貢献だけではなく、新たな人材の発掘につながるといったメリットのお話も今伺いましたが、こうした情報は、受け入れ事業所の拡大につながるインセンティブとして、多くの事業所において共有していただくことを求めます。  ぜひとも、さまざまな課題を抱えながら働きたいと思う方々に寄り添い、就労等の受け皿づくりの拡大に向け、事業者に対する制度の周知徹底、事業者の参入促進、普及啓発に努め、さらに多くの受け入れ事業所やNPOが協力できるような仕組みを構築していくことを要望して、私の質問を終わります。 ○しのだ江里子 委員長  以上で、第4項 生活保護費の質疑を終了いたします。  以上で、本日の質疑を終了いたします。  次回は、明後日、3月10日木曜日午前10時から、保健福祉局関係のうち、高齢保健福祉部、保険医療部、保健所及び衛生研究所の質疑を行いますので、定刻までにご参集ください。  本日は、これをもちまして散会いたします。     ――――――――――――――       散 会 午後5時9分...