欠 委 員 坂 本 恭 子 委 員 小 形 香 織
委 員 伊 藤 牧 子 委 員 小 倉 菜穂子
委 員 堀 川 素 人 委 員 金子 やすゆき
――
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開 議 午後1時
○村山秀哉 委員長 ただいまから、第一部
予算特別委員会を開会いたします。
報告事項でありますが、坂本委員からは欠席する旨、國安委員からは
阿知良委員と交代する旨、それぞれ届け出がありました。
議事に先立ちまして、審査方法について理事会で申し合わせをいたしましたので、ご報告いたします。
質疑者及び答弁者は起立して発言を行うこと、答弁者は冒頭に職及び氏名を名乗ってから発言を行うこと、なお、同一委員への答弁が継続する場合は最初だけでよいことといたします。また、質疑及び答弁は、簡潔を旨とし、前置きなどは極力省き、内容の重複等を避けながら、終了時刻は午後5時をめどとし、審査日程を予定どおり進めることができますようご協力をお願い申し上げます。
それでは、議事に入ります。
議案第1号 平成27年度札幌市
一般会計予算中関係分ほか、付託議案12件を議題といたします。
最初に、平成27年度札幌市
一般会計予算中歳入のうち、一般財源、第2款 総務費 第1項
総務管理費中会計室及び
財政局関係分、第3項 税務費、第10款 公債費 第1項 公債費、第11款 諸支出金 第1項 財産取得費、第2項 他
会計繰出金中
財政局関係分、第13款 予備費 第1項 予備費、議案第8号 平成27年度札幌市
基金会計予算及び議案第9号 平成27年度札幌市
公債会計予算について、一括して質疑を行います。
◆
ふじわら広昭 委員 私は、3項目質問いたします。1項目めは
最低制限価格の見直しについて、2項目めは
成績重視型入札について、3項目めは
総合評価落札方式の見直しについて、それぞれ項目ごとに質問いたします。
1項目めは、
最低制限価格の見直しについてですが、質問の趣旨は
最低制限価格の引き上げについてであります。
札幌市では、他の
政令指定都市同様、
公共工事等の発注に当たって、財務規則等に基づき、予定価格を設定するとともに、WTO、
政府調達協定の対象工事と
総合評価落札方式の入札では、低
入札調査基準価格を設定しております。また、
一般競争入札及び
指名競争入札による工事及び
建設関連委託業務の請負契約を締結する場合は、札幌市
工事等最低制限価格運用要領に基づき、
最低制限価格を設定しております。また、本市では、2012年度、平成24年度に
最低制限価格及び低
入札調査基準価格の見直しを行ったことについては評価するところでございます。
ご承知のとおり、こうした
最低制限価格などを設定するに当たっては、直接工事費、
共通仮設費、
現場管理費、
一般管理費を含めて
最低制限価格などを設定していきます。積雪寒冷地の札幌市では、工事品質を確保するために、土木工事の多くは、主に冬期間を除く4月から12月までの約9カ月の間に工事を行わなければならず、地元の建設業者は、短い期間の中で工事の品質を確保しながらどのように会社としての利益を出していくのか、苦慮しているところであります。札幌市が発注する建設工事の大半を担っている
地元建設業者の多くは、現在の
入札契約制度の中で
最低制限価格同額によるくじ引き、あるいは、
最低制限価格近辺で受注することが多い状況となっております。
このように、
最低制限価格周辺での受注が多い中、
地元建設業者は、工事の資材などをなるべく安く調達するために、取引先との価格交渉などを行うわけでありますが、道外大手のように、一括で年間の受注量を見込み、大量に仕入れることによる
スケールメリットを受けることができず、また、昨今の
技能労働者不足による人件費の高騰や下請経費の増加なども重なり、企業努力により利益を確保するにも限界があるという声が
地元建設業者から私ども民主党にも寄せられている現状であります。
最低制限価格というのは、
工事品質確保のために最低限必要となる経費ということについては私も認識しておりますけれども、限られた短い工期の中で工事物件の品質を確保するためには、少なくとも資材の調達費や人件費が確保できることが必要であり、資材調達費や人件費で構成される直接工事費の部分については、積算基準と同額の100%にしていく必要があると考えます。
私は、昨年の夏、
政令指定都市20都市の
最低制限価格を調査したところ、地理的な条件は違いますが、横浜市では、昨年6月に、政令市の中でも先駆けて直接工事費を100%に引き上げております。直接工事費を100%に引き上げたから全体が上がるかといえば、必ずしもそうではありません。一部は上がりますけれども、そういう状況の中で、当面は、札幌市としても、これまで
現場管理費や
一般管理費をそれぞれ国の基準よりも高く設定していることは評価するところであります。札幌市は、政令市の中で見てもこの四つの経費について最も高い設定をしているものと思っており、その点は評価するところですけれども、今申し上げたような状況においては、当面は全体を引き上げる中で直接工事費の経費を100%見ていく必要があると思うわけであります。
そこで、最初の質問でありますけれども、札幌市においても、工事品質の確保及び企業の適正な利益確保のために
最低制限価格を引き上げる必要があると思いますが、どのように考えているのか、見解を伺いたいと思います
◎木村 管財部長
最低制限価格の引き上げについてでございます。
本市の
最低制限価格につきましては、工事の品質確保と
ダンピング防止の観点から運用しており、平成22年2月及び平成24年4月の2度にわたり、引き上げを行ってきたところでございます。その結果といたしまして、落札率の推移を見ましても
政令指定都市の中でも高い水準になっているものと認識しているところでございます。今後につきましても、国や他の自治体の動向を引き続き注視してまいりたいと考えております。
◆
ふじわら広昭 委員 落札率は政令市の中でも最も高いほうではないかなという
木村管財部長の答弁でありました。確かに、建築部門も含めると札幌市の平均的な落札率は約91.04%でありますが、一般会計、市長部局の土木工種を見ますと、平成23年度は84.96%、24年度は88.47%、25年度は89.33%、そして今年度は12月末で89.31%と、緩やかではありますけれども、確かに少しずつ高くなっていることは私も認めます。しかし、先ほど申し上げたように、全体では辛うじて91%を超えておりますけれども、土木の工種を見ると、まだ90%に届くか、届かないかという状況であります。
また、WTO案件で見てみますと、これまで、WTOの工事で地元の企業が頭になったJVとしての落札はないと言ってもいいと思います。例えば、最近の
開成中等教育学校、北区の屯田小学校、そしてこばやし峠の
トンネル工事、あるいは下水などの
シールド工事におきましても、全て本州大手が頭となっております。こういう背景にはさまざまな要素がありますが、第一義的には、やはり、資材を大量に購入して資材のコストを下げていく、そうした競争力ということで、私は、地元の建設業にはなかなか太刀打ちできない現状にあるのではないかというふうに考えるわけであります。
この問題につきましては、選挙後の大きな課題でもありますし、きょうの中で深く議論しても結論は出ないと思いますけれども、一般のWTO以外の工事においても先ほど申し上げたような現状ですし、WTOの工事においても地元の企業がJVの頭となってこれを落札できる状況でないことも十分に踏まえて、ぜひとも、今後の
最低制限価格、直接工事費や
共通仮設費、
現場管理費や
一般管理費の総体的な引き上げなども踏まえて検討することを求めておきたいと思います。
次に、2項目めの
成績重視型入札のあり方について質問いたします。
私は、昨年の夏、
政令指定都市20都市の中で、公共工事の登録工種に水道が単独で設定されているか、調査してまいりました。その結果、札幌市では水道部門を土木の工種と一緒にしておりますが、札幌市と同じように他の工種に含まれているのが3都市、また、機械工事や
水処理施設工事、設備工事などという工種に入っている部門もありますが、残り14都市は水道を工種として登録しております。私は、本来、土木工事と水道工事の登録工種を分離すべきだと思いますけれども、こうした中には歴史的な経緯があり、今すぐこれを分離することは難しいと思うわけであります。
そこで、最初の質問でありますけれども、一般会計と企業会計の札幌市全体で、2013年度、平成25年度と今年度12月までに成績重視型が何件設定され、そのうち、一般会計の土木と企業会計の水道の成績重視型についてはどのような件数になっているのか、伺いたいと思います。
◎木村 管財部長 まず、1点目の企業局を含めた札幌市の
成績重視型入札の発注件数でございます。
平成25年度は156件、平成26年度は12月末現在で166件となっております。そのうち、市長部局の土木工種の成績重視型の発注件数は、平成25年度は62件、平成26年度は12月末で66件、水道局の土木工種につきましては、平成25年度は13件、平成26年度は12月末現在で16件となっております。
◆
ふじわら広昭 委員 今、市長部局と水道局についてそれぞれ数字が示されたとおりであります。市長部局の土木工種が多いのは当然であり、水道は予算面などからいっても少ないのは納得するところであります。
しかし、いろいろ調べてみますと、先ほど申し上げたように、札幌市の工種は土木と水道が一緒になっているために、受注したそれぞれの会社の年度の成績は土木工事と水道工事を合算したもので設定されております。私は、土木工事の点数と水道工事における成績重視型の入札については分離すべきだと思い、昨年の決算議会の前に、札幌市水道局に対して、こうしたことを検討すべきではないかと問題提起してきたところであります。
本日は、水道局の
三井総務部長においで願っています。そこで、改めて、今申し上げたように検討を要請してきましたけれども、水道局の成績重視型に使用する土木の
工事評価点の平均を計算する際に、土木を含む全市的な点数で計算していることを改め、
水道局発注の土木工事だけで
工事評価点の平均を算出するよう、一般会計の土木と水道の成績重視型の
工事評価点を分離すべきだと思いますけれども、今後どのようにしようとしているのか、伺いたいと思います。
◎三井
水道局総務部長 工事評価点算出における水道局分の分離についてお答えいたします。
現在、
工事評価点のよい業者を契約の相手方とする、いわゆる成績重視型の契約方法におきましては、委員のご指摘のとおり、
水道局発注分の土木工事を含む全市的な土木工種の
工事評価点の平均点により、評価を行っているところでございます。
水道局発注の工事におきましては、
水道事業特有の工事も多いことから、私どもとしても、
水道局関係分のみの
工事評価点によって契約の相手方を決定するほうが、成績重視型の趣旨からすると、より望ましいことと考えているところでございます。つきましては、システムの改修や新制度の周知などの諸課題もありますが、今後、制度の移行に向けて、鋭意、取り組んでまいる所存でございます。
◆
ふじわら広昭 委員 土木の工種でよい成績を上げたところは土木、また、水道で成績を上げたところは水道の工事、両方に参画して両方でよい点数を上げたところについては分離したそれぞれに参画できるようにしたいということですので、その判断については評価したいと思います。
今、三井部長からも、さまざまな
システム改修や準備等の必要があるということですけれども、私は、少なくとも、平成26年度の
成績評価点につきましては、3月末で締め切られて、その後、それぞれ精査され、ことし8月分の成績重視型から新しい点数に基づいたものが発注されるでしょうけれども、その前については、現在の点数を中心に成績重視型が発注されることになると思います。部長の答弁の趣旨から言いますと、ことし8月分からの新しい点数に基づく成績重視型に間に合うように、
システム改修や業界に対する周知、意見交換などを十分に進めて対応していただきたいということを求めて、最後の質問に移りたいと思います。
3項目めは、品確法の改正を踏まえた具体的な
入札契約制度の改善として、札幌市の
総合評価落札方式の見直しについて質問いたします。
最初の質問は、
総合評価落札方式の見直しに伴う運用時期と見直しの概要についてであります。
私は、昨年の第3回定例市議会の
決算特別委員会で、公共工事の品質確保の促進に関する法律、いわゆる品確法の改正を踏まえ、地域に貢献している
地元建設業者の適正な評価に関連して、私自身の考えを交えながら大きく二つの問題を提起いたしました。
一つ目の提言は、災害発生時にいち早く復旧工事を担っている建設重機を保有する地元の
建設事業者や、地域を熟知した
除排雪事業に貢献されている建設業者が確実に存続して経営していくためには、土木系の工事で特に多発している
くじ引き入札による運任せの受注ではなく、品確法に掲げられた多様な
入札契約制度の活用により、幅広く多くの業者が工事を受注できる
仕組みづくりの必要性について訴えました。
二つ目の提言は、特殊で難易度の高い工事は、品質確保の観点から、企業の実績や技術者の能力を重視した
総合評価落札方式などが効果的でありますけれども、一般的な工事は、地元に根づいた事業者がこれからも安定した経営が続けられるよう、防災活動や建設重機の保有などを含めた地域活動の実績を重視した入札方法も必要と提言してきたところであります。
この二つの提言に対して、
木村管財部長から、新たに示される運用指針を踏まえて、
総合評価落札方式の見直しや拡充などについて検討を進めたいとの答弁がありました。今回の品確法改正によって定められた発注者の責務を踏まえて、地方自治体などの
発注者共通の指針としてことし1月末に国から運用指針が公表され、約300ページに及ぶ詳しい解説資料が添付されております。この運用指針や解説資料が示されたことによって、札幌市においても具体的な見直しが一段と進んできたと思うわけであります。
先週2月16日の代表質問において、井上副市長から、
総合評価落札方式を大幅に見直し、新たに地域貢献や人材育成に重点を置いた型式、種類を設け、具体的には、地域の防災活動や
除排雪事業の実績などを評価する型式や、
新規学卒者の雇用や
女性技術者の活用などを評価する型式を追加するとの答弁がありました。このことは、現行の
総合評価落札方式として、一つ目は簡易型、二つ目は
技術評価重視型、三つ目は
地域貢献重視型の3型式がありますが、これに新たに二つの型式を追加して、全部で5種類、五つの型式に拡充すると理解するわけであります。
そこで、質問でありますが、1点目の質問は、札幌市においても、新年度に向けて既に早期発注が始まっています。一般会計の土木と舗装でありますが、2月から4月にかけて141件の発注が予定されており、そのうち35件がゼロ市債となって早期発注が始まっておりますけれども、見直し後にこの運用を開始するのはいつごろになるのか、伺いたいと思います。
2点目の質問は、
総合評価落札方式を大幅に見直すとのことでありますけれども、型式、いわゆる種類の名称も含めて、見直しの全体の概要についてどのようになっているのか、2点伺います。
◎木村 管財部長
総合評価方式の見直しについてでございますが、まず、1点目の見直しの運用時期でございます。
見直しにつきましては、年度の切れ目である4月告示分からの開始を予定しておりまして、3月上旬には関係団体にお知らせしたいと考えているところでございます。
続きまして、見直しの概要についてでございます。
より品質確保に重点を置いた評価方法に見直すため、現行の3型式につきましては、簡易型を計画審査型、
技術評価重視型を実績評価1型、
地域貢献重視型を実績評価2型に名称を変更いたしまして、一部の項目は新たな形式に移行したいというふうに考えております。
次に、新しく追加する形式でございますが、人材育成型と地域貢献型という名称を検討しており、人材育成型につきましては、中長期的な担い手の確保、育成の観点から、若者の雇用、登用を大きく評価したいと考えております。また、地域貢献型は、
地域インフラを守る企業を確保していく観点から、
地域防災活動や災害時に必要な建設機材の保有、
除排雪事業への従事実績などの企業実績をこれまで以上に大きく評価したいと考えております。
◆
ふじわら広昭 委員 新しい
総合評価落札方式に関して、現行のものから新しい制度への名称など、その特徴的な内容が示されました。今の全体の概要の答弁では、現行の3種類についてはこれまで以上に品質確保を重視するとのことでしたが、具体的なことがよくわからないところもあります。例えば、どのような評価項目が新しい型式に移行されるのか、もう少し詳しい内容について、再質問の1点目として伺います。
再質問の2点目は、現在、評価項目で、例えば、
工事表彰回数の評価は、対象期間が5年間でも3回の受賞が上限であったり、
除排雪事業の実績の評価では、何十年も続けてこられた企業が何らかの理由によって1年途切れただけで評価が受けられないなど、企業が長い年月をかけて努力してこられた実績を適切に評価していない面もあると思います。
今回の見直しでこのような問題点の改善を図るべきと思いますけれども、どのように考えているのか、再質問として2点伺います。
◎木村 管財部長 まず、1点目の現行の型式から新たな型式に移行するものといたしまして、現在、
地域貢献重視型で評価している
若手技術者の活用、育成につきましては人材育成型に、また、
ボランティア活動につきましては地域貢献型にそれぞれ移行し、より効果的に評価していきたいというふうに考えております。また、これに伴いまして、現在の3型式につきましては、より品質確保を図るために、当該工事におけます
主要建設機材の保有や、
登録基幹技能者の資格保有などの評価項目を追加していくことを検討しているところでございます。
続きまして、2点目の評価方法の改善ということでございます。
工事表彰回数につきましては、5回までを段階的に評価する方法に改めたいと考えているところでございます。また、
除排雪事業の実績につきましても、5年間の実績を3年間、4年間、5年間と段階的に評価する方式に改善したいと考えております。
◆
ふじわら広昭 委員 最後の質問に移りたいと思います。
さきの代表質問において、新しい型式では、
地域防災活動や
除排雪事業の実績、
新規学卒者の雇用や
女性技術者の活用などを評価するとの答弁があり、さらに、今、人材育成や地域貢献に関連する項目の一部を新しい型式に移行するという答弁がありました。新しい型式の評価項目や評価方法については、業界の皆さんにとっても大変関心が高いところだと思います。先ほどの答弁でも、
除排雪事業の従事実績をこれまで以上に評価するということでありました。
そこで、最後の質問でありますが、新しい型式においても、制限を受けずに、現行の
地域貢献重視型と同様、何回でも加点の対象となるのか、その点も含めて、新しい地域貢献の型式の内容はどのようなものなのか、伺いたいと思います。
◎木村 管財部長 新しい地域貢献型に関しまして、まず、
除排雪事業の従事実績についてでございますけれども、加点制限は行わないことを想定しております。また、評価項目といたしましては、地域に貢献する企業を評価するという観点から、
配置予定技術者の実績は問わず、施工実績や工事成績、災害対応等の活動実績など、企業実績を評価する内容にしたいと考えているところでございます。
◆
ふじわら広昭 委員 要望を申し上げて、質問を終わります。
1点目は、昨年の決算議会でも指摘いたしましたが、いわゆる今回の品確法におきましても、契約の見直し、設計変更について速やかに対応すべきだという国の考え方が示されております。昨年の決算議会では井上副市長が出席しておりましたけれども、本日は生島副市長がご出席であります。
改めて、要請しておきたいと思いますが、一般会計や企業会計がそれぞれありますけれども、工事の
発注担当部長の名前で、担当する職員の皆さんに、業者からの設計変更については速やかに応じるように指示文書を出し、新年度に向けて対応するように求めておきたいと思います。
二つ目は、前後しましたが、今回の品確法の改正によって、今、質疑いたしました
総合評価落札方式等につきまして関係業界への十分な周知徹底を要請しておきたいと思います。
最後の3点目でありますが、この間も要請してきておりますけれども、いわゆる
大都市補正の工種を拡大していただきたいということが業界からも多くの声が上がっておりますので、札幌市としても、関係の会議、そしてまた、政令市の市長会議などを通じて、
大都市補正の工種の項目の拡大に向けた取り組みを求めて、質問を終わります。
◆阿知良寛美 委員 私からも、入札について、特に品確法の理念の実現に向けた取り組みについて、何点かお伺いいたします。
昨年6月に品確法が改正され、新たな理念として、公共工事の品質確保とその担い手の中長期的な育成、確保が掲げられました。このたび、国から自治体向けに運用指針が示されたところであり、これを受け、今後、全国の自治体が品確法の理念の実現に向けて本格的に運用、または動き出すのではないかと思います。札幌市も、他都市におくれをとることなく、率先して工事や設計業務などの発注事務が抱える課題に対して積極的に取り組んでほしいと思います。
そこでまず、
総合評価方式に新しく追加する人材育成に重点を置いた形式についてお聞きいたします。
先ほどもございましたが、さきの代表質問の答弁では、品確法の改正に関連して
総合評価方式の大幅な見直しを行い、
新規学卒者の雇用や
女性技術者の活用を評価する形式を設け、しっかりと企業を支援していくという趣旨の発言があり、また、先ほどのふじわら委員への答弁でも、新しい人材育成の形式について概要の説明が種々あったところでございます。
私は、昨年の
決算特別委員会においても、若い人の雇用や働きやすい環境づくりがインセンティブになる人材育成に着目した入札制度の見直しが必要であると提言させていただき、また、若い人の雇用を促すため、
総合評価落札方式における
若手技術者の活用については、技術者の年齢を40歳未満で一律に評価するのではなく、年齢区分を設けて段階的に若い人ほど高得点にしてはどうかという提案をさせていただいたところでございます。さらに、企業の実績や成績点で勝負が決まってしまうシステムならインセンティブ効果が薄れてしまう、このことを十分考慮して制度の見直しをしてもらいたい、こう要望を重ねてきたところでございます。新しい人材育成型には、
新規学卒者の雇用の評価が盛り込まれているということで大いに期待を寄せておりますが、雇用以外の評価がどのようになっているか、大変気になるところでございます。
そこで、質問でありますが、新しい人材育成型の評価項目についてどのように考えているか、お伺いいたします。
また、
新規学卒者の雇用については、地域経済を活性化し、地元建設業を活気づけるという意味もあります。これは、札幌が防波堤にならないと人材がどんどん流出する、それを食いとめるということももちろんあるのだろうと思いますが、技術系の職種に限らず、評価すべきと考えますけれども、どのような人材を評価の対象としようとしているのか、さらに、
若手技術者の活用状況の項目では年齢の評価方法を改善したのか、あわせてお伺いいたします。
◎木村 管財部長 人材育成型についてのご質問でございますが、まず、1点目の評価項目についてでございます。
これまでの
地域貢献重視型の検証結果を整理いたしまして、若手・
女性技術者が実績を積む機会を一段と得られやすくするため、
新規学卒者の雇用のほか、
若手技術者や
女性技術者の活用、育成、資格保有あるいは経験などに絞って評価することを検討しているところでございます。
次に、2点目の
新規学卒者の雇用の評価対象についてでございますけれども、技能労働者を含め、職種を限定せず、卒業後おおむね3年までに新規採用者職員を雇用している場合に評価しようと考えているところでございます。
続いて、3点目の
若手技術者の年齢の評価方法についてでございますが、現在40歳未満を同一点数で一律に評価しておりますけれども、国や他の自治体の動向を鑑み、年齢区分を設け、段階的な加点方法を検討しているところでございます。
◆阿知良寛美 委員 新しい人材育成型ということで大変評価するわけでありますが、ぜひとも有効に活用を図ってほしいと思います。
再質問として、次に、適正な利潤のあり方と
最低制限価格付近での
くじ引き入札の改善についてお聞きいたします。
先ほど、ふじわら委員の質疑にもありました。また、横浜市は
最低制限価格の範囲の上限を95%まで引き上げていますが、これは、経費率を上げたということで、資材費、労務費といった企業による工夫がなかなか難しいものを95%から100%に上げたそうであります。長崎県の建設新聞を見たときに、
最低制限価格近辺での落札ということで、かなり事故がふえているという記事を目にしまして、労働基準監督署に行って石狩管内の事故も調べて質問した経緯がございますが、そうした中で、札幌市も
一般管理費と
現場管理費を多少上げていただいたというふうに思っております。
先ほども答弁がありましたように、札幌市の
最低制限価格は全国的に見ても高い水準であるものの、
最低制限価格での受注では会社を経営するのが精いっぱいで、十分な利益が得られないという声をたくさん聞かせていただきます。この間も、お聞きしたところによると、利益率が2%前後だと。ここで職員の給料を上げるとか将来に向けての投資というのは、なかなか難しい話だろうというふうに思います。
そもそも
最低制限価格は、工事や業務の一定の品質を確保するために最低限必要な価格ということで、原価割れやダンピングを防止する意味合いで設けているものであり、人材育成に充てる利潤が確保された価格ではないと思います。札幌市では、平成20年10月から
一般競争入札を原則としております。ここ近年では、比較的、積算が容易な生活道路工事ではくじ引き率85%前後、また、昨年12月の入札・契約等審議委員会に配付された資料を見ますと、舗装については、くじ引き率が83.8%、入札件数が99件でくじが83件、
最低制限価格と同額のくじ引き数は78件ということです。くじを引いた83件のうち78件が同額だと。それから、もう一つ、測量は、くじ引き率が96.5%、入札件数201件のうちくじが194件、
最低制限価格と同額でのくじ引き件数は194件中193件、地質調査は、88.9%、18件のうち16件がくじ引きで、その16件が
最低制限価格と同額、設計は、80%、290件のうち232件がくじ引きで、そのうち
最低制限価格と同額のくじ引き件数は226件となっております。ですから、
最低制限価格に張りついた
くじ引き入札というふうになっているわけです。運よく大勢でのくじ引き競争に勝っても十分な利益を得られない、
最低制限価格で受注しなければならないというのが地元中小
建設事業者の置かれた現実であります。こうしたくじ運による受注がこれからもずっと続くのであれば、見通しが立たない経営を強いられ、安定経営が見込めず、新規の雇用もままなりません。私は、このような受注環境が若者の雇用にも影響を及ぼしているのではないかというふうに思います。このことは、昨年の
決算特別委員会でも強く指摘したところでございます。
そういった中で、先般、生島副市長は、業界の新年交礼会で、企業の安定経営のために見通しのきく長期的な事業量を示すと発言したと業界紙に掲載されておりました。僕は、その記事を見たときに、よく言っていただいたな、そのとおりだ、多分、業界も歓迎したのだろう、期待したのだろうというふうに思います。ただ、仮に事業量が示されても、くじ運で受注が決まるシステムでは企業は安心して経営していくことはできないというのが実情であります。また、昨年度の札幌市入札・契約等審議委員会からは、くじ引きは法令に基づく正当な手続であるものの、くじ引きが多発する状況が続けば、技術力を有する優良な企業が排除される懸念が生ずる、地域経済の発展のため、入札の競争性、公平性、透明性の確保に配慮しつつ、将来の優良な担い手として期待される企業が継続して経営できる環境を引き続き整備する必要があると、委員会から市長に意見具申されております。
そこで、質問でありますが、札幌市は、品確法に掲げる適正な利潤についてどのような認識を持っているのか、お伺いいたします。
また、ほぼ全部がくじ引きと言っていい入札となっている路面測量業務において、業界要望を受けて、今年度から
成績重視型入札を試行導入しました。昨年の
決算特別委員会でも要望したところですが、優秀な技術者を抱えた設計事務所の経営が不安定にならないよう、設計業務にも
成績重視型入札を拡大すべきと考えるがいかがか、お伺いします。
あわせて、今回、さまざまな見直しを考えている
総合評価方式を、
くじ引き入札が多発している生活道路工事や舗装工事などの入札にもっと活用し、くじ引きによる競争を緩和していくべきと考えるがいかがか、お伺いいたします。
◎木村 管財部長 まず、1点目の品確法における適正な利潤ということでございます。
公共工事の品質確保の担い手となる人材を育成し、確保するための適正な利潤の確保を可能とするためには、発注者が予定価格を適正に設定することがまず不可欠であるというふうに認識しているところでございます。
続きまして、設計業務への成績重視型の拡大についてでございます。
現在、昨年9月に試行いたしました測量業務の入札結果の分析を進めているところであり、この結果を踏まえまして、設計業務における
成績重視型入札の導入について、課題も含めて、今後、関係部局と検討を進めていきたいと考えております。
次に、くじ引きが多発している工事への
総合評価方式の活用についてでございます。
総合評価方式の活用がくじ引きの緩和に効果的ではあると考えますものの、入札参加時の作成資料が煩雑で応札者の事務負担が大きいという課題もございますことから、今後、
総合評価方式の入札参加状況を注視しながら検討を進めてまいりたいと考えているところでございます。
◆阿知良寛美 委員 関係部局と課題を検討していくということでありますが、測量機器などというのは、昔と違って、GPSを利用した測量機器なのでもう1,000万円単位ですよ。こういった価格でやっていては、その維持でさえ難しく、また新しい機器の導入もできずに、ひいてはその成果も偏るわけです。その意味では人件費などは大きいわけで、極力、くじ引きでいかないような検討をぜひしていただきたいと思います。
再々質問として、企業の実績を加味する
総合評価方式は、企業の日ごろの努力が評価され、それが受注につながるシステムであります。しかしながら、これは先ほど用いた資料ですが、平成25年度は10月現在で31件だったものが、26年度は10月現在で34件と、ほとんどふえていないという状況でございます。ぜひとも、拡大して活用してほしいと思います。
一方で、
総合評価方式は、落札者が固定化する傾向があるという課題もわかっております。現在は、人手不足で不調が発生する反面、くじ引きでたまたま多く受注し、技術者が幾つもの工事を抱える企業もあれば、市の工事を全く受注できないと嘆く企業もあり、技術者が本来の仕事をできずに下請に入るのは実にもったいないと思います。
総合評価方式においても受注者が偏り、言いかえれば、ごく一部の企業ばかりが受注し、一人の技術者が多くの仕事を抱えるのは品質確保の面からも懸念が生じます。工事の品質確保と人材活用の観点、さらに、本当に地元の中小企業の経営をしっかりと支援しようとするのであれば、
総合評価方式において、落札者の固定化を緩和して幅広く受注できる
仕組みづくりが必要であると考えますがいかがか、お伺いいたします。
◎木村 管財部長
総合評価方式におきます落札者の固定化の解消についてということでございます。
これまでも、
工事表彰回数であるとか
除排雪事業の従事実績につきまして、限定的に評価するようなことにより取り組んできたところでございます。この取り扱いにつきまして、今後、より厳格にするために、今、年間1回限りの加点申請方式に変更することを検討しております。また、2年前に導入しましたが、現在まで運用実績がなかった手持ち工事の評価方法についてもあわせて改善を検討しているところでございます。
◆阿知良寛美 委員 先ほど固定化するというお話をさせていただきましたが、何本もとるということではなくて、手持ち件数も加味するということでありますから、大変歓迎したいと思います。
最後に、生島副市長にお伺いいたします。