札幌市議会 2015-02-16
平成27年第 1回定例会−02月16日-02号
平成27年第 1回定例会−02月16日-02号平成27年第 1回定例会
平成27年 第1回定例会
札 幌 市 議 会 会 議 録 ( 第 2 号 )
平成27年(2015年)2月16日(月曜日)
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〇議事日程(第2号)
開議日時 2月16日 午後1時
第1 議案第52号、第59号(市長提出)
請願第3号
(3件に対する委員長報告等)
第2 議案第1号から第51号まで、第53号から第58号まで、第60号から第66号まで(市長提出)
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〇本日の会議に付した事件
日程第1 議案第52号 平成26年度札幌市
一般会計補正予算(第7号)
議案第59号 平成26年度札幌市
公債会計補正予算(第5号)
請願第3号
除雪費増額補正議決を求める請願
議 員 峯 廻 紀 昌
議 員 桑 原 透
議 員 林家とんでん平
議 員 三 宅 由 美
議 員 阿知良 寛 美
議 員 芦 原 進
議 員 谷 沢 俊 一
議 員 伊 藤 理智子
議 員 坂 本 恭 子
議 員 村 松 正 海
議 員 山 田 一 仁
議 員 こんどう 和雄
議 員 勝 木 勇 人
議 員 鈴 木 健 雄
議 員 恩 村 一 郎
議 員 大 嶋 薫
議 員 三 浦 英 三
議 員 本 郷 俊 史
議 員 涌 井 国 夫
議 員 宮 川 潤
議 員 井 上 ひさ子
議 員 宮 村 素 子
議 員 三 上 洋 右
議 員 武 市 憲 一
議 員 小 野 正 美
議 員 畑 瀬 幸 二
議 員 福 士 勝
議 員 猪 熊 輝 夫
議 員 西 村 茂 樹
議 員 川口谷 正
議 員 伊与部 年 男
議 員 堀 川 素 人
議 員 松 浦 忠
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〇欠席議員(1人)
議 員 植 松 ひろこ
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〇説明員
市 長 上 田 文 雄
副 市 長 生 島 典 明
副 市 長 井 上 唯 文
交通事業管理者
交 通 局 長 若 林 秀 博
水道事業管理者
水 道 局 長 長 利 秀 則
病院事業管理者
病 院 局 長 関 利 盛
危機管理対策室長 相 原 重 則
市長政策室長 渡 邊 光 春
総 務 局 長 板 垣 昭 彦
市民まちづくり局長 池 田 佳 恵
財 政 局 長 藤 原 知 朗
保健福祉局長 瀬 川 誠
子ども未来局長 岸 光 右
環 境 局 長 長 岡 豊 彦
経 済 局 長 荒 井 功
観光文化局長 可 児 敏 章
建 設 局 長 吉 岡 亨
都 市 局 長 高 橋 稔
会 計 室 長 上 野 輝 佳
消 防 局 長 佐 藤 有
教育委員会委員 臼 井 博
教育委員会教育長 町 田 隆 敏
選挙管理委員会委員長 常 田 豊 明
選挙管理委員会委員 湊 谷 隆
選挙管理委員会委員 小 谷 俵 藏
選挙管理委員会委員 笹 出 昭 夫
人事委員会委員 濱 田 雅 英
人事委員会事務局長 堀 口 洋 一
監 査 委 員 藤 江 正 祥
監査事務局長 吉 澤 政 昭
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〇
事務局出席職員
事 務 局 長 本 間 章 弘
事務局次長 小 島 祐 司
政策調査課長 東 館 雅 人
議 事 課 長 酒 井 欣 洋
調 査 係 長 森 譲
議 事 係 長 深 井 貴 広
委員会担当係長 斉 藤 匡 朋
委員会担当係長 八 代 吟
書 記 太 田 真 司
書 記 下 間 孝 洋
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〔午後1時1分開議〕
○議長(高橋克朋) ただいまから、本日の会議を開きます。
出席議員数は、67人です。
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○議長(高橋克朋) 本日の
会議録署名議員として川田ただひさ議員、林 清治議員を指名します。
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○議長(高橋克朋) ここで、事務局長に諸般の報告をさせます。
◎事務局長(本間章弘) 報告いたします。
植松ひろこ議員は、所用のため、本日から3月10日までの会議を欠席する旨、届け出がございました。
本日の議事日程、議案等審査結果報告書、質問順序表は、お手元に配付いたしております。
以上でございます。
〔報告書は巻末資料に掲載〕
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○議長(高橋克朋) これより、議事に入ります。
日程第1、議案第52号、第59号、請願第3号の3件を一括議題とします。
委員長報告を求めます。
まず、
財政市民委員長 山口かずさ議員。
(山口かずさ議員登壇)
◆山口かずさ議員
財政市民委員会に付託されました議案第59号 平成26年度札幌市
公債会計補正予算(第5号)について、その審査結果をご報告いたします。
本議案は、除雪費の追加補正に伴い、市債の整理を行うものですが、質疑・討論はなく、採決を行いましたところ、全会一致、可決すべきものと決定いたしました。
以上で、報告を終わります。
○議長(高橋克朋) 次に、建設委員長 よ
こやま峰子議員。
(よ
こやま峰子議員登壇)
◆よ
こやま峰子議員 建設委員会に付託された議案第52号 平成26年度札幌市
一般会計補正予算(第7号)及び請願第3号
除雪費増額補正議決を求める請願の2件について、その審査結果をご報告いたします。
主な質疑として、凍結路面対策について、今冬は転倒事故が多く、今後も歩きづらい状況が見込まれることから、取り組みを強化すべきだが、どのように考えているのか。排雪に係るダンプトラックについて、登録台数は増加しているものの、依然として確保が難しいとの声があるが、どのような状況になっているのか。新たな雪たい積場の確保について、都心部では難しい現状から、高速道路の高架下を利用すべきと考えるが、関係機関とはどのように協議をしているのか等の質疑がありました。
討論はなく、採決を行いましたところ、議案第52号は、全会一致、可決すべきものと、請願第3号は、全会一致、採択すべきものと決定いたしました。
以上で、報告を終わります。
○議長(高橋克朋) ただいまの各委員長報告に対し、質疑はありませんか。
(「なし」と呼ぶ者あり)
○議長(高橋克朋) 質疑がなければ、討論に入ります。
通告がありますので、発言を許します。
松浦 忠議員。
(松浦 忠議員登壇)
◆松浦忠議員 ただいま上程されました議案第52号、第59号のうち、請願第3号の扱いについて討論をいたします。
ことしの雪の降り方の状況からいって、早期に当初予算を増額補正しなきゃならぬということは、多くの議員の皆さんも認識をされていたことだというふうに私は思っております。
1月21日に、紺野勝歳さんから、請願を出したい、紹介議員になってほしいということで、同意をして、27日の日に請願を提出いたしました。そして、審議されたのが、補正予算を提出された、その補正予算と一緒に審議をされた。請願の内容というのは、早期に補正予算を組んで、そして、今、つるつる路面、あるいは、雪で困っている市民、通行するのに困っている市民、これを解消すべきなので、早期に議会として市長に補正予算を組むように決議をして求めてくださいという内容でありました。
この間の補正予算の審議の日に、これが初審査ということになると、私は、そこの審議の中で、さて、この請願の扱いはどうするのかなと、こう言ったのです。結果は採択だと言うんですが、採択は私も賛成しました。反対する理由がないから。ところが、願意からいったら、全く願意が酌まれていない。
この請願の趣旨の中に、すぐに議会を開いて、議会というのは建設委員会になると思いますけれども、開いて、そして、それぞれの議員が、それぞれの地域から、雪の問題で困っている状況、それに対し、具体にどのように予算措置を講じていくかということが審議をされて、そして、それを議会の意思として市長に伝える。そうすると、市長のほうは、いわゆる市長の補助機関である職員の皆さんが、それぞれの10区の土木部長を含めて、掌握をしている状況、それらとあわせて最終的に補正予算の額というものを見積もっていく、それで議会に提出されてくる、これが、本来、請願を出し、そして、私が紹介議員になった意味合いなのです。
それが全く無視をされて、こういう形で採択をするということは、極めて、どの角度から見ても、採択そのものの意味があるのかないのかと言ったら、ないと言わざるを得ない。私は、こういう扱いをするという議員各位の認識を改めなければ、市民から、本当に、議会の議員を選挙で選んで、自分たちの代表として、執行機関の長として選ぶ市長とともに、それを調査、監督をしていくという役割というのが果たされていないんではないか。
請願者の紺野さんが、最後にこう言っていましたね。議会基本条例はつくったけれども、それがあれば事足りるのかという問いかけがありましたが、委員長も誰も答えませんでした。私もそう思います。
したがって、間もなく我々は選挙を迎えるわけですけれども、選挙に挑む議員の皆さんは、このことをしっかりと認識して、有権者の皆さんにきちっと自分の役割というものを問いかけていく。その中で判断を仰ぐということでなければ、本来の地方自治法に基づく二元代表制の意味合いがない、私は、このことを皆さんにまず一つ申し上げておきたいと思います。
二つ目は、財源の問題です。
62億円のうち、やりくりで42億円はするのですが、20億円は市債を発行しております。財政調整基金もあります。備荒資金もあります。わざわざ何で利子まで払って20億円のお金を調達しなければならなかったか。このことについて、私は、どうも認識を疑う。
なぜ、私がこういうことを言うかといったら、この札幌市議会で、今まで運転資金と言われる一時借り入れをずっとしていましたけれども、それはやめて、ある基金を運転資金として活用すべきだ、一時借り入れはやめるべきだということを議会で取り上げたのは、記録を調べても私が一番最初です。そして、今はそれがそういうふうになっております。したがって、この20億円の市債というのは、私には理解がいきません。
このことも、誰かが建設委員会で話をするかなと思って、私は話をしないで黙っていたら、誰も話をしない。だから、私は、きょう、あえて時間をもらって、この二つを指摘するために討論の場に立ちました。
どうか、議員の皆さん、本当に自分の財布だと思って、市長が出されたこの議案について、ひとつ真剣に向き合って採択に当たっての審議をしていただきたいし、市長にも申し上げておきたいと思います。市長も一生懸命やっておられたけれども、何か、最後になって、ちょびっとばかり、どうかなというところを残したのは残念だったな、こんなふうに私は思っております。
以上で、終わります。(拍手)
○議長(高橋克朋) 以上で討論を終了し、採決に入ります。
議案2件は可決することに、請願1件は採択することにご異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○議長(高橋克朋) 異議なしと認めます。
したがって、議案2件は可決することに、請願1件は採択することにそれぞれ決定されました。
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○議長(高橋克朋) 次に、日程第2、議案第1号から第51号まで、第53号から第58号まで、第60号から第66号までの64件を一括議題とします。
ただいまから、代表質問に入ります。
通告がありますので、順次、発言を許します。
村松正海議員。
(
村松正海議員登壇・拍手)
◆村松正海議員 私は、ただいまから、自民党・市民会議を代表して、今定例市議会に上程されました平成27年度予算案、その他諸議案及び市政の諸課題について、順次、質問を行います。
まずは、質問に先立ち、平成15年6月から約12年間にわたり、札幌市政を担ってこられた上田市長のご苦労に、任期はまだありますけれども、心から敬意を表したいと思います。
それでは、最初に、市長の政治姿勢について、2点伺います。
1点目は、国旗・国歌に対する認識であります。
私がこの代表質問の場で初めて上田市長と対峙いたしましたのは、平成16年の第1回定例市議会であります。そして、最初の質問がこの国旗・国歌についてでありました。
上田市長は、長らく弁護士として大活躍された経歴を持つ44年ぶりの民間出身の市長として、歴代市長とは異なり、ご自身の思想、信条に基づく発言も多く、当時、我が会派のみならず、多くの一般市民から大きな反響を呼んだことを、私は、今でもきのうのようなことと思い出しております。その象徴とも言えるのが、国旗・国歌に対する認識についてであります。
上田市長が誕生し、初めて新年を迎える平成16年のことでありますが、当時、札幌市が主催していた新年互礼会において、市長は、これまで必ず歌われてきた国歌・君が代の斉唱を中止することに決定いたしました。これに抗議するため、我が会派は新年互礼会への不参加を決定し、さらに、
札幌商工会議所からの抗議や陸上自衛隊からの出席取りやめの申し入れがあったほか、市民からの反発も多くありました。
さかのぼること、平成12年、当時の教育長の英断により、国旗・国歌について、全市立学校長に対し、卒業式や入学式で国旗の掲揚と国歌の斉唱を実施するよう職務命令を発し、その後、上田市長が誕生するまで、札幌市立学校の国旗・国歌の実施率は100%になり、職務命令を機に劇的に改善されたわけであります。
しかし、札幌市主催の新年互礼会における国歌斉唱の中止の決定が、それまでの
本市教育委員会の努力と学校長らの苦労を踏みにじるものとなりました。学校現場では、組合関係者を中心に、市長が国歌斉唱をとりやめたのに、どうして卒業式で子どもたちに国歌を斉唱させるのかという声が上がるなど、校長が対応に苦慮する事態が起こったわけであります。
私は、こうした騒動を大いに危惧し、平成16年の第1回定例会の代表質問において、国歌斉唱を中止した理由は市長の個人的な思想、信条に基づくものではないか、そして、一個人としての
弁護士上田文雄さんの思想、信条と、186万の札幌市民の代表であり、公人である
札幌市長上田文雄との間には、明確に一線を引かなくてならないのではないかとただしたところであります。
こうした市長の政治姿勢に対する私の質問に、市長は、実に、このことで、40分にもわたり、国旗・国歌に対する基本認識にとどまらず、
日本国憲法制定の生い立ちと、これに対する思い、あるいは、ご自身のお父さんのことや、学生時代から弁護士を志すまでの経緯や、弁護士としてのこだわりを続けながら活動をしてきた思いまで述べられました。余りにも丁重で長い答弁に、私は感激と驚きの余り再質問することを忘れてしまったわけであります。
そして、市長は、平成11年に制定された国旗・国歌に対する法律について、国旗を日章旗、国歌を君が代とすることだけを定めた法律であり、国旗掲揚や国歌斉唱がどのような場面において実施されなければならないかという規範は存在しないと考えていると主張されたところであります。また、君が代の斉唱は、一般市民が多数参加する札幌市の新年互礼会では実施しなくてもよい、さまざまな考え方や価値観を持つ方々が多数集まるところで斉唱する必要性が高いとは言えない、そして、多様な価値観を持つ方々が、平穏な気持ちで新年を迎え、挨拶ができる、それで十分ではないかと淡々と述べられました。
さらに、公人として、札幌市長というのは、法に基づく、あるいは憲法秩序をしっかり守る実践者である、そういう行政官でもあり、政治家でもあります、弁護士のときに考えたことを公人になってからころっと変えるという不節操な考えは持ち合わせてはいない、いずれにしても、しっかりとした法律規範にのっとり、私が信じるところを実行させていただきたいと答弁されたわけであります。
私は、このとき、まさに活動家さながらの市長の大演説を拝聴しながら、国旗・国歌をめぐる一連の決定は、やはり、一個人としての
弁護士上田文雄さんの思想、信条に基づくものであり、札幌市民の代表である公人としての札幌市長の判断ではないのだなと思ったわけであります。それが、当時の率直な感想であります。
そこで、質問ですが、上田市長は、これまでの12年間、190万都市札幌の代表として市政を担い、さまざまな課題に対し、市議会を初め、さまざまな立場と価値観を持つ市民や企業などの意見を受けとめながら、公人である
札幌市長上田文雄としての判断をされてきたと思いますが、平成16年当時に答弁された国旗・国歌に対する認識は、少しは変わったのか、今なお、いささかも変わっていないのか、お伺いいたします。
2点目は、上田市政3期12年の評価についてであります。
この12年間は、我が会派は、さまざまな場面で上田市長と対峙し、議論を交わしてまいりました。札幌市議会の最大会派として、市政のチェック機能の役割を担い、市長に対し、市民や事業者の皆様の真の声を届ける責務をしっかりと果たすことができたものと考えております。きょうは、この12年の中で、我が会派が特に重要視し、取り組んできたテーマを中心に、上田市政を振り返ってみたいと思います。
我が会派は、この12年間、上田市政の中で評価している取り組みは、ごみの有料化や敬老パスの見直しの実現であります。そして、何よりも冬季オリンピック・パラリンピックの招致表明であります。
まず、ごみの有料化は、当時、ごみ処理体制が近く限界を迎えることを踏まえ、我が会派として、ごみの有料化のみならず、収集方法、収集体制のあり方の検討や、ごみステーション問題を初めとした顕在化する多様な地域問題、そして、体の不自由な方や高齢者のごみ出し苦労の解消など、市民サービスの向上を図っていくべきと主張してまいりました。その結果、集団資源回収奨励金の増額やごみ収集業務の委託化も前進し、さらに、有料化導入により、町内会を中心とした市民の皆様の協力もあり、ごみ減量が飛躍的に進み、篠路清掃工場の廃止を実現したことは、評価できるものと考えます。
また、敬老パスの見直しは、高齢者を敬愛し、社会参加を促す制度の趣旨のほか、外出支援や介護予防など福祉サービスを推進する視点から、超高齢社会に向けてこの制度を存続させるために、交付対象年齢や所得等、さまざまな議論を行い、新たに利用上限額と利用者負担を設定し、維持可能な制度に転換したことは、評価しているところであります。
また、平成16年1定で申し上げたオリンピック招致でありますが、冬季オリンピック・パラリンピックの招致表明は、今後10年間のまちづくり指針となる札幌市まちづくり戦略ビジョンの策定過程においても、我が会派は、目新しさや力強い夢と希望を持てるような戦略を市長のリーダーシップで打ち出すべきであると申し上げました。札幌市が創造都市として未来永劫に輝きを放つような都市像を描くべきとも主張いたしました。
こうした意見に応え、今後の札幌を大きく変貌させるための取り組みをさっぽろ未来創造プロジェクトと位置づけ、冬季スポーツ国際大会の誘致を打ち出し、その具体的な一歩として、冬季オリンピック・パラリンピック招致の是非にかかわる市民議論を経て、昨年11月、市長が招致の取り組みを進めることを表明いたしました。冬季オリンピック・パラリンピックの実現は、北海道全体の発展にも大きく貢献する、まさに札幌の成長戦略そのものであります。招致を望んできた我が会派としては、市民、そして経済界の願いを受けとめ、よくぞ、市長は決断されたと評価しておりますが、これからが問題です。
我が会派が上田市長のかじ取りを正すべく一貫して異を唱えたものとして、先ほどの国旗・国歌の問題を初め、上田市長の思想、信条が色濃く出た取り組みが挙げられます。
まず、公契約条例であります。公契約条例の制定は、上田市長の1期目、3期目のマニフェストに掲げた最も思い入れの強い公約の一つではないかと思います。
我が会派は、公契約条例案の提出時から、一貫して、業界の理解を得ることや地域経済が活性化する根拠を明確に示すことを訴えてまいりました。しかし、何一つ理解が深まらず、納得のいく明快な回答もなく、業界を得するまでの丁寧な議論がなかったことから、我が会派は、条例案が市民や業界関係からの理解を得られるようなものではなく、また、手法そのものが目的としている札幌の経済活性化にはつながらないと考え、条例制定に反対し続けてきた結果、最終的に平成25年の第3回定例市議会において公契約条例案が否決されたところであります。
私も、労働者の賃金実態が向上し、適正な労働環境が確保されること自体は、異を唱えるものではありません。しかし、札幌市が行うべきは、公契約条例の制定ではなく、地域経済や雇用を下支えしている地元企業の健全な経営の維持を可能とさせる環境の整備であり、地域経済活性化のための具体的な施策を行うことでもあります。
次に、脱原発とエネルギー問題であります。
これは、脱原発社会を目指してきた活動家上田市長の個人的な思いが強く反映された取り組みだと思います。
平成23年3月の福島第一原発事故が発生して以来、上田市長は、原発ゼロに賛同し、省エネの推進と再生可能エネルギーへの転換を図ることで脱原発依存社会を目指すという立場をとられてきました。
しかし、自公政権が復活し、昨年、国が策定した新たなエネルギー基本計画においては、原発の安全性の確保を大前提として、エネルギー需給構造の安定性に寄与する重要なベースロード電源と位置づけ、原子力規制委員会が世界で最も厳しい安全基準に適合すると認めた原発の再稼働を進めることが明記されました。
また一方で、札幌市は、昨年10月にエネルギー大消費地である札幌市のエネルギー施策の方向性を定める札幌市エネルギービジョンを公表しました。残念ながら、その内容は、原発をゼロにすることにこだわる余り、再生可能エネルギーの導入目標などが高過ぎる非現実的な内容であると言わざるを得ません。
このため、我が会派としては、国の新たなエネルギー政策の方針が決まった今、札幌市においても、国の方針を踏まえ、現実に即し、かつ未来にも通用する筋道を定め、札幌におけるエネルギーのベストミックスを国と連携しながら実現していくべきであると主張してきたところであります。
このほかにも、上田市長の思想、信条が色濃く出た取り組みは、序列化や競争の弊害として否定的であった学力テストや、住民基本台帳法上、認められないにもかかわらず、選択制の導入を模索し続けた住基ネット、反対意見も多い中で条例化にこだわり続けた子どもの権利条例や市民活動促進条例など、こうした一連の議論を振り返ると、市民自治を標榜しつつも、みずからこだわる思想、信条を貫き通し、思い入れの強い政策は何としてでも実現しようとする姿勢こそが、実は上田市長の真の姿ではないかと思うのであります。
そこで、質問ですが、上田市政3期12年を振り返り、みずからの思想、信条を貫くために我が会派と対峙してきた政策についての議会議論を、市長はどのように総括するのか、お伺いいたします。
次に、入札制度の改善についてお伺いします。
平成24年12月に、自民党、公明党の連立政権が復活し、その経済政策により建設投資が増大し、建設業界においてもようやく明るい兆しが見え始めました。
しかしながら、これまでの公共投資の大幅な縮小の影響を受け、建設業を取り巻く経営環境は、長い間、十分な利益が見込めない厳しい価格でしのぎながら、業界全体がぎりぎりの人員でやりくりした結果、急に仕事がえても人材確保や資機材の調達が難しく、現場では人手不足が顕在化し、技能労働者の奪い合いになっているという現状であります。せっかく工事量がふえても、人手も機材も十分ではなく、請け負える仕事が限られてしまうのが、最近の入札不調の一因でもあるのではないかと思います。
札幌市は、現在、250万円を超える工事については一般競争入札を原則としておりますが、円滑な事業推進を図る上でも、応札者の確保に一定の効果を見込める指名競争入札の活用も入札不調対策として効果的な方法の一つではないかと、改めて考えるところであります。
また、建設業の皆さんは、緊急災害時に、土砂崩れなどの災害現場の最前線で復旧作業に当たり、陥没した道路の早急な復旧に尽力するなど、市民の安全・安心な生活を確保する重要な役割を果たしていただいているとともに、冬期間における除排雪によって冬の市民生活を支える市政の大切なパートナーでもあります。市民が安心・安全な生活を求めるためにも、建設業界の健全な経営があってこそであり、その環境づくりが今まさに必要であると思うのであります。
私と本郷さんは建築の技術者でありまして、ほかにもいるかもしれませんが、私たちが第一線にいたときには、建設業は若者が夢を持って働ける産業でありました。現在は、残念なことに、若者の建設業離れが進み、かつては建設業就業者の20%以上を占めていた29歳以下の割合が10%までに減少し、高齢化が進展する中で、豊富な経験を持つ熟練者世代や、若者への技能・技術継承が途絶えてしまったのではないかと懸念しているところであります。
道内の民間レベルでは、若者に建設業へ関心を持ってもらう取り組みや、全国レベルでは、建設なでしこ、けんせつ小町と称される女性技術者・技能者など、もっと女性が活躍できる建設業に向けた取り組みなどが進められているところでありますが、建設業の健全な発展が損なわれることのない対策が必要と思います。
国においては、建設業の再生を目指し、昨年6月の議員立法により、公共工事の品質確保の促進に関する法律、いわゆる品確法を改正いたしました。改正品確法には、新たな理念として、将来にわたる公共工事の品質確保とその担い手の中長期的な育成、確保の促進が掲げられております。これを実現するために適正な利潤が確保できるよう、市場における労務、資機材等の取引価格、施工の実態等が的確に反映した予定価格の適正な設定を発注者の責務として位置づけましたほか、工事の特徴に見合った適切な入札方法を選択できるよう、多様な入札制度の活用と若手技術者・技能者の育成、確保、建設機械の保有、災害時の施工体制等を適切に評価することも求められております。
本市では、総合評価方式において2年前に大幅な改正を行い、若者の登用の拡大、災害、減災への対応、市内企業の活用促進などを図る取り組みを進めたことは評価していますが、まだまだ改善の余地があると感じております。
昨年の第4回定例会において、我が会派の改正品確法を受けた取り組みに関する質問に対して、若手技能者の育成や地域インフラの整備に貢献する地元建設業の健全な発展に向けて、総合評価方式のさらなる活用など入札制度の改善に取り組んでいくとの答弁がありました。国から品確法の運用指針が示された今、具体的な検討も進んでいると思います。
そこで、質問ですが、本市における現在の入札不調の改善に対して、どのように実態把握を行い、入札制度の改善策を検討しているのか、指名競争入札の活用も含めた認識とあわせてお伺いします。
また、地元建設業の健全な発展に向けて、今後どのような考えで総合評価方式の活用を進めていこうとされているのか、若年層の雇用、育成や、女性の活躍推進に意欲的な企業を応援する新たな取り組み方策とあわせてお伺いします。
次に、市役所本庁舎の建てかえを見据えた都心のまちづくりについてお伺いします。
札幌市のまちづくりは、明治の創建以来、行政主導による公共投資により支えられてきた側面が強く、これまでの経済効果は非常に大きいものがあったと認識しております。特に、まちの顔とも言える本市の都心部は、道都として北海道の政治、経済、文化の中心的な役割を担っており、札幌のみならず、北海道全体の景気回復、経済の活性化に向け、これまで以上に積極的に民間の投資を呼び込めるようなまちづくりを、札幌市が先導して展開していくべきであると私は強く思うのであります。
ご承知のとおり、市民はもとより、道民の悲願でありました北海道新幹線の札幌延伸について、平成24年6月29日に工事の実施計画が認可され、平成47年度とされていた開業時期について、さきの政府・与党の申し合わせで工期を5年間短縮する方針が決定されたところであります。
さらに、昨年末に2026年の冬季オリンピック・パラリンピックの札幌開催招致が表明されたところであり、今後とも札幌が道都として厳しい都市間競争の中で輝き続けていくためには、これまで以上に都心の果たす役割は大きくなるものと認識しております。これを契機に、都心の再生に手を打っていくべきと考えるところであります。
その際、国内はもとより、世界的にも、他の大都市には見られない自然環境や四季の明確性、大都市ならではの多様性を有するまち並みなど、札幌の持つ特質を十分生かしながら、都市魅力を鮮明にし、これをどのように経済活動の活性化や観光資源として活用できるのか、知恵を絞って検討し、手早く対策を講じていくことで、今以上に国内外からの投資を呼び込む可能性が広がると思うところであります。
1972年、冬季オリンピック開催以来、久しく変化の乏しかった札幌の都心において、この10年、札幌駅前通地下歩行空間、創成川通などの基幹的公共基盤施設が整備されたほか、民間開発では、札幌駅南口の駅ビル、いわゆるJRタワー、日本生命ビル、北洋大通センタービル、三井JPビルなど、大型ビルが完成し、開業に至っております。また、市民交流複合施設の実現を目指す北1西1地区の市街地再開発事業が着工したほか、検討を開始して20年余りになる北8西1地区、南2西3地区などの民間再開発が都市計画決定され、事業手続が進められているところであります。さらに、札幌駅前通地下歩行空間の広場や創成川公園の狸二条広場、三井JPビルの民間開発によって整備された北3条広場が供用開始され、今年度には大通交流拠点地下広場の開業が予定されるなど、これまでにない魅力ある都市空間が創出され、札幌の都心部は大きく変わろうとしております。
こうして都心のまちづくりがダイナミックに展開しようとする今、私が提案したいのは、大通西1丁目、西2丁目街区の土地利用についてであります。平成25年11月、大通西1丁目のNHK敷地とリンケージプラザ敷地との土地交換に関する基本合意が締結されたことにより、将来的に大通西1丁目街区全体が市有地となり、市長からは、市役所本庁舎がある大通西2丁目街区とともに、一体的な土地利用ということも念頭に取り組みを進めていきたい旨の発言があったところであります。また、昨年の第3回定例会では、大通西2丁目街区にあるNTT東日本敷地について、創世交流拠点のまちづくりを推進するため、本市が取得することも含めて、活用の可能性について検討を進める旨の答弁がありました。
これらの地域は、100年以上の長きにわたって文化的な土地利用がなされ、歴史のある場所で、創建150年に満たない歴史の浅い本市において非常に重要な意味を持つ場所であり、50年後、100年後においても後世の市民に親しまれ続けてほしいという思いのところであります。特に、大通西2丁目街区には、建築後43年が経過したこの市役所本庁舎が立地しております。本庁舎の耐震診断結果は、最大想定震度の地震が発生した場合、庁舎が倒壊することはないものの、被害状況によっては業務継続に支障が出る事態になるなども想定されるところであります。この耐震結果を踏まえ、どのような対応をとるのかということが今後の大きな課題となっていきます。
東日本大震災における事例でありますが、福島県庁舎と福島市役所庁舎では直線距離にして1.4キロしか離れていませんでしたが、建物被害には大きな違いがありました。昭和29年に建設された県庁舎は、耐震性能を有しておらず、地震発生後、倒壊、崩壊のおそれから立入禁止となり、災害対策本部としての機能を維持できませんでしたが、新築していた市役所庁舎については、免震装置を導入しており、地震発生からわずか4分後には庁舎内に対策本部を設置し、情報収集を始めることができたわけであります。
今後、必要な耐震対策を講じることは当然のことでありますが、一般的に想定される耐震改修に関する費用として、市役所本庁舎の場合、工事費だけで80億円を超える費用が必要となると思われます。仮に多額の投資をして耐震改修を実施したとしても、建物の安全性は確保されますが、早晩、老朽化した建物の更新をする必要があり、規模、内容によっても異なりますが、私の試算では50億円から60億円程度はさらに費用がかかると思います。決して、都心のまちづくりを牽引するような大胆な取り組みにもつながりません。
また、現在の本庁舎に収容できない組織がSTV北2条ビル、バスセンタービルなどの周辺民間ビルに点在して事務室を確保していますが、今年度はその面積が6,000平米、賃借料として年間2億円、50年間借り上げる場合は100億円ものコストとなり、市民サービスの向上や、行政事務の効率化など行財政改革の観点から、今後、本庁舎機能の集約、一元化を進めるべきと考えます。
その他、本庁舎同様、耐震化のおくれから早急な対応が求められている中央区役所の取り扱いに加えて、他の政令都市にも見られる、市役所とは別に独立した議会庁舎、議会棟についても、現状の課題であるセキュリティー問題の解消や、市民自治の象徴としての観点、そして二元代表制の観点から、市と議会との適正な緊張関係を保つ上で、議会棟とする専用庁舎の建設もあわせて検討していく必要があると私は考えます。これらの庁舎の問題については、単なる建てかえの議論ではなく、都心まちづくり全体の検討の中で、総合的な判断のもと、解決していかなければならないと認識しております。
一方、札幌らしい産業を育成する観点から、都心部における観光対策の大きな課題として、観光バス待機場、専用乗降場の確保が挙げられます。都心における恒久的な観光バス乗降場や待機場について、札幌市総合交通計画において、都心部への自動車専用道、いわゆる高速道路の乗り入れ検討とともに、観光促進の観点から今後検討を進めるべき施策として位置づけられており、今後の都心のまちづくりの中でそのあり方についても検討を進めていかなければならないと思います。
以上、述べてまいりましたが、これらの都心まちづくりの課題の解消とあわせて、都心まちづくりを先導、牽引する取り組みとして、私は大通西1丁目街区と2丁目街区の土地利用を積極的に活用すべきであると強く思うのであります。
すなわち、大通西1丁目街区には、NHKの移転後、この本庁舎を移転新築、さらに議会専用棟を建設、行政的な機能を集約、配置させ、市民自治の顔をつくり出すことを提案します。その上で、大通西2丁目街区については、時計台と大通公園をつなぐオープンスペースを創出するとともに、地上部あるいは地下部に観光バスの待機場や乗降場を設置、地上部に集客交流機能を導入することにより、北1西1街区の市民交流複合施設周辺に集積する観光資源や歴史資産などを活用して観光拠点の形成を図るなど、都心のまちづくりの起爆剤としてダイナミックに土地利用の転換を図り、札幌のシンボルとなる景観、都市空間を創出していくべきであると考えます。
私は、こうしたまちづくりの積極的な取り組みが周辺街区へ連鎖することで、さらに民間の投資を呼び込み、札幌らしさを生かした集客交流産業の育成につながるもの、札幌のみならず、北海道全体の景気回復、経済の活性化につながるものと確信しております。
市長は、冬季オリンピック・パラリンピック招致を表明する際、前回のオリンピックに向けてつくられたまちのリニューアルにもつなげたい旨の発言がありました。さらに、都心部においては、今後、老朽化して時代のニーズに合わない建物の新陳代謝を進めていくことが不可欠であります。オリンピックを経験した我々の世代は、オリンピックを契機に整備が進められたこのまちに強い愛着を感じております。次の世代を担う市民が、同じように誇りと愛着を持てるまちづくりを進めることのできるまたとないチャンスであります。オリンピック招致に向け、官民を挙げて都心のまちづくりに取り組むべきと考えます。
そこで、質問ですが、札幌経済の活性化を牽引する観点から、市役所本庁舎等の移転も視野に入れた大通西1丁目及び2丁目の土地利用について果敢に検討を進めるべきと考えますが、市長の見解をお伺いいたします。
次に、都心部の質問に続けて、地域交流拠点のまちづくりと都市再開発方針についてお伺いいたします。
本市における都市整備の基本理念が、都市化の進展に伴う拡大路線から、拡大抑制を基調としたいわゆるコンパクトシティに転換したのは、平成12年の第4次札幌市長期総合計画からであります。そして、そのコンパクトシティの実現のため、柱として打ち出されたのが多中心核都市構造で、都心を最も中心的な拠点としながら、広域交流拠点として厚別副都心、麻生・新琴似、手稲の3拠点を地域中心核として、北24条、篠路、光星、栄町、白石、大谷地、平岸、月寒、清田、澄川、真駒内、琴似、宮の沢の13拠点をバランスよく配置し、都市全体の魅力と活力の向上を図るというもので、それ以来、本市の市街地整備における力点は、これら拠点を中心とした既成市街地にシフトしたと言えます。
その具体化に向けた取り組みは、主として既成市街地整備のマスタープランでもある都市再開発方針に委ねられました。これまで、平成16年度の都市計画決定の再開発方針に基づき、都心、手稲、琴似地区など2号地区における再開発事業や、JR苗穂駅周辺、JR篠路駅周辺地区、新札幌周辺地区など、整備促進地区におけるまちづくりの計画の策定等、計画的な市街地整備の取り組みが進められてきたわけであります。
昨年度、この長期総合計画にかわる本市のまちづくり指針として、札幌市まちづくり戦略ビジョンの戦略編が策定されましたが、この戦略ビジョンにおいても、コンパクトシティや多中心核都市構造の考えはより強化された形で引き継がれております。都市空間創造の基本目標に、持続可能な札幌型の集約連携都市の再構築が掲げられるとともに、名称はかわりましたが、地域の生活を支える役割を担う主要な拠点を地域交流拠点と位置づけ、その機能の向上を図るための施策として、再開発などの支援策を通じて多様な都市機能の誘導を図ることとしております。
一方、国においても、昨年、都市再生特別措置法の改正が行われ、立地適正化計画の策定を柱とする都市再生のさまざまな施策が打ち出されたところで、国の都市再生にかかわる取り組みにおいても、人口減少と高齢化を背景にしたコンパクトなまちづくりと、公共交通によるネットワークが重点課題として位置づけられたところであります。
今後、緩やかな人口の減少と少子高齢化の進展が予想される本市において、効率的な都市経営を進めていくためには、地域交流拠点などの公共交通の利便性の高いエリアに都市機能と住居機能の集積を図っていくことは、もはや当然のことで、都市再生の拠点として重点的に都市の整備を推進することはもちろんですが、今後、主要な地下鉄駅、JR駅周辺の地域の生活を支える役割を担う地域交流拠点の整備がより一層重要になってくると考えます。
しかしながら、地域交流拠点のまちづくりには多くの課題があることも事実であります。その一番が、本市の財政状況についてであります。昨年の1月に示された中期財政見通しのとおり、今後も厳しい財政状況が見込まれます。この課題に対応するためには、民間事業者を初めとする多様な主体の参加によるまちづくりと、都市再生に関連する幅広い制度の活用が不可欠であることは言うまでもありません。
特に、民間のすぐれたノウハウ、いわゆる民間活力をいかに引き出すか、そして、再開発など、税収効果をいかに引き出すのかということが、今後、問われてくるのではないかと考えます。そのためには、まず、選択と集中の観点から、今後、重点的に、かつ優先的に整備を行うべき地域交流拠点を明確にし、民間がどのようなまちづくりを行えば行政がどのような支援を行えるのかを明らかにしていく必要があると私は考えます。
その上で、地域交流拠点に求められる都市機能の集積、地下鉄駅周辺施設などにおける利便性向上やバリアフリー化の促進、地下歩行空間や空中歩廊などによる歩行者ネットワークの整備、緑地やオープンスペースなどの確保、エネルギーネットワークの構築や再生可能エネルギーの導入など、民間活力を活用したまちづくりを進めていく必要があると思います。
今年度策定された札幌市市有建築物の配置基本方針で、区役所や区民センターなどの中核的な施設の建てかえに当たっては、地域交流拠点に集約して配置することが打ち出されましたが、このような地区では、区役所などの建てかえ更新や、新札幌のように市営住宅の集約化などを契機に、まちづくりを動かしていくことも必要ではないかと考えます。時期を逸することなく、地域交流拠点の整備に積極的に取り組んでいただきたいと考えます。
さらに、現在、都市計画マスタープランとあわせて都市再開発方針の全面見直しを進めているわけでありますが、都市再開発方針では、長期的な視点に立った計画的な再開発を推進するため、基本的な考え方を示した指針でありますが、2号地区の指定など、交付金を初めとする再開発に関連する施策の要件ともなっていることから、10年間の整備プログラム的な意味合いも兼ね備えたものと私は理解しております。
そこで、質問ですが、今回の都市再開発方針の全面見直しにおいて、地域交流拠点などをどのように位置づけるのか、見解をお伺いします。
質問の2点目は、まちづくり戦略ビジョンにおいても重要な地域交流拠点に位置づけられている篠路駅周辺地区についてであります。
当地区は、平成25年度、鉄道高架と区画整理の事業化を目指すことが決定されました。基盤整備に関しては、具体的な検討が進められているところであります。今後、地域交流拠点としての役割を果たすためには、基盤整備のほかに、都市機能を誘導、集積することが重要であり、その中で行政機能を持つ篠路出張所が果たす役割は大きいと考えます。
こうした中、平成26年度、地元の連合町内会まちづくり促進委員会から、篠路出張所の建てかえに合わせた窓口の機能強化と、行政、文化の施設等を含む複合施設庁舎の設置の要望がありました。私も、出張所がミニ区役所的な機能を持って篠路駅東側に配置されることが重要であると考えております。昨年11月には、北区の超党派による関係議員とともに上田市長に要望させていただいたところであります。
そこで、質問ですが、篠路出張所の建てかえや高機能化について、基盤整備を中心としたまちづくりのタイミングを捉えて検討を進めるべきと考えますが、これまでの検討状況、さらに、今後どのようなスケジュール感で検討を進めていくのか、お伺いいたします。
次に、防災体制について、2点お伺いします。
1点目は、丘珠空港の総合的な防災拠点としての活用についてであります。
丘珠空港は、市内中心部から直線で6キロ、新千歳空港と同様、防衛省が設置、管理する共用空港であります。民間航空と自衛隊が共用で利用する空港で、防災機関、警察のヘリコプター等の常駐する救難・防災拠点基地として重要な役割を果たしているところであります。特に、空港の10キロ以内に行政機関の中核や医療機関が集中し、交通アクセスが高速道路、国道などにより充実しており、市内のみならず、道内の防災拠点として重要な施設であります。
私の考える丘珠空港の理想像は、単なるヘリコプター基地ではなく、広域的な総合的防災拠点として、国、自治体、公共機関が参集し、広域的な防災対策を行う司令塔機能があり、水、食料、医療品の備蓄・供給機能、支援物資の集積や被災地へ分配する機能、自衛隊、緊急消防援助隊等の一時集結・活動拠点としての機能、空路による海外からの支援物資や支援要員の一時受け入れ機能、重篤者、医療資機材の輸送などの医療支援機能や医療施設などを兼ね備え、市内の災害はもとより、道内の災害対応の拠点となるべき施設と考えます。
現在、北海道において北海道強靱化計画を策定中であり、その原案には、道内外における大災害時における避難の受け入れ物資供給、医療救護等の被災地支援を円滑にし、迅速に行うため、高規格幹線道路等の整備を促進し、また、道央地区として物資輸送や人員輸送の拠点となる新千歳空港、丘珠空港、室蘭港、苫小牧港、小樽港、石狩湾新港の機能強化を図ることとされております。
現状の札幌市地域防災計画の位置づけで、応急救助物資の航空機による輸送の基地とされているだけでは、まだまだ弱い印象があります。本市が被災した場合、援助チームや援助物資の受け入れをスムーズに行えるための拠点として丘珠空港は重要な施設でありますので、さらに防災機能を強化した総合的な防災拠点となるよう、本市として積極的に取り組む必要があるところと考えております。
そこで、質問ですが、丘珠空港の災害時における総合的な防災拠点としての活用についてどのようにお考えか、お伺いいたします。
次に、本市の消防ヘリコプター基地の移転についてであります。
本市の消防ヘリコプターは、平成3年、道内初の消防航空隊として発足し、以来、災害時の上空からの情報収集を初め、林野火災での空中消火、山岳地での捜索、救助、遠隔地からの緊急輸送など、さまざまな災害において威力を発揮してまいりました。
平成21年には、2機目の機体を導入することにより、365日、通年運航体制が確立され、市民の安全・安心は飛躍的に高まったわけであります。2機ある機体のうち、平成3年に導入した機体については、老朽化が進み、交換する部品の増加や一部の部品が製造中止になっているなど、部品供給体制に課題があると思われ、今後、十分な運航体制を確保できないおそれなどがあるため、懸念を抱いておりました。
こうした中、我が会派が求めてきた消防ヘリコプターの更新について、平成27年度に予算が計上されていることは評価したいと思います。
消防ヘリコプターの基地について、平成21年に、2機目の導入に格納スペース等の問題があって丘珠空港から石狩ヘリポートへ移転し、現在に至っております。
本市の消防ヘリコプターが、さきの東日本大震災において津波に取り残された236人を救出したという活躍がありましたが、迅速な救助活動ができた背景には、同じ仙台市内に立地する自衛隊霞目駐屯地を活動拠点として、救出した人の引き継ぎや燃料給油をスムーズに行うことができたことが大きな要因であったと思われます。
本市において大規模な災害が発生した場合には、緊急消防援助隊のヘリコプターが全国各地から集結し、救出活動を行うことになりますが、丘珠空港は、複数のヘリコプターが駐機できる広いスペースを有していることや、救出した人の引き継ぎや燃料給油をスムーズに行うことのできる環境が整っていることから、北海道の計画においても緊急消防援助隊を受け入れる際の活動拠点として丘珠空港が定められております。
丘珠空港は、市内における複数の病院へのアクセスがよいことや、自衛隊、警察、北海道防災航空室の基地があり、これら関係機関との連携を図りやすいことから、消防ヘリコプター活動の拠点としてすぐれた立地条件を備えていると思います。
そこで、質問ですが、こうした立地条件や関係機関との連携を考えると、さきにお尋ねした総合的な防災拠点とあわせて、石狩市の基地を丘珠空港に移転することが最も望ましいと考えますがいかがか、お伺いいたします。
次に、健康さっぽろ21(第二次)の推進についてであります。
国では、平成25年度から、国民の健康増進の総合的な推進を図ることを目的とした健康日本21の第二次計画をスタートさせ、さらに、同年6月に閣議決定した日本再興戦略で、戦略市場創造プランのテーマの一つに国民の健康寿命の延伸を掲げるなど、健康増進に向けた取り組みの充実を図っております。
札幌市においても、人口の減少や超高齢社会の到来など、国と同様に、かつて経験したことのない社会情勢の変化が見られます。市民の暮らしにさまざまな影響を与えることが予想されております。このような中、増大する医療費や介護費などへの対応が大きな課題となっているところであります。市民一人一人の願いは、年齢を重ねても、生涯現役で生き生きとして活躍できる暮らしを送ることであると考えています。
また、札幌市では、平成26年3月に市民の健康づくりの指針となる健康さっぽろ21の第二次計画を策定し、平成26年度からスタートされたところであります。この健康さっぽろ21は、市民が地域とのつながりの中で、すこやかに心豊かに生活できる社会の実現を基本理念とし、全体目標に健康寿命の延伸、健康格差の縮小、すこやかに産み育てるを掲げ、取り組むものであります。健康さっぽろ21では、新たに健康を支え、守るための社会環境の整備を重要な課題と位置づけ、市民を取り巻く地域の組織、団体、企業、関係機関が連携し、社会全体で健康づくりを支援する環境整備に取り組むこととしています。この環境整備は、健康づくりに取り組むためのしっかりとした基盤づくりを進めるということであり、今後、市民の健康を推進する上で大変重要な取り組みであります。具体的には、健康に関する正しい知識や情報を得やすいような仕組みづくり、あるいは、身近な地域で気軽に健康づくりに取り組む場や機会の充実を図ることなどであると考えます。
このような取り組みを推進する上で特に注目したいのは、企業との連携、取り組みであります。企業との連携、取り組みと言えば、例えば、市民が日常的に利用するスーパー等と連携し、気軽に健康に関する知識や情報を得られたり、健康チェックができたり、そのための拠点となる健康ステーションのような場があると、健康づくりの意識を高めるためには大変効果的ではないかと思うのであります。
そこで、質問ですが、これまで、企業、団体等との連携についてどのような取り組みを行ってきたのか、お伺いします。
また、近年は、多くの企業が積極的に地域社会への貢献に取り組んでいるところであります。
そこで、質問ですが、今後、企業、団体等の連携の取り組みをどう進めていくのか、お伺いいたします。
次に、助産施設の拡大についてお伺いします。
札幌市では、経済的な理由により入院助産を受けることができない妊産婦を入所させる助産施設は、現在、3施設7床しかなく、昭和48年のピーク時の12施設32床から見ると4分の1に減少しており、入所者の約9割が特定の施設に集中している状況にあります。安全で安心なお産を迎えるためには、妊婦の時期から身近なところで健診ができ、出産できる環境を整える必要がありますが、現在の3施設では余りにも施設数が少なく、また、地理的にも偏った配置になっております。
そこで、1点目の質問ですが、これまで、我が会派は、助産施設の拡大に向けた札幌市の考え方をただしてきたところでありますが、現在までどう取り組みを進めてきたのか、現時点における助産施設の拡大の見込みについてもお伺いいたします。
また、助産施設に対しては、助産にかかわる経費に対して、国の措置費のほか、札幌市が単独で上乗せ補助を行っていますが、この上乗せ補助を行っても各施設に赤字が生じているとの話もあります。今後、施設の拡大を促進していくためには、この上乗せ補助について、少なくとも赤字が生じない制度としなければならないと考えます。
そこで、2点目の質問ですが、現在の補助の枠組みでは、助産施設を引き受けたとき、施設に経済的負担が生じるという現実がありますが、札幌市はどのような対応をしようと考えているか、お伺いいたします。
また、これに加えて、助産施設となることによる経済的な負担のほかにも、さまざまな問題を抱える妊産婦の受け入れがふえることが想定され、赤字の解消だけでは助産施設の拡大にはつながらないと考えます。
そこで、質問ですが、助産施設を引き受けたそれぞれの施設が安定して対象の妊産婦を引き受けていけるようなさらなる取り組みが必要ではないかと考えますがいかがか、お伺いいたします。
以上で質問は終わりますけれども、最後に一言。
このたび、我が会派の村山秀哉議員は、中途半端ですが、3期11年、私は4期16年、それぞれ務めさせていただきましたけれども、この4月には立候補せず、今期で引退することになりました。そして、それぞれの議員の皆様の中には、この4月12日の統一地方選挙に向けて、再選を目指して頑張っておられる方もいると思いますし、また、この市議会から道議会を目指すお3人の議員の皆さんも含めて、全員の皆さんが所期の目的を達成してくれるように、心からそのことを念じながら応援したいと思っております。
そしてまた、今期で引退されるそれぞれの議員の皆さん、あるいは、上田市長さん初め理事者の皆さん、長い間、大変お疲れさまでございました。この議会、あるいは札幌市を去っても、また機会あるごとに、それぞれの立場で、札幌市発展のために、あるいは議会発展のために、一緒に、ともに活動できればと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
本当に最後ですけれども、それぞれの議員の皆さん、あるいは理事者、そして、前に理事者として去った皆さんを初め、職員の皆さん、また、マスコミは少ないですけれども、マスコミ関係の皆さん、それから、傍聴していただいているそれぞれの皆様に感謝申し上げまして、4期16年、本当に思い残すことのない、楽しいと言ったら怒られるけれども、大変いい思いの市会議員として務めさせていただいたことに心からお礼を申し上げ、代表質問にかえさせていただきます。どうもありがとうございました。(拍手)
○議長(高橋克朋) 答弁を求めます。
上田市長。
◎市長(上田文雄) ご質問いただきました6項目のうち、私からは、私の政治姿勢についてと、3項目めにございます市役所本庁舎の建てかえ等についてのご質問にお答えをさせていただきます。その余は、担当の副市長から答弁をさせていただきます。
感動的なご質問を頂戴いたしまして、本当にありがとうございました。平成16年第1回定例市議会におきまして議員からご質問いただきましたことを再びここで申し上げることができること、私も今期で退任をするということでございますので、最初と最後は村松さんということで締めさせていただきたい、このように思って、ありがたくご質問を頂戴いたしました。
1点目の政治姿勢で、国旗・国歌に関する認識についてということでご質問でございます。
平成16年第1回定例市議会では、私の思いを議員の皆様方に丁寧にご説明を申し上げたつもりでございます。その結果、若干長い答弁となったことを今も心にとめているところでございます。その後も、何度か議会でお答えをしているところでございまして、その見解に基本的には変わりはございません。国旗及び国歌に関する法律というものが、1999年ですか、制定されているとおり、国旗は日章旗であり、国歌は君が代であるというのは、当然の認識として持っているところでございます。
ただし、いわゆる日の丸・君が代につきましては、戦前からの経過を背景にいたしましてさまざまな議論がございます。その取り扱いについて、強制的な要素が一切あってはならないというふうに考えるものでございます。
この点につきましては、立法の当初から、当時は小渕総理でございましたが、内閣総理大臣小渕恵三氏の国会における答弁、さらには、官房長官でございました野中広務さんの答弁、再三、質問を受けて答弁をされておりますけれども、これらの記録を見ましても、一切の強制があってはならないということを述べておられるわけでありまして、この点は私の考えと全く同じだということでございます。
この平成16年の1定でのご質問の際にも私は明らかにさせていただきましたけれども、私自身、日本国憲法のもとに出生をした第1世代と言ってもいいかもわかりません。その日本国憲法のもとで生まれ、自由主義、民主主義、平和主義の信奉者であるということを私は自認しているわけでありまして、その誠実な実践者であろうと今日まで努めてきたところでもございます。
したがいまして、その自由主義、民主主義、平和主義、これらの理念を貫く、あるいは、その内容をなしております個人の思想、信条の自由、あるいはそれを表現する自由、その多様な表現行為といったものが保障されるということが何よりもこの憲法を大事にする精神である、こんなふうに考えているわけでございます。そのような意味において、強制的な色彩を帯びる行動というものは慎まなければならないというふうに考えますし、立法当時の政府の見解、あるいは、この立法過程における、議会における、国会における議論、こういったものから言いますと、当然、私と同じような考え方になるだろう、こういうふうに考えているわけであります。
したがいまして、それは、単に私的な私の思想、信条の問題ではなくて、私は、憲法第99条によって特別地方公務員という立場におきまして、憲法擁護、尊重義務を、憲法上、負っているわけでありますので、その解釈、そして行動というものは、当然、この憲法によって、私は公人としても十分にその命を受けているというふうに、それに従って行動している、このように理解をしているところでございます。
日の丸を掲揚し、あるいは、君が代を斉唱することを徹底するということになれば、かつて大阪で問題になりましたけれども、教職員の唇の動きを確認し、その内心をのぞいてみるというような息苦しい社会をもたらすことになるでありましょうし、価値の多様性というものを否定されることによって社会の発展というものが阻害される、こんなふうに考えるわけでございます。私は、そういうことを、社会の発展というものを阻害するといことを非常におそれ、こだわってきたところでございます。
なお、私自身が国旗掲揚、そして国歌斉唱の場にあるときに、それぞれの状況に応じまして適切に対応してきたところでございまして、今後もそのことに変わりはございません。
これまでの議会の議論の総括についてご質問でございます。
「地方自治は民主主義の学校である」というふうに述べた英国のある政治家の言葉がございます。これは、単に住民が代表者を選挙で選ぶというだけではなくて、そこで行われる議会の議論というものを通じまして、市民一人一人が地方自治に関心を持ち、みずから考えることで民主政治の担い手として育成されていくということ、すなわち、市民自治に価値があるということを示した言葉だと私は理解をいたしているところでございます。ここにおられる議員の皆様と私が、これまで、お互いの主張をぶつけ合い、そして、時間をかけて、とことん議論を尽くし、よりよい政策をつくり上げてこられたということは、まさに真の民主主義の実践ができたからだ、このように思っているところでございます。
例えば、公契約条例案につきましては、最終的に否決はされたわけでありますが、これまでの議会の議論を通じまして、公契約で働く労働者の適正な賃金水準や、あるいは雇用環境の確保の重要性ということについて、多くの方々にご理解をいただいたものというふうに考えております。条例は成立しなかったけれども、問題意識を共有できたこと、そして、今後あるべき姿は何なのかということを考えていくことの必要性ということについての認識も共有できた、そんな成果があったと考えているところでございます。
また、脱原発とエネルギー問題につきましても、実現までのロードマップをどう描くかについては、さまざまな考え方がありながらも、札幌市議会において、原発に頼らないエネルギー政策への転換を求める意見書というものを、まさに全会一致で、しかも2回も採択をされたということは、札幌市が目指す脱原発依存社会の実現という方向性についての合意形成が図られたもの、このように認識をいたしているところでございます。
この12年間、この議場において議員の皆様方と交わしてきた数々の議論というのは、札幌市民にとって、また札幌の未来に向けて、私は大変有意義なものであった、このように自負をしているところでございまして、議員の皆様方に対しても改めて感謝を申し上げたい、このように考えるわけでございます。
3項目めの札幌市役所等の建てかえを見据えた都心まちづくりについてということでご質問でございます。
これからの都心のまちづくりに関しまして、議員から貴重なご提案をいただきましたことに、心から敬意を表し、感謝を申し上げたい、このように思います。
大通西1丁目・2丁目街区がございます創世交流拠点のまちづくりにつきましては、大通交流拠点と一体となって、都心の魅力とにぎわいを質的にも区域的にも拡大し、そして、都心の新たなまちづくりを先導していく必要がある、このように考えるものでございます。この実現に向けては、まちづくりの取り組みを連鎖させながら、一体的な都市開発を行うことによって、時計台や大通公園、そして、構想から25年の時を経て、ようやく、過日、着工となりました、現在建設中の市民交流複合施設など、地域資源の魅力を高め、そして、創造的な市民活動や集客交流などの中心となる交流拠点を形成していくものと考えております。
この中心に位置いたします大通西1丁目・2丁目街区につきましては、経済の活性化や、あるいは都心のまちづくりの視点から、市役所本庁舎のあり方など、考えられるさまざまな可能性を探り、最も効果的でこの場所のポテンシャルというものを最大限に発揮できる土地利用を目指していくべきものと考えているところでございます。
この点、新しい市長、市議会のもとで大いにご議論をいただきまして、ぜひ、まちづくり戦略ビジョンに掲げております札幌の都市像、北海道の未来を創造し、世界が憧れるまちの実現につなげていだだきたい、このように期待をしているところでございます。
私からは、以上でございます。
ご質問ありがとうございました。
○議長(高橋克朋) 生島副市長。
◎副市長(生島典明) 私からは、4項目めの地域交流拠点のまちづくりと都市再開発方針、5項目めの防災体制の整備、この2点についてお答えを申し上げます。
まず、地域交流拠点のまちづくりと都市再開発方針についてでございます。
1点目の都市再開発方針における拠点の位置づけについてでございますけれども、まちづくり戦略ビジョンの都市空間計画の基本目標でございます集約連携都市の再構築を実現するためには、地域交流拠点の機能強化が不可欠であると認識をいたしております。また、平成27年度に見直しを予定しております都市再開発方針におきましても、地域交流拠点の位置づけについては大変重要なテーマでございます。
拠点の再開発におきましては、苗穂や篠路、新札幌地区での取り組みで明らかなように、市民・企業・行政の協働と民間活力の活用が大前提でございます。見直しにおきましては、これらの視点を踏まえますとともに、公共・公益施設の再配置などを含めた都市機能の集積や、公共交通を中心とした歩いて暮らせるまちづくりなどの観点から、戦略的に地域交流拠点の整備が進められるよう検討を深めてまいりたいと考えております。
2点目の篠路出張所の建てかえや高機能化についてでございます。
昭和50年に改築をされました現在の篠路出張所は、まだ建てかえ時期には至っておりませんけれども、今後の建てかえの検討に当たりましては、地域のご要望も踏まえまして、その機能を含めて検討する必要があると認識をしているところでございます。また、検討スケジュールといたしましては、平成30年度ごろの事業化を目指している篠路駅周辺地区の区画整理や、再開発の機運などのタイミングを逃さぬよう検討していくべきものと考えているところでございます。
これまで、篠路駅周辺地区につきましては、関係部局の情報共有を図ってきたところでございますけれども、今後は、地域交流拠点の位置づけを踏まえまして、地域の議論も深めながら、ふさわしい機能や規模など、篠路出張所のあり方について具体的な検討を進めてまいりたいと考えております。
次に、5項目めの防災体制の整備についてでございます。
1点目の丘珠空港の総合的な防災拠点としての活用についてでございますけれども、ご質問にもございましたように、北海道強靱化計画の原案では、道内外での大災害に備えまして、道央地区では、物資、人員の輸送拠点として、新千歳空港や地区内4港湾とともに丘珠空港の機能強化にも取り組むものとされているところでございます。
札幌市といたしましても、災害時に丘珠空港が果たしていく役割を将来にわたり維持し、その機能を強化していくことが重要であると考えております。今後、札幌市の都市機能の活用といった観点からも、北海道と連携をしながら必要な取り組みを進めたいと考えております。
2点目の防災体制における消防ヘリコプター基地の移転についてでございます。
丘珠空港におきましては、消防ヘリコプター2機を格納するスペースの課題は解決をされていないのが現状でございます。しかしながら、議員ご指摘のとおり、丘珠空港の立地条件や関係機関との連携を考えますと、総合的な防災拠点の一部として、消防ヘリコプターの基地が丘珠空港にあることは有効であるというふうに認識をしております。
一方、昨年11月に設置をいたしました北海道と札幌市の消防局によります消防連携強化連絡会議におきまして、今後のヘリコプターの運航体制や緊急消防救助隊の受け入れ計画の改正などについて協議を行っているところでございます。したがいまして、この協議結果を踏まえながら、消防ヘリコプター基地の丘珠空港への移転について検討してまいりたいと考えております。
私からは、以上であります。
○議長(高橋克朋) 井上副市長。
◎副市長(井上唯文) 私から、2項目めの入札制度の改善についてと、6項目めの健康・福祉施策の充実についてお答えをいたします。
まず、2項目めの入札制度の改善についての入札不調に対する改善策についてでありますが、入札不調の急増に対しましては、各工事部局を中心に、業界団体との意見交換やアンケート調査などを行い、実態把握に努めてきたところであります。各業界からは、現場と積算の乖離や人手不足などの声が出されましたことから、より実態に即した積算や現場代理人の兼任要件拡大など、さまざまな改善策に取り組んできたところであります。
現行入札制度の中で不調件数も減少傾向にありますことから、今後とも、一般競争入札を原則としながら、不調となった工事について、入札参加者から見積書の提出を求め、予定価格を積算する見積もり活用方式などの方策も活用し、事業の円滑な進捗を図ってまいりたいと考えております。
次に、今後の総合評価方式の活用についてであります。
地域インフラ整備や除排雪を担う地元建設業者の健全な発展と人材確保は、札幌市にとっても極めて重要な課題であると認識をしております。そのため、総合評価方式を大幅に見直し、品質確保に重点を置いた型式に加えまして、新たに地域貢献や人材育成に重点を置いた型式を設けたいと考えております。具体的には、地域の防災活動や除排雪事業の実績などを評価する型式や、新規学卒者の雇用や女性技術者の活用などを評価する型式を追加し、これらに取り組む企業をしっかりと支援してまいります。
次に、6項目めの健康・福祉施策の充実についてお答えをいたします。
まず、健康さっぽろ21(第二次)の推進についての1点目の企業、団体等との連携によるこれまでの取り組みについてでありますが、健康さっぽろ21(第二次)の推進方針の一つに、企業、団体等との連携による効果的な普及啓発を掲げており、理容、美容及び公衆浴場の生活衛生関連団体や生命保険会社、製薬会社、調剤薬局など12の企業、団体と連携し、さまざまな取り組みを行っているところであります。具体的には、がん検診の受診率向上を目指した市民フォーラムの開催や、検診啓発カードの顧客への配布、また、生活習慣病予防を周知するため、市民にとって身近なラジオ番組や企業広報誌に健康情報を取り上げてもらうなどの取り組みであります。
2点目の今後の企業、団体等との連携の取り組みについてでありますが、現在、札幌市のホームページで新たな連携先を公募しておりますが、これに加えまして、具体的な連携の取り組み事例や成果を積極的に情報発信したり、さまざまな機会を利用して連携を呼びかけることで、多くの企業、団体等との連携につなげてまいりたいと考えております。さらに、年度内に、連携している企業、団体等と情報交換の場を設け、より効果的な連携の進め方について検討し、今後の取り組みの充実に生かしてまいります。
次に、助産施設の拡大についての1点目のこれまでの取り組みと拡大の見込みについてでありますが、これまで、医師会などとも相談しながら、医療機関を個別に訪問し、助産施設となっていただけるよう要請してきたところであります。現在、複数の医療機関においてご検討をいただいております。
2点目の助産施設の経済的負担への対応についてでありますが、昨年8月から9月にかけて市内医療機関の分娩費用を調査したところであり、現行の補助制度では、実際にかかる費用の全てを補填できないことは認識をしております。このため、助産施設に過度の負担が生じないよう、年度内に補助制度を見直す予定であります。
3点目の助産施設の拡大に向けたさらなる取り組みについてでありますが、助産施設の拡大には、補助制度の見直しのほかにも、困難を抱えた妊産婦への対応について医療機関のご理解をいただくとともに、各施設が安心して妊産婦を受け入れられる環境づくりが必要と認識をしております。このため、今後、関係機関とも協議して、どのような施策が必要なのか、具体的な検討を進めてまいりたいと考えております。
以上です。
○議長(高橋克朋) ここで、およそ30分間休憩します。
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休 憩 午後2時34分
再 開 午後3時6分
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○副議長(ふじわら広昭) これより、会議を再開します。
代表質問を続行します。
峯廻紀昌議員。
(峯廻紀昌議員登壇・拍手)
◆峯廻紀昌議員 私は、民主党・市民連合を代表して、今議会に提案されている諸議案並びに市政の諸課題について質問いたします。
最初に、上田市政12年を振り返ってです。
2003年6月に誕生した上田市政の任期も、残すところ、わずかとなりました。右肩上がりの社会を前提とした時代が終わりを迎え、日本全体が厳しい状況の中で、190万都市札幌のかじ取りを担ってこられた上田市長のこれまでのご尽力、そしてご労苦に対しまして、心から敬意を表したいというふうに思います。
私は、
札幌市長上田文雄を一言であらわすならば、まさに信念の人という言葉がふさわしいのではないかと思います。12年前、弁護士であったご自身の信念を掲げて市長に就任されましたが、その信念は決して揺らぐことなく、市民自治の推進や財政規律を重視した市政運営を初め、子どもの権利の尊重、創造都市の推進、公契約条例制定を目指す一貫した姿勢、そして脱原発依存社会への挑戦に邁進されてきました。私は、そうした上田市長のぶれない姿勢に、多くの市民が共感をし、熱い期待を寄せた12年だったのではないかと思います。
また、上田市長ご自身が、かねてより、仕事は10年ぐらいが一つの区切りと述べられ、まさにその言葉どおりに3期12年で勇退される引き際もまた、最後まで信念を貫く上田市長らしい姿ではないかと思います。
さて、上田市政を締めくくる最後の代表質問となりますので、この12年を振り返りつつ、札幌の未来を見据えた上田市政のこれまでの取り組みについて伺いたいと思います。
平成の時代に入り、市民の生活意識や価値観が多様化し、生活基盤の充足だけではなく、暮らしに潤いやゆとりといった心の豊かさが求められる成熟期を迎えた札幌のまちは、政令指定都市移行時から40年間で約2倍の人口を抱える大都市へと発展してきました。しかし、長引く景気低迷を背景に、地域経済の厳しさが増す一方で、少子高齢化が急速に進行するなど、時代が大きく変わっていこうとする中、政令指定都市初の再選挙を経て、44年ぶりの民間出身となる
札幌市長上田文雄が誕生いたしました。
しかし、その後、上田市政は、いわゆる三位一体改革による国、地方を通じた緊縮財政、世界的な経済危機の発生、日本憲政史上初の選挙による政権交代、そして、東日本大震災、福島第一原発事故の発生と、これに伴うエネルギー政策の見直しといった、まさに激動の時代を迎え、こうした時代のうねりの中、上田市長は、就任以来、一貫して市民自治を市政運営の根幹に据え、市民の力みなぎる、文化と誇りあふれる街をまちづくりの目標として掲げられてきました。
この間、まちづくりセンターを拠点に、1,000を超えるまちづくり活動が生まれるとともに、市民活動の資金を賄うさぽーとほっと基金には累計で約6億円に迫る多額の寄附が集まり、約700もの市民活動に助成を行うなど、この12年間で市民自治の理念が着実に市民に浸透したものと言えます。
これまで上田市長が掲げてきた市民自治の理念は、日常生活を豊かなものにすることはもちろんのこと、さきの震災における近隣の住民や町内会などによる助け合い、ボランティアの活躍といった事例にもあるように、いざというときの困難な状況や課題に対応するためにも非常に重要なものであります。また、人口減少や高齢化が地域によって様相を異にして進行し、地域課題が複雑化する社会では、まさに地域で課題解決に取り組む必要があり、札幌においてこれまで積み重ねてきた市民自治の取り組みが真価を問われる時代を迎えるのではないでしょうか。
また、この間の地方財政を取り巻く環境は大変厳しいものでした。そうした中で、上田市長は、就任以来、人件費の見直しや事務の効率化など、徹底して内部の効率化を図るとともに、市民のご理解をいただきながら敬老パスの見直しや家庭ごみの有料化を導入するなど、市民とともに行財政改革に取り組んできました。
その結果、12年間で全会計ベースの市債残高を4,800億円も縮減するとともに、財政調整基金については、行財政改革推進プランのベンチマークで掲げた100億円の水準を超える残高を残すことができる見込みとなり、また、財政状況の健全性をあらわす実質公債費比率や将来負担比率についても、ともに政令指定都市平均を大きく上回る健全性を示すなど、今後の厳しい時代に向けて財政運営は持続可能な水準を保つことができたことは、我が会派も大変評価をしています。
一方で、上田市長は、文化芸術がもたらす感動が、人々の創造的な活動や発想へとつながり、まちの魅力向上や地域経済を牽引する源になるとして、2006年に創造都市さっぽろを宣言し、これまでさまざまな取り組みを展開し、特に、市民の創造性を喚起するためには芸術、アートの視点が有効であるとして、文化芸術の分野に力を入れてきました。
上田市政において新たに始めた事業には、11月を文化芸術月間と位置づけ、さまざまなアート系の事業を行うさっぽろアートステージや、市内の小学校6年生全員にプロのオーケストラの生演奏を体験してもらうKitaraファースト・コンサートといった次世代を育むすばらしい取り組みがあります。そのほかにも、国際短編映画祭やサッポロ・シティ・ジャズなど、今や札幌を代表するイベントの一つとして国内外から評価されている取り組みもあります。
こうした新たな取り組みに挑戦し、育て上げたことによって、歴代の市長が整備した芸術の森や札幌コンサートホールなどの器に、いわば魂を吹き込んだと言っても過言ではありません。また、地下鉄コンコースをアート作品展示空間とした500m美術館を初め、チ・カ・ホや北3条広場の整備など、文化芸術を通じた市民の交流や創造的活動の場の整備も積極的に行うなど、市民が気軽に芸術作品に親しむ機会をふやし、文化芸術を身近なものにしたとも言えると思います。
こうしたさまざまな取り組みが認められ、札幌市と札幌市民の創造性が世界レベルで評価されたことによって、2013年11月に札幌市のユネスコ創造都市ネットワークへの加盟が認定されました。そして、2014年7月には、創造都市さっぽろの象徴的な取り組みとなる札幌国際芸術祭2014が開催され、札幌が持つすばらしい創造性を世界に向けて発信する舞台となり、創造都市さっぽろを大きく飛躍させることができたのではないかと思っています。
私は、来るべき未来を見据えて、将来世代に過度な負担を残さないよう、持続可能な財政構造へと転換を図るとともに、参加と対話により、市民とともにまちづくりを進め、市民自治の土台を築き、市民の誰もが持つ創造性を発揮できる創造都市さっぽろの推進に力を注いできた上田市政のこの12年間は、後世においても評価されるものと考えています。
そこで、上田市政12年を総括して、4点お伺いいたします。
1点目は、市民が主役のまちづくりについてです。
市民自治に係る最新の調査となる2014年度市民自治に関するアンケート調査によると、これまでに地域のまちづくり活動に参加したことのある方の割合は78.9%と、これまでまちづくり活動に参加、活動したことがない割合である19.7%を大きく上回っており、第3次新まちづくり計画の目標値である70%も上回っています。市民自治は効果測定が難しいと聞いていますが、こうした数値が出たことは、市民自治の理念が着実に市民生活に浸透し、さらに、市民が具体的な行動へと結びつけていることを示すものと考えます。
しかし、市民自治をさらに進めていくためには、こうした成果が出たことだけを評価するのではなく、弱いところにも目を向け、さらなる改善をしていく必要があります。
さて、まちづくりセンターの地域自主運営に目を向けますと、既に自主運営を行っている地域が検討している地域等に近況を報告する自主運営まちづくりセンター近況報告会などでは、所長が市の職員でなくなることで行政とのつながりが薄くなるという心配のほかに、まちづくりセンターの職員となる人材の安定的な雇用に不安を感じるといった意見がありました。優秀な人材の確保など、まちづくりセンターの自主運営にはさまざまな課題があるのではないかと推測されますが、こうした近況報告会等の場面で、先行して実施している地域がしっかり安心して運営している姿を見ていただくことが、自主運営を検討している地域にとって非常に重要だと考えます。
そこで、質問ですが、まちづくりセンター自主運営について、制度をいま一度検証し、見直すべきところはしっかり見直して、さらなる充実を図る必要があると考えますが、市長の考えを伺います。
町内会加入率の向上については、町内会活動の意義や楽しさを広い世代に知ってもらうために、テレビCMや不動産関係団体などの協力を得てリーフレットを配布するなど啓発に取り組んでいますが、加入率を伸ばすには、これまでの間接的な啓発に加えて、より直接的な町内会への支援が必要です。また、町内会加入率については、区によって状況が大きく異なっていますが、どうしてこのような違いが生じるのか、よく検証する必要もあります。
そこで、質問ですが、町内会加入に関して地域差が生じる原因はどこにあるのか、また、地域によって状況が異なることを踏まえながら、今後、町内会に対してどのような支援を行う必要があるか、市長の考えを伺います。
地域のまちづくりを進めていくに当たり、町内会が中核的な役割を担っていると認識していますが、近年は、NPOやボランティアといったまちづくりを担うさまざまな活動主体があらわれているほか、積極的に社会貢献活動に取り組む企業もふえてきています。
そこで、質問ですが、複雑化する地域課題に対応し、地域のまちづくりをさらに進めるためには、町内会やNPO、企業などの多様な活動主体が連携協力をしていく必要があると思いますが、市長の考えを伺います。
2点目は、2015年度の当初予算編成と今後の財政運営のあり方についてです。
2015年度当初予算は、上田市長が編成する最後の予算であり、骨格予算とはいえ、初めて編成した2003年度の肉づけ予算から12年間にわたる市政運営の総仕上げとなります。地方財政を取り巻く環境はいまだに大変厳しく、市税収入の大きな伸びが期待できない中、社会保障関係費は増加し続けている状況のもとで、上田市長は当初予算を編成しました。このたびの当初予算は、経常的な事務事業を中心とした骨格予算であることから、次の市長が判断する余地をできるだけ残すとともに、一方で、地域経済の停滞を招かないように所要の建設事業費を計上したほか、福祉施策など市民生活に影響の大きい事業についても支障が生じないよう配慮しています。さらには、札幌市まちづくり戦略ビジョンの関連事業のうち、都心や拠点のまちづくりを初め、間断なく続ける必要がある事業の推進に意を用いるなど、次の市長へ円滑に市政運営をバトンタッチできる大変バランスのとれた予算であると評価しています。
特に、札幌市まちづくり戦略ビジョンに掲げた事業は、さまざまな社会課題や地域課題を解決するため、今後10年間にわたり戦略的に実施すべきものであり、今後の市政運営においても極めて重要な取り組みとなり、上田市長も恐らく同じ思いを持って当初予算にこれらの事業を盛り込まれたと思います。
そこで、質問ですが、上田市政12年を締めくくるこのたびの2015年度当初予算において、市長が特に力を入れたものは何か、伺います。
次に、今後の札幌市の財政運営についてです。
これまで一貫して増加傾向にあった札幌市の人口も、国立社会保障・人口問題研究所の推計によりますと、2015年から2020年をピークとして減少傾向に転じることが予想されており、少子高齢化の進行と生産年齢人口の減少によって、今後も税収の大きな伸びが期待できない状況となっています。また、政令指定都市移行の前後に建設をした大量の市有建築物やインフラ資産が更新時期を迎えるため、市民サービスを維持していくためには、これらの施設を更新していくための財源を確保していく必要があります。さらに、福祉施策など市民生活を守るための施策は間断なく実行していく必要があることや、冬季オリンピック・パラリンピックの招致に向けた取り組みに象徴されるように、札幌の経済を発展させ、市民に夢を与えるための施策にも積極的に投資していくことが極めて重要です。
こうしたさまざまな課題を同時に解決していかなければならない困難な状況のもとで、これまでの上田市政12年間にも増して、今後の財政運営のかじ取りは極めて難しく、大変厳しい時代が続くものと考えられます。
そこで、質問ですが、これまで築き上げた持続可能な財政運営を維持していくための今後の札幌市の財政運営のあり方について、市長の考えを伺います。
3点目は、文化芸術行政についてです。
札幌の文化芸術は、上田市政の12年間で大きくさま変わりしました。文化芸術は、心の豊かさを生み出すものであるとともに、まちの魅力や個性を形づくる大きな要素であり、昨今では、国際化あるいは情報化の急速な進展や価値観の多様化など社会情勢が大きく変化する中で、文化芸術の果たす役割はますます重要になってきていると思います。
そのような中、札幌市議会においても、市民が心豊かに暮らせる文化の薫り高き札幌のまちづくりをしていくことを決意し、2007年4月には、全議員の提案による札幌市文化芸術振興条例を定めました。文化芸術は、人々の心のよりどころとして安らぎと潤いを与え、長い期間の地道な取り組みによって人々の心に浸透していくものであり、これからも、札幌らしい独創的な文化芸術を創造し、国内外に誇れるまちへと高めていくことが重要です。
そして、昨年開催した札幌国際芸術祭は、市民が文化芸術に興味を持つきっかけづくりとなり、3年後の開催に向けて準備を進めるのはもちろんのこと、今回の芸術祭でまかれた種を次の開催までにどう花を咲かせるか、そして、その取り組みをつなげていくことが大切だと考えます。
そこで、質問ですが、市長は、この12年間、どのような思いで文化芸術行政を進めてきたのか、また、今後どのようなことを後世に託していきたいと考えているか、伺います。
4点目は、創造都市さっぽろの取り組みについてです。
札幌市は、ユネスコ創造都市ネットワークに加盟したことにより、世界が認める創造都市さっぽろへと第一歩を踏み出しました。それは、いわば未来への遺産を創造していく都市として、市民とともに札幌の新たなブランドを世界へ力強く発信し、まちのさらなる発展へとつなげていくチャンスであります。また、今後、人口減少、超高齢社会が到来し、札幌はいまだかつて経験したことのないさまざまな困難に直面しますが、上田市長は、今後待ち受ける困難を乗り越えていくための鍵は、市民一人一人の創造性と市民力の結集であると述べられています。私も、また、今後発生するさまざまな社会的課題にこれまでの創造都市さっぽろの取り組みを生かすため、これを総括するとともに、さらに、その結果を今後に引き継いでいくことが重要であると考えます。
そこで、質問ですが、市長は、創造都市さっぽろのこれまでの一連の取り組みが札幌のまちづくりにどのような効果があったと総括しているのか、また、創造都市さっぽろの取り組みを踏まえて、札幌が今後どのような方向に進むべきと考えているのか、伺います。
次に、市有建築物の配置基本方針と学校規模適正化についてです。
昨年12月に策定されたこの方針は、札幌市が直面する将来の人口減少、少子高齢化に伴う市民ニーズの変化や地域ニーズの多様化、さらには、今後、一斉に到来する1970年代以降に集中的に整備してきた公共施設の大量更新といった、新たな時代に対応して公共施設を再構築していくための方針であり、全国的に人口減少問題への対処が叫ばれている中で、時代を先取りした取り組みであると考えています。
特に、この配置基本方針では、まちづくり戦略ビジョンに掲げる、歩いて暮らせるまちづくりの実現に向けて、小学校を中心とした公共施設の複合化を進めることとし、効率性だけではなく、子どもから高齢者までが集う多世代交流を核として、地域コミュニティーを重視する札幌市の姿勢を前面に打ち出していることを高く評価しています。
この基本方針に基づき、既に複合化に向けて取り組みを進めている二条小学校に加え、2015年度予算においては、老朽化が進んでいる中央小学校、栄西小学校の2校について、児童会館やまちづくりセンターの複合化を想定した基本設計費が計上され、小学校を中心とした新たな拠点づくりに向けた動きが本格化していくことになります。今後は、整備内容について、具体的な地域との協議が順次始まるものと思いますが、このたびの配置基本方針で掲げた市民が創る公共施設の実現に向けた地域との協議の状況についても注目していきたいと考えています。
また、小学校をめぐっては、本年1月に、文部科学省が統廃合に関する手引を約60年ぶりに改定し、12学級未満の学校については、児童数予測などを加味して今後の教育環境のあり方を検討することが必要であるなどと自治体に通知しており、国立社会保障・人口問題研究所による推計では、2040年までに年少人口が4割減少するとされている札幌市においても、さらなる学校統合の検討を迫られるケースが出てくると考えています。
札幌市では、これまでも、少子化傾向を踏まえ、子どもたちの良好な教育環境を確保するため、学校規模適正化の取り組みを進め、現在も、南区の豊滝地域や石山・芸術の森地域、厚別区の上野幌・青葉地域の3地域で検討委員会を設置するなど、統合に向けた検討が進められています。こうした地域においては、子どもの教育環境を考えると統合はやむを得ないとする声がある一方で、一部の保護者や住民からは、閉校は地域の衰退につながるといった反対の声も出ていると承知しています。
そこで、質問ですが、小学校を中心として地域コミュニティ拠点の形成を図ろうとするこのたびの配置基本方針の方向性と、学校規模適正化に伴う学校統合との関係について、どのように考えているのか、伺います。
また、既に学校統合が行われた地域では、例えば、跡施設を文化コミュニティ施設であるあけぼのアート&コミュニティセンターとして再整備した曙小学校の例や、子どもの体験活動の場などとして整備予定である真駒内緑小学校の例、さらには、地域貢献などを条件に民間事業者へ売却したもみじ台小学校及びもみじ台南小学校の例など、さまざまな活用が進められています。さらには、今後、小学校を中心として公共施設の複合化を進めいくことにより、児童会館、まちづくりセンターや地区会館といった小学校に集約される側の跡施設をどのように取り扱うかについても検討していく必要があると考えます。
私は、拠点までの距離が遠いなどといった地理的な条件や、地域コミュニティーがつくられた歴史的経緯はさまざまな状況にあることから、地域によっては、こうした跡施設を活用して地域コミュニティーの利用に供することも必要な場合があるのではないかと思います。
そこで、質問ですが、今回の配置基本方針を踏まえ、今後の学校統合や複合化に伴う跡施設の活用についてどのように考えているのか、伺います。
次に、丘珠空港について、2点伺います。
1点目は、今後の北海道エアシステムへの支援についてです。
丘珠空港は、上田市政3期12年の中で、たびたび厳しい局面を迎えてきました。特に、2010年のA−netの丘珠撤退は大きな問題でした。A−netの撤退表明を受けて、北海道や札幌市は、就航先の自治体や経済界と連携し、丘珠路線維持の活動を展開しましたが、残念ながら、その要望はかないませんでした。
丘珠空港の存続に向けて、北海道を初めとする関係機関が北海道エアシステム、HAC便の維持に全力を挙げてきた中で、JALの経営破綻により、HACは連結子会社から外され、道庁を中心としたオール北海道による新体制に移行し、2011年6月、新千歳から丘珠に本社機能を移転するとともに、路線の集約を行いました。HACに対しては、北海道と協議の結果、札幌市は7,560万円を出資し、2,400株、出資比率13.5%を保有する第3位の株主となりましたが、新体制スタート直後の重大インシデントにより利用者離れが進むなど、厳しい経営状況が続く結果となりました。しかし、昨年10月にはJALがHACを再子会社化し、これまでの安定運航への取り組みや、経営改善が図られた結果、徐々に業績は上向いてきています。
そこで、質問ですが、現在、丘珠空港にはHACだけが就航していますが、丘珠空港の機能維持のためにも、HACの経営が安定的に継続されることが重要と考えます。JALから株式譲渡の検討を求められていると聞いていますが、今後のHAC支援についてどのように考えているのか、伺います。
2点目は、丘珠空港の活性化に関する今後の議論のあり方についてです。
昨年の夏、フジドリームエアラインズ、FDAが小型ジェット機で名古屋小牧空港と丘珠空港を結ぶチャーター便を運航しました。北海道の空の玄関口である新千歳空港は、2014年の旅客数が過去最高の1,926万人となり、特に国際線は、アジアを中心とする北海道観光の人気や円安などを追い風に外国人観光客がふえ、3年連続で過去最高を更新しています。しかし、その一方で、発着枠が飽和状態となり、混雑による出発便のおくれや航空会社の就航要請に応え切れないなど、受け入れ態勢の整備充実が急務となっています。
こうした状況の打開に向けて、他の道内地方空港を大いに活用すべきとの声も出ています。丘珠空港を取り巻く環境が大きく変化しつつある中、利用促進をより一層図りながら、道都札幌にある丘珠空港の存在価値やポテンシャルの高さを内外に広くPRしていく必要があると考えます。
また、2015年度末に北海道新幹線の開業を予定しており、さらには、2020年の東京オリンピックの開催、2026年を想定した札幌オリンピック・パラリンピックの招致など、これらの機会を生かし、札幌、北海道を新たなテージへと押し上げるために、丘珠空港の活性化につながる方策をデザインしていかなければならないと考えます。
そこで、質問ですが、今後、丘珠空港をめぐってさまざまな議論が起こってくると思いますが、この3期12年間での経験を踏まえ、丘珠空港の活性化に関する議論はどのように進められていくべきか、市長の考えを伺います。
次に、環境・エネルギー政策についてです。
上田市長は、環境・エネルギー問題を重大な政策の柱として、この12年間、積極的に取り組んできました。2期目の2008年6月には、北海道洞爺湖サミットの開催で世界中の注目が北海道に集まる中、環境首都・札幌を宣言し、市民一人一人がこれまで以上に地球環境保全に取り組んでいく決意を世界に発信しました。また、2009年7月の家庭ごみ有料化や新ごみルールの開始では、2,600回を超える説明会を開催するなど、市民理解の推進と啓発に努め、廃棄ごみ量の約4割を削減、篠路清掃工場の廃止により、約500億円の削減効果などを上げることができたと評価をしています。
2011年3月11日に発生した東日本大震災以降は、札幌・エネルギーecoプロジェクトなどの支援事業の拡充を図り、取り組みを加速させた結果、市内の太陽光発電の導入容量は2013年度で累計2万6,000キロワットに達し、市長が就任した2003年度時点の導入容量1,700キロワットの15倍にもなっています。また、大震災以降に続いている夏と冬における国からの節電要請に対しては、札幌節電大キャンペーンなど普及啓発事業を次々に打ち出し、市民・事業者・行政が一体となって節電に取り組むことで厳しい電力需給状況を乗り越えてきており、省エネ型ライフスタイルが定着してきたと感じています。これは、ごみ減量化の取り組みで育まれた市民力が、新たな分野で発揮された成果の一つであると思います。
こうした中、2013年に策定した札幌市まちづくり戦略ビジョンにおいては、低炭素都市創造戦略、次世代型エネルギー創造戦略という二つの創造戦略を掲げ、札幌市が進む環境・エネルギー政策の方向性を明確に示しています。昨年10月には札幌市エネルギービジョンを策定し、脱原発依存社会を目指した具体的な数値目標と施策を明らかにし、現在は札幌市温暖化対策推進計画を取りまとめているところです。また、エネルギーの面から見た半世紀先の札幌の可能性を描くさっぽろエネルギー未来構想は、長期的な視点からエネルギーに対する理解、関心を深めるものとして、今年度内に作成すると聞いています。
一方、環境・エネルギーを取り巻く環境は、刻々と変化しています。再生可能エネルギー普及の推進力である固定価格買い取り制度は、送電網への接続制限の問題が全国的に発生し、見直しを迫られ、再生可能エネルギーの宝庫である北海道内にも波紋を投げかけましたが、未来の技術として、長年の夢であった二酸化炭素を排出しない車、燃料電池車の一般販売が昨年末に開始されるなど、新しい時代を予感させる動きもあります。
このような中、社会情勢や技術の推移などを常に見きわめながら、中長期的な視点を持って持続可能な社会を目指し、再生可能エネルギーの普及や省エネの推進など、環境・エネルギー政策に今後も積極的に取り組んでいく必要があると考えます。
そこで、質問ですが、上田市長は、12年の間、環境・エネルギー関連の取り組みをどのような思いで進め、どう評価しているのか、また、来年度以降の環境・エネルギー政策に対して市長の期待することを伺います。
次に、次期介護保険料と介護人材の確保策についてです。
介護保険制度については、昨年成立した地域医療介護総合確保法に基づき、地域包括ケア体制の構築と持続可能な社会保障制度という観点からさまざまな改正が行われることとなっています。札幌市においても、2017年度以降、介護予防・日常生活支援総合事業が実施され、介護予防事業の一部が移行するなど、介護予防や生活支援のあり方が大きく見直されます。また、在宅医療・介護連携の推進や認知症施策の推進などが、改めて介護保険制度の中で地域支援事業に位置づけられました。地域医療介護総合確保基金の活用とあわせて財政面での強化も図られ、一層推進していくことが求められます。
一方で、一定以上の所得がある方については、介護保険の利用料を2割に引き上げ、また、施設の食費や居住費の助成に関する要件を厳しくしたり、特別養護老人ホームの利用対象者を原則として中・重度の要介護3以上の方にするなど、利用者に新たな負担を求めたり、利用を限定するといった改正内容も多くなっています。そして、低所得者に対しては、保険料をより軽減するため、新たな公費による軽減強化の仕組みが設けられましたが、消費税増税の先送りにより、来年度からの実施については当初の想定よりかなり圧縮される見通しとなっています。
さきの政府予算案の閣議決定と同時に介護報酬の改定率も示されましたが、マイナス2.27%という大幅なマイナス改定となりました。介護保険の利用者、被保険者にとっては利用料、介護保険料が安くなり、負担が減るものですが、一方で、介護サービス事業者にとっては大変厳しい内容となっています。介護職員の処遇を改善するための原資も盛り込まれているとのことですが、全体がマイナス改定の中では、その実効性に疑問を感じるところです。
2025年には、前回、介護報酬が改定された2012年の時点よりも約100万人の介護職員の増加が必要とされています。しかし、近年の介護職員の離職率は低下傾向にあるものの、全産業で比べるとやや高い水準となっています。札幌市のアンケート調査によると、介護人材の育成や定着が難しいと感じている介護保険サービス事業者が多く、大きな課題となっています。
そこで、質問ですが、今回提案されている介護保険条例の改正案では、次期介護保険料の基準月額は5,177円となっています。現在の保険料基準月額4,656円は、政令市の中では一番低い水準ですが、521円、11.2%の増加となります。今回、どのような要因で増加したのか、また、増加抑制のためにどのような工夫をしたのか、伺います。
また、今回の改正の目玉であった低所得者の新たな負担軽減も消費税の先送りで大幅に圧縮される見込みですが、この点に関する市としての受けとめと、今後、国への働きかけについて、さらには、人材の確保ができなければサービスの質の低下も懸念されますが、札幌市は、介護人材の確保について、どう認識しており、どのような対策をとられる考えか、伺います。
次に、雪対策の現状と課題についてです。
札幌市では、2009年度に10年間を計画期間とする札幌市冬のみちづくりプランを策定し、ことし7年目を迎えます。この考えを反映した特徴的な施策としては、上田市政で新たに始めた、地域の方に札幌市の除排雪の実情を知ってもらうとともに、地域の除雪の課題を話し合う地域と創る冬みち事業であり、雪対策の分野においても、市民参加によるまちづくり活動の輪が広がっています。
地域と創る冬みち事業は、今年度をもって全ての町内会で実施しましたが、今後も、地域の実情を話し合うとともに、限られた時間と除雪機械で作業をしているといった除排雪の実情も市民に理解してもらうよう、繰り返し発信していかなければなりません。また、プラン策定時から課題としていた路上駐車や、敷地からの雪出しなどによって除排雪作業の支障になっていることや、雪たい積場の確保が年々難しくなっていること、さらに、除排雪作業の担い手不足や、ダンプトラックや除雪機械の確保が難しくなっているといった課題を克服しなければ、除排雪作業そのものが立ち行かなくなります。
プランには、これらの課題を克服するため、六つの目標を掲げていますが、とりわけ冬の市民生活ルールの確立につきましては、これまでの地域や警察と連携したパトロールや広報誌に加え、市長みずからが先頭に立ち、小学校への出前授業やテレビCMに出演して路上駐車の防止を訴えるなどといったこれらの取り組みが実を結び、路上駐車台数や雪出し件数が5年間で半減したと聞いています。この目標の実現については、市民の理解と協力が必要であり、ここで立ちどまらずに、より一層、さまざまな手法、手段を用いて広報啓発する必要があります。
一方、除排雪体制の確保につきましては、夏の道路維持補修と冬の除排雪の業務を一体化することで、年間を通じた業務を確保し、従事者の雇用の安定化を図ることを目的として、2011年度から全区で夏冬一体化を試行していますが、夏冬一体化につきましては、各企業からさまざまな意見があり、より効果的な施策とするためにも、我が会派から、検討が必要であると指摘しているところです。さらに、雇用が確保されたとしても、除雪従事者の高齢化は急速に進んでおり、今後、除雪技術の継承や後継者不足が懸念されるなど、超高齢社会、人口減少の局面を迎えるなど社会は大きく変化し、プランの各目標にも課題が見えてきている昨今、より実態に即した雪対策が可能となる計画が必要であると考えます。
そこで、質問ですが、市民自治の視点から、協働による雪対策が芽生え、広がりを見せている今、市民との協働の取り組みをより一層推進するとともに、プランの計画期間はまだ4年を残していますが、札幌市の雪対策の根幹をなす札幌市冬のみちづくりプランの検証を速やかに実施し、見直しを図るべきと考えますがいかがか、伺います。
次に、子どもの最善の利益を実現するための権利条例について伺います。
子どもの権利条例は、札幌市において条例づくりを本格的に開始した2005年4月の子どもの権利条例制定検討委員会の活動から数えると、もう少しで丸10年が経過します。当時、子どもの権利条例の検討に際しては、この条例制定検討委員会や子ども委員会が設置され、そのメンバーは、市民参加に重きを置く上田市長ならではの構成で、学識経験者や専門家に加え、小学生から大人まで幅広い世代の公募市民も参加し、年齢や立場を超えたさまざまな方の意見を反映させながら条例の案づくりが行われました。
条例制定後、札幌市がさまざまな取り組みを行う際には、積極的に子どもが参加する機会が設けられるようになっています。札幌市まちづくり戦略ビジョン<戦略編>策定時には、子どもを対象としたパブリックコメントが実施され、609人の子どもたちから意見が寄せられ、また、現在策定中の新・さっぽろ子ども未来プランにおいては、子どもたちのワークショップや子どもを対象とした実態・意識調査を実施するなど、市政に子どもの意見が反映される場面がふえています。また、市政のみならず、学校や地域などにおいても積極的に子どもの参加が行われるようになっており、今後も、子どもたちが将来のまちづくりの担い手として自分らしく伸び伸びと豊かに成長・発達するよう期待しているところです。
条例の制定により、大きく変わった点と言えば、子どもアシストセンターが第三者機関である子どもの権利救済機関として生まれ変わったことも挙げられます。条例制定前の子どもアシストセンターは、思春期の子どもやその保護者が抱える悩みや不安などの相談を受け付け、子どもの問題行動に早期に対応するため、駅や繁華街などにおいて巡回指導などを行う機関でしたが、新たなアシストセンターは、子どもの声を聞き、子どもを育てる保護者の苦悩に寄り添うだけではなく、実際の問題解決に向けて、第三者の立場から調査や調整、救済などの具体的、個別的な活動ができるようになりました。これらの活動により問題が解決したという事例や、学校関係者からは絡まった糸をほぐす役割をしてもらっているという声もたくさん耳にしています。
子どもが豊かに育つために不可欠である子どもの権利を保障するのは大人の義務であると捉えると、子どもの権利条例は大人の義務条例であるということです。子どもの最善の利益を考える大人、子どもの権利を守る大人がこれまで以上にふえ、子どもたちが、毎日を安心して過ごし、さまざまなことを学び、生き生きと健やかに成長することができるよう、全ての市民が子どもの権利を大切にしていくための取り組みを推進していかなければなりません。
そこで、質問ですが、これまで子どもの権利条例に基づく子どもの権利に関する推進計画によりさまざまな取り組みを行ってきていますが、とりわけ子どもの権利を大切にする意識の向上という観点から、どのような課題があると認識し、今後どのように対応していくのか、伺います。
次に、スポーツ振興施策について、2点伺います。
1点目は、上田市政におけるスポーツ振興施策についてです。
昨年11月、市長は、冬季オリンピック・パラリンピック招致を表明しました。今後、市民・企業・行政が一丸となって招致、開催へ向けて取り組んでいくという共通の目標が掲げられたことは、上田市政の集大成として我が会派も高く評価しています。
2004年に誕生した北海道日本ハムファイターズは、多くのファンの熱い支援に支えられ、日本一1回とリーグ優勝3回という成績をおさめ、都心で行われたパレードには10万人の市民が集まり、選手たちを心から祝福しました。また、札幌を本拠地とするコンサドーレ札幌、レバンガ北海道、エスポラーダ北海道の活躍もあり、プロスポーツを通じたまちの活性化が進められています。
一方、2007年に開催されたFISノルディックスキー世界選手権札幌大会は、世界トップレベルの競技を市民が体感することで、ウインタースポーツの魅力を再発見する機会を得るとともに、競技運営や市民のおもてなしを通じて札幌の都市ブランドを大きく高めました。中でも、札幌ドームに雪を入れて実施したクロスカントリー競技は、世界から注目される取り組みとしてFISからも高い評価を得たと聞いています。また、2012年に開設された通年型のカーリング施設であるどうぎんカーリングスタジアムは、市民に新たなウインタースポーツを身近に楽しむ場を提供し、観光客向けの体験会には数多くの参加者が集まるなど、スポーツの振興のみならず、集客交流にも広く活用されています。さらには、今年度においては、3月に世界女子カーリング選手権が札幌で開催されるほか、ラグビーワールドカップ2019の開催地に立候補するなど、スポーツを通じたまちづくりが進められています。
そこで、質問ですが、上田市政において、どのようなことに重点を置いてスポーツ振興施策に取り組んできたのか、伺います。
2点目は、今後の取り組みについてです。
2年後の2017年、冬季アジア競技大会が札幌で開催されます。この大会を成功させ、世界に札幌の魅力を発信するためには、市民みずからが、札幌の冬、雪を好きになり、札幌を誇りに思うことが必要です。一方で、札幌の成人が、年に1回以上、ウインタースポーツを実施する割合は13.8%にとどまっているというデータがあり、今後、冬季オリンピック・パラリンピック招致を目指す札幌市としては残念なものであると考えます。
札幌市では、冬季オリンピックに出場した経験のあるアスリートを地域が主催するスポーツ教室に講師として派遣するなど、ウインタースポーツの活性化を図ってきているとはいえ、まだまだ十分なものとは言えない状況です。札幌にはかつてのオリンピック選手やプロスポーツ選手など多くのトップアスリートが暮らしているという恵まれた環境にあり、この人材を活用することにより、さらなるスポーツの振興を図ることが可能であると考えます。例えば、アスリートが培った経験やスキルを学校や地域の力として生かすことを実践しているA−bank北海道では、札幌市内の小・中学校の体育授業や部活動に指導者を派遣するアスリート先生などの取り組みを通じて地域のスポーツ振興に貢献しています。また、世界の雪山を知るトップレベルのスキーヤーたちが、独自にキャラバン隊を組み、小学生を対象に学校の授業などを通じて札幌の冬、雪のすばらしさを伝える雪育に取り組んでいるところですが、これは、子どもたちが札幌の冬に親しむきっかけづくりにつながるものであります。札幌の子どもたちの中から、オリンピックを初めとした世界の舞台で活躍するアスリートが育つことは、冬季オリンピック・パラリンピックの招致を目指す札幌市にとってとても重要な意味を持っています。
そこで、質問ですが、今後の札幌市政において、さまざまな活動に取り組んでいるアスリートの力を取り入れるなどして、スポーツ振興により一層取り組んでいくべきと考えますが、今後の方針について伺います。
最後に、これからの札幌市の学校教育について伺います。
教育委員会では、昨年、札幌市教育振興基本計画を策定し、さまざまな教育課題を踏まえた施策を実行してきていると認識していますが、新しい年のスタートに当たって、改めて今後の方向性などについて質問いたします。
我が会派としては、これからの札幌市の教育、とりわけ幼稚園から高等学校までの学校教育においては、一人一人の子どもに行き届いた教育、きめ細やかな教育を一層充実し、自立した札幌人の育成を目指していくことが大切であると考えています。そういう意味では、札幌市教育振興基本計画に基づく施策を着実に実現していただくことを強く期待しています。
今述べた一人一人の子どもに行き届いた教育という観点で、昨年、気になる動きがありました。それは、国における来年度の予算折衝の折に、財務省が40人学級を復活しようとする動きがあると報道されました。予算削といった財務省の論理から出たことだと思いますが、決して看過できないものであり、少人数学級は我が会派の重要施策の一つで、教育の質を高め、誰でも学べる社会をつくることを目指すために、きめ細やかな指導の充実は今後も拡充すべきと考えています。
札幌市教育振興基本計画においては、札幌市の教育が目指す人間像に自立した札幌人を掲げていますが、これは、ふるさと札幌を心に抱きつつ、日本全体、そして、さらにグローバルな視野でさまざまな人々と共生できる人材のことであると認識しています。昨今、報道等で北海道の学力の低さを指摘する記事を目にすることが多い中で、グローバルな視野を持って活躍し、平和な社会をつくり上げていく人材を育成するためには、ペーパーテストではかれるような学力、与えられた情報を大量に記憶するような力のみに限らず、みずから課題を発見したり、解決に向け、必要な情報を見つけ、人と意見を出し合って課題解決する力や、生涯にわたって学び続ける意欲などを育成することが必要です。そして、今後、学校で、多様な文化に対して理解や尊敬の念を持ち、さまざまな人々と共生していくことができるよう、子どもがそれぞれの個性を認め合い、高め合うような教育も大切にしていくべきであると考えます。
そして、札幌市の教育の充実・発展に向けては、新たな計画に基づくスタートを切ったこの1年を振り返りつつ、今後に向けた札幌市における教育の方向性について明らかにしておくことが大切です。
そこで、質問ですが、札幌市教育振興基本計画に基づいた取り組みの状況について、どのように認識し、今後の札幌市の学校教育のあり方をどのように充実していこうと考えているのか、伺います。
以上で、私の質問の全てを終了いたします。ご清聴、ありがとうございました。(拍手)
○副議長(ふじわら広昭) 答弁を求めます。
上田市長。
◎市長(上田文雄) 9項目のご質問がございましたので、私からは、12年を振り返ってという項目の中で、丘珠空港、環境・エネルギー政策、さらにスポーツ振興施策についてお答えさせていただきます。その余は、担当副市長並びに教育長から答弁をさせていただきます。
まず、12年を振り返ってという項目で、市民が主役のまちづくりについてご質問がございました。
1点目のまちづくりセンターの自主運営についてでございます。
地域自主運営制度をよりよいものとしていくためには、先行地域の現状と課題というものを踏まえまして、しっかりと安定した運営がなされるように制度の検証、改善を図っていくということが非常に重要でございます。地域の声を踏まえまして、行政とのつながりや、あるいは連携の確保、労務管理等の専門的知識の習得、そして、安定的な人材の確保等が課題と、このように認識をいたしております。
こうした認識のもとに、区と地域との密接な情報共有はもとより、職員を対象とした実務者研修や、あるいは専門家によりますアドバイザー制度などの充実を図ってきたところでございます。今後は、さらに地域で長く勤務をしていただけるような優秀な人材を確保できるように、地域の声をよく聞きながら、改善できるところは改善してまいりたい、このように考えております。
2点目の町内会に対する支援についてでございます。
町内会加入率につきましては、住居形態や、あるいは世帯の構成など、相関性があると考えております。賃貸共同住宅等の比率が高く、世帯人員が少ない地域では、加入率が低いという傾向にございます。こうした地域では、学生や子育て中の若い世代が多い特性がございます。町内会の直接的な加入促進活動についても、これらの世代や、あるいは、賃貸共同住宅の居住者等への働きかけということが重要になってまいります。
今年度は、町内会による加入促進に向けた取り組みを支援したモデル地区におきまして、子育て中の母親を対象としたサロンの開催、そして、町内会の活動を解説したリーフレットの作成、あるいは、町内会活動の見える化に向けたロゴマークの策定など、地域の状況に応じて未加入世帯の属性を意識した取り組みが行われてきたところでございます。今後は、モデル地区の事例を共有しながら、それぞれの地域の実情に即した支援を全区に拡大してまいりたい、このように考えております。
3点目の多様な活動主体によります連携協力についてでありますが、地域の課題は複雑多様化しておりまして、個々の活動主体や、あるいは団体、組織の取り組みだけでは解決が難しくなっているということも認識をいたしているところでございます。
異なる活動主体が連携をして課題解決を図るためには、目標を共有化し、それぞれの強みを生かしながら解決をしていくことのできる環境づくりが重要でございます。このために、今年度策定いたしました第2期市民まちづくり活動促進基本計画におきましても、基本目標の一つに連携というものを掲げまして、NPOと町内会等が協働いたしまして地域課題の解決を図る事業や、あるいは、企業の社会貢献活動を支援する事業などを進めてきているところでございます。今後も、これらの取り組みを発展、継続させるとともに、ネットワーク形成の中核を担う人材の育成も進めていくこととしているところでございます。
12年を振り返っての中の二つ目でございますが、2015年度当初予算編成と今後の財政運営のあり方についての項目でございます。
この項目の1点目の2015年度当初予算で特に力を入れたものについてということでありますが、今回の予算では、まちづくり戦略ビジョンに掲げます、北海道の未来を創造し、世界が憧れるまち、互いに手を携え、心豊かにつながる共生のまち、この実現に向けて間断なく進める必要のある事業は盛り込んだところでございます。
子ども・子育て支援新制度の開始を踏まえまして、子どもの教育、保育に係る質の向上と量の拡充を図ったほか、市民交流複合施設の建設など都心と拠点のまちづくりの推進や、あるいは、札幌コンテンツ特区、MICE推進といった、札幌の経済を活性化し、まちの魅力を高める取り組みも計上させていただいたところであります。
一方で、一定規模の財源を留保し、新市長のもとで円滑なスタートを切ることができるように、その礎となります骨格予算を編成できたと考えているところであります。
2点目の今後の札幌市の財政運営のあり方についてでございます。
これまで、私は、市役所みずからの徹底した行財政改革や、清掃工場の廃止など市民の皆様方と力を合わせた取り組み、公共事業の重点化によります市債残高の縮減などによりまして、健全な財政状況を保ってまいりました。一方、税源の涵養に向けまして、札幌と北海道の魅力を生かした産業振興策のほか、都市のにぎわいの創出や魅力アップなど、民間投資を誘発することで札幌経済の活性化に努めてきたところでもございます。
こうした努力の結果、少子高齢化や、あるいは生産年齢人口の減少などによります厳しい財政状況が見込まれる中にありましても、市有建築物の更新需要や、あるいは、冬季オリンピック・パラリンピック等の大規模な財政需要にも耐え得る持続可能な財政構造への転換を図ることができたと考えておりまして、これらの施策は今後の市政運営にもぜひ引き継いでいっていただきたい、このように考えているところでございます。
次いで、文化芸術行政についてでありますが、私は、文化芸術の力が、感動や共感、さまざまな刺激を生み、そして、人々の創造的な活動や発想をもたらし、生きがいや活力というものが生まれ、ひいては、地域課題の解決や経済をも牽引する力になる、こんなふうに考えてきたところでございます。このような考え方が札幌市の持続的な発展につながるという強い確信から、平成18年に創造都市さっぽろを宣言し、さまざまな取り組みを行ってきたところであります。
ご質問の文化芸術振興の観点では、特に、次代を担う子どもたちに対して、本物を体験し、感性を育んでもらいたい、そんな思いから、Kitaraファースト・コンサートや、あるいは子どもの美術体験事業などを行ってきたところでございます。また、地下鉄駅のコンコースや駅前通地下歩行空間を創造的に活用し、500m美術館の設置や、あるいは、国際芸術祭、アートステージを開催してまいりました。演劇に対しても、練習場所の確保や、演劇シーズンとして市民に広く鑑賞できる機会を提供してまいりました。このほか、文化芸術の拠点となります市民交流複合施設や博物館、遺跡公園など、将来への環境整備が途上となっておりますけれども、完成への道筋はつけた、このように思っているところでございます。
今後も、札幌が持つ文化芸術の資産を生かすことで、都市のブランドを形成し、都市の魅力を高め、市民がこのまちに誇りを持って暮らすことができる、いわばシビックプライド、これを醸成することになる、そんなまちづくりを後世に託していきたい、このように考えるものでございます。
創造都市さっぽろの取り組みについてということでございます。
1点目の創造都市さっぽろの取り組みの総括についてでございますが、社会基盤が充実し、成熟した札幌のまちが持続可能な発展を遂げていくためには、市民一人一人が持つ創造性を磨き、高め、発揮しやすい、そんな環境を整えることが大切であると考えて、先ほどお答えいたしました文化芸術振興のほか、さまざまな施策を展開してまいりました。
ここで生み出された市民の創造性は、例えば、ごみの減量化や節電といったエネルギー問題への対応などを初めとした社会的課題の解決に生かされて、その成果は、自分たちが札幌のまちをつくっているという市民の誇りにもつながってきたものと私は考えております。創造都市さっぽろの取り組みを進めることで、こうした創造性と誇りというものをあわせ持った市民力と言うべきものが強化をされまして、市民の力みなぎる、文化と誇りあふれる街・札幌がしっかりと実感できるようになってきたものと考えております。
2点目の創造都市さっぽろの取り組みを踏まえた札幌の進むべき方向についてでございますが、人口減少、超高齢社会など、今後も発生する困難な社会的課題を乗り越えるためには、市民力の結集ということが極めて重要であります。これからの行政は、高まりつつある市民の創造性をさらに発揮できるように、さまざまな支援をしていくことが重要であると考えております。このような行政の取り組みが、多様性を認める寛容な精神を持ち、新しい発想や行動を起こす札幌市民を育み、まちづくりの主役たるその市民が札幌の持続可能な発展を担っていくものと考えているものでございます。
ご質問の3項目めにございました丘珠空港についてお答えをさせていただきます。
まず、今後のHACの支援についてでございますが、HACは、道内航空ネットワークの中核を担う会社として、丘珠空港を拠点とした路線により、地域経済の発展や市民・道民生活の安定に欠かせない役割を果たしていると認識をいたしております。今後もこうした役割を担っていくために、HACの安定経営の状況などを見きわめるまでは、北海道とともに出資を継続するほか、丘珠空港の魅力向上や積極的なPRなど、利用促進の取り組みを通じて、引き続き側面から支援をしてまいりたいと考えているところでございます。
次いで、丘珠空港の活性化に関する今後の議論のあり方についてでありますが、丘珠空港の活性化を進めるに当たりましては、これまで、住民説明会の開催や騒音調査などの実施を通じまして、市民への積極的な情報提供や不安の解消に努めてきたところでございます。市政を運営する上で、私は、常々、市民こそがまちづくりの主役と訴え続けてまいりましたけれども、今後も、こうした考えをベースにいたしまして、市民や経済界などとともに、多様な角度から議論を深め、地域の環境を守りながら活性化を図る方策を検討し、取り組んでいくことが必要である、このように考えているところでございます。
4項目めにご質問がございました環境・エネルギー政策についてでございます。
この12年間、未来をつなぐ子どもたちに札幌のすばらしい環境を引き継いでいかなければならないという強い思いがございまして、環境・エネルギー政策を市政の重要課題に位置づけ、力を注いできたつもりでございます。市民とこの思いを共有し、市民一人一人が地球環境保全に取り組んでいく、そんな決意として、平成20年6月に環境首都・札幌を宣言いたしました。ごみの減量化や節電の取り組みでは、市民とともに考え、行動することで、篠路清掃工場の廃止や、東日本大震災以降の厳しい電力需給状況を乗り越えることになったと考えております。これは、市民力の結集の成果として札幌市民の大きな自信になり、これからのまちづくりの礎になると考えております。
また、札幌市議会におきましても、平成23年6月に原発に頼らないエネルギー政策への転換を求める意見書を、平成25年3月には原発に依存しない社会の実現と再生可能エネルギーの利用拡大を求める意見書をそれぞれ全会派一致で採択をされましたけれども、これは、私の目指すところと全く同じであるというふうに認識をいたしております。
今後も、札幌市まちづくり戦略ビジョンやエネルギービジョンなどの中長期的な指針に沿って、市民、事業者とともに、低炭素社会と脱原発依存社会の実現に向けた取り組みを着実に推進し、持続可能なまちづくりが進むことを期待しているところでございます。
8項目めにございましたスポーツ振興施策についてお答えをさせていただきます。
まず、上田市政におけるスポーツ振興施策についてでありますが、平成15年の就任以来、施政方針さっぽろ元気ビジョンとその実施計画でございます新まちづくり計画などに基づきまして、スポーツを通じたまちづくりに取り組んでまいりました。具体的には、冬季スポーツ国際大会の開催などを通じまして、市民の関心を高め、札幌の魅力を発信するウインタースポーツの活性化に努めてきたところであります。また、ソフト・ハードの両面から、誰でも、いつでも、どこでもスポーツを楽しむことができる環境づくりということを市民とともに進めてまいりました。さらに、札幌を本拠地とするプロスポーツチームと連携協力をいたしまして、スポーツの裾野を広げる、見るスポーツを推進するために、プロスポーツの積極的な活用に取り組んできたところでございます。
今後の取り組みについてでありますが、昨年2月、平成34年度までを計画期間といたします札幌市スポーツ推進計画を策定いたしたところでございます。この計画では、スポーツ元気都市さっぽろを基本理念に掲げまして、ウインタースポーツを初めとして、さまざまな施策を進めることとしているところでございます。
札幌は、毎年、多くの雪が降るところでありますが、私たち市民がこれを恵みと捉えることで、他の大都市が持ち得ない札幌の強みとすることができるものと考えております。これまで、ノルディックスキーの世界選手権を初め、多くの国際大会を経験いたしました。2年後には、札幌で3度目となります2017冬季アジア札幌大会が開催されることも、まさにその強みの象徴とも言うべきものだと考えております。さらに、豊かな経験と高い技術を持ったアスリートが多く在住していることも、札幌の貴重な財産と認識するものでございます。
したがって、雪と豊富な人材を最大限に生かし、次世代を担う子どもたちを育む活動などを進めながら、冬季オリンピック・パラリンピックの招致へ向けての取り組みを含め、さらなるスポーツの振興を図っていきたいと考えるものでございます。
私からは、以上でございます。
ありがとうございました。
○副議長(ふじわら広昭) 生島副市長。
◎副市長(生島典明) 私からは、2項目めの市有建築物の配置基本方針と学校規模適正化について、それから、6項目めの雪対策の現状と課題について、2項目についてお答えをいたします。
まず、市有建築物の配置基本方針と学校規模適正化についてでございますが、1点目の配置基本方針の方向性と学校統合との関係についてでございます。
学校規模適正化の取り組みは、クラスがえができないなど、学校の小規模化に伴う課題に対応するため、学校の統合などにより、望ましい学校規模を確保し、子どもたちに良好な教育環境を提供していこうとするものでございます。一方で、このたびの市有建築物の配置基本方針は、超高齢社会の到来を見据えた、歩いて暮らせるまちづくりを実現するため、現在の小学校区に相当するエリアを地域コミュニティエリアと位置づけた上で、この中に日常生活に必要な機能を配置し、小学校を拠点として多世代交流の場を創出しようとするものでございます。
したがいまして、基本的には、小学校の複合化により拠点を形成していくものでございますけれども、学校規模適正化の検討の中で、仮に統合により小学校がなくなる場合におきましても、そのエリアの実情に応じまして地域コミュニティーの拠点機能を確保していく必要があるものと考えております。
次に、2点目の学校統合や複合化に伴う跡施設の活用についてでございますが、それらの跡施設のうち、耐用年数が経過していないなど活用可能な場合には、さまざまな地域ニーズに対応するため、その実情に応じて、地域の団体や民間事業者を含めた多様な主体により跡施設を活用するなど、地域コミュニティーの活性化を図ってまいりたいと考えております。
次に、雪対策の現状と課題についてでございます。
これまで、札幌市におきましては、市民との協働による雪対策を進めてきたところでございます。例えば、公園などを地域の雪置き場として利用することや、学生や企業による砂まきや雪かきなどのボランティア活動が広がっていることなど、市民自治に基づく雪対策が実践されていると実感をしているところでございます。この流れを滞らせることなく、市民との対話を継続し、協働の取り組みや広報啓発活動を続けていくべきものと認識をいたしております。
このため、これまで実践をしてまいりました地域懇談会等のフォローアップを行いつつ、将来のまちづくりの担い手でございます子どもたちの雪への理解を深めることに重点を置いた冬みち地域連携事業を、平成27年度から新たに実施していく考えでございます。
次に、議員ご指摘のとおり、雪対策を取り巻く環境は急激に変化をしておりまして、時代の変化に柔軟に対応すべく、計画の見直しが必要であると認識をいたしております。このため、冬のみちづくりプランの各目標に基づく施策について、今年度、その成果の取りまとめにかかったところでございまして、平成27年度からこのプランの検証に着手してまいりたいと考えております。
私からは、以上であります。
○副議長(ふじわら広昭) 井上副市長。
◎副市長(井上唯文) 私から、5項目めの次期介護保険料と介護人材の確保について、7項目めの子どもの権利条例の課題と今後の取り組みについてお答えいたします。
まず、5項目めの次期介護保険料と介護人材の確保についての次期介護保険料増額の要因と増加抑制の工夫についてでありますが、要介護等認定者数の増に応じまして施設・在宅サービスの充実を図る必要があるほか、費用のうち、国が決める第1号被保険者の負担割合が引き上げられたことなどから、第1号被保険者全体で負担する費用は前計画に比べると21.1%増加しております。一方、費用を負担する第1号被保険者数の伸びは13.6%であり、費用の伸びのほうが大きいことから、1人当たりの負担額は増加することとなります。これらの費用を賄うために必要とされる保険料基準額は月額5,264円となりますが、介護給付費準備基金残高のほぼ全額である14億円を繰り入れることで5,177円に引き下げ、できる限りの負担軽減を図っているところであります。
札幌市としては、引き続き、介護保険制度の周知を図る中で、保険料についてもご理解をいただけるよう丁寧に説明を行ってまいりたいと考えております。
次に、低所得者層の負担軽減の圧縮についてであります。
低所得者の負担軽減につきましては、昨年12月に閣議決定された政府の基本方針に基づき、平成27年4月から、最も所得の低い保険料段階の方を対象に軽減を実施し、平成29年4月には対象者や軽減幅を拡大して実施する予定と認識をしております。
札幌市としては、低所得者の負担軽減に関して、これまで、国において必要な財源を確保し、実施するよう要望してまいりましたが、引き続き、基本方針に沿った負担軽減の着実な実施について、他都市と連携して国に働きかけてまいります。
次に、介護人材の確保策についてであります。
介護人材の確保につきましては、良質な介護サービスを安定的に提供していく上で、全国的に重要な課題であると認識をしております。平成27年度介護報酬の改定では、従来の介護職員処遇改善加算が1人当たり月額1万2,000円相当拡充されましたことから、札幌市としては、この加算が適切に運用され、職員の処遇改善につながることを期待しているところであります。
また、人材の確保策につきましては、現在、国の有識者会議において議論されており、国、都道府県、市町村、介護事業者等がそれぞれの役割に応じた主体的な取り組みを進めるための具体的な方策が取りまとめられることとなっております。札幌市では、介護職員等の定着を図る観点から、これまで働きやすい職場環境を整えていくための支援をしてまいりましたが、次期介護保険事業計画に基づきまして、来年度から事業所の雇用管理能力の強化に関する研修や採用力強化を支援する施策などにも取り組むこととしております。
次に、7項目めの子どもの権利条例の課題と今後の取り組みについてお答えをいたします。
子どもの現状やこれまでの取り組みの成果を検証するため、昨年1月に、子どもに関する実態・意識調査を実施したところ、特に、若い保護者世代で条例の認知度が低いことが明らかになりました。さらに、4割弱の市民が子どもたちの心や体がいじめ、虐待、体罰などから守られていないと感じているなど、子どもの権利を守るべき大人に子どもの権利の理解が進んでいないことが課題であると認識をしております。
そこで、今後の対応として、条例の理念をあらゆる子ども施策に反映させ、全ての市民により深く浸透させるため、次期子どもの権利に関する推進計画と新・さっぽろ子ども未来プランを一体的に策定しているところであります。特に、若い世代に対しましては、全市で行われております子育てサロンや親育ち応援団、また学校での家庭教育学級など関連する事業と連携し、普及啓発に努めてまいります。今後も、計画に基づき、市民とともにその施策に取り組み、子どもたちの自己肯定感の向上や自立した社会性のある大人への成長を支えるまちづくりを進めてまいります。
以上です。
○副議長(ふじわら広昭) 町田教育長。
◎教育長(町田隆敏) 私からは、9項目めのこれからの札幌市の学校教育についてお答え申し上げます。
国際化や情報化などの変化の激しい社会にありましては、子どもたちは、答えが一つとは限らない複雑な問題を乗り越えていく必要があり、知識を覚えるだけ、マニュアルどおりに行動するだけの力では十分ではございません。昨年4月から実施しております札幌市教育振興基本計画は、このような状況を踏まえ、さまざまな課題に果敢に立ち向かっていく自立した札幌人の育成を目標に掲げて策定したものでございます。この目標の実現に向けて、現在、各学校におきまして、雪、環境、読書などを切り口として、子どもがみずから疑問や課題を持ち、さまざまな情報を組み合わせながら粘り強く答えを探究していく学習を実施しているところでございます。
今後、市立札幌開成中等教育学校におけます課題探究的な学習のモデル研究を生かすなどして、札幌市教育振興基本計画の着実な推進に努め、子どもたちが生涯にわたって学び続ける力を育んでまいります。
私からは、以上でございます。
○副議長(ふじわら広昭) お諮りします。
本日の会議はこれで終了し、明日2月17日午後1時に再開したいと思いますが、ご異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○副議長(ふじわら広昭) 異議なしと認めます。
したがって、そのように決定しました。
――
――――――――――――――――
○副議長(ふじわら広昭) 本日は、これで散会します。
――
――――――――――――――――
散 会 午後4時34分
上記会議の記録に相違ないことを証するためここに署名する。
議 長 高 橋 克 朋
副 議 長 ふ じ わ ら 広 昭
署名議員 川 田 た だ ひ さ
署名議員 林 清 治...