資料3をごらんいただきたいと思います。
この資料は、昨年11月の
教育委員会会議において審議、決定した都心にふさわしい
図書館基本計画の内容をまとめた概要版でございます。この計画は、図書館の
事業計画などを明らかにしたものでございまして、この計画の内容を
管理運営基本計画に反映してございます。
それでは、資料に沿ってご説明いたします。
まず、都心の特性でございます。
商業施設や企業、
行政機関、
宿泊施設などが多数立地し、
商業機能や
業務機能、
文化芸術機能など
都市機能が集積する都心には、経営者や会社員などの
ビジネスパーソンを初めとする多くの市民に加え、観光や商用を目的とした来訪者などたくさんの人々が集い、情報の収集や交換が盛んに行われております。また、都心が札幌の顔として札幌の魅力やまちの情報を積極的かつたゆまず発信することは、情報を求める人々が都心に集うことにつながり、このことによって都心の魅力や活力について、なお一層の向上を図ることができます。
次に、都心にふさわしい図書館の性格と特徴でございます。
札幌市は、これまで、市内全域に40を超える
図書施設を設置し、市民の
読書環境の
整備充実を図ってまいりました。一方、少子高齢、
人口減少社会の到来、そして
経済規模の
減少傾向並びに技術革新に伴う
情報ネットワークの変化など、市民を取り巻く
社会状況は変化を続けてございます。こうした中にありまして、市民が必要とする知識や情報の範囲は広がってきており、今後の図書館は、
読書活動を支援するだけでなく、市民の生活や活動に役立つため、調べる、学ぶを支援する生涯学習の拠点であることが求められております。
以上のことを踏まえまして、
整備基本計画において、都心にふさわしい図書館の性格と特徴を次のとおりといたしました。
この図書館は、市民の調査、相談に対し、資料や情報を提示する
レファレンスサービスに重点を置くことにより、仕事、そして暮らしなど、さまざまな活動における課題の解決を情報面から支援する
課題解決型図書館として整備いたします。そのため、法律、経済、政治、産業などの仕事に役立つ資料や情報を提供するほか、医療、福祉、教育などの暮らしに役立つ資料や情報も提供いたします。加えて、市外からの来訪者が札幌の魅力を端的に理解でき、また、市民が札幌の魅力を再認識できるよう、
文化芸術、歴史、自然を初めとする札幌の魅力を発信いたします。あわせて、利用者の調べ物や利用者間の交流を促進、支援するために、多彩な
閲覧スペースと利便性の高い設備を備えることで都心の
知的空間にふさわしい環境を創出してまいります。
したがいまして、限られたスペースの中に仕事や暮らしの
課題解決に役立つ資料や札幌の
魅力発信のための資料を配架するため、文学や児童書は配架いたしません。また、資料の閲覧、
貸し出しにつきましては、利用者がいつ来館しても十分に調査研究できるよう
館内閲覧のみとさせていただき、
貸し出しは行わないこととしております。
次に、市民が抱えるさまざまな課題でございますが、
整備基本計画を踏まえて、平成25年秋に、
市内事業者、市民、そして
図書館利用者に対し、都心にふさわしい
図書館整備のための
アンケートを行い、この図書館で力を入れて提供してほしいと思う情報や
サービス内容について調査いたしました。この
アンケート結果に基づき、市民がこの図書館に求める情報を反映させたものが、左側の中段にある表の課題例でございます。
市民が抱えるさまざまな課題について、図書館がその解決を支援するためには、次の三つの機能を備えることが必要と考えております。
四角い枠で囲まれている部分をごらんいただきたいと思います。
一つ目の機能は、
調査相談機能、
レファレンスサービスでございます。
利用者の
課題解決のための相談に応じ、必要な資料や情報を効率よく探すことができるよう援助し、加えて、
データベースの使用方法なども案内いたします。
データベースは、膨大な情報量を過去にさかのぼって網羅的に検索でき、調べ物の効率を高めることができますので、
課題解決の情報源として大変有効でございます。
レファレンスサービスの例としては、例えば、
女性向けの
不動産会社を始めたいという起業についての相談に対しては、
不動産会社設立のための手続などの基礎知識を得るための資料や、
女性向け不動産のニーズを把握するための
データベースによる
マーケティング情報を提供いたします。さらに、
不動産市場の動向を把握するため、
不動産関係の業界雑誌、業界紙、関係する調査書や統計書などを紹介いたします。
二つ目の機能は、
関連機関・
相談窓口の
案内機能、レフェラル
サービスでございます。
これは、図書館が貯蔵する資料や情報では解決できない課題について、専門的な情報を持つ
関連機関や
相談窓口を案内する
サービスのことを言います。
関連機関とは、例えば、仕事に関する情報については、経済局など
市関係部局のほか、
金融機関、
中小企業支援センター、
中小企業診断協会など、また、暮らしに関する情報については、
保健福祉局など
市関係部局のほか、
弁護士会や
行政書士会などが想定されます。
三つ目の機能は、
図書館相互の
ネットワークを生かした
資料提供機能です。
図書館同士の
相互協力関係を積極的に活用することにより、札幌市の
図書施設が所蔵していない資料については、
国立国会図書館を初めとする全国の図書館から探し出し、提供いたします。加えて、これらの機能を充実強化するためには、専門性の高い図書や特殊性の高い新聞、雑誌などの豊富な情報をそろえること、
関連機関との緊密な連携を図ること、また、
利用者ニーズに的確に対応し、必要な資料や情報を探し出すことができる司書の
専門能力の向上を図ることが必要であると考えております。
2
事業内容については、
整備基本計画で定めたこの図書館の三つの役割に沿ってご説明いたします。
一つ目の役割の仕事や暮らしに役立つ情報の提供に関する
取り組みでは、仕事や暮らしに関する
課題解決に役立つ資料を提供いたします。また、高
機能ホールや
アートセンターと連携し、国内外の
文化芸術に関する資料なども提供いたします。さらに、仕事や暮らしに関する市民の課題を想定し、その課題を解決するために必要な情報を効率的に入手するための手順を紹介する
情報ガイドを作成いたします。また、
関連機関との
連携相談窓口、
各種支援セミナーの開催では、例えば、起業や経営、医療、介護や相続など、テーマに関係する
連携機関による
個別相談の実施や
各種セミナーの開催を想定しております。図書館は、相談の際に必要となる資料を提供したり、
セミナー受講者の関心に応じた資料を用意したりして、利用者のニーズに対応した課題の解決を効果的に支援いたします。そのほか、
情報リテラシーセミナー、すなわち受講者の
情報活用能力の向上を図ることを目的とする
セミナーの開催や、
各種データベースの操作方法や
活用方法をアドバイスする
セミナーの開催なども予定しております。
次に、二つ目の役割の札幌の
魅力発信に関する
取り組みでは、札幌についての理解を深めるための資料や
情報提供を行います。
札幌に関連する資料として、例えば、市史、地域史などの図書や映像、音声などをデジタル化し、
文化芸術、歴史、自然などテーマ別に沿った編集を行いまして、札幌をさまざまな側面から知ることができる
デジタルアーカイブを構築いたします。また、
デジタルアーカイブを含め、さまざまな資料を用い、札幌や北海道に関する情報を展示いたします。
次に、三つ目の役割の
知的空間の創出に関する
取り組みでございます。
都心にふさわしい図書館は、いつ来館しても十分な情報を入手できるよう資料は館内での閲覧のみとさせていただきますので、十分な
閲覧スペースを確保いたします。複数の利用者が共同で調べ物や仕事を行うことができる
コワーキングスペースを設置するなどして、利用者の交流を支援する空間をつくります。さらに、1階に設置される予定のカフェや
アートセンターにも図書を持ち込むことができるようにいたします。その他の
取り組みとしては、
関連機関との連携に加え、図書館の
各種事業へのボランティアの参加や
デジタルアーカイブの作成に際しては、写真や映像の収集や編集への協力など、
市民参加を求めることを検討しております。また、ホール、
アートセンターとの連携として、図書館は、これら
施設利用者の関心に応える資料についても配架し、ホール、
アートセンターは、図書館が
イベントを行う際に必要な諸室、例えば
セミナー室などを提供いたします。このように三つの施設が互いに関連を持ち、
複合施設のメリットを生かすよう連携してまいります。
続きまして、3
中央図書館との役割分担でございます。
都心にふさわしい図書館は、仕事や暮らしに役立つ資料や札幌の
魅力発信のための新鮮な資料を収集し、
中央図書館は、長年にわたり収集した一般書、
参考資料、
郷土資料など、幅広い分野の資料を抽出し、保存いたします。都心にふさわしい図書館は、仕事や暮らしの
課題解決、そして、札幌の
魅力発信に役立つ資料のほか、最新の新聞や雑誌を多数用意いたします。特に、仕事に関する情報として、各分野の市場動向を知る上で有用な業界紙を充実させます。
最後に、4 管理・運営でございます。
課題解決型図書館としての
中核機能となる
レファレンスサービスには、
中央図書館が長期にわたり継続的に収集、整理した資料や、これまで蓄積してきた大量の調査、
相談事例の活用が不可欠でございます。また、札幌の
魅力発信サービスの核となる
デジタルアーカイブの構築にも、長年、収集した資料の活用や、
研究者等との継続的な
連携協力関係が必要でございます。したがいまして、この図書館が、市民の
課題解決を支援し、札幌の魅力を発信するためには、
中央図書館の資料、情報面、そして
サービス面における一体性の確保が不可欠であることから、直営による運営が必要であると考えております。
なお、コスト面からの効率性も考慮し、一部の
提携業務については、委託化や機械化についても検討してまいります。
それでは、再び資料1に戻っていただき、4ページ目をごらんいただきたいと思います。
資料左側の一番下にございます第5章
収支計画でございます。
図書館は、
図書館法第17条の規定により、入館料、その他
図書館資料の利用に対するいかなる対価をも徴収してはならないとされておりますので、特段の収入はございませんが、効率的な運営を心がけてまいります。
右側の第6章
開館準備計画ですが、開館までのスケジュールとしては、平成30年3月の竣工を予定しておりまして、その後の設備確認などを経まして、30年10月のオープンを目指しております。
本計画(案)は、2月16日から3月17日まで
パブリックコメントの実施を予定しており、その手続を経て今年度中に策定する予定でございます。
○
宗形雅俊 委員長 それでは、質疑を行います。
◆
小竹知子 委員 まず、私からは、
課題解決型図書館の意義について伺いたいと思います。
ただいまご説明がありましたように、このたび、
市民交流複合施設の
管理運営基本計画が立てられまして、その中で都心にふさわしい図書館の
基本機能として、
課題解決型図書館という言葉が初めて使われています。平成25年度のこの施設の
整備基本計画では、オンリーワンライブラリーという言い方がされていました。そのときは、これまでの1区1
図書館構想による
図書館整備は完成しており、蔵書の種類や機能を特化したことをもって、それまで整備していた図書館とは異なる性格のものであることからオンリーワンであるというご説明でありました。
このたびの
課題解決型図書館という言葉は、そのオンリーワンの機能をより具体的に表現したものと受け取れますが、
課題解決型の図書館がなぜ必要とされるのか、まず伺います。
◎江本
中央図書館長 課題解決型図書館の意義についてでございます。
生産年齢人口の減少に伴う
経済規模の縮小、超
高齢社会の到来に伴う
地域課題の多様化など、札幌市を取り巻く
社会環境は大きく変化しております。これらの変化に対応して、市民が必要とする情報の範囲も拡大してございます。このような認識に基づきまして、平成24年1月に策定しました第2次札幌市
図書館ビジョンでは、今後の図書館の役割としまして、市民の
読書活動を支援するだけではなくて、市民の調べ物や学びに役立つとともに、新たな活動が豊かに広がるように支援する知の拠点となることを掲げてございます。図書館では、図書のほか、雑誌、新聞、
データベースなど、さまざまな課題の解決に必要となる情報を収集、保存しておりまして、これらの情報に関する
専門知識を持った司書が市民の
課題解決に役立つ情報を提供するほか、必要となる情報を貯蔵していない場合などは専門的な情報を持つ
関連機関等を紹介しております。
これらを踏まえ、都心にふさわしい図書館は、都心に集う
ビジネスパーソンを初めとする多くの人々を対象に調査、相談に応じ、仕事や暮らしに役立つ情報を提供する
課題解決型図書館として整備することといたしました。
◆
小竹知子 委員 ただいまのご説明を伺いまして、これまでの
貸し出し機能に重点を置いた図書館とは相当イメージが異なるものになるだろうということを理解いたしました。
続きまして、
市民交流複合施設は、北1条通と創成川通に面しており、多くの
ビジネスパーソンや観光客が行き交う場所であります。また、28階建ての民間の高層ビルとともに、札幌の新たな
ランドマークとなるような建物になろうかと思います。このような札幌の中心部において、多くの人々が集まり、交流できる空間ができて、そこにまちの
にぎわいが創出されることも、この
複合施設の大変重要な役割であると考えます。
課題解決機能を基本とする図書館ということですが、この図書館において、どのようにして都心の
にぎわいをつくっていくお考えなのか、また、それによりどの程度の利用者を目指しているのかということを伺いたいと思います。
◎江本
中央図書館長 図書館における
にぎわいの創出、
利用者見込みについてでございます。
この図書館は、主に1階で札幌の
魅力発信、2階で仕事や暮らしに役立つ
情報提供の機能を担うこととしております。具体的には、1階では、
デジタルアーカイブを活用して、
文化芸術や歴史、自然など、札幌や北海道の魅力を紹介いたします。また、カフェや
アートセンターの
オープンスタジオでも図書や雑誌を閲覧できるようにいたします。2階では、
利用者同士の交流の場となる
コワーキングスペースを設置するとともに、静かに読書や調べ物ができる閲覧席も設置いたします。このように、都心にふさわしい質と落ちつきを兼ね備えた
知的空間を整備することで、
ビジネスパーソンを初めとする多くの市民のほか、観光や商用で訪れる人々にも利用していただけるものと考えております。さらに、仕事や暮らしに役立つ
セミナーなどの
イベントの開催や、ホール、
アートセンターと連携した
事業展開などにより、一層の集客力の向上を図ることで、都心の
にぎわいの創出に貢献してまいりたいと考えております。
次に、利用者の見込みについてでございますが、本計画では、
市民交流複合施設全体として100万人の
年間来場者を目標としております。このうち、図書館は、面積が類似する
地区図書館の
年間来館者20万人程度を基礎としまして、より多くの集客が見込まれる都心に立地することなども考慮し、さらに10万人以上を見込むことで、年間30万人以上の来場者を目標としております。
◆
小竹知子 委員 続きまして、この図書館の設置について伺いたいのですが、札幌市では、
中央図書館と
地区図書館については、
図書館法に基づいて
図書館条例で設置されており、
区民センター図書室は
教育委員会、
地区センター図書室は教育長が設置するとなっています。この図書館は、レファレンスなどの調査、
相談業務が重要であるという説明が先ほどございましたけれども、高度な
図書館サービスを発揮していきたいということではないでしょうか。そうであれば、法律上も、
中央図書館と同様に、
図書館法に定める
公立図書館としての設置をすることになるのだと思います。
公立図書館は条例で定めるということになっておりますが、
設置条例はいつごろの制定を考えておられるのか、また、その場合の
市民交流複合施設の
設置条例との関係はどのように整理されるのか、さらには、施設の名称についても、都心にふさわしい図書館という名称についてはどのように考えていらっしゃるのか、公募なども含めてどのように検討されていくのか、伺います。
◎江本
中央図書館長 設置条例と名称についてでございます。
都心にふさわしい図書館は、
施設規模が
地区図書館と同程度でございまして、また、
中央図書館との一体的な運営を確保することが必要な
レファレンスサービスを提供することとなっておりますので、
中央図書館、
地区図書館と同様、
図書館条例で設置することを想定しております。
図書館条例の改正時期につきましては、
市民交流複合施設の
設置条例案が平成27年第2回
定例市議会で提出される予定でございます。この二つの条例の関係性も含めて、現在、
関係部局と調整しながら検討を進めているところでございます。
次に、名称については、今後の
検討課題でございますが、図書館という名称にこだわらずに、都心にふさわしい図書館の機能をよくあらわす名称も選択肢の一つかと思って、今、検討しているところでございます。
◆
小竹知子 委員 予定していなかった質問ですが、開館時間と休館日については、
図書館条例で相当に縛られるものなのでしょうか。都心にありますので、利用者の流れとか利用時間を相当考える必要があるのではないかと思うのですけれども、いかがでしょうか。
◎江本
中央図書館長 開館日、開館時間も非常に大きな課題でございまして、実際の利用者を想定しながら、
複合施設全体の開館時間との関係も考えなければいけないので、これからという状況でございます。
◆
小竹知子 委員 最後になりますけれども、これまで整備してきた図書館の
サービス網の中に都心にふさわしい図書館が組み込まれることで、
サービスに一層の広がりが生まれ、新たな利用者がふえることを大いに期待したいと思います。また、
中央図書館と役割を分担してそれぞれの機能をしっかりと発揮し、都心を訪れる人たちはもとより、多くの市民に有効活用されるようさまざまな工夫を考えていっていただきたいと思います。
さらに、この図書館と
市民交流複合施設全体が都心部の
にぎわいの創出、活性化につながるように計画を進めていただくことを強く求めまして、私の質問を終わります。
◆
小川直人 委員 私からは、都心にふさわしい図書館の
情報提供機能及び運営について質問させていただきます。
まず初めに、
計画策定の過程における
市民意見の反映について伺います。
ただいま説明がありました都心にふさわしい図書館は、平成10年に採択されました都心にふさわしい
図書館建設に関する陳情が
市民交流複合施設の中に実現したものであります。今、改めてその陳情の趣旨を見てみますと、文化の拠点として、
レファレンスサービスの充実や
ビジネスライフライブラリーを兼ね備えた図書館を都心部に求めるという内容であります。さらに、平成20年には、
市民交流複合施設内に
都心型図書館の設置を求める陳情も、
図書館づくりを進める
市民団体から出されております。このような経緯を持つ図書館でありますので、平成25年の
整備基本計画のときも、我が会派は
市民意見をきちんと反映していくことを求めてまいりました。その際には、
パブリックコメントを実施する予定であるとの答弁があったところであります。
そこで、質問ですが、
整備基本計画策定の後、
管理運営基本計画に至るまで、どのような方法で
市民意見を反映してきたのか、お伺いいたします。
◎江本
中央図書館長 都心にふさわしい図書館の
情報提供機能、運営にかかわる
市民意見の反映方法についてでございます。
この計画の策定に当たりまして、
学識経験者や
関係団体の代表などを委員とする(仮称)
市民交流複合施設検討会議を開催しまして、施設全体の
管理運営等について専門的な立場から意見をいただいておりますが、これとは別に、都心にふさわしい図書館に関しては、
整備基本計画の内容を踏まえまして、平成25年秋、市民、
市内事業所を対象に
アンケートにより
ニーズ調査を実施して、この図書館に求められる情報や
サービス内容等を把握し、計画に反映させております。さらに、平成26年夏以降、
図書館情報学、
ビジネス支援、
まちづくり分野の専門家などの有識者による都心にふさわしい図書館を考える懇談会を開催しまして、この図書館で主に提供する具体的な
サービス内容について専門的なご意見をいただいたほか、
学識経験者や
公募市民等から成る
図書館協議会でも、ホールや
アートセンターとの連携を含め、この図書館の
事業展開の
あり方等についてご意見をいただき、計画に反映させております。以上のとおり、さまざまな機会を捉えまして
市民意見の反映に努め、
管理運営基本計画(案)を策定してまいりました。
なお、この計画についても、本委員会での報告後、
パブリックコメントを実施する予定でございます。
◆
小川直人 委員 これまで
学識経験者の
検討委員会、
市民アンケート、懇談会といった場面でいろいろ意見を聞き、今回の計画に反映してきたという報告でありました。
次に、
情報提供機能としての電子コンテンツの活用についてお伺いしたいと思います。
昨年10月27日から、札幌市の図書館では電子書籍の
貸し出しが始まっております。情報環境や出版状況が変化する中で、我が会派では、平成23年度の電子図書館の実証実験のときから、図書館における電子書籍やデジタルコンテンツの積極的な提供について提言し、図書館の
取り組みを評価してきたところであります。
このたび、都心にふさわしい図書館におきましては、札幌の
魅力発信の部分で、
デジタルアーカイブの構築があり、また、蔵書冊数が6万冊という規模の中で
課題解決型図書館となると、紙資料のほかに
データベースなどのデジタルコンテンツを有効に活用することが重要と考えております。平成30年度の開館まで、技術的な進展も考慮に入れなければなりませんが、
事業内容にある資料・
情報提供の機能を果たす上で、都心にふさわしい図書館におけるデジタルコンテンツ活用の考え方についてお伺いいたします。
◎江本
中央図書館長 デジタルコンテンツの活用についてでございます。
仕事や暮らしに関するさまざまな
課題解決を支援するためには、多くの資料、情報が必要でございます。また、近年、情報メディアの紙媒体から電子媒体への移行が進んでおりますので、委員のご指摘のとおり、デジタルコンテンツの積極的な活用が不可欠であると認識しております。特に、雑誌記事、法令、学術論文、企業情報など、情報量が膨大で紙資料では目的の情報を探し出すまでに多大な時間と労力を要するものについては、検索性にすぐれた
データベース等のデジタルコンテンツの導入が必要と考えております。また、札幌の魅力を紹介する
デジタルアーカイブについても、文字だけでなく、映像や音声を活用した魅力の効果的な発信が可能であり、さらに、インターネット上での公開や横断的な情報の検索なども可能となります。
今後も、デジタル
ネットワーク技術の進歩により、デジタルコンテンツを活用した情報
サービスの可能性がさらに広がることが期待されますので、引き続き積極的な導入について検討を進めてまいりたいと考えております。
◆
小川直人 委員 ただいまの答弁で、デジタルコンテンツの積極的な活用が必要だということで、これからも取り組んでいかれるということの認識が示されました。
次に、高
機能ホール、
アートセンターとの円滑な連携についてお伺いいたします。
ホール、
アートセンターとの
複合施設であることのメリットを生かした連携という説明がありましたが、開館時間や開館日については、図書館目的の利用者だけでなく、ホールに来た観客の図書館利用も考慮する必要があると思います。施設の図面を見ますと、
アートセンター部分と図書館部分が接しており、利用者も施設を横断的に行き来することと思いますし、そのようなフロア構成をメリットとして施設・設備の相互利用も考えられるところであります。
しかし、運営主体を見てみますと、図書館は、専門性の高い
サービスを遂行する上で直営との説明がありました。一方で、手元の資料には、ホールや
アートセンターは指定管理者によるものとあります。同じ施設の中で運営主体が異なることで円滑な連携に支障が出ないようにしなければなりませんし、そのための仕組みが必要だというふうに思います。
そこで、質問ですが、ホール、
アートセンターとはどのような連携を考えているのか、また、その連携のための調整方法についてはどのような仕組みを考えているのか、お伺いいたします。
◎江本
中央図書館長 ホール、
アートセンターとの円滑な連携についてでございます。
ホール、
アートセンター、図書館という三つの
複合施設であることのメリットを十分に生かすために、3者で定期的な連携会議を開催することを検討しております。この会議において、連携事業の内容について企画、検討するほか、それぞれの事業に係る開催日程、PR方法などについて調整などを行ってまいりたいと考えております。今後とも、3者間の連携がより確実なものとなるよう、引き続き、ホール、
アートセンターを所管する文化部と調整してまいりたいというふうに考えております。
◆
小川直人 委員 今、3者会議を行って連携を図っていくということでありましたので、さらにそれぞれの機能を高め、利用者の利便性を高めるため、ぜひ、3者の連携をしっかりやっていただきたいというふうに思います。そして、この計画につきましても、先ほどの答弁で、今後、
パブリックコメントを実施するということでした。これまでも
市民意見の反映に努めてきたとのことでありますが、新たな
サービスを行う図書館でありますから、さまざまな関係者や連携先の意見も聞きながら計画の具体化を進めていただきたいと思います。
また、都心部の図書館は、その立地からも、特に
ビジネスパーソンにとっては期待が大いに膨らむものでありますので、
複合施設全体が都心の新たな魅力となるよう検討を進めていっていただきたいと思います。そのことを申し上げて、質問を終わります。
◆涌井国夫 委員 私からも、特にビジネス図書館という視点で質問いたします。
都心にふさわしい図書館については、我が会派も、長年にわたる調査研究を通じて、札幌市民に役立つ図書館の機能として、
ビジネス支援図書館を都心に設置するよう何回も求めてまいりました。多くの
ビジネスパーソンが活躍する都心におきまして、
ビジネス支援機能の充実を図る上で、本市の企業または起業家の支援を推進する意義は極めて大きいというふうに思います。
平成20年でしたか、都心のまちづくりの中で、
ビジネス支援を目的とした図書館機能について検討するというふうに回答がございました。我が国の
ビジネス支援図書館の経緯は省きますけれども、平成25年の
市民交流複合施設整備基本計画の公表の後、
中央図書館では、
ビジネス支援サービスの考え方、機能、コンセプトなどについては十分に調査検討を重ねられてきたというふうに思います。
そこで、都心にふさわしい図書館は
課題解決型図書館という説明でございますけれども、その中で
ビジネス支援機能を展開するに当たって、全国の
ビジネス支援図書館との違い、特に札幌ならではの特徴があればお伺いしたいと思います。
◎江本
中央図書館長 ビジネス支援における札幌市の特徴についてでございます。
他都市における
ビジネス支援図書館では、従来の
貸し出しを中心とした一般的な図書館に、今お話のあった
課題解決機能、
ビジネス支援機能を付加しておりますけれども、札幌市は、市内に40を超える
図書施設を配置して
貸し出し機能を重視した
図書館サービス網を充足させていることなどから、都心にふさわしい図書館は、他都市に余り例のない調査相談、
情報提供機能に特化した図書館として整備することとしております。その上で、都心の特性を踏まえ、
ビジネス支援に関する重点的な
取り組みを行うことを検討しております。
また、この図書館は、商業・
業務機能が集積する都心の中でも、特に、商工会議所や
中小企業支援センター、札幌市経済局などの
ビジネス支援関連機関と近接しているという特徴もあるため、他都市に比べ、
ビジネス支援の展開に当たり、
関連機関との緊密な連携を図りやすいメリットがございます。
◆涌井国夫 委員 ビジネス関係の調べ物をする際の手順を示した本格的なパスファインダーの資料を提供する機能も構築すると思いますけれども、本格的なパスファインダーの資料提供ができる機能の構築をぜひお願いしたいと思います。
さらに、図書館における
ビジネス支援については、創業起業家支援あるいは就労支援などがありますが、このほか、現在、仕事をしている
ビジネスパーソンにとっても、この都心にふさわしい図書館が毎日の仕事を進めていく上で大変有益なものになっていくものと考えられます。また、近年のインターネットの普及によりまして情報の差別化が重要になりますが、経営環境を支えていく上で図書、資料、
データベース等の活用というのは大変重要でございますので、都心にふさわしい図書館は、それらの情報源として
ビジネス支援の意義は極めて高いというふうに思います。特に、我が国の成長戦略を考えた場合に、女性の活躍ということでは、今、テレワークという新しい分野の仕事もふえてきているようでありますし、また、若者の斬新な発想で起業を促す支援もぜひとも必要だと考えます。
そこで、都心にふさわしい図書館の機能あるいは特徴についてお伺いしたいと思います。
◎江本
中央図書館長 都心にふさわしい図書館の機能と特徴についてです。
先ほど来、
課題解決型図書館の機能、特徴についてお話ししてまいりました。その中で、今般、都心の立地ということもありまして、
ビジネス支援に力を入れていきたいというふうに考えております。
ビジネス支援において、これからの社会情勢を考えたときに、一人一人の市民の力をいかに引っ張り出すかということが大切だと思っております。そういった点において、この図書館がその支援をしていく力を発揮することで、その一つ一つの成果として札幌市の経済の活性化につながればいいかなというふうに考えておりまして、そのための資料、
データベース、雑誌、業界紙といったものの充実を図ってまいりたいと思います。また、こういった資料、情報の活用について、図書館というのはお金がかかりません。そういう意味で、志、夢の実現に向けて市民が本当に力を出せるように支援していきたい、このように考えているところでございます。
◆涌井国夫 委員 日本は、中小企業で働く人たちがほとんどでございますが、中小企業の創業率は国際的な比較からして極めて低いわけでございます。日本の新しい発想を持った人たちが、この図書館機能を利用して札幌らしい企業を創業するばねとなることが、非常に大事だと思っているところでございます。
国際化の中で、札幌人としての誇りを持った情報の発信力が重要だというふうに思います。ビジネスにおいても、国際感覚を持って、情報、アイデアを海外に発信していくことが必要ではないかと思います。また、私は、多くの大学が集積している札幌の都心の中で、海外の学術交流も極めて盛んだと認識しております。さらに、留学生も来るわけでありまして、札幌での開催
イベントなど、観光、芸術の面でも国内外の多くの来訪者が来ると思われますので、札幌市が持つポテンシャルを生かした都心にふさわしい図書館になるように期待しているところでございます。
経済あるいは産業関係の機関、団体との連携の必要性については、
整備基本計画の際にも申し述べましたけれども、札幌らしい
ビジネス支援のあり方を考えるときに、国際的な視野を持った大学等の学術機関も含めた連携についても大切な要素だというふうに思いますが、どのように考えているのか、お伺いしたいと思います。
◎江本
中央図書館長 委員のお話にありましたけれども、今日のビジネス活動については、国際的な視点が常に求められているというふうに認識しております。
これまでの図書館は、市内の大学や、先ほどのお話に出ていた経済団体といったところと連携して
セミナーの共同開催などをやってまいっております。これらの連携先は、国際的な学術交流や、海外における
事業展開を行う企業に関する情報を保有しておりますので、
ビジネス支援をどうするかというときに、これらの研究成果や海外における経済的活動に役立つ情報を国際的な視点に立ってどのように生かしていけるのか、そういった観点から検討を続けてまいりたいというふうに考えております。
◆涌井国夫 委員 都心にふさわしい図書館の
事業計画をお聞きいたしまして、札幌市の都心に新しい図書館ができることによって、札幌市民にとって、仕事あるいは暮らしが豊かになり、一層の魅力ある都心が構築されることを願っております。
最後となりますけれども、先ほども触れましたネーミングについてです。都心にふさわしい図書館というのは随分かたいものですから、愛称についても、多くの市民にも公募して、その中で、皆様方が都心に行ってみたいと思われるような魅力あるネーミングにぜひとも取り組んでいただきたいというふうにお願いして、終わります。
◆坂本恭子 委員 私からも、何点か伺います。
説明もありましたし、事前に計画書を読ませていただきましたが、今の委員会のやりとりの中だと、
ビジネス支援ということが随分強調されているように思います。そもそも当初に説明があったのは、もちろん
ビジネスパーソンもそうですが、市民あるいは海外、道外から来た方も含めた来訪者も利用対象ということで、読書支援ではなくて、
課題解決型の
情報提供・発信がメーンになっていくのですという説明を受けたつもりでおりました。そして、札幌市
教育委員会が所管する
図書館条例に基づく図書館の範疇の中で、それに特化した
情報提供・収集をしていくのだと理解していました。それはそれで、もちろんそういうニーズもあるのだろうなと理解はしていましたけれども、今までのお話でいきますと、まさに
ビジネス支援に特化するような印象を非常に受けます。
しかし、当初のご報告、あるいは、前段にあったような説明の中身では、例えば、医療とか暮らしとか、この中には子どもの教育問題、あるいは、債務、相続に関するような市民生活にかかわるいろいろな分野についても、資料も置くし、機関に対するつなぎもやっていくのだということだと思っていました。
今までのお話の中で、もちろん、これはこれからの
図書館づくり具体化の中で取り入れられていくわけですけれども、
ビジネス支援ということが最重点の役割として都心にふさわしい図書館がつくられるのかどうなのか、まず、その点について確認させてください。
◎江本
中央図書館長 今回整備する
課題解決型図書館ですが、読書というよりは、利用者の調査研究に応える施設として専門特化しますというお話をさせていただきました。その上で、立地する場所が都心ということなので、利用者の想定の中で
ビジネスパーソンが多いだろうといった観点において、私どもが行う
取り組みがビジネスに重点を置いたものとなるだろうと考えて準備をしております。そのことが、先ほど来お話ししていたように、これからの社会における市民に対する支援として必要になるだろうというふうに考えているということでございます。
◆坂本恭子 委員 ですから、それが柱になってしまうということなのですか。
◎江本
中央図書館長 ちょっと説明が足りなかったと思います。
ビジネス支援が重点的な
取り組みになります。しかしながら、
ニーズ調査でお話ししたとおり、多くの市民には、健康とか介護とか、そういった暮らしにかかわる情報についても調べなければいけないと。
社会状況の変化を考えれば、そういうニーズがあるだろうということも否定できませんので、そういった課題に対して
情報提供をすることもあわせて行わなければいけないというふうに考えております。
◆坂本恭子 委員 否定できないのではなくて、市民の要求はそこにあると
ニーズ調査の中で出てきていることがまず一つです。
それから、都心にふさわしい図書館だから、
ビジネスパーソンが利用するだろうと、それは当たり前のことですよ。
ビジネスパーソンが利用することイコール、それが起業支援だったり、中小企業関係の施設が近隣にあるからそことのつなぎをやっていく、そういう利便性もあるのだということだと思います。私は、ここに書いてあるように、文学は必要ないです、それはどこかの別の図書館で、あるいは、本屋で買うからいいというようなことではなくて、都心部でお仕事をしている方、あるいは、これからお仕事をしようと都心にやってくる方たちが、もうちょっときめ細かくいろいろな選択ができるような図書館があっていいと思うのです。
まず、
貸し出しをしないということですが、大通の
貸し出しカウンターがあるので、そちらに集約されるからいいというお考え方なのかもしれません。文学書、児童書は配架しないということ、それから、配架しているものについても
貸し出しはしないのだ、しても1階のカフェか
アートセンターのフロアということですね。まず、そのことについて、どういうふうにお考えになるのか、伺いたいと思います。
貸し出し機能は一切ないということでしたけれども、
中央図書館との連携というお話が先ほどありましたが、他の
地区図書館などとの連携も含めて、札幌市内でどういう
ネットワークをつくっていくのか。それから、これはほかの
地区図書館でもやっていると思いますが、全国の図書館とか、先ほどお話が出た大学の図書館との連携ということについても、私は、まさにそれが都心にふさわしい形であるべきだと思うのですけれども、この点についてはどういうふうにお考えになっているのか、伺いたいと思います。
◎江本
中央図書館長 課題解決型図書館に特化するという話については、先ほど来ご説明申し上げているつもりですが、これまで、札幌市は、きめ細かな
サービス網を整備してきておりまして、市民の
読書環境の充実は行ってきております。また、今般の計画の内容を決める際に、さまざまな意見、陳情もございましたし、
図書館協議会、有識者懇談会での議論などを踏まえて特化させるというように決めてきたものでございます。
それから、先ほど大通の
サービスセンターのお話がございました。新しい図書館は、閲覧がベースになっているので
貸し出しはしません。しかしながら、都市間
ネットワークの中で考えたときに、そこにある閲覧対象の図書がほかの
図書施設にある場合は取り寄せることも可能でございます。さらには、都心における利便性の向上とか
にぎわいの創出という観点から、大通の
サービスカウンターと同じような機能の設置についても検討していきたいというふうに考えております。
◆坂本恭子 委員 そういうところこそ充実させていただきたいなということが私の申し上げたいことです。
貸し出しについては、大通の
サービスカウンターだけではなくて、今度できる都心にふさわしい図書館の中でもやるということですから、予約申し込みをして、取り寄せ、受け取りが可能だということはわかりました。
ただし、先ほどから、デジタルコンテンツ、
デジタルアーカイブというように、紙ベースではないものでどうやって情報を収集し、集積し、また発信していくのかという議論がずっとありましたが、図書館のお仕事をなさっている皆さんはわかると思うけれども、紙ベースの本というものを手にとって、そして、それを見ながらいろいろな興味・関心が湧いていって、これも借りよう、これに関連するからこれも借りよう、あるいは調べてみようとなるのだと。それは、読書支援というより、調べる、学ぶということで新しい形の図書館という言い方を皆さんはなさいましたが、だからといって、それで文学書を置かない、児童書を置かないということにはならないと思います。もちろん、面積的な制限や何かもあると思うけれども、そういうふうに思っています。
それから、先ほど来、ずっと皆さんが使っている
ビジネスパーソンという言葉ですが、いわゆるビジネスマンではなく、女性も含めて
ビジネス支援をしていこうということです。通常、そういう言葉に置きかわるということは、女性もターゲットに入っていることになりますけれども、今回の図書館というのはまさにビジネスマンということで、例えば児童書を置かないということもそうです。子連れで来るお母さんたちのことを言っているわけではなくて、起業を目指している、あるいは、暮らしのいろいろなことについて調べ物をしたい、まちに出たついでに寄って調べたいといったときに、子ども連れの方は来ないということにはならないわけですね。そして、そこでタブレットなどを使ってゆっくり調べ物をしてください、何かあったら相談を受けますよというようなことになると思います。あるいは、海外、観光客というお話もありました。札幌はどんなまちなのか、雪まつりはどういう由来だったのかということを調べようと思って来るのは大人だけではないですよね。そうなると、都心にふさわしい図書館ということだけでいくと、そこに一緒に来る子どもは、どこで、どうしていればいいのかなというのがわかりません。託児施設とかキッズルームということにはならないと思いますが、そういう機能が何か必要ではないかなというふうに思いますので、そのことについてお考えがあったらお聞かせいただきたいということが一つです。
それから、さまざまな情報を扱うということで、司書はレファレンス、レフェラルといういろいろな
サービスをしなければならないことになります。私ども共産党は、図書館司書の重要性についてはこれまでも申し上げてきましたし、専門職化ということも申し上げてきましたが、今回は、より高いスキルを持って意欲的に仕事に取り組んでいく必要があります。いろいろな相談に来られる方に対して、協力的にというか、非常に広い立場でいろいろな相談を受け、また、よそにもつないでいかなければならないことになるわけですから、司書の仕事量は膨大になるわけですね。
そういう意味で、私は、この図書館が直営で行われることを決断されたのはすばらしいことだというふうに思います。ほかのところは指定管理者が入るけれども、図書館は直営でやっていくことについては、すばらしいと思います。ここに書いてあるように、専門性の蓄積と安定した運営を継続するためには直営でなければならないということで、それは大事なことだというふうに思います。
一方で、これまでの話を聞いていると、新しい展開の図書館になるわけですよね。そうすると、司書を育成、養成して新しい能力を持った司書を入れなければならないことになるわけですから、皆さん方が考えている
サービス構築に向けて、司書の
専門能力の向上についてどういうふうに考えているのか、伺いたいと思います。
◎江本
中央図書館長 最初の子ども連れでお母さん方がいらっしゃったときに、子どもの
サービスはどうするかという部分につきましては、この図書館で行ういろいろな企画の展示、
デジタルアーカイブを使った札幌の
魅力発信といったことで、子どもでも楽しめるような企画なり
サービスを考えていきたいというふうに思っております。また、託児の部屋もありまして、そういった部屋を含めて、どういった対応をするかという部分については、運用の中で検討させていただければと思っております。
2点目の司書の
専門能力の向上についてですが、
課題解決の支援に特化した
サービスを提供するためには、高い
専門能力が求められるものと認識しております。例えば、白書や統計など、信頼性の高い情報を効率よく探し出す情報検索能力、
関連機関と協力して事業を企画、実施する連携調整能力も必要になると考えております。
したがいまして、司書については、開館までにまだ時間がありますので、計画的に研修を実施するとともに、その準備期間に、
関連機関との試行的な連携事業の企画、実施といった実践を通じて
専門能力の向上を図ってまいりたいというふうに考えております。
◆坂本恭子 委員 いわゆる子どもも楽しめる図書館ということではないのだろうと思いますが、一緒に来た子どもも何らかの形で情報に接することができるように考えていきたいというご答弁ですね。そこは、積極的に進めていっていただきたいと思います。
先ほど、指定管理者と直営でという話があったけれども、
アートセンターなどでもいろいろな企画、展示をやっていると思いますし、高層ビルのところで、1階にはアミューズメント的な要素も含んだ企業も入るようですから、そういうところで一体的な対応ができるのかなと思っていますけれども、十分に検討していただきたいと思います。
司書については、今、お話があったとおり、しっかり対応していただきたいと思います。
それから、先ほど
設置条例のことに絡んで若干質問がありましたが、私も、休館日や開館時間についてはどういうふうになっていくのだろうと思っています。ご報告の中では、一部は委託あるいは機械化で対応するようなこともあって、そういうことも想定されているのかなと思いました。加えて、今の
ビジネスパーソン、お仕事をする方たちは、朝活ということで、朝早く、仕事に出る前から
セミナーがあったり、朝食をとりながら勉強会があったり、そういうふうにだんだんスタイルも変わっております。あるいは、仕事が早く終われば、その後、夜9時、10時まで、自分の趣味や、あるいは、自分の知識を広げるためにいろいろなところに出かけていくのが当たり前のように行われています。さらに、就業形態もさまざまですから、そういうところにも対応していかなければなりません。もちろん、都心にあるわけですから、土・日は休むわけにはいかないし、観光客もというふうになったら年末年始も休めないのではないかとか、いろいろなことを考えます。
そこで、都心部の
にぎわいをつくっていくという使命がこの図書館にあるのだとすれば、開館時間とか休館日の設置も大変重要なことだと思います。直営ということもありますので組合の関係もあるだろうと思いますが、開館時間については、報告書の中には検討中と書いてあったかと思うけれども、どんな形をイメージしているのか、伺います。
◎江本
中央図書館長 開館時間と運営体制の関係でございます。
先ほど小竹委員の質疑のときにもお話しさせていただきましたが、
ビジネスパーソンについては、出勤前の早朝の利用とか、仕事が終わってからの夜の利用が予想されますし、また、ホールの利用者が、開演前、終演後に図書館を利用することなども想定されます。さらに、土・日・祝日の利用も想定に加えて、開館時間については、既存の市内
図書施設より拡大した運営が求められると考えております。ただ、施設全体との関係もございますので、それらも考慮しながら検討してまいりたいと考えております。
また、運営体制については、先ほど来申し上げている理由により直営と考えておりますけれども、開館日、開館時間の中で専門的な
サービスを効率的に提供していくために、一部の提携作業については委託、機械化といったものも検討していく必要があるというふうに認識しているところでございます。
◆坂本恭子 委員 通常、図書館といいますと、閲覧数であるとか、
貸し出し冊数であるとか、蔵書数であるとか、こういうことが一つの評価のポイントになっていますが、ここで言うと来場者数が優先されているのかなと。通常は20万人のところ、都心部だから30万人というお話がありましたが、首都圏なんかではそういうニーズがあるのだろうと思うけれども、未知の分野だし、本市としてはどういうふうになっていくのか、推移を見守っていきたいと思います。
開館が2018年10月ということで、まだ時間があるからというお話もありました。都心にふさわしい機能ということでの
図書館づくりですが、今、たまたまホールで上演があるときの前後というお話もありましたけれども、例えばバレエやオペラをやるようなことがありますね。そうすると、ちょっと時間があるから、これから見るオペラの歴史や背景を知りたい、あるいは、そのときの文学はどういうものがあったのだろうとか、これを図書館に行って見ようと思ったら、ないという状態になりますね。
私は、いろいろな試行錯誤があっていいのだと思うのです。要望も多岐にわたっているし、今は、
ビジネスパーソン、市民、それも健康とか医療というようなことで、あとは海外からの来訪者と、この三つが主な対象者となりますけれども、いろいろな方の意見を聞きながら、ほかの委員からもお話がありましたように、よりよいものにしていっていただきたいということを申し上げたい。市民の声を十分に聞いていく、とりわけ
地区図書館をつくってほしいという中央区民の声をしっかりと聞いていただいて、こういう機能しか持たせませんと決め切ってしまうのではなく、どんどん変化させていくと。時代のニーズに合わせてこういう図書館に変遷していったというお話も先ほどありましたが、これからだって、市民の声、あるいは来訪者の声によってコンセプトを変えていくことは十分にあり得ることだと思います。ですから、これからも丁寧にいろいろな皆さんの声を聞いて計画を進めていって、本当に市民の利用に供して、私たちの暮らし、スキルを上げること、そこに資する図書館にしていっていただきたいなということを申し上げて、終わりたいと思います。
◆小倉菜穂子 委員 私からも、数点お伺いいたします。
私ども市民
ネットワーク北海道としましては、以前から、都心の図書館の早期実現を求めてきたところです。今回、都心部の再開発の中でという形でありますが、ようやく目指してきた形が見えてきたところかなと思っています。
先ほど来お話がありますように、私どもは、都心の図書館において、その立地からビジネス活動の支援というのは大事だろうとこの間もお話をしてきましたが、さらに、広く、市民生活のさまざまな場面において情報や資料を必要とする市民をサポートするものでなければならないということも本当に大事だというふうに思っています。
昨年6月ですが、
中央図書館で変革する図書館という
セミナーがあって、ぜひ集まってくださいというお声かけもいただいて参加させていただきました。そのとき、アメリカにお住まいのジャーナリストで、「未来をつくる図書館」という本を書かれた菅谷明子さんという方がいらっしゃいますが、私は初めてその方のお話を伺いました。その中で、図書館が地域コミュニティーの情報センター的な機能を持っていて、何か困ったことがあれば図書館に行くということでした。私が大変おもしろいなと思ったのは、あちらの方は、引っ越してきたらまず図書館に行って生活情報を集めることが当たり前ですということでした。市民社会における図書館の存在がそんなふうに使われている国々があるのだなと、新しい発想をいただいたような気がしました。
そうした中で、今回、市民の暮らしに役立つ
課題解決型図書館の機能について改めて伺いたいと思います。
この図書館の基本的な機能は、
課題解決型図書館であるということが何度も出てきました。家庭や家族が抱える問題などで解決策を求める市民が気軽に利用できる図書館であるというのは、先ほどお話ししましたように、地域、市民にとってこれからますます必要だというふうに思っています。
しかし、札幌市の図書館は、これまでも、
ビジネス支援の資料や
情報ガイド、また、生活支援の資料や
情報ガイドも収集してきていると思いますし、さきの東日本大震災のときなどには、被災して札幌に避難してこられた方々のために市民生活ガイドなどを置いた情報コーナーを設けているといったことも聞いています。札幌市にはこうした実績がありますが、これから新しくできる都心にふさわしい図書館において、先ほど介護や医療といったようなお話がありまして、そこは改めてになりますけれども、どのような暮らしの情報をどんな方法で
課題解決に結びつけようと考えているのか、その点についてもう少しお話をいただきたいと思います。
それから、もう一つは、幅広い利用者の方々への配慮について伺いたいと思います。
利用者の想定として、
ビジネスパーソン、来訪者、市民など、都心に集う人々とありますけれども、先ほども子ども連れの人もいらっしゃいますねというような坂本委員のお話もありましたし、障がいのある方などもいらっしゃると思います。交通アクセスのよい都心にできるからこそ、そうした方もそこまで行きやすいという方もいると思うのですね。そうした方々への配慮が整っていることは大変重要だし、不可欠だと思いますが、これまで円滑に図書館を利用しづらかった人たちへの配慮はどんなふうに講じられることになっているのか、その点についてもあわせて伺いたいと思います。
◎江本
中央図書館長 まず最初に、市民の暮らしに役立つ
課題解決機能についてでございます。
先ほど来お話ししていますけれども、
ビジネスパーソンだけではなくて、都心には多くの市民が集まってまいります。さらに、平成25年の市民
ニーズ調査では、暮らしを支援するためのさまざまな情報の提供ということも非常に要望が多うございました。これらを踏まえまして、都心にふさわしい図書館では、仕事だけでなくて、市民の暮らしに役立つ情報も提供することといたしております。
図書館は、図書だけではなくて、さまざまな
行政機関が発行するパンフレット、リーフレットなどの資料の収集も可能でございますので、それらの資料を利用者の課題に応じて図書とともにわかりやすく整理して提供したいと考えております。また、日中は忙しい
ビジネスパーソンにとっても、家庭や地域の課題について昼休みや夜間に立ち寄って調べることができますので、大いに役立つものと考えております。
さらに、資料の提供だけではなく、
関連機関と連携して医療、介護、相続など暮らしの
課題解決に役立つ
セミナーを開催するほか、
連携機関による
相談窓口を開設したいと考えております。その際には、
ビジネス支援と同様に、
セミナー受講者や相談に訪れた市民の関心や課題に応え得る資料や相談に必要な資料を用意することによって、より一層、効果的な支援ができると考えております。
次に、幅広い利用者への配慮についてでございますけれども、平成26年8月に、障がいのある方や高齢の方によるバリアフリーチェックでいろいろな意見を聞いておりまして、館内には、階段だけではなく、1階、2階をつなぐ図書館専用のエレベーターを設置するとともに、1階と2階にオストメイトや車椅子対応の多目的トイレを整備する予定でございます。さらに、1階の多目的トイレにはおむつ交換台も設置することとしております。
このように施設・設備での配慮だけではなくて、図書館では文字の拡大ができるタブレット端末を
貸し出しする予定でございまして、この端末を使って電子版の新聞、雑誌、
データベース等を閲覧できるようにするほか、最新の情報通信技術を用いて札幌の魅力を発信するコーナーを設けますが、先ほどお話ししたとおり、親子で楽しめるような工夫も検討していきたいというふうに考えております。こうしたさまざまな配慮を講じるとともに、職員が日中のフロアワークを行うことで、障がいのある方や親子連れの方々など、配慮を要する利用者の方々にもきめ細かくサポートしてまいりたいと考えております。
◆小倉菜穂子 委員 たくさんの資料、情報を集めるということは、本当に繰り返しお話をいただいています。
先ほど、ほかの図書館にも情報がありますねというお話をしましたが、当然、従来の図書館はもとより、区役所などにもあって、情報というのはいろいろなところにあります。ですから、当然されると思いますが、そうしたところの生活支援情報とは一味も二味も違った活用ができるように、さらに知恵を絞っていただきたいと思います。私は、お話を聞いていて、意味はわかるのですが、そこに行って調べてというのはイメージとしてなかなか湧きづらいなと思っています。初めてなのでそうなのかなと思うのですが、これまでの情報発信とか生活支援情報の提供とは違うといいますか、より深く、使い道も違うということを市民にも広く理解いただくような発信をぜひしていただきたいなと思います。
それから、専用のエレベーターを設置するということであります。それは、本当に当然だし、しっかりと使い勝手のいいものにして、障がいのある方や高齢の方に積極的に活用していただきたいと思っています。
それから、情報がなかなか届きにくい方々としていつも気にかかっているのは、聴覚に障がいのある方々のことです。こういった方々は、たくさんの情報を得たいのに、いつもコミュニケーションのところでうまくいかないことがあったりしますけれども、一言で手話と言ってしまうと違うかもしれませんが、そうした方々も安心してお使いいただけるような施設にしていただきたいと思いますので、その点もご検討願います。
それから、私は、託児室は絶対に必要だろうと思っています。今後検討されると思いますが、子ども連れの方でもぜひ安心して来てくださいというメッセージになると思うので、そうした
取り組みにも力を尽くしていただきたいと思っています。
最後に、一つ伺いたいのですが、この図書館は初めてのタイプの図書館ですから、開館後も常に検証しながら、市民のニーズに的確に応えて、よりよい図書館にしていただきたいと誰もが思っています。ただ、先ほど坂本委員もおっしゃっていましたが、これまでの図書館のような
貸し出しや読書の相談にとどまらず、もっと複雑で高度な資料
サービスが行われることになりますので、
貸し出しが何冊とか登録者が何人とか、そういった指標は使いづらいだろうなというふうに思っています。
そんな中で、新しいタイプの図書館の活動やら
サービスをはかる物差し、評価の方法については、今後どんなふうに考えていかれるのか、その点を最後に伺います。
◎江本
中央図書館長 図書館サービスの評価方法でございます。
先ほど坂本委員からのご質問にもありましたが、図書館の性格を考えると、
貸し出し冊数といったものは使えないかなと考えております。そのため、来館者数や相談件数などといったものを評価項目に置くことも考えられますけれども、
図書館利用者にとって提供した情報がどれぐらい役立ったか、調査目的をどれぐらい達成できたかなど、
課題解決支援
サービスに対する利用者の満足度を評価に活用する方法で検討してまいりたいと現在は考えているところでございます。
◆小倉菜穂子 委員 満足度というところは、私はすごく大事な視点だと思っています。これからのことになるので余り細かく言いませんけれども、満足している部分はいいですが、当然、満足を得られなかった部分に目を向けて分析などをしていかれると思います。とりわけ開設当初は利用者にも戸惑いなどがおありではないかなと想像しますが、日常的な
アンケートなどで利用者の声をしっかりと聞き取るなど、さまざまな工夫が考えられるのではないかと思いますので、その辺の検討をお願いしたいと思います。
それから、文学書、児童書などは置かないということは聞きましたけれども、文学書とはちょっと違うと思いますが、私は絵本があったらいいなと思います。絵本に限った言い方をしますが、これは白石区にできる絵本図書館などとの役割分担になるのかなとも受けとめておりますけれども、子育て中の方には絵本情報も大変必要だと思いますので、絵本に関する情報はどこの図書館よりも充実しているみたいなことが言えるようになると、子育て中の方や若い方に特に関心を持っていただけるのではないかなという気がしています。
パブコメもされるということなのでいろいろな声が届くと思いますが、そうした意味では、子育て中の保護者のニーズなどもしっかりと受けとめ、常に進化する図書館となるように
取り組みを進めていただくことを求めて、私の質問を終わります。
◆堀川素人 委員 今、いろいろなご質問がありました。これは質疑にはならないのかなと思いますが、僕は、正直言って、この
図書館構想はやめていただきたいなと思っているのです。多大な金を使って、今、札幌市が、これをあの場所に、1.1.1区(さんく)という最高の場所につくらなければならない必然性に乏しい、僕はこう思っているのです。
この話の一番最初は、再開発で札幌市が持つ床面積をどう埋めるかという中で急激に出てきました。情報図書館という話は確かにありましたが、僕は、必要性があるのは
地区図書館の充実だと思っています。今、1区1館構想でやっていますが、人類の知識が詰まっていると言われる図書館というのは、生活の身近にあって、みんながもう少し利用できるような状態にする、優先順位からいってもこちらのほうが極めて高い。お金があったら、その目的に合わせていろいろな図書館を何ぼでもつくればいいです。ところが、限られた予算の中でやるとするならば、これにどれほどの必要性があるのかというと、それは疑わしい。そこに多大な金を投資するのは、現時点では無駄である。今、札幌市は、お金がなくて市民はいろいろな形の
サービスの低下を強いられている中で、本当にこれが必要なのか。床を埋めるために始まったこのことについて、議論するのは非常にむなしいと思ってこの話を聞いておりました。
これは、議論にならんです。やると言っていて、僕はやめてほしいと言っているのですから、議論にならんでしょう。しかし、この委員会の中でこういう意見があったということだけははっきりさせておきたい、こう思うので、僕の意見として言って、終わります。
○
宗形雅俊 委員長 ほかに質疑はございませんか。
(「なし」と呼ぶ者あり)
○
宗形雅俊 委員長 なければ、質疑を終了いたします。
以上で、委員会を閉会いたします。
――――――――――――――
閉 会 午後3時39分...