委 員 坂 本 恭 子 委 員 小 形 香 織
委 員 伊 藤 牧 子 委 員 小 倉 菜穂子
委 員 堀 川 素 人 委 員 金子 やすゆき
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開 議 午後1時
○細川正人 委員長 ただいまから、第一部
決算特別委員会を開会いたします。
報告事項ですが、大嶋委員からは欠席する旨、勝木委員、桑原委員からは遅参する旨、川田委員からは飯島委員と交代する旨、それぞれ届け出がございました。
それでは、議事に入ります。
最初に、第8款 消防費 第1項 消防費の質疑を行います。
◆丸山秀樹 委員 私からは、2点、市民によるAEDを使った
応急手当てと今後の普及啓発についてと、救急搬送する際の医療機関の
受け入れ状況について、それぞれお伺いいたします。
AEDは、従来、医師や看護師などの
医療従事者にしか使用できないものでありましたが、平成16年7月からは一般市民でも使用できるようになり、ことしでちょうど10年がたちました。この10年の間、AEDは、新聞やテレビなどでたびたび取り上げられたこともあり、最近では、学校や区役所、地下鉄駅などの公共施設のほか、デパートやホテルなどの大
規模集客施設などでも見かけるようになりました。
我が会派は、これまで、市民によるAEDの使用とAEDを使った
応急手当て講習の普及啓発について、さまざまな機会を捉えて札幌市の取り組みについて質問し、要望してきたところであります。これらに対し、札幌市では、平成17年4月から、従来の
普通救命講習にAEDの使用方法を追加した講習が開始され、当時、我が会派の議員全員が講習を受講いたしました。さらに、平成18年6月から、倒れた人にいち早く手を差し伸べるため、
応急手当てのできる職員がいて、いざというときに積極的に協力してもらえる事業所にAEDが設置されている旨のステッカーを表示するさっぽ
ろ救急サポーター事業を開始し、本年9月末現在では1,788施設が参画していると伺っております。
そこで、1点目の質問ですが、さっぽ
ろ救急サポーター事業に参画している施設において、これまでに、一般市民がAEDを使い、救命し、社会復帰に至った事例がどのくらいあったのか、お伺いいたします。
また、新聞報道によると、
総務省消防庁の最新の統計では、市民が心臓疾患に起因するいわゆる心原性の
心肺機能停止を目撃した件数は2万3,797件あり、この中で一般市民がAEDによる
電気ショックを実施した症例は3.7%、880件ほど、この症例のうち、1カ月後の生存率は41.4%、また、
社会復帰率は36%と掲載されておりました。
そこで、2点目の質問ですが、これらの札幌市の状況についてお伺いいたします。
◎大島 警防部長 1点目のさっぽ
ろ救急サポーター参画施設での奏功事例についてでございますが、平成18年の事業開始以来、これまでに34名の
社会復帰事例がございました。具体的には、
大型ショッピングセンターや地下鉄などにおきまして、突然倒れた方を目撃された通行人や従業員の方々が協力してAEDを使用した
応急手当てを実施し、
救急隊到着時には脈と呼吸が再開し、中には話ができる状態まで回復されていた事例もございます。
2点目の市民がAEDを使用し、
応急手当てを行った際の生存率及び
社会復帰率についてでございますが、札幌市におきましては、平成24年中に市民が心原性の
心肺機能停止を目撃した件数は262件ございました。このうち、市民によりAEDを使用したものは6.5%で全国平均より2.8ポイント高く、1カ月後の生存率も70.6%で全国平均より29.2ポイント、また、
社会復帰率についても58.8%で全国平均よりも22.8ポイントそれぞれ高い数値となってございます。
◆丸山秀樹 委員 ただいま、消防局から、さっぽ
ろ救急サポーター参画施設で市民がAEDを使って救命し、社会復帰した事例は34例あったというお話を伺いました。非常に多い数字でびっくりしましたし、また、市民がAEDを使用した割合が6.5%で生存率が70.6%、
社会復帰率が58.8%と、全国平均よりも非常に高い状況であることを伺うことができたと思います。これは、我が会派が今まで訴え続けてきましたことを消防局が前向きに取り組んでいただいた結果であり、このことにつきましては高く評価させていただきたいと思います。今後も、札幌市の高い救命率を維持するために、さっぽ
ろ救急サポーター事業を継続していただくとともに、
コンビニエンスストアなどの参画も促していただきたいと思います。
コンビニエンスストアのAEDにつきましては、千葉県船橋市で、設置場所の提供と
受け渡し業務のみを行うものとして200店舗のお店で設置されているほか、愛知県尾張旭市でも、本年5月1日から
セブンイレブン、ローソン、サンクスなど市内の
コンビニエンスストア全店にAEDを設置し、
AED登録施設の表示を店頭で行い、24時間、いつでも誰もがAEDを活用できるよう整備いたしております。札幌市でも、積極的なコンビニへの働きかけを強く要望するものであります。
次に、
応急手当ての普及啓発についてお伺いいたします。
札幌市においては、平成25年4月から、
応急手当ての裾野を広げるため、短時間でもAEDを含む
応急手当てを学べる
救命導入講習や
救命入門コースを新設したところであり、若い世代がより受講しやすく、
応急手当てを学ぶ環境が整っていると聞いております。
応急手当て講習は、AEDの使い方や心肺蘇生法など救命の実技だけではなく、命の大切さを学ぶ重要な機会でもあります。
そこで、質問ですが、現在、消防局では、「教えて!
ファイヤーマン」や
ジュニア防火防災スクールなど、小・中学生を対象に事業を展開しておりますけれども、これらを活用した少年期からの
応急手当てを学べる体制など、今後の取り組みについてお伺いいたします。
◎大島 警防部長 今後の
応急手当ての普及啓発についてでありますが、少年期から救命に対する意識づけが行えるよう、可能な限り若い世代から
応急手当ての必要性を学ぶ機会をつくりたいと考えております。具体的には、ただいま委員からもお話がありました小学校4年生を対象にした「教えて!
ファイヤーマン」は、市内のほとんどの小学校で実施しておりますことから、今後はこの中に新たに
応急手当ての項目を設けてまいります。また、中学生を対象とした
ジュニア防火防災スクールも、既に市内の約半数の中学校で実施しております。中には、
応急手当て講習を既に実施している中学校もありますことから、さらなる拡充を図ってまいりたいというふうに考えております。
◆丸山秀樹 委員
応急手当てを学べる体制として、市内のほとんどの小学校4年生を対象に「教えて!
ファイヤーマン」を行っている、また、中学校については半数で
応急手当てを学べる体制をつくってきているという答弁をいただいたと思います。
これからの時代を担う若い人たちが、この講習で学んだ知識や技術を突然倒れた人などへ速やかに行うことが今後の安全・
安心都市札幌の将来につながるものと思いますので、消防局には、関係機関と連携を図っていただき、ぜひとも少年期からの命の大切さを学ぶ機会を数多くつくっていただきたいと思います。
次の質問ですが、救急搬送する際の医療機関の
受け入れ状況についてお伺いいたします。
救急隊の活動は、救急現場で負傷者を観察し、必要な応急処置を行いながら、その傷病者の治療に最も適した医療機関を選定し、救急車で迅速に搬送するもので、医療機関の選定については、救急隊が当番病院や傷病者の
かかりつけ医療機関に傷病者の状態や観察内容を伝え、
受け入れ確認をすると聞いております。
医療機関の受け入れについては、過去に新聞やテレビなどで
受け入れ困難症例が全国的に話題になったところであります。特に、平成18年に関西地方で発生した妊婦の
受け入れ困難症例を契機に、消防庁においては、毎年、
病院受け入れ時の確認回数の調査を実施しております。
そこで、質問ですが、札幌市では、平成20年に
産婦人科救急医療体制を構築し、産婦人科のオペレーターを配置して、
受け入れ医療機関をコーディネートしているところでありますけれども、札幌市の産婦人科における
医療機関受け入れ確認回数は、他の
政令指定都市と比較してどのような状況にあるのか、お伺いいたします。
また、産婦人科を含めた全体の
医療機関受け入れ確認回数についても、他の
政令指定都市と比較してどのような状況にあるのか、あわせてお伺いいたします。
◎大島 警防部長 医療機関の
受け入れ状況についてでありますが、平成25年中における
総務省消防庁の
受け入れ実態調査結果では、産科周産期症例、いわゆる産婦人科につきまして、札幌市が1回目の
受け入れ確認で医療機関が決定するのは90.3%で、他の
政令指定都市の平均である79.9%より10.4ポイント高くなっております。また、全体の
受け入れ確認回数では、札幌市が1回目の
受け入れ確認で医療機関を決定するのは84.4%、他の
政令指定都市の平均は79.4%ですので、こちらも5ポイント高くなっております。
◆丸山秀樹 委員 産科周産期症例については90.3%と、全国の79.9%からするとかなり高い数字であることがわかりました。多分、これは、ふだんから産科にかかられている方が大変多いという実態もあるのかなというふうにも思います。また、全体にしても84.4%と全国の79.4%より高いということで、他の
政令指定都市と比べて高くなっており、これも高く評価させていただきたいと思います。
最後に、要望となりますが、突然、目の前で倒れ、助けを求めている人に対し、市民が速やかに
応急手当てを行い、到着した救急隊が引き継ぎ、迅速で適切な医療機関を選定し、速やかに搬送することがその人の予後に大きな影響を与えることになります。
これまで質問で触れてまいりました消防局が行っている
応急手当て講習やそれに関連したさっぽ
ろ救急サポーター事業は、今後、
応急手当て講習の受講者や少年期からの講習を通じて学ぶ機会がふえることによって、
救急サポーター事業のあり方が問われる時期が来るものと考えます。今後も、増加する救急需要に的確に対応し、傷病者を速やかに医療機関へ搬送するとともに、
救急サポーター事業のあり方について検討いただき、市民の安全・安心の推進に努力していただくことを求め、質問を終わります。
◆小形香織 委員
デイサービスを行う介護施設の消防設備について質問したいと思います。
代表質問で、
デイサービスを行う
介護通所施設で、要介護者を介護保険の適用外で宿泊させていることについて質問いたしました。宿泊している実態を把握しているのかと尋ねたところ、答弁では、2013年5月に市内470の
通所介護施設宛てに
アンケート調査をし、そのうち約64%から回答があり、うち48施設が
宿泊サービスを行っており、その
平均利用者数は約2名ということでした。通所のための介護施設には、ビルなどの一室のほかに、個人のお宅を手直しした施設などもあります。通所の介護施設ですから、主に日中の食事とか
入浴サービス、趣味の活動を行ったり軽い体操をするために用意されている施設ですが、ベッドを置くことは義務づけられておりません。
こうした施設に宿泊させているとなると、ベッドが用意されているのか、あるいは、そのスペースがあるのか、個人のプライバシーはどうなのだろうかなどなど、心配なことが浮かび上がってきます。そこでお泊りをしているということですから、その泊まった日の夜に何かあったらどうするのだろうかと。2010年に本市で起きた「みらいとんでん」での火災事故のようなことが起きるのではないかなどの心配があります。
消防局では地域を巡回していると思いますけれども、
デイサービスを行っている介護施設の消防設備について実態を把握されているのか、伺いたいと思います。
通所介護施設で宿泊もさせている施設を把握されているか、それらの消防設備はどのようになっているのかなど、伺いたいと思います。
◎佐藤 予防部長 1点目の
デイサービス事業所の実態把握の方法についてでございますが、本市におきましては、
デイサービス事業所を行う場合の申請時には、
介護保険関係法令に基づきまして、
建築基準法令等に適合していることが確認できる書類の提出を必須条件としております。このため、新規に開設する
デイサービス事業所につきましては、
建築基準法令に基づきまして、建物の新築または用途が変更になる際の消防局への審査書類であったり、札幌市
火災予防条例に基づく
消防用設備等を設置する際の届け出や、
保健福祉局における事業所の開設情報などにより実態を把握しているところでございます。
2点目の
消防設備等の状況につきましては、
保健福祉局からの情報提供による
デイサービス事業所数につきましては、平成26年6月26日現在、当局におきましては573施設と把握してございます。このうち、
消防用設備等が必要な施設は542施設ございます。この542施設が入居する建物で
消防法令違反があるものは195施設で、主に消防訓練の未実施や誘導灯の非常電源の容量不足などが見受けられたところでございます。
◆小形香織 委員 代表質問での答弁では470施設とおっしゃっておりましたけれども、その後、ことしの6月に実施して573施設であるということですね。そのうちの542施設については、
消防法適用の対象施設であるので、それに基づいて審査しているということでした。違反しているところへ指導していることは承知しましたけれども、そうすると、対象になっている573施設のうちの31施設は、そもそも消防法上の対象にはなっていないということなのだろうと思います。つまり、多くの通所施設は、マンションだとかビルなどの一室を利用して
デイサービスを行っていて、先ほどのような建築時の確認申請などの形でやっていくのだと思いますが、残る31件というのは、一般住宅だったものを少し改築して、中を変えて通所の施設にしていくところがほとんどだろうと思います。もともと一般住宅ですので、消火器も
スプリンクラーなども設置されていない、しかも、消防法上の対象にはなっていないということで、そこで宿泊を行うことは消防設備のない介護施設で宿泊することになり、そうすると、ここが火事になったときに大丈夫なのかという心配が起きます。
デイサービスの
宿泊サービスについては、国のほうでも動きがあると聞いております。今回、消防法も改正されて、来年4月からは新しい消防法が施行されると聞いておりますが、いわゆる一般住宅を利用した宿泊を行っている31の
通所介護施設は、消防局ではどのように把握し、指導を行うのか、今後どういうふうにされるのか、その辺について伺いたいと思います。
◎佐藤 予防部長 規制のかからない小規模な施設を含めた消防局の取り組みについてのご質問だと思います。
委員のご指摘のとおり、消防法令の改正がありまして、平成27年4月1日より
宿泊サービスを行っている
デイサービス事業所の規制が強化されることから、現在、
デイサービス事業所の宿泊状況について実態調査を実施しているところであります。この調査については、7月に実施した聞き取り調査において
宿泊サービスを行っている事業所と聞き取り調査に無回答であった事業所を優先に、平成26年9月9日から平成27年1月9日まで実施しているところでございます。また、「
宿泊サービスを実施していない」と回答した事業所に対しては、消防法令の改正内容について郵送にて既にお知らせを行っております。
なお、
消防用設備等の設置を要さない施設、今、委員から質問がありました小規模な31施設におきましても、順次、これらを含めた全ての事業所の実態調査を行っていく予定でございます。
さらに、このたびの改正にあっては、
消防用設備等を設置するまでの間、設備の種類に応じて猶予期間が設けられておりまして、消火器や誘導灯につきましては平成28年3月31日までの1年間であり、
スプリンクラー設備、
自動火災報知設備、消防機関へ通報する
火災報知整備につきましては平成30年3月31日までの3年間となっております。
今後、実態調査の結果を踏まえまして、関係機関と連携して、猶予期間内に
消防用設備等の設置指導を行いますとともに、現在、
消防法令違反のある施設につきましては、立入検査や実態調査時に継続して是正指導を行っているところであります。
◆小形香織 委員 猶予期間中にきちんと設備を置くように指導したいというお答えだったと思います。
消防法令の改正で、どういうふうに変わっていくのかということを今お聞きしました。例えば、消火器ですが、延べ面積で150平米以上の
デイサービスを行っているところに消火器を置かせるということで、逆に言いますと、150平米未満の施設は消火器を置く対象にならないということなのです。詳しく聞くと、宿泊する高齢者のうち、要介護3以上の人が
宿泊サービス利用の5割を超えて、なおかつ、直近3カ月の半分以上の日数がその状態にある場合には消火器などの設備も置かなければならないとなっています。しかし、先ほどお知らせしましたように、
保健福祉局の調査では、
宿泊サービスの利用者は一つの施設に平均で2名程度ですから、要介護3以上の人がどのぐらいの日数でというと、なかなかこの基準に該当しないのではないかと思うのです。
そういう中で実態を調査されるということですが、消防法が改正されるとはいえ、対象とならない施設があり、そこに高齢者が実際に今も宿泊しているということはいろいろな調査でわかっております。「みらいとんでん」では
スプリンクラー設備の義務がなかったことが問題になりましたが、あれも、結局、事故が起きてから設置について改善されることになりました。本当にこれを教訓とするなら、どんな少人数であっても、宿泊させている高齢者の施設には何らかの消防設備を用意させるような指導をしていくべきではないかと考えますが、その点はいかがか、伺いたいと思います。
◎佐藤 予防部長 先ほども申し上げさせていただきましたが、まずは、実態調査を踏まえまして、関係部局である
保健福祉局からもう間もなく国のガイドラインが示されるという情報を聞いておりますので、それらの情報の共有を図りながら、委員がご指摘の部分についてしっかりと進めていきたいというふうに考えてございます。
◆小形香織 委員 しっかりと取り組んでいただくよう求めて、質問を終わります。
◆伊藤牧子 委員 私からは、避難のために患者の介助が必要な病院、有床診療所における
防火安全対策についてお伺いいたします。
昨年10月に福岡市にある有床診療所において火災が発生し、入院患者10名が亡くなり、負傷者5名が被害に遭われたという大変痛ましい事故から1年がたちました。また、本年3月には、佐賀県の
嬉野温泉病院で入院患者2名が亡くなるという火災も発生しております。
超高齢社会を迎え、高齢者の入院、通院が増加する中、医療施設には、病気を抱えて自力では逃げられない人や、場合によっては手術中の人など、また、消毒用のアルコールや電気を使った医療器具などもあり、他の施設に比べて一たび火災が発生すれば大惨事につながる危険性が高く、その意味からも、施設における
防火安全対策の徹底はもちろんのこと、消防機関による施設の安全確認や指導が重要であることは言うまでもありません。
市民ネットワークは、これまでも、グループホームや病院、有床診療所における
防火安全対策について質問しており、本年の第1定の
予算特別委員会では、福岡市の有床診療所の火災を受け、札幌市消防局が市内の入院設備のある病院、診療所を対象に実施した緊急の立入検査について質問いたしました。そのときのご答弁では、立入検査を行った212施設のうち、61施設で
消防法違反を確認し、このうち、30施設の違反を改善させたものの、残る31施設の違反については改善されなかったことから、これらの施設に対しては、早期是正に向け、継続指導を行っているということでした。
そこで、質問いたしますが、31施設あった
消防法令違反の現在の改善状況についてはどのような状況であるのか、また、
総務省消防庁では、福岡市の有床診療所の火災の教訓を踏まえ、有床診療所及び病院等の
火災被害拡大防止対策、また、
火災予防行政の
実効性向上等に関する検討が進められ、本年7月に報告書がまとめられたとのことですので、その検討結果はどのような内容であったのか、伺います。
◎佐藤 予防部長 1点目の
消防法令違反があった施設の現在の改善状況についてのご質問でございますが、委員ご指摘のとおり、当時、
消防法令違反があった31施設のうち、28施設が改善しております。現在、未改善である3施設のうち、
防火対象物点検報告未報告の2施設につきましては間もなく改善予定でありまして、残る
消防用設備等が一部不備の1施設につきましては、警告書を交付して強く是正指導を行っているところであります。
2点目の
総務省消防庁によります検討結果についてでございますが、今回の検討結果は、有床診療所のほか、病院なども含めた
防火安全対策についてのものであり、大きくソフト面とハード面から対策について提言されたものであります。ソフト面からの対策につきましては、従業員等の教育や、夜間など職員が少ない体制で火災が発生した場合を想定した避難訓練の実施方法、
防火対象物の
自主チェックなどについて提言されております。また、ハード面からの対策につきましては、主に
スプリンクラー設備などの
消防用設備等の設置基準の見直しについて提言されております。
◆伊藤牧子 委員
消防法令違反のある施設は3施設で、最後の1施設に対しては警告書を出して是正指導に努めているということでした。このことに対しては、しっかりと対応していただきたいなと思います。
また、先ほどの消防庁による検討の結果、ソフト面とハード面のいろいろな対策が提言されているということでした。ソフト面におきましては、実践的な訓練や防火対策の
自主チェック体制を通じた防火管理体制の向上ということがありました。前の福岡市の有床診療所の火災のときも、管理責任者がかなり高齢であったり、いろいろなことが指摘されていますので、ソフト面での防火対策もぜひしていただきたいと思います。また、ハード面の防火対策については、今、グループホームや有料老人ホームでは、275平米以下の小規模な介護施設であっても例外なく
スプリンクラーの設置が義務化されています。また、病院、有床診療所のハード面からの対策については、昨年12月に行われた消防法令の改正により、既に自動火災報知機設備の設置基準の見直しが行われていますが、今回の検討結果では
スプリンクラー設備などの設置基準の見直しについても提言されております。設置基準の見直しが拡大されれば、施設の安全性がより一層高まることが期待されますが、先日、これに関連して消防法令が改正されたと聞いております。
そこで、質問ですが、今回行われた消防法令の主な改正内容について伺います。
また、この法令の対象となる施設はどのくらいなのか、あわせて、この改正を受けて、本市においても、関係する施設への指導などさまざまな取り組みを進める必要があると思いますが、今後どのように取り組んでいくおつもりか、お伺いいたします。
◎佐藤 予防部長 1点目の検討結果を踏まえた消防法令の主な改正内容の対象となる施設についてでございますが、今回の改正によりまして
スプリンクラー設備の設置基準が見直され、患者の介助が必要な病院や有床診療所につきましては、原則的に建物規模にかかわらず設置が義務づけられたものであります。このほか、消防機関へ通報する火災報知設備などの
消防用設備等についても設置基準等の見直しが行われております。この設置基準等の見直しは、既存の病院や有床診療所などに対して消防設備ごとに設置までの猶予期間が定められております。また、対象となる施設につきましては、今後、病院、有床診療所等を対象とした実態調査を行って詳細に把握するものであります。
なお、実態調査の対象は、病院、有床診療所等の221施設を予定しております。
2点目の消防法令の改正を受けた本市の対応についてのご質問でございますが、今後、実態調査の結果を踏まえまして、対象となる施設に対し、改正内容の周知や必要な指導を行っていく予定でございます。また、周知や指導に当たっては、関係部局との連携を密にし、きめ細やかに対応していきたいと考えているところでございます。
◆伊藤牧子 委員 対象となる施設は、規模にかかわらず、全てのところで
スプリンクラーの設置が義務づけられたということで、こういう火災事故とか、飛行機事故もそうですが、何かがなければ改善できないという状況ですけれども、さまざまな教訓を受けて、ぜひ改善を進めていただきたいと思います。また、対象となるのは221施設とかなり多いと思いますが、丁寧にしていただきたいなと思います。
最後に、要望になりますが、火災の発生や法改正の都度、今申し上げたように、消防局としては施設の安全についてさまざまな対応をしなければならないと思います。特に、このような超高齢社会にあって、病院や有床診療所はとても大事な施設だと思いますが、火災で避難するときには介助が必要ということなので、グループホームと同じように、気をつけて配慮してやっていただきたいと思います。
このような超高齢社会になった中で、誰もが安心して利用できるためには、いかに市民の安全を守るかというところが消防局に課せられた使命だと思いますし、今後、市民の期待はさらに増すものと思います。今回の消防法改正では、消防用設備設置の猶予期間が2025年までとまだまだ長い期間となっておりますが、何度も申し上げますように、超高齢社会の中で市民が安心して利用するためには、消防局としては、速やかに体制を整備し、前倒ししてでも設備設置に向けてしっかりと取り組んでいただきますことを要望いたしまして、私の質問を終わります。
◆村山秀哉 委員 私からは、北海道との連携と、2機ある消防ヘリコプターのうち、予備機の状況について、簡潔に質問させていただきたいと思います。
現在、我が国は深刻な少子化問題を抱えていますが、ことし5月、増田元総務大臣を中心とするメンバーで構成される日本創成会議から、2040年までに20歳から39歳の女性人口が50%以上減少する市町村、いわゆる消滅可能性都市というものでありますけれども、北海道においては147市区町村に及び、本市の厚別区と南区も該当しているという大変ショッキングな発表がございました。少子化対策については別の場所で議論するとしても、就労人口の急速な減少は十分な税収を確保できず、行政サービスの低下を招くおそれがあることから、今後、行政機関はさまざまな機関と連携を図りながら効率的に運営していかなければなりません。
とりわけ、札幌市においては北海道との連携が重要になりますが、今後も従来の枠にとらわれない柔軟な発想で取り組んでいく必要があります。北海道にとっても、札幌市との連携は重要事項の一つと認識しており、本年の第2回定例道議会において、我が党の岩本議員から、消防力の向上に向けた取り組みの中で札幌市とのさらなる協力関係の構築について質問があり、高橋知事からは検討、協議する場を新たに設けるとの答弁がございました。
消防の分野においては、これまでも、緊急消防援助隊や北海道広域消防総合応援協定の枠組みの中で、東日本大震災を初め、有珠山の噴火や苫小牧のコンビナート火災などにおいて他の機関と連携した活動を行ってまいりました。特に、北海道の代表消防機関としての本市消防局は、本道の消防力の向上を図るという役割も担っております。このように、既に連携の実績のある消防局には、北海道とのさらなる連携を模索する上で、北海道全体をリードするくらいの意気込みを持って取り組んでいただきたいと思っており、この点については大変注目しているところでもございます。また、さきの代表質問において我が会派の小須田議員から防災対策に関して質問した際には、北海道とのヘリコプターによる救急救助活動の連携体制は消防連携強化連絡会議において協議を進めるとの答弁がございましたが、その後の状況についてお聞きしたいと思います。
そこで、質問でありますが、北海道との消防に関する連携・協議はどのように進んでいるのか、お伺いしたいと思います。
◎大崎 総務部長 北海道との連携・協議についてでございますが、第1回目の北海道・札幌市消防連携強化連絡会議を11月5日に開催する予定でございます。この会議の議題といたしまして、札幌市からは消防学校と消防ヘリコプターの二つの連携について提案しているところでございます。今後、第1回目の会議で正式に議題として取り上げられた後、事務レベルで構成する専門部会を設けて具体的な検討を行っていく予定でございます。
◆村山秀哉 委員 今の答弁をお聞きしますと、第1回目の会議が11月5日に開かれ、議題として消防学校と消防ヘリコプターの連携について提案するということでしたので、今後の検討、協議が進みますようお願いしたいと思います。
これに関連して、次に、消防学校についてお聞きしたいと思います。
札幌市消防学校は、本市の都市構造あるいは災害内容に応じた実務直結型の教育訓練を行うため、平成11年に独自に設置して以来、15年が経過し、新採用職員約800名を卒業させてきたとお伺いしております。
先日、大規模災害を想定し、本市消防学校と北海道消防学校の学生が協力して、重量物である消防資機材の搬送や、担架で負傷者を収容して16キロもの長距離を歩く様子をテレビで拝見させていただきました。私も、先ほど申しました北海道との連携が教育訓練の観点からも取り組まれていることを認識したところでございます。採用間もない両校の学生諸君が、炎天下の中、協力し合って訓練でともに汗を流している姿と、東日本大震災に派遣され、活動する全国の消防部隊、特に北海道隊の姿が重なり合い、苛酷な環境を想定し、採用時から顔の見える関係づくりが進められていることに対し、非常に心強く、また、頼もしく思えたところでもあります。また、万一、札幌市において大規模災害が発生した場合にも、いち早く応援の手を差し伸べてくれるであろう全道の消防職員の皆様にも大きな期待を抱いたところでございます。
そこで、質問でありますが、本市消防学校の顔の見える関係を意識したこれまでの取り組みについてと、ことし行われた合同訓練による成果はどのようなものであったのか、お伺いしたいと思います。
また、災害が大規模、広域化する中にあって、広島県における豪雨による土砂災害や御嶽山噴火などに見られるように、全国的に緊急消防援助隊などの活動が増加してきており、消防職員の顔の見える関係の構築は大変意義のあることであり、消防学校の取り組みを評価するところでもあります。そこで、このたび連絡会議が設置されたことを契機として、これまで重ねてきた交流をさらに発展させるため、今後どのような連携の取り組みを考えているのか、お伺いしたいと思います。
◎萬年 消防学校長 1点目の本市消防学校のこれまでの取り組みについてでありますが、平成12年度から実施しております初任教育において、両校合同で、部隊の敬礼、行進要領などの規律訓練や体育大会などを実施して交流を深めてきているところであります。東日本大震災の教訓を踏まえ、道内消防職員との顔の見える関係構築を一層進めることが必要との認識に立ち、本年3月に両校の教育訓練に関する申し合わせを取り交わしたところであり、新たな試みとして実践的な合同訓練や教官が互いの学校紹介を行うなどの授業を始めたところであります。
2点目の今年度実施した合同訓練の成果についてでありますが、肉体や精神の極限において仲間を思いやる気持ちが生まれ、厳しい体験を通じて両校学生の団結が強まるなど、より親密な関係を築くことができ、一定の成果につながったものと認識しているところであります。
3点目の今後の連携についてでありますが、これまでの交流実績を踏まえ、合同での授業や訓練がより効果的な内容となるよう協議していくとともに、学校教官による相互授業の機会拡大、さらには両校が有する施設の有効活用など、積極的な連携方策について検討を進める予定であります。
◆村山秀哉 委員 次に、北海道との会議でもう一つの議題となっております消防ヘリコプターについてお聞きしたいと思います。
消防ヘリコプターは、札幌市と北海道のそれぞれの機関が保有していますが、一体的に運航することができれば、活動面での強化や経済的なメリットも生まれるのではないかと思います。今後、消防局には、これらのことを含め、しっかりとした連携の形を模索していただきたいと思いますが、北海道との検討、協議にはそれなりに時間もかかることが予想されますので、まずは、お互いの機関において今ある消防航空体制を維持していくことが重要であると思います。
これまで、我が会派は、空からの消防力を365日確保するために2機体制の必要性を村松議員が訴え続けておりましたが、そのかいもあって、平成21年には念願の消防ヘリコプター2機による通年運航体制を実現したところであります。これにより、例えば、郊外で発生した重症傷病者をいち早く高度な医療機関へ搬送できる体制が整い、昨年のヘリコプターによる救急出動件数は258件とほぼ毎日のように出動している状況で、1機体制のときの30件程度と比較しても件数は飛躍的に伸びているところでございます。札幌市においては、先ほどの公明党の丸山委員の質問に対する答弁でもありましたが、心肺停止の方の救命率は全国と比べても非常に高い数値となっており、救急医療体制の高度化や
応急手当ての普及の効果はもちろんでありますけれども、消防ヘリコプターの活躍もその一翼を担っているものと思います。
このように、今後とも2機体制の維持は必要なのでありますが、最初に導入した機体である現行の予備機については、既に導入から23年を経過し、全国76機ある消防ヘリコプターの中では一番古い機体となっているようでございます。また、東日本大震災では、札幌市内の出動体制を維持しつつ、津波で取り残された人を救出するため、被災地を飛び回っていたほか、これだけ多くの救急出動に対応することとなったことから、予備機については、2機体制となったときに予想していたときよりも大幅に飛行時間が延びており、今では6,000時間を超える飛行時間となっているとお聞きしております。
また、ヘリコプターについては、毎日、毎年の点検のほか、飛行時間に応じた点検があり、必要なところでは、その都度、部品交換を行っているとのことでありましたが、安全運航上の問題はないのでしょうけれども、飛行時間がふえることによって点検、整備が頻繁になると運航体制に影響しないものなのか、心配するところでございます。また、機体が古くなると、どうしても修理費が増嵩したり必要な部品の調達に時間がかかったりするなどして、これも運航体制に影響しないものなのか、心配しております。
そこで、質問でありますが、予備機の飛行時間の増加による運航体制への影響についてお伺いしたいと思います。
また、予備機の修理費用の推移と部品供給体制はどのような状況となっているのか、お伺いしたいと思います。
◎大崎 総務部長 予備機の飛行時間の増嵩による運航体制への影響についてでございますが、飛行時間の増嵩によりまして点検、整備に要する時間はふえているところでございますけれども、予備機ということもございまして今のところ運航体制に影響は出てございません。
また、予備機の修理費用の推移と部品供給の状況についてでございますが、修理費用につきましては、機体が古くなりますと交換部品がふえますので、結果といたしましては年々増加傾向にございます。部品の供給体制につきましては、予備機と同機種のものが製造中止となりましてから20年が経過してございます。そのため、部品によっては、市場に出回っている数が少なく、調達に時間を要するものがあるのも事実でございます。しかしながら、これまで、部品調達のおくれによる運航体制への影響は出てございません。
◆村山秀哉 委員 最後に、要望を申し上げて、終わりたいと思います。
繰り返しになりますが、札幌市にとっては、北海道との連携がこれからの重要な課題の一つと私は考えております。こうした中で、消防学校においては、北海道との合同訓練により徐々に顔の見える関係ができているということでしたので、この取り組みをきっかけとしてさらに連携を深めていただきたいと思います。
また、予備機については、点検、整備の頻度がふえているものの、今のところ運航体制には影響は出ていないということでありました。しかし、年々、修理費用がふえており、部品によっては入手に時間を要するものもあるということでございました。今後、さらに部品の調達が難しくなると、安定的な空の消防力の確保に大きな支障を来すおそれがありますので、予備機についてはそろそろ更新を考えたほうがよいのではないかと思っております。
これらのことから、私は、北海道とのさらなる連携と消防ヘリコプターの更新について早急に検討を進めるよう要望いたしまして、質問を終わります。
◆植松ひろこ 委員 私から、京都府福知山市花火大会火災を踏まえた
火災予防条例の改正にかかわる本市の対応についてお伺いいたします。
質問に先立ちまして、先日、札幌市消防局では、女性初の救急隊長として、気管挿管認定救命士が誕生したという報道を目にいたしました。私は、ことしの第1回定例会
予算特別委員会の際にも、女性消防職員の職域拡大について質問するなど、かねてより女性職員の活躍の場を広げるよう要望してきたところでありますが、このたび、このような報道を目にいたしまして、とてもうれしく思っております。今月17日から19日には、札幌コンベンションセンターにおきまして日本女性会議2014札幌が開催されまして、男女共同参画社会の実現に向けた意識の高まりを感じております。今後も、このような女性職員がますますふえるような取り組みを一層進めていただきたいと考えております。
それでは、京都府福知山市花火大会火災を踏まえた
火災予防条例の改正に係る本市の対応についてお伺いいたします。
火災予防条例の改正につきましては、第2回定例会にて可決、公布され、ことし8月1日に施行されたところです。この件につきましては、昨年の第3回定例会
決算特別委員会、ことしの第1回定例会
予算特別委員会では私から、さらに、第2回定例会総務委員会におきましては我が会派から質問いたしました。その際には、条例公布に向けた取り組み経過や改正予定の内容等について説明を受けました。
改正内容といたしましては、火気器具等を祭礼、縁日、花火大会、展示会、その他の多数の者の集合する催しにおいて使用する際には消火器を準備すること、火気器具等を使用する露店等を出店する場合には所轄の消防署に届け出を行うこと、特に、北海道神宮例祭やすすきの祭りといった1日当たりの人出予想が10万人以上かつ主催者が出店を認める露店等が100店を超える屋外での大規模な催しで指定催しと定められた場合、その主催者には防火担当者の選任が義務化されたほか、火災予防上、必要な業務に関する計画を所轄の消防署に提出することが義務づけられました。
ところで、条例規制の対象となる祭礼、縁日、花火大会、展示会、その他の多数の者の集合する催しと一言に申しましても、数万人以上が集まる大規模なイベントから町内会の夏祭りなど大小さまざまなものが考えられます。
そこで、1点目に、
火災予防条例の改正における規制の対象となる催しの範囲について、どの程度の規模の催しが対象となっているのか、お伺いいたします。
また、本市におきまして条例改正の契機となりました京都府福知山市花火大会火災のような大惨事を繰り返さないためには、イベントの関係者等に対して改正内容を広く周知徹底することが重要であると考えております。
5月30日付で公布された改正条例には施行まで経過措置が設けられており、これは改正内容が新たに市民に義務を課すものでもあり、その内容を周知するため、一定の期間が必要であることは理解しております。
そこで、2点目に、条例施行までの間、改正内容の周知についてどのように図られてきたのか、また、条例施行後における露店等開設の届け出状況についてお伺いいたします。
◎佐藤 予防部長 1点目の条例規制の対象となる範囲についてでございますが、このたびの条例規制の対象となる催しにつきましては、大規模なものには、委員がご指摘のとおり、北海道神宮例祭などが該当し、それ以外のものは町内会の祭りや大学の学園祭、神社の縁日等も含まれ、火気器具等を使用する全ての催しが対象となっているところでございます。
2点目の改正内容の周知方法及び届け出状況についてでございますが、市民や催しの関係者等への周知につきましては、広報チラシを3万3,000枚作成しまして、まちづくりセンターや土木センター、そして保健センターに市民の利便性を考慮した配架を初め、札幌市内全ての小・中・高等学校、専門学校や大学へ配付したほか、北海道イベントプロモーション協会などの関係団体に対して直接配付し、説明するとともに、その会員等への周知のための協力を依頼したところであります。
また、指定催しとして想定される北海道神宮祭及びすすきの祭りの主催者に対しては防火担当者を選任することなどの義務について直接説明しておりまして、地域で行われている催しに対しては町内会会議等の機会を捉え周知しております。さらに、条例改正について広報さっぽろに掲載したほか、札幌市公式ホームページなどを活用して市民に周知させていただいたところであります。
なお、露店等の開設届け出は、10月20日現在まで当初の予想を上回る525件の届け出を受理しておりまして、この中には、例年開催される町内会等の催しに加え、企業が開催するイベント等の届け出もあり、条例の改正内容が浸透しているものと考えております。
◆植松ひろこ 委員 条例規制の対象となる催しの範囲、そして、条例施行までどのように条例改正内容を周知させたのか、また、届け出の状況については理解いたしました。この条例改正により、火気器具等の使用についてはさまざまなケースが想定され、
防火安全対策を徹底するためには、改正内容について露店等の開設者や市民の方々に容易に理解していただく必要があると私は考えております。
そこで、ことしの第1回定例会
予算特別委員会におきまして、私から、イベントにおける
防火安全対策につきまして、主催者や個々の露店業者が容易に理解し、実践できるよう具体的な実施項目をまとめておくなどの措置を提案し、運用の手引として実施項目をまとめたものを作成し、主催者や露店業者に周知する旨の答弁がありました。さらに、札幌市独自の取り組みとして、火気器具等を使用する露店関係者みずからが火災リスクを評価し、火災を防ぐための留意点を確認するチェックシートにより自己点検を行わせることを提案しております。
そこで、
火災予防条例の改正にかかわる運用の手引の内容と
自主チェック体制につきましてどのようなものとなったのか、お伺いいたします。
◎佐藤 予防部長 運用の手引及び
自主チェック体制についてのご質問でございます。
運用の手引につきましては、コンロやストーブなどの火気器具等について写真を掲載するなどわかりやすい内容で作成しておりまして、例えば、消火器につきましてはどのようなものを準備すればよいのか具体的に示すとともに、露店等を開設する場合、届け出までの流れについて図を用いたフローチャートを作成したほか、大規模な催し物である指定催しにつきましては、火災予防上、必要な業務に関する計画の具体的な記載例示を掲載し、作成のポイントを明示するなど、運用に当たりまして露店開設者や市民等に容易に理解していただける工夫を行ったところでございます。
また、
自主チェック体制につきましては、露店開設者等みずからが、火気器具等やガスボンベの点検を初め、消火器の準備、火災発生時の対応方法の確認など、7項目から成る自主点検チェックシートによる点検確認を行う体制を確立させていただきました。
◆植松ひろこ 委員 この条例改正におけます運用の手引と
自主チェックの体制の内容についてはわかりました。
イベント会場の事故防止を図るために、イベント関係者がみずから事故防止策を確認するチェックシートの作成は、ぜひ実現していただきたいこととして我が会派が強く求めてきたことであり、
自主チェック体制に盛り込まれたことは高く評価するものです。
今後におきましても、屋外のみならず、屋内でも露店等が出店されるイベントの開催が予想されますので、イベントの主催者や露店等の関係者に対して改正内容を周知することはもちろんですが、事故を未然に防ぐためには関係者への事前の防火指導が非常に重要ではないかと考えております。また、8月に開催されたすすきの祭りでは、消火器を設置していなかった露店等も一部あったという新聞報道がありました。
そこで、イベントの主催者や露店等の関係者に対して、本市ではどのように防火指導をしているのか、お伺いいたします。
◎佐藤 予防部長 露店等の関係者に対する指導内容についてのご質問でございます。
露店等の関係者に対する指導につきましては、このたびの条例改正に伴い、催しにおける指導事項を定めまして、これに従い、実施しているところであります。具体的には、指定催しにつきましては、防火担当者を選任する場合、管理的または監督的な立場にあるなど、防火管理業務を適正に遂行できる権限を持つ者を選任するよう指導することとしております。それ以外の催しにつきましては、火気器具等を使用する露店等の関係者に対して、消火器の準備、自己点検チェックシートによる点検の実施及び自己点検後の点検シートの掲示を行うよう指導することとしております。委員のご指摘のとおり、新聞報道があったすすきの祭りにおける消火器の未設置等につきましては、職員が現地確認した時点で必要な指導を行いまして、即日、是正されております。
今後も、条例等に基づき、必要な指導を行いまして、本市において同様の事故が発生しないよう指導の徹底を強化してまいりたいと考えているところでございます。
◆植松ひろこ 委員 少し前になりますが、本市同様、8月1日に条例が施行されました東京都内の夏祭りにおいて、露店のカセットコンロに起因する火災が発生したという報道がありました。先ほどの答弁で、条例の施行から約3カ月が経過した10月20日現在まで525件の届け出があるとお伺いいたしましたけれども、本市におきましては幸いにもそうした事故は報告されておりません。これは、ただいまの答弁にありましたとおり、火災の未然防止のため、届け出に基づき、消防署が露店等の関係者に対して適切な防火指導を行っている結果であると私は考えております。
市民生活の安全・安心を確保するためには、改正した条例の内容を露店等の開設者や市民が容易に理解し、遵守する環境を整える必要があると考えております。消防局では、あらゆる機会を捉えて市民周知を図っているとのことであり、周知に当たりましてはご苦労されていることとも思いますが、今後におきましても、継続してまちづくりセンター等の関係部局と連携を図るとともに、関係団体に改正内容を周知するなど、きめ細やかな広報を行っていただきたいと思います。
本市におきまして、福知山市花火大会火災のような惨事を繰り返すことなく、市民のみならず、観光客等が安心してイベントを楽しむためにも、この条例改正をもとに、イベントにおける
防火安全対策に万全を期していただくことを求めまして、私の質問を終わります。
◆こじまゆみ 委員 私からは、救急車の適正利用と救急安心センターさっぽろとの連携についてお伺いいたします。
札幌市では、市民に救急車を正しく利用していただくため、平成18年から救急車の適正利用について啓発活動が行われております。この啓発活動は、ポスターやチラシを札幌市医師会と
保健福祉局の連名で作成し、市内の医療機関や路線バス内にポスターを掲示していたり、予防行事や救命講習会ではチラシを市民に配布されたり、さらには、まちづくりパートナー協定に参加しているショッピングセンターや飲食店、
コンビニエンスストアなどには適正利用のステッカーを張っていると伺っております。私はこれを手に入れましたが、「救急出動が増えています、本当に必要な人が使えるように、今一度考えて下さい!」と書いてあるステッカーです。こうしたさまざまな取り組みもあり、本年6月に実施された市民アンケートでは、約9割の方が救急車の正しい利用方法を理解しているとの結果でありました。
しかしながら、アンケートの中には、「救急車で病院に行けば早く診察してもらえそうだから」や「どの病院に行ってよいかわからないから」など、救急車の正しい使い方を理解していない回答も見受けられました。私も実際に病院で仕事をしていたときに、救急車で搬送されれば順番を待たずに早く診てもらえるのではないかと思って救急車で来ましたという事例が実際にございました。
そこで、質問ですが、消防局では、このように救急車の正しい使い方を理解されていない方々に対する広報をどのように行っていくのか、お伺いいたします。
◎大島 警防部長 救急車適正利用の普及啓発についてでありますが、今回のアンケートでは、「救急車で病院に行けば早く診察してもらえるから」と回答された方は10歳代の方が多く、また、「どの病院に行ってよいかわからないから」と回答した方は逆に70歳代以上の方が多いという傾向にございました。こうしたことから、特に、若い世代に対しましては、今後、学校での防火防災や
応急手当ての指導の機会などにリーフレットを配付して救急車の正しい利用について理解を深めていただくほか、高齢者には、今後とも、
保健福祉局と連携して、町内会の行事や老人クラブ等で、救急安心センターさっぽろも含めて積極的にPRしていきたいと考えております。
◆こじまゆみ 委員 ただいま答弁がございましたが、特に、札幌市の高齢化が進展する中で高齢者の方々が安心して医療相談ができる窓口として救急安心センターさっぽろは大変重要な役割を担うものだと思いますので、
保健福祉局と連携した積極的なPRを今後も進めていただきたいと思います。
さて、救急安心センターさっぽろは、平成25年10月1日に開設され、今月でちょうど1年が経過しましたが、新聞報道によりますと、この1年間に救急安心センターに寄せられた相談件数は3万195件、そのうち、医療相談は1万7,711件、医療機関案内が7,288件あり、この医療相談のうち、救急車が必要と119番に転送したものなどが3,645件であったとのことです。119番への転送は、消防指令管制員を監督員として救急安心センターに配置し、電話相談の内容をモニタリングしながら、相談の中に潜む危険を消防の専門知識や経験を生かして対応しているということであります。
そこで、1点目の質問ですが、119番へ転送された方のその後の傷病の程度についてお伺いいたします。
また、2点目として、相談内容をモニタリングしている監督員の判断により、救急隊及び消防隊の出動を指示したものがあると伺っておりますが、その件数についてもお伺いいたします。
◎大島 警防部長 1点目の119番へ転送された方の傷病程度についてでありますが、119番へ転送され、救急出動した件数は、先ほど委員からもお話があったとおり3,645件です。そのうち、約7割は軽症でありましたが、3週間以上の入院が必要であった重症は31件、3週間未満の入院が必要であった中等症は768件あり、この中には心筋梗塞や大動脈解離など一刻を争う重症症例もございました。このことは、潜在的な重症者の掘り起こし、いわゆる救急車を呼ぶことをためらう人のセーフティネットとしての機能が果たされたものと考えております。
2点目の監督員の判断によって救急隊、消防隊を出動させた事例でございますが、監督員がモニタリングしている中で、正常な会話が行われていないなど、監督員が緊急と判断し、通常の手順ではなく、直ちに救急出動を指示した件数は41件ございました。また、相談内容から、不完全燃焼などにより一酸化炭素中毒の疑いがあるものや着衣着火によりやけどをしたものなど、消防隊を出動させたものは13件ございました。
◆こじまゆみ 委員 救急安心センターへの相談件数についてお伺いしたところ、この相談の中には、相談員が重症症例を疑い、早期受診を促した事例や、監督員が消防の知識、経験を生かした判断を行ったことにより大事に至らなかった奏功事例があることは、救急安心センターの相談員と監督員との連携が図られていることがうかがえるところであります。実際に、ろれつが回らないということは脳梗塞の前駆症状であったり、心筋梗塞で胸痛があったりということで、監督員がそのお話を伺っていればすぐに救急車を出動させたほうがいいという判断に至るのであろうと思います。
実際に、私がお世話になっている方のご主人は、自宅で動けなくなって救急車を呼ぼうかどうしようか悩んでいらっしゃったのですが、私は、去年、総務委員長をさせていただいておりましたので、日ごろから♯7119をお知らせしていたこともあり、このとき、救急安心センターをご利用いただきました。救急隊のみでは搬送が困難だった様子で、実際に消防隊員の応援もあってチームプレーで救急搬送していただき、非常に感謝されておりましたので、ここでお伝えしておきたいと思います。こうやって連携が図られている様子は、地域の方々からも伺わせていただいております。
ところで、私は、みずからが家庭で自己判断できる仕組みづくりが必要ではないかというふうに以前から要望させていただいていたところ、本年5月23日から、緊急度自己判定、いわゆるセルフトリアージが札幌市のホームページ上で掲載されております。これは、119番通報すべきかどうか迷っている方が、電話相談以外にも、簡便にパソコンや携帯電話で緊急度判定をセルフチェックするものであり、その判定結果は電話と同様となるようにプログラミングされているということでした。現在までの約4カ月間で市民からこのホームページ上に3,762件のアクセスがあったと伺っておりますが、より多くの市民がセルフトリアージを活用することで、速やかな救急要請と医療機関での早期受診が行われるものと考えております。そのためにも、セルフトリアージが広く市民に周知される必要があると思います。
そこで、質問ですけれども、今後、セルフトリアージをより多くの市民に知ってもらうために、消防局も救急車適正利用の普及啓発にあわせて積極的に広報していく必要があると思いますがいかがか、お伺いいたします。
◎大島 警防部長 セルフトリアージの市民周知でありますが、緊急度判定につきましては、
総務省消防庁におきましても、実証研修を通じて特に家庭での自己判断や電話相談について各自治体に導入を促してございます。こうした動きも踏まえまして、消防局といたしましても、セルフトリアージの活用について広く広報していきたいというふうに考えております。
現在は、札幌市公式ホームページの消防に関するページ画面からもセルフトリアージへアクセスできるようにしておりますが、今後は、ただいま委員からご提言がありました救急車適正利用のポスターやチラシ、さらにはステッカーに、救急安心センターさっぽろの案内に加えまして、さらにセルフトリアージについても掲載し、PRしていきたいというふうに考えております。
◆こじまゆみ 委員 最後に、要望になりますが、このステッカーにぜひとも♯7119を入れていただきたいと思います。困ったな、119でもいいのですけれども、ぜひお願いしたいと思います。
救急車の現場到着時間が平成25年には過去最長の平均6.5分となり、救急車の増車を検討されていることを新聞紙上で目にしました。到着時間の延長は、高齢化を背景に出動件数の増加が原因であると伺っております。札幌市の救急需要が今後ますます増大することが予想される中、市民に対する救急車の適正利用を普及啓発していくことは、救急車を効率的に運用し、市民からの要請に的確に応えるためには必要であると考えます。
消防局は、救急車適正利用のPRを市民全体に行うことはもちろんのこと、若い世代から高齢者に至るまで、きめ細かに説明を行っていただきたいと思っております。これは、学校における防災教育の中でも行われるということでしたが、子どもたちにも、おじいちゃん、おばあちゃんが倒れていたときにはこうしましょうねといった形で救急に対する教育を行っていただければ幸いです。
また、市民がセルフトリアージを行うことや、直接、救急安心センターさっぽろへ医療相談を行うことで、実は重症にもかかわらず救急車を要請することをちゅうちょしている人が速やかに医療機関を受診することで、手おくれ防止、アンダートリアージを防止することにつながることと思います。
消防局には、今後とも
保健福祉局と相互に連携していただき、救急安心センターさっぽろが市民の安全・安心となるよう要望し、私の質問を終わります。
◆小川直人 委員 私からは、大規模災害時の消防対策についてと山岳救助ヘリコプターの有効性について、2項目質問させていただきますが、最初の大規模災害時の消防対策は、9月11日の大雨に伴う消防体制及び活動の内容から伺ってまいりますので、よろしくお願いいたします。
近年、日本列島においては、地球温暖化によると思われる異常気象で豪雨などの風水害や土砂災害が多発しております。本市においては、9月10日の夜遅くから11日未明にかけて断続的に雷を伴う猛烈な雨が降り続き、11日未明に大雨警報、土砂災害警戒情報が発表され、さらに、その後、数十年に一度の大雨が予想される大雨特別警報が初めて発表になり、これまでに経験したことのないような豪雨になったところであります。そして、本市では、11日午前3時9分に災害対策本部を設置、その後に南区の一部に土砂災害避難勧告が発令され、その後も市内複数区において土砂災害や洪水の危険がある地域に次々に避難勧告が発令されました。今回の大雨では、幸い人的被害はありませんでしたが、住宅への浸水や河川の氾濫、土砂崩れなどの被害が相次ぎ、孤立した地域も発生いたしました。
消防局では、本市の体制に基づき、消防局独自の体制を構築し、災害の対応に当たり、大雨の中、消防士が市民を背負って膝下まである水の中を懸命に救出している姿がテレビに放映されました。まさに一分一秒を争う急性期の救出活動であります。危険が迫りくる中で、市民の生命、健康、財産を守る強い使命感によりこうした活動が進められまして、心より敬意を表するものであります。救出された市民の皆さんは、消防隊員をたくましく感じ、感謝の気持ちでいっぱいだったというふうに思っているところであります。
そこで、質問ですが、9月11日の大雨の際に、消防局においては、具体的にどのような体制を構築され、また、どのような活動を実施されたのか、お伺いいたします。
◎大島 警防部長 9月11日の大雨に伴う消防体制及び活動内容についてであります。
まず、消防体制につきましては、午前0時36分に本市に大雨警報が発令され、市内で水害の発生が予想されましたことから、119番通報を受け付ける指令管制員の増強招集を行い、災害受け付け体制の強化を図りました。また、土砂災害警戒情報の発表に合わせ、一部の地域に避難勧告が発令されるとともに、本市に災害対策本部が設置されましたことから、消防局では第1非常警備体制を発令し、消防局に警防本部を、各消防署には署隊本部を設置するとともに、消防局長以下400名の職員を招集いたしまして、情報連絡体制の強化や、非常用車両を活用しました特設隊24隊を編成するなど、警防体制の強化を図っております。さらに、午前5時35分には、本市に特別警報が発令されましたことから、第2非常警備体制を発令し、さらに職員490名を招集して警防本部及び署隊本部の体制強化を図ったほか、各消防団におきましても団本部を設置しまして、全団員の約半数に当たる975名が参集または自宅待機しております。最終的には、午後5時12分に札幌市災害対策本部が解散されるまでの間、この体制を維持して、この間、119件の災害に消防隊延べ145隊、574名が出動し、対応しております。
次に、活動の主な内容でございますが、気象警報の発表に合わせまして、消防隊による崖地や河川等の警戒活動を行うとともに、日の出とともに消防ヘリコプターによる崖地等の危険箇所や河川の被害状況等の確認を行い、上空からの映像など、災害対策本部を通じて関係機関への情報提供を行いました。特に、豊平川を流れます望月寒川では、河川の水位が堤防を越水したため、土のうによる浸水の防止や、自力で避難できない住民の救出活動に当たりました。また、南区常盤では、浸水により避難路が寸断された地域からの救助活動を北海道開発局や警察等の関係機関と協力して実施しております。
◆小川直人 委員 大雨という進行性の災害に対して、今、部長から報告があったとおり、速やかに体制を構築するとともに、迅速に災害対応に当たられたことに対しては評価したいと思っております。
この体制をしいて活動されたということであります。その中でも、今回、いろいろな経験をされて得た教訓があると思いますので、そういったことを次の災害への備えとして生かしていただきたいというふうに思っております。
次に、豪雨災害を踏まえた関係機関との連携強化について伺ってまいります。
本年8月に、広島市の複数箇所で大規模な土砂災害が発生し、多くの人的被害をもたらしたほか、礼文町においても2名が亡くなられるなど、全国各地で甚大な被害が発生いたしております。広島市においては、高い使命感を持って住民の救助活動を行っていた消防職員が、再び発生した土石流に巻き込まれ殉職されたことはまことに残念なことでございます。広島市の災害では、緊急消防援助隊等の消防機関を初め、自衛隊、警察、国土交通省等の関係機関が一体となって多数の倒壊家屋や土砂からの救出活動を展開されたと伺っておりますが、被害が拡大すればするほど消防機関のみの活動では限界があるのではないかというふうに思っております。
そこで、早い段階から関係機関と連携を図り、初動時に多くの人員や資機材を一挙に投入し、救出活動を実施することができれば、より多くの人命を救うことにつながると思っております。このためには、関係機関との定期的な情報交換や合同訓練の実施など、顔の見える関係を構築し、また、急性期の救出活動に必要な装備品の充実強化を図ることが災害時の迅速な活動につながる大変重要な問題であると認識しております。
そこで、質問ですが、このような豪雨災害を踏まえ、消防局としてどのように関係機関と連携強化を進めていくのか、お伺いいたします。
◎大島 警防部長 豪雨災害を踏まえた関係機関との連携強化についてであります。
広島市や礼文町で発生した土砂災害や、全国各地で発生している局地的な大雨による災害を踏まえますと、気象や土砂災害に精通した専門家の助言なども必要であります。こうしたことから、今後は、専門家を招聘した研修や訓練を行うとともに、災害発生時には、専門家や関係機関に早期に要請し、現場で協力して活動が行えるように関係機関との迅速な協力体制を構築してまいりたいと考えております。
また、
総務省消防庁におきましても、今回の広島市における土砂災害を踏まえ、有識者や専門家による検討会を設置し、大規模な土砂災害での救助活動を安全かつ効率的に実施するため、関係機関との緊密な連携活動要領等を本年度末に策定する予定であるとのことでございます。このような国の動向等も踏まえながら、関係機関それぞれの保有資機材の把握や災害対応時における役割等を分担するなど、関係機関相互のネットワーク構築に向けた協議を進めてまいりたいと考えております。
◆小川直人 委員 広島市や礼文町の土砂災害を踏まえまして、専門家や国を初めとした関係機関と連携強化を図っていくという答弁でありました。これからも、ぜひ積極的な取り組みをお願いしておきたいと思います。
次に、大規模災害発生時の消防水利の確保についてお伺いしてまいります。
今、大雨の関係について質問させていただきましたが、大雨というのは雨が降ってきてから大雨になっていくまでの経過がありますけれども、地震というのは突然発生するもので、事前に予知することは非常に困難であります。一たび、大規模な地震が発生しますと甚大な被害が発生し、多くのとうとい命も奪われるおそれがあります。平成7年に発生した阪神・淡路大震災は皆さんの記憶に新しいかと思いますが、加えて、東日本大震災が発生して3年しか経過していない状況であります。
阪神・淡路大震災では、地震が原因による火災で多くの方が亡くなられております。火災が多発、拡大した一因として、断水によって付近の消火栓が使用できなかったことが挙げられております。これらの教訓から、消防局においては、阪神・淡路大震災以降、防火水槽を逐次設置されていると伺っております。大規模災害が発生し、断水になっても消火活動を行うためには、消火用水を確保することが重要であります。そのためには、消火栓に偏ることなく、早期に消防水利の整備を図っていくことが必要だと考えております。
そこで、質問ですけれども、消防局において、今後、震災等の災害時の消防水利をどのように確保していく予定なのか、お伺いいたします。
◎大島 警防部長 今後の震災等の災害時の消防水利の確保についてであります。
消火栓が断水した際に消防水利を確保する対策としまして、委員からもお話がありましたが、阪神・淡路大震災の発生以降、毎年、計画的に100トンの防火水槽を整備してきたところでございます。現在、100トンの防火水槽は62基、40トンから60トンの防火水槽を含めると合計700基ございます。加えて、昨年度末には、北海道コカ・コーラボトリング株式会社及び札幌生コンクリート協同組合と協定を締結するなど、消火用水の確保と搬送する枠組みを新たに構築しまして、機動的な水利として補完する体制もとっております。さらに、現在は、アサヒビール株式会社北海道工場から消火用水の協力をいただくことについて内諾を得ているほか、水再生プラザの有効活用なども進めております。
このように、あらゆる水資源を消火用水として活用していることや、建物の不燃化によって火災1件当たりの消火用水量も減少しているといった状況の変化も踏まえながら、それでもなお消火用水が不足している地域への防火水槽の設置につきましては、今後、その水量や設置基数も含めて検討してまいりたいと考えております。
いずれにしましても、民間企業との協力体制を拡大しながら、震災等の災害時に備え、早期に消防水利を確保できるよう積極的な取り組みを進めてまいりたいと考えております。
◆小川直人 委員 今の答弁で、民間企業、さらには水再生プラザとの協力体制を構築されているということでございます。あらゆる水資源を消火用水として確保されていることは、資源の有効活用や被害を軽減する観点からも有益な取り組みだと思っております。今後とも、関係機関及び民間企業とさらなる連携を図るとともに、消火用水の確保、消防水利の整備、装備品の充実など災害の備えを進め、災害に強い負けないまちづくりに日々邁進されることを期待して、1点目の質問を終わりたいと思います。
次に、2点目でありますが、山岳救助活動におけるヘリコプターの有効性について質問させていただきます。
先月の9月27日に、長野県の御嶽山噴火により、多くの登山者が犠牲となる災害が発生いたしました。登山者の救出活動は、消防、警察、自衛隊など防災関係機関が合同して行われましたが、連日の報道を見ますと、捜索、救助に向かった部隊は、火山灰が降り積もって非常に足元が悪く、さらに火山性ガスが発生する危険な状況下、加えて厳しい気象条件と困難をきわめる中で懸命に続けられておりました。このような山岳救助におけるヘリコプターの役割は、非常に大きなものがあるというふうに感じております。私も過去に山岳救助に参加したことがありまして、あの当時も自衛隊や警察のヘリコプターが活躍していたと記憶しておりますが、山岳地帯では非常に機動力があると実感している一人でございます。
道内には、平成12年に大きな被害をもたらした有珠山を初め、今回の御嶽山と同様の警戒レベル1の火山が5カ所あります。幸い札幌市内にはそのような火山はありませんけれども、市内には、札幌岳を初め、標高1,000メートルを超える山々が連なっており、登山ブームにより、中高年や家族で登山を楽しむ方々、山菜をとりに入山される方が年々ふえていると伺っております。そういたしますと、滑落事故や遭難、急病など、山岳での事故の増加が懸念されます。事故が発生し、地上から救助に向かう際は非常に時間を要する場合があります。ヘリコプターでいち早く上空に到着して救助活動を行うことは、非常に有効であると思っております。
そこで、質問ですが、市内における山岳事故に対するヘリコプターの有効性とその実績についてお伺いいたします。
◎大島 警防部長 消防ヘリコプターの有効性についてでございますが、ヘリコプターの機動力を生かし、水難救助や高層マンション火災などの救助に活用するとともに、特に山岳救助におきましては、陸上部隊では進入が極めて困難な場所や到着に時間を要する場所の上空にいち早く到着し、迅速な捜索、救助活動を行うことができます。
本年8月には、南区八剣山において、登山中の小学生が山頂付近から35メートルも滑落する事故が発生いたしました。出動した消防ヘリコプターが直ちに山頂付近に到着し、上空から救急救命士の隊員を降下させ、切り立った斜面から迅速に救出し、そのまま病院に搬送した事例もございます。このように、札幌市の消防ヘリコプターには、常時、救急救命士が搭乗しており、早期に降下して傷病者に接触し、直ちに救急救命処置を行いながら機内へ収容、直接、救命救急センターのある市立札幌病院など、高度な処置ができる医療機関へ搬送する体制をとってございます。
また、山岳救助におけます消防ヘリコプターの活動実績につきましては、通年運航体制が確立いたしました平成21年からの5年間で、出動は77件、救出人員は38名となってございます。
◆小川直人 委員 今の部長の答弁では、市内の山岳事故に対して、航空隊の救急救命士がヘリから降下して、直ちに救命処置を行い、救出後はそのまま病院へ搬送できる体制が札幌市の消防局で既に構築されているということでした。そして、77件、38名を搬送されたということで、今の答弁でヘリコプターの有効性を改めて認識させていただきました。
このように山岳地帯においてヘリコプターが救助活動や林野火災に対応するためには、上空にとまって活動するホバリング性能の高いヘリコプターが求められると思います。今の部長のお話でも、八剣山というのは岩場が多くて非常に険しい山で、ヘリコプターが着陸するようなところがなくても、空中にとまってホバリングしてピックアップできると思います。ただ、そのようにホバリングして人をつり上げたり、林野火災の消火のために必要な水を積むには特殊な装備が必要だと考えております。
そこで、質問ですが、山岳地帯での活動を想定した場合に、必要となるヘリコプターの性能や必要な装備についてお伺いいたします。
◎大島 警防部長 消防ヘリコプターに求められる性能についてでありますが、札幌市内の山岳地では一番高い余市岳が標高1,500メートル近くありますし、道内では大雪山系の旭岳が標高2,000メートルを超えることから、その山頂でホバリングを継続しながら救出活動できるエンジン性能などがまずは必要でございます。また、機体の大きさにつきましては、操縦士、整備士、救助隊員のほか、複数の要救助者が搭乗可能であり、担架や救助用資機材、さらには、救出後の傷病者に対して救命処置を行うスペースなども必要になってございます。
装備品につきましては、先ほど委員からもお話がありましたが、隊員を降下させ、さらに、傷病者を機内に救出するための必要なつり上げ装置を初め、要救助者の捜索に大変有効な赤外線カメラや、災害現場の上空からの映像を消防局指令管制センターや現場の指揮本部へ送るためのヘリコプターテレビ伝送システム、さらに、林野火災などにおいては、飛行の制限がなく、迅速に空中消火活動を行うことができる消火タンクなどが必要となっております。
◆小川直人 委員 最後に、要望で質問を終わらせていただきたいと思います。
山岳地での救助や消火活動におけるヘリコプターの有効性、あわせて、山岳地で活動するために必要な機体性能を有したヘリコプターの必要性について、今、答弁をいただきまして改めて確認、認識させていただいたところであります。
私の地元の厚別区は、中心部から約10キロぐらい離れております。そういった関係で消防ヘリコプターのお世話になることも多くて、緊急離着陸場として公園が使用されております。ここは多くの市民が利用する場所ですから、私は、看板を設置して日ごろから周知してはどうかと提言させていただいておりました。その後、消防局で公園のトイレなどにステッカーを張っていただいて、ここはヘリコプターの離着陸場だなという認識が少しずつ広がって市民の協力が得られているのではないかなと思っているところであります。
このように多目的に使用される消防ヘリコプターは、市民生活の安全・安心に欠かせないものだと実感しております。今後も、高い性能を有するヘリコプターによる通年運航体制を確保し、空陸一体となった消防救急活動を展開していただくことを強く要望して、質問を終わります。
○細川正人 委員長 以上で、第1項 消防費の質疑を終了いたします。
ここで、およそ20分間、委員会を休憩いたします。
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休 憩 午後2時42分
再 開 午後3時
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○細川正人 委員長 それでは、委員会を再開いたします。
次に、第2款 総務費 第1項 総務管理費中危機管理対策室関係分の質疑を行います。
そして、ことしの搭乗率ですが、9割以上であったと聞いております。もし、来年度もFDAのチャーター便が運航されるならば、ぜひ便数も増便していただいて、もっとたくさんのお客様に乗っていただき、丘珠空港のポテンシャルが高いことを明らかにする必要があるのだろうというふうに思っております。
ことしのチャーター便のお客様は、向こうからいらっしゃったお客様を空港でおろし、石狩湾新港から豪華客船に乗せて全道を回るというツアー客でありますから、札幌市民など一般の方々が乗って行き来しているわけではありません。今のご答弁にあるように、札幌市民の皆さん方にもご利用いただくには便数をふやすことが必要だろうと思いますので、そのための取り組みをどうぞよろしくお願いしたいと思います。また、空港や観光、シティプロモートなどを所管する部局が一体となって丘珠空港をPRしていく施策も必要なのだろうと思いますので、あわせてお願いしたいと思います。
実は、先日、私ども自民党札幌市支部連合会で、各区並びに各種業界団体から平成27年度札幌市予算編成等に伴う政策要望のヒアリングをする機会がありまして、それぞれの要望を聞かせていただきました。そのうち、丘珠空港を抱える東区の政策要望において上がってきたのは、丘珠空港活性化に伴うジェット化及び滑走路の延長であります。その詳細はここでは申し上げませんが、地元の意識も大変高まってきております。どうか、丘珠空港活性化は、今後、本市としてしっかり取り組んでいただくことを要望させていただきます。
最後に、先日、生島副市長よりお手紙をいただきました。副市長からお手紙をいただくことはめったにないものですから、緊張して開封させていただきましたところ、9月25日開催の臨時株主総会及び取締役会において、札幌丘珠空港ビル株式会社の社長にご就任されたというご挨拶状でありました。
そのご挨拶状の中には、社業の発展に努力するという言葉が記されておりました。丘珠空港の発展、活性化なくして空港ビルの発展もないわけであります。そこで、本市の副市長、そして丘珠空港ビルの社長としてのお立場で、今後の丘珠空港の活性化、発展に向けた副市長の今後のビジョン、展望、お考えをお聞きして、私の質問を終えます。
◎生島 副市長 私は、ことしのFDAのチャーター便就航というのは、丘珠空港にとりまして本当に貴重な一歩を記したものというふうに考えております。したがいまして、短期的に言いますと、来年度に向けて、FDAのチャーター便が一歩前進したわけでありますから、これが後退することがないように、また、より進めることができるように頑張っていくのが当面の課題かなというふうに思っております。
将来的なことは、いろいろな方がいろいろなことをおっしゃっていますので、それはそれでお任せするとして、まさしく、飛行機あっての飛行場、飛行場あっての空港ビルということですので、そういうことに向けて一生懸命に努力したいと思っております。ぜひ、丘珠空港ビルをご利用いただきたいというふうに思います。
◆桑原透 委員 私からは、本年8月1日に施行となった都市再生特別措置法の改正に伴う札幌市の対応について質問いたします。
この法律の改正は、国土交通省の資料などによると、地方都市では拡散した市街地で急激な人口減少が見込まれる一方、大都市では高齢者が急増すると見込まれていることが背景となっています。実際に、拡大した市街地のままで人口が減少することになれば、医療、福祉、商業などといった生活サービス施設が成立しなくなるとともに、公共施設やインフラの維持・更新費用の増大などにより地方公共団体の財政が圧迫される可能性が指摘されています。また、高齢者の急増により医療や介護の需要が急速に拡大し、これらの施設が大幅に不足することが懸念されています。こうしたことから、医療、福祉、商業などの都市機能や居住機能を集約したコンパクトなまちづくりを目指すために、都市再生特別措置法の一部が改正され、市町村は立地適正化計画を策定することが可能となったところであります。
そこでまず、1点目の質問ですが、立地適正化計画とはどのようなものなのか、その制度概要についてお伺いいたします。
◎三澤 都市計画部長 立地適正化計画の制度概要についてのご質問でございます。
立地適正化計画につきましては、居住機能や医療、福祉、商業、教育、文化などの都市機能について、適正な立地誘導を図ることを目的として市町村が策定する計画であり、都市計画マスタープランの一部となるものでございます。この計画におきましては、居住機能及び都市機能の立地の適正化に関する基本方針を定めるとともに、市街化区域内の特定の区域を居住誘導区域と都市機能誘導区域として定めることになっております。また、都市機能誘導区域では、医療、福祉、商業、教育文化施設などのうち、その区域に誘導すべきものを誘導施設としてそれぞれ設定するとともに、それらを誘導するために市町村が講じる施策などについても定めることとなっております。
なお、市町村が講じる施策の一例といたしましては、民間事業者による誘導施設の整備に対する支援、施設用地としての公有地の活用などが国土交通省より示されております。
◆桑原透 委員 今の答弁にあったように、立地適正化計画において都市機能誘導区域を市街化区域内の区域に定めて必要な機能の誘導を図るということでありました。これまでは、本市の都市部においては、都市再生特別措置法に基づく都市再生緊急整備地域及び特定都市再生緊急整備地域が指定され、容積率などの緩和が可能となる都市再生特別地区や、都市の国際競争力強化に向けた補助制度である国際競争拠点都市整備事業などを活用してきました。また、都市再生緊急整備地域内での補助率のかさ上げがある都市再生整備計画事業などの補助制度を活用しながら都市整備を推進してきたと認識しております。
そこで、2点目の質問ですが、本市が立地適正化計画を策定した場合のメリットについてお伺いいたします。
◎三澤 都市計画部長 立地適正化計画の計画策定に伴うメリットのご質問でございます。
民間事業者に対して国が直接補助を行う都市機能立地支援事業、あるいは、社会資本整備総合交付金の新たな補助メニューである都市再構築戦略事業などが創設されておりまして、立地適正化計画の策定を条件としたこれらの補助事業制度などを活用することが可能となります。また、これらの新たな補助事業制度以外にも、計画策定によりまして、都市再生整備計画事業あるいは市街地再開発事業などにおける補助率のかさ上げや事業採択要件の緩和が受けられることとなっておりまして、都市開発事業を推進する上で財政的に多くのメリットがあると認識しております。
◆桑原透 委員 立地適正化計画の策定により、通常よりもさまざまなメリットを有する補助事業制度などが用意されていることを理解いたしました。まちづくり戦略ビジョンの戦略編では、これからの都市空間を創造するための基本目標として、持続可能な札幌型の集約連携都市への再構築を進めることが掲げられています。その上で、地下鉄駅周辺などに居住機能と生活を支える多様な都市機能を集約するとともに、公共交通を中心とした交通ネットワークの維持・向上に取り組むことで、誰もが安心して歩いて暮らせる効率的でコンパクトな都市を目指すこととされています。また、現在見直し作業中の都市計画マスタープランにおいても同様の方向性で議論が進められているところでございます。
そこで、3点目の質問ですが、戦略ビジョンの基本目標を実現し、今後の都市づくりを推進していくためには、財政的に多くのメリットがある立地適正化計画の策定に向けた検討を進めることが極めて重要であると考えますけれども、計画策定の予定についてお伺いします。
あわせて、都市機能誘導区域がどのような区域設定になるのか、お伺いいたします。
◎三澤 都市計画部長 立地適正化計画の策定予定についてでございます。
先ほど述べましたように、立地適正化計画の策定によりまして多数の補助事業制度の活用が可能となりますことから、今後、必要な都市整備が進み、戦略ビジョンの目標実現につながるものと考えております。こうしたことから、立地適正化計画の策定に向けた検討を進めることといたしまして、平成27年度をめどに都市計画マスタープランと立地適正化計画を同時に策定することとしたいと考えております。
また、都市機能誘導区域の設定でございますが、基本的に都心は誘導区域に定めることを想定しておりますけれども、その他の拠点などの地域についても、現在の都市機能の集積度合いとか立地動向を加味した上で検討を進めていきたいと考えております。さらに、計画策定に当たりましては、区域設定以外にも、誘導施設の設定、それを誘導するために市町村が講じる施策の検討など整理すべき事項が多数ありますことから、これらについても、関係部局とも調整を図りながら、計画策定に向けた検討を進めていきたいと考えております。
◆桑原透 委員 要望します。
本市においても、人口減少と急激な少子高齢化を背景として、高齢者や子育て世代にとって安心で快適な生活環境を実現することがまちづくりの課題であると認識しています。特に、開発時代の古い郊外の住宅においては、人口減少と少子高齢化が一層進んでいくものと考えます。都市機能を中心部に集積することは大変重要でありますが、一方で、郊外部における人口減少、少子高齢化にも対応したまちづくりについても、都市計画だけでは解決できない部分もあることから、各部局の施策を総動員するぐらいの形で進めていく必要があると指摘して、質問を終わります。
◆ふじわら広昭 委員 私は、都心のまちづくりについて質問いたします。
質問は2点予定していますので、各委員の皆様のご協力をお願いいたします。
最初の質問は、創成東地区のまちづくりについてです。
札幌市は、これまで、平成32年を目標年次とする札幌市基本構想と、平成12年に策定した第4次札幌市長期総合計画に基づき、まちづくりを進めてきました。しかし、札幌市を取り巻く社会経済情勢が計画策定時の視点を超えて大きく変化してきていることを踏まえて、平成25年2月に今後10年間の新たなまちづくりの基本的な指針となる札幌市まちづくり戦略ビジョンのビジョン編を策定し、今後の目指すべき都市像を掲げ、市民、企業、行政の取り組むべきことを明記するとともに、同年10月、ビジョン編の実現に向けて主に行政が優先的、集中的に取り組む戦略編を策定したところであります。
こうした経過を踏まえ、持続可能な札幌型集約連携都市への再構築を目標に、これまでの都心まちづくり計画の見直しも含めた検討が進められております。今後の都心まちづくりにおいて忘れてはならないエリアとして創成東地区があると思います。札幌のまちづくりは明治初期から始まり、創成東地区はものづくりの拠点として発展しましたが、その後、札幌駅前通に基盤整備と都市機能が集積され、現在に至る都心構造が形成される過程で、同地区は、都市の拡大と工業機能の郊外化が進む中、都市の成長から立ちおくれ、取り残されてきました。今後、同地区の潜在能力を高めるには、居住機能と生活を支える多様な都市機能を集約することなど、都心における豊かでにぎわいのある新たなエリアを創設する上で非常に重要な地区であると言えます。先ほど触れた札幌市のまちづくり戦略ビジョンにおいても、都心でありながら低・未利用地が多いなどの課題を抱える同地区の再生を図るために、ここの土地の機能重視、そしてまた、利便性の高いまちづくりを推進することが掲げられております。
同地区のエリアは、東西は創成川通から東8丁目まで、南北は北8条から国道36号線まで、連合町内会では東北連町と東連町となっております。同地区に関して振り返ってみますと、平成元年、東北地区地区更新計画等で約20年間にわたりまちづくりの可能性を模索してきましたが、具体的な方向性が見出されませんでした。現在、都心のまちづくりは、平成14年の都心まちづくり計画で定めた4軸3交流拠点から成る具現化が進められております。
平成23年1月に、同計画を補完する都心まちづくり戦略において、創成川以東地区は、これからの都心まちづくりにおける重点地区として位置づけられております。これにより、同年、学識経験者等による創成川以東地区まちづくり会議が設置され、昨年5月、同地区のまちづくり構想が札幌市に提言されております。市民まちづくり局は、同構想を受け、これからの方向性を示した創成東地区まちづくりの基本的な考え方を取りまとめていると思います。
以前に説明を受けた際に、同地区の将来像として、私なりに思ったことは、高度な都市機能を集積しながら、同地域に居住した人々が共通の価値観を持ち、人間性豊かな地域社会の再生をまちづくりの理念として掲げているのではないかと感じたところであります。私は、このような将来像を実現していくためには、同地区の都市空間の中に多様な用途、機能を取り込むことにより、多様な人々が集まり、多様な活動を促進し、その人々の潜在能力を最大限活用することが重要と思います。そのためには、現段階から、地元居住者や事業者の方々とまちづくりの方向性を共有しつつ、地域と一体となった取り組みを行っていくことが必要不可欠と言えるわけであります。
そこで、質問でありますが、創成東地区のまちづくりについて、現在どのような取り組みをしているのか、また、今後どのように進めていくのか、伺いたいと思います。
◎高森 都心まちづくり推進室長 創成東地区のまちづくりに関して、現在どのような取り組みを行っているのか、また、今後どのように進めていくのかという観点のご質問でございます。
創成東地区につきましては、委員がご指摘のとおり、地域住民はもとより、地元の企業、事業者などのさまざまな主体が連携・協働して進めることが非常に重要であると私どもも考えているところでございます。このため、今年度から地域参加型のまちづくり勉強会を開催いたしまして、当地区が目指す将来像やその実現に向けた取り組みなどについて継続的な議論を進めていくとともに、将来的にはこの勉強会をまちづくり組織の組成につなげていきたいと考えているところでございます。これに加えまして、まちづくりの知見を有する大学との共同研究事業といたしまして、今年度、札幌市立大学と当地区の住民等が、ワークショップを通じてまちづくりの具体的な手法などを検討する取り組みも並行して進めております。
このように、創成東地区まちづくり計画については、地域と一体となった取り組みと並行して、現段階で平成27年度末に策定予定の都心全体の計画である都心まちづくり計画の見直しとあわせて一体的な計画として策定していきたいと考えているところでございます。
◆ふじわら広昭 委員 今後、勉強会の開催や札幌市立大学の知見を活用した取り組みをしながら進めていきたいということでした。
次の質問は、創世交流拠点についてであります。
創成東地区の発展、活性化を図っていく上では、創成川の西側市街地とのつながりを強化し、駅前通周辺から人々を引き込むことが必要と言えます。例えば、札幌の重要な都市軸となっている大通を中心として景観的な連続性をつくり出し、歩行者が移動する空間の充実強化が都市の魅力とにぎわいを東側に拡大していくような取り組みを進めていくべきだと思うわけであります。
この実現に当たっては、創成川の東西をつなぐ場所に位置し、都心再生のかなめとなる創世交流拠点の役割が大変重要になると考えており、民主党・市民連合はそのまちづくりの重要性を繰り返し主張してきました。さきの代表質問において、創世交流拠点に関して、地域に集積する歴史資産、観光資源、例えば時計台、大通公園、テレビ塔、創成川公園や、近々着工する予定の北1西1の市民交流複合施設などを最大限活用した札幌のシンボルともなるまちづくりを実現していくことの必要性、その際、大通西2丁目にあるNTT東日本が所有している土地や、その周辺街区を含めて考えていくことの必要性について指摘してきたところであります。
そこで、質問でありますけれども、創世交流拠点については、この場所固有の歴史資産、観光資源を生かし、また、駅前通から創成東地区へとつながる都市空間をつくり出すなど、札幌の都市としての魅力、付加価値をさらに向上させるようなまちづくりが必要と言えるわけでありますが、この点についてどのように認識しているのか、また、どのように進めていこうとしているのか、伺いたいと思います。
◎高森 都心まちづくり推進室長 創世交流拠点のまちづくりについてのご質問でございます。
創世交流拠点のまちづくりを進めるに当たりましては、拠点内にございます大通公園、時計台の魅力をさらに高めていくこと、駅前通と大通が交差する大通交流拠点から創成東地区までを連続させ、大通と一体となった札幌を象徴するような都市空間を創出することが必要であると考えているところでございます。
また、この実現に当たりましては、創世交流拠点の核とも言える大通西1丁目、2丁目街区を中心といたしまして、隣接する大通西3丁目あるいは大通東1丁目の両街区などの関係地権者にも連携を働きかけながら、一体的に検討を進めていきたいというふうに考えているところでございます。
◆ふじわら広昭 委員 大通と一体となった空間を有効活用していきたいという趣旨であります。先ほどの答弁にもありましたように、平成27年度末までに見直す都心まちづくり計画の中でそうした取り組みが具体化されると思いますので、今回は幾つか要望を申し上げて、質問を終わりたいと思います。
今後、都心のさらなる魅力や活力の向上、拡大に当たっては、都心まちづくり計画で位置づけられている四つの骨格軸と三つの交流拠点の目標像をどのような形で実現するかが大変重要と言えると思います。このうち、駅前通や創成川通、そして大通交流拠点は着々と取り組みが進められ、その効果もあらわれてきていますが、今後さらにその効果を拡大し、波及させる必要があると思います。その一つとして、駅前通を中心とした都心のにぎわいや活用を創成東地区周辺などにどのように波及させていくかも重要な視点であり、これから本格化する創世交流拠点や札幌駅交流拠点における取り組みが非常に大事なものとなります。現在進められております都心まちづくり計画の見直しに当たっては、ぜひ、こうした視点も念頭に置き、広い視野を持ちながら検討するよう要望して、質問を終わります。
○細川正人 委員長 以上で、第4項 都市計画費中、市民まちづくり局関係分の質疑を終了いたします。
以上で、本日の質疑を終了いたします。
次回の委員会ですが、10月30日木曜日午後1時から、子ども未来局関係の質疑を行いますので、定刻までにご参集ください。
本日は、これをもちまして散会いたします。
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散 会 午後7時33分...