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  1. 札幌市議会 2012-10-19
    平成24年第一部決算特別委員会−10月19日-05号


    取得元: 札幌市議会公式サイト
    最終取得日: 2021-04-26
    平成24年第一部決算特別委員会−10月19日-05号平成24年第一部決算特別委員会  札幌市議会第一部決算特別委員会記録(第5号)               平成24年(2012年)10月19日(金曜日)       ―――――――――――――――――――――――――――――――――― ●議題 付託案件の審査 ●出席委員 34人     委 員 長  山 田 一 仁      副委員長   しのだ 江里子     委   員  宮 村 素 子      委   員  勝 木 勇 人     委   員  こんどう 和雄      委   員  村 松 正 海     委   員  村 山 秀 哉      委   員  よこやま 峰子     委   員  宗 形 雅 俊      委   員  飯 島 弘 之     委   員  川田 ただひさ      委   員  阿部 ひであき     委   員  伴   良 隆      委   員  川口谷   正     委   員  西 村 茂 樹      委   員  小 野 正 美     委   員  ふじわら 広昭      委   員  三 宅 由 美     委   員  桑 原   透      委   員  宝 本 英 明     委   員  山 口 かずさ      委   員  村 上 ゆうこ     委   員  中 村 たけし      委   員  涌 井 国 夫     委   員  芦 原   進      委   員  阿知良 寛 美     委   員  福 田 浩太郎      委   員  井 上 ひさ子
        委   員  坂 本 恭 子      委   員  伊 藤 理智子     委   員  小 倉 菜穂子      委   員  石 川 佐和子     委   員  堀 川 素 人      委   員  木 村 彰 男       ――――――――――――――――――――――――――――――――――       開 議 午前10時 ○山田一仁 委員長  ただいまから、第一部決算特別委員会を開会いたします。  報告事項は、特にございません。  それでは、議事に入ります。  第9款 教育費 第1項 教育委員会費中関係分から第8項 生涯学習費中関係分までについて、一括して質疑を行います。 ◆よこやま峰子 委員  私は、学校給食費の未納についてといじめ問題への対応についての2項目についてお尋ねします。  まず最初に、学校給食費の未納について質問させていただきます。  この問題については、私は決算特別委員会などで毎回のように取り上げてまいりました。小・中学校の学校給食は、教育の一環として行われるものであり、学校給食法においては、その経費は人件費や施設設備にかかわる経費は学校の設置者である自治体が負担し、それ以外の経費、すなわち食材の費用については保護者が負担すると定められております。しかし、法律で定められていながら、給食費を納めない保護者が多く存在するという事実は、札幌だけが抱える問題ではなく、全国的な問題となっており、ゆゆしき問題であります。  さきに公表された平成23年度の札幌市の小・中学校の給食費未納状況を見ますと、全体の未納率では0.74%で、3年連続して減少しております。前の年の平成22年度が0.92%で15年ぶりに1%を下回り、未納率が最も高かった平成12年度の1.41%に比べてもかなり減少したと言えます。また、平成23年度は、特に中学校だけの合計で見ますと、未納率が0.98%と初めて1%を下回っております。私も、これまで数回の委員会質疑などで各学校における具体的な方策を評価すべきと指摘してまいりましたが、このようにその後の未納状況を見ますと、少しずつながらも効果があらわれてきたことは大変喜ばしいと感じております。  ただ一方で、視点を変えてみますと、給食費を未納している保護者のうちで4割は経済的な理由によると言われており、先日の報道によると、文科省の調査で、就学援助制度を受けた児童生徒の数が平成23年度は156万7,861人と過去最多であったという記事がございました。北海道での就学援助の割合は23.4%であり、札幌市は、過去最高の18.11%で2万4,761人が就学援助を受けているとのことです。札幌市では、就学援助の認定世帯や生活保護の受給世帯の支給方法は、保護者を経ないで学校へ直接払い込まれるので、この分の未納は一切発生しないことになりますので、就学援助や生活保護の受給世帯が年々ふえている社会情勢が、給食費の未納率の減少に少なからず影響を与えているという大変皮肉な状況にあります。  そこで、質問ですが、平成23年度の学校給食費未納率が減少したことについて、未納解消に向けた取り組み内容とその効果を教育委員会ではどのように認識しておられるのか、お伺いいたします。 ◎渡邉 学校施設担当部長  ただいまの学校給食費の未納解消に向けた取り組みについてお答えいたします。  この取り組みといたしましては、これまでも各学校におきまして、学校給食費未納対策の手引を活用してきめ細かく対応してきているところでございます。また、平成23年度からの新たな取り組みといたしまして、年度当初に未納対策に関して、広報さっぽろ、そしてホームページなどで広く周知を図るとともに、すべての保護者を対象に給食費の納入についての同意書を提出していただいたところでございます。さらに、学期ごとに各学校の未納状況を的確に把握するとともに、長期未納者のうち、支払い能力があると思われる保護者に対しまして、市長、学校長連名の催告書を送付するなどして取り組みを強化したところでございます。  これらの取り組みを進めることによりまして、保護者の納入意識の向上につながり、結果としてその効果が徐々にあらわれてきたものと認識してございます。 ◆よこやま峰子 委員  未納解消に向けた同意書、催告書など新たな取り組みが功を奏しての効果ということでありますので、今後も継続して取り組んでいただきたいと思います。  また、先ほど、未納者の保護者のうち、4割が経済的理由によるとのことですので、経済的に困窮していても就学援助を受けていない、または申請をしていない、あるいは生活保護を受けていない保護者に対しては、そういった制度があることを十分に周知に努めていただきたいと思います。就学援助に関しましては、毎年、全世帯に制度の周知を図っているとのことですが、年度の途中で状況が変わり、経済的に困窮に陥った家庭もあるかと思いますので、制度活用の働きかけをしっかり行っていただきたいと思います。  そして、やはり、問題なのは、払えるのに払わない保護者です。未納率が減少したといっても、全校での合計額が4,600万円もあります。全国平均の未納率が平成22年度で0.6%ですので、札幌市の未納状況は、依然、平均を上回っております。未納が結果としてゼロだった学校は2割にとどまります。8割の学校は未納が残っています。未納がないとしているこの2割の学校も、年度の途中では未納が残っていても、年度末には何とかしようと督促を重ね、年度末にゼロにしたことが予想されますので、そうした学校の未納解消へ向けた事務手数は大変だったろうと予想されます。  学校における未納解消は、担当の教職員が保護者に渡す督促状を作成し、何度も家庭訪問し、電話で督促しというような仕事を強いられており、本来の教育活動を大いに阻害しており、大きな問題だと思います。私は、昨年も指摘をいたしましたが、給食の実施は学校給食法に定められており、食材費用は保護者が支払う義務があるのですから、未納対策を学校だけに任せるのではなく、教育委員会が主体となって取り組むべきであると考えます。  そこで、質問ですが、教育委員会は、これまで未納対策にどのようにかかわってきたのか、そしてまた、今後どのように未納対策を進めていくのか、お伺いいたします。 ◎渡邉 学校施設担当部長  未納対策における教育委員会のかかわりについてでございます。  教育委員会といたしましては、学校からの依頼に応じまして、支払い能力があると思われる長期未納者に対しましては、先ほど申し上げましたが、市長、学校長連名の催告書を直接送付しているところでございます。その上で、なおも支払わない保護者に対しましては、教育委員会から直接電話で督促するなどの対応を行ってきているところでございます。  今後も、学校と連携を密にいたしまして、未納の状況に応じて教育委員会が直接かかわりながら、法的措置の実施の検討も含めまして、未納解消に向けた取り組みを進めてまいりたいと考えてございます。 ◆よこやま峰子 委員  ご答弁のように、それぞれの子どもの事情を一番よく知っているのは学校でありますので、学校と保護者がコミュニケーションをとりながら未納対策に取り組んでいくのは当然であります。しかしながら、学校の努力の結果として徐々に効果はあらわれておりますが、まず、学校の負担を軽減するという意味でも、また、未納により食材の質が下がるといった食育の問題もありますし、そして、大半の保護者が納めているという公平性を保つためにも、未納問題の解決を学校だけに任せるのではなく、教育委員会が積極的に力を入れて取り組んでいくよう要望いたしまして、この質問を終わらせていただきます。  次に、いじめ問題への対応について伺います。  いじめ問題は、全国的に深刻な教育問題であり、その根絶に向けてさまざまな取り組みがなされております。先ごろ、文科省も、その対策として学校におけるいじめ問題に関する基本的認識とポイントを示したところであります。その中において、いじめの防止等に当たっては、すべての学校、教職員がみずからの問題として切実に受けとめ、徹底的に取り組むべき問題であるとし、いじめが生じた際に、いかに迅速に対応し、悪化を防止し、真の解決に結びつけるかが重要であると述べております。  その早期発見の取り組みの一環として、文科省では、平成13年から、毎年、全国の小学校、中学校においていじめの調査を行っております。また、札幌市においても児童生徒への聞き取りアンケートを行っていると伺っております。  そこで、質問ですが、まず、札幌市独自のアンケートについて、その設問など、内容等の概要についてお伺いいたします。 ◎池上 指導担当部長  いじめへの対応にかかわりまして、教育委員会が実施しておりますアンケートの概要についてでございます。  教育委員会では、平成18年度以降、毎年1回、11月ごろに市立小・中・高等学校、特別支援学校の児童生徒を対象といたしまして、札幌市独自のいじめの状況等に関する調査を実施しております。その調査の内容でございますが、「あなたは、今、いじめられていると思いますか」「あなたは、入学してからこれまで、いじめたりいじめられたりしたことがありますか」「あなたは、最近、いじめられている人を見たり聞いたりしたことがありますか」など、10項目の質問となっております。 ◆よこやま峰子 委員  札幌市におけるアンケートの内容についてはわかりました。  次に、文科省が調査した全国と札幌市のいじめの認知件数について並びに全国のいじめの傾向と札幌市との比較など、札幌市におけるいじめの実態についてもお伺いいたします。 ◎池上 指導担当部長  文部科学省の調査における全国と札幌市のいじめの認知件数と傾向、あわせて、いじめの実態についてでございます。  文部科学省の調査による平成23年度のいじめの認知件数は、全国が小学校で3万3,124件、中学校で3万749件、札幌市が小学校で134件、中学校で496件となっております。前年度と比べますと、全国では約7,400件、札幌市では76件減少しており、どちらも減少傾向となっております。  札幌市で多いいじめの態様といたしましては、言葉でのいじめ、集団による無視、軽くぶつかられたりたたかれたりするもの、それらが主なものでございまして、これについても全国の傾向と同様となってございます。 ◆よこやま峰子 委員  ただいまのご答弁から、昨年度のいじめの認知件数が630件ということでございました。つまり、630人の児童がいじめに遭っていた、いじめられていたと感じていた事実は、非常に重い事実だと思います。  そこで、質問ですが、まず、その認知件数に関してのご見解をお伺いいたしますとともに、それらの児童へどのような対応を行っていじめの解決に当たられたのか。また、いじめられた児童だけではなくて、いじめたとされた児童への対応も非常に重要であると考えますが、学校現場ではどのような対応がなされていたのか、お伺いいたします。 ◎池上 指導担当部長  いじめの認知件数に対する教育委員会の見解と学校の対応についてでございます。  いじめの認知件数が減少傾向にあるとはいいましても、今なお、小学校、中学校を合わせて600件を超えるいじめが認知されていることを真摯に受けとめております。  教育委員会といたしましては、認知件数の増減のみにこだわることなく、表面にあらわれていないいじめも想定されることを踏まえまして、今後とも、いじめの根絶に向け、粘り強く対応してまいりたいと考えております。  次に、いじめられた子、いじめた子への対応についてでございますが、いじめられた子には、受容的な姿勢で話を聞き、長期的な支援を約束し、守ってくれる人がいるという安心感を持たせながら問題の解決に当たっているところでございます。また、いじめた子には、いじめを受けた相手の精神的な打撃の深刻さに気づかせるとともに、いかなる理由があってもいじめは決して許される行為ではないことを理解させ、いじめに至った要因や背景について深くその子どもの心理を探り、二度と繰り返さないよう継続的に対応しているところでございます。  いずれにいたしましても、これらの対応に当たりましては、担任や養護教諭などすべての教職員が共通認識に立ち、スクールカウンセラーとも連携しながら協力して取り組むことが重要であると認識しております。 ◆よこやま峰子 委員  ご答弁からも、いじめの問題解決には、対応に当たる教諭、そして養護教諭の資質、力量も大変重要であると考えますが、教育委員会として、そういった子どもたちと直接かかわりを持つ教師への研修、並びに、今、札幌市に約90名いると言われているスクールカウンセラー等の活用はどのようになっているのか、お伺いいたします。 ◎大友 教育研修担当部長  いじめの問題に関する教職員への研修並びにスクールカウンセラーの活用状況についてお答えいたします。  まず、いじめの問題に関する教職員への研修についてでございますが、教育委員会といたしましては、教職員がいじめの未然防止、早期発見・早期解消についての知識理解を深め、日常の指導に生かすことを目的とした研修を実施しております。具体的には、児童生徒が互いに認め合い、支え合う学級づくりに関する研修、また、児童生徒の悩みや不安を共感的に受けとめ、心を開く教育相談についての研修、いじめの背景や構造の理解と適切な対応についての研修などを行っているところでございます。  次に、スクールカウンセラーの活用についてであります。  各学校に配置されております心理の専門家であるスクールカウンセラーは、専門的な立場から子どもの心のケアをするとともに、いじめの原因、背景等をとらえるなどしているところでございます。また、子どもへのかかわり方について、保護者から相談を受けたり、教職員に適切な対応方法を助言したりするなど、いじめの問題の解決に向けて教職員と連携して取り組んでいるところでございます。 ◆よこやま峰子 委員  先ほどの文科省による学校におけるいじめ問題に関する基本的認識とポイントによりますと、いじめは、どの学校、どの子においても起こり得るものと認識し、早期発見と迅速な対応と同時に、いじめの兆候を察知し、未然に防ぐことの重要性と、いじめの取り組みは、学校だけにとどまらず、保護者や地域を巻き込んで、子どもを取り巻く大人全員が一丸となった取り組みが大事であると述べております。  先日10月2日、岐阜県可児市では、全国で初めて子どものいじめ防止条例が市議会で全会一致で可決されました。可児市においては、これまでのようにいじめ防止の取り組みを教育現場だけに任せることをせずに、教育委員会ではなく、市長部局の人づくり文化課が担当し、弁護士や臨床心理士4人がいじめ防止委員を務める第三者委員会を設置し、児童や保護者、学校からの相談を受けてきたとのことです。また、条例には、第三者委員会が通報を受けたいじめについて調査できる権限も明記されております。  先ほどからの質疑において、今までの取り組みは私もそれなりに理解いたしますが、文科省が把握したいじめの件数は、ことし4月から9月までの半年間で既に7万5,000件を超え、昨年度1年間の7万231件を半年で上回ったことでもわかるように、いじめの問題は重要な課題となっております。この際、何か抜本的な対策をとらない限り、いじめによって傷つき、深刻な場合は自殺にまで追い込まれる子どもも出てしまうのではないかと危惧されます。したがいまして、私は、可児市のように、市民、地域、保護者すべてが一丸となった思い切った取り組みが必要なときに来ているのではないかと考えております。  そこで、質問ですが、札幌市においても、教育現場、教育委員会だけに解決を任せるのではなく、このような専門の第三者委員会をつくるべきと考えます。可児市によると、専門委員会は、通報相談を受けた場合、客観的な立場から調査を行い、市長は、委員会の調査結果を受け、必要があると認めたときは関係者に是正を要請するとなっております。ぜひ、こういった方式の専門の第三者委員会の設立を検討すべきと考えますが、札幌市のご見解を副市長にお伺いいたします。 ◎渡部 副市長  いじめの問題についてでございますけれども、早期発見、迅速な対応はもちろんのことでございます。ただ、いじめについては、別問題というふうに考えられている感じがしますが、児童虐待、高齢者虐待、障がい者虐待、男女間のDVと構造は同じでございます。要するに、対象がいる限りはやまないということです。もう一つは、エスカレートするということです。学校の現場で児童虐待ほどの認識があるかどうかというと、ここのところはこれからのことかなというふうに思います。  可児市のいじめ防止条例も一つの形だと思いますけれども、札幌市には子どもの権利条例がございます。子どもの権利条例は、従前は大人対子どもというような形でとらえられてきたような感じが私はしますけれども、基本的には、子ども同士、上級生や下級生がお互いの人権を尊重することが到着点だと考えております。お互いの権利を尊重すればいじめもないわけです。ただ、残念なことに、子どもの権利条例の子どもへの認知度がまだまだ低いので、こういうところは我々としても反省しなければならないというふうに考えております。  第三者機関についてでございますけれども、子どもの権利条例におきましては、子どもアシストセンターを第三者機関として設置しておりまして、いじめなどの問題についても、子どもや保護者からの相談を受けまして調査や調整を行うことがあり、必要があれば勧告を行うことができるという仕組みになっております。今後におきましても、教育委員会子ども未来局ときちんと連携して、このあたりが十全に機能することが大事かと思っております。  もう一つ、先ほども申し上げましたが、現場の先生方への研修も、やはり、いじめはいじめで単独であるわけではなくて、構造的な問題であるということを現場の先生にわかっていただくことも大事かなと考えております。 ◆よこやま峰子 委員  子どもの権利条例というお話がありました。しかし、可児市の条例を見ていただくとわかるのですけれども、ああいうような理念条例ではなくて、非常にわかりやすく、子どもにもわかるようなですます調の条例です。構成員も弁護士やスクールカウンセラーなど本当に専門職がやっていて、そこに学校や保護者、子どもが相談に行けるようなシステムですので、今、副市長がおっしゃった子どもアシストセンターとは違うかなと私は思います。  ですから、ぜひ、第三者委員会ということで、いじめに特化した相談機関をつくっていただけることを強く要望いたしまして、私の質問を終わります。 ◆三宅由美 委員  私からは、いじめ問題への対応についてとインクルーシブ教育について、2項目にわたって質問いたします。  まず、いじめ問題への対応についてですが、大津市の中学生のいじめ自殺は、私たち社会に大きな衝撃を与えました。短い将来を苦痛のうちに終えてしまった子ども、そして親御さんの無念を思うと、本当に胸が痛むところですけれども、やはり、新聞報道の仕方、私たちのとらえ方にも少し問題があると思います。直近では、やはり、こんな悪い子どもがいるのかというようなことで、このような深刻なものは傷害罪あるいは恐喝罪での立件も必要だとは思いますが、死に至るようないじめは、無視とか、そういうことでも起きたりいたします。  そして、私が一番言いたいのは、いじめは個人的な問題で、いじめる側、いじめられる側のどちらかに問題があると考える傾向が強いです。今は落ちついてきましたので、私はこのことを問題にしていきたいと思います。つまり、だれがいじめたのか、責任はどこにあるのか、親か、教師か、学校かというようなことで終始していたと思います。これは、中野区の鹿川君のいじめ問題、あるいは、愛知県の大河内君のいじめ問題など、そのときには世論も盛り上がります。しかし、防止にまでは至っておりません。本当のいじめの防止策とはどういうことなのかというのは、やはり落ちついて考えるべきことだと思います。  いじめは、社会の問題として広くみんなで解決するテーマだと私は思っております。また、社会論的な考察も必要だと思っております。つまり、職場でもどこでも、人が集団で集まるところにはやはり対立が生じてくると思います。それが一人をターゲットにしたいじめに行くのではなく、対等に話し合う中から調整する、このことが、大人社会ももちろんそうですが、子どもの社会にも欠けているのだと思っております。いじめる側、いじめられる側を単純に加害者、被害者の問題とはみなさず、学級、学校、社会全体の問題ととらえることが、深刻ないじめをなくすまず第一歩だと考えております。  文部科学省は、いじめの定義を平成13年度に改めました。この定義によれば、被害者がいじめられていると思えば、それでいじめになるというふうになりました。18年度以前は継続的にというような言葉が入っておりましたが、それが、なぜか、19年度から始まったものでは継続的という言葉がなくなりました。  いじめのアンケートはこれに沿って進められていると思いますが、教育委員会が昨年11月に実施したいじめのアンケートでは、「いじめられていると思う」と回答した児童生徒は1万人以上に上っております。小さなトラブルなどといじめの区別がされていないため、回答数が大きくなっているのだと思われます。昔は、子どものけんかに親が出ると、親も子どももちょっとばかにされるような社会ができておりましたが、このことによって子どもたちが小さないじめの解決能力を得ていくということで、私はこれも一つの教育だったと思います。  この文部科学省の定義の問題点ですが、ささいなことまでいじめとなってしまい、本当に対応しなくてはならない深刻なケースが見えなくなってしまう心配を私は感じております。現に、大津市では、教師が単なるけんかやふざけ合いと見ていて、生徒が死にたいほどの苦痛を持っていることに気がつかなかったということがあります。あいまいな定義による調査には余り意味はなく、本当に対応すべき深刻ないじめを見つけ出せるのは、すぐれた教師の目、それから保護者の目、地域の大人の目であろうと私は考えております。  そこで、2点質問いたします。  1点目として、文部科学省のいじめの定義について、教育委員会としての見解を伺います。  2点目として、教育委員会が実施するいじめのアンケート調査の問題点についての見解をお伺いいたします。 ◎池上 指導担当部長  いじめの問題への対応につきまして、2点のご質問がございました。  まず、1点目のいじめの定義についてでございます。  平成23年度に本市が独自に実施いたしましたいじめのアンケートでは、いじめられていると思うと答えた小・中学校の児童生徒数は、委員からご指摘がございましたとおり、合計1万人以上に上っております。これは、いじめについて深刻なケースを見落とさないために、いじめを広くとらえた上で把握した数でございます。これに対しまして、各学校が児童生徒一人一人にきめ細かに対応した結果、最終的にいじめであると認知した件数ははるかに小さな数となっております。  教育委員会といたしましては、いじめの定義は、文部科学省におけるいじめの定義を踏まえ、子どもの立場に立っていじめを広くとらえることが基本であり、子どものどのような訴えにも耳を傾け、丁寧に対応することが何よりも重要であると考えております。このように児童生徒一人一人にきめ細かに対応した上で、なお手厚く対応すべきいじめの問題については、いじめられている子どもだけではなく、いじめている子どもに対してもさらに丁寧な対応をしていくことが大変大切なことであると考えております。  次に、2点目のいじめに関するアンケート調査の問題点についてでございます。  本市独自のいじめのアンケート調査は、いじめられている児童生徒の立場に立つことを重視し、また、できるだけ広く子どもの状況を把握することが必要であると考えて、「あなたは、今、いじめられていますか」という質問項目を設定し、いじめられていると回答した児童生徒については、各学校において慎重かつ迅速に事実確認を行った上で問題の解決に向けた取り組みをしております。本アンケートによる各学校の対応状況につきましては、担当の指導主事が各学校に確認し、状況認識を共有しながら問題の解決に向けた対応に当たっており、いじめの早期発見・早期対応、そして、深刻化の防止に役立っていると認識しております。しかしながら、より一層、子どもの気持ちを酌み取れるようなアンケートにすることが必要であると考え、現在、その内容等について検討を進めているところでございます。  また、アンケートだけでいじめの実態は十分に把握できるものではございません。各学校の状況に応じまして、個別面談や教員間の情報共有、家庭、地域と連携するなどして、いじめを含む子どもの生活の実態をよりきめ細かに把握するよう努めているところでございます。 ◆三宅由美 委員  私が先ほど申し上げましたように、一過性のけんかのようなものは、子ども自身が解決能力を持たなければならないと思うのです。子ども集団の中で仲裁に入る人がいるとか、けんかをしてかえって仲よくなるケースもあるので、そういう経験を子ども集団の中で身につけていくことが私は教育だと思っております。  定義ですけれども、警察庁の少年保安課の定義では、単独または複数の特定人に対して、身体に対する物理的攻撃、または言語によるおどし、嫌がらせ、無視等の心理的圧迫を反復、継続して加えることにより苦痛を与えることとなっております。この反復、継続というところが私は不可欠だと思っております。それはなぜかといいますと、子どもは、ほとんど毎日、学校に通いますね。子どもは、学校の中で反復、継続をずっとしているわけです。その場が、全部、自分に対するいじめになったときに、居場所がなくなってしまいます。やっぱり、そのことを最も重要に考えていただきたいと思っております。そして、教育委員会も学校も教師も、また、親御さんも子どもたちも、この定義を皆さんでしっかり共有することが大事だと思っております。そうでないと、いじめに対する意見がばらばらになって、何がいじめなのか、そして、真の解決策にたどり着くことができない状態が続いていると私は思っております。  再質問ですが、学校は、すべての子どもが安心して学ぶことができる環境を整える責務があります。いじめの問題に対しては、いじめている者をすぐにみんなで糾弾したり、学校の責任ばかりを追及したりするだけではなく、子どもたちにいじめが何なのかということをしっかり伝え、定義も伝える。また、民間のNPOで、子どもの仲裁制度や調停の仕方の講座を開いたりしているところもありますので、その方々をホームルームや道徳の時間に呼んで、いじめの問題を子どもたちにもPTAの方々にも深くとらえていただきたいと思っております。  深刻ないじめにしないためのポイントは、いじめている子も、いじめられている子も、孤立させたり問題を抱え込まないような雰囲気づくりです。雰囲気だけでは甘いと思いますが、学校の体制、地域の体制をつくっていくことが大切だと思っております。このいじめ問題を契機に、大人社会でも職場のいじめなどがありますので、子どもたちだけの問題ではないと考えていただきたいと思っております。  そこで、質問ですが、各学校では、いじめ防止のための実践をどのように進めているのか、その取り組みの状況及び教育委員会の見解を伺います。 ◎池上 指導担当部長  いじめ防止のための実践をどのように進めているかにつきまして、各学校での取り組み状況、そして、そのことへの教育委員会の見解でございます。  各学校におきましては、子どもの実態に応じて、思いやりの心をはぐくむ道徳教育の充実を進めるとともに、子どもが主体的にいじめ防止の啓発活動に取り組む指導などのほか、いじめについて子どもがいつでも相談できる教育相談体制の充実に努めているところでございます。  教育委員会といたしましては、これまでの各学校のさまざまな取り組みを踏まえつつ、子ども同士が支え合い、助け合う、例えば、ピアサポートのような活動を教育活動に取り入れるなどいたしまして、子ども一人一人がいじめは絶対に許されないという意識を高め、いじめなどの問題を子ども自身の力で解決していく力を育成していくことも大変重要であると考えております。また、各学校におきましては、教員がさまざまな視点から子どもについての情報を共有いたしまして、組織全体で子どもの心の状況や生活の実態を的確に把握して指導する中で、子どものいじめに対する問題意識を喚起するとともに、主体的に問題を解決する能力を培っていくことが、いじめを未然に防止する上で重要であると考えてございます。 ◆三宅由美 委員  いじめは、やはり、担任の教師だけの問題ではなく、多くの教師の目が必要だと思っております。昼休みあるいは中休み、そして放課後にいじめは起こりやすいという結果も出ております。多くの先生たちが学校の中を見回りながら、いつも同じ子がいじめられているとか――いじめられている子は大変な屈辱感を感じておりますので、プライドを保つためにも、これは遊びだと見せかけたり、いじめられてもにこにこしているとか、そういうような傾向もあります。ですから、同じ子どもだけがプロレスごっこなどで繰り返し体に痛みを与えられているようなことがないか、ぜひ多くの人々が見ていただきたいと思います。  そこで、もう一つ言いたいのですが、私はこのアンケート調査で非常にいいと感じたことがあります。アンケート調査の中で、あなたはいじめられている子にどういうことをしますかというような項目がありましたが、いじめられている子の話を十分に聞いてあげるという回答がありました。子どもたちも孤立させないことを考えているのだなということが、そのときにわかりました。これは、調整能力を持つ大変いい目だなと思っておりますので、ここを育てていっていただきたいと思います。  そして、聞くだけではなく、その次の段階で、この子どもはどうしたらいいのかということも、指導の中、あるいは授業の中で指し示していただければと思っております。  次に、インクルーシブ教育について質問いたします。  国の障がい者制度改革の進展に伴い、2011年7月29日に障害者基本法が改正されました。目的、基本原則として、1番目に、すべての国民が障がいの有無にかかわらず、ひとしく基本的人権を共有するかけがえのない個人として尊重されるものであるとの理念、2番目に、すべての国民が障がいの有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会を実現、3番目に、可能な限り、その身近な場所において必要な支援を受けられること、4番目に、社会参加の機会の確保、5番目に、どこでだれと生活をするかについての選択の機会が確保され、地域社会において他の人々と共生することを妨げられないこと、6番目に、社会的障壁の除去といった大変大切で意義のある考え方が盛り込まれました。  この基本法に沿って、障害者自立支援法にかわり、障害者総合支援法、障害者虐待防止法が成立いたしました。その他、児童福祉法、障害者福祉法の整備もこれから進められていきます。教育の分野では、改正障害者基本法第16条において、可能な限り、障がい者である児童及び生徒が障がい者ではない児童及び生徒とともに教育を受けられるよう配慮すること、また、その保護者に対して十分な情報の提供を行うとともに、可能な限りその意向を尊重することが、国及び自治体の義務として示されました。また、ことし7月には、中央教育審議会での検討に基づいて、共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育システム構築のための特別支援教育の推進という報告書が取りまとめられました。そこでは、基本的な方向性として、障がいのある子どもと障がいのない子どもができるだけ同じ場でともに学ぶことを目指すべきと提言されています。私も、障がいのある子とない子がともに学び育つ環境の実現は、共生社会を目指す上での第一歩であり、欠かせないことと考えています。  そこで、質問ですが、市教委として中教審の報告をどのように受けとめているのか、伺います。  また、障がいのある子どもの就学先を決める際に、保護者の意向がより反映されるような仕組みに変わるとのことですが、保護者の意向を無視した就学先の決定があってはならないと考えております。  そこで、質問ですが、現在、どのような手続を経て就学先を決定しているのか、また、その流れの中でどのように保護者の意向を確認しているのか、この2点についてお伺いいたします。 ◎金山 学校教育部長  ただいま、インクルーシブ教育にかかわりまして、中教審報告の教育委員会の受けとめと、就学先決定の手続と保護者の意向確認についてのご質問がございました。  まず、1点目の中教審報告の教育委員会の受けとめでございます。  インクルーシブ教育システムにおいては、同じ場でともに学ぶことを追求するとともに、個別の教育的ニーズのある幼児、児童生徒に対して、自立と社会参加を見据えて、その時点で教育的ニーズに最も的確にこたえる指導を提供できる多様で柔軟な仕組みを整備することが重要であるとされております。そのためには、就学時に決定した学びの場を、固定したものではなく、発達の程度や適応の状況によって柔軟に変更できるよう、小・中学校における通常の学級、通級による指導、特別支援学級、特別支援学校といった連続性のある多様な学びの場を用意していくことが必要であると述べられております。  一方で、札幌市では、これまで、札幌市特別支援教育基本計画に基づきまして、一人一人の子どもの生涯を見通し、社会へつなぐための継続した専門的教育の推進と、子どもが地域で学び育つため、家庭、学校、地域がともにはぐくむ教育の推進の二つの基本的な考え方のもとに、多様な教育を展開することとしております。  この二つの考え方は、基本的には、中教審報告にある共生社会の形成に向けた推進方策と同じ方向性にあるものと認識しております。今後、就学相談、就学決定のあり方に係る制度改正を初めとしたインクルーシブ教育システム構築のための取り組みにつきまして、国より順次示されるものと考えられますことから、その動向を十分に見きわめながら、一人一人の子どもにとってよりよい教育が提供できるように努めてまいりたいと考えております。  2点目の就学先決定の手続と保護者の意向確認についてでありますが、札幌市では、障がいのある幼児、児童生徒の就学先の決定及び変更を行うに当たって、まずは、本人、保護者に札幌市教育センターにおいて教育相談を受けてもらっております。この相談では、本人の障がいの状況や発達の程度等について観察や各種検査を併用しながら把握するとともに、本人、保護者が抱えている困難や希望を聞き取りながら、その子どもに応じた教育について相談を進める中で就学に関する情報提供を行っております。その結果、本人、保護者が特別支援学級などを希望する場合には、札幌市学びの支援委員会に対し就学相談を申し込むこととなっております。札幌市学びの支援委員会では、資料や面談により子どもの状況を的確に把握するとともに、保護者の意向の聴取を行った上で、専門的な見地から就学先に関する意見を出しております。
     教育委員会では、この意見に基づきまして、本人、保護者の意向も可能な限り尊重しながら就学先の決定を行っているところでございます。 ◆三宅由美 委員  可能な限りということですが、私としては、すべての親御さんの希望をかなえるべきだと思っております。  多くの保護者の方々が、特別支援を受けるということは、特別支援学級に入ること、あるいは特別支援学校に入ることだと思っている現状があります。普通学級でともに学ぶ選択もあるという情報をきちんと保護者に伝えることが私は必要だと思っております。  そこで、質問ですけれども、今回の中教審報告の提言を踏まえ、今後、保護者の意思をどのように酌み取って行く考えなのか、お伺いします。 ◎金山 学校教育部長  中教審報告を踏まえまして、今後の保護者意見の酌み取りにつきましてお答えいたします。  中教審報告では、本人、保護者に対し、十分に情報提供しつつ、その意見を最大限尊重することが重要視されておりますが、これまでも、各学校はもとより、教育センター、教育委員会において、本人、保護者の意向を聞き取りながら適切な教育支援を行うよう相談を進めております。今後も、通常の学級や特別支援学級、特別支援学校などそれぞれの場において可能な支援内容について十分な情報提供を行うとともに、保護者や本人の意見や気持ちをより丁寧に酌み取りながら相談を進め、就学先を決定するよう努めてまいりたいと考えております。 ◆三宅由美 委員  このように制度が変わったことを保護者が知らなければ、今、特別支援学級に行くのが普通だと思っているような現状では、不本意であっても仕方なく就学することになると思います。教員が理解していなければ、保護者の相談への対応も間違うことになります。このことについては、中教審報告においても、就学相談の初期段階で就学に関するガイダンスを行うことや、保護者が選択しやすいように行政からの十分な情報提供を行うことの重要性が示されております。市教委として、今後の制度改正の内容を保護者や教員にしっかりと伝えるよう求めて、この質問は終わります。  次に、2点目ですが、障がいのある子の後期中等教育について伺います。  私は、3月の予算特別委員会でも質問をいたしましたが、小・中学校には校内に特別支援学級があります。また、通常学級にするか、どうするかという親御さんの選択制も現状では一応整っております。障がいのある子どもとない子どもとの日常的な交流が学校や地域でなされている一方、高等学校にはそのような場がありません。高等学校への特別支援学級の開設については教育課程の編成に課題があるのは理解しておりますが、高等学校においても障がいのある生徒が障がいのない生徒と日常的な交流を行いながら、そのニーズに応じて適切な支援を受けられるようにすることがインクルーシブ教育の実現につながるものと考えております。さらに、高校生になってからグレー部分の発達障がいが見つかって、コミュニケーション能力とかお友達とのおつき合いで苦労している人もいると思いますので、ぜひ、こういう部分でも普通高等学校での特別支援を充実させていただきたいと思っております。  また、特別支援学校高等部においては、個々の障がいの状況に応じた教育が進められているところですが、生徒や保護者のニーズとして、豊明高等養護学校のような職業学科で卒業後の就労を目指した教育を受けるのではなく、例えば、音楽や美術や体育といった学習をもっと多く学びたいという声もあります。社会がこれだけ成熟してきて、普通の子どもでも自分を表現する芸術などに親しんでいる子どもが多くなっております。そういう機会を障がいのある子どもにも十分に与えていただきたいと思います。  また、障がいのある生徒が中学を卒業した段階で、自分がどんな職業につくかを選択することは大変難しいことです。通常学校の中学生でも、自分の将来を見据えて高校に進む子は少ないと思っております。特別支援学校高等部においては、自分の得意な学習に取り組みたいという生徒のニーズにこたえていくことも必要ではないかと考えております。  そこで、質問ですが、高等学校における障がいのある生徒のニーズに応じた支援の状況と、今後どのように取り組んでいこうと考えているのか、伺います。  また、豊明高等養護学校において、障がいのある生徒のニーズにこたえる取り組みを一層進めていく必要があると考えておりますがいかがか、伺います。 ◎金山 学校教育部長  障がいがある子の後期中等教育につきまして、2点のご質問があったかと思います。  1点目の高等学校における障がいがある生徒のニーズに応じた支援の状況と今後の取り組みについてでございますが、札幌市においては、札幌市立高等学校教育改革推進計画に基づきまして、平成15年度から市立高等学校改革を進めているところであり、すべての市立高等学校が共通に取り組む四つの施策のうちの一つとして、特別支援教育にもかかわり、カウンセリング体制の充実に努めてきたところであります。具体的には、札幌市精神保健福祉センターなどの協力によりまして、発達障がいなどに関する専門研修を実施するなど教員研修の充実を図るとともに、すべての市立高等学校、特別支援学校でカウンセリング・特別支援教育推進委員会を組織し、各学校における取り組み事例の交流や協議を行ってきたところであります。  これらの取り組みを踏まえ、各学校においては、特別支援教育コーディネーターが中心となって校内でケース会議を開催するなどして具体的な支援を行うとともに、校内研修や講演会等を実施し、特別支援教育に関する教員の専門性の向上を図ってきたところであります。生徒に対しましては、授業において年齢や障がい等にかかわらずだれもが普通に暮らせる共生社会についての学習を行うなど、あらゆる差別や偏見をなくし、互いに支え合い、助け合う人間尊重の教育を推進しております。  今後も、人間尊重の教育を基盤としながら、教育活動全般を通じまして、障がいに対する理解が深まるよう努めてまいりたいと考えております。  2点目の豊明高等養護学校における障がいのある生徒のニーズにこたえる取り組みについてでございますが、豊明高等養護学校におきましては、職業学科などの見直しとともに、生徒の進路希望や適性、興味・関心に合わせた学習内容を取り入れることができるよう、新たにコース制の導入について検討しているところでございます。この検討の中で、全員が履修する教科に加えて、生徒が自分の興味・関心などに基づいてさらに深く学ぶことができるよう、音楽、美術や情報など選択履修することのできる教科を設けることについても検討しているところでございます。  今後も、生徒の希望や特性などを考慮しながら、教育内容の見直しを進めるなど、生徒のニーズに応じた教育の充実に努めてまいりたいと考えております。 ◆三宅由美 委員  高等学校においても、障がいのある子どものニーズに応じた支援が進められていることがわかりました。また、豊明高等養護学校のそのような取り組みはとてもよい取り組みで、障がいのあるお子さん、あるいは親御さんにとっても、明るい希望、そして、毎日笑顔で過ごすことができるということでも大変よい取り組みだと思っております。  しかしながら、障がいのある子どもたちが障がいのない子どもたちと地域の学校でともに学び、ニーズに応じた教育を受けられるようにすることが、インクルーシブ教育の実現につながると思っております。障害者基本法の理念の中でも、分け隔てることがない、それから、身近な場所において必要な支援を受けられる、どこで、だれと生活するかについての選択の機会がある、このことが障がいがあることによって非常に妨げられていると思っております。高等養護学校も、北半分に多くて南区にはありません。これは、身近なところに学ぶ場がないということですので、この改善も強く求めていきたいと思います。例えば、高等学校に特別支援学校の分校あるいは分教室の設置を検討するなど、障害者基本法の理念を学校の中でも実現していっていただきたいということを強く求めまして、私の質問を終わります。 ◆福田浩太郎 委員  私からは、学校におけるICTの活用についてと図書館の電子書籍の貸し出しサービス、ともにITに関連した質問を順に伺わせていただきたいと思います。  最初に、学校におけるICTの活用についてであります。  情報化の進展が著しい昨今、学校において教師がICTを指導に活用したり、子どもがICTに関する知識や技能などを身につけたりすることは、大きな教育効果があるものと考えております。国際的に見ましても、学校におけるICTの活用は進んでおりまして、韓国においては、数年前からデジタル教科書の実証実験に取り組み、2015年までにすべての小・中学校、高校にデジタル教科書を導入することとしております。  国におきましては、公明党が推進いたしましたスクール・ニューディール構想のもと、平成21年度の補正予算で学校ICT環境整備事業を推進し、札幌市においてもデジタルテレビなどの機器の導入が進められました。昨年4月には、文部科学省が2020年度に向けた教育の情報化に関する総合的な推進方策として、情報教育の充実や学びの場における情報通信技術の活用などを柱とした教育の情報化ビジョンを策定し、学校における情報化の推進を図っています。  ことし7月、私は、古くは島判官義勇、今は我が会派の芦原委員のふるさと、佐賀県に伺いました。佐賀県では、県を挙げてICTの推進に取り組んでおられまして、県の総合計画の重要項目の一つとして教育分野におけるICTの先進的な利活用を位置づけ、電子黒板や学習者用情報端末等を活用した、つまり、生徒お一人お一人にタブレット端末を渡した授業を積極的に推進しておられました。ご担当者の話によりますと、以前、世界のトップクラスにあった日本が今の状況にあるのは、ICTの活用がおくれたからではないかということ、また、電子黒板を活用した授業によって学力が向上したという調査結果も出ており、ICTによる学習向上の効果は、特に郡部など学力の低い学校や生徒にあらわれるなど、印象深いものでありました。  このように、ICTは今後の学校現場において欠かすことのできないものであり、積極的な整備が求められるところでありますが、札幌市の学校におけるICT機器やデジタル教材の現在の整備状況についてお伺いいたします。 ◎梅津 生涯学習部長  ただいま、学校におけるICT機器の整備等の状況についてのご質問がございました。  札幌市におきましては、委員のご質問にもございましたとおり、平成21年度の国の学校ICT環境整備事業を活用いたしまして、各学校に電子黒板を1台、50インチのデジタルテレビをおおむね各教室に1台、総数では約7,000台を整備いたしております。また、教員の校務用のパソコンにつきましても1人1台、総数では約8,000台を整備いたしました。このほか、コンピューター教室用のパソコンといたしまして、各学校に42台を整備しております。それから、実物投影機につきましては、現状では小学校に各9台、中学校には各4台を基本といたしまして、順次、整備いたしておりますけれども、学校によりましては独自に追加して整備している学校もございます。  それから、デジタル教材につきましては、足し算や掛け算などの問題が次々と出題されまして、子どもたちが瞬時に答えていくといったフラッシュ型教材がございます。それから、都道府県ごとの産業あるいは文化を調べることができる地図、また、星座の動き、月の満ち欠けなどを学習できる動画などがございまして、各学校の要望を踏まえながら、可能な限り必要な教材を配備している状況でございます。 ◆福田浩太郎 委員  国の事業とともに、本市として独自にICTの整備が進められている現状は理解いたしました。  そこで、佐賀県の視察を踏まえて、私どもは、札幌市内におきまして先進的にICTの活用に取り組んでいる小学校を訪問し、様子を見てまいりました。この学校では、当日のスケジュールを職員室の大型テレビに表示したり、学校内のメール機能や掲示板機能を活用して情報共有を図ったり、さまざまな工夫を行いまして、職員会議を年に4回で済むようにするなど校務の効率化を行っているとのことでありました。  とりわけ、今回の訪問で私の印象に残ったのは、ICT機器を活用した授業でありました。各担任が大型テレビを使い、実物投影機やパソコンで子どもたちが理解しやすいように工夫した授業を行っておられまして、子どもたちも興味深くその画面を見ていました。このような子どもたちの姿を見ますと、ICT機器の活用は、学習を進める上で有効な方法の一つであると改めて感じたところであります。  しかし、先ほど来の大型テレビを初めとしたICT機器がせっかく整備されましても、学習指導等に生かされなければ全く意味がないものとなってしまいます。  そこで、再質問ですが、現在、札幌市内の学校でどのようにICTを活用した学習指導を行っているのか、お伺いいたします。 ◎池上 指導担当部長  私から、ICTを活用した学習指導の状況についてお答えしたいと思います。  各学校におきましては、教科や総合的な学習の時間などにおきまして、コンピューター室で学習する場面では、子どもたちが1人1台のパソコンを利用して、例えば、小学校3年生ではローマ字の学習が始まりますが、そのときにはローマ字の学習とキーボードでの文字入力を関連させて作文を書くような学習に活用したり、あるいは、インターネットから課題解決に必要な情報を収集したりするなどの学習が行われているところでございます。また、教室での学習場面では、先ほど来お話がありますデジタルテレビと実物投影機を用いまして、授業の中で教師が教科書や教材などを大きく映して子どもたちに提示して説明したり、あるいは、子どもがノートなどを実物投影機で映して自分の考え方をみんなの前で発表したりする活動、それから、電子黒板を用いて映像や音声を交えながら外国語に親しむ外国語活動なども行っているところでございます。さらに、教室のパソコンを市立学校ネットワークに接続いたしまして、フラッシュ型教材を用いて知識や技能の確実な定着を図る学習、それから、デジタル教材から教師が一人一人の子どもの学習状況に合わせた学習プリントを作成したり、適宜、これらICTを活用して学習指導を行っているところでございます。  今年度は、電子黒板とデジタル教科書を用いた学習指導のあり方について、現在、研究開発に取り組むなど、子どもの学ぶ力を伸ばすICTの活用を目指して一層努めているところでございます。 ◆福田浩太郎 委員  学習指導等においてこれを活用されている事例は理解いたしました。今後とも、学校におけるICT機器の環境整備については、試験的な導入などを行いながら、ぜひ進めていっていただきたいと思います。  大阪市では、平成25年度と26年度の2年間、モデル校を選定して児童生徒用のタブレット端末を整備するとともに、デジタル教科書や授業用ソフトを配備して検証を重ね、大阪スタンダードモデルを作成して平成27年度に全市展開すると聞いております。また、名古屋でも、来年度には市内小学校1校にタブレット端末を試験導入して、将来の導入に向けて検討するということでございます。各都市において、タブレット端末を初めとした各種ICT機器等の導入の検討が進められておりますので、札幌市においても、他都市に負けずに環境の整備を進めていただきたいと考えるところでございます。  そこで、最後の質問ですが、学校のICT化に対する今後の方向性についてどのように考えているのか、お伺いいたします。 ◎梅津 生涯学習部長  ICTの整備に係る今後の方向性でございます。  まず、実物投影機につきましては、学校からの要望も多うございますので、各教室1台を目標に着実に整備してまいりたいと考えてございます。それから、デジタル教科書、タブレット端末の整備につきましては、その有効な活用方法を含めまして前向きに検討してまいりたいと考えておりますが、この整備には多額の費用が必要となってまいります。そんなことから、国あるいは他都市の動向などを踏まえながら、機器を導入したことによる効果や課題などを多角的に検証いたしまして、札幌市として学校における情報化推進をどのように展開していくかということを含めて、長期的な視点から計画を策定してまいりたいというふうに考えてございます。 ◆福田浩太郎 委員  ぜひ、長期的なしっかりとした計画をご検討いただきますようお願いいたします。  最後に、要望ですけれども、先日、平成23年度の全国学力テストの結果が公表されました。札幌市は、小学校については全国平均並みでありますが、中学校に上がりますと平均以上と向上が見られておりまして、よい成果があらわれていることに対しては関係各位のご努力に敬意を表したいと思います。  しかし、より多くの生徒がわかりやすく楽しく、また、情報化社会に適応した教育としていくためには、私は、ICTの活用は欠かせないと考えております。先ほども答弁にありましたように、多額の費用がかかるのは確かでありますが、次世代を担う子どもたちのこれからの教育には不可欠でありまして、必要な投資ではないかと考えております。  佐賀県の例では、今、使用しております日本メーカーのタブレット端末は1台約10万円だそうでありますが、これがiPadだと5万円ぐらいで、Androidでは2万円ぐらいだそうでございます。機種の選定も含めて、行く行くはご家庭で購入いただくことも考えて、2020年には全生徒に持たせたいということでありました。  ぜひ、札幌市においても積極的に機器や教材の整備を進めていただきたいですし、あわせて、学校でICTが効果的に活用される取り組みについても一層進めていただくことを要望して、この質問は終わります。  続いて、図書館の電子書籍の貸し出しサービスについてであります。  図書館は、昨年度に、今後10年間の運営方針を示した第2次図書館ビジョンを策定いたしました。33の項目に取り組み、サービスの質の向上に努めるという内容であります。この33項目の中で、私が注目いたしますのは、電子書籍の貸し出しサービスについてであります。自分が持っているパソコンやタブレットなどの画面に図書館にある電子書籍を呼び出して、その本を読んで返却するというサービスであります。これまでにない新しい読書スタイルであり、その意味で大変注目に値するものだと思っております。図書館では、平成26年度のサービススタートに向けて、昨年度はそのサービスを体験する実験を行いましたが、市民400名が参加したほか、実験の様子も全国ニュースになるなどマスコミでも何度も取り上げられておりまして、各方面から注目を浴びている状況であります。  そこで、質問していきたいと思います。  電子書籍は、この数年間で急速に出版点数を伸ばしておりますし、また、電子書籍を読む端末機器や電子書籍を販売する書店もふえております。さらに、電子書籍の貸し出しサービスを始めた図書館は、政令市では大阪市と堺市、東京都では千代田区のほか、岐阜県や徳島県の市立図書館、和歌山県や香川県の町立図書館でもスタートしております。  しかし一方では、まだまだ紙の書籍を読んでいる人が多いという実感もあるのですが、こうした中で、札幌市が電子書籍の貸し出しサービスを行う意義は何か、改めてお伺いいたします。 ◎長谷川 中央図書館長  電子書籍の貸し出しサービスの意義についてのご質問でございます。  意義は二つございますが、一つ目は、時代の趨勢に対応したサービスを行うことでございます。  これまで、図書館は、社会の変化にも対応した利用しやすい読書環境づくりを進めてまいりました。例えば、図書館には映像資料や音楽の資料がございます。カセットテープで聞いていたものを今はCDにするなど、媒体の変化に対応してきたところでございます。書籍についても、現在、電子書籍が大変普及しています。そして、これを読むことができるパソコンやスマートフォンなどの電子機器を持っている方も現在は多く、今後もふえ続けることが予想されております。そうしたことから、時代の趨勢に対応できる読書環境づくりをするために、紙の書籍に加えまして、電子書籍の貸し出しサービスを始めることが必要だと考えます。  二つ目は、図書館の利用促進でございます。  電子書籍の貸し出しサービスは、24時間、図書館に行かず、いつでも簡単に本を借りることができます。ですから、仕事や子育てなどでお忙しい方、また歩行困難な方など、これまで図書館に行きたくても行けなかった方々が、今後、図書館を利用することが可能になってまいります。また、パソコンなどの操作にはなれていても、本を余り読まないといった方もいらっしゃると思いますが、そうした方にも気軽に電子書籍を読む機会を提供することで利用者の拡大が図られる、このように考えております。こうした新たな利用者がふえて、電子書籍をきっかけにして読書への関心が高まり、紙の書籍の貸し出し増加にもつながっていくことを期待しているところでございます。 ◆福田浩太郎 委員  ただいまのお話から、電子書籍の貸し出しサービスの意義について理解いたしました。  ただ、肝心なのは、利用する側がそう思っているかどうかだというふうに思います。大阪市や堺市など電子書籍の貸し出しサービスを既に始めた図書館で、利用者の反応はどうなっているのか、伺いたいと思います。  また、昨年度、札幌市では400名を超える市民の方々が電子書籍を体験しましたが、反応や評価はどうだったのか、あわせてお伺いいたします。 ◎長谷川 中央図書館長  電子書籍の貸し出しサービスを既に始めております都市の利用者の反応についてでございます。  いち早くスタートしたのは千代田区でございますが、貸し出しの登録者の3分の1の方が既に電子書籍の登録も済ませている状況でございます。最近スタートしたところでは堺市や大阪市がございますが、聞いたところによりますと、電子書籍特有の検索機能や音声の機能などが有効に使えるということで、総じて好評だと聞いております。  札幌市でも、昨年度の実験でほとんどの方が電子書籍の機能は便利だと感じられております。また、8割を超える方々から、図書館の電子書籍の貸し出しサービスを今後も利用したいという回答をいただいております。  ですから、既にサービスを始めた都市の利用者の皆さん、それから、札幌市の実験に参加していた皆さんは、電子書籍の貸し出しサービスについて高く評価していただいていると考えております。 ◆福田浩太郎 委員  電子書籍の貸し出しサービスに対する利用者の評価は高いということでございました。  したがいまして、今後、サービスが本格スタートいたしますと、電子書籍の利用もふえて、ひいては図書館の利用促進が図られることが期待できますが、このサービスがうまく進むためには、読みごたえのある電子書籍を用意することが大事な要素ではないかと考えております。  そこで、最後の質問は、貸し出す電子書籍についてであります。  実験結果の報告書を見ますと、サービスの本格導入に向けて用意する書籍は大きく二つあって、一つは図書館向けに既に販売されている電子書籍、もう一つは札幌市の刊行物を電子書籍化したもの、この二つを用意するとあります。市販の電子書籍のほかに札幌市に関する資料を電子書籍化して貸し出すことは、ジャンルもふえて利用のしがいがあると思いますけれども、市の刊行物について、実験に参加した方、また刊行物の発行元である関係部局の反応や評価はいかがであったのか、お伺いいたします。 ◎長谷川 中央図書館長  市の刊行物についての関係者の反応、評価のご質問でございます。  昨年度に行いました実験では、既存の電子書籍を活用しまして文芸などの一般的な本を用意しました。そのほかに、市の刊行物も電子書籍化して貸し出したところでございます。市の刊行物として電子書籍化したものは、地域の歴史を紹介した資料や広報さっぽろなど、多様な活用ができる資料を用意したところでございます。  それに対する実験参加者の反応ですが、読みたいジャンルとしていわゆる文芸物が一般でしたけれども、地域に関する情報、歴史など札幌をキーワードにした書籍にも高い関心が寄せられまして、市の刊行物にも注目が集まったところでございます。そうした実験参加者の反応とは別に、市の刊行物を提供していただいた関係部局の方はどういう反応だったかと申しますと、図書館の電子書籍として形を変えて新たに貸し出すことは、現在の市民へ再度PRすることになりますし、また、後世の世代にも、まちづくり、文化や歴史など、札幌の記録や魅力を伝達できる効果が期待できるということでございました。利用者の反応、市の関係部局のご意見を考えますと、総じて高い評価をいただいていると受けとめております。 ◆福田浩太郎 委員  札幌や地域の新たな発見をされて、改めて札幌の魅力を感じた市民も多かったということだと思います。  最後に、要望ですけれども、電子書籍の貸し出しサービスは大変便利なものでありまして、これまでの議論でも明らかになりましたように、時間に余裕がないなど物理的に借りられなかった方が借りられるようになったり、また、目の不自由な人には拡大したり、文字情報が入力されていれば音声で聞くことができたり、色弱の方もその症状に合わせて色を変えることができるなど、便利な機能がございます。こういった便利な機能によって、これまで図書館に行けなかった人も電子書籍という本を読めますし、ひいては図書館の利用促進にもつながると思います。電子書籍の貸し出しサービスは、単に新しい読書スタイルということにとどまらず、文字、活字文化の進展にとっても大きな意義があると考えるところであります。  電子書籍の貸し出しサービスを始めた自治体は現時点では多くはありませんが、既に大阪市や堺市など市町村レベルで始まっておりますし、都道府県レベルでも秋田県や山梨県が間もなくサービスをスタートさせ、さらにいろいろな県がサービス導入に向けて検討に入っているなど、全国的な広がりを見せていると聞いております。こうした中にあって、札幌市が北海道で初めて本格導入するということは、北海道の図書館全体の活性化につながるでしょうし、全国の図書館において電子図書館サービスがさらに前進する起点にもなり得ると期待しております。  今後も、札幌市の図書館の動向に注目をしてまいりますので、より一層の取り組みを求めまして、質問を終わります。 ◆伊藤理智子 委員  私は、いじめ問題の対策について質問いたします。  9月5日に、白石区で、中学1年生の男子生徒がいじめられていたというメモを残してとうとい命を落としてしまいました。改めて、ご冥福をお祈りいたします。  いじめは、いじめられた子どもの心を傷つけるだけではなく、命をも奪ってしまう重大な問題です。子どもたちの大切な命を守る教育を行っていかなければならないと、教員はもちろんのこと、すべての大人が心を痛めている問題だと思います。子どもたちが命を輝かせて一人一人が大切にされる学校や地域、社会をつくっていくことが強く求められていると思います。  特に、我が国は国連子どもの権利委員会で3度にわたる勧告を受けており、2010年6月に行われた3回目の勧告では、教育について、教育制度が高度に競争主義的であるとして、いじめ、精神的障がい、不登校、登校拒否、中退及び自殺につながることを懸念すると述べております。そして、日本の子どもの権利が脅かされている現状を指摘し、改善を勧告しております。3度も勧告されているのに、子どもたちの置かれている現状は変わらない状況が続いております。そういう中で、いじめの問題が深刻化、複雑化していることも懸念されております。  本市として、この国連子どもの権利委員会の勧告をどのように受けとめているのか、認識を伺います。  また、いじめ問題について、教育評論家の尾木直樹氏は、いじめはどの学校にあってもおかしくない、大切なのは早期に発見して対処することと言っております。いじめを早期に発見し、対処するために本市としてどのように取り組んできたのか、伺います。 ◎池上 指導担当部長  いじめ問題への対応にかかわりまして、2点ご質問がございました。  まず、1点目の国連子どもの権利委員会の勧告は、先ほどお話がありましたとおり、2010年6月に出されたものでございますが、これについての教育委員会の認識についてでございます。  国連子どもの権利委員会からの日本政府への勧告につきましては、いじめや児童虐待に関する問題等、実際に子どもが生活するあらゆる場で、大人が子どもの最善の利益を考慮し、実践的に対応していかなければならないとの認識に立ちまして、教育委員会といたしましても、引き続き、教員の研修に努めるなど、積極的に対応しなければならない課題であると認識しているところでございます。  次に、2点目のいじめの早期発見・早期対応の具体的な取り組みでございますが、教育委員会といたしましては、平成18年度から、毎年11月に、札幌市内のすべての市立学校においていじめに関する意識調査を実施しております。各学校におきましても、日常的なきめ細かい子どもの見守りを初めといたしまして、学校独自のいじめアンケートや悩み調査、個別面談などを計画的に実施するとともに、スクールカウンセラーとも連携を図りながら相談体制の充実を図るなど、いじめの未然防止、そして早期発見・早期対応等に取り組んでいるところでございます。 ◆伊藤理智子 委員  国連子どもの権利委員会の勧告については、積極的に受けとめて対応していくということでした。そして、いじめの早期発見、対処についてはいろいろな取り組みも行ってきたということです。  本市が2008年に作成したいじめ問題への対応という結構分厚い冊子を私も読ませていただきましたけれども、生徒指導を行う上で、いじめについての詳しい定義と、具体的な事例を挙げて指導と対応の仕方や関係機関との連携について詳しく書かれております。大切だなと思ったポイントですけれども、いじめを発見したら、担任だけではなくて、校長や教頭、教員集団が力を合わせて問題に取り組むということです。今、全国各地で起こっているいじめでは、いじめがあったことを学校や教育委員会が隠ぺいしてしまうことが非常に問題になっておりますが、いじめ問題へ取り組んでいる札幌の先生たちの一つ一つの実践が非常に具体的に載っていまして、どういうふうに解決してきたかということも書いてあって、こういう実践で解決してきたというところに光を当てて評価をしていくことがすごく大事だなと思うのです。そういう教育実践に光を当てて評価し、全国的にいじめ問題の対策にどう取り組んでいくのかということに関して交流していくことで教員の意識も非常に高まっていくのではないかと思いますので、こういういい実践をぜひ広げていただきたいというふうに思います。  ただ一方では、職員の多忙な労働環境があるのですね。うまくいっている事例では、職員集団が力を合わせて連携して取り組んできています。しかし、多忙な中で子どもになかなか目が行き届かない、子どもと向き合う時間を確保することができない状況があるという先生たちの悩みの声も、私たちは直接聞いているところです。教員の精神疾患は、2011年度で、30日以上90日まで休んでいる方が123人、90日以上3年まで休んでいる方は81人にも及んでおります。  我が党は、この間、教員の精神疾患を減らすために、長時間労働を減らすなど加重負担の軽減が必要であることを指摘してきていますが、いじめ問題のための対策を充実する上でも考えていかなければならない点だというふうに思います。いじめの早期発見、対処のための取り組みは、とても大切なことだからこそ、実践する教員の多忙化の見直しなどをして、一人一人の子どもたちに向き合っていける環境に改善して、いじめの根本的な問題解決を図ることが必要だというふうに思うのですけれども、本市のご見解についてお伺いします。  それから、残念ながら、今回、白石区で起こった痛ましい自殺の件では、いじめられていたという本人が残したメモのほかは、生徒にとったアンケートからはいじめらしき実態が報告されておらず、原因が明らかにされておりません。現在、検討委員会を立ち上げて調査中ですから、これはしっかりと調査していただき、今後の対策についても、調査がまとまり次第、明らかにしていただきたいというふうに思います。  さらに、この男子生徒が通っていた中学校での子どもたちの心のケアが非常に大事ではないかなと思っております。この中学校の校区はすごく広いのですね。学校にすると5校程度ですが、非常に広い地域の子どもたちがこの中学校に通っているということもありますので、子どもたちの心のケア、保護者への働きかけも非常に大切になってくると思うのですけれども、この間、どういうふうに取り組んできているのか、伺いたいと思います。 ◎池上 指導担当部長  まず、教職員の多忙化の改善についてでございます。  ご指摘にありましたように、学校現場では多くの教職員が多忙であることにつきましては、教育委員会としても認識しておりまして、その改善に努めているところでございます。お話にありましたように、いじめの問題などへの対応に当たりましても、やはり、組織としてしっかり働ける職場環境であることは大変大切なことですので、そういうことを実現するためにも、今後ともその改善にしっかり取り組んでまいりたいと考えているところでございます。  次に、白石区で亡くなった生徒にかかわりのある児童生徒あるいはその保護者の方々への心のケア等についてでございますが、亡くなった当該生徒とかかわりのある児童生徒が在籍している小・中学校で不安を訴える児童生徒や保護者がいないかどうか、教育委員会から確認しまして、必要に応じてカウンセラーを緊急派遣する体制を整えているところでございます。それから、当該中学校におきましては、戸惑いや不安を訴える子ども、そして保護者の方々に対応できるように、当面の間はスクールカウンセラーのスーパーバイザーを緊急派遣して常駐させるなど、心のケアを図る体制の充実に努めてきたところでございます。 ◆伊藤理智子 委員  いじめ問題に真正面から取り組み、早期発見・早期対処でいじめが深刻化、複雑化しないうちに解決するためには、一人一人の子どもたちにきめ細かく目が行き届く教員の体制が重要です。そのために、少人数学級を一刻も早く進めていくこと、教員の多忙化を改善するために教員の増員を図ることは、いじめ問題を解決する上で最も大切なことだと思います。多忙化については、今、教育委員会でも認めるという答弁があって、改善していきたいということでしたので、ぜひ、ここのところには力を入れていただきたいというふうに思っております。  また、保護者や地域との連携も非常に重要だと思っています。個人情報保護法によって地域とのつながりが大変希薄になっていることから、自分たちの地域にどんな子が生活しているのかなかなかわからない、隣にすらどんな人が住んでいるかわからない、こういう状況が現在では課題になっていると思います。これは、東日本大震災をくぐって地域とのつながりが改めて再認識されつつありますが、本当に改善していかなければならない課題だというふうに思います。  そこで、いじめ問題に対応する場合、保護者や地域の協力関係をどのように築いてきているのか、連携してきているのか、伺います。  また、白石区の子どもたちの心のケアの問題については、スーパーバイザーも派遣して緊急的に対応されているということですけれども、私は、スクールカウンセラーの配置について資料をいただきますと、小学校1校当たり1年間で48時間の配置ですから、1週間にすると大体1時間程度の相談にしかならないのですね。中学校では1校当たり1年間で280時間ですから1週間で5時間程度、1日に1時間の相談ができるのかなというような感じで、高校も中学校と同じ程度となっております。やっぱり、こういう社会的情勢も広がってきて、いじめの問題も複雑化していたり深刻化している中では、スクールカウンセラーの増員を行って配置時間を拡大していくべきだというふうに思いますけれどもいかがか、伺います。  また、自殺の件があった地域では、緊急的にスーパーバイザーも派遣して取り組んでいるということですが、この地域のスクールカウンセラーの配置時間も拡大して、さらにフォローしていくべきではないかと思うのですけれどもいかがか、伺います。
    ◎池上 指導担当部長  いじめの問題への対応に当たって、地域、そして保護者の皆さんと具体的にどのように連携を図っているのかということについてでございます。  教育委員会としましては、学校、家庭、地域、そして関係機関等から成るいじめ防止連絡協議会を開催いたしまして、いじめの未然防止や対応について情報交換や意見の交流をするなどの取り組みを実施しております。このような取り組みを通しまして、学校は、地域や保護者に対して、学校のいじめに対する方針や指導計画等をお伝えし、保護者や地域の方々の理解や協力を得られるよう努めますとともに、PTAや地域の関係団体等といじめの問題について協議する機会を設けるなどしまして、いじめの根絶に向けて地域ぐるみの対策を進めさせていただいているところでございます。  次に、スクールカウンセラー事業の拡大についてでございます。  スクールカウンセラーについては、先ほど委員からもお話がありましたとおり、今年度の年間の配置時間数は小学校で48時間、中学校で280時間となっております。ここ数年、小学校、中学校のどちらも相談件数が増加しておりまして、配置時間数の増加について要望を受けているところでございます。特に、小学校の相談件数が増加しておりますことから、小学校の年間配置時間数を平成26年度までに54時間に拡充するなど、いじめや不登校などいろいろなことに対応できる体制を充実してまいりたいと考えているところでございます。 ◆伊藤理智子 委員  日本は、国連子どもの権利委員会から3回にわたる勧告を受けていることを指摘しました。勧告の中では、公教育の第一目的である人格の全面発達が大切であることが言われております。非常に大切な視点だというふうに思います。  子どもたちは、友達との人間関係の中でぶつかり合い、自分の思うようにいかないことがたくさんあることも学びます。そういう中で、いじめに発展していくこともあると思います。だからこそ、早いうちに子どもたちのトラブルに気づいて、信頼する大人たちが適切に対応することで、自分の気持ちを相手にわかってもらうためにどう伝えていくのか、お互いの気持ちを尊重しながら集団生活をしていくために何をしなければならないのか、いろいろな問題を解決して乗り越えていく中で一つ一つ身につけ、人間として成長して人格を形成していけるのだというふうに思います。  保護者や地域との日ごろからの連携も非常に重要です。今、いろいろな取り組みもしているというご答弁でしたので、引き続き、本当にお互いの顔の見えるような関係をきめ細かくつくっていただきたいというふうに思います。  いじめが深刻化、複雑化していくことで、命を奪うような問題に発展することはあってはなりません。子どもたちの関係を追い詰めることがないように解決していくために、国連子どもの権利委員会から厳しく指摘された勧告を重く受けとめていただいて、教員の多忙化を改善し、子どもたちにしっかり向き合えるようにするために、少人数学級や教員の増員、スクールカウンセラーも、時間は少しふやすということでありますけれども、もっともっとふやしていくように積極的に取り組んでいただきたいということを強く求めまして、私の質問を終わります。 ◆石川佐和子 委員  私からは、学校図書館の蔵書整備について、1点伺います。  札幌市は、教育推進計画におきまして、学校図書館の蔵書や運営の充実を図り、子どもたちがみずから進んで学ぼうとする環境づくりを推進、また、学校図書館と中央図書館との連携を図るというふうにされています。2010年より第2次子どもの読書活動推進計画の取り組みを進められており、その課題としましては、第1次の取り組みを踏まえて、学校図書館図書標準の早期達成、学校図書館の環境整備等というふうに示されております。  この間、2007年度を初年度とする新学校図書館図書整備5か年計画の中で、図書標準を達成するために地方財政措置がありました。札幌市におきましては、小学校・中学校を合わせての図書費予算が2007年度は2億3,000万円、その後2年間は2億3,000万円台、2010年度は2億7,800万円、2011年度は3億2,500万円でした。これを1校当たりで計算しますと、およそ50万円から170万円の予算でした。札幌市の2006年度末の図書標準の達成率は、小学校で102.1%、中学校で71.4%となっておりましたが、小学校の蔵書数には87校の地域開放図書分が含まれており、小・中学校ともに寄託図書分を含んでおりました。  私たち市民ネットワーク北海道は、2007年の決算特別委員会において、地域開放図書、寄託図書ともに大変有意義であると理解しておりますが、全国では余り例のない取り組みであること、また、その目的が地域活動の推進や授業用に同一図書を20冊から40冊そろえるものであることから、図書標準としての蔵書数の中に含めることは適当ではないと指摘し、それらを除いた上で図書標準の達成を目指すことを求めてまいりました。  そこで、質問ですが、2007年度から始まった国の学校図書館整備5か年計画に基づく札幌市立学校図書館の取り組みと図書の整備状況について伺います。  また、地域開放図書、寄託図書分を差し引いた場合の蔵書数と図書標準の達成状況等について、あわせて伺います。 ◎渡邉 学校施設担当部長  学校図書館の蔵書整備について、2点ご質問をいただきました。  まず、1点目の学校図書館整備5か年計画に基づくこれまでの取り組みと図書の整備状況についてでございます。  平成19年度から始まりましたこの5か年計画に基づき、図書整備の状況に応じて各学校に予算配当を行いまして、学校図書の充実に努めてまいりました。この結果、23年度末の蔵書数になりますが、小学校で約232万4,000冊、中学校で約119万8,000冊となっております。これは、計画前の平成18年度末と比較いたしますと、小学校で約37万1,000冊、中学校で約35万2,000冊、合計いたしますと約72万3,000冊、率にして25.8%の増となってございます。これによりまして、すべての学校において図書標準を達成することができております。  次に、地域開放図書、寄託図書を差し引いた場合の蔵書数の状況についてでございますが、平成23年度末では、小学校の蔵書数で差し引いた数としまして約142万1,000冊、中学校の蔵書数では約112万3,000冊となっております。これによりまして個々の学校での図書標準の100%達成という学校が少なくなっておりますが、全体として図書標準の割合に対する状況を説明いたしますと、小学校全体では76.1%、中学校全体では97%となっております。  なお、地域開放図書や寄託図書を蔵書数に含めている理由でございますが、まず、地域開放図書につきましては、基本的に学校図書館に配架されておりまして、図書の選定に当たりましては、学校図書としてふさわしい図書を選んでいるところでございます。したがいまして、多くの児童図書が配架されておりまして、児童生徒の健全育成に資するという学校図書館の目的に合致していることから、地域開放図書については学校図書の蔵書に含めてございます。  また、寄託図書についてでございますが、こちらは、委員がご指摘のように、一斉読書や調べ学習など児童生徒の学習活動に役立てるための図書として、これを小・中学校の共有物として整備しておりまして、各学校からの要請に応じて貸し出ししております。このため、寄託図書は学校図書館の補完的役割を担っていることから、学校図書館の蔵書数に含めているところでございます。 ◆石川佐和子 委員  今、お聞きしまして、寄託図書と地域開放図書を含めて2011年度で図書標準を100%達成しているということはわかりました。しかし、地域開放図書、寄託図書を差し引くと達成していないところもあることがわかりました。  また、地域開放図書の趣旨もお伺いいたしました。しかし、私が先ほど申し上げましたように、地域開放図書の趣旨としましては、子どもたちの教育環境の向上ということもあるかと思いますが、新たなコミュニティづくりや相互の学習活動等を進め、地域で教育力を高めることをねらいとしていることがありますので、市民の学習ニーズや社会情勢に対応した図書を提供することになっており、そうしたことから子どもが読めないような一般図書も当然まざっております。  それから、寄託図書も、確かに授業を補完する大きな意義がありますが、貸し出すということで寄託庫にありますので、そうした本も含めて100%を達成したと言いましても、100%を達成している他の自治体とは状況が少し違うと思います。私としましては、含めることについてはやはり検討すべきではないかというふうに考えております。  次に、図書の廃棄について伺います。  子どもの読書環境を充実させるためには、図書館の蔵書をふやすことも重要ですが、情報が古くなったり傷んだりした廃棄すべき本は廃棄し、常に蔵書を更新していくことが重要です。廃棄に当たっては、各学校から廃棄願として教育委員会に提出しているということでありますが、その申請どおりに廃棄しますと図書標準を割り込む場合、廃棄を待ってくださいと言われることがあるというふうに聞いています。  そこで、質問いたします。  2011年度に札幌市立学校の中で廃棄した冊数は小学校、中学校でどれくらいだったのか、また、これまで各学校が提出される廃棄願についてどのように対応されてこられたのか、伺います。 ◎渡邉 学校施設担当部長  学校図書の廃棄についてでございます。  図書の廃棄の状況でございますが、平成23年度は、小学校で約2万3,000冊、中学校では約3,800冊、合計いたしますと2万6,800冊を廃棄しております。  廃棄に当たりましては、廃棄届が提出された時点で、破損あるいは汚損された図書などを除いて、まだ使用可能な図書が含まれていないか、再度、確認依頼を行っておりまして、その結果、当初の廃棄冊数より減ることもございます。 ◆石川佐和子 委員  今、廃棄願を戻す場合もあることをお聞きしました。  昨年度の廃棄数と全体の蔵書数を比べてみますと大体1%弱という感じで、この間の数字も見せていただいて確認いたしましたが、大体1%弱というふうな流れであることがわかりました。  廃棄願を学校に戻すということについてですが、図書標準を割り込まない数字を確保するために、廃棄願の中から使える本があるかと、学校にそのように見直してもらっていたというふうに私は受けとめています。つまり、廃棄願が数合わせで終わっていて、図書標準を達成したけれども、そこには本来、廃棄すべき本も含まれているということになると思います。そうした本はそのまま書架に並び続けるか、あるいは別の場所によけられるか、学校によって違うかもしれませんが、いずれにしても、図書標準を設定して学校図書館の充実を図ろうとした目的からは逸脱し、100%を達成したという数字がひとり歩きしている状態だというふうに思います。  そこで、もう1点伺いますけれども、廃棄すべき本は廃棄し、図書館の実態を改善するべきというふうに考えますが、どのようにお考えか、また、そのためには、図書購入費を拡大し、そうした上で改めて図書標準100%達成を目指すべきと考えますが、どのようにお考えか、伺います。 ◎渡邉 学校施設担当部長  繰り返しになりますが、廃棄に当たりましては、各学校には、破損あるいは汚損された図書などを除きまして、いまだ使用できる図書がないか、確認をお願いしております。その結果、見直しによって廃棄数が減る場合もあるということでございます。  今後とも、各学校には、図書の廃棄に当たりまして廃棄の妥当性を見きわめていただいて、廃棄すべき図書は廃棄し、その一方で図書購入の充実にも努力してまいりたいと考えてございます。 ◆石川佐和子 委員  今、答弁をいただきまして、まだ使用できる図書はないか、廃棄の妥当性を見きわめてもらうということでありましたけれども、そうしたやりとりがあった後、妥当性を見きわめてもらった学校には、その後、図書購入費について配慮をしていくということも伺っています。ただ、最初の段階で学校から出された廃棄願の冊数は把握していないというふうに聞いておりますので、学校の蔵書の実態と教育委員会の認識にはやはり乖離があるのではないかというふうに私は考えます。  読書は、子どもたちの生きる力、学ぶ力を育てるために欠かすことができないものです。学校図書館の役割は本当に重要です。教育委員会は、2012年度の学校教育の重点をまとめ、札幌らしい特色ある学校教育のテーマの一つとして読書を掲げられ、生涯にわたる学びの基盤が読書であるというふうにしています。この目標を達成するためには、蔵書を最善の状態に整備することが重要ですし、子どもたちが十分に活用できるよう専門的なかかわりが必要となってきます。そのためには、先ほども申し上げましたけれども、図書購入費の拡大、また、廃棄すべき本は廃棄し、その意味で図書標準100%達成を目指すべきということを求めておきます。  市民ネットワーク北海道は、このたびの3定の代表質問におきまして、地方交付税措置の趣旨を踏まえて学校図書館司書の配置を求めたところであります。先ほど廃棄の妥当性を見きわめるとご答弁がありましたが、蔵書に関してそうした見きわめをしていく上での整合性も非常に重要になってきます。その上での司書の配置も非常に重要であるというふうに考えますので、来年度の予算化に向け、図書費とあわせてしっかりとその設置に向けて取り組んでいただくことを改めてこの場で求めて、終わります。 ○山田一仁 委員長  ここで、およそ60分間、委員会を休憩いたします。     ――――――――――――――       休 憩 午前11時55分       再 開 午後1時     ―――――――――――――― ○山田一仁 委員長  委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、質疑を行います。 ◆堀川素人 委員  私からは、一つは、札幌市からおよそ1億4,000万円ほどの補助を受けています札幌市PTA協議会と教育委員会、学校との関係についてお聞きしたい。もう一つは、特別支援学校、要するに豊明高等養護学校の就職率の問題についてお聞きしたいと思います。  まず、第1の質問ですが、校長先生、教頭先生を決めるときの選考試験についてお伺いしたいと思います。  平成23年度は何名の受験者があって、何名が合格したのか、校長及び教頭それぞれについてお聞きしたいと思います。 ◎金山 学校教育部長  教頭採用及び校長採用についてのご質問かと思います。  平成23年度校長採用にかかわっての受験者は、225名でございます。そのうち、採用試験検査の結果、登録した者が43名でございます。実際に採用した者は、前年度に登録した者もございますので、結果的には46名の者が採用になっております。  続いて、教頭は、1次選考、2次選考がございます。1次選考につきましては、受験者数が379名、登録が50名でございます。1次登録をした者の中から2次選考ということで、それまでに1次登録をした者の中から68名が受けまして、教頭昇任が57名という状況でございます。 ◆堀川素人 委員  次に、校長の試験及び教頭の試験、選考は、それぞれどのような方法で行われているのか、また、選考基準は何なのか、さらに、この中に面接試験がありますけれども、どのような人が何名で選考するのか、お聞きしたいと思います。 ◎金山 学校教育部長  まず、選考につきましては、それぞれ筆記試験、面接試験を行っております。その中で、教頭であれば、教頭としてふさわしい人格、識見、指導力を有し、信望があり、身体強健な者であるという観点をもとにして選考しております。校長につきましても、同様に行っております。  面接につきましては、教頭は、教育委員会内の役職にある者プラス民間あるいは保護者等の有識者の3名で面接しております。校長につきましては、教育委員会内の役職にある者3名によって面接しております。  教頭について、外部の者につきましては、今年度は企業にかかわる方が13名、保護者代表が4名でございます。 ◆堀川素人 委員  今、随分、簡略に答えましたけれども、校長試験は、1次試験というのか、一つの試験の中に面接と筆記があり、筆記については、特別な資格を有するというか、立場を有する人間については1次試験が免除になり、最終的に面接試験でもって終わりと。教頭先生は、1次試験と2次試験があって、1次は筆記試験と面接試験がある、それから、そこで合格した人の中から2次試験の面接が行われる、こういうことです。要するに、世間でも教頭の試験、校長の試験と言っていますけれども、試験の中で考慮されるものは、この二つだけでいいのでしょうか。それとも、違う要素も入るのでしょうか。 ◎金山 学校教育部長  教頭選考にかかわりましては、選考の申込書の中に校長からの勤務状況等の意見が盛られております。その状況等も勘案しながら、面接あるいは筆記試験と総合的に判断して昇任を決めております。  校長につきましては、あくまでも面接試験、筆記試験でございますけれども、日常の業務ということではなくて、教育委員会内の部長職が経営懇談ということで一人一人と懇談をする中でその状況等を把握しております。 ◆堀川素人 委員  教頭先生の試験にしますと、校長先生からの意見書みたいなものがあって、それが大変重要な位置を占めるというふうに理解します。そうしますと、現在、教頭先生は頭も大変低くて、一生懸命にいろいろなことに気遣いをしながらやっているなと。中でも、僕が行った会合では、校長先生に、おまえは酒をついで歩くのが仕事だと、周りが聞いていても聞きづらいような感じで命令されて、一生懸命に酒をついで歩いている状況を見まして、あれ、これは何だ、どういう関係なんだと思ったことがありました。  今、お聞きしますと、これは校長を必ず通さなければ申し込みできないような状態になっている。とにかく、出世するというのか、教頭になりたいと思ったときは、その前の段階で総務という仕事をやって、PTAから何から大変に気を使う部分を担当するのですね。それで、教頭になりたいということで、校長の推薦を受けるみたいな形で意見書を校長からもらって、それを添付して教育委員会に出さなければならぬ、こういう関係ですけれども、それで間違いありませんか。 ◎金山 学校教育部長  個々の状況について、委員が今ご指摘の部分は把握しかねますけれども、勤務状況につきましては一つの判断材料と考えておりますので、校長は、それぞれの学校の長として、管理職として、日々、勤務状況を適正な形で見て判断されているというふうに私どもは認識しております。ですから、先ほど申し上げましたように、面接試験、筆記試験の結果等とあわせまして総合的に判断しているところでございます。 ◆堀川素人 委員  試験を受けるわけですけれども、校長先生は教育委員会関係者3人だけで面接をするというふうに聞いております。教頭先生の面接には民間人が入り、やっぱり3人でやる。そのうちの1人が民間人で、あとは教育関係者の部課長職、それから、行政職の部課長職、この3人で行うと。  その民間人というのは、どういう基準で委嘱をしているのですか。 ◎金山 学校教育部長  先ほど、今年度については13名というお話をいたしましたが、市内にある企業を選びまして、そこに推薦依頼を出しているところでございます。 ◆堀川素人 委員  面接官をお願いしているのは、民間の企業だけですか。僕は、違うと聞いていますけれども、きちっと答えてくださいよ。 ◎金山 学校教育部長  先ほど、民間13名、それから保護者4名というお答えをさせていただいたと思いますが、民間プラス保護者の方4名を推薦いただいております。 ◆堀川素人 委員  その他の方というのは、どういうふうにして、何を根拠にしてそこにお願いしたのか、それについて名前も明らかにしてください。 ◎金山 学校教育部長  保護者につきましては、市のPTA協議会に依頼しまして、その中から適当な方4名を推薦いただいているところでございます。 ◆堀川素人 委員  市のPTA協議会から出すと。なぜ、市のPTA協議会から出さなければならぬのですか。民間の企業の名前も、ある程度、どういう規模の企業かというのは聞いていますけれども、なるほど、そういうところの人事担当者の協力を得てやっているというのは理屈でわかるのです。ところが、なぜ、PTA協議会の役員が――大変大事なんですよ、面接というのは。教頭の場合は、最終的に決定する場所ですからね。その3人のうちの1人に札幌市PTA協議会の役員が入る。ほかに団体もたくさんあるわけだし、なぜ、そこが入らなければならないのですか。 ◎金山 学校教育部長  教頭昇任選考に係る面接官につきましては、まず、教育委員会内の管理職がその一部を補うということが前提にあります。それに加えて、先ほど言いました民間企業の幹部の方、つまり、民間企業で人選をするに当たってふさわしい方の推薦をいただいております。プラス、保護者の視点から学校教育が抱える諸問題に対応できるという視点を考えまして、市PTA協議会に面接官を依頼しているところでございます。 ◆堀川素人 委員  民間のある一定規模の人事担当者というのは、たくさんの人を使える人ということで、ふだんからそのわざを磨いているというか、技量を磨いて、それで専門的にやっている方々ですよ。PTA協議会の役員というのは、そういう保証は何もない人ですよ。それが4人もその中に入らなければならぬというのは、全く意味がわからぬ。どうしてかなと考えてきました。  そうしましたら、まず、市P協は、札幌市とどんな関係にあるか、教育委員会とどんな関係にあるか、学校とどんな関係にあるか、こう言えば、札幌市との関係においては、今年度で1,400万円強、予算ベースでもってそれだけの補助金をいただく立場なのです。また、学校からは、PTA共済も含めてその集金業務をやってもらう、こういう深い関係があります。そのほか、市P協の事務局長というのは11人いますけれども、11人全員が校長退職者なのです。極めて深い、ある意味ではずぶずぶの関係と言ってもいい、こういう関係の人間を面接官にして正しい成果、期待される成果が出せますか。  これは、ある部分では出している場合もありますし、出せない部分も僕はあるのではないかと思うのです。それは、今の構図を考えたらそうなるのです。そうであれば、何回も僕はここで言いますが、李下に冠を正さずと、人に誤解を受けるようなことをするなという言葉がありますけれども、お互いに貸して借りているみたいな関係の人間を、しかも、そこでもって幹部と言われる人間は、全部、校長退職者である。こういうような団体から人を借りて、推薦してもらって、本当に正しい面接行為ができるのか、結果を出せるのか、極めて疑わしい。  なぜ、あえてそういう誤解をされるような関係の団体に――学校の責任を担うナンバーツーですよ、教頭といったら。その人間を依頼するのはおかしいんじゃないですか。何もそういう人を入れなくても、校長の面接はちゃんと行われているのでしょう。そうであれば、ずぶずぶの関係の人をわざわざ入れてやるのはいかがなのですか。 ◎金山 学校教育部長  先ほども申し上げましたけれども、選考に当たって、保護者の視点から学校教育が抱える課題に視点を当てて面接してもらえるという視点を持ちまして推薦をいただいているところであります。  推薦に当たりましては、面接官の職務の重要性を考慮しまして、高い識見を有する方を推薦いただきますように依頼しておりまして、適任者が人選されてきているというふうに認識しております。 ◆堀川素人 委員  それでは、4名の方が、PTA、要するに子どもたちの父兄であることをきちっと確認されていますか。 ◎金山 学校教育部長  あくまでも、市P協に推薦を依頼して出していただいておりますので、先ほど言いましたように、高い識見を有する方が推薦されてきているということで、それをお受けしているところでございます。 ◆堀川素人 委員  責任は、札幌市教育委員会にあるのです。例えば、お互いに補助金をいただいたり、天下り先を提供したり、こういう関係は別として、推薦を依頼する、ここだったら親としての考えも入れて選考してくれるなという中で、市P協に依頼しましたと。そのように親の目線、視線というものを大事にするというならば、最低でもそれは確認しなければならない。それは確認していないのですか、しているのですか。 ◎金山 学校教育部長  あくまでも、人選を依頼してそこで推薦されてきておりますので、それを尊重しているところでございます。 ◆堀川素人 委員  つまり、札幌市が最終的に責任を負わなければならないのに、親としての視点が必要だから推薦人を依頼するというならば、やはり、親であるという最低の確認はすべきだと思うのですよ。ところが、元PTAの役員でもいいともなっているわけです。  まず、僕が言いたいのは、札幌市がPTA協議会に推薦を依頼したとして、何が必要か、親の目線が必要だとするならば、親であるかどうかの確認はきちっとすべきである。そこに任せたからといって、それを信用した、これは言いわけにも何にもならないのです。こういうことは、札幌市教育委員会とすればだらしない。それはきちっと確認しなければならぬということです。  そして、今、このことについて問題にしているのは、ずぶずぶの関係と言いましたけれども、補助金をもらい、天下り先を提供して、11人いるうちの11人が元校長職なのです。大体の給料は200数十万円です。その200数十万円の給料をもらって、その人たちが再就職をしているのです。今度は、そういう人間を使って面接官をさせることについては、今言ったように極めてまずい。  それから、教育委員会は、天下りということに対して大変甘い体質を持っている。ミニ児童会館が70カ所あります。そのミニ児童会館の館長は、正確に言えば69カ所のうち、教頭職が5人、幼稚園の園長をやった方が1人、そのほかは、全部、元校長職なのです。これは、教育委員会がある意味では便宜供与もしながら、提供しながら、こういう仕組みが成り立っているのです。普通、こういうものは天下りと言うわけです。  これについてどういうふうにお考えなのか、お考えをお聞かせください。 ◎金山 学校教育部長  ミニ児童会館の館長につきましては、所管をしております青少年女性活動協会から情報提供の依頼がございまして、それに基づきまして退職予定者の情報を提供しているところでございます。あくまでも、その採用につきましては青少年女性活動協会の独自の判断で行っているものと認識しております。 ◆堀川素人 委員  独自の判断でやっていると。相手側の独自の判断だというのは、国の天下りも札幌市の天下りもみんな同じようなことを言います。  では、なぜ校長職に集中するのかといったら、前の経験が生かされてそこで使われる、それがどうしても必要だから、必然的に相手は校長職、管理職を求めるであろう、こういうような話が必ず出ます。  でも、実際には、大変いい例として、学校開放での責任指導員という職場がありました。そこも、以前はほぼ校長職、教頭職でもって占められていたのです。現在は、そういう人は1人しかいません。ことしの新たな採用はゼロです。当時、なぜそういうふうに集中するのかと言ったら、今、金山部長がおっしゃったように、校長の経験があって、管理職の経験があって、学校との連携がうまくいくので、だから、これは相手側がそう言って、我々はそれに多少の便宜を図っているぐらいですと言うのです。しかし、さっき言ったように、ことしの採用はゼロなのですよ。今、校長職でいるのは1人なのですよ。それで業務に支障がありますかといったら、全くありません、こういうことなのです。  それで、ミニ児童会館は、今後はどういうふうな動きになっていくか。条件が少しずつ悪くなるから、元校長職は少なくなっていくのではないか、こういうような見通しなのです。そうすれば、さっきあなたが言ったように、なぜ、校長職に集まって、そして、相手がと。相手じゃないんですよ。教育委員会として再就職先を見つけたい、確保しておきたいということがあって、それを相手が受け入れているのです。おもんぱかっていると言ってもいいかと思います。  そして、今、あなたがおっしゃることは、市民のだれも信用しませんよ、あなたが言っていることなんて。あなたが言えば言うほど、またうそを言っているんじゃないかな、こう思っているんですよ。  僕は、何をここでもって…… ○山田一仁 委員長  堀川委員、思いはわかりましたけれども、質問してください。 ◆堀川素人 委員  (続)ここでもって、もう一回、僕はあなたに言いたいと思います。  PTA協議会に11人の校長先生を送っている、ミニ児童会館に69名、全部、そういう管理職を送っている、こういう体制を今後とも続けるのが望ましいのか、それとも、これを変えようとする意思があるのかどうか、そのことについてお伺いしたい。 ◎金山 学校教育部長  今、堀川委員のお話の中に送っているというお話がございました。校長退職予定者をそういうところに送っているというお話がございましたが、私どもとしては、送っているということではなくて、先ほども言いましたけれども、あくまでも依頼に基づいて退職予定者の情報を提供しているという立場でございます。そして、あくまでも該当のところで、市P協あるいは青少年女性活動協会などで判断して採用しているというふうに私どもとしては認識しております。 ◆堀川素人 委員  先ほど、僕は李下に冠を正さずと言いましたけれども、そういうふうに誤解を受けるようなことがあって、市P協の場合は公の税金を使ってやって、補助も出していますが、そういうところに今みたいなことを続けて何ともないというふうにおっしゃるのか。それとも、変えていかなければならないとするのか。実際に国民、市民の理解が得られないようなことであるならば、我々は必ずしもそれを意図していないけれども、そういうふうに見える姿を変えるのだ、変えなければならないのだということをあなたは考えないのか。もう一度、聞きます。 ◎金山 学校教育部長  答弁が繰り返しになって大変恐縮ですけれども、あくまでも、こちらとしては情報提供により、相手と言ったらちょっと失礼ですが、それぞれの団体のところで判断しているというふうに認識してございます。 ◆堀川素人 委員  そうすれば、あえて言います。
     僕は、あなたと話をしましたね。やはりまずいよ、これは少しずつ変えていかなければならない、こういうようなことをあなたは僕に言ったはずですよ。それで、今、ここでは、このまま何も問題はない、これから続けるのだという考えなのですね。では、それはその考えとしてわかりました。  ただ、今は、例えば、教師の多忙の問題もありますし、学校ではいじめの問題もあります。不良行為だとか、学校が乱れるようなこともあります。子どもが命を失う、自殺をするという問題もあります。僕は、これは、直接的に子どもと学校との関係ではなく、社会がつくり出しているものの鏡としてこれがあらわれていると思っているのです。今の問題も、こういうような社会の不正、または不正に見えることが子どもたちに映って、子どもたちは大人社会を信用できなくなっていることも大きな要因の一つになっている、こういうことをこの問題では言っておきたいと思います。僕は、やっぱりぜひとも改めるべきである、こう言いたい。  次の問題に移ります。  次は、先ほど言いました豊明高等養護学校の就職率の問題です。  単純に、こちらから申します。道立の特別支援高等学校の就職率から見ますと、半分ぐらいしか就職がなされていません。この原因はどこにあるとお考えですか。 ◎金山 学校教育部長  豊明高等養護学校の卒業生の就労率が近隣の道立の学校と比べて低いことについてでございます。  それにつきましては、私どもとしてはっきりとした理由はわからないところでございますけれども、学校でのさまざまな取り組みが必ずしも就労につながっていない状況にあろうかと考えておりまして、他校の取り組みを視察するなど、現在、調査研究を進めているところでございます。 ◆堀川素人 委員  親が一番悩んでいるのは、今後、この子どもたちがどうやって食べて世の中で生きていくのか、特に、自分たちが亡くなった後、この子はどうなるのだろうか、そういう深刻な悩みを抱えて、今、学ばせているのです。そうしますと、高等学校まで行き、次に、就職するときに学校を挙げてその子ども方のために働く場所を獲得したいという努力が、同じ札幌市内にあるほかの支援学校の就職率となぜこれほどに違ってくるのか。一言で言いますと、学科がどうのこうのという問題ではないですよ。やはり、学校を挙げて取り組む姿勢が弱いのではないですか。僕はそう思うのですけれども、それを率直にお認めになって、今後の決意を聞きたい、こう思います。 ◎金山 学校教育部長  先ほどもお話しいたしましたけれども、必ずしも学校の取り組みが就労につながっていない状況については私どもとしても押さえておりまして、今はいろいろな調査研究を進めているところでございます。  今、委員からお話がありましたけれども、教育委員会、あるいは学校では、今回の学科見直しあるいは新学科の教育内容の検討に向けまして、近隣校、さらには道外の学校における教育内容などを参考にするため、視察あるいは資料の収集に鋭意努めているところでございます。その中では、担当者などから新しい学科に必要な作業内容や備品等についての具体的なアドバイスをいただくなどしておりまして、今後とも、近隣校はもとより、先進的な取り組みについて情報収集に努めるとともに、教育内容全体を幅広く見直しまして生徒の就労につながるように検討を進めてまいりたい、このように考えております。 ◆堀川素人 委員  最後にいたしますけれども、豊明高等養護学校では、1間口をふやして、それをすっぽりと欠員にさせたという大チョンボがありますよ。今の就職率の問題についても、これは、去年起こった、ことしになってそうなったということではないですよ。ずっと長い間続いている現象ですよ。どうも、緊張感が足りないんじゃないかな。緊張感を持ってやっていかなければだめだと思っています。  そしてまた、豊明高等養護学校のほかに、もう1校、南区の方になるのか、今、つくろうとして努力されている。それも、いつできるのか。平成29年とかと言いますけれども、そうしたら、子どもたちはもう卒業していますよ。学校ができる期間というのはそんなにかからなくてもできるわけですから、どうか、ひとつ努力をしていただきたい。  その部分について、教育長を初め、皆さんは、早く学校をつくりたいという意思は強く持っておられる。そうするならば、最後の努力として早く新しい学校を開校していただきたい。こういうことについてお願いいたしまして、質問を終わりたいと思います。 ◆伴良隆 委員  私は、本市各学校における学力向上の取り組みの把握、学力テストを含む学校諸費の取り扱いの把握、家庭や地域とともに進める学校づくりにおける学力テストの情報公開、この三つの視点から、保護者と共有していく学力テストのあり方について質問いたします。  本年4月実施で9月に公表した全国学力・学習状況調査、全国学力テストの集計で、小学校の国語A基礎の書くことと言語事項で、実態より高い評価にし、やや下回っているとするところを、やや上回っているとしていたという行為がございました。また、ことし2月実施の札幌市の独自テストである札幌市学習実現状況調査の社会と英語の結果報告書において、文言の一部をそのまま掲載していたことが明らかになりました。なぜ、このようなことが起きたのでしょうか。  まず、伺いますが、今回の学力調査の訂正について事実関係を確認したいと思います。 ◎池上 指導担当部長  このたびの学力調査の結果概要に誤りがございまして、訂正いたしました件についてでございます。  この概要については、9月に公表いたしましたが、二つの調査を公表しております。平成23年度札幌市学習実現状況調査、そして、平成24年度全国学力・学習状況調査の二つの調査の概要でございまして、誤りがあった箇所についてでございますけれども、一つ目の札幌市学習実現状況調査では、中学校社会科の改善の方向という部分があるのですが、その部分が、平成20年度、前回調査の原稿のままとなっておりました。  それから、全国学力・学習状況調査についてでございますが、小学校国語の主として知識に関する問題の書くこと及び言語事項の領域の二つの領域の平均正答率について、先ほどご指摘がありましたとおり、全国平均とほぼ同程度であるが、やや上回っていると最初は公表しておりました。しかし、実際には、全国平均とほぼ同程度であるが、やや下回っている状況でございました。 ◆伴良隆 委員  次の質問でありますが、今回の学力調査の誤りの原因は何でしょうか。また、その間違いを起こした背景は一体何であると考えていますでしょうか。 ◎池上 指導担当部長  今回の学力調査の誤りの原因とその背景についてでございます。  まず、一つ目の札幌市学習実現状況調査につきましては、各教科の担当者が作成いたしました調査の課題及び改善の方向が概要に載っておりますが、その部分を調査担当者が集約し、前回の平成20年度調査のデータに上書きする形で実際には作業を行っておりました。その際、中学校社会科の改善の方向の部分だけが上書きされずに、平成20年度調査の原稿がそのまま残ってしまったという作業上のミスが原因でございます。  もう一つ、全国学力・学習状況調査についてですが、調査結果の数値データを分析した際、本来、札幌市の平均から全国の平均を引かなければならないところを、誤って全国の平均から札幌市の平均を引いて集計してしまったことが原因でございます。作成した分析結果を調査の担当者が取りまとめ、複数の目で検討、確認を行い、最終的な札幌市の分析といたしましたが、今回は、数値データの処理システムのことも含めて確認の体制が不十分であったことが背景にあると考えております。 ◆伴良隆 委員  それでは、こういった誤りが起きないように、再発防止策をこれからどうするおつもりでしょうか。 ◎池上 指導担当部長  今後に向けた再発防止策についてでございます。  この学力調査につきましては、社会的な関心も非常に高く、さまざまな場面で本調査の内容が取り上げられております。このことからも、データの集計と分析には細心の注意を払い、正確な情報を提供しなければならないと強く認識しておりまして、今回の結果の訂正については大変重く受けとめてございます。  今後の再発防止への体制についてでございますが、データの計算、課題の洗い出し、改善の方向の作成という一連の作業を2名以上で並行して行い、その後、集約されたデータや文言を突き合わせるとともに、さらに、誤りがないか、作成にかかわる者全員で、数値のデータも含めて二重、三重にチェックすることを徹底していくことで今後の業務に万全を期してまいります。 ◆伴良隆 委員  誤りを体制でカバーしていくという再発防止策の件は承知しました。  ただし、こういった貴重な教育情報のテストに関する誤りを、言葉じりをとらえるようで申しわけありませんが、単なるミスとして片づけるわけにはいかないのです。間違ったテスト結果を公開するに至るまで、私が確かめた限りでも、担当部局内で実に6人もの本市教育委員会担当者のチェックをくぐり抜けていたというのは余りにもひどいわけであります。この失敗を偶然起きたものとするのか、それとも、起こるべくして起きたのか、今から幾つかの視点で順次質問していく中で、本市教育委員会の各学校への対応の仕方を交えながら、子どもの学力並びに各種テストに対する本市教育委員会の姿勢を明らかにしていきたいと思います。  私は、平成21年3月作成の全国学力・学習状況調査等を活用した学校改善の推進に係る実践研究を拝見いたしました。この調査協力校の取り組みと実践は、体系的にとてもよくまとめられており、その課題も含蓄に富んでおりました。  しかしながら、例えば、こういった各学校の取り組み成果は、果たしてどのように普及が図られていったのでありましょうか。本市は、習熟度を上げる取り組み方法と本市教育施策への活用について、指導主事が各学校の取り組みを把握するなどして指導・助言していると言います。  そこでまず、伺いますが、各学校の学力を向上させる取り組みについて、その成果と課題を教育委員会としてどのように把握しているのか、明示していただきたいと思います。 ◎池上 指導担当部長  各学校の学力を向上させる取り組みにかかわりまして、その成果と課題を教育委員会としてどのように把握しているかについてでございます。  教育委員会といたしましては、年度当初に各学校から提出される教育推進計画、各種調査や提出資料をもとにいたしまして、教育活動に関する学校の状況を把握いたしますとともに、指導主事が学校を訪問し、校長との面談、授業の参観などを行いまして、直接、学校の取り組みを把握しているところでございます。また、学校の課題や取り組みの成果などについて、学校教育部長等が校長と直接面談する形で経営懇談を行っております。さらに、年度末に各学校がみずから点検、評価いたしました学校評価の結果なども活用いたしまして、学校の取り組みの成果あるいは課題を把握しているところでございます。 ◆伴良隆 委員  今ご答弁されたことは私も承知しておりますが、この答弁によりますと、指導主事の方々がわざわざ各学校に出向いてヒアリングをして、また、1年で市立全校を一巡するということ、あるいは、担当部長が学校経営懇談でも学校長からヒアリングしていると聞いております。  例にそぐうかどうかわかりませんが、例えば、コンビニエンスストア会社の本部スタッフが店舗回りをするときは、その店の長所、短所を研究してから出かけまして、その店の責任者やスタッフと、前月の売り上げからなぜ落ちたのか、どうしたら売り上げが伸ばせるかという話をするわけであります。その上で、情報を持ち帰り、本部責任者に報告し、対策会議で各店舗のさまざまな取り組み情報を集約し、それをまた分析し、各店舗にフィードバックしていきます。  そこで、伺います。  教育委員会が把握した各学校の成果や課題について、教育委員会としてどのようにそれらを整理し、分析、検証し、総括しているのか。また、そのエッセンスを各学校にどのようにフィードバックしているのか、その実践を詳細に教えていただきたいと思います。また、今後、その実践をどのように充実しようとしているのかもあわせて伺います。 ◎池上 指導担当部長  教育委員会が把握した各学校の成果並びに課題をどのように生かしているのかという関係についてでございます。  教育委員会では、各種調査や提出資料、指導主事の学校訪問などを通して把握した学校の取り組み、成果と課題につきまして、学校の創意ある教育活動、学力調査等の結果の分析を踏まえた改善策、いじめの状況などを含む生徒指導上の課題など、それぞれの項目ごとに整理いたまして、それをもとに学校担当指導主事を中心に各学校の状況を分析し、例えばボランティアや支援員を学校に配置するなど、課題の改善に向けて学校を支援しているところでございます。  今後とも、これらのことを充実するに当たりまして、指導主事の訪問のあり方、提出資料の見直しを図るなどしながら、学校の教育活動の成果と課題をより一層把握できるようにし、支援してまいりたいと考えているところでございます。 ◆伴良隆 委員  訪問のあり方、また資料のあり方、その中身についても、日々、よりいいものをつくっていっていただきたいと思います。  あわせて、次に伺いますが、ヒアリングからフィードバックまでの実践を通じて教育委員会が把握した各学校の成果や課題を教育委員会としてどのように施策に生かしているのか、伺います。 ◎池上 指導担当部長  教育委員会が把握した各学校の課題を教育委員会として学校教育推進のための施策にどのように生かしているのかというご質問でございます。  教育委員会では、把握した各学校における課題のうち、多くの学校が共通する課題等について、教育委員会各課が連携して具体的な施策に生かすよう努めているところでございます。例えば、各学校におきまして、学校図書館が期待どおりに活用されていないという共通の課題がございましたので、その解決に向け、教育委員会全体として連携して取り組みを進めてきたところでございます。  具体的にどういう取り組みかと申しますと、先ほども話題になっておりましたが、学校図書館の蔵書をふやし、図書標準を達成していくとか、市立図書館の蔵書を学校図書館から借りることのできる仕組みを整えたり、学校図書館ボランティアの配置などを進めたりするとともに、札幌らしい特徴ある学校教育に生涯にわたる学びの基盤である読書を位置づけて、各学校において朝の一斉読書などの読書活動を推進し、札幌市の子どもたちの学ぶ力の育成を図る取り組みをしているところでございます。 ◆伴良隆 委員  今、実践例を示していただきました。私も読書は余り得意ではないのですが、読書は非常に大切な試みであると思いますので、大変いい好例かなというふうに思います。そうした教育委員会の実践の中身の部分と施策への反映といった流れは確認できました。  それでは、学力のことを申し上げますが、そういったことを通じて、札幌の子どもたちの学力はどういった傾向にあると分析し、何が課題であると総括していますか。そして、それに対し、どういう処置、対策を行い、どのような結果を実際に出せていると総括できているのか、伺います。 ◎池上 指導担当部長  札幌市の子どもの学力についてでございますが、先ほどもお話ししましたような学力調査等を活用することも含めまして、各学校において、日々、子どもたちの指導と評価をきめ細かく行うことを通して子どもたちの学力の状況を把握しているところでございます。  今の札幌市の学力の状況といたしましては、おおむねの傾向として、知識、技能はおおむね身についているというふうにとらえております。また、今はPISA型読解力のことが注目されておりますが、その部分については十分に身についていないということを課題としてとらえているところであります。また、学習習慣の確立、あるいは、みずから学ぼうとする学習意欲の向上についても、今後は高めていかなければならない部分であるととらえております。  いずれにいたしましても、一人一人の子どもの学力の状況に応じた指導が行えるよう、今後とも努めてまいりたいと考えているところでございます。 ◆伴良隆 委員  今言った課題の精査、対処はわかったのですが、そうしましたら、実際にどのような結果を生み出すことができているのか、もう一度、伺います。 ◎池上 指導担当部長  学力向上の取り組みの結果といたしましては、各学校で子ども一人一人の状況をとらえながら、子ども一人一人に応じて、その子どもが一番個性を伸ばし、その子どもの特性に応じて成長していくようにという観点から学力をとらえさせていただいてございます。 ◆伴良隆 委員  私は結果を出せているかどうかということを聞いたのでありますが、今のところは明確な答えがなく、ちょっと抽象的なお話だったような気がしますが、それはいいとします。  それでは、少し視点を変えてみたいと思います。  平成24年度の実施分として、標準学力検査、つまり各学校で実施している独自テストでありますが、これを実施した市立小学校は202校中201校、中学校は97校中36校となっており、小学校ではほぼ全部行っていますが、なぜか1校だけが行われていません。一方、中学校で実施する北海道教育文化協会発行のいわゆる文協テストについては、97校中、1年時で67校、2年時で69校、3年時で全中学校97校となっています。  私は、テストをやればいいとは思っていませんけれども、特に中学校では、数字上、テストの扱い方が学校ごとでばらばらという状態であります。日常の小テストや定期テストは基本で大切でありますが、一方で、高校への進路選択をする中学で、たとえ初期段階であっても、小テストや定期テストでどのように客観的判断をして3年間の計画を練っていくのか、少なくとも私がその中学に通う子どもの保護者だったら大変不安であります。  そこで、伺いますが、各学校が学校諸費で購入している学力テストはどこの会社のものか、テスト結果の公表方法はどのようなものかについて、教育委員会は把握していますでしょうか。 ◎池上 指導担当部長  各学校がそれぞれ学校諸費で購入している学力をはかるためのテストに関するご質問でございます。  教育委員会といたしましては、学校諸費で購入している標準学力検査などの学力テストについて、実施学年、回数については把握しておりますが、実施方法や業者の選定などは、各学校が子どもの実態等を踏まえながら判断しておりますことから、使用している学力テストの出版会社名については把握してございません。  また、各学校における結果の公表方法については、詳細な把握は行っておりませんが、各学校のテストの目的に応じて個人表や得点通知票により結果を知らせるとともに、懇談会等で担任から一人一人の保護者に子どもの学習状況等の説明を行ったり、学校説明会あるいはホームページ等で学校としての課題や改善の方向などを説明したりするなど、学校ごとにそれぞれの取り組みを行っているところでございます。 ◆伴良隆 委員  学校側がそれぞれで努力されていることでありまして、教育委員会がそれを事細かに把握する必要がないということもあるかもしれません。いずれにせよ、一般論としてはそういったことを学校でやられているだろうというのはわかるのですが、その中身については詳細を把握していないと。事実関係としてはこれでよろしいかと思います。  次に、学校に不安や不満を持っている保護者の声を私も実際に聞いておりますし、PTAに所属していた同僚議員にも同じような相談があると聞いております。それは、うちの学校は宿題を出してくれないから不安だ、なぜ、全国比較もできないテストを採用しているのかわからない、なぜ、うちの学校はこんなに学力が低いのか、そして、学校や教員の質に不満があっても、子どもが人質にとられているようで声を出そうにも出せない、こういった大変残念な声がございます。  そこで、伺いますが、標準学力テストについての保護者からの声を各学校や教育委員会はどのように把握していますでしょうか。あるいは、学校諸費で実施している学力テストにおいて、どの会社のものを使用しているとか、その結果の公表方法や分析はどのようにしているかなど、保護者に説明するなりして各学校が積極的にコミュニケーションを行っているかどうか、教育委員会はその実態を把握していますでしょうか。 ◎池上 指導担当部長  2点ご質問がございました。  標準学力テストについての保護者からの声を教育委員会はどのように把握しているかというご質問でございます。  標準学力テストにつきましては、各学校で実施しているものでありますことから、教育委員会としては保護者からの声を直接把握しておりませんが、各学校においては、学校説明会や学校評価に係る保護者アンケート等、いろいろな機会を通しまして、標準学力テストを含めた学校の教育活動全体に対する意見あるいは要望を把握しているものととらえております。  もう一つ、各学校が学校諸費で購入している学力テストに関して、保護者への説明責任等をどのような形で把握しているかというあたりのことでございます。  教育委員会といたしましては、学力テストに関する保護者への説明について、各学校の詳細な状況までは把握しておりませんが、各学校におきましては、学校説明会や学年懇談会等で保護者に学力テストの目的や活用方法を直接説明したり、各学校で配付する学校便りや学年便りなどを通して保護者に説明したりということを行っているものと認識しております。 ◆伴良隆 委員  学校の現場を否定しているわけではございません。また、教育委員会と学校との役割分担というものも尊重しております。ただ、事実関係としてその詳細を把握しているかどうかということに関してはクエスチョンであると。とらえているということでありますので、漏れ伝わっているのか、目にしているのか、そこら辺のところはまだ明確にされていません。  さて、第2回定例会の私の代表質問と第3回定例会の川田議員の代表質問を通じて、学校教育活動にかかわる徴収金の実態把握について、教育長のご答弁がありました。  ここで、札幌市立学校徴収金取扱要領の会計区分に示すところのいわゆる学校諸費の未納や補てんなど、学校諸費全般にかかわる実態についても正確に把握できていないことがわかりました。学校教育活動にかかわる徴収金は、そもそも保護者からのいわゆる預かり金の性質があり、その使途と使途理由を明示し、理解してもらわなければならないのは社会通念上でも当然と考えられます。また、学校長の裁量権とはいえ、もしも不祥事が起きたら、学校長を管理するという言葉が適しているかどうかわかりませんが、管理する教育委員会の監督責任を問われることになってしまいます。  そこで、伺いますが、学力テストは、学校諸費の中でどのように位置づけられていますでしょうか。 ◎渡邉 学校施設担当部長  学力テストの費用の学校諸費における位置づけということでございますが、ただいま委員からもお話がありました学校徴収金取扱要領に基づきまして、学校諸費の内訳といたしまして教材費という項目を設けることになっております。通常は、この教材費に位置づけることになってございます。 ◆伴良隆 委員  さて、学校教育活動にかかわる徴収金、つまり、学校諸費は、給食費とPTA会費を除いた全校児童生徒の教育活動に要する経費及び諸費のことでありますが、この学校諸費の小・中学校各学年の1人当たりの平均最高額と平均最低額を管理課に調べていただきました。多少の誤差はあるようですが、小学校の平均最低額は5,146円、最高額は1万8,190円、中学校の平均最低額は8,707円、平均最高額は4万3,085円、高校の平均最低額は3万1,415円、平均最高額は7万9,250円とのことであります。  学校諸費の性質上、学校ごとによってその使途内容が違いますので単純に比較することはできませんけれども、同じ市内にある学校なのにここまで大きく金額が離れていたら、当然、各方面から疑問の声も上がるでしょう。特に、多額の出費が見込まれない小学校について、なぜここまで金額に大きな差が生じているのか、疑念が生じます。  そこで、質問でありますが、各学校で徴収する学校諸費の金額に大きな開きがあることについてどのように考えていますでしょうか。 ◎渡邉 学校施設担当部長  各学校で学校徴収金の金額に違いがあるというご質問でございました。  学校によりまして、修学旅行費、あるいは宿泊学習費などを学校徴収金として徴収するところもあれば、保護者が業者に直接支払う学校もございます。また、学校により指定する教材が異なるという実態もございます。このように、学校諸費などの学校徴収金につきましては、学校の方針、あるいは支払い方法などにより、各学校の判断でその金額を決定しておりまして、これによりまして学校間での違いが生ずる、このようになってございます。 ◆伴良隆 委員  論理的には非常にわかりやすい論理であります。その学校ごとによって違うというのは、まさにそのとおりだと思います。  札幌市立学校徴収金取扱要領の第11条によれば、学校徴収金の額の決定に当たっては、保護者の理解を得るとともに、過度な負担にならないように努めなければならないとございます。各学校は、本当にその金額について保護者に説明し、正しい理解を得ているのでしょうか。また、本要領によれば、第2条の2、校長は、徴収すべき金額を決定したときは、保護者に対し、徴収金の内容及び納入方法を通知しなければならないとし、第14条、校長は、会計年度終了後、速やかに会計区分ごとに決算書を作成し、その結果を保護者に報告しなければならないとしています。  そこで、伺いますが、学校諸費について正しく理解されるよう、保護者に明確に説明することが適当であると思いますけれども、いかがでしょうか。 ◎渡邉 学校施設担当部長  学校徴収金に関して、保護者への説明ということでございます。  ただいま、委員が各条文を挙げて指摘をされました。金額の決定や決算の報告、あるいは監査の結果について、取扱要領ではそれぞれ保護者への説明義務、説明責任が明記されているところでございます。保護者の学校への理解、信頼確保などからもこの要領の遵守が非常に重要なことと考えてございまして、ことし3月に改めて各学校に通知しているところでございます。 ◆伴良隆 委員  札幌市立学校の管理規則をもとにしますと、教材、つまり解説書、資料集、ワークブック、その他図書、こういったものについてその使用を決定するのは各学校で行われており、教育長は、その決定の報告を受けて、チェックして追認するとのことであります。一方で、札幌市立学校徴収金取扱要領では、会計区分の中に教材実習費があり、その対象に学力検査等に要する経費とございます。この学力検査についても、徴収金取扱要領に基づいて対応するのが当然の責務と考えております。  そこで、伺いますが、第3回定例会代表質問において、我が会派から徴収金の実態について質問しましたが、徴収する金額の決定や決算など、学校における保護者への説明責任について教育委員会としてどの程度把握していますでしょうか。 ◎渡邉 学校施設担当部長  今年度から行っております学校徴収金事務に関する実地調査では、実際に学校に出向きまして、書類等の調査のみならず、校長、教頭、あるいは担当者に直接ヒアリングを行うなどいたしまして、その実態把握に努めているところでございます。  今年度につきましては10校ほどを抽出して行いましたが、これらの学校では、その方法には違いがございますけれども、年度末の保護者説明会における説明などで取扱要領に基づき適切に説明が行われていることを把握してございます。 ◆伴良隆 委員  適切に処理されていることを把握しているということでございました。  第3回定例会の教育長のご答弁では、学校徴収金取扱要領の改正も視野に入れながら、実態調査の結果をもとに改善すべき点などを広く周知し、学校の意識の改善や向上を図りたいこと、また、その要領を踏まえ、各学校においても保護者への報告をより徹底させるなど、より透明性の高い適正な事務の執行を指導してまいりたいとして、学校現場における学校諸費全般の実態を正確に把握していく方針を示されました。この教育委員会の姿勢と取り組みを我が会派は大変評価しておりますし、我々もしっかりと応援していきたいと思います。  そこで、伺いますが、学校側が保護者にきちんと納得できるような説明をするために、教育委員会としてどのような取り組みを考えていますでしょうか。 ◎渡邉 学校施設担当部長  今後の取り組みということでございますが、次年度以降も毎年度、実地調査を行っていく予定でございまして、保護者への説明方法などにつきましてもより具体的に確認するなど、より透明性の高い適正な事務の執行を指導してまいります。また、実地調査等の結果をもとに、留意点あるいは改善点などをまとめまして、すべての市立学校に対し、周知を行い、取扱要領の遵守を徹底してまいりたいと考えてございます。 ◆伴良隆 委員  ぜひ、よろしくお願いいたします。  それでは、再び、視点を変えたいと思います。  平成24年度札幌市学校教育の重点に、信頼される学校の創造として、家庭や地域とともに進める学校づくりとございます。その骨子は、地域貢献の視点に立った学校運営と教育方針等の教育情報の積極的な発信と、学校の自己評価を中核とし、学校関係者評価等を反映した学校運営の工夫や改善とございます。  そこで、伺います。  改めて確認をいたしますけれども、家庭や地域とともに進める学校づくりとございますが、これは保護者を含むものなのかどうか、また、どのようなメンバーが学校関係者評価を行っているのか、お願いします。 ◎池上 指導担当部長  教育委員会で示しております学校教育の重点の中に、信頼される学校の創造という項目がございますが、さらにその具体策といたしまして、家庭や地域とともに進める学校づくりを示してございます。ここで言う家庭や地域とともにという中には、保護者を含んで考えております。学校、家庭、地域の三者による連携した取り組みによって子どもたちの健やかな成長を図っていくことは、大変重要なことだというふうにとらえております。  もう一つ、学校関係者評価についてのご質問でございます。  学校によって人数はそれぞれでございますが、学校関係者評価の委員をされている方は、学校評議員、学校医、地域町内会の代表の方、健全育成委員の方、交通指導員の方、あるいはその学校のPTAの方など、日常から子どもたちの育成に深くかかわっていただいている方々によって行われている学校が多くございます。学校によりましては、近隣する違う校種の学校の校長、あるいは園長などに関係者評価の委員を依頼して、校種間の連携の視点から相互に学校関係者評価を行っているところもございます。
    ◆伴良隆 委員  本市の教育推進計画には、今後、今まで以上に家庭、地域の信頼を得るためには、まず、学校内における自己評価を公表し、次年度の努力目標として明確にしていく必要があり、さらに、子どもたちや保護者、地域住民による評価システムの導入についても検討する必要があるとしています。  また、本市学校内では既に自己評価が行われているが、学校の情報公開をさらに進め、地域に開かれた特色ある学校づくりを推進するための手法として、既に学校評価システム制度が確立されており、今後はその効果的な運用を図る必要があるともしています。  そこで、確認いたしますけれども、地域貢献の視点に立った学校運営と教育方針等の教育情報の積極的な発信の内容と、学校の自己評価を中核とし、学校関係者評価等を反映した学校運営の工夫や改善という二つの内容を示していますが、その対象に各学校で行われている小テスト、定期テスト、標準学力検査、文協テスト、札幌市学習実現状況調査、全国学力・学習状況調査のそれぞれのテストは含まれているものでしょうか。 ◎池上 指導担当部長  ただいま委員からご質問のありました二つの内容についてですが、これは、教育委員会として、信頼される学校の創造を目指すために重点として示したものでございます。学校運営や教育方針等の情報発信の内容や、学校関係者評価等を反映した学校運営の工夫、改善につきましては、学校で行われている教育内容全体にかかわるものでございます。ご質問のありました学校で行われている各種テストにつきましても、その目的によって情報発信や学校運営の工夫、改善に含まれるものであると認識してございます。 ◆伴良隆 委員  この施策に含まれるものというご回答でありました。  それでは、最後の質問に入りたいと思います。  先ほど来、学力テストを中心にして各学校の取り組みや会計、そして、情報公開について段々に聞いてまいりました。  まず、各学校の取り組みの把握はある程度していても、それが学校ごとに本当に体系的に整理、分析、総括されているかどうか、各学校へのフィードバックについては今後も課題が何かあるのではないかと思います。先ほどのような学力テストの不祥事がまた起きないよう、漫然とせず、常に各学校の実態を把握しながら指導・助言していただきいと思います。  次に、学力テストを含む学校教育活動にかかわる徴収金については、その実態を把握するために調査、指導をしていく試みは評価できますが、各学校が保護者へその学校諸費の内容を報告して正しい理解を得ているかどうかについて、管理課のご苦労のもと、調査内容は集まってきておりますけれども、今のところ、完全には把握できていません。各学校が保護者に対して説明責任を果たしているのかどうか、先ほどのご答弁のとおり、しっかりと調査し、指導していっていただきたいと思います。  また、各学校の学力テストについては、学力検査等に要する経費が学校徴収金取扱要領においてそうであるように、その教材内容、成績の公表方法、成績の分析について、各学校が保護者に対し、正しく理解されるよう明確に通知、説明しているかどうか、その実態を把握できていないことがわかりました。こういった一連の学校実態について、教育委員会が正確に把握できていないというのは、学校現場にさまざまな面において丸投げの状態になっているとの指摘があっても当然であります。  また、各学校に一任されているという論理でその実態を把握していない教育委員会の現状は、各学校間の学力格差についてもその実態を積極的に認知せず、主体的に対処せず、結果的に各学校に責任転嫁している本市教育委員会の不作為でもあるのではないか、私はこのように思っております。  確かに、各学校におけるさまざまな教育の独自性は尊重されるべきでありますが、かといって、学校が何でも好きにしていいというわけではありません。少なくとも、市民の税金で学校が成り立っている以上、学校現場に何か課題や問題がないかどうか、学校経営から教育方針、そして、その取り組みや事務に至るまで、教育委員会はできるだけしっかりと把握すべきであります。  さらに、保護者への説明責任は学校側に課せられており、本市教育推進計画や学校教育の重点にもあるように、積極的な情報公開を進めている中、保護者を含む地域住民に対し、学力向上の取り組み、学力テストを含む学校徴収金、そして学力テストなどの教育情報についても、各学校が保護者に説明し、正しい理解を得られるような積極的な情報発信をしているかどうかについて、本市教育委員会は本市各学校の実態をしっかりと把握すべきであります。  もちろん、教育委員会がそこまでしっかり把握するにしても、学校の実態に全く問題がなく、いいこと尽くしであればそれでいいわけでありまして、実際、学校によってはすべての取り組みについて一生懸命にやってくれているところもあったり…… ○山田一仁 委員長  伴委員に申し上げます。  討論をやるわけではないのですから、質疑なのでできるだけ簡潔にお願いいたします。 ◆伴良隆 委員  (続)はい。  まじめにやってくれている学校もあったり、教育委員会の中にも学校のあり方を真剣に考えていらっしゃる方々もたくさんいると私は信じております。  それでは、質問に入ります。  そのことを尊重しながら、最後に、教育長に3点伺いたいと思います。  まず、今までの段々の議論を踏まえた上で、各学校の実態把握についてどのように考えていますでしょうか。  次に、学力向上の取り組みの把握と学力テストを含む学校諸費の取り扱いの把握、そして、家庭や地域とともに進める学校づくりにおける学力テストの情報公開という三つの視点から考えたときに、保護者と共有していく学力テストのあり方、もう一度言いますが、保護者と共有していく学力テストのあり方について、今後はどのようにあるべきと考えていますでしょうか。  最後に、本市の児童生徒の学力、体力について、教育長としての責任はどの程度のものと考えていますでしょうか。 ◎北原 教育長  3点のご質問かと思います。  まず、1点目は、各学校における実態把握についてどのように認識しているかということでございます。  先ほど来、指導担当部長から、あるいは渡邉部長からもお話がございましたように、各学校の実態については、例えば、指導主事の学校訪問、各種調査、提出物等、あるいは校長の経営懇談等の中で把握はしているところですけれども、学校のそれぞれの取り組みのより詳細なきめ細かな把握については、さらに努力していくべきものだというふうに考えてございます。  次に、学力テスト、あるいは諸費の扱い、そして情報公開等の全体のかかわりについて、保護者と共有する学力テストの考え方というか、ちょっとわかりづらいのですけれども、この部分についてどういうふうに認識しているのかということでございます。  おっしゃりたいのは、例えば、学力テストの結果の数値の公表なども視野に入れながらのご質問なのかなというふうに受けとめさせていただいたのですが、そういうことでしょうか。  もしそうだとすれば、全国学力調査の公開の仕方について、国の基本的な考え方は、一般に公開されることによって、序列化や過度な競争が生じるおそれや、学校の設置管理者等の実施への協力及び国民的な理解が得られなくなるなど、正確な情報が得られない可能性が高くなり云々かんぬんということで、情報公開の対象とはしませんということを文部科学省としては示してございます。教育委員会としては、基本的にはその立場に立って数値の公表等については控えているところでございます。  しかしながら、どういう段階にあるのかと。今回は誤りがあってまことに申しわけなかったのですけれども、教育委員会なりに、文部科学省も示しているような懸念に配慮した形での公表の仕方を行っているところでございまして、そういったことも含めて、各学校において、あるいは教育委員会として、保護者に対して、学力等にかかわる情報も含めて、懸念の及ばない範囲の中でお示ししながら、できるだけ理解を得て、子どもたちの学ぶ力の向上等により努めてまいりたい、このように考えているところでございます。  最後に、学力と体力の向上について、教育長としての責任をどのように考えているのかということでございます。  教育委員会として、学力の向上あるいは体力の向上について、教育施策の上での責任は教育委員会にあるものというふうに考えておりますし、その事務方の長である私はその責任を重く受けとめているところでございます。  しかしながら、個々の具体的な数値についてどういうふうに考えていくべきかについては、また議論のあるところかというふうに考えてございます。 ◆伴良隆 委員  まさに議論になると思いますが、ちょっと気になる点もありました。質問ではありませんが、国の方針というところで、一方では、情報提供に関するところとありまして、提供する情報については、各学校が判断すべきところであるがといった前置きがあることも主張しておきたいと思います。  また、平成23年、学校関係者評価を生かした学校評価の充実についても、白楊小学校ではこういったご希望があるそうであります。白楊小学校の子どもの学力はどれくらいなのか、テストの点数は学力の目安になるので、そういう資料も提供してほしいなどの意見も出されたということであります。点数とかそういうことだけではなくて、いろいろな出し方があると思いますので、そういったことでのアイデアだと思います。  最後に、指摘をして終えたいと思います。  今のご答弁でも、さきの定例会での教育長のご答弁でもあったように、学校教育活動にかかわる徴収金は、保護者への報告を徹底するなど、より透明性の高い適正な執行が求められているのでありますから、その徴収金から拠出されている教材費、つまり、テストについても、その教材と評価方法、選択した理由、評価結果の公表の仕方についても保護者に明確に報告し、正しく理解してもらわなければならないはずであります。また、家庭と地域に開かれた学校づくりにおいて、学力テスト全般もその取り組み対象として積極的に情報公開されるべきだと思います。中身は、議論があると思います。  我が会派の阿部議員は、市内各学校間の学力格差について危惧しております。一つの自治体の公教育にもかかわらず、本市の教育問題としてそれぞれの格差に対してもしも教育委員会が目をそらし、実態を把握し、対策を講じることに消極的ならば、大変遺憾であります。  この質問の一番初めに触れた全国学力・学習状況調査の集計と札幌市学習実現状況調査の評価の誤りは、残念ながら、その姿勢がよくあらわれている証拠ではないかなと私は思っております。  児童や保護者がより広い世界での自分の位置を確かめたいのなら、どの学校に通っていても、それを知ることができる権利があるはずであります。教育委員会には、公教育がどの児童もひとしく教育を受ける権利があることを十分に認識していただき、我が子を育てる気持ちで真剣に教育行政を執行するよう、強く指摘しておきます。  学校間の学力格差と学校教育活動にかかわる徴収金の金額格差、この二つは関係ないようですが、私は密接に関係しているように考えております。今後は、この差異と格差のある本市の学校教育の実態について研究し、経済や福祉の分野と関連づけながら、本市の教育への姿勢と施策についてしっかり追求し、議会で大いに議論してまいりたいと思うので、どうかよろしくお願いいたします。 ◆中村たけし 委員  私からは、青少年科学館の耐震改修等に伴う休館中の事業、そして、青少年科学館の理科学教育への協力・連携について、簡潔にお伺いしていきたいと思います。  小学校につきましては昨年度から、中学校については今年度から新学習指導要領が全面的に実施されています。その中で、生きる力をはぐくむことに力点が置かれておりますが、新学習指導要領の全面実施に当たって、当時の平野文部科学大臣からメッセージが出されておりまして、この新しい学習指導要領では、思考力、判断力、表現力等の育成のため、各教科等の指導において観察、実験やレポートの作成など知識、技能を活用する学習活動の充実を図るとともに、教科等を横断した課題解決的な学習や探究的な活動を進めることとしておりまして、要するに、観察と実験重視という点を強調してうたわれています。  そこで、近年、理科離れが指摘されるところですが、児童生徒が興味・関心を持っておもしろさを実感できる理科の授業を支援するために、私は、今ある青少年科学館をもっと活用するべきだと考えております。昨年度、2011年度の科学館の来館者数は、約37万人にもなっております。この科学館では、展示やサイエンスショー、工作会などさまざまな事業を行っておりまして、また、理科授業の一環として、市内と近郊の小・中学校から多くの子どもが訪れ、プラネタリウムの投影による月や星などの天文の動きなどを学習しているというふうにお聞きしています。  しかしながら、この科学館は、建物自体が30年を経過しておりまして、来年度、2013年度は耐震性能の強化と老朽化した給排水管や電気設備などの保全を行うために、ゴールデンウイーク明けの5月7日から約1年間、休館するとお聞きしております。しかし、先ほど述べたようにさまざまな事業を行っておりまして、特にプラネタリウムを活用した学習ということで、各学校では補うことができない授業でありますから、大変気になっています。昨年度の決算特別委員会で、我が会派の三宅委員からも青少年科学科について質問しておりますが、その質疑の中で、移動式のプラネタリウム導入について求めて、検討したいというふうに当局から答弁がございました。  そこで、質問ですけれども、科学館の休館中の事業計画をどのように考えているのか、また、私も移動式のプラネタリウムをぜひ導入すべきだと考えていますが、検討状況はどうなっているのか、あわせてお伺いします。 ◎梅津 生涯学習部長  ただいま青少年科学館の休館中の事業計画、それから移動式プラネタリウムの検討状況についてご質問がございました。  まず、1点目の休館中の事業計画についてでございますが、現在、指定管理者と協議をしているところでございますけれども、科学実験教室、工作会などについては、幼稚園や小・中学校のほか、児童会館などの施設にこちらが出向いて開催することを計画しております。あわせて、移動天文車による天体観望会、札幌市天文台の夜間公開日を拡大するほか、円山動物園と連携した屋外イベントなども開催することで、館内でできない部分を補っていきたいというふうに考えてございます。  それから、2点目の移動式プラネタリウムの検討状況でございますけれども、既に移動式のプラネタリウムを導入しております横浜市あるいは大阪市などにおきましては、学校や各種イベントに出向いて投影を行っております。それから、天体観望会におきましては、移動式プラネタリウムも併用することで、天文に関する理解がより深まり、高い学習効果が期待できるほか、悪天候の際には屋内で投影することができる利点もあるというふうに聞いてございます。このように、学校へ出向いて出張投影をすることや、天体観望会といった既存の事業と連携することによりまして、休館中ばかりではなくて、さまざまな活用が期待できることから、導入につきまして具体的に検討しているところでございます。 ◆中村たけし 委員  ただいまのご答弁で、休館中も児童会館などに出向いて講座を行い、また、移動式のプラネタリウムは検討していくということでした。  プラネタリウムは、今、札幌市内では青少年科学館のある厚別区と、民間でやられている手稲の二つしかないようなので、遠いところでも移動式プラネタリウムが有効に活用されると思います。休館中の事業については、指定管理者ともしっかり協議していただいて、利用者が困らないようにやっていただきたいと思います。  次に、青少年科学館の展示物の整備についてお伺いします。  2010年3月答申の社会教育委員会議では、科学館の展示物のあり方について、札幌らしさ、学校教育への支援、来館者の人気、関心性ということでございますが、それらを見直す際の要素として特に重視をしているほか、科学の楽しさをわかりやすく伝える展示物や集客力の向上につながる展示物のあり方についても触れておりまして、今後、科学館の果たす役割はますます大きなものがあるというふうに感じています。  第3次新まちづくり計画でも青少年科学館の展示物整備が位置づけられておりますが、私は、来年度、ほぼ1年間、この科学館が休館することで、これまで科学館を頻繁に利用してきた子どもたちが寂しい思いをして、そのことから、施設の再開後、科学館への足が遠ざかるようなことがないかなと危惧しているところです。このため、リニューアルオープン後は、子どもたちがわくわくしながら夢や希望を持って今まで以上に青少年科学館を訪れるように、展示物の整備をリニューアルの目玉事業にしてはどうかと考えています。  そこで、質問ですけれども、リニューアルオープンに向けて展示物をどのように整備するのか、お伺いします。 ◎梅津 生涯学習部長  科学館のリニューアルオープンに向けた展示物の整備でございます。  社会教育委員会議の答申を受けまして、ただいま委員がご指摘のように、第3次新まちづくり計画で年次ごとに展示物の整備計画を立てまして、これまでに環境・エネルギーの分野と雪と氷の分野で整備してきたところでございます。平成25年度、1年間の休館中には、宇宙、天文と地学の二つの分野を整備いたしまして、今のところ予定として26年4月下旬にリニューアルオープンを迎えたいというふうに思っております。  この展示の整備に当たりましては、宇宙・天文分野では、太陽や月、星の動きを視覚的に訴える展示を入れて、その理解を深めるといいますか、学習効果が上がるようにするようなことなど、新しい学習指導要領の内容も踏まえて拡充したいというふうに考えてございます。もう一つの地学分野でございますけれども、実は、地学分野については、現在、展示がほとんどございませんので、新規の整備という形になります。新たな来館者の掘り起こしや集客増にもつながるものと期待しておりますので、地層、あるいは火山、地震などの仕組みをわかりやすく理解できる展示を検討して、平成26年4月のリニューアルオープンに向けて整備してまいりたいというふうに考えてございます。 ◆中村たけし 委員  ただいまの答弁で、リニューアルオープンに向けて二つの展示を整備していくという説明がございました。地学の分野は、新しい学習指導要領の中でも特に力を入れられている分野でもありますので、この指導要領にマッチした展示内容ではないかなと考えています。これまで整備した雪と氷の分野なども含めて、札幌らしい特色のある教育を行うために、学校がもっとこの展示を学習に活用できるように、科学館の方から学校に対して積極的にアプローチをする必要もあると思っています。  また、冒頭に申し上げましたように、理科離れを解消していくためには、児童や生徒が興味・関心を持っておもしろさを実感できる理科の授業を行っていくことが大切でありまして、その意味で、教員の理科教育におけるスキルアップが求められているというふうに感じています。現在も、科学館では、ちえりあにある教育センターと連携して、授業やクラブ活動に役立つ観察実験に関する教員の理科研修を1講座担当しているというふうにお聞きしていますが、科学館がもっと積極的に学校の理科教育支援にかかわっていく必要があるというふうに考えています。  そこで、質問ですが、展示物の活用や教育センターとの連携など、科学館による今後の理科教育の支援についてどのようなお考えを持っているのか、お伺いします。 ◎梅津 生涯学習部長  科学館による今後の理科教育への支援についてでございます。  学校教育に対する支援は、科学館の重要な役割の一つと考えておりまして、各展示も学習指導要領を踏まえて整備しておりますし、児童生徒が学んだ内容をより深く理解できる内容となっております。  しかしながら、委員がご指摘のように、さらなる学校への情報発信、あるいは、学校側の視点に立った展示の活用策についても教育委員会と科学館が連携しながら検討していかなければならないと考えてございます。また、現在も、教員の理科研修のほか、希望する学校に実験教材のセットの貸し出しも行っておりますが、今後も学校現場のニーズの把握に努めまして、新たな実験教材などの製作、貸し出しを積極的に行うほか、教育センターとの連携を深めまして、理科教育の支援の取り組みを一層充実してまいりたいというふうに考えてございます。 ◆中村たけし 委員  今ほど、学校のニーズの把握に努めて、教育センターと連携を深めていくという答弁がございました。しっかりやっていただきたいと思っております。  それから、北海道の施設で道立教育研究所附属理科教育センターがございますが、私は視察でこの施設に行ってきまして、理科教育という面では大変ストックが多い施設だったなと思っています。札幌市としても、この道立教育研究所附属理科教育センターと連携を図っていただいて、今後の理科教育に資する方向に努めていただきたいと思っております。  ことしは、医学・生理学の分野で山中伸弥教授がノーベル賞を受賞されました。北海道にも、鈴木 章先生のように大変すばらしい科学者がいらっしゃいます。そういったこともございまして、これから、札幌市から科学に関して有為な研究者が出ることも必要だと思っておりますし、何よりも児童生徒が理科教育に関心を持ってもらう、実験を通して興味を持ってもらうことが必要だと思っておりますので、今後の取り組みを期待しております。 ◆芦原進 委員  私は、3点、スクール・ソーシャルワーカーについては少し長目に、小・中連携については普通ぐらいで、3点目が学校施設の非構造部材の耐震化について、先輩諸氏から怒られないようにしっかりまとめていきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。  委員長、分けてやらせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。  まず、スクール・ソーシャルワーカー配置事業、523万円について質問いたします。  本市では、平成20年度からスクール・ソーシャルワーカーの活用事業が開始されました。このことは、これまでも議会等で何度か取り上げられました。そういう経緯がある中で、家庭的な要因、また、多種多様な要因により、長期不登校が続いている児童生徒の問題の解決に、大変なご努力とご苦労の連続の中で、大きな貢献と効果を発揮してくださっていることに対しましては、敬意を表したいと思っております。  スクール・ソーシャルワーカーが開始される以前は、担任の先生が大変ご苦労をされていたと思います。地道な家庭訪問などの努力の積み重ねの連続だったと聞きます。中には、1年間通い続けた先生もおられるとお聞きいたしました。新学期になると、さらに新しい担任になり、この担任の先生も同じように黙々と家庭訪問をされておりまして、こういう中で、児童と保護者との良好な関係を継続的に保ちながら、本当にご苦労されながらこれまでやってこられました。しかし、その努力もなかなか実を結ばない、こういう悔しい思いをされたこともたくさんあったと思います。これらの問題は、やはり、担任だけに任せるのではなくて、学校や教育委員会全体の問題として取り組む必要から、各学校に配置されたスクールカウンセラー、また、校長からの要請を受けてスクール・ソーシャルワーカーの出動が開始されたと認識しております。  3名体制からスタートしたようでございますが、本年は6名体制となっております。開始から3年が経過したところであります。家庭が抱える問題が深刻なほど、改善には多くの時間が必要となるため、スクール・ソーシャルワーカーの人たちは、これまで福祉部門の仕事に従事した中で専門的な知識と経験を積んで培ってこられた社会福祉の専門職であると思います。だからこそ、スクール・ソーシャルワーカーを活用し、福祉的な観点で関係機関などと連携して支援のネットワークを構築することで、これまでの困難だった問題も改善され、良好な方向に進展すると考えられます。  私も、入学以来、ほとんど登校できなかった児童が、スクール・ソーシャルワーカーの献身的な努力と支援体制で生活環境が安定し、徐々にではあるものの、登校し始めたなど、状況が改善された事例もお聞きいたしました。  札幌市のスクール・ソーシャルワーカーは、社会福祉士や精神保健福祉士の資格を有し、社会福祉専門職である方ですが、重い問題を抱えた不登校などは対応自体が複雑なケースが多く、担当されているスクール・ソーシャルワーカーが対応や支援の方法を一人で判断して行動することの難しさや精神的負担の重さを感じる場合は多くあると思います。特に、教育委員会の支援についてですが、個人の携帯電話を使っているという声も聞きますし、移動費、交通費も個人負担であります。パソコンも個人のものを使っている。ただ、これは申請すれば大丈夫だということも聞きました。さらに、非常にプライバシーを要する問題でございます。特別支援教育巡回相談員の方は、特別なブースがあって、そこで対応されているけれども、スクール・ソーシャルワーカーの皆様にはそういうブースもなく、個人的な話をするときにも大変困るというようなことも聞いております。そうした中で、スクール・ソーシャルワーカーの活動においても、そのときの業務内容によって、スクール・ソーシャルワーカー同士が協力したり、相談したり、または教育委員会の担当指導主事に行政としての意見を聞くなどの体制が最も必要と考えます。  そこで、質問いたします。  スクール・ソーシャルワーカーがお互いに連携し、協力できるように、教育委員会はどのような体制になっているか、まずお伺いいたします。 ◎池上 指導担当部長  スクール・ソーシャルワーカーが互いに連携協力できるための体制づくりについてでございます。  スクール・ソーシャルワーカーの業務は、子どもが置かれている家庭等の状況を確認し、関係機関等とのネットワークを活用して支援するものでございまして、社会福祉等の専門的な知識、経験に加えまして、教育分野に関する知識が必要とされる業務でありますことから、委員からもお話がございましたが、担当者が一人で判断することが難しいケースもございます。札幌市では、6名の担当者のうち、経験が最も長い方1名をスーパーバイザー兼務として、必要に応じて他のスクール・ソーシャルワーカーにアドバイスを行っているところでございます。また、毎月、スクール・ソーシャルワーカー全員によるミーティングを実施いたしまして、個々の事例への対応方法等について情報交換や意見交流を行うなどして連携協力できる体制をつくっております。 ◆芦原進 委員  6名体制で、兼務のスーパーバイザーが1名、また、毎月、全員でミーティングをやっているということで、結構です。しっかりと中身のあるものにしていただきたい。やっぱり、このことをお願いしたい。連携または協力体制については、今、ご答弁をいただきましたので、やっておられるということは理解いたしました。  先ほど言いましたように、本年は6名でスタートいたしましたが、計画を見ますと、スクール・ソーシャルワーカーの任務は1回3時間で、大体、週に2回で年間30週の活動をされて180時間の稼働となっていると伺っています。報酬は108万円と聞いております。これは、180時間を超えようが、300時間やろうが、報酬は変わらないというふうに伺っております。  私は、ほかの政令都市の取り組み状況を調査しました。抜粋して皆様にちょっとご報告したいと思います。  札幌市は先ほど申しましたように180時間でございますが、横浜、新潟、浜松、名古屋、北九州、福岡は、これまで1,560時間とか1,400時間、ほとんど1,000時間を超えています。少ないのは、札幌の180時間と静岡の210時間、京都の280時間、私が以前おりました堺市では420時間で、この辺です。報酬もばらばらです。報酬はともかくとして、札幌市として、180時間というのは、スクール・ソーシャルワーカーの視点ではなくて、教育委員会の視点としてどうなのかという疑問を私は持つわけでございます。このように本市は非常に低いということと、さらに、人口比で考えればまさに十分とは言えない状況であります。  スクール・ソーシャルワーカーは、決して時間の長短でよしあしが判断されるものではないことは私も十分理解しております。しかし、抱える問題が増加し、その一つ一つの案件が複雑で重くなるほど、そのことに取り組む時間を推しはかることは私は難しいと思います。一つ一つが同一の対応では済みません。こんにちは、お元気ですか、近況はどうですかでは、問題の解決の糸口さえつかめないと私は思うのです。事前の調査や対応などの準備で心が通い合うようなことがあって、初めて解決へ向かっていく第一歩であると思います。その辺のところへの配慮や支援が私は一番大切だと思います。  そこで、質問いたしますが、本市におけるスクール・ソーシャルワーカーの活用状況と稼働の実態はどのようになっているのか、お伺いいたします。 ◎池上 指導担当部長  スクール・ソーシャルワーカーの活用状況と稼働の実態についてでございますが、昨年度の年間対応件数は115件でございました。スクール・ソーシャルワーカーの役割とその効果が各学校に認識されてきておりますことから、本年度は、上半期の段階ですが、既に対応件数が100件に達するなど派遣要請が増加しております。スクール・ソーシャルワーカーが支援する事案は、家庭の経済状況の逼迫や、学校と家庭との連携がうまくとれないなど、複数の困難が重なり、支援が長期に及ぶケースもありますことから、実際には計画した時間を大幅に超過して業務を行っていただいているのが実態でございます。 ◆芦原進 委員  どれくらいの時間か、わかりませんか。平均時間をちょっと教えていただけませんか。 ◎池上 指導担当部長  平均にはなりますが、180時間のもともとの計画に対して、約300時間ぐらい稼働している実態がございます。 ◆芦原進 委員  急に聞いて、申しわけありません。でも、やはり、実態はかなりご無理がかかっているなと私は思います。  本市のスクール・ソーシャルワーカーの仕事というのは、先ほど申し上げましたように、特定の時間とか、場所が決まっているとか、そういう相談ではないのですね。時間が不特定、曜日も不特定です。そして、男性ばかりではなく、女性の方もいらっしゃると聞いています。そういう中で、家庭訪問をしたり、関係機関や医療機関に同行したりして、自分の都合ではなくて、相手の都合に合わせた時間帯や曜日に柔軟に対応されている。やはり、こういうことには本当にこたえていかなければなりません。まさに、時間の枠を超えて困難を抱える家庭等に尽力していただいていることは、職業的な責任感の強さと、さらに、人のためという奉仕の精神がなければできない仕事だと思います。本当に頭が下がる思いであります。ゆえに、スクール・ソーシャルワーカーがさらに専門性を発揮して、一人一人の子どもや保護者にしっかりと寄り添えるような支援体制の充実こそ最も大切であると考えます。  そこで、再々質問いたします。  今後、スクール・ソーシャルワーカーの人数や時間数を拡充していく必要があると思いますが、いかがでしょうか。 ◎池上 指導担当部長  スクール・ソーシャルワーカーの人数と時間数の拡充の件についてでございます。  本年度は1名を増員して6名体制としておりますが、次年度はさらに1名を増員いたしまして7名体制に拡充する予定でございます。今後、学校からの派遣要請がさらに増加することも予想されますから、一人一人の子どもや保護者にしっかりと寄り添う体制を充実できるよう、配置人数及び時間数を拡充することを検討してまいりたいと考えております。 ◆芦原進 委員  要望にしますけれども、私は、スクール・ソーシャルワーカーの取り組みというのはやはり大変大事なものだと思います。文部科学省も、来年度の概算要求では、いじめ対策アクションプランでは本年度の1.6倍、本年度は46億円だったけれども、73億円を計上しているのです。国も本気になってやろうかということになっているのです。そうであるならば、やはり、本市も教育委員会も、札幌市の子どもたちのためにも、スクール・ソーシャルワーカーの人員増や時間増の取り組みを、今言われましたが、国がもっとやれと言うかもわかりませんし、まだまだやっていただきたい。  さらに、先ほど言いましたように、教育委員会としても、スクール・ソーシャルワーカーの皆さんが安心して情熱を傾けて活躍できるような支援体制、環境整備の実施に向けてしっかりと取り組んでいただくことを強く要望し、このことはこれからも質問し続けてまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  次に、小・中連携について質問いたします。  昨今、いじめや不登校などが各市において話題になっているところでありますが、先ほどもいろいろと質疑がございました。このことは、子どもたちが安心して学べる環境を提供しなければならない学校生活において大きな問題であり、一刻も早く解決していかなければならない課題であると考えています。  先日、先ほど福田委員からも質疑がありましたが、佐賀市に視察に行ってまいりました。小・中一貫教育の状況をつぶさに見てまいりました。そこでは、9年間で身につけるべき能力や態度を明確にした上で、義務教育9年間で一貫した教育課程を編成し、計画的かつ継続的な学習指導や生徒指導を展開しているとのことでありました。担当の話によりますと、学力の向上を初め、いじめや不登校の減少など多くの成果が期待できるし、期待できたと言っておりました。地域の事情、校区の問題など、札幌市とは比較できません。小さい県であります。私が生まれ育ったところを悪く言うわけではないですが、本当に小さい県で、まとまった県であります。こんな190万人もいるところとは違いますから、やり方は違うと思います。しかし、考え方は一緒でもいいと私は思うのですね。そういう意味で、すぐには難しいと思いますが、いじめや不登校など生徒指導の課題を解決するためには、小学校と中学校の連携は大切な取り組みだと私は思います。  そこで、質問ですが、札幌市として、現在、いじめや不登校といった生徒指導上の課題に対して小学校と中学校の連携をどのように行っているのか、具体的な取り組みをまずお伺いしたいと思います。
    ◎池上 指導担当部長  小・中連携につきまして、生徒指導の課題に関する具体的な連携の取り組みについてのご質問でございます。  教育委員会といたしましては、小学校と中学校が日常的な連携をより一層深めることを目的といたしまして、生徒指導小中学校連携事業を実施しているところでございます。本事業におきましては、中学校区ごとに小・中学校の教員が児童生徒の生徒指導上の問題状況等について交流を深める活動、それから、地域の方と情報交換をする機会を設けたりしながら、それぞれの発達段階に応じた指導のあり方について共通理解を深める取り組みを進めているところでございます。また、不登校対策連絡会議やスクールカウンセラー連絡協議会等を開催いたしまして、その中で、中学校区ごとに小・中学校の担当者が不登校等の生徒指導上の問題を未然に防ぐため、各学校の地域に応じた具体的な取り組みや課題を協議するなどして連携に努めているところでございます。 ◆芦原進 委員  今、連携についてはしっかりと取り組んでいるというようなご答弁がありました。  私は、教師と生徒指導にかかわって情報を共有することが大事だと思います。教員と子ども、小学生と中学生の子ども同士がさまざまな教育活動を通じて交流をするなど、こういうことは生徒指導以外でも連携をすると。先生だけではなくて、子どもたちの連携も大事なのだということを言いたいわけでございます。そうすることが、児童生徒の豊かな人間性や社会性をはぐくむことにつながり、結果としていじめや不登校の改善もなされます。  先ほど佐賀市の話を若干しましたが、佐賀市でも、実は平成2年から連携を始めたというのですね。現在は、小・中連携から小・中一貫に切りかえているのです。平成2年からだから、もう22年もかかっています。小・中一貫教育へのステップ・ファイブというものをつくって決定されています。一貫の貫は9年間を貫くという意味だということがよくわかりました。一番最初は平成18年にできて、開校したのが3校で、全部で6校あるのですね。そして、メリット、成果を聞きました。中学校に対する意識が向上し、保護者が成果を認めるようになりましたと。やっぱり、お父さんやお母さんが認めてくれないと先生もつらいです。しかし、それを認めるようになった。それから、不登校傾向が減少した。これは、小・中一貫の中で小学生が中学校の先生をすべて知っているのだそうです。そして、学力が向上した。保護者や児童にデメリットはありませんと言い切っていましたね。それから、学校長のビジョン、教員の意識が大切である、小・中教育の共同意識が高まった、やっぱり学校長のビジョンが大切だ、こういうもろもろの成果を伺ってまいりました。  そこで、再質問に移りたいと思います。  教育委員会として、小・中間の円滑な接続に向け、どのように取り組みを進めてきたのか、また、今後どのように充実を図ろうとしているのか、お伺いしたいと思います。 ◎池上 指導担当部長  小・中学校の円滑な接続に向けて今行っている取り組みと今後のことについてでございます。  教育委員会といたしましては、現在、研究開発事業を行っておりまして、その中で取り組んでおりますが、研究推進校を指定いたしまして事業を進めております。そこでは、小学生が中学校に進学する際の不安を解消することとともに、小学校で学んだことを中学校でより一層生かすためには相互にどのような取り組みをすることが効果的であるのかなど、そういうことを検証するために実践研究を進めているところでございます。具体的な例になりますが、研究推進校におきましては、小・中学校合同の道徳の講演会をやって、その中で小学生と中学生が意見の交換を行うことや、中学生が小学校に出向いて行事の進め方へのアドバイスを行ったりする活動、それから、交流も含めた活動として、中学校の合唱コンクール等の学校行事に小学生が参加するとか、そのような活動を進めております。こういう取り組みを通しまして、小学生の中学校生活に対する意欲や期待を高めることができ、教員も、学習内容の連続性に配慮したより効果的な指導についてお互いに研修することができるようになるなど、成果が上げられているところでございます。  また、今言いました研究推進校以外のさまざまな学校においても、小・中連携は広がりを見せているところでございます。特に、今年度、合築校舎が完成いたしました北白石小学校と北白石中学校におきましては、日常的な子どもの情報交流や計画的な教員相互の授業参観、それから、相互の教員を子どもに見立てて中学校の英語や小学校の算数の模擬授業などの取り組みも進められておりまして、そうした成果が今後は他の小・中学校に広められていくことが期待されているところでございます。  今後、小・中学校の教育課程の連続性、そして系統性などについて研究を進め、その成果の普及を図るなどしながら小・中連携のより一層の拡充に努めてまいりたいと考えております。 ◆芦原進 委員  研究推進校などで随分と広がってきたということで、白石の例も出していただきました。本市としても、かなり前向きに連携を進めてきていることはよくわかりましたし、さらに進めていただきたいなと思います。  先ほど、佐賀市の話を若干しましたけれども、ある学校では、朝、中学校の生徒が近くにある小学校の校門のところに行って、おはようございますと、みんなで横になってあいさつをして子どもたちを迎えるそうですね。これが非常に効果が出ているそうです。ただ学校で何かをするのではなくて、出ていって中学生があいさつをしているのを見たらほほ笑ましい気がしませんか。今、私も言いながらにこにこしてまいりました。  要望で終わります。  佐賀市の小学校は、36校と少ないのです。中学校は18校しかありません。佐賀市は、佐賀市方式という方式で平成2年から小・中連携教育をやり、平成18年に小・中一貫教育へと進んでまいりました。時間をかけているのです。やっぱり、時間は要ります。札幌市も、未来を担う子どもたちのためにも、健全な成長のためにも、連携をしっかりやっていただいて、札幌方式と全国に誇れるような教育の取り組みをしていただきたいことを要望して、この質問は終わりたいと思います。  最後に、学校施設の非構造部材の耐震化について質問いたします。  これは短いですから、ひとつよろしくお願いしたいと思います。  東日本大震災では、多くの学校において体育館の天井材の落下などが発生しました。人的被害が生じた事例もあると聞いております。昨年の決算特別委員会で、我が会派の國安議員から、非構造部材の耐震化について質問したところでありますが、その後、1年を経過し、どのような取り組み状況になっていたのか、質問したいと思います。  文科省では、本年4月に非構造部材の耐震点検、対策の速やかな実施の要請を通知しました。ここにありますが、出しません。その通知では、致命的な事故が起こりやすい体育館の天井材や照明器具などの落下防止対策等を進める必要があることなどが示されています。また、文部科学省は、ことし9月、非構造部材の点検と対策の状況の報告をやりました。ここにあります。報道陣に出されました。こんな厚いものがあります。札幌市も載っております。全国の公立小・中・高のうち、校舎や体育館の天井や照明器具といった非構造部材の耐震対策を終えているのは、平成24年4月1日現在で全体の32%にとどまっている、こういう結果が出ております。札幌市においても、校舎や体育館という建物自体の耐震化は進めているようですが、非構造部材についても積極的に取り組んでいくことが必要であると私は思います。  そこで、質問でございます。  学校施設の非構造部材の耐震化について、札幌市の現状と教育委員会の認識について伺いたいと思います。 ◎渡邉 学校施設担当部長  学校施設の非構造部材の耐震化についての現状と認識でございます。  学校施設の耐震化は、児童生徒の安全を確保するという観点から、校舎、体育館などの構造体について実施してきておりますが、非構造部材につきましても、体育館の照明器具の落下防止対策は従前より耐震改修工事に合わせて実施してきたところでございます。その他の非構造部材の耐震化につきましても、東日本大震災での状況を踏まえまして、平成24年度着手の耐震補強工事から体育館のガラスの飛散防止対策等を実施してきているところでございます。  学校施設の整備に当たりましては、災害時に児童生徒の安全を確保するとともに、避難場所としての役割を果たすことができるよう、今後、非構造部材について耐震対策を一層進めていくことが重要と考えているところでございます。 ◆芦原進 委員  再質問を行いたいと思います。  構造体の耐震化を優先しておられるということで、これはかなり進みました。私も現地に行って見せていただいております。しかし、非構造部材についても、今のうちにできるものは進めていくべきではないかと思います。耐震化を速やかに完了できるようにしておく必要があると私は考えております。  そこで、現時点で行っている対策や事前の準備、調査も含めて、その内容についてどうなっているか、お伺いしたいと思います。 ◎渡邉 学校施設担当部長  現時点で行っている対策でございますが、非構造部材につきましては、校舎などの構造体に関するIs値などの明確な耐震性の数値基準がないことから、教職員や教育委員会などがそれぞれ点検を行っておりまして、その結果、対策が必要とされたものにつきましては、順次、緊急修繕等により対応を進めているところでございます。  そこで、事前準備といいますか、今後に向けてでございますが、災害に備え、体育館ガラスの飛散防止対策のさらなる推進に向け、また、避難場所としての防災機能向上のための方策につきましても関係部局と協議を進めているところでございます。学校が本来果たすべき児童生徒などの安全確保という役割を果たした上で、避難場所としての役割も担っていくために、防災関連部局と連携協力いたしまして、非構造部材への対応も含め、防災機能の向上を図ってまいりたい、このように考えてございます。 ◆芦原進 委員  要望で終わります。  今、答弁がありましたように、体育館のガラスの飛散は本当に危ないと思いますので、こういうものは早くやっていただきたい。それから、暖房です。北海道は寒いですから、冬になって、震災からやっと避難してきて、2次被害で亡くなったなんてことはあってはいけないわけですから、そういうことをしっかりとやっていただきたいと思います。  要望しますが、先ほどから言っていますように、文部科学省の平成25年度の概算要求が出ました。ご存じだと思います。公立学校の耐震化及び防災機能強化等ということでございますが、24年度は約1,240億円でした。今年度の概算要求ですが、3,200億円ちょっとと約2.42倍です。概算要求ですから、これで決まることはないと思います。しかし、頑張っていただいて、私は2倍で決まると思うのですよ。それぐらい、国は、今、前向きに、速やかに取り組もうとしているわけですから、やはり、本市も、それが来てからでは遅いから、早目早目にしっかりやっていただきたい。  これは、皆さんもご存じだと思いますが、文部科学省の「地震による落下物や転倒物から子どもたちを守るために〜学校施設の非構造部材の耐震化ガイドブック〜」というものがあるのです。これは、よくできていますよ。これを読めば、本当にじっとしていられませんから、すぐに点検に行きたくなるぐらいすばらしいものです。それから、チェックリスト表も、今までは国としてこれでやりなさいというものがなかった。だから、本市の教育委員会は、建設局とか、都市局とか、よそでつくったものでやっているのですね。それではやっぱり足りないと思います。しかし、この点検チェックリストができました。これはすばらしいですから、ことしからきちっとこれでやれるようになっておりますので、もう一度、これに基づいてしっかりと点検をして、安心・安全な学校現場をつくっていただきたいことを要望して、終わります。 ◆井上ひさ子 委員  私からは、期限つき教員について伺いたいと思います。  定数欠の穴埋めとして、1年間の期限つき教員が2012年5月1日で323人もいることが問題です。私ども日本共産党は、教員定数は、期限つきではなく、正規の先生を確保すべきと求めてまいりました。2005年、私の代表質問でも、当時の教育長は、期限つき教員は減少に向けて可能な限り取り組んでいくという答弁があり、正規教員を確保するのが基本的な方針ではなかったかなというふうに私は思うのです。  しかし、これは全く変わっておりません。とりわけ平成22年度、23年度に増加した理由は何か、伺います。 ◎金山 学校教育部長  期限つき教員の配置につきましては、これまでも教員の新規採用数との関係も含め、その減少に向けて積極的に取り組んできたところでございます。  しかしながら、委員のご指摘のとおり、平成22年度及び23年度におきましては期限つき教員が増加しておりますが、これは、2月に決定された国からの加配教員数が例年より増加し、さらに、札幌市が進めている特別支援教育の充実に向けた新規学級開設や、新採用教員数の決定時期には予測できなかった児童生徒数の増加により、期限つき教員が増加したものでございます。 ◆井上ひさ子 委員  今、新規採用については積極的に取り組んでいるという答弁だったと思います。国の加配が2月に決まったということで、現場の先生にとってみれば加配されたことはすごくうれしいことで、そういう中では大変な状況なのかなと思います。こうした国や道の状況はいろいろあると思いますが、私は、やっぱり現実的な対応をしっかり考えていないというふうに思うのです。例えば、特別支援学級では、やっと親しんで学校生活を送っていたのに1年で先生がかわってしまうという声が寄せられております。とても深刻です。今年度を見ますと、小学校で194人の期限つきの先生がおりますが、そのうちの99人が特別支援の先生なのですね。半数以上がこういう状況です。  学校運営に支障のないように対応していると思うのですが、私は、この現状について本当にどのように認識しているのか、伺いたいと思います。 ◎金山 学校教育部長  特別支援学級において期限つき教員が配置されている件についてでございます。  特別支援学級においては、年度当初まで児童生徒数が確定しない場合が多うございます。加えまして、児童生徒数の変動により教員数の増減に与える影響が大きいことから、結果として期限つき教員での配置となる場合が多うございます。  期限つき教員の配置につきましては、翌年の児童生徒数の増減により1年間で変更となる場合もございますけれども、指導の継続性を確保するため、複数配置校においては可能な限り正規教員との組み合わせになるように配慮しているところでございます。 ◆井上ひさ子 委員  複数でおられるときにはそのどちらかがというのはわかるのですが、全体がそういうふうになっていませんので、これはやっぱり問題だと思います。  今、子どもたちを取り巻く環境もとても悪化していると思うのですね。家庭生活の問題もありますし、学習の問題もあります。ですから、指導も本当に困難になっているということを私どもも聞いております。また、先生にとっても、新卒もベテランも同じ仕事をやらなければなりませんが、継続することができない、頑張っても、頑張っても限界がある、こういう困難さも語られていますし、不安定な雇用で何よりも先の見通しが持てない中で落ちついた教育活動ができないという声も寄せられております。  こういう困難がある中で、教員定数の改善がされずに期限つき教員が増加して、本人も困難になり、学校運営にも大きく問題があるのではないかというふうに思うのですが、改めて伺いたいと思います。 ◎金山 学校教育部長  期限つき教員が増加して、学校運営にも問題があるのではないかというご質問だったかと思います。  冒頭に申し上げましたように、期限つき教員の減少に積極的に取り組んでいるところでございますが、予想外の児童生徒数の増加や加配教員の増員があった場合、どうしても期限つき教員を配置せざるを得ない結果となっているところでございます。その場合でも、期限つき教員の配置につきましては、指導の継続性が確保できるよう可能な限り配慮して、学校運営に支障が出ないようにしているところでございます。 ◆井上ひさ子 委員  国においては、35人学級の教員定数の改善計画を持って5年間で中学3年生まで35人以下の学級を実現すると、先ほども概算要求のことが話されましたが、そういう方向で動いているというふうに思うのです。現在、国においては小学校1年生までやっていますけれども、北海道の少人数学級は小学2年生、中学1年生まで行われています。これは、生活面でも学習面でも大きな成果を上げて教育の実践をしているということで評価しておりますし、やはり、拡大していくべきだというふうに私どもも考えております。  こうなりますと、本市としてはこれがどうなっていくのかというのが私は心配なのです。いつまでにどうやっていくのか。学級もふえていきますので、正規職員で対応していくという見通しが立つのか、この辺について伺いたいと思います。 ◎金山 学校教育部長  今、委員からご指摘がございましたが、現段階で示されている国の教職員定数配置計画につきましては5年と示されているところでございます。しかしながら、いつ、どの学年で実施するかにつきましては都道府県の判断とされておりますことから、今後の国及び道教委の動向を注視してまいりたいと考えております。  また、必要となる教員の補充につきましては、新採用者数の調整による対応を基本としながらも、状況に応じて期限つき教員等の活用を図るなど、少人数学級への移行を円滑に行ってまいりたい、このように考えております。 ◆井上ひさ子 委員  国における教員定数のことを私も調べてみましたら、将来的に可能性を持たせて計画的、安定的に教員を配置していくことを可能にするというふうに書いているのですが、今までのような状況ですと、やっぱり期限つきの先生に頼らざるを得ないのかなというふうに思うのですね。札幌は学校規模も大きいですから、学校について言えば1名とか2名のところもあるでしょうけれども、長期病欠をとっている先生もおられれば、いろいろな状況があるというふうに私は思うのです。それから、議論になりましたいじめの問題、先生の多忙の問題など、課題は大きいと思うのです。  そういう中で、期限つきの教員や非正規教員は本当に増加しております。これについては、学校運営などにも影響がありますので、改めて改善を求めていくように、そして、消極的なことではなくて、先ほど来、積極的にとご答弁されているのですが、中身はなかなか積極的になっていませんので、努力されますことを求めて、質問を終わりたいと思います。 ○山田一仁 委員長  ここで、およそ20分間、委員会を休憩いたします。     ――――――――――――――       休 憩 午後3時28分       再 開 午後3時50分     ―――――――――――――― ○山田一仁 委員長  委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、質疑を行います。 ◆小倉菜穂子 委員  私は、いじめの問題に関しまして、いじめの状況等に関する調査と、警察が学校に入ることについて、1点、最後に確認させていただきたいというふうに思っています。  初めに、いじめの状況等に関する調査について伺いたいと思います。  近年、いじめが原因で子どもがみずから命を絶つという本当に痛ましい事件が繰り返され、学校や教育委員会、そして、私たちの社会そのものが厳しく問われていると思います。改めて、学校関係者を初め、保護者を含む市民、私たちは、子どもの置かれた現状を直視し、いじめへの対応のおくれから深刻な事態を招くことがないよう、子どもの気持ちに寄り添った対応を迅速に遂行しなければなりません。いじめられた子、また、いじめてしまった子など、困難な状況にある子どもは必ずサインを出しており、教師を初め、すべての大人がそのサインを敏感に察知することが重要と考えています。  午前中も質疑があったところです。いじめの認知件数については、630件と減少傾向ということも伺いました。しかし、昨年10月に教育委員会月報が出ておりますが、その巻頭文には、認知件数の増減でいじめの現状を分析することは非常に難しい、ふえていることが悪いのではなく――そのままの言葉で言いますけれども、教員のいじめ掘り起こしの成果ともとれるし、減っているのは怠慢を意味することでもあるという厳しい指摘もあります。また、アンケート調査などの調査の重要性にも触れています。  そうした中、札幌市は、2006年度より児童生徒の状況や各校の取り組み状況をより適切に把握し、いじめの早期発見・早期対応に資することを目的とするいじめの状況等に関する調査を実施しており、昨年度の分析結果によりますと、1万1,060人がいじめられていると思うと回答しています。また、いろいろな分析がありますが、中には、いじめられても相談をしないと回答した子どもの数も2万8,930人で、20.6%となっています。こうした調査を十分に活用して、子ども一人一人に真剣に向き合った対応の充実を図るべきだというふうに思っています。  そこで、質問ですが、本市が独自に2006年から既に6年間実施しているいじめの状況等に関する調査結果における経年の変化や特徴的なことがあれば、伺いたいと思います。  また、これまで、この調査結果がいじめの解決にどのように生かされてきたと考えているのか、あわせて伺います。 ◎池上 指導担当部長  いじめ問題への対応にかかわりまして、まず、1点目の教育委員会が実施してきているいじめの調査における経年変化についてでございます。  先ほどお話もありましたように、これは、平成18年度から行っているいじめに関する意識調査として実施しておりますが、いじめられていると思うという子どもの割合など10項目あるすべての設問の調査結果において、ここ6年間、傾向に大きな変化は見られません。  次に、2点目のアンケート結果をどのように生かしているかということについてですが、アンケートの結果に基づきまして、保護者との連携も図りながら、速やかに個別の教育相談を実施するなどして事実を確認し、個々のケースに応じたきめ細かな対応をすることによりまして、早期の解決及び事態の深刻化の防止に生かしてきているところでございます。 ◆小倉菜穂子 委員  この6年間で、数値的なこと、または内容的なことには余り変化がないということでした。この6年間、平成18年、2006年の調査と全く同じ内容で調査されているということで、そうしたことは経年でわかるのかなというふうに思います。どんなふうに生かされてきたのかというところでは、午前中の議論でもあったかと思いますが、きめ細やかな対応をしているというふうに伺ったところです。  きめ細やかな対応というところで、分析の結果によりますと、99.9%が解決したというふうに見ています。これは、11月に調査を実施しまして、3月に結果をまとめていると思いますが、その間におおむね解決したということですけれども、私は、いじめの解決というのはそう容易ではないケースもあるのだろうと思うのです。また、一たんは解決したように思えても、再発するようなことも多いと思っています。  そこで、質問です。  いじめられていると思うと答えた児童生徒1万1,060人のうち、99.9%が解決したということで、この時点で継続している子は11人になるかと思いますが、何をもって解決したというふうに判断されているのか、伺いたいと思います。  また、この調査は記名式の調査ですが、記名している子どもの割合はどうなっているのか、あわせて伺います。 ◎池上 指導担当部長  まず、いじめが解決したと判断することについてでございますが、教育委員会では、アンケート結果に基づく学校の対応状況を確認していく中で、子どもみずからがもういじめられていないと学校が確認したという報告を教育委員会が受けて判断しているところでございます。しかしながら、いじめ問題は、周囲から解決しているように見えても実際には継続している場合があったり、あるいは、本人が解決したと感じていても再発する場合もございます。そのため、今後も継続的に見守るよう学校に指導しているところでございます。  もう一つ、記名している子どもの割合でございますが、これは、封筒を配付して自宅で記入させるなどの配慮をしていることなどもありまして、ほとんどの回答者、児童生徒が記名しているのが実態でございます。 ◆小倉菜穂子 委員  自分でもう大丈夫ですと言ったお子さんたちがいて、気になるといいますか、その後も継続的に見守っていかなければならないということについてはやっているということでした。それから、記名式の件ですが、私は、名前を書いてその実態を学校に出すことには抵抗があるお子さんもおられるのではないかなというふうに思ったので、何%ぐらいかなと伺ったところです。今のお話では、ほとんどというのは何%なのかちょっとわかりませんが、ほとんどに名前が入っているということでした。  私は、すべての件に先生が介入するのではなくて、子ども同士で解決することも大切だというふうに思っています。仮に時間がかかっても、解決へ向かうことを見守ることも大切だというふうに思っていますので、丁寧に取り組んでいただきたいと思います。  また、この調査は、理由があれば無記名でもいいとなっていると思うのですが、先ほどは記名している子が多いということでした。この資料は、何ページもないですが、私たちが札幌市のいじめの現状がどんなふうになっているのかということを知る資料として非常に大切だと思いまして、この間、子どもの状況を何とか知りたいと思ってじっくり見てきたところです。  例えば、相談をしないと答えた子どもが先ほどは2万8,000人ぐらいいると言いましたが、そんな子どもたちが相談しない理由は何なのかとか、そういう子どもは人に言いたくないのですよと大人も何となく理解しているのですけれども、今回、小学校1年生でも10数%の子どもがだれにも相談しないと言っているのは何でかなと。私は、率直にそこら辺がわかりたいなと思ったりしたものですから、そうしたことまで聞くような内容であればいいなとか、クロス集計にはなっていないということで、ここの部分が知りたいというところがうまくあらわれてこないというふうに思っています。  それから、先ほど、家庭での記入ということでした。お子さんによっては、保護者の方と一緒に考えながら書く子どももいるかもしれないし、そうではないお子さんもいるかもしれません。子ども自身の声を非常に大切にしているというのがこのアンケートの特徴でもあったように思うものですから、家庭で書くときの書き方についてももう少し検討することができないだろうかということをこの調査の中から感じました。  この分析結果によると、いじめられていると思う児童生徒以外で、教師がいじめの疑いがあるととらえている子どもは、計算をすると209人いるようになります。これは、いじめられていないと答えた子ども、だれにも相談しないという子ども、不登校等で調査に参加できなかった子どもの中に少なくとも209件、そして、恐らくそれ以上のいじめがあるのだろうと私は思います。  しかし、相談するといじめがひどくなる、大切な人に心配をかけたくないなどの理由から、そして、記名式の調査ではありのままの答えを出せない児童生徒が出る可能性が高いというふうに考えられますし、また、いじめの場合、短期間のうちに被害者や加害者が大きく入れかわるというふうに言われています。記名式でいじめられていると思うとした児童生徒に注意を集中している間に、新たに発生しているいじめを見過ごすことになりかねないとの指摘もあります。そういった意味で、現在の調査は、いじめられていると思うという子どもへの対応には十分活用されていると思いますが、それ以外の子どものいじめの実態を明らかにするには不十分ではないのかなと感じています。そうしたことから、見えづらいいじめの実態を明らかにするためには、無記名として、記名したい子どもは記名するとか、そうした実施方法の工夫が求められるというふうに考えています。  すべての子どもをいじめの被害者や加害者にしない、そうした状況に追い込まないためには、その実態を明らかにするとともに、いじめに対して教員一人一人がサインに気づくことが大変重要だというお話が随所に出てきますけれども、そうした気づきにつながるような調査とすべきではないかというふうに思っています。  そこで、質問ですが、先ほどもアンケート内容の検討について少しお話が出ていましたように、今後、いじめの状況等に関する調査を実施するに当たっては、子どもにはいじめを人に知られたくないといった特性、傾向があることを考慮して、いじめの実態がより浮き出るような調査となるよう、その内容や実施方法について工夫や見直しをすることが必要というふうに考えますけれどもいかがか、現段階で具体的なお考えなどがあれば伺いたいと思います。 ◎池上 指導担当部長  いじめアンケートの内容や実施の方法に工夫が必要ではないかというあたりのご質問かと思います。  札幌市のいじめアンケートでは、いじめの早期発見・早期対応に生かすという観点から記名式として実施しております。また、先ほどもちょっと触れましたが、プライバシーを保護し、他の子どもに見られないという安心感を持って記入できるよう、アンケートと封筒を一緒に配付し、自宅で記入した上、封をして提出するなどの配慮も行っております。このことは、子どもと保護者がともにいじめを考える機会ともなっているところでございます。  現行のアンケートについては、6年間、内容を変えずに行ってきておりますけれども、これまで以上に子どもが素直な気持ちを回答できるような内容とするために、現在、教育委員等の意見も踏まえながら改善を検討中でございます。 ◆小倉菜穂子 委員  いじめの状況等に関する調査の分析結果を拝見しながら、気になった点、そして、なかなか見えづらい子どもたちの気持ちをどういうふうにしたら感じ取ることができるのだろうかといったことなど、それらを改善できないかということで提案させていただきました。これから、教育委員の皆さんと検討を進める、そして、11月にそれを使うということなのかなと思いますが、ぜひ、皆さんも子どもの立場に立って丁寧に検討していただきたいと思います。冒頭で申し上げた文章では、いじめを掘り起こすというような表現をされていましたが、そうしたことにつながるような調査としていただきたい。そして、ほかの取り組みとあわせて、これまでの取り組みも一層進めていただきたいというふうに思っています。  子ども支援の学習会みたいなところにたまに出るのですが、この夏に、そこで支援をしていらっしゃる方々から、見ようとしなければ見えない、そうした子どもたちがたくさんいるのだというお話を伺いました。そのことがずっと気になっております。そのためにも、私は、この調査にすごく期待しているものですから、ぜひしっかりとした検討をしていただきたいと思います。  こちらの方は終わりたいと思いますが、もう一つ、表題も難しいのですけれども、警察が学校に入ることに関して1点だけ確認させていただきたいと思います。  学校には、これまでも、警察の方が出向いて防犯や交通安全について子どもたちに適切な指導をしていただいていることは本当にありがたいと思っておりますけれども、このところ、いじめの件などで警察の調査が学校に入るということを私たちも報道で見聞きしているところであります。そして、事件の深刻さもありますけれども、重い気持ちになるところです。  本来、学校は子どもたちが安心して安全に過ごす楽しい場所であるべきですし、子ども同士で、または先生と過ごす場所であります。事件の真相を明らかにするということは当然であって、うやむやにすることはできませんが、学校に警察が入ることで、子どもたちには事件によるショックに加えて、大変大きな精神的なストレスがかかるのではないかと、そのことを危惧しています。  そこで、質問ですが、そうした学校現場に警察が調査に入ることについて教育委員会はどのような考えを持っておられるのか、お伺いいたします。 ◎池上 指導担当部長  学校現場に警察が調査に入ることについてでございます。  学校では、先ほども例に挙げられていましたが、これまでも防犯教室や薬物乱用防止教室など犯罪と結びつくような内容の啓発に係る取り組みについては警察と連携してきたところでございます。特に、子どもに関する犯罪性のある行為が起きた場合などについては、警察と相談、連携しながら慎重に対応しております。ただし、このような場合につきましては、教育的観点からも、より一層、慎重に対応することが必要であると認識しているところでございます。  そういった観点から、警察が子どもに直接かかわる場合については、保護者の理解を得るとともに、スクールカウンセラー等の専門的な立場の助言を受けるなど、子どもの心のケア等に十分配慮しながら対応することが必要であると考えているところでございます。 ◆小倉菜穂子 委員  子どもの心のケアは本当に大切だというふうに思っています。警察が入ることについては、もちろん慎重にということでしたが、心のケアについても常に心がけながら行っていただきたいということを申し上げたいと思います。
     そして、先ほどからずっと実態調査のことなどをお伺いしましたが、まずは、子どもの権利条例を持っている札幌市として、いじめの深刻化によってそうした事態を招かないように、また、子どもたちに多くの不安を抱かせる状況をつくらないように、いじめられている子、またいじめた子、それぞれに早期に気づいて、適切な支援のもと、子どもが伸び伸びと学び、そして遊ぶことができる学校づくりを――それが本当に当たり前の学校づくりだと思うのです。そういう学校づくりを目指して、真剣に、全力で、積極的に、言葉が幾つあっても足りないですが、取り組んでいただきたいと思います。  あわせて、先ほど来、先生の数が足りないというような話が出ていました。私も本当にそのとおりだと思います。子どもをしっかりと受けとめるためには、教員の加配が欠かせないと思います。このことは、いつも北海道の方でということになるので、少しむなしいような気がしますが、粘り強く働きかけを続けていただきたいと思っています。いじめに特効薬はないと思いますが、先ほども言いましたように、見ようとしなければ見えない子どもたち、そうしたところにしっかりと気持ちを寄せて取り組みを続けていただきたいというふうに最後に要望して、私の質問を終わります。 ◆川田ただひさ 委員  私からは、私の代表質問での教育長との質疑の中身、また、その中において、教育推進計画という用語が出てまいりまして、非常に重要な計画でございますので、その中身、また方向性、そして、札幌市の今後の教育のあり方についてお尋ねしたいと思います。  まず初めに、私は代表質問でもお聞きいたしましたが、教職員組合との関係ということで、毎年、要望書が出てきているということでございます。一応、回答においては、この要望書を受けても教育委員会で主体的に決めて、教育方針並びにさまざまな業務においてやっていくというお話でございました。ただ、教職員組合からの要望書の中身を見てみますと、そのときにも指摘いたしましたが、非常に類似している中身も多々あるなと懸念している次第でございます。  そこで、早速、お伺いしたいと思います。  教育方針の内容については、すべてにおいて組合の要望は全く考慮しないと。例えば、教育の中身については教育推進計画に基づき、または文科省の指導、そして関係法規、要領に基づいて業務を行っているということでよろしいのかどうか、お伺いしたいと思います。  また、教育委員会においては、教職員組合というのはどのようなものであると認識しているのか、あわせてお尋ねしたいと思います。 ◎梅津 生涯学習部長  ただいま、教育方針の内容等、すべてにおいて組合の要望を考慮しないで、あるいは、文部科学省の指導、関係法規等に基づいて行っているのでしょうかというようなご質問でございました。  私どもは、教育の基本的な方針あるいは内容等につきましては、札幌市教育推進計画を初めといたします各種計画等として、国の考え方などに基づきながら、教育委員の合議体でございます教育委員会会議で主体的に決定しているところでございます。  決定に当たりましては、市民あるいは学識経験者、議会などからも幅広くいただいたご意見、それから、子どもたちとじかに接する教職員の意見なども参考としているところでございます。これらさまざまな意見、要望につきましては、どなたからの要望、意見であったとしても、よりよい教育の実現に向けた内容のものであれば参考にすることはあり得るというふうに考えてございます。しかしながら、勤務条件に関連しない教育方針あるいは内容等を決定するに当たりまして、職員団体の意向を酌むという趣旨でその要望や意見を反映させることはないものでございます。  それから、教職員組合についてどのような認識かということでございますが、これは、法で定められた職員に認められた権利に基づきまして組織されている団体であるという認識をした上で、法にのっとり、対応しているものでございます。 ◆川田ただひさ 委員  わかりました。参考にはするけれども、一切、そういったものは考慮しないという回答かと思います。  先ほど伴委員からもお話がございました学力テストについて、大変細かく、すばらしい質疑の内容であったと私は思います。このことについては、私も代表質問で聞かせていただきました。そして、教育委員の合議で主体的に決定したというご答弁でございました。  そこで、お伺いしたいと思いますけれども、いつの会議で決定し、そして、この会議に当たって異論は全く出ないで決定したということでよろしいのか、お伺いしたいと思います。 ◎池上 指導担当部長  平成24年度、今年度の全国学力・学習状況調査への対応については、昨年12月19日に開催されました教育委員会会議において決定いたしました。教育委員会会議の協議の中では、例えば、将来的には、各学校が自校の状況を把握するため、数年に一度、全校での調査を行う方がよいのではないかといった今後の長期的なビジョンの検討が必要ではないかという意見がございました。それから、各学校の傾向をとらえることに関しまして、教科のどういう領域についてどういう傾向があるのか、そのことにどういうふうに対応を図っていくかについても話題となりまして、今後、それをどういう形で把握していくのかについては課題としてとらえて今後検討していく必要があるとか、そのための議論が必要であるというようなやりとりが協議の中でございました。  このときの教育委員会会議では、数年に一度、全校での調査を実施することを国として検討中だということで、既に、来年度はきめ細かな調査をするという方向になっておりますが、そういう話も出まして慎重に審議、協議しました結果、今後の対応についてはそれらの動向も見きわめながら検討することといたしまして、平成24年度調査については、これまで同様、抽出調査により参加することを決定したところでございます。 ◆川田ただひさ 委員  ホームページで公開しているということでございました。先ほどの中身であるかと思います。  先ほどある委員からお話がございましたが、各学校が一生懸命に努力したことがどれだけ反映されているのか、やっぱり、それを知ることが必要だと。先ほどの伴委員とのやりとりにおいても、そういうことの必要性が浮き彫りになったかと思います。ここで言っているのは札幌市全校ですから、国全体ではないですけれども、先ほども言っていましたように、札幌市全部、または全国でわかる機会、それは親御さんの願いでもございますし、お金も取っているというお話でございますから、やはり何らかの形で公開していく、そういったいろいろなやりとりの中において今後は改善していく必要性があるのではないかと思っている次第でございます。  そういった中において出てきました札幌市教育推進計画でございます。これは、10カ年の計画ということで非常に長いですけれども、重要な計画でもございます。これは平成16年に策定されておりますから、来年度1年をかけ、再来年に向けていろいろ策定作業を進めていかなければならないものかと思います。  そこで、お尋ねしたいと思いますが、平成26年の施行に向けて、来年1年、どのような作業工程で、どういった方向性で進むのか、お尋ねしたいと思います。 ◎梅津 生涯学習部長  ただいま札幌市教育推進計画の策定についてご質問がございました。  今、委員のお話にありましたとおり、札幌市教育推進計画を含めまして、教育委員会が所管する既存の計画が幾つかございます。これらにつきまして、推進計画は来年でございますが、それ以外にもあと数年で終了年次を迎えるという状況がございます。  こうしたことから、主に義務教育を対象としております札幌市教育推進計画のほか、幼児教育、高等学校教育、特別支援教育、生涯学習に関する計五つの個別の計画を一本化いたしまして、新たな計画を策定する方向で、現在、準備作業を進めているところでございます。  新たな計画の策定スケジュールといたしましては、平成26年当初からの施行を目指しまして、来年度から本格的な検討を始めたいというふうに考えてございます。策定に当たりましては、議会を初めとして、有識者や公募の市民などから成る懇談会、あるいはパブリックコメントなどによりまして、幅広くご意見をいただきながら策定いたしたいと考えてございます。 ◆川田ただひさ 委員  ご回答がありました五つの基本の柱は、それぞれ終了年次が違うということでありますが、それを一本化して新たな教育体系をつくるという意味では、考えてみれば札幌市の今後百年の教育体系と言っても本当に過言ではないくらいの重要なものになるのではないかと思っております。  そういう意味では、当然、我々議会もいろいろな意見を申しますし、有識者もいるかと思いますが、来年1年、どういった作業工程で今後の札幌の教育体系を決めていくかということは重要になりますので、この点についても今後はいろいろな機会を通じて質問してまいりたいと思います。  そういったことで、私は、この推進計画は非常に重要だと思っておりますが、そういう意味で提言も含めて質問に入りたいと思います。  先ほど来、きめ細やかな教育が必要であるなど、きめ細やかという言葉が飛び交っております。特に、子どもたちの学力に合わせた習熟度別教育にも一部取り組まれておりますが、クラス編制であったり、学校配置体制も私は必要かと思っております。先ほど、佐賀市の小・中一貫教育の話もございました。前段のお話の教職員組合の要望では、エリート教育というものはだめだと要望しております。私は、自分はエリートには到底入らず、皆さんの方が入る方が多いかと思いますが、一つのまち、または国を牽引していくためには、もちろん学力だけではありませんけれども、エリート教育というのは重要だと思っているわけでございます。ということは、できる子、またはできない子、やろうと思っているけれども、努力の仕方がわからない、いろいろな子どものパターンがあるかと思います。そういう中で、今後は本当に重要な計画を立てるわけですから、親御さんのニーズにしっかりと合った形でのクラス編制、学校配置も必要なのではないかと私は思います。  そこで、今現在のクラス編制、学校配置体制、習熟度、また、学力に応じた体制は将来はどのようにすべきなのか、この2点についてお伺いしたいと思います。 ◎池上 指導担当部長  今、お話の中にあったきめ細かな教育という中の習熟度別の教育、あるいは習熟度別指導でございますが、教育委員会といたしましては、子どもたちに確かな学力を身につけさせるためには、一人一人の児童生徒の学力の状況を把握し、個に応じたきめ細かな指導を行うことが効果的であると考えております。そのため、各学校におきましては、教科はいろいろありますが、各単元の目標、内容を踏まえた上で、指導のねらいを明確にし、何のために、単元のどの場面で、どのような方法で指導を行うのか十分考慮しながら、一斉指導と、例えば習熟の程度や興味・関心に応じた個別指導を組み合わせるなどしてさまざまな取り組みを行っているところでございます。  教育委員会といたしましては、習熟度別の指導も含めまして、学校や児童生徒の実態に応じた指導方法や指導体制を工夫、改善し、個に応じた指導の充実を図るよう、今後も各学校に働きかけてまいりたいと考えております。  また、計画策定の関係ですけれども、今お話しいたしましたような観点も踏まえ、考慮しながら、検討を進めてまいりたいと考えております。 ◆川田ただひさ 委員  当然、これからということもありますから、抽象的なお話で終わったわけでございます。私としては、例えば、義務教育について言うと、単純な地域割りの小・中のあり方が果たしていいのか、または、先ほど来、いじめの話もございましたが、いろいろなお子さんがいることで成長することも確かだとは思いますけれども、勉強を一生懸命やりたい、また、親御さんの願い、あるいはスポーツとか、それこそきめ細やかな多様性があってしかるべきであると思います。そうなりますと、もちろん結論は出ないでしょうけれども、単純な地域割りが果たしていいのか悪いのか。または、先ほども言いましたが、クラス編制、学校配置もどうなのか。どうせ、五つあるものを終了年度も前倒しして一本化して本当に大事なものをつくるわけでありますから、そういったところも含めてご検討いただきますことをお願いしたいと思います。  やはり、そうした教育体制それぞれの中において、札幌市を牽引するために、札幌市の子どもたちにはどんな教育をして、力強くなってもらうか。いじめの問題もございましたが、私は、今、何が一番欠けているかといったら、学校の指導力の強化であったり、皆さんがもっと積極的に子どもたちを牽引する目標を明確に定めて、みんなを先導していくことが重要だと思っているわけでございます。そういった意味で何が必要かといえば、教育において必要なのは札幌を愛する心、そして愛国心、私はこれこそが大事だと思っているわけであります。こういったものが一つ一つ欠けることによって、ただ単に教職員がどこかの労務者と同じ扱いになっている、こういった気分になってしまうことがだめなのであります。もちろん、個々の先生で一生懸命に頑張っている方がたくさんいるわけですけれども、組織体としてそういった側面が出てくることによって間違いが起きていることは間違いない事実だと思っております。そういう意味で、皆さんがどういった札幌をつくっていくか、そういうことをもっと力強く発信していくことが重要だと私は思うわけでございます。  私は、経済面でも財政でも質問しましたけれども、産業振興ビジョンや札幌型ものづくり振興戦略では、製造業の強化や産業の発展、競争、こういったこともうたっております。札幌は、産業面ではまだまだ弱い部分がありまして、やっぱり、教育においてもこういった側面を強化していかなければいけないと思っているわけであります。  そこで、原局の方、また教育長にもお伺いしたいのでございますが、札幌の競争力を高めるための教育、どのような教育に力を入れて将来の札幌が日本に対して競争力を高めていくことができると思うか、この点についてお尋ねしたいと思います。 ◎池上 指導担当部長  ただいまは、札幌の競争力をどうやって高めて、どういった札幌をつくっていくかという質問かと思います。  教育委員会といたしましては、札幌市教育推進の目標に、未来を切り拓く人間性豊かで創造性あふれる自立した札幌人を掲げ、学ぶ力の育成、豊かな心の育成、健やかな体の育成、信頼される学校の創造を四つの柱として学校教育を推進しているところでございます。この目標のもと、各学校におきましては、札幌らしい特色のある学校教育を推進することなどを通して、子どもたちに学ぶ力、豊かな心、健やかな体がバランスよくはぐくまれるよう努めているところでございます。  このような教育を展開する中で、札幌の魅力や価値に気づき、ふるさと札幌を誇りに思い、学んだことを生かしながら、自立した札幌人として育ち、将来の札幌を支え、国際社会で活躍できる人材になることを期待しているところでございます。 ◎北原 教育長  札幌の競争力を高めるための教育についてでございます。  ただいま指導担当部長からお話がありましたように、札幌市の教育推進の目標に基づきながら、子どもたちがふるさと札幌に根差して、自立した札幌人として、この自立した札幌人というのは、ともに生きるということでもありますし、札幌人というのは国際人ということでもあります。そういった視点から、札幌に根差しながら国際社会で活躍していくことのできる人材を育てていくことが、市民の負託にこたえることにもなることだというふうに思っております。 ◆川田ただひさ 委員  それぞれお聞きいたしまして、なるほどとわかるような、わからないようなところでございました。もちろん、未来を切り開くことは大事ですし、いろいろな教養、素養を身につけることも当然ですし、自立した札幌人として、国際人として活躍できる人材ということでございました。  先ほども若干触れていましたが、札幌に誇りを持てる人材育成ということは何を意味しているかと言えば、やはり、これは我々大人の責任かなと思いますし、どういった教育体制にするか、また、それだけではなくて、ふだんの経済活動、または地域活動において、私も反省をしなければいけないところが多々ありますけれども、精進をしていかなければいけないところがあります。そして、今は経済が低迷しておりますが、やはり札幌には可能性があります。明治に島判官が来たときには、本当に何もないところから今を切り開いたわけであります。そういうことを考えれば、名前は変わるでしょうけれども、来年、策定作業に入るこの教育推進計画では、必ずできるのだというものを示していくような教育計画としていただきたいと思います。 ◆桑原透 委員  私から、校務支援システムについて、1点のみ質問させていただきます。  学校の先生方は、今までもいろいろと皆さんから出ていましたが、毎日の授業やその準備に加え、校務に関する多くの事務的な作業や、教育委員会からの照会文書の処理とその回答などに非常に忙しい思いをしています。こうした業務も大切だと思いますが、教員にとって一番大事なのは何かというと、児童や生徒と直接向かい合う時間であり、決して職員室でパソコンに向かって作業をする時間ではないということは言うまでもないことであります。  先生方の校務に係る負担を軽減し、子どもたちとかかわる時間の増加につながる校務支援システムについては、昨年、文部科学省が教育の情報化ビジョンを策定し、将来的な支援としてすべての学校における導入を打ち出しており、我が会派においても、積極的に導入を図るよう従前から強く主張してきたところであります。  札幌市では、来年4月から全校で導入することとし、現在、鋭意、準備を進めているところであると思いますが、この取り組みに対しては私としても非常に期待をしており、先日、今回導入するシステムのデモ画面を見せてもらいました。思ったより操作が複雑ではなく、画面も見やすいものであり、比較的使い勝手がよさそうなシステムであるというふうに感じ、安心したところであります。  そこで、質問ですが、今回のシステムの導入事業者の決定方法並びにどの点が他者より評価が高かったのかについて、まずはお伺いいたします。 ◎梅津 生涯学習部長  校務支援システムに係る事業者の決定方法、それから、どういった点で評価が高かったのかというご質問でございます。  まず、事業者の決定方法でございますが、私どもがつくりました仕様書に書かれた内容を実現する具体的な提案と入札金額の両方を点数化いたしまして、最も評価の高い者を落札業者とする総合評価競争入札を行ったところでございます。  落札いたしました事業者の提案は、通知票の作成を初めとした成績管理、それから、クラスがえや転出入の処理といった学籍管理など、各機能面におきまして全体的に評価が高かったほか、特にシステム操作についての研修やサポート体制の提案内容が充実しておりまして、決定の大きな要因の一つとなったものでございます。 ◆桑原透 委員  事業者の決定方法並びに評価の高かった点ですが、僕も心配しましたけれども、学校数も大変多いですし、先生の数も多いということで、研修内容、そして、いかにサポートをしていくかというのが一番大切なことだと思っています。今回、契約金は7億7,000万円と聞いております。平成24年度から平成30年度にかけての契約でございますが、まずはきちんとした対応をとれるところに受託されたと考えます。  次に、学校の先生方は、業務の軽減につながる校務支援システムに対して大きな期待を寄せていると思います。特に、中学校では、毎年、新1年生の氏名など基本データを入力しなければならず、名簿の作成やクラス編制などに非常に大きな労力がかかると聞いております。  そこで、質問ですが、校務支援システムの導入により、具体的にどのような業務が減り、どのぐらいの軽減効果があるのか、また、小学校から中学校への必要なデータ送信といった学校間連携が行われるようになるのか、この2点についてお伺いいたします。 ◎梅津 生涯学習部長  システム導入による業務の軽減効果、それから、小・中学校間のデータ移行等の話でございます。  まず、導入の効果でございますけれども、学校にはさまざまな帳票類がございまして、これまでは、児童生徒の学年、クラス、出席番号、氏名をそれぞれ手書きするか、ゴム印を押すかといった作業が必要でございました。しかし、システムを導入いたしますと、一度入力いたしますと、それが他の帳票にすべて反映されていくことになりますので、こうした作業が必要なくなります。さらに、転記ミスの心配もなくなりますので、通知票を初めとした成績管理の帳票の作成に係る労力が大きく軽減されまして、時間的な負担に加えまして、精神的な負担の軽減にもなるものと考えてございます。  ちなみに、文部科学省が昨年策定いたしました教育の情報化ビジョンの中では、このシステムの導入によりまして、1日30分以上、子どもと向き合う時間がふえるという事例が記されております。札幌市におきましても、同等以上の効果が期待できるものと考えてございます。  2点目の小学校から中学校へのデータ移行など連携はどうかということでございます。  小学校から中学校へ入学する新1年生の住所あるいは氏名といった名簿作成等に係る最低限必要な基本的な情報につきましては移行されることになりますので、委員がご指摘の中学校での名簿作成等に当たりまして、業務がかなり軽減されるものと考えてございます。 ◆桑原透 委員  今の答弁では、一度入れるとその後はずっと引き継がれるということであり、いろいろな帳票があってもとりやすくなってくるし、いずれにしても、手書きがなくなったということですから、それだけ効率的にできるようになったのだなと思っております。  しかし、このシステムができても、先生方にとって使いやすいものでなければ意味がありません。北海道では、ことし4月から道立高校を中心に独自のシステムが稼働しています。きょうの道新にも書いていましたが、札幌市は、この9月からパイロット校として33校で試験運用が開始されたというふうに聞いています。  そこで、質問ですが、パイロット校ではどのような利用状況となっているのか。  また、さまざまな意見が出ているというふうに思いますけれども、より使いやすいシステムとするために、こうしたパイロット校からの意見はきちんと酌み上げることが必要だと考えますがいかがか、お伺いいたします。 ◎梅津 生涯学習部長  校務支援システムのパイロット校における利用状況、それから、意見の酌み上げについてでございます。  まず、利用状況についてでございますけれども、パイロット校におきましては、各校ともいろいろ工夫をしながらシステムを利用している状況でございます。学校によりまして状況も違いまして、当初から全教職員で活用している学校もありますし、まずは教務主任、あるいは情報機器に詳しい教職員が使い方を研究してからほかの先生方に説明をする学校など、さまざまでございます。小学校では、9月が前期の通知票の発行時期でございまして、導入したばかりではございますけれども、このシステムで作成した学校も数校出ているという状況でございます。  また、システムの使い方につきまして、システムに入っているメールや掲示板の機能を用いて、校内ばかりではなく、パイロット校同士で情報共有が行われておりまして、積極的に活用いただいているものと考えてございます。  2番目に、パイロット校の意見の酌み上げについてでございます。  ただいま、メールや掲示板で情報共有をしているというお話を申し上げましたけれども、全市で展開するに当たりましては、いろいろな注意点、あるいは改善点など貴重な意見をいただいておりますので、これらをできるだけ反映させまして、全市、全校に導入する際にも円滑に進むようにしてまいりたいと考えてございます。 ◆桑原透 委員  いずれにしても、使う先生方にとって使い勝手のよいシステムにならなくてはなりません。先生がきちんと使えるように、引き続き、努力していただきたいと思います。  新しいシステムの導入に当たっては、なれるまでは先生方の精神的な負担も大きいものがあると思います。決してパソコン操作が得意な先生ばかりではないと考えられることから、使い方について事前にしっかりとした研修が必要であると思います。  そこで、質問ですが、研修や導入後のサポート体制はどのようになっているのか。  また、児童生徒の大切な情報を取り扱うものでありますから、セキュリティーにも細心の対策をとることが必要であります。システム的なセキュリティーとともに、システムを操作する教職員についても情報セキュリティーに対する意識を高め、情報漏えいなどが起こらないように留意することが必要であります。  システム並びに利用する教職員のセキュリティー対策はどのように考えているのか、お伺いいたします。 ◎梅津 生涯学習部長  校務支援システムに係る研修や導入後のサポート体制について、それから、教職員のセキュリティー対策について、2点ご質問でございました。  まず、研修あるいは導入後のサポート体制でございますが、全教職員を対象とした研修ついては、パイロット校に対しては8月から、その他の学校につきましては9月から行っております。職員室で実際にパソコンを使いながら、2時間をかけて一通りの機能を説明したところでございます。パイロット校につきましては、年度内にさらに2回行うほか、定期的に学校へ訪問いたしまして質問に対応するミニ研修も行う予定となっております。  それから、導入後のサポート体制につきましては、電話やメールで質問を受け付けるサポートセンターを午前8時から午後6時まで開設いたします。通知票の作成など作業が集中する時期がございますが、こういった繁忙の時期には、終わりを午後6時から2時間延長して午後8時までにして対応いたしたいと考えてございます。さらに、質問内容によっては訪問して個別に説明をするなど、可能な限り教職員の方が安心して使える体制を整えていこうと考えてございます。  それから、システムのセキュリティー対策と教職員のセキュリティー対策の二つに分かれるかと思いますが、システムにつきましては、入力された情報は万全のセキュリティーが施された外部のデータセンターで一元管理いたします。データセンターにつきましては、札幌市専用のデータベースとして構築いたしております。これは、市立学校専用のネットワークからしか接続できず、外部からは直接アクセスできない仕組みとなっております。さらに、児童生徒等の情報は学校単位で区切られておりまして、同じ市立学校といえども、ほかの学校の情報は見ることができないことになってございます。加えて、情報センター自体は、監視カメラ、入退室管理など何重にもわたる措置を講じておりまして、高いセキュリティーレベルを確保してございます。  それから、教職員のセキュリティー対策でございますが、情報の取り扱いの指針となる実施手順を策定いたしまして注意喚起を行っているほか、定期的に研修を行いまして情報セキュリティーに対する意識の向上に努めております。しかしながら、こうした意識は一朝一夕に醸成されるものではないことから、来年度の運用スタート後も継続して取り組むことが必要と考えてございます。各学校におきましても、さまざまな機会をとらえ、自主点検や研修などを実施できるよう強く働きかけてまいりたいと考えてございます。 ◆桑原透 委員  サポート体制については、サポートセンターがあるということで少し安心いたしました。情報については、外部の情報センターで一元化するという回答がありました。教職員についても、勉強会をしながらセキュリティー意識を確保するということです。  しかしながら、セキュリティーというのは、漏えいとか、成り済ましとか、現在もいろいろな課題があります。どのようなものが侵入するかわかりません。やっぱり、データを外に持っていくことが一番怖いことですから、このことについては教職員にもう一度徹底させる取り組みも必要ではないかと思っています。  今回の校務支援システムの導入では、さまざまな業務が効率化され、先生が子どもたちと直接かかわる時間や授業の準備などの時間を生み出すことが期待されるものと思います。負担が大きいと言われていた市教委からの各種調査、照会自体は余り減るものではないと見受けられます。また、市教委と学校との文書のやりとりについても、市役所が一般的に庁舎で使用しているイントラネットは学校では校長、教頭、事務職員しかつながっておらず、市教委からはイントラネットで学校に通知し、それを学校では校務支援システムに移して先生方に連絡しなければならず、煩雑な処理をしなければならないという声も聞こえています。一般の先生方にもかかわるような市教委からの学校への通知は、今後は校務支援システムで行うことを基本とするなど、市教委でも工夫をし、忙しい学校の先生方の負担を少しでも減らすよう努力することを要望して、質問を終わります。 ◆坂本恭子 委員  私は、学校における避難場所機能の強化、それから、就学援助での新たな支給拡大という大きく2点の質問をしたいと思います。  この際、分けてそれぞれ1点ずつ質問をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  学校における避難場所機能の強化という問題についてです。  札幌市立小・中学校などは、今、収容避難場所として位置づけられており、避難場所についての設備、機能については市民の関心も非常に高いものがあるというふうに思っています。ところが、耐震化自体がまだ進んでいない状況にもございます。全国で耐震化率84.8%、全道計が73.8%に対して、札幌市は74.5%という状況です。また、旧耐震基準における耐震化率は、全国の73.4%に対して札幌市の場合は45.3%と極めて低い状況になっております。そういう中で、改修、改築が計画的に行われていく必要があると思っておりますが、避難場所の機能についても改築、改修計画の中で行っていくのが効率的であるというふうに考えております。  そこで、学校改築時等において、これまで、どのような考え方に基づき、避難場所機能の向上を図ってきているのか、また、現状ではどのような避難場所機能の整備を進めているのか、この点について伺いたいと思います。 ◎渡邉 学校施設担当部長  学校の避難場所機能の向上についてでございますが、これまでの考え方と現状につきましてお答えいたします。  学校の改築、耐震改修に当たりましては、児童生徒の安全を確保することはもちろん、避難場所としての機能も確保することが必要でありますことから、校舎や体育館などの構造体の耐震化につきましては、耐震性の一般的な基準でございますIs値0.6を上回る文部科学省基準0.7以上を確保するように実施してございます。そのほか、防災関連の部局との協議に基づきまして備蓄庫の整備などを実施してまいりました。また、改築時には、バリアフリー法の趣旨に沿って整備しておりまして、避難場所として障がいのある方や高齢の方にも対応したものとなってございます。 ◆坂本恭子 委員  児童生徒の安全の確保はもとよりというお話でしたけれども、今の段階では、バリアフリー法に基づいて障がい者や高齢者に対して配慮しているというご答弁でした。  今、改築を行っているのが北九条小学校、それから、手稲でも中学校の改築工事を行っていて、今、備蓄庫のお話も答弁の中にありましたが、北九条小学校は、今回、改築するに当たって体育館のそばに備蓄庫を設けるような設計、建築をしているというふうにも伺っております。また、この間、トイレの洋式化も、これは社会生活、ニーズの変化によってということもあるのだと思いますが、随分と進んでいるということを聞いています。  私は、避難場所というのは、大体、体育館はもちろんのことで、ここがメーンになるわけですが、今、ちょっとお話をしました備蓄庫が体育館のそばにあります。あるいは、トイレの改修というお話もしましたが、こういうものが体育館のそばにある。あるいは、水周りでいくと、シャワーなども長期の避難生活を強いられると必要になるのでしょうか。さらに、集団になかなかなじめないような方にとっての配慮も必要で、一定程度の個室を体育館の周りなどに確保していくことが必要なのかなというふうに思います。教室の確保という問題もあろうかと思いますが、こういうことについて、改築、改修計画の中でぜひ計画的に行っていくことを位置づけていただきたいと思います。  それから、今は余裕教室を活用して備蓄物資の配置が進められております。ことしも20数校で行われる予定だったと記憶しておりますが、独自で先行して実施できるものもあろうかと思います。こういう考え方を整理して、これから学校における避難場所機能の強化をより一層図っていくべきだというふうに思いますけれども、この点についてはいかがお考えになりますか。 ◎渡邉 学校施設担当部長  避難場所の整備の今後の進め方でございます。  現在、本市で策定を進めております札幌市避難場所基本計画では、避難場所の整備方針などが定められる見込みと聞いてございます。この計画策定の暁には、それらを踏まえまして、教育委員会としても、防災担当部局などと協議をしながら、避難場所機能の向上に向けた具体策について検討してまいりたいと考えてございます。 ◆坂本恭子 委員  なかなか具体的なお話になっていかないのですが、私は、教育委員会としてもっと積極的に対応していくべきだというふうに思います。備蓄物資の配置についても、私ども日本共産党は、繰り返し、これは避難場所となる学校に置くべきだということを教育委員会でも提案し、主張してまいりました。そして、危機管理対策室でも同様の質疑を行う中で、去年、ことしと動いてきているというふうに思います。  危機管理対策室の方に言わせると、学校現場が非常に協力的になっていて、備蓄物資の配置について好意的に受け入れてくれている、連携協力が進んでいるというお話でした。私は、ぜひ、こういう連携協力をさらに進めていっていただきたいし、学校現場からどんどん提案しながら進めていっていただけるものがあるのだろうと思います。  その一例として、先ほどトイレの改修ということもお話し申し上げました。今、ドライトイレ化が進んでいたり、トイレの洋式化が進められています。改築、改修に合わせてこれらのことが行われておりますけれども、洋式、和式の割合でいくと、まだまだ和式トイレの割合の方が高いこと、それから、洋式トイレが70%以上整備されている学校がまだ少なく、小学校では31校、中学校では10校という数字もちょうだいしております。こういうところは、別に防災部門と議論しなくても教育委員会独自でやっていけるところだと思いますので、お互いにいい提案をしながら進めていっていただきたいなというふうに思うのです。  先ほども防災のことについてちょっとお話があり、暖房の問題についても大変心配だということでした。例えば、学校には太陽光発電設備がありますから、災害があったときにこういうものが活用できないのかと。こういうことは地域の皆さんからも提案されますけれども、蓄電機能がないということですね。そうなると、実際に太陽が降り注いでいる間は電気を使うことができるけれども、いざ必要な夜になると、電気が使えない、発電できないというような状況にもなるわけです。こんなところも一つ工夫をしてやっていく必要があるだろうと思います。  外からの情報を得るためには、電話の回線をつけるとか、ファクスの回線をつけるとか、非常用のものを整備していくようなことも必要になるのではないでしょうか。私は、これは、教育委員会の方で積極的に整備していく、あるいは計画を持ってやっていただきたいと思うのですけれども、この点はいかがお考えになりますでしょうか。  それから、今、部長からは、避難場所基本計画の検討委員会が行われていて、その議論を通して計画が策定される中で個別、具体のことは検討していくという答弁だったと思います。この検討委員会は、2回開かれています。今月末にまた開かれて、年度内に計画が策定されるというスケジュールも聞いております。この検討委員会の中では、教頭先生も入って話をしていらっしゃるということでしたが、収容避難場所というくくりの中で、仮称ですけれども、小・中学校を基幹避難所という大きな位置づけにしていって、他の市有施設や民間施設とは区分をしていこうではないかという議論をされているというふうに聞いております。議事録も拝見しました。
     教育現場が最優先という中で、今回の収容避難場所、とりわけ、仮称ですが、基幹避難所という位置づけがされていることについて、教育委員会ではどういうふうに受けとめていらっしゃるのか、この点について伺いたいと思います。 ◎渡邉 学校施設担当部長  まず、最初の蓄電装置の関係でございますが、こういったものに関しては、経費の問題やどういった配置が適当なのかといったことについては、やはり、防災の専門部局と協議して進めていかなければならないものと考えております。そういう意味では、教育委員会で何らかの計画を策定してというよりは、まずは防災担当部局、具体的には危機管理対策室などと協議していく必要があるのかなと考えてございます。  それから、先ほどの基幹収容避難所ということでございますが、申しわけございませんけれども、私は、この点について特に知識を有しておりませんので、今の段階ではコメントするものを持ち合わせてございません。 ◆坂本恭子 委員  渡邉さんは施設担当部長ということですね。今の施設をどうするのかということですから、私は、さっき言いましたが、検討委員会には、教頭会の会長、北区の小学校の教頭先生がここに入られています。そして、収容避難場所になったときに先生方は具体的にどういう役割を果たしていくのかと。この教頭先生はあいの里に住んでいらっしゃるのですが、災害があったときに、僕が幌北小学校に行くよりも、多分、学校のそばに住んでいる若い20代の先生が先に到着するだろう、そのとき、避難場所としての機能をきちんと持たせるために先生方はどうしたらいいのだろうという具体的な問題なども突きつけたりしています。この検討委員会は有識者の集まりでございまして、元福島県庁の職員だと伺っていますが、実際に被災地で職員として対策に当たられた方や、それから、ボランティアで参加している方などさまざまな方が入っています。その中で、教頭会というのは先生方の代表ですね。多分、総務課などと連携をとりながらやっているのだと思うのですが、そのことについて部長が何も知らないというのはちょっとどうなのかなというふうに思いますね。避難場所基本計画が策定されないと何も動き出せないのだという答弁のとおりで、今は全く何もできないのかと。そこら辺は、知恵も工夫もしながら取り組んでいただきたいというふうに思います。  改めて申し上げますけれども、耐震化をしなければならない、改修をしなければならない、また、仮称基幹避難所という位置づけも、多分、これは付加されていくのだろうと思いますよ。こういう位置づけになっていくのだろうと思います。その上で、学校が改修、改築されるときに、先ほど申し上げましたように、体育館を中心としたさまざまな動線を確保することが非常に大事だというふうに思います。改築時には、十分にこういう考慮をし、設計にも反映すべきだと思いますけれども、この点についてはいかがお考えになりますでしょうか。  それから、耐震化をしていく、改築をしなければならない学校というのはこれからどんどんふえていきますけれども、第3次札幌新まちづくり計画の中では、2014年度までに12校の学校施設改築事業を行いますとあります。そして、この事業内容では、児童生徒の安全を守り、地域住民の避難場所としての性能を確保するためということが書き加えられています。たった12校なのかという思いがする一方、この後、どのような見通し、計画を持っているのか、この点について伺いたいと思います。 ◎渡邉 学校施設担当部長  先ほどの動線等の設計の関係でございますが、こういったものは、当然、設計のプロの方にお任せしていろいろやっていますし、地域の協議会の中でもいろいろとご意見を聞く機会がありますので、そういった専門家の知見、あるいは地域の方の意見を反映させていきたいというふうに考えてございます。  それから、改築の件でございますが、現在の新まちづくり計画の方で改築計画を位置づけてございます。ただ、現在の新まちづくり計画のみですべての改築対象校が終わるわけではございません。そういう意味では、次期の新まちづくり計画にも当然反映させていかなければならないと考えてございまして、どのような年次、割り振りでやるかは、新しいプランをつくる中で関係部局と詰めていきたいと考えております。 ◆坂本恭子 委員  ぜひ、しっかりとやってください。  避難場所の機能について調査しましたら、昨年度分から、太陽光発電については停電時に、別途、電気を取り出すことができるコンセントを設置しているというふうにも伺っております。また、電話の回線についても、NTTが昨年度からそれぞれの学校に災害時用の特設回線を設置していると聞いております。民間のこういう協力も得ながら、順次、進めていっていただきたいというふうに思うわけです。今回の新まちづくり計画では、12校の整備となっております。いつ来るかわからないのが災害ですから、そのときにしっかりと対応できるように万全の体制を尽くしていただきたいということを申し上げて、この質問については終わりたいと思います。  次は、就学援助での新たな支給拡大についてです。これは、三つの項目の拡大を求めたいというふうに思います。  この問題についても、私ども日本共産党は、繰り返し取り上げてまいりました。  そこで、端的に伺いたいと思います。  1点目は、クラブ活動費、生徒会費、PTA会費について、就学援助ということで準要保護世帯に対して支給すべきということを求めてまいりましたけれども、この点についての現時点でのご見解を伺いたいと思います。  2点目は、眼鏡の支給についてです。これについても繰り返し求めてきておりますけれども、どのような検討を行ってきたのか。相変わらず、財政が厳しいという理由で行わないおつもりでいらっしゃるのかどうなのか。  3点目は、中学校で武道が必修科目になりまして、ことしの4月から行われております。本格的には2学期からだと思いますが、就学援助ではスキー用具、または柔道衣と。これは必修化になる前の男子生徒を対象にしての書き方なのかなと思ったのですけれども、現物支給というふうになっております。  改めて、必修化を受けて柔道衣についても支給すべきだと思いますけれども、この点について現段階でのお考えを伺いたいと思います。 ◎金山 学校教育部長  支給項目について3点のご質問がございました。  まず、クラブ活動費、生徒会費、PTA会費の件でございますが、生活保護を受けていないけれども、準ということで、生活保護を必要とする程度に困窮している世帯に対してということだろうと思います。これにつきましては、その対象者を把握するためにはいろいろな調査を必要としてまいります。それぞれの家庭の資産調査等をしながら特定することが必要となりますので、現実的にはそのことは非常に困難であるということで、この3項目についてはなかなか難しいということでございます。  それから、二つ目の眼鏡の支給についてです。就学援助制度につきましては、小・中学校における義務教育の円滑な実施に資することを目的とした制度というふうに押さえております。眼鏡は、教育の場のみならず、日常の生活を送る上で必要なものでございまして、視力の低下によって損なわれた身体的機能を補完する補装具として特定の者に対して個別に処方されるものであるという観点から、就学援助では眼鏡代を支給してこなかったということでございます。  それから、柔道衣の件でございます。今、委員のお話にございましたように、柔道衣につきましては、従来から体育実技用具といたしまして現物給付の対象としており、スキー用具または柔道衣の選択という形になってございます。  しかしながら、柔道が必修化されたことについては私どもも受けとめておりまして、今後、他都市の動向等のいろいろな状況を見きわめながら、支給については研究してまいりたい、このように考えております。 ◆坂本恭子 委員  クラブ活動費、生徒会費、PTA会費の3会費についてですけれども、実態の把握が困難なので行えないというのは、私は教育委員会の怠慢だと思いますね。これは、実態をきちんと把握する、あるいは、すべての世帯に支給するという判断をぜひしていただきたいと思います。  市民団体が、道内の自治体でどうなっているのかという調査を行っております。179の自治体のうち、クラブ活動費について対象費目としている自治体が78、生徒会費は72、PTA会費は81あります。今年度中に対象費目とする予定のところがそれぞれ4、5、4、検討していくところが30、31、34とあります。平均しますと、実施している、あるいは今年度に実施する、今後検討していくという自治体がクラブ活動費においては62.6%、生徒会費については60.3%、PTA会費については66.5%、こういう数字になっています。  私は、ほかの自治体にできて札幌市にできない理由はないだろうと思います。また、前回の特別委員会のときに、財政も厳しいのでというお話がありました。私は、これも理由にならないと思います。道内の自治体は、必ずしも財政的に潤沢な自治体ばかりではないと思いますよ。そういう意味では、私は、やらない理由を札幌市がつくっている、やるべきだというふうに思うけれども、改めて、この件について伺いたいと思います。  それから、眼鏡についてですけれども、これもずっと議論してきているのですよ。就学援助について、学校病の指定になっている虫歯については、感染性はない、家に帰っても歯は痛いのだということで、生活の場、教育の場ということで支給する、しないという対象を区別するのはおかしいではないかという議論をしました。  改めて、補装具に対しての支給は補助しないというお話でしたけれども、家でも勉強はしますよ。物を読むときに眼鏡は必要ではないですか。勉強をするのは学校だけでしょうか。地域でも家庭でも勉強はしますよ。重要な成長・発達の場が地域であり、家庭ではないですか。学校で使うから、生活全般で使うからということで区別して、眼鏡を支給しないというのは、私はやはりおかしいというふうに思うのですけれども、このご見解はいかがでしょうか。改めて伺いたいと思います。 ◎金山 学校教育部長  まず最初に、クラブ活動費の件でございます。  繰り返しになって恐縮でございますが、やはり、現実的に対象者を把握するための資産調査等をして特定することについては非常に困難な状況がございます。その辺のところはご理解をいただきたいと思います。  それから、虫歯と眼鏡の比較がございましたけれども、学校病の医療費という部分につきましては、学校保健安全法の中での決めがございます。その中に含まれているものについて学校病医療費の中で限定されておりますので、眼鏡の部分とは質を異にするのかなというふうに思っております。 ◆坂本恭子 委員  3会費についてですが、これは行っていくべきだと思いますね。  一つ、クラブ活動について、学習指導要領からの抜粋を持ってまいりました。今、中学校の部活の参加率というのは、今年度は68.9%になっています。7割に近い子どもが部活を行っています。私が通わせていた中学でも、先生方が非常に熱心に部活動に入るようにと奨励しておりました。学習指導要領では、生徒の自主的、自発的な参加により行われる部活動については、スポーツや文化及び科学等に親しませ、学習意欲の向上や責任感、連帯感の涵養等に資するものであり、学校教育の一貫である、こういうふうに書かれています。私どもは3会費のことを求めているわけですけれども、クラブ活動費一つをとったって、こういう重要な教育的な側面があるということです。ここについては、部長も全く異論はないと思うのですよ。私は、こういうことが経済的な理由でできなくなるような状況は、教育委員会の責任で、あるいは札幌市の責任で、行うべきではないというふうに思いますので、改めて、この点については求めたいと思います。  資料要求をしましたら、就学援助の予算が非常にふえており、現下の厳しい財政状況においてクラブ活動費等を支給することは困難だと考えているということで、試算を持ってきましたよ。札幌市の財政が厳しいからということを理由にして、本当に学びたいと願っている、学校の活動に参加したいと願っている子どもや親の願いを妨げるべきではないというふうに私は思いますから、改めて、把握調査をしっかりと行うような体制をつくって支給すべきだということを申し上げたいと思います。  それから、眼鏡についてですけれども、よって立つ法律が違うからというのは前回の委員会でも議論しました。ですから、さっきも言いましたでしょう。これは学校で使うものだから、こっちは生活全般で使うものだから、だから支給する、支給しない、出す、出さない、こういう区別はおかしいというふうに私はさっき聞いたのですよ。家庭だって、地域だって、教育の一つなのでしょう。それが、学校で使うから、使わないからといって、出す、出さないという話になるのですか。  私は、これは教育か、福祉かという点で議論すべきことではないと思います。子どもをしっかり丸ごととらえたときに、支給すべきものなのかどうなのか、その枠が必要なのかどうなのかというところで判断すべきだと思います。いかに子どもを大切に思うのか、いかに教育権を守るのか、親の収入によって子どもの間に不平等が生じないようにいかに努力するのかということが問われていると私は思うのですけれども、それでもあえて法律論を持ち出してこれは支給の対象ではないと言い張りますか。 ◎金山 学校教育部長  繰り返しで大変恐縮でございますけれども、眼鏡の支給についての就学援助については、現状では困難であるということでございます。 ◆坂本恭子 委員  今、申し上げました。教育のカテゴリーで語るのか、福祉のカテゴリーで語るのかという問題ですね。この間、教育委員会としては出せないお金だということをずっと言ってきている。そして、一般会計から出すのか、一般財源から出すのかという議論の中では、財政全体が厳しいからこれは出せないという話になってしまっているわけですね。しかし一方では、市民負担増をどんどんさせているではないですか。例えば、眼鏡の支給について、半数の政令指定都市が行ったとしたら、札幌は行うのですか。クラブ活動費や生徒会費やPTA会費も、半数の政令指定都市が行うと決めたら、札幌市は行うのですか。いろいろなことを他都市並み、政令市の平均並みにしていくのだと言って負担はふやされていく。しかし、こういう支給や支援という枠は広がっていかないではないですか。ここの整理はどういうふうにつけたらいいのでしょうか。  部長は答弁できないだろうから、副市長にこの点を伺わせてください。 ◎渡部 副市長  ほかの半分の政令市がやったらどうかというようなお話でございますけれども、仮定の話にはちょっと答えられませんので、その時点になりましたら、また議論させていただきたいと思います。 ◆坂本恭子 委員  仮定の議論には答弁できないと言ったけれども、予見性を持って行政を運営していくのが副市長の仕事ではないのですか。札幌市政全体の中で教育というカテゴリーがどんなに大切なものなのか、福祉というものが市民生活を守る上でどれだけ大切なカテゴリーなのか、ここをしっかりと見きわめた上で、私は、安易に財政難を理由にしてこういう支給の拡大は行わないというようなことは言うべきではないと思います。  最後に、武道の必修化のことについてですけれども、これは検討していくということでした。ぜひ、前向きに、そして、一日も早くこれが実現されるように求めて、終わりたいと思います。 ◆阿部ひであき 委員  私からは、本市の教育委員会の懲戒処分のあり方と懲戒処分の指針について、不審者情報収集体制の確立と情報公開のあり方について、それぞれ7分ぐらいで終えられるようにしたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。  まず一つは、懲戒処分のあり方についてであります。  さきの10月5日に、盗撮で停職となった浦河町立中学校の男性教諭の復職問題を受けて、北海道教育委員会は、懲戒処分を改正し、教職員が盗撮をした場合の懲戒処分をこれまでの停職から最も重い免職へと厳罰化することを発表しました。今回の指針の改正では、盗撮や痴漢行為も免職となるわいせつ行為とはっきり明記した上で、児童生徒以外に対するわいせつ行為も免職または停職から免職に厳しく方向性を変えたところであります。  私は、さきの10月12日における第一部決算特別委員会の中でも本市職員の懲戒処分のあり方に言及しまして、職員の非違行為に対する懲戒処分の指針について、すべての事案を厳しくすべきとは言わないまでも、その非違行為の事案によっては情状酌量の余地のないはずのものも、そのほとんどが免職または停職といった状態で定められていることに疑問を呈しつつ、事案によっては厳しい処分を定めることも職員の非違行為を未然に防ぐことではないかと指摘したところであります。  そこで、質問ですが、本市教育委員会における学校職員の懲戒処分に関する指針に目を通しましたところ、その非違行為に対する処分として甘いと感じられる箇所が散見されますけれども、本市教育委員会の見解を伺いたいと思います。 ◎金山 学校教育部長  学校職員の懲戒処分に関する指針の中で、処分が甘いと感じられるところがあるというお話でございました。  当該指針につきましては、札幌市教育委員会における過去の処分事案、他政令市の教育委員会、さらに、道教委及び本市市長部局等の指針を参考にいたしまして、本年7月に策定したところでございます。学校に勤務する職員の職務は、児童生徒及び保護者等との信頼関係によって成り立つものであり、公務員の中でも高いモラルが求められると考えたところから、本市市長部局の指針に比べまして全体的に厳しく策定しているところでございます。 ◆阿部ひであき 委員  全体的に厳しく策定しているということであります。  私も、さきの特別委員会で申し上げましたが、すべての事案に対してただやみくもに処分を厳しくすべきではないというふうには思います。しかしながら、子どもたちの教育を所管する部署としての責任もありますから、そうしたことを十分考慮した懲戒処分量定としなければ、非違行為の未然防止の観点からも、その規律を定めた意味が薄まってしまうのではないかというふうに思います。  この指針の中身を私も一部見てまいったところでありますけれども、例えば、相手の意に反することを認識した上でわいせつな言辞、性的な内容の電話、手紙、電子メールの送付、身体的接触、つきまとい等の性的な言動を繰り返した職員は、停職または減給とするとあります。免職ではなくて、停職または減給とするとなっているのですね。  この場合に、わいせつな言辞等の性的な言動を執拗に繰り返したことにより、相手が強度の心的ストレスの重積による精神疾患に罹患したときは、免職または停職とするとあるのです。相手がこういう状態になるまでなのかというところですよ。また、児童生徒に対する非違行為の中でも、児童生徒を死亡させ、または児童生徒に重大な後遺症が残る傷害を負わせる体罰は免職または停職、公務外非行関係では、痴漢行為、あるいは、盗撮、のぞき、その他のわいせつ行為は免職または停職、ストーカー行為は免職、停職または減給といった内容であります。  そこで、質問であります。  今回は盗撮行為でありましたが、道教育委員会では、その非違行為に対して厳罰化するという方針を固めたところでありますけれども、そのことを受けて、本市教育委員会の見解はどうなのか、その辺を伺いたいと思います。 ◎金山 学校教育部長  道教委における盗撮行為の厳罰化についての見解でございます。  盗撮につきましては、当該指針において、法律や条例等に違反して盗撮、のぞき、その他のわいせつな行為を行った職員は、免職または停職とするとなってございます。当初より、わいせつな行為に当たると規定していることになります。この指針に基づきまして、個別の事例に応じてさまざまな状況、例えば、常習性、計画性等々を考慮して処分を決定してまいります。  本年7月に当該指針を策定し、学校に周知したばかりでございます。当面は、当該指針により、職員の服務義務に対する理解を高めるべきと思われるとともに、現行指針のままでも盗撮行為については免職が十分にあり得る事案であることは示していることから、現時点ではすぐに改正を行うことは考えてございません。しかしながら、今後の札幌市教育委員会における不祥事の発生状況等を踏まえた上で見直していくこともあり得る、このように考えております。 ◆阿部ひであき 委員  教育委員会という部署は児童を扱う大切な部署でございますから、私は、非違行為の内容によってはやはり厳しくするべきであるというふうに思うのです。特に、非違行為そのものを未然に防ぐという抑止の観点からも、ぜひ、こういったことは一度見直した方がいいのではないかと思いますし、むしろ、厳しくあることが大切なことではないかと思います。その中でも、免職または停職という言葉が余りにも多過ぎて、非違行為の内容に伴った処分量定とは言えないのではないか、このことを改めて指摘しまして、この件についての質問は終わりたいと思います。  さらに、もう一つ、本市教育委員会における不審者情報の発信の取り組みと、総合的な防犯の観点から幾つか質問させていただきます。  現在、本市における不審者情報の取り扱いは、それぞれの学校で把握し、その内容によっては、警察へ通報、もしくは各家庭や近隣地域への通知という形で注意喚起を行っています。また、道警においても、警察に入った情報をほくとくん防犯メールということで広く登録している一般の方々にメールで送ったり、学校としても、スクールガードリーダーやスクールガードを初め、地域ボランティアに集団下校や周辺パトロールをお願いするなどさまざまな対応をとっているところであります。  そこでまず、質問でありますが、不審者情報が学校にもたらされた際の対応マニュアルのようなものがあるのかどうか、また、あるとすればどのような内容であるか、伺いたいと思います。  また、不審者情報によってはその内容に疑問があるものもあることは承知しておりますけれども、中には緊急性を要する事案もあり、その場合の対応のあり方について本市教育委員会はどのような対応をとっているのか、あわせて伺います。 ◎池上 指導担当部長  不審者対応について、まず、不審者情報が学校へもたらされた際の対応マニュアルに関連するご質問にお答えいたしたいと思います。  学校へもたらされる不審者情報への対応につきましては、教育委員会として、児童生徒の安全に関する事例集をもとに、各幼稚園・学校がそれぞれの実態に応じて危機管理マニュアルを作成するよう指示しておりまして、その内容につきましては、指導主事が学校訪問をした際に確認し、必要に応じて指導や助言をしているところでございます。各幼稚園・学校で作成している危機管理マニュアルにおきましては、不審者情報がもたらされた際の校内の防犯管理体制はもとより、各家庭への連絡体制、登下校時の安全確保に向けた地域や関係機関への協力依頼の手順などが具体的に示されているところでございます。  次に、緊急性のある不審者情報に対する教育委員会の対応についてでございますが、教育委員会で不審者情報を受けた際には、警察等の関係機関と連携協力しながら、個々の事案について緊急性や情報伝達範囲等を判断し、その判断内容に応じて学校に直接電話をしたり、メール等を活用して知らせたりするとともに、学校に連絡する際には、集団下校や通学路の遵守等の対応についても指導・助言しているところでございます。また、その後も、適宜、学校と連絡をとり合いながら、例えば、翌日の通学路の遵守のことなど具体的な対応について学校と協議をするなどしているところでございます。 ◆阿部ひであき 委員  実は、私は、以前から、不審者情報の取り扱い方について、警察が把握する情報と学校が把握する情報で、同じ内容が重なったり、把握する情報の数によって大きな差異があることにいささか疑問を持っていたところであります。また、最近では、9月初めに大阪や広島で児童を巻き込む事件があったところでもあります。  本市において言えば、例えば、一つの不審者情報がもたらされた学校区で終結してしまうことが多いです。例えば、白石区で何か事件が起こったら、白石区の中で終わってしまうということでもなく、起きた学校区の中で終わってしまうという情報のあり方もまたあるのではないかと思います。こういった類似の事件が近隣地域で発生したときに、それがわかりにくいような状況になっているのが現状であります。  環境犯罪学という学問によれば、不審者が出たところは、学校区にかかわらず、近隣の同じような場所でまた出ると言われているところでもあります。また、出方とか、時間帯とか、そういった細かいデータは本市全体で共有すべきではないか、こう感じているところであります。せっかくもたらされた不審者に関する情報が市全体にうまく行き届くような流れになっていないということは、例えば、ほかの区で起きた事件の当該人物が野放しであるにもかかわらず、対岸の火事というような取り扱いになることも危機意識としてどうなのかなというふうに思うところであります。  そこで、質問ですけれども、各学校で把握する不審者情報を本市教育委員会が一括管理し、データベース化して有効活用することが、本市全体における安全・安心なまちづくりの観点からも大切な取り組みの一つではないかと考えますが、本市教育委員会の見解を伺いたいと思います。 ◎池上 指導担当部長  不審者情報のデータベース化についてでございます。  不審者による類似の事案が連続して発生している場合などにつきましては、教育委員会として把握している過去の事例も含めて、必要に応じて広く注意喚起を図ったりしているところでございます。教育委員会としては、そうした取り組みを通してさまざまな事案や取り組み状況について総合的に把握し、活用に努めているところでございます。  今後も、教育委員会として把握し、蓄積している情報を、適時適切に学校に提供できるように努めてまいりたいと考えております。 ◆阿部ひであき 委員  こうしたことについて、各学校の判断にばかり任せるようなことではいけないなと思いますし、また、せっかくある情報があちこちに散乱しているようではいけないのではないか、こういうふうに常々思っていたところであります。  不審者情報というのは、流れてくれば、地域の協力を得て、その場ですぐに、例えば買い物を兼ねるとか、犬の散歩をしてもらうということでその地域、地域で目が行き届けば、このような場所では不審者もそういう行為を行いません。ですから、少しでもそういう情報がタイムラグなくスムーズに流れることが必要でありますし、そこを見ればすぐにわかるような状況にしておくことが、また一つ、大切なことではないかというふうに感じております。  本市では、スクールガード活動を展開して、地域の方々がスクールガードということで年間約2,000人が登録して子どもたちの安全・安心のためにご協力をいただいておりますし、その他多くの地域ボランティアもパトロール活動を行っております。地域が地域の子どもたちを守るという観点からも、市全体における不審者情報の有効活用に関する取り組みは、こうした地域の人たちにとっても危機管理意識の継続に役立つ一つの材料にもなるのではないかというふうに思います。  各地域における子どもたちを見守る活動に差異があれば、不審者に容易につけ込まれることにもなりかねません。そうした危機意識とその意識の継続こそが、本市全体における子どもたちを守る活動の充実につながるのではないかと私は思っております。それぞれの地域の意識啓蒙の観点からも、こうした不審者情報の有効活用と一括管理を含めた情報公開のあり方は非常に重要であるということを指摘して、私の質問を終わりたいと思います。 ◆ふじわら広昭 委員  私は、2項目を質問いたします。1項目めは、今後の少人数学級について、2項目めは、図書館の電子書籍の貸し出しサービスについてであります。  初めに、今後の少人数学級について質問いたします。  最初の質問は、少人数学級の完全実施に向けた教職員や普通教室の確保の問題についてであります。  私ども民主党・市民連合は、この間、議会の中で機会あるたびに少人数学級の取り組みについて取り上げてまいりました。このような中で、北海道教育委員会は、2002年度、平成14年度から少人数学級のモデル事業を全道25校で実施し、そのうち、札幌市立小学校も1校がモデル事業の対象となり、2004年度、平成16年度から小学校1学年の少人数学級実践研究事業が始まりました。札幌市では、このとき、小学校第1学年は48校が対象となりましたけれども、翌年度には小学校第2学年、そして、2006年度、平成18年度には中学校第1学年まで拡大してきて、昨年度からは国の法改正によって小学校第1学年で少人数学級が新たにスタートしてきているわけであります。  昨年8月には、文部科学省が8年計画で少人数学級を完全実施する計画を打ち出し、ことし8月には、2013年度、平成25年度から5年間で小・中学校の全学年に拡大する計画が明らかにされたのであります。この計画では、5年間で教職員を約2万7,800人増員し、初年度には約5,500人を増員し、新年度に向けて約191億円を概算要求として提出しております。  昨年度は、札幌市における少人数学級の実践研究事業の対象となっております小学校第2学年は34校、中学校第1学年は54校でありましたが、今年度は、小学校第2学年は202校中55校、中学校第1学年は97校中50校が対象となっており、分校や特別支援学級を除きまして、それ以外の学校は、例えば1クラスなどの学校では既に100%少人数学級となっている状況であります。  そこで、3点質問いたします。  質問の1点目は、今後5年間で義務教育の全学年で35人学級とする国の方針に基づきまして、札幌市でも実施した場合に必要となる教職員数はどの程度になるのか、伺います。  質問の2点目は、空き教室の状況など施設面での将来の見通しはどのように把握しているのか、伺います。  あわせて、仮に普通教室に不足が生じた場合にはどのように対応するのか、伺いたいと思います。  質問の3点目は、少人数学級の実施に伴う来年度以降の教員採用枠はどのような見通しとなるのか。  この3点については、いずれも今年度時点での児童生徒数をベースにしたものに基づいて答弁を求めたいと思います。 ◎金山 学校教育部長  私からは、教員の必要数、来年からの新採用についてお話しいたしたいと思います。  まず、1点目の少人数学級を全学年において実施した場合の教員の必要数でございますが、平成24年度の4月時点における児童生徒数をもとに、全学年において少人数学級を実施したものと仮定した場合、小学校3年以上の4学年で計209名、中学校2、3学年で計108名の増員が必要でございます。各学年において若干の差はございますけれども、1学年当たりでは50名前後の増員が必要となります。  次に、補充につきましては、新採用者数の調整による対応を基本としながらも、知識及び経験が豊かな再任用職員の活用等により、少人数学級への移行を円滑に行ってまいりたいと考えております。 ◎渡邉 学校施設担当部長  私からは、少人数学級の施設面に与える影響についてご説明いたします。  現在の学校施設の状況、すなわち、各学校の普通教室あるいは余裕教室の数と児童生徒数をもとに、仮に、今年度、全学年で少人数学級を実施した場合を想定いたしますと、不足する普通教室は、小学校については70校で109教室、中学校につきましては49校で65教室が発生する見込みでございます。普通教室に不足が生じた際には、学校ごとの検討を行った上で、特別教室等を普通教室へ転用することで対応することとなりますが、それでも対応できない学校につきましては、今度は増築を検討するという状況になります。 ◆ふじわら広昭 委員  今の答弁で、1学年当たり50人前後、小・中学校で合計約317名前後の教職員が今後必要となることや、不足する教室の数についても明らかになりましたし、少人数学級の教員採用の枠については、再任用なども有効活用しながらこれらに向けて準備を進めていきたいという趣旨の答弁がありました。  次の質問は、今後、拡大する少人数学級の学年についてであります。  私は、中学校を取り巻くさまざまな課題が山積する中で、少人数学級の拡大は、中学生を優先していくべきだと思うのでありますけれども、札幌市教育委員会の見解について伺いたいと思います。 ◎金山 学校教育部長  少人数学級にかかわりまして、中学校を優先すべきというお考えだったかと思います。  委員がご指摘のとおり、中学校においては、生徒の希望する進路の実現に向けて、一人一人の学習の状況に応じた指導が必要であり、さらに、生徒指導上の課題に対しても目が届きやすい少人数指導は効果的であると認識しております。一方で、小学校においては、既に実施している1、2年生におけるきめ細かな指導の充実との円滑な接続を図るために、また、学年が進むにつれて学習内容がより高度になり、習熟の程度や学習に対する意欲に差が出ることへの対応を図る上で少人数指導は効果的であり、札幌市としては、中学校、そして小学校の両方で少人数学級の実現が重要であると認識しております。  しかしながら、現段階で示されている国の教職員定数改善計画におきましては、実施学年の選択については各都道府県の判断とされております。したがいまして、私どもとしては、今後の国及び道教委の動向を注視してまいりたいと考えております。 ◆ふじわら広昭 委員  少人数学級に対する札幌市教育委員会の意識調査結果の集計を見ていきますと、生活面や学習面の変化や傾向ということでそれぞれ4項目ないし5項目の分析項目の中で、いずれも向上した、やや向上したというところが圧倒的に多くて、少人数学級を導入したことによって生活面あるいは学習面で逆に低下したようなことはこの間の集計結果でも出ておらず、今の部長の答弁のように、少人数学級は極めて有効なものだと言えるわけであります。
     しかし、部長の答弁にもありますように、この間の取り組みの際にも、北海道教育委員会が大きな役割というか、権限を持ってきたわけでありますので、次の質問は、北海道教育委員会に対して、札幌市教育委員会の考えをいかに伝えていくのかということであります。少人数学級の推進に関して、道教委任せではなくて、各市町村の教育委員会が道教委に対してみずからの主張をすべきだと思うわけであります。  そこで、質問でありますが、例えば、今後、全道の教育長会議などを活用して、札幌市教育委員会が中心的な役割を担いながら道教委に働きかけるべきだと思うのでありますけれども、今後、道教委に対してどのような取り組みをしていくのか、伺いたいと思います。 ◎金山 学校教育部長  先ほどの答弁で申し上げましたが、実施学年の選択につきましては都道府県の判断とされているところでございます。  しかしながら、一人一人の学習の状況に応じてよりきめ細かな教育を行うことは非常に重要であることから、国及び道教委の動向を注視しつつ、小・中学校全学年において少人数学級が早期に実現するよう、今ございました教育長会議等も含めまして、道教委に対して引き続き強く要望してまいりたいと考えております。 ◆ふじわら広昭 委員  平成23年度における学級編制の弾力化を実施する都道府県の状況という資料がここにありますが、北海道の場合には、先ほど申し上げたように、法改正によって23年度から小学校第1学年でそういうことが行われており、北海道では小学校第2学年、中学校第1学年でも研究実践事業としてそういう取り扱いが行われております。これは過去にそちらからいただいた資料ですが、ここを見ますと、北海道のところには、これらについては市町村教育委員会からの要望と書かれているのです。  そういう意味では、部長の答弁は、最終権者は道教委であるけれども、そういう声はしっかりと伝えていきたいということでありますが、札幌市教育委員会が他の市町村教育委員会の期待も担っていると思いますので、ぜひしっかりとした取り組みをしていただきたいということを強く求めておきたいと思います。  この件の最後の質問ですが、教員の確保の問題で、先ほどの部長の答弁では、毎年1学年に50人前後、5年間で約317人程度の教職員が必要だということでした。実際には、平成26年度から実施するとなった場合には、新年度において、こうした学年の判断に基づいて教職員の採用定数を拡大していかなければならないわけであります。私は、新しい先生も必要ですけれども、部長が言われるように、再任用の方を有効活用していくことも大変重要だと思うわけであります。  そこで、質問でありますが、少人数学級の実施に当たって、教員の新規採用枠に加えて、再任用職員の有効活用もぜひ検討すべきだと思います。先ほどの答弁では、再任用も含めてということでありますけれども、もう少し具体的な考え方があれば示していただきたいと思います。 ◎金山 学校教育部長  先ほどの答弁の繰り返しに近くなりますけれども、当然、新採用教員数を基本としていきたいと思っております。ただ、今、委員のお話にありましたように、知識及び経験豊かな再任用職員もやはり活用する部分があるかと思いますので、それらも含めて少人数学級への移行を進めてまいりたいと考えております。 ◆ふじわら広昭 委員  要望を申し上げまして、次の質問に移りたいと思います。  少人数学級を実施するに当たりまして、札幌市でも、以前にプロジェクトチームというか、検討委員会を設置したと思います。そういう意味では、教職員の採用のあり方、新規採用と再任用職員の比率のあり方なども含めて、そうした検討委員会を設けてしっかりとした将来の準備に取り組まれることをぜひとも求めておきたいと思います。  次に、図書館の電子書籍の貸し出しサービスについて質問いたします。  先ほどもこの関係の質問がありましたので、重複しないように質問してまいりたいと思います。  最初の質問は、電子書籍の貸し出しサービスを活用する可能性についてであります。  札幌市中央図書館では、2014年度、平成26年度のサービス開始に向けて、昨年10月4日から2月22日まで、電子書籍の貸し出しサービスの実験を行ってまいりました。その実験の大きな柱は三つあったと思います。一つ目は、電子書籍の貸し出し、閲覧、返却の体験実験でありまして、これに約415名の市民が参加しました。二つ目の柱は、地元も含めて24の出版社、そして、市の多くの部局が参加し、例えば、広報さっぽろなど紙ベースの書籍を電子書籍化するという実験も行ってまいりました。三つ目の柱は、円山動物園や学校で電子書籍の活用の可能性を探るための実験であります。例えば、円山動物園の飼育員が、来園者に音声や映像の入った機能を使って動物の生態の解説などを行ってきたわけであります。  こうした電子書籍の貸し出しサービスは、前段の質疑でもありましたように、今、全国的にもいろいろな都市でスタートしようとしています。このような中で、札幌の実験は、課題を検証して、札幌としてほかの先進都市よりもさらによいサービスを提供するために行ったものと、報告書などを読み込みますとそう受け取ることができます。  電子書籍の貸し出しサービスは、24時間、いつでも、しかも自宅でも本を読める便利さを備えており、これまで図書館に行けなかった人や利用しづらかった人にも大きなサービス提供になる長所があります。このようなことから、このサービスがスタートすれば多くの方が利用されると思いますが、サービスを展開する上で、ただ借りるという段階から、一歩踏み出して活用するという発想も大事でありまして、その活用の実験が昨年行われたわけであります。  そこで、改めて質問しますけれども、電子書籍の貸し出しサービスの活用の可能性についてどのように認識されているのか、伺いたいと思います。 ◎長谷川 中央図書館長  電子書籍の貸し出しサービスの活用の可能性についてでございます。  この活用につきましては、昨年度から実験を続けております。円山動物園の飼育員が、電子書籍を使いまして、ふだん見たり聞いたりすることがない音声や映像をご披露する実験でございましたけれども、これによりまして、動物の生態解説を充実させることができたという報告がございました。また、昨年のうちに電子書籍化をした多数の広報さっぽろを活用した小学校の授業がございますけれども、タブレット端末を使って検索しまして、札幌市のごみの取り組みの変遷をまとめるという先進的な取り組みも実現できたところでございます。  電子書籍の貸し出しサービスでは、個人で本を借りて読むだけではなく、今申し上げたようなさまざまな取り組みにおいて、集団でも利用できる、それによって取り組みや活動が充実する、そうした活用の可能性を広げることができる、このように認識しております。 ◆ふじわら広昭 委員  今、導入することの長所が答弁されたと思いますが、そういうことだけではなくて、課題もあると思うわけであります。  そこで、次は、この課題の解決に向けて質問したいと思います。  電子書籍の貸し出しサービスは、図書館の利用を便利にするだけではなく、いろいろな取り組みにも活用できる可能性があるなど、大いに期待できる機能を持っていると理解しておりますけれども、実際にサービスを始めるに当たっては、実験結果の報告を見ますと、三つの課題があるというふうに思います。一つ目は、システムの機能向上、二つ目は、利用者の持つ端末機器への対応、三つ目は、電子書籍の種類と数量の確保と言えるかと思います。  そこで、質問でありますけれども、いずれもサービスの根幹にかかわる重要な課題だと思いますが、どのように解決していこうとしているのか、伺いたいと思います。 ◎長谷川 中央図書館長  実験での課題の解決策でございます。  一つ目のシステムの機能向上です。  実験では、既存の貸し出しシステムを使いました。操作や検索の使い勝手がうまくないという指摘がございましたので、これらの改善を盛り込んで新たなシステムを設計していきたい、このように考えています。  二つ目の利用者の持つ端末機器への対応です。  サービスを利用するときには、利用者はご自分のパソコンなどを使いますが、それらの端末機器の機種、ソフトはさまざまでございまして、どの機種やどのソフトについてまで電子書籍のサービスを利用できるようにするのかが課題でございます。開発経費もにらみながら、多くの方にご利用いただけるよう、端末機器の普及度合いなどを十分に調査しながら検討してまいりたいと考えます。  三つ目は、電子書籍の種類と数量の確保です。  図書館向けに販売されている電子書籍は、現在、約5,000程度で、既に電子書籍の貸し出しサービスを初めた都市でも用意した書籍数は1,500から5,000ぐらいと少のうございます。今後、電子書籍の種類や数量をどう充実させていくかが全国的な共通の課題となっているところです。  そこで、札幌市としましては、図書館向けに販売されている電子書籍の拡充に向けて出版業界に働きかけていきたいと思っておりますが、一方では、札幌市と地元の出版社がそれぞれ持っている紙の書籍や資料、例えば、市の刊行物で歴史の散歩道、札幌市民の戦争体験といった地域資料を電子書籍化して貸し出してまいりたいと考えます。 ◆ふじわら広昭 委員  解決策についてもいろいろと示されましたけれども、その中で、電子書籍化のノウハウを持っております大手の出版会社であればともかく、札幌市や地元の出版会社が新たに独自に電子書籍をつくるとなりますと、著作権の問題を初め、料金やデータ管理などいろいろな課題がさらにあると思うわけであります。こうした課題についてどのように解決しようとしているのか、改めて伺いたいと思います。 ◎長谷川 中央図書館長  今回の実験では、図書館、地元の出版社が実験に参加しまして、電子書籍化のプロセスを体験いたしました。これによりまして、地元の出版社も電子書籍化の実現に向けて見通しを持つことができました。また、本格的に電子書籍化して図書館に納入してもらうに当たっては、今、委員がおっしゃいましたように、著作権や料金、データ管理といった課題もございますが、そのほか、データのフォーマット、書誌データのあり方など、こういった課題が明らかになってまいりました。今後は、それらの課題を踏まえながら、図書館と地元の出版社が協働しまして、専門家のアドバイスもいただきながら、手順やルールづくりを協議していくことになりまして、検討会の方も既に2回行ったところです。 ◆ふじわら広昭 委員  いろいろ課題があるけれども、しっかり取り組んでいくということでありました。  最後の質問になりますが、こうした新たなサービスも大事でありますけれども、一方では、現在行っているサービスについてもしっかりと維持したり充実していかなければならないと思います。そこで、現在のサービス内容をどのように確保していくかという視点で質問したいと思います。  紙の本の貸し出し数は、2005年度、平成17年度には約500万冊でありましたが、インターネットでの予約などが導入されて以降、2011年度、昨年度では約750万冊という貸し出し状況になっておりまして、予約数も、2005年度には約40万冊程度であったものが、昨年度は約140万冊という状況になっております。今後は、さらにインターネットでの予約もふえていくかと思うのですが、こうした大量の利用が円滑に行われるように裏で支えているのが図書館の電算システムだと思うわけであります。  そこで、質問でありますけれども、現在のサービスに加えて、電子書籍という新たなサービスが始まると、電算システムにさらに負荷がかかり、現在のサービスに支障が出てくることが危惧されますけれども、この点についてはどのように対応するのか、伺いたいと思います。 ◎長谷川 中央図書館長  委員のご指摘のとおり、これまでも新たな負荷がかかる取り組みを始めますと、電算システムの処理能力が落ちまして業務速度が低下するといった障害がところどころであらわれてまいりました。  そこで、今回、電子書籍という新しいサービスシステムをつくることに合わせまして、電算システムにつきましても、今後増加していくであろう利用に対して安定したサービスを供給できるよう反応速度や容量などを改善してまいります。これによりまして、本の検索など各種サービスにおきましても、操作性の向上を初め、ビジュアル化、見やすい文字なども実現できまして、子どもから高齢者までだれもが簡単にできるようになると考えております。 ◆ふじわら広昭 委員  要望を何点か申し上げて、質問を終わりたいと思います。  昨日、本庁舎の1階ロビーにおきまして、電子書籍の体験というか、デモンストレーションがありました。昨日の新聞にも載っておりましたが、私も行っていろいろと教えてもらったり体験をしてきました。その中で感じたことは、アンケートの中にこうした電子化をすることで今後に期待することは何ですかという質問があったのですが、やはり、書籍内の全文検索機能であります。例えば、グーグルなどでは、幾つかのキーワードを入れると、自分が求めている文献や資料にたどり着くことができるわけでありますが、せっかく新しいシステムを構築していくのであればぜひともこうした機能も取り入れた方がいいのではないかと思うわけであります。  二つ目に取り入れていただきたいこととしては、最低限、中央図書館に無線LANを設置すべきではないかと思います。現在、皆さんも利用されていると思いますけれども、某コーヒー店や、それ以外の店でも店内に無線LANを設置してしっかりと相乗効果をねらっているわけでありまして、中央図書館を訪れた方に無線LANを活用していただくことも検討していただきたいと思います。  また、三つ目の検討課題としては、専門家の力もかりてということでありますが、これまで実験に向けて取り組んできたスタッフの皆さんや、これからも本格実施に向けて取り組むスタッフの皆さんがいらっしゃると思います。ぜひ、そうした方々を継続的に確保していくように、人がかわれば新しいアイデアも出てきますが、やはり継続した取り組みも必要ではないのかなというふうに思います。  また、こうした本を読み取る場合には、スキャナーを通して読み取ってPDF化をしたりするわけですが、調べますと、業務用と家庭用の機器では極端な差があります。札幌市としては、さきの答弁で市の刊行物などについても電子書籍化をしていきたいということでありますので、検討はされていると思いますけれども、専門家の確保と同時に、こうしたことについてもぜひとも取り組みをお願いしたいと思います。  館長の答弁を聞いていきますと、札幌独自の書籍を準備していきたい、独自のもの取り入れていきたいということはよく伝わってまいりました。同時に、地元の出版会社と協働するということは、産業振興という面でも大きな意義があると言えます。また、電子書籍として、市のさまざまな歴史などの書籍をデータ化することは、今生きている市民だけではなくて、後世の世代にもこれが有効であるという意味でのメリットは大きいと思います。スタートは他の都市が1番になるのかもしれませんけれども、すぐれた読みごたえのある札幌ならではの電子書籍を用意して、中身や内容で全国の1番になれるように、我々も応援いたしますので、しっかりと頑張っていただきたい、このことを申して、質問を終わります。 ◆木村彰男 委員  私は、職員の不祥事について、処分を受けた管理職について、地下鉄大通駅の図書貸し出しについて、不登校の子どもについて、学校の避難訓練について、学力テストについて、子どもの自殺について、なかよしキャンプについてお伺いします。  まず、直近で停職6カ月の処分を受けました学校職員のことでお伺いします。  この事案を読んでみますと、毎日1時間から2時間働いた後、学校で寝ていたということです。この職員は、通常、どのような仕事をルーチンとして行っていたのでございましょうか。  また、この職員の勤務状況がよくないので、通常、2名勤務を3名体制で行ったというふうに伺っておりますが、どのような実態だったのか、お聞かせください。 ◎金山 学校教育部長  先日の職員の処分の状況についてのご質問かと思います。  まず、用務員でございますので、日常的には学校の清掃活動、あるいは修理等の仕事があることになります。  続いて、用務員の数についてでございますけれども、当該用務員の所属する学校におきましては、平成24年4月1日から正規用務員2名、臨時用務員1名の3名体制となっております。臨時用務員につきましては、他校において用務員が休暇を取得した場合、派遣する代替用務員という制度に基づきまして、従来の定数枠の中で配置しているものでございます。そのことから、新たな配置ということではございません。 ◆木村彰男 委員  この職員は、過去に、寝ていたというようなことで戒告等の処分の前歴はありますでしょうか。また、以前は教育の現場ではなく、別の現場にいらっしゃったということを聞いておりますけれども、なぜ学校現場に配置されてきたのでございましょうか。 ◎金山 学校教育部長  過去に処分歴はございません。学校現場に来たことにつきましては、前の職場において身体的に調子が悪くなったという部分がありまして、それに基づいて学校現場の方に来たというふうに聞いております。 ◆木村彰男 委員  私がお伺いした限りでは、来られて3年で、その間、3校に転校しているということで、事実上、職場でもちょっと余されていたのかなという感じもございますが、もっと早くに処分すべきであったのかなと思います。  それから、復帰後、研修につけさせるようなご意思があるのかどうか。  もう一つ、本人がこの職場に余り熱意がないのであれば、以前の職場に戻っていただくようなことはないのでございましょうか。 ◎金山 学校教育部長  3校を経験する中で、同じようなと言ったら変ですが、精力的な仕事の量ではなかったように聞いております。ただ、当然、服務を監督する校長等の指導の中で勤務を行ってきたと聞いておりますが、今回につきましては、校長等の指導、あるいは、服務に対する姿勢についての改善が見られないと、校長からそういう報告を受けまして、そのことに基づきまして処分を下したところであります。  それから、この用務員でございますけれども、現状から考えますと、復職した場合に用務員の仕事が不可能であると判断する要素は現時点は見出すことができないということがございます。ただ、今後、仮に勤務していく中でまた新たな状況が明らかになった場合には、その時点でこの任務については改めて考えていきたいと思っております。 ◆木村彰男 委員  実は、私の知人の息子が、この職員の方と同じような仕事につきたいと思って試験を何回か受けていらっしゃるそうです。20代の青年ですが、まだ合格はしていません。この停職処分の職員は、年収500万円ぐらいをいただいていたということも伺っております。私は、このような方はすぐにおやめいただくように説諭して、若い方を採用していただくことを要望して、次の質問に移ります。  処分に関して、北海道教育委員会が行っております教職員の服務規律の実態調査につきましては、昨年もお聞きし、会派の勉強会等でも質問しておりました。一度、年度末に処分が行われたことにつきましては、退職教員ということでその数等はお伺いしておりますが、その後、処分する方の進捗はございましたでしょうか、お聞かせください。 ◎金山 学校教育部長  昨年末までの任用期間である者以外につきましては、実は、現在も調査が継続中でございます。その調査の結果を見ながら、今後、対応していきたいと思います。 ◆木村彰男 委員  わかりました。よろしく続けてください。  次に、市内の小学校で1人、中学校で3人、過去において停職処分を受けた管理職がおります。この事案と管理職登用に当たっての教育委員会のご認識をお聞きします。  当職が調査しましたところ、昭和63年、酒気帯び運転で停職1カ月の処分を受けた小学校教諭が平成22年に小学校の校長になっています。また、平成13年に体罰事案で停職14日の処分を受けた中学校教諭が平成23年に中学校の校長になっています。このほか、平成7年に酒気帯び及び速度違反で停職2カ月、平成15年に体罰事案で停職14日の処分を受けた者が中学校の校長に昇任しているわけでございます。  私は大変驚いたのでございますが、校長昇任に際しては、教頭を2年以上勤めた者であれば校長の試験を受けることができ、筆記試験に受かれば教育委員との面接があるというふうに承っているのでございますけれども、そのとき、このような過去の処分履歴が、面接官の質問としてといいますか、行われることがあるのか。つまり、処分の情報は面接する教育委員に伝わっておるのか、これについてお聞かせください。 ◎金山 学校教育部長  管理職の選考に当たりましては、検査日において、地方公務員法第28条第2項の規定により休職を命じられている者、または、地方公務員法第29条第1項の規定により停職の処分を受けている者のいずれかに該当する場合は、受験資格を有しないものとしております。  管理職の選考に当たりましては、園長、校長からの意見書を添付することとしておりまして、園長、校長は、職員履歴書等により過去の処分歴などを把握した上で、その職員に管理職の力量があるかどうかを見きわめて提出しているものと考えております。これらを踏まえた上で、教育委員会といたしましては、筆記試験、面接試験、これら処分歴等を含めた勤務状況等を見て総合的に判断しているところでございます。 ◆木村彰男 委員  ちょっと、視点を変えます。  昨年、1カ月の停職処分を受けた教員がいました。これは万引きの事案です。復職後は、もといた小学校に戻ったと聞いておりますけれども、復職後の保護者への説明とか保護者の意見というものはどのようなものだったか、お聞かせください。  また、先ほどの例の中にはございませんでしたけれども、過去においてこのような窃盗事案、もしくはわいせつ事案において校長になった人はおりますでしょうか。お聞かせください。 ◎金山 学校教育部長  まず、昨年に停職処分を受けた者についての保護者に対する説明ということだったかと思います。  復職に際しまして、当該教諭が職員室での業務を中心に行うこと、また、本人からの謝罪と復職について校内放送で児童に伝えることを保護者に文書で伝えております。復職の際には、保護者からは、子どもへの影響を心配し、できるだけ子どもに直接指導をする場面を避けてほしいという意見、あるいは、逆に、当該教諭を心配し、健康を気遣う意見があったと聞いております。ただ、復職してからは、保護者の意見はないとのことであります。  それから、過去10年間でわいせつ事案、窃盗事案を起こした職員が管理職になった例ということでございますが、そのような教員はおりません。 ◆木村彰男 委員  次に、図書館のことでお伺いいたします。  私は、札幌市の図書館行政というものを高く評価しております。改善に対する熱意は、常々、敬服しているところでございます。  私は、図書館利用者の一人として、通常は中央図書館を利用しておりまして、学生のころから中央図書館を利用しておりました。そのころは、コインのコピー機というものがまだなくて、青焼きのようなものしかなかったのですけれども、当時、板垣市長にお手紙を出して文書や資料をコピーするご許可をいただいたことがございました。40年ぐらい前のことです。  私は、通常、借りてきた図書は今申しました中央図書館で返却しますけれども、忙しい場合は大通駅の地下鉄ブースを利用させていただいております。この間も、登庁の際、9時前だったのですが、ブースまで来て返却しようとしたところ、シャッターが閉まっておりました。午前10時のオープンだったのですね。  そこで、他の図書館で休館日にあるような返却ポストみたいなものはないのかなと思って探したのですが、近くにありませんでした。シャッターに窓口のようなものはないかと探したのですけれども、これもない。そこで、夕方、帰宅の際に返却して、係の方にお尋ねしたところ、消防法の規定で開口部もポストも設置できないというお話でございました。ポストの設置を希望するような市民の声はないですかという私からのご質問に対しては、実は、多くの方がそういうようなことを望んでいらっしゃって、何とか改善する方法があるといいというようなことをおっしゃっておりました。  この点について、図書館のご見解をお伺いさせてください。 ◎長谷川 中央図書館長  大通のカウンターの件でございます。  ポストの設置につきましては、今、委員がおっしゃいましたとおり、シャッターにあるポストのようなものから返却することにつきましては、防火上の観点からできないかと思います。また、通路上にポストを設置するということも、多分、通行の支障の関係でできないのではないかと思います。 ◆木村彰男 委員  実は、きょうは交通局の田畑部長に来ていただいておりまして、ありがとうございます。  地下鉄の大通ブースは、今見ていただいたように、10時から19時以外、ポストによる返却はできないことになりますけれども、私が見た限りでは、10メートルぐらい離れた場所に交通局の窓口がありまして、始発から終電まであいていると伺っております。せめて、ここに返却して、後日、図書館の係の方がオープン時間に回収に来られればいいのではないかと思いました。民間の会社であれば、本を預かるくらい造作もないことだなということで、お客様の満足が得られるのであれば、当然の職務とも考えられるのですけれども、交通局のご見解を伺わせてください。 ◎田畑 交通局高速電車部長  地下鉄駅の方で図書の返却業務ができないかというご質問でございます。  地下鉄駅の業務といたしましては、列車の運行と旅客の安全を確保すること、さらに、駅構内や出入り口の防犯、防災のための巡回や施設の点検、さらには、券売機や改札機での対応、駅窓口での乗車券販売や各種お問い合わせへの対応、車いすのお客様への対応、急病の方やけがをされた方への対応、事故等緊急対応など多種多様な業務を必要最低限の人数で行っております。したがいまして、これらの駅業務の中に図書の返却業務等を取り入れて行うのは困難であるというふうに考えております。 ◆木村彰男 委員  先ほども消防法のお話が出ました。私は、真駒内駅を利用しているのですが、真駒内駅というのは地上にある駅でして、市民の方から寄附された本をだれでも自由に読めるようにといいますか、後から返さなければいけないとは思うのですけれども、そういうラックのようなものがあります。例えば、あのようなラックの横に、先ほど申し上げました返却ポストみたいなものを置くことはできないのでしょうか。 ◎田畑 交通局高速電車部長  ただいまも申し上げましたけれども、まず、駅の業務自体が非常に煩雑であるということがございます。つけ加えまして、大通に比べまして、真駒内駅はただでさえ少ない駅員を配置して頑張っております。そういったことでご理解をいただきたいと思います。 ◆木村彰男 委員  できないということですね。  これは、図書館の方ともこの話をしたときに言っていたのですけれども、今はすべて10時から7時までなのですね。これにつきましては、例えば、月曜日なら月曜日だけ朝7時からやるとか、そのかわり夕方は5時までにするなど、臨機応変な対応をされて、1週間に一遍くらいは早出のときを決めてやっていただくような改善はできないのでしょうか。図書館にお伺いします。 ◎長谷川 中央図書館長  朝にずらしますと、出勤時に合わせて大量の本の返却が予想されます。この時間帯というのは、実は、その日以降、貸し出す本もほかから搬入されてまいります。ですから、朝の短時間に大量の本が集中します。実は、大通のカウンターというのは、書棚が11本ありまして、大変狭く、人が1人通れるかどうかというようなあんばいです。また、カウンターがあって、作業台がない状態でございます。そういう非常に狭い状態の中で、今、何とかやっているのですが、今お話があったように朝にずらすといった瞬間、そこには大量の本が参りまして、その本を置くスペースすらない状態です。そんなことですから、作業スペースの観点からなかなか厳しいかと思います。  なお、つけ加えて申しますと、今後、大通交流拠点の整備がございます。平成26年度末になるかと思いますが、そのときに大通のカウンターもそこに移転します。その際には面積も拡大いたしますので、サービスアップということで、例えばポストの設置や時間帯の拡大といったことは検討してまいりたいと思います。 ◆木村彰男 委員  その節は、やはり、利用者の方のご意見も十分に把握していただいて、先ほど申しましたように、早くから来られて返却したい方が結構多いのではないかと思いますので、ぜひそういう形で要望をさせていただきます。  次は、札幌市がことし初めて、フリースクール8団体に対して、職員の追加配置や教材費などについて1,600万円を助成することになっております。この案件は、もともとは教育委員会でご担当しておりましたが、ことしから子ども未来局に所管が移っておりますので、詳細は29日にお伺いしようと思っております。  ただ、なぜ所管が移ったのか、その背景、もしくは教育行政としてフリースクールをどういうふうに認識しているのかというようなことはお聞かせいただけるかと思いますので、まず、1点目として、この点はいかがでございましょうか。 ◎池上 指導担当部長  今、フリースクールの所管が移ったということでしたが、フリースクールは、もともと教育委員会で所管しているものではございません。個々に対する学習支援のための補助の事業ということで、今年度から子ども未来局が行っているというふうにご理解いただければと思います。 ◆木村彰男 委員  不登校のお子さんに対して学校から訪問されるとか、ご病気の方もいらっしゃるかと思うのですが、そこに学校の先生が行かれるようなことは私も伺っております。そういう中で、フリースクールの校長先生からは、当然、内申書の関係などで事務的なやりとりはあるというふうに伺っておるのです。ところが、その生徒の学校の担任の先生や教科の先生というのは、フリースクールにはほとんど来られたことがなく、この人の出席は何日ですというようなやりとりに終始していて、顔が見えないということだと思うのです。  不登校であっても、戻ってくる可能性がある子のところには行くけれども、フリースクールのように別な形になって、そこに行かれようとしている人はばつんと切られて、私が聞いている限り、何か冷たいような感じを受けたのです。私が行ったところの校長先生は、1週の1こまでもいいから教員を派遣していただけると非常に助かるというようなこともおっしゃっていたので、この点についてはいかがでございましょうか。
    ◎池上 指導担当部長  フリースクールに通っている児童生徒への学校としてのかかわりについてでございます。  学校としても、いろいろ忙しい状況はございますが、家庭訪問等を継続するとともに、本人、保護者にも了解をいただいた上で、必要なときにはフリースクールで学んでいる様子を直接確認したり、あるいは、フリースクールの担当者ともいろいろな情報を交換するために訪問して対応することはございます。教育委員会としても、そういうことをできるだけ丁寧に行ってほしいということは伝えているところです。  今年度は、心のサポーターという制度、愛称で言うと相談支援パートナーと申しますが、こちらを配置する事業をスタートさせましたけれども、そういうことをより一層きめ細かくやることも心のサポーターの役割として考えているところでございます。 ◆木村彰男 委員  これからは子ども未来局ということになるので、教育委員会としてできることは限られると思うのですけれども、そういう要請に対してはなるべく真摯に向かい合っていただきたいと思います。  次に、ここに学校震災対応マニュアル改訂版というものがございます。この改訂版に沿ってお聞きしたいと思います。  東日本大震災を受けて、一時的には学校現場や校長に避難場所、避難方法を全面的にゆだねてあるというふうに読めます。  私は、さきの委員会でも述べたのですが、宮城県山元町を視察させていただいた際に、石巻の大川小学校というところに行きまして、大変な被害があったところですけれども、お参りしてきました。大川小学校は、今なお行方不明の方がいらっしゃいますが、私は、行く前までは、この小学校は山元町にある中浜小学校と同じように海に面した小学校だと思っていたのです。ところが、実際に行ってみますと、大川小学校の前は海ではなく、広大な北上川だったのです。津波は、この北上川を遡上して、近くにあった橋に当たって流れを小学校に向け、グラウンドの子どもたちをのみ込むという状態でした。  私も大川小学校のグラウンドに入ってみたのですけれども、実はグラウンドの裏はすぐ山なのです。山であって、私の目算ですけれども、2分も走れば、多分、この山の頂上まで行ったのではないかと思われます。そうしますと、なぜこのような大きな被害が出たかということですけれども、当日、大川小学校の校長先生は、休暇をとって、いらっしゃらなかったのです。その避難というのは教頭先生ほか担任の先生が担っていました。グラウンドに避難した生徒と先生たちは、一体、何をしていたかというと、保護者に子どもたち一人一人を渡していたのです。その渡している時間が相当長かったのかもしれませんが、先ほど言いましたように、お子さんをのみ込むことになりました。  グラウンドにいたことに対して、保護者の方々が後で何を言っていらっしゃったかというと、子どもが2人いて、1人が津波で亡くなり、1人だけ残ったというお父さんでしたが、なぜ、長い時間、そのグラウンドにいたのか、どうして早く山に登らなかったのかと、怒りを抑えてというか、冷静とは思いましたけれども、そういう映像を私も見せていただいて大変に同意見だったわけです。  そこで、お尋ねしますけれども、教育委員会の方々は、この震災マニュアルをおつくりになるのに際し、大震災の現場であるこれら大川小学校や山元町に行かれましたか、お聞かせください。 ◎池上 指導担当部長  公務としてそういう視察はしておりません。 ◆木村彰男 委員  ここに写真が出ていたものですから、私は見たのですけれども、これは、どう見ても今回の東北の写真ではなくて、多分、阪神・淡路大震災のときの写真だと思うのです。つまり、これを見る限りは平成7年当時のものを改訂したというふうに思うのですが、平成7年当時は見に行かれたのでございますか。 ◎池上 指導担当部長  そのころのことについてはわかりません。 ◆木村彰男 委員  この震災対応マニュアルをつくられた方も、要するに、阪神にも東北にも行っていらっしゃらないとすれば、私は、一体、何を見てこのマニュアルをつくったのかというふうに思うのですね。私は、ぜひ、現場を見て、これで本当にいいのかどうかという検証をまずはお願いしたいのです。  それから、今回、私が見ましたところ、学校震災の避難訓練をやっているのですね。これは、手稲北小学校で津波を想定して訓練をやっております。549名の生徒がいるらしいのですけれども、今までは校庭に集まって済ませていたと。ところが、震災の後を受けて、海に一番近い学校だということで、JR星置駅がちょっと高台になっているので、初めてみんなでそこに走ったというか、歩いたというか、そういう形で避難をしたということです。  私が気になったのは、その避難先まで所要時間が約20分かかっています。この20分というのは、もちろん足の速いお子さんもいらっしゃるし、小学生ですから1年生と6年生では体力もかなり違います。また、中には障がいを持ったお子さんもいらっしゃいます。そういう方々がまとまって行かれるわけです。もちろん、障がいを持った方については先生が連れ添っていらっしゃるとは思うのですが、この20分という時間が本当に適切なのか。つまり、今、マニュアルにある星置の高台に行くという選択肢が本当に正しいのか、いいのかと。そういうことは、やはり、マニュアルをつくったときに、それぞれの学校でそれが本当にいいかどうかということをどこかで検証するような、例えば数値化してみるとか、評点して何点以上であれば合格であるとか、私はそのようなものが必要ではないかというふうに考えるのですけれども、いかがでございますか。 ◎池上 指導担当部長  今のお話は、津波を想定した避難訓練のときのいろいろな対応ということだと思います。  津波を想定した避難訓練につきましては、今、札幌市立学校の中で海に一番近い学校ということで、手稲北小学校のお話がございました。ただ、避難場所への距離、震源地や海岸からの距離、学校の立地条件等、どのぐらいの高度があるかなどいろいろあってそれぞれ違いがありますことから、今回の件が時間で言うと20分かかったからどうだということは一概には言えないと思います。今回の手稲北小学校の件で言えば、私どもも状況を把握させてもらっておりますが、事前に設定した目標時間が30分ということで訓練して、実際の避難の所要時間は20分だったということであります。  いずれにしましても、今回は実際に津波の高さを想定した避難訓練を地域と一緒に合同で実施したと聞いておりまして、大変価値のある取り組みだなと思っております。学校がこのような取り組みをするに当たっては、実際に避難訓練のときに所要時間を計測する、あるいは、子どもの様子を見ながら、より早く安全に避難できるように常に改善を図っていくことが必要なのではないか、それが検証にもつながるのではないかというふうに考えております。 ◆木村彰男 委員  ぜひ、すべてのマニュアルに対してそれでいいかどうかという検証を行っていただきたいと思います。  次に、ほかの委員が何点か述べておりましたが、私は、端的に重ならない部分だけ申し上げます。  例の学力テストの集計結果が間違っていたというか、水増しされていたというか、やや上回っていると言ったのですけれども、引き算ミスで、実はやや下回っていたというお話でございました。  ただ、札幌市教育委員会というのは、全国学力テストの結果について教科別の正答率も明らかにしておらないのですね。ですから、外部から見ると、こういうような発表があったか、なかったかで初めてわかるわけで、それを検証するすべは全くございません。今回はすぐに訂正されていらっしゃいますが、それでは、過去に行われた発表といいますか、数式は本当に正しかったのでしょうかと私は係の方にお聞きしましたところ、間違いないとおっしゃっていました。  そこで、先ほど部長は、これからは別々に2名ずつの体制でチェックしていくというようなことをおっしゃっていましたが、過去にさかのぼって調査したものも、今おっしゃったように2名ずつのチェックでおやりになったのか、お聞かせください。 ◎池上 指導担当部長  このたびの学力調査等の間違いを踏まえまして、これまで行ってきた調査についてもすべて確認しましたが、誤りはございませんでした。この調査に当たりましては、早速、万全を期すということから、2名、あるいは物によっては3名以上も含めてしっかり確認させていただきました。 ◆木村彰男 委員  学力テストは何のためにやっているかというと、結局、数値をきちっと把握するということなので、それが間違っているということになれば、もともとの根拠になっているところが崩れるわけでございます。これではもう、今まで言ってきたことは何だったのかという形になってしまうと思うのです。その辺につきましては、ぜひきちっとした体制をつくり上げていただきたいと、関係者に猛省を促すところでございます。  次に、山中教育委員長にお伺いします。  学力テストのあり方につき、山中委員長が委員会の会議の中でご発言されている件についてお聞きします。  先ほど、池上部長も昨年12月9日の教育委員会の審議内容について若干お触れになっていたと思いますけれども、同僚議員がそれを傍聴しておりました。また、ブログでも公開しております。さらに、10月3日の本会議でも委員長再任反対の理由で述べている件です。  この会議で、平成24年度、つまり今年度に行われる学力試験のことが議論されておりまして、先ほども出ていましたように、現在の抽出方式を何らかの形で見直す必要があるのではないかというようなお話が複数の委員から出ました。それに対して、るるやりとりがあったようでございますが、山中委員長は、とりあえず、来年の全国学力・学習状況調査の対応は、事務局からご説明があったとおり行いたい、その旨、議論を集約されたというふうに伺っておりますけれども、これは事実でございましょうか。 ◎山中 教育委員長  今の点は、第20回教育委員会会議だと思いますが、その議事録を確認していただくのが一番正確かと思います。私も細かいところまでは覚えておりません。 ◆木村彰男 委員  「とりあえず」から「ご説明があったとおり」と議事録に書いてあるのです。ですから、私は、結局、この議事録を読む限りはそのような形で委員会審議を集約させたというふうな認識に至っております。山中委員長がそれについては忘れたと言うのであれば、そのように言っていただければ結構です。 ◎山中 教育委員長  議事録によりますと、いろいろ議論をした後、それでは、とりあえず、来年度の全国学力・学習状況調査の対応については、事務局から、抽出調査に参加し、希望には参加しない理由のご説明があったとおりということです。これは、事務局の説明の内容をもう一度引用したような形でございます。  ただ、いろいろ議論をした上で、北原教育長からもさらに丁寧な説明もございましたので、そういったことを踏まえて、委員の方々のご意見としても、この段階で事務局の提案に賛成できないという形ではなくて、そういう意見もあるということで、それを踏まえて、とりあえず、この段階では事務局の提案の抽出調査で参加するということでよろしいということに全体としてなったものですから、そのように取りまとめさせていただきました。 ◆木村彰男 委員  今、とりあえずというお話でございましたけれども、これが最終決定なのです。とりあえずではなかったのですね。 ◎山中 教育委員長  確かに、このとき、学力状況調査についてどのような対応をするかという意味では最終決定でございます。ただ、私の気持ちとしては、とりあえずというのは今年度はという意味でありまして、今後、たしか国の立場でもさらに検討していくというような話があったので、そのことを意識して、とりあえず今年度はというつもりで言ったように私は考えておりました。 ◆木村彰男 委員  さっきの仮定の話ではございませんけれども、今年度に行われたものは、結局、山中委員長の発言を受けて、ほかの委員の議論を集約してその結論に至ったというふうにしか私には読み込めませんでした。このことは、やはり、学力テストのあり方について、やっぱり、山中委員長がこの委員会の議論をリードしたという認識に私を至らしめたということでございます。そのような形で理解させていただきました。  次に、平成23年8月30日に手稲区で起こりました中学2年生、13歳男子の自死について、私は、10月3日の本会議で市長にお伺いし、自殺といじめの関係については因果関係がないという結論になっている旨、お聞きいたしました。  この結論に至った経緯につき、何点かお聞きします。  その一つは、仮にこの中学生の自死がいじめでなかったとしても、本人の口から死を予兆される言葉を聞き、担当教員も何度も面接していたという事実がございます。そのことを前提として、なぜ、このお子さんがマンションから飛びおりたのか。それを担当の教員も保護者も見ていて、直前まで声をかけ続けて、飛びおりるなということだと思いますけれども、制止しておられたわけです。そのせつな、このお子さんは保護者の前で自死されたのであります。ご遺族の心中を察しますと、本当に胸が詰まるといいますか、もし自分の子だったらどうしようかというようなことを考えました。本当にご冥福をお祈りする次第です。  もし私が父親だったら、学校に行きたくないのだったら行かなくてもいいから、お父さんと一緒に旅にでも行こうと。心の病に至っているというふうに思われますので、一緒に旅行にでも行って、子どものことや将来のことを話し合おうと。  その息子さんとご家族がどのような時間を共有したかについて保護者のお話を聞くことはできませんけれども、当時、委員会の取りまとめをしておられました池上部長は、その件についてどのようにお聞きになっていらっしゃったか。特に、私が注目したのは、児童精神科のドクターで氏家さんという人がいらっしゃいますけれども、その方がこの件について少し触れておられるのです。そのことも含めて、池上部長のご感想をお聞かせください。 ◎池上 指導担当部長  昨年度、手稲区の中学生が亡くなった件について、検討委員会を開催しまして報告書にまとめさせていただきました。その報告書の作成というか、調査検討の中で専門の委員の先生方からそれぞれご意見をいただきましたが、子どもの心の奥深くまでしっかりとらえることは難しいというのが一番の感想です。ただ、それをしっかりとやっていこうという中で皆さんに検討していただき、できたものがこの報告書なのかなと思っています。中身については、この報告書にあるとおりでございます。 ◆木村彰男 委員  私も上のコピーだけを持ってきましたが、この会議で特に中心の委員の山口弁護士の報告書がここに載っておりました。私は山口弁護士の発言に注目したのですが、山口弁護士は、自死されたお子さんと同じ世代の子育てをされた経験を述べた上で、自分に与えられた資料、情報が不十分であることと、もっと別な角度の話が関係者から得られれば、異なった結論、つまり、いじめと自死の因果関係を肯定するような内容ともうかがえるレポートがこの中に載っておるのでございます。  この点について、同席されていた池上部長はいかがでございましょうか。 ◎池上 指導担当部長  検討委員会で協議をする中で、この検討は学校要因に係ることについて進めていこうということでずっとやってまいりました。その中で、必要がある部分については、さらに協力をいただいて情報を収集し、背景を探るなどということも行ってきておりますが、それに当たっても相手の方の了解等もとりながらという手続をとっておりましたので、いろいろやった結果が今回の報告書の中身でございます。 ◆木村彰男 委員  この委員会には強制力がないですから、具体的に情報を仕入れるとか、相手のところに行っていろいろと聞き出すことができないという面での不十分性ということをおっしゃっているのですけれども、今回の白石区の事案についても実は同じ3名の方が検討委員会の委員になっておられます。この委員を選ぶときに、大津方式といいますか、大津の事件の場合は、保護者の方の推薦というか、そういう方の推薦を受けた委員を何人か選んでいらっしゃるかと思うのです。今回、前回と同じ委員の方を選抜されて、ほかの選択肢といいますか、保護者の方が推薦するような委員をお入れにならなかったのはなぜでございましょうか。 ◎池上 指導担当部長  正式には教育委員会会議でこの調査検討委員会の委員の委嘱等も行っておりますが、その前段といたしまして、保護者の方に事前の意向確認をする中で今回のメンバーでお願いしますというふうな形で確認しております。 ◆木村彰男 委員  検討委員会が開かれて、当然、その報告書をめぐって、今度は教育委員会の方々とこの問題について討論したといいますか、議論したというふうに伺っておるのですけれども、このミーティングは大体何回ぐらい行われたのか。そして、この次は、教育委員会だけでこの問題をどういう結論に導くかというお話があると思うのですが、それも大体何回ぐらいやってこの報告書の結論を得たのか、それについてお聞かせください。 ◎池上 指導担当部長  昨年度の報告書につきましては、教育委員会会議で検討した報告書ではございませんで、検討委員会を設置して行ったことの報告書であるということをまずお伝えしておきたいと思います。  教育委員会の関係で申し上げますと、この事故があったときに、検討委員会の設置、あるいは、検討委員会から出された報告書の件で教育委員会会議において報告をいたしましたのと同時に、その後、子どものいじめ、あるいは自殺にかかわることにつきましても、今現在も継続して行われておりますが、教育委員と事務局とで今後の方向性等について協議を進めているところでございます。 ◆木村彰男 委員  当然、このレポートを踏まえた上で、教育現場にいろいろな通達、命令、指示等が行きまして、現場もそれについて履行して、進捗把握などをしながらいじめ防止のためにご尽力されてきたのだと思います。そのご努力は私もわかります。  しかし、教育現場におきましてそのようなことが一生懸命になされたにもかかわらず、ちょうど1年後の9月5日午前7時ごろ、白石区の中学1年生、12歳が自宅マンションから飛びおりて亡くなられました。私も本会議で申しましたけれども、この1年の取り組みをかんがみて、結局、皆様方、教育委員会、それから、教育現場のいじめに対する思いというのはこのお子さんのところには伝わらなかったのだろうと思います。  私は、3日の本会議におきまして、山中委員長に対して、潔く再任を辞退すべきであるというようなことを申し上げました。しかし、その案件につきましては、賛成多数ということになりましたし、その後の委員会の互選においても委員長は再任されたわけでございます。  ここにいる札幌市議会議員、そして、その後ろにいる190万の札幌市民、そして保護者に対して、いじめの根絶、子どもの自殺の根絶に対して、委員長のご決意をお伝えください。 ◎山中 教育委員長  このたび、白石区の中学生がみずから死を選び、亡くなられたことにつきましては、本当に痛ましいことでございまして、亡くなられた生徒のご冥福をお祈りいたしますとともに、ご遺族には心からお悔やみを申し上げる次第でございます。  私の委員長在任中に、3人の中学生がみずからの命を絶つという事故がございました。まことに痛恨のきわみでございます。札幌市教育委員会としては、命を大切にする教育を推し進めてまいりました。その責任者としてこのようなことを防止できなかったことにつきましては、まだまだ努力が足りなかったということを痛感しておりまして、心からおわびを申し上げる次第でございます。  今回のようなことを防止するためには、子どもの行動やわずかな心の動きに常に心を配り、また、本人の気持ちとその背景に思いをいたすことができるように、日ごろから感性を磨き、あるいはまた、さまざまなアンテナを張るといいますか、子どもたちとの心のつながり、また、家庭、地域、関係機関との連携をつくっておくことが非常に重要なことだというふうに思っております。そういった努力をすることは、どんなに努力をしても足りないということはない、もう十分だということはないのだということを専門家の方からも伺っております。まさに、そのとおりだろうと思います。  札幌市教育委員会としても、これまでの経験を踏まえまして、さまざまな手当てをしたつもりでございます。多大な努力をしてまいりました。きょうのこの委員会でも、いろいろな措置を講じたことが答弁の中で出てまいったと思います。それにもかかわらず、このような事件が起きました。そのことは、私どもの努力がまだまだ足りなかったというふうに……(「そのとおりだ」と呼ぶ者あり)そのとおりでございます。おっしゃるとおりです。それについて反論をするつもりはございません。本当に努力が足りなかった。  今後とも、さらにその努力を一層続けてまいりたいと思いますが、ただいま進行中の第三者が中心になっている調査検討委員会の結果も踏まえながら、また、つい最近、警察が生徒たちからもいろいろ事情を聞いたと伺っております。そういったことなども踏まえながら、教育委員会全体として、みんなで力を合わせて、そしてまた、どうやったらいいのかということについて皆様方のご意見も伺いながら、多くの方のお知恵を拝借して何とか頑張っていきたいと思っている次第でございます。  今後とも、どうぞよろしくご指導いただきたいと思います。 ◆木村彰男 委員  ありがとうございました。  最後に、小学生が入学前の児童を指導するなかよしキャンプについてお聞きします。  いつも批判ばかりしないで、よいところを見てくれと某課長に言われておりました。最後は、和やかに締めたいと思います。  私は、9月中旬、鹿児島に視察に参りました。それは、北海道南洲会という西郷隆盛を尊崇する団体との共同視察でございました。このとき、私は、地元の市議会議員や経済界の人々と交流して、鹿児島、とりわけ薩摩に長く根づいている郷中教育ということを初めて知りました。これは、故郷の郷という字に中心の中と書いて「ごじゅう」と読ませます。  郷中教育は、薩摩藩の町内単位で、年長の子どもが年下の子どもを教え、また、武道の師範となる教育システムであります。原則として大人は介入しません。子どもによる自主運営です。その中では、論語を初めとする漢籍の素読であるとか、師走に赤穂義士伝をみんなで輪読するようなこともやっていたようです。もちろん、封建時代の教育を現代のそれと比較しようとしているのではありません。時代背景は全く異なります。しかし、私が感心したのは、その教育の中に、負けるな、うそをつくな、弱い者をいじめるなという人間として普遍的なテーマを感ずることがあったからです。  明治10年、1877年、西郷隆盛が自刃した9月24日、鹿児島の子どもたちは、西郷隆盛の生誕の地から自刃した城山まで、年長者がのぼりを掲げて歩き通します。生誕地の一角には大久保利通、東郷平八郎の生家があり、それを横目で見て歩くことになります。皆、西郷とともに郷中教育を受けた仲間です。  そこで、私が勝手に命名している札幌版郷中教育、なかよしキャンプについて、これからの展望、全市への広がり等をお聞かせください。 ◎梅津 生涯学習部長  ただいま、なかよしキャンプを薩摩の郷中教育のような形にしていけないかというようなご質問だったかと思います。  なかよしキャンプと申しますのは、青少年山の家を会場にいたしまして、小学校入学前の幼児と小学校5年生が一緒に自然体験活動を行う中で、幼児にとりましては小学校入学への期待が高まる、膨らませるという意図、5年生につきましては、思いやりや優しさ、また、高学年としての自覚を養うことで、相互の成長に資するというねらいを持って実施してきているものでございます。  一方、郷中教育につきましては、ただいま木村委員からもご紹介があったとおり、もともとは地縁に基づいて武士の子どもたちだけの自主的な組織をつくって、年長者が年少者に武道あるいは勉強を教える、指導をするという歴史を踏まえたものというふうに認識してございます。どちらかというと、年長者による年少者の指導という面に焦点が当てられた取り組みではないかと思っていますが、なかよしキャンプの趣旨と内容は重なる部分もあろうかと考えてございます。  なかよしキャンプにつきましては、単純に年長者が年少者を教える、教育をするというような仕組みにしていくことは考えてございませんけれども、異なった年齢、あるいは異なった学年の子どもたちが交流し、相互の成長に資する事業として、郷中教育の取り組みも参考にしながら、効果的なプログラムの開発であるとか、今後の展開などについて検討してまいりたいと考えてございます。 ○山田一仁 委員長  以上で、第1項 教育委員会費中関係分等の質疑を終了いたします。  以上で、本日の質疑を終了いたします。  次回の委員会ですが、10月23日午後1時から、消防局、危機管理対策室、市民まちづくり局のうち、都市計画部及び総合交通計画部関係の質疑を行いますので、定刻までにご参集ください。  本日は、これをもちまして散会いたします。     ――――――――――――――       散 会 午後7時5分...