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平成23年第二部決算特別委員会−10月18日-04号
平成23年第一部決算特別委員会−10月18日-04号

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  1. 札幌市議会 2011-10-18
    平成23年第二部決算特別委員会−10月18日-04号


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    平成23年第二部決算特別委員会−10月18日-04号平成23年第二部決算特別委員会  札幌市議会第二部決算特別委員会記録(第4号)               平成23年(2011年)10月18日(火曜日)       ―――――――――――――――――――――――――――――――――― ●議題 付託案件の審査 ●出席委員 33人     委 員 長  芦 原   進      副委員長   小須田 悟 士     委   員  勝 木 勇 人      委   員  高 橋 克 朋     委   員  村 松 正 海      委   員  長 内 直 也     委   員  村 山 秀 哉      委   員  佐々木 みつこ     委   員  飯 島 弘 之      委   員  川田 ただひさ     委   員  小 竹 知 子      委   員  こじま ゆ み     委   員  伊与部 年 男      委   員  川口谷   正     委   員  福 士   勝      委   員  小 野 正 美     委   員  大 嶋   薫      委   員  恩 村 一 郎     委   員  桑 原   透      委   員  峯 廻 紀 昌     委   員  しのだ 江里子      委   員  山 口 かずさ     委   員  中 村 たけし      委   員  植 松 ひろこ     委   員  涌 井 国 夫      委   員  阿知良 寛 美     委   員  福 田 浩太郎      委   員  丸 山 秀 樹
        委   員  井 上 ひさ子      委   員  坂 本 恭 子     委   員  小 倉 菜穂子      委   員  松 浦   忠     委   員  金子 やすゆき       ――――――――――――――――――――――――――――――――――       開 議 午後1時 ○芦原進 委員長  ただいまから、第二部決算特別委員会を開会いたします。  報告事項でありますが、伴委員からは、こじま委員と交代する旨、届け出がございました。  それでは、議事に入ります。  最初に、議案第2号 平成22年度札幌市病院事業会計決算認定の件について質疑を行います。 ◆小倉菜穂子 委員  私は、新パワーアッププランの進捗状況についてと、放射性同位元素事故対策について、簡潔に質問いたします。  初めに、新パワーアッププランの進捗状況についてです。  2010年度決算では、市立札幌病院がこれまで取り組んできた小児周産期救急医療が評価され、診療報酬の点数が引き上げられたことなどから経営の改善が図られており、パワーアッププランの成果もあったものというふうに考えております。今後も、多数の診療機関が存在する札幌市における公立病院としての役割を明確にしながら、市民が誇れる質の高い医療を地域に提供することが強く求められております。  近年、医療の技術革新は目覚ましいものがありますが、医師不足と言われる中、難易度の高い手術もふえていることや、入院患者の回転を速くすることなどは、医療関係者にとっては負担増であり、医師や看護師など医療従事者を継続的に確保することは大変重要な問題となっております。社会保障審議会の基本方針においても、病院勤務医の負担軽減、医師の勤務環境の改善が重点課題の一つとされております。そのためにも、医師の臨床研修として多くの研修医を受け入れることで長期的な医師確保につなげていくとともに、臨床研修病院としての役割を果たすことが求められているところです。  そこで、3点伺います。  1点目の質問ですけれども、定員に対して欠員となっている診療科の医師の補充や、来年度から静療院成人部門の本院統合もあることなどから、医師の確保は重要というふうに考えますが、現在、その状況はどのようになっているのか、伺います。  2点目として、プランの目標では臨床研修医受け入れ人数を50人としておりますが、この間、どのように取り組み、現在、どういった状況にあるのか、伺います。  そして、もう1点ですが、その一方で、病院を取り巻く環境は依然として厳しく、診療報酬の改定や医療保険制度の見直しなど常に大きく変化しており、また、診療情報管理など医療事務のさらなる複雑化が想定される中、新たに病院に配置された事務職員が専門知識を習得しても短期間で病院以外へ異動になることが大きな課題です。  そこで、3点目に、プランにも検討するというふうに明記しているように、一層複雑化する病院事務に、病院独自の専門職員の配置に積極的に取り組むべきというふうに考えますけれども、検討状況の方はどうか、その3点についてお伺いいたします。 ◎江本 経営管理部長  まず、医師の確保状況についてお答えいたします。  パワーアッププラン策定後の平成21年4月に医師定数を13名増員いたしまして、23年10月現在では142名の医師を確保しております。大学講座の協力を得て医師派遣を受けておりまして、一部診療科で欠員のところもありますが、全体としては一定数の医師確保を実現しております。今後につきましても、引き続き、安定的な医師の確保に努めてまいりたいと考えております。  次に、研修医の確保に向けましては、報酬の引き上げ等の処遇改善を図るとともに、ホームページの診療科紹介研修プログラム等を充実しまして、研修医が選択しやすい環境づくりに取り組んできたところ、1年目の臨床研修医については、過去、定員を割った年もありましたが、平成23年度につきましては、16名を採用するなど、後期研修医を含めた研修医全体で44名を受け入れております。また、24年度採用者に係る募集及び試験を実施したところ、25名の応募があり、今年度並みの採用を目指しているところでございます。1年目の臨床研修医から選ばれる病院であり続けることが長期的な医師の確保につながっていくものと考えておりますので、引き続き、研修医の確保に努めてまいりたいと考えております。  次に、3点目でございます。  病院を取り巻く環境は、診療報酬改定医療保険制度の見直しなど、常に大きく変化しております。これらの動向に確実に対応できる専門性の高い事務職員の育成、確保が急務となっております。このため、プランにも上げましたとおり、病院独自職員の配置等を検討しておりましたが、診療報酬、それから診療情報管理、経営支援など、高度な専門性が求められる医事業務部門を中心に病院独自職員の導入はぜひとも必要であるとしまして、現在、採用配置に向けて関係部局と具体的な協議を進めているところでございます。 ◆小倉菜穂子 委員  医師の確保について、人数を上げながらの説明をしていただきました。本当に医師の確保が難しいということを私たちもずっと耳にしておりますけれども、そんな中でも、この間、少しずつふえてきたのかなと思います。  そして、研修医のところでは、最初の年に比べれば少しずつ応募もふえてきたという現状もありますので、しっかりとお仕事の方、現場の方につないでいっていただきたいというふうに思っています。  そして、3点目の病院の事務についてですけれども、ぜひ、こちらの方も積極的に進めていただきたいというふうに思いますが、将来、導入された後というのは、長くその病院で働いていただくことが大変重要ですので、採用された暁にはその育成にもしっかり力を入れて取り組んでいただきたいというふうに思っています。  そしてまた、公立病院が地域で存続し続けるためには、当然ながら、医療を必要とする市民の方に、市立札幌病院を選択していただかなくてはならないというふうに思っております。そういった意味では、質の高い医療に加えて、この間、病院のコンシェルジュの配置であるとか、患者が外来などの待ち時間を少しでも有効に活用できるようにと、患者用の図書コーナージェントル文庫の開設などに取り組まれてきたことは重要だというふうに思っています。  そこで、質問ですけれども、病院は患者を迎える施設であることから、患者アメニティーについてはさらに充実をすべきだというふうに考えますが、今後の取り組みについて伺います。  また、先ほど医師の人数などを教えていただきましたけれども、決算の中の一番後ろのページの方で見ますと、現在、医師や看護師など1,000名以上の方がお仕事をされている、そして、非常勤や臨時職員の方、また、10月1日現在では、登録者数としては511名の委託業務職員の方々から成り立っている、そういうふうに働いている方の数を把握しています。給食業務であるとか診療事務など、さまざまな場面で委託業務の職員の方が働いておられて、こうした方々によって病院経営が支えられているのだなというふうに思っています。診療に関するデータの整理などといった大変重要なお仕事もされているなど、その責任は大変重いとも感じています。  本市においても今年度中には公契約条例が策定されることになっており、今後、条例の適用範囲、労働者の範囲、賃金水準の設定などについて議論が必要というふうに考えますけれども、大切な患者への質の高い医療提供のためにも、労働環境の改善が必要です。こういった委託業務職員の働く環境を含め、病院関係者全体の待遇の改善が急がれるところです。  そこで、先ほどのこととあわせて伺いたいのですけれども、正職員のほか、委託業務職員も含め、さまざまな職員が配置されておりますが、職場環境の改善については、今後、どのように取り組んでいこうとされているのか、この点についても伺いたいと思います。 ◎江本 経営管理部長  患者アメニティー職場環境改善についてでございます。  患者などの病院利用者へのサービス向上を図るとともに、職員の勤務環境向上にもつながるものの一つといたしまして、院内に喫茶コーナーを設置することを予定しております。現在、平成24年度の設置に向け、より多くの方が快適に利用できるよう、出店方法や設置後の運営方法などについて検討を進めているところでございます。(発言する者あり) ○芦原進 委員長  答弁が違ったのですか。  小倉委員、もう一遍、申しわけありません。 ◆小倉菜穂子 委員  患者アメニティーのことと、その後にお話ししました、病院における委託業務職員を含む病院関係者全体の待遇改善ということについて、あわせてお伺いしたいというふうに思って再質問いたしました。 ◎江本 経営管理部長  その件につきましても、必要に応じて改善を図ってまいりたいというふうに考えております。 ◆小倉菜穂子 委員  もちろん必要に応じて改善を図っていくことは当然のことだと思っておりますけれども、その前も、たくさんはお話しできませんでしたが、10行ばかりの文章を読み上げさせていただきました。ぜひ、正職員の方、ほかの方々も含めて、少しずつ、本当に地道かもしれませんけれども、安心して働ける職場をつくっていくことが、患者が安心して病院に足を運ぶ、そこで診ていただきたいということにつながると思いますので、今は大変簡潔な答弁でありましたが、私は、そこのところは中身が深いのだということでしっかりと受けとめたいというふうに思っております。  今の答弁を受けたということで、最後に申し上げますけれども、冒頭申し上げました昨年度の決算は好転していると拝見しています。黒字も出ているのだというふうに思っています。ですから、そういったお金を職員の待遇改善にきちんとつなげるような形で、今後、取り組んでいただきたいというふうに強く思います。今後の委託のあり方はまた十分検討されていくのだと思いますけれども、ぜひ、委託の職員だけではなくて、すべての職員の方が自信を持って働くことのできる、そうした職場環境をしっかりと整備していただく、実現していただくことを強く求めたいというふうに思います。  こちらについては、一応、ここで質問は終わりたいと思います。  もう1点ですが、難しい言葉ですけれども、放射性同位元素等事故対策について伺いたいと思っています。  この間、地域防災計画などの見直しが札幌市でも始まるということがあって、その中で札幌市に幾つかある計画を目にしてきたところです。そして、放射線というのは、少量であってもしきい値はなくて、人体の遺伝子を傷つけるということから、管理などにおいては徹底した安全性の確保が求められることは言うまでもありません。現在、私たちの身の回りでは医療目的の放射線が治療に活用されておりますが、高度医療を実現し、人命を救助するものとして大変重要である反面、その扱いには最大の徹底した管理が求められております。  手元の資料では、私の見たものは少し古いのですが、2002年時点で、札幌市内の許可届け出登録数は、教育機関、研究機関、医療機関、民間機関、その他合わせて103カ所、そのうち医療機関は45カ所となっております。札幌市内において放射線障害が発生、また、発生のおそれがある事態となった場合には、市民の生命と財産を守るための予防対策及び応急対策、復旧対策が講じられなければなりません。そのために、札幌市地域防災計画事故対策編のうち、放射線及び放射性物質に係る災害対策について、放射性同位元素等事故対策計画が策定されています。阪神・淡路大震災における放射性同位元素等取り扱い施設の被災状況は、容器の転倒、溶液が漏えい、壁に亀裂などが38施設等であることからも、今後、本市においても、事故や災害などさまざまな事態への対策に日ごろから取り組むことがより一層求められているというふうに思います。  そこで、1点だけ質問させていただきたいのですが、放射性同位元素等事故対策計画においては、取り扱い施設による管理体制の明確化はもとより、災害訓練などの必要性を定めています。今後、地域防災計画の見直しにおいては、新たな要請もあるかもしれませんけれども、この間、放射線の管理や放射性同位元素等事故対策に定める災害訓練等にどのように取り組んできたのか、また、今後、どのように取り組もうとしているのかについてお伺いいたします。 ◎佐野 病院局理事  当院では、放射線障害防止法に基づく放射線障害予防規定を定めており、事故発生時の連絡体制など適切な処置を速やかに実施できるよう管理体制を定めたところであります。また、原子力発電所などでの事故を想定した訓練については、北海道の指定を受けた札幌医大や北海道がんセンターなどで行っており、当院はまだ指定を受けておりませんが、地域防災計画の見直しなどによる要請があれば必要に応じた協力をしてまいりたいと考えております。 ◆小倉菜穂子 委員  実際に医療機関に保有されているものは大変少量というふうに伺っております。けれども、何分、私なんかもそうですけれども、多くの市民には、通常、そうしたものがどんなふうに管理されているかとか、どんなふうに扱われているかというのはよくわかりづらい部分でもあります。  今のお話にもありましたが、地域防災計画などの中で、これからそうした病院に指定されることもあるのかもしれないということでした。さきにお話ししたように、これからは大きな災害のときのこともいろいろ想定しながら、今後も、徹底的な管理、そして災害時の対策に努めていただくよう求めたいと思います。  そして、管理体制というところですが、災害訓練というのは、泊とかで起きたときに、そうしたところで被災された方をどういうふうに受けとめるかということで今ご答弁があったように思いました。ただ、実際に札幌市自体が大きく被害を受けるようなときには、先ほど阪神・淡路大震災のことがありましたが、そこから漏れ出たりとか、その病院自体が壊れたりすることもあるように聞いていますので、ぜひ、そうしたことも今後の想定の中でしていただければと改めて求めておきたいというふうに思います。 ◆松浦忠 委員  私は、まず、患者から寄せられている医療にかかわる意見の問題、それから、事務関係の問題、人事関係の問題、この3項目について質問いたします。  そこで、委員長、ちょっと分野が違うので、一つずつ整理してやっていきたいと思います。  まず、医療関係でありますけれども、市立病院の日常の業務の執行体制の中で、患者から、これはこう改善してくれたらいいなという意見として私に一番寄せられているのは、実は画像診療の関係であります。診察して、CTだとかMRIだとかいろいろ画像診療を受ける。そうしたら、その日はそれで帰る、そして、後日、間を置いて、また画像診療の結果を聞きに来る、今はこういう仕組みでやっております。ただ、患者は、例えば、がんの疑いがあるとか、あるいは、何か重篤な病気の疑いがあるといった場合に、来てその判定結果を聞くまで、気持ちの上で非常に心配が増して精神的に不安定な状況になる、そこで、それらの画像診療の結果を即日にきちっと出して判断をいただいて帰ることができないのだろうか、こういう声が多く寄せられております。一方、それでは民間病院でどうだろうかと。北海道でも、例えばがんの手術など、部門によっては全国屈指の患者を扱っている病院などに聞いてみますと、大体、即日に画像診療の結果も全部出して、あなたはこういうことだからこういう治療方針でやりましょうというような答えがもらえる、その差はどうしてなのだろうかと、こういうような疑問が寄せられております。  私は、やっぱり、画像診療について、いろいろな要因はあろうかと思うけれども、即日でできるような方法をぜひとるべきだと思うのですけれども、この点についていかがでしょうか。これが1点目です。  それから、医療関係の2点目は、リハビリの関係です。  健常者が脳卒中なり、あるいは脳梗塞などになって機能障がいが残るといったときのリハビリです。いろいろな方法がとられると思うのですが、一つは、人為的な力を加えて機能を回復させるという方法ですね。これは、ある一定の、できるだけ早い時期にそういうことを始めなければ固定してしまうと一般的に言われていました。しかし、実は、ここ1カ月ぐらいのうちのことですけれども、ある放送局で、鹿児島医大附属リハビリセンターの先生がアメリカに留学して、アメリカでやっている治療などを勉強してきたと。そうしたら、そんな難しいことではないのですが、今まで日本ではだめだろうと言われていたのが、本当に15分かそこらやっただけで曲がらなかった指が曲がるようになるとか、そういうようなことがあって、今、そういった関係の研修などで全国の関係の人が盛んにそこに行っていると、こんなことも放映されておりました。そこで、こういう新しいものを治療に生かす取り組みについて、どういうふうにされているのか。  さらに、特に障がいのある方には、浮力によって重力をなくす水中での機能回復訓練は大変効果があるということも言われております。そういったものなどを含めて、病院の方では、退院するときに本人並びに家族にどういう指導をし、そして、その指導結果の検証方法をどういう形でやっておられるのか、このことについてお尋ねしたいと思います。  それからもう一つは、これは病院本来の業務ではないのですが、私がことしの第1回定例会でも質問と指摘をしたのですけれども、地方公務員災害補償の関係です。補償基金札幌市支部のいわゆる支部相談医、お医者さんですね。公務災害か、あるいは、その人の体の状況によって発生したものなのかという判断をするお医者さんです。私が1定で指摘した事例については、市立病院の先生は、これは、私的なこと、その人の持っている肉体的な衰えによって起きたことが原因だという判定をされたのですが、その人は納得できずに再審を求めまして、その結果、それは公務災害であるということが認められたわけですね。  私は、1定のときにも申し上げたのですが、やはり、市立病院の先生がそれに当たるのは、例えば再審して同じ結果が出たとしても、総括予算の執行権者である市長のもとで仕事をしているということで言えば、やっぱり何となくおかしいなということを感じる。そういうことからいったら、私は、こういう仕事についてはお断りする方がいいのじゃないか、こう思いますけれども、この点について、その後、これらの結果を得た上でどう判断を持っておられるか、以上、まず医療関係の3点についてお尋ねいたします。 ◎樋口 副院長  最初のご質問で、画像診断の診断結果を当日にわかるようにしてほしい、そういうお話でございます。  委員がおっしゃるとおり、それは非常に大事なことで、我々の病院の大きな目標ですけれども、結論的に言いますと、やはり、ちょっと無理だと思います。それはどうしてかといいますと、検査する患者に比較して、画像診断医、診断する先生が少ない。今、正職員で2人しかおりませんが、それが2人である限り、膨大な患者の処理に関して即日にすぐするということは非常に難しいということです。  委員が先ほど述べられたのは白石区管内の病院だと思いますけれども、多分、外来ではうちの方の患者は4倍以上多くて、入院では3倍弱ぐらい患者の数が多いと思います。そういう中で即日やるということは、2人の先生が1日に上がってくる膨大な――この場合はCTとかMRIだと理解しますが、それの診断をするということは――診断の場合、何よりも一番重要なのは正確な診断です。がんを見逃しては大変なことになります。そういう意味で、外来の忙しい中で主治医がばたばたとそれを読んで間違えるという危険性が非常に高まりますので、どうしてもきちっと時間をとってその画像を先生に正式に読んでいただくと。そういう意味で、日にちがどうしてもかかりまして、即日というのは非常に難しいということでございます。  ただ、例外としては、患者の命にかかわるような状況とか、あるいは、虫垂炎とか腹膜炎ですぐに緊急手術と、そういう場合には、主治医から画像の先生方に急いでこのCTを読んでくれと頼むわけですが、それは非常に特殊なケースということで、1日に何件もやることは不可能です。そういう意味で、即日にやるものに関してはできる範囲で処理をしておりますけれども、結果としては定時的に予約している患者の時間がどんどん延びておくれていく、そういう状況が毎日起こっておるわけでございます。精いっぱい努力しているつもりですけれども、当日にすべてをやるのはなかなか難しいということでございます。  これから画像の先生をたくさんふやして即日にできるようなシステムにぜひ持っていきたいなというふうに思っておりますが、今のところは夢でございます。 ◎吉田 病院事業管理者  松浦委員のただいまの質問にちょっと答弁の追加をさせていただきます。  従来、私どものCT、MRIを撮る患者につきましては、外来にいらして、そこで改めて予約をして、2週間後、3週間後にCT、MRIを撮ると。それから、2週間ぐらいして結果が出てから、またそのお話をするという経過をとっておりましたが、昨年度から、何とか院内で工夫いたしまして、来たその日にCT、MRIを撮れるような、特に緊急性のあるものについては、その日に撮れるようにという努力をさせていただいて、現在何とか撮れるようになったところでございます。  それから、診断する医師も、ただいま樋口副院長からありましたように、2人しかおりませんので、鋭意努力しているところではありますが、この医師も非常に専門医の少ない分野でございます。本当に申しわけないのですが、その先生方も毎日9時、10時までその画像を判定しておりまして、それで、当日、あるいは、遅くとも翌日にはレポートができ上がるような診療をやっていただいております。その中で頑張っておりますので、ぜひ、その点をご理解いただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  それから、リハビリの件でございます。  リハビリについては、当院は急性期病院でほぼ13日から14日ぐらいの入院でございますが、その間、なるべく早期に患者がリハビリに入るようにというふうにしております。リハビリと言いましても、非常に幅が広うございまして、作業療法士、理学療法士、それから、この数年でようやく私どもの病院で何とか定員をふやして入れることができたのですが、言語療法士など、いろいろな種類のリハビリの技師がおります。少ない人数でやっておりますけれども、急性期で入院中の期間は何とか頑張って、移っていく次の医療機関にバトンタッチするときには、当院でやった内容、それから、次にお願いしたいこと等々をしっかり記載して次の連携病院にお願いする、あるいは、近くのリハビリをやっているところにお願いするというシステムをとってやってございます。  それから、3点目の公務災害の判定の件でございます。  まだ年度内で、現在、仕事が継続している最中でございまして、それを我々の都合で勝手に辞退いたしますと業務が滞ってしまいます。ほかに幾つか更生相談所の判定とかもございまして、私どもも辞退させていただくことがあったのですが、やはり、拝み倒されてどうしても続けなければならないと。ですから、札幌市の業務が停滞しないように我々としてもできる範囲で協力しているところでございますので、また来年度の頼みがあった場合には、ただいま委員がおっしゃいましたように、私どもとしてはできるだけ辞退させていただきたいと考えてございます。  ただ、受ける医師がいないことは確かでございますので、我々の今までの経験からいっても、北大、札幌医大の先生は絶対にこんな仕事はしませんので、そうすると、いわゆる第三者的な公務員といいますか、そういう立場でこの判定ができる医師ということになりますと、どうしても我々のところに最後に頼みに来ざるを得ない状況でございますので、私としても、お断りするのが非常に難しいというのが現実でございます。この点もご理解いただきたいと思いますし、ぜひ、頼みに来る方に、頼みに行くなというふうな働きかけもしていただけるとありがたいと思います。 ◆松浦忠 委員  まず、画像診療の関係です。  過去何年か、ここ3年なり5年なりの画像を撮る平均の枚数からいって、今は2人だと。では、何人いたら即日でそれができるのか。  この分野は、確かに、私も、画像診療の担当の医師になる方というのはどういう人がなっていっているかというようなことも、それなりに何人かの経験豊富なお医者さんからの話も伺っております。そこで、絶対数が足りなくて、求人しても求人に応募してくるような状況にないのか、どうなのか、この二つについてお尋ねします。  それから、地方公務員の災害の関係の相談医ですね。これは、例えば、道庁の職員を札幌市が引き受けるとかね。医大と北大と市立札幌病院がありますね。そうしたら、やっぱり、それぞれぐるっと一回りして直接にかかわっていないところを引き受け合うとか、そういうことというのはお互いにあると思うのですよ。道だって、道の職員もいるし、いろんなそういう関係もある。国だって、それはあるでしょう。そういう意味で、私は、やっぱり、そうした方がよろしいのではないかなと思うわけであります。  したがって、そこのところは、きちっと、例えば、病院間でお互いに話し合ってそういうような体制を構築するとか、これは皆さんの仕事です。我々がやる仕事ではないのですね。したがって、そこのところについていかがか、これを再度お尋ねします。  リハビリについては、いろいろ新しい情報をどういう形で取り込んでいるのか、そういうことについてお尋ねしたいのですが、きょうはたくさんいますから、また後の機会にして、画像の1点のみにお答えください。 ◎吉田 病院事業管理者  具体的なシミュレーションはしておりません。ない財布で幾らあれば足りるのだと幾ら言われても、実際に中身がございませんので非常につらいところですが、ほぼ、現在いる人数の4倍ぐらいの人数があれば、多分、消化できることは考えられるかもしれません。  ただ、当日にレポートを書くというのは、撮れた画像に対してそれから専門医が取り組みますので、当日というのは非常に難しいかと思います。専門医でない我々の目で撮ったものを見てある程度のお話をすることはできます。例えば、骨折でありますとか、その辺のことについては、我々もその日撮れた画像で患者にお話をしていろいろな治療計画を立てます。しかし、がんの部分につきましては、先ほど申し上げましたように、過大な判断もあってはいけませんし、過小な判断もあってはいけませんので、これは、やはり専門医のきちっとした判断が必要です。それを拙速に、きょう来て、きょう撮って、きょうすぐしっかりした診断を出してというのは、今、申し上げた数があってもちょっと厳しいかと思います。  それから、求人はふやせるのかということですが、求人は出しておりますけれども、一向にございません。 ◆松浦忠 委員  この辺は、国家資格を持った皆さんがそうだと言えば、否定をする何物でもありませんから、それはそれで、まずは答えとして聞いておきます。  次に、物品の購入であります。  平成22年度に物品購入したもののうち、金額の多いもの38件の一覧表を出していただきました。そうしたら、予定価格の100%が5件あります。さらに、大体が、頭が8という数字は見当たらんね。もう大体が9で、99%だとか、そういうように限りなく100%に近い数字であります。  実は、私は、民間病院、それから国立病院機構などを調査してみました。民間病院は、同じ機器でも70%から大体95%、95%というのはまれで、大体70%、それから85%ぐらいまでで、これが札幌市内の民間病院での購入価格なのです。何でこういうふうになるのかなと。  思い起こすと、今から10数年前、桂さんが市長の時代ですけれども、本州の方で、市町村合併をして四つの市立札幌が誕生しました。そのときに、赤字の病院もかなりあったので、市長は、条例を新しくつくって、まず企業会計を導入する、そして、管理者は公募する、その管理者が経費を削減した分の何%かはボーナス、特別賞与で払うと。そうすると、1年目が終わって1億円のボーナスもらったと、これは、新聞でもテレビでも大いに話題になりましたね。  私は、どうしてこういうような高どまりの物品購入になっているのか。これを民間病院並みに下げて購入することができないのか。特に、これは、例えば一般競争入札で公募しても1社しか来ないとか、こういうのもあるのですよ。したがって、1社だけしか来ないとなれば、私はやり方がもっとあるような気がするのだけれども、その辺について、どういうような工夫をしてこれしかならなかったのか、このことについてお尋ねします。 ◎江本 経営管理部長  どのような工夫をして落札率を下げるか、それから、入札参加業者をふやすかということでございますが、現行の制度からいきまして、応札する方に働きかける方法はなかなかございませんで、公平で競争率の高い入札を期待するしか現状はないのかなと。しかしながら、こういう状況が発生するという部分につきましては、その業界の会社の数が少ないだとか、シェアの問題だとか、いろいろあるのではないかというふうには思っております。  工夫ということで今考えている部分につきましては、その告示の期間については5日以上ということがあるので、その辺で十分な時間をとっていきたいなというふうに考えているところでございます。 ◆松浦忠 委員  もらった資料で言いますと、例えば検診台、これは617万4,000円、100%なのですよ。一方、民間病院の方は70%で入っているのです。同じく一般競争入札でやっています。それから、今度、超音波画像診断装置は、市の方は99.5%なのです。民間病院は幾らで入っているかといったら、70%で入っている。あと、まだ幾つかありまして、全身麻酔装置は、462万円が453万6,000円と98.18%で入っている。ところが、民間病院の方は市立病院の予定価格に対して70%で入っています。  私は、同じ札幌市内にあって、対応する業者も同じだと思うのですよ。そして、どうして市立病院にはおまけができなくて、民間病院にはおまけができるのかなと。ここのところは、やっぱり、きちっといろいろ調査をして、例えば民間病院の動向などを調査して、その対応を相手に求めていくということをしなければ私はだめだと思うのですよ。その辺について、民間病院の機器購入などの金額などの調査をして対応したことがあるかどうか、これについてお尋ねします。 ◎江本 経営管理部長  今のお話のような調査ということは、やったことはございません。予定価格を設定する上で、参考で価格を調べるというぐらいはございますけれども、その調査はやっておりません。 ◆松浦忠 委員  先ほど、札幌における医療機器の取り扱い業者が少ないという話がありました。しかし、同じ少ない中で、民間は今言ったように3割も安いと。そうすると、当然、同じような機器を使っているような民間病院の調査をして、そして、やっぱり、1社しか応札してこぬとしても、事前に、おたくは民間病院には同じ機械をこういう値段で入れているけれども、うちの方もひとつ何とか横並びで頼めんだろうかという話をしても何も悪くないと私は思うのですよ。そういうようなことについて、なぜやらんかなんて聞いたって、やらないものはやらないし、そして、聞いたって、市の規則がこうなっていますで終わりだと思うのです。  そこで、今度は市長にお尋ねします。  今のような実態が、市立病院の物品調達などを含めた事務方の実態なのですよ。私は、民間病院であの病院は経営がいいなという病院などを幾つか調べてみまして、お医者さんが一生懸命に診療に当たっているということは、僕は市立病院も民間病院も変わらぬと思っているのですよ。それには甲乙はないと思っています。やっぱり、その経営管理をする事務方の差だなと思っているのです、事務方の。やっぱり、私は、そういう意味からいったら、今の札幌市の人事における期間を切っての異動の仕方、こういう人事では病院のような特殊な企業会計のところはだめだと私は思うのですよ。  したがって、例えば、担当者から病院に入ったら、最低2人ぐらいはずっと病院の中で係長に上げ、課長に上げ、連続でなくてもいいですけれども、そのうちの1人は、1回置きぐらいでもいいですから、経営管理室長、いわゆる理事に上げていく、こういう仕組みをつくって、彼がいれば病院のことは隅々わかると。例えば、先生なんかでも、いろいろなことでこういう新しいものがあるけれども、買いたいなというときに、彼に相談したら経営的にこういうことでいろいろな知恵を出してくれるとか、やっぱり、そういう人がいなかったらできないと僕は思うのです。  そういう意味で、私は、企業会計にして院長を管理者にして任せるだけではなくて、そういうバックアップ体制を市長がきちっととらなければ、病院の院長は法律的には管理者だといっても、僕はそこまではなかなか手が回らぬと思うのです。現実に、院長先生もやっぱり診察にも出ておられるし、総回診もされる。いわゆる医者として医療にも従事されているわけですから、そういう点について、私は、市長にぜひそのことを求めたいのですけれども、いかがでしょうか、市長。 ◎上田 市長  病院の人事の問題につきましては、非常に専門的な分野でもありますので、医療の分野につきましては、もちろん、いろいろ工夫をして最善の医療を提供するということで、医療技術者、お医者さんを初め、コメディカルといいますか、広範囲な医療関係者が最も合理的な形で働けるようにということで、最も医療に通じる方に管理者になっていただくという方針をとって、この間、来たわけであります。この体制をバックアップする事務方、この専門家といいますか、そういうものを目指すべきだというご提言でありますけれども、私も非常に重要な視点だというふうに思います。ただ、そういう視点で、今、経営管理室長以下、事務職員には札幌市のさまざまな経験を積んだ者がつかせていただいている状況にございます。それを、さらに、ご趣旨の物品購入の落札において、民間の落札というのがどうなのかよくわかりませんけれども、いろいろなものを比較対照して最も効率的にできるような、そういう知恵が働くといいますか、工夫ができる、そういうスタッフになれるように、さまざまな形で人材を育てていくことについては本当に前向きに検討させていただきたい、このように思います。 ◆松浦忠 委員  市長、市長も8年間おやりになって、実態はよくおわかりだと思うのですよ。これは、もう早速、来年の春から、院長とも相談して、ぜひひとつやっていただきたい。今いる中にも適した人がいると思うのです。  ただ、どこの組織でもそうですけれども、やっぱり、ためになると思って今やっていないことにちょっと手を出すと、周りから褒められるのでなくて、裏に回って、あいつ、余計なことをするために我々が苦労せにゃいかんと。こういうことで結果的にそこから外されていくという人事は、市長が就任されてからも、この本庁の中でも私はかいま見ています。したがって、ここは、本当にきちっと市長の方で本腰を入れてやっていただきたいということを僕は市長にぜひ求めて、終わります。 ◆佐々木みつこ 委員  私からは、市立札幌病院のがん診療連携拠点病院としての今後の取り組みについて、数点お伺いします。  昨年の第3回定例市議会の代表質問にて、私からこのことについて3点質問し、がんの地域連携パスの普及拡大、外来化学療法室の拡充及び高度医療機器の導入に努力するなどのご答弁をいただきました。きょうは、その続きをお伺いしたいと思っております。
     がんは、国民の2人に1人がかかると言われる病気ではありますが、がんの研究や医療技術の進歩とともに、予防、根治が可能なものとなってきております。がん治療のうち、抗がん剤治療については、在宅医療の向上により、ご自宅でがんを治療したい患者もふえています。安心して在宅で治療を行うには、病院、地域のかかりつけ医、訪問看護ステーション、介護事業者などの緊密な連携による支援が欠かせません。これには、急性期から維持期まで、切れ目のない治療を受けるための診療計画及び幅広い職種の共通言語であるがんの地域連携パスが有効であり、地域全体で患者の病状に合わせた対応が見えるようになり、患者と家族が安心して家にいながら治療できるすぐれたツールであると思います。  さきの議会でのご答弁では、5大がんに関する地域連携パス適用を準備しているというところであったと伺っておりますが、そこで、質問です。  現在の5大がんの地域連携パスの進捗状況はどのようになっているのか、また、今後、連携パスの拡大に向けてどのような見通しを持っているのか、お伺いします。  引き続き、外来化学療法室についてお伺いします。  さきの議会答弁では、院内のスペースを勘案しながら整備を行いたいと伺っております。現在、がんの治療は、生存率も高まっていますが、一方で、治療は個別化、長期化しており、入院治療のみでは患者の精神的、経済的な負担も大きくなっております。外来化学療法は、入院によらず治療できるため、治療が長期化している患者の生活の質、いわゆるQOL向上に有効なものと考えます。外来化学療法は、全国的にも広がってきており、抗がん剤や化学療法の経験を積んだ医師及び看護師の増加にもより、患者のニーズの増加とともに入院によらない患者管理体制の整備が急務とも考えられます。  そこで、質問ですが、市立札幌病院の外来化学療法室は現在7床で運用していると聞いていますが、今後、外来化学療法室のさらなる整備、増床などを具体的にどのように進めようとされているのか、伺います。  続いて、高度医療機器の導入についてです。  北海道、道央のがんの中核病院の市立札幌病院は、拠点病院として、がんの早期発見に有効なPET−CTや精度の高い治療に必要な強度変調放射線治療機の導入に努めるとのご答弁でした。  質問ですが、これらのがん診療に関する高度医療機器の導入について、現在どのように進んでいるのか、お伺いいたします。 ◎晴山 病院局理事  まず最初に、地域連携パスについてお話ししたいと思います。  5大がんの地域連携パスの進捗状況ですけれども、北海道がん診療連携協議会が5大がんの地域連携クリティカルパスを作成しており、札幌地区のパスの運用につきましては、市内の八つのがん診療連携拠点病院で調整を行い、医師会会員への説明を経て、8月の末までにこの八つの拠点病院と28の医療機関が連携届けを行っております。  当院の10月現在の連携状況ですけれども、これら28施設のほか、個別に連携しました医療機関を加えて42施設と連携関係を結んでおります。また、パスの運用については、ほかの病院では実績がないと聞いておりますけれども、当院では、肝臓がんのパスを1例適用したところでございます。  次に、がんの地域連携パスの今後の拡大に向けた見通しですけれども、現時点では、連携パスの適用症例が極めて限定的なことや、がんという疾患の特徴から患者ご自身が医療機関がかわることに対する不安が強いことなどから、拡大には時間がかかるように思われます。  当院といたしましては、当面、がんの診療連携を結んでおります医療機関からご紹介をいただいた患者に対しては、パスの使用を積極的に進めて診療に当たってまいりたいと考えております。 ◎江本 経営管理部長  私から、外来化学療法室の整備とPET−CTの導入についてお答えさせていただきます。  現在、化学療法室では、1日平均で10人以上、最大で17人程度の患者に対応しており、今後、外来での化学療法対象患者が増加する見込みでございます。したがいまして、現在の7床に加えて、10床程度の増加を見込んだ病床数へ拡充整備を行いたいと考えております。具体的な整備案としましては、3階外来棟東ゾーンにあります現在の精神科診療室を移設後、その後利用として化学療法室の増設を図るほか、薬剤のミキシングルームも設置する予定でございます。  当院としても、外来化学療法室の拡充は大変重要であると認識しておりますので、平成24年度のできるだけ早期に整備を進めてまいりたいと考えております。  次に、PET−CTの導入については、院内で検討を重ねておりますが、自由診療であるがんのPET検診をかなり行った上でようやく採算ベースに乗るとの見込みを得ております。現在、札幌市内には、PET検査を行う医療機関が北大、札幌医大、北海道がんセンターなどのほか、承知している範囲で5カ所ほどございまして、検査専業のところもあり、患者の需要に対して8カ所と十分足りている状況であり、当院としてもPET検査で困っている状況ではございませんが、今後とも導入については検討を続けてまいりたいというふうに考えてございます。 ◆佐々木みつこ 委員  患者の気持ちから言いますと、地域とか自宅により近いところで長くかかるがんの治療を受けていきたいという気持ちもあると思いますので、連携パスとか外来化学療法室の整備、運用をぜひ積極的に続けていただきたいと思います。  また、PET−CTについては、今のところ足りているというご答弁もございましたが、現在、市立札幌病院での新規のがん患者は年間1,000人と伺っています。確かに、PET−CTの導入には高額な費用がかかりますが、私が人件費、機器導入費用及び改修費をざっと計算したところ大体2億円かなと試算しておりますけれども、その費用は1日6人の検査で月120件あったとして6年で黒字になる計算が成り立つかなというふうにも思っております。十分に採算ベースにも乗るのかなと思いますし、何より拠点病院として必要な検査もできる状態にあるということは、患者の安心のためにも、お医者さんの診療のためにも必要なことではないかと考えます。ぜひ、整備計画を積極的に検討していただきたいと、ここは指摘しておきます。  最後に、院内がん登録2008年全国集計についてお伺いします。  国立がん研究センターから、ことしの7月に、院内がん登録全国集計が公表され、初めて連携拠点病院ごとのがん登録の状況が明らかにされました。これは、2008年の1年間に全国359施設、42万8,196件の情報を収集し、全国のがん疾患の6割をカバーしていると言われており、これにより、拠点病院間のがんの種類や治療の方法の差が明らかになり、実態をある程度つかむことができました。この差については、国立がん研究センターでは、目的を、いい、悪いではなくて、それぞれの地域の施設によって得意な治療法が違うということととらえ、情報公開によって、がん治療の均てん化につなげたいとしております。今後、がん登録がさらに充実すれば、自分に合った治療を家の近くで受けるにはどの病院に行ったらよいかなどの判断基準になり、気軽に、例えば携帯などのネット検索で調べることができれば、それぞれの病院も治療に関する努力、研究に励むなどの切磋琢磨が進むことと思われます。  そこで、質問ですが、これらの地域別医療機関ごとに公表されたがん登録データをどう評価し、今後どのように活用しようと考えているのか、お伺いします。 ◎晴山 病院局理事  拠点病院のがん登録データ公開に対する評価でございますけれども、本年、平成20年全国集計結果について、初めて拠点病院別のデータが公表されました。公開された腫瘍登録数を北海道内について見ますと、道内の約半分が札幌市内6施設に集中し、当院は道内の約5.5%を占めております。腫瘍別に見ますと、当院は、肺がん、胃がん、大腸がんなど、患者数の多い件数割合については全国平均とほぼ同様でございました。また、婦人科、泌尿器科領域と甲状腺、悪性リンパ腫などの占める割合が全国平均よりも高くなっております。  今後も、引き続き、公表されるデータを全国や市内の医療機関と比較、分析を行いまして、当院の北海道におけるがん治療の役割を確認するとともに、がん治療の質の向上に努めてまいりたいと存じます。 ◆佐々木みつこ 委員  ぜひ、市立札幌病院には、がん拠点病院としてのリーダーシップを発揮していただき、治療のレベルアップももくろみながら地域の医療機関との連携をさらに進めていただくことを求めて、質問を終わります。 ◆山口かずさ 委員  私からは、病院事業の2010年度決算の状況について、病床利用率向上について、周産期医療についての3点をお伺いいたします。  まず最初に、2010年度決算における診療報酬改定の影響等についてです。  2010年度診療報酬改定では、小児、周産期、救急、外科の手術料の適正な評価、そして、病院勤務医の負担軽減などを重点項目とし、特に、地域の中核病院などに手厚い改定になったと聞いています。全国自治体病院協議会が先日発表した各自治体病院の2010年度決算見込み額報告によると、黒字病院が大きく増加し、赤字病院の数を上回っており、特に、500床以上の病院では、赤字病院の比率が2009年度の45.8%から16.9%と28.9ポイント減となり、大幅な改善がなされています。今回の札幌市病院事業会計決算書を見ると、5億9,400万円余りの黒字と、予算と比べると約12億円の好転となっており、特に、診療報酬を中心とした医業収益が8億円を超える増収になるとともに、経費、費用も7億円を超える不用額を出しています。  病院事業については、我が会派では、これまでも経営改善に向けての提言や財政支援を求めてきたところであり、診療報酬改定の影響は大きいと思いますが、病院事業のさまざまな取り組みにより、移転新築以来、初めて黒字決算となった意義は大きいと評価しています。  そこで、今回の黒字決算に当たり、質問いたします。  2010年度は診療収益が大幅に増加していますが、診療報酬改定の影響を明らかにしてください。また、収支も大きく改善していますが、診療報酬改定以外にどのような収益増があるのか、また、経営改善に対してどのような取り組みを行っているのか、お伺いいたします。  また、2010年度改定の方向性は、10月5日の中央社会保険医療協議会の総会で、2025年まで継続し、入院医療の機能分化、外来医療の役割分担、在宅医療の充実という三つの視点から示されていることから、これをもとに、今後の病院運営に対する長期的な方向性が必要であると思います。  そこで、質問いたします。  病院局は、今回の診療報酬改定をどのように評価しているのか、そしてまた、今後も継続されることとなった今回の改定の方向に対してどのように対応していくのか、お伺いいたします。 ◎江本 経営管理部長  まず、1点目の診療報酬改定の影響額についてでございますが、平成22年度決算における診療報酬改定の影響などについてでございます。  報酬改定率は、全体として0.19%のプラス改定となり、引き上げとなった主な内容は、委員のおっしゃるとおり、救急、産科、小児、外科等の医療の再建、病院勤務医の負担軽減を重点課題として評価されております。  平成22年度の本院の収益状況でありますが、入院収益で130億2,900万円、対前年比で11億8,700万円の増、外来収益で54億9,900万円、対前年比で2億5,400万円の増、合計で185億2,800万円、対前年比で14億4,100万円の増加となってございます。このうち、今回の診療報酬改定の主な影響でございますが、難易度の高い手術の評価によりまして約3億6,200万円、救命救急、小児、周産期医療などの政策医療の分野が評価されたことにより1億2,300万円、次に、DPC関連の見直しで8,400万円、その他見直し評価によりまして7,800万円、合計で6億4,700万円の増収となったものでございます。  次に、診療報酬改定以外の増収要素でございますが、入院収益では、DPCに対応した平均在院日数の短縮などによりまして入院単価の増と手術室の効率的運用による手術件数の増加、外来収益では、外来化学療法やリハビリの実施件数の増加によりまして増収があったものでございます。また、助産料などの自主料金の改定によりまして3,300万円余りの増収もございました。さらに、経費面でも、清掃、警備を含む建物総合管理業務への移行など、委託料などの見直しを行うとともに、薬品、医療材料等は使用量とともに増加しておりますけれども、薬品については、後発医薬品の購入を積極的に進めまして3,100万円を、医療材料につきましては、購入価格の交渉を行いまして1,400万円余りを節減するなど、事業執行の効率化に努めてきたところでございます。  次に、今回の診療報酬改定をどのように評価しているかということでございます。  平成22年度の改定は、市立札幌病院が、不採算と言われ、これまで政策的医療として取り組んできた小児、周産期、救急医療等が評価されまして診療報酬点数が引き上げられたこと、特に、新生児・小児医療については、当院の医師、看護師等の体制による入院料が評価され、増収となっております。また、年間7,000件を超える手術を行い、特に、がんなど難易度の高い手術が多いことから、手術手技料の引き上げにより増収となっており、ようやく診療報酬の適正な評価が始まったと考えております。  さらに、これまで患者のために地道に取り組んできました医療安全、感染管理の体制や、医師、事務作業補助者の配置など、勤務医の負担軽減に対して診療報酬上で一定の評価がされ、それぞれの対応について財源的裏づけが得られたものと考えております。当院のこれまでの取り組みがあってこそ、今回の改定を確実に受けとめ、経営改善につなげることができたものと評価しております。 ◎吉田 病院事業管理者  今後の改定の方向に向けての対応でございます。  ご指摘のとおり、10月6日の中医協の総会で、社会保障・税一体改革案に基づき、2025年までの診療報酬改定の方向性が提示されております。ここでは、従来の基本方針を継続するほか、病院・病床機能の分化、強化と連携、在宅医療の充実などが改定の課題として示されております。特に、病床機能につきましては、高度急性期病床など新たな区分が示されるとともに、地域の基幹病院の一般外来を縮小するなど、今後の当院の運営に大きな影響をもたらす方向性が示されております。また、改革案では、医師、スタッフ数を2倍にふやすとされているところでございますが、これまでも急性期医療の提供を行う病院を志向してきました市立札幌病院といたしましては、今後とも、良質、安全な急性期医療を行うために必要とされる医師、スタッフ等の増員を図りながら、地域の医療機関と連携し、市民の健康、生命を守るために努めてまいりたいと考えてございます。 ◆山口かずさ 委員  2010年度の診療報酬改定が、市立札幌病院のこれまで取り組んできた政策医療などを評価し、大幅な増収となったことは大いに評価したいと思いますが、健全で安定した病院経営のため、一層の経営改善をお願いしたいと思います。また、国の2025年までの診療報酬改定の基本方針に対して、今後とも、市民の健康と安全を守る病院として急性期医療を担っていくとのことでありますので、その役割を果たすことを期待しています。  次に、病床利用率の向上について伺います。  2010年度は大きく黒字となったものの、病院事業にはまだまだ課題も多いと考えています。市立札幌病院では、2011年4月から、病床を46床削減し、764床で稼働していますが、市立札幌病院本院の収入のうち入院収益は約7割を占めており、ベッドをうまく運用してこそ多くの収入を得ることができるのではないかと思っています。患者や地域の医療機関から選ばれる病院となってこそ、入院患者の増加が得られるのではないでしょうか。  2010年度決算では、本院の入院患者数は前年度から横ばいで、病床利用率は77.5%にとどまっており、改定等に伴う単価増で入院収益は増加しているものの、やはり、入院患者の増加により病床利用率を上げることと入院日数のバランスをとることが今後の経営には必要です。  そこで、現在の病床利用率、平均在院日数はどのように推移しているのか、また、現状をどのように考えているのか、お伺いいたします。  また、病床利用率向上のためにどのような対策を講じているのか、あわせてお伺いいたします。 ◎江本 経営管理部長  病床利用の現状とその向上対策につきまして、2点お尋ねいただきましたけれども、あわせてお答えさせていただきたいと思います。  当院では、平成20年度より、待機患者の早期入院を促進することを目指して、病床コントロールの一元化を行い、病床の効率的な運用に取り組んでまいりました。その結果、本院の一般病棟における年度ごとの平均病床利用率は、20年度は81.3%、21年度は82.4%、22年度は83.2%、23年度8月末までは、病床削減の影響もありますが、86.2%と増加しております。  一方、平均在院日数は、20年度14.4日、21年度13.9日、22年度13.9日、23年8月末までは13.8日と短縮傾向にございます。これは、現在、DPCの環境下にあり、疾病ごとに標準的な在院日数が定められていることから、それに向けて提供する医療内容の見直しや効率化を図った結果、在院日数の短縮につながったものと考えております。  また、委員のご指摘のとおり、病床利用率を向上させることは、収益を上げる大切な要素でございます。より多くの患者に短期間でむだなく入院治療していただくことが最も効果的であると考えられます。そうした中で、入院期間の短縮に伴う新入院の患者の確保が大きな課題の一つとなっております。  そこで、病床利用率の向上対策として、入院患者の確保に向けて、当院では、地域の医療機関との連携を強化し、紹介率の向上を目指しております。また、看護部に業務担当部長を置いて病床管理を徹底し、各診療科の臨時入院等の際の病床確保を弾力的に行い、入院指示に確実にこたえる体制をとっております。こうした取り組みによって、今後とも、DPCに対応した病床運営を図って、新入院患者数の増加と入院収益の確保、増収を図ってまいりたいと考えております。 ◆山口かずさ 委員  平均在院日数は短縮傾向にあるものの、病床削減後の病床利用率が86.2%と、目標の90%にまだ達しておらず、さらなる利用率を高める努力が必要と思います。今、行っている紹介患者の増や、病床管理を強化してパワーアッププランの目標を達成していくべきと思いますので、黒字に油断することなく、利用率向上に向けた取り組みを一層強化してください。  最後に、周産期医療について伺います。  2010年度改定の重点項目にも上げられていますが、市立札幌病院が担ってきた重要な役割の一つに周産期医療があります。現在、札幌方式と言える情報センターがうまく機能していますし、救急情報センターも全疾患に対応したものになると聞いています。市立札幌病院の周産期センターは、札幌圏における周産期医療の中核機関としての役割を果たしており、緊急の母体搬送も多く、早産等による低出生体重児や病状の急変した院外出生新生児の受け入れ依頼も多いと伺っています。  そこで、周産期センターの現状について、2010年度の産科の母体搬送依頼受け入れや分娩数はどうですか。また、院外出生児の受け入れ状況と、新生児部門の患者の入院期間や退院の状況はどのようになっているのか、お伺いいたします。 ◎江本 経営管理部長  1点目の母体搬送などの患者受け入れ状況でございます。  平成22年度の母体搬送依頼受け入れ件数ですが、累計で152件の依頼に対し、受け入れ件数が136件で、受け入れ率は89.5%となっており、前年度と比べ、受け入れ件数で4件、受け入れ率で7ポイント上回っております。また、産科病床の満床で4件、NICUの満床により6件など、やむを得なく合計16件の受け入れができませんでした。  なお、非常にリスクの高い、出産まで全く医療機関を受診していない、いわゆる未受診妊婦の搬送受け入れ件数は8件となっております。  次に、分娩数でありますが、平成22年度は679件、出生児数で722人となっており、ここ数年の分娩件数は700件前後で推移してございます。  次に、平成22年度の院外出生新生児の受け入れ状況ですが、69件の依頼件数のうち、63件の受け入れを行い、受け入れ率は91.3%となっており、前年度と比べ、受け入れ件数で8件、受け入れ率で12.7ポイント上回っております。これは、主に平成21年7月のNICUの増床による効果が大きいものと考えております。  また、新生児部門の患者の入院期間でございますが、入院者数は320人、平均在院日数は32.5日と、前年度と比較すると、入院者数で14人ふえ、入院期間は約3日ほど短くなっております。この22年度入院患者の退院等の状況は、自宅に退院が293人、転院等が22人、入院中が2人、死亡が3人ということになっております。 ◆山口かずさ 委員  今、母体搬送数や低出生体重児の状況を伺うと、市立札幌病院は、道央圏における周産期医療の中核病院であり、また、多くのハイリスク妊婦を担当していることも改めて認識するとともに、今後も周産期医療の一層の充実が必要であると思います。  そこで、確認ですが、市立札幌病院の周産期医療に果たしている実績、役割をどのように考えているのか、お伺いします。  また、現在、さまざまなお産の形があり、自分がしたい形がとれるフリースタイル出産や、畳の部屋での分娩、そして、LDRと言われる特別な病室で、陣痛から出産、回復まで一つの部屋で移動することなく、自宅にいるような雰囲気の中、リラックスしてお産できる施設、そしてまた、家族が立ち会えるなど、妊婦がお産のスタイルを選べることが多くなっています。医療体制がしっかりしている市立札幌病院で安心して出産したい、また、家族の立ち会いのもと出産したいとの希望は多いと思いますので、そのニーズに応じていくことも必要だと考えています。  そこで、病床の体制などの課題はあると思いますが、今後、立ち会い分娩を実施するお考えはないか、また、家族が立ち会えるLDRなどを設置する考えはないか、お伺いし、私の質問を終わります。 ◎晴山 病院局理事  まず、周産期医療に果たしている役割についてですけれども、周産期医療の充実強化については、新パワーアッププランでも重要課題ととらえております。平成21年度には、NICUを6床増床するなど、施設・設備や体制の整備を進めてきたところでございます。  当院は、平成18年1月に総合周産期母子医療センターの指定を受けまして、リスクを抱えた妊婦が安全に出産して、母子ともに安心して療養できる病院として、また、地域の周産期医療機関と連携し、研修を実施するなど、多様な機能を提供してまいりました。当院は、北海道の周産期医療における中核病院として、今後とも期待される機能を果たしてまいりたいと考えております。  次に、立ち会い分娩の件ですけれども、現在、通常の分娩は、病室、陣痛室、それから分娩室、分娩の後は病室へと移動する形をとっております。そして、三つの分娩台で対応しております。現在、当院においては立ち会い分娩を行っておりませんが、その理由としましては、1番目に、まずハイリスクのお産が多いこと、2番目に、お産が重なったときに個人のプライバシーの保護が難しいこと、3番目に、立ち会い分娩を行うための両親教育プログラムを作成する必要があることなどが挙げられております。  しかし、妊婦や家族の要望もありますことから、実施に当たっての問題点などを検証するプレテストの23年度中の実施を検討しているところであり、この結果をもとに、可否を決定していきたいというふうに考えております。  なお、LDRの設置については、要望はありますけれども、広い個室の設置が必要なため、現在の過密な産科病床の利用状況では難しいと考えております。 ◆丸山秀樹 委員  私からは、市立病院におけるアレルギー疾患への取り組みと放射線治療機器の導入の2点について伺います。  今回の第3回定例市議会での代表質問で、我が会派の國安議員が、アレルギー疾患対策基本法案に関連して、アレルギー疾患への対応を指摘したところですが、私からも、アレルギー疾患への取り組みについて、数点伺います。  ご存じのとおり、我が国においては、全人口の約2人に1人が何らかのアレルギー疾患に罹患しているとされており、全国的には、気管支ぜんそく、花粉症を含むアレルギー性鼻炎、アレルギー性皮膚炎などがこれらを占めていると言われており、札幌市においても同様の傾向にあると思います。  ある民間の調査によると、アレルギーの有無を聞いたところ、回答者の大人1,127名のうち、65%は何らかのアレルギーがあり、中でも、アレルギー性鼻炎が極めて高く、次にアトピー性皮膚炎、ぜんそく等があると答えております。また、その子どもについて聞いたところ、同様にアレルギーを抱えており、特に、食物アレルギー、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎がほぼ同数で並んでおり、アレルギーに関心があると答えた方を差し引いても、小児アレルギーの疾患が大きく広がっているのではないかと感じております。特に、食物アレルギーに関しては、食材の選択、添加物に注意を払っており、必ず瓶や袋などの裏面の原材料表示を確認するという方も多いとの結果も出ております。  最近、大人の方が、化粧石けんに含まれている小麦成分から小麦の食物アレルギーになったという被害も出ており、日常使っているものや口にしているものが、ある日、突然、アレルギー症状を引き起こすなど、何が引き金となって、いつ起こるのかわからない怖さも感じております。アレルギー疾患を抱える患者の増加は顕著でありますが、患者としては、中核病院である市立病院を受診される方も多いと思いますし、他の疾患で入院される患者でも重いアレルギーを持っている方も多いのではないかと思います。  そこで、質問ですが、市立病院では、アレルギー疾患に対してどのような対応を行っているのか、特に食物アレルギーを持つ患者にどのように対応しているのか、伺います。 ◎加藤 病院局理事  市立札幌病院におけるアレルギー疾患への対応についてというご質問にお答えしたいと思います。  当院においては、アレルギー疾患についても、各診療科でかかりつけ医などから紹介を受けた重症及び難治性のアレルギー疾患に対する専門的診療を紹介医と連携して行っております。  なお、当院には、日本アレルギー学会の指導医がリウマチ科と小児科におのおの1名ずつの計2名おりまして、専門医を目指す医師の育成にも携わっているところでございます。  次に、食物アレルギーのある入院患者に対する食事の提供でございますが、主治医の指示を受け、病棟看護師、管理栄養士、調理部門が連携して各種のアレルギー対応食を提供しております。ご指摘がありましたように、アレルギーは、食材も大事ですが、食材とともに調味料や加工食品の原材料を調べ、アレルゲンとなるものについてはすべて除いて献立調整を行い、提供しております。アレルギー対応食の提供数は、1日当たり約10人程度でございます。 ◆丸山秀樹 委員  さまざまな取り組みをなされていることを伺うことができました。  さきの代表質問に対しましても、副市長より、小児科にアレルギー専門外来の設置を検討するとの答弁がございましたが、やはり、アレルギー疾患のある子どもの親は、多くの情報と適切な治療を求めており、先ほどのアンケートでも、アレルギーに関する情報で最も知りたい情報の上位に、医学的知識、医療機関の情報、かかりつけ医らの情報などが挙げられております。しかし、札幌市内に小児科アレルギー専門医は12名と、小児患者の数に対して少なく、その中で、市立札幌病院小児科は、先ほどもお話がございましたように、その小児科専門医を育成する日本アレルギー学会認定専門医教育施設であり、アレルギー患者の治療に対して大いに期待をしているところです。  そこで、質問ですが、現在の市立病院小児科でのアレルギー患者への対応と、専門外来設置に向けての検討状況はどのようになっているのか、お伺いいたします。 ◎加藤 病院局理事  まず、小児科におけるアレルギー疾患への対応についてお答えいたします。  外来は、原則、紹介予約制でありまして、ほかの診療科と同様に、地域のかかりつけ医と連携して重症あるいは難治性のアレルギー疾患を治療しております。また、小児の食物アレルギーに関しては、3日間の入院により、小児科と栄養科が連携して小児食物アレルギー負荷試験を行っております。  次に、小児科のアレルギー専門外来の設置に関してお答えいたします。  現在、外来日の設定、ないし紹介予約制などの運用面及び人員配置の調整などに取り組んでいるところでありまして、早期にアレルギー専門外来を開設したいというふうに考えてございます。 ◆丸山秀樹 委員  アレルギー疾患への対応につきましては、地域の連携はとても重要だと思います。また、早期のアレルギー専門外来の設置をぜひともお願いしたいと思います。  次に、高度医療機器の更新についてお話を伺いたいと思います。  高度医療機器の更新についてでありますが、現在、医療技術の進歩において、高性能の検査機器や治療機器が果たしている役割は非常に大きなものがあると聞いております。特に、CTやMRIといった画像検査機器の性能の向上は著しく、従来の機器では見えなかった患部の状況をとらえ、鮮明な画像や分析により、医師に対してもより的確な治療ができるよう高い診療補助機能を提供するなど、患者にとっても非常に有益なものになっていると思います。  市立札幌病院は、急性期医療を提供する病院であり、このように高度な医療機器を多く必要とすると思いますが、一部には、移転新築時に購入したものを使用しているとも聞いております。  そこで、質問ですが、市立札幌病院では、どのような基準で高度医療機器を購入、更新しているのか、また、最近ではどのような高度医療機器の導入、更新を行っているのか、伺います。 ◎富樫 副院長  まず、高度医療機器整備の考え方についてでございますが、委員ご指摘のとおり、当院には、平成7年に新築移転する際に整備した古い医療機器も多数ございます。これら耐用年数を経過した機器については、毎年度、平準化した投資規模の中で、順次、計画的に更新しているところでございます。また、高度医療を提供する基幹病院として、今後の先進医療に必要な機器の整備につきましても、その需要見込みや、医療圏における充足状況などを踏まえながら検討しているところでございます。  次に、最近の主な導入・更新機器といたしましては、平成20年度にMRIを1台増設しました。また、22年度には、3次元画像を見ることのできる血管造影装置を導入しております。さらに、今年度は、CTの更新に当たりまして、高度な冠動脈の撮影、診断などができ、患者の被曝量も従来よりも大幅に軽減される最新の320列タイプの機器を導入し、この11月から本格始動させるところでございます。 ◆丸山秀樹 委員  ただいまの答弁で、計画的な機器更新を行っているということは理解いたしました。  しかし、ことしの1定の予算特別委員会で、我が会派の國安委員も指摘したところですが、がんの治療に用いる放射線治療用機器は2台あるものの、出力が高い機器は、平成7年の移転新築時に購入したものであり、かなり老朽化が進んでいると聞いております。がん治療用放射線機器の性能は年々向上しており、多くのがん患者の期待にこたえる高度な放射線治療を行うためにも最新機器の導入が必須と思いますが、放射線機器の更新についてどのような計画をお持ちか、お伺いいたします。
    ◎富樫 副院長  がん治療用の放射線機器の更新計画についてお答えいたします。  委員からご指摘のありました放射線治療機器につきましては、これまでの使用状況や性能の向上にかんがみまして、できるだけ早期に更新する必要があると考えております。今後の財政状況や患者の動向、それから、最新の治療方法への対応なども勘案しながら、導入する機種や更新時期を検討しているところでございます。 ◆丸山秀樹 委員  放射線治療機器の更新につきましては、ぜひとも早期の更新をお願いしたいと思います。  我が党では、今回取り上げましたアレルギー疾患対策基本法案やがん対策基本法に積極的にかかわり、患者の声を国の具体的な施策に反映し、その活動を通して我が国の医療環境の改善を図ってきたところでございます。市立札幌病院は、道央圏における基幹的病院であり、ぜひ、アレルギー疾患やがん治療においても高度先進医療を継続して提供していただきたいと思います。  あわせて、私たちは、脳脊髄液減少症に苦しむ方々とともに、国にさまざまな働きかけを行っております。我が党では、昨年12月に、脳脊髄液減少症患者支援の会とともに、25万1,515名の署名とともに要望書を提出させていただきました。また、今月6日には、患者代表とともに、厚生労働省に、唯一の治療法であるとされるブラッドパッチの保険適用を求める要望書を提出したところであります。この際、厚生労働省健康局長より、脳脊髄液減少症の診断基準等が確定し、日本脳神経外科学会で発表されるとの発言があり、これまで大きな壁であった診断基準が確定したことは大きな第一歩と考えております。市立札幌病院においても、ぜひ、この診断基準確定を機に、脳脊髄液減少症への治療を検討していただきたいことを要望し、質問を終わります。 ◆こじまゆみ 委員  私からは、2点、長期入院新生児に対するマザーリング病床の設置と小児救急について、数点伺わせていただきます。  私は、これまでも周産期医療の充実を訴え、最近では、昨年の予算特別委員会で、NICUの増床に伴い、長期入院となる患児が増加することを考慮して、マザーリングやファミリーケアのための施設の設置について質問させていただきました。このマザーリング等の施設、病床については、これまで何度も我が会派から質問し、要望も行っておりますけれども、昨年の予算特別委員会では、親の育児不安の解消ための施設の必要性は認識していますが、具体的な場所や連携体制については結論が出ていないとの答弁でありました。  病院からいただいた資料によりますと、周産期センターの新生児病棟に入院した児の平成22年度の平均入院日数は34日間ですが、出生体重が1,000グラム未満の超低出生体重児の場合、平均で160日、23週間入院しているとのことであります。前回も指摘いたしましたが、NICUの整備が進み、新生児医療が大きく進歩を遂げる一方で、近年、育児放棄や虐待などの養育行動障がいの一因に長期の母子分離があることが明らかになってまいりました。NICUに子どもが入院すると、親子の関係性が確立される以前に分離されてしまうため、すべての親子が該当するわけではありませんが、子どもが家族の一員として迎えられ、両親の愛情に包まれてはぐくまれるという自然な経過を援助していくケアが必要になってくると思います。  そこで、入院患児の状況について、確認のため、3点質問いたします。  平成22年度の新生児病棟入院患者のうち、長期間、母子分離となった入院期間が90日を超える患児は何名いらっしゃるのか、最も長いケースは何日だったのか、また、このうち、退院後も医療的ケアが必要な重度基礎疾患を有する児は何名なのか、伺います。  また、これらの患児の退院までの間に両親等へどのような支援、教育を行っているのか、あわせて伺います。 ◎江本 経営管理部長  まず、1点目の新生児病棟の長期入院患者の状況でございますが、平成22年度に90日以上の入院をした患児は32人でございます。また、22年度の最も長い入院日数は224日でございます。このケースは、母体搬送で出生した超低出生体重児でございます。  次に、医療ケアを要する重度基礎疾患を有する児は、平成22年度は14名でございました。これらの児については、在宅での療養が必要となることから、3階東小児病棟にて一定期間の入院のもと、児の介助者とともに、在宅機器、用具の使用について教育を行った上で退院していただくようにしております。また、容体が急変した場合の受け入れについても当該小児病棟で行い、安定した在宅療養を支援しているところでございます。 ◎近藤 副院長  3点目の長期入院新生児の両親等への支援についてでございますが、現在、長期入院を余儀なくされる児の両親に対しては、面会時間を夜8時までとして、面会の都度、医師あるいは看護師等で面談を行うなど、不安になりがちな両親を支援しております。また、カンガルーケアや、授乳時に育児に関する支援を行い、特に両親に理解していただくことが必要な場合は、個別に新生児への接し方も指導することもございます。特に、第1子で育児に対する不安が強い場合には、地域の保健師と連携をするほか、新生児病棟で母子一緒に一日過ごしていただき、できるだけ不安を取り除くことができるよう支援あるいは教育を行っております。 ◆こじまゆみ 委員  ただいまの答弁の中で、長期入院患者の状況をお聞きしますと、NICUを退院する親子のために、退院後の家庭での生活ケア、退院後の具体的な対処をあらかじめ経験できるように、退院の準備などの病床、いわゆるマザーリングのための病床を整備し、親子のつながりを強くサポートすることも周産期センターの役割ではないかと思います。90日以上のお子さんが32名、長期間で224日ということで、子どもたちにとっても母子分離というのは非常に問題が多くなってくる可能性がございます。また、NICU退院後も医療的なケアが必要な重度基礎疾患を有する乳幼児も、14名ほどいらっしゃったということでございます。長期入院を余儀なくされる患者の家族は、経済的、精神的にも大きな負担を感じると思います。特に超低出生体重児などは、入院期間も長く、退院後も医療的なケアが必要な場合があり、入院中には家族への継続的なサポートが必須と考えております。  国は、平成21年度周産期医療体制整備指針の改定では、総合周産期母子医療センターには、医療従事者としての確保に努める職員として、麻酔科医、臨床心理士等の臨床心理技術者、NICU入院児支援コーディネーターを追加し、平成22年度から開始された厚生労働省による総合周産期母子医療センターの評価項目にもこれらの配置の有無が入っていると聞いております。NICUの長期入院児を自宅へ退院させるに当たり、この臨床心理技術者やNICU入院児支援コーディネーターなどによる他職種連携のための調整機能が期待されており、患者、家族が安心して退院できる支援のためにも必要な職であると考えています。  そこで、質問ですが、長期の母子分離の児がおり、いわゆるマザーリング病床の整備を急ぐべきであると思いますが、いかがか。  そして、長期入院児及び退院後の医療ケアが必要な児を支援するため、総合周産期母子医療センターへの心理技術職、またはNICU入院児支援コーディネーター等の設置が必要であると思いますが、配置する考えはないのか、伺います。 ◎晴山 病院局理事  マザーリング病床の整備並びにセンターへの心理技術職等の配置について、あわせて回答させていただきます。  パワーアッププランの周産期医療の充実強化に関連して、現在、当院が行うべき低出生体重児への退院支援のあり方や具体的方策、あわせて、マザーリング病床の設置に向けて検討を重ねているところであります。また、退院支援については、地域連携センターの看護師、メディカルソーシャルワーカー等がかかわり、支援を行っているところでございます。  また、心理技術職の配置については、長期入院児の家族に対して精神面での専門的な支援が必要なこともありますので、引き続き検討してまいりたいと考えております。 ◆こじまゆみ 委員  病床の整備はもとより、家族の支援が大変重要であると思います。児の退院後の身体的、精神的、そしてご家族の経済的支援のあり方、また、発達のおくれを支援する体制の整備が必要であります。自治体の病院として、これらの求められるハード・ソフトの早急な整備を求めて、一つ目の質問を終わります。  次に、小児救急の体制について伺わせていただきます。  今、NICUについて取り上げましたが、日本の新生児死亡率は、多くの医療者の努力と、NICU等の整備も進んでいることから、最も低く、そのレベルの高さが大きく評価されています。  しかし、日本の幼児の死亡率が比較的高いことは余り知られておりません。日本の1歳から4歳の幼児の死亡率は1,000分の1.2と、世界で21位、先進国ではワースト3に入ると言われるほどで、これは、不慮の事故への対応が不十分なためとも言われております。  小児救急患者の対応については、国も検討会を開いていますが、平成21年に中間取りまとめを行って以来、大きな進展はありません。他の都府県では、子ども病院に救急センターなどが整備され始めており、札幌市では、1次、2次の小児救急輪番制などがとられていますが、子ども救急センターのような高度な救命救急医療を提供できる小児専門病院はありません。多くの小児救急患者が救命救急センターで治療を受けているのが現状だと思います。  しかし、救急対応が可能な小児科医を配置している救命救急センターは、国の中間取りまとめでも課題に挙げられているように、ほとんどないと聞いております。市立札幌病院の救命救急センターは、多くの重篤な患者の治療に当たっていることは十分承知していますが、その中で、15歳以下の小児救急患者の状況について確認させていただきます。  そこで、質問ですが、救命救急センターでの小児救急患者の平成22年度、23年度の受け入れ状況と転帰はどうか、そして、救命救急センターに救急医療に対応できる小児科医師等は配置されているのか、伺います。 ◎江本 経営管理部長  小児救急の取り組みについてお答えいたします。  1点目の救命救急センターへの15歳以下の患者搬送数は、平成22年度は42名おり、23年度は9月末までで30名と増加傾向にございます。年齢区分では、4歳までが、22年度は28名、66.6%、23年度は19名、63.3%と、搬送数の約3分の2を占めております。不慮の事故等の搬送は、22年度は16名でしたが、23年度は既に19名と大きく前年度を上回っております。また、転帰ですが、22年度は、死亡12名、軽快退院等が30名、23年度は、死亡が5名、軽快退院等が25名となっております。  次に、救命救急センターへの小児科医の配置でございますが、23年4月より、救急医療を担当する専任の小児科医を1名配置しております。 ◆こじまゆみ 委員  市立札幌病院に、平成22年度は42名、23年度は9月までに30名と、多くの小児患者が搬送されるとともに、多くの命が救われていると感じます。また、救急医療に対応できる小児科医も救命救急センターに1名配置されるなど、体制も整備されつつあると思います。  しかし、全国的には、多くの小児患者が救命救急医療を受けられず死亡しているとも言われており、厚生労働省に提出されたレポートでは、不慮の事故等の外因的な病因で死亡した小児の約66%が、小さな施設で十分な集中治療を受けることなく亡くなっていると報告され、集約化、重点化すること、そして、外傷を初めとする外因性疾患にも対応する必要性があるとしております。  札幌市内の小児救急体制と単純に比較できないでしょうが、救急医療に実績があり、救急医療に対応できる小児科医がいる市立札幌病院が小児救急患者を多く担当することで、救える命はふえるのではないかと期待しております。そこで、小児用集中治療室、PICUや小児救急体制の充実も必須であると考えます。  そこで、質問ですが、今後、小児救急の対応を充実し、小児集中治療室、PICUの設置や医師等の増員は考えていないのか、伺います。 ◎富樫 副院長  今後の小児救急に対応した小児集中治療室の設置や、医師等の増員は考えていないかとのご質問でございますが、当院の救命救急センターには小児専用病床はなく、小児用の医療機器や医療材料を整備して現在のICU等で治療を行っている現況があります。  当院が担うべき今後の小児救急医療体制のあり方などについては、救急を担当する小児科医師の育成、配置も含めて、現在、委員会を設けて検討しているところでございます。 ◆こじまゆみ 委員  全国的にもPICUを有する施設が望まれています。全国調査もされていると伺っておりますが、小児科、小児外科の医師たちも小さな命を助けたいと切に願っていらっしゃいます。未来ある子どもたちの救命のためにも、小児救急体制の早急な整備がぜひとも必要です。そのためには、3次救急を担える施設で、もちろん専門の医師、看護師が必要です。日本一子育てしやすいまちづくりを目指すのであれば、小児救急をぜひとも札幌市で早急に体制を整えていただきたいことを求めまして、私の質問を終わります。 ○芦原進 委員長  以上で、病院事業会計の質疑を終了いたします。  ここで、理事者交代のため、暫時休憩いたします。     ――――――――――――――       休 憩 午後2時54分       再 開 午後2時58分     ―――――――――――――― ○芦原進 委員長  委員会を再開いたします。  次に、第3款 保健福祉費 第1項 社会福祉費について質疑を行います。 ◆松浦忠 委員  それでは、局別施策の概要でいくと、総務部と、保健福祉部の関係の決算がこの議題になっております。  そこでまず、総務部の関係ですが、社会福祉法人の資格、いわゆる社会福祉法人で、札幌市社会福祉協議会というのが各区にそれぞれ社会福祉法人として設置され、そしてさらに、札幌市社会福祉協議会という全部で11の社会福祉協議会があります。このことについて、1点目であります。それから、2点目は、障害者自立支援法に関係するものであります。それから、3点目は、障害者自立支援法ともかかわりがあるけれども、昨今の人口構成上、発生している、高齢者を含めた精神疾患者への対応の問題について、この三つについて、順次、質問いたします。  まず、社会福祉協議会は11ありますが、構成している人をずっと見ると、平成19年でいくと、札幌市の職員の派遣が2、いわゆる天下りと言われる再就職が15、そして、22年には、派遣はゼロになったけれども、天下りと言われる人が16、23年は18というふうにふえてきております。  そこで、2点あります。  一つは、この社会福祉協議会は、各区にあって、また、市にも札幌市社会福祉協議会という独立したものがあります。これは、いわば法人格を持ったものがあるわけですね。私は、役員構成も含めて見ていると、何か、札幌市の職員の再就職先のために、それぞれ事務局長がいてというような、あるいは常務理事がいたりと、こういうふうに見えるわけですね。そこで、これを一つの社会福祉法人に統合して、それぞれの支部にする、そして、きちっと統制のとれた取り組みをしていくことが必要でないかなというふうに思うのですが、これについて、いかがか。これが一つであります。  それから、二つ目は、社会福祉協議会が前々から独自に雇用している職員、これらの方々は、もう相当年数もたっていますから、例えば札幌市社会福祉協議会なんかだったら、部長職の人が1人おります。やはり、管理職への登用なども含めて、その組織で採用になった人々のきちっとした昇進の問題などはどう取り組んでいるのか、この2点について質問いたします。 ◎渡辺 総務部長  まず、1点目は、区の社会福祉協議会の支部化ということだと思います。  区の社会福祉協議会につきましては、市の社会福祉協議会本体と各地区をつないで、地域における地域福祉活動を推進していく上で重要な役割を担っているというふうに認識しております。しかしながら、委員のご指摘があったように、法人格を持った独立の組織であるべきかにつきましては、これは別の視点で考える必要があるというふうには思っております。  今後、より一層、社会福祉協議会の機能が発揮できますよう、組織運営体制につきましても社会福祉協議会と協議してまいりたい、このように考えております。  次に、2点目は、社会福祉協議会の役職者を、プロパー職員と言いますか、独自に採用した職員にかえていく、その取り組みはどうしているのかというお尋ねでございます。  基本的には、社会福祉協議会の中で、市のOB職員にかわり得る人材をいかに育て、どう配置するか、そのような問題、課題というふうに認識しております。  これにつきましては、これまでも社会福祉協議会の中で人材の育成に鋭意取り組んできておりますけれども、今後も、プロパー職員の登用が進みますよう社会福祉協議会と私どもが協議を行ってまいりたい、このように考えているところでございます。 ◆松浦忠 委員  やはり、時代に合わせて、やってみたら意外と屋上屋で組織の重複するものがあるということになれば、ちゅうちょなく組織の統合を進めるということは必要なことなのですね。したがって、私は、やっぱり、この社会福祉協議会について言えば、11もの法人――例えば、ここに監査指導室がおりますが、皆さんは社会福祉法人の監査をしております。そうすると、これはもうちょっとこういうふうにしたらいいのでないの、監査・指導を強めたらどうかと言ったときに、何を言うかといったら、いやいや、それは法に保障された独立した法人だからそこまでは踏み込めないと、いつもこう言うのです。そして、だれが行ってやっているかといったら、ほとんどが市のOB、先輩が行ってやっているわけですよ。  そういうようなことですから、私は、やっぱり、まず統合はきちっとやるべきだと。そして、本当にためになるというか、一生懸命それぞれの地域のために取り組める社会福祉協議会に変えていかなきゃだめでないかなというふうに思います。  例えば、一例を挙げましょう。  札幌市社会福祉協議会、市社会福祉協議会ですね。2年前まで札幌市の監査指導室長をやっていた方が、今、ここに、週3日、半日勤務で会計部長をやっています。週3日、半日勤務、会計部長。そこに、副理事長も専任でいます。常務かな、常務が専任でいるのかな。そして、この役員を見たら、およそ1,000万円近い給料をもらっているプロパーも、日本語で言うと、福祉協議会が採用した幹部職員の人もいます。これは11ある団体の中で一番古いのです、札幌市福祉協議会というのは。それだけに、専任で雇用した、いわゆる法人として雇用した職員も、いろいろ経験を積んで勤続年数の長い方もいます。週に3日、半日勤務で済む仕事なら、専任の職員の人を部長に上げて間に合うんじゃないですか。あるいは、どこかの部長に兼任させても間に合うんじゃないですか。兼任というか、部を統合してですね。そういうような運営をしているから、私は、これは統合すべきだと。そして、きちっと仕事は当たり前にやれる体制にすべきだということを求めているのですよ。  したがって、小澤副市長、こういう組織というのは、私はやっぱり見直すべきだと思うのですよ。法人だ、法人だと言ったって、札幌市からの委託の仕事がほとんどですから、実質上、言ってみれば札幌市の出先機関みたいなものです、これは。したがって、札幌市からいろいろな委託の金が全部出ているわけですから、こういうものについては、人も重複するものを避けて、やっぱり整理するものは整理する、私はこういうことが大事だと思うのだけれども、こういうことについて、今後、この社会福祉協議会の統合を含めて検討していく考えがあるか、ないか、お答えください。 ◎加藤 保健福祉局長  社会福祉協議会の副理事長も仰せつかっているものでございますから、私からご答弁させていただきます。  ただいまの社会福祉協議会の組織の見直し等でございますけれども、社会福祉協議会に限らず、どの組織においても見直しというものは必要でございまして、私どもは、例外なくいろいろな組織の見直しを進めてまいりたいと思っているところでございます。  ただ、今後の地域福祉を進めていく上では、やはり、社会福祉協議会と私どもが車の両輪となって働いていかなければ地域福祉は進んでいかないのではないかというふうに思っているところでございますので、組織の見直しとともに、業務の充実というのですか、そういうことも含めて一生懸命取り組んでまいりたい、このように考えているところでございます。 ◆松浦忠 委員  今の話だったら、まだ社会福祉協議会に金も出し、人もふやすと、こういう感じに聞こえるのですよ。小澤副市長も市長もおいでですから、例えば、観光協会です。市役所の中に入っていたのが、前観光文化局長が事務局長に就任した途端に、向かいの商工会議所のビルに広いところを借りて、そして、引っ越して人も多く採用したと。仕事も、市がやっている仕事をどんどん取り込んでいくということが、この間、あるものに書かれておりました、談話として。私は、そういうように、市長が職員は減らしていますよと言って、一方で、そういう形で今度は外側の組織に金と人をつぎ込んでくる、それも天下りの再雇用、こういうことではだめじゃないですかと言っておるのですよ。  したがって、こういうことについて、私は、具体的に、週3日、1日置きに半日勤務で務まる経理部長なら、中で務まる人はいないのかと。私は、そんなことはないと思うのですよ。そういうことについて、局長は副理事長でおられますが、そこまでチェックされる暇もなかなかないかと思いますけれども、私は、そういうような事例を出して、だから、統廃合などを含めて見直しをすべきじゃないですかと言っているのですよ。どうしても役割を担ってもらわなきゃならぬ必要なことがあれば、それはそれで、役割を分担してもらうならきちっとしてもらう、こういうことは私もいいと思うのですよ。けれども、今の組織を見ておったら、私は、どうも、その前に組織をもう一回再編してきちっとした方がよろしいなと、こう思うのですよ。  ちなみに、札幌市社会福祉協議会と10区の社会福祉協議会は、平成25年のいわゆる一般法人と公益法人との区分けではどうなっていくのですか。 ◎加藤 保健福祉局長  公益法人の見直しの問題につきましては、社会福祉協議会だけにかかわらず、いろいろな見直しの方向を進めてございますけれども、基本的に、社会福祉協議会は、社会福祉法人の資格を取って社会福祉事業を行っていくということで考えているところでございます。(「だから、公益法人か一般法人か、どっちなのだ」と呼ぶ者あり)  公益法人という形になると思います、社会福祉協議会は社会福祉法人でございますので。 ◆松浦忠 委員  それぞれ各区にはあれだけの陣容がいます。そうしたら、私は、仕事の内容ももっと整理して、人の配置ももうちょっと考え直して、そして、きちっとやるということでなきゃいかぬと思うのですよ。週3日間、1日置きと、飛び休ですよ。飛び出勤だ。飛び出勤で、半日勤務で一番大事な経理部長が務まるなんて、そんなお気楽な社会福祉法人の体制というのは、これはちょっと考えられないでしょう、一般には。  したがって、これについては、私はきちっと見直しをしていくべきだと思うのですが、小澤副市長、あなたは人員組織などの関係の統括をされておると思うのだけれども、いかがですか。それでも見直さないでこのままやっていくというなら、きょうはこの後もたくさんいますから、日を改めて、私がそれぞれこういう問題があるよということをきちっと指摘して、それに対する回答はペーパーでやりとりしてもいいですから。 ◎小澤 副市長  社会福祉協議会が区社会福祉協議会を設置したときの扱いをどうするかということで、法人格を持たせた理由の一つは、社会的な信用性を高めると。例えば、お金の集め方等々にしても、法人格がないよりも、法人格を持った方が有利であるという判断で、当時、法人格を持たせた経緯がございます。  その見直しに当たりましては、社会福祉協議会が現在果たしている役割、それから、これから期待されている役割、これを果たすに当たってどういう組織がいいかということについては、先ほど保健福祉局長から答弁があったように、時代の変化に合わせていろいろ見直しをしていく、これは当然のことだと思います。  ただ、具体的に例を出された経理部長ですか、そのことについては、私は、今初めて聞いた話で、そこまで承知しておりませんので、このことについての具体的な答弁は、今、できかねるということでございます。 ◎加藤 保健福祉局長  今の経理部長のお話でございますが、私もご本人からお話を聞いたところでございますけれども、社会福祉協議会全体の経理をやっているわけではなくて、社会福祉協議会における経理の見直し、そういうものについて、規定も含めて社会福祉協議会の見直しを行うために社会福祉協議会の方でお願いして来てもらっている、このように聞いているところでございます。 ◆松浦忠 委員  見直しをするのならするような、中の札幌市のOBが行って見直しをするのでなくて、するのだったらするように、外部の人などを入れて、そして、きちっとした検討をする会議などをつくって、その中で見直しをしていくことが私は普通だと思うのですよ。その人でなきゃ見直しができないなんていうことではないと私は思うのですよ。  だから、私は、これ以上、言いませんけれども、ぜひひとつ、市長、お聞きになっていると思うので、こういう点について一つの事例を挙げました。全部と言うなら、全部、順次、保健福祉局長が所管している社会福祉法人をやっていけばいいけれども、時間のこともあるからそれはしませんが、そういうことで、この点についてきちっと見直しを図ると同時に、再雇用という形での天下りを役職者に多数配置するということ、これはやめるべきだということをまずはきょう指摘して、この件については終わりたいと思います。  次に、二つ目に年齢構成などを含めた一つの社会の現象として、精神障がい者がふえてきております。それに対して、国の方は、従来の精神科病棟への長期入院を避けて、社会の中でともに暮らしていき、そして、みんなで助け合って支え合っていこう、こういうことで自立支援法というのがつくられたわけであります。  そうは言ったって、やっぱり、長年、病院にいた方が出てもなかなか大変であります。いろいろな形で地域と交わっていかなければならない。交わり方にはいろいろあると思うのですね。それから、生まれながらにして障がいのある方もいらっしゃいます。そこで、私は、やっぱり、地域と交わる一つの方法としては、障がいのある人が、プールだとか、あるいはおふろだとか、そういうところに一緒に入る中で言葉を交わしたり、そういう交わりが非常に大切だなというふうに思っておるわけです。  そこで、今、環境局の北原みどりの施設担当部長に出席をいただいていますが、車いすの障がい者で、自分で車いすを操作できる方が一人で斜面を使ってプールの中まで入れる施設、これは、札幌市内で唯一、白石区川下公園のリラックスプラザという中にあります。このプールと温泉の利用者は、昨年度、平成22年度は何人いて、そのうち障がい者は何人の方が延べ人数で利用されたか、お示しいただきたいと思います。 ◎北原 環境局みどりの施設担当部長  私から、川下公園リラックスプラザのプール、浴室の利用者の人数についてお答えいたします。  平成22年度のリラックスプラザのプール、浴室の利用者合計は4万3,797人となっており、うち障がい者の方の利用は1万9,840人と、およそ45%を占めている状況でございます。 ◆松浦忠 委員  これは、平成21年度では、集計した時期にもよりますが、地域の町内会長から陳情が出たときに、請願ですか、それが出たときに、大体、利用者の3分の2が障がい者だと言われた。それには付き添いの方もいらっしゃいますからね。今示された数字は45%と。付き添いを除いて障がい者だけですから、これに付き添いを入れるともっと数字が高くなるのでないかな、こういうふうに思います。  そんなことからすると、私は、障がい者と健常者の触れ合いの場、言ってみれば治療の場であるこの川下公園のリラックスプラザの中にあるふろなり、あるいはプールというのは、やはり、札幌市において重要な施設でないかなというふうに私は認識をしておるのですが、障がい担当の部長はどういう認識か、お尋ねいたします。 ◎天田 障がい福祉担当部長  障がい者のみならず、高齢者の方も含めまして、リハビリテーションの場、または社会参加の場として、そのニーズに応じた多様な機能を持った施設が多数整備されるということは非常に好ましいことと考えております。 ◆松浦忠 委員  そこで、市長に出席いただいておるのですが、去年、事業仕分けということで、ここのプール、さらに、ていねプール、駒岡の保養所だとか、こういったところは仕分け人から廃止ということにされたわけですけれども、利用者の方からそれぞれ困るということが出されました。ただ、医療的な見地から困るというところは、ここ1カ所なのですね。医療的な見地からと。そういう意味で、市長、私は、これはやっぱり残してそういう治療の役に立てていく、社会復帰の一環の役に立てていく、こういうことは非常に大事だと思うのです。  地元の人たちは、退職したいろいろな専門職の方がそれぞれいますから、どうしても市の経費が大変なら、そういう人たちでNPO法人をつくって、そして、本当に今の何分の1かの経費で市から指定管理者として委託を受けてもいいと、こういうところまで皆さんは考えているのですね。市長だって、一定の限られたお金の中であれもこれもやるのは大変だと僕は思うのです。ですから、そういうように、やっぱり、今までと違って、本当に地域なり市民が参加するという形の中でのやり方も取り入れていかなきゃならぬところに来たのでないかなというふうに思うわけですけれども、そういう方法などを取り入れることについて市長はいかがお考えになるか、お聞かせください。 ◎加藤 保健福祉局長  事前に、私は、昨年までみどりの関係でプールも所管してございまして、松浦委員とは何回もこの件でお話をさせていただいたものですから、若干ご説明させていただきたいなと思ってございます。  まず、ことしの1月でございましたか、請願がございまして、その審査を行ったところでございます。その際、リラックスプラザにつきましては、たしか、私の方で利用実態を調査させていただきたいと。冬場とか夏場の利用実態を調査させていただきまして、利用者には一体どういう方々が多くて、どういう目的で、どのぐらい来ているのだろうか、また、どんなところから、例えば、地元が多くて、ほかの区が少ないのだろうかとか、全市的な調査をしてみたらどうかということで、私どもは基礎調査がないということで、リラックスプラザの実態を調査させていただいたと思っております。多分、今回は、その調査が終わったばかりではないかなというふうに考えているところでございます。  ただ、私ども障がいを所管する者として申し上げますと、リラックスプラザのプールは車いすを使って入浴できるプールでございまして、当時の発想といたしましては、まさにユニバーサルデザインで、お年寄りから子ども、そして障がい者の方まで一緒になってプールで水に親しむことができる、これはそういう目的でつくられたプールであるというふうに認識しているところでございます。ですから、先ほどから障がい者の方が多いというのは事実でございますけれども、障がい者の訓練とか、そのための施設ではなくて、みんなと一緒になって水に親しむ、プールに親しんでリラックスする、それこそ文字どおりリラックスしていただくための施設、そういう施設をつくってきたつもりでございます。  今、運営方法等のことでございますけれども、当時もそういうご質問がございまして、私どもも、今現在、たしか委託しているところでございますので、その中で答弁させていただいたのではないかなというふうに思っているところでございます。 ◎上田 市長  ていねプールにしろ、川下のリラックスプラザにしろ、事業仕分けという形で市民参加を得まして、廃止、必要ではないのではないか、そういうご意見をちょうだいしたところでありますが、それぞれの特色があるわけでありますので、それの必要性、必要度、それから、かかる経費、ほかにかわり得る手段はないのか、さまざまな観点から検討させていただいていることはご承知のとおりだというふうに思います。それには、いろいろな要素を総合的に判断するためのさらなる調査といったことが重要な手続でございますので、それらも含めてしっかり調査させていただきまして、また、多くの皆様方の議論に付する、こういうことによってしていかなければならないのではないかなというふうに思います。  松浦委員から、今までの方法ではなくて、違う方法があるのではないかということも検討すべきだというのは、これは私と同じ見解でございまして、今あるから、今使う人がいるから、だからこのままにしておけという議論ではなくて、一応、この議論に付して、事業仕分けという形ではありますけれども、問題提起がされたと。では、どうやって、その問題提起に対して乗り越えるだけの我々の材料、市民の側の材料を見出すことができるか、そういうことを前向きに考えていく、そういう手続が今求められているのだというふうに考えますので、そんな意味で努力をさせていただきたいというふうに思います。  障がい者にとって水泳というのが非常に大事なものであることは、私も十分承知をしているつもりであります。私も、ボランティアグループによる障がいを持った方々に対する水泳指導ということで、このプールではありませんが、一般のプールで、手稲だとか西区等で行われているものに参加したことがございます。私は泳ぎが余り上手ではないものですから、一緒に教えてもらいましたけれども、そういうことがあちこちでできる、そして、利用の仕方についても、みんなで都合し合って、そして、その輪をどんどん広げていくようなことが、これからも、この施設の存廃ということに付加して、地域の皆さん方がそういう努力をされていることに光を当て、そして、その輪がもっと広がるように努力をしていくべきだ、こんなふうに考えます。 ◆松浦忠 委員  では、それは終わります。  最後に、いわゆる精神障がい者の夜間などを含めた休日の救急体制のことについてです。  既に今般の7月の副市長人事において、私の記憶、調べたところでは札幌市で医師職の人が助役、副市長になったというのは初めてではないかと思いますが、それだけに、今抱えている高齢者の終末期の問題だとか、あるいはまた、障がい者の問題など、こういったことを解決しようという市長の意欲がここに出ているのだなというふうに私は受けとめております。  そこで、精神障がい者の救急体制ですが、現在、北海道を中心にして、北海道が所管して、石狩と後志で一つの医療圏ということで26の精神科の病院が交代で当番に当たる、こういうことであります。それを、今度は幾つかのブロックに分割して、札幌を南北に分ける、そして、札幌では五つの民間病院と市の平岸にと、こういうことでそれに当たるということでありますけれども、今、どういうふうな状況になっているのか。
     私が、きょう、ここで質問するのは、実は、私もいろいろ調査しました。そうしましたら、実は、3月の段階で、札幌市の係長から、間違いなく秋ぐらいまでには、道庁、札幌市、厚生局、あるいは厚労省などを含めて、医療圏の再編も含めて新しい体制に行けるから、病院側はひとつその準備をしてくれと言われたと。そして、私の知っている限りでは、二つの病院は個室ベッドのための病院の増改築工事をもう既に行っている。そして、4カ月間の試行実施をして、その結果、来年の4月1日からは、今度はそういうお医者さんもふやす、看護師もふやす、そういうような体制になる。それには当然お金がかかるから、医療保険をそれに適用する表にふやしていくと。こういうようなことになっていって、試算を聞いたら、六つの病院でおよそ20億円ぐらいの医療保険からの支出になっていくのではないかと、こんなふうなことも試算されております。  そこで、お尋ねしたいのは、今、道を中心にして、石狩、後志、保健所も江別保健所があり、倶知安があり、岩内保健所があり、江別というのは石狩ですが、札幌市保健所もありと、こういう関係で、それから、医師会の郡部別の組織があり、また市医師会がありと、非常にふくそうしていると思うのですが、このようにふくそうした中で、今、どこまで、どういうふうに進んでいるのか、まず、この点についてお伺いしたいと思います。 ◎天田 障がい福祉担当部長  精神科救急の医療体制の整備についてのご質問でございます。  まず、精神科救急の体制整備についてでございますが、これは、一般救急の医療のシステムとは別に実施されてございまして、北海道が事業の主体となって全道を8ブロックに分割して、それぞれのブロックごとに医療機関による輪番制を整備して、夜間救急における相談、それから診療体制の確保に努めているものでございます。  札幌市につきましては、8ブロックのうちの道央ブロック、これが、今、委員ご指摘の札幌・後志ブロックに位置いたしまして、市内の精神科病院による輪番制と患者の振り分けなどを行う精神科救急情報センターを札幌市に整備いたしまして診療体制の確保が図られているところでございます。  しかしながら、現状といたしましては、救急患者に対応するためにあらかじめご用意いただく空きベッド、これを私どもは空床と呼んでおりますが、この空床数が1日に1ベッドのみという状況でございまして、なおかつ、輪番の参加病院が年々減っています。そういった面では、この輪番体制についても非常に疲弊してきている状況にございます。  こういったことを踏まえまして、2年前になりますが、平成21年度に札幌市の精神保健福祉審議会でこの点についてご議論いただきました。具体的には、作業検討部会というものを設けまして、約1年半にわたりましてご議論いただきました。22年度には、精神科救急の医療圏域の再設定、それから、医療圏域の基幹的な役割を果たすことができる病院の配置、これが、委員がご指摘の病床の整備というものになるかと思います。これらにつきまして審議を重ねまして、北海道ともブロックにおける体制強化の必要について認識を共有させていただいてございます。  現在、ブロックとしての作業部会は2回開催しておりますし、それから、道立の江別、千歳、それからもう一つは後志管内での意見交換を経まして、先週になりますが、10月14日に道のブロック調整会議が開催されまして、札幌市から提案させていただいた内容につきましてはおおむね賛意をいただいたところでございます。今後につきましては、北海道が主催します精神科救急の医療体制連絡調整委員会、非常に長い名前になって恐縮でございますが、この委員会での議論を経ていただく予定になってございます。  札幌市といたしましては、やはり、札幌市内の精神科病院については非常に配置数が多い、それから、病床数も多い地域でございますが、一方で、救急体制といった面では人口規模に対して非常に脆弱である、今後の不安もあることから、何とかしてこれについて整備をしていきたい、体制の充実を図っていきたいと考えております。また、現在、策定しております第3次札幌新まちづくり計画の中に精神科救急の体制の整備につきましても位置づけたいと考えておりますので、できるだけ早期に体制の充実が図られるよう、北海道と厚生労働省を含めた関係機関との協議を進めてまいりたいというふうに考えております。 ◆松浦忠 委員  一般的にはそういう話だろうと思うのだけれども、問題は、ことしの3月の段階で、係長から、関係の手を挙げた病院に、いわゆる複数の入院室から個室ベッドに増改築というようなことについて相談したら、進めてくださいと、大体12月ぐらいから試行に入れて、4カ月の試行期間を経て、来年の4月からは、新しい、言ってみれば、医療点数表で増額になる方に移行できるからと、こういう話があったのですと。その係長はどうしたのと言ったら、何か、4月以降に行ってみたらいなくなっていたと言うのですよ。異動したのでしょうね。  そんなことで、市の考え方に賛同して乗って、それじゃ、それに参加するぞということで先行投資をした病院は、今の診療報酬体系の中では、入院していた患者を自立支援法に基づいて全部外に出すということになっていったら、経営的にはなかなか大変になるわけですね。そんなことからしたら、これが、道の調整が12月から試行するのに間に合わぬようなことになって、例えば来春までずれ込むとする。そうすると4カ月おくれるわけですよ。そういうことなので、札幌市の方では、札幌市の方針に協力したそれらの病院に対して何らかの利子補給ぐらいの手当てをするとか、何かそんなことでもしてあげないと、政策に協力して、担保なしに金を借りてしまった、しかし、やってみたら手形が落ちなかった、これで、はい、行き詰まったと。行き詰まることがあるか、ないか、私はわかりませんけれども、わかりやすく言うと、こんな一つの筋書きも出てくるわけですね。  それに対して、何か、せめて借りた金の利子補給ぐらいするようなことなどを考えておりますか。どうなのですか。 ◎天田 障がい福祉担当部長  医療機関の体制の整備につきましては、先ほどご説明した中では、いわゆる基幹的な役割を担う医療機関の配置というふうに申し上げましたが、これが、診療報酬法規上、精神科救急の算定医療機関という形で比較的高い単価が設定される医療機関がございます。この整備につきましては、基本的には診療報酬の基準との適合性ということになりますので、最終的には厚生労働省がこれを指定するものという前提でこれまでご説明させてきていただいております。  この中で係長のというお話がございましたが、私も、3月まで障がい福祉課長を仰せつかっておりましたので、これについては、前任の係長と一緒に、医療機関等も含めて何度もご議論させていただいておりますけれども、病床の整備と、また、厚生労働省からの指定の基準が満たされるかどうかにつきましては、最終的には、医療機関のご判断という中でご説明させていただいてございます。この点につきましては、3月の時点と現在の時点で、北海道としての組織的な理解度につきましてはかなり変わっておりまして、その当時は非常に厳しいご理解でございましたが、現在は、そういった面では体制の充実について札幌市とも情報共有しようという形で進めてございます。  いずれにしましても、現在の救急体制については非常に脆弱だということを申し上げましたので、これが充実されるように、引き続き、北海道とも協議を進めていきたいというふうに考えております。 ◆松浦忠 委員  今、部長は、市役所の方には一切何の責任もないよ、医療機関が自主的な判断でやったことですから、それはそっちで対応してくださいと、わかりやすく言えばこういうふうな答弁ですね。  今、こういう現状の中にあって、多額の投資、億単位、数億円の金を借りて投資をするわけですから、全く収入の見込みがないならだれもやらないです。私は、医療機関の実務者が、私に――病院の偉い人ではないですよ。医者とかそういう人ではないですよ。私に言った人は会計を担当している人なのです。病院の若い職員の人です。松浦さん、おれはまた、場合によっては給料下げられるかもしらぬ、やっぱり、市役所はちゃんと約束したのだから、市長に頼んで手形を落としてもらうように言ってと、こういう話なのですよ。  したがって、さっきみたいな話ではなくて、そういうことがあってやっていることですから、やっぱり、まずは12月から試行できるように、今から間に合うかどうかわからぬけれども、最大限努力をして、延びたとしても余り延ばさない。ただ、3カ月、4カ月も延びるようだったら、やっぱり、せめてこの利息ぐらいは何らかの形で補てんしてあげるようなことも考えることがあっても私はいいのでないかなというふうに思うのですけれども、市長、ここのところ、こんな利息まで考えるのはやっぱりうまくないかい。私はあってもいいと思うのだけれども、どうでしょうか。 ◎加藤 保健福祉局長  先ほどから部長が申し上げてございますけれども、精神科救急の体制整備につきましては、これは、まさに道と国との協議が必要でございまして、先ほど委員からお話がございました渡部副市長も先頭に立って道の方にもお伺いし、そして、この協議をまとめるべく今努力をしている最中でございますので、札幌市の現状がそういうことだということにご理解をいただきたいなと思っております。 ◆松浦忠 委員  皆さん、何というか、陰に隠れた部分はこういうところで議論してもらったら困るという感じが何か伝わってくるのですよ。やっぱり、事、お金に関することですから、働いている職員の給料にもかかわってくるし、経営そのものにもかかわってくることですから、そんなふうでなくて、後で結構だから、今の話をきちっと受けとめて、そういうおくれた場合の手当てもきちっと考えていってもらうと。  市長は、中小企業だとかいろいろなところに対して、倒産防止だとかいろいろ手厚くということも考えておるし、札幌市のそういう実態の中でそうしたことが行われているわけですから、そうすると、やっぱり、場合によっては市の責任においてそういった措置も講じるようにぜひしていただくことを求めて、終わります。 ○芦原進 委員長  ここで、およそ20分間、委員会を休憩いたします。     ――――――――――――――       休 憩 午後3時44分       再 開 午後4時5分     ―――――――――――――― ○芦原進 委員長  それでは、委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、質疑を行います。 ◆しのだ江里子 委員  私からは、移動支援事業の充実と障がい者施設における地域との交流について、2点質問させていただきます。  まず、移動支援事業の充実について伺います。  私は、先月開催されました障がい福祉に関する市民との意見交換会に参加させていただき、障がいのある方が日々の生活で困っていること、課題と感じていることなどについて多くのお話を伺うことができました。その中でも、複数の方から、移動支援事業について一層の充実を期待する意見が寄せられました。  移動支援事業については、単独では外出困難な障がい児・者が、社会生活上、必要不可欠な外出、余暇活動や社会参加のための外出をする際に、ガイドヘルパーを派遣して、外出時に必要となる移動の介助、外出に伴って必要となる身の回りの介護を行うものとあり、障がいのある方の自立と社会参加を促進する上で基盤となるサービスの一つと規定されています。一方、市町村による地域生活支援事業の必須事業として位置づけられているにもかかわらず、札幌市の実情に合わせますと、十分な財源確保が難しいということで、これまで通学や通所、通勤といった外出での利用が認められておりませんでした。  そのような中、第3次札幌新まちづくり計画の素案が公表され、この中で、障がいのある子どもへの移動支援の充実に向けて、本市においても、通学への移動支援の実施に取り組んでいただくことが示されたことは、これまで総合的な外出支援策の推進を求めてまいりました私どもといたしましても、大いに評価するものです。  そこで、1点目の質問ですが、通学利用への拡大について、これまでの経緯と、具体的にどのような方を対象として実施することを検討されているのか、伺います。 ◎天田 障がい福祉担当部長  移動支援につきまして、通学への利用拡大に係るこれまでの経緯についてでございます。  移動支援事業につきましては、この充実を求める声が本市に多数寄せられてきたことを踏まえまして、平成21年度から、随時、利用者や事業者より直接ご意見をお伺いする場を設けてまいりました。延べ46回開催させていただいております。とりわけ、通学利用に関しましては、障がい児の保護者などからの切実な要望をいただいております。また、近郊市で認めているという状況も考慮しまして、札幌市におきましても拡大に向けた検討を重ねてきたものでございます。  次に、通学利用の対象者についてでございますが、保護者の就労や障がいといった事由により、通学時の付き添いが得られない障がい児を対象として実施していきたいと考えております。 ◆しのだ江里子 委員  平成21年度から46回にも及ぶ意見交換会を行って聞いていただいたということで、とりわけ通学に関しては近郊市でも行われていることから、それこそ、こういったサービスの格差というのがあってはいけないと思うわけです。  今回、この移動支援事業の中でも、とりわけ通学への利用については、障がい児を育てる保護者の負担を軽減しながら、子どもたちの健やかな発達をしっかり支えていく上で、切実な課題であると思います。通学への拡大を実施するには、多大な経費を要するとされており、財源が限られている中、ある程度対象を絞らざるを得ないということは理解できますが、なぜ、保護者の就労、または障がいに着目して支援をすることとされるのか、伺います。 ◎天田 障がい福祉担当部長  保護者の就労、または障がいに着目した利用についてでございますが、通学利用への拡大の検討に当たりまして、昨年度、市内の特別支援学校の在籍生の保護者などを対象にしまして、2回、アンケートを実施させていただいております。この調査を通じまして、介護者が通学に付き添えないときは、学校を休ませている、または、毎日の付き添いのために働くことができないというような切実な声が多数寄せられております。障がい児の通学が保護者の心身状況に左右されており、また、就労にも多大な影響を及ぼしているという実態を踏まえまして、保護者の就労または障がいといった事情がある世帯につきましては、福祉的な観点からも通学利用に拡大する必要が高いと判断したものでございます。通学利用への拡大によりまして、これまで以上に通学手段が安定的に確保されるとともに、保護者の就労促進にも寄与するものではないかというふうに考えております。 ◆しのだ江里子 委員  2回の調査をなさって、そして、いろいろなご意見を受けとめたということで、例えば、親が病気になると学校を休ませなければならないとか、そして、毎日の通学に付き添うことによって就労につけないというような親の意見が多々あったということです。  14日の交通局の審査で地下鉄駅施設のバリアフリーについて質問させていただいたときにも私は申し上げたのですけれども、障がい福祉とは、普通の生活を送るために足りない部分を埋めることだと考えます。障がいのある方が地域社会の中で普通に生活を送ることの暮らしづらさを解消するためには何を必要とするのか、しっかりと耳を傾けていくことが求められると思います。まずは、障がいのある子どもたちの保護者で、就労されている方、求職中の方も対象となるとも聞いておりますが、あるいは、障がいのある方に対し、その子どもの通学への支援からスタートされます。しかし、移動支援を必要とする外出としましては、作業所への通所とか通園などに利用したいという声も大変多く、利用拡大に向けて、例えば、今行っておりますパーソナルアシスタンス事業のような地域住民の力を活用した新たな仕組みなども含めて、さまざまな手法を検討していくべきと考えます。  また、移動支援事業に関しては、2010年6月にガイドラインを策定し、全市的な取り扱いの平準化を図っています。利用者にとって不公平感のないよう一定の目安は必要と思いますが、移動支援事業というものは、基盤的なサービスであり、地域生活支援事業の必須事業でもあります。できる限り、利用者にとって使いやすいものにする必要があり、現在も定期的に各区の担当者が集まって相談事例の検討などを行っていると聞いておりますが、そうした検討などを重ねながら、今後とも、少しでも使いやすい制度となるよう改善を進めていただきたいと考えます。  地域生活支援にかかわる事業と自立支援サービスの整合性とか、それぞれの財源のあり方については大変理解しづらいものがあります。今後は、それぞれの事業に対して、国の一くくりではない財源支援が行われるように、私たちもしっかりと国に対して求めていきたいと思います。  次に、障がい者施設における地域との交流について質問いたします。  私は、地域全体が障がい者や高齢者に対する理解を深め、だれもが相互に支え合う環境づくりが必要であり、それを実現するためには、福祉施設と地域社会との日常的なかかわりや継続的な交流が重要な取り組みであると考えています。今市議会の代表質問において、その見解を確認させていただきましたところ、これまでも日常的な地域交流を深めており、福祉施設ではその施設の専門性や機能を地域に開放しているとの答弁がありました。確かに、国の障がい福祉に関する各種施策におきましても、入所施設や病院などからの障がい者の地域移行を主要テーマとし、障がい者入所施設等の運営に当たっては、地域との交流に努めるよう明示しています。地域の生活の中でも、施設に入所する障がい者の方が町内の花植えや清掃などを行う光景が見受けられますが、地域移行が進む昨今、こうした地域活動が、今後の共生社会の実現に向け、実を結んでいくものと考えています。  そこで、質問ですが、障がい者施設にとっては継続的な地域との交流が重要であると考えますが、現在、どのような地域交流が行われているのか、伺います。 ◎天田 障がい福祉担当部長  障がい者施設と地域との交流の状況でございますが、各施設におきましては、地域の方々に障がいを理解していただくため、日々、地域との交流に努めていただいております。  具体的に申し上げますと、施設機能を活用しまして、町内会の打ち合わせや地域サークルの活動の場として、多目的室や地域交流スペースなどを開放する、あるいは、施設の利用者が地域町内会の夏祭りや花植え、それから、公園の清掃などのボランティア活動に参加する、小・中学校の運動会に参加するなどの交流が多く行われております。その他の例といたしましても、バザー等を通じまして地域の方にも参加していただく、そういった中で理解の促進に努めているというような取り組みも行われてございます。また、継続的に交流を深めている事例といたしましては、施設と地域住民との協働による企画によって、施設を活用して地域のサロンを運営している施設もございます。 ◆しのだ江里子 委員  具体的に幾つかの事例をお示しいただきました。継続的には協働で施設を開放してサロンをという事例もございます。さまざまな地域活動が行われていることがわかります。  私も施設が行う交流活動に参加することがありますが、地域が施設に求めることと施設が地域に求めることが必ずしも一致していないなど、コミュニケーション不足があるのではないかという印象を受けることがあります。施設は地域にとって大変重要な資源ですので、私は、施設と地域の交流をさらに促進すべきだと考えます。3.11東日本大震災後を見ますと、震災時においては、施設と地域が相互に支え合う関係が必要であり、この関係を構築するためには、やはり、日々の交流が重要であると実感いたしました。  この8月、札幌市は、札幌市知的障がい福祉協会及び札幌市身体障がい者施設連絡会、札幌市老人福祉施設協議会の3団体と災害時の緊急受け入れに関する協定を締結したと伺っておりますが、このような状況の中、本当に協定を実効性のあるものとできるのか、不安を感じております。  そこで、質問ですが、札幌市では、さまざまな場面で施設の運営等について指導・助言を行っているものと思いますけれども、施設運営の観点から、地域との連携、交流についてどのように働きかけを行っているのか、伺います。 ◎天田 障がい福祉担当部長  地域との連携、交流についての働きかけについてでございますが、障害者自立支援法等に基づきます実地指導の機会を通じましてこれらを行っているところでございますけれども、多くの施設では、既に地域との交流が行われております。その関係もおおむね良好であると確認しているところでございます。 ◆しのだ江里子 委員  多くの施設では交流がされているということですが、それが本当に実を結ぶような交流、そのときだけの交流ではなくて、本当に継続したものとなるように私は求めていきたいと思います。ぜひ、地域と施設が交流を深めるよう、さらに働きかけを行っていただきたいと思います。  また、今回締結いたしました災害時の連携についてはどのように考えていらっしゃるのか、お示しください。 ◎天田 障がい福祉担当部長  協定の締結によります災害時の連携についてでございますが、災害時におきましては、施設と地域との連携がより重要となります。今回の協定の締結を契機といたしまして、相互理解に立った協力関係をつくり、さらに、災害に備えた施設の取り組みなどを地域から発信する取り組みを通じまして、地域の意識と理解を深めてまいりたいと考えております。 ◆しのだ江里子 委員  地域の意識と理解を深めるということでした。災害時には、人と人とのつながりが本当に重要となります。障がいの有無にかかわらず、ともに苦難を乗り越えていかなければなりません。日ごろから施設と地域が連携をとることによって、実際に災害が起きたときには、自然と協力し合うきずなが生まれて、発揮できるものと考えられます。私たちは、東日本大震災を教訓として、地域とのつながりが強まり、共生社会の確立に向けた一歩を踏み出してほしいと切に願っておりますことを申しまして、私の質問を終わります。 ◆丸山秀樹 委員  私からは、障がい者の一般就労に向けた支援策についてと、静療院成人部門跡施設改修等事業の進捗状況について、さらに、福祉用具のリサイクルについての3点について、別々にお伺いいたします。  まず、障がい者の一般就労に向けた支援策についてお伺いします。  我が会派は、障がいのある方の雇用について、各企業における雇用の促進を求めるとともに、就労を目指す障がい者への相談支援体制の充実と、就職後の本人並びに企業への直接的な支援体制の強化が図られるよう強く訴えてまいりました。  札幌市では、昨年度に2カ所の就労者支援型の地域活動支援センターを設置し、国が設置する障害者就業・生活支援センターと合わせて、合計3カ所の体制整備が図られたところですが、障がいのある方の就労支援に係る相談体制の充実を図ることは大変重要であると考えます。また、国の制度である職場適応援助者、いわゆるジョブコーチの絶対数が不足している現状等から、このセンターに配置される予定である市独自のジョブコーチとも言えるジョブサポーターについては、我が会派としても大変歓迎するものです。  そこで、お伺いしますが、6月の第2回定例市議会の議案審査特別委員会においても、就労支援型の地域活動センターにおける相談支援業務の昨年までの実績を質問いたしましたが、本年度も半期が終わりましたので、相談件数や就職に結びついた件数の現状がどのように推移しているのか、改めてお伺いいたします。  また、このセンターに配置されているジョブサポーターの業務内容や配置先、ジョブコーチとの役割分担についてお伺いいたします。 ◎天田 障がい福祉担当部長  1点目の就労者支援型の地域活動支援センターにおける相談件数、就職に結びついた件数についてでございます。  センターにおける相談の延べ件数につきましては、平成21年度が1カ所、3,733件でございました。22年度が2カ所となりまして、5,285件となっております。平成22年度の実績を前年度と比較いたしますと、約1.4倍の伸びとなってございます。今年度につきましては、4月から9月までの6カ月間の相談件数が4,572件となっており、この相談件数のまま1年間を推移いたしますと、昨年度を上回る見込みとなってございます。  また、二つのセンターでの相談を通じまして就職に結びついた件数でございますが、平成21年度が20件、22年度が26件、今年度につきましては、4月から9月までの6カ月間で既に44件となっております。  次に、2点目のジョブサポーターの業務内容や配置先、ジョブコーチとの役割分担でございます。  まず、ジョブサポーターの業務内容や配置先についてでございますが、市内には国の制度でありますジョブコーチの数が非常に少ない、これは委員のご指摘のとおりでございます。こういったことから、これを補うため、障がいのある方が働く場に赴きまして障がいのある方と事業主との間に立って支援を行うジョブサポーターを、就労者支援型の地域活動支援センターに配置することとしたものでございます。今年度につきましては、この10月から、北区のセンターに国が実施しますジョブコーチ養成研修を受講した方を1名配置したところでございます。  ジョブサポーターの具体的な支援の内容を一応例示させていただきたいと思いますが、知的障がいの方の中には、作業手順を細かく切り分けて説明することで作業が可能となる方がおられます。こういった場合には、事業主と取り組みやすい作業工程を一緒に考えてあげる、あるいは、精神障がいの方の中には、服薬等により長時間働くことは難しいけれども、そのことを事業主になかなか申し出にくい方もいらっしゃいます。こういった方の場合につきましては、本人の申し出を受けまして、細かく休憩をとる方法などを一緒に考えるというようなことをやっております。  また、ジョブコーチとの役割分担についてでございますが、今回、札幌市に配置いたしますジョブサポーターにつきましては、基本的には、国のジョブサポーターとほぼ同様の業務を担っていただくというふうに考えてございます。具体的には、ジョブサポーターの役割としまして、制度上、ジョブコーチが支援を行うことができない、具体的には職業訓練や職場実習の段階からの支援を行うことを可能としてございます。職場定着を円滑に進めるに当たりましては、職業訓練や職場実習の段階から、時間をかけて障がいのある方への十分な理解と配慮を行いながら、事業主とともに支援方法を検討することが必要となる方がおられますことから、職場適応するための援助が必要な段階から対応できる、こういった意義は非常に大きいものと考えてございます。  ジョブサポーターにつきましては、先ほど申し上げましたように、10月から活動を開始しておりますので、国が配置しますジョブコーチと十分連携を図りながら事業を進めてまいりたいと考えております。 ◆丸山秀樹 委員  就労者支援型の地域活動支援センターにおける相談支援業務の現状をお聞きすると、どちらのセンターもニーズが高く、大変精力的に相談を受け、就職に結びつけるための取り組みを行っていることはよくわかります。また、就職に結びついた後の支援体制という点でも、このセンターの役割が拡大していることが理解できます。  そこで、質問ですが、働く障がいのある方とその方を雇用する企業への支援に係る今後の施策の展開について、どのようにお考えなのか、お伺いいたします。 ◎天田 障がい福祉担当部長  障がいのある方と企業への支援に係る今後の展開についてでございます。  本年第2回の定例市議会で議決いただきました補正予算におきまして、就労者支援型の地域活動支援センターの充実策といたしまして、既存のジョブサポーターの配置のほか、センター1カ所の新設、そして、各センター間の調整を行う拠点事業所の指定を行うこととしてございます。新設するセンターにつきましては、豊平区月寒にハローワーク札幌東がございますが、このハローワークに近接する地域に本年12月開設予定ということで、現在、準備を進めてございます。このセンターの設置によりまして、現在開設をしている2カ所、国が設置をしております1カ所、これは北区になりますが、そこと合わせまして市内4カ所体制が整備されることになります。また、拠点事業所の指定でございますが、10月から、中央区にございますセンターを拠点事業所として既に指定しております。働く障がいのある方が職場定着を円滑に進める上で、障がいのある方やご家族、事業主、それぞれの立場でできることを一緒に考えながら、段階に応じて適切な支援を行うことが必要不可欠であると考えてございます。  今後とも、就労に関する相談件数の増が予想されますことから、来年度以降につきましても、支援センターの新設やジョブサポーターの増員等によりまして充実を図ってまいりたいと考えております。 ◆丸山秀樹 委員  年内に1カ所増設するということでございましたが、我が会派としては、札幌市版のジョブコーチであるジョブサポーターについて、今、説明があった人数では市全体をカバーすることは不可能だと考えております。また、今後、さまざまな就労支援策を展開する中で、さらに一般就労をする障がい者が増加することは望ましいことですが、その一方で、ジョブサポーターが行う定着支援の対象者がふえて手が回らなくなることも想定されます。ついては、支援対策のより積極的な充実強化が急務であると考えます。今後、さらに望ましい状態になるよう一般就労支援施策をさらに充実させるとともに、その状態を支えるための体制であるジョブサポーターのさらなる増員を強く要請いたしたいと思います。  次に、静療院の成人部門跡施設の改修事業の進捗状況について伺います。  この事業につきましては、8月ごろの新聞報道によりますと、利用者説明会において、発達医療センター利用者から、通うのが不便になるとの声が上がっております。さきの第2回定例市議会において、設計費等の補正予算の議決を行いましたので、現在、担当部局において設計業務が進められていると思いますけれども、施設の設計に当たり、利用者の意見を反映させることが必要不可欠ではないかと考えます。  札幌市における自閉症に対するこれまでの取り組みの経緯を振り返りますと、平成13年度の札幌市強度行動障害・自閉症者処遇基本計画策定において、計画策定委員会が設置され、保健福祉局、日本自閉症協会北海道支部、のぞみ学園親の会、札幌市医師会小児科医会、静療院と親と専門技術職、そして行政が同じテーブルに着いて話し合いを行うという大変にすばらしい試みがございました。もとをたどると、昭和42年の北海道情緒障害児父母の会の結成から今日までの歩みは、親の願いと、市議会の支援、専門技術職による医療施設の運営によって機能してきたとうかがえます。昭和57年、第一種自閉症児施設のぞみ学園も、平成17年、札幌市自閉症者自立支援センターゆいの名称も親たちがつけた名前であり、このことからも、利用者、市民の立場に立った運営を心がけてきたことがうかがえます。そうした意味からも、施設を利用する障がい児・者、また保護者にとってすばらしい施設にしていかなければならないと思います。  そこで、最初の質問ですが、利用者説明会を開催されたとのことですけれども、どのような意見や要望が寄せられ、その声にどのように対応していくのか、設計にしっかり反映されるのか、設計業務の進捗状況とあわせてお伺いいたします。 ◎天田 障がい福祉担当部長  静療院成人部門跡施設改修等事業に係る利用者説明会の開催についてでございます。  この利用者説明会につきましては、各施設ごとに、この整備計画の概要をご説明いたしまして意見やご要望を聴取するという目的で行ったものでございます。また、利用者説明会のほかに、関係団体を対象といたしまして同様の説明会も開催してございます。  具体的にどのような要望が寄せられたかということでございますが、まず、障がい児の通園施設でありますかしわ学園、もう一つはひまわり整肢園、ここにつきましては、8月9日に説明会を開催いたしまして、その中では、ホールや療育設備等のハード面での改善要望、それから、訓練回数の増といったソフト面での充実を要望する声がたくさん寄せられてございます。  次に、医療施設であります発達医療センターにつきましては、8月11日に開催いたしました。通院が困難となるといったご意見が多くの保護者から寄せられてございます。ほかには、リハビリ訓練の回数の増、それから、発達医療センターのようなリハビリ訓練の施設を市内に複数カ所設けてほしいと、このような設置の要望を承ってございます。  また、知的障がい者の通所施設でございます第二かしわ学園につきましては、8月26日に開催いたしまして、その中では、できるだけ低層で設置してほしいと。この建物につきましては、一応、成人病棟が5階建てになっているものですから、そういった面では、立体的な利用をするのに、どの階に何を入れるかというところはありますが、その中で成人の施設だからといって必ずしも高いところということにはならないと、そういった趣旨のご要望をいただいていると考えております。  これらのご意見、ご要望への対応につきましては、施設の整備や運営に可能な限り反映させていきたいと考えておりまして、設計業務を行うための基本的な事項となります各施設の設置フロアやレイアウトなどにつきましても、慎重に検討を進めているところでございます。 ◆丸山秀樹 委員  3回の説明、また、低層についてなど、今の答弁にあった利用者説明会に寄せられた意見や要望はどの意見も大切な意見でありますので、ぜひ一つ一つ丁寧にご対応いただきたいと思います。設計業務については、まだ余り進んでいないようですが、利用者に対する安全性の確保はもちろんのこと、施設の利便性や使い勝手についても、利用者の意見に積極的に耳を傾け、慎重に進めるべきだと考えます。  当初の計画では、今年度中に設計を終え、平成25年10月の開設を目指すスケジュールになっておりますが、2点ほど質問させていただきます。  まず、1点目として、8月に行われたような利用者説明会は、今後も節目節目で開催が必要であると思われますが、今後、開催する予定があるのか、お伺いいたします。  2点目として、今後、開設に向けたスケジュールについて、改めてどのようにお考えなのか、お伺いいたします。 ◎天田 障がい福祉担当部長  1点目の今後の説明会の開催予定についてでございます。  当面の予定といたしまして、8月に開催いたしました説明会でいただきましたご意見、ご要望につきまして、札幌市の考え方、その対応等についてご説明する機会も必要であろうと考えております。また、今後、設計業務を進める途中段階でも、図面などをお示ししてさらにご意見を伺うような場も必要というふうに考えております。  次に、2点目の今後のスケジュールについてでございますが、当初は、今年度中に設計を終え、来年5月ごろに着工、平成25年10月ごろの開設というふうに予定しておりました。しかし、市民の防災意識、これは、当然、3月11日の震災といった背景もございますが、そういった防災意識の高まりもございまして、すべての施設が低層部分での配慮というものをご希望になっておられることなどもございますことから、当初に予想しておりました予定よりも調整が難航しているのが現実でございます。また、今後とも、利用者説明会を随時開催しまして、利用者から寄せられる意見や要望につきまして、できるだけ設計に反映させていくことを優先したいと考えております。こういったことから、年度内に設計を終えるのが非常に難しい状況となってきてございます。  これらを踏まえまして、当初の開設予定時期にこだわらず、利用者にとって安心・安全に利用できる、そういったよりよい施設とするために弾力的に対応していきたいと考えております。 ◆丸山秀樹 委員  ただいま答弁を受けましたが、慎重に検討を進めていく中で建設予定がおくれそうな状況になった場合も、広く利用者、市民に理解を求めていく必要があると思います。少なくとも20年、30年程度は使う施設となりますので、ぜひとも利用者にとって使いやすい安全な施設にしていただきたいと思います。  また、この施設には、経験豊かな多くの人材が必要になると考えます。施設の運営管理などのハード面だけでなく、充実した市民サービスを展開できるようソフト面での職員配置の充実に努めてくださるよう要望いたします。  次に、福祉用具のリサイクルについて、1点だけお伺いします。  車いすは、大きな公共施設や病院などではほとんどの施設に備えられておりますが、地域の方より、町内会の会合を行う地区会館や市営住宅などの集会所に車いすがない、足の不自由な高齢者のために車いすを何とか確保してほしいとの声が寄せられております。こうした声に対して、我が会派としては、補装具が給付され、その後、何らかの理由により不要になった車いすや、公共施設などで買いかえにより不要となった車いすを修理してリサイクルによる有効な活用を行い、必要とする小規模な公共施設のすべてに配置していくべきだと考えております。
     そこで、車いすのリサイクルの現状がどのようになっているのかについてお伺いいたします。 ◎天田 障がい福祉担当部長  車いすのリサイクルの現状についてでございます。  札幌市におきましては、札幌市社会福祉協議会が、平成6年から、自主事業としまして福祉用具リサイクル情報提供事業を実施してございます。この事業の中では、家庭等で不要になった福祉用具等を必要とされる方にリサイクル情報の橋渡しを行っているものでございます。この事業の中で、車いすにつきましては、ここ数年は年間20台から30台程度の実績となっております。一方では、家庭で使用されていた車いすが大型ごみとして廃棄されているという状況にあるとも聞き及んでおります。  保健福祉局といたしましても、今、申し上げた社会福祉協議会が実施しております福祉用具リサイクル情報提供事業を活用していただきまして、不要となった車いすが廃棄物として処理される前に、市民同士、譲る側と譲られる側との間での情報の橋渡しをすることによって有効な活用が図られるよう、環境局とも連携を図りながら、より一層の事業のPRに努めてまいりたいと考えております。 ◆丸山秀樹 委員  ぜひ、橋渡しをお願いしたいと思います。  要望になりますが、景気の先行きが不透明な今日において、限られた財源や資源を有効に活用するのは福祉用具についても同様のことと思われます。障がいのある方々ばかりでなく、今後、ふえ続ける高齢者などに対しても福祉器具のリサイクル事業はますます需要がふえるものと考えます。  現在、福祉器具のリサイクル事業は、札幌市社会福祉協議会が自主事業として行っているとのことですが、民間でも、発展途上国に対し、不要になった車いすを送る活動をしている団体もあるとのことですので、ぜひ、行政としても、障がい者、高齢者などの垣根を越えて、保健福祉局全体として制度の普及、拡充に向けて努力していただきたいことを要望し、終わります。 ◆井上ひさ子 委員  私からは、自殺総合対策ゲートキーパー養成研修についてと精神障がい者の運賃割引制度について質問したいと思います。  2009年に自殺総合対策推進会議を立ち上げ、2010年には行動計画をつくり、それに基づいて、現在、事業を展開しています。この計画の中でも、早期に対応する中心的な役割を果たす人材、すなわちゲートキーパーの役割が特に重要で、そのような人材を養成することが求められています。市民への自殺に対する問題の認知や理解を進めるためにも、普及啓発活動の事業とともに、まず、市役所職員に自殺予防意識を定着させて、自殺の門番と言うべきゲートキーパーの役割を担っていただくことが必要だと考えております。  自殺の原因が経済・生活問題に起因していることが多いとも言われておりますが、私どもは、市役所の窓口で税の納入、国保の保険料、また水道料金の支払いなどが困難となり、差し押さえとなった方から相談を受けることがあります。例えば、国保料を滞納すると督促しますし、国保料を払えとなります。しかし、そういう方の多くは、税の滞納、家賃、水道、電気、電話料、借金、それも多重債務があったりします。病気や家族の問題、会社の倒産と、一つの未払いに多くの問題が隠されていることがあります。私は、窓口対応は、困った人が送るサインを受け取るところと位置づけて、他の部局と連携もとって行うべきだと考えております。  この間も、我が党は、窓口を担当する職員のゲートキーパー養成研修が必要だと申し上げてきましたが、2010年は、どの部局の何人を対象にどのような研修を行ってきたのか、伺います。  精神障がい者の運賃割引制度についてです。  2010年度には、4月から、障がい者交通費助成制度の変更が本市においても行われました。福祉パスやタクシー券、ガソリン券は現行どおりで継続、福祉ウィズユーカードは大幅に減額され、定期券は廃止、精神3級においては増額されて身体、知的と同じになりました。しかし、運賃割引助成が考慮されず、大きな課題として残っております。身体、知的の障がい者と同じように地下鉄やバス等の運賃割引が適用されるように、今、当事者は家族と一緒に引き続き運動を強めております。  そこで、身体・知的・精神障がいの一元化がうたわれておりますが、これが遅々として進んでおりません。今、標準運送約款の見直しが国において行われるのではないかという期待が障がい者の方々からも出ておりますが、これについて、国に対して働きかけは継続されているというふうに思いますけれども、どのような状況になっているのか、伺いたいと思います。 ◎鎌田 精神医療担当部長  自殺総合対策ゲートキーパー養成研修の平成22年度の研修内容と対象者数についてであります。  母子保健分野では各区保健師及び保育士、自殺未遂者ケアのための研修では消防職員、思春期、青年期の心のケアには教員を対象に実施するなど、計6回で市職員216名の参加を得たところであります。各分野における対象者には、早期発見・早期対応について理解を深めていただく機会となり、自殺予防の一助になったものと考えております。また、これらの研修以外にも、以前から北区傾聴カウンセリング研修、生活保護新任ケースワーカー研修などが実施されており、悩みを抱えた市民への対応にかかわる職員の資質向上に努めております。 ◎天田 障がい福祉担当部長  2点目の精神障がい者に対する運賃割引制度に係る国の動向についてご説明させていただきます。  厚生労働省では、平成18年11月に、国土交通省に対しまして、精神障がい者の運賃割引の適用の拡大について協力依頼を行っております。これを受けまして、国土交通省から、協力の依頼の通知が事業者団体や各交通事業者に対してなされているところでございます。ただ、残念ながら、この通知が協力依頼にとどまっているものであり、割引の実施は個々の事業者の判断にゆだねられている状況にございます。  全国的な割引制度の実現のためには、委員ご指摘の国土交通省が定めております標準運送約款の見直しが非常に有効な手段と私どもは考えております。団体からも、この運動の中で運送約款の見直しが行われるということを国土交通省から聞いたと伺っておりまして、昨年度になりますが、我々も期待をかけていたところでございますけれども、現時点では約款の見直しまでには至っていないのが現状でございます。 ◆井上ひさ子 委員  ゲートキーパーの問題です。  母子保健を初め、6回、216人の方がこれに対応して、早期に予防する立場で頑張っているのかなというふうに思います。私は、前回もそうだったのですが、こういうところは、福祉の枠だけではなくて、他の部局まで広げていけるような取り組みが大事だというふうに思います。  そこで、生活苦を抱えて自殺を考えているかもしれない、そういう可能性のある市民にかかわって、先ほど国保や税の問題で言いましたように、その世帯や生活の状況がどうなっているのか、また、どうして払うことが困難になったのかということは、そこで接触している、対応している職員の方が一番情報を把握しているというふうに私は思うのですね。そのような職員に対する具体的な自殺予防の理解を深めるゲートキーパーとしての研修というのは、今始まったところですが、これはもっと充実していくべきだというふうに思います。  前回もマニュアルなどをつくって対応したいと言っておりましたけれども、窓口の仕事は大変忙しいと思うのです。ですから、わかりやすい、すぐに活用できるもの、また、何といっても繰り返し研修を積んでいく工夫が大事だというふうに思いますが、この点についてもお聞きしておきたいと思います。  それから、運賃割引の問題です。  2007年ころからこういう動きがあるけれども、本当になかなか進まないのが実態だと思うのですね。国が事業者に対して拡大するようにと言っても、事業者そのものも国の動きを見ているというふうに私は思うのですね。本市も、有効的な手段として国の標準運送約款の見直しに期待をかけていると思うのですが、これについて強力に求めていただきたいと思います。  この間、交通事業者に対しても要望されていると思うのですが、各交通事業者の精神障がい者に対する運賃割引制度の考え方について、改めてお聞きしたいと思います。 ◎鎌田 精神医療担当部長  1点目のわかりやすい、すぐに活用できるような研修の工夫についてでございます。  平成22年3月に作成いたしましたA4判の大きさの「自殺予防 相談ハンドブック」がございますけれども、これにつきましては、庁内外に配布して活用されております。今年度は、より簡便で利用しやすいカード型の相談マニュアルを作成中でありまして、国保の収納職員など、市民と直接対応する職員の皆さんに配付することで、自殺のサインに気づき、解決につなげることを広く周知する予定であります。また、次年度以降は、その相談マニュアルを活用した早期対応の役割を担う窓口対応の職員への研修の開催を検討してまいりたいと考えております。 ◎天田 障がい福祉担当部長  運賃割引制度に係る交通事業者の考え方についてでございます。  民間のバス事業者に対しましては、札幌市といたしましても、機会あるごとに運賃割引についての要望を行ってまいりました。民間バス会社はどのような考え方かということでございますが、バス利用者全体が減少している中、運賃等の値上げができない経済状況の中で大変苦しい経営を強いられているというふうに伺っております。その中にあっても、事業者として障がいのある方に対する社会的な配慮を行わなければならないことにつきましては、公共交通を預かる身として十分に理解しているという認識もいただいてございます。また、国の標準運送約款に精神障がい者に対する運賃割引が位置づけられれば前向きに検討したいというようなご意見もいただいてございます。 ◆井上ひさ子 委員  ハンドブックから今度はカードに、そして研修も深めていくという先ほどのご答弁だったかなというふうに思います。  やっばり、窓口対応は、困った人が来て送っているサインだと受けとめて対処すべきですし、この間、自殺に対する標語的なものがあって、はっと気づかされるようなものがあちこちに張られています。そういうふうにして、少しずつ市民の目に触れる機会も多くなったのかなと思います。私どもも、本当に救える命は一人でも救いたいという思いで、より一層、この事業が庁内の連携をとって前進できることを求めておきたいと思います。  それから、交通事業者に対して要望も行ってきているということで、民間のバス事業者の大変厳しい状況もお話がありました。そういう中で、国において約款の見直しがされれば、本当に割引についても検討していきたいという答弁だったのかなというふうに思います。  この辺は、民間のバスでも、聞くところによるとやっているところもありますので、頑張っていただきたいというふうに思います。それから、本市の地下鉄においても先行してほしいという障がい者の声が多くありますね。この辺も、ぜひ内部で検討していただきたいと思います。  最後になりますけれども、当事者の方々が長い運動を続けてきておりますが、北海道と札幌市がばらばらでやっているのではなくて、国も含めて一緒に交通事業者に対応していただきたいという声もあります。これらについてはどのように対応されてきたのか、伺います。 ◎天田 障がい福祉担当部長  運賃割引の実現に向けた北海道との連携についてのご質問かと思います。  北海道バス協会に対しましては、札幌市としましては、これまでも折を見て要望しておりましたが、平成21年度からは北海道と共同でバス運賃割引に係る要望について継続して申し入れをさせていただいております。また、本年につきましても、去る9月に運賃割引の適用について、再度、要望書を提出しております。要望書とあわせまして、団体の事務所にも参りまして、北海道の担当官と一緒に協力の要請をしてきたところでございます。  また、昨年4月に本格施行されました北海道の障がい者条例には、移動手段の確保について交通事業者等の理解を得るように努めることが明記されてございますので、札幌市といたしましても、大都市主管課長会議などの機会を通じまして、国に対して精神障がい者の運賃割引の実施について引き続き要望を行うこととあわせまして、北海道とも十分に連携を図りながら、運賃割引の実現に向けた取り組みを今後とも粘り強く続けてまいりたいと考えております。 ◆井上ひさ子 委員  知的・身体・精神障がいが一体となれるように私どもも進めていきたいというふうに思いますし、障害者基本法も差別を禁じていますね。障がいを持たれている方は、それを一番嫌がっているというふうに思います。全国どこに行っても運賃割引制度があって、本当に自立していく、また社会参加を進めていけるというふうになれますように、今も一緒に進めて要望などをされていると思いますけれども、協議会の立ち上げなども検討していただいて、実現に向けて取り組みを強めていただきたいと思います。 ◆小倉菜穂子 委員  私からは、自殺対策のうち、北海道いのちの電話への支援について、1点伺います。  本市における自殺者数が年間400人以上という状況が続いていることについては、さまざまな要因がありますけれども、とにかく一人でもそうした方を少なくするために、できることから確実に行わなければならないというふうに考えております。  本市が6月に実施した市民アンケートによると、自殺に関する情報で知っているもののうち、7割弱の方が北海道いのちの電話というふうに答えておられます。北海道いのちの電話では、250名の相談ボランティア員が必要ということですが、現在は200名弱と常に相談員が不足しており、その相談員への応募者も減少しているということです。また、相談員は無報酬のボランティアであって、365日24時間体制で、夜間はたった1人、事務所のセキュリティーの問題などもあって、相談員や事務所の確保には大変なご苦労をされていると伺っております。年間1万8,000件前後の相談があって、これは平均すると1日に50件くらいですが、相談時間は大体30分程度です。また、この間、いのちの電話の方々が独自に調査されたところ、かかってくる電話は1日に1,500件ぐらいあるうち、とれるのは先ほども申し上げたわずか50件ぐらいと伺ったこともあります。さらに、相談ボランティアとなるためには、養成研修を受けなければなりません。近年は、特に男性の自殺志向件数が増加し、仕事や病気による生活不安が原因となっているように、自殺の原因も複雑になっているなど、生きることにさまざまな不安を感じている方々の声を受けとめる北海道いのちの電話ですが、その運営については7割近くを後援会の会費とか寄附金で賄っている状態です。  そこで、質問ですけれども、札幌市の自殺予防に関しても相談業務や研修業務を通して大切な力をいただいております北海道いのちの電話に対して、昨年度、札幌市はどのような支援や協力を行ってきたのか、その点についてお伺いいたします。 ◎鎌田 精神医療担当部長  北海道いのちの電話に対する昨年度の支援についてでありますが、運営費につきましては、訓練養成費及び広報費の補助としまして昨年度は100万円を補助しましたほか、北海道の自殺対策緊急強化基金からの補助を活用し、パソコンなどの設備・備品費用としまして48万円を補助しました。また、住民生活に光をそそぐ交付金を活用しまして、本年3月に相談員募集の普及啓発を行ったところであります。  なお、北海道いのちの電話が3月29日に開催しました相談員募集の説明会には、札幌市が新聞紙上で積極的なPRをしたことによりまして、104名と予想を上回る参加者を得たところであります。 ◆小倉菜穂子 委員  訓練養成費などの補助金額を教えていただきました。また、応募にたくさんの方がいらっしゃったということで、先ほど申し上げましたとおり、人が大変不足しているということもありましたので、その方たちがきちんとボランティアにつないでいける人材だといいなというふうに思っています。そこに進んでいってほしいなというふうに思っています。  いのちの電話については、たくさんの市民の方がご存じであることからも、私は、自殺予防の周知とかさまざまな自殺予防に対する取り組みに関して、こちらと協力・連携することで札幌市の自殺予防対策を立てることなども一緒に考えていけるのだというふうに思っています。そういった意味からも、ぜひ支援をしてもらいたいと考えています。先ほどの答弁にありました100万円という支援の仕方もありますし、また、例えば、北海道いのちの電話が主催する講演会や研修会への支援などということであれば、私はすぐにできるのではないかというふうに考えます。どのような形であれ、できることがあればしっかりと進めていただきたいと思っております。  そこで、1点目として、今後どのような協力や取り組みの支援をしようと考えているのか、お伺いします。  次に、北海道いのちの電話は民間の法人ですので、どんなふうに電話相談を受けているのかとか、どんなふうにつないだのかという詳細な内容を一つ一つ確かめたり、札幌市から指導するというわけにはいかないだろうと思います。しかし、札幌こころのセンターで行っているこころの健康づくり電話相談事業については、委託しておりまして、電話相談の持つ重要性から、こちらは6月以降も延長して実施されているところです。  私は、2011年、ことしの1定でも申し上げましたが、北海道いのちの電話相談事業やこころのセンターのこころの健康づくり電話相談などの当事者の思いをまず受けとめるという相談事業が自殺対策として非常に大切だというふうに考えています。そして、電話相談の内容や声をどんなふうに受けとめて、それをどこに、どういうふうにつないでいくかという対応が自殺予防においては大変重要だと強く思っているところです。  そこで、2点目の質問ですが、札幌市は、自殺志向や心の悩み事などの相談があった場合に、どんなふうに受けとめて、そして、つないでいっているのか、どのような対応をされているのかについてお伺いしたいと思います。 ◎鎌田 精神医療担当部長  まず、1点目の今後の北海道いのちの電話への支援についてでありますが、社会福祉法人として自殺予防の相談員の育成や電話相談の最前線として極めて有意義な活動をしていると認識しておりますので、さまざまな事業に対する協力、支援を今後とも継続して進めるとともに、次年度の運営費補助の増額について検討してまいりたいと考えております。また、ご指摘のありました北海道いのちの電話が主催する講演会あるいは研修会についても協力してまいりたいと考えております。  次に、2点目の電話相談の受けとめ方、つなぎ方などの対応についてでありますが、こころのセンター内のさまざまな悩み事の相談に関しては、相談された方の気持ちに寄り添い、ありのままに受けとめて聞く、いわゆる傾聴することにより解決する場合もございますし、場合によりましては病院等の関係機関へ紹介しなければならないといったこともございます。あるいは、来所相談を必要とする場合もございます。ご相談の内容によってさまざまではありますが、常に冷静で適切な対応を心がけております。  今後とも、悩みのある方がいつ、どこでも気軽に相談できるような体制の充実に努めてまいりたいと考えております。 ◆小倉菜穂子 委員  研修会などへの協力と運営費の増額といったお話もありました。金額はどのぐらいになるのかなと思いますが、いのちの電話の方々とこれからもいろいろ協議されていくのかと思います。ぜひ、しっかりと運営に力を注いで、協力していっていただきたいなと思っております。  今、どんなふうに受けとめてということでも、ありのままに受けとめて、しっかりと傾聴していくという言葉がありました。その傾聴というのはなかなか難しいことだなといつも感じています。今、こちらだけではなくて、傾聴に関するたくさんの講座があったり、セミナーがあって、たくさんの方がいろいろな場面で人の話をしっかりと聞く、受けとめることに新しい支援の仕方があるのだなと感じているところです。そこのところは、研修の中でも当然やっていかれると思いますが、ぜひ大事にしていっていただきたいと思っております。  伺った中で思ったのですけれども、これまでさまざまなボランティアをしてきた方がいらっしゃって、60歳になったのをきっかけにいのちの電話のボランティアをしようと考えていると、先日、そういう女性に出会いました。本当にいろいろな方がこの電話相談に関心を持たれているのだなと感じたところです。  いのちの電話であれ、こころの健康づくり相談であれ、相談を受けて、それをどこへ、どのようにつなぐかということは大変重要であり、そして、大変難しいことだと思っています。かかってきた一本の電話でそのまま内容をつなぐことができればいいと思うのですけれども、やっとの思いで電話をすることにたどり着いた方が、先ほどもありましたが、相談の内容によっては、もう一回、新しいところに相談に行かなければならないとか、そういったことを繰り返すことがどうしても必要になったりもします。一本の電話をするにもやっとの思いでされた方にとっては、幾つもの場所に相談に行ったり、出向くことは大変なエネルギーが要るようにも思いますので、これからもさまざまな支援の仕方を考えていかなければならないというふうにも思っています。  しかし、今できることをと考えますと、少なくとも一本でも多くの電話がとれる体制がどうしても必要だろうと私は思っています。自殺対策において電話相談事業の役割は非常に重要と考えておりますので、これからも北海道いのちの電話への支援と協力を積極的に行いまして、そして、今後、電話相談事業の充実強化をしっかりと図っていただきたい、そのように申し上げて、私の質問を終わります。 ◆中村たけし 委員  私から、福祉のまち推進センター事業、通称福まち事業について質問させていただきたいと思います。  2010年度決算の局別施策の概要につきましては、39ページに書いておりますが、福まち推進センター事業費8,400万円強、また、福まち推進センターステップアップ事業275万円強のお金が決算額としてのっております。  この事業は、1995年に起きました阪神・淡路大震災の仮設住宅で多くの高齢者の方が孤独死され、大きな社会問題になりました。近年、日本でも、地域のきずなが薄れて、また、核家族化が進むことによって孤独死される方が多くなり、大きな社会問題になっております。札幌市におきましても、今、急速な勢いで高齢化が進み、現在では5人に1人が65歳以上のお年寄りで、また、2015年には4人に1人が65歳以上のお年寄りになると推計されています。このように、高齢化が進みまして、高齢者の単独世帯、また高齢者夫婦だけの世帯がふえて、最近では孤立死と呼ばれる言い方になっておりますけれども、孤独死、孤立死が大きな課題となっているところでございます。  そんな中で、この福まち事業ですが、これは、地域で生活する住民のボランティア活動によって、身近に生活している支援を必要とする人の見守り・安否確認活動、いわゆる見守り活動を中心的な活動として、地域住民の交流の場となるサロンや交流会なども実施することによって、だれもが安心して住みなれた地域で暮らせることができる社会の実現のために大変有効な事業であると考えているところでございます。1995年の事業開始当初から、活動の立ち上げを支援する目的で、地域世帯数や活動状況に関係なく、各地区に一律50万円の補助をしてきたことや、各地域がそれぞれ独自に事業を展開してきたことから、年月を経る中で、一律補助に対する疑問が投げかけられ、また、地域によって取り組み内容に大きな差が生じていると聞いているところでございます。  事業開始から15年目の節目となりました昨年6月に、福まち事業の活動者に対して実施したアンケート調査では、見守り活動を実施しているのは、市内69地区のうち約80%にとどまっておりまして、20%の地区では、見守り活動が実施されていない状況がございます。また、補助金の配分方式についても、一律補助の変更を希望する地区が多数を占めるという結果でございました。このアンケート調査に基づきまして、札幌市と社会福祉協議会は福まち事業の見直しの協議を重ねまして、その結果、これまでの一律補助をする方式から、福まち事業の中心的な活動でございます見守り活動をできるだけ早い時期に全地区で実施することを求め、見守り活動など福まち事業の中核的活動に対する基本活動費と、高齢者同士の交流会など、地域の実情に応じた主体的な活動に対する事業加算費の2階建ての方式として、めり張りのきいた補助制度に改定していくこととしています。ただし、今年度は地区に与える影響を少なくするために経過措置期間を設けまして、本格的な改定は2012年度から実施することを基本としておりますが、地域の実情によって、経過措置を選ぶことなく、今年度から既に2階建て方式で補助することも可能としているところでございます。  そこで、質問ですが、今年度の補助金申請で経過措置を選んだ地区の数と、経過措置を選ばずに最初から2階建て方式を選んだ地区の数及び区ごとの状況についてお伺いします。  また、最初から2階建て方式を選んだ地区の補助額はどうなっているのか、さらに、そのような地区にはどのような特徴があるのか、お伺いします。 ◎渡辺 総務部長  まず、1点目の補助金の申請におきまして経過措置を選んだ地区と2階建て方式を選んだ地区の数でございます。  現在、全市の89地区で福まち事業を実施しておりまして、そのうち、経過措置を選択した地区は57地区、全体の64%、それから、2階建て方式を選択いたしました地区は32地区でございまして、36%となっております。また、2階建て方式を選択いたしました地区の割合を区ごとに見てまいりますと、少ない区では15%程度、多い区では75%となっておりまして、区によって大きな差が生じております。  次に、2点目の2階建て方式を選択した32地区の補助額の特徴についてでございます。  まず、補助額については、多くの地区で交付額がふえてございまして、そのうち55万円以上60万円以下となった地区が12地区と最も多くなっております。  ちなみに、交付額が最もふえた地区は、昨年度の交付額よりも22万円増ということで72万円となっております。  次に、これらの地区の特徴でございますけれども、今回の改定以前から福まち事業の基本であります見守り活動を実施した上で、ほかにサロン活動や福祉マップの作成など、地域の実情に合った多様な福祉活動を展開してきた地区が多いのではないかというふうに分析しているところでございます。さらに、緊急時にご本人の情報を的確に把握することができる見守りカードを作成するなど、時代のニーズを先取りした事業を積極的に展開している地区も多いというふうに考えております。 ◆中村たけし 委員  最初から2階建て方式の補助を選択した地区が全体の3分の1を超えていて、また、それらの地区ではさまざまな福祉活動が積極的に展開されていることで、これまで16年間進められてきました福まち事業が地域の中で一定程度浸透している状況を確認でき、まずは安心したところでございます。また、多様な地域福祉活動を実施している地区では補助額が大幅にふえていることから、地域の方もやる気が出る制度になったのではないかなと感じました。  しかし、今回初めて補助金の大幅な改定が実施され、必ず見守り活動を実施することを求められたことで、地区によっては、これまでの福まち活動の見直しを迫られ、今後の事業展開に戸惑いを覚えているところもあると聞いています。私の選挙区であります西区におきましては、区の社会福祉協議会にお話を伺ったところ、既に2階建て方式を選んでいる地区を含めて、全地区で来年度から2階建て方式に移れるようでございますが、一部の区には経過措置を1年ではなく、延長してほしいという地区があるということも聞いております。  そこで、質問でございますが、戸惑いを感じているこのような地区に対して、事業の実施主体である社会福祉協議会や札幌市はどのような支援を行っているのか、お伺いします。  また、経過措置を延長してほしいという地区の声に対して、現時点でどのような対応をしているのか、お伺いします。 ◎渡辺 総務部長  まず、1点目の戸惑いを感じている地区に対する社会福祉協議会及び札幌市からの支援についてでございます。  4月に制度を改正して以降、福まち事業の実施主体であります区ごとの社会福祉協議会が中心となりまして、各地区の状況に沿った相談に応じることなどを通じまして2階建て方式についての理解を深めていただいているところでございます。さらに、先ほど申し上げました見守りカードなど、先進的な事業活動を展開している地区の情報などを研修会等のさまざまな機会を通じて広めていくなど、地域で活動されている方々の情報共有と連携の強化に努めているところでございます。  次に、2点目の経過措置の延長についてでございますが、委員のご指摘のとおり、一部の地区から延長を認めてほしいという意見が出ていることは承知いたしております。しかしながら、高齢者の日常生活に対する支援とか、東日本大震災で課題が浮き彫りとなりました災害時における要援護者の避難支援体制というものを地域において着実に浸透していくためには、その基盤となる地域の見守り活動の充実強化が早急に求められているというふうに認識しております。  そのため、札幌市といたしましては、当初の予定どおり、来年度から本格実施をしたいというふうに考えているところでありますけれども、現在、社会福祉協議会において各地区の意見の取りまとめ作業を行っておりますことから、これらの意見も参考にしながら、改めて関係機関や関係者と協議を進めていく予定でございます。 ◆中村たけし 委員  2階建て方式の補助金の採用は区によって大きな差がございまして、本格実施に向けてまだまだ適切な支援を継続していく必要があると考えています。本年の3月11日に東日本大震災が起こりまして、それ以降、防災意識のさらなる向上が求められる現在、この福まち事業による見守りや、災害の際に援助が必要なひとり暮らしの高齢者世帯などを町内会単位で把握するための福祉マップの作成、先ほどの見守りカードもそうですが、地域の助け合いの大きな推進力にこのような事業がなってくると考えています。  今後とも、見守り活動を全地区で実施できるように、例えばモデルとなるような活動を行っている地区につきましては、その状況を事例集にまとめて全地区に配付し、より一層の周知を図ることに努めたり、また、何らかの機会をとらえて表彰するなど、社会福祉協議会や札幌市が一体となって福まち事業に対する支援をしっかりと実施していくことを求めまして、私の質問を終わりたいと思います。 ◆福田浩太郎 委員  私からは、地域活動支援センターや障がい者地域共同作業所への支援についてと、障がいのある方に対する情報提供の充実について、3点目として同行援護について、順次、質問させていただきたいと思います。  初めに、地域活動支援センターや障がい者地域共同作業所への支援についてであります。  障害者自立支援法においては、生活介護、就労移行支援、そして就労継続支援という事業形態がありますが、障がいをお持ちの方のニーズは多様でありまして、創作的活動、生産活動、一般就労への支援、地域社会への積極的な参加を促進する上で、地域活動支援センターや障がい者地域共同作業所の役割は大きいと考えます。  札幌市独自の施策といたしまして、平成元年に設置いたしました現在の元気ショップいこ〜る、平成18年に設置し、本年にリニューアル、拡充されました元気ショップにおきまして、障がい者が作製いたしました製品の販売が行われております。このような施策により、障がいのある方への理解促進、作業工賃のさらなる増加に寄与するものと期待しております。  そこで、2点お伺いいたします。  1点目は、元気ショップについて、リニューアル、拡充されたことで売り上げがどのようになっているのか、お伺いしたいと思います。  また、昨今の厳しい経済情勢の中、地域活動支援センターや障がい者地域共同作業所が中長期的に売り上げを伸ばすためには、魅力ある製品開発や販路拡大が必要ではないかと思うところであります。  そこで、2点目といたしまして、地域活動支援センターや障がい者地域共同作業所が魅力のある製品開発や販路拡大を行うために、札幌市としてどのような支援を行い、どのような効果を上げているのか、お伺いいたします。 ◎天田 障がい福祉担当部長  まず、1点目の元気ショップのリニューアル、拡充後の実績についてでございます。  元気ショップがオープンいたしました平成18年12月からリニューアル前の本年3月まで、各月の売り上げにつきましては平均で約338万円でございました。3月にリニューアルいたしまして、その後、4月から9月までの6カ月間の売り上げにつきましては、月平均で593万円となっており、約1.8倍の売り上げ増となってございます。  このような売り上げ増の背景には、元気ショップの拡充工事によりまして従前と比べて約2倍の面積、2倍の製品を取り扱うことが可能になったこともございますが、コンコース側から陳列した商品が見えるような陳列方法の工夫、また、来客者の動線に配慮した明るい雰囲気のレイアウトに変更しております。また、従業員を増員したことによりまして、店長がフロアマネジャーに専念でき、サービスアップの面からも店舗の経営に取り組むことができるようになったことも挙げられると考えております。  それから、東日本大震災の被災地の事業所に対する支援といたしまして、製品をお預かりして販売を続けてございますが、これまで多くの市民にお買い上げいただいております。これらを通じまして、市民の皆様の温かいご支援を実感しているところでございます。  次に、2点目の製品開発や販路拡大の支援と効果についてでございます。  製品開発につきましては、平成16年度から、団体に委託いたしまして地域活動支援センター等運営強化推進事業を実施してございます。この中で、経営面での運営指導に加えまして、経営コンサルタントや民間企業等で製品開発の経験のある方をアドバイザーとしてお願いしておりまして、希望する事業所に派遣してございます。昨年度は、4施設に合計18回派遣いたしまして、その中でフェルト製のストラップや焼き菓子、木工製品といった新商品の提案を行っております。この事業に加えまして、北海道中小企業家同友会がデザインやブランディングに関する研修会を企画いたしまして、札幌市立大学のデザイン学部の学生からのアイデアによりましてパン製品の包装のデザインをリニューアルしたり、斬新なデザインの画びょうやマグネットの開発等に取り組んだ事業所もございます。  また、販路の拡大につきましては、これまでも各種イベントへの参加やスーパーマーケットなどのご協力により出前出店を行ってまいりましたが、今年度からは札幌駅前通地下歩行空間や大学への出前出店も行っております。この出前出店につきましては、去る9月21日と22日の2日間、元気ショップいこ〜るの出前を行いまして、1日の売り上げが約8万円でございました。この元気ショップいこ〜るが今年度に一番売り上げがあった月の1日平均の売り上げが実は7万4,000円でございましたが、これを2日間の出店だけでも上回る実績になってございます。  さらに、21年度からも元気ジョブアウトソーシングセンター運営事業としまして、民間企業が発注する業務を施設に振り分けたり、施設とのマッチングを行ったりする事業を行ってございます。 ◆福田浩太郎 委員  よくわかりました。非常に成果が上がっており、きめ細やかな支援をしていただいているということで、こういった元気ショップでの盛況ぶりが障がいのある方への理解促進、また、作業工賃の増大に結びついていっていただきたいと期待するところであります。  そこで、これらの取り組みをお聞きしまして、さらにお伺いしたいのですが、昨年からスタートいたしました元気ジョブアウトソーシングセンターがございます。企業と施設のマッチングを行い、積極的に営業しているということでありますけれども、この元気ジョブアウトソーシングセンター運営事業の受注状況、そして、今後の施策展開についてどのように考えているのか、お伺いいたします。
    ◎天田 障がい福祉担当部長  元気ジョブアウトソーシングセンター運営事業ですが、非常に長い名前なものですから我々は元気ジョブ事業と呼んでおりますけれども、この運営事業の受注状況及び今後の施策展開についてでございます。  この事業につきましては、緊急雇用創出推進事業を活用いたしまして、平成21年度から開始しております。官公庁、民間企業等に対して積極的な営業活動を行うとともに、経済局が主催する市内卸売業者との個別商談会などにも積極的に参加いたしまして、製品販売や受注作業の増加に努めているところでございます。これまでに受注した業務といたしましては、ごみ収集カレンダーの製作を初めとする印刷業務、病院リース用のスリッパ洗浄など、多種多様なものとなっております。  平成22年度の受注の件数や成約実績でございますが、160件、金額に置きかえまして1,906万円となっております。また、平成22年度上半期と23年度上半期を比較いたしますと、件数が120件増加いたしまして170件となっております。成約実績につきましては581万円増加いたしまして1,262万円となっております。  また、今後の展開についてでございますが、本年8月にこの事業の活動拠点を中央区にございます星園高校の跡地に設立されました市民活動プラザ星園に移転いたしております。この移転によりまして交通の利便性が非常に高まっておりますことから、営業力のさらなる強化を期待しているものでございます。  なお、この事業の国からの財源が本年度で終了いたしますが、札幌市といたしましては、就労施策は非常に重要と考えておりますので、この3年間の事業成果や移転による効果等を踏まえまして、さらなる受注機会の拡大に向けて効果的な取り組みを検討してまいりたいと考えております。 ◆福田浩太郎 委員  アウトソーシングセンターも成果が上がっているということでございます。各支援事業所においては、営業力が足りなかったり、また、取りまとめをすることで受けられる仕事も多いというふうに聞いておりますので、ぜひ営業力の後押しにしっかり取り組んでいただきたいと思います。また、景気低迷の大きな影響を受けているのが障がいのある方でありますので、成果を上げております先ほどの販路拡大への支援を、特に情報提供、アドバイスについては引き続きしっかりと行っていただきたいと思います。  次に、障がいのある方に対する情報提供の充実についてでありますが、本年8月に障害者基本法が一部改正されまして、障がい者福祉の充実に向けて体制が整えられているところであります。障がいのある方が地域において安心して暮らしていくためには、障がい福祉施策のみならず、日常生活に関するさまざまな情報を適切にわかりやすく伝えていくことが重要であると考えております。  我が会派では、平成22年1定における予算特別委員会において、故高橋 功議員から障がいのある方に対する情報提供の充実について質問し、市政情報の提供方法の工夫や情報伝達に関する用具の支給を初め、全庁的な取り組みとして適切な情報提供を進めていくとの答弁がございました。  改正障害者基本法については、障がいのある方が地域生活を送る上で言語や意思疎通のための手段についての選択の機会が確保されるとともに、情報の取得または利用のための手段についての選択の機会の拡大を図ることとされました。札幌市においては、障害者基本法に基づき策定する障害者保健福祉計画を平成23年度中に改定し、24年度から開始することとして作業が進められていると伺っております。障がいのある方に対する情報提供の充実についても全庁的な施策として位置づけ、例えば、広報物に活字情報を音声化するための2次元バーコードをつけたり、色覚の個人差に配慮したカラーユニバーサルデザインの採用など、さまざまな取り組みを進めていく必要があります。このことは、自治基本条例にも合致するものと言えると思います。  そこで、質問ですが、改正障害者基本法を受け、障がいのある方に対する情報提供については、障がい種別や障がい特性に応じた配慮や、さまざまな広報媒体を活用した情報提供の充実など、情報の取得等のための手段について今まで以上にその充実を図る必要があると考えますが、このことについてどのように考え、障がい者保健福祉計画に反映していくのか、お伺いいたします。 ◎天田 障がい福祉担当部長  障がいのある方に対する情報提供の充実についてでございますが、市政運営に当たりましては、お子さんから高齢者まで、市政に関する情報を適切にわかりやすく提供することが重要であり、中でも、障がいのある方に対しましては、冊子、ホームページ等のさまざまな手段、媒体による情報を障がいの種別や特性に対応した適切な方法により提供する必要があると考えております。具体的には、活字情報の点字化や音声化、大き目の文字や識別しやすい配色による文字の使用、わかりやすい文章表現や漢字への振り仮名振りなどのほか、昨年度、陳情を採択いたしまして、本年4月から対象範囲を拡大いたしました視覚障がい者に対する点字ディスプレーなどの情報伝達に関する福祉用具の支給や、手話通訳などのコミュニケーション支援など、情報提供の充実に努めているところでございます。  今後におきましても、このたびの障害者基本法の改正を契機といたしまして、障がいのある人もない人も、だれもが利用しやすい情報ユニバーサルデザインの考え方に基づいて、情報提供の充実を全庁的な取り組みとして障がい者保健福祉計画に位置づけ、関係部局と連携を図りながら一層推進してまいりたいと考えております。 ◆福田浩太郎 委員  要望です。  情報バリアフリーの機器といたしまして、SPコードリーダーというものがございまして、SPコードを機器が音声で読み上げてくれるものでありますけれども、これまでも公共施設への設置などを要望させていただきました。最近、お話を聞きますと、携帯電話でコードを読み、音声を聞くことができるようになったということであります。こういった新しい情報提供機器などの情報もしっかりと集めながら、そして、答弁にもありましたように、障がい福祉部局にとどまらない取り組みを全庁隅々にまで広げていただくことを強く要望いたしたいと思います。  最後に、同行援護についてお伺いいたします。  昨年12月に改正障害者自立支援法が成立いたしました。この改正法は、自公政権下において、自民党・公明党プロジェクトチームが、自立支援法の課題解決のために多くの現場からの声や団体からの声をもとに改正案をまとめ、政権交代前後の混乱もあって2度の廃案の後に3度目にして成立したものであります。その中に、重度の視覚障がい者の移動支援の給付対象化や、検討事項としましては、移動支援のあり方について必要な検討を行い、必要な措置を講ずるというふうに盛り込まれたところであります。  移動支援については先ほど質疑がありましたので、私からは、本年10月から創設された視覚障がい者の移動支援、いわゆる同行援護についてお伺いいたしたいと思います。  視覚に障がいのある方々への外出支援は、これまで市町村の地域生活支援事業でありました。全国的には、市町村によって実施水準が大きく異なるなどの課題が指摘されていたところであります。同行援護については、視覚に障がいのある方々が地域生活を営む上で、ガイドヘルプサービスというものが欠くことのできない基幹的なサービスの一つであるという観点から、全国的に同じ考え方に基づいてサービス提供がなされるよう法定サービス化されたものであります。  これまで、我が会派といたしましても、視覚障がいには情報障害と移動障害を重複する側面があり、こうした障がい特性を踏まえた支援策の充実を求めてまいりました。このたびの法改正は、大変重要なものであると認識しております。  そこで、1点目の質問です。  同行援護の利用者については、多くは札幌市の移動支援からサービスを切りかえる方となるわけですが、利用者にとってどのようなメリットがあるのか、お伺いいたします。 ◎天田 障がい福祉担当部長  同行援護のメリットについてでありますが、同行援護に関しましては、身体障がい者の等級にかかわらず、視覚障がいにより単独での外出が困難な方が利用対象となります。こういったことから、これまでは移動支援の利用ができなかった視覚障がい3級以下の方に対しても、同行援護により外出時の必要な支援を受けることが可能となりました。また、今回の法定サービス化に伴いまして、新たに同行援護従事者研修という研修のカリキュラムが設けられております。今後は、サービス提供事業所の指定基準によりまして、この事業者につきましてはこの研修の受講者に限られることになってございます。研修の受講を通じまして、視覚障がいの特性を踏まえた質の高い支援が確保されるものというふうに考えております。 ◆福田浩太郎 委員  法定化されることによるメリットは理解いたしました。  新サービスの開始に当たっては、行政側の手続のおくれなどにより利用者やサービス事業者が混乱し、実際のサービス利用につながらないという心配があります。  そこで、2点目の質問ですが、同行援護については、政省令の交付が9月下旬までずれ込み、準備期間が極めて限られていたと聞いております。札幌市では、利用者やサービス事業者に対し、事前にどのようにして制度周知を図ってきたのか。また、10月1日の制度開始時点における同行援護の支給決定者数及びサービス事業者数の件数とその実績を踏まえて、円滑に移行できている状況にあるのか、お聞きいたします。 ◎天田 障がい福祉担当部長  1点目の同行援護の制度周知についてでありますが、札幌市では、8月には広報誌で制度開始を周知いたしました。これとあわせまして、各区から、移動支援の支給決定者のうち、視覚障がいのある方全員に拡大文字や点字による申請の案内文を郵送しております。また、サービス提供事業所に対しましては、文書の郵送と札幌市ホームページへの掲載により制度周知を通知したほか、事業所指定手続の勧奨にも取り組んできたところでございます。  2点目の移動支援から同行援護への移行状況にについてでございますが、本年10月1日現在で、同行援護の支給決定者数が586名、市内の指定同行援護事業所、サービス提供事業所は186事業所となっております。これは、移動支援における視覚障がい者の支給決定者数やサービス提供事業所とほぼ同数であることから、札幌市におきましては円滑な移行が進められたものというふうに考えております。 ◆福田浩太郎 委員  駆け足で質問してまいりましたが、今回の同行援護に関しては、円滑な制度移行が果たされていると理解いたしました。せっかく法定サービスとして位置づけられたわけですから、札幌市は、必要とする方にサービスが行き届くよう、今後とも積極的な申請勧奨に努めていただきたいと思います。  最後に、要望ですが、同行援護を充実させていくためには、視覚障がいの特性を理解し、適切な支援方法を身につけている従事者の確保が不可欠であります。対象者の拡大に伴いサービス提供量もふえていくと考えられることから、札幌市においても、北海道などと連携しながら従事者の養成を進めていっていただくよう要望申し上げまして、質問を終わります。 ◆植松ひろこ 委員  井上委員、小倉委員からもございましたが、私からも、札幌市の自殺総合対策についてお伺いいたします。  1998年、平成10年から全国の自殺者数は3万人を超え続け、札幌市も自殺者数が年間400人を超え続けており、憂慮すべき事態と思っております。札幌市のここ数年の自殺者数の推移は、厚生労働省の統計によりますと、2008年、平成20年は過去最高の477人、2009年、平成21年は前年と比べて57人減ったものの、昨年は430人と10人増加しています。全国や北海道の自殺者数が減少傾向にあるにもかかわらず、札幌市はわずかながらとはいえ増加しており、悲しむべき数字と考えております。  国は、2006年に自殺基本対策法、自殺総合対策大綱を策定し、2009年には地域自殺対策緊急強化基金を設置し、全額補助で地域、地方に対する自殺対策の推進を図っております。市では、2006年に北海道と共同で北海道自殺予防対策連絡会議を設置し、国の緊急基金が設置されました2009年7月に副市長をリーダーとする札幌市自殺総合対策推進会議を立ち上げ、昨年3月には札幌市自殺総合対策行動計画を策定し、一人でも多くの命を救うことを目的に自殺予防の取り組みを開始しておりますけれども、残念ですが、なかなか取り組みの成果が数字にあらわれていない現状と言わざるを得ないと思います。2009年から事業を開始したとはいえ、決算によりますと、次年度の2010年、平成22年度から「わたしは、ほっとけない。」キャンペーンを実施したと伺っております。  そこで、2点お伺いいたします。  昨年度、2010年度は主にどういう内容の事業を実施したのか、お伺いします。  2点目は、その事業の成果をどのように考えていらっしゃるのか、お伺いします。 ◎鎌田 精神医療担当部長  1点目の平成22年度の事業内容についてであります。  自殺問題につきまして広く市民に知っていただくことを目標として、普及啓発事業に重きを置いて事業を展開してまいりました。具体的には、「わたしは、ほっとけない。」キャンペーンをことしの3月より行いまして、トイレの個室内にうつ予防のメッセージとか相談機関の電話番号を記載したステッカーを市内に1万1,588枚掲示しております。  また、本年3月5日には、作家の五木寛之氏をお招きして自殺予防講演会を実施し、市民の方1,449名の方に参加していただきました。そのほか、10区のまちづくり事業と連携し、地域に密着した市民向けの講演会、支援者向けの研修会等を実施しております。また、巡回パネル展の実施やパンフレットの配布も行いました。  相談支援では、司法書士会や弁護士会等に協力をいただきまして、借金、就職、心の健康などのさまざまな問題を1カ所で相談できる自殺予防無料相談会を計3回開催し、人材養成では、ゲートキーパー研修会などを計8回開催しております。  また、他部局におきます自殺総合対策事業としまして、市民まちづくり局による、地域住民同士の交流を深め、孤独感の解消を図るとともに、自殺予防につなげる「地域の交流の場」普及促進事業など、2局3事業が実施されております。  次に、2点目のその成果についてでありますが、平成21年度から自殺対策の主管課として取り組みを始めたばかりであり、評価が難しいところであります。23年度に実施いたしました市民アンケートの結果では、自殺予防相談会とか札幌市の自殺者数についての認知度がそれぞれ20数%でありましたが、自殺予防講演会後のアンケートによりますと、自殺の問題に関する理解が深まったなどの意見が多く見られまして、市民の方々には一定の周知が図られたものと考えております。 ◆植松ひろこ 委員  このキャンペーンのステッカーが、トイレの個室に座ったとき、ちょうど目線の先にある、ふと目の行く位置に張ってあるなど、細やかな工夫がされているなと思っておりました。人間関係が希薄になっていると言われている現在において、キャンペーンは意味のある取り組みだと思います。  希薄になっていると言われている一方で、家族や友人の自殺したいほど思い詰めている気持ちに気づいてあげられず、何もできず後悔しているという声もよく耳にします。悩みがあるのかと聞いていいのか、どこまで他人に踏み込んでいいのかわからない、気にはなっても声をかけるべきか、行動に移すのをちゅうちょする方もいらっしゃると思います。こういったキャンペーンは、そういった方々に声をかける勇気を与えることができると思います。そのほかにもさまざまな取り組みを行い、その取り組みは市民の皆さんにも一定の認知はされていると受けとめられます。  ところで、今年度は、国における基金事業の最終年度でありまして、昨年度とほぼ同額の予算で事業を推進していると思われますが、昨年度末の3月には東日本大震災が発生いたしました。この大震災では本当に多くの方々の命が失われるとともに、ことしの4月、5月には、全国的に震災、津波による社会不安が引き金になったような自殺者が突出して多くなったと聞いております。札幌市においても、500世帯以上、1,400人近くの被災に遭われ避難されてきた方々がいらっしゃいます。被災し、避難するというのは多大なストレスを与えるものと思いますが、この方々を含めて、心のケアと申しますか、相談などの自殺予防の対策も行っていく必要があると考えています。  そこで、質問ですが、今年度は主にどういう内容で自殺総合対策の事業を進めているのか、特に、被災者向けの取り組みなどがなされているのか、お伺いいたします。 ◎鎌田 精神医療担当部長  被災者向けの取り組みなど、今年度の事業内容についてであります。  まず、被災者向けの取り組みといたしまして、札幌市東日本大震災支援対策室を通じまして、北海道で行っておりましたこころのケアホットライン、あるいは、日本臨床心理士会等で行っておりました心の電話相談などの情報提供を行ったほか、内閣府から被災者向けのチラシ等を関係機関に配付しております。また、札幌こころのセンターで実施しておりますこころの健康づくり電話相談につきまして、従来、平日のみ9時から17時だったものを、本年3月から、平日を21時まで延長し、土・日・祝日も10時から16時までといたしまして、期間も当初の予定より延ばして今年度末まで延長するなど、被災者の心のケアや相談に対応できる体制づくりを行っております。  次に、今年度の自殺対策でありますが、昨年度とほぼ同額の予算規模であることから、市民の方々への理解促進の普及啓発事業、相談会の実施など、対面及び電話相談の支援事業、ゲートキーパーを養成する人材養成事業、10区での地域に密着した講演会の開催などの事業を継続するほか、新規といたしまして、自殺のリスクの非常に高い自殺未遂者対策事業を行います。また、他部局の自殺対策事業では、男女共同参画室によります男性のための悩み相談事業など、4局10事業を実施しております。  今後とも、被災者に必要な相談体制の充実や配慮に努めるとともに、自殺総合対策事業を継続し、積極的に推進してまいりたいと考えております。 ◆植松ひろこ 委員  ごく限られた予算の中での取り組みであるということ、自殺の要因は複雑多岐であり、対策を立てるのがなかなか難しいことは承知しておりますが、まさかあの人がと周囲が思うような、思い悩むそぶりが見られないような方がみずから命を絶つようなケースもふえているなど、自殺というのはまだまだ取り組みが必要な深刻な問題であると思います。周囲の人が支え合うのだという意識づくり、そして話を聞いてもらえる窓口があるのだという安心感を市民の皆様がもっと持つことが必要だと思います。今後も、市民の皆さんに取り組みについて知ってもらうこと、そして、相談したいときに相談できる体制づくりに取り組んでいただくことを求めまして、私からの質問を終わります。 ○小須田悟士 副委員長  以上で、第1項 社会福祉費の質疑を終了いたします。  最後に、第4項 生活保護費の質疑を行います。 ◆金子やすゆき 委員  私からは、生活保護の受給の適正化につきましてご質問させていただきたいと思います。  本年度の決算によりますと、生活保護扶助費につきましてはついに1,152億円に達したということでございます。平成22年度だけで、新たに被保護世帯に加わった世帯数は約3,400世帯、前年度に比べますと7%以上の増加となり、23年3月時点で約4万6,000世帯に達したということでございます。こうして被保護世帯の数がふえているということは、社会全体のセーフティネットが完全に整っていないということをあらわしていることでもあり、まさに非常事態と言える状態ではないかと思っております。  この背景の一つとして、よく職がない、あるいは雇用の悪化、景気の後退ということが言われるわけでございますけれども、これは本当かと私が調べてみたところ、総務省調べのデータを見ますと、北海道における平成22年4月の有効求人倍率は約0.35倍、その1年後の23年3月の倍率を見ますと0.44倍と、実は、数字の上では景気は改善しているというデータが出ております。完全失業率について申し上げますと、5.2%から4.6%と数字では改善しておりまして、いずれにしても、震災前までは雇用情勢は改善しているというデータが示されておりました。つまり、22年度において、雇用情勢は改善しているにもかかわらず、なぜ生活保護だけがこんなにふえているのかということ、もしかすると、これは雇用以外の要因があるのではないかというふうに考えました。ひょっとして札幌市は安易に保護申請を受理しているということはないか、あるいは、モラルハザードが生じていることがないかということからご質問させていただきたいと思っております。  生活保護は、あくまで最低限度の生活保障であり、原資は税金であることを考えると、これは国費だからよいということではなく、その支給に当たっては適正な実施を旨とすべきではないかと思っております。  ここで、まず最初にお尋ねしますが、ここ数年の保護扶助費の増加について札幌市としていかがお考えか、また、これを抑制するためにどのような取り組みをなさっているか、お伺いしたいと思います。  続きまして、不正受給の問題でございます。  私が保護指導課からいただいた資料によりますと、22年度中に本市で発覚した不正受給は461件、金額は約2億円弱、1件当たり50数万円、保護全体件数の中で1%が発覚したというお話を伺いました。その大半は課税収入調査や資産調査により判明した比較的軽微な申告漏れと聞いておりますけれども、その一方で、若干、意図的に保護費を搾取するような事例も幾つか見つかっているというお話も伺いました。  こういう悪質な不正受給を防止するために資産調査を行っていらっしゃるわけですけれども、その実効性についていささかの疑問を感じるところがございます。と申しますのも、私が保護指導課にお話を伺いましたところ、資産調査につきましては、最初は、ネット銀行、都市銀行も含めた全銀行に対して幅広く調査しておりますというお話でありましたけれども、よくよく細かく話を聞いていきますと、調査には手間もコストもかかるということで、区の保健福祉部の判断とか、あるいはケースワーカーの判断で必要な銀行にのみ照会しているということで、やや控え目な説明に変わってきております。また、銀行にそのケースの方の資産調査をかけましても、例えば引っ越しして住所が変わっている場合は本人該当なしと返ってくるケースもあるという話を聞いておりますので、資産の把握はなかなか容易ではないというご説明も聞いております。受給者の方皆さんに悪意があるということは決してないと思っております。しかしながら、一部の金融機関だけを調べて、これで資産調査が終わりとなりますと、本当にそれでよいのかどうかというところに疑問を感じております。  ここで、2点目のお尋ねでございますけれども、資産調査の実態につきまして、一部の銀行のみを調査の対象として、調査の幅をもっと広げていらっしゃらない理由は何かあるのでしょうか。  また、調査の対象が銀行だけで、債券や株式、あるいは国債などを預かる証券会社、また外国為替証拠金取引などの会社も調査の対象としていない理由は何か。  また、不動産の所有状況につきまして、札幌市における不動産の所有状況は不動産課税台帳に出てくるわけでございますけれども、本市以外を調査の対象とされてはいかがかと思いますが、いかがか。  また、これらの資産調査の方法につきましては、基本的に区の保健福祉部に任せているということでございまして、札幌市として共通の資産調査の基準がないと聞いておりますけれども、この共通の基準がない理由はなぜか、これらについてお聞かせいただきたいと思います。 ◎秋川 生活保護担当部長  ただいまのご質問でございますけれども、近年の生活保護受給者の急増によりまして生活保護扶助費は著しい増加を示しております。このことにつきまして、私どもは重たく受けとめているところでございます。  生活保護の受給額の抑制の方策ということでございますけれども、生活保護制度における最低限度の生活保障につきましては、憲法第25条の理念でありまして、その最低生活費の基準は生活保護法第8条によって厚生労働省によって定められております。したがいまして、支給等の決定に当たりましては、地方自治体の裁量が及ぶものではないというふうにとらえているところでございます。  私どもといたしましては、国が定める基準によりまして、生活保障と自立助長という生活保護制度の原則に基づきまして適正な実施を行っているところでございますけれども、その主な方策といたしましては、働ける方への就労支援、関係機関調査による不正受給の調査、不必要な医療がないかどうかのレセプト点検などの方策を行っているところでございます。  それから、2点目の調査対象についてですけれども、一部だけではないか、区でばらばらではないかというお尋ねでございます。  私どもといたしましては、市内の主要な金融機関、主に市民の方が利用されている銀行、信用金庫、信用組合等、利用されやすいものについてはおおむね網羅して調査しているつもりですけれども、例えば、仮に手稲区であれば小樽市内の金融機関を調べるなどという地域の実情がありまして、そういう点では札幌市で一律の対象リストをつくっているわけではないという実情にございます。  それから、債券、株式、国債などの調査については、今まで私どもも不正受給のいろいろな事例を見てきておりますけれども、このようなたぐいの不正受給は余り見聞したことはなく、全国各地で見てもこのような調査をしているところはないかと思います。費用対効果の面で、実施するにはまだ至っていないのではないかというふうに考えております。  それから、不動産の状況ですが、本人のご申告があれば市外の所管する法務局等に問い合わせはいたしておりますけれども、ご本人の申告がない場合については、全国の市町村を所管する法務局に問い合わせするのはやや困難な状態ではないかというふうに考えているところでございます。 ◆金子やすゆき 委員  今ご説明いただきまして、地域の実情に合わせて必要な調査をなさっているということは理解いたしました。  しかしながら、先ほども述べましたように、保護費の源泉というのは国民の勤労の結晶、つまり税金でございます。あくまでもほんの一部の例ではあるかと思いますけれども、不正受給がもし続くとなりますと、生活保護行政全体に対して国民あるいは市民の信頼を揺るがす行為になるかと思います。こういったことを抑止するという観点で、ぜひ抑止策に取り組んでいただきたいと思っております。  また、不正受給の抑止ということにつきまして、市の職員、市役所、区役所レベルで調査するのはなかなか難しいというお話がございましたけれども、一方で、まちを歩いてまいりますと、近所の方のうわさ、口コミが実は意外と多く、区役所に通報があるという話もよくお聞きするわけでございます。  2点目にお尋ねさせていただきたいと思いますのは、市民の方から実際に生活保護を受けていらっしゃる方に関して何らかの通報があった場合、どのように受け答えをなさっているのか。例えば、その窓口というのは、区役所に来るケースもあると思いますし、札幌市本庁舎に来る場合もあるかと思います。また、札幌市のコールセンターに来るケースもあるかと思うのですが、コールセンターに参りますと、市の職員が受けるのではなく、委託している外部の業者が受けるわけですから何らかのマニュアル等があるのではないかと思いますけれども、この辺についてはどのようになさっているのか、お答えいただきたいと思います。 ◎秋川 生活保護担当部長  ただいまの市民からの通報ということにお答えしたいと思います。  市民から通報があった場合につきましては、生活保護事務を所管しております区の保護課もしくは保護指導課で対応しておりまして、仮にコールセンターに一報があった場合については、所管する担当部署に回されているのが実態だというふうに思っております。  市民からの通報は数多く寄せられておりますけれども、すべてが正しい情報というわけではなく、信憑性はどうかなという情報もございます。かなり信頼性が高いな、一定程度の信頼性があるなというものにつきましては、まずご本人にその旨を確認いたしまして、それでも疑念がとれない場合については、関係機関に調査するという対応をとっているところでございます。 ◆金子やすゆき 委員  今お話がございましたように、コールセンターにかかってきた場合、その情報が回ってくるということでございますけれども、コールセンターの方は基本的に市政全般についての問い合わせを受ける窓口でありまして、通報の窓口ではありません。ですから、そこできちんとした受け答えをなさっているのかどうかということもありますので、きちんとマニュアル化するなりして、ぜひ、市民からの情報を広く受けることを徹底していただきたいと思っております。  保健福祉局ではご存じのことかと思いますけれども、他都市の事例でございますが、大阪府寝屋川市では、ことしの8月から生活保護適正化ホットラインを設けて市民からの情報提供を受けているという話も聞いております。また、大阪市では、適正化推進チームを設けまして、不正受給や不正請求などについては厳正に対処していくという方針を示しております。札幌市でも、このような事例を参考にしまして、生活保護行政の適正な運営に取り組んでいただくことを要望するとともに、ぜひ、市民の理解を得る努力をしていただきたいということを申し上げまして、質問を終わります。 ◆川田ただひさ 委員  私からも、生活保護費について質問させていただきたいと思います。  私からは、生活保護制度の問題点についてお尋ねしたいと思っております。  先ほどの金子委員の質問にも、国の法律なので地方に裁量がないと回答されておりましたけれども、今現在、本市の生活保護受給者は、平成5年度の2万9,000人を底にふえ続け、リーマンショック以降は大幅な増加を示し、20年度の5万5,000人から22年度では6万5,000人となっているということでございました。また、先日は、6月時点で全国において204万1,592人と、それだけの方が生活保護を受けているという報道もございました。こうした保護受給者の増加を受け、本市における生活保護扶助費は、平成21年度に1,000億円の大台を突破して、22年度決算では1,152億円と、実に市歳出予算の8分の1以上を占めるまでに至ってしまっているわけでございます。国全体においては3兆4,000億円でございます。  この保護受給者が一貫して増加基調にある要因の一つとして、先ほど金子委員からもお話が若干ございましたが、生活保護基準が高過ぎるために、一たん保護を受けるとなかなか自立に至らないということが挙げられるのではないでしょうか。もちろん、みんながみんな、そういう人たちではなくて、本当に苦しい人も当然いるわけでございます。ただ、最近は、私も、お茶懇とか街頭を通じて、いろいろな市民から、あの方がどうして生活保護を受けているのだと、ある意味では余計なところもあるかもしれませんが、生活保護に対して厳しい目を持つ人が本当にたくさんふえているなという実態もございます。  そこで、現在の保護基準について、改めて事実確認としてお伺いしますけれども、標準世帯と言われる3人世帯、子どもが2人いる場合の4人世帯の生活保護費は年間どの程度になるのか、お伺いいたします。 ◎秋川 生活保護担当部長  ただいまご質問がございました生活保護基準でございますけれども、33歳と29歳の夫婦に4歳の子どもがいるとした3人世帯でございますと、住宅扶助の4万6,000円を加えまして、年間約270万円となります。それから、42歳と38歳の夫婦に中学生1人、小学生1人の4人世帯の場合ですと、約350万円となります。以上につきましては、生活保護の基準でございますので、この世帯に当該収入がございますと、その分を差し引いた金額を支給することになります。 ◆川田ただひさ 委員  今、答弁があった生活保護費は税金のかからないいわゆる手取りであります。その上、医療費の自己負担額がゼロ、場合によっては病院に行く交通費まで支給されるわけでございます。  ちなみに、総務省の調査でございますけれども、一般の働いている方、勤労世帯の月収、可処分所得、すなわち実収入から社会保険料や税金を除いた額は35万6,000円でございます。  実際に経済環境が厳しい中で、稼働してこれだけ収入を得ることができる仕事を見つけるのはまことにもって大変なことでございます。生活保護からの自立を支援するため、先ほどもお話がありましたように、いろいろな就労支援策を打ち出しているようでございますが、焼け石に水の感のところもあるかなと感じます。私は思うわけでございますけれども、やはり、この現状において、いろいろな問題がありますが、当然、札幌圏は全国レベルに比べて低い雇用状態というものもあるのかもしれません。しかし、先ほどの金子委員の話では、もちろん業種によって違うでしょうけれども、求人率も低いところと高いところがあって、仕事を選ばなければ仕事はあるわけでございます。  私自身の話をすれば、5年前に選挙に落ちたときに、当然、公務員をやっていましたから、その間は何をしていたかといえば、余ったお金で自動販売機を買って、いろいろなところに設置して、それで暮らしていたわけであります。健常な人であれば、考えればいろいろとあるわけであります。このことは後で違うところでお話ししましょう。  それはいいとして、僕が言いたいのは、五体満足であれば、何もなくても考えれば生きるすべはあります。戦後直後は、我々よりもっと苦しい先人たちが今の日本を築いてきたわけであります。この札幌だって、何にもないところから今の札幌にしたわけでありますし、先人は、本当に我々よりもっと苦しい思いをしながら、一生懸命に今の国をつくってきました。そういうことを一つ一つ考えると、私は、やはり何か違うことに原因があるのではないかと思っております。札幌には就労、自立に不利な要因がいろいろあると言いますけれども、それだけで説明できないものがたくさんあるのではないかなと思っております。  そこで、質問でございますけれども、主にどのような世帯がふえているのか、また、生活保護受給者が大幅にふえ続けているのは、生活保護制度に構造的な問題があるのではないかと私は考えるわけでございますが、どうでしょうか、お伺いいたします。 ◎秋川 生活保護担当部長  まず、どのような世帯がふえているかというご質問でございますが、本市の生活保護におきましては、傷病・障がい世帯や母子世帯も増加はしておりますけれども、目立って増加しておりますのは高齢者世帯と傷病、母子、高齢のいずれにも属さないその他世帯であります。高齢者世帯は、ここ数年で1年ごとに1,000世帯ずつ増加している状況でありますし、その他世帯におきましては、平成20年度は5,700世帯でありましたけれども、平成22年度には9,100世帯まで急激な増加を示しているところでございます。  こうしたことは、景気の動向により解雇されやすい非正規雇用者や無年金者の増加等の社会経済情勢の問題に対しまして、雇用あるいは年金等の社会保険のセーフティネットが必ずしもその機能を十分に果たしていないということも影響しているのかな、その分、生活保護で対応するケースが多くなっているのではないかというふうに考えているところでございます。 ◆川田ただひさ 委員  確かに、ほかの社会保障制度が貧弱で、無年金の問題や非正規雇用が多いというお話もありました。そのことで生活保護のウエートが高くなっている側面は否定しません。しかし、もう一つ、生活保護制度そのものに問題があると私は思っております。  生活保護基準や生活保護制度は国が決定することは先ほどのお話でわかりましたが、札幌市としては、このような生活保護制度のあり方について、現場ではケースワーカーも大変な思いで仕事をされているかと思いますけれども、そういったことも含めて、国に対してどのような働きかけをしているのか、お伺いしたいと思います。 ◎秋川 生活保護担当部長  現在の生活保護制度につきましては、昭和25年に制定されて以来、基本的な枠組みは変わっておりません。そのため、昨年10月に、指定都市市長会におきまして、社会保障制度全般のあり方を含めた生活保護制度の抜本的改革の提案を行っておりまして、稼働年齢層は生活保護に優先して雇用労働施策により就労、自立を目指すこと、あるいは集中的な就労支援制度の仕組みをつくることなどを提言したところであります。さらに、生活保護費の全額国庫負担などにつきましても、指定都市市長会、あるいは大都市民生主管局長会議など、それぞれの職階におきまして国に対して要望しているところでございます。  いずれにいたしましても、最低限度の生活保障と自立助長という生活保護制度の原則に基づきまして、今後とも適正な保護を実施してまいりたいというふうに考えているところでございます。 ◆川田ただひさ 委員  最後に、要望でございます。  生活保護は、その高目の基準や、心ない不正受給者、あるいは扶助費の半分を占める医療費などを抱えている課題、問題は多いところだと思います。生活保護の現場では、1人のケースワーカーが多い場合は100以上の世帯を抱えながら頑張って仕事をされているわけでございます。私は先ほども言いましたけれども、生活保護を受けなければならない人はいるかと思います。必要な人に必要な保護を生活保護法の基準に基づいて受けさせることがやはり基本であるかと思います。先ほどもお話がありましたけれども、税金を払っている市民の信頼を損なわないように、ケースワーカーの方も一生懸命に頑張っているわけでございますが、現場を踏まえた制度の問題点は国にがんがん要望して、現場の声を国に伝えて、変えるところは変えてもらうという部分で一層取り組んでいただきたいと思います。(「何をどう変える」と呼ぶ者あり)そういう声がありましたが、これ以上お話しする時間もありません。
     私自身は、生活保護とは何かと言えば、GHQの押しつけた憲法によって、このなれの果てがこういう形になったわけであります。先ほども言いましたけれども、いま一度、先人が一生懸命に頑張ってきた、きちんとした教育制度もあれば、先ほど言ったその他世帯などがふえる要因などはあるわけがないわけであります。こういったなれの果てによって、我々の税金も無用にむしばまれているということがこの生活保護制度そのものに行き着いているということを私は主張して、終わります。 ◆しのだ江里子 委員  ただいま、お2人の方から生活保護にかかわる段々のお話がございました。私は、就労喚起につながる就労ボランティア体験事業についての質問をさせていただきます。  私は、代表質問におきまして、就労阻害要因がないと考えられる16歳から64歳までのいわゆる稼働年齢層のいる世帯の受給がふえていることに対して、就労支援の一層の強化を図るべきではないかと質問させていただきました。  本市では、今年度から就労支援相談員を20名に増員し、生活保護受給者の早期就労に向けて支援していることとか、ハローワークとの一体的な体制づくりに取り組んでいることは、とても大事なことだと思いますし、さらに内容を充実させて続けていただきたいと思います。  しかし、先ほどもお話がありました厳しい雇用情勢の中、確かに有効求人倍率は0.44になっているかと思いますが、ほとんどの方たちがこの0.44の中で対応できず、単純労働という労働を求める方たちがほとんどで、そういった方たちの有効求人倍率は0.15倍程度と聞いております。こういった状況の中で、本当に就職できずにいる方たちも多く、生活保護を受けることができても就職できず、生活保護から自立できないでいるうちに生きる目標を失ってしまう方たちもいるのが現実です。そのような意欲をなくしてしまった方たちや働いた経験が少ない方たちをいきなり就労につなげることは極めて難しく、私は段階的な支援が重要であると考えます。  そのような方たちに対する支援として、まずは、社会参加を通じて就労に向けての意欲を回復するという就労ボランティア体験事業をことし2月から厚別区において取り組み始めたことにつきましては、一定の評価をしております。  そこで、質問ですが、厚別区における試行事業について、そのプログラムに参加する仕組み及び事業参加者数やボランティア体験内容がどのようになっているのか、伺います。 ◎秋川 生活保護担当部長  ただいまの厚別区におきます就労ボランティア体験事業に参加する仕組みについてでございます。  この事業の対象となりますのは、就職活動がうまくいかずに自信をなくして家に閉じこもりがちになってしまいました長期未就労者とか、人に接することに対して強く不安を感じております社会的に孤立してしまった方など、体調や気持ちの面からもすぐには就労に至らない方を対象としているところでございます。  そのような方たちに対しまして、ケースワーカーが就労ボランティア体験事業に参加する意向を確認いたしまして、参加を希望した方は、事業の受託者でありますNPO団体のコーディネーターとケースワーカーが同席して面談いたしまして、本人の適性を勘案した上でその就労する体験先の事業所を決定することになります。体験ボランティアは、週に2〜3回、1回につき2〜3時間の体験となってございます。体験当初は、コーディネーターの方が参加者と同行するなど、本人に負担のかからないようなやり方をとっているところでございます。  次に、参加人員でございますが、平成22年度におきましては、始まった時期が遅くて3月の1カ月間だけですけれども、8人の参加がございました。23年度は8月までに23名の方の参加をいただいております。  体験内容は、高齢者施設でのお年寄りの話し相手とか食事の配ぜんの補助、公共施設の清掃活動、グループホームでの外出補助、見守り活動というような内容になっております。 ◆しのだ江里子 委員  ボランティア事業については、本人の意思が尊重されて実施されていることがわかります。コーディネーター、ケースワーカーがついて、きめ細かな相談をされているということで、22年度3月は8名、そして、今年度は8月までに23名と、今までのところは順調に推移しているように思われます。  そこで、質問ですが、この事業が始まってから約半年が経過しましたけれども、現状までに明らかになった効果なり課題があれば具体的に教えていただきたいと思います。 ◎秋川 生活保護担当部長  先ほども申し上げましたけれども、さまざまな原因により閉じこもりがちとなっていたり、立ち直るすべもなく不健康な生活を送っていた参加者の方からは、生活が規則正しくなって体調もよくなってきた、あるいは、人と接する不安が薄らいできた、人に必要とされることで自信がつき、就職活動に取り組む気持ちが出てきたというような声が聞かれております。ケースワーカーも、それを見て、参加者の表情がだんだん生き生きしてきていることに驚きを感じている状態だと聞いております。社会的な居場所がなかった方たちが社会に一歩踏み出すためのきっかけづくりとしては、有効に機能しているのではないかというふうに考えているところでございます。  一方、この事業の課題についてですけれども、現在、ボランティア体験事業を受け入れていただいている事業所は20カ所ほどございますが、ほとんどが福祉事業所、福祉関係の施設となってございます。今後は、より多様な業種が協力事業所として登録されまして、参加希望者の方の広範な希望に沿えることができればいいなというふうに考えているところでございます。  また、この事業によって高まりました社会につながろうという意欲を、次の社会貢献あるいは就労につないでいけるような支援が必要だというふうに考えているところでございます。 ◆しのだ江里子 委員  実際に参加した方がボランティアをすることによって自信を取り戻しつつあることはわかりました。ただ、今、20カ所ほどの福祉事業所ということで、より広範な事業においてボランティア活動ができるようにという課題のお話がありましたが、これから冬に向かう中で、今までの夏とは違った新たなボランティアメニューを作成する予定はあるのでしょうか。  市民からの要望には、除雪関係のボランティアを求める声が多いと聞いています。例えば、除雪作業などのボランティアをすることで地域の一員としての社会参加にもなると思いますが、いかがでしょうか。  また、このボランティア体験事業は、就労することができずに社会とのつながりを持てなくなり、他者とのかかわりを避けるようになった保護受給者が、ボランティアという社会貢献を通じて社会的な居場所を確保し、さらには、自分に対する自信を取り戻すことができるという大変意義深い事業だと考えます。  先日、テレビで厚別区の試行事業についての報道がありました。本当に身近なところにいるような50代の男性が失業し、長期間就労ができず、家に閉じこもり、人と話すことも外に出ることもできず、声も出なくなり、不安と恐怖心でいっぱいだったと語っていました。こうなりますと、時給とかシフトに合わせて仕事につくことは大変重たいことで、一歩も前に踏み出せなかったと思われます。ボランティアは無償であり、プレッシャーも軽く、それでいて人とかかわることで自己肯定感とか自尊心を回復することにつながっていきます。この男性は、高齢者施設でお茶出しとか配ぜん、話し相手を続けることで自信を取り戻しつつあるようでしたが、自立に踏み出すにはもう少し時間が必要であるとのことでした。  私も、つい最近、この事業を受託しているNPO法人ワーカーズコープからお話を聞く機会がございました。厚別区でボランティア体験をしているのは10代から60代までと年齢も大変広範囲で、今年度はこの23人の参加者で就労に結びついた方は1人と聞きますと、成果があらわれるには本当に時間のかかるものだと思いました。  そこで、再々質問ですが、現在は厚別区のみの試行実施とのことですけれども、早急に全市に広げるべきではないでしょうか、また、今後はどのように事業を進めていくおつもりなのか、お示しください。 ◎秋川 生活保護担当部長  ボランティアメニューにつきましては、受け入れ先の事業所の理解と協力を得ながらさまざまなメニューを作成していきたいというふうに考えているところでございます。例えば、冬季におきましては、バス停から公共施設までの路上の砂まきとか、公共施設におきます階段あるいは玄関口の簡単な除雪などもボランティアメニューとして考えられるのかなと考えているところでございます。こうした事業の趣旨を十分に説明して、受け入れ先の理解を得ていきたいと考えているところでございます。  今後につきましては、厚別区では一定の成果が上がっているというふうに考えておりますので、来年度以降は、順次、実施区をふやしまして、最終的には全市での実施というふうに進めてまいりたいと考えているところでございます。 ◆しのだ江里子 委員  砂まきとか簡単な除雪などもこのボランティアメニューの中に入れていただけるということでした。また、今は厚別区だけですが、順次、ふやしていただいて全市での実施に向けてということでございました。今後においても、可能な限り、さまざまなボランティアメニューを作成するお考えでいることがわかりました。選択肢が多くなることは、それだけ参加してみようという気持ちにさせることだと思います。  稼働年齢層の保護受給者には幾つかのケースがあり、資格などはなく、現場作業などの単純労働をしていた人たちが失業し、長期化し、消極的になってしまう、専業主婦が子ども連れで離婚し、就労に踏み切れない、また、大学を卒業し、就職したけれども、なじめずに離職をし、引きこもるなどいろいろな要因があります。だれもが、本当は自立して働きたいと考えていると思います。厚別区のボランティア参加者の中で仕事につけた方は今期23人中1人ではありますが、ヘルパー2級講座の受講を始めた方とかAED救急救命講座を受けた方など、ステップアップの様子も見受けられることから、いろいろなボランティアを体験することで、就労に自信を持てなくなった方が就労に向けて意欲を回復できるように働きかけていただきたいと思います。  それには、区保護課とケースワーカーの温度差のない熱意が何より必要だと思います。区保護課とケースワーカーとこの事業のコーディネーターが一体となって支援に取り組んでいただくことを切に願います。また、積雪寒冷地であるという札幌市の特性も生かしたボランティアメニューを作成するなど、札幌市の特色を生かした事業展開をしていただくことを求め、終わります。 ○芦原進 委員長  以上で、第4項 生活保護費の質疑を終了します。  以上で、本日の質疑を終了いたします。  次回は、明後日10月20日木曜日午前10時から、保健福祉局関係のうち保健福祉部、保険医療部、保健所及び衛生研究所の審査を行いますので、定刻までにご参集ください。  本日は、これをもちまして散会いたします。     ――――――――――――――       散 会 午後6時31分...