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平成16年(常任)総務委員会−05月20日-記録

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  1. 札幌市議会 2004-05-20
    平成16年(常任)総務委員会−05月20日-記録


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    平成16年(常任)総務委員会−05月20日-記録平成16年(常任)総務委員会  札幌市議会総務委員会記録            平成16年5月20日(木曜日)       ────────────────────────       開 会 午前10時4分 ○長内直也 委員長  ただいまから,総務委員会を開会いたします。  報告事項は,特にございません。  本日,審査を行います陳情第80号につきましては,提出者より資料の提出がありましたので,お手元に配付しております。  議事に入ります。  最初に,陳情第80号 人種差別撤廃条例制定を求める陳情を議題といたします。  本日は,初審査ですので,趣旨説明を受けます。  委員会を休憩いたします。     ──────────────       休 憩 午前10時5分       再 開 午前10時24分     ────────────── ○長内直也 委員長  委員会を再開いたします。  質疑を行います。 ◆畑瀬幸二 委員  まず,国内には,外国籍の方々が180万人とも,それ以上いるとも言われておりますけれども,最近の実態はどのようになっているのか。  それから,例えば,KONISHIKIやラモスのように日本に帰化した方が随分いますけれども,どの程度いると把握しているのか。
     それから,本市在住外国籍の方々は,最近の数字ではどの程度いるのか,以上3点についてお伺いします。 ◎中田 国際部長  本市在住外国人は,平成16年3月31日現在で8,574名となっております。昨年同時期での外国人登録者数が8,335名でしたので,この1年間で239名増加しております。  帰化された方の数については,申しわけございませんが把握しておりません。 ◆畑瀬幸二 委員  国際都市さっぽろにおいて,外国籍の方々は,昨年と比べただけでも239人ふえている―この傾向はさらに拡大するのではないかと認識しております。  今回陳情されているようなことは,本市議会に初めて持ち込まれたわけですけれども,我が国としても国連の人種差別撤廃条約に批准してきましたので,その国の構成自治体としてもこのような問題が発生すること自体,やはりゆゆしき問題ではないかと思います。  このような問題が発生するのは,ルールがないからだと私は思います。ルールがあれば,無用な混乱を引き起こさなかったのではないかと,小樽の裁判などを見ていても,率直にそう思います。  日本は,条約を批准したけれども,法的に整理しておらず,そのことについて国連から異例の勧告を受けているのです―法整備すべきではないかということも含めて,勧告を受けています。そのような意味では,百数十万人もの外国籍を持った方が実際に日本にいるわけですから,やはり,法整備人種差別にかかわる法的な整備というものは基本的に必要ではないかと思います。しかし,今のところはなかなかそのような実態にはない。したがって,陳情者の話では,それらを実現するためにも,できれば条例化を進めて,各自治体から国に声を上げてほしいということでした。  そこで,市として,この件についての条例化必要性についてどのように受けとめているのか,お伺いします。  それから,陳情者は本市における具体的な事例を何点か挙げて,このような実態をなくしてほしい要望しておりましたが,行政としては,その実態をどう把握し,どのように対応してきたのか,お伺いします。 ◎浅野 行政部長  陳情者が要望している事例についてですが,外国人であることのみを理由とする差別的な取り扱いの実態については,先ほど陳情者のお話にもありましたように,2002年のワールドカップサッカー大会の際に,一部の飲食店等において「外国人お断り」という取り扱いがあったということは承知しております。これは,当時,問題となったいわゆるフーリガン対策ということ で,一部の方々が過剰に警戒した結果ではないかとも言われております。それ以外では,市役所の市民の声を聞く窓口や,外国人相談窓口である国際プラザなど,既存のチャンネルを通じた情報収集の範囲では,現在のところ,そのような実態があるという情報は確認しておりません。  これだけをもって,市内において,外国人に対する差別的な取り扱いが一切ないと断言することはもちろんできませんが,少なくとも平穏に日常生活を送る上では,広範かつ重大な差別的事象は存在しないと言えるのではないかと考えております。  それから,人種差別撤廃条例必要性についてどのように考えているのかということについてですが,人種差別撤廃に関する立法措置についての国の見解は,現状では,既存の法制度差別的行為を効果的に抑制することができ,かつ,立法以外の措置によってもそれを行うことができないほど明白な人種差別行為が行われているとは認識しておらず,人種差別禁止法等立法措置が必要とは考えていないというものです。  札幌市内においては,人種差別的な事象が全くないとは言い切れませんけれども,国内の他の地域と比較しても,重大,あるいは,広範な人種差別行為が行われているとは考えられません。これらのことを考え合わせると,本市としては,人種差別に関して条例等立法措置を講ずるよりも,外国人と市民との相互理解を深めるための取り組みとを進めること,あるいは,人種差別禁止を含む人権の尊重,擁護というような啓発を行うことが,この問題を解決するためにはむしろ重要であって,有効であると考えております。 ◆畑瀬幸二 委員  人権教育や啓発ということももちろん大切なことですが,それだけで物事が済めば,このような陳情は出てこないのではないかと率直に思います。  先ほどのお話にもありましたが,入浴問題だけではなく,不動産業アパート入居に際しても過去に差別的な取り扱いがあったということなのです。市は,そのような実態をきちんと把握しているのでしょうか。指摘されて初めて,そうですかという形になっているような気がしないでもありません。  陳情者は,差別問題は拡大してきている―温泉だけでなく,レストラン,飲食店や理髪店,タクシーなどについても外国人を断り始めてきていると著書の中で触れられております。特に,先ほど陳情者は,稚内において,本来,400円程度の料金で入浴できるところを,わざわざそこを外国人には利用させないで,2,500円という,しかも小規模な浴室を利用させるという扱いがあった。このような扱いはふんまんやる方ないとおっしゃっていました。  このようなことがもし本市で起きた場合―仮に私たちが外国に行ってこのような差別を受けた場合に,どのように感じるかということを考えると,やはり国際都市さっぽろとしては,外見,あるいは,人種をもって差別するということができるだけ起きないように工夫していく必要があるのではないかと思います。そのような意味では,行政がきちんと実態を把握して適切に対応していくということが必要ではないかと思います。  きょうは三つの部局から理事者がそれぞれ出席しておりますけれども,この問題には三つの部局が出席しなければ対応できないということについても,国際都市さっぽろの機構のあり方としてはいかがなものかと率直に感じます。この種の問題に対して機構という面からも,もう少し力を入れて取り組んでいくべきではないかと思います。このことは,条例化を検討していく上でも大切な要素になると思いますが,どのように考えているのか,お伺いします。 ◎濱田 総務局長  本日の陳情審査に当たり,総務局,市民局で対応しております。今回の陳情に関しては,事柄が多岐にわたるであろうということで,このような体制で臨んでおります。所管のあり方については,来年度の機構を検討する中できちんと整理していきたいと考えております。 ◆畑瀬幸二 委員  この種の問題について陳情されることは,私はある意味で大変に不名誉なことであると認識しております。少なくとも国連から勧告を受けるようなことがないように,法整備を進め,また,自治体自治体として人権保障機能というものを発揮していく役目もあるのではないか―自治体自治体としての役割があるのです。したがって,最低限,このような問題を生じさせないような,無用な混乱を生じさせないようなルールをつくるべきであると思います。ルールがない中では,幾ら人権教育や啓発を行っても,市民は理解できないのではないかと思います。また,入浴を断った経営者の方々も商売ですから,入浴している方の多くが外国人には入ってもらいたくないと言えば,経営者はその立場で判断せざるを得ないということになります。しかし,法律でこう決まっており,差別につながるのでそのような取り扱いはできないということであれば,経営者側の一つのよりどころとなり,このような差別も減っていくのではないかと思います。そのような意味では,法的な環境整備というものは,とても重要な要素であると思っておりますので,条例化についても積極的に考えてほしいと思います。  それから,外国人が差別を受けたということによって,一々,裁判に訴えなければ物事が解決しないという現状は,やはり正常ではないと思います。一つのルールがあって,その中で際どい部分については裁判に持ち込むというような形があるべき姿ではないかと思います。そのような手間を省く上からも,一つのルールをつくることが望ましいと考えますが,どのように考えているのか,お伺いします。 ◎浅野 行政部長  人種差別行為というものをどうとらえるかということになろうかと思うのですけれども,これは,やはりいろいろな対応があるのではないかと思います。軽微なものや重大なものなどいろいろな対応がありますから,法律をつくるときに,ここまではいいだろう,ここからはもう少し指導などを考えるというような線引きはかなり難しいのではないかと思います。国で,いわゆる処罰化を保留しているのは,そのようなことが背景にあると聞いておりますので,ルール化ということは非常に難しいのではないかと考えております。 ◆畑瀬幸二 委員  法が整備されるまでは,この種のさまざまな問題が出てきて―それでは,外国人の人権はどのように擁護されなければならないのかということになります。現在,国内に人権擁護のための機関はあるのでしょうか。私はないのではないかと思います。ないとするならば,今後はそのような機関の設置も求められてくる―この問題はそこまで波及していくのではないかと思いますが,どのように認識しているのか,お伺いします。 ◎浅野 行政部長  人権擁護に関しては,法務省が所管しており,地方にはそれぞれ法務局があり,そこに人権を担当する部署があって,人権擁護委員を選任していろいろ取り組んでおります。人権擁護機関については,新しい法律案―確か人権擁護法という名称だったと思いますが―の作成など,いろいろ取り組んでおりますが,問題が多く,なかなか進んでいない状況と認識しております。 ◆畑瀬幸二 委員  この場合,外国籍の方であっても市民であるという基本に立つことが大切ではないかと思います。実際に地域に生活しているわけであり―国籍のいかんを問わず,皆,市民であり,生活と権利が保障されなければならないのです。しかし,今日なおさまざまな問題が起きております。  そこで,市として,このような問題の具体的な解決に向けて,きちんと対応する窓口をつくってほしいと思います。それから,今後,人権の街づくりというものを重視していく立場からも,条例化は一つの重要な要素です。したがって,積極的に検討していくべきであるということを申し上げて,私の質問を終わります。 ◆飯坂宗子 委員  小樽の温泉人種差別訴訟は,まだ結論が出ていないということですが,現在,どのような状態なのか,把握している範囲で明らかにしていただきたいと思います。  次に,本市においては具体的な人種差別は余りないという答弁でしたが,陳情者が例として挙げたメンバーズオンリー会員限定ということがいわゆる間接差別になっている。外国人お断りとは書いていないけれども,会員でなければ入れないということだから,結果的に間接差別になっているという話でした。この点について理事者はどのように認識しているのか,お伺いします。  次に,人種差別の撤廃に関する条例を制定した自治体の例があるかどうかということについてです。人種差別撤廃条例というものは把握している限りではないと陳情者はおっしゃっていましたが,これに類する条例を制定している自治体があれば,お示しください。 ◎浅野 行政部長  小樽の温泉訴訟の動向についてですが,原告は小樽市と温泉業者を訴えたのですが,地裁では,小樽市には責任がない,そして温泉業者損害賠償責任を認めるという判決でした。しかし,原告はこれらを不服として控訴しております。それから,温泉業者も,損害賠償の金額が不服として控訴しております。その後の状況は把握しておりません。  それから,メンバーズオンリー―いわゆる間接差別に対する認識についてですが,やはり,望ましくないものであろうと思います。  それから,他自治体条例制定状況についてですが,人種差別撤廃に限った条例を制定している例はないと認識しております。ただ,差別禁止を含む人権啓発差別撤廃ということを趣旨,目的として条例を制定している自治体はあります。鳥取県や三重県など10の府県,それから,政令市では大阪市,また,そのほかにも奈良市,鳥取市,徳島市,高松市,長野市,津市などでそのような条例を制定しております。  これらの都市における条例の内容としては,世界人権宣言や憲法の理念にのっとり,不当な差別のない,人権が尊重される社会の実現ということを目的として,市や市民の責務,施策の基本方針人権啓発推進体制の充実,審議会の設置などについて定めている例が多いと認識しております。 ◆飯坂宗子 委員  小樽の訴訟については,原告1人当たり200万円の損害賠償を求めたのに対し,地裁では100万円という判決がおりたのですけれども,その額が多い少ないという問題も,まだ結論が出ていないと伺っております。  本市に置きかえて考えてみると,小樽市は責任が問われないという地裁の判決だったのですが,このような問題が起きたときに行政としてどのように対応するかということが,やはり一つのポイントであろうと思うのです。この裁判の経過報告を見ると―これは本当に難しいと思うのですけれども―ロシア人船員グループがサウナに入ってきて身体に石鹸をつけたまま浴槽に入る。日本人にはちょっと意外ですが,外国人にしてみれば当たり前という感覚だと思うのです。それから,浴室内で飲食する,休憩室等で写真を撮る,あるいは,飲酒しながら浴槽に入るということなどいろいろあって,日本人的な感覚で言えば,これはもう迷惑行為そのものとだれもが思います。やはり,風俗,風習というものはその国によっていろいろ違いがありますから,単純に入浴一つをとっても,いろいろ基準が違ってくると思うのです。  そのようなことが具体的に起きたときに,一つは,当事者同士の話し合い,相互理解ということが当然だと思うのですが,やはり,行政として,トラブルが起きたときにどのように調整役を果たしていくかということは非常に大事なことであると思うのです。幸いにして今のところ,このようなトラブルは本市では起きていないということですから,安心しているのですが,今後,もしこのようなトラブルが起きた場合に,行政としてきちんと対応できると考えているのか,お伺いします。  それから,メンバーズオンリーという看板は間接差別であって望ましくないという答弁でした。それであれば,実際に掲げている店があるということですから,行政としても,協力いただくなり理解いただくなりという働きかけが必要ではないかと思います。陳情者も,その看板を外してほしいとおっしゃっていましたので,具体的な行動をとるべきだと思いますが,いかかが,お伺いします。  それから,人権ということについて,幅広い意味での条例をつくっている自治体はあるという答弁でした。その中で,いわゆる罰則規定を設けている自治体はあるのか,お伺いします。 ◎浅野 行政部長  小樽の訴訟を契機としてというか―公衆浴場というものは,感染疾患者の入場は拒否できると法律にも規定されておりますが,その反対解釈として,ほかの理由では拒否できないことになっており,外国人ということをもって入場を断ることはできないわけです。それではどうするかということで,日本語だけではなく,英語,ロシア語,中国語の4カ国語で入浴マナーを記載したポスターをつくって,それを各銭湯に配りました。もちろん市内でもそのようにしております。  また,トラブルについては,営業許可は市が行っておりますので,それを背景にいろいろな調整ができるものと思っております。  それから,メンバーズオンリーの店について,そのような看板を外すよう要請すべきということについてですが,我々には,特にそのような権限はありませんので要請することはできますけれども,そのとおりに外してくれるかどうかは保証の限りではありません。やはり,この問題は,外形的な―看板を外せばいいということではなくて,我々としては,そのような考え方を変えてもらうために,相互理解,人権の尊重・擁護という啓発を行っていくことが本筋ではないかと思っております。  それから,他自治体の条例で罰則を設けている例があるかということについてですけれども,少なくとも私が知る限りでは,そのような自治体はありません。 ◆飯坂宗子 委員  人権問題というものは,外国人に限らず―現在,子どもの権利条例をつくろうという本市の動きもありますし,障がい者の人権,高齢者の人権,アイヌ民族の人権,女性の人権など非常に大切であり,かつ,普遍的な課題だと思うのです。  そのような中で,きょうは人種差別撤廃条例をつくってほしいという陳情の審議をしているわけですが―本市は国際都市さっぽろを宣言しております。そして,いろいろな分野で国際交流を大いに促進していこうという立場にあります。そのような中で,具体的な人種差別外国人差別というものを解消するための条例というものはあってもいいのではないかと私も思うのです。ただ,厳罰主義ということは私も少々理解に苦しむところです。やはり答弁のとおり,相互理解や啓蒙を中心にしながら,本当の意味で,異文化を受け入れて,ともに暮らしていける,ともに生活していける,そしてお互いに学び合う札幌を目指すべきだと私も考えるわけです。  そのような点で,歴史,風習にいろいろ違いがあることに対して,国際プラザなどもつくっておりますが,今後,国際都市さっぽろとしての行政のあり方について,どのように強化していく考えなのか,差別問題などを生じさせない札幌をどのようにつくっていこうと考えているのか,お伺いします。 ◎中田 国際部長  本市としては,国際プラザを設立するなど,国際交流事業に取り組んでいるところです。これまでも,国際プラザを初めとして,JICAにも研修生が大勢来ておりますし,さまざまな国際交流団体もあります。これらの団体と連携を図りながら,国際理解を深めていくことを目的として,例えば,各国のことを知るセミナーを実施したり,留学生と地域住民との交流事業を実施したり,あるいは,JICAの研修生との交流事業を実施したり,さまざまな事業を実施してきております。  今後も,やはり異文化に対する理解ということで―委員ご指摘のように,入浴方法についても習慣の違があり,あるいは,住居についてもさまざまな違いがあるわけです。そのような意味でも,いろいろな国の歴史や文化,生活習慣違い等を対象とした異文化理解のための交流事業というものをさらに充実させていきたいと考えております。また,小さな子供から,高齢者までを含めた市民と,在住外国人が,直接,触れ合う機会を拡大していきたいと考えております。こうした一つ一つの事業の積み重ねが,相互の国の間での理解,友好を深め,その結果,豊かな人権感覚の醸成ということにもつながっていくのではないかと考えておりますので,そのような交流事業にも積極的に取り組んでいきたいと考えております。  先ほど外国人相談窓口についての話もありましたけれども,相談窓口として,実際に国際プラザi―インフォメーションのiですが―を設置しております。ここでは,外国人が直接相談に来たときには,できるものについては国際プラザで対応しております。あるいは,相談内容によって,どうしようもないものについては,関係機関に紹介するなどといった橋渡しも行っております。また,直接,本市の市政相談窓口に来る方もおりますので,言葉の問題等があったときには,国際プラザと連携してボランティア通訳を派遣し,何を悩んでいるのかということも含めて相談に応じるような体制をとっております。ただ,これらの相談体制が十分に周知されているかといえば,まだ十分ではない点もあることから,さらに徹底していきたいと思っております。  このような取り組みを通じて,在住外国人と市民との相互理解を深めていきたいと思っております。外国人も安心して暮らせる街にしていきたいという決意で臨んでおります。 ◆小林郁子 委員  差別の問題を考えるときに,法制度上の問題と,社会生活上,あるいは慣習上の問題の二つに分けて考えていく必要があるのではないかと思っております。  最初に,法制度上の問題として―例えば,生活保護乳幼児医療介護保険児童手当など,本市でもいろいろな制度を実施しております。このような制度には,通常はその根拠条文に「すべて国民は……」と書いてあります。外国人にその制度が適用になるかというと,定住性があるかどうか―要するに定住権があるかどうかというところで一つの線を引いていると思うのです。  そこで,本市が実施しているいろいろな福祉やその他の関係の法制度に関して,どのような実態になっているのか。そしてまた,それが差別に該当するのかどうか,その点についてどのように認識しているのか,お伺いします。  それから,社会生活上,慣習上のことになりますけれども,先ほどの陳情者の話では,実際には差別はそれほどないだろう,受けていないということでしたが,アパートを借りたいというときに断られるというようなことは,必ずしもないとは言えないと思うのです。  先ほどのやりとりでは,国際プラザにも窓口があるということです。そのような中で,差別というか―広くは人権の問題だと思うのですが,これからいろいろPRも行っていく,啓発もしていくということでした。  そこで,実際にそのような差別を受けた方はどの窓口に行くことになるのか。この委員会だけでも3部の方が出席している状況ですので,どの窓口に行けばいいかということを明確にするようなパンフレットなどを―啓発する,PRするということであれば,そのようなことも必要ではないかと思いますが,どのように考えているのか,お伺いします。 また,相談に行って,その後はどうなるのか,具体的にお示しください。 ◎浅野 行政部長  法制度上の差別ということについてですが,制度によっては国民のみを対象とするものとそうでないものもありますが,特に社会保障の関係で言うと,国民年金国民健康保険の関係,それから児童手当の支給については国籍要件がありません。ただ,生活保護は,法律上は国民が対象となっておりますけれども,行政上の措置として,同一要件のもとに同一内容の給付を行っているのが実態です。つまり,法制度上の違いはあるのですが,実態としては差別的な扱いを行っておりません。ですから,制度だけを見るのではなく,実際の措置を見ていかなければ必ずしも差別があるかどうかということは言えないのではないかと思います。今,手元に資料がありませんので,細かいことは余り言えませんけれども,法律だけを見てこれは差別だ,差別ではないということは一概に言えないのではないかかと思っております。 ◎中田 国際部長  外国人相談窓口のPRの問題等についてですが,在住外国人に少しでも多くの情報を提供したいということがあり,従来,市民に配布している暮らしの手帳というものがありますけれども,これについては英語版,中国語版,韓国語版を用意し,外国人登録を行った段階で配布しております。  ただ,差別があったり,何かで困ったときにどこに行けばいいかということについてのPRは,実態として必ずしも十分ではない部分もあります。そのような点に関しては,本当に外国人が必要とする情報を,ホームページに載せるというような取り組みを今年度は行っていきたいと思っております。 ◆小林郁子 委員  今回は外国人についての差別ということが中心の陳情でしたけれども,広く考えて,人権という問題になると,少数民族に対して,女性,子供に対してなど,いろいろな問題があると思うのです。そのようなときに,行政として,やはり人権に敏感な感覚を持ちながら対処していただきたいと思うわけです。  そのような中で,現時点ではまだ条例をつくるような状況にはないというような答弁でしたけれども,人権ということに関しては,侵害を受けてみなければ受けた側の気持ちというものはなかなかわからないものです。そのようなときにしっかり対応できる窓口であってほしいということを要望して,終わります。 ◆松浦忠 委員  外国人に対する差別をしないという啓蒙,啓発活動を行うということでしたが,例えば,小学校,中学校などの副読本などで―副読本にはいわゆる地域の問題などが盛り込まれていますが―その中にそのようなことが盛り込まれていて全市的な教育をが行われているのかどうか,お伺いします。  それから,今,議会に対して,条例を制定してほしいと陳情されております。議会も,議員立法による条例の制定などに積極的に取り組んでいこうということで,この4月から議会事務局に調査担当課を設置しました。そして,議会で協議を行い―陳情者が求めているようなことが完全にできるかどうかは別にして―条例を制定するということになったときに,市長はそれに対してどう対応しようと考えているのか,お伺いします。 ◎浅野 行政部長  小学校等の教材の副読本などで人種差別撤廃について取り上げたものを使用しているのかということについてですけれども,現在,資料を持ち合わせておりませんのでお答えできません。ただ,憲法の関係で言えば―それはもちろん人権のことも入ると思うのですけれども―そのような内容の授業は行っていると聞いております。  それから,条例の関係ですけれども,条例を提案する権限は,基本的に,市長にも,議員にもあります。そして,最終的には議会で議決されて決まるものですので,そのことについて市長がどうこう言うようなものではない,決められれば誠実に執行するという以外にはないのではないかと思います。 ◆松浦忠 委員  ぜひひとつ,小学校の低学年で―そのような記載のある副読本がなければ,あるいは,別途にレジュメを使用するのでも結構ですから,子供たちがこのようなことについてよく話し合う時間を設けていただきたいと思います。きょうは教育委員会からの理事者が出席しておりませんから,要望にしておきますけれども,そのようなことが必要ではないかと思います。  それからもう一つは,問題は,公衆浴場のように多くの人が利用する施設ということなのです。昔から,床屋談義,温泉談義,ふろ場談義というものがありますけれども,床屋に行くと,待ち時間にみんなで話をする。それから,銭湯に行っても,ふろから上がって湯冷まししている間に待合室でいろいろなよもやま話をすることがあります。私は,そのようなところに,市として,外国人を差別しないで,生活習慣の違いもあるから,みんなでそのようなことを理解しながら,例えば日本の公衆浴場であれば日本の習慣に合わせてもらうように,入り合わせた人にもお願いする,協力いただくようなことなどを含めてチラシなどをつくって,そのことについて湯上がり談義していただく。そのようなことがみんなが理解し合うということにつながっていくのではないかと思います。ぜひ,そのように取り組んでいただきたいと思いますが,いかがか,お伺いします。  それから,議会で条例が制定されれば―当然,それは議決事項ですから,市としてそれに従うということでした。しかし市長は,私が認識している限りではそのような人種差別や,生活上発生した諸問題は,本市ではなくしていこうという考えを持っていると思うのです。市長がもしそのように思っているとすれば―本市が国際都市を標ぼうしてから既に長い期間が経過しております。世界冬の都市市長会の事務局も,板垣市長のときに提起して,本市もお金をかけて長く任っているわけです。そのようなことから考えると,一つは,何と言っても具体的に表示ができる看板項目がなければ,内容は一般に理解されないわけです。  国際都市ということでは,本市は来客2,000万人の実施に向けて懸命に取り組んでおります。そのような意味では,私は,逆に,市長も議会も額を合わせて相談して,全国にないような条例を早急に制定し,そして,本当の意味での国際都市ということを,日本国内はもとより諸外国に向かって宣伝していくことが大事だと思います。入れ物だけ―立派な国際会議場をつくったり,同時通訳設備をつくったり,金をかけてそのようなものをつくっても―問題は,人が安心して来られる街をどうつくるかという人のかかわりなのです。市長が表明している,市が推し進める政策から考えると,議会と市長の間でそのような検討をさらに進めて―どのような内容になるかは別にして―早急に条例を制定すべきではないかと思います。  市長の政策と,国際都市ということ―来客2,000万人ということで外国からもたくさん観光客を呼ぼうということであれば,宣伝のための看板が必要ですが,私はこの条例の制定ということがその一つになっていくのではないかと思います。私が今申し上げたことについて,市長はどのような見解なのか,お伺いします。 ◎濱田 総務局長  本日は,外国人差別撤廃条例を制定してほしいという陳情の審査を行い,ただいまそれぞれの委員から貴重な意見をいただいたところです。私自身も,人種差別があってはならないと思いますし,それから,人権の尊重ということも極めて大切なことだと思っております。  そのような中で,このたびの陳情に関しては,国際都市さっぽろを標ぼうしている自治体として,現にいろいろな取り組みを行ってきております。 そのような中で,外国への理解を高め,そして外国人との交流を深め,良好な関係の構築を進めていくことが,まず大事なことではないかと思っております。  条例の制定等については,それぞれいろいろな考え方もあろうかと思いますので,議会での議論,あるいは,市民との意見交換,それから当事者の意見を聞くことももちろん大切でしょうし,そのような中で対応していくことが望ましいことではないかと考えております。 ◎浅野 行政部長  公衆浴場での国際交流相互理解の推進ということについてですが,小樽の温泉訴訟に関する地裁判決を受けての業界の反響は,非常に大きなものでした。そして,現在,4カ国語による入浴マナーに関するポスター表示を行っているところです。つまり,そのようなことを外国人に理解いただきたいというおふろ屋さんの歩み寄りというか―まさに交流を呼びかけているという意味もあると思います。そのようなことで,銭湯などにおいて,このようなことはどうなのだろうという対話が生まれて,交流が進んでいくということは,非常に望ましいことであり,期待したいと思っております。 ○長内直也 委員長  ほかにございませんか。  (「なし」と呼ぶ者あり) ○長内直也 委員長  なければ,質疑を終了いたします。  取り扱いについて,お諮りいたします。  取り扱いは,いかがいたしますか。  (「継続審査」と呼ぶ者あり) ○長内直也 委員長  それでは,陳情第80号を継続審査とすることに,ご異議ありませんか。  (「異議なし」と呼ぶ者あり) ○長内直也 委員長  異議なしと認め,陳情第80号は継続審査と決定されました。  ここで,理事者入れかえのため,委員会を休憩いたします。     ──────────────       休 憩 午前11時16分       再 開 午前11時17分     ────────────── ○長内直也 委員長  委員会を再開いたします。  次に,さっぽろ都心交通計画についてを議題といたします。  理事者から,説明を受けます。 ◎下平尾 企画調整局長  去る4月20日に札幌市都心交通計画策定委員会から市長に手交されたさっぽろ都心交通計画について説明します。  本市の顔とも言える都心部においては,市民や観光客などに対して,快適な歩行環境と円滑な交通環境を提供し,魅力的で活力ある都心の再生に向けた施策の展開が求められております。  今回の計画については,商業者,運輸関係者,あるいは障がい者団体,学識者など多くの方々に参画いただき議論を積み上げる中で,社会実験,あるいは,1,000人ワークショップの結果なども取り入れながらまとめられたものです。今後は,この提案をもとに行政計画をまとめ,7月をめどに公表したいと考えております。 ◎筑田 都心まちづくり推進室長  基本的には,お手元に配付の概要版の資料に沿って説明します。  まず,この計画の策定経緯ですが,1ページの下段にフロー図を記載しております。  本市では,平成13年5月に都心交通ビジョンを提案したところです。その後,この提案をもとに,市民団体や運輸業界,商業者などから成る都心交通ビジョン懇談会を設置して,ビジョンの基本的な考え方に対する方向性の検討,あるいは,課題の抽出を行ったところです。そして,計画の策定には,市民,企業,行政が参加,協力して進めること,あるいは,都心交通に対する現状や課題について共通認識を持つことが重要と考え,平成14年には都心交通検討会を設立し,人と車が共存した新しい時代の都心交通を実現するとともに,魅力と活力ある都心の街づくりを交通面から支える交通計画を策定するために,おおむね10年間で実施可能と思われる計画の方向性について検討を行い,骨格をまとめたところです。
     これを受けて,平成15年に札幌市都心交通計画策定委員会を設置して,ことしの3月末までに委員会を5回,この下部組織である専門部会と起草部会を合わせて8回開催し,さらに一方では,社会実験,あるいは,市民議論の場としてワークショップも行いながら,その結果も参考として検討を進めてきたという敬意があります。  本編資料の5ページをごらんください。  破線で囲まれている範囲は,第4次長期総合計画で設定されている都心エリアです。  なお,今回の計画対象区域としては,創成川通,石山通,北8条通,南4条通の道路に囲まれる範囲で―図では水玉もようで示されております。  それでは,もう一度,概要版に戻ります。  まず,計画の必要性についてですが,これまでの市民議論の中にもありましたように,地球規模での環境保全意識の高まり,あるいは,少子高齢化の進展など,社会環境の変化も著しいところです。また,交通面においても,自動車に過度に依存するライフスタイルへの懸念の声が高まりつつあります。特に,都心部においては,これらに適切に対応した都市の魅力と活力を高めることが求められているところです。このため,本市の第4次長期総合計画でも,歩行者や環境を重視した交通の実現に取り組むこととなっているところです。  そこで,計画の理念ですが,資料左上に記載しているとおり,「人と環境を重視した新しい時代の都心交通の創出」と「都心活性化に寄与する交通施策の推進」という二つを掲げております。また,計画の目的については,理念を実現するための目標設定や,おおむね20年間に実施が望まれる交通施策の方向性をまとめた計画を策定するとともに,この考え方を受けて,おおむね10年間で都心部における交通問題を解消するため,重点的に取り組むべき実現可能な交通施策及び社会実験など,市民との協働の方向性を施策展開プログラムとしてまとめるものです。  なお,プログラムは必要に応じて見直し,再評価を行うことになっております。  次に,人や環境を重視し,都心の活性化を目指すという計画理念の達成に向けた計画の目標についてですが,目標の設定に当たっては,都心へのアクセス性の向上,交通手段のコントロール,道路空間の活用などを重要な視点として,大きく五つの目標が掲げられております。  1点目は,季節にとらわれず,安心・安全な交通環境を創出すること,2点目は,多様なニーズに対応した歩行環境を創出すること,3点目は,ほかの交通モードとの連携など,適切な自動車需要による円滑な都心交通の創出,4点目は,荷さばきの効率化や路上駐車対策などによる走行環境の向上,そして,5点目は,信頼性と質を高め,多様なサービスの向上により,車から転換が期待できる公共交通の創出というものです。  次に,今申し上げた目標実現のための具体的な施策を立てるための方針についてですが,環境,財政状況,既存の交通機関などの活用やサービス向上といった観点を重視し,4点,設定されております。  1点目は,過度に自動車に依存するライフスタイルに対する懸念を共通認識とし,これを市民全体で醸成しつつ,車中心から歩行者優先へのスムーズな転換を促すために,公共交通の充実や利用促進を進める必要があり,そのためには,都心へのアクセス機能やターミナル機能向上とともに,料金制度などいわゆるソフト施策の展開を進めて,環境に優しい公共交通を軸とした交通システムの充実を図ることが必要であるという提案です。  2点目は,さまざまな交通がふくそうする都心の道路交通の正常化を図ることが必要であり,そのためには,都心に目的のない通過交通の分散化と適正な誘導を行うことや,ほかの交通モードとの連携による自動車需要の低減,さらには,違法駐車などの交通阻害要因の対策を進めることにより交通の円滑化を図るというものです。  3点目は,今申し上げた二つの方針に従い,取り組みを進めるだけではなく,都心部の道路の機能分類を行うことにより,路線ごとに人と車や自転車などの具体的な空間活用の方向性を明らかにして,限られた道路空間の再配分を進め,都心再生につながる交通環境の具体化を図るべきであるという提案です。  なお,この内容については,後ほど詳しく説明します。  4点目は,申し上げるまでもなく,都心の魅力を享受できる公共空間の活用,再生のためには,市民,商店街,事業者,NPO,行政などが一体となって協働で街づくりを進めるための枠組みを整え,事業を展開していくことが必要であるという提案です。また,そのためには,今後も社会実験を継続しつつ,アンケートなどによって市民評価,満足度といったものも把握することが重要であるとされております。  以上,本計画では,これらのおおむね10年間は大規模な施設整備を必要としない施策や,制度運用などソフト施策について重点的に取り組むことを施策の基本方針としております。また,道路空間の再配分に関連するハード施策については,今後の交通事情の推移を見きわめながら進めることとし,中長期的な取り組みを進め,人と環境を重視した都心交通環境の実現を目指すものです。  続いて,2ページをごらんください。  ここでは,施策展開の全体プログラムをあらわしております。  これは,一番左側に表記されている,ただいま説明した四つの基本方針について,それぞれの方針に対して目的を明確に設定した上で必要となる施策を抽出して,これをおおむね10年以内に取り組むべき施策と中長期的な視野により取り組むべき施策に大別し,施策展開の方向性に沿ってパッケージ化し,全体プログラムとして提案されているものです。本日は,時間の都合上,関係する施策の詳細な説明は省略しますが,これら目的別の各種施策については,その目的に向け,連携を図りながら総合的に展開する必要があると提案されております。  続いて,3ページをごらんください。  先ほど,計画の方針3で説明した道路の機能分類の考え方について,もう少し説明申します。  限られた道路空間の中では,すべての道路について快適な歩行環境と円滑な自動車交通の双方を実現することは困難です。このため,道路相互で交通機能の役割分担を行い,それぞれの道路機能を向上させることが必要です。そこで,都心部の道路を,車両の走行空間としての機能―いわゆるトラフィック機能―と,沿道建物への出入りや歩行者空間としての機能―いわゆるアクセス機能―という二つの機能に分担して,都心道路全体として交通機能の向上を図ることが必要です。  具体的には,このページの左下の資料の図で色分けして示されておりますが,青く塗られている路線が車両の走行空間としての機能重視道路で,黄色く塗られている路線が沿道建物への出入りや歩行者空間としての機能重視道路です。  また,資料の右上には,それぞれの道路のイメージ図が示されております。右側のアクセス機能重視道路は,車道を狭めることで歩行空間を広く確保し,また,自転車走行レーンを整備するなど快適な歩行空間を確保するとともに,タクシーベイ,荷さばきスペースにも配慮したイメージ図になっております。このアクセス機能重視道路を整備した場合,どうしてもそこからはみ出す自動車交通が出てくる可能性があります。この交通を円滑な車の走行空間が確保された路線で―左側のいわゆるトラフィック機能重視路線が受け持とうという考え方です。  次に,資料の左下の図をごらんください。  代表的な道路で言うと,札幌駅前通は黄色でアクセス道路となっており,創成川通については青色でトラフィック機能を重視することになっております。  なお,アクセス機能の向上と快適な歩行空間の形成を図るに当たっては,これを重点的に取り組む先駆的なゾーンを設定することで効果的かつ効率的に進めることが可能ということから,国道などトラフィック機能重視路線に囲まれ,かつ,商業施設が集積し,特に休日に歩行者が多く,今後,魅力ある都心として中心的なエリアとなることが考えられる道庁東ゾーンと南1条ゾーンの2カ所を重点ゾーンとして位置づけております。  なお,道路空間の再配分を行うに当たっては,道路の機能分類を行い,その役割分担に沿って効果的,効率的に推進する必要があります。そこで,都心街づくりの目標実現に向けた取り組みの基軸とされている駅前通,創成川通,大通,北3条通の四つの路線を骨格軸と位置づけて,重点的に整備を進めていくべきであると提案されております。  この4軸のうち,駅前通と創成川通について,もう少し説明します。  もう一度,本編の40ページをごらんください。  駅前通が掲載されております。この道路の基本計画として,下の2に書かれておりますが,駅前通の交通計画における空間構成については,今後の施策展開を前提に,必要なアクセス機能を確保しつつ,緑地空間や地下歩行空間の地上施設の配置などを想定した歩車道区分が必要であるとされております。また,駅前通は本市のメーンストリートであり,メーンストリートに求められる魅力づけとともに,現状における自動車交通量を勘案しつつ,歩行者空間の確保を優先した幅員構成となっております。  41ページをごらんください。 上段の枠の中に,その基本計画が示されております。  1点目として,歩行空間は地上地下を重層的に位置づける。2点目に,車両空間は現在の6車線を4車線とし,停車スペース―タクシーベイや荷さばきベイなど―を設置する。3点目に,歩行者と自転車利用を分離する。4点目に,冬期間のための堆雪スペースを確保するということで,参考断面図が掲載されております。さらに,その下には,計画では車両空間は現況より減少するため,円滑な車両交通の環境を保つためには,タクシーや荷さばきなど路上駐車のルール化の徹底が必要であり,特に冬期間における空間確保が重要な課題となること,あるいは,自転車利用に対する対策として歩行者と自転車利用の分離を検討することとされております。さらに,緑地空間については,道路附帯施設,あるいは,円滑な交通と共存できる空間配置について十分な検討が必要であるとされております。  3の将来の可能性ですが,駅前通は,メーンストリートとしてのアクセス機能の重視を進める観点から,都心の魅力向上とともに,回遊性を高めるための空間活用が将来的にも期待されております。今後,都心交通計画の施策展開を進める中で,都心部における交通動向を見きわめつつ,さらなる空間の再配分が可能となった段階では人と環境を重視した都心を代表する空間構成が求められており,その場合,都心の魅力を広げる公共交通の導入なども将来的な可能性として考えられております。  次に,42ページをごらんください。  創成川通について掲載されておりますが,下段2の基本計画では,創成川通の交通計画における空間構成については,今後の施策展開を前提にしつつも,当面は相当量の自動車交通需要への対応を考慮しなければならない。特に,路線の性格から通過交通とともにアクセス交通も多いことを勘案して,地上地下の分離を図るアンダーパスの連続化を前提とした上で,地上部においても適切な交通機能を確保する断面構成が必要であるとされております。また,都心部における交通環境の改善,あるいは,創成川以東との連携を図る観点から,アンダーパス化される北3条通から南5条通間における東西道路の円滑化を図る旨の提案がなされております。  43ページをごらんください。 上段の枠の中に,その基本計画が示されております。  1点目に,歩行空間は親水緑地空間との回遊性を確保する。2点目に,車両空間は地上部,地下部ともに4車線―片側2車線にする。3点目に,東西方向の交通円滑化のため,道路機能の強化を図る。4点目に,冬期間のための堆雪スペースを確保するということで,参考断面図が掲載されております。さらに,その下には,親水緑地空間と沿道施設を相当な交通量のある車両空間が分断することになるため,歩行者空間の回遊性を保つための課題整理が重要であるとされております。また,トラフィック機能を確実に発揮するためには,特に路上停車や駐車のルール化の徹底が必要であり,特に冬期間における空間確保は重要な課題であるとされております。  3の将来の可能性ですが,創成川通は,当面,トラフィック機能を重視する幹線道路としての機能強化が求められておりますが,将来的には,親水緑地空間を活用した都心部のやすらぎ軸としての展開が期待されております。今後,都心交通計画の施策が進められる中で,都心部における交通動向を見きわめつつ,並行する道路などとの役割分担も勘案しながら,都心全体の空間細分が可能となった段階では,人と環境を重視した都心を代表する空間構成が必要とされております。その場合,さらなる親水緑地空間の拡充や大通公園との連続化なども将来的な可能性として考えられております。  続いて,概要版の4ページをごらんください。  先ほども少し触れましたが,提言では,施策を展開するに当たっては市民との協働で取り組むべきであると提案されております。その内容は,左側上段に示されておりますが,施策展開によって創出された道路空間は,単に人や物の移動だけに利用される空間ではなく,人々の多様な社会生活に対して開かれた公共空間であり,札幌の顔である都心の魅力と活力を高め,人と環境を重視した都心の実現を図るための重要な視点として次の4点が挙げられております。いわゆる空間―オープンスペースをいかに活用し,どのようににぎわい,アクティビティーを誘導するのか。また,その場合の利用方法の工夫が求められるとされております。そのためには,市民やNPO,企業,商店街,TMO,行政が一体となり,協働で街づくりを進めることが重要であり,街づくりと交通計画が連携した取り組みを進める必要があるとされております。  協働の具体的な形態,手法としては,協働型の環境管理手法であるアダプトプログラム制度―それについては下の方に書かれておりますが―この制度の導入が提案されております。具体的には,都心型アダプトプログラムということで,公共空間の環境整備だけにとどまらず,そこに生まれるオープンスペースの有効活用も含めた仕組みとして導入し,展開を進めることが必要であると提案されております。  アダプトプログラムによる公共空間の環境整備や交通規制による歩行者空間の創出は,主に交通面から魅力ある都心空間の創出を目指そうという取り組みですが,都心の魅力をより高めていくためには,そこで生まれたオープンスペースをいかに活用し,どのようなアクティビティーを誘導するかといった街づくりの展開が求められているところです。したがって,提言では―下から二つ目のパラグラフになりますが―今後,札幌TMOなどの街づくり組織と連携して,街づくりと交通が一体となった具体的なストリートプログラムの展開を図り,都心部での人の動きを活性化することが必要であると提案されております。  市民との協働を進める上では,市民の意識改革を進めることも重要なことであり,本計画では市民の意識改革のための交通教育についても提案されております。具体的には,都心の魅力を享受できる空間活用に向けた種々の施策展開を進め,その効果を広く波及するためには,歩行者,自転車,自動車など各立場を理解した上での交通マナーやルールに対する市民みずからの意識転換が必要であるとして,そのためには,子供から大人まで幅広い市民への交通教育の普及や,交通日記などの活用を進め,さらには,交通社会実験などを積極的に展開するなど,交通行動を見直すための啓発活動に取り組む必要があるとされております。  冒頭でも少し説明しましたが,本計画は都心の魅力を享受できる公共空間の活用や再生に向け,道路空間をうまく使うための仕組みづくりに交通面から取り組んでいくことにより,市民が都心を訪れ,仕事をし,買い物をするだけではなく,主体的ににぎわいづくりに参加していただき,そこで生まれる文化をはぐくんでいこうというような魅力ある都心空間の創出を目指しているものです。そのためには利用者である市民を初めとする関係者の協力が不可欠であることから,一定のルールの検討を行うとともに,各種啓発活動の実施,交通社会実験,教育現場の活用など,市民意識の醸成に向けた取り組みを行う必要があります。  そこで,本計画では,市民,商店街,事業者,NPO,行政などが一体となって協働で街づくりを進めるための枠組みを整え,事業展開していくことが必要であると提案されております。また,今後,都心交通計画の施策展開を図っていく上で,各種施策の実施前の検証や従前に実施した施策の効果などを的確に把握し評価することが必要であり,次の施策を実施する時期などを適切に判断することが重要です。  このため,本計画では,資料の右の図にあるように,PDCAサイクルを繰り返しながら継続的に改善していくことが重要であるとされております。具体的には,今回,プランとして計画を策定し,今後は,ドゥーとして協議会の設立や社会実験を継続しつつ,可能なものから,随時,事業化し,また,ルール化や交通教育を進めるなどの施策展開を行います。その次に,チェックとして,交通量,駐輪状況などについて定点観測を行い,その結果やデータに基づいて交通環境の推移を継続的に観測,把握するとともに,アンケートなどによって市民評価も把握するなど,定量的データと市民満足度などを総合して施策の評価を行います。そして,それらを市民にわかりやすい形で公表して,市民議論などを通じて見直しあるいは改善,アクションにつなげていき,将来に向け継続的改善を行うことが必要であると提案されているところです。 ○長内直也 委員長  質疑を行います。 ◆小須田悟士 委員  概要版の資料の1ページの下の方に,平成13年度に都心交通ビジョンの提案とあります。  私は,1年生議員で平成13年のことは承知していなかったのですが,先輩議員から伺ったところ,平成13年度に公表された都心交通ビジョンでは,歩行者や環境を重視した快適な歩行空間の創出のため,目的に応じて自動車を抑制することが必要であると,都心への車の乗り入れの抑制が強くあらわされていたということでした。特に,市民1,000人ワークショップでも,駅前通についてはいろいろと話題になりましたし,将来の姿として,地上遊歩道―旭川の買物公園のように完全モール化して自動車の通行ができなくなるような内容であると伺っているのです。しかし,今回の都心交通計画の内容では,都心への車の乗り入れについて,かなりトーンダウンしているように感じます。  そこで,平成13年度から15年度までの間に,都心への車の取り入れ抑制の方針がなぜ弱まったのか,検討の経過についてお伺いします。 ◎筑田 都心まちづくり推進室長  都心交通ビジョンは,都心交通の将来の望ましい姿として,歩行者や環境を重視した理念と,主要な通りについて整備のイメージもあわせて提起したところです。しかし,都心交通ビジョンで示した都心の地区分割―車の乗り入れのための一つの手法としてトラフィックセルというものがあり,このようなものによる大胆な車両乗り入れ規制については,市民,商業者,運輸業界などからさまざまな議論があったところです。  その後,さまざまな立場の方々に参加いただいて意見交換,検討を行った都心交通ビジョン懇談会,あるいは,都心交通研究会においては,車の乗り入れ規制を前提とせずに,将来の望ましい都心の交通について市民議論を進める必要があるのではないかという結果が出されたわけです。また,昨年行った市民1,000人ワークショップでの人と環境を重視した交通政策への転換という設問に対する回答でも,人中心への政策転換へ賛成する意見が5割を超えたところですが,経済活動に支障が生じない方法を選択すべきだという意見が約4割ありました。このことから,都心への自動車乗り入れ規制の実施を前提とせずに,都心交通計画の検討を進めるべきではないか―つまり歩車共存として進めていくことが,市民意見の傾向でした。  こうしたことから,歩行者や環境を重視した快適な歩行空間を創出すること,あるいは,魅力と活力ある都心を実現するという理念については,今回の計画でも都心交通ビジョンと変わるところなく同じ方向性にあるものの,今後,市民との協働作業により,人と環境を重視した都心交通をつくり上げていくことが重要であると現時点では考えております。 ◆小須田悟士 委員  いろいろな業界からの意見により―圧力とは言わないのでしょうけれども―都心部への乗り入れ規制を強力に進められないという経緯があったとのことです。  それであれば,利用しやすい公共交通を軸とした交通システムの充実が必要ではないかと思います。ここの計画方針1に書いてはあるのですが,そのための具体的な施策展開についてはどのように考えているのか,お伺いします。 ◎筑田 都心まちづくり推進室長  人と環境を重視した新しい時代の都市交通計画の実現に向けては,持続可能な交通システムとして,公共交通をいかに活用するかが大変重要な問題です。従前の車中心から歩行者優先へのスムーズな転換を進めるためにも,公共交通の充実を進めていくことが必要であると提案されております。  今回の計画では,具体的な施策展開として,都心へのアクセス向上策として,料金システムを充実するとともに,既存交通機関の有効活用や乗り継ぎの円滑化を進めることが必要であると提案されており,さらに,都心内におけるサービス向上策として,都心部の循環バスなどによる回遊機能の強化や都心内のターミナル機能の改善などが必要であるとされております。 ◆畑瀬幸二 委員  今回の方針を見ると,いろいろな機能を考えながら交通の役割を果たしていきたいということは伺えます。そして,今の説明では,商業機能や物流機能をどうしていくか,それから,歩行者空間の確保を図るという意味でのコミュニティ機能をどう確保していくか,それから,自動車交通の適正な抑制という意味での環境機能,それから,皆さんが受け持ちの交通利便性の機能というものを中心に,当面の10年間の具体的な施策を展開していきたいということでした。このほか,説明はありませんでしたが,本市が抱えるさまざまな機能というものがあるのではないか―市として,総合的な機能をどのようにして効果的に発揮していけるのか,そのゾーンをどのようにしてつくるのかということが今回の計画の大切なところではないかなと思います。  そこで,市役所全体のさまざまな計画の機能というものをどのように把握して今回の計画をつくろうと考えているのか,お伺いします。 ◎筑田 都心まちづくり推進室長  今回の都心交通計画は,決して単独で進められるものではないと思います。いわゆる都心の街づくり―道路を骨格にし,縁辺の土地利用も含めて複合的な魅力アップを図っていかなければならないという視点を持っております。都心まちづくり計画と,都心交通計画は,相互に連携しながら進めていかなければならないと考えております。  この計画の背景についてですが,本市では,平成12年に第4次長期総合計画を策定し,その中で,「市民一人ひとりの暮らしの充実とそれを支えるまちづくり」と「環境と調和した活力と創造性に富んだまちづくり」の二つを掲げております。これらを実現するための最も中心的な拠点として都心を位置づけております。また,この中で,都心を多中心核都市構造の中心とした上で,魅力的で活力ある都心整備の目標を掲げるとともに,重点的に整備に取り組むべき駅前通など四つの骨格軸と五つの主要ゾーンを設定して整備の方向性を示しております。これを受けて,具体的な札幌の街づくりの方向性を定めるために都心まちづくり計画を策定しております。今回の都心交通計画については,この都心まちづくり計画を交通面で支える計画として位置づけているものです。  具体的には,都心まちづくり計画の中で示された骨格4軸は,街づくりの目標・方針の具体化を先導し,その形成による周辺への大きな波及効果が期待される要素としております。一方,今回の都心交通計画においても,これら4軸の具体的な空間構成を優先的に進めるべきであると提案されており,土地利用と交通計画を融合して進めるという点で,この二つの計画は密接不可分の関係で進めていかなければならないと考えております。 ◆畑瀬幸二 委員  先ほど,私は数点の機能を申し上げましたけれども,もう少しとり入れてほしかった機能があります。文章を読むと,随所に安全,安心という言葉が出てくるのですが,防犯・防災機能について触れられている箇所がないのです。災害時における交通の支障をどのようにして最小限に抑止していくかということなどは,非常に大切な視点です。  さきに,阪神・淡路大震災の経過を受けて,本市も震度階を1ランクアップして震度6にしました。その折,さまざまな街の施策に防災に強いまちづくりという視点を入れていこうということにしたところです。都心交通計画を策定するにあたり,この視点も取り入れていかなければ,真の意味での安心・安全な交通計画づくりというものはかなわないのではないのかと考えますが,いかがか,お伺いします。  それから,観光機能をもう少し重視していくべきではないかと思います。先ほども,陳情審査において,国際都市あるいは観光都市という問題について若干論議しましたが,来客2,000万人を実現していくにあたり,今後,外国人や本州観光客の受け入れ体制を強化していく場合,本市の顔と言える都心部について観光機能というものも十分取り入れていかなければならないのではないかと思うのです。  あわせて,芸術・文化機能をどうしていくのか。それから,都心部の住民のための行政サービス機能をどうしていくのか。それから,商業機能にしても,駅前ゾーンと大通以南のゾーンに分けて個性化を図るということですけれども,独立させるのではなく,連携をどう図っていくのかということなど,交通の果たすべき役割は非常に大きいと思います。  ここでは特に,最初の防災・防犯機能の確保という視点についてどう考えているのか,それから,観光機能についてどう考えているのか,お伺いします。  それから,駅前通の交通のあり方の中で,メーンストリートとしての回遊性を向上させていきたいという視点が示されております。とても大切なことだと思います。  これについては,先ほどの答弁の中で,循環バスなどを十分に配置していきたいということでしたが,現在,都心部の公共交通機関というものは地下鉄しかないわけで―しかも,これは地下を走るものですので,肝心な駅前通の魅力を見ることができないわけです。ですから,1度電車をおりてみようかということにならないという弱点があります。  そのような意味では,地上部を大事にしていくために,循環バスをメーンストリートに通すという方法は,やはり重視していかざるを得ないわけです。ただ,バスそのものは,環境という観点から考えると,環境に優しい燃料を使っていかなければ,これまた指摘されてしまいます。したがって,さまざまな角度から最善の方策を講じていかなければならないけれども,こうしたメーンストリートの回遊性について,公共交通機関をどのように活用して確保していこうと考えているのか,お伺いします。  それから,にぎわいや活力ということのためには,歩行者の呼び戻しに取り組んでいく必要があると思うのです。そうすると,単に都心部を歩くという機能だけでいいのかどうか,歩いている途中で疲れれば腰をおろしたり休んだりできるような機能,あるいは,気軽に飲み物を飲めるような機能―つまり,歩く人にとって魅力ある機能を持たせていかなければ,魅力ある都心部の歩行者機能を確保できないのではないかと思いますが,どのように考えているのか,お伺いします。 ◎筑田 都心まちづくり推進室長  防災機能についてですが,街づくりを進めていくためには,防災というものは非常に大事な視点であると考えております。今回の計画も,防災の観点を踏まえた計画でなければならないと認識しており,委員ご指摘の駅前通地下歩行空間,あるいは,創成川アンダーパス連続化事業においても,地震あるいは豪雨などの防災に対して十分配慮をしていきたいと考えております。  次に,観光機能についてですが,本市は,四季が織りなす豊かな魅力に恵まれた観光都市として,この優位性を生かしつつ,さらなる魅力を高めることが必要であると考えております。都心ににぎわいが創出され,さらにそこで文化がはぐくまれるということは,まさしく都市としての魅力が高まることで,多くの人を引きつけることにつながるものと考えております。  このたびの計画の中でも,市民,NPO,企業,商店街,TMO,行政が一体となり,協働で街づくりを進めるために,道路空間のワイズユース―賢い使い方―により,これらの活動の場となる都市空間の創出を目指す必要があることが位置づけられており,こうした活動を継続的に進めていくことが,一方では観光面の魅力アップにつながるのではないかと考えております。  次に,都心内の回遊性の強化ということについてですが,快適で円滑な公共交通による移動手段の導入が必要であり,都心の魅力向上につながるものとして,都心循環バスなどを積極的に導入していく必要があると提案されております。  そこで,この導入に当たって,ルートがわかりやすく,市民だけではなく,観光客を含め,だれもが安心して利用できる,魅力アップにつながる都心循環バスの社会実験を本年度に実施したいと考えております。本年度の実験では,無料化を想定した運行を考えており,将来の運行形態のあり方などについて調査検討するもので,具体的な調査内容については,利用者数や運行費用など採算ベースの検証を行うほか,運行経路,停留所の設置場所,あるいは,市民ニーズなどについても調査して,その実現の可能性を探っていきたいと考えております。  次に,空間だけ生まれても,それが活用されなければ意味がないのではないかという趣旨の質問についてですが,空間活用については,協働型の環境手法であるアダプトプログラム―アメリカで制度化されたもので,高速道路等の美化を周辺住民が行うというようなもので,日本にでは5年ほど前に導入され始めた制度です。本来,行政で行うべき美化作業を地域住民に行っていただく―養子縁組というような意味合いで使われてきた制度です。このアダプトプログラム制度を,公共空間の環境整備だけにとどまらず,そこに生まれるオープンスペースの有効活用も含めた仕組みとして導入し,都心型のアダプトプログラムとして展開を進める必要があると思っております。また,この街路空間の魅力アップについても,昨年も社会実験を行い,また,今年度も社会実験を行おうと考えております。どうすれば限られた歩行空間の中で魅力アップしていくことができるのかということも探る意味での実験を今年度も考えております。 ◆畑瀬幸二 委員  都心循環バスについて,今後の可能性について探っていきたいという答弁でしたが,これは,できるだけ早期に結論を出すべきではないかと思います。  それから,率直に言って,公共交通らしい公共交通は地下鉄しかないわけで,そのような意味では,地上の魅力を観光客を含めてどのようにして知らしめていくかという課題があります。これは,いわば財産であり,これを活用しない手はありません。したがって,停留所のきめ細かな配置も含めて,十分,実験に足り得る状況をつくり出してもらいたいと思います。  そこで,実験が終了した段階で実際の運行はバス会社に担当してもらう形になるわけですが,本市のバス事業はすべて民間に移行しました。行政として相当にリーダーシップを発揮し,理解を求めていかなければ,ただ採算性の観点だけでこれが挫折するというようなことになるのではないかという不安もあるわけです。この点については,どのように判断していくのか―採算に合わないという観点だけで地上の公共交通機関は終わりだという形でいいものかどうか,私は疑問に感じるのですが,どう考えているのか,お伺いします。 ◎筑田 都心まちづくり推進室長  本当に無料循環バスが運行可能かどうか,私どもも実験してみなければわからない―課題はどのようなものなのかという現状です。ただ,都心の回遊性を主眼に置いた場合には,やはり,委員ご指摘のように,バスから外を眺めながら,回遊しながら,札幌のいいところを見ていただくという視点も,かなり重要なことと認識しております。今回は無料運行バスの実験を行い,それをだれが主体となって経営するのか,だれがその運営資金を賄うのかといったことも,今後,検討していかなければならない大きな課題だと考えております。  ただ,都心で商業を営む方も,回遊することによってにぎわいが生まれる,また,都心の魅力の一つになるということを認知していただけるのであれば,例えば大型商店街が運営するという方法も一つの案としては考えられるのではないかと考えております。  したがって,これはまだ決定ではありませんが,運行形態のあり方についても,都心の商業者等といろいろ議論しながら,できるだけ早期に,判断していきたいと考えております。 ◆畑瀬幸二 委員  最後に,要望ですが,都心部の空間の活用ということになると,全市的な問題であると同時に,中央区民の課題でもあるわけです。ドーナツ化現象が進んでいたところ,最近は,バブルの崩壊も手伝って,マンション建設による都心回帰という問題もあらわれております。  しかし,マンションに住民が移ってきても,マンションそのものには空間がないわけであり,近くの公園や大通公園,それから,これからつくられるであろう歩行者空間といったものを活用していけるような状況も一方でつくっておかなければ,また中心部が住みづらくなって人が郊外へ動いていくということにもなりかねません。  その意味では,今回の実験は相当重要な計画だと思いますので,そのような点も含めて機能を発揮してもらいたいと思います。 ◆阿知良寛美 委員  これまでさまざまな議論がなされて,その上でこのような形になったのだろうと思います。その意見について,何年か前から社会実験という形で行われてきたと聞いておりま す。  そこで,昨年行われた社会実験について,どのようなものがあったのか,また,その結果はどのような状況なのか,お伺いします。 ◎筑田 都心まちづくり推進室長  昨年実施した社会実験については,大きく3点あります。1点目は重点ゾーン社会実験,2点目は都心荷さばきシステム複合実験,3点目は,街路空間の魅力づくり社会実験です。  1点目の重点ゾーン社会実験についてですが,この実験は,都心道路の機能分類―いわゆるトラフィックあるいはアクセスの機能に応じ,歩行者空間の拡大,荷さばきやタクシーの停車スペースの設置,自転車走行レーンや駐車場の確保,駐停車抑制など,安全で快適な交通環境を創出し,その効果を検証するため,約1週間実施したところです。  実験の結果としては,いわゆるトラフィック機能とアクセス機能の分類を行い,その機能に応じた施策を展開することについて市民の大方の賛同が得られました。また,駐停車抑制の啓発など,道路利用のルール化の重要性についても再認識させられたところです。今後は,実験のパッケージ化を工夫するとともに,より実証性の高い実験の継続を図っていきたいと考えております。  2点目の都心荷さばきシステム複合実験についてですが,路上荷さばきの削減と荷さばき効率化に向けて,民間の駐車場を借り上げ,共同荷さばき施設としての有効性を検証したほか,ビルの一室を借り上げて,荷さばき中継基地―いわゆるミニデポジットですが―中継基地としての実現可能性を検証する取り組み,あるいは,荷受け側の方々にも物品搬入の集約化を行ってもらうなどの協力をいただき,荷受け側の発注の工夫にも取り組んでいただいたところです。  その結果,路上共同荷さばき施設については,利用者からの評価や需要意向も高く,運送業者や商業者の取り組み必要性についての意識も高いことから,本格導入の可能性はあるものと考えております。今後は,実現化に向けて,商業者,運輸業者などとともに,詳細な検討を進めていきたいと考えております。  3点目の街路空間の魅力づくり社会実験ですが, この実験は,地元の商業者や市民の協力を得て,地元商業者みずから歩道上の駐輪自転車を整理整頓していただくことや,市内の専門学校生が描いた絵画を路上配電盤に飾るなど,歩行者空間の演出をあわせて行うことにより,地元商業者や市民との協働による公共空間の有効活用,魅力化を図っていこうとするものです。  この実験の結果,地元商業者の取り組みへの評価や本格実施への意識が高かったことから,今年度は,エリアを拡大して地元と協働での駐輪自転車対策に取り組むなど,民間で行うにぎわいづくり事業と連携を図りながら,魅力的な街路空間の創出に取り組んでいきたいと考えております。
    ◆阿知良寛美 委員  そのような社会実験がこの計画の中にも取り入れられているということです。  現在,国会で年金について議論されておりますが,昭和36年に年金制度がスタートしたときから長寿化が始まったという話です。男性の平均寿命が67歳,女性が70歳でしたが,現在は79歳,85歳にまで延びており,今後,ますます顕著になると思います。そう考えたときに,先ほど畑瀬委員からもお話があった防災機能について,例えば80歳の方が急いで歩く場合にどの程度の距離を一気に歩けるのか―当然,息継ぎをしなければならないわけですから,そのようなことも考慮した防災機能も含めて取り入れていただきたいということを要望して,終わります。 ◆飯坂宗子 委員  ただいま示されているものは,25名の委員から成る策定委員会からの提言ということです。これを受けて,行政としては6月に計画を策定し,7月には市民に公表するということです。  従来の都心交通ビジョンとの違いについてですが,従前は,都心縁辺部にフリンジという駐車場を設けて,そこで車をおりて,都心には公共交通で入ってもらう,あるいは,これは都心交通ビジョン以前から取り組んでいることですけれども,パークアンドライドということで,地下鉄駅の周辺に駐車場をつくり,そこに車を置いて地下鉄などを利用してもらうという考え方だったと思うのです。  ところが,今回の策定委員会からの提言というものは,端的に言うと,道路の機能分類が非常に強調されております。一つはトラフィック機能ということで,車がスムーズに流れる道路にする,二つ目はアクセス機能重視ですから,歩行者空間を拡大する―このように道路のすみ分けというか,機能を分けて都心交通の流れをスムーズにしよう,歩行者も安心してゆったり歩けるようにしよう,ゾーンとして考えようという提言だと思うのです。  そこで,担当部局として,今回の道路の機能分類の提言をどのように評価しているのか,お伺いします。  あわせて,従来はフリンジやパークアンドライドということでした。とりわけパークアンドライドについては,整備計画を持ちながら,遅々としてですけれども,少しずつ拡大してきた経過もありました。このフリンジやパークアンドライドという考え方が都心の道路のすみ分けで消えてしまうのか,それとも整合性を図りながら両立していく考えなのか,お伺いします。  次に,計画方針1に,公共交通を軸とした交通システムの充実と掲げられており,料金制度のソフト面―つまり100円バスや,先ほどは無料バスの実験も行うという話がありました。私は,当然,その中には環境に優しいということで路面電車のことも入るのではないかと考えるわけです。市長も存続という姿勢は示しましたので,問題は,従前から課題となっていたループ化や延伸ということですが,これは路面電車自体の存廃を含めて議論を行うなどするうちに,途中でとんざしてしまいました。しかし,存続する方向は決まったわけです。そうすると,駅前通も含めて,ループ化,延伸ということが行政のつくる計画の中では位置づけられるのか―具体化が図られるのかどうか,お伺いします。  それから,計画方針2の適正な自動車等の利用による交通の円滑化という中では,自転車利用についてうたわれております。道路のすみ分けの中でも,自転車専用道をつくったり,そこまでいかなくても,歩行者と自転車が歩道上で余りぶつからないように幅員を広げて共存できるようにするというようなことが提言にあると思うのです。要は,都心に自転車で来てくださいという計画になっていると思うのですけれども,そうすると,その乗ってきた自転車をどこに保管するのか―いわゆる駐輪場の問題です。現在でも,都心部の駐輪場が少ないということで計画の具体化が追いつかないという課題があります。  新しい都心交通計画の中で自転車を位置づけるとなると,当然,それをさばく―とりわけ都心部での駐輪場の整備が急がれると思うのですが,これについては行政がつくる計画の中でどのように具体化を図ろうと考えているのか,お伺いします。 ◎筑田 都心まちづくり推進室長  提言における道路の機能分類という提案について行政としてどのように評価しているのかということについてですが,やはり,都心というある一定の大きさの中で,順次,魅力アップ,充実というような都心に人が集まるような空間形成は,道路だけではなく,土地利用も含めて一緒に取り組んでいく必要があると思います。ただ,それを全体的に満遍なく行うといっても,腕力的にも経済的にもかなり難しいところがあると思います。そうした中で,今回は,歩行者機能を重視したアクセス道路と,自動車走行機能を重視したトラフィック道路とに分けて,その機能に応じた道路整備をしていこう,それも,とりあえずはゾーンで……ということで,そのような考え方については,評価できるものと考えております。  それから,フリンジ駐車場とパークアンドライドについてですが,パークアンドライドについては,今回提案された中でも,公共交通の利用促進といった観点から,私どもも主要な地下鉄駅でのパークアンドライドの取り組みは重要であると認識しております。また,今までは月決めのパークアンドライドがほとんどでしたが,日中に買い物に来る方,プライベートで都心に車で来る方をターゲットにして,地下鉄白石駅で時間貸しのパークアンドライドの実験も昨年度から行っております。パークアンドライドについては,こうしたいろいろな観点で評価し,今後も続けていく必要性があるものと考えております。  それから,都心交通ビジョンの検討段階で想定されていたフリンジ駐車場は,都心部あるいはトラフィックセルへの自動車の進入を抑制することを目的として,その縁辺部に計画的に駐車場を誘致する政策でした。  しかしながら,都心交通ビジョンが示した都心の地区分割―トラフィックセルによる大胆な自動車乗り入れ規制については,市民,商業者,運輸業界などからさまざまな議論があったところです。また,昨年度開催した市民1,000人ワークショップにおいても,自動車中心から人と環境を重視した交通施策への転換を強力に推進すべきとの意見が約5割あった一方で,経済活動に支障を生じない方法を選択すべきとの意見も約4割あったところです。これらの結果を踏まえて,都心交通計画では,都心交通ビジョンで掲げた人と環境を重視した都心交通という理念を継承しつつ,その達成に向けて種々の施策を展開するといった内容で提案されております。  次に,路面電車についてですが,経営形態の見直しによる効率化,あるいは,車両や施設などの更新,それに伴う財源の確保など,さらなる課題の整理を引き続き行うとともに,議会や市民との幅広い議論もあわせて行うこととしております。この結果を受けて,今後,積極的に情報を公開して,さまざまな視点から議論を行い,これらの課題の解決に向けて取り組んでいきたいと考えております。  また,ループ化や延伸ということについては,今回の提案の中でも書かれておりません。ただ,将来的な可能性ということでは,このような公共交通の導入についても検討していくというような記述がなされております。  次に,都心部の駐輪場についてですが,平成13年に制定した札幌市自転車等駐車場の設置等に関する条例―一般的には附置義務条例というものがあります。これに基づいて,路外駐輪施設の確保とともに,都心部における地下鉄駅周辺などの駐輪需要が集中する箇所においては,施設整備と同時に,放置自転車の即時撤去などを盛り込んだ自転車放置禁止区域を設定する必要があると提案されております。  しかしながら,これらによる駐輪施設の確保には時間を要することから,当面は,暫定的な対応として,路上駐輪施設の拡充を図るとともに,あわせて沿道の商業者などとの路上駐輪アダプトプログラムの導入を図り,路上駐輪の整理やマナー啓発などの取り組みを進めていく必要があると提案されております。 ◆飯坂宗子 委員  策定委員会の提案内容がこうなっているということは,資料もいただいているし,段々の質疑があったからわかっているのです。私がきょう質問しているのは―この提言を受けて市が10年なり20年なりを展望した計画をつくるわけです。ですから,現時点で考えていることを聞きたいのです。  そこで,確認ですけれども,パークアンドライドは大変重要だ,月決めだけではなくて,時間貸しも含めて今後も継続していくということですが,やはり,可能であればパークアンドライドのスペ ースをきちんと確保して,ただ時間貸しに移行するだけではなくて,取り組みそのものを拡大していく必要があるのではないかと思いますので,ぜひ,市の計画の中に充実を盛り込んでいただきたいと思います。  それから,都心縁辺部で乗りかえるというフリンジについては,やめると考えていいのか,もう一度確認させてください。  それから,路面電車は将来的な可能性としてループ化や延伸も検討課題だという話ですが,市としての計画の中では,ぜひこれを盛り込んでいただきたいと思います。これは要望しておきます。  それから,駐輪場についてですが,当面はスペースがないので路上の駐輪場を暫定的に整備しながら対応していきたいという答弁だったと思うのです。放置禁止区域を拡大するだけでは解決になりませんので,やはり,まずはニーズに合わせた駐輪スペースを確保するということに全力を挙げていただきたいと思います。10年計画でも20年計画でも,あるいは,その前の5年計画でもいいですから,具体的な数値を挙げて,実現に向けて単年度ごとに努力を積み重ねていただきたいと思っております。  最後に,概要版の2ページに,おおむね10年以内に取り組む施策,あるいは中長期に取り組む施策ということで,50項目を分類しながら図表にして提言されております。この中で,おおむね10年の前半―すなわち5年以内と解釈できると思うのですが,5年以内に取り組む課題として駅前通地下歩行空間の再整備ということが掲げられております。ご存じのように,新年度予算では予備設計費が計上されて,私ども共産党は反対しましたが,議会では可決されたという経緯があります。しかし,まだ予備設計の段階です。  そこで,5年以内に取り組む施策にこの項目が提言されているからといって,これを既成事実として,行政として5年以内に駅前通地下歩行空間をつくるのだという考え方はしてほしくないと考えますけれども,どう考えているのか,お伺いします。 ◎城戸 都心交通担当課長  フリンジ駐車場の今後の方向性についてですが,フリンジ駐車場というものは,都心の交通施策を考えていく上では非常に有効な政策展開,計画論だと現在も考えております。  しかしながら,現在の都心部の駐車場の状況,あるいは,駐車場利用者の実際の使用状況―つまり,現在の都心部における駐車場総数と,駐車場ニーズを比べると全体では供給している駐車場総数の方が多い状況になっております。しかし,現状を見ると,駐車場に入れずに違法駐車している車や,あるいは,駐車場に入ろうと思って並んでいる車が多く見られます。それは,残念ながら,全体数しては余っているのですけれども,駐車したいところにないという利用実態と配置状況のミスマッチがあるという状況なのです。ですから,現時点では都心部として決して駐車場が不足している状況ではありません。そうしたときに,フリンジ的な駐車場の再配置を進めるとなると,言わずもがなですが,なかなか難しい経済的な問題,社会的な問題が懸念されます。  したがって,非常に重要な施策ではありますけれども,今すぐこの政策を展開していくことは難しいと判断しております。 ◎下平尾 企画調整局長  駅前通地下歩行空間への取り組みについてですが,これについては,昨年来,議会でも多くの議論をいただき,さらには,1,000人ワークショップなど,さまざまな市民との意見交換も行っております。ことしの予算特別委員会でも申し上げましたし,その前にも1月に上田市長が記者会見という形で考え方を述べさせていただきましたけれども,この事業については,これまでのさまざまな議論,それから,昨今の経済状況,あるいは国の補助事業の見きわめ,そして都心部における空間形成の効果を勘案して,事業に着手するという意味で予備設計費を計上したということです。 ◆原口伸一 委員  策定委員会で話が出たかどうかわかりませんが,計画対象区域には一方通行の道路が随分あるのです。二つの道路機能を分けたにしても,その双方に一方通行の道路がたくさんあります。一方通行であれば自動車がスムーズに流れるかというと,決してそうなっておりません。 そこで,首都圏などでは,左折する車が目の前の信号が赤であっても,左手前の交差点の隅切りを大きく削って,左折できるようなレーンをつくっています。それによって,首都圏の幹線道路は一方通行であっても渋滞しづらくなっております。そのような話が策定委員会でされたのか,お伺いします。されていないとすれば,私は,これも一度,社会実験していただきたいと思います。  それから,北3条通や北8条通は中央分離帯がありません。そこで,時間帯によって車線数を変更する―道路中心線の移動というようなことが策定委員会で話し合われたのか,お伺いします。  私が台北で見たときには,午前と午後に分けて,あるいは,曜日によって道路中心線を動かすというようなことを行っておりました。ですから,北3条通や北8条通のような幅員の広い道路では,時間,曜日,または,日にちで道路中心線を移動して車線数をかげんする。そのことによって,朝の通勤ラッシュなり,通過交通が多い時間帯などでは必要に応じた車線数の調整ができるのではないかと思うのです。  ですから,もし策定委員会で話がされておらず,社会実験の対象にもなっていないのであれば,ぜひ行っていただきたいと要望しておきます。 ◎城戸 都心交通担当課長  結論から申しますと,最初の左側に自由に曲がっていけるレーンは―左折フリーと言いますが―これは,西11丁目通と北8条通の交差点,北大の農場と競馬場の交差点では既に導入しております。平成8年に北海道警察と協議して導入したのですけれども,非常に有効な交通の流し方であるということは道路管理者も交通管理者も理解しているところです。そのようなことから,今回の策定委員会では,左折フリーについての議論はありませんでした。  それから,後段の中央分離帯の移動についてですが―これはリバーシブル道路と言いますけれども―北広島市と札幌市の行政界で導入しており―本市でも導入して有効に活用をしている例があります。  今回は,策定委員会そのものではなく,専門部会においては,このように時間や曜日によって道路をリバーシブルで使う方法があるのではないかという話がありました。ただし,もう少し他都市の事例などを研究する必要があるだろうということで,最終提案書には盛り込まれませんでした。 ◆原口伸一 委員  道路機能もアクセス機能とトラフィック機能に分けたので,特にトラフィック機能について,都心部でもリバーシブル道路というものを,ぜひ1度は試みていただきたいと要望しておきます。 ◆小林郁子 委員  都心交通計画は,長期的なものだということですけれども,10年以内に,大体,交通問題を解消するための展開を図っていくと読み取れるわけです。そのような中で,基本方針として,トラフィックとアクセスという着眼点で機能分担しながら取り組んでいくということです。  そこで,都心内の主要道路について,私も,トラフィック機能とアクセス機能ということに注目しながら―これは策定委員会からの提言ということですが―市の考えも含めてお伺いします。  南1条通ですけれども,東は創成川から西は西3丁目まで,商業施設も多く,都心再生に向けて中心的なエリアということで,重点ゾーンに入っております。これは,西3丁目までになっておりますが,西4丁目には4丁目プラザや,その先には東急ハンズがあることから,現在,若者を中心に非常に人通りが多くなっております。その一方で,古い建物を利用した店舗があったり,そしてまた,歩道は必ずしもいい状態ではないと思うのです。この南1条の重点ゾーンを西4丁目まで拡大できないものかと思いますけれども,いかがか,お伺いします。  それから,南4条通について,これは幅の広い道路ですから,トラフィック機能重視ということになっておりますが,薄野地区ということで,歩いて楽しめることが大事な地域ではないかと思いますけれども,この地域についてはどのように考えているのか,お伺いします。  それから,南北の時計台通ですけれども,時計台の周辺は,観光シーズンになるとタクシーがずらりと並び,また,狭い歩道で観光客が一生懸命に写真を撮っていることがありますが,あそこをこの先10年もそのままにしておくのかどうか,その点についての考え方について,お伺いします。  それから,駅前通の大通以南についてです。大通以北については,資料にも載っていますが,歩道を拡張しながら自転車道も整備するアクセス機能重視道路とされております。しかし,大通から南に進むときに―自転車で来て大通でアクセス機能重視道路が切れたりすると―つまり連続性がなければ難しいのではないかと思います。これについては,現在の歩道を利用しながら何とかする,あるいは,車道の路側帯を利用するなどということなのか―どのように考えているのか,お伺いします。 ◎筑田 都心まちづくり推進室長  まず,南1条ゾーンについてですが,重点ゾーンについては,都心交通計画に盛り込まれたパッケージ施策を,今後,おおむね10年間で特に重点的に取り組む先駆的なエリアとして位置づけられたものであり,都心交通計画では,南1条ゾーンと道庁東ゾーンの二つの地域を設定しております。このうち,南1条ゾーンについては,平成4年度から,札幌市都心交通対策実行委員会が―これは,平成16年度から札幌都心交通研究会ということで名称と内容が変わりましたけれども―街づくりの方向性や交通課題についての熱心な議論を継続してきており,行政と市民との協働による施策展開の環境が既に整っていることから,このエリアをベースにトラフィック機能重視道路で囲まれた街区を設定したところです。したがって,南1条ゾーンの西側への拡大については,西側街区を構成する都心事業者の街づくりへの参加意識の醸成を図るとともに,現状のゾーン内における今後の施策展開の進捗状況等を踏まえながら進めていきたいと考えております。  次に,南4条通以南の薄野地区についてですが,まず都心交通計画におけるエリアの考え方から説明しますが,都心における交通面での課題が顕著で,その対応策が早急に求められ,その課題を解消し,端的に都心の魅力を表現できるという意味合いから,北8条通,東3丁目通,南4条通,西11丁目通に囲まれた範囲を今回の都心と位置づけ,検討してきたところです。今年度は,この計画範囲を,札幌駅北地区,創成川以東地区,あるいは,ご質問の薄野地区に―いわゆる長期総合計画における都心に少々近づけたエリアに拡大すべく検討,調査を行う必要があると考えており,今年度は基礎調査及び素案などの検討を進めたいと考えているところです。また,にぎわいづくりについては,薄野は日本有数の歓楽街であることなどから,その特殊性を考慮した街づくりが必要であると考えており,地元の方々とともに検討していきたいと考えております。  次に,西3丁目線―時計台前の道路についてですが,西3丁目線は,時計台という本市有数の観光スポットを有しており,四季を通じて多くの観光客が訪れていること,あるいは,沿線に飲食店や,大店舗などが立地していることから,提言においては,駅前通と同様,都心の快適な歩行環境の実現を目指すアクセス機能重視道路として機能分類しているところです。  この道路の整備時期についてですが,提言では,まず四つの骨格軸の整備を先行することとしており,これらの整備による交通動向を見きわめながら,そのほかの路線について道路空間再配分の検討を進めていく必要があるものと考えているところです。また,その内容についてですけれども,平成14年度のさっぽろ都心交通検討会では,都心内バスネットワークとしての機能を確保しながら,時計台という観光スポットの特性などを十分生かし,駅前通と並び南北の人の回遊性を支える路線として魅力ある空間づくりを進める提案がなされているところであり,これらの提案を踏まえて検討を進める必要があるものと考えております。  次に,駅前通の駐輪自転車対策についてですが,この区間は国道区間であり,駐輪自転車対策については,昨年度より北海道開発局が駐輪マナーの啓発活動として周知看板の設置などを行っているところです。本市としても,都心部の駐輪対策として,地元商店街の協力のもと,アダプト制度の活用により駐輪自転車の整理整頓などを進めていく必要があるものと認識しており,駅前通などを含めた周辺地域について,現在,関係機関,団体と調整しているところです。  自転車走行空間については,歩行空間の快適性,安全性の確保のためにも歩行者と自転車の分離が必要と考えておりますが,地下街の出入り口の施設状況,あるいは,駐停車の状況から見ると,早急な自転車通行レーンなどの設置は難しい状況にあります。歩道部においては,歩行者の安全を最優先に通行することを原則とする自転車走行ルールの徹底を行う必要があるものと考えております。 ◆小林郁子 委員  いずれにしても,商業者とのいろいろな協働ということが基本にあるのだと思います。西3丁目線にしても,駅前通の大通以南についても,相当の人通りがあるところですから,これから市が計画を立てるときには,重点的な,わかりやすく目に見えるような何らかの形のものが必要ではないかと考えております。  そこで,創成川通についてですが,本編の43ページに創成川通の地上部の図があります。これは,策定委員会で大まかな図を描いたのだと思いますが,市としてはこれからの地上部をどのように考えているのか,お伺いします。  それから,この創成川通について,東西方向の交通の円滑化を図るために道路機能を強化するということでしたが,具体的にどのようなことをイメージしているのか,お伺いします。 ◎筑田 都心まちづくり推進室長  創成川通の地上部の今後のあり方についてですが,創成川アンダーパス連続化事業では,歩道幅員を現在の4メートルから4.5メートルに拡幅するとしております。創成川通の現況交通量を円滑に処理するためには,地上部の車線数として,当面,片側2車線を確保する必要があります。この交通空間を確保しながら,歩行空間や緑地空間のあり方については,昨年実施した市民1,000人ワークショップなどでも議論を行ってきたところです。この市民議論をことしも行う一方,昨年から,緑を感じる都心の街並み形成計画策定委員会により,その検討を進めているところであり,これらの市民議論や委員会での検討結果を踏まえ,今年度中にはそのあり方についてまとめる予定となっております。  次に,道路機能の強化についてですが,創成川通は,今後の施策展開を前提にしつつも,当面は相当量の自動車交通需要への対応を担う必要があるとともに,路線の性格から,通過交通のみではなく,都心部へのアクセス交通にも対応することが求められております。このため,都心部全体の交通環境の改善や創成川以東との連携を図る観点からも,アンダーパス化される北3条通から南5条通間における東西道路の交差部の円滑化を図ることが重要であると提案されているところです。また,今回の提案には,都市計画に位置づけられている北大通の東伸も含まれているところです。 ◆小林郁子 委員  北大通の東伸については,確かに,この概要版でも既に線が引かれております。しかし,創成川通の市民懇談会などでは東伸しない方がいいという意見が出ていたと記憶していますし,市長も,これから慎重に見きわめて……と表明していたと思います。既に線が引かれておりますけれども,これについては,市としてこれからどのように判断していくのか,お伺いします。 ◎筑田 都心まちづくり推進室長  北大通の創成川以東,創成川に橋をかけるかどうかということについてですが,現在,都市計画決定で位置づけられているものがこの形態です。この事業化に当たっては,もうしばらく時間をかけながら引き続き検討したいと従前から市長は述べております。 ◆松浦忠 委員  都心についてのいろいろな実験も,大分,時間をかけて行ってきているのです。都心で今すぐ取り組まなければならない最大の問題は,荷さばき車両を現状の中でどのように処理するかということなのです。それを,現在の道路形態の中でさまざまな実験を行って,何が一番いい方法なのかという結論を出したのかどうか。私は,結論を出して,やはり現状の道路で取り組めるものは取り組んでいく―規制していくことが必要だと思いますけれども,どのような形で取り組んできたのか,お伺いします。  それから,行政がこのように金をかけていろいろなことを行うわけですけれども―本市の近郊で一番いい例は,私は小樽築港の再開発だと思うのです。あれだけ民間で金をかけて,行政も国側も補助金を出したりいろいろなことをして,大々的に立派な施設を整備したけれども,今ではもつかもたないかという状況です。  都心のにぎわいを取り戻すという話がありますが,このようなものを整備して,果たして人が都心に戻ってくるのでしょうか。それは何かと言えば,人間の生活形態なのです。本市も,高齢化が進んできて,年金生活者がふえてきている。一方では,生活に必要なものを購入するのは,大型スーパーが中心という実態です。そうしたときに,都心のにぎわいを取り戻すということで,金をかけてこのようなことにいろいろ取り組んで,札幌市民186万人の生活形態と,それから所得の増減―年金生活者はこれから年金も下がり,収入は減っていく。そうすると,使えるお金は減っていくわけです。  そのようなことも含めて考えると,都心ににぎわいを取り戻すということについて,これだけの施設整備を検討して,どのような形で具体的に可能になっていくのか―やはり,そのことが示されなければ,それぞれのところで,道路施設をつくる人,店は客が来るのを待っているだろうけれども,実際に店をつくってはみたものの,人はそんなに集まってこないということになるのではないかと思うのです。その点で,札幌市という街全体をどのように分析して,そして,都心はこう,郊外はこうだということを考えているのでしょうか。  例えば,厚別の副都心なども,残念ながら,市が策定した都市計画によっていろいろな施設を整備したけれども,結果として経営に四苦八苦して,端的に成功したかといえば,現段階では失敗だと私は思うのです。したがって,市が今まで取り組んできたこれらのことをどのように検証して,こうした都心の整備に取りかかっているのか,お伺いします。  それから,この提言の中に,例えばICカードの導入やバスロケーションシステムの導入ということなどいろいろ書かれています。便利になることはいいことなのですけれども,今までバスも地下鉄もそうですが,いろいろなものが導入されるたびにかなりの設備投資がかかっております。例えば,ICカードに対応するための装置を,それぞれのバスにつけるといったようなことになると,かなりの設備投資が必要になります。地下鉄駅の改札口も同様です。今度のバスロケーションシステムも,確かに,バスが接近してくる状況がわかれば,それはそれでいいけれども,そうした負担をだれがするのか―運賃で負担するのか,税金で負担するのか。このような計画を策定するときに,財政上の見通しに係る計画とあわせて策定してこなかったために,国も本市も同じように,今 日,行き詰まってしまっているのだと思うのです。  したがって,もう既に行き詰まっているのだから,その辺も少しは整合性がとれるような計画にしなければならないと私は思いますけれども,市は,策定委員会の委員にこの点についてどのように要望したのか,お伺いします。  確かおととしだったと思いますが,NPO主催で駅前通地下歩行空間の市民検討委員会が立ち上がり,その会合が京王プラザホテルで開催されました。そして,そのときに,構想を説明したのは,随分,肩書の立派な方でしたが,私も含めた参加者の何人かが市の財政との関係はどうなるのかと質問しました。そうすると,それは私には関係ない,それは財政の専門家が考えることだというのです。質問者は,帰り際に何だ,これでは全然無責任な話だと言っておりました。  札幌市は,市長一人が責任者として運営していますから―したがって,これらの計画に関連して,そのような財政とのかかわりについてこの策定委員会にどのように説明し,あるいは,どのようなことを話し合ったのか,お伺いします。  それから,実際にこの提言書の文案を取りまとめたのは策定委員会のメンバーなのか,それとも市職員が行ったのか,あわせてお伺いします。 ◎筑田 都心まちづくり推進室長  荷さばき車両をどうするかということについて今までどのようなことに取り組んで着たのかということについてですが,荷さばき車両については,経済活動を担うという意味では非常に重要な役割を果たしている一方,これを路上で行わざるを得ない現状にあります。そこで,どのようにルール化するか,どのような施策が有効なのかということで実験を行ってきた経緯があります。平成9年,10年,11年においては,タイムシェアリングということで,時間を設定し,この時間帯は荷さばきをしてもいい,ただし,その時間以外はなるべく荷さばきを自粛しましょうというようなルール化について実験してきました。また,平成12年には,共同の荷さばき場を路外に設け,それを活用する実験も行ってきたところです。  そして,昨年の実験については,路外の共同荷さばき駐車場,あるいはミニデポジット―中継基地―あるいは,荷受け側の取り組みといったさまざまな検討のもとに社会実験を行ってきた経緯があります。  次に,長期総合計画での都心の考え方―都心だけを整備すればいいということではなくて,やはり多核中心核ということでいろいろ整備しなければならない。ただ,都心はいろいろな観点で重点的に整備する必要があるという位置づけについては先ほど説明しました。今回についても,歩行者と環境に優しく,魅力ある,活力ある都心を醸し出すために,都心まちづくり計画とこれを支援する都心交通計画は非常に重要なものだということで提案を受けたところです。  次に,財源の話を策定委員会でしたかどうかということについてですが,都心交通計画では,今後おおむね10年間に実施すべき施策について段階的な実施施策とその展開プログラムをまとめていただいたところです。  なお,財源については,今後,行政計画を策定していく中で,関係部局等との調整も図りながら作業を進めていきたいと考えております。 ◎城戸 都心交通担当課長  提言書の文案はだれが書いたかということについてですが,都心交通計画の提案書の本編の後ろから3枚目―参考資料の3というページに計画策定経緯とあります。今回の策定委員会では部会を二つ設けており,その一つが起草部会というものです。この起草部会が今年2月から3月19日にかけて3回開かれ,その中での議論をこのような資料にまとめたものです。起草委員の意見を踏まえて,実際に文案をまとめたのは主に市職員です。 ◆松浦忠 委員  荷さばき車両への対策については,現時点で,何ができるかということはおよそわかったと思うのです。したがって,やはり商業者,運送業者などの関係者ときちんと協議して,お互いに我慢し合いながら,最も効率的にできる方策を決めて,それをすぐに実施すべきではないかと思うのです。  そのことについて,いつから取り組もうと考えているのか,お伺いします。  それから,186万人の札幌市民の購買力がどのようになっていくのかという推定の中でこのようなことにきちんと取り組んでいかなければ,施設整備に金はかけたけれども,人は集まらないということになってしまいます。厚別の副都心などはそれが顕著です。  したがって,そのようなことをもっときちんと調査して,その観点からどのように街づくりに金をかけて施設をどこにつくっていくかという分析をしなければならないのです。そのことを行わずに,ただ,今までのように,国の省庁縦割りの中で,本市も同じようにそれぞれの所管でいろいろやるということでは,結果的には何も整合性がとれていないというようなことがさらに進んでしまうと思うのです。  ここはきちんとしなければ―ただ,自分たちがやって,借金は後からだれかが始末するということでずっとやってきたから,このようなことになっているわけです。  例えば,桂市政時代でいえば,宮の沢の交通ターミナルがそうです。民間方式で整備すると言って,結果的に丸井今井がおかしくなってしまった。あのとき,私は本市で持てと言ったけれども,市は持たずに,結局,最後には三セクに持たせて,そして現在は,その借金を―経費を含めて―市が三セクに金を回しているという実態です。  そこで,このようなことを含めて,上田市長との間でそうしたことについてどのような議論を行ったのか,お伺いします。  それから,この提言書の文章について―私は何回か申し上げてきておりますが―市長がかわってから,なじみのない横文字がやたらと出てくるようになりました。例えば,48ページの表題には,「道路空間のワイズユース」と書いてあります。そして,「3−1 基本的な考え方」の4行目の終わりの方に,「利用方法の工夫(ワイズユース)」と書いてあるのです。これについては,道路空間の利用方法の工夫についてと日本語で書けばいいのではないでしょうか。私が議員になってから,だれが読んでもわかりやすく,日本語をもっと大事に使おうということを随分言ってきましたけれども,上田市長になってからのいろいろな文章を見ていると,私みたいな語学的な知識のない人間にとっては,全く意味のわからない言葉が片仮名で羅列されている文章が多過ぎるのです。声に出せば―言葉の旋律としては非常に聞こえがいい。しかし,意味がわからない,あいまいだということが多過ぎるので,これは改めてほしいと思います。やはり,もっと日本語を大事にして,そして,情報公開が進んでいるわけですから,だれが読んでもわかりやすい文章にしてほしいと思います。横文字を使うのではなくて,日本語を使うようにしてほしいと思います。これは要望しておきます。  先ほどの財政問題との関係などについては,市は,市内で言えば例えば副都心というようなこについてどのように検証した上で,このような計画を検討しているのか。あるいは,そのようなことについて上田市長と検討したかどうか,お伺いします。 ◎城戸 都心交通担当課長  荷さばき対策の今後の方向性についてですが,昨年度実施した社会実験は大きく三つあります。  まず一つ目は,荷受け側の商業者や事業者の取り組みがあります。この実験の結果,一般的に,都心部では―これは大体は全市的にそうだと思いますが―荷さばきのピークが午前と午後に2回あります。ピーク時には,荷さばき車両が都心に集まって,やむを得ず路上で荷さばきを行います。このため,場合によって2台並ぶという状況を見かけることもあると思います。ですから,ピ ークを平準化することで,台数全体は減らないにしても,交通の阻害レベルを低くする可能性があるのではないかということで,実験を行ってきました。  その結果,非常に好結果が得られたので,ことしは,大通南側の6商店街―都心交通対策実行委員会の地盤となっている地域商店街が一体となって,商業者側の荷さばきの取り組みを本格的に実行していこうということになっております。それがどのような結果になるかは,今後,また報告しなければならないと思いますが,我々は非常に期待しております。  それから,二つ目は,デポジットという中継地を設ける,あるいは,路外の荷さばき場を設ける―これは,都心部における青空駐車場や,少し活用の程度が低い未利用地的な土地の活用,あるいは,都心部のビルの空室の有効活用ということをセットにした対策です。 まず,デポジットに係る実験については,いっときに荷物をたくさん持っていって中継地に置き,それを台車で運んで歩くというようなものです。  今回の実験では,実験前は12台の車両を使って荷配送を行っていたものが,実験期間中は2台に減ったという結果が得られております。したがって,荷さばき車両の台数が減るという面では,これも非常に効果が高いと考えております。ただし,経済面の問題がありますので,今後,これを本格的に実行していけるかどうかということについては,ことしも関係の荷さばき事業者と議論を進めていく予定です。 また,青空駐車場の活用についても,同様に経済的な問題があり,これについては,今年度から大手の荷さばき事業者と具体的な勉強会を開いて,どのような方法があるのかということについて引き続き検討していく予定です。 ◎下平尾 企画調整局長  この間の都心のさまざまな施策について,財政計画も含めて,市長とどのように議論をしてきたのかということについてですが,市長は,当選以来,元気ビジョンを策定し,公約にもあるとおり,歩いて暮らせる都心の形成,来客2,000万人という目標を達成したいということで,観光都市,そして文化を誇れる都市としての環境整備が都心において必要である,そのための交通政策も必要であるというような考えを持っております。私どもも,最も争点となった駅前通地下歩行空間などの具体的な事例もありましたので,この間,市長とはさまざまな形で意見交換しております。また,都市再生の緊急整備地域ということで,本市の都心圏が,仙台市,広島市等と並んで指定されており,今後とも,集中的に,都心部に特化した投資,規制緩和,民間に対する税制面でのさまざまな優遇措置が図られていくことも考えられます。私どもとしては,これらの動向を慎重に見きわめながら,やはり,道都としての本市の都心部を,人と環境に優しい,そして,文化と誇りあふれる―まさに市長が公約しているものを実践する場として整備していきたいと考えております。 ◆松浦忠 委員  この提言書の中に,わずかに1行だけであらわされているのですが,TMOという団体があります。この団体は,平成10年7月に制定した,中心市街地における市街地の整備改善及び商業などの活性化の一体的推進に関する法律,略称,中心市街地整備改善活性化法に基づいて,政令で定められているわけです。  これはこれでよしとするのですが,ただ,この団体に本市から課長職を1名派遣しているということが事前の説明を受けて判明しました。私も,毎年,本市からの派遣職員などの状況調査を行っていましたが,ことしの予算を審査した第一回定例市議会のときには,そのことについて文書質問を行わなかったものですから,詳しく把握しておりませんでした。  私は,国が法律に基づいてこのような団体を指定していくということは,それはそれでよしとしても,本市から課長職を派遣して対応しなければならないということでは,意味がないと思うのです。本市がこのような団体に対していろいろ手助けすることについては,共同で作業を行う団体なのですから,大いに必要です。しかし,課長職を派遣までしなければならないかといえば,私はそのようなものではないのではないかと考えるのです。  したがって,決算の審査を行う第三回定例市議会までに,この団体に対する本市の対応のあり方をきちんと検討しておいていただきたいということを求めておきます。 ○長内直也 委員長  ほかにございませんか。  (「なし」と呼ぶ者あり) ○長内直也 委員長  なければ,質疑を終了いたします。
     以上で,本日の委員会を閉会いたします。     ──────────────       閉 会 午後1時27分...