また,制度全体の評価とは別に,
介護保険とは,施設介護から在宅介護への転換を大きな目標として導入された制度であるわけですから,制度スタート以降の
本市における在宅介護の現状などについてお
伺いをいたします。
質問の1点目は,在宅介護の進展
状況についてであります。
本市は,他の政令都市と比べて,施設整備が非常に進んでいる都市であると認識しております。これは,積雪寒冷地である
本市において,
高齢者が,冬期間,
介護サービスを受けながら在宅で
生活することは大変厳しいものがあり,家族の不安も大きいことなどから,
高齢者保健福祉計画などにより,施設整備を積極的に進めてきた結果だと思うのであります。
そうした
状況や,本州に比べ歴史の新しい
本市においては,
高齢者が施設へ入所することに対しての抵抗感が余りないという
市民特性もあり,施設介護を希望する比率が全国的に見ても極めて高い率を示していたのではないかと思うのであります。
そこで,
質問でありますが,
介護保険制度が導入されたとはいえ,
市民の施設志向は依然として根強いものがあると思われますが,
制度導入後の在宅介護の進展
状況は,従前に比較してどのような
状況になっているのか,お
伺いをいたします。
質問の2点目は,施設介護から在宅介護への
市民意識の転換についてであります。
介護保険制度導入後,全国的な傾向としても,本来的な趣旨に反して施設入所志向の上昇が指摘されておりますが,私は,
制度導入の大きなねらいである,施設介護から在宅介護への転換を図っていくためには,今後は,
介護保険制度だけではなく,
介護保険周辺の
高齢者に対する介護予防や
生活支援
事業など総合的な在宅
サービスを充実させ,
市民の意識を施設介護から在宅介護へと転換させていくような環境づくりが必要ではないかと考えておりますが,
市長の見解をお
伺いいたします。
次に,教育問題について,2点お
伺いをいたします。
質問の1点目は,指導力不足教員についてであります。
最近,マスコミでは,教員の不祥事についての報道が後を絶たない
状況にあり,憂いを感じているのは私だけではないと思います。
こうした事件として報道される不祥事もさることながら,このところ,教師の日常の指導に対する保護者からの不満や苦情を耳にすることが多くなってきております。
もちろん,子供たちと向き合い,一緒に汗を流して活動する立派な教師もたくさんいることは承知しておりますし,小・中学校で先生からかけてもらった
言葉によって苦境から立ち直るきっかけをつかんだというような話も聞きます。
しかしながら,配慮を欠いた一言によって,子供の心が大きく傷つけられたなど,教師としての資質や指導力の問題に起因すると思わざるを得ない事例も間々聞くのであります。ほかにも,例えば,子供にとってわかりやすい授業ができない,子供を褒めることができない,いじめや問題行動に対して適切な指導ができない教師,あるいは,力に頼った指導を行う教師といった話を耳にするのであります。
教師というのは,子供の可能性を引き出し,人格の形成や成長の手助けをする大切な仕事であり,どの職業にも増して,資質や情熱,
社会から与えられている使命にこたえる責任感が強く求められております。だからこそ,かつては聖職という言われ方もしたのであります。
しかるに,もし教師としての資質や人間性が疑われかねない者,指導力の不足が否めない者によって,子供たちの可能性が閉ざされたり,豊かな人間性のはぐくみが阻害されるようなことがあるとしたら,それは,教育の持つ
役割を損なうことになり,何よりも子供にとっての不幸であります。こうした意味から,いわゆる指導力不足の教員に対して,その指導力の向上をどのように図るのかということは,極めて重要な問題であると考えるのであります。
国会では,教員の他職種への配置転換を可能にする
法改正について審議中であります。また,東京都では,既に,指導力不足教員に対する要綱を制定しているということでありますし,文部科学省においても,指導力不足教員への対応に関しての調査研究に着手しているとお聞きをしております。
そこで,
質問でありますが,指導力不足教員への対応について,教育
委員会はどのように考えておられるのか,お
伺いをいたします。
質問の2点目は,国旗・国歌の指導についてであります。
札幌市立小・中学校のこの春の卒業式,入学式における国旗・国歌の実施率は,小学校が100%,中学校が99%に達し,前年に比べて大幅な改善が図られたところであります。
私は,国際都市さっぽろの未来を担う子供たちに,我が国及び諸外国の国旗・国歌を大切にし,それぞれの国の歴史や伝統,文化を尊重する態度を育てることは極めて大切であると考えており,かねてから,学校で国旗・国歌の指導をもっと自信を持って行ってほしいと訴えてまいりました。
そうした立場から,入学式,卒業式における国旗・国歌の実施率がほぼ100%に達したことは,
札幌の教育が正常化に向けて大きくその第一歩を踏み出したものとして高く評価するとともに,教育
委員会の毅然とした姿勢には敬意を表するものであります。
しかしながら,実施率は100%近くに達しましたが,各学校における具体的な
実施状況を見ると,国旗・国歌の指導については,残されている課題も多いと感じるのであります。
国旗・国歌の指導のねらいが十分に達成できているかどうかは,実施率もさることながら,指導内容の充実という観点からとらえることこそが必要であります。今後,各学校においては,卒業式や入学式ばかりではなく,教科の指導を初め,さまざまな場面で,子供たちに国旗・国歌についての正しい認識と,それらを尊重する態度を育成していくことに,より一層,積極的に取り組んでほしいと思うのであります。そうした日常の
取り組みを通して,卒業式,入学式での国旗・国歌の
実施状況も,より望ましい形へと質的向上を図るべきと考えるのであります。
21世紀を担っていく子供たちには,国際化の進展に伴い,地球規模での活躍が期待されているのであります。私たちは,国際
社会を生き抜いていく子供たちに,日本人としての自覚を養い,国際
社会において尊敬され信頼される日本人としての資質を育てなければなりません。国旗・国歌の指導の充実は,そうした資質の育成に欠かせないものであります。
そこで,
質問でありますが,国旗・国歌の指導の意義と今後の課題についてどのように認識しておられるのか,教育長にお
伺いをいたします。
最後に,
本市におけるヒグマ対策についてお
伺いをいたします。
ゴールデンウイーク明けの5月7日に,南区定山渓の山林へ山菜とりに出かけ,行方不明になっていた豊平区在住の男性が,ヒグマに襲われ,土の中に埋められ,死亡しているところを発見されるという大変ショッキングな事故が発生をいたしました。
札幌市内でのヒグマによる死亡事故は,昭和39年9月,やはり定山渓山中で登山者が襲われ,死亡して以来,実に37年ぶりという不幸な事故でありました。
また,道内におきましても,釧路管内の白糠町で山菜とりの女性が,日高管内の門別町ではヒグマ調査で入山中の男性ハンターが,ヒグマに襲われ死亡するという痛ましい事故が連続して発生しております。
ヒグマについては,例年,冬眠から覚める春先を中心として目撃情報が伝えられており,通常であれば年間を通じて三,四件程度であるとのことでありますが,ことしの場合は既に6件もの目撃情報が相次いでいるように,最近は,
本市におきましても,定山渓自然の村や,白川・豊滝など
市民の森,南区の果樹園等における出没,あるいは国道を横断するなど,数多くの目撃情報が寄せられ,それらは年々ふえる傾向にあります。
その原因を,さまざまな情報をもとに私なりに考えてみますと,第1には,春グマ駆除が廃止になって10年以上が経過しており,その間に,ヒグマの頭数がふえるとともに,人間に対する警戒心が薄れてきていること。第2に,これまでのヒグマの目撃情報については,山間部やそれに連担する郊外の畑作地や果樹園等に集中しておりましたが,近年は,健康や趣味を兼ねて行われていた山菜とりなどが,より大がかりなものになるなど,人間が奥山に分け入る機会がふえたこと,また,中・
高齢者を中心とした登山や自然散策等のブームの高まりに加えて,渓流釣りを初めとするアウトドア志向の増加などを
社会的背景に,それらに伴う不用意な生ごみの置き去りなどにより,人為的にヒグマを自然的環境の領域から次第に市街地周辺に誘い込んでいるという,都市型の
社会問題としての様相を帯びてきたのではないかと思うのであります。
このようなさまざまな要因により,人間の行動範囲とヒグマの
生活圏が重なったところでは,常に人的被害の発生が懸念されておりました。
北海道は,ヒグマと人間の共存をテーマに,渡島半島
地域ヒグマ保護管理計画をスタートいたしましたが,その内容は,人身事故や農作物被害の防止を前面に打ち出すとともに,ヒグマの
地域個体群の維持を図るものであり,明治
時代以来の駆除主体から,被害予防,共生へと大きく方向転換するものと報道されております。
本市におけるこれまでのヒグマ対策については,警察,区役所,報道機関等との協力のもとに,冬眠から覚める春先や農作物の収穫シーズンである秋など,ヒグマ出没時期に合わせて,その都度,入山禁止措置や目撃・出没情報などの周知徹底,あるいは,ヒグマの生態にかかわる一般的な知識などの啓蒙,普及をもって事故防止を図ってきたところであります。
しかしながら,このような
取り組みを行っているにもかかわらず,今回のような不幸な事態を招いてしまったことは,返す返すも無念と言うほかはありません。
そこで,
質問でありますが,
市長は,今回発生した事故についてどのように受けとめておられるのか,また,
札幌周辺のヒグマの生息実態をどの程度把握しておられるのか,お
伺いをいたします。
さらに,今回のような痛ましい事故を防ぐために,北海道に対して春グマ駆除の解禁を要望する必要があると考えますがいかがか,お
伺いをいたします。
以上で,私の
質問のすべてを終わります。ご清聴ありがとうございました。(拍手)
○
議長(
佐藤美智夫君) 答弁を求めます。
桂
市長。
◎
市長(桂信雄君) まず,私からお答えいたします。
最初に,
市民・
企業・
行政の
パートナーシップによる
街づくりについてであります。
1点目の
パートナーシップ型街づくりの
考え方と,これまでの
取り組みについてであります。
パートナーシップ型街づくりは,
市民・
企業・
行政が相互の
信頼関係に立って,
街づくりへの共通の目標を持ち,連携・協働しながら個々の
役割と責任を果たしていくことで,活力のある
街づくりを目指していこうとするものであります。
こうした
考え方による
事業といたしましては,例えば,都心の交通問題解決のために,
商店街,
町内会,そして
行政が一体となって取り組んでおります交通実験プロジェクトや,環境保全のため,
市民・
事業者・
行政が知恵を出し合って行動計画を策定し,さまざまな
事業を進めているほか,市街地の整備や公園づくり,あるいは防災,そしてごみ問題等,さらに
地域の子育て支援などの分野でも,
市民・
企業・
行政の連携・協働による
取り組みが進められているところであります。
2点目の今後の
取り組みでありますけれども,これからの
時代は,
行政が用意をした枠組みの中で
市民参加を求めるだけではなくて,
行政が
市民の主体的な活動といかに連携・協働しながら
街づくりを進めていくかが重要になると思っております。
したがいまして,まずは,
パートナーシップの前提となる情報の共有化を一層進めながら,
市民の皆さんとともに,
本市のさまざまな
事業を通して
市民参加などのルールや仕組みづくりに向けて検討をしていきたいと考えております。
いずれにいたしましても,
パートナーシップによる
街づくりを推進していくためには,今後,
地域の
街づくりから全市的な施策に至るまで,さまざまな場面においてこのような
取り組みを行っていく必要があるものと考えているところであります。
次は,
雪対策のための税についてでございます。
第1点目の
財源に関する
研究会の
報告書にある基準のうち,特定の
企業や産業を対象としないことにつきましては,特定の産業の育成や発展を阻害するような課税は好ましくないとする税制の
中立性及び
公平性の観点から考慮されたものであると受けとめております。
第2点目の
生活道路の
除排雪にかかわる
考え方についてでございますが,
研究会の
報告書においては,
雪対策のための税の使途は,特定の
地域の
除排雪費用に充てるのではなく,幅広く
雪対策事業に充てることが望ましいものとする趣旨であると理解しております。
3点目の
雪対策のための税を創設した場合の税収の使途につきましては,雪国における
市民の
生活環境の向上が図られるような関連
事業に充てられることが適当であると考えておりますが,今後,
市民のご要望や議会での論議などを十分踏まえて検討してまいりたいと考えております。
第4点目の
新税の創設時期と第5点目の
雪対策のための税の今後の
取り組みについてでございますが,あわせてお答えをいたします。
雪対策のための税を含め,
市民に新たな
負担を求める場合には,市税の確保や
行財政改革に積極的に取り組むとともに,国へ
税源移譲を強く求めながら,その上で新しい
財源を見出す方法もあることを
市民の皆様にご理解をいただき,その中で,新しい税の創設について,各方面からのご意見などを参考にして判断していく必要があると考えております。今後,関係部局間で十分協議した上で検討を進めてまいりたいと考えております。
次は,
介護保険制度についてでございます。
1点目の在宅介護の進展
状況についてでございますが,
本市が昨年実施をいたしましたアンケート調査の結果によりますと,
介護保険制度がスタートしてから新たに
サービスの利用を開始した人が
利用者の4分の1を占めております。さらに,在宅
サービスの3本柱の一つであります訪問介護の利用実績をとってみましても,ことし2月の
サービスの利用人数及び利用時間ともに,
介護保険制度導入前の昨年3月に比べておおむね5割増しと,大幅に増加をしております。
こうした
状況から判断いたしまして,
介護保険導入後の
本市の在宅介護は着実に進展しているものと考えております。
2点目の施設介護から在宅介護への
市民意識の転換ということでありますが,
介護保険制度の適切な運営にあわせて,今後は,在宅の
高齢者が
地域において,できる限り自立した
生活を営むことができるように,保健・医療・福祉の各関係機関に加えて,
ボランティアや
地域住民との連携を図りながら,介護予防や
生活支援
事業,健康づくりの推進など,
高齢者が住みなれた自宅で
生活を続けていけるような,総合的な施策の展開を図ってまいりたいと考えております。
最後に,
本市におけるヒグマ対策についてお答えいたします。
今回の事故につきましては,大変痛ましく不幸な出来事であったと受けとめております。
また,
札幌周辺のヒグマの生息実態につきましては,これまでも,北海道野生生物保護管理指針を策定しております道に対しまして,
本市を含む石狩西部
地域にかかわる保護管理計画の早期策定について要請をしてきたところであります。
今後も引き続き,道に対して要請を行い,その実態把握に努め,事故防止に役立ててまいりたいと考えております。
2点目の北海道に対する春グマ駆除の解禁要望につきましては,基本的には,これまでと同様に,ヒグマを含む野生生物とは共存を目指す考えでおりますが,今回の事故を踏まえ,駆除解禁の必要性について協議を重ねてまいりたいと考えております。
私からは,以上であります。
○
議長(
佐藤美智夫君) 土橋教育長。
◎教育長(土橋信男君) 教育問題については,私からお答えいたします。
1点目の指導力不足教員への対応についてであります。
指導力不足教員につきましては,その定義や評価・判定に当たって慎重に検討しなければならない内容が多く含まれております。
教育
委員会といたしましては,これまでも,個々の事例に応じて問題の改善・解決に向けて対応しているところでありますが,今後は国の動向を見きわめながら調査研究してまいりたいと,そういうふうに考えております。
2点目の国旗・国歌の指導についてであります。
公教育においては,子供たちが日本国民としての自覚と誇りを持ち,国際
社会に生き,活躍する上で,国旗及び国歌に対して正しい認識を持ち,それらを尊重する態度を育てることは,基本的な内容であると認識しております。
したがいまして,今後とも,各学校と教育
委員会が一体となって全教職員の共通理解を図るとともに,保護者の皆様や
地域の方々の理解をも得ながら,指導の一層の充実を目指して努力をしてまいる所存でございます。
以上でございます。
○
議長(
佐藤美智夫君) 以上で,
代表質問はすべて終了いたしました。
(村山優治君「
議長」と呼び,発言の許可を求む)
○
議長(
佐藤美智夫君) 村山優治君。
◆村山優治君
委員会付託の動議を提出いたします。
ただいま議題とされております
議案14件を各位のお手元に配付の
議案付託表(第2号)のとおり,関係の常任
委員会にそれぞれ付託することを求める動議であります。(「賛成」と呼ぶ者あり)
○
議長(
佐藤美智夫君) ただいまの村山議会運営委員長の動議に対し,所定の賛成者がありますので,本動議を直ちに問題とし,採決を行います。
動議のとおり決することにご異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○
議長(
佐藤美智夫君) ご異議なしと認めます。よって,ただいま議題とされております
議案第2号,
議案第3号,
議案第7号から第15号まで及び
議案第17号から第19号までの14件は,各位のお手元に配付の
議案付託表(第2号)のとおり,関係の常任
委員会にそれぞれ付託されました。
〔付託表は巻末資料に掲載〕
――――――――─―――――――――
○
議長(
佐藤美智夫君) お諮りします。
本日の会議はこれをもって終了し,あす6月8日から11日までは
委員会審査等のため休会とし,6月12日午後1時に再開いたしたいと存じますが,ご異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○
議長(
佐藤美智夫君) ご異議なしと認めます。よって,さよう決定されました。
――――――――─―――――――――
○
議長(
佐藤美智夫君) 本日は,これで散会いたします。
――――――――─―――――――――
散 会 午後1時48分
上記会議の記録に相違ないことを証するためここに署名する。
議長 佐 藤 美 智 夫