委 員 武 藤 光 惠 君 委 員 熊 谷 憲 一 君
委 員 岩 村 よね子 君 委 員 岡 千 陽 君
委 員 恩 村 一 郎 君 委 員 山 口 た か 君
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開 議 午後1時
○柿崎勲 委員長 ただいまから,第二部
決算特別委員会を開会いたします。
報告事項でありますが,特にございません。
それでは,議事に入ります。
最初に,議案第2号 平成11年度札幌市
病院事業会計決算認定の件の質疑を行います。
◆伊与部敏雄 委員 病院に関係する問題について,数点お尋ねいたします。
毎回,病院問題についてやっていますけれども,さまざまなことが出てくるものだなという,自分なりに数十時間勉強しながら思っているのですが,きょうは,病院の
清掃管理業務について,まず冒頭質問したい。
これは,さきに新聞でも報道されておりましたけれども,言うならば3,200万円以上,今回は改正されまして3,400万円以上はWTOの関係になりましたが,
札幌市立病院の清掃業務についても,3,200万円以上のWTOに関連する清掃業務が入札されました。
これは,私の調査によりますと,
札幌市立病院は地下2階,地上10階でありますけれども,これ4工区に分けてWTOに従って入札をやったのですが,1工区は18社入った,2工区は21社入った,3工区は16社入った,4工区は21社入ったわけですね,これは。ところが,第2工区の会社が途中で逃げちゃった。
ツゥアンドツゥ株式会社,これは大阪の業者。21社が入って,そして大変なことになって,病院の
事務局長を初め,課長,係長さんたちが一日一生懸命清掃を行ったと,こういう実態を聞いております。
事務局長を初め,課長,係長,大したね,これは私は褒めてつかわす,本当に。毎日やってもらったら,
委託業務費が何千万円も浮くのですけれども,そうはいかないと思いますが,いずれにしても逃げちゃった。
しかし,保証人がついているから,保証人に代行させて,今やっているらしいのです。私は,これ保証人もずっこけたらどうするのだと。保証人も大阪の業者なのですね,これは。しかも,保証業者は,四つの工区に一つも入っていない業者なのですね。どうして保証人になる業者が,WTOの関係の中で──WTOは4工区のうち,第2工区だけだったのですか,これは。それをまず聞きたいし,同時に,WTOの関係で
一般競争入札にはだれでも参加できるわけです。著しく低い請負金額で入札して落札した。落札してから
職業安定所へ走っていって,そして労務者を募集するわけだ,はっきり言って。落札してから募集するわけだ。低賃金で,1日に何ぼで,1カ月何ぼで,仕事をしたい人は集まってくれと。
私は,景気の悪いときは集まってくるけれども,景気のいいときは集まってこないのではないかという感じがする。これから景気がよくなって,ここ以上にいいところがあったらやめていくのではないかと。補充できないのじゃないかと,私は危惧している。そういう点では,私は,非常にこれは大問題が背景にあると。
特に,病院というのは,衛生管理上,非常に清掃管理というのを重要視しなきゃならない。市役所の本庁だとか水道局だとか下水道局の庁舎を清掃するというような,そんな単純なものではない。衛生管理が一番重要視されていなきゃならない病院の清掃管理,これは安ければいいというものではないと。
最低制限価格はないのでしょう,これは。
最低制限価格がなかったら幾ら低くてもいいわけですから,はっきり言って。そのしわ寄せが労務者に行く。こういう状態は,私は,これから大変な事態を招くおそれがあると。
私は,少なくともやっぱり
最低制限価格をつくるべきじゃないかというふうに個人的に思っている。そうでなかったら,働いている従業員が不安定で,いい条件のところがあったらみんなやめて,行っちゃう,集まってこない。こうなったら,また
清水事務局長を初め,まじめな課長,係長さんたちが掃除をしなきゃならない,これは。そういう実態が事実あるわけですから。それから,保証人がずっこけた場合どうなるのですか。
これら,一連の病院の
清掃管理業務について,今後,どういうふうな基本的なスタンスでもって──今回のような事態が生まれないような,そういう清掃管理の業務について,これは真剣に考えなければならないのじゃないかと思うのですが,これいかがか。基本的な問題も含めて,今後の問題も含めて,
最低制限価格の問題も含めて,慎重に内部で議論したと思うけれども,これはひとつ明らかにしていただきたいというふうに,まず冒頭質問をいたします。
それから,二つ目は,
中村財政課長も一番後ろに座っているけれども,局別施策の概要の27ページに,これは札幌市の
一般会計から
病院事業会計に対して,毎年51億2,134万7,308円,約51億円と言っておきましょう,これ繰出金で出している。そのほかに
病院事業会計出資金として3,200万円出している。そのほかに
病院事業会計貸付金で35億5,700万円を出している。51億2,000万円と出資金の3,200万円については,
病院会計の決算書には載っているわけです。ところが,35億5,700万円の貸付金については,
病院会計の決算書を見て万円を病院に貸し付けている。
病院会計の決算書では,どこにも載っていない。
一般会計から貸し付けしたのだから,
病院会計では借入金になりますわね。そうでないと,きのうもテレビに出ていたけれども,国の
バランスシートと同じように,
バランスシートが合わない。
貸借対照表にならない,これはっきり言って。こっちは負債,こっちは資産。資産の中に何も入っていない,これはっきり言って。貸しているけれども,借りているこ万円については,不良債務の解消分,それから新病院の
移転新築費の分,静療院の整備費分,こういうふうに明確になっているのだけれども,この病院の事業会計の決算書には載っていないのです,これは。監査委員もどういうふうに監査したかわからないけれども,長年,こうやっている。原局に聞いたら364日借りて1日で返して,1日でまた貸してもらうと。
3月31日に返して4月1日にまた借りる,だからこれは載せなくてもいいのだと。3月31日に返して,そして4月1日にまた借りると。こういうような仕組みで,本当にこういう会計処理でいいのかどうかと。
一般会計から貸付金35億5,700万円も貸して
病院会計で載っていない。私は,こういう会計操作でいいのかどうかということについて,ひとつお聞きをしたいのです。
さっき言ったように,繰出金の51億2,100万円の中には,35億5,700万円については入っていないのですよ。このようなやり方でいいのか。病院として,
長期借入金として
貸借対照表の中で,固定負債と
借り上げ資本金として処理しているらしいのですが,今後もこのような方法を続けていくのかと。今後,どういうような解消策を考えられているのか,これらについてひとつ明らかにしていただきたいと思います。
私,大きく五つあるのですが,これ五つやっていったら,ちょっとわからなくなっちゃうから,とりあえず二つ,これまずやってから,3点目,4点目,5点目を質問したいと思います。
委員長,そういうことで取り計らいをお願いいたします。
◎清水
事務局長 ただいまの2点の質問でございますけれども,一つは清掃業務,これの履行ができなかった会社が確かにございました。委員ご指摘のとおり,最低価格に制限を設けたり,あるいは過去の営業実績の評価をしんしゃくした契約が可能であれば,このたびのようなトラブルは避けられたと考えるのでありますが,残念ながら,国際的に障壁をなくして,一定の資格要件に合えば,だれでも競争に参加できると,こうした今の制度では,このような予防策は不可能でございました。
したがいまして,現行制度のもとに契約が成立した場合,その履行状況の確認は特に必要でありますので,契約締結後に,日々の業務日誌の提出,あるいは履行状況の確認をし,それをもとに厳しく指導を行っているところであります。
現在,予定価格の70%未満に相当いたします低額な入札につきましては,本市の全庁的な取り扱いと同様でございますが,契約前に記載金額や業務内容に対する錯誤がないか,そういったことを確認し,なおかつ,業務の適正な履行が可能であるということの申し出書を提出させた上で契約を締結しているところであります。
さらに,契約締結後におきましても,業務日誌の提出や
業務調査委員会,これは
事務局長を委員長とした内部の委員会でございますが,毎月2回開催しておりまして,業務のチェックを行い,適正な履行の確保に努めているところでございます。
この項の1点目で,4工区のうち,
政府間調達に関する協定の問題にかかわるのは,この工区だけかということでありましたけれども,4工区すべてこのWTOの協定に該当すると,こういうことでございますし,また,保証会社を立てておりますのも,4工区すべてについて同様の扱いをしてございました。
次に,借入金でございますけれども,借入金が
病院会計の支出・収入予算の中に記載されていないということでございますが,委員ご指摘のとおり,この35億何がしかの
長期借入金は,一部,静療院の整備もございますけれども,本
院移転新築事業に係る平成3年度から7年度まで,そのたびにお借りしておりましたものを合算した額でありまして,内容は
不良債権解消分が15億4,800万,これを固定負債としてございます。また,
建設改良費財源不足分,これが20億9,100万円,これは
借り入れ資本金として計上してございます。
これは,委員ご指摘のとおり,1日の貸し借りの関係でございまして,従来どおり7年度末の
借入金総額を8年度以降,毎年度借りかえていると,そういうような実態にありますことから,財務内容だけは明らかにするというような観点から,年度末残高を
貸借対照表に明示するということにとどめているところでございまして,当面は,こういった措置を続けさせていただきたいと,こう考えてございます。
以上です。
◆伊与部敏雄 委員 今,
事務局長からそういう答弁がございましたけれども,清掃業務については,やっぱり私は,
最低制限価格をきちっとしなければ大変なことになるのではないかと。
今,
事務局長が4工区に対して答弁しました。全部WTOに対応というか合致していると。私,資料をもらいましたら,1工区は2,646万円で落札している。2工区,肝心のこの逃げたところは3,621万2,400円で落札している。3工区は1,974万円で落札していると。4工区は2,835万円で落札している。こういうことを見ますと,WTOの3,200万円以上に該当しているのは2工区だけで,あとは全部それ以下です。4工区のうち,逃げたところだけ逆に高く落札している。高く落札したところが逃げちゃって,低く落札したところが逃げてない。こういう現状が具体的にあるわけですよ。これはいかがなものかと。
この数字を見ただけで,WTOの上でもって落札したところが逃げちゃって,WTOよりずっと下でもって落札したところがですね──業務内容によるかもしれない。しかし,
先ほど答弁では,4工区すべて3,200万円以上のWTOに影響するから
一般競争入札をしたと,こういうことなので,私は,少なくとも,原則的には
最低制限価格を,特に,何回も繰り返すようですけれども,人の命を預かり,人の命を重視しなければならない重要な病院の衛生管理ですから,これはもっと別な方法で,多角的,重層的な観点から検討すべきじゃないかと,これは。
今の
事務局長の答弁ではさらっと流しまして,そういう抽象的な答弁ですが,私はもっと具体的に,病院としての立場に立って,もう少し真剣に,あなたが委員長になって,
業務調査委員会を毎月2回開いているというけれども,もっと真剣にですね,病院という立場で,普通,一般的な会社だとか,先ほど言いましたように,市役所の中だとか交通局だとか下水だとか水道だとか,そういう一般的な施設でなくて,病院という,そういう特別なというか,そういうところに対する清掃業務のあり方について,真剣にやっぱり考えるべきじゃないかというふうに思うのですが,これについては,いま一度答弁してもらいたいと,私は思いますよ,率直に言って。
それから,繰出金として51億数千万円が毎年出ているわけですね,今度の予算と決算を対比しますと,非常に病院は頑張って,決算の方が非常によくなった,予算よりも6億円か7億円好転をした。そういうふうに,決算を勉強したらそういうふうに出てきた。それは収支のバランス,いわゆる予算と決算を対比した結果,決算は6億数千万円ですか,出てきたと,好転したと,こういうふうに言われているのですが,予算と決算の乖離,好転した部分,どこが好転したのか,我々は聞いていないですから,数字でぱっぱっと出てきたって,何が好転したのか,どこが好転したのか,それはさっぱりわかりませんから,具体的にひとつ明らかにしていただきたいと思います。
同時に,51億5,300万円の
一般会計からの繰入金のうち,一番大きなのは静療院の総額14億600万円なのですよ。51億数千万円のうち,一番多く,14億600万円も静療院に繰り入れられている。一番大きいのですよ。この原因は一体何なのか,これひとつ具体的に明らかにしていただきたいと思います。
次に質問したいのは,私は前回の予算議会でも,それからその前の決算議会でも明らかにしましたけれども,
札幌市立病院には30科ある。外科だとか内科だとか,その他さまざま30科あると言われている。30の科ごとの原価計算の実施について,これ何回も言っている。
私は,
公的医療機関だから,もうけれとは言わない。一般のそういう開業院みたく,薬づけ,検査づけでもって,もうけれとは言わない。収支のバランスがきちっと整えばいい。しかし,企業会計ですから。
一般会計から年間八十数億円もやっているわけですから,これは。
公的医療機関としての役割はそこにあるわけですから。だから,30科の原価計算,これはできないものかと。
それは,おまえのところの科は損しているからやめれなんていうことは,総合病院として,
公的医療機関としてはできないかもしれない。しかし,参考までに,30科ある中で,何々科は,お医者さんも看護婦さんもみんな一生懸命やって,これだけよくしていると,そういう実態を掌握しなかったら,どこにどういう改善策を示すという,そういう指導というか,そういうものができないじゃないですか,はっきり言って。
ですから,私は,30の科ごとに原価計算を行うべきだと思うのです。何回も言うけれども,行うべきだと思う。今やIT,情報機構ができて,やればできると思う,これは。やればできて,そして30科ごとに,こういうような収支決算になっていますというようなことを出せば,病院の関係者だけでなしに,みんなが,ああ,ここの科はこうなのだな,ここの科はこうなのだなと,そういう30科ごとにわかるような状態をつくれないものかどうかと。この辺について,ひとつ明らかにしてください。
◎清水
事務局長 清掃に関してもう一度答弁せよと,こういうことでございますが,先ほど申し上げましたとおり,現行制度の中ではなかなか難しい問題もございますので,要は,私ども職員が清掃をしなくてもいいように,あるいは入院患者の,あるいは外来患者さんの衛生が保たれるということが第一義でありますので,そうした観点から,従来の内部指導,あるいは内部での点検をさらに緻密に行ってまいりたいと思います。
次は,病院事業の収支が好転したと,こういうことで,一体どういう項目で好転したのかというご質問でありますけれども,
一般会計と
病院会計との間で,一定程度,収支が拮抗しているものについては繰り入れがございませんが,収支差が出るもの,それについては収支差を補てんしていただくし,病院事業が好転してきますと,その分,
一般会計からの繰り入れが減少になります。そういう観点から申し上げますと,平成11年は救急医療で約3,300万円事業が好転した,あるいは未
熟児収容部門で1,700万円,それから静療院の運営,これまた好転いたしまして5,900万円,
南ヶ丘診療所の運営で1,300万円,あるいは
リハビリテーション事業で3,200万円などがございまして,全体では1億6,200万円ほど収支の好転がございます。ただ,これは
一般会計との関係でございまして,
診療収益等の額は入ってございません。
それから,3点目は,繰入金の状況について,静療院の14億はどうしてこんなに多いのかということでありますが,静療院への繰り入れは,
地方公営企業法及び国が定めます
繰り出し基準における精神病院の運営に要する経費として,
収支不足額を補てんするために
一般会計から繰り入れていただいているものでありまして,ここ数年,11億から13億円で推移してございます。
この多額の繰り入れの原因といたしましては,一つには,医療上の困難性や特殊性が高いにもかかわらず,精神医療に対する診療報酬が,一般疾病の同じ基準の入院料と比べて,約15%程度低いと。二つ目は,これは重要なところでありますが,静療院のような
公的医療機関には,
精神科救急の受け入れ,あるいは,児童部門や
自閉症児病棟などの不採算部門,これらの診療を受け入れるという,いわゆる政策的な医療を積極的に行っているということに着目をして,繰り入れをしていただいているものでございます。
それから,再三ご指摘をいただいておりますけれども,
診療科別原価計算の実施ということでございます。
委員がご指摘のとおり,経営に対しまして,あらゆる角度から経営向上に向けての検討は必要だと。中でも,原価計算については,さまざまなところからのご指摘もございます。
現在までの
取り組み状況でございますが,11年度の実績をもとにいたしまして,まず,収益につきましては,
診療行為別分析,あるいは
平均在院日数と
病床利用率の相関関係などの分析を
診療科ごとに行っております。
一方,把握の困難な人件費の配分につきましては,一定の基準を定めるために,医師,看護婦,
医療技術職員等が各診療科の収益にどのように貢献しているかを,入院,外来の区分別に従事状況の調査を行っているところであります。
以上でございます。
◆伊与部敏雄 委員 局長ね,局長の話もわかりますけれども,例えば,静療院に対する14億600万円,これはやっぱりダントツなのですね。その中でも,
自閉症児病棟というのがある。ところが
自閉症児病棟,この児がほとんど欠けている。児でない。要するに大人の病棟になっちゃった,はっきり言って。子供がいない。
自閉症児病棟でなくて,
自閉症病棟になっちゃっている。入ったら出ない,だんだんだんだん年いっていく。児がいないのですよ,これは。このことについて,これは札幌市が繰出金を14億600万円も出しておいて,
自閉症児病棟という名目にはなっているけれども,肝心の児がいない
自閉症児病棟という,これは名前と中身が違うのではないかと。児をどうするのだと。入っている人はどうするのだ。出ても,行く場所がない。そこにいっ放しと。こういうことじゃ,どうしようもできないのではないかと。
ですから,この辺についてどういうふうに今後しようとしているのか,ひとつ明らかにしていただきたいと思います。
それから,
診療科ごとの原価計算ですけれども,これはいつごろ出せるような状態ですか。これも端的に聞きますけれども,いつになったら30科の原価計算がきちっと出せるようになるのか,これひとつ聞きます。
最後に,IT問題について聞きたい。
市立病院のIT問題への対応の実態は,今どうなっているのか。それから,今後,
ITシステムの開発を検討している分野と,それにどのように取り組もうとしているのか,これを具体的に聞きたい。
◎清水
事務局長 1点目の
自閉症児病棟の問題でございますけれども,現在,確かに自閉症児は年々加齢をしておりまして,現在は,加齢児,児童ではない,いわゆる成人の自閉症の子供たちがいるという状態であります。これについては,当病院もそうでありますけれども,直接担当いたしております
保健福祉局の
障害保健福祉部との協議の中で進められていくと思いますので,今,この場では確たるご答弁はできませんことをお許しいただきたいと思います。
それから,原価計算の「いつやるのだ」と,こういうことでありますが,初めての試みでありまして,非常に難しい問題がございます。したがいまして,病院内部はもちろんのこと,関係する方々と相談もしながら──今,時期を特定しろと言われましても,「何月に公表します」と,こう申し上げられません。現段階では,そう遠くない時期に一定の診療科別の分析結果をお示ししたいと,こう考えておりますので,ご了解いただきたいと思います。
◎中西 病院長 情報技術,IT問題について2点,情報技術に対する病院の考え方と,これからの情報技術の活用についてお答えしたいと思います。
飛躍的進歩,それから発展を続けますITの利点を,診療を通じて
市民サービスを提供する病院として活用すべきは論をまたないところでございますけれども,その場合,従来,発想されておりました
コスト削減,それから事務処理の簡素化などの単純な
事務改善レベルの活用だけではなくて,
情報技術活用によりまして,従来の
サービス提供の
プロセスそのもののあり方を変革するとの視点に立つべきと考えております。
当院におきましては,既に,第3次及び第4次の5年計画の中で,トータル・オーダリングシステムの導入を目指しておりまして,外来,入院,
処方オーダーなど,その一部は既に始めております。また,市民に身近な市立病院を目指しまして,この9月27日,
市立札幌病院のホームページを開設しております。もう既に3けたに及ぶアクセスを記録しております。具体的にその成果を上げつつあるところでございます。
次に,2点目のこれからの情報技術,ITの活用についてでございますけれども,当院のITの活用も,さきに申し上げましたほか,周産期医療,それから救急医療に関する各機関の情報共有化などにも着手しております一方,全国的な取り組みも紹介され始めております。
例えば,近くでは江別の市立病院でございますけれども,提供医療の高度・効率化を確保して,市民の医療は市内で完結することを主眼に,情報技術の活用を始めております。そのほか,全国的には三重県での複数医療機関での患者の診療データの共有化,あるいは山口県萩市民病院での電子カルテの導入,静岡県による広域災害・救急医療システム,それから山梨県の都留市の医師会によります,これは試み的なものでありますけれども,在宅受診システムの検討など,今後,当院におきましてのIT活用の参考となるものも相当ございます。当院におきましても,一層これらの研さんを深めて,さらに前進させていきたいと考えております。
以上でございます。
◆伊与部敏雄 委員 今,院長から,9月27日に病院のホームページを設置したと。3けた以上,ホームページにアクセスがあったと,こういう話で,これは画期的なことですね,はっきり言って。市立病院始まって以来。ホームページが開設されて,インターネットを使える人はいいわけですね。具体的にそのインターネットに,どういう内容が入っているのかが一つ。
それと,もう一つは,院長,今後,あれですか,個人個人の患者さんのデータも,例えば,私なら私がインターネットを使って,私の病気はどういうふうな病気なのか,そういうものを今後とれるような,そういうところまで行き着くのか。あなたは,頭が悪いのですよとだとか腹が悪いのですよだとか,そういうようなこともデータに載ってくるような,そういうところまで,このITを通じてやることにしているのか。院長としては,希望的な発想としてどこまでやろうとしているのか。今,ホームページをつくったということですから。ホームページは病院の紹介だとか診療のご案内だとか,お医者さんが,何月何日には中西院長が診察しますよだとか,そういうようなことがずっと出てくると思うのですけれども,そういう具体的な内容についてどこまで読み込むか。
それから,ホームページの宣伝,私,初めて聞いたのですけれども,これは。9月27日以降きょうまで,病院でホームページつくったなんて聞いてないのですけれども,一般市民に,病院はホームページをつくりましたよと,こういうふうな活用をしてくださいと,どういうような形でもって宣伝をしていくのか,改めてひとつ,最後にお聞きしたいと思います。
◎中西 病院長 まず,第1点目のホームページの内容でございますけれども,もちろん病院の理念とか沿革,その他,各階ごとの案内を載せております。それから,外来の先生方が何曜日に何時ごろどの先生がやるかというようなことも詳しく出しております。
そのほか,病院の交通のアクセスのことについてとか,いろいろ概況について載せて,これからさらに,委員会がありますけれども,その委員会と検討して,毎月か,できれば毎週ぐらい内容を変えていくようなことを考えております。
それから,さらにどの程度発展させるかということで,先ほど全国的な例で在宅受診システムを試み的にやっているということがありましたけれども,それの実態がどういうものかということもよく調べたい。前に一度,ある電気メーカーでは,そういう受診のシステムですね,自分の症状を入れたりなんかしたら,あなたは何科に行って,どうしなさいというような,そういうあれがあったのですけれども,それも取りやめになった。余りうまくいかなかったのですね。最近は進歩してきて,情報の入れ方やなんかも変わってきたと思いますので,その辺のところは詳しく調べまして,まず,病院に来る前に,自分の家の方からこういう症状でこうなったから,おまえのところでいいのか,ほかの病院へ行くべきかというようなこと。これは一つの病院だけじゃなくて,全市的,あるいは医師会を含めて,そういう総合的なことも将来的にはやっていくべきだと,私は考えております。
以上です。
◆伊与部敏雄 委員 最後に,病院は中西院長,林副院長を初め,一生懸命努力していることについては敬意を表したいと思います。しかし,病院の中で,先生の診療が9時なら9時に始まらないで10時になったり,先生が来ないというような苦情も一部聞いていますけれども,そういうことのないようにして,一生懸命ひとつ,院長,副院長を中心として頑張っていただきたいことを要望して,終わります。
◆涌井国夫 委員 初めに,市立病院の医療事故防止について,数点お伺いをします。
最近,繰り返される医療事故についてのマスコミ報道が非常に多くなって,目立っているところでございまして,昨年の医療過誤訴訟件数が638件ということで,過去最高になったという報道もございました。
また,ある別の報道では,医療機関の事故をなくそうと,全国の専門医らで組織する医療事故調査会の調べで,患者側から,過失があるかどうか依頼された鑑定件数が昨年度180件に上り,これまで年平均86件の2倍以上に達し,また,医療に関するトラブルを経験した患者側弁護士の依頼で,95年度から診療記録などをもとに,過失の有無についてこの5年間の累計は525件ということで,鑑定を終えた351件のうち75%の265件に過誤があると判定をされたというふうな記事が載り,国公立病院,医療センター,基幹準公立病院,大学病院のケースが142件と,過半数を占めていたとの記事がありました。また,ちょっとした医療ミスにより,死亡など重大な事故につながる危険性は隣り合わせであるというふうに私は思うわけであります。
報道される医療事故の内容を見ると,初歩的な,あるいは単純ミスが原因で,考えられないような事故もあります。このような基本的な事柄に関する医療事故を発生させないために,日常的な予防策あるいは防止策を図り,しっかりしたチェック機能を施しておくことが極めて重要な課題であるというふうに思っております。
そこで,本市立病院の医療事故を防ぐ体制として,どのように取り組んでいるのか,お伺いをしたいと思います。
また,不幸にして医療事故が発生した場合,どのような体制で対応しているのか,お伺いいたします。
さらに,患者さんからの診療に関する相談,あるいは問い合わせがある場合,その対応や窓口体制がどのようになっているのか,あわせてお伺いしたいと思います。
◎景浦 理事 お答えいたします。
1点目の医療事故を防止する方策でございますけれども,医療事故を未然に防ぐ体制の整備,また,情報収集とそのフィードバックシステムの構築が急務でありますことから,昨年6月に,副院長を委員長として,医師,放射線技師,検査技師,薬剤師,看護婦,事務職員の13名の委員から成る医療事故防止対策委員会,院内ではインシデント委員会と申しておりますけれども,この委員会を設置したところでございます。
この委員会では,日常医療において,冷やりとした,あるいは,はっとした経験をインシデントレポートにしていただいて,毎月,定期的に委員会で検討し,予防の視点で原因や状況の分析をし,病院の幹部会議であります連絡会議に報告し,さらには,全部長から成る運営会議,各診療科のカンファレンス,婦長会議等を通じて,必要な情報を各職場へフィードバックし,事故発生を事前に阻止するようにしているところでございます。
続いて,第2点でございますけれども,医療事故発生時の対応体制と窓口の体制についてでございますが,残念ながら発生した医療事故,あるいはその疑いがあるものにつきましては,副院長を委員長とする医療事故対策会議で診療内容の調査確認や今後の対応方法などを検討し,それに基づきまして,患者さんへ診療科部長や担当医師から説明などを行っているところであります。
また,患者さんから,診療に関する相談や問い合わせ等があった場合,事務局の管理課や医事課が窓口となり,日程調整等を行った上で,患者さんへ診療科部長や担当医師から説明を行っているところであります。
◆涌井国夫 委員 窓口体制のことについても若干お話をいただきまして,患者さんからの診療に関する相談あるいは問い合わせの窓口というのが事務職であるということでございます。当初から医療知識を有する職員が対応しないと,患者さんへの期待に十二分にこたえることができないのではないかというふうに私は思っております。
最近は,大変詳しく特定の疾病について研究をされ,専門書まで買って勉強している患者さんもいるわけでございます。そういった患者さんのさまざまな問い合わせや,あるいは医療について,診療についての相談の窓口を医療事故あるいは医療ミスを防ぐためにも,また患者さんの側に立つためにも,東京都では専門窓口を設置する方針を固めたということでございまして,それを名づけて「患者の声」というようなことで,専門のお医者さんを配置して対応しているというようなことも報道されておりました。
質問でありますけれども,患者さんのそういった期待にこたえるために,本市としても,やはり専門的な知識を有している職員が,専門窓口として対応すべきではないかというふうに思いますが,その点についてお伺いいたします。
それから,最近,厚生省は,続発する医療事故対策の一環といたしまして,国立病院等における医療事故の発生防止と医療事故が発生した際の対応に関する考え方を整理したマニュアル作成の指針を取りまとめたようでございます。それは,リスクマネージメントマニュアル作成指針というものでございまして,対象の各施設は,「本指針を活用して,施設ごとに医療事故防止対策委員会を設置し,施設内の関係者の協議のもとに,独自の事故防止マニュアルを作成するとともに,ヒヤリ・ハット事例及び医療事故の分析評価並びにマニュアルの定期的な見直しを行うことにより,事故防止対策の強化充実を図る必要がある。」というようなポイントが書かれておりまして,さらに,この用語の定義の中に,医療事故とは何か,あるいは,医療過誤とは何かというような用語の定義づけも明確に示されているわけでございます。
さらに,医療ミスを速やかに警察に届け出ることというふうに明文化をしておりますし,事故報告ルートを確立して,責任を明確にするように求めておるわけであります。
こうした中で,本市立病院の対応マニュアルでは十分に対応し切れていないのではないか,し切れないのではないかと思います。今後,マニュアルの見直しをすべきというふうに思いますけれども,まず,それもお伺いいたします。
また,今後,プライバシーに配慮をしないといけませんが,このガイドラインの趣旨に倣って本市のマニュアルを見直し後,医療事故あるいは医療過誤などの情報を公開すべきだというふうに思いますけれども,その点についてお伺いいたします。
◎景浦 理事 まず,窓口体制の整備につきましてですが,患者さんからの診療に関する相談や問い合わせなどは,現在,管理課や医事課の事務局職員を窓口とする一方で,医事課には,福祉,交通事故など諸制度の相談窓口を設け,また,看護部にも総合的な医療看護相談を行う看護相談室を設けるなど,患者さんからの種々の相談や問い合わせなどに対応しているところであります。
しかしながら,委員ご指摘のとおり不十分なところもあることも認識しておりますので,患者さんからの相談や問い合わせ,あるいは苦情といったものに対しましては,今後,より適切に対応するために,現在の組織をさらに有機的に再編するよう検討してまいりたいと考えております。
それから,医療事故対応マニュアルについてでございますけれども,ご承知のように,昨年1月の横浜市立大学の患者取り違え事故の発生以来,当院でも,いち早く,昨年3月に院内で患者誤認事故予防対策委員会を臨時に組織いたしまして,医療事故の確率の高いチェックリストを作成してございます。これは手術患者の運搬に伴う患者確認,それから輸血,処方・検査等についてのチェックリストでございます。
委員からお話がありましたとおり,最近,厚生省で医療事故が発生した際の対応に関する考え方を整備したマニュアル作成の指針が発表されておりますことから,当市立病院といたしましても,この指針を参考にしながら,より総合的なマニュアルを整備するところでございます。
事故情報の公開につきましては,今後,さらに院内で検討を進めて対応してまいりたいと考えております。
以上です。
◆涌井国夫 委員 質問に移りますけれども,アトピー性皮膚炎などのアレルギー性疾患は,その病因が難しく,根治療法も確立していないということで,昨年,我が党の要望などによって,北里病院に国内で初の専門病棟の施設が設置されるなど,国の取り組みも少しずつ進んできているというふうに思います。そして,厚生省では,免疫アレルギー専門委員会を設置されたと聞いております。そこで,本市立病院でアレルギー性疾患,アレルギー疾病に対して,どのような診療体制をとっているのか,お伺いしたいと思います。
また,今後,我が国の動向を踏まえて,アレルギー専門の診療科を創設して体制を強化すべきではないかというふうに思いますけれども,その点についてお伺いいたします。
◎富樫 理事 お答え申し上げます。
私たちの病院は総合病院でございますので,あらゆる疾患について,できるだけ高度な医療を市民の皆様方に提供するというのが使命でございます。したがって,いろいろな疾患がございますが,その中のアレルギーについて申し上げます。
アトピー性皮膚炎とか,それからアレルギー性鼻炎,アレルギー性結膜炎,気管支ぜんそく,そういったようなアレルギー性疾患の患者さんにつきましては,呼吸器科,皮膚科,耳鼻咽喉科,眼科,それから子供の患者さんについては小児科などが診療に当たっております。また,原因が不明のアレルギーの疾患,免疫疾患の患者さんにつきましては,免疫血液内科で診療を行っております。
さらに,本院は,多数のアレルギー関連の学会の認定医指定病院で,認定医をたくさん抱えておりまして,非常に高度なアレルギーに対する診療行為を行っているところでございます。
なお,気管支ぜんそく,アトピー性皮膚炎など,委員のご指摘のように,このようなアレルギー疾患が我が国でも非常にふえる傾向にございますので,委員のご意見を参考にしながら,人的な体制,その他につきまして,今後,検討してまいりたいと存じます。
◆涌井国夫 委員 携帯電話の普及というのは,国内で6,000万台を突破したということでございまして,道内200万7,000台,道民の35%が携帯電話を所持しているということで,今,まさに2人に1人が持つ時代になっております。
私は,情報化の時代的な流れであるというふうに思いますが,それと同時に,やはり使う側,使用者のマナーの意識の変革をしなければいけないというふうに思っております。
そこで,使用中の携帯電話からの電磁波が心臓ペースメーカーなどの医療機器にどのような影響があるのか,ご意見,ご見解を示していただきたいというふうに思います。
さらに,本院での携帯電話等の電磁波に対する対策について,どのように取り組んでいるのか,お伺いしたいというふうに思います。
◎林 副院長 携帯電話がペースメーカーや医療機器に与える影響についてでございますが,携帯電話の電磁障害,電磁波または電磁界,いろいろなそういうことから,ペースメーカー,医療機器への影響があるものと考えております。
そのため,院内におきましては,ペースメーカーを使用している患者さん側の不安を解消し,また,至るところに設置されている医療機器の誤作動を防ぐために,院内での携帯電話の使用を禁止しているところでございます。
その周知方法につきましては,月曜日から金曜日までの朝9時に,携帯電話の電源を切り,使用をご遠慮願うというような内容の院内放送を行っており,また,その旨を記載しました文書を院内に掲示をしているところでございます。
なお,病院という特殊性から,職員,特に院内での医師の緊急呼び出しが必要な場合も当然ありますから,その場合には携帯電話を使用することなく,ポケットベルで対応する方法をとっているところでございます。
以上です。
◆涌井国夫 委員 職員あるいは病院関係者の方への対応については理解をしました。しかし,病院に来られる方の中には,製薬会社の方ですとか,あるいは医療器具メーカーですとか,納入業者,取引業者,さまざまな方がいますし,また,患者さんのご家族の方がお見舞いに来るということもあります。いろんな方が来るわけでございます。そんな中で,ロビーなどで携帯電話が間違って鳴ってしまっているというような場合,本病院として,そういった場合にだれが注意をして,そして協力を求めるのか,それが明らかになっているのかどうか,それをまずお聞きしたいと思います。
それから,今後は,携帯電話の呼び出し音に反応して注意を放送する機械が,今,全国の病院で備えつけるようになっております。ロビーで注意を促した看護婦さんが,逆に何かなじられるだとかというようなことも聞いており,なかなか難しいということで,こういった機械を設置するというようなことも視野に入れた対応策を検討してはどうか,お伺いしたいと思います。
◎林 副院長 今,委員の方からご指摘のことに関しまして,これからいろいろ検討いたしまして,その対策を考えたいと思います。
以上です。
◆荒川尚次 委員 私は,市立病院の財政問題で質問いたします。
市立病院の前年度決算で,収益収支が予算対比約10億好転し,12億円の赤で済んだということになっておりますが,その中身は,歳入で,入院患者数は減少しながらも,外来患者の増と単価アップなどで診療収益が3億1,000万増となった一方,歳出で,人件費が前年度より下回るという異常な事態となったことによって3億7,000万減,材料費で約2億,光熱水費,委託料等の経費で3億6,000万の減となったことなどによるもので,病院財政の抜本的改善につながるものではないと考えます。
監査委員会が作成した決算審査意見書の161ページを見ると,あと19億円の診療収入の増,もしくはそれに匹敵する経費減を図らなければ,損益分岐点に到達しないとしておりますし,市立病院の不良債務解消を目指した財政再建計画も,その初年度の99年度,早くも修正を余儀なくされております。
%増,外来収益各年1.5%増とした計画の前提条件を入院収益各年1.5%増に下方修正,また,材料費,経費の伸び率を0.9%から1.0%に上方修正する一方で,人件費の給与改定等の伸び率を0.74%から0.23%に引き下げて,つじつま合わせをしているものであります。
収益を上げるため,診療報酬の引き上げを望むのは極めて難しい状況にありますし,また,職員給与の実質減という現状での人件費抑制がいつまでも続くなどと考えるべきものでないことも明らかであります。
そこで,お尋ねいたします。
質問の第1は,99年度決算にかかわる監査委員会の審査意見書に関してであります。
損益分岐点分析で指摘されている19億円の収入増あるいは経費の圧縮は,現実的に可能か。19億円の収入増あるいは経費減は,どうすれば可能なのか,明らかにしていただきたいのであります。
質問の第2は,99年度から17年間かけて,2016年度に単年度収支を黒に持っていこうという長期財政計画についてです。
1999年度決算を踏まえて,財政計画上の不安材料は何か,医業収益や人件費の見込みについて,計画対比でどのように見通しを持っているか,お尋ねします。
以上です。
◎清水
事務局長 監査委員からの報告書について,19億の収益増を図らなければ損益分岐点に達しないと,こういうようなご指摘があることは事実であります。この現体制のもとで,監査委員から指摘のあります一挙に19億の収入増,あるいはそれに見合うコスト節減というのは,これは現実的には不可能でございます。そのために長期計画を策定しておりまして,実践に努めているわけでありますが,これの解決は,何といいましても,地道な診療活動によりまして収益増を図る一方,平成9年以来続けてまいっております経費節減の努力を今後とも継続的に続けてまいる以外にはないであろうと。そうした中で,現在の見通しでは,平成27年度に損益分岐点に達するものと,こう考えているところでございます。
それから,今後の財政収支計画でございますが,今後の財政収支計画に,委員,大変不安を感じておられますことはよく理解いたしますが,総医療費が全国で30兆円を超える時代となりまして,国家的にも大きな問題を抱えた医療界の中にあって,確かに,私ども個々の病院の経営も非常に厳しいものがございます。
当面の収支計画では,ここ数年,計画に沿って順調に推移するものと認識しておりますが,第4次,第5次と続くと見られております医療法の改正によっては,私ども病院をめぐる環境は,さらに一段と厳しくなるものと考えているところでございます。
したがいまして,変わり行くこれらの制度,あるいは医療に対する考え方の行く末を見詰めながら,誤りのない経営指針を全院挙げて策定し,当初計画が掲げておりますように平成27年度の収益的収支黒を目指してまいりたいと考えているところでございます。
以上です。
◆荒川尚次 委員 今,局長が言われましたように,診療報酬の改定による医業収益の増が見込めず,また,患者増や医療単価増も,近い将来の医療法改悪などによる患者負担の増などが予想される中で,むしろ医療抑制が進むのではないかと思われる状況のもとで,なかなか厳しいと,私は率直にそう思います。
一方で,病院の努力による経費削減もおのずから限界がある。そうだとしたら,病院の努力を超える部分の穴埋めは,やはり
一般会計によるしかないのではないかと思います。今,病院経営がなかなか難しい時代になっている中で,市立病院が,救急医療,これはぐんぐん実績を伸ばしていますし,あるいは,未熟児医療の対応などで果たしている公的役割は,ますます高まっていく,こう思います。
民間病院がどんどん不採算部門を切り捨てる,そういう現状にあるときだからこそ,市民の命を守る市立病院の果たす公的使命に照らし,市立病院を維持し充実させなければならない,私はそう考えます。
そこで,
一般会計からの繰り入れに関してお尋ねをいたます。
市立病院への
一般会計の財政支援のルール中,企業債元利償還の
一般会計負担について見ると,利子は,本院移転新築分と静療院改修分を除いて,1983年,昭和58年以前発行分は3分の3
一般会計負担でありますが,それ以外は,本院においても,96年,平成8年度以降は3分の2となっております。これでいいのか。市立病院の財政状況に照らして再検討する,もとに戻すということについても検討すべきではないかというふうに考えますし,また,元金も,1983年,昭和58年以前は,建物,土地,医療機械とも3分の3
一般会計負担だったものが,その後は,本院移転新築に絡む用地費,これは旧市立病院の用地を
一般会計が処分しているわけですから当然であります。この用地費を除いて3分の2となっております。これでいいのか。再検討して,市立病院財政の現状を踏まえながら,もとに戻していくということも考えるべきではないのか。
また,1995年から99年,平成7年から平成11年までの5年間の時限措置として,本院移転新築時に新設された
一般会計の新規の負担ルール,高度医療基盤強化に要する経費の2分の1負担,これはまさに5年間で,昨年度で打ち切られておりますが,毎年度2億円前後の関連費用が見込まれ,しかも,年々上昇する見通しと聞いておりますだけに,病院財政の現状を踏まえ,恒常的な支援ルールとして再確立すべきと考えますが,まずこの点について,病院の
事務局長にお尋ねして,答弁次第では,助役。もともと病院担当でしたか,いいのですか,いいのですよね,市長の代理で出ているのですものね。助役にその後でお答えをいただきたい。
以上です。
◎清水
事務局長 一般会計からの繰入金についてと,かつてあった
一般会計からの補助,これについての復活,この2点と承りましたけれども,起債償還の利率を含めての負担割合,これを含めて
一般会計からの繰り入れについてお答えいたしますが,現在,病院に対します繰り入れにつきましては,
地方公営企業法に基づき一定の基準で行われてございます。
そして,私ども病院といたしましては,その額,対象,そういった基準を超えて多ければ,それなりに病院経営の安定に役立つことは,これは論をまたないところでございます。しかしながら,全国的にも公企業への繰り入れは厳しい指導を受けておりますことから,この繰り入れによる経営改善というのは,これからは大きくは望めないと認識しているところでございます。
当面,病院におきましては,現行のルールを守りながら,そのほかの面につきましては,みずからの努力を最大の主眼として,一つには報酬基準の完全な理解をしながら診療を行い診療収益を上げる,また一方では,コストの削減について,光熱水費の使用にまで目を光らせながら,細かな管理を行っておりまして,増収,経費削減,両々の努力を続けておりますことをご理解いただきたいと存じます。
なお,時代の趨勢とともに,既存の医療の中でも政策的に支援をいただきたい分野も出てきましょうから,そういったことが生じた時点では,その都度,関係部局との協議をさせていただきたいものと存じております。
それから,2点目の例の高度医療関係の補助であります。
ご指摘のとおり,高度医療基盤整備に関する補助でありますが,これは平成7年から平成11年までの期限を定めた補助でございました。これは病院内の医療機器,あるいは物品の搬送業務を集約化いたしまして,そこから生ずる余力を,いわゆる高度医療実現のために転用するというものでありまして,本来的には,当院経常経費の範疇で処理してよいものでもございます。
補助開始当時の病院経営状況の窮状にかんがみながら,経費激増を抑制するために,
一般会計からの支援を受けていたものと理解しておりまして,若干落ち着きを取り戻した現在にありましては,当面,病院の自力で対応すべきものと考えているところでございます。
以上です。
◎魚住 助役
一般会計からの負担につきまして,お答えいたします。
一定の基準に従って,厳しい
一般会計の中ではありますけれども,応分の負担をしているところでございます。病院の皆さんは,大変ご苦労されていると思いますが,しかし,今,健全化策をつくって,一生懸命取り組んでいるわけでございますので,私どもとしまして,現状では内部努力に期待をして見守っていきたいと,そのように考えております。
◆山口たか 委員 私は,2点お尋ねをしたいと思います。
初めに,院外処方についてお尋ねをします。
これは,先般の厚生委員会で質疑もさせていただきましたが,9月22日から,これまで病院内でお薬を調剤していたのを院外へ出すと,外へ出すということでした。私は,時期尚早ではないかという観点で質疑をさせていただきました。その分,経済的な負担がふえるわけですし,もう1カ所薬局へお薬を取りに行かなくてはいけないというところでは,必ずしもメリットのない方もいらっしゃるだろうというふうに思いました。
そこで,22日に始まったわけなのですけれども,その辺について,院外処方に同意なさって院外でという方がどれぐらいいらっしゃるのか。さらに,病院の前にできている門前薬局ですね,いわゆる。そこへの集中率というのはどれぐらいなのか。さらに,この院外処方の目的の一つであります分散度合い,地域へ分散をしていくのだということでお答えがありましたけれども,それが一体どれぐらい地域の調剤薬局へ行って,そこで処方されているのかということについてお伺いをしたいと思います。あわせまして,この間の評価というものについてどのようにお考えか,お尋ねします。
それから,大きな2点目なのですけれども,セカンド・オピニオンということについてお尋ねをします。
これまでも,インフォームド・コンセントを進めるべきだとか,それから,昨年の
決算特別委員会でも,カルテを開示していくべきではないかというようなこと,さらには,余命告知なんかも今行われるようになってくる,そのような中で,やはり患者さんの自己決定権というようなものが尊重される時代になってまいりました。
そこで,私がご相談を受けた事例なのですが,手術を受けなきゃいけないという段階で,本当にこの診断でいいのか,その診断に沿って手術を受けていいのかどうかということでご相談を受けましたが,私は,全然その辺は素人ですし,何もお答えできなかったということで,もう1カ所で診察を受けてみたらと,セカンド・オピニオンを受けてみたらということしかアドバイスはできなかったわけなのですが,結果として,なかなかそれを言い出せないという状況があります。
やはり,お医者様の権威というのはすごく強いわけですし,あたかもセカンド・オピニオンを求めると,ドクターの側が,自分に対する信頼がないのかというふうに思われるのじゃないかという心配もありまして,悩んだ末,その方はセカンド・オピニオンを受けないまま手術を受けたような状況がございます。これについて,市立病院としてはどのような対応をされているのか,お考えも含めてお尋ねしたいと思います。
◎高橋 薬剤部長 院外処方せんの発行並びにこれに伴います門前薬局の利用率等についてお答えさせていただきます。
9月22日の初日から10月5日までの10日間という,まだ極めて短期間の状況でございますけれども,この間におきます院外処方せんの発行率,1日90%ぴったしということでございます。そのうち,門前薬局,私どもは,一応4店を考えてございます。その門前薬局の利用率,集中率につきましては,1日平均43.7%と,そういう結果でございます。
委員お話のように,7月の厚生委員会の方でも,この院外処方を受けられた患者さんの多くが,門前の方に集中するのではないかと。であれば,医薬分業の本旨とは違うのじゃないかというようなご指摘がございました。事実,ほかの市内の病院におきます門前薬局の利用率,例えば,北大病院さん85%,札医大病院85%,中の島の社会保険中央病院80%,それから菊水の国立札幌病院は60%ということで,これは8月分をいただいておりますけれども,こういう数字と比べました場合に,当院の場合43%ということでございますので,現在では大変集中の度合いは低く推移をしているということでございます。
この理由といたしましては,私どもが,札幌薬剤師会と事前の準備調整を相当長い期間にわたって行いましたこと,あるいは7月の半ばごろから約2カ月間にわたりまして,外来患者さん,あるいはご家族の皆様に対しての,医薬分業,院外処方せんについての啓蒙,周知活動を行いました。そういうものが大変効果的であったのではないかというふうに考えております。
そのせいか,札幌圏,石狩・当別・千歳を含みますけれども,札幌圏では430店舗,札幌圏外,遠くの方まで行きますが,札幌圏外で56店舗という,そういう調剤薬局に処方せんが行っておりまして,こういう事実からも,現時点では本来の面分業というものが順調に進んでいるのではないかなというふうに推測をいたしております。
評価ということでございますが,いかんせん10日間でございますから,それを限定いたしましても,これらの数値を見ますと,院外処方せんの今回の全面発行については,市民の皆様の理解とご協力をいただいたということで,若干の混乱は別といたしまして,大きなトラブルもなく順調にスタートしているものと,そういうふうに考えてございます。
以上です。
◎林 副院長 2番目のセカンド・オピニオンについてでございますけれども,委員のご指摘のとおりに,十分な情報提供を受けた上での患者さんの回復を求める強い意欲は,医療関係者の知識・技術に匹敵する病克服の要件でございます。
この7月に,当院におきましても全面的なカルテ開示に踏み切りましたのも,このことを願ったためでございます。疾病に悩む方々が,複数の診断結果が一致することで,より強い自信のもとに自分の治療方法を決定できますことは,多くの症例からも明らかでございます。
したがいまして,当院では,他病院,それから診療所などとの連携を運営の基本としておりますので,これまでも,そしてこれからも変わることなく,セカンド・オピニオンを望む患者さんに対しましては,あらゆる便宜を提供いたしたいと存じます。
以上です。
◆山口たか 委員 1点目なのですけれども,43%ということで,短い期間ですが,ほかの医療機関と比べると集中率が低いなという印象は,今のご答弁からわかりました。さて,そうしますと,数的には,行ったということで評価はできるのかもしれませんが,そこの部分が,例えば,430店なり56店なりにきっちり,例えば,お薬手帳などが発行されて,重複の投薬とか副作用というものが避けられるような体制までできているのかどうなのか。そこがないと,不便なだけですから,その辺のところがどうなのか,お伺いをしたいと思います。
それから,これまで1日中,外来の方に調剤をされていた市立病院の薬剤師の方たちのお仕事が,今までのがほぼなくなったわけですよね。入院患者さんに対する服薬指導などに振り向けたいということが厚生委員会でのご答弁でしたけれども,現在,どのようになっているのでしょうか,お伺いをしたいと思いますし,今までマン・ツー・マンということがなかった職種の方ですから,お薬の調剤一筋でずっとやっていらした方たちが,果たして患者さんたちとの面接なり含めて,アドバイスを含めて指導などがうまくできるのかどうなのか,ちょっと不安もあるところで,研修なども必要かなと感じるわけですが,その現状と考え方についてお尋ねをしたい思います。
それから,セカンド・オピニオンにつきましては,非常に前向きなお答えでした。これからは,そうしますと,先般の1定のときのお答えでは,たしか市立病院はセカンド側になる,受ける側が多いというようなことでのお答えだったかと思いますが,市立病院で受けていて別な医療機関に行きたいということについても,積極的に,望めば進めるということでよろしいのですね。もう一回確認なのですが。
それをはっきり言い出せないのですね,実はね。ドクターの心証を悪くするのじゃないかと。それから,どこかよそへ行って,もう一回市立病院に戻れるのだろうかと。そのときにやっぱり冷たい扱いを受けるのじゃないかとか,患者の心理としては不安がございまして,はっきりは言い出せない,決断できないという方も中にはたくさんいらっしゃるのですね。そういう方たちにアドバイスとか,もし,ご心配だったらほかにも行けるのですよというようなことまで含めてやっていただけるのかどうなのか,確認をさせてください。
以上です。
◎高橋 薬剤部長 1点目の調剤薬局における相互作用のチェックであるとか,そういうことかと思います。
お薬手帳というものを最近は持参されまして,私どものところにも来ます。お薬の名前,それから薬効,そういうものを印字して添付して差し上げてございますが,基本的には,これは調剤薬局の方でやるということになっておりまして,調剤薬局の方には,ことしの4月から保険点数の上でも,そういうものについて若干の手当てはされているということで,一昨年から見ますと,今年度になりまして,そういう情報のもとで,手帳というものが各調剤室でたくさん配付されているというふうに聞いております。
それから,私どもの処方せんが出たところで,処方せんの内容そのものについて,それから,今回は印字をされていますので,見づらいとか読みづらいということはほとんどありません。内容的なものの質疑も問い合わせということで入ってまいりますので,全部100%ハイレベルでやっているということは,ちょっと申し上げられませんけれども,そういう場をだんだん経験していって,今,調剤薬局の方も一生懸命されているという現状かと思います。
それから,病院の中の薬剤師につきまして,大変心配をいただきまして,ありがとうございます。現在,循環器科,整形外科,眼科病棟,この三つにつきましては所定の要件が整備されておりますので,いわゆる患者さんから保険診療上でもお金をいただけるような,そういうレベルの仕事をさせていただいております。委員ご指摘のように,今まではどちらかというと内向きの仕事を専らしておりまして,外来患者さんを1分1秒も待たせないということでしたけれども,そういう枠を今度離れますので,現在行っている病棟の薬剤師を教育担当といたしまして,順次,研修マニュアルをつくって,今やりつつあります。
なお,ご指摘のように,対人関係といいますか,そういうコミュニケーションスキルの面で若干問題がある,そういう薬剤師も事実おりますので,そういうものについては,先輩というか,現在行っている薬剤師について患者さんのところを回って,回診動向,看護婦さんの申し送り,コンファレンス,そういうものにも参加させていただくことによって,二月ぐらいの研修リクライムで順次養成をしていくところでございます。
◎林 副院長 セカンド・オピニオンについての再度のご質問ですけれども,当院におきましては,そういうなかなか言い出せない問題点,ほかの病院でもう一度セカンド・オピニオンをしたいという患者さんがおられるということでございますので,そういう面もありまして,先ほど申しましたように,全面的なカルテ開示におきましては医療従事者,特に医師と患者さんの関係,十分にそこで完結するようにということで,あらゆる会議,あらゆるところにおきまして,医師たちにそういうぐあいにお話をしているところでございます。
病院としましての理念,一番先に理念に挙げましたように,すべての患者さんに対しまして,優しさをもって診療に当たるという理念でございます。その精神でありたいと思います。
以上です。
◆宮村素子 委員 私も,院外処方に踏み切りましたことに伴いまして関連する諸問題と,それから,看護部のリスクマネジメントについて質問したいと思います。
まず最初に,ただいまも院外処方実施に伴う評価ということがありましたが,それに伴って,循環器,整形,眼科,そこについては薬剤師が点数等の関係もあって出向いていると,そういったようなお答えもございました。私は,基本的には,やはりこの院外処方,2週間ぐらいですけれども,もう90%に達しているという状況から見まして,今後も,ある一定の数字は維持していくのだろうというふうに思います。
そうしますと,薬剤師の業務が今までより軽減されるのではないかと,そんなふうに考えるわけでございます。これまでどおり,一部につきましては,外来患者さんの院内処方ということもあるわけですし,入院患者さんの調剤や指導ということも引き続き,そして,ここへウエートが置かれていくというふうに思いますが,現在の人数では,やはりどうしても業務上の余裕が生じると思いますけれどもいかがか,お伺いします。
また,余裕が生じたことに伴いまして,新たな業務に当たる予定があるとすれば,その業務からの収入について,どのように計算されているのか,伺いたいと思います。
まず最初に,その2点お願いします。
◎高橋 薬剤部長 院外処せんの発行率,現在90%でございますが,現時点の数字を使うといたしまして,このまま推移したとすると,薬剤師の業務量に換算しまして,約8名程度に相当する外来調剤業務の軽減というか,縮小になるものと考えてございます。
2点目の新しい業務,あるいはそれに伴うところの収入の試算ということでございますが,国の方では,数年前より,この医薬分業に伴います病院薬剤師の業務変換,病棟業務へのシフトというものを強力に推し進めてまいりまして,先ほど申し上げましたように,診療報酬の面からも,薬剤管理指導業務,そういう名目のもとに,1患者さんにつき週1回に限り350点,3,500円に相当いたします。これを月4回を限度として算定することができることになっており,当院での今までの実績から試算いたしますと,1病棟で,月約50万円相当,年間12掛けまして600万円程度の収入が見込まれるところでございます。
以上です。
◆宮村素子 委員 ただいまのお答えによりますと,薬剤師が病棟業務にシフトすることによって,薬剤管理指導業務としての診療報酬面での年間で言いますと,おおよそ600万円ぐらいの収入増と,そういったことでございました。何よりも,患者さんごとへの服薬の指導ということの面からいきますと,やはり患者サービスにつながる,患者中心の医療の展開ということでは,大変望ましいというふうに考えるところです。
本格的に病棟への薬剤師さんの派遣ということに取り組まれるように,ぜひお願いしたいと思いますが,そういうことから,医療事故防止に薬剤師さんがどんなふうにかかわるか,かかわってほしいという願いを込めて質問したいと思います。
まず,最初の質問は,各病棟における薬剤の安全管理について,薬剤師の業務拡大と,冷やり・はっとの軽減と,そういうことで質問したいと思います。
病院の中での内服薬のいろんな事故,患者の医療事故が報道されるたびに胸が痛くなる思いですが,それは看護職がそこにかかわっているという事例が多いので,同じ看護職の立場で辛い思いをするわけですけれども,内服薬の誤薬といいますか,間違って与えるというようなこと,それから輸液の間違い,また輸血の間違い,それも非常に多発しているかと思います。
市立病院は,高機能病院を標榜しておりますので,より重症度の高い患者さんの割合,それから悪性腫瘍等の患者さんも大変多いと思います。そういったことから,病棟における薬剤をどう管理するかということで,まず一つ質問ですが,患者の内服薬等の病棟での分包は,現在,どのように行われているのか,どういう人たちがどんなふうにしているのかということをお伺いします。
それから,二つ目には,輸液と常備使用されております一般的な輸液との混合は,どのように行われているのか。やはり触手と無菌的操作等の観点でお答えいただきたいと思います。
それから,三つ目は,抗悪性腫瘍剤,いわゆる抗がん剤の取り扱いはどうしているのか。輸液に抗がん剤入りのアンプルから混合する調整,それをだれがどのように行っているのか。
それと,輸液に伴う事故といいますか,私も大変危ない状況に遭遇にしたことがたびたびあるのですが,いわゆる輸液ポンプです。長時間かけて微量に輸液ポンプで注入していくようなときに,必ず使う前の点検ですね,それをして,使って,薬液が指示された時間の中で注入されているかどうか確認するのですが,ちょっと現場から離れまして,例えば30分,1時間経過した,または24時間使っているときに,ずっと何ともなかったのだけれども,あるときに,入り方がちょっとおかしいと。やっぱり輸液ポンプの故障かなというようなことがあって,十分注意していたのにもかかわらず,やはり間違って薬剤が多くいったり,または一定の時間,十分いかなかったりというようなことがあるものですから,この輸液ポンプ等の保守・管理についても,どのようにされているのか,伺いたいと思います。
それと,もう一つの質問は,看護部のリスクマネジメントについてでございますが,看護職が,著しい医療の現場において,24時間患者のそばにいて,そして生活の援助から効果的な治療が実施されるために患者の周囲のさまざまな業務をこなしているわけですけれども,そういった中で,ともすると大変危険な状況に遭遇する,または間違いも起こしやすい,そういう中で,まず1点目,看護職の研修,特に医療事故防止の研修をどのように行っているのか,伺いたいと思います。
2点目は,医療事故や冷やり・はっと防止の具体的な取り組みについて,看護部としてはどのように考えておられるのか,伺いたいと思います。
◎高橋 薬剤部長 お答えの前に,若干,薬剤管理指導業務なるものの説明をさせていただきたいと思います。これは大変広範な内容を含んでございますが,メーンのものといたしましては,薬剤師が病棟のベッドサイド,あるいはデイルームでもいいと思うのですけれども,患者さんのそばで,実際に服用される薬剤を見せて,その薬の名前を覚えてもらう,まず基本的に名前を覚えてもらう,薬効を覚えてもらう,さらには,万一ですが,どんな副作用が出るというようなことを説明して理解を求めるということ。それから,本当に薬をぴしっと飲んでいるかどうかの確認行為も当然必要でございますし,薬剤の副作用のモニタリングもございます。そのほか,今度は,注射薬につきましては,患者さん個人別に処方せんを切っていただきまして,これも内服薬と同様な形態で,個人別セット渡しというふうに表現いたしますけれども,こういうことで,ほかの患者さんの注射と間違わないような,こういうこともするなどなど,大変濃密な手間暇かかる業務が用意されてございます。
まだ,前段のどの委員もされていないのでお尋ねをしたいのですけれども,このことに基づきまして入札制度の改善委員会を発足させたということでございますが,いつまでに結論をお出しになるのか。それから,もう改善委員会は開かれたのかどうかということをまず最初にお尋ねをしたいと思います。
それから,2点目なのですけれども,これはいろんな方に,何人か,私も,部長,課長にこの問題についてお尋ねをしましたところ,必要悪であると,そのようにおっしゃる方もいらっしゃいます。一方では,そうではないのだ,もっと改善の余地はあったはずだという方もいらっしゃいます。そういう意味では,地元企業の優先度を高めるためには,必要悪だという考え方について,どのようにお考えか,お尋ねをいたします。
それから,次なのですが,建設委員会の資料で,調査委員会が,問題点として,選考素案を単独で作成するケースが多く,恣意性の働く余地があったとか,それから,指名競争入札の新規参入が難しいというようなことが指摘をされております。それであれば,新規参入を促すような措置として何ができるかというふうに考えたときに,例えば,指名数を拡大するとか,それから,判断に当たって実績優先ということですが,札幌市の事業の実績だけではなくて,道の実績とかほかの官庁の実績とか,あるいは民間における実績なんかも考慮して,新規参入を促すようなことも考えるべきではないかと考えますが,それについていかがか,お尋ねします。
それから,入札部門と,実際に設計,積算する部門と,契約の部門をはっきり分けるということで恣意性が排除される,あるいは疑念を抱かせる余地が減るかと思います。その辺で,石狩町なんかは,町長の汚職問題があってから,それを分けまして,財政部門と分けたということで,例えば,財政のところになかなか業者は入って行きづらいと。名刺1枚置くのもなかなか抵抗があってできないというようなお話もありました。その分けることによって,入札価格も下がって,落札価格も明らかに下がって,効果が出ております。その辺について,他都市の例はどのようになっているのか,お尋ねをしたいと思います。
それから,今回の改善委員会でどのような議論になるか注目をしているわけですけれども,国でもつくっておりますし,道でもつくりました入札制度改善の行動計画ですね,このようなものが当然出てくるべきだというふうに考えるわけですがいかがか,お尋ねをしたいと思います。
以上です。
◎鎌倉 管理部長 まず,改善委員会でございますけれども,立ち上がりましたのは10月3日でございます。現在のところは,まだ開かれておりません。
それから,2点目の必要悪だというものに対する考え方でございますけれども,私どもは,地元の建設業者の受注機会の確保ということにつきましては,やはり地域経済のためにも必要なものというふうに考えております。これは地元企業ができるだけ多く入札に参加できる機会を確保しようと,こういう考え方でございまして,特定の企業を名指しをして受注させるようなことは,やはり公正な競争を阻害するのでございまして,これは間違った考え方であるというふうに考えております。
それから,3点目の新規参入でございますが,私どもは,新規参入につきましては門戸を閉ざしているわけではございませんで,この実績の評価につきましては,やはりほかの官庁の工事実績であるとか,それから委員がおっしゃった民間の実績なども十分に,判断をしているところでございます。
それから,4点目の機構の問題でございますが,現在,工事契約を担当しております部署は,私どもの管理部総務課契約係でございます。同じ建設局内に土木部のような発注部門があるわけでございます。ただ,私どもは,これまでも,公平中立的な立場で契約担当部独自で判断をするというようなことで,相互牽制作用を働かせながら円滑な工事の発注,契約を進めてきたところでございます。
ただ,本市以外の指定都市の状況は,やはり非常に多くの指定都市で,発注部門の属さない部局におきまして契約事務を行っていることは,委員ご指摘のとおりでございます。今後につきましては,それらの状況も十分参考にしながら,機構改革を所管いたします総務局を初め,関係局とも検討してまいりたいというふうに考えております。
それから,行動計画でございますが,委員がおっしゃっている意味は,恐らく改善策ができたときに,それらをきちんと進行管理するセクションと,こういう意味でお答えしてよろしゅうございましょうか。(「計画そのもの」と呼ぶ者あり)
この改善委員会は,これからいろんな形で検討されるわけでございまして,その中にそういった行動計画,それから進行管理,こういった問題につきましても,恐らくは事務処理体制についての検討もなされるというふうに私は伺っておりまして,こういった中で検討されるということで,これ以上の具体的なことにつきましては,現在の私の立場上,答弁は控えさせていただきたいというふうに思っております。
◆山口たか 委員 入札制度改善委員会はまだ開かれていないということですが,いつというふうにお尋ねしたのですが,お答えがなかったので後で一緒にお答えいただきたいと思います。
それから,いつまでにまとめるかということについても,お尋ねしたいと思います。
それから,今の必要悪ということについてのお答えの中で,地元建設業者の受注機会の確保ということであって,そのために特段の,1社だけを特別扱いするということは間違っているということで,私もそのとおりだというふうに思います。
毎年,助役名で出されている工事発注等に関する基本方針につきましても,受注機会の確保ということがうたわれているわけです。特段の配慮を行うということですが,逆に,必要悪だと言った方たちのご意見としては,このまま普通に真っさらな状態で入札をしてしまうと,大部分本州の大手企業に持っていかれしまうのだということで,こういう特段の配慮というのが必要なのだというお答えなのです。
私は,本当に地元の企業が発注をたくさん受けて,仕事をちゃんとしていただいて,適正な価格でいい仕事をしていただいて,そして,企業が安定して,札幌市にも税が入ってくるということが,やっぱり市民にとっても一番望ましいことですから,地元企業の育成ということについて,単に機会を,できるだけ門戸を広げるだけではなくて,本当に本州の企業と競っても遜色のないような企業に育てていくという視点も,また非常に大事ではないかというふうに考えるわけなのです。
その具体的な育成というものに関してのお考えがおありだったら伺いたいと思います。
それから,行動計画も含め,進行管理するセクションも含めて,これからの議論だということでございました。道なんかでも,入札指導監察官というセクションを設けて入札をチェックをしていくということなのですが,この問題は,何度か我が会派でも取り上げておりまして,例えば,94年でしたか,国の方の中央建設審議会の答申では,入札監視機関が必要だというふうに言っておりまして,それについてどう思うかということでお尋ねをしたときに,札幌市の場合は,監査委員が中心となってこの役割を果たすので,監査委員と調整を詰めて運用していきたいというふうなお答えがあって,それから4年ぐらいたつわけです。
そういうような意味でも,どんないい改善案なり出ても,それを実行に移してチェックしていくという体制が後からついてこないと,幾らつくってもやっぱりむだというか,絵にかいたもちになっていくだろうというふうに考えるわけです。その辺の進行管理のセクションについて,ずっと,検討すると言っていながら,これも検討していない。さっきの部分と同じなのですが,検討の結果,どうしてきょうまで放置されてきたのかということについて,あわせてお尋ねをしたいと思います。
それから,他都市は,ほとんどの都市というか,多くの都市というお答えでしたが,札幌市以外は,全部財政部門で入札関係やっていますよね。発注事業も持ちながらそういう契約もやっているというのは,政令市の中で札幌市だけですから,これはぜひ私は,検討に値するし,そういう方向に行くべきだろうということで,これは指摘をさせていただきます。
それから,雪堆積場の汚職問題があって,3月31日に,職務上関係する業者との対応にかかわる行動基準というものをつくりまして,いろんな形で,疑念を抱かれないような取り組みをされていることは承知をしておりますけれども,この行動基準,さまざまなことで,どうしても私的な関係で業者さんと飲食をするとか,そういう場合は届けるということになっていますが,これの実績といいますか,きょうまでどれぐらいあったのか,お尋ねをいたします。
◎鎌倉 管理部長 まず,改善委員会の開催と,いつまでまとめるかということなのですが,あすの午後に第1回目が開かれるというふうになっております。
それから,いつまでかということでございますが,おおむね年内には改善案を出していただくと,こんな考え方でございます。
それから,2点目の,ばらばらにしてしまうと,本州の企業に持っていかれるというようなことでございますけれども,決してそのようなことではなくて,委員のお話にもありましたように,私どもは,地元の企業でできる仕事はやはり地元にやっていただく,こういうことで従前から発注をしてきたつもりでございまして,一部には,非常に大規模な施設等についてはやむを得ないものもございますが,基本的な考え方は,そういうことでやってきているつもりでございます。
それから,3点目の監視機関の問題でございますが,これも,大変申しわけございませんが,そういう検討がなされてきたというのは,私もちょっと承知をしておりませんでしたので,それにつきましては,また,先ほどと同じ答弁で大変申しわけございませんが,私も,きちんと調べていきたいというふうに思います。
それから,行動基準の関係でございますけれども,お話にありましたように,本年1月に,私どもの建設局で不祥事がありました。これを私どもは重大に受けとめまして,以後,事件の再発防止と市民の信頼回復に向けて,局内の部課長会議,それから,従来からいる職員はもとより,新たに建設局に転入した職員も対象にいたしまして,延べ32回にわたりまして職員研修を開催して,服務規律の徹底を図ってきております。
具体的に申し上げますと,例えば,業界主催の会食を伴う会合等への出席についてはできるだけ控える,どうしても出なければならない場合には,極力その人数については減らすということ。それから,本市の登録業者約7,700社に対しまして,行動基準をお送りしまして,これに対する協力要請を行っているところでございます。
私的な関係であるとか職務上の必要性,また社会的な儀礼の範囲におきまして,業者の方々と接触する場合には,業者等対応届出書というのを事前に提出をさせまして,事例ごとに指導・アドバイスを行っているところでございます。
それで,その実績でございますけれども,職務上関係する業者等との対応届出書件数は,現在までに52件ございます。この内訳をちょっと申し上げますと,同窓会等の会食,こういったものが46件ございます。それから,釣り等趣味の会の親睦会が3件,それから中には,ビール券であるとかウィズユーカードであるとか,そういったものが何か机の上に上がっていたということで返却をしたと,こういう報告が2件ございます。これが現在までの状況でございます。
◆山口たか 委員 今のお答えで,必ずしも納得できない部分もございますけれども,例えば,地元企業の育成ということについて……(発言する者あり)
◎西條 土木部長 先ほど,何点かのうちに,委員がご指摘の地元企業の育成ということで,早晩的でなく,具体的にどんなことを考えているのだと,こういうことでございます。私,発注を統括している者でございますので,私から,この辺の物の考え方をご説明させていただきたいと思います。
まず,地元の業者の育成という点で申し上げますと,現在,ご案内のとおり,本市におきましても,非常に税収の伸び悩みという観点から,公共事業の執行は大変厳しい状況にございます。しかし,そう言いながらでも,可能な限り地場企業が受注機会を確保することと,また,企業に,対等に競争できる力をつけさせることが地元の企業の育成の基本だと,私は考えております。
そこで,具体的に申し上げますと,行政がまず行うべきものは何かといいますと,一つ目としては,建設業者の資金繰りの円滑化の観点ということから見ますと,工事などの着手に際しましての前金払い,あるいは工事請負代金の早期払いと,こういったことの推進を実施することであろうと。
また,二つ目としては,技術的な観点から申し上げますと,工事の監督業務,あるいは工事の安全パトロール,こういったものを通して技術あるいは安全管理の指導を行うと。
三つ目としては,経営者層を対象といたしまして,講習会等におきまして,業界の体質改善に向けた指導なり啓発を行うと,こういうことが私たちに課せられている大きなものであろうと。
また一方,業界に求めるものといたしましては,コストダウンによります競争力の強化,あるいは施工技術の習得,開発,こういったことで,みずからの力をつけるための努力が必要だと,このように考えております。したがいまして,ただいま申し上げたようなことが健全な地元企業の育成につながっていくと,こういうふうに私どもは考えております。
以上でございます。
◆山口たか 委員 私は,ちょっとそこが不十分なので再質問しようと思ったのですけれども,今,お答えがございました。私も,本当の意味で,長い目で見て,やっぱり札幌の企業が育っていくということが重要であるというふうに考えております。
財政が大変厳しい中で,これまでのような護送船団方式といいますか,あるいは公共事業に依存しているだけでは,多分,建設業界が健全に発展していくことは難しいという状況になってきているわけですから,その辺のところで,透明性,公開性を高めながら力をつけていっていただくということが非常に重要だということを指摘させていただきます。
改善委員会のことも,あしたということですし,年内にまとめるということですから,注目をしていきたいというふうに考えています。
最後なのですが,先ほどの業者との対応にかかわる行動基準,これ読みましたが,本当はこんなものはつくらなくても,職員一人一人の職業倫理として,公務員倫理として当然行わなければならないことですし,大部分の方は,これを読むまでもなく,そういうことでお仕事をされてきたと思います。ただ,中にはそうでない人がいらっしゃるわけですから,こういうものもつくっていかなくてはいけないということだろうと思います。議員との会食とかは禁止をされていないのですが,議員と会食をするとセットで業者がついてきてしまうという例が何件もあるということを聞いております。そのような場合,この行動基準に当てはまるのかどうなのか。その辺,私たちも誤解をされて,議員というのはみんなそういうことをやっているのじゃないかというふうに言われるのですけれども,その辺について,これはどうなのか,お尋ねをしたいと思います。
◎浅沼 建設局長 今お話の,議員の政治活動の中での私どもへの出席依頼というようなことも多くございますけれども,こういった事件が起きてから,私どもの方はできるだけ,そういったお話があった方にそういったことをお話して,出席を控えさせていただいてございます。それがいいのか悪いのかという話は,大変難しいことであろうかと思います。政治活動の一環というようなことも考えられますし,あるいは,市会議員の先生方は,地域の方々の代表者として選ばれてきた方々でございますから,そういったお話をお伺いする部分もあろうかと思います。
しかし,そういった会食を伴うという必要もないわけでございますから,できるだけそういった意味では控えているというのが現状でございます。
以上でございます。
◆山口たか 委員 わかりました。
誤解をされることのないように,李下に冠を正さずということもございますので,その辺は,私たち議員も含めて,服務規律といいますか倫理といいますか,高めていかなくてはいけないというふうに考えます。
そういう意味では,今回のことは,雪堆積場の問題があって,すぐということですから,市民の方の不信も非常に高まっているわけですから,その辺では納得のいく入札改善策をぜひ出していただきたいということを申し上げて,終わります。
◆山田一仁 委員 私は,雪対策問題について,ひとつ質問させていただきます。
本年度の雪対策でありますが,昨年度の反省から先だっての雪対策特別委員会等でもいろいろ質疑があって,反省点も出たということを聞きました。その反省点,昨年は,少し雪が多かった,そして早く降ったということでございますから,例えば,センターの開設を早めると,業者との契約を早めると,あるいは,センターの人員,要望を聞くための人員の充実を図っていく等々のお話があったということを聞きました。しかしながら,そういう改善は,それはそれでよろしいのかと思いますけれども,現実には,市民の要望というのは,雪を何とかしてほしいということでありましたが,雪を少しでも持っていくとか除雪を多くするとか,そういう回数的なものは,一つもふえるということはございません。
言うなれば,昨年と同じ雪であれば,昨年と同じような除雪体制しかできませんよというようなことではないかと,私は思います。
しかし,今,本当に雪対策が札幌市民のナンバーワンの要望であります。その雪対策の中でも一番の要望が,何とか雪を持っていってくれということであります。しかし,市民もそれはよくわかっておりますから,全部の雪を持っていけと言っても,持っていけないのは十分わかっているわけですから,それなりに市民の皆さん,地域の皆さんは我慢をしながら今日まで来ていると。しかし,その中でも,一部この辺は改善してほしいということが,地域住民,町内あたりから,いろいろ去年も出てまいりました。残念ながら,今,札幌市の除雪のあり方というのは画一的であります。決まったところを除雪します。雪がたまると切り込みをやって,もっとたまると排雪します。それが1回ずつです。それで大体終わりとなってしまいます。
確かに,これも市民の皆さん,この辺も,情報は聞いているのですが,今度は,もうちょっと小さな町内単位で,一つの大きな要望があります。
決まった形で,約10センチから15センチで除雪しますけれども,時にはその除雪をなくしてでも,この角の雪,コーナーの危ないところの雪を持っていってほしいというのが去年の要望でありました。ところが,残念ながら,去年は,それだけのことが,業者ができません。それは,業者とそういう契約がありませんから,別予算でも組んでくれるならば持っていくかもしれませんけれども,そういう形が聞き入れられてもらえませんでした。
何とかその辺の地域要望を,工夫をしてできないものかと,業者にお聞きしますと,例えば,1カ所の除雪をしなくてもいいのだと,だけれども,この部分の雪を持っていけるかというと,ある業者さんは,それは十分に工夫をすればできることでありますと,こう言っているわけであります。
今度は,そういうやり方をどうしたらできるのかということなのですが,連絡協議会というのがありますけれども,毎年毎年,12月にやって3月にやって,残念ながら,それで終わりであります。肝心な降雪時期の1月,2月,そのときにそういう要望がなかなか伝わりません。ましてや,マルチ業者,毎年毎年,業者が変わってくると,地域町内会長も困ってしまいます。1から10までずっと説明しなければならない。業者が,例えば,地元業者,これも後でお話ししますけれども,地元業者さんがやってくれれば,道路状況も把握できるのです。数年間継続してくれれば,状況が把握できるのです。ところが,今いろんな問題,山口委員も言われたような問題があるものですから,業者を,できるだけまんべんなくということですから,地元だけやるといろいろな問題があるということで,こういう形になったのでしょう。この問題は後にしても,この冬,いわゆる地域の要望をどうやって組み入れていくのかと。できるだけそういう,地域の皆さんも我慢をするところはしてくれるわけですから,その問題を,持っていってくれという要望をどうやって聞いていくかと。地域要望をどのように取り入れていくかということをまず1点お伺いします。
それと,もう1点,これは毎年同じことであります。市民の雪出しなのです。私どものところも,3車線も2車線もありますけれども,3車線は冬になりますと2車線です。2車線は1車線になります。車道も何とか車1台通れるのですが,皆さんご存じのように,片側1車線のところ,業者がずっと持っていきますと,その後に,市民がずっと雪を出してきます。1月,2月になりますと,車が中央線に向かって傾きます。大型バスなんかは,お尻がちょっと滑ったらぶつかるような道路体系になります。これをどうするか。
ところが,今のやり方でいくと,業者は,1回除雪すれば,それで契約どおりですからきちっと仕事をしたことになるのです。後の管理体制をどうしているのだというと,土木事業所なりいろいろの人がパトロールしていますということなのです。パトロールしたって雪は出てくるのです。対応をどうするのかというと,何ら対応がないのであります。
これとても,場合によっては,工夫すればできるわけなのです。今のやり方ですと,業者1回行ったら,今言ったように,終わりなのです。もっと業者と地元と,契約のあり方も,いろいろ工夫あると思いますけれども,今後,まず雪出し対策としてどういうふうな対応をしていくか。一気に妙案は当然出てきませんけれども,考え方があるのか,まず2点お伺いしたいと思います。
◎高橋 雪対策担当部長 まず,第1点目,除雪に対します地域からの要望への取り組みについてということでございます。
除雪事業につきましては,私どもも以前から,効果的・効率的な事業を実施するために,ソフト面それから運用面でいろいろ努力はしてきているつもりでございますし,そのように行動しているというふうに考えてございます。
委員からのご指摘もありますように,今冬からは,本格的な降雪を迎える前に,地域の状況を把握できるように,また路線の事前調査を行うことができるようにということで,業務の着手,昨年に比べますとおおむね10日間ほど早めまして実施したところでございます。
さらに,市民相談の窓口であります除雪センター,これも開設を早め,さらに業務の改善を図るということで,いろいろな情報の収集を図るべく現在進めているところでございます。
また,委員からお話がありましたように,地元からの要望につきましては,実施面で,受託業者,特に実際に重機を運転するオペレーターにも十分そのあたり,情報が周知できるようなことを考えておりますし,そのことによりまして,可能な限り地域の特性に即した対応が行えるというようなことで,現在,検討を進めているところでございます。今後も,さらにいろいろ知恵を絞りまして,ソフト面,運用面で充実を図るよう検討を進めてまいりたいというふうに考えてございます。
第2点目,道路の雪出しについてでございます。
この道路の雪出しにつきましては,道路交通の妨害,それから交通事故につながるようなこともございますから,平常の道路パトロールの中で,悪質な行為につきましては指導しておるところでございます。また,広報活動を通じまして,市民に協力依頼をしているところでございますが,委員ご指摘のように,効果につきましては,いまいちのところがございます。今後につきましては,この雪出し禁止のPRについて,さらに強く訴えるとともに,連絡協議会の回数も十分考慮したり,それから,小学校での教材に使っております「わたしたちの冬のくらし」というのがございまして,その中でもうたっておりますが,さらに強く,雪出しはいけないよと,禁止につきまして,小学生のうちから勉強していただくというような形で,広く市民への周知徹底を図ってまいりたいというふうに考えております。
以上でございます。
◆山田一仁 委員 それはもう前から,雪に限らず,ごみでも何でもそうなのです。雪出しの問題をやろうとすると,それは言うだけでは現実にできないわけですから,これをどうやっていくかということなりますと,なかなか,広報でやったところで,だめですよと言ったって,これはできません。方法論もいろいろ検討していかなければならないのですけれども,やはり検討するためには,業者と地域とがある程度組まなければできないわけなのです。業者さんは1回やれば,それで終わりなのです。そういう契約のあり方を変えることによって,ある一面では,その道路を管理してもらうと,その業者さんにやってもらうと,そのぐらいの気構えでやるならば,地域ともっと密着して,できるわけです。なおかつ,そこに,例えば,地元の業者が入ってくるならば,もっと親密に,できるわけなのです。こういう除雪の問題というのは,言うなら,私ども,この辺では,局長にちょっとお願いしたいところなのですけれども,雪の場合は,やはり一種独特だと,私は思っております。
札幌市の一般的な事業と雪事業は一緒というのが今の札幌市の考え方ではないかと,私は思いますが,そのために,どうしても業者,マルチの業者が決まります。ところが,本来ですと,地元の業者が最善なのですが,それをやりますと,当然,いわゆる業界の公平性ですとか独占だとかという言葉になってまいります。あるいは,同一業者が複数年やると,それも一つの独占的なものだと。いわゆる,何らかのデメリットも当然あります。しかし,そういうことにすると,メリットが物すごく大きいのも事実なのであります。そのどっちをとるか,これがやっぱりこれからの21世紀の雪対策だと思うのです。十何年ですか,ずっと同じことを20世紀はやってきた。今度は21世紀の雪対策じゃないですか。雪というものを根本的に考え直して,別なのだという考えでひとつやっていくということが,局長,大事じゃないかと。建設局長として,この雪対策というものを一つの事業としてどう考えるか,その辺の局長の一つのお考えをちょっとお伺いしたいと思います。
◎浅沼 建設局長 今,委員のお話のとおりでございまして,この除雪事業というのは,やはり地域と密着した,あるいは密接な連携のもとに進める必要がある事業であるというふうに考えてございます。ただ,この除雪の作業自体のことを申し上げますと,これは,一般的な土木工事とそう変わるものではない,特段の特殊性はないというふうには考えてございます。これは作業面のことでございます。
ただ,やはり何と申しましても,地域の実情をいろいろと把握をしながら,あるいはその地域のニーズによりこたえる必要もございますから,そういった企業間の情報の引き継ぎ等を十分に行う必要があるだろうというふうに思っていますし,やはり行政と市民あるいは受託業者との協力体制をきちんとしていかなければならいのではないかと,このように考えてございます。
一つ,複数年とかというようなお話もございますが,私ども,昨年から公募型指名競争入札というようなことで,入札制度を変えさせていただきました。これは,マルチゾーン除雪の部分でございますけれども,やはり入札参加の機会の公平であるとか公正性といったことを考えて,そういった観点で導入を図ったところでございますが,実際上は,やはり地域に精通している企業もその地域に参加ができる,参加しやすい,あるいは応募しやすいという制度にもなっているわけでございます。
したがいまして,こういった中で,その地域に精通している業者が,そういった地域に入っていくということは,やっぱり好ましい部分もあるだろうというふうに考えてございます。
以上でございます。
◆山田一仁 委員 その辺,本当に,地域の業者がやると,実際には,確かにデメリットもあるのですが,メリットは地域をよく把握している。やはりふだんからつき合いがあるために,時には業者だって,通常より一生懸命やってくれる。全く知らないところよりはやりやすいわけですから,そういう面では,地域,地元業者ができるだけ受けた方が,私は理想だと思います。
あるいは,複数年することによって,業者が,3年間とか2年間とか,もし受けられるのだとするならば,それなりに,人員なり機械整備なり,投資もできるわけですから,安心感があって,地域のためにやれるということになると。大いにその辺はこれから検討していかなければならないと,私は思うのであります。
そういう中において,土木事業の一種だと,こう局長が言われましたけれども,その機会が云々と。それは土木の一つかもしれませんが,私は,根本的な考えで,雪というものは,全くそうじゃない。札幌市の土木事業や建設事業と一緒にされては,これから雪対策はできないと。雪というものは,私は,建設局だけでできるものじゃないと思うのです。
例えば,私も昨年度の代表質問で,公園のいろいろな使い方をということで質問させていただきました。そのときは,公園での下水管の利用とかそういうような形でしたけれども,このたび,公園の担当者と,こういう話をさせていただきました。何とか公園を雪対策で使えないだろうかというお話をさせていただきました。これは先ほどの地域問題と同じなのです。去年の場合,どうしてもコーナーとかに雪がたまりました。業者さん,この雪を持っていってと言っても持っていってくれない。ところが,その雪をちょっと公園に置けば,その部分の安全性が保たれるという箇所がありました。何でその雪を公園に置かせてくれないのだろうかと,こう思いまして,公園管理課にもいろいろお聞きしましたところが,公園管理課は公園管理課なりの理由があります。
業者に,これも聞きました。例えば,一時的にそこに置いて,1週間か2週間できちっと排雪するから,一時的でも置かせてくれると非常に我々もやりやすいですよと。もし,そういうふうにやった場合,費用はどうなのですかと。それは工夫することができますよと,業者の方で言ってくれました。ところが,公園管理課は,だめであります。
もう1点,私の町内でありますけれども,ある単位町内であります。夏場は,その町内でごみ拾いや草刈りなど,公園を管理している町内ですけれども,そこの町内の役員さんときのうもお会いしたのですが,5軒の,独居老人がいらっしゃいまして,その独居老人宅の除雪を町内でやるそうでございます。町内にもちょっとした機械を持っている人がいるから簡単にできるのですよということなのです。ところが,雪を持っていくところがないのです。その雪を一度,公園に持っていったら,機械で持っていったものですからとんでもないことになって,公園管理の方から怒られて,看板,ばんと立てて,だめだと,こうなっちゃった。持っていくところがないものですからどうしようもないわけです。
言うならば,そのくらいの雪すらもだめなのですかということで,公園管理課にお聞きしました。公園管理課の方に,ここに来てくださいというわけにいきませんでしたので,公園管理課の方から,4点ばかり,だめな理由をお聞きしました。全部読むわけにいきませんが,現実には,一時的,限定的にせよ,現実に公園が雪捨て場と化してしまい,管理上,大変な問題になる。監視制度が必要で,これは不可能であると。
あるいは,限定的,一時的と言えども,やるこ2,000何カ所の公園に広がる可能性があると,これは公園管理課の言い分であります。当然,これはあるでしょう。遊具だとか樹木だとか,やはりこういうところが一部破損する,これは当然出てくることだと思います。僕は当たり前だと思っているのです。しかし,これだって,一つの方法として,工夫すればやれないわけじゃないのです。夏場は地域の町内が公園をちゃんと管理しているじゃないですか。町内がやってくれるならば,それも町内ときちっとタイアップするならば,一時的に全部の公園を雪捨て場にせと言っているわけじゃないのですから,一時的なものとするならば,このくらいはできるじゃないですか。しかし,これは,今度,公園管理なのです。雪対策じゃないのです,助役。
これは本当に,雪というものを全市的に考えなかったらだめなのです。今たまたま,下水管で雪対策やっております。これは下水道局。しかし,これはまた膨大な金をかけてやっているわけですから,これをもっともっと普及できるなら,私どももいいと思いますけれども,これ以上予算をどんどんどんどんふやせるような現状でないことは私どもも認識しております。この限られたお金の中でどうやってやるかというと,工夫なのです。デメリットもありますけれども,メリットもあるのです。
ところが,今の局長の答弁の中で,私から言わせれば,やっぱり行政システムが大事なのです。市民の雪対策は後なのです。市民の雪対策のためには,システムを多少変更してでも変えていかなきゃならぬと思うのです。そういう意味で,これは助役にひとつ答弁をお願いしたい。
雪というものは,一事業と違うのだと。雪は特別なのだと。雪だけは別格な事業ですよと。そうするならば,全庁挙げて,公園管理課も協力してくれるわけです。公園管理課だけでなくて,ほかに札幌市の保有地の問題も全部言ったら切りがないですが,そういうすべてのところが協力してくれるのじゃないですか。その辺で,ぜひ助役に,雪は特別であると。
だからといって,すべて,私が言っていることがいいと言っているわけじゃないですけれども,そうしたら除雪対策も,そうすることによって,もっともっと工夫できるじゃないですか。雪なんか一遍にすべて持っていけるものじゃないです。少しでも今より改善しようとするなら,現状システムを改善する。改善して,雪だけは別格に見るのだという意味で,助役,どうぞひとつ特別であるというご答弁をお願いしたいと。
◎魚住 助役 雪は本当に市民要望の第1位ということで,もう二十何年間トップであるわけですから,私どももそれなりに,雪対策というものは市政の重点課題として取り組んできております。そういう面から,今お話がありましたけれども,公園とかいろんなところに市の空き地があるわけですから,そういうことを各区単位でやればいいのか,または全庁的にやればいいのかということを含めて,地域の皆さんの協力もなければいけないと。
ですから,ある人はここの雪を持っていってくれと。ところが,そこに雪が来たところの人は,なぜうちの前に持ってくるのだと,そういうふうなことのないように,やっぱり地域の皆さんのご了解を得ながら,今のご提案につきましては検討させてもらいたいと,こう思います。
◆村上勝志 委員 私からは,冬期歩行環境の向上についてお伺いいたします。
ややまくら言葉的になっていますけれども,22年間継続して市民要望のトップに挙げられるのが,除排雪を中心とした雪対策であります。これまでの雪対策は,円滑な自動車交通の確保を前提に,経済活動を支えるとともに,あわせて冬期の生活環境の向上を目指してきたものと認識をしております。この結果,幹線道路の車道については除排雪の充実が図られ,市民も肯定的な評価をしているものと考えております。しかし,いまだ生活道路の除排雪の苦情,要望が多いのも事実であります。
一方,歩行者対策に目を向けますと,人通りの多い歩道など,つるつる路面に足をとられ転倒する姿も見かけ,いまだ不十分ではないかと考えるのであります。
このことに対し,本年8月に策定されました札幌市雪対策基本計画では,幹線道路中心の雪対策から生活道路に配慮した雪対策へ,冬期路面管理の充実,環境問題への対応などを特徴とした計画の策定がなされました。この中で,重点施策の一つに,冬期歩行環境の向上を掲げ,地下鉄やJR駅,福祉総合施設など,公共施設の周辺において改善を図るとしております。これは,第4次札幌市長期総合計画を受けたものであり,同じく長総より派生した都心交通ビジョンの具現化,公共交通機関を軸とした自動車の適切な利用による交通体系,機能を実現するための施策かと考えております。
本年,11月1日には交通バリアフリー法が施行されることになり,今後は,冬期においても市民が安全かつ快適に活動できる歩行環境の充実が求められているものであります。
そこで,伺いますが,これまでの冬期歩行者対策の内容はどうであったか。また,新しい基本計画ではどのような改善を加えたのか,あわせてお聞かせ願います。
◎舩越 道路維持部長 冬期歩行環境の向上についてでございます。
まず,これまで行ってまいりました対策につきましては,平成8年度以前におきましては歩道除雪に頼るのみでございましたが,9年度以降につきましては,利用者の特に多い一部の公共施設でありますとか,地下鉄駅周辺などで,試行的に凍結防止剤でありますとか滑りどめ剤の応急的な散布を実施してきたところでございます。
また,新しい基本計画におきます改善点でございますが,平成10年度に行いました市民アンケート調査におきましては,歩道での転倒でありますとか,雪解け水による歩行難でありますとかが課題として提起されまして,より一層の歩行者対策が求められたということでございます。
そこで,これらの意見を踏まえまして,新計画におきましては,すべての地下鉄駅やJR駅,利用者の特に多い公共施設などを強化対象箇所と位置づけまして,その周辺歩道に対して,凍結防止剤の計画的散布や融雪水の処理,でこぼこの解消を一層強化することとしまして,冬期歩行環境の向上を目指すこととしたところでございます。
以上でございます。