札幌市議会 1998-03-10
平成10年第一部予算特別委員会−03月10日-02号
平成10年第一部
予算特別委員会−03月10日-02号平成10年第一部
予算特別委員会
札幌市議会第一部
予算特別委員会記録(第2号)
平成10年3月10日(火曜日)
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●議題 付託案件の審査
●出席委員 34人
委 員 長 宮 本 吉 人 君 副委員長 加 藤 斉 君
委 員 越 智 健 一 君 委 員 小 谷 俵 藏 君
委 員 室 橋 一 郎 君 委 員 佐 藤 美智夫 君
委 員 常 本 省 三 君 委 員 村 山 優 治 君
委 員 千 葉 英 守 君 委 員 原 口 伸 一 君
委 員 三 上 洋 右 君 委 員 佐々木 肇 君
委 員 笹 出 昭 夫 君 委 員 新 山 君
委 員 鈴 木 健 雄 君 委 員 勝 木 勇 人 君
委 員 岡 本 修 造 君 委 員 澤 木 繁 成 君
委 員 川口谷 正 君 委 員 大 西 利 夫 君
委 員 岩 木 みどり 君 委 員 小 野 正 美 君
委 員 常 見 寿 夫 君 委 員 丹 野 勝 君
委 員 春 原 良 雄 君 委 員 小 田 信 孝 君
委 員 高 橋 功 君 委 員 高 橋 重 人 君
委 員 生 駒 正 尚 君 委 員 横 山 博 子 君
委 員 山 口 た か 君 委 員 中 嶋 和 子 君
委 員 福 士 勝 君 委 員 田 中 昭 男 君
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開 議 午後1時
○宮本 委員長 それでは,ただいまから,第一部
予算特別委員会を開会いたします。
報告事項でありますが,特にございません。
議事に先立ちまして,審査方法について理事会で申し合わせをいたしましたので,ご報告をいたします。
まず,質疑及び答弁者は,起立をして発言していただきます。
次に,答弁を行います部長及び課長は,冒頭に職,氏名を名乗ってから発言をしていただきます。なお,答弁が継続する場合は,最初だけで結構でございます。
また,委員から特に答弁者を指名した場合には,その方に答弁をしていただきます。
以上,よろしくご協力をお願いいたします。
それでは,議事に入ります。
議案第1号 平成10年度札幌市
一般会計予算中関係分ほか付託議案21件を一括議題といたします。
初めに,平成10年度札幌市
一般会計予算中,歳入のうち一般財源,第4条の第4表地方債のうち関係分,第5条の一時借入金の
借入れ最高額,第2款 総務費 第1項
総務管理費中関係分,議案第37号 平成10年度
当せん金付証票の
発売限度額を定める件,第2款 総務費 第4項 税務費及び議案第24号 札幌市税条例の一部を改正する条例案を一括して質疑を行います。
◆鈴木 委員 私は,本市の中長期的な
財政運営について,
地域経済対策について,さらに市税について,大きく3点に分けて質問をいたしたいと思います。
先日,我が党の
代表質問で,市長の基本的な考え方をお伺いしたところでありますが,本市の
財政運営の中長期的な課題と短期的な当面の課題を中心に,もう少し具体的にお伺いをしたいと思います。
まず初めに,中長期的な
財政運営についてでありますが,
財政構造改革は,国,地方を通じた最大の懸案事項の一つであり,昨年3月来掲げられてきた
財政構造改革五原則の達成に向けて,11月28日には,
財政構造改革の推進に関する
特別措置法が成立をいたしております。
このような時代の要請の中で,本市におきましても昨年7月から,あるべき
行政サービスとは何かという視点に立って,すべての事務事業を見直すべく事業再
評価プログラムに取り組まれているところであります。
また,予算案と同時に発表された
行財政改革推進計画では,職員,機構の削減とともに
市債発行の抑制に取り組むこととされており,平成10年度の予算を見ますと,
市債発行額については932 億円と,昨年度に比べ81億円,8%の減となっており,
財政構造改革に取り組む本市の意気込みが十分に伺える予算となっていると評価をいたしているところであります。
そこで,質問でありますけれども,昨年の7月,事業再
評価プログラム実施の際に公表された財政事情の
仮定計算例では,平成10年度以降,毎年300 億円を超える
財源不足が見込まれ,平成10年度では,その額が370 億円とされておりました。この算出の前提は,
財政構造改革で掲げられた方針について,一定の仮定ごとに機械的な手法でなされたものと伺っておりますが,平成11年度以降の
財政運営を考える上でも重要なポイントとなると思いますので,具体的には,この
財源不足がどのように解消されたのか,まず,お示しをいただきたいと思います。
また,先日,我が会派の
代表質問に対して,市長は,今後見込まれる
財政需要については,公債費,
高齢者関連経費及び
公共施設更新経費を挙げられておりました。公債費については,累増する市債残高の問題がたびたび取り上げられておりましたし,
高齢者関連経費については,日本は世界に例を見ないスピードで高齢化が進んでいることは周知の事実であり,十分理解をしているところであります。
しかし,
公共施設更新については,300 校を超える
小・中学校を初め,区役所,
区民センターや体育館,プール,さらには
地区センターなど,かなりの数の
公共施設があると思います。この更新にかかる
財政需要が今後の
財政運営の制約になるということについては,十分に理解がされていないのではないかと思われます。
そこで,この問題について,もっと具体的な例を挙げて,ご説明をいただきたいと思います。
続いて,本市の短期的な当面の最重要課題とも言える
地域経済対策についてお伺いをいたします。
本市においては,
財政構造改革への取り組みを確実に推進させる必要がある一方で,
地域経済が拓銀の経営破綻などもあり深刻な状況にあることから,景気浮揚のための政策も強く求められているところであります。
予算の編成においては,この二つの課題のバランスをどうとるか苦慮されたのではないかと察するのであります。しかし,この
財政構造改革や景気対策については,全国の自治体に共通した課題であり,他の
政令指定都市においても同様であったと思います。
そこで,お伺いしますけれども,平成10年度の本市の
予算規模及び
地域経済とのかかわりが深いと思われる
普通建設事業費について,対前年伸び率は他の政令市と比較してどうであったのか,お尋ねをいたします。
さらに,現下の厳しい
経済状況を踏まえ,本市は,
地域経済対策としてさまざまな施策を講じられたと思われますが,一方で
財政構造改革路線との整合をどのように図られたのか,あわせてお伺いいたします。
続きまして,市税についてお尋ねをしたいと思います。9年度の市税の
決算見込みについてであります。
新聞等によりますと,道税では,
法人事業税,
法人住民税の法人二税の税収が,当初見込みより約15%下回る事態であるように報道をされております。
そこで,市税の
収入見込みについてですが,さきに
補正予算の財源として,市民税の12億900 万円を充てることにしておりましたが,特に景気の影響があると考えられる
法人市民税は,前年度と比べ,どういう動きにあるのか,また,平成9年度の
市税決算見込みはどの程度になるのか,お伺いをいたします。
また,景気の停滞が長期間に及んでおり,本市の納税環境も大変厳しい状況にあると思います。したがって,税の徴収については,日ごろから新たな発想や創意工夫をもって,懸命に努力をされていると思います。
昨年4月に税政部に,納税対策を強化するということで,
特別滞納整理対策室を設置し,鋭意取り組んでおられると伺っておりますけれども,現時点での整理状況と今後の見通しについてお伺いをいたします。
◎猪野毛
財政部長 1点目の中長期的な
財政運営についてご説明を申し上げます。
最初に,
財政需要の
仮定計算と平成10年度予算との比較の関係でございます。
結論から申し上げますと,歳入で,
仮定計算より予算において90億円増加をいたしました。一方,歳出では280 億円減少をいたしてございます。合わせて370 億円の
財源不足を解消したと,こういうことになってございます。
それで,歳入の部分についてでございますけれども,これにつきましては,
地方財政対策の中で
地方収支不足が生じたことから,これを補てんするために
地方交付税に追加がございました。この部分が約110 億円ぐらいございまして,これがその増加の大部分で,それをオーバーしてございますが,それ以外に譲与税とか交付税の減がございまして,プラス・マイナスで90億円の増加になったものでございます。
それから,減になった歳出の関係でございますけれども,これにつきましては,
普通建設事業費,これの中でも特に
単独事業費について,当初の
仮定計算の中では,毎年,
単独事業は多かったり,少なかったりする状況にございまして,平成8年度はどちらかというと多い予算づけの年でございました。それを一応セットいたしまして,
仮定計算をいたしました。
ご存じのとおり,10年度において歳出は,前年度より,単年度事業についてはマイナス4.1 というような予算を組みました。そういうような格好で,この
単独事業が240 億ほど減になりました。
一方,そのほかにも国の
補助事業の絡みで,当初7%ほどの減で
仮定計算しておりましたけれども,それがさらに多くなったというようなことなどから,40億ほどマイナスになると,そういうことで,歳出が280 億の減,合わせて370 億の
財源不足を解消しているというものでございます。
それから,2点目の
公共施設の更新の具体例でございます。
一つには,昭和47年度に
政令指定都市へ移行いたしまして,当初七つの区を設置いたしまして,区役所あるいは
区民センターなどの施設を建設いたしました。この建設は昭和47年から54年に集中をしてございます。建設後35年の耐用年数ということで更新いたしますと,平成19年から26年度の間にこれらの更新が来るということになります。
それから,もう一つは,昭和40年代から50年代において,人口増あるいは第2次ベビーブームというようなことで,児童・生徒数が急増いたしました。これに伴って
小・中学校新設のラッシュがございました。昭和43年から59年までは,ほぼ毎年2けたの設置をしております。ピークの昭和52年には17校の新設がございました。ご存じのとおり,この9年,10年度は,各1校ずつの新設でございますので,いかに多かったかということがわかると思います。
そこで,更新について先ほどと同様に耐用年数を35年ということで見まして,5年ごとの対象校数を見ますと,平成10年から14年では19校,年平均すると大体4校でございます。それが15年から19年には52校とふえます。それから,20年から24年には68校,平成25年から29年は72校ということで,この5年間では年平均14校から15校の更新が必要になるというようなことが予想されるところでございます。
それから,2点目の
地域経済対策の関係でございます。
1点目の
予算規模等についてでございますが,まず
予算規模につきましては,一般会計の当初
予算ベースで比較いたしますと,本市は緊縮型ながらも,対前年度で1.3 %増の予算を組んでございます。この率は,
政令指定都市の中では最も高い伸びとなってございます。
次に,
普通建設事業についてでございますが,
一般会計ベースの本市の対前年度の比較ではマイナス5.9 %になってございます。
政令指定都市の平均でいきますと,マイナス10.2%でございますので,その減少率は低くなっております。
それから,2点目の
財政構造改革とのバランスの関係でございます。
予算編成に当たりましては,
地域経済対策に関しまして,
財政構造改革とのバランスをどうとるかということにも配慮したところでございます。このため,
市債発行や歳出の削減を図りながら,
市債発行額が前年度比で8.0 %減の932 億円に抑えるなど,
財政構造の改善を図るよう努めながら,一方,
地域経済対策については,最大の,減にならない配慮を心がけたところでございまして,その一つには,
中小企業金融対策資金貸付金について,当初予算比較では46億円,融資枠では86億円の増額を図りますとともに,融資期間の延長などの融資条件の緩和を図っております。
それから,二つには,国の
補助事業の大幅な減少を考慮いたしまして,
普通建設事業費にかかる
単独事業における縮減率の緩和を行いまして,総事業費の確保を図ってございます。
さらに,三つ目としては,全体の歳出の抑制を図っている中で,施設の修繕・改修など,緊急性が高い小額工事について可能な限り予算化を図った。例えば,学校施設とか,
社会教育体育施設,あるいは既設公園,
歩道リフレッシュ等について,9年度は134 億円ほどでございましたが,これよりも6億円ほど増額いたしまして,10年度では140 億円というようなことで,可能な限りの対策を講じたところでございます。
以上です。
◎伊藤 税政部長 市税についてお答えを申し上げます。
第1点目の平成9年度の市税の
決算見込みについてでございますけれども,1月末での状況でございますので確かなことは申し上げられませんが,まず前段の
法人市民税が前年度と比較してどうなのかというお尋ねでございます。
平成8年度は,
金融機関関係の不良債権の有税償却に伴う
特殊要因等から,7年度に比べまして19.2%の伸びを示したところでございます。しかし,9年度におきましては,景気回復のおくれ等から,8年度に比べまして約11%の減となっております。これは,
市内本店法人も,
市外本店法人も,ほぼ同程度の減ということになっておりまして,これは本市同様,全国的に厳しい状況にあるというふうに考えております。
次に,平成9年度の
決算見込みについてでございますが,増収要因といたしましては,
個人市民税の1人当たりの所得の伸び等や
固定資産税の
償却資産分で,設備投資の伸びについて当初の見込みを上回るということから,増収が期待できるところでございます。
しかし一方,減収要因といたしまして,長引く
不動産不況等の影響で,
固定資産税の土地・家屋分,
都市計画税及び
滞納繰越分につきまして,減収が見込まれるところでございます。
その結果,現時点における9年度の市税の見通しといたしましては,さきの
補正予算におきまして12億円を充当したところでございますが,なお10億円程度上回るというふうに見込んでいるところであります。
いずれにいたしましても,決算までの間に,職員が一丸となりまして,税収の確保につきまして努力をしてまいりたい,このように考えております。
次に,2点目の
特別滞納整理対策室にかかわるご質問でございますが,平成9年4月に,全市的な立場から
滞納整理等に取り組むために,2年間の時限で税政部内に発足させたところでございます。
各区から,主に滞納額が1,000 万以上の
高額困難案件161 件,約67億円の引き継ぎを受けまして,鋭意,
納税折衝等を進めてまいりました。
その結果,2月末までの状況でございますけれども,収入額として約4億円,滞納処分の停止等といたしまして整理したものが約1億円となっております。
今後,5月の
出納閉鎖期間までに,さらに1億円程度の収入が見込まれまして,また,不良債権の整理等につきましても,積極的に行っていくという予定をしております。
以上でございます。
◆鈴木 委員 ただいまの答弁で,370 億円の
財源不足の解消は,主に
予算規模の縮減と,歳入における
地方財政対策による
地方交付税の増額によるものだということは理解をいたしたところであります。
また,平成10年度の
地方財政対策におきまして,
財政構造改革の集中期間である平成12年度までの3年間については,地方の
財政不足が生じた場合,
地方交付税対応分については,原則として後年次において,国と地方が折半して補てんするなどの措置を行うこととされております。このことが,歳出の改革と縮減を前提とはしながらも,
地方財政の収支不足に対しては
補てん措置がなされることを保障するものであると理解するところであります。
財政需要の
仮定計算におきましては,平成11年度以降も10年度と同様の
財源不足が生じるものと見込まれておりましたが,この
地方財政措置を踏まえますと,その見通しについてはかなり変更があるものと考えられるところであります。特に,この
財政構造改革の集中期間である平成12年度までの期間について,本市の
財政収支についてどのような見通しを持っているのか,お示しをいただきたいと思います。
また,今後増大する
財政需要についてでありますが,今ご説明いただいた
公共施設更新経費の内容については理解をいたしたところであります。
確かに,積極的な整備を行ってきた
公共施設も,時とともに老朽化をして,部分的な改修などの手をかけても,おのずと限界があることは想像できますし,一たん整備された施設については,地域住民によって
コミュニティ活動の重要な拠点などとして活用されておりますので,これらを維持していく必要もあります。
そこで,質問でありますけれども,公債費,それから
高齢者関連経費,
公共施設更新経費は,今後の大きな
財政需要になると理解をいたしますので,いつごろから,またどの程度の規模の
財政需要が見込まれるのか,概算でも結構でありますので,お示しをいただきたいと思います。
また,厳しい
財政状況の中で,
地域経済対策にいろいろ配慮していることは十分わかりましたが,しかしながら,道内経済は,全国的に見ても一段と厳しい状況にあることは衆目の一致するところであります。当初予算において,当局の配慮はそれなりに評価できますが,さらなる対応が求められることも十分考えられると思うのであります。
国においては,
財政構造改革路線を堅持しながらも,景気回復のために新たな財政思想を含めた
経済対策を求める動きが伝えられております。
さきの
代表質問の答弁の中で,国の補正が行われた場合の本市の対応について,市長は,財源など十分勘案の上,これを活用することを検討する旨回答されましたけれども,現下の厳しい
経済状況を考えますと,
地域経済対策としての補正はぜひ必要でないかと痛感をいたしております。しかし一方では,中長期的な本市の
財政構造を改善していくことも市政の重要な課題であることをかんがみると,従来型の
公共事業の追加だけでよいのか,疑問の残るところであります。
そこで,国の補正が行われた場合の本市の対応についてでありますけれども,
財政構造改革の観点からも,例えば,
高齢化社会の進展等,
社会構造の変化に対応した新しい視点からの検討など,何らかの工夫が必要になるものと思われますが,当局としてどのように考えておられるのか,お伺いをいたします。
さらに,市税についてでありますけれども,9年度の市税については補正後の予算額を確保されるということですが,10年度についてはどうなるのか,また心配されるところであります。
経済見通しについてもまだ不透明なところもありますし,市税を取り巻く環境は好転する状況にはないのではないか,そんなふうに思うところであります。
そこで,平成10年度の
市税予算について,
経済情勢等も勘案し計上されたものと思いますが,10年度の
市税予算が前年度の当初予算に比べ0.2 %増という低い伸びとなっております。この
市税予算の見積もりに当たっての基本的な考え方とその特色についてお聞かせを願いたいと思います。
また,この機会に,
固定資産税につきまして1点お伺いをいたします。
私は,
固定資産税が地方分権後においても,市町村の基幹税目として極めて重要な役割を果たしていくとの認識に立ちまして,そのためには,市民の皆さんからこれまで以上に信頼が得られる,また,
年金生活者も安心できる安定した制度とならなければならないという立場から,その均衡化,適正化に向けた取り組みの状況について,平成9年3月の
予算特別委員会で,そして,10月の
決算特別委員会でお尋ねをし,9年度の評価替えでは,負担水準の高かった土地については税額の引き下げを行うなど,税収の伸びをある程度犠牲にしても,信頼の確保を図るために,従来にはなかった取り組みが行われていることをお聞きいたしたところであります。
その中で,本市では地価下落が引き続いているので,平成10年度には,この下落に応じた価格修正を行うということでありましたので,その結果と影響額についてお伺いをいたします。
◎米田 財政局長
補正予算についてご質問がありましたので,私からお答えさせていただきます。
代表質問の折にも,市長からお答えしましたとおり,私どもが今後補正に臨む基本的な考え方というのは,何よりも,札幌市にとってどのような投資が必要なのかということがまず第一でございまして,それが経済に対してどのような影響を及ぼすかというのは二次的な問題だと思っております。
その中で,当然,制約条件といたしましては,
財政構造改革の問題もあります。将来にわたってどのような借金を負うかというのは,非常に考えるべきポイントでございます。
したがいまして,一つは,国の方で,例えば札幌市が何か事業を行う場合に,どのような財源措置を用意してくれるか,それをどのように活用することが一番札幌市にとって有利かという点も非常に重要なポイントになろうかと思います。
そういう中で,国においてどのような
経済対策がとられるかということは,今議論がされておりますし,どのような形態のものになるか,例えば,減税がいいのだとか,それから,従来型の
公共事業と言われておりますもののほかに学術とか,通信とか,そういうものでやってはどうかというようなことも新聞紙上をにぎわしておりまして,市町村にどのようなことができるかということは,今後の議論になろうかと思います。
が,今申し上げましたような基本的なスタンスは堅持しながら,財源等についても検討していきたいというふうに考えております。
以上です。
◎猪野毛
財政部長 1点目の11年及び12年度の本市の
財政収支についてでございます。
地方交付税の増額措置,あるいは
普通建設事業の単独分の
予算措置を平成10年度と同様とする前提で考えてみますと,
仮定計算例でお示しいたしました大幅な
財源不足は生じないというふうに見込んでおります。
しかし,税収の大幅な伸びというのが期待できませんし,扶助費あるいは公債費などの
事務的経費というのは増嵩傾向にございます。そういう意味では,厳しい見通しには変わりはないのではないかというふうに考えております。
それから,2点目の公債費等の将来見通しについてでございます。
まず,公債費でございますけれども,
行財政改革推進計画で定めております
市債発行削減目標を達成して,平成14年度以降も800 億円の発行額と,こういうふうにした場合でも,平成23年度までは毎年度40から50億円の増加が続きます。
その後の伸びは鈍化いたしますけれども,平成27年度にピークになって,このときの額は1,413 億となり,平成10年度の782 億円の1.8 倍になる見込みでございます。
続きまして,老人福祉施設扶助費,ゴールドプラン関係費,あるいは老人医療費などの
高齢者関連経費でございますけれども,これは現行制度で一応見積もらせていただきました。
それによりますと,毎年度30から40億円の増加が見込まれます。平成10年度では362 億円でございますけれども,10年後の20年には709 億円,平成30年には1,152 億円と,こういうふうに見込まれるところでございます。
それから,三つ目の
公共施設更新経費でございます。
先ほども言いましたが,築後35年を経過したものを対象として試算をいたしますと,平成11年度の46億円に始まりまして,平成15年度には270 億円,その後,年度間にはばらつきがございますけれども,年間200 億から400 億円で推移をし,ピークの平成24年度には416 億円が見込まれるところでございます。
以上です。
◎伊藤 税政部長
市税予算の見積もりに当たっての基本的な考え方についてでございますが,これまでも国が示します時々の
経済見通しなどの指標をもとに,各税目ごとの課税実績と過去の推移,収入状況や
収入見込み額,その他各種資料等,例えば,個人消費,企業設備投資,
民間住宅建設,あるいは公共投資等の状況を勘案いたしまして,さらには実地調査を行うなど,最大限の方策を講じながら,適切な予算見積もりに心がけているところでございます。
固定資産税の関係でご質問がございましたので,お答えいたします。
平成9年度の土地の評価替えにつきましては,平成8年7月1日時点の地価を基準にいたしまして,評価替えを算定をしたところであります。
その後も地価が下落している地域があることから,平成10年度では,平成8年7月1日から平成9年7月1日までの1年間の地価の下落状況を反映させるために,評価額の修正を行っております。
本市における,この1年間の地価動向につきましては,都心部では約20%の下落,しかし,住宅地の大部分では横ばいないしは上昇といった状況でございまして,すべての土地につきましては,評価額が下がることにはなりません。
これを宅地の全市平均で見ますと,平成9年度の評価額に対しまして約5%下落する状況となったところでございます。また,これが,税収への影響額につきましては,
固定資産税で約12億円,
都市計画税で約3億円,合計で15億円程度の減収となるものと考えております。
なお,先ほど申し上げました地価の状況からいたしまして,負担税額が平成9年度より減少いたしますのは,下落状況の顕著な都心部を中心とする商業地でございまして,大半の土地は前年度の据え置きないし2.5 %程度の負担増をお願いする状況にございます。
前段ちょっと私申し上げまして,失礼しました。先ほど申し上げましたように,見積もりの基本的な考え方につきましては,経済指標等々を駆使いたしまして,実地調査を取り入れて,厳格に予算の見積もりに心がけているというふうに申し上げましたけれども,10年度の予算額につきましても,これまでの考え方に沿いまして見積もりをいたしたものでございますが,ここに税制改正がございまして,
個人市民税の特別減税など,平成10年度の税制改正の減収額等を見込みまして2,950 億円と,市税の予算額
を計上したところでございます。
以上でございます。
◆鈴木 委員 それでは,最後に要望とさせていただきますけれども,これまでの答弁で,本市の中長期的な財政事情について多くの課題があることがわかったところであります。
今お聞きした事業費をすべて市税で賄うわけではなく,国庫補助金などの特定財源もあると思いますが,財政の長期
経済見通しで使われている1.75%という低い政府の経済成長率を前提に,今後の税収の伸びを考えますと,本当に厳しい状況になると思います。
また,
政令指定都市移行前後に大量採用された職員の退職が今後ますますふえ続けることなども考慮しますと,これまでにも増して,より一層の行財政改革の推進が必要であり,事業再
評価プログラムに代表される事務事業の見直しを積極的かつ継続的に行い,さらにその際には,市長が言われる「あるべき
行政サービスとは何か」という視点を常に失わず,また,住民にも必要な情報の開示をし,住民と行政とのパートナーシップという言葉にもありますように,市民とともに考え,改善していくという姿勢も必要であると考えます。
あわせて,このような大変厳しい
財政状況のもとでありますが,
地域経済が置かれている状況はさらに厳しいものがあり,景気浮揚のためにさらなる施策が望まれているところであります。
本市としても,
地域経済の動向を十分に把握して,今後もさまざまな工夫と努力をもって,弾力的な対応をしていただく姿勢がぜひ必要であると考えますので,この点を強く要望をいたしておきます。
また,市税については,景気の動向に大きく左右されるということであります。したがいまして,今回実施される特別減税が大いに景気の向上に役立つよう期待するものであります。
また,収入の大宗をなす市税収入の確保については,一般財源に占める市税の割合が35%を切っている現状からも,課税はもとより,収納対策により一層努めていただきますことをお願いいたしまして,質問を終わらせていただきます。
◆川口谷 委員 それでは,歳入にかかわりまして,私,五つに分けまして質問を用意いたしましたので,ふくそうしないように,あるいは今の鈴木委員の質問とも重複を極力避けまして,質問をしていきたいと思います。
最初に,98年度予算案を私なりに評価をしてみたわけでありますけれども,国の財政計画で一般歳出をマイナス1.6 %に抑えるということ,これに対して本市は0.7 %増ということで,配慮なり努力の跡がうかがわれると思います。
市税では,特別減税で62億円の影響を受けるわけですけれども,前年と同額の計上をされて,かつ減税補てん債ということをあわせ考えますと,実質的には2.3 %の伸びを示しているというふうにとらえることができると思います。
景気対策の面から,経済の活性化のための
補助事業費が大幅に減少しているわけですけれども,その点,
単独事業を確保されて,また地元の,とりわけ中小企業対策として,施設の修繕であるとか改修,あるいは小額工事などにつきましても積み上げられて,非常に積極的な努力をされているかなというふうに思います。
さらに,中小企業対策では,今も説明ございましたけれども,融資枠86億円増でありますとか融資の限度額の引き上げ,あるいは融資の上限緩和なども施すということでありまして,最近の銀行の貸し渋りという問題はありますが,とりあえずそういう予算面では少なくとも準備をしたということがうかがわれます。
それと
普通建設事業費でありますけれども,これはマイナス5.6 という数字になっておりますが,国の
公共事業縮減という方針がありまして,国においては7.8 %の減ということでありますが,その縮減率も,札幌市では5.6 に抑えたということではいろいろとご苦労の跡がうかがわれるものというふうに思います。
財源を求めるに当たって非常に苦労はされたというふうに思いますし,財政再建ということと,それから景気に対する配慮ということで,非常にバランスをとるのにご苦労があったかと思いますが,非常に苦労の跡がうかがわれる,何とか維持した予算かなというふうに私なりに評価をしたいと思います。
そこで,質問でありますけれども,このたびの予算で,実は私も景気に対する寄与がどれくらいあるのかということについて,本市の経済に対する寄与がどの程度あるかということについて大変関心がございます。鈴木委員も同じようなことをおっしゃっておられましたけれども,このたびの予算の中身で,一体,本市の経済の活性化にどれだけ寄与するとお考えなのか,この点,できれば数値的なものもあわせてお答えをいただければというふうに思います。
◎猪野毛
財政部長 ただいまの,10年度予算編成におきましては,ご指摘のように,中小企業対策の資金貸付金の融資枠の拡大とか,あるいは施設の修繕・改修などの予算化に加えまして,新札幌型産業の創設に向け,産・学・官の連携を促進するための産・学・官共同研究施設モデル事業など,札幌市の中小企業の活性化につながる新しい施策の予算化にも努めてございます。
また,
普通建設事業におきましても,
補助事業の減少などによって,前年度を下回るようになりましたけれども,全会計のトータルをいたしました工事請負費,この発注ベースにおきましては,前年度を上回る額を一応確保しております。
こうした施策によりまして,本市の経済にどれだけの効果があるか,数量的なことで示してと,こういうことでございましたけれども,数量的にはなかなか示すことは難しいところでございますが,少なくとも一定程度の下支え効果があるものと考えておりますし,今後の活性化に向けて期待をいたしているところでございます。
◆川口谷 委員 私の質問自体がなかなかややこしいといいますか,計量化するのは難しいのかなとは思います。
それで,国でも予算国会が開かれておりまして,財政再建の問題と景気対策の主張ががっちりと四つに組んだ形で,いろいろ議論もされておりますし,さまざまなマスコミ報道でもその点の,学者の間でもなかなか意見が分かれるところであります。
2点目は,市債と景気対策の関連について質問させていただきます。
ここ数年の市債残高の増嵩が大変著しいのは,ご承知のとおりです。とりわけ92年以降のバブル崩壊後の総合
経済対策は,国ベースで66兆円ぐらいだったでしょうか,打たれたという,それで本市も積極的な
公共事業を展開したということの結果として市債残高の増嵩ということだと思います。
98年度予算では932 億円ということで,これはマイナス8%に抑制をされて,見通しとしては,市債残高9,071 億円になるだろうという説明でございます。
一方で,景気対策も本当に重要なテーマでありまして,特に北海道なり札幌市の経済というのは官依存体質が強いということからいえば,この
公共事業を中心とする縮減というのは,もろに,それぞれ経済に大きな打撃を与えるのではないかと考えられますけれども,国においてはもう,きのう,きょうあたりの報道にもありますように,どうやら10兆円規模の
補正予算が組まれそうな気配でもあります。
これは,橋本総理大臣がかたくなに財政再建路線を言っておられたのですけれども,肝心のバックの自民党の方から「6兆円だ,10兆円だ」と出てくるわけですから,これも何をか言わんやでありまして,体制としては,私ども民主党も申し上げましたが,6兆円の大幅減税など,そういったものをもって,しかも
公共事業に関して言えば,これは物事をしっかりと厳選した上で投資を行っていただくということがなされるのであれば,私は十分にその補正の意味もあるのかなというふうに思うのですけれども,この場合,本市の「市債は抑制する」という考え方と,それから「景気は下支えしていかなければいけない」という二つの,言ってみれば二律背反的なテーマを一体どういうふうに調和をさせていこうとするのか,この点についてお答えをいただければというふうに思います。
また,国における補正が必至の情勢ということからいえば,先ほどもありましたけれども,具体的な補正の組み方,事業の選択,財源の見通しをどう立てるか,これはまた大変な課題だというふうに思いますが,この点についても改めてお伺いをしたいと思います。
◎猪野毛
財政部長 国の補正あるいは札幌市の補正の方法につきましては,先ほど局長から話がございましたので省かせていただきまして,財源の関係,特に市債等の抑制との調和,あるいは今後の財源見通しというようなことでご説明を申し上げたいと思います。
もし今,先ほど言いましたような条件の中で,札幌市が
補正予算を組んだ場合に,その財源問題でございますけれども,これからは市債の抑制というようなこともございまして,市債だけではなくて,少し幅広い選択肢を設けたい。例えば基金の活用,あるいは平成9年度の決算状況によっては,剰余金なんかについても視野に入れる。そういう中で,市債の抑制についても,この5年間という中期目標を立ててございます。この中で達成するよう努力をしていきたい,こういうふうに考えております。
◆川口谷 委員 なかなか苦しい答弁のようにもお見受けいたしました。
97年決算の状況を見て,剰余金など,それから基金というお話もありましたが,基金といえどもそれほど潤沢にあるわけじゃないですし,財政調整基金なんかはほとんどもう50数億円しかないわけですから,あとはまちづくり推進基金など合わせてもそうそう,しかも,ことしだけで使ってしまうわけにもいかないでしょうし,苦慮されるかと思いますけれども,一応,答弁ございましたのでお受けをいたします。
それで,実はもう一方の見方として,
公共事業の投資効果について,これまではゼネコンを中心とした
公共事業が多かったと思うのですけれども,不要なダムまでどんどこどんどこ計画どおりいったということも,今や反省の時期に入っているわけですが,
公共事業の投資効果につきまして年々薄れていると。
専門的な言葉では公共投資乗数という言葉があるようでございまして,私ちょっと文献をあさってみましたところ,1を投資してどれだけの効果を生むのかという,この公共投資乗数は,74年で2.27という数字があります。以降77年,87年,94年までの数字がこうあるわけですけれども,一番新しい94年で1.32という数字ですね。つまり74年当時と比較をすれば,やや半分くらいしか投資の効果がないのではないかということが言われています。
それは産業構造の変化とか,いろんな要素があって,あるいは海外への投資とかいうこともあるというふうに言われておりますが,札幌市の場合は,ご承知のとおり,産業構造が第3次産業に特化しております。だとすると,なおさら公共投資,
公共事業の効果はほかの街よりもさらに薄まるのではないかという懸念を私は持っておりまして,この点は,よほど市としても工夫を必要とするところではないかなというふうに思います。
そこで,米田局長にお伺いをいたしますけれども,本市の第3次産業の構成比が高いという,こういう状況にかんがみて,本市の
公共事業の効果などについての認識はどういうふうに持っておられるのか,あるいは,その点を考えるとすれば,どう対処しようとされるのか,ご認識を伺いたいと思います。
◎米田 財政局長 実は,昨年の秋に,実際に経済に携わっている方から経済の状況をお聞きする機会を設けて,何人かの方にお話を伺ったことがございました。そのときにいろいろお話ししますと,ご指摘のありましたとおり,特に札幌の場合には製造業の受け皿が少ないということもあって,
公共事業の波及する効果,乗数効果が低いのではないかというような疑問を私は申し上げたことがありました。
そのときに,いろいろお答えがございましたけれども,確かにそのようなこともありますが,ただ,我々が考えている以上に,例えば
公共事業の中でもいろんなものがございまして,実は配電盤等は札幌の周辺では全然つくれないのかと思っておりましたら,割合小さな,全部そのまま組み込むということはできませんが,その一部品ですとか,そのシステム全体では受けれないけれども,その一部分では結構つくっているということのご指摘がございましたし,さらにサービス業の関連で申し上げますと,これは札幌のサービス業というのが札幌市だけではなくて北海道全体,さらに言うと日本の観光客を誘致しているという,そういう側面もありまして,一概に,産業連関表で見る,そういうようなことだけで判断するのはいかがかというようなご意見もございました。
ただ,ご意見にございましたとおり,昔に比べますと乗数効果は,数字で見ると落ちていることは事実だろうというふうに理解しております。これは多分ほかのものでもそういう乗数効果は,特に国際化の進展ということを踏まえますと落ちてきているのではないかという理解をしております。
いずれにいたしましても,札幌市の場合は,今申し上げましたフローとしての効果というよりは,投資としてストックができてまいります。そのストックがどれだけ有用に使われるかという点をこれまでも重視して事業の選択を行ってまいりましたけれども,今後もやっぱりそれを第一義に考えていく必要があるだろうというふうに思っております。
ただ,現在のような経済の状況ですので,その辺の経済効果等につきましては,これからまた研究してまいりたい。その結果を踏まえて,またいろいろ検討していきたいというふうに考えております。
以上です。
◆川口谷 委員 財政学あるいは経済学の分野でも,これは検証することがなかなか難しいテーマかもしれません。局長,研究すると言われましたけれども,行政の場合は研究している時間は余りないかと思いますので,実際の施策の面でさらに努力をいただきたいと思います。
三つ目の質問に入りますが,財政硬直化問題であります。
これ普通会計ベースで見てまいりますと,私,過去5年間拾ってみましたけれども,義務的経費がじわじわと上昇しておりまして,98年度予算は,最近の推移からいえば,そういう意味では最も硬直化した形になっているのではないかなというふうに思います。
ちなみに義務的経費は94年で36.6%でありましたけれども,98年度予算では37.4%に達しています。
それから一方,投資的経費はといいますと,当時の29.4から今年度予算で言えば25.6と,これは4ポイントダウンしているということで,やはり財政の硬直化ということについては関心を持たざるを得ない。
少子高齢社会の到来ということでありますとか,労働力人口の減,そして追いかけてくる公債費の償還等々,これやはり,財政は今後構造的に硬直化の要素を抱えているととらえて間違いないと思います。
そのほかに,本市特有といいますか,繰出金,出資金の問題がございます。これはご承知のように,繰出金,例えば国保に対する繰り出しでありますとか,老人医療会計,高速電車会計,病院会計,あるいは下水道などに対する繰出金というのは,これは先ほどもお答えがありましたけれども,約1,000 億円ベースで毎年公債費とは別にかかってくるという,やはりこれも重要な硬直化要素ではないかなと私,思います。
そこで,質問ですけれども,一つは,歳出と充当一般財源の推計をどのように立てておられるのかという問題が一つございます。もう一つは,
財政需要の増加要因の見通しですね。先ほど鈴木委員の質問にも一部答えられておりますので,重複を避けてお願いしたいと思いますし,それから,私が申し上げた繰出金,出資金などの将来推計ですね,どうとられておられるのか,これらについてお示しをいただきたいと思います。
◎猪野毛
財政部長 1点目の歳出と充当一般財源の推計をどう立てているかということでございますけれども,平成14年度までについて一定の仮定のもとで試算をしてございます。
それによりますと,一般財源については伸び率を経済社会計画で示されております経済成長率,これ1.75%という率でございますが,この率を使って計算いたしました。平成10年度では4,750 億円になってございますけれども,平成14年度ではこれが5,100 億円というようなことで,350 億円程度の増加が見込まれます。
そこで,義務的経費の関係,人件費,扶助費,公債費でございますが,これに充てる一般財源の増加額,これは今言いました数字を超える400 億円の増加が見込まれます。したがいまして,義務的経費以外の経費に充当できる一般財源というのは50億程度減少する,事業費が減になるというような見込みになります。
こういうことで,平成14年度の
予算規模を出しますと,平成10年度に比べまして250 億円程度の増加で,各年度では1%程度の伸びになるのではないかなと,こういうふうな推計ができます。
それから,二つ目には,
財政需要の増加要因の見通しについてでございます。
今申し上げました公債費を含む義務的経費が,10年度に比べまして平成14年度には500 億円程度の増加になる。毎年約100 億円程度の増加が見込まれます。
また,さらに長期的に見ますと,このほかに先ほど鈴木委員にもお答えいたしましたが,
公共施設への更新経費が大きな
財政需要として見込まれるなど,これから,これらの義務的あるいは準義務的な経費が,今後の
財政需要の増加要因として考えられます。
それから,三つ目の繰出金などの将来推計でございます。
一般会計から他会計への繰出金及び出資金については,平成10年度予算では1,056 億円となってございますが,平成11年度には,東西線延長工事が終了したというようなことで,高速電車事業会計への繰り出しは少し減少が見込まれますけれども,各会計に対する全体額では,現行の歳出基準で平成14年度まで推計いたしますと,1,000 億円から1,100 億円の間で推移するだろうと,こういうふうに見込んでおります。
以上です。
◆川口谷 委員 今お答えをいただいた中で,もちろん推計ですから不確定要素を含んでいるわけですけれども,特に,経済成長率1.75というふうに抑えておられる,これなんかは極めて不確定な要素だというふうに思います。
もちろん,これを上回る場合もありましょうし,下回る場合もあるでしょう。僕はどちらかというと悲観的でして,上回るということはあり得ないのではないかと。そうしますと,その分さらに悪化をするという懸念を持っております。それから,高速電車の繰出金なんかにつきましては,一応,健全化計画で13年度で仕上がるという計画に基づいた試算だと思うのですけれども,14年以降どういうことになるかという部分で言うと,もし仕上がっていない場合はそのまま積み残して,さらに追いかけてくると,こうなるというふうに思います。推計ですから伺うことは伺いますけれども,極めて流動的な要素も多いというふうに受けとめさせていただきます。
そこで,今いろいろお答えいただいた,将来の本市の
財政状況の認識から,
市債発行の抑制方針というものを出されましたけれども,その点,改めて市債抑制の考え方についてお答えをいただければというふうに思います。
それと,4点目の質問ですけれども,一時借入金など資金調達のことでございます。
一時借入金につきましては,昨年度から新たな入札方式というものを導入されまして,資金コストのダウンを期してこられたというふうに思いますけれども,その入札の実績とか,その効果についてどうであったのか,また,その結果に対する評価をお示しいただきたいと思います。
それから,資金調達の2点目ですけれども,市債引き受けの問題です。
もう最近は,新聞のトップ,ニュースのトップですね,これに大蔵官僚を初めとするさまざまな不祥事,あるいは証券,銀行,最近は日銀まで出てくるということで,一体,倫理という問題はどうなっているのかと,政・官・業の倫理問題が今,重大な課題となっているわけです。そうしたことから,実は昨年は引き受けメンバーの拓銀の経営破綻,四大証券の不祥事などが相次ぎまして,この間の資金調達,相当混乱をしたのではないのかというふうに思うのですけれども,この点どういうふうにしのいできたのか,あるいはやってこられたのか,お答えをいただきたいと思います。
◎猪野毛
財政部長 最初の
市債発行抑制方針の考え方でございます。
本市の場合,他の指定都市と比較いたしましても,起債制限比率というのは,まだどちらかというと低い水準を維持しておりまして,財政の弾力性あるいは柔軟性というのには,十分意を用いてこれまでやってきたところでございます。
ご質問にありました,その数値目標の考え方でございますが,今後のさまざまな
財政需要,先ほど,今後の
財政需要に非常に大きなものが出るような説明もいたしましたけれども,そういうものが10年後あたりには相当,額として出てくるというようなことも一つの観点といたしまして,10年後の市債残高の減少を図るというようなことで,今回の数値目標を設定いたしております。
それから,市債,一時借入金の調達の関係についてでございます。
入札実績と効果という関係でございますけれども,この一時借入金については従来,指定金融機関のみからの借り入れをしてございました。厳しい
財政状況のもとでございましたので,できるだけ金利負担の軽減を図ろうというようなことで,昨年の4月から一部借り入れについて競争入札を実施しております。この入札というのは,歳計現金の日々の資金収支において,基金の一時運用などによって賄えない,外部からの借り入れ残額が50億円以上の日がおおむね1カ月以上続くというふうな場合に行ってございます。
これの入札実績でございますけれども,延べで15回やりまして,1,040 億円の借り入れを行ってございます。これの落札金融機関は8行でございまして,そのうち落札レートにつきましては0.6 %台から1%台,従来であれば短プラの率でございまして,1.625 %で請負しておりました。したがって,これとの差を効果額というふうに計算いたしますと,7,625 万7,000 円というような効果が出てまいります。
そこで,従来の借り入れ方式と比べまして,今言いましたように,金利負担が軽減されるというようなことができましたので,そういう一定の成果があったものと認識をしております。
それから,拓銀の経営破綻などによる市債引き受け状況でございます。
これは,昨年11月にそういう状況になったわけですが,その以降,日銀の特融があるというようなことから,通常どおり行われております。
以上でございます。
○宮本 委員長 質問者にお願いを申し上げます。
これからの質問者も同じでありますけれども,質問項目におきましては,当初の段階で頭出しをしていただき,それぞれの答弁をいただいた後に,再質問に移っていただきたいと思います。
◆川口谷 委員 委員長の教育的指導のもとに,あと二つしかございませんので,進めさせていただきます。
ただいまの資金調達の一時借入金の関係で再質問ですけれども,今後の調達コストの一層の低減という立場からいえば,さらに努力をいただきたいわけですが,どう対処されるのかということと,2点目の市債の引き受けシ団の関係で,主力の拓銀とか山一が消えた後,市債引き受け体制に心配はないのかどうか,この点どう構築していくのか,お答えいただきたいと思います。
最後の質問になりますけれども,市税についてです。
先ほど鈴木委員の答弁にもございまして,97年決算の見通しあるいは収入率などが明らかにされておりますけれども,98年の市税収入率をどう見込んでいくのか,この点の質問と,それから私,昨年の決算議会で,滞納処分停止の状況とその結果について──滞納処分停止,とりわけ荷物の重たい件数,金額の過大なやつを全部背負って歩くのはやめて,不納欠損,決断すべきものは決断して身を軽くし,機動的にやれということを申し上げたと思うのですが,この点,新年度どのように展開されようとしているのか。昨年度は,不納欠損が13億円ほどあったわけですけれども,その点の考え方についてお示しをいただきたいと思います。
以上です。
◎猪野毛
財政部長 最初の一時借入金の調達コストの一層の低減という部分でございます。
現在行っております一時借入金の競争入札については,ただいま言いましたような成果がございますので,当面継続していきたい,こういうふうに思っております。
また,調達に当たりまして協調融資事業団を編成している自治体がございます。これは,低コストの追求とあわせて安定的な資金調達の確保というような観点から行っているというようなことでございますが,このような借り入れ方法についても,本市にも導入できるかどうか検討していきたいと,こういうふうに思っております。
それから,金融機関等の不祥事等による引き受けの影響についてでございますが,今回の大蔵接待事件などに関して,関係金融機関に国債発行当局などによってペナルティーが科せられた場合に,本市としての措置を検討するということになりますけれども,その際には,市債の引き受けに支障が生じないようなシェアの調整等について,引き受け団メンバーと十分協議していきたいと,こういうふうに思っております。
さらに,今後の市債引き受け体制の構築についてでございますけれども,昨今の金融機関の経営破綻や不祥事のみならず,今後は金融ビッグバンによって金融界の再編が一層進むということになります。
さらには,資金のグローバル化なども拍車がかかると予想されますことから,今後の市債の引き受けにつきましては,こうした将来の動きを見据えた上で,より安定的に資金調達ができるような引き受け団の編成に向けて努力をしていきたいと,こういうふうに考えております。
以上でございます。
◎伊藤 税政部長 まず,10年度の市税の収入率をどういうふうに見たかということでございます。
これは非常に難しいところでございますけれども,私どもといたしましては,最近までの収入状況,
経済状況等を勘案いたしまして,税目ごとにそれぞれ見込むことにしております。
その結果,現年度課税分といたしましては97.5%,
滞納繰越分としては25.3%,市税全体としては92.3%としたところでございます。
なお,9年度の収入率は,8年度をわずかに上回る91.6と現在見込んでおります。これと比較をいたしますと,0.7 ポイント高いものとなるところでございます。
しかし,ご承知のとおり,バブルの崩壊後の引き続く景気の低迷等,税環境も依然として厳しい状況でございますので,これを実現することはなかなか難しいところもございますけれども,努力目標としての意味も含めまして,このように見込んだところでございます。
いずれにしても,この収入率の達成はもとより,税収の確保,滞納額の圧縮に当たりましては,あらゆる努力をしてまいりたいと,このように考えております。
それから,2点目の滞納処分の停止の状況についてでございますけれども,まず平成9年度の実態を申し上げますと,平成9年度の納税対策といたしまして,
高額困難案件の整理促進を重点的に掲げて実施しているところでございます。この場合におきましても,基本的には,滞納者に対しまして納付督励をするということを基本としております。
一方,生活状況,財産状況など,実態を十分調査いたしまして,真に担税力が喪失しているものにつきましては,法に照らしまして滞納処分の停止をしているところでございます。
この結果,今のところ,平成9年度におきましては,滞納処分の停止のうち不納欠損として処理する件数は約8万件,金額では約20億程度を予定しております。これは,前年度と比べますと45%程度の伸びを見込んでいるところでございます。
したがいまして,新年度に当たりましても,こういう滞納整理の促進ということをさらに強化して,
積極的に対処してまいりたいと,このように考えております。
以上でございます。
◆川口谷 委員 最後の方,8万件,20億円ということになりますと,過去の不納欠損18億円が最高だったと思いますけれども,さらにそれを超えていくということは,やや残念ではありますが,しかし一方で,身軽になって,大いに徴収効率を上げていただきたいというふうに思います。
それと,資金手当ての一時借り入れの関係で,7,600 万円の効果があったということにつきましては評価をしてよろしいかなというふうに思います。
いずれにしても,財政再建ということについては,王道がない,ウルトラCがないわけでありますから,今後さらに,今回立てられました市債の抑制方針であるとか,あるいは一般歳出の抑制,
行財政改革推進計画の着実な推進等々を通して,さらに努力いただくことを申し上げて質問を終わります。
◆丹野 委員 私の方からは,両委員が質問されて重複している部分はちょっと飛ばしまして,簡潔に2問になりますが,お伺いしたいと思います。
地元金融機関の破綻,今,段々の議論があったわけでありますけれども,この破綻による
経済状況,これが非常に不透明感を増しているわけであります。そういう中で,平成10年度予算は,原局として,編成するに当たっては相当苦労されたのかなと,このように思います。
予算の概要を見ますと,行政改革を総括的に進める。そのための
行財政改革推進計画の初年度として,公債の発行を前年度から81億円抑制されたと。そして,932 億円に一応とめたと,こういう中で,一方,交通対策,それから環境対策,そして,これからますます重要になるでありましょう保健・福祉,これらの問題が山積しているわけでありますけれども,そういう課題に対しても原局として,我が党がこれまで幾度となく主張してきたさまざまな政策が反映されているなと,私もこのように思っている一人であります。
ただ,先ほど国の動向等についていろいろお話がありました。国においては,現在までは
財政構造改革,この見直しをもって,新しい国づくりを進めるのだということで,目下議論をされてきているわけでありますけれども,そういう過程の中で,私なりに見てきたわけですが,昨今この景気に対して市民・国民からの声が非常に強い,こういう背景もあったのかと思いますが,景気対策に対する政策の軸足をそちらの方に変えてきているのではないかと,このように思います。
現在,本市も含めて不況というトンネルの中にあるわけでありますけれども,先の明かりがまだ見えていない,こんな状況なのかなと,このように思いますが,しかし,ここでしょんぼりしていてもなりません。当然,行政がリーダーシップをとるといいますか,そういう過程の中で,行政と市民が一体となってさまざまな問題に挑戦していく,この姿勢が大事でなかろうかと思うわけであります。そして,この挑戦する姿勢が地域の活性化を図っていく原動力になるのじゃないか,こんなふうに考えております。
予算に盛り込まれました事業,これらすべてを効果あるものにするためには,冒頭述べました市民との共有のこの取り組みが今後欠かせないことになるのかな,こんなふうに思う次第であります。
私は,そういう考えのもとに,地方分権が叫ばれて久しいわけでありますけれども,この地方分権については,私としては大いに賛成する一人であります。
いわゆる中央と地方の官官分権に矮小化することなく,その権限というか,そして機能,こういうものがしっかりとそれぞれの地域までおりてきて,初めて地域住民がさまざまな取り組みに対する選択をみずから責任を持って行えるのではないか,こんなふうに考えるわけです。そのことが街づくりなどが行える本来の姿ではないかと,このように思います。
そのためには,当然,行政もこれにこたえるためにしっかりとした体制を構築していかなければならない。そのための予算案でもあると,このように考えます。まさしく改革は地域から始まるわけであります。
そこで,1点目お伺いいたしますが,平成10年度予算では,このような観点に立って推進される事業にどのようなものがあったのか,お示しください。また,その基本的な考え方についても述べていただきたいと思います。
次に,限られた財源の効率的な運用,今さまざま議論をしている渦中でありますが,この運用と住民に密着した行政を推進するためには区の役割が重要と私は考えておりまして,昨年の3定の
代表質問におきまして,私は区に対して予算要求権,こういうものを付与することが大事ではないか,そして,その機能を一層強化すべきであると,このように申し上げたところでありますが,これに対しては,区の予算のあり方について検討するというご回答をいただいたところでございます。
今述べましたように,これからの街づくりは行政だけが行うものではないということは冒頭に申し上げました。また,行政だけがやろうとしても,財政面からの制約などから困難であろうと,このように思います。
何よりも地方分権の時代においては,地域の住民や各団体,これらの人たちが一方の主役になっていくでしょう。そういう中で,行政もこれらを支援していくために,パートナーシップの取り組みが非常に大事になりますし,各区の行政の窓口がその役目を果たしていくのではないかと思います。
そこで,区の予算に関する権限強化が重要であるわけでありますけれども,平成10年度予算編成の中で,これらについてどのように取り組まれたのか,ご回答いただきたいと思います。
◎猪野毛
財政部長 1点目の地域に密着した事業についてでございます。
平成10年度予算におきましては,地域福祉あるいは街づくりなど市民に密着する分野において,市民と行政のパートナーシップという新しい関係の構築の推進を重点施策として取り上げているところでございます。
主な事業を挙げますと,地域が抱える問題などについて,地域の各種団体の意見交換等の機会を提供いたしますコミュニティネットワーク支援事業を新規に行うほか,従来からございましたけれども,各区3,000 万円の区のふれあい街づくり事業につきましては,これまでどちらかというと,お祭りなどのイベント中心でございましたが,これを地域福祉,ごみ問題,あるいは交通環境対策など,各地域の取り組みが重要となる住民主体の街づくり支援に重点を置くという質的な転換を図っております。
次に,2点目の区の予算権限の強化についてでございますが,各部局あるいは各事業ごとに措置されておりました福祉関連事業の事務費を一つの部への集約化を進めまして,より弾力的な執行を可能にいたしましたほか,ただいま申し上げました地域に密着した事業を区役所が担うことによりまして,各部局ごとの縦割り予算を地域を軸にして横断的な統合調整を進めることになりまして,これらを総合いたしますと,この予算に関する機能が強化されたと言っても差し支えないのではないかと,このように考えております。
以上でございます。
◆丹野 委員 平成10年度の予算におきまして,地域社会を政策のベースとした新たな取り組みがかなり進められてきたのかなと,このように思います。
しかし,今の答弁では,本当に重要になってくるであろう区の予算権限のあり方が何となくはっきり見えません。そこで,今後,区の予算に関する権限をどのように考えておられるのか,改めて求めます。
◎米田 財政局長 今後,住民と共同で行政を行っていく必要性は委員のおっしゃるとおりだと思います。
そういう中で,区の役割をどのように考えるかということでございます。今後,地方分権が進んでまいりますと,どのような事業を行うか,それをどのように負担しながら行っていくのかというようなことを自分で決定するという点が重要でございまして,現在,区におきまして,まず,そのような仕組みをどのようにつくるか。住民からのご意見,それを区の中でどのように自己決定ができるか。その辺のシステムをどうつくっていくかということも含めまして,予算の権限をどのようにしていったらいいかということを今後検討していく必要があるだろうと。そういうことで,今般,
行財政改革推進計画の中で,機構などを含めた行政システムの見直しという点で,検討課題の一つとして取り上げておきまして,精力的に今後検討してまいりたいと考えております。
◆丹野 委員 最後にいたしますけれども,先ほどのお答えの中で,地域問題,これらについては今後避けられない情勢になっていくわけでありますが,それらの諸問題を解決するために,コミュニティネットワーク支援事業を新しい試みとして行うと,こういうご答弁がありました。これについては,私も期待を持って見守りたいと思います。
それから,各区に措置されている3,000 万円,これらについて先ほど地域福祉,それから,今非常に大事になってきているごみの問題,それから交通問題,特に交通環境に対する問題,こういう部分が非常に重要課題になってきておりますし,これらの部分において,地域住民からのさまざまな取り組み,声の出し方も強まっているように感じます。
ですから,先ほどのお話にありましたように,この3,000 万円をただお祭りだけの使用で終わらせるというやり方から少し変わっていくことは,非常にある面で大事なのかなと,そんなふうにも思っております。
押しなべて質的な転換,これによって本市の出された方針を実現していきたい,このようになっているのだなと,こう感ずるわけです。
さて,そこで最後になりますが,活動するという部分で,これからこの地域の問題の第一線はやっぱり区ですから,区行政のあり方を見ていったときに,活動の数が増すと同時に当然動くわけですから,お金もかかるわけです。
そういった部分では,今お答えのあったその考え方から,もっと大きく広げていかなければいけないのじゃないかなと,このように思います。
この点は今議論が始まったわけですから,今後の推移を見ながら,この時点では予算における区への配分の仕方といいますか,補充の仕方といいますか,こういったところをもう少し,もう一歩積極的に考えていただきたい,このことを申し上げて終わります。
◆高橋[重] 委員 私は,我が党の飯坂議員が
代表質問でお伺いいたしました,その答弁を踏まえて4点ほどお聞きしたいと思います。
まず,第1の質問は,行財政改革の問題です。
国,地方を問わず,今,財政が極めて逼迫した状況にある。中でもそれは膨大な借金財政であるということで,それをどう見直しをし,改善を図るかということが問われているわけですので,こうした 大きな問題について,その原因がどこにあるのかということについての市長の認識をただしたわけでありますが,それに対する明快な答弁はなく,国においても,地方においても,国民あるいは住民の福祉の増進のために行財政を行うものであるということを市長は答弁されました。
国民福祉あるいは住民福祉の増進ということは,我々がかねがね強調している点でありますから,そうであるならば結構でありますけれども,そういう名のもとに,実はその分野が大幅に削られていくというようなことになったのでは,市長の答弁とは相反する行政ということになりますので,その辺も含めてお聞きしたいわけです。
まず,
代表質問で聞いたことは,この大きな原因に,戦後50年の自民党政治の,いわばアメリカ追随と申しましょうか,アメリカの政策に合わせた基地づくり,基地国家という問題,あるいはまた大企業優遇の政治,ゼネコン国家づくりという点を指摘した。これは,そうでないという見方もあれば,私どもはそうであるというふうに見るのですが,問題なのは,こうした膨大な借金財政をつくり出した,その背景にある国づくりの政治の進め方の根幹にこういうものが据えられていたという点で,これについて,市長は答弁を回避されたわけです。そこで,改めて魚住助役あるいは財政局長に,この点の認識。
それから,国債あるいは市債が膨大に膨らんでいくこの背景に,アメリカからのいわゆる外圧ですね,内需拡大を要求されて,1990年には430 兆円,あるいは1994年には630 兆円の
公共事業の促進ということを要求されて,政府はそれを受け入れて,その結果,
公共事業に,いわばげっぷが出るほど予算をつけると,全部これ借金というような中にあったのではないかと言われているわけですので,そうした点での認識も聞いたわけですけれども,これもご答弁がなかったわけです。実際この問題,どのように考えておられるか,第1点,それをお聞きします。
第2点は,消費税の問題であります。
国会においても,消費税問題が景気問題ですね,今,丹野議員からも景気不況ということで,これはもう全国民共通した大きな深刻な問題にぶつかっておる。
この不景気をつくり出した背景には,6割を占める国民の消費動向,国内生産高の60%は個人消費であると,この個人消費の落ち込み,そして,その個人消費の落ち込みの大きな原因になっておるのが,消費税を含めて,医療費の改悪や特別減税の廃止等々による9兆円の国民負担増にあるのではないかと。この点をきちっと受けとめて改善をする必要があるということがいろんな角度から言われております。
その点で,札幌市の財政当局がこの消費税問題について,どういう認識を持っておるか,これをまずお聞きしたいわけです。
それで,まず財政上,消費税を財源とするものが札幌市の財政にどの程度来て,収入として消費税がどれだけの財源になっておるのか。さらに,札幌市が事業を行う上で消費税を負担しなきゃならぬ。この消費税の影響額,これは一体どのぐらいあるのか。差し引きプラスであるというふうに聞いていますが,どの程度のプラスなのか,そこのところをまずお聞きしたい。
それから,3番目は,今も丹野議員から地方分権との関係でのご質問がございましたけれども,この地方分権ということで,いろいろ言われているわけですね,制度の改革。
そして同時に,地方の財源の強化,財源移譲ということが言われて,財政当局も政令市を通じて政府に働きかけたり,あるいは私ども議会もそれぞれ議員という立場で財源の拡充について働きかけをしております。しかし,一向に日の目を見ないというか,明確に見えてこないという状況が長年続いております。
そこで,こういう状況の中で従来どおりの運動でいいのか,もう少し研究して政府が重い腰を上げて分権という方向に一歩踏み出す,財源移譲についても一歩踏み出す,そういうふうにさせるような強力な今までと違う形での運動の展開,これが必要でないかと思いますが,現状どうなっていて,具体的にそのあたりの壁をどのように突き破って前進させようと考えておられるのか。その地方分権と言われる,私どもの言葉で言えば地方自治権の拡充ですが,これについての現状と今なされようとする方向について明らかにしていただきたいと思います。
4点目の質問は,使用料・手数料の問題です。
本年度の予算を見ますと,使用料及び手数料が全体の構成比で2.3 %,193 億円で,前年対比7億3,700 万,3.7 %減少しておるという予算になっております。この減少の内訳を見ていきますと,市営住宅の家賃の減収というものがそれであるというふうにも説明を聞いておるわけですが,つまり使用料というものが,それでは,この財源として一体どのぐらいの価値といいますか,構成比で2.3 %ですから,全体の中ではそれほど大きなものでないということは明らかですけれども,どのように使用料というものを財源として位置づけ,考えておられるのか。
なぜこういうことを質問するかといえば,よく市長は,いわゆる使用料を含む公共料金について適正な負担をお願いするというような答弁をしておりますけれども,非常にこの言葉が,適正と言えば何でも合理化されるようなことになっては問題なわけです。
というのは,本年度初めて時計台の改修が完了するのを契機に有料化をすると。大人200 円,子供100 円という形で有料化すると。100 円がいいか,200 円がいいかという問題はさておいて,やはり使用料という形でこういう文化財までも料金を取るという本市の財政のやり方は,果たして妥当なのかどうかという問題なわけです。
そこで,この使用料の位置づけについて,特に時計台のような文化財まで有料化するという考え方の基礎に何があるのか,これを明らかにしていただきたい。
以上です。
○宮本 委員長 ただいまの質問の中に,地方議会になじまない,多々,感慨に余る部分があったやに聞いておりますが,その辺については考慮していただきたいというふうに考えますので,よろしくお願いします。
◎魚住 助役 最初に,私からお答えいたします。
国の
財政運営につきましては,私どもはコメントすべき立場にございませんので,これは差し控えたいと存じます。
公共事業の投資に対してでございますが,私も本市においては
公共事業に対するいろんな施策をやっている関係から,今まで国の投資に対しては,それなりに私ども札幌市においても効果があったものと思っております。
しかし,今後は,長期的な財政バランスを考えながら,公共投資についても慎重に進めてまいらなければならないと,このように考えているところでございます。
以上でございます。
◎猪野毛
財政部長 2点目の消費税の関係の財政当局としての認識と,こういうのが1点ございました。
この消費税というのは,国民の税負担のあり方で,国,地方を通じる財源問題等,幅広い観点からの議論を経て国会において決定をされたものだと,こう認識をしておりますが,この
財政運営をやっていく上で,この消費税の財源というのは,後ほどその関係する金額については資金課長から申し上げますけれども,重要な財源となっている,そういうところだけの回答にさせていただきたいと,こういうふうに思います。
それから,3点目の分権と財源移譲の関係でございます。
これも現状というようなことでございますけれども,昨年の7月に,地方分権推進委員会から出されました第2次の勧告において,地方財源の充実確保ということが次のように述べられてございます。
つまり,国から地方公共団体への事務,権限の移譲が行われた場合には,地方公共団体の事務を自主的・自律的に執行できるよう
地方財政計画の策定等を通じて主要財源を明確にし,地方税,
地方交付税等の必要な地方一般財源を確保することとすると,こういうような勧告をされてございます。
これに対して,指定都市におきましては,この第2次の勧告が出される前に,昨年4月でございますが,意見書といたしまして具体的な税源移譲として法人所得課税及び消費課税の充実を要望してございますし,二つには,9月にこの勧告が出た時点で,緊急意見ということで,国,地方の役割分担に見合った具体的な地方への財源移譲を示されることを要望いたしてございます。
その後,9年度の秋の要望でございますけれども,具体的な税源移譲の部分について同様の要望をいたしてございました。
こういう中で,国の方でどういう状況になっているかということにつきましては,現在のところ,国庫補助金の一般財源化を進められているところでございますけれども,権限移譲というものについては,税制調査会などによって議論されるところでございましょうが,明確には現時点では示されてございません。
それから,これからの運動というようなことでございますけれども,さらに今後,通称青本というようなものの中で,関係自治体とともに,従来よりもさらに適切な税財源の措置を講ぜられますよう働きかけていきたいと,こういうふうに思っております。
それから,4点目の使用料の関係でございます。
これには二つ意味があるかと思います。使用料・手数料については,その構成割合は先ほど2.3 %,こういうお話でございましたけれども,財政が非常に厳しい折には,
財政運営上,貴重な財源になるというようなことと,それから,使用料・手数料については,幾つかの目的でお願いをすると,こういうことになりますが,その一つには,施設の利用,または特定のもののためにする事務について,その受益者から適正な負担を徴するものでございまして,特定の受益者に対するサービスの対価という性格を有していること。二つには,便益を受ける者とそうでない者との負担の公平を図るとともに,必要な
行政サービスを安定的に提供するためのものであると,そのために徴収をしているものであるということ。それから,三つ目には,その額は,個々の原価計算を基礎とすることを原則といたしますけれども,類似施設や同種類のサービスの状況,施設の性格,他都市の状況等を勘案して設定してございます。
ここの時計台につきましても,効率的な維持管理を行うのはもちろんのこと,長期的に安定したサービスの提供を図るために,適正な受益者負担を基本として入館者に応分の負担をお願いするというものでございます。
以上でございます。
◎中村 資金課長 今,消費税を財源とする収入の額と消費税影響分といいますか,本市として消費税がどれだけ支出になっているかということのご質問かと思います。
まず,一般会計におきます入りの部分ですけれども,消費税を財源とする収入の額につきましては,まず交付税の原資の中に消費税が入っております。
いずれも9年度の数値で申し上げますと,消費税のうち,交付税原資に充てられるのは2兆8,000 億円余りございまして,本市は,9年度につきましては1,208 億円の普通交付税の交付を受けておりますので,普通交付税の本市のシェアを0.75%と置きかえて計算したとしますと,本市対応額は214 億円程度と。1,208 億円に占める額とすれば214 億円という,単純計算するとそういう数値になるかなと。
それと9年度から設けられました地方消費税交付金,これは都道府県税でございますけれども,1%分でございます。予算現額としましては,本市は58億9,000 万円を組んでおります。
さらに,地方消費税の交付金,地方税との振りかわりで,なくなります消費譲与税ですけれども,これは平成8年度限りでなくなったわけですが,制度創設の経過措置ということで,消費譲与税,国税ですけれども,一部これが残っております。消費税の5分の1が地方に譲与され,本市分としましては予算現額で29億5,000 万円となっております。
以上,合計しますと,消費税の当たり分,地方消費税交付金の道からの交付金に,消費譲与税の国からの譲与分合わせますと302 億4,700 万円と。
ただ,地方消費税交付金につきましては,従来から申し上げているとおり,平成9年度におきましては,制度創設の当初ということで,平年度分の当たりがございません。それは臨時税収補てん債と申しまして起債でカバーをするということになっておりまして,ちなみにその額は,9年度ですと103 億円というふうになっております。
なお,10年度において地方消費税交付金が平年度化しますと,予算書にも記載しておりますとおり,195 億円程度の本市の収入があるものと思います。
最後に,支出の面ですけれども,9年度予算支出におきます本市の消費税影響額,これは一般会計ですけれども,工事請負費,物品購入等にかかわる経費をざっと計算しますと,115 億円余りになろうかなと思っております。
以上の数値をとらまえております。以上でございます。
◆高橋[重] 委員 まず,第1点の助役のご答弁でありますが,地方自治体の側から見て,国政のあり方に対する見方がどうなのかという点では,なかなか答弁しづらい面もあるかもわかりません。しかし,あくまでも国家財政の中身ですね,これは政治そのものですよ。それから,それのあおりを受けて
地方財政があり,地方自治体の行政があるということからいくと,私は,国のやり方に対してお願いをするというような立場ばかりでなくて,やはり厳しく意見を言うということも本来あっていいと思うのですね。特に,財政的に影響を受けるような問題については,意見を言っていくということが必要だと思うのです。
その場合,やはりこういう議会の場で所信を述べるということが私は本来,民主国家の最もふさわしい姿でないかと思うのです。
国会においても議論を深める,同時に地方議会においても,何か避けて通って,ちょっとそこに触れると,都合悪いとなれば触れていかないというようなことではなくて,あるいは政府にとって耳の痛い話であっても,やはりきちんと見解を述べて,そうした国民的な議論の中から,むだなものは排除していくと,そういう世論が醸成されていく,こういうふうに私は思うのです。
これはもちろん市長がおられれば,市長の政治姿勢ということで私どもも見解を聞いておりますので,ご答弁いただきたいわけですが,助役,私のそういう考え方を受けとめていただきたいなと思うわけです。
第2番目の消費税の問題で,猪野毛
財政部長は重要な財源という認識,さらに中村資金課長が9年度と10年度の数字をご答弁されました。
つまり,差し引きすると,9年度においては300 億円ほどの実収入がある。10年度においては,10年度の消費税の影響額についてのご答弁はありませんけれども,前年度横並びか,若干プラスとしても115 億,120 億前後でしょう,きっとね。
そうしますと,交付税で消費税交付金で来るのが195 億ですから,70億ぐらいのもの,一応,交付税財源を別にして考えればですね,直接来るとしてプラスであるから,マイナスとプラスで比べて,プラスであれば仮に1円であっても貴重であると言えますので,貴重だという財政当局の見解はそれなりにわかるわけです。
しかし,ここで考えていかなければならぬことは,この消費税がやはり景気に非常にマイナスに作用しておるという問題がもう随分議論されております。
きのう総務庁が発表いたしました1月の家計調査速報というのがきのうテレビでも流れ,きょうの新聞でも出ております。
それでは,どういう影響が出ているかという点で,前年の同月と比べても,名目で4%の減,実質では5.9 %の減になって,46カ月ぶりの大幅減少というように,消費不況と言われるほど,いかに購買力,消費家計が苦しくなってきたかということがこういう総務庁の速報でも言われておりますし,また,経済企画庁の発表,1997年版の発表でも,実質可処分所得がこれ全国マクロに見て,8兆6,000 億円という数字で影響があると言っているのですね。
ですから,こういういろんな関係機関が調べた結果,それから,私どもの生活実感,日々の買い物,我々の生活実感,あるいは商売されておる方の問題からも,いかに消費税が大きく足かせになっておるかと。だから5%でなくて,せめて3%に戻せという声が大きくなるのは当然だと思うのですよ。
しかし,経済に悪影響があっても,わずかばかりの
地方財政にプラスになるから,これはあった方がいいのだ,貴重な財源だというような論理で,僕は物を見てはならぬと。そのあおりが市税収入の減少という形で出てくるのではないかと私は思うわけですね。
そこで,市税の問題でも,税収の伸び悩みということが,借金の起債に依存する背景には,市税の伸び悩みがあるということを市長は答弁されているわけですよね。
その兼ね合いから見るならば,消費税をやめて,そして景気をよくして,そして,市税の伸び悩みを少しは解消していくという方向に政治のかじ取りをしていくということが必要だと思うわけですが,その点でどのように考えるか,第1点。
さらに,この市税の伸び悩みで,歴年の表をいただきました。主要税目の税額と伸び率の推移という,税制課につくっていただいたのです。この表の平成6年から10年までを見てみますと,確かに
法人市民税なんかは一時,平成8年度で若干上がりましたけれども,平成9年は下がり,平成10年も下がると。まさに景気の影響を受けている税目でないかと思うわけですけれども,その点からもこの問題は考える必要がある,こう思います。
そこで,平成9年度の
法人市民税347 億7,800 万円という予算額を見ていますが,平成9年度は,一体どういう
決算見込みになっているのか。恐らく
決算見込みが低くなっているから,平成10年度はさらに2.6 %減少して,338 億円計上せざるを得なかったのではないかと思います。
決算見込み並びにこの伸び悩みの原因,何ゆえに
法人市民税が伸び悩んでいくのか,その原因をどのように押さえているのか,これも明らかにしていただきたいと思います。
次,分権と財源の移譲の問題ですが,努力をしておると,青本を通じて重点項目をやっているのだということですね。私も皆さんの努力はわかります。財特なんかでもよく説明も聞いていますし,わかりますが,しかし,一向に見えてきませんね。この問題なのですよ。
そこのところをもう少し何とかできないかという点で,政令市において,これ札幌独自でというわけにもいかぬでしょう,やっぱり政令市が力を合わせて頑張るという点からいくと,政令市において従来のやり方を少し何か考えていくというようなことがないかどうか。
さらに,恒常的な一般
財源不足ということが言われているわけですね。地方
財源不足とその対応策という
地方財政計画の表もいただきましたけれども,もう恒常的に地方財源は不足をしておるというのがずっと来ておるわけですよね。
そういうことからいきますと,この財源移譲に合わせて,やはり
地方交付税の税率の引き上げ,こういうようなことも当然考えていかなくちゃならぬと思いますが,そういう点についてどういうふうに位置づけをされ,努力されておられるか,これも明らかにしていただきたい。
それから,4番目の質問の使用料の兼ね合いで,猪野毛部長の言われたのを聞きますと,私もなるほどね,三つの原則ですか,受益者負担のサービス,さらに便益のある者とない者との公平,額についても原価計算その他,他都市の例も見ながら勘案をして決めていくと,いわゆる考え方としてはそうでしょうねと私も言いたいところです。
しかしながら,こういう一般的なものの考え方だけで,いわゆるすべての施設に当てはめていいのだろうかと。特に時計台,こういうものにこういう考え方で当てはめていいか。
それから,この考え方だけでいっても,使用料は微増でしょう。つまり,札幌市が大変なお金をかけてつくったいろんな施設が本当に市民にどんどんと利用されるかどうか,この利用状況,この兼ね合いで見たら,やっぱり使用料というものが利用者にとって足かせになってはいないのか,ここをやっぱり考えていかないと,利用する者と利用しない者との負担の公平だなんて言っても,つくるのは利用の促進,せっかくつくったものは大いにどんどん使ってくださいと,使われてこそ設立した意味があるわけですから。
そこを考えると,札幌のシンボルと言われているような時計台に6億もかけて改修が終わった。途端に「はい,料金いただきますよ」と,「市民もそうですし,観光客もそうですよ」というようなことで,これいいのかと,こういう問題が出されたのだと僕は思うのですね。
その点で,これは文化部の関係で,その分野での議論はさておき,やっぱり財政的観点から,仮に原局の方から有料化したいと提案があっても,財政の方でちょっと待てというような,財政的にはお金欲しいのはわかりますよ,だけど,ちょっと待てというような配慮,これがあってもしかるべきでないか,そのぐらいの
財政運営をすべきでないかと私思うのですが,助役いかがですか,お伺いします。
◎魚住 助役 施設の,ただであるということは本当に望ましいのかもしれませんけれども,しかし,それを維持していくための費用がかかるわけであります。
私も一昨年,パリに行きまして,向こうの下水道を見学しました。これは25フランかかるのですけれども,世界の方が本当の施設の中で,本当に堂々と下水が流れる中で,25フランを払って,大勢の皆さんが見ているのですよ。
下にまたいろんな施設もありまして,そういうようなことを見まして,これもやはりパリの名物だなと思って帰ってまいりました。
そういうことからいたしましても,札幌にありますいろんな施設につきましても,それなりのご負担をいただいて見ていただくのも札幌の思い出になるのではないかと,このように思っております。
◎米田 財政局長 景気との関連でも消費税を減税してはどうかというお尋ねでございました。
景気との関連では,先ほど来ご議論あります,国政の場においてもいろんなご議論がございまして,所得税の減税をしたらいいのだというご意見から,公共投資が効果ある,さらには,将来のことを考えた場合,特に現在のアジアの経済危機を考えますと,いずれの国も債務が超過していて,それは日本も同じ状況になりつつあるので,そういう意味で,将来のことを考えると,現在そのような債務を積み上げるのはいかがかと,一時的によくても,将来は非常に不安だというような声もいろいろございました。
いずれにいたしましても,これは国政の場で,特に税制については,所得,消費,資産間のバランスをどう図るかという根本的な問題も抱えておりますので,十分ご議論をいただきたいと考えております。
◎猪野毛
財政部長 財源移譲の絡みで,これまで以上の働きかけをと,こういうことでございます。
この絡みについては,地方自治体ばかりでなくて,国の方の状況というのも,いろいろとある状況の中での税源移譲というようなことでございます。従来同様,定期的にといいましょうか,忘れられないようにといいましょうか,さらに国の方をつつきながら,早く検討して明確なことが示されるような格好で進めていきたいと,こういうふうに考えております。
そこで,
地方交付税の絡みの税率の変更,確かに何年か収支不足がありました。
地方交付税の中では,この総額のおおむね1割以上の
財源不足が3年以上続いた場合には,
地方財政に係る制度の改正,または
地方交付税率の変更を行うと,こういうようなことが決められてございまして,平成8年度以降,この要件に該当してございます。
財政不足額については,交付税率の変更ではなくて,財源対策債の発行とか,あるいは国,地方が折半して
補てん措置を講じるというような制度改正によって,これまで対応してきているというような状況でございます。
このような制度改正による一時的な措置というよりは,総額確保というか,交付税率の変更という抜本的な措置が講じられることが本当は望ましいというようなことでございますけれども,
地方財政対策において,国の厳しい
財政状況なども総合的に勘案しながら,
地方財政の運営に支障が生じることがないような必要な措置がこれまでとられてきていると,こういうふうに理解をしているところでございます。
以上です。
◎伊藤 税政部長
法人市民税の9年度の決算見通しはどうかというご指摘でございますけれども,1月末の状況で申し上げますと,今のところ2億円程度下回る程度でおさまるのではないかというふうに見ております。したがって,予算とそう乖離はない。
ただし,8年度と9年度を比較しますと,委員ご指摘にありましたとおり,10.8%の影響が出るだろうというふうになってございます。
以上でございます。
◆高橋[重] 委員 私は市税収入の問題で二つ聞いたわけですが,伸び悩みの原因,これをどう考えるかという問題で,つまり,せんじ詰めていけば,景気の影響ですよ。景気がよくなり,企業活動が活発になれば当然上がる,もう当然です。
つまり,その景気の問題で消費税を問題にしているわけですから。局長,何か国会で大いにそれは議論してと。これは国政の問題ですからね,もちろん国会でやるべきことで,共産党の議員も頑張ってやっています。しかし同時に,地方の側からもこの問題をどう見るかという点で考えていかなくちゃならぬと思うのです。
私,最後にお聞きしたいのは,2月27日の日経に出た豊田経団連会長,トヨタの社長さんで,この方が予算成立直後に減税をやれという要求をしているのですが,もうこの方の言っていることは,要するに法人税,今,法人税どうなっているかというと,ことしの予算で国,地方合わせて49.98 %の税率を経団連は40%にと要求していますね。まず下げれと。ところが,ここまで下げるわけにいかぬというので,46.30 %にそれでも下げた。これはもう大企業優遇の税制をね。ところが,豊田さんはそんなことじゃ満足できない。もう40%に引き下げるとともに,累進課税,現行の65%を50%に下げれと,こう言って,自分たちには非常に都合のいいこと言いながら,片や課税最低限,現在,国税では夫婦2人,子供2人,4人標準世帯で361 万6,000 円だと。これはもうとんでもない,高過ぎると。課税最低限をもっとどんと下げなさいと。つまり,一般庶民からもっともっと税金取って,それから所得のある大きくもうけている大企業,トヨタなんてのは物すごい黒字を上げていますよね,そういうところの税金は下げて,さらに累進課税,累進率を下げてということを堂々と要求している。
こういうことを受けてやられたら,一体どうなるのか,庶民は。今でさえ消費税5%で苦しんでいるのに,もっともっと大変になるということは明らかですよ。ここのところをやっぱり問題にしていかないとならぬ。
こういうような要求に対して,我々はこれは黙っておるわけにいかぬというふうに思うわけですが,どうですか。どのように考えますか,その点を最後にお伺いして終わります。
◎米田 財政局長 高橋議員もよくご承知のとおり,特に税制の問題につきましては,さまざまな観点からさまざまなご意見がございます。多分,市議会におかれましても,さまざまなご意見がございます。私ども一つの見解だけを地方自治体として代弁するというわけにはいきませんで,期待をしているとご答弁申し上げましたので,ご承知おきをいただきたいと思います。
◆山口 委員 私は,財政問題につきまして2点お伺いをしたいと思います。
1点目ですけれども,予算編成における新たな取り組みについてということで,実は昨年の
決算特別委員会や
代表質問におきましても,予算の編成のあり方自体,新たなシステムが必要ではないかという観点から,三重県に調査に行き,その結果を含めまして質問させていただいたところでありまして,縦割り予算を横の観点も含めた政策別と申しますか,事業別の予算に組み替えてはどうかというような提案もさせていただきました。
10月の特別委員会以後,早速,局長が三重県へ行ってらして,いろいろ調査をなさったということで,私は札幌市の行政の進度が非常に遅いなと,かねがねこの7年間感じてまいりましたが,10月の質問の後,すぐいらっしゃったということで,すばらしいスピードだということを改めて認識もし,評価もさせていただきたいというふうに思います。
しかも,早速今回の予算編成に当たって,モデル的にではありましても,マトリックス的な手法を取り入れられたということで,
代表質問でも評価としてのお答えをいただきました。
私もその用紙をいただきましたが,例えば,人に優しい交通対策という切り口で,市民局あるいは各区,環境局,それから民生局,建設局と,各局にまたがった人に優しい交通対策を一覧にして見せるということで,これはハードで259 億円,ソフト面の施策で6億円,それから補助金等含めまして,合計266 億円で人に優しい交通対策が実施されようとしていると。
一方の環境という切り口で,各局にまたがった環境保全対策というのもいただきました。地球環境,エネルギー,リサイクル,ごみ,水とかという項目で,全体でハードで12億,ソフトで14億,合計26億円ということになっておりまして,今まで,それぞれの部局でさまざまな取り組みがされていたことは承知をしておりましたが,これが1枚のペーパーになるということで全体が見渡せると。一歩も二歩も前進だなというふうに感じるわけですけれども,今後,交通が266 億,環境が26億と10分の1なわけですから,これの優先順位とか,予算がこれでいいのかという議論のたたき台というか,素地として非常に有効だろうというふうに考えるわけです。
私たち議員も所属の委員会などについては詳しくわかっていても,市政全体の中で政策別にどうなっているかというのが見えなかったということもございますので,そういう点では評価をしたいのですが,次の段階ですね。これは第一歩,第二歩だと思いますけれども,これを所管というか,責任を持って取りまとめる局がそれぞれどこであったのか。そして,そこには一定程度の権限なり何かが与えられて,この一覧になった予算を調整したり,あるいはこれは重複しているからやめようとか,これはもっと全局でやろうとか,そういうような政策判断を含め行われたのかどうなのか,そこが大変重要だというふうに思います。
表にするだけでは本当に入り口だというふうに思いますので,その辺のところがどうなのかというのが1点目の質問です。
それから,2点目ですけれども,これをした後にセットで行わなければならない部分がございまして,例えば,今年度もう一つの試みとして,政策的経費の最重点項目調書というのをおつくりになったというふうに聞いています。
これは各局ごとの主な最重点の項目を調書にして,施策の体系,何に位置づけられているのか,あるいはその事業の目的,効果,緊急性はどうか,それから,目標とする指標とか,達成状況はどうか,課題はどうかということをそれぞれ出すということなのですけれども,これも私はとっても大事で,これをもって事業を行って,その後の評価というところに結びつくというふうに思うわけですが,この調書の成果についてはどうだったのか,これについてもお答えいただきたいと思います。
それから,大きな2点目ですけれども,1点目が予算編成の考え方,大きな2点目で,会計制度の見直しということでお伺いをしたいと思います。
代表質問では,外資系金融機関の活用も今後は出てくるのではないかということで,市長からはそれも避けられないというか,それも対象外ではないというようなお答えがございましたが,であれば,なおさら現在の公的な会計,いわゆる公会計制度というようなものでいいのかどうかということが当然議論になってくるというふうに考えるわけです。
現在の自治体の会計制度は,お金の入りと出だけを記帳する大福帳といいますか,家計簿とほとんど変わらないような制度に地方自治法上もなっておりますので,全体像が見えにくいというようなことで,企業については全部複式簿記でするようにと国が指導しているのですが,自治体なり,国の方は明治以来の公会計制度であるというところで,もっと,例えば複式簿記にして,貸借対照表あるいは損益計算書のようなものを一般会計にも導入するというような動きがあるわけなのですけれども,これについてのお考えを再度お伺いしたいと思います。
以上です。
◎猪野毛
財政部長 1点目のマトリックス予算に絡んで,どういうところでどういう権限を持って調整をしてきたかと,こういうことでございます。
今言いました試行的に行った三つの項目については,それぞれ市民局の交通環境対策部,あるいは環境保全部,情報関係については企画部というところでまとめていただきました。
そこで,いろいろな横の部局間の連携は,そういう面ではいろいろととれたところでございますが,今言われたような権限の部分,これがどうしても庁内でコンセンサスを得ていないといいましょうか,さらに先に進めない一つの大きな問題だというふうにとらえております。
そういうようなことで,今回は横の連携という部分ができ,さらに財政部における,そういう整理したものを財政の優先度といいましょうか,そういう部分では整理をできたところでございますが,それをもう少し先に進める専門的な職員がいる,あるいは情報を持っている,ノウハウがあるというような主管部において調整するということまで進められればさらにいいのかなと,こういうふうに実は問題点としてつかんでおるところでございます。
したがって,そういう部分については,これからいろいろな関係部局とも協議しながら,その辺の権限を含めた役割分担というのを示しながら,さらに充実した予算編成の方向に持っていく必要があるのかなと,こういうふうに今回の試行的な中では感じているところでございます。
それから,二つ目の政策最重要項目調書の部分でございますが,これは一つには,財政局長ヒアリングのところで,ここの部分を各部局に作成をお願いして提出してもらいました。
若干,効果,目標というような整理が,時間的な余裕もなかったというようなこともあって,少し統一されなかった部分がございますが,一つの試みをした,意識を持って各部局で考えていってもらうという方向づけとしては,ある一定の効果があったのかなと。
そういう意味では,これからその辺の問題点ももう少し整理しながら,これから事業評価につながる部分にもなりますので,少し整理をしていきたいなと,こういうふうに思っております。
それから,公会計基準の導入についてでございます。
これは長い歴史的な経過の中で,現在の自治体の会計制度がつくられ運用されてきたものと,こう理解しておりますけれども,現在この制度のあり方について,今言われたようなストック面での評価の不十分さや,あるいは負債と資産との対照がなされていないというような種々の指摘について議論がされてございます。
これについては,国においても既に研究に着手していると聞いてございますので,その動向を深く見守りながら考えていきたいと,こういうふうに思っております。
以上です。
◆山口 委員 1点目ですけれども,権限含めて今後の課題という認識をお持ちだということで,ここまでの横割りというか,政策別予算をしているところは結構最近は自治体でもふえていますが,ここでとどまっているところが多くて,次の段階へなかなか進めないと。職員の方の意識改革なんかももちろん重要ですし,その辺のところでは,同じ部という並び,あるいは課という並びで,どこかが突出して「こうしろ,ああしろ」というのは絶対に役所の中ではあり得ないだろうなというのもわかりますので,もう一ランク上の何か権限を持たせるような工夫がないと,この段階で終わってしまうだろうというふうに思いますので,その辺は,局長が速やかに三重県にいらしたのと同じくらい速やかに,ぜひ検討していただきたいなというふうに申し上げておきます。
それから,2点目の部分ですが,最重点項目調書が当初のもくろみよりは活用されなかったようなお答えでございました。多分これは,財政とか予算の編成というレベルの話ではなくて,これとこれをやることで,これまでの成果が余り重んじられなかったと,議会においても,予算やお金の使い方は活発に議論されるけれども,なかなかこの効果がどうだったかというような議論はなかったというふうに思うのですが,評価とフィードバックということで,調書がもっと活用されて,責任を持たなきゃいけないわけですね。自分たちで事業を企画して,効果とか目標指標を決めなくてはいけないと,達成状況を決めなくてはいけないということで,これは行政全体の意識改革につながる大きなことだというふうに考えますので,その辺では,2月に出されました
行財政改革推進計画の中にも評価システムの検討というのがございますが,これが12年度なのですね。それから,予算行政システムの見直し等も,これは11年度からということで,私は今申し上げたように,予算編成という狭い切り口ではなくて,実はこれが行財政改革のかなりキーポイントになるというふうに思いますので,この辺をもっと前倒しで計画を進めるべきではないかというふうに考えますので,そのことについて再質問したいと思います。
それから,三重県では既に予算の編成過程も情報公開をして,3,381 の事業の編成,なぜこの事業を行うか,予算をつけたか,なぜつけなかったか,全部市民に公開しているということで,これはある意味で行政にとっても楽な部分だと思うのですね。
公開しているのに市民がクレームをつけなかったとか,あるいは理由がわかっていてやめたのだということが明確にできるわけですから,その辺では,ぜひ情報公開含めてどのようにお考えか,お伺いしたいというふうに思います。
それから,公会計のあり方についてでございますが,国の動きなども深く見守りつつということでお答えがありましたけれども,既にもう試験的に取り組んでいる自治体もありますね。宮城県は新年度から,一般会計にも企業会計の手法を取り入れるということですし,神奈川県の藤沢市などもやっていらっしゃる。
やはり各自治体は,税収が落ち込む中で,どうやって新たな展開をしようかと,起債をふやさないようにするという中でのいろんな工夫だというふうに思いますし,外資系金融機関との絡みだけではなくて,例えば起債もこれから自由になって,自治体が自由に金融機関と交渉するようなときにも,そのような負債,ストック,フロー含めて,見えるような会計制度がそうそう遠くない将来に絶対必要になってくるというふうに考えますので,その辺では,例えば行政改革をやりましたニュージーランドの例なんか,全部インターネットで今見ることができますし,そういう意味では,国の動向を深く見守るのではなくて,ぜひその辺の研究を職員の有志レベルでもよろしいのですが,スタートさせてみるべきではないかというふうに考えますが,いかがでしょうか。
◎米田 財政局長 事業評価システムについての再質問でございますが,事業評価は今ご指摘ありましたように,本来は予算で始めるというようなものではなくて,むしろ計画段階でこれを取り入れ,かつそれが事業的にどうだったかということを再度評価するというのに一番役に立つシステムだというふうに認識しております。
そういう意味で,まず導入の年度の問題ですけれども,そのような意識づけを一部の人間ではなくて,職員のすべてがこういう事業について目標,効果というのを意識しながら,まず計画づくりからやっていくという,そこのためには,はっきり申し上げまして,来年度すぐにこれをやるということで成果が得られるというのは非常に難しいのではなかろうか。むしろ今,長期計画というのをつくっていますので,その過程において試行錯誤を重ねながら,12年度で本格的な導入を図るというのが最も現実的だろうというふうに考えております。
そういう意味で,情報の公開につきましても,正直申し上げまして,10年度予算編成に当たってつくりました目標等につきましては,例えばある建物をつくるのに,既に決まった建物の建築のスケジュールをそのまま目標にするというような,そのような事例が非常に多くて,そのままではなかなか実は使えないというような現実がございました。
そういう意味で,これを一般に公開をしてご批判に耐え得るものにするためにも,まず事業評価システムそのものの意義を職員に浸透させるという地道な作業が必要になるものと考えております。いずれ,将来にはそのような方向に向かうということで,私どもも努力をしたいと思っております。
◎猪野毛
財政部長 最後の部分でございますけれども,その手法の導入についての必要性,あるいは導入の効果等も含めて研究課題というふうにさせていただきたいと,こう思っております。
◆山口 委員 最後に要望になりますけれども,意識改革がまずは必要だという局長のお答えもわかりますが,であればこそ,なおさら三重県が当初,意識改革に2億円というか,その職員研修に2億円ぐらいかけたということもありますから,まず人の問題も大変重要だというのがわかりますので,その辺のところから強力に推進をしていただきたいということと,それから,公会計システムにつきましては,後ほど専門家でいらっしゃる代表監査委員にもお答えをいただきたいというふうに思いますが,ぜひその辺のところでの検討も前向きにお願いをしたいということで,今回はまず問題提起ということで終わりたいというふうに思います。
○宮本 委員長 歳入のうち一般財源等の質疑を終了いたします。
ここで,委員会を暫時休憩いたします。
──────────────
休 憩 午後3時31分
再 開 午後3時44分
──────────────
○宮本 委員長 委員会を再開いたします。
次に,第10款 公債費,議案第12号 平成10年度札幌市公債会計予算,第11款 諸支出金,第3条の第3表債務負担行為のうち関係分,第4条の第4表地方債のうち関係分,議案第8号 平成10年度札幌市基金会計予算,議案第23号 札幌市基金条例の一部を改正する条例案中関係分及び第13款 予備費を一括して質疑を行います。
◆田中 委員 私の方から端的に一つ,基金の問題についてお伺いをしたいというふうに思います。
先ほど来の論議の中で,
財政状況が厳しい折からということで,限られた財源の効率的活用という表現も使われながらの論議がございましたけれども,設けられております基金,個別にそれぞれの基金については触れませんが,基金というものについての総体的な考え方について幾つかお伺いをしたいというふうに思っております。
特に,その基金全体のあり方なり,整理統合,そして有効活用という観点からお聞きをしたいというふうに思います。
第1点目は,本市で設けられております基金の設置基準,そんなものがあるのかどうなのか。
それと他の政令都市との関係について,どんなぐあいになっているかということのご質問なのですが,本市で設けられております基金,昭和39年に基本基金を初めとして四つの基金が設けられましてから,以来,順次増加をしてきており,現在18の基金がございまして,その総額,今年1月末で1,493 億円,約1,500 億円弱というふうにお聞きをしております。
結構へそくりがあるのだなというふうに感じておりますけれども,この18の基金のうち,とりわけ平成2年以降,地域福祉振興基金を初めとして五つの基金が新設をされておりまして,さらに今年度,リサイクル推進基金,積立型で約20億の目標ということで設置をされるということでございますが,基金の本来的なメリットといいますか,そういうものとの関係でいって,こういう基金というのは,基金にする,しないというその設置基準みたいなものですね,どんなような基準に基づいて設置をされておられるのかということ。
また,リサイクル推進基金が入ってきますと19ということになるのですが,一つ一つ見てみますと,結構似たようなのが多かったり,本来,基金でやらなきゃならないのかどうかといったような,表面的なのかもしれませんけれども,そういう疑問がふと生ずるような基金もあります。
18とか19という数がほかの政令都市に比べて,本市の場合どのような状況になっているか,これをお伺いしたいということでございます。
それと,第2点目で,こういう基金の中には,積み立てて,そしていわゆる果実としての利子を利用して事業を行うといったことをやられている,そういう形態の基金が結構あるわけですけれども,そういう基金で行われている事業の執行状態と,それがそのまま継続されるのかどうか。見直しということ
については,どういうふうに考えておられるかということでございます。
特定の目的があって,その事業を行うために基金をつくって,生ずる利子を利用して事業を行うと。いわゆる果実運用型という分類がされているようでございますが,こういう基金が現在,奨学基金を初めとして大体九つというふうに私は分類させていただきますが,ございます。過去,この委員会でも何回か論議があったと思いますけれども,特にこういう経済状態でございますし,低金利の状態でございますから,基金の運用益,従来に比べまして大きく落ち込んでいるということになろうかと思いますが,そういうことからいくと,基金が目的としている所要事業の安定的な,あるいはまた継続的な実施が難しくなってきている状況が出ているということについては論議をされてきているところでございます。
一方で,そういう特定の目的の果実運用型の基金がある,そして,その基金でやっている事業が社会情勢,これだけ大きく変化をしてきておりますし,市民のニーズも多様に変化をしてきていて,それらに見合った見直しを総体的にやろうというのが事業再評価だと思うのですが,基金でやっているからということで,言葉悪いですけれども,惰性的だとか,あるいは漫然と継続をされていて,やらなきゃならないというふうな部分だけが先行して,それによって,それぞれの基金が持っている貴重な財源,本来基金ですけれども,これが眠ったままで,本市財政の全体的な方向の中で有効に活用されていない状況というのも,これはあるのじゃないかと,私はそういうふうに見てしまうのです。
こういうことから申し上げますと,それぞれの事業の執行にとって,低金利ですから,事業そのものが安定的にできるというわけではありませんし,一方でそういう基金を柔軟に取り扱うというわけにもいかないものですから,ある意味で硬直化してしまっている,こういう果実運用型の基金,こういったものを整理することができないか。
そして,場合によっては,基金で行う事業ではなくて,単年度ごとの予算で制度的に必要額を計上することで必要なものは継続させる,あるいはまた見直すものは見直すというやり方というものが考えられてもいいのではないかというふうに思いますけれども,まずその二つについてお伺いをしたいということでございます。
◎福原 管財部長 1点目は私からお答えをいたします。2点目は
財政部長の方から答弁をさせていただきます。
基金につきましては,まず設置基準というものは特に設けてございません。ただ,私どもが基金を今までつくってきた経過といいますか,経緯といいますか,そこから見ますと大きく三つに分けられるのでないかというふうに思います。
一つは,国の指導によりまして設けている財政調整基金,いわゆる財政を補完・支援するということで設けている基金でございますけれども,そういったものですとか,あるいは市債の元利償還のために設けている減債基金,それから土地開発基金,それから地下高速鉄道基金,こういったものがまず一つございます。
それから,二つ目には,特定の目的のために市民から寄せられた寄附による資金,これを積み立てるということで,奨学基金でありますとか,特別奨学基金,そして災害遺児の基金,こういったものがございます。これが二つ目でございます。
それから,三つ目には,市民の自発的な活動機運の盛り上がりに対応してこれらの活動を助長・支援するために設けている基金,これは芸術文化振興基金でありますとか,地域福祉振興基金,環境保全推進基金,スポーツ振興基金,今回のリサイクル推進基金,今提案しておりますけれども,こういったものの三つに分類できるというふうに思います。
ご指摘にありましたように,平成2年以降五つの基金が新たにつくられておりますけれども,これらの基金につきましては,市民の自発的な活動の分野を助長・支援するために設けた基金が大部分でございまして,環境保全問題でありますとか,ボランティア活動,あるいはスポーツ振興といったことで,その時々の社会情勢にマッチするように,そういったことでつくられた基金ということになってございます。
それから,他都市との比較でございますけれども,現在,私どもの方は18基金で1,493 億ほどございますけれども,数で申し上げますと,一番多い都市では,大阪市が53の基金を持っております。それから,一番少ないところでは,千葉市が11でございます。大体10幾つから30幾つというところでございます。
金額的に申し上げますと,一番多いところは神戸市でございまして,8年度でございますけれども,4,800 億円以上の残高となっています。少ないところは千葉市でございますけれども,416 億円というふうになってございます。
私からは,以上でございます。
◎猪野毛
財政部長 2点目の果実充当事業の整理の関係についてでございます。
委員ご指摘のとおり,低金利の影響から,その果実のみで従前と同水準の事業を執行するというのは,今なかなか困難な状況になってございます。
しかしながら,果実充当事業については,その執行において果実をもってしかできないというものではございませんで,必要であれば一般財源や基金の取り崩しというようなことも可能でございます。
実態としては,現在では大部分の事業で果実以外の財源を充てることによって安定的な事業を執行しているというところでございます。
なお,果実充当事業は見直しがされづらいのではないかというようなご指摘がございました。基金設置の経緯やその趣旨を生かしつつ,他の事業同様にその目的,効果,あるいは必要性というようなものを考慮しながら事業を実施しているところでございますので,ご理解をいただきたいと思います。
以上です。
◆田中 委員 今お答えになったようなところで,現在の基金の総体があるというふうに思いますけれども,基金の設置基準というのは実はないのだということでございますから,それぞれ原局の方で,これを基金制度でやりたいということになれば,どういったチェックがなされて,そして新たな基金が設置されているか,されていないか,その辺のところはアンノウンだということになるのではなかろうかというふうに思います。
冒頭答弁があった,最近設けられている基金は,環境保全問題だとか,ボランティアだとか,スポーツ振興だとか,重要なテーマが反映されてきているというのが特徴だというふうに言われたのですが,最近はそうでしょうけれども,しかし,それでは,過去にさかのぼって,それぞれ重要なテーマで設けられてきた基金であっても,やっぱり時代の変遷という要素がなかなか反映されないのでないかということなものですから,この辺はやっぱり見直ししづらい基金の運用実態というものがあるのじゃないかなというふうに思います。特に,後段の部分で,
財政部長の方からご答弁いただきましたけれども,利子が少なくなってきているから,場合によっては基金を取り崩したり,さらには大部分の事業ということでお答えいただきましたが,果実以外の財源を充てているというふうなご答弁でございますから,一般財源を補てんしているということだと思うのですが,そうなると,それぞれの事業を必要だと仮定した場合でも,基金としてやっていくメリットというのは一体どこにあるのか,本当にその事業が必要だったら,一般会計の中に全部移してしまって制度的なものでやったって,それはそれでいいのでないかという考え方というのは当然出てくるというふうに思うのですが,やっぱり基金だから,それ残しておかなきゃならない,元金はそう取り崩すわけにいかないということになると,なかなか減らすわけにいかなくて,その基金だけは有効活用,ほかの方に転用できないと,活用できないと,残しておかなきゃならないということになっちゃうと。そこらあたりが実は一番お聞きをしたいところでございまして,そういうことだから,基金の整理統合ということが考えられないかどうかということでございます。
それが2点目になるのですけれども,今言われましたように,財政調整基金だとか,減債基金だとか,土地開発基金,これらはそれなりのやっぱり必要性というのは私なりに理解はしております。総額でいくと約1,000 億ぐらいになるというふうに思っておりますけれども,その他,例えば国際デザイン賞の顕彰基金,これは9年度末の見込みが6,000 万円にも満たないといったようなものがあったり,奨学基金と特別奨学基金,それぞれの生い立ちが違いますから,別になっているのだという理屈になると思うのですが,似たような制度でございますから,こういうのは一緒にして有効活用できないのかどうかというふうなものがあったり,まちづくり推進基金,これ見てみますと,公園だとか,学校だとか,その他の都市施設の整備,都市活性化など幅広い目的に充てられることになっているといったようなことなんかがあるものですから,こうなると,何でもかんでもまちづくり推進基金の方に全部集約すればできるようなことにならないかということがございます。
そういった意味で,一定程度の類似をしている役割を持っている基金だとか,少額の基金,こういうものを統合することによって,予算全体,財源全体を弾力的,効率的に運用することが可能になるのじゃないかというふうに思います。
現在の基金総額,先ほど申し上げましたように,総体約1,500 億弱ございますけれども,そのうち財調,減債基金,土地開発基金,この合計で約1,000 億になりますが,残り500 億円弱,これ半分に減らしてみても,それぞれの基金がやっている事業にそれほど影響が実はないのじゃないだろうか。どのみち一般会計の方から補てんをしながら,それぞれの事業をやっているわけですから。
そうすると,この辺の数字が,限られた財源,限られた財源という先ほどからの論議がございますけれども,活用できる一つのいいへそくり財源ということにならないかと,そういうことも考えていいのではないかというふうに私思うのですが,そんな意味で,基金の整理統合,そして有効活用といった観点についてどのように考えられているか,お聞きをしたいということでございます。
◎米田 財政局長 基金につきましては,私は管財部の方と財政部の方と二つの顔を持っておりまして,財政の方に立ちますと,基金をすべて自由に使って,特にこのような財政の非常に苦しいときには,それを有効活用できないかという誘惑にいつも駆られるわけでありますが,先ほども申し上げましたように,一つは,基金の出発点となった資金,それの原点がどこにあるか。例えば,ご寄附をいただいたものもございまして,その場合には寄附者のご希望というのをそんたくするということがやはり必要になってこようと思いますし,それから今回のリサイクル推進基金,ご提案しておりますけれども,これはリサイクルによって生み出されたお金,これを積み立てようということでございまして,そういう意味で,元となった資金と事業との対応関係を明らかにするという意味で,基金が果たしてきた役割というのは,これは否定し得ないものもあろうかと思います。
しかしながら,いつまでもこの辺に拘泥をするということは,ご危惧いただきましたように,基金にひっついた事業というのがなかなか見直されないのじゃないかというようなご懸念もありますので,これから特にこういう低金利の時代でもありまして,基金果実というのが非常に低下しておるということを踏まえまして,基金の弾力的・効率的な運用が図れますように,今後は整理統合も,その可能性を検討する必要がある,検討を進めていきたいというふうに考えております。
◆田中 委員 リサイクル推進基金のように,それぞれがそれぞれの理屈でもって組み立てられてきておるのが今日の歴史だと思いますし,その理屈をあながちすべて否定するわけにはいかないというふうにも私も思いますけれども,しかし,そういうふうに余り小分け,小分けしちゃうと,局長が言われたように,弾力性を欠く部分が出てきて,そして財源がないから,なんか基金を有効活用したいなという誘惑に駆られるという大変なお言葉いただきましたけれども,そういうことにやっぱり現実は流れるのでないかなというふうに思います。
問題を提起させていただきまして,局長が駆られておられます誘惑には素直に従っていただきますように要望して終わります。
◆新山 委員 ただいま田中委員の方から基金の全般について,いろいろご質問がございました。
私からは,今定例会にリサイクル推進基金新設と土地開発基金の管理に関しての条例の一部改正が提案されておりますが,ここでは関係分として土地開発基金から,札幌市土地開発公社への貸し付けに関して,簡潔に2点質問をさせていただきます。
質問の1点目は,条例改正の目的はどこにあるのか,また,その効果についてどのように考えているのか,お伺いをいたします。
2点目は,土地開発基金は現在どのように運用されているのか,また,平成10年度の運用予定について土地開発公社への貸し付けも含めてお伺いいたします。
◎福原 管財部長 1点目の目的と効果でございますけれども,現在,基金の運用でございますが,一つは金融機関への預金,それから国債及び地方債証券等の買い入れ,それから各会計への一時運用ということの三つで運用を行っております。
このうちの土地開発基金につきましては,公共用地等の土地の確保に資する基金ということで,同じ土地の取得ということを目的としておりますことから,今回,土地開発公社にも貸し付けることができるように改正をしていただきたいということで提案をさせていただいたものでございます。
その貸し付けのメリットでございますけれども,一つは,その運用形態といたしまして,安全な貸付先としての公社ということで,そういう選択肢を広げようというのが一つでございます。
そのことによって,最近,非常に金融情勢が大変でございますので,そういった意味でのリスクの軽減にもなるのでないかなというふうに思っております。
それから,二つ目は,これは金融情勢にもよりますけれども,公社が民間の金融機関から借り入れを行うよりも低い金利で基金から貸すということで,公社の金利負担を軽減できるというのが二つ目でございます。
それから,その結果,先行取得した用地をいずれにしても札幌市の方で買い戻すわけですけれども,この買い戻しの際の価格が抑えられるという,この三つのメリットがございます。
それから,運用状況でございますけれども,ことしの1月末現在で,土地として保有している金額は約512 億でございます。それから,現金につきましては約152 億ということで,期間40日くらいの大口定期預金ということで,現金につきましては,全額運用しております。
それから,平成10年度におきましては,この基金は,学校用地でありますとか,
地区センター用地,そういったもろもろの用地を約128 億ぐらいで土地購入の予定をしております。
それから,処分の方でございますけれども,一般会計等への売却予定といたしまして,生涯学習総合センター建設用地でありますとか,清掃事業用地あるいは公園用地ということで,約102 億円ほどの収入予定というふうになってございます。
それから,公社への貸し付け予定でございますけれども,現金のうち,今やっておりますが,土地の購入に支障のない範囲で,当面は公社の一時借入金,これに対応するように貸し付けをしたいというふうに考えております。
以上です。
◆新山 委員 ただいまの答弁によりますと,土地開発基金からの土地開発公社への貸し付けは当面,一時借入金への対応,つまり短期の貸し付けとのことでありますが,そもそも土地開発公社は,金融機関などからの借入金を原資として事業を行っていることから,長期資金についても積極的に貸し付けることにより,公社の金利の負担の軽減,または買い戻し価格の圧縮が期待できるものと考えられます。
つきましては,長期資金として公社への貸し付けをどのように考えているか,お伺いをいたします。
また,土地開発基金と土地開発公社は,ともに公共用地の取得を目的としているとの説明でありますが,基金も公社も,かつての地価の急激な高騰などによる公共用地確保の困難に対応するためにその制度が設けられたものと理解をいたしております。
バブル崩壊後の現在,地価は一転下落しており,もはや先行取得の意義が薄れたとの批判があるものの,例えば少子化の時代とはいえ,学校用地のように,将来の児童,それから生徒のために,一定の地域に一定の規模の用地を確保しなければならない場合,学校建設計画が明らかになってからの用地確保が困難な場合が十分考えられます。
つまり,計画的な街づくりのための用地確保につきましては,先行取得の意義は十分にあるものと考えられます。
そこで,このような土地の価格の変動を踏まえて,今後の先行取得に対する基本的な考えをお伺いいたします。
また,土地の先行取得において,土地開発基金と土地開発公社の役割の分担はどのようになっているのか,あわせてお伺いをいたします。
◎福原 管財部長 まず,公社への長期の貸し付けでございますけれども,土地開発基金の方の現在の資金量から考えまして,年度内でいろいろ土地購入ということで資金繰りがございます。したがって,当面は長期で貸すということについてはなかなか難しいのではないかなというふうに思っておりますけれども,条例改正の趣旨からも,今後,資金量でありますとか,資金繰りの関係を見ながら,前向きに取り組んでいきたいと考えております。
それから,先行取得につきましては,お話にありましたとおり,いろいろ今現状が,当初の公社,いわゆる骨格ができた当時とは状況が違っておりまして,その役目が終わったというようなこともございますけれども,やはり計画的な街づくりということから考えますと,先行取得というのはどうしても必要だというふうに思っております。
しかし,いずれにしても,先行取得に当たりましては,
財政状況でありますとか,コスト面あるいは事業化のめど,そういったものを見極めた上で先行取得をしていきたいというふうに思っております。
それから,基金と公社との関係でございますけれども,現行の国庫補助制度の中では,公園でありますとか街路事業,こういった場合は,基金で先行取得をいたしましても補助の対象になりません。開発公社からの買い戻しの場合は,金利を含めまして補助対象になりますので,そういったことで,土地開発公社を積極的に使っていきたいというふうに思っております。
いずれにいたしましても,厳しい
財政状況のもとでございますので,基金につきましても,公社につきましても,その運用につきましては効率的にやっていきたいというふうに思っております。
以上です。
◆新山 委員 先行取得の基本的な考え,または基金と公社の役割についてはわかりました。
土地の取得に関しましては,市の財政状態が大変厳しい中,慎重な取り扱いが大事であろうと思います。
しかし,バブル崩壊後の現在,地価の下落は,ある面では先行取得のチャンスでもあります。取得については,市民にとって理解のできる使用目的,また必要性を十分踏まえた上で,慎重な取得判断をしていただくよう強く要望いたしまして,質問を終わります。
○宮本 委員長 第10款 公債費等の質疑を終了いたします。
次に,第1款 議会費の質疑を行いますが,通告がございませんので,質疑を終了いたします。
次に,第2款 総務費 第5項 選挙費の質疑を行います。
◆高橋[功] 委員 私,開票体制について,ちょっと何点かお伺いをしたいと,こう思っております。
昨年12月に公職選挙法が改正をされまして,何点か改正点があったようでございますが,一つは,終了時間が6時から8時になった。それから,不在者投票の事由がかなり緩和された,こういうことで伺っております。
ですから,そういう意味では,公示及び告示以降,もう毎日が投票日というようなことが十分あり得るのかなとも感じておりますが,それはさておき,6時から8時に延長になりました。それで,今まで即日開票をずっと本市も定着をしてやってきたわけでございますが,このことについては,私も大変関心を持っておりました。
先日の新聞報道によれば,札幌市も,札幌市選管及び各区選管でいろいろ検討して,即日開票の方針を確認したと,こういう報道がございました。
そこで,この即日開票の方針が確認されるまでにはいろいろな検討が当然重ねられたのだろうと,こう思っておりますし,特に開票が深夜にわたることになると,こう予想されますので,そういう意味では,人員の確保だとか,それからどの時点で開票を始めるのか,開票開始時刻の早期化とか,開票に関する時間の短縮等,いろいろ検討されたのだろうと,こういうふうに認識をしているのです。
そこで,まず3点ほどお伺いをしたいと思います。
1点目は,投票箱の送致,要するに各小学校等々で投票があって,その投票箱を開票所に運ぶわけでございますが,この投票箱送致の件,これは伺うと,開票開始をおおむね午後9時というふうに設定をされておるようでございますが,札幌市内も大変広うございます。私の地元の南区なんかも大変広うございまして,開票所までの距離が一番遠い所,これはやっぱり定山渓地区になろうかなと思いますが,例えばこの南区の定山渓地区では,開票所まで国道230 号線の道路が一本でございます。そんな意味で,開票所に投票箱が届かない限り,開票は当然スタートできないわけでございますから,投票終了後すぐに投票所を出発してもなかなか大変ではないのかなと,こう実は懸念をしておりまして,この点,開票開始までに,先ほどちょっと申し上げた午後9時までにきちっと全市的に投票所から投票箱が着くような体制になっておるのかどうか,この点がまず1点でございます。
それから,2点目は,投票結果集計事務,いわゆる投票率ですね。投票率につきましては,今まで,集計に1時間半とか2時間程度かかっておったように私も承知しておりますが,これをもう少し,従来より短縮できないのだろうかと,こういうことです。
やはり,できれば開票が始まる9時までにこの集計ができればと,こう思うのですが,仮にできなかった場合に,その開票との関係はどういうことになるのか,この点,2点目としてお伺いをしたいと思います。
それから,3点目は,当然人員の確保ということでございます。
午後9時に開票が開始ということでございますから,当然,当日は朝7時からずっと投票事務に従事をされておられる方,それから引き続きこの開票事務に従事をすると。いわゆる継続従事というのは,今までよりは制限を受けるのかなと,さらに2時間伸びたわけですから。
そういうことからいって,ことしの夏にも予定をされております参議院選挙,これでは,投票,開票合わせて約7,200 名程度の従事者を予定されておると,こういうふうに聞いておりますが,市の職員の方とか,いろいろご協力いただいていると思いますけれども,先ほども申し上げたように継続従事に制限を受けると,こういうことから言いますと,従来よりもいわゆるアルバイトといいますかね,そういう方々の募集を強化しなきゃならないのではないかと,こう思うのですが,この点どのような具体的な方策をお考えなのか,お伺いをしたいと思います。
◎梶 選挙管理委員会事務局長 先般,札幌市の区,それと市の選挙管理委員会で,高橋委員がおっしゃられたような7月に予定される通常選挙の開票体制,これの方針を決めたところでございます。
そこで,ご質問が3点ほどございましたけれども,まず最初に,おっしゃられるように投票箱が開票所に着かなければ,全部そろわなければ開票が始められません。地域によりましては,遠い所もあるわけでございますけれども,定山渓地区はやっぱり一番遠い所でございます。で,定山渓地区には投票所は2カ所ほどございます。まずその一つは,豊羽鉱山のところでございますが,ここにつきましては,従前から,投票の開始を1時間早めて,そして1時間早く投票所を閉めると,そういういわゆる繰り上げの対応をしてきております。今後におきましても,そういう方法をとって繰り上げをやっていきたいというふうなことで,1時間早くなるということになると7時に終わりますから,対応できるかなと。
それから,もう一つの地区は,定山渓の温泉地区でございます。そこの投票所につきましては,ご指摘のように,距離の問題,それから道路事情の問題から,所管いたしております南区の選挙管理委員会でも非常に慎重に検討をしたわけでございます。実際には,現地の実地調査もいたしました結果,開票を9時開始というふうなことでやることについて,投票箱は到着できるだろうと,こうふうなことで考えたわけでございます。
そのほか,札幌市には290 余りの投票所がございますけれども,道路事情あるいは距離等から考えて,特段の問題はないというふうなことで判断をいたしたものでございます。
それから,二つ目でございますけれども,投票結果を集計するという事務がございますけれども,これが従前よりも短縮できるかどうかということでございます。
公職選挙法が改正になりまして,関係法令ということで規則等も改正されたわけでございますけれども,一つは,投票録の作成というのはかなり時間がかかっているのが実情でございましたが,今回の改正なんか見ましても,記載事項の簡素化というふうなことも行われております。
私どもそれに安心することなく,さらにその担当者については,作成を迅速にするような研修も強化していかなきゃいかぬと,こんなふうなことも考えております。
そんなふうなことで,何とか9時の開票開始に間に合うような形での集計をやるように努力をしたいと思っているわけです。
それとあわせまして,どうしてもできなければというふうなご質問ございましたけれども,そんなことはないだろうとは思っていますが,一応そういう場合も想定いたしまして,投票の集計事務と開票の事務を切り離すといいましょうか,分離するというふうな形で対応もしなけりゃならないかなというふうなことで,特段の不測の事態でも起きれば別でございますけれども,何とかそういう方法を講ずることによって,9時には開始をするというふうな形で決定をしているところでございます。
それから,3点目の人の確保という問題でございますが,従前,札幌市では,職員が7割,それから臨時,アルバイト職員が3割くらいの比率で事務従事をお願いしているところでございます。
職員につきましては,高橋委員の方からご指摘もございましたように,なかなか長時間に及ぶというふうなこと,深夜にわたるというふうなことで大変だとは思いますけれども,従前にも増してご協力をお願いするようにしていきたいというふうに思っておりますし,さらにアルバイト職員につきましても,その確保を目指して,いろんな手だてで募集を幅広くやって,必要な人員の確保に努めてまいりたいと考えているところでございます。
以上でございます。
◆高橋[功] 委員 今お話ありましたけれども,私,7月の参議院選挙,公職選挙法改正後,初めての選挙だから,もちろん大変関心持っておりますが,実はもっとその先に,参議院がどうでもいいとは言いませんが,この後ろの皆さん方も私も含めて,来年の統一選挙が一番やはり我々にとっては関心事でございまして,これがよもや即日でなくてなんてことはないだろうなという懸念から,実はきょうここで質問をさせていただいておるわけでございます。
投票箱が閉まって,結果が出るまで1日あいたなんてことになると,もう我々の心臓はえらいことになるわけでございまして,そういう意味でも,今,いろいろ細かいこと伺いましたが,特に自治省からも,また法律上も,できるだけ速やかにということでありますので,今回,参議院選挙は即日でやると決めました。それで,来年の統一選挙についてはまだわかりませんということに多分なるのかもしれませんが,一番心配しているのは,来年は知事と市長と市議と道議の四つの選挙ですから,これは聞くと
ころによると札幌だけだそうですけれども,今のところですね。そういうことからいって,札幌市が今までこの10年近くも即日開票を定着させてきたわけですから,明年の統一地方選挙についてどのようにお考えなのか,現時点でお答えのできる範囲でお答えをいただければと,こう思います。
◎梶 選挙管理委員会事務局長 一番難しいところでございますけれども,やはり,2時間投票時間が伸びるという中で,いろいろと各区の選挙管理委員会の方でも知恵を出していただいて,何とかこの7月の通常選挙では即日開票でというふうなことになっていった段階でございます。
いろいろな,従前の即日開票とは異なった状況の中で開票事務というふうなものを行わなきゃならぬということでございますので,私どもといたしましては,やっぱり通常選挙の結果をひとつ検証をして,それをよく考えて検討をしていかなきゃいかぬというふうに思っております。
それから,もう一つ,統一地方選挙の場合,高橋委員がおっしゃるように,札幌の場合は四つ種類がございまして,通常選挙の場合でしたら二つなのですね,選挙区と,それから比例代表と。その2倍あるわけでございまして,それを並行して開票事務を進めるというふうなことになりますというと,やっぱりなかなか難しい問題もございますから,今ここで即日開票というふうなことは今申し上げましたような事情で難しいわけでございますが,いろいろ考えて,通常選挙が終わりました段階で,やはり各区の選挙管理委員会と十分協議をしながら,適切な方針を決定してまいりたいと,こんなふうなことでございます。
以上でございます。
◆高橋[功] 委員 要望にしますけれども,これ以上言ってもあれですから。
いずれにしても,この参議院選挙ではその辺のところをしっかり頭に入れていただいて,間違いなくやってくるものでございますし,それから,どうも最近,我々の統一選挙のときに開票で何回かトラブルがあるように私も聞いておりますので,そういう意味では速やかに選挙民にお伝えをできるような体制をぜひ選管としてお取り組みをいただきたいと,こういうことを要望して終わりたいと思います。
◆横山[博] 委員 高橋委員も今度の公選法の改正に関連してご質問なさいましたけれども,私もこのことで簡潔に質問させていただきたいというふうに思います。
今度の法改正の最大の理由として,投票率の低下傾向,これに歯どめをかけると,いわゆる投票環境の整備をするのだということが大きな理由になっております。
投票時間の延長,それから選挙公報の字数制限の廃止,高橋委員もおっしゃいました不在者投票所に候補者の氏名の掲示など,実務の簡素化ですね,そんなことで改善されたということは,私どもとしても注目をしたいというふうに思っています。
しかし,この間,言われてきている,なぜ,投票率の低下傾向に歯どめがかからないままに,各選挙が全国的に行われているのかと。そのことに言及しないわけにいかない。
いわゆる政治不信,ここのところに私たちは注目をするわけですけれども,選挙のときにこそ最大限保障されなければならない政党候補者の宣伝活動に今回の法改悪,私どもは改悪というふうに言いたいと思いますが,先ほど言いました改善点はあるものの,一方では政党候補者の宣伝活動を制約すると。
例えば,無料の新聞広告制度,これを廃止するというふうになっています。私たち有権者,一般の有権者の皆さんは,いろんな政策宣伝の中で情報を得ると,いわゆる自分たちの代表を選択するという,そういう意味では,こういう状況,こういう逆行するものに対して,本市選挙管理委員会事務方の皆さん,どうお受けとめになっていらっしゃるのか。今の政治不信の中での投票率の低下に歯どめをかけるという点で,これでいいのかというふうに考えますけれども,その点もう一回。この間,何回も私はこの問題を取り上げて質問させていただいていますけれども,今度の法改正がされたということに関連して,いま一度その辺のご認識をお尋ねしたいというふうに思います。
いわゆる視力障害者,身体障害者などなど,そういう方たちに対しての点字広報の発行だとか,在宅療養中の皆さんのための郵便による不在者投票の拡充,これがさらに積極的な対応が求められているわけですけれども,ことしは,先ほど高橋委員もおっしゃいました参議院選挙があります。それに向けて投票環境の整備,これが改善されるのではないかと。本市選管独自でもいろんな点での整備がされるのではないかというふうに期待をしていますけれども,具体的にどのような改善がされるのか,お示しを願いたいというふうに思います。
◎梶 選挙管理委員会事務局長 まず,第1点目の関係でございますけれども,現状としての投票率の状況についての考え方でございますが,今回の公選法の改正といいますのは,今,横山委員もおっしゃったように,投票率の向上といいましょうか,そういったことを最大の眼目にしているわけでございまして,とりわけ不在者投票の事由緩和といいましょうか,これが大きなものでございます。あわせて時間の延長等もございますが,それらのものがもろもろかかわることによりまして,投票をしやすい環境というのが大きく進んだのではないかなというふうに私どもは受けとめております。
もとより,これでパーフェクトになったのだというふうなことは私の方から申し上げられるようなものでもございませんけれども,そういう環境の改善というふうなことによりまして,投票率の向上といいましょうか,そういったことを大いに私どもとしても期待をしているというところでございます。
それから,独自にでも,体にハンディを持っておられる選挙民に対する措置をいろいろ講ずるべきでないかというふうなことでございます。
繰り返し,委員会等でもお答えをしているつもりでございますけれども,ここで改めて申し上げますと,今までいろいろ措置を講じてございます。
ご紹介を申し上げたいと思いますが,まず,選挙人の方で体の不自由な方をお考えになっていただければいいのですが,投票所によりましては,その投票所に行くまでに,道路からその門のところに入るまで段差があるところがございます。そういうところにはスロープをつけるという形で私ども整備をしてきております。
それから,どうしても構造上,そのスロープが設置できないという,そのぐらい高低差のあるところもございます。そういったところには,玄関のところまで行かなくても,その車いすで来られたところで投票所の中と連絡をとって,そして職員が対応できるように呼び出しブザーを設置しております。
そんなことで,職員の介助あるいはスロープを使って投票所の施設の中に入れるというふうな措置を講じているわけです。
さらに,投票所の中に入りましたら,今度は車いすを用意いたしておりますので,それでいよいよ受付の方に入っていただくと,こういうふうなことでやっております。
記載をする場所には,老眼鏡でありますとか,あるいは点字器でありますとか,文鎮でありますとか,さらには点字による一覧表なんかも備えておりまして,整備をいたしているわけでございます。
これからどういうふうなことでというふうなことはなかなか難しいわけですが,今考えて準備をいたしておりますことを一つ申し上げますと,皆さんご案内のとおりでございますが,投票所の案内というのを私どもの方からお出ししております。次の通常選挙から,この案内はがきですけれども,入場券ですが,目の不自由な方々を対象に,どういう性質の文書がどこから来たかというふうな点字シールを張って,希望者の方にそれをお出しすると,そういう準備を進めているところでございます。
今後についてもいろんな研究はしてまいりたいと。
以上でございます。
◆横山[博] 委員 私がもう一歩踏み込んでお聞きしたかったのは,前段でお話ししたいろんな法改正に伴っての実務的な,事務的な簡素化,いわゆる投票環境の整備を進めるという点で前段が改善されたと。
しかし,後段で,私がぜひお聞きしたかったのは,これで本当に投票率の低下に歯どめをかけることができるのかと。そんな意味では,今の政治不信を払拭するためにどうするのかという議論をもう少ししていかなきゃならないのではないかと。その辺のご認識を伺いたかったと。(発言する者あり)
それで,いろんな投票環境の整備をするということなのですけれども,特にこれから
高齢化社会を迎えます。例えば在宅で介護を受けられる,そういう皆さんもふえてくると思いますが,そんな意味では在宅投票の整備というのは,ある意味では弱者,社会的な弱者と言われている方たちの声がそういう政治の場に反映されなければ,政治そのものもなかなか引き上がっていかないと,むしろそこに本当に光を当てた対応が求められているということでは大変急がれているというふうに考えますので,その辺は要望をさせていただきます。
そして,これまでのご努力,決して私どもは評価をしていないということではございませんので,この投票率の低下にどこで歯どめをかけるのか,その辺の,これだけ整備されて本当に投票率が上がるというふうにお考えなのか,その辺お答えを願いたいと思います。
◎梶 選挙管理委員会事務局長 もちろん制度でございますから,その制度をどういうふうに利用するかというふうなことにかかわるわけでございますから,これで投票率が上がるのかどうかということは,なかなか申し上げられる状況にはございません。
ただ,先ほど申し上げましたように,私どもとしては大いに期待をしているということでございますので,ご了解いただきたいと思います。
○宮本 委員長 第5項 選挙費の質疑を終了いたします。
次に,第2款 総務費 第6項 人事委員会費の質疑を行いますが,通告がございませんので,質疑を終了いたします。
次に,第2款 総務費 第7項 監査委員費の質疑を行います。
◆山口 委員 私は,出張命令に対する復命書についての監査としてのお考えをまず伺いたいというふうに思います。
今回,予算書と一緒に報告をされております9年度の第4巻の報告を拝見いたしましたけれども,これ見ますとほとんどの,総務局の秘書部を除きまして,監査対象になったすべての局で支出事務に適正を欠く部分があるというような報告がございまして,どちらかというと,お金の入りよりも出について少しルーズになっているのかなという印象を持ちました。
食糧費については,あれだけいろいろ騒がれましたので,適正に非常に簡素になっているというようなことが全部の局について報告をされておりますので,むしろその支出事務がどうなのかという観点から質問をさせていただきたいと思います。
出張が各局で,年間に多いところですと数十回というような頻度で行われているわけですけれども,戻ってきた後の出張命令に対する復命書ですが,これは札幌市職員の旅費に関する条例施行規則によりますと,出張が終了した後,速やかに文書または口頭により,その結果を上司に報告するというふうになっておりますので,文書または口頭ということは承知をしておりますけれども,実際的には,現状これまで監査をされてきて,復命書の提出状況というのはどのぐらいになっているのかということが1点目です。
それから,監査としてのお考えですね,私は基本的にはこれは文書で出すべきものだろうというふうに考えておりますが,これについての監査としてのお考えは,いかがか。
それから,3点目ですけれども,今回の監査の対象には入っておりませんが,企画調整局の監査は前回はいつおやりになったのか,この3点についてお伺いをしたいと思います。
◎英 監査事務局参事 まず,1点目の復命書の提出状況はどうかというご質問でございますが,私ども抽出により監査いたしておりますけれども,出張の件数の比較的少ないところ,例えば年間に10数件程度といった部局におきましては,ほぼ文書による,復命書による報告という状況でございますが,非常に出張の回数の多いところ,これはなかなか全部について文書による報告ということにはなっておりませんで,場合によっては10%あるいは15%程度が口頭による復命ということになっております。多い場合には20%程度までいっている例もございました。
それから,2点目の監査事務局としての考え方はどうかという点でございますが,確かに復命書は文書で復命をしていますと後に結果が残ります。そういう点では,透明性,あるいはその後の人がかわった場合の検証,その出張の結果の引き継ぎというようなことについても文書があることが有利であることは間違いないと思います。
しかし,出張の内容あるいは前後の事情,例えば緊急性でありますとか,非常に頻度が多くて事務能率上問題があるというような場合も考えられますので,委員ご指摘のとおり,旅費条例施行規則によりまして,文書または口頭により復命するというような規定になっているわけでございます。したがいまして,文書による復命とするか,あるいは口頭の復命とするかは,これは各部において自主的に判断されるべきものと考えますけれども,私どもは文書による監査を前提といたしました場合には,復命書が作成されている方が監査しやすいということは言えるかと存じます。
それから,企画調整局にいつ入ったかというご質問でございますが,企画調整局も実は各部を単位に監査に入っておりますので,直近のもので言いますと,総合交通計画部に9年度入っておりますけれども,平成8年度では企画部と都市政策研究室に監査に入っております。
以上でございます。
◆山口 委員 今,監査事務局としてのお考えが示されましたけれども,市民の方が情報公開でとか,あるいは私が幾つかの局に対しまして聞きました結果を申し上げたいというふうに思いますけれども,建設局の土木部はかなり出張が多いところでございまして,土木部だけで調べさせていただきましたら,業務課は10回中5回,道路課は18回の出張のうち14回,街路は32回出張していますが,そのうち31回,河川課は19回の全部に復命書が出ております。
それから,民生局が厚生省に48回行っておりますが,80%の復命書の提出率,それから総務局は自治省が主なのですけれども,100 %の復命書が出ているということで,先ほどのお答えで10から15%は口頭があるだろうということでしたが,私も想像以上に復命書が出されているなという印象は持ちました。
その中で,企画調整局企画部,平成8年に監査に入られたということですけれども,一昨年の丘珠空港ジェット化断念以降,平成9年中の運輸省への出張についての復命書というものを情報公開で請求をいたしましたが,一枚もないと,全部口頭の報告だということがありまして,そのうち3回は助役ですから,任命権者は2ランク上の方というふうになりますので,助役は復命書をお出しにはならないと思いますし,市長もないというふうに思いますが,助役の3回を除いて,11回中3回を除いて,一枚も復命書が1年間で出ていないというのは監査なさっていないわけですけれども,監査事務局のお立場から考えて,これは不自然とか異常とかというふうに思われないのかどうか,お伺いをいたします。
出張費の総額は217 万7,600 円になっておりますが,これについてはいかがでしょうか。
◎英 監査事務局参事 企画部の出張に関して復命書が出ていないというお話でございますが,私どもが企画部に監査に入りましたのは,平成8年度の第3回定期監査でございます。これは平成9年の1月から3月までの間に実施いたしまして,対象といたしました事務は平成8年4月から12月までの9カ月分でございます。
それで,お尋ねのありました,運輸省に出向いた結果の復命が全くないというのは異常とは思わないかという点でございますけれども,この企画部の出張の件数は,私どもで監査いたしました限りでは,平成8年4月から12月までの9カ月間で約200 件出張いたしております。
したがいまして,運輸省関連で言えば全部ということになるのかもしれませんけれども,全体の出張の中で復命書によらない,口頭の復命によったものが私どものサンプリングで調査したところでは約20%と。したがいまして,残り80%は復命書がつけられていた,そのように認識いたしております。
それから,予算の関係でございますが,11回で217 万というようなお話でございますが,ちょっとこれについては,金額的に把握いたしておりません。
以上でございます。
◆山口 委員 企画部全部の二百数回の中で,特に運輸省関連が一度もないというのは,私は不自然だと思いますし,もしそれが事実だとしても,監査のお立場からも今後きっちり文書で出すべきだというふうに指導なさるお考えはおありかどうかを伺いたいというふうに思います。このことについて,実はレスペーパーの時代でごみを出さないのだというふうな答えがございまして,紙を減らすのだということで口頭だというふうに言われまして,私はそれは全く違うというふうに思いますし,怒り心頭に達しているわけなのですけれども,であれば,コンピューターに入れるでも何でもいいのですが,現在はコンピューターの資料は情報,公文書というふうに認められておりませんので,情報公開の対象にはならないということを考えますと,今は,当分はペーパーで報告をすべきだろうというふうに考えます。
とりたてて,丘珠関連で一枚もないということに関しましては事実だったと思います。よもやカラ出張ということはないというふうにもちろん思いますけれども,逆に知られたくない情報とかがあるのかなというふうに市民から勘ぐられる結果にもなりかねないわけです。紙があると出さざるを得ないわけですから,口頭にしたのかというふうなことも非常に悪く解釈すれば成り立つわけですね。
軽微なもの,軽いものについては口頭だということですけれども,運輸省に行って丘珠の経過説明をしたり,そういうことが軽微なことだというふうには私は思っていませんし,それは多くの方がそういう認識をしていると思いますので,その辺のところで基本的に復命書を出すというお立場に立たれるのかどうか,お伺いをしたいというのが再質問です。
それと,金額のことはよろしいのです,複数で行っていたりするので。それが妥当かどうかということを伺ったのではないのですけれども,そんな意味でこの施行規則ですね,施行規則のところで文書または口頭ということではなくて,基本的に文書というふうに直すべきだというふうに私は考えますが,監査のお立場からそれについてどうお考えになるか,お伺いをしたいというふうに思います。
それから,平成8年4月から12月の分を監査されたのですよね,企画については。逆に,今回もそうですけれども,定期監査に入った後に,気が緩んでしまうとか,そういう傾向がないのかどうなのか。定期ではなくて,アトランダムに監査をするというようなことも工夫としては必要ではないかというふうに考えますが,それについてはいかがでしょうか。
◎英 監査事務局参事 まず,出張の復命は文書によるべきだという指導をするべきではないかと。指導をする気はないかというお尋ねでございますけれども,委員も何度もおっしゃっておりますとおりで,現在,旅費条例の施行規則におきましては,文書または口頭によりという表現になっておりまして,どちらにも優劣がつけられておりません。全く対等の条文になっております関係で,文書によらなければならないということを私どもの方から現在の規則を前提として,各セクションに指導するというようなことはちょっと無理かなというぐあいに考えておりますが,しかし,私ども監査の立場からは,文書がある方が監査がしやすいということはございますので,なるべく文書によるようなお願いといいましょうか,要望は機会を見てやってまいりたいと思っております。
それから,現在の規則の表現,ただいま私申し上げましたが,文書または口頭ということで,これは例えば文書を原則とし,例外的な場合に口頭にできるというような規定にするということは考えられないかというお話だと思いますけれども,私どもは監査をするに当たりましては,ルールに従って適正に事務が執行されているかどうかをまず手段として見てまいります。さらに,ルール自体がおかしい場合はどうかということになろうかと思いますけれども,このルール,現在の規則の規定が明らかに合理性を欠いているというような場合であれば,これは所管部局の方に申し入れなければならないかと思いますが,先ほど申し上げましたとおり,口頭によらなければならない場合等も全く絶無ではない。緊急性があるとか,事務能率を考えなければいけないということも考えなければなりませんので,この口頭によるという表現は,文書と同等に規定されていること自体が明らかに不合理であるというところまでは言えないかと思います。
そういう意味で,私どもの方から規則の表現について担当部局の方に,これは改正すべきであるというような形で意見を申し上げるということはちょっとできないのかなというぐあいに考えております。
それから,3点目でございますが,定期監査の後,緩むのではないかというようなお話でございます。
現在,委員もご承知のとおり,監査サイクルを定めまして,市長部局につきましては3年に1度,部を単位としてでございますけれども3年に1度,それから,企業会計につきましては,同じく部を単位として2年に1度,それから,出資団体等の他団体監査につきましては,これは団体単位でございますが,4年に1度のサイクルで今までやってきております。
しかし,確かに監査が終わった後,何年間かは監査が来ないというようなことで気が緩むというようなことがあってもいけませんので,平成8年度から,この監査サイクルを一部崩しまして,前倒しといいましょうか,3年サイクルのものを2年で監査に参りましたり,4年サイクルの他団体監査を1年繰り上げて監査をしたりいたしております。
ただ,そのようなことで完璧になるとは思ってはおりませんけれども,私どもの経験からいたしますと,事務の処理はやはり急によくなったり,急に悪くなったりするものではございませんで,前回の指摘事項を3年後に確認いたしますと,やはり改善されているというようなことがございまして,事務は継続しておりますので,全くないかどうかはわかりませんが,それほどのご懸念には及ばないかと思います。
以上でございます。
◆山口 委員 アトランダムといいますか,前倒しも含めて平成8年から少し変えられたということでは評価をしたいというふうに思います。
いずれにいたしましても,今回のを拝見しても,お金の出し入れについては厳正に監査をと申しますか,その改善がちゃんとされているかどうかをチェックをしていただきたいというふうに思いますが,以前,北海道大学の木佐茂男先生を講師に職員研修をおやりになったときに,ドイツの行政職員はどういうふうな態度で勤労しているかというようなことが講座でございまして,私も入らせていただきましたけれども,10年後,15年後にその同じセクションを訪ねたらば,名刺1枚でも全部とってあるのですね。担当の方がかわっても「あなたは15年前に来た日本の誰々さんですね」というのが全部わかるように引き継がれておりまして,当然,行政としても見習うべきだというような形の職員研修がございました。
そういうことを考えましても,今の段階では,文書主義でいくべきだと思いますので,その辺のところについて,任命権者でもあられる魚住助役,どういうふうにお考えか,伺いたいと思います。
◎魚住 助役 ただいまの口頭または文書によりということにつきましては,これを改正しようという気持ちはありませんけれども,先ほどからいろいろお話がありましたように,やはり上司が適切に指導・監督していくということについては,十分これからも意を用いていきたいと思っております。
◆山口 委員 それでは,最後になりますが,先ほどの公会計のあり方の見直しというところで,専門家でいらっしゃる日野代表監査委員に,現状といいますか,監査のお立場が難しければ,専門家としてのお立場でもよろしいのですが,現状の認識と今後の課題のようなものについてお答えをいただきたいと思います。
◎日野 代表監査委員 ただいま,委員のご発言の中にありましたように,監査委員として財政制度一般についての考え方を述べるというのは職責上ふさわしくないだろうと,そのように認識しておりますし,公会計そのものの改正について,札幌市の監査委員として監査委員会議その他,あるいは事務局レベルでもそうですけれども,正式の議題として取り上げたわけではございません。
したがいまして,監査委員としての見解はこの席ではご遠慮させていただきたいと思います。
ただし,私たまたま公認会計士協会という団体に所属しておりまして,前回の本会議でも委員からご質問あったような,その他の一般的情勢については,それなりに知っているつもりでございます。
したがいまして,委員の皆様のご参考になればということで一つの情報として,私の知っている範囲で端的にお答えさせていただきたいと思います。
ただし,ただいま突然のご質問でございますので,私は材料としては何も持っておりませんで,今知っている範囲ということでございます。
一つは,国際会計士協会が公会計委員会で,いわゆる国際会計基準の策定プロジェクトというのをつくりまして,そこに世界銀行から資金援助が出たというのが現在,ちょっとこの問題がクローズアップされているバックとしてあると思うのですね。それに応じまして,実は日本公認会計士協会も去年の7月ですか,公会計委員会というところで公会計原則の試案というのをつくりました。しかし,これはあくまでも委員会の研究報告ということで,いまだ会計士協会の成案になっているわけではございません。
また一方では,先ほど委員からもお話ありましたように,神奈川県の藤沢市とか,埼玉県の草加市とか,その他試行錯誤的に貸借対照を作成している自治体があることも聞き及んでおります。
しかし,私が知っている範囲で申し上げますと,先ほどのグローバルな国際会計基準というのも今検討に入った段階でございます。しかも,日本公認会計士の検討もまさしく始まったばっかり,試案の段階で,これから検討することでございます。
したがいまして,これが制度として確立するまでには,相当な期間が要るだろうと。しかも,それが一般に言われているような,いわゆる地方自治体の格付としてスタンダードなものになるにはまだまだ時間がかかるのじゃないか。
したがいまして,藤沢市その他でやっているように,あくまでも行政管理手法として,内部的に検討の試案をつくって,自分のところで利用すると。要するに,オーソライズされたものでなくて,手法として利用すると,そういうものがこれから徐々に出てくるのかなと,そんなふうに考えております。
お答えになるかどうかわかりませんけれども,そんなところでございます。
○宮本 委員長 第7項 監査委員費の質疑を終了いたします。
以上で,本日の質疑を終了いたします。
次回の委員会ですが,3月12日午後1時から,総務局関係の質疑を行いますので,定刻までにご参集ください。
本日は,これをもちまして散会いたします。
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散 会 午後5時7分...