札幌市議会 1994-06-08
平成 6年第 2回定例会−06月08日-05号
平成 6年第 2回定例会−06月08日-05号平成 6年第 2回定例会
平成6年 第2回定例会
札 幌 市 議 会 会 議 録 ( 第 5 号 )
平成6年6月8日(水曜日)
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〇
議事日程(第5号)
開議日時 6月8日 午後1時
第1 議案第3号から第9号まで,議案第12号から第18号まで及び諮問第1号(市長提出)
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〇本日の会議に付した事件
日程第1 議案第3号 平成6年度札幌市
公債会計補正予算(第2号)
議案第4号 平成6年度札幌市
高速電車事業会計補正予算(第2号)
議案第5号
専決処分承認の件(
一般会計予算の補正)
議案第6号 札幌市
選挙公報発行条例等の一部を改正する条例案
議案第7号 札幌市
恩給条例等の一部を改正する条例案
議案第8号 札幌市
道路附属物自動車駐車場条例案
議案第9号 札幌市
交通事業の設置等に関する条例の一部を改正する条例案
議案第12号 財産の取得の件(
保養センター駒岡用地)
議案第13号 財産の取得の件(
バスターミナル施設等建物)
議案第14号 財産の取得の件(
都市環境緑地用地)
議案第15号 財産の処分の件(
工業団地用地)
議案第16号 町の区域を新たに画し,及び変更する件
議案第17号 札幌市区の設置等に関する条例の一部を改正する条例案
議案第18号 市道の認定,変更及び廃止の件
諮問第1号 鉄道線路の道路への敷設についての意見に関する件
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〇
出席議員(71人)
議 長 見 延 順 章 君
副 議 長 伊与部 敏 雄 君
議 員 藤 原 廣 昭 君
議 員 畑 瀬 幸 二 君
議 員 大 西 利 夫 君
議 員 三 上 洋 右 君
議 員 上瀬戸 正 則 君
議 員 原 口 伸 一 君
議 員 義 卜 雄 一 君
議 員 佐々木 肇 君
議 員 道 見 重 信 君
議 員 伊 藤 知 光 君
議 員 武 藤 光 惠 君
議 員 井 上 ひさ子 君
議 員 山 口 た か 君
議 員 福 士 勝 君
議 員 猪 熊 輝 夫 君
議 員 西 村 茂 樹 君
議 員 川口谷 正 君
議 員 加 藤 斉 君
議 員 村 山 優 治 君
議 員 宮 本 吉 人 君
議 員 大 越 誠 幸 君
議 員 春 原 良 雄 君
議 員 柿 崎 勲 君
議 員 千 葉 英 守 君
議 員 武 市 憲 一 君
議 員 横 山 博 子 君
議 員 中 嶋 和 子 君
議 員 佐々木 周 子 君
議 員 富 田 新 一 君
議 員 澤 木 繁 成 君
議 員 高 橋 忠 明 君
議 員 常 本 省 三 君
議 員 佐 藤 美智夫 君
議 員 丹 野 勝 君
議 員 森 健 次 君
議 員 関 口 英 一 君
議 員 八 田 信 之 君
議 員 佐 藤 寿 雄 君
議 員 飯 坂 宗 子 君
議 員 生 駒 正 尚 君
議 員 小 川 勝 美 君
議 員 水 由 正 美 君
議 員 赤 田 司 君
議 員 湊 谷 隆 君
議 員 柴 田 薫 心 君
議 員 小 谷 俵 藏 君
議 員 山 田 信市郎 君
議 員 長 岡 武 夫 君
議 員 政 氏 雅 君
議 員 本 舘 嘉 三 君
議 員 唯 博 幸 君
議 員 室 橋 一 郎 君
議 員 青 木 護 君
議 員 荒 川 尚 次 君
議 員 工 藤 勲 君
議 員 岡 本 修 造 君
議 員 滝 沢 隆 君
議 員 山 崎 七 郎 君
議 員 藤 田 雅 弘 君
議 員 加 藤 隆 司 君
議 員 越 智 健 一 君
議 員 吉 野 晃 司 君
議 員 田 畔 満 君
議 員 常 見 寿 夫 君
議 員 田 畑 光 雄 君
議 員 野 間 義 男 君
議 員 高 橋 重 人 君
議 員 菊 田 勝 雄 君
議 員 菅 井 盈 君
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〇
欠席議員(なし)
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〇説明員
市長 桂 信 雄 君
助役 木 戸 喜一郎 君
助役 魚 住 昌 也 君
助役 田 中 良 明 君
収入役 長 部 幸 一 君
交通事業管理者交通局長 土 榮 勝 司 君
水道事業管理者水道局長 石 原 弘 之 君
総務局長 伊 藤 忠 男 君
企画調整局長 井 原 貴 男 君
財政局長 久 元 喜 造 君
市民局長 松 崎 誠 君
民生局長 大 長 記 興 君
衛生局長 高 杉 信 男 君
環境局長 前 田 悦 雄 君
経済局長 鈴 木 俊 雄 君
建設局長 平 賀 岑 吾 君
都市整備局長 広 畑 民 雄 君
下水道局長 松 見 紀 忠 君
建築局長 関 谷 幸 正 君
市立札幌病院長 手 戸 一 郎 君
消防局長 中 谷 多 宏 君
教育委員会委員長 牧 口 準 市 君
教育委員会教育長 藤 島 積 君
選挙管理委員会委員長 宮 川 新 市 君
選挙管理委員会委員 須 合 一 雄 君
人事委員会委員長 山 岡 暸 君
人事委員会事務局長 水 島 典 弘 君
監査委員 野 島 廣 紀 君
監査事務局長 東 山 誠 君
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〇
事務局出席職員
事務局長 鍛冶沢 徹 君
事務局次長 植 田 英 次 君
総務課長 佐 藤 正 明 君
議事課長 土 屋 逞 君
調査係長 木 村 正 実 君
資料係長 高 橋 道 孝 君
議事係長 細 川 正 人 君
記録係長 前 野 保 雄 君
委員会一係長 山 本 祥 一 君
委員会二係長 常 野 正 浩 君
書記 佐 藤 比登利 君
書記 高 佐 三緒子 君
書記 加 藤 寿 一 君
書記 尾 形 英 樹 君
書記 今 井 一 行 君
書記 山 本 扶 美 君
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〔午後1時開議〕
○副議長(伊与部敏雄君) これより本日の会議を開きます。
出席議員数は,65人であります。
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○副議長(伊与部敏雄君) 本日の
会議録署名議員として富田新一君,小谷俵藏君を指名します。
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○副議長(伊与部敏雄君) ここで,
事務局長に諸般の報告をさせます。
◎
事務局長(鍛冶沢徹君) 報告いたします。
見延順章議長及び森
健次議員は,所用のため遅参する旨,それぞれ届け出がございました。
本日の
議事日程,
陳情受理付託一覧表及び
質問順序表は,お手元に配付いたしております。以上でございます。
〔一覧表は巻末資料に掲載〕
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○副議長(伊与部敏雄君) これより議事に入ります。
日程第1,議案第3号から第9号まで,議案第12号から第18号まで及び諮問第1号の15件を一括議題といたします。
昨日に引き続きまして,
代表質問を行います。
通告がございますので,発言を許します。
横山博子君。
(
横山博子君登壇・拍手)
◆
横山博子君 私は,
日本共産党議員団を代表いたしまして,市政の諸問題について質問いたします。
私の最初の質問は,市長の政治姿勢と税政についてであります。
質問の第1は,スタートした
羽田内閣とその政策に対する国民の審判についてであります。
羽田内閣が今日,衆議院で3分の1,参議院で4分の1という
少数与党体制でありながら,さきの総選挙で30%の支持しか得ていないという基盤に立っていること,国民の審判も受けずに消費税率の
大幅引上げを中心とする
増税路線を国民に押しつけようとしていることや,有事立法など憲法無視の
戦争協力体制を確立しようとしていること,小選挙区
制そのものが国民の審判を受けたものでないことなどから,いま市民の中でもあらためて解散を要求し,現行中選挙区制による総選挙での国民の信を問うべきとの世論と運動が急速な高まりを見せています。
市長は,このような市民の世論と運動をどう受けとめておられるのか,
羽田内閣は解散・総選挙で国民の信を問うべきだと,審判を受けるべきだとお考えにならないのか,見解をお示しください。
質問の第2は,
羽田内閣の
基本姿勢と政策にかかわる戦争と平和,憲法の問題であります。
国務大臣は文民でなければならないという憲法第66条第2項の規定を無視して,
羽田首相は
陸上自衛隊の幕僚長であった永野茂門氏を法務大臣に任命し,その永野氏が
侵略戦争美化発言を行なって,就任直後に辞任に追い込まれましたが,これに関連する
国会答弁で,
羽田首相は違憲の任命行為について何の反省も示さないばかりか,
日本軍国主義がアジアで繰り広げた戦争を
侵略戦争と認めることを拒否しています。
また,
所信表明演説で,
アメリカが北朝鮮の核疑惑を口実に核攻撃を含む軍事制裁を検討していることにもかかわって,国連の方針に従うこと,さらに,緊急の事態のもとで日米及び日韓の各国間で緊密に連携し,協調してこれに対応することを明らかにしておりますが,これは国連の決定なしに
アメリカが独自に制裁行動に出たときにも,これに連携,協調する態度を無条件にとることをあらかじめ約束したものであります。これは,社会党も含めた
連立与党が4月22日の
代表者会議で合意した確認事項を根拠に強行したものであります。
市長は,
羽田首相の所信表明や
国会答弁,そして,その背景にある
連立与党の確認に見られる朝鮮半島での有事を想定した
戦争協力体制の確立や
アメリカの軍事行動への協調の動き,
軍人法務大臣起用の問題,
侵略戦争美化発言などについて,どのように受けとめておられるのか。
アメリカの核攻撃も含む北朝鮮への制裁の動きにストップをかけるべく,
非核平和都市の市長として,具体的な対応が必要とはお考えにならないのか。
軍国主義体制の日本が,かつてアジアで15年にもわたって繰り広げた戦争,国民の310万人が犠牲になり,2,000万人を超えるアジアの同胞の命を奪うことになったあの戦争について,市長は
侵略戦争との明確な認識をお持ちかどうか,この機会に市民の前に明らかにしていただきたいのであります。
また,
連立政権の司令塔を
任ずる新生党代表幹事の
小沢一郎氏が,「
日本改造計画」という著書の中で明らかにしている改革のシナリオなるものが,第1段階で小選挙区制,第2段階で憲法改悪となっていることについて,とりわけ日本の
国際貢献が軍事面でも必要という考えについてどう受けとめておられるのか,憲法の
平和理念に基づき,
核兵器廃絶平和都市宣言を行なった札幌の市長としての見解を市民の前に明らかにしていただきたいのであります。
質問の第3は,
羽田内閣のスタートに当たって,社会党も含む
連立政権が合意した消費税の大幅な引上げの問題についてであります。
6月中に結論を得て,本年中に関連法案を成立させるとした
代表者会議での確認に基づいて,今日,政府や
税制調査会,そして
財界関係者などから,消費税を7%から10%に引き上げるべきとの主張,13%や15%までの増税が必要との主張が次々と打ち出され,大蔵省もこれに合わせて試算を公表するなどしております。
連立政権の政治についてシナリオを書いている
小沢一郎氏は,「
日本改造計画」の中で,10%への引上げで国民から新たに20兆円もの負担を求め,日本の自衛隊が米軍とともに行動する
国際貢献の費用を賄う考えをすでに明らかにしています。今日の3%の税率においても,消費税の
市民負担は
標準世帯で年間11万900円の負担となっており,これが7%になれば25万8,800円,10%になれば36万9,700円に膨れ上がります。
市長は,このような
消費税引上げの動き,
羽田内閣の
増税路線について,
市民生活の実態に照らしてどのように受けとめておられるのか,見解をお示しください。
また,所得,資産,消費のバランスのとれた税体系と言いながら,市民の
負担能力,担税力を無視した大衆課税が強化されることについて,間接税のウエートを引き上げようとする動きについて,これが
年金暮らしのお年寄りや低所得者,いわゆる
社会的弱者の生活破壊につながるとはお考えにならないのか,市長のお考えを明らかにしていただきたいのであります。
さらに,桂市長も参加した
全国市長会が6月2日の会議で
地方消費税の創設を決議したことについて,これが当面食料品の非課税を求めつつ消費税の廃止を目指す市民の世論と運動を逆なでするものとはお考えにならないのか,弱い者いじめの消費税の存続と拡大強化の方向につながるものとはお考えにならないのか,見解をお示しください。
質問の第4は,今回の
固定資産税評価替えの問題についてであります。
わが党は,本市新
年度予算案を審議したさきの第1回定例議会において,評価額を公示価格の7割に設定することとした今回の
評価替えについて,本市の場合,土地の評価額が3.5倍にも引き上がり,
負担調整措置を講じたとしても,毎年
小規模住宅用地で5%,それ以外の
住宅用地で10%,非
住宅用地で15%もの増税が,最高12年もの長期にわたることを指摘し,市民の立場からこれに反対をいたしました。このような異常な
固定資産の
評価替えに対して,今日,38件もの
審査申し出が出されております。前回の
評価替えの際はゼロでありましたから,これは
固定資産税の増税に対する市民の抵抗と怒りを示すものと思われます。
また,市税が前年度当初予算比で183億円も減少している中で,
固定資産税と
都市計画税で65億円もの増税となる今回の
評価替えが,
市民生活を圧迫するものとはお考えにならないのか。とりわけ市民の
住宅用地や零細な中小企業,
自営業者の
事業用資産に対して,
負担能力を超える増税となって生活苦と不況に追打ちをかけ,将来にわたって悪影響を与えるとお考えにならないのか,見解をお示しください。
質問の第5は,参議院の定数の問題についてであります。
今日,
参議院選挙制度に関する
検討委員会が公表した大綱なるものによって,現在総数8の
北海道選挙区の定数が一挙に半減し総数4に,次回の選挙は定数4から定数2に削減される動きが強まっておりますが,衆議院での
選挙制度の改悪に続くこのような
参議院議員定数の改定が行われるならば,代議制度のもとでの道民・市民の国政参加が狭められ,民意が正しく議席に反映しなくなると考えますが,市長はどのように受けとめておられるのか,見解をお示しください。
次に,国民健康保険問題について質問いたします。
桂市長は,新年度の国保料を1
世帯平均保険料14万8,029円に据え置きましたが,1人
当たり平均保険料は,
世帯人数が年々減少する中,7万8,990円に値上げしたのであります。しかも,市民税の特別減税が行われたため,対象となる市民税額が減少し,その分の料率が100分の620から100分の780にはね上がり,しかも,不況による
所得減少の影響で100分の20が上乗せされ,100分の800とされたのです。その結果,
市民税所得割が課税されず,減税の恩恵を1円も受けない世帯で前年比2%の値上げが行われるのを初め,特例減額と
限度額世帯以外はすべて3%前後の値上げになったのであります。新年度も所得の低い世帯が値上げになり,高過ぎる保険料をまた値上げしたなどの批判を生み出すことは必至であります。15日に納付書の発送ですから,その後,各区役所の窓口に市民の苦情が例年以上に殺到することがいまから予想されます。
また,去る4日には,大都市の中で最も高い国保料の引下げを求める
市民運動組織札幌国保をよくする会が結成され,国保の改善運動が始まりました。
そこで,高過ぎる保険料の引下げについて,あらためて質問をいたします。
第1の質問は,
国保加入者の
負担能力についてであります。
国民健康保険料は,保険税と呼ばなくても,その賦課・徴収の根拠法令は地方税法であります。したがって,保険料・保険税を賦課する場合,当然負担する能力,担税力を検討されていると思うのでありますが,いかが検討されたのか。高齢者,病弱者など,
国保加入者の実態から完全に
負担能力の限界を超えているとお考えにならないのか。その上にまた値上げを押しつけることをどのように考えておられるのかお尋ねいたします。
質問の第2は,高過ぎる国保料の引下げについてであります。
一昨年度の
政令指定都市の
所得段階別国保世帯調べでも明らかなように,札幌は総
所得金額が100万円以下の世帯が49.8%を占めるなど,そのほとんどの世帯が低所得層であり,1
世帯当たりの
平均所得で比較するならば,札幌は198万円で,北九州に次いで下から2番目,横浜市の6割にも満たないという低さであります。にもかかわらず,保険料は12大都市の中でも最も高い7万9,000円が賦課され,北九州よりも2万円も高いのであります。
桂市長には,高過ぎる保険料を引き下げてほしいという市民の切実な声が聞こえないのでしょうか。市長は,大都市の中で所得が下から2番目の札幌市で,一番高い保険料をかけていることに,どのようなお考えをお持ちなのかお尋ねをいたします。
市民税が減税になるのだから,国保料も下がるのではないかと多くの市民が期待したのでありますが,所得割の料率が大幅にはね上がり,不況による
所得減少分まで上乗せして100分の800とされたのです。この減税分の恩恵が保険料に反映されるよう約11億円を繰り入れてでも市民の期待にこたえて引き下げるべきでありますが,いかがでしょうか。少なくとも大都市の平均ぐらいに改善することは急務と考えるのでありますがいかがでしょうか,市長の
対処方針をお示しください。
次に,
障害者福祉についてお尋ねします。
政府は,
障害者基本法に基づき,
障害者対策に関する新計画の具体化を始めており,本市においても
障害者福祉計画の策定の作業に入っています。この場合,障害者の権利宣言が明確にしているように,障害者は他の人々と同等の市民的,政治的諸権利を有するという
基本理念に基づいて,障害者の皆さんの切実な要望,声をしっかりと取り入れた計画を策定することが大切です。
日本の経済力をもってすれば,障害者が地域で自立していくための年金の増額と仕事の保障,住宅や道路の改善,必要な
ホームヘルパーの配置など,公的な責任で実施することは可能であり,基本法でもその公的な責任を強調しています。障害者の皆さんが,「家族に頼らないで生活したい」「
福祉用具の改善があれば自分の力で生活ができる」「地域で自立して暮らしたい」など,人間として当然の願いを強く持っていますが,これにどうこたえていくのか,本市の責任と役割はきわめて大きいものと考えます。
昨年11月,国会で,
心身障害者対策基本法が23年ぶりに抜本改正が行われ,
障害者基本法として成立し,障害の定義の拡大,12月9日を障害者の日と定め,
施設条件整備の拡充や
障害者福祉計画などを義務づけました。
そこで,お尋ねいたします。
質問の第1は,
障害者福祉計画策定に当たっての市長の基本的な考え方についてです。
基本法で示された新しい
基本理念である障害者の個人の尊厳,また,社会を構成する一員という理念を本市の
障害者福祉計画に反映させ,障害者の意見を十分取り入れた実効あるものにすべきと考えますが,
計画策定に当たっての市長の決意及び基本的な考え方についてのご所見を伺います。
質問の第2は,在宅の
障害者福祉の重要な柱である
ホームヘルパー事業の充実についてであります。
昨年度,本市の
ホームヘルプサービス事業を利用している障害者は163人,
介護支援センターを利用しているのは50人となっています。1回当たりの
平均派遣時間は2.6時間,週当たり1.3日という状況にあり,本市の実態調査でも明らかなように,
ヘルパー派遣事業の延長を障害者は切実に願っています。「2時間の派遣時間では,スーパーが近くにないので食料品の買物だけで終わる日もあります」という現状もあります。障害の程度,種類,家族のあるなしにかかわらず,24時間体制の支援ができる
ホームヘルパー事業を目指しつつ,いま課題となっている
ヘルパーの身分保障や仕事の専門性の確立及び利用者の性別に応じて,人権の視点から
男性ヘルパーの派遣,また,単身者や
障害者家族の緊急時に対応できる体制の確立など,
ヘルパーの大幅増員を図って取り組むべきと考えますが,市長の
対処方針をお示しください。
質問の第3は,
ガイドヘルパーについてです。
いま本市が行なっている
車いす等ガイドヘルパー及び
視力障害者の
ガイドヘルパー派遣事業では,区役所や病院に行くとき,市主催の行事に参加するときなどに限られています。
視力障害で年間2,098件が47人程度の
登録ガイドヘルパーにより,また,車いすでは995件が10名の
登録ガイドヘルパーで支えられております。
障害者基本法が「あらゆる分野の活動に参加する機会を」と強調していますが,今後
ガイドヘルパーの果たす役割はますます重要と考えます。
私は,障害者の皆さんが,コンサート,展示会,スポーツ,レクリエーション,また,自主的な活動に参加できる機会がふえたなら,より人間として豊かになり,健常者とともに学び,成長し合えると思います。そのためにも,派遣対象の拡大,改善を図り,
施設入所者への派遣や回数・時間,曜日,仕事の内容が障害に合わせて行えるようにすべきと考えますがいかがか。また,
ガイドヘルパー登録者の身分を専門家として保障し,
ガイド専用の
福祉バス・チェアキャブの増車,運転手の増員を図り,需要が多いシーズンにもきちんと対応できるように充実を図るべきと考えますがいかがか,市長の
対処方針をお尋ねをいたします。
質問の第4は,
心身障害児(者)
短期入所事業の改善についてであります。
最近,札幌駅に続けて2人の障害者が家族に置去りにされ,保護されたことが報道されました。どうしてそんなことになったのか,その件についてははかり知れませんが,心身ともに疲れ果てている家族のその実態をかいま見る思いがして,私は胸が痛みました。私の周りにも,全生活を障害を持っているわが子のためにと必死に頑張っている方がいます。自分の時間が欲しい,体を休めたいと,その心労を漏らすことがありますが,これは介護するご家族の率直な思いではないでしょうか。
本市の委託によるショートステイが現在22ヵ所ありますが,専用室がある施設はわずか2ヵ所しかありません。専用室のない施設は,空きベッドを利用して短期入所を受け入れています。しかも,指導にとって重要な専任の指導員が配置されておりません。委託している施設に専用室,そして専用ベッドを確保して,たとえ短期であっても障害の程度に応じた指導ができるように,国の措置費の増額を求めつつ,本市の独自の対応によってでも速やかにショートステイの改善を図るべきでありますが,市長のご所見をお尋ねします。
質問の第5は,身体
障害者福祉センターについてです。
西区二十四軒にあります身体
障害者福祉センターで行われている日常活動作業機能回復訓練は,より高い社会生活への適応性及び自立した生活を送るために重要な役割を果たしています。昨年の秋に車いすなどの装具,移動機器,日常生活用具,自助具などの展示コーナーを開設するなど創意工夫を凝らし,デイサービス事業として改善努力されています。
しかし,治療や訓練,相談を総合的に行う専門施設が欲しいという障害者の強い希望が市内各地域にあり,一つのセンターだけではこたえ切れていないのが現状であります。高齢者対策のデイサービスで実施されている送迎バスもありません。特に
障害者福祉の
基本理念として,地域福祉,日常生活支援システムの整ったまちづくりが課題となっており,身近で気軽に相談,訓練できる体制をつくるために,当面,2館目のセンター建設を検討すべきと考えますがいかがでしょうか,市長のご所見を伺います。
質問の第6は,住宅問題です。
障害者が自立して生活しようとするときに,まずぶつかるのは住宅の問題です。現在,車いす用の市営住宅は82戸と少なく,しかも単身では入居できません。住宅は福祉という理念に基づいて,障害者に対する住宅施策の充実が早急に進められるべきと考えます。
国は1989年からグループホーム制度の予算化をスタートさせましたが,指導員の手当が10万円程度です。ボランティアで支えられているこのグループホームへの補助金の増額を国に強く要請し,本市独自の支援体制を確立すべきと考えますが,市長のご所見はいかがか伺います。
住宅の改造に関してですが,自助具や生活用具はいま高性能なものが開発されています。私は先日,身体
障害者福祉センターの展示コーナーを見せていただきましたが,これらの用具がそれぞれの在宅の障害者の家庭に備えられたら,どんなにか快適な暮らしができるだろうかと思いました。これらのベッド,トイレ,浴槽などを使用する場合,どうしても住宅の改造が必要になります。手すりをつけるにしても工賃が高いなどの悩みが出されていますが,
福祉用具をより効果的に使用できるよう,住宅改造相談,用具の利用相談など,コーディネーターを制度化するとともに,改造費用の助成を行うべきと考えますがいかがでしょうか。あわせて車いす住宅の増設を図るべきと考えますがいかがか,市長のご所見をお尋ねいたします。
質問の第7は,交通の問題についてであります。
障害者でも高齢者であっても,健常者とともに自立して積極的に社会参加をしていきたいという願いがあります。人が生活し社会参加をしていく上で,衣食住とあわせて交通の確保は欠かせないものになっています。いつでも,だれもが,安全に快適に,より気軽に行きたい場所に行くことができる,移動することができる障害者の交通権の保障がいま大きな課題となっています。そのために,第1に,すべての公共施設や駅ターミナルにエレベーター,エスカレーターの設置,第2に,福祉タクシーの割引の拡大と3級,4級への対象拡大,第3には,東京,大阪,京都に続いて,積雪地仙台市でも一昨年から導入されているリフトバスの導入を急ぐこと,第4に,市民会館など身障者用駐車場が未設置の公共施設に速やかに専用駐車場の設置をし,ボランティアにも利用できること,第5に,信号機,誘導鈴などの障害者専用交通システムや冬の道路整備拡充を図ること,第6に,地下鉄に自力で乗車できるよう車両の改善を図ることなど,障害者が名実ともに自立した生活を送ることができるよう積極的な支援を本市が行うべきと考えますが,市長の
対処方針をお尋ねします。
質問の第8は,早期発見・早期療育の問題についてであります。
私は母親として,どの子も健康に生まれ育ってほしいと願っています。しかし,残念ながら私たちを取り巻く環境は,災害,交通事故,環境汚染,薬害など複合的に汚染されており,障害者を生み出す要因は減っていません。したがって,母性保護,障害の予防,早期発見・早期治療,訓練などの充実が一層重要になっています。
本市の3歳児健診の実施状況を見ますと,指導あるいは観察が必要となる幼児が受診者中約1割という結果が示されています。この段階で適切な指導あるいは療育を受けることによって,障害を未然に食いとめることができるというケースもあることが,保健所の精神発達相談や児童福祉総合センター内の発達医療センターの指導からも明らかです。保健所の乳幼児健診の強化,発達医療センターとの迅速な連携など,関係機関のネットワークを強化し,障害者に関する保健予防事業の促進を図るべきと考えますが,市長の
対処方針をお示し願います。
質問の第9は,施設福祉についてであります。
在宅福祉の充実とあわせて施設福祉の充実を進めなければなりません。障害者や介護する家族の高齢化が進み,介護が困難になったり,障害者自身の障害が重度で重複してくるなど,実態は深刻です。重症
心身障害児施設でありながら,成人になってもその先の施設がないため引き続き在園し,新たな入所希望者を受け入れられない,しかも建物は老朽化し,法人と職員の皆さんの大変な苦労と献身的な活動によって施設が支えられているのが現状です。
本市にある通所・入所施設ともそのほとんどが法人による運営です。
障害者福祉計画を策定するに当たっては,本市の責任を明確にした対策を確立すべきと考えますがいかがか。また,重症
心身障害児施設に対する法外援護が,今年度改善されたとはいえ1人当たり補助額が約1万5,000円で,東京都の4万円にははるかに及ばない水準にあります。せめて現在の2倍の3万円に引き上げるべきと考えますが,市長の決意と
対処方針をお示しください。
質問の第10は,障害者の就労の問題です。
民間企業や本市の雇用についてですが,民間企業の障害者雇用状況は,法定雇用率1.6%を下回る1.52%となっています。また,本市の部局雇用状況を見ますと,知的障害者は全く雇用されていないのは問題です。民間企業に対して,国や道任せにするのではなくて,本市としても企業が雇用法定率を守るよう強く働きかけ,法定雇用率を守っていない企業に対して,会社名を公表するなど雇用促進を図るべきと考えますがいかがか,市長のご見解をお尋ねします。
次に,就労の場の確保についてであります。
本年4月,本市において初めての身体
障害者福祉工場ワークショップSPが開設し,25名が採用され,障害を持っていてもこうして働くことができるのだという自信に満ちた明るい様子で働いているのを見て,私は本当にうれしく思いました。しかし,本市においてはまだ1,000名以上の人がこのような就労の場を求めています。より多くの障害者の皆さんが,このように働くこと,自立した生活を送ることができるように権利として保障されなければなりません。
4月,私は委員会視察で広島市の重度障害者多数雇用モデル企業として,第三セクター方式によるOA機器の開発や情報提供を主たる事業とする広島情報シンフォニーという会社を視察いたしました。重度障害者が36名,健常者が54名で,視覚,聴覚,肢体不自由,内部障害と障害の程度は多様ですが,障害に合ったポジションで働いており,独自の装置を開発し,在宅でも仕事ができるようにと積極的な開発研究が行われていました。本市においてもエレクトロニクスセンター内での具体化は不可能ではないと思いました。障害者の皆さんの就労の場をより多く確保するために,創意ある福祉工場の整備計画を進めるべきであり,現在,親やボランティアに依存している小規模授産施設に対する運営費補助金の一層の拡充を図るとともに,精神障害者に対する交通費助成について,身体障害者,知的障害者と同様,全額助成すべきと考えますが,市長のご見解をお尋ねします。
質問の第11は,聴覚障害者,言語障害者のためのファクシミリの整備についてです。
わが党は,これまでも聴力障害児・者の家庭と学校の連絡のために必要なファクシミリを小・中学校に整備することを求めてまいりました。1994年現在,市立高校8校と養護学校4校の計12校にリース契約でファクシミリが整備されているのみで,小・中学校には整備されておりません。現在,ファクシミリは,聴覚障害児・者の家庭と社会とをつなぐ重要な意思の伝達手段となっているものであり,とりわけ学校あるいは教師とその家庭とのコミュニケーションに欠かせないものと考えるからです。
本年,冬の大雪のときに,聴覚に軽い障害を持つ小学生が,学校の連絡網による休校の電話通知をよく聞き取れず,学校に向かってしまい,お母さんが職場に出てから気がつくということが起こりました。幸い事故になりませんでしたが,緊急時における確実な連絡ということからもファクシミリの整備が急がれております。
文部省も学校の整備機器の一つに挙げているファクシミリは,すでに政令都市を初めとして全国の大・中都市では学校に整備することは常識となっておりますから,本市においても聴覚障害児・者の世帯がいる小・中学校には年度内に早急に設置し,来年度には全小・中学校に整備すべきと考えますがいかがか,お尋ねいたします。
また,過日,JR札幌駅に公衆用ファクスが設置されました。聴力障害者など言葉に不自由な方々は,事故やダイヤの乱れなどのときにはファクス連絡が必要です。市役所,区役所,公共ターミナルなど,公共施設に公衆ファクスを設置すべきと考えますがいかがか,お尋ねをいたします。
次に,住宅の問題についてお尋ねをいたします。
「住宅は福祉」と位置づけられているヨーロッパでは,公的借家の割合が20%から40%台を占めていますが,日本ではわずか7.5%であります。本市の公的借家の割合はさらに低く5%であり,そのうち市営住宅の割合は3.3%と著しく低いのが現状です。
一方,民間借家は45%を占めていますが,公的補助はほとんどなく,市民が高い家賃,あるいは老朽化した民間借家に住まざるを得ないのが現実です。
わが党は,これまでの民間任せの住宅供給の方針を転換し,公営住宅の積極的建設と民間借家に対する家賃補助など,市民が安心して住み続けることができる具体的な施策の充実を強く求めるものです。
以上の観点から,5点の質問を行います。
質問の第1は,市営住宅の建設促進についてであります。
本市の市営住宅は2万4,000戸余りで,全世帯数に占める割合はわずか3.3%にすぎません。また,道営住宅や公団を含めた公的住宅の割合も5%と,政令市中最下位となっており,公的住宅の建設促進が求められていますが,現5年計画では,市営住宅は3,200戸の建設計画にとどまっており,従来の計画の4,000戸ないし4,500戸に比べ1,000戸以上も建設計画が削減されております。
市長は,本市の市営住宅の建設戸数が他都市に比べて著しく少ないことについてどのように認識されておられるのか,また,市民の強い要望にこたえて2倍の目標を持つなど,建設戸数の目標を大幅に引き上げるべきと考えますが,今後の建設目標についてお尋ねいたします。
質問の第2は,市民ニーズに見合った市営住宅の供給についてであります。
本市の市営住宅応募状況を見てみますと,単身者向け住宅や第2種3DK住宅の応募倍率がここ数年平均で10倍を超え,昨年度の豊平4条団地では,単身者向けは18倍,第2種3DKは60倍にもなっています。一方,第1種の2DKは空き家が目立ち,90年度以降の5年間で毎年400戸から500戸を超える空き家が生じており,本年4月1日現在,全体で約1,500戸の空き家があります。多数の空き家を生じている要因には,狭い,浴室がない,エレベーターがない,高い集中暖房料金など,さまざまな要因があります。こうした現状から,単身者向け住宅と第2種3DK住宅を大幅にふやすこと,あわせて空き家対策を強化すべきと考えますが,市長はどのように取り組まれるのか,具体的にお示し願いたいと思います。
質問の第3は,建てかえや住戸改善に伴う新家賃の負担軽減についてであります。
建てかえ事業が終わった家賃の状況を見ますと,1万円前後の旧家賃が5万円を超え5倍の家賃になったのが5団地,5,000円前後の旧家賃が4万円を超え8倍になったのが15団地もあるなど,急激な負担増になっています。
本市は,4年から6年の傾斜減額の措置を講じてはいますが,その後に家賃を払い続ける見通しがないために,やむなくほかの安い住宅に住みかえざるを得ないのが実態です。特に,今回の
評価替えで土地の評価額が3.5倍にもなることから,今後の建てかえ住宅の家賃が大幅に値上げされることになります。用地費を単に上乗せしたり,土地の再評価額により家賃を算出するやり方を改めて,低所得者の実態に見合った低廉な家賃とすべきでありますがいかがか,伺います。
質問の第4は,高齢者のための住宅についてであります。
本市住宅対策協議会の答申や,これに基づく高齢者住宅計画でも,緊急かつ重点的対策として位置づけており,市長もまた,高齢者等の住宅に困窮する低所得者に対する施策については,基本的には公営住宅による直接供給により対処していくとの考え方を示されていますが,単身高齢者向け住宅は常に倍率が10倍前後と不足しているのが現実です。今後,高齢者向け住宅の供給を大幅にふやすべきでありますがいかがでありましょうか,お尋ねいたします。
次に,ケア付住宅についてであります。
屯田西団地はデイサービスセンターと併設いたしましたが,保健・医療・福祉のサービスを受けられるいわゆる複合型のケア付住宅はまだ実現していません。高齢者福祉対策の重要な柱の一つでもあります複合型ケア付住宅の建設について,具体化すべき時期に来ていると思うのでありますが,市長は今後どのように取り組むのか,明らかにしていただきたいのであります。
質問の第5は,民間賃貸住宅の家賃補助と借上げ福祉住宅についてです。
本市では,民間借家が45.1%と約半分近く占めておりますが,これら民間借家の入居者に対する公的補助として,中間所得層の対象の特定優良賃貸住宅制度がスタートしたばかりであります。わが党は,低所得の高齢者や障害者のために,借上げ福祉住宅制度や家賃補助制度の創設についてたびたび求めてまいりましたが,市長は,他都市の制度も含めて研究してみたいと答弁されてきました。いま立退きを迫られている高齢者や障害者など低所得層にとって,緊急の要望になっている借上げ福祉住宅制度や家賃補助制度について,市長はどのように検討されてきたのか,また,今後どう取り組むおつもりなのか,いま一度市民の皆さんの前に明らかにしていただきたいのであります。
次に,子どもの権利条約に関連して質問いたします。
子どもの権利条約が国会で批准され,5月22日に発効したことは周知のとおりでございます。なぜ,いま子供の権利が問題になっているのでありましょうか。それは日本でも世界でも,社会のひずみの犠牲を一番受けているのが子供たちであるからです。
ユニセフの世界子供白書の94年版によりますと,過去10年間の戦争によって,推定で約150万人の子供が殺され,さらに400万人の子供が手足を失い,失明,そして脳に損傷を負い,500万人の子供が戦争によって難民となっております。また,毎年800万人の子供が,肺炎,下痢,はしか,破傷風,百日ぜきの五つの病気だけで命を失っております。これはちょっとした予防や素早い治療があれば,多くの命が救われる病気であります。それができないのは,貧困などの困難の中に子供たちが置かれているからであります。
こうした子供たちの不幸は,経済的に進んでいる国でも別な形で存在しています。日本においても学歴社会による差別・選別,不登校児童・生徒の増大,大気汚染による小児ぜんそく,交通事故,子供の自殺や少年犯罪の増大など,新たな困難が子供たちを取り巻いております。
こうした子供たちをめぐる状況から,1979年の国際児童年から10年目の1989年,国連において,法的拘束力がある条約として子どもの権利条約が満場一致で採択されたのであります。
しかしながら,わが国での条約批准に至る経緯を見た場合,この条約の国内での履行がさまざまな障害にぶつかることがすでに懸念されるのであります。すなわち,わが国では条約批准が政府・文部省などの抵抗によって先延ばしされたこと,また,国会において,自民党や
連立政権がPKO法や小選挙区制導入などを優先したことによって批准が5年もおくれ,ようやく158番目の批准国となったところにもそのことがあらわれております。
わが党は,日本の子供たちをめぐる複雑かつ困難な状況を直視し,批准された子どもの権利条約の実効ある取組みを推進する立場から,以下2点の質問をいたします。
質問の第1は,子どもの権利条約を基本的にどのように受けとめ,どのように取り組んでいくのかについてであります。
本条約は,第2条で差別の禁止,第3条であらゆる分野において子供が最善の利益を保障されるべきことを規定し,第4条ではそのための立法上,行政上及びその他の措置をとることを締約国に義務づけています。しかも,この理念に基づき,各条項で,医療,福祉,保育,教育,司法,文化,地域,家庭など,領域ごとに子供にとって必要な原則が述べられております。言いかえれば,子供にも大人と同じように基本的な人権を保障し,同時に保護される権利,教育への権利,年齢にふさわしく発達する権利などの子供固有の権利を保障することを明確にしています。
さらに条約は,このような権利を子供たち自身のものにするためには,従来の「子供は大人の考えに従うもの」という子供観から,子供を権利行使の主体者としてとらえる子供観への根本的転換を大人に求めております。この点では,第12条で児童が自分にかかわるすべての問題で自分の意思を自由に表明する権利を規定したことは,画期的な意義を持つものでありますが,これらの諸点を含めて同条約をどのように受けとめ,どのように取り組んでいかれるのか,市長並びに教育長の基本的姿勢,考え方について伺います。
あわせて,具体的な取組みを進めるに当たっては,まず,あらゆるところで条約の内容を広く知らせることが重要と考えます。本市として,わかりやすくしっかりとした印刷物も作成し,子どもの権利条約について知らせる活動を積極的に行うべきと考えますがいかがでありましょうか,お尋ねいたします。
質問の第2は,同条約に関連した文部省の通知についてであります。
文部省は,条約批准に対抗するため,教育分野での留意事項を地方の教育委員会に通知いたしました。同通知の初めには,本条約についての肯定的な叙述がありますが,その一方で,条約を国内法や政府が批准してきた国際法規と軌を一にすると位置づけ,父母や教育関係者が求めてきた条約発効後の教育制度や法改正については必要ないとはねつける内容となっておりますが,教育長はこの点どのようにお考えでありましょうか。
また,子供の人権への配慮を強調しながら,一方では,子どもの権利条約の中でも最も重要な意義を持つ子供の意見表明権については,一般的に定めたものであり,意見が必ず反映されることまで求めているものではないとして,初めから制限を設けていますが,教育長は子供の意見表明権について制限を設けている文部省の通知をどのようにお考えでありましょうか。
いま,全国的にも問題になっている校則の改正問題については,学校の責任と判断で決定すべきだとするなど,従来と変わらない姿勢で臨むよう求めていますが,本市教育委員会は,文部省と同じように従来と変わらないという態度をとるおつもりかどうか,教育長の見解を伺います。
通知は,国旗・国歌でもない日の丸掲揚,君が代斉唱を,国旗・国歌を尊敬する心情と態度を育てるものであり,今後も指導を充実すべきだとして,天皇敬愛教育の推進を強調しております。これは主権在民の憲法原則に反するものでありますが,子どもの権利条約が定めた子供の思想,良心及び宗教の自由についての権利を侵すものとは考えないのかどうか。また,条約では,思想,良心及び宗教の自由についての児童の権利を規定していますが,国旗や国歌,ましてや天皇などに対する敬愛などについて全く触れていないのであって,日の丸,君が代に関する文部省通知は,子どもの権利条約にかかわりのない問題をあえて持ち出しており,文部省の反動的姿勢があらわれております。子どもの権利条約と日の丸,君が代は本来関係のないものと考えますがいかがか,教育長の見解を伺います。
文部省は,通知のねらいについて,「条約が発効しても学校が目に見えて変わることはない。議論になっている部分もあり,混乱が生じないようにした」などと説明しておりますが,管理教育を改めてほしいなど,切実な要求から条約の実効ある具体化を求めてきた父母や教職員から,「どう権利を制限するかという通知だ」「とんでもない通知だ」と怒りの声が上がっているのであります。教育長は,「条約が発効しても学校が目に見えて変わることはない」と言って,発展や前進を拒否する姿勢をとっている文部省通知をどのようにお考えなのでありましょうか。文部省通知はもっともであり,条約の具体化は必要ないとお考えでありましょうか,教育長の見解をお尋ねをいたします。
次に,Jリーグのサッカーくじに関して質問いたします。
プロサッカーJリーグを対象としたサッカーくじの法案化が,日本共産党を排除した国会議員によるスポーツ議員連盟によって推進されており,法案大綱が明らかにされました。これに対して,PTAや地域婦人団体からは,「Jリーグをギャンブル化することは問題だ」「サッカーのギャンブル化は青少年のスポーツに対する考え方に悪影響を及ぼす」「実際のプレーにおいても勝ち負けにこだわる風潮を助長するのは問題だ」との強い批判と反対の声が上がっております。
そこでお尋ねしますが,サッカーのギャンブル化は青少年に対する悪影響を及ぼすものと考えますが,日本PTA全国協議会が5月31日,文部省,国会議員に対して,スポーツをギャンブルとしてとらえ試合の勝敗にかけるサッカーくじの導入は反対であるとの陳情を行いましたが,教育長もサッカーのギャンブル化については反対の意思を表明すべきと考えますがいかがか,ご見解を伺います。
また,このサッカーくじの導入の背景に,安定したスポーツ振興資金を確保したいと願うスポーツ団体の現実もあります。サッカーのギャンブル化という邪道を踏まないで,スポーツの振興を図る大道に立って,国のスポーツ予算の大幅増額を初め,貧困なスポーツ行政の改善が図られるべきと考えますがいかがか,教育長の見解を伺います。
最後の質問は,西区市道月山線の安全対策についてです。
昨年2月,発寒川に沿ってつくられている市道月山線で2回の雪崩が発生し,その後,4月に土砂崩れが起きました。3年前にも雪崩が起きており,地元住民は大変不安を抱いております。月山線は,1988年8月,バイパスとして建設され,1日交通量が5,000台もあり,準幹線道路として平和,福井,西野方面の交通渋滞緩和に重要な役割を果たしています。今年末には月山線の延長工事も予定されており,この延長部分が開通されると,さらに交通量がふえることは必至です。幸い,いずれも人身事故が起きなかったからよかったものの,朝夕のラッシュ時にもし起きていたら,大変な事態になっていました。
現在,土砂崩れの部分は,国の災害復旧事業の指定を受け,災害査定を受けているとのことですが,雪崩,土砂崩れが起きた地点のみではなくて,全域の抜本的な調査をし,ことしの冬は安心して通過できる道路として利用できるよう,市単費でも早急に安全対策工事を積雪前に完了させるべきと考えますが,市長の
対処方針を伺います。
これで私のすべての質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(伊与部敏雄君) 答弁を求めます。桂市長。
◎市長(桂信雄君) まず,私から幾つか答弁いたします。
最初は,政治姿勢の質問についてでありますが,第1点についてであります。
お話にありましたような国会の解散と現行の中選挙区制による総選挙の実施につきまして,現在さまざまな議論がなされておりますことは私も承知をいたしておりますが,国会の解散ということにつきましては,国民世論の動向等を見ながら,内閣総理大臣自身が判断されるべきものと理解をしております。
第2点目の
羽田内閣の
基本姿勢への評価についてであります。
お話がありました朝鮮半島にかかわる問題,
アメリカとの協調,
国際貢献のあり方等々,国の外交政策等につきましては,政府が,国民及び国際社会の十分な理解を得ながら対応していくべき問題だと考えております。
また,戦争に対する私の認識につきましては,昨年の第4回定例市議会においてお答えを申し上げたところでありますが,戦争のない平和な世界の追求は,人類にひとしく課せられた課題であり,さきの戦争は,日本のみならずアジア諸国の国民にも耐えがたい苦しみと悲しみをもたらし,わが国ばかりでなく,人類にとっても大変残念な不幸な出来事であったと受けとめておりますし,したがって,こうした戦争が二度とあってはならないと考えております。
第3点目の消費税についてであります。
この問題につきましては,現在,政府
税制調査会及び与党の税制改革協議会におきまして,今後の高齢化社会を展望しながら,社会保障などの財政需要に適切に対応するため,その財源のあり方とも関連して,さまざまな角度から検討されているところであります。この問題は,基本的には国政の場で論議されるべき問題でありますが,地方自治体といたしましては,地方分権の推進に即した安定的な税財政を確立することが重要であり,今回の税制改正の中で,
地方消費税の創設も含め,適切な結論が得られるよう期待をしているところであります。
次に,第4点目の
固定資産税の
評価替えについてでありますが,今回の土地の
評価替えは,土地にかかわる評価水準の不均衡を是正する趣旨から,地価公示価格の7割水準で行なっておりますが,このことが税負担の急激な増加を招かないよう,従来にない総合的な
負担調整措置が講じられ,
市民負担に配慮された内容になっているものと考えております。
第5点目の参議院の定数問題についてであります。
お話のありました大綱につきましては,参議院の各会派で構成する
参議院選挙制度改革
検討委員会による案でありまして,今後,その具体的な内容についてさまざまな検討がなされていく段階のものと理解しております。
次に,国民健康保険についてであります。これらは関連がございますので,まとめてお答えをさせていただきます。
今年度の保険料につきましては,現在の経済情勢における加入者の負担などを考慮いたしまして,一般会計から総額で190億円もの多額の繰入れをいたしておりますし,1
世帯当たりで申しますと,全国一の約10万円の軽減をいたしたところであります。
また,加入者の所得と保険料について,他都市との比較のお話がありましたが,すでにご承知のように,保険料が医療費に連動して決められる仕組みになっておりますので,医療費が増加している中で,保険料を引き下げるということは非常に困難なことであります。
次に,
障害者福祉についてであります。
第1点目の
障害者福祉計画策定の基本的な考え方についてでございますが,この計画は,本市における障害者施策に関する基本計画ということで考えております。したがいまして,
障害者基本法の
基本理念を踏まえながら,障害者の方々の自立と社会活動への参加がより図られるような計画を策定してまいりたいと思います。
2点目のホームヘルプ事業の充実についてでございますが,この事業は,在宅福祉サービスの中でも最も重要な施策の一つであると考えております。したがいまして,昨年度実施をいたしました実態調査の結果なども踏まえて,より柔軟なサービス体制がとれるように,今後ともこの事業の充実に向けて努めてまいりたいと考えております。
3点目の
ガイドヘルパーについてでありますが,
ガイドヘルパーは,障害者の方々の社会活動への参加を促進する上で大切な役割を果たしているものと考えております。しかしながら,障害者の方々のあらゆる外出のニーズに応じて派遣の対象を拡大することや,
ヘルパーの身分の専門性につきましては,国の制度との整合性の問題などから難しいものがありますが,登録者の拡大を図るなど,充実に努めてまいりたいと思います。
4点目の心身障害者
短期入所事業についてでございますが,その利用件数は年々増加する傾向にありますので,これまでも指定施設をふやすなど,充実に努めているところであります。今後とも,利用者のニーズに対応して十分な措置が図られるように国に対して補助の増額を求めるとともに,ショートステイ専用室の確保などを指定施設に働きかけてまいりたいと考えております。
5点目の身体
障害者福祉センターについてでありますが,このセンターは,在宅の身体障害者の方々の自立と社会参加を促進するための拠点施設として,障害者の方々の利用が定着しているところであります。
お話の2館目のセンターの建設につきましては,当面,このセンターが障害者の方々にとって,より身近で相談や訓練がしやすい施設となりますように,より一層機能の充実を図ってまいりたいと考えております。
6点目は,住宅問題についてであります。
まず,グループホームについてでございますが,本市では,国が平成元年度から制度化する以前の,昭和59年から独自事業としてグループホームに類似した生活寮に対し運営費補助を実施しておりまして,平成6年度においても補助基準の増額を図ったところであります。さらに,グループホームに対する国の補助の増額につきましては,今後とも要請してまいりたいと考えております。
次に,住宅改造相談などのコーディネーターを制度化することについてでありますが,本市には建築局に相談の係がありますし,また,身体
障害者福祉センターには用具の利用相談窓口があります。さらに,民間にも相談のための機関が設置されておりますことから,これらを活用していただきたいと思っております。
また,住宅改造費用の助成につきましては,障害者の方々がいる世帯の住宅を増改築する場合に,その資金を低利で融資する住宅整備資金貸付事業のほか,幾つかの住宅資金融資制度が実施されておりますので,これらの制度を十分活用していただきたいと思います。
次に,車いす世帯向け住宅の増設につきましては,需要の実態を把握し,今後とも建設に向けて努力をしてまいりたいと思います。
7点目は,交通の問題でありますが,障害者の方々の社会参加を促進するために,本市では,札幌市福祉の街づくり環境整備要綱に基づいて,地下鉄駅にエレベーターやエスカレーターの設置を進めているほか,建物や道路あるいは公共交通機関に附帯する施設などの整備を図っているところであります。そのほか,本市の単独事業として,交通費の助成を実施しているところであり,今後とも障害者や高齢者の方々が安心して移動できるような環境づくりに努めてまいりたいと考えております。
8点目は,
心身障害児の早期発見・早期療育についてでありますが,本年2月に設置いたしました保健・福祉・医療の関係機関から成る連絡調整会議等を通じて,保健所における
心身障害児にかかわる保健予防事業の効果的な推進を図っているところであります。
9点目は,福祉施設についてでありますが,
障害者福祉計画の策定に当たっては,福祉施設の充実がより一層図られるような施策を推進するように努めてまいりたいと考えております。
また,重症
心身障害児施設につきましては,実情を踏まえて,今年度補助の増額を図ったところであります。
10点目は,障害者の就労の問題であります。
まず,民間企業における障害者の方々の雇用促進についてでございますが,これは,国が民間企業に対し指導や勧告などを行いながら,法定雇用率達成の働きかけを行なっているところであります。本市といたしましても,国や道など関係機関と連携を密にしながら,障害者の方々の雇用促進が図れますよう努めてまいりたいと考えております。
次に,障害者の方々の就労の場を確保することについてでございますが,本市では,これまでも障害者の方々に対します福祉工場を計画的に整備して,就労の場の拡大に努めているほか,小規模授産施設に対しても,年々運営費補助の増額を図ってまいっているところであります。
また,精神障害者の交通費助成につきましては,社会復帰訓練への参加を促進するためのものでございまして,身体障害者などに対する交通費助成規則に準じて対応しているところであります。
11点目は,聴覚障害者,言語障害者のためのファクシミリの整備についてであります。
公衆ファクスの設置につきましては,現在,すでに市役所,区役所,区民センターなどにファクスを設置して,聴覚障害者の方々の利便を図っているところでありますが,今後とも関係機関に要望してまいりたいと考えております。
次は,子どもの権利条約に対する
基本姿勢についてであります。
児童の権利に関する条約,いわゆる子どもの権利条約に対する
基本姿勢につきましては,平成4年の第2回定例市議会におきましてお答えをいたしましたとおり,子供にとって最善の利益を優先しようとするこの条約の
基本理念は,最も尊重すべきものと思います。このたびの条約の発効に際しましても,条約の
基本理念を尊重し,国の動向を踏まえながら,今後,広報活動を含め,関係施策の推進に努めてまいりたいと考えております。以上です。
○副議長(伊与部敏雄君) 魚住助役。
◎助役(魚住昌也君) 住宅問題につきましてお答えいたします。
第1点目の市営住宅の建設促進についてでございますが,本市の市営住宅の供給戸数につきましては,住宅の需要予測に基づき,5年計画ごとに目標戸数を設け建設に努めておりますが,他都市との相違につきましては,各都市の地域特性や住宅事情によるものと考えております。
また,今後の建設目標についてでありますが,現在,住宅供給計画を策定中であり,人口,世帯の推移,
民間住宅建設の状況等を勘案しながら検討してまいりたいと考えております。
2点目の市民ニーズに見合った市営住宅の供給についてでございますが,まず,単身者向け住宅及び第2種3DK住宅の建設戸数増についてでありますが,現在,住宅供給計画を策定中であり,この中で,種別,型別の応募倍率等を考慮しながら必要戸数を定めてまいりたいと考えております。
次に,空き家対策についてでございますが,従前からも積極的なPRを行い,募集に努めているところでございます。しかしながら,主として建設年次の古い住宅が対象であるため,面積が狭小であるとか,浴室がないとか,エレベーターがない等の事由により空き家が生じております。これに対する根本的な解決策といたしましては,住宅の質的向上を図る必要があるものと認識しており,今後,関係機関とも協議の上,建てかえ事業等も含めて検討したいと考えております。
3点目の建てかえに伴う新家賃の負担軽減についてでございますが,建てかえに伴う新家賃の決定に際しましては,公営住宅法の定めるところにより,家賃の構成要素に地代相当分を含めることとなっておりますので,ご質問の建てかえ住宅にかかわる土地評価額も対象とすることになります。しかし,公営住宅の家賃のあり方につきましては,法の趣旨を尊重し,できるだけ低廉な家賃となるよう,設計仕様の見直しなどにより内部努力をし,均衡のとれた家賃となるよう,さらに努力をしてまいりたいと考えております。
4点目の高齢者のための住宅についてでございますが,まず,高齢者向け住宅の供給増についてでありますが,平成4年度から,市営住宅におきましては,すべての住宅において室内の段差解消,手すりの設置等の高齢者仕様を実施しております。
次に,複合型ケア付住宅の建設についてでございますが,市営住宅と福祉施設等との複合化を図ったケア付住宅につきましては,市営住宅の建設計画に合わせて建設に努めているところであり,屯田西団地におきましてデイサービスセンターとの複合化を実施したところでございます。今後もケア付住宅の供給を推進するとともに,福祉施設などの合築,併設化を含めて研究してまいりたいと考えております。
5点目の民間賃貸住宅の家賃補助と借上げ福祉住宅についてでございますが,高齢者や障害者などへの住宅供給につきましては,基本的には市営住宅により対応すべきものと考えており,その必要戸数の確保に向け努力をしているところであります。
なお,高齢者,障害者などが入居対象となる民間住宅の借上げ制度である特定目的借上公共賃貸住宅制度が,国において創設される予定となっておりますので,活用に向け研究してまいりたいと考えております。
次に,西区市道月山線の安全対策についてお答えいたします。
ご指摘のとおり,市道月山線は地区の重要な幹線道路であると認識しております。このため,現在,今春の雪崩及び土砂崩れ箇所を含め,あらためて全線の斜面について現況調査を実施し,安全対策の検討を進めております。
なお,土砂崩れの箇所につきましては,すでに仮復旧工事を実施しておりますが,先日,国の災害復旧事業の採択を受けましたので,間もなく本復旧工事に着手することとなっております。
さらに,他の箇所につきましても,全線の調査結果を踏まえた上で,年内に安全対策を講じてまいりたいと考えております。以上でございます。
○副議長(伊与部敏雄君) 藤島教育長。
◎教育長(藤島積君) 教育問題に関しまして,3点ほどご質問がございました。
まず第1点目,
障害者福祉の第11点目のご質問のうち,小・中学校へのファクシミリの整備についてお答えをいたします。
教育委員会といたしましては,聴力障害者,言語障害者のいる家庭と学校との連絡のみならず,広く学校における使用頻度,導入に伴う事務量の状況,効率的な機種の研究,財政上の課題,あるいは導入時期等々について,現在調査検討をしているところでございます。
次に,児童の権利に関する条約についての1点目,条約に関する基本的姿勢について私からもお答えをいたします。
この条約は,世界的な視野から児童の人権の尊重を目指したものであり,先ほど市長からもご答弁がありましたとおり,その
基本理念はこれまで同様尊重すべきものと考えております。したがいまして,市教委といたしましても,本条約の趣旨を踏まえ,今後とも児童の人権に十分配慮し,一人一人を大切にした教育を一層推進していかなければならないと考えております。
2点目の文部省通知につきましては,北海道教育委員会からの通知を受けた上で検討してまいりたいと,このように考えております。
続きまして,Jリーグのサッカーくじについてでございます。
第1点目の青少年への影響についてでございますが,このたび,国のスポーツ議員連盟において示されたスポーツ振興くじ大綱案におきましては,18歳以下の青少年へのくじの販売を制限するなど,その配慮がなされていると伺っております。また一方で,PTAや婦人団体には導入に反対の意見があることも承知しているところであります。
第2点目の国のスポーツ振興予算の増額についてでございますが,スポーツ振興くじは,新しいスポーツ振興政策の実現のための財源確保策として検討されてきたと伺っております。いずれにしましても,スポーツ振興くじにつきましては,スポーツ議員連盟において提案され,国民的な世論を背景としながら,国会の場において審議がなされるはずであります。私としましては,そうした国の動向等を慎重に見守りたいと,このように考えております。以上でございます。
○副議長(伊与部敏雄君) ここで,30分間休憩いたします。
─────────────────
休 憩 午後2時12分
再 開 午後2時45分
─────────────────
○議長(見延順章君) これより,休憩前に引き続き会議を開きます。
代表質問の続行であります。山口たか君。
(山口たか君登壇・拍手)
◆山口たか君 私は,ただいまより市民ネットワーク北海道を代表し,市政の諸課題につきまして数点質問いたします。
質問の1番目に,子供に関する施策について伺います。
初めに,衆参両院で全会一致で承認され,5月22日から発効しました児童の権利に関する条約について伺います。
国連の「コンベンション・オン・ザ・ライツ・オブ・ザ・チャイルド(Convention on the Rights of the Child)」の名称について,国の条文では「チャイルド(Child)」を「児童」と訳しております。しかし,わが国では,児童福祉法,学校教育法,少年法など,縦割の行政官庁ごとに子供の呼び方と対象年齢が異なっております。保護,管理の対象としての子供観に基づく行政用語の「児童」ではなく「子供」とすることが最も妥当と考え,以下,子どもの権利条約と称し,質問いたします。
子供の人権をめぐる国際的な努力は,1924年の国際連盟のジュネーブ子どもの権利宣言から59年国連総会での子どもの権利宣言の採択,79年の国際児童年へと引き継がれ,89年の条約へと結実しました。条約の第2条では,「人種,皮膚の色,性,言語,政治的意見その他の意見,国民的,民族的もしくは社会的出身,財産,障害,出生またはその他の地位にかかわらず,いかなる種類の差別」も禁止しています。第12条では,子供は保護されるだけではなく,権利行使の主体として意見を表明する権利を有するという意見表明権が規定されました。
このことを初めとして,子供の人権を明確に掲げたこの子どもの権利条約の批准は,2度にわたる世界大戦や東西冷戦構造,地域紛争が続いた今世紀の歴史の中で,女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約と並んで大変意義深いことです。しかし,世界各地ではいまなお多くの子供たちが内戦や貧困や飢餓で苦しんでいます。幼くして命を落としたり,教育を受けられない子や,貧困のために路上で働き生活せざるを得ないストリートチルドレンは3,000万人を超えると言われています。
また,環境破壊や核の恐怖が世界の子供をむしばんでいる状況があり,子どもの権利条約が発効した翌日の5月23日の新聞報道によりますと,チェルノブイリ周辺の5万5,000人の子供を対象に甲状腺解析を行なった結果,甲状腺のしこりや甲状腺がんが多数確認されたとのことです。一日も早く条約の理念が実現されねばならないことを痛感いたします。
一方,国内に目を移しますと,貧困や飢餓に苦しむことはなくなったとはいえ,日本の子供の権利は果たして十分に保障されていると言えるでしょうか。受験競争,いじめ,不登校,高校中退,体罰,障害児への入学差別を初め,課題は山積していると考えます。しかし,93年5月の衆議院で当時の宮沢総理大臣は,子供の権利について「憲法を初めとする現行国内法制ですでに十分に保障されていると考えております」と述べております。
世界で157番目の批准国ということからわかるように,この条約に対する日本の姿勢はきわめて消極的です。本条約の内容に沿って児童福祉法や民法上の親権の扱いなど関係法令の手直しを初め,教育法令の校則の扱いなども大幅に見直すことになると,学者,専門家の間で議論されてきましたが,何ら国内法の見直しもなく,また,予算措置や国内行動計画の策定も予定されておりません。このような国の対応は大変疑問ですが,条約の批准によって子供の権利は普遍的国際人権として承認され,内政干渉を理由に他国の批判を退けることはできないようになりました。また,条約遵守状況の国連への報告義務があり,国家責任は明確です。
そこで1点目の質問です。
92年第2回定例会において木戸助役は,「条約の精神が反映されるよう施策の推進に努めてまいりたい」「行動計画の策定について調査検討する」と答弁されております。子どもの権利条約が批准されたいま,市長は,今後の市政の中でどのように取り組まれるお考えか,あらためてそのご決意を伺います。
2点目として,行動計画について,これまでどのような調査検討がなされてきたのでしょうか。さらに調査検討を踏まえ,本市としての子供のための行動計画の策定に取り組むべきと考えますが,市長のお考えをお伺いいたします。
3点目に,条約の趣旨に沿った種々の施策を推進する場合,教育委員会,民生局,市民局を初め,多くの局に横断的にかかわることから,縦割を廃し全庁的に取り組むことが必要ですが,条約の推進体制についてどのようにお考えかお伺いいたします。
4点目に,条約広報義務について伺います。
条約第42条には,「締約国は,この条約の原則及び規定を,適当かつ積極的な手段により,大人のみならず子どもに対しても同様に,広く知らせることを約束する。」とあり,条約の内容について,すべての子供たちにわかりやすく知らせることが規定されております。さらに,さきに挙げた「意見表明権」を初め,条約15条では「結社・集会の自由」について,28条では「教育への権利」,30条では「少数者・先住民の子どもの権利」について規定しています。しかし,わが国では1960年文部次官通知により,複数の学校の生徒会のメンバーが集まること及び高校の生徒会の連合組織の結成が禁止されており,さらに69年,初等中等教育局長通知によって校内の生徒会活動も制限されている現状です。この条約によって,まさに日本のこれまでの教育観,子供観の大きな転換が求められていると言えるのではないでしょうか。
そこで質問いたします。
この条約の諸権利をすべての子供たちに知らせ,みずから社会の主人公である自覚を持てるようにするために,解説書や冊子などの作成をも含め,学校教育全体での取組みを行うべきと考えますが,教育長のお考えを伺います。また,その際,児童ではなく子供という言葉を使うべきと考えますが,この点についてのご見解を伺います。
5点目に,子供オンブズパーソン制度について伺います。
オンブズパーソン制度は,ノルウェー,イギリス,カナダ,スウェーデンなどですでに実施されております。ノルウェーでは,防衛,良心的徴兵拒否者,公共行政,消費者,男女平等に続いて,子供オンブズパーソン制度を設けております。
日本では,東京都中野区が福祉オンブズマン制度を,川崎市が行政監視の方法として市民オンブズマン制度をスタートさせております。法務省も子どもの権利条約の国会質疑を通し,いじめや不登校など子供の人権問題に取り組むため,94年から全国に子供の人権オンブズマンを設置することを明らかにしております。子供たちが発するSOSをキャッチして,子供の立場に立って相談に乗り,子供の権利の代理人となるオンブズパーソン制度の導入について,本市も検討すべきと考えますが,市長のお考えをお伺いいたします。
質問の2番目として,学校における健康診断について伺います。
新学期から2ヵ月がたちました。この間,何日間も費やして身体測定,内科,耳鼻科,眼科,歯科などの健診が行われており,この健診の結果により,体育の授業が制限されたり,通院や経過観察が必要とされる子供もいます。これまで,この健診が子供に与える影響について考察されたことはほとんどありませんでした。親も子も受診するものと思ってきましたし,受診の可否を学校から尋ねられたこともありませんでした。しかし,欧米では集団健診は廃止されつつあり,学校健診も絶対的なものではないということを踏まえ,何点か質問いたします。
初めに,健診についての十分な情報の提供,すなわちインフォームド・コンセントについてです。1951年から続けられてきたエックス線間接撮影は,結核の発見率が0.0034%まで低下したことや,放射線被曝によるがんの可能性を考慮した場合,小・中学校での意義は乏しいとの理由で93年度から廃止となりました。
このエックス線間接撮影に関しては,1974年WHO(世界保健機構)がすでに,胸部集団検診に積極的な意義は見出せないと指摘し,多くの国が中止していく中で日本は継続してきました。20年目にしてやっと中止となりました。大変大きな政策変更であり,これまでの価値観の変更を迫るものでありながら,親や子に対しての情報提供はなく,各学校の養護教諭に任されています。
豊平区の学校20校を無作為で選び,保健だより,学年だよりなどを集約しましたが,このことについて,はっきりわかりやすい説明をしている学校は3校でした。昨年,豊平区の地域づくりを考える市民が区内の父母446名に学校健診に関する調査をした結果,エックス線が廃止になったことを知らない親が多く,「いままでエックス線を受けてきたことはどんな意味があったのか」「学校からの説明もなく,国や行政のやり方に納得がいかない」「現在行われている健診の中にも意味のないものがあるのではないか」「検査ばかりがふえて,子供がデータ収集の対象とされているのではないか」との声が寄せられました。
学校の健康診断の中で十分な説明と同意を得るような取組みが欠けると,子供は自分の体や健康について考える主体ではなく,単に検査を受ける対象あるいは客体としての存在になってしまいます。平均値,ローレル指数などにより,平均イコール理想的という価値観が形成されがちです。人は皆違うということを認め,尊重し,健康を守る主体は自分自身であることを理解できるような学校健診ができないでしょうか。
そこで質問をいたします。
文部省では,学校健診のあり方についての見直しがされているとのことですが,廃止になるもの,やり方が変わるものなどが出ると思われます。その内容をお示しください。また,その際には十分な情報の提供をすべきと考えますが,教育委員会のお考えを伺います。
次に,学校健診におけるプライバシーの保護について伺います。
健診の中で,特に扱いの難しいものに色覚検査があります。色が判断できず日常の生活に支障が大きいとされ,いまだ就職試験で門戸を閉ざしている企業があります。北海道,埼玉県,神戸市,札幌市の4自治体は,教員採用試験要綱に色覚異常の項目があり受験ができませんでした。ことし,やっとその項目が削除されたところです。実際は,交通信号の色も区別可能で,自動車運転免許も取得でき,生活上のハンディはまれであることが,まだまだ理解されておりません。
この検査についても余りに誤解が多く,差別につながっていることから,眼科医や父母から廃止の声が出ておりました。しかし,現在,札幌市の色覚検査は,治療法が確立されていない上に的確な指導もないまま,専門家ではない担任の教師が行なっています。石原式検査表を用いて小学校から高校までの間に4回行われていますが,担任が疑問を持った場合,再度養護教諭が検査をするようになっています。何回もの検査やほかの子供に知られることで傷つく子もいることから,健診には深い配慮が求められます。
また,身長,体重などの4計測の際,裸になることへの対応は,女子のみ3年生からTシャツを着てもよいところ,あるいは4年生からのところ,5年生からのところなど,学校によってまちまちです。さらに,計測のお手伝いや健康カードの記入を上級生が行なっているところもあり,守秘義務などに関して疑問が残ります。
そこで質問です。
以上のように,学校健診においてプライバシーの保護が重要視されていないように思われますが,そのことに関してのお考えをお尋ねいたします。
また,色覚検査については不必要という意見も当事者団体から出されておりますが,検査の際の配慮についてどのようにお考えか,あわせてお尋ねいたします。
次に,乳幼児の予防接種について伺います。
1989年導入された麻疹,おたふく風邪,風疹の3種類のワクチンを混合したMMRワクチンは,導入後2ヵ月で無菌性髄膜炎の副作用の発生が明らかになりました。その後,わずか4年の間に全国で死者2名を含む797人が予防接種健康被害者と認定されました。ワクチンの製法が無許可で変更されていたことなどもあり,93年4月にはついに接種が中止となりました。本市では,90年から93年までMMRの健康被害として49件の救済申請が出されております。
また,MMRだけでなく,種痘や百日ぜきなどの予防接種で亡くなったり重い障害が残った方は,全国で3,354人認定されております。病気の予防のため,わが子によかれと思って受けさせた予防接種で命を奪われる,こんな不条理なことはありません。全国各地で争われている予防接種禍訴訟でも原告側の勝訴判決が相次ぐ中,国もやっと法制度改正を含めた予防接種行政の見直しを始めました。
昨年12月,公衆衛生審議会から「今後の予防接種制度のあり方について」という答申が出されております。それによりますと,インフルエンザ予防接種については,すでに1987年に,社会全体の流行を抑止することを判断できるほどの研究データは十分には存在しないとの意見が提出されています。それから実に7年,今回の答申でやっと予防接種制度の対象から除外することとされました。この間,ことしの冬まで,本市でも学校,幼稚園などを通じ,インフルエンザ予防接種の案内がすべての家庭に配付されておりました。国の予防接種行政は,被害が発生してからの後追い行政との感はぬぐえず,親としての不安は募ります。
MMRの副反応が続出した段階で,行政と医師会が話し合い,中止を決めた群馬県前橋市のような例もあります。自治体が市民の安全を最優先し,不安の解消に努める姿勢が求められていると言えます。
神奈川県厚木ネットワークが事務局を担っている「子どものためのワクチントーク」では,ワクチンに関する疑問や相談を受けています。そこには,予防接種に関する情報,とりわけ副反応に関するものは全くと言っていいほど親に知らされていないという声が全国から寄せられています。副反応と思って医療機関に行ったが,風邪でしょうと一蹴された例も多く,認定患者の陰で,実際には10倍以上の未認定患者がいると言われています。
そこで,1点目の質問をいたします。
改正予防接種法では,接種義務の緩和が図られるとのことですが,親が,受ける受けないの判断ができるようにすべさと考えます。「予防接種を受けましょう」と書かれている現在の母子手帳の見直しを初め,予防接種に関するメリットだけでなく,デメリットも含めた十分な情報提供の体制をつくるべきと考えますが,市長はいかがお考えでしょうか。
2点目に,もしも接種後,不安な症状が出た場合,予防接種禍訴訟の司法判断の流れを受けとめ,被害者救済に漏れのない体制を確立することが不可欠と考えますがいかがでしょうか,お尋ねいたします。
質問の2番目に,福祉政策について伺います。
初めに,障害者にかかわる中長期の福祉計画についてです。
昨年の高齢者保健福祉計画に続いて
障害者福祉計画の策定が始まります。この計画を意味のあるものとするためには,福祉のまちづくり,住宅の整備,情報アクセスの充実,防災対策,教育の充実,雇用・就労の確保,保健・医療・福祉サービスの充実など,取り組むべき課題は多岐にわたっておりますが,期待をしつつ提言を交え,3点質問をさせていただきます。
初めに,
計画策定に当たっての当事者参加についてです。
さきの94年第1回定例会で,障害者当事者の
計画策定への参加について市長は,「障害を持つ方も含め,幅広くご意見をいただきながら策定する」と答弁されました。しかし,一言で障害者と申しましても,どの部分の障害かによって全く考え方が異なる場合があり,障害の難易度によっても評価が大きく分かれる場合もあります。点字ブロックが車いすの方にとっては歩きにくいものであったり,歩道の段差の解消が
視力障害の方にとっては車道との区別を難しくしていることなど,課題は山積しております。したがって,
計画策定のメンバーとして,どんな障害の方に参加いただくかは大変重要です。
道の社会福祉協議会ノーマライゼーション研究センターから間もなく発表されます
障害者福祉政策への参加に関する研究では,大変示唆に富んだ結果が出ております。この研究は,どれぐらいの障害者が政策形成過程に参加をしているのかなどについて,特に移動に制約の多い下肢障害者を対象としてまとめたものです。「これまで審議会などに委員として参加したことがある」という方は,重度の下肢障害の方で15%,「参加の経験なし」79.2%,なぜないのかを尋ねますと,「特定の役職の人しかなれないから」34.7%,「どうすれば委員になれるかわからないから」50.5%を初め,「交通アクセスがないから」などが挙げられています。「交通を初め,すべての問題が解決され,苦労せず市役所などに行けるとしたら,福祉サービスやまちづくりに意見を持っているとき,あなたは会議などに進んで出かけて行って意見を言いますか」という質問に対しては,「進んで意見を言う」22.5%,「頼まれれば出かけていって意見を言う」52.5%という結果が出ています。障害者の多くが,参加の意思を十分に持っていると言えるのではないでしょうか。
以上のことを踏まえ,質問をいたします。
このたび,幅広い市民の意見の反映とのことで,福祉計画の策定懇話会を開催することとなりました。参加者を広報さっぽろ6月号で公募されたこと,議会各会派からも参加者を推薦するという手法をとられましたことは,ともに評価いたします。
そこでお尋ねいたします。
懇話会は何回開催され,ここでの議論は計画にどのように反映されるのか,考え方をお示しください。
さらに,より公正な当事者参加のあり方として,推薦公募を導入してはいかがでしょうか。これは,広報を徹底し,策定のメンバーを公募する旨周知を図り,さらに本人以外に数人の推薦を受けて応募するという方法で,道の社会福祉協議会の研究でも提起されております。これには一切の恣意的なものの入る余地はなく,きわめて正当性の高い差別のない選び方であると言えますが,市長のお考えを伺います。
福祉計画の2番目に,交通権の確立についてお尋ねいたします。
すでに市民ネットワークでは,移動の権利としての交通権について何度か提案をしております。公共交通を初めとする都市基盤の整備とあわせ,ハード・ソフト両面での移動の手段の確保が,障害者や高齢者の社会参加に不可欠と考えるからです。
本市では,社会参加を支援するため交通費助成事業や優待乗車証の交付などの施策のほか,福祉の街づくり環境整備要綱の改正により,実効性の向上に努力されていることは承知をしております。また,先ほどの研究でも,下肢に重い障害を持つ人ほど介助者がいない,介助者なしでバスに乗せてくれない,タクシー代が高過ぎる,家から駅やバス停まで行けないなど,街まで出ていく困難さが浮彫りになっております。
現在,本市には
ガイドヘルパー制度があり,車いすと
視力障害の方の外出の際の介助に利用できることになっています。これは,身体
障害者福祉協会の委託事業となっていますが,病院や公的機関への外出の際しか利用できません。車いすや
視力障害の方たちが買物や遊びなどで外出する場合は,家族やボランティア,友人,知人に介助をお願いしているのが現状です。家事援助や介護の
ヘルパーは,数の上でもまだまだ不足をしていますから障害者の
ヘルパーを増員することは当然としても,交通権の確立という意味から外出援助の
ヘルパー制度の拡充が重要であると考えます。福祉計画の中での明確な位置づけが不可欠と考えますが,市長はいかがお考えでしょうかお伺いいたします。
福祉計画の最後は,障害を持つ子供たちへの支援についてです。
児童福祉総合センターが新たに建設され,障害を持つ子供や乳幼児に対する施策も,障害福祉課から児童相談所へと所管が移り,総合的に取り組む体制づくりが始まりました。
現在,自分の子供の発達に不安を持つ親たちの中には,保健所の1歳6ヵ月健診や3歳児健診で障害を指摘されたケースも多く,保健所では早期からの相談援助を進めています。しかし,3ヵ月に1回の経過を観察することが主になっているため,親の不安はなかなか解消されず,あちらこちらの相談窓口を訪れ,試行錯誤を繰り返している現状です。2月に豊平区で障害を持つ子供たちの親の会が発足しました。その方たちのお話から,わが子の障害を受け入れるまでの悩み,苦しみ,養護学校卒業後の進路に対する不安,地域の理解の不足などの問題点が浮き上がってきます。
現在,発達におくれが見られる子供の早期からの通園施設はどこも満員であり,待機者がいる状況です。しかも,民間の無認可の施設の犠牲的な努力に依存している部分も多く,これら施設を認可施設として位置づけ,安定した運営を図ることなどが重要な課題です。また,発達や育児に不安のある親と子が,希望すればだれもが待たずに専門的な援助を受けられる場が必要と考えます。
以上のことを踏まえ,今回の福祉計画の中に,障害を持つ乳幼児に対する援助・療育・保育体制の充実,民間無認可施設への支援などを明確に位置づけるべきと考えますが,市長のお考えはいかがでしょうか。
次に,福祉専門職員の採用について伺います。
高齢化社会の進行,ノーマライゼーション思想の広がりなどに伴う各福祉施策の充実が,本市においても求められております。さきの地域福祉課の機構改革,保健と福祉の連携へ向けた総合相談窓口の設置など,市民ネットワークの提案を積極的に取り入れられたことは,何よりも市民に広く歓迎されております。今後,その推進に携わる職員には,社会福祉の新たな課題に対応できる広範囲な知識と専門性,深い見識と能力が一層求められる時代に入ってまいりました。
本市の職員採用状況を見ますと,一般事務職,土木,建築,電気機械,衛生,造園,薬剤師,学校事務の九つの試験区分に分かれております。各区分に共通の教養試験50題のほかに,区分ごとの専門試験40題に分かれて行われております。その中で,一般事務の試験は1987年からA,Bのコースに分かれ,Aコースは主に法律経済系の試験問題,Bコースは社会福祉系の問題が出題され,福祉を専攻した学生にも受験しやすくはなりました。
しかし,合格しても福祉専門職員として採用されるわけではありません。福祉と関係なく,昨日まで財政を担当していた職員がきょうは福祉現場に配属されることや,福祉を専攻した職員が交通局に配属されることなどは,日常的に行われております。確かに,行政に携わる職員には,市政全体を総合的に理解し把握するゼネラリストとしての資質が求められることも事実です。しかし,これではスペシャリストが育ちません。今日まではこの体制で対応が可能だったとしても,今後の福祉行政の可能性,市民ニーズの増大や多様化に十分こたえられなくなることが危惧されます。
政令指定都市における福祉専門職員の採用について調べてみますと,神戸市,名古屋市,横浜市,川崎市,大阪市が一般事務職員と別の採用枠を設け,福祉行政の充実に取り組んでおります。北九州市では,今年度,「北九州市ルネッサンス構想」において福祉文化都市を標榜しております。その中で,住民に対する福祉サービスの質的向上が不可欠として,福祉専門的知識を有した人材の確保を図り,特に心身障害者に対するきめ細かいサービスを実施するため,専門職の採用を行うこととしております。また,仙台市では,現在福祉専門職の検討に入っております。すでに実施しているすべての市で,福祉採用枠を設けてよかった点として,福祉行政が向上したことを挙げております。よくない点としては,横浜市と大阪市が人事の停滞を挙げてはおりますが,その他の市では悪かった点はないと評価をしております。また,一般事務職で採用後,福祉研修の充実で対応可能としているのが広島市です。しかし,本市には福祉研修所もなく,生活保護に携わる職員への研修回数が多くなったとはいえ,他の福祉部門の研修は,内容,回数ともまだまだ不十分であると言えます。
そこで質問です。
福祉専門職員の採用が時代の趨勢になってくると考えますが,市長はいかがお考えでしょうかお伺いいたします。
次に,新たな時代に対応した環境行政について伺います。
初めに,環境基本条例についてです。
私たちを取り巻く環境は大きく変化を続けております。地球規模での環境破壊が進行し,現在ほど環境行政の充実が望まれているときはありません。このような折,昨年11月19日には環境基本法が制定され,また,本市では4月21日,公害対策審議会から「新たな時代に対応した環境行政のあり方」と題する答申が出されました。この答申に基づいて環境基本条例を策定することになりますが,それについて幾つか質問をさせていただきます。
初めに,環境権について伺います。
環境権は,1972年6月,国連人間環境会議で採択された人間環境宣言の第一原則で明記されました。それによりますと,「人は,その生活において尊厳と福祉を保つに足る環境で,自由・平等及び十分な生活水準を享受する基本的権利を有するとともに,現在及び将来の世代の環境を保護し,改善する厳粛な責任を負う」とされています。日本では,環境権については環境基本法制定時,各方面から規定すべきとの主張はあったものの実現しなかった経緯があります。よりよい環境をつくり上げていくには,市民・事業者・行政が環境情報を共有し,それぞれの役割を担っていくことが重要です。そのことで,ここで言う環境権が確立されていくと考えます。
そこで質問ですが,条例には環境政策の
基本理念として,すべての市民が人間らしく生きるにふさわしい豊かな自然環境と社会環境を享受する権利,すなわち,環境権を有することを明記すべきと考えますがいかがでしょうか。
次に,環境アセスメントについて伺います。
公害対策審議会の答申の
基本理念は,1「安心して健康に暮らすことのできる都市」,2「四季折々の変化を通じて,爽やかでやすらぎや潤いが実感できる都市」,3「環境にやさしい理想都市を目指し,常に新しい試みを実践する都市」,4「すべての市民が地球市民としての自覚をもって行動する都市」,5「北方圏の拠点都市にふさわしい質の高い環境を有する都市」の五つにまとめられております。
しかし,望ましい環境像を掲げても,環境保全の具体的方法の一つである環境アセスメントの充実がなければ,その実現は困難ではないでしょうか。市民ネットワークでは,92年第3回定例会において,環境アセスメント指導指針の必要性について質問し,本市公害対策審議会の答申の趣旨を十分に尊重するとの答弁をいただいております。しかし,今回の答申には,環境アセスメントの必要性は盛り込まれておらず,大変残念な思いがいたします。
92年ブラジルで開かれた地球サミットでの「環境と開発に関するリオ宣言」では,国内措置としての環境アセスメントを義務づけており,先進国の多くは,すでに法制化している現状があります。国では,環境基本法に規定するかどうか注目されておりましたが,開発官庁や産業関係委員の反対により,必要に応じて現行の措置を見直していくことと付記されるにとどまりました。
しかし,現在,国の中央環境審議会の企画政策部会では,アセスメント制度の拡充を図り,事業の計画段階での調査の実施や,計画の変更や中止も可能となるよう検討するとしています。これまでの制度は,事業実施に合わせるための環境アワスメントであるとの市民からの批判にこたえようとするものであり,実現が待たれております。
公害問題が大きな社会問題となった川崎市では,1977年から環境アセスメント制度を導入しておりましたが,昨年実行された環境基本条例第12条でそれに上乗せする環境調査を規定しました。これは,事業計画の立案の段階で環境調査を行い,環境調整会議でさまざまな検討を行なった上,中止を含む複数の案を準備して総合的に比較検討するものです。いわば計画アセスメントであり,すぐれた規定と考えます。
そこで質問の1点目です。
今回の答申では,環境アセスメントの必要性が示されませんでした。しかし,答申にもあるように,北方圏の拠点都市としての質の高い環境をつくっていくためには,環境アセスメントの制度はぜひとも必要です。環境基本条例中にアセスメント制度の考え方を盛り込むべきと考えますがいかがでしょうか。
また,2点目の質問として事業計画段階での環境調査,計画アセスメントについても規定してはいかがでしょうか,市長のお考えを伺います。
次に,環境学習の拠点整備について伺います。
長年環境教育に携わってきた大阪大学の森住明弘氏は,ご自分の体験から環境問題に関心を持ち,地球環境を悪化させる行動はやめて社会を改革しようと提言しても,なかなか行動につながらない。それはなぜかと考えました。そこで,右脳と左脳の働きに着目しました。知識は左の脳で獲得しますが,イメージ,欲望,感情などは右の脳と連動していると言われています。そこで,環境学習は知識の修得だけではなく,それを自然や社会に働きかけ体験することから始まるのだとの結論に達しました。この結論を見ますと,環境教育に長い歴史を持つ欧米諸国で,体験重視の教育プログラムを充実させていることもうなずけます。学習の拠点にしましても,建物に費用をかけず,スタッフやプログラムを充実したエコハウスやエコガーデンが多いといいます。
そこで質問です。
環境学習には,さまざまな体験やフィールド学習が重要と考えます。答申を受けて環境学習の拠点の整備へ向けて検討に入るとのことですが,市ではどのような構想をお持ちなのかお示しください。
3番目に,家庭系ごみの有料化についてお尋ねをいたします。
廃棄物の処理及び清掃に関する法律第4条では,一般ごみの処理は自治体の責務としており,行政サービスの一環として位置づけられています。しかし,各地で廃棄物処分が限界になりつつあり,大きな疑問が生じております。
4月には,ごみ減量の方法を検討していた環境庁のリサイクルのための経済的手法検討会の最終報告がまとめられました。その中で,廃棄物の排出課徴金の手法について詳しく報告されています。いわゆる有料制にすることは,市民みずからがごみにしない方法を見つける努力につながるとしています。
この報告がそのまま当てはまるのが伊達市の例です。清掃工場建設のため,財源の一部として有料制を取り入れたのですが,市民みずからが減量を目的とし,集団資源回収を積極的に進める一方,流通販売業界に働きかけた結果,包装材の回収に取り組む企業が出て,大幅な減量につながりました。この場合,有料制に踏み切る前に行政側が市民の声を聞く機会を持たなかったことで,一時的に不法投棄が増加しましたが,市民との話合いの機会を積極的に持つことで大きな問題には至らなかったということです。
さて,札幌市民は,ごみの減量や手数料についてどのように考えているのでしょうか。市民ネットワークでは,5月初め,市民162名に対し聞取り調査を行いました。「減量化のため行政に望むこと」の質問には,68%が「瓶や缶の資源物の分別収集」を望んでいます。2番目に多かったのは「企業に対しごみ減量を強く要請すべき」,次いで「有害危険物の分別を進める」という順でした。一方,企業に望むこととして,75.9%が「使捨ての容器をやめてはしい」,以下「包装容器の回収ボックスの設置」「適正処理困難物は企業の責任で回収してほしい」の順となりました。
この結果を見ますと,資源化に協力したいと考えたり,有害とわかっていても回収ルートがないためにごみとなっている現状がうかがえます。また,企業に対する厳しい要望が多いのも目立ちました。
一方,家庭系ごみ有料化についての質問に対しては,賛成が50.6%,反対20.3%,わからない,同じく20.3%,その他8.8%という結果となりました。賛成した人からは,減量につながる,はっきりわかる形でお金を出したほうがごみに関心を持つことにつながる,手数料が納得した形で使われるならよい,不法投棄は罰金で徴収するなどの意見がありました。反対の人からは,不法投棄がふえる,税金を徴収しているのに手数料はおかしいなど,有料化を議論するとき必ず問題になることが浮彫りになりました。双方の意見にはそれぞれ理解できる部分がありますが,それでもなお有料化を検討する自治体がふえているのは,何としてもごみ減量を推進しなければ,将来的に解決できないことが目に見えているからです。しかし,安易な方法で有料化を進めることは許されません。
また,分別や資源化の推進,さらには,ごみになるものはつくらない売らないといった企業の生産活動の転換や,再使用・再生利用など,ごみを発生させない豊富なプログラムとシステムの構築が早急に必要となります。また,今年度,事業系一般廃棄物が有料化されましたが,今後の動向や効果について十分な検証を行うべきと考えます。さらに,ごみ減量に主体的に取り組むため,ごみに関する情報を市民に十分提供することも欠かすことはできません。
一方,札幌,東京,横浜の生活クラブ生活協同組合では,すでに,11種類の瓶詰製品を3種類の規格瓶に統一し,グリーンシステムという愛称で回収・再使用を進めています。このような生活者の動きは各地へ波及の兆しを見せ,東京ではさらに,組合員13万人の東部生協,30万人の首都圏コープ事業連合が単位生協の枠を超え,統一規格の瓶を採用し再使用を進めています。九州グリーンコープ連合でもこのシステムの検討が始まりました。このような取組みが全国的に広がったとき,本当の循環型社会の実現へ近づくこととなるでしょう。
そこで質問ですが,市民ネットワークでは,今回の聞取り調査を通し,家庭系ごみ減量化のため,各種施策を推進しつつ有料化の可否についても議論する時期に来ているのではないかと考えます。現在開催されているごみ減量等推進審議会でも議論されることと思いますが,家庭系ごみの有料化について,市長はどのようにお考えかお示しください。また,有料化について,フォーラムなどさまざまな手法を駆使し世論の動向を調査し,市民の声も十分聞く必要があると考えますがいかがでしょうか,あわせて伺います。
最後に,行政手続法の成立に伴う本市の対応について伺います。
昨年11月,わが国でもようやく行政手続法が成立いたしました。1964年の第1次臨時行政調査会においてその制定が強く望まれてから,実に30年の歳月が流れております。この間,内外の政治経済が大きく変化する中,わが国の行政,とりわけ行政指導に対し,諸外国からその決定過程の不透明性が強く指摘され,日米構造協議の時期に出された第3次行革審答申を経て,ついに昨年11月成立いたしました。
その目的を見ますと,「この法律は,処分,行政指導及び届出に関する手続に関し,共通する事項を定めることによって,行政運営における公正の確保と透明性の向上を図り,もって国民の権利利益の保護に資する」となっております。外圧によって制定されたことは大変残念な思いもしますし,適用除外が多過ぎる点など,まだまだ不十分さが指摘されていることも事実であります。しかし,行政指導の名のもとに,法律で定めのない手続に従って申請や処分が行われることが多かったこと,処分による審査や処理の基準のあいまいさが問題となっていたことを考えますと,この法の制定は評価できると考えます。
また,地方自治体の必要事務で行政処分を含むものは多く,保育園や老人ホームの入所措置,生活保護,国民健康保険など市民の暮らしに密接に結びついていることから,この法が地方自治体においてどのように適用されるか,市民にとっても注目に値することと思われます。行政の公正,透明化ということは市民自治と深くかかわり,まさに地方自治の本旨に含まれると考えます。
そこで3点質問いたします。
初めに,これが施行されますと,行政と市民の生活にどのようなメリット,よい点が出てくるのかという点について伺います。
次に,行政としてこの法の趣旨を広く職員へ周知され,行政の透明性,公正さの確保こそ重要であるという意識のレベルアップを図るべきと考えますが,市長のお考えを伺います。
一方,地域に必要な公共施設でも,立地条件や公害対策次第で悪臭や違法駐車など住環境の悪化をもたらす場合もあり,行政手続紛争を生み出している事例が多くなってきております。今治市では,ことし1月,行政手続条例の制定を求める直接請求が市民から出されております。今治市のこの運動は,ふるさとの美しい自然を大切にしたまちづくりを願っていた市民にとって,全く寝耳に水の織田が浜埋立計画が策定されていたこと,さらに,学校給食は自校方式にするとの公約で当選した市長が,非公開で中学校の給食施設をセンター方式に変えようと計画していることがわかったことなどから,行政の計画,処分,行政指導,その他について,透明で公正な手続を定めることを求めた直接請求です。これは,市民として当然の要求であると考えます。都市計画の中でも地域住民に関係の深い公共施設などの設置や用地選定について,計画素案の段階での公表と市民参加手続が定められなければならない時代に入ったと考えます。国において行政手続法が制定された現在,市民参加の手続づくりに関して,市長はどのようにお考えかお伺いいたします。
以上で,私の質問をすべて終了いたします。最後までお聞きいただいてありがとうございました。(拍手)
○議長(見延順章君) 答弁を求めます。桂市長。
◎市長(桂信雄君) 私から,数点についてお答えをいたします。
まず,子供に関する施策についてのご質問のうち,子どもの権利条約についてでございますが,五つのご質問のうち,4点目を除いて私からお答えいたします。
まず,第1点目の児童の権利に関する条約,いわゆる子どもの権利条約に対する取組みについてでございますが,先ほどお答えいたしましたとおり,子供にとって最善の利益を優先しようとするこの条約の
基本理念は最も尊重すべきものと考え,今後の関係施策の推進に努めてまいりたいと思っております。
次に,第2点目と第3点目の行動計画の策定及び推進体制についてであります。
このたび子どもの権利条約がようやく批准され発効しましたので,今後とも,社会全体が子供の人権を尊重し,心豊かに伸び伸びと育っていくことのできる環境の醸成を図るために,学校教育や児童福祉,さらには地域社会の中てこの条約の精神が反映されるような総合的な青少年行動計画の策定に向けて,さらに調査検討してまいりたいと考えております。
なお,その推進体制についてでございますが,子供にかかわる施策は部局が多岐にわたっておりますので,市民局を中心とした内部委員会などを活用しながら総合的な推進に努めてまいりたいと考えております。
第5点目の子供のためのオンブズマン制度についてでございます。
いわゆるオンブズマン制度につきましては,これまでにもお答えを申し上げてきたところでございますが,子供のためのオンブズマン制度につきましても,民生・児童委員や主任児童委員,各区に設置しております少年育成指導員なと,既存の類似制度との競合等の問題がありますために,その必要性や望ましい形態などについて,今後も引き続き慎重に検討してまいりたいと思います。
子供に関する施策のうち予防接種についてであります。
第1点目の予防接種に関する情報提供の体制づくりについてでありますが,予防接種の必要性及び副反応等について正しい理解が得られるよう,接種従事者により,十分に説明するとともに,保護者へのより適切な情報提供に努めてまいりたいと考えております。
第2点目の予防接種による健康被害の救済についてでありますが,これまで予防接種法の規定により対応してきたところでありまして,今後ともこの救済制度に即した措置が講じられるように努めてまいりたいと思います。
次は,
障害者福祉計画についてお答えいたします。
1点目の
障害者福祉計画策定に当たっての当事者参加についてであります。
障害者福祉計画は,障害のある方や障害者の福祉に従事されている方々も委員となっております札幌市障害者施策推進協議会のご意見を伺いながら策定してまいりますが,さらに
計画策定懇話会を設置して,幅広い市民の意見が反映されるように努めてまいりたいと考えております。また,この懇話会には一般公募による方々にも参加を求め,いただいたご意見はできるだけ計画に反映させてまいりたいと,このように考えております。
第2点目の外出援助の
ヘルパー制度の確立についてでございます。
この
ガイドヘルパーの派遣制度は,障害者の方々の社会活動への参加を促進する事業として実施をしております。さらに,全身性の重度の障害者の方々に対しましては,この派遣対象となる範囲を拡大して活動の場を広げるよう図っているところであります。しかしながら,障害者の方々のあらゆる外出の種類にも制度を拡大することにつきましては,国の制度との整合性など難しい問題もあり,計画の中での明確な位置づけは困難と考えております。
第3点目の障害を持つ子供たちへの支援についてでありますが,心身に障害を持つ子供たちに対する療育体制につきましては,昨年度建設をいたしました児童福祉総合センターを中核に,整備充実に努めているところであります。
もとより,
心身障害児の健やかな発達のためには,早期発見・早期療育が大切なことと認識をしておりますので,このたびの計画の中でも十分に論議をいたしたいと思っております。
次に,福祉専門職員の採用についてであります。
これまでも福祉行政に携わる職員のうち,福祉施設で直接指導を行います理学療法士や作業療法士など専門性の高い職種につきましては,現在も別枠で採用しているところであります。また,事務系の福祉専門職員の採用につきましては,今後さらに福祉行政の向上を図っていく上で重要なことでありますが,人事管理上の問題点もございますので,よく研究してまいりたいと考えております。
また,福祉業務に関する研修につきましては,これまでも実施してまいりましたが,今後ともさらにその質と量の充実を図ってまいりたいと思います。
次に,新たな時代に対応した環境行政についてであります。
第1点目の環境基本条例についてでありますが,環境権に関しまして,現時点において法的権利としての性格についていまだ定説がないことから,今後研究してまいりたいと考えております。
次に,環境アセスメント制度の考え方と計画アセスメントの条例への規定につきましては,関連いたしますので一括してお答えいたします。
これらの制度は,環境汚染の未然防止を図る上での重要な制度と考えておりますが,現在,国において制度の見直しを検討しておりますので,その動向を踏まえながら対応してまいりたいと存じます。
2点目の環境学習の拠点整備についてでございますが,環境保全に向けて,市民が自由に環境情報を入手でき,交流を通じてネットワークの構築や,実体験などをもとにした具体的な行動を動機づけるための場としての整備を検討してまいりたいと考えております。
次は,3点目でありまして,家庭系ごみの有料化についてでありますが,ごみ処理費用の著しい増大やごみ減量の必要性などを背景といたしまして,昨年の
全国市長会においても有料制の導入について提言がなされ,現在,各方面で議論されているところであります。本市といたしましても,今後検討を要する重要な課題の一つであると認識しておりまして,現在,ごみ問題についていろいろな角度からご審議をいただいております札幌市廃棄物減量等推進審議会のご意見などを伺いながら,慎重に対処してまいりたいと考えております。以上であります。
○議長(見延順章君) 木戸助役。
◎助役(木戸喜一郎君) 行政手続法の成立に伴う本市の対応につきまして,私からお答えをいたします。
第1点目の法の施行による行政と
市民生活へのメリットについてでございますが,この法律では,許認可等の処分を行う場合に,申請内容を審査する基準や,申請を処理する期間の目安などを個々の処分ごとにあらかじめ定めて公表しておくことなど,新たな手続が定められました。これによりまして,より適正な行政運営がなされることとなる一方,市民の皆さんからの申請などの手続がより一層わかりやすくなるものと考えております。
第2点目の法の趣旨の職員への周知等についてでございますが,初日の
代表質問で市長からお答えいたしましたとおり,本市では,この4月に全庁に行政手続法を推進する組織を設置して,職員への周知を初め,この法律の施行に向けての準備を進めております。今後とも,この法律の趣旨が徹底されますように,より一層努めてまいりたいと考えております。
第3点目の市民参加の手続についてでございますが,今回成立した行政手続法では,行政がさまざまな計画を策定する際の市民参加等については盛り込まれておりませんが,本市におきましては,たとえば長期総合計画を策定する場合に市民意識等を把握して計画へ反映させておりますし,また,区長懇談会を定期的に開催し,あるいは都市計画の原案の説明会等を実施するなど,これまでも市民参加の機会を拡充するように努めてきたところでございます。今後とも市民参加が促進されるような環境づくりを進めてまいりたいと考えております。以上でございます。
○議長(見延順章君) 藤島教育長。
◎教育長(藤島積君) 教育関連で2点ほどご質問がございましたので,私からお答えを申し上げます。
第1点目は,児童の権利に関する条約の関連で,条約の広報義務の点でございます。
児童の権利に関する条約の原則及び規定を成人,児童のいずれにも広く知らせることにつきましては,ご指摘のとおり,締約国,すなわち国に義務づけられているものでございます。これを受けて,国では100万部のリーフレットを作成し,全国の小・中学校,高等学校のすべての教室に配付する予定であると聞いております。市教委といたしましては,これまでも人権の尊重について,「札幌市教育推進の目標」の「各学校における配慮事項」に「人間尊重の教育」として掲げ,学校教育活動のすべての領域にわたって取り組んできたところでありますが,児童の権利に関する条約につきましては,国や道の動向を見きわめながら,その趣旨が理解されるよう努めてまいりたいと考えております。
なお,「子供」という言葉につきましては,実際の教育指導の場において必要に応じて使用してまいりたいと,このように考えております。
次に,学校における児童・生徒の健康診断についてお答えいたします。
まず,第1点目の文部省の健康診断見直しの内容とその情報提供についてでございますが,文部省から健康診断の見直しについて検討を委嘱されていた財団法人日本学校保健会の報告書が,ことしの4月中旬に提出されました。その主な内容は,省略できる項目として,胸囲の測定及び眼鏡やコンタクトレンズ使用者の裸眼視力の測定であり,対象範囲を縮小する項目としましては,寄生虫卵検査及び色覚検査,また,新たにふえる項目として,聴力検査の小学校2年生全員の実施及び心電図検査の義務づけなどであります。文部省としましては,今後,都道府県・市町村教育委員会など広く関係者の意見を聞き,保健体育審議会に諮った上で,平成7年度からの実施に向けて所要の法改正を行うと伺っております。
また,児童・生徒の健康の保持増進のためには,学校ばかりではなく,家庭,地域,それぞれの役割分担の上で進めることが必要であります。このため,診断内容の情報提供につきましては大切なものと認識しており,今後,このような見直しがあった場合には,なお一層,情報提供に配慮するよう指導してまいりたいと考えております。
次に,2点目のプライバシーの保護と色覚検査への配慮についてでございます。
健康診断は,内容によっては児童・生徒に直接関与させることにより,体の成長や健康管理について関心を持たせるという場面もございますが,その場合であっても,診断結果は個人情報であり,児童・生徒に精神的負担を与えないためにも,プライバシーの保護については十分配慮することが必要であると考えております。
また,色覚検査につきましても,その検査結果を他の児童・生徒に気づかれないよう配慮しているところでございますが,今後とも文部省の健康診断見直しの内容なども勘案しながら,プライバシーの保護について慎重な対応を指導してまいりたいと,このように考えております。以上でございます。
○議長(見延順章君) 以上で,
代表質問は全部終了いたしました。
(澤木繁成君「議長」と呼び,発言の許可を求む)
○議長(見延順章君) 澤木繁成君。
◆澤木繁成君 委員会付託の動議を提出いたします。
すなわち,ただいま議題とされております議案等15件を各位のお手元に配付の議案付託表のとおり,関係の常任委員会にそれぞれ付託することを求める動議であります。(「賛成」と呼ぶ者あり)
○議長(見延順章君) ただいまの澤木議会運営委員長の動議に対し,所定の賛成者がありますので,本動議を直ちに問題とし,採決を行います。
動議のとおり決することにご異議ございませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○議長(見延順章君) ご異議なしと認めます。よって,ただいま議題とされております議案第3号から第9号まで,議案第12号から第18号まで及び諮問第1号の15件は,各位のお手元に配付の議案付託表のとおり関係の常任委員会にそれぞれ付託されました。
〔議案付託表は巻末資料に掲載〕
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○議長(見延順章君) お諮りをいたします。
本日の会議はこれをもって終了し,明6月9日から12日までは委員会審査等のため休会とし,6月13日午後1時に再開いたしたいと存じますが,ご異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○議長(見延順章君) ご異議なしと認めます。よって,さよう決定されました。
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○議長(見延順章君) 本日は,これで散会いたします。
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散 会 午後3時45分
上記会議の記録に相違ないことを証するためここに署名する。
議 長 見 延 順 章
副 議 長 伊 与 部 敏 雄
署名議員 富 田 新 一
署名議員 小 谷 俵 藏...