収入役 上野信好 総務部長 志津田 憲
産業部長 飯盛克己 建設部長 田中敬明
環境下水道部長 足立晃一
市民生活部長 青木善四郎
保健福祉部長 金子栄一 交通局長 吉富康仁
水道局長 福田忠利 教育長 迎 巌
教育部長 白木紀好 監査委員 中村耕三
農業委員会 選挙管理委員会
野本正彦 杉坂久穂
事務局長 事務局長
○福井久男 議長
おはようございます。これより本日の会議を開きます。一般質問に入る前に、皆様方にお願いをいたしたいと思います。
昨日の質問、答弁につきまして、早口だとか、声が低いとか、いろいろ、その後皆様方からの意見がございましたので、簡潔に質問も答えもお願いをいたしたいと思います。そして、わかりやすい形で、はっきりと言っていただきたいと思います。
では、昨日に引き続きまして、市政一般に対する質問を続行いたします。
◆
福島龍一議員
おはようございます。それでは、通告しております大きな3点につきまして質問をさせていただきます。
まず第1点目、
カラス対策でございますけども、平成13年12月議会におきまして、このカラスに対する対策をとっていただきたいということで質問をさせていただきました。そのときの答弁が、基本的にえさをなくすしか方法がないだろうということで、
カラスネットの助成金につながっていったわけでございますけども、昨今、また若干カラスがふえてまいりまして、生ごみはもちろんなんですけども、ハトとかですね、スズメみたいな、カラスよりも小さな鳥が襲われてみたり、あるいは家庭に飼ってあるペットですね、猫とか、あるいは小さな犬、特に犬なんかは鎖でつながれておりますので、逃げ道がないという状況でカラスに襲われたという事例が出てきております。特にペットはですね、飼っている方にとっては家族同様のものでございますんで、非常に心配をされているわけでございます。
また、ごみもですね、自治会なんかできちっと管理していただいて、
カラスネットをかけていただいている地域はいいんですけども、例えば、お店で自治会と提携を結んで、
小規模事業所ということでごみを出されているところもあるんですけども、特に私たちのエリアは月曜日が収集でございますんで、日曜日が休みということで、土曜の夜に出されたのが日曜日、丸々1日、路上に置いてある。この問題はまた景観という問題からも、一度質問したことがあるんですけども、どうしてもえさとなるごみの扱い方にいまいち徹底がなされてないような気がいたします。特にごみ出し時間というのは、基本的には決められておりまして、その時間に出せば被害も少ないという事例もあります。
また、こういった問題は非常に東京都が先進的に取り組まれているんですけども、何せ羽があって、例えば、佐賀市だけにすんでいるカラスというのは今いないわけですね。基本的には金立、久保泉の山の方からおりてきて、佐賀のまちでえさをあさって、また帰っていくというケースが多いわけです。なおかつ、カラスは非常に目もよくて、頭もよくて、中途半端に追い払うと逆に襲われます。すぐそばで見ると、かなりカラスというのは大きくてどうもうな顔つきもしておりますんで、なかなか一般の私たちが直接カラスに手を下すということができないので、そういったえさとなるごみの問題、あるいはまた、ペットが襲われているという問題をかんがみて、いま一度、佐賀市として何らかの対策がとれないものか。それから、ごみに対して、これまでどういった取り組みをしてきたのか。また、自治体によっては、わなを仕掛けてですね、捕獲したり追い払うといった行為をしているところもあるそうですけども、そういったことを佐賀市としてもできないのか、そういった点を質問したいと思います。
2点目、佐賀市ブランドということで、通告書の方には1項目から5項目まで一遍に書いておりますけども、質問といたしましては、若干これを分けて質問していきたいと思っています。
本年度の当初予算の中において、お菓子を中心としたブランドの開発をするということで予算がついております。地方の時代ということでですね、地方をどうやって磨いていくのか、どうやって売り込んでいくのか、
地域間競争という中において、佐賀というものをどうやって個性を磨きながら発信していくのかというのが、これから一つの大きなテーマになると思っております。そういった中で、こういった予算を組まれて、
ブランド化というものに取り組まれていくということ、これはある程度の評価はしたいと思っております。そして、なおかつ、そういったことが佐賀の地場産業の育成、あるいは地場産業に力をつけ、佐賀というものに体力をつけていくことにつながっていけば、これは非常にいい効果が生まれてくると思っております。
それで質問ですけども、今回菓子部門に絞って、この佐賀市の
ブランド化を進めようとしたその背景、そして、そういった佐賀市の
ブランド品というものを売り込むためにどのような方策をとって、実際的にどんなことをやっていこうと思っているのか、その内容についてお答えを願いたいと思います。
次、3点目、
都市計画マスタープランです。つい最近、私どもの手元に
都市計画マスタープラン、冊子が参ったわけですけども、その点について幾つか私が感じ取った点を御質問させていただきたいと思っています。
まず、個別の質問に入る前に総括的にですね、今回示されました都市マス全体の考え方、ポイントというところの中にですね、都市開発型から
市民生活環境形成誘導型への転換、そういった方向転換の発想、それから、人、生活といった視点を重点項目に持ってきたということがうたわれておりますので、どういったことでそういったふうに方向変換をされていかれたのか、その部分の説明をまず求めたいと思います。
次にですね、これまでの本会議におきましても、この都市計画に関する
まちづくりや、あるいは道路整備、そういった質問が出るたびにですね、都市マスができましたらとか、都市マスの中でとか、そういった形で答弁がここ数年間、全部先送りになってきております。都市マスという言葉を議事録検索にぽんと入れて検索しますと、物すごい数のヒット数が出てまいります。そのくらい、特に平成11年以降ですね、すごい数のヒットが出るくらい質問がされておりまして、端的に、ほんの幾つかですけども、私が興味持って拾ったところがですね、平成11年の12月には嘉村議員が
都市計画道路の優先順位ということで総論的な話をされております。また千綿議員も、平成12年から数回、鍋島地区と
高木瀬地区を結ぶ、あの川を越えていく道路、あれをどうするんだということを質問されております。それから黒田議員も八戸天祐線、この問題を何回となく聞かれておりますし、山下議員の方も佐賀市交通体系をどうつくっていくのかということをですね、これは
バスセンターに絡めて。そのすべての答弁が、都市マスができましたらとか、都市マスの中でということで答弁されておりますので、今回それが完成したわけですから、そういった点をどう執行部としてはこの中で考えを示したのかというのをお示し願いたいと思います。ほかにも、
市街化調整区域の開発の問題も、これも数名の議員さんが質問されておりますので、この点もあわせまして答弁を願いたいと思います。
特に今回読んでみますと、非常に
ソフト事業の方にシフトされていて、
ハード事業の部分が、非常に見えにくい。これは総合計画もそうだったんですけども、非常に
ハード部分の整備というのが、やはりしなきゃいけない部分いっぱいあるんですね。その部分が非常に見えにくいような
マスタープランになっておりますので、その辺の御説明をお願いしたいと思っています。
それと、今回の都市マスの骨格とも言える部分が第4章の
まちづくり構想の中に集約してあると思うんですけども、それぞれ課題を上げ要点をまとめて、一番最後に
重点実施施策が示されているんですけども、かなりの部分の重点施策の文言がですね、例えば、地区計画の活用、
特別用途地区の活用、何々の活用ですね、それとか用途地区の見直し、建ぺい率の見直し、要するに見直しというこの部分が非常に多くて、非常に読んでいて具体性に欠けたような受け取り方をちょっといたしました。非常に総枠的にまとめていっている部分はいいんですけども、やっぱり都市計画ですので、ある程度期限目標とか、優先順位とか、どういったところをどういった順番でやっていくんだというふうな流れが本当はほしいんですけども、非常に総枠的な形のとらえ方になっているような気がいたしましたんで、そういった数値目標的な設定をどのように考えていらっしゃるのか、御説明を願いたいと思っています。
それともう1点が、今回の都市マスは、非常に真ん中の部分とその周辺の部分と、もう一個外側と、大きく三つのゾーンに分けられておりまして、そのゾーンごとにテーマを持って、これからどういった
まちづくりにしていこうかという視点を持っていらっしゃることは、それは非常にいいと思うんですけども、ゾーンとゾーンを結ぶ、あるいは
ゾーン内の人とかエリアを結んでいくですね、その部分。例えば、表現変えますと、ゾーンというのは人間で言いますと、例えば、頭部とか胸部とか腹部といった各部位なわけですね。それを結ぶ骨とか血管とか神経、一般的に道路とかネットワークとか、そういった部分がですね、先ほどのハードにつながるんですけども、非常にそういった結節部分というのが、非常に見えにくいような気がいたします。
ソフト重点というのは非常に、ある意味考え方を示すということでいいんですけども、やはりそこは
まちづくり、ハードという部分もしっかり、そのソフトに基づいたハードという部分もしっかり示していくべきではないかと思いますので、そういった点の御説明を求めて、第1回目の質問を終わります。
◎足立晃一
環境下水道部長
おはようございます。先ほど、答弁につきまして早口でわかりづらいというような御指摘がございましたので反省いたしまして、簡潔、明瞭を心がけて努めさせていただきたいと思います。
さて、
カラス対策についてお答えさせていただきます。まず、えさとなる生ごみをカラスから守るためにどのような方策をとってきたのかという質問にお答えしますが、数年前から市街地にカラスが見受けられるようになったということにつきましては、議員御指摘のようにカラスは大きな鳥で、また、声もかなりな音量になることから、市民に威圧感を与え、嫌われる原因とはなっております。また、
ごみステーションが荒らされまして、ごみが散乱するなど、市民に不快感を与え、まちの美観を損ねる結果となっております。本来、山里に生息するカラスが近年なぜ市街地に飛来するようになったかなどの生態系に関することは定かではございませんが、市街地には食べ物があると、特に栄養価の高い生ごみが豊富にあることが原因じゃないかと考えられております。
平成13年12月議会でも御答弁しておりますように、佐賀市といたしましては、市街地からカラスを減らし、その被害を減らすためには、現時点ではカラスのえさをなくすということが最も有効な手段と考えております。そのための方策といたしまして、住民の取り組みとしましては、えさとなる生ごみを物理的に接触させないよう
ステーションを管理することや、カラスと時間的な接触をできるだけ少なくするために、これはごみ出しの時間を守る、えさとなる生ごみを減らすというような基本的な対策が効果的だと思われます。
議員御質問の具体的な対応でございますけども、議員御指摘のように、
カラス防止対策の支援といたしまして、平成13年度にはカラスの
防止ネットの一部試験導入を行いまして、広域的な観点から検討してきましたけど、これは一定の効果があると確認されましたので、それまでの
資源物シートを活用した防止対策というのに加えまして、平成14年6月からは
カラス防止ネットなどを利用しまして、専ら、みずから対策を実施します地区に対して、市が一定額の補助を交付する制度を導入したところでございます。
カラス防止ネットによる対策につきましては、
ステーションを管理いたしております
自治会役員及び
環境保健推進協議会役員に周知をお願いすると同時に、市民に対しまして市報でお知らせしたところでございます。その結果、平成14年度は91カ所でございましたが、15年度は 140カ所、既に平成16年度、本年度でございますが、これはもう今までの時点で 117カ所の合計の 348カ所がカラスの
防止ネットによる対策を講じられています。また、
ごみ減量推進の町補助金を活用いたしまして
ステーションを箱型にするなど、地域独自での対策を講じた地区も見受けられます。このように、
カラス対策を本当に熱心に実施された地区の住民の方々は、確かにカラスによる被害が減少したという声は寄せられております。市といたしましても、今後とも
カラス防止ネットの補助、
ごみ減量推進の町補助金を活用した広域な地域での取り組みを推進したいと考えております。
ただ、議員御指摘のように、確かに一部ではございますが、
ルール違反のごみが見受けられます。特に、
飲食業関係のごみが深夜から出ていると。そのようなことから、早朝にカラスがこれらの栄養価の高い生ごみをえさとして集めて回る結果になっております。本来、事業所から排出されるごみは事業者みずからが処理することになっておりますが、小規模の事業所ということにつきましては、自治会の御承認を受けまして、地域の
ステーションを利用することも可能となっています。しかしながら、
ルール違反が行われるような事業所につきましては、
ステーション管理者による注意、または承認を取り消すなどの取り組みが必要であると考えております。また、承認されていない事業所が排出する場合につきましては、
環境パトロールが直接指導を行うなど、今後は地域の住民と行政とがそれぞれすみ分けをしまして、効果的な対策の実施が必要となると考えております。
次に、捕獲または追い払いといった対策は考えないのかという話でございますが、カラスの個体数でございますが、実際は地域の食べ物の量で決まっているというのが実情でございます。一たんこれを捕獲した場合でも、食べ物の量が多ければカラスは飛んでまいりますもので、ほかの場所からまた流入してしまうといったような結果になりまして、カラスは減ることがないというふうにも言われております。そのため、捕獲などの駆除方法は効果的ではないんじゃないかと言われておりますが、カラスの駆除する方法としましては、銃器による捕殺やトラップによる捕獲というものが考えられます。
まず、銃器による捕殺でございますが、これはただ市街地、特に人家等が密集する市街地では銃器による捕殺は許可されませんし、これは人のいない広い場所でしか用いることはできません。次に、トラップによる捕獲という、このトラップは大きな捕獲の小屋を建てまして、これは人目がつかず、カラスの集まりそうな場所に置くという必要がございます。市街地に、そもそも人目につかず、トラップを設置するという場所を見つけるのはなかなか難しいという問題もございますし、また、逆にカラスというのは非常に頭がいい、学習能力の高い鳥でございますので、これを一
たんカラスが学習してしまえば、なかなかこれは入らなくなってしまうということも言われております。また、現在の多様な価値観が存在する社会の中では、たとえ嫌われているというカラスでございましても、動物愛護という立場から捕殺、捕獲というのに対する批判もあるというのも事実でございます。
このように捕獲等には、個体数を減少させようとしましても非常に効率が悪く、また、やったといたしましても効果は短期間だと言えます。これは時間がかかりますが、先ほど述べましたように、適切な
ごみステーションの管理により、カラスのえさとなる生ごみの量を減らすということが根本的な解決につながるものと考えております。
カラスの移動が広く、外から来るんじゃないかというような御指摘についての対応でございますが、実際カラスがどのくらいの距離を移動するかということにつきまして先進的な、議員も御指摘がありました東京都などが調査しておりますけども、これにつきましてはカラスの若鳥の場合は大体10キロ圏内で移動していると。ただ、一番遠いもので41キロというようなものも出ています。このように、カラスは非常に広範囲に移動していると考えられますことですから、カラスの状況や対策につきまして、まずは周辺の町村との情報交換などの連携に努めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
◎飯盛克己 産業部長
佐賀市ブランドの確立に向けた具体的な方策について、菓子部門に限るのかという御質問でございますが、地方の時代と言われるような
地域間競争の中、地方をどのように売り込んでいくのか、そして、その中で大事なことは、地元産業の活性化であり、活力をつけることであります。そのために、他に負けない
佐賀ブランドを確立すべきとの意見は、まさしくそのとおりだと考えております。我々もこれまで具体的に
地域ブランド、いわゆる
佐賀ブランドとして売り出せるものは何かと、いろいろ議論してきたわけでありますが、本当に佐賀の名前で売り込めるものは何かと。
御存じのように、佐賀市には農産物、あるいは特産品と言われるもの、あるいは
伝統的工芸品等、あらゆるものが想定されますし、また、新たに商品を開発することも可能だと考えております。しかしながら、すべての分野にわたり
佐賀ブランド化することを目標にすれば、その投資効果も薄れるものと判断し、今現在あるもので、ある程度の知名度があり、また、需要額が見込まれるもの、そして、売り込むための歴史等の背景があるものとして、まず菓子に絞り込みをしたところでございます。そして、その中でも特化したものとして、ようかん、丸ぼうろの2種類について、
ブランド化に向けて取り組んでいきたいと考えております。その理由といたしましては、今回の
ブランド化事業を進めることにより、認知されることとなる即効性のある効果、また、全国的な市場規模であるとか、佐賀市の
消費動向等を考慮し、選定いたしたものであります。
次に、どうやって売り込むのかという御質問ですが、具体的な展開方法については、現在業界やコーディネーターと意見を交換しながら戦略を練っているところであります。
ブランド化に向けては、一つに市場の調査、二つ目に
関係事業者との調整、協力体制の構築、三つ目に物語性の構築、四つ目にマスコミに向けた効果的なPR、五つ目に
ターゲットを絞った
認知度アップが必要ではないかと考えております。
まず、市場の調査としては、今後の展開について包括的な
マーケティング戦略を練る際の基礎数値として、売る側と買う側の両方からの視点に立った分析を行いたいと考えております。そして、言うまでもなく、
関係事業者の協力が必要不可欠ですが、連絡を密にしながら、業界の協力体制を構築し、この事業を推進していきたいと考えております。そして、物語性の構築として、由来あるものとか、必然性であるとか、
マーケティング戦略に欠かせないものですが、幸いにも
シュガーロードと呼ばれる長崎街道を背景に、全国に向けて説明できる物語をつくって売り出したいと考えております。
次に、マスコミに向けた効果的なPRですが、これまでとはちょっと切り口を変えて取り組んでみたいと考えております。例えば、健康面や美容面だとか、使用されている素材が持つ魅力をマスコミで取り上げたくなるような面からのアプローチも検討いたしております。
最後に、
ターゲットを絞った
認知度アップとしては、本年度は
佐賀ブランドの認知が低い年代や地域で、市場としては効果が大きい地区として東京での売り込み、PRにトライしてまいりたいと考えています。いずれにしましても、
ブランド化における広報活動は特に重要なものですので、手法等の検討を行いながら継続的に取り組んでいきたいと考えております。
◎田中敬明 建設部長
佐賀市
都市計画マスタープランについての御質問にお答えいたします。
まず、
都市計画マスタープラン全体の考え方についてですけれども、
都市計画マスタープランとは
都市計画法第18条の2に規定されております市町村の都市計画に関する基本的な方針のことでありますが、これは今後のその地域の都市計画を策定する際、都市の将来像とその
実現化方策を体系的、総合的に示す方針となるものであります。本市の
都市計画マスタープランは、総合計画の
都市計画部門という位置づけを明確にしておりまして、策定の前提といたしまして、今後は人口が伸びないで、少子・高齢化がさらに進んでいく現状、それから財政難が続く現状を念頭に策定しました。その結果、大きく都市を改造することで
都市づくりを進めていくのではなくて、これまでに整備、蓄積してきた都市基盤や
都市機能等の資源を有効活用することで生活の質を高めていく方向へ進めていく、いわば都市開発型の
都市計画マスタープランではなくて、生活環境を形成誘導型の
都市計画マスタープランにしていくこととしました。そして、さまざまな都市計画の手法の中でも、特に
都市計画法に定めてある
規制誘導手法を用いた
土地利用施策の展開に重点を置いていくことにしているところです。この
規制誘導手法とは、道路や公園などの都市施設や再開発のようにハード整備を行うのではなくて、例えば、その地区の建築物を建築するときの高さや形態や意匠などのルールを定めたり、その地区に特定の建築物を誘導したり、逆に規制したりする制度を活用して、都市計画の
用途地域等の手法によって、適切に土地や建物の形態をコントロールすることで、良好な都市環境をつくり出していく方法であります。
また、
都市づくりを行う上で、人、生活に重点を置いた理由は、1点目にですけれども、17万都市の規模や、昔から少しずつ発展してきた歴史的経緯を踏まえ、都市の中に人が埋没していない、人の顔が見えることから、人を中心に考えて都市をつくっていきたいということと、2点目には、生活しやすいまちが将来にわたって本市の魅力を高めることにつながるため、このことを十分考慮して都市をつくっていきたいと考えたためです。特に財政面で厳しい状況が予測される中で、もはやあれもこれもできる時代ではないとの認識のもと、佐賀市の特性である平たんな地形や市街地が非常にまとまっていること、さらには多くの歴史資源などを十分生かしていきながら、市民の方々とともに知恵を使っていく都市計画を行わなければならないと考えたところです。
次に、過去の議会答弁において、
都市計画マスタープランで反映していくと答弁された
都市計画道路などの位置づけはどうなっているのかの御質問ですけれども、御指摘のとおり、過去の議会の一般質問におきまして、
都市計画道路の整備や位置づけにつきまして、
都市計画マスタープランの中で方向性を出していく等々の答弁を行ってきております。これは従来の都市計画がハード整備主体で進めていくといった考え方が全国的にも主流であったことから、本市におきましても当初、
都市計画マスタープランの中で
都市計画道路の整備の方向性を示していくことを考えていたため、このような答弁を行っていたものであります。しかし、
都市計画マスタープランの策定の過程で、ハード整備がこれまで果たしてきた役割を評価しつつも、先ほど説明したとおり、ハード整備主体ではなく、土地利用を主体とした内容へ転換したため、結果として
都市計画道路の位置づけや整備の方向性について、あらわすような内容にはならなかったということであります。
ただ、今回策定した
都市計画マスタープランの中では、第4章のネットワークの
まちづくり構想の中で、この
都市計画道路につきましては、必要性の位置づけはしつつも、これからの時代に合わせた
都市計画道路網全体の見直しの方針を掲げております。本議会でその関連予算を提案させていただいており、これをもとに具体的に
都市計画道路網の見直しに着手しようとしているところでございます。また、
市街化調整区域の開発手法につきましては、
都市計画マスタープランの田園ゾーンの
まちづくり構想の中で
都市計画法第34条第8号の3の条例化について示しており、その検討に取りかかっているところでございます。
次に、
重点実施施策の期限目標や優先順位を示すべきではないかとの御質問につきましては、これまで説明しましたように、今回、この
都市計画マスタープランでは、都市計画における土地利用の
規制誘導手法を用いることを全面的に打ち出しておりますが、これについては成果があらわれるといいますか、形が見えてくるのに時間がかかります。例えば、ある地区で街並みを整えるための規制誘導を行うこととした場合、地元との合意形成が必要になりますので、その規制誘導に至るまでの時間を要することになります。そして、実際に規制誘導を行っても、地区内のそれぞれの建築物の次の建てかえが行われるまで、具体的にその街並みの形が見えません。このようなことから、長期的な取り組みになってきますので、目標も中間年度の2010年と、最終年度の2020年と大きなスパンで設定しているところであります。目標数値につきましては、総合計画や他の個別計画との調整の上、具体的に数値化できるものについては記載を行いました。しかし、この規制誘導にかかる手法は、地元住民の合意形成にかかる時間や手間が不明であるため、目標達成期限は具体的に示すことになじまないことから、細かく示しておりませんが、絵にかいたもちとならないように、5章の実現化に向けてのところに短期で実施するものと長期にわたり段階的に行うものとを分けて示しているところです。この
都市計画マスタープランを受けて、現在、地区計画の手続条例の制定、中心部における建築物の用途の誘導の検討にすぐ取りかかることにしております。
それから、ゾーンとゾーンをつなぐ交通体系や人の交流についての考え方が不足しているのではないかの御指摘につきましてですけれども、ネットワークの
まちづくり構想の中で、各ゾーンを結びつける水、緑、歴史や交通のネットワーク形成のあり方については、方向性を示しているところです。しかし、この
都市計画マスタープランは
ハード事業主体ではない計画と言っているために、結果的にはその関連の方面の記述が薄くなっているところであります。
以上でございます。
◆
福島龍一議員
それでは、2回目の質問に入らせていただきます。
まず、
カラス対策ですけども、やっぱり捕獲とかいう、追い払うだけじゃ難しいということでございます。えさをなくすと、
環境パトロール、あるいは
ルール違反者に対する摘発とかいうことで御答弁いただきましたんで、カラスにとってすみにくいまち、要するにひっくり返せば人が住みやすいまちということになってくると思いますんで、環境問題ともあわせまして、そういった
ルール違反のごみとかですね、そういったものをなくしていくような方法を市民ともどもにタイアップしながら対策を練っていただきたいと思います。これは、あとは答弁要りません。
それから、佐賀市ブランドの開発につきまして、とりあえずお菓子を、菓子部門というものを特化して、ようかんとか丸ぼうろを売り出していくということでございましたけども、やはり佐賀の産業というものを底上げしていくというのが一つの根底になきゃいけないと思うんですね。もちろん、その一部分を光らせていくということも十分評価いたしますけども、先ほど答弁の中にも若干触れてはいらっしゃいましたけども、やっぱり農産物、特に佐賀の場合は農業県でございますので、非常に豊かな農産物がございますし、工業製品におきましても非常に
ブランド化できるものというのが数多くあると思います。そういったですね、農産物や工業製品といったものも行く行くは佐賀市ブランドとして売り出していく、そういった方向性は一応見据えておかねばならない、そういうふうに感じるわけでございますんで、そういった、お菓子部門以外の産業に対して、今後そういった
ブランド化を広げていく取り組みというものを考えているのかいないのか、その辺のことをひとつお聞きしたいと思います。
確かに、産業というのは全国的にもいろんな取り組みをされてますんで、佐賀市だけに特化したものというものを選別するのは難しいのかもしれませんけども、数多くある中でも佐賀が一番なんだというイメージを植えつけていく、それも佐賀市ブランドの開発につながっていくと思いますんで、そういったことも手法の一つとして,提言としてはさせていただきたいと思っています。
それとまた、今あるものを磨いていく、佐賀のいいところを磨き上げるじゃございませんけども、今あるものを磨いていくというその発想も確かにいいし、まだ隠れているものもいっぱいあると思いますけども、やはり新しいものをつくっていく、新しい付加価値を創造していくということもまたこれから産業開発ということにとっては必要な観点ではないかと思ってます。そういった、何が何でも新製品をつくれというわけではありませんけども、また行政が主体になってつくりなさいということでもございませんけども、一朝一夕にそういった新しい付加価値を持ったものというのは生まれてまいりませんので、そういった新しい付加価値を生むような産業部門、あるいは商品というものが芽生えてきそうなときに、行政としてはそれをしっかりバックアップする体制というものを考えておく必要があると思います。そういった意味での新商品の開発ということでとらえていただいて、そういったふうなお考え方があるかないのか、お尋ねをしたいと思います。
それと、
都市計画マスタープランについてなんですけども、何となくわかったようなわからないような、非常にぼやっとした感じの印象をまだぬぐい切れないでおるんですけども、やはりこれまでの答弁の中にですね、確かにハード主体の都市整備ではあったのかもしれませんけども、この都市マスというものを一つの起点としてやっていくんだということをこれまで答弁されてきている以上は、やはりそこにソフト重視になったとはいえ、何らかのハードに対する答えというものも示しておくべきだったと思うんですね。それを今回、道路に関してだけは今議会に予算化の提案が出てますんで、ここで余り入っていきますと、今度は議案質疑につながってしまいますんで、ここで、
都市計画道路に関しましてはここでとめておくんですけども、やはりやりますよと言って、そこで示しますよと言ってきたことは、やはりこの本会議の中でお約束されたことですから、やはりきちっと示していただきたい。そして、今回予算化するんであれば、やはりいつまでにきちっとやるんだということの方向性というものをですね、今後委員会の中でも話が出ると思いますけども、行政の責任としてそれを示していただきたい。そういったのがですね、これから行政にも求められてくると思います。
そういった意味ではですね、優先順位も非常に、10年、20年という非常に長いスパンで部分的に区切られているわけですから、このゾーンの中においても早い遅いもあると思いますし、道路に関しても、あるいはネットワークにしてもいろいろ取り組み方が違ってくると思いますんで、そういったものをどういった部分から、要するに優先順位ですね、どういった部分からどんな形で取り組んでいくんだというか、やっぱり実施計画書みたいなですね、都市マスの下位に属する、次の我々のきちっと目に見えるようなですね、そういった方向性を示すようもものを、文書にするしないは別にしてもですね、示していただかないと、やはりどんなまちをつくっていくんだというのが非常に今あいまいもことしたふうな感じを受けますので、その辺について、表現的には実施計画書という形になりますけども、そういったものを作成する用意があるのか、そういったことについて2回目の質問をさせていただきたいと思います。
◎飯盛克己 産業部長
菓子部門のみならず、産業全般に関しての
ブランド化の考えはどのようになっているかとの御質問でありますが、特に農産物に関しては、米ですと夢しずく、バラはさがラヴィアン、イチゴではさがほのかとか、さがさちのかとかいった生産物が佐賀を代表するブランドとして関東や関西地区に出荷されている状況であります。その他の分野でも、
ブランド化を図れる素材が生まれていたり、もしくは生まれようとしている状況にあります。農産物については、1次産品のみならず、その生産物を加工し、付加価値を加えた新たな商品や、かまぼこ等の食品製造業を中心とした開発も可能であります。したがいまして、これらの特産品と呼ばれる農作物については、今後も支援を行いながら、
佐賀ブランドとしての地位を確立させていきたいと考えております。しかし、工業製品の分野における取り組みは若干違ってくるものと思います。菓子や農産物と同様に
佐賀ブランドとして売り出す製品もあるでしょうが、個々の商品特性により対応を変えざるを得ないと思います。当市といたしまして、全国に類を見ない、すぐれたものを
ブランド化するため、積極的に支援を行いたいという考えは持っていますが、個々の形態により考えていきたいと考えます。
次に、新商品開発は行うのか、また、
ブランド化できそうな商品の開発がなされた場合のバックアップはとの御質問でありますが、この
ブランド化の事業が目に見える形で進捗していくと、市場はおのずと新たなステップを踏み出すのではないかと考えております。それは流通チャンネルの開拓であったり、プロモーションに関する努力であったり、価格に対する考え方であったりするのではないかと考えられますが、このような段階になると、マーケティングの要素として、おのずと独自で製品の開発が行われるのではないかと期待をいたしております。
例を挙げて申しますと、最近、地元の企業ですけれども、全国に類を見ない商品が生み出されております。紹介させていただきますが、マヨネーズの原料として使用された卵の殻をリサイクルして、チョークとして加工されたコッコチョークや、運動場などでラインを引くために使用される消石灰のかわりとなるガイアフィールドラインという商品ですが、これは卵の殻という天然素材を原料としておるため、人体に害がなく、使用する機会が多い子供などにも安心して使うことができるもので、使用後にも化学反応を起こさない環境面も配慮した商品となっております。このような商品、製品の売り込みについては、見本市への参加支援など、市も大いにバックアップしてまいりたいと考えております。
◎田中敬明 建設部長
都市計画マスタープランの下位に位置づけられる実施計画的なものの作成は行うのかという御質問につきましてお答えいたします。
まず、都市計画はその守備範囲が多岐にわたっております。例えば、市街化区域及び
市街化調整区域のいわゆる線引きですとか、用途地域などの地域地区制度や地区計画などの土地利用が一つあります。それから、道路、公園、下水道、ごみ焼却場、駐車場などの都市施設がもう一つあります。それから、土地区画整理事業、市街地再開発事業などの市街地開発事業がまたございます。このため、御指摘の個別具体の各論といいますか、そこにつきましては、そこまで踏み込めなかったことは事実であります。したがいまして、現段階では細かいタイムスケジュールについてはお示しすることができません。また、優先順位につきましては、
ハード事業のように直接事業を遂行していくものであれば、具体的な事業に要する時間が見込めますけれども、
規制誘導手法には地元住民との合意形成が必要になります。個人の権利の制限につながることもございます。その結果、場合によってはかなりの時間を要することも考えられるために、具体的にいつまでに実現するのか、できるのかという期限を明確に決めることが困難なことがございます。
そこで、この
都市計画マスタープランの中で、短期で実施するものと長期にわたり段階的に行うものを一覧表で掲載しておりますけれども、短期で実施するものは早急に取りかかる部分でございます。予算や業務内容を調整の上、順次取りかかるものであります。長期にわたり段階的に行うものは、地元との調整を含めまして、時間をかけて粘り強く実施していくものであります。このため、優先順位についても、短期で実施するものと長期にわたり段階的に行うものにとどらまざるを得なかったわけであります。そこで、数値目標で示せるものは記載しておりまして、具体的な実施計画ではありませんが、こういったことで実効性を保つようにしているところでございます。
それから、都市計画の中で道路ですとか、河川とか下水道、あるいは公園等々の都市施設の整備に関する計画につきましては、それぞれ一つ一つが大きな課題でありますので、道路網の再編計画ですとか、下水道、雨水幹線整備計画、あるいは下水道整備計画、緑の基本計画等々で計画を立てております。
都市計画マスタープランは、あくまでも都市の将来像とその
実現化方策を体系的、総合的に示す方針ということで、その辺の具体化について記載が少なかったということでございます。
以上でございます。
◆
福島龍一議員
それでは、3回目の質問をいたします。
佐賀市ブランドの開発についてでございますけども、佐賀の商品が
ブランド化されて光り輝いて、それが売れていったとしても、それはあくまでも商流の上で佐賀というものが光っているだけでございまして、佐賀本体が光っているわけではございません。最終目標は、最初も言いましたように、佐賀自体が光って磨かれて、個性を発揮していかなければ、こういった施策というのは部分的な成功で終わってしまって、本来の目的を達成してないわけです。ですから、そういった
ブランド化というものを通じて、あとはそれをいかに佐賀という全体に反映させていくかという思想、端的には観光という部分と結びついていくと思うんですけども、その
ブランド化の一つの中に、例えば景色のブランド、例えば春の多布施川とか、部分的な景色のブランドというものも観光という面では考えられる。いろんなブランドを提供する中で、それを見る、買い求めに佐賀に来てもらう、佐賀に来てもらったら、
ブランド化されなかった中にもいいものがいっぱいあるわけですね。そういったものも佐賀で見つけてもらう。そういった
ブランド化することによっての相乗効果を生んで、佐賀というものの底上げをしていくというのが、やはり最終的な目標であると思うんです。
どこの県だったですかね、上野駅にですね、ほぼ一坪ほどのブースを持ちまして、2週間交代でその県の方々が物産展を開いているわけですね。いろんなものが、食べ物もあれば民芸品もあればということで、いろんな形で、それは県がやってはおりましたけども、そういった形で佐賀というものをどんどんどんどん売り込んでいくという手法、やはり投資がなければ成果も出てまいりませんので、そういったいろんな手法をとりながら、この佐賀というものをですね、しっかり磨いていっていただきたい。その手法の一つとしての
ブランド化と私は考えております。そういった意味で、この
ブランド化を通し、今後佐賀というものをどうやって磨いて浮上させていこうと思っているのか、そういった点について考え方をお聞かせ願いたいと思います。
それと、
マスタープランの方ですけども、ソフト的な
都市計画法、条例とか法律による都市計画という方向に方向変換したために、
ハード部分に関しては非常に今回ちょっと、きちっと表現されてないというふうなお答えなんですけども、やはりこれまでも、今議会において一番問われているところは、やっぱりその
ハード部分というのは非常に問われているわけですね。ですから、やっぱりその部分を、しかもその都市マスに合わせて答えを出していくんだということを示されてきた以上は、やっていただかないとこれまでのこの議場における一般質問のやりとりは何だったんだということになってしまいます。そこは我々、市民の代表としてここで発言させていただいている我々の発言の重さというものをきちっと受けとめていただいて、やるというふうに答弁されているわけですから、やはりやっていただかないと困るわけです。先ほどの答弁で、今すぐ、じゃあ、ここでいつまでにやりますという答えをここで求めても答えは出ないでしょうけども、あとは次の委員会の中でも、また次回の議会の中でも、またこの辺というのはきちんと精査してまいりますけども、やっていただかないと困るということを申し上げまして、3回目の質問を終わらせていただきます。都市計画に関しては、ここは答弁要りません。
◎飯盛克己 産業部長
3回目の御質問にお答えいたします。
これまで申し上げましたように、まず菓子ブランドでの展開を図っていくことにしておりますが、その後、他の業種に広げていくことにして、その他製品単独での展開支援はもとより、議員おっしゃいましたとおり、佐賀という地名と一体になったPR、宣伝をしていきたいというふうに考えております。
今回のこの取り組みは、菓子商品を
ターゲットとして全国に売り出し、佐賀の持つよさをPRすることにより、産地としての佐賀に興味を持っていただき、そして訪れていただくことを考えたものであります。観光の目指すところは、最終的には佐賀が通年で観光地として位置づけられ、経済的に産業としての振興が図れることを目的としておりますが、現在の観光の状況は、市外からおこしになる観光客数で見ますと、佐賀城下ひなまつりやバルーンフェスタといったイベントに大きく依存しているのが現状であります。したがいまして、議員申されましたとおり、観光客がこの佐賀市を訪れられることにより、食でありますとか、土産でありますとか、さまざまな分野で観光産業と一体化することが必要であると思っておりますし、そうした姿も視野に入れながら、この
ブランド化事業に取り組むとともに、観光や特産品の振興といった、それぞれの事業を展開していきたいと考えております。
生活の基盤となる産業の振興策として、今回の
ブランド化と観光との連携が図れたときは、佐賀市は
地域間競争の勝ち組として残れるものと考えています。よろしく御支援を賜りたいと思っております。
◆川原田裕明議員
それでは、通告に従いまして順次質問をいたします。まず、佐賀市の教育についての学校の安全管理について、2点質問いたします。
第1点目ですが、不審者対策について御質問いたします。この問題は先日、松尾議員の安全対策、岩尾議員の質問の学校安全と重複する部分があり、再度の質問になるかと思います。学校内に不審者が侵入する事件が多発しております。大阪教育大学附属池田小学校の児童殺傷事件から2年半以上もたった今、昨年12月には京都府宇治市と兵庫県の伊丹市の小学校に侵入した不審者が、児童にけがを負わせるというような事件が発生をしております。まさに学校の安全神話は崩れつつあるのが現状だと言えるというふうに思います。学校の安全管理には、監視カメラ、防犯カメラ、ベルなどといったハード面での施設整備と、保護者や地域の人たち、さらには警察などとの連携協力によるソフト面の両面での取り組みが必要であるというふうに言われております。
本市におきましては、学校の立地条件、構造上、防犯カメラ等の設置については、ないよりはましでしょうが、余り意味をなさないという部分が想定をされます。外部から侵入しようと思えば、どこからでも入れるような条件の学校が大部分であると考えられます。それはそれとしまして、不審者侵入というこのような問題は、一歩間違えれば重大な事件に発展していく可能性があるわけですから、本市における不審者に対する対策、特に安全対策についてどのような施策を講じておられるのか。それとあわせまして、安全管理運営体制のソフト面での取り組みについてどのように推進されておられるのかをお伺いしたいというふうに思います。
次に、安全管理の2点目ですが、学校内の器具・器材の点検管理についてお伺いをいたします。平成16年1月の事故でありますが、静岡県の市立中学校で生徒が突風で転倒したサッカーゴールの下敷きになって死亡する事故が発生をしております。固定具をつけていなかったサッカーゴールが転倒したというふうな事故で、このような器具に固定具をしないで使用するというのはですね、非常に多く見られるということです。この事故によってですね、当然管理責任も問われることになりますが、先ほど申し上げましたように、授業のたびに移動するために、全国的に固定具を使わないで使用している学校が非常に多いのが実態だそうであります。この事故は、昼休みにサッカーをしていた男子生徒のうち1人が、突風で転倒した鉄製サッカーゴールポストの下敷きになり、頭部を強打して死亡し、事故後、同校の校長が自殺をするという痛ましい事件も起きております。
◎迎巌 教育長
それでは、お答えが前後になるかもわかりませんけれども、お答えいたします。
一番初めに、学力のことをお尋ねになりましたけれども、私は真の学力をつけることは、人間として判断力も含めまして、理性も含めまして、子供の善悪、美しい心、正しい心を醸成するには、本当に真の学力をつけていかなければいけないというふうに感じております。ノー塾デー、ノー部活デーとおっしゃいましたけど、このことについても今すぐにお答えすることはできませんけれども、研究してみたいと思っております。
それでは、最初の中学校の問題行動についてお答えをしたいと思います。
まず、佐賀市の中学校では、現在、全般的に子供たちは大変落ちついた態度で学習を行っておりまして、この状態がこれからも継続することを願っている状態でございます。しかし、御質問のとおり、昨年度、問題行動のあった事例もございました。このことについて御説明いたします。
問題行動の内容からまず申し上げますと、まず、授業に不必要なものを持ち込むというようなこと、それから、授業中に他の学級への入室を行うというようなこと、学習中に立ち歩きや大声で騒ぐというようなこと、それから、授業中に教室を抜け出す、これらの行動がありました。このようなことについて、教師の有効的な指導があり得なかったということで、生徒の反抗的な態度とともに問題行動がエスカレートしたのではないかというふうに考えております。
学校における問題行動の原因、これはさまざまな原因が考えられますけれども、私、この前、ずっと考えていた中で幾つかの原因を申し上げてみたいと思いますけれども、一つは、問題を抱えた生徒と教職員とのかかわりにおいて、学年を越えた学校全体の力が発揮できなかったということがまず考えられます。つまり、共通理解、共通実践ができなかったのではないかというふうに考えております。今後は教職員のまとまりが必要、一枚岩で指導することが必要ではないかというふうに思っております。
二つ目は、問題を抱えた生徒とのかかわり、これは大変難しゅうございまして、生徒と教師の望ましい関係、これがうまくいかない場面が出てきたということであります。
そして、管理職による指導の徹底が得られなかったというようなことも考えられます。
また、これは大きな問題でございますけど、保護者との連携、PTAとの連携が不十分であったということも考えられます。当然、子供は家庭から登校してまいりますので、きちんとした登校が必要になってくるというふうに思います。
教育委員会と学校の対応についてでございますが、佐賀市教育委員会としましては昨年度、幾度となく学校訪問によりまして生徒の実態把握を行い、指導を要する生徒がいることを指摘し、周囲の生徒への配慮も含めた指導を行ってまいったところでございますが、管理職と生徒指導主事から関係生徒等の現状の確認や生徒指導体制上の現状、学校の状態、そういうものについて協議も行ってきたところでございます。さらに、教職員や保護者、地域住民を対象とした生徒指導講演会の開催とか、教育委員会の指導主事を派遣したり、またティームティーチング授業を実施したり、また臨時講師の派遣を行ったりして、その支援を行ってまいったところであります。
以上、また後ほど述べるかもわかりませんけど、以上のところを第1回目でお答えいたしたいと思います。
次に、保育所のことについてお答えいたします。
保育指針への取り組みについての御質問があったと思いますが、保育所で生活する子供にとって、その時期は生涯にわたる人間形成の基礎を培うもの、これはもう私申し上げるまでもございませんが、御案内のとおりでございます。最も重要な時期と言われております。その人が持っている人格、人間性、人柄などは、それを身につけた時期が幼いときであればあるほど、成長してからも消えずに残るものであると言われております。
平成12年4月より、保育所においては改訂された保育所保育指針が、また幼稚園においても、同じく改訂された幼稚園教育要領が施行されております。改訂はされておりますが、平成2年から施行されてまいりました保育所保育指針と幼稚園教育要領の子供の主体性を尊重する保育環境による保育という保育の基本的な考え方は踏襲されております。改訂によりまして、新たに保育者の役割の重要性とそのあり方が明確に示されております。保育現場では、この保育所保育指針に沿って多様な保育の方法や形態を取り入れて実践をしているところでございます。
保育とは、御案内のとおりでございますけれども、保護教育の略でございまして、保護や世話をしながら乳幼児の育ちを援助、教育することでありまして、養護と教育が包含されておると思います。
保育所での保育につきましては、一人一人の子供の育つ力、育とうとする力を尊重し、子供の今あるがままの姿を理解し、子供とともに生活をつくり出すという保育者の姿勢が求められているところでございます。しかし、一方で、御質問にもございましたけれども、幼児期にふさわしい道徳性や社会性を身につけるための幼児教育も保育所の重要な役割と考えております。この点につきましては、私も大変重要であると認識をいたしております。
保育所での幼児としての発達をどう保障するかということでございますが、公立保育所での保育指針を踏まえましての保育内容でございますが、長期的な指導計画は、年齢、保育年数の違いなどを考慮し、生活に変化と潤いを持たせるように配慮しているところでございます。
少し詳しく御説明させていただきますが、各種の行事につきましては、子供が楽しく参加でき、生活経験が豊かなものになるように、日常の保育との調和のとれた計画を作成して実施しております。また、1年間を年齢に応じて期に分け−−時期の「期」でございますけれども−−それぞれの時期にふさわしい保育の内容を計画しております。保育のねらいや内容の設定につきましては、子供の実態を把握する中で子供の興味や関心、生活や遊びへの取り組みの変化、また、自然や季節の変化から設定しております。具体的な保育の展開は、子供の姿や動きに合わせて柔軟に対応しているところでございます。
保育の形態は、これも御案内と思いますけれども、一応述べさせていただきますけれども、子供たち一人一人の活動、グループの活動、クラス一斉の活動、園全体の活動など多様な形態に取り組むとともに、活動の内容別に自由な遊びをさせる活動、ある程度の環境を設定した遊びの活動、はっきりした課題を与えた活動等、さまざまな保育形態を取り入れております。また、このことは大変必要でございまして、保育所の場合、ゼロ歳から在園しておりまして、朝、子供が登園して遊ぶときには、年齢の違う子供たちが一緒に過ごしております。同じ年齢の保育では得られない育ちが期待できると考えております。
クラス編制は年齢別に行っておりますが、少子・核家族化が進みまして、兄弟姉妹も減少し、さらに地域で子供が集団で遊ぶこともなくなり、人間関係の希薄化が進んでいる現在、意図的に異年齢の子供たちと過ごす縦割り保育も行っているところでございます。一日の大半8時間以上を保育所で生活する子供にとって、さまざまな年齢の子供と触れ合うこと、一人での活動、小グループでの活動、自由に過ごす時間など、多様な人間関係を持つ機会も多くなっておりまして、乳幼児期の望ましい人間関係の上で大きな効果となっていることと考えております。
以上のような保育内容を実践するために、保育士は各種研修会への参加や自主研修会、講師を招いての勉強会なども行っております。
まとめになりますが、今後も佐賀市の保育方針としては、さきに述べました保育指針の理念を基本としながら、その実践において保育士の豊かな感性と愛情による子供にとってのよりよい望ましい保育を追求していきたいと考えております。言葉としては大変難しいことを申し上げましたが、教育愛といいますか、子供たちを立派に育てようという保育士としての根本的な理念が根底にあらなければならないというふうに考えております。
以上でございます。
◆傍示暢昭議員
それでは、2回目の質問をさせていただきます。
ただいま、ある中学校の生徒指導に関することでいろいろ原因等を述べていただきました。いま一つ明らかでないのは、ここに3月23日に説明がありました文教経済委員研究会の資料がございます。この中に前半、問題行動を起こした子供たちに厳しく指導をするという言葉が2回ほど出てまいります。その後、12月に入って、TTとして職員を1人ふやし、それから、支援指導員をふやしていったというところまではこの中でありますが、そこの時点での指導のあり方はここにはなくて、1月、2月の生徒の状況を報告してありますが、授業のサボりや抜け出しがほとんどなくなり、教諭への暴言及び暴力等もなくなった。さらに、関係生徒も学習意欲を見せるようになったと。2月も関係生徒の問題行動はほとんど見られなくなったと、このように述べておられますが、生徒の状況が変容をしてきた、この要因は、前半に行われた厳しく指導をしてきたことが、この要因になったのか、それとも、この厳しく指導をしてきたことでどんどん生徒たちの問題行動がエスカレートをしていった、この辺の検討をして、そして、具体的に指導者の方はどのような指導をしてきたのか。つまり、生徒の変容はもう少しどのようなものであったのか、生徒たちは前半の指導に見られるように、厳しい指導、つまりは指導者側の押さえ込みによって、内面的には抵抗を持ちながらのあきらめによる服従であったのか。そうではなく、生徒の内面からの復帰であったのかということであります。もし、内面からの生徒の復帰であったとすれば、それは前半と違うどのような指導面の改善があったのか、そこを明らかにしていただきたいのであります。
次に、先ほどの保育指針についての質問に移ります。
先ほどの御答弁では、幼児の発達について重要な部分をあらまし述べていただきましたが、この保育指針なるものは、これまで文部科学省において10年ごとに幼稚園教育要領が改訂されるのに合わせて、保育指針の中の教育に関する部分を改訂し、同時に養護部分の見直すべき部分を見直してきたという経緯がありますが、つまり、幼児の発達についての重要な部分は同じに見ておかなければならないのではないか、文部科学省と厚生労働省で子供の見方がばらばらであってはいけないので、統一してきたというわけですが、平成に入っての教育要領と保育指針の改訂の大きな変化は、保育者によってリードされない幼児の自発的な活動としての遊びの中でこそ、幼児自身がよりよい発達を遂げていくための重要な要素、つまり、心も含めた健康、よりよい人間関係、環境に積極的に働きかけていく態度や、使い方等をも含んだ言葉の獲得、感受性と表現という五つの領域に分けることができるんですが、を総合的に体験されていくので、そこを幼児の保育の中で大切に取り上げ、その活動を援助していく、ここが保育者のとるべき行動でありますね。その活動を援助していくべきであることがうたわれたことであります。
そこで、私は30年ほど前から同じような見解を持って幼児の保育に当たってきた者の一人でありますが、そのような目で保育所の現在の状況を見てみますと、まだまだ自発的な遊びへの援助活動が不足しているように見受けられるのでありますが、幼児の発達の面から、このままでよいと考えておられるのか、改善すべきと考えられるのか、改善するとすれば、どのような点と考えられるのかについてお伺いをいたしたいと思います。
例えて言えば、子供たちの自発活動がもっと充実するような環境の整備には、まだもう少し不足をしているように見えます。例えて言えば、砂場が大変かたくて狭い。もっともっといろいろありますが、それはまたこの後触れますが、そういうような問題が残っているのではないかということを一つ問題提起をして、2回目の質問とさせていただきます。
◎迎巌 教育長
それでは、2回目の御質問にお答えいたします。
まず、厳しい指導ということがありましたけれども、この厳しい指導というのは、正しいものは正しい、悪いものは悪い、これは家庭での教育と全く同じだと思います。そういうことをはっきり言う。ただ暴言を吐いたり、たたいたりすることが厳しい指導ではありません。正しいものは正しい、悪いものは悪いと、きちんと正面向かって子供たちに訴えると、しかも、情熱を持って、教育愛を持って訴えるということが厳しい指導だと私は思っております。このことによりまして、子供たちが胸襟を開いたと、胸を開いたと、先生たちを信頼したということになると思います。
その具体的な例としましては、確かに授業がわからずにおくれていた子がありました。このことにつきましては一人一人を見据えまして、どの程度、数学、英語、社会等々がわかっているかを判断しまして、個別指導も行っております。いわゆる受験を控えておりましたので、子供たちもそのことについては共感をいたしまして、一生懸命勉強したということになっています。
善悪については、私たち教育者は意外とはっきり言わずにおりましたので、これは悪い、これはいいことだ、これはしてはいけないことということをはっきり子供たちに伝えなければいけないというように私は考えます。その指導を行ったということで、子供たちはわかってくれまして、感動的な卒業式を迎えたと思います。
次に、保育所の取り組みにつきまして、子供の自主性、自立性を高めるための遊びについての御質問にお答えいたします。
議員御指摘のとおり、子供の自主性とか、自立性と言いますけど、これを伸ばすことについては、まず遊びが大事だとおっしゃいました。子供の創造力、難しい言葉ですけど、創造力の発達とか、感性について大きな影響を与えると言われております。極論を言いますと、遊びでしか育たないとも言われております。
子供の本質は、当然ながら遊びであり、遊びを通して発達していくと言われております。子供は好奇心にあふれ、活動的で創造性に満ちておりまして、大人の考えが及ばないようなユニークな発想と、頭でわかるより体でわかってしまうような姿を見せるものであります。こうした子供の本質を踏まえまして、子供に熱中して遊び込めるような環境をつくってやるのが保育所の役割であると考えております。子供がみずからを発揮して活動できるようにするためには、子供のいる環境が身体的にも精神的にも快適で安らげるところでなくてはならないと考えております。
公立保育所では、遊ぶ際に子供の発達を見ながら遊具を選択し、絵本、ままごと、造形などさまざまな遊びのコーナーを保育室に設け、子供が主体的に遊具を選択し遊ぶことにより、個々の遊びから集団の遊びへ、いわゆる自分だけで遊んでいたものを友達と遊ぶということですけれども、発達するような環境をつくり出しております。一人だけではなくて、ほかの子供と一緒に遊ぶというようなことですね。そういう環境をつくり出しております。また、散歩に出かけ、自然の中で夢中で虫を見つけたり、見つかるまで土を掘ったり、草で遊んだりする中で子供たちの自主性は発達していくものだと考えております。遊びによる子供の発達という面においては、子供自身が自分で発達することを助けることが保育士の役割として重要であると考えております。またあわせまして、遊びの中で子供たちの適切な成長を促すことも保育士の大切な役割だと考えております。
今後も、議員の御指摘にあります子供が発達していく中での遊びの意義、子供の遊びへの保育士のかかわりなど、発達を保障する上でのこれら重要な要素を保育士による研究、研修を重ねながら、保育の実践の中で生かしていきたいと考えております。少し難しい言葉になりましたけれども、子供の遊びについて関係者は勉強していかなければならないということでございます。
以上でございます。
◆傍示暢昭議員
中学校の生徒指導について、授業についていけない子がいて、そういう個別の対応もやったと。だけども、この厳しい指導というのは、善悪をきちっと伝えていくようにしたと、この辺が変わっていく要因ではなかったのかという教育長の答弁でありましたけれども、それでは、あの問題行動がエスカレートしていく前の厳しい指導というのも同じものであったのか。それとも、授業についていけない子への個別の対応をしたことが、この生徒の問題行動がおさまっていく要因であったのか。まだ、いま少しはっきりしないのであります。
厳しい指導というものをそういうような善悪をきちっと伝えていくということと受け取っていくのか、厳しくしかって指導していくということではないと、先ほど教育長は言われたようですが、それでは、その前半に厳しい指導もそうであったのか。それでもなおかつエスカレートしていった、そして、なおおさまっていったという経緯の中で、一体これはどう考えていいものか、もう少し説明をいただきたいと思います。
それから、先ほど保育所について、まだもう少し、私もずっと見てみて、足りないなという感じがあるのは、もう少し子供の活動の幅を毎日持たせるべきではないかと感じることであります。というのは、自由遊びのときに具体的な活動の中で、それはいろんな製作をやるとは言われましたけれども、もっと自由に遊びの中でごっこ遊びをするために製作をしていく、自由にしていく、そういうようなコーナーであるとか、それから、確かにいろんなものを遊びをやっていくと、保育室が多分ごったになります。ごったになるときに、保育所ではいろいろな生活をしていくために片づけをしなきゃなりません。この片づけをしなきゃならないために、子供たちが自分で遊びのためにいろんなものを出してくれ、あれをしてくれ、これを出してくれということをやっていくと、片づけをするときに大変だからやめておこうという、子供たち自身が少し遠慮をするといいましょうか、そういうことが起こることがあるわけであります。
そこで、例えば、生活のために片づけがどうしても要るというときには、大きな製作をやるようなときには、ホールの利用を考え、そこにしばらくホールに数日間設置をしておく、それを片づけないで置いておくとか、そういうことによって子供たちの活動が日々ずうっと発展をしていく、そういうことが起こってくるのであります。そういうような環境というものを、もう少し保育所の中で考えていくべきではないのか。確かに、保育所の保育者も子供が長時間いることで、毎日の環境設定と保育の研究ということは大変なことだとはわかりますが、幼児のために努力していかなければならないのではないかと思うことであります。
それともう一点は、保育の指導者といいましょうか、これも前申し上げたことでもありますけれども、幼稚園、保育園を両方担当していくこども課として、この幼保を指導できる専門員、指導主事といいましょうか、そういうような立場の人が今後必要になってくると思われますが、これについての教育長の見解をお伺いしたいと思います。
以上、質問を終わります。
◎迎巌 教育長
厳しい指導というのは大変難しい概念でございますが、私はこのように考えます。家庭での教育、学校での教育、あります。子供たちがなかなか耳を傾ける状態になっていなかったということですね。そこで、また学校の先生方も一枚岩になっていなかったこともあったと思います。まず、子供たちがわかる状態に持ってくるということで、個別の相談、個別の話し合い、個別の対応をしたわけです。その中で、この厳しい指導というのは、子供たちに対して、善悪も含めまして、人間としてのあり方を教えるだけではなくて、私、状況を見てみますと、非常に討論をしながら、話し合いをしながら進めたようでございます。だから、納得したわけですね、子供たちが。それじゃ、先生やるよと、今から勉強するよと、今から一生懸命するよと言い出したわけですね。で、子供と先生が正面を向かって話し合える状態になった。ただ、正しいことについては厳しく言いなさいと私は学校に言ったわけです。まあまあこんくらいでよかろうという安易な考え方ではだめだと。
先ほど、厳しい指導が問題になっていますけれども、これは共感が持てる段階にまず持っていっておって、そこで子供たちにきちんと人間としてあるべき姿を教えたということであります。状態としましては、学校も一枚岩になってきたと、親の力もかりたということであります。言葉で言うのは大変難しゅうございますけれども、一日一日変容していったということになると思います。
この中学生の時期の生徒指導というのは、大変難しいものがありまして、理論のようにいかないというところが一番難しいところでございまして、今後、教育委員会としましても、中学校の生徒指導につきましては十分に研究していく必要があるし、実践的な研究をしていく必要があるというふうに考えております。
それから、保育所の問題につきましては大変難しいところがあるようでございますけれども、私が考えているところを御説明いたします。
保育園での遊びの中心の活動は、小学校での教科と同様、子供の将来にとって重要な学習であると私は考えております。ただ、その場その場だけの活動ではなくて、将来にとって重要な学習の場であるというふうに考えております。幼児期にふさわしい主体的な遊びを中心とした総合的な指導から、小学校での教科学習へ円滑に移行することにより、保育園から小・中学校へ連携した教育が実現できると考えております。
一方で、先ほど述べましたが、保育の中には教育とともに養護という概念が含まれております。先ほどから申し上げておりますとおり、保育所ではゼロ歳の乳児から年長児までの児童に、段階的に基本的生活習慣を習得させるかかわりが求められております。一人一人の個々の子供の家庭環境や生活サイクル、個性や人間性を理解した上での保育的配慮が必要となってきます。これは、一人一人の子供に合った保育ということになります。その中では、子供の人権と心の育ちの理解が保育者には求められております。小さい子供ではございますが、微妙な心を持っております。ここのところが非常に大事なところでございます。みんな一様ではございません。
このような保育に求められる役割を踏まえた上で、幼児教育の充実は佐賀市の重要な課題であると認識しております。子供たちを見ていただくとおわかりですけれども、10人いれば全部10人それぞれ目の光が違っています。一人一人の子供を大切に育てていかなければいけないというのは、そのところでございます。
なお、今後は、議員御指摘の教育と養護のあり方などについては、さまざまな角度から、やはり一方的ではなくて、小学校、中学校、また家庭環境、社会の状態から考えて、いろんな角度から研究していきたいというふうに思っております。
以上でございます。
◆井上雅子議員
通告していました項目について、順次質問いたします。
まず、教育行政について私もお尋ねいたしますが、子供を取り巻く教育情勢、社会情勢の厳しさが指摘をされて、教育改革や学校再生ということが声高に叫ばれ始めてから久しいものになります。しかし、改善の道は非常に険しく、なかなか効果が上げられない中で、学校現場の苦悩もまた大きくなるばかりのようです。学校や社会に大きな衝撃を与えた佐世保の事件、そしてまた昨日は、いじめを苦にビルから飛び下りて、みずから命を絶った中学生の悲劇が繰り返されてしまいました。
国においては、2001年度の9月に教育改革国民会議の提言を受けて法制化した教育三法が成立しました。奉仕体験活動とか出席停止の措置、飛び入学、高校通学区域規定の廃止、指導不適切教員の転出など、さまざまな問題点が指摘をされていた法案です。
佐賀市におきましても、教育は福祉、環境と並んで大きな重点施策の一つに挙げられています。市長は3月の議会で、今年度の施政方針への所信表明をされた中で、教育改革のためには人事権と懲戒権が必要だと述べられました。効率性や能力主義の徹底のためかと推察いたしますが、教育の本質を損なわないで、どのように教育改革を進められるのか、市長のお考えをお尋ねいたします。
次に、学校事務改善と今後の方向性ということについての質問に移ります。
昨年、学校事務の実情についての調査が行われています。市内の5校を抽出して、前年度の公務日誌をもとに調査がなされたということです。また、9月には日本能率協会に委託しての学校事務診断調査があり、それを受けて学校事務改善会議が開催されて、その報告書が既に各学校に配布されています。
そこでお尋ねですが、そこに示されている学校事務改善の今後の方向性とその具体化のための改善計画についてお教えください。
三つ目は、不登校児童・生徒へのサポーター事業についてのお尋ねです。
佐賀市は、昨年から取り組まれている事業で、不登校の子供や保護者へのサポーターとなられた指導員の方の熱心な取り組みで一定の成果を上げられているということを伺っています。くすのみ学級の担当の先生方も喜んでおられました。このサポーターの方はハローワークを通しての採用と伺いましたが、フリースクールをされている民間の方を訪ねられて、このフリースクール−−佐賀で認められていませんけれども、不登校の子供を持つ親の会の方が個人的に経営をされているものですが、そこに足を運んで熱心に自己研修を積まれているということも聞き及んでいます。
そこで、昨年取り組まれて、今も取り組まれていますが、サポーター事業の取り組みの状況と、そこで出されてきた課題など、どのように把握をされているのか、実態をお聞かせください。
次に、福祉行政の母子家庭の自立支援についての課題ですが、ここでは高木園の子供への支援対策に絞ってお尋ねをします。
母子寮高木園の子供たちは、父親との別れというつらい体験を背負って生きています。父親と別れるまでの経過の中で刻まれた心の傷、そして一人親家庭というハンデを負って、今を生きるその折々に襲う痛みや寂しさ、その苦痛や苦しみを表現できない子供たちのトラウマは、やはり周囲の大人たちが気づいてあげるべきではないでしょうか。
一昨年、高山の母子寮に岩尾議員、田中議員、山下議員、私の女性議員4人で視察に行ってまいりました。そこでは、母子寮で暮らす子供たちのトラウマをいやして心を開放する試みとして、川原での思いっきり体を動かす遊びが生活の中にきちんと位置づけられていました。もちろん専任の職員を配置してありました。子供たちの心の傷、トラウマを解消することが、ひいては母親の自立を助ける大きな要素として認識されていたのです。ここの寮は、古くて狭いところでしたけれども、プレールームも用意をされていました。プレールームで遊びの相手をしていた職員は、徹底して自由の精神を貫き、子供たちの言動が実に伸び伸びとして明るかったのが強く印象に残り、感動しました。
高木園におきましても、お母さん方や職員の方、社協の方、市職の担当職員の方、それに私たち4人の女性議員との数回の話し合いの後、乏しい予算の中からいろいろと改善策を講じてくださっています。しかし、どうしても進まないのが、このプレールームの設置です。現在、2階に会議室として用意されている広い部屋があります。せめて、その部屋を雨の日だけでも何とかプレールームとしての使用が考えられないものかどうか、お尋ねいたします。もちろん子供たちを見守る人の配置も必要です。
以上で1回目の質問を終わります。
◎木下敏之 市長
それでは、お答えいたします。
教育改革についてどう思っているかということでありますが、私は教育の内容については教育委員会に対して要請はしておりませんので、市の総合計画ですとか、それから教育委員会が検討された教育の内容について、それについてやっていただければいいのかなと思っております。
ただ、学校や教育委員会という組織につきまして、世間の常識から見て、おかしなところが多々あると感じておりまして、それについては、これまでの5年間のうちの主に3年間、いろんな形で改善をしていただけないかと要請をしてきたところでございます。例えば、校長先生が、今はこれは変わりましたけれども、校長先生が2年程度でころころかわるといったようなこともありましたし、また、逆に校長先生に自由になる予算がないといったようなことや、各学校の教員に対して余り人事権がないとか、指揮命令を振るいにくい、また、一方で学校崩壊になっても校長が処分されたことがないといったような問題、世間の常識から見ると、ちょっと変じゃないかと思うようなこともございました。
しかし、それよりも最も問題な点というのは、この義務教育についてですが、基本的な内容については文部科学省が定めておりまして、そして教員の任用の権限は県が保有をしていると。施設整備や経常経費などを含めた事実上の運営の責任は市であるという、権限と責任の三重構造といいましょうか、ということになっております。一般の市民の方は、佐賀市立の小学校の場合には、教員の人事権が佐賀市の教育委員会にはほとんどないということを御存じない、私がこの話をするとびっくりされることが多いんですが、こういった三層構造に一番問題があると考えております。
やはり、小・中学校の設置管理は、その設置者でございます佐賀市が責任を負っているわけでございますので、質の高い教育を実現していくためには市の権限を拡大することが必要ではないかと思っております。これから各学校がみずからの判断と責任で教育活動を展開していきまして、保護者や地域住民の期待にこたえていくためには、各学校が教育活動について保護者の方や地域社会に対して説明責任を果たしていくとともに、校長がしっかりとリーダーシップを振るわれまして、みずから継続的に改善をしていくシステムを構築していく必要があると思っております。ですから、そのためにも、学級編制権ですとか人事権、そういったものを佐賀市の教育委員会に移譲していただくように佐賀県に強く働きかけてきているところでございます。
このように、教育行政を担う佐賀市教育委員会が、その機能を十分に発揮し、充実した教育行政をとり行っていただけるように、市長としても今後も教育委員会を全力で支援していきたいと考えております。
以上でございます。
◎迎巌 教育長
まず私の方から、不登校児童・生徒についてお答えいたします。
この不登校児童・生徒への対応につきましては、学校と教育委員会、言葉で申し上げますと大変僣越でございますが、全力で取り組んでいるということを申し上げたいと思います。家庭に引きこもったりしないで、すぐ学校に復帰してもらいたいということで、このことについては一昨年から全力で対応している状況でございます。まずそのことを申し上げたいと思います。
この学校不適応児対応サポート事業は、平成15年度、サポート相談員が不登校児童・生徒の家庭に直接訪問し、児童・生徒の登校を促したり、生徒指導や相談活動を行ったりすることでありまして、生活意欲を喚起し、学校復帰への意欲を高めることを目的に設置されております。また、事業の一環として、適応指導教室くすのみで実施している体験学習等に不登校児童・生徒を誘い、ともに活動することによって、集団とのかかわりや社会性を育成してまいります。子供たちが家に今引きこもっております。これをまず、家庭に訪問して、社会に出そうという試みでございます。
サポート相談員の選考に当たりましては、業務内容が専門性を要するために、教員資格を有する者、教職経験者、青少年団体指導経験者などの条件を設け、地域の人材の中から、積極的に取り組む意欲的な者を佐賀市の嘱託員として、現在4名を採用しております。ほぼ完全不登校の児童・生徒に対し、4名で年間 1,500回を超える家庭訪問を行い、話し相手、相談相手となって社会とのかかわりを持たせ、引きこもり傾向からの立ち直りや学校復帰を目指し取り組んでまいりました。その結果、完全不登校からくすのみへの入級、体験学習への参加ができるようになった子供や、相談室、保健室登校ではありますけれども、学校への復帰ができた子供もおります。また、学校関係者とのかかわりを持てなかった子供がサポート相談員と話したり、遊んだりできるようになってまいりました。これらは、サポート相談員と子供や保護者との信頼関係の構築、学級担任やスクールカウンセラー、アドバイザーとの連携、学校内の教育相談チームへのアドバイスなどが功を奏したものだと考えています。
平成16年度始まりましたけれども、15年度末の高校入試等で、小・中学校等で不登校ぎみの児童・生徒たちが高校に行ったという例も挙がっておりまして、今それを調査しております。
ただ、問題点としましては、学級担任やスクールカウンセラー、アドバイザーなどとの連携を図るための時間を確保しにくい、また、不登校の原因や生活の状況がさまざまで、個々の児童・生徒への対応が難しい、また、個々の状況に対応する知識を身につけるためのアドバイザー、カウンセラーの研修機会がなかなかとれないなどが挙げられております。
今後、私たち佐賀市教育委員会としましても、より多くの子供たちが引きこもり傾向から立ち直り、学校に復帰したりできるように、この事業の継続を図るとともに、担当者の連携ができるよう各学校に指導、支援をしていきたいと思っております。また、研修や相談の機会もふやしたいと考えております。一日も早く子供たちが復帰するように願っているところでございます。
以上でございます。
◎白木紀好 教育部長
まず、学校事務改善の今後の方向性についてお答えをいたします。
昨年度実施をしました学校事務診断では、教師が担当する学校事務を含めた広い意味での学校事務を洗い出し、分析し、これからの学校事務のあり方を検討いたしました。検討の過程では、学校の教職員や教育委員会事務局職員による学校事務改善会議を組織し、現場の意見を参考にしながら改善の方向性を決定しました。今年度は学校事務診断で定めた改善事業を実施し、学校事務の効率化を行い、それによって生み出された時間や予算を学校の情報化等に投資し、教師の事務負担軽減や教頭や教務主任が授業指導等ができるような学校マネジメントの時間を生み出すことができるように事業展開を図っていきたいと考えております。
具体的には、各学校でばらばらであった事務処理方法をある程度標準化し、IT等を活用し、事務の効率化を図った上で事務処理の分担を見直すことを考えております。また、教頭等が校舎の施錠や警備開始の設定をするために遅くまで残っている状況を改善するために、通用口を電子錠化やオートロック化するなどして雑務負担を軽減するなどの方法も実施します。また、学校の教師と事務職員がオープンスペースで執務できないかの検討や、学校への調査や作品募集等を整理できないかなどの改善事業を実施したいと考えております。
これらの改善を実施するためには、学校の市費事務職員の任用形態の変更などを行い、改革財源に充てていきたいと考えております。この改善事業は、児童・生徒への質の高い教育の提供を目指すということを最終目的としており、実施する改善事業が最終目的に寄与していくか、進捗管理をしっかりやっていきたいと考えております。
次に、高木園におきます子供たちへの支援対策でございますが、高木園は、児童福祉法に基づき設置しております母子生活支援施設であり、配偶者のいない女子、またはこれに準ずる事情のある女子で、介護すべき児童の福祉に欠けている場合には、その母と子を入所させて保護するとともに、自立促進のために生活の支援をしております。入所している母子の中には、いろいろな事情により心に傷を負っている場合もございます。傷ついた母と子の心をいやし、子供たちの発達を援助することは母子生活支援施設の大きな役割の一つでございます。
こうした子供たちへの支援の一環として、今年度からは勤務体制を見直し、母親が帰宅するまでの児童だけの時間帯や日曜日などに配置人員をふやすことにより、職員が子供たちと触れ合う時間をできるだけ多くいたしました。また、今年度からは教育現場において長年の経験を有する所長を配置し、2名の少年相談員には保育士や養護教諭の資格と経験を有する職員を採用いたしております。就労や帰宅後の家事などで子供たちの面倒を見ることができない母親たちにかわって、少年指導員が図書室で宿題などの学習指導を行ったり、集会室や外で一緒に遊んだりしながら子供たちを注意深く観察し、指導、支援を行っております。
また、議員御指摘の雨天時は、現在、集会室を開放し、少年指導員が折り紙やお絵かきなどで子供たちと遊んでおります。さらに、月2回は日赤のボランティアの方に遊び相手になっていただいており、子供たちも大変喜び、来られる日を心待ちにいたしております。
こうした取り組みにより、子供に対し遊びで発達を援助して心をいやすことにつながっていくと考えております。ただし、心をいやす取り組みはより専門性が求められますので、職員も研修等で支援、技術の研さんに努めておりますが、職員では対応できない部分もございます。このため、精神科医と児童養護施設での経験を有する臨床心理士を招き、それぞれ月1回、入所者や子供に対しカウンセリングを実施し、母と子の自立に向けての援助を行っております。
なお、集会室をプレールームとして整備してはどうかということでございますが、これにつきましては財源の確保や集会室としての機能との兼ね合いなど課題もありますので、今後検討していきたいと思っております。
◆井上雅子議員
御答弁いただきましたので、また新たにわいてまりました疑問点について、2回目の質問をさせていただきます。
市長の方から教育改革の内容について、市の総合計画、教育内容については教育委員会に任せているということでございましたけれども、積極的に教育改革に取り組んでいこうとされている、その姿勢に大いに期待をしています。
しかし、学校崩壊を放置していたということについての処分ということについては、やはり慎重にもう少し学校現場の実態を把握した上で考えていただきたいものだと思います。学校の教育の取り組みや子供の変容というものには時間がかかるものなんです。普通の会社での事務効率化とか、大人の事務効率化じゃなくて、相手の子供の心の動きにどう取り組んでいくか、その中で子供たちの学級集団というものをずっと相互に変えていくという動きは、本当に時間がかかります。
私の経験した中で、その後は大変保護者から信頼を得られて、子供の信頼も厚くて、非常にその先生の取り組みというものが評価をされた事案なんですけど、その方も最初に子供に対してとられた、指示待ち症候群を何とか直して、自分から考える子供を育てたいという取り組みをされたときには、本当に保護者から初めにもう大変なブーイングが起きて、これ何をするんだと、校長先生に言いに来られたりと、いろんなことがありましたけれども、校長先生は考えを聞いて、よし、そのやり方で貫いてやりなさいということで時間をくださいました。結果、1学期たって、子供たちはもう本当に目をみはるばかりに変容しました。そして、保護者の方も子供も一様にその先生に対する信頼を厚くしたものです。
やり方は、本当にいろいろなやり方がありますので、そのやり方に疑問を持たれた方がせっかちにいろんな不満を、前は校長先生でございましたが、今はもう教育委員会や、そこを通り越して市長にメールや投書を持っていかれるという場合があります。その場合に、やはり学校現場でどういう取り組みをしているのか、どんな考えで学級運営に当たっているのかということを、まず現場への敬意を払っていただいて、しっかりその考えを把握していただく努力をぜひお願いしたいと思っています。
あと、いろいろな人事権や懲戒権についての三層構造になっている矛盾とかについては、これは中央集権下の中で図られてきたことで、学者の方からもいろんな矛盾が言われていることなんですけれども、しかし、心しなければならないのは、教育は教育基本法の10条に、不当な権力に服さないということをきちんとうたってありますので、こういうトップの考えが即教育の内容に及んでいくということであれば、それは教育の中立公正というものを危うくするもの−−市長がそうであると申しません。市長のように頭脳明晰な方はそういうことはないと思いますけれども、トップの方が来られて、恣意に教育の中に介入していく事例がつくられていくということは、これはゆゆしきことだと思いますので、ぜひ心した、そこのところにきちっと歯どめをかけた取り組みでお願いしたいものだと思います。
実際に学校現場では本当に今、教育を取り巻く社会状況の変化の中で学校批判が渦巻いて、そして学校教育への不信感というものが醸成されていますから、かつて私が若いころ、学校の出たてであっても、保護者や子供からしっかり信頼してもらったあの信頼度というものを学校が今保ち得ていないという状況にあります。それはしかし、一つ学校だけの責任ではなく、社会やいろいろな状況の中でつくられてきたものですから、やっぱり社会や、保護者や、地域や、そして行政にかかわる者がしっかり情勢を正しく把握して、教育環境というものへの取り組みを間違わないで進めていくべきだと思います。
国においても、このたび大きく問題になりました指導力不足とか、指導不適切という教員については、停職をしろ。木下市長も教育委員会の方に、指導不適切教員については早期に配置転換してほしいというような諮問がなされていたと思いますけれども、このことについては、その転職という措置よりも、その前に、指導不適切ということが発生する原因は何なのかということ、このことが一層本質的で重要な課題だと思います。教職についた者は、一応大学で教職についての知識を学び、それから技術を学んで、免許状を取得して教員になった者ですけれども、それがなぜ指導力の不足とか、指導不適切とかという事態を招くのかということでは、その原因をしっかりと把握していくこと。これは教育三法案の中で、教育改革の国民会議の報告の中では、この件は一切書かれておりません。ですから、このことについては、これを思いつきのパッケージだと非難をされたものですけれども、しかし、その後、これを受けての国会の審議では、このことについては大きく三つの視点からしっかりと論じられています。
第1は、教員養成や採用や研修のあり方。そして第2は、メンタルヘルスケアを含む教職員の勤務条件の改善などの措置です。第3は、長期休業制度を設けるなどリフレッシュ措置を充実させること。メンタルヘルスケアに関しての国会のやりとりでは、全国の病休者の数、そして精神疾患を病む教職員の数、それが増加傾向が明確であるということ。ある県においては、知事部局に比して、公立学校の教員の精神疾患による休職者が8倍にも及んでいるという事実。そして、小学校教員にそれが倍増しているという事実なども示されて、論議がされています。
この原因がどこにあるのかという調査の一環で、日教組の調査によりますと、約4割の小学校教諭が学級担任を持ちたくないと思ったことがあると答えていることから類推しますと、子供との関係、保護者との関係などが大きな悩みになってきているということが十分に考えられます。これは私などからすると考えられないことで、子供を受け持てないということは、教職に行った意味がない、楽しみがないと感じるほどのことなんですが、学級を受け持ちたくないというほどに追い詰められた状況というものがどういうものであるか、やっぱりしっかりとした行政としての責任で分析が必要だと思います。
国会では、そうした審議を受けて、教員の心身の健康の保持、増進を含めて、勤務条件等の一層の改善に努めていくと答弁がされています。今、学校において、先ほど傍示議員の質問に対して、学級崩壊ともとられる事態に対してのいろんな措置が報告をされましたけれども、各学校においては、学校や地域、家庭の中の教育意欲に対するレベルや幅の大きな差があり過ぎて、しかし、幾ら大きな差があっても、その土台の上で教育をしていかなければならない、しかし、なかなかスタートラインにつきにくい状況というものに悩みながら、公教育をその上で可能にしていかなければならない責任に立って、教育しやすい環境を整える、そのための現状分析、問題点を洗い出す、ならす、教育のための田んぼづくりをする、そして、そこで何をしていくかを模索する、日々苦悩の日々だと聞きました。根っこが整わない中での教育の難しさを克服しながら、何とか懸命に取り組んでいる学校現場の実態もぜひごらんになっていただきたいと思います。
教職員、学校現場自身も子供を知らな過ぎる、子供の生活スタイルを見直していこうという悩みや取り組みもしっかりと行われています。学校改革について、安易に懲戒とかという前に、ぜひこの現状に、どのように行政として教育土壌を整えていくかという課題に取り組んでいかなければならないと思っています。市長の答弁に対して再度、もう答弁要りませんけれども、ぜひお考えの中に入れていただいて、学校現場の教育環境を整えることにお力をおかしいただきたいと思います。
それから、学校事務の改善についてですけれども、事務の内容ということについての調査を本当に詳細に調査をなされていて、問題点や課題というものをきちんと洗い出して、解決策が示されていますし、特に学校長や教頭が学校マネジメントや教授部門での支援体制の創出という本来の学校のあり方に望ましい方向として改善計画がなされていることを大変評価いたします。しかし、事務室や事務職員の方が果たされている児童・生徒との触れ合いの中でプラスアルファの教育効果面については考慮がなされていませんし、事務職員の仕事の中に計上もされていません。抽出をされて調べられた5校の事務量の計上というものが、前年度の公務日誌をもとに計上されたということなどから考えて、学校の実態やニーズを十分に網羅できていないのではないかという不安を覚えました。
学校には人が必要です。児童・生徒は、いろいろな立場で学校で働く人々との交流という体験を通して、社会の仕組みの一端を学んでいきます。交流の輪を広げていきます。児童・生徒にとっては、自分を評価する教授部門の教諭に対するのとは違う交流のありようを養護教諭や事務職員の方や学校給食にかかわる教職員に求めています。かつて私の受け持った子供にも、営繕に励む事務員の方を追っかけて会話を楽しみ、うれしそうにその内容を報告してくれた子供がいました。また、自閉症ぎみの子供は、休みになると事務室を訪れるのが日課でした。嫌がらずに、本当に丁寧に、パニックに陥りやすい子供の特性を知って対応していただきました。どうしても仕事が忙しいときに、むげに断るとパニックが起きますので、そこではその子が怖がる風船を入り口にほっと置いて、そして、今は忙しいんだよということを示すというような心のこもった対応もしていただきました。それから、家庭の事情で10時ごろに重役出勤をしてくる子供もおりましたけれども、それも事務室の方で心温かに対応していただき、朝食をとらないで登校しますので、給食室から前日残っていた牛乳をもらってきて温め、パンを焼いて食べさせるというような、そういうのが学校の中における職員の子供との交流の中で果たす教育の役割の一端です。このように、大切な人的な教育土壌は子供にとって欠かすもののできないものであることを御理解いただきたいと思います。
また、今、学校は手放しでは子供にとって安心できる場ではなくなりました。安全管理というものがやかましく言及されて、門扉が閉じられている学校も多くなりました。門扉が閉じられた学校を見るたびに、児童・生徒に人への不信感を植えつける象徴のように気持ちが重くなりますが、その中にあって、ある学校では門が大きくあけられています。校長先生は、うちは安心、安全の大人が大勢いて守っているから大丈夫だと胸を張られました。なるほど、ボランティアの仕事を受け持つ保護者の方が絶えず出入りをされていました。これは地域に開かれた学校の一つの望ましい姿ではありますが、ボランティアにすべてをお任せすることはあり得ません。行政責任としての人の配置を欠かすことはできません。
この学校事務の改善について、大変評価すべきもの、事務の内容の整理ということ、これは評価いたしますけれども、やはり行革推進の一環としてコスト削減の視点からのこのたびの嘱託化への計画だと思います。しかし、今まで教育部門の事務の仕事に誇りを持って取り組んでこられた市費事務職員の方もいらっしゃるはずです。正規の職員でなければできないと言われる専門の立場からの意見や問題点の提起に対しては、十二分に対応して、改善の具体化を図られるよう、強く要望いたします。
最後に、一つだけ確認をしておきたいのですが、この学校事務量の診断の目的の中に、総資源量は変えないで資源再配分による質の充実ということで、これは子供に還元するということを先ほどおっしゃいましたけれども、このことが教育全般を指していくものか、それから、計算によると、1億 2,000万円にも上るコストで再配分可能になるお金は出ると計算してありますけれども、それは今後ずうっと続けられるものなのか、お伺いします。
また、現在もう既に民営化がなされて、コスト削減がなされました学校給食の調理部門についてのその節減された費用というものは、どのように使われているのか。そういうものは雇用創出とかの分野、例えば、知的な障害を持つ人への学校現場への雇用などということも、その考慮の余地があるものなのかどうか、そういう雇用創出の場に使われるものかどうかということについてもお聞かせください。
それから、不登校のサポーター事業についてですけれども、これは本市における不登校の課題の取り組みというものが、他県に比して決して劣らないものであることをよく承知しています。しかし、不登校の児童・生徒への対応は、先ほど教育長が言われましたように、個別のケースを的確に把握すること、子供の心に寄り添うようにゆっくりと気長に心をつないでいくこと、子供がみずからの力で気力を充実させていく過程を大切にサポートしていくことという息の長い取り組みが必要ですので、そのためには現在されていますサポート事業を一歩進めて、市の教育センターの中に専門の資格を持った方を配置した相談体制がとれないものかどうかお尋ねします。現在は、そこで相談を受けた人については、県の教育センターか、小城の方の県の施設を紹介するという方向がとられていますけれども、他県を見ますと、県都の市においては、きちんと相談体制とれるような専門の配置がなされておりますので、ぜひ保護者や児童・生徒に即対応できる体制というものを考えていただきたいと思います。お考えをお聞かせください。
高木園におけるプレールームのことですけれども、これは検討していくという答弁でございましたけれども、昨日、市長は山下議員への答弁の中で、子供を健全に育て上げる事業に力を入れることを述べられました。休日診療とか病後児施設、子育て支援のための保育児 420名の増とか、児童クラブの充実とか、障害児童の保育など、ぜひその中に母子寮の子供への遊びのカリキュラムの支援も入れてほしいと思います。検討という中に加えてほしいと、これは期待して、回答は要りません。
以上で2回目の質問を終わります。
◎白木紀好 教育部長
まず、学校事務診断に伴います経費の再配分ということでございますけれども、先ほどお答えいたしましたように、学校事務改善事業には、かなりの初期投資が必要でございます。その上に、この事業は1年で終わるものではないと思っております。日々改善が必要であるというふうに考えておりますので、市費事務職員の任用形態の変更等によって生み出された財源については、学校事務改善の最終目的でございます児童・生徒への質の高い教育の提供に必要であると思われるものについて措置できるよう、市長部局との調整を図っていきたいと考えております。
それから、学校給食に伴います経費の軽減分でございますが、ことしの4月1日の2校を含めまして現在6校、民間委託という状況になっておりますが、従来、県費の栄養士が兼務校というような形で行っておりました栄養指導等についても、佐賀市で嘱託栄養士の採用を行ったり、給食室の改修・改善工事を行っております。それから、雇用の創出という面でいきますと、委託を受けた民間会社の方で改めて調理師としての採用などが図られているかと思っております。
以上でございます。
◎迎巌 教育長
少子化、または核家族化等の要因も相まって、全国的に不登校児童・生徒は少なくなっておりません。そこで、佐賀市としましても大変苦慮をしておりますけれども、先ほど申し上げましたとおり、完全不登校の子供に対応しているサポート相談員の活動内容については、徐々に成果が上がってきているというふうに認識しております。井上議員御指摘のように、さらなる成果を上げるためには云々ということでございますので、少し詳しく御案内申し上げます。
佐賀市では、直接学校に相談できない子供や保護者のために、学校教育課内に佐賀市教育相談テレホン、少年センター内に佐賀市子ども相談テレホンを設置し、学校教育や保護者との対応について、経験、知識が豊富な相談員がいつでも相談に応じられる体制をとっています。また、少年センター内には専任指導員を4名配置し、常時、いじめや不登校などの相談に直接対応できる体制をとっております。
議員から、診断もできるような臨床心理士等の資格を持った方を配置してほしい、また窓口をということのようでございますけれども、資格を有するスクールカウンセラー、アドバイザーは各中学校区に配置しておりますし、子供や保護者の要望にこたえられるように相談日を希望に合わせるように変更したり、家庭に出向くなどの方法をとったりしております。また、同じ市内にございます佐城教育事務所の心のテレホン相談や中央児童相談所のこども・家庭 110番の活用をするとともに、中央児童相談所の指導員や佐賀県教育センターの指導相談との連携を図っていくことが大切だと考えております。
佐賀市教育委員会としましては、このサポート相談員を派遣する学校不適応児童サポート事業をさらに充実させるとともに、学校内外での相談体制の連携強化を図ってまいりたいと思っております。不登校ぎみの児童・生徒が一日でも早く復帰できるように全力を尽くさなければならないと考えております。
以上でございます。
◆井上雅子議員
3回目は、今の不登校の児童や生徒、保護者へのサポーター事業の拡充ということについて再度お尋ねいたします。
不登校の子供や親というのは、今おっしゃったように、学校にカウンセラーを配置して、そこに行くようにと言っても、学校を拒否したり、または行きづらいと感じたりしておられる方なのですから、そのためには学校じゃないところへの相談の常設の相談窓口がやっぱり必要ではないかということなんです。曜日を決めてということでは、保護者の方がなかなかできないということがありますので、これはぜひ検討をしていただきたいと思いますが、再度お考えをお聞かせください。
それから、さまざまな相談窓口があるということを今お聞きしましたが、そのことは不登校の家庭に対してすべて通知がなされているのでしょうか。不登校の子供が現在、不登校の子供を持つ親の会の方でフリースペースをつくって取り組んでおられますけれども、福岡からとか、遠くから通っている子供もいて、福岡からその学校の受け持ちの先生が訪ねてこられるとかという熱心な取り組みもあったりするようですけれども、全然来られないところもある、それから、相談窓口とかいろんなことについて聞いてみても、全然御存じないということですので、やっぱり広報が不足しているんではないかと思いますけれど、どんなふうにして広報、周知徹底をされているのか、そのことについても再度お聞かせいただきたいと思います。
以上で終わります。
◎迎巌 教育長
御質問にお答えします。
本教育委員会の学校教育課内に佐賀市教育相談テレホン、それから佐賀市少年センター内に佐賀市子ども相談テレホンを設置しておりますので、このことがひょっとしたら保護者の方に伝わっていないこともあったかもわかりませんので、早急に学校等を通しまして家族の方に連絡をしたいと思っております。
また、先ほど申し上げましたように、もし出かけられない場合は、こちらから出かけていく方法もございますので、その点につきましては最善を尽くしたいと考えております。
△散会
○福井久男 議長
本日はこれをもって散会いたします。
明日は午前10時に再会いたします。
午後3時00分 散会...