ガス給湯器、
ガス湯沸かし器。
※
カセットガスを使用するため、
ガス使用量に計数されないが、
カセットコンロもあった。
(B)
ガス器具からして
ガス使用量がゼロであることに対する
百谷議員の説明は次のとおりである。
百谷議員は、食事に関して、朝は
ドラッグストアで
菓子パンなどを買って食べ、昼は
コンビニで買って食べたり、食べなかったり、夜は
飲食店での外食が多く、自炊をしないため、ガスコンロを使用しないこと、銭湯に週2・3回行き、借家での入浴時は
水シャワーであり、節約のためガスは使用しないという
生活形態が、
ガス使用量がゼロである要因と主張している。
(C) しかし、この説明は次の理由により認められない。
ガス使用量については、
ガス給湯器、
ガス湯沸かし器などが設置されている借家でありながら、5月31日から10月5日まで、
使用量メーター値が同一で1カウントも上がっていないことが
請求書によって確認されている。この
ガス使用量がゼロであったことを正当化するために、
百谷議員が主張した「6月から10月までは
水シャワー」といった入浴方法は、真夏においても身体に厳しく、ましてや初夏にあたる6月中などは、耐え難いものと言わざるを得ない。しかも、風呂の
シャワーに関しては「ボタン一つで湯沸かしができるような形でお湯が出る」と証言しているとおり、簡単な操作でお湯を出すことができるというのにである。
また、選挙戦を乗り切るためにも健康管理に努めなければならない時期に、ガス代を節約するため
水シャワーで辛抱する人が、1回400円の銭湯には週2・3回行き、月に5千円近く使うということも、理解し難い節約感覚である。また、4カ月以上ガスを全く使わないのであるならば、基本料金を支払う必要もなく、これを節約するために、ガスは閉栓しておくものと考える。様々な
生活形態があるとは言え、オール電化の物件ではない借家でありながら、4カ月以上、その
使用量がゼロであるという
ガス使用量をして、借家での継続的な生活は、あり得ないと判断する。
(3)「A 借家の賃借及びその後の
入居状況」の検討
ア.借家等の賃貸借契約
借家は、
百谷議員本人が、平成29年5月20日に、契約期間の始期、物件の引渡し時期ともに同日とする賃貸借契約を、不動産業者と締結した。
借家における自家用車(軽自動車)の保管場所となる借家近くの月極駐車場は、
百谷議員本人が、平成29年6月1日に、契約期間の始期を同日とする賃貸借契約を、駐車場所有者と締結した。
イ.賃借後の
入居状況についての
百谷議員の証言
百谷議員は、
住民基本台帳の異動届けについて、「
住民票は、平成29年5月29日に転入、同日届出を完了した」と
弁明書や議場での弁明で説明した。
しかし、
証人尋問では、「5月20日に鍵をいただいて、翌日21日から寝泊まりという形になった」と証言した。この証言に対して「なぜ21日から生活したのであれば
住民基本台帳の転入日を21日にしなかったのか」との尋問には、「手続のことなので、手続はできるときに、基準日の3カ月より前までに済ませれば大丈夫かなということで手続はした」と証言した。
「
冷蔵庫、
電子レンジ、ダイニングテーブル、ガラステーブル、ベッド機能の足つきマットレスの購入が6月1日に集中しているのはなぜか」との尋問には、「2名の手伝ってくれる人、軽トラの段取り等があり、1日にまとめて買い集めて、引越しという意味合いも兼ねて荷物を運んだ」と証言した。
駐車場の賃貸借契約は6月1日であり、この契約以前の自家用車(軽自動車)の借家での駐車は「長時間になるがマンションの前に駐車していた」と証言した。
ウ.上記証言の不合理性
電気、ガスの開通は、
請求書によると、5月31日であった。水道に関しては、提出された記録から開栓日は確認できなかったが、
百谷議員の
弁明書や議場での弁明においては、「電気、ガス、水道の開通は、5月31日」と、水道の開通も5月31日と説明している。また、購入店舗のレシートにより、
冷蔵庫、
電子レンジ、ダイニングテーブル、ガラステーブルの購入は6月1日の夜、ベッド機能の足つきマットレスの購入は、時刻は不明であるが6月1日であったことを本
委員会が確認している。これらの家財道具は、購入した日に借家へ搬入したと
百谷議員は証言している。
百谷議員の証言の「翌日21日から寝泊まり」というのは、「かけ布団、敷き布団等、またそれ以外の小物関係だとかちょっとしたものぐらいは運んだ」という証言を信じれば、布団以外、ほとんど何にも無い、電気、ガス、水道も開通していない、夜は真っ暗で、
トイレも流せない部屋で、10日間寝泊りしたということになる。また、駐車場の賃貸借契約は6月1日であり、
百谷議員の証言では、この契約以前の自家用車(軽自動車)の駐車は「長時間になるがマンションの前に駐車していた」というものであった。マンションの入り口には、「マンション前駐車禁止」「見つけ次第警察に通報します」と大きく張り出されている。マンションの向かいは一戸建て住宅であり、隣には副区長も住んでおられる。到底、長時間路上駐車できる環境ではない。
冷蔵庫等の主要な家財道具のほとんど全てについて、「引越しという意味合いも兼ねて荷物を運んだ」と証言している搬入日は6月1日、「電気、ガス、水道の開通」は、5月31日、つまり、「引越し」作業の日の3日前、「電気、ガス、水道の開通」の日の2日前を
住民基本台帳の転入日として届出していることになる。
藤井寺市役所で平成29年5月22日に転出の届出をしたとき、
羽曳野市への転入予定日は、同日の平成29年5月22日として届出をし、1週間後の平成29年5月29日に
羽曳野市役所で転入の届出をしたときには、
羽曳野市への転入日は、届出日と同日の平成29年5月29日としている。
羽曳野市役所の住民異動届の備考欄には、「異動日 → 平成29年5月29日が正当」と市民課担当者により記載されている。
転入届の届出期間は、新しい住所に転入した日から14日以内とされており、遠方から転入してきたわけでも無いので、転入日は、藤井寺市の転出証明書に記載されている「平成29年5月22日が、正しいのではないのか?」と窓口で
百谷議員に尋ね、「5月29日でよい」との回答であったため、「異動日 → 平成29年5月29日が正当」と当時の担当者が記載したのであろうと、提出を求めた記録の提出時に、市民課職員が説明してくれた。
「基準日の3カ月より前までに済ませれば大丈夫かな」という証言のとおり、そのような認識のもと、
百谷議員は、
公職選挙法の
被選挙権の
住所要件を満たすことができる、事実に反する適当な日を転入日として届出しているものと判断する。本
委員会の所管事項ではないが、刑法第157条第1項の電磁的公正証書原本不実記録罪について、問われる状況ではないのかと思料する。
実地調査においては、
百谷議員の
弁明書や議場での弁明にあったガスコンロは設置されていなかったことを本
委員会が確認している。
実地調査時、
百谷議員から「
カセットコンロは持っているが使っていない」との説明もあった。一般常識に照らして、お湯を沸かすことが一切無いというような、そんな「生活」は考えられない。
百谷議員は、
湯沸し電気ポットを7月8日に購入した。この
湯沸し電気ポットの購入のきっかけについて、
百谷議員は、「カップラーメンを大量に持って帰ってきて、これに必要だから購入した」と証言している。
実地調査においても、借家に大量のカップラーメンが確認されていた。地元町会への加入届も7月14日であった。これらの事実からすると、借家での滞在は、7月のこの頃になって、やっと、その頻度であるとか、滞在時間が上昇していったと考えられるが、それでもその状況は「生活」と認められるものではない。しかるに、この頃より前の期間の借家での滞在は、「生活」と言うには、さらに程遠い状況であり、借家での継続的な生活は認められない。
(4)「B
所有マンション及び借家の状況」の検討
ア.
所有マンション及び借家の状況
(@)
所有マンションの状況は次のとおりであった。
◯
所有マンションで、引き続き、
百谷議員の妻子が生活している。
◯
百谷議員は、妻子の生活費、
所有マンションの住宅ローンを負担している。
◯
百谷議員は、
所有マンションの固定資産税を払い続けている。
◯
百谷議員は、
所有マンションの鍵を持ち続けている。
◯
百谷議員は、
証人尋問の中で、
所有マンションのことを「自宅」と呼ぶ証言をしている。
◯
百谷議員が「妻が全て棄ててしまっているだろう」と証言していた季節物の服や、身の回りの物、家財道具などは、妻の証言によると、
所有マンションにおいて棄てられることなく保管されている。
◯
百谷議員は、
本件選挙に出馬することを反対し、不仲となっていた妻と話し合いを持つため、妻が「よくうちに来てまして・・・」と証言したとおり、頻繁に
所有マンションに戻っていた。
◯
百谷議員は、
所有マンションに必要なものは取りに帰っている。
◯
百谷議員は、週1・2回は
所有マンションに戻り、子供とも交流している。
◯
百谷議員は、洗濯物を
所有マンションに持ち帰り、8月頃まで妻に洗濯してもらっていた。
(A) 借家の状況は次のとおりであった。
◯
百谷議員は、借家入口の集合ポストにも、玄関先にも「百谷」の表示をしていない。
◯
百谷議員は、自家用車(軽自動車)の保管場所を警察署長へ届出していない。
◯
百谷議員は、
所有マンションから借家への郵便物の転送手続きをしていない。
◯
百谷議員は、銀行預金口座の住所を
所有マンションから借家へ変更していない。
◯
百谷議員は、携帯電話の住所を
所有マンションから借家へ変更していない。
◯借家の賃貸借契約書には、「町会費」について明記されているにも関わらず、
百谷議員が地元町会への加入を申し出たのは平成29年7月であった。
◯
百谷議員は、居宅に必要であるとして借家に設置した固定電話を、
選挙事務所に移している。
◯
百谷議員は、借家での
光熱水費の
使用量が極めて低い。
イ.
所有マンション及び借家の状況に対する評価
そもそも
公職選挙法において、
市議会議員に
住所要件が必要とされているのは、その地に住み続けることにより築かれる地域との地縁的関係が深く、かつ当該自治体の事情に通じていることの必要性が求められているからである。
百谷議員は、平成29年5月29日、本市への
転入届の際に個人番号通知カードの住所変更手続きを行い、それから8日後の6月6日に、警察署において自動車運転免許証の住所変更手続きを行っている。しかし、それ以外は、生活の本拠を位置づけるための様々な住所変更手続きを行なっていないばかりか、借家には、「百谷」の表示が集合ポストにも玄関先にも全くなく、客観的に見て、そこに人が住んでいるのか、否かすら不明な状況である。転送手続きをしていないので、以前に自宅情報を登録していた様々な機関・事業所からの郵便物は、当然、
所有マンションに届く。
証人尋問において、妻との不仲を
所有マンションとの隔たりの理由として主張する場面も見られたが、8月ごろまで、妻に洗濯してもらい、綺麗になった衣類を持ち出していた。
所有マンションには、身の回りの物、家財道具などが揃ったままで、鍵も持ち続けており、必要なとき、必要なものを取りに帰っている。
所有マンションは、
百谷議員の資産であり、借家と
所有マンションは、直線でわずか1.2km、歩いてでも移動できる距離しか離れていない。
百谷議員がひとりだけ
住民票を移した後も、
所有マンションでは、妻子が引き続き生活している。
証人尋問において「毛布とかけ布団に関しては10月ぐらいやったと記憶しておるんですけども、自宅から持ってきた分になります。」(証言どおり)と証言したことからも、
百谷議員自身が、
所有マンションを「自宅」と認識している。
借家の滞在について
百谷議員は、「私の滞在時間が朝方か夜中しかいない」、「借家では自炊せず、食事は三食ともほとんど外食」、「入浴については週2・3回
水シャワー」、「
トイレは朝に1回だけ」などと証言している。全てが
信憑性に欠ける証言であり、到底肯定することなどできないが、
本件選挙前の期間に、証言どおりの日々が存在したとしても、ほとんど就寝のみに利用していた借家での滞在は「生活」と言えるものではなく、継続的な生活と認めることはできない。
百谷議員が
羽曳野市域内で
政治活動や
選挙活動を行なっていたことは承知しているが、「
所有マンション及び借家の状況」に列記した客観的事実を精査すると、借家において、地域との地縁的関係を築くような生活の状況は確認できず、
本件選挙に立候補するために
住民票を借家に移した以降も、やはり、
百谷議員の生活の本拠は
所有マンションにあり、借家は「一時的な滞在場所」であったと判断するものである。
5.審査結果
百谷議員は、
幹事長会議での説明、
弁明書、議場での弁明、1回目の
証人尋問における証言、
委員外議員としての説明、2回目の
証人尋問における証言と、尋問や質問を重ねていく度に、証言や説明を二転三転させた。
信憑性に欠ける証言ばかりで、「虚偽の陳述ではないのか」と受け止められるものも、余りに多かった。
3点の
検討項目に基づき検討を行い、評価・判断を行ったが、その全てにおいて、「借家での継続的な生活は認められない」という結果であった。確認した状況及び客観的事実を総合的に鑑みると、
百谷議員の生活に最も関係の深い
一般的生活、全生活の中心は藤井寺市の
所有マンションであり、
羽曳野市内の借家は、専ら
政治活動や
選挙活動のための「一時的な滞在」に利用されているに過ぎないものであった。その「滞在」においても、ほとんど就寝のみに利用していたという
住所要件を欠く事が明白な状況であり、生活の本拠たる実態を具備していたとは認められない。
したがって、
本件選挙執行日において、
百谷議員は、引き続き3カ月以上、
羽曳野市の区域内に住所を有していなかったものであるから、
地方自治法第127条第1項に定める「
被選挙権を有しない者」に該当すると判断するものである。
以上の決定は、去る5月10日に開催いたしました、第17回
資格審査特別委員会において、全員一致により決した次第であります。
結びに、一言、申し上げます。
そもそも本件は、平成29年9月の
羽曳野市議会議員一般選挙において、市民から、「百谷氏が
羽曳野市では
居住実態がないため、議員になる資格を有していないのではないか」との訴えが、電子メール等を介して、本
市議会へ寄せられたことに端を発します。
本
市議会として、その訴えの真相を究明し説明責任を果たすため、先ず、
幹事長会議において慎重に調査を行った結果、「
百谷孝浩議員は
被選挙権を有していなかった」と判断し、平成29年12月12日に開催されました平成29年第4回
定例会第4日目において「
百谷孝浩議員に対する議員辞職勧告決議」を全会一致で可決しました。
百谷議員は、この辞職勧告決議に従わず、
市議会議員の職を辞することなく議員活動を続ける意向を表明したことから、先ほどの報告のとおり、本
委員会は設置されました。
本
委員会委員一同は、同じ
市議会を構成する議員の身分に関わる事案の審査を行うという、重大な責任を伴う任務をまっとうするため、約5カ月間、公平性を担保しつつ、慎重かつ精力的に取り組んでまいりました。このような決定に至ったことは、大変遺憾でありますが、明確な結論を出すことこそが、
市議会の自浄能力を示し、ひいては、市民の皆さまの
市議会に対します信頼を取り戻すため、求められている姿勢であると考えております。
審査に当たりまして、ご協力をいただきました市民の皆さま、様々な記録の提出にご協力いただきました関係機関の皆さまに、改めて、厚く感謝申し上げます。
以上で、
資格審査特別委員会の
委員長報告を終わります。
議員各位の適切なる判断を願うものであります。長時間、ありがとうございました。
○議長(
樽井佳代子)
報告が終わりました。
それでは、
委員長報告に対する質疑に入ります。
質疑はありませんか。
(「なし」と呼ぶ者あり)
○議長(
樽井佳代子)
質疑を終結いたします。
百谷孝浩議員から、自己の資格について弁明したいとの申し出があります。
この際、これを許可します。
百谷孝浩議員の入場を許可します。
〔4番
百谷孝浩 入場〕
○議長(
樽井佳代子)
百谷孝浩議員に、資格についての弁明を許可します。
百谷孝浩議員
〔4番
百谷孝浩 登壇〕
◆4番(
百谷孝浩)
百谷孝浩でございます。
弁明させていただきます。
羽曳野市
市議会議長
樽井佳代子殿。
私は、
羽曳野市の地域発展を目指して、今回の選挙において
羽曳野市
市議会議員として立候補いたしました。現在、議会において、私の住民登録上の住所に
居住実態があるかが問題とされていますが、私の生活の本拠は
羽曳野市内にあり、紛れもなく
羽曳野市の住民であります。
被選挙権の要件である、引き続き3カ月以上市町村の区域内に住所を有する者に該当することは間違いありません。
確かに、妻子は藤井寺市に住んでいますので、必要に応じて藤井寺市に帰ることがあります。しかし、
羽曳野市の
市議会議員に立候補する決意をしてからは、
羽曳野市内に住居を借りて
住民票を移すとともに、私生活や
政治活動など全ての拠点として現住所で起臥しています。
私の住んでいる家について、光熱費の
使用量が少なく生活の実態がないと言われています。しかし、平成29年12月の議会で弁明しましたとおり、電気、ガス、水道については、1人で生活することのできる範囲で使用していました。私に投票してくださった1,949人の有権者の方々は、私が
羽曳野市に居住する住民として
羽曳野市のために働くことを認めてくださったからこそ、私を信頼して
市議会議員に選んでくださったのです。私には
羽曳野市にしか生活の本拠地はなく、今後とも
羽曳野市の発展のために誠心誠意働く所存です。
したがいまして、
羽曳野市に生活の本拠を有していないという理由で、
被選挙権を有しないとの
資格決定することは、事実誤認に基づく不当な議決であり、違法であります。議員の皆様方におかれましては、事実を洞察された上で、賢明なご判断をしていただくようお願いいたします。
以上です。
○議長(
樽井佳代子)
百谷孝浩議員の退席を求めます。
〔4番
百谷孝浩 退場〕
○議長(
樽井佳代子)
これより討論に入ります。
討論はありませんか。
(「なし」と呼ぶ者あり)
○議長(
樽井佳代子)
討論を終結いたします。
議員の資格を有しないとする決定については、
地方自治法第127条第1項の規定により、
出席議員の3分の2以上の者の賛成を必要といたします。
出席議員は15人であり、その3分の2以上は10人であります。
○議長(
樽井佳代子)