高槻市議会 2010-06-28
平成22年第3回定例会(第3日 6月28日)
平成22年第3回定例会(第3日 6月28日) 平成22年第3回
高槻市議会定例会会議録
平成22年6月28日(月曜日)
日程第 1 会議録署名議員の指名について
日程第 2 議案第 54号 高槻市職員の育児休業等に関する条例等中一部改正につ
いて
日程第 3 議案第 55号 高槻市市税条例中一部改正について
日程第 4 議案第 56号 高槻市火災予防条例中一部改正について
日程第 5 議案第 66号 高槻市
消防団員等公務災害補償条例中一部改正について
日程第 6 議案第 57号 高槻市営駐車場条例及び
高槻市立自転車駐車場条例中一
部改正について
日程第 7 議案第 58号 高槻市農林業の活性化に関する条例制定について
日程第 8 議案第 59号 高槻市国民健康保険条例中一部改正について
日程第 9 議案第 60号 高槻市給水条例中一部改正について
日程第10 議案第 61号 高槻市立幼稚園条例中一部改正について
日程第11 議案第 62号 高槻市立しろあと歴史館条例中一部改正について
日程第12 議案第 63号 平成22年度高槻市一般会計補正予算(第1号)につい
て
日程第13 議案第 64号 平成22年度高槻市
駐車場特別会計補正予算(第1号)
について
日程第14 議案第 65号 平成22年度高槻市水道事業会計補正予算(第1号)に
ついて
日程第15 請願第 1号 国民健康保険制度の改善を求める請願について
日程第16 議案第 68号 高槻市副市長選任につき同意を求めることについて
日程第17 議案第 67号 高槻市
消防本部庁舎改築工事請負契約締結事項中一部変
更について
日程第18 議 員 提 出 少人数学級の実現、
義務教育費国庫負担制度拡充に係る
議案第 11号 意見書について
日程第19 議 員 提 出 出産助産制度に関する意見書について
議案第 12号
日程第20 議 員 提 出 「慰安婦」問題について政府に誠実な対応を求める意見
議案第 13号 書について
日程第21 議 員 提 出 児童虐待対策の抜本的強化を求める意見書について
議案第 14号
日程第22 議 員 提 出 機能性低血糖症に係る国の取り組みを求める意見書につ
議案第 15号 いて
日程第23 市長の専決処分事項の指定に係る報告について
日程第24 平成21年度高槻市土地開発公社会計決算の提出につい
て
日程第25 平成21年度財団法人高槻市
公営施設管理公社会計決算
の提出について
日程第26 平成21年度財団法人高槻市都市交流協会会計決算の提
出について
日程第27 平成21年度財団法人高槻市緑化森林公社会計決算の提
出について
日程第28 平成21年度
高槻都市開発株式会社会計決算の提出につ
いて
日程第29 平成21年度財団法人大阪府
三島救急医療センター会計
決算の提出について
日程第30 平成21年度社会福祉法人高槻市社会福祉事業団会計決
算の提出について
日程第31 平成21年度社会福祉法人高槻市社会福祉協議会会計決
算の提出について
日程第32 平成21年度社団法人高槻市
シルバー人材センター会計
決算の提出について
日程第33 平成21年度財団法人高槻市
水道サービス公社会計決算
の提出について
日程第34 平成21年度財団法人高槻市文化振興事業団会計決算の
提出について
日程第35 一般質問について
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〇本日の会議に付した事件
日程第1から日程第35まで
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〇出席議員(35人)
1番 吉 田 忠 則 議 員 2番 吉 田 章 浩 議 員
3番 岡 糸 恵 議 員 4番 蔵 立 真 一 議 員
5番 太 田 貴 子 議 員 6番 川 口 洋 一 議 員
7番 野々上 愛 議 員 8番 宮 本 雄一郎 議 員
9番 強 田 純 子 議 員 10番 北 岡 隆 浩 議 員
11番 岡 田 みどり 議 員 12番 吉 田 稔 弘 議 員
13番 灰 垣 和 美 議 員 14番 奥 田 美智子 議 員
15番 山 口 重 雄 議 員 16番 橋 本 紀 子 議 員
17番 中 浜 実 議 員 18番 岡 本 茂 議 員
19番 勝 原 和 久 議 員 20番 小 西 弘 泰 議 員
21番 三 本 登 議 員 22番 角 芳 春 議 員
23番 岩 為 俊 議 員 24番 藤 田 頼 夫 議 員
25番 稲 垣 芳 広 議 員 26番 久 保 隆 議 員
27番 福 井 浩 二 議 員 28番 根 来 勝 利 議 員
29番 中 村 玲 子 議 員 30番 二 木 洋 子 議 員
31番 小 野 貞 雄 議 員 32番 源 久 忠 仁 議 員
33番 久 保 隆 夫 議 員 34番 (欠 員)
35番 池 下 節 夫 議 員 36番 大 川 肇 議 員
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〇説明のため出席した者の職氏名
市長 奥 本 務 副市長 清 水 怜 一
副市長 石 井 克 尚
教育委員会委員長職務代理者
桐 山 一 子
教育長 一 瀬 武 自動車運送事業管理者 山 本 政 行
水道事業管理者 倉 橋 隆 男 政策統括監兼市長公室長 渡 邉 泰 之
総務部長 小 林 孝 之 財務部長 乾 博
市民参画部長 隈 部 英 幸 保健福祉部長 三 宅 清 道
子ども部長 古 村 保 夫 建設部長 北 口 悦 男
都市産業部長 小 林 守 環境部長 上 野 和 夫
会計管理者 角 谷 秀 文 教育管理部長 四 宮 明 男
教育指導部長 山 岡 利 夫 地域教育監 森 田 克 行
消防長 山 本 正 憲
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〇議会事務局出席職員氏名
事務局長 南 部 和 正 事務局次長兼庶務課長 野 島 眞 人
議事課長 柳 田 雅 幸 議事課主査 山 田 清 好
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〇会議録署名議員
1番 吉 田 忠 則 議 員 32番 源 久 忠 仁 議 員
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〔午前10時 0分 開議〕
○議長(久保 隆) ただいまから平成22年第3回高槻市議会定例会の本日の会議を開きます。
ただいまの出席議員数は35人です。
したがって、会議は成立します。
日程第1、会議録署名議員の指名を行います。
会議録署名議員は、会議規則第81条の規定により、議長において吉田忠則議員及び源久忠仁議員を指名します。
ここで、市長から行政報告があります。
〔市長(奥本 務)登壇〕
○市長(奥本 務) 早速ではありますが、議事に先立ちまして、貴重なお時間をいただき、ありがとうございます。一言ご報告を申し上げます。
生活福祉課におきます、架空の保護世帯をつくり上げるなど、不正な手続を行うことにより、1,000万円を超える公金支出を行ったとする生活保護費の不適正支出の件ですが、6月25日、本件の当事者である生活福祉課職員を、有印公文書偽造・同行使及び詐欺罪で告訴するとともに、同日、懲戒免職といたしました。こうした不祥事を起こしましたこと、市政に対する市民の信頼を著しく損ないましたことを、心からおわび申し上げます。
今後、事件の全容につきましては、この事件を調査する組織として、生活保護費不適正支出調査等委員会を立ち上げており、現在、この委員会を中心にして、全容解明と再発防止に向け、調査を行っているところです。また、警察の捜査に全面的に協力するとともに、全容の解明に全力を挙げ、事件の解決に向け、厳正に対処してまいります。全職員に対しましても、改めて市民の信頼を確保するため、厳正な服務規律の確保と、一層の職務に係る倫理の保持に努めてまいりたいと考えております。
以上、まことに簡単ではありますが、よろしくお願いいたします。
○議長(久保 隆) 市長の行政報告は終わりました。
お諮りします。
日程第2、議案第54号から日程第15、請願第1号に至る14件は、いずれも委員長の報告ですので、以上14件を一括議題としたいと思います。これに異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(久保 隆) 異議なしと認めます。
したがって、以上14件を一括議題とすることに決定しました。
以上の14件については、6月15日の会議におきまして、それぞれ所管の委員会に付託され、いずれも休会中に審査を終了されています。
これより所管の審査事件について、各委員長から審査の経過並びに結果の報告を求めます。
なお、各委員会の審査並びに結果については、委員会審査結果報告書をお手元に配付しています。
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議案・議事関係書類綴 90ページ参照
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○議長(久保 隆) まず、総務消防委員会委員長の報告を求めます。
〔灰垣和美議員登壇〕
○(灰垣和美議員) おはようございます。
総務消防委員会委員長報告を申し上げます。
平成22年6月15日 第3回高槻市議会定例会において本委員会に付託されました休会中の審査事件、議案5件について、6月18日午前10時から委員会を開き、審査しました。
これより、審査経過の概要及び結果の報告を申し上げます。
まず、議案第54号 高槻市職員の育児休業等に関する条例等中一部改正については、育児休業の取得条件を緩和することや3歳未満の子を養育する職員に対する超過勤務の免除など、仕事と子育ての両立を支援する今回の条例改正は評価できるものであるが、高槻市特定事業主行動計画の中では、非常勤職員への次世代育成支援対策の取り組みも書かれており、今回の条例改正を受け、非常勤職員へはどのように対応していくのか、とただしたところ、非常勤職員は条例の適用者ではないので、今回の条例改正の対象者にはならないが、要綱の改正をもって、例えば、短期介護休暇制度の導入や、子の看護休暇の取得要件等の拡大などを図っていきたいと考えている、との答弁があり、採決の結果、全員賛成で原案のとおり可決されました。
次に、議案第55号 高槻市市税条例中一部改正については、今回の税制改正で、たばこ税が1本当たり3.5円の大幅な引き上げになるが、市税にどのような影響があると考えているのか、とただしたところ、たばこの販売本数は全国的に減少傾向にあり、近年は毎年4~5%程度販売本数が減少している状況である。今回の改正で国は、販売本数が25%程度落ち込むと見ており、本市としても、たばこ税率が引き上げられても、販売本数が落ち込むため、たばこ税の増収にはつながらないと予測している、との答弁があり、採決の結果、全員賛成で原案のとおり可決されました。
次に、議案第56号 高槻市火災予防条例中一部改正について、議案第66号 高槻市
消防団員等公務災害補償条例中一部改正について、及び、議案第63号 平成22年度高槻市一般会計補正予算(第1号)所管分について、以上3件は、採決の結果、いずれも全員賛成で原案のとおり可決されました。
以上、報告を申し上げます。
平成22年6月28日
総務消防委員会委員長 灰 垣 和 美
以上でございます。
○議長(久保 隆) 委員長の報告は終わりました。
これから、ただいまの委員長報告に対する質疑に入ります。
〔「な し」と呼ぶ者あり〕
○議長(久保 隆) 質疑はないようです。
次に、建環産業委員会委員長の報告を求めます。
〔吉田稔弘議員登壇〕
○(吉田稔弘議員)
建環産業委員会委員長報告を申し上げます。
平成22年6月15日 第3回高槻市議会定例会において本委員会に付託されました休会中の審査事件、議案4件について、6月17日午前10時から委員会を開き、審査しました。
これより、審査経過の概要及び結果の報告を申し上げます。
まず、議案第57号 高槻市営駐車場条例及び
高槻市立自転車駐車場条例中一部改正について申し上げます。
駐車場・駐輪場施設の指定管理者の指定期間が平成22年度末をもって終了することを機会に、市直営の高槻駅北地下駐車場についても指定管理者制度を導入しようとするものであるが、指定管理者制度導入から5年経過する、この間、他の施設における効果の検証及び利用者のモニタリング結果をどのように把握しているのか、とただしたところ、四半期ごとの利用状況報告とともに、年1回、指定管理者施設評価表により、適切な業務の履行やサービスの提供、利用者の満足度への取り組み等について評価を行うことで、効果の検証を行っており、この結果はホームページにおいて公表している。利用者のモニタリングについては、指定管理者に対し、指定期間中最低1回は利用者アンケートを実施するよう指導しており、実施の結果、利用者の声として、おおむね好意的な意見が多かったと報告を受けている、との答弁がありました。
次に、正月三が日は閉所している施設があるが、利用者のニーズなども考慮して、柔軟な対応をする必要があるのではないか、とただしたところ、現行では、必要があれば、指定管理者は市長の承認を得て、入退場日を変更できることになっているが、今後、利用者ニーズ、指定管理者の意見も聞く中で、条例上の位置づけも含めて検討課題としたい、との答弁がありました。
このほか、指定管理者制度は公募と特定事業者を選定する方法とがあるが、指定期間が終了するこの機会に、市の出資法人の役割も考慮に入れて、特定事業者と公募による民間委託との比較検討をし、十分精査した上で次年度の対応をしてほしい、との要望、あるいは、当該施設の運営形態を判断するには、これまでの指定管理者制度の総括がまず必要であるが、総括がされていない中で、直営のものを指定管理に変更するべきかは判断できないことから、当該条例案には賛成できない、との意見もありました。
本件については、採決の結果、多数賛成で原案のとおり可決されました。
次に、議案第58号 高槻市農林業の活性化に関する条例制定について申し上げます。
まず、現在、策定している農林業振興ビジョンを本条例に規定する基本計画とみなすとのことであるが、この農林業振興ビジョンは策定してから既に5年経過しており、この条例制定の機会にビジョンの見直しが必要ではないか、とただしたところ、農林業振興ビジョンの見直しは考えていないが、条例制定に伴って設ける農林業活性化審議会で種々の議論を願い、それぞれの地域の実情に即した事業展開をしていきたいと考えている、との答弁がありました。
これに対し、具体的かつ実効的な事業展開をするためにも、市内の農林業の実態を踏まえた審議会委員の構成が重要になるが、委員の選任では、団体等のトップの方ばかりでなく、若い方も選んでほしい、との要望、また、地産地消の推進及び食の安全という観点から、消費者の視点も大切にしてほしい、との要望がありました。
次に、市街地農地の保全の観点から、土地改良事業等への補助の拡充及び生産緑地のさらなる指定をいかに行っていくのか、とただしたところ、土地改良事業等への補助率拡充については、財政状況が厳しく、現状では困難であることから、現行制度の効率的な運用で対応していきたい。また、生産緑地の指定に関しては、今回の条例提案を契機として、改めて関係課と連携して周知を図っていきたい、との答弁がありました。
なお、当該条例案は、パブリックコメントに関する指針に反し、パブリックコメントを実施することなく条例提案しており、条例の趣旨は理解できるが、手続に瑕疵があるため賛成できない、との意見もありました。
本件については、採決の結果、多数賛成で原案のとおり可決されました。
次に、議案第63号 平成22年度高槻市一般会計補正予算(第1号)所管分について申し上げます。
土木費 土木管理費 交通安全対策費 補償補填及び賠償金に関し、高槻駅北地下駐車場・自転車駐車場の管理費の請求に関する訴訟において、最高裁で上告が棄却されたことで補正に至っており、やむを得ないとも思えるが、今後さらに負担係数を変えられることがあれば、当初の負担係数を踏まえて当該施設の回数駐車券割引率を決めている以上、当然に回数駐車券の割引についても再検討する必要があるのではないか、とただしたところ、判決において、これ以上の引き上げは、収益に関係なく、社会通念上容認されていないとされており、当事者同士、判決を尊重し合うとの意思確認もあることから、さらなる変更はないと思われるが、仮に負担割合の引き上げをさらに求めてくる場合は、回数駐車券の割引率の変更または廃止を含めて検討していきたい、との答弁がありました。
このほか、当該駐車場の取得は再開発組合からの強い要望を受け、再開発事業の成立を支える上で、やむなく本市が取得を検討するに至った経緯が判決において考慮されておらず、遺憾である、との意見もありました。
本件については、採決の結果、全員賛成で原案のとおり可決されました。
次に、議案第64号 平成22年度高槻市
駐車場特別会計補正予算(第1号)について申し上げます。
高槻駅北地下駐車場2階の床からの漏水による階下での対物事故において、漏水原因及び責任の所在をただしたところ、経年劣化により駐車場の床にコンクリート特有のひび割れが生じ、そこからの漏水が原因であり、市が取得した床において漏水が起きたという点では、市に責任があると考える。なお、こちらの原因でないと思われる分については、管理組合と適切に話し合って対応していきたい、との答弁がありました。
本件については、採決の結果、全員賛成で原案のとおり可決されました。
以上、報告を申し上げます。
平成22年6月28日
建環産業委員会委員長 吉 田 稔 弘
以上です。
○議長(久保 隆) 委員長の報告は終わりました。
これから、ただいまの委員長報告に対する質疑に入ります。
〔「な し」と呼ぶ者あり〕
○議長(久保 隆) 質疑はないようです。
次に、福祉企業委員会委員長の報告を求めます。
〔橋本紀子議員登壇〕
○(橋本紀子議員)
福祉企業委員会委員長報告を申し上げます。
平成22年6月15日 第3回高槻市議会定例会において本委員会に付託されました休会中の審査事件、議案3件、請願1件について、6月17日午前10時から委員会を開き、審査しました。
これより、審査経過の概要及び結果の報告を申し上げます。
まず、議案第59号 高槻市国民健康保険条例中一部改正については、今回の条例改正で、現行の基礎賦課限度額47万円を、毎年1万円ずつ引き上げ、最終的に平成24年度以降は50万円とすることは、中間所得層の負担軽減にはなるが、賦課総額は変わらないため、国民健康保険会計の健全化にはつながらない。収納率の向上や医療費の適正化など市レベルでの努力はこれまでも行っていることからも、国保会計の健全化を図るため国の負担をふやすなどの抜本的な改善を国に対し強く求めてほしい、との要望があり、採決の結果、多数賛成で原案のとおり可決されました。
次に、議案第60号 高槻市給水条例中一部改正について申し上げます。
新しい水道料金体系について、府営水の値下げに伴う利用者への還元率を約48%とした理由についてただしたところ、府営水の値下げに伴う還元率は、今後も給水量の減少により収入の減少が予測されることや、大冠浄水場を初めとする施設の更新や耐震化による事業費用の増加を考慮して決定した。今回以上の還元を行うと、かえって経営基盤が弱体化すると考えている、との答弁がありました。
これに対し、今後の必要な事業費を差し引いた残りを市民へ還元するという考えは、経営姿勢として問題がある。市民の視点で考えるならば、今後の費用負担の中身をもっと具体的に示して市民へ説明すべきである、との指摘がありました。
このほか、新しい料金体系は、現行に比べると使用水量によって値下げ幅に差があり、必ずしも使用水量の低いほうが大きく値下げされるわけではない。使用水量の低い利用者の中には、節水意識の高い方や高齢者のひとり世帯も多いことからも、使用水量の低い利用者ほど大きく値下げされるように配慮した料金体系にしてほしい、との要望もありました。
本件については、採決の結果、多数賛成で原案のとおり可決されました。
次に、議案第65号 平成22年度高槻市水道事業会計補正予算(第1号)については、採決の結果、全員賛成で原案のとおり可決されました。
次に、請願第1号 国民健康保険制度の改善を求める請願について申し上げます。
冒頭、請願に関し、審査の参考とするため、理事者の意見を求めたところ、本市の国民健康保険料は、府下の他市と比べても、非常に低い水準に設定している。また、所得に応じた保険料を設定していることや、今定例会において非自発的失業者に対する軽減制度を提案するなど、軽減制度の拡充にも努めている。出費がかさんだ場合における保険料の減免制度については、被保険者の支出は一時的なことも多く、支出の用途が保険料を減免すべき相当の理由に当たるかを認定することは困難であると考えている。保険料の負担が困難な被保険者に対しては、きめ細かな納付相談や分納による納付を行うなど柔軟な対応をしている。また、後期高齢者医療制度の廃止については、自治体の意見を十分に尊重して検討するよう全国市長会を通じて要望しており、今後とも国の動向を注視するとともに、適宜適切に対応していく。保険料の収納率等による国庫支出金の減額についても、従前から全国市長会等を通じて、国等に要望しており、今後とも粘り強く継続していく、との意見表明がありました。
これに対して委員からは、後期高齢者医療制度の廃止や国庫支出金の減額について、市はこれまでも国等に対して要望しているとのことであり、この請願の趣旨は市の取り組みを後押しするものである、との指摘の上、保険料の減免制度の拡充は収納率の向上につながることからも、減免を受けられる人がふえるように改善すべきである、として請願に賛同する意見。一方、平成9年度以降は保険料の引き上げをしていないことや、所得に応じた保険料の設定、きめ細かな納付相談や分納による対応など、市の取り組みも一定評価できる。また、後期高齢者医療制度はすでに廃止に向けて動いているため、今後は国の動向に注視し、廃止後の制度設計について議論すべきである、としてこの請願には賛成できない、との意見表明もありました。
本件については、採決の結果、少数賛成により不採択とすることに決しました。
以上、報告を申し上げます。
平成22年6月28日
福祉企業委員会委員長 橋 本 紀 子
以上でございます。
○議長(久保 隆) 委員長の報告は終わりました。
これから、ただいまの委員長報告に対する質疑に入ります。
〔「な し」と呼ぶ者あり〕
○議長(久保 隆) 質疑はないようです。
次に、文教市民委員会委員長の報告を求めます。
〔奥田美智子議員登壇〕
○(奥田美智子議員) 文教市民委員会委員長報告を申し上げます。
平成22年6月15日 第3回高槻市議会定例会において本委員会に付託されました休会中の審査事件、議案3件について、6月18日午前10時から委員会を開き、審査しました。
これより、審査経過の概要及び結果の報告を申し上げます。
まず、議案第61号 高槻市立幼稚園条例中一部改正については、採決の結果、全員賛成で原案のとおり可決されました。
次に、議案第62号 高槻市立しろあと歴史館条例中一部改正については、今城塚古代歴史館の中の地域情報室について、高槻の魅力を発信していくとのことであるが、この施設は全国的にも意義のある、歴史的にも評価される施設であり、高槻を訪れた方々がほかの高槻の魅力あるところを見てもらえるような、また高槻に来たいと思えるような情報をぜひ発信してほしい、との要望があり、採決の結果、全員賛成で原案のとおり可決されました。
次に、議案第63号 平成22年度高槻市一般会計補正予算(第1号)所管分について申し上げます。
まず、教育費 教育総務費 研修指導費に関し、第四中学校区をモデル校とする研究開発学校制度について、この事業は3年間の委託事業であり、平成25年度からは市内全校で小中一貫教育を実施するとのことであるが、今回の研究内容はどのようなものか、また、その成果をどのように生かしていくのか、とただしたところ、研究内容は、4・3・2制の発達段階に応じた小、中学校連携による9年間を見通したカリキュラムに関する研究や指導法の研究開発を進めていくことになっており、この研究の中で9年間のカリキュラムや指導方法の創意工夫等が期待されるが、平成25年度以降は、この研究成果を各中学校区でそれぞれの実態に合わせて活用していくとのことで、学習指導及び生徒指導上の課題等の改善に生かしていきたいと考えている、との答弁がありました。
これに対し、小中一貫教育の実施に伴う教員の負担増が想定されること、中1ギャップなどの課題については不登校支援員等の充実や、少人数授業の実施といった教育環境の充実が必要であると思われ、この補正予算には賛成できない、との意見表明もありました。
次に、教育費 中学校費 学校管理費に関し、耐震改修実施設計について、2次診断結果をどのように保護者や生徒に説明しているのか、とただしたところ、昨年度の診断結果については学校へ通知するとともに、ホームページ等での公表を行っているが、子どもたちや保護者個々への通知は行っていない。個別に問い合わせがあれば、内容の説明など丁寧な対応を考えている、との答弁がありました。
これに対し、第八中学校では、耐震診断、実施設計、耐震化工事が3年にまたがって実施されているが、この経験を生かして、耐震化完了までの期間を短縮し、少しでも早く子どもたちが安全に学べるような環境を整えてほしい、との要望がありました。
本件については、採決の結果、多数賛成で原案のとおり可決されました。
以上、報告を申し上げます。
平成22年6月28日
文教市民委員会委員長 奥 田 美智子
以上でございます。
○議長(久保 隆) 委員長の報告は終わりました。
これから、ただいまの委員長報告に対する質疑に入ります。
〔「な し」と呼ぶ者あり〕
○議長(久保 隆) 質疑はないようです。
以上で委員長報告に対する質疑を終結します。
お諮りします。
以上14件については、直ちに採決することに異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(久保 隆) 異議なしと認めます。
したがって、以上14件については、直ちに採決することに決定しました。
ただいまから採決します。
議案第54号 高槻市職員の育児休業等に関する条例等中一部改正について、本件に対する委員長の報告は原案可決です。本件は委員長の報告のとおり決することに賛成の方は挙手を願います。
〔賛成者挙手〕
○議長(久保 隆) 全員賛成と認めます。
したがって、議案第54号は原案のとおり可決されました。
議案第55号 高槻市市税条例中一部改正について、本件に対する委員長の報告は原案可決です。本件は委員長の報告のとおり決することに賛成の方は挙手を願います。
〔賛成者挙手〕
○議長(久保 隆) 全員賛成と認めます。
したがって、議案第55号は原案のとおり可決されました。
議案第56号 高槻市火災予防条例中一部改正について、本件に対する委員長の報告は原案可決です。本件は委員長の報告のとおり決することに賛成の方は挙手を願います。
〔賛成者挙手〕
○議長(久保 隆) 全員賛成と認めます。
したがって、議案第56号は原案のとおり可決されました。
議案第66号 高槻市
消防団員等公務災害補償条例中一部改正について、本件に対する委員長の報告は原案可決です。本件は委員長の報告のとおり決することに賛成の方は挙手を願います。
〔賛成者挙手〕
○議長(久保 隆) 全員賛成と認めます。
したがって、議案第66号は原案のとおり可決されました。
議案第57号 高槻市営駐車場条例及び
高槻市立自転車駐車場条例中一部改正について、本件に対する委員長の報告は原案可決です。本件は委員長の報告のとおり決することに賛成の方は挙手を願います。
〔賛成者挙手〕
○議長(久保 隆) 多数賛成と認めます。
したがって、議案第57号は原案のとおり可決されました。
議案第58号 高槻市農林業の活性化に関する条例制定について、本件に対する委員長の報告は原案可決です。本件は委員長の報告のとおり決することに賛成の方は挙手を願います。
〔賛成者挙手〕
○議長(久保 隆) 多数賛成と認めます。
したがって、議案第58号は原案のとおり可決されました。
議案第59号 高槻市国民健康保険条例中一部改正について、本件に対する委員長の報告は原案可決です。本件は委員長の報告のとおり決することに賛成の方は挙手を願います。
〔賛成者挙手〕
○議長(久保 隆) 多数賛成と認めます。
したがって、議案第59号は原案のとおり可決されました。
議案第60号 高槻市給水条例中一部改正について、本件に対する委員長の報告は原案可決です。本件は委員長の報告のとおり決することに賛成の方は挙手を願います。
〔賛成者挙手〕
○議長(久保 隆) 全員賛成と認めます。
したがって、議案第60号は原案のとおり可決されました。
議案第61号 高槻市立幼稚園条例中一部改正について、本件に対する委員長の報告は原案可決です。本件は委員長の報告のとおり決することに賛成の方は挙手を願います。
〔賛成者挙手〕
○議長(久保 隆) 全員賛成と認めます。
したがって、議案第61号は原案のとおり可決されました。
議案第62号 高槻市立しろあと歴史館条例中一部改正について、本件に対する委員長の報告は原案可決です。本件は委員長の報告のとおり決することに賛成の方は挙手を願います。
〔賛成者挙手〕
○議長(久保 隆) 全員賛成と認めます。
したがって、議案第62号は原案のとおり可決されました。
議案第63号 平成22年度高槻市一般会計補正予算(第1号)について、本件に対する委員長の報告は原案可決です。本件は委員長の報告のとおり決することに賛成の方は挙手を願います。
〔賛成者挙手〕
○議長(久保 隆) 多数賛成と認めます。
したがって、議案第63号は原案のとおり可決されました。
議案第64号 平成22年度高槻市
駐車場特別会計補正予算(第1号)について、本件に対する委員長の報告は原案可決です。本件は委員長の報告のとおり決することに賛成の方は挙手を願います。
〔賛成者挙手〕
○議長(久保 隆) 全員賛成と認めます。
したがって、議案第64号は原案のとおり可決されました。
議案第65号 平成22年度高槻市水道事業会計補正予算(第1号)について、本件に対する委員長の報告は原案可決です。本件は委員長の報告のとおり決することに賛成の方は挙手を願います。
〔賛成者挙手〕
○議長(久保 隆) 全員賛成と認めます。
したがって、議案第65号は原案のとおり可決されました。
請願第1号 国民健康保険制度の改善を求める請願について、本件に対する委員長の報告は不採択です。
したがって、請願第1号に対して採決します。
本請願については、採択することに賛成の方は挙手を願います。
〔賛成者挙手〕
○議長(久保 隆) 少数賛成と認めます。
したがって、請願第1号は不採択とすることに決定しました。
ただいまから市長の報告があります。
〔市長(奥本 務)登壇〕
○市長(奥本 務) お許しをいただきまして、ご報告を申し上げます。
本市副市長として、市政推進にご尽力いただいてまいりました石井克尚氏が6月30日付をもって退任され、国土交通省に帰任されることになりました。
石井副市長には、平成20年4月に国土交通省から本市にお迎えし、市の重要施策である道路網、交通環境の整備やJR高槻駅北東地区市街地整備など都市機能の充実にご奮闘いただき、また、古曽部防災公園の整備や、校舎を初めとする公共施設の耐震化、食育の推進など、安全・安心のまちづくりや、子育て、教育、食育の取り組みにご精励いただいたところです。
これまでの石井氏のご尽力と数々の業績に対し、本席をおかりいたしまして、心から感謝を申し上げる次第でございます。ご退任の後も、郷土高槻の発展のため、ご支援、ご教示を賜りますようお願い申し上げますとともに、なお一層ご健勝にてご活躍いただきますよう心からお祈り申し上げまして、まことに簡単ではございますが、ご報告とさせていただきます。
○議長(久保 隆) 市長の報告は終わりました。
ただいまより、石井副市長から6月30日をもって副市長を退任することについて、あいさつがあります。
〔副市長(石井克尚)登壇〕
○副市長(石井克尚) 副市長の退任に当たりまして、少々お時間をいただきまして、ごあいさつと御礼を申し上げたいと思います。
先ほど市長からご報告がありましたとおり、6月30日付で高槻市を辞任し、国土交通省に戻ることになりました。世の中は大変大きく動いているところでございまして、私の帰る場所がなくなってしまうんではないかと、正直どきどきしておりましたが、何とかまだ国土交通省のほうは残っておりました。
ご存じのとおり、私は転勤族でございまして、この副市長を2年と3か月過ごさせていただきましたが、実は、同一のポストで同じ席に座っていた最長期間を更新しております。皆さんにとっては短かったかもしれませんが、私にとっては、大変長い間、この若輩の身である私に対しまして、ご指導、ご鞭撻いただきました市議会議員の皆様、また、奥本市長初め理事者、部長の皆様には、厚く御礼を申し上げたいと、このように思っております。ありがとうございました。
副市長の仕事は大変幅が広うございまして、これまでは道路と河川の行政に携わっておりましたが、これに加えまして、都市政策、建築、農業、ごみ処理、教育、そして、窓口での市民サービス、また、地域でのお祭りまで、多種多様な仕事を経験させていただきました。そして、市議会のこのようなシステム、これを経験できたことが、今後の国に帰りましての仕事の進め方にとっては、本当にいい勉強になったと、このように思っている次第でございます。
これまでの思い出のすべてを語り出しますと、会期の延長をお願いしなければいけなくなりますので、二、三ほど印象に残った内容をお話しさせていただきたいと思います。
まず1つに、こちらに赴任しました年の8月に、高槻でゲリラ豪雨が発生しました。私は全国各地飛び回っておりますが、その地、その地で災害に遭っていたもんですから、高槻はそうならなければいいなと思っていたところに、このゲリラ豪雨ということで、100軒以上の浸水被害が出るという厳しい被害がありました。国道171号が冠水をしてしまいまして、市役所から現場に急行することができなかった、行政の無力さ、これを痛感するとともに、日々の備え、それも市民の方々の日々の備え、これをどのように担保していくのかということの大切さを改めて実感した次第でございます。
2つ目に、JR北東地区の開発についてでございます。長引く不況にあおりを受けまして、民間投資がどんどん見る見るうちに冷え込んでいく中、なかなかスケジュールどおりに進まない。こういう中で、官民一体となりまして、何とか踏ん張って、今少しずつ形が見えてきたと思います。市民の皆様にとっては、大変時間がかかっているというようにとられるかもしれませんが、昨今のさまざまな駅前開発を見ていますと、異例のスピードで進んでいるんではないかというふうに思った次第でございます。
3点目、最後に、小、中学校の耐震対策でございます。40年、50年前に一気に整備をされた学校が一気に老朽化をしているというこの状況の中で、72棟もの耐震診断、耐震対策をいかに早期に済ませるか、そして耐震対策に結びつけるかという非常に大きな課題を突きつけられました。文部科学省、国土交通省はもちろん、判定機関にも直接出向き、さまざまな角度から検討させていただく中で、行政への市民が持つ安全に対する要請と、構造技術の技術者不足、それから、建築基準法の改正に伴う耐震判定の長期化など、要請と現実のギャップに非常に悩んだことを記憶しております。今年度、第八中学校で耐震工事がスタートします。皆様もお感じになられているかもしれませんが、私にとっては非常に感慨深いものがございました。
印象に残った仕事を挙げると切りがないので、ここら辺でとどめますけれども、いずれも、市長のぶれのない方針のもと、職員の皆様と意思疎通を図りながら、時には激しく意見をぶつけ合いながら、また、議員各位の的確なアドバイスもいただきながら、何とか努め上げることができたのではないかと、このように思っている次第でございます。何より、高槻市民の代表である議員の皆様の厳正なチェックのもとで、長く健全な財政運営を続けられてきたことが、この不況長引く厳しい時代にあって、思い切って大きな仕事をさせていただいたと、この幸運をあずかったことを大変ありがたく思っている次第でございます。
市役所の仕事には終わりはございません。まだやり残したこともたくさんございますが、転勤先からも、陰ながら生まれ育った高槻のことを応援してまいりたいと、このように思っております。また、霞が関に戻りますが、市役所と比べて殺伐とした非常にすさんだ職場でございますけれども、東京にお越しの際は、ぜひ勇気を持ってお立ち寄りをいただければと、このように思う次第でございます。
最後にもう一言、皆様に深く、深く感謝を申し上げまして、退任のごあいさつとさせていただきます。本当にありがとうございました。(拍手)
○議長(久保 隆) あいさつは終わりました。
議長から石井副市長の退任について、一言ごあいさつを申し上げます。
石井副市長におかれましては、平成20年4月に副市長として就任され、国において培われてきました経験と知識を大いに発揮し、交通環境の整備や市街地の整備を通じた都市機能の充実を初め、中核市高槻市の市政推進に尽力してこられました。
この間、JR高槻駅北東地区の市街地整備、新名神高速道路関連のアクセス道路や都市計画道路の整備推進、企業立地の促進などの産業振興、また、小、中学校の校舎を初めとした公共施設の耐震化など、ご苦労が多かったことと思います。
石井副市長のご苦労をねぎらいますとともに、心から敬意を表する次第でございます。
まだ退任まで日はございますが、退任された後もご自愛いただきまして、本市市政の発展のためにお力添えを賜りますよう、お願いを申し上げ、簡単ではございますが、ごあいさつとさせていただきます。
ありがとうございました。
日程第16、議案第68号 高槻市副市長選任につき同意を求めることについてを議題とします。
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議案・議事関係書類綴 74ページ参照
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○議長(久保 隆) 提案理由の説明を求めます。
〔市長(奥本 務)登壇〕
○市長(奥本 務) ただいま議題に供されました議案第68号 高槻市副市長選任につき同意を求めることにつきまして、提案理由のご説明を申し上げます。
市政発展のためご尽力をいただいてまいりました石井副市長が、今月30日をもって退任されることとなり、先ほど退任のあいさつをされたところでございますが、その後任といたしまして、現在、政策統括監兼市長公室長を務めておられます渡邉泰之氏を選任いたしたく、ご提案申し上げるものでございます。
渡邉氏は、昭和47年11月13日生まれの37歳のお方で、市内古曽部町2丁目にお住まいでございます。ご経歴等につきましては、議員各位既にご承知のことと存じますが、同氏は、慶應義塾大学法学部を卒業後、同大学院に進まれ、法学研究科修士課程を修了後、平成10年4月に総務省に奉職されました。入省後は、総務省大臣官房企画課係長を経て、長期在外研究員として米国コロンビア大学での専門能力の習得や、国際的視野を培われた後、郵政民営化や行政改革、国家公務員制度改革等に携わり、ご活躍されました。平成21年4月からは、本市の政策統括監兼市長公室長として、市長公室、総務部及び財政課を所管され、本市の行財政運営や政策の推進にご尽力いただいてまいりました。人格、識見ともに秀でたお方で、同氏には、これまでの行政経験を生かし、的確な判断力を持って、本市副市長として、円滑な市政運営を中核市高槻のさらなる飛躍と充実に向け、大いに手腕を振るっていただけるものと確信しております。
よろしくご審議の上、ご同意賜りますようお願い申し上げまして、提案理由の説明とさせていただきます。
○議長(久保 隆) 提案理由の説明は終わりました。
お諮りします。
本件については質疑並びに委員会付託を省略し、直ちに採決することに異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(久保 隆) 異議なしと認めます。
したがって、本件については質疑並びに委員会付託を省略し、直ちに採決することに決定しました。
ただいまから採決します。
議案第68号 高槻市副市長選任につき同意を求めることについては、これに同意することに賛成の方は挙手を願います。
〔賛成者挙手〕
○議長(久保 隆) 多数賛成と認めます。
したがって、議案第68号は、これに同意することに決定しました。
ここで、ただいま、副市長に選任同意されました渡邉泰之政策統括監からあいさつがあります。
〔政策統括監兼市長公室長(渡邉泰之)登壇〕
○政策統括監兼市長公室長(渡邉泰之) 皆様、改めまして渡邉でございます。先ほどは、副市長選任につきましてご同意賜りまして、まことにありがとうございました。
昨年の4月から総務省よりこちらに参りまして、政策統括監兼市長公室長として、1年余り、微力ながら高槻市のために努力してまいりました。今回、副市長という大役をいただきましたが、高槻市政のさらなる発展に向けて、奥本市長を支えながら粉骨砕身頑張ってまいりたいと思っております。まだまだ地方行政については不勉強なところが多く、議員の皆様のご指導、ご鞭撻を賜りながら、一生懸命勉強してまいる所存でございますので、議員の皆様には、何とぞ引き続きよろしくお願いいたします。
以上、まことに簡単ではございますが、あいさつとさせていただきます。本日はありがとうございました。
○議長(久保 隆) あいさつは終わりました。
日程第17、議案第67号 高槻市
消防本部庁舎改築工事請負契約締結事項中一部変更についてを議題とします。
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議案・議事関係書類綴 75ページ参照
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○議長(久保 隆) 提案理由の説明を求めます。
〔財務部長(乾 博)登壇〕
○財務部長(乾 博) ただいま議題に供されました議案第67号 高槻市消防本部庁舎改築工事変更契約につきまして、ご説明を申し上げます。
本件工事請負契約につきましては、昨年12月定例会初日にご議決を賜り、東洋株木土屋共同企業体と契約し、施工いたしているものでございます。
今般、庁舎棟の山どめ工事の施工中に、地中から油分を含んだ土が3月1日に発見され、法令等に基づき、油分含有土として適正に処理を行いました。あわせて、工事を中断いたしまして、所定の汚染確認調査を行いました結果、いずれも基準値未満でありましたことから、工事を再開いたしました。その後、周辺部におきましても油分含有土は発生することがなく、掘削工事は、去る6月7日に完了いたしたところでございます。
つきましては、当初予定しておりました通常の残土処分費に比べて、油分含有土処理を行うことによる処理費等の増額が必要となりましたことから、当初契約金額17億6,400万円に、変更に係ります工事請負金額1,527万150円を増額し、変更後の契約金額を17億7,927万150円をもちまして、高槻市消防本部庁舎改築工事の請負業者である東洋株木土屋共同企業体、代表者 大阪市中央区高麗橋4丁目1番1号、東洋建設株式会社大阪本店常務執行役員本店長 宮脇清文氏、同じく構成員 大阪市北区豊崎5丁目8番17号、株木建設株式会社大阪支店執行役員支店長 四方眞喜氏、同じく構成員 高槻市芥川町2丁目18番6号、株式会社土屋代表取締役 土屋定爾氏と変更契約を締結するため、現在、仮契約中でございます。
なお、この工事の工期といたしましては、平成25年3月15日までと変更ございません。
以上、まことに簡単な説明でございますが、よろしくお願い申し上げます。
○議長(久保 隆) 提案理由の説明は終わりました。
ただいまから質疑に入ります。
○(二木洋子議員) 今回の工事変更契約は、先ほども提案理由のご説明でございましたけれども、消防本部庁舎改築工事に関して、昨年の12月議会で契約を議決して、工事が始まりましたが、工事を始めた3か月後の、3月1日に地中から油分含有土が発見され、そのためにこの適切な処理を行い、新たな費用が発生したために、今回、契約変更を行うという提案です。説明をお聞きしまして、私が一番疑問に思いますのは、どうして最初からこのような含土があるのではないかというふうなことを考えておかれなかったかということです。
そこで、まず1問目ですけれども、4点、伺いたいと思います。
土壌汚染対策法は非常に緩い法律になっています。今、有害物質を使っているところが廃止した場合にのみ、かつての履歴調査だとか汚染調査をしなさいということになってますけれども、それでは、やはり現状の土壌汚染にはなかなか対応できないということで、大阪府では、生活環境の保全等に関する条例の中で、3,000平米以上の形質変更の場合は、事前に履歴調査をすることになっています。有害物質をここで使っていたかどうか、可能性ですよね、その履歴調査をすることになっています。今回の消防本部の庁舎の改築工事は、この3,000平米以上の形質変更になりますから、私は、当然、工事の始まる前に府条例に基づいて有害物質の履歴調査をされていると思うんですけれども、その点についてはどうだったでしょうか。
2点目ですけれども、もし履歴調査をされたとするのであれば、どのような結果だったのか伺います。あわせて履歴調査の結果等、もしあるならば土壌汚染調査もされていると思いますから、その点についてもどのような結果だったか伺いたいと思います。
3点目ですけれども、今回新たに工事の途中で油分含有土が出てきたということですから、これは改めて、なぜ油分含有土がそこから出てきたのか履歴調査をされたというふうに思いますけれども、その点はどうなっておりますでしょうか。そして、もし新たに履歴調査をされたとしたら、その結果はどうだったのか、あわせてお示しいただきたいと思います。
以上です。
○消防長(山本正憲) 二木議員の、1問目の、4点にわたりますご質問にお答え申し上げます。
まず、条例に基づく履歴調査と結果についてでございますけれども、消防本部庁舎の改築は、3,000平米以上の敷地での土地の形質変更を行うこととなるため、先ほどご指摘のように、大阪府生活環境の保全等に関する条例第81条の4で、土地の所有者にあっては、管理有害物質の使用等の履歴を調査し、高槻市長に報告する必要があることから、履歴調査を行ったものであります。
土地の利用の履歴といたしましては、昭和29年には、阪急バスを買い取りました本市が高槻市交通部としてバス事業を行い、昭和48年には、同敷地を二分し、水道部、消防本部となり、現在に至っているなどのことや、加えまして、その他管理有害物質の使用等の履歴としましては、バス事業の時代から現在と同じ位置に直給油所が設置されており、鉛、ベンゼンを含むガソリンや、軽油等の使用の履歴、及び平成19年12月には、敷地内の一部で廃油を廃棄いたしました履歴を確認いたしましたことから、高槻市長に報告したものでございます。
次に、土壌調査の状況や結果についてでございますが、平成20年6月26、27日に、鉛の土壌汚染調査といたしまして表層土壌調査を行い、結果は、すべての区域で指定基準に適合しておりました。また、ベンゼンの土壌汚染調査といたしまして、土壌ガス調査及びボーリング調査を実施いたしました結果、土壌ガス調査では、いずれの区画からもベンゼンは検出されなかったものの、ボーリング調査により、平成19年12月に廃油を廃棄した場所であります区画の深度3メートル地点において指定基準の超過が確認されました。このため、平成20年9月29日から10月2日に、追加調査として汚染土壌の範囲、及び地下水汚染の有無を調査するため、基準を超過した区画の周囲で追加のボーリング調査を実施いたしました結果、指定基準に適合することが確認されました。これにより決定いたしました範囲の汚染土壌40立米は、工事の進捗に合わせて、平成22年5月11日に掘削搬出し、認定汚染土壌処理施設において適正に処理いたしております。
次に、油分含有土が出てきたことで、改めて履歴調査をしたかどうかとのご質問ですが、平成22年3月1日に、消防本部庁舎改築工事の庁舎棟の山どめ工事を施工中、地中から油分を含んだ土及びコンクリート殻等の埋設物が発見されたことにより、関係所管課との協議を踏まえ、再調査を行い、大阪府条例に基づき、高槻市長に報告したものでございます。
最後に、油分含有土の発生によります再調査の結果、判明したことにつきましては、廃油、コンクリート殻が発見された場所は、過去に車庫として使用されておりました場所であったことが確認されましたが、現在、当該施設は除却されておりますことから、この際にこれらの物質が残されたのではないかと、あくまでも推測でございますけれども、そういうふうに推測いたしております。
以上でございます。
○(二木洋子議員) 履歴調査の今までの経過をお聞きしまして、本当に消防本部ともあろうところが、最初の履歴調査が非常に不十分じゃなかったかというふうに私は思います。土壌汚染対策法や、あるいは府条例に基づいて、高槻市内で土壌汚染の、まずは履歴調査、そして実際の汚染調査をされてきたところの報告書も私は随分見せていただきました。でも、市内の民間事業者の中で、履歴調査をやり直したというところは1か所もないです。民間事業者であれば、履歴調査が不十分だったからやり直すなんていうことは、会社の信用上あり得ないんです。
当初の履歴調査は何についてされたかというのを伺いました。そうすると、ここはバス、消防本部になっておりますから、給油施設のあったところ、そして、もう1か所は、職員の方が事もあろうに廃油、当然、鉛とかベンゼンが含まれているものを敷地内にお掃除のときに不法投棄なさったところ、そこについては汚染の可能性があるというので最初の履歴調査の中で書かれていて、そして、敷地全体とともにそこに対しては汚染調査をされて、そして、やはりベンゼンが見つかったので掘削処理というのをなさっています。
だけど、車を扱うところであれば、廃油があるということは、既に廃油の処分で不法投棄されているわけですから、当然考えておかなければならないことだったんじゃないですか。給油するスタンドのところだけが汚染の可能性で、車庫等の廃油の可能性を最初にチェックしておかれなかったということは、本当にそれはずさんだとしか言いようがありません。結果として、今処理をされているということなんですけれども、民間事業者ではあり得ないことですから、今後――消防本部で、これからあるかどうかわかりませんけれども――市の公共施設の中でこういうことがある場合には、やはり最初の履歴調査はきちんとしていただきたいということを強くお願いしておきたいと思います。
2問目ですけれども、今までの中では、油分含有土については適切な処理をし、かつ周辺環境にも汚染がないことを確認したというご説明でありました。そこで、3点お伺いしておきたいと思います。
油分含有土は適正に処理をされたということでありますけれども、廃油といえば当然鉛とかベンゼンが含まれている可能性があります。それについては、きちんと汚染調査をされて、例えばベンゼン、鉛が含まれてたのかどうか、確認をされたのかどうか伺います。
2点目ですけれども、油分含有土は適切に処理をしたということでありますが、具体的にどのようにされたのかお示しください。
3点目ですけれども、周辺で汚染がないことを確認したというふうにご説明がございましたが、それはどのような形で確認をされたのか伺っておきたいと思います。
以上です。
○消防長(山本正憲) 2問目の、3点のご質問にお答え申し上げます。
油分含有土の成分、濃度の確認についてでございますけれども、油分含有土の確認後、速やかに関係所管課と協議をいたしました。履歴調査及び現場状況確認から、特に土壌成分及び濃度の測定は行っておりません。しかしながら、油分含有土の処理につきましては、適正な処理を行うことが可能である認定汚染土壌処理施設において、処理いたしております。
次に、油分含有土の処理についてですが、3月11日及び12日に、270立米の油分含有土を、先ほどご答弁申し上げました適正処理が可能な認定汚染土壌処理施設であります株式会社ダイセキ環境ソリューション大阪リサイクルセンターへ搬出いたしました。なお、最終処分地にあっては、住友大阪セメント株式会社高知工場であることを管理表で確認をいたしております。
最後に、油分含有土の除去後の汚染の有無の確認につきましては、ベンゼン対象の地下水調査と鉛対象の表層土壌調査を3月15日に実施し、基準値以内であることを確認いたしております。
以上でございます。よろしくお願いいたします。
○(二木洋子議員) 油分含有土に関しては、鉛やベンゼンが含まれてたかどうかの確認はされていない。しかし、その分は認定汚染土壌処理施設に持っていって、適切に処理をしてきたというご説明であったかと思います。
私も調べさせていただきましたら、もし、これを最初にやってれば土壌汚染調査になりますけれども、工事の途中に出てきたら廃棄物まじりの土ということになって、調査はしなくてもいいというのが今の法律だと伺いました。これもまた、私は法律の抜け穴だというふうに思っています。民間事業者ならば、工事の途中に油分含有土が出てきたので、廃棄物まじりの土として一応汚染があることを前提に処理施設に持っていってやりましたでも済むかもしれません。しかし、これは自治体です。率先垂範が大事です。大阪府も法律が緩いために独自の条例をつくって土壌汚染対策を講じているわけですから、少なくとも高槻市の工事の中でそのようなことが出てきたのであれば、油分含有土も、ベンゼン、鉛が含まれていなかったのかきっちり調査をして、その上で適切な処理をすべきでなかったかというふうに私は思います。
含有土を汚染があることを前提に認定汚染土壌処理施設、それから高知にございます住友大阪セメントのほうに持っていかれたということですから、セメント工場に持っていくときには、一定の基準のものを持っていっておられると思いますからね。その処理施設では適切に恐らく処理をなされたというふうに思いますが、鉛、ベンゼンが含まれているセメントが市販に出る可能性も、今のシステムではあるわけです。これは高槻市の責任ではありませんけども、法としてこうなっているので仕方がないんですが、しかし、排出責任者、市としては、やはり鉛、ベンゼンの含有の確認は、私は最低限すべきでなかったかというふうに思います。
あわせて、周辺に汚染がないことも確認されたということです。それは、廃棄物まじりの油分含有土を取られて、その下の表層の部分の表層土壌調査と地下水の分も確認していただいて、ベンゼン等の汚染もなかったということを確認していただいていますので、私はその分は安心いたしますけれども、今後このようなことがある場合には、先ほども申しましたけれども、履歴調査に関しては十分調査していただきたい。あわせて、このような油分含有土が出てきたときには、排出責任者として、法にはかかっていなくても、含有がどうだったのかということをやはりきちんと確認をしていただきたいということを強くお願いをしておきます。
以上です。
○議長(久保 隆) 質疑は尽きたようです。
以上で質疑を終結します。
お諮りします。
本件については委員会付託を省略し、直ちに採決することに異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(久保 隆) 異議なしと認めます。
したがって、本件については委員会付託を省略し、直ちに採決することに決定しました。
ただいまから採決します。
議案第67号 高槻市
消防本部庁舎改築工事請負契約締結事項中一部変更については、原案のとおり可決することに賛成の方は挙手を願います。
〔賛成者挙手〕
○議長(久保 隆) 全員賛成と認めます。
したがって、議案第67号は原案のとおり可決されました。
お諮りします。
日程第18、議員提出議案第11号から日程第22、議員提出議案第15号に至る5件は、いずれも会議規則第14条の規定により、橋本紀子議員、中村玲子議員、強田純子議員、岡 糸恵議員から、それぞれ賛成議員連署の上、議長あてに提出された議員提出議案の意見書案です。
以上5件については、一括議題としたいと思います。これに異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(久保 隆) 異議なしと認めます。
したがって、以上5件を一括議題とすることに決定しました。
――
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議案・議事関係書類綴 76ページ参照
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○議長(久保 隆) 順次、提案理由の説明を求めます。
〔橋本紀子議員登壇〕
○(橋本紀子議員) 民主・元気ネットの橋本紀子でございます。議員提出議案第11号と第12号について、ご賛同議員のご了解のもと、私のほうから案文を読み上げまして、提案理由の説明とさせていただきます。
少人数学級の実現、
義務教育費国庫負担制度拡充に係る意見書
教育は未来への先行投資であることは、多くの国民の共通認識である。
日本は、OECD諸国に比べて、1学級当たりの児童生徒数や教員1人当たりの児童生徒数が多く、日本の小、中学校で、31人以上の学級に在籍する児童生徒の割合は、文部科学省調査によれば小学校54%、中学校82%になっている。
子どもたちは、さまざまな価値観や個性・課題を持っており、その上、小1プロブレム・中1ギャップへの対応など、一人一人の子どもに丁寧な対応を行うためには、1クラスの学級規模を引き下げる必要がある。日本の教育を考える10人委員会、'07年保護者アンケートによると「適正と思う1クラスの児童生徒数」は、30人:45.4%、25人:20.5%となっている。
また、「学校教育の水準の維持向上のための義務教育諸学校の教育職員の人材確保に関する特別措置法」(人材確保法)は、すべての子どもたちに、一定水準の教育を受ける機会を均等に保障することを目的に、教育職員として適した人材を確保することを規定している。しかし、2006年以降、一般公務員とは別に教員給与に特化した縮減により、義務教育等教員特別手当の引き下げが続いており、この法律の趣旨や理念が担保されていない事態になっている。そのため、一般行政職給与との実質的な教員給与の水準差が問題となっており、教員の大量採用時代を迎え、人材確保に支障を来すことが懸念される。
さらに、日本の教育予算のGDP比は、OECD諸国の中でトルコに次いで下位から2番目となっているにもかかわらず、義務教育費国庫負担制度の国負担割合は2分の1から3分の1に引き下げられ、自治体財政を圧迫している。
したがって、政府に対して、2011年度政府予算の概算要求期に向け、下記事項の実現について要望する。
記
1.OECD諸国並みの教育環境を整備するため、少人数学級を推進すること。
2.教育職員として適した人材を確保するため「人材確保法」を遵守し、改善を図ること。
3.教育の機会均等と水準の維持向上を図るため、義務教育費国庫負担制度を堅持し、拡充すること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成22年6月28日
高槻市議会
続きまして、議員提出議案第12号について。
出産助産制度に関する意見書
現在、大阪府は飛び込み分娩件数が全国1位であり、当該分娩による問題が多数発生している。
具体的には、経済的困窮者、医療保険未加入者、外国人等を中心とした妊婦健診未受診によるハイリスク分娩が増加している。また、公的扶助制度である助産制度の地方自治体の適用決定時期及び方法の地域格差も問題となっている。
一方、妊産婦自身の出産助産制度の不知により、医療機関に対する出産費用の未払い問題も看過できず、飛び込み分娩にかかわる諸問題は極めて深刻な状況にある。特に医療機関では、出産助産制度による支弁額の低さ、中絶・妊娠中の医療費用の未払い、産科医療補償制度の費用負担問題などの経済的負担を一方的に強いられている。また、医療従事者は、いつ、いかなる症例の飛び込み分娩をどのような状況下で応じなければならないのかという精神的負担も過酷である。1件の飛び込み出産の発生により、医療機関の通常業務はいつ停止するかも分からず、個人病院や助産院においては、通常の妊婦経過を過ごし、通常の医療を必要とする一般妊婦が、必要時にしかるべき医療を受けられないおそれすら生じている。
また、出生児の親権者不在により出生時の公的手続にも支障が生じ始めている。
したがって、国においては、このような事態を避けるためにも、出産助産制度の見直し、児童福祉法の改正を含めた以下の事項に努めるよう強く求める。
記
1.昭和22年に児童福祉法で規定された出産助産制度を今日的状況に合わせて見直しを行うこと。
2.親権者不在出生児の法的手続を医療機関が行うことの負担軽減のため、法テラスなどの法的援助や、出生児の人権にかかわる保護システムを確立すること。
3.都道府県による支弁額・運用面等における格差の有無、地方自治体を越境した飛び込み分娩の現状、未受診妊婦の年齢層、助産制度の事後申請の受給率の状況、産科医療補償制度の保険料と給付の兼ね合いなどの現状把握を行うこと。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成22年6月28日
高槻市議会
以上、ご審議の上、ご可決賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
〔中村玲子議員登壇〕
○(中村玲子議員) 議員提出議案第13号 「慰安婦」問題について政府に誠実な対応を求める意見書について、賛同議員のご了解のもと、私から案文を読み上げまして、提案理由の説明とさせていただきます。
「慰安婦」問題について政府に誠実な対応を求める意見書
かつての戦争において、日本が近隣諸国の人々に多大な被害を与えてから、64年が経過する。しかし、いまだに戦争被害の傷はいやされていない。
平成19年(2007年)7月には、アメリカ下院議会が、「旧日本軍が女性を強制的に性奴隷としたことを公式に認め、謝罪するよう日本政府に求める決議」を採択している。
そして、アメリカの議会決議に続いて、オランダ、カナダ、EU議会などでも同種の決議が採択され、国連などの国際的な人権擁護機関からも早期解決を求める勧告が出されている。
我が国においては、平成7年(1995年)7月19日、日本政府のイニシアチブにより、「女性のためのアジア平和国民基金」(アジア女性基金)が設立され、国民から寄せられた募金総額5億6,500万円余は、フィリピン、韓国、台湾における285名の元「慰安婦」に「償い金」として届けられたという経過があった。
しかし、平成21年(2009年)7月には、国連女性差別撤廃委員会第44会期の最終見解においても、第37項では、「慰安婦」の状況に対処するために、日本政府が幾つかの措置を講じたことに留意するが、第2次世界大戦中に被害者となった「慰安婦」の状況の恒久的な解決策が見出されていないことを遺憾に思い、学校の教科書からこの問題への言及が削除されていることに懸念を表明するとしており、さらに第38項においては、日本政府が「慰安婦」の状況の恒久的な解決のための方策を見出す努力を早急に行うことへの勧告が改めて表明された。
したがって、国においては、「慰安婦」問題の真相解明、被害者の尊厳回復とともに、女性に対する暴力など、今日なお存在する女性の人権侵害の解決に向け、誠実な対応をされるように要望する。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成22年6月28日
高槻市議会
以上でございます。ご審議の上、ご可決賜りますよう、お願いいたします。
〔強田純子議員登壇〕
○(強田純子議員) 議員提出議案第14号 児童虐待対策の抜本的強化を求める意見書につきまして、ご賛同いただきました議員のご了解のもと、私から案文を読み上げまして、提案理由の説明とさせていただきます。
児童虐待対策の抜本的強化を求める意見書
大阪を初め、全国各地で乳幼児の痛ましい虐待死が相次ぐなど、児童虐待をめぐって深刻な事態が広がっている。2008年度の全国の児童相談所が受けた相談件数は4万2,662件、10年前の約6倍となり、大阪府の虐待相談件数は、4,354件と、全国でも2番目に多いものとなっている。
虐待は、命を危険にさらし、致死までいかない場合でも、子どもたちの心身の成長、発達に重大な影響を与えるものであり、児童虐待対策の抜本的強化は喫緊の課題である。
虐待対応には、非行相談や「障がい」相談などの何倍も労力を要することが、日本子ども家庭総合研究所の調査でも明らかになっており、児童福祉士の増員など相談・支援体制の拡充、整備が必要である。
したがって、政府においては、下記の事項を速やかに実行するよう強く求める。
記
1.児童相談所、子育て支援センター、保健所、児童養護施設など、子どもにかかわる専門機関や施設の増設、職員の増員を図ること。子育てへの不安や虐待などの悩みにこたえる専門的できめ細かな相談、即応できる支援体制を拡充すること。
2.里親手当等の改善や研修制度の充実、支援・相談体制の強化など里親制度の拡充・整備を進めること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成22年6月28日
高槻市議会
以上、ご審議の上、ご可決いただきますよう、よろしくお願いいたします。
〔岡 糸恵議員登壇〕
○(岡 糸恵議員) 議員提出議案第15号 機能性低血糖症に係る国の取り組みを求める意見書について、ご賛同議員の了解を得まして、案文の朗読をもって、提案理由の説明とさせていただきます。
機能性低血糖症に係る国の取り組みを求める意見書
慢性的に血糖値が高い状態が続くと糖尿病を発症することは知られているが、膵臓の機能失調等による血糖値の調節異常によって発症する機能性低血糖症は医師ですら、まだ認知度が低い病気である。
機能性低血糖症は、糖の過剰摂取や過激な食事制限、過食といった食生活の乱れやストレスなどが原因となって、血糖値が急激に低下したり、低い状態にとどまってしまう疾患で、現代の食生活も誘因の一つと指摘されており、近年、研究が進むとともに、患者の数もふえている。
機能性低血糖症は、脳への血糖補給不足に加え、アドレナリンなどの内分泌系異常や自律神経にも影響し、慢性疲労やうつ状態、集中力不足、情緒不安定、記憶障害など、身体面、精神面ともに実にさまざまな症状が引き起こされることがわかってきている。症状から精神疾患や神経疾患などと誤った診断をされるケースも少なくない。また、妊産婦の低血糖症は新生児低血糖症の要因となり、脳障害を引き起こすことが知られており、発達障害(自閉症スペクトラム)の危険因子の一つであると指摘されている。
この機能性低血糖症の診断には、糖尿病診断に用いられている常用負荷試験及び耐糖能精密検査が有効とされているが、保険適用で行われる一般的な2時間検査では、上昇するはずの血糖値が上昇せず、変化のない平坦な曲線を描く「無反応性低血糖症」や、4時間経過後に血糖値が急落する「反応性低血糖症」などを診断することが難しい。精度を高めて5時間かけて検査を行うことが必要で、さらに膵臓の機能障害の程度を診るためにはインスリン値を調べることも重要なポイントである。ところが、5時間の耐糖能精密検査は保険適用されておらず、高額な自己負担が必要なほか、実施する医療機関も少ないのが問題である。
機能性低血糖症と正しく診断されたことで、機能性低血糖症のための治療により症状が改善、社会復帰する事例は数多くある。
したがって、国に対して、機能性低血糖症に関する調査研究、病名の認知及び意識啓発、検査体制の拡充等が図られるよう、以下の取り組みを要望する。
記
1.機能性低血糖症についての医学研究の進展と診断・治療法の普及に向け、国として調査研究を進めること。
2.機能性低血糖症診断のための5時間の耐糖能精密検査を保険適用の対象とすること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成22年6月28日
高槻市議会
以上、ご審議の上、ご可決賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
○議長(久保 隆) 提案理由の説明は終わりました。
ただいまから質疑に入ります。
まず、議員提出議案第11号 少人数学級の実現、
義務教育費国庫負担制度拡充に係る意見書について。
〔「な し」と呼ぶ者あり〕
○議長(久保 隆) 質疑はないようです。
次に、議員提出議案第12号 出産助産制度に関する意見書について。
〔「な し」と呼ぶ者あり〕
○議長(久保 隆) 質疑はないようです。
次に、議員提出議案第13号 「慰安婦」問題について政府に誠実な対応を求める意見書について。
〔「な し」と呼ぶ者あり〕
○議長(久保 隆) 質疑はないようです。
次に、議員提出議案第14号 児童虐待対策の抜本的強化を求める意見書について。
○(小西弘泰議員) 私、この意見書に反対ではございません。しかし、若干意見を述べさせていただきたいと思います。
こういった児童虐待ということは、決して個人的な問題あるいは親子関係だけの問題ではなくて、やはり社会的な背景が必ずあるわけですよね。したがって、そこに言及して問題の解決を図っていくということでなければいけないわけですけれども、この意見書ではそれが全然触れられていないというのが、ちょっと私としては物足りないところを感じております。
これは、貧困というものがこの背景にあるということを押さえておかないかんと思うんです。貧困によって、食事にお金が回せない、家族団らんの時間帯が持てない、交際費とか、あるいは教養、娯楽費などを切り詰めざるを得ない、こういう世帯がふえているというところに、やっぱり根本的な問題があると。これを解決しないと、結局、現象として出てくる虐待ということにどう対応するかというだけの問題にすりかえてはいけないと思います。そういうふうになった場合、結局行き着く先は、親子を分離すれば足りるとか、あるいはそういった悪い親は親権を剥奪すべきだというふうな議論に、安易な考え方というものが出てくるわけであって、そこのところを1点、指摘しておきたいと思います。
それから、もう1つは、虐待に対する相談という問題なんですけれども、これは、非行の相談とか、あるいは障害の相談の変形というものが、この虐待問題の相談であるんじゃないかと私は思うわけです。この意見書の中ほどにも、そういう「非行相談や「障がい」相談などの何倍も労力を要する」というふうに書かれておりますけれども、結局、これは、そういった障害を抱えた子どもとその親の問題として、児童精神医学の専門医が中心になって関係者がチームを組んで対応していくということがないといけないと思うんです。
この「児童相談所、子育て支援センター、保健所、児童養護施設など、子どもにかかわる専門機関や施設の増設、職員の増員を図ること。子育てへの不安や虐待などの悩みにこたえる専門的できめ細かな相談、即応できる支援体制を拡充すること」ということはこのとおりなわけですけれども、やはり、どういう人が、どういう資格とどういう知識、経験を持った人が配置されるのかということを抜きにしては、一般的にこういうことだけではやっぱり不十分だと。これは、やはりそれの専門家としては、本来、児童精神科医というものが早期に児童を診断して、特別な支援というものを、親、親族とともに、保育所の保育士とか、あるいは保健師とか学校の先生とかセラピストなどがかかわって、一定の改善が図られるものであって、そうした専門医をリーダーにして、早期の児童とその親への対策が、虐待を減らしていくかぎではないかと思います。
しかしながら、こういった児童の精神医学の領域の専門医の認定を受けているという医師は非常に少ない。高槻では、奈佐原にある情緒障害児の短期治療施設希望の杜というところの附属診療所の先生が、ただ一人認定の資格を持っておられるにすぎないわけですね。こうした状況というものを、一層充実させていくということがなければ、問題の真の解決にはならないのではないかというふうに思います。
以上、私の意見を述べさせていただいて、この意見書には賛成いたします。
以上です。
○議長(久保 隆) 質疑は尽きたようです。
次に、議員提出議案第15号 機能性低血糖症に係る国の取り組みを求める意見書について。
○(小西弘泰議員) この意見書を見まして、私は非常に驚きました。極めて医学的な内容の意見書で、こうした意見書というのは異例ではないかというふうに思ったわけです。
私も、実は機能性低血糖症というのはよく知りません。それで、糖尿病の専門医の意見とか文献なども若干当たってみたわけですけれども、第1の問題は、この機能性低血糖症というものが、まだ糖尿病学会においても何ら認知されていない、一つの疾患として果たして存在するのかどうかということすら、まだあやふやなものだということです。柏崎良子という医師が書いている文章があるわけですけれども、機能性低血糖症について論じているわけですけども、普通、そうした学術論文というものは、必ず参考文献というものがあるわけです。1つの小さい論文を書くにも、やはり何十という文献のリストがついているわけです。それがあればオリジナルに当たって検証できるわけですけども、それが一つもないと。一体これは学術論文と言えるのかどうか。検証のしようもない、そういう段階の問題だということです。
したがって、そういう時点で、5時間の血糖測定を保険適用にしろというふうな要求はとてもできないわけであって、そうした病気があるのかどうかということについて、学会でまずきちんと論議をしていただく。そして、それが
一定疾患として認定され、治療方針も確立され、検査方針も確立された上で、それが保険適用にされていくという段階を踏むべきであって、今はそんな段階ではとてもないということであります。
それから、もう1点、私がおかしいと思ったのは、低血糖症治療の会というものがありまして、理事長が柏崎久雄さんという人で、先ほどの柏崎良子医師とどういう関係にあるのかは知りませんけれども、その方の書いた文章を見ますと、しきりに、サプリメントを摂取するというふうなことが治療として出てくるわけです。甘いものやアルコール、たばこを吸いたくなるのは血糖値が下がったからであり、プロテインをとれと、あるいはビタミンBをとれと。それから、薬は低量でよいが、サプリメントはストレスや体調に応じてふやすことを理解しなければならないとか、ミネラルの補給が要るとか、ナイアシンが要るとか、ビタミンCの摂取も大事であると。ヘム鉄という鉄剤もとれとか、しきりにそういったサプリメントの広告を宣伝しておられるわけで、どうもこういう方が、今、機能性低血糖を推進しておられるということについては、やはり不純なものを私は感じます。
それから、この柏崎理事長の文章の中に一言、私は信者の励ましのために21日間断食した経験を伝え、というふうなことが書いてあって、信者の励ましのためという、何でこんなところに信者が出てこなきゃいかんのか。これは宗教団体なのかどうか、そうしたことも疑わせるようなパンフレットなわけです。
したがって、私は以上の2点から、この意見書については、これはおかしい、こんなものを高槻市の意見書として採択したならば、何を考えてんのやと物笑いになるのではないかということを申し上げて終わります。
○議長(久保 隆) 質疑は尽きたようです。
以上で質疑を終結します。
お諮りします。
以上5件については委員会付託を省略することに異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(久保 隆) 異議なしと認めます。
したがって、以上5件については委員会付託を省略することに決定しました。
ただいまから討論に入ります。
北岡隆浩議員から、議員提出議案第13号 「慰安婦」問題について政府に誠実な対応を求める意見書について、討論の通告があります。
○(北岡隆浩議員) 議員提出議案第13号 「慰安婦」問題について政府に誠実な対応を求める意見書について、反対の立場で討論を行います。
この意見書は、アメリカ下院議会の「旧日本軍が女性を強制的に性奴隷としたことを公式に認め、謝罪するよう日本政府に求める決議」や、国連の委員会の勧告などを無批判に列挙して、国と政府に対して誠実な対応などを求めるというものです。しかし、このアメリカ議会の決議などは、事実に反すること、つまり、うそに基づいて行われたものであり、我が国に冤罪をかぶせたと言えるようなもので、高槻市議会がこれに対して何の批判も加えずに、被害者の尊厳回復などというような言葉遣いをして、我が国政府に対して疑惑の目を向け、誠実な対応を求めるというのは、これらの決議や勧告に輪をかけて、我が国に対して無実の罪を着せるような行為であり、道義的に許されるものではありません。また、この意見書が可決されれば、国益を害する方向に利用される可能性が高いと考えられますので、絶対にこの意見書を可決するべきではないと私は考えます。
意見書に掲げられているアメリカ下院議会の決議、これはどんな内容なのか。その冒頭部分の日本語訳を読み上げます。121号決議アメリカ下院2007年7月30日。1930年代から第2次世界大戦までの間、日本政府は「慰安婦」と呼ばれる若い女性たちを日本軍に性的サービスを提供する目的で動員させた。日本政府による強制的な軍隊売春制度「慰安婦」は、集団強姦や強制流産、恥辱、身体切断、死亡、自殺を招いた性的暴行など、残虐性と規模において前例のない20世紀最大規模の人身売買の一つである。こうした書き出しで始まる決議がされてしまったわけですが、ここに書かれている多くのことが虚偽であるということは、日本国内では既に明らかになっています。
いわゆる従軍慰安婦問題は、吉田清治という人が、朝鮮人を奴隷狩りしたといううそを本に書いたりメディアに告白したり、さらには韓国に行って謝罪をしたりしたことなどがきっかけで起こりました。その後、朝日新聞が、キーセンと呼ばれる朝鮮半島の芸妓や娼婦として売られた女性について、そのことを意図的に記事に書かせ、日本軍に強制連行されたとして報じた、あるいは慰安所を営む民間業者が、違法な慰安婦の募集をやめるよう日本軍が指導した文書を、慰安婦の強制連行に日本軍が関与した証拠だとするような捏造記事を書いたりしたことで、日本軍が朝鮮人の女性を慰安婦として強制連行したというデマが世間に広がってしまいました。
慰安婦は、本当に日本軍に強制連行されたのか。それを検証するために、政府やマスコミ、日韓の研究者が調査をしました。けれども、日本軍が慰安婦を強制連行したという証拠は見つかりませんでした。吉田清治氏が奴隷狩りを行ったという済州島も現地調査がされましたが、現地の人々や現地の新聞はそれを否定しました。後に吉田清治氏自身も、自分の証言はフィクションだと認めました。また、元慰安婦の証言には矛盾が多く、日本軍に強制連行されたと証言する一方で、裁判での主張や韓国の大学教授らによる聞き取り調査、雑誌のインタビューでは、家が貧しくてキーセンに売られたと認めていたり、実際には戦地以外で慰安婦をしていたというもので、信憑性がなく、まともに証拠として採用できるようなものはありませんでした。
平成9年1月に放送された朝まで生テレビで、東京基督教大学教授で、北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会、通称救う会の会長代行の西岡 力氏が、従軍慰安婦強制連行説をとる吉見義明中央大学教授に対して、朝鮮半島で権力による強制連行があったと証明できているのですかと尋ねたところ、吉見教授は、それは証明できていませんと答えています。その受け答えが示すとおり、そのころには論争に決着がついていたのです。
意見書には、アジア女性基金が設立されて、元慰安婦に償い金を届けたとありますが、そのアジア女性基金の呼びかけ人の一人である和田春樹東大名誉教授も、官憲による直接的な強制を立証する文書資料がいまだに発見できていないと述べています。強制連行説をとる研究者たちが長年血眼になって強制連行の証拠を探しても、そんなものは見つけられなかった。当事者の証言も信用できない。朝日新聞の記事も捏造されたものだということがわかった。つまり、日本軍による慰安婦の強制連行はなかったということです。
こうして、強制連行派は国内の論争で不利になったので、海外に慰安婦強制連行説を広めて、そこから改めて日本を攻撃するという手段をとりました。それが意見書に記載されているようなアメリカ議会の決議や、国連の委員会の勧告などにつながっているわけです。そして、今度は、海外での議決や勧告をてこにして、地方議会に意見書を可決させるなどして政府を動かそうとしている。これは遠大な詐欺というほかはありません。そういったものの輪に高槻市議会が加わってはなりません。
意見書では、被害者の尊厳回復などを国及び政府に要望していますが、具体的にはどんな対応が必要なのでしょうか。元慰安婦に対する金銭、賠償金の支払いなのでしょうか。謝罪なのでしょうか。それとも別の何かなのでしょうか。賠償金の支払いについては、既に解決済みです。韓国との戦後補償問題は、1965年に締結された日韓基本協定第2条第1項において、両締約国及びその国民の財産、権利及び利益並びに両締約国及びその国民の間の請求権に関する問題が、完全かつ最終的に解決されたことを確認するとされています。この協定に基づき、日本は、無償3億ドル、有償2億ドルの資金を韓国に支払っています。これで戦後補償は終わっているのです。韓国人の慰安婦個人に対する戦争被害の補償については、現在はあくまでも韓国の内政の問題なのです。
さらに、我が国においては、意見書にあるとおり、平成7年7月19日に、財団法人女性のためのアジア平和国民基金、略称アジア女性基金が設立されて、国民から寄せられた寄附金、総額5億6,500万円余りを原資にして、元慰安婦に1人当たり200万円の償い金を支払いました。けれども、それだけではありません。寄附金以外の財団の運営費や人件費などは、すべて税金で賄われましたし、日本政府からの拠出金を原資として、元慰安婦1人当たり300万円相当の医療福祉支援事業も実施されたのです。その際、日本政府を代表し、この問題に改めておわびと反省の気持ちをあらわす内閣総理大臣の手紙が、元慰安婦の方々に届けられています。つまり、日韓基本協定で既に済んでいる戦後補償を、日本政府が多額の税金を使ってもう一度やるようなことがされたわけです。賠償金の支払いについては、国家として誠意を尽くした対応を既に行っていると言えます。
では、謝罪が必要なのでしょうか。慰安婦問題については、過去、歴代の総理大臣や内閣官房長官が謝罪を繰り返してきました。まず、平成4年に当時の加藤紘一官房長官が、従軍慰安婦として筆舌に尽くしがたい辛苦をなめられた方々に対し、衷心よりおわびと反省の気持ちを申し上げたいという談話を出し、その年に、当時の宮沢喜一首相が韓国に行き、8回にわたり謝罪をしました。翌年には、いわゆる河野談話を河野洋平官房長官が出し、以後、村山首相、橋本首相、小泉首相などが謝罪しました。あと何度政府として謝罪すればよいのでしょうか。
誠実な対応というのなら、むしろ海外で、意見書に書かれているような、日本に濡れ衣を着せる決議や勧告がされたことに対し、政府にきっちりとした反論をするよう求めるべきなのではないのでしょうか。ひとり歩きしている河野談話を見直し、日本軍による慰安婦の強制連行はなかったと明確に言い切る新たな談話や公式見解などを出すことを政府に求めるべきなのではないでしょうか。日本国内では、軍による慰安婦の強制連行をめぐる論争は既に決着済みですが、国際的にはまだまだ誤解を受けているので、それを解くための取り組みを行うよう政府に求めるべきではないのでしょうか。
そのようなニュアンスがみじんもないどころか、海外で日本に濡れ衣を着せる決議や勧告がされたことに何の批判も加えず、うのみにするような形で、我が国及び政府に対して被害者の尊厳回復などを求めるとするこの意見書は、絶対に可決してはなりません。議員の皆さんの賢明なるご判断を期待し、討論を終わります。
○議長(久保 隆) 討論は終わりました。
以上で討論を終結します。
お諮りします。
以上5件については直ちに採決することに異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(久保 隆) 異議なしと認めます。
したがって、以上5件については直ちに採決することに決定しました。
ただいまから採決します。
議員提出議案第11号 少人数学級の実現、
義務教育費国庫負担制度拡充に係る意見書については、原案のとおり可決することに賛成の方は挙手を願います。
〔賛成者挙手〕
○議長(久保 隆) 多数賛成と認めます。
したがって、議員提出議案第11号は原案のとおり可決されました。
議員提出議案第12号 出産助産制度に関する意見書については、原案のとおり可決することに賛成の方は挙手を願います。
〔賛成者挙手〕
○議長(久保 隆) 全員賛成と認めます。
したがって、議員提出議案第12号は原案のとおり可決されました。
議員提出議案第13号 「慰安婦」問題について政府に誠実な対応を求める意見書については、原案のとおり可決することに賛成の方は挙手を願います。
〔賛成者挙手〕
○議長(久保 隆) 多数賛成と認めます。
したがって、議員提出議案第13号は原案のとおり可決されました。
議員提出議案第14号 児童虐待対策の抜本的強化を求める意見書については、原案のとおり可決することに賛成の方は挙手を願います。
〔賛成者挙手〕
○議長(久保 隆) 全員賛成と認めます。
したがって、議員提出議案第14号は原案のとおり可決されました。
議員提出議案第15号 機能性低血糖症に係る国の取り組みを求める意見書については、原案のとおり可決することに賛成の方は挙手を願います。
〔賛成者挙手〕
○議長(久保 隆) 多数賛成と認めます。
したがって、議員提出議案第15号は原案のとおり可決されました。
お諮りします。
ただいま可決されました5件の意見書の処理については、議長に一任を願いたいと思います。これに異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(久保 隆) 異議なしと認めます。
したがって、議長が処理をします。
日程第23、市長の専決処分事項の指定に係る報告についてに入ります。
――
――――――――――――――――――
議案・議事関係書類綴 86ページ参照
――
――――――――――――――――――
○議長(久保 隆) このことについて、理事者側から説明があります。
〔総務部長(小林孝之)登壇〕
○総務部長(小林孝之) ただいま議題に供されました市長の専決処分事項の指定に係る報告についてご説明申し上げます。
報告書は、前もって配付させていただいておりますので、ごらんいただきたいと存じます。
本件につきましては、地方自治法第180条第1項の規定に基づきまして、市長の専決処分に指定されている損害賠償で、市が負担いたしました額が1件200万円以下のものを専決処分いたしましたもので、同条第2項の規定に基づきご報告申し上げるものでございます。
報告書の一覧表のとおり、平成21年度に専決処分し、損害賠償額を決定させていただきました事故件数は全部で24件でございます。そのうち、公用車に係るものにつきましては、交通事故が9件、駐車場等施設内での事故が3件、また道路維持管理に関するものにつきましては5件、その他車両汚損事故などが7件でございます。市が支払いました損害賠償額は394万6,466円でございます。そのうち約92%に当たります361万3,670円が保険から補てんされるものでございます。
平成20年度と比較いたしますと、事故件数では1件の増でございまして、公用車に係る事故につきましては4件の増、道路維持管理に関するものが2件の減、その他の事故が1件の減でございます。また、損害賠償額でございますが、施設の損害賠償額の減などから、全体といたしまして45万6,673円の減となっております。
交通事故は、今なお大きな社会問題でございまして、今後も関係職員に対する安全講習会などを通じまして、職員の交通安全に対する意識の高揚を図るとともに、道路等の維持管理につきましても、道路パトロール等を通じまして危険箇所の発見やその対処に努め、事故ゼロに向け、さらに努力してまいりたいと存じておるところでございます。
以上、まことに簡単な説明でございますが、専決処分の報告とさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
○議長(久保 隆) 説明は終わりました。
ただいまの報告説明について質疑に入ります。
〔「な し」と呼ぶ者あり〕
○議長(久保 隆) 質疑はないようです。
以上で、市長の専決処分事項の指定に係る報告については終結します。
ここで昼食のため、午後1時まで休憩します。
〔午前11時58分 休憩〕
〔午後 1時 0分 再開〕
○議長(久保 隆) 会議を再開します。
お諮りします。
日程第24から日程第34に至る11件は同種の提出事件ですので、以上11件を一括して報告を受けたいと思います。これに異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(久保 隆) 異議なしと認めます。
したがって、以上11件を一括して報告を受けることにします。
――――――――――――
各会計決算書掲載省略
――――――――――――
○議長(久保 隆) このことについて、理事者側から説明があります。
〔財務部長(乾 博)登壇〕
○財務部長(乾 博) ただいま議題に供されました平成21年度高槻市土地開発公社の決算につきまして、高槻市土地開発公社から事業報告書及び決算書の提出がありましたので、地方自治法第243条の3第2項の規定に基づき、ご報告を申し上げます。お手元の公社事業報告書及び決算書をご参照いただきたく存じます。
最初に、5ページの公社の事業の概要でございます。
平成21年度の公社の事業実績といたしましては、公共用地の取得事業では、面積1万6,551.57平方メートルを金額3億7,231万8,910円で取得しております。また、公共用地売却事業といたしましては、面積1万1,476.86平方メートルを金額4億1,348万1,271円で高槻市に売却しております。内訳は8ページの項番5及び項番6にございます。
この結果、本年3月末日に公社が保有いたしてしております土地につきましては、面積1万694.59平方メートル、金額14億9,384万6,447円となっておりまして、前年度に比較いたしまして、面積で5,074.71平方メートルの増加、金額では約3,100万円の減少となってございます。
詳細は、24ページ及び25ページにお示ししておりまして、保有土地を公有用地と代替地に分類して集計いたしております。
次に、これらの事業実施に必要な資金の借入状況でございますが、9ページの項番8にお示ししておりますように、平成21年度の借入額は、前年度繰越借入金も含めまして20億2,277万2,152円、償還額は7億7,948万9,736円でございますので、差し引き3月末日におきます借入金残高につきましては、12億4,328万2,416円となっております。
以上が事業の概要でございます。
続きまして、公社の財務状況でございます。13ページが本年3月末日におきます公社の資産、負債及び資本を対照いたしました貸借対照表でございます。
続きまして、公社の当期の収支でございます。14ページにお示ししてございます。事業収支といたしましては、収益が4億1,473万3,182円、費用は事業原価4億537万3,799円、及び一般管理費等1,362万1,106円でございます。一方、事業外収支といたしましては、収益が1,456万5,099円、費用が58万931円でございます。これらをすべて差し引きいたしました結果、当期につきましては純利益972万2,445円となってございます。この利益金につきましては15ページにございますように、公社定款の規定によりまして、前年度の繰越準備金と合わせまして2億8,832万9,288円を翌年度への繰越準備金として整理いたしております。
決算関連の資料といたしましては、16ページ及び17ページに財産目録を、18ページにキャッシュ・フロー計算書、19ページに重要な会計方針、さらに、23ページ以降に決算附属明細表をおつけしてございますので、よろしくご参照賜りますようにお願い申し上げます。
以上、まことに簡単ではございますが、高槻市土地開発公社の平成21年度決算につきましてのご報告を終わらせていただきます。
〔政策統括監兼市長公室長(渡邉泰之)登壇〕
○政策統括監兼市長公室長(渡邉泰之) ただいま議題に供されました日程第25、平成21年度財団法人高槻市公営施設管理公社の事業状況及び決算につきまして、地方自治法第243条の3第2項の規定によりご報告を申し上げます。恐れ入りますが、お手元の事業状況報告及び決算書の3ページをお開きいただきたいと存じます。
まず、事業の概要についてでございますが、平成21年度におきましては、本市の指定管理者として指定を受けました総合スポーツセンター、萩谷総合公園内スポーツ施設の2施設の管理運営と、受託事業として桃園小学校、阿武山小学校2か所の運動場夜間照明施設の管理運営を行い、市民サービスの向上に努めてきたところでございます。
管理施設の利用状況は、4ページの表の記載のとおりでございます。健康への強い関心という時代背景もあり、生涯スポーツの拠点施設として多くの市民の方々の利用がございました。
続きまして、5ページには理事会の議事事項及び平成21年度末現在における役員名簿と職員の配置状況を、それぞれ掲載いたしております。
次に、6ページの決算についてご報告を申し上げます。
収入額は前年度から繰越金2,566万8,513円を含めまして1億8,271万6,968円であり、支出額は1億5,704万8,455円であります。したがいまして、差引残高2,566万8,513円につきまして、全額を次年度に繰り越しいたしております。
詳細につきましては、7ページから10ページの収支計算書に掲載いたしておりますので、順にご説明申し上げます。
まず、7ページの事業活動収入についてですが、収入の主なものは事業収入として1億4,014万4,248円を計上しております。内訳といたしまして、指定管理料収入の1億3,790万7,009円、受託収入の223万7,239円であります。各施設の収入内訳を合わせて記載しております。次に、補助金等収入1,395万8,042円につきましては、本公社の統括管理に係る諸経費に対する市補助金であります。
続きまして、8ページからの事業活動支出についてですが、事業費支出として1億3,909万4,213円を計上しております。内訳として指定管理施設管理費の1億3,685万6,974円、受託施設管理費の223万7,239円であり、各施設の内訳については8ページから9ページに掲載いたしております。
次に、9ページの管理費支出といたしまして、1,795万4,242円を計上しております。その主なものは、役員報酬並びに非常勤職員等の人件費で、合わせて1,368万3,500円でございます。
11ページから17ページにかけましては、貸借対照表、正味財産増減計算書、計算書類に関する注記、財産目録の財務諸表をそれぞれ掲載しております。11ページの貸借対照表の内容といたしまして、現金預金等の流動資産と基本財産定期預金の固定資産の資産合計が5,085万1,117円であり、また未払金等の負債合計が1,718万2,604円、正味財産合計としては3,366万8,513円で、その内訳は高槻市出捐金である指定正味財産が800万円、一般正味財産が2,566万8,513円でございます。
以上、まことに簡単な説明でございますが、財団法人高槻市公営施設管理公社の平成21年度決算についての報告とさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
引き続きまして、日程第26、平成21年度財団法人高槻市都市交流協会の事業状況及び決算につきまして、地方自治法の規定によりご報告申し上げます。お手元の事業報告書及び決算書の4ページから13ページまでが事業報告書でございます。
平成21年度は4ページから11ページにございますように、姉妹都市、友好都市への市民親善訪問を初め、中学生による姉妹都市での語学研修交流の実施や、常州市青少年音楽団を受け入れ、高槻市少年少女合唱団との交流演奏会を開催するなど、市民各層の幅広い都市間交流の推進や本市の国際化に寄与するための事業の拡充に取り組みました。また、日中友好の礎を築き、高槻市名誉市民でもあります高碕達之助を語る会を高槻市日中友好協会、高槻市観光協会、高槻商工会議所との共催で実施いたしましたほか、都市交流写真展の開催や協会ホームページの更新を行うなど、情報発信に努めました。
次に、12ページは理事会の開催状況、13ページは役員名簿及び事務局職員体制について、それぞれ掲載しております。
以上が事業の報告でございます。
続きまして、決算についてご報告申し上げます。16ページから19ページまでが収支決算書でございます。
収入額は事業活動収入が2,345万7,058円で、支出額は事業活動支出計が2,352万1,749円、投資活動支出が43万7,812円でございます。当期収支差額はマイナス50万2,503円となりますが、前期繰越収支差額409万2,269円との合計358万9,766円が次期繰越収支差額となっております。
収入の部の主なものといたしましては、事業収入及び補助金収入でございます。
支出の部の事業費支出の主なものは、非常勤職員等の報酬、福利厚生費の人件費、親善訪問随行旅費の旅費交通費や諸事業の施設使用料でございます。また、管理支出の主なものは、役員報酬及び通信運搬費等でございます。
20ページは、先ほどの収支計算書に対する注記、21ページは貸借対照表でございます。平成21年度末の正味財産合計額は2億423万1,482円となっております。なお、22ページ以降については正味財産増減計算書や財産目録などを掲載しておりますので、ご参照いただければと存じます。
以上、まことに簡単な説明でございますが、財団法人高槻市都市交流協会の平成21年度決算についての報告とさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
以上でございます。
〔都市産業部長(小林 守)登壇〕
○都市産業部長(小林 守) ただいま議題に供されました日程第27、平成21年度財団法人高槻市緑化森林公社の事業報告及び決算につきまして、地方自治法第243条の3第2項の規定によりご報告いたします。
まず、お手元の資料3ページから11ページまでが事業報告書でございます。平成21年度、同公社では、市民に森林や都市部での緑を身近なものとして利用いただける機会を積極的に提供するため、森林保全、緑化推進、緑化資源リサイクルの3事業を基本として、各事業の推進に努めました。森林銀行制度では、その基礎となる森林保全協定の推進に努めた結果、平成21年度末での延べ協定締結者は264人、累計協定面積は実測見込みで、約691.39ヘクタールとなりました。
平成21年度におきましては、ボランティアによる森づくり事業に重点的に取り組み、従来からの萩谷総合公園や摂津峡公園、及び神峰山における森づくり事業、成合地区における企業参加による竹林やヒノキ林整備など、関係機関、NPO、団体、市民の協力を得まして、各種森づくり事業の推進に努めました。
また、原城山地区内で平成21年度から本格実施されましたアドプトフォレスト制度に基づく森林整備活動に参加いたしました。これらの事業におけるボランティアの方々の年間延べ参加人数は約1,300人となりました。また、市から委託を受け、萩谷総合公園や摂津峡公園を初めとする市内275か所の公園、緑地、緑道、376か所の児童遊園、228路線の街路樹の維持管理業務を業者委託及び職員により実施するとともに、公園等の剪定枝を再利用する緑化資源リサイクル事業を実施し、市街地の緑の管理に努めました。その他、炭づくり体験教室や自然観察会、高槻市都市緑化フェア、身近なみどりの写真展を開催いたしました。
9ページに理事会開催状況、10ページに役員の名簿・異動内容、11ページに事務局職員体制を、それぞれ掲載いたしております。
続きまして、決算についてご報告いたします。
12ページ以降が決算書でございます。収入額計は2億2,373万5,253円でございます。支出額計は2億2,346万5,600円であります。したがいまして、当期収支差額は26万9,653円となり、これと前期繰越金285万3,685円との合計312万3,338円を次期へと繰り越ししております。
また、収入の決算額の主なものといたしましては、事業収入の2億764万2,737円、及び補助金収入の1,527万8,376円でございます。
次に、支出の決算額でございますが、事業費支出が2億1,454万2,072円、管理費支出が892万3,528円でございます。
次に、14ページ以降に貸借対照表、正味財産増減計算書、財産目録を掲載しております。
以上、まことに簡単な説明でございますが、平成21年度財団法人高槻市緑化森林公社の決算報告とさせていただきます。
続きまして、日程第28、平成21年度高槻都市開発株式会社の事業報告並びに決算につきまして、お手元の第32期事業報告書に沿ってご報告いたします。
恐れ入りますが、1ページをお開きください。
高槻都市開発株式会社は、昭和53年5月の設立以降、JR高槻駅前広場管理業務、グリーンプラザたかつき1号館、3号館の管理者としてのビル管理業務を続けております。平成16年9月には、これまでのビル管理、駅前広場等の公共施設管理、保険代理店業務に加えて、JR高槻駅前周辺での駐輪施設事業を開始し、平成18年4月からは指定管理者として、高槻市立前島熱利用センター、高槻市立紺屋町自転車駐車場、同紺屋町第2自転車駐車場の管理運営を行い、それぞれを地域社会貢献事業と位置づけサービス向上に努めております。今後につきましても、駐輪施設事業の機械リース期間満了後の課題や指定管理者として平成22年度が5年契約の最終年度となっていることなどの課題がありますが、継続して事業が続けられるよう、一層の利用者のサービスに努めているところでございます。
また、高槻市中心市街地活性化基本計画に基づくまちづくり会社としても、要請にこたえられるよう経営基盤充実を目指しております。
以上が事業報告書の概要でございます。
続きまして、平成21年度の決算につきまして、ご説明いたします。
5ページの損益計算書でございます。
営業収入の売上高の主なものは、管理受託料として駅前広場管理業務等の5,825万6,400円。保険手数料が1,041万3,769円。管理手数料は1号館、3号館などの2,677万5,785円、駐輪施設収入が2,927万4,379円、指定管理料が5,745万6,210円などで、合計1億8,691万1,059円でございます。
次に、支出でございますが、一般管理費として合計1億7,367万7,442円でございます。先ほどの売上高1億8,691万1,059円からこの一般管理費1億7,367万7,442円を差し引きますと、営業利益は1,323万3,617円でございます。これに営業外収益が合計で256万6,431円あり、この結果、営業収益は1,580万48円となります。これに対する法人税、住民税、及び事業税が591万1,764円で、これを差し引きますと、当期純利益は988万8,284円でございます。この利益につきましては、次の6ページの株主資本等変動計算書にありますように、利益剰余金に積み増しを行い、利益剰余金合計は、当期末残高で9,479万2,083円となり、これを次期に繰り越すものでございます。
なお、7ページ以降には個別注記表、監査報告書、庶務事項等を掲載しておりますので、ご参照いただきますようお願い申し上げます。
最後になりますが、グリーンプラザ1号館の専用床の80%を所有する大口区分所有者の共益費等不払い滞納に対し、高槻都市開発株式会社が1号館の区分所有者会の委任を受け提起しておりました共益費等請求訴訟につきましては、平成21年5月15日に全面勝訴の判決がありました。このことは昨年ご報告をさせていただきましたが、その後、さらに確実な債権回収を図るため、破産宣告の申し立てを行い、昨年12月2日に破産手続の開始決定がなされました。現在は、破産管財人による任意売却交渉等が進められているところでございます。
以上、まことに簡単な説明ではございますが、平成21年度第32期高槻都市開発株式会社の事業並びに決算報告とさせていただきます。
〔保健福祉部長(三宅清道)登壇〕
○保健福祉部長(三宅清道) ただいま議題に供されております財団法人大阪府三島救急医療センター、社会福祉法人高槻市社会福祉事業団、社会福祉法人高槻市社会福祉協議会及び社団法人高槻市シルバー人材センターに係ります、それぞれの平成21年度の事業報告及び決算につきまして、地方自治法第243条の3第2項の規定等に基づき、ご報告申し上げます。
まず、平成21年度財団法人大阪府三島救急医療センターの事業報告及び決算につきまして、ご報告を申し上げます。
4ページ以降の事業報告から申し上げます。
まず、高槻島本夜間休日応急診療所の事業につきましてご報告を申し上げます。
平成21年度の利用状況でございますが、診療日数は昼間が71日、夜間が365日で、利用患者総数は2万4,579人となり、前年度よりも5,678人と、大幅な増加となりました。これは、新型インフルエンザの流行に伴い、前年度比3割増となる患者を受け入れた結果でございます。診療科目別の内訳といたしましては、内科8,846人、小児科1万2,122人、外科3,171人、歯科440人でございます。詳細につきましては、55ページの利用状況をごらんいただきたいと存じます。
新型インフルエンザの流行時における対応のように、夜間や休日において安心して診療をお受けいただける体制を小児科を含め提供できますのも、地域連携支援体制による小児科担当医師の協力や、地域の関係機関のご尽力によってでありますが、今後とも指定管理者制度に基づき、その充実に努めてまいります。
次に、同じく4ページの、大阪府三島救命救急センターの事業につきましてご報告を申し上げます。
当救命救急センターは、平成21年度におきましても365日24時間の診療体制で、救急医療は医の原点であるとの思いから、救急患者の受け入れに万全を期し、重篤な患者の救命救急治療を迅速かつ適切に行っているところでございます。しかしながら、近年、全国的に救急患者の受け入れ困難事例が増加いたしておりますように、当救命救急センターの患者受け入れ体制も決して磐石であるとは言えず、三島2次医療圏全体の課題として、将来を見据えて対応すべきであると考えております。
さて、平成21年度の来院患者総数は1,949人で、その内訳は入院患者955人、外来患者994人となっております。1日の平均在院患者数は35.5人、病床利用率は86.6%、平均在院日数は9.5日でございました。詳しくは60ページ以降の利用状況をごらんいただきたいと存じます。
また、特別救急隊事業でございますが、平成21年度の出動件数は461件でございました。365日24時間体制で救急要請に基づき救命救急専門医が即時出動するシステムは、救急医療の究極を目指す事業であります。
次に、6ページのひかり診療所の事業につきましてご報告を申し上げます。
ひかり診療所につきましては、引き続き地域医療を担う診療所として機能いたしており、平成21年度の来院患者総数は2万5,464人となっております。詳しくは67ページの利用状況をごらんいただきたいと存じます。
その他、地域住民の保健増進事業として、各種の予防接種や検診事業を実施いたしております。
また、職員数、役員名簿、理事会の議事事項につきましては8ページから12ページに掲載いたしておりますので、ごらんいただきたいと存じます。
続きまして、平成21年度の決算についてご報告を申し上げます。それぞれの事業会計ごとにご説明をさせていただきます。
決算については、各会計の正味財産増減計算書に基づきご報告いたします。
まず、13ページからの財団法人大阪府三島救急医療センター一般会計でございます。
15ページの正味財産増減計算書の経常収益でございますが、基本財産運用益、他会計からの繰入金を合わせ2,801万7,973円となります。次に、経常費用計ですが、報酬、法人職員給などを合わせて2,770万7,544円となりました。また、当期経常増減額31万429円、前期繰り越しの一般正味財産期首残高177万2,601円、正味財産期末残高は3,164万6,030円となっております。
次に、21ページからの高槻島本夜間休日応急診療所運営事業特別会計でございます。
24ページの経常収益につきましては、医業収益と本市からの受託収益、その他雑収益等を合わせまして総額4億7,529万9,199円となっております。経常費用計は4億4,180万5,331円で、主なものといたしましては、医師、歯科医師、薬剤師、看護師、事務職員等の人件費、施設管理等の委託費、薬品費等の材料費、光熱水費等の諸経費などでございます。その結果、当期経常増減額は3,349万3,868円、また正味財産期末残高は1億8,189万6,475円となっております。
続きまして、31ページからの大阪府三島救命救急センター運営事業特別会計でございます。
34ページからの経常収益の総額は21億8,764万4,497円でございます。収益の主なものといたしましては医業収益でございまして、14億2,277万2,934円となっており、前年度に比べて1,166万7,907円の減収となっております。また、医業外収益の受取負担金といたしましては、茨木市からの患者207人分の1,306万円、摂津市からの48人分の301万円の計1,607万円となっております。受取補助金は、大阪府より1億6,433万円、市、町の運営補助金として本市4億円と島本町の3,295万2,000円で、合計5億9,728万2,000円でございます。
続きまして、経常費用の総額は21億5,281万3,524円でございます。運営事業費のうち薬品費が2億549万1,758円、診療材料費が2億1,582万5,745円で、対医業収入比率では29.6%となっており、前年度より2.4%の減少となっております。医師、看護師、その他医療職員、事務職員、非常勤職員の給与、及び法定福利費で合計10億7,261万9,191円、施設管理等の委託費は1億8,038万5,771円でございます。さらに、ドクターカー事業費として、会議費、医師等報酬費、保険料を合わせて3,573万2,656円を支出いたしております。
これらの結果、当期経常増減額は3,483万973円、また正味財産期末残高は17億627万2,900円となっております。
最後に、41ページからの、ひかり診療所運営事業特別会計でございます。
44ページの経常収益の総額は1億3,888万506円でございます。医業収益といたしまして、診療収入が1億1,300万564円、保健増進収入が2,396万1,324円でございます。
次に、経常費用の総額は1億2,171万4,804円でございます。運営事業費のうち薬品費が421万7,438円、診療材料費が846万7,329円となっております。
結果といたしまして、当期経常増減額は1,716万5,702円、また正味財産期末残高は8,790万2,200円となっております。
なお、50ページに貸借対照表総括表、51ページに正味財産増減計算書総括表を掲載するとともに、それぞれの会計ごとに貸借対照表、財務諸表に対する注記、財産目録を作成いたしておりますので、ご参照くださいますようお願い申し上げます。
引き続きまして、平成21年度社会福祉法人高槻市社会福祉事業団の事業報告及び決算につきまして、お手元の事業報告書及び決算書に基づき、ご説明を申し上げます。
初めに、事業報告についてご説明申し上げます。
1ページをごらん願います。社会福祉事業団は利用者から選ばれる事業者となるため、高度で多様化する福祉ニーズに対応するとともに、介護人材の確保や育成にも積極的に対応し、蓄積した事業運営ノウハウを生かした良質なサービス提供に努めてきたところでございます。
事業の内容としましては、居宅介護支援事業や訪問介護事業等の自主事業を初め、市の施策方針に沿った受託事業及び指定管理者としての管理代行事業を行うとともに、平成21年度の新規事業として、養護老人ホームにおきましては介護認定を受けた入所者に引き続きサービスが提供できるよう、特定施設入居者生活介護事業を導入し、また療育園では重症心身障害児(者)通園事業の導入を円滑に実施いたしました。また、緊急雇用創出基金事業の一環としまして、療育園機能強化と産後ママサポート事業を受託し、円滑な運営に努めました。
なお、各事業の詳細な報告は、自主事業にあっては9ページから12ページに、受託事業にあっては13ページから16ページに、管理代行事業にあっては17ページから25ページにかけて記載いたしております。
社会福祉事業団は、市からの出資を受けて設立された法人としての立場から、市の施策を補完する役割、推進する立場を果たしつつ、経営的自立を目指し、積極的な経営改革に取り組んでまいったところです。
以上が事業報告についてでございます。
引き続きまして、決算についてご説明を申し上げます。
27ページからでございます。まず、社会福祉法人に適用される会計基準に基づき、一般会計と特別会計を合わせた総括決算についてご説明申し上げます。
それでは、29ページをごらん願います。事業活動収支の部で、事業活動収入計は7億5,169万9,568円、事業活動支出計は7億985万4,968円で、その収支差額は4,184万4,600円でございます。また、事業活動外収支の部と特別収支の部を加えますと、当期活動収支差額は4,350万6,684円となっております。
続きまして、一般会計についてご説明を申し上げます。
47ページをごらん願います。事業活動収支の部で事業活動収入計は6億4,878万1,662円、事業活動支出計は6億1,964万4,898円で、その収支差額は2,913万6,764円でございます。また、事業活動外収支の部と特別収支の部を加えますと、当期活動収支差額は4,245万9,668円となっております。
次に、特別会計についてご説明申し上げます。
69ページをごらん願います。事業活動収支の部で、事業活動収入計は1億291万7,906円、事業活動支出計は9,021万70円で、その収支差額は1,270万7,836円でございます。また、事業活動外収支の部と特別収支の部を加えますと、当期活動収支差額は104万7,016円となっております。
続きまして、平成21年度社会福祉法人高槻市社会福祉協議会の事業報告及び決算につきまして、お手元の事業報告書及び決算書に基づきご説明申し上げます。
初めに、事業報告についてご説明申し上げます。
1ページをごらん願います。まず、地域福祉活動計画については、現行計画の進捗状況の把握や次期活動計画策定の基礎資料とするため、市民2,000人を対象としたアンケート調査を実施しました。また、地区福祉委員会活動の推進と啓発を図るため、地区福祉委員会活動の手引を作成し、配付いたしました。小地域ネットワーク活動推進事業では、食事サービス、各種サロンを中心に子どもから高齢者までの見守り、支援活動を展開しました。また、災害発生時のボランティアが円滑に活動できるよう、災害ボランティアセンター運営マニュアルを作成しました。さらに、不況による離職者の増加を受け、生活福祉資金貸付事業では、国が提唱したワンストップサービス事業の相談業務に取り組み、第2のセーフティーネットワーク機能の役割を果たしました。
なお、3ページ以降に各事業の詳細な内容を記載いたしております。
理事会、評議員会等の開催状況、会員募集の状況など、法人運営関係につきましては3ページから11ページに、小地域ネットワーク活動、福祉関係団体の事務局事務、地区福祉委員会及び福祉団体等活動助成事業、ボランティア団体運営助成事業など、事業関係につきましては12ページから21ページに、基金事業、福祉サービス事業、障害者・高齢者・児童対策事業、ボランティア・市民活動センター事業につきましては、22ページから33ページに記載いたしております。
また、大阪府生活福祉資金貸付事業、高槻市暮らしの総合相談センター運営事業、日常生活自立支援事業等の受託事業につきましては、34ページから39ページに、共同募金事業につきましては、40ページから42ページに記載いたしております。
以上が事業報告についてでございます。
引き続きまして、決算についてご説明申し上げます。
43ページからでございます。社会福祉法人会計基準に基づきまして、資金収支計算書、事業活動収支計算書、貸借対照表及び財産目録によりまして決算書を構成いたしております。
まず、43ページ及び44ページの総括表でございますが、これは資金の収入と支出の流れをあらわした資金収支計算書の内容を合算したものでございます。経常活動による収支、施設整備等による収支、及び財務活動による収支で構成され、収入総額から支出総額を差し引いた額、835万8,358円が次年度繰越額となります。この内訳は、47ページの資金収支計算書の経常活動による収支差額がマイナス1,625万3,992円、財務活動による収支差額が1,201万3,075円で、合計がマイナス424万917円となりまして、その結果、次期繰越収支差額が835万8,358円となるものでございます。
次に、54ページの事業活動収支計算書でございますが、資金収支計算書の額に退職給与引当金戻入・繰入額と減価償却費を加えたもので、収益と費用を計算したものでございます。事業活動収支の部、事業活動外収支の部、及び特別収支の部から成り、3つの部の合計である当期活動収支差額はマイナス464万9,016円となっております。
また、57ページ及び58ページに貸借対照表、59ページ及び60ページに財産目録を掲載いたしております。
それでは、最後に、平成21年度社団法人高槻市シルバー人材センターの事業報告及び収支決算報告書につきましてご説明申し上げます。
事業報告及び収支決算報告書の1ページをお開きください。平成21年度の事業の概要でございます。平成21年度は、引き続く経済不況の中、2年続けて契約金額が減少するという厳しい年度となりました。このような厳しい状況の中にあって、歳出面において各種費用弁償の削減等を行うとともに、歳入面においては公共関係からの新たな受注を獲得するとともに、ローテーション就業やワークシェアリングにも努めたところでございます。1ページ下段の表にありますように、平成21年の会員数は1,500人、受注契約件数は7,393件、契約金額は5億4,732万円でございます。
次に、2ページ以降の事業実施報告でございます。本市シルバー人材センターのホームページが全国シルバー人材センター事業協会の平成21年度最優秀ホームページに選定されるなど、普及啓発活動の推進と就業機会の開拓・拡大及び提供に努めたところでございます。また、安全就業が基本との考えのもと、会員の意識の高揚を図るとともに、組織体制の整備、強化及び活性化等にも取り組んだところでございます。会議等の開催状況、執行体制、会員状況及び事業実績につきましては、5ページから12ページをごらんいただきたいと思います。
次に、13ページから16ページの平成21年度収支計算書についてご説明申し上げます。
受託事業収入、補助金等収入、及び会費収入を主としました事業活動収入は、6億331万9,676円となっております。一方、配分金などの受託事業費支出や人件費などの管理費支出、及び就業開拓提供費支出などの事業関係支出は、5億9,235万9,223円となっております。事業活動収支差額は1,096万453円となり、これに投資活動収支差額、並びに前期繰越収支差額を加えまして5,234万433円が次期繰越収支差額となっております。
17ページの収支計算書に対する注記につきましては、資金の範囲、次期繰越収支差額に含まれる資産及び負債の内訳、科目間の流用及び予備費の使用について記載いたしております。18ページから25ページまでは貸借対照表、正味財産増減計算書、財務諸表に対する注記、財産目録、並びに監査報告書をそれぞれ記載いたしておりますので、後ほどご参照いただきたいと存じます。
以上、まことに簡単な説明ではございますが、財団法人大阪府三島救急医療センター、社会福祉法人高槻市社会福祉事業団、社会福祉法人高槻市社会福祉協議会及び社団法人高槻市シルバー人材センターの21年度の事業報告及び収支決算報告とさせていただきますので、よろしくお願い申し上げます。
〔水道事業管理者(倉橋隆男)登壇〕
○水道事業管理者(倉橋隆男) ただいま議題に供されました平成21年度財団法人高槻市水道サービス公社の事業報告及び決算につきまして、地方自治法第243条の3第2項の規定によりまして、ご報告申し上げます。
お手元の事業報告及び決算書4ページをごらんいただきたいと存じます。
まず、事業報告でございます。公益事業につきましては、小規模貯水槽方式による給水設備の適正な管理指導を実施するとともに、直結給水システムへの切りかえについて啓発等を行いました。広報啓発事業では、水の大切さや有効利用等の普及、啓発を図るため、高槻ケーブルネットワークで「高槻の水道」など5本のビデオを放映いたしました。また、各種パンフレットの発行や全国水道週間に合わせた街頭PR・水道祭、さらには水道施設見学会、水道書道展などを実施し、水道に関する広報啓発に努めました。
また、受託事業では、水道メーター検針業務及び開閉栓業務を、収益事業といたしまして、清水受水場及び芥川受水場での駐車場の管理運営を行いました。
6ページから14ページには各種事業実績、及び理事会・評議員会の開催状況、役員・評議員の名簿、事務局職員体制を掲載いたしております。
続きまして、決算でございます。16ページ、17ページをごらんください。
まず、収入の部でございますが、17ページの中ほどにありますように、事業活動収入計の決算額は1億1,473万2,566円で、主なものは、受託事業収入、及び補助金収入などでございます。
次に、支出の部でございますが、主なものは公社運営に係る管理費支出1,431万327円や、18ページ、19ページになりますが、一番上の行、小規模貯水槽指導啓発事業費、広報・啓発事業費などの公益事業費支出1,097万460円、並びに中ほどの水道メーター検針業務及び開閉栓業務などの受託事業費支出8,521万5,279円で、事業活動支出計の決算額は1億1,473万2,566円でございます。
この結果、19ページ下から3行目及び1行目にありますとおり、当期収支差額及び次期繰越収支差額はゼロ円でございます。
20ページから22ページは一般会計に関する貸借対照表及び正味財産増減計算書を掲載しております。貸借対照表の資産合計は2億1,151万3,746円、負債合計は1,151万3,746円でございます。正味財産は2億円で、全額基本財産で、これは利付地方債などで運用しているところでございます。
次に、24ページ、25ページをお開きください。特別会計収支計算書につきましてご報告を申し上げます。
まず、収入の部でございますが、決算額は778万4,606円で、その主なものは駐車場の使用料収入でございます。次に支出の部でございますが、決算額は770万1,285円で、主なものは、駐車場管理運営に要した経費でございます。この結果、25ページ下から3行目にありますように、当期収支差額は8万3,321円となり、これに次の行の前期繰越収支差額69万7,938円を加えまして、次期繰越収支差額は78万1,259円でございます。
26ページから27ページは、特別会計に関する貸借対照表及び正味財産増減計算書を掲載しております。貸借対照表の資産合計は330万8,786円、負債合計は252万7,527円でございます。正味財産78万1,259円は、先ほどご説明申し上げました次期繰越収支差額でございます。
28ページから30ページは、一般会計及び特別会計全体をあらわした総括表でございます。
31ページ以降に、財務諸表に関する注記及び財産目録を掲載いたしております。
以上、まことに簡単な説明ではございますが、平成21年度財団法人高槻市水道サービス公社事業報告及び決算報告を終わらせていただきます。どうぞよろしくお願いをいたします。
〔市民参画部長(隈部英幸)登壇〕
○市民参画部長(隈部英幸) ただいま議題に供されました日程第34、平成21年度財団法人高槻市文化振興事業団の事業及び決算につきまして、地方自治法第243条の3第2項の規定によりご報告申し上げます。
本事業団は、高槻現代劇場の指定管理者として、施設の管理はもちろんのこと、魅力ある市民文化や個性豊かな地域文化の創造に向けて、積極的な事業展開に努めておられるところでございます。
それでは、お手元の事業報告書及び決算書に従ってご説明申し上げます。
まず、5ページから11ページにかけては、文化振興に関する諸事業を記載しております。補助事業で6分野52事業と自主事業で2事業の合計54事業を実施いたしました。
12ページから14ページは、理事会・評議員会の開催状況などについてでございます。
続きまして、21年度決算につきましてご報告申し上げます。16、17ページの収支計算書をごらんください。
まず、事業活動に係る収入の部でございます。
①の基本財産運用収入の決算額は、国債等の利息収入で373万5,642円でございます。②の施設管理受託収入は施設管理に係る市からの指定管理料で2億6,839万7,943円でございます。③の事業収入は入場券の販売収入などで、3,340万5,047円でございます。④の助成金収入の422万2,113円は、文化庁からの委託事業の助成金収入でございます。⑤の補助金収入の2,250万円は、文化振興の補助事業に対する市からの補助金でございます。さらに雑収入を加えた事業活動収入計の決算額が最下段の3億3,398万7,752円となっております。
次に、支出についてご説明申し上げます。18、19ページをごらんください。
①の施設管理費支出は2億6,942万1,749円で、館の施設管理に伴う人件費や光熱水料費、清掃・警備等の委託料などでございます。②の事業費支出は6,032万6,585円で、事業実施に伴う出演料などの諸謝金やポスター、チラシなどの印刷製本費等でございます。以上の①と②の合計が、下段にございます事業活動支出計の3億2,974万8,334円となり、16、17ページの事業活動収入計から、この事業活動支出計を差し引いた事業活動収支差額は、423万9,418円となります。
続いて、20、21ページをお開きください。投資活動収支につきましてですが、まず、1.投資活動収入の決算額は1億12万3,600円でございます。また、2.投資活動支出は1億7,140万4,000円ですので、投資活動収支差額の決算額はマイナス7,128万400円となります。また、表の下から3段目にございます当期収支差額は、事業活動収支差額に投資活動収支差額を加えたマイナス6,704万982円となり、これに前期繰越収支差額の7,605万1,351円を加えた901万369円が平成22年度への次期繰越収支差額となるものでございます。
さらに、22ページ以降には、注記、貸借対照表、正味財産増減計算書、財産目録などを添付しておりますので、ご参照いただきますようお願いいたします。
以上、まことに簡単ではございますが、平成21年度財団法人高槻市文化振興事業団の事業報告及び決算報告を終わらせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
○議長(久保 隆) 説明は終わりました。
ただいまから、順次質疑に入ります。
まず、平成21年度高槻市土地開発公社会計決算の提出について。
〔「な し」と呼ぶ者あり〕
○議長(久保 隆) 質疑はないようです。
次に、平成21年度財団法人高槻市
公営施設管理公社会計決算の提出について。
〔「な し」と呼ぶ者あり〕
○議長(久保 隆) 質疑はないようです。
次に、平成21年度財団法人高槻市都市交流協会会計決算の提出について。
〔「な し」と呼ぶ者あり〕
○議長(久保 隆) 質疑はないようです。
次に、平成21年度財団法人高槻市緑化森林公社会計決算の提出について。
〔「な し」と呼ぶ者あり〕
○議長(久保 隆) 質疑はないようです。
次に、平成21年度
高槻都市開発株式会社会計決算の提出について。
○(吉田稔弘議員) この中で9ページ目のとこに、庶務事項となってまして、商業登記の、いわゆる取締役の任期満了に伴って10名の方が選任の決議がありましたというようになっております。名簿は、ほとんどの方が市の職員のOBの方ですね。それで、その場合、常勤と非常勤があると思うんですけれども、常勤と非常勤別、また給料なんかどのようになっているのか、あるいは退職金も含めまして、いわゆる報酬ですね。それと、また監査役についても同じくどのようになっているのかというのをお聞きしたい。
ここでは、水道とか自動車、それからシルバー人材センターの方の名簿も入っているわけですけども、その辺で最初に言いましたように、報酬がどのようにされとるのかということをまずお尋ねします。
○都市産業部長(小林 守) 役員の報酬につきましてでございますが、報酬につきましては代表取締役のみが報酬を受け取っておりまして、残りについては無報酬ということでございます。監査役につきましても無報酬でございます。
以上でございます。
○議長(久保 隆) 質疑は尽きたようです。
次に、平成21年度財団法人大阪府
三島救急医療センター会計決算の提出について。
〔「な し」と呼ぶ者あり〕
○議長(久保 隆) 質疑はないようです。
次に、平成21年度社会福祉法人高槻市社会福祉事業団会計決算の提出について。
〔「な し」と呼ぶ者あり〕
○議長(久保 隆) 質疑はないようです。
次に、平成21年度社会福祉法人高槻市社会福祉協議会会計決算の提出について。
〔「な し」と呼ぶ者あり〕
○議長(久保 隆) 質疑はないようです。
次に、平成21年度社団法人高槻市
シルバー人材センター会計決算の提出について。
〔「な し」と呼ぶ者あり〕
○議長(久保 隆) 質疑はないようです。
次に、平成21年度財団法人高槻市
水道サービス公社会計決算の提出について。
〔「な し」と呼ぶ者あり〕
○議長(久保 隆) 質疑はないようです。
次に、平成21年度財団法人高槻市文化振興事業団会計決算の提出について。
〔「な し」と呼ぶ者あり〕
○議長(久保 隆) 質疑はないようです。
以上で質疑を終結します。
以上11件の提出事件を終結します。
日程第35、一般質問を行います。
――
――――――――――――――――――
議案・議事関係書類綴 91ページ参照
――
――――――――――――――――――
○議長(久保 隆) 一般質問の通告により、順次質問に入ります。
太田貴子議員。
〔太田貴子議員登壇〕
○(太田貴子議員) 高志会議員団 太田貴子です。一般質問に入らせていただきます。本日は2点、高槻市の教員人事権について、もう1点は、コミュニティ・スクールについてご質問いたします。
まず最初に、高槻市の教員人事権についてのご質問です。
平成22年4月に大阪府の橋下 徹知事が、義務教育の教員人事権を市町に移譲すると表明されました。
今日まで移譲対象は、豊中市、池田市、箕面市、能勢町、豊能町の3市2町で協議が進められてきました。公立小、中学校教員の人事権を都道府県から市町へ移譲する全国初の試みが来年度にも大阪府で始まろうとしています。
6月5日の新聞報道の中で、本市を含む三島地域、高槻市、茨木市、吹田市、摂津市、島本町の5市町が受け入れを前提に協議することで大筋一致したとありました。
そこで、ご質問いたします。
1つに、これまで大阪府と高槻市の間でどのように協議してこられたのか、経過説明をお聞かせください。また、新聞報道の中に、三島地域で高槻市が中心となり、各教育委員会が連携して財源や事務作業など、課題の把握と検討を進めるとありましたが、どのような形で調整を図られたのか、また今後についてお聞かせください。
次に、橋下知事が、教員権限移譲計画の発端となったのは、全国学力テストの大阪府の結果が3年連続で低迷したことであったと聞いておりますが、高槻市教育委員会のこれまでの取り組みや認識について、どのように考えておられるのか、お聞かせいただきたいと思います。
続いて、コミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)についてご質問いたします。
コミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)についてのご質問ですが、インターネットの調査によりますと、コミュニティ・スクールについての知名度は、わずか7%でしたので、説明から入らせていただきます。
コミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)は、平成16年6月の地方教育行政の組織及び運営に関する法律の改正により導入されました。保護者や地域住民が合議制の機関である学校運営協議会を通じて、一定の権限と責任を持って学校運営に参画し、よりよい教育の実現を目指すという、地域に開かれ、地域に支えられる学校づくりの仕組みです。学校や地域の実情も十分に踏まえ、各教育委員会が教育委員会で定めるところにより、所管する学校をコミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)に指定した場合に、当該学校で学校運営協議会を設置することができます。
私は、コミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)に強い関心を抱き、数年前に京都市立御所南小学校、京都市立高倉小学校、京都市立京都御池中学校に勉強に参りました。この3校は、学校運営協議会制度を導入し、小中一貫教育を軸としたコミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)を運営しています。また、大きな特徴として、教員公募や講師公募の実施と、その際の地域学校協議会の代表による面接、独自の副教頭の設置、予算執行における学校裁量の拡充を図りつつ、特色ある学校づくりができることです。
御所南小学校学校見学会に参加した際、一歩校門を入れば、受付には全国から来られた教育関係者があふれて、なかなか受け付けができないような状態でした。職員室から教室へと進み、学年ごとの授業を見学するのですが、校内はすべてバリアフリーで、広い廊下と学級ごとの仕切りがないことに、まず驚いてしまいました。学級ごとに座ってはいますが、学級の壁がなく、授業の様子が一目で見渡せる状態にありました。真横にはフリースペースがあり、手洗い用の水道やテーブルスペースがありますから、休憩時間になれば同学年の子どもがクラスに関係なくテーブルを囲んで勉強を教え合ったり、談笑したりします。
授業には、教師にボランティアサポーターの方がついていました。例えば、家庭科の授業では教師が前で説明し、主婦の方が子どものそばでアイロンがけを手伝う。また別のクラスでは、教師が米づくりの授業をしますが、農家の方が本物の稲を持ち込まれ、子どもたちに細かなことを説明され、子どもの質問に農家の大変さや楽しさなどもお話しになっていました。
また、別の授業では、障害者の方が参加し、子どもたちは障害のある人と対話する中で、さまざまな問題を考えていきます。車いすにビニールでカバーをつくり、雨の日でも快適に車いすが利用できるように工夫したことを発表していました。障害のある人と一緒に授業をすることで、福祉について深い関心を持ってくれるように思います。
また、食育の授業では、旬の食材とは何かを教え、四季の懐石料理などにも触れる京都のしにせのおかみさんや板前さんが授業に加わります。時には子どもがお店に見学に行くそうです。
つまり、教師と地域が一体となった授業が行われているわけです。特に、子どもたちに京都の歴史や文化などをしっかりと教育し、京都人としての誇りを持たせる。京都を愛する教育をしていること、教師が子どもに、京都が好きな人、と尋ねたら、子どもたちはみんなが手を挙げているのを見たときに、もし高槻の子どもたちに同じ質問をしたら、どのような答えが返っているのかと思いました。
当時、民生委員・主任児童委員をしていた私が一番衝撃を受けたのは、この学校ではいじめや不登校はないとの言葉でした。
次に、京都御池中学校では、学校施設としては政令指定都市で初めて新校舎にPFI手法を導入し、乳幼児保育所、老人デイサービス・介護センター、オープンカフェなどのにぎわい施設などの複合施設とした京都御池創生館と併設しています。
教育内容ですが、職業観・勤労観をはぐくむ教育以外に、数学と自然科学を重視した教育など、フィンランド教育を取り込んでいます。
例えば、漆のはしについて勉強した場合、地場産業に関心を持ち、商品開発からプレゼンテーションに至るまで発表することができます。さまざまな事象を理論的に思考・判断し、自己の考えを表現できる数学的リテラシーを追求する学習ができています。
小中一貫教育を取り入れていることで、小学校から中学校へとスムーズに学習も移行し、中1ギャップもないのです。それまで、私が知る公立小、中学校とは異なる学習方法に驚いた次第です。
そこで、コミュニティ・スクール(学校運営協議会)が制度化されて5年目を迎え、平成21年4月では全国で478校がコミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)に指定さています。また、全国で30都道府県において導入され、着実に広がりを見せていますが、特に、京都市では現在、小学校177校のうち130校、中学校75校のうち20校に設置されています。
しかし、大阪府には学校運営協議会の設置がありません。本市でも設置は進んでおりませんが、地域教育協議会や学校評議員会の設置をして、地域に開かれた学校づくりをしてこられたと思いますが、これまでの歩みと現状についてお聞かせください。
以上、2点を質問させていただきます。よろしくお願いいたします。
〔政策統括監兼市長公室長(渡邉泰之)登壇〕
○政策統括監兼市長公室長(渡邉泰之) 教員人事権移譲に関する1つ目のご質問にお答えいたします。
大阪府においては、住民に身近な行政は基礎的自治体が責任を担うべきという考え方から、府の権限を市町村に積極的に移譲すべく、平成21年3月には大阪発地方分権改革ビジョンを策定されたところでございます。一方、義務教育の実施主体は、基本的には市町村であり、小、中学校教員の身分も市町村に属しているにもかかわらず、人事権は府教育委員会が所管しております。このようなねじれがあるために、市町村長や市町村教育委員会の教員に対する指導責任があいまいになりがちであるという懸念が指摘されてきたところでございます。今後、市町村が学力向上を初め、住民のニーズに即した質の高い義務教育を進めていくためには、市町村長や市町村教育委員会の責任を明確にする必要があり、そのようなやる気のある市町村に対して教員人事権の移譲を進めたいという考え方を知事が示されました。
このような知事の考え方に呼応する形で、昨年末以来、松原、池田、箕面などの市長から知事に対して教員人事権の移譲を求める声が上がってまいりました。このため府においては、文部科学省と協議の上、5月初めに府費負担教職員の任命権については、府の特例条例により市町村への移譲が可能という判断を示されました。これに対する府内市町村の動きとしては、池田、豊中、箕面、豊能、能勢の豊能地区3市2町が平成23年度中の人事権移譲を目指し、今月24日にプロジェクトチームを正式に発足させ、具体的な検討を始めたところと伺っております。
三島地区においては、茨木市長の呼びかけにより、5月27日に高槻、吹田、茨木、摂津、島本の4市1町の市長、町長が集まり、意見交換を行いました。この場では、まだ大阪府の人事権移譲の枠組みが不明確で課題は多いが、研究していく必要性については認識が一致したところでございます。
今後、本市を中心に各教育委員会が連携し、現状把握や課題について研究を進めていくこととなっており、本市としては他の地域での検討状況も踏まえながら、適切にこの問題に取り組んでまいりたいと考えております。
以上でございます。
〔教育指導部長(山岡利夫)登壇〕
○教育指導部長(山岡利夫) 次に、教員人事権のご質問にかかわります平成21年度に実施されました全国学力・学習状況調査の本市の結果についてでございますが、平均正答率、正答分布ともに、ほぼ全国と同様の傾向となっております。
また、平均正答率は、全科目で大阪府の平均を大きく上回っており、小学校の国語、算数、中学校の数学は全国平均を上回る結果となっております。全国との比較では、中学校の国語を除きまして、年々向上する傾向が見られ、家庭との課題の共有化を図りながら、学校の教育活動の取り組みの成果が一定あらわれているものと認識しております。
なお、課題につきまして、算数、数学に比べて国語におきまして、知識に関するA問題よりも、活用に関するB問題におきまして課題が残っております。また、質問紙調査からは、子どもの生活や学習の姿に改善の傾向が見られ、家庭での取り組みの成果ととらえておりますが、なお基本的生活習慣、学習習慣、学習意欲等の課題は残っているものと考えております。
次に、開かれた学校づくりについてでございます。
学校が保護者や地域住民の信頼にこたえ、地域の教育力向上の核となる学校づくりを進めるため、学校と地域が、より一層連携を深めることが求められており、国においては平成19年6月に学校教育法が改正され、学校評価と積極的な情報提供に関する規定が整備されました。本市におきましては、保護者やその他の地域の人々の声を聞き、議論を重ねながら、地域に根差した学校、地域に支えられる学校をつくっていくことが、学校改革の基本に据えられなければならないという平成12年4月に出された高槻市教育改革懇話会提言に基づきまして、開かれた学校づくりに向けての施策を展開してまいりました。
平成13年度に始まりました学校評議員制度を初めとして、地域教育協議会、学校教育自己診断を実施し、学校から情報発信をするとともに、保護者や地域の方々のご意見も参考にさせていただく中で、府内でも先進的取り組みを行う市として、家庭、地域と連携した学校づくりが進んでまいったと認識しております。現在では、学校安全を初め、職業体験、福祉体験、総合的な学習の時間、クラブ活動、放課後学習等、さまざまな面で保護者の方々や地域の方々の協力を得ることにより、子どもたちの学習活動が成り立っていると言っても過言ではございません。
今後の課題といたしましては、保護者や地域の方々と教育課題を共有するための丁寧な情報提供を行うことと、学校によって取り組みに差異が見られることであると受けとめております。
なお、学校のニーズに応じた教員の配置につきましては、昨年度末から学校の特色づくりに合わせた人事配置を勘案して、公募を前提とした異動希望も可能となるトライシステムを取り入れまして、教育課題の克服に向けた学校運営体制の確立を図っているところでございます。
以上でございます。
○(太田貴子議員) ご答弁ありがとうございます。
では、2問目に入らせていただきます。
高槻市の教員人事権についてですが、これまでのかかわりと経過は非常によくわかりました。また、高槻市における全国学力テストの結果が平均を上回っているところは、大変評価ができると思います。
しかしながら、さらに学習が向上するような取り組みとして考えられないかという点につきましては、私は、昨年、東京都杉並区の杉並師範館へと参りました。杉並区の大きな特徴は、教員の独自採用を実施していることです。法改正により、区長の権限で自由に教員を雇用することが可能になったことから、平成19年度から独自採用を行うこととなりました。それまで、東京都の採用であったので、教員が地域に根づいたと思ったら、ほかへ異動ということが多く、なかなか地域に根差した教員が育たない課題があったからだと聞きました。
区で独自採用することになり、杉並区独自の特色ある学校づくりを推進することができ、有能な教員や志のある社会人を採用することができるようになりました。また、杉並区は杉並師範館という独自の教員養成機関を設立し、卒業生を区の教員として採用するシステムを構築しています。教師力を育てる学びのシステムでは、スケジュールの中に地域演習を取り入れ、杉並区の特性を学び、地域に溶け込める教諭になれるように実践しています。
また、カリキュラムでは人間力を磨く講義や指導力と授業力を磨く演習のほかに、救急・救命法体験、市のごみ収集清掃事業や福祉施設での職業体験合宿など、社会人として責任感を身につけるようなプログラムがあります。教師としてだけではなく、人間として成長ができる塾です。杉並区のように、教師としても人間としても成長した方を学校に迎えられることは、大変うらやましい限りであると思いました。高槻市では、杉並師範館のような教員養成機関はないと思いますが、教師力を高めるための、これまでの取り組みや現状などをお聞かせください。
次に、コミュニティ・スクールです。
本市が進めてこられた開かれた学校づくりの取り組みについてはよくわかりましたが、地域に根づいた学校、地域に支えられる学校をつくるという点では、まだまだ不十分だと思います。本当の意味での開かれた学校づくりとは、コミュニティ・スクールのような学校ではないかと考えます。
私は、コミュニティ・スクールを本市に整備するために、一番必要なことは地域力だと思いました。コミュニティ・スクールをつくるための基礎となる地域力を高めるために地域に呼びかけ、平成18年に芥川小学校で青空の日を設立し、社会教育の場を提供しています。あれから4年の間、PTAを初め、地域の皆さんとともに学校開放委員会など、各種関係者団体との連携を強め、事業を展開しています。多方面から見学者等はありますが、自分の地域に持ち帰り、青空の日を立ち上げるのは非常に困難であるというご意見をいただいています。地域力を高めるために相当な努力と年月が必要であることは、私自身、体験に基づき感じるところでございます。
そこで、このような他市の取り組みであるコミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)に対する本市の考え方についてお答えください。お願いします。
○教育指導部長(山岡利夫) 2問目のお尋ねにお答えをいたします。
まず、杉並師範館のような教員養成機関はないというようなご指摘でございますが、教職員の資質が児童生徒の教育に大きくかかわるということは言うまでもございませんし、また地域の実情を理解し、豊かな経験のある教員を養成するということは非常に大切なことでございます。本市といたしましては、教員養成権を有する中核市といたしまして、このような教員を育成するため、他市にも増して日々教員研修の充実に努めているところでございます。
一方で、将来教員を目指す人材を育成するために、関関同立の4大学を初め、平安女学院などの多くの大学と協定を結び、学生による学校教育活動の補助やインターンシップを多く受け入れ、本市の教育方針や、望まれる教師像、児童生徒との触れ合いを通して教育の喜びを享受できる取り組みを行い、高槻の教育の魅力発信にも努めているところでございます。
次に、コミュニティ・スクールにつきましては、学校運営に保護者や地域住民のさまざまな意見を反映させ、地域に開かれ、信頼される学校づくりを進めていくという趣旨から、平成16年に地方教育行政の組織及び運営に関する法律が改正されまして、公立学校運営のあり方の選択肢の一つとして導入されたものであると認識しております。本市におきましては、これまで積み上げてきた学校評議員制度や学校教育自己診断、地域教育協議会等の取り組みを継続する中で、さまざまな面から開かれた学校づくりに努め、保護者や地域住民から学校運営に関してご理解とご協力を得ることにより、地域に密着した信頼される学校づくりを今後とも一層進めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
○(太田貴子議員) ご答弁ありがとうございます。
最後に要望です。これは高槻市の教員人事権についてとコミュニティ・スクール両方を要望させていただきます。
大阪府の人事権移譲の枠組みが不明確で課題が多いと思いますが、しっかりと研究していく必要性は大いにあると思います。大阪府から高槻市に教員の人事権が移譲された場合には、多くの有能な教員が雇用されることになると思います。「教育は人なり」と言われるとおり、学校も人である、この考えに基づいて、まずは自分でやってみようという人が校長候補に手を挙げる。校長は教員の人選をみずから行い、推薦することも可能である、そういった教員の人選ができる運営協議会もあると聞いております。
地域に根づいた住民、教員がつくるコミュニティ・スクールができることによって、大人と子どもがともに育ち、ともに生き、ともにつくる学びのコミュニティを構築し、大人と子どもがともに学び合いながら、主体的に学ぶ力を身につけていく場をつくり出すことができるのではないでしょうか。知力だけでなく、豊かな心や健康な体などの生きる力を兼ね備え、社会性を持った一人一人の人間の成長を支援するための教育、また、それぞれの子どもたちの持つ「違い」を大切にしながら、それぞれの子どもたちにふさわしい、柔軟できめ細やかな学びの環境づくりができることだと思います。
これまでの公立学校は、すっぽりと教育委員会の管理下に入っている。学校がいろいろと工夫する余裕はあるものの、実際は自発性を発揮するに十分な環境はなく、上を向いた教育になりがちである。コミュニティ・スクールにおける教育の品質管理は上下関係とは少し距離を置いた、しかし法令などできちんとした権限が規定されている地域学校協議会と学校の共同作業として実施される。協議会は、親や地域代表が入っていることもあり、学校とは上下関係ではなく、情報のやりとりができ、問題から学ぶというコミュニティ的横の関係を持ち得る。
今回、コミュニティ・スクールについてご質問させていただいたのは、この人事権移譲が大きくかかわってくると考えるからです。コミュニティ・スクールをつくるためには、地域力と教員人事権が大変必要でございます。高槻市に一日も早く教員人事権限が移譲し、地域がつくる新しいタイプの公立学校が近い将来にできることを要望して、質問を終わります。
○議長(久保 隆) 太田貴子議員の一般質問は終わりました。
次に、岡本 茂議員。
〔岡本 茂議員登壇〕
○(岡本 茂議員) 人権施策推進にかかわって、私のほうから2点、大きく質問をさせていただきます。
初めに、戸籍・住民票等本人通知制度についてであります。
私は、2006年(平成18年)の6月議会で、行政書士等による戸籍不正請求事件を受けて、多くの市民は自分の戸籍謄本あるいは住民票が第三者に不正に取得をされていたという事実を知るすべもない。自己情報コントロール権の立場から、戸籍、住民票交付の事実を本人に通知をする、あるいは個人情報保護条例に基づく開示請求制度の周知徹底をすることを含めて事件の真相究明と被害者救済にどう取り組むのかと指摘をさせていただきました。
その後、個人情報保護運営審議会での審議を経て、昨年12月の市議会本会議で奥本市長は、本人通知制度の2月実施を表明。市レベルでは、昨年6月の大阪狭山市、12月の富田林市に続き、2月1日から実施となりました。人権侵害につながる戸籍不正入手の防止、市民が自己情報をコントロールする権利を擁護する立場から大きな一歩を踏み出したと評価をいたしております。
そこで、4点、お尋ねをいたします。
第1に、今回の本人通知制度の内容について。
第2に、制度発足後、これまでの周知内容について。
第3に、制度実施後の状況、制度登録者数と本人通知件数について。
第4に、本人通知制度の他市での実施状況について。
以上、4点について、まずお聞かせをいただきたいと思います。
次に、多文化共生施策推進基本指針についてお聞きをいたします。
高槻市は昨年3月、高槻市多文化共生施策推進基本指針を策定されました。指針は、策定の背景として、本市に暮らすあらゆる人々が国籍や民族、文化の違いと多様な価値観を認め合い、かけがえのないパートナーとして互いに人権を尊重するとともに、学び合い、ともに生活できる地域社会の実現を目指す基本的方向性を示す必要があるとして、取り組むべき5つの基本方針を定めました。
そこで、3点お尋ねをいたします。
第1に、本市において歴史的経緯に基づく在日韓国・朝鮮人の方々や中国帰国者に加え、1990年代以降、ブラジル、フィリピンなどからの来住者、いわゆるニューカマーと言われる市民も増加してきていますが、本市における外国人登録の総数と国籍別の人員数について。
第2に、日本以外にルーツを持つ子どもたちの保育園、保育所、幼稚園並びに小、中学校における在籍数について。
第3に、基本指針策定時及び人権意識調査時に行ったアンケートから明らかとなった外国人市民の方々が今、必要としているニーズ、そして課題について、市の基本的認識をお聞かせください。
以上で第1問を終わります。
〔市民参画部長(隈部英幸)登壇〕
○市民参画部長(隈部英幸) 岡本議員の人権施策推進にかかわってのご質問にご答弁申し上げます。
まず、戸籍・住民票と本人通知制度についてのお尋ねでございます。
1点目の、制度内容でございますが、この制度は住民票や戸籍謄本・抄本、そして戸籍の付票が第三者等に請求された場合、その請求された内容の通知を希望する被交付請求者、いわゆる事前登録者に住民票等の交付請求の事実を知らせることによりまして、当該請求が不正であった場合、その事実の早期発見につながり、個人情報の不正利用防止や事実関係の救命が可能となるほか、不正請求を抑止する効果が期待されるところでございます。
2点目の、周知内容でございますが、1月に広報紙とホームページで市民へ制度の趣旨をご理解いただくために周知をしたところでございます。また、人権擁護委員会の委員の方々を対象に、本制度をご理解いただくために研修を実施したところでございます。
3点目の、登録者数と通知件数でございますが、本市では2月1日から制度の実施をいたしておりますが、5月末現在、登録者は179名となっております。また、本人通知書発送件数は4件となっております。
4点目の、他市の状況でございますが、6月1日現在、大阪府下では高槻市を含めまして9市4町1村が実施しております。なお、埼玉県におきましては、6月1日から県全域で実施され、他の都道府県におかれましても一部実施されている、このように聞いておるところでございます。
次に、多文化共生施策推進基本指針に係ります数点のご質問に関しまして、ご質問が他部局にまたがりますので、調整の上、私のほうから一括してご答弁申し上げます。
1点目の、本市における外国人登録国籍別人員数につきましては、6月1日現在で2,976人となっており、その登録国籍につきましては、57か国の国籍の中で約50%が韓国・朝鮮籍となり、約30%が中国籍、約5%がフィリピン籍、約2%がアメリカ籍、ブラジル籍、その他の国々となっております。
次に、2点目の、外国籍を持つ子どもたちの小、中学校におきます在籍数につきましては、5月1日現在で、小学校で69名、中学校で31名となっております。なお、保育所、幼稚園での在籍数、また日本以外にルーツを持つ子どもたちの在籍数は把握しておりませんので、よろしくお願いいたします。
最後に、3点目の、外国人市民の方々が今必要としているニーズ、課題についての市の基本的認識についてでございます。まず、平成20年度に実施いたしました外国人市民に対するアンケートの結果から見えてまいります課題などにつきましては、終戦前から引き続き日本に在留されている、主に朝鮮半島出身者、及びその子孫の人たち、いわゆるオールドカマーと言われる方々は、就職や住まいを探すとき、また日常的に通称名を使用せざるを得ない状況など、日常生活上の課題を抱えておられます。また、1980年代以降に、主に働く場を求めて来日された、いわゆるニューカマーと言われる方々は、日本語や日本文化に対する理解が不十分であるため、病気やけがのときの対応がわからない、子どもの日本語の習得や学力が心配など、生活のさまざまな場面で問題を抱えられております。一方、平成21年度に実施いたしました第5回人権意識調査結果では、就職や仕事の内容や賃金、労働条件などで不平等な扱いを受ける、アパートやマンションなどを借りるのが難しい、借りることが断られるなどが高い数値を示しております。このような結果も踏まえまして、本市といたしましては、多文化共生施策推進基本指針に基づき不平等な差別的な扱いを解消する施策や外国人市民をサポートする施策など、基本指針を具体化する計画を人権施策推進プランに盛り込み、多文化共生の地域社会の実現を目指してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○(岡本 茂議員) それぞれにご答弁をいただきました。
まず、戸籍、住民票等の本人通知制度についてでありますが、北摂地区では高槻市がトップを切って、今回こういう通知制度に踏み込んだということについては評価をしたいというふうに思います。同時に、この第三者によって請求された個人情報が戸籍謄本を請求されたのか、住民票を請求されたのか、その種別あるいは請求された方が個人なのか法人なのか、あるいは行政書士等の8業種なのかということも含めて、どういう請求をされたのか、どういう交付をしたのかということも含めて、本人に通知をするという中身についても、私はこれらの評価をしたいと思います。
ただ、今回の通知制度の中で、私も登録の申し出をさせていただきましたが、本人通知制度の登録申出書の裏面にいろんな注意書きが書いてあります。ここの5点目に、この本人通知制度の登録期間は登録日から3年です。登録期間満了日を経過し、かつ更新の申し出がない場合は自動的に登録が廃止となります、あらかじめご了承くださいと。なおかつ、更新の申し出は登録期間満了日1か月前から受け付けできますと、要するに2か月前に行っても受け付けができないんですね。要するに、その1か月間しか受け付けできないということと、市民が3年後、何月何日に私の申し出の期限が切れるというのを、3年先まで果たして覚えておくことができるかどうかという、そういうことでいいますと、改めて再度検討をいただきたいということで、2点お尋ねをしたいと思います。
1つは、登録期限切れに伴う事前連絡の通知についてがまず1点。
それから、2点目に、この制度そのものの、さらなる周知についてはどのように考えておられるのか。
まず、戸籍の関係について2点、お聞かせをいただきたいと思います。
次に、多文化共生施策推進基本指針にかかわってですが、先ほど実態にかかわって、いわゆる本市における外国人登録者数が2,976人、国籍別では57か国で小、中学校に在籍の外国籍児童は、小、中学校で100名ということで先ほど答弁がありました。しかし、保育所、幼稚園については、在籍数は把握をしていない、かつ小、中学校を含めて日本以外にルーツを持つ子どもたちまでは把握はできていないということで答弁がございました。しかし、国籍が日本国籍であったとしても、例えば海外からの帰国者、あるいは国際結婚によって日本国籍を取得した子どもたちを含めて、外国の民族的、文化的背景を持つ市民も含めて多文化共生社会をつくっていくというのが本来の今回の基本指針の趣旨だと私は思うんです。
私も先日、これは認定保育園に通わせているエジプト人の親子及びその通訳ボランティアの方から切実な相談をいただきました。
そこで、5点、まず第1に実態把握についてお聞かせをいただきたいと思います。
基本指針では、多文化共生社会を目指すというふうにされております。では、まず最初にしなければならないのは、本市に生活する外国人保護者、とりわけ異なる生活文化習慣の中で子育て支援にさまざまな困難、課題を抱えている保護者や子どもたちの実態も含めて、これをつかむということが、まず第一に市としてやらなければならないことではないのかというふうに私は思います。小、中学校の校長会、あるいは幼稚園の園長会、保育所の所長会、あるいは民間の私立の幼稚園の連絡会も含めて、さまざまな組織があると思いますが、日本語支援を含めて配慮を必要とする子どもたちが一体本市の中にどういう実態で存在するのかということを、まず把握をするということが必要ではないかというふうに私は思いますが、今後、市としてはどのように実態把握に努めていかれるのか、改めてお聞きをしたいと思います。
2つ目に、情報の多言語化、コミュニケーション支援についてであります。言葉あるいは文化の壁で日常生活に困っている人たちへの支援というのは、非常に切実な課題だというふうに私は思います。先ほどの昨年3月にまとめられました多文化共生施策推進基本指針では、このコミュニケーション支援にかかわって、市広報等の多言語化、あるいは多言語パンフレット類の活用、あるいは通訳ボランティアの紹介というのを市の中で取り組むべき内容として挙げております。
私も幾つか市の広報、あるいは市の関連のホームページも見させていただきました。唯一、多言語で何とか情報にたどり着けるかなと思いましたのは、高槻市の都市交流協会のサイトの中に「Useful Info Box」、これは英語だけですけれども、その中に日本語教室の案内、それから大阪府の医療情報ガイド、それから防災ネットへのリンクが張られてありました。
あるいは、日常生活の中で近隣とのトラブルのもととなるごみの搬出です。これはスペイン語、ポルトガル語のものですが、ごみの搬出方法について、以前は外国人登録の際に窓口で、外国人市民の方に分別方法、何曜日はどういう品物を出すというのを多言語で表記されたものが配付をされていました。これは今現在、作成をされていません。作成をされてないということは配付をされていません。そうですね、環境部。
あるいは、私は改めて庁舎の中を見させていただきましたが、外国人市民の中には直接、市役所の庁舎、総合センターに来られる方もあると思います。改めて皆さん、きょう本会議場を出てから見ていただきたいと思いますが、市役所の総合センター1階の総合案内板、エレベーターの前の総合案内板、すべて日本語表記で、英語表記すらもない。市役所の1階のフロアを私はずっと探して、唯一、多言語表記があったのは外国人登録の窓口、ここは日本語とハングルと英語と3か国語の表記がありました。こういう実態で、本当に高槻市が多文化共生あるいは国際化を目指すということが言えるのかどうかということです。
加えて、突発的な病気で医療機関を受診する際の大きな課題というのは、ここへ電話をすれば母国語の通訳ボランティアを紹介してくれるというホットラインがあるか、ないかという、ここはある意味では生命線にもかかわる、安心につながることだと私は思いますが、こうしたことも含めて、先ほど答弁がありました、例えば外国人登録者の数が2,976人ということは約3,000人、高槻市の全体の人口で言いますと100人に1人ですよ。これは外国籍、外国人登録ですから、日本国籍だって外国人ルーツを持つ方の数を含めれば、はるかに超える数がこの市内には存在をしている。しかし、皆さん方の日常の業務の中に、そうした外国人市民の姿が本当に入っているのかどうか、それをあえて私は問いたいと思いますが、市の認識と今後の方針についてお聞かせをいただきたいと思います。
次に、3点目に、教育支援の課題です。小、中学校に在籍する外国籍の子どもたちの数は100名ということであります。そこで、具体的にお聞かせをいただきたいと思うんですが、これらの子どもたちに対する府費の支援加配教員数、また日本語指導を必要とする児童生徒への日本語指導協力者の人員と、子ども1人当たりに対する実働時間数、また学校からのお便りや家庭訪問等、保護者への情報提供についてはどのように保障をしているのか、あわせて学校地域でともすれば孤立しがちな外国にルーツを持つ子どもたちへの支援、子ども会との連携等について、実態をお聞かせいただきたいと思います。
4点目の課題は、災害時要援護者、いわゆる災害弱者としての外国人支援に対する取り組みです。
災害時の要援護者の安否確認、それから避難誘導等の支援のための要援護者情報の把握を目的として、今年度、災害時要援護者名簿の作成が、これは保健福祉部を中心に計画をされていますが、今回の要援護者名簿には外国人市民は含まれていません。災害時に支援が必要な要援護者の中に、なぜ外国人市民は対象となっていないのか、その理由と今後の対象拡大について、あわせて高槻市が作成した洪水・土砂ハザードマップがあります。これは、私は評価をしたいと思いますが、この洪水・土砂ハザードマップは多言語で、それぞれの小、中学校の避難所の位置、あるいは救急の医療機関、そういった矢印がそれぞれ多言語で表記をされています。少なくともこの地図を見れば、ここに避難所があるんだなということが多言語でわかるようになっております。そういう意味では、災害時における外国人市民への取り組みについて、どのように今後も展開をされていくのか、この点について、あわせてお聞かせをいただきたいと思います。
5点目は、外国人市民の意見が反映できる仕組みづくりについてであります。
多文化共生社会を実現するに当たって、最も大切なことは日々外国人市民としてさまざまな課題に直面している当事者がきちっと意見を反映できる仕組みをつくる、そのことが最も大事だというふうに私は思います。例えば、先ほど都市交流協会の事業報告がありました。13ページのところに都市交流協会の理事、役員の一覧の名前が記載をされています。それぞれ立派な方ばかりですが、残念ながら在日外国人市民は理事の中に一人も参画はされておりません。あるいは、人権施策推進審議会を初め、各種審議会等への外国人市民の積極的な登用を図るべきだと私は考えますが、これらも含めて外国人市民が意見反映できる仕組みについて、市の考え方をお聞かせください。
以上で2問目を終わります。
○市民参画部長(隈部英幸) 岡本議員の、2問目の戸籍・住民票等本人通知制度、並びに多文化共生施策推進基本指針にかかわるご質問のうち、2点目の、情報の多言語化、コミュニケーション支援についてと、5点目の、外国人市民の意見が反映できる仕組みづくりにつきまして、ご質問が他部局にまたがりますので、調整の上、私のほうから一括してご答弁申し上げます。
まず、戸籍・住民票等本人通知制度にかかわってのご質問にご答弁申し上げます。
1点目の、登録期間3年の切れる前に通知を出せないのかとのお尋ねでございますが、現行、住民基本台帳システム上、議員仰せのような通知を出すシステムとはなっておりませんので、仮に通知処理をするとすれば、可視台帳での処理となり、相当の事務負担や正確性に欠けることも考えられますので、今後、登録者の推移を見守り、検討してまいりますので、よろしくお願い申し上げます。
2点目の、さらなる通知でございますが、一定期間経過後、広報等を含めまして、再度市民への周知を図ってまいりたいと考えていますので、よろしくお願いいたします。
次に、多文化共生施策推進基本指針にかかわる2点目の、情報の多言語化、コミュニケーション支援についてでございます。
議員仰せの、情報の多言語化、コミュニケーション支援の仕組みのほかに、母子健康手帳や後期高齢者医療制度の多言語化を図るとともに、大阪府などが作成しております多言語のパンフレット「大阪生活必携」、「介護予防サービス」などを活用し、多言語化による行政情報の発信に努めているところでございます。また、外国語の通訳ボランティアを紹介するホットラインなどのシステムにつきましては、多文化共生グループなどのボランティアが日常生活におけるさまざまな課題解決のため活動いただいております。また、財団法人大阪府国際交流財団の大阪府外国人情報コーナーでは、在住外国人の方が安心して生活できるよう英語、韓国・朝鮮語、中国語などの9言語により、医療など生活関連情報を含めた幅広い情報の提供や相談に応じておられます。しかし、議員ご指摘のとおり、市庁舎の案内板などはすべてが多言語化とはなっておらない現状がございます。今後につきましては、外国人市民の方々が一市民として市民サービスが受けられますよう、庁内関係課などで検討を行う中で、多文化共生施策推進基本指針を具体化する計画を策定し、外国人市民の日常生活を支援してまいりたいと考えております。
最後に、5点目の、外国人市民の意見が反映できる仕組みづくりについてでございます。
議員仰せのとおり、当事者の方のお声をお聞きすることは重要であると認識しており、人権施策推進審議会におきましては、日本以外にルーツを持つ方を委員にお願いしているところでございます。また、外国人市民の方々のニーズなどを把握し、施策に反映するため、外国人市民の方々も含めた市民アンケートを実施しているところでもあります。今後とも当事者の声をお聞きする中で、施策を展開してまいりたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
以上でございます。
○教育指導部長(山岡利夫) 2問目の1点目、保育所や幼稚園における外国人園児等の実態把握についてどう考えているかという点と、3点目の、教育支援の課題につきまして、ご質問の内容が他部局にまたがりますので、調整の上、私のほうから一括してご答弁申し上げます。
1点目の、実態把握につきましては、現在、本市の保育所の入所や幼稚園の入園に際しまして国籍は問うておらず、また、個人情報にかかわることであり、把握は難しいところではございますが、保育所や幼稚園での活動において、配慮の必要な保護者や園児につきましては、各保育所や幼稚園を通じ、引き続き把握に努めてまいります。
次に、3点目の、教育支援の課題についてでございます。
まず、1つ目の、府費の日本語指導加配教員につきましては、今年度、本市においては外国籍児童生徒が多数在籍いたします小学校2校、中学校1校に計3名配置されております。
2つ目の、日本語指導協力者につきましては、現在のところ、小学校12校と中学校5校に延べ24人を派遣しております。指導時間は週1回、2時間程度でございますが、転入当初につきましては、学校生活へのスムーズな適応を図るため集中的に派遣回数をふやすなど、柔軟な対応に努めているところでございます。
3つ目の、学校からの文書につきましては、必要に応じて学校でルビ打ちを行っており、また家庭訪問、保護者への情報提供につきましては、日本語指導加配教員が担任と同行するなど、支援に努めているところでございます。また、大阪府教育委員会からは多言語支援サイト等の紹介も含む帰国渡日児童生徒の受け入れマニュアルや、7か国語で翻訳されました入学準備ガイドブックも配付されておりまして、保護者や児童生徒の状況に、より有効な活用も可能となってございます。
4つ目の、ルーツを持つ子どもの支援につきましては、各校で総合的な学習の時間や課外の自主活動等において多文化共生の取り組みを行い、違いを認め合い、ともに生きる教育を推進する中で支援に努めてまいったところでございます。
以上でございます。
○総務部長(小林孝之) 岡本議員の、災害時要援護者としての外国人支援に対する取り組みに関してのお尋ねでございます。ご質問の内容が他部局にわたりますので、調整の上、私からご答弁申し上げます。
まず、災害時要援護者とは、必要な情報を迅速かつ的確に把握し、災害からみずからを守るために安全な場所に避難するなどの災害時の一連の行動をとるのに支援を要する人々を言い、一般的に高齢者、障害者、乳幼児、妊婦、外国人等が挙げられます。本市におきましては、庁内の関係課におきまして災害時要援護者支援マニュアル検討会を立ち上げ、災害時要援護者支援について検討を重ねてきました。災害時に要援護者の安否確認、避難誘導等の支援を円滑に行うためには、日ごろから要援護者情報の把握を適切に行っていることが重要であるため、このたび要援護者名簿を作成いたしましたところでございます。その対象者の範囲につきましては、国の災害時要援護者の避難支援ガイドラインにおいて、避難行動要支援者や被災リスクの高い方を重点的、優先的に進めていくことが重要であるとうたわれております。そうしたことを踏まえまして、今回は介護保険の要介護4、5の方、ひとり暮らし高齢者、重度障害者の方を対象といたしましたところでございます。
なお、要援護者名簿の対象者の範囲の拡大につきましては、引き続き検討するとともに、災害時における要援護者の支援体制の整備に取り組んでまいります。
また、災害時における外国人に対する取り組みについてのお尋ねでございますが、本市地域防災計画では多言語に対応した各種防災情報の提供など外国人に配慮した支援に努めるとしております。具体的には、市内の小、中学校など120か所の避難所を初め、11か所の広域避難地や5か所の準広域避難地に日本語に英語、韓国語、中国語を併記した避難施設であることを示す看板を設置しているほか、平成18年度に発行いたしました水害時や土砂災害時の危険個所、避難場所などを示しております高槻市洪水・土砂ハザードマップでは、英語、韓国語、中国語の3か国語併記の外国語版を作成いたしております。また、東南海・南海地震の発生が危惧されているところでもあり、財団法人消防科学総合センターが発行しているパンフレット「地震に自信を」については、ポルトガル語を加えた4か国語を併記しておりまして、防災に関する本市のイベントなどの機会をとらえて、地震に対する情報提供として配布し、啓発を行っているところでございます。
今後につきましても、外国人を含め災害時要援護者に対して災害時における情報提供や避難誘導などの必要な支援につきまして配慮に努めてまいりたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
○(岡本 茂議員) 幾つかの具体的な課題について、それぞれ答弁をいただきました。
戸籍・住民票等本人通知登録者の更新のお知らせについては、いわゆる住民基本台帳法のシステム上の問題があるということで今お聞きをいたしました。今後のシステム変更時の際の課題として、あわせて、これは引き続き検討をいただくよう要望をしておきたいと思います。
2点目の、多文化共生施策推進基本指針についてでありますけれども、それぞれご答弁をいただいて、防災、あるいは学校教育の分野で一定の取り組みがなされているというものの、総じて市の取り組みが遅々として進んでいないというのを実感として受けさせていただきました。先ほど、答弁の中で、市としては多言語化による行政情報発信に努めているんだということで、幾つかのパンフレットの紹介がありました。私もいただきました。1つは、この母子健康手帳、数か国語に翻訳されていますが、これは高槻市が発行したものじゃなくて、国の母子保健事業団、ここから一応購入されているということです。それから、後期高齢者医療制度、介護予防サービスについても、介護予防サービスは大阪府の発行したものですね、後期高齢者医療制度は広域連合が発行したものです。ということになると、一体高槻市は多言語化と言いながら、どれだけの情報発信をしているのかということを逆にお聞きをしたくなるんですが。
大阪府と高槻市を含めて15市が連携をして「大阪生活必携」という、先ほどありました大阪府の多言語情報提供推進協議会が発行した、これは数か国語でつくられていますが、要するに大阪で住み、働き、子どもを育てたりするのに最低限必要と思われる事項を優先して記載をしていますということで、それぞれの多言語で相談窓口、それから緊急時の対応と災害、あるいは健康と医療、暮らしと住まい、あるいは結婚、離婚、妊娠、出産、子育てというようなことを、それぞれ「大阪生活必携」ということで一応あります。
私は、これを1部くださいというふうに言いました。そうすると、1部しかないんですと。しかも、それは人権課に据えつけているので、持って出るわけにいかないんですということで、とりあえず、きょうの質問のために貸してくれということでお借りしたのがこれです。私はこれを見て驚いたのは、発行年月日、平成12年2月発行、今は平成22年、もう10年を経過しているんです。この保健医療のところを見ると、高槻保健所が記載をされています。高槻市北園町6-29、電話番号は0726-81-1221。保健福祉部長、0726-81-1221にかけたらどこにかかるんでしょうか。これが現実に金曜日の段階まで、これがそのまま外国人に対する生活必携ということで置かれているということなんです。
そういう意味でいいますと、外国人向けの情報発信に努めているというふうに言われましたけれども、先ほどの幼稚園、保育所の関係で言いましても、例えば大阪府の教育委員会は小学校の入学準備ガイドブックというのを多言語で、入学するときにこういうものが必要ですよということを保護者にお渡しするパンフレットをつくっています。例えば、高槻の保育所、幼稚園でこれに該当するものがあるのかといったら、ないんですよね。そういうようなことも含めて、要するにどこに問い合わせればいいのかということがわからないということが、私は外国人市民にとって一番大きな課題だというふうに思います。これは言い出したら切りがありませんので、そのためのシステム整備、庁内全体として外国人市民に対する、例えば情報発信であれば情報発信、あるいは相談支援であれば、どこが受けて、どこが全体的な取り組みをしていくのかということが今、高槻市に求められているんではないかというふうに私は思います。
新しく制度運用が始まるコールセンターについても、例えば多言語でコールセンターの対応ができるのかどうか、これも私はこれで検討していただきたいと思いますが、そういうことも含めて、時間の関係もありますので、最後に3点、基本指針の具体化に向けてお尋ねをしたいと思います。
1つは、基本指針の具体化に当たって、先ほど言いましたように、他分野にわたる施策の効果的な推進が私は不可欠だというふうに思います。そういう意味では、今後の具体化について、とりわけアクションプランの策定についての考え方、これをお聞かせいただきたいと思います。
2つ目に、庁内体制の整備の課題です。本市は、幸い都市交流課及び財団法人としての都市交流協会を持っております。しかも、都市交流協会の寄附行為第4条の事業には、姉妹都市交流、市内に居住する外国人との交流事業とあわせて、外国人のための生活相談の実施及び生活の支援を寄附行為の第4条の事業の中に位置づけておられます。他市では、いわゆる都市交流協会所管課が国際化施策とあわせて多文化共生施策を行っているところがありますが、折しも公益法人制度改革に伴って、市の外郭団体についてもそれぞれ整備をしていくという方針が、せんだって総務消防委員会の協議会で示されました。人員を含めて組織体制の整備ということも当然これはセットしてつながるわけですが、そうしたことも含めて、新たな組織体制の整備を庁内的に検討すべきではないかと思いますが、見解をお聞かせいただきたいと思います。
第3に、NPOとの連携です。外国人市民が抱える教育・医療・福祉など、さまざまな問題あるいはニーズにこたえていくために行政だけで対応するというのは、これは正直言って限界があるというのは私も認めます。むしろボランティアの多様かつ積極的な活用が私は求められると思いますが、問題はそのコーディネーター機能を市のどこが担っていくかということなんです。先ほど医療通訳についても、いろいろボランティアの方が協力いただいてますという答弁がありましたけれども、一体、そのコーディネーターは今、高槻市の中でする部署があるんでしょうか。そのことが問われているわけで、そういう意味では今後の外国人市民のサポートとかかわって、ボランティアあるいはNPOとの連携、協働をどのように進めていくのか、市の見解と今後の具体策をお聞かせいただいて、第3問目を終わらせていただきます。
以上です。
○市民参画部長(隈部英幸) 岡本議員の、多文化共生施策推進基本指針にかかわります3問目のご質問にご答弁申し上げます。
1点目の、指針を具体化するアクションプランの策定についてでございます。本年度は、平成17年3月に策定いたしました人権施策推進プランの中間見直しを予定いたしております。1問目でご答弁申し上げましたとおり、その見直しの中で指針を具体化する施策を人権施策推進プランの中で各課題別施策に盛り込み、人権施策を総合的に推進してまいりたいと考えております。
2点目の、庁内体制整備の課題についてでございます。議員仰せのとおり、他市におかれましては都市交流協会所管課が多文化共生施策を行っているところが多くございますので、それらの体制を参考に、また本市の都市交流協会の動向も見据えながら、組織体制について関係部局と研究を進めてまいりたいと考えております。
最後に、NPO等との連携についてでございます。本市におきましては、多文化共生社会を目指しまして、さまざまなボランティアグループなどが活動しておられ、このような団体や関係機関、企業などとの連携、協働なくしては多文化共生施策を総合的、かつ効果的に進めることは困難と考えているところでございます。NPOなどとの連携につきましては、本年度に中間見直しを予定しております人権施策推進プランの中で、その活用に向けまして連携、協働の方策などを検討してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○議長(久保 隆) 岡本 茂議員の一般質問は終わりました。
ここで、午後3時25分まで休憩します。
〔午後 3時 6分 休憩〕
〔午後 3時25分 再開〕
○議長(久保 隆) 会議を再開します。
次に、三本 登議員。
〔三本 登議員登壇〕
○(三本 登議員) 自由民主党議員団 三本 登でございます。安全・安心のまちづくりについてをお伺いいたします。
1問目といたしまして、今日的社会経済情勢の厳しい中で、昔に比べて人間関係が希薄になったことも相まって、いつ、どこで犯罪が起きても不思議ではない不安定な社会情勢になったことは、残念ながら否めない事実ではないかと思います。そうした中で、大阪府が府民を対象に行った治安に関するネットアンケートを実施、府民の75%以上の方が犯罪に遭う危険を意識して生活していると。また、府内の治安について、悪い、どちらかと言えば悪い、これが過半数以上の結果が出ています。府内では、昨年、街頭犯罪がワーストワンの状態が続いており、犯罪に対する府民の不安の声か浮かび上がっている。
こうした中で残念なことに、去る4月29日、本市淀川堤防沿いの斜面で女性の保険金目当てと思われる殺人、死体遺棄の痛ましい事件が発生しています。また、ご存じのように、起きてはならない事件ですが、去る5月17日、大阪東住吉区の自宅前の路上で小学2年生の女の子が、近づいてきた女に刃物で頭、胸、腹、背中、腕など5か所を刺され、重体に陥っています。わずか8歳の子どもへの残忍きわまる非道な事件を受け、東住吉は区が主体となって6月13日、警察、地域住民が会議を開き、防犯カメラの設置と青パトの増設を決議したのであります。
他方、子どもを犯罪から守ろうと、警察が住宅地に設置し、維持管理を地元住民が担う子ども見守り防犯カメラシステムの運用が2月27日、大阪府寝屋川市で始まり、地元で使用開始式が行われました。警察庁が14都道府県15地域の住宅地で行うモデル事業で、関西での運用開始は初めてであります。カメラが設置されたのは、寝屋川市立の2つの学校の通学路に計25台を電柱などに取りつけ、登下校の子どもたちを見守る録画映像の保存期間は7日間で、その後は自動的に消去される、カメラは地元の学校関係者やPTAなどでつくる連絡協議会が管理、映像を見るにはパスワードが必要で、警察の捜査など緊急時以外の外部への提供を禁止するなど、プライバシーに配慮した運用規定を定めている。
他方、日本で一番最初に防犯カメラ設置条例を制定し、防犯カメラを設置したのは東京都杉並区であります。面積は34.02平方キロメートルで、人口は52万7,942名であります。平成9年に空き巣、泥棒が714件あり、以降増加傾向になり、平成14年には1,717件の増加となり、住民と行政が協議を重ねる中で、区の安全と安心を図るために平成16年7月1日、杉並区防犯カメラ条例を制定したのであります。
制定を受けて、区立施設267施設、1,055台、街角防犯カメラ51施設、112台、民間施設30施設、456台、合計348施設、1,623台が設置されています。これらの結果、平成19年には空き巣が実に385件、平成20年度が387件と激減しています。
こうした中で、本市もさまざまな事件が発生していることはご存じのとおりであります。
そこで、お伺いいたしますが、高槻市のある自治会が地域の犯罪抑止のために、大きな壁を乗り越えて、警察、関西電力の大きなお力と協力をいただきながら、また市へも相談する中で本市の自治会で初めて、単独で防犯カメラを自治会内の幹線道路や通学路に設置いたしました。この地域は高齢化が進み、特に空き巣、泥棒、窃盗が大変多くて、地域住民の大きな不安要因の種でしたが、防犯カメラを設置後は1件の犯罪も発生していません。私は、この防犯カメラの設置が十分な抑止効果を発揮していることと考えます。
これらのことからも本市市内の多くの場所に防犯カメラを設置していただくべきと考えますが、行政のお考えをお聞かせください。
次に、教育人事権移譲問題についてをお伺いいたします。
太田議員と若干重複することがあると思いますが、お許しをいただきたい。教育人事権の問題については、奥本市長が中核市市長会を通じて平成17年3月以来、継続して文部科学省に要望を出すなど、他市に先駆けて取り組んできたところ、こうした中で、本市が位置し、約110万人の人口を抱える三島地区、すなわち本市、茨木市、吹田市、摂津市と島本町の4市1町においても人事権移譲への対応に向けた動きがあるとの報道が先日ありましたが、この問題についての本市の取り組みについてをお伺いいたします。
以上、よろしくお願いいたします。
〔総務部長(小林孝之)登壇〕
○総務部長(小林孝之) 三本議員の安全・安心のまちづくりに関してのご質問にご答弁申し上げます。
防犯カメラを市内の多くの場所に設置することについてのご質問でございますが、防犯カメラの設置による犯罪被害の未然防止や犯罪抑止等への有用性については認識しているところでございますが、公共の場所に向けられた防犯カメラにより市民が了知し得ないまま撮影されることになるため、その設置場所や画像の取り扱いによっては、市民のプライバシーが侵害されるおそれがあるなど、さまざまな課題があるものと考えております。
現在、本市におきましては、子どもの見守り活動や地域への防犯対策といたしまして、本市に勤務する警察OB職員による青色防犯パトロールを初め、空き巣防犯啓発板や「あかん、しらんひとについていったら」の文字とイラストを使った防犯啓発物品等により、高槻警察署防犯協議会、地域と連携したさまざまな防犯活動を実施することにより、安全・安心のまちづくりに努めているところでございますので、よろしくお願いいたします。
〔政策統括監兼市長公室長(渡邉泰之)登壇〕
○政策統括監兼市長公室長(渡邉泰之) 教員人事権移譲に関してのご質問にお答えいたします。
お示しのとおり、本市は中核市市長会を通じて平成17年以降、府費負担教職員の給与負担に係る財源も含めた教員人事権移譲を要望してきておるところでございます。今回、府知事が示した教員人事権移譲の範囲は、この要望内容と比較すると限定的であり、財源や市町村別、学校別定数の決定権、学級編制基準の決定権を除いた府費負担教職員の任命権のみの移譲となっております。また、採用や人事異動をスムーズに進めるには、一定規模の人口のまとまりが必要とされ、知事は市町村長に対して市単体ではなく複数自治体が連携した形での教職員任命権の移譲を検討するよう働きかけているところであり、中核市への人事権移譲を求めてきた従来の本市の考え方とは必ずしも一致しないところもございます。
三島地区におきましては、茨木市長の呼びかけにより5月27日に高槻、吹田、茨木、摂津、島本の4市1町の市長、町長が集まり、意見交換を行ったところでございます。この場では、まだ大阪府の人事権移譲の枠組みがはっきりしておらず、難しい面があるが、研究していく必要があるということで認識が一致しております。今後、本市を中心に各教育委員会が連携し、現状把握や課題について研究を進めていくこととなっており、本市としては他の地域での検討状況も踏まえながら、適切にこの問題に取り組んでまいりたいと考えております。
以上でございます。
○(三本 登議員) 2問目に、次に、安全・安心のまちづくりでの2回目の質問をいたします。
答弁では、防犯カメラの設置維持には課題も多いようですが、しかしながら、高槻署管内で平成20年に全刑法犯認知事件5,108件、街頭犯罪2,560件、浸入盗438件、合計8,106件の犯罪が起きています。平成21年は、全刑法犯認知件数4,595件、街頭犯罪2,559件、浸入盗359件、合計7,513件、島本町を入れた中でも私は決して少ない犯罪ではないと思う。市民の方々が、これらの犯罪におびえながら生活していくことが正しいことでしょうか。
奥本市長は、平成22年度施政方針大綱でも重点施策として、子ども、市民の安全・生命を守る犯罪のない安全・安心のまちづくりとしては、警察や防犯協議会等と連携をした防犯パトロールを充実し、地域と一体となった見守り活動を展開することにより、体感治安の向上に努めてまいりますとあります。
これらの観点から、本市は子どもの安全・安心のため、本市74か所の防災無線を利用して、子どもの見守り、啓発活動を市民の方々に協力のお願いを実施、さらに市営バスでの市民の皆さんが防犯意識を高め、子どもの安全を確保しましょうと車内放送に努めています。
また、一方で防犯啓発物品として、安全啓発マグネットシートやステッカー大小1万枚、安全啓発カバー、エコバッグ計2万1,000、交通部のラッピングバス5台、側面看板40台、さらにはセーフティーボランティア2,000余りの市民の方々の子ども安全への協力、そして青色防犯パトロール、高槻市1台、警察OB職員及び危機管理合計2名、土・日・祝を除く毎日実施。防犯協議会が1台、市内36ある支部がスケジュールを組んで実施。これらの多くの事業を、子どもたちや市民の命と財産を守るために努力を重ねていることを高く評価したい。
そこで、お伺いいたしますが、青色防犯パトロールは現在、本市では2台が活動しているようですが、本市の面積や人口密度から見れば、4台は必要ではないかと考えます。本市には自主防災組織も、現在85の組織があり、これらの方々に防犯活動に対するご意見をいただく中、さらに本市の安全・安心のまちづくりのために、また、さきにも述べましたように、多くの犯罪減少のためにも、市民と一体となって取り組んではと考えますが、ご所見をお伺いいたします。
次に、防犯カメラについてでありますが、大阪府下でも現在33の市町村が設置を図り、安全への取り組みを進めていますし、本市も現在17か所163台防犯カメラを設置されていますが、大変重要なことは、防犯カメラ設置届け出義務も運用規定もありません。いろいろなトラブルが発生してくると考えられますので、個人情報の保護に十分に配慮するためにも防犯カメラ設置条例の制定が必要不可欠と考えますが、行政側のご見解をお伺いいたします。
最後に、この6月19日、土曜日、今城塚公民館におきまして、今城塚古墳第7次整備工事の工事説明会が行われました。実は、私もこの説明会に出席しておりましたが、今城塚古墳は昭和30年に史跡指定を受けて以来、半世紀、多くの方々がかかわり、来年3月に史跡公園と今城塚古代歴史館が同時にオープンする、貴重な歴史遺産の保存と公開が市民の憩いの場として活用できる形で実現するわけであります。
この史跡公園と古代歴史館につきましては、私自身、大きな期待感というものも感じておるところであります。ただ、工事説明では地形や樹木の関係から見通しの問題、あるいは夜間の心配といった声があったことも事実であります。こうした声に対して十分お考えをいただいて、この史跡公園が地域や市民の皆さんだけでなく、全国からお見えになる人たちの安心・安全に見学ができるように行政に特にお願いしていきたいと思います。
本市が日本や世界に誇りを持って発信できる、このすばらしい今城塚古墳をしっかりと維持管理し、子々孫々に継承していこうではありませんか。この点に関しまして、どのようにお考えをお持ちでしょうか、お伺いいたします。
次に、教員人事権移譲についての2問目の質問をいたします。
ただいまの答弁では、今回の大阪府の提案内容は、本市が平成17年以降、中核市市長会を通じて求めてきた教員人事権移譲の要望内容とは若干の差異があるようですが、私は長期的な本市教育改革のさらなる展望に立って、教員任命権のみならず、財源を初め、定数決定権、学級編制基準決定権も含めた人事権移譲の実現が、ぜひ必要と考える。今回の重要な機会を失うことなく、本市が3市1町と、このような包括的な人事権移譲の実現に向けても研究し、大阪府とも協議をしていただきたい。ご所見をお伺いします。
○総務部長(小林孝之) 三本議員の安全・安心のまちづくりについての2問目の、2点のご質問につきましてご答弁申し上げます。
1点目の、自主防災組織に対する防犯活動への協力についてのご質問でございます。地域に密着した防犯対策につきましては、警察を初め行政、事業者、地域住民が一体となって取り組みを展開していくことが安全で安心して暮らすことができる地域社会の実現につながるものと考えております。したがいまして、自主防災組織の活動につきましては、自分の身は自分で守る、地域は地域住民の手で守るという自助、共助の精神に基づき、防犯も視野に入れ、地域における防災力、防犯力を強化するために重要であると考えるところでございまして、自主防災活動の推進に留意してまいりたいと考えております。
2点目の、防犯カメラ設置条例の制定についてのご質問でございますが、防犯カメラは設置による犯罪の抑止効果等、その有用性とプライバシーの保護や肖像権の問題等さまざまな課題がある中、設置方法や運用等についてルールが明確でない場合が多く、設置主体の自主性に任されている状況にあります。今後につきましては、先進市における事例等の調査、研究に努めてまいりたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
以上です。
○地域教育監(森田克行) 今城塚古墳の公園に関するご質問にご答弁申し上げます。
ご指摘の安全・安心への取り組みにつきましては、古墳内側の堤の通路やスロープ、見学路、街灯などを整備いたしまして、古墳公園内を安全に散策していただけるよう配慮してまいります。また、樹木剪定や除草等によりまして目の高さでの見通しをできるだけ確保するとともに、全体を良好な状態に保つよう努めてまいります。さらには、関係部局、関係機関のご意見、そして新池ハニワ工場公園における良好な管理実績も踏まえまして、この古墳公園を日々快適に散策、見学できる状態に保つことにより、地域の皆さんに愛され、大事にされる場所としていくことが市民のモラル意識やマナーの向上、ひいては安全・安心のまちづくりにつながっていくと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
○政策統括監兼市長公室長(渡邉泰之) 三本議員の、教員人事権の移譲についての2問目の質問に対してお答えいたします。
財源や市町村別、学校別定数の決定権、学級編制基準の決定権を含めた教員人事権の移譲が必要であるということについては、議員と全く同じ認識を持っておるところでございます。本市としては、そのような課題認識を持ちつつ、今後3市1町と研究を進め、府に対しても働きかけてまいりたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
以上です。
○(三本 登議員) 安全・安心のまちづくり、3問目の質問をいたします。
自主防災組織と青パトを連動での、さらなる治安維持への活動は、私は十分検討に値するものと考えます。なぜなら、こうした手法を用いて大きく治安維持に貢献している先進市があります。この問題は積極的にご検討をいただきたいと思います。
また、本市では防犯カメラ設置にも防犯カメラ設置条例にも、残念ながら、私から見れば否定的であります。さきにも述べましたように、東京都杉並区では犯罪事情の悪化を背景に、条例制定を2年前から区民意識調査、実態調査を実施して、防犯カメラの抑止効果について、95%の区民が効果があると答えています。そうした中で、杉並区監視カメラに関する専門家会議を設置、有識者4名による構成、会長に元最高裁判所長官三好 達氏を中心に、プライバシー保護への配慮を2年間、議論を重ねて、今日のすばらしい防犯カメラ条例制定に至ったのであります。
ちなみに高槻市が平成20年3月に実施しました市民アンケート調査でも、特に夜間での不安の改善を望む意見が上位を占めています。本市にも検察や警察庁を退職された立派な方がいるようですので、市民の生命と財産を守るためにも、これらの方のご意見もいただく中で、真摯に検討、実現をいただきたい、要望といたします。
次に、今城塚古墳はご存じのように、昭和33年、国からの史跡指定を受け、半世紀余りを経て本市のまたとない貴重な遺産になろうとしています。これまでに幾多の困難を乗り越えて、今日に至ったことに対し関係各位に敬意をあらわしたいと思います。これよりは、行政が英知を絞って、いつまでもこの貴重な遺産をすばらしい状態での維持管理に努めていただくと同時に、地域の方々に安全・安心とやすらぎを与えていただきながら、市民と行政が一体となり、この貴重な遺産を守り、育てていこうではありませんか。要望といたします。
次に、教員人事権の問題、3問目でございます。
奥本市長は、奉職なされ、教職員11年間、市職員として28年間、市長として11年間余り、みんなで50年余りにわたり体力、気力にも恵まれまして、この高槻の地を正しく導いてこられ、数々の大きな成果を残されようとしていることに、私は最大の評価をしてまいります。
今回の教員人事問題は、本市にとりましては、私、いや多くの心ある人々の長年の夢をかなえる第一歩であると考えます。この大問題を完成させるためには、これからも幾つかの大きな山を越えなくてはならないと思いますが、将来の本市教育への正しい道しるべを最後にお残ししてください。そうした中で、本市のたゆまない発展を期待でき、私ども自信と誇りを持って応援のできる市長後継者をご指名していただき、大きな花道を飾っていただきたいと思います。
以上、要望といたします。
○議長(久保 隆) 三本 登議員の一般質問は終わりました。
次に、橋本紀子議員。
〔橋本紀子議員登壇〕
○(橋本紀子議員) 民主・元気ネットの橋本紀子でございます。私からは、高槻市における出産助産制度について一般質問をさせていただきます。
大阪府における周産期医療体制は、病院産婦人科や小児科、産婦人科診療所、助産所などの医療機関と、大阪府医師会、大阪産婦人科医会、大阪小児科医会等の医療関係団体と行政の連携によって運営されています。
府は2次・3次救急医療の整備が中心になるのに対し、市町村は初期救急の整備と救急隊の運営を担っています。これらの連携には、医療機関の自主的な活動によるOGCS(産婦人科診療相互援助システム)、NMCS(新生児診療相互援助システム)など、一般の救急医療体制とは別に周産期緊急医療体制が構築されており、周産期緊急医療は、かかりつけ医が搬送先を確保する点で、救急隊が搬送先を探す一般救急と大きく違うところです。
従来、妊産婦は妊娠届を提出し、母子手帳の交付を受け、妊婦健診を受けていることが前提となっています。ところが、近年、母子手帳を持たないばかりか、かかりつけ医を持たない妊産婦が出産間際に救急車を要請する事例が目立ち、このセーフティーネットから逸脱する妊産婦、新生児があらわれるようになっています。通常の母体搬送では、かかりつけ医からOGCSに搬送要請があり、医療機関の連携で搬送先を決定していますが、かかりつけ医を持たない妊産婦が救急車を要請しても、救急隊では的確な搬送先を決定し、搬送することは困難が多いとされています。妊産婦や胎児の医療情報がないため、受け入れには最重症の想定をしなければならず、24時間対応が可能な周産期母子医療センターは大阪でも少数で、人的資源にも限界があるため、周産期医療従事者の慢性的疲労状態も看過できません。
このような飛び込み出産には、医療的リスクのみならず、社会的問題を抱えていることが多く、このような事例が増加する一方で実態把握がなされていませんでした。
こうしたことから、妊婦健診をほとんど受けない妊婦が分娩に臨む飛び込み出産を防ぐため、大阪府は昨年8月から大阪府産婦人科医会と共同で未受診妊婦の実態調査を行いました。妊婦と医師の双方に大きなリスクが伴う未受診の原因を把握し、具体的な支援策を検討することがねらいです。未受診は飛び込み出産の原因と指摘されているほか、飛び込み出産では入院費用を支払わずに退院するケースもあり、医療機関の経営を圧迫する一因にもなっています。
国は妊婦や胎児の健康を確保するため、出産までに14回の妊婦健診を受けることが望ましいとしています。しかし、妊婦健診は健康保険が適用されず、公費で助成される回数分以外は全額自己負担になるため、経済的な理由から受診しない妊婦もいます。
厚労省が平成19年度に実施した調査では、妊娠後期に当たる28週以降に妊娠を届け出た妊婦は、全国で9,717人に上っています。府内では妊娠を届けた妊婦全体の0.76%に当たる638人で、届け出がおくれた主な理由は、経済的な理由が12.1%、望まない妊娠が10.5%、母子家庭が8.6%となっていますが、そのほかが58.9%を占めており、詳しい原因の把握が急務となっていました。
この大阪府委託事業で大阪産婦人科医会が行った未受診や飛び込みによる出産等実態調査報告書が、ことし3月にまとめられ、5月にプレス発表がされました。調査結果から次のことが明らかになりました。
1、大阪府府内では年間7万7,000件の分娩が約160の施設で行われている。未受診妊婦を受け入れたことがない、受けないという施設を除いて、29の施設から152件の未受診妊婦と未受診類似症例33件の報告があった。132件はOGCS加盟病院、12件は一般診療所、夜間休日から産婦人科の当番病院に搬送されたものが18件となっている。
2、地域別未受診妊婦発生数の三島地域では、高槻市の2件を含み6件あった。
3、母体の背景は、平均年齢が28.3歳で、分布は13歳から43歳までと幅広く、未成年は15.8%で、多くが無職や非正規雇用などの不安定な就労状況である。
4、分娩事情では、78%が陣痛初来を自覚してから産婦人科へ受診しており、27%が妊娠高血圧症など母体合併症を伴っている。調査期間中の周産期死亡率は19.7と40年前の1970年代の死亡率と同等で、分娩時医療介助者がいれば正常新生児として出生できたと思われる不幸な事例も含まれている。
5、新生児事象では、低出生体重児が26.3%、早産児が13.1%で、31.7%の新生児はNICUに入院となり、新生児合併症は全体の48%に上り、重症新生児仮死、食道閉鎖、腹壁破裂、脳瘤などの外科疾患、先天性梅毒などの子宮内感染も見られる。また、13.1%の子が乳児院や里親に引き取られるなど、退院後に母と分離されている。母と退院した子についても、援助者がないかパートナー以外の友人に頼むなど、十分な保育環境にないと考えられる例が21%に達している。未受診妊婦の67%が入院中ソーシャルワーカーの介入を受け、26%が助産券、29%が生活保護の申請をし、59%が要支援ケースの申し送りをされている。その中ではDVやネグレクトが8例、乳児健診も受診しないか健診時に体重増加を認めない例も10例あった、という報告内容になっています。
そこで、質問します。
まず、1問目の1番、高槻市の未受診妊婦の把握、飛び込み出産件数と、その背景については。
2番、未受診妊婦の受け入れ施設の把握は。
3番、高槻市の周産期母子医療センターは。
4番、医療機関に対する未払い、置き去りはあるか。
以上について1問目とさせていただきます。よろしくお願いいたします。
〔子ども部長(古村保夫)登壇〕
○子ども部長(古村保夫) 橋本議員の本市における出産助産制度についての数点のご質問にお答えをいたします。
まず、未受診妊婦や飛び込み出産の件数把握についてでございますが、妊娠に気づかない方や妊娠していても受診しない方を我々行政で把握することは困難でございます。医療機関での保健指導に負うところが多いのが現状でございます。
その背景でございますが、経済的な問題だけでなく、望まない出産、家庭内暴力等の社会的問題も含んでいるものと考えてございます。
次に、未受診妊婦の受け入れ施設の把握や周産期母子医療センターの現状についてのご質問でございますが、周産期母子医療センターにつきましては、現在、大阪府下では総合周産期母子医療センターが5か所、地域周産期母子医療センターが14か所指定を受けております。本市におきましては、愛仁会高槻病院が総合周産期母子医療センターとして、また大阪医科大学附属病院が地域周産期母子医療センターとして指定を受けております。未受診妊婦につきましては、リスクの高い妊娠、出産と考えられることから、このような周産期母子医療センターに搬送されることが多いと思われます。
最後に、医療機関に対する未払い、新生児の置き去りはあるかというご質問でございますが、市ではそのような状況を把握しておりませんので、よろしくお願いいたします。
以上でございます。
○(橋本紀子議員) ありがとうございます。
では、2問目ですけれど、高槻市における未受診妊婦の把握は困難ということでした。未受診妊婦の抱える問題点の一つに、妊婦の経済的貧困があります。未受診理由の33%が経済的要因となっており、残りの67%にも個人的、家庭的、社会的背景が複雑に絡み合っているということでございます。家庭内、地域内のコミュニケーション不足や相談者がいないという妊婦の孤立要因も考えられます。また、母体の生育環境においても貧困、生活保護、両親の離婚、母子家庭、虐待が存在しており、負の連鎖が見られる事例もあるということです。負の連鎖からは、さらに世代間連鎖が懸念されるとも報告書には書かれています。また、出産後の保育環境についても厳しいと言わざるを得ず、経済的事情のほか、母子の孤立や不知など、社会的弱者へ十分な福祉サービスが届いていないことも考えられます。
一般的に出産費用には、出産前の検査、定期健診代、分娩・入院費、その他ベビー用品等があります。出産育児一時金は、赤ちゃん1人につき42万円が、勤務先の健康保険か国民健康保険から支給されます。しかし、無職、非正規就労の場合や国民健康保険制度についての知識がない妊婦、家族の場合は、これらの支援の外側に置かれていると言えます。
未受診妊婦に多い飛び込み出産の場合で、出産助産制度を利用する際の医療機関側のリスクとしても出産助産制度の支弁額の低さ、中絶・妊娠中の医療費用の未払い、産科医療補償制度の費用負担が医療機関の負担となるなどの経済的負担があります。
また、高度医療の長期占有とハイリスク分娩、NICUの受け入れ先の欠如、感染症の多さなどハード面の負担と、飛び込み出産がいつあるか、どのような症例で飛び込むかという精神的負担や通常業務がいつ停止状態になるかわからないなど、医療従事者のソフト面での負担があります。これまでも未受診妊婦の受け入れ施設が少なく、いわゆるたらい回しによる悲惨な事例が何度か報道されましたが、高槻市においては総合周産期母子医療センターと地域周産期母子医療センターがあるということで、府内でも恵まれた環境にあることがわかりました。
また、高槻市での出産後の子の置き去りについては把握していないということでしたが、報告書では府内での置き去りのケースにも言及されています。新生児の置き去りで親権者不在による生まれた子どもの戸籍や乳児院へつなぐなどの法的手続までが医療機関に課せられるなどの事態が起こっているということです。
医療関与のない未受診妊婦は本来危険であることを啓発、広報、教育することで危険性の認識を持ってもらうことが何らかの相談のきっかけになることが期待できるとの指摘もあります。
そこで、数点お伺いいたします。
1番は、高槻市における出産助産制度と、その利用方法。助産制度の適用決定の時期と方法、事前申請主義について。
2番、現在の支弁額と他市比較について。
3番、助産対象者に未受診妊婦がいるかどうか。
4番、生活保護と助産制度の違いについて。
5番、通常、助産制度を申請した場合、申請者が自分で助産施設を探さなければならないのですが、未受診妊婦で切迫している場合、実際には探すことは大変困難ですが、高槻市での受け入れ施設はどのようになっていますか。
6番、妊婦、家族の不知に対して、どのように啓発されていますか。
7番、出産後のフォローのあり方として、どのようなことがあるか。
以上について、よろしくお願いいたします。
○子ども部長(古村保夫) 橋本議員の、本市における出産助産制度に関する再度のご質問にお答えいたします。
まず、本市における助産制度と、その利用方法でございますが、助産制度は保険上必要があるにもかかわらず、経済的理由等で入院、助産を受けることができない妊産婦、これを助産施設に入所させて助産を受けさせることを目的としております。対象者といたしましては、生活保護受給世帯、前年度分市民税非課税世帯、及び前年度分8,400円以下の者となっております。
なお、生活保護世帯につきましては、自己負担はございませんが、非課税世帯等の場合、一定の自己負担が必要となってまいります。
助産の利用方法でございますが、申請者から助産施設入所申込書の提出を受け、訪問調査を行いまして、入所措置の要否判定を行います。入所措置を決定した場合は、申請者に助産施設入所承諾書を交付し、助産施設には助産施設入所承諾書、及び助産券により通知いたします。出産費用につきましては、助産施設が補助券に基づき、市に請求をし、市で診療内容を審査して、適当と認めたものにつきましては、助産施設に支払うことになります。
次に、助産の決定時期についてでございますが、助産施設の空きベッドの確保の問題もございますので、原則として妊娠8か月までに手続をしていただくようお願いをしているところでございます。
助産施設の受け入れが可能であれば、できる限り柔軟な対応をいたすようにしております。
続きまして、助産の支弁額でございますが、個々のケースによって支弁額が異なりますが、平成21年度の利用実績が21人で、831万4,410円となっておりますので、1人当たり平均では39万5,924円となります。また、助産の支弁額の他市比較でございますが、1人当たりの平均で申しますと、吹田市が30万3,918円、茨木市が39万4,780円、摂津市が30万3,876円、島本町が31万5,590円となっております。
また、助産の対象者の中に未受診の妊婦がおられるのかというご質問でございますが、申請書の受け付け時に母子手帳の妊婦健診の受診記録を確認しております。仮に、その時点で未受診であっても、受診した上で再度、受診記録を見せていただくようにしておりますので、未受診で出産される方はおられません。
さらに、生活保護と助産との関係でございますが、生活保護法の他法優先の原則によりまして、まず助産制度が適用されることとなります。
続きまして、助産施設の指定でございますが、本市の助産施設としましては、大阪医科大学附属病院、高槻市赤十字病院、北摂総合病院、高槻病院の4か所で申請者の希望に沿って指定をしております。
また、妊婦、家族への指導についてでございますが、まず母子保健法では、妊娠が判明したら速やかに市町村に妊娠届を提出し、母子健康手帳の交付を受けていただくことになっております。本市では、その際、14回分の妊婦健康診査受診券を挟み込んだ母子健康手帳別冊をお渡しし、市の母子保健サービスの案内を行っております。配付時に妊婦アンケートも実施いたしまして、指導が必要とされる方には後日、子ども保健課の保健師が連絡し、一人一人の状況に応じた相談や支援を行っております。
なお、家族の指導を含めまして、安心して出産、育児ができるようママパパ教室を開催し、助産師、歯科医師、歯科衛生士、保健師、栄養士による講義や実指導を行っております。平成21年度の実績としましては、延べ846人の方の参加がございました。
最後に、出産後のフォローについてでございますが、子ども保健課で市全体を地域分けいたしまして、各担当の保健師を定め、電話、個別訪問、手紙等のさまざまな手法を使って、母子の健康指導、子育て相談等のきめ細やかなフォローを心がけております。このようなかかわりは、産後うつや虐待予防につながるとともに、児童への前向きな気持ちを高め、継続的な支援のスタートになるものと考えております。
以上でございます。よろしくお願いいたします。
○(橋本紀子議員) 3問目は要望とさせていただきますが、このたび大阪府の委託事業としてまとめられましたこの報告書を読んで、その実態に大変驚いておるところでございます。
調査結果からは、未受診妊婦は医学的にも社会的にもハイリスクであることが実証されました。医学的には、母児の予後、特に新生児に大きな影響がありました。予後不良の多くの事例では、妊婦健診を受けて、医療機関での出産であれば良好だったことが推察されるということです。胎児・新生児死亡は、子の将来を摘み取るばかりか、新生児仮死による後遺症も生涯にわたり影響を残すことになります。これは、まさに新生児の生存権が脅かされる胎児・新生児虐待ともなり得る問題です。
出産後、母親がいなくなるという置き去りにまでは至らなくても、望まない出産で退院した場合の出産後の保育環境をフォローすることも課題です。今回は、助産師さんからいろいろお話を伺いましたが、産んだから育てるのが当然とは今はなっていませんよ、養育の意思のあり方が虐待にもつながるというお話も伺いました。
連日報道される子どもの虐待がなぜ起こるのか、この芽が妊娠前後、出産から新生児との母子関係に潜在するとしたら、ネグレクト情報や虐待の通告へ至るまでの、もっと早い時期の支援が必要であることを今回痛感しました。
子ども保健課がきめ細かく相談、支援をしていただいていることは十分承知していますけれども、しかし、今回の調査では未受診に至った要因の詳細については調査できなかったとして、今後、個々の事例を詳しく把握することで課題を明らかにすること。そして、未受診妊婦を防止する支援策の検討の場の設置、保健・医療・福祉・教育の連携による新しい支援の枠組み、現行の諸制度の拡充・活用と府民に対する普及啓発が求められており、そのための検討の場が必要であると締めくくられています。
また、妊婦・家族の不知では、飛び込み出産後、助産制度について知り得た情報も、事前申請主義では事後には利用できないことになっていますから、事後申請を可とする自治体も出てきており、高槻市でも今後検討課題と思います。このように、現在ある制度の中では、支弁額・一定要件下での事後申請、健診費用、産科医療補償制度の負担、他府県からの飛び込み出産の対応など、助産制度の見直し、出生児の人権にかかわる保護、そして24時間子育てダイヤルの周知など、もう一度、各関係機関の連携で効果的な支援策を講じる一歩を、ぜひ踏み出していただくことを要望して、一般質問を終わります。
ありがとうございました。
○議長(久保 隆) 橋本紀子議員の一般質問は終わりました。
次に、蔵立真一議員。
〔蔵立真一議員登壇〕
○(蔵立真一議員) 高志会議員団の蔵立真一です。私は、2点、財政について、BCP(事業継続計画)策定に向けて質問させていただきます。
まず、財政についてです。
一般的に財政に期待される役割は、公共財の供給、所得の再配分、好不況の波を抑制する経済安定の3つであるというふうに言われています。
地方自治体は、このうち公共財の供給が最も重要な役割であると言われていますが、全国的に見るとバブル期に急激な税収増が支出の拡大をもたらしました。その背景には、単年度での財政運営が前提となって、基金のような形で積み立てることが歓迎されなかったり、歳入に関しては標準税率以下の税率を適用することによる減税を行えば地方債発行への制限が課せられるといった事情があると考えます。
こうしたことから地方自治体では、バブル期に拡大した税収の増は、歳出の増に結びつくケースが多く見られ、その歳出増の影響は必ずしも単年度だけにとどまらず、建設がふえることによる地方債の発行という形で、バブル崩壊後の財政運営に深刻な影響を与えることとなったのではないかと感じます。
その一方で、ご承知のとおり、本市においては昭和40年代に人口は急増し、学校及び幼稚園の建設が本市の最優先課題となり、その対応のため財政状況は急速に悪化し、危機的な状況になりました。このような状況を脱却するために、財政の自主的な再建の取り組みを初め、昭和60年代からの行財政改革を実施、バブル期を含め、現在に至るまで行財政改革を継続的に実施してきていると認識しています。
そこで、財政面において、そうした状況のもとで本市はどのように現在に至っているのかという観点で2点、お伺いをいたします。
まず、1点目、7次にわたる行財政改革が及ぼした財政への効果をどのように考えていますでしょうか、見解を伺いたいと思います。
2点目は、過去から現在にかけて減税補てん債、臨時財政対策債などの、一般に赤字地方債と言われる市債残高が増加しているようですが、そのような要因も含めて、市債現在高や積立金現在高を初めとした本市の現状について、どのように分析されているでしょうか。また、平成20年度末で財政調整基金の現在高は100億円を超えていますが、どの程度必要だと考えているのか、ご見解を伺いたいと思います。
次に、BCP(事業継続計画)策定に向けてです。
災害や事故などが発生すると、被害を受けた会社は、その時点で操業をストップし、被害が大きい場合には操業不能な状況になると考えられます。その後、発生から時間がたつにつれて、操業の状況は回復していくでしょうが、必ずしも100%まで回復できるとは限りません。また、回復時間が長くなればなるほど、会社への損失は大きくなり、廃業へと追い込まれることが考えられます。
BCPとは、BusinessContinuityPlanの略称で、いわゆる事業継続計画と言われるものです。この計画というのは、災害や事故などが発生した場合に、操業の機能が一時的に低下しても、その事業所にとって中核となる業務については、事業を継続できる状況までの低下に抑える。また、操業の機能が全面的に回復するまでの時間をできる限り短縮させ、できるだけ早く機能をもとに戻すことにより、損失を最小限に抑え、災害の発生後でも事業を継続できるようにする計画のことであります。
平成17年に、国の中央防災会議において決定された東海地震、東南海地震、南海地震の地震防災戦略や、あるいは平成18年の首都直下地震の地震防災戦略では、今後10年間で大企業における策定割合をほぼすべてに、中小企業においては過半数を目指すという目標が掲げられました。
こうしたことを受けて、BCPの策定は金融業や製造業などといった大企業で策定が進んでおり、中小企業や地方自治体にもその取り組みが広がってきているということです。
本市でも災害に対しては、地域防災計画のもとに対策がとられていますが、本庁舎や消防本部といった災害対策を仕切るところが、例えばライフラインなどが機能しなければ、また、そこに必要な人員が確保されなければ計画も絵にかいたもちになりかねないというふうに考えます。
そこで、お伺いをいたしますが、行政機関として、国、府や他市のBCP策定についての状況はどのようになっているのでしょうか。また、現在、国、府からBCP策定への通達や要請などはどのようになっているのでしょうか。本市では、現行、災害時の業務の継続について、どのような取り組みをしているのか、お伺いをいたします。
また、平成21年の内閣府の特定分野における事業継続に関する実態調査によりますと、最もBCP策定の取り組みが進んでいるのは証券業界が77.4%、次いで銀行・地域金融機関36.5%となっている一方、医療施設では策定済みがわずか4.8%、同時にBCP自体を知らないと答えた割合は73.4%となっており、企業では認知度が広がっているのに、医療の分野ではBCPの認知度が低い状況となっています。
市は、医療あるいは介護施設のBCPを含めた防災活動の状況をどのように把握しているのでしょうか。医療介護施設とかかわる市の業務として、例えば水道事業などが挙げられるかと思います。災害によって医療施設への上水道が寸断、給水管や受水槽が破損した場合等、医療や介護施設が被災した場合の対応は、どの程度まで本市がかかわるのでしょうか、あわせてお伺いをいたします。
以上を1問目といたします。
〔財務部長(乾 博)登壇〕
○財務部長(乾 博) 蔵立議員の財政に関しますお尋ねにつきましてお答え申し上げます。
ご質問の内容が一部他の部局にも関連する内容でございますので、調整の上、ご答弁申し上げます。
行財政改革の効果につきましては、議員各位など、各般のご協力をいただきながら、昭和60年度に他市に先駆けて行財政改革大綱を策定し、現在に至るまで第7次にわたる行財政改革を継続的に実施いたしました結果、特に財政面では人件費、あるいは公債費などで一定の抑制を図ることができ、現在におきましては府内でトップレベルの健全財政を維持していると認識しております。
普通会計の市債現在高につきましては、昭和50年度に市税の3.6年分にも達する状況であったものが、平成20年度につきましては520億円と、市税約1年分にまで縮減することができております。これにつきましては、安易に起債に頼ることなく、新規借り入れを抑制してきたことの長年の積み重ねによる影響と考えてございます。
また、議員仰せのとおり、市債現在高、ただいま申し上げました520億円のうち臨時財政対策債など、地方財政法第5条の特例債、いわゆる赤字地方債の現在高につきましては288億円を占めているところでございます。この特例債のうちでも大きな割合を占めております臨時財政対策債につきましては、地方交付税の財源不足額のうち地方負担額を補てんするために、国において平成13年度から制度化されているものでございまして、その元利償還金相当額につきましては、全額が後年度に交付税措置されているところでございます。また、積立金の現在高につきましては、公共施設、耐震化基金など、おのおのの目的に応じて基金をこれまで設置してまいったことによりまして、有効に活用を図ってまいったところでございます。
これら財政のストック指標につきましては、健全化指標でございます将来負担比率などであらわされるものでございますが、全国的に見ましても良好な状況にあると認識しているところでございます。
最後に、財政調整基金に関するお尋ねでございますが、本市は1人当たりの市税収入が北摂7市の中では最も少なく、地方交付税あるいは臨時財政対策債に依存する脆弱な財政基盤にあること、そして、この先行き不透明な社会経済情勢が続くものと見込まれておりますので、今後の急激な変化、あるいは財源不足にも柔軟に対応できるために、一定の蓄えは必要であると考えておるところでございます。
以上でございます。
〔総務部長(小林孝之)登壇〕
○総務部長(小林孝之) 蔵立議員の、BCP策定に向けての数点にわたるご質問についてご答弁申し上げます。ご質問の内容が他部局にもまたがりますので、調整の上、私からご答弁申し上げます。
1点目の、行政としての災害時におけるBCP策定状況についてのご質問でございますが、内閣府によりますと、国においては、すべての中央省庁が策定済みでございますが、都道府県におきましては5都府県、市町村においては1市のみの策定という状況でございます。
2点目の、国、府からのBCP策定への通達や要請につきましては、現在、大阪府が内閣府からの通知を受け、市町村への通知、指導等の準備作業を進めているところであるというふうに聞いております。
3点目の、本市における現在の災害時の業務継続についての取り組みでございますが、本市の地域防災計画に基づき、各対策部において実施マニュアルを策定しており、その中で災害時の体制を明記しているところでございます。また、緊急対応職員及び方面隊職員には可能な限り市内在住者を配置することによりまして、迅速な初動態勢の確立を図ることとしており、さらに職員を対象にしたさまざまな想定の緊急参集訓練等を実施することによりまして、初動態勢確立の時間を検証しておるところでございます。
4点目の、医療・介護施設の事業継続計画を含む防災活動についてのお尋ねでございますが、医療機関・介護施設につきましては、医療法及び介護保険法に基づく書面審査及び実地指導の場において、非常災害時の対応としての防災対策マニュアル及び職員の緊急連絡体制の確立、災害時に備えた避難、救出、その他必要な訓練の実施状況を確認しているところでございます。事業継続計画につきましては、内閣府が主に地震災害を想定した事業継続ガイドラインを公表しておりまして、事業者が実質的に事業継続の検討を行い、準備することは、企業の存続のみならず、その社会的責任を果たす観点からも重要であるということから、事業の実施主体において作成されるものと考えております。
最後に、水道事業に関するお尋ねでございますが、水道事業では医療機関や避難所等への水を給水している配水管を重要管路と位置づけ、耐震化に取り組んでいるところでございます。また、災害発生時に上水道が寸断された場合、地域防災計画に位置づけられております拠点病院や救護所につきましては、速やかに断水、濁り水等の情報提供を行うとともに、給水車の配置や応急復旧を優先した体制をとっております。
なお、議員お尋ねの給水管や受水槽等が破損した場合につきましては、所有者としての対応をお願いすることになりますので、よろしくお願いいたします。
以上でございます。
○(蔵立真一議員) 答弁をいただきました。
まず、財政の部分からいきたいと思うんですが、答弁のとおり、昭和60年ごろから会計においては単年度収支の財政運営にとらわれがちの中、一歩先んじた財政運営を高槻市はしてきたのかなと、将来の20年、30年を見据えて行ってきたのかなというふうに認識をしています。答弁では、7次にわたる行革をしてきたため健全財政を維持している、市債も市税1年分まで縮小してきた、将来負担比率も良好だと伺いました。
ただ、行革をしてきたということであれば、例えば10年前と比較したら、その効果の額が上がってきているんじゃないか、つまり答弁の中にもありました、一定の抑制をした分、ほかに回すお金が実はできたんじゃないか、あるいは臨時財政対策債などの特例債については、全額交付金措置されるということですから、元利償還金相当額であるとのこと。今まで地方交付税でもらってた分を借金して補っている。本市は健全財政をするためにそうした改革や、あるいは財政運営を進めてきた状況であるにもかかわらず、経常収支比率がここ10年、あんまり変わってないんじゃないかというふうに認識します。
次なる視点は、昭和60年ごろ、20年、30年先を見据えてきた財政運営を行って今日まできた、今後これからの20年、30年をどう考えていくかということが重要じゃないかと思うんです。僣越ながら、私は38歳なんですけども、これから将来あわよくば50年は生きていきたいというふうに思ってます。また、私の子どもは1歳です。今この瞬間に生まれてきた子どもたち、この町でひょっとしたら80年、90年、100年生活するかもわかりません。そんな子どもたちのために、ぜひとも、これからも安定した、そして、できるだけ将来不安を取り除いた財政運営をお願いしたいというふうに思います。
そこで、2点、お伺いをしたいと思います。
まず1点目は、将来のことを考えると市債を早く償還する、あるいは民間活力などを生かして、さらなる行革を進めて、経常収支比率を下げる方向を目指していかなければいけないんじゃないかというふうに思いますが、見解をお伺いしたいというふうに思います。
また、答弁によると、一定の蓄えは必要との認識でした。財政調整基金だけでなく、将来のために一定規模、毎年、目的を持った基金を蓄えていくという発想も考えていかなければいけないんじゃないかというふうに思いますが、見解を伺いたいというふうに思います。
また、将来を見通した財政運営の必要性についてご見解を伺いたいというふうに思います。
次に、BCPの部分です。
答弁では、すべての中央省庁が策定済みであった、またBCPを策定している都道府県や市町村は少ないということでありました。大阪府は市町村へBCP策定に向けての通知、指導等の準備作業を進めているということでした。私の調べた範囲の中では、まず大阪府自体が既に平成21年6月にBCPを策定されております。また、大阪府の地域防災計画においては、地震災害予防対策の推進、あるいは自治体のBCP(業務継続計画)の策定運用が新たに明記されることとなりました。
平成22年度の大阪府の危機管理監がつくられたマニフェストにおいては、今話題になっていますWTCへの移転なども含めた第2次の府庁のBCPを策定される。市町村に対しては、答弁の中にもあったように、内閣府の作成のガイドライン等に基づき、市町村BCPが整備されるよう、促進方策を講じ、作成を支援するとあります。
こうした状況を考えていくと、今後、近い将来、本市もBCPを策定していかなければいけない状況になるんじゃないかというふうに考えてますが、現状では答弁にもありました、災害時の応急対応という視点に重きを置かれて、例えば災害が起こった場合、庁舎が損壊、停電した場合、通信が途絶えてしまった、職員の皆さんがなかなか参集されない、参集したとしても食べる物、あるいは飲み物がない、そして次の業務をどういうふうに進めていくかという部分、業務の継続という視点がまだまだないように感じます。
新型インフルエンザ対策の際、本市としてはBCPを策定されました。そうしたノウハウを生かして、市として地域防災計画と連動したBCPを策定すべきだと考えますが、ご見解をお聞かせいただきたいというふうに思います。
医療・介護施設に関してですが、答弁によると災害時に備えた状況は確認しているということです。BCP策定は事業主が主体ということでありました。しかし、先ほどの行政の場合と同じように、大規模災害が発生した場合、医療施設の周辺の被災の患者さんや救急隊などがどっと医療施設に押し寄せるような状況を危惧しますが、果たして現状でそうした患者さんに対してどこまで対応できるのか、また医療機関に入っている入院患者さんの安全をどこまで確保できるのか。水道に関して言えば、答弁では医療機関に対して速やかに給水車の配置や応急復旧を優先した体制をとるということでしたが、道路が寸断された場合、実際、どこまで体制がとれるのかという部分が危惧されるんじゃないかと思うんです。
阪神・淡路大震災復興支援本部が実施した医療機関向けのアンケートによれば、震災の被災によって使用できなくなったと回答された設備として、給水管が56.7%、エレベーターが40.7%、人工透析装置が37%となっています。人工透析装置を稼働するには日ごろでもかなりの水量が必要になっているというのが現状です。基本的には、答弁にもありましたが、BCPに関しては事業主の実施主体において作成すべきもの、給水管や受水槽の破損は所有者の対応ということであります。ということは、医療・介護施設は公共的な役割を果たしているにもかかわらず自助が求められていると。であれば、なおさらBCP策定に関しては、医療や介護施設に対して積極的に周知を行う必要があるんじゃないか、あるいは策定する取り組みを支援すべき方策を考えるべきではないかと思いますが、見解を伺いたいというふうに思います。
以上、2問目です。
○財務部長(乾 博) 蔵立議員の、財政に関する2問目についてをお答え申し上げます。
経常収支比率につきましては、特に歳入面におきまして、先ほども申し上げましたとおり、本市の脆弱な財政基盤に加え、景気動向が先行き極めて不透明であり、税収の伸びが見込めない状況でございます。引き続いて、行財政改革への取り組みなどによりまして、経常収支比率を現状より悪化させないという方向で努力してまいりたいと考えております。
また、目的を持った基金につきましては、本市ではこれまで、例えば退職手当基金を平成12年度に設置し、ここ数年の団塊の世代の職員の退職数の増加に対応して、当該基金を取り崩し、財源負担の平準化を図ってまいったところでございます。今後につきましても、さまざまな基金の有効的な活用を図ってまいりたいと考えております。
また、将来を見通した財政運営につきましては、市民の高齢化の進展に伴います扶助費の増加、あるいは40年、50年を経過した老朽化した公共施設の改修経費の増加、こういったものが予想されております。一方、市税収入につきましては、景気の動向あるいは生産年齢人口の減少等から、今後の市税の伸びは見込めないどころか税収減も想定されるところでございます。本市を取り巻く財政状況は、ますます厳しいものになると見込んでおるところでございます。
そうした中、財政の健全性に留意しつつ、基金、市債等を有効に活用しながら、真に取り組むべき事業に限られた財源を効率的に配分していかねばならないと考えております。今後とも財政状況を絶えず分析しながら、堅実で安定した財政運営を行ってまいりたいと考えておりますので、よろしくお願い申し上げます。
以上でございます。
○総務部長(小林孝之) 蔵立議員の2問目の、市としての地域防災計画と連動したBCP策定についてどのように考えているのかというお尋ねでございますけれども、1問目におきましてお答えさせていただきましたとおり、現在、大阪府が市町村への通知、指導等のための作業中でございますので、今後、大阪府から示されるであろうガイドライン等に基づきまして、また大阪府の指導、支援も受けながら、市として策定していきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
以上でございます。
○保健福祉部長(三宅清道) 事業継続計画に関し、医療機関や介護施設へ積極的に周知や策定の支援をすべきではないかとのお尋ねでございますが、新型インフルエンザに関しまして、医療体制に関するガイドラインにおいても、医療機関は第3段階の蔓延期においては、極端に増加する患者への対応や出動可能な職員数の減少等の影響などを踏まえ、医療機関の特性や規模に応じた、継続して医療を提供するための事業継続計画を策定する必要があるとされていることから、保健所において昨年6月に市内全病院が参加する病院立入検査説明会におきまして、厚生労働省科学研究費補助金で作成されました新型インフルエンザ蔓延期の診療継続計画づくりの冊子を配付の上、各病院において事業継続計画の策定を要請したところでございます。
災害時における事業継続計画につきましては、高槻市地域防災計画におきましても事業所の基本的な責務として策定に努めるとともに、防災体制の整備、防災訓練等を実施するなど、防災活動の推進に努めるとしているところから、立入検査を初めとしたさまざまな機会を通じて、周知啓発を行うとともに、国等からガイドラインが示された場合には、迅速な情報提供に努めてまいりますので、よろしくお願いいたします。
以上でございます。
○(蔵立真一議員) まず、財政についてからですけども、経常収支比率については景気の動向は不透明、あるいは脆弱な財政基盤であるので現状より悪化しない方向で努力すると。将来を見通した財政運営についても、景気の動向と他の要因、そして脆弱な財政基盤を考えると厳しい、基金、市債を活用しながら運営したいとのことでした。基金の有効活用についても考えていきたいということで、根本的な課題として、やっぱり脆弱な財政基盤という部分じゃないかなというふうに思うんです。
20年から50年先を見通した新しい高槻の今後の姿、あるいはそれを支えることができる財政構造にすることが今後求められていく課題じゃないかというふうに考えます。企業を誘致していくのか、あるいは他市から来ていただいて人口をふやしていくかなどといった、そういったところを模索するためにも、市政を今後進めている判断材料として、ぜひ中長期の財政計画を立てていただきたいというふうにお願いをしたいと思います。
例えば、杉並区では行財政改革を進めた上で、専門家を交えた将来の財政推移を予測して、最大の住民サービスは減税であるという視点から、改革の次なる目標として、減税を目指して毎年一定基金を積み立てる基金条例をつくられました。そうした基金を蓄えることによって市債を返す、返し終わったら毎年たまる基金によって資産運用をすることにより、利息分を減税に回すという構想であります。
もちろん、この構想の是非はあるんですけれども、専門家を交えた20年から50年の財政を予測し、将来不安をなくす、そして市のブランド力をつけるということを考えた中でのそういった決断であったというふうに伺っておるんですけども、景気の動向に左右されない、さらに安定した財政運営を目指すには、こうした過去から現在の状況をしっかりと専門家を交えた分析を行い、それを毎年更新して、将来の見通しを行っていくことが私は重要じゃないかと思いますので、ぜひ、そういった財政計画を立ててほしいということをお願いしたいというふうに思います。
BCPに関してですが、まず市のほうですが、皆さんもご存じのとおり、新総合計画の策定に係る基礎調査等報告書を読みますと、市の将来の望ましい姿として、安心・安全な町を選択された方が52.8%、病院や救急医療体制が充実した医療の町を選択された方が44.2%というふうな調査結果になっています。市民の皆さんの将来の不安、そういった対応へのニーズが高いんじゃないかというふうに思います。
地域防災計画では、防災に係る応急対応を中心に書かれていますが、例えば新潟の中越地震などでは、BCPを策定していない企業と策定している企業の差がすごいあったというふうな新聞記事があります。災害が起きると、その応急対応のことももちろんですが、その後の業務を早く再開することは市民の皆様の信頼や不安解消、復興の支援が早くなっていくんじゃないかと考えます。
本市の対応について、答弁では、府が通知、指導等のための作業中なので、それを受けてから考えていただけるということでしたので、前向きな答弁をいただいたということで、ご検討を、ぜひお願いをしたいというふうに思います。
医療・介護施設に関してですが、答弁によると立入検査を初めとした、さまざまな機会を通じて周知、啓発を行う。国のガイドラインが示された場合、迅速な情報提供に努めるということでした。
最初にお話しした中にもありましたけども、やっぱり医療での認知度が低い状況です。私もいろいろ医療や介護関係者の方々とお話しをすると、防災の意識自体やっぱり低いように思われます。
企業振興課では、中小企業向けに、こういったBCPの簡単なマニュアルみたいなものをつくっておられますので、ぜひ、こういった部分を有効活用しながら啓発に努めていただきたいというふうに思います。
阪神・淡路大震災の復興支援本部の調査によると、生き埋めや閉じ込められた際、だれに助けられたか、そのデータがあるんですけども、ほとんどが自力、あるいは家族によって助けられたというのが66.8%、友人や隣人、通行人に助けられたというのが30.7%、救急隊が助けてくれたというのは1.7%となっており、公助もやっぱり限界があるんじゃないか。
BCPを策定することで意識が高まっていく、行政がBCPをつくっていけば、医療・介護施設がBCPをつくっていけば、そして企業がBCPをつくっていけば、策定する共通の部分があるので、おのずと連携を図ったり、スパイラル効果で防災力がアップして、町全体の防災力が上がるんじゃないか、あるいは中小企業もなかなか策定するのが難しいという中で、いろんなところで策定されると、そのハードルが下がってくる、安心・安全という意味で市のブランド力にもつながると考えますので、ぜひ関西大学の防災の研究機関もあることですし、連携して産官学民が一体となって取り組みを進めていただきたいということを要望して質問を終わります。
以上です。
○議長(久保 隆) 蔵立真一議員の一般質問は終わりました。
お諮りします。
本日の会議時間は、議事の都合により、午後7時まで延長したいと思います。これに異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(久保 隆) 異議なしと認めます。
したがって、本日の会議時間は午後7時まで延長することに決定しました。
ここで、午後5時10分まで休憩します。
〔午後 4時51分 休憩〕
〔午後 5時10分 再開〕
○議長(久保 隆) 会議を再開します。
一般質問を続けます。
次に、山口重雄議員。
〔山口重雄議員登壇〕
○(山口重雄議員) 市民連合議員団 山口重雄です。私は、摂津峡公園と、ことし3月に破産し、閉館した摂津峡温泉旅館かじか荘跡地問題について、ともに地域でかかわりを持ってきました藤田議員、大川議員のご了解も得て質問をさせていただきます。
かじか荘は、負債額約4億円余りを抱え破産したことは多くの方が承知されているところであります。破産に至った経過は、私たちの知る余地のないところでありますが、その跡地処理について、だれが買うのか、何に使うのか、地域への影響がないのか、ましてや高槻市のシンボル摂津峡、そして摂津峡公園に悪影響が出るのではないかと、多くの市民が心配し、また興味津々、静観されている状況もあります。
摂津峡公園は現在、市民初め多くの来園者から高槻市の風致公園・桜公園として親しまれ、高槻市にとってはなくてはならないシンボル的存在になっています。
私は、摂津峡公園の成り立ちについては、たびたび本会議の場においても発言し、その大事さを訴えてまいりましたが、その経緯について、改めて触れておきたいと思います。
そもそも摂津峡・桜公園は、昭和23年に塚脇在住の(故)市川伶次郎さんが当時の山林37ヘクタール、約11万坪、甲子園球場の約10倍の広さを高槻市に無償で寄附されたことに始まります。
その後、摂津峡周辺の住民初め、多くの市民が毎年、桜の苗木一本一本を手植えし、桜公園をつくり上げてまいりました。したがって、市民の手で一歩一歩築き上げてきた市民公園としてもシンボル的存在になっていると私は思います。私も子どものころ、その桜の苗木植えに参加したことが、いまだ記憶に残っています。その後の高槻市観光協会の役割も大変大きかったと思われます。
昭和31年10月には風致公園に指定され、昭和43年12月28日に都市計画決定がなされ、都市計画公園に指定されました。さらに、昭和51年11月19日には都市公園法による風致公園・摂津峡公園に指定され、現在に至っています。
一方、かじか荘は、摂津峡公園が風致公園に指定された昭和31年の翌年、昭和32年5月に開業を始め、摂津峡蒸しぶろ温泉として、その後、改称して「湯元摂津峡温泉かじか荘」として約52年間、半世紀にわたって多くの市民、来客に親しまれ、摂津峡公園の歴史とともに公園の玄関口として歩んできた旅館であったと言えます。
このような歴史ある旅館が閉館になったのはまことに残念でありますが、より心配なのが、かじか荘跡地が何に使われるのかであります。そこで、摂津峡公園及び摂津峡地域におけるかじか荘跡地の役割と位置づけについて、3点伺います。
まずは、かじか荘跡地の法的規制についてであります。当該地区は、どのような法的規制がかけられているのか。
2点目には、その結果、どのような開発や建築が可能で、できない開発や建築はどのようなものか。
3点目には、高槻市にとって、かじか荘跡地は摂津峡公園の運営並びに将来計画に支障がないのか。
以上、3点お尋ねし、1回目の質問といたします。よろしくお願いいたします。
〔建設部長(北口悦男)登壇〕
○建設部長(北口悦男) 山口議員の摂津峡公園及びかじか荘跡地に関するご質問でございますが、他部局にわたる内容であるため、関係部局と調整の上、私のほうからご答弁させていただきます。
まず、法的規制についてのお尋ねでございますが、当該地は市街化調整区域であり、また風致地区や近郊緑地保全区域に指定されているため、開発行為や建築物、工作物の新築、改築等を行う場合は、都市計画法や近畿圏の保全区域の整備に関する法律に基づき、大阪府や高槻市への届け出や許可が必要となります。これらは、地域の保全や快適な都市環境を維持することを目的とした制度でありますので、公益の増進に資するもの、また健全な生活環境を確保するものであり、当該区域以外では、その目的を達することが困難で必要やむを得ないと認められるものなど、厳しい条件が設定されております。
建築が可能なものといたしましては、高さが15メートル以下であり、建ぺい率が40%以下で、規模や形態、意匠が周辺の風致と著しく不調和でないことなどを前提条件として、周辺の居住者の日常生活に必要な物品の販売、加工、修理等を営む店舗や事業所、また観光資源等の利用上必要な建築物などについて許可できるものがあり、また市街化調整区域内で建築が可能な農家住宅なども認められているものでございます。
次に、かじか荘跡地の役割と位置づけ、及び将来計画への影響でありますが、摂津峡公園につきましては、昭和31年の開設以来、清流や四季折々の魅力を有する公園として、市民のみならず多くの方々の憩いの場としてご利用いただいております。一方、かじか荘は摂津峡公園の入り口にあり、これまで温泉旅館として摂津峡の魅力向上に寄与されてきましたが、都市計画決定をされた摂津峡公園の区域には入っておりませんので、よろしくお願いいたします。
以上でございます。
○(山口重雄議員) ただいま摂津峡の中で、かじか荘跡地の位置づけについて答弁をいただきました。
1つは、市街化調整区域であり、風致地区に指定されておる。さらには近郊緑地保全区域、いわゆる3層の規制がこの地域にはかけられておる、こういうことであります。
建築基準法の関係では、建築なり改築を行う場合には、都市計画法の関係で、いわゆる近畿圏の保全区域の整備に関する法律に基づいて、大阪府や高槻市への届け出、さらには許可が必要であるということであります。ここで、何かをするということであれば、この地域でなければ目的が達成できないものでなければならない、いわゆる公益増進に資するものや健全な生活環境を確保するもの、こういうことになっているということであります。さらには、高さ制限として15メーター以下、建ぺい率が40%以下、さらには周辺の風致と著しく不調和でないこと、こういう景観上の問題もあるということであります。さらに、このかじか荘跡地が、最後の答弁にありましたが、いわゆる都市計画決定区域ではない、公園区域ではない、したがって都市計画法の関係で、先ほど言ったような許可なり届け出によって何かの開発は可能であると、こういうことであったわけであります。
しかしながら、高槻市でこの3層にわたって規制がかけられているという地域は、この摂津峡地域以外にはございません。したがって、この風致地区を含めて定めたときには、将来にわたってこの地域を保全していくという高槻市の意思表示として、今までこの地域にこのような網をかけてきたと、こういうように言えます。そういうことから言えば、このかじか荘の跡地は、都市計画決定はされてませんが、高槻市にとっても高槻市民にとっても大変将来的に重要な位置であり、場合によってはお金でははかれない、そういう価値を有している地域だと、こういうことが私は言えるのではないかなと。今の答弁を聞いても、そういうように私は理解をいたしました。
そこで、思いは同じでありますが、先月の5月13日、塚脇自治会を初め、地元6自治会と芥川漁業協同組合の代表者の皆さんが、藤田議員、大川議員、そして私の3議員を紹介議員に、奥本市長と、当時議長でありました源久議長あてに、かじか荘跡地を摂津峡公園の一部として市が購入してほしい、こういう要望書が出されました。さらに、翌日には小山商工会議所会頭と柿原高槻市観光協会会長の連名で同趣旨の要望書も出されました。さらには6月3日にも高槻景観園芸クラブ、新川蛍を守る会からも同趣旨の要望書が出されています。
この要望書を踏まえ、当時の源久議長の呼びかけで、これらの要望書を真摯に受けとめて――大変その時期は議長交代の微妙な時期でありましたが――5月20日に会派代表者会議を開催されて、市にかじか荘跡地の購入を求める議会決議を5月の臨時会、または、この6月議会に決議ができないものかという議論が行われました。その決議の目的は、いわゆる債権者の某金融機関の意向が、市は競売前の任意売買に応じるとの購入意思表示、いわゆる担保があればということで議会決議を上げる取り組みが進められてきたのは事実であります。当時、高槻市商工会議所からも資料を提供いただきました。さらには、債務者からの情報提供、そして管財人の弁護士への問い合わせなど、鋭意、議会としても情報収集に努めてきました。
しかし、6月16日に、ようやく管財人と2回目の接触がとれました。そこで確認できた内容は、債権者、いわゆる金融機関の意向によって、これまで進めてきた任意売却は取りやめ、競売に切りかえることが決まったんですと、こういうことであります。これは、今まで何とか任意売買で処理をしようという意向であったのが、いわゆる6月16日直前に方向が転換をされたということが明らかになってきました。これは、どうあっても高槻市にかじか荘跡地を任意売却する考えがないという、そういう金融機関の最終の意思決定であったと、こういうように思わざるを得ません。
したがって、議会側として金融機関が高槻市に当該かじか荘跡地を譲渡する意思が全くなくなった中で、議会決議を上げる目的は失われたということになり、議長の呼びかけで6月21日に会派担当者会議が開催され、その中で議会決議の提案は行わない、こういうことが確認されたところであります。
今、私が申し上げたいのは、地域、議会も含めて何とか任意売買でかじか荘跡地を市に購入していただけるような状況がつくれないかということを、地域の皆さんとともに議会も頑張ってきたと、このように私はとらえております。しかし、こういう状況の中で地域の皆さんは高槻市にもこの要望書を出されております。この間、地域自治会と商工会議所、観光協会、ともに力を合わせて会議を開きながら金融機関への働きかけや管財人に嘆願書を出すなど、今も粘り強く摂津峡の環境を守る、そういう取り組みを進められています。
そこで、議会、地元、各団体がこの問題に取り組んできた中で、高槻市はどのようにこの問題に対応されてきたのか、この点について4点お聞きしたいと思います。
1点は、地元自治会等9団体と高槻市商工会議所、そして高槻景観園芸クラブ、新川蛍を守る会から出された要望書にどうお答えになったのか、その辺についてご答弁いただきたい。
2点目には、かじか荘跡地がどのように処分されようとしているのか把握されているのか。先ほど私は、競売にされるということが決まったというふうに申し上げましたが、高槻として、この把握をどのようにされたのか、どこの情報なのか、この辺を2点目でお聞きしたいと思います。
3点目には、かじか荘跡地が競売された場合、高槻市はこの競売に私は参加してほしいというように思います。そういう点からいって、参加するご意思があるのかないのか、その辺についてお答えいただきたい。
4点目には、今後かじか荘跡地問題への対応をどのように考えておられるのか。
以上、4点、2回目の質問といたしますので、お答えいただきたい、このように思います。
以上です。
○建設部長(北口悦男) 山口議員の2問目にご答弁いたします。
まず1点目の、地元要望等に対する対応でございますが、ご要望を踏まえ、現状把握に努めるべく、法務局等における権利関係の調査や土地利用規制関係の調査など、庁内関係部局において可能な調査を行っております。
2点目の、かじか荘跡地の処分については、ご要望いただいた団体の方から状況を聞かせていただいております。
次に、3点目の、競売についてのお尋ねでございますが、競売への参加は、予算措置を初めとする課題がございまして、現時点では困難ではないかと考えております。
4点目の、かじか荘跡地問題への対応でございますが、かじか荘が摂津峡公園の入り口にあり、これまで摂津峡の魅力向上に寄与していただいておりましたので、跡地の問題は重要な課題と認識しております。このため、市といたしましても当該地区にふさわしい土地利用がなされるよう、法令等に基づき適切な対応を図ってまいりたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○(山口重雄議員) 特に競売の関係については、予算の関係等を含めて議会の手続が場合によっては必要でありますから、私としては参加をしてほしいという思いがありますが、手続上なかなか難しいというのも一方では理解せざるを得ないかなと、このように思います。
しかしながら、先ほど部長の答弁では、高槻市として現状把握のために庁内関係部局と権利関係とか土地の利用状況、規制関係等を含めて調査を行っているということがあるわけですが、この間、地域の皆さんも本当に某金融機関へ直接要望書を持っていくとか、さらには管財人に直接嘆願をするということまで含めて取り組んでこられました。議会も議長からの指示もあり、それなりの取り組みを精いっぱい頑張ってきたんではないだろうか、このように思います。
しかしながら、せめて高槻市も、競売にされるまで任意売却をするという姿勢を金融機関なり管財人にある段階で、例えば市の顧問弁護士を通じて売却を受けるということが可能なのかどうか、そういう点ぐらいまでは、私としては先ほどの1問目の質問であった、この摂津峡のすぐれた財産を守るためにも、そういう努力をしてほしかったということは、本当に今、私は皆さんに申し上げたい、こういうことであります。
こういう点からして、今後どういう形で競売にされていくのか、だれがこの物件を買われるのか、このことによっては先ほどの部長の答弁では、確かに法的規制、3つの規制がされている、そういう法的なものを踏まえなから、これから厳しく対応していくと、こういうような答弁だと、一方で私は理解したいというように思います。
さらには、高槻市を営業拠点に展開されている金融機関の対応として、私は心から、腹の底からやっぱり怒りを覚える、そういうことも今の状況として言えるのではないだろうか、このように思います。
いずれにしろ、高槻市が買収できる状況にないことは、現在、明白となったわけでありますから、先ほどの答弁にあった当該地区にふさわしい土地の利用、このために地域関係者と高槻市が力を合わせて、これから摂津峡を守っていくという姿勢がやっぱり問われていくのではないかと、このように思います。
その点からいって、3問目ですが、次の3つを要望しておきたいと、このように思います。
1つは、地元自治会等9団体と高槻商工会議所、高槻景観園芸クラブ、新川蛍を守る会から出された要望書に対して、経過並びに今後の対応についてどのようにするか、そのことを文書をもって、ぜひとも回答していただきたい、このように思います。
2つ目には、高槻市、高槻市民の財産である摂津峡、摂津峡公園の環境を守るため、かじか荘跡地利用について地域住民とともに監視を行われたいというように思います。そのために、地域の皆さんと情報交換、情報提供、このことをぜひともやっていただきたい、このように思います。
3つ目には、現在、取り組まれています第5次総合計画、この計画に摂津峡並びに摂津峡公園の今後の方向性を具体的に明記してほしい。これは審議会等もありますが、私もそこに委員に加わらせていただいてます。私も発言していきますが、行政としてこれからの実施計画の中で、こういう点を明記されるという努力をいただきたい、このように思います。
以上、3点について要望いたしますけれども、これに見解があれば答弁をいただきたい。
以上をもって、私の3問目の質問を終わりたいと思います。
以上でございます。
○副市長(石井克尚) 要望に対する見解ということでございますので、私からお答えを差し上げます。
先ほど来、山口議員がおっしゃられているように、摂津峡公園は高槻の町にとってシンボルである、もう疑いのないところだと思います。四季折々を通じて、魅力豊かな自然を提供していただいており、ここに市民や市の外からもたくさんの人が訪れている、こういうふうに理解をしております。その関係で、昨年には萩谷総合公園と摂津峡公園を結ぶような、こういった連動するような土地についても購入を行ったというところでございます。
かじか荘の跡地につきましては、このような摂津峡公園の入り口にあるわけでございますから、言うまでもなく重要な課題として市としてもとらえているということでございます。今後、市役所として、できることをしっかりと見きわめさせていただきながら、引き続き、適切な対応を図ってまいりたいと、このように思っている次第でございます。
どうぞよろしくお願いします。
○議長(久保 隆) 山口重雄議員の一般質問は終わりました。
次に、岡 糸恵議員。
〔岡 糸恵議員登壇〕
○(岡 糸恵議員) 公明党の岡 糸恵でございます。成年後見制度について質問させていただきます。
急速に進む高齢化に向かっている我が国にとって、これまでの福祉政策を大きく転換させようと取り組んできたのが社会福祉基礎構造改革と言われるものであります。①福祉サービスの利用制度化、いわゆる措置から契約へと言われるものです。②サービスの質の向上、③社会福祉事業の充実と活性化、④地域福祉の推進がその内容であります。
平成12年の介護保険制度の実施、社会福祉法の成立から始まったものがそれであり、そこから高齢者を取り巻く環境は大きく変容しました。社会福祉基礎構造改革の中心である措置から契約へという考え方は、行政が福祉サービスの提供主体となってきたこれまでの措置制度を原則として廃止し、民間事業者の参入を前提として福祉サービスの提供を利用者とサービス提供者との契約にゆだねるとともに、福祉の分野に市場原理の導入を図るものでありました。
福祉サービスの利用は、高齢者にとって日常生活を維持する上で必要不可欠なものであります。現実に、高齢者の生命、身体の安全に直結する問題を契約という形でサービスを受けることになったわけであります。
その介護保険制度と同時に制定されたのが新しい成年後見制度であります。成年後見制度がスタートして以来、家庭裁判所に提出された後見開始請求は顕著に増加しております。しかし、なかなか普及していないのが現実です。成年後見制度が成功している国は、日本がお手本にしているドイツです。ドイツでは1992年から始まっており、10年たった時点で既に成年後見制度に似た制度で利用者が100万人を突破したということです。
平成16年の東京都老人総合研究所アンケート調査によると、成年後見制度という制度を聞いたことがないという方が72.4%に上り、内容まで知っていたの10.5%を大幅に上回っています。成年後見制度は、まだまだ十分に浸透していない状況であります。
そこで、質問をさせていただきます。
1問目として、改めて1点目に、この成年後見制度が制定された理由と目的についてお聞かせください。
2点目に、この制度の周知の取り組みについて。
3点目に、現状についてお聞かせください。現状については、成年後見制度の利用が見込まれる認知症者数の増加率、市長申し立て件数、第三者後見人の受任状況についてお伺いいたします。
以上です。
〔保健福祉部長(三宅清道)登壇〕
○保健福祉部長(三宅清道) 岡議員の成年後見制度についてのご質問にお答えを申し上げます。
まず1点目の、成年後見制度が制定された理由と目的についてのお尋ねでございますが、平成12年4月1日の介護保険制度の実施に伴い、介護サービスの利用が行政の決定する措置から本人が決定する契約へと移行いたしました。しかし、認知症高齢者などの判断能力が不十分な方は適切な介護サービスを選択することは困難であり、また契約時には後見人を立てなければなりません。これらの方々を支援するため、成年後見制度と介護保険制度は補完関係として同時に施行されたところでございます。
次に、2点目の、制度周知の取り組みについてのお尋ねでございますが、窓口で配布するパンフレットに記載するほか、介護保険のサービスガイドへの記載、ホームページへの掲載により周知を図っております。また、今年度は制度開始10年という節目の年でもあるため、庁舎内及び養護老人ホーム等の老人福祉施設にポスターを掲示させていただき、6月25日号の広報紙にも掲載し、周知に努めているところでございます。
3点目の、本市における成年後見制度の現状についてのお尋ねでございますが、認知症者数につきましては、医療機関の診断などに至っていない潜在的な認知症者が多数おられ、正確な人数把握は難しい状況であるため、平成15年の厚生労働省の推計をもとに認知症者数の増加率についてお答えさせていただきます。65歳以上の人口のうち日常生活に支障を来すなど、成年後見制度の必要性が高まるレベルにある認知症高齢者が占める割合は、平成14年は6.3%、平成17年は6.7%、平成22年では7.2%と増加しております。これを高槻市の人口に換算いたしますと、平成14年が約3,700人、平成17年が約4,500人、平成22年が約5,800人となります。
次に、本市の市長申し立ての件数につきましては、平成17年度から平成21年度の5年間では46件ございました。そのうちの19件が平成21年度であり、また平成22年度は申し立てに至ると予測されるケースが既に13件あることから、昨年度からの増加傾向が著しい状況でございます。これは認知症高齢者の増加や核家族化の進行により親族関係が希薄になっていることが原因と考えております。
第三者後見人の受任状況につきましては、市長申し立ての場合は、親族による申し立てができない状況であることから、すべて第三者後見人でございます。内訳といたしましては、弁護士、司法書士、社会福祉士と、すべて専門職の方となっております。
以上でございます。
○(岡 糸恵議員) 現状はわかりました。本市では、認知症高齢者数は推定で5,800人、市長申し立て件数が、この5年間で46件ということですから、全体の0.1%にも満たないことになります。増加傾向にはありますが、介護従事者中心に周知がなされているという現象だとは思いますが、潜在的ニーズがもっとあるのではないかと思われます。
次に、2問目として、先ほども答弁でありましたが、ことしで介護保険制度、また成年後見制度が実施されて10年を迎えます。その間、高齢者を対象としたさまざまな問題が起こりました。この成年後見制度から見た高齢化社会の抱える問題と対策についてお伺いします。
2点目として、全国、また大阪府でも市民後見人の養成について取り組みがなされていると聞いておりますが、本市の取り組みもあわせてお聞かせください。
以上です。
○保健福祉部長(三宅清道) 岡議員の、成年後見制度についての再度のご質問にお答えを申し上げます。
まず、成年後見制度から見える高齢化社会の抱える問題と対策についてでございますが、高齢福祉課に相談のあるケースといたしましては、認知症に伴う金銭管理能力の低下により、健全な日常生活を送れなくなってしまう方、契約能力の低下により介護保険サービスの契約に至らない方などがおられます。また、雇用情勢の悪化に伴い、無職の子どもからの金銭搾取を受けている方、認知症のため悪質な訪問販売や知人にだまされてしまうなどの被害に遭う方も増加傾向にございます。対策といたしましては、成年後見制度を利用すれば、これらの被害から高齢者を守ることができると考えられるものについては、成年後見制度の利用につながるよう窓口での相談、弁護士、司法書士等の専門家を含めた関係機関との連携、親族への支援を行っております。また、親族等の支援が得られない高齢者につきましては、市長申し立てを行っております。
次に、市民後見人養成における全国、大阪府の状況と本市の今後の取り組みについてでございますが、市民後見人の養成を実施している自治体といたしましては、東京都が平成17年度から、横須賀市が平成19年度から実施しております。大阪府下では大阪市が平成19年度から実施し、これまでに118名の市民後見人を養成し、34件の選任を受けたとの情報を得ております。市民後見人の養成には、必要な知識を身につけていただくための研修体制を整備する必要があり、また養成後も後見活動にかかわっていただくためのサポート体制の整備、専門職によるフォロー体制の整備など多くの課題があり、1つの市だけで行うことは困難な状況でございます。このため大阪府では、今年度より大阪成年後見制度検討会の中で市民後見人のワーキンググループを立ち上げ、市民後見人養成の実施に向けた具体的な検討を行っております。本市も検討会のワーキンググループに参加しておりますので、引き続き市民後見人の養成が実現可能な制度となるよう協力していきたいと考えております。
以上でございます。
○(岡 糸恵議員) ありがとうございます。
ご答弁にもありましたが、現在の高齢者の抱える問題は非常に厳しい状況にあることに異論はないと思います。日本は、これまで弱者保護は家族によって任されてきました。障害者の面倒も高齢者の介護も、家族が負担してきたわけです。しかし、今その伝統は崩れつつあります。また、一方で悪質商法による高齢者の被害が続出しています。特に、ひとり暮らしの認知症高齢者の場合、被害の顕在化がおくれることがあり、別居している家族などが気づかずにいる間に被害が拡大してしまうケースが目立っています。このような場合にも事前の対処方法としても成年後見制度は有用であります。
1問目の答弁の中に、成年後見制度と介護保険制度は補完関係として同時に施行されたとありました。その後、平成18年、障害者自立支援法の施行で、障害者の福祉サービスも契約により利用されるようになり、さらに、その必要性が増しました。また、高齢者等に対する権利侵害、財産侵害が増加の一途にあることから、平成17年に介護保険法が改正され、高齢者等に対する虐待の防止、及び早期発見等の権利擁護事業が市町村の必須事業となりました。
さらに、平成18年施行の高齢者虐待防止法では、9条2項で虐待の通報があった場合、養護者による虐待の防止及び高齢者の保護を図るため、また27条2項では、財産上の不当取引被害を受け、または受けるおそれのある高齢者について適切に老人福祉法32条の規定により審判の請求、市町村による成年後見と開始の申し立てをするものと定められました。その上、同法28条では、国及び地方公共団体は成年後見制度の周知のための措置、成年後見制度の利用にかかわる経済的負担の軽減のための措置等を講ずることにより、成年後見制度が広く利用されるようにしなければならないと定めています。
社会福祉の契約化は、成年後見制度を社会福祉システムの重要なインフラとして位置づけました。成年後見制度の社会保障法としての側面は、この制度が本来的に持っている権利擁護機能と、その運用における社会保障法との連携です。
成年後見制度は、従来の禁治産・準禁治産制度にかわり、自己決定の尊重、現有能力の活用、ノーマライゼーションの達成の理念により、判断能力が不十分な方の権利を守るために設けられたものであります。本人の意思を尊重しながら、柔軟かつ弾力的な利用しやすい制度へと転換が図られたものです。
これまで述べてきたことは改めて言うまでもないことですが、介護保険制度の充実はこれまでも議論されておりますが、もう1つ、この成年後見制度については、いま一つ取り組みが弱いように思います。
契約というのは、高齢者にとって難解なものであります。高齢者の立場に立って、事業者の契約書の内容をチェックし、事業者からの説明に立ち会い、高齢者の意思を代弁する、高齢者の権利擁護体制の整備が同時に進められなければいけないと思います。各地で行われております社会福祉協議会が地域福祉権利擁護事業として高齢者の支援に取り組んでいますが、成年後見制度は成年後見の社会化であるがゆえに、自治体としての取り組みが非常に重要です。
1点目の要望ですが、まず市長申し立てについてです。先ほども申し上げましたが、本市でも年々増加の傾向です。しかし、認知症高齢者が約5,800人と想定すると、年間20件前後の市長申し立ては、まだまだ潜在的にニーズがあるものと予測できます。また、最高裁判所の平成21年度の集計によると、市区町村の申し立ては2,471件で、全体の約9.0%で、前年比約31.7%の増加になっています。しかし、この数字を見ると自治体間の取り組みの差が数字にあらわれています。
さらに、認知症高齢者の増加傾向に加え、厚生労働省が国の基本指針として平成23年度末までに施設入所中の知的障害者1万人の地域生活移行を行うことや、地域での受け入れ態勢を整えることにより、入院が長期化していた精神障害者5万人の退院を目標として掲げていることなどから、成年後見制度の申し立て件数は、ますます増加すると思われます。
契約によるサービス利用であれば、判断能力の不十分な人たちへのサポートとなるこの成年後見制度は十分な周知と活用を図らなければいけません。ちょうど6月25日号の広報に成年後見制度が掲載されましたが、高齢者のみならず、世代を超えて周知する必要があると思います。ぜひホームページにも具体例を挙げるなどして、わかりやすい説明をお願いします。法律用語が出てくるだけで市民は敬遠します。ふだんの言葉で平易に説明するなどしてほしいと思います。現在、本市のホームページでは、高齢者のその他の各種相談として、成年後見開始の申し立てと、大阪後見支援センター「あいあいねっと」を簡潔に説明されておりますが、成年後見制度が介護保険との補完関係との認識は、これではとてもできません。
ある自治体のホームページでは、成年後見制度は、判断力が落ちて、自分ひとりの力では通常の生活が困難になったときに、後見人をつけて支えてもらう仕組みで、誰もが、自由に、かつ安全に利用できるよう、法律で守られている制度です、とありました。市民のこれまでの認識を大きく変える必要性のある内容については、単なる説明文ではなく、これまでとの制度の違い、またメリットなど、市民目線での周知が必要です。ぜひ、ご検討の上、お願いいたします。
また、2点目として、先ほどのご答弁にもありましたが、全国複数箇所で市民後見人の養成を実施しているところがあります。これは、今後、申し立て件数の増加に伴い、第三者後見人が受任する割合が増加する傾向であること。また、少子高齢化や核家族等、家族形態の変化が一層進めば、親族が後見活動を担う環境は今以上に難しくなることも予測され、第三者後見人の受任率は今後ますます高まることが予測されます。弁護士、司法書士、社会福祉士などの専門職後見人は、その専門性を生かした後見はできますが、日常的な見守りのための密度の濃い訪問をこなせる状況にはなく、新たな担い手の登場が求められることから、その役割を担うのは社会の各分野で、さまざまな経験を積んだ市民であるとの考え方です。より多くの人たちが、住みなれた地域で自立した生活をしていくために、地域の中に暮らす市民の方々も成年後見制度を支える社会資源の一つとして、後見活動にかかわるという取り組みであります。
最も先駆しているのが世田谷区で、平成18年度から区民成年後見人養成研修を開始、平成20年度までに51人が研修を終え、24人が実際に後見人に選任されております。先ほどのご答弁にもありましたが、大阪市が既に実施し、大阪府が今年度より大阪成年後見制度検討会の中でワーキンググループを立ち上げ、本市も参加しているとのことでした。
5月の新聞報道によりますと、日弁連が昨年12月から、ことし1月、都道府県を通じて全市区町村にアンケートを実施しました。回答した366自治体のうち、市民後見人について、養成、支援や啓発事業を行っているとしたのは24自治体だけでした。実施していないと回答したのは342自治体で、その理由は、現段階でニーズが感じられないとの答えが最も多かったようです。成年後見制度、市民後見人、いずれも、これでは今後ますます地域間格差が広がる一方です。
市民後見人は、法廷後見における第三者後見の一類型ではありますが、単に専門職後見人の不足を補うという存在ではなく、地域住民の新たな支え合いの手法として、同じ地域に住む市民が判断能力の不十分な状態にある高齢者、障害者を支える共助の精神に基づくものであります。福祉的なニーズを抱える市民がいれば、まずは地域住民による支援や見守りの活動、要介護状態になれば介護保険や障害者自立支援法等のサービスの活用、さらに判断能力が低下すれば成年後見制度の利用という、地域におけるセーフティーネットの一つとして市民後見の仕組みが定着することになります。
本市では、高槻市人権施策基本方針及び、その具体的行動計画である人権施策を総合的に推進するための高槻市行動計画を策定しています。その中に、特に人権侵害を受けやすい要介護高齢者、認知症高齢者について、その尊厳が傷つけられることがないよう、虐待の防止や権利擁護を進めますとあります。
成年後見制度及び市民後見人の養成、いずれも取り組みに相当課題があることは承知しておりますが、受けるべき手だてがあるのに受けられないということのないように、ぜひお願いいたします。今後の高齢社会に欠かせない制度であります。ぜひとも積極的な取り組みをお願いします。
最後に、市のご見解をお聞きして質問を終わります。
○保健福祉部長(三宅清道) 岡議員の3問目にお答えを申し上げます。
成年後見制度についてのホームページへの掲載は現在も行っているところでございますが、岡議員のご意見を参考に、充実した内容へと変更いたしたいと思います。
次に、市民後見人の養成に向けての検討でございますが、成年後見制度の必要性が高まっていく中で、後見人の不足が課題となるのは十分に認識しておりますので、引き続き、大阪府後見支援センターとも連携を図りながら、市民後見人の養成に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
以上でございます。
○議長(久保 隆) 岡 糸恵議員の一般質問は終わりました。
お諮りします。
本日の会議は以上にとどめ、明6月29日午前10時から本会議を開会したいと思います。
これに異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(久保 隆) 異議なしと認めます。
したがって、本日の会議はこれで散会します。
〔午後 6時 0分 散会〕
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地方自治法第123条第2項の規定により、ここに署名する。
議 長 久 保 隆
署名議員 吉 田 忠 則
署名議員 源 久 忠 仁...