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03月03日-03号

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  1. 大阪市議会 2021-03-03
    03月03日-03号


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    令和3年第1回定例会(令和3年2・3月)◯大阪市会(定例会)会議録(令和3年3月3日)    ◯議事日程    令和3年3月3日午後1時開議第1 議案第56号 令和3年度大阪市一般会計予算第2 議案第57号 令和3年度大阪市食肉市場事業会計予算第3 議案第58号 令和3年度大阪市駐車場事業会計予算第4 議案第59号 令和3年度大阪市母子父子寡婦福祉貸付資金会計予算第5 議案第60号 令和3年度大阪市国民健康保険事業会計予算第6 議案第61号 令和3年度大阪市心身障害者扶養共済事業会計予算第7 議案第62号 令和3年度大阪市介護保険事業会計予算第8 議案第63号 令和3年度大阪市後期高齢者医療事業会計予算第9 議案第64号 令和3年度大阪市中央卸売市場事業会計予算第10 議案第65号 令和3年度大阪市港営事業会計予算第11 議案第66号 令和3年度大阪市下水道事業会計予算第12 議案第67号 令和3年度大阪市水道事業会計予算第13 議案第68号 令和3年度大阪市工業用水道事業会計予算第14 議案第69号 令和3年度大阪市公債費会計予算第15 議案第70号 令和3年度大阪市西町外15財産区予算第16 議案第71号 大阪市職員定数条例の一部を改正する条例案第17 議案第72号 一般職の任期付職員の採用及び給与の特例に関する条例の特例に関する条例の一部を改正する条例案第18 議案第73号 職員の給与に関する条例の特例に関する条例の一部を改正する条例案第19 議案第74号 包括外部監査契約の締結について第20 議案第75号 大阪市学校給食の実施及び学校給食費等の管理に関する条例の一部を改正する条例案第21 議案第76号 大阪市教育振興基本計画の変更について第22 議案第77号 大阪市介護保険条例の一部を改正する条例案第23 議案第78号 大阪市国民健康保険条例の一部を改正する条例案第24 議案第79号 大阪市食品衛生法施行条例の一部を改正する条例案第25 議案第80号 大阪市環境衛生、医事及び薬事関係手数料条例の一部を改正する条例案第26 議案第81号 大阪市美術品等取得基金条例を廃止する条例案第27 議案第82号 大阪市手数料条例の一部を改正する条例案第28 議案第83号 大阪市建築基準法施行条例の一部を改正する条例案第29 議案第84号 松原市から大阪市への消防指令業務に関する事務の委託に関する協議について第30 議案第85号 大阪市道路占用料条例の一部を改正する条例案第31 議案第86号 大阪市下水道条例の一部を改正する条例案第32 議案第87号 大阪市公園条例の一部を改正する条例案第33 議案第88号 大阪市港湾施設条例の一部を改正する条例案第34 議案第89号 大阪市海浜施設条例の一部を改正する条例案    ---------------------------------◯出席議員81人(欠は欠席者)   1番    長岡ゆりこ君   2番    山本長助君   3番    坂井はじめ君   4番    吉見みさこ君   5番    海老沢由紀君   6番    大西しょういち君   7番    岸本 栄君   8番    中田光一郎君   9番    武 直樹君   10番    今田信行君   11番    原田まりこ君   12番    くらもと隆之君   13番    野上らん君   14番    福田武洋君   15番    前田和彦君   16番    石川博紀君   17番    花岡美也君   18番    伊藤亜実君   19番    原口悠介君   20番    山田はじめ君   21番    西 拓郎君   22番    塩中一成君欠   23番    山口悟朗君   24番    小山光明君   25番    松崎 孔君   26番    山本智子君   27番    佐々木りえ君   28番    高見 亮君   29番    金子恵美君   30番    上田智隆君   31番    竹下 隆君   32番    永井啓介君   33番    寺戸月美君   34番    山中智子君   35番    森山よしひさ君   36番    西川ひろじ君   37番    杉村幸太郎君欠   38番    梅園 周君   39番    守島 正君   40番    飯田哲史君   41番    藤田あきら君   42番    西 徳人君   43番    山田正和君   44番    佐々木哲夫君   45番    西崎照明君   46番    土岐恭生君   47番    辻 義隆君   48番    八尾 進君   49番    大橋一隆君   50番    ホンダリエ君   51番    丹野壮治君   52番    出雲輝英君   53番    岡崎 太君   54番    田辺信広君   55番    荒木幹男君   56番    加藤仁子君   57番    有本純子君   58番    北野妙子君   59番    多賀谷俊史君   60番    足高將司君   61番    木下吉信君   62番    新田 孝君   63番    大内啓治君   64番    辻 淳子君   65番    東 貴之君   66番    木下 誠君   67番    山下昌彦君   68番    広田和美君   69番    片山一歩君   70番    小笹正博君   71番    杉田忠裕君   72番    明石直樹君   73番    永田典子君   74番    永井広幸君   75番    高山美佳君   76番    岡田妥知君   77番    宮脇 希君   78番    杉山幹人君   79番    藤岡寛和君   80番    川嶋広稔君   81番    太田晶也君   82番    田中ひろき君   83番    井上 浩君    ---------------------------------◯職務のため出席した事務局職員               市会事務局長           松本高秋               次長               巽 功一               議事担当課長           西 正道               議事担当課長代理         山下章桐               議事担当係長           明見繁夫    ---------------------------------◯議場に出席した執行機関及び説明員               市長               松井一郎               政策企画室長           吉村公秀               財政局長             東山 潔               教育委員会教育長         山本晋次    --------------------------------- △開議      令和3年3月3日午後1時開議 ○議長(ホンダリエ君) これより市会定例会会議を開きます。 本日の会議録署名者を今田信行君、井上浩君の御両君にお願いいたします。 ○議長(ホンダリエ君) これより議事に入ります。 ○議長(ホンダリエ君) この際、傍聴人に申し上げます。傍聴人は、拍手や発言をすることは固く禁止されておりますので、静粛に傍聴願います。 ○議長(ホンダリエ君) 日程第1、議案第56号、令和3年度大阪市一般会計予算ないし日程第34、議案第89号、大阪市海浜施設条例の一部を改正する条例案を一括して議題といたします。 ○議長(ホンダリエ君) これより質疑に入ります。 ○議長(ホンダリエ君) 藤岡寛和君の質疑を許します。 79番藤岡寛和君。     (79番藤岡寛和君登壇) ◆79番(藤岡寛和君) 私は、大阪維新の会大阪市会議員団を代表いたしまして、令和3年度大阪市予算案並びに関連諸案件等について質問いたします。 昨年11月に行われた特別区設置に係る住民投票では、5年前の結果と同様に僅差ながらも反対多数となり、政令市制度から特別区制度への移行は否決される結果となりました。しかし、この10年間、いわゆる大阪都構想実現に向けて積み重ねてきた議論は決して無駄ではなく、二重行政をはじめ大阪市の抱える様々な課題が浮き彫りとなり、その結果、今後も多くの改革を行っていく必要があることが改めて多くの人に認識されたのではないかと考えます。二度にわたり民意が示され大阪市が存続すると決まった以上、大阪市を存続させた上で大阪府市広域機能の一元化や大阪市の都市内分権を進めるとともに、より強力に、よりスピーディーに改革を推し進めていくことが必要であります。 令和3年度予算案は、大阪市の存続が決まって初めての予算案であり、新たなステージに入る重要なものだと認識しています。これまでは、特別区制度への移行を前提に、将来的に各区長のマネジメントによって存続・廃止を決めていくものとしていた施設や事業については、大阪市の存続が決まった今、これまで以上にスピード感を持って検討を進めていかなければなりません。今回の令和3年度予算案を含め、今後も是々非々で市長と議論してまいります。 あわせて、脱炭素社会に向けたイノベーションや国際金融都市などの成長戦略、大阪城東部地区をはじめとする新たなまちづくりなど、大阪市の目指す将来像をしっかりと見据えた上で未来に向けたビジョンを打ち出すことも、都市間競争や国際競争に打ち勝つ魅力ある都市となるために必要であります。 新型コロナウイルス感染症は市民生活や経済活動に大きな影響を及ぼしており、かじ取りが非常に難しい中ではありますが、そんなときだからこそ、今必要な対策は遅滞なくしっかりと講じながら、ポストコロナを見据え、施策を展開していかなければなりません。 我が会派から昨年12月末に予算要望や政策提言を行ってまいりましたが、その内容も含め、以下、具体的にお聞きいたします。 まず、財政状況に対する認識と今後の財政運営についてお伺いいたします。 新型コロナウイルス感染症の拡大により、市民の暮らしや経済活動において非常に厳しい状況が続いています。そのような状況の中、市長就任後2度目の編成となる令和3年度予算案は、今後も感染症との共存を前提に、新しい生活様式への対応を促進して、感染拡大の防止と市民生活・経済活動の両立を維持しながら、将来に向けた大阪の再生・成長を加速させる内容となっており、大いに評価しているところであります。 特に、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、市税収入の大幅な減少が見込まれる厳しい財政状況にあっても、我が会派から要望してきた学校給食費の無償化の継続を予算に織り込んでいただいたことを大変感謝申し上げます。 また、この間、新型コロナウイルス感染症への対応としてかつてない規模の様々な緊急対策を行ってきたこともあり、財政運営において懸念する声も聞かれるところでありますが、本市では、これまで取り組んできた市政改革により、経常収支比率や実質公債費比率、将来負担比率などの財政指標においては他の自治体に比べ着実に改善したところであります。 一方、予算案と共に公表された今後の財政収支概算(粗い試算)では、新型コロナウイルス感染症の影響などにより、令和3年度の通常収支不足が令和2年度予算より大きく悪化したほか、試算した期間の中盤から万博関連経費や淀川左岸線2期事業費の増などにより収支が悪化するとともに、終盤にかけては高齢化の進展等に伴う扶助費の増や起債償還の増等により通常収支不足が拡大していく見込みであり、本市の財政は依然として厳しい状況にあります。 新型コロナウイルス対策をはじめ、市民生活を守るために必要な施策はしっかり対応していかなければなりませんが、その一方で、将来世代に負担を先送りすることのないよう、今後も市債残高を着実に縮減するなど、行財政改革を一層推進していかなければなりません。 そこで、本市の財政状況をどのように御認識されているのか、また、今後どのような財政運営をされるのか、市長の御所見をお伺いいたします。 ○議長(ホンダリエ君) 理事者の答弁を許します。 松井市長。     (市長松井一郎君登壇) ◎市長(松井一郎君) 本市財政状況に対する認識については、この間、現役世代への重点投資や大阪の成長につながる施策に取り組むとともに、施策・事業の見直しや職員数の削減、官民連携の推進など、市民感覚を持って行財政改革に継続して取り組んでまいりました。その結果、市債残高の削減や人件費の抑制などにより、これまで財政状況は着実に改善し、経常収支比率や実質公債費比率、将来負担比率などの財政指標でもその成果が表れております。 しかし、令和3年度予算案においては、高齢化の進展に伴い社会保障関連経費が増となるほか、新型コロナウイルス感染症対策として学校給食費の無償化のほか、飲食店等への上下水道料金の特例減免措置やPCR検査体制の充実など必要な対策経費をしっかり確保したこともあり、通常収支は令和2年度の当初予算の107億円から悪化し、228億円の不足となりました。 また、今後の財政収支概算において今後も中長期的には通常収支不足が見込まれるなど、収入の範囲内で予算を組む見通しは立っておりません。依然として補填財源に頼らざるを得ないことから、財政状況は厳しいと認識しています。 今後の財政運営に当たっては、新型コロナウイルスの感染動向が不透明な状況であるものの、感染拡大の防止と市民生活・経済活動の両立を持続的に維持しながら、将来の大阪の再生と成長を加速させる取組を適切に実施するとともに、引き続き、市政改革に取り組み、施策・事業の選択と集中を進め、市債残高を着実に縮減しつつ、財政規律を堅持したいと考えております。 ○議長(ホンダリエ君) 藤岡寛和君。     (79番藤岡寛和君登壇) ◆79番(藤岡寛和君) 次に、新型コロナウイルス感染症対策におけるワクチン接種についてお伺いいたします。 市民の命と暮らしを守るためには、新型コロナウイルス感染症の拡大防止と社会経済活動の両立を図ることが重要だと考えます。このことを実現させていくためにもワクチン接種は極めて重要であり、接種を希望する市民の皆様に少しでも早く、かつ安全にワクチン接種を実施してほしいと思います。そのためには、強力なリーダーシップの下、関係部署が綿密に連携し、全庁的に取組を進めていかなければなりませんが、先月12日に市長を本部長とする新型コロナウイルスワクチン接種推進本部が設置されました。この推進本部の下、過去に例のない一大プロジェクトを遅滞なく進めていただきたいと考えております。 特別定額給付金の際は、準備不足などにより給付事務に混乱を来し、市民の皆様には多大な御迷惑をおかけいたしました。これは、非常に多くの人口を抱える大都市において大きな課題であります。 今後予定されている高齢者の方への接種券等の発送については、対象者が約70万人ということであり、発送直後は一度に多数の問合せや予約電話がコールセンターに寄せられることが想定されます。ワクチン接種については市民の皆様の関心も高く、周知・広報を適切に行えば不要な問合せが減ることも考えられます。 逆に、市民の皆様が必要としている情報を適切に伝えることができなければ、混乱を招きかねません。非常に多数の問合せに対応するためには、システム活用の推進や適切な周知・広報が必要になってまいります。どのような工夫を行い取り組んでいくのか、市長の御所見をお伺いいたします。 ○議長(ホンダリエ君) 松井市長。     (市長松井一郎君登壇) ◎市長(松井一郎君) 今回の新型コロナワクチン接種は、市民の皆さんの命と暮らしを守るための切り札と成り得るものと考えます。そのため、2月12日にワクチン接種推進本部を立ち上げ、市の最優先事項として、全庁を挙げてこのプロジェクトに取り組んでいるところです。議員御指摘の周知・広報は、今回のワクチン接種事業をスムーズに行う上で非常に重要な要素であります。 また、ワクチン接種については日々報道されており、市民の皆さんの関心も高まっていることから、接種券の発送に当たっては少しでも問合せや予約電話を分散させる工夫が必要と考えます。例えば、接種券の発送を対象者を分割して段階的に行い、送付状況についてはホームページ等に適時掲載し周知を図るほか、電話での問合せについても、オペレーターを増員するとともに、問合せが集中すると想定される内容については自動音声でお知らせするなど、市民の皆さんが得たい情報を効果的・効率的にお伝えできるように、担当部局に検討を指示しています。 また、市民の皆さんに分かりやすいホームページを作成するとともに、広報紙やSNSなど様々な手段を用いて丁寧に周知し、私も、会見などを通じて広く市民の皆さんへの情報発信に努めてまいります。 ワクチンの当初の供給量が限られる中、今後の国の情報等を踏まえ適宜計画を更新しながら、引き続き、市民の皆さんの命と暮らしを守るため、できるだけ速やかにワクチン接種を受けられるように全力で取り組みます。 ○議長(ホンダリエ君) 藤岡寛和君。     (79番藤岡寛和君登壇) ◆79番(藤岡寛和君) 次に、大阪国際感染症研究センターについてお伺いいたします。 新型コロナウイルス感染症への対応に当たっては、国、府、市において様々な対策が行われているところでありますが、これらの対策を実施するに当たっては、市民の安全を守る感染防止対策の取組と、市内中小企業の事業継続などの経済対策とのバランスを取っていくことが非常に難しいと感じております。現時点でも新型コロナウイルスの終息はいまだ見えておらず、加えて、今後、現在知られていない新たな感染症が発生する可能性も十分に考えられます。 このたび、市立大学と府立大学を統合し新たに開設する大阪公立大学において大阪国際感染症研究センターを設置することが発表されましたが、新興感染症の多くは人獣共通の感染症であり、両大学の統合により、関西で唯一医学部と獣医学部の両方を有する総合大学となった大阪公立大学だからこそ、より効果的な展開が期待されるものであります。 この研究センターは、アカデミアの知を集結し、行政の政策決定の支援を行うということでありますが、現下の状況を鑑みると、いち早くその機能を発揮してもらうことが必要であります。今後、この研究センターにおいてどのようなことを行い、感染症対策にどう生かしていくのか、市長の御所見をお伺いいたします。 ○議長(ホンダリエ君) 松井市長。     (市長松井一郎君登壇) ◎市長(松井一郎君) 今回の新型コロナウイルス感染症の感染拡大によって、感染症は市民生活や経済など社会全体に極めて大きな影響をもたらすものであることが明らかになりました。2025年大阪・関西万博の開催を控える中、本市としては、市民の安全・安心を確保するとともに大阪経済の再生・成長を図るために、感染症に対する都市の対応力を高めることが必要と考えます。これを踏まえて、今回、大阪公立大学の開学に先駆けて令和3年度からバーチャル体制で大阪国際感染症研究センターをスタートさせることといたしました。 令和4年に開学する新大学は、医学部、獣医学部をはじめ文系・理系の学部を有する国内有数の総合大学であり、これらの感染症研究を担う高いポテンシャルを持っております。 この感染症研究センターは、平時においては感染症対策に係る調査研究や人材の育成などを行い、有事においては大学が有する学際的な総合知を結集し、科学的エビデンスに基づいて行政の政策決定を支援していきます。 新大学が持つ強みを先取りしながら、大阪の感染症対策に大きく貢献する拠点としてまいります。 ○議長(ホンダリエ君) 藤岡寛和君。     (79番藤岡寛和君登壇)
    ◆79番(藤岡寛和君) 次に、令和3年度予算案で約71億円が計上されている、新型コロナウイルス感染症の影響を受ける飲食店等への上下水道料金特例減免措置についてお伺いいたします。 大阪は食のまちであり、数多くの多彩な飲食店がまちのにぎわいや活気を生み、人々の交流を支えてきましたが、長引く新型コロナウイルスの影響により、多くの店の経営が悪化し、やむを得ず休業あるいは閉店の判断をせざるを得ない事業者も増えてきているのではないかと考えています。 こうした中、市内全域の酒類を提供する飲食店等を対象に、この1月から3月までの検針分の上下水道料金について年間の売上額の減少率により減免を行う本制度は、経営が悪化している店にとっては、ほかの支援策と併せ大きな助けになるものとして期待も大きいものと思われます。 しかしながら、幾らよい支援制度であっても、必要な人にきちんと申請をしてもらった上で、また、その支援を迅速・タイムリーにお届けできなければ、せっかくの支援策もその効果を十分発揮できなくなってしまいます。さらに、申請したものの、その後がなしのつぶてで長期間待たされるというようなことになれば、そうでなくても感染拡大で不安な市民・事業者の方々をさらに不安にさせるといったことにもなりかねません。 昨年12月に制度の概要が発表され、現在準備段階であると思いますが、特例減免措置の実施に向けては、これまでのほかの支援策での教訓等を踏まえ、今申し上げたような点に十分御留意していただいて取り組んでいただきたいと考えます。市長の御所見をお伺いいたします。 ○議長(ホンダリエ君) 松井市長。     (市長松井一郎君登壇) ◎市長(松井一郎君) 酒類を提供する飲食店等の経営状況は極めて苦しいものと認識しており、このような飲食店等を少しでも経済的に支援するために上下水道料金の特例減免制度を創設いたしました。この制度の特徴は、最長1年間の支払い猶予を組み合わせた2段階の仕組みとしていることであり、支払い猶予については既に12月から受け付け実施しています。また、支払い猶予を申し込まず一旦お支払いいただいた場合でも、減免決定がなされれば還付することが可能といった弾力的な制度としております。 減免申請においては、水道局が保有している給水契約情報を最大限活用することで、申請者側で添付いただく書類を極力削減するなど手続の簡素化を図るとともに、受付・審査業務を円滑・迅速に行うための体制を構築いたします。 さらに、この制度の対象となる事業者に個別の周知を行うとともに、申請後の処理状況に不安を持たれることがないように、申請の受付時や減免決定時においての通知やその間ホームページにおいて申請日に応じた処理完了のめどをお知らせするなど、申請者の視点に立ったきめ細やかな対応を取ってまいります。 ○議長(ホンダリエ君) 藤岡寛和君。     (79番藤岡寛和君登壇) ◆79番(藤岡寛和君) どうか、この特例減免の制度が苦境にある飲食店等に十分に活用され、その効果が最大限に発揮されるよう取り組んでいただくことをお願い申し上げます。 次に、ウィズコロナにおける地域活動支援についてお伺いいたします。 各地域活動協議会では、昨年春の緊急事態宣言により様々な活動が停止し、宣言解除後も感染防止対策を講じながら戸惑いと不安の中で活動が続いています。地域活動においてもオンラインという新たな事業手法が取り入れられつつありますが、外出自粛による高齢者の方の孤立も懸念されている今だからこそ、各地域活動協議会においては、改めて人と人とのつながりを大切にする従来どおりの活動がどうしたら実施できるのかと模索しておられます。 こうした中で、感染防止対策を行おうとすれば、消毒液や飛沫防止用のアクリル板、非接触型体温計など、当初計画には見込んでいなかった物品等を準備する必要がありますが、地域活動協議会への補助制度には活動費補助金の補助率や運営費補助金の上限といった制約があることから、感染防止対策が十分にできず、コロナ禍前よりも事業規模を縮小して実施せざるを得ないといった声も聞くことがあります。 これまでからも地域活動の担い手不足や高齢化、近隣付き合いの希薄化などにより地域コミュニティーを維持することが困難になってきていたところにこのような状況が続けば、地域活動の弱体化が一層加速していくのではないでしょうか。これまでどおり地域活動を継続させていくためには、まず大切なのは地域の皆様が安心して地域活動に取り組める環境づくりではないかと考えます。この点について市長の御所見をお伺いいたします。 ○議長(ホンダリエ君) 松井市長。     (市長松井一郎君登壇) ◎市長(松井一郎君) コロナ禍を乗り越え、市民生活の安心・安全を支える地域コミュニティーを維持していくためには、人と人とのつながりに御尽力されている地域活動協議会の活動は不可欠なものと認識しています。そのため、地域コミュニティーが衰退しないように、区長のマネジメントの下、各地域の状況に応じたきめ細やかな支援を行っています。また、地域活動協議会補助金の交付要綱を改正し、交付要件を緩和するとともに、コロナ禍など有事の際の特例を新たに設け、感染防止対策へも適用できるように対応してまいりました。 しかし、今なお補助金制度の制約によりやむなく事業規模を縮小する地域があるのであれば、支援の在り方にはまだ改善の余地があると考えます。地域活動協議会の皆さんが安心して地域活動に取り組めるように、現状の課題を把握した上で必要な制度改正を検討してまいります。 ○議長(ホンダリエ君) 藤岡寛和君。     (79番藤岡寛和君登壇) ◆79番(藤岡寛和君) 次に、大阪の成長及び発展に向けた取組について何点かお伺いいたします。 まず、府市における一体的な行政運営の推進についてでありますが、大阪の成長及び発展に向けた取組として、本議会において、大阪市及び大阪府における一体的な行政運営の推進に関する条例案が提案、審議される運びとなりました。遡れば、かつての大阪は府と市がばらばらで、それぞれの考え方で計画を策定するなど、府市の一体性、スピード感を確保することができず、「府市合わせ」と言われるような連携不足でありました。その結果が、WTCにりんくうゲートタワービルといった大規模開発、オリンピックの誘致の失敗、なかなか進まなかった高速道路や鉄道の整備であり、これこそまさに二重行政の弊害であります。 2011年に松井知事、橋下市長が誕生してからの大阪は、大阪府市統合本部を立ち上げ、府市共通の課題に関して行政として協議し、重要事項の方針を決めるなど二重行政の解消、そして府市一体での成長戦略、まちづくりに取り組んできた結果、淀川左岸線延伸部やなにわ筋線の事業化、うめきた開発、そしてG20や大阪・関西万博の誘致の成功など、府市が一体となることで大きな成果を上げてきました。 そして、この間、府市のあるべき姿を模索し検討を重ねてきたのが、府市を再編し制度的に二重行政を解消する大阪都構想であり、その検討を通じて、府市の問題点について市民の皆様に理解を深めていただいたものと考えております。 昨年11月の特別区設置に係る住民投票の結果は、大阪市を存続させるという市民の意思が示されると同時に、二重行政を解消し、府市が連携し一体的に大阪の成長及び発展に向けた取組を進めていくことに多くの理解が寄せられていることも明らかになったと受け止めております。 そこで、我が会派としては、大阪市を存続させつつ大阪府市の広域機能を一元化し、二重行政解消に向けた取組を進めることが、この民意にかなうものと考えております。今回上程される大阪市及び大阪府における一体的な行政運営の推進に関する条例案は、この10年間重ねてきた議論の成果物であり、住民投票の結果を踏まえて、大阪市を存続しつつ都市問題を解決するための最善策として、府市が一体となって大阪の成長及び発展をさせるための仕組みが出来上がったと考えており、大きな期待を寄せているものであります。 そこで、この条例によってどのような大阪をつくっていこうと思っておられるのか、市長の御所見をお伺いいたします。 ○議長(ホンダリエ君) 松井市長。     (市長松井一郎君登壇) ◎市長(松井一郎君) 11月の住民投票の結果を踏まえた上で、二重行政の解消を求める市民の声に応えるべく、大阪市を残したまま大阪府市の枠組みの中で府市一体化をさらに図られるような体制、ルールづくりを行いたいと考え、このたび、大阪市及び大阪府における一体的な行政運営の推進に関する条例案を作成し、提案させていただいたところです。 副首都・大阪の実現に向け、過去の二重行政に戻すことなく、さらに府市の連携を将来にわたって強固なものとし、府市一体で大阪の成長、まちづくりを強力に推し進めていくために、この条例の成立を目指してまいりたいと考えています。 ○議長(ホンダリエ君) 藤岡寛和君。     (79番藤岡寛和君登壇) ◆79番(藤岡寛和君) 次に、国際金融都市についてお伺いいたします。 昨年12月、大阪府市で策定された大阪の再生・成長に向けた新戦略において、国際金融都市の実現に向けた挑戦が経済面における重点分野の柱の一つに位置づけられました。ポストコロナに向けて、大阪が飛躍していく上で大きなインパクトになると期待しているところであります。 我が国では、株式取引をはじめ金融機能が東京に集積しており、大阪を国際金融都市とすることにより、東京一極集中を是正し、副首都・大阪を確立・発展させていく上で意義のある取組だと認識しております。 国際金融都市の実現に向けては、昨年12月に知事、市長、経済界のトップが発起人となり国際金融都市OSAKA推進委員会準備会が開催されましたが、設立趣意書では、フィンテック等の新たな金融技術への大胆な規制緩和による革新的な金融都市の実現や、魅力ある商品提供等によるアジアのデリバティブ市場を牽引する一大拠点の創設を目指すとのことであります。 まだ国際的にも金融都市として認知度が低い大阪が、世界的な都市間競争の中、存在感を発揮していくためには、仮想通貨などを扱う世界のフィンテックベンチャー企業が集積するような都市を目指してはどうかと思っております。 国際金融都市の実現は、経済界からハードルが高い厳しいミッションとの意見もあると聞いておりますが、これまでにない大胆な取組が必要と考えております。大阪が国際金融都市を実現するに当たって、何を目指し、今後どのような取組を進めていくのか、市長の御所見をお伺いいたします。 ○議長(ホンダリエ君) 松井市長。     (市長松井一郎君登壇) ◎市長(松井一郎君) 国際金融都市については、日本全体の成長力を高めるために、アメリカにおけるニューヨークとシカゴが存在するように国際競争力を持つ複数の金融都市が必要であり、東京とは異なる大阪独自の個性と機能を持った金融都市を目指すべきと考えます。 大阪は、未来社会の実験場をコンセプトとする2025年大阪・関西万博など国際的なビッグプロジェクトの進展や、スタートアップ・エコシステムのグローバル拠点都市であるなど新たなイノベーションの創出拠点として、国内外の起業家・投資家にとって非常に魅力的な都市であります。このような強みを生かしながら、世界中の人が投資したいと思う魅力ある商品を提供し、投資と人材を呼び込むことで、スタートアップやベンチャー、さらにはフィンテック企業などの新たな集積を生み出し、国際金融都市として存在感を示していきたいと思います。 実現に向けて、今年度中に官民で設立予定の国際金融都市OSAKA推進委員会において民間事業者や専門家の意見を聴き、具体的な施策を検討していくこととしており、海外の金融関連事業者などのニーズをしっかり把握しながら、税制改正や規制緩和など必要に応じて国に働きかけてまいります。さらに、金融関連の海外事業者などに対するワンストップでの相談窓口の設置や、世界に向けた大阪のPRを行ってまいります。 国際金融都市の実現は非常に高い山を登るようなものでありますが、官民それぞれの役割分担の下、実現に向けて挑戦をしてまいります。 ○議長(ホンダリエ君) 藤岡寛和君。     (79番藤岡寛和君登壇) ◆79番(藤岡寛和君) 次に、大阪港の物流機能の強化に向けた取組についてお伺いいたします。 近年、我が国港湾は、上海や釜山をはじめとする東アジア諸港の台頭により国際競争力が低下しており、経済・産業の成長に影響を及ぼすことが懸念されております。そのような中、昨年10月に設置された大阪港湾局では大阪“みなと”ビジョンを策定し、ヒト・モノ・コトの一層の交流を通じて大阪・関西経済の発展を目指しています。 このビジョンの実現に向け、府市港湾が一体となった今後の施策の展開に大いに期待しますが、私は、その中でもモノの交流、つまり市民生活と企業活動を支える物流機能の強化が最も重要であり、広域的な視点で新たに取り組んでいくことが必要でないかと考えております。 そこで、港湾における物流機能の強化のため、今後、府市で連携して取り組む内容、また、その具体的な目標について市長の御所見をお伺いいたします。 ○議長(ホンダリエ君) 松井市長。     (市長松井一郎君登壇) ◎市長(松井一郎君) 港湾における物流機能の強化に向けた取組については、多様な外航コンテナ航路を有している大阪港と内航ネットワークが充実している府営港湾の双方の強みを生かし、両港を利用して貨物を輸送する事業者を支援する新たな集貨事業を実施することとしています。 また、大阪港、府営港湾、両港のさらなる利用促進を図るために、東京や大阪、さらには昨年の阪神高速道路大和川線の全線開通により大阪港・府営港湾へのアクセスが向上し、一層の集貨が見込まれる奈良方面などで、大阪“みなと”セミナーを来年度開催する予定であります。 2020年の大阪港と堺泉北港を合わせた外貿コンテナ取扱個数は対前年比で1%減と、新型コロナウイルスの感染拡大による影響は比較的軽微にとどまり、214万TEUでありましたが、大阪“みなと”ビジョンでは2020年代後半の目標値を277万TEUと設定しています。今年は、減少したコンテナ貨物を回復させるとともに、目標値の達成に向け、集貨事業及びポートセールスの活動を府市一体で取り組み、両港の港勢拡大、さらには将来的な定期航路の増便や新規航路の就航につなげることで、府市港湾における物流機能のさらなる強化を図ってまいります。 ○議長(ホンダリエ君) 藤岡寛和君。     (79番藤岡寛和君登壇) ◆79番(藤岡寛和君) 次に、大阪城東部地区におけるスマートシティの実現についてお伺いいたします。 大阪城東部地区では、昨年9月にまちづくりの方向性を策定し、まちづくりのコンセプトを大学と共に成長するイノベーション・フィールド・シティと掲げ、大学を地区全体のまちづくりの先導役として、観光集客、健康医療、人材育成、居住機能等の集積により、多世代、多様な人が集い交流する国際色あるまちづくりを目指しています。 このコンセプトを具体化する戦略の一つとして、健康医療、環境等の既存資源を生かし、スマートシティの実装・実証フィールドとして活用していくとのことでありますが、この取組を最新技術の実用化につなげ、この地区を成長するイノベーション・フィールド・シティとするためには、最先端の研究を担う新大学の果たす役割が大変重要であります。 今後、1期として整備を進める新大学のキャンパスが2025年4月に開所し、その後、1.5期として、大学が民活により整備する区域やそれと隣接して民間開発が行われるOsaka Metroの車両工場跡地などにおいて段階的なまちづくりが進められることになりますが、このまちで実現しようとするスマートシティの将来像がないままであると、後年度に支障が生じたり余分な費用が発生してしまうということが考えられます。 このため、あらかじめ地権者をはじめとする関係者が協働して将来像を検討しながら、これに基づく施策を具体化していくことで、手戻りを生じさせることなくまちづくりを円滑に進めることができると考えますが、この地区におけるスマートシティの実現に向けた検討状況と今後の進め方について市長の御所見をお伺いいたします。 ○議長(ホンダリエ君) 松井市長。     (市長松井一郎君登壇) ◎市長(松井一郎君) 大阪城東部地区では、まずは2025年4月の新大学の1期キャンパスの開所を目指し取り組んでいるところであります。当地区では、大学が先導役となり、まちの成長を牽引し、まちの課題を解決する次世代型キャンパスシティの実現を目指し、その中核機能の場であるイノベーション・コアにおいてイノベーションの創出を誘発していくこととしており、既にその具体化に向けた検討を大学と共に始めています。 この中で、スマートシティの実現に向けては、現在、大学が中心となり、ヘルスケアなど様々な分野で課題解決のためのデータ活用を図るデータ連携プラットフォームの構築や、キャンパスにおける最新技術の実証・実装などを図るスマートユニバーシティの実現に向け、1期キャンパスの整備と並行し検討を進めています。 さらに、1.5期の開発においては、スマートシティの推進に必要なデータアナリストの育成や、人工知能・データの分析の研究を担う情報学研究科を新大学の民活キャンパスに設置することとしており、今後、大学、地権者、大阪府と共に、将来の具体的な取組を検討、共有し、これらを踏まえて開発を進めることなどにより、円滑に産官学連携によるスマートシティが実現できるように取り組んでいきます。 ○議長(ホンダリエ君) 藤岡寛和君。     (79番藤岡寛和君登壇) ◆79番(藤岡寛和君) 次に、新大阪駅周辺地域のまちづくりについてお伺いいたします。 新大阪駅周辺の地域については、リニア中央新幹線や北陸新幹線の乗り入れが計画されており、我が国を代表する広域交通拠点になることが期待されています。しかしながら、現在の新幹線駅や駅前広場は、60年近く前、東海道新幹線が開通したときから大きな変化もなく、老朽化が目立っており、駅周辺の土地利用についても関西・大阪の玄関口としては非常に寂しい状況にあります。 リニアや北陸新幹線が乗り入れるのは早くとも2037年ということで、かなり先の話ではありますが、新大阪は非常に重要かつ大規模な拠点となる地域であり、交通結節機能の強化や民間投資の誘発による周辺市街地の再生を進める必要があると思われます。そのためには、大阪府などとも連携して、まずは国から都市再生緊急整備地域の指定を受けて民間投資を誘発するなど、開発促進に取り組むべきと考えますが、市長の御所見をお伺いいたします。 ○議長(ホンダリエ君) 松井市長。     (市長松井一郎君登壇) ◎市長(松井一郎君) 新大阪周辺地域は、リニア中央新幹線によって東京、名古屋、大阪の一体化を図るスーパー・メガリージョン構想における西の拠点と位置づけられており、大阪にとって極めて重要な拠点であります。2018年8月に都市再生緊急整備地域の候補となる地域に指定されたことを受けて、大阪府市が事務局となり、国、経済団体や鉄道事業者などが参画する検討協議会を設置して、最大の特徴である広域交通ターミナルの特性を踏まえながら、新しい技術を活用した将来のまちづくりの在り方について検討を進めております。 今後とも、リニア中央新幹線や北陸新幹線の新大阪延伸に係る動向を注視しつつ、府市一体で駅前広場等のインフラなどの施設の配置やゾーニングなど、より具体的なまちづくりの方針を策定するとともに、まちの姿を可視化できる3D都市モデルなども活用しながら、新大阪を国内外に広くプロモーションして民間都市開発の機運の醸成に努めるなど、都市再生緊急整備地域の指定に向けて取組を進めてまいります。 ○議長(ホンダリエ君) 藤岡寛和君。     (79番藤岡寛和君登壇) ◆79番(藤岡寛和君) 次に、あいりん地域のまちづくりと西成特区構想についてお伺いいたします。 現在、新今宮駅北側、浪速区では、大型のホテルの建設が進むとともに、新たに建設されるなにわ筋線が新今宮駅につながる予定であります。一方、新今宮駅南側の西成区では、あいりん総合センターの耐震上の課題に対応するために住居の移転・建て替えが既に実施され、また病院についても移転し既に開業しており、あとはあいりん総合センターの解体及び労働センターの敷地内建て替えを待ち望んでいるところでございます。そして、住宅や病院の移転により生まれたあいりん総合センター跡地等の活用については、これから具体的な動きが出てくるものと考えております。 振り返れば、これまであいりん総合センターについては、敷地が府市の共有であることや、施設でいえば府市に加え国も所有権を有しているなど複雑な権利関係であることをはじめ、様々な課題が山積して遅々として進まなかったことが、西成特区構想の下で地域の声を聞きながらボトムアップ方式で丁寧に進めてきた結果、ようやくここまでたどり着いてきたことは一定の評価に値すると考えております。 西成特区構想では、西成区が抱える少子高齢化の課題やあいりん地域における課題など様々な課題解決に向けて取り組んできましたが、現在、令和4年度までの第2期西成特区構想を進めている中、あいりん総合センター跡地の具体的な活用まで丁寧に関わっていく必要があると考えます。市長の御所見をお伺いいたします。 ○議長(ホンダリエ君) 松井市長。     (市長松井一郎君登壇) ◎市長(松井一郎君) 「西成が変われば大阪が変わる」として西成特区構想を始めてから8年になります。耐震上の課題があるあいりん総合センターについては、日頃からセンターを利用している方や往来者の危険回避のために、当時の私が知事のときに橋下市長と一緒に、まず知事と市長、2人でそろって西成の住民の皆さんと真正面から向き合いました。知事と市長が2人そろって西成の住民の皆さんと会談する話合いの場所にセットで行ったのは、大阪では初めてのことです。長年、西成の課題と言われながらも、大阪の知事と市長はそれぞれ別々ばらばらで、本気で僕は向き合っていなかったと、こう思っております。そして、タッグを組んで課題に取り組んだ結果、今の状況まで西成が変わってきたということで、非常に感慨深いものがあります。 また、地域の環境でいえば、不法投棄ごみを放置しないため徹底的な取組や警察と連携した犯罪抑止策があいりん地域の美化と安心・安全なまちづくりにつながったことは非常に喜ばしく、これからも継続した取組が必要と考えております。 そして、西成特区構想では、あいりん地域のみならず西成区全体で抱える様々な課題解決に注力してきており、子育て世帯の流入促進を目指して子供の育ちと学びの支援による子育て環境の充実を行い、まちの活性化も目指しています。 令和13年春にはなにわ筋線が新今宮駅につながる予定であり、これを機に様々な地域から新たな来街者がこのまちを訪れるようになる可能性があります。あいりん総合センター跡地においても、地域の福祉やにぎわいの創出といった新たな来街者を受け止めることができるような機能を備えることが、新今宮駅エリアの魅力向上やまちの活性化につながると考えます。 もっとも、今後の跡地の具体的利用に関してはまだまだこれから検討を行っていく必要があり、引き続き、地域の意見を聞きながら丁寧に進めてまいります。そのため、あいりん総合センター跡地の活用はもちろんのこと、西成特区構想の下で実施している各種事業についても、これまでの取組を無にすることのないように、目標達成に向けて私自身が先頭に立って一層積極的に進めてまいります。 ○議長(ホンダリエ君) 藤岡寛和君。     (79番藤岡寛和君登壇) ◆79番(藤岡寛和君) 次に、魅力ある動物園運営についてお伺いいたします。 来月からいよいよ天王寺動物園が地方独立行政法人化することになりますが、全国初の事例であり注目もされています。独法化により経営が効率化されることはもちろんのこと、指定管理とは異なり職員を長期にわたり育成していくことで、動物園の魅力向上につながると大いに期待しています。 また、天王寺・阿倍野地区は都市魅力創造戦略の重点エリアの一つに位置づけて、本市としてもこれまで魅力向上に力を入れてきました。天王寺動物園が独法化しても、このエリアの核となる施設であることに変わりはありません。 これまで以上に魅力的な動物園となるためには、設立団体である本市が財政措置をしっかりとしていく必要があります。中期目標に掲げた大都市・大阪にふさわしい国際社会に貢献し世界に誇れる動物園を目指すからには、中長期を見通した経営ができるようにすべきだと考えておりますが、市長の御所見をお伺いいたします。 ○議長(ホンダリエ君) 松井市長。     (市長松井一郎君登壇) ◎市長(松井一郎君) 天王寺動物園独法化に際しては、市民から末永く愛され続けられる動物園であるとともに、大都市・大阪にふさわしい国際社会に貢献し、世界に誇れる動物園を目指してまいります。そのため、動物福祉に配慮した動物中心の園運営を行っていき、昨年末に本会議で議決していただいた中期目標を法人に達成してもらう必要があります。目標達成に当たっては、動物に関する専門知識を有する人材を安定的に確保・育成していくことが不可欠であり、令和3年度予算はそれを反映したものとなっております。 今後、令和4年度以降の運営費交付金についても、令和3年度の予算をベースに考えて財源措置をしていき、法人の努力により経費削減や収入増が図られた場合はインセンティブとして動物園のさらなる魅力向上のために使うことで、中期目標の達成につなげていくことができるように指示をしておるところであります。 ○議長(ホンダリエ君) 藤岡寛和君。     (79番藤岡寛和君登壇) ◆79番(藤岡寛和君) 次に、教育施策の充実についてお伺いいたします。 まず、学校給食につきましては、現在、大阪市の小中学校においては、保護者等の経済的負担の軽減の観点から令和2年度に限り児童・生徒の学校給食費は全員全額無償とされております。昨年11月の本会議においては、我が会派の岡崎議員が学校給食費無償化の継続について提案を行いました。 新型コロナウイルスについては、今後ワクチン接種が予定されていますが、いまだ予断を許さない状況にあり、経済にも深刻な影響を及ぼしています。市長は令和3年度も学校給食費の無償化措置を継続する意向を示されましたが、昨今の社会情勢を踏まえ、慎重かつ的確に御判断いただいたものと考えております。 学校給食費の負担は、児童・生徒1人当たり年間で約5万円になり、多くの家庭にとっては決して軽いものとは言えません。学校給食費の無償化は子育て支援策として大いに意義のある施策であることから、今後の制度の在り方についても様々な観点を踏まえ検討を進めていただきたいと思っております。 学校給食は、教育課程に位置づけられている重要な学校教育活動であり、食に対する指導を効果的に進めるために重要な教材として活用することができ、望ましい食習慣や食に対する実践力を身につけることや、地域の文化や伝統に対する理解と関心を高めるなど、高い教育効果が期待できるものであります。 本市においては、令和元年度の2学期に中学校給食の学校調理方式への移行が完了し、市内全ての小中学校で同じ温かい給食が提供できるようになりましたが、学校給食を活用した豊かな取組をさらに進めていくためには、内容の充実も図っていく必要があると考えます。市長の御所見をお伺いいたします。 ○議長(ホンダリエ君) 松井市長。     (市長松井一郎君登壇) ◎市長(松井一郎君) 本市の小中学校においては、新型コロナウイルスが社会経済に及ぼしている影響を考慮し、緊急的な措置として、令和2年度について全ての児童・生徒の学校給食費を無償としています。 新型コロナウイルスの影響は、感染拡大防止のために緊急事態宣言が再び発出されるなど長期にわたっており、経済にも深刻な影響を及ぼしています。昨今の厳しい社会情勢を踏まえ、令和3年度についても学校給食費の無償化措置を継続したいと考えています。 また、給食費の無償化については、本格実施に向けて、所得や世帯の子供の数に応じて無償化する案や一律に無償化する案など様々な観点から検討を進めてまいりました。給食費無償化の制度の在り方については、引き続き検討を行い、議会に提案してまいります。 また、食に関する指導を効果的に進めるための重要な教材である学校給食の食材費は、学校給食費により賄われております。本市学校給食費については平成27年から据え置かれていますが、学校給食費を改定することについては、市民・保護者を対象としたアンケート調査も行い、多くの肯定的な意見をいただいたところであり、食材費の上昇分を補う改定を行ってまいります。 学校給食に関しては、中学校給食の学校調理方式への移行に重点的に経費を投入し、市内全ての小中学校で同じ温かい給食が提供できる環境を整えてまいりました。学校給食を活用した豊かな取組をさらに進めることができるように、今後とも内容の充実を図ってまいります。 ○議長(ホンダリエ君) 藤岡寛和君。     (79番藤岡寛和君登壇) ◆79番(藤岡寛和君) 次に、新たな教育センターの設置についてお伺いします。 現在の予測困難な時代において、子供たちが学力を身につけながら健やかに成長するためには、その直接の担い手である教員の資質・能力に負うところが大きいと考えます。しかしながら、現在の学校現場では、団塊の世代の大量退職に伴う大量採用により教職員の若年化が進んでおり、若手教員が十分な経験がないまま幅広い教育課程に対応しなければならない状況にあります。 我が会派からは、このような時代の教育にエビデンスを与え提言することができるようなシンクタンク機能を有する機関の設置を求めてきましたが、今回の新しい教育センターはそれを踏まえてのものと理解しています。 新しい教育センターは大阪教育大学連合教職大学院との合築を目指しているとのことでありますが、どのような取組を進めていくのか、これまでの経過も含め、教育長の御所見をお伺いいたします。 ○議長(ホンダリエ君) 山本教育委員会教育長。     (教育委員会教育長山本晋次君登壇) ◎教育委員会教育長(山本晋次君) 議員御指摘のとおり、Society5.0時代が到来し、新型コロナウイルスの感染拡大など先行きが不透明な予測困難な時代にあって子供たちが学力を身につけながら健やかに成長していくためには、その直接の担い手である教員の資質・能力に負うところが極めて大きく、優秀な人材の確保と併せて、変化の大きい社会の中で教員が常に学び続けることができる環境を整備することが重要であります。 その環境整備の一環として、平成30年2月に大阪市と大阪教育大学との間で包括連携協定を締結し、大学の知見を生かした新たな教員研修の企画開発、大学教員による連合教職大学院で学ぶ現職教員に対する管理職育成に向けた指導など、養成・採用・研修を通じた学び続ける教員への支援に取り組んでおるところでございます。 教員養成を担う大学と採用後の育成を担う教育委員会が一体的に教員を支援するために、令和2年1月には新・大阪市総合教育センター(仮称)及び連合教職大学院合築施設設置に向けた基本協定書を締結し、大阪教育大学天王寺キャンパスの敷地内に大阪教育大学との合築施設として設置をすることといたしました。新たな教育センターにおきましては、AIによるデータ分析を活用した教育プログラムの開発や大学の知見を活用した高度な研修プログラムの提供、様々な専門研究分野を持つ大学教員と学校現場との協働による実践研究等を行うことにより、シンクタンク機能を強化してまいりたいと考えております。 ○議長(ホンダリエ君) 藤岡寛和君。     (79番藤岡寛和君登壇) ◆79番(藤岡寛和君) このような新しい教育センターは、大阪教育大学の天王寺キャンパスに大学と合築という全国的にも例を見ない方式により建設されるとのことであります。市長は、その計画を吉村前市長から引き継がれ、昨年1月には自ら合築施設設置に向けた協定書を締結されるなど、率先して進めてこられました。大学と合築したことの狙いやその効果についてどのようにお考えか、市長の御所見をお伺いいたします。 ○議長(ホンダリエ君) 松井市長。     (市長松井一郎君登壇) ◎市長(松井一郎君) 子供たちに直接関わる教員の指導力が非常に重要と認識しており、教員や学校は変化を前向きに受け止め、学び続けることが必要であると考えますが、教員自身がそのようなモチベーションを持って多様な教育課題に取り組むためには、全てを大阪市の教員だけで担うのではなく、大学や民間の力も結集したシンクタンクがその一翼を担うことがこれからの時代には必要と考えています。 大学の敷地内に産官学が一堂に会することができる施設を設置することで、相乗効果が発揮され、より効果的に教育課題へ取り組むことが期待できます。そのことから、大阪教育大学の天王寺キャンパスに、大阪教育大学が協定を結ぶ複数の企業の共同オフィスと共に、大阪市の教育センターも移転することといたしました。 企業との連携においては、1人1台の端末の効果的な活用や新たな教材開発などが進むことを期待しています。 このように産官学が連携することで、総合的なシンクタンク機能が強化され、本市の多様な教育課題の解決に資するとともに、質の高い教育施策の展開を目指してまいります。この地が大阪教育改革の発信拠点となるよう期待をしています。 ○議長(ホンダリエ君) 藤岡寛和君。     (79番藤岡寛和君登壇) ◆79番(藤岡寛和君) 次に、学校教育ICT活用事業についてお伺いいたします。 我が会派は、学力向上の観点から、これまでの授業の在り方を根本的に変えることが必要であり、最先端のICT環境を活用し、子供一人一人に応じた学びを実現するよう求めてきたところであります。学校における授業の進め方については、大阪市をはじめ全国的にも教員が一律に指導する一斉授業がこれまでの主流であったと思われますが、今年度末に整備が完了する1人1台の端末を活用すれば、子供一人一人に応じた学びが実現可能となり、学校における学びの転換が図られるのでないかと考えています。 例えば、この端末を活用してデジタルドリルで学習を行うことで、子供自ら間違えた問題に合わせた解説動画を見たり、単元を遡って学習に取り組むなど、自分に合った学びを自分のペースで進めることができるようになると思います。 このように、1人1台の学習者用端末を活用すれば個別最適な学びに有効であると考えますが、教育委員会としてどのように取組を進めていくのか、教育長の御所見をお伺いいたします。 ○議長(ホンダリエ君) 山本教育委員会教育長。     (教育委員会教育長山本晋次君登壇) ◎教育委員会教育長(山本晋次君) 新学習指導要領では、個に応じた指導を一層重視し、指導方法や指導体制の工夫改善により、個に応じた指導の充実を図るとともに、コンピューターや情報通信ネットワークなどの情報手段を活用することが示されており、これらを適切に活用した学習活動の充実を図ることが必要であると考えております。 本市におけるこれまでの学習者用端末の活用方法といたしましては、インターネットによる調べ学習や学習したことをまとめ、表現する活動など、主として協働的な学びの場面において活用することが大半でありました。1人1台の学習者用端末の整備は、新型コロナウイルス感染症対策等の緊急時において活用できるようになるとともに、平時におきましても新しい学びのスタイルとして、ふだんの授業や家庭学習など日常的に活用できるようになり、多様な学習の機会と場の提供が図れるようになると考えております。 議員の御指摘のとおり、1人1台学習者用端末を活用したデジタルドリルによる学習は、一人一人の学習理解度に応じて学ぶことができるだけでなく、子供が自らの学習の状況を把握し、苦手な部分について重点的に学習するなど主体的に学習を調整しながら学べますことから、個別最適な学びの実現に有効であると考えております。 今後、デジタルドリルをはじめ子供たちの多様な学びに適した教育用デジタルコンテンツについて、それぞれの特性を生かした効果的な指導法について研究を進め、全ての教員が活用できますよう実践事例を学校現場に周知していくなど、個別最適な学びの実現に向け積極的に取組を進めてまいりたいと考えております。 ○議長(ホンダリエ君) 藤岡寛和君。     (79番藤岡寛和君登壇) ◆79番(藤岡寛和君) 次に、情報リテラシー教育についてお伺いいたします。 今年4月からは、小中学校に整備された1人1台の学習者用端末を様々な学習活動の中でふだん使いするような、今までとは違った新しい学習スタイルがスタートすることになります。そのことによって、児童・生徒は以前にも増して学習活動においてインターネットを活用し、膨大な情報に触れることとなりますが、現状では、ネット上に上げられている情報だけを一方的に信じ込んでしまうことや、その情報が正しいのか間違っているのか様々な角度から検討することに必要性を感じない子供も多いと考えられます。 また、十分に情報リテラシーが備わっていない教員もいるため、子供が自由に情報にアクセスすることを恐れるあまり、結果として学びの幅が狭くなってしまう場合もあると思われます。 そのため、情報リテラシー教育を学校教育の中でしっかり教育課程に位置づけて子供たちの情報活用能力を育成していくことは、ネット社会を生きる子供たちにとって、もはや待ったなしの状況にあると考えます。 昨年11月の一般質問において、我が会派より情報リテラシー教育について質疑を行い、教育長より教材開発や指導支援について研究していくとの御答弁をいただいております。教育委員会として、今後、情報リテラシー教育の具体的な展開についてどのように進めていくのか、教育長の御所見をお伺いいたします。 ○議長(ホンダリエ君) 山本教育委員会教育長。     (教育委員会教育長山本晋次君登壇) ◎教育委員会教育長(山本晋次君) スマートフォンやSNSなどインターネットを活用した新しい情報媒体が子供たちにも急速に普及する中で、児童・生徒が自他の権利を尊重し、情報社会での行動に責任を持つとともに、情報を正しく安全に利用できる能力を育成しますため、学校における情報モラル教育を含めた情報リテラシー教育は大変重要であると認識をいたしております。 また、学習指導要領におきまして、情報活用能力は言語能力、問題発見・解決能力と同様に学習の基盤となる資質、能力と位置づけられておりまして、教科等横断的な視点に立ち育成を行うものとされております。 議員御指摘のとおり、教育委員会といたしましても、学習者用端末の1人1台環境が整備され、この4月から日常的にICTを活用した学びを推進していく中で、情報リテラシー教育について早急に取り組んでいくべきものと考えておるところでございます。 情報リテラシー教育につきましては、11月の一般質問をお受けし検討した結果、新・大阪市総合教育センターの開設に向けた大阪教育大学との連携の枠組みの中で、大学の知見を活用しながら取組を進めていくことといたしました。 今後は、令和3年度から様々な専門研究分野を持つ大学教員と教育ICT実証校におきまして協働による実践研究を行い、その成果を基に令和4年度からの全市展開に向けて着実に取組を進めてまいる所存でございます。 ○議長(ホンダリエ君) 藤岡寛和君。     (79番藤岡寛和君登壇) ◆79番(藤岡寛和君) 次に、教員の評価基準の見直しについてお伺いいたします。 今年度、各学校に1人1台の学習者用端末が配備され、ようやく学習者用端末が文房具のように日常的な授業で当たり前に活用される準備が整うことになりました。その一方で教える側の教員のICT技術が問われることになるかと考えますが、ICTの活用が得意・不得意にかかわらず、今後、教員誰しもが活用していただけるよう校内研修の体制を整えていただいたり、全体研修にも積極的に取り組んでいただきたいと考えております。 それとあわせて、我が会派としては、この事業の重要性に鑑み、積極的にICTを活用している教員は人事評価で高く評価すべきであり、また、活用に消極的な教員は厳しく評価することも必要でないかと考えています。 今後、教員にとってICTの活用技術は絶対に必要なスキルであり、教員が授業でICTを効果的に活用するといった意識やモチベーションを持って積極的にその活用に取り組んでもらうためにも、人事評価制度において教員をより適正に評価できる制度づくりが必要であると考えますが、教育長の御所見をお伺いいたします。 ○議長(ホンダリエ君) 山本教育委員会教育長。     (教育委員会教育長山本晋次君登壇) ◎教育委員会教育長(山本晋次君) 議員御指摘のとおり、教員がICTをより効果的に活用していきますためにも、教員のモチベーションを向上させ、授業におけるICTの活用を教員の評価にもしっかりと反映させることは重要であると認識をいたしております。 現行の人事評価制度におきましても、ICTの活用を評価する指標として授業力の項目により評価を行うことは可能ですが、今般、1人1台の学習者用端末が配備されましたことを受けまして、教員が授業において効果的にICTを活用できているか、児童・生徒がICTを活用した学びができているかといった観点をより評価できる仕組みづくりを進めてまいります。 そのため、教育委員会といたしましては、授業において全ての教員がICTを積極的に活用し、そのことを適正に評価していくため、ICTの活用を評価する着眼点といたしまして、ICTを積極的に活用するなど効果的な授業実践の充実に生かしていたかといった項目を新たに追加いたします。その上で、新たに評価の着眼点に追加した趣旨を評価者となります校長にもしっかりと伝え、教員が高いモチベーションを持ってICTを活用できる評価制度としてまいります。 ○議長(ホンダリエ君) 藤岡寛和君。     (79番藤岡寛和君登壇) ◆79番(藤岡寛和君) 最後に、長居障がい者スポーツセンターについてお伺いいたします。 これまで本市では、長居障がい者スポーツセンターの老朽化についての議論が進めてこられました。障害者の皆様が気軽にスポーツに取り組める施設として重要な役割を担っていることは、我が会派も一定理解をしております。 昨年、特別区設置の住民投票が否決され、大阪市が存続することになりました。現在の障害者施設についても、いま一度原点に立ち戻り、大阪市の規模に即したものなのか、また、利用実態として市外利用者が長居で約3割、舞洲で約5割となっていることからも、本市が行う事業として現在の在り方が最適なものなのかも含めて検討が必要と考えます。 平成24年の市政改革プランにおいては、基礎自治体として単独で現行の長居、舞洲の2館体制を維持することが困難であるとの考え方が示されましたが、今般、建て替えの検討に当たって、2館体制についての将来像をしっかりと示されているとは思えません。 令和3年度予算には長居障がい者スポーツセンターの建て替えの基本構想に係る経費が計上されているところでありますが、今後、長居、舞洲を維持していくのか、それとも2館体制を維持していくのは困難なのかをはっきりさせないまま建て替えに係る予算が計上されていることに違和感を覚えます。建て替えの基本構想の前に、本当に2館体制が必要なのかをしっかり見極める必要があると考えますが、市長の御所見をお伺いいたします。 ○議長(ホンダリエ君) 松井市長。     (市長松井一郎君登壇) ◎市長(松井一郎君) 障がい者スポーツセンターは、障害者の健康の維持や増進のみならず、外出や他者との交流、生きがいや生活の質の向上により、自立と社会参加の促進につながる施設として大変重要な役割を果たしている施設であります。 そういった中、長居障がい者スポーツセンターは、開設から46年が経過し老朽化が著しく、昨年実施した構造躯体調査の結果、大規模改修や長寿命化での対応が困難な状況であることが判明いたしました。このため、今般建て替え基本構想の調査に係る経費を計上しているところでありますが、御指摘の市政改革の考え方は重要であり、単に老朽化したから建て替えるというのではなく、障がい者スポーツセンターの将来の在り方についてしっかりと見極めた上で進めてまいります。 ○議長(ホンダリエ君) 藤岡寛和君。     (79番藤岡寛和君登壇) ◆79番(藤岡寛和君) 以上、多岐にわたり質問をさせていただきました。個別具体の議論については、今後、各常任委員会にて質疑をさせていただきたいと思います。 以上で、私からの質問を終えさせていただきます。御清聴どうもありがとうございました。(拍手) ○議長(ホンダリエ君) 以上で、藤岡寛和君の質疑は終了いたしました。 ○議長(ホンダリエ君) お諮りいたします。この際、暫時休憩することに決して御異議ありませんか。     (「異議なし」と呼ぶ者あり) ○議長(ホンダリエ君) 御異議なしと認めます。よって暫時休憩いたします。     午後2時20分休憩     午後3時再開 ○議長(ホンダリエ君) これより休憩前に引き続き会議を開きます。 ○議長(ホンダリエ君) 石川博紀君の質疑を許します。 16番石川博紀君。     (16番石川博紀君登壇) ◆16番(石川博紀君) 私は、自由民主党・市民クラブ大阪市会議員団を代表いたしまして、令和3年度予算案並びに関連諸案件等について市長に質問させていただきます。 まず、新型コロナワクチン接種に関してお聞きします。 新型コロナウイルス感染症対策については、いかに医療崩壊を防ぐかが極めて重要であり、ワクチン接種は今後の感染症対策において非常に重要な役割を占めると考えます。16歳以上の市民約244万人という非常に多くの対象者に対し、決められた時期にワクチン接種のお知らせや接種券などを送付し、予約を受け付け接種を行うという過去に類を見ない大規模なプロジェクトであり、事業の進捗管理がとても重要です。 先般の特別定額給付金事業の際は、システム稼働が遅れたりコールセンターの電話がつながらないなど、支給の遅れや市民対応の混乱を招き、市民の皆様に多大な御迷惑をおかけしました。今回のワクチン接種は、その特別定額給付金事業以上に多岐にわたる調整が必要なものと思われます。また、実際にワクチン接種を進めていく中で、予期せぬ問題が起こり、新たな対応を求められる事態が生じる可能性もあります。ワクチン接種の準備をどう進めていくのか、市長の考えを伺います。 ○議長(ホンダリエ君) 理事者の答弁を許します。 松井市長。     (市長松井一郎君登壇) ◎市長(松井一郎君) ワクチン接種については、国が示す供給量や方針に基づき着実に実施できるように、現在、接種券及び案内などの印刷やシステム構築に取り組むなど、計画的に準備を進めているところであります。市民の皆さんのワクチン接種への関心も高く、問合せも増えてきていることから、3月1日に、ワクチン接種に関する相談や予防接種予約に対応するためにコールセンターを開設したところです。 コールセンターについては、多くの方からの問合せを想定し、相談や予約に支障を来さないようできるだけ回線数を増加するとともに、インターネットでの予約受付なども含め体制の充実について担当部局に指示したところであります。また、市民窓口の現場においても、柔軟に対応できる体制を整えるよう併せて指示しています。 いずれにせよ、希望する全ての市民が混乱なく速やかに接種を受けていただけるように、市一丸となってワクチン接種体制の構築に取り組んでまいります。 ○議長(ホンダリエ君) 石川博紀君。     (16番石川博紀君登壇) ◆16番(石川博紀君) 新型コロナウイルス感染症が発生してから1年以上が経過し、様々な知見や情報が集まってきているからこそ、市民にとって行政からの迅速かつ正確な情報提供は非常に重要となります。 4月以降、市民の皆様へのワクチン接種が始まる予定ですが、ワクチンの効果や副反応などについて正確な情報を適時発信するよう努め、併せて市民が安心して相談しやすい環境として無料相談電話窓口をつくるなどとともに、電話による問合せがつながらない状況が発生しないよう組織体制の構築を要望します。 次に、新型コロナウイルス感染拡大の第4波への対応についてお聞きします。 新型コロナウイルス感染症については、昨年の11月から急激に感染者が増え始め、大阪市内においても連日100人を大きく超える新規感染者が発生しました。11月22日には本市1日当たりの感染者数が285人と過去最多を更新し、1月に入ってからも1日200人前後の新規感染者が発生するなど、感染拡大に歯止めがかからない状況が続きました。それに伴い、1月末時点での重症病床の運用率が83%、軽症・中等症病床の運用率が76%と医療提供体制について非常に逼迫した状況が発生し、まさに医療崩壊と言わざるを得ない状況が現実のものとなりました。こうした状況から、1月14日には大阪府にも2回目となる緊急事態宣言が発令され、市民生活にも大きな影響を及ぼす事態となったところです。 緊急事態宣言の効果もあってか、ようやく感染状況は少し収まりましたが、変異株の情報も日々入ってくる中、今後進められていくワクチン接種についても接種完了まで数か月がかかり、効果が浸透するにはまだまだ時間を要する現在の状況においては、第4波とも言うべきさらなる大きな波がやってくることを想定しておく必要があります。大阪市として医療崩壊を防ぐためにどのように取り組んでいくのか、市長の考えを伺います。 ○議長(ホンダリエ君) 松井市長。     (市長松井一郎君登壇) ◎市長(松井一郎君) 新型コロナウイルス感染症対策については、いかに医療崩壊を防ぐかが極めて重要と考えます。本市としても、医療物資の提供のほか、市民病院において特殊勤務手当の支給や随時募集など医療従事者の確保に努めるとともに、昨年5月からは十三市民病院を新型コロナウイルス感染症の専門病院として運営するなど、医療提供体制の充実に努めてきたところです。 また、第3波に入ってからは、コロナ対応病床の新規または増床された受入れ病床に対して1床当たり1,000万円の協力金を給付し、受入れ病床の確保を図ったところであります。 一方、自宅療養者の増加により自宅療養施策の一層の充実が求められており、1月中旬からは希望者に対して配食サービスの実施、さらに2月の中旬からは、40歳以上の方などに対してパルスオキシメーターの貸与を開始したところです。 今後、議員御指摘の第4波を見据え、大阪府など関係機関とも十分連携しながら、病床の確保や自宅療養者への施策の充実など新型コロナウイルス感染症対策に万全を期してまいります。 ○議長(ホンダリエ君) 石川博紀君。     (16番石川博紀君登壇) ◆16番(石川博紀君) 第1波から第3波に至るまでの爆発的な感染拡大、また死者数の増加など、大阪府に任せ切った対策では防ぎ切れない課題も浮き彫りになってきたのではないでしょうか。この教訓を胸に、各行政区ごとの感染状況も明らかにして実態に合わせた対策を打つとともに、財政調整基金を活用した効果的な支援など、市として独自の対策を積極的に展開されるよう強く要望します。 次に、市民生活に直結するインフラ資産である水道に関してでありますが、新型コロナウイルス感染拡大に伴う上下水道料金の減免制度についてお聞きします。 上下水道料金の減免については、昨年7月検針分から9月検針分までの3か月について、全世帯を対象に基本料金相当額の減免が実施されました。一方、今回予算計上されているこの減免措置では、酒類を提供する飲食店等に対象が限定された形となっています。これらの酒類を提供する飲食店については、営業時間の短縮要請や休業要請に伴い協力金を給付していますが、これに加えて上下水道料金の減免措置を実施する趣旨について市長に伺います。 ○議長(ホンダリエ君) 松井市長。     (市長松井一郎君登壇) ◎市長(松井一郎君) 新型コロナウイルス感染拡大により経済活動や市民生活への影響が長期化する中で、真に必要な方に必要な支援を行うべきと考えています。 酒類を提供する飲食店等については、感染防止に協力いただくためにこれまで数度にわたる時短要請等をお願いしており、極めて経営が苦しくなっていると認識していることから、今回、この特例減免制度による支援を行うものであります。 具体的には、令和3年1月検針分から3月検針分の上下水道料金に対して、令和2年度の売上げが前年と比較して50%以上減収している場合は上下水道料金の全額を、30%以上減収している場合は半額を減免することとしています。私といたしましては、他の支援措置と併せて、何とかこの苦境を乗り切って事業継続を図っていただきたいという思いでこの制度を創設したものであります。 ○議長(ホンダリエ君) 石川博紀君。     (16番石川博紀君登壇) ◆16番(石川博紀君) 多くの飲食店が厳しい状況に置かれていることは紛れもない事実であり、売上げの減少の状況に応じて上下水道料金全体を対象に減免を行うという本制度の考え方は、一定理解できるものであります。 一方、新型コロナウイルス感染症の影響を受けているのは、当然、飲食店だけではありません。全ての市民にとって特に重要なインフラ資産である水道、その利用料金にあっては、実際に支援を必要としている市民、そして事業者をしっかりと見極めた、きめ細やかな支援を早急に検討いただくよう要望します。 続きまして、飲食店以外の事業者支援について少し掘り下げてお聞きします。 ある民間調査によりますと、新型コロナの影響を受けた倒産は2月15日現在全国で1,026件に上り、特に昨年12月と今年1月が最多となるなど、1年以上も続くコロナ禍のダメージを受け、事業者を取り巻く経営環境は一層深刻化しています。 また、コロナ関連倒産の内訳を見ますと、この間の時短営業の対象である飲食店が最多ではあるものの、建設工事業、ホテル・旅館、アパレル小売店といった飲食以外への影響も無視できないものとなっています。 このような中、国においては、5,380億円の予算を確保し、緊急事態宣言に伴う飲食店の時短営業や不要不急の外出・移動の自粛により売上げが減少した中小個人事業者等に対する一時支援金の給付が予定されており、飲食店以外の事業者への影響も考慮した支援がなされようとしています。 本市においても、飲食店以外にも厳しい状況に置かれた事業者がいることをしっかりと認識し、国の支援も届かず困難な状況にある事業者にこそきめ細やかな支援を実施していく必要があると考えますが、市長の御所見をお伺いします。 ○議長(ホンダリエ君) 松井市長。     (市長松井一郎君登壇) ◎市長(松井一郎君) 飲食店以外の事業者の支援として、需要喚起に向けた各種キャンペーンの実施に加え、信用保証制度を活用した資金繰りの支援をはじめ、大阪産業創造館においては、コロナ禍を受けて必要性が高まりつつある事業継続計画の策定支援などに取り組んでいます。 新型コロナウイルス感染状況は、ワクチン接種が進展するまで当面は一進一退の状況が続くものと想定されることから、事業者支援についても長期的な視点で検討・実施していく必要があると考えます。 今後、飲食店以外への支援についても、感染状況を注視しながら観光需要等の喚起に向けたキャンペーンを実施するなど、国や府との連携や役割分担も考慮し、地域の声を聞きながら取組を進めてまいります。 ○議長(ホンダリエ君) 石川博紀君。     (16番石川博紀君登壇) ◆16番(石川博紀君) 需要喚起やBCPサポートなど、今述べられた支援策はごく当たり前のことばかりで、本当に困っている事業者はもっと具体的に、そして効果的な支援を求めています。例えば、市統計情報から各種事業者の経営状況を分析し、飲食業以外にも支援が必要な事業者を特定し、財政調整基金を活用した支援を行うなど、より具体性を持った大阪市独自のきめ細やかな支援策を第4波が到来するまでにいち早く検討していただきますよう、強く要望します。 次に、市民の生命を守るための対策として、現状のコロナ禍における防災対策の推進についてお聞きします。 先月13日、福島県沖を震源とする震度6強の地震が発生し、各地で多くの家屋被害等が生じたところでありますが、被災者の中には、避難所でのコロナの感染を恐れて損壊家屋にとどまった方がいるとの報道もありました。災害という言葉で一くくりにしてしまいがちでありますが、実は直下型地震と海溝型地震でその被害想定は異なり、台風や長雨による河川氾濫、津波、高潮といった災害ごとに避難するタイミングや避難先、避難方法等も異なります。ましてやコロナ禍です。市民には、避難所が密になり感染拡大することはないのか、体調が優れない場合避難していいのかといった漠然とした不安もあり、平時にも増して避難行動に移る決断に迷いが生じることで命が危険にさらされることも考えられます。 昨年11月の一般質問でも指摘をしましたが、大阪市はこの10年近く、要らぬ大都市制度の議論に多くの職員を巻き込み、その労力を割いてきたことにより、先進技術を活用した防災対策の研究などにおいて他都市に後れを取っているばかりか、基礎自治体の責務である市民の生命・財産を守るための地道な取組すらおざなりになっていやしないでしょうか。 災害は、いつ何どき起こるか分かりません。本市においても、市民一人一人が地域事情やコロナの蔓延状況等を把握し、災害種別に応じた避難の在り方やコロナ禍における注意点等をしっかりと理解して、しかるべきタイミングで最適な避難行動が取れるよう早急に周知徹底を図らなければ、今、大規模災害に見舞われると市民の混乱は必至であり、行政機能の麻痺も想像に難くありません。コロナ禍における防災対策をどのように推進していくのか、市長の御所見を伺います。 ○議長(ホンダリエ君) 松井市長。     (市長松井一郎君登壇) ◎市長(松井一郎君) 昨今の大雨などによる被害は全国各地で頻発しており、その被害も甚大化の傾向にあります。本市としても、市民一人一人の防災・減災の取組を意識してもらい、早め早めの避難など命を守る行動を取っていただくように地道に周知し続けることが被害軽減に最も有効な取組ではないかと考え、この間、区役所を中心に市民への広報・啓発活動に取り組んでまいりました。 そのような中で、議員御指摘のように新型コロナウイルス蔓延が加わったことにより、災害時の避難所における3つの密の対策など新たな対策の実施が余儀なくされたために、入所時に検温等を実施し、一般避難者と熱・せき等の症状がある方が接触しないように療養スペースを動線から分けて設置することや、一般避難者の居住スペースは少なくとも2メートルの距離を保つことなどについて、新型コロナ版の避難所開設運営ガイドラインを作成・周知するとともに、マスクや消毒液、間仕切り用のテントなどの感染拡大を防ぐ物資の備蓄に努めてきたところであります。 また、令和3年度には、高潮等の浸水想定を反映した水害ハザードマップを策定し、全戸配布を予定しています。 今後、区役所が中心となって、地域の皆さんに被害種別に応じた避難の在り方などについて丁寧な広報・啓発を徹底するとともに、これらの資料や物品を活用し、避難所の開設訓練などを通じてコロナ禍における避難所の在り方などについて御理解を深めていただき、さらなる防災・減災力の向上に努めてまいります。 ○議長(ホンダリエ君) 石川博紀君。     (16番石川博紀君登壇) ◆16番(石川博紀君) 市民お一人お一人が住んでいる地域に想定される災害を認識し、災害種別に応じた避難方法を理解していただくためには、ハザードマップの全戸配布はもちろんのこと、配布して終わりではなく、地域での避難訓練や避難行動の周知でも有効に活用していくよう要望しておきます。 また、この間ないがしろにされてきたものは、地域の防災活動だけでなく、防災分野での新しい技術の活用にも及んでいるのではないでしょうか。近年、ICTの発展が著しく、国や他都市では災害対応での活用について研究が進んでいますが、本市では先進分野での研究が停滞していて、ICTの活用が進んでいないように思えてなりません。 国の取組としては、警察庁が一般市民から写真や動画の被害情報の提供を求める災害情報投稿サイトがあり、台風襲来時や地震発生時の情報収集に当たっています。建物の倒壊や道路の損壊など被害状況を収集し、救助活動や交通規制の判断につなげるようですが、本市では、迅速に災害現場の被害状況を収集するためにICTの活用を考えているのでしょうか。特に、災害発生直後の迅速な情報収集は的確な初動対応につながると考えますが、市長の御所見を伺います。 ○議長(ホンダリエ君) 松井市長。     (市長松井一郎君登壇) ◎市長(松井一郎君) 災害発生時にいかに的確に被害状況を把握するかが初動対応にとって極めて重要であり、災害現場の写真や動画は災害の規模や程度を把握するために効果的と考えます。 現在、災害時に本市の全所属が利用する防災情報システム再構築を実施しており、職員がスマートフォンから災害現場の写真や動画を投稿すると、災害対策本部の電子地図上に集約される仕組みの構築を進めています。災害対応に御協力いただく地域の自主防災組織の方々からも投稿できるように検討しており、職員と合わせて3万人程度から市内建物・道路の損壊や浸水被害の状況等を収集する計画であります。 収集した災害情報は、電子地図上で本市全所属に共有され、どの所属の職員や自主防災組織の方が撮影した写真や動画であっても、所属をまたがって市全体で共有できるように多くの災害情報が集まってくると期待をしていますが、反対に、情報がふくそうして被害対応に必要な情報を見逃すことがないように、災害の深刻度によって表示する情報を選定したり、災害の種別を選択して例えば道路情報だけを抽出できたりするように検討しています。 現在、令和3年度末までに防災情報システム再構築を完了し、市職員と地域の自主防災組織が一体となって災害情報が的確に把握できるシステムを整えてまいります。 ○議長(ホンダリエ君) 石川博紀君。     (16番石川博紀君登壇) ◆16番(石川博紀君) ICTを活用して迅速に災害情報を収集する仕組みの構築を一定進めていることは理解しました。今後、より的確に災害状況を把握するためには、情報提供の裾野を広げていく必要があり、一般市民からも情報収集することが有効であるかと思います。情報を正確に捉えていくことはもとより、引き続き、災害時の情報収集についてはより具体的に、そして有効な手法の検討を進めていただくよう要望します。 次に、次世代を担う子供たちの教育に関してお尋ねします。 この間、コロナ禍にあって様々な環境変化がありましたが、子供たちを取り巻く学習環境も大きく変わった1年でした。そこで、学習者用端末の整備状況とICTを活用した学びについてお聞きします。 新型コロナウイルス感染症の動向にかかわらず、子供たちの学びは保障されなければなりません。学びの保障のため、国においては1人1台の端末を整備するGIGAスクール構想を前倒しし、全国で1人1台の学習者用端末の整備が進められているところでありますが、本市においてきちんと今年度中に全校に1人1台の端末が入るのか、現在の整備状況についてお聞かせください。 また、本市の学校においても、児童・生徒または教職員に新型コロナウイルスの感染が判明し、学級休業などの措置を行うケースも依然として続いています。学級休業となった際の学習者用端末を用いたオンライン授業や、学級休業とはならずとも濃厚接触者とされた児童・生徒のみが出席停止となった際でも、学習者用端末を通じて自宅から教室での授業に参加できるようにすることなど、その活用が期待されます。 このように1人1台の学習者用端末が整備されれば、ふだんの教育活動だけでなく、コロナ禍の学びの保障としての活用が有効と考えられますが、教育委員会としてどのように今後進めていくのか、教育長の見解を伺います。 ○議長(ホンダリエ君) 山本教育委員会教育長。     (教育委員会教育長山本晋次君登壇) ◎教育委員会教育長(山本晋次君) 新型コロナウイルス感染症の感染拡大が依然として続く中、学校におきましては、感染拡大の防止に十分配慮しながら通常授業を継続しており、学級休業等になった場合には児童・生徒の学びを保障する観点からオンライン学習を実施するなど、でき得る限り学習の進捗に遅れが生じないようにすることが必要であります。 現在の整備状況といたしましては、令和3年2月末時点で約9割の学校に1人1台端末の整備が完了するなど順調に整備が進んでおり、今年3月末までに全小中学校に整備が完了する予定でございます。 また、議員御指摘のとおり、学級休業とならずに感染者や濃厚接触者となりました児童・生徒が出席停止の取扱いとなった場合には、通常の授業の様子を家庭に送信し、持ち帰った学習者用端末を活用して受信する形態のオンライン学習も取り組んでいくべきであると考えているところでございます。 今後、対面指導の重要性にも留意しつつ、端末の整備状況や児童・生徒の発達の段階に応じながら、1人1台の学習者用端末を活用したオンライン学習等と教員による学習支援により、児童・生徒の学習に遅れが生じないように取り組んでまいりたいと考えております。 ○議長(ホンダリエ君) 石川博紀君。     (16番石川博紀君登壇) ◆16番(石川博紀君) 学級休業などの緊急時においても子供たちの学びが止まらぬように、ぜひともオンライン学習などの取組をより積極的に進めていただきたいと思います。 一方で、多額の予算を措置して1人1台の学習者用端末を整備したのですから、緊急時はもちろんのこと、日常の授業で様々な場面で学習者用端末を使った学びを進めていく必要があります。我が会派は、これまでも主張してきたように、学校教育は基本的に教員と生徒・児童が直接顔を合わせ対話し、心を通わせた対面指導や児童・生徒同士の関わり合いの中で深まるものと考えます。子供たちが学習者用端末をふだんの授業で活用して、教え合い、学び合う協働的な学びを進めることが大切です。 このように日常的に授業でICTを活用した協働的な学びを実践していくためには、子供たちを教える教員がICT機器を使いこなせる必要があり、全ての教員がICTを活用した効果的な授業が行えるように、教育委員会がしっかりとサポートしていくことが重要です。 令和3年度からは1人1台の学習者用端末を活用して協働的な学びを実現していくために、教育委員会としてどのようなサポートをしていくのか、教育長の見解を伺います。 ○議長(ホンダリエ君) 山本教育委員会教育長。     (教育委員会教育長山本晋次君登壇)
    教育委員会教育長(山本晋次君) GIGAスクール構想の加速によりまして、児童・生徒の1人1台端末の教育環境が実現しICT機器の活用が必要不可欠となっていきます中、これまでの教育実践と最先端のICT機器のベストミックスを図ることにより、教員・児童・生徒の力を最大限に引き出すことができると認識をいたしております。 今年1月に示されました文部科学省中央教育審議会答申では、目指すべき令和の日本型学校教育の姿といたしまして、「全ての子供たちの可能性を引き出す、個別最適な学びと、協働的な学びの実現」とされており、教員が日常的にICT機器を活用しながら、個別最適な学びと協働的な学びを実現していくことが重要となっております。 ICTの活用により、児童・生徒が協働で作成・編集を行うといった活動や多様な意見を共有しつつ合意形成を図る活動など、協働的な学びを実現し児童・生徒の情報活用能力を育成していくためには、主体的・対話的で深い学びの視点からの授業改善が必要であるとともに、教員のICT活用指導力の向上が必要不可欠となります。そのためにも、令和3年度からは、ICT機器の操作や教材作成、校内研修等の支援を行いますICT教育アシスタントを今年度の8名から37名に増員し、ICTを活用した授業等を教員がスムーズに行うことができますよう支援体制の強化を図りサポートしていきますとともに、教員のICT活用指導力の向上を図ってまいりたいと考えております。 ○議長(ホンダリエ君) 石川博紀君。     (16番石川博紀君登壇) ◆16番(石川博紀君) 次に、現在延期となっている各区の成人の日記念のつどいについてお聞きします。 成人の日記念のつどいについては、各区において実行委員会形式で地域の方々とともに新成人に対し様々な形でお祝いする事業であり、新型コロナウイルス感染防止対策を講じながら実施に向けて準備が進められてきました。しかしながら、直前の1月7日になって急遽、市長は延期を表明しました。直前の方針変更に、新成人はもとより、入念に準備を進めてきた実行委員会はじめ地域の方々、また衣装・美容室・写真などの事業者の方々も大いに混乱されました。 一方で、緊急事態宣言下の横浜市においては成人式が実施されましたが、それによりクラスターが発生したとの報道はなかったと記憶しています。 本市は各区単位で十分な感染対策を講じていたにもかかわらず、市長はなぜ直前になって延期を表明したのでしょうか。また、市長は、延期表明の際には年度内の実施を目標にとおっしゃっていましたが、2月になり、各区のホームページで3月開催は見送るという発表がされています。3月に開催されると期待していた新成人も多くいたであろうし、キャンセル料を取らずに待ってくれている事業者も多くあるかと思います。 新年度になると、新成人の環境も大きく変化し、ワクチン接種で区民センターが使えなくなる区もあります。延期後の成人の日記念のつどいがいつ実施されるのかが明らかにならなければ、新成人も準備ができず、各種事業者も相当困っていると思われます。各区の成人の日記念のつどいは本当に実施されるのか、実施してよいのか、実施されるのであればいつどういう形での実施となるのか、市長の考えをお聞かせください。 ○議長(ホンダリエ君) 松井市長。     (市長松井一郎君登壇) ◎市長(松井一郎君) 成人の日の記念のつどいについては、私自身も何とか開催したいという思いで、実行委員会はじめ地域の方々とともに実施準備を進めていたところであります。しかしながら、1月7日に大阪府が緊急事態宣言を国に申し入れる事態になったことを受け、感染拡大を防止し市民の生命・健康を守るためには延期せざるを得ないという苦渋の判断に至り、各区役所から各区の実行委員会に急遽延期のお願いの旨を申し入れ、緊急事態の下、全区で延期という形にしていただいたところであります。 その時点では年度内の実施を目指すとしたものの、その後も感染状況、病床使用率は予断を許さない状況が続いていたことから、3月中の実施は見送る方向で各区において実行委員会と検討・協議するように指示をいたしました。 成人の日の記念のつどいについてはもちろん実施したいと考えており、各区の実情や今後の感染状況、ワクチン接種の状況などを勘案しながら、実施できるタイミングを見極めてまいりたいと考えます。区長と状況を共有しながら、コロナ禍の中、延期を余儀なくされた新成人にとって、よい成人の日の記念のつどいだったと思い出に残り、喜んでいただけるように取組を進めます。 ○議長(ホンダリエ君) 石川博紀君。     (16番石川博紀君登壇) ◆16番(石川博紀君) 今般、ようやく緊急事態宣言も解除されました。成人式という人生の晴れ舞台を心待ちにしている新成人の皆さんもたくさんいたかと思います。新型コロナ感染拡大防止の観点から市長の判断で延期とした限りは、各区に任せたままとせず、いつどのように実施するのかまで責任を持って実施の判断を下していただきますようお願いいたします。 ここから、万博を含め夢洲のまちづくりなど大阪の未来についてお尋ねしますが、まず、価値ある未来を築くためにも、今既に直面している課題である物流車両の交通対策についてお聞きします。 夢洲では現在もコンテナ車両が渋滞する場合があり、その早期解消が求められているところでありますが、西暦2020年代後半を目標年次とする港湾計画ではコンテナ貨物のさらなる増加を見込んでいます。その中で、いよいよ来年度からは2025年の万博も見据えた鉄道や道路といったインフラ関連工事が本格化するようであり、今後、工事用車両も増加していくものと思われます。 国際コンテナ戦略港湾である大阪港は、大阪・関西経済を支える物流拠点として今後ともしっかりとその役割を担っていく必要があると考えますが、インフラ関連の工事車両とコンテナ車両がふくそうし渋滞が悪化することで夢洲の物流機能が損なわれることがあってはなりません。 また、夢洲での渋滞が悪化すれば、夢洲がある此花区のみならず、近接する住之江区や港区の住民生活にも悪影響を及ぼします。夢洲周辺での物流車両の交通対策について具体的にどのような対策を取ろうとしているのか、市長の御所見を伺います。 ○議長(ホンダリエ君) 松井市長。     (市長松井一郎君登壇) ◎市長(松井一郎君) 夢洲周辺での物流車両の交通対策については、夢洲、舞洲の幹線道路や此花大橋などの拡幅、夢洲東交差点と夢洲内幹線道路の立体交差化など、来年度から本格的に工事に着手することとしています。特に舞洲東交差点については、万博開催時に想定を上回る交通量が発生した場合にボトルネックとなるおそれがありましたが、立体交差化することにより、将来にわたって安全かつ円滑な交通処理ができるようになります。 また、コンテナ車両を待機させるための整理場を夢洲及び咲洲に約400台分追加整備するとともに、ICTを活用してゲート処理やコンテナの受取時間の短縮を図るべく、国が開発した新たな港湾情報システムCONPASを2023年度までに大阪港に導入することにより、道路上に待機しているコンテナ車両を削減することが可能となります。 さらに、万博期間中においては、夢洲へ出入りするコンテナ車両を削減するための方策等について関係者と協議・調整を進めさせていただいているところです。 これらの対策を着実に実施することにより、国際観光拠点及び国際物流拠点の形成に向けて夢洲全体の交通の円滑化を図ってまいります。 ○議長(ホンダリエ君) 石川博紀君。     (16番石川博紀君登壇) ◆16番(石川博紀君) 夢洲、舞洲へ流入する車両には、物流車両や万博来場者輸送関係の車両だけでなく、スポーツ施設や障害者施設などを利用される市民の方の一般車両もあります。さらに、ごみの焼却工場である舞洲工場には昼夜間合計で1日当たり約560台のごみ収集車両が出入りしており、万博期間中は、会場から排出されるごみも適切に輸送・処理しなければなりません。これらのごみの輸送はもちろん、様々な施設を利用される市民の生活にも支障のないよう、国際博覧会協会など関係者間において十分に調整・協議を図っていただくようお願いします。 次に、万博会場への鉄道アクセスについてお聞きします。 万博開催時には、パーク・アンド・バスライドの利用や駅シャトルバスの利用など道路によるアクセスが全体の約6割、夢洲まで延伸される鉄道によるアクセスが残りの約4割となっており、今回の予算案では、新規の項目として鉄道の輸送力増強に関するものが上げられています。万博開催時には夢洲内に新しい駅が設置され、Osaka Metro中央線が延伸することになりますが、万博会場に来られる多くの来場者に対応するため、現在の輸送能力を向上させ、来場者のスムーズな移動を目指すとのことです。 先ほども述べたとおり、鉄道は万博の来場者輸送において約4割を占め、輸送能力の向上は来場者の利便性を高める意味でも非常に重要です。そこで、万博開催時の円滑な鉄道アクセスの確保に向けた対策について市長の御所見を伺います。 ○議長(ホンダリエ君) 松井市長。     (市長松井一郎君登壇) ◎市長(松井一郎君) 鉄道による万博来場者の輸送については、万博会場へ安全で円滑なアクセスを確保する非常に重要な手段であり、この間、鉄道事業者の協力も得ながら、万博時の具体的な対策内容について博覧会協会及び府とも連携し、詳細の検討を進めてきたところです。 この結果、現行の中央線は、朝のピーク時に運行間隔3分45秒ピッチ、1時間に16本の運行であるところを、運行間隔を2分30秒まで短縮させ、1時間に24本、現行の1.5倍まで輸送能力を上げることといたしました。これに必要となる10編成分の車両は鉄道事業者で確保しますが、それを留め置くための暫定的な施設などの整備・撤去費用を市と府で負担することとして、今回の予算案に盛り込んでいます。 このようなハード面での対策をしっかり進めつつ、引き続き博覧会協会が中心となって、人の移動やピーク分散のための時差出勤やテレワークの推奨といったソフト対策などについても具体的な内容を検討することとしており、市としても緊密に連携をいたしながら、万博来場者が快適に夢洲にお越しいただけるように、また市民生活に影響を与えないように、必要な準備を進めてまいります。 ○議長(ホンダリエ君) 石川博紀君。     (16番石川博紀君登壇) ◆16番(石川博紀君) 万博会場への交通アクセスは、道路によるものと鉄道によるものの両輪で、どちらも非常に重要であります。鉄道アクセスについてもしっかりと対策に取り組んでいただくよう要望します。 また、道路・鉄道のほか、夢洲へは海上からもアクセス可能とするため来年度新たに係留施設を整備していくようでありますが、工事期間中の作業員の輸送にも活用できるだけでなく、万博開催時には関西国際空港並びに市内の各河川からの海上アクセスにも活用できるとのことですので、しっかりと取り組んでいただくようお願いします。 さらに、万博後の施設の活用方策の検討についてお聞きします。 過去の万博では、万博が終了した後、いろいろな形で施設を有効に活用する方策が検討され、例えばパビリオンの建物や設備をほかの場所に移築して、万博後も活用されていたと聞いています。また、愛知博覧会の会場のコンクリート基礎は、粉砕して各地の道路などに再利用されていたと聞いています。 今回の万博は、SDGs達成への貢献を理念に掲げており、愛知博覧会のとき以上に万博後の施設の有効活用やリサイクル、リユースといった取組の重要性が増しています。であるにもかかわらず、大阪・関西万博会場の施設は、これまでの万博のように跡地を公園として整備、活用するでもなく、全て撤去され更地とし、後には何にも残らないこととなっています。この点について、大きな無駄になるのではないかとこれまでも我が会派から指摘してきましたが、現在のところ検討も進んでいません。 施設の整備、撤去に多額の市税を投じて何も残らないというのは、市民の理解を得難いのではないのでしょうか。市としても活用方策の検討を進めるべきではないかと思いますが、市長の御所見を伺います。 ○議長(ホンダリエ君) 松井市長。     (市長松井一郎君登壇) ◎市長(松井一郎君) 大阪・関西万博では、会期前の計画段階から会期中、会期後にわたり、循環型社会の形成、自然との共生や快適な環境の確保に取り組むとしています。具体的には、リサイクル素材のリユース、リサイクルが可能な部材を積極的に活用するなど3Rに取り組み、資源の有効活用を図ることとしています。 大阪・関西万博を契機に、持続可能な社会を国際社会と共につくることを推し進めることが重要と考えており、博覧会協会において施設の有効利用、リサイクルなどしっかり取り組むように私からも働きかけを行ってまいります。市も費用負担を行っている立場から、市民の理解を得られるように、施設の活用方策などについても博覧会協会と連携して検討してまいります。 ○議長(ホンダリエ君) 石川博紀君。     (16番石川博紀君登壇) ◆16番(石川博紀君) SDGsの観点からも、有効活用やリサイクル、リユースなど、万博で利用した施設と資材を万博後どう生かしていくのかが大事でありますので、様々な活用方策を検討していただけますようお願いします。 次に、スーパーシティについてお伺いします。 スーパーシティ構想は、2030年頃に実現され得る未来都市の先行実現に向けて暮らしと社会に実装する取組であり、その取組により、住民目線でよりよい暮らしの実現を図るものであります。我が会派においても、国家予算要望などにおいて国に法整備等を働きかけてきたところであり、スーパーシティ構想をぜひ実現しなければならないと考えています。 昨年12月には内閣府による区域指定に関する公募が開始され、大阪においても、申請に向けた手続として、事業者から先端的なサービスのアイデア募集を行ったと聞いています。また、先日開催されたスーパーシティ・フォーラムでは、うめきた2期と夢洲地区を対象区域とした提案内容の素案を公表し、参加した市長、知事、アーキテクトによる意見交換が行われたとのことです。うめきた2期地区と夢洲地区でのスーパーシティの区域指定を獲得するために、グリーンフィールドの優位性を生かして、ほかの都市では実現できないような取組を提案していく必要があります。 また、大阪・関西万博事業にあっては、昨年末に基本計画が策定され、空飛ぶ車や物流・モビリティー等の分野におけるロボットの導入などが検討されているとお聞きしています。例えば、空飛ぶ車やドローンによる配送が技術的には可能になったとしても、現時点においては航空法等の規制により、サービスの提供ができません。さらに、将来的には一般乗用車の運転の完全自動化も実現可能になると言われていますが、これも、社会実装するには道路交通法等が大きな壁になります。このような課題に対応するためにも、ぜひスーパーシティの制度を活用していただきたいと考えています。 4月には国への提案締切りが予定されていますが、大阪市としてどういったスーパーシティの実現を目指しているのか、具体的にはどのような取組を考えているのか、市長の御所見を伺います。 ○議長(ホンダリエ君) 松井市長。     (市長松井一郎君登壇) ◎市長(松井一郎君) スーパーシティは、ICTを活用した最先端のサービスと、それに伴う大胆な規制緩和などを活用し、世界最先端の未来都市を実現するものです。大阪では、2024年に先行まち開きを予定しているうめきた2期で実証を通じた最新技術の発信、2025年の万博で未来社会の実験、万博後の夢洲まちづくりで未来都市の実現という、3段階の言わばホップ・ステップ・ジャンプでスーパーシティの実現を目指しています。 提案対象区域であるうめきた2期区域、夢洲区域は、大都市大阪市に残る新規開発型のグリーンフィールドであり、既成市街地型であるブラウンフィールドと比較すると、より先端的なサービスの実施や大胆な規制、制度改革の提案が可能となるエリアで、うめきた2期地区については、公園、健康、スマートIoTを掛け合わせた新たな概念としてパークネスチャレンジをコンセプトに掲げ、これまでにない都市公園を中心としたまちづくりを目指しておりますし、例えば、来街者の健康データを本人同意の下に取得し、その人の健康状態に合ったアドバイスやサービスの提供などといった取組を検討しています。 また、夢洲については、万博事業において昨年末、基本計画が策定され、空飛ぶ車や物流・モビリティー等の分野におけるロボットの導入などが検討されているところです。 未来社会の一端の実現に向けてスーパーシティの制度活用を図るとともに、これらの先端的な技術やシステムを生かして、万博後における夢洲のまちづくりへと展開することも目指してまいりたい。 また、万博開催前においては、万博の会場整備やインフラ整備等を着実かつ安全に進めていくことが必要であり、例えばICTを活用した工事車両の運行管理や顔認証システムによる作業員の入退場管理など、工事の安全かつ円滑な実施が図られるように夢洲建設プラットフォームの構築を検討しております。 今後、市民・企業と一体となって、大胆に未来志向の事業を展開できるスーパーシティを大阪市で実現してまいります。 ○議長(ホンダリエ君) 石川博紀君。     (16番石川博紀君登壇) ◆16番(石川博紀君) スーパーシティの区域指定に向けて様々な取組を検討しているとのことであります。 なお、先端的サービスとそれに伴う大胆な規制緩和を活用して、最先端の未来都市を実現するのがスーパーシティです。さきにも述べましたように、先端的サービスの実現に向けては多くの法律的な制約があります。スーパーシティの指定はこれらの法的な規制や障壁を取り除くものであり、未来社会の先行実現を目指した先端的なサービスのアイデアも、技術開発と規制・制度改革により実施が可能となります。ぜひスーパーシティの区域指定を勝ち取り、さらに将来的には、対象のグリーンフィールドでの実装にとどまらず、その効果を広く大阪市域全体に展開すべきと考えますが、市長の御所見を伺います。 ○議長(ホンダリエ君) 松井市長。     (市長松井一郎君登壇) ◎市長(松井一郎君) 本市では、これまでも様々な規制・制度改革に精力的に取り組んでまいりました。スーパーシティにおいても、必要な規制・制度改革を国に強く求め、ICTを活用した夢のあるアイデアの実現につなげてまいります。 まずは、提案締切りまでに残された期間、スーパーシティのアーキテクトに着任いただいた皆さんの意見も踏まえながら、大阪府、経済界をはじめ各関係者と共に、スーパーシティの区域指定を勝ち取れるように取り組んでまいります。 府市の連携体制を強化しつつ、指定後対象区域内でスーパーシティの取組を進めていき、その後、行く行くは対象区域での実装にとどまらず、その成果を広く大阪全体に展開していきたいと考えています。 スーパーシティの取組で得た成果を市民の生活の質の向上につなげ、人口減少・超高齢化社会においても持続可能で世界の大都市に負けない未来都市の実現につなげてまいりたいと考えます。 ○議長(ホンダリエ君) 石川博紀君。     (16番石川博紀君登壇) ◆16番(石川博紀君) スーパーシティに指定される区域にあっては、単なる実証実験で終わるのではなく、真に市民生活の向上に寄与することが本来の目的であると我が会派は考えています。市民の視点に立った具体性のある検討をお願いします。 次に、今般報道でも取り上げられましたが、本市のIR誘致に関してお聞きします。 大阪市・大阪府では先月、IRの実施方針の修正案を公表しましたが、事業者公募についてはスケジュールが変更されるとともに、展示施設等の段階整備が可能となり、併せて参加資格審査の追加受付が実施されることとなりました。現在の唯一の応募者であるMGM・オリックスコンソーシアムとはこれまで対話を続けてきた経過があり、新たに参入を検討する事業者と情報量の点で大きな差があります。今回、MGM・オリックスコンソーシアムは応募者のままで、新たに参加資格審査の追加受付を行うとのことでありますが、公募の公平性・公正性の観点から問題があるのではありませんか、市長の御所見を伺います。 ○議長(ホンダリエ君) 松井市長。     (市長松井一郎君登壇) ◎市長(松井一郎君) 参加資格審査の追加受付については、事業スケジュールなど事業条件の重要部分を変更するものであることから、公募・選定手続の公平性・公正性を確保するために新たな事業者の参画機会を確保することが必要であると判断したものです。 その上で、今回の実施方針案の修正は、事業全体の骨格を変更するものではなく、また、公募の継続性の観点から資格審査の追加受付を実施することといたしました。 新たな事業者が資格審査を通過した場合には同様に事業の条件を提示し対話を実施すること、また、提案書の提出期限まで当初設定と同じく4か月程度の期間を確保していることから、公募・選定手続の公平性・公正性は確保されていると認識しています。今後も引き続き、事業者公募・選定の手続を着実に実施し、IRの実現に向けて取り組んでまいります。 ○議長(ホンダリエ君) 石川博紀君。     (16番石川博紀君登壇) ◆16番(石川博紀君) 展示施設については、当初10万平米以上での開業を条件としていましたが、実施方針修正案によりますと、開業時にはたったの2万平米以上、開業後15年以内で6万平米以上、35年の事業期間内でやっと10万平米以上と、段階整備が可能とされています。当初目指していた基準を大幅に引き下げることとなりましたが、なぜこのように段階整備を認めることになったのか、理由を伺います。 また、最長で35年という期間、罰則規定も違約金もない状態でどのように事業者の履行を確保していくのか、市長の御所見をお伺いします。 ○議長(ホンダリエ君) 松井市長。     (市長松井一郎君登壇) ◎市長(松井一郎君) MICEを取り巻く環境がコロナの影響もあり大きく変化しており、今後のMICEビジネスモデルや新しい生活様式がどのように変化・進展していくのか見極めていくことが必要であるために、当初から国基準を上回る大阪独自のフルスペックでの開業を求めるのではなく、段階的な整備を行うことが適切であると府市で主として判断をいたしたところであります。 また、段階整備の時期・規模等については、需要動向やMICEビジネスモデルなどを踏まえて、必要に応じて見直すものとしています。 IRにおいてはモニタリング等の枠組みを導入し、事業実施に違反や不履行が認められる場合には、府市は改善協議・是正措置要求を行うことなどにより、事業者の責任の履行を確保することとしています。開業時には、国基準に応じたIRとしてスタートさせ、ニーズに応じて常に時代の最先端となる施設・機能、そしてサービスを提供する、大阪が目指す世界最高水準の成長型IRを追求してまいります。 ○議長(ホンダリエ君) 石川博紀君。     (16番石川博紀君登壇) ◆16番(石川博紀君) 元の計画では、今から5年後には世界規模のIRを開業すると聞いていましたが、今となっては35年という長期にわたる事業期間の中でその規模に至ればいいとのことです。実施主体の一つであり、現地となる本市が35年という最長の期間を示したこと自体に、問題性を感じざるを得ません。 ただいまの答弁を聞いていますと、ビジネスモデルが大きく変化したと言いながら根本的な発想は変わっていないようで、要はIR誘致は実現が難しくなったのだと聞こえてしまうのです。長年府市一体でやってきたIR推進局は、結局のところ結果を出せていないということではないでしょうか。 このような中、先日の市会運営委員会において市長より、大阪市及び大阪府における一体的な行政運営の推進に関する条例案、いわゆる広域一元化条例が示されました。明日の本会議において上程、委員会付託される予定であります。本条例案については、住民を分断し様々な混乱をもたらした昨年11月1日の大阪市廃止・特別区設置住民投票が終わった直後に、その民意を無視し、市長が勝手に住民の意思と称して、突然検討を始めたものであります。突貫作業により作成されたものであり、議案上程から採決まで審議時間は僅かばかりしか想定しておらず、その進め方は拙速という言葉以外何物でもありません。 そして、地方自治の精神や法の趣旨、制度趣旨から見て本当に問題がないのか、あるいは国から本当に問題なしと回答を得たのかといった点について、きちんと検討し整理されているのか甚だ疑問であります。 この条例案では大阪市から大阪府に事務の委託を行うことを想定していますが、事務の委託に伴い、その権限は大阪市から大阪府へ移譲されることになります。 我が国の大きな方針は、平成11年に地方分権一括法が制定されるなど地方分権の推進です。平成26年の第4次地方分権一括法は、平成25年の第30次地方制度調査会答申で示された都道府県から指定都市への事務権限の移譲等を推進する考えから制定されたものであります。 この答申では、指定都市と都道府県との二重行政の解消を図るためには、まず、法定事務を中心に、都道府県が指定都市の存する区域において処理している事務全般について検討し、指定都市が処理できるものについてはできるだけ指定都市に移譲することによって、同種の事務を処理する主体を極力一元化することが必要であるとしています。このように、より身近な自治体への権限移譲、つまりは大阪市への権限移譲こそが我が国の大きな方針であり、条例案はこの考えと真逆であります。 成長戦略の策定や区域マスタープランなど7つの都市計画が大阪府に事務委託され権限が失われることは、地方分権、基礎自治体優先の原則を無視するものであり、政令指定都市大阪市の権限を失わせしめ、自己決定・自己責任の原則に反するものです。このようなことで大阪市民の自治は守られるのか、大阪市民の民意は施策に反映されるのか、市長の御所見を伺います。 ○議長(ホンダリエ君) 松井市長。     (市長松井一郎君登壇) ◎市長(松井一郎君) 住民に身近なサービスは市町村が担うべきとの考えの下、私は、知事として大阪府から知事時代に市町村への権限移譲を積極的に進めてきました。あわせて、インフラ整備など広域機能の在り方の観点から、特別区制度、いわゆる大阪都構想や関西広域連合の設置などの取組も行ってきました。基礎自治の充実と広域機能の強化、この2本柱で全国の分権を先導してきたと自負しています。 分権で大切なのは、国に頼るのではなくて、それぞれの地域にふさわしい最適な形を基礎自治、広域行政の両面から自ら考え、地域の成長と住民生活の充実を図っていくことです。 今回の条例は、都市圏の中心に大阪市があり、市域を越えて都市圏が広がる大阪の実態を踏まえ、事務委託により府市の一体的な行政運営を可能とすることで大阪を成長させていこうとするものです。こうした条例を府市自ら考えつくっていくことは、地方の総意により、強みを発揮するもので、まさに地方分権に合致したものであります。全国一律の府県と政令市の垣根を越える、地域に応じた新しい自治の取組と考えております。 もとより、事務委託については国にもしっかり説明をしてきたところであり、府市の考え方に問題はないと受け止めています。条例に基づき、大阪の成長や発展をさらに確かなものとし、豊かな住民生活の実現や生活利便性の向上などの効果を市民に享受いただけるものと考えています。 ○議長(ホンダリエ君) 石川博紀君。     (16番石川博紀君登壇) ◆16番(石川博紀君) 市長はそう強弁されますが、地方分権の流れに逆行するものであり、自治を大きく損なうことは明らかであります。大阪市と大阪府がそれぞれの自治体としての意思に基づいて、大阪、さらに関西の成長・発展をさせるために政策や事業の方向性を一致させていくことに反対するものではありませんが、方向性を一致させていくということは、大阪市が何もかも大阪府の言いなりになるということではいけません。大阪市民としての価値を最大限に引き出すことが大阪市役所、そして我々大阪市会に課せられた使命であり、大阪市と大阪府は対等の立場で真摯に協議していくことが必要です。 国や全国の自治体がコロナ禍災の対応に追われてきたこの1年でしたが、大阪市は、それよりも大阪市を廃止し、特別区を設置することについての住民投票に振り回された1年でありました。この住民投票は、大阪市廃止について5年前の住民投票で否決されたことであるにもかかわらず、市長と大阪府知事いわく、平成31年市長選挙・大阪府知事選挙の結果をもって民意を得たことによる再チャレンジとして推し進められたものでした。その住民投票において、大阪市をなくすか否か、市政運営上この上なく大きなものをかけた結果、前回以上の反対多数で否決されたことは、言い換えれば、市長がこれまでに掲げてきた二重行政の解消への疑問と広域一元化なるものへの否定とも言える民意です。 そして、市長や大阪府知事は住民投票での運動にいそしみながら、コロナ対応と言えば大阪ワクチン、ポビドンヨード発言など市民の混乱を招くばかりで、大阪府内での新型コロナウイルス感染症は拡大し、第1波、第2波を大きく超える第3波の状況となりました。市長は、住民投票に関するテレビ出演や会見などでもコロナはいずれ終息すると繰り返し発言しておりましたが、その終息の気配は、多くの市民の皆様に大変な我慢を強いる2度目の緊急事態宣言まで結局見えないままでした。 本市としても、今後の状況を楽観視することなく、まずもって、感染防止に向けた取組や感染症拡大と度重なる自粛要請で冷え込んだ経済の立て直しにさらなる対策を打つべきときです。 先ほどの答弁で、IR事業については新しい生活様式を見極めていく必要があり、段階的整備を見直すとのことでありましたが、そんな中でも、およそ1,000億円もの事業費をかけての新大学のキャンパス整備や1,500億円、3,000億円とも言える市民の財産たる市立高校の土地の無償譲渡などは変わらず進められていることは、甚だ疑問であります。 感染症拡大が引き続き懸念される状況にあっては、まずもって医療体制の拡充、滞りのないワクチン接種の実施、経済の立て直しなど、これらコロナ対策を最優先に行うことが本市に課せられた使命であるものと再確認し、我が会派からの代表質問とさせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(ホンダリエ君) 以上で、石川博紀君の質疑は終了いたしました。 ◆74番(永井広幸君) 動議を提出いたします。本日の質疑はこの程度で打ち切り、明4日午後1時より会議を開かれることを望みます。 ○議長(ホンダリエ君) 74番議員の動議に御異議ありませんか。     (「異議なし」と呼ぶ者あり) ○議長(ホンダリエ君) 御異議なしと認めます。よって動議のとおり決しました。 △閉議 ○議長(ホンダリエ君) 本日の日程は以上で終了いたします。 △散会 ○議長(ホンダリエ君) 本日はこれをもって散会いたします。     午後4時15分散会    ---------------------------------          大阪市会議長          ホンダリエ          大阪市会議員          今田信行          大阪市会議員          井上 浩◯大阪市会(定例会)会議録(令和3年3月3日)(終)...