大阪市議会 > 2020-11-26 >
11月26日-05号

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  1. 大阪市議会 2020-11-26
    11月26日-05号


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    令和2年第3回定例会(令和2年9~12月)◯大阪市会(定例会)会議録(令和2年11月26日)    ◯議事日程    令和2年11月26日午後2時開議第1 一般質問第2 議案第177号 一般職の任期付職員の採用及び給与の特例に関する条例の一部を改正する条例案第3 議案第178号 職員の期末手当及び勤勉手当に関する条例の一部を改正する条例案    ---------------------------------◯出席議員83人   1番    長岡ゆりこ君   2番    山本長助君   3番    坂井はじめ君   4番    吉見みさこ君   5番    海老沢由紀君   6番    大西しょういち君   7番    岸本 栄君   8番    中田光一郎君   9番    武 直樹君   10番    今田信行君   11番    原田まりこ君   12番    くらもと隆之君   13番    野上らん君   14番    福田武洋君   15番    前田和彦君   16番    石川博紀君   17番    花岡美也君   18番    伊藤亜実君   19番    原口悠介君   20番    山田はじめ君   21番    西 拓郎君   22番    塩中一成君   23番    山口悟朗君   24番    小山光明君   25番    松崎 孔君   26番    山本智子君   27番    佐々木りえ君   28番    高見 亮君   29番    金子恵美君   30番    上田智隆君   31番    竹下 隆君   32番    永井啓介君   33番    寺戸月美君   34番    山中智子君   35番    森山よしひさ君   36番    西川ひろじ君   37番    杉村幸太郎君   38番    梅園 周君   39番    守島 正君   40番    飯田哲史君   41番    藤田あきら君   42番    西 徳人君   43番    山田正和君   44番    佐々木哲夫君   45番    西崎照明君   46番    土岐恭生君   47番    辻 義隆君   48番    八尾 進君   49番    大橋一隆君   50番    ホンダリエ君   51番    丹野壮治君   52番    出雲輝英君   53番    岡崎 太君   54番    田辺信広君   55番    荒木幹男君   56番    加藤仁子君   57番    有本純子君   58番    北野妙子君   59番    多賀谷俊史君   60番    足高將司君   61番    木下吉信君   62番    新田 孝君   63番    大内啓治君   64番    辻 淳子君   65番    東 貴之君   66番    木下 誠君   67番    山下昌彦君   68番    広田和美君   69番    片山一歩君   70番    小笹正博君   71番    杉田忠裕君   72番    明石直樹君   73番    永田典子君   74番    永井広幸君   75番    高山美佳君   76番    岡田妥知君   77番    宮脇 希君   78番    杉山幹人君   79番    藤岡寛和君   80番    川嶋広稔君   81番    太田晶也君   82番    田中ひろき君   83番    井上 浩君    ---------------------------------◯職務のため出席した事務局職員               市会事務局長           松本高秋               次長               巽 功一               議事担当課長           西 正道               議事担当課長代理         山下章桐               議事担当係長           明見繁夫    ---------------------------------◯議場に出席した執行機関及び説明員               市長               松井一郎               政策企画室長           吉村公秀               財政局長             東山 潔               教育委員会教育長         山本晋次    --------------------------------- △開議      令和2年11月26日午後2時開議 ○議長(ホンダリエ君) これより市会定例会会議を開きます。 本日の会議録署名者を山口悟朗君、寺戸月美君の御両君にお願いいたします。 ○議長(ホンダリエ君) これより議事に入ります。 ○議長(ホンダリエ君) この際、傍聴人に申し上げます。傍聴人は、拍手や発言をすることは固く禁止されておりますので、静粛に傍聴願います。 ○議長(ホンダリエ君) 日程第1、一般質問を行います。 ○議長(ホンダリエ君) 岡崎太君の質問を許します。 53番岡崎太君。     (53番岡崎太君登壇) ◆53番(岡崎太君) 私は、大阪維新の会大阪市会議員団を代表し、先日の住民投票で民意が示され、今後も存続することとなった政令指定都市大阪市のかじ取りを今後どのように行っていかれるのか、様々な角度から質問をいたします。 まず、大阪市を廃止し特別区を設置するための住民投票において、大阪の将来を真剣に考えてくださったお一人お一人の市民の皆様に、この場をお借りして心より感謝申し上げます。 松井市長は、昨年4月に就任され、大阪の成長と住民サービスの拡充を実現するため、橋下、吉村市政の継承を基本路線に強力かつスピーディーに市政を進めてこられました。また、財政運営においては、補填財源に依存することなく収入の範囲内で予算を組むことを原則とするなど、将来世代に負担を先送ることのないよう財政健全化に着実かつ積極的に取り組むとともに、限られた財源の中で一層の選択と集中を進めたことで財政状況は着実に改善してきました。 しかし、今後の人口減少や高齢化の進展に加え、新型コロナウイルス感染症の拡大により市税収入の大幅な減収が見込まれる一方、生活保護費をはじめ社会保障関係経費が増大することが想定され、今後の財政状況はなお一層厳しいものになると考えられます。 この間、橋下、吉村市長時代に施策・事業の見直しや職員数の削減、官民連携の推進など数多くの大改革を実行するとともに、現役世代への重点投資や大阪の成長につながる施策を行ってきましたが、引き続き財政規律を緩めることなく改革を行い、しっかりと財政運営をしていかなければなりません。 そうした中、我が会派は、いわゆる大阪都構想の実現を掲げましたがかないませんでした。しかし同時に、その差が僅差であったことを勘案すると、大阪市を残したままで大都市制度改革をはじめ、これまで行ってきた様々な改革路線を今後もさらに進めていくべきだという民意が示されたものだと考えます。2回の住民投票と10年間という時間は、賛成、反対、双方にとって決して無駄ではなく、今後の大阪のために必要なレガシーを与えてくれました。その確認も含めて以下、具体にお伺いします。 前半は、大都市制度改革議論のレガシーについて質問を進めます。 広域機能の一元化と基礎自治機能の拡充に向けた取組について伺います。 11月1日の住民投票の結果は、特別区設置を目指してきた我が会派にとっては残念ではありますが、市民が判断されたものとして、その結果を真摯に受け止めています。現在のコロナ禍の中、住民投票を行ったのも、大阪の都市制度改革は待ったなし、これ以上先に送るべきではないという判断に基づくものであります。広域機能の一元化という課題は避けて通ることはできないものであり、大阪市の存続が決まっても、できる改革はスピード感を持って進めていかなければなりません。 そこで、我が会派としては、大阪市を存続させつつ大阪府市の広域機能を一元化し、二重行政の解消に向けた取組を進めることが、今回の住民投票により示された民意にかなうものと考えます。また、基礎自治機能の拡充に向けた取組、都市内分権を引き続き進めていくことが今後も求められていきます。 そこで、この住民投票の結果から、どのようにして広域機能の一元化と基礎自治機能の拡充に向けた取組を進めていくのか、市長の御所見を伺います。 ○議長(ホンダリエ君) 理事者の答弁を許します。 松井市長。     (市長松井一郎君登壇) ◎市長(松井一郎君) 住民投票において、大阪府市を再編する大阪都構想が反対多数となったことは重く受け止めております。今回の住民投票でも、大阪において二重行政の解消を求める声は大きなものであり、引き続きこれまでの府市一体の取組、いわゆるバーチャル大阪都としての成長の取組を推し進めてまいります。これが賛成、反対によらず、広く市民の皆さんの思いと考えております。 今後、都構想の仕組みではなく、大阪府市の枠組みの中で大阪の成長に向けた取組を進めるために、府市一体化、広域一元化をさらに図られるような体制、ルールづくりを行いたいと考えております。 また、行政区長の権限、裁量を拡大することが基礎自治機能の拡充につながるものでありまして、そのためには、今の行政区を一定規模に集約した総合区の設置が必要であると考えています。 今後、広域機能の一元化と基礎自治機能の拡充の取組について来年2月の市会に提案できるように、具体的な内容の検討を進めてまいります。 ○議長(ホンダリエ君) 岡崎太君。     (53番岡崎太君登壇) ◆53番(岡崎太君) 次に、組織のガバナンス、コンプライアンスに関する課題について伺います。 さきに行われた住民投票では、財政局により誤った認識の下、機械的に試算した基準財政需要額の理論値とされるものが報道機関に提供され、投票日の直前に大きく報道されたことによって市民に誤解と混乱を生じさせることになりました。 また、この件について、過日の決算特別委員会において我が会派のくらもと委員から質疑したところ、公文書である新聞社から受け取った記事の一部について、所属長を含む幹部職員3人で協議し、受け取っていなかったことにするという明らかな隠蔽目的で廃棄していたことが判明しました。このことは、市の幹部職員にコンプライアンス意識が欠如していたものにほかならず、個人の問題だけにとどまらず、大阪市役所としても大問題であります。 大阪市では、この間、コンプライアンス改革に取り組んできており、職員の意識改革は進んできていると思っておりました。このような故意による法令遵守にもとる行為が局長の理解の下で行われていることから見て、この間の取組の成果はどうだったのか。また、財政局だけに限った問題ではなく、大阪市役所全体の問題として改めて捉え直す必要があるのではないでしょうか。 さらには、職員の意識の問題だけではなく、そもそも組織に根づく文化という観点からも捉える必要があるのではないかと考えます。組織の文化というものは容易に変えることはできません。大阪市役所という組織が残ることになった今、局の理屈で行動し、局の利益を最大化しようとするような古い意識、体質などは徹底して一掃する必要があります。今後の大阪市役所組織の在り方、職員のコンプライアンス意識の改革について、市長の所見を伺います。 ○議長(ホンダリエ君) 松井市長。     (市長松井一郎君登壇) ◎市長(松井一郎君) 今回の住民投票に関わって、財政局において誤った考え方に基づく実際にあり得ない数字を報道機関に提供し、市民に誤解と混乱を生じさせ、また報道機関から提供され公文書となった資料を故意に破棄したことにより、市政に対する市民の信頼を損ねたことについて、市長としておわびを申し上げます。 今回の財政局の一連の対応については、実際にあり得ない数値を報道機関に提供したことも問題でありますが、記者から記事の原稿を受け取ったという事実の一部を隠そうとして、最終的には市の最高幹部である所属長の判断により公文書が破棄されたことについては、コンプライアンス上、非常に重大な問題であります。また、事実を隠そうとしたことについては、危機管理としても最悪のものであり、組織マネジメントとして非常に問題であって、極めて遺憾であります。 この間、コンプライアンス確保のため、組織的な仕組みづくりや職員の意識の向上と定着に取り組んできたところでありますが、今回の公文書の破棄など一連の問題は、この間の取組がまだまだ不十分であり、市民や社会の要請に応えることよりも組織の論理を優先するという、古い意識がいまだに残っていると言われても致し方ないものであります。住民投票の投票日翌日、所属長会において全所属長に対し、過去のおごりのような振る舞いをして市民の皆さんを裏切ることのないようにと伝えたところでもあります。 今回のことを受け、いま一度、所属長を含む全ての職員が、全体の奉仕者である公務員として組織の論理を優先するのではなくて、市民や社会の要請に応えていくというコンプライアンスの基本をしっかりと認識し、日々の業務の中で常に透明性を確保し、説明責任を果たしていくという意識を持つことを徹底する取組を進めてまいります。 また、民間企業におけるガバナンスの取組など新しい組織文化、意識も取り入れた上で本市の施策を進めていくことが重要であると考えておりまして、現在も実施している区長、所属長公募や民間企業への職員派遣の拡大、民間企業との相互人事交流を行うなどによって、自らの組織業務を多角的、客観的に見詰めつつ市政運営を担うことができる人材の育成に一層取り組んでまいります。 ○議長(ホンダリエ君) 岡崎太君。     (53番岡崎太君登壇) ◆53番(岡崎太君) 次に、児童相談所の体制とそれに関連する区役所の機能強化について、3点伺います。 まず、1点目は、児童虐待の相談をはじめとする児童相談件数が増加し続けていることから、児童福祉の中核的専門機関である児童相談所、本市においては、こども相談センターを整備し、来年度には3か所目の北部こども相談センターが開設される予定になっています。 住民投票が反対多数となった今でも、児童相談所については4か所体制で進めていくことに変わりはないと考えますが、市長の所見を伺います。 また、2点目として、特別区の場合は、各こども相談センターが独立をして、その区の特色を生かして体制を構築していったであろうと考えますが、政令指定都市の場合は、4つのこども相談センターをどのように運営していこうと考えているのでしょうか。 さらに、3点目として、児童虐待予防対策については、児童相談所だけではなく、各区役所の子育て支援室が重要な役割を果たしていると思いますが、こども相談センター区役所子育て支援室との役割分担や連携についてどのように強化していくのか、市長の御所見を伺います。 ○議長(ホンダリエ君) 松井市長。     (市長松井一郎君登壇) ◎市長(松井一郎君) 私は、児童虐待によって大切な子供の命が失われることはあってはならず、全ての子供たちが虐待を受けることなく、安心・安全な環境の中で育たなければならないと、こう考えます。だからこそ私としましては、1点目の児童相談所の体制については、市長に就任した直後から、重大な児童虐待ゼロの実現を最重要施策に掲げ、最優先課題として取り組んでまいりました。就任以前は3か所の児童相談所を整備することが決められていましたが、よりきめ細やかな支援体制を整えるために、昨年10月に市の方針として児童相談所の4か所体制を決定し、児童虐待防止対策の充実強化を図ってまいりました。 また、2点目の児童相談所の運営につきましては、各こども相談センターが、児童福祉法に基づく児童相談所として専門的な知識や技術を要する相談に対応し、区役所に対する後方支援も行っています。現在においても、森之宮にあるこども相談センター中央児童相談所であり、他のこども相談センターに対して技術的援助、連絡調整、情報提供、施設入所に係る措置の調整などといった様々な業務支援を行っております。さらに、4か所の人員体制の構築には大幅な増員が必要であり、専門性の維持、向上をしていくためにも、中央機能を活用しながら4か所の児童相談所職員体制を底上げしてまいります。 3点目の児童虐待の未然防止、早期発見に当たっては、市民に身近な区役所の役割は重要であり、区役所機能も一層強化していかなければならないと考えます。区役所子育て支援室においては、身近な子育て相談に対応し子育て支援サービスの情報提供を行うことなど、子育て支援の充実や関係機関が連携を図り、児童虐待などへの対応を行う要保護児童対策地域協議会をより機能的に稼働させ、早期発見、迅速な支援等に努め、児童虐待の未然防止に努めていくことが必要であります。 今後とも、こども相談センターと区役所が両輪となって児童虐待未然防止、早期発見、早期対応に努め、重大な児童虐待ゼロを目指してまいります。 ○議長(ホンダリエ君) 岡崎太君。     (53番岡崎太君登壇) ◆53番(岡崎太君) 児童相談所の体制については、特別区では、虐待発生時に迅速な対応が取れるよう各特別区に設置することとなっていました。一方で、本市は長らく1か所の体制で対応し、平成28年10月に2か所体制になりました。 近年、児童虐待の社会問題化やニア・イズ・ベターの統治機構改革の議論の中で、児童相談所を4か所まで整備しようというように変化してきております。これは、大阪都構想の議論の成果であったと認識しています。今回、大阪市が残ることになった中でも、児童相談所が4か所に増設され、それぞれ身近な地域で相談や対応を担うことが住民サービスの向上になることからも、引き続き児童相談所の機能強化に努めていただきますようお願いいたします。 次に、危機管理体制の充実について伺います。 我が会派としては、この間の都構想議論の中で、大阪市域の防災力を向上させ、迅速かつ地域事情に即した災害対応を行え得るよう、4人の特別区長と4人の危機管理監を中心とした危機管理体制の構築を思い描いてきました。本市の存続が決まった中でも、大阪市域の防災力向上という課題は、大都市制度のいかんにかかわらず、一歩一歩着実に進めていかなければなりません。 現状、本市が被災した場合あるいは被災するおそれがある場合、ここ中之島本庁舎に市長を本部長とした大阪市災害対策本部を立ち上げるとともに、各区長を本部長とする区災害対策本部を立ち上げ、被害状況の調査や被災者の応急救助、避難者の受入れなどに当たるとされています。24区の被災状況など膨大な情報が市本部に寄せられることになりますが、270万市民を対象に刻々と変わるその全ての情報を市本部で把握し、分析し、指示伝達ができるかというと実際にはかなり難しく、市本部が混乱してしまい、かえって判断、指示が遅れたり誤ったりする可能性があるのではないかと危惧をいたしております。 そこで、市域を幾つかのブロックに分け、そのエリア内における被災情報などの集約、分析、共有、対応までを代表となる区長に権限を与えて任せることにし、一定整理された情報を市本部に上げるような仕組みにすれば、市本部は国や大阪府をはじめとした関係機関との調整などに注力でき、かつ被災者支援などは迅速、丁寧に行うことができるのではないかと考えています。 今後の本市の危機管理体制の充実に向け、市長の御所見を伺います。
    ○議長(ホンダリエ君) 松井市長。     (市長松井一郎君登壇) ◎市長(松井一郎君) 大雨や台風による災害は毎年各地で生じており、その被災具合も甚大なものとなってきております。また、南海トラフ巨大地震が今後30年以内に起きる確率は70%から80%とされており、役所のみならず、市民の皆さんのお一人お一人に防災・減災の取組を意識してもらい命を守る行動を取っていただくように地道に周知を続けることが、結局のところ被害の軽減に最も有効な取組ではないかと考えています。そのため、本市の防災力を向上させるには、地域住民とじかに接する区役所の役割が、これまで以上に重要となってまいります。 ただいま、災害時における本市の災害対策本部機能について懸念と御提案をいただきましたが、現在、災害に関する国やライフラインの事業者などの災害情報をリアルタイムで収集し、これらの複数種別の災害情報を地図上に重ね合わせて視覚的に把握、分析するとともに、全職員に対し指示事項を一斉に配信できるように、防災情報システムの再構築に取り組んでいるところであります。 しかしながら、私としても、やはり24区は多過ぎると思っておりまして、一定規模に集約するほうが区長の権限、裁量を拡大でき、これまで以上に市民の皆さんに寄り添うことができるのではないかと考えるところであります。これにより、危機管理体制の充実が図られるのかといったことについても、今後、具体的に検討してまいります。 ○議長(ホンダリエ君) 岡崎太君。     (53番岡崎太君登壇) ◆53番(岡崎太君) 次に、教育委員会事務局の4ブロック化について伺います。 我が会派としては、420校もの小中学校を一つの教育委員会でマネジメントしていくには、スパン・オブ・コントロールの域を超えていると考えており、教育委員会事務局を4ブロック化し、学校現場の実情やニーズを酌み取りきめ細かく支援していく方向性は、非常に重要と認識しています。今後も可能な限り権限をブロックに移し、教育行政の分権化の観点から、学校現場の教育課題をブロックごとに解決できる組織体制づくりを進めてほしいと考えております。 今年度は指導部の小中学校部門を4ブロック化したところではありますが、その機能を最大限に発揮するには、各ブロックが責任を持って意思決定し、実行できる相応の権限と体制が必要であります。学力向上や児童・生徒の安心・安全な学校づくりのためには、さらなる学校現場の活性化や教員の資質向上なども必要であり、指導部の業務だけでなく、人事部門や人材育成部門についても、ブロックで担ったほうが効果的なものはブロックで担うよう検討を進めてもらいたいと考えます。 今後の4ブロック化の権限や体制はどうしていくのか、市長の御所見を伺います。 ○議長(ホンダリエ君) 松井市長。     (市長松井一郎君登壇) ◎市長(松井一郎君) 今年度は、教育委員会との連携の下に、指導部の小中学校における支援を直接担っている部門を4つの支局に分けるとともに、指導主事などを19名増員し、教育ブロック担当部長の下で教育現場をきめ細かく支援する4つのライン体制を構築いたしました。新型コロナウイルス対応という未曽有の状況下で、学校現場も経験のない多様な対応が迫られたと思いますが、各ブロックの指導主事がきめ細かく支え、共に対応に当たってくれたことは、4ブロック化の効果の第一歩であったと考えます。 また、ブロック内の区担当教育次長で構成する教育ブロック会議を設け、ブロック内の小中学校の実情に応じた学力向上支援策を協議、決定し、特色ある取組を始めております。例えば、ブロック内の教員に求められる資質の向上を目指して独自の教員研修を企画しているブロックもあり、今後もブロックごとの特色ある取組を進めていってもらいたいと考えます。さらに、あるブロックでは、リーディングスキルテストを用いて児童・生徒一人一人の文章を読み解く力を測定し、指導の工夫を行う取組を進めており、他ブロックでも取り入れる予定であるなど、ブロック間で好事例を共有し、相互に高め合う取組も進んでおります。 こうした学校や地域の実情や課題を丁寧に酌み取り、それを踏まえて政策決定し、学校をきめ細かく支援していく取組は、今後も引き続き教育委員会と連携しながら進めてまいります。 4ブロック化をさらに進めるに当たっては、人的・物的コストとも勘案しながら、本市の限られた資源を有効活用する必要があります。ブロックで実施したほうが効果的な業務と、全市で一元的に実施したほうがスケールメリットを生かせる業務とを精査し、また総合区制度も考慮に入れながら柔軟に対応できるように体制整備を進めてまいります。 ○議長(ホンダリエ君) 岡崎太君。     (53番岡崎太君登壇) ◆53番(岡崎太君) 今年度から学力向上施策をブロックで決定しているとのことですが、例えばブロックで地域課題に即した特色ある教育活動に注力し、経費を投じて実践や研修を行い、課題解決のためのノウハウを備えた教員を育成した場合に、そういった教員が人事異動によってほかのブロックに分散されてしまうということになれば、また一から人材を育て直さねばならず、教育効果が十分に発揮できないという事態を懸念いたします。 そのような観点から、人材マネジメントに関する権限も各ブロックに与えるべきであります。今後の権限や体制の検討に当たっては、こうした点も考慮して制度構築いただくことを要望しておきます。 次に、学校給食費の無償化について伺います。 現在、大阪市の公立小中学校では、児童・生徒の給食費は全員全額無償とされています。給食費の無償化は、新型コロナウイルスの影響により負担を余儀なくされている子育て世帯への支援として大いに意義のある施策であると考えます。現在行われている給食費の全員全額無償の措置は令和2年度に限ったものとされており、市長は、令和3年度に向けては、4月以降に時間をかけて様々な観点から検討を進め、本格実施につなげていくと答弁されていました。 新型コロナウイルスは、11月に入って大阪において1日の新規感染者数が500人に迫るなど、さらなる感染拡大の懸念もされており、いまだ収束の見通しが立っておらず、経済にも深刻な影響を及ぼしております。感染状況や大阪経済への影響分析を見ても、今後も厳しい状況が見込まれ、子育て世帯の負担については注視する必要があります。 新型コロナウイルスによる厳しい社会経済情勢を踏まえ、給食費につきましては、現行の全員全額無償の措置を令和3年度も継続するべきと考えますが、市長の所見を伺います。 ○議長(ホンダリエ君) 松井市長。     (市長松井一郎君登壇) ◎市長(松井一郎君) 新型コロナウイルスの影響が本格化し、学校が一斉休校となった3月に、子育て世帯の経済的負担等を軽減する観点から、令和3年度に向けて実施を検討することとしていた給食費の無償化を前倒ししたいと考え、令和2年度に限り、全ての児童・生徒の給食費を無償とすることといたしました。令和3年度に向けましては、所得や世帯の子供の数に応じて無償化する案や、一律に無償化する案など、様々な観点から検討を進めていますが、一方で、新型コロナウイルスはいまだに収束の見通しが立っておらず、また、影響を受けて経済の落ち込みは大変厳しい状況にあると認識をいたしております。ワクチンの開発などにより感染が収束し、経済活動も回復に向かうことを期待いたしたいところですが、現時点では、いつ感染が収束するのか、また、いつ落ち込んだ経済が回復できるのか見通すことは大変難しい状況です。 現行の無償化措置の期間については、コロナ禍による社会経済情勢を注視しながら、また議員からの御意見も受け止めながら、私としても慎重に判断をしてまいります。 ○議長(ホンダリエ君) 岡崎太君。     (53番岡崎太君登壇) ◆53番(岡崎太君) 次に、水道事業の広域化について伺います。 全国の水道事業体においては、人口減少により水需要が減少する一方、施設の老朽化に伴う更新コストの増大など様々な課題を抱えており、水道をめぐる経営環境は厳しさを増していることから、将来的な水道料金の値上げも懸念されます。 これらが直面する課題に対応し、水道の基盤の強化を図るため、昨年10月、広域連携の推進を柱の一つとした改正水道法が施行されました。今般の特別区設置協定書では、この法改正による広域連携に関する都道府県の役割強化とともに、大規模事業体としてのノウハウなどの活用を踏まえ、市の水道事業を府に移管するとし、住民投票で賛成多数であれば、府域一水道に向けた取組が加速されるものと考えていました。 しかしながら、大阪市の存続が決まった今、水道の広域化を見据えた将来ビジョンについて、引き続き大阪市として戦略的な観点から描いていく必要があると考えますが、市長の御所見を伺います。 ○議長(ホンダリエ君) 松井市長。     (市長松井一郎君登壇) ◎市長(松井一郎君) 改正水道法において水道基盤の強化に向けた広域化の手法、道筋が示され、都道府県の責務及び大規模事業体の役割が明確にされております。 大阪府域では、こうした法の理念を先取りする形で府域水道の最適化を図るために府市による副首都推進本部会議、さらには府内の水道事業者などが参画する「府域一水道に向けた水道のあり方協議会」において議論を進め、今年3月に府域の水道基盤強化計画につながる検討報告書を公表しています。その中で、事業体の垣根を越えて、9つある淀川系浄水場を6つに再編する最適配置案などに取り組むとしておりまして、この具体的な取組として、本市庭窪浄水場と守口市浄水場の共同化について、令和6年4月の共同運用開始に向けた準備を進めております。 今後、改正水道法の趣旨にのっとり、市水道局が実動部隊となって、府の水道行政部局との連携を強化し、府域一水道に向けた取組を促進してまいります。 ○議長(ホンダリエ君) 岡崎太君。     (53番岡崎太君登壇) ◆53番(岡崎太君) 改正水道法では、都道府県が広域的な連携の推進役を担うとしており、今後とも引き続き広域連携に対して大阪府がリーダーシップを発揮されるようお願いするとともに、本市としても、府と連携を強化しながら、これまで培ってきたノウハウや施設を活用し、府域水道事業の基盤強化に貢献していただくようお願いいたします。 次に、府市の病院の経営統合について伺います。 府市の病院の経営統合については、平成24年度の府市統合本部会議において、統合の基本的方向性が確認されました。その後、平成26年4月施行の法改正により、地方独立行政法人が法人同士で合併することが可能となり、統合に向け、大阪府においては平成26年4月に府立病院機構は公務員型から非公務員型へ移行し、本市においては、平成26年10月に非公務員型の市民病院機構を設立してきました。 市長は、就任直後の昨年6月の一般質問において、統合に向けた準備を進めると答弁されております。統合に際しては、人事給与制度や情報システムの統一などが課題として残っていますが、どのように準備を進めていこうと考えておられるのか、改めて御所見を伺います。 ○議長(ホンダリエ君) 松井市長。     (市長松井一郎君登壇) ◎市長(松井一郎君) 府市の病院の経営統合につきましては、運営を一体化することで医師、看護師などの柔軟な人材確保が可能となり、医療資源を有効活用することができるとともに、医療機能の強化にもつながると考えております。これまで課題となっていた府と市の両機構で相違している人事給与などの規定、制度や情報システムの統一に加え経営統合の手法も含め、改めて府と連携しながら検討していく必要があります。これらの課題整理に向け、実務者同士の協議の場を設置し、具体的に検討を進めるように担当局に指示をいたします。 ○議長(ホンダリエ君) 岡崎太君。     (53番岡崎太君登壇) ◆53番(岡崎太君) ここまでは、大都市制度議論のレガシーを質問させていただきました。これまで議論を重ねてきた時間は決して無駄ではなく、都構想が成立しなくとも、次の時代に必要な大阪の姿を見つけ出すことができたのだと考えます。 ここからは、大阪の成長に向けた戦略についての質問に移ります。 コロナ危機を克服し、大阪を再生・成長させていくための新たな戦略の案が先日公表されました。これまでの10年間で府市の成長戦略や観光戦略を一本化し、中之島における未来医療国際拠点の整備や、うめきたの開発、大阪産業局の設立など、大阪を成長させる取組を府市一体で展開してきたからこそ、2025年大阪・関西万博の誘致を実現するなど、大きな成果を上げてきました。 今後、コロナ対策を行いながら、さらに大阪を成長・発展させ、副首都・大阪を実現していくためには、これからも様々な施策を府市で緊密に連携し、同じ方向を向いて取り組んでいく必要があります。また、これまでの大阪経済の成長を牽引してきたインバウンド関連が大打撃を受けている今、新たな方向性を定めて進めていくことが必要だと考えております。 市長は、新戦略の下、大阪をどのように再生・成長させていこうと考えているのか、御所見を伺います。 ○議長(ホンダリエ君) 松井市長。     (市長松井一郎君登壇) ◎市長(松井一郎君) コロナ拡大による経済の打撃や新しい生活様式、デジタルトランスフォーメーションなどの社会システムの変革をもたらす新たな潮流を踏まえ、ポストコロナを見据えた大阪の再生・成長の方向性を明らかにするために、府市一体で新たな戦略の策定の検討を進めているところです。コロナ以前は、府市一体で成長戦略に取り組み成果を出してきたことから、今後も府市一体の取組が重要であると考えます。 新戦略案では、まずはウィズコロナにおいて感染防止対策を講じつつ、経済や市民の暮らしをしっかり支えてまいります。さらに、これらを土台として、ポストコロナに向けては、世界的なビッグイベントとなる2025年大阪・関西万博のインパクトを生かし、健康医療関連産業のリーディング産業化や大阪の将来の成長を担うスタートアップやイノベーションの創出、国際金融都市の実現に向けた挑戦を掲げるなど、5つの重点分野を中心とした経済面での取組に加え、成長を支える都市インフラの整備を進めてまいります。 この戦略を推進することで、実質府内総生産を一年でも早くコロナ前の水準に戻し、大阪の再生と成長を加速させてまいります。万博の成功を導き、日本の成長を牽引する東西2極の1極として、府市一体の下で世界に存在感を発揮する副首都・大阪の確立、発展を図ってまいりたいと考えます。 ○議長(ホンダリエ君) 岡崎太君。     (53番岡崎太君登壇) ◆53番(岡崎太君) 経済の水準をコロナ前に一日でも早く戻していくことは、非常にこれからの大阪に重要であると考えますので、市長、ぜひよろしくお願いします。 次に、港湾管理の一元化について伺います。 大阪港と府営港湾8港を管理する組織として、大阪港湾局が10月1日に発足してから約2か月が経過しました。3年前の話ですが、平成29年12月に大阪市会議員海外視察団は、大阪港の姉妹港であるフランスのル・アーヴル港を訪れました。ル・アーヴル港は、コンテナを中心とするセーヌ川河口に位置する国際貿易港であり、セーヌ川流域に位置する穀物やばら貨物が中心のルーアン港、観光船が特色のパリ港と併せてフランス最大の港湾運営組織HAROPAが3港を一体管理していました。特色や役割が異なる複数の港湾を管理する組織という意味では、今般設置されました大阪港湾局とよく似てると思います。2018年の港湾取扱貨物量は、大阪港が約8,400万トン、大阪府営港湾が約7,600万トン、合計すると約1億6,000万トンと、名古屋港に次いで全国2位の貨物量を一つの組織で取り扱うことになります。近畿2,100万人の生活を支え、大阪の広域の成長の牽引役として大阪港湾局に求められる役割は大きいと思います。 本年10月の我が会派の質疑に対して、1人の大阪港湾局長のマネジメントの下、府市連携した取組がスムーズに実施可能となることや、今後、コンテナやフェリーに強い大阪港とエネルギーや中古車に強い府営港湾各港の特性を生かして戦略的なポートセールスを展開していく旨の答弁がありましたが、府市連携の取組の例があれば、お聞かせください。 また、今回の大阪港湾局の共同設置は、大阪湾諸港の一元化を目指した第1ステップであると認識していますが、どのように進めていくのか、市長の御所見を伺います。 ○議長(ホンダリエ君) 松井市長。     (市長松井一郎君登壇) ◎市長(松井一郎君) 大阪湾諸港の港湾管理の一元化に向け、国際競争力の強化や利用者の利便性向上といった課題に対応するために、第1ステップとして、本年10月1日に大阪港湾局を発足させました。市と府の港湾局を統合したことで、リアルタイムな情報共有と広域的な視点で1人の港湾局長の下、スピード感を持って取組を進めさせてまいります。 11月25日に公表いたしました大阪“みなと”ビジョンを踏まえまして、今後、人・モノ・コトがより一層に交流をする拠点として発展させ、関西経済の発展の一翼を担うことを目指してまいります。 さて、大阪港湾局設置後に進めている府市連携の具体的な取組といたしましては、クルーズ船の寄港予約が重複していた場合、大阪港のみではお断りせざるを得ない場合もありましたが、今後は大阪港に加え、堺泉北港などへの案内も可能となります。日本では国内クルーズが11月に再開したところでありまして、オール大阪でクルーズ船誘致のお断りゼロの実現に取り組んでまいります。 また、これまで東京、大阪で開催してきた府市共同セミナーに加えて、今年度は本年3月の阪神高速大和川線開通を契機として一層の集荷が見込まれる奈良方面でのセミナーを実施するなど、府市連携した戦略的なポートセールスを展開してまいります。大阪港湾局として組織統合による効果を発揮させることが必要と考えており、今後、大阪港の姉妹港であるル・アーヴル港をはじめセーヌ川流域の3港を一体管理するHAROPAとも、今回の組織発足を契機として年内に意見交換を進めると聞いております。 このような組織の知見も参考にしながら、コロナ禍で厳しい状況にありますが、利用者のニーズに合った使いやすい港湾づくりを着実に進めていくことで取扱貨物量の増大、さらに活性化につなげてまいります。 ○議長(ホンダリエ君) 岡崎太君。     (53番岡崎太君登壇) ◆53番(岡崎太君) 次に、淀川左岸線2期事業の事業費の増額について伺います。 去る11月12日の決算特別委員会における我が会派の高山委員の質疑において、その事業費が現在の計画の1,162億円に対して、最大で6割を超える程度の増額見込みがあると、理事者から答弁がなされました。この状況について、市長は取材や会見において、建設局から7月と11月の2回にわたって報告を受けていると発言されています。 市長は、この2回の報告を受けた際、今回の事業費増額をどのように認識されていたのかをお聞きします。 また、淀川左岸線2期は、2025年大阪・関西万博において新大阪駅などと万博会場を結ぶシャトルバスのアクセスルートとして必要不可欠であることから、万博開催までに事業を前倒しして整備を進めているところです。万博の成功に向けて事業を推進していくに当たり、今後どのように取り組んでいくのか、市長の御所見を伺います。 ○議長(ホンダリエ君) 松井市長。     (市長松井一郎君登壇) ◎市長(松井一郎君) 淀川左岸線2期事業の事業費増額については、7月22日に建設局から最初の報告を受けており、事業費増加リスクの顕在化の経緯やその内容、また精査途上の試算段階ではあるものの、今後見込まれる最大の増加リスクについて説明があったと理解をしています。この時点での認識として、淀川左岸線2期事業は大阪の成長のために必要なインフラ整備であり、今後、アクセスルートとしても早期整備が必要不可欠であることから、建設局に対しては、コストを圧縮するように検討して事業費の精査を進めるとともに、財源確保に向けて国などとの協議をしっかり進めるように指示をいたしました。 その後、9月24日の建設港湾委員会において、建設局より、相当程度の事業費増加リスクが見込まれるが、コスト縮減の方策も含めて事業費を精査中であると答弁をいたしました。 さらに、11月11日に建設局から報告があった際には、7月以降コスト縮減の精査が進んできたこと及び事業推進のための財源確保に向け国などと多岐にわたる協議を行っていることの状況説明を受けました。その際、私からは、議会に対して説明するとともに、引き続きコスト縮減の精査を行うように指示したところであります。 今回の増額について、現地調査後に判明した土壌汚染の対応など事業推進には必要な費用であり、やむを得ないものと考えておりますが、大規模事業におけるリスク管理の観点からすれば、これまでの管理が十分ではなかったのは事実であり、建設局に対しては、リスク管理を徹底した上で事業の推進に努めるように指示したところであります。 万博までの短期間でアクセスルートとして利用できるように整備を行うためには、事業費確保が必要不可欠であり、私としてもあらゆる方策を講じて確実に事業費を確保し、大阪の成長のため、また万博成功のために、この淀川左岸線2期の整備に全力で取り組んでまいります。 ○議長(ホンダリエ君) 岡崎太君。     (53番岡崎太君登壇) ◆53番(岡崎太君) 財政局の問題では市長への報告が行われていなかったのに対し、この件ではネガティブな情報も市長に報告されていたことについては、一定の評価はできます。今後も確実に事業を進めてくださるようお願いを申し上げます。 次に、スタートアップ・エコシステム拠点都市の形成について伺います。 先端技術や新しいアイデアを活用し新たな製品やサービスを生み出すスタートアップは、今後の経済成長に重要な役割を持つことから、我が国では、支援を進めるため、スタートアップ・エコシステム拠点形成戦略を策定し取り組んでいます。この戦略では、スタートアップが大きく成長できる力を持つ地域をグローバル拠点都市として選び、国も様々な支援を行って、その地域のポテンシャルをさらに高めることにしております。 大阪、京都、神戸の京阪神地域は、本年7月にグローバル拠点都市に選ばれました。大阪・関西の力が評価され、万博や経済の活性化にも弾みがつくものと期待しておりますが、大阪のスタートアップ支援はどう変わるのでしょうか。 また、万博協会が万博会場などで実装や実証するアイデアを募集した際には、自動運転による移動サービスやAIロボットによる様々なサービスの提供など1,000件を超える応募があったと聞いております。こうしたアイデアを活用したビジネスに取り組むスタートアップも多いと思いますが、その成長支援に取り組むことは万博を控えたグローバル拠点都市として重要と考えますが、いかがでしょうか。 また、スタートアップがその後速やかに事業拡大し、ユニコーン企業として成長するためには、資金調達の支援が進むことや規制緩和などに大阪市行政が一丸となって支援するなど、シードアクセラレーションの取組を充実させることも重要と考えますが、市長の御所見を伺います。 ○議長(ホンダリエ君) 松井市長。     (市長松井一郎君登壇) ◎市長(松井一郎君) 大阪のスタートアップ支援は、これまで大阪の経済界、大学、行政を中心に実施してきましたが、グローバル拠点都市に選ばれ、大阪のスタートアップは国が実施する海外投資家などの成長加速プログラムやジェトロの海外ビジネス支援を優先的に受けることができるようになりました。これまで、大阪については、特に創業初期のスタートアップの資金を提供する投資家の不足、海外企業への発信力の不足など弱みが指摘されてきましたが、こうした国の支援が加わることで、弱点を克服できると考えます。加えて、京都や神戸の産学官との連携で3都市の強みを生かした支援が可能となり、スタートアップの一層の成長が進むと考えます。 今後、大阪を、世界から多くの人材や投資家が集まり、SDGsの達成をはじめ、新しいビジネスにチャレンジするスタートアップが成長する都市としてまいりたいと考えます。万博は、それ自体がスタートアップによるイノベーション創出の場ということができまして、国内外から多くのスタートアップを呼び込み、都市や経済の活力を生み出すことが必要と考えています。万博に向けて多くのアイデアが出されており、グローバル拠点都市の取組の中で新たなビジネスの創出を目指してまいります。 グローバル拠点都市に選ばれたことで、国内外からスタートアップを呼び込む機会や資金調達の機会が増えることが期待されます。こうした状況を活用した支援に加え、必要となる規制緩和などについても、本市一体となって取り組むことでシードアクセラレーションの取組の充実した環境をつくり、スタートアップがより活動しやすい支援をしてまいります。 ○議長(ホンダリエ君) 岡崎太君。     (53番岡崎太君登壇) ◆53番(岡崎太君) 次に、デジタル・ガバメントの推進に向けた体制整備について伺います。 国は、デジタル・ガバメント実行計画を策定し、行政のデジタル化を推進しており、地方公共団体においても、住民の利便性向上及び行政の効率化を目指した取組が求められております。報道によりますと、政府は、デジタル化の推進を一元的に担うデジタル庁を創設し、各府省のシステム統一や自治体システムの標準化を強力に進めるとしています。 一方、大阪市では、これまで各所属がそれぞれシステムを構築してきており、各所属におけるICTスキルを備えた人材の不足などにより、システムの導入などにおいて十分に効果的な導入ができていないのではないでしょうか。これまでのように、各所属がそれぞれデジタル化を推進していくことは限界があると危惧いたしております。 本市においても、デジタル化の取組を着実に推進していくためには、担当部局であるICT戦略室がデジタル化の中枢組織としてノウハウを集積し、各所属に対しコンサルティング機能を発揮していく方法に転換すべきと考えます。そのための体制やガバナンスの強化などに取り組む必要があると考えますが、市長の御所見をお伺いいたします。 ○議長(ホンダリエ君) 松井市長。     (市長松井一郎君登壇) ◎市長(松井一郎君) 本市では、平成28年度に市長直轄の組織としてICT戦略室を設置し、これまで行政手続のオンライン化やICTを活用した働き方改革など、行政のデジタル化の取組を着実に進めているところであります。 今後は、国におけるデジタル化の動きも踏まえ、さらに、市民サービスの向上や行政事務の効率化に向け、その在り方をデジタルファーストで見直し業務改革を進めていかなければなりません。そのためには、業務のデジタル化を進めていく人材の育成も必要である一方、ICT戦略室がこれまでのICT活用の取組に加えテクノロジーを活用した新たなサービス創出、業務の抜本的見直しに関与し、指揮、実行していく活動領域の拡大が必要であります。市民サービスの向上や行政の効率化、高度化に向け、デジタル化時代にふさわしい組織の在り方の検討を進めながら、私のリーダーシップの下、本市行政のデジタルトランスフォーメーションを強力に進めてまいります。 ○議長(ホンダリエ君) 岡崎太君。     (53番岡崎太君登壇) ◆53番(岡崎太君) デジタル化についてはぜひ進めていただきたいのですが、デジタル化について調査していく過程で、教育分野に関しては、ICT戦略室が推進するガバナンスからは外れていることが分かりました。ICTの推進は、教育分野でも例外ではありません。ぜひ教育分野のみが置いていかれることのないように検討をお願いします。 次に、情報リテラシー教育について伺います。 近年は、情報・技術をめぐる変化が急激となっており、これからの新しい社会、サイバー空間とフィジカル空間の融合を目指す、いわゆるSociety5.0の時代を生き抜いていく次世代の人材を育成していかなければなりません。 しかしながら、現状を見ると、匿名性の高いことをいいことにSNS上では誹謗中傷、ばり雑言があふれ返っていたり、何の警戒心もなく子供たちが個人情報をさらし、トラブルに巻き込まれたりしています。また、ネット上に上げられている情報だけを一方的に信じ込んでしまい、その情報が正しいのか間違っているのかを様々な角度から検討するという必要性を全く感じていない子供も多いと見受けられます。 こうした状況から、世界の子供たちがこれからの世代のマストツールとして教育を受けている中で、我が国の情報教育はセーフティー教育に偏重したものになりがちです。学校においては、これまで単発的にはSNSの利用に伴うトラブル事例の紹介や、その回避策のためのスマホ講座などといった取組を行ってきたかもしれませんが、しっかりと教科学習の中に位置づけ、子供たちに情報活用能力を身につけさせていくことが肝要であると考えます。 例えば、民間事業者にコンテンツをつくってもらい、情報リテラシーや情報モラルを学ぶ機会を定期的に提供していくようにすれば、子供たちがトラブルに遭うことも減っていくでしょうし、こうした授業への準備に係る教員の負担も軽減していくことが考えられます。ぜひともこういった分野について、教育長のお考えをお聞かせください。 ○議長(ホンダリエ君) 山本教育委員会教育長。     (教育委員会教育長山本晋次君登壇) ◎教育委員会教育長(山本晋次君) 議員御指摘のとおり、近年、急速な情報化が進展し、将来の予測が難しい社会を生き抜いていくためには、他者と協働して課題を解決していく力や、新たな価値を生み出していく力、情報や情報手段を適切かつ安全に活用していくために必要な情報活用能力を身につけていくことが不可欠となっております。とりわけ、インターネット上に存在する膨大な情報の中から本当に正しい情報や有益な情報を取捨選択し活用することで、自らの生活を豊かにしていくことができることから、学校における情報モラル教育や情報リテラシー教育は重要であると認識をいたしております。 新学習指導要領が、小学校では令和2年度、中学校では令和3年度に全面実施となります。その中で、情報モラルを含む情報活用能力は、言語活動と同様に学習の基盤となる資質・能力と位置づけられ、総則の中で、各教科の特性を生かし、教科横断的な視点から学習活動を計画的に実施することと明記されております。 本市におきましても、これまで外部有識者や民間事業者を招き、情報モラル教育新任教員研修や各校1名ずつの情報モラル教育研修として、情報モラルに関わる研修を実施し、児童・生徒への指導の重要性や指導方法例を紹介してきております。 また、学校におきましては、外部有識者や民間事業者をゲストティーチャーに招き出前授業を行ったり、PTAと連携し、児童・生徒のみならず保護者を対象とした講演会を開催したりするなど、情報モラルや情報リテラシーの指導に取り組んでいるところでございます。 児童・生徒がSociety5.0の時代を生き抜いていくために、小学校の低学年からの発達段階に応じた系統的な情報モラル教育や情報リテラシー教育の推進を図れるよう、今後ノウハウを兼ね備えた民間事業者にも協力を求めながら、教材開発や指導支援について研究をしてまいりたいと存じます。 ○議長(ホンダリエ君) 岡崎太君。     (53番岡崎太君登壇) ◆53番(岡崎太君) 最後に、2025年以降を見据えた働き方改革について伺います。 働き方改革の実現に向けて、今年度は新型コロナウイルス感染症の拡大により出勤抑制や通勤時間の混雑緩和などが要請され、テレワーク制度や時差勤務などの制度は拡大しているようですが、現在は緊急事態宣言発令時ほど制度活用がなされていないとのことであります。これまでのやり方を急激に変えることは難しいですが、現在の制度を改正して利用拡大を図っていくという消極的な取組に終始するのではなく、抜本的な働き方改革を実行していただきたいと考えます。 例えば、大阪・関西万博が開催される2025年をターゲットに、大阪市職員のあるべき働き方といった理想像を描き、それに向けて逆算してスケジュールを立てるなど、働き方改革を一からつくるべきではないでしょうか。 国においては、全員が常時執務室にいることを前提としない働き方への転換など、さらなる働き方改革の推進が検討されています。女性の活躍推進や優秀な人材の確保のためにも、決められた机で長時間にわたって仕事をするといったこれまでの固定観念にとらわれることなく、市役所職員のあるべき働き方といったものを示していくべきと考えますが、市長の御所見を伺います。 ○議長(ホンダリエ君) 松井市長。     (市長松井一郎君登壇) ◎市長(松井一郎君) 本市における働き方改革の実現に向けて、この間、テレワーク制度の利便性の向上や時差勤務、休憩時間の選択制など、柔軟な運用を行ってきており、今後も職場実態に応じた働きやすい職場環境づくりが必要と考えております。働き方改革の推進によって、ワーク・ライフ・バランスの実現による職員の意欲や士気の向上、家庭環境などに合わせた業務遂行の実現、女性活躍の推進や優秀な人材の確保につなげ、本市を取り巻く様々な情勢の変動にも柔軟に対応できる組織づくりを進めていかなければなりません。 現在、国においては、テレワーク制度のさらなる活用の促進と併せて資料作成のプロセスの改善やオフィス改革など、これまでの常識にとらわれない視点からの働き方の改革も検討されています。 私といたしましても、2025年に開催される大阪・関西万博後を見据えたあるべき働き方を示すことは重要と考えており、従来の制度を改善するにとどまらず、フレックスタイム制やサテライトオフィスといった固定化された勤務時間や勤務場所にとらわれない制度をはじめ、労働時間の長さを成果と見るような古い常識を打破し、抜本的な働き方について研究してまいります。 ○議長(ホンダリエ君) 岡崎太君。     (53番岡崎太君登壇) ◆53番(岡崎太君) これまで多岐にわたって質問をしてまいりました。都構想議論のレガシーでは、喫緊の課題である少子高齢化、人口減社会の中で自治体のあるべき姿の多くを示してくれていました。時代の要請、住民のニーズによって自治体は変化が必要です。古い価値観で運営を行えば、現代社会の中でたちまち後れを取っていきます。また、グローバルな時代を鑑みれば、その基本となる成長戦略は府市という枠組みにとらわれることはあってはならないことだと考えます。課題の一つ一つを解消し、確実に大阪が成長していくことを強く望み、質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(ホンダリエ君) 以上で、岡崎太君の質問は終了いたしました。 お諮りいたします。この際、暫時休憩することに決して御異議ありませんか。     (「異議なし」と呼ぶ者あり) ○議長(ホンダリエ君) 御異議なしと認めます。よって暫時休憩いたします。     午後3時4分休憩     午後3時25分再開 ○議長(ホンダリエ君) これより休憩前に引き続き会議を開きます。 ○議長(ホンダリエ君) 山本長助君の質問を許します。 2番山本長助君。     (2番山本長助君登壇) ◆2番(山本長助君) 私は、自由民主党・市民クラブ大阪市会議員団を代表いたしまして、市政各般について市長に質問をさせていただきます。 先日の住民投票におきまして大阪市民の皆様に多大な御協力をいただいたことに、まずもって心から感謝を申し上げたいと思います。 約10年にも及ぶ都構想議論がついに決着を見ました。この間2度の住民投票が行われ、いずれも結果は否決、究極の民主主義である直接民主主義によって政令指定都市である大阪市を存続することが、再度、大阪市民の意思で示されました。示された大阪市民の決断に従うこと、つまり政令市大阪市を存続、発展させることが、市長そして議会の責任であることを、まず冒頭申し上げます。 大阪市として結論が出た以上、他の政令市が特別自治市をも見据えた政令市強化に大きくかじを切る中、大阪市も政令市強化を見据えた議論が必要です。しかしながら、今まさに渦中であるコロナ対策は市民の命、暮らし、仕事を守るために、国を挙げて、そして大阪市においても、当然全ての施策を総動員して乗り切らなければならない最優先事項であり、命も経済も対策が遅れれば遅れるほど被害が拡大する危機的状況です。今、求められていることは、都市制度改革や行政の機構改革のような制度論ではなく、政策論への転換であり、いち早く、着実にコロナ対策を具体的な政策として実行していくこと、最大の医療危機事象を食い止め、いかに感染を抑止し、経済を回復させるか、これに尽きるわけです。また、コロナ禍とはいえ、5年後には確実に万博を迎える大阪にとっては、制度論に引きずられた結果、かえって残ってしまった課題や、アフターコロナを見据えた未来に向けての万博の準備を含め、着実に実効性のある施策を進めていかなければなりません。制度論ではなく、政策論や住民投票で否決した大阪市民の意思を実現するため質問してまいります。 11月1日には大阪市廃止・特別区設置住民投票が実施され、賛成67万5,829票、反対69万2,996票と反対多数となり否決され、大阪市は存続することになりました。その結果、政令市大阪市を存続、発展させることが民意として示されました。市長は、その民意を受けて、今後どのように市政運営をされるのでしょうか、お聞かせください。 ○議長(ホンダリエ君) 理事者の答弁を許します。 松井市長。     (市長松井一郎君登壇) ◎市長(松井一郎君) 住民投票においての民意は重く受け止めております。今回の住民投票でも、大阪において二重行政の解消を求めるという声は大きなものでありまして、引き続き府市一体の取組、いわゆるバーチャル大阪都としての成長の取組を進めてまいります。これが賛成、反対によらず、広く市民の皆さんの思いと考えております。 今後、都構想の仕組みではなくて、大阪府市の枠組みの中で、大阪の成長に向けた取組、安全・安心に向けた取組、広域の一元化をさらに進めてまいりたいと思っておりますし、また、行政区長の権限、裁量を拡大することが基礎自治体の機能の拡充につながるものであり、そのためには今の行政区を一定規模に集約した総合区を設置し、区長の権限強化によって自治体内の分権を進めてまいりたいと思います。今後、広域機能の一元化と基礎自治機能の拡充に向け、取組を進めることが民意に沿うものと考えております。 ○議長(ホンダリエ君) 山本長助君。     (2番山本長助君登壇) ◆2番(山本長助君) コロナ禍の中にもかかわらず、住民投票を強行された市民は、考え抜いた結果、政令市大阪市の存続という民意を示したのであります。その市民の民意をどう受け止めたのかについて、先ほどの答弁で、住民投票の民意をないがしろにする広域一元化や総合区といった都市制度改革に言及するとは、本当に市民の皆さん方に申し訳ないと思いませんか。     (「全く思いません」と言う者あり) ◆2番(山本長助君) (続)何度も言いますが、住民投票で府市一体化や広域一元化は否定され、大阪市という政令市の存続が民意として示されたのであります。その民意を受け止め、政令市の強みをどのように生かし、大阪市の発展や成長施策を進めていくのかといった市長の決意をお伺いしたかったのですが、誠意ある回答をいただけず残念であります。 住民投票前にあっては、知事、市長、自ら防護服の不足を市民に訴えかけ、結果、市民の思いが込められた多数のかっぱが集まりましたが、数万枚もの余剰を出し、いまだ使用されないまま保管されてるということです。また、知事にあっては、うがい薬の有効性やワクチン開発など、誰もが驚くようなPRを積極的に行ったものの、うがい薬の効果は未検証、ワクチンも完成時期が先送りにされるなど、実の伴わない前のめりの政治パフォーマンスを繰り返し、国民を混乱させました。 より慎重に、一方で迅速に、具体的かつ効果的なコロナ感染症防止対策を検討し、市民の健康危機管理はもとより、大きな打撃を受けた経済活動の早期立て直しを実施していく必要があります。 次に、新型コロナウイルス感染拡大防止対策についてお伺いします。 新型コロナウイルス感染症の新規感染者は、今月に入って全国的に急増しており、11月22日には大阪府下において1日当たりの感染者数が490人、大阪市内で285人と、それぞれ過去最多を更新し、感染拡大の急増に歯止めが効かない状態になっています。さらに、重症者の数については、今月2日時点で7人であったものが、11月20日現在23人と3倍以上に増加しており、非常事態であることは明らかであります。 一方、医療提供体制の状況としては、11月19日現在、大阪府の病床確保計画においてはフェーズ4のステージにあり、重症病床でいえば206床を確保しているとのことでありますが、実際に運用できる病床は120床とのことであり、非常に大きい乖離があります。また、大阪府の試算によれば、新規陽性者数が前週比1.5倍ずつ増加していく場合、今月中には病床が不足する可能性があるとのことで、さらに12月中旬までには重症患者がその病床確保数を超えかねないとのことであります。 まさに医療崩壊の一歩手前であると言わざるを得ない状況です。今後のさらなる感染拡大を見据え、どのように対策を取っていくのでしょうか、市長にお伺いします。 ○議長(ホンダリエ君) 松井市長。     (市長松井一郎君登壇) ◎市長(松井一郎君) まず、新型コロナウイルス感染症対策については、いかに医療崩壊を防ぐのかが極めて重要であると認識しております。特に、重症患者を受け入れる病床使用率が急激に上昇している中で、大阪府においては、府域全体で病床確保に当たっているところでありますが、本市においても、市民病院機構に対し、最大限確保するように強く要請するなど、病床確保に全力で取り組んでおります。 病床だけではなく、そこで従事する医療スタッフの確保も重要です。現在、受入れ医療機関においては、限られた医療人材を新型コロナウイルス感染症対応に集中的に投入するなど対策を講じていただいております。今後、新たに必要となる人材については、医療関係機関や大学等に対し協力を求めていくこととなります。現在ももう求めております。 一方、重症病床の確保はもとより、重症者を増やさない取組も大事でありまして、そのためには引き続き高齢者施設や医療機関でのクラスターに迅速に対処するとともに、高齢者などが入所する施設職員に対し、少しでも症状があれば早期にPCR検査を受けていただけるように、より一層啓発に力を入れております。 いずれにいたしましても、私自らが、市民一人一人に行動変容について御協力いただけるように強く呼びかけていくとともに、市民の命と健康を守るために、大阪府と連携しながら感染症対策に全力で取り組んでまいります。 ○議長(ホンダリエ君) 山本長助君。     (2番山本長助君登壇) ◆2番(山本長助君) 重症患者病床数やその看護体制を含め、府が中心となって進めるコロナ対策は逼迫しています。 以前、菅総理は、新型コロナ特別措置法の改正をめぐって、政令市は政令市でやったほうがきめ細かい具体的な対応ができるのではないかとのことで、政令市の法的権限の強化を示唆されました。2018年に成立した改正災害救助法にあっては、都道府県が持つ被災者支援の権限を政令市に移せるようにした例もあり、今回のコロナ感染症対策についても、あらゆる角度で様々な手法の検討を行い、政令市としての本市に権限を移譲するような制度が必要だと申し上げておきます。 次に、新型コロナウイルス感染症に関する福祉施策についてお伺いします。 コロナが拡大し始めた本年4月に緊急事態宣言が発せられ、国民に1人10万円の特別定額給付金や緊急小口資金、総合支援資金の貸付け、社会保険料等の納付期限の猶予など、コロナの影響による収入減を補うため、あらゆる取組が展開されてきました。 福祉施策においても、住居確保給付金の受給要件の緩和や、介護保険料、国民健康保険料の減免、介護サービス事業者に対する衛生用品の配布などが取り組まれてきました。 福祉局に確認すると、住居確保給付金については、昨年年間100件程度の申請が、今年度は4月からの半年間で7,000件を超えており、社会福祉協議会が貸付けを行う緊急小口資金では、昨年年間200件程度の申請であったものが、新型コロナ特例の申請は10月までに約5万件と急増しています。これらの取組があっても、市民は日常の生活を取り戻せたと言える状況にはありません。加えて、コロナの第3波が押し寄せる中、住居確保給付金は、直近では12月に支給が切れるケースもあり、生活困窮に陥る、あるいは生活保護申請が急増するのではと危惧しています。 そこで、市長にお尋ねします。少しでも市民に安心していただけるよう、福祉施策のあらゆるステージにおいて速やかに対応できるよう対策が必要であると考えますが、いかがでしょうか。 ○議長(ホンダリエ君) 松井市長。     (市長松井一郎君登壇) ◎市長(松井一郎君) 新型コロナウイルス感染症の拡大により急激に収入が減少された方への対応として、議員の質問にもありました住居確保給付金については大幅に要件緩和がなされたところであり、本市においても、速やかにその支援が届くように体制強化を図ってきたところです。 しかしながら、住居確保給付金については最長9か月の支給期間、また社会福祉協議会が実施する総合支援資金においては最長6か月の貸付期間と定められていることから、新型コロナウイルスの影響が長引く中、今後の市民生活への影響も懸念される状況にあります。このことは、本市だけでなく全国的に大きな課題であることから、期間延長など実情に応じた運用について国に対し、しっかり働きかけをしてまいります。 引き続き、生活に不安を抱えられている方や経済的に困窮されている方に対して、一人一人の事情や心情に寄り添った相談支援に努めるとともに、最後のセーフティーネットである生活保護制度の適切な運用により、市民生活を支えてまいります。 ○議長(ホンダリエ君) 山本長助君。     (2番山本長助君登壇) ◆2番(山本長助君) 長期にわたって続くコロナの現状にあっては、変化するニーズをより詳細に把握し、市民の苦境に応じて、よりきめ細やかな政策が必要です。生活に不安を抱えられている方や経済的に困窮されている方などに対する支援は、まさに基礎的な自治体の業務として、本市が取り組まなければならないものであります。健康、福祉、経済の縦割りなどは、受け手にとっては全く関係のないものであり、企業も個人も迅速かつシームレスな支援を必要とされています。 我々政権与党としては、コロナ禍の状況に応じた切れ目のない支援策を国に対して強く要望していきます。あわせて、市長におかれても、本市としてどのような場合に、どのような対策を、そして、いつまでにそれを行うのか、早急に明確な計画を示していただきたいと要望しておきます。 次に、新型コロナウイルス感染症拡大がもたらす経済への影響でありますが、御存じのとおり、大阪経済にも大打撃を与えており、先行きが見えない深刻な状況であります。そこでまず、コロナを踏まえた中小企業振興施策についてお伺いします。 大阪府のコロナ関連破綻件数は、東京商工リサーチ調査で11月12日には70件に達し、この増加スピードは東京都に次いで2番目となっており、感染拡大を要因とする企業実績の悪化に耐え切れず破綻する企業も増加しています。特に、市内事業者の約99%を占める中小企業の方々にとっては、当面の間、インバウンド消費が見込めないなどコロナ禍の非常に厳しい環境の中、事業活動の見直しやビジネスモデル転換への対応も迫られるなど、克服すべき喫緊の課題に直面しつつ、事業継続のため非常に苦しい企業経営を強いられています。中小企業の方々が直面するこれら喫緊の課題の克服に向けて、例えば他の政令市では、店舗家賃の負担軽減補助などの市独自の支援策が実施されています。 本市としても、そのような他都市事例を参考として、コロナを踏まえた独自の支援策をしっかりと実施すべきと考えますが、市長の見解をお伺いします。 ○議長(ホンダリエ君) 松井市長。     (市長松井一郎君登壇) ◎市長(松井一郎君) コロナ禍における地域経済活性化に向けましては、中小企業などの事業継続の支援、新型コロナウイルスと共存する新たな経済社会への対応促進、需要喚起による経済活動の段階的引上げの3つの大きな柱に沿って施策を進める必要があります。現在も、信用保証制度を活用した事業継続支援や各種キャンペーンの実施などを通じた需要喚起の取組に加え、大阪産業局や大阪産業技術研究所では、中小企業の新たな生活様式や事業環境への適応によるビジネス改革に向けた支援を強化しているところであります。 今回、コロナ禍において、さらに飲食店舗の時短要請をお願いいたしますが、この時短要請の協力金につきましても、市独自で20万円を上乗せして経営をサポートしていくというふうなことで、今実施に向けて取り組んでいるところです。これは、他の政令市でも、そこまでの単独での協力金の上積みはしておりませんから、これはまさに大阪市の独自の経営支援ということで捉えていただけたらと思います。 国の第3次補正予算の動向も、今後注視をしながら、大阪府と共同で連携、協調しながら、先ほど申し上げた3つの柱に沿って機動的な施策展開に努め、厳しい環境にある市内中小事業者の事業活動を支えてまいります。 ○議長(ホンダリエ君) 山本長助君。     (2番山本長助君登壇) ◆2番(山本長助君) やはり本市にあっては、企業向けの支援策が非常に少ないように感じます。今述べられた経済活性化の施策も、ほとんどが既存施策の継続ばかりです。 今般、先ほどもお話ありましたように、コロナの再拡大防止に向けて、飲食店等に対し営業時間短縮等の要請を行い、それに応じた事業者に対して、国、府、市で共同して協力金を支給する予定とのことでありますけれども、このような限定的な対策だけでは事業継続につながるものとは到底思えません。他都市で取り組む様々な中小企業支援を参考にしながら、本市においても、企業を取り巻く過酷な現状に柔軟に対応すべく、さらに必要な支援策を早急に検討し、実施すべきです。そもそも、中小企業支援は、基礎自治体の責務であります。第3波が到来した今こそ、市として大きな方針を打ち出し、財政調整基金の有効な使い道として、このコロナ禍の現状に応じた本市独自の経済対策を打つべきであります。 過日の委員会においては、コロナの影響により、来年度の税収見通しは約500億円の減、地方交付税等の増を見込んだとしても、生活保護費等の増や令和2年度実施予定と同程度のコロナ対策費などを含めると、令和3年度の通常収支は637億円の不足が見込まれることが判明しました。 このような状況の下、まずは今月に入って浮き彫りとなった財政課題についてお伺いします。 まず、淀川左岸線2期の事業費増についてでありますが、11月13日の決算特別委員会において我が会派の前田議員から質疑があり、理事者からは、最大で6割程度の増額見込みであると答弁がなされ、またマスコミにおいては約700億円もの非常に大きな増額見込みだと報道されました。これを受けて、市民の皆様も大変驚いたと思われます。 このような市の財政に大きく影響を及ぼす重要な事柄については、ある程度の見込みが判明した時点で、部局から速やかに市長に報告することは当然です。最初に、建設局から市長に対して報告があったのは7月22日だと聞いています。その報告内容は、今後見込まれる最大の増額リスクを含んだものであり、事業費の圧縮に努めるとしたものではありますが、事業費が最大で844億円増額することを報告したとのことです。その際、今後、事業費の圧縮に努め精査することは当然として、部局からこれだけの大きな増額の報告があったのであれば、市の財政への影響も大きいものであることから、すぐに議会や市民に対して公表すべきだと考えますが、なぜ市長はこの時点で公表する判断をしなかったんでしょうか。 また、建設局からは、この件について11月11日に市長に2回目の報告をしたと聞いており、その直後の決算特別委員会で質疑があり、今回の事業費増が明らかにされ、これを受けてマスコミの大きな報道となったところです。11月1日の住民投票の前に公表すると、いわゆる大阪都構想の財政シミュレーションに悪影響を及ぼすため隠していたのではありませんか。 ○議長(ホンダリエ君) 松井市長。     (市長松井一郎君登壇) ◎市長(松井一郎君) 7月に建設局から、事業費の増大リスク顕在化の経緯と今後見込まれる最大の増加リスクについて説明がありましたが、それは精査途上のその時点での試算の段階の状況でありました。市民の皆さんにお伝えするのは、粗い試算の段階ではなく、精度を高めた段階で伝えるべきと判断をいたしました。 このような大きな事業につきましては、何度かこのような状況で事業費が拡大したりすることが、もうこれは予想ができるわけです。例えば、淀川左岸線1期の工事も、スタートしたときから完成するまでの間に約2倍以上に膨れ上がっております。250%増です。ですから、このような大きな数字を変更する場合は、試算の段階ではなくて精度を高めた段階で伝えるべきと判断をいたしました。 増額の精査について、一定の整理が図られてきた11月11日に、建設局より9月の常任委員会において事業費の増加リスクを見込んでいると明らかにしたことを受けて、この増額の精査が図られてきたということでありますから、速やかに議会に対して説明するように指示をいたしました。今後も引き続き、事業費の縮減に取り組むよう建設局には指示をいたしております。 淀川左岸線2期事業は、大阪の将来のために必要なインフラ整備でありまして、大阪の成長や万博の成功のために、事業費の抑制や国への支援を求めつつ、必ずやり遂げてまいらなければならない事業だと捉えております。 今、議員からもありましたように、財政シミュレーションに悪影響があるから隠してたのではないかという、そのようなくだらない勘ぐりはやめていただきたいと思います。 ○議長(ホンダリエ君) 山本長助君。     (2番山本長助君登壇) ◆2番(山本長助君) 言語道断の大問題であると思っております。7月の時点でこれだけの増額が判明していたにもかかわらず、これを一切公表しなかったということは、明らかにこれ、隠蔽と捉えられても致し方ありません。7月といえば、当然、都構想の議論の真っただ中であります。8月中旬には、特別区の財政運営が将来的に成り立つかを示す財政シミュレーションも公表されていましたが、本来であれば、このシミュレーションへも相当下振れの影響があったはずです。この件については、その詳細を後の委員会でしっかりと確認させていただきたいと思います。 次に、今回の事業費増の問題から確実に派生することが懸念される万博費用への影響についてお尋ねします。 国家プロジェクトである大阪・関西万博は、アフターコロナの大阪の景気回復に向けた強力な推進エンジンであり、2025年の開催に向けて、地元としてもしっかりと準備を進めていく必要があります。市の財政への影響も大きいため、開催に向けてリスク管理を厳格に行い、市民に対する説明責任を果たさなければなりません。 淀川左岸線2期だけではなく、万博に関しては、パビリオンなどの会場建設に加えて鉄道延伸、橋梁拡幅といった夢洲周辺のインフラ整備など様々な大規模な事業が並行して進められます。これら事業は、淀川左岸線2期と同様、事業費の上振れが十分に想定されます。 我が会派は、万博決定の当初から万博に関わる全体の事業費が大きく膨らむ懸念を指摘しており、早期に事業の全体像を把握しリスクコントロールを行うよう強く求めてまいりました。淀川左岸線2期と同様、万博に関連する事業費が上振れした際に、市としてどのように対応していくのか、お聞かせください。 ○議長(ホンダリエ君) 松井市長。     (市長松井一郎君登壇) ◎市長(松井一郎君) 万博会場経費の上振れにつきましては、十分想定しなければならないと考えております。会場建設費が上振れする場合には、万博は国家プロジェクトであり、市だけの判断で計画変更などが行えるものではないことも踏まえて、国や経済界、府とともに対応を考えてまいります。 夢洲周辺のインフラ整備などについては、工事実施に向けてリスク管理を行うとともに、工事費の確保に向けて、国などと関係機関へ働きかけつつ、各事業及びトータルでのコスト管理を徹底するように努めてまいります。 ○議長(ホンダリエ君) 山本長助君。     (2番山本長助君登壇) ◆2番(山本長助君) このように費用の上振れリスクを抱えているものの、会場基本計画どころか会場建設費すら明確になっていないのが現状です。開催都市として、博覧会協会任せにするのではなく、変動要素があった場合の素早い市の意思決定はもとより、多額の市民負担を伴う大規模事業であるからこそ、事業ごとのコスト管理の徹底を強く求めておきます。 次に、本市会において審議を予定している市立高等学校の大阪府への移管についてお尋ねします。 市長は、これまで二重行政の解消を主張されてきましたが、高校については、大阪府は普通科、大阪市は専門学科とすみ分けができており二重行政とは言えません。府に一元化することで高校がよくなるというのなら、なぜ大阪市だけで、堺市や岸和田市などの市立高校を府に移管するという議論になっていないんでしょうか。 また、高校移管に伴って、中高一貫校の中学校部分も一緒に移管されることとなっていますが、水都国際中学校は昨年4月に開校したばかりで、まさにこれからといったところです。咲くやこの花中学校も特色ある教育を行っています。中学校は義務教育であるのに、なぜこの2つの中学校を移管する必要があるんでしょうか。政治的な思惑だけで移管するのは、市立高校がこれまで培ってきた伝統や特色を手放すことになります。広域か基礎自治かという問題は住民投票で決着がついており、このような状況の中で、なぜ高校を大阪府に移管する必要があるのか、市長の見解をお伺いします。 ○議長(ホンダリエ君) 松井市長。     (市長松井一郎君登壇) ◎市長(松井一郎君) 生徒の個性を伸ばし、将来の選択の幅をできる限り広げ、これからの社会で求められる人材育成ができるような多様性を踏まえた教育環境を確保していくことが、これからの高校教育において重要であると認識をいたしております。市立高校を府に移管することで、大阪府市がこれまで培ってきた特色やノウハウを合わせて効果的なものにすることが可能となり、より時代のニーズに合った多様で魅力ある高校教育を提供していくことができると考えます。 また、高校教育に当たっては、市立高校の多くの市外の子供たちが通い、府立高校にも多くの市内の子供たちが通っている状況があるために、市立、府立でばらばらではなく府全体で高校教育を考えるほうが、より効率的、効果的であると考えます。 このように、大阪府への移管は、特別区の可否とは別の問題として大阪市と大阪府で議論をしてきたものでありまして、大阪市立高等学校を所管する大阪市長として、子供たちの教育環境をよくすることを第一に考えて進めているものであります。 他都市の高校については、設置者である当該市において判断されるべきものであると考えます。 また、中高一貫校については、6年間を通した計画的、継続的な一貫教育を行い、早期から子供たちの可能性を伸ばすことを目的に設置していることから、高校だけでなく中学校も併せて移管することが必要と考えます。 これから長期的な少子化が続く中、変わり行く社会状況を見据え、高校教育は大阪府が担い、小中学校の子供たちの義務教育は市が担うというように役割分担を明確化し、府市がそれぞれの役割に集中して人員や予算を投入し、次代を担う人材教育を進めていくことが、ひいては地域産業の発展や地域全体の活性化につながるものと考えます。 府市教育委員会で設置したプロジェクトチームにおいて、移管に向けて高校教育が充実していくように協議を進めているところでありまして、大阪市立高校がこれまで培ってきた特色ある教育内容を大阪府に引き継ぎ、さらなる高校教育の充実、発展ができるように府市がしっかり連携をもって進めていきます。 ○議長(ホンダリエ君) 山本長助君。     (2番山本長助君登壇) ◆2番(山本長助君) 大阪市と大阪府で議論してきたものであるから移管を進めるとの答弁でありましたが、これはあくまで都構想における統合議論の範疇であり、政治的な判断としか言いようがありません。土地、建物にあっても、約1,500億円もの財産を府へ無償譲渡するとのことです。例えば国有財産関連法に、その財産の所有権を必要とせず使用権で足りるような場合は必ずしも譲与は行われないとありますが、本来であれば、貸与を積極的に検討すべきであると思います。それにもかかわらず、無償で譲渡し、廃校した場合も当然府の所有であるから、売却に当たっても市は一切関与できないとのことです。今回の住民投票結果を真摯に受け止めて、いま一度、一から再考すべき案件であることを強く申し上げおきます。 次に、先進的な防災対策の推進についてお尋ねします。 政府及び我が自民党は、科学技術イノベーション政策を強力に推進するため、第5期科学技術基本計画を策定し、世界に先駆けた超スマート社会、Society5.0の実現に取り組んでいます。防災分野においては、人工衛星、気象レーダー、ドローンによる被災地観測、車からの道路の被害情報といった様々な情報を含むビッグデータをAIで解析することにより、個人のスマホ等への避難情報や避難所までの安全な移動ルートの提供、ドローンや車による救援物資の最適配送など、社会全体としての被害軽減や早期復興を可能とする調査研究を進めています。 また、大阪市と同じ政令市である川崎市は、大都市としての強みを生かし、平成29年11月に東京大学、東北大学、富士通による産官学の共同プロジェクトを立ち上げ、それぞれの防災技術やAI、スパコンなどのICTを活用した津波被害軽減対策についての実証実験を開始しています。 翻って、我が大阪市でありますが、南海トラフ巨大地震が発生するとの予測がある中、本来ならば基礎自治体の責務として先進技術を活用した災害時避難の在り方の研究など、市民の生命、財産を守るための新たな取組に傾注すべきところ、この10年、大都市制度の議論に多くの時間を割いてきたことにより、他の政令市からは随分と後れを取っているのではないでしょうか。市の存続が決まった以上、産官学が集まる政令市としての強みを生かし、企業や大学の持つ技術や知見を結集させた最先端の災害対策の取組に行政も参画し、力強く進めていくべきと考えますが、市長の御見解をお伺いします。 ○議長(ホンダリエ君) 松井市長。     (市長松井一郎君登壇) ◎市長(松井一郎君) 災害対策に関する産学連携を進めるべきとの御指摘でありますが、平成29年度から、港区をはじめとする湾岸5区が中心となりまして、大阪市立大学と連携し、津波による浸水を想定した非浸水区域における災害時避難所の確保に向けた計画策定等を進めています。 また、本年10月からは、大阪市立大学と住之江区が連携して、文部科学省事業として仮想VRなどを活用した防災人材育成システムを構築するプロジェクトに着手するなど、区が主体となった産学連携の取組が展開されています。 また、令和4年度開学を予定している新大学では、大阪の公立大学として都市シンクタンク機能を強化することで、防災・減災の都市基盤などをはじめとする分野で大阪の抱える都市課題の解決に貢献することを目指しており、災害死ゼロを実現する防災・減災の社会構築に向け、本市と新大学との連携を深めることなど、ICTを活用した新たな災害対策についても積極的に研究をしてまいります。 ○議長(ホンダリエ君) 山本長助君。     (2番山本長助君登壇) ◆2番(山本長助君) 結局のところ、この間失われた10年、私が言ったのは、先進的な災害対策の検討や取組は何もできていなかったというお答えでありました。災害対策は、市民の財産、命を守るための最も重要な政策です。政令市の強みを生かして、より先進的な災害対策の検討を進めていくべきと申し上げておきます。 次に、観光・文化振興の戦略についてお尋ねします。 コロナ拡大に伴う世界的な移動制限等により、観光分野は多大な影響を受けています。今後、コロナと共存していかざるを得ない中、この難局を乗り越え、さらに、アフターコロナにおいて大阪の再生や成長を実現していくためにも、インバウンドに過度に頼らず、国内観光客に目を向け、大阪市ならではの魅力を内外にしっかりと発信していくことが重要です。 例えば、大阪市の豊かな歴史や文化、レトロな建物や町並み、多様な食といった強み、そして、観光客を温かく迎え入れホスピタリティあふれる人々の魅力などを改めて見詰め直し、行政が主導して大阪市の魅力を強力に発信していくべきです。とりわけ、大阪市には人形浄瑠璃文楽をはじめとする伝統芸能や歴史あるオーケストラ、音楽団、博物館、美術館施設など、世界に誇るべき多くの文化資源が集積し、様々なアーティストが大阪市に集い、芸術活動を行っています。 コロナ禍にある今こそ、長年、大阪市で培われてきたこのような芸術文化活動を支援し、多彩で豊かな芸術文化の灯が途絶えることのないよう、文化振興施策を推進していくことが必要です。コロナ禍を教訓として、今後の観光や文化振興に関する戦略の見直しが必要であると考えますが、市長の御所見をお伺いします。 ○議長(ホンダリエ君) 松井市長。     (市長松井一郎君登壇) ◎市長(松井一郎君) 現在、コロナウイルスの感染拡大に伴いまして、海外からのお客さんは来れない状況、観光業は多大な影響を受けております。こうした中で、国のGo To キャンペーン等に先駆けて「大阪の人・関西の人いらっしゃい!」キャンペーンを府市で実施し、いち早く国内観光客の誘客による需要喚起に取り組んでまいりました。現在は、一時的にGo To トラベル事業が適用外となっておりますが、今後とも感染症の状況に応じた必要な誘客の対策を講じてまいります。 さらに、新型コロナウイルス収束後を見据えて、国内各地や幅広い国から観光客を呼び込むために、これまで培ってきた歴史や文化などの大阪ならではの価値を発掘し、大阪観光局を中心に国内外に強力に発信してまいります。 また、文化振興に向けて、大阪府とともに文化振興計画を策定し、大阪の芸術文化を将来、継承・発展させる青少年やアーティストなどの育成支援に取り組んでおります。今年度は、新型コロナウイルスの影響により停滞していた活動の再開を促すために、芸術文化活動への助成の拡充や市有施設使用料の減免を講じてきたところでもあり、今後も柔軟かつ迅速に文化施策を推進してまいります。 現在、大阪府とともに観光・文化など施策の推進の方針となる大阪都市魅力創造戦略の改定に向けた検討を進めており、2025年大阪・関西万博を見据え、各種施策を着実に推進することにより、コロナ禍を乗り越え、さらには収束後の大阪の再生や成長につなげてまいります。 ○議長(ホンダリエ君) 山本長助君。     (2番山本長助君登壇) ◆2番(山本長助君) コロナ禍が続く現状にあっては、インバウンドのみならず内需にも目を向けた観光戦略の見直しと併せて、大阪の歴史ある文化を改めて生かしながら、幅広い分野での成長と発展を目指していくことが重要です。ぜひこの視点を生かしながら、大阪の経済回復を推進していくことを期待しております。よろしくお願いします。 次に、国際金融都市の実現についてお尋ねします。 本年の国の骨太方針において国際金融都市の確立について明記され、総理も、東京の発展を期待するが、他の地域でも金融機能を高めることができる環境をつくりたい、税制上の措置や行政上の英語対応、在留資格上の問題にスピード感を持って政府一体で取り組む旨の発言もされているところです。 英国のEU離脱や香港での国家安全法制の導入など、国際金融をめぐる情勢に変化の兆しが見える中、日本においても東京証券取引所に取引が集中し、危機事象発生時における東京一極集中のリスク分散をする必要があります。海外の主要国では、異なる機能を有する複数の金融都市が存在していることからも、東京に次ぐ大都市である大阪市だからこそ、シンガポールや上海などのアジア主要都市に負けない国際金融都市として名のりを上げるべきであります。また、グローバルな都市間競争の中、国が進める世界に伍するスタートアップ・エコシステム拠点形成戦略においても、大阪を含む京阪神エリアがグローバル拠点都市として選定されており、世界から、より多くの人材や技術、アイデアが集まり、世界に通じる新しいビジネスが生まれる環境を後押しする金融機能の強化が一層期待されます。 そういう意味でも、国際金融都市を目指すことは、世界都市大阪の実現につながり、ひいては日本全体の成長力を高めることにつながるのではないでしょうか。市長の御所見をお伺いします。 ○議長(ホンダリエ君) 松井市長。     (市長松井一郎君登壇) ◎市長(松井一郎君) 国際金融都市については、現在、国において、海外の金融機関などの受入れに係る環境整備に向けた具体的な動きが進められているところです。大阪は先物取引発祥の地であり、金融と商品のデリバティブを扱う国内唯一の総合取引所など、充実した都市インフラなどの強みがあります。さらに、2025年大阪・関西万博などのビッグプロジェクトやスマートシティなど、新たなイノベーションを創出するポテンシャルも高いことから、国内外の企業家、投資家にとって新たなビジネスチャンスにあふれた都市であり、東京とは異なる機能を持つ国際金融都市を目指すべきと認識しております。 大阪に、国内外の金融機関や投資家などが集積することで世界中から優秀な人材や資金、情報が集まり、大企業や中小企業などへの積極的な資金供給や投資意欲の喚起等にもつながるとともに、雇用創出などの波及効果も期待できることから、大阪経済の再生・成長にとって大きなインパクトになると考えております。府市経済団体など官民一体の推進組織を設置し、取組を進め、日本の成長を牽引する副首都・大阪を実現してまいります。 ○議長(ホンダリエ君) 山本長助君。     (2番山本長助君登壇) ◆2番(山本長助君) スタートアップ・エコシステムの拠点形成等ベンチャー支援はもとより、全ての企業、そして経済活動にとって力強いバックアップ機能となる国際金融都市の実現に向け、積極的に取り組んでいただくよう要望いたします。 以上、市政各般にわたり市長にお聞きしてまいりましたが、最後に申し上げます。 5年後に開催される万博を成功させるためにも、大阪府内だけではなく、他の関西圏の府県や市町村と連携し、準備の段階から中心的役割を果たしながら、関西圏の母都市としての責任を果たしていくことが不可欠です。政令市大阪市を中心に、万博を契機に反転攻勢とも言えるアフターコロナ型の大きな成長を目指し、さらには、この万博の地を実験場としたスーパーシティを見据え、未来型社会の構築に取り組むことが必要です。 また、百年に一度と言われる世界的感染爆発のまさに渦中であり、手探りの状況が続く中、感染を抑止しながら経済活動を維持するという非常に難しい課題に我々は直面しています。医療従事者をはじめ、社会維持に関わる市民を最大限支援することは当然ですが、一方で、海外ではワクチンの実用化まであと一歩という報道も聞かれ、ようやく出口が見えてきた感もあります。 第3波とも言える状況がまだまだ始まったばかりですが、総力を結集して乗り切るしかありません。制度論から政策論へ、待ったなしに施策を繰り出していかなければならない状況下であります。市民の命と暮らし、仕事を守るべくあらゆる実効性のある施策を行っていただくことを強く要望し、詳細は委員会で行うこととし、私の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(ホンダリエ君) 以上で、本日の質問は終了いたしました。 ○議長(ホンダリエ君) 次回は、明27日午後2時より会議を開き、一般質問を行います。 ○議長(ホンダリエ君) 日程第2、議案第177号、一般職の任期付職員の採用及び給与の特例に関する条例の一部を改正する条例案及び日程第3、議案第178号、職員の期末手当及び勤勉手当に関する条例の一部を改正する条例案を一括して議題といたします。 ○議長(ホンダリエ君) 理事者の説明を求めます。 松井市長。     (市長松井一郎君登壇) ◎市長(松井一郎君) 本市会定例会に追加提出をいたしました議案第177号及び議案第178号について、その概要を説明いたします。 議案第177号は、特定任期付職員の期末手当の支給割合を改めるために、次の議案第178号は、一般職員の期末手当の支給割合を改めるため、それぞれの条例の一部を改正するものであります。 以上、案件の概略を説明申し上げました。何とぞ御審議賜りますようにお願いをいたします。 ○議長(ホンダリエ君) ただいま議題となっております両案件は、財政総務委員会に付託いたします。
    △閉議 ○議長(ホンダリエ君) 本日の日程は以上で終了いたしました。 △散会 ○議長(ホンダリエ君) 本日はこれをもって散会いたします。     午後4時18分散会    ---------------------------------          大阪市会議長          ホンダリエ(印)          大阪市会議員          山口悟朗(印)          大阪市会議員          寺戸月美(印)◯大阪市会(定例会)会議録(令和2年11月26日)(終)...