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02月28日-04号

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  1. 大阪市議会 2020-02-28
    02月28日-04号


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    令和2年第1回定例会(令和2年2・3月)◯大阪市会(定例会)会議録(令和2年2月28日)    ◯議事日程    令和2年2月28日午後1時開議第1 議案第51号 令和2年度大阪市一般会計予算第2 議案第52号 令和2年度大阪市食肉市場事業会計予算第3 議案第53号 令和2年度大阪市駐車場事業会計予算第4 議案第54号 令和2年度大阪市母子父子寡婦福祉貸付資金会計予算第5 議案第55号 令和2年度大阪市国民健康保険事業会計予算第6 議案第56号 令和2年度大阪市心身障害者扶養共済事業会計予算第7 議案第57号 令和2年度大阪市介護保険事業会計予算第8 議案第58号 令和2年度大阪市後期高齢者医療事業会計予算第9 議案第59号 令和2年度大阪市中央卸売市場事業会計予算第10 議案第60号 令和2年度大阪市港営事業会計予算第11 議案第61号 令和2年度大阪市下水道事業会計予算第12 議案第62号 令和2年度大阪市水道事業会計予算第13 議案第63号 令和2年度大阪市工業用水道事業会計予算第14 議案第64号 令和2年度大阪市公債費会計予算第15 議案第65号 令和2年度大阪市西町外15財産区予算第16 議案第66号 大阪港湾局の職員の給与及び通勤に係る費用弁償の取扱いに関する条例案第17 議案第67号 大阪市職員定数条例の一部を改正する条例案第18 議案第68号 職員の育児休業等に関する条例の一部を改正する条例案第19 議案第69号 職員の給与に関する条例の一部を改正する条例案第20 議案第70号 職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例案第21 議案第71号 一般職の非常勤の職員の給与及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例案第22 議案第72号 大阪市市税条例の一部を改正する条例案第23 議案第73号 包括外部監査契約の締結について第24 議案第74号 大阪市教育振興基本計画の変更について第25 議案第75号 大阪市児童相談所条例の一部を改正する条例案第26 議案第76号 大阪市立児童福祉施設条例の一部を改正する条例案第27 議案第77号 大阪市国民健康保険条例の一部を改正する条例案第28 議案第78号 大阪市国際戦略総合特別区域における産業集積の促進及び産業の国際競争力の強化に係る事業計画の認定並びに法人の市民税、固定資産税、事業所税及び都市計画税の課税の特例に関する条例の一部を改正する条例案第29 議案第79号 大阪市中央卸売市場事業の設置等に関する条例の一部を改正する条例案第30 議案第80号 大阪市中央卸売市場業務条例の一部を改正する条例案第31 議案第81号 大阪市犯罪被害者等の支援に関する条例案第32 議案第82号 地方独立行政法人天王寺動物園定款の制定について第33 議案第83号 大阪市地方独立行政法人天王寺動物園評価委員会条例案第34 議案第84号 大阪市港湾施設条例の一部を改正する条例案第35 議案第85号 大阪市水道管路更新事業に係る実施方針に関する条例案第36 議案第86号 大阪市工業用水道施設運営事業に係る実施方針に関する条例案第37 議案第87号 令和元年度大阪市一般会計補正予算(第4回)第38 議案第88号 令和元年度大阪市食肉市場事業会計補正予算(第1回)第39 議案第89号 令和元年度大阪市駐車場事業会計補正予算(第1回)第40 議案第90号 令和元年度大阪市国民健康保険事業会計補正予算(第1回)第41 議案第91号 令和元年度大阪市心身障害者扶養共済事業会計補正予算(第1回)第42 議案第92号 令和元年度大阪市介護保険事業会計補正予算(第1回)第43 議案第93号 令和元年度大阪市公債費会計補正予算(第3回)第44 議案第94号 大阪市国民健康保険事業費納付金等準備基金条例案第45 議案第95号 市長等の損害賠償責任の一部免責に関する条例案第46 議案第96号 市長の専決処分事項に関する条例等の一部を改正する条例案第47 議案第97号 地方独立行政法人大阪健康安全基盤研究所の役員等の損害賠償責任最低責任限度額に関する協議について第48 議案第98号 公立大学法人大阪の役員等の損害賠償責任最低責任限度額に関する協議について第49 議案第99号 地方独立行政法人大阪産業技術研究所の役員等の損害賠償責任最低責任限度額に関する協議について第50 議案第100号 大阪市地方独立行政法人の役員等の損害賠償責任最低責任限度額を定める条例案第51 議案第101号 大阪市印鑑条例の一部を改正する条例案第52 議案第102号 大阪市住民基本台帳カードの利用に関する条例の一部を改正する条例案第53 議案第103号 天保山客船ターミナル整備等PFI事業契約締結について    ---------------------------------◯出席議員82人   1番     空席   2番    長岡ゆりこ君   3番    石川博紀君   4番    花岡美也君   5番    前田和彦君   6番    くらもと隆之君   7番    原田まりこ君   8番    野上らん君   9番    伊藤亜実君   10番    原口悠介君   11番    山田はじめ君   12番    西 拓郎君   13番    今田信行君   14番    山口悟朗君   15番    小山光明君   16番    武 直樹君   17番    松崎 孔君   18番    中田光一郎君   19番    岸本 栄君   20番    永田典子君   21番    永井広幸君   22番    山本智子君   23番    坂井はじめ君   24番    大西しょういち君   25番    海老沢由紀君   26番    吉見みさこ君   27番    高山美佳君   28番    岡田妥知君   29番    宮脇 希君   30番    杉山幹人君   31番    藤岡寛和君   32番    川嶋広稔君   33番    太田晶也君   34番    田中ひろき君   35番    山本長助君   36番    福田武洋君   37番    寺戸月美君   38番    井上 浩君   39番    山中智子君   40番    永井啓介君   41番    森山よしひさ君   42番    西川ひろじ君   43番    北野妙子君   44番    有本純子君   45番    加藤仁子君   46番    荒木幹男君   47番    多賀谷俊史君   48番    大橋一隆君   49番    杉村幸太郎君   50番    梅園 周君   51番    守島 正君   52番    飯田哲史君   53番    藤田あきら君   54番    竹下 隆君   55番    上田智隆君   56番    金子恵美君   57番    高見 亮君   58番    佐々木りえ君   59番    明石直樹君   60番    八尾 進君   61番    辻 義隆君   62番    土岐恭生君   63番    西崎照明君   64番    西 徳人君   65番    山田正和君   66番    佐々木哲夫君   67番    杉田忠裕君   68番    小笹正博君   69番    ホンダリエ君   70番    丹野壮治君   71番    出雲輝英君   72番    岡崎 太君   73番    田辺信広君   74番    片山一歩君   75番    広田和美君   76番    山下昌彦君   77番    木下 誠君   78番    東 貴之君   79番    辻 淳子君   80番    大内啓治君   81番    新田 孝君   82番    木下吉信君   83番    足高將司君    ---------------------------------◯職務のため出席した事務局職員               市会事務局長           松本高秋               次長               巽 功一               議事担当課長           西 正道               議事担当課長代理         竹田幸二               議事担当係長           明見繁夫    ---------------------------------◯議場に出席した執行機関及び説明員               市長               松井一郎               副市長              高橋 徹               副市長              朝川 晋               副市長              山本剛史               住之江区長            西原 昇               東住吉区長            上田正敏               西淀川区長            塩屋幸男               副首都推進局長          手向健二               市政改革室長           羽東良紘               ICT戦略室長          田畑龍生               人事室長             稲垣 尚               都市交通局長           井上 亮               政策企画室長           吉村公秀               危機管理監            蕨野利明               経済戦略局長           柏木陸照               IR推進局理事          美濃出宏人               総務局長             谷川友彦               市民局長             馬場泰子               財政局長             東山 潔               契約管財局長           河村浩一               都市計画局長           角田悟史               福祉局長             出海健次               健康局長             山口浩明               こども青少年局長         佐藤充子               環境局長             青野親裕               都市整備局長           篠原 祥               建設局長             渡瀬 誠               港湾局長             田中利光               会計管理者兼会計室長       堀 秀司               消防局長             城戸秀行               水道局長             河谷幸生               教育委員会教育長         山本晋次               行政委員会事務局長        山下二郎    --------------------------------- △開議      令和2年2月28日午後1時開議 ○議長(広田和美君) これより市会定例会会議を開きます。 本日の会議録署名者を山本長助君、山中智子君の御両君にお願いいたします。 ○議長(広田和美君) これより議事に入ります。 ○議長(広田和美君) 日程第1、議案第51号、令和2年度大阪市一般会計予算ないし日程第36、議案第86号、大阪市工業用水道施設運営事業に係る実施方針に関する条例案を一括して議題といたします。 ○議長(広田和美君) これより質疑に入ります。 関係者の方々は所定の席にお着き願います。 ○議長(広田和美君) 土岐恭生君の質疑を許します。 62番土岐恭生君。     (62番土岐恭生君質問席に着く) ◆62番(土岐恭生君) 私は、公明党大阪市会議員団を代表いたしまして、今回上程されております令和2年度の大阪市予算案並びに関連諸案件等に関して質問をさせていただきます。 新型コロナウイルス感染拡大により、大阪経済を支えるインバウンドや中小企業等の経済活動は落ち込み、また、小中学校の休校や文化、スポーツイベント等も中止となり、市民の日常生活での不安もさらに増大しています。今こそ、市長がリーダーシップを発揮され、オール大阪でこの問題に立ち向かっていかなければなりません。 そうした中でも、豊かな未来に向けて、安心と希望あふれるまち大阪市として発展させていく施策も重要であり、暮らしを守る責任政党として多岐にわたり質問をさせていただきます。 まず、大阪・関西万博の交通アクセスについてお伺いします。 万博における鉄道輸送は、主要アクセスとして位置づけられ、来場者全体の約4割を輸送することになっています。登録申請書では、混雑が予想される日には28万人を超える来場者が想定され、そのうち鉄道では11万人を超える輸送を見込んでおり、円滑な輸送の確保は重要であります。具体的な対策としては、ピークが想定される時間帯に、地下鉄中央線の運行ピッチを3分45秒から3分に上げて運行本数を増やし、輸送力の増強を図るとなっておりますが、さらなる対策も必要であります。 鉄道は、万博の主要アクセスを担う一方で市民生活を支える交通機関でもあるため、安全・快適な鉄道輸送の確保に向け地元自治体としてもしっかりと取り組むべきと考えますが、市長の御所見をお伺いいたします。 ○議長(広田和美君) 理事者の答弁を許します。 松井市長。 ◎市長(松井一郎君) 来場者の円滑な輸送につきましては、博覧会協会において来場者輸送計画検討会を立ち上げ、データの精査等を進めており、大阪市も検討会構成員として参画し、関係者とともに取り組んでおります。 今後、博覧会協会では、有識者などに意見を伺いながら、ソフト対策を含め具体的な検討を進めていくこととなっていますが、地元自治体である大阪市もしっかりと関わり、とりわけ鉄道については万博時の交通アクセスの中心となるので、市としてしっかり取組を進め、安全・快適な交通アクセスの実現に向け取り組んでまいります。 ○議長(広田和美君) 土岐恭生君。 ◆62番(土岐恭生君) 地元自治体として、想定以上の人員増加も視野に入れて、例えば、6両編成である現在の地下鉄中央線の車両を8両に編成するとか思い切った対策を、これはもう責任を持って取り組んでいただきますよう要望しておきたいと思います。 次に、大阪・関西万博における鶴見緑地の活用についてお伺いします。 誘致決定当初、鶴見緑地は万博のサテライト会場として検討するというふうに伺いました。鶴見緑地は、1990年に開催された国際花と緑の博覧会の会場であります。地元の期待も高く、ぜひとも2025年には夢洲会場と連携した活用を行い、市内全体の活性化につなげていただきたいと思います。 また、今年は花博30周年に当たり、記念事業が予定されております。この春から、鶴見緑地の管理運営を行う新たな指定管理者花博記念協会と連携し、一過性のイベントとするのではなく、まさにプレ万博と言えるような楽しいイベントにすべきと考えていますが、鶴見緑地の活用について市長のお考えをお伺いいたします。 ○議長(広田和美君) 松井市長。 ◎市長(松井一郎君) 鶴見緑地の活用につきましては、大阪で過去に万博が開催された吹田の万博記念公園も含め、会場の夢洲と連携することによって大阪全体の活性化のためにも積極的に取り組みたいと考えています。活用方法といたしましては、ビッド・ドシエにも記載しているバーチャル技術等を活用した体験や復元などが想定されますが、具体的な検討につきましては、博覧会協会指定管理者花博記念協会などとも協議しながら進めてまいります。 また、花博30周年記念事業については、新しい指定管理者花博記念協会としっかり連携して、市民の皆さんがわくわくするような楽しいイベントを鶴見緑地で開催し、市内のその他の公園でも本事業のPRや万博の機運醸成も行い、2025年の万博を盛り上げていきたいと思っています。 そして、花博30周年を契機に、万博のテーマである「いのち輝く未来社会のデザイン」の実現につなげるため、今後、より多くの市民の皆さんが様々な公園を楽しみながら使ってもらえるような取組を進めてまいります。 ○議長(広田和美君) 土岐恭生君。 ◆62番(土岐恭生君) ただいま市長のほうからわくわくするようなということでございましたので、ぜひわくわくするような、そういうイベントを期待いたしております。よろしくお願い申し上げます。 それでは、次にワールドマスターズゲームズ2021関西についてお聞きします。 昨年のワールドカップラグビー、今年の東京2020オリンピック・パラリンピックと、3年連続でスポーツの国際大会が日本で開催されるゴールデンスポーツイヤーズの締めくくりとして、来年5月にはワールドマスターズゲームズ2021関西がこの関西一円で開催されます。 この大会は、おおむね30歳以上なら誰でも参加できる世界最大級の生涯スポーツの国際大会であり、トップアスリートでなくとも、一般の方が誰でも出場できる大会であります。去る2月1日からエントリーも始まっておりますが、ラグビーやオリンピックに比べますとまだまだ知名度が低く、これからもっと盛り上げていく必要があります。過去の大会における参加者数はおよそ2万9,000人が最大であり、今回の関西大会の参加者目標5万人を達成するには、大会の知名度をもっと上げることはもちろんですが、各開催府県市での盛り上がりや機運の醸成がないと大会の成功にはつながりません。 関西大会が成功し、海外も含め多くの方が参加すれば、大阪・関西の魅力発信、ひいては2025年の万博にもつながると考えますが、機運醸成にどのように取り組み、大会成功に寄与するのか、市長の御見解をお伺いします。 ○議長(広田和美君) 松井市長。 ◎市長(松井一郎君) 開催まであと1年余りとなりまして、知名度向上及び機運の醸成が大会参加者5万人の目標を達成する上で必須であります。大会組織委員会を中心に、これまで関係府県市と連携して取り組んできたところであります。今後は、大会1年前となる本年5月や東京オリ・パラの終了後を大きな節目と捉え、一層の全国的な露出を図ってまいります。 大阪市といたしましても、関西一体となって取り組むことにより、2025年に開催される大阪・関西万博への大きなはずみにしたいと考えているところです。 引き続き、組織委員会と連携・協力して機運醸成を図るなど、大会の成功に向けて取組を進めてまいります。 ○議長(広田和美君) 土岐恭生君。 ◆62番(土岐恭生君) 次に、教育施策の基本的な方向性についてお伺いいたします。 本市会では、教育振興基本計画の変更案が上程されました。教育振興基本計画は、本市の教育の目標と施策の大綱が定められていますが、来年度をもって期限を迎えます。 この間、子供たちの学力については一定の取組を進めてこられましたが、不登校児童・生徒の増加や、心の安定を示す自己肯定感や自己有用感といった数値が改善されないなど、課題も継続しています。 また、積極的に進めてきたICT教育は、技術の進歩に伴い想定以上の速度で進展しており、SNSの普及に伴ってICTリテラシーの育成が追いつかず、いじめや不登校、事件に巻き込まれる事例が出るなど、その技術の進歩により、子供たちにとって新たな課題が生じています。 教育は、継続した取組であり、子供を中心に大きな方針を変えずに取り組んでいく必要がありますが、一方で、現在の課題に応じて不断に見直しを図っていくことも重要であります。 来年度、次期教育振興基本計画の改定を検討していくことになりますが、市長は、これまで進めてこられた教育改革の成果をどのように考えておられるのでしょうか。また、新たな計画につきましてはどのような目標を掲げ、何に重点を置いて進めるのか、市長の御見解をお伺いいたします。
    ○議長(広田和美君) 松井市長。 ◎市長(松井一郎君) 今回、計画の進捗や子供たちを取り巻く環境の変化を踏まえまして、計画の中間見直しを行ったところです。現行計画の取組には一定の成果も見られることから、目指すべき目標像や2つの最重要目標については継続して取り組みたいと考えています。 一方で、ICTなど新たな技術の進歩により出現した課題につきましては、その活用を図った上でリスクを低減できるように取り組む必要があります。例えば、スマートフォンの利用などは家庭の教育によるところが大きいですが、子供の最善の利益を考え、適切な啓発や支援を行っていく必要があると考えています。 また、子供が安心して勉強や運動に取り組めるためには、経済的な不安や放課後の居場所に困るようなことはなくしてあげることが必要であり、それが子供たちの心の安定につながると思います。 子供たちがその時間を多く過ごす学校が担う役割は大きく、教員の校務負担を軽減して子供と向き合う時間を確保するなど、その機能をしっかりと強化するとともに、若手教員を育成するための支援やスクールソーシャルワーカーなど教員以外の専門人材の派遣といった、学校のプラットフォーム化につながるきめ細かい支援も必要であります。 来年度以降、教育委員会と協議をしていくことになりますが、私としては、子供たちの最善の利益を中心に置いて、学校がその機能を十分発揮できるような施策を重点的に進めていく考えであります。 ○議長(広田和美君) 土岐恭生君。 ◆62番(土岐恭生君) 次に、小中学校の図書館司書についてお伺いします。 学校図書館の活性化につきましては、平成27年度からの学校図書館補助員配置により、学校図書館の開館回数の拡大や読書環境の整備などに成果が上がっていると伺っています。 平成31年2月・3月市会において、補助員の次のステップとして学校司書について指摘し、教育長から、これまでの司書教諭や地域ボランティアの方々の関わりも含め、次期教育振興基本計画の中で整理した上で対応ができるよう、研究、検討を行うという答弁がありました。 新学習指導要領に掲げられた主体的、対話的で深い学びの実現には、学校図書館の活用が効果的であることから、その活性化は重要な課題であります。我が会派としては、学校図書館法にも規定されている学校司書を配置していくべきだと考えています。 子供たちがいつでも学校図書館を利用できる環境整備を行うとともに、土日は地域が利用できるような、さらなる開かれた学校図書館として進めていく必要があると考えますが、この間の検討状況、今後の方向性について教育長の御所見をお伺いします。 ○議長(広田和美君) 山本教育委員会教育長。 ◎教育委員会教育長(山本晋次君) 学校図書館は、学校図書館法におきまして、学校教育において欠くことのできない基礎的な設備と位置づけられております。 本市におきましては、平成27年度から学校図書館活用推進事業を実施し、主として蔵書の充実と学校図書館補助員の配置に加え、コーディネーターによる補助員への支援、さらには中央図書館の学校への支援により学校図書館の活性化を目指してきており、開館時間の拡大や利用しやすい学校図書館づくりなど、環境整備面で成果が見られているところでございます。 今年度におきましては、学校図書館のさらなる活用に向け、学校現場代表も交えました学校図書館活用推進プロジェクトチーム会議を開催し、今後の学校図書館の在り方について検討を進めているところでございます。加えまして、他の自治体で学校司書の配置が進んでいることや、国の調査によりますと、教科の学力に対しては、学校司書の配置、高い図書館の利用頻度、指導方法等が複合的に効果をもたらすとの答えが出ております。 学校図書館補助員、司書教諭、また地域ボランティアの方々の協力も得ながら、子供たちがいつでも学校図書館を利用できる環境整備を進めますため、学校司書の計画的な設置に向けて検討を行い、令和3年度からの次期教育振興基本計画(案)に反映させてまいりたいと考えております。以上でございます。 ○議長(広田和美君) 土岐恭生君。 ◆62番(土岐恭生君) それでは、続いて学校教育ICT活用事業についてお伺いいたします。 我が会派は、平成30年秋の一般質問においても、全ての児童・生徒にタブレット端末を整備すべきと訴えました。国においては、我が党の主張を受け、子供たちへの1人1台の端末を令和5年度までに整備するGIGAスクール構想の実現を盛り込んだ補正予算を閣議決定いたしました。そのような中、本市においても今回の予算案に子供たちの1人1台の端末を整備する予算が盛り込まれたことは、一定評価いたしております。 しかしながら、今後、子供たちに1人1台の端末が整備されるということは、これまで以上に授業の中で効果的にICTが活用されるべきであり、そのためには、教える側の全ての教員がICT機器を使いこなせることが必要不可欠であると考えます。 国の補助事業を活用して、子供たちに1人1台の端末整備を実現し、ICTを活用した授業を日常的に受けてもらうためには、教える側の教員がICT活用指導力を向上させ、授業において、より効果的にICTを活用できるように教育委員会は支援をしていくべきであると考えますが、教育長の御見解をお伺いいたします。 ○議長(広田和美君) 山本教育委員会教育長。 ◎教育委員会教育長(山本晋次君) 学校教育におきますICT活用につきましては、新学習指導要領に学習の基盤となる資質・能力として示されている情報活用能力の育成を図りますとともに、学習者用端末を活用した協働学習や個別学習を推進することが重要であると考えております。 本市といたしましては、1人1台端末の環境整備に係る国の補助事業も活用しながら、児童・生徒が日常的に学習者用端末を活用してICTを効果的に活用した学びを推進できますよう、1人1台環境を令和5年度までに段階的に実現してまいりたいと考えておるところでございます。 議員の御指摘のとおり、学習者用端末の1人1台環境整備を進めていくに当たりましては、これらの端末を活用して効果的な学習を推進していくために、教員のICT活用指導力の向上がより重要性を増すと考えております。そのため、今後、教員がICTを効果的に活用した授業が行えますよう、協働学習支援ツールやデジタル教材などのソフトウエアの整備を進めますとともに、キャリアステージや教員のスキルに応じました研修の実施、ICT支援員やICT教育推進アドバイザーの派遣による指導・助言、また、これまでICT活用拠点校を中心に蓄積してまいりました授業の実践事例の周知、共有化を図るなどの様々な支援の充実を図ってまいりたいと考えております。以上でございます。 ○議長(広田和美君) 土岐恭生君。 ◆62番(土岐恭生君) 様々な支援の充実を図っていくというような御答弁でありましたので、よろしくお願いをいたします。 それでは、続きまして小中学校の給食無償化についてお伺いします。 昨日の質疑で、市長は給食費の無償化について検討にかかると述べられました。給食費は、義務教育の期間に保護者が負担する費用の中でも大きなウエートを占めており、その負担がなくなるということは大きいことであります。給食費の無償化については、我が会派が昨年6月の一般質問や令和2年度の予算要望における最重点項目として市長に求めていたところであり、できる限り早期に実現すべきであると考えています。 実施方法につきましては今後検討とのことですが、無償化に当たっては、所得制限などをすることなく、全員完全無償化を目指すべきと思います。他都市においては、所得制限を設けたり世帯構成によって差をつけているところもあるようですが、無償化になる世帯とならない世帯があると分かりづらい制度になり、不要な手続が生じます。 また、学校給食は、単に子供に栄養のある食事を提供するだけではなく、食育の推進に資するものであり、無償化に当たっては内容の充実についても併せて行っていただきたいと思います。 市長は、いつまでに検討を終え、いつから無償化を実現しようと考えておられるのか、お伺いいたします。 ○議長(広田和美君) 松井市長。 ◎市長(松井一郎君) 学校給食につきましては、今年度の2学期に中学校給食の学校調理方式への移行が完了し、市内全ての小中学校で同じ給食を提供できるようになり、ハード面での課題は一定解決をいたしました。私といたしましては、給食費の無償化が次の大きな課題と認識をしています。 給食費を全額無償化するためには、現在の額で既に就学援助などで公費負担をしている額を除いて新たに約60億円の経費が必要となり、具体的実施については、これから教育委員会に検討してもらいます。 また、私としても給食内容の充実は必要であると考えておりまして、全ての子供たちにしっかりと栄養のあるものを食べてもらいたい、子育て支援にもつなげていきたい、給食費の無償化の検討に際しては給食内容の充実の観点も踏まえたいと思います。 今後、教育委員会の検討を基に、議員の御意見を踏まえまして、令和3年度に向けてできる限り早い時期に考え方を取りまとめて、また議会の皆さんに提案をしたいと思っています。 ○議長(広田和美君) 土岐恭生君。 ◆62番(土岐恭生君) 全ての子供に提供できるように、完全無償化を目指してしっかりと取り組んでいただきますよう、重ねて要望しておきます。 次に、学校園における働き方改革についてお伺いします。 我が国の教員の勤務は長時間化しており、近年の実態は極めて深刻であります。このような状況を受け、学校園における働き方改革を推進するため、総合的な取組の一環として、教育職員の給与その他の勤務条件についての特例を定めたいわゆる給特法が昨年、改正されています。 改正点の一つは、各教育委員会において規則等により教員の在校時間などの上限方針を定めること、もう一つは、各地方公共団体において条例に規定することにより、令和3年度から、一定期間にまとまった休日を確保することを可能とする1年単位の変形労働時間制の活用となっております。 本市教員の時間外勤務時間の月平均の推移を見てみますと、平成28年度から平成30年度にかけて約3時間減少しており、これまでの取組の成果も現れていると考えられますが、依然として長時間勤務の状況にあり、今般の給特法改正を受けて、本市としても条例や規則の制定などを行い、さらに取組を進めるべきと考えます。 法改正の趣旨も踏まえ、学校園における働き方改革の今後の方向性について、教育長の御所見をお伺いします。 ○議長(広田和美君) 山本教育委員会教育長。 ◎教育委員会教育長(山本晋次君) 教員の長時間勤務の解消に向けましては、この間様々な取組を進めており、昨年12月には学校園における働き方改革推進プランを策定いたしたところでございます。 いわゆる給特法の改正を受けた対応としまして、上限方針につきましては、本市におきましてはプランにおいて文部科学大臣が示した基準と同様の基準を既に定めておりまして、今後、プランで定めた基準を基に、教育委員会規則において規定することを検討してまいります。 1年単位の変形労働時間制の活用に当たりましては、給特法改正の際の附帯決議において、文部科学大臣が示す上限時間などを遵守する場合に限るとされております。まずは教育職員の業務量を減らしていくことが求められており、プランに沿って取組をさらに進めてまいりたいと考えております。 また、実際に制度を活用することとなりました場合には、運用面におきましても様々な課題も想定されますが、制度の内容については、まだ国から詳細が示されていない状況でございます。今後、プランで示しました取組の進捗状況、本市の学校現場の意見、他都市の動向や国からの通知なども踏まえた上で検討を進め、条例として制定してまいりたいと考えておるところでございます。 今後も、教育委員会として、教員の長時間勤務の解消に向けた取組をはじめ、学校園における働き方改革を推進してまいりたいと考えております。以上でございます。 ○議長(広田和美君) 土岐恭生君。 ◆62番(土岐恭生君) 次に、かねてより会派として要望してまいりました不妊治療及び不育症に対する助成制度の充実についてお伺いいたします。 近年、結婚年齢や妊娠・出産の年齢が上昇しており、体外受精をはじめとする不妊治療を受ける方は年々増加しています。一方で不妊治療については、治療内容によって異なりますが、高額な治療もあり、また、治療回数についても1回では妊娠に至らないことも多いと聞いています。そのため、経済的な負担は大きいところであり、本市については国基準に沿った助成制度を行っております。 しかしながら、国基準では所得制限があり、夫婦合算で730万円未満であること、人工受精については助成対象の治療とはなっておらず、現行の助成制度では負担が大きいことなど、十分な支援とは言いづらく、現に他都市においては、市単独で助成の充実を図っているところも数多くあります。また、他都市では、不妊治療ではありませんが、妊娠はするけれども流産、死産を繰り返す方について、保険適用となっていない不育症治療についても助成対象としているところもあります。 昨日、市長は不妊治療費助成の充実を図っていくと御答弁されておりましたが、国において充実が図られることが望ましいことではありますけども、国の充実を待つだけではなくて、ぜひとも一日も早く本市独自の不妊治療と不育症治療に対する助成をすべきであると考えます。市長の御見解をお伺いします。 ○議長(広田和美君) 松井市長。 ◎市長(松井一郎君) 不妊や不育症は、治療を受ける方にとって身体的、精神的な負担が大きく、治療を受けるかどうかなどの悩みに応じた相談や支援を受けられるようにすることも重要であり、不妊・不育にまつわる相談支援の窓口として、不妊専門相談センターを令和元年12月1日より大阪府と共同実施してきたところであります。 また、平成16年度より、不妊治療の助成につきましては、助成対象者や内容については国制度に基づいて実施をしており、大阪市独自で助成の拡充には至っておりません。 他の政令市や大阪府内の市町村における独自助成を見ますと、所得制限の限度額の緩和や撤廃または助成額の上乗せや、国基準では実施していない一般不妊治療への助成と、その内容は様々であります。 近年、結婚・出産年齢の上昇に伴い、特定不妊治療を受ける方が増加していることを鑑みると、議員の御指摘のとおり、不妊に悩む御夫婦が安心して子供を産み育てていくために、何らかの取組を検討することは行政の責務であると感じます。既に独自の助成を検討するように担当部署に指示したところでありまして、できるだけ早く不妊治療費助成の充実を図ることによって、一日でも早く、一人でも多く、不妊に悩まれている方の悩みが軽減されるように努めてまいりたい。 また、不育症の独自助成につきましては、有効性や安全性について根拠のある治療は既に保険適用をされているところであり、それ以外の治療については安全性など様々な課題があるとされているために、慎重に議論をしてまいります。 ○議長(広田和美君) 土岐恭生君。 ◆62番(土岐恭生君) 次に、保育の質の向上についてお伺いします。 国による幼児教育・保育の無償化がスタートして約半年になります。我が党では昨年11月、全国で幼児教育・保育の無償化に関する実態調査を行い、利用者、事業者の皆さんの声を聴き、このほど調査結果として取りまとめを行いました。大阪府下においては、利用者1,542人に調査をいたしましたところ、今後取り組んでほしい施策として待機児童対策が2番目となり、一番多かったのが保育の質の向上でありました。 保育士のスキルアップについて、本市では平成29年度に保育・幼児教育センターを開設し、研修事業の強化を図るとともに、民間保育所等への指導にも力を入れていると聞いています。しかしながら、保育現場では保育士の業務負担が大きく、時間的にも余裕がないため研修への参加等も難しく、質を向上させる取組は容易ではないと感じています。 そういった職場環境を改善するためにも、保育士の心身の負担を軽減し、時間的な余裕を生み出す対策が求められ、そのことが保育士自らのスキルアップへの意欲向上につながるものと考えております。 そのような職場環境の改善に向け、来年度どのような目標を掲げ、新たな対策に取り組もうとされているのか、市長の御所見をお伺いいたします。 ○議長(広田和美君) 松井市長。 ◎市長(松井一郎君) 保育士の職場環境の改善に向けては、まず、保育所において、従来から保育士が行ってきた業務であっても、必ずしも資格を有する保育士でなくてもできる業務については地域の子育て経験者などの活用をさらに進めて、保育士の業務負担の軽減ができるように、そのような方の雇用経費を補助する現行の保育体制強化事業の拡充をしたいと考えております。 また、専門的知識が求められ、一定の責任が生じてくる保育士でなければできない業務については、引き続き保育士に担当していただく必要がありますが、業務負担の軽減と休暇の取得促進を図るために、保育士を新たに配置するための本市独自の補助制度を創設したいと思っています。 国の幼児教育・保育の無償化により生み出された財源を活用してこのような保育士の働き方改革に取り組むことで、保育士の心身の負担を軽減し、研修への参加の機会を確保し、そして休暇の取得を促進できるように職場環境の改善を進め、保育士のスキルアップを促して、保育の質の改善に取り組んでまいります。 ○議長(広田和美君) 土岐恭生君。 ◆62番(土岐恭生君) 次に、待機児童対策についてお伺いいたします。 待機児童対策は本市においても喫緊の課題であり、この間、あらゆる手法を用いて待機児童の解消に取り組んでまいりました。その結果、昨年4月時点における待機児童は28人まで減少しましたが、ゼロにはなっておりません。市長が目指す待機児童ゼロを達成するために、引き続き取組を進める必要があります。 とりわけ、待機児童28人中25人が実に障害児であるということが新たに明らかとなりましたが、この25人の1月末時点の状況を確認したところ、保育所や幼稚園に入所できたのは12人で、残りの児童はいまだに入所できていません。待機児童の解消のためには、今回明らかになった障害児の入所に向けた対策が不可欠であります。 令和2年度予算において、障害児に対応するための保育士の人件費補助を増額するなど対策を講じていると聞いていますが、この補助金によって障害児の待機児童は解消できるのでしょうか。 一方、転居や出産などにより、年度途中において保育所への入所を希望しても、なかなかかなわないという声も多く聞きます。保護者が希望すればいつでも子供を預けられるようにするためには、このような年度途中の保育ニーズへの対応も進めていくべきであると考えます。 これらの点につきまして市長の御所見をお伺いいたします。 ○議長(広田和美君) 松井市長。 ◎市長(松井一郎君) 待機児童対策は市政の最重要施策の一つでありまして、この間、あらゆる手法により新たな入居枠の確保に努めてきた結果、待機児童は過去最少となる28人まで減少しました。一方で、待機児童28人のうち25人が障害児であるという新たな課題が浮き彫りとなり、待機児童解消特別チーム会議においてもこの点について検討を重ねてまいりました。 入所できなかった障害児で引き続き入所申請のあった児童については、現在、区役所で利用調整を行っており、そのほとんどが令和2年4月1日に保育所や幼稚園に入れる見込みと考えていますが、引き続き丁寧な利用調整に努めてまいります。 障害児の受入れについては、令和2年度の予算において、民間保育施設が今後、より積極的に障害児の受入れを行っていただけるように、保育士人件費補助の増額に加え、入所に必要な教材・環境備品の購入経費補助を新たに創設いたしました。さらに、公立保育所においても職員の採用計画を前倒しして人材を確保するなどの対応を行っているところでありまして、公立・民間保育所双方による受入れによって障害児の待機児童の解消を目指してまいります。 年度途中の入所に関しましては、各保育施設に対し積極的な児童の受入れを働きかけるとともに、毎月、各施設の空き情報を提供し、その都度、利用調整を行った結果、昨年9月までの半年間に新たに1,813人の児童が入所できております。 今後とも、認可保育所等の整備や保育人材の確保、障害児の受入れの促進策、あらゆる手段を駆使して入所枠の拡大を図り、待機児童の解消のみならず、保育を必要とする全ての児童の入所枠の確保を目指し、全力で取り組みます。 ○議長(広田和美君) 土岐恭生君。 ◆62番(土岐恭生君) 次に、障害者施策についてお伺いします。 障害のある方が地域で安心して暮らすため、緊急時も含めて必要な支援を受けられることが非常に重要であります。近年、障害のある方のニーズや福祉課題が複雑・多様化しており、障害のある方に対する支援だけではなく、介護している御家族の高齢化も課題となっております。私の身近なところでは、親御さん自身も高齢のために介護を受けているケースや、あるいは親御さんが突然倒れ、介護をする家族が誰もいなくなるといったケースを数多く聞いています。 今後も、高齢化の進展を考えますと、このような緊急事態が生じても地域で安心して暮らせるよう対応策を講じる必要があると考えますが、市長のお考えをお伺いします。 また、これに加えて、障害のある方が自分らしく心豊かな生活を送るための取組の一つとして、障害者スポーツの普及は重要であると考えています。これまで我が会派は、障害者スポーツのパイオニア的存在である長居障がい者スポーツセンターの機能を強化し、本市が誇れる施設としていつまでも輝き続けられるよう、早急に建て替えに着手するよう幾度となく訴えてきましたが、この点につきましても併せて市長のお考えをお伺いいたします。 ○議長(広田和美君) 松井市長。 ◎市長(松井一郎君) 障害のある方や御家族が地域で安心して暮らすためには、介護支援などの充実はもちろんのこと、御家族の高齢化を考えますと、いざというときのための緊急時の支援体制の確保が重要です。そのため、本市では令和2年度より、障害のある方の御家族の急病等による緊急時に、障害のある方を一時的に受け入れる場所の確保や、その支援体制の充実を図ることとしています。 これらの取組状況を見極めながら、引き続き、障害のある方や御家族が安心して地域で暮らせるように、各支援機関が連携した支援体制の確保に取り組んでまいります。 次に、障害者スポーツの普及についてでありますが、本市では、全国に先駆けて障害者専用の長居障がい者スポーツセンターを開設し、障害のある方の自立や社会参加の促進、共生社会の実現を目指して取り組んできました。東京パラリンピックの開催を契機とし、障害者スポーツについて関心が高まる中、今後、長居障がい者スポーツセンターの果たす役割はますます重要と考えます。 当センターは、開設から46年を迎え、施設の老朽化が進んでいることから構造躯体調査を実施することとしています。この調査や現在実施している外部有識者会議での在り方検討の結果を踏まえ、令和2年度には、これからの障害者スポーツ振興の方向性を含め、長居障がい者スポーツセンターの整備方針についてお示しいたします。 今後も、障害のある方が個人として尊重され、持てる力を発揮して社会参加するとともに、地域で安心して暮らせる社会の実現に向けて取り組んでまいります。 ○議長(広田和美君) 土岐恭生君。 ◆62番(土岐恭生君) 障害者スポーツの先駆けである大阪市であるからこそ、あくまで建て替えをすべきであると改めて要望いたしておきたいと思います。 それでは、続きまして、ひきこもり対策についてお伺いします。 昨年11月に我が会派からひきこもり状態にある人への支援について要望を行い、市長から、ひきこもり状態にある人の状況などを把握する調査を来年度の実施を目指して検討を進めるという答弁をいただきました。ひきこもり状態にある人の支援施策を進めるためにも、そのニーズなどを把握するための調査は大変重要であり、今後着実に進めていただけるものと認識しておりますが、具体的にどのように進められるのでしょうか。 また、ひきこもり状態にある人の中には、いわゆる就職氷河期世代で、厳しい雇用環境で長期にわたる不安定就労や職場で傷つくなどの経験によってひきこもりに至った方も少なからずいると聞いております。 ひきこもりは、決して本人や家族だけの問題ではなく、社会全体で受け止めるべき課題であるとの認識の下、ひきこもり状態にある人や家族が悩みや苦しみを抱え込まず、安心して相談できる体制や環境づくりが重要であります。 さらに、ひきこもりの長期化やひきこもりの人を支える親の高齢化による、いわゆる8050問題といった複合的な課題を抱えた世帯にも柔軟に対応できるよう、これまでの制度の枠を超えた対応も必要ではないかと考えます。 改めて、今後のひきこもり支援の強化にどのように取り組んでいかれるのか、市長の御所見をお伺いいたします。 ○議長(広田和美君) 松井市長。 ◎市長(松井一郎君) ひきこもり状態にある人の支援につきましては、本人や御家族の複雑な心情等を理解し、時間をかけて丁寧に寄り添い、支援を行うことが重要であると認識いたしています。状況等を把握する調査については、調査手法や内容などについて現在検討中であり、調整が整い次第、速やかに実施をいたします。 ひきこもり地域支援センターであるこころの健康センターにおいて、これまで電話相談や支援者向けの研修などを実施してまいりましたが、これらの取組に加え、来年度からは医師による専門相談を実施し、より専門性の高い相談支援体制を構築するとともに、御家族がひきこもり状態にある方との関わり方を学び、家族関係が改善するよう家族教室も実施いたします。 また、これまでも各区役所に設置している生活困窮者自立相談支援機関では、ひきこもりの方も含め、断らない相談支援や、相談者一人一人の事情や心情に寄り添った支援に取り組んできたところであります。さらに、来年度からは相談支援員を20名増員し、就職氷河期世代をはじめとした社会参加に向けて、より丁寧な支援が必要な方へのアウトリーチ機能を強化していくこととしており、こういった機能を活用しながらひきこもりの方の支援に取り組んでまいります。 さらに、8050問題のような複合的な課題を有する世帯に対しては、専門的な相談支援機関がそれぞれの分野を超えて連携し、支援する仕組みづくりを進めており、引き続き取り組んでまいります。 ○議長(広田和美君) 土岐恭生君。 ◆62番(土岐恭生君) 次に、前立腺がん検診についてお伺いします。 厚生労働省が発表した2016年にがんと診断された患者数はおよそ99万5,000人、そのうち男性の罹患が最も多かったものが胃がんで、およそ9万3,000人、次いで前立腺がんが2番目に多い9万人であります。さらに、前立腺がんについて言えば、主に60歳以上に多く見られることから、高齢化の進展などに伴い、その罹患数は増加傾向にあります。 そのような中、前立腺がんは自覚症状がほとんどないため、症状が出て発見されたときには約4割は転移し、治療が困難になりますが、検診で発見されれば約9割が転移を伴わない段階で発見されており、検診を受けることで、命を落とすリスクやがんが転移するリスクを下げる効果があるとも言われています。 他の自治体では、その対象年齢や受診間隔に違いはあるものの、既に全国で8割を超える自治体で前立腺がん検診が実施されており、その数は年々増加しています。また、政令指定都市でも、本市を除く19市のうち既に15市で実施しています。 本市においても、効果的な実施方法について検討し、できるだけ早い時期に導入すべきと考えますが、市長の御見解をお伺いします。 ○議長(広田和美君) 松井市長。 ◎市長(松井一郎君) 本市では、国が科学的根拠に基づき対策型検診として推奨するがん検診を基本に、限られた財源の中で効果的な検診の実施に努めています。また、議員御指摘のとおり、前立腺がんの患者さんは年々増加しており、今や、胃がんや肺がんと並び、男性における最も多いがんの一つとなっています。 本市では女性を対象として乳がん検診、子宮頸がん検診を実施していますが、男性特有の前立腺がん検診についても既に多くの自治体で実施しており、その受診者の数などを見ると、一定ニーズがあると考えます。本市としては、がん検診全体の受診率の向上を図り、早期発見、早期治療につなげ、がん死亡の減少を目指すとともに、市民の健康増進及びQOLの維持向上を図ることは重要な課題であると考えます。 その上で、本市においても、令和3年度中の前立腺がん検診の実施に向け、外部の専門家の意見聴取を十分に行うとともに、より効率的、効果的な実施方法、実施体制の整備などについて検討するように指示をいたします。 ○議長(広田和美君) 土岐恭生君。 ◆62番(土岐恭生君) 次に、連日テレビや新聞で取り上げております新型コロナウイルスに関する本市の対応についてお伺いいたします。 新型コロナウイルスについては、全国各地で日々新しい感染者が確認され、大阪では、一旦検査で陰性となった後に再び陽性となった患者の発生も報告されております。市民の方々も、体調が悪くなったときの受診や自身の感染予防について、非常に不安に思っておられる方が多くおられます。そういったときに最初に相談に行くのは、やはり身近にある各区の保健福祉センターだと思います。そこで、各区保健福祉センターの相談体制の充実を図り、市民に周知していくべきではないかと考えます。 また、検査体制について、大阪健康安全基盤研究所では、検査の受入れ数が通常1日40人を超えた場合、柔軟な対応により80人まで可能であると聞いておりますが、現在どのような体制となっているのでしょうか。 今後、感染が疑われる方がますます増えることが予想される中、我が党では一日も早い検査の保険適用を求めています。国においては、大学や民間検査機関への外部委託も活用するとの基本方針が掲げられており、感染の有無の確認をより迅速に行うためには、民間検査機関との連携を進めるべきと考えます。 感染患者に対応する医療機関についても、流行がさらに進むことを想定し、受入れ体制を拡充する必要があると思います。さらに、感染症拡大防止を目的とした市長直轄の専門会議を設けるべきと考えますが、これらについて市長の御所見をお伺いいたします。 ○議長(広田和美君) 松井市長。 ◎市長(松井一郎君) 各区保健福祉センターでは、新型コロナウイルス感染症発生以降、市民や医療機関からの相談に対し、国の疑似症定義に合致するケースについては保健所に適切につなぐなどの対応を行ってきました。 今後、本市においてもますます相談件数が増加することが予想されることから、せきや発熱等の症状がある方で特に高齢者、基礎疾患に不安のある方などが確実に相談につながるように、引き続き、各区保健福祉センターと保健所がしっかり連携して対応するとともに、ホームページ等において広く市民に周知してまいります。 大阪健康安全基盤研究所においては、研究員の集中的な配置や検査機器の優先使用及び時間外での対応により、1日最大80人の検査の受入れが可能としており、さらに、検査機器の購入により、検査体制の一層の強化を図ることとしております。今後感染が拡大した場合については、他の自治体とも連携を図るとともに、民間検査機関との連携についても国の方針を踏まえながら状況に応じて検討するなど、迅速かつ柔軟に対応します。 次に、感染患者に対応する医療機関についてでありますが、入院については市内で1か所の感染症指定医療機関、感染症病床数33床の体制でありますが、より多くの患者に対応できるように、健康局に指示し、既に複数の医療機関に協力依頼をしているところでありまして、早急に確保してまいります。 また、本市において、大阪府の新型コロナウイルス対策本部に参画し、情報収集・共有を図り、府市及び大阪健康安全基盤研究所との緊密な連携の下、オール大阪で感染の拡大防止に取り組んでいるところであります。 ○議長(広田和美君) 土岐恭生君。 ◆62番(土岐恭生君) この流行を抑制するためには、この一、二週間が瀬戸際であると、このように言われておりますので、既に、まさに待ったなしの状況であるというふうに考えています。市民の命にも影響を及ぼす可能性があるわけですので、スピード感を持って取り組んでいただきますよう強く要望しておきたいと思います。 それでは、次に認知症施策についてお伺いします。 団塊の世代が全て75歳以上となる2025年には、認知症高齢者は約700万人、5人に1人になると言われています。我が党は、認知症基本法の制定を含めた認知症施策の推進体制の強化を政府に提案いたしており、昨年6月18日に策定されました認知症施策推進大綱にも反映されております。 今年度は、本市において認知症の人の社会活動推進センターを設置したほか、我が会派の提案によって、9月には本庁舎地下の喫茶店で認知症の人がカフェ店員として従事するイベントを開催するなど、認知症の人の社会活動の周知、広報活動に積極的に取り組んでもらいました。 一方、社会全体で認知症の人を支える基盤として養成している認知症サポーターの活動を促進するため、市内3区で実施しているモデル事業を新年度には全区に展開すると聞いています。認知症サポーターによる支援体制が広がるのは望ましいことでありますが、多くの人が認知症になることで外出や交流の機会を減らしているという実態があり、サポーター活動をしっかりと地域に根づかせることが重要と考えます。 今後、全区展開に当たっては、より多くの認知症サポーターを地域での活動につなげることで、認知症の人が安心して暮らせるまちづくりを進めることが重要であると考えますが、市長の御所見をお伺いいたします。 ○議長(広田和美君) 松井市長。 ◎市長(松井一郎君) 本市における認知症施策については、これまで認知症強化型の地域包括支援センターの設置や認知症アプリの開発・運用、各区への認知症初期集中支援チームの設置などにより、充実を図ってきました。今後、さらに本市の掲げる認知症の人を支えるまちづくりを推進するために、認知症に関する理解を深め、早期に認知症に気づき、地域のつながりで認知症の人を支援する仕組みを広げていく必要があります。 本市では、これまでも20万人の認知症サポーターを養成していますが、認知症カフェの手助けや見守りなどの活動を行うサポーターは、一部にとどまっています。多くの認知症サポーターの活動を行おうとしても、認知症の人とつながる機会がなく、支援に結びついていない状況があるために、サポーター活動を広げる役割を担うコーディネーターを令和2年度より24区に配置してまいります。コーディネーターが地域の実情を十分把握し、必要な地域の企業や団体、関係機関などと連携し、認知症サポーターが活動しやすい環境づくりに努めることにより、サポーター活動をしっかりと地域に根づかせてまいります。 今後、これらの取組が地域の実情に応じた仕組みとなっているかしっかりと検証し、認知症の人が希望を持って、住み慣れた地域で安心して暮らし続けることができるように、引き続き取り組んでまいります。 ○議長(広田和美君) 土岐恭生君。 ◆62番(土岐恭生君) 次に、地域包括支援センターの体制強化についてお伺いします。 少子高齢化が進展し、2025年には65歳以上の高齢者は3,677万人に達すると予測されており、さらに2036年には3人に1人が高齢者になると言われています。独り暮らし高齢者が多い本市では、例えばタワーマンションで独り暮らしの高齢者が認知症を発症したり要介護状態になっていても、近隣とのつながりが薄いために早期に発見されず、既に問題が深刻化し、支援を開始すること自体が困難であるなど、課題を抱える高齢者が増えていると聞いています。 こういった課題には地域の様々な支援機関が連携して取り組む必要がありますが、特に地域包括ケアシステムの中核機関である地域包括支援センターにおいては、これまで以上に各機関との連携を充実させる必要があります。 我が会派はこれまで、進展する高齢化に向けて、地域包括支援センターの支援体制の整備や専門職の増員などによる機能強化を要請し、体制強化が図られてきましたが、さらに、新年度においても地域包括支援センターの体制を強化するための職員の増員を図ることとなっています。 しかし、今後も高齢者の増加に伴い、こうした複雑化、多様化した課題はますます増える中、さらなる地域包括支援センターの機能強化を図る必要があると考えますが、市長の御所見をお伺いいたします。 ○議長(広田和美君) 松井市長。 ◎市長(松井一郎君) 地域包括支援センターにつきましては、地域包括ケアシステムの中心的な役割を担う機関として非常に重要であり、市内66か所のセンターに加え、67か所のブランチを設置し、増大する高齢者の相談支援のニーズへ対応するために、専門職の増員など体制の充実を図ってまいりました。 とりわけ、本市においては、高齢者のいる世帯のうち独り暮らしの高齢者の割合が平成27年の国勢調査で42.4%と高く、地域とのつながりが希薄な高齢者をどのように把握し支援をしていくかという課題があります。また、認知症や精神疾患を抱えた高齢者への対応、生活困窮やいわゆる8050といった複雑化、多様化した高齢者の課題も増加しています。 そのため、令和2年度には、各地域包括支援センターにおいて、関係機関と調整する役割を担っている地域ケア推進担当を増員し、今後さらに増加が見込まれる様々な高齢者の課題に対し、医療や介護、地域など多岐にわたる関係者らとの連携を強化いたします。 議員御指摘のように、さらに増えるとされる高齢者の課題やニーズに対応していけるように、実施状況を踏まえ、引き続き、人員配置を含め、地域包括支援センターに必要な機能強化に取り組んでまいります。 今後とも、医療、介護、予防、生活支援などの様々な支援、サービスが一体的に提供される地域包括システムの深化、推進により、高齢者が住み慣れた地域で自分らしく暮らし続けることができるように、より一層の施策の推進に取り組みます。 ○議長(広田和美君) 土岐恭生君。 ◆62番(土岐恭生君) 次に、自治会・町内会への加入促進についてお伺いいたします。 さきの阪神・淡路大震災では、生き埋めから救助された人の98%が自助と共助によって助けられたことから、災害時には自助と共助の取組が一番重要であります。しかしながら、身近な地域での住民同士のつながりの希薄化などにより、こうした取組への参加者が減少していることが課題となっています。 地域のつながりの基礎となるのが自治会・町内会でありますが、大阪市地域振興会の加入率は、ここ20年で約3分の2に減り、55%程度まで落ち込んでおります。地域においては、マンションが増加し転入世帯が増えているが町会に入ってくれない、また、高齢等の理由もあり、町会役員への就任を避けるために退会されたなどといったことをよく耳にします。 自治会・町内会への加入促進は、本市だけではなく全国的にも大きな課題であり、例えば横浜市では、町内会連合会と宅建協会及び横浜市の3者で協定を締結し、日頃からアパートやマンションのオーナーと関わりのある宅建業者から、転入者に対して町内会への加入の呼びかけを行っていただくなどの取組を進めております。 本市においても、加入促進について具体的な目標を定めた上で、他都市の取組も参考にしながら、24区一丸となって、より強力な支援を展開していくべきではないかと考えますが、市長の御所見をお伺いいたします。 ○議長(広田和美君) 松井市長。 ◎市長(松井一郎君) 本市として、市民の身体や財産を災害から守る上でも自助・共助の機能強化は不可欠であり、そのために、人と人とのつながりの基礎である自治会・町内会への加入促進を図る取組は非常に重要と認識しています。 各区では、区広報紙やイベントなど様々な機会を通じて活動紹介や加入の呼びかけを行っておりますが、今年度、区長会議では、他都市の事例も踏まえ、より積極的な加入促進策を検討してまいりました。 加入が進まない原因として、マンションの建築などによる転入世帯の増加、住民の皆さんの地域活動への関心の希薄化があげられ、また、その影響で活動の担い手が不足し、これまでのような活動が困難といった状況もあります。こうしたことから、自治会・町内会への加入によって、平常時から安心して暮らせるといったメリットを市からも積極的にお伝えすることが重要となります。 そこで、不動産業界団体と協定を締結し、団体加盟の店舗を通じて転入予定者に加入を呼びかけるなど、新たな取組ができないか検討中であります。これ以外にも、若い世代を含め、より多くの市民の皆さんに地域でのつながりができるように、具体策を検討しているところです。 加入促進は一筋縄でいくものではありませんが、市内最大の自治会・町内会である地域振興会では20年以上にわたって加入率が下がり続けており、こうした低下傾向にまず歯止めをかけたいと考えます。そのために、現在検討中の対応策を早期に実行していくように、改めて区長会議に指示をしてまいります。 ○議長(広田和美君) 土岐恭生君。 ◆62番(土岐恭生君) 次に、老人憩の家を含めた地域集会施設の建て替え補助制度についてお伺いします。 地域で集会所、老人憩の家、福祉会館といった名称で呼ばれている地域集会施設は、おおむね小学校区における地域活動の拠点であり、災害時においても地域の自主的な避難所として機能しています。現在、市内で490施設がありますが、既に耐用年数が超えている施設も少なくありません。 来年度からは、新たに建て替えに対する補助制度が創設されます。地域の皆さんは、これから建て替えの時期や部屋の配置など施設の仕様について話合いが行われ、建て替え計画を練っていくことになります。こうした話合いこそが地域コミュニティーの活性化につながっていくと考えますが、せっかく地域の皆さんが計画を立てたにもかかわらず、例えば予算上の理由など行政側の原因で建て替えが計画どおり進まなかったりといったことがあれば、これは元も子もないと考えます。 建て替えに対する補助制度が創設されること自体は地域にとって非常にいいことだとは思いますが、地域のニーズに応じた運用ができて初めて、地域の皆さんに喜んでいただけるものと考えています。この点につきまして市長の御所見をお伺いいたします。 ○議長(広田和美君) 松井市長。 ◎市長(松井一郎君) 地域集会施設は、地域の皆さんが地域の課題の解決に向けて話し合い、自主的に様々な活動を進めていくといった、地域運営、地域活動の拠点施設として活用されております。今後、地域社会の持続的な発展に向け、地域の皆さんによる自主的な地域運営を進めていただくための拠点として地域集会施設は必要です。そこで、将来にわたり地域の活動や地域運営の拠点の確保を支援するために、建て替えに対する補助制度を創設し、来年度より地域活動協議会エリア当たり1施設、建て替えに係る経費として補助金を交付してまいりたいと考えます。 地域の皆さんにおかれましては、今お住まいの地域における地域コミュニティーの将来像を見据えながら、地域の皆さんが将来にわたってお使いいただく地域集会施設の姿について十分な御議論の下、建て替え計画の御検討をいただきたいと考えます。 行政といたしましては、こうした地域の皆さんの熱心な議論によって策定された地域集会施設の建て替え計画に対し、厳しい財政状況ではありますが、制度面、予算面などからもしっかりと対応してまいります。 ○議長(広田和美君) 土岐恭生君。 ◆62番(土岐恭生君) 次に、犯罪被害者等支援についてお伺いします。 犯罪被害者支援については、我が会派として、犯罪被害者の置かれている立場に立って条例制定や支援策充実の必要性を訴えてきたところであります。 おととし11月の一般質問におきまして、一人一人に寄り添ったきめ細やかな支援ができるよう、大都市大阪市にふさわしい条例を制定して誰もが安心して暮らせるまちを目指すべきである、このように申し上げ、市長からは、犯罪被害者当事者の方々の意見もしっかりと聴きながら条例制定について検討していくと、このように答弁をいただきました。 今般、その条例案がようやく提案されましたが、例えば、他都市にない特徴的な取組として、被害発生の初期段階における支援など様々な支援策が示されています。これらの支援策には当事者の方々の御意見がどのように反映されているのでしょうか。 また、今後もニーズに応じた支援を図るためにも、当事者の意見を反映する仕組みが必要であり、しっかりと犯罪被害者支援に取り組んでいく必要があると考えますが、市長の御所見をお伺いいたします。 ○議長(広田和美君) 松井市長。 ◎市長(松井一郎君) 犯罪被害者等の支援につきましては、当事者に寄り添った支援などを途切れなく進めることが大切であります。そのため、犯罪被害当事者の方や学識経験者から成る懇話会を立ち上げ、御意見をいただきながら、条例案や支援施策を検討してまいりました。 懇話会では、当事者からの申出を待つのではなく、積極的に行政から支援の手を差し伸べてもらえればありがたいという意見が複数ありました。これらを踏まえて、重大な事案については、関係機関とも連携をしながら、被害発生の初期段階で本市から被害者にアプローチし、被害者の状況に応じた支援を行ってまいりたいと思います。このことにより、どこにも助けを求められなかった被害者への支援ができると考えています。 また、懇話会での御意見を踏まえ、家事など日常生活に対する支援や見舞金制度なども併せて実施することにより、本市として当事者に寄り添った支援を行ってまいります。 今後も、支援施策が市民のニーズに対応したものとなるよう、当事者の方々や学識経験者などから御意見をいただきながら、一日でも早く日常の生活に戻っていただけるように、犯罪被害者の支援について取組を進めてまいります。 ○議長(広田和美君) 土岐恭生君。 ◆62番(土岐恭生君) 次に、ながらスマホ等に係る条例制定についてお伺いします。 近年、スマートフォンの普及に伴い、運転しながら、または歩きながらスマートフォンを使用するながらスマホが大きな問題となっています。 道路交通法では運転中のながらスマホは禁止されており、自動車等については令和元年12月1日から罰則が強化されたところであります。自転車走行中についても、大阪府道路交通規則で5万円以下の罰金が科せられています。 歩きスマホは、機器の操作や画面に気を取られて駅のホームから転落事故などが現に発生しており、人にぶつかって他人を巻き込む事故を起こすおそれもあります。携帯電話事業者や鉄道事業者が啓発しておりますけれども、特に効果は現れていないように感じます。 他都市では、京都府が交通安全基本条例を制定し、歩きスマホを慎むよう努めなければならないと規定しています。 本市においては、多くの人が行き交う大都市の事情に鑑みますと、歩きスマホをしない旨の条例を制定すべきではないかと考えます。あるいは、交通管理者である警察、公安委員会を所管している大阪府に対して条例制定を要望することも考えられますが、市長の御見解をお伺いいたします。 ○議長(広田和美君) 松井市長。 ◎市長(松井一郎君) 歩きスマホは、人や物にぶつかった際に予想外の事故につながる危険な行為であることから、歩きスマホをしないように啓発していくことは重要であります。 大阪市では、交通安全対策基本法に基づき大阪市交通安全計画を策定し、各般にわたる交通安全施策を推進しています。各区において、区役所、警察、地域団体などで構成された交通事故をなくす運動区推進本部を設置しており、交通安全教室や街頭啓発活動など、交通ルールの遵守やマナーの啓発の取組を市民と協働して進めているところです。 御提案のように、条例において歩きスマホについて具体的に規定することでスマートフォンの使用のルールが明確になりますが、歩きスマホによる事故発生状況を踏まえた上で、道路交通法をはじめ現行の法体系との関係の整理が必要であると考えます。 条例化に関しましては、交通管理者としての位置づけに鑑みれば都道府県において所管することが適当であると考えます。大阪府に対して、条例制定については検討を求めてまいります。 本市として、歩きスマホの問題に関して積極的に市民啓発に取り組んでまいるとともに、大阪府をはじめ大阪府警、関係機関・団体と緊密に連携を図りつつ、具体的な対策を総合的に検討いたします。 ○議長(広田和美君) 土岐恭生君。 ◆62番(土岐恭生君) 次に、災害発生時の情報共有についてお伺いします。 近年、大規模な地震や水害などが頻発する中、住民の安全を確保し被害を最小限に食い止めるためには、現場の正確な状況を把握し、的確な判断につなげることが重要です。 国では、省庁ごとに収集した災害情報システムについて省庁を横断して情報共有するシステム、基盤的防災情報流通ネットワーク、通称SIP4Dの整備を進めていると聞いております。例えば、これまで国土交通省では道路の通行の可否などの道路通行情報を収集し、厚生労働省は災害拠点病院のライフライン状況や建物被害状況等を収集していましたが、これでは、支援が必要な災害拠点病院を特定して支援物資を運搬するためには2つの省庁に情報を問い合わせる必要がありました。これからは、SIP4Dが国土交通省と厚生労働省の情報を集約することで1つの電子地図上に道路通行情報と災害拠点病院の被害状況を重ねて表示できるため、搬送ルートが一目で確認できるとお聞きいたしました。 このように、災害時にはどれだけ情報を収集・分析できるかが災害対応の明暗を分けると言っても過言ではなく、そのためには、SIP4DなどのICTの利活用を積極的に進め、本市でもいち早く国と情報共有していくべきと考えますが、市長のお考えをお伺いします。 ○議長(広田和美君) 松井市長。 ◎市長(松井一郎君) 本市では、平成30年度の大阪府北部地震や台風21号の襲来を経験し、いかに迅速に災害情報を収集し、関係所属間で共有できるかが災害対応において重要であると感じており、災害時の情報収集能力の強化について検討をしてきたところです。 災害が広範囲に及び被害が甚大な場合には、本市の職員だけでは情報収集にも限界があるために、国の機関が集約した道路通行情報や浸水域の情報などの災害情報を効率的かつ効果的に活用することにより、発災当初の被害状況の把握から緊急対応、復旧計画の立案に至るまで、様々な場面の災害対応で活用することができます。 現在、災害情報の収集、分析、共有、伝達の核となる本市の防災情報システムについて、電子地図上に視覚的に被害情報を表示し、災害対策本部での被害対応の指揮・判断ができるように抜本的な機能の見直しを行っており、提案のSIP4Dを整備している防災科学技術研究所と接続の協議を進めております。令和2年度から3年度にかけて、再構築を計画している新たな防災情報システムとSIP4Dとの接続を実現し、災害情報の収集、共有能力の強化に努めます。 ○議長(広田和美君) 土岐恭生君。 ◆62番(土岐恭生君) 最後に、気候変動対策についてお聞きします。 近年、我が国でも、記録的な台風や豪雨災害、災害並みの猛暑など、地球温暖化の影響を感じさせる事態が毎年のように起こっています。今後、地球温暖化が進行するにつれ、災害リスクがさらに高まっていくことが懸念されます。災害への備えが大切なのは言うまでもありませんが、根本的な対策として、地球温暖化の主な原因である二酸化炭素の排出量を削減し、環境の深刻化を食い止めていくことが大変重要であります。 昨年6月に閣議決定されましたパリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略では、今世紀後半のできるだけ早期に脱炭素社会の実現を目指すことが掲げられました。自治体レベルとしては、大阪府や京都市、横浜市など、2050年までに二酸化炭素排出実質ゼロを目指すことを表明する動きが広がりつつあります。 本市においても、二酸化炭素排出実質ゼロを宣言し、SDGsの達成に向け、市民や事業者の皆さんと一緒になって気候変動対策に取り組んでいくべきと考えますが、市長の意気込みをお伺いします。 ○議長(広田和美君) 松井市長。 ◎市長(松井一郎君) 地球温暖化の進行により、異常気象や海面水位の上昇など様々な影響が深刻化することが懸念されており、二酸化炭素の排出実質ゼロをできる限り早期に実現していく必要があると認識しています。 本市は、地球温暖化対策の実行計画で国の目標水準を上回る中期目標を設定し、各種の取組を積極的に推進してきたところでありますが、パリ協定の本格実施など国内外の動向や今後のイノベーションの進展を見据えながら、2050年に二酸化炭素の排出実質ゼロを達成することを視野に入れ、目標について改めて検討を行ってまいります。 来年度中には新たな計画を策定し、気候変動対策の重要性を市民、事業者など皆さんと共有しながら、SDGsに貢献する大阪・関西万博の開催地にふさわしい環境先進都市を目指してまいります。 ○議長(広田和美君) 土岐恭生君。 ◆62番(土岐恭生君) 以上、市政全般にわたり質問をさせていただきました。引き続き市民目線に立って大阪を発展させゆく責任政党として、常任委員会でより具体的に議論させていただくことを申し上げまして、私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(広田和美君) 以上で、土岐恭生君の質疑は終了いたしました。 関係者の方々は自席にお戻り願います。 ○議長(広田和美君) お諮りいたします。この際、暫時休憩することに決して御異議ありませんか。     (「異議なし」と呼ぶ者あり) ○議長(広田和美君) 御異議なしと認めます。よって暫時休憩いたします。     午後2時21分休憩     午後3時再開 ○議長(広田和美君) これより休憩前に引き続き会議を開きます。 関係者の方々は所定の席にお着き願います。 ○議長(広田和美君) 上田智隆君の質疑を許します。 55番上田智隆君。     (55番上田智隆君質問席に着く) ◆55番(上田智隆君) 私は、大阪維新の会大阪市会議員団を代表し、昨日に引き続き、令和2年度予算並びに予算関連案件について質問いたします。 まず、大阪健康安全基盤研究所における健康危機事象への対応についてお伺いします。 人の移動や交流が飛躍的に増大している現代において、深刻化している新型コロナウイルスのような国境を越えて広がる新興・再興感染症などの発生リスクが高まっており、健康危機事象発生時の対策強化は喫緊の課題となっています。大安研は、こうしたリスクの発生に備えて機能強化を図るため、府市の2つの地方衛生研究所を統合・独法化して設立され、現在、一元化施設の整備に向けて準備を進めるとともに、組織力を強化するため体制整備を図っていると聞いておりますが、具体的にどのような取組をしているのでしょうか。 また、重大な感染症が発生した場合に拡大防止を図るためには、保健所が行う疫学調査が必要であると聞いており、大安研は、従来の検査機能に加えて、こうした疫学調査に対して積極的に寄与していくべきと考えますが、市長の御所見をお伺いします。 ○議長(広田和美君) 理事者の答弁を許します。 松井市長。 ◎市長(松井一郎君) 大阪健康安全基盤研究所の機能強化については、従来の検査・研究機能に加え、市民等への健康と安全に関する情報発信や疫学調査を支援する健康危機管理部門、検査データから多様なリスクの要因の解析を行う疫学解析研究部門、さらに検査部門と独立した精度管理部門を設置するなど、体制強化を図っております。 なお、疫学調査については、健康危機事象発生時における集団発生の有無の判断や感染源の特定などには専門的知見が不可欠であるために、法人職員1名を国立感染症研究所への実地疫学専門家養成コースに派遣しており、派遣修了後の令和2年度より疫学調査チームを発足させ、府市の要請に応じて保健所が実施する疫学調査を支援することとしております。 このように、大安研は、これまで府市の研究所になかった新たな機能強化を図ることにより、大阪全体の公衆衛生レベルを引き上げ、市民・府民の健康と安全を守る重要な役割を果たしてまいります。 ○議長(広田和美君) 上田智隆君。 ◆55番(上田智隆君) 次に、学校園における対応についてお伺いします。 新型コロナウイルス感染症については、状況が日々変化しており、さらなる感染拡大の防止に向け社会全体で対策を講じていくことが求められていますが、この間、児童・生徒等が感染しているケースが他都市で見られるところです。本市においては、幸いなことに現時点では児童・生徒等が感染している状況は認められませんが、国に先立って市立の小学校、中学校、幼稚園について一斉に臨時休業することが決まりました。 このたびの臨時休業の措置については、共働きの世帯など非常に影響が大きいと思われますが、これだけ全国で感染が広がりを見せている状況においては必要な決断だと考えております。改めて、今回の措置の意図するところについて市長の御所見をお伺いします。 ○議長(広田和美君) 松井市長。 ◎市長(松井一郎君) 新型コロナウイルス感染症については、全力を挙げてその感染拡大の防止に向けた取組を進めていく必要があります。他の自治体でも児童・生徒等が感染した事例が報告されていますが、いずれも臨時休業の措置が取られており、先日出された文部科学省や大阪府の方針においても、感染者が出た場合の臨時休業の方向性が示されています。 しかしながら、私としては、児童・生徒等の感染者の発生が認められていないこの段階で臨時休業の措置を取ることが、児童・生徒等を感染のリスクから守るための重要な手だてだと考え、当面の間、臨時休業とすることを判断したところであります。保護者の皆さんには負担をおかけすることになりますが、子供たちを守るための取組として御理解を賜りたいと考えます。 状況は刻々と変化しており、その時々の状況に応じた対応が必要となりますので、今後も引き続き、適切な判断をしていきたい、こう思っています。 ○議長(広田和美君) 上田智隆君。 ◆55番(上田智隆君) ありがとうございます。 次に、感染症の拡大防止に向けた対応についてお伺いいたします。 新型コロナウイルス感染症対策に関わっては、2月25日に政府の基本方針が示されました。その基本方針の重要事項の一つに、国民、企業、地域等に対する情報提供が掲げられており、国民に対する正確で分かりやすい情報提供や呼びかけを行い、冷静な対応を促すこと、企業に対して、発熱等の症状が見られる職員への休暇取得の勧奨やテレワーク、時差出勤の推進等を呼びかけること、イベント等の開催については、全国一律の自粛要請を行うものではないが、感染拡大防止の観点から、感染の広がり、会場の状況等を踏まえ、開催の必要性を改めて検討するよう要請するとされています。本市主催のイベントや集会については原則中止または延期という方針であることはお聞きしていますが、現在、民間主催のイベント等についても中止や延期の判断をするところが増えています。 しかしながら、一方で、イベント等の中止や延期を行えば施設のキャンセル料が発生するため、中止等の判断に二の足を踏む主催者も相当数いるのではないかと思っています。新型コロナウイルス感染症の拡大を防ぐ観点から、本市施設の利用をキャンセルした場合の取扱いをどうされるのか、市長の御所見をお伺いします。 ○議長(広田和美君) 松井市長。 ◎市長(松井一郎君) 新型コロナウイルス感染症の市中での感染拡大に備え、発生数の急激な増加の抑制や重症化しやすい高齢者などへの感染をできるだけ減らすために、大阪府では国に先駆けて3月20日までの府主催のイベントなどの中止や延期、時差出勤の拡大などの取組を決定され、市町村や企業にも働きかけたところであり、本市も同様に取り組むことといたしました。 行政からイベント等の中止や延期を企業に働きかけている以上、本市もしくは施設の指定管理代行者が使用許可を行う施設において新型コロナウイルス感染症の拡大防止を理由としたキャンセルの申出があった場合については、施設使用料、利用料の既に納付いただいている部分は全額還付、キャンセル料は徴収をしないなどの配慮が必要であると考えています。 2月25日、各所属長宛ての通知をした際には、大阪府の方針と併せて3月20日までの取扱いとしたところでありますが、それ以降についても、新型コロナウイルス感染症の拡大防止という趣旨を踏まえ、施設管理者として適切に判断するように指示をいたしました。 ○議長(広田和美君) 上田智隆君。 ◆55番(上田智隆君) 次に、スマートシティ戦略の推進についてお伺いいたします。 昨年の夏に大阪府市共同で大阪スマートシティ戦略会議が立ち上げられ、今年度末には大阪スマートシティ戦略が策定されると伺っております。我が会派としても、大阪のさらなる成長と都市機能の強化のためには最先端ICTを活用したスマートシティに積極的に取り組むべきであると考え、これまでもエストニアをはじめ海外の先進都市における取組などについて調査・研究を進めてきたところであります。 また、日本国内においても、自動運転をはじめとして国内の様々な都市・地域においてスマートシティの取組が加速しているところであります。2025年に大阪・関西万博が決定している大阪においては、他都市に引けを取らぬよう、大阪府、大阪市が今後一層連携し、強力に推進していくべきだと考えています。 その一方で、広域自治体である大阪府が担う役割と基礎自治体として大阪市が担う役割はおのずと異なるものであると考えていますが、大阪におけるスマートシティ戦略の取組について大阪市ではどのように進めていくのか、市長の御所見をお伺いします。 ○議長(広田和美君) 松井市長。 ◎市長(松井一郎君) 大阪スマートシティ戦略では、2025年大阪・関西万博の開催を見据えながら、住民起点の観点を重視し、来年度以降、実践的な取組を進めていきます。 戦略の推進においては、住民との距離が近い市町村の役割が重要でありまして、府域全体における戦略の牽引役である大阪府と連携をしつつ、大阪市は基礎自治体としてこれまで進めてきた取組をさらに加速させ、大阪におけるリーディング自治体として先頭を進んでまいります。そのため、スマートシティを担当するチームを設置し、関係部局から成る推進会議を構成するなど、スマートシティ推進の体制強化を図り、行政のスマート化とともに住民の生活の質の向上を実現するスマートシティを強力に進めていきます。
    ○議長(広田和美君) 上田智隆君。 ◆55番(上田智隆君) 市長より、大阪のスマートシティ推進において大阪市はリーディング自治体として先頭を進んでいくと、力強い御答弁をいただきました。 これまで大阪市は、最先端ICT都市を目指し、市民サービス向上、行政事務の効率化に取り組んできたと聞いております。しかしながら、民間企業と比較すると、まだまだICTを活用した市民サービス向上や行政事務の効率化を図る余地が多々あるのではと感じています。さらに民間では、デジタルトランスフォーメーションと称し、企業がビジネス環境の厳しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客やニーズを基に製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立する取組が進められていると聞いております。大阪市においても、現在行っている業務のやり方を見直すための改革の推進と同時に、データとデジタル技術を効果的に活用するための取組や推進体制の強化が必要ではないかと考えますが、市長の御所見をお伺いします。 ○議長(広田和美君) 松井市長。 ◎市長(松井一郎君) より最適な住民サービスの提供と業務の効率化を図るためには、様々な業務についてデータの活用を前提として見直し、サービス全体の最適化を見据えたデジタル化を図ることが重要であると考えます。そのため、本市として進めてきた業務改革に加え、今後、業務のデジタル化を中心とした取組を進めていくために、市政改革室の一部をICT戦略室へ移管し、デジタル化を前提にAIなどの先端技術も取り入れながら、より上質な行政サービスと行政運営への転換を図れるように、大阪市としてのデジタルトランスフォーメーションを推進していきます。 ○議長(広田和美君) 上田智隆君。 ◆55番(上田智隆君) 我々は、かねてからICTを活用した市政改革の必要性を主張してきました。市民サービスの向上、業務の効率化など、ICT先進都市に向けた取組をさらに加速させていただきますよう要望しておきます。 次に、水道スマートメータの導入についてお伺いします。 日本の水道は、人口減少や設備の老朽化、水道事業体職員の減少などの課題を抱えており、健全かつ安定的な水道サービスを持続していくためには水道事業の最適化や効率化などに取り組む必要があります。 これまでの市会における質疑に対する水道局からの答弁によると、無線通信等を利用した水道スマートメータは、検針業務の効率化だけでなく、需要変動を含めた詳細データの把握、見える化による利用者サービスの向上、エネルギー使用の効率化、さらには水道のスマート化を通じた管路網管理の向上など多くの効果が期待され、水道事業の最適化や効率化にも貢献する有力なツールになるものであり、水道のスマート化には必要不可欠な技術であるとのことであります。 また、本市と大阪府は、IoT、AI、ビッグデータ等の先端技術を利用することで都市課題を解決し、都市機能を効率化するスマートシティの実現に取り組んでいるところであり、水道スマートメータの導入はまさにIoTを活用した取組で、社会的意義も大きいと考えられます。 本市は、これまで取り組んできた実証実験を踏まえ、水道スマートメータの先行導入に取り組んでいるところでありますが、メータ価格が現行の水道メータに比べて相当高いとの課題もあると伺っております。 市長は府知事とともにスマートシティの実現を目指しておられますが、水道スマートメータの導入に関する御所見をお伺いいたします。 ○議長(広田和美君) 松井市長。 ◎市長(松井一郎君) 大阪市は、大阪府とともに、先端技術を活用した大阪モデルのスマートシティの実現を目指しているところであります。水道についても、インフラメンテナンスやスマート検針において先端技術の実装・実験が期待されるところであり、議員お尋ねの水道スマートメータについては、昨年4月から水道セキュリティ対策の一環として、南港咲洲地区のG20大阪サミット会場周辺地域に先行して実装化を行いました。また、令和2年度は、2025年大阪・関西万博の開催地であります夢洲地区と、大規模施設が集積する大阪駅周辺地区に拡大して実装化する予定であります。 水道スマートメータの普及促進に当たっては、導入コストの低減化が重要な要件の一つであり、昨年から東京都、横浜市とともに水道ICT情報連絡会を設立し、民間企業が保有するICT新技術について提案を受けているところであります。 今後とも、スマートシティにふさわしい付加価値について検討をさらに進め、他の大規模水道事業体や民間企業との連携を強化しつつ、水道スマートメータの実装化拡大に向けて取組を進めます。 ○議長(広田和美君) 上田智隆君。 ◆55番(上田智隆君) 次に、マイナンバーカードの普及促進についてお伺いいたします。 国においては、マイナンバーカードを活用した消費活性化や健康保険証としての利用を今後実施していくことを踏まえ、令和2年度中にはおよそ半数の住民が、令和4年度中にはほとんど全ての住民がマイナンバーカードを保有することを想定し、普及及び利活用を推進していくとされています。 また、昨年5月にはデジタル手続法が公布され、国において行政手続のオンライン化実施の原則化が進められる中、マイナンバーカードはデジタル化社会の基盤として不可欠であり、本市においても市民に対する積極的な取得勧奨が必要であると認識しております。 これまで、我が会派における質疑においてマイナンバーカードの普及に向けた提言を行ってきており、普及に向けた様々な取組を進めていると思いますが、効果的な取組を全区に広げていくことが必要ではないでしょうか。カードの申請や受け取りについて、特に平日働いている市民の方は二の足を踏むこともあると考えられます。もっと申請しやすく、受け取りやすくする工夫が必要なのではないでしょうか。 さらに、普及に向けた周知に努めたとしても、マイナンバーカードそのものに市民の方が取得したいと思うメリットがなければマイナンバーカードの普及は進みません。市民が具体的にメリットを感じられるような方策はもちろん、来年度、国が実施するマイナポイント事業に合わせてキャンペーンを実施するなど、インパクトのある普及策が必要ではないでしょうか。 大阪市としてマイナンバーカードの普及促進にどう取り組んでいくのか、市長の御所見をお伺いいたします。 ○議長(広田和美君) 松井市長。 ◎市長(松井一郎君) マイナンバーカードはこれからデジタル社会の基盤とされておりまして、本市としても様々な普及促進策を実施しているところでありますが、関係区長・局長で構成するマイナンバーカード普及促進チームによってさらに検討し、効果的な取組を全区に広げていくこととしています。 また、平日は仕事などで区役所に行けない方にも、土日もオープンしている難波サービスカウンターでのカードの交付申請を行い、郵送で受け取っていただけるようにしてまいります。 マイナンバーカードの取得のメリットとして、来年度には、カードの本人確認機能を活用することで、住民票の写しの請求など申請者の多いものや窓口に来にくい方も様々な手続を自宅で行える行政のオンラインシステムを導入予定であります。 また、本年9月より国が実施するマイナポイント事業はまさに具体的なメリットであり、カードの普及に向けた大きなチャンスともなることから、その実施時期に合わせて、カード取得に向けた機運を醸成できるようにキャンペーンを実施することとし、具体的な内容を検討するよう指示してまいります。 ○議長(広田和美君) 上田智隆君。 ◆55番(上田智隆君) ありがとうございます。 大阪が目指すスマートシティにはマイナンバーカードは不可欠であり、国の方策に任せるのではなく、大阪市独自の方策を検討していただくよう要望いたします。例えば、取得者に対してのインセンティブをつけるのも一つの選択肢としてお考えいただくようお願いいたします。 次に、水道事業におけるPFI管路更新事業についてお伺いします。 大阪市ではかねてより、改正水道法に基づく新たな運営権制度を活用し、民間事業者の手で老朽管の更新、耐震化の大幅な前倒しを推進する、いわゆるPFI管路更新事業について検討が進められてきました。このたび実施方針案がまとまり、事業開始に向けた手続を前に進めるため、本市会に関連条例案が提出されたところであります。 我が会派では、水道事業の持続性を高め、市民生活に不可欠な水道の安心・安全の強化を図る観点から、早期に実現すべきとの立場でこれまでもこの議論に臨んできました。市民の方々からも当然歓迎されるプランですが、実際には、今なお水道事業に運営権を設定するということに対し、市が水道事業を手放し民営化するものであるとの不安を抱く方や、民間主導で工事を任せた場合、市によるチェックが行き届かず、不適切な工事が再び蔓延するのではないかといったことを懸念する声も少なくありません。 PFI管路更新事業を促進するために、こうした市民の不安や懸念を払拭した上で早期実現に向け取り組んでいただきたいと考えますが、市長の御所見をお伺いいたします。 ○議長(広田和美君) 松井市長。 ◎市長(松井一郎君) 今回お示しするプランは、他都市に比べまして多く残存している老朽管をできるだけ早期に耐震管に取り換え、南海トラフ巨大地震などへの備えを万全なものとするために、老朽管の更新に係る部分を民間事業者に委ね、現状より更新のペースを倍速化し、できるだけ費用も抑えて実施をしていくものです。 したがって、水づくりや水質に関することなど、老朽管更新以外の業務は、引き続き公共である市が責任を持って実施いたします。老朽管の更新業務には、民間のノウハウとマンパワーを最大限活用するものです。 また、民間事業者が実施する管路の工事については、市によるチェック、監督を適切に実施する体制を構築し、工事の品質の確保を図っています。 こうした点も踏まえ、これまで市会からいただいた御意見を反映して、今回実施方針案を取りまとめ、条例案とともにお示しをしており、制度的な仕組みとして担保しています。今回の市会における議論でも、市民の懸念を払拭し少しでも早く管路更新の倍速化に着手できるようにプランの丁寧な説明に努めていくので、御議論をお願いいたします。 ○議長(広田和美君) 上田智隆君。 ◆55番(上田智隆君) 老朽管の更新、耐震化は喫緊の課題です。ぜひとも前に進めていただくようお願いいたします。 次に、ごみの減量と処理体制についてお伺いいたします。 大阪市では、これまでごみの減量を進め、その進捗に合わせて焼却工場数を削減してきました。しかしながら、ごみの減量は近年下げ止まっており、昨年度は増加に転じています。工場の稼働率を見ても総じて高くなっています。令和7年度に年間処理量84万トンとするごみ減量目標を掲げていますが、焼却工場の安定稼働のためにもごみの減量は重要であると考えます。 引き続き強力にごみの減量を進める必要があるとともに、安定的なごみ処理体制を確立するためには、他都市との連携強化により、工場の規模や配置など広域化のメリットを十分に見いだせるよう検討することが必要であると考えますが、環境施設組合の管理者でもある市長の御所見をお伺いいたします。 ○議長(広田和美君) 松井市長。 ◎市長(松井一郎君) 大阪市では、これまで、市民や事業者の協力を得ながらごみの減量を進め、焼却工場数の削減に取り組んできました。結果、10工場の稼働体制から現在6工場の稼働体制にまで縮小するなど、事業の効率化を図ってきています。一方でごみ処理量は、ピーク時の半分以下になっているものの、近年は下げ止まり傾向にあります。昨年度は、前年度より増に転じていることもあって工場の稼働率が高くなっている現状です。 しかしながら、焼却工場に搬入されているごみの中には、適正区分、適正処理の推進や分別の排出の徹底により、減量できる余地が残されております。工場の安定的なごみ処理体制の確保のためにも、ごみ減量が喫緊の課題であると認識をいたします。 また、ごみの焼却処理事業については、平成26年より八尾市及び松原市とともに一部事務組合を設立し、さらには昨年10月に守口市が加入し、本年4月から4市で共同処理を開始することとなっており、近隣市との広域化を図ってきています。これまで以上に安定的、効率的なごみ処理体制を構築していくために、保有資産の有効活用を徹底して図るなど効果的な広域連携を推進するべく、環境施設組合及びその構成市とさらなる関係強化を図ってまいります。 ○議長(広田和美君) 上田智隆君。 ◆55番(上田智隆君) 次に、家庭系ごみ収集輸送事業の経営形態についてお伺いします。 我が会派では、民間でできることは民間へという視点に基づき、市民の貴重な税金を有効に活用すべく、経費削減を図るため、廃棄物処理事業について経営形態の変更を強く求めてきました。昨年6月12日の一般質問において、我が会派の大内議員から市長に対し、今後もこのまま退職不補充による委託を進めるだけでは、スピード感に欠ける。こういった状況を踏まえ、改革を進めていくための新たな方策、例えば、新たな大都市制度を見据え水平連携を行うなど、早急に検討する必要があるのではないかとの質問に対し、市長からは、改革プランは最終年度を迎え、この3年間の成果を検証した上で新たなプランを策定するが、民間委託化の拡大はもとより、行政が担うべき業務を点検・精査し、スピード感を持って進めるよう、議員御指摘の点も踏まえて検討する旨の答弁をいただきました。 先日、家庭系ごみ収集輸送事業の向こう3年間の次期計画案について説明を受けましたが、普通ごみ収集以外を民間委託するという目標設定や進め方ではスピード感に欠ける印象を受けました。今後の家庭系ごみ収集輸送事業の経営形態についてどのようにお考えであるのか、市長の御所見をお伺いいたします。 ○議長(広田和美君) 松井市長。 ◎市長(松井一郎君) 民間にできることは民間に委ねるという基本認識の下、家庭系ごみ収集輸送事業の経営形態について様々な検討を行ってまいりました。こうした検討を経て、平成29年度から3年間は経費の削減と市民サービスの向上を柱とする家庭系ごみ収集輸送事業改革プランに基づき改革を進め、目標を上回る成果を出しております。 こうした改革の成果を踏まえて、次期計画案については、ごみ減量の推進や大規模災害時の対応の観点も考慮し、普通ごみ以外の収集運搬業務全てを民営委託化する方針としています。 また、新たに市内11か所の環境事業センターのうち、焼却工場の配置も勘案しつつ、一層の輸送効率の改善を図れるように、2環境事業センターの廃止に着手しながら、廃止した環境事業センターの施設を売却や貸与することで、老朽化する建物・施設の大規模修繕の財源に充当してまいります。 一方で、家庭系ごみ収集輸送事業の経営形態については、新たな大都市制度を見据えて、民間委託のさらなる拡大や収集運搬と焼却処分までを一体的に運営する手法などを検討してまいります。 ○議長(広田和美君) 上田智隆君。 ◆55番(上田智隆君) 次に、未利用地についてお伺いします。 未利用地については、処分年度を定めて計画的に売却を行っていると聞いております。しかしながら、順調に計画どおり売却できているとは言い難い状況であります。市政改革プランにおいて今年度の売却目標額を90億円に設定しているにもかかわらず、売却目標額には届かない見込みとも聞いております。売却額が少ない場合は、収支不足等の事態に備えている財政調整基金を取り崩すなどしなければなりません。目標達成に向けてのスケジュール管理ができていないのではないでしょうか。 また、土地の商品化に時間がかかっているとも聞いており、さらに売却を促進するためには、民間の力を積極的に活用する必要があると思います。例えば、商品化から売却まで全て民間に任せるなど様々な手法を検討するとともに、目標設定を見直す必要があると考えますが、市長の御所見をお伺いいたします。 ○議長(広田和美君) 松井市長。 ◎市長(松井一郎君) 未利用地については、これまでまちづくりや歳入確保の観点から計画的な売却に重点を置いて有効活用に取り組んできましたが、未利用地を売却するには測量や土壌汚染調査など様々な商品化作業が必要となり、特に、境界確定協議など不確定要素が高いものについては、大幅に作業の完了時期が遅れる場合もあります。しかしながら、未利用地活用方針の目標が達成されるようスケジュール管理を行うことが重要であり、今後も、未利用地の有効活用に向け資産流動化プロジェクト用地チームにおいて諸課題を把握し、商品化の進捗を促すとともに、売却スケジュールを精査の上、新たな売却時期を設定し、適切な進捗管理に取り組んでまいります。 また、商品化が困難なものについては、これまでも土地家屋調査士への外部委託や売却制度の見直しなども行ってきましたが、今後、外部有識者や事業者などの意見も聴きながら、民間ノウハウを活用した商品化の在り方について検討を進め、未利用地の有効活用に取り組みます。 ○議長(広田和美君) 上田智隆君。 ◆55番(上田智隆君) 次に、不正入札の防止体制についてお伺いいたします。 昨年1月に大阪市発注の電気工事を巡って官製談合事件が発覚し、契約管財局に、談合等の不正な入札を監視、監察する組織として4月に不正入札監察室が設定されました。 本件事案は職員が設計金額等の情報を事業者に漏えいしたものですが、入札契約に係る情報管理の徹底については、事件が発覚した建設局だけの問題に終わらせることなく、全市的に取り組んでいく必要があります。さらに、事業者の求めに応じて職員が情報漏えいしたことを踏まえると、事業者が予定価格等を探る動きを排除する取組も必要です。この間、どのような対策を取ってきたのでしょうか。 また、トップの市長については、外部の検察、警察の経験者などの登用に時間を要している状況が続いていますが、不正事案に対するチェック機能を強化し、二度とこのような事件が生じないようにするため、早急に外部から室長を招くべきだと考えます。これらについて市長の御所見をお伺いいたします。 ○議長(広田和美君) 松井市長。 ◎市長(松井一郎君) 入札において公正な競争を確保するためには、厳格な情報管理が不可欠であり、情報漏えいがあってはならないことは言うまでもありません。入札や契約に係る情報の管理体制を強化するため、今年度、情報管理ガイドラインを再点検し見直しを行うことにより、情報管理の徹底を図っています。 一方、予定価格などを事業者が職員から探ろうとする動きを防止するため、工事請負契約の入札において新年度より予定価格の事前公表なども実施いたします。 また、不正入札監察室長については、積極的なモニタリングなどを通じて入札などの状況を的確に把握し、あらゆる不正行為を排除するようにしっかりと取り組んでいただきたいと考えています。そのため、必要な能力・経験を有する外部人材の人選を慎重に行っており、現在、警察OBの方に新年度より就任いただくべく、大阪府警と手続を進めております。 これらを通じて、昨年のような事件が二度と生じないよう、市民の信頼回復に引き続き全力で取り組みます。 ○議長(広田和美君) 上田智隆君。 ◆55番(上田智隆君) 室長については大阪府警と手続を進めているとのことですので、不正入札の防止に取り組んでいただき、市民の信用回復をお願いいたします。 次に、食のブランディングの推進についてお伺いいたします。 日本を訪れる外国人旅行者の多くは日本の食を楽しみにしていると言われています。中でも大阪は、古くから天下の台所と呼ばれ、多様な食文化が根づいており、観光分野における有力なコンテンツとして期待ができると考えます。 しかし、まだまだ大阪は粉もんがあるなどのイメージが強く、大阪の多様な食の魅力が十分に発信できておらず、特にインバウンド客の飲食費単価は、パリやニューヨークなど世界の観光都市と比較しても低いと聞いております。 そのような中、本年1月に大阪商工会議所と大阪観光局により、大阪の食のブランディング向上に取り組む新たな組織、「食創造都市 大阪推進機構」が設置されました。令和2年度には、同機構の主要事業として、世界的な食のイベントである「アジアのベストレストラン50」の大阪市への誘致、開催に向けて取り組まれるとのことです。 こうした取組は国際的な注目を集め、大阪の多様な食の魅力を内外に発信するとともに大阪の食のブランド力を高める上で有用であると考えますが、食に関する団体や一部の美食家への訴求だけにとどまらないかと危惧しております。 そこで、例えば市民参加型のイベントの開催や、既存のイベント開催時期に合わせて実施を呼びかけることなどにより、大阪のまち全体が食の雰囲気に包まれるような取組をすることで、広く市民の方々にも知っていただき、参加し楽しんでいただけるとともに、大阪の食の魅力発信をより強化できると考えますが、市長の御所見をお伺いいたします。 ○議長(広田和美君) 松井市長。 ◎市長(松井一郎君) 食は大阪の重要な観光資源の一つと認識しており、大阪都市魅力創造戦略2020では、大阪の食の魅力の情報発信を重点取組と位置づけ、大阪観光局において食をコンテンツとした様々な取組を進めています。 今般新たに設置された「食創造都市 大阪推進機構」に本市も参画し、府・経済界や食に取り組む団体、有識者が一体となり、大阪における食消費の拡大、食のブランディングの向上に取り組んでまいります。特に、今回誘致を目指す世界的な食のイベントであります「アジアのベストレストラン50」の開催を大きなチャンスと捉え、世界中の料理人や食関係者、美食家が大阪に注目するこの機会に、大阪が有する多様な食の魅力の発信強化に取り組んでまいります。 また、同イベントの開催に合わせて、世界的なシェフと大阪の料理人とのコラボレーションなどの市民参加型関連イベントの実施や、既存の食のイベントなどについても開催時期を合わせることなど、民間事業者に働きかけてまいります。 食の関係者だけで盛り上がることのないように、これらの関連イベントを広く市民の皆さんにPRし、市民の皆さんにお越しいただき楽しんでいただくことにより、さらなる大阪の食の魅力発信強化へとつなげてまいります。 ○議長(広田和美君) 上田智隆君。 ◆55番(上田智隆君) ありがとうございます。 食に関する魅力を最大限に内外に発信し、ぜひともたくさんの方々が日本に、そして大阪に訪れ、食を楽しんでいただけるようなイベントをよろしくお願いいたします。 また、2025年に開催される大阪・関西万博への機運を盛り上げるためのよい機会になるのではないかと思いますので、ぜひ進めていただきますようお願いしておきます。 次に、御堂筋の道路空間再編についてお伺いいたします。 昨年の我が会派からの質疑に対し、市長より、千日前通から道頓堀川までの区間の側道歩行者空間化に着手するとともに、民間が主体的に活動できるような仕組みを検討しながら、御堂筋が世界を代表する大阪のメインストリートとなるよう成長させていく方針が示されました。 私は、御堂筋のような都心の空間において、地域の民間団体が主導的にストリートファニチャーや花飾りなどによってにぎわいを創出するなど、民間の力でにぎわいのある道路の使い方をしていただくことで大阪を発展させていってほしいと思っております。そのためにも、御堂筋の側道歩行者空間化が完了し歩道が広くなった区間から順次、公民連携により民間団体による利活用を開始していただくなど、効果的に都市魅力の向上を図る取組が重要ではないかと考えております。市長の御所見をお伺いいたします。 ○議長(広田和美君) 松井市長。 ◎市長(松井一郎君) 御堂筋の側道歩行者空間化ですが、オリンピックが開催される今年7月に千日前通から道頓堀川までの区間の東の側道を閉鎖した後、整備を行い、その後、順次北へ進めてまいります。 次に、歩行者空間の利活用ですが、今年度に地元や関係するまちづくり団体などが一堂に会する場として協議会を設置し、公民連携の具体的な取組内容や仕組み、制度について意見交換を行ってきました。こうした協議会での議論の下、まちのにぎわいのために道路上でオープンカフェなどを民間が実施できる一方、そこで得られた収益を元に質の高い維持管理を行うことができる道路協力団体制度を来年度より御堂筋で適用してまいります。 また、歩行者空間化やにぎわいの創出の取組をより一層推進するために道路関係法令の整備を国に要望してきたところ、来場者が滞留する空間の整備が可能となる道路法等の一部を改正する法律案の動きにつながってまいりました。こうした道路の協力団体の制度適用や道路法改正を活用し、御堂筋の空間再編を着実に進め、にぎわい創出を行うことにより、都心におけるさらなる都市魅力の向上を図ってまいります。 ○議長(広田和美君) 上田智隆君。 ◆55番(上田智隆君) ありがとうございます。 世界中を見渡しても、有名な大都市には、そこに誇れるような魅力のあるメインストリートがあると聞いております。御堂筋の地元の方々や民間団体も、この計画に前向きに取り組んでいると聞いています。ぜひとも、大阪の中心を南北に走る魅力的なメインストリートにしていただくよう要望しておきます。 次に、市立美術館のリニューアルについてお伺いします。 大阪市立美術館は80年を超える長い歴史のある美術館であり、館蔵品は、昭和11年の開館当時から現在まで市民や実業家から多く寄贈を受けています。寄贈品には葛飾北斎の「潮干狩図」など重要文化財も多数あり、館蔵品の内容は国立の美術館に次ぐほどの充実ぶりであります。まさに、大阪で活躍した先人たちがつくり上げ、市民に長年親しまれてきた大阪の誇るべき美術館であると言えます。寺社などから貴重な美術品も数多く寄託されており、その中には「金銀鍍透彫華籠」といった国宝も含まれており、日本をはじめアジアの古美術の収集、展示、継承の役割を期待される国内屈指の美術館でもあります。 しかし、歴史ある美術館であることから施設及び設備の老朽化は著しく、現代の美術館に求められている展示環境を整えているとは言えないのが現状ではないでしょうか。 一方、施設の構造上、特別展の開催に当たっては休館の上、展示替えを行わなければならず、年間200日の開館にとどまっていると聞いております。これでは、大阪の誇るべき財産である館蔵品の鑑賞の機会を、市民のみならず大阪を訪れる多数の外国人観光客にも十分に提供できていないのではないかと非常に残念に思っております。 この伝統ある美術館をリニューアルするに当たって、どのような美術館を目指すのか、市長の御所見をお伺いいたします。 ○議長(広田和美君) 松井市長。 ◎市長(松井一郎君) 市立美術館は、国立美術館に匹敵する世界レベルの館蔵品を有しており、日本を代表する美術館の一つであり、我々大阪市民の誇りでもあります。しかしながら、施設・設備の老朽化などにより、充実したこれらのコレクションの展示を十分にできないなど、美術館の持つポテンシャルが存分に発揮できていない状況にあることは非常に残念なことであると考えます。 そのため、年間300日程度開館するなど現代の美術館としてふさわしい展示環境とするよう、来年度から基本設計を開始し、2024年度中のリニューアルオープンを目指すものであります。 一方、大阪では2025年に万博が開催され、国の内外から一層多くの観光客が訪れることになります。市立美術館として、市民の皆様をはじめ大阪を訪れる人々に、今まで以上に大阪の財産であるすばらしい美術品を鑑賞できる機会を提供することで、新たな都市の魅力を創造、発信する天王寺・阿倍野エリアの拠点施設を目指してまいります。 ○議長(広田和美君) 上田智隆君。 ◆55番(上田智隆君) 次に、天王寺動物園の独法化についてお伺いいたします。 先月の戦略会議において、天王寺動物園の地方独立行政法人化の方針が決定されました。動物の高齢化や獣舎の老朽化が進むなど全国的に公立動物園を取り巻く環境が厳しくなる中で、将来の動物園運営を見据え、全国の公立動物園に先駆けて経営形態を変更する判断をされたことは非常に意義があることだと思います。 独法化するとなれば、動物園は大阪市の役所組織から独立し、園が自らの判断で効率的、効果的に動物園を運営していくことが可能となります。新たに設置される法人には、独法化のメリットを十分に生かし、ソフト・ハードの両面から動物園の魅力を一層高めていっていただきたいと思っています。 また、経営形態を変更したとしても、本市にとって動物園が貴重な施設であるということは変わりありません。独法化により、経営の自由度は高まるものの、動物園に対する考え方という根幹の部分については変わることのないよう、市として一貫した方向性を示し、設立団体としてしっかりと法人をリードし、サポートしていってもらいたいと思います。 今後、大阪市としてどのような動物園を目指していこうとしているのか、市長の御所見をお伺いいたします。 ○議長(広田和美君) 松井市長。 ◎市長(松井一郎君) 世界的に野生動物の入手が困難となる中で、今後も天王寺動物園が市民から末永く愛され続ける動物園であり続けるため、地方独立行政法人に経営形態を変える決断をしたところです。 独法化によって、動物に関する専門知識を有する人材を安定的に確保、育成しやすくなるとともに、動物園の実態に即した柔軟な予算執行が可能となることなどから、本市直営よりも人気動物や希少動物など動物を安定的に確保していくことが可能となります。こうした独法化のメリットを生かし、動物園の主役である動物のことを第一に考えた動物中心の園運営を推進することで、動物園として国際的なプレゼンスを高め、大都市大阪にふさわしい、国際社会に貢献し世界に誇れる動物園を目指してもらいたいと考えております。 動物園が10年先、20年先も持続可能な園運営を行っていくためにも、大阪市として法人設立など、目指すべき方向性を示した目標をしっかりと策定してまいります。 また、こうした公立動物園としての使命を果たしていく上で公費負担は必要となることから、安定的かつ魅力的な園運営の実現に必要となる財源についても、法人の設立団体として本市がしっかり措置してまいります。 ○議長(広田和美君) 上田智隆君。 ◆55番(上田智隆君) 動物園の独法化は全国初の事例ということで、国内の他の動物園からもその動向が注目されていることも踏まえ、市民の方はもちろん、国内外からの来園者が生き生きとした動物と出会える、今以上に魅力的な動物園となるよう、着実に準備を進めていただくようよろしくお願いいたします。 次に、天王寺・阿倍野エリアの魅力向上や活性化についてお伺いいたします。 天王寺・阿倍野エリアは、大阪の南の玄関口であり、天王寺動物園を核とした天王寺公園、寺社仏閣、ハルカスやキューズモールなどの商業施設などの文化・観光資源が密集したポテンシャルの高いエリアであります。このエリアの魅力や活気をさらに向上させるために、やはり天王寺公園がその中心的役割を担うことになると考えます。もっとも天王寺公園は、天王寺動物園において様々な改革に取り組まれ、入園者数も大幅に回復しています。 また、官民連携事業により、てんしばが整備され話題となるなど、ますます活気あふれ、天王寺・阿倍野エリアの活性化に貢献していると思います。 さらに、市立美術館については、地方独立行政法人による運営が始まり、改修工事が検討されているだけでなく、天王寺動物園の経営形態を地方独立行政法人化する方針が決定されたところです。 こうした天王寺公園における各施設の様々な取組は、天王寺・阿倍野エリアを牽引していくものと期待しております。 しかしながら、こうした施設ごとの取組は、ともすればおのおのの施設のことのみに着目してしまい、天王寺公園の一体性を希薄にする可能性があるのではないかと懸念しております。つまり、各施設の取組は天王寺公園の全体的な方向性を共有した上で行わなければならないし、そうすることで取組の効果が最大限に発揮され、天王寺公園としての魅力が増すものと思います。 天王寺公園の魅力を高め、ひいては天王寺・阿倍野エリアの魅力向上や活性化のエンジンとなるために、各施設で改革や事業を実施するとともに、天王寺公園を一体的にマネジメントすることが不可欠であると考えますが、市長の御所見をお伺いいたします。 ○議長(広田和美君) 松井市長。 ◎市長(松井一郎君) 天王寺・阿倍野エリアは、集客・観光の重要なエリアであり、天王寺公園はその天王寺・阿倍野エリアの核となる施設であると認識しています。 天王寺公園には年間150万人以上が訪れる動物園や、世界レベルの館蔵品を誇る美術館、茶室を構えた庭園である慶沢園、芝生広場が特徴のてんしばなど多様な施設があり、様々な新しい事業を実施してきました。今年度からは美術館を地方独立行政法人大阪市博物館機構の管理運営としており、動物園も地方独立行政法人に移行を予定しております。そこで、これらの各施設の魅力向上が公園全体としてさらに相乗効果を発揮できるように、地方独立行政法人や民間事業者などの管理運営主体で構成される協議会を設置するなど、引き続き行政が主体となって天王寺公園を一体的にマネジメントし、都市魅力創造戦略の下、文化・観光拠点として天王寺・阿倍野エリアの魅力向上を進めていきます。 ○議長(広田和美君) 上田智隆君。 ◆55番(上田智隆君) ありがとうございます。引き続き、市が主体となって一体的にマネジメントしていくとの市長の答弁をいただきました。 天王寺・阿倍野エリアはポテンシャルの高い地域であると思っております。歴史的価値のある建物や、まだまだ我々大阪市民の知らない場所もあると聞いております。世界各国から訪れる人々、そして国内から訪れる人にとっても本当に重要なエリアだと私は思っておりますので、相乗効果を含め、未来を見据えた活性化をお願いいたします。 次に、IR事業の公募についてお伺いいたします。 IRについては、大阪経済のさらなる成長を実現し、観光・経済振興の起爆剤になるものであり、その経済効果も非常に大きいことから早期に夢洲で実現すべきであり、我が会派としても誘致に向けた取組を強力に推進しているところであります。 府、市では昨年12月から事業者公募が開始されておりますが、資格審査の受付の結果、MGMとオリックスから成るグループの1者が参加資格を得たとのことです。両社については、早いタイミングからグループとして大阪への取組に専念されてきました。新聞報道では、関西企業を中心に幅広く出資を呼びかけているとも言われており、また、大阪で様々な広報戦略を展開してきております。 昨年のRFC等を踏まえて、事業者間でまさに熾烈な競争が生じ、結果としてMGMとオリックスはライバルを押しのけ、競争に打ち勝ったのではないかと考えています。事業者公募の応募者がMGMとオリックスの1者になったことに対してどのように受け止めているのか、改めてお伺いします。 また、競争性や提案内容の水準の確保についてどのように考えているのか、市長の御所見をお伺いいたします。 ○議長(広田和美君) 松井市長。 ◎市長(松井一郎君) 事業者公募への参加については、各事業者において、大阪の事業条件等に加え、日本のパートナーの確保や他の事業者との競争環境など、事業者サイドの様々な状況を踏まえて進出の判断をされたものと認識をしています。 議員御指摘のとおり、MGMとオリックスについては、早くからIR事業者と国内企業で強固なグループを形成の上、大阪ファースト、大阪オンリーの方針で様々な取組を展開されており、他の事業者の追随を許さなかったのではないかと考えます。 また、IRは民設民営の事業であって、事業者自らが資金を投じて事業の成功に向け魅力あるIRを実現されることに注力するものであり、また、区域認定に向けた都市間競争、さらには開業後は世界のIRとの国際競争も控えていることから、事業者の提案内容については、これらも踏まえた魅力あるものになると認識しています。 今後、4月頃に提案書の提出を受け、有識者等から成るIR事業者の選定委員会において提案内容を厳正に審査の上、6月頃に事業予定者を設定することとしております。 MGM・オリックスコンソーシアムにおいては、大阪府市が求めるIRを踏まえ、圧倒的な魅力を備えた世界最高水準の成長型IRを長期間にわたって実現できるようなすばらしい提案をいただけることを期待いたします。 ○議長(広田和美君) 上田智隆君。 ◆55番(上田智隆君) ありがとうございます。 私も、この大阪で行われますIR事業が世界最高水準の成長型IRであると期待している一人であります。ぜひとも前に進めていただくよう、よろしくお願いいたします。 次に、都構想の住民投票に向けた広報の充実についてお伺いいたします。 大阪維新の会は、住民から遠い市役所を身近な特別区に再編するとともに、広域と基礎自治の役割分担を明確にし、将来に向かって豊かな大阪を実現することができるのは大阪都構想しかないと考えています。 特別区設置協定書の完成と、その先に見据える住民投票に向け、一昨日の法定協議会でも特別区の名称の取扱いをどうするのかなど、議論は詰めの段階に入っているものと感じております。 都構想の是非については、府と市の縄張争いにより無駄な二重行政が行われ、そのポテンシャルを十分に発揮することができなかったかつての大阪のままにするのか、それとも自分たちの子供や孫、将来の世代に対して新しい大阪の自治の姿を示し、そして成長する大阪にチャレンジするのか否かを住民自らの判断で決めていただくことになります。 前回の住民投票では、様々な情報が錯綜し、市民の皆さんが冷静な判断をすることができなかったのではないかと考えており、我々としては、より多くの方が都構想について十分理解し、納得のいく形で投票所に足を運び、判断していただくことが重要であると考えます。 住民投票が近づくにつれ、維新の会はもちろん、市会のそれぞれの会派、また様々な団体が住民投票に向けた取組を進めることになると考えます。その一方で市長は、大都市法に基づき、市民の理解がさらに深まるよう、分かりやすい説明を丁寧に行うべきであると考えます。 住民投票には、法定協議会や府・市議会での協定書の可決といった手続が必要であることは理解しておりますが、今年の秋と言われる住民投票に向け、市長はどのような広報活動を行っていかれるのでしょうか。そして、市長として住民投票に最も適している投票日はいつと考えておられるのか、市長の御所見をお願いいたします。 ○議長(広田和美君) 松井市長。 ◎市長(松井一郎君) 特別区制度に関して、その必要性や内容、法定協議会における議論の状況など、住民の皆さんへ適時丁寧に分かりやすくお知らせしていくことが重要であり、この間、区の広報紙やホームページをはじめ、あらゆる媒体を使った広報に取り組んでおります。今後さらに、制度について、ホームページの充実や住民周知用のパンフレットなどを早期に作成するなど、住民の皆さんの関心を高め、理解を深めていく工夫を重ねます。 住民投票の実施が決まれば、大阪の将来の姿について住民の皆さんが正しく判断できるように、その内容を丁寧に説明した上で住民投票に臨み、都構想を実現できるように全力を尽くしてまいります。 また、投票日については、できるだけ多くの住民の皆さんに御判断いただくためにも、繁忙な年末ではなく、気候も比較的穏やかな11月初旬の実施がふさわしいと考えています。 都構想は、大阪の将来にわたる持続的な成長・発展の基盤となるものです。その実現に向け、最後まで全力を尽くしてまいります。 ○議長(広田和美君) 上田智隆君。 ◆55番(上田智隆君) ぜひとも、市民に分かりやすい説明をよろしくお願いいたします。 次に、特別区設置時における町名の検討についてお伺いいたします。 現在、特別区における町名については、法定協議会において一定の取扱いについて議論が行われておりますが、一定のルールに従うだけでは市民にとって分かりにくい名称になるのではないかとも考えています。大阪維新の会市議団では、特別区名についても幅広く市民の方からの意見を吸い上げ、多くの方から支持していただくことができるよう、東西区を淀川区に、南区を天王寺区に変更することについて法定協議会において提案したという実績もあります。 そこで、住民投票の後、特別区移行までの間に、より多くの方からの支持が得られるような町名となるよう、地域の声を反映する方法に関して検討する余地があるのではないかと考えていますが、市長の御所見をお伺いいたします。 ○議長(広田和美君) 松井市長。 ◎市長(松井一郎君) 町名を定めるに当たっては、住民の意見を反映することが重要であると認識しております。協定書案において、町の名称の取扱いについては「住民の意見を踏まえて市長が定める」と明記をしております。現在の行政区名については愛着を持っておられる住民の方が多いと思っているので、現在の行政区名を町名の前に挿入することを原則とし、繰り返しとなる場合や方位と混同される場合は現在の行政区名を挿入しないように考えております。 こうした内容を特別区制度案の取扱いルールに盛り込んでおり、住民投票の後、町名を公表する予定としております。そのため、住民投票の後、区長とともに住民の意見をどのように酌み取るべきかについて、聴取対象者や範囲、実施体制など、具体的な手法について幅広く検討してまいります。 ○議長(広田和美君) 上田智隆君。 ◆55番(上田智隆君) 最後に、今度の財政収支概算についてお伺いいたします。 先日公表された今後の財政収支概算は、市長の指示を契機として、他団体の例を参考にしつつ、国予算、地方財政計画や本市の実績等を勘案して試算の前提条件を変更したとのことです。変更された内容は、地方交付税と臨時財政対策債においては基準財政収入額と基準財政需要額の見込み方を変更し、そして、公債費においては想定金利の見直しをしたことの2点です。変更に伴う収支への影響は、10年間で335億円ほど通常収支が好転していますが、これは、これまでの粗い試算の粗い部分がより精緻化されたものと私は理解しております。今回の財政収支概算についてどう評価されているのか、市長の御所見をお伺いいたします。 ○議長(広田和美君) 松井市長。 ◎市長(松井一郎君) 今回の財政収支概算は、私からの指示に基づき、他団体の例などを参考に、一般財源や公債費の見込み方について直近の実績を踏まえ試算したもので、あくまで粗い試算なので粗い数字ではありますが、より現実、実態に近づけることができたと考えています。 この試算によると、2022年度には通常収支不足は一旦解消するものの、期間半ばには収支不足が生じる見込みで、その後、2026年度からは再び通常収支不足は解消するが、試算期間の終盤である2028年度以降は再び収支不足が生じる見込みとなっています。 また、そもそも試算には税収や交付税など種々の不確定要素を含んでいることから、依然として楽観視できない状況だと認識しています。前提条件を変更したことで私の任期中は収支見通しが厳しくなりましたが、そのような中でも、補填財源に依存することなく、収入の範囲内で予算を組むという財政運営の原則によりながら、住民サービスを拡充してまいります。すなわち、財政規律の確保と住民サービスの拡充の両立を通じて、将来にわたり活気ある豊かな大阪の実現を目指してまいります。 ○議長(広田和美君) 上田智隆君。 ◆55番(上田智隆君) 質問でも触れましたが、今回の見直しによって数値の精緻化が図られたと思っております。恣意的でも楽観的でもなく、地に足の着いた施策指数の作成は政策決定において大変重要なものであると考えております。様々な行政指数の作成に当たっても、実態に合わせた見直しを行っていくようお願いしておきます。 以上、各般にわたり質問させていただきました。詳細につきましては各常任委員会で議論させていただくことを申し上げ、私の質疑を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。少し時間が余りましたけれども、静かに終わらせていただきたいと思います。(拍手) ○議長(広田和美君) 以上で、上田智隆君の質疑は終了いたしました。 関係者の方々は自席にお戻り願います。 ○議長(広田和美君) これをもって質疑を終結いたします。 ○議長(広田和美君) ただいま議題となっております諸案件は、お手元に配付いたしております予算審査付託表のとおり、各常任委員会に付託いたします。 ○議長(広田和美君) 日程第37、議案第87号、令和元年度大阪市一般会計補正予算(第4回)ないし日程第53、議案第103号、天保山客船ターミナル整備等PFI事業契約締結についてを一括して議題といたします。 ○議長(広田和美君) 理事者の説明を求めます。 松井市長。     (市長松井一郎君登壇) ◎市長(松井一郎君) 本市定例会に追加提出をいたしました議案第87号ないし議案第103号のうち、まず、議案第87号ないし議案第94号の補正予算案並びに関連案件について、その概要を説明させていただきます。 今回の補正予算は、国の補正等に伴う事業費の追加をするほか、予算の執行状況を精査して不用額の圧縮に取り組み、事業費、人件費の減額を行うなど所要の補正を行うこととしております。このほか、市税の追加等により収支全体が改善される見込みであることから、財政調整基金の取崩しを一部中止するとともに、今後、財政収支状況も踏まえて公債償還基金への積立て等を行うこととしております。 まず、一般会計においては、総じて174億6,567万5,000円の追加となっています。この主な財源内訳につきましては、収入状況を勘案し、個人市民税及び法人市民税について合わせて200億円増額するとともに、地方交付税等については、地方交付税を55億2,900万円、臨時財政対策債71億5,400万円をそれぞれ増額しております。また、教育振興基金や財政調整基金など繰入金を209億4,679万7,000円減額するほか、歳出の増減に連動して国庫支出金等において所要の補正を行うこととしております。 次に、特別会計については、食肉市場事業会計で17億2,300万円、駐車場事業会計で1億1,297万8,000円、国民健康保険事業会計で34億8,128万9,000円、心身障害者扶養共済事業会計で517万8,000円、介護保険事業会計で39億5,671万円をそれぞれ追加するほか、公債費会計において所要の補正を376億291万円計上しております。これらを合わせた補正予算総額は643億4,774万円となり、会計間の重複を控除した純計額は267億4,483万円の追加となっております。 なお、繰越明許費の補正といたしましては、一般会計において土木事業などで683億4,403万2,000円を、食肉市場事業会計において17億2,300万円をそれぞれ計上しています。 次に、補正予算の概要ですが、まず、国の補正等に伴う事業費の追加として総じて378億8,300万円を追加することとしておりますが、その内訳といたしまして、淀川左岸線2期事業に189億6,800万円、学校施設の環境整備に153億9,100万円を追加するほか、食肉市場事業会計において、HACCPの義務化等に向けた南港市場の整備として17億2,300万円を追加いたしております。 また、うめきた2期区域基盤整備として11億3,000万円を、個人番号カード等交付関連経費として4億7,800万円を、なにわ筋線事業として1億9,300万円をそれぞれ追加する一方で、元年度予算の執行状況の精査等による不用額圧縮の取組として、一般会計において367億6,900万円を減額いたします。 このほか、国民健康保険事業会計において、保険給付費を12億2,800万円追加するとともに、国民健康保険事業費納付等準備基金を創設し、22億5,300万円を積み上げることとしております。 また、介護保険事業会計において、還付金を3億4,300万円追加するとともに、介護給付費準備基金の積立てとして36億1,400万円を積み立てるほか、心身障害者扶養共済事業会計においては納付費を500万円追加することとしております。 このほか、南海トラフ巨大地震に対する耐震対策を円滑に推進するために、国庫支出金の減額相当分を市債の追加発行で補う歳入の補正を行うほか、公債償還基金への積立てとして、元年度の収支改善分を活用し、阿倍野再開発事業に係る公債費負担の平準化を図ることとして144億6,200万円を、また、介護老人保健施設の民間移管に伴う市債の償還準備金として76億7,800万円を、駐車場事業会計の平成30年度決算剰余金1億1,300万円をそれぞれ積み立てる一方、大阪市住宅供給公社貸付金に係る市債の償還準備金については、44億9,500万円を減額いたします。 このほか、財政調整基金への積立てとして、一般会計の平成30年度決算剰余金4億2,900万円を積み立てることといたしました。 続きまして、一般議案でありますが、議案第95号は、市長等の本市に対する損害賠償責任の一部を免責することとするために条例の制定をするものでございます。 議案第96号は、地方自治法の一部改正に伴い規定を整備するために、市長の専決処分事項に係る条例ほか3条例を一部改正するものでございます。 議案第97号ないし議案第99号の3件は、地方独立行政法人大阪健康安全基盤研究所公立大学法人大阪地方独立行政法人大阪産業技術研究所の各法人について、それぞれ役員等の当該法人に対する損害賠償責任最低責任限度額を定めるために大阪府と協議する必要があるので、議会の議決を求めるものであります。 議案第100号は、本市が設立した地方独立行政法人の役員等の当該法人に対する損害賠償責任最低責任限度額を定めるために、条例の制定をするものでございます。 議案第101号は、印鑑の登録を受けることができない者の範囲を改めるために条例の一部を改正するものでございます。 議案第102号は、住民基本台帳カードの利用登録を受けることができる者の範囲を改めるために条例の一部を改正するものであります。 議案第103号は、天保山客船ターミナル整備等PFI事業契約を締結するために議会の議決を求めるものであります。 以上、案件の概略を説明申し上げました。何とぞ御審議のほどよろしくお願いをいたします。 ○議長(広田和美君) ただいま議題となっております諸案件は、お手元に配付いたしております審査付託表のとおり、各常任委員会に付託いたします。 △閉議 ○議長(広田和美君) 本日の日程は以上で終了いたしました。 △散会 ○議長(広田和美君) 本日はこれをもって散会いたします。     午後4時20分散会    ---------------------------------          大阪市会議長          広田和美(印)          大阪市会議員          山本長助(印)          大阪市会議員          山中智子(印)◯大阪市会(定例会)会議録(令和2年2月28日)(終)...