大阪市議会 2018-02-28
02月28日-03号
平成30年第1回定例会(平成30年2・3月)◯大阪市会(定例会)会議録(平成30年2月28日)
◯議事日程 平成30年2月28日午前10時開議第1 議案第35号 平成30年度大阪市
一般会計予算第2 議案第36号 平成30年度大阪市
食肉市場事業会計予算第3 議案第37号 平成30年度大阪市
駐車場事業会計予算第4 議案第38号 平成30年度大阪市
母子父子寡婦福祉貸付資金会計予算第5 議案第39号 平成30年度大阪市
国民健康保険事業会計予算第6 議案第40号 平成30年度大阪市
心身障害者扶養共済事業会計予算第7 議案第41号 平成30年度大阪市
介護保険事業会計予算第8 議案第42号 平成30年度大阪市
後期高齢者医療事業会計予算第9 議案第43号 平成30年度大阪市
中央卸売市場事業会計予算第10 議案第44号 平成30年度大阪市
港営事業会計予算第11 議案第45号 平成30年度大阪市
下水道事業会計予算第12 議案第46号 平成30年度大阪市
水道事業会計予算第13 議案第47号 平成30年度大阪市
工業用水道事業会計予算第14 議案第48号 平成30年度大阪市
公債費会計予算第15 議案第49号 平成30年度大阪市西町外15財産区予算第16 議案第50号 一般職の任期付職員の採用及び給与の特例に関する条例の特例に関する条例案第17 議案第51号 職員の給与に関する条例の特例に関する条例案第18 議案第52号 大阪市
職員定数条例の一部を改正する条例案第19 議案第53号 職員の育児休業等に関する条例の一部を改正する条例案第20 議案第54号 職員の給与に関する条例の一部を改正する条例案第21 議案第55号 特定大規模災害等に対処するための作業に従事する消防職員の
特殊勤務手当に関する条例案第22 議案第56号 職員の退職手当に関する条例の一部を改正する条例案第23 議案第57号
包括外部監査契約の締結について第24 議案第58号
教育委員会所管の学校の教員等の
特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例案第25 議案第59号
大阪市立学校の授業料等及び幼稚園の使用料に関する条例の一部を改正する条例案第26 議案第60号
大阪市立児童福祉施設条例の一部を改正する条例案第27 議案第61号 大阪市
介護保険条例の一部を改正する条例案第28 議案第62号 大阪市
国民健康保険条例の一部を改正する条例案第29 議案第63号 大阪市
動物愛護管理施策推進基金条例案第30 議案第64号 大阪市環境衛生、医事及び
薬事関係手数料条例の一部を改正する条例案第31 議案第65号 大阪市
国際戦略総合特別区域における産業集積の促進及び産業の国際競争力の強化に係る事業計画の認定並びに法人の市民税、固定資産税、事業所税及び都市計画税の課税の特例に関する条例の一部を改正する条例案第32 議案第66号 大阪市
道路占用料条例の一部を改正する条例案第33 議案第67号 大阪市下水道条例の一部を改正する条例案第34 議案第68号 大阪市公園条例の一部を改正する条例案第35 議案第69号 大阪市
港湾施設条例の一部を改正する条例案第36 議案第70号 大阪市
海浜施設条例の一部を改正する条例案第37 議案第71号
舞洲ヘリポート条例の一部を改正する等の条例案第38 議案第72号 企業職員の給与の種類及び基準に関する条例の一部を改正する条例案
---------------------------------◯出席議員83人(欠は欠席者) 1番 こはら孝志君 2番 前田和彦君 3番 福田武洋君 4番 杉山幹人君 5番 宮脇 希君 6番 岡田妥知君 7番 高山美佳君 8番 武 直樹君 9番 岸本 栄君 10番 梅園 周君 11番 永田典子君 12番 永井広幸君 13番 則清ナヲミ君 14番 山本智子君 15番 藤岡寛和君 16番 佐々木りえ君 17番 高見 亮君 18番 金子恵美君 19番 徳田 勝君 20番 奥野康俊君 21番 川嶋広稔君 22番 太田晶也君 23番 荒木 肇君 24番 山本長助君 欠 25番 岩崎けんた君 26番 小川陽太君 27番 井上 浩君 28番 尾上康雄君 29番 寺戸月美君 30番 永井啓介君 31番
森山よしひさ君 32番 西川ひろじ君 33番 北野妙子君 欠 34番 有本純子君 35番 市位謙太君 36番 守島 正君 37番 飯田哲史君 38番 今井アツシ君 39番 藤田あきら君 40番 竹下 隆君 41番 上田智隆君 42番 不破忠幸君 43番 土岐恭生君 44番 西崎照明君 45番 島田まり君 46番 西 徳人君 47番 山田正和君 48番 佐々木哲夫君 49番 辻 義隆君 50番 八尾 進君 51番 明石直樹君 52番 杉田忠裕君 53番 高山 仁君 54番 金沢一博君 55番 前田修身君 56番 小笹正博君 57番 伊藤良夏君 58番 杉村幸太郎君 59番 大橋一隆君 60番 ホンダリエ君 61番 丹野壮治君 62番 出雲輝英君 63番 岡崎 太君 64番 田辺信広君 65番 片山一歩君 66番 高野伸生君 67番 木下吉信君 68番 足高將司君 69番 多賀谷俊史君 70番 荒木幹男君 71番 床田正勝君 72番 黒田當士君 73番 加藤仁子君 74番 江川 繁君 75番 瀬戸一正君 76番 山中智子君 77番 新田 孝君 欠 78番 改発康秀君 79番 大内啓治君 80番 辻 淳子君 81番 東 貴之君 82番 木下 誠君 83番 山下昌彦君 84番 広田和美君 85番 角谷庄一君 86番 井戸正利君
---------------------------------◯職務のため出席した事務局職員
市会事務局長 松本高秋 次長 巽 功一
議事担当課長 西 正道
議事担当課長代理 竹田幸二
議事担当係長 西山 清
---------------------------------◯議場に出席した執行機関及び説明員 市長 吉村洋文 副市長 田中清剛 副市長 中尾寛志 副市長 鍵田 剛 住之江区長 西原 昇 中央区長 田端尚伸 西淀川区長 塩屋幸男 副
首都推進局長 手向健二
市政改革室長 羽東良紘
ICT戦略室長 田畑龍生 人事室長 中村一男
都市交通局長 角田悟史
政策企画室長 黒住兼久 危機管理監 藤原正樹
経済戦略局長 柏木陸照
IR推進局理事 井上 亮 総務局長 上田隆昭 市民局長 谷川友彦 財政局長 稲森隆司
契約管財局長 松元基泰
都市計画局長 川田 均 福祉局長 諫山保次郎 健康局長 甲田伸一
こども青少年局長 内本美奈子 環境局長 北辻卓也
都市整備局長 國松弘一 建設局長 永井文博 港湾局長 藪内 弘 会計管理者兼会計室長 東山 潔 消防局長 藤井茂樹
交通局経営管理本部長 西口 進 水道局長 河谷幸生
教育委員会教育長 山本晋次
行政委員会事務局長 小川英明 ---------------------------------
△開議 平成30年2月28日午前10時開議
○議長(山下昌彦君) これより
市会定例会会議を開きます。 本日の
会議録署名者を寺戸月美君、武直樹君の御両君にお願いいたします。
○議長(山下昌彦君) これより議事に入ります。
○議長(山下昌彦君) 日程第1、議案第35号、平成30年度大阪市
一般会計予算ないし日程第38、議案第72号、企業職員の給与の種類及び基準に関する条例の一部を改正する条例案を一括して議題といたします。
○議長(山下昌彦君) これより質疑に入ります。 今井アツシ君の質疑を許します。 38番今井アツシ君。 (38番今井アツシ君登壇)
◆38番(今井アツシ君) 私は、大阪維新の会大阪市会議員団を代表いたしまして、平成30年度大阪市予算案並びに関係諸案件について質問してまいります。 さきの予算案の説明では、平成30年度においても将来世代に負担を先送りすることのないよう収入の範囲内で予算を組むことを原則とし、限られた財源の中で選択と集中を行い、子供の教育、生活環境、子育て環境の充実を初め、大阪の成長に向けた
都市インフラの充実、都市魅力の向上など将来に必要な投資を進めるとのことであります。 また、必要な投資を行いつつも借金はしっかりとコントロールするなど財政規律は堅持されており、市債残高についても、ピーク時には5兆円強だったものも、
地下鉄民営化の効果もあり、30年度末にはついに4兆円を切る見込みとのことで、まさに政策推進と市政改革を両立させてきたと大いに評価しております。 府市の連携を振り返ってみても、府市統合本部で議論されていた経営形態の見直し、府市で類似、重複している
行政サービスの整理など、大きな成果が生み出されてきました。 橋下市政・松井府政、吉村市政・
松井府政改革によって大阪の政治行政は大きく前に進んできました。大阪府と大阪市が力を一つに合わせれば大きな価値を生み出していけるということが証明されてきたこの数年間だったと感じています。ただ、橋下前市長・松井知事、吉村市長・松井知事というある種の属人的な人間関係によって、いわばバーチャル都構想とも言える歴史上稀有な極めて特殊な状況下にあったがゆえに、これだけの成果を生み出してこられたのだとも言われております。制度として未来永劫二重行政を生み出すことのない確固たる都構想の実現をしなければ、いつ何どき再び二重行政、府市合わせ(不幸せ)の惨禍にさいなまれることになるやもしれません。 そこでまず、大阪都構想の必要性について吉村市長の見解を伺いたいと思います。 1月下旬の新聞報道で、橋下前市長が大阪都構想の住民投票について、「無理してやらないほうがいい」と述べたという報道がございました。その記事によりますと、今の状況で都構想の必要性が市民にうまく伝わっていないとのことでした。一方で市長は、この間の会見や議会、法定協議会において、「本年秋の住民投票を目指す」と述べられております。我が会派としても、特別区の設置に向けて議会や法定協議会で前向きに議論を重ねてまいりました。 いま一度、市長にお聞きしたいのですが、本年秋に住民投票を実施したいという考えに変わりはないのでしょうか。また、本年秋に住民投票を目指す意義をお伺いいたします。
○議長(山下昌彦君) 理事者の答弁を許します。 吉村市長。 (
市長吉村洋文君登壇)
◎市長(吉村洋文君) まず、現在の日本の国家構造を見たときに完全に東京一極集中になってますが、僕はこれは日本にとって大きなリスクだと思っています。もう一つ軸になる都市、この日本を引っ張るような都市が必要だと思っています。それがまさに、ポテンシャルを有してる大阪がその役割を担うべきだと僕は思っております。そういった大阪を目指すべきだというのが僕の考えです。 そういった都市になるためにも、大阪市と大阪府の広域の仕事については一つにし、戦略を迅速に決定できる仕組み、広域を制度的に一元化することが必要だと思っていますし、住民に身近なところで決定できる基礎自治体を設置する特別区制度が僕は大阪にとってふさわしい制度、新たな大都市制度だと思っています。これは市長として公約に掲げたことですから、これを任期中に実現させることが政治家として僕に課せられた役割だと思っています。まさに、自分の公約を信じて自分に1票を投じてくれた人がいて、そして今の自分がいるという状況です。僕がもしやらないとなれば、1票を投じた人からすればこれはまさに政治不信に陥りますし、政治に対する信用というのが一挙に崩壊するというふうに思っています。 何より、僕自身も大阪の成長、発展を実現させたいという思いで政治をやっていますし、そのためには新たな
大都市制度改革が必要だと考えています。ですので、僕の任期中、さまざまな
政治スケジュールを考えると、ことしの秋に特別区設置の可否を判断する、市民の皆さんに問う住民投票を必ずなし遂げたいと思います。
○議長(山下昌彦君) 今井アツシ君。 (38番今井アツシ君登壇)
◆38番(今井アツシ君) 市長の決意、しっかりと受けとめました。 秋に住民投票の実現を目指すということであれば、行政としても住民理解の促進に取り組まなければなりません。行政からの大都市制度に係る広報は、一般の市民の方にとってみれば非常にわかりにくいものです。文字や数字ばかりの説明では、広く市民の皆様に関心を高めていただくことは困難であります。市民目線のわかりやすい大都市制度の広報を行っていく必要があるのではないでしょうか。そのためにも民間のノウハウを活用していくべきだと考えますが、市長の御所見をお伺いいたします。
○議長(山下昌彦君) 吉村市長。 (
市長吉村洋文君登壇)
◎市長(吉村洋文君) まさに
大都市制度改革についての
必要性--総合区、特別区両制度については将来の大阪のあり方にかかわる内容でありまして、住民にとって非常に重要なことであります。住民の皆さんの理解を得るために丁寧な説明が求められると思っています。そのため、住民説明会の開催も実施してきましたが、総合区、特別区に関する広報紙をあわせて発行もしているところです。 また、私自身も、みずから24区長に対して、区の広報紙にわかりやすい内容で毎月継続的に大都市制度の記事を掲載することを改めて指示したところでありますし、制度、素案の説明に努めているところであります。 そうした大都市制度の広報や説明に当たっては、そのわかりやすさを実現するに当たりまして、議員御指摘の
民間ノウハウの活用というのは大変効果があると思っています。大阪市として、より効果的な広報活動の推進について専門的な見地からの助言をいただくべく、デザインや表現力の向上が必要だと思っています。そのために、広報に造詣の深い民間の専門家の方2人に特別参与としての委嘱を政策企画室において予定しています。大都市制度の広報についても、民間の広報専門家である特別参与の助言を生かしながら、市民の皆さんの関心が高まり、理解が深まる工夫をした広報活動を展開していきたいと思っています。
○議長(山下昌彦君) 今井アツシ君。 (38番今井アツシ君登壇)
◆38番(今井アツシ君) ぜひとも、理解が促進されるように取り組みを進めていただきたいと思います。 特別区設置に伴う
イニシャルコスト、
ランニングコスト、そして設置コストが加味された
財政シミュレーションが議会議論や報道でも取り上げられる機会が多くなっております。
イニシャルコストの中でも多くを占めているのは
庁舎整備関連のコストです。今の時代、わざわざ行政が丸抱えで全部整備するという発想は古いと考えております。例えば渋谷区では、公募で選ばれた
事業者グループが渋谷区役所と渋谷公会堂の敷地のうち4,565平米に70年の定期借地権を設定し、その権利金211億円によって区の建設費負担ゼロで新庁舎と新公会堂が整備される計画であります。また、全国ではPFI手法による庁舎整備も進んできております。特別区設置によって、創意工夫次第でこのようにコストの削減や価値の創出に現行体制よりもスピード感を持って取り組むことができるようになると考えます。
財政シミュレーションは、あくまで一定の条件に基づいた試算を行って、財政的に成り立つかどうかを判断するための一つの材料です。都構想をめぐるコスト論について、市長の御所見をお伺いいたします。
○議長(山下昌彦君) 吉村市長。 (
市長吉村洋文君登壇)
◎市長(吉村洋文君) 都構想については、自治体の新たな再編であり、先ほど私が申し上げた大きな目標を達成するものです。そのためにコストはかかります。僕は、コストがかかるということを正面から訴えていきたいと思います。 そして、特別区設置に関する庁舎整備の経費ですけども、現在の案では、一定の条件を設定して試算して、一定の幅を持ってお示ししたものです。あわせて、具体的な整備を行うに当たっては、新庁舎の建設とか民間ビルの賃借を柔軟に組み合わせて整備を図るものとするということを基本的な考え方として素案に示しているところです。 民間の資本、能力を活用しました庁舎整備につきましては、議員御指摘のとおり、他都市においては複数行われているところであります。現時点では
庁舎設置場所や庁舎の整備手法といった具体的な想定は行っていませんけれども、特別区設置に伴う庁舎整備に当たっては、民間資金やノウハウの活用も含め、コスト抑制の観点を引き続き重視していきたいと思います。
○議長(山下昌彦君) 今井アツシ君。 (38番今井アツシ君登壇)
◆38番(今井アツシ君) 我々としても、コストと価値、投資効果について議論を進めてまいりたいと考えております。そのため、市長が提案されていた民間事業者を活用した新たな大都市制度の導入による経済効果の算出は、客観的なエビデンスとして議論に有用なものであり、市民の皆さんにとってわかりやすい判断材料の一つとなりますので、ぜひ取り組みを進めていただきたいと考えております。 次に、大阪の成長戦略についてお伺いいたします。 橋下市政・松井府政、吉村市政・
松井府政改革で顕著に成果があらわれている分野として観光があげられます。
橋下市長就任時は158万人、
吉村市長就任時は716万人の来
阪外国人旅行者が、今や昨年1年間で1,111万人となっております。アメリカの
大手クレジットカード会社が世界の主要132都市を対象に行った2017年度
世界渡航先ランキングによると、大阪は急
成長渡航先ランキングで2年連続世界1位に輝いたほどです。実際、大阪における宿泊施設の客室稼働率は80%を超え、2014年度から3年連続全国で1位となっているほか、百貨店協会によると、全国の百貨店の2017年の売り上げが前年比0.1%増にとどまっているのに対して大阪は6.6%増と好調で、
月間売り上げでは本年1月まで13カ月連続で前年を上回っている状況です。また、
大手銀行系民間シンクタンクの調査によると、関西における2017年の
インバウンド観光消費は1兆円を超え、そのうち大阪における消費は8,700億円以上にも上っております。大阪が突出して伸びているということがおわかりいただけると思います。 これからも大阪の経済成長を促進していくためにも、観光客の量をふやす取り組みとともに、1人当たりの観光消費を上げる質を高め、より高い観光消費を生み出すような取り組みが重要ではないかと考えます。 今後は、IRや万博といった大きなチャンスもめぐってきております。さらなる来
阪外国人旅行者の量に関する目標値の上方修正と、質を高めるためのより一層の取り組みの強化が必要と考えますが、市長の御所見をお伺いいたします。
○議長(山下昌彦君) 吉村市長。 (
市長吉村洋文君登壇)
◎市長(吉村洋文君) 近年、大阪を訪れます外国人の旅行者の方は急増しておりまして、平成29年に大阪を訪れた外国人の旅行者数は、前年を18%上回ります1,111万人に達しました。5年連続で過去最高を更新しているところです。これは、LCCの増便を初めとしまして、円安やビザの緩和といった外部的な要因といった追い風もありますけれども、大阪観光局を初めとして官民を挙げた観光振興の取り組みの成果のあらわれでもあると思っています。 平成32年の来阪外国人の旅行者数の目標として掲げました1,300万人につきましては、有識者会議を経て大阪府市で策定した
大阪都市魅力創造戦略2020において定めたものであります。前倒しで達成ということになりましたら目標の見直しも検討していきたいと思いますが、現時点では、まずは目標達成に向けた取り組みの推進に努めていきます。 今、大阪は、先ほど御紹介もありましたが、急
成長渡航先ランキングで
世界ナンバーワンに選ばれるといったような状況でありまして、世界中から注目を集めています。ラグビーのワールドカップや
東京オリンピック・パラリンピックといった
国際イベントも間近に控えています。現在の
外国人旅行者による好調な状況を一過性に終わらせることなく、持続的な経済成長につなげていく必要があります。これまで以上に大阪の都市魅力を高めて
受け入れ環境の整備に努めるとともに、議員がおっしゃったように、大阪の経済を活性化して継続的な発展を目指すためにも、観光客の数だけではなくて、観光の消費のさらなる拡大に向けた取り組みを進めていかなきゃいけないと思っています。 例えばですけれども、大阪観光局の外国人の夜間の動向調査によれば、東京の新宿区における
外国人観光客の夜間の活動時間が大阪市よりも2時間ぐらい長くなっています。大阪市においても、
外国人旅行者が夜間に安心して楽しめるように、大阪観光局が推薦する店舗を認証したり、あるいは
外国人旅行者に重点的に情報発信をするといったような新たな取り組みをして、
外国人旅行者の大阪における夜間の消費の拡大を図る取り組み、ナイトエンターテインメント、そこを拡充していくことがさらなる消費の拡大につながると思っています。 今後とも、大阪府や大阪観光局を初め官民一体となった取り組みを着実に重ねて、観光客の量をふやすだけじゃなくて観光消費を上げるといった質を高める取り組みを進めて、大阪全体の活性化につなげていきたいと思っています。
○議長(山下昌彦君) 今井アツシ君。 (38番今井アツシ君登壇)
◆38番(今井アツシ君) 先日、日本で初めてのG20首脳会議が2019年に大阪で開催されることが決定いたしました。さまざまな新聞報道が流れて、直前までどこで開催されるのかやきもきしましたが、最終的に大阪に決定したことは大変うれしく思っております。 市長は、昨年11月のパリ出張に際しても、その行程に合わせて2017年G20サミットの開催地である姉妹都市ハンブルクに立ち寄られ、ハンブルク市長との面談等を通じて開催実績を研究されるなど、その地道な努力が誘致実現に結びついたものだと思います。 大阪に決まった勝因としては、空港やホテルなどの
都市インフラの充実などがあると思われますが、大阪市と大阪府が共同で取り組んだという要因も見逃せないのではないでしょうか。単独の自治体ではなし得ないようなビッグプロジェクトが府市の力を合わせると成就するという典型的な事例ではないかと思います。 市長は、今回G20サミットをかち取った勝因は何だと認識しておられるでしょうか、お答えください。
○議長(山下昌彦君) 吉村市長。 (
市長吉村洋文君登壇)
◎市長(吉村洋文君) G20の開催決定につきましては、今月の20日に菅官房長官から直接、大阪の開催ということのお電話をいただきました。大阪が開催可能都市として評価されたことは非常にうれしく思っていますし、成功に向けて身を引き締めて取り組んでいきたいと思っています。 僕自身も、ハンブルクを訪問しましてハンブルク市長と面談を行いましたが、その中でこのG20を行うことの絶大な効果というのを実際に聞き、肌で感じたところであります。その際も、誘致に向けた取り組みという思いをさらに強くしたところです。 勝因についてですが、1995年のAPEC開催の実績もありますし、それからホテルのクオリティーや客室の数、空港、道路、警備といった総合的な都市力が評価されたのが一番だというふうに思っています。あわせて、議員の御指摘にもありますけども、他の候補都市である福岡市あるいは愛知県と異なりまして、大阪は大阪府市一体になって申請をしていたところです。警察については大阪府が管理しますが、インテックスについては大阪市が管理する。さまざまな大阪市、大阪府の力関係がある中で、府市一体となって取り組んだことというのは国に対して大きなインパクトになっているというふうに思っています。 今後、府、市、経済界により、準備に携わる組織としまして2019G20大阪サミット関西推進協力協議会を早急に立ち上げまして、50人規模の事務局を設置し、日本初の開催になりますG20サミットの大阪での成功に向けて全力で取り組んでいきます。
○議長(山下昌彦君) 今井アツシ君。 (38番今井アツシ君登壇)
◆38番(今井アツシ君) ぜひ、成功に向けて取り組みを進めていただきたいと思います。 次に、万博の誘致についてお尋ねをさせていただきます。 先日、フランスが正式に誘致レースから撤退したということで、日本が有利になったという報道もなされております。立候補国が4カ国から3カ国になったとはいえ、ロシア、アゼルバイジャンはともに強力なライバルであり、気を抜くことは許されません。 そして、いよいよBIEの視察団が大阪を訪れると聞いております。今回の調査は、万博開催決定までのスケジュールの中でも、BIE総会等でのプレゼンテーションや海外各国への働きかけと同様に重要なポイントであると認識をしております。ぜひともこの機会を捉えて大阪の魅力をアピールしてほしいと思いますが、市長としてどのような心構えで視察団を受け入れるのでしょうか。 また、開催国が決定することしの11月に向けて、これからさらに誘致競争が激化していくことが予想されます。最近の万博賛同者数の伸びなど国内機運も高まってきているとはいえ、万博の意義をもっとわかりやすく伝えていくなど、国内機運醸成の取り組みをさらに拡大させていく必要があります。 市長は今後の誘致活動をどのように展開していこうとお考えか、誘致実現に向けた所見をお尋ねいたします。
○議長(山下昌彦君) 吉村市長。 (
市長吉村洋文君登壇)
◎市長(吉村洋文君) 2025万博に向けましては、フランスが辞退しまして競争相手がロシア、アゼルバイジャンの2カ国になりましたが、いずれも強敵でありまして、熾烈な競争を勝ち抜いていかなきゃならないというふうに思っています。まずは、3月来日のBIE調査団の視察では、地元の自治体としまして、市民の盛り上がり、それからまちの装飾の両面において大阪でのホスピタリティーというのを十分に感じていただける、そういったお迎えをしたいと思います。全市を挙げての万全の体制でお迎えをしていきたいと思っています。 国内の機運についてですけども、万博の賛同者数が既に過去の愛知万博の賛同者数の70万人を上回るという、そういった機運も高まってきている状況です。多くの市民の皆さんからいただいた署名を初めとしまして、BIE調査団に地元の思いというのを伝えていきたいと思っています。 今後の誘致活動については、まず、6月のBIE総会が実質的には最後のプレゼンになりますから、非常に重要です。国や経済界と連携してしっかりとアピールをしていきます。 各国への働きかけについても、アフリカ、中南米といった重要地域に加えまして、フランスが辞退されましたのでヨーロッパ圏への働きかけも重要になってきます。さらに、国内の機運につきましても、今後は日本全国へとPRを広げて、賛同者数もさらに拡大していきたいと思っています。万博の意義や効用をより深く伝えるために、子供向けにわかりやすく解説したチラシとか広報ツールの作成や、幅広い世代を対象にしたイベントなども行っていきたいと思っています。 また、過日、超党派で設立していただきました大阪市会2025大阪万国博覧会誘致推進議員連盟との協力も非常に重要になります。ぜひ皆さんと一緒に取り組んでいきたいと思います。 先日、府市で誘致に取り組んでいましたG20サミットの大阪開催が決定しまして、これも万博誘致について大きな弾みになったというふうに思います。今後も知事と僕と一体になって地元大阪を盛り上げていきたいと思いますし、国、経済界、それから議員連盟の皆さんとともに最後まで誘致活動に取り組んで、2025万博の大阪開催をかち取りたいと思いますので、よろしくお願いします。
○議長(山下昌彦君) 今井アツシ君。 (38番今井アツシ君登壇)
◆38番(今井アツシ君) 我々も、大阪市会の万博議連の皆様とも協力しながら取り組みを進めていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。 次に、IR誘致についてお尋ねします。 新聞報道によると、アメリカMGM社ジェームス・ムーレン会長は、IR開発によって関連産業も含めて最大約4万人の雇用が生み出されるとの考えを明らかにしています。また、条件が整えば最大1兆円規模の投資になると、これも明らかにしております。昨年7月にはウィン・リゾーツ社、10月にはラスベガス・サンズ社、本年2月6日にはMGM社が大阪夢洲での統合型リゾート開発計画などについて発表を行ったという報道がなされ、盛り上がりを見せております。大阪の魅力を事業者サイドが高く評価し、事業者同士の競争が進みクオリティーの高い世界レベルの統合型リゾートが誕生することは、国際観光都市大阪を目指す上では好材料です。 IRは民間の大きな投資を呼び込むものであり、その経済効果や雇用創出効果は非常に大きく、大阪経済をさらに前進させるためにも重要な起爆剤となります。 その一方で、政府が示したIR制度の原案によると、ゲーミング面積の制限やマイナンバーカードの提示、入場回数制限など、事業への投資抑制につながりかねないようなことが報道されております。 実施法案は近いうちに国会に上程され審議される予定でありますが、改めて、IR誘致に向けたスケジュール感と市長のお考えをお伺いいたします。
○議長(山下昌彦君) 吉村市長。 (
市長吉村洋文君登壇)
◎市長(吉村洋文君) 昨年度の2016年12月に成立、施行しましたIR推進法におきましては、施行後1年以内を目途として、必要となる法制上の措置を講ずることとされています。今通常国会にIR実施法案が上程される見込みだというふうに考えています。IR実施法が今国会において成立して速やかに国の基本方針等が策定されましたら、その後、事業者の公募の手続を行いまして、国からの区域認定を得て2024年度にはIRが開業できるものと考えています。 来年度につきましては、国の動向を踏まえながら事業者公募や区域認定申請に向けた準備を行います。それにあわせて、さらなる市民理解の促進を図っていくために、市民の興味、関心に応じた戦略的な情報発信に取り組んでいきます。 また、ギャンブル等依存症対策につきましては、いち早く予防教育、啓発活動に取り組むとともに、全国をリードします依存症対策、大阪モデルを構築していきたいと考えています。 IR推進法成立以降、多くの海外事業者に訪問いただいています。僕自身も知事とともに対応しているところです。今後、国における法整備が進めば、事業者自身の検討も具体化して、事業者募集の際には民間の創意工夫に富んだすばらしい提案をいただけると確信しています。 事業者の投資意欲を十分に引き出して、国際競争力の高い世界第一級のIRを大阪に実現したいと思っています。そのためにも、規制とIRの事業性というのを総合的に勘案した、均衡のとれた制度設計が必要だと考えています。広大な夢洲の立地を生かしました大阪、関西の持続的な経済成長のエンジンとなります魅力ある世界最高水準の成長型のIR、世界の富裕層を呼び込むような成長型のIRをぜひ早期に実現したいと思っています。
○議長(山下昌彦君) 今井アツシ君。 (38番今井アツシ君登壇)
◆38番(今井アツシ君) 次に、大阪港へのクルーズ客船の誘致についてお伺いします。 クルーズ客船の誘致では、これまでも入港に係る港湾施設の使用料を思い切って全額免除とするインセンティブの導入や、大型船も寄港が可能となるような天保山岸壁の施設整備等に取り組んできております。 ただ、天保山客船ターミナル整備については、民間資金を活用するPFI事業として整備事業者を公募したものの、残念ながら事業者選定に至らなかったと聞いております。改めて、民間活力を有効に生かす観点で整備を進め、施設の充実に取り組んでもらいたいです。 さて、クルーズ客船の誘致のために、市長はみずからクルーズ客船会社へのトップセールスを行ったと聞いております。こういった取り組みの結果、大阪港に寄港するクルーズ客船は、平成28年は28隻だったものが平成29年は50隻、平成30年は現時点における見込みで70隻の予定と順調に増加しているとのことで、大変喜ばしいことです。しかしながら、平成29年の50隻という数字は、ことしの1月30日の日本経済新聞の記事によると全国で14位でありまして、まだまだ伸びしろはあると私は考えております。 国内のほかの港もクルーズ客船の誘致に力を入れている中、大阪港としては将来的にはもっと上位を目指していく必要があると思いますが、どのようにこれから取り組んでいくのか、市長の見解をお伺いします。
○議長(山下昌彦君) 吉村市長。 (
市長吉村洋文君登壇)
◎市長(吉村洋文君) クルーズ客船の誘致についてですけれども、世界が憧れる都市魅力を創造して世界中から人や物や情報、お金、投資を呼び込むために、平成24年に策定しました
大阪都市魅力創造戦略におきましては、重点エリアの一つであります築港・ベイエリア地区においてクルーズ客船の母港化を戦略として掲げ、これまで誘致促進に取り組んできました。クルーズ客船の母港というのは、その港を起点に出港して帰港するという発着港のことをいいます。高い経済波及効果が期待できるものですけれども、大阪港が母港としてふさわしい機能を備えるべく、ここ数年で一定の改良工事を進めていますが、最後の課題としまして、バリアフリー化や老朽化対策が必要な客船ターミナルの整備が残っているところです。このため、PFI事業として整備事業者を公募してきましたが事業者選定には至らず、現在、その結果分析を進めているところです。できる限り早期にターミナル整備に着手したいと思っています。 クルーズ客船の誘致につきましては、インセンティブ制度の導入であったり岸壁施設の整備を行いまして、また、私自身も先頭に立ちましてクルーズ客船の誘致、28年9月にシンガポール、29年7月には上海においてセールス活動にも取り組んできましたところです。平成29年は、大阪港への寄港が前年からほぼ倍増となります50隻となるなど、ここ数年で着実に入港隻数が伸びているところです。この3月には、世界的に有名な「クイーン・エリザベス」が大阪港で初となる発着クルーズを実施することになっています。 また、平成27年の国交省の資料によりましたら、クルーズ客船の寄港地における経済効果は1人当たり3~4万円と試算されています。平成29年には約6万8,000人の方々が大阪港で乗下船されましたので、直接的な経済効果だけでも20億円以上をもたらしたということになります。 こういったクルーズ客船誘致に取り組むことは、内外の集客力を軸に新たな大阪のウォーターフロントのまちづくりに挑戦して、世界にアピールできる集客観光の拠点化を目指す上で非常に重要だと思っています。昨年は、当面の目標としていましたクルーズ客船入港50隻を達成しました。ことしも前年以上の予約数を既に得ているところであることから、今後も精力的に誘致活動に取り組んで、より多くの方々に大阪の魅力に触れていただく機会というのをふやして、大阪、関西の経済活性化につなげていきたいと思っています。
○議長(山下昌彦君) 今井アツシ君。 (38番今井アツシ君登壇)
◆38番(今井アツシ君) クルーズ客船の誘致については、クルーズ客船会社幹部へのトップセールスが大きな効果を発揮すると伺っております。市長におかれましては、これからもクルーズ客船のさらなる誘致に向けたトップセールスに期待しておりますので、力を入れて取り組んでいただきたいと思います。 次に、
外国人観光客を含む大阪市の防災・減災についてお伺いします。 大規模な自然災害や危機事態から市民の生命、身体、財産を守ることは市政の重要な柱であり、災害等に強いまちの実現は、市民にとって安全、安心の住みよいまちにとどまることなく、世界の都市間競争に打ち勝ち、多様な人材が交流し新しい価値を創造する都市として、国際都市大阪のプレゼンスを高めることにつながっていくと考えます。 大阪市地域防災計画は、本市域並びに市民等の生命、身体、財産を保護することを目的として、災害の予防や応急対策及び災害からの復旧・復興に関する事項を定めており、本市及び防災関係機関が有する全機能を迅速、有効に発揮し相互に協力するとともに、市民等による自主防災活動との連携、支援を含め、防災活動の総合的、計画的かつ効果的な実施を図ることとしています。 先ほど紹介したように、来阪
外国人観光客数は昨年1年間で1,111万人にも上り、大規模災害が起こったときには、市民への対応や帰宅困難者の対策と同様、国内外からの観光客への対応も当然に必要となってきます。特に
外国人観光客に対しては、言語を初めとした特性を踏まえた対応をしていくことが必要でありまして、また、適切な対応をしなければパニックも想定されます。 大阪府はもちろんのこと、宿泊施設や観光施設などの関係機関と連携した取り組みが必要であると思われますが、大阪市としてどのように取り組んでいくのか、市長の考えをお聞きします。
○議長(山下昌彦君) 吉村市長。 (
市長吉村洋文君登壇)
◎市長(吉村洋文君) 大阪を訪れます外国人の旅行者が急増する中で、災害時における
外国人旅行者の安全確保は重要な課題だと思っています。言語を初めとします
外国人観光客の特性を踏まえた災害対応を行っていくことが必要です。 本市におきましては、大阪市地域防災計画におきまして、特に外国語による情報が不足しがちであることから、外国人に対する情報発信の充実を図るために、FM放送での外国語放送による地震の情報であったり災害対策情報の提供や、ポータルサイトの多言語での開設等に努めることにしています。今後、こうした取り組みをさらに進めていくことで、
外国人旅行者を含む外国人に配慮した情報提供を図っていきます。 大阪府域においては、災害時に
外国人旅行者が必要な情報を入手できる環境づくりとして、大阪観光局とともに緊急時に必要な情報を包括的に掲載しましたポータルサイト「Emergency」を英語、中国語、韓国語、タイ語で開設しています。警察や医療機関などの情報や
外国人旅行者向けの情報アプリ「Safety tips」の紹介などを行っています。また、QRコードの入った名刺サイズの広報カードを作成して観光案内所や宿泊施設で配布しており、こういったポータルサイトの認知度向上にも取り組んでいるところです。 観光施設や宿泊施設など観光関連事業者によるサポート体制の整備としまして、「観光関連事業者向け災害時における
外国人旅行者支援フロー」や「事業者向け安全確保マニュアル」の策定などにも取り組んでいるところであります。大阪城公園エリアや梅田エリアに立地します宿泊施設や観光施設など関係団体とともに大阪市も参画して議論を重ね、研究を進めているところです。 本市としても、こうした取り組みをさらに深めていくこととしていますが、さらに今後は観光、宿泊施設などの関係機関との役割も踏まえながら、大阪市において情報発信を初めとします支援をさらに充実させて、より安全に安心して大阪を訪れることができるように環境の整備を図っていきます。
○議長(山下昌彦君) 今井アツシ君。 (38番今井アツシ君登壇)
◆38番(今井アツシ君) 市や観光施設などの関係機関が連携した取り組みを進めること、災害に対応したさらなる情報発信を推進すること、
外国人観光客への対応を織り込んだ訓練などを実施することによって、実際の対応力を向上させていくことを要望したいと思います。 次に、鶴見緑地の活性化についてお伺いをいたします。 先般、鶴見緑地のマーケットサウンディングが行われ、現地見学会には29団体57名が参加し、さまざまなアイデアが出されたとお聞きをしております。鶴見緑地公園全体を対象にアイデアを出していただいた企業や、一部の建物や場所を対象にアイデアを出していただいた企業もいたとのことです。多種多様なアイデアが出てきており、例えば物販や宿泊施設、ランニングステーション、グランピング、イルミネーション、プロジェクションマッピングなど、私も鶴見区民として期待に胸が膨らむような内容も見られました。 花博開催都市として2025万博の誘致を目指す上でも、花博記念公園鶴見緑地を再生し、内外に魅力を発信していってほしいと考えますが、市長としてどのような意気込みで鶴見緑地のリニューアルに取り組まれるのか、また、今後のスケジュールについてお伺いします。
○議長(山下昌彦君) 吉村市長。 (
市長吉村洋文君登壇)
◎市長(吉村洋文君) 鶴見緑地公園につきましては、僕もよく遊びに行くんですけれども、ここは非常にポテンシャルの高い公園だというふうに思っています。平成2年に花博が開催されました鶴見緑地は、花博開催から27年が経過してまして、施設は老朽化して花博のレガシーの利活用が不十分な状況になっているというふうに思います。しかしながら、現地視察した際もそうですけども、今日的な利用者ニーズに対応していける可能性が十分にあるというふうにも感じています。マーケットサウンディングの結果も見まして、改めてそのポテンシャルの高さを確信しているところです。 鶴見緑地の再生、魅力向上には、規制緩和など民間が参入しやすい環境整備に取り組むことによりまして、さらに事業者の参入意欲を高めて民間投資を促すことが必要だと思っています。官民の役割分担のもと、公園の新たな魅力とにぎわいを創出していけるように、平成30年度に鶴見緑地の将来ビジョンを策定しまして、平成31年度の早い時期に事業者を公募、決定していきます。 平成32年度は花博30周年でありまして、また管理運営事業者の更新時期という好機を迎えます。この機会に、公園への民間活力導入の成功事例であります大阪城公園、天王寺公園に続く第3弾として、より積極的に民間活力を導入して鶴見緑地公園の再生に取り組んでいきます。
○議長(山下昌彦君) 今井アツシ君。 (38番今井アツシ君登壇)
◆38番(今井アツシ君) 来年度中のビジョンの策定、平成32年度からのプロジェクト着手ということで、大いに期待をしております。鶴見緑地の魅力がさらに向上していくように取り組みをお願いいたします。 次に、地下鉄事業の民営化についてお聞きをいたします。 ことしに入り、地下鉄新会社の愛称、ロゴに加えて役員人事も発表されて、いよいよ4月の民営化が目前に迫っております。 我が会派としては、民間出身の新社長のもとで、輸送の安全は万全を期しながら経営の自由度を高めて、サービス向上や新たな事業への展開など、これからどのように成長、発展をなし遂げていくのか、期待は膨らむばかりでございます。 一方で、今回のスキームでは、100%大阪市出資の民営化ということで、大阪市が100%株式を保有する株主であるとともに外郭団体としての指定もされることとなります。また、これまで大阪市の一部局であった交通局と我々議会との関係も変わることになると思いますが、新会社と我々議会との会議体も設けられると聞いております。 改めて、民営化の意義や新会社に期待すること、そして今後の議会を含めた大阪市と新会社の関係性についてどのようにお考えか、お聞かせください。
○議長(山下昌彦君) 吉村市長。 (
市長吉村洋文君登壇)
◎市長(吉村洋文君) 地下鉄事業の民営化につきましては、民間にできることは民間へという基本方針のもとで取り組んできました。公営地下鉄として初めての事例でありまして、歴史的な転換点でもあります。これから新しい社長、経営陣のもとで大阪の経済成長の礎、土台となるような会社に成長してもらいたいと考えています。 また、地下鉄の民営化については、この議会において3分の2の議決をいただきまして、議論を重ねて実現したというところでもあります。そのこと自体も重く受けとめて進めていきたいと思っています。 民営化の意義ですけども、利用者目線に立ったサービス向上や多様な関連事業の展開に伴います沿線地域の活性化のほか、地下鉄新会社からの納税や配当による本市への財政貢献といったこと等々があげられると思います。 一方、地下鉄新会社は100%出資の外郭団体として一定のルールに基づき監理していきますが、
地下鉄民営化の意義を最大限発揮させるためにも、新会社の意思決定のスピードであったり経営の自由度を損なうことがないように、適切に監理していきたいと思っております。 また、新会社においては、「株式会社化(民営化)プラン(案)」に記載しておりますとおり、議会との意見交換を行う会議体を設けることにしています。議会を通じて市民の御意見をお聞きしていきたいと思っています。 今後、大阪市は100%株主という立場で、議決権の行使をすることなどによりまして株主としての役割を果たすことになるというふうに考えています。
○議長(山下昌彦君) 今井アツシ君。 (38番今井アツシ君登壇)
◆38番(今井アツシ君) 次に、仮称、大阪府市共同住吉母子医療センターについてお伺いをいたします。 4月に開院予定の同センターですが、現地を確認すると、既に建物は竣工しているとのことでございます。開院に不可欠な厚生労働大臣の同意は確実に得てほしいと思います。 同センターについては、開院を間近に控え、その名前や存在は一定浸透してきたような感はありますけれども、マスコミ報道などを見ておりますと住吉市民病院の閉院によるマイナス面ばかりが強調されておりまして、機能統合によるメリットが十分には伝わっていないような印象さえ受けます。 改めて、同センターの果たすべき役割やそのメリット、開院への意気込みを市長の口からお聞かせいただきたいと思います。 また、本日、住吉市民病院が入院病床を閉鎖しますが、入院患者の状況について、あわせてお答えください。
○議長(山下昌彦君) 吉村市長。 (
市長吉村洋文君登壇)
◎市長(吉村洋文君) 30年4月の大阪府市共同住吉母子医療センターの開院に向けまして、再編計画への厚生労働大臣の同意をいただくために、大阪府と協力して現在手続を急ぎ進めているところであります。開院を実現させるために、4月までには必ず厚労大臣の同意をいただきたいと思っています。 大阪府市共同住吉母子医療センターですが、住吉市民病院からわずか2キロの場所に、24時間365日の救急体制を備えてハイリスク出産分娩にも対応できる、高度医療にも対応できる125床の病床を持った、そういった設備が整った病院であります。これまでの南部医療圏になかったところです。しかも、住吉市民病院の医療機能につきまして、一部大阪市立総合医療センターに引き継がれるものもありますが、ほとんどの機能は大阪府市共同住吉母子医療センターに引き継がれることになります。大阪府市共同住吉母子医療センターは、今まで住吉市民病院を御利用いただいた患者様やその御家族の方だけでなく、多くの方々に安心して御利用いただけるものというふうにしていきたいと思います。 なお、本日で住吉市民病院の入院病床が閉鎖されますが、現時点で2名のお子様が入院されております。いずれも子供に多い感染症の患者さんですけど、もう既に軽快しております。本日中に退院の予定です。
○議長(山下昌彦君) 今井アツシ君。 (38番今井アツシ君登壇)
◆38番(今井アツシ君) 次に、子育てと教育環境の充実についてお尋ねをしてまいります。 吉村市長は今回の予算案を「子どもの環境充実予算」と名づけておられますが、まず、大阪市内中心部における児童・生徒の急増問題について確認してまいりたいと思います。 この間、吉村市長をトップとするプロジェクトチーム会議においては、単に運動場に教室を増築するという従来の対策だけでは解決できない困難な課題に対して、中長期的な視点から、児童数の推計のあり方や校舎の高層化、また、公園や高校の跡地など市有地の活用についても議論をされてまいりました。子供たちの教育環境を整備していくためには、中長期的な視点から将来の対策を検討することが重要であるのは言うまでもありません。しかし一方では、現在も校舎を増築中の学校があるように、待ったなしの対応が必要とされている学校も多くございます。 そこでまず、今回の予算案に計上されている児童・生徒の急増に伴う教育環境整備について、どのような内容となっているのか、お尋ねをいたします。 また、とりわけ中央区の開平小学校については、校舎を増築すると現在約1,800平米の運動場がさらに狭くなってしまい、体育の授業を初め学校としての機能が維持できないと思われます。子供を通わせている保護者や地域の方々も大きな不安を抱いておられると聞いております。教室不足や運動スペースの確保など具体にどのような対応策を検討しているのか、お尋ねいたします。
○議長(山下昌彦君) 吉村市長。 (
市長吉村洋文君登壇)
◎市長(吉村洋文君) 子供の教育環境、特に学校についてですが、これまでのやり方ではだめだという強い危機感がありましたので、今年度に入って児童急増対策のプロジェクトチームというのを立ち上げまして、僕自身がトップになるという会議体をつくって、これまで、教育委員会は当然のことながら、関係部局も連携しまして、オール大阪で学校環境について議論してきたところであります。 今回の予算ですけど、まずは前提となります教育振興基金につきましても、将来の学校の再編のために大きなお金が必要になることから、大きな金額を積み増したところでもあります。今回の予算においても、これまでの議論も踏まえて、まず単に校舎を増築するという手法ではなくて運動スペースを確保するための方策として、1階をピロティー化することや校舎を高層化することなどを盛り込んでいます。 また、開平小学校につきましては、1階のピロティー化や6階建ての高層化だけではなく、関係所属が連携しまして近隣の公園等の市有地の活用についても具体的に検討するよう指示をしています。
○議長(山下昌彦君) 今井アツシ君。 (38番今井アツシ君登壇)
◆38番(今井アツシ君) 開平小学校においては関係所属で具体の検討が進められているとのことですが、対応は待ったなしの状況となっております。早急に方針を確定して、課題解消に取り組んでもらいたいと思います。 次に、中長期的な視点での対応が必要な学校についてお聞きをしてまいります。 現在の北区、中央区、西区の学校の児童数推計の伸びや施設規模から考えても、今後、新たな学校を設置することが必要になってくるのではないでしょうか。例えば、北区の扇町小学校と西区の西船場小学校などの課題解決のためには、中之島にあるもと扇町高校跡地などの用地を活用すべきであり、関係局の間でも検討していると聞いております。 また、11月の一般質問において我が会派から、新設校を整備していくようなケースにおいては、児童・生徒数のピークが過ぎた後にも有効に活用されるよう、民間施設や公共施設との合築についても選択肢として検討していくべきとの質疑を行わせていただいたところでございます。 今後の新設校整備、特に中之島地域について、現在の検討状況をお尋ねいたします。
○議長(山下昌彦君) 吉村市長。 (
市長吉村洋文君登壇)
◎市長(吉村洋文君) まず、プロジェクト会議においてですけれども、これまで教育委員会が行ってきた学校の再編については、6年間という短い期間で整備計画を立てていたということについて僕は非常に強い違和感を持っておりまして、もうそれはやめていこうと、中長期的な視点に立った検討が重要であるということで進めています。そのために、民間の力も活用しまして20年先までの推計を算出するように指示しております。今年度末に報告される予定です。 そういった結果も踏まえまして、中之島地域に新しい学校が必要となった場合においては、これまでにない発想で、高層のオールインワン型の校舎を備えた学校の新設を検討するなど、北区、中央区、西区の急増地域において保護者や地域の方々に安心していただけるような計画をお示しして、子供たちの良好な教育環境、現在の子供たちもそうですけども、将来の子供たちにとっても良好な教育環境を確保していきたいと思っています。 また、計画に当たっては、将来にわたって無駄な施設、無駄な整備とならないように、私が今後も先頭に立ちまして、しっかりと取り組んでいきたいと思います。
○議長(山下昌彦君) 今井アツシ君。 (38番今井アツシ君登壇)
◆38番(今井アツシ君) 少子高齢化、児童の地域偏在化という課題は今後も続いていくものだと思われます。また、民間施設や公共施設との合築などの柔軟な手法は、複雑化していく地域課題に対応するためにも、児童急増地域のみならず全市的に政策オプションとして位置づけていただいて、積極的に今後も検討、導入を進めていただき、無駄な整備、無駄な施設とならないように進めていただきたいと思います。 次に、子供の貧困対策についてお尋ねをしてまいります。 我が会派は、平成27年11月の市長選挙で吉村市長が公約として掲げた子供の貧困対策を実現するため、平成28年1月に「子どもの貧困対策プロジェクトチーム」を立ち上げ、9月に7本の柱から構成する提言書を吉村市長に提出して以降も、貧困の連鎖を断ち切るための具体的な施策実現を提言してまいりました。 今回、我が会派の提言と合致する取り組みのうち、主に3点についてお伺いをいたします。 1点目は、「こどもサポートネット」についてです。 この新たな仕組みは、全ての児童・生徒を対象にした上で、標準化されたスクリーニングシートによって一人一人の状況を定期的に把握することや、教員だけでなくスクールソーシャルワーカーなどの専門職も参画して必要な支援方針を検討する点で、従来にない取り組みであり、我が会派の提言とも一致しており、高く評価をしたいと思っております。とりわけスクリーニングシートの導入は、経験の浅い教員もベテラン教員と同じ視点で全ての児童・生徒の課題を見える化できるツールであり、具体的な支援をする際の重要なデータの蓄積になりますが、来年度は7区を「こどもサポートネット」のモデル区として実施するとのことです。 しかし、我が会派としては、早急に全区展開していって全ての子供を対象にして実施すべきと考えておりまして、7区をモデル区とした考え方とともに、全区展開へ向けた市長の決意をお伺いしたいと思います。 2点目は、大学連携についてです。 子供たちの人生のロールモデルとなる人物と触れ合う機会をつくるため、大学との連携を強化し、学習支援や子供食堂などの居場所での大学生ボランティアの協力を促進することが必要と考えております。今後の大学連携の方向についてお伺いをしたいと思います。 3点目は、ひとり親家庭への支援です。 生活の安定には経済的基盤の確立が第一に必要であり、資格取得の支援を目的とせずに就職につなげることが非常に重要です。それゆえ、個々のひとり親が抱える生活状況などに寄り添い、就職までのフォロー体制を強化していく取り組みが必要ですが、市長の考えをお伺いいたします。
○議長(山下昌彦君) 吉村市長。 (
市長吉村洋文君登壇)
◎市長(吉村洋文君) 子供の貧困対策についてですけれども、貧困の連鎖を断ち切るために、まさに子供に焦点を当てた施策が必要だと思っています。 「こどもサポートネット」は、子供と世帯の課題を学校で発見しまして、必要な支援をアウトリーチの手法で届ける新しい取り組みです。 全区展開に向けましては、まずはモデル実施によりまして効果検証を行う必要があると考えています。そのため、子供の貧困における諸課題が比較的明らかであって、かつ児童・生徒数や学校数なども含めて全区展開に向けた効果の検証の結果が得やすい区を基本に7区を選定しました。今後、精力的に検証いたしまして、全区展開を進めていきたいと思っています。 大学との連携につきましては、子供の貧困対策に最も重要な部分は、レベルの差こそあれ教育だというふうに思っています。教員の質の向上や確保は重要な要素でもあります。大阪教育大学と包括連携に関する協定を締結しました。両者が有します人的、物的、知的な資源を活用しまして、次代を担う子供の未来を応援する取り組みを進めていきたいと思っています。 子供食堂など子供の居場所での学習支援に大学生のボランティアの参加を得るということは非常に重要だと思っておりまして、大阪市における教員採用試験の際における加点事由にしたり、あるいは大学コンソーシアム大阪への協力要請なども行いながら、本市の市民活動総合ポータルサイトも活用しまして、学習支援という面で大学生ボランティアの一層の子供貧困対策に対する取り組みへの推進を進めていきたいと思っています。 ひとり親家庭につきましては、安定した生活を営むために関係機関と連携しながら就業面での支援を行ってきましたが、実態調査におきまして、生活状況が依然として厳しいことが確認されています。資格取得するための養成機関で修学する場合の給付金を拡充するなど、さらなる就労支援を行いまして、経済的基盤の確立を図っていきたいと思います。 また、資格のない方や就業経験の浅い方を確実に就職につなげるために、きめ細やかな就職相談であったり個々のニーズに合った求人情報の提供など、個々の生活状況に寄り添った支援を進めていきたいと思っています。 大阪での初めての取り組みが全国の子供の貧困対策の一層の推進にもつながっていくよう、今後とも大阪市を挙げて取り組みを進めていきたいと思っています。
○議長(山下昌彦君) 今井アツシ君。 (38番今井アツシ君登壇)
◆38番(今井アツシ君) ぜひ、全国のモデルとなるような取り組みを進めていっていただきたいと思います。 我が会派としては、今の論点以外にも高校中退も大きな課題と認識をしております。現実的に、高校中退者の中には貧困のリスクが高くなっている人も多くおられます。キャリア教育や適切な進路指導などの未然防止の取り組みとともに、さまざまな理由で中途退学となった生徒には、個々の状況に応じた相談対応や情報提供など適切な支援が必要でございます。学校と区役所が連携してきめ細やかな対策を実施するよう、強く要望しておきます。 それに、大阪市内には府立高校と市立高校が混在しておりますので、府教委との連携も今後の検討課題として検討を進めていただきたいと思います。 次に、学力向上対策についてお伺いをしてまいります。 本市では、全国学力・学習状況調査の結果においても全国との差が依然として大きい状況にありまして、児童・生徒の学力向上が大きな課題であると認識をしております。 学力の向上にかかわっては、教員の指導力も重要な観点です。採用10年以内の教員が半数を超えている大阪市の現状を踏まえて、既に採用している教員の指導力向上に向けた研修の充実はもちろんですが、さらなる専門性を持った人材育成や、生活指導も含めたトータルな指導力向上にも取り組む必要があるのではないでしょうか。 今回、大阪教育大学と包括連携協定を締結したとのことですが、具体的に大学とどのような連携を進めようとしているのか、将来の大阪市の教育を支える教員の養成をどの段階からどのような手法で進めていこうとしているのか、包括連携協定に込めた市長のお考えをお聞かせ願います。
○議長(山下昌彦君) 吉村市長。 (
市長吉村洋文君登壇)
◎市長(吉村洋文君) 教育の質を高めるために何が必要かといえば、子供にまさにじかに接する教員の質を高めること、優秀な教員を確保することが一番重要だというふうに思っています。そのために、大阪にあります大阪教育大学との連携が僕は必要だという思いで包括連携協定に向けてこれまで進めてきました。先般、この包括協定を結んだ次第であります。 具体的な取り組みの第一弾としまして、大阪教育大学の連合教職大学院の中に大阪市教員養成協働研究講座を設置しまして、教員の資質向上に係る研修プログラムの開発など、大学の知見を最大限に活用した取り組みを進めていきます。 また、即戦力となります人材を養成するために、学生の現場実習に学校の現場を提供しまして、これから教員になろうとしている段階から、実際の学校現場や先ほどの子供の貧困対策における貧困家庭の状況などもよく知っていただきたいというふうに思います。 そういった観点から、現在検討を進めています大阪市の普通科系高校の再編に当たりましても連携協力体制を生かしていきたいと思っています。大阪教育大学とともに、高校3年・大学4年、計7年間で実践力のある教員を養成するために、大阪教育大学と深く連携した新たな学校づくりを教育委員会において進めてもらいたいと思います。 優秀な教員養成につながる普通科系高校においては、教員養成に係る大学4年間の教育活動も視野に入れて、高校3年間でさまざまな角度から教育に取り組む人材を育てることができるような、これまでにない実践的な学びを提供する高校にできないかというふうに考えているところです。そして、大学と連携したこれらの取り組みを通じて、大阪の教育に求められる即戦力となる優秀な人材もさらに確保していきたいと思います。
○議長(山下昌彦君) 今井アツシ君。 (38番今井アツシ君登壇)
◆38番(今井アツシ君) 若手教員の指導力向上に取り組んでいくことは非常に重要ですけれども、また一方で、ベテラン教員のICTリテラシーを高めていく取り組みも同様に重要だと考えております。大学の知見をかりて時代の変化を受けとめた、これからの時代に求められる指導力の向上に幅広く取り組んでいただくようお願いを申し上げます。 子供たちの学力向上に向けては、子供のさまざまな課題に的確に対応するための学校力の向上が必要であること、個々の子供、学校の違いを把握し、一律の支援ではなくそれぞれの実情に応じた施策を講ずることが必要であることなどについて、我が会派ではこれまでも質疑を行ってまいりました。学校や子供たちを取り巻く課題は昨今複雑化、多様化してきており、本市の学力向上の課題解決に向けても、必要なところに必要な支援をというメリハリのきいた教育施策が必要であると考えております。 平成29年3月に改訂されました大阪市教育振興基本計画には、子供たちにじかに響く施策の展開として、全市一律の施策だけでなく、区ごと、学校ごとの実情に応じたきめの細かい支援の必要性や、それらを具体化した施策の方向性が定められているとのことです。各学校の実情や課題に応じたきめ細やかな支援とは具体的にどのような施策として展開されていくのでしょうか、教育委員会の見解をお伺いいたします。
○議長(山下昌彦君) 山本
教育委員会教育長。 (
教育委員会教育長山本晋次君登壇)
◎
教育委員会教育長(山本晋次君) 議員御指摘のとおり、各学校の課題に応じた支援が必要であると認識をいたしており、昨年4月よりスタートいたしております改革の第2ステージと位置づけた大阪市教育振興基本計画におきましては、課題や成果の見える化、改革のさらなる浸透、支援の重点化の3点を視点に進めることとしており、継続して課題を有する学校に対して重点的な支援を行うなど、一律ではなく子供たちにじかに響くようなきめ細やかで多面的な支援に取り組んでいるところでございます。具体的には、客観的、経年的な分析により、子供の一人一人をつぶさに見て、個に応じた指導の充実につなげる小学校学力経年調査、継続して学力等の課題を有する小中学校合わせて70校に対し、学校の課題に応じて重点的に支援を行う学校力UP支援事業等を実施いたしております。 また、来年度からは、学校力UP支援校70校のうち特に課題のある10校につきまして、校長の人事希望を最大限に考慮したり特別予算枠を設置するなど、学校長の裁量を拡大することで学力向上を目指す校長裁量拡大特例校も開始することといたしております。 各学校がこれらの施策を有効に活用することで、学校力の向上、ひいては学力の向上につなげることができるよう、教育委員会としても、学校を支え、真に必要なところへ支援が行き届くよう取り組んでまいりたいと考えております。
○議長(山下昌彦君) 今井アツシ君。 (38番今井アツシ君登壇)
◆38番(今井アツシ君) 学力向上に伴う施策については一定理解できました。 本市の現状において、一律ではなく個別の課題で対応していくことが大切であるという考え方は、ICT機器の活用においても同じことが言えるのではないでしょうか。 ICT機器の活用を見ると、LAN環境の違いはあるものの、全ての学校において現状でできることをしっかりと取り組んでもらい、なおかつ、より一層の有効活用を進めてもらいたいと考えております。 現状では、モデル校以外の学校においては基本、一律40台のタブレット端末を整備していますが、機器の活用については1学級当たり月平均1回に満たない学校がある。その一方で、かなりの頻度で活用できている学校もあると聞いております。 本市のICT教育に係るノウハウの蓄積、また、本市の現有資産であるタブレット端末を児童・生徒が活用する機会をふやし、児童・生徒の互いに教え合い学び合う協働的な学びを醸成する意味でも、各学校の実情や課題に応じたきめ細やかな支援を行う必要があるとともに、しっかり活用している学校についてはさらに端末をふやしていくなどの、学校の状況に応じたメリハリのきいた支援も行っていくべきではないかと考えておりますが、教育長の見解をお伺いいたします。
○議長(山下昌彦君) 山本
教育委員会教育長。 (
教育委員会教育長山本晋次君登壇)
◎
教育委員会教育長(山本晋次君) これからの時代を生きる子供たちに求められる力の育成にはICT機器の活用が必要であり、現在整備しておりますICT機器を各学校が有効かつ十分に活用することにより、全ての児童・生徒が教え合い学び合う協働的な学習を通じて、21世紀をたくましく生き抜くための必要な思考力、判断力、表現力及び情報活用能力の育成を図る必要があると考えておるところでございます。 一方で、各学校が工夫を凝らしてICT機器を授業に活用するとともに、豊富な実践事例の蓄積や課題の把握に取り組んでいくことも重要であると考えており、そのような成果を上げている学校や今後さらにICTを活用した教育を推進しようとしている学校に対しての支援を強化するため、タブレット端末を有効活用する新たな仕組みを検討してまいりたいと考えております。
○議長(山下昌彦君) 今井アツシ君。 (38番今井アツシ君登壇)
◆38番(今井アツシ君) ICT教育の推進については、さらなる戦略の練り込みが重要であると認識をしております。また、ICT教育の推進によって何を目指していくのかを明確にして、適切な目標設定、これを行う必要があると考えております。その結果として、選択と集中の方針でいくのか全校一律の台数整備を進めていくのか、こういった大きな方針や推進のための組織体制の議論をしていくべきだと考えます。 教育長におかれましては、市長や
ICT戦略室長と密に議論して、今後の方向性をしっかりと見定めていただきたいと思います。 教育ICTに伴う施策は、教育ICT活用事業だけでなく、学校の教職員が使用する校務支援ICT活用事業などさまざまな施策がありますが、これらの施策それぞれにもいろんな課題があるでしょうし、効果についてもしっかりと検証していかなければなりません。 以前、我が会派の出雲議員より、教育ICTが進展していった場合のビッグデータの活用について質疑をさせていただき、将来的には教育ICTの進展によってビッグデータが蓄積されて、学習指導に活用される可能性があるとのことでございましたが、昨年12月に開かれた総合教育会議においても、小学校学力経年調査など教育におけるビッグデータの活用についての意見もあったようです。 このように、既存のICT施策の課題の把握や効果検証に加え、ICTを活用した新しい施策の企画や戦略を打ち出していくには、しっかりとした人材、体制が必要であると考えておりますが、果たして現在の教育委員会の体制や人材でこれらのことを十分にやっていくことができるのか、甚だ疑問でございます。 今後の教育ICTの推進体制について、市長の見解をお伺いいたします。
○議長(山下昌彦君) 吉村市長。 (
市長吉村洋文君登壇)
◎市長(吉村洋文君) 議員御指摘のとおり、教育ICTに伴います施策はさまざまでありまして、これらの施策それぞれの効果についてもしっかりと検証して、必要なところに必要な支援を行っていくことが大事だと思っています。 ICTを活用した新しい施策についてですが、さきの総合教育会議においても、小学校3年から6年における学力の経年調査や中学校3年生の統一テスト、大阪府の中学生チャレンジテストなど学習成果が蓄積されてビッグデータとなり、それを分析して学習や指導に活用することの提言がされたところです。 私自身としても、子供たちの学習の成果でありますビッグデータを科学的に分析することで、これまでの学力向上施策がきちんと反映されているのかしっかりと検証していくことが重要というふうに思っています。その上で、必要な施策については財政的にも支援していきたいと考えています。 これら教育ICTに係る重要施策の一層の推進のためには、ICT施策全般に関する統括的なマネジメントを担う体制を教育委員会事務局内に構築することが不可欠と考えています。こういった体制を早期に構築して教育におけるさらなるICT活用が進むよう、教育委員会をバックアップしていきたいと思います。
○議長(山下昌彦君) 今井アツシ君。 (38番今井アツシ君登壇)
◆38番(今井アツシ君) 体制の構築が重要であるという認識は理解できましたが、ビッグデータの分析やシステムの構築には専門的な知識やノウハウが必要であります。本市職員の知恵だけではなくて、民間や大学などと連携してその力をかりていくことも検討していくべきだと考えます。 とかくICTは専門性の高い分野でございます。全庁的にICTに関する監査指摘が非常に多い現状を踏まえて、民間と役所の意識の乖離というのをまず真摯に受けとめていただきたいと思っております。 教育ICTのみならず、各局とICT戦略室との連携体制や権限分配、組織体制など全市的に検討していただいて、専門知識を持ったICT戦略室がしっかりとグリップをきかせられるように再構築していくことを要望します。ICT戦略室のグリップが弱い状態で各局でICT化をおのおの進めていけば、既存の業務プロセスの見直しが進まず、事務重複などの無駄が生み出されてしまう可能性があります。ぜひとも、業務プロセスや組織形態について全庁的な議論を進めていただいて、ICT化のメリットを最大化していけるように推進体制の強化をお願いしたいと思います。 続きまして、ICT分野での民間企業との協定についてお伺いをしてまいります。 神戸市では、ヤフー株式会社とデータドリブンな市政課題解決に関する事業連携協定を結んでおります。課題解決と人材育成の2つを目的とした取り組みです。データドリブンとは得られたデータをもとに次のアクションを起こしていくことでありまして、新たな価値を生み出す市政改革には必要不可欠な観点だと考えます。 このように、民間企業との協定などを積極的に推進して政策立案や人材育成、人材確保に役立てるべきだと考えますが、市長の御所見をお伺いします。
○議長(山下昌彦君) 吉村市長。 (
市長吉村洋文君登壇)
◎市長(吉村洋文君) AI、ビッグデータ時代と言われますように、今後ますますデータの活用が期待されています。役所だけが取り残されるということがあってはならないと思っています。 国では、官民データ活用推進基本法が成立しまして、データ活用の重要性、EBPMの推進が打ち出されています。本市におきましても、今年度中に改定する予定の大阪市ICT戦略第2版において、データ活用を重要施策に位置づけるとともに、来年度予算においてデータ活用の調査費を計上しています。ICT戦略室にチームをつくりまして、積極的に取り組みを進めていきます。その中で、データ分析のノウハウを持つ企業や大学と連携することを通じて、本市が保有しますデータを有効に活用する可能性を大きく広げることもできると考えています。 最先端ICTに関する技術開発や研究開発を市政に積極的に取り入れることによって、これまで以上に政策立案の高度化、人材育成、そして人材確保の機会創出に取り組んでいきたいと思います。
○議長(山下昌彦君) 今井アツシ君。 (38番今井アツシ君登壇)
◆38番(今井アツシ君) ぜひ、民間のトップレベルの企業や大学との協定や連携を推進していただいて、最先端ICT都市を目指していただきたいと思います。 次に、ICTの組織体制と人材の確保について、続いてお伺いしてまいります。 大阪市は、ICT戦略室といった市長直轄組織を持ち、ICT施策を進めております。しかし、民間のICT導入レベルと比較すると、正直10年はおくれているくらいの感覚だと思います。大阪市のように歴史が古くセクショナリズムの強い組織において、全市的なICT戦略を実現させるのは非常に困難なことであると考えています。 現在、大阪市のICT戦略室は、市長直轄組織ではあるものの各部局のシステム開発に関する予算権限も決定権もないのが実情であり、結局、横串を刺そうとしても限定的なものです。民間がシステム開発に関して、権限のある部署のもと、全社利益を考えて開発できているのに対して、大阪市では、システム開発や再構築の際などにICT戦略室へ協議を行うなどの仕組みがあるものの、全市的なデータ活用や統一された価値観のもとでの開発ができていないというのが現状です。 ただ、ICTへの投資は投資効率としてはかなり高く、だからこそ民間は既に多額の投資をして環境を整えてきております。 大阪市においても、民間のように統一された開発ポリシーをつくり、予算決定権限のある部署で全市的な利益を考えた開発部隊としての権限をICT戦略室へ持たすべきであり、そのためにも既存のローテーションに捕らわれないICT特化人材の確保に関して幅広い手法を検討すべきと考えますが、市長の見解をお伺いします。
○議長(山下昌彦君) 吉村市長。 (
市長吉村洋文君登壇)
◎市長(吉村洋文君) 役所は税で成り立っていますので、ひっきょうコスト意識が低くなる、コスト感覚がなくなる、そういったことがこれまでの歴史においても多く見受けられたと思っています。限られた財源の中で住民サービスの質を高めていくためにはICTを活用するというのが非常に重要だし、これまで大阪市が取り組んでこなかった分野なのかなと思っています。それゆえに取り組むのは非常に力の要る作業ですが、これからICTを活用した施策というのも力強く進めていきたいと思っています。 ICTのこういった分野の専門的な知識とかノウハウが必要な業務につきましては、内部の人材の育成に力を入れていくのはもちろんですけども、やはり外部の人材の活用や外部の知見ということを入れるのも重要であります。 議員御指摘の情報システム開発の体制については、4月からシステムマネジメント担当部長職を新たに設けまして、その職に外部人材を登用し、プロジェクトマネジメント機能の強化や情報システムの管理体制の再構築を目指していきます。 ICT戦略の取り組みを開始して3年が経過しました。さらに全庁的にICT戦略を推進していくために、中心となりますICT戦略室の機能や役割、必要な人材の確保について、既存の枠に捕らわれることなく、さまざまな手法を検討していきたいと思います。
○議長(山下昌彦君) 今井アツシ君。 (38番今井アツシ君登壇)
◆38番(今井アツシ君) これからは民間企業でもICT人材が不足していく時代です。ICT人材の育成や獲得については、監査でも毎年のように指摘をされております。これらの指摘を真摯に受けとめていただいて、全市的に危機感を持って、時代に取り残されないように取り組みを進めていただきたいと思います。 次に、ICTを活用した広聴の充実についてお聞きしてまいります。 政策判断や政策評価をするときにベースとなるデータの精度を上げていく必要があります。そのためにも、テクノロジーの進化に合わせて、市の持つ広聴機能もさらに充実させていかなければなりません。例えば、昭和38年度から運用されている市政モニター制度は、公募したモニターに対し市政に関するアンケートを行う制度でありますが、公募制ゆえにモニターは市政への関心が高く、リピーターが多いといった偏りが生じております。 一方、民間のインターネット調査を活用すれば、目的に応じて統計的な処理を施すことで、より精度の高いデータが得られます。このような取り組みを積極的に活用してバイアスのかかりにくいデータを集めることで、より一層公平、公正な政策判断が実現します。 これまで本市が行ってきた市政モニター制度などの広聴制度を否定するものではありませんが、時代の変化、テクノロジーの進化を積極的に取り入れていただいて、よりバイアスのかかりにくい、精度の高い情報を集める仕組みに見直していくべきだと考えます。市長の御所見をお伺いいたします。
○議長(山下昌彦君) 吉村市長。 (
市長吉村洋文君登壇)
◎市長(吉村洋文君) 大阪市におきましては、市民のニーズの把握に向けてさまざまな広聴事業を実施しています。市民の声を数多く迅速に収集できて、市民も簡便に意見を出すことができるICTの活用は非常に重要だと思っています。 これまで、本市においてICTを活用した広聴としては、個々の市民が自分の意見や提案をされる「市民の声」の制度におきまして、区役所の窓口だけじゃなくて、昨年1月にホームページをリニューアルした際には、ホームページのどのページからも簡便に声を寄せていただけるように利便性を向上したところであります。 また、本市の各種計画の策定過程において市民から御意見をいただきますパブコメにおきましても、電子メールで容易に提出できるようにしています。 議員御指摘の市政モニター制度に係る課題については、調査の目的に合わせて、より精度の高いデータを得るため、民間のインターネット調査等を積極的に活用し、制度の見直しを進めてまいります。 ICTのテクノロジーも日進月歩で飛躍的に進歩しておりまして、市民のICTの利用範囲も日々大きく広がっています。本市の広聴制度におきましても、常に時代の変化に対応しながら、より幅広い市民の意見を反映できるように、他都市の状況なども調査しながら拡充を進めていきたいと思います。
○議長(山下昌彦君) 今井アツシ君。 (38番今井アツシ君登壇)
◆38番(今井アツシ君) ぜひ進めていただきたいと思います。 他都市では、例えばLINEを活用して広聴機能を充実させて道路補修などの情報を集めたりとか、さまざまSNSの活用等を進めている事例もございます。ぜひ、こういったSNSの活用やオンライン上のビッグデータの分析など、多様な手法で民意を酌み取ることができる時代になっているということを認識していただいて進めていただきたいです。ぜひ、役所のマーケティング能力の向上に努めていただくよう要望しておきます。 最近の大阪は、G20の誘致決定を初め万博やIRなど、雇用や経済の将来を考えたときにも明るい話題が多いです。 一方で、これからの将来を見据えたときに少子高齢化はいや応なく進んでいくという社会情勢は、本市においても例外ではありません。さらなる改革と成長で住民サービスを支えていくためにも、気を緩めずに不断の取り組みをしていくことが必要でございます。 特に、複雑化する地域課題、社会情勢に対応していくためには、自治体としての意思決定の迅速化というのが非常に重要になってきております。これからも、ビッグプロジェクトを前に進めていくためにも、広域自治体への意思決定の一元化や特別区の迅速な、機動的な自治体運営を進めるためにも、大阪都構想が必要だと我々は考えております。また個別具体の議論につきましては、今後の各常任委員会にて質疑を進めさせていただきたいと思います。 以上で私からの質問を終えさせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(山下昌彦君) お諮りいたします。この際、暫時休憩することに決して御異議ございませんか。 (「異議なし」と呼ぶ者あり)
○議長(山下昌彦君) 御異議なしと認めます。よって暫時休憩いたします。 午前11時29分休憩 午後1時再開
○議長(山下昌彦君) これより休憩前に引き続き会議を開きます。
○議長(山下昌彦君) 福田武洋君の質疑を許します。 3番福田武洋君。 (3番福田武洋君登壇)
◆3番(福田武洋君) 私は、自由民主党・市民クラブ大阪市会議員団を代表いたしまして、平成30年度予算案並びに関連諸案件について市長に質問させていただきます。 昨今の大阪市政を振り返ると、改革というスローガンのもとに、これまで大阪市が担ってきたさまざまな機能や公的役割について廃止や見直し、または統合といった手法が用いられてきました。もちろん私どもも、市民のためになる政策であれば改革を推し進めていく必要性は十分に認識しており、これまでもさまざまな政策課題について真摯な議論を重ねながら、合意できるところは前へ進めてきたところであります。 しかし、その改革の名をかりて推し進めてきた廃止や見直し、統合の中身が本当に大阪市民のためになるものであるのか、その点はしっかりと検証していかなければならないと考えております。 私は、常に一人の議会人として、大阪市民の皆さんの生活をどのようにしたら豊かにできるかを問い続けています。 大阪市は、戦後の復興から高度経済成長期、バブル経済の崩壊や長引くデフレ不況など大きく社会情勢が変容していく中においても、進取の気質がある大阪の風土を生かして、企業、地域、家族の結びつきを強めながら、先人の方々の努力によって大都市としてたくましく成長してきました。成熟社会となり、今後さらなる少子高齢社会を迎える中で、市場万能主義のような新自由主義的発想に偏重した行政運営ではなく、しっかりと地に足をつけた、きめ細やかな施策を展開していくためにも、市民のために自治体が担うべき公益をきっちり理解し、正しい資本主義のルールのもとで新しい社会システムを構築していかなければならないと考えています。 そのためには、政策に主体性を持たせることが最重要課題であるにもかかわらず、大阪市政においては、いまだに枠組み論に終始し、十分な検証がないまま、また、最後まで責任を持つ覚悟もないまま、半ば思いつきのように始まったさまざまな施策が推し進められようとしております。結果、あらゆる問題が顕在化している今、取り返しのつかない状況になる前にこれらを見直す転換点に来ているのではないかとの問題意識から、本日は質問していきたいと思います。 まず、中之島に建設予定の新しい美術館についてお伺いいたします。 インバウンドによる来阪者が急増している現在、大阪の魅力をいかにして世界に向けて発信し、インバウンドを一過性ではなく、恒常的なものとして確立させるかが重要であります。 美術や芸術が人々に感動を与える力は世界共通であり、新しい美術館が所蔵するコレクションの価値を通して大阪の魅力を海外にアピールし、都市のプレゼンス向上に大いに貢献する、そんな美術館を目指していただきたいと思います。さらに、貴重なコレクションの魅力を最大限発揮できるよう、ハード、ソフトの両面でしっかりと取り組みを進め、将来の大阪の顔となり、市民がその存在を誇りに思う、また、子供たちが本物に触れることで新たな刺激を受け、その創造性を開花させる、そんな美術館を実現していただきたいと思います。 新しい美術館については、2021年度の開館に向け、本市が一丸となって取り組むべき重要プロジェクトと考えますが、改めて市長の意気込みをお伺いいたします。
○議長(山下昌彦君) 理事者の答弁を許します。 吉村市長。 (
市長吉村洋文君登壇)
◎市長(吉村洋文君) 新しい美術館についてですが、昭和58年に構想を発表して以来、今まで実現しておりませんでしたが、市民の皆さんにはその開館を心待ちにしていただいたところであり、僕自身、市長就任後、その実現に注力してきました。 ハード面におきましては、建築自体が国内外から来館者を引きつけるものになるように海外の事務所も参加しました設計のコンペを開催しまして、その建築デザインを決定しました。さらに、コンペ案をベースとしまして本市のノウハウを結集して基本設計を進めて、シンボル性の高い外観デザインや多様な展覧会に対応できるフレキシブルな展示空間、市民の憩いの場となり中之島のまちづくりとも調和した屋外広場など、計画内容の充実を図ってきたところです。 引き続き、来年度の建設工事の着手に向け、環境への配慮や防災性の向上など、さらなる工夫を重ねながら実施設計を進めていきます。 ソフト面におきましては、来年度、美術館名称の一般公募を行います。あわせまして、美術品の購入再開や今現在倉庫に眠っています名品であります佐伯祐三やモディリアーニを初めとしました貴重なコレクションを積極的に公開する、そして、作品情報を広く発信するアーカイブシステムの構築に取り組んでいきます。 加えまして、子供から大人まで楽しめる魅力的な展覧会の誘致であったり、民間の創意工夫を活用しますPFI手法の導入検討などの開館準備を進めて、インバウンドの定着にも資する美術館の実現に向けて、いま一度、気を引き締めて進めていきたいと思います。 新しい中之島の美術館は、大阪の都市魅力を発信して今後の成長戦略を支える重要な施設であると考えておりまして、国内外から注目を集めて、世界に誇れる、ここしかない大阪の美術館の実現に向けて全力で取り組んでいきたいと思います。
○議長(山下昌彦君) 福田武洋君。 (3番福田武洋君登壇)
◆3番(福田武洋君) 2021年度の開館に向け、全力で取り組んでいただきたいと思います。 魅力的な特別展や、専門性は非常に重要であり、新しい発想で学芸員がアンテナを張り、学び、研究できる環境が大切です。新しい美術館を含めた博物館群の独法化について、学芸員を柔軟に雇用できるという点においては一つの考え方ではありますが、特色の異なる施設全てを独法化するというのは余りに安直であり、議論が尽くされたとは思えません。制度についてじっくりと話し合って結果を出すべきであったと改めて申し上げておきます。 次に、市長は先日、「認知症の人をささえるまち大阪宣言」をされたとのことであります。そこで、認知症施策についてお伺いします。 本市の高齢者人口の増加に伴い、認知症高齢者も増加が見込まれ、認知症施策の推進は本市にとって重要な行政課題であり、公的サービスの充実に加えて地域全体で見守り、支える互助の取り組みの強化が必要であると考えます。国の認知症施策推進総合戦略、新オレンジプランに基づいて、本市では認知症サポーターの養成を開始して10年が経過し、延べ16万人を養成してきましたが、今後はこれらの方々にさまざまな場面で活躍していただくことが重要と考えます。 国においても公的支援への転換が必要とのことから、「我が事・丸ごと」をキャッチフレーズに地域共生社会実現に向けた取り組みを進めていくとされています。民間に任せるだけではこの問題は解決せず、「認知症の人をささえるまち大阪宣言」が口先だけとなってはいけません。今こそ公共の役割を果たすべきときではないでしょうか。 そこで、認知症サポーターの活用について今後どのように考えておられるのか、市長の御所見をお伺いいたします。
○議長(山下昌彦君) 吉村市長。 (
市長吉村洋文君登壇)
◎市長(吉村洋文君) 大阪市は高齢者率、特に単身の高齢者率が高くて、たしか全国平均より10%以上高いというような状況であります。そして、単身の高齢者率がふえていく一方で、それの2倍ぐらいの高さの比率で認知症の患者の方がふえているという状況です。ですので、今後ますます認知症の方がふえると見込まれていますので、認知症の施策の推進というのは大阪市の高齢者施策にとって喫緊の課題だと思っています。 認知症の人に優しいまちづくりを進めるためには、行政の取り組みだけじゃなくて、地域全体での支えが必要だというふうに思っています。そのため、認知症に関する正しい知識と理解を持っています認知症サポーターに、地域や職場で認知症の人やその家族を手助けする応援者としての役割を担っていただくことが重要だと考えています。 これまで、認知症サポーターが認知症カフェや介護事業所等でお手伝いをされるなどの例はありましたが、その活動はサポーター御本人の個別の活動に委ねられてきました。本市におきましては、平成32年度までに24万人を目標に認知症サポーターを養成することとしています。 従前から実施してきました認知症サポーター養成講座に加えて、新たに養成後のフォローアップ講座を実施するとともに、サポーターと活動の場をマッチングするなど、地域におけるさまざまな場面で継続的に活動していただけるような仕組みづくりに取り組んでいきます。 こうした仕組みづくりを初めとして、認知症施策をより一層推進して、認知症の人が住みなれた地域で安心して暮らし続けることができるまちづくりに取り組んでいきます。認知症の人をささえるまち大阪の実現を目指していきます。
○議長(山下昌彦君) 福田武洋君。 (3番福田武洋君登壇)
◆3番(福田武洋君) 認知症サポーターを養成して終わりではなく、次のステップにつなげる実効性のある仕組みづくりに取り組んでいただきたいと思います。 認知症施策を推進するためには、認知症医療と介護の緊密な連携の実績を積んできた弘済院の役割が重要になるものと考えます。そこで、弘済院についてお伺いいたします。 市長はこれまで、認知症医療を担っている弘済院附属病院の建て替えに当たって、近畿の最高レベルの拠点にしていきたい、全国的にも注目されるような拠点施設となるようにしたいと発言してこられた中、昨年11月、住吉市民病院跡地に市立大学の附属病院を誘致し、弘済院の機能を移転したいと表明されました。住吉市民病院跡地に弘済院附属病院を移転することについては、我が会派としても温めてきた案であり、大きな方向性については理解するところであります。 しかし、吹田から医療圏を越えて病床を持ってくることについては、地元や国との協議を行い理解を得る必要があるなど、さまざまな課題があります。特に財政面でのハードルが高く、平成28年度決算で7億円程度の収支不足が生じている不採算な医療を本当に市立大学が引き受けてくれるのでしょうか。 新病院に対して、研究費なども含めて財政的な措置を十分に行うべきであると考えますが、市長の御所見をお伺いいたします。
○議長(山下昌彦君) 吉村市長。 (
市長吉村洋文君登壇)
◎市長(吉村洋文君) 先日、認知症に罹患されている方御本人、そしてその家族の方と直接話をする機会を設けました。そのときに思ったのは、やはり早期発見、早期治療、そして高度な治療ができる医療機関が重要であると思いましたし、それだけではなくて、認知症に対するそのものの理解とか要望、そういったものが非常に重要である。介護されている家族の方の御苦労というのは非常に重大なものであるということを認識しました。そういったトータル的なサポートが認知症施策に僕は必要だと思ってます。そのうちの一つとして、いわゆる高度な医療機関というのも重要だと思っています。 大阪市立大学は認知症の研究機能が非常に高いという状況にあります。一方で、弘済院がこれまで培ってきた認知症の医療機能、これを大阪市内に移転させて、そしてそこでフィールドワークも含めて市立大学が運営するということで、さらに機能を充実できるものだと考えています。今後、市会での御議論を踏まえながら関係先との協議を進めて、来年度中には基本構想を取りまとめていきたいと思っています。 なお、弘済院附属病院に生じている収支不足については、現在、既に赤字でありまして、現時点で税により負担しています。 また、吹田の現地建て替えを進めるに当たって、弘済院用地の売却で既に建て替えの財源も確保しているところであります。これらを積極的に活用していきたいと思います。 市立大学とは、新病院の運営に係る財政措置として、現在交付されています運営費交付金とは別に市が負担することや、新病院の機能や診療内容、研究機能等の詳細について協議を行うことを確認しています。新病院に求められている役割が十分に果たせるように、市立大学と精力的に協議を行いまして、新病院の実現に向けて取り組んでいきたいと思います。
○議長(山下昌彦君) 福田武洋君。 (3番福田武洋君登壇)
◆3番(福田武洋君) では、それに関連して、住吉市民病院についてお伺いいたします。 住吉市民病院については、当初は府立急性期・総合医療センターとの二重行政だと言っておきながら、ぐるっと回って結局は公立の市大病院を誘致せざるを得なくなる状況で、やはり二重行政ではなかったことが明らかとなっています。 平成25年3月に住吉市民病院に係る条例の議決の際に付された、「住吉市民病院が担っている産科・小児科等の機能存続と南部医療圏の小児・周産期医療の充実のため、責任を持って民間病院の早期誘致を実施すること」との附帯決議は、4回の民間病院誘致全てが失敗に終わり、守ることができなくなりました。そしてその後、住吉市民病院から移管して活用しようとしてきた病床100床を失う事態にも陥っています。 市民が利用できる大切な病床を失うということは、市民の財産を棄損したと言うこともでき、失政であると言わざるを得ません。民間病院誘致に失敗してきたこと、附帯決議を守れなくなること、住吉市民病院の100床を失うことなど、これまでの間のけじめをつけるべきと考えますが、市長の御所見をお伺いいたします。
○議長(山下昌彦君) 吉村市長。 (
市長吉村洋文君登壇)
◎市長(吉村洋文君) 住吉市民病院に関しては、わずか2キロという距離の中に小児・周産期というのを住吉市民病院も担い、そして府の急性期・総合医療センターも担っているという状況の中で、大阪市が単体で建て替えのみを検討し、機能統合について検証してこなかった、僕はこれは二重行政だというふうに思っています。その後の経緯の中で、民間病院を誘致するという附帯決議が付されました。僕は、市長になって附帯決議というのを守りたいということで、これまでずっと進めてきたところであります。 100床についてですが、これの経過を申し上げますと、住吉市民病院は大阪市が単体で建て替えようとしていた平成23年当時、現状の198床を小児・周産期に特化して120床とする、つまり、残り78床はそもそも失うということが予定されていたところであります。それから、住吉市民病院の病床についてですが、23年4月には41床休床、25年4月には56床休床、合計約100床は既に休床しているというような状況であります。現在稼働しています101床について、ほぼそれに相当します97床を大阪急性期・総合医療センターへ移管することで、府市共同住吉母子医療センターを新たに設立し、小児・周産期の強化を図っていくということを今実行しているわけであります。 府市共同住吉母子医療センターにおいて、これが実現すれば、妊産婦のハイリスク症例など周産期医療への対応強化、新生児・妊産婦の救急搬送への対応強化、救急・重症小児患者への対応強化など、南部医療圏において医療機能の充実を図ることができると考えています。30年4月に完成させることを全力で取り組んでいきたいと思います。 民間病院誘致に失敗してきたということですが、民間病院誘致に失敗してきた大阪市側の事情ももちろんありますが、さまざまな事情の中で民間病院は撤退された。民間病院が撤退された理由も書面上で明らかになっているところでもあります。 ただ、そうは言いましても、附帯決議で付された趣旨というのを尊重したいという思いを強く持っていますし、それは今でも変わりがありません。現在進行形であります。 現在、弘済院附属病院は90床で運用してますけども、住吉市民病院跡地に移転して、先ほど申し上げた認知症の専門医療をしっかり引き継ぐとともに、小児・周産期の部分についても市大病院ともしっかり議論をして誘致して、附帯決議の趣旨を全うしていきたいと思っています。 そのためにも、国との協議を初めとして市大病院、関係先との調整と、今後数多くのハードルがあるということは認識をしていますが、大阪の将来を考えたとき、住吉市民病院跡地にしっかりとした認知症の最高レベルの医療機関を誘致するとともに、小児・周産期が新たに府市共同住吉母子医療センターで安心して赤ちゃんを生み育てることができる、そんな医療圏にしていきたいと思っています。
○議長(山下昌彦君) 福田武洋君。 (3番福田武洋君登壇)
◆3番(福田武洋君) 結局市長は、この件に対してこれまで一切謝罪をされていません。全力で取り組んでいくとか挑戦するといった言葉でごまかさないでいただきたい。まずは3月10日の住民説明会できっちりと謝罪し、説明会が終了するまで皆さんの意見に耳を傾けていただきたいと思います。 次に、住吉市民病院での重症心身障害児者等医療型短期入所の登録者は44名で、そのうち3名の方は新たな登録先が確定していないとのことであります。小児科病棟については本日をもって閉鎖されることから、短期入所の御利用はもうできなくなっています。 この問題については、今月16日の民生保健委員会でも取り上げられ、健康局の答弁では、市民病院機構から登録者44名全員の方に対して住吉市民病院の閉院後の受け入れ態勢を御説明し、ほかの登録先への誘導ができるよう個別に資料の送付を行うとともに、直接電話による説明も行うこととしているとのことでしたが、その後、進捗状況はどのようになっているのでしょうか。 また、登録者44名全員の方の医療型短期入所の御利用は、ほかの医療機関で担えると考えておられるのか、市長の御所見をお伺いいたします。
○議長(山下昌彦君) 吉村市長。 (
市長吉村洋文君登壇)
◎市長(吉村洋文君) まず、44名の短期入所の登録者の方への対応についてでありますが、登録者の方全員に急性期・総合医療センターと市立総合医療センターで平成30年4月から新たに各1床ずつ確保する予定であるということを案内するとともに、利用登録できる医療機関の案内書を改めてお送りして、電話等により直接御案内を丁寧に行って、登録者の方に不安が生じないように対応させているところです。今後も、短期入所の利用に関する意思確認を行うなどして、登録者の方に不安を生じないように対応するということが大事だと思っています。 登録者44名の方への連絡対応の状況でありますが、きょう現在で今後の短期入所の利用に関する意思を確認できた方は38名でありまして、市立総合医療センターを利用したい方が10名、急性期・総合医療センターを利用したい方が3名、その他の施設を利用予定とされている方が4名、また、利用先を決めておられないという方が19名、今は利用しなくてもいいという方が2名となっています。 連絡をこちらから差し上げているものの、まだ連絡がついていない方が6名となっていますが、引き続き、きちんと連絡をとっていくよう病院機構に指示しているところです。 受け入れ枠の確保についてですが、市立総合医療センターでの短期入所の受け入れ開始を1カ月前倒ししまして3月1日から対応するようにしたほか、さらにあきがあれば受け入れてもらえるように、柔軟な対応をお願いしているところです。 本市の重症心身障がい児者等医療型短期入所の制度におきまして、現在、呼吸管理、吸引頻度、栄養摂取等に関する判定スコアが10点以上の方の御利用を対象としまして、実施医療機関に対して市からも経費負担をすることとしていますが、住吉市民病院において医療型短期入所を御利用されてきた方については、閉院対策として判定スコアが10点未満の方も対象に実施医療機関に対して市から負担をすることとして、受け入れの促進を図っていきたいというふうに思います。
○議長(山下昌彦君) 福田武洋君。 (3番福田武洋君登壇)
◆3番(福田武洋君) 市長、今の御答弁なんですけれども、一見聞いておりますと対応されているというように聞こえるんですが、病院機構のほうから送った案内状の内容を見ますと、民間病院が3つ記載されております。まず、1つ目の愛染橋病院、ここはもう今、満室で入室できません。2つ目のキリスト教病院、ここも満室であります。最後の3つ目、ボバース記念病院は18歳以上の方が対象でありますので--今回の登録した44名のうち20名以上は18歳未満でありますので、そもそもが対象外なんです。ですので、案内書に記載されている3つの民間病院が利用できないという状況の案内書になっているんです。そういった状況を市長は御存じなんでしょうか。お答えいただけますでしょうか。
○議長(山下昌彦君) 吉村市長。 (
市長吉村洋文君登壇)
◎市長(吉村洋文君) 議員が今御指摘の部分は3月の予約状況だというふうに認識しています。今後、これは3月も当然そうですけども、4月以降も御利用される、これは予約によって御利用されるわけですから、案内いたしましたのは、そういった民間病院がきちんと受け入れできるように登録の御案内をするということをしたところであります。 それから、新たに民間病院が短期入所という福祉的措置を開始してもらえるように、民間病院に働きかけもしていきたいと思っています。 3月の1カ月間の状況に関して言えば、3月1日から大阪市の総合医療センターにおいても短期入所の受け入れというのを実現できるようにしているところであります。今、短期入所を利用されるかどうか、それはそのときにならなきゃわからないところはあるんですが、今、44名の方が短期入所を安心して利用できるようにさまざまな働きかけ、これは、行政としても民間に対する働きかけをしていきたいというふうに思います。
○議長(山下昌彦君) 福田武洋君。 (3番福田武洋君登壇)
◆3番(福田武洋君) 先ほど、都島の市立総合医療センターと府立の急性期・総合医療センターでというふうにおっしゃっておりましたけれども、この府立急性期・総合医療センター、これは4月からオープンですので、都島の総合医療センターの1床だけなんです。44名の方に対して1床というのは、不足しているのは明らかであります。 ある保護者の方からこれを聞いたんですけれども、民間病院も利用することができないということで、わざわざ堺市の病院のほうまで足を運んでいらっしゃると。また、ほかの病院にも問い合わせをしたりして、対応可能かどうか相談をされているんです。大変な労力がかかっているわけであります。これが市長、現実なんです。ぜひともそこはしっかりと認識をしていただきたいと思います。 市長は、受け入れを確保すると、しっかりと引き継ぎ先を確保するということがなされていると本当に思っていらっしゃるんでしょうか。もう一度お答えいただけますでしょうか。
○議長(山下昌彦君) 吉村市長。 (
市長吉村洋文君登壇)
◎市長(吉村洋文君) 住吉市民病院の短期入所についても、市外の方も受け入れている状況であります。短期入所の福祉的措置というのは大阪市全域でやはり広げていかなきゃいけないというところで、住吉市民病院については統合方針決定の後、始めた事業であります。市立総合医療センターも今までやっていませんでしたが、この3月1日から短期入所をする。そして府市母子医療センターも、急性期ではありますが、これは本来福祉的措置だと言われるかもしれませんが、4月から短期入所を受け入れる。 そして、1床、1床とよく言われるんですが、これは病院機構に僕も確認していますが、病床にあきがあれば当然受け入れるということをしています。ですので僕は、短期入所について、受け入れ先がなくてもうどうしようもないという状況ではないと思っています。いたずらに不安をあおるのではなくて、しっかりとこちらが対応することが必要だと思っています。
○議長(山下昌彦君) 福田武洋君。 (3番福田武洋君登壇)
◆3番(福田武洋君) いたずらに不安をあおっているんじゃないんです。事実を申し上げているんです。登録者全員の受け入れ先を確保するというのは、いつでも利用できる状況があって初めて確保できたと言うのであります。それが全く果たされていない。極めてずさんな対応であると指摘をしておきます。 次に、府市共同住吉母子医療センターの開設に係る再編計画を国に提出するに当たって、必要となる意見書をもらうため、医療審議会の手続が進めてこられました。審議の対象とされた再編計画は、住吉市民病院の跡地に新病院が開設されるまでの約6年もの間、病床を持たない無床診療所として暫定診療を行うもので、これまでの住吉市民病院の医療機能から大きく後退するものとなっています。 1月24日に開催された大阪市南部保健医療協議会では、6年間の暫定診療に対して30床の入院機能を求める附帯決議及び決議が全会一致で採択され、今月7日に開催された大阪府医療審議会病院新増設部会でも、これを尊重することが求められました。医療の専門家の意見を尊重し、30床の入院機能とすることを検討する必要があると考えますが、市長はどのようにお考えでしょうか。
○議長(山下昌彦君) 吉村市長。 (
市長吉村洋文君登壇)
◎市長(吉村洋文君) まず、一昨日、26日に開催されました大阪府医療審議会において、住吉市民病院の医療機能の継承などを前提としまして、再編計画について賛成の方向で取りまとめされたところです。 お尋ねの30床の入院機能ということについては、医療審議会病院新増設部会において附帯決議及び決議を尊重することを求められたところだと認識しています。 今回の再編計画は、ことし4月、府市共同住吉母子医療センターの開設を前提としまして住吉市民病院の97床を急性期医療センターに移管しようとするものでありまして、あわせて病床を有しない暫定診療を行うこととするものとしたものであります。 暫定診療所は、新病院開設までの間、現地で小児・周産期医療に対応するため設置するものでありますが、小児・周産期、まさに小児科、産婦人科の医師不足と、これは国の大きな方向性でもありますが、機能強化のための集約化を背景としまして、リスクに対応できる体制が整った医療機関で出産をすることのほうが、妊産婦さんの安全、安心につながるという意見もあります。 入院機能に関しては、府市共同住吉母子医療センターを初めとした後送病院との強固な連携を図ることによって対応していきたいと思っています。
○議長(山下昌彦君) 福田武洋君。 (3番福田武洋君登壇)
◆3番(福田武洋君) 30床の入院機能に関する附帯決議及び決議について認識していると言いながら、結論としては病床を確保しない、ゼロ回答ということです。 暫定診療は外来診療のみで、半日を1こまとして、小児科は週6こま、産婦人科に至ってはたったの週3こまです。こんな診療所は見たことがありません。医療の確保、充実という言葉からはほど遠いと言わざるを得ません。 南部保健医療協議会など地域医療の専門家の意見として、即座に医師確保をすることは困難とはいえ、住吉市民病院の機能を承継し医療空白を生じさせないためには、必ず病床は必要だという見解です。段階的に医師を確保していくなど、本気で挑めば柔軟な対応策が出てくるはずです。ぜひ真剣に検討していただきたいと思います。 住吉市民病院については、もう一点指摘しておきます。 市立大学附属病院の誘致も、市長は合意に至ったかのように発言していますが、大学と締結した確認書は法的拘束力すらなく、協議義務もありません。果たして6年後に本当に新病院が開設されるのか、小児・周産期医療が本当に付加されるのか、病床数を含め何にも決まっておらず、白紙の状況と言わざるを得ません。 市立大学は大学統合問題を抱えており、財政上の問題やその他さまざまな課題を議論していく必要がありますが、そんな中、果たして協議が調うのでしょうか。大学法人の統合案件が可決された以上、誘致に向けたハードルは確実に上がっているということを申し上げておきます。 次に、地方独立行政法人大阪健康安全基盤研究所についてお伺いいたします。 大阪健康安全基盤研究所については、ほかの統合・独法化案件と同様に統合・独法化ありきで進められており、重要な事項が何も決まっていません。課題ばかりが散見し、統合・独法化の効果が全く見えてきません。一体いつになれば統合・独法化の効果が見えてくるのでしょうか。 例えば、市長が繰り返し答弁されていた機能強化については、現在具体的にどのような取り組みをされているのでしょうか。 また、統合・独法化のときには一切議論がなされていなかった施設の一元化について、その一元化施設整備の概算工事費は約164億円の費用が見込まれると聞いています。我が会派は、旧環境科学研究所の建物は耐震化もされており、これだけの費用を投資することなく機能強化ができたのではないかと繰り返し主張してきました。約164億円の費用負担に見合った効果が本当に発揮できるのでしょうか。 さらに、一元化施設整備の方針が決定され既に1年半以上が経過しているにもかかわらず、現時点においても府市の具体的な費用負担の考え方が示されておりません。費用負担は府市折半という声も聞こえてきますが、これらの点について市長の御所見をお伺いいたします。
○議長(山下昌彦君) 吉村市長。 (
市長吉村洋文君登壇)
◎市長(吉村洋文君) 両研究所の統合・独法化につきましては、市立環境科学研究所と府立公衆衛生研究所といった規模・機能面で拮抗する2つの地方衛生研究所が大阪の狭いエリアに2つ存在していましたが、この2つの研究所を独法化という手法を用いて統合しまして機能強化を図ったところであります。 また、公権力を行使します保健所と調査研究・試験・検査機関として高い専門性が求められます地方の衛生研究所は、組織として分けることで、それぞれの本来の役割に専念させつつ連携協力を密にして、公衆衛生機能の総合力を大阪府全体で高めていくことができるものだというふうに考えています。 目指すべき機能強化につきましては、健康危機にかかわる情報収集や発信機能の充実・強化を図るとともに、公衆衛生情報の解析機能を培って疫学調査などへの取り組みについても深めていくこと、また、必要な人的・物的資源を確保して、公衆衛生行政の実施主体である自治体や保健所に対しまして研究所が有する技術及び知見を提供する中期目標に定めているところであります。 機能強化全般に当たっては、具体的な推進体制を構築することが非常に重要だというふうに思ってまして、これまで両研究所には設置されていなかった市民等への健康と安全に関する情報発信や疫学調査に関する助言、支援を行う部門である健康危機管理課、検査データから多様なリスク要因の解析による感染症の被害拡大防止や蔓延防止を図る部門である疫学解析研究課、さらに、検査結果データの適性を確保するための検査部門と、独立した部門である精度管理室を法人の企画部に新たに設置しまして、体制強化を図っているところであります。 統合して1年6カ月という短期間においても機能強化における具体的な取り組みが進んでいることは、大きな進歩、進展であるというふうに認識しています。 財政面についてですけれども、一元化の施設整備に係る費用負担につきましては、基本設計を踏まえ、全体の工事費が判明する実施設計の段階で負担割合の考え方をお示ししてまいりたいというふうに思います。 疫学部門、今多くの方が大阪に訪れられている状況でグローバル化が進む時代において、多種多様な食品も多くある中、国境を越えて広がる感染症から大阪の人たちの生命と健康を守るというのが喫緊の課題であります。東日本には核となる東京都の衛生研究所がありますが、西日本においても核となる衛生研究所を実現させていきたいと思っています。
○議長(山下昌彦君) 福田武洋君。 (3番福田武洋君登壇)
◆3番(福田武洋君) もともとの役割分担、事業規模、人員体制等は府のほうが明らかに大きく、ほかの統合案件と同様に単純に折半ということはあり得ない話です。全体の工事費が判明する実施設計の段階で負担割合を示すとおっしゃいますが、負担割合などは統合判断における最重要事項じゃないんでしょうか。そもそも順番が逆なんです。統合してから考えるという手法ばかり使うから課題だけがどんどん浮かび上がってくるんです。この規模でこの状態なわけですから、大学統合でどうなるかは推して知るべしであります。 次に、区役所住民情報業務等の委託化についてお伺いいたします。 市民にとって最も身近な
行政サービスである区役所の住民情報窓口業務は、現在、いずれの区役所でも民間委託されており、これまでもたびたび市会で取り上げられ、市民満足度のアンケート調査の結果として肯定的な回答が90%を超えており、これは民間事業者が有する顧客対応の成果であるとか、約180人の職員を見直すとともに経費面でも年間で1億7,400万円の削減ができた--これは、来庁者数に応じて柔軟な人員配置を行うなど、民間事業者が有する効率的な運営手法の成果であるといった答弁がされてきました。 ですが、そのような中、最近、浪速区役所の来庁者の声を聞く機会があったのですが、その内容は、証明書をとりに行っただけなのに結局3時間待ちであったとか、お願いした内容が証明書に載っておらず、つくり直しで待たされている来庁者もおられたといったものであります。 これが民間委託化した住民情報窓口の実態なのであれば、市の言う民間活用とは要はコスト削減であって、市民サービスは二の次だということであると思えてなりません。市長として、このような住民情報窓口の現状をどのように捉えているのか、認識をお伺いいたします。
○議長(山下昌彦君) 吉村市長。 (
市長吉村洋文君登壇)
◎市長(吉村洋文君) ただいま御指摘のありました浪速区役所の住民情報窓口における待ち時間の状況についてですが、3年間の委託期間の満了に伴いましてこの2月から受託事業者が交代した直後に、混雑がピークを迎えるお昼の時間帯を中心に、御指摘のように長時間お待ちいただいたケースがあったと認識していますが、現在ではおおむね30分以内で対応できていると聞いています。 区役所の住民情報窓口業務の民間委託につきましては、民間事業者が有しますノウハウや柔軟な執行体制の活用を通じて窓口サービスの質の向上を目指すことをその目的としているものでありまして、委託によりサービスの低下を招くことがあってはならないというふうに思っています。 今回のように、委託期間の満了によりまして受託事業者が交代する場合があることから、交代による影響が出ないように委託期間が満了する時期を比較的繁忙でない時期にするなどの工夫をしているところでもありますが、一時的なものであったとはいえ、こうした受託事業者の交代によりまして来庁者サービスに影響を及ぼすことについては避けなければならなかったと思っています。 今回のケースを重く受けとめて、しっかりとした改善策を講じるようにしていきたいと思います。
○議長(山下昌彦君) 福田武洋君。 (3番福田武洋君登壇)
◆3番(福田武洋君) 民間事業者の交代時期というのは市民にとっては全く関係のない話ですし、混雑する時間帯であったという理由も、来庁者数に応じて柔軟な人員配置を行うことが民間事業者のメリットであると説明されていたのではないでしょうか。これ、全く言いわけにもなっていないと思います。 現在は30分以内で対応できているというふうにおっしゃっておりますが、一体それを誰からお聞きになったのでしょうか。私は、以前よりも待ち時間が明らかに長くなったとの声ばかりを耳にしており、市長のその言葉も市民満足度のアンケート調査も、うのみにはできません。 市民満足度は窓口を訪れた方へのアンケートにより調査をしているとのことですが、よくよく確認すると、驚くべきことに、来庁者の方へアンケート用紙を渡したり回答を集計したりといった事務作業は民間事業者みずからが行っているとのことです。昨年には委託事業者の職員による不祥事があり、本市の管理監督責任が問われた中、委託事業者に自身の評価まで丸投げするとは余りにもずさんではないでしょうか。 このようなアンケート調査の結果をもって本当に市民満足度が高いと言えるのでしょうか、市長の御所見をお伺いいたします。
○議長(山下昌彦君) 吉村市長。 (
市長吉村洋文君登壇)
◎市長(吉村洋文君) 市民満足度につきましては、実際に利用された市民の皆さん、多くいらっしゃいますから、その利用された市民が直接アンケートに御回答いただくのが最も効果的であろうというふうに思っています。 このアンケート調査に当たっては、全ての来庁者の方を対象とすることは当然のことであります。現在ですが、22区の区役所におきまして、アンケート用紙の回収率を高めるために、サービスを受ける前の段階の庁舎案内であったり窓口の受け付け時に用紙を配付しています。つまり、サービスを受けた後じゃなくて、サービスを受ける前にあらかじめ渡しているという状況であります。したがいまして、受託事業者において調査対象者を選別することは不可能だというふうに思っています。 書類の交付時に配付している残りの2区においても、議員御指摘のような懸念を抱かれることがないように早急に改善していきたいと思っていますが、利用される市民の皆さんに直接回答いただくアンケートシステムというのは、これからも実施していきたいと思います。 それから、窓口にアンケート用紙を置いておけばいいじゃないかという御意見もあるんですけども、これでは、そうするとどなたでもとって何度も回答できるというような状況もあり得ますので、適切ではないと。現に利用される方に、その利用時に事前にアンケート用紙をお渡しするのが適切だというふうに思っています。
○議長(山下昌彦君) 福田武洋君。 (3番福田武洋君登壇)
◆3番(福田武洋君) 調査対象者を選別するとかしないとかではなくて、集計まで丸投げしていることが問題であると言っているのであります。 委託料を減額される負のインセンティブがあるとも聞いており、なおさら区が関与すべきであり、業者に任せきりの現状は問題ではないでしょうか。 業者任せの問題点として、もう一点確認をしておきたいと思います。 契約期間の満了に伴う今年度の事業者公募では手が挙がらず、再発注となっている区役所があるとのことです。またさらには、再発注にとどまらず再々発注に至っている区役所もあると聞き及んでいます。 この点に関する市の説明によると、再発注に至った区役所においては当初発注と比較して約4%提案上限額が上昇しており、また、再々発注に至った区役所では、次期契約が決まらないために現行契約を4カ月間延長せざるを得ない状況となり、月額ベースで40%を超える委託料の増加を余儀なくされたとのことであります。 再発注時の4%の上昇についても、業務内容を見直して委託する範囲を狭めた区役所があり、実質は4%では済まないはずです。そして、とどのつまりがつなぎ契約で40%を超える増額とは驚く限りであります。 これらコストの上昇もさることながら、何より問題だと感じるのは、市が再々発注に及んででも民間事業者の公募を諦めず続行するのは、民間ならではのメリットがあるからではなく、そもそも民間活用ありきといった姿勢に陥っているからではないでしょうか。 こうした姿勢は、民間事業者には簡単に見透かされてしまい、いずれ本市から民間事業者に対して是々非々の姿勢で臨めなくなってしまうのではないかと、我が会派としては憂慮しておりますが、この点について市長の御所見をお伺いいたします。
○議長(山下昌彦君) 吉村市長。 (
市長吉村洋文君登壇)
◎市長(吉村洋文君) 市役所、区役所の住民サービスの窓口について、これまで非常に役所的だという意見も多かったですけれども、民間委託をすることによってサービスがよくなったという意見も多く聞くところであります。 事業者の公募についてですが、29年度は8区役所で委託期間満了に伴います次期の受託事業者の公募を行ったところ、6区役所では事業者が決定していますが、都島、西区の2区役所では選定に至っていないというところであります。 現在、不調の原因を探っているところですが、景気拡大等に伴って賃金単価も上昇しています。地域における人材確保の競争が激しくなっているといった要因もあるというふうに考えています。 区役所の住民情報業務委託を開始して5年が経過していますが、事業として一つの節目を迎えている中でこういった発注の不調については、議員の御指摘のとおり大きな課題だというふうに認識しています。 この課題解決に向けまして、客観的な分析、検証も進めていて、平成30年度に期間満了を迎える6区役所の公募に反映して、適正な委託業務の実現を図っていきたいと思います。
○議長(山下昌彦君) 福田武洋君。 (3番福田武洋君登壇)
◆3番(福田武洋君) 業者の切りかえのタイミングでは、常に応札業者が決まらないかもしれない不安要素があったり、仮に業者が決まり、新業者による運営立ち上げ時期であるとしても、窓口での待ち時間が非常に長くなる状況を考えると制度の安定性が保てていないのではないでしょうか。民間委託といって市場の原理に任せた典型的な失敗例であります。もう後戻りは簡単にはできません。市としての責任は非常に重いものがあると指摘をしておきます。 次の幹部職員の公募制度については、時間の関係で質問は飛ばさせていただきます。 次に、校庭等の芝生化事業についてお伺いします。 芝生化事業については、教育委員会が実施してきた事業と各区長のマネジメントで実施してきた事業の2つが併存しています。 まず、教育委員会の事業は、平成24年度までに計43校の芝生化が実施され、平成27年度には維持管理費の補助も終了しましたが、その後は学校に種代や肥料代などの予算を配付しているとのことであります。 一方、各区長のマネジメントで実施してきた事業については、平成26年度から区役所における重点予算として地域で設立された実行委員会で実施をしていただいておりますが、平成26年度から実施した実行委員会に対しては、今年度において重点予算による補助が終了することになります。 そこでお聞きします。華々しく実施されてきた校庭等芝生化事業でありますが、事業主体が教育委員会と区役所で別々であり、また、維持管理費補助の終了後の取り扱いも異なるなど、まとまりのない事業となっています。これでは、この事業を最終的には地域の実行委員会に押しつけることになるのではないでしょうか。この点について市長の御所見をお伺いいたします。
○議長(山下昌彦君) 吉村市長。 (
市長吉村洋文君登壇)
◎市長(吉村洋文君) 校庭の芝生化事業につきましては、児童・生徒への教育上の効果はもちろんのことですが、芝生の育成や芝生を媒体としたイベント等で地域や保護者が学校に集まることで、学校と地域の連携、地域のコミュニティーの活性化にもつながる、そういった効果があるものだというふうに考えています。そのため、スキームとしては、意欲のある地域の方々が中心となって芝生化の実行委員会を立ち上げられ、芝生の施工、維持管理を実施していただき、その支援を行っているものであります。 平成26年度からは、ニア・イズ・ベターの観点から、区長マネジメントによりまして実行委員会に対し、重点予算から施工費及び維持管理費について期間を区切って支援を行っています。 維持管理につきましては、半額補助の終了後は自立的に行うことを各実行委員会の立ち上げの際に御了解いただいています。実行委員会の自立化に向けて、補助の期間においてもさまざまな形により自主財源を調達されており、その取り組みが進んできているところです。 平成29年度まで維持管理補助を行う28カ所のうち、自立化する箇所は24カ所あります。残る4カ所につきましては、区で必要性を精査して支援を行いますが、自立化については引き続き促してまいります。 今後も、地域ニーズを酌み取って、支援の必要性を区長マネジメントのもとで検討していきたいと思ってます。
○議長(山下昌彦君) 福田武洋君。 (3番福田武洋君登壇)
◆3番(福田武洋君) 芝生の育成を通じて地域コミュニティーの活性化を目指すとされていますが、実際のところ、地域住民は自由に学校に入ることができないため、結局は校長や教頭、管理作業員が対応することもあり、新たな負担になっていると聞いています。そのような大変なこともあり、既に芝生化事業をやめて、もとの土の状態に戻している学校もあるとのことです。 当初は24区で24色の鮮やかな大阪市にといった表現もされておられましたが、色鮮やかに花咲くどころか、今や芝生でさえ枯れているのではないでしょうか。緑の維持管理には大変な手間暇、労力がかかることはわかっているはずです。地域住民が主体との建前をつくって進めていこうとしていますが、事業を行うに当たっては実態をよく把握し、最後まで責任と覚悟を持って進めていただきたいと思います。 次に、特別区についてお伺いいたします。 本年秋の住民投票の実施を目指し、特別区設置協定書の作成を目指しておられますが、特別区設置については、住民投票を究極の民主主義と主張し、これ以上ないベストな案として市民の方に判断を求めた結果、否決となり、既に決着済みであります。さまざまな政策を掲げて戦う市長選挙とは全く性質が異なり、市長選の結果をもって住民投票の結果を覆すことは許されませんし、ましてや住民投票の結果を否定することは民主主義の否定であります。 2月20日にG20の大阪開催が決定されましたが、大阪を世界にアピールする絶好の機会であります。開催は来年の6月か7月と想定されており、早急に開催のための準備に入り、万全の体制をもって成功に導いていかなければなりません。さらに、G20招致の成功を2025年の万博誘致の成功へとつなげていかなければなりません。 このように万博誘致に向けた取り組みを加速していかなければならない状況の中で大阪市を廃止することは、マイナスでしかなく、制度論にかまけている余裕など一切ないはずです。万博の開催会場とされる夢洲を整備する大阪市が廃止されるかもしれないといった議論をしていて、果たして諸外国の信任など得られるのでしょうか。 そこで、改めて確認いたしますが、直ちに特別区素案を撤回し、法定協議会を廃止すべきであると考えます。市長の御所見をお伺いいたします。
○議長(山下昌彦君) 吉村市長。 (
市長吉村洋文君登壇)
◎市長(吉村洋文君) まず、住民投票で5月17日、約3年前、69万人の方が賛成し、70万人の方が反対ということで否決になりました。その際、先ほど議員が指摘したような主張は、これは確かに行っていた。一方で都構想反対派の方は、都構想についてわからなければ反対をと、反対になれば議論が継続されます、そういったことも積極的に宣伝されて、そして住民投票に突入していったという経緯もあります。もちろんこれは否決された。その後で僕の市長選挙が行われたわけであります。 その市長選挙の際に、じゃ、マスコミ、メディア、市民の皆さんがどこに一番注目されていたかといえば、これは都構想なんです。都構想について再挑戦するかどうか、そこについてであります。だから、僕は全てのテレビ番組の討論会に参加しましたし、全ての新聞の討論会にも参加して、そこで必ず聞かれたことは都構想へ再挑戦をするかどうかであります。 市長選挙が終わった後の新聞紙面、また皆さん思い出していただいたらいいと思うんですが、都構想再挑戦へというようなことも見出しとして書かれた。つまり、ここは僕が市長として選挙公約に掲げ、そして最も主要な論点となり、多くの皆さんに御支持をいただいて一票を投じていただいた。そこで僕自身が市長になっているわけですから、都構想について再挑戦するのは当たり前であります。これでもし僕が都構想に再挑戦しないと言うんであれば、一票を投じる方は誰を信用したらいいというんでしょうか。 要は、市民の皆さん、政治家に近い市民の皆さんはたくさんいますが、そのほとんどは政治家から遠いところにいます。そういった人たちがどうやって政治的意思を反映するかといえば、これは一票でしかないんです。その一票について、僕に都構想再挑戦をということで投票していただいた。そして、メディアで報道されたのは市民の皆さんが興味があるということ、まさに知りたいところであります。 そういって選挙公約として掲げて市長になった以上、住民投票について再挑戦するというのは当たり前であります。もしこれで僕がやめるとなれば、これは何を信用して一票投じたらいいのかということになります。だから、民主主義そのものの手続を今踏んでいると私は考えています。 一方で、議会においては大都市制度の改革は必要だと、しかし、それは特別区ではなくて総合区だという御意見も多くあります。二元代表制のもとで総合区についても案をしっかりつくって、最後は市民の皆さんに御判断をいただくというのが僕の政治家として課せられた役割だというふうに認識していますので、それを実現していきたいと思います。 それから、万博誘致、G20についてですが、先ほど、大阪市が廃止されたら夢洲がなくなるということでした。夢洲が沈没するんであればそのとおりですけども、夢洲は存在いたします。都構想なんて事務の役割分担の話であって、何の影響もありません。法定協議会を実行していって、秋の住民投票を実現させていきたいと思っています。
○議長(山下昌彦君) 福田武洋君。 (3番福田武洋君登壇)
◆3番(福田武洋君) 市長、私がいつ夢洲が沈没するなんて言いましたか--言うてないですよ、そんなことは。実際に新聞報道等でも、大阪市の廃止が及ぼす万博への影響について、競合する国がネガティブキャンペーンを行っていると報じているのに、なぜ市長はそんな楽観的なことをおっしゃることができるんでしょうか。これ、もっと真剣に考えていただきたいと思います。 また、法定協議会についても、我が会派は直ちに廃止すべきであるとの立場でありますが、市民の代表としてさまざまな観点から質疑を行い、その問題点や論点を委員会の場で指摘してまいりました。しかしながら、市長や理事者からは明確な答弁は得られていない状況であります。資料の提出を求めても対応いただけない状況であります。我々に対して、ひいては市民の皆さんに対して真摯に説明するつもりがないと言わざるを得ません。私どもが指摘した問題点が放置されたまま形だけの議論が進められ、お茶を濁す程度の修正をもって特別区設置協定書が作成されるのではないかと強く危惧しております。 住民投票をあくまでも目指すというのであれば、市長は、これまで我々が指摘した問題点や資料要求に真摯に答え、十分な審議時間を確保した上で説明責任を果たしていただきたいと思います。 次に、前回の都構想効果額が批判を浴びたことから、今回は異なる形で新たな大都市制度の経済効果額を算定されようとしています。そのため、経済効果の算定調査を実施すべく事業者選定の公募を行われましたが、期限までに応募がなく、補正予算の議案を本会議上程の直前に取り下げるという事態になりました。 経済効果の算定に当たっての前提条件を全く定めず、事業者に丸投げしていたため、事業者も責任を持てないから応募に至らなかったのではないでしょうか。 今回の事態は、行政としての責任放棄の結果と指摘せざるを得ません。にもかかわらず、改めて当初予算案が提出されましたが、取り下げられた補正予算案同様に、事業者の応募がなかった原因の十分な検証も行われたとは思えず、何ら反省が見られません。手続がおくれることで当初スケジュールどおりにはいかないと思われますが、次はどういう条件でいつから公募されようと考えておられるのか、市長の御所見をお伺いいたします。
○議長(山下昌彦君) 吉村市長。 (
市長吉村洋文君登壇)
◎市長(吉村洋文君) 今回の業務委託に係る公募についてですが、参加意向を示された事業者はありました。ただ期限までに事業者からの提案書類の提出はありませんでした。したがいまして、今年度中の契約締結の見込みがなくなったということで、債務負担の設定を内容とします補正予算については取り下げることとしたものであります。 ちなみに、議員も御承知だと思うんですが、予算の策定、補正予算のタイミングから債務負担行為を設定する補正予算、当初予算というのは、公募するという前提で提案しているものであります。 再公募に向けまして、担当部局に対してどのあたりに改善すべき点があるのか、金額や事業期間等も含めて条件を検討するように指示したところであります。再公募の内容を検討しまして、今後、必要な手続を進めていきたいと思っています。 なお、経済効果の算定に当たって前提条件を全く定めていない、丸投げという御指摘ですけれども、今回の業務委託につきましては、特別区の素案、総合区の素案をそれぞれ定性的な効果を初めとして制度の詳細をお示しした上で、それをもとに経済学のノウハウ、知見を有する事業者を活用して経済効果を算出しようとしているものでありますので、丸投げという御指摘は当たらないと考えています。
○議長(山下昌彦君) 福田武洋君。 (3番福田武洋君登壇)
◆3番(福田武洋君) 市長、今は再公募の時期とかスケジュールについてお伺いしたんですが、明確な回答は得られませんでした。 ちょっと確認をしたいんですけれども、前回の住民投票を考えますと、協定書が取りまとめられてから約4カ月後に住民投票が行われております。今回、市長はあくまで秋の住民投票を目指すということで、10月と考えますと、逆算しますと6月には協定書の取りまとめを行わなければなりません。そう考えますと、調査結果が6月以降になるんではないかというふうに思うんですけれども、そうなれば調査結果に対して十分な議論をする時間はないというふうに思われます。 また、先日の委員会で、これは武議員がおっしゃっておられましたけれども、前の橋下市長が、都構想というのはあくまで仕組み論、システム論だということで、システムを導入することと経済効果は関係がないということを言い切っておられました。そのことを武議員が引用されておられましたけれども、じゃ、関係ないと認識しておりながら今回公募で効果額を出す。その調査結果については今回の逆算した6月に間に合わないような状況で。それを考えますと、10月の住民投票の直前にそういった恣意的な数字を出して住民投票を有利に持っていこうというふうに考えているんではないかと危惧するわけであります。 もう一度御確認をいたしますが、調査結果に対する十分な審議時間は確保されるんでしょうか。いかがでしょうか。
○議長(山下昌彦君) 吉村市長。 (
市長吉村洋文君登壇)
◎市長(吉村洋文君) 経済効果について、事業者が一定の判断のもとでそういった提案があれば、当然それに基づいて十分な議論というのが行われるべきだというふうに思っています。もちろん、経済効果以外にも法定協議会において議論すべきことはあります。ですので、法定協議会において議論すべきこともしっかりと詰めていきながら、経済効果についても、それが出次第議論をしたいというふうに思っています。 再公募についてもできる限り早く、僕はやるべきだというふうに思っています。いたずらにおくらせて住民投票直前にというようなやり方を考えているわけではありません。 ちなみに、いわゆる大都市制度と経済効果は関係ないということなんですけれども、今の副首都推進局において専門的な知見がないから、経済的に専門的な知見を有する事業者に対して一定の公募をしているわけであります。ですので、これは一定の高度な専門知識のもとに判断されるべきことかなと思っています。 僕自身は、制度設計、いわゆる統治機構から二重行政をなくすということによって大阪の意思決定のあり方が変わってくる、大阪の経済成長に大きく寄与する、経済効果というものは必ず生まれてくるというふうに考えています。もちろん、この事業をしたからこの経済効果というたてつけではありません。ただ、物を建てれば経済効果は出てきますが、そういう意味ではないかもしれないけれども、統治機構、意思決定の機能のあり方が大都市としての経済効果に影響するものだと、大都市の成長に影響するものだと思っています。
○議長(山下昌彦君) 福田武洋君。 (3番福田武洋君登壇)
◆3番(福田武洋君) 市長、このような政治色の濃い内容を公募することは、やっぱりおかしいと思います。このような予算は到底認めることができません。 知事発言にあった逸失効果まで含めると予算は当然通らないと思いますが、仮に予算が通ったとしても、通常の経済波及効果の算定では絶対に行わないようなそんたくが起きないようにくぎを刺しておきます。 行政から納得のいく説明が得られなかった際には、選定委員や事業者の方に直接お伺いする必要があることを指摘しておきたいと思います。 次に、なにわ筋線、淀川左岸線延伸部、万博、IRなどのビッグプロジェクトについては、今後事業費が膨らんでいくことが想定されますが、特別区素案とともに示された
財政シミュレーションには反映されていません。これらの事業に係る財源をいずれの自治体が負担するかについては、法定協議会や大都市・税財政制度特別委員会において確認しましたが、特別区設置の日までは知事と市長が調整する、特別区設置後は大阪府・特別区協議会で協議するという答弁で、特別区民が負担しないとの明確な回答は得られませんでした。 また、2月14日の委員会において我が会派の川嶋議員が、大阪市から大阪府に移管した事務の全てについて、大阪市の財源を移転するのではなく、事務によっては府税で負担すべきものもあり、いずれの自治体の負担によるべきかきちんとした精査が必要であることを指摘したところであります。 改めて確認いたしますが、このようなビッグプロジェクトは当然大阪府で実施する事務となりますよね。大阪府に移管する財政調整財源で賄うといった形で、特別区移行後も特別区が負担することになるのでしょうか。 また、特別区移行後に新たな成長戦略的なプロジェクトが事業化された場合にも、府税負担は一切せず、市町村税源である財政調整財源を当てにするのでしょうか、市長の御所見をお伺いします。
○議長(山下昌彦君) 吉村市長。 (
市長吉村洋文君登壇)
◎市長(吉村洋文君) 特別区素案におきましては、広域機能と、それから基礎自治の機能の役割分担を徹底することとし、特別区、大阪府、それぞれの分担に応じた財源を配分することをお示ししているところです。 大阪の成長、発展を担う広域機能が一元化されます大阪府においては、配分された財源や成長による果実などを利用してその責任を果たしていくものだというふうに考えています。 こういった財源配分のもとで、現在、大阪市が大都市地域における市町村事務として実施している広域的な事業については、ビッグプロジェクトを含め財政調整財源を充当することが適当だというふうに考えています。 今の私、そして松井知事との間でほぼ方針が決定されているビッグプロジェクトに係る財政負担のあり方については、一定整理した上で、知事、府議会議員、そして私、市会議員で構成する、まさに法定協議会の場で議論が必要であるというふうに考えています。 特別区設置後に今後新たに同種の将来の広域事業を実施する際、これは特別区移行時に大阪府に配分された範囲内の財政調整財源を充当することが基本だと考えてますけれども、この配分割合については、大阪府・特別区協議会において毎年度検証されて、必要な場合はその扱いについて協議されることになっています。
○議長(山下昌彦君) 福田武洋君。 (3番福田武洋君登壇)
◆3番(福田武洋君) 先ほど私がお聞きしたビッグプロジェクトに限って法定協議会で協議するということですが、そのような個別の話ではなくて、現在大阪市が行っている広域的な事務を全て調整財源で賄うことを当然の前提としていることが、最大の問題点であることを言っているのであります。 我が会派が指摘しているのは、政令市がなくなれば、いわゆる広域的事業は府税等で賄うべきであるということを言っているのであります。広域一元化というのであれば、意思決定者である大阪府がみずからの財源である府税を使って実施するべきであり、そうでなければ、広域機能の一元化というのは単なる妄想でしかありません。財政調整財源として大阪府に移管される市町村税は、他の市町村ならばみずからの財源として使えるものであるにもかかわらず、今後、特別区の意思が届かないところで事業費が増嵩するビッグプロジェクトに使われ続けるというのであれば、特別区はその分を基礎自治サービスの充実に活用できないことになります。 さらに言うならば、特別区は現在存在しないことから何の意見も意思決定もできない中で、市長と知事の調整のみにより、基礎自治サービスの拡充に活用できる財源を奪われるのであります。やはり広域機能の一元化とは、要は一方的に大阪府が大阪市から権限のみならず、財源をも奪い取ることにほかなりません。一体市長はどこを向いて仕事をなさっているのかと言わざるを得ません。市長は大阪市の市長であり、大阪府の副知事ではありません。そのことをしっかりと見詰め直していただきたいと思います。 最後に申し上げます。市長、一体、住民自治とは何でしょうか。地域づくりの理念や方向性を市民みずからが決め、市民みずからの手で地域をつくっていく、それが住民自治であると考えております。すなわち、地域づくりの全ての起点は住民であるということ、そのためには市民、議員、首長、行政職員、あらゆる人たちの対話によって合意をつくり出し、具体的な政策を決めていかなければなりません。合意形成は、手間暇はかかるかもしれませんが、対話によってつくり出すものであります。吉村市長は就任当初の所信表明で、合意形成を図りながら粘り強く議論を進めていくとおっしゃっておられましたが、最近の政策判断を下す姿などを拝見していると、所信表明でおっしゃった内容に対して行動と言動が合致しているとは言いがたいとはっきりと申し上げておきます。所信表明が聞こえのよい言葉だけで終わることのないようにお願いしておきます。 改めて、都構想について申し上げます。 一元化した後の広域の部分において、住民が直接議論に参加できない、明らかに住民の思いが届かない部分であっても不平等に税の負担を強いられることは、住民自治からも大きく逸脱するものであります。究極の民主主義と言われた中で行われた住民投票で否決されたにもかかわらず、再び2回目を目指す。しかも全くバージョンアップすらされていない。自分の公約であるからスケジュールありきで強引に推し進めることなど、先ほどから申し上げている住民自治を根幹から無視するものであり、改めて反対と言わせていただきます。 大阪市では、前市長の時代から、大阪市が目指すべき方向性が示されるはずの総合計画すら策定されていません。今後の大阪市を考えたときに、いつまでも枠組み論に終始するのではなく、一日も早く、あるべき大阪市の姿を見詰め直し、大阪市が担うべき公益に基づいた市民のためになる施策を展開していただくことを強く要望し、詳細は予算委員会に譲ることとして、私の質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(山下昌彦君) お諮りいたします。この際、暫時休憩することに決して御異議ありませんか。 (「異議なし」と呼ぶ者あり)
○議長(山下昌彦君) 御異議なしと認めます。よって暫時休憩いたします。 午後2時17分休憩 午後3時再開
○副議長(明石直樹君) これより休憩前に引き続き会議を開きます。
○副議長(明石直樹君) 辻義隆君の質疑を許します。 49番辻義隆君。 (49番辻義隆君登壇)
◆49番(辻義隆君) 私は、公明党大阪市会議員団を代表いたしまして、今回上程されている平成30年度の大阪市予算案並びに関連諸案件などについて質問いたします。 大阪市は、世界の大都市へと飛躍する大きな転換点を迎えています。うめきた2期区域のまちづくり、なにわ筋線の延伸などの
都市インフラの充実、さらには2019年のG20サミット首脳会議、2025年の万国博覧会の誘致など、大阪の成長戦略を着実に進めていかなければいけません。 一方、市民が安心して暮らせるよう障害者、高齢者を初めとした市民福祉の向上、子育て、教育施策の拡充など、市民サービスの一層の充実を推進すべきであります。 成長のかなめとなるビッグプロジェクトを成功に導き大阪経済の好循環を生み出しながら、本市が関西活性化のエンジンとしてさらに魅力のある豊かな大都市へと発展していきたい。 市民にとって真に必要な施策を着実に推進することにより、成長の恩恵を還元できるよう、市政全般にわたりお伺いをいたします。 まず、施策の土台となる大阪市の財政について質問いたします。 今後の財政収支概算(平成30年2月版)が公表されましたが、試算期間の半ばである平成34年度から36年度には通常収支不足が一旦解消するなど、前年度より大幅に収支が改善しています。収支改善の主な要因は金利の低下に伴う公債費等の減少や国の見通しに基づいた税等一般財源の増加とのことですが、先日の株価急落などを見るに、今後の景気がどうなるかは不透明であり、また、今回の収支概算には今後の大阪の経済成長のかなめとなる万博、IRの経費は含まれておらず、不確定要素が多いのも事実です。 一方、本市の貴重な財産である財政調整基金の残高は、平成30年度末見込みで1,451億円に及びます。現在、国においては地方自治体の基金の増加をもって地方交付税の削減をすべきという意見が出ており、今後、財政調整基金のあり方が問われるのではないかと思われます。 今こそ、大阪経済の発展に向けた戦略に投資を行うとともに、市民サービスの向上や防災・減災対策などを進めるべきではないでしょうか。締めるところは締めつつも積極的な投資を行うという堅実かつ大胆な財政運営が求められていると思いますが、今後の財政運営に対する市長の御見解をお伺いいたします。
○副議長(明石直樹君) 理事者の答弁を許します。 吉村市長。 (
市長吉村洋文君登壇)
◎市長(吉村洋文君) 今回の財政収支概算においては、試算期間の半ばで通常収支不足が一旦解消するものの、高齢化の進展等に伴う扶助費の増加や新たに織り込みました投資的事業の財源として発行しました起債の償還の増加などによりまして、試算期間の終盤であります平成37年度以降は再び収支不足が生じる見込みとなっています。依然として楽観視はできない状況だというふうに認識しています。 財政収支概算は、収支改善の目安を一定の前提によって試算して、予算の参考資料として公表しているものです。財政計画の類いではありませんので、税収や金利の動向、万博やIR、今後想定される新規事業や未織り込みの財務リスクなど多くの不確定要素も含んでいるところであって、相当の幅を持って見る必要があると思っています。 また、国におきまして地方の基金について議論されているところです。基金は、これまで全市挙げまして市政改革にも取り組んできて、過去の財務リスクの対応や今後の収支不足にも備えて努力によって積み立ててきたものであります。基金の増加をもって地方交付税などの地方財源を削減することは許されないものだというふうに考えています。 今後もこれまで同様、全市的に市政改革に取り組むことによりまして、経費削減や市債残高の管理といった財政規律は確保していく、これがまず大事だと思っています。市債については必ず減らしていくという方針で進めていきたいと思います。 コストについても削減する。一方で、市政改革や万博、IRといった大阪の成長に資する積極的な投資につきましては、積極的に行っていきたいというふうに思っています。そういった積極投資によって生み出された果実によりまして、さらに子育て、教育環境の充実といった市民サービスの拡充、防災・減災対策に取り組むという好循環を生み出していきたいと思っています。
○副議長(明石直樹君) 辻義隆君。 (49番辻義隆君登壇)
◆49番(辻義隆君) 次に、成長戦略についてお伺いをいたします。 先日、我が国初となる2019年のG20が大阪で開催されることが決定いたしました。G20の誘致に関しては、この間、我が会派でも国などの動向を注視しつつ、国会議員と連携をとりながら官邸への要望活動も積極的に行ってきたところです。大阪への誘致が実現したことで期待感がさらに高まっています。 G20は招待国なども含めると約35もの国や機関等が参加する会議ですが、中でも首脳会議は今後の世界経済に大きな影響力を有する極めて重要な会議であり、開催都市から発信される内容に全世界の注目が集まります。 大阪では、1995年のAPECから実に24年ぶりの首脳級会議の実現となりました。G20の開催は、大阪が名だたるグローバル都市として世界中に認知される画期的な転換点となり、また国内においても、大阪の成長戦略を推し進め、東京一極集中を是正する起爆剤となり得るという点でも大きな意義があると感じています。 今後、開催に当たって市民の理解と協力は欠かせませんが、会議成功に向けてどのように取り組んでいかれるのか、改めて市長の意気込みをお聞きいたします。
○副議長(明石直樹君) 吉村市長。 (
市長吉村洋文君登壇)
◎市長(吉村洋文君) G20の誘致につきましては、僕自身も昨年の秋から必ず大阪に誘致したいという思いでやってまいりました。さまざまな誘致活動をする中で、御党の国会議員、それから御党自身がG20大阪誘致に向けて多大な御努力をされているというのは、僕も肌で感じてきているところであります。 今回、府市でG20を大阪で開催するということを実現することができました。これからまさに責任を持って自治体として成功させなければならない、まさにこれからが勝負だというふうに思っています。 G20を実施することによりまして、まさに開催都市大阪の名の冠の宣言を採択されて、そしてまた大阪の名前、大阪の都市魅力が世界中のメディアを通じて全世界に発信されるということで、大阪が国際都市として転換するに当たって非常に大きな、絶大な効果が生じるというふうに思っています。 また、世界最高水準の会議でありますから、その会議を成功におさめるという実績は、高度なセキュリティーが求められます国際会議の開催能力を証明することにもなります。それによって、次からハイクラスの国際会議の誘致について大きな強みとなる、これは、僕自身がハンブルクに行ったときもそれを肌で感じたところであります。2025年万博誘致についてもはずみになる、これももちろんであります。 また、何より、G20、正確には35の世界トップの国の代表と国際機関が来ますが、大阪というふだんの日常生活空間の中にそういった世界トップの人たちが集まって国際会議を行う、そういう舞台なんだということを市民の皆さんにも身近に感じてもらう、子供にも身近に感じてもらうことによって、大阪の国際性というのがさらに高まるというふうに思っています。 ですので、G20については大阪で決まりましたから、府、市、経済界による推進組織というのをしっかりと立ち上げて、国と綿密な調整も行って市民の皆さんとも協力しながら、まさに英知を結集して会議を成功に導きたいと思っています。
○副議長(明石直樹君) 辻義隆君。 (49番辻義隆君登壇)
◆49番(辻義隆君) 市長、ぜひとも成功させましょう。 それでは、次に咲洲コスモスクエア地区の活性化についてお伺いをいたします。 先日、本市などが所有するコスモスクエアの駅前の4街区において、住宅やホテル、商業施設等から成る複合的な開発を行う事業予定者が決定したとの報道がありました。長年の懸案であった駅前の開発がいよいよ動き出すことになります。しかしながら、コスモスクエア地区内にはまだ10ヘクタール程度の本市の売却予定地がありまして、市長にはあと2年の任期のうちに全て売却するぐらいの意気込みを持って取り組んでいただきたいというふうに思います。 また、更地のままとなっていたり、駐車場としての暫定利用にとどまっている民間の土地もまだ10ヘクタール程度ありまして、市有地と合わせておおむね2割が未開発の状態にあります。せっかく市有地の売却が進んでも、民間による開発が進まなければ地区の活性化にはつながりません。夢洲での万博やIRが決まれば当地区の重要性も増すでしょうし、この好機を逃さず、さらなる地区の活性化に向け、民間開発の一層の促進に取り組んでもらいたいと思いますが、市長の御見解をお伺いいたします。 また、同地区にありG20の会場となるインテックス大阪に関連して、昨年の有識者会議で、大阪経済の活性化に資する新たな展示会を誘致するに当たって、将来、大阪の見本市会場にはおおむね10万平米の展示面積が必要との意見をいただいたと聞いています。現状約7万平米の展示面積であるインテックス大阪の拡張や建て替えなどの機能強化について、市長のお考えもあわせてお伺いをいたします。
○副議長(明石直樹君) 吉村市長。 (
市長吉村洋文君登壇)
◎市長(吉村洋文君) 世界の大都市におけるベイエリアにおいては、水辺の魅力を生かした国際的なにぎわいエリアとなっているのが通常であります。現在、大阪のベイエリアはそういうふうになっていませんが、ただ、そのポテンシャルがあるというのは確信をしているところです。IR、万博の誘致をも契機としまして、夢洲での国際観光拠点をまさに核としました大阪のベイエリアの再生に取り組んでいきたいと思っています。 こういう動きの中で、先行して開発してきました咲洲コスモスクエア地区においては、地区計画を変更することで民間による宿泊施設や商業施設、住宅などの複合開発によるにぎわい創出を目指しているところです。その成果の一つとして、コスモスクエア駅前の4街区での事業予定者の決定にもつながったと認識しています。 当地区のさらなる活性化に向けては、歩行者が安全で快適に通行できるデッキを整備するなどして、低未利用地での民間開発促進に向けた環境整備を進めていきたいと思います。あわせて、残りの市有地の早期売却にも取り組んでいきます。 また、大阪ベイエリアにおけるMICE機能の強化についてですが、地域の活性化に大きくつながるものだというふうに思っています。インテックス大阪の方向性については、議員の御指摘も踏まえて、夢洲の国際観光拠点形成の進捗も見ながらしっかりと考えていきたいと思います。 咲洲コスモスクエア地区は、夢洲のまちづくりの進展によって価値を高めることができると期待しています。私自身も、夢洲へのIRと万博の誘致活動などさまざまな機会を通じて、当地区を初めとして大阪ベイエリアの魅力についてもしっかりと発信し、民間の投資を引き出すことで、このエリアが多くの人々でにぎわって、より一層価値のある、魅力の高いまちにしていきたいというふうに思っています。
○副議長(明石直樹君) 辻義隆君。 (49番辻義隆君登壇)
◆49番(辻義隆君) ぜひともよろしくお願いいたします。 次に、臨海部鉄道アクセスについてお聞きいたします。 夢洲まちづくり構想では、鉄道アクセスとして、まず地下鉄中央線を延伸する南ルートが検討されていますが、全体構想が実現した際には舞洲を経由してアクセスする北ルートの実現も必要です。 先日の新聞報道によると、京阪電鉄は夢洲へのIR誘致が決まれば中之島線を地下鉄九条駅まで延伸し、さらに西九条までつなげることを検討しているようでございます。 このように、夢洲開発に対する鉄道事業者の関心は高く、さまざまな新線構想が検討されています。本市としても鉄道事業者と連携して鉄道アクセスについて検討を進めるべきと考えますが、市長の御所見をお伺いいたします。
○副議長(明石直樹君) 吉村市長。 (
市長吉村洋文君登壇)
◎市長(吉村洋文君) 夢洲における国際観光拠点への来訪者の輸送に必要となります鉄道アクセスについては、これは大阪市域だけの話ではなくて関西主要観光地へのアクセス強化にも寄与する、まさにそんな強力なエリアと路線になるというふうに思っています。だからこそ、京阪中之島線の延伸を考えるに当たって、夢洲を中心とした大阪臨海部と京都を結ぶ、まさに観光拠点間のアクセス強化の視点が重要となると思いますし、まさに京阪電鉄が動き始めたんだというふうに認識しています。 京阪中之島線の延伸については、現在、京阪電鉄において、近畿地方交通審議会で答申されてます西九条を経由した新桜島方面への延伸に加えて、九条接続など複数の案を検討中の段階と聞いていますけれども、京阪電鉄から提案があれば適切に対応していきたいと思っています。 臨海部における鉄道アクセスについては、鉄道需要を見きわめながら、鉄道の事業主体や運営主体を含め、国等の関係者との協議、調整も行って、その具体化について検討していくものだというふうに思っています。 いずれにしましても、夢洲へのIR誘致を起爆剤として鉄道事業者も動き出しているところです。世界から注目される臨海部へと変えていく大きなチャンスでもあります。 また、議員御指摘の北ルートについては、北ルートと夢洲がつながることによって舞洲の活性化にもつながります。舞洲は今、スポーツの拠点として野球、サッカー、バスケットボールのプロチームに民間の力を使って来てもらっていますが、やはり弱点は交通アクセスです。ここに鉄道がつながれば舞洲の価値も非常に高まる、舞洲のにぎわいも非常に大きくなると思っています。 そういった意味で北ルートは非常に重要な路線だというふうに認識していますし、その前提として夢洲へのIR誘致を実現させたいと思います。
○副議長(明石直樹君) 辻義隆君。 (49番辻義隆君登壇)
◆49番(辻義隆君) 万博誘致が決定した場合、開催時には約2,800万人にも及ぶ来場者が想定されています。また、万博と同時期にIRが開業した場合、夢洲を訪れる人はさらに増加します。そうした観点からも、安全かつ円滑に輸送できる交通アクセスの整備を要望しておきます。 次に、海外との都市間交流のあり方についてお聞きをいたします。 本市では以前より海外との都市間交流を推進していますが、万博の誘致活動やトップセールスの状況などを見ていると、本市の海外ネットワークは世界の一部の国・地域に限定されています。既に連携している都市との関係を深めることは当然進めるべきでありますが、グローバル化により世界各国との距離が近くなっている状況を鑑みると、より広い地域や分野での展開も視野に入れるべきです。 そこで、例えば市民に身近な町並みや公園などの
都市インフラを対象に、市民や民間企業とも連携のもと、海外の都市などと関係を構築し、まちの活性化につながるような事業を推進するというのはどうでしょうか。市長の国際交流に対する御所見をお伺いいたします。
○副議長(明石直樹君) 吉村市長。 (
市長吉村洋文君登壇)
◎市長(吉村洋文君) 本市が交流しております海外諸都市の中には、例えば上海やミラノ、ハンブルクといった万博を経験したりG20の開催を経験したという実績を有する都市もあります。その経験を学ぶ上でも、互恵的な関係の深化というのを今後も進めていきたいと思っています。 議員御提案のより広い地域や分野での交流展開についてですが、海外トップセールスであったり大使、総領事等による表敬訪問の機会も積極的に活用しながら行っているところでありますが、今後、一層その取り組みを強化していきたいと思っています。 例えば、海外主要都市では都市のシンボルとなりますメーンストリートがありますが、そのメーンストリートを活用して官民が連携することで都市魅力の向上に努めている大都市が非常に多いところであります。大阪においても、完成80周年を迎えました御堂筋というメーンストリートがあります。海外の著名なメーンストリートとの提携を検討し、行政だけじゃなくて市民、民間企業も含めた交流、連携というのを進めていきたいと思います。
○副議長(明石直樹君) 辻義隆君。 (49番辻義隆君登壇)
◆49番(辻義隆君) 今おっしゃいました御堂筋と海外の著名なメーンストリートとの提携、早急に具体化していただいて、ぜひとも実現していただきたいというふうに思います。 次に、国の税制改正等に対応したビジネス環境の整備について質問いたします。 民間調査によると、大阪府の本社移転は35年連続で転出超過というデータが示されています。大阪からの企業流出に歯どめをかけるためには、大阪に内外の成長市場を積極果敢に取り込んでいく必要があるのではないでしょうか。例えば、
国際戦略総合特別区域において実施してきた地方税が最大ゼロとなる税制優遇措置は今年度末で期限を迎えると聞いていますが、大阪のビジネス魅力や国内外に対する競争力の強化のためのインセンティブとして必要であると考えます。 さらに、東京から地方への企業移転を促進する地方拠点強化税制について我が党が取り組んできた結果、今般の国の制度改正により、新たに本市も対象となるとともに、要件の緩和や支援対象の拡充もあわせて行なわれる予定であります。 また、今後3年間を集中投資期間と位置づけ、中小企業の生産性を飛躍的に向上させる臨時、異例の措置として、我が党が働きかけ、償却資産に係る固定資産税の特例措置が講じられることとなり、2月9日に法案が閣議決定され、この通常国会で成立する見込みと聞いています。 国によるこの税制改正においては、各自治体の判断により、新規取得設備の固定資産税負担を3年間ゼロに軽減することが可能となります。本市として、必要な条例を改正し、中小企業の生産性向上に大きな効果が期待できるこの制度を特例率ゼロで実現すべきであると考えます。 国の税制改正等にしっかりと対応し、これらの制度を活用していただける企業がふえるよう、確かな戦略と目標を持って魅力的なビジネス環境の整備に取り組み、大阪の成長を加速させるべきと考えますが、市長の御所見をお伺いいたします。
○副議長(明石直樹君) 吉村市長。 (
市長吉村洋文君登壇)
◎市長(吉村洋文君) 大阪の企業の起業率については東京を超える割合でありますが、大阪の本社が転出超過にあるというのは課題だと思っています。大きなトレンドで見ると、ここ数年においては転出超過の数というのは減少する傾向にありますが、大企業として育って、それがさらなる大きな市場を求めて東京に移転するというような現状があるのも事実であり、それは一つの課題だというふうに認識しています。 大阪において次々に新たなイノベーションが生まれて人や企業が集まる環境を整備することで、まさに大阪の都市魅力を高めることで、しっかりと企業にとっても魅力のある都市にしていきたいと思っています。 実現に向けさまざまな施策を推進していますが、そのうちの一つとして、国の税制優遇措置に呼応して大阪府と協調して実施してきました地方税ゼロの制度は、国内外から企業を呼び込む強力なインセンティブでありまして、引き続き、平成31年度末まで延長したいと考えています。加えて、国の地方拠点強化税制が改正されます。これによって東京一極集中の是正にも弾みがつくものというふうに考えています。 大阪市を対象とする見直しは、市としても要望してきた事項であります。この間、議会や経済界とも一体となって取り組んできたことで実現できた成果であって、今後、大阪への企業誘致に大いに追い風になると期待しているところであります。 中小企業の設備投資に係る新たな固定資産税の特例措置については、新たな法律が制定されます。そのため、現時点では情報収集している段階でありますが、中小企業の設備投資を促すことは競争力の強化や生産性の向上にも資するものであります。ひいては地域経済全体の成長につながってきます。今後特例率ゼロの方向で検討を進めて、国の関係法令の整備にあわせ条例改正を提案させていただきます。 大阪の成長戦略に掲げる年平均2%の成長等の目標達成に向けて企業活動を活発化させるため、国の税制改正等にも機動的に対応して、積極的な投資や新たな企業を呼び込む土壌づくり、イノベーションが継続して起こるような魅力的なビジネス環境の創出に取り組み、力強い大阪の成長につなげていきたいと思っています。
○副議長(明石直樹君) 辻義隆君。 (49番辻義隆君登壇)
◆49番(辻義隆君) 市長には、企業の転出超過を転入超過に変えるくらいの意気込みを持ってビジネス環境の整備に取り組んでいただきたいと思います。よろしくお願いします。 次に、大公園の活性化についてお伺いいたします。 市民の貴重な財産である大公園については、大阪城公園や天王寺公園での取り組みで実証されているとおり、民間活力を導入することにより、新たな公園の魅力とにぎわいが生み出され、さまざまな形で地域の活性化にもつながっていると考えています。大阪城公園、天王寺公園に続いて、鶴見緑地においても積極的な民間活力の導入に向けた取り組みが進められようとしています。ぜひとも成功させてほしいと考えています。 これらの公園以外にも、例えばさまざまなスポーツや文化、四季折々の植物に親しむことができる長居公園、テニスを楽しめるだけでなく、市内有数のバラ園の観賞もできる都心の貴重な緑のオアシスとなっている靱公園、さらに言えば、みどりを中心とした都市空間を持つまちづくりの実現を目指し取り組もうとしているうめきた2期区域における公園など、市内には際立つ個性を有する公園があります。 これらおのおのの公園が持っている個性を生かせるよう、民間などの力を有効に活用することにより、公園の魅力をさらに高め、大阪の新たな集客拠点にしていくとともに地域の活力にもつなげていくことが重要と考えますが、市長のお考えをお伺いいたします。
○副議長(明石直樹君) 吉村市長。 (
市長吉村洋文君登壇)
◎市長(吉村洋文君) 大阪城公園においては、世界的な観光拠点を目指して新たな魅力を創造するパークマネジメント事業の導入を進めてきました。天王寺公園におきましても、天王寺・阿倍野エリアの核として、エントランスエリアを「てんしば」にリニューアルしたところです。 これらの公園においては民間投資による魅力向上が図られ、公園内だけにとどまらず周辺地域、さらには大阪市全体にも波及効果をもたらしているところです。 大阪城公園や天王寺公園に限らず、市内の大公園はそれぞれに固有の魅力を備えています。その個性をより一層磨きをかけて発信することで、多くの人を引きつけることができるにぎわい、そして楽しめる集客の拠点になると考えています。例えば鶴見緑地は、花博のレガシーを生かして都市と自然が一体になった、ほかにはない空間を再生することができますし、また、うめきたは、まち全体を包み込むみどりの空間が世界の優秀な人材や最先端の技術を集積、交流させる装置となる、新しい価値を生み出すイノベーションの拠点にもなると考えています。それぞれの公園の個性とか立地の特性というのを生かして魅力向上に取り組むことが大事だと思っています。 こういった取り組みを長居公園や靱公園など他の大公園にも広げていきたいと考えていますが、各公園の持つ個性とコンセプトを明確にした上で民間活力の導入の可能性を把握し、大阪城パークマネジメント事業のスキームを手法の一つとして、公園ごとに適切な管理運営のあり方について検討を進めていきたいと考えています。 市民が憩い集う大公園は、都市の風格を高めて都市の顔にもなり得る貴重なものでありまして、その魅力向上に取り組み、周辺地域、ひいては都市全体の活性化にもつなげていきたいと考えています。
○副議長(明石直樹君) 辻義隆君。 (49番辻義隆君登壇)
◆49番(辻義隆君) 長居公園や靱公園周辺の皆さんも大きな期待を寄せておられますので、ぜひとも民間活力の導入をよろしくお願いいたします。 次に、新今宮駅北側エリアのまちづくりについてお尋ねいたします。 新今宮駅については、プラットホームが狭いことに加え、ホームからのJRと南海電鉄の乗りかえルートがバリアフリー化されておりません。また、北側から駅へのアプローチが不便であるなど、課題も多くあります。 鉄道事業者からは、バリアフリー化に伴い駅舎の改修等を行う場合、60億円から100億円もの多額の費用を要すると聞いており、鉄道事業者の投資を促進させるためには、駅だけではなく駅北側周辺のポテンシャルを高めていくことが肝要です。 国土交通省において本年10月から、大規模な駅には2カ所以上のバリアフリー経路を設けることを鉄道会社に義務づけるバリアフリー法の改正を行う方針との報道もあったところです。 このような中、駅北側には今後、星野リゾートが進出し、当該エリアでは観光客を初めとした新たなにぎわいも生まれてこようとしています。これを契機として多くの人が集い、回遊性の高い魅力のあるまちづくりを実現されることが駅舎の改修等につながるのではないかと考えています。 星野リゾートについても、地域と連携することや地元の子供たちと交流しながら、まちの特色を観光資源として掘り起こすことなどを目指していると聞いています。今後、新今宮駅北側のまちづくりについて、星野リゾートの取り組みや地域のみならず、駅に乗り入れる鉄道事業者とも連携し、しっかりとした構想を持って駅北側のまちづくりを進めるべきと考えますが、市長の御所見をお伺いいたします。
○副議長(明石直樹君) 吉村市長。 (
市長吉村洋文君登壇)
◎市長(吉村洋文君) 今回、新今宮駅の北側のエリアに星野リゾートが進出するということについては、メディアも大きくにぎわわせましたが、本市としても大変歓迎すべきことだと考えています。 新今宮駅は多くの路線が交わるターミナルであって、関西国際空港、梅田などに直結しています。また、新世界や天王寺などとも近接している極めて大きなポテンシャルを持つエリアだというふうに思っています。 一方、新今宮駅の駅舎については、JRも南海もともに各駅舎のバリアフリー化の際にエレベーター設置補助は行っており、ワンルートは確保できています。しかしながら、両駅の乗り継ぎ経路は階段のみとなっておりまして、JRからは駅員による車椅子利用者の介助なども行っていると聞いていますが、大変不便であると認識しています。 新今宮駅北側エリアが大阪の新しいにぎわいの拠点となることが期待される中で、今後、インバウンドなどによる来街者がさらに増加していくことも予想されます。このエリアの持つ観光資源や集客施設などを最大限活用して、人が集い回遊性の高いにぎわいあふれるまちづくりを実現させて、鉄道事業者や開発事業者が駅の改修や周囲の開発に投資しやすい環境を整えていくということが重要だと思っています。 そのために、星野リゾートの進出をきっかけにしまして、浪速区での区政会議などの場を活用して地域住民の皆さんの意見も吸い上げるとともに、鉄道事業者など民間企業と連携を図って新今宮駅北側エリアのまちづくりを検討するよう指示していきます。
○副議長(明石直樹君) 辻義隆君。 (49番辻義隆君登壇)
◆49番(辻義隆君) 次に、交通事業の民営化についてお伺いいたします。 大阪市高速電気軌道株式会社の社長の人事が去る2月9日に公表されました。社長がようやく決まったようなので、今後は新社長の意向を反映させた形で経営計画を策定していく必要があると考えます。 市長は、株主としてこの新会社にどういった経営を求めていくのでしょうか。会見でも多岐にわたって述べておられましたが、具体的に、当面の計画となる中期経営計画や、さらに、より長期的な視点に立った経営ビジョンについてどういったことを求めていくのか、お示しいただきたい。 また、民営化後に期待するのは新たな事業展開です。地下鉄は民営化してよかったと思われるようなさまざまな事業を行っていただきたいと考えていますが、どのような展開を期待するのか、お伺いいたします。
○副議長(明石直樹君) 吉村市長。 (
市長吉村洋文君登壇)
◎市長(吉村洋文君) 地下鉄新会社の社長となります河井氏は非常に真面目な方でありまして、また能力の高い方であります。これまで培われた経験をもって、新たな船出となります地下鉄の新会社のかじ取りをしっかりと行っていただきたいと思っています。 不動産事業につきましても、市会でも議論がありましたもと朝潮橋職員公舎などの既存施設の有効活用を皮切りに、新たな事業戦略を練っていただきたいと思っています。 また、インバウンドのお客様を取り込む施策や可動式ホーム柵の設置についても、御堂筋線ではさまざまな課題があるものの、積極的に課題解決に当たっていただきたいと思っています。 さらに、2031年のなにわ筋線の開業においては、ライバル的な路線とはなりますが、互いに切磋琢磨して大阪の経済を牽引してもらいたいというふうに思っています。 こういった点についても新会社の中期経営計画や長期ビジョンに織り込んでいただくことを期待しております。
○副議長(明石直樹君) 辻義隆君。 (49番辻義隆君登壇)
◆49番(辻義隆君) 次に、高齢者施策についてお伺いいたします。 団塊の世代が全て75歳以上となる2025年には、要介護認定を受ける高齢者の増加も見込まれています。今後は、元気な高齢者が自身の介護予防のために、支える側として活躍していただき、介護予防活動の参加意欲をさらに高める取り組みが必要ではないかと考えます。 また、今後ますますふえ続ける高齢者のニーズに対応するためには地域包括支援センターの増設を図るべきではないかと考えます。さらに、2025年には高齢者の5人に1人が認知症になると推測される中、住みなれた地域で安心して暮らせるよう認知症の方への支援の強化が求められています。 先日、市長自身が「認知症の人をささえるまち大阪宣言」を行い、認知症の人に優しいまちづくりに取り組む意思を表明されたとのことであります。それほど認知症施策の強化が必要と考えておられるものと受けとめています。 認知症の方への支援については、予防や早期の気づき、アウトリーチの手法による相談支援や医療機関における診断、治療、介護サービスによる支援や地域における支え合いなど総合的で切れ目のない支援を行うとともに、認知症の進行に応じ、いつ、どこで、どのようなサービスを利用できるのかをわかりやすく周知する必要があると考えます。 そこで、第7期高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画の策定に当たり、介護予防や地域包括支援センター、さらには認知症に関する取り組みを今後どのように進めていこうと考えておられるのか、市長の御見解をお伺いいたします。
○副議長(明石直樹君) 吉村市長。 (
市長吉村洋文君登壇)
◎市長(吉村洋文君) 認知症対策については、大阪の高齢者施策において非常に重要な施策になってくると思っています。これは、さまざまなデータ上ももちろんそうなんですが、やはり認知症の方と実際にじかにお話をして、家族の方とお話をして、行政に対して足りないものなんかもお聞きし、さまざまな大学の先生ともお話しする中で、やはり認知症に対する対策を早期にとっていくということが重要だと思ってます。 それは、本人や家族だけじゃなくて、国や大阪市における財政ということを考えたとしても、認知症対策というのは早期にしっかりと対応していくことが重要だと思っています。 本市において、第7期の高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画をことし3月に策定して、地域包括ケアシステムの深化、推進に向けて高齢者施策に総合的に取り組むこととしています。 介護予防については、本市はひとり暮らしの高齢者の方が多くて要介護の認定率が高いことから、多くの高齢者に地域活動に参加いただいて、生きがいづくりや介護予防につなげていただきたいと思っています。 また、高齢者にも支える側として活躍していただければ介護の担い手の裾野も広がるところです。このため、介護予防ポイント事業を活用し、元気な高齢者が在宅高齢者の生活支援を行う、「住民の助け合いによる生活支援活動事業」を新たに実施します。加えて、本事業で活躍している方をホームページ等で紹介するなど、高齢者の参加意欲を継続的に維持、向上できる効果的な取り組みを推進します。 次に、地域包括支援センターについては、高齢者人口おおむね1万人に1カ所の地域包括支援センターを66カ所と、そのブランチとして総合相談窓口を68カ所、合わせて134カ所設置しています。これまで、多様化、増大する相談支援のニーズへの対応のために体制の充実を図ってきましたが、今後も、地域包括ケアシステムの中核的な役割を担う機関としてさらなる機能強化を図ることによって、高齢者の相談支援体制の充実に努めていきます。 また、認知症の方への支援については、早期発見、早期診断、早期対応が重要です。そのため、アウトリーチ手法によります認知症初期集中支援事業を引き続き推進しますとともに、ことし3月リリース予定の認知症アプリを活用して、認知症の気づきやサービス利用の促進と認知症ケアの流れをわかりやすく市民の皆さんに周知していきます。 さらに、地域での見守り体制を強化するとともに、医療、介護の連携によって認知症の容態の変化に応じて切れ目のない支援を行うなど、認知症施策を総合的に推進し、認知症の人に優しいまちづくりに取り組んでいきたいと思います。
○副議長(明石直樹君) 辻義隆君。 (49番辻義隆君登壇)
◆49番(辻義隆君) 次に、弘済院の機能を継承する新病院についてお伺いをいたします。 弘済院は、認知症の医療と介護を一体的に運営し、施策の一翼を担っている、ほかにはない存在です。我が会派は、弘済院附属病院の建て替えに際しては、医療、介護の専門機能を継承するだけではなく、臨床研究、人材育成や情報発信の機能をさらに充実させ、その役割を果たせる全国屈指の拠点施設となるよう要請してきました。 こうした中、市長は、住吉市民病院跡地に大阪市立大学の附属病院を誘致し、弘済院の機能を移転することにチャレンジすると表明されました。実現のためには課題も多いと考えますが、2024年を見据え早期に新病院を整備すべきであります。改めて市長の御決意をお伺いいたします。
○副議長(明石直樹君) 吉村市長。 (
市長吉村洋文君登壇)
◎市長(吉村洋文君) 弘済院は、医療、それから介護が一体となって、認知症の困難症例への対応であったり臨床研究、専門人材の育成、市民への情報発信を行っておりまして、本市の認知症施策において重要な役割を担っています。こうした弘済院の専門的な認知症医療の機能を、認知症に係ります医療、研究において全国的にもトップレベルにあります大阪市立大学へ継承させる、その機能を充実させることが重要だと思っています。 当初、住吉市民病院跡地ではなく現地、吹田で建て替えた際に大阪市立大学が機能継承できないかということは、去年の初めから検討してきたところであります。まさに大阪市大の認知症の最高レベルの医療機能と、それから弘済院が持つ現場のフィールドワークも含めて、そういったものをしっかりと融合させることによって、住吉市民病院跡地で新たに研究施設も含めた新病院をしっかりとつくり上げることが、大阪のこれからの高齢者の皆さんの安心、安全につながってくるものだと確信しているところです。 その実現に向けて、ハードルは高いものがたくさん確かにありますが、先月、大阪市立大学と確認書を交わしました。市立大学が運営することを基本として、今後具体的な協議を行っていくこととしています。大阪市立大学自身も弘済院、特に認知症機能を強化したいという強い思いを持っていまして、同じ方向性を共有していると認識しています。 新病院が、弘済院が培ってきた医療と介護が一体化した機能を継承、発展させて、関西、そして全国にも注目されるような認知症の医療拠点になるように、早急に市大を初め関係先との協議を進め、市会での御議論をしっかりと踏まえながら、新病院及び研究施設の基本構想を来年度中に策定し、2024年の開院を目指していきたいと思います。
○副議長(明石直樹君) 辻義隆君。 (49番辻義隆君登壇)
◆49番(辻義隆君) 次に、障害者雇用についてお伺いいたします。 昨年12月、大阪労働局が公表した「平成29年障害者雇用状況の集計結果」によると、民間企業の障害者雇用率は1.92%となっています。依然として2.0%の法定雇用率は達成できず、全国平均の1.97%にも届いておりません。また、法定雇用率を達成できている企業の割合が45.5%と半数にも満たない状況となっています。4月から法定雇用率が2.2%に引き上げられる中、障害者の雇用をさらに進めるためには、民間企業に対して障害や障害のある方への理解を一層促進するための取り組みが重要であると考えます。 市長は、昨年11月10日に鳥取県知事と「あいサポート運動」の協定を結ばれました。「あいサポート運動」は、さまざまな障害の特性を理解し、障害のある方に配慮、ちょっとした手助けを行う「あいサポーター」の養成を行い、この運動に賛同し協力していただける企業等を「あいサポート企業・団体」として認証し、理解と協力を広げていく取り組みです。これは、我が会派が数年前から提案していたものであり、ようやく実を結んだ事業であります。 「あいサポート運動」の取り組みを企業等に広め、少しでも大阪の障害者雇用を前進させることで、障害のある方が希望や能力を十分に生かしながら活躍していただく社会の実現につながるのではないかと考えますが、市長の御所見をお伺いいたします。
○副議長(明石直樹君) 吉村市長。 (
市長吉村洋文君登壇)
◎市長(吉村洋文君) 障害のある方が適性と能力に応じて職業につくということは、働く喜びや生きがいを見出して経済的自立につながるだけじゃなくて、仕事を通じた社会参加にもつながります。障害のある方への就業支援は重要な取り組みの一つだと認識しています。 本市においては、障害のある方への就業支援の取り組みとして、7カ所の就業・生活支援センターにおける職業相談や職業指導、さらには生活上の支援や職業定着支援とともに職業リハビリテーション、そういった事業を実施しているところであります。また、職業指導センターにおいて障害特性に応じた多様な職業訓練も行っています。 近年は、法定雇用率の引き上げや精神障害者の雇用義務化、障害者総合支援法における職場定着支援の創設など、法制度の拡充や企業のCSRの観点から雇用が進んでいます。しかしながら、御指摘のとおり法定雇用率が達成できていない企業が半数以上あるというのが現状であります。企業においては、障害や障害者の理解と促進、障害の特性に応じた職場環境の改善が課題になっています。 大阪には多数企業がありまして、障害者雇用を進めていく上で「あいサポート運動」を広げていくことは非常に有意義だと考えています。平成30年度から、「あいサポート運動」の本格実施に当たっては大阪労働局と連携して、雇用率未達成企業を初め経済団体の会員企業に対し積極的に参加を働きかけ、就業意欲のある障害のある方が能力を発揮できる環境づくりにさらに取り組んでいきます。
○副議長(明石直樹君) 辻義隆君。 (49番辻義隆君登壇)
◆49番(辻義隆君) 次に、教育・子育て施策についてお伺いいたします。 待機児童対策については、市長は地域の実情を踏まえたさまざまな対策に取り組んでこられましたが、平成30年4月の一斉入所申し込みの状況を見ますと、1、2歳児を中心に申込数が募集数を大きく上回っており、当初目標であったこの4月の待機児童の解消は大変厳しい状況ですが、市長の御見解をお伺いいたします。 さらに、国では子育て安心プランにおいて、平成34年度末における25歳から44歳の
女性就業率が80%と想定し、今後32万人分の受け皿確保を必要としています。一方、大阪府内での平成28年度の
女性就業率は69.4%と大きな差があり、今後ますます保育ニーズが高まり、待機児童が増加するのではないかと危惧をしています。 本市でも今後、公園内への保育所設置や企業主導型保育事業の施設についての情報提供などにも取り組まれるとのことですが、東京都ではベビーシッターの利用料補助制度の創設などを予定されているようでありまして、まだまだ検討でき得る手法もあるのではないでしょうか。 待機児童解消を実現するためには、
女性就業率の将来的な動向等も見きわめ、中長期的なビジョンを持ってこれまで以上にあらゆる手法を駆使して進めていく必要があると考えますが、市長の御所見をお伺いいたします。
○副議長(明石直樹君) 吉村市長。 (
市長吉村洋文君登壇)
◎市長(吉村洋文君) 待機児童対策につきましては、現在、あらゆる手法で取り組んできているところであります。予算につきましても約3倍つけて、私が市長になってから保育所の入所枠というのも大きく広げていくというのも実施しているところであります。今年度の保育所の入所枠は、例年の2倍以上となります4,745人分を確保することができているところであります。待機児童解消に向けて前進していきたいと思っています。 平成30年4月における厚労省定義の待機児童数については、現在利用調整中のため4月を過ぎないとわかりませんが、いわゆる利用保留児童数については、一次調整の結果を見ると今年度に比べて減少するとは見込まれますが、解消は難しいと考えています。 都市公園内への保育所設置については新たな入所枠の確保に向けて着実に進めていくとともに、企業主導型保育事業につきましても、3経済団体にも働きかけをし、また、その施設の空き情報について市民の方にわかりやすい情報提供に区役所として努めていきます。 ベビーシッターの利用料の補助制度についてです。東京都においては単費で行っていますが、約50億円の予算計上をやって1,500人分の利用を見込んでいます。東京都の29年4月の待機児童数が約8,600人、利用保留児童数が約2万8,000人でありますので、約3万人いる中で1,500人分について50億円の単費ということですから、費用対効果も考えなきゃいけないのかなというふうに思っています。 あわせて、密室性の問題であったりベビーシッターの養成、確保、利用料の補助に要する財源確保といった課題も多いのかなと思っていますので、ベビーシッターの東京都のような制度については慎重な対応が必要かなというふうにも考えています。 待機児童解消に向けた保育所の整備が主になってまいりますが、ここは女性の就業率や利用申込者数の推移などを反映した、保育ニーズを推計した計画の策定を国からも求められているところです。来年度は32年度から5年間の将来ニーズの把握に向けた調査を実施することとしており、その結果とともに、
女性就業率や大規模マンション建設の動向も踏まえた中長期的な視点での計画を策定し、待機児童対策に取り組んでいきます。 平成31年4月、来年4月に向けて、僕自身が選挙で公約としました厚労省定義の待機児童のゼロというのを目指しますが、それだけではなくて、やはり保育を必要とする全ての入所保留児童の入所枠を確保できるように、待機児童解消特別チームにおいても検討を重ねながら、あらゆる手法を使って認可保育所の整備を計画的に取り組んでいきます。また、国において大きな規制があるところでもありますので、地方に権限と責任を渡してもらえるようにしっかりと国に対しても働きかけをしていきたいと思います。
○副議長(明石直樹君) 辻義隆君。 (49番辻義隆君登壇)
◆49番(辻義隆君) 保育ニーズが高まる中、現在のままでは厚生労働省定義であっても平成31年4月での待機児童の解消を達成できるかどうか疑問が残るところであります。新しい視点からの対策が求められると指摘をしておきます。 次に、子供の貧困対策についてお伺いいたします。 我が会派は、「子どもの貧困」対策プロジェクトチームを立ち上げて、昨年9月には「申請主義からアウトリーチできる行政への転換」として、家庭からの申請を待つだけではなく、積極的にニーズを把握して申請手続を勧めること、学校の教職員の気づきを行政や地域と連携して支援につなぐ体制を構築すること、スクールソーシャルワーカーの人材を確保することなどの政策提言をいたしました。 来年度からの「こどもサポートネット」は、全ての児童・生徒の状況を把握し、家庭訪問によって申請手続を促す仕組みとなっており、我が会派の提言を実現するものとして期待しております。 しかし、この仕組みを有効に機能させるには、教職員の意識を高めるとともに、教職員による気づきを正確に理解し、子供や家庭が本当に求める支援を見きわめる重要な役割を持つスクールソーシャルワーカーの人材確保と育成が必要です。そのためには非常勤ではなく常勤雇用にするなどの処遇改善が求められますが、市長のお考えをお伺いいたします。 また、地域では子供や子育て家庭の孤立防止に有効な子供食堂や居場所づくりが行われていますが、それらの立ち上げ支援や学習支援等の市の施策と連携することにより、その効果を最大限に発揮できると思います。地域における取り組みも含め、子供の貧困対策に対する市長の御決意をお伺いいたします。
○副議長(明石直樹君) 吉村市長。 (
市長吉村洋文君登壇)
◎市長(吉村洋文君) 子供は、生まれながらにしてその家庭の裕福かそうでないかという環境の中に生まれてきます。これは資本主義なんで仕方がない状況であって、そしてその格差があるのは事実です。 ただ、同じ大阪の子供として生まれた以上、その子供ができる限り自分の可能性を追求していける社会を目指していく、子供の貧困対策に取り組んでいくべきだと、それが最後、社会に返ってくるというのが僕の考え方であります。 子供の貧困対策については、行政の福祉施策という単にそういった施策で見るんじゃなくて、もちろん市としては全局横断的な観点と、それから社会全体が支える仕組みということが必要だというふうに思っています。 昨年度の実態調査によりまして、多様で複合的な課題が確認されたところです。また、政策提言を受けまして「こどもの貧困対策推進本部会議」、私がトップになってますが、そこで局横断的に対応策の検討を進めてきたところです。 来年度から実施します「こどもサポートネット」においては、全ての児童・生徒をスクリーニングして課題を客観的に見える化します。教職員とともにスクールソーシャルワーカー等の専門職が支援方針などの検討を行って、家庭訪問などのアウトリーチによる申請勧奨などを通じて適切な支援につなげていくという新しい仕組みに取り組んでいきます。 この仕組みは学校における的確な気づきが不可欠になりますことから、教職員が課題を抱える子供に気づくように、さらなる意識向上への取り組みを進めていきます。 また、スクールソーシャルワーカーについては新たに専任で8名増員することとしております。引き続き人材の確保に努め、研修体制の整備による専門性の向上を通じて人材育成に取り組み、今後のあり方については国の動向を注視しつつ、処遇改善や効果的な配置等を引き続き検討していきます。 また、子供の貧困対策は、区長マネジメントによります区役所と地域の取り組みの連携も含めて、行政や地域、企業、大学、教育機関などの連携を強化しながら、そういったメンバーにもこどもの貧困対策推進本部会議に入ってもらってますが、連携を強化しながら社会全体で取り組んでいくということを推進したいと思っています。
○副議長(明石直樹君) 辻義隆君。 (49番辻義隆君登壇)
◆49番(辻義隆君) 次に、骨髄移植患者のワクチン再接種補助についてお伺いをいたします。 感染症発生及び蔓延防止のため、予防接種法に基づき市町村は予防接種を実施しています。しかし、白血病や小児がんの治療のために骨髄移植を受けたことによって、予防接種で獲得した免疫が低下し、感染症の罹患リスクが高まります。再度、免疫をつけるため予防接種を再接種した場合、任意の予防接種となり、費用は個人負担となります。 小児を対象としている定期の予防接種は、MRやB型肝炎ワクチンなど種類も多く、複数回接種します。そのため、接種費用は個人差もありますが20万円ほどの高額となり、保護者の経済的負担は大きくなってしまいます。 骨髄移植後の再接種の費用助成については、大阪府において平成30年度から市町村に対する補助制度が創設されると聞いております。しかも、平成30年度は補助率10分の10であるとのことです。 感染症発生及び蔓延防止のため、本市においても骨髄移植患者のワクチン再接種補助を実施すべきと考えますが、市長の御所見をお伺いいたします。
○副議長(明石直樹君) 吉村市長。 (
市長吉村洋文君登壇)
◎市長(吉村洋文君) 本市においては、対象年齢や接種方法、接種間隔など、予防接種法に基づいた定期の予防接種を実施しています。 骨髄移植後の予防接種の再接種については予防接種法に基づかない予防接種でありまして、本市においては現在、接種費用の助成は行っていませんが、議員御指摘のとおり、白血病や小児がんの治療のために骨髄移植を受けたことによって、定期の予防接種で獲得した免疫が失われ感染症の罹患リスクが高まるということであれば、これは適切な骨髄移植後の治療を受けることでその補助が受けられなくなる、効果がないのにまた受けられないというのは僕もおかしいんじゃないのかなというふうに思っています。 こういったことから、骨髄移植後に免疫が低下した方への定期の予防接種の再接種は、感染症発生や蔓延防止の観点から効果があるというふうに考えられていますし、大阪府において平成30年度から府下市町村に対する補助制度が創設されるところです。本市においても、大阪府の事業を活用した再接種への助成について対応してまいります。
○副議長(明石直樹君) 辻義隆君。 (49番辻義隆君登壇)
◆49番(辻義隆君) ぜひとも助成制度の実現をよろしくお願いします。 次に、教育委員会の基本姿勢についてお聞きいたします。 本市では、平成24年の教育行政基本条例が制定されてから市長と教育委員会の協議が制度化されました。総合教育会議で議論された内容が施策となって予算措置されるなど、教育施策がよりオープンなものとして意識されるようになったということは評価したいというふうに思います。ここでは、新たな人事給与制度等が市長や市長の特別顧問からの提案に基づき議論されることになりますが、議論を有意義なものにする上で現場の意見が反映されていることが重要です。 今年度から施行されている教育振興基本計画において、子供たちに直接届く施策の展開が課題とされていますが、どれだけ知恵を絞って議論しても、やはりその前提として現場の意見が反映されていなければ、現場に直接届く施策とはなりません。会議や協議会を精力的に実施することは大いに結構ですが、現場とのコミュニケーションをもとに総合教育会議を行うことで、意義あるものとなっていくのではないでしょうか。 特別顧問や事務局の顧問などにいつまでも依存するのではなく、現行の教育委員が新たな計画のもとで積極的にその役割を果たしていく必要があるのではないかと考えますが、教育長の御見解をお伺いいたします。
○副議長(明石直樹君) 山本
教育委員会教育長。 (
教育委員会教育長山本晋次君登壇)
◎
教育委員会教育長(山本晋次君) 本市におきましては、国が導入する以前から市長と教育委員会が協議をして、教育改革の方向性に沿った制度改変や重要施策をつくり上げてまいりました。 平成29年3月に改訂した大阪市教育振興基本計画では、学校現場に教育改革の浸透を図り、実施した施策の検証と評価を行うとともに、学校現場等との議論と対話を通じて新たな価値を生み出すことを今後4年間の基本姿勢と位置づけたところでございます。教職員や保護者、地域の意見が施策に反映されることで学校現場に教育行政への参画意識が醸成され、学校の安心、安全や、学力、体力の向上に向け、教育行政と学校現場との一体感が生まれるのではないかと考えておりまして、現場とのコミュニケーションを積極的に図ってまいりたいと考えております。 教育委員会におきましても、より重要な案件の協議に重点を置いて効率的な運用を図ることなどによって、現場とのコミュニケーションをより充実させていく努力をしているところでございまして、今年度中に議論の整理を図り、新年度からは新しい計画にふさわしい教育委員会の運営となるよう努めてまいりたいと考えておるところでございます。
○副議長(明石直樹君) 辻義隆君。 (49番辻義隆君登壇)
◆49番(辻義隆君) 次に、婚活支援策についてお聞きいたします。 かねてより我が会派から、市長への政策要望の場や昨年の予算委員会での質疑を通して婚活支援策の導入を要望してきました。 昨年9月に「大阪市まち・ひと・しごと創生総合戦略」を改訂した際、結婚したい若者の希望をかなえるための取り組みを進める旨を新たに明記されましたが、今後、婚活支援の推進に向けた取り組み方針について、市長のお考えをお聞きいたします。
○副議長(明石直樹君) 吉村市長。 (
市長吉村洋文君登壇)
◎市長(吉村洋文君) 未婚や晩婚化は少子化の要因の一つにもなっているところです。婚活支援は重要な視点でありまして、「大阪市まち・ひと・しごと創生総合戦略」においても結婚支援の推進を新たに位置づけてきたところであります。 今後、本市の婚活支援を進めるに当たっては、民間の取り組み状況を踏まえながら、さまざまな施策・事業や地域資源を活用した婚活支援の事業の具体化に努めていきます。
○副議長(明石直樹君) 辻義隆君。 (49番辻義隆君登壇)
◆49番(辻義隆君) 次に、住宅政策についてお聞きいたします。 近年、全国的に高齢単身者や低所得者が増加するとともに、民間住宅では家賃滞納や孤独死等への不安から高齢者や障害者などの社会的弱者が入居拒否されることも多く、こうした方々の住宅確保が大きな課題となっています。 国においては昨年、住宅セーフティネット法が改正され、住宅確保要配慮者の入居を拒まない住宅の登録制度の創設や、入居に関する情報提供や相談を行う団体の指定など、居住支援策の強化が図られました。 本市では、これまで住宅に困窮された方々に対する住宅セーフティネットとして公営住宅の供給に積極的に取り組んできており、市内の府営住宅の移管も進めてきました。しかしながら、住宅ストックの現状を見ると、いまだ浴槽がない住宅が6万戸以上あるなど現在の生活様式に対応できていない住宅が多数ある一方で、建て替えや改修も十分に進んでいません。 このような状況を踏まえ、住宅セーフティネットの構築に向けてどのように取り組んでいくのか、市長の御見解をお伺いいたします。
○副議長(明石直樹君) 吉村市長。 (
市長吉村洋文君登壇)
◎市長(吉村洋文君) 市民生活の安定を図る上で住宅セーフティネットの構築は重要だというふうに思っています。このため、改正法の施行に合わせて、本市においても高齢者等が安心して円滑に民間住宅に入居できるように住宅の登録制度を開始いたしました。あわせて、府と連携して居住支援法人の指定に取り組んでいるところであります。 住宅に困窮された方々に対する低廉な家賃の住宅確保については、本市の場合には移管されました府営住宅も含め約11万戸の市営住宅のストックがあります。使用料等の財源を有するこれらのストックを住宅セーフティネットの根幹として有効かつ効果的に活用していくことが、財政面であったり地域まちづくりの観点からも現時点で大阪市にとって最良の方策だと考えています。そのため、ストック総合活用計画に基づき、移管された府営住宅の建て替えも加えた更新を着実に推進するとともに、浴槽の設置など必要な整備を進め、良好なストックの形成を図っていきます。 このように、市営住宅ストックの活用を基本として、民間住宅への入居円滑化の取り組みとあわせて住宅セーフティネットの構築を図っていきたいと考えています。
○副議長(明石直樹君) 辻義隆君。 (49番辻義隆君登壇)
◆49番(辻義隆君) ぜひとも住宅セーフティネットの拡充、よろしくお願いをしたいというふうに思います。 次に、喫煙対策についてお伺いいたします。 受動喫煙は、喫煙者本人以外にも健康影響が生じるため、市民の理解を深め共通認識を広げていく必要があります。本市として受動喫煙防止条例を制定し、健康増進への姿勢を示すべきだというふうに思います。 また、自治体などから提供された「禁煙」や「分煙」の標識を自主的に掲示している飲食店があり、先日、厚生労働省が公表した健康増進法改正の基本的な考え方においても、「喫煙」「分煙」の標識の掲示について触れられています。 このような取り組みは、受動喫煙防止対策の一つとして効果的であることから本市としても推進すべきと考えますが、あわせて市長のお考えをお伺いいたします。 一方で、路上喫煙対策も重要な課題です。中央区においては、戎橋筋・心斎橋筋地域を路上喫煙禁止地区に新たに指定することが進められています。戎橋や心斎橋筋など国内外から多くの人々が集まる観光スポットを路上喫煙禁止地区に指定することは、我が会派としても賛成であります。大阪を代表する観光スポットということでは、近年、あべのハルカスや、市民の憩いの場として整備が進む「てんしば」などがあるJR天王寺駅や近鉄阿部野橋駅周辺にも注目が集まっております。観光スポットという意味ではこうした地域を新たな路上喫煙禁止地区に指定してはどうかと考えますが、市長のお考えをお聞きいたします。
○副議長(明石直樹君) 吉村市長。 (
市長吉村洋文君登壇)
◎市長(吉村洋文君) まず、受動喫煙防止条例を制定して健康増進への姿勢を示すべきだという御提案についてですが、現在、厚生労働省が「望まない受動喫煙をなくす」という基本的な考え方のもとで健康増進法の改正を考えているところで、今国会への提出を目指しているところであります。大阪市としても、現在、海外からの訪問客も急増して、万博の誘致にも努めているところであります。受動喫煙防止に向けた市としての姿勢を国内外に発信するためにも、御指摘の趣旨の条例制定については大きな意義があると考えています。 具体的な内容については、今後、健康増進法の改正の中身をしっかりと見定めた上で、大阪市独自の条例制定を目指していきます。 次に、飲食店における「喫煙」「分煙」の標識の掲示については、利用者の判断材料となり効果的であると考えます。厚労省の健康増進法の改正の基本的な考え方においても、標識の掲示について触れられているところです。健康増進法の改正案を見定めて、整合性のとれた標識を検討していく必要があると思います。 さらに、路上喫煙禁止地区の拡大についてですが、現在、大阪に魅力を感じて非常に多くの方が来阪されていて、大阪のまちを美しく保つという意味で路上喫煙対策は重要な取り組みになっています。また、多くの子供たちや御家庭、日本人の皆さんが多く集まるエリアにおいて、路上喫煙対策というのは重要な取り組みだろうというふうに思っています。 具体の禁止地区につきましては、中央区を初め北区などでも検討が進められています。阿倍野区においても、昨年12月7日に区政会議を開催して、新たな路上喫煙禁止地区の指定について検討委員会を立ち上げて検討していくというふうに聞いています。 2025日本万国博覧会の大阪、関西への誘致、「いのち輝く未来社会のデザイン」というテーマでこの誘致を進めていく中で、大阪は国内外から大きく注目されているところです。国際都市大阪として、観光スポットや子供たち、人が多く集まる場所において、地元との調整をしっかりと行った上で路上喫煙禁止地区を拡大していきます。
○副議長(明石直樹君) 辻義隆君。 (49番辻義隆君登壇)
◆49番(辻義隆君) しっかりした取り組みをよろしくお願いいたします。 次に、防災・災害対策についてお伺いをいたします。 昨年10月22日に大阪市に接近した台風21号の影響により、大和川流域の住之江区、住吉区、東住吉区及び平野区の約13万9,000世帯、27万4,000人を対象に避難勧告等が発令されました。その際、市及び区のホームページに地域住民がアクセスできないといった災害時の情報インフラの課題が明らかになりました。 また、「避難準備・高齢者等避難開始」を発令する時点で避難所の開設準備が整っていない、避難所の情報が明示されておらず、どこに避難すればよいのかわからないという声もありました。さらに避難所運営についても、教室等の部屋ではなく廊下で過ごすようなケースが発生したとの情報も寄せられています。 昨年10月31日に我が会派から市長に対して、今回の台風災害における動員体制等、避難所開設及び避難誘導等のあり方について、必要な改善を早急に実施すること、さらに、災害情報などの必要な情報が市民に届けられるよう、ホームページにおける接続環境の改善や利用者からのアクセス分散といった対策を講じることなどを要望させていただきました。この要望に対する改善状況と、今回の台風を教訓とした災害対策に関する市長の御決意をお伺いいたします。
○副議長(明石直樹君) 吉村市長。 (
市長吉村洋文君登壇)
◎市長(吉村洋文君) 昨年の台風21号ですが、大和川が氾濫には至りませんでしたが、非常に危険な水位に至ったという事象が生じました。また、その日がちょうど衆議院議員選挙の投開票日だということも重なって、人員体制等々について大阪市の大きな課題が見えてきたというふうに認識しています。 この要因についてですけれども、避難情報の発令までに避難所開設の調整、準備を十分に整える動員体制ができていなかったこと、避難所運営に際して、水害からの避難は浸水が迫ってきた段階で3階以上へ避難することとしていましたが、避難誘導の手順等が整理できていなかったこと、市民への避難情報を発信する際に本市内部での情報連絡が十分図られていなかったこと、そして、ホームページのアクセス集中を想定した対策を十分にとっていなかったことがあげられるというふうに考えています。 台風21号により大和川が氾濫の危険水位に達したことでこの状況ですから、南海トラフの大地震が発生したときにはどうなるんだということで、危機管理室に対してここは強力に指示をしてきたところであります。 これを教訓としまして、避難所開設や運営に関しては、避難勧告等の発令までに避難所の準備が整うよう、リードタイムを考慮しました動員体制のあり方を今年度中に整理します。避難誘導についても、新たにあらかじめどの教室を使用するかを決めて当該教室の鍵を区役所、地域で管理するなど、具体的な対応を講じていきます。 また、災害時の情報提供については、今回の件を踏まえまして、災害協定を締結しています民間通信会社のネットワークを活用して、アクセス集中時にも閲覧できるように新たに措置を講じました。今後、さらに通信負荷の分散方策についても検討していきます。 市民の生命、財産を守っていくことは基礎自治体として重要な役割であり、大阪市地域防災計画を定めていますが、今回の台風を教訓としまして、それらの対策が有効に機能するように検証しながら市民が安心して暮らせる災害に強いまちづくりを目指していきたいと思います。
○副議長(明石直樹君) 辻義隆君。 (49番辻義隆君登壇)
◆49番(辻義隆君) 市民が安心できるよう、しっかりとした体制整備をよろしくお願いいたします。 次に、無電柱化の推進についてお聞きいたします。 大阪市内の無電柱化は、平成28年度末時点で市内の幹線道路のうち約32%しか整備が進んでいないとのことです。予算についてもピーク時には50億円近くあったものが最近では10分の1程度となっておりまして、このような状況ではなかなか整備が進むものではありません。 昨年11月の決算委員会では、国の推進計画の策定時期が予定よりもおくれたことから、本市は推進計画の基本方針を平成29年度内に取りまとめるとのことでした。 先日、国においては、平成30年度から3カ年で全国で約1,400キロメートルの無電柱化を推進していくことが発表されたところであります。このような中、無電柱化推進計画を策定するに当たり、なかなか整備が進まない状況をこの際大胆に変えていくために、めり張りをつけた計画とし、特に防災面では緊急交通路などに絞って集中的に投資し、国にも支援を求め、無電柱化の整備のスピードアップを図るべきだと考えます。 また、万博開催が決まればインバウンドなどのさらなる増加が見込まれることから、都市魅力向上の観点からも無電柱化の整備を進めていく必要があると考えます。 そこで、昨年以降の大阪市の無電柱化推進計画の策定状況と今後の取り組み方針について、改めて市長にお聞きいたします。
○副議長(明石直樹君) 吉村市長。 (
市長吉村洋文君登壇)
◎市長(吉村洋文君) 本市におきましては、無電柱化の推進に関する法律に基づいて無電柱化推進計画策定に向けた検討を進めているところです。平成29年度末には、整備推進の基本的な考え方を大阪市無電柱化推進計画基本方針(素案)としてまとめます。 基本方針素案では、無電柱化を推進する上で、新たな財源確保や多様な整備手法の活用によるコストの縮減、官民連携による整備の推進、選択と集中による効果的な整備の推進を基本的な考え方として、都市防災機能、歩行者空間安全・快適性、都市魅力の3つの観点から整備対象路線やエリアを抽出する考え方を定めることとしています。 平成30年度には、この春に策定される予定と聞いております国の無電柱化推進計画を踏まえ、今後50年程度で整備する中期的な整備目標を取りまとめるとともに、当面の目標として、優先すべき路線について10年間で整備する計画を整備計画として取りまとめ、基本方針素案に加えて大阪市無電柱化推進計画として策定します。 推進計画では、限られた財源を効果的に活用して、特に整備効果が高い路線に集中投資して効果的に整備を完了させる計画にしていきます。あわせて、コスト縮減や官民連携による推進方策の検討なども行い、必要な予算確保については国に支援を求めていきたいと思います。 また、2025年の万博誘致が実現すれば、万博に関連する都市魅力向上が必要なエリアの重点的な整備も計画に盛り込んで、国に対して新たな予算枠の確保を働きかけ、無電柱化の推進につなげていきます。
○副議長(明石直樹君) 辻義隆君。 (49番辻義隆君登壇)
◆49番(辻義隆君) 国に対して、予算の確保については当会派としても求めていきたいというふうに思いますので、スピードアップをお願いします。 次に、Wi-Fi環境の整備についてお伺いをいたします。 無料公衆無線LAN、Wi-Fi環境の整備促進について、国では、「
外国人旅行者等が観光・災害時にも利用しやすいWi-Fi環境を実現するため、2020年までに、主要な観光・防災拠点における重点整備箇所について国の整備計画に基づき無料Wi-Fi環境の整備を推進する」としています。 平成29年に日本を訪れた2,800万人を超える外国人のうち約1,100万人が来阪している状態を考えると、大規模災害時に訪日外国人に対してどう対応するのか、どのように情報発信していくのかが肝要です。 大阪観光局が運営するインターネットサイトOSAKA-INFOでは
外国人旅行者向けに緊急時の情報が掲載されており、また、観光客向け多言語コールセンターOsaka Call Centerでは多言語で近くの病院を案内するサービスがあると聞いていますが、それも全てインターネットにつながっていなければアクセスすることができません。 大阪観光局では平成26年より
外国人旅行者向けなどにOsaka Free Wi-Fiの整備を進めていますが、例えば横浜市では、市内一部エリアの地図案内板の再整備に当たり、案内板の半数にWi-Fiを設置することを条件にした上で、その整備費用には案内板に掲載する広告収入を充てるというインセンティブを与えてWi-Fi環境整備を行っていると聞いています。 防災等の観点からもさまざまな工夫をして、本市が保有する防災関連施設や市民利用施設約800カ所においてWi-Fi環境の整備が必要であると考えますが、市長のお考えをお伺いいたします。
○副議長(明石直樹君) 吉村市長。 (
市長吉村洋文君登壇)
◎市長(吉村洋文君) 国において防災等に資するWi-Fi環境の整備計画を策定して、2020年までに防災拠点にWi-Fi環境を整備することとしています。 Wi-Fi環境の整備は、観光情報の発信だけじゃなくて、災害時における
外国人旅行者への情報発信という点においても重要だと考えています。 大阪観光局においては、大阪を訪れる外国人の旅行者のために、インターネットサイトを通じた緊急時の対応方法の案内であったりインターネットの回線を利用しました多言語コールセンターによる医療機関の紹介などに取り組んでいます。こういったものを有効に機能するためにもWi-Fi環境の整備は必要でありますので、今後とも関係機関などと連携してOsaka Free Wi-Fiの充実など
外国人旅行者の
受け入れ環境の整備に努めていきたいと考えています。 一方で、今後の技術動向も鑑みて、本市が保有するさまざまな施設等において議員御指摘のような広告収入をインセンティブとした民間事業者の活用など、観光にも防災にも資するような本市のWi-Fi環境の整備について、費用対効果も考慮しながらあらゆる工夫を図っていきたいと思います。
○副議長(明石直樹君) 辻義隆君。 (49番辻義隆君登壇)
◆49番(辻義隆君) 訪日
外国人旅行者が1,100万人にもこういうふうに伸びる中、大規模災害等の緊急事態となった場合にインターネットにつながらないと大変な混乱になります。防災の観点から、市長には責任を持ってWi-Fi環境の整備を早急に進めるように強く求めるとともに、また、約35カ国もの国、機関等から数多くの方々が集まるG20、インターネットにもつながらないということになりますと世界の後進国と言われかねません。しっかり頑張っていきましょう。よろしくお願いします。 次に、新たな大都市制度についてお伺いをいたします。 この間、市長は、特別区素案の
財政シミュレーションで、将来的に収支不足が解消されるため住民サービスは維持される旨の発言を何度もされています。特別区移行後も住民サービスが本当に維持されるかどうかは、各特別区が適切に
行政サービスを提供できるよう財政調整制度をきちんと構築した上で、特別区全体としてではなく、それぞれの特別区で
財政シミュレーションが成り立つのか否かを厳しく検証することが重要だと考えています。 特別区素案の
財政シミュレーションは昨年2月の粗い試算をもとに算出されておりまして、敬老パス、保育所整備、校舎狭隘化等、今後見込まれる経費増や、なにわ筋線、万博、IR等に要する膨大な経費が織り込まれていません。このように、現在の
財政シミュレーションには将来の行政需要が反映されておらず、特別区に移行しても住民サービスが維持されるどころか、住民サービスの低下は明らかであります。 法定協議会において指摘したビッグプロジェクトはもちろんのことですが、先ほど申し上げた将来到来することが見込まれる財政的負担もきちんと盛り込まなければ、市民をミスリードすることになりませんか。正確な情報を市民に提供すべきと考えますが、市長のお考えをお伺いいたします。
○副議長(明石直樹君) 吉村市長。 (
市長吉村洋文君登壇)
◎市長(吉村洋文君) 特別区制度に関します
財政シミュレーションは、特別区の財政運営が将来的に成り立つかといったことを協議するための参考の資料といたしまして、不確定な要素も多くある中で、作成時点で把握できる数値をもとに一定の条件を置いた上で推計したものでありまして、相当の幅を持って見る必要があると思いますし、その旨記載しているところでもあります。 なお、ベースとして用いた昨年2月の市の粗い試算についても、公表時点において市として把握できる将来見込みを反映したものとなっておりまして、特別区のシミュレーションについてもこれらの数値を用いて推計するのが適当であるというふうにしたものであります。 これらの数値をもとにしました、4区B案で申し上げますと、財源活用可能額の活用で十分に財政運営は成り立つものと考えています。現行の住民サービスは維持できるものだと考えています。 また、先日の大都市制度の法定協議会においていただきました、なにわ筋線、万博、IRなどのいわゆる大規模プロジェクトに係る事業について総事業費や起債償還も含めたシミュレーションを示すべきとの御指摘に対しましては、現在、副首都推進局において各事業の現状や将来の見通しについて確認、整理を行わせているところであります。推計に当たってはそれぞれの課題整理や仮定条件の設定も必要であることなどから、どのような形でお示しできるのか引き続き検討を重ねた上で、法定協議会において検討結果を示していきたいと考えています。 今後とも、市民の皆さんに対しても丁寧でわかりやすい説明に努めていきます。
○副議長(明石直樹君) 辻義隆君。 (49番辻義隆君登壇)
◆49番(辻義隆君) ビッグプロジェクトだけではなく、あえて言及されませんでしたが、敬老パス、保育所の整備、校舎狭隘化等、今後見込まれる経費及び市長が任期中に実現されるとおっしゃった3歳児の幼児教育の無償化、さらには大学統合の都心キャンパスの移転、弘済院の建て替え等のこれら膨大な経費も、
財政シミュレーションに反映するべきではないでしょうか。市長には、市民に正確な情報を提供されることを重ねて要望しておきます。 以上、市政全般にわたり質問をさせていただきました。我が会派としましても引き続き、大阪市のより一層の発展に向けて常任委員会で具体的に議論させていただくことを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手) (副議長退席、議長着席)
◆46番(西徳人君) 動議を提出いたします。本日の質疑はこの程度で打ち切り、明3月1日午前10時より会議を開かれることを望みます。
○議長(山下昌彦君) 46番議員の動議に御異議ありませんか。 (「異議なし」と呼ぶ者あり)
○議長(山下昌彦君) 御異議なしと認めます。よって動議のとおり決しました。
△閉議
○議長(山下昌彦君) 本日の日程は以上で終了いたします。
△散会
○議長(山下昌彦君) 本日はこれをもって散会いたします。 午後4時34分散会 --------------------------------- 大阪市会議長 山下昌彦(印) 大阪市会副議長 明石直樹(印) 大阪市会議員 寺戸月美(印) 大阪市会議員 武 直樹(印)◯大阪市会(定例会)会議録(平成30年2月28日)(終)...