大阪市議会 2016-03-03
03月03日-03号
平成28年第1回定例会(平成28年2・3月)◯大阪市会(定例会)会議録(平成28年3月3日)
◯議事日程 平成28年3月3日午前10時開議第1 議案第120号 平成28年度大阪市
一般会計予算第2 議案第121号 平成28年度大阪市
食肉市場事業会計予算第3 議案第122号 平成28年度大阪市
駐車場事業会計予算第4 議案第123号 平成28年度大阪市
母子父子寡婦福祉貸付資金会計予算第5 議案第124号 平成28年度大阪市
国民健康保険事業会計予算第6 議案第125号 平成28年度大阪市
心身障害者扶養共済事業会計予算第7 議案第126号 平成28年度大阪市
介護保険事業会計予算第8 議案第127号 平成28年度大阪市
後期高齢者医療事業会計予算第9 議案第128号 平成28年度大阪市
中央卸売市場事業会計予算第10 議案第129号 平成28年度大阪市
港営事業会計予算第11 議案第130号 平成28年度大阪市
下水道事業会計予算第12 議案第131号 平成28年度大阪市
自動車運送事業会計予算第13 議案第132号 平成28年度大阪市
高速鉄道事業会計予算第14 議案第133号 平成28年度大阪市
水道事業会計予算第15 議案第134号 平成28年度大阪市
工業用水道事業会計予算第16 議案第135号 平成28年度大阪市
公債費会計予算第17 議案第136号 平成28年度大阪市西町外16財産区予算第18 議案第137号 大阪市
職員定数条例の一部を改正する条例案第19 議案第138号 一般職の任期付職員の採用及び給与の特例に関する条例の一部を改正する条例案第20 議案第139号 職員の給与に関する条例の一部を改正する条例案第21 議案第140号 単純な労務に雇用される職員の給与の種類及び基準に関する条例の一部を改正する条例案第22 議案第141号 職員の給与に関する条例等の特例に関する条例の一部を改正する条例案第23 議案第142号 職員の期末手当及び勤勉手当に関する条例の一部を改正する条例案第24 議案第143号 職員の退職手当に関する条例の一部を改正する条例案第25 議案第144号 大阪市印鑑条例の一部を改正する条例案第26 議案第145号 大阪市
手数料条例の一部を改正する条例案第27 議案第146号 大阪市
特別会計条例の一部を改正する条例案第28 議案第147号
不動産運用基金条例の一部を改正する条例案第29 議案第148号
包括外部監査契約の締結について第30 議案第149号 大阪市
教育振興基本計画の変更について第31 議案第150号 大阪市
児童相談所条例の一部を改正する条例案第32 議案第151号
大阪市立児童福祉施設条例の一部を改正する条例案第33 議案第152号 大阪市高齢者及び
重度身体障害者住宅整備資金貸付基金条例を廃止する条例案第34 議案第153号 大阪市
国民健康保険条例の一部を改正する条例案第35 議案第154号 建物の処分について第36 議案第155号
地方独立行政法人大阪市民病院機構に係る中期計画の一部変更の認可について第37 議案第156号
農業委員会等に関する法律の一部改正に伴う関係条例の整備に関する条例案第38 議案第157号 大阪市
農業委員会の廃止に伴う関係条例の整備に関する条例案第39 議案第158号 大阪市
国際戦略総合特別区域における産業集積の促進及び産業の国際競争力の強化に係る事業計画の認定並びに法人の市民税、固定資産税、事業所税及び
都市計画税の課税の特例に関する条例の一部を改正する条例案第40 議案第159号 大阪府
市都市魅力戦略推進会議共同設置規約の一部変更に関する協議について第41 議案第160号 大阪市
民間駐車場建設資金融資基金条例を廃止する条例案第42 議案第161号 大阪市
建築基準法施行条例の一部を改正する条例案第43 議案第162号 大阪市港営事業の設置等に関する条例の一部を改正する条例案第44 議案第163号 大阪市
港湾施設条例の一部を改正する条例案第45 議案第164号 企業職員の給与の種類及び基準に関する条例の一部を改正する条例案
---------------------------------◯出席議員86人 1番 こはら孝志君 2番 前田和彦君 3番 福田武洋君 4番 藤岡寛和君 5番 杉山幹人君 6番 宮脇 希君 7番 岡田妥知君 8番 永田典子君 9番 岸本 栄君 10番 武 直樹君 11番
森山よしひさ君 12番 永井広幸君 13番 則清ナヲミ君 14番 山本智子君 15番 佐々木りえ君 16番 高見 亮君 17番 金子恵美君 18番 徳田 勝君 19番 奥野康俊君 20番 不破忠幸君 21番 川嶋広稔君 22番 太田晶也君 23番 荒木 肇君 24番 山本長助君 25番 岩崎けんた君 26番 小川陽太君 27番 井上 浩君 28番 尾上康雄君 29番 寺戸月美君 30番 永井啓介君 31番 西川ひろじ君 32番 北野妙子君 33番 有本純子君 34番 加藤仁子君 35番 伊藤良夏君 36番 市位謙太君 37番 守島 正君 38番 飯田哲史君 39番 今井アツシ君 40番 藤田あきら君 41番 竹下 隆君 42番 上田智隆君 43番 土岐恭生君 44番 西崎照明君 45番 島田まり君 46番 西 徳人君 47番 山田正和君 48番 佐々木哲夫君 49番 辻 義隆君 50番 八尾 進君 51番 明石直樹君 52番 杉田忠裕君 53番 高山 仁君 54番 金沢一博君 55番 前田修身君 56番 小笹正博君 57番 梅園 周君 58番 杉村幸太郎君 59番 大橋一隆君 60番 ホンダリエ君 61番 丹野壮治君 62番 出雲輝英君 63番 岡崎 太君 64番 田辺信広君 65番 片山一歩君 66番 井戸正利君 67番 高野伸生君 68番 木下吉信君 69番 足高將司君 70番 多賀谷俊史君 71番 荒木幹男君 72番 床田正勝君 73番 黒田當士君 74番 江川 繁君 75番 瀬戸一正君 76番 山中智子君 77番 新田 孝君 78番 改発康秀君 79番 大内啓治君 80番 辻 淳子君 81番 美延映夫君 82番 東 貴之君 83番 木下 誠君 84番 山下昌彦君 85番 広田和美君 86番 角谷庄一君
---------------------------------◯職務のため出席した
事務局職員 市会事務局長 藤原正樹 次長 中出美樹
議事担当課長 巽 功一
調整担当課長 西 正道
議事担当係長 西山 清
---------------------------------◯議場に出席した執行機関及び説明員 市長 吉村洋文 副市長 田中清剛 副市長 中尾寛志 副市長 鍵田 剛 西淀川区長 西田淳一 港区長 田端尚伸 住吉区長 吉田康人 人事室長 中村一男
政策企画室長 黒住兼久 危機管理監 東 信作
経済戦略局長 井上雅之 総務局長 上田隆昭 市民局長 谷川友彦 財政局長 稲森隆司
契約管財局長 高橋敏夫
都市計画局長 川田 均 福祉局長 西嶋善親 健康局長 上平康晴
こども青少年局長 内本美奈子 環境局長 北辻卓也
都市整備局長 國松弘一 建設局長 福井 聡 港湾局長 徳平隆之
会計管理者兼会計室長 東山 潔 消防局長 打明茂樹 交通局長 藤本昌信 水道局長 玉井得雄
教育委員会委員長 大森不二雄 教育長 山本晋次
行政委員会事務局長 小川英明 ---------------------------------
△開議 平成28年3月3日午前10時1分開議
○議長(東貴之君) これより
市会定例会会議を開きます。 本日の
会議録署名者を尾上康雄君、
森山よしひさ君の御両君にお願いいたします。
○議長(東貴之君) これより議事に入ります。
○議長(東貴之君) 日程第1、議案第120号、平成28年度大阪市
一般会計予算ないし日程第45、議案第164号、企業職員の給与の種類及び基準に関する条例の一部を改正する条例案を一括して議題といたします。
○議長(東貴之君) これより質疑に入ります。 角谷庄一君の質疑を許します。 86番角谷庄一君。 (86番角谷庄一君登壇)
◆86番(角谷庄一君) 私は、大阪維新の会大阪市会議員団を代表いたしまして、平成28年度大阪市
予算案並びに関係諸案件について質問いたします。 吉村市長は、昨年の11月の
大阪市長選挙で、国会議員の立場を投げ捨てて立候補し当選。大阪を立て直し、前に進める、その一心で大阪の成長・発展に全力で取り組み、就任早々から対話と協調により他会派の賛同も得て、重要な議案の可決を得ることができております。例えるなら、
ラガーマン吉村丸は、要所で市民のために重要議案のゴールを決めることができており、まずは順調な船出と言えます。そうした中、市長が初めて編成されたのが、この平成28年度予算であります。 そこで最初に、予算編成に当たっての考え方についてお聞きをいたします。 先日、公表された今後の
財政収支概算では、平成28年度予算に反映した給与改定や
人員マネジメントによる職員数の削減などを織り込む一方で、高齢化等による社会保障費の増を反映するとともに、
こども医療費助成や
南海トラフ巨大地震に対する耐震対策など、29年度以降の拡充事業で影響が大きいものや現時点で確定している財務リスクを織り込んだ結果、当面200億円程度の
通常収支不足が見込まれるとのことであります。前回と比較すると一定の改善は見られるものの、依然として本市財政が厳しい状況であることには変わりありません。 このような中、市長報酬を削減するなど、トップみずから身を切り、一方で国会議員、
市会議員時代に課題意識を持っていた未来への投資となる施策を反映するなど、吉村市長のカラーを色濃く盛り込んだ攻めの予算を編成されたと認識しております。 そこで、市長は、どのような方針で初めての予算編成に臨まれたのかをお尋ねいたします。
○議長(東貴之君) 理事者の答弁を許します。 吉村市長。 (
市長吉村洋文君登壇)
◎市長(吉村洋文君) まず、予算編成についてでありますが、議員御指摘のとおり、今後も非常に厳しい財政が続くというふうに認識しております。財政規律をしっかりと維持して、それから厳格な
行財政運営に努めていかなければならない、そういった状況になるというふうに思っています。そういった認識のもとで、私自身の報酬も40%削減して、そして、職員の給与のほうのカットもお願いしている状況であります。今後もしっかりとした市民目線を持って、行財政改革、これを徹底的に取り組んでいきたいというふうに思っています。 予算編成の方針ですけれども、補填財源に依存することなく、収入の範囲内で予算を組むということをやはり大原則にしながら、借金をふやさずに市債残高、借金を減らしていくということ、将来世代に負担を先送りしないということ、そういったことを意識して
財政健全化に着実にしっかり取り組んでいくということを基本的な考え方、方針としております。 28年度当初予算の編成では、そういった基本的な考え方のもとで
市民サービスの拡充とそれから大阪の改革と成長というこの2つの大きな方向性を基本にして、幼児教育の無償化を初めとした子育てや教育環境の整備、それから、真に支援が必要な方への支援、暮らしを守る福祉向上、それぞれの行政区各区の特色ある施策の展開、そういったことを推進していきたいと思ってます。 あわせて大阪の成長戦略、府市一体となった成長戦略の実行であったり、あるいはうめきた2期区域のまちづくり、
都市インフラの充実、
南海トラフ巨大地震、これが来るというふうに言われておりますので、そういった被害想定も踏まえました防災・減災の観点、それから、やはり今、大阪、
インバウンドが非常にふえてますので、観光産業などそういった成長産業の増進と育成、こういったことを府市一体で展開していきたいと思っております。 一方で、サービスの向上であったり、事務処理の効率化、経費の削減、収入の確保、いわゆる質の高い
行財政運営をしっかり行うと。官民の適切な役割分担のもとで、連携するところは官民が連携していくというような方法で、新たな価値を見出す、そういった市政改革にも取り組んでいきたいと思っております。税や借金に頼るという、これまでの地方自治の自治体経営のあり方から脱却するような、そういった自治体を経営するという観点が必要だろうというふうに思っております。 また、区長、局長の
マネジメントのもとで
PDCAサイクル、これを徹底して行って、歳出・歳入、両面にわたっての自律的な改革、これも行っていきたいと思います。最終的には、この大阪が、活気ある豊かな大阪を目指していくということが大きな目標でありますので、それに向かって進んでいきたいというふうに思っております。
○議長(東貴之君) 角谷庄一君。 (86番角谷庄一君登壇)
◆86番(角谷庄一君) ありがとうございます。 次に、子育て・教育環境の充実について、何点か質問させていただきます。 まず、幼児教育の無償化についてお聞きをいたします。 市長は、子どもの教育・
医療無償都市大阪を打ち出し、平成28年度予算案に、4月から幼稚園・保育所等に通う5歳児の教育費を無償化するための経費を計上されています。一方、幼児教育を初めとする人材育成は、国全体として取り組むべき課題ではないかという意見もあります。また、幼児教育の無償化の実施に当たっては、あわせて質の確保が必要であることから、保護者への情報提供や幼児教育の課題研究、教職員の資質向上を担う
幼児教育センターの設置が検討されています。 大阪市が国に先駆けて無償化に取り組む意義、
幼児教育センターの設置時期について、市長の御所見をお伺いいたします。 また、今回の無償化は、
認可外保育施設の利用者は対象外となっております。公平性に欠けるという声も聞いておりますが、
認可外施設の利用実態はさまざまだと認識をしております。今後、教育の無償化を進めるに当たって、
認可外施設利用者についての市長の御所見をお伺いいたします。
○議長(東貴之君) 吉村市長。 (
市長吉村洋文君登壇)
◎市長(吉村洋文君) まず、幼児期の教育については、その子供自身の生涯にわたる、まさにその根幹をなすような人格形成の時期であるというふうに思ってますので、そこを重視していくというのは、まさにその子供にとって非常に重要なことであると、生き抜く力をつけていくのが、これからの社会において必要になってくるだろうというふうに思っております。また、社会にもそれが将来的には還元されるという認識で、今、進めております。 海外の研究でも、そういった質の高い幼児教育を受けるということが、その後の学力の向上であったり、あるいは将来の所得の向上、犯罪率の低下ということが調査結果として、学術的に出ております。ヨーロッパ、先進国でも、こういった幼児教育の無償化ということに積極的に力を入れているのは、今いろいろ報道され始めているところなのかなというふうに思っております。 子供の教育というのは、やはり将来の社会であったり、未来への投資というふうに考えております。そういった無償化によって、家庭の経済状況にかかわらず、全ての子供たちに対して教育を受ける機会を提供する。幼児教育を最も重要な分野と明確に位置づけることが大事だろうというふうに思っております。4月から大阪市が国に先駆けて実施していきたいというふうに思っております。国に対しても、この幼児教育の無償化に本気で取り組んでもらいたいと思っておりまして、積極的に要望していきたいというふうに思ってます。 国も360万円世帯に5歳児の幼児教育の無償化をするというようなことを打ち出しましたけども、結局はやっぱりやめたというような状況になっております。一方で、1,000万人以上の高齢者に対して3万円を配るというようなことも決定するようでございますけれども、そういった中で、やはりこの大阪市が先駆けて、積極的に意思表示を出していくということは大事なんだろうと。子供に対して教育予算が回ってくるような、そんな取り組みが必要なんだろうというふうに思っております。
幼児教育センターについてですけども、内容や体制の検討、これ早急に進めて、年内を目途にして設置していきます。 認可外の保育所についてですけれども、その内容であったり、利用実態、保育料というのが非常に多岐にわたっております。教育の無償化についても、やはりこれは市税を投入するということですから、一定のやはり基準が必要になるだろうというふうに思ってます。認可外の保育施設ですが、その設備であったり、職員配置など、いわゆる大阪市の認可基準に適合していないということで、現在はその運営についても一切市税を充てていないという状況ですので、今回の無償化についても対象外といたしました。 ただ、御指摘の件については、やはり
認可外保育施設の利用実態の把握を含めて、しっかりとさまざまな観点からの検討が必要になってくるというふうに思っております。
○議長(東貴之君) 角谷庄一君。 (86番角谷庄一君登壇)
◆86番(角谷庄一君) ありがとうございます。 国に対しても、幼児教育の無償化、積極的に要望していっていただきたいと思います。 それと、これまで以上に幼児教育の質の向上に取り組んでいただくということでございます。
幼児教育センターについては、幅広い知見を持った外部人材を登用されることも要望しておきたいと思います。 次に、子供の貧困対策についてお聞きをします。 大阪市の子供の貧困の現状については、推測するしかありませんが、報道によると、大学の研究結果として都道府県別の子供の貧困率が出され、大阪府は沖縄県に続いて全国2位の高さとなっており、大阪市の貧困率の高さも際立っていると思われます。 また、経済的観点から見ると、現在15歳の子供のうち、貧困の状況にある子供の進学率及び中退率が改善した場合、生涯所得の合計額が2.9兆円ふえ、政府の財政が1.1兆円改善するとの日本財団等が行った推計があり、未来への投資という観点からも、我が会派としては、この問題には力を入れて取り組んでいきたいと考えております。 既に2月29日に「こどもの
貧困対策推進本部」を立ち上げられ、今後の取り組みについて議論されたと聞いております。この対策を確実に進めていくためには、これから着手される実態調査において、子供たちの実情をより把握できるような調査となるように、調査対象の年齢やサンプル数、アンケートの配布、回収などに工夫を凝らす必要があると考えており、また、具体的に施策を進めていくためには、実施計画や行動計画などの何らかの方針と目標の設定をしておく必要があると考えております。今後どのように進めていくおつもりなのか、市長の御所見をお伺いいたします。
○議長(東貴之君) 吉村市長。 (
市長吉村洋文君登壇)
◎市長(吉村洋文君) まず、子供がみずから自分の可能性を追求する上で、経済的な理由でそれを諦めなければならないというような状況というのは絶対につくるべきではないというふうに思ってます。それは、ひとえには、一義的には親の責任でありますけれども、そういった状況を生み出すというのは、社会に対する損失にもなると思いますし、まさにこれからの成熟した大阪、あるいは国が力をつけていく上でも、頑張る子供、可能性を追求する子供の後押しをするというのは、あるいは土台を整えてあげるというのは、今の大人の役割であろうというふうに思っております。行政の役割だと思ってます。そういった点から、この貧困対策についても非常に重要な施策の一つというふうに認識しています。 28年度に実施する実態調査については、まず、この貧困の連鎖を断ち切らなければならないということで、子供たちの生活であったり、健康、学習状況などの実情を把握することが何より大事だろうというふうに考えております。そういった目的で、市立の学校を通じて、中学校2年生と小学校5年生の児童約4万人とその保護者に
アンケート調査を行うこととしています。加えまして、就学前の児童である保育所や幼稚園の5歳児クラスの保護者約2万人と施設職員へのアンケートの協力も求めていきたいと思っております。この合計6万人の調査というのは、これまでにない調査だと思います。それはやはり正確な、できるだけ実態を把握するということが、効果的な施策に結びつくという認識からであります。 この子供の貧困対策の関連の事業についてですけれども、
子育て支援施策を中心に策定しました「大阪市こども・
子育て支援計画」や「大阪市
ひとり親家庭等自立促進計画」等により、進捗管理や効果検証を行っているところではありますけども、
子供貧困対策を
横断的かつ着実に進めていくためには、方針であったり、目標数値の設定が必要だというふうに思っております。それをやっていきます。 教育の支援、生活の支援、保護者の就労支援、経済的支援、各分野あると思いますが、各分野の重立った事業、いわゆるその推進本部として重点的に取り組むとした事業も組み入れて、支援を必要としている家庭、子供たちに、確実にこの支援が行き届くような各分野の数値目標、これを設定した行動計画を取りまとめていきます。
○議長(東貴之君) 角谷庄一君。 (86番角谷庄一君登壇)
◆86番(角谷庄一君) 既に実態調査の実施や行動計画を取りまとめている自治体もあり、こういった先行事例を見習うべきところは取り入れていくことや、専門家の意見を聞きながら進めていくことを要望しておきます。 次に、中学校給食についてお聞きをします。 市長は、これまでも何度も中学校給食の改善について発信されています。本市では、中学生の食習慣、食生活の改善が喫緊の課題である中、中学校給食を導入したことは、栄養バランスに配慮した昼食を中学生に提供できる環境を整えたという点で、非常に意義あることと考えております。今後、保護者や生徒の意見を踏まえて、温かさやアレルギー対応、分量調整等により柔軟に対応し、充実した食育を行うため、学校調理方式へ移行することについては、ぜひとも早期に実現していただきたいと思います。 市長は、御自身の任期中に全ての中学校において学校調理方式を開始するとの方向性を打ち出し、順次進め、平成31年度の2学期からは全中学校でスタートするという強い決意を示されております。 一方で、このように短期間で市内の120を超える全中学校を学校調理方式へ移行していくためには、予算の確保はもちろんのこと、着実に給食室の改修、整備を進め、調理、配送などについても事業者の確保を図り、加えて安心・安全面にしっかりと配慮した給食事業の運営を行う必要があり、これらの業務を担う本市の体制も強化すべきであります。 また、移行までの間に実施するデリバリー方式についても、引き続き改善を図っていただきたいのですが、現在の契約は平成28年度で終了すると聞いており、残りの短期間に食数も減少する状況で、質の高い調理事業者をどのように確保されるのでしょうか。これらについて、市長の御所見をお伺いいたします。
○議長(東貴之君) 吉村市長。 (
市長吉村洋文君登壇)
◎市長(吉村洋文君) 中学校給食についてですけども、まさに食育という教育的要素、それから教育の環境の整備という意味で重要な施策として位置づけております。私の選挙戦でも、いろんな場所で訴えさせていただいた重要な施策の一つであります。子供たちにしっかりと学業に励んでもらうためにも、そういった給食の充実というのが必要だろうというふうに考えております。 子供たち、そして保護者が望むこの温かい給食については、この学校調理方式に、私の任期中に完全移行していきます。予算面ですけれども、学校調理方式の実施、設備の整備などに約40億円かかる必要な予算については、平成31年度までに適宜措置していきたいと考えております。また、市の体制ですけれども、この工事の実施であったり、調理、配送などの事業者確保などの業務を担うという技術職員も必要になりますので、専属の担当ラインを教育委員会事務局にことしの4月から設置していきます。移行期間を短縮しても、給食の安心・安全面、これについては十分に配慮しながら移行を進めて、万全を期して運営を行っていきます。 あわせて、この移行の間ですけれども、補完的に実施しますデリバリー方式については、引き続き献立の改善に努め、給食の内容の充実、これを図っていきたいと思ってます。調理や衛生面での質の高い運営、これを目指していきます。 その中で中学校給食については学校調理方式を進めていきますが、当初の10年よりも早めるということもあります。短期間で食数が減少していくということがありまして、現実的に事業者との調整であったり確保、安心・安全が大変重要な課題になっているということを認識しております。この間における調理事業者については、調理面、衛生面を厳しく評価して、質の高い調理事業者を選定していくというふうに考えております。 ただ、短期間の実施となって、事業者の対応が困難になる平成28年度に学校調理方式に移行する学校の1学期の間、それと現行契約が終了して完全移行するまでの間の2年と1学期の間のこの限られた期間については、暫定的な措置として、デリバリー方式を基本としながらも、保護者の御理解を得ながら、栄養バランスに配慮した昼食を準備できる家庭については御負担をお願いして、柔軟に対応していきたいと思います。学校調理方式への完全移行を目指していきたいというふうに思っております。
○議長(東貴之君) 角谷庄一君。 (86番角谷庄一君登壇)
◆86番(角谷庄一君) 子供の教育環境の充実に向けて、中学校給食を学校調理方式へ早急に移行するという市長の強い思いや安心・安全に配慮するお考えをお聞きしました。我が会派としても、学校調理方式への移行は、しっかりと支援してまいりたいと考えております。ただし、給食を実施したときの理念、思いを忘れず、取り組みを進めていただくよう強く要望しておきます。 次に、子供のための見守り防犯カメラについてお聞きをいたします。 先日の我が会派の一般質問に対し、市長は街頭犯罪抑止チームの集中投入事業を再構築し、来年度より通学路などに防犯カメラを増設する方向で進めると答弁されました。そして、3年で1,000台の見守り防犯カメラの設置を表明され、子供の安全は市民の切なる願いでありますので、3年で1,000台設置ではなく、財源を活用し、1年で1,000台全てを設置して、市長の本気度を示すべきではないでしょうか。地域への防犯カメラの設置は進んできていますが、まだまだ不十分で、設置を望まれている地域も多くあると聞いております。 市長が防犯対策、特に子供の安全に強い姿勢を示すことで、市民の皆さんに安心感を与えるべきであると考えますが、市長の御所見をお伺いいたします。
○議長(東貴之君) 吉村市長。 (
市長吉村洋文君登壇)
◎市長(吉村洋文君) 市民の皆さんの安心・安全を図っていくというのは、市にとって重要な政策だと思っております。市民全体の安心・安全、そして子供の安心・安全を図るまちづくりというのは重要な課題です。従来、街頭犯罪のワーストからの脱却を中心に、地域防犯に取り組んできましたけれども、昨今、子供に対する凶悪犯罪というのが市民生活に不安を与えているというのは御承知のとおりの状況だと思っております。 そういった観点から、まさに子供の安全確保に重点を置いた防犯対策の一環として、見守り防犯カメラ事業を行うということにしました。3年間で1,000台の計画を立てたところであります。特に公園とか、通学路といった子供に対する犯罪が起きやすいような場所を重点的に、防犯カメラを設置していきたいというふうに考えております。そういった大きな考え方のもとで、具体的な設置の場所については、区役所が中心になって、さまざまなデータを活用したり、地域や警察との間で十分な意見交換を行って、その具体的な場所を選定していくことになると思います。その調整時期なんかも勘案して、初年度である28年度は350台を見込んだところです。ただ、この350台というのは決して上限ではなくて、地域や警察との調整との状況によっては、この3年間で1,000台という計画の一部前倒しも念頭に置いておりまして、最終的には子供たちのために少しでも早く安全な環境を整えていくというのが大切だろうと思いますので、積極的に取り組んでいきたいと思います。
○議長(東貴之君) 角谷庄一君。 (86番角谷庄一君登壇)
◆86番(角谷庄一君) 各区でも来年度予算に426台分、8,297万円が盛り込まれているとのことであり、依然として設置要望のニーズが高いとのことです。今後は、ICT戦略とも十分な連携が図れると思いますので、単純に防犯カメラの設置だけでなく、メール配信機能があるなどの付加価値のある施策となるように要望しておきます。 次に、活力ある地域社会づくりに向けた地域支援についてお聞きをします。 活力ある地域社会を実現するためには、多様な主体が参加する地域活動協議会を中心とした自律的で開かれた住民自治の実践が不可欠です。行政はそのような地域の理想を形にすべく、地域をしっかりと支えなければならないと考えておりますが、これまでの行政の支援は、中間支援組織である、まちづくりセンターを中心に、地域活動協議会の形成支援を除けば、それぞれの地域活動協議会の運営に関する基礎的な部分である会計処理の支援に終始してしまっているのではないでしょうか。地域によっては、地域活動協議会がコミュニティ回収などの取り組みに積極的にチャレンジし、自主財源を確保して、活発に地域活動を実践しているところも出てきています。先進的活動を実践している地域のノウハウや成功の秘訣を分析して、地域実情に応じた展開を可能にすることや自主財源の確保に向けた新たなアイデアを創出することが、今、行政が行うべき地域支援のあり方ではないかと考えます。自律的な地域運営の実現に向けて、区長が中心となり、早急に地域にとって真に必要な支援は何かを掘り下げて検討した上で、場合によっては、まちづくりセンターを通じた支援事業を再構築し、新たな支援方法を検討するなど、地域実情に応じた支援を進めることに傾注すべきではないかと考えます。 今後の地域支援のあり方について、市長の御所見をお伺いいたします。
○議長(東貴之君) 吉村市長。 (
市長吉村洋文君登壇)
◎市長(吉村洋文君) まず、私自身も元市会議員でありますので、この地域の方々との接触というのは、活動というのはこれまでやってまいりました。地域によってさまざまな事情や温度差というか、そういうのもさまざまあるなと、課題もさまざまあるというふうには認識しております。 地域コミュニティーを取り巻く社会環境がそういった意味で変化する中で、地域における課題というのは、以前にも増して一層複雑化、多様化、個別化している状況だと思います。行政が行う地域支援、地域活動協議会という仕組みづくりやその会計事務の支援といった、いわゆるその立ち上げの支援の段階から、各地域がみずから課題を掘り起こしたり、活動を持続的なものにしていくというための自主財源を確保したりするための支援といった活動の活性化支援の段階にシフトしていくのが理想だというふうに思っております。 現在、各区長もこうした意識を持って、平成27年度から29年度までを取り組み期間とした豊かな地域社会の形成に向けた区政運営基本方針に基づいて、各区の特性であったり、地域事情に応じた区政運営に取り組んでいるところであります。中間支援組織を通じた支援については、それぞれの地域活動協議会が置かれている状況であったり、その要望を踏まえることを第一としまして、平成29年度に向けて事業のあり方について検討していきたいというふうに思ってます。
○議長(東貴之君) 角谷庄一君。 (86番角谷庄一君登壇)
◆86番(角谷庄一君) ありがとうございます。 さらに自主財源の確保のためにも、CB(コミュニティビジネス)、SB(ソーシャルビジネス)の削り出しを積極的に行ってNPO化を進めるなど、自律した地域の実現に向けて、28年度中にもこれからの方針を決めていただくように要望しておきます。 次に、府市一体となった成長の実現について質問をさせていただきます。 まず、うめきた2期開発と都市開発プロモーションについてお聞きをします。 うめきた1期開発であるグランフロント大阪は、開業から間もなく3年が経過しますが、来場者は既に1億人を超え、ナレッジサロンの会員は、施設の上限の約2,000人に達するなど、新しいにぎわいと交流の場が着実に形成されてきており、今後の進展にさらなる希望を感じます。そして、このうめきた1期開発と連携し、うめきた全体が大阪、関西の発展を牽引する拠点となるよう、うめきた2期のまちづくりを着実に進めていくことが非常に重要であります。 そのためには基盤整備を円滑に進めるのはもちろんのこと、新産業創出機能や知的人材育成機能など、いわゆる中核機能の導入を実現することが不可欠であります。中核機能の実現に向け、国内外へ情報発信を行うなど、機運の醸成や関心を高めていくとともに、機を逸することなく、民間開発事業者の公募など、まちづくりを進めてほしいと考えますが、市長の御所見をお伺いいたします。 また、大阪への投資を呼び込んでいくためには、国内はもとより世界に向けて、うめきたを初め、大阪の魅力やポテンシャルについて情報発信を行うことにより、まちづくりの機運や投資への関心を高めていくことが欠かせません。こうした絶好の機会として、大阪への誘致に成功した都市開発や不動産投資に関連する企業や投資家などが一堂に会するMIPIM JAPANと呼ばれる国際見本市が、ことし9月にはグランフロント大阪で開催されると聞いております。海外から多くの来客があるMIPIM JAPANは、うめきたへの投資を誘導するとともに、大阪の成長の可能性を世界に知ってもらう絶好の機会であり、大阪、関西が一丸となって取り組んでいく必要があります。 市長には、こうした機会を捉え、ぜひとも市長みずからが積極的なプロモーションに取り組んでいただきたいと考えておりますが、市長の御所見をお伺いいたします。
○議長(東貴之君) 吉村市長。 (
市長吉村洋文君登壇)
◎市長(吉村洋文君) まず、うめきた2期のエリア、それから夢洲のエリア、今、更地になっている状況のところですけれども、大阪にとって非常に大きなポテンシャルのある、可能性のある、そういったエリアだというふうに認識しております。まさに、このうめきた2期の開発においては、緑を中心としたまちづくりを行っていきたいというふうに思っております。そこで、新たな交流の機会、ビジネスの機会、楽しみの機会、イノベーション創出につなげていきたいというふうに思っています。 現在ですが、経済界や有識者など、関係者が参加してうめきた2期に導入すべき中核機能についての議論を今、進めています。研究段階から事業化に至るまで、必要となる人材や資金を総合的にコーディネートする機関の設置であったり、イノベーションを生み出す構想力、企画力、実行力を兼ね備えた人材の育成などについて検討しています。来年度早々にその取りまとめをしていきます。これらの機能を実現することで、イノベーションを担う、まさに大阪の若者が生き生きと活動して、未来につながる新産業が次々と生まれると、国際的にも注目されるそういったイノベーション拠点の創出、形成を目指していきたいというふうに思ってます。来年度は、URとともに用地の暫定的な活用などをまず行いまして、まちづくりの機運を高めて、下半期には、うめきた2期開発の事業者募集の開始をしていきます。 このうめきた2期開発の動きに合わせて、ことしの9月の大阪開催が決まりましたMIPIM JAPANでは、うめきたのみならず、市内の都市開発のプロジェクトなどの魅力、これを世界中に広くPRしたいというふうに思ってます。また、京都市や神戸市とも連携して、特に関西が強みを持つ医療・ヘルスケア、観光・ツーリズムといった新たなこの分野、これを加えることで、関西全体のポテンシャルを上げる取り組み--誘致にしていきたいというふうに思っております。MIPIM JAPANという機会を通じまして、私自身も国内外の都市あるいは企業のトップに直接大阪のまちの魅力、ポテンシャルを訴えていくこと、そうすることによって、大阪への投資とか企業の進出につながる大きなきっかけにしていきたいというふうに思っております。
○議長(東貴之君) 角谷庄一君。 (86番角谷庄一君登壇)
◆86番(角谷庄一君) 来年度に暫定的な活用を初め、うめきたの関心を高めるとともに、9月のMIPIM JAPANの成功を期待しています。うめきたがイノベーション創出、グローバル拠点の中心、人材育成にも寄与することや--先日ジョン・ウー監督が来られました。近い将来には、映画の撮影場所としても使われるような、すばらしい空間となるように期待をしております。 次に、大阪の成長を支える鉄道ネットワークについてお聞きをいたします。 2015年の関西国際空港の旅客数は2,321万人で、過去最高を記録しましたが、ことし4月から新たに運営する関西エアポートは、運営期間中に総額1兆円規模の設備投資を行い、年間旅客数をさらに2,000万人程度増加させる目標を打ち出しております。
インバウンド需要の増大を背景に、関空は今後ますます活性化することが期待されています。一方、国内では、昨年3月に金沢まで延伸された北陸新幹線の利用者が、前年の在来線特急利用者の約3倍に増加するなど、広域鉄道の整備により、都市圏間の人の動きは、ますます活発化するものと思われます。 このような人の流れを捉えて、国内外の活力を大阪に取り込むためには、必要な鉄道ネットワークの整備を着実に進める必要があります。なにわ筋線は、うめきたなど都心部と世界への玄関である関空やリニアが乗り入れる新大阪を直結して速達性を高める重要な路線であり、その早期整備が必要と考えます。また、さらに広域的に見ると、リニア中央新幹線の全線整備により日本の競争力を向上し、約7,000万人、国内総生産約300兆円の世界最大のスーパー・メガリージョンが形成され、三大都市圏が一体化いたします。日本の大動脈を二重化することで、南海トラフ等の大地震発生などによる東西の断絶リスクを大幅に軽減することもできます。また、試算では、全線同時開業による増大効果として年間6,700億円、つまり、2027年から2045年までの18年間で12.1兆円の効果が期待できるとされています。大阪-名古屋間の建設費は3兆6,000億円とのことですが、リニア効果の最大化の鍵は、同時開業にかかっていると考えます。開業のおくれは大阪経済に大きな損失を与えることとなり、東京-名古屋間より18年後の開業は遅過ぎます。当初予算説明でも言われておりましたけども、全線同時開業を目指して取り組んでいくことは重要です。大阪の成長を支えるこれらの鉄道ネットワークについて、市長の御所見をお尋ねいたします。
○議長(東貴之君) 吉村市長。 (
市長吉村洋文君登壇)
◎市長(吉村洋文君) まず、我が国、それから関西の発展のためには、この東京一極集中というのを是正しなければいけないと思ってます。東京-大阪間をまさに一体化するような、そういった国土構造、それを形成するとともに、大阪がこの二極の一極を担うような、そして、しっかりと日本を引っ張っていくような、そんな都市に成長する必要があるというふうに思っております。 まず、なにわ筋線についてですけれども、国土軸であります新大阪から都心部及び関西国際空港を広域鉄道で直結させて、そして国際的なビジネスの展開であったり、あるいは今増大しています
インバウンドの拡大を推進することになるというふうに思っております。うめきたから難波地区に至る南北軸のこの強化、それから中之島地区など沿線の都市開発を誘発するという効果が期待されますので、まさに大阪が、我が国を成長させる、牽引をするために不可欠な路線であろうというふうに思っております。現在、大阪府や鉄道事業者など関係者と事業化に向けてルートであったり、事業費の精査、見直し及びこれらを踏まえた上での収支の採算面についての協議とか検討、それを進めています。早期の合意形成に向けて、今、積極的に取り組んでいるところであります。 また、東京、大阪の二極を約67分で結ぶというこのリニア中央新幹線ですが、これは双眼型の国土構造にまさに必要なものだというふうに思っています。東京-名古屋間の先行開業ではなく、やはり同時開業というのを目指すべきだと思っております。そのために残された時間は短いだろうというふうに思っています。また、国会にいました肌感覚からしても、これを実現させるという意味では、事業者を前向きにさせなければならない。そのために今置かれている状況としては、やはり政権与党がこれに対して本気で動かないとなかなか難しい状況なんじゃないのかなという肌感覚を持っています。 そういった意味で、国家戦略として国が同時開業に向けて支援策を講じるように、大阪府であったり、経済界もこれを強く求めてますので、引き続き、関西経済界とも連携しながら、危機感を持って同時開業の実現に向けて、政権与党に働きかけていきたいというふうに考えています。
○議長(東貴之君) 角谷庄一君。 (86番角谷庄一君登壇)
◆86番(角谷庄一君) ありがとうございます。 残された時間が少ないということですけども、観光立国をさらに推進していくためにも、2027年の同時開業の実現に向けて、本市として戦略的に大阪府や他の自治体や経済界との連携を図り、政権与党にしっかりと要望していただきますようにお願いをしておきます。 次に、夢洲まちづくり構想についてお聞きをいたします。 市長は、1月の我が会派の一般質問に対して、夢洲における新たな観光拠点の形成とそれに寄与する統合型リゾートへの期待を述べられるとともに、夢洲を含めた大阪ベイエリアの観光面でのポテンシャルの高さをうたわれました。そして、来年度予算では、夢洲のまちづくり推進のための調査予算を計上しており、いよいよ夢洲を新たな観光拠点として形成していくための具体的な検討がスタートするものと期待を持って受けとめています。 構想を実現していくためには、内部での詳細検討を進めつつ、その結果を市民・府民の方々のみならず、関西の経済界や他都市の方々にも正確に伝え、理解、賛同を得ていくステップが必要であると考えています。 その点、先月9日には、府、市、経済3団体首脳が一堂に会し、大阪、関西における観光の重要性などについて、意見が交わされたとの新聞報道もあります。今後どのように夢洲における新たな観光拠点の形成に取り組まれるのか、市長の御所見をお伺いいたします。
○議長(東貴之君) 吉村市長。 (
市長吉村洋文君登壇)
◎市長(吉村洋文君) 先ほども申し上げましたが、この夢洲地区というのは、まさにこの大阪の将来の大きな成長という意味では、はかりしれないポテンシャルを持ったそういったエリアだというふうに思っております。そして、現在、観光においてもさまざま進行しておりますが、これはまさに基幹産業と位置づけることで、この大阪の地場産業であったり、さまざまなところに波及する、まさに基幹産業になり得るそういった分野だというふうに思っております。 夢洲については、非常に広大な開発用地があります。空港からのアクセスもいいと。そして、ベイエリアという特性もある。大いに可能性がある場所だというふうに思っております。また、非日常空間を創出できるのも夢洲では可能であろうというふうに思っております。 その夢洲の開発に当たってですけれども、環境に配慮した、持続可能なエネルギー、交通システムの導入であったり、景観に配慮した空間デザインなど、多岐にわたる具体的な課題検討、これを行っていく必要があろうかと思います。そのため、来年度早期に幅広く民間事業者から夢洲開発に係るアイデア募集を開始しまして、精力的にさまざまな検討を進めて、夢洲全体における土地利用のゾーニングであったり、インフラ整備などの構想を策定していきたいと思います。 新たな観光拠点とはどういったものであるのかといった基本的なことから、その期待される効果であったり、あるいは懸念事項への対策についても市民・府民はもちろんですが、事業者や近隣他都市の皆様にも的確に情報発信していくことで、見える化というものを進めていきたいというふうに思っております。さきの関西の経済団体の首脳とも意見交換しましたが、そういったところを申し上げたところでございます。 今後ですけれども、やはりあそこは府と市が一体になって進めるエリアだというふうに思ってますので、市が行政としての役割を果たしつつも、府と市が一体になって、そして、経済界とも連携しながら進めていきたいというふうに思ってます。
○議長(東貴之君) 角谷庄一君。 (86番角谷庄一君登壇)
◆86番(角谷庄一君) ありがとうございます。 環境に配慮した持続可能なエネルギー、交通システムの導入や景観に配慮した空間デザインを計画され、民間の投資意欲を高めることで最大限の投資へとつなげ、市民への還元がされることが重要です。夢のある構想ができ上がるよう、大きな期待をしております。 次に、新しい美術館の整備事業についてお聞きをさせていただきます。 新美術館について、平成26年度に新たな整備方針が発表されたものの、この間、具体的な整備事業には着手できていませんでした。しかし、吉村市長が就任され、大阪市のトップとしての
マネジメント能力を発揮し、PFI手法を導入し整備事業を推進することを決定されたことは、大変すばらしいことであります。美術館というと敷居が高いイメージがありますが、PFI手法により民間の創意工夫が発揮されることで、他の美術館では真似できない独自のサービスが展開される可能性があります。 一方で、PFI手法は、施設の整備から運営までを一括で発注することから、業務範囲やリスクの所在など、本市と事業者の役割分担を明確にしておく必要があります。また、美術館は収益性の高い施設ではないので、特に毎年の運営コストについてしっかりとモニタリングできる仕組みを構築しておくべきです。 新美術館が担うべき役割は大きく、PFI手法を導入することにより、大阪の新しい観光拠点として世界に誇れるような新美術館を整備してもらいたいと考えます。市長の御所見をお尋ねいたします。
○議長(東貴之君) 吉村市長。 (
市長吉村洋文君登壇)
◎市長(吉村洋文君) 新美術館の整備事業についてですが、昭和58年に構想が発表されて以来、既に30年以上が経過しております。この間、市民を初めとした皆さんから4,000点近くの美術品の寄贈を受けておりますので、これについてはしっかりとリーダーシップを発揮して、積極的に取り組みを進めていくことが必要だというふうに思っております。 先般、公表いたしました「平成28年度市政運営にあたって」においてですが、公共施設の整備については、民間の力を積極的に活用したPPP、PFI手法の活用を促進すると位置づけております。新しい美術館についても、この代表的な取り組みとして、このPFI手法を入れていきたいというふうに考えています。 来年度についてですが、PFI手法の導入に向けたアドバイザリー業務を実施しまして、民間ノウハウを最大限活用することで、まさに市民目線、顧客目線を重視した利用者サービスにすぐれた、これまでにない新美術館、ミュージアムを目指していきたいというふうに考えています。 御指摘の役割分担であったり、運営コストについてですが、非常に大切なことだと思ってまして、事業リスク、これを極力排除するとともに、事業者から新たな収入策の提案を受けるといったPFIのメリットを生かしながら、最小限の市税負担で最大限の効果を発揮できるように努めていきたいと思います。まさに、これまでの大阪市のこの箱物行政においても、こういった事業リスクの分析というのが不十分であったところが否めないのじゃないかなというふうに思っておりまして、事業リスクの極力排除というのは徹底していきたいというふうに思っております。また、そういった新美術館、非常に魅力的な美術館に、やるのであれば徹底的にやりたいというふうに思っておりますので、十分な検証をしたいと思っています。開館時期ですが、これが1年間延長されまして、平成33年度となることについても、ぜひ市会の皆様の御理解をいただきたいと思っております。 それから、この新美については、まさにこの歴史的、文化的にも豊かな蓄積を持つこの中之島を拠点として文化の振興、都市の魅力向上に貢献するという意味があります。この30年間の貴重なコレクションを生かして、大都市大阪にふさわしい国内外から注目を集めるような、そういった美術館として整備してまいります。
○議長(東貴之君) 角谷庄一君。 (86番角谷庄一君登壇)
◆86番(角谷庄一君) 今回のPFI手法の導入は、新しい美術館の整備を進める上で大きな決断です。市長が先ほど言われましたけども、毎年のランニングコストも重要であり、美術館の管理運営費に多額の税投入をすることのないよう、収支均衡のとれた自立する美術館とすることも十分に検討していただきますように要望しておきます。 次に、スポーツ振興についてお聞きをします。 今般、市長は、関西ワールドマスターズゲームズ2021への参加を表明されました。市長は、この大会に参加する意義として、市民の生涯スポーツの振興という観点を重要視されたとのことです。 国においては、平成23年のスポーツ基本法の制定や東京オリンピック・パラリンピック大会の開催決定などを背景に、昨年10月、スポーツ行政を総合的かつ一体的に推進する組織としてスポーツ庁が設置されました。スポーツや運動は、幼少期から生涯にわたって触れ合うことができる、健康で文化的な生活を営む上で必要不可欠なものであり、また次代を担う子供たちの体力向上や人格形成に大きな影響を与え、さらには地域社会の再生、健康長寿社会の実現にも寄与するものであります。 そうしたスポーツや運動が人や社会に与える影響を考えたときに、関西ワールドマスターズゲームズへの参加は、単にイベントに参加するということではなく、大阪市のスポーツ行政にとって、位置づけや目標を明確にする必要があると考えます。 さらに、大阪市のスポーツ行政に関して、平成24年度末で期限切れとなった生涯スポーツ振興計画について、大阪府スポーツ推進計画に包含されているとの考えのもと、更新がされていません。本市としても、今後、大阪市のスポーツに関する施策を総合的かつ計画的に推進するに当たっては、市民の各ライフステージに応じたスポーツ施策の企画立案のための中長期的なビジョンを示すことが必要と考えます。また、そうしたビジョンを描くためには、行政の中だけではアイデア、ネットワークが不十分であり、計画内容の新規性や実現可能性を確実なものにするために、適切な外部の専門家の力をかりながら検討すべきと考えます。市長の御所見をお尋ねいたします。
○議長(東貴之君) 吉村市長。 (
市長吉村洋文君登壇)
◎市長(吉村洋文君) 先日ですが、ソウルオリンピックの金メダリストであります鈴木スポーツ庁長官が、長居の障がい者スポーツセンターに視察に来られました。私も同伴いたしました。東京オリンピック・パラリンピック大会は、日本全国で盛り上がる、まさに国家プロジェクトと思っておりまして、大阪市としてもレガシーを生み出せるよう、積極的に貢献して、スポーツを通じてまさにこの地域を盛り上げて、大阪を盛り上げて都市格を高めていきたい、そういったこともスポーツ庁長官にはお伝えしました。昨年、遠藤大臣が舞洲の障がい者スポーツセンターに来られたときも、同じようなことをお伝えいたしました。 今後4年程度先になりますが、2019年にはラグビーのワールドカップ、2020年には東京オリンピック・パラリンピックと、そして2021年には関西ワールドマスターズということで、3年連続で国際スポーツ大会が開催されます。世界の注目が日本に集まる、いわばゴールデン・スポーツイヤーズと呼べるような、そういったスポーツの機運が高まる好機が到来するんではないかと思っております。マスターズについては、オリンピック・パラリンピックの翌年に行われるものでありますから、見るスポーツを、するスポーツにつなげていく基礎自治体として果たすべき生涯スポーツの振興が図れる絶好の機会であるというふうに思っております。 スポーツや運動が人や社会に与える価値というのは、子供たちにはまさに夢や憧れ、そういったものを与えることができる力があると思いますし、現役世代にとってはワーク・ライフ・バランスということにも資すると。そして、シニア世代には、健康増進の意識の高まりといった観点があり、さまざまそういった効果はあるかと思ってます。 そういった意味で、大阪市としても、マスターズに参加することで、基礎自治体としてのこの生涯スポーツの振興、子供たちのスポーツや運動へのかかわりといった観点を含めて、適切なKPI(重要業績評価指標)を設定した上で、スポーツ施策を総合的、効果的に推進するためのアクションプランが必要だというふうに思っています。その策定に当たっては、スポーツにおける各分野の専門家の意見を取り入れるとともに、いわゆるゴールデン・スポーツイヤーズに向けた取り組みも含めた、そういったスポーツに係るアクションプランについても、28年秋を目途に素案を作成して、議会においても御議論いただきたいというふうに考えております。
○議長(東貴之君) 角谷庄一君。 (86番角谷庄一君登壇)
◆86番(角谷庄一君) スポーツアクションプランの策定に関しては、専門分野の方だけでなく、高校生や大学生、PTAの関係者等にも部会などに参加していただいて、幅広い意見の集約となるように要望しておきたいと思います。 観光、文化、スポーツ施策は、都市としての魅力を発信していくことにつながります。市長が先頭に立って、効果的かつ戦略的に売り込んでいただきたいと思います。例えば、市長の名刺も大きな武器となるでしょう。観光関係の方には大阪城を、文化関係の方には文楽を、スポーツ関係の方にはタイムリーなスポーツイベントをその時々に応じて、工夫を凝らしてアピールされてはいかがでしょうか。市長自身の対外的なコミュニケーションツールとなると思います。 次に、ICTの活用についてお聞きをいたします。 現在、策定中の大阪市ICT戦略・アクションプランでは、オープンデータやビッグデータの活用、モバイル対応などを柱に最先端ICT都市を目指すとされています。来年度4月1日からは、全庁的に横串を通す新組織であるICT戦略室を核に、市長のリーダーシップを思う存分発揮していただき、ぜひとも大阪の改革と成長を牽引していただきたいと思います。 平成28年度予算におけるICT活用関連予算は約43億円であり、特に教育ICTが多くを占めています。全小中学校でタブレット端末等を活用した授業の一斉展開や教員の利用するPCなど、新年度から大きな投資が行われることになりますが、これからの将来のまちを担う子供たちに対し投資効果を最大にしていくためには、従来の総務局、教育委員会という縦割りで取り組むのではなく、ICT戦略室が教育におけるICTの活用方法について、国内外の最新事例を収集し提案を行い、大阪の教育ICTが世界に誇る最先端モデルとなるよう、積極的に取り組んでいく必要があると考えます。 また、市長は、先日の財政総務委員会において、行政サービスの質を高めるためにICTを活用することを答弁されましたが、その際に重要なことは意識改革であり、行政が市民目線でサービスを見つめ直すことはもちろんのこと、ICTを活用した行政サービスを通じて、市民から行政が変わったと実感していただけるよう取り組んでいただきたいと考えます。さらに、ICT戦略について、トップが成果目標を定め、PDCAの観点から目標達成に向けて進捗を管理していくべきだと考えますが、これらについて市長の御所見をお尋ねいたします。
○議長(東貴之君) 吉村市長。 (
市長吉村洋文君登壇)
◎市長(吉村洋文君) まず、ICT施策についてですが、これまで内部システムにおける費用対効果の向上であったり、セキュリティー確保に取り組んできました。しかしながら、このICTを取り巻く環境が大きく変化している中で、全市的にICTを積極的に活用して、まさに横串を通して、
市民サービスの向上であったり、行政運営の効率化に取り組んでいくということが非常に大切だろうというふうに考えています。 そのため、市長直轄組織としてのICT戦略室を設置しまして、今年度策定予定の大阪市ICT戦略並びにアクションプランに基づいてICTの徹底活用に取り組んでいきたいというように思います。基礎自治体としてのニア・イズ・ベターを実現する上で、その距離の縮め方について方法はさまざまあると思いますが、まさにこのICTは一つのツールになり得るものだというふうに思っています。 教育ICTについてですが、これまでモデル校において取り組みを進めてきました。来年度からは全ての小中学校に、この教育ICTを拡充することになります。次代を担う子供たちの個性と才能を伸ばす、そして育む大阪を実現するということのために、ICTを活用した効果的な学習、さらにはプログラミングの教育、これを通じて子供たちの個性と才能、能力を伸ばす機会を積極的に打ち出していきたいというふうに思います。そのためには、来年度から新たに設置するICT戦略室と教育委員会が連携・協議しながら、そういった戦略の立案・実施を行っていく必要があると考えています。総合教育会議の場で、今後の教育ICTの実施体制について、教育委員会とここは協議していきたいというふうに思っています。 また、ICTの活用については、やはり意識改革というのが必要であろうかというふうに思っています。行政サービスそのものの質を高める、持続的に高めていくということのために、ICTを活用するというふうに申し上げました。その際には、やはり市民目線から見るというのが重要であるというふうに思ってます。単にシステムや機器を導入すればいいというものじゃなくて、市民や地域のニーズに基づいてICT活用による効果をしっかり見定めて、また、市民と行政の距離を、これを縮めていくということを意識して、戦略的に進めていきたいと思っております。もちろん高齢の方でICTを使いづらいという方もたくさんいらっしゃると思うので、しっかりそこは意識しながら、しかし一方でスマートフォンの普及なんかもありますので、効果的な手法というのを考えていきたいと思っております。 ICT戦略の具体的な目標については、大阪市ICT戦略のもとで、アクションプランにおいて項目ごとに目標を策定して、PDCAを実施して進捗管理、これを行います。最先端のICT都市として、ICTの積極活用に挑戦しながら、そしてその目標は
市民サービスの向上と、それからさまざまなこの大阪経済の活性化、ビジネスの活性化、行政運営の効率化ということを意識して追求していきたいというふうに思ってます。
○議長(東貴之君) 角谷庄一君。 (86番角谷庄一君登壇)
◆86番(角谷庄一君) ただいま市長から教育ICTについてお考えをお伺いいたしましたけども、次に、教育長の御所見をお伺いいたします。
○議長(東貴之君) 山本教育長。 (教育長山本晋次君登壇)
◎教育長(山本晋次君) 来年度は、大阪市の全ての小中学校で、タブレット端末等を活用した授業の一斉展開が行われます。この学校教育ICT活用授業につきましては、最先端のICT環境の中で、児童・生徒が互いに教え合い学び合う協働的な学びや、思考力、判断力、表現力の育成につながる言語活動、さらに児童・生徒一人一人の能力や特性に応じた指導等を充実させることにより、授業の質を向上し、自分で考え判断する力、自分の考えを豊かに伝える力、最新のICT機器を活用する力を備えた21世紀をたくましく生き抜く子供の育成を図ってまいりたいと考えております。 今後、事業を推進する上では、全市的なICT戦略を担い、専門性が高いICT戦略室にサポートをいただく場面が多々出てくるかと思われます。教育委員会としても積極的に助言を求めるなど、ICT戦略室との連携を密にしながら、学校教育ICT活用事業が実りあるものとなるよう、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
○議長(東貴之君) 角谷庄一君。 (86番角谷庄一君登壇)
◆86番(角谷庄一君) ICT戦略室との連携ということを言われておりました。ICT活用に徹底的に取り組み、教育や
市民サービスの向上に取り組んでいただきますようにお願いいたします。 しかし、攻めのICTを行うとともに、守りにも留意していただくことが重要だと思います。市民の個人情報保護並びにセキュリティー、その対策にも十分配慮した取り組みとなるように期待をしております。 次に、官民連携の推進について質問させていただきます。 まず、交通事業の民営化についてお聞きをいたします。 交通事業の民営化に関しては、去る2月16日、いわゆる手続条例に基づく地下鉄・バス各事業の引き継ぎに関する基本方針案が上程され、24日には交通水道委員会で質疑が行われましたが、
態度決定には至っていない状況であります。当日の質疑をお聞きすると、この基本方針案では具体性が乏しい、慎重に検討すべきという判断であったようですが、基本方針案に記載されている内容は、これまで3年にもわたって議論し、一定収れんされてきた内容であると思われます。 バス事業については、基本方針案と同時に経営健全化計画が上程されるなど、まさに民営化は待ったなしの状況であります。不採算であっても市民生活に必要不可欠な路線については、市から補助金を出して維持していくということを明確にしていることから、不安、懸念は払拭されていると考えております。地下鉄事業についても、大阪に与えるインパクト、さらに市民・利用者観点のメリットを考えれば、早期に民営化を実現すべきです。 このような状況にある中、どのように対応していかれるのか、市長の御所見をお伺いいたします。
○議長(東貴之君) 吉村市長。 (
市長吉村洋文君登壇)
◎市長(吉村洋文君) まず、地下鉄の民営化については、さかのぼれば關市長の時代から、まさにその案が検討され始めて、この新たな時代に突入して、大阪の成長であったり、あるいはその利用者のサービスの向上なんかというのを考えたときには、やはり地下鉄・バスの民営化というのは積極的に実現していくべき事業だというふうに思っております。しかしながら、それについては、最終的には議会の皆様に御判断の権限がある事項でございますので、まず、その理解を求めていきたいというふうに思っております。 まず、議会からの提案を取り入れた手続条例に定められた手続に従いまして、現在、今議会で上程されてます事業の引き継ぎに関する基本方針案につきまして、今、真摯に御議論をいただいております。今般の基本方針案には、これまで議会で御議論いただいた主な点を盛り込んでおりまして、あるいは国鉄や郵政民営化の際の事業の承継等に関する基本計画と比較しても、一定適切な内容であるというふうに思ってます。 しかしながら、先ほども申し上げました交通事業の民営化を進めていくためには、議会の皆様の御理解が不可欠であるというふうに認識しておりますので、先日の交通水道委員会であったり、今後の御議論、これ真摯に受けとめて、御理解が得られるよう最大限の努力をしていきたいというふうに思ってます。
○議長(東貴之君) 角谷庄一君。 (86番角谷庄一君登壇)
◆86番(角谷庄一君) ぜひよろしくお願いいたします。 次に、水道事業の経営形態見直しについてお聞きをいたします。 水道事業については、PFI法の公共施設等運営権制度を活用した経営形態見直しプランを取りまとめ、これを具体的に進めるための条例改正案も既に市会へ提案されています。 政府においても、この運営権制度の取り組みが各自治体で推進され、水道経営の基盤強化につながることを期待するからこそ、成長戦略の中で数値目標も掲げ、強力に推進しているものであります。 また、水道は、市民生活に必要不可欠なライフラインであり、公共性の極めて高い事業でもありますが、この点、今回の市のプランでは、水道料金は現在の料金水準をそのまま上限として条例で定めること、さらに事業を担う運営会社も市の100%出資により立ち上げ、基本は水道局の職員を転籍させることとしているなど、事業の公共性、継続性についても十分配慮したプランとなっています。さらに、これまでの議会での指摘を踏まえ、事業開始までのスケジュールを見直したり、30年の事業期間について延長条項を加えたりするなど、所要の修正も行われました。 昨年10月の決算特別委員会での私の質疑において、水道局長は、運営権制度は公営を含むさまざまな経営形態の中で最善の手法で、これ以上に優位な経営形態は考えられないと答弁されております。 市長は、今回の条例案提出に当たり、政府の産業競争力会議に出向き、制度活用に伴い新たに発生する税負担の軽減策創設を要望するなど、市長自身、この水道事業の経営形態見直しについては強い決意、思いを持って取り組んでいるものと理解しておりますが、改めて、市長の御所見をお尋ねいたします。
○議長(東貴之君) 吉村市長。 (
市長吉村洋文君登壇)
◎市長(吉村洋文君) 自治体の経営というのが、財政的に、全国的にも非常に厳しい状況の中で、これからの自治体の経営のあり方というのは、自前の税収であったり、国からおりてくるお金であったり、事業収入とか借金とか、そういったものに頼るだけの従来型の手法では立ちいかなくなるというふうに思っております。積極的に民間のノウハウであったり、資金を有効活用するといった新たな自治体経営のあり方、そういったものを追求していかなければならないと思っております。 政権与党も、まさにこのPFIなんかを使った空港であったり、水道であったり、道路であったり、そういったところの取り組みを進めているところでもありまして、私自身も産業競争力会議に出向いて要望を行ったところであります。 水道事業につきましても、こういった観点から公共施設等運営権制度、これを活用しました経営形態見直しについて検討を進めてきたところです。今回、この間の議会からの御指摘を反映しました形で実施プラン案の修正も行いまして、本定例会にこのプランを前に進めるための条例改正案を提出させていただいております。このプランを実現することで、水需要の減少が続くといった厳しい経営環境の中であっても、市民の皆さんに新たな負担を求めることなく、老朽化した配水管の耐震化をこれまで以上に促進するといったこと、ライフラインとしての水道の安全性、信頼性を向上させるということにつながると思ってます。運営の効率性、これを高めることで事業の持続可能性についてもしっかりと確保をするところであります。まさに、市民の皆さんに新たな負担を求めずというところが大きなポイントになるのかなと。そして、安心・安全な水を確保するというところがポイントになるというふうに思っております。 この運営権制度を活用する場合の税負担の軽減要望につきましてですが、先ほど申しました会議に出席して要望しました。その趣旨についてはあれこれ、政権与党で進めていることですので御理解いただけまして、今後、関係の省庁において前向きに検討が進められるということになっております。難しい課題でありますが、引き続き、この軽減措置の実現については、国に対して積極的に働きかけを行っていきます。議会におかれましても、この水道事業の経営形態の見直しにつきまして、事業の公共性、持続性を高める観点から、ぜひとも進めていただきたいと考えております。
○議長(東貴之君) 角谷庄一君。 (86番角谷庄一君登壇)
◆86番(角谷庄一君) 次に、下水道事業の経営形態見直しについてお聞きをいたします。 下水道事業の経営形態見直しについても、水道事業と同様、昨年10月の決算特別委員会での私の質疑に対して建設局長が、最大限の効果を発現させる最善の手法と答弁され、現在の計画案の最終目標である公共施設等運営権制度の導入が唯一の方法であり、これ以上のものはないと改めて認識したところであります。 今後の厳しい経営環境が予想される中、下水道使用料の改定が必要になってくることも考えられ、この経営形態の見直しについては、着実に取り組みを進めていくべきであります。次年度予算案では、いよいよ新たに組織を設立するための経費や、その組織への職員の転籍に伴う退職手当が計上されています。下水道事業の経営形態の見直しについて、今後どのように進めていかれるのか、市長の御所見をお尋ねいたします。
○議長(東貴之君) 吉村市長。 (
市長吉村洋文君登壇)
◎市長(吉村洋文君) まず、本市の下水道事業ですが、使用料収入が減少傾向にある中で、今後、浸水対策であったり、老朽化した施設の改築・更新などに多額の投資が必要になります。将来にわたって安定的に事業を継続して、質の高い
市民サービスを提供していくためには、業務の改善と効率化の観点からの改革としまして、上下分離方式によります経営形態の見直し、これを進めているところであります。この見直しは平成25年度から段階を踏んで行っているところでありまして、現在は一般財団法人都市技術センターを暫定活用しまして、市内全域の下水道施設の運転維持管理の包括委託を試験的に実施しています。そして、平成28年度には、新たに管理運営を行う株式会社を設立しまして、職員を転籍させて、平成29年度当初から新会社による業務開始を予定しています。さらには、最終的には経営形態見直しによる効果を最大限発揮でき、国内外への事業展開の可能性も広がる公共施設等運営権制度の導入を目指しております。導入に係る課題の整理、これをしっかりと行うことが必要だというふうに思っています。 下水道は、浸水からまさに市民の生命、財産を守るという点、それから汚水、これを排除・処理するという点、公共用水域の水質改善に寄与するといった点、市民の安心・安全を支える都市基盤の施設であります。下水道法によって、管理者は地方公共団体に限定もされています。下水道管理者として担うべき役割については、行政がしっかりと引き続き行っていきたいと思いますが、今、進めている、まさにこの改革のところについては、ぜひ進めさせていただきたいというふうに思っております。
○議長(東貴之君) 角谷庄一君。 (86番角谷庄一君登壇)
◆86番(角谷庄一君) よろしくお願いいたします。 次に、府市連携の推進について質問いたします。 まず、病院再編計画についてお聞きをします。 平成30年3月末に廃止が予定されている住吉市民病院に係る病院再編計画について、昨年12月21日に大阪府が厚生労働省に申請していましたが、2月29日付で厚生労働大臣の同意が得られたとお聞きしました。 この問題については、議会でも3年にわたり議論してきましたが、住吉市民病院の医療機能を継続し、充実強化を図るため、(仮称)大阪府市共同住吉母子医療センターと民間病院である南港病院に病床移管するという再編計画について、厚生労働大臣が総合的に判断して妥当なものであるとの結果を得たところです。今回、(仮称)大阪府市共同住吉母子医療センター整備事業の予算が上程されていますが、28年度早々に着工しなければ、住吉市民病院の廃止時期に間に合わないと聞いています。医療の空白を生じさせないよう、また利用されている市民の方々のため、今度こそしっかりと進めていかなければならないと思いますが、市長の御所見をお尋ねいたします。
○議長(東貴之君) 吉村市長。 (
市長吉村洋文君登壇)
◎市長(吉村洋文君) この再編計画ですが、小児・周産期医療を確保しながら、既存の医療資源を活用することで24時間、365日の小児救急対応に加えまして、最重症・合併症母体等への対応も強化できること、さらには、なお不足する小児・周産期医療に民間病院が対応するなど、市の南部保健医療圏の医療機能を充実強化することが可能であるとして作成されたものであります。今回、厚生労働大臣は、この再編計画に対して妥当であると判断されたところです。 今後のスケジュールですが、タイトになってますが、医療の空白を生じさせないように、また利用されている方々に御迷惑が生じないように、早急に府市共同住吉母子医療センターの整備、それから南港病院との基本協定書の締結を進めていきます。また、あわせて地域住民へも十分説明するようにというふうに指示しております。市の南部医療圏の充実強化を図っていくことが可能になると思いますし、まさにハイリスク分娩、出産のお母さん、それからお父さん、子供たちにとって、そういった設備をしっかり整えることができるようにしていきたいというふうに思っておりますので、各位の御理解をいただきたいと思います。
○議長(東貴之君) 角谷庄一君。 (86番角谷庄一君登壇)
◆86番(角谷庄一君) 市南部保健医療圏の充実強化のために誘致する民間病院と連携し、(仮称)府市共同住吉母子医療センター本体工事の予算を可決し、工事に着工すべきであります。病院再編計画に対する厚生労働大臣の同意が得られたので、早急にこの計画を進めていただくよう要望しておきます。 次に、市立環境科学研究所と府立公衆衛生研究所の統合について質問いたします。 両研究所の統合に向けては、統合によるスケールメリットを発揮して、新型感染症の流行などの健康危機事象に迅速かつ的確に対処ができているという点で、市民にとって大きなメリットがあることから、現在、関連する環科研の廃止条例案と新しい統合研究所への職員の引き継ぎに関する条例案が提案され、さきの民生保健委員会で質疑が行われました。さらに一昨日の本会議に、大阪市立環境科学研究センター条例案が追加案件として上程されました。このセンターについては、これまで環科研で行ってきた環境分野の検査や研究が統合研究所では実施されないことから、橋下前市長からも、市民の健康にかかわる環境分野の予見的研究については、本市直営で引き続き実施していくとの見解も表明されていましたが、今回追加された条例案によって、いよいよこれが具体化されることとなりました。 そこで、大阪市立環境科学研究センター条例の提案も含め、両研究所の統合の実現に向けた市長の御所見をお尋ねいたします。
○議長(東貴之君) 吉村市長。 (
市長吉村洋文君登壇)
◎市長(吉村洋文君) まず、市立環境科学研究所と府立の公衆衛生研究所の統合は、コスト削減が目的ではなく、機能強化によって研究レベルを上げて、まさにそれが大阪全体の公衆衛生レベルに資することが目的であるというふうに思ってます。統合によりますメリットを発揮して、両研究所のポテンシャルを最大限引き出して、関西の拠点となるような研究所を目指していきたいというふうに思っています。 国内外からさまざまな方が大阪を訪れ、人の移動、交流が飛躍的に増大しております。感染力の強い新たな感染症の流行のおそれが一定高まる中で、機能強化された統合研究所で、そういった健康危機事象に速やかに対処できる、そういった施設を目指していく。そして、市民の健康増進、公衆衛生の向上に、これまで以上に貢献するということを目指していきたいと思います。 今回の追加の条例案については、これまでの市会の議論を尊重して、環境部門を直営で残すということを提案したものでございまして、市会の皆様の御理解、御賛同を得るべく、引き続き丁寧に進めていきたいと思っています。
○議長(東貴之君) 角谷庄一君。 (86番角谷庄一君登壇)
◆86番(角谷庄一君) よろしくお願いいたします。 最後に、副首都推進本部についてお聞きをいたします。 我々は副首都・大阪の確立をマニフェストの筆頭に掲げ、知事、市長とともに激しい選挙戦を戦い、知事、市長の当選という結果を得ました。この副首都・大阪の確立は、まさに我々が結党以来目指してきた大阪の再生、すなわち大阪が世界に通じる都市としての大きなポテンシャルを持ちながら、二重行政、二元行政という府市の縄張り争いによりそのポテンシャルを十分に発揮できていないという現状を打破するために、広域自治体と基礎自治体の役割分担と責任を明確化し、府市一体の成長戦略を強力に展開することで、大阪の成長を実現し、再び大阪が東京と並ぶ二極として日本の成長を牽引するための取り組みにほかなりません。 この副首都化の取り組みは、大阪の経済の発展による競争力の強化と成長により、福祉、医療、教育、安心・安全などに係る住民サービスの向上という地方政府の本来の責務を果たすための原資の確保につながるとともに、副首都にふさわしい行政組織とは何かを検討し、統治機構改革を進めることで、大阪から中央集権体制を打破し、地方分権型国家への転換を進める契機となるものであります。 市長は、就任後、日を置かず、昨年12月28日に府と共同で副首都推進本部会議を設置され、この取り組みに速やかに着手されたところです。その後、2月9日に第2回会議が開催されましたが、知事、市長、特別顧問などの大阪府、大阪市の関係者に加えて、経済界からのゲストスピーカー、堺市、府市長会、町村長会からも出席をいただき、幅広い視点からのさまざまな意見が述べられ、まさに副首都・大阪の確立に向けたオール大阪での議論がスタートしたという実感を我々も持っています。今後、議論を重ね、副首都の定義やビジョンや方向性を取りまとめる中で、議会に対する参加の呼びかけも予定されているとのことであり、我々としてもその議論に積極的に加わっていきたいと考えております。 そこで、今後の副首都推進本部での取り組みに向けての決意や、その先に見据える将来の大阪の姿についての市長の思いを改めてお尋ねいたします。
○議長(東貴之君) 吉村市長。 (
市長吉村洋文君登壇)
◎市長(吉村洋文君) 副首都推進本部会議は、昨年の12月に1回目を開催し、そして、ことしの2月に2回目を開催いたしました。2回目については、経済界で本社機能を大阪にも持つ、リスク管理の観点から本社機能を大阪にも移したという大きな会社の方からのゲストスピーカーを招いてお話をお聞きしました。国内交通網の結節点としての大阪の利便性を初めとして、歴史や文化の蓄積の上に育まれた、まさにこの大阪人の気質というのは、国際ビジネスを展開する上でも非常に優位性があると、首都圏に流出した人材についても大阪に戻りたいという願望も潜在的に非常に高いと、優秀な人材を集める上でも大阪は非常に有利であると、非常に示唆に富んだお話を聞くことができました。 大阪の持つポテンシャルというのは、これは、はかり知れないものがあるというふうに思っております。東京への一極集中をなくして、まさに大阪がツインエンジンとなると、そして日本を発展させる都市に成長していくということが、まさにこの2つのエンジンというのが、私がこの政治を目指した原点でもありますので、この大阪の活性というか、この日本の構造のあり方ということについても、まさにこの副首都推進本部でそれを実現していきたいというふうに思っております。 副首都・大阪の確立に向けてですが、この副首都推進本部において、副首都の概念であったり、必要性、求められる機能についての中間整理を行った上で、具体的な取り組みや副首都にふさわしい行政機構のあり方なんかについても検討を深めて、新年度中には中長期的な取り組みをまとめる方向であります。 そして、副首都化を進めるということで、このリニア中央新幹線やなにわ筋線などのいわゆる広域的な大
都市インフラの整備、南海トラフ地震などの大規模災害に備えた防災力の強化、観光・ものづくりの支援による大阪の産業経済の活性化、これを実現させて、関西、西日本のさらなる成長につなげていきたいというふうに考えてます。こういった取り組みが、産業、経済への好循環を生み出すという中で雇用が拡大し、最終的には医療、福祉、教育と
市民サービスを充実させるということ、これが目的だというふうに思っておりますので、まさに豊かな大阪の実現に向けて、この大阪の副首都化をしっかりさまざまな方と議論を踏まえながら進めていきたいというふうに思っております。
○議長(東貴之君) 角谷庄一君。 (86番角谷庄一君登壇)
◆86番(角谷庄一君) ありがとうございます。 東京への一極集中を解消し、東京とともに大阪がツインエンジンとなって、今いろいろな議論をいただいている過程とのことですが、今後、副首都化へと議論の集約をしていき、大阪の発展となるように期待をしています。さらには、市長におかれては、府市連携した大阪経済の発展と成長、そのかじ取りの役目を担う責任者であります。引き続き、市民への説明や、市民の理解を深めることも忘れないようにお願いをいたします。 以上、各般にわたり質問いたしました。この大阪においては、行財政改革、少子高齢化、貧困問題、大阪からの企業流出などの課題解消が急務であり、立て直しをしていかなければなりません。我々議会人は、大阪の成長、発展に重要な議案に対して、待ったをしているときではありません。しっかりと四つ相撲の取り組みで、お互いの主張を交えてそれぞれを磨き、結果を導き出し、
市民サービスの向上という花道を歩く。我々議会人は、行政のチェック機関であり、市民の代表として行財政改革や行政サービスの向上に努めることが責務であります。 今議会では、市長が慎重に見きわめた議案が上程されていると思います。議会との対話、四つ相撲を心がけていると感じますがいかがでしょうか。今後、さらに各委員会で議論を深めていきたいと思いますので、共に歩み寄る、そして、前に進める政治を行い、大阪の成長、発展へとつなげていく決意であると申し上げまして、私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(東貴之君) お諮りいたします。この際、暫時休憩することに決して御異議ありませんか。 (「異議なし」と呼ぶ者あり)
○議長(東貴之君) 御異議なしと認めます。よって暫時休憩いたします。 午前11時35分休憩 午後1時2分再開
○副議長(木下吉信君) これより休憩前に引き続き会議を開きます。
○副議長(木下吉信君) 荒木肇君の質疑を許します。 23番荒木肇君。 (23番荒木肇君登壇)
◆23番(荒木肇君) 私は、自由民主党・市民クラブ大阪市会議員団を代表いたしまして、平成28年度予算並びに関連諸案件について市長に質問させていただきます。 大阪は、大化元年、西暦645年に難波宮が築かれた日本最古の都市であります。そして、昔から国際交流の窓口として、アジアを中心とした海外との交流の門戸であり、難波津の船の航路を示すのが今の大阪市の市章、みおつくしの由来であります。 また、大阪は天下の台所として経済の中心でもあり、先物取引などが開始された地であります。近世においても独自の文化を生み出し、井原西鶴や近松門左衛門といった文人を輩出し、文楽や歌舞伎などの文化を生み出してきたところであります。また、市内では適塾や町人による町人の学校、懐徳堂が生まれた学問の地でもありました。 大阪経済産みの親は五代友厚であり、今の証券取引所の前身の大阪株式取引所の設立や、糸綿木綿取引所の開業など、商都大阪の礎を築いてまいりました。その後、関一第7代大阪市長により、我が国初の公営による地下鉄の開通や、御堂筋の建設、また大阪港の建設や中央卸売市場の開設、我が国初の市立大学の設置や大阪城天守閣の再建などが行われ、当時の大阪市は近代日本の都市経営のパイオニアでありました。関一市長は、大大阪を目指し、大阪市のまちづくりを都市計画のもとに築き上げてこられました。その根底には、都市はどうあるべきかとの信念がありました。 このように、大阪市は時代を見渡す先見性と創造力にあふれた都市計画のもと、築き上げてこられた我々の先達の大阪市民と、行政や議会が一体となってつくり上げてきたまちであります。以上の観点から、まず最初に、大阪のまちづくりについてお伺いします。 世界の都市が個性を競い合う都市間競争の時代にあって、大阪を発展させていくためには、先人が築き上げてこられた大阪の強みに一層の磨きをかけることが重要であると考えています。市政を進めていくに当たりましては、我が会派としてはやはり大阪のまちをどうしていくのかという将来展望をしっかり持って、市政全般を貫く指針を明確にしていくべきだと考えております。 振り返りますと、大阪市では、地方自治法により市町村に基本構想の策定が義務づけられた昭和44年より以前の昭和42年に、全国に先駆けて大阪市総合計画、基本構想、いわゆるマスタープランを策定し、その後も3回にわたりマスタープランの改定を行い、大阪市の発展、市民生活の向上を目指して、長期的な展望に立った総合的かつ計画的なまちづくりに取り組んできたという歴史があります。 市政の基本的な方向性を総合的かつ体系的に定めるマスタープランについては、行政だけではなく市民並びに市民代表の議会、その他関係機関の意見を十分聞き、つくり上げるべきものであり、これまで議会ではマスタープランのうち、基本構想について議決を行うなど、個別に考えの違いがあっても市長とともに大阪市の大きな方向性を定めてきたと認識しています。 現行マスタープランのうち、基本計画が今月末で期限切れを迎えます。また、先に策定されました基本構想についても制定から11年が経過しております。新たに施行されました「まち・ひと・しごと創生法」に基づき、地方版総合戦略の策定が進められていることは承知しておりますが、素案を見ましても行政の全ての分野を包含したものとはなっておらず、マスタープランとは言いがたいと言えます。 市長は、議会との対話を重視される方針を示されています。そうであれば議会と一緒になってまちづくりの大きな方向性を示すマスタープラン、基本計画を策定していくべきだと考えます。市長の御所見をお伺いします。
○副議長(木下吉信君) 理事者の答弁を許します。 吉村市長。 (
市長吉村洋文君登壇)
◎市長(吉村洋文君) まず、大阪のまちづくりの方向性を示すものとしまして、本市では2020年までの大阪の成長戦略、これを初め、中長期的な戦略や分野別計画を定めますととともに、毎年度市政運営の基本方針や各区・局運営方針を策定し、市政全般を進めています。 財政状況が厳しい中で、大阪を発展させていくためには、急激に変化するこの社会情勢にも的確に対応しながら、施策・事業の選択と集中を進めていくことが不可欠であるというふうに認識しています。 総合計画、いわゆるマスタープランに関しましては、平成23年の地方自治法改正によりまして、市町村における基本構想策定の義務づけ規定が削除されました。一方、平成26年には、新たに「まち・ひと・しごと創生法」が制定、施行されまして、地方版総合戦略策定の努力義務が規定されたところであります。 本市においてもこういった国の動きに合わせまして、人口の分析と2040年までの将来展望を示します大阪市人口ビジョンと、このビジョンを踏まえ、平成31年度までの5年間の目標や、施策の基本的方向性、具体的施策を取りまとめる大阪市まち・ひと・しごと総合戦略を策定していくこととしています。昨年来、素案の策定、パブリック・コメントなどを進めてまいりました。この戦略は今までのいわゆるマスタープランではありませんが、雇用の創出、出産・子育て、安心な暮らしなど、幅広い分野にわたって重点的に進めていくべき施策を総合的に取りまとめることとしておりまして、今月中に策定いたします。 さらに、市民、議会の御意見を踏まえまして、戦略の内容を充実させていきたいと考えていまして、平成29年度予算の編成を視野に入れながら、本市独自の取り組みとして、エリア別のまちづくり戦略や工程表といったものも盛り込むように努めてまいります。 今後、中長期の大阪の成長戦略及び大阪市まち・ひと・しごと総合戦略と、毎年の市政運営の基本方針によりまして豊かな大阪を目指す、そういった市政の方向性を明確にしていきたいと思います。
○副議長(木下吉信君) 荒木肇君。 (23番荒木肇君登壇)
◆23番(荒木肇君) 端的に申し上げますと、基本計画の策定は考えていないという趣旨の答弁かと思いますが、先ほども申し上げたとおり、今回の総合戦略は行政の全ての分野を包含しておらず、不十分なものでございます。これでは大阪市の目指す大きな方向性、ビジョンが全くないまま、今後進んでいってしまうという大きな問題を抱えているということを指摘しておきます。 次に、本市の財政認識についてお伺いします。 今後の
財政収支概算(粗い試算)平成28年2月版によると、当面の単年度
通常収支不足額は200億円程度で推移するものの、平成35年度には解消される見込みとなっております。また、市債残高は引き続き減少していくことが見込まれており、これは昨年度示された
財政収支概算の見通しより改善しております。 もちろんこの試算は、今後の税収動向や金利動向など多くの不確定要素がありますが、現時点では大阪市の財政は着実に健全化に向かっていると言えます。これはここ三、四年の取り組みだけで急に改善したというものではなく、我が会派が強く指摘したこともあり、平成18年度以降、人件費や施策・事業の見直し、そして市債発行の抑制など、10年間に及ぶ財政規律の徹底と市政改革の成果があらわれてきたものであり、10年後には地方交付税の不交付団体となることも視野に入ってきております。 他方、大阪府は、公表された中長期試算によると、平成29年度以降多額の収支不足が見込まれるだけでなく、国のルールによる減債基金の積み立て必要額よりも4,354億円の不足と莫大で、今のままでは収支不足に充てる財政調整基金が平成29年度には底をつくおそれがあるとのことであります。税収の見込み方は大阪市と同じ指標を使っているようですが、大阪市とは逆に、昨年度に示された中長期試算よりかなり悪化しております。このような状況では昨年住民投票で否決された大阪市廃止・分割構想も、まるで大阪市が大阪府の財政を助けるためのものだったと思えてしまいます。 現在、うめきた2期区域のまちづくりや、
南海トラフ巨大地震対策、また環境科学研究所を初めとする現在議論中の統合案件など、府市一体で進められている事業が多くあり、影響が出てくると思いますが、いかがでしょうか。 また、市長は、施政方針演説で幼児教育の無償化が実現できれば、大阪府の私立高校実質無償化と相まって、子供の教育費無償都市大阪を実現できるとおっしゃいました。大阪府のこのような財政状況で、本当に子供の教育費無償都市大阪を実現できるのかも疑問です。 あわせてお伺いしますが、大阪市自身も当面は
通常収支不足が見込まれる中、幼児教育無償化や
こども医療費助成の拡充を図り、かなりの多額で恒久的な財源が必要となりますが、どうされるおつもりでしょうか。市長の御所見をお伺いいたします。
○副議長(木下吉信君) 吉村市長。 (
市長吉村洋文君登壇)
◎市長(吉村洋文君) 子供の教育費、医療費、無償都市大阪はしっかりと目指していきます。 まず、大阪府の財政状況に関する御指摘ですが、大阪府において28年度に財政収支改善方策を検討されるということで、適切に対応されるというふうに考えております。 うめきた2期区域のまちづくりや
南海トラフ巨大地震対策など、府市一体で展開していきます。 幼児教育の無償化や子供の医療費助成の拡充に係る財源についてですけれども、平成28年度当初予算におきましては、市政改革の基本方針に沿った取り組みを進めましたほか、マイナスシーリングの設定などにより、区長、局長の自律的な改革を促すことで財源の確保に取り組みました。また、人件費では、人勧のマイナス勧告を反映することも行い、税収の今後の収支の状況も確認するなど、歳出・歳入において精査を行いました結果、5歳児の無償化を実施できるというふうに判断いたしました。 幼児教育の無償化など、子供の教育施策はまさに未来への投資でございまして、最も優先度の高い施策であるというふうに考えています。その点は、国でも十分認識しておられて、同じように幼児教育の無償化という政策は国も掲げられております。要はその優先順位の捉え方だというふうに認識しておりまして、国としてもしっかりとそれを実現できるように、私も要望をしっかりやっていきたいと思います。 国の対応を待っていては、いつまでたってもできないと思いますし、西日本のリーディング都市として、まさに先導的に施策を進めていくということで、国への要望も加えて行いながら、まさに今いるこの大阪市の子供たち、幼児教育の充実について、しっかりと国の財源確保も含めて取り組んで進めていきたいというふうに思ってます。
○副議長(木下吉信君) 荒木肇君。 (23番荒木肇君登壇)
◆23番(荒木肇君) 幼児教育の無償化など、幼児教育の充実について国に財源措置を求めていくことは理解できますが、今後、三、四歳児への拡充や、それ以外にも市長は
市民サービスの拡充を掲げておられ、その財源として引き続き人事委員会のマイナス勧告や、限界ではないかと思われるマイナスシーリングの削減額などを当てにしておられますが、それでは恒久財源を確保したとは言えないのではないでしょうか。 そもそも、今後大きくなる地方の役割を踏まえ、必要な財源確保に向け、税源移譲により国・地方の役割分担に応じて措置されるべきであった租税配分の実現や、歳入構造を地方税中心とする地方税財政改革の推進、大都市税財源の充実強化こそが肝要であり、その実現に向けた要望活動に我々も会派を挙げて取り組んでまいりました。 大阪府の松井知事も先日の予算発表の際、大阪府の財政が厳しい理由として、努力しても国のさじ加減で地方交付税を減らされるし、法人府民税も国に取り上げられた。取り上げられた法人府民税は地方税として地方へ行き、この努力が報われていないと述べられております。我々としては、都構想よりも前にすべきことがあって、今さら何をおっしゃるのかという思いであります。行政の長たるもの、既に昨年の住民投票で決着のついた府と市の制度論にいつまでも固執し、さらに税金と時間を費やし、東京とは異なり地方交付税の交付団体同士である府と市で財源を奪い合うというコップの中の争いのような議論をするのではなく、国に対して大阪のために取り組むべきことがたくさんあるはずです。 恒久財源の確保に当たっては、こういった国に対する取り組みが必要だと思いますが、市長御自身はこの大都市大阪が抱える地方税財政制度の課題について、どのように考え、取り組んでいかれるのか、御所見をお伺いいたします。
○副議長(木下吉信君) 吉村市長。 (
市長吉村洋文君登壇)
◎市長(吉村洋文君) まず、地方税財政については、大きく考え方が2つあると思います。今、国がやっているように、地方財政計画などを全部国にやってもらって、国から全国的に押しなべて同じような行政サービスを日本全国に提供するというようなやり方、これまでやってきたやり方を維持するのか、あるいは地方がしっかり自立するところは自立できるような仕組みに変えていくのか、大きな分岐点に来ていると思ってます。まさに、地方交付税制度というのは、その前者のほうの制度でありまして、自立を頑張っているそういった都市だったり都道府県についても、頑張ってもその成果が反映されないような仕組みになっております。しかも、その財源が足りないとなれば、今度は臨時財政対策債と、現時点では臨時になってないような、そういった制度を維持されています。この点は僕も国会議員の時代に非常に問題意識を持ってまして、高市大臣とも議論させてもらいましたが、国はまだその前者の方向で行くということのようであります。これは大きな方向性の問題だというように思ってます。 これまで大阪市として、この大都市として、いわゆる地方財政制度については、国に対してさまざま要望してまいりました。今、国・地方の税の半分、これですが6対4でありますけれども、地方交付税や国庫支出金も含めた税の実質配分は3対7と大きな乖離があります。国・地方の役割に応じた税源配分とはなってないというのが今の現状だと思ってます。 また、都市部においては昼間流入人口による財政需要であったり、都市の成熟化に伴う更新需要が大きいにもかかわらず、現行の市町村税制の制度は、都市部の財政需要に見合ったものとはなってないと思っております。さらに、法人住民税、法人税割が一部国税化されて、大都市は大きく影響を受けております。これは行政サービスの提供を受けていることに対する受益と負担の関係にも反するもんではないのかなというふうに思っておりまして、現行の地方税財政制度には多くの課題があると思ってます。 こうした状況も踏まえまして、分権型の国の形への転換に向けて、税源の移譲を初め、地方税財政改革の推進について、府と連携しながら、国に対しても積極的に働きかけてまいりますので、市会におかれましてもお力添えをよろしくお願いします。
○副議長(木下吉信君) 荒木肇君。 (23番荒木肇君登壇)
◆23番(荒木肇君) 続いて教育関連の施策について、何点かお聞きします。 まず、先ほど財政認識でも触れましたが、幼児教育の無償化についてお伺いします。 今回の無償化は全ての子供たちが家庭の経済状況にかかわらず、質の高い幼児教育を受けてもらうために実施するということであり、その理念については賛同するものの、無償化の対象者が5歳児全員になっていない点について、同じ市民として公平性に欠けるように思います。 平成27年度は5歳児の全体の人数が約2万人。そのうち、保育所や幼稚園などに通っていない児童約1,100人は、今回の無償化の対象外となっております。その1,100人には、
認可外保育施設を利用している児童や、どの施設にも行かず在宅で過ごしている児童も少なからずいると思います。 子供の教育費無償都市大阪を目指すからには、今回の無償化の対象外となっている児童に対して何らかの方策を検討し、全ての子供たちに教育を受ける機会を保障すべきではないでしょうか。この点について市長の御所見をお伺いいたします。
○副議長(木下吉信君) 吉村市長。 (
市長吉村洋文君登壇)
◎市長(吉村洋文君) まず、子供の教育は未来への投資であり、そしてその本人への投資であり、将来への投資であり、そして最後には社会に返ってくるものだというふうに考えております。無償化によって家庭の経済環境にかかわらず、全ての子供たちに対して教育を受ける機会、これを提供していきたいというふうに思っています。また、幼児教育の質の向上というのも図っていきたいというふうに思ってます。 幼稚園、保育所などに加えて、児童発達支援事業所を利用している障害児につきましても、無償化の対象としております。無償化の対象外となっております児童については、認可外の保育施設の利用や、あるいは在宅などその実態はさまざまあろうかと思っております。 教育費の無償化の実施に当たりまして、市税を投入するというからには、やはり一定の基準というのが必要になってこようかと思ってます。認可外の保育施設については、本市の認可基準に適合しないということから、現在、施設や利用者に対して市税を充てておりません。無償化の対象外としましたが、利用実態の把握を含めて、今後さまざまな観点から検討が必要だというふうに考えております。 在宅のままで幼稚園、保育所などの施設を利用していない児童については、その実態の把握は難しいものの、各区の状況把握に努め、どういった対応が可能なのか、検討を行ってまいりたいというふうに思っております。現在、この5歳児では、まさに5%、先ほど議員も指摘ありましたが、数字にすると5%がそれに該当します。たしか4歳児では6%、3歳児になると16%ぐらいに上がってくると思いますので、特に3歳児になると待機児童との観点からも、これは問題が出てくるかというように思っておりますので、その課題は認識しております。
○副議長(木下吉信君) 荒木肇君。 (23番荒木肇君登壇)
◆23番(荒木肇君) 答弁をお聞きしますと、5歳児全員が無償化されるのではないことがはっきりいたしました。しかし、今回対象とならないのは、経済的な理由や家庭のさまざまな問題によって幼児教育施設に行けない子供たちではないかと思います。本来は、そのような子供たちにこそ、教育を受けられるようにするのが行政の役割であり、このような子供たちへの支援が先ではないでしょうか。ぜひともよろしくお願いいたします。そのことを申し上げ、次の問題に移ります。 次は、子供の貧困対策についてお尋ねいたします。 国においては、子供の将来がその生まれ育った環境によって左右されることのないよう、教育の機会均等などを図ることを目的として、平成25年6月に「子どもの貧困対策の推進に関する法律」を制定しており、その中で地方公共団体は、国と協力しつつ、地域の状況に応じた施策の実施等が義務とされているところであります。 大阪府の子供の貧困率は、生活保護の需給基準となる最低生活費以下で暮らす子育て世帯の割合が20%を超え、沖縄県に次いで高く、全国2位であるとされている大学の研究結果もあり、大阪市も深刻な状況であることが伺えます。 去る2月29日には市長を本部長とした「こどもの
貧困対策推進本部」を立ち上げ、全庁的に取り組んでいく体制を整備され、平成28年度に子供たちの実情を把握するための実態調査を実施するとのことであります。子供の貧困対策はすぐにでも必要な施策であり、そのための調査についても、さまざまな観点から課題を抽出できるような視点を持ち、現実に即した対策を行うため、綿密に実態を把握していただく必要があると思いますが、市長の御所見をお伺いします。 また、この調査により明らかになってくると思われますが、ひとり親世帯など経済的に貧困である家庭では親が夜間も働いていることから、子供がひとりで食事をして過ごしていると聞いており、こういったことが子供の心身両面に悪影響を与えるということは言うまでもなく、身近な地域で安心して過ごすことができる居場所という支援が必要であります。 大阪市では、既に各地域のコミュニティーに支えられた子供の見守り活動なども行われており、今後、地域で子供たちを支える居場所づくりも考えられるところであります。最近、報道でよく見聞きすることが多くなった子ども食堂と呼ばれているものもその一つでありますし、大阪市内でも数カ所そういった取り組みがなされていると伺っております。 実態調査後に重点的に取り組んでいく施策を検討していくと聞いておりますが、地域での子供の居場所づくりの支援という視点を持って検討していただきたいと考えますが、市長の御所見をお伺いいたします。
○副議長(木下吉信君) 吉村市長。 (
市長吉村洋文君登壇)
◎市長(吉村洋文君) まず、子供の貧困対策についてですけれども、子供たちの実情を把握して、その実情に応じた施策を進めていくことが必要だというふうに思ってます。子供たちを取り巻く課題を抽出するための実態調査の質問項目であったり、どういった年齢層を対象として実施するか、そういったことが重要だと思ってます。 まず、質問項目についてですけれども、基本的な項目である世帯構成や生活習慣、学習環境などは、府下の市町村と比較対照できるように、大阪府とデータを共有するため質問項目を同様とした上で、区役所や学校現場などの意見を聞きながら、大阪市の子供たちの生活環境に合わせた独自の質問項目を加えていくこととしています。また、大阪府とデータを共有する項目については、既に大阪府において有識者から意見を聞きつつ検討されておりまして、大阪市においても、さらに有識者の意見も伺いながら、大阪市の実情把握のために必要な質問項目について検討していきます。 次に、調査対象とする年齢層ですけれども、大阪府と共通している中学校2年生、小学校5年生はあるんですが、それに加えまして、私自身は幼児期がやはりこの将来の基礎を培う重要な時期であるというふうなことも考えておりまして、就学前である保育所や幼稚園等の5歳児クラスも対象としました。 続きまして、子供の居場所ですが、その質問については、しっかり調査でのアンケートをやりたいと思っております。合計で約6万人の対象になると思うんですが、これは日本全国を見てもこれまでにない大規模な調査をしたいと思っています。それも大阪市の実態を把握した上で、効果的な施策をしていきたいという思いからであります。 続きまして、子供の居場所ですけれども、全市的な施策としては、児童いきいき放課後事業や留守家庭児童対策事業など、主に小学校の放課後の居場所や不登校の子供の居場所になる不登校児童・生徒の通所事業を実施してきたところであります。これまでこれらの事業の提供時間は夜間にまでは至っていないというところが大半であります。議員指摘のように地域団体、NPO等の民間組織が夜間にひとりで食事や学習をせざるを得ない子供たちに食事提供や学習支援を行う、いわゆる子ども食堂などの取り組みが進められているということも、私も認識しております。 こういった地域で子供たちを支援する取り組みについては、地域の協力があってこそできるものであり、子ども食堂などの子供の居場所づくりという取り組みに対して、大阪市としてどういった支援ができるのかについても検討していきたいと考えております。
○副議長(木下吉信君) 荒木肇君。 (23番荒木肇君登壇)
◆23番(荒木肇君) 来年度予算では調査費がわずか600万円計上されているだけで、さきの幼児教育無償化にかける25億円と比べますと非常に見劣りします。我々としては、優先順位が逆ではないかということを指摘しておきます。 次に、学校選択制についてお伺いします。 学校選択制により、校区外の学校に就学した児童・生徒の割合は、わずか3.9%にすぎないと聞いております。一方で、この間、指定校変更の制度が緩和され、多くの児童・生徒がこの制度を活用して校区外の小中学校に通学している実態があります。そういった実態も踏まえた上で、我が会派としては指定校変更の制度を柔軟に運用することにより、多額の経費をかけて学校選択制を実施しなくても、その目的は達成できるのではないかと主張してきたところであります。 いま一度、学校選択制を継続するに至った理由、目的を確認させていただきたいのですが、市長のお考えをお聞きいたします。
○副議長(木下吉信君) 吉村市長。 (
市長吉村洋文君登壇)
◎市長(吉村洋文君) まず、学校選択制については、保護者や児童・生徒の希望に基づく就学校の選択を適切に推進するという観点から、学校教育法施行規則に規定された制度でありまして、本市としては、子供や保護者が学校教育に深い関心を持つ、特色ある学校づくりが進められ、開かれた学校づくりが進むといった効果を期待して導入したものであります。 先ほど、議員から3.9%という御指摘がありましたが、この制度設計の際には、私も当時市議会議員として議論に関与しましたけれども、子供たちが地元の学校へは行けるようにするとか、さまざまなこの議会での議論を経まして、この学校選択制を導入したというふうに認識しております。割合において、そういった制度のもとで低い数字であるというふうには認識しておりません。 学校選択制によりまして、入学した児童・生徒の保護者に対するアンケートでは、約8割の保護者が選択に当たって学校案内や説明会などにより学校の情報を収集しております。また、約7割の方が希望調査表を提出し、みずからの意思で学校を選択しているということは、制度の目的を一定果たしているというふうに考えております。
○副議長(木下吉信君) 荒木肇君。 (23番荒木肇君登壇)
◆23番(荒木肇君) 我が会派は、学校選択制の導入により、学校と地域コミュニティーとのかかわりが希薄になるのではないかという懸念を訴えてまいりました。学校選択制が導入されて以降、この春には既に3度目の入学生を迎えることとなります。前市長の政策的判断に基づいて導入された制度はその目的を果たしておりません。市政を引き継いだ立場として、制度の廃止を含め、しっかりと検証すべきであると指摘しておきます。 次に、中学校給食についてお伺いします。 これまでの市会の質疑において、現行のデリバリー方式での中学校給食を学校調理方式に切りかえる旨の説明がありました。また、市長におかれては任期中に学校調理方式への移行を完了させるという方針も打ち出されているところでございます。 私どもの会派としては、これまでデリバリー方式について、温かい給食の提供や柔軟な分量調整、アレルギー対応ができていないことや異物混入があることなどを指摘しており、中学生の昼食については弁当を持ってくることができない家庭の子供たちにデリバリー方式の給食を提供する、いわゆる選択制にするべきであると主張してきたところでございます。 それにもかかわらず、教育委員会では、平成26年2月4日開催の教育委員会会議において、全員喫食を導入する方針を策定しており、平成26年度よりデリバリー方式で全員喫食を導入し、結果として子供たちの残食も多くなっております。食育の観点からは、明らかに現行の中学校給食の施策は失敗であります。言いかえれば、学校調理方式へ転換することは前市長の肝いりで進められた施策が大失敗であったということです。施策を転換する以上、まずは教育委員長として失敗であったと認めるべきではないでしょうか。 さらに、教育委員会は、学校調理方式への移行までの間、デリバリー方式を継続されるとのことですが、その間に学校生活を送る生徒たちのことは、施策のために犠牲にしてもよいと思っているのでしょうか。子供たちのことを考えない教育委員会なら存在する意義すらございません。教育委員会として、残食が多く栄養摂取が不十分な状況が続く中で、どうして立ちどまることがなかったのでしょうか。食育の観点から大森教育委員長はどのように認識されているのでしょうか、お尋ねいたします。
○副議長(木下吉信君) 大森
教育委員会委員長。 (
教育委員会委員長大森不二雄君登壇)
◎
教育委員会委員長(大森不二雄君) お答えいたします。 そもそも、中学校給食の導入に至りましたのは、本市の中学生が全国に比べまして朝食を食べていない割合が高く、食習慣の改善が喫緊の課題であったためであります。このため、栄養管理が行き届いた昼食を早急に提供する必要があり、短期間で導入できるデリバリー方式でまずは実施してきたところでございます。 当初、選択制で実施する中、保護者や生徒を対象とする調査において、多数の保護者が全員喫食を希望していたことや、家庭弁当を持参していない生徒が給食を選択せず、市販の弁当やおにぎり、パンといった簡易な食事で昼食を済ませており、全ての生徒が栄養管理の生き届いた昼食をとれてはいないという事実が判明いたしました。そのため、教育委員会といたしましては、こうした保護者の御意向や生徒の実態を踏まえまして、全市的に全員喫食の導入が必要であるという判断をしたところでございます。これが失敗だったというふうには、私ども教育委員会としては考えておりません。 他方、デリバリー方式につきましては、栄養バランスのとれた給食を提供はしているものの、おかずの冷たさですとか、あるいは分量調整が柔軟にできないといった課題があるということは、私どもも認識しておるところでございます。 これまでは喫緊の課題に早急に対応するためにデリバリー方式で導入し、拡大してまいりましたが、今後は充実した食育を行い、温かいおかずの提供や分量調整などにより柔軟に対応するために、学校調理方式への転換が必要でございます。教育委員会としても早急に移行してまいりたいと、こういうふうに考えております。
○副議長(木下吉信君) 荒木肇君。 (23番荒木肇君登壇)
◆23番(荒木肇君) 教育委員長の答弁は、問題点を分量やおかずの冷たさに矮小化されておりますが、一番の問題は、現実にお昼御飯を食べていない生徒が大勢いるということであり、なおかつ現場からそういった声が届いているにもかかわらず、全員喫食にこだわり続け、デリバリー方式を根本から見直してこなかったことにあります。とは言いつつ、2学期から学校調理方式に移行する学校については1学期間選択制を導入します。しかし、これも市会からの指摘や生徒の声を聞くという理由によるものではなく、市長の意向を受けて学校調理方式を導入するに当たって、業者との契約上の理由から行われております。ここでも行き当たりばったりな対応となっており、根本の問題解決にはなっておらず、教育委員会が第一に考えるべきことは、業者に対する配慮ではなく、生徒への配慮ではないかと指摘しておきます。 次に、教育委員の政治的中立性についてお伺いいたします。 学校選択制や中学校給食、また後ほど触れますが、校長公募など、市長の施策に教育委員会が大きな影響を受けて、その独立性が保たれていないと言わざるを得ません。教育委員が市長の政策を実現することばかりを考え、学校現場や子供たちに目を向けることなく、リスクを含めた課題について慎重に検討せず、全て場当たり的な対応でしかしてこなかった結果ではないでしょうか。中学校給食にしても、校長公募にしても、その影響を受けるのは子供たちであり、教育委員の責任は重いと考えております。 市長から独立し、みずからの権限を執行する機関として教育委員会があり、教育委員がいるのではないでしょうか。これまでの教育委員会における施策について、政治的中立性の観点から教育委員長としての見解をお伺いいたします。
○副議長(木下吉信君) 大森
教育委員会委員長。 (
教育委員会委員長大森不二雄君登壇)
◎
教育委員会委員長(大森不二雄君) お答えいたします。 本市の教育委員会は、みずからの責任を自覚し、権限を行使する執行機関として、制度本来の機能を果たしてきています。国で教育委員会制度の改革が論議されていた際、教育委員は事務局の決めた方針を短時間の会議で追認するだけの名誉職になっているといった指摘がございましたが、こうした指摘は本市には全く当てはまりません。公開の正式会議における活発な審議のほか、非公式の協議会においても、事務局と各委員が納得のいくまで長時間にわたって議論し、委員は各自の良心と知見に照らし、本市の教育にとって最善の意思決定を心がけてきているところでございます。新しい政策や方針の多くは、実際に教育委員の提案になるものが数多くございます。 国におきましては、法律改正により教育施策の大綱等について、地方公共団体の長と教育委員会が協議を行う場として、総合教育会議の設置が規定されたところでございます。本市におきましては、教育行政基本条例の規定に基づき、市長が教育委員会と協議して、
教育振興基本計画の案を作成し、市会の議決を経て定めることとなっているほか、昨年度より市長と教育委員の協議会を開催するなど、国の改革に先行した取り組みを進めてきているところでございます。こうしたことによりまして、各学校の創意工夫を生かした学力向上などの取り組みを、校長経営戦略予算など、全国に余り例を見ない規模の予算で支援いたしましたり、経済格差を教育格差にしない、このために課題のある学校には特に支援を手厚くするなど、予算編成等の権限を有している市長と連携しながら、私ども教育委員会としての施策を展開していくことができております。 今後も市長と教育委員会が十分な意思疎通を図ることによりまして、本市の教育に関する課題認識や教育改革の方向性を共有しながら、それぞれの権限と責任を果たし、大阪の未来を切り開く教育行政を推進していくということが肝要であるというふうに考えております。
○副議長(木下吉信君) 荒木肇君。 (23番荒木肇君登壇)
◆23番(荒木肇君) 市長と教育委員会がしっかりと意思疎通していただくことに何ら問題はありません。協議も大いにやっていただきたい。十分に連携していただいて結構です。しかし、市長の方針を実現する方法を考えるだけであれば、教育委員は必要ありません。教育委員並びに教育委員会は、子供たちへの影響をまず第一に考え、さまざまな施策にじっくり取り組んでいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。 次に、公募制度についてお聞きします。 先日、区長、局長の公募結果が公表され、区長については6名の募集に対して、外部からは3名、内部からも3名、局長については9ポストの募集に対して、内部から7名がそれぞれ合格し、2ポストは合格なしとの結果でした。特に、局長については、一昨年以来3年連続で全て内部職員が合格しており、行政にたけた職員の実力を市長が公正に評価された当然の結果ではありますが、区長、局長の選考は全て公募によると規定する職員基本条例の趣旨が、もはや実情に合っていないと言わざるを得ません。 また、校長公募についても外部合格者は、平成25年度は20名であったものが、26年度には6名、本年度はとうとう1名になりました。 我が会派は、26年9月市会において、既に実情に合っていないという問題意識を持っておりましたが、教頭不足解消というやむを得ない理由から、校長公募に係る補正予算を承認いたしました。しかし、外部合格者1名という結果では、その意義すら薄れてきていると言わざるを得ません。人材を育成して、中長期的な組織を構築し、その中で短期的に必要となった課題を解決できる人材を外部に求めるというのが、本来あるべき組織
マネジメントではないでしょうか。 これ以上、形式的に公募を続けるのではなく、条例を公募できると一部改正した上で、外部人材の見識や経験等を真に必要とするポストに限定して、より効果的に公募を実施するよう改善すべきと考えますが、いかがでしょうか。市長の御所見をお伺いいたします。
○副議長(木下吉信君) 吉村市長。 (
市長吉村洋文君登壇)
◎市長(吉村洋文君) まず、公募につきましては、内部外部問わず、やる気があり、そして意欲がある人が手を挙げて、そしてしっかりと審査をするということに十分な意義があると思います。私も最終の面接というのに参加しましたが、それぞれ公募--手を挙げておられる方は、非常にやる気、意欲が強く、また優秀な人材が多く集まってきているというふうに認識しております。 今回の区長、局長公募においても、それぞれの職員に必要とされる専門性に加えて、ビジョン構想力や組織
マネジメント力、人物、社会観などの観点から厳正な選考を行い、合格者を決定いたしました。公募結果については、内外人材が切磋琢磨した結果でありまして、それぞれのポストに最適な人材が確保できたものというふうに考えております。 幹部職員の公募ですが、組織内外からよりよい人材を登用することで、民間の新しい視点を組織に取り入れる、あるいは強い意欲を持った者がしっかりと組織
マネジメントをするということで、市民の期待する市政を推進することの一助になっているというふうに考えております。 校長公募につきましても、外部人材には従来の慣行にとらわれない視点や発想で、各校の課題に応じて創意工夫を凝らした取り組みをしている校長が多くいます。本年度は人物本位の厳正な選考の結果、外部人材は1名の合格となりましたが、内外を問わず適材を得られるということから、広く公募を行う意義があるというように考えております。 公募による新たな施策の推進や、組織活性化を着実に進めるべく、今後も職員基本条例及び学校活性化条例にのっとって公募を実施し、優秀な人材の確保に努めていきたいというふうに考えております。
○副議長(木下吉信君) 荒木肇君。 (23番荒木肇君登壇)
◆23番(荒木肇君) 先日の新聞報道では、既にICT戦略室に外部採用の公募区長を起用する方針と報じられております。なぜ公募の手続を経て採用されないのでしょうか。確かに特別な理由により、公募を行う時間的余裕がないときは、この規定によらないとなっておりますが、1カ月も余裕があるのではないでしょうか。余りにも御都合主義であると申し上げておきます。やはりいっそのこと公募ができると変更されればいいのではないでしょうか。 次に、地域コミュニティーの活性化についてお伺いします。 人口流動の激しい都市部である大阪市では、新たに住民になられた方々の地域コミュニティーへの関心が低く、若い世代やマンション住民など、地域活動への参加は低調となっております。このため、地域団体の役員等に負担が集中し、担い手や後継者の不足、役員の高齢化といった問題が起きてきており、このまま放置すれば、地域コミュニティーは衰退する地域も出てまいります。大阪市のコミュニティー活性化の支援としては、区長の権限のもと、各地域の実情に応じたきめ細かな支援を地域活動協議会の仕組みで行っておりますが、地域ごとに目を向けてみると、活動が活発な地域と停滞している地域との格差が生じてきているように見受けられ、懸念しております。 このような中、活動が活発な地域がさらに活発になっていくことに異存はありませんが、我が会派としては、活動が停滞している地域に対して人と人のつながりができ、いざというときに支え合いができるように行政がしっかりと支えることが必要であり、全ての地域を決して見捨てずに支援しなければならないと考えております。地域コミュニティーの活性化のために活動していただいている方々により構成されている各種地域団体は、行政の大切な協働のパートナーであることをいま一度認識するとともに、必要な支援を考えるべきです。 地域コミュニティー活性化に向けた考え方と支援について、市長の御所見をお伺いいたします。
○副議長(木下吉信君) 吉村市長。 (
市長吉村洋文君登壇)
◎市長(吉村洋文君) 日常生活において、行政の目が届きにくい、いわゆる非常に身近な生活課題の解決であったり、大規模災害が発生した場合の初期の対応において、助け合い、支え合いといった面でこの地域コミュニティーが果たす役割というのは大変大きなものがあるというふうに考えていまして、その活性化は大変重要だというふうに思っております。 その中にあって地域団体は、それぞれの地域でのコミュニティーの形成や活性化に向けて、中心的な役割を担っていただいておりまして、その取り組みについては敬意を表しますとともに、厚く感謝申し上げたいと思います。特に、さまざまな活動においてまさにボランティアでその対価もなく、自分のみずからの大切な時間を地域のために費やされている方が多くいるというのは、私も認識しているところでございます。 地域コミュニティー活性化に向けては、この間、各区役所において防災や見守りといった観点から、つながりづくりの大切さを市民の皆さんに啓発するとともに、地域団体などが行うつながりづくりに向けた行事、イベントに対して、地域活動協議会を通じて支援しているところであります。各種地域団体は、市内のあらゆる地域において行政の目が届きにくい身近な生活課題への対応であったり、コミュニティーの活性化に取り組んでいただいておりまして、まさに本市にとっては協働パートナーの一員であるというふうに認識しております。 各種の地域団体とは今後も引き続き協力関係を深めていくとともに、協働パートナーとして、その主体性を尊重しつつ、各地域の実情があると思いますので、その実情に即した適切できめの細かい支援を行っていきたいと考えております。
○副議長(木下吉信君) 荒木肇君。 (23番荒木肇君登壇)
◆23番(荒木肇君) 今、コミュニティーは重要との認識を示されましたが、地域コミュニティーの活性化は、全ての施策の根幹であると言っても過言ではありません。今回、子供の安全を守るため、防犯カメラを公園や通学路を中心に3年間で1,000台設置すると表明されております。そもそも、子供の見守りについては、どれだけ地域の方々にお世話になっているか、市長は御存じでしょうか。防犯カメラの設置は必要なものでありますが、あくまで日々御尽力いただいている地域の人々による見守りを補完するものでしかありません。防犯カメラという物や金による事業でなく、子供の安全を守る地域の取り組みに対して、市長として理解と感謝を示し、もっと既存の地域コミュニティーを支援していくことが子供の安全を守る本質であるという点を強く指摘しておきます。 次に、文化施策についてお伺いします。 大阪で生まれた文楽や、上方で発展した歌舞伎など、伝統芸能は長い歴史と伝統に培われ、大阪市の品格を形づくり、発展に寄与してまいりました。 世界的にはイタリアのローマやスペインのバルセロナなど、文化を活用して都市のブランドイメージを上げ、観光や産業の振興につなげている事例が多くあります。また、我が国においても、文化の持つ創造性を活用し地域課題に取り組む都市を創造都市と位置づけ、支援を行っております。 しかし、現在の本市は、文化の持つ力が十分認識されず、効率性、公平性のみを求める競争原理により団体への補助金を廃止するなど、文化に冷たい都市というイメージが先行しております。昨年、来阪された外国人観光客は716万人と推計されておりますが、その大きな原動力となっている食文化だけでなく、より多くの
インバウンドを大阪市に呼び込むためには、さまざまな文化をブランド化し、内外に強く発信していくべきであると考えます。市長は、昨年12月の施政方針演説において、文化・観光など、あらゆる大阪の強みを国内外に積極的にアピールするため、市長御自身がトップセールスを行うとおっしゃっています。 我が会派としても、大阪が創造都市、世界都市として成長するためには、大阪市の都市力をパッケージ化して売り出すべきであると考えますが、その中で一番重要な要素が文化であります。文化のない都市は創造都市、世界都市にはなれません。そういう点からも、本市が誇る文化の力を認識し、大切にするとともに、それを支える施策を打ち出すことも重要です。しかし、文化に冷たい都市というイメージを変えていかないと、文化が大阪の強みとは言えないと思います。 市長に、大阪が誇る伝統芸能や音楽などの芸術・文化に可能な限り触れていただき、さまざまな機会にみずからの言葉で魅力を伝えていただくことが、大阪の文化力を内外に発信していく上で大切だと思いますが、市長の御所見をお伺いいたします。
○副議長(木下吉信君) 吉村市長。 (
市長吉村洋文君登壇)
◎市長(吉村洋文君) まず、文化は豊かな人間性や創造性を持った、そういった人格形成に不可欠であることは申し上げるまでもありませんが、都市格を高めて、都市間競争を勝ち抜いていくためにも重要な都市魅力の源泉の一つだというふうに思っております。いろんな方と意見交換しても、やはりどこかのまねごとということではなくて、大阪が持っている本来の力というか、そういう特性という、それを積極的に発信していくことがまさにこの都市の力につながるというふうに認識しています。芸術・文化の価値を認識して大切にして活用すること、新しい創造、チャレンジを積極的に支援することで、大阪の文化力、これを高めていかなければいけないというように思っております。 2020年に開催されますオリンピック・パラリンピック東京大会に合わせて、全国的な文化力プロジェクトが展開されます。大阪の文化力を世界に発信する絶好の機会であります。こういった点を踏まえて、新たな文化の活用と振興策等を盛り込んだ文化振興計画を、本年秋を目途に策定して、機会を逃すことなく、都市魅力として国内外に発信していきたいというふうに考えております。 トップセールスについてですけれども、先日、まずはオーストラリアの総領事とお会いし、そしてその後メルボルンの市長、そしてメルボルン市代表団の歓迎交流会にも出席させていただきました。議長、副議長、それから議会の会派の代表の方もいらっしゃっておりましたが、そこで文楽人形と一緒にお出迎えをさせていただきまして、代表団の皆さんにはミニ公演もごらんいただきました。「おもしろかった」「興味深かった」といった感想もお聞きしております。大阪のさまざまな文化を知っていただくいい機会になったのかなというように思っておりますし、今後も世界がまさに憧れる都市魅力を創造して、世界中から人、物、投資を呼び込むためには、私自身が都市間の交流であったり、各種の会議を通じて、大阪の文化の魅力を大阪の強みとしてしっかり発信していきたいというふうに思っております。
○副議長(木下吉信君) 荒木肇君。 (23番荒木肇君登壇)
◆23番(荒木肇君) ぜひ市長の教養あふれる文化振興をお願いしたいと存じます。 次に、MICEの誘致についてお伺いいたします。 大阪における国際会議の開催件数は、ここ数年伸び悩んでおります。大阪の
都市インフラの整備状況を考えれば、もっと多くの国際会議が開催されてもいいと思います。これは、世界レベルではまだまだ大阪の認知度が低く、大阪の都市魅力が十分伝わっていないことが要因の一つではないでしょうか。 市長は、大阪のよさをトップセールスするとおっしゃった中で、姉妹都市やビジネスパートナー都市などとのネットワークの活用とともに、大阪にある各国総領事館の表敬訪問も受けられるとの方針を示されております。これは大いに結構だと思いますが、それに加えて、各国大使や海外からの要人が来阪される機会も活用して、国際会議の誘致について、市長みずからが大阪の強みをアピールして積極的に取り組んでいただきたいと思います。 一方、国際会議を含めたいわゆるMICEの誘致については、もちろん都市間競争のところはありますが、これからは近隣の京都や神戸との連携、それぞれの強みを生かし、誘致を進めていくべきではないでしょうか。関西がばらばらとなるのではなく、また府、市の枠にこだわるのではなく、都市間でしっかりと連携し、また役割分担もしながら、そして、その連携を大阪が牽引する形で取り組んでいく必要があると考えますが、市長の御所見をお伺いいたします。
○副議長(木下吉信君) 吉村市長。 (
市長吉村洋文君登壇)
◎市長(吉村洋文君) まず、MICEの誘致についてですが、特に大規模な国際会議に関しては、世界、アジアでの競合はもとよりですが、日本国内でも都市間競争、これが非常に激しくなっております。特に福岡などは、これにかなり力を入れております。 私自身は、この2月からオランダ、アメリカ、中国など、5カ国の総領事の表敬を受けているところでありまして、来週には韓国の総領事ともお会いする予定であります。こういった機会を活用して大阪の魅力を直接アピールしておりますし、これからもしていきたいと思ってます。今後も、こういった要人との面談に加えて、私自身の海外都市への訪問の機会なども積極的に活用して、大阪の魅力や強みをトップセールスすることで、MICEの誘致につなげていきたいと思ってます。誘致をしている国際会議の関係者が視察に来阪された場合は、直接できる限りお会いして、大阪での開催を働きかけて、私の意気込みを伝えていきたいというふうに考えております。 一方で、激しい競争を勝ち抜くためには、関西全体でMICEの推進に取り組むこともまた重要であると考えております。近接の都市間連携で、大阪だけでは達成できない、例えば大型のインセンティブツアー--MICEのIのことですけれども--の誘致を実現することも可能だというように思っています。 大阪観光局では2014年から京都、神戸のMICE推進団体と近畿運輸局、関西国際空港にも参加してもらいまして、情報・意見交換を開催するなど、連携を今進めているところです。 今後も、この関西のMICE拠点として、特にインセンティブツアーを中心に、これは今、台湾なんか非常に大阪に訪れていますので、そういったところを中心に、例えば合同プロモーションを行うなど、大阪が中心になった地域間連携、これを一層強化していきたいというように考えています。
○副議長(木下吉信君) 荒木肇君。 (23番荒木肇君登壇)
◆23番(荒木肇君) 市長は就任以来、現役世代、とりわけ子育て世帯等の若い世代の支援に力点を置いた施策の推進について積極的に打ち出されておりますが、女性の活躍推進については余り発信されていないように思います。 国においては成長戦略の一環として、女性の活躍推進に取り組み、昨年8月には「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」、いわゆる女性活躍推進法を制定したところでございます。企業においても、ことし4月からの女性活躍推進法の本格施行を控え、男性中心型の労働環境や職場風土を変え、女性が働きやすい職場環境づくりを積極的に進めていく取り組みも活発になってきております。 国に先駆け、大阪市においても、これまで女性の活躍促進アクションプランに基づき取り組みを進めてきているのは承知しておりますが、女性活躍推進法を追い風として、取り組みをさらに積極的に展開していくべきだと考えます。 一方、高齢化社会がますます進展する中で、介護については、男性も含め大変重要な課題です。我が会派が強く申し上げたいのは、女性の活躍推進とうたいながら、子育てが終わって職場へ復帰を考える時期に、次は親の介護という問題が持ち上がり、介護に携わる女性の割合が多く、女性の負担は増すばかりの実態があるということです。働く女性に対し、子育て環境を整備するだけでなく、介護による離職をなくすといった、女性が働き続けるための環境整備も必要だと考えております。こうした介護の問題を含め、女性のライフステージに対応し、働く女性を支援する取り組みをより効果的に進めていくべきだと考えますが、市長の御所見をお伺いいたします。
○副議長(木下吉信君) 吉村市長。 (
市長吉村洋文君登壇)
◎市長(吉村洋文君) まず、活力のある豊かな社会を実現するという意味では、女性が持てる力、持てる能力を存分に発揮して、職場、地域等さまざまな分野で活躍していくことが非常に重要であるというふうに考えております。 本市では平成26年11月に策定しました、大阪市女性の活躍推進アクションプランに基づきまして、市の重点施策としてさまざまな取り組みを進めています。中でも働く女性の支援として、女性が出産、育児や家族の介護等で離職することなく働き続けられる環境づくりを広めるため、そうした取り組みを積極的に進めている企業等をリーディング・カンパニーとして認証し、PRするとともに、男性が家事、育児等に積極的に参加するよう、特に男性を中心とした意識啓発を行ってきているところであります。 御指摘のとおり、高齢化が進展し、家族の介護をどう分担していくかが大きな課題となっている中で、現実的には女性が家族の介護を行うケースが多くなっています。これは、男性は職場、仕事、女性は家庭、家族という、いわゆる固定的な役割分担の意識が今も根強く残っていることが背景の一つにあるのではないかというように考えてます。 今後とも、子育て世代に限らず、あらゆる世代においてこうした男女の固定的な役割分担意識が払拭されて、男女がともにライフステージに応じて、その職業生活と家庭生活、地域生活を両立することができるような、そういった社会づくりに向けた取り組みを進めていきたいというふうに思っております。
○副議長(木下吉信君) 荒木肇君。 (23番荒木肇君登壇)
◆23番(荒木肇君) 次に、病院再編計画についてお聞きします。 住吉市民病院に係る病院再編計画について、厚生労働大臣の同意が得られたということであります。申請には、大阪府医療審議会による反対の意見書を付した上での結果であるとお聞きしております。 民間では対応困難な社会的に厳しい環境に置かれた子供や妊産婦に対する対応について、誘致する民間病院に対して不安視する意見が出されております。厚生労働大臣は、関係の方々に丁寧な説明を行い、これらの課題に対処するという前提で同意を出したものと理解しております。 市長は、対話を重視する姿勢を出されておりますが、これらの反対や、不安視されている意見に対して、どのように対処していこうと考えておられるのか、市長の御所見をお伺いいたします。
○副議長(木下吉信君) 吉村市長。 (
市長吉村洋文君登壇)
◎市長(吉村洋文君) まず、今回のこの申請に際して、関係先からさまざまな御意見をいただいたことについては承知しております。ここ大阪市会においても、非常にここは議論が重ねられたところだという認識をしてます。 住吉市民病院が受け入れてきた患者の実態とニーズを踏まえて、今後、府市共同住吉母子医療センターと民間病院の担うべき基本的な医療機能について、大阪府と大阪市において、具体的な役割分担を行って、住吉市民病院の廃止までに必要な体制を構築していきます。大阪府と連携して、開院に向けてだけではなく、開院後も引き続き、住吉市民病院が担ってきた医療機能が維持・確保されるよう、しっかりと両病院を支援していきたいというように考えております。 今回のこの同意によりまして、この南部医療圏におけるハイリスク出産・分娩が充実するということ、新生児の集中治療室等も含めて、まさにこれから生まれてくる子供たちのためにも、これはしっかりと整備していきたいというふうに考えております。地元の方々には、いろんな場を設定して、その場で御意見を伺いながら丁寧に説明して、御理解をいただけるように進めてまいりたいというように考えています。
○副議長(木下吉信君) 荒木肇君。 (23番荒木肇君登壇)
◆23番(荒木肇君) 次に、副首都についてお伺いします。 東京一極集中を解消することは、大阪のみならず、我が国全体にとっても大きな課題であると認識しております。この課題認識のもと、我々は道州制による地方への権限移譲をこの間ずっと主張し続けており、わざわざ回り道をして特別区や副首都について議論することは、はなはだ疑問であります。2月9日に開催された第2回目の推進本部会議における議論を見ても、市長の言う副首都・大阪がどのようなものか、議論の方向性すら見えてまいりません。そうした曖昧なもののために大阪市の職員や税金を使って会議を運営すること自体、我々としては賛同できません。 副首都推進を掲げる会議の事務局を運営する以上、大阪市として、市民の皆さんに議論の目的や方向性をわかりやすく示す必要があると思いますが、現状では曖昧でわかりにくい話ばかりに見受けられます。 例えば、第2回目の会議からは、大阪府、大阪市に加え、堺市、府内市長会、町村長会からも各首長が参画されているようですが、そもそも市長が副首都・大阪として想定しているのは、大阪府域なのか、大阪市域なのかを確認させてください。
○副議長(木下吉信君) 吉村市長。 (
市長吉村洋文君登壇)
◎市長(吉村洋文君) まず、道州制については、私も賛成、道州制論者ではあるんですが、全く国において進んでおりません。今回、私が国会議員になってから、道州制基本法を上げるか下げるかというところで、自民党は下げるという判断をされました。非常に残念だというふうに思っておりますが、道州制は長い目で見たときにやはりこれは進めていくべき課題だろうというふうに認識しております。 東京一極集中がますます加速する中では、やはりこの産業、経済における大阪の地盤沈下、それを食いとめて、大阪、関西全体の一層の成長を図るということが大事だと思っております。大阪府と大阪市の間のこれまでの二重行政、二元行政、これを排して、迅速な意思決定のもとで広域的な視点に立って施策の選択と集中を進めること、そういったことも必要だというふうに考えております。 昨年末に、大阪府とともに設置しました副首都推進本部におきまして、副首都に求められる機能について、有識者の皆さん、ほかの自治体の首長の皆さんを初め、節目節目で府市の議員の皆さんや経済界の方々にも参画いただいて議論を進めて、本年8月から9月ごろを目途に議論を集約して、副首都機能に係る中間整理をしたいというように考えております。 こういった議論の中で、副首都の機能とともに、副首都にふさわしい行政機構のあり方や、そのエリアについても一定の整理がなされるものというように考えておりまして、これまで大阪の衰退の一因となっておりました大阪市だけ、大阪府だけという狭隘な捉え方ではなくて、広域的な視点に立って都市機能を捉えて、副首都の定義やあり方について議論を重ねていく必要があるかというように思っております。
○副議長(木下吉信君) 荒木肇君。 (23番荒木肇君登壇)
◆23番(荒木肇君) 関連して質問させていただきます。 先ほどの質問に対してのお答えがいただけてないというふうに考えますんで、違う角度からお尋ねいたします。首都はどのエリアかということでお答えいただけますでしょうか。よろしくお願いします。
○副議長(木下吉信君) 吉村市長。 (
市長吉村洋文君登壇)
◎市長(吉村洋文君) 先ほども申し上げましたが、大阪市域に限る、大阪府域に限る、そういった視点ではそもそもないということですね。まずその副首都機能、それから……。 (「首都のエリア」と言う者あり)
◎市長(吉村洋文君) 首都のエリアについては、これは定まった法律というのがないですから、共通認識としては東京ということであるんだろうというふうに思います。ただ、これについては、首都についても、副首都についても、明確な定義づけをされた法律というのはないんだろうというように認識してます。
○副議長(木下吉信君) 荒木肇君。 (23番荒木肇君登壇)
◆23番(荒木肇君) それでは、引き続き。 首都の定義も定まらない中、今の推進本部の中でこのエリアを専門にされている委員がいらっしゃるんでしょうか、どうぞお答えください。お願いいたします。
○副議長(木下吉信君) 吉村市長。 (
市長吉村洋文君登壇)
◎市長(吉村洋文君) まず、都市機能のあり方について専門的にされているのは、中央大学の佐々木教授なんかは、比較的この地方自治制度についての専門的にされている分野だと思っております。猪瀬元東京都知事も参画していただいておりますが、これはまさに実務を行ってきた知事であります。この大都市のあり方についてどうするのがあるべき姿なのか、まさにかじ取りをされてこられた、そういった実務者についても参画をいただいているところであります。 首都というのは東京であるというのを前提に、首都圏の圏域の整備法なんかはありますけれども、そういった中で、もう一つの核を担う副首都の機能のあり方、意義、そういったものを今議論しているところであります。 もともと法律がない中ではありますが、そういった機能はどうあるべきなのかといったところをしっかりと議論していく。そしてあるべき姿を求めていくというのは、私は政治家としての役割だと思っています。
○副議長(木下吉信君) 荒木肇君。 (23番荒木肇君登壇)
◆23番(荒木肇君) 大阪府の松井知事が法定協を9月に立ち上げるというふうにおっしゃっております。この推進局で、この副首都の話ではなく、都構想を再度議論されるのではないでしょうか。お答えいただけますでしょうか。
○副議長(木下吉信君) 吉村市長。 (
市長吉村洋文君登壇)
◎市長(吉村洋文君) まず、副首都推進本部においては、この統治機構のあり方、それは特別区であれ、総合区であれ、大都市の機構のあり方については議論すべきであろうというふうに思っております。 法定協議会については、これはまさに議会の皆さんの同意がなければ進まないところであるというふうに思っておりますので、副首都推進本部とはちょっと少し違うのかなというように認識してます。
○副議長(木下吉信君) 荒木肇君。 (23番荒木肇君登壇)
◆23番(荒木肇君) 副首都とは何かを議論するための前提である副首都のエリアが、大阪府域全体であるのか、大阪市域のどこなのかも不明確なままでは、議論が混乱するだけで、大阪にとって有益な結論が導かれるとは思えません。2回にわたる会議の概要を見ても、一つ一つ議論を積み重ね、副首都の定義やあり方について確固たるものをまとめるための議論をしているというより、首長や有識者が個人の思いを述べるにとどまっている場のように見受けられます。そのことは、堺市、市長会、町村長会まで会議に参画させ、オール大阪で議論をするという体裁を整える一方で、大阪府と大阪市のみに事務局を担わせ、実質的には府市だけで議論を進め、その先の特別区設置、すなわち大阪市解体ということを目指すための方便にしか思えません。 既に住民投票で決着のついた特別区設置を視野に入れた副首都なるものの推進に市の税金や人材を投入する前に、270万人市民の生命、安全、財産を守るという自治体本来の責務を優先すべきであると指摘させていただきます。 あわせて、大阪府は、まず財政再建を優先すべき状況にあることは、質問の前半でも触れたところであります。市長からもぜひ、知事に対して財政再建をまず行われるよう進言いただきたいと思います。 最後に申し上げます。 大阪市は、昔から市民がみずからつくり上げてきた都市であり、独立進取の気風にあふれた活気のある都市でありました。その大阪の基礎を築いたのは関一第7代大阪市長であります。日本で最初に都市計画という言葉を使われました。そして、その信念は住み心地よき都市であります。 過去の負の遺産や負のイメージばかりを取り上げるのではなく、先人たちが築き上げたこの大阪の歴史、文化、伝統を守り、新しい都市として未来に向けた新たな歩みを進め、創造的な改革に取り組むべきです。商都大阪としての
都市インフラの整備とともに、混乱した教育現場の立て直しや、地域コミュニティーの新たな展開を市長に求めておきます。吉村市長には、第20代大阪市長として、前任者や大阪府知事の顔色をうかがって大阪市政を進めるのではなく、大大阪の市長としての誇りや自覚のもと、大阪市民のために真に必要な施策の推進のために邁進いただきたいと思っております。 以上、るる指摘をいたしましたが、詳細については各常任委員会に譲ることといたしまして、私の質問を終わらさせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(木下吉信君) お諮りいたします。この際、暫時休憩することに決して御異議ありませんか。 (「異議なし」と呼ぶ者あり)
○副議長(木下吉信君) 御異議なしと認めます。よって暫時休憩いたします。 午後2時22分休憩 午後3時再開
○議長(東貴之君) これより休憩前に引き続き会議を開きます。
○議長(東貴之君) 八尾進君の質疑を許します。 50番八尾進君。 (50番八尾進君登壇)
◆50番(八尾進君) 私は、公明党大阪市会議員団を代表いたしまして、今回上程されております平成28年度大阪市当初
予算案並びに関連案件について質問をさせていただきます。 本予算案は、昨年12月に就任された吉村市長が初めて編成されたものです。前市長の任期中は、市政改革の名のもとに削減ありきの施策の見直しが進められました。その結果として、大阪の活力は少なからずそがれ、市民だけでなく市職員ですら、大阪の将来に夢や希望を見出すことが困難となっているのではないでしょうか。本市の財政状況につきましては、本予算案において全会計ベースで市債残高が12年連続で減少するなど着実に改善しています。 今こそ、絶好の機会です。ぜひ、吉村市長にはリーダーシップを発揮していただき、今後10年、20年先を見据え、大阪をさらに魅力あるまちにするための大きな一歩を踏み出していただきたいと考えます。 新年度予算が、より実りあるものとなるよう、我が会派として新たな提案もさせていただきながら質疑を進めてまいりますので、よろしくお願いします。 まず、マスタープランの策定についてお伺いします。 前市長の任期中は大阪都構想を掲げていたため、市職員も近い将来に大阪市がなくなるかもしれないという想定のもとで近視眼的にしか物事を考えられず、長期的な視点や方針を持つことができていませんでした。後ほどお聞きする諸施策の中でも、計画性がないものが多く見られます。昨年5月の住民投票の結果、大阪市の存続が決定いたしました。これからは地に足をつけ、10年、20年先を見据えたマスタープランを持って市政を運営するべきです。 先ほどの答弁では、現在の総合計画が今年度で期限切れとなる中、新たな総合計画ではない「まち・ひと・しごと創生総合戦略」を策定すると述べられました。しかし、これは国の要請に基づき、人口減少への対応の視点で策定するものであり、大阪市が自発的に策定するものではありません。また、その期間も平成31年までと、今後4年間のものにすぎません。今までの総合計画にかわるものと位置づけるには、計画期間、量とも不足しています。吉村市長が施政方針演説で述べられたリニア中央新幹線の整備も10年以上先になります。今、10年後の大阪市の姿が描けずして、なぜリニアの整備が言えるのでしょうか。 また、団塊の世代の方々が75歳になる2025年問題もあと9年後であり、その対策も急務となっています。大阪市には人口減少に限らず、さまざまな課題が山積しています。これらの解決のためには、長期的視点に立ったマスタープランが必ず必要です。現在の総合計画が期限を迎え、住民投票により大阪市の存続が決定し、吉村市長が就任したこのタイミングでこそ「まち・ひと・しごと創生総合戦略」だけではなく、新たなマスタープランもつくるべきだと考えますが、市長の御所見をお伺いします。
○議長(東貴之君) 理事者の答弁を許します。 吉村市長。 (
市長吉村洋文君登壇)
◎市長(吉村洋文君) 議員、御指摘の趣旨はわかるんですけれども、本市では2020年、平成32年までの大阪の成長戦略を初めとしまして中長期的な戦略や分野別計画を定めておりますとともに、毎年度、市政運営の基本方針や各局運営方針を策定して市政全般を着実に進めております。厳しい財政状況の中で、豊かな大阪を実現していくためには、急激に変化する社会情勢にも的確に対応しながら施策・事業の選択と集中を進めていくことが不可欠であろうというふうに認識しております。 国の地方創生の動きに合わせまして、人口の分析と2040年までの将来展望を提示します大阪市人口ビジョンと、それを踏まえまして平成31年度までの目標や施策の基本的方向、具体的な施策を取りまとめる「大阪市まち・ひと・しごと創生総合戦略」を策定していこうとしておりまして、これまで素案の策定、パブリックコメントなどを進めてきましたところであります。 この戦略は、これまでのいわゆるマスタープランではありませんが、国の示す政策分野を勘案しまして策定するものでございます。大阪経済の活性化、都市魅力の創造・発信、就労支援、女性の活躍促進、子育て・教育環境の充実、市民生活の安全・安心の確保、地域コミュニティーの活性化など、幅広い分野にわたり重点的に進めていく施策を、本市の実情を踏まえて総合的に取りまとめて今月中に策定いたします。さらに、本市独自の取り組みとしてのエリア別のまちづくり戦略や工程表といったものについても盛り込んでいきたいというふうに考えておりまして、市民の御意見や議会での議論など幅広く踏まえながら、平成29年度予算の編成に間に合うよう計画を策定してまいります。 今後は、中長期的な計画である大阪の成長戦略及び「大阪市まち・ひと・しごと創生総合戦略」と毎年策定する施政方針の基本方針によりまして、豊かな大阪を目指す市政の方向性をしっかりとお示ししていきたいというふうに思ってます。
○議長(東貴之君) 八尾進君。 (50番八尾進君登壇)
◆50番(八尾進君) 設計図がなければ家は建ちません。マスタープランは、言わば大阪市の設計図です。ぜひとも策定をお願いします。何事も計画、目標をしっかり持つことが大事であります。以後、この観点を踏まえて質問をしていきたいと思います。 次に、
市民サービスの拡充に係る財源の確保についてお伺いします。 28年度予算案では、5歳児に係る幼児教育の無償化が計上されており、これに要する経費は25億円となっています。また、ほかにも塾代助成で26億円など、多額の経費が必要となる事業が多く計上されています。 子供・教育施策の拡充は、我が会派が長年にわたり主張してきたことであり大賛成でありますが、新たな
市民サービスの拡充のために、これまで行ってきた
市民サービスが削られるようなことがあってはなりません。これらの経費について、将来にわたって予算の確保が必要になってきますが、見通しは立っているのでしょうか。市長の御答弁をお願いします。
○議長(東貴之君) 吉村市長。 (
市長吉村洋文君登壇)
◎市長(吉村洋文君) まず、子供・教育施策の拡充でございますが、これは御党とは方向性を一にしているものというふうに考えております。 幼児教育の無償化などについては、国もその施策としての必要性は認識しており、本市が先駆けて、私は、これやるべきだという意味で今回予算編成しております。幼児教育の無償化など、子供・教育施策は未来への投資であって、最も優先度の高い施策であるというふうに思っております。今後、国に対しても、財源措置を含めた対応を急ぐよう、積極的に要望していきたいというふうに思ってます。 29年度以降についてですが、これにつきましても引き続き、区長、局長の自律的な改革をそれぞれしっかりと求めながら、新たな市政改革の状況や税収の動向など、しっかり見据えた上で
市民サービスの拡充、これを目標にして、しっかりと検討を行っていきたいというふうに考えております。
○議長(東貴之君) 八尾進君。 (50番八尾進君登壇)
◆50番(八尾進君) 次に、成長戦略についてお伺いします。 まずは、産業振興、成長産業の育成に資する国際会議や展示会など、MICEの誘致についてであります。 MICEは、観光という視点で語られることが多いのですが、その経済波及効果の大きさやビジネス機会の創出効果など、幅広い経済的意義を有するもので、私は、一義的には産業政策と考えています。大阪の産業振興や成長産業の育成に資するMICEの誘致に力を入れるべきです。 現実に、国際会議の開催件数を見ますと、人口が神戸市を超え、今話題の福岡市では平成25年の253件から平成26年は336件と大幅な伸びを示している一方で、大阪市は172件から130件へと低迷しています。大阪の利便性や観光資源の豊富さを考えると、少ないと言わざるを得ません。 また、産業振興の観点からいえば、MICEを誘致するだけでなく、新たに大阪でMICEを創出していくことも重要です。その中で日本3大展示場の一つであるインテックス大阪は、大阪の産業振興にとって重要な役割を担っていますが、開業から約30年が経過し、施設の老朽化も課題となっています。また、東京ビックサイトの稼働率は一般的に施設保全などにより限界とされている約7割を占める一方で、インテックス大阪の稼働率は平成26年度で27.6%と非常に低い状況となっています。今後、MICEに関する戦略とともに、インテックス大阪の果たすべき役割を再認識しつつ、目標を持ってその稼働率の向上を目指すための抜本的な取り組みを進めるべきです。 こうしたMICEの誘致は、大阪観光局が中心となって進めていますが、観光局を初め、事業者任せにするのではなく、どのようなMICEを誘致し、どのような効果を生み出すことを目的とするのかについて、IRばかりにとらわれるのではなく、市としての戦略、目標を持って取り組まなければならないと考えますが、市長、いかがでしょうか。
○議長(東貴之君) 吉村市長。 (
市長吉村洋文君登壇)
◎市長(吉村洋文君) まず、MICEについては、本当に大阪において、まだまだ伸びる可能性のある分野の産業だというふうに思っております。私自身も、このMICEについては力を入れていきたいというふうに考えております。人が集まることにより、直接的な効果のほか、MICEの開催を通じた国際、国内相互の人や情報の交流、ネットワークの構築、そういったものが行われて、ビジネスマーケットの拡充にもつながるというふうに考えております。 引き続き、開催件数の増加にも努めていきますが、やはり内容も非常に重要だというふうに思っております。大阪の強みがある環境や新エネルギー、バイオ、そういった成長産業のまさにそんな分野を重点的に誘致して、成長産業の育成、それからイノベーションの、まさにそのツールとしてのMICEを活用していきたいと思います。 つい先日ですが、MICEの専門誌であります月刊「MICE Japan」というのがあるんですけれども、それの対談を私やりましたが、そこでも同じように、そういった方向性について述べさせていただきました。 市内では、会議場、展示場、ホテル、商業施設など、近隣の事業者が協力してMICEに取り組もうとしている地域もあります。そういったポテンシャルが高い地域ともしっかり連携して、そのエリア特性を生かしたMICEの取り組み、これも進めていきたいというふうに思っております。 インテックス大阪についてですが、地域内における施設間の連携も進めながら、大阪の企業がより一層ビジネスの拡大を図れるような、質の高い大規模展示会の誘致・開催を目指します。大阪市内への積極的な展示会誘致を促進するための新たな助成制度を創設いたします。特に、この大きな展示会については、一度それが行われると、それが年々続く傾向にありますので、新たなそういった展示会を誘致するための助成制度、これを新設いたします。 こういったMICEの誘致については、大阪観光局に専門の人材を配置しまして、マーケティングとプロモーション、開催の支援などを行っておりますけれども、ますます国内外の都市間競争が激しくなってきてます。今後、市としても、そのよりどころとなるような戦略的な方針、これは府とも調整する必要があると思いますが、来年度中に--それを目途に取りまとめて、目標を定めて、大阪観光局と連携しながら積極的にMICEに取り組んで、大阪の経済効果、これを高めていきたいというふうに考えてます。
○議長(東貴之君) 八尾進君。 (50番八尾進君登壇)
◆50番(八尾進君) 次に、観光施策についてお伺いします。 MICEの誘致を進める一方で、
インバウンドの急激な増加を受け、ホテルや観光施設の充実、観光利便性の向上に向けた取り組みが急務となっています。 ホテル不足の問題については、先般、民泊条例も一部修正の上、可決されましたが、それはあくまで補完であって、旅館業法にのっとったホテルの誘致にしっかり取り組む必要があります。そのためには、どれだけホテルの不足が見込まれるのかをしっかり把握した上で、いつまでに、どれだけホテルをふやすのかという目標を持って計画的に取り組まなければなりませんが、今は、その目標や方針が明確でない状況であります。 また、本市の重要な観光資源である天王寺動物園について、現在、基本計画さえまだできていません。動物園を魅力ある観光拠点にしていくという方針を前市長は打ち出しておられましたが、社会教育に加え、近距離レジャーや都市魅力創造という観光の役割を果たし、ファミリーだけでなく、
インバウンドを含めたさまざまな人に来てもらうよう改善していかなくてはなりません。そのため、計画の策定に際しては、マーケティング面など専門的な視点からの検証も必要であると考えます。 そのほかにも、観光客の利便性の向上のためには、誰でも使えるWi-Fiの整備が重要です。交通機関や観光関連施設での設置が進んでいますが、USJや海遊館など大型施設でも未設置のところがあり、普及の余地はまだまだあります。今後、より一層、設置数の拡大に取り組む必要があると考えます。 ホテルの誘致や天王寺動物園の魅力向上、またWi-Fiの整備も含めて、しっかりした目標、計画を立てて取り組むべきだと考えますが、市長、いかがでしょうか。
○議長(東貴之君) 吉村市長。 (
市長吉村洋文君登壇)
◎市長(吉村洋文君) まず、来阪の外国旅行者が急増しておりまして、大阪のホテル稼働率が90%を超えて全国一となる状況で、宿泊施設の確保が、これが、まずは喫緊の課題であると思っております。大阪では泊まる所がないということになれば、まさに、この大阪が敬遠されるそういった一つの要素にもなると思いますので、そこはしっかり対応していかなければならないというふうに思っています。 市内では、新規開業が相次いでおりまして、2020年までに4,500室以上の増加が見込まれます。仮に、2020年の来阪外国旅行者の目標を1,000万人とすれば、概算ですけれども、さらに1万室程度が必要になるというふうに考えられています。今後の建設見込みや、いわゆる民泊の状況を調査するなど、まず不足数の把握に努めてまいります。 ホテルの誘致については、本市の未利用地について、ホテル立地に適するかどうかを精査し、民間にも働きかけを行っております。今後、ホテルの不足数見込みの調査結果をもとに、2020年までの宿泊施設確保の目標を来年度半ばまでには定め、既存施設のホテルへの転用等も含めて、引き続き、民間投資の呼び込みに努めていきたいと考えています。 天王寺動物園については、議員、御指摘のとおり私も同感でありまして、非常に大きなポテンシャルを持つ動物園だと思っております。天王寺・阿倍野地区の集客、観光の拠点として活性化させていく必要があるというふうに考えています。この間、ナイト・ズーの実施やふれあい広場の開設など、新たな事業にも挑戦してきたところです。また、現在、平成28年夏を目途に動物園基本計画の策定を進めています。計画策定に当たっては、動物園に精通する有識者から指導、助言をいただきながら、公立動物園としての役割を果たしつつ、日帰り圏のファミリー、カップル、グループだけでなく、外国人を含む観光客層もターゲットとして魅力向上が図れるよう、飼育、展示、サービス、施設整備など動物園の全事業及び経営のあり方について検討を進めているところでございます。 今回、策定します動物園基本計画を着実に実行していくことで、大都市大阪にふさわしい魅力ある動物園にしていきたいと思っています。まさに、場所においても本当に超1級のところにありますので、ぜひ、この動物園基本計画を策定して実行していきたいというふうに考えております。 最後に、大阪観光局とともに整備を進めます、Osaka Free Wi-Fiについてですが、市内観光施設、駅構内だけでなく、商店街や店舗等にも広がっております。また、昨年12月からは、難波と関西国際空港を結ぶ南海電鉄のラピートの車内でもサービスが提供されているところです。昨年末で市内約2,300カ所に設置していますが、当面、最低、年250カ所以上を目標にして、さらに設置箇所数の上積みが図れるよう努めていきたいというふうに思っております。
○議長(東貴之君) 八尾進君。 (50番八尾進君登壇)
◆50番(八尾進君) 観光庁の調査によると、海外からの観光客が一番困っているのはWi-Fiの整備のおくれです。対策を急いでいただくようお願いいたします。 次に、中小企業支援についてお伺いします。 総務省の平成26年の経済センサス基礎調査から試算すると、企業の開・廃業率では、東京都区部は開業率が8.6%で廃業率が8.2%と開業率が上回っていますが、大阪市では、逆に開業率が7.5%で廃業率が8.3%と廃業が上回っており、大阪の経営環境が厳しい状況が続いています。 このような中、中小企業は大企業と比べ情報発信力が弱く、世界に通用する技術力を持ちながらも埋もれてしまっているように感じます。大阪市がバックアップし、市内中小企業の技術力を世界にアピールできるようにするべきです。 また、大阪市には優秀な能力を持った企業のOBも数多くおり、人材の宝庫でもあります。2025年問題への対応としても、そうしたシニア人材を戦力と捉え、積極的に活用する取り組みも必要ではないでしょうか。 加えて、この3月の高校卒業予定者の就職内定率が25年ぶりに90%を超える高水準となっているとの報道もありました。労働環境は改善の傾向が見られます。中小企業にも優秀な人材が集まるよう、取り組みを行うべきではないでしょうか。市内の高校、大学等の新卒者に対して、高い技術力を持つ中小企業の情報を発信するなど、優秀な企業の紹介、マッチングなどに取り組むべきと考えますが、市長、いかがでしょうか。
○議長(東貴之君) 吉村市長。 (
市長吉村洋文君登壇)
◎市長(吉村洋文君) 市内の中小企業は、まさに大阪経済を牽引して、市民の雇用や暮らしを支える、極めて重要な役割を果たしていると思っています。その中でも高い技術力を持つものづくり企業は、大阪経済にとって非常に貴重な宝であるというふうに思っております。世界水準の技術力を有しながらも、世間では余り知られていない市内のものづくり企業の情報を、ホームページや情報誌、海外展示会の場など、さまざまな機会を捉えて発信し、国内外に向けて大きくアピールしていくことで取引拡大につなげてまいります。 また、シニア人材の活用が社会的課題となる中で、産業創造館においては、中小企業の持つ埋もれた技術を発掘し、提携先を紹介する事業を実施しています。豊富な経験と人脈を持つ技術職の企業OBがコーディネーターとして活躍しています。今後も、中小企業支援の観点からシニア人材を活用する取り組み、これを充実させていきます。中小企業がシニア人材の有効活用により、みずからの組織強化へとつながる取り組み、これについても推進していきたいというふうに考えております。 加えて、将来を担う若い優秀な人材を確保することも中小企業にとっては大変重要な課題であるというふうに思っております。これまでも、市内のものづくり企業と工業高校との交流を実施してきましたが、今後は大学などの教育機関とも連携を深めるなど、中小企業が持つ魅力を広く発信していきます。新卒者を初め、若年者の中小企業への就職につながるマッチングについても、これまでの取り組みに加え、来年度からは新たに大阪商工会議所と連携して実施していきます。優秀な人材の確保につながるよう、積極的に支援していきたいというふうに考えております。
○議長(東貴之君) 八尾進君。 (50番八尾進君登壇)
◆50番(八尾進君) 次に、文化施策についてお伺いします。 まずは、文化の振興に向けた取り組みについてであります。 現在の文化振興計画は、本年3月で期限が切れ、新計画はこの秋に策定されると聞いています。つまり、平成28年度当初予算における文化施策に係る事業は、骨子となる計画のない中で組み立てられたものです。これでは、文化施策に対する認識が低いと言わざるを得ません。 ことしは、大阪が生んだ俳聖、与謝蕪村の生誕300年という節目の年でもあり、このように文化的、歴史的に魅力のある大阪市に見合った文化施策の展開、充実が求められると考えます。 平成25年に活動を開始した大阪アーツカウンシルの取り組みについても、目に見える具体的な成果が出ているとは言いがたい状況です。文化育成には時間がかかると言われていますが、しっかりとした取り組みを行い、着実に成果を出していかないと衰退するのは目に見えています。これまでの文化施策は、団体や芸術家への助成など芸術・文化活動を行う側に予算を投じるものが多かったと感じられますが、今後は、芸術・文化活動の受け手となる市民に向けた施策の充実も図るべきと考えます。特に、芸術・文化に興味はあっても、さまざまな制約で、これらに触れることが困難な層の市民のための施策として、例えば美術館や音楽会のチケット代などに使えるバウチャー制度の創設など、市民ニーズに合った施策展開が必要ではないかと考えます。 こうした視点を含め、文化施策の充実に対する市長のお考えをお聞かせください。
○議長(東貴之君) 吉村市長。 (
市長吉村洋文君登壇)
◎市長(吉村洋文君) 大阪では、先ほど、議員の御指摘ありました与謝蕪村など、幾多の創造性豊かな人材が輩出されるなど、都市の発展に文化が大きな役割を果たしてきたと考えております。そして、今後、大阪が産業、雇用の創出につながる都市魅力をさらに高めていく上では、この文化施策というのは大変重要であるというふうに思っております。 同時に、文化施策における行政の役割は、文化の振興を図って、観光資源などとして国内外に発信するとともに、市民団体の自主性と創意工夫により活発な文化活動が行われるようにサポートすることだと考えております。そのため、芸術・文化の専門家によるアーツカウンシルを創設し、文化事業の評価、提案等を行う役割を担っていただいております。その体制充実も図ってまいりたいというふうに思います。 本市では、これまで市民ニーズに応えるため、芸術・文化事業への助成、伝統芸能やクラッシック音楽など、市民の皆様に気軽に文化プログラムを観賞できる機会の提供にも努めてまいりました。日常生活において、さまざまな事情により芸術・文化に触れることが困難な市民のニーズにも応え得る芸術・文化体験機会の一層の充実を図る必要があるというふうに思っております。そのため、ただいま議員から、例えばバウチャー制度といった御提案もいただきましたが、今後、そういった趣旨を踏まえて、さまざまな施策、これをしっかりと検討していきたいというふうに思っております。 本年秋に策定を予定しております新たな文化振興計画には、2020年オリンピック・パラリンピック東京大会の文化力プロジェクトへの対応や、こうした市民向け施策を盛り込み、大阪らしい文化施策の充実を図ってまいりたいと思います。
○議長(東貴之君) 八尾進君。 (50番八尾進君登壇)
◆50番(八尾進君) 次に、新美術館についてお伺いします。 我が会派では、かねてから新しい美術館について、早期に開館するよう要請してきましたが、今年度も具体的な進展が見られなかったことは非常に残念です。来年度は、PFI手法による整備を見据え、アドバイザリー業務を行うと聞いております。民間ノウハウを活用することは否定しませんが、逆に、事業の丸投げになってしまうのではないかと、大いに危惧しております。 先日、富山市ガラス美術館と金沢21世紀美術館に視察に行ってきましたが、美術館機能に加えて図書館が併設されていたり、若い人でにぎわうようなおしゃれなカフェが設置されたりしていました。 新しい美術館については、こうした事例のように、どんな層の方にも垣根なく来ていただけるよう美術館機能の複合化を図るなど、本市としての方針をしっかりと持ち、その方針を整備や運営にきっちりと反映する必要があると考えますが、いつまでに、どのような方針を立てていくのでしょうか。 また、ハコを建てる議論だけではなく、これからは、いかに多くの人に来てもらうのかという中身の検討に力を入れるべきです。現在所蔵している美術品は、みずからの美術館で展示する以外に、海外の美術館へ貸し出しを行うことで、将来の海外美術館の企画展を誘致するためのコネクションを築くことにも役に立っております。美術品の購入は、このように長期的な視点も踏まえて予算措置も含めて考えるべきです。 また、美術品の充実以外にも、
インバウンドを呼び寄せるなど、新しい美術館が大阪の観光施設の主力となれるよう、さまざまな集客のための取り組みを考えるべきですが、市長、いかがでしょうか。
○議長(東貴之君) 吉村市長。 (
市長吉村洋文君登壇)
◎市長(吉村洋文君) まず、新しい美術館のコンセプトや活動方針を定めたものとしては、昨年度に策定しました新美術館整備方針がございます。 今回、民間ノウハウを最大限活用するために、新たにPFI手法の導入を決定しましたが、決して民間事業者にだけ都合のいいように進めるというのではなくて、まさに第1級のコレクションを生かして、国内トップクラスのミュージアムを目指すということを初めとしまして、この整備方針で定めた内容を確実に実現できるように、大阪市としての意見をはっきり示しながら取り組みを進めてまいります。 また、施設内容につきましても、そこに訪れることが目的となる魅力的なカフェやレストランを誘致するのはもちろんのことながら、子供が小さいころから芸術に親しめるよう、それ自体がアート作品となるような遊具のある芝生広場を設置したり、演劇やコンサートも開催できるホールを併設したりといった、これまでの美術館のイメージとは異なる機能を取り込むことで、誰でも気兼ねなく立ち寄れる美術館を目指していきたいというふうに思っております。 新しい美術館は、大阪の文化向上に資するだけじゃなく、外国人観光客の取り込みや、新たなコンテンツビジネスの開拓など、施政方針演説に掲げました観光を新たな基幹産業にということを実現していく上でも、重要なコンテンツになるというふうに考えております。PFIを使いながら、しっかりとした方法で、着実に進めていくことで、平成33年開館を目指して進めていきたいと思っております。 新しい美術館ではモディリアーニやマグリットなどの名作を所蔵しておりまして、これらは世界の主要都市の美術館に貸し出され、好評を博してきています。こういった美術品の貸し借りで培ってきた関係性を生かすとともに、私自身もしっかりとトップセールスを行いながら、開館後には魅力的な展示会が開催していけるよう努めていきたいというふうに思っています。 御指摘の作品購入につきましては、市民の皆様や企業からの寄附を初めとして、あらゆる工夫を図りつつ、その予算化につきまして検討してまいります。魅力的な展示会の開催に加えて、民間ノウハウの活用により、今までの美術館にはない新たなサービスの提供やプロモーション能力の強化に取り組んで、世界からも注目を受けるような、そういった美術館を目指していきたいと考えております。
○議長(東貴之君) 八尾進君。 (50番八尾進君登壇)
◆50番(八尾進君) 次に、女性の活躍促進についてお伺いします。 国においては、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」、いわゆる女性活躍推進法が昨年8月に成立、施行しており、この4月1日からは従業員301人以上の企業及び国や地方自治体に対して、事業主行動計画の策定、公表を義務づけています。 昨年12月に閣議決定された第4次男女共同参画基本計画において、民間企業における課長相当職に占める女性の割合は、平成26年度で9.2%となっており、平成32年度の目標は15%を掲げています。本市の現状は職員全体の約3割が女性でありますが、課長級以上の管理職の女性の割合は11.9%となっており、全体の割合からすると、上位職の割合は低い状況です。 一方で、国の第4次男女共同参画基本計画においては、市町村職員の各役職段階に占める女性割合の成果指標として、本庁課長相当職が20%とされています。本市としても、国に倣い、行動計画で女性職員の管理職登用比率を数値目標として明確に定め、具体的な取り組みを進めるべきだと思いますが、どのようにお考えでしょうか。 また、市長としてリーダーシップを発揮し、民間企業においても女性の管理職登用が進むよう、積極的に取り組むべきであると考えますが、市長の御決意をお伺いします。
○議長(東貴之君) 吉村市長。 (
市長吉村洋文君登壇)
◎市長(吉村洋文君) 女性がさまざまな分野で持てる力を発揮して活躍できる社会づくりを進めていくこと、これが経済活動であったり、地域の活性化、ひいては豊かな大阪の実現にもつながるものというふうに考えております。 本市においても、女性職員がさまざまな場面で活躍しておりまして、政策方針決定過程へ参画することというのは、まさに政策の質と行政サービスの向上につながるというふうに思っております。私自身、ふだんの業務において女性管理職と接することも多くありますが、非常に優秀な職員が多いなという認識であります。 本市職員の女性管理職の割合は、全体の割合に比べるとまだまだ低い状況でありますが、課長代理級、係長級といった、今後、管理職となっていく層には女性が相当数存在します。これら女性職員の人材育成を図ることで、5年後、10年後に女性の管理職割合を高めていくことが重要だというふうに思っています。 計画については、現在、策定中でありますが、本市としては、国の課長相当職20%を目途に数値目標を定めていきたいと考えてます。実現に向けては、女性職員には多様な職務機会が与えられて、そしてキャリアを形成していくことはもちろんですけれども、長時間勤務の是正など、男女ともに働きやすい職場づくりの推進というのも不可欠だろうと思ってます。 また、女性がさまざまな分野で活躍できる社会の実現に向けては、民間企業においても女性の管理職登用が進んでいくことも重要であるというふうに考えてます。 今後、市長である私自身が先頭にも立って、市みずから女性職員の管理職への登用や、男女ともに働きやすい職場づくりを推進していきたいと思ってます。 また、民間企業に対しても、さまざまな機会を捉えて、経営管理者層の意識や職場風土の改革に向けてメッセージの発信、あるいは、その働きかけというのを行っていきたいというふうに考えています。
○議長(東貴之君) 八尾進君。 (50番八尾進君登壇)
◆50番(八尾進君) 次に、教育施策についてお伺いします。 まずは、学校教育ICT活用事業についてであります。 学校教育におけるICTの活用につきましては、本年度、各区にモデル校を設置するとともに、全ての小中学校に基本40台のタブレット端末等を整備し、来年度から本格的に全市展開されていくと聞いています。 27年度までにタブレット端末を使って授業してきたのは、実質的にはモデル校の9校のみであったのが、28年度はそれが一気に約420校に広がることとなります。ICTを活用した教育には、32億円もの膨大な予算が必要であり、失敗が許されない取り組みです。機器が整っても、教員がそれを使いこなせなければ無駄になってしまいます。全市展開するに当たっては、全ての教員がICT機器を有効に活用した授業ができるように、機器の使い方やトラブルが起こったときの対処等について、教員を支援する体制が必要です。これまでのモデル校では、そのためにICT支援員が各校に常駐で配置されていましたが、28年度の全市展開に当たっては、全ての学校にそれだけの体制がとれるかについて大変懸念しています。また、LAN環境においても、モデル校並みに増強が図られている小中学校は1割にも満たず、全ての小中学校をモデル校並みに増強するためには、四、五年かかると聞いています。 このように、支援体制やLAN環境の整備も十分とは言えない中で全市展開が始まるわけですので、全市に整備した40台のタブレット端末等が有効に活用されるのか、支援体制を早急にモデル校並みに拡充するのは当然のこととして、しっかり効果検証し、場合によっては事業を再構築することも考えるべきではないでしょうか。 学校教育ICT活用事業について、教育長はどのように取り組むべきと考えているのか、御見解をお伺いいたします。
○議長(東貴之君) 山本教育長。 (教育長山本晋次君登壇)
◎教育長(山本晋次君) 子供たちが将来生きる社会では科学技術や情報化、グローバル化が一層進み、自分で考え、判断し、仲間と協力して課題を解決する力がますます求められます。そのためにも、先進的なICTを活用した教育を進めていきたいと考えております。 議員御指摘のように、ICTを活用した教育におきましては、それを活用する教員の指導力の向上や支援体制、環境整備等の充実が重要であります。教育委員会といたしましては、これまでのモデル校で培ったノウハウを生かした研修や、全区に拡充しました29校のモデル校における研修等を通して、教員のICT活用指導力の向上を図ってまいります。また、これまでのモデル校での検証結果をもとに、ICT支援員の効果的な活用やコールセンターの設置等、教員がタブレット端末を効果的に使った授業ができるよう、支援体制の充実に努めてまいります。さらに、ICTを活用した教育をより効果的に展開するためにも、校内LANの再構築に早急かつ計画的に取り組んでまいります。 このように、教員へのサポートや環境整備を充実させますとともに、教員のICT活用指導力や機器の活用状況、学力などに関する調査を通して、ICTを活用した教育について効果検証をしっかりと行うとともに、来年度から新たに設置されますICT戦略室と連携を密にしながら、着実に本事業を進めてまいりたいと考えております。
○議長(東貴之君) 八尾進君。 (50番八尾進君登壇)
◆50番(八尾進君) 教育現場からは、悲鳴や不安の声が多く聞かれます。混乱が起きないよう、しっかり対策をお願いいたします。 次に、中学校給食についてお伺いします。 これまで、我が会派からデリバリー方式の問題点については、さまざまな観点から指摘し、ようやく全校での親子方式や自校調理方式といった学校調理方式への転換に道筋がついたところであります。 そうした中でも、アレルギー対策については、デリバリー方式ではないアレルゲンの原因食材を可能な限り使用しないようにするなどの取り組みをしていると聞いていますが、全く不十分であります。自校調理方式で実施している小学校では、一定のアレルギー対応を行っているので、中学校においても、学校調理方式にいち早く切りかえてしっかりとした対策を講じてもらいたいと考えます。 また、学校給食は教育の一環として実施するものです。これからの学校調理方式では、食育の観点を大事にし、取り組みを強化しなければなりません。そのためには、教員への食育教育の研修等の充実はもとより、楽しく、おいしく給食が食べられる環境整備が必要です。教室で食べるだけでなく、学校内にランチルームを設置し、学年を超えていろいろな友達と楽しい雰囲気で給食を食べられるようにするべきだと考えています。直ちに全校でランチルームを設置するのは難しいですが、生徒数の減少で空き教室がある学校からモデル的に実施し、その効果を検証してはどうでしょうか。市長の御所見をお伺いいたします。
○議長(東貴之君) 吉村市長。 (
市長吉村洋文君登壇)
◎市長(吉村洋文君) まず、学校給食についてですが、成長期にある児童・生徒にとっては必要な栄養素をとる手段であるだけではなくて、食の大切さ、あるいは楽しさを学んで、そういったことを理解する重要な役割を担っているというふうにも考えております。そういった観点から、できるだけ多くの児童・生徒が給食を食べることができるように、アレルギー対応を継続して取り組むということが重要であるというふうに考えております。 現行のデリバリー方式においては、アレルゲンを含む原因食材を可能な限り使用しないようにするとともに、卵などの食材を自己除去できような工夫を含めて、一定のアレルギーへの対応につながる取り組みも進めていますが、一定困難な部分もあります。 中学校給食については、私の任期中の平成31年度2月までに市内全中学校を現在のデリバリー方式から学校調理方式へ移行していきます。現行の小学校給食と同じレベルのアレルギー対応として、卵やエビなどの食品について除去食対応を確実に広げてまいります。 また、学校内へのランチルームについては、中学校給食を一刻も早く、まずは学校調理方式へ移行していくための施設整備が、それがまず先決かなというふうに思っております。しかしながら、一方で、生徒が楽しく、おいしく給食が食べられる環境づくりも重要でありますので、教育活動に支障がなく、施設面や子供たちの安心・安全を確保できるといった条件が整った学校において、クラスを超えた交流を行うような手法などについて、効果検証の観点から来年度におけるモデル実施の検討を進めてまいりたいというふうに思います。
○議長(東貴之君) 八尾進君。 (50番八尾進君登壇)
◆50番(八尾進君) 次に、社会総がかりの教育についてお伺いいたします。 橋下前市長就任以降、政治が教育に介入する状況が生じており、我が会派としても憂慮しています。教育は長期的視点を持って子供を育んでいくものであり、市長が変わるたびに教育の方向性が変わることはあってはなりません。この間、教育改革の名のもとに性急にさまざまな教育施策が進められていますが、学力向上にはつながっていませんし、いじめの問題や、中学生では全国平均の約1.8倍もある不登校の問題など、大阪市が抱える大きな課題の解決が置き去りにされています。学校、行政、保護者、地域など多くの人々が子供たちを支えることで、大阪市の教育課題を抜本的に改善していかなければなりません。 そのために、学校協議会をより効果的に機能させていくとともに、子供を支える重要な役割を果たすスクールソーシャルワーカーやスクールカウンセラーの体制強化が必要です。スクールカウンセラーは小学校への配置が不十分な状況であり、早急に増員する必要があります。また、スクールソーシャルワーカーは現状の6人では少なく、少なくとも各区に1人の24人を配置すべきであります。 また、国では不登校の子供が通う民間のフリースクールへの支援に初めて取り組むことが示されているところであり、今後は、本市としても、不登校の子供が通う場として重要な役割を担うこども相談センターやサテライトの充実を図るとともに、フリースクール等に通う子供に対しても一層の支援が必要です。 そして、これらの仕組みや体制がより効果的に機能していくために、市長のリーダーシップのもと、関係局、区役所及び教育委員会がしっかりと連携し、保護者、地域の力を合わせて、まさに社会総がかりで教育を行うべきと考えますが、市長の御所見をお伺いいたします。
○議長(東貴之君) 吉村市長。 (
市長吉村洋文君登壇)
◎市長(吉村洋文君) これまで行ってきました教育施策については一定の成果が見られるというところでございますが、体力・学力、いじめ・不登校の問題など、本市が抱える課題のさらなる改善をしていかなければなりません。これまでの施策の検証も行って、就学前教育の充実や、小学生段階からの継続的な学力の把握など、新たな施策を展開していく必要があるというふうに思っております。そして、それらの施策をより有効なものとするためには、やはり学校と行政、地域や家庭など、教育に携わる全ての人や団体が、互いの信頼を基盤として連携・協力していく必要があるというふうに考えてます。 そのための仕組みとしまして、保護者や地域住民等の学校運営への参画を目的として、全ての市立学校園に学校協議会を設置しています。また、スクールソーシャルワーカー及びスクールカウンセラーなどの専門家が果たす役割も極めて重要であります。引き続き、人材確保に努めながら増員いたしますとともに、効果的な体制の強化を図っていきたいと考えております。 さらに、サテライトを初めとする不登校児童通所事業についてですが、次回の公募に向けて民間活力の一層の活用を含めて検討しますとともに、フリースクール等へ通う不登校の子供に対しては、国の動向も注視しながら、どういった支援ができるのかをしっかりと研究して、全ての子供に対する支援を充実してまいります。 また、各学校の状況や、保護者、地域の声を酌み取りながら、学校を支援することを主眼として、今年度より各区長を区担当教育次長と位置づける分権型教育行政を導入したところであります。このシステムが有効に機能して、教育委員会と区及び局、学校、地域、家庭が緊密に連携して社会総がかりで子供たちを育んでいくように、私としても積極的にかかわっていきたいというふうに考えております。
○議長(東貴之君) 八尾進君。 (50番八尾進君登壇)
◆50番(八尾進君) 次に、ボランティア教育についてお伺いいたします。 ボランティア活動は、少子高齢化の進展などを踏まえると、社会地域貢献活動として極めて重要です。児童・生徒が積極的にボランティア活動に参加することは、社会、地域への貢献のみならず、自己啓発、自己実現の機会ともなり、教育上の観点からも重要だと考えられます。 現在でも、大阪市立の各学校ではボランティア活動に取り組んでいますが、これからの学校教育においては、単発の活動で終わらないよう継続性を持った定期的なボランティア活動の取り組みや教育が必要です。子供たちにどういう教育を施すかという視点に立ち、教育活動の柱の一つとして教育課程に位置づけ、全ての学校において取り組みを充実させていくべきだと考えますが、教育委員会としてどのように取り組むのでしょうか。 また、今後、懸念される南海トラフ地震のような大災害が発生した場合、地域での共助が極めて重要となりますが、その際には、小中学生や高校生に地域の一員として活躍してもらうことが必要です。災害時におけるボランティア活動の取り組みについても、学校教育において、その意義や必要性を教えることが重要ですが、教育委員会はどのように取り組まれるのか教育長の御見解をお伺いいたします。
○議長(東貴之君) 山本教育長。 (教育長山本晋次君登壇)
◎教育長(山本晋次君) 学校教育におきますボランティア活動につきましては、学習指導要領において、特別活動の学校行事の勤労生産、奉仕的行事に示されており、本市におきましても、特別活動のみならず総合的な学習の時間や道徳なども活用しながら、体験的な活動の充実を図り、児童・生徒の社会奉仕の精神を養うよう取り組んでいるところでございます。 各学校におきましては、地域の清掃活動や高齢者施設や障害者施設への訪問・ふれあい活動、地域社会活動への協力やブラスバンド部による出張演奏会などのボランティア活動を行っております。 また、防災におけるボランティア活動につきましては、中学生が防災リーダーとなって園児を校舎三、四階に避難誘導する避難訓練や、車椅子使用者や高齢者など避難行動要支援者に対する支援の体験活動など、区や地域、消防署等と連携した取り組みも行っております。 教育委員会といたしましては、各学校でのボランティア活動を通して、児童・生徒がボランティアについて学んだり、体験したりして、ボランティア精神を養い、自己の生き方を見詰め、将来、社会人としてボランティア活動に積極的に参加していく意欲や態度を養うとともに、地域の防災活動や災害時の助け合いを進んで行える児童・生徒の育成を目指して、全ての学校に対しまして教育活動の中にボランティア活動を取り入れ、継続的に実施できるよう指導してまいりたいと考えております。
○議長(東貴之君) 八尾進君。 (50番八尾進君登壇)
◆50番(八尾進君) 次に、
幼児教育センターについてお伺いいたします。 我が会派は、平成25年3月の予算委員会から、さきの一般質問に至るまで、センターの早期設置を求め続け、また一貫して幼稚園とともに保育所、認定こども園等もセンターの支援を受ける対象にすべきと要望してきました。 このたび、ようやく年内の設置が決まりましたが、当然、ゼロ、1、2歳児の保育を含め、質の向上に向けた支援をすべきと考えますが、機能強化について市長のお考えをお伺いいたします。
○議長(東貴之君) 吉村市長。 (
市長吉村洋文君登壇)
◎市長(吉村洋文君) まず、
幼児教育センターにつきましては、かねてより、御党が主張されている政策としてありましたが、私自身もその重要性については認識をともにしているところでございます。
幼児教育センターについては、子供たちがしっかりと生き抜く力を身につけられることができるように、その対象についても公立・私立、幼稚園、保育所、認定こども園等の別なく支援の対象としていきたいというふうに考えております。 現在行っています保護者への情報提供や幼児教育の課題研究、教職員の資質向上機能に加えて、現場での課題解決に資する調査研究など、幼児教育の質の向上のための機能を強化していきたいと考えています。 ゼロ、1、2歳児の保育につきましては、保育所等では低年齢から継続して養護と教育が一体となった保育が行われているということから、
幼児教育センターの対象としていきます。
○議長(東貴之君) 八尾進君。 (50番八尾進君登壇)
◆50番(八尾進君) 次に、子供の貧困対策についてお伺いいたします。 昨年の決算特別委員会で、我が会派の辻議員が指摘し、大阪市も全庁的に子供の貧困対策に取り組むこととなりました。 大阪市は、全国でも特に課題が多く、これまで行ってきた事業を単にまとめたり、焼き直しをするだけでは意味がありません。貧困の中でも、ひとり親世帯については、国の調査でも相対的貧困率が高くなっており、我が会派としても重点的に取り組むべき項目として市会においても質問してきたところです。ひとり親家庭の状況はさまざまであり、その状況に応じた窓口に行く必要がありますが、行政とのかかわりが少ない人は、どのような支援施策があるかを知らず、結果として行政の対策から漏れることがあってはならないと考えます。ひとり親の方が迷うことなく相談窓口に来所し、ひとり親家庭の状況を理解した担当者による適切な支援が受けられるよう、区に配置したひとり親家庭サポーターを積極的に活用し、担当制をしき、相談窓口のワンストップ化を推進すべきであると考えます。 貧困対策についてどのように進めていくのか、また、相談のワンストップ化や担当制など、ひとり親家庭への相談支援についてどのように進められるのか、市長の御決意をお伺いします。
○議長(東貴之君) 吉村市長。 (
市長吉村洋文君登壇)
◎市長(吉村洋文君) まず、ひとり親家庭については、所得だけでははかれない負担の大きさというのがあるかと思っています。家事であったり、育児であったり、仕事というのがひとりの負担にかかってくる中で、金額、収入だけではない多くの負担というのがはかれないというか、そういった負担が多くかかってくるだろうというふうに認識しています。 子供の貧困対策についてですけれども、2月29日に、私をトップといたします局横断的な組織である、「こどもの
貧困対策推進本部」を立ち上げたところです。平成28年度の予算案においては実態調査を実施する経費を予算計上しています。調査結果に基づいて重点的に取り組むべき予算、取り組むべき施策について行動計画としてまとめていきます。 貧困対策の中でも、御指摘のように、とりわけさまざまな課題を抱えたひとり親家庭については、やはり重点的に取り組む必要があると認識しておりまして、平成27年4月に策定した大阪市
ひとり親家庭等自立促進計画に基づき、ひとり親家庭に対する施策を総合的に推進していきます。ひとり親家庭への相談、支援に関しては、その家庭が抱えるさまざまな課題に対し、各区のひとり親家庭サポーターが、その方の必要に応じて他の支援機関に迅速につないでおります。 今後ですが、支援を必要とするひとり親の方が行政の窓口に確実につながるように、支援施策の効果的な情報提供、これに一層努めます。それとともに、ひとり親家庭サポーターの担当制によるワンストップ窓口を明確に打ち出して、ひとり親からの相談に寄り添って、関係する支援機関と連携した継続的なフォローを行うなど、相談支援の一層の強化を図っていきます。
○議長(東貴之君) 八尾進君。 (50番八尾進君登壇)
◆50番(八尾進君) 次に、18歳への選挙権年齢の引き下げへの対応についてお伺いいたします。 選挙権年齢の引き下げについては、本年6月19日以降に公示される国政選挙から実施されることとされています。これは、若者の投票率の低下という、我が国にとって非常に大きな課題を解決するための絶好の機会であり、このことを受けた対策が急務であります。 若者の投票率の向上のためには、教育的観点からの取り組みも必要です。投票することが、いかに、みずからの生活や人生につながっているのかについて、よく認識してもらい、その大切さを理解してもらうことが重要です。例えば、投票の大切さや投票の方法を伝える選挙出前講義を高校等で実施すれば、初めて投票に行くときのハードルを下げる効果があるのではないでしょうか。さらに、若者向けにSNSなどICTを活用した啓発の充実も必要であると考えます。また、例えば大学の構内に期日前投票所を設置し、投票できるようにすれば在校生が投票しやすいだけでなく、啓発の観点から大きな意味を持つのではないでしょうか。 加えて、国の法律改正の動向にもよりますが、投票日当日に区内の有権者であれば誰でも投票できる投票所を駅前の商業施設に設置する等、若者を初め市民にとって、もっと投票しやすい環境整備を行っていくことも重要です。 これらの啓発事業の実施や期日前投票所及び当日の共通投票所の設置について決定するのは、市または区の選挙管理委員会ですが、その予算の調整--執行については市長が権限をお持ちです。選挙権年齢引き下げをきっかけとした対応について、市長の御見解をお聞かせください。
○議長(東貴之君) 吉村市長。 (
市長吉村洋文君登壇)
◎市長(吉村洋文君) 若い世代、現役世代の投票率が非常に低いというのは、私も問題と思っております。というか、これは日本全国的な問題かというふうに思っております。 今、御指摘がありましたように、今回の選挙権年齢の引き下げ、まさに、これは若い世代に対して投票率の向上を促すというのに、ある意味、絶好のチャンスだと、機会だというふうに思っています。 出前講義については、非常にいい取り組みだと思っております。以前から小中学校で実施しているというふうに聞いておりますけれども、現在、市及び区の選挙管理委員会が連携しまして、市立高校において、選挙についての出前講義の取り組みを進めております。これを市内全市立高校で実施できるように、今、調整してもらっています。 さらに、SNS等のICTを活用した啓発についても取り組んでいるとのことです。若者のSNS等の利用の度合いを考えますと、非常にこれも効果的だと考えております。 投票環境の整備については、大学構内等への期日前投票の設置は現行でも対応可能ですので、前向きに検討していただきたいというふうに考えております。 今、国会で審議中でありますが、投票日当日、区内のいずれの投票区の選挙人であっても投票することができる、いわゆる共通投票所の制度は、まさに、これ画期的な制度であるというふうに認識しております。導入に当たっては、ネットワークのセキュリティー確保やシステムダウン時の対応等、課題があることは承知していますが、ぜひ導入していく方向で市の選挙管理委員会において十分に検討し、議論していただきたいというふうに考えております。また、その要請もしております。 いずれにせよ、投票しやすい環境を整えていくことによって、若い世代を含めて、できるだけ多くの有権者がその一票を投じることができるように、まさに政治を突き上げるということが大切だというふうに思っておりますので、ぜひ参加していただけるようになればというふうに思っております。
○議長(東貴之君) 八尾進君。 (50番八尾進君登壇)
◆50番(八尾進君) 次に、高齢者施策についてお伺いします。 まずは、地域包括ケアシステムと認知症対策の推進についてであります。 2025年をめどに、医療、介護、予防、住まい、生活支援が一体的に提供される地域包括ケアシステムを構築することが求められております。また、今後、確実に増加が見込まれる認知症高齢者の地域での生活を支えるためにも、地域包括ケアシステムは重要であります。 そのような中で、国の統計をもとに算出しますと、介護サービスにつながっていない潜在的な認知症の方が、本市においては約3万6,000人と推計されております。このような方に対しましては、医療や介護のネットワークを駆使して集中的に支援を行う認知症初期集中支援チームが、早い段階から必要な医療や介護サービスにつなぎ、できる限り住みなれた地域で生活を送れるよう取り組みを進めていく必要があると考えます。 この認知症初期集中支援チームは、現在3区に配置されており、その効果検証を行った上で目標を定め、しっかりと取り組んでいく必要があると考えますが、市長の御決意をお伺いいたします。
○議長(東貴之君) 吉村市長。 (
市長吉村洋文君登壇)
◎市長(吉村洋文君) 地域包括ケアシステムと認知症施策の推進についてでございますが、本市におきましては、平成27年度から29年度を計画期間とする第6期の「高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画」に基づきまして地域包括ケアシステムの構築を進めています。重点的な取り組みの一つとして、認知症の方への支援を掲げているところでございます。 認知症につきましては、病気の性質上、支援が事後になってしまうことが多く、その結果、入院や入所が長期化する傾向にあり、早期発見、早期診断、早期対応が非常に重要になっております。また、本市においては介護サービスにつながっていない潜在的な認知症の方が多くおられると推計されるため、アウトリーチの手法を活用する認知症初期集中支援チームを平成26年度よりモデル的に配置しているところでございます。このモデル実施の結果、支援対象者の90%以上の方が施設入所等には至らず、引き続き在宅での生活を継続できるなどの効果も認められております。そのことから、一人でも多くの方に必要な医療や介護サービスを受けていただけるよう、平成28年度予算案において市内24区全てに認知症初期集中支援チームを配置しまして、国の考え方をもとに、1チーム当たり支援目標数を100人に定め、取り組んでまいります。 いずれにしましても、重度の要介護状態や認知症になっても、住みなれた地域で自分らしく暮らし続けることができるように、地域包括ケアシステムの構築に向けて取り組みを進めていきます。
○議長(東貴之君) 八尾進君。 (50番八尾進君登壇)
◆50番(八尾進君) 認知症対策については、答弁にあった内容ではまだまだ足りません。さらなる対策をお願いしたいと思います。 次に、弘済院の役割についてお伺いいたします。 本市で急速に高齢化が進む中、認知症対策の充実が急務であります。その中で弘済院は、極めて重要な位置づけになると考えています。特に、弘済院附属病院については、橋下市長の任期中には廃止や民営化の方針もあり、そのあり方をめぐって議論が続きましたが、ようやく現地での建て替えという結論が出ました。これでやっと必要な機能等について検討できるようになります。 東京には東京都健康長寿医療センターがあり、愛知には国立長寿医療研究センターがありますが、これらの施設では、高齢者医療研究の中で認知症医療についても研究や情報発信をされています。一方、弘済院は、認知症医療と介護を一体的に運営し、施策の一翼を担っている、ほかにはない存在です。 その存続が決定した今、今後は新しくなる附属病院も含め、全国屈指の拠点施設となるよう、弘済院の特徴をどう生かしていくのかについて検討し、具体化していかなければなりません。いつまでに、どのように取り組むのか、市長の御決意をお伺いいたします。
○議長(東貴之君) 吉村市長。 (
市長吉村洋文君登壇)
◎市長(吉村洋文君) 本市におきまして、認知症の方は確実に増加することが見込まれています。認知症になっても本人の意思が尊重され、できる限り住みなれた地域でよい環境で暮らし続けることができるように、施策の充実を図るというのが大切だというふうに考えています。 弘済院につきましては、認知症の困難症例への対応や臨床研究、専門人材の育成、市民への情報発信といった施策を医療、介護が一体となって担うという、ほかには見られない特性を持った施設であります。さらには、今後、全区に拡充を予定しています認知症初期集中支援推進事業に対して、専門的な立場から指導的な役割を果たすことや、市内の福祉施設との連携強化を図るなど、地域と密着して弘済院がその機能を一層発揮することによって全国的にも注目されるような拠点施設となるように、具体の計画を平成28年度中に策定していきます。
○議長(東貴之君) 八尾進君。 (50番八尾進君登壇)
◆50番(八尾進君) 次に、がん検診の受診率向上についてお伺いします。 大阪市では、年間に死亡する市民のうち3割以上の方ががんで亡くなっており、全国と比べても、男女とも死亡率が高い状況にあります。市民のがんによる死亡を減らすためには、がん検診の受診率向上が何より急務です。 昨年の有名芸能人がみずからのがんに向き合うニュースで世間の関心が高まっている今こそ、受診率を向上させる好機です。 国では、平成28年度から新たな補助事業として5大がん--子宮頸がん、乳がん、大腸がん、胃がん、肺がんの全てについて、一定年齢の方に対して受診動向を把握するための意向調査を、また、受診を呼びかける個別受診勧奨を実施すると聞いています。大阪市においても、国の新制度を活用することはもとより、啓発においても、もっと工夫し、市民の心に訴えるようなPRを行うべきですし、個別の受診ニーズに応えられるよう、今よりもっとがん検診を受けやすくなるような環境整備も必要であると考えます。 また、これらの取り組みを行うに当たっては、しっかりと受診率の目標を持ち、検証しながら進めるべきです。現在の目標値は、市民全体で国と同じ50%とされていますが、これは大阪市が実施主体のがん検診だけではなく、それ以外のがん検診も含まれた受診率であるため、大阪市の取り組みとしての進捗がわかりにくいものになっています。大阪市が実施するがん検診について、何%の受診率を目指すのかを明確にするべきです。これらについて、市長の御所見をお伺いします。
○議長(東貴之君) 吉村市長。 (
市長吉村洋文君登壇)
◎市長(吉村洋文君) まず、本市では、市民に健康で長生きしていただけるように健康増進計画「すこやか大阪21(第2次)」において、がん対策を重点分野に位置づけています。がんの早期発見、早期治療に向けて、がん検診の受診率向上が非常に重要な課題であるというふうに考えています。 そこで、これまで、がんの知識やがん検診の重要性についての普及啓発を行うとともに、無料クーポン券の配付による個別受診の勧奨であったり、休日検診の開催、新たな乳がん検診車の導入など、がん検診を受診しやすい環境にする、その整備に取り組んできました。 平成28年度の取り組みとしては、国庫補助事業として、一定年齢の方へ5大がんの個別の受診勧奨にあわせて、受診意向調査を実施いたします。これにより、一層市民ニーズの把握に努め、より受診しやすい環境の整備にも取り組んでいきます。 また、がん検診の受診率の目標値につきましては、健康増進計画の中で、勤務先などで受診の機会がありますいわゆる職域保険の方と、そのような場で受診機会がないいわゆる地域保険の方を合わせた市民全体で50%以上としております。このうち地域保険の方を本市がん検診の対象としています。平成28年度には、健康増進計画の各目標項目を評価するために、無作為の抽出による市民
アンケート調査を実施する予定でありまして、この中で、がん検診に係る全市民のうちの職域と地域の割合も把握いたします。その結果に基づき、平成29年度中に外部専門家の意見も聞きながら、職域と地域別に分けて適切な受診率の目標値を設定してまいります。 それによりまして、各取り組みを着実に進めて、がん検診の受診率の向上に努めていきたいというふうに考えてます。
○議長(東貴之君) 八尾進君。 (50番八尾進君登壇)
◆50番(八尾進君) 次に、発達障がい者支援についてお伺いいたします。 発達障害者支援法が施行され10年が過ぎましたが、その間、我が会派は発達障害のある方の支援の充実を求めてきました。その結果、平成25年4月に発達障がい者支援室が設置され、関係部局の連携のもと、乳幼児期から成人期までの各ライフステージに応じた支援体制の構築を目指した取り組みが強化されるとともに、平成27年3月には大阪市発達障がい者支援指針が策定されました。この指針により、福祉、教育、保育、保健、医療等の各分野の関係者が支援の取り組みの現状を把握し、情報を共有することで、より一層連携を深め、切れ目のない支援を目指していく必要があります。 発達障害のあらわれ方はさまざまで、また、それが障害であることがわかりづらいため、正しく理解されにくく、御本人を初め、御家族の御苦労は切実なものがあります。ここ数年で発達障害の言葉自体は広まってきましたが、まだまだ十分に理解されているとは言いがたく、発達障害についての正しい理解の促進と支援手法のより一層の普及が求められていると考えます。また、本人や周囲の方が発達障害に気づかず、大人になって初めてわかる方もおられ、こういった方々は仕事や人間関係がうまくいかず社会とのつながりが持てなかったり、なかなか就職が決まらない、また、決まっても長く続かない等、多くの課題を抱えておられるとお聞きいたします。 乳幼児期や学齢期の支援は徐々に充実してきていますが、社会に出る前、または就職してからも、発達障害に気づき、必要な支援につなげていく取り組みが必要であると考えますが、市長のお考えをお伺いいたします。
○議長(東貴之君) 吉村市長。 (
市長吉村洋文君登壇)
◎市長(吉村洋文君) 発達障害のある方への支援につきましては、乳幼児期から成人期に至るまで、それぞれのライフステージに対応した一貫した支援体制の構築が必要だと思っています。発達障がい者支援室を中心にして関係部局の横断的な連携のもとで、各施策の充実に重点的に取り組んでまいりました。 平成27年3月に策定しました発達障がい者支援指針については、広く各関係機関へ周知しまして、切れ目のない支援を目指して連携強化に活用いただいているところであります。また、身近な地域で発達障害の特性に応じた支援が可能になるように、発達障がい者支援センターエルムおおさかの体制を強化しております。事業所等への啓発、研修、機関支援やペアレント・トレーニングなどの親支援の充実にも努めているところであります。 議員、御指摘のとおり、発達障害について、御本人や御家族の御苦労というのは、周りの人の理解があれば、その苦労というのはかなり軽減されるところであります。正しい知識と理解を深めることは重要であると考えておりまして、より一層の普及啓発に取り組んでいきます。 また、大人になるまで発達障害に気づかずに、就職活動中や、あるいは就職して社会に出て初めて気づく方もおられまして、社会生活にさまざまな困難さを抱えておられます。こうした方々に対して、障がい者就業・生活支援センターにおいて支援員を増員して、発達障害のある方への就労支援の充実を図っていきます。 今後は、大学等の就職を担当する部門との連携を密にしながら、発達障害のある生徒や学生への就労支援に努めて、就職後においても仕事が続けられるように、一人一人の障害特性や人数を把握して、きめ細やかな支援に取り組んでまいります。
○議長(東貴之君) 八尾進君。 (50番八尾進君登壇)
◆50番(八尾進君) 最後に、市民利用施設における
市民サービスの拡充についてお伺いいたします。 市民利用施設の休館日を見直し、
市民サービスの拡充を図ることは、これまでも我が会派からたびたび指摘してきました。ごく一部の施設では改善が図られてきましたが、251館ある市民利用施設のうち154館が、いまだに毎週休館日がある状態であり、改善が必要であると考えています。 特に、これらの施設のうち105館は、指定管理者により運営されていますが、その指定管理者の自由度が制限されることによって経営上の工夫が制限されているように思われます。経営の自由度を高めることで、開館日をふやしたり、開館時間を延ばすことができると考えます。休日を定める条例を見直すなど、指定管理者の足かせを外すことで
市民サービスの向上を図るべきではないでしょうか。市長は、施政方針でも、
市民サービスの拡充を主張しておられます。市民利用施設の休館日の見直しをぜひ行うべきであると考えます。 また、先ほど観光施設におけるWi-Fi環境の整備について指摘しましたが、
市民サービスの拡充や防災の観点から、区役所等の市民利用施設でのWi-Fi環境の整備も積極的に進めていく必要があります。 昨年2月の代表質問においても、公共施設における公共無線LANの設置状況は166施設であり、もっと整備を進めていくべきだと指摘したところですが、1年経過した現在でも174施設と、わずか8施設の増加にとどまっており、全く整備が進んでいない状況であります。 Wi-Fi環境が重要な通信インフラとなる中、市民利用施設におけるWi-Fi環境の整備については、電気通信事業者任せにするのではなく、本市として責任を持って速やかに進めていくべきと考えますが、これらにつきまして、市長の御所見をお伺いいたします。
○議長(東貴之君) 吉村市長。 (
市長吉村洋文君登壇)
◎市長(吉村洋文君) まず、市民利用施設についてですが、サービスを提供する側の視点ではなくて、市民・利用者の視点に立った、利用者本位のサービス提供に努めること、これが肝要だというふうに考えております。 開館日や開館時間の充実については、御利用いただきやすいようにするために、まさに重要な取り組みであるというふうに認識してます。これまで、区民センター、区民ホールやクレオ大阪子育て館などにおいて、年末年始以外のフルオープンを実施しましたほか、施設独自の開館時間の延長や臨時開館を行うなど、条例の柔軟な運用に努めてきました。 このたび、公表しました平成28年度以降の市政改革計画におきましても、市民利用施設におけるサービスの向上を盛り込んでおります。しっかり民間の創意工夫を取り入れながら、サービス向上に努めていきたいというふうに考えております。 毎週の休館日の見直しについても、民間の視点を踏まえまして、利用者ニーズや費用対効果の検証も行った上で、条例改正を含めて見直しを進めていきます。 Wi-Fi環境、いわゆる公衆無線LANですが、これは通信容量等を気にせずインターネット通信を利用できる、利用者にとって便利なサービスでありまして、本市において利用できる環境が広がることは好ましいことであるというふうに考えています。公共施設における公衆無線LANについては、電気通信事業者に対して空間開放しまして設置を促してきましたが、事業者が設置を希望する場所はほぼ設置が終わっておりまして、設置箇所の拡大が、今、伸び悩んでいる状況であります。 今後は、本市として市民ニーズの把握に努めて、施設の目的や市民の利用状況などから、より効果の出る施設から優先して、誰でも利用できる公衆無線LANの整備を進めていきたいというふうに考えております。
○議長(東貴之君) 八尾進君。 (50番八尾進君登壇)
◆50番(八尾進君) 市長、ぜひともよろしくお願いいたします。 以上、長時間にわたり議論をさせていただきました。詳細については、各常任委員会に譲ることといたしまして、私の質問を終わらせていただきます。御清聴、どうもありがとうございました。(拍手)
◆43番(土岐恭生君) 動議を提出いたします。本日の質疑はこの程度で打ち切り、明4日午前10時より会議を開かれることを望みます。
○議長(東貴之君) 43番議員の動議に御異議ありませんか。 (「異議なし」と呼ぶ者あり)
○議長(東貴之君) 御異議なしと認めます。よって動議のとおり決します。
△閉議
○議長(東貴之君) 本日の日程は以上で終了いたします。
△散会
○議長(東貴之君) 本日はこれをもって散会いたします。 午後4時27分散会 --------------------------------- 大阪市会議長 東 貴之(印) 大阪市会副議長 木下吉信(印) 大阪市会議員 尾上康雄(印) 大阪市会議員
森山よしひさ(印)◯大阪市会(定例会)会議録(平成28年3月3日)(終)...