平成26年第3回定例会(平成26年9~平成27年2月)◯大阪市会(定例会)会議録(平成26年10月27日)
◯議事日程 平成26年10月27日午後2時開議第1 議案第333号 特別区
設置協定書の承認について -----------(以下
追加議事日程)-----------第2
議員提出議案第29号 特別区
設置協定書に対する議決を真摯に受け止めることを求める決議案
---------------------------------◯出席議員86人 1番 福島真治君 2番 武 直樹君 3番
佐々木哲夫君 4番 山田正和君 5番 村上満由君 6番
今井アツシ君 7番 藤田あきら君 8番 川嶋広稔君 9番 太田晶也君 10番 こはら孝志君 11番 岩崎けんた君 12番 小川陽太君 13番 永井啓介君 14番 西川ひろじ君 15番
冨岡朋治君 16番 飯田哲史君 17番 守島 正君 18番 市位謙太君 19番 伊藤良夏君 20番 梅園 周君 21番 土岐恭生君 22番 西崎照明君 23番 島田まり君 24番 西 徳人君 25番
森山よしひさ君 26番
田中ひろき君 27番 小林道弘君 28番 長尾秀樹君 29番 山本修子君 30番 辻 義隆君 31番 八尾 進君 32番 明石直樹君 33番 杉田忠裕君 34番 高山 仁君 35番 河崎大樹君 36番 丹野壮治君 37番
ホンダリエ君 38番
吉村洋文君 39番 大橋一隆君 40番 村上栄二君 41番
杉村幸太郎君 42番 柳本 顕君 43番
黒田當士君 44番 加藤仁子君 45番 有本純子君 46番 北野妙子君 47番 尾上康雄君 48番 寺戸月美君 49番 山中智子君 50番 北山良三君 51番 井上 浩君 52番
床田正勝君 53番 荒木幹男君 54番 多賀谷俊史君 55番
足高將司君 56番 木下吉信君 57番 高野伸生君 58番 新田 孝君 59番 出雲輝英君 60番 岡崎 太君 61番 田辺信広君 62番 片山一歩君 63番 井戸正利君 64番 木下一馬君 65番 角谷庄一君 66番 広田和美君 67番 待場康生君 68番 青江達夫君 69番 前田修身君 70番 石原信幸君 71番 小玉隆子君 72番 漆原良光君 73番 金沢一博君 74番 奥野正美君 75番 福田賢治君 76番 松崎 孔君 77番 小笹正博君 78番 改発康秀君 79番 坂井良和君 80番 大内啓治君 81番 辻 淳子君 82番 美延映夫君 83番 東 貴之君 84番 木下 誠君 85番 山下昌彦君 86番 船場太郎君
---------------------------------◯職務のため出席した
事務局職員 市会事務局長 藤原正樹 次長 中出美樹
議事担当課長 巽 功一
調整担当課長 西 正道
議事担当係長 竹田幸二
---------------------------------◯議場に出席した執行機関及び説明員 市長 橋下 徹 副市長 村上龍一 副市長 田中清剛 副市長 京極 務
西淀川区長 西田淳一 港区長 田端尚伸 住吉区長 吉田康人 大阪府
市大都市局長 山口信彦
市政改革室長 中尾寛志 人事室長 黒住兼久
政策企画室長 鍵田 剛
危機管理監 東 信作
経済戦略局長 井上雅之 総務局長 村上栄一 市民局長 谷川友彦 財政局長 稲森隆司
契約管財局長 高橋敏夫
都市計画局長 川田 均 福祉局長 西嶋善親 健康局長 上平康晴
こども青少年局長 内本美奈子 環境局長 山本 仁
都市整備局長 國松弘一 建設局長 福井 聡 港湾局長 徳平隆之
会計管理者兼会計室長 名倉嘉史 消防局長 打明茂樹 交通局長 藤本昌信 水道局長 玉井得雄 教育長 山本晋次
行政委員会事務局長 小川英明 ---------------------------------
△開議 平成26年10月27日午後2時1分開議
○議長(
床田正勝君) これより
市会定例会会議を開きます。 本日の
会議録署名者を漆原良光君、山本修子君の御両君にお願いいたします。
○議長(
床田正勝君) これより議事に入ります。
○議長(
床田正勝君) 日程第1、議案第333号、特別区
設置協定書の承認についてを議題といたします。
○議長(
床田正勝君)
財政総務委員長より審査の報告を求めます。 61番
財政総務委員長田辺信広君。 (61番
財政総務委員長田辺信広君登壇)
◆61番(田辺信広君)
財政総務委員会に付託されました議案第333号、特別区
設置協定書の承認についての審査の結果と経過について御報告申し上げます。 本委員会は、10月9日、10日及び本日の委員会において慎重に審査を行いました結果、お手元に配付の報告書に記載のとおり、不承認とすべきものと決した次第であります。 以下、委員会における審査の概要を御報告いたします。 まず、特別区設置の目的や設置に伴うコストについて質疑がありました。 これに対して理事者から、協定書では公選区長、区議会のもとで
中核市並みの権限を有する特別区を設置し、必要な財源や人員が確保される制度設計となっていることから、
住民ニーズや地域の実情を反映した施策展開が可能になる。設置に伴うコストについては、
イニシャルコストとして
システム改修費や
庁舎整備費などで約600億円、
ランニングコストの増加分として
システム運用費や新
庁舎維持管理費などで年間約20億円を見込んでいる旨、答弁がありました。 また、市長は、選挙で選ばれた5人の区長が住民の声を聞き、指示・命令を出すことで、各種課題の迅速な解決が図れる旨、答弁されました。 これに対して委員から、解消すべき二重行政はなく、コストに見合う効果は見込めない。企画機能が特別区本庁舎に集約されるため、ニア・イズ・ベターから逆行するなどの指摘がありました。 次に、府と特別区の
事務分担の考え方について質疑がありました。 これに対して理事者から、住民に身近な事務については、
基礎自治体優先の原則のもと、特別区ができるだけ担うこととしているが、成長や安心・安全にかかわる事務については、大阪全体の視点から統一的な戦略で取り組む必要があるため、大阪府が一元的に担うこととした。消防や下水道、港湾事業などは府が担うとともに、大阪城公園を初めとする大規模公園や美術館・博物館など都市魅力の創造に資する施設についても府が管理することとなる。一方で、特別区は、中核市を上回る人口規模を有し、必要な人員や財源も確保されることから、条例による
事務処理特例制度や事務の委託制度などを活用することで、中核市の事務に加え、都道府県及び指定都市の事務の一部も担うこととしている。また、
事務処理特例制度により処理することができる事務については、法令改正による権限移譲によるものと実質的に
行政サービスは変わらない旨、答弁がありました。 これに対して委員から、市民が築いた財産を府に無償で承継することは納得できない。権限が与えられても、特別区にはそれを実行するための財源や人員が保証されていないなどの指摘がありました。 次に、特別区が共同で設置する一部
事務組合について質疑がありました。 これに対して理事者から、特別区が担う事務については各特別区で実施することが原則であるが、専門性やサービスの実施に係る公平性、効率性の確保を図る必要があるものに限り、一部
事務組合において共同で処理することとした。一部
事務組合が担う事務は
国民健康保険事業、
介護保険事業、水道及び
工業用水道事業、
システム管理、施設管理、財産管理の6分野であり、財政規模は平成24年度
決算ベースで一般会計209億円、特別会計5,325億円、
公営企業会計891億円を合わせ、約6,400億円と試算している。一部
事務組合で処理する事務は、権限自体が各構成団体から移管されるため特別区の権限と重複することはなく、また、一部
事務組合の議会の議員は一般的には構成団体の議員から選出されるため、住民の意思は十分に反映できると考えている旨、答弁がありました。 これに対して委員から、特別区間の意見調整は困難であり、合意形成は図れない。特別区ごとに事業施設や課題が偏在しているにもかかわらず、人口割や均等割で組合議会の議員定数が決まることとなれば、住民の意見は十分に反映されないなどの指摘がありました。 次に、特別区と大阪府の
財政調整について質疑がありました。 これに対して理事者から、府と特別区の
事務分担に応じた財源の配分や特別区相互間の歳入格差の是正のため
財政調整を行うが、その財源は、
法人住民税、
固定資産税、
特別土地保有税の普通税3税に府の条例で定める額を加算することで必要な財源を安定的に確保でき、特別区に必要な額は確保されるものと考えている。また、各特別区ではみずから
臨時財政対策債を発行できることとなっている。
財政調整財源の府と特別区の配分割合については、特別区設置の日までに知事と市長で調整することとしているが、現行の
地方財政制度のもとで
協定書どおりに
事務分担を行えば大阪府23対特別区77の割合となるものと考えている旨、答弁がありました。 これに対して委員から、配分割合は協定書に明記されておらず、特別区が必要とする財源は担保されていないなどの指摘がありました。 次に、協定書に対する議会での議論のあり方について、議会での修正の可否などの観点から質疑がありました。 これに対して理事者から、修正については、法に規定がなく、協定書は特別区
設置協議会が作成することとなっていることから、議会で修正することはできないと考える。議会からの修正意見については、
法定協議会が必要と判断した場合は総務大臣への協議・報告を経て再度議会に提出される旨、答弁がありました。 また、市長は、議会の役割は
住民投票に付すための資料作成である。議会からの修正要求には合理性があれば応じる旨、答弁されました。 これに対して委員から、
住民投票の実施に議会の承認が必要であることは法に明記されている。どのような協定書にするかは
法定協議会で議論すべきであるなどの意見がありました。 以上のほか、本委員会においては、府市再編の効果額、
都区協議会の役割、成長戦略との関連性、特別区の議員定数、区割りの考え方、町名変更の手続、住民への広報のあり方、特別区移行後の職員体制などについて質疑がありました。 なお、本委員会に付託されております本議案関連の陳情第133号につきましては、一事不再議の原則により処理したことを申し添えておきます。 以上、簡単ではありますが、
財政総務委員会の審査の報告といたします。
○議長(
床田正勝君) これをもって審査の報告は終了いたしました。
○議長(
床田正勝君) これより討論に入ります。 まず、承認することに賛成者の発言を許します。 38番吉村洋文君。 (38番
吉村洋文君登壇)
◆38番(
吉村洋文君) 私は、議案第333号、特別区
設置協定書の承認について、賛成の立場から討論させていただきます。 本議案は、
財政総務委員会に付託され、同委員会で2日、他の委員会で協議会として各1日、先日の一般質問の中で各会派から質疑がなされました。 委員会では、提案者である市長を呼んでの質疑は一切なく、理事者に対して行われた質疑内容も、大きく整理すれば反対のための反対の質疑、
住民投票後に設計すべき細かな
行政組織の仕組みに関する質疑、大阪府は信用できず大阪府の配下に下ってしまうという批判という類いの質疑に終始していたというふうに思っております。 また、一般質問における市長に対する質疑についても、大阪の将来
ビジョンや大所に立った質疑、協定書(案)の修正に向けた建設的な議論・意見はありませんでした。 大半を占める反対のための反対の質疑が論外であるというのは当然のことながら、2つ目の
住民投票後に設計すべき細かな
行政組織の仕組みに関することでいえば、そもそも都構想は、二重行政をなくして府市を再編し、新たな行政体の
仕組みづくりを目指すものであって、ないものに対する批判をすることは誰にでもできる簡単なことでございますが、新制度である以上、どこまでを
住民投票前に設計し、そしてどこからを
住民投票後、詳細に詰めていくのかの区別を意識することが必要であります。その区別を明確に規定したのが、国の自民、公明、民主が制定した法律である大都市法です。つまり、大都市法には協定書に記載すべき事項が法定されており、国は
住民投票前までに設計すべき事項について協定書に記載すべき事項として法定し、この事項に関しては既に現行の協定書(案)に詳細設計されています。それ
ゆえ総務大臣も、特段の意見なしとしてお墨つきをつけた回答をしたのであります。 にもかかわらず、大都市法のたてつけを無視して、
住民投票後に詳細を決めるべき事項について、今回の協定書(案)にはここがない、あそこがないと批判して、あたかも欠陥であるかのごとく非難するのは、明らかに的外れと言わざるを得ません。 また、3番目の大阪府の配下に下ってしまうかの質疑については、質疑を聞いていて、あたかも大阪市と大阪府が別々の国であるかのごとく、あるいはベルリンの壁があるかのごとく、ひいては大阪市が大阪府の植民地になるという言葉まで使われるほどあきれた内容のものでしたが、これ自体が二重行政の象徴ではないかと思わせるほどの府民、市民不在の議論と言わざるを得ません。
大阪市民は同時に大阪府民でもあり、市民にとって、大阪市と大阪府の線引きや軍門に下るとか下らないとか、そのようなことは問題ではなく、二重行政をなくして府と市が不幸せ(府市合わせ)とやゆされるような状態を解消して、発展ある大阪を目指してほしいというのが願いなはずであります。 結局のところ、都構想に反対の立場の会派の質疑、意見は、反対のための反対の質疑、
住民投票後に会議室で詰めていくような話、大阪市と大阪府の
行政縄張りに関するような質疑であって、将来の大阪をどうしたいのか、大阪は将来どのようなまちを目指していくのか、そのために
行政組織のあり方としてどのような組織体制が適切であるのか、政治家として道のないところに道をつくっていく大局に立った建設的な将来
ビジョンが全くないと言わざるを得ません。 大阪府と大阪市の無用な
縄張り争い、権限争い、二重行政、
二元行政を解消して、不幸せとやゆされる大阪から脱却して新たな大阪像を目指してほしいというのは、市民、府民、たっての願いです。これまでの二重行政、
二元行政によって、大阪の広域的な発展は阻害され、基礎自治の拡充は阻害されてきました。大阪市のWTC、大阪府のりんくうビル、この狭い大阪地域に2つの超高層ビル、仲よく破綻いたしましたが、高さまで競って、それぞれ256メートルと256.1メートル、0.1メートル大阪府の勝ち、どうでもいいことでございます。これはあくまで象徴事例ですが、二重行政、
二元行政を原因とした失策事例については枚挙にいとまがありませんし、現在、府市統合の観点から改革を掲げている項目、議会で改革がとまっている項目、枚挙にいとまがありません。 知事、市長が現在の
大阪維新の体制から変更になれば、また同じことが繰り返されます。これは、人の問題ではなく、システム上、構造上の問題です。二重行政の解消は昔からあった課題です。直近を見ても、横山知事、太田知事、磯村市長、平松市長、橋下知事、知事と市長が権限争いをする歴史に
大阪市民、府民は嫌気が差しています。都構想は、
大阪維新の会が初めて言い出したことではありません。都構想という表現ではなかったものの、
大阪維新が
政治的主張をする以前から、不幸せとやゆされて府市再編の必要性、
政治的主張は行われてきました。 我々
大阪維新の会は、
政治的主張として、大阪都、5つの特別区について将来
ビジョンを目指すマニフェストを作成いたしました。大阪都においては、二重行政、
二元行政を完全に解消し、広域行政を一元化し、大阪全体の司令塔を一本化し、
国際エンターテインメント都市、持続的な経済発展を目指し、東京一極集中のリスクヘッジとなる日本第2の極を目指します。 5つの特別区は、それぞれの地域事情や特性も考慮して、北区は「住み続けたい!緑ゆたかな成長する都心(まち)」を、東区は「住みよさランキング1位」を、湾岸区は「未来の風を感じる街」を、中央区は「世界に誇れるわくわくゲートウェイシティ」を、南区は次世代につなぐ「伝統と先進が織りなす街」をそれぞれ目指します。それぞれ何十ページにも及ぶ詳細な課題と将来像について発表しております。 このような二重行政、
二元行政を完全に解消して広域の一本化を目指す5つの特別区は、それぞれの
基礎自治体として予算権と人事権を持ち、
まちづくりをするといった将来
ビジョンを実現するためには、今の大阪市体制では100年たっても200年たっても不可能です。それら大阪の将来
ビジョンを実現するための
行政機構として都構想が必要です。都構想に反対する他会派の皆様は、本議案を否定したところで大阪の目指すべき将来
ビジョンがございません。したがって、それを実現するため
行政機構をどう改革すべきかの
ビジョンもありません。ここが決定的に違います。それゆえ、都構想に反対する会派の皆さんは、今の大阪市体制、現行体制で何を目指すのかも不明ですが、将来の
大阪ビジョンがない以上、現行体制と都構想を比較するしかありません。 今までの大阪市のままでいいのか、今の大阪市、大阪府の体制で二重行政、
二元行政は解消できるのか、大阪全体の広域について迅速で円滑な意思決定ができるのか、府知事と市長が2人いて組織も2つあって、交流、意思疎通、政策決定はどのように行うのか、今の大阪市における行政区長の権限はどうなるのか、大阪市の広域行政と行政区の
財政調整、権限分配はどうなるのか、行政区で住民の身近な意見を聞いてどれだけ区政に反映することができるのか、それぞれの行政区で独自施策を実現できるのか、その範囲はどこまでなのか、
予算編成権や人事権はどうなるのか、どう考えても今の大阪市、大阪府体制で将来の目指すべき大阪像が見えてきません。 これまで大阪府と大阪市の二重行政の解消の必要性をうたってきた歴代の知事、市長は、本気で改革をしようとはしておりませんでしたが、現在の統治機構を改革するのは並々ならない労力と根気とパワーが必要になります。結局、大阪の政治において、府市再編をここまで本気でやってきたのは我が会派が初めてでございます。維新の会はここまで、協定書を作成する、
協定書作成に至るまで本気で活動してまいりました。その過程として、都構想を1丁目1番地の政策と掲げて4年前の統一選を行いました。このころは都構想の具体性がないと批判されながらも、大阪府・市の首長を
都構想推進派にするための
ダブル選挙、都構想を実現するために国の関与が必要であるから国政選挙、法定協の議論を進めるための
出直し市長選挙、あり得ないぐらいの
政治的パワーを費やして、
住民投票をするに必要な都構想の具体的な中身と手続を詰めていき、最終的に協定書(案)を作成し、総務大臣の特段の意見はないという回答を得るまでに至っております。 先日、読売新聞社が大阪市内の有権者を対象にした世論調査によりますと、都構想に賛成と答えた人は53%に上り、反対の40%を大きく上回るという結果が出ております。これは、
大阪市民、府民の皆さんの
都構想実現に対する期待のあらわれでございます。これほど多くの市民の皆様が期待を寄せている都構想の設計図である協定書について、将来の大阪の
行政機構のあり方を決めるについては
住民投票で白黒をつけるべきであって、議会が住民の選択権を奪うべきではないと考えます。これだけ賛否が拮抗する大阪の大改革について
住民投票を行い、もし
住民投票でこれまでの大阪市のままがいいという結論になれば、それは市長も
大阪維新の会も都構想に賛成の住民の方も納得すると思いますし、逆もまた真であります。 委員会での議論でもるる質疑があり、また答弁があり、
一つ一つ回答があり、この賛成討論では詳細を述べることはいたしませんが、都構想の
統治機構改革が実現した場合、もし将来うまくいかなかったり問題が生じたら、後で責任をとられるのはそれを決めたきょうここにいる議員、市長だから、お勧めできない協定書(案)は市民に提示できないとの意見がありました。しかし、都構想をやらなくて、今の大阪市のままで将来うまくいかなかったら誰が責任をとるんでしょうか、もし都構想をやらなくて大阪の二重行政が解消されず、もとの大阪市と大阪府に戻り、大阪が日本を牽引する、東京に匹敵するもう一つの都市として発展せず、基礎自治もおざなりになった場合、誰が責任をとるんでしょうか。 都構想は、大阪の将来を決める大事な判断です。それを市民に提示して、今の大阪市のままがいいのか都構想になるのがいいのか市民に選択を委ねるべきです。総務大臣の問題なしとの意見が出た協定書(案)について、どちらをお勧めするかは政治家の
政治的主張であって、それは政治家として
住民投票の場で展開すればいいと思いますが、お勧めできないからという理由で都構想を実現したいという市民の選択権まで奪うというのは、あってはならないと考えます。 現在の議会を構成する自民、公明、みらい、共産党のさきの統一選挙における得票数は合計で65万9,000票、当日の有権者数は209万人、有権者数の得票率は約32%です。しかもこの数字は、都構想の賛否だけで決まったものではなく、議員個人を応援する方、政党を応援する方、議員や政党のさまざまな政策を応援する方などさまざまな理由で生じた選挙結果であって、都構想をストレートに争点にしたものではありません。 さらにいえば、選挙制度自体、大阪市全体で選挙されるのではなく、この狭い大阪市をさらに24区もの行政区に分けて、その行政区の中で複数人を選挙する、数千票の得票で当選する議員が多くいる今の選挙制度であることに鑑みれば、大阪全体の話、大阪の将来を決する都構想については、議会が最終決定するのではなく、議会が住民の選択権を奪うべきではなく、
大阪市民全体の住民が最終決定するべきであると考えます。大阪の将来に対して明確な
ビジョンもないままで、現行体制を維持したいからといって協定書(案)を即座に否決して市民の選択権を闇に葬り去ることは、あってはなりません。あくまで最終判断は住民であるべきです。 ここで本協定書(案)を否決して都構想を闇に葬り去るのは、まさに政治家が市民よりすぐれているという考え方にほかならず、さきに述べた世論調査の現状や、都構想をめぐって
大阪維新の会が繰り広げてきたこれまでのさまざまな選挙戦や手続を踏まえてここまで来たことに鑑みれば、本協定書(案)はこの場で否決して闇に葬り去るのではなく、住民にその是非の最終判断を委ねるべきということから、明確に賛成の立場を表明いたしまして、賛成意見とさせていただきます。御清聴ありがとうございました。
○議長(
床田正勝君) 次に、反対者の発言を許します。 67番待場康生君。 (67番待場康生君登壇)
◆67番(待場康生君) 私は、公明党大阪市会議員団を代表して、このたび本会議に上程されています議案第333号、特別区
設置協定書の承認については承認できないことを表明し、以下、その理由について述べます。 特別区
設置協定書については、10月9日、10日に開催された
財政総務委員会、10日に開催の5つの常任委員協議会、22・23日の本会議一般質問において、さまざまな角度から質疑をしてまいりました。その結果、市長が設計図と呼ばれているこの協定書には、これまで喧伝されていた効果やメリットがほとんどなく、さまざまな不備があり、そのまま実現すると市民生活に多大な影響を与えることが明らかです。 市長の答弁から感じたまず1つ目は、統治機構の改革とも言われますが、自治体の構造をいじったぐらいで大阪経済が成長に転じるとは全く思えません。 2つ目に、大阪市を解体し、その権限を広域自治体が奪うことは、地域主権から
基礎自治体中心主義とされる考えとは矛盾します。 3つ目に、府に移行したからといって直ちに国から財源・権限が移譲されるわけではありません。府と市のコップ内での財源・権限の整理にすぎず、再編後の府の財政シミュレーションが全く示されていないことも不透明感を感じます。 4つに、多くの都市が合併で権限を持つ政令市の仲間入りをしている中で、わざわざ政令市を放棄してまで5つの特別区にする意味がわかりません。大阪市を解体すれば、関西きっての大都市は京都市、神戸市のみであります。 マスコミの一般質問の報道で議論は平行線と報じられましたが、平行線ではなくねじれの議論で、未来永劫議論をかみ合わせるつもりはないように私は思いました。 まず、当初標榜しておられた
中核市並みの権限を持つ特別区にすることに関しては、法令改正を行うことをなぜか諦め、事務処理特例という見通しの立たない決着をつけてしまったことは致命的だったと言わざるを得ません。
まちづくりの重要な権限である都市計画法上の用途地域の指定などの大事な権限がなくなり、中心市街地の再開発を主体的に行うことができなくなってしまいます。 財源についても、大阪市の固有財源であった普通3税の
固定資産税、法人市民税、
特別土地保有税と、目的税の都市計画税、事業所税、さらに宝くじ税が府の財源とされ、調整されます。25年度決算で6,418億円の市税がわずか4分の1の区税1,618億円に激減、府に区はおもねる、依存した団体になってしまいます。特別区に残される税源は個人区民税、区たばこ税、軽自動車税のみで、特別区独自でまちの活性化を幾ら図ってもその見返りはありません。
財政調整交付金の名目で必要に応じて特別区に分配するとうたってはいますが、配分割合や特別区の意見がどこまで反映されるのか先送りされています。極めて重要な位置づけにかかわらず甚だ不透明であり、まともな自立した
基礎自治体とは言えません。 市長は、行政の
予算編成権が近くにある特別区が今の府市体制よりすぐれていると何度も強弁されましたが、要は、近くに来ても裏づけとなる財源がないと意味がありません。市民サービスの低下を招くだけです。
中核市並みどころか一般市以下の自立性も魅力もない、発展・競争性も発揮されない自治体が5つも誕生することになります。
中核市並みは、この協定書によって幻になったと断言させていただきます。 さらに、府市統合の目的であったニア・イズ・ベターについてですが、それを実現するためには30万人規模が最適であるとして大阪市の大都市・税財政制度特別委員会で維新の皆さんが主張し続けられていたことは記憶に新しいところです。 しかし、今回の協定書では、人口70万人規模の特別区が含まれるなど当初の主張との乖離が見られます。なぜこうなったのか。結局のところコストが少ないほうを選んだにすぎず、当初の理由が脆弱であったのでしょうか。本来、目的はそこになかったのか。理念を捨てコスト優先で、ニア・イズ・ベターは方便であったとしか言えません。住民自治の視点が欠落の上、本質的な府市統合の目的を捨て去ったと言わざるを得ません。 次に、二重行政を解消すれば大阪が豊かになると維新のポスターにも示されました。その統合効果ですが、これも雲散霧消してしまいました。二重行政批判は、役割分担をしっかりと行っていれば住民に不都合はないはずです。松井知事は第1回大阪府市統合本部会議などで、大阪市と大阪府の予算を考えれば、二重行政の解消により毎年4,000億円からの財源を生み出すことは最低ライン、これは政治の約束と打ち上げられました。しかしながら、幾ら精査してもそのような統合効果は皆無で、昨年末示されたパッケージ案では、純粋な統合効果はわずか毎年1億円にすぎず、喧伝していたものが実は4,000分の1以下になってしまいました。市長も、4,000億円の可能性があるなど何度か言葉を変え、効果額は多様な評価手法があると苦しい答弁を続けられましたが、府市再編しなくてもできるものを加味されています。統合効果がないばかりか、特別区設置によるコスト増、つまりデメリットについては、庁舎改修費、新庁舎建設費で497億円、
システム改修費150億円、移転経費5億円、その他街区表示板・看板・広報・備品などで9億円、総計最大680億円もの多額の経費がかかることが明らかになっており、コストのメリット・デメリットから見ればマイナス効果しか見通せない状況に愕然といたします。 次に、事務配分を急ぐ余り、新たに誕生する巨大化した一部
事務組合についてです。 この一部
事務組合の予算規模6,400億円は、政令指定都市堺市の全会計にほぼ匹敵し、究極の不効率が明白です。国民健康保険や水道事業は、本来は
基礎自治体がおのおの実施する事務事業です。自治体の規模が小さい場合など、各自治体がそれぞれの判断で協議により設置するものです。市長は府下の一部
事務組合はうまくいっているとされますが、規模も中身の複雑さも理解されていないのでしょうか。スケジュールありきで協定書の作成を急ぐ余り、基礎か広域化かを明確な物差しもなく分けようとしたために、行き場のなくなった事務事業を一部
事務組合に押し込めるだけ押し込めて巨大化したと言わざるを得ません。 一部
事務組合の代表者は特別区長の互選で決めるとなっていますが、5人の区長が公選ということになれば、その公約や有権者の声などどう調整をされるのか。一つの事務事業でさえ利害が相反する中、総務省でさえ住民から見えにくいと指摘されているのに、100以上の事務事業について機動的な意思決定ができるのでしょうか。 また、
事務組合における議会の問題や処理業務の多さなど、これまでの一部
事務組合のスキームで推しはかることはできず、規模といい事務内容といい、特別区の共通事務を共同処理する巨大な一部
事務組合というよりは全部
事務組合と呼んだほうがよさそうです。 結局、利害が相反する場面で誰が責任を持って決定するのかあやふやで、特別区、一部
事務組合、大阪府の三重行政の誕生と言えるでしょう。市長は三重行政ではなく役割分担できていると答弁、ならば現状の府・市も協議と調整で役割分担すればいい話です。 二重行政の解消を目指し、効果額4,000億円を見通し、ニア・イズ・ベターを実現しようとしたら、三重行政が誕生し、デメリットが680億円のコスト増、このような事態を誰が予想したでしょうか。統治機構の一元化もニア・イズ・ベターも4,000億円の効果額も
中核市並みの特別区の実現も、全ての目的が達成できないことを証明したのがこの特別区設置の協定書であったということが、委員会質疑や一般質問で明確になったと言えます。論議は尽くされました。 当初、市民が市長に期待されていた発信力、突破力も、協定書では市長の意地と話題づくりだけで推し進められ、後は野となれ山となれでは、孫子の代まで禍根が残り、
大阪市民が不幸になり、後戻りできない代物です。そういう結果が出るころには市長はおられないでしょうが……。 本来の
法定協議会をスケジュールどおり開催し、維新以外の会派からの課題の指摘について真摯に取り組んでおられれば、このようなやっつけ仕事で不備だらけの協定書をつくることはなかったでしょう。 財政厳しき中、6億3,000万もの巨額の税金を使い出直し選挙まで実施されました。しかも、他会派を排除してまで作成を急ぎ、特別区に解体される側の大阪市の委員がいない状況でまとめられ、結果として府市統合再編の本来の目的を全て失わせることになってしまいました。 大阪府議会では、去る23日の本会議において
法定協議会の委員構成が正常化されました。その正常化された
法定協議会に基づき、市長の言われる議論不十分という論戦を交わし、市民の目線に立った議論を深め、真の目的を実現できる協定書づくりに仕切り直すべきです。この9カ月間の月日とコストの浪費について、提案者である市長と知事は大いに反省され、大阪の発展、次世代のために公選職の職務に全力を尽くすべきです。
住民投票の重要性を認識するからこそ、市民に対し、移行すれば二度と大阪市に戻れない、判断に当たって十分過ぎるぐらいの具体的な内容が示されるべきです。 ゆえに、この特別区
設置協定書の承認議案は、私どもの会派は承認できかねます。以上です。
○議長(
床田正勝君) 続いて、反対者の発言を許します。 42番柳本顕君。 (42番柳本顕君登壇)
◆42番(柳本顕君) 私は、自由民主党大阪市会議員団を代表し、議案第333号、特別区
設置協定書の承認について、断固反対の立場から討論をさせていただきます。 10月23日、府議会において大阪府・大阪市特別区
設置協議会の委員構成が会派案分に戻され、それを受けて大阪市会においても改めて会派案分により推薦手続を行いました。協議会そのものはその後開かれておりませんが、約9カ月間の時間を費やして協議会の正常化が民主的な手続によって実行されたのです。これは、松井知事や橋下市長による違法行為や岡沢府議会議長の不信任決議が可決されるほどの愚行により、だましだまし協議会正常化の引き伸ばしをしてきましたが、結局はことし1月31日の第13回協議会より後の協議・議論に正当性がないということを証明したことにほかなりません。 すなわち、民主的な手続を経ず違法行為を行使することによって成立した協定書は、大都市地域における特別区の設置に関する法律に基づき協定書に最低限書くべきことが書いてあったというだけで、総務大臣から問題ないとの意見が出たものの、法令を遵守し、関係者の間での真摯な議論を努めるようにとの技術的助言が付されるなど、根本的な手続面においては大きな瑕疵があることが明らかになったのです。作成の手続に問題がある協定書は、第14回協議会以降、わずか6時間程度の維新のみの委員で議論されただけあって、まさに突貫工事の不良品と言える多くの欠陥を抱える内容となっています。 以下、各常任委員会の議論などで明らかになった3点について指摘をいたします。 1点目は区割りです。 財政効率を優先することだけで選択された大阪市の5区分割は、70万人近くの人口を擁する特別区も誕生させることになり、現状大阪市の270万人より少ないというへ理屈だけがむなしく響く政令市並みの人口規模で、ニア・イズ・ベターとはほど遠いものであります。また、特別区の数が5つであることに悪乗りするかのように、湾岸区のみが区の特性をイメージさせる名称になっているものの、ほかは中央・北・東・南と歴史や伝統・文化を無視した名称で、地域に対する愛情を感じるものではありません。そして、その5区の議員定数は現行の定数をそのまま当てはめるという何とも短絡的で知恵を働かせない案になっており、住民自治の強化の観点からは論外と言わなければなりません。 そして振り返れば、この区割り案は、そもそも大阪市のブロック化案を検討するに当たり、公募区長たちが地域の声を十分に聞くことなく短期間で作成したものが原点なのです。その後、記録が残るわけでもない政治活動のタウンミーティングで意見があったことを理由に若干の変更をされておりますが、維新のみの限られた協議会委員で決められた区割り案に市民の思いなど全く反映されてはいないのです。今になって
住民投票すべきだとあたかも市民の総意を受け入れるかのような宣伝をする前に、本当に市民の意見を組み入れる気があるのであれば、協定書(案)を固める前に、住民にとってもっともわかりやすい区割りや区の名称についてアンケートを実施したり、パブリックコメントを行ったりすることもできたはずであります。特別区設置は、住民の熱い思いにより動き出しているわけではなく、橋下市長初め維新の会の上から目線の押しつけの内容が協定書に記されているということを指摘しておきます。 続いて、2点目は財政問題です。 多額の負債を抱える大阪府と大阪市の財政が府市再編によりどのように変わるかは、特別区設置を選択するか否かの大きな判断材料になると考えます。 しかしながら、協議会においても10月からの議会での議論においても大阪府の財政シミュレーションが示されることはなく、また、府市再編による真の効果額を知るために現行の大阪市との比較としての財政シミュレーションを提示することを求めましたが、当局は、出せないと、提出することを拒否いたしました。 そもそも、今般の特別区に当たっての財政シミュレーションも、大阪市域内とでは特性が異なる5つの中核市を参考に職員数を机上の論理で概算しており、実際の行政需要に対応できるかは甚だ疑問であります。また、区庁舎はもとより、市民利用施設や目玉権限として組み入れた児童相談所なども、どこにどのように配置され、本当に人材の確保ができるかなどが全く不明確な状態であり、歳出を算定できない中でどうして財政が成り立つと言い切れるのでしょうか。まさに絵に描いた餅であります。 大阪市域内における特別区の自主財源が現状の税収の4分の1と大幅に減少し、
財政調整により足らずを確保しなければ財政が成り立たないことを考えれば、
中核市並みをうたいつつも一般市以下で、より大阪府に対して隷属的な立場になることは明らかであります。 3点目は意思決定についてです。
財政調整財源の配分など
都区協議会で決めるとされていることが余りにも多いこと、そして財政規模が6,400億円にも上る他に類を見ないメガ一部
事務組合の存在などにより、意思決定が非常に複雑になることも大きなデメリットです。広域行政については1人のリーダーで決めるというのが都構想の一つの大きなうたい文句であったはずですが、協定書を見れば事務の整理が不十分で、今以上に物事が決まりそうにありません。府と特別区と一部
事務組合の事務配分を見てみれば、公園や施設などなぜこのような配分になったのか、首をかしげたくなるような事業がたくさんあります。 今までは大阪市が一元的に対応してきた関連事務事業についても、府と特別区とが別々で担務することにより、新たな連携や調整が必要になるものも多々見受けられます。しかも、その調整は5人の区長を相手にしなければなりません。 結局のところ、大阪市の分割による特別区設置は、単独では住民の声には応えられない財政的に脆弱な
基礎自治体を5つつくることを意味し、また、メガ一部
事務組合をつくらなければならない、事務執行もまかりならないということこそが、特別区設置の矛盾と大阪市の存在意義を証明しているのです。 協定書に示された新たな特別区の姿は以上のような欠陥を抱えており、とりわけ財政の仕組みや意思決定の仕組みについては、
大阪市民の方々にとって非常にわかりにくいものとなっていることと思います。だからこそ、議会において協定書をしっかりとチェックし、判断をする必要があるのです。 橋下市長は、車を選ぶときにエンジンの仕組みなんか皆さんは知る必要ない。スピード、安全性、快適性、値段を知ればいい。問題があったら買いかえればいいというような驚愕の発言をされていますが、特別区設置にクーリングオフ制度はありません。一旦大阪市が解体・廃止されてしまえば、もとに戻すことはできないのです。ましてや、一部の特別区が単独で政令市や一般市になることも許されず、未来永劫大阪府に対して隷属的な立場で、府にお願いしなければどれだけの権限が与えられるかもわからない、どれだけの財源を宛てがわれるかもわからない状況になってしまうのです。こんなものは到底認めることができません。 いわゆる都構想は、4年前から大きな変遷を経て現在の協定書に至っております。大阪市域のみならず周辺市をも巻き込んで、それぞれ
中核市並みの確固たる権限・財源を持つ特別区を設置し、府市再編で浮いた年4,000億円とも言われた再編効果額で大阪の成長戦略を担う、それが当初言っておられた話であったはずですが、それらは全て絵に描いた餅どころか、絵に描くことすらできなかったわけであります。もはや当初の理念など吹っ飛んでしまっており、大阪都構想はまさに破綻したのです。 では、一体何が残ったのでしょうか。こだわり続けたものは何だったのでしょうか、それは、単なる政令市大阪市の解体でしかありません。唯一、公選で特別区長が選ばれることによって住民自治が強化される印象は持ち得ますが、先ほど申し上げたとおり、権限面での制約や財政的な制約を考えれば、住民の思いに応えられる行政運営は厳しいと言わなければなりません。 大阪市の解体は、大阪市域内をさらに疲弊させるだけでなく、周辺地域にも悪影響を与えます。現状でも財政的に苦しい大阪府が、市長が最近言われるように大阪市のこれまでの市域外行政需要の負荷・負担を負うというのであれば、さらに大阪府も立ち行かなくなるでしょう。 大阪都構想が当初標榜した行政の役割分担をより明確にし、広域的な行政を一本化する、そして大阪市における住民自治を強化するという目的については、我々も賛同するところです。しかし、現状の都構想なるものではその目的が達成しがたいということが明らかになった今、これまでの議論を無駄にせぬように別の形でこれらの目的を達成する方策をすぐにでも模索すべきなのです。そして、無用な制度論に終始せず、大都市局も本当の意味での大阪の成長を牽引する政策集団として再構築すべきと考えます。 本日の議決を受けて、大阪における失われた暗黒の3年とも言える暗闇の停滞から脱却し、真に住民の安寧と大阪の発展のための具体の施策についての議論を進め実行する大阪市となることを切に求め、反対討論といたします。
○議長(
床田正勝君) 続いて、反対者の発言を許します。 28番長尾秀樹君。 (28番長尾秀樹君登壇)
◆28番(長尾秀樹君) 私は、OSAKAみらい大阪市会議員団を代表して、議案第333号、特別区
設置協定書の承認について、反対の立場から討論いたします。 本議案については、10月1日の本会議に上程され、
財政総務委員会に付託されて以降、9日、10日の
財政総務委員会及び10日の5常任委員協議会での質疑を経て、22日、23日の本会議においても市長に対する一般質問が行われました。 この間の市会での議論を通じて明らかになったことは、この協定書が、後で述べますように、1月31日の第13回
法定協議会までの法定協での議論の過程で指摘されてきた制度設計案、パッケージ案の問題点を解決するどころか、より矛盾を拡大し、支離滅裂になってしまったということであります。とても実現可能な協定書とは言えず、無理やり実現しようとすれば大阪市域の住民に多大な迷惑をかけることになる代物であり、到底
住民投票にかけるに値しないものであります。 そもそも、パッケージ案の問題点は挙げると切りがありませんが、主な点を改めて指摘しておきます。 まず、
事務分担について、
中核市並みと言いながら、住民及び議会のチェックやコントロールが及びにくく、しかも、本来特別区相互の合意のもとに設置が決定されるべき巨大な一部
事務組合があらかじめ計画されており、独立した
基礎自治体であるべき特別区に配分したはずの事務を独自に処理し実行する権限を最初から放棄していること。 次に、職員体制について、昼夜間人口の差や大都市特有の需要を無視して近隣中核市との単純比較をもとに算出した配置数案なるものが特別区に押しつけられており、その数と現行職員数との乖離に対して、いわば実現性の保証されない、本来特別区長のマネジメントに委ねられるべき職員削減計画をあらかじめ特別区長に課していること、しかも、その職員削減計画が再編効果に組み込まれており、計画どおりに実行されなければ成り立たない財政シミュレーションになっていること。さらに、再編効果額と再編コストについて、効果額のほとんどが府市統合と無関係な大阪市における民営化やリストラ効果の見込み額であり、知事、市長が公言してきた年間4,000億円はおろか、大阪の成長に必要な投資に回せる財源は生まれないこと。しかも、効果額が発現する保証はない一方で、庁舎の確保やシステム改修など再編コストは最初から必ず発生することなどなど、そのほかにも、財産・債務の承継、税源配分、
財政調整についても多くの問題点が
法定協議会での議論で指摘されてきたところであります。にもかかわらず、協定書ではこれらの問題点が全く解消されないばかりか、以下に述べますように、さらに問題点をふやす結果となっています。 まず第1に、
事務分担に係る133の法令改正を国に求めてきましたが、そのうち中核市権限である76の改正について、総務省とほぼ合意しているとしていたにもかかわらず、7月3日に開催された第14回法定協において、大都市局から法令改正を必要としない現行の東京都区制度の特例部分を除いて新たな法制上の措置は講じないということが口頭で報告され、市長、知事の発言以外に特段の議論のないまま了承されました。その結果、
事務分担については1本の法令改正も法律改正も行われず、全て府の事務処理特例条例や委託によることとされました。事務処理特例条例は市町村の規模、能力に応じて個別に事務を移譲するものであり、移譲事務の内容について都道府県の意向が強く反映されているのではないか、また、事務移譲に伴う財源措置が不十分ではないかなどの問題が、これまで市町村の側から指摘されている制度であります。大都市法に基づき設置をされる特別区の
事務分担とは趣旨、目的に違いがあるからこそ、法改正を求めてきたはずであります。それを諦めた理由が全くわかりません。 第2に、都市計画の用途地域の指定権限について、事務処理特例条例による移譲にすらなじまないとの国土交通省の指摘を受けて府の事務とされたことです。 用途地域の指定については、言うまでもなく、市町村にとって最も基本的な
まちづくりのための権限であり、
法定協議会での議論において維新の会の皆さんも特別区で担うべきであると主張していたではありませんか。この結果、
まちづくりの大事な権限を担うことのできない、ニア・イズ・ベターとはほど遠い中途半端な自治体に特別区がなってしまうことは明らかであります。 第3に、税源配分や
財政調整も法令上は東京都区制度と同じであり、地方交付税が法令上の
財政調整財源とはされず、府の条例での加算という形で特別区に配分されることになったことであります。 そもそも都区
財政調整制度そのものが、特別区にとって裁量の余地がなく、都にコントロールされ続けるものでありますが、このことによって、パッケージ案よりさらに十分な財源保障が担保されないまま府の裁量権限が強まることとなっています。大阪府特別区協議会が設置され、特別区側が府知事に意見を述べることはできますが、あくまでも連絡調整のための協議機関であり、意思決定機関ではありません。しかも、知事と区長が交渉するのであり、決まった後で府議会や区議会が議論する余地は限られており、密室協議も同然となってしまいます。 以上の結果、協定書の内容は、
中核市並みの特別区は名ばかりとなり、文字どおり東京都区制度と同じものとなってしまっています。そもそも東京都区制度そのものが矛盾を抱えており、豊かな財源によってその矛盾を何とか和らげているのが現状です。このような制度を府市ともに地方交付税の交付団体であり多額の負債を抱える大阪に適用してもうまくいかないことは、これまでにも指摘してきたにもかかわらず、そのとおりになってしまっています。この協定書は、もはや大阪にふさわしい大都市制度の制度設計案として破綻していると言わざるを得ません。 我々も、大阪における時代に対応した改革は推進するべきだと考えております。しかし、東京のまねをしても、いいことは何もありません。改革に向けて、地に足の着いた議論を積み重ねて結論を出し、大阪らしいやり方で実行することこそが今求められているのであり、そのためにこそ大阪市役所と府庁及び議会の知恵を結集すべきであるということを最後に申し上げて、反対討論といたします。御清聴ありがとうございました。
○議長(
床田正勝君) 続いて、反対者の発言を許します。 49番山中智子君。 (49番山中智子君登壇)
◆49番(山中智子君) 私は、日本共産党大阪市会議員団を代表して、議案第333号、特別区
設置協定書の承認についてに反対の討論を行います。 まず最初に、本協定書は、13回に及ぶ
法定協議会で次々に指摘される問題点や矛盾について答えることのできない知事、市長が、クーデターにも等しい民主主義じゅうりんの手段で維新の会以外の会派を排除して取りまとめたものであり、決議、意見書が市会の多数をもって議決されているとおり、無効なものであることを改めて申し上げておきます。本来なら上程できるようなものではなかったのです。 そして同時に、本協定書は、手続もとんでもないものなら、その中身も突貫工事のでっち上げさながら、検討に値しないものだということが、
財政総務委員会や各常任委員協議会の議論で明らかになりました。市民の負託を受けた議会として、きっぱりと否決する以外にありません。 以下、具体的に指摘いたします。 橋下市長は、都構想の大きな柱として、これまで府・市で二元的に行われていたとする広域行政を府に一元化して大阪の成長戦略を強力に進めると言ってこられました。それじゃ一体具体に何をするのかといえば、平松市長はカジノに反対だった、だから進められなかったなどと発言しているようにカジノを含む統合型リゾート、IRの誘致であったり、淀川左岸線延伸部やなにわ筋線の建設等であったりと、またぞろ無駄な大型開発そのものではありませんか。特にカジノの誘致は、アクセス整備に巨費を投ずるにとどまらず、ただでさえ世界で最も多いギャンブル依存症患者をさらに増加させるとともに、大阪経済の活性化にも全く役立たないものです。神戸女学院大学名誉教授の内田樹さんは、賭博は何も生み出しません。何も価値のあるものをつくり出さない。借金しても、家族を犠牲にしても、それをする人がふえるほど胴元の収益はふえる。一攫千金の夢に迷って市民生活ができなくなる人間がふえるほどもうかるというビジネスモデルですと言っておられます。まさにそのとおりで、たとえ少々雇用などがふえたとしても、それ以上のはかり知れないマイナスをもたらすものです。 それに、市長はたびたびWTCやりんくうゲートタワービルなどの失敗を挙げ、府と市があったからだとおっしゃいますが、とんでもない話です。これらは90年代、景気対策と称して競って公共投資を積み上げた結果です。つまり、政策選択上の大きな間違いであって、大阪市解体などという統治機構とは何の関係もないのです。結局、都構想とは、無駄な大型開発を府に一元化し、一人の指揮官のもとで強力に推進することによって、WTCなどと同じ過ちを繰り返すことにほかならないのです。 また、もう一つの大きなうたい文句は、二重行政の解消で4,000億円を生み出す、特別区はニア・イズ・ベターで市民サービスはよくなるということでしたが、それが全くのまやかしであることが既に明らかになっています。 府市統合による効果は全くないに等しいにもかかわらず、逆にコスト増は、とことん切り詰めた大都市局の試算でも
イニシャルコスト600億円、
ランニングコスト毎年20億円増、特別区発足後5年間で1,071億円もの収支不足が生ずる始末です。市民サービスは、よくなるどころかさらに切り縮めざるを得ず、特別区の運営、区民の暮らしは惨たんたるものだと言わなければなりません。 しかも、北区、湾岸区以外の3つの特別区では庁舎を建設するとしていますが、特別区の中心、交通至便のところで建設に必要な用地が果たしてあるのかどうかさえいまだにはっきりしないままです。
住民投票で賛成が得られればそれから物色するという大都市局の説明は、後は野となれ山となれ、住民の便、不便に大きくかかわる問題も全く明らかにしないまま、まさに白紙委任を求めるようなものではありませんか。 さらに看過できない問題は、各特別区が府に財源も権限も、そして財産も取り上げられる半人前の自治体の寄り集まりだということです。市町村税である
固定資産税、法人市民税等は府税扱いにされるとともに、特別区の起債許可権限すら府に握られるありさまです。しかも、大阪城、動物園、美術館、高校、大学などなど市民の税金で営々と築いてきたものが無償で府に移管されることになります。市内在住65歳以上無料とか大学の入学料減額等の市民向けの優遇措置が果たしてどうなるのか、この決定すら府に委ねる以外になく、ささやかな楽しみや就学の機会をも市民から奪いかねません。 その上、多くの事業が特別区独自で運営できなくて、国民健康保険、介護保険、水道事業等100を超える事業を一つの一部
事務組合で共同して行わざるを得ず、市民の命と暮らしにかかわる事業が、市民の声が届かない、目が行き届かないなど、ますます市民から遠ざかってしまうのです。 区議会議員の定数にしても、
中核市並みの自治体とは到底言えないものとなっています。現在の市会議員の定数をそのまま当てはめたために、人口34万人の湾岸区はわずか12人、同じ人口の東京北区の44人、吹田市の36人の3分の1以下という状況です。ちなみに、定数12人の市町村はと言えば、人口1万人の能勢町です。つけ加えれば、区議会の議場等のスペースも驚くほど切り縮められたものとなっています。中核市の議場等の平均面積は3,400平方メートルであるにもかかわらず、議員1人35平方メートルで算出した結果、一番多い定数23人の南区ですらわずかに805平方メートル、中核市平均の4分の1という状況です。コストを小さく見積もるためとはいえ、これほどまでの議会無視は、議会などあろうがなかろうが特別区で決められることなど限られている、府に何もかも握られているという特別区の無力さを象徴しているのではないでしょうか。まさに、
中核市並みどころか半人前自治体の寄り集まりだと断ぜざるを得ません。 特別区とはこういうものだからこそ、唯一の都区制度のもとにある東京特別区では、今や自立を求めて都区制度の廃止を望む声がほうはいとして起こっていることは周知の事実です。
基礎自治体である各特別区が、
基礎自治体としての全ての事務を処理し充実した住民自治を実現するために、特別区と決別し一般市になることを願っているのです。財政力の豊かなところは
固定資産税や法人市民税が100%入るので立派にやっていけるし、そうでないところはきちんと地方交付税で補填されるがゆえに何の気兼ねもなく事業を遂行できる、その道を目指そうというわけです。市長がやろうとしている都区制度は、区長は公選であっても自立した一人前の自治体ではないとの嘆きの声が上がり続ける時代おくれの制度なのです。 今、大阪市でなすべきことは、政令指定都市を解体し、その権限や財源を府に吸い上げる時代おくれの集権を持ち込むことではなく、むしろ政令市としての権限・財源の拡充など、地方分権の推進、地方自治の充実を国に強く求めることです。 同時に、市域内においてはニューヨーク市のコミュニティー委員会のような都市内分権に思い切って取り組むことだと申し上げ、討論といたします。
○議長(
床田正勝君) これをもって討論を終結いたします。
○議長(
床田正勝君) これより採決に入ります。 議案第333号を起立により採決いたします。委員長の報告は不承認でありますので、承認することについて採決いたします。承認することに賛成の諸君の起立を求めます。 (賛成者起立)
○議長(
床田正勝君) 少数であります。よって議案第333号を承認することは否決されました。
○議長(
床田正勝君) 日程第2、
議員提出議案第29号、特別区
設置協定書に対する議決を真摯に受け止めることを求める決議案を議題といたします。
◆43番(
黒田當士君) 動議を提出いたします。ただいま議題となりました
議員提出議案第29号については、委員会付託を省略されることを望みます。
○議長(
床田正勝君) 43番議員の動議に御異議ありませんか。 (「異議なし」と呼ぶ者あり)
○議長(
床田正勝君) 御異議なしと認めます。よって
議員提出議案第29号は委員会付託を省略することに決しました。
○議長(
床田正勝君) これより討論に入ります。 まず、反対者の発言を許します。 17番守島正君。 (17番守島正君登壇)
◆17番(守島正君)
大阪維新の会の守島です。私は、
大阪維新の会大阪市会議員団を代表し、
議員提出議案第29号、特別区
設置協定書に対する議決を真摯に受け止めることを求める決議案に反対の立場から討論させていただきます。 この決議案の中で「大阪府議会、大阪市会において、協定書の取りまとめ過程の違法性に鑑み、「無効決議」が採択されており、この協定書が正当性を欠いていることは明らかである。」とありますが、協定書は、総務大臣も問題ないとしている上、取りまとめ過程と協定書の内容を結びつける必要性もないにもかかわらず、その違法性に鑑み無効決議を採択したとあるこの決議案自体、正当性はありません。 我々は、7月25日に採択されたこのいわゆる無効決議なるものに対して、我が会派のホンダ議員から反対討論を行い、協定書(案)の正当性を訴えさせていただきましたとおり、協定書の取りまとめ過程においても違法行為の認識はなく、規約に定める範囲において法定協で協定書がまとまったと考えております。 そもそもこの無効決議自体の無効理由として挙げていた理由は2点、まず、両議会では協議会委員の推薦手続に関する条例の制定を求め、地方自治法に基づき臨時会招集請求がなされたにもかかわらず、知事、市長は地方自治法に反し臨時会を招集することはなかったので地方自治法違反というのがまず1点。 これに関して、確かに地方自治法101条4項に「前二項の規定による請求があつたときは、当該普通地方公共団体の長は、請求のあつた日から二十日以内に臨時会を招集しなければならない。」とあります。この条文にある「前二項の規定」というのは「2 議長は、議会運営委員会の議決を経て、当該普通地方公共団体の長に対し、会議に付議すべき事件を示して臨時会の招集を請求することができる。」というもの、まずこれは議長の招集請求権に関するところであり、これに加えて、議員の臨時会招集に関する規定は次の3項にあります。「3 議員の定数の四分の一以上の者は、当該普通地方公共団体の長に対し、会議に付議すべき事件を示して臨時会の招集を請求することができる。」、これに対応する規定は101条の6項にあります。「6 前三項の規定による請求のあつた日から二十日以内に当該普通地方公共団体の長が臨時会を招集しないときは、第一項の規定にかかわらず、議長は、第三項の規定による請求をした者の申出に基づき、当該申出のあつた日から、都道府県及び市にあつては十日以内、町村にあつては六日以内に臨時会を招集しなければならない。」とあります。 ちなみに、地方自治法101条1項では「普通地方公共団体の議会は、普通地方公共団体の長がこれを招集する。」とありますが、101条6項においては、1項の規定にかかわらず、首長が臨時議会を開かない場合--議長は臨時会を招集しなければならずという、首長が招集しない場合、場合規定をきちんと設けており、これをもって首長が臨時会を開かないから地方自治法違反を犯している、そのため協定書に正当性はないというのは理論が飛躍し過ぎです。 この決議を採択された皆様にもう少し加えて説明したいのですが、過去の経緯からすると、平成17年の第28次地方制度調査会で議長への議会の招集請求権の付与が答申されたことを機に、平成18年の自治法改正で先ほどの20日以内ルールができました。それでも議会を招集せず、義務違反がある状況を都道府県、市、町村、各レベルの全国議長会を初めとした議長の招集権を求める動きがあり、ついに平成24年の地方自治法改正で101条5項、6項に議長の招集権が与えられました。まさしく議会の努力によりかち得た地方自治法改正です。 大阪府議会では、臨時議会の請求に対し、まさしく議会の力によりかち得た101条6項が規定する議長の臨時会招集権を行使し、きちんと臨時議会は開かれました。ましてや、大阪市会は会期の延長をしたため、20日ルールも関係ありません。先日、共産党の議員から市長に対し、法律家なら法律を守れとの発言がありましたが、法律違反を犯していない市長に対する暴言だと考えます。 とかく、これらの経緯を自治法違反だと断罪し、首長の招集権といった協定書の中身とは全く関係ないところで違反があるから協定書そのものを無効だとするのは、理論が飛躍し過ぎです。そもそも、臨時議会招集の有無を協定書の中身の無効化に結びつける考え方が理解できません。総務大臣からも違法性の指摘がないことで御理解できないでしょうか。 そして、2つ目に挙げられていた理由が、会長を除く協議会の委員は、規約上、知事、市長、府議会議員及び市会議員の計19名をもって充てると規定されているのに対し、実際は知事、市長及び府議会議員8人の計10人となり、規約に定める要件を満たしていない状態になっている。そのため協議会規約違反であり無効というものですが、これに関しては、何度も言っていますが、法定協規約第6条の3、会議については委員の2分の1が出席しなければ開くことができないとされていることから、過半数の出席により協議会は開催されることを示しております。開催された協議会は、開会の定足数は満たしており、規約に一定の人数が欠けるときの要件もないため協議会規約違反ではありませんし、定員全部がそろわないことをもって規約違反というのは間違っております。 そもそも、提案会派の皆さんがみずから
法定協議会をボイコットしながら、協議会規約5条にある議会推薦義務を犯しながら、それをもって人員が満員でないことが規約違反になるため協定書は無効というのは無理やり過ぎです。 これらのことから、本決議案の根拠理由である無効決議自体が、理論が破綻しているでたらめなものであることがわかります。 次に、本決議案では、委員会、本会議等で必要な議論を行い議決に至ったとありますが、委員会において、他会派の委員は提案者である市長を一度も呼ばず、本会議では文句の言いっ放しで市長が求める答弁すら拒絶する状況、この過程を見て、必要な議論が行われ議決に至ったとは理解できませんし、他会派の皆さんははなから否決ありきの態度しか見せていません。よって、この中段の文章も破綻しているものであります。 最後の段落の「議会の議決は民主主義にもとづく一つの民意であり、今回の議決を真摯に受け止めるべき」とありますが、これに関しては、市長の言うとおり、我々は間接民主主義は直接民主主義の補完というのがとる立場でございます。原理原則は住民が決めるべきであり、まさしく大都市法にその必要性が明記されております。よってこの協定書は
住民投票に付されるべきで、我々議会の判断よりも有権者総体の判断のほうが重いと考えておりますし、それこそが法が求める趣旨であります。 また、先日、自民党議員の一般質問で、直接民主主義は衆愚政治にもつながる危険なもので、それをとめるのも間接民主主義の役割という旨の発言がありました。私自身は…… (「そのとおり」と言う者あり)
◆17番(守島正君) そのとおりと言いましたね、今。私自身は、一定、間接民主主義、議会制民主主義の有用性を肯定したいという思いはありますが、住民を愚民、議員を賢人と考えるような発言は理解できません。住民が包括的に賢いか愚かかどうかの判断は別として、現状の大阪市会を見て、我々議会人を賢人とみなす思い上がりの甚だしさは理解できません。法律家でも行政学者でもない議員が法律や行政に対して通常の思考よりすぐれた思考を持つと勘違いし、過剰に権能を有そうとするほうが、直接民主主義よりよっぽど危険だと考えます。 少なくとも、衆愚は別として、大阪市会の86という少ないN数、議員という偏ったバックボーンの人間だけで意思決定するよりも、有権者総体の判断能力のほうが上であり、統計学的にもより正に近い意思決定が行えるものと考えます。なので、議会の議決を住民の意思より優先すべきというようなこの文書には全く同意できません。 最後に、文末の「民主的な手続きによる正常な協議会を再構築し、議論の再開を求める」とありますが、私も何度もここで討論しているので余り言いませんし、理解していただいていると思いますが、こんな詭弁がよく書けるなと思います。都構想に反対のメンバーが多数を占める会派構成になる以上、法定協や協定書自体をうやむやにし葬り去りたいだけなのに、このような茶番の文面を記載することにあきれ返るばかりです。理論破綻と茶番に満ちたこの決議案には賛成できるわけもないため、反対させていただきます。 以上、私からの反対討論とさせていただきます。ありがとうございました。
○議長(
床田正勝君) 次に、賛成者の発言を許します。 54番多賀谷俊史君。 (54番多賀谷俊史君登壇)
◆54番(多賀谷俊史君) 私は、自由民主党大阪市会議員団を代表いたしまして、ただいま上程されました
議員提出議案第29号、特別区
設置協定書に対する議決を真摯に受け止めることを求める決議案に対する賛成討論をさせていただきます。 先ほど、さまざまな紆余曲折を経て取りまとめられた特別区
設置協定書の承認についての議案第333号は、我が会派を含め4会派が反対し否決されました。協定書が否決されたという事実を重く受けとめていただきたいと思います。 そもそも、大都市地域における特別区設置に関する法律第6条には「速やかにそれぞれの議会に付議して、その承認を求めなければならない。」とあり、第6条2項には「議会の審議の結果を、速やかに、特別区
設置協議会並びに他の関係市町村の長及び関係道府県の知事に通知しなければならない。」とあります。つまり、本議会においては現在この段階にあることをまずもって御確認願いたい。その上で、本協定書が承認されず否決され廃案となることを、正常化された特別区
設置協議会へ速やかに通知していただきたいと思います。 この間の市長の答弁や発言では、市民が決めるということを何度も繰り返しおっしゃっておられます。我々議員一人一人は市民によって選挙で選ばれた代表であり、議会での議決は市民の代表が決めた一つの民意であります。しかし、法律家であり政治家でもある橋下市長ほどの識見豊かな方が、議会が
住民投票を邪魔しているとおっしゃっているのは、意図的に対立の構図を演出しているとしか思えません。 先日も、我が会派の川嶋議員の一般質問への答弁で、市長は、直接民主制がメーンで間接民主制は補完的な役割だと述べられ、見解の相違だとおっしゃいました。それは、これまでの府議会や市会、また最近では府議会の議運で多数決で強行に進められてきた維新政治を否定することになります。究極の民主主義や本当の民主主義などという表現で都合よく直接民主主義を持ち出すのは、違法行為をも選挙で決着を求める橋下市長のすりかえでしかありません。見解の相違でお茶を濁すことは、政治家としていかがなものかと思います。 私たちは、直接民主制や
住民投票を否定するものではありません。しかし、その活用には順序、手続があります。憲法改正の手続を思い出していただければすぐにわかります。国民投票の前にまず衆参両議院の議決があります。憲法改正の国民投票もこのたびの特別区設置の協定書の
住民投票も議会の承認が大前提であることは同じであり、それほど住民にとって影響が大きいために特別区設置法には
住民投票が規定されているのであります。大阪府議会で承認されても府民による
住民投票がないことからも、
大阪市民だけに大きな影響があるから
大阪市民だけが
住民投票の対象になっています。要するに、間接民主制を補完するのが直接民主制だということは以上のことからおわかりだと思います。 よって、市長におかれては、特別区設置法の趣旨からすれば、違法である方向に市民を先導するかのような
住民投票のための
住民投票などという後世に汚点を残すようなことは厳に慎んでいただきたいと申し上げておきます。 本日の議決をもって廃案となる協定書は、端的に言えば効力がなくなるわけです。是非を問う対象がないのに行う
住民投票とは一体何なのでしょうか。意味が全くわかりません。その上、
住民投票のための
住民投票には地方自治法上の法的拘束力がありません。そのような
住民投票のために、また血税6億円も投じられるのでしょうか。 この間にも
大阪市民の日々の暮らしは間断なく続き、中小零細企業が多く低所得者の多い本市において、的確な経済対策をきめ細かく打つことが求められております。忙しい仕事の時間をやりくりして地域や学校などのボランティアに汗を流してくださっている方々、大都市に暮らしながら医療や介護・福祉に、文化・スポーツなどにおいて、現実にそこに暮らす
大阪市民は大阪市に対して何を求めておられるのかということに思いをはせていただきたいと願うばかりです。 もう十分過ぎるぐらいの時間と人と税金を使って、橋下市長を初め維新の会が政策の1丁目1番地と位置づけるいわゆる大阪都構想を実現せんがため、ここ数年間にわたってあらゆることを政局に持ち込み、制度変更に固執してこられました。しかし我々は、大阪をよくするのは、政令市を解体し単に特別区を設置するだけの制度変更ではなく、あくまで政策の中身であると考えております。つまり、当初は大阪の成長戦略の手段であったはずの大阪都構想が目的化していったにもかかわらず、その実現に固執されたことはまことに残念です。二元代表制の一翼を担う我々議会人も、敵対するではなく、一つ一つの施策に是々非々で対峙し、本当に市民の最大幸福を追い求める大阪市政になるように力を合わせていきたいと願っております。 議会での承認が得られずという結論が出たのですから、それを尊重するのが首長としての、270万市民のトップとしてのとるべき行動だと思います。大阪市を解体することをきっぱり潔く諦めていただくことに思いを込めて、本決議案を提出させていただきました。 もう一度、改めて申し上げます。今般の特別区
設置協定書に対する議会議決を素直に、そして真摯に受けとめていただき、今後いたずらに奇策を弄されることは、絶対に許されるものではありません。 以上、るる申し上げましたが、議員各位におかれましては本決議に御賛同をお願い申し上げまして、賛成討論とさせていただきます。御清聴ありがとうございました。
○議長(
床田正勝君) これをもって討論を終結いたします。
○議長(
床田正勝君) これより採決に入ります。
議員提出議案第29号を原案どおり可決することに賛成の諸君の起立を求めます。 (賛成者起立)
○議長(
床田正勝君) 多数であります。よって
議員提出議案第29号は原案どおり可決されました。
△閉議
○議長(
床田正勝君) 本日の日程は以上で終了いたしました。
△散会
○議長(
床田正勝君) 本日はこれをもって散会いたします。 午後3時30分散会 --------------------------------- 大阪市会議長
床田正勝(印) 大阪市会議員 漆原良光(印) 大阪市会議員 山本修子(印)◯大阪市会(定例会)会議録(平成26年10月27日)(終)...