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12月04日-02号

  • "咲洲コスモスクエア地区"(/)
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  1. 大阪市議会 2008-12-04
    12月04日-02号


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    平成20年第4回定例会(平成20年12月)◯大阪市会(定例会)会議録(平成20年12月4日)    平成20年12月4日午前11時開議◯出席議員 88人(欠は欠席者)   1番    井上 浩君   2番    清水忠史君   3番    島田まり君   4番    西崎照明君   5番    木下 誠君   6番    川嶋広稔君   7番    山下昌彦君   8番    徳村 聡君   9番    西岡 剛君   10番    田中ひろき君   11番    森山よしひさ君   12番    権世幸蔵君   13番    沓澤和夫君   14番    永井啓介君   15番    西川ひろじ君   16番    冨岡朋治君   17番    北野妙子君   18番    井上英孝君   19番    福島真治君   20番    明石直樹君   21番    八尾 進君   22番    辻 義隆君   23番    土岐恭生君   24番    安達義孝君   25番    尾上康雄君   26番    寺戸月美君   27番    渡司考一君   28番    上野とき子君   29番    北山良三君   30番    山中智子君   31番    江川 繁君   32番    杉田忠裕君   33番    高山 仁君   34番    金沢一博君   35番    漆原良光君   36番    小玉隆子君   37番    柳本 顕君   38番    黒田當士君   39番    加藤仁子君   40番    有本純子君   41番    辻 淳子君   42番    美延映夫君   43番    東 貴之君   44番    神原昭二君   45番    山崎誠二君   46番    長尾秀樹君   47番    小林道弘君   48番    田中 豊君   49番    山本修子君   50番    永藪隆弘君   51番    松崎 孔君   52番    広岡一光君   53番    福田賢治君   54番    勝田弘子君   55番    奥野正美君   56番    松田 力君   57番    田中ゆたか君   58番    床田正勝君   59番    大内啓治君   60番    荒木幹男君   61番    舟戸良裕君   62番    大西宏幸君   63番    多賀谷俊史君   64番    足高將司君   65番    待場康生君   66番    高橋諄司君   67番    青江達夫君   68番    前田修身君   69番    金子光良君   70番    石原信幸君  欠71番    稲森 豊君   72番    瀬戸一正君   73番    長谷正子君   74番    石川莞爾君   75番    下田敏人君   76番    矢達 幸君   77番    高田雄七郎君   78番    小笹正博君   79番    河本正弘君   80番    太田勝義君   81番    田中義一君   82番    大丸昭典君   83番    天野 一君   84番    船場太郎君   85番    新田 孝君   86番    高野伸生君   87番    木下吉信君   88番    坂井良和君   89番    加藤正武君    ---------------------------------◯職務のため出席した事務局職員                市会事務局長          寺本良平                次長              遠藤博文                議事企画担当課長        友居伸行                議事企画担当課長代理      山下伸一                議事企画担当係長        石田哲明    ---------------------------------◯議場に出席した執行機関及び説明員                市長              平松邦夫                副市長             柏木 孝                副市長             森下 曉                政策企画室長          山本 仁                情報公開室長          鍵田 剛                市政改革室長          杉本佳英                危機管理監兼危機管理室長    岡 武男                総務局長            村上龍一                市民局長            京極 務                財政局長            井上裕之                契約管財局長          新谷和英                計画調整局長          北村英和                健康福祉局長          平田修一                こども青少年局長        永田兼一                ゆとりとみどり振興局長     丸岡宏次                経済局長            堂山達志                環境局長            檜垣洋次                都市整備局長          岩城良夫                建設局長            田中清剛                港湾局長            川本 清                会計管理者兼会計室長      山本重雄                消防局長            森口清太郎                交通局長            葛本恵英                水道局長            白井大造                教育委員会委員         勝井映子                教育長             永井哲郎                選挙管理委員会事務局長     水本敏一                監査・人事制度事務総括局長   井上由紀夫    --------------------------------- △開議      平成20年12月4日午前11時2分開議 ○議長(多賀谷俊史君) これより市会定例会会議を開きます。 本日の会議録署名者を西川ひろじ君、江川繁君の御両君にお願いいたします。 ○議長(多賀谷俊史君) この際、昨日就任されました勝井教育委員会委員よりごあいさつがあります。 勝井教育委員会委員。     (教育委員会委員勝井映子君登壇) ◎教育委員会委員(勝井映子君) ただいま御紹介いただきました勝井映子でございます。議長のお許しを得まして、一言就任のごあいさつを申し上げます。 私は、昨日の市会本会議におきまして御同意を賜り、同日付で教育委員会委員という重責に任ぜられました。もとより微力ではございますが、皆様方の御指導、御教示を得まして、子供たちのために、そして本市教育行政のために全力を尽くす所存でございます。何とぞよろしくお願い申し上げます。 甚だ簡単ではございますが、就任のごあいさつとさせていただきます。(拍手) ○議長(多賀谷俊史君) この際お諮りいたします。高野伸生君、待場康生君、山本修子君、渡司考一君より、市長に対して特に口頭で質問いたしたいとの申し出があります。会議規則第58条の規定により、これを許可することに御異議ありませんか。     (「異議なし」と呼ぶ者あり) ○議長(多賀谷俊史君) 御異議なしと認めます。よって高野伸生君ほか3君の質問を許可することに決しました。 86番高野伸生君。     (86番高野伸生君登壇) ◆86番(高野伸生君) おはようございます。私は、自由民主党・市民クラブ大阪市会議員団を代表して、平成19年度決算の審議に当たり、平松市長の市政運営について総括的に質問を行います。 平松市長は間もなく就任1年を迎えられます。この間、市民とともに大阪を元気にすると公言されてきておられますが、地域の実情は原油高や世界的な金融不安などによってより厳しいものになっております。既に景気も後退局面に入ったと言われており、市民生活にもさまざまな影響が出始め、政府は緊急の経済対策を第2次補正予算として検討中でもあります。こうした状況に対して、限られた自治体の権限をどう活用していくのか、将来に向けた礎をどう築いていくのかが非常に重要であると思います。 我が会派は、市民生活を将来にわたって維持向上させていくためには、やはり大阪の持続的な発展が不可欠であると考えており、それを先導していく責務があると考えています。この立場に立って、市の財政健全化を引き続き推進しつつ、大阪市にとって真に必要なものは何であるのか、そして貴重な財源を具体的にどのような政策に充てていくべきかについて十分議論していきたいと考えています。 そこで、こうした観点から以下の質問をさせていただきます。 まず、財政問題についてお聞きいたします。 きのうの決算市長説明によりますと、本市の財政は、企業収益や雇用情勢が改善せず、また市税収入が伸び悩む中、義務的経費が増加するなど危機的な状況にあることは明らかであります。そして、今年度に入ってからは、100年に一度と言われるような世界的な金融危機に伴う景気の後退により企業収益の落ち込みが続き、今後とも市税収入のさらなる減収は避けられない状況となっております。 先般公表された中期的な財政収支概算では、経費削減の取り組みに沿って改革を推進することにより、今後の収支不足についても一定のめどが立つとされていましたが、この経済情勢の急速な悪化によって収支不足が一層拡大することが考えられ、大いに危惧するところであります。 このような厳しい財政状況の中、市民生活を守り、今後も関西の母都市としての役割を果たしていくためには、その対応策の検討は何よりも急務であると思われます。この間、国では埋蔵金が議論されてきましたように、本市においても公債償還基金の活用が議論されてきましたが、私は、安易に将来に備えた財源に手をつけるのではなく、しっかりとした対応策のもとに財政基盤の確立を図ることが肝要であると考えます。 そこで、市長はこのような現状をどのように認識し、また対応策についてどう考えておられるのか、御見解をお伺いいたします。 また、厳しい財政状況に拍車をかけているのが財務リスクの問題です。特にWTCは、来年度中には破綻が見えており、それまでに何らかの手を打たなければなりません。再建策が事実上困難な状況の中で、処理策としては、損失補償を含む市民負担を最小限とするためにWTCを売却する方向で考えられてきており、中でも市長は大阪府への売却を最優先に考えたいということで現在大阪府と協議を行っておられるということですが、府庁舎を移転するためには府議会の3分の2以上の同意が必要とされています。しかしながら、府の状況を聞いていますと、3分の2以上で議決できる見通しはまだ立っておらず、このハードルはかなり高いと思われています。 一方、サブプライムローン問題に端を発する世界同時不況の状況を見ますと、投資ファンドなど民間による買い取りも大変困難な状況と思われます。 そこで、このような状況の中、大阪府の移転が実現すればよいわけですが、一方、これが不調に終わったときのことも頭に置いて、損失補償の市民負担を最大限縮小する方策を考えていかなければなりませんが、市長の御所見をお伺いいたします。 次に、緊急経済対策についてお聞きいたします。 今般の我が国の景気後退は、世界経済の減速や国際的な金融不安から引き起こされており、非常に深刻で長期化するおそれも指摘されています。 現在、大阪市では、中小企業の喫緊の課題である資金調達面での支援を緊急の金融対策として積極的に行っておられることは評価いたしますが、先行きの不透明感に不安を募らせた多くの中小企業が申請窓口に詰めかけるという現状が長期化することも予想されます。そこで最大限努力されても、経営基盤が脆弱な多くの中小企業にとって、倒産を余儀なくされる厳しい状況も想定される中、現在の信用保証の仕組みでは、その最終リスクを大阪市並びに信用保証協会が背負い込むという重大な問題を決して見過ごしてはならないと考えます。 今後、景気低迷が中小企業のみならず市民生活全般にわたって影響を及ぼし、さまざまな問題が顕在化することが想定される中、対応していくべき課題は、金融面だけではなく多岐にわたると考えられますので、将来的に起こり得る状況をも見据えた財政的な配慮を行うことが市民の生活をあずかる行政の責任というものではないでしょうか。 一般的に、保証した企業の倒産が多く発生し、市として財政負担が増加するのは数年先になると考えられます。しかし、その時点で制度上の不備を国に訴えても既に手おくれであります。10年前の貸し渋り対策のときは、そうしたリスクを国が全額負担したと聞いております。今回も、前回と同様に国が100%リスクを負担する制度の構築を、手おくれとなる前にすぐにでも国に対して強く要望していくこと、こういうことが必要であると考えますが、市長の御見解をお伺いいたします。 続いて、「元気な大阪」をめざす政策推進ビジョンについてお聞きいたします。 先日、市長が出された政策推進ビジョンは、就任後1年近くも費やして策定されたにもかかわらず、全くの期待外れでございました。抽象的なスローガンや形容詞が羅列されただけで、大阪のまちを、いつまでに、どのような手法や手順でどのような姿にしていくのかということが明記されていません。また、その実現に向けたタイムスケジュールも記載されておらず、説明責任を果たす観点からも、もっと具体的に明記すべきだと考えます。特に、そのビジョンの中では市民協働の取り組みをさらに広げていくとされていますが、具体的な進め方には触れられておらず、市民に何を求めているのかもよくわかりません。 既に各地域では、地域振興会社会福祉協議会などを中心として市民協働は従前より進められており、福祉や地域振興活動でもう手いっぱいの状況でもあります。新たに3つの取り組みを一緒にやってくださいと言われても、地域の負担をいたずらに増すだけではないかと非常に危惧いたします。具体的に申し上げますと、例えば防犯については、街頭犯罪発生件数ワーストワンの汚名の返上や地域安全対策推進モデル区を決めて重点的に防犯対策を実施されるようですが、これまでもボランティアによる子供の見守り活動や地域振興会、防犯協会の活動など、市民は十分にさまざまな場面で市に協力しているのが実情であります。 そこで、さらに市民と具体的に何をされようとしているのか、また地域安全対策推進モデル区とはどのような場所にされるのか、市長の御見解をお伺いいたします。 次に、なにわ元気アップ会議についてお聞きいたします。 市長は、常々市民が主役の市政を実現するために直接市民と対話を行いたいとされ、報道によりますと、なにわ元気アップ会議などの市民懇談会の開催が既に100回を超えたということであります。市長が市民の意見を大事にされる姿勢については理解いたしますが、市長の自己満足に終わっていないかと心配しております。市民との懇談の結果、どのような成果があったのかお伺いいたします。 また、とりわけ回数の多くを占めるサプライズ訪問とは、どのような施設で、どのような場所を訪問されているのか、日々地元の方々と接している我々議員からすれば、いま一つ不明な内容であり、サプライズ訪問の言葉すら、いつから使われていたのかも知りませんでした。このこと自体が、まさにサプライズでもあります。 逆に、私は市長に大阪市のさまざまな職場へのサプライズ訪問を提案したいと思います。本市では、各区や事業所など、さまざまな職場で多様な職種の職員が市民生活を支えるために日夜働いております。市長は、4万人を超える職員のトップとして、現場の職員に対して御自身の考え方や方針を、直接市長の言葉で伝えていただくべきであり、職員の声をじかに聞いて激励することで職場の士気、職場のムーブメントも高まると思いますが、この点に関する市長の御所見をお伺いいたします。 続いて、大阪市の今後のまちづくりについてお伺いいたします。 本市財政が危機的な状況に直面し、経費削減の取り組みが出されるなど、ネガティブな話題ばかりが目につきますが、こうしたときこそ次世代に胸を張って自慢できるような建設的で発展的な取り組みも必要ではないでしょうか。大阪や関西に対して、これから何が求められるのか、世界の中でどのようにその存在感を出していくのかといった長期的かつ幅広い視点や方向性を持ちつつ、経済の活性化、まちのにぎわいづくり、そして都市の文化や環境の創出などに積極的に取り組み、都市の再生につなげていくべきだと考えます。また、その実現のためには、経済界との適切な役割分担と協働のもとに、大阪や関西の強みとポテンシャルを生かし、民間の活力を最大限に引き出していく取り組みが必要であると考えます。 こうした観点から、まず関西の再生をリードする新しい拠点として期待される大阪駅北地区についてお聞きいたします。 大阪駅北地区では、4年後の先行開発区域のまち開きに向けて、民間事業者による開発がようやく本格化しつつあります。とりわけ、その中核機能であるナレッジ・キャピタルは、先行開発区域の成功のかぎと考えます。大阪市からもロボシティコアなどが入居すると聞いておりますが、ナレッジ・キャピタルの充実を図るため、大阪市はさらに積極的に取り組んでいく必要があります。 また、残る2期区域の開発が実現して初めて全体の開発が成功したと言えるわけですが、民間投資を誘導していくためにも、2期開発について、大阪市としての方向性を早く打ち出す時期に来ていると思います。さらに、2期開発を支えるJR東海道線支線の地下化や道路などの基盤整備について、国を初め関係者の協力を得て早期に実現していく必要があると考えます。この大阪駅北地区の先行開発区域及び2期区域の取り組みについて、市長の御所見をお伺いいたします。 次に、文化・観光の観点から、中之島や大阪城周辺のまちづくりについてお聞きいたします。 まず、中之島地区においては、現在、四ツ橋筋から関西電力本社までは高層ビルが再整備されつつあるものの、それより西においては低利用のままに置かれている状態であります。しかし、この10月の京阪中之島線の開通により中之島西部へのアクセスは大きく向上し、これを機に民間においても開発意欲は高まっております。 これに対し、中之島4丁目地区では、近代美術館及び舞台芸術総合センターの2つのプロジェクトがとまったままであり、先日、新聞でも近代美術館の建設のことが美術作品や名作が持ち腐れという見出しで掲載されておりました。中之島地区に立地する企業からも、近代美術館建設の早期実現を求める声が、今になって大きな声で上がっていると聞いております。また、舞台芸術総合センターについては、中之島周辺地域で立派な民間ホールが開設されるなど状況は大きく変化してきており、その必要性も低下してきたことから、ここで一たん取りやめてはどうかとも考えます。 私は、近代美術館は大都市大阪の顔とも、また集客やにぎわいの創出とともに経済効果を生み出す核ともなると考えていますが、そのためには施設規模や事業費の見直しはもちろん、管理運営形態や整備手法の検討などのほか、平成24年に発生する国との違約金問題など多くのクリアすべき課題があると考えます。今の大阪市の財政状況を考えると、とても新しい箱物施設に簡単に予算をつけられないことは百も承知しております。しかし、その整備に当たっては、大阪市単独ではなく、新たなまちづくりへの投資へとつながっていくよう官民の力を合わせていくことが何よりも重要であると考えます。この近代美術館の整備に向けては、企業や市民にも積極的に参加してもらい、民間主体のNPOによる運営を考えるなど、あらゆる手法について検討し、実現可能な方策を早急に打ち出し、議論を開始していくべきであると考えますが、市長の御見解をお伺いいたします。 また、中之島地区については、水都大阪2009の開催が控えており、観光客にも市民にも変貌した中之島を強くアピールし、多くの人にそれを体感していただく絶好の機会を迎えようとしております。多くの人に足を運んでもらい、大阪がまさしく水の都、水都であることを実感していただくために、遊歩道や船を活用した中之島の周遊性を高めるとともに、市民が中之島に集い参加できる機会をふやすことに取り組まなければならないと考えます。そのためには、例えばイルミネーション事業についても、今後は中之島東部地区から西部地区まで一帯の広いエリアを活用して、公園や施設、さらに道路や川までも含め、ゆっくりと歩いて楽しめるような充実した取り組みが必要であると考えます。また、中之島公園は、中之島水上公園として、市民が楽しみにしているバラ園とともに水辺のレストランについても整備し、市民の憩いの場として人を引きつける魅力のあるものにしていくべきであると考えます。 一方、中之島と並ぶ大阪の重要な歴史観光資源といえば、海外からの観光客も多数訪れる大阪城が挙げられます。このエリアでも、中之島と同じく集客に向けた取り組みを積極的に展開すべきであります。例えば、団体客が一度に食事ができるレストランやカフェがあり、野外での演劇やコンサートといった催しなどがより多くあれば、大阪城の観光魅力はさらに高まるものと考えられます。市長のビジョンの中でも、元大阪市立博物館の活用について触れられていましたが、さまざまなアイデアを出して大阪城エリア全体の魅力アップに努めてもらいたいと考えます。 また、今申し上げた中之島や大阪城は、歴史的な観光資源でありますが、これらとUSJや海遊館といった新しい集客施設を線でつなぎ、川を軸とした魅力的なまちづくりを展開することにより、観光振興としても大きな効果が期待できるのではないかと考えます。 さらに一歩踏み込んで、河川の管理についても大阪府から移管できれば、水と緑の潤いあるオープンスペースとしての河川の特性を最大限生かした水辺づくりやイベントなどの開催が、本市としてより主体的に取り組めるのではないでしょうか。 以上、中之島や大阪城周辺のまちづくりについて、市長の御所見をお伺いいたします。 次に、臨海地域のまちづくりについてお聞きいたします。 「元気な大阪」をつくるためには臨海地域の活性化が不可欠であります。これまでの臨海地域の方針であったテクノポート大阪計画については、20年以上も前のものであり、経済社会の成熟化、少子高齢化が進むなど時代も大きく変わっていることから、社会情勢をリアルタイムで見きわめた実現可能な具体的な計画が必要であります。 先日、私の地元でもあります住之江区平林地区への誘致が決まったパナソニック・エナジーや旭硝子の大規模工場では、試算によりますと、立地後の10年間で建物や設備関係だけでも100億円を超える税収増が見込まれるとのことであります。このような大規模施設の立地は、本市の財源確保にも大きく貢献するものであり、引き続き誘致を行う必要がありますが、次の誘致候補地となるポテンシャルのある土地は、市内には臨海地域にしか残っておらないと考えます。とりわけ広大な土地が確保できる夢洲のコンテナターミナル背後エリアにおいては、関係局が連携し、全庁的に企業誘致に取り組むべきと考えます。 一方、国際交易施設などが集積している咲洲コスモスクエア地区においては、一定の集積が図られているとはいえ、未利用地はまだ多く見られ、大型車両と一般車両の混在など多くの課題を残しております。 また、見本市会場であるインテックス大阪については、先日、大阪府の橋下知事から20万平米を超える国際展示施設を南港に設けるとの発言もありましたが、規模のみの視点で他都市の展示施設と競い合っても効果的な運営が期待できるとはとても思えません。大阪の産業構造を見据え、在阪企業の繁栄につながる見本市を開催するなど、大阪の特色を出していくことが必要ではないかと考えます。 本市の財政状況は、確かに厳しい状況にあります。しかし、このようなときにこそ効果的に必要な投資を行う必要性も一方で考えなければならないと思います。ある程度のリスクはあったとしても、リスクだけを恐れて何も手を打たないというのではなく、リスクをミニマイズする対策も想定した上で、柔軟な計画を立てて、具体策を打ち出していくべきであると考えます。 そういった意味で、夢洲やインテックス大阪の機能強化などを含めたコスモスクエア地区のまちづくりが大変重要であると考えますが、今後、これをどのように進めていかれるのか、市長の御所見をお伺いいたします。 続いて、福祉・医療対策についてお聞きいたします。 まず、本年9月に公表された経費削減の取り組みの中に敬老優待乗車証交付制度の見直しが盛り込まれていました。9月は高齢者福祉月間でもあり、その時期に発表されたということは大変な驚きでありました。この制度は、市営交通機関を自由に御利用いただくことにより高齢者の社会参加を促進し、元気でいつまでも活躍していただくなど、全国に先駆けて生きがい施策として実施されてきた重要なものであると私どもは認識しております。 我が会派は、さきの公営・準公営決算市会において、敬老優待乗車証交付制度の見直し素案に反対する決議を行ったところであり、また一方、我が会派独自のアンケートも実施しております。市長は、この決議を受けて、今後どう対応されるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、先般、東京都で妊婦が総合周産期母子医療センターなど数カ所の医療機関に受け入れを拒否されて死亡するという事件がありました。報道によれば、事件の背景には産科医の不足の問題や医療機関の相互の連携に問題があると指摘されております。 救急医療の分野では、周産期医療の医師などの不足が問題になっておりますが、国も本腰を入れて取り組んでいるものの、同じ医師等の不足に悩む公立と民間の医療機関に情報の公開を含めたネットワークがしっかりあれば、さらに救急医療や、また災害の場合にも有効に対応できるのではないかと考えます。 また、今、各都市で大流行が懸念されている新型インフルエンザは、大規模災害以上に広範囲で大多数の市民に影響を及ぼすと予測されており、医療機関に多くの患者が集中するなど混乱を来すことが予想されます。こうした事態に対応するには、事前の対策が不可欠であり、全庁的な情報の共有や府・市が連携した危機管理が必要であり、日ごろから訓練の実施や医療機関との協力体制を構築することが重要と考えます。 新型インフルエンザの流行などに関して、本市における医療機関相互のネットワークは大変重要であると考えますけれども、市長の御見解をお伺いいたします。 次に、教育改革についてお尋ねいたします。 全国学力・学習状況調査が2年連続で全国平均を下回るという極めて厳しい結果を受けて、大阪の教育は大胆な改革が迫られております。 大阪府では、橋下知事みずからが教育非常事態宣言を発し、教育委員会や学校だけに任せず、地域や家庭を挙げて教育に取り組むことを呼びかけ、教育日本一を目指し、全庁的に教育の再生に向けた施策を打ち出しておられます。また、府民討論会にも積極的に教育委員ともども出席して、府の考えを率直に発言しておられます。 一方、本市では、平松市長が教育行政に関して、みずからの考え方を明確に出しているとはとても思われません。大胆な改革には外からの刺激が必要であります。市長は、教育委員会や学校の自助努力を期待するのではなく、教育行政にもリーダーシップを発揮して全庁的な取り組みを展開するべきであると考えます。例えば、子供たちには日本という国を愛し誇りに思う態度を身につけてもらいたいと思いますが、そのためには学校教育において、これまで以上に日本人としての自覚や郷土と国を愛する心の涵養を図るようにしなければならないと考えます。 しかし、本市の小・中学校の卒業式・入学式では、国旗が式場内に掲揚されていない、あるいは国歌斉唱を式の前に実施するなどの事例がいまだに1割近くあると聞いております。一部教職員の反対で不適切な実施となっているのは問題であります。これでは、国旗・国歌を尊重する態度を育てているとは到底言えず、子供たちに我が国と郷土を愛する心をはぐくむことはできません。直ちに改めるべきであると考えますが、市長の御所見をお伺いいたします。 最後に、大都市制度についてお尋ねいたします。 大阪市では、かねてより市域内の事務を大都市が一元的に実施するスーパー指定都市構想を提唱し、その実現を国に対して求めてきました。 しかし、現在、国の地方分権改革推進委員会においては、大都市制度改革の議論がほとんど行われていない状況にあります。この問題を大阪市だけの問題として要望していては、国に取り上げてもらえないのは当然であり、ほかの指定都市とも連携して働きかける必要があると考えます。ただし、政令指定都市は現在17市を数え、生まれながらの大都市もあれば、近年、市町村合併等により新たに政令指定都市に移行した市もあり、それらの都市が単純に一つにまとまって行動していけるのか大変危惧するところであります。 一方、去る11月27日に大阪府は地方分権改革ビジョンを発表しましたが、その中で港湾行政や地下鉄などの広域事業を大阪市が担っていることについて抵抗感が示されており、大阪府がかつて打ち出した大阪新都構想を思い起こさせるものとなっております。このような大阪府の考え方は、本市が大阪都市圏の母都市として先進的な事業を担い、都市圏の発展を牽引してきた役割を無視し、本市を単なる1都市として位置づけようとするものであり、決して容認できるものではありません。 そういった状況の中、横浜市・名古屋市と共同で研究会を設置し、我が国の成長を牽引する新たな大都市制度の姿を構想し、今年度中に提言にまとめて国に対して強く要望していこうとしている動きに対しては、我が党といたしましても大いに応援していきたいと考えております。地方分権、道州制の議論が盛んに行われているこの機をとらえ、これまでのスーパー指定都市構想の研究成果を踏まえながら、大阪・横浜・名古屋の3都市で調査研究を進め、大都市圏の存亡をかけて国全体の発展につながる新しい大都市制度の創設に向けて取り組まれる市長の決意をお伺いいたします。 以上、自由民主党・市民クラブ大阪市会議員団を代表いたしまして御質問申し上げましたが、個々の具体的な課題などにつきましては、今後の決算委員会等の場で改めて議論させていただくことといたします。 我が会派といたしましては、引き続き市長の施政方針に対しまして是々非々で対処してまいることを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。 ○議長(多賀谷俊史君) 理事者の答弁を許します。 平松市長。     (市長平松邦夫君登壇) ◎市長(平松邦夫君) ただいまの高野議員の御質問に対しまして、お答えを申し上げます。 財政問題についてでございますが、アメリカ発の金融危機に伴う現下の経済環境の急速な悪化は、さらなる市税収入の減など、本市の財政に大きな影響を及ぼすものであり、一層収支不足が拡大することは十分予想されますことから、その対策は急務であると考えております。今回の経済情勢による税収の落ち込みは、本市だけではなく全国的な問題であると認識しており、まずは地方交付税の確保に向けて、地方が一丸となって国に対して働きかけていく必要があると考えております。 また、御指摘のように、公債償還基金は将来の市債償還のための貴重な財源であることから、安易に頼ることはせず、引き続き経費の削減に努め、年内にも仮称ではございますが、行財政改革検討委員会を開催し、次期行財政改革計画の検討を早急に進めますとともに、新たな発想に立って、特別会計を含め大阪市全体の持っている資産の活用など、あらゆる角度から財政健全化策に取り組み、危機的な財政状況に対応してまいりたいと考えております。 WTC問題についてでございますが、これまでもさまざまな角度から検討してまいりましたが、その過程で大阪府からWTCへの府庁舎移転の提案を受けたものでございます。大阪府の移転に伴うベイエリア開発へのインパクト等を総合的に判断いたしますと、現時点では大阪府への売却が最も望ましいと考えております。今後、実現に向けて解決すべき課題もありますが、府のWTCへの移転が、臨海部の活性化に加え、現府庁舎周辺売却によるまちづくりも期待されるところであり、課題解決に向けて府とも協調して取り組んでまいります。 議員御指摘のとおり、現下の経済状況では、民間の不動産への投資意欲の低下も考えられますが、WTCの処理につきましては、タイムリミットもあることも事実でございますので、あらゆる事態に対処できますよう引き続き検討してまいる必要があると考えております。 緊急経済対策についてでございますが、未曾有の経済危機の中、本市として、中小企業の当面の資金繰りに対する緊急金融対策が何よりも重要と考え、この間、本市独自の新制度を創設し、特別態勢もしきながら、金融対策を積極的かつ迅速に行ってきたところでございます。対策開始以降、年内の融資を求める企業の方々を中心に多数の相談を受け、認定も行っていますが、当面景気回復の見通しが立たない中、金融機関の融資姿勢が一層厳しくなることも想定され、年度末の資金需要に向けた円滑な同対策の実施に今はまず全力を注いでまいります。 その一方で、景気の低迷が長期化すれば、将来的に倒産企業の増加により貸し倒れが膨らみ、その結果、信用保証協会の損失と協会のリスク負担を行う本市財政上の支出増大が懸念されるところでございます。今後、市民生活を支えるためのさまざまな施策を機動的に行うためにも、こうした財政上のリスクを少しでも回避する努力を決して怠ってはならないと考えます。 10年前には、相次ぐ金融機関破綻や不良債権処理に伴う信用収縮により貸し渋りが起こり、当時の特別かつ深刻な金融不安への特別対策として自治体や信用保証協会がリスクを負わない金融安定化特別保証制度を国が構築しました。今回については、制度実施後、まだ1カ月を経たばかりであり、全容の把握をこれから進めていかなければなりませんが、国の責任において円滑な制度運用ができるような財源の確保をお図りいただけるよう国に対して要望してまいりますので、その際には議会の皆様のお力添えを賜りたいと考えております。 「元気な大阪」をめざす政策推進ビジョンについてでございますが、このビジョンは、これからどのような考え方で具体的な施策・事業を進め、どのような視点を重視してまちづくりを進めていくかを、できるだけわかりやすく市民の皆さんにお示しするということに重点を置いて取りまとめたものでございます。 このビジョンは、常に現在進行形のものであり、市会の皆様方の御議論や市民の皆様からの御意見を参考にさせていただきながら、今後さらに肉づけをし、21年度予算案とあわせて3年間の成果指標やスケジュールを含めた事業の計画案をお示ししてまいりたいと考えております。 市民協働の取り組みについてでございますが、私は、地域団体の皆さんが我がまちをよりよくするため、さまざまな活動に御尽力いただいていることを認識しており、その熱意と地域に対する愛情には感動を覚えております。 防犯、放置自転車対策、ごみの減量は、市民の関心が非常に高い問題であり、同時に市民の協力なしにはなし得ない課題であることから、地域の方々の御理解を得ながら、この取り組みを通じて協働の輪を広げていきたいと考えております。 具体例として、御指摘いただきました防犯について申し上げますと、犯罪を減少させるためには、警察による検挙・取り締まりの強化と、市民による地域の安全は自分たちで守るという自主的な取り組みを支援することが重要であると認識しております。地域では、青色防犯パトロール活動や子供の見守り活動など、市民による自主的な防犯活動が広がりつつあります。本市といたしまして、本年9月に設置した大阪市地域安全対策本部を核として、こうした市民主体の取り組みを強力に支援するとともに、職員による防犯活動の強化など、市民と一体となったさまざまな防犯対策を実施してまいります。 また、このたび、特に集中した防犯施策を推進する地域安全対策推進モデル区といたしまして、東淀川区、東住吉区及び平野区の3区を選定いたしました。今後は、このモデル区を初め全区において防犯に対する市民運動を盛り上げ、政令指定都市ワーストワン返上を目指し、安心・安全のまちづくりを推進してまいります。 なにわ元気アップ会議についてでございますが、懇談を重ねる中で、市民の皆さんが我がまちのために日々努力されていることを実感しております。私は、こういった市民の皆さんの活動を大阪のまち全体のムーブメントへ高めたいと考えており、とりわけ街頭犯罪と放置自転車のワーストワンの返上、ごみの減量は、ぜひとも市民とともになし遂げたいという思いで、政策推進ビジョンの中に市民協働の大きな柱として位置づけて取り組むこととしたものでございます。 また、大阪市の各職場への訪問でございますが、市長として、市民目線に立って、市民が今、市政に何を求めているかを常に把握するとともに、市民協働を市政運営の一つの柱とする私の考えを直接職員に十分伝えるためにも、多くの職場を訪問して意思疎通を図ることは大変有意義であると考えております。 就任以来、行事出席や施設の視察などで地域や現場に出向いた際には、できる限りさまざまな職場の職員と積極的にコミュニケーションを図ってまいりましたが、今後もできるだけ多くの職場を訪問し、市民生活を直接支える職員との意見交換を行うことで、それぞれの職場から大阪の元気アップにつながる取り組みが生まれてくるよう努めてまいりたいと考えております。 大阪駅北地区のまちづくりについてでございますが、先行開発区域の開発を成功に導くためには、民間事業者を中心に、大阪市の活性化に不可欠な知的創造機能を持つナレッジ・キャピタルを確実に実現していくことが重要であると考えております。その中で、本市事業であるロボシティコアや、例えば地球規模での気候変化など、スーパーコンピューターを用いたシミュレーションのプロセスを映像で見せる可視化機能の実現などについて具体的な事業計画を検討してまいりたいと考えております。加えて、さらなる科学技術の振興に向けた取り組みを充実・強化するとともに、具体的には国などの研究開発プロジェクトの誘致を行うなど、ナレッジ・キャピタルの機能強化を図ってまいりたいと考えております。 また、2期開発においては、経済・産業のグローバル化が進展する中で、地球規模でのテーマである環境に先駆的に取り組むことこそが関西最後の一等地にふさわしいテーマであると考えております。これまで関西が蓄積してまいりました環境分野での産業・技術ポテンシャルを生かしながら、公民が連携して情報発信力の強化、新産業の創出や人材の集積、快適な都市空間の形成などを図り、都市の活性化と魅力の向上に取り組んでまいります。 こうした大阪駅北地区全体のまちづくりを進める上で、JR東海道線支線の地下化と新駅設置並びに道路等の基盤整備は必要不可欠であり、その早期実現のために地権者等の関係者の協力を得るよう協議・調整に精力的に取り組むとともに、国に対して国庫補助事業の適用等の支援を要望しております。 近代美術館構想についてでございますが、中之島地区は、古くから経済・文化の中心地で、今後も大阪の元気アップを担うリーディングエリアと考えております。本年秋、市立美術館で近代美術館収蔵作品を展示いたしましたが、改めてそのすばらしさを認識するとともに、整った環境で恒常的に市民に公開するための美術館を中之島につくりたいとの思いを強くいたしました。 近代美術館の整備については、市民や企業の協力がぜひとも必要であり、ともにつくり育てていくことによって市税の投入を抑える新たな仕組みをつくってまいりたいと考えております。この10月の京阪中之島線の開通に伴って、民間の開発意欲が高まる中、国から近代美術館用地を取得した際の契約で平成24年4月の供用開始が条件とされております。地区全体として調和のとれた近代美術館が実現できるよう、周辺の民間ホール整備状況を踏まえ、舞台芸術総合センター構想は白紙に戻し、さらには市民や企業、NPOにも積極的に参画してもらえるような仕組みづくりを含め、市民の理解を得ることができる近代美術館整備計画の策定に鋭意取り組んでまいります。 中之島や大阪城周辺のまちづくりについてでございますが、中之島地区では、大阪府や経済界とも協力して、花と緑・光と水のまちづくりのシンボルイベントとして水都大阪2009を来年開催いたします。水都大阪2009では、ことし10月に1カ月の限定で実施いたしました川床のような市民みずからの企画・実施によるさまざまな水辺の社会実験にも取り組み、水辺空間の活用と継続性・発展性のある仕組みの構築を図ってまいります。 光のまちづくりを進めるため、平成15年の冬から実施してまいりました中之島のイルミネーション、OSAKA光のルネサンスはことしで6回目を迎え、市民や観光客にも定着してきております。中之島の特徴である川面に映る光も、水都を市民が実感できるよい機会でありますので、今後も中之島全体が光の魅力ある空間になるよう取り組みます。 中之島公園につきましては、水都大阪のシンボルとなる水上公園として再整備いたします。具体的には、バラ園や多様なイベントにも活用できる芝生広場などを整備するとともに、民間活力の導入によりレストランを設置し、中之島公園の東側、いわゆる剣先には名所となるよう噴水を整備するなど、中之島をアピールする新たな拠点となる公園としてまいります。 大阪城は、市民の寄附により再建された大阪のシンボルであり、貴重な観光資源であります。その魅力をさらに高めるために、野外コンサートや演劇などを開催するほか、供用が廃止されている元市立博物館の建物については、民間事業者の力をかりながら、ビジターの利便性を高めるような活用策とその手法等についての調査・検討を進めてまいります。 政策推進ビジョンでは、この大阪城と中之島を結び、安治川を経て海に至る川筋を海の御堂筋と名づけました。御堂筋で公民協働の取り組みを行い、沿道の景観誘導やイベント展開等を通じて大阪のメーンストリートとしての魅力が高まったように、海の御堂筋につきましても、川沿いの建物所有者や住民等と協働し、川を意識したまちづくりを進めるとともに、川沿いの歴史的ストックや文化・集客資源の活用や水運という要素も加えながら、水都の新しい魅力を創出し、観光振興にも資するものとしてまいります。 また、河川管理の移管につきましては、広域的な治水や大阪湾の高潮対策及び財政上の観点などから検討すべき課題が多くありますが、川沿いでのイベント等の取り組みについては、円滑に行えるよう大阪府にも協力を求めて、海の御堂筋にふさわしいあり方を検討してまいります。 次に、臨海地域の活性化についてでございますが、政策推進ビジョンでは、本市の総合計画を踏まえた中期的な都市空間づくりの方向性を示したところであります。その中で、今後の臨海地域の整備方針については、20年以上前に策定したテクノポート大阪計画を見直し、アジアとの交易の拡大やものづくり産業の立地の進展などを踏まえ、充実した高速道路網や港湾、空港を生かす観点から、南・東アジアとの交流・交易拠点として高付加価値ものづくり産業の発展を支えるまちづくりを目指すこととしております。 まず、夢洲地区につきましては、本市に残された貴重な開発空間である一方で、都市環境保全のための廃棄物処分場として有効活用を図る必要があることから、段階的に土地利用を進めることとし、今後5年程度で利用可能な先行開発地区は、高付加価値ものづくりなどの受け皿となる産業・物流ゾーンとして利用することといたしました。今後、具体の誘致対象となる業種の選定や効果的なインセンティブなどを早急に検討し、全庁的に企業誘致に取り組んでまいります。 次に、咲洲コスモスクエア地区では、アジアとの交易・交流の拡大に資するビジネス交流拠点の形成を目指すこととし、その実現のために既存施設の活用を図ってまいります。 インテックス大阪につきましては、議員御指摘のとおり、大阪の企業にとって具体の取引拡大に結びつく商談の場となることが重要であると考えます。そのため、展示会場として必要な機能や施設、立地などについて早急に見きわめるとともに、大阪湾岸地域に太陽電池や新エネルギー分野などの工場立地が進む機会をとらえ、大阪のものづくり企業が自社のすぐれた技術力をPRし、効果的に商談を進めることができるよう、こうした新産業分野の見本市の拡充、新規誘致に取り組んでまいります。 また、地区の課題となっている未利用地の立地促進に向け、例えばものづくりとも連携した製品開発型の研究施設なども念頭に置きながら開発促進に努めるとともに、にぎわい創出や安全・安心といった観点から環境整備を進め、まちの魅力向上に努めてまいります。今後とも、大阪経済の活性化、ひいては雇用の創出や税収の増大につながるよう英知を絞り、さまざまな施策を講じることで臨海地域の活性化を図ってまいります。 福祉・医療対策についてでございますが、敬老優待乗車証交付制度については、70歳以上の高齢者が市営交通機関を利用して出かけることにより、高齢者の生きがいづくりや社会参加の促進に役割を果たしてきたと考えております。本制度は、高齢者の生きがい施策として、今後も持続可能な制度として維持・継続していくには利用者の方々に一定の御負担をお願いせざるを得ないこととして素案を取りまとめたものであります。素案公表後、パブリックコメントや市政モニターアンケートなど、市民の皆様から多くの御意見をいただいており、これらの御意見や市会での御議論を踏まえ、今後引き続き検討を深め、見直してまいりたいと考えております。 救急医療についてでございますが、特に周産期救急の分野においては、重症妊産婦のための産婦人科診療相互援助システムやハイリスク新生児のための新生児診療相互援助システムといった救急搬送ネットワークが大阪府下において構築されております。このネットワークは、必要に応じて公・民の医療機関が相互に連携することによって、より高次の機能を有する医療機関に搬送するものであり、周産期救急医療体制の確立に大きく貢献しております。 本市では、市立総合医療センターを初めとする市民病院群がこのネットワークに参加するとともに、大阪府と連携して支援しているところでございます。今後も引き続き、大阪府・大阪府医師会と協力しながら、ネットワークがより有効に機能するよう取り組んでまいります。 新型インフルエンザにつきましては、感染拡大の防止を目的として本市の行動計画の策定や毎年の合同訓練の実施等を行っております。 今後、国の基本方針を踏まえ、庁内の情報共有を図り、本市の行動計画の改定や市民の皆様への正確な情報提供を行うとともに、大阪府新型インフルエンザ対策協議会に参画し、府や他都市・府医師会・医療機関、学識経験者等との連携を強化し、新型インフルエンザ対策の一層の充実に取り組んでまいります。 教育改革についてでございますが、私は全国学力・学習状況調査の結果を厳しく受けとめており、10月に発表した政策推進ビジョンでは、「こどもの生きる力」アップの中で、一人一人の確かな学力を確実に伸ばす指導の充実として習熟度別少人数授業を小学校3年生から中学校3年生まで継続して実施するなどの独自の取り組みを具体的に示しました。このビジョンは、教育委員会とも十分に意見交換してきたもので、教育委員会が策定した大阪市学力向上強化戦略(案)とも施策の方向性は一致しております。 また、学力調査では、学力を支える基本的な生活習慣が幼いころから身についていないなど、家庭・地域と一体となって取り組むべき課題が浮き彫りにされており、教育の枠を超えた子育ての総合的な対策の必要性を感じております。 私といたしましては、今月6日の大阪市教育改革フォーラムに出席し、教育委員会とともに市民や教職員などに直接語りかけ、社会総がかりで子供たちの学ぶ意欲を高め、個性や才能を伸ばす取り組みを積極的に発信してまいります。今後とも教育委員会と連携を密にして、教育日本一を目指して大阪の教育力の向上に取り組んでまいります。 また、国旗・国歌につきましては、我が国と郷土を愛する心をはぐくむために、自国の国旗・国歌について正しい理解と尊重する心をはぐくむとともに、他国の国旗・国歌についても敬意を払う心を育てることが大切であると考えております。学校教育においては、学習指導要領に基づき、児童・生徒に対して国旗・国歌に対する正しい認識を持たせ、それらを尊重する態度を育てるよう指導すべきものです。 教育委員会においては、卒業式や入学式で国旗・国歌が適切に取り扱われていない学校について、早急にきちんと改善を図る必要があると考えます。そこで、学習指導要領に基づき、卒業式や入学式などにおいて、不適切な事例の早急な解消に取り組み、国旗掲揚、国歌斉唱がすべての学校で適切に実施されるよう指導の徹底を図ってまいります。 大都市制度についてでございますが、大阪府地方分権改革ビジョン(素案)につきまして、今回、大阪府が地方分権改革ビジョンの素案をまとめられたことにつきましては、知事の地方分権への熱意のあらわれとして一定評価するものがあります。 しかし、素案の中で、本市が大都市固有の事務として実施している事務が単に広域自治体的な事務と位置づけられ、圏域の中枢としての本市が果たしている役割を府と市の重複事務として否定的にとられかねない表現とされているのは遺憾であると言わざるを得ないところであります。 本市は、かねてから市域内の事務は市が一元的に担うとして府・市の役割分担を明確に主張し、既に府に対し本市が実施すべきと考える事務を提示いたしております。その際、大阪府は、将来の道州制を見据えて、広域交通ネットワークや河川管理など、真に広域的な調整が必要な事務に限定し、その他の権限と財源を思い切って本市に移譲すべきであり、そうすることで二重行政も抜本的に解消できると考えております。 大都市制度に関する議論につきましては、御指摘のとおり、地方分権改革推進委員会においてほとんどなされておらず、またもや先送りにされるのではないかと危惧しているところでございます。 国に対する発言力を高めるため、これまで独自に大都市制度の研究を行い、人口・規模とも似通った大都市である横浜・名古屋市とともに、新たな大都市制度創設への取り組みとして、現在、有識者による研究会を立ち上げ、議論いただいているところでございます。従来のスーパー指定都市の考え方を進化させ、我が国の発展に寄与する真の大都市制度とはこうあるべきという姿を今年度中に取りまとめ、市民、市会の皆様方の後押しも得ながら、国に対して積極的に働きかけてまいりたいと考えております。 地方分権改革につきましては、地方分権改革推進委員会の第二次勧告が近々出されるなど、新分権一括法案の平成21年中の国会提出へ向け、いよいよ正念場を迎えることとなります。本市といたしましては、3都市による構想研究の成果をもとに、効果的な情報発信を行うことにより、大都市の実態に見合った本市にふさわしい大都市制度の創設に向けて全力を挙げて取り組んでまいる所存でございます。 以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。 ○議長(多賀谷俊史君) お諮りいたします。この際、暫時休憩することに決して御異議ありませんか。     (「異議なし」と呼ぶ者あり) ○議長(多賀谷俊史君) 御異議なしと認めます。よって暫時休憩いたします。     午後0時1分休憩     午後1時1分再開 ○副議長(小笹正博君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 ○副議長(小笹正博君) これより質問を続行いたします。 65番待場康生君。     (65番待場康生君登壇) ◆65番(待場康生君) 私は、公明党大阪市会議員団を代表いたしまして、平成19年度決算等を初めとする市政のさまざまな重要施策について、市長の見解をお聞きいたします。 さて、平松市政がスタートして間もなく1年、いざなぎ景気を上回る経済状況の中でのスタートでしたが、アメリカのサブプライムローン問題をきっかけに経済情勢は一変し、急激な景気悪化の中での2年目を迎えようとしています。260万市民の暮らしと健康、安全・安心を守るかじ取り役として、初の民間出身市長の手腕がまさに試されるときです。 この1年間の平松市政の航路は、裏金問題で大変御苦労されたものの、同時期にスタートした橋下府政と比べると派手さはなく、關前市政の引いたレールをほぼ踏襲したという印象を持つものであります。議会の4分の1以下という圧倒的少数与党市政という事情もあったのでしょうが、平松カラーが見えないという批判があるのもこれが原因の一つかもしれません。 このように關前市政の踏襲の色合いの濃い平松市長が、現職市長として乾坤一てき、みずからのカラーを全面的に打ち出そうとされたのが「元気な大阪」をめざす政策推進ビジョンではなかったのでしょうか。経費削減の取組(素案)として、敬老パスや上下水道、学校の維持運営費などの削減を唐突に発表された一方で、スクラップ・アンド・ビルドのビルドについては、市長自身がビジョンとして発表すると言われていたため、どのようなものかと衆目を集めていました。 しかし、発表されると、数値目標がない、事業費や実施時期が明らかでない、内容が薄いなど、マスコミは厳しい意見が大勢を占めておりました。それは、平松ビジョンが、財政的な裏づけもなく、スローガンやキャッチコピーや形容詞で飾られた計画に終わるのではないかと危惧したからであります。しかし、それらの批判を全く意に介さないかのように、市長はこのビジョンを将来にわたって大阪を元気にする推進エンジンと言い、相当な自信を持っておられるようで、私も当初はマスコミと同様の懸念を抱いておりました。 そこで、市長の自信がどこから来るのかを真剣に考え、ある結論に達しました。市長の頭の中では、ビジョンの具体的な項目や時期、事業規模、さらにはビジョンの実行に伴う経済波及効果や増収効果までももちろん見込まれているからこそ、あれだけの自信をお持ちになれるのでしょう。市長は、マスコミの皆さん、このビジョンの行間をちゃんと読みなさいとおっしゃりたかったに違いありません。でなければ、この百年に一度と言われる金融危機の状況下で、こんな悠長なことを言っておられるわけがありません。 そこで、市長にお聞きします。 このビジョンの中間取りまとめでは、今後3年間をめどに目標や施策などの方向性を年度末に明らかにすると明記されています。当然、ビジョンに示された街頭犯罪ワーストワン返上、放置自転車数ワーストワン返上、ごみ減量の3項目については、街頭犯罪、放置自転車を3年後に幾ら減らすのかという数値目標と、それにかかる財政的経費、減少のための方法論や年度ごとの実施計画を明らかにされるとともに、最終目標をどこに置くのかについても当然示されるのでしょう。また、抽象的なごみ減量についても、同じく数値目標、財政的経費、方法論、年度別実施計画、最終目標を示されるのでしょう。森之宮の焼却工場の建て替え凍結を宣言された市長が、まさか關前市政が作成した環境局の数値目標を踏襲されるはずがないと信じております。 さらに、重点的な取り組みのうち、「売りづくり」による経済力アップでは、大阪経済が元気になると言われるのですから、市税の増収見込み、雇用創出や大阪を訪れる観光客といった経済波及効果について、3年後を見越した具体的な目標を当然示されると考えますが、いかがでしょうか。 ヒートアイランド現象等の環境対策についても、まさか市役所屋上でサツマイモを栽培するだけの施策ではないでしょう。今後3年間で、区役所や学校などの公共施設の屋上緑化や壁面緑化を、箇所数、面積を含め、どのように進められるのか、また都心の民間ビルなどでも、屋上・壁面緑化を推進するための誘導策や太陽光発電をどの程度まで普及させるのか、あわせて市長の見解をお伺いします。 さらに、風の道の展開なども含め、こうした施策を実施するに当たり、どれくらいの財政支出が必要なのでしょうか。その結果、ここ数年、平均40日を超える熱帯夜を何日ぐらい減少するのかという具体的な目標も示すべきであります。 私が具体的な目標を求めるのは、第1に、市民に対して、未来の大阪の具体的な姿を示すべきだと考えているからであります。この間、職員の人件費や敬老パス、上下水道福祉措置、高校奨学金、学校維持運営費などといった市民に痛みを伴う経費削減については、具体的に財政的数値まで示されておられる以上、明るい元気な大阪の姿を具体的に示さなければ、市民が一番住みたいまち大阪と感じるはずがありません。 第2に、近年の選挙の際にマニフェストが重要視、作成されておりますが、今回のビジョンは、選挙時ではなく、現職市長の政策ビジョンであり、いつまでに何をどうするのかを財源を含めて示すのは当然のことであります。数値目標や財源といった具体性がなければ、市民も議会もチェックのしようがありません。 第3に、財政局が作成した現在の中期的財政収支概算は、税収減や人件費削減、敬老パスなど経常経費削減を前提に作成されておりますが、平松ビジョンが実行に移された場合、当然の結果として税収の増が見込まれるはずであり、税収増のないビジョンなど絵にかいたもちではありませんか。市長は、税収増を勘案した新たな中期的財政収支概算を作成されるのでしょうか。また、それに伴い、経費削減の取組(素案)についても、市民の痛みを軽減する方向で見直すのでしょうか。 第4に、具体的数値目標や財源を早期に示さなければ、予算案に反映しようがありません。このままでは、各局は市長のメンツをおもんぱかったアリバイづくりの施策を進めるだけになってしまうことから、数値的目標等は、年度末ではなく、予算編成作業を行う少なくとも来年1月までには示すべきだと思います。さらにもう1点、市長が強調される政策決定過程の情報公開という点でも、また市民の市政への関心を高める上でも、ビジョンの具体的数値目標や財源を示すに当たって、総合計画審議会の専門委員と各局との討議内容を公開すればどうでしょうか、市長の見解をお伺いいたします。 さて、これまで平松ビジョンについてお聞きしてまいりました。景気後退局面を迎え、深刻な影響が及ぶおそれの高い中小零細企業や商店、市民生活への支援策が喫緊の課題であります。市長が平松ビジョンの実現による大きな経済波及効果を見込んでいるとしても、まず当面の対策をとらなければ、大阪の元気アップは砂上の楼閣となることは言うまでもありません。 そこで、中小企業への支援についてお聞きいたします。 本市においても、我が会派の要望を受け、10月31日から緊急保証制度について、融資保証料の軽減等の独自支援策を講じられたことは評価するところでありますが、二の矢、三の矢が放たれていないことは大変残念であります。企業からの本融資制度への申し込みが殺到している現状を見ていますと、大阪の経済活力の源泉である中小企業が厳しい状況に置かれているのは明白であり、融資の円滑化や中小企業や商店に対するさらなる支援策が必要と考えますが、市長の認識と対応策をお伺いします。 次に、雇用対策についてお聞きします。 本年5月に大阪市雇用施策推進プランが策定されましたが、現状に対応できていない観があります。特に非正規雇用の方や障害者の雇用は深刻な状況にあり、現下の経済状況に適応した全市的な雇用施策を早急に打ち出すべきだと考えますが、いかがでしょうか。 さらに、障害がある方のために、就労が容易ではない方々の働く場でもある障害者作業所などへの実態に配慮した対策が必要ではないのでしょうか。 これら以外にも、企業や商店、市民生活をバックアップする強力な支援体制を構築することが必要であり、そのためにも市長が先頭に立ち、リーダーシップを発揮し、今すぐ経済緊急対策本部を立ち上げ、独自の強力な緊急経済対策を策定することこそが本市の負うべき責務であると考えますが、あわせて市長の見解をお伺いします。 次に、政府の第二次補正予算案の計上予定項目の一つである定額給付金についてお聞きいたします。 定額給付金は、政府の追加経済対策の大きな柱の一つであり、経済情勢が厳しい中、生活と景気を下支えする支援策として市民の関心も非常に高いものがあります。定額給付金については、公平性を確保し、迅速かつ確実に給付できるよう、対策チームを発足させるなど給付に係る体制の整備や所得制限をどうするかなどといったさまざまな準備作業を早急に進める体制づくりが必要であります。どのように取り組まれるのか、市長の定額給付金に対する見解とともにお伺いします。 次に、福祉施策についてお伺いします。 福祉施策については、平松ビジョンにおいて全く言及されておりません。これは、当然充実させるのでしょうか、それとも元気アップにはつながらないとお考えなのでしょうか、市長の真意がどこにあるのか、我が会派は大変理解に苦しんでおります。 特に高齢者施策に関しましては、敬老パスの見直しや上下水道の福祉減免など、元気アップとは正反対の削減の面が目立ち、高齢者の怒りと落胆の声が聞こえます。 また、高齢者施策の無関心ぶりは、特別養護老人ホームの待機者問題において象徴的にあらわれています。特別養護老人ホームについては、現計画の第3期高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画における整備目標は9,900人。ところが、現時点の着工ベースでさえも9,125人と、目標には遠く及びません。しかも、市長、待機者は現計画開始時点である18年度当初の約2,600人から3,000人へと、解消どころか、むしろ増加しており、文字どおりの計画倒れ、約束違反となっているのが現状です。 次期計画における特別養護老人ホームの整備については、本年3月の予算市会で当時の担当理事が、次期計画の策定に当たりましては、特別養護老人ホームを必要とされる方が入所できるよう目標数値に反映し、待機者の解消に向けまして整備を一層推進してまいりたいと明言され、私も次期計画に大きな期待を寄せておりました。ところが、今般発表された次期計画素案では、平成23年度までに1万人分を整備するとなっており、現計画にわずか100人分上乗せしただけであります。こんな計画で待機者の解消ができると考えているのでしょうか。目標の根拠が全く示されておらず、理解できません。 横浜市では、特養については、入所の必要性・緊急性の高い申込者をおおむね1年以内に入所できる水準に整備することを目標に掲げ、平成20年度には1,000床、平成21年度には、さらに1,500床以上の整備を図ろうと明確にしている中で、平松市長はこの素案の目標の変更を行うことは考えていないのでしょうか。また、特養整備が大幅におくれている原因を分析し、どうすればこの待機者を解消できるのかといった市長の明確な見解をお伺いいたします。 次に、同じく女性施策についてお聞きいたします。 昨年の施政方針で、市長が女性施策について全く触れてこなかったことに対し、我が会派が本年1月の一般質問で指摘したところ、決して軽視するつもりはなく、重要課題であると認識しておりますと答弁されましたが、今回の平松市長ビジョンでも全く言及されておらず残念でなりません。 女性施策が重要課題であるとおっしゃる市長は、就任されてから大阪市男女共同参画審議会や大阪市男女共同参画推進本部会議を一体何回開催されたのでしょうか。重要課題とおっしゃるのならば、まず行動で示すべきです。市長みずからの手で、全市的な女性施策のプロジェクトチームを早急に実効性のあるものに再構築されるべきだと考えますが、いかがでしょうか。また、そのチームにおいて、本市の施策全般を局横断的な女性の視点でもう一度再点検し、女性のライフステージに応じた支援を目的とした大阪市女性サポートプラン策定を提案しますが、あわせて市長の御見解をお聞きします。 次に、妊婦健診についてお聞きします。 現在、出産までに受診することが望ましいとされる14回の健診に対する公費負担の拡充が政府の第2次補正予算案に盛り込まれる予定であります。 本市では、我が会派の要望を受け、本年7月から妊婦健診の公費負担回数が従来の2回から7回に拡充されました。市長も、妊婦健診の公費助成について、市会で少子化政策を進める上でも優先度の高い重要な施策と表明されており、本市でも早急に14回分の公費負担を実施すべきであると考えますが、市長の見解をお伺いします。 次に、本市国民健康保険料第4期事業期の介護保険料についてでありますが、先日の次期介護保険事業計画案において、来年度の介護保険料基本額が現行の月額4,780円から4,999円と増額になることが示されております。我が会派は、本市国民健康保険料、第4事業期の介護保険料の改定について、いずれの保険料についても来年度の増額改定は行うべきではないなど、経済情勢・市民生活に配慮した取り扱いがなされるよう申し入れを行いましたが、保険料の改定に対する市長の見解をお伺いします。 次に、児童相談所の強化についてでありますが、私どもは、かねてより児童虐待に対する地域ネットワークの構築と相談・保護体制の充実や中央児童相談所機能の強化を求めてきました。中央児童相談所については、今回、我が会派の要望を受け、市内中心部にある元労働会館、アピオ大阪に移転し、機能の充実を図るとされていますが、今回の移転によってどのように機能の強化を図ろうとしているのか、市長の見解をお伺いします。 次に、教育に関してお聞きします。 残念なことに、本年4月に実施された全国学力・学習状況調査において、大阪府は2年連続で47都道府県中45位であり、しかも本市は府平均さえも下回ったとの結果が報道され、本市の教育に対して不安と失望を抱く声も聞かれます。 しかしながら、教育の本来の目的とは、確かな学力を身につけるとともに、豊かな人間性や生きる力をはぐくむことであり、学力テストの結果ですべてを推しはかるものではありません。ゆえに、学力テストは、あくまでも子供たちにとってよりよい教育環境を提供することを目的に、これまでの教育施策の点検や効果の検証を行うための一つの物差しとして参考にする指標ではないかと考えます。 本市では、基礎・基本の確実な定着と個に応じた指導の一層の充実を目指し、他都市に先駆けて平成16年から習熟度別少人数授業を導入し、19年度にはすべての小・中学校で導入されました。子供の指導に当たる教員の資質の向上、指導力向上のために、多様な研修も始められており、その支援策も実施されてきました。これらの取り組みがさらなる効果を発揮するために、目標や具体的な強化・改善策が必要であると考えますが、今度どのように取り組まれるのか、市長の見解をお伺いします。 次に、中学校給食についてお聞きします。 市長は、選挙公約として中学校給食の全校実施を掲げられて当選されました。その後、内容について迷走した時期はありましたが、現在では学校給食法に基づいた選択方式での中学校給食の全校実施を目指すと言われております。 教育委員会では、ことしの4月から12校、2学期以降26校で、順次、業者弁当を販売する昼食提供事業を行っておりますが、2学期から開始した中学校については、わずか2%程度と非常に低い利用率となっております。市長が目指す中学校給食の実現に向けた試行的な取り組みが、果たしてこのようなやり方でよいのでしょうか。次のステップへの試行にもなっておらず、教育委員会は市長公約を実質的に形骸化しようとしているのではないでしょうか。 昼食提供事業については、メニューの複数化や事前予約制度の改善、教職員が積極的に取り組むなど早急に改善を図り、次のステップである給食事業につなげるスケジュールを明確にすべきと考えますが、市長の見解をお伺いします。 次に、今後のまちづくり施策について平松ビジョンでも触れておられますが、少し具体的なことをお聞きいたします。 まず、北ヤード開発については、経済の活性化やにぎわいづくりなど、大阪・関西の将来にとって非常に大切なプロジェクトでありますが、昨今、景気が冷え込む中、一部に先行きを懸念する声も聞かれます。現在、先行開発区域については、まち開きの時期が平成24年度下期になったとのことですが、計画を具体化していくに当たり、期限ありきではなく、市としてナレッジ・キャピタルを初め開発内容をさらに充実し、確実に成功させることが重要でありますが、市長は北ヤード開発に対する今後の取り組みについてどのようにお考えなのでしょうか。 また、2期開発区域17ヘクタールについては、関西経済同友会からすべて緑地にしては、という緊急提言が出されておりますが、この提言に対する認識について、あわせてお尋ねいたします。 次に、臨海地区にあるインテックスですが、大阪で国際見本市を開催する目的で昭和60年に設置され、展示面積が約7万平方メートルもある広大な施設でありますが、隣接するATCやWTC、ホテルなどへの人の流れがないため、同じ地域にあるにもかかわらず一体感がありません。また、交通アクセスについても、地下鉄からニュートラムの乗りかえや最寄り駅からの距離など利用者からの不満の声もあり、施設の老朽化問題も指摘されているところです。さらに、7万平方メートルの展示面積を有しているものの、昨今の経済状況によって会場の面積稼働率は18年度で約20%と大変低迷している状況です。 こうした状況から、耐用年数がまだ残っているとはいえ、この大きな施設を今後どのようにしていくのか、検討時期を迎えていると考えますが、市長はいつまでにどうされるのか、見解をお伺いいたします。 次に、近代美術館についてお聞きします。 平松ビジョンでは、地域の魅力発掘、大都市大阪の魅力を磨く「文化・観光力」アップに取り組むとされました。また、市長は、文化施策については、安易に後退させるのではなく、市民の理解を得ながら、可能な限り進めていきたいとおっしゃっております。 しかしながら、中之島4丁目に計画されている近代美術館は、多大な費用を要することから、その建設計画が微妙な現状になっております。近代美術館を整備するに当たっては、民間活力を導入した整備手法など、さまざまな工夫を凝らしながら、市税の投入を極力ゼロに近づけるような、時期を明らかにした整備計画を取りまとめていくことが重要であると考えますが、市長の見解をお伺いします。 最後に、市政改革の推進体制と次期行財政改革についてお聞きいたします。 關前市長時代における市政改革の推進体制には、問題点もありましたが、外部の人材が推進力の一翼を担ったことにより市政改革が前進したことは一定の事実であります。 これに対し、平松市長は、これまでの市政改革について、就任後の施政方針では、ともすればコスト削減が優先され、市役所内部の組織改革にとどまっていたと批判されていました。 しかし、平松市政の推進体制を見ると、市政改革本部は身内である職員で構成され、市長が外部から招聘された市政改革アドバイザーのかなめである神野直彦教授は、地方財政審議会との兼務が困難なようであり、当初計画された体制の構築が厳しい局面であります。さらに、市政改革アドバイザーと行政改革検討委員会が市政改革本部とどうかかわるのかも不透明であり、さまざまな困難が予想されている改革エンジン役が不在となるのではないでしょうか。 経費削減取組(素案)の発表と相まって考えると、現状こそが市長の批判していた状態になってしまっているのではないかと心配しております。次期行財政改革に向けた今後の推進体制に対する市長の見解をお伺いします。 また、市政改革の重要な要素である区政改革も大きな分岐点にあります。現在、本市人口260万人に対して24の行政区があり、これまで1区1館を基本とした施設整備がなされてきた経緯があります。 一方、他都市を見ますと、政令市で最も多い350万人の人口を抱える横浜市が18区、さらに人口800万人を抱える東京特別区ですら23区しかないのが現状です。つまり、本市の行政区は、他都市に比べ、人口、面積ともに規模が小さく、人口が最少である浪速区が約5万人、逆に最大の平野区が約20万人と4倍もの開きがあることからも、今後の区のあり方を考える時期に来ていると考えております。 平成18年10月の市政改革特別委員会において、我が会派から同様の指摘をさせていただいた際には、地方自治法は必ずしも1行政区1区役所ということまで前提にしていないと考えられることから、複数区を統括するブロック的な区役所と支所的な機能を持つ事務所といった区役所組織の形態も検討に値するという議論があるとの答弁がありました。その答弁からはや2年が経過したというのに、一向に新たな区の姿が見えておりません。この2年の間、どのような検討がなされ、どのような成果があったのでしょうか。 私は、より機能的で効率的な市政運営という観点から、区政改革で検討中の複数区を単位とするいわゆるブロック化を早期に具体化するよう取り組んでいく必要があると考えますが、市長の見解をお伺いいたします。 最後に、市政改革を含め、市政運営に当たり、市長が重要視されております市民との直接対話についてお聞きします。 この4月から、なにわ元気アップ会議サプライズ訪問など、地域に出向き、市民の方々と直接対話し、意見を聞く機会を多く持たれている一方、市民には多様な意見を持つ人々がいるのも事実であり、歓迎されるところばかり行っているようでは、本当の意味で市民の意見を聞いたことにはなりません。それよりも、経費削減の取組(素案)の実行により影響を受ける市民や団体、例えば高齢者団体や難病団体、PTAや人権団体、さらには労働組合や給料削減の影響を受ける職員のところに直接出向き、テーマを決めて意見を聞くべきではないでしょうか、市長の見解をお伺いいたします。 以上、さまざまな問題にわたってお尋ねしてまいりましたが、市長の具体性ある率直で明確な答弁をお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。 ○副議長(小笹正博君) 理事者の答弁を許します。 平松市長。     (市長平松邦夫君登壇) ◎市長(平松邦夫君) ただいまの待場議員の御質問に対しまして、お答えを申し上げます。 政策推進ビジョンについてでございますが、策定に当たりまして、私は市民の皆さんと一緒になって大阪を元気にしていきたいという市政運営の基本的な考え方のもと、実際に各分野で活動されている人の御意見を伺い、それを私が判断してビジョンにつくり上げるというスタイルで進めることといたしました。先日公表したビジョンにつきましても、あくまで策定途上のものとしてお示ししたものでございまして、引き続き市会の皆様を初め多くの皆さんのお知恵をいただきながら肉づけをして、充実したものにしてまいりたいと考えております。 そこで、12月下旬まで実施しておりますパブリックコメント等を通じて、市民の皆様から幅広く御意見を伺うとともに、引き続き総合計画審議会専門部会で取り組みの目標や工程表に関する御議論をいただいているところでございます。 また、今後3年程度の具体的な取り組みや21年度に実施する具体的な施策とその財源につきましては、予算編成作業と並行して、現在、担当部局の職員と議論しながら検討しているところでございまして、最終的には私の判断により決定してまいりたいと考えております。その上で、来年2月には、議員御指摘のような各項目について、3年間の数値目標・成果指標や事業の実施スケジュール、手法等を盛り込んだ実施計画案を21年度予算案とあわせて明らかにしてまいりますので、予算市会において御議論をいただきたく存じます。 計画の推進に当たりましては、施策・事業の進捗状況を把握し、議会へ御報告いたしまして、その御議論や事業効果等を踏まえて軌道修正をするなど、柔軟に対応してまいりたいと考えております。 また、議論経過の公開についてでございますが、総合計画審議会専門部会では、この間、個別企業の経営にかかわる情報や、構想中で未確定の事業に関する情報等を題材に議論することがありましたことから、専門部会の判断でやむを得ず非公開とされてまいりました。しかしながら、中間取りまとめが公表されるなど、状況が変化しておりますことから、委員の御判断によるものの、私から委員に働きかけ、今後開催される専門部会を公開してまいりたいと考えております。 次に、政策推進ビジョンを受けました経費削減の取組(素案)の見直しについてでございますが、政策推進ビジョンを進め、市民とともに大阪を元気にしていく前提といたしまして、まず現下の厳しい財政状況を克服し、将来にわたって持続可能な行財政基盤を確立する必要がございます。そのためには、まず市政改革基本方針に掲げている削減目標を着実に達成する必要があることから、その具体的方策のたたき台として経費削減の取組(素案)を取りまとめ、公表したところでございます。 素案につきましては、パブリックコメント等において、敬老優待乗車証制度等を初め多くの御意見をいただいており、これらの意見や市会決議を踏まえ、今後、総合的に検討を加え、市会での御議論をいただきながら、平成21年度予算編成過程において、見直すべきものは見直してまいりたいと考えております。 中期的な財政収支概算についてでございますが、政策推進ビジョンによる市税の増収効果を大いに期待しているものの、それを数値で算定するには不確定要素もあり、2月にお示しする数値目標等をベースに効果の検証を行い、増収の推計ができる場合には中期収支に反映させてまいりたいと考えております。 経済対策の取り組みについてでございますが、ビジョンで描く「元気な大阪」づくりの実現に向け、大阪経済を支える中小企業が直面する問題に即座に対処することが必要であります。世界同時不況により、我が国も非常に厳しい経済状況にあり、中小企業にとっては当座の資金繰りが最も切実な問題であります。このため、国の保証制度創設に即応し、かつ本市独自の保証料補助も組み入れた緊急金融対策を実施してきたところ、年末に向け、多くの中小企業が窓口を訪れ、開始から1カ月で1万件を超える認定を行ってまいりました。さらに、大阪市信用保証協会には年越し資金を求める融資申し込みが殺到しているため、その声に最大限こたえられるよう、同協会ともども迅速に対応してまいります。 また、今般の景気後退は、世界規模の金融不安に起因し、その影響は国民生活の多岐に及ぶため、景気の下支えに向けた国の2次補正予算と、それに基づく早急な総合的対策の実施が重要と考えており、国の動きに即応できるよう、全庁的な推進組織を立ち上げる準備に着手してまいりたいと考えております。 雇用対策の充実についてでございますが、雇用・失業情勢は悪化してきており、今後さらに厳しくなるものと想定しております。 雇用対策につきましては、現行の労働法制のもと、国の取り組みを待たなければならないところが多いわけでありますが、本市としましても、大阪市雇用施策推進プランの中で取り組みの柱としている就職に向けた支援が必要な人を対象とした就業支援施策を充実してまいります。 次に、障害者支援についてでございますが、一般企業等での就労が困難な障害のある人の中には、授産施設や小規模作業所などに通い、作業に携わっている人が多くおられますが、作業所などで支払われる作業工賃は、経済状況の影響を受けやすいことから支援が必要であると考えております。そのため、障害者作業所などで作製された製品の展示コーナーの設置や製品の販売を行うなどの取り組みにより販売促進につなげる機会を広げるとともに、できるだけ各区や各部署において、製品の購入や役務の発注等を行うよう徹底してまいります。さらに今後、製品の販売がより促進されるような情報提供を行うことや、広く発注を受けていくための体制づくりなどの支援策について検討を行い、緊急を要する問題でありますので、年度内に支援策をまとめてまいる所存でございます。 定額給付金事業についてでございますが、11月28日に総務省主催の説明会が行われ、現時点でのたたき台が示されましたが、なお幾つかの検討課題が残されており、迅速かつ円滑に事務を推進するため、一日も早い制度の確定が求められているところでございます。 市民の皆様方の定額給付金に対する高い期待にこたえて、早期にこれを給付できるよう、既に市民局を初めとした関係局により検討を始めておりますが、制度確定後、直ちに膨大な作業に対応できるよう、早急に専任職員の配置やプロジェクトの設置など、本格的な準備体制の整備・強化を行い、精力的に取り組んでまいりたいと考えております。 なお、所得制限につきましては、事務手続を煩雑にするばかりでなく、結果として給付開始日をおくらせることにもなりかねず、本市といたしましては、所得制限を設けないことにしたいと考えております。 女性施策についてでございますが、男女共同参画社会の実現は、あらゆる施策を進める上で行政として当然持つべき重要な視点であると認識しております。今回のビジョンの推進に当たっても、男女共同参画の視点を持って市民協働を進め、市民の皆さんと一緒になって大阪を元気にしていきたいと考えております。 審議会と推進本部は、大阪市男女共同参画基本計画の進捗管理ということで年1回開催しておりますが、今後の男女共同参画の取り組みをさらに推進していくため、局横断的なプロジェクトチームを早急に編成し、女性の視点で本市の施策を点検・評価させてまいります。 平成21年度から、男女共同参画審議会では基本計画の見直しに着手いたしますので、プロジェクトチームの成果を盛り込み、大阪市の女性のライフステージに対応し、トータルにサポートするプランを策定してまいります。 妊婦健診の14回公費負担についてでございますが、妊婦一般健康診査は、母子保健法に基づく事業として、大阪府下では統一した検査項目や単価の基準により、府下の医療機関等で公費負担を実施しております。本市では、公費負担について、本年7月から、従来の2回を国の地方財政措置の5回を上回る7回に拡充しております。 国においては、10月末に生活対策の一環として14回の公費負担を目指し、現在は地方財政措置されていない残り9回分について、公費負担の拡充を行うとの方針が示され、今後、補正予算案として提出される予定ですが、制度の詳細は示されていない状況でございます。本市といたしましては、14回の公費負担という国の方針を踏まえ、国の第2次補正予算の成立した後、速やかに大阪府や医師会など関係先との実施に向けた調整を精力的に行ってまいりたいと考えております。 国民健康保険料・介護保険料についてでございますが、サブプライム問題に端を発した世界的な金融市場の混乱を背景とした現下の景気後退局面における保険料の増額改定が、市民生活へ大きな影響を及ぼすことは十分に認識いたしております。いずれの保険料につきましても、今後の給付費の状況や介護報酬改定など国の動向を注視する必要がありますが、さきにいただいた御要望の趣旨を重く受けとめ、現在進めている予算編成の中で判断したいと考えております。 児童相談所についてでございますが、移転によります機能充実につきましては、児童の福祉と教育にかかわる相談部門を統合し、総合相談窓口を設置して適切な相談部門へつなぎますとともに、専門職による総合アセスメントを行うことで、福祉・教育・心理的な支援を提供してまいります。 一時保護所につきましては、これまで60人の入所定員を70人に増員するとともに、現在の狭隘なスペースを約2倍に拡大し、新たに個別処遇室も設置することにより被虐待児と非行児童を分離するなど、児童の心身の安定と個々の状況に応じた適切な支援を行ってまいります。また、市内中心部に移転することにより、虐待通報など緊急時の迅速な対応や市民の利便性の向上を図ってまいります。さらに、不登校に係る類似事業の一元化・体系化によりまして、不登校児童一人一人の実情に応じた最適な支援を展開していくこととしております。 移転時期につきましては、一時保護所の生活環境の改善を早期に図りますため、当初の予定より前倒しし、平成21年12月末としたところでございます。 教育施策についてでございますが、習熟度別少人数授業・教員の質の確保につきましては、全国学力・学習状況調査において、平均正答率が2年連続して全国平均を大きく下回るという厳しい結果を深刻に受けとめており、確かな学力を確実に伸ばす指導の充実が喫緊の課題であると認識しております。 本市では、従来から習熟度別少人数授業など個に応じた指導に取り組んできましたが、各学校の創意工夫や効果的な指導方法についての検証が十分でなかったと言わざるを得ません。現在、教育委員会において、各学校における習熟度別少人数授業の実施状況を改めて調査しており、今後、成果のあるすぐれた指導方法や教材等を研修等により教員に広め、全小・中学校で一層効果的な習熟度別少人数授業が確実に実践されるよう徹底いたします。 また、学力向上には教員の指導力を高めることが不可欠であり、特に大量採用時代を迎え、若手教員の指導力向上が課題であります。学校現場におけるOJTをより充実させるなど、実践的な研修により教師力を向上し、授業の改善を図ってまいりたいと存じます。 教育委員会の大阪市学力向上強化戦略(案)の全施策が相まって、学力向上につながると考えており、教育委員会ともども学力向上策を着実に実施してまいります。施策の成果が全国学力・学習状況調査の結果にもあらわれ、私の任期中に日本一を目指して、「こどもの生きる力」アップに向けて全力を挙げて取り組んでまいりたいと思っております。 中学校給食につきましては、教育委員会が実施している昼食提供事業は、家庭から弁当を持参しない場合も安心して登校できるよう、安全面・衛生面・栄養価に配慮した昼食を民間の弁当業者が校内で販売するものでございます。9月以降開始した中学校での利用率が低いことなど、課題があることは聞いており、より利用しやすいよう改善が必要であると思います。 私といたしましては、食育の観点から、学校給食法に基づく選択方式での給食を早急に全中学校で実施したいという思いは、就任当初より変わっておりません。学校給食を所管する教育委員会には私の思いを伝えており、5月に設置された大阪市中学校給食検討会議で現在検討が進められ、年内には議論をまとめる予定とのことでございます。その後、早急に教育委員会の議論を経て、中学校給食に関する方針を決定の上、議会での十分な御議論を踏まえて、私の公約でもある中学校給食について、任期中に取り組んでまいりたいと存じます。 大阪駅北地区についてでございますが、現在の世界的な金融危機の中、今後の経済状況は予断を許さないところがありますが、大阪の将来を見据えますと、このようなときこそ、大阪駅北地区では1日250万人の人々が利用する日本屈指のターミナルエリアというポテンシャルを生かして、大阪、ひいては関西の再生を先導する開発を着実に進めていく必要があります。 先行開発区域については、先般、平成24年度下期のまち開きという開発スケジュールが決まったところであります。これを踏まえ、大阪市としましても、ナレッジ・キャピタル形成の最大のねらいである創造・交流・発信というプラスの好循環をつくり出す知的創造拠点としての機能の充実・強化に全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。 また、2期区域については、環境をテーマに、新産業の創出や人材の集積などに資する高度な都市機能を導入しつつ、良好な都市環境とも両立し得る持続可能なまちづくりが求められております。 2期区域17ヘクタールを緑地にという関西経済同友会の梅田北ヤード委員会の提言では、仮に2期区域全部を市が購入し、都市公園とした場合には、試算として約650億円とされている土地購入費のほか、公園整備などに国庫補助等が導入されたとしても多額の市民負担が生じることとなります。こうしたことを勘案し、2期区域のまちづくりについては、民間活力を活用して必要な都市機能の集積と土地の高度利用を図りながら、緑の空間の確保などによって良好な都市環境を創造してまいりたいと考えております。そのためにも、開発を支えるJR東海道線支線の地下化や道路等の基盤整備を、国の支援等を得ながら積極的に推進してまいります。 インテックス大阪についてでございますが、見本市の開催は、企業にとって製品取引など商談を行う有効な場であり、開催に伴う経済波及効果も非常に大きいと考えます。 一方で、インテックス大阪の現状は、昭和60年の開設当時と比べた場合、アジア地域における生産分業体制への進展など、大阪を取り巻く経済環境が大きく変化しています。また、設備面においても、一部に老朽化が見られ、6号館を除く各館の耐用年数は、あと12年を残す状況でございます。 こうした現状を踏まえますと、今後どのようにインテックス大阪を活性化していくべきか検討すべき時期にあるものと思います。例えば、現在の場所における大規模改修や建て替え、あるいは新たな場所への移転などいろいろと選択肢が考えられますが、さまざまな観点から検討し、来年度中には方針を固めたいと考えております。 市政改革の推進体制と次期行財政改革についてでございますが、現在直面している危機的な財政状況に対応するためには、行財政改革を着実に進めることが喫緊の課題であります。 行財政改革を進めるに当たっては、外部の意見をお伺いすることは重要であると考えております。市政改革アドバイザーは、外部の専門家3名の方に御就任いただき、市政の基本方針に関することなど、広く市政全般にわたって助言をいただくこととしております。議員から御指摘いただきました神野教授につきましても、引き続き御助言をいただけると伺っております。 一方、行財政改革検討委員会には、市政の基本方針に沿って今後の行財政改革の方向性と具体化に向けた検討を進めるため、市政改革アドバイザーの皆様には委員会の中核として、また経済界からも委員として御参画いただき、市政運営上の諸課題を踏まえて、次期行財政改革計画の策定に向けた御意見をいただいてまいりたいと考えております。 現下の厳しい財政状況を克服し、将来にわたって持続可能な行財政基盤を確立するためには、まず市政改革基本方針に掲げている削減目標を着実に達成する必要があることから、その具体的方策のたたき台として経費削減の取組(素案)を取りまとめたところであります。 今後、行財政改革検討委員会を年内に設置して、本市の取り組みに対して外部の視点から御意見をいただき、徹底した情報公開のもと、次期行財政改革の検討を進めるとともに、引き続き緩むことのないように市政改革を推進してまいります。 1つ順序を飛ばしまして申しわけございません。近代美術館についてでございます。 近代美術館についてでございますが、市民を初め大阪市を応援したいと考える方々からの寄贈作品など、既に多くのすぐれたコレクションを有し、その早期実現を求める市民や企業からの期待も大きいものと認識しております。こうしたことから、近代美術館については、施設規模の見直しとともに、民間にもその建設に積極的に参加してもらうなど、民間活力を導入した整備手法や効率的な運営手法などを盛り込み、市税の投入を最小限に抑え、市民の理解を得ることができるよう、近代美術館の整備計画を来年度中に取りまとめてまいります。 申しわけございません、福祉施策についての答弁漏れがございましたので、先に福祉施策についてでございます。 まず、高齢者施策につきましては、認知症を初め介護が必要になっても、すべての高齢者が可能な限り住みなれた地域で安心して暮らせるよう施策を推進することが重要であると考えております。 特別養護老人ホームについては、介護報酬の引き下げや福祉人材の確保が困難であることなどの影響から、現行の高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画の目標の達成が困難な状況となっており、計画どおりに進捗しなかったことについて遺憾に思っております。 次期計画においては、いわゆる団塊の世代が高齢期を迎える平成27年度の高齢者介護の姿を念頭に置きながら、療養病床の再編整備も踏まえ、目標値を設定したところであります。今後、本計画の進捗管理の中で、引き続き入所申込者の実態把握に努めるとともに、大阪市緊急入所判定委員会機能の活用も図りながら、要介護度や生活環境などにより入所の必要性や緊急度が高い方が早期に、おおむね1年程度をめどに入所が可能になるよう努めてまいります。 また、老人保健施設、グループホームの整備や介護つき有料老人ホームなどの特定施設入居者生活介護の拡充に努めるとともに、通所や訪問による居宅での介護サービスを充実するなど、総合的に施策を講じながら、高齢者一人一人の状況に合ったサービスの提供に努め、待機者問題の解決に取り組んでまいります。 いずれにいたしましても、だれもが住みなれた地域において、ともに生き、ともに支え合い、心豊かに自分らしく健康で安心して暮らし続けることができるよう、高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画等の着実な推進に努めながら、セーフティーネットの構築を目指してまいります。 区政改革についてでございますが、本市の行政区は、1区当たりの面積・人口ともに他都市に比べ小さく、住民に身近な区政が展開できるメリットがある一方で、非効率な面もあると認識しております。このため、既に全庁的な取り組みとして総務事務センターの稼働により内部事務の効率化を図ることとしておりますが、区政改革の取り組みとしても、複数区を1つの実施単位とする新たな仕組みとして、区役所業務の集約化といった観点から契約事務を初め対象業務の抽出を行い、具体化に向け検討を進めているところであり、可能なものについては来年度から実施してまいります。 さらに、新しい時代に対応した行政区と区役所のあり方については、施設の更新などを含め、さまざまな観点から十分に御議論をいただく必要があると考えており、平成19年11月、学識経験者を含めて設置した行政区と区役所のあり方研究会において、複数区を単位とした場合に考えられる組織形態等を整理し、現状や合区した場合と比較検討するなど、議論のたたき台となる中間的な取りまとめを行い、予算市会で御議論いただけるよう精力的に取り組んでまいります。 市民との直接対話についてでございますが、経費削減の取組(素案)については、市民生活にかかわる施策も含まれることから、市民の皆様から幅広く御意見をお伺いするため、パブリックコメントや市政モニターへのアンケート調査などを実施してきており、この間、多くの御意見をいただいております。 市民協働を推進することは非常に重要なことであると認識しており、そのため、なにわ元気アップ会議などを通じて多様な声をお聞きしているところであり、また議員御指摘のような団体や市民、職員の意見についても、テーマを持って、機会をとらえて、可能な限り私みずからが直接お聞きしてまいりたいと考えております。 以上でございます。途中、答弁漏れがありましたことを深くおわびいたします。どうもありがとうございました。よろしくお願いいたします。 ○副議長(小笹正博君) お諮りいたします。この際、暫時休憩することに決して御異議ありませんか。     (「異議なし」と呼ぶ者あり) ○副議長(小笹正博君) 御異議なしと認めます。よって暫時休憩いたします。     午後2時0分休憩     午後2時22分再開 ○議長(多賀谷俊史君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
    ○議長(多賀谷俊史君) これより質問を続行いたします。 49番山本修子君。     (49番山本修子君登壇) ◆49番(山本修子君) 私は、民主党・市民連合大阪市会議員団を代表いたしまして、平成19年度決算の審議に先立ち、平松市長に対し、経費削減の取組(素案)、「元気な大阪」をめざす政策推進ビジョンほかの市政運営について、総括的に質問を行ってまいります。 まず、市長就任1年に当たり、市長御自身のこの1年間の大阪市政への感想と今後の市政運営への決意についてお聞きします。 平松市長が、元気アップ大阪を掲げて市政運営に臨もうとしたその矢先の不適正資金問題、いわゆる裏金の発覚は、平松市政以前の積年の市政運営によってもたらされた問題であったとはいえ、市民にとっては、「またか」という思いのする事件でした。メディアに登場するたびに謝り続ける市長と市幹部の姿を見るにつけ、市民は、いつになったら大阪市は変わるのだろうと半ばあきれ、暗たんたる思いを持ったのではないでしょうか。 しかし、これら一連の不祥事や悪弊を明らかにし、一定の解決を見たことで、平松市長の市政運営の理念でもある徹底した情報公開と、私たちがかねがね主張してきたコンプライアンスの風土が市役所に根づくきっかけとなったのではないかと思います。 また、経費削減の取組(素案)発表時の市長の、「あくまでたたき台であり、大いに議論していただき、その結果を反映したい」とのコメントは、これまでの本市の公表した政策・施策は変更しない手法とは異なり、政策形成段階から積極的にディスクロージャーし、市民とともに市政を進めようとする新たな手法であり、この手法を市政運営に根づかせようとする平松市長の強い意志のあらわれと評価します。 さらに、この間、これまでになく地域に出かけ、市民との対話の機会をふやし、またメールにより職員との意思疎通を図るなど、市民・職員とのコミュニケーションを回復し、開かれた大阪市づくりを図ろうとする姿勢にも共感します。 しかし、これまで中之島一家と批判されてきた身内意識に加えて、強固な縦割り組織の弊害は、平松市政1年を経ても一向に変わったように思えないのは甚だ残念なことです。 今後、一層、市民と大阪市の距離を縮め、市民が積極的に市政に参画する先進自治体となるよう期待しながら、この1年間の平松市長の率直な御感想と、今後、大阪市政をどのように変えていこうとするのか、市長の決意をお聞きします。 次に、混乱をきわめている社会経済情勢への認識と市政運営の理念、今後の財政見通しなどについてお聞きします。 9月のリーマンショックに始まった世界経済の混乱は、100年に一度の金融危機と言われ、全く出口の見えない状況が続いていますが、カジノ資本主義と言われた米国主導の金融資本主義のバブル崩壊は、来るべきものが来たとの観を強くします。 アメリカに追随した我が国は、市場原理に基づく競争を過度に重視し、外国資本の導入や公的機関の民営化を進めた結果、社会保障制度の破綻や規制なき労働政策によってワーキングプアや非正規労働者の増大をもたらすなど深刻な社会問題を抱えており、社会・経済・労働など、さまざまな分野での政策変更を迫られています。アメリカでも、今回の金融危機を契機に、投資銀行への規制強化や活動縮小策など政策転換が始まっています。 この間、我が国では、構造改革・規制緩和策のもと、小さな政府、官から民へが大合唱となって地方自治体へ押し寄せ、財政再建の名のもとに、公的施設の民間委託である指定管理者制度や独立行政法人化などが急速に進みました。経費削減の取組(素案)とともに公表された大阪市提案競争型民間活用基本方針(民活方針)は、いわゆる市場化テストの大阪市版であり、本市のさまざまな事業を民間にゆだねようとするものです。新自由主義と競争原理主義が破綻しつつある現在、これに基づく市場化テスト、いわゆる民活方針は、時代に逆行するのではないかとの観を持ちます。 不断の行革と無駄を省いて効率的に行政を進めることは当然ですが、基礎自治体として、そのあり方についての理念を示し、公的責任の範囲を明確にすべきと考えます。激動する社会経済情勢への市長の認識とともに、これらの点について市長の考え方をお聞きします。 また、今回の世界的金融危機により我が国経済にも深刻な影響が及んでおり、特に大阪においては、相次ぐ企業倒産や雇用不安・消費低迷となってあらわれています。先ごろ、今後10年間の中期的な財政収支概算を公表したばかりですが、今回の金融危機による影響は織り込んでおらず、来年度以降、市民税の大幅な減収によって財政収支は一層悪化し、さらなる下方修正を迫られるのは必至と危惧します。今後の財政収支見通しと財政運営についても、あわせてお聞きします。 次に、経費削減の取組(素案)についてお聞きします。 我が会派は、かねてより本市の全事業について徹底的に検証・評価を行い、効果の見込めない事業や時代おくれとなった事業は、見直し・廃止すべきと主張してきました。本市内部の行政組織の簡素化や運用の効率化に係る点は、いつの時代にあっても不断に取り組むべき課題であり異論はありません。 しかし、受益と負担の適正化として、市民サービスの低下や市民生活に多大な影響を及ぼす内容も含まれています。中でも、市民の間に大きな波紋を呼んでいる敬老優待乗車証制度と上下水道福祉措置の制度見直し案については、我が会派としては、再度明確に原案のままでは反対であると申し上げておきます。 特に敬老優待乗車証制度については、私たちは高齢者の社会参加や生きがい施策を側面から支援する制度として積極的に評価しています。仮に素案どおりの見直しが行われることになれば、高齢者の社会参加は確実に減少し、高齢者施策のさまざまな面に悪影響が及ぶのではないかと危惧します。 そこで、危機的財政状況にあっても、この制度を維持・継続するための提案をします。地方公営企業法は、第18条に出資者--この場合は大阪市に対し、利益の状況に応じ納付金を納付するものと定めており、今後この制度を活用してはどうかと考えます。また、この敬老優待乗車証制度について、政策的意義づけをきちんと行い、条例化を図るべきと考えます。 上下水道福祉措置についても、少なくとも上水道は同様の納付金が可能な経営状態であり、これまでこれらの事業への投資や基盤整備が税や料金収入によって行われてきたことから、消費者である市民への利益還元策の一つとして検討すべきと考えます。 また、職員数の削減とともに、今後9年間、職員給与を5%カットするとされていますが、将来の雇用不安や生活設計の面から職員のモチベーション低下が懸念され、結果として活力を欠いた市役所組織となり、行政サービスへ悪影響が及ぶのではないかと心配されます。 さらに、府の維新プログラムに連動した事業の見直しについては、本市のかかわりと政策的な評価が不明確であり、コストカットのみを目的としているとの印象を受けます。市民・利用者の声を聞き、政策の検証を行った上での見直し案であるのか甚だ疑問に感じますし、市民の間には「これでは前市政と変わらない、市民目線を掲げた平松市長らしさはどこにあるのか」といった声が上がっております。 今後、さまざまな意見を反映することはもちろんですが、長期的・政策的視点で評価を行い、市民派市長として、市民の生活感覚に立って削減素案の見直しを図るべきです。これらの点についてお聞きします。 次に、新たな行財政改革計画についてお聞きします。 基礎自治体として、市民に近いところで効率的に行政サービスを提供していくことは基本的責務であり、そのために不断に行財政改革を進めるのは当然のことです。 新たな計画の策定に当たっては、削減ありきではなく、質の高い行政サービスを提供するという目標のもとに徹底的な事務事業の見直しを行い、再構築を進めるべきと考えます。そのためには、無駄を省くスクラップ策とともに、未来へ展望を持てるビルド策も検討しなければなりません。同時に、どのようなセーフティーネットを用意するのか、さらに地域社会の活性化のために行政が何をすべきかなど総合的に検討し、具体的に明示する必要があります。 また、行財政改革への客観的な評価のためには、幅広い分野での外部有識者の意見反映と計画への参画が有効と考えます。 平松市政へのアドバイザーとして既に3氏が就任していますが、本市の行政規模と事業内容を考えれば、より広範な分野からのアドバイスを求めることが大切と考えますが、今後のアドバイザー制度とその活用策についてお聞きします。 なお、付言するならば、一部有識者などの独断専行を許すことになった前市政改革の轍を踏むことなく、平松市長が明確なビジョンを持ちつつ、良識ある外部委員を登用されることを期待します。 次に、先ごろ発表された「元気な大阪」をめざす政策推進ビジョン、いわゆる平松ビジョンついてお聞きします。 まず、まちづくりの目標である「大都市、そしていちばん住みたいまちへ」の実現のための「『協働』をムーブメントに高める」ですが、ムーブメントを市民運動と理解するなら、何よりも役所主導ではない、市民みずからの盛り上がりが必要であると考えます。 市民が持つ地域課題から始まり、市政全体へのうねりとしていくためには、明確な目標設定と具体的な行動のための仕組みづくりが必要です。今回、協働をムーブメントに高める象徴的な取り組みとして、街頭犯罪発生件数ワーストワンと放置自転車台数ワーストワンの返上、ごみ減量の取り組みの徹底の3点を、市民の生活感覚に沿った、わかりやすい目標として掲げられたことは評価します。この取り組みを通じて、市民と市政の相互信頼、市政参画、新たな市民との共同事業など、これまでにない可能性が開けるとも期待します。ゆえに、これら3つの取り組みを進めるに当たって、市民へのアプローチの仕方、協働の仕組みづくり、本市と市民の役割分担などについて具体的に示していただきたいと思います。これらの点についてお聞きします。 次に、元気アップ推進事業計画に掲げられている経済力アップについてお聞きします。 ものづくり活性化のためには、高い技術力を持ち、すぐれた製品を生み出すだけでは不十分です。ものづくりの担い手や企業の創造意欲を高め、マーケットの拡大と活発な消費活動、それに新たな人材の流入が求められます。産業創造館の情報発信機能を一層強化し、情報を世界に発信し、新たなマーケット形成を図りながら、ブランド力の強化を図ることが必要です。有名なブランド商品は、例外なく生産地に産業クラスターを形成しており、生産地と都市イメージとが重なり合っています。 大阪においても、国際的に通用する商品とブランド「OSAKA」を創出することが重要です。また、産業クラスター集積のためには、これまでユニークな技術開発と支援を行ってきた工業研究所を活用するとともに、地域において、小さくとも高い技術力を持った企業・生産者がその特徴を発揮し、さまざまな課題を解決する仕組みを示していく必要があります。これらの点についてお聞きします。 次に、文化・観光力アップについてお聞きします。 海の御堂筋構想がうたわれていますが、言うまでもなく、古来より海と川の交わるところは交易の集散地であり、経済的・文化的に発展したところでもあります。 大阪も、経済とともに文化・芸術が川沿いに発展した歴史を持ち、とりわけ本庁舎のある中之島周辺には文化・芸術資源が集中しています。10月の京阪中之島線の開通によって京都~中之島間が直結され、飛躍的に交通アクセスも向上していますし、御堂筋の大阪市への移管も予定されるなど、東西軸と南北軸の交差する中心に本庁舎は位置しています。今回の政策ビジョンでゾーニングされたからには、これまでのように一過性のイベントや寄せ集めのプログラムではない、大阪にしかない魅力的なソフトの充実が求められます。 そこで、具体的な提案として、例えば国際会議場、中央市場本場、科学館、新フェスティバルホール、ほたるまちなど、新旧の施設を活用した国際芸術祭や音楽祭、映画・演劇祭などの定期開催や滞在型の国際ツーリズム商品の企画開発を行い、情報発信することはどうでしょうか。 さらに、本庁舎は中之島のほぼ中心に位置しており、行政機能だけではなく、市民に開かれた文化施設としての機能も果たすべきと考えます。当初、市長御自身の夢として語っておられた本庁舎の近代美術館構想のように、実現に至らなかったとはいえ、これまでにない柔軟な発想をこれからも大切にしていただきたいと思います。 我が会派も提唱し、平成18年度からは玄関ホールでの大阪クラシックのコンサートが開催されるようになりました。以前に比べ開催頻度も高くなってはいますが、まだまだ本格活用とは言えません。例えば、玄関ホールや市民ロビーのカフェテリア・レストラン化など、市民が夜間・休日でも立ち寄れる身近で親しみのある施設とする仕掛けも必要ではないでしょうか。これら多様な手法と取り組みによって、ビジョンに掲げられている文化・環境を機軸としたまちづくりとムーブメントが可能になると考えます。これらについてお聞きします。 次に、子供の生きる力アップと学力向上の取り組みについてお聞きします。 子供の個性や才能を伸ばし、生きる力を身につけさせることは社会の責務であり、子供が元気で安心して育つ社会は未来に希望が持てる活力ある社会です。 核家族化・共働き家庭の増加・地域コミュニティーの希薄化によって、家庭や地域の教育力も格段に落ちています。将来の大阪を担い、元気にする人材を育てていくためにも、子供たちが学ぶ意欲を高める手だてと意欲にこたえられる学習環境の充実が不可欠ですし、また地域で見守り、はぐくんでいける地域力の回復が必要でもあります。ここでも、協働の仕組みを確立し、市民運動によって、みんなで子供を育てるという機運を盛り上げなければなりません。 昨今、子供の学力低下が社会問題化しており、とりわけ大阪の全国学力テストの結果が下位であったことから関心が高まっています。学力がすべてではないということは言うまでもありませんが、子供が可能性を伸ばしながら生きていく上では重要な要素であることも間違いのないことです。 先月の報道でも、大阪市内の小・中学生の学力テストの結果は、全分野で全国・府内の平均解答率を下回っており、本市が習熟度別少人数授業を行っているにもかかわらず、十分な効果があらわれているとは思えません。効果の検証とともに、優秀な教員を確保することが真に学力アップにつながるとも考えます。今後の取り組みなどについてお聞きします。 次に、まちづくり、中でも北ヤードと臨海部にかかわってお聞きします。 平松ビジョンの今後のまちづくりの方向性(案)によると、次世代を担う都市型産業・ビジネスを創出し続ける拠点となるよう誘導するとあります。間接的な誘導策ではなく、市長みずからがメッセージを発信し、トップセールスを行うなど、積極的な誘致活動を展開することが重要です。 ビジョンでは、具体的な産業分野として、ロボットテクノロジーや情報通信技術・環境といった先端技術の集積を掲げていますが、新しい企業が生まれ、大阪の活性化へつなげるためには、まちづくりに当たっても、ビジョンで強調されている「売り」が必要ではないでしょうか。 北ヤードでは1期開発が進められており、今後、2期開発を含む全体像とあわせ、その方向性を早期に示す必要があります。この地区については、大阪のみならず、関西あるいは西日本全体の活性化が期待されており、さまざまな意見や構想が提案されています。 そこで、これまでにない大胆な発想として、新幹線あるいは開発中のリニア新幹線の北ヤード乗り入れを提案します。東北新幹線の東京駅乗り入れと東海道新幹線の品川駅停車によって新たな交通需要が喚起され、首都圏の一層の活性化につながっていることからも、北ヤードへの乗り入れは大阪の飛躍的発展の契機となると考えられ、この機会を逃せば永遠に実現できないと考えます。この点を含め、北ヤードのまちづくりについてお聞きします。 次に、先ごろ橋下知事がWTCへの府庁舎移転案に関して、移転の意義を明確にするため、ベイエリアや大阪全体の将来像を含め都市構想案をつくりたいと表明し、市長も府と協調して考えると応じておられます。これまで、大阪市の負の遺産の象徴とも言われてきた臨海部地区にとって、ようやく明かりがともりつつあるのではないかと期待します。 WTCの府への売却については、本市負担の最小化が図られるよう、市民が納得する形で進める必要がありますが、その前提となるのは臨海部のまちづくりです。ビジョンでは、アジアとの交流・交易拠点として高付加価値ものづくり産業の発展を支えるまちづくりを基本に、咲洲コスモスクエア地区においては、ビジネス創造、情報発信の拠点形成、企業立地の促進やにぎわい創出などを目標に取り組み例を掲げています。 仮にWTCに府庁が移転した場合のまちづくりが、ビジョンで描かれたとおりでよいのか、知事が考えるベイエリアの将来像とどのように調和がとれたまちにするのか、府市連携の大きなテーマとして直ちに議論していく必要があります。本来のまちづくりのコンセプトでもあった世界・アジアの交易とともに、国際交流に資するまちづくりを進めるべきと考えますが、今後の臨海部のまちづくり、活性化、それに向けた府市連携などについてお聞きします。 次に、平松市長の公約である中学校給食と保育所待機児童解消策についてお聞きします。 市長は、就任当初の施政方針で、食育の観点から、選択方式での中学校給食の全校実施を検討すると表明されました。この間、我が会派も、中学校給食の実施へ向けて市内小・中学校への視察と試食、さらに千葉、京都、東京調布の各市や府下各市へも視察を行い、実施方法や実施にかかわる問題点などについて検討してきました。 教育委員会では、市長の方針を受け、中学校給食の課題を調査・検討するため、学識経験者や保護者代表を交えた大阪市中学校給食検討会議を設置し、検討を重ねていますが、私の率直な感想を述べれば、市長の決意と実施主体である教育委員会の姿勢には温度差があるように感じます。他都市では、センター方式、民間委託、近隣小学校から配食するいわゆる親子方式、またこれらの混合方式など、さまざまな方法で中学校給食が実施されており、そのほとんどで温かいものは温かく、冷たいものは冷たく食事できるよう工夫されています。 中学校給食実施に当たっては、自校調理方式がベストですが、コスト面を考慮すればデリバリー方式でも可能であり、現在の調理保管技術をもってすれば、十分満足できる食事内容となると考えます。中学校給食へ向けた決意と、提供に当たっての基本的な考え方と具体的なスケジュールをお聞きします。 また、少子社会へ向けて子育て支援策の充実が求められていますが、とりわけ保育所待機児童の解消が求められます。待機児童解消は、前市長からの公約となっていますが、いまだ696名の待機児童が存在しています。今回の政策ビジョンでは、この点について触れられていませんが、将来の大阪を元気にする人材を育てるために、その前の段階の子育て支援策として、平松市長の公約でもある待機児童の完全解消が図られるよう強く要望します。これらの点についてお聞きします。 次に、大きな社会問題となっている救急医療対策についてお聞きします。 近年の社会保障制度のほころびと医療費抑制政策による医師・看護師など医療従事者の不足は、大都市にまで影響が及んでいます。もはや、救急患者の搬送先確保が困難な、いわゆるたらい回しは社会問題と化しています。また、産科・小児科の医師不足も続いており、抜本的な対策が急がれます。 このような中にあって、公立病院、とりわけ市民病院に求められているのは、救急医療、高度専門医療、感染症医療、結核医療など民間の医療機関では取り組みにくい分野と、地域において不足している小児・周産期医療であると考えます。市民が安心できるセーフティーネットとなる救急医療の体制づくりが重要ですが、今後、救命救急センターを有する総合医療センターを軸に、他の市民病院がそれぞれ果たす役割を明確にした新しい体系的整備を進める必要があります。先月発表された市民病院の再編・ネットワーク化について(案)によると、北市民病院を廃止し、民間医療機関に運営を継承し、結核医療などの機能は十三市民病院に移す、住吉市民病院は市内南部の小児・周産期医療の拠点病院として建て替えるなど、各市民病院の役割と機能が示されています。 今後、市民病院間だけの連携にとどまらず、市大病院を含めた総合的連携、さらに他の公的医療機関や民間医療機関との連携による救急医療体制を行政の責任で構築することが必要です。これらの点についてお聞きします。 次に、緊急金融対策についてお聞きします。 今回の世界的金融危機による経済的混乱と円高によって、景気は急速に後退しており、とりわけ年末を控え、中小企業経営は日ごとに厳しさを増しています。新聞報道によると、中小企業向け緊急保証制度による融資申請において、銀行などの金融機関が代理申請するいわゆる「つけかえ」が疑われるケースが相次いでおり、申請窓口でトラブルが出るなど混乱を招いています。 現在、代理申請の禁止を決めているようですが、実際に「つけかえ」が確認されなくても、一部の金融機関でこの制度を悪用する事態となっています。制度の趣旨に反した「つけかえ」を容認することなく、銀行のモラルハザードを決して許さないという強いメッセージを市長に発信していただくよう要望します。 また、現在の申請件数は既に1万件を超えていると聞いています。しかし、国によると、この制度を利用できる中小企業は全体の6割強にすぎず、3割以上の中小企業者は、この制度すら利用できません。国の緊急金融対策に追随する施策だけでは不十分です。何らかの方策が必要と考えますが、市長の考えをお聞きいたします。 そのほか組織機能の成果や反省点、職員の意識改革、政策課題としての環境対策など、まだまだお聞きしたい点はありますが、時間の関係もございますので、決算特別委員会の論議に譲ることとさせていただきます。 最後に、「元気な大阪」をめざす政策推進ビジョンを実現するため、大阪市が、だれもが住みたいとあこがれるまちを平松市長とともにつくっていくという決意を申し上げ、私の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。 ○議長(多賀谷俊史君) 理事者の答弁を許します。 平松市長。     (市長平松邦夫君登壇) ◎市長(平松邦夫君) ただいまの山本議員の御質問に対しまして、お答えを申し上げます。 この1年間の感想と今後の市政運営についてでございますが、私の率直な感想は、265万市民の安全・安心を守る責任の重さと、大都市としての役割の大きさを痛感いたしております。市民の皆様の御理解や市会の皆様の御協力をいただきながら、ようやくここまで来たというのが率直な感想であります。 しかし、危機的な財政状況やWTCなどの負の遺産処理、府市連携などさまざまな課題が山積しており、引き続き、これらの課題解決に取り組んでまいりたいと考えております。 また、市民の皆さんの理解が得られるよう、ガラス張りの市政の実現に向け、政策の立案段階からの情報公開に努めるとともに、市民の目線に立った職員の意識改革の徹底を図り、組織の縦割りといった組織風土の改革に取り組んでまいりたいと考えております。この間、多くの市民の皆さんが、いろいろな地域活動を積極的にやっておられる現場を見ることができまして、市民の皆さんのまちに注ぐ愛情やエネルギーの大きさを改めて肌で感じさせていただきました。 私の市政運営の基本は、市民の皆さんと一緒になって大阪を元気にしていきたいということであり、さまざまなところで進められている協働の取り組みを職員とともにさらに広げ、大きくしていきたいと考えており、「元気な大阪」の基礎をつくるため、大阪が持つポテンシャルに着目して、4つの分野に重点を置いて施策事業に取り組んでまいります。 市政改革を着実に推進するとともに、大阪都市圏を牽引する大都市としての役割を果たしつつ、だれもが住みたいとあこがれるようなまちを市民の皆さんと一緒につくりたいと考えております。 社会経済情勢の認識と基礎自治体としての理念についてでございますが、言うまでもなく、世界の経済情勢は、アメリカ発の金融危機に端を発し、世界的に株価が急激に下落するなど危機的な状況にあります。我が国における企業の急激な業績の悪化は、大阪経済全体にも大きな影響を与え、市民の間では将来の暮らしに対する不安感が生じてきております。こうした状況の中にあって、本市は大阪都市圏を牽引する大都市としての役割を果たしつつ、市民に最も身近な基礎自治体として、市民ニーズを的確に反映しながら、福祉・教育など日常生活に直接かかわる施策を進めていかなければならないと考えております。 政策・施策の企画立案、危機管理、市民の安全・安心の確保はもとより、適切な公共サービスの提供、市民活動支援業務などは、行政として果たすべき重要な責務であります。 提案競争型民間活用につきましては、単に経費の削減を目指すのではなく、個々の公共サービスについて、最適な担い手がその提供者になることで市民の満足度を高め、あわせて市民との協働を促進し、また職員が市民の目線から自分の仕事を見詰め直すきっかけとし、意識改革にもつなげることを目指すものでございます。民間事業者等にサービスの実施をゆだねる場合にも、常に業務内容を厳しく点検し、管理・監督するなど、行政としての責任を果たしてまいります。 次に、財政収支見通しについてでございますが、現下の経済状況、経済環境の急速な悪化は、さらなる市税収入の減など本市の財政に大きな影響を及ぼすものであり、さらに収支不足が拡大することが十分予想されるため、経済状況を反映した財政収支見通しを今後改定してまいりたいと考えております。 また、今回の経済情勢による税収の落ち込みは、本市だけではなく、全国的な問題であると認識しており、まずは地方交付税の確保に向けて、地方が一丸となって国に対して働きかけていく必要があります。今後、あらゆる角度から財政健全化策に取り組み、さらには次期行財政改革計画の検討を早急に進めるなど、この危機的な財政状況に対応してまいりたいと考えております。 経費削減の取組(素案)についてでございますが、市民とともに大阪を元気にしていくため、本市が置かれている厳しい財政状況を克服し、将来にわたって持続可能な行財政基盤を確立すべくこの素案を取りまとめ、公表したところでございます。 敬老優待乗車証制度や上下水道料金福祉措置制度を維持・継続するために、受益と負担のあるべき姿を精査しているところであります。 議員が御提案になっておられる一般会計に対する特別会計からの納付金につきましては、地方公営企業法に定める手続や趣旨を十分踏まえた上で、今後、利益の状況や企業の経営課題に応じて検討していかなければならないと認識しており、大阪市全体のマネジメントの中で慎重に取り扱ってまいりたいと考えております。 また、敬老優待乗車証制度の条例化については、今後の制度に即し、検討してまいります。 人件費の削減案につきましては、職員のモチベーションの維持をどう確保するのか、特にこれからの大阪市を担ってもらう中堅・若手層への配慮が必要だと考えており、人事面においては、職員のモチベーションの向上につながるよう、これまでも庁内公募制度や自己申告制度などを活用しながら適材適所の人事配置に努めてまいりました。 一方、給与・処遇面においても、職員の勤務実績や能力を反映する昇給制度や勤勉手当制度を導入してまいりましたが、優秀な職員に報いることができるよう、さらにきめ細かく実施してまいります。各職場において、多くの職員は創意工夫しながら精いっぱい業務を行っており、私も現場で頑張っている職員と直接話し、市民の目線に立って、元気な大阪にするために一緒に頑張ってまいりたいと考えております。 人件費については、退職者数の増減により大きく変動することも考えられ、総人件費の動向を十分に把握する必要があり、今後の財政状況も勘案して、年度ごとに精査する必要があると考えております。 さらに、府の維新プログラムと経費削減の取組(素案)との関係についてでありますが、行財政改革は府・市共通の課題であり、本市の財政も極めて危機的な状況にあることから、これまで府・市が連携して行ってきた事業については、大阪府の肩がわりをできるものではなく、基本的には大阪府の方針に沿って事業の廃止・縮小を行ったものであります。しかし、文楽協会や大阪フィルハーモニー協会への助成など、これまでの経緯により本市が引き続きその役割を担う必要のあるものについては、事業を継続していくこととしております。 いずれにいたしましても、経費削減の取組(素案)につきましては、市民生活にかかわる施策について、パブリックコメント等で敬老優待乗車証制度、上下水道料金福祉措置制度を初め多くの御意見をいただいており、これらの御意見を踏まえ、今後、総合的に検討を加え、市会での御議論をいただきながら、平成21年度予算編成過程において見直すべきものは見直してまいります。 新たな行財政改革計画についてでございますが、本市の財政状況はなお厳しく、引き続き行財政改革を着実に進めていくことが不可欠であり、現行の市政改革に続く新たな取り組みについて検討を進めていく必要があると考えております。 次期行財政改革の検討に当たりましては、単なる経費削減にとどまらず、市民の目線に立って事務事業を見詰め直し、その再構築を進めるとともに、行政の質の転換を図る観点で取り組み、未来を志向して、「元気な大阪」の実現に向けた基礎づくりを進めてまいります。このため、学識経験者や経済界から御参画いただく行財政改革検討委員会を年内にも立ち上げて、外部の意見もいただきながら検討してまいります。また、この検討委員会に御参画いただく学識経験者につきましては、市政改革アドバイザーとして、それぞれの専門家としての立場から、行財政改革にとどまらず、幅広く市政全般にわたって助言をいただいてまいりたいと思っております。 ムーブメントを高める仕組みづくりについてでございますが、なにわ元気アップ会議など、市民との対話を通じ、地域の方々が熱意と愛情を持って我がまちのために日々活動されていることを実感するとともに、地域の課題も直接お聞きすることができました。その中で、市民の関心が最も高く、その解決を望む声が多い街頭犯罪と放置自転車台数のワーストワンの返上、ごみの減量という3つの事業を、政策推進ビジョンにおいて市民協働の重点的な取り組みとしたところです。 市民協働は、市民と行政が対等な立場で、ともに協力して課題解決の取り組みを進めていくことと認識しております。市民との協働をまち全体に広げ、大きなうねり、ムーブメントに育てていくためには、協働の動きを地域団体はもとよりNPOや企業などに広げていくことが重要です。そのために、市民の方々との対話の場の充実、地域団体、NPOなどの活動の情報発信と相互の連携、協働の成果を市民に具体的に見える形にすること、地域活動が社会的に評価される仕組みづくりなどが必要と考えております。地域課題の解決を市民協働で進めるため、区政改革を推進するとともに、市民協働を全庁的に展開する組織横断的な仕組みを早急に検討してまいります。 ものづくりの活性化策についてでございますが、ものづくりは、商業や物流業、サービス業などあらゆる産業の基盤となるものであり、ものづくりの活性化という観点から大阪の経済力アップを目指すこととし、ものづくりの専門家などで構成する専門部会の御意見をもとに、元気アップ推進事業計画を策定してまいります。 その中間取りまとめでは、まず大阪の製品が国際的に通用する商品となり、新たなマーケットを獲得していくため、国内のみならず、成長するアジアの購買力をターゲットとして、国内外の市場ニーズを確実にとらえ、売れるものをつくるという「売りづくり」力を企業自身が着実に身につけることが肝要としております。そのため、市場ニーズを熟知した企業OBを活用した売れる製品づくりへのアドバイス機能の構築や、海外見本市への出展サポートなどの支援策の展開が必要と考えております。 また、企画から製品化に至るまで一貫した支援を行う工業研究所の機能を活用し、関係機関とも連携しながら、顧客の求めるさまざまな課題の解決に向けて中小企業同士のネットワーク化を支援する仕組みを構築するほか、地域のものづくり企業の課題解決力アップを応援するため、例えば区役所など身近な施設等を活用し、地域の実情に応じた支援施策を充実することとしております。 こうした取り組みを総合的に進め、課題解決力、「売りづくり」力をあわせ持つものづくり企業の産業集積を図り、国際的に通用する製品や技術を大阪のブランドとして大阪産業創造館を中心に内外へ発信することで、大阪の都市イメージを高め、大阪経済全体が元気になることを目指してまいります。 次に、文化・観光力アップについてでございますが、本庁舎が位置する中之島は、古くから我が国の経済活動はもとより、文化・芸術活動の拠点であり、創立90周年を迎えた中央公会堂を初め、市民にとって貴重な文化資源が数多く集積しているエリアでございます。また、この秋、京阪中之島線の開通に伴って駅周辺と遊歩道も整備され、東西の移動が便利になり、さまざまな文化施設を短時間で周遊できるようになりました。 市役所南側のプロムナードや府立図書館をライトアップなどして開催するOSAKA光のルネサンスは、年々多くの市民等に訪れていただくとともに、さまざまな情報誌やメディアにも取り上げられるなど、大阪の冬の風物詩として定着してきております。 また、中央公会堂で開催している中之島国際音楽祭に加え、大阪アジアン映画祭についても、本年度はほたるまちにできたABCホールで開催する予定です。 さらに、大阪府や経済界と協力して開催する水都大阪2009を契機に、さまざまな市民参加プログラムを実施し、アーティストと市民、地域コミュニティー等の活動ネットワークの創出を促進します。 このような取り組みを継続して実施することで、中之島を水都大阪の重要な観光スポットとして、その魅力を国内外に発信し、民間事業者とも連携して国際的な集客力の向上を目指します。 本庁舎については、市民を初め多くの方々に訪れていただけるよう、玄関ホールでの展示やイベント開催を初め、より一層の活用を図るため、中之島に位置する施設として、市民に愛され親しまれる市役所、シティーホールになるよう、その活用の仕組みづくりに関係局を挙げて取り組みます。 今後とも、中之島を、大阪の文化をリードし、大阪ならではの多彩な魅力を楽しめるモデルゾーン、水辺の文化都心として、市民の参画を得ながら、市民が集い、歩いて楽しめるにぎわいのある空間づくりを進めてまいります。 子育て環境と学力向上策についてでございますが、全国学力・学習状況調査の結果は、2年連続で全国平均を下回りましたが、その背景には児童・生徒の家庭での生活習慣や学習習慣の定着に課題があることが明らかになっており、学校・家庭・地域が連携して取り組むことが重要であります。近年、教育力の低下が指摘されておりますが、大阪には大都市ならではの多様な資源や人材が集積しております。例えば、中学校区において、家庭・地域が一体となって学校を支援する新たな連携協力の仕組みづくりなど、社会総がかりで教育に取り組んでまいります。 私は、全国学力・学習状況調査の結果を厳しく受けとめ、政策推進ビジョンの中で、一人一人の確かな学力を確実に伸ばす指導の充実として習熟度別少人数授業を拡充するなどの独自の取り組みを具体的に示しました。今後、習熟度別少人数授業の効果的な指導方法等について十分検証し、進めてまいります。 また、教育委員会が策定した大阪市学力向上強化戦略(案)では、習熟度別少人数授業の拡充や、すべての学力の基礎となる言語力の向上など6つの戦略を掲げております。この方向性は私の考えとも一致しており、教育委員会ともども積極的に取り組んでまいります。 私といたしましては、近隣はもとより、地方の大学等へのPRやメディアの活用など、新たな人材の発掘に積極的に取り組み、優秀な教員を多く確保することが学力向上にとって非常に重要であると考えております。子供たちの生きる力の基礎を支え、さまざまな個性と才能を見つけ、伸ばすため、学校の教育力をアップし、元気な学校をつくってまいりたいと思っております。 大阪駅北地区のまちづくりについてでございますが、大阪駅北地区の開発は、大阪・関西の活性化をリードする重要なプロジェクトであり、公民の連携を通じて民間の持つポテンシャルを最大限に発揮していただくまちづくりを進める必要があると考えております。そのため、先行開発区域では、情報通信技術等の活用をテーマとしたナレッジ・キャピタルを中核に、創造的な人材の集積や先端的な技術の融合など、知的創造機能を強化し、その結果が新たな都市型産業やビジネスの創出につながるよう全力を挙げて取り組んでまいります。 2期区域については、環境をテーマとした高度な都市機能の集積などを中心に、土地の高度利用と良好な都市環境の創出が両立する持続可能なまちづくりに取り組んでまいりたいと考えております。また、開発を支えるJR東海道線支線の地下化や道路等の基盤整備を、国の支援や関係者の協力を得て積極的に推進してまいります。加えて、こうした取り組みを、私みずからが機会をとらえ、内外を問わず積極的に発信してまいります。 リニア中央新幹線についてでございますが、大阪・関西にとっても価値ある国家的規模でのプロジェクトであると考えております。その事業化に向けて、JR東海が去年12月に、中間駅の建設費を除き、自己負担を基本として東京から名古屋までを先行整備したい旨、さらに本年10月には、名古屋~大阪間を含めた全線の整備を視野に入れた考え方を示しております。一般的に、整備新幹線の建設費は3分の1が地元自治体負担とされており、またリニア中央新幹線の建設費の負担に不透明な部分が残っておりますが、その機能の最大限の発揮には大阪までの全線整備が不可欠であり、JR東海の自己負担を前提とした建設を、近畿圏関係自治体と共同歩調をとりながら働きかけてまいりたいと考えております。 今後の臨海部のまちづくりについてでございますが、政策推進ビジョンの中で、南・東アジアとの交流・交易拠点として高付加価値ものづくり産業の発展を支えるまちづくりを目指すこととし、夢洲地区ではものづくり産業や物流拠点の形成を、咲洲コスモスクエア地区ではビジネス交流拠点の形成を目指すこととしたところでございます。 今後、本ビジョンの実現に向け、さまざまな具体的施策の実施など全庁的に取り組んでまいるとともに、府庁舎のWTC移転も視野に入れながら、大阪府との連携・協調を図り、臨海部の活性化に取り組んでまいります。 中学校給食、保育所待機児童解消についてでございますが、中学校給食につきましては、私は就任当初より、食育は生涯にわたって健全な心と体を培い、豊かな人間性をはぐくんでいく基礎となる大切なものであり、そういった食育の観点から、選択方式での中学校給食を早急に全校で実施したいというその思いは変わっておりません。教育委員会には私の思いを伝えており、5月に設置された大阪市中学校給食検討会議で現在検討が進められております。 検討内容については、適宜、教育委員会より詳細な報告を受けております。検討会議では、考え方をまとめるに当たり、小・中学校生とその保護者、市政モニター、教職員を対象としたアンケート調査の実施、ことし4月からの昼食提供事業の検証、他都市の調査や本市の中学校施設の状況調査など、精力的に検討が進められております。 調理法式についても、さまざまな方式で中学校給食を実施している他都市を視察・調査しており、それぞれの調理方式のメリット・デメリットについても報告を受けております。いずれの給食も、成長期にある中学生の昼食として、衛生面・安全面はもとより、栄養面にも配慮された給食であり、それぞれの手法に応じた食育の取り組みがなされていると聞いております。 いずれにしましても、年内に出される予定の検討会議のまとめを受け、早急に教育委員会において中学校給食に関する方針を決定し、議会でも十分御議論いただいた上、重点事項として取り組んでまいりたいと考えております。 保育所待機児童解消につきましては、最重要課題として、これまで以上にスピード感を持って入所枠の拡大に取り組んでまいりました。 今後、さらに加速化し、民間保育所の本園や分園の整備を促進するとともに、社会福祉法人による用地や施設の確保が困難な圏域では、市有地や本市既存施設も活用して民間保育所の整備を積極的に進め、平成21年度末には約4万2,000人の入所枠を確保し、公民協力により待機児童の完全解消の実現に全力を注いでまいります。 救急医療対策についてでございますが、近年、高齢化の進展等、社会情勢の変化により救急需要が増加しております。市民が安全・安心に暮らしていくには、救急医療の充実は喫緊の課題であり、市民病院も重要な役割があると認識しております。 現在、総合医療センターは、三次救急医療機関として365日24時間、生命にかかわる重篤な救急患者への対応を、また住吉市民病院では夜間の小児二次後送病院として受け入れを行っており、今後とも救急医療の充実に努めてまいります。 また、特に周産期救急の分野においては、産婦人科診療相互援助システムや新生児診療相互援助システムといった市民病院群も参加した公民の医療機関相互の連携による救急搬送システムが大阪府下において構築されており、重症ケースの受け入れに大きく貢献しております。さらに、本市における救急医療体制の改善について、関係局及び市大病院で検討を行っており、市大病院との連携強化ついても鋭意取り組んでまいります。 救急医療体制の整備は、医療法の定める医療計画に基づき、初期救急を除き都道府県が整備することになっていますが、本市としても、救急医療の充実には医療機関相互の連携が重要との認識のもと、公・民の医療機関や大阪府、大阪府医師会とも連携し、さらなる救急医療の充実に努めてまいります。 緊急金融対策についてでございますが、本市では10月31日から本市独自の大阪市緊急金融対策を実施しております。緊急対策の中心となる大阪市緊急対策資金融資の申し込み条件となる信用保険法の認定を受けるため、連日、何百人ものお客様が産業創造館に来られ、11月末までの1カ月間で認定件数は1万件を超えました。この間、お客様は早朝から夜遅くまで認定の順番を待っておられ、本市としても、窓口体制の強化など、スムーズな認定に向けた対応を努力しております。 しかしながら、窓口では、金融機関の代理申請によるトラブルなどモラルにかかわる事象が少なからず発生していることから、今回の事例については、既に国へ報告し、国から本市の事例を踏まえて大阪の金融機関に対して厳正な注意がなされたと聞いており、今後も厳しくデータを集め、対処してまいりたいと思っております。 本市としても、厳しい財政状況の中、可能な限り踏み込んだ緊急金融対策を講じてまいりましたが、今般の経済危機は世界的な広がりを持つ本当に未曾有なものであり、国民生活全般に波及するものであることから、今後明らかになると考えられる国の対応、例えば二次補正予算や種々の経済対策を踏まえまして、本市の既存施策の活用を創意工夫するなど、可能な努力を積み重ねながら、必要な措置を迅速かつ的確に講じてまいりたいと思っております。 以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。 ○議長(多賀谷俊史君) お諮りいたします。この際、暫時休憩することに決して御異議ありませんか。     (「異議なし」と呼ぶ者あり) ○議長(多賀谷俊史君) 御異議なしと認めます。よって暫時休憩いたします。     午後3時18分休憩     午後3時40分再開 ○議長(多賀谷俊史君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 ○議長(多賀谷俊史君) これより質問を続行いたします。 27番渡司考一君。     (27番渡司考一君登壇) ◆27番(渡司考一君) 私は、日本共産党大阪市会議員団を代表して、2007年度一般会計決算報告並びに当面する施策等について平松市長に質問したいと思います。 今、アメリカ発の金融危機と世界的な経済の混乱、長期にわたった投機マネーによる原油や穀物などの高騰で、庶民は物価高にあえぎ、中小企業はコスト増と大企業による単価切り下げに悲鳴を上げています。その上、自公政権による構造改革路線のもとで、若者は派遣労働で使い捨て、高齢者は後期高齢者医療制度でうば捨て、中小企業は貸し渋り・貸しはがしで切り捨てる、さらに社会保障予算は毎年2,200億円が削減されるなど、国民に苦難を押しつける政治が強行されました。 こうした中で、貧困と格差の拡大が日本社会に重くのしかかっています。政府の調査では、57%もの国民が生活が苦しいと答え、その数は6年連続でふえ続けているのであります。こういう中で、本市には、住民の福祉の増進に努め、暮らしを守るという地方自治体本来の役割を発揮することが強く求められているのであります。 ところが、平松市長は、市民サービスの全面的な削減に踏み出し、国の悪政にさらに追い打ちをかけようとしています。市長が9月に発表した経費削減(素案)は、市民に最も喜ばれている敬老パスの有料化を初め、上下水道料金減免制度の改悪、学校維持運営費、難病患者への見舞金などをばっさり削り、市営住宅管理センターなどを統廃合、さらに他都市と比較しても下位の水準にある職員給与なども引き下げて、財政難を専ら市民と一般職員に犠牲を押しつけて乗り切ろうとするものであります。 そもそも本市の財政危機は、大型開発の失敗や長年にわたる不公正・乱脈な同和行政によるものであり、市民にそのツケを回すなど到底許されません。それどころか、市長は昨年の選挙で、セーフティーネットの再構築で子供からお年寄りまで安心できる大阪にすると公約されたのであり、こういうときこそ市民の暮らしを応援するために全力を尽くすべきであります。 以下、こういう立場で重点的に質問したいと思います。 第1に、暮らし、子育てと教育を充実させる問題についてであります。 まず、敬老パス、上下水道料金減免制度についてです。 言うまでもなく、この両制度は、多くの高齢者の生きる支えとなっており、この制度があるからこそ低い年金でも何とかやっていける、あちこち気兼ねなく移動できて元気のもとになっているなど、財政難の中でも続けてほしいとの声が多数寄せられています。その中でお一人だけ紹介します。「私は、2006年に守口市から大阪市に引っ越してきて、最初に敬老パスをもらったときは本当にうれしかった。多くの友人からも、大阪に来てよかったねと喜ばれた。敬老パスのおかげで、ことしになってからでもダーウィン展へも佐伯祐三展へも気軽に行けた。何しろ時間だけは十分にあるのだから。敬老パスは命の次に大事と大切に扱っている。一部有料化という声があるが、そんなせこいことは言わず、従来どおりにお願いしたい。ほかに節約するところはあると思う」との声が寄せられています。 こうした声を受けて、本議会は去る10月10日、敬老優待乗車証等の見直し(素案)に反対する決議を採択しました。市長は、この議会の決議を尊重し、この両制度の改悪について撤回すべきだと考えますが、市長の答弁を求めます。 次に、後期高齢者医療制度についてであります。 同制度が実施されて8カ月が経過しました。この間、対象となる75歳以上の高齢者を初め、塩川元財務大臣や中曽根元総理など元政権中枢にいた人、そして舛添厚生労働大臣まで、この制度はうば捨て山行きのバスだと表現するなど、立場の違いを超えて同制度に対する批判の声と廃止を求める世論が沸騰しています。これらの国民の声に押されて、政府は制度実施後わずか2カ月で見直しを決定し、低所得者への保険料軽減策などを実施しました。しかし、同一収入の世帯なのに保険料負担が13.6倍もの格差が生まれる事例が発生するなど、さらに矛盾が広がり、もはや廃止しかないという声が一層高まっているのであります。 こうした中で、参議院では既に廃止法案が可決されており、衆議院においても早急な可決が求められているのであります。市長としても、後期高齢者医療制度の廃止を国に求めるべきであります。答弁を求めます。 続いて、国保料滞納者への資格証明書の交付についてであります。 本来、国民健康保険制度は、憲法に示されている健康で文化的な最低限度の生活を保障する制度であります。したがって、保険料が払えない加入者からの保険証取り上げは、決して許されてはならないことであります。10月30日に発表された厚生労働省の調査資料では、全国1,798自治体のうち551自治体、実に30.6%の自治体で資格証明書を発行していないことが明らかになりました。政令市のさいたま・広島市を含む多くの自治体が、国の発行義務づけに抗し、住民の医療を守るという立場に立って頑張っているのであります。大阪市においても、1万818世帯に交付されている資格証明書は、直ちにすべて保険証に切りかえるべきであります。 また、我が党は、緊急の課題として、児童福祉法にのっとり、18歳までのすべての子供たちに無条件に国保通常証を交付せよと強く求めてきました。これを受け、大阪市は11月5日、中学校卒業までの子供を対象に資格証明書の交付をやめ、3カ月間有効の短期保険証を交付することを明らかにしました。これは一歩前進と評価できるものの、なお不十分な対応だと言わざるを得ません。大阪市が、児童福祉法で規定する地方公共団体は児童を心身ともに健やかに育成する責任を負うとの立場に立ち、短期証ではなく通常保険証とし、交付の仕方については、取りに来いというような子供の保険証を人質にするような対応ではなくて、直ちに18歳までの子供たちに無条件で送付すべきであります。 以上、資格証問題について、市長の答弁を求めます。 次に、保育所の民間委託についてであります。 大阪市は、この間、なれた保育士さんがいなくなるのは不安などの保護者の声を押し切って、保育における公的責任を後退させる民間委託を繰り返してきました。待機児解消という大義名分がなくなってもなお新たな基準を設けて、経費削減のために民間委託を続ける姿勢は改めるべきです。 さらに、大正南保育所の廃止問題は、大阪市の子供に対する冷たさ、保育に関する無責任さの象徴です。子供の安全のために当然行うべき耐震工事さえせず、建て替えのお金を惜しんで廃止するなど絶対にあってはなりません。直ちに安全対策を講ずるとともに、廃止を撤回するべきです。あわせて御答弁ください。 次に、市営住宅についてであります。 今、公営住宅に対する需要はますます高まり、本年7月募集に当たっての平均応募倍率は38.3倍にもなっています。 ところが、自民・公明政府が強行した公営住宅法施行令の改悪によって、来年度から収入基準がさらに引き下げられ、公営住宅を必要とする多くの世帯が申し込みすらできなくなります。そればかりか、家賃まで大幅値上げされ、3万2,700円から4万円になる世帯が生まれるなど、多くの世帯に影響が及ぶのであります。今日、民間では、家賃が一挙に22%も上がるなど聞いたためしがありません。市長は、国に対して公営住宅法施行令改悪の中止を求めるべきであります。市長の答弁を求めます。 続いて、学力テストの問題です。 市長は、学力テストの結果を公表すべきと教育委員会へ要求し、教育委員会もこれに応じ、公表に同意しました。もともと公表しないことを学校現場や子供たちに約束して行ったテスト結果を一方的に公表に踏み切るというのは、まさに言語道断、教育行政をつかさどる資格に欠けると言わなければなりません。道徳教育が最も必要なのは、市長と教育委員会じゃありませんか。 もともと学力テストは、1960年代に行われた結果、過度な競争を生み、テスト対策のために、それこそ勉強どころじゃないという状況が生まれ、廃止になった代物であります。既に大阪では、橋下知事の競争をあおる異常な態度にその兆候があらわれています。 市長、こんな百害あって一利なしの学力テストは、国に対し中止を求め、大阪市は不参加とすべきであります。あわせて答弁をお願いします。 次に、大阪市立大学の2部を廃止しようとしている問題についてです。 まず、夜間大学についての認識であります。 文部科学省は、雇用形態に関係なく、勤労青年を含めた幅広い年齢層の人々に多様で柔軟な学習機会を提供していくことが重要であると述べていますが、市長はどのように考えておられるかお聞かせください。 市立大学は、1880年に設立された大阪商業講習所を起源として130年近い歴史を誇り、8学部、大学院10研究科を有する我が国最大の公立大学です。独立行政法人化されたとはいえ、大阪市立大学に変わりはなく、2部はその重要な構成部分であります。 その2部が、志願者数の減少などを理由に2010年度から学生の募集を停止し、在籍者が卒業すれば廃止をするとされています。志願者数の減少などというのは全く根拠がありませんし、学生の有職率の低下も口実になっていますが、非正規やアルバイトなど入学後に仕事先を確保した学生は全くカウントされていないのであります。また、大学の調査では、所得が400万円以下の世帯の学生は、1部家庭で15%、2部では35%となっております。学費が安く、働きながら学ぶことができる2部の存在意義は決して失われておりません。 今、在学生200名以上がアンケートを寄せ、大半が2部を残してほしいと答えています。引き続き存続を図るべきであります。御答弁ください。 第2に、雇用と中小企業支援の問題についてお尋ねいたします。 まず、雇用の問題についてであります。 この間、派遣労働など非正規で働く労働者はふえ続け、全国ベースでは、1990年879万人、働く人全体に占める割合は20%だったものが、2007年には1,719万人となり倍増、率にして約34%と激増しています。さらに、10代後半では72%が非正規雇用という状況に追い込まれています。 本市でも、1997年に24%だった非正規雇用の割合が、2007年には37%と10年間で13万人増、率にして13ポイント増となり、全国平均よりも3ポイントも高くなっています。この背景には、1999年に行われた派遣労働に関する法律の規制緩和があります。派遣労働の広がりで、多くの大企業職場で人が物扱いされ、今までさんざん低賃金で働かされたあげく、景気悪化のもとで大量の派遣切り・首切りが公然と行われ、この年の瀬に無情にも使い捨てにされているのであります。 非正規で働く多くの人たちが、正社員として安心して働きたいと願っています。市長は、こうした声にこたえ、国に対し、労働者派遣法の抜本的な改正を求めるべきであります。 また、派遣労働が常用雇用に取ってかわるものであってはならず、あくまでも臨時的・一時的な仕事に限られるとされていながら、多くの大企業がこうした点を無視し、派遣労働者を常用雇用の代替として働かせています。本市が、在阪大企業に対し、こうした実態がないかどうかを調査すべきであります。また、そうした企業があれば、直接雇用、正社員化を行うよう啓発・指導を行うよう求めるものであります。 さらに、本市が多額の補助金を支出している企業への対応についてであります。 この間、京都府に続き、兵庫県も企業誘致補助金のあり方を見直し、雇用、特に正規雇用を誘引する制度へと改善がされました。また、兵庫県知事は、補助金を支出した企業に対して、期間工の正社員化を要請すると答弁しています。本市でも、補助金を支出した企業、また支出予定の企業に対し、正規雇用への要請をすべきであります。 雇用問題の最後に、本市が雇用の面で範とならなければならないということであります。 本市が、地下鉄清掃労働者に見られるような官製ワーキングプアをつくっているようでは話になりません。特に公立保育所では、職種が正規を含めて6種類もあり、月額臨時任用職員はクラス担任をも持たされ、正規職員と同じ仕事を押しつけられながら毎年3月末には解雇されるなど、黙過できない事態が広がっています。正規と同等の職種については正規職員とし、パート・アルバイトについては同一労働、同一賃金の原則を導入すべきであります。 以上、雇用問題についてあわせて答弁をお願いいたします。 次に、緊急の課題となっている金融施策についてであります。 相次ぐ負担増と増税、社会保障の切り捨てに加え、中小企業は、この間の資材と燃料高騰、さらに銀行の貸し渋り・貸しはがしが営業困難に追い打ちをかけています。許しがたいのは、公的資金の投入を受けた資金供給で最大の責任を果たすべき3大メガバンクが、この1年間だけでも2兆7,600億円もの中小企業への貸し出しを減らす先頭に立っていることであります。市長は、本市20万中小企業を代表して、在阪各行に対し、貸し渋り・貸しはがしをやめるよう要請すべきではありませんか。 また、銀行の貸し渋りを招いた大失政として見逃せないのが責任共有制度です。従来は信用保証協会が100%保証していたものを、協会8割、銀行2割としたため銀行の貸し渋りが加速されました。本市の実績でも、この制度が実施される前と比べて、融資の実行は金額、件数ともに約30%減になっています。10月31日から実施された大阪市緊急金融対策は、保証協会の100%保証で行わざるを得ず、責任共有制度がもはや破綻していることを示すものであります。この制度は速やかに廃止し、もとへ戻すことを国に求めるべきであります。市長の答弁を求めます。 第3に、まちづくりと環境問題についてお尋ねいたします。 まず、震災対策についてであります。 本年5月、中央防災会議が上町断層帯でマグニチュード7.6の直下型地震が発生した場合、大阪府下における建物の崩壊97万棟、死者は4万2,000人というシミュレーションを発表し、衝撃を与えました。また、南海・東南海地震は、2030年までに発生する確率が40%から50%とされています。 言うまでもなく、市民の命と安全を守ることは本市の第一義的責務であります。死者・行方不明者が6,436人に及んだ阪神・淡路大震災では、その80%の方が崩壊した建物の下敷きになって亡くなられています。住宅や公共建築物の耐震化は、喫緊の課題と言わなければなりません。 ところが、本市の木造住宅耐震診断・改修補助制度の利用は、制度創設の2005年以降、診断275件、改修51件にとどまっているのであります。制度の抜本的拡充を図るべきであります。同時に、公共の建物で、耐震化が病院・診療所で76%、保育所77.4%にとどまっており、早急に100%を目指し耐震補強を推進するべきであります。あわせて市長の答弁を求めます。 次には、ごみの減量と焼却炉廃止についてです。 今、大阪市に必要なのは、発生抑制と再使用を基本にしたごみ減量の徹底と、さらなる分別を行い、焼却優先から卒業することであります。 ところが、本市のごみ削減目標は、2004年からの6年間でわずか8%にすぎません。今日のごみ問題での市民意識の高まりと環境問題にこたえたものになっていないのであります。もっと削減目標を引き上げるべきであります。 また、大阪市は、現在10カ所あるごみ焼却工場を9工場体制に移行しようとしていますが、焼却炉は莫大な建設費用と運転コストを伴う事業であり、可能な限り削減すべきです。とりわけ、耐用年数の25年をはるかに過ぎて39年も稼働している森之宮工場は真っ先に廃止するべきです。あわせて御答弁ください。 第4に、大型開発の中止、見直しについてであります。 市長は、テクノポート大阪計画の終結を宣言いたしました。遅きに失したとはいえ、当然のことだと思います。 しかしながら、これによって、我が党と市民の反対を押し切って390億円もの巨費を投じた夢咲間の地下鉄インフラは、全く無用の長物となりました。今後、最大で年35億円の借金返済だけが回ってくることになります。また、同じく休止を余儀なくされた新島2区事業も、支出予定の420億円の元利償還が、特に2011年度以降、数十億円の規模で続くのであります。一体これほどの浪費があるでしょうか。市長、こういう状況に対してどのようにお考えでしょうか、お伺いいたします。 また、新島1区事業(フェニックス事業)も、本市財政にとって大変な負担となろうとしています。それというのも、この880億円を要する護岸の建設費用のうち、3割弱の国の補助金を除く650億円を、ごみ埋め立て終了後に造成土地を売却して賄うという資金計画となっているからであります。夢洲からのアクセスの見通しもない中で土地など売れるはずもなく、650億円が丸々本市負担となるのであります。近畿2府4県、175市町村のごみ排出者に対し、応分の負担を求めるべきです。答弁を求めます。 さて、WTCの3度目の破綻が明確になりました。これによって、本市出資金や貸付金等が毀損されることに加え、銀行債権に対する損失補償で都合700億円もの損害をこうむることになります。 採算を度外視したばかでかいビルをつくり、テナントが埋まらないといって建設局等7局を入居させ、ありとあらゆる支援を積み重ねた上、平成16年の特定調停では、必ず再建させるとしていたにもかかわらず、5年も経ずしての破綻であります。本当にひどいもので、このような事態に至らしめた歴代の市長、港湾局長、現・元与党の責任が厳しく問われてしかるべきではないでしょうか。市長、どう決着をつけるつもりですか。 また、平松市長には、銀行に対してさらなる債権放棄を求めること、最も有利な条件で売却することなど、このWTCの損害を最小にとどめる責任があります。 ところが、平松市長は、大阪府への売却一本やりではありませんか。これが果たして市民的利益に合致するでしょうか。とんでもないと思います。現入居テナントの50億円の保証金の返還に移転費用の負担、府庁の移転費用に府会本会議場の整備費用等々差し引きすれば、どれだけ残るかわかりません。しかも、府庁のWTCへの移転は、府民的利益とも相反するものであります。来庁者の利便性を欠くばかりか、府職員の通勤時間も増加する上に、他の官庁との連携にもそごを来しかねません。防災拠点としてもふさわしくないのであります。府への売却はやめるべきです。あわせて答弁をお願いします。 続いて、淀川左岸線延伸部の問題についてお聞きします。 橋下知事は、府庁移転構想にあわせ、州都を視野にした場合、淀川左岸線延伸部は絶対に必要だと言い出しました。続いて9月には、関経連が関西圏の高速道路建設を促進する協議会を立ち上げ、特に淀川左岸線延伸部の実現に力を入れると発表しました。平松市長が、こうした動きと合わせ、9月の記者会見で促進協議会は非常にありがたい提案だと発言したことは、建設へ踏み出すものであり重大であります。延伸部は、ランプを含めた事業費が3,500億円とされ、これを街路事業とした場合には、少なくとも市の負担が1,300億円にもなる大型開発であります。 この道路は、有識者委員会のヒアリングでも、建設に肯定的な沿線住民の声はごく少数であり、交通量そのものが減少する中で、大阪府民にとって必要がなく、環境、費用などの面からも計画を中止すべき路線であると考えますが、市長の答弁を求めます。 第5に、同和行政終結についてお尋ねいたします。 まず、大阪市が先日発表した今後の人文センターなどのあり方についてであります。 案では、青少年会館などを統合し、(仮称)市民交流センターに統合するとなっています。しかし、今まで同和地域に限って行われてきた各種事業については、基本的に継続となっており、なお不十分な見直し策だと言わなければなりません。同和地域だけで行ってきた各種の事業については全廃し、会館については貸し室事業に限定すべきであります。 また、同和行政の諸施策についてです。 人権博物館、アジア・太平洋人権情報センター、部落解放人権研究所など解同主導施設・機関への補助金、委託金を全廃すること、同和未利用地や市営住宅附帯駐車場の管理など人権協会への一切の事業委託をやめること、職員配置を行わないなど人権協会との関係をきっぱりと絶つこと、教員の不公正な同和加配を改めるとともに同和教育を廃止すること、同和事業の未利用地を早急に処分することなど、同和行政を今こそ全廃するべきです。その上で同和行政終結の宣言をすべきであります。あわせて市長の答弁を求めます。 最後に、財政危機をどう乗り切るかについてであります。 財政難の大きな原因の一つは、三位一体改革と称して行われた地方交付税の削減であります。07年度決算では、一般財源ベースで前年よりも310億円の減となっており、本市に深刻な影響を与えています。地方交付税等のあり方を、せめてもとへ戻せと国に対し要求すべきであると考えます。 また、我が党は、今まで申し上げたとおり、無駄な開発と同和行政をきっぱりやめ、それでも財政が足りない場合は公債償還基金からの一時借り入れを行い、手当をすべきと従来から申し上げてまいりました。与党からも声が上がっていますが、大阪市自身が昨年秋に借り入れのための詳細な検討を行っていますし、既に大阪府や多くの政令市で借り入れを行っています。90年代に過剰な公共投資を行ったしわ寄せを市民と職員に押しつけない、この立場に立てば、公債償還基金からの一時借り入れは当然の選択肢とすべきであります。あわせて市長の明快な答弁を求めます。 以上、質問といたしますが、答弁のいかんによっては再質問することを申し添えておきます。 ○議長(多賀谷俊史君) 理事者の答弁を許します。 平松市長。     (市長平松邦夫君登壇) ◎市長(平松邦夫君) ただいまの渡司議員の御質問に対しまして、お答え申し上げます。 敬老パス、上下水道料金減免についてでございますが、経費削減の取組(素案)は、市民とともに大阪を元気にしていくため、本市が置かれている厳しい財政状況を克服し、将来にわたって持続可能な行財政基盤を確立すべく取りまとめ、公表したところであります。 敬老優待乗車証交付制度は、70歳以上の高齢者が市営交通機関を利用して出かけることにより、高齢者の生きがいづくりや社会参加の促進に役割を果たしてきたと考えており、また上下水道料金福祉措置については、福祉措置としての位置づけを明確にした上で、今後も持続可能な制度として維持・継続していくために素案として取りまとめたものであります。 両制度につきましては、パブリックコメント等において多くの御意見をいただいており、これらの御意見や市会決議を踏まえ、今後、総合的に検討を加え、市会での御議論をいただきながら、見直すべきものは見直してまいりたいと考えております。 後期高齢者医療制度、いわゆる長寿医療制度についてでございますが、国民皆保険を堅持し、医療保険制度を将来にわたり持続可能なものとするため、本年4月に創設され、その運営は財政基盤の安定化を図るため広域化し、都道府県単位で全市町村が加入する後期高齢者医療広域連合が担っております。 この間、国においては、制度の円滑な運営を図るため、高齢者の置かれている状況に十分配慮し、新たな保険料の軽減措置などを講じるとともに、厚生労働大臣のもとに有識者から成る高齢者医療制度に関する検討会を設置するなど、今後1年をめどに、さらなる検討を進めているところであり、本市としては、引き続きこうした動向を十分注視してまいります。 国民健康保険料滞納者への資格証明書についてでございますが、保険料の収入の確保につきましては、単に財政面だけでなく、被保険者の負担の公平性の観点からも重要な課題であり、保険者として最大の責務であると認識しております。 本市におきましては、保険料の滞納世帯に対しまして短期証や資格証明書を発行し、接触の機会を設け、納付相談や納付指導を通じ国民健康保険制度の理解を求め、収入の確保を図っているところでございます。 資格証明書につきましては、国民健康保険法に基づき、特別な事情もなく、長期に滞納している世帯に対して被保険者証の返還を求め、資格証明書を交付することが義務化されており、法の趣旨を十分に踏まえ実施しているところでございます。 今般、資格証明書交付世帯のうち子供がいる世帯について、医療機関への受診抑制とならないよう、子供には短期証を交付することといたしました。その対象につきましては、収入を得る機会がない、いわゆる稼得能力のない中学生以下とし、短期証の交付については、滞納世帯との接触の機会を確保し、世帯の実情把握と納付相談を行うためであり、また既に短期証を交付している世帯との公平性の観点から、対象世帯に文書通知を行い、窓口での交付としております。文書通知を行ってもなお接触できない世帯には電話や訪問等を行い、子供に短期証が行き渡るよう、きめ細やかな対応に努めてまいりたいと考えております。 保育所についてでございますが、公立保育所においては、配慮を要する児童を積極的に受け入れるなど、地域のセーフティーネットとしての役割を果たすとともに、一時保育等多様な保育サービスの提供、さらには地域子育て支援センターとして、在宅の子育て家庭への支援のためにも積極的な役割を果たしていくことが期待されており、今後、より一層の機能充実が必要であると考えております。これらを推進していくためには、限られた人的・物的資源を有効に活用することが必要であり、このため公立保育所の民間委託を初めとする再編整備を着実に推進してまいります。 大正南保育所につきましては、定員割れが続き、将来的にも保育需要の増加が見込めないこと、周辺保育所において入所児童の受け入れが十分可能であること、老朽化が著しいことなどから、平成22年3月末をもって廃止することといたしました。なお、廃止までの間は、児童の安全確保が重要でありますことから、建物の安全対策について、現時点でできる最大限の対応を行ってまいりたいと考えております。また、保護者の方々には、今後とも十分御説明し、御理解いただけるよう、引き続き誠意を持って対応してまいります。 公営住宅法施行令についてでございますが、公営住宅の入居収入基準や家賃算定基礎額などは、平成8年の改正以降10年以上見直されておらず、この間の世帯所得の変化などを踏まえ、住宅に困窮する低額所得者に対して公平かつ的確に供給できるよう、平成21年4月に見直されるものでございます。本市におきましても、その趣旨に従い、適切に制度移行を図ってまいります。 なお、家賃が上昇する既存入居者につきましては、負担増の軽減を図るため、5年間の経過措置が講じられることとなっておりますが、施行令改正趣旨の補完・徹底を図る観点から、市の独自措置として経過措置期間を7年間とし、既存の入居者の方々の生活の安定に配慮してまいります。 学力テストについてでございますが、全国学力・学習状況調査は、各教育委員会・学校等が、全国的な状況との関係において、みずからの教育及び教育施策の成果と課題を把握し、その改善を図ることなどを目的として国が実施しており、本市もその趣旨にのっとって参加しております。 私といたしましては、本市の結果が2年連続で全国平均を下回ったというこの厳しい内容を深刻に受けとめております。教育委員会は、この結果を受けて、教育行政を担う者としての説明責任を果たすとともに、市民に教育に関心を抱いて御協力をいただくためにも、数値を含めた市全体の結果を、序列化や行き過ぎた競争につながらないよう配慮しつつ、主体的に判断し、公表したところです。 政策推進ビジョンで掲げた習熟度別少人数授業の拡充などの独自の取り組みを進める一方、学力を支える基本的な生活習慣を身につける課題に対しては、学校・家庭・地域と一体となった総合的な取り組みが必要と考えます。全国学力・学習状況調査の結果を学習指導の改善に生かしつつ、今後とも大阪の教育力の強化に向け、市民の御協力を得ながら、強い決意を持って教育委員会ともども取り組んでまいります。 大阪市立大学第2部についてでございますが、第1部と同一原則のもとでの教育を基本理念とし、多くの有為な人材を輩出してまいりました。しかし、18歳人口の減少や社会人教育に関するニーズの変化などにより、国立大学の夜間課程の入学定員が5年前と比べておよそ半減となるなど、夜間課程を取り巻く状況も大きく変化してきていると認識しております。 第2部のあり方につきまして、中期計画に基づき、昨年度から学内で組織的に検討を行ってきており、夜間のみでしか学ぶことのできない環境にある学生の入学が希少となり、また第1部学生と第2部学生の学力差の問題が顕在化しており、設置当初の基本理念から乖離した状況となっていることから、平成22年度入学者からの募集停止を決定したとのことであります。在学生については、引き続き卒業までの教育を実施する予定となっております。 第2部の募集停止とともに、長期履修学生制度の導入など、現在の市民ニーズに対応する社会人教育を今後展開していく予定であると聞いており、私といたしましては、法人の判断を尊重すべきであると考えております。 労働者派遣法についてでございますが、日雇い派遣の原則禁止や派遣労働者の常用化、待遇改善などの問題となっております労働者保護の仕組みを強化することを内容とする改正案が11月4日に閣議決定され、国会に上程されているところであります。今後、派遣労働の適正化に向けて国会で十分な議論がなされ、適切な法改正が行われるものと考えております。 また、労働者派遣法に係る事務は、厚生労働省及び各地方労働局の所管とされておりますので、企業が派遣労働者を禁止業務に従事させるなど労働者派遣法に違反するような事態が生じないように、これら関係機関に対して、啓発・指導等の取り組みを強化するよう要請してまいりたいと考えております。 雇用対策につきましては、現行の労働法制のもと、国の取り組みを待たなければならないところが多いわけでありますが、今後、本市の雇用施策の取り組みの重要な柱としております就職に向けた支援が必要な人を対象とした就業支援施策を充実してまいります。 また、雇用・失業情勢につきましては、さらに悪化することが予想されますので、本市としましても、経済団体などに対しまして雇用の確保に向けた取り組みを要請してまいります。 補助金を支出した企業への正規雇用の要請についてでございますが、本市では、都市再生重点産業立地促進助成制度を活用して、大阪経済の元気を高める企業の誘致や投資促進に積極的に取り組んでいます。本制度は、重点産業分野の事業所や大規模先端工場の建設費、また新たに立地・拡充する先端企業本社の建物賃料の一部を助成するもので、一定以上の事業継続や常用雇用者数を要件としております。 今後の予定も含めた11社の助成対象事業所においては、おおむね1,800人以上の常用雇用者の純増が見込まれ、加えて市内取引の拡大などを通じて関連産業においても新たな雇用機会の増加が期待できるなど、市民の安定した雇用機会の拡大に貢献しております。 非正規職員の雇用に対する考え方についてでございますが、育児休業中の職員の代替や恒常的ではない職あるいは常時勤務を要しない職につきましては、市民サービスの低下を来すことのないよう、業務精査を行いながら、その必要性について十分に精査を行った上で、非常勤嘱託職員などの非正規職員の積極的な活用を行っているところであります。非正規職員の勤務条件につきましては、労働基準法などにのっとり適正に対処しているところであります。また、給与につきましても、本市職員の給与改定等に準じた改定を行っているところでありますが、今後も国の動向に注視するとともに、他都市の状況等を勘案しながら研究してまいりたいと考えております。 金融機関に対する要請についてでございますが、大阪経済の担い手である中小企業は、世界的な信用不安が広がる中で極めて深刻な経営状況にあります。こうした状況を踏まえ、本市では10月17日に制度融資取り扱い金融機関に対し、年末の資金需要期を迎える中小企業金融の円滑化について協力依頼を行いました。さらに、国に対しても、早急に緊急総合対策を実施することや、金融機関が中小企業への資金供給に積極的に取り組むよう指導・監督することを要望いたしました。 責任共有制度についてでございますが、これは信用保証協会と金融機関が適切な責任分担を図りながら中小企業に対する支援を行うものであり、地域密着型金融の推進に寄与すると考えております。 他方、同制度導入の前後で見ますと、本市の保証つき融資は、導入前は駆け込み等の影響により前年度比で大幅に増加した反面、導入後は前年度比で減少いたしました。こうした状況を受け、本市では、国に対して、金融機関が同制度の趣旨を踏まえ、中小企業金融に積極的に取り組むよう指導・監督することなどを要望しました。今後とも、市内中小企業に対する円滑な資金供給に向けて国へ要望を行うほか、信用保証協会とも連携して金融機関に強く働きかけてまいります。 建築物の耐震化についてでございますが、まず木造住宅の耐震診断・耐震改修に対する助成につきましては、診断費用の9割を補助し、5,000円程度の負担で耐震診断ができるようにするとともに、耐震改修についても、今年度より補助率や補助限度額を引き上げ、簡易な改修も補助対象とするなど制度の拡充を行ったところでございます。 また、耐震化の促進には市民の理解と協力が不可欠であり、地域への出前講座や個別相談会の開催など積極的な普及・啓発を行うとともに、安心して任せることのできる事業者の紹介等を行う大阪市耐震改修支援機構を本年10月に設立したところでございます。 次に、市設建築物につきましては、本年3月に市設建築物耐震改修計画を策定し、災害時に重要な役割を担う施設等について、27年度までの耐震化の完了を目指すこととしております。特に、災害対策活動に必要な区役所や消防署につきましては、重点的に耐震化を推進するとともに、避難所となる学校園や耐震性能が特に低い施設については、23年度までに計画的に耐震改修を実施いたします。今後とも、引き続き建築物の耐震化に向けた取り組みを進めてまいります。 ごみ減量と焼却工場の廃止についてでございますが、地球温暖化など地球規模の環境問題が大きくクローズアップされ、環境問題全般に対する市民の関心がこれまでになく高まっている中にあって、限りある天然資源の消費が抑制され、環境への負荷の低減が図られた持続可能な循環型社会の形成に向けて、市民・事業者の皆様と協働して、ごみ分別収集など、ごみ減量・リサイクル施策の推進に取り組んでおります。 このたび、一層のごみ減量を進めるため、大阪市廃棄物減量等推進審議会に対し、新たに実施すべきごみ減量・リサイクル施策について緊急諮問を行っており、その答申の内容を踏まえて、新たなごみ減量の目標値について定めてまいりたいと考えております。 次に、ごみ焼却工場の廃止についてでございますが、市全体のごみ焼却工場の整備・配置計画につきましては、新たなごみ減量目標値を定めた後、都市計画や地方財政等、関連するさまざまな御専門の見地から客観的な御意見をいただくことを目的として設置した大阪市ごみ焼却場整備・配置計画検討委員会において、収集輸送や焼却にかかるコスト、環境への影響、工場の配置など、幅広い観点から御議論いただき、その意見を踏まえ、総合的に判断してまいりたいと考えております。 いずれにいたしましても、市民・事業者の皆様と協働して、ごみ減量を積極的に進めてまいりたいと考えております。 臨海部の開発についてでございますが、本市に残された広大で利用可能な用地として、時代時代の要請に応じて土地利用計画などの見直しを行いながら、これまで臨海部の整備を進めてまいりました。 北港テクノポート線につきましては、道路と一体構造となるトンネル躯体を整備してまいりましたが、残る区間につきましては、夢洲の土地利用計画や舞洲の開発状況に応じて、鉄道の需要動向を見ながら、必要に応じて事業内容などの検討を行ってまいりたいと考えております。 また、新島2区につきましては、事業の選択と集中により当面休止するものでありますが、将来的には公共残土などの処分場として、良好な都市環境の保全のために必要であると考えております。 フェニックス事業についてでございますが、昭和56年の事業発足当時と比べ、環境規制の強化により護岸の建設費が増大していることに加え、処分場跡地の土地売却処分が困難になるなど、フェニックス事業を取り巻く社会環境が大きく変化しており、大阪沖処分場における護岸建設費が港湾管理者にとって大きな負担となっております。このため、国に対しまして、持続可能な廃棄物処分場の整備の推進に向け、排出者負担を含めた抜本的な制度改善を関係地方自治体などとも連携して要望活動を行ってまいりました。 今後とも、これら自治体との連携を強化し、さまざまな機会をとらえて、フェニックス事業の制度改善について、国や関係機関に要望を行ってまいります。 WTCについてでございますが、設立の計画時から特定調停に至るまでの経過につきましては、既に平成16年10月に特定団体調査委員会から提出されました報告書において、原因等について調査・分析がなされております。また、特定調停成立時において、当該3社の社長が経営責任をとって退任したほか、当時の市長、助役、関係局長が給与を返上いたしております。 さらに、現在、特定調停をめぐる経過と、特定調停後、経営が今日のように厳しい状況に立ち至った経過につきまして、庁内で立ち上げました調査チームで調査を進めているところであり、調査結果につきましては年内を目途に取りまとめることにしております。 WTCの処理につきましては、本年2月に特定団体再建検討委員会から提示のあった再建策、処理策を踏まえて、損失補償を含む市民負担を最小化する観点から、市民にとって最も望ましい方策を検討してまいりました。8月に大阪府から提案のあったWTCへの府庁舎移転案は、ベイエリアの活性化に大きなプラスになるものと考えられますことから、現時点では府への売却が最も望ましいと考え、最優先に取り組んでいるところであります。 今後、実現に向けて解決すべき課題もありますが、市民負担の最小化を基本に府と協議をしてまいりますとともに、府庁舎のWTCへの移転が臨海部のまちづくりの推進に資するよう、府とも協調して取り組んでまいりたいと考えております。 淀川左岸線の延伸計画についてでございます。 淀川左岸線延伸部は、広域的な幹線道路ネットワークである大阪都市再生環状道路を形成する重要な路線であると認識しておりますが、既成市街地を通過することから大深度地下構造にならざるを得ず、事業費が膨大となることなどから、いまだ事業手法や事業主体等が決まっていない構想段階の路線でございます。 大阪市としましては、整備効果や事業可能性などについてのより詳細な検討が必要であると考えており、その一環として経済団体や大阪府などが参画する協議会の場で活発な意見交換を行い、国への新たな事業制度の創設の要望なども視野に入れながら、関係者ともども検討してまいりたいと考えております。 人権文化センターなどのあり方についてでございますが、人権文化センターの平成22年度以降のあり方につきましては、地対財特法期限後の事業等の調査・監理委員会の提言、本市の見直し方針、市会での附帯決議を踏まえて検討を進め、方針案を取りまとめたところでございます。この方針案では、効率的な行政運営を図る観点や、人権文化センター、元青少年会館、元地域老人福祉センターの交流機能を統合する観点から、人権文化センターは条例廃止し、新たに、仮称でございますが、市民交流センターを設置することとしております。この市民交流センターでは、貸し室事業とともに、地域・世代を超えた交流の促進に資する事業やコミュニティーづくり支援事業等を実施し、幅広く市民利用に供してまいりたいと考えております。 同和行政の終結についてでございますが、地対財特法期限後の事業等につきましては、平成18年11月に策定した見直し方針に基づき、着実に見直しに取り組んできているところであり、外部委員から成る地対財特法期限後の事業等の見直し監理委員会を設置して、進捗管理に努めております。その内容につきましては、適宜市会に御報告するとともに、ホームページ等で公表しております。 引き続き、平成21年度末の見直し完了を目指し取り組んでまいりますとともに、今後とも時代に即した実効性のある施策を進め、透明性や公平性・公正性を確保し、適切な行政運営を進めてまいります。 地方交付税についてでございますが、これまで算定の簡素化を理由として、本市においても地方交付税が削減されておりますが、本来、地方交付税は地方固有の財源でありますので、国の歳出削減のみを目的にした根拠のない削減は決して行われるべきではないと考えております。地方交付税の算定に当たっては、他の指定都市とも連携し、大都市特有の財政需要を的確に反映させる仕組みを構築するよう求めてまいります。 さらに、アメリカ発の金融危機に伴う現下の経済環境の急速な悪化は、さらなる市税収入の減など、本市の財政に大きな影響を及ぼすものでありますが、これは本市だけでなく全国的な問題であると認識しており、地方交付税の確保に向けて、地方一丸となって国に働きかけてまいります。 公債償還基金からの一時借り入れについてでございますが、本市の財政は極めて厳しい状況にあり、速やかに負の遺産を処理し、行財政改革を着実に進めるとともに、市民生活を支え、未来を志向して、「元気な大阪」の実現に向けた基礎づくりを進めることが必要であると認識しております。 今後、不透明な景気動向の中、さらに財務リスクの処理を進めていかなければならない状況もあり、公債償還基金は起債償還のための貴重な財源であることから、まずは改革を進め、基金に頼ることのないよう努めていくことが優先される課題であると考えております。 以上でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。 ○議長(多賀谷俊史君) 27番渡司考一君。     (27番渡司考一君登壇) ◆27番(渡司考一君) ただいま市長から答弁をいただきましたが、全体として市民の暮らしが困難をきわめているときに、そこに寄り添って自治体の責務を果たしていこうという熱意が全く感じられないのであります。そればかりか、財政難のツケを市民と職員に押しつけて乗り切り、体力を取り戻したその暁には、関西財界の要求にこたえ、淀川左岸線延伸部などの巨大開発を進めていこうなどという魂胆が見え隠れする答弁であり、とても納得できるものではありません。 以下、5つの点について再質問いたします。 まず、国民健康保険資格証についてであります。 市長は、保険料滞納世帯に対して、短期証や資格証明書を発行し、接触の機会を設け、保険料収入を図ると答弁されました。 しかし、資格証を発行した世帯に対する大阪市の接触は皆無に等しいと言わなければなりません。要するに、保険料が払えなくなり、役所に行きにくくなって接触できない人にはすべて資格証を発行し、あとは知らん顔を決め込んでいるのが実態じゃないですか。 資格証を発行しても保険料収入に結びつかないことは、名古屋市の例を見ても明らかであります。同市の担当者は、資格証の発行は滞納者との縁切り宣言になるので、短期証を活用した納付相談を中心に進めると被保険者の実情に合わせた取り組みを進め、収納率を高めているのであります。収納率アップにもつながらない資格証の発行はやめるべきです。 また、子供たちについては、過日、札幌市が国保の資格証交付世帯であっても18歳未満の子供については1年間有効の通常証を交付すると表明しました。児童福祉法の立場に立つなら当然の措置であります。本市も同様の措置をとるよう、あわせて再度の答弁を求めます。 次に、市立大学2部廃止についてであります。 市長は、貝塚養護に続き、市大2部の廃止まで容認しようとしています。双方とも、本市の歴史を担って、今でも重要な役割を果たし、双方とも大事な施設であります。さまざまな人たちの思いの詰まった施設でもあります。市長、あなたはこんな大事な施設を、たった1年間で2カ所も解体するために市長になったんですか。 市大2部の応募者が減少、ニーズが変化などと言われましたが、入試倍率を見ますと、直近5年間のうち4年間は1部課程よりも2部のほうが高いということを市長は御存じでしょうか。ちなみに、2005年は1部課程5.1倍に対し、2部が9.3倍と倍近い倍率になった年もあり、ことしも1部課程で5.0倍、2部は6.5倍となっています。志願者数が減っているのは、何のことはない、大阪市が2部の定員を減らしたからにほかなりません。 市長は、入試テストの結果にも触れられました。私は、2部で授業を担当しているある先生のお話を紹介したいと思います。「2部で教えていて、あることに気づいた。優秀な1部の学生と2部の学生の差が非常に小さいのだ。入学時には成績で下位に沈んでいた学生たちが、2部課程で努力する機会を持つことによって、2部の学生のトップクラスは、卒業時には1部課程の下位の学生どころかトップクラスにも劣らないほど優秀なのだ」と語っておられます。2部廃止は、こうした学生の伸びるチャンスを奪うことになります。 いろいろ2部廃止の理屈を並べてますが、要するに交付金の20%削減で教師を減らさざるを得なくなり、2部の授業に手が回らなくなったというのが実態です。府下でも唯一残された公立の夜間大学は、何としても残すべきです。再度、市長の答弁を求めます。 次に、学力テストについてであります。 このテストが児童・生徒の学習理解度の実態を把握して授業の改善に生かす目的で実施するものなどと市長は強弁しますが、自民党内の政策調査機関でも、サンプル調査で十分ではないかとか、問題を公表しているので経年変化を追えない、また個々の児童・生徒の家庭の経済力と学力との相関関係が分析できないなどの意見が出され、結局、最終的には今のままなら不要だと自民党の中でも結論づけられています。 そればかりではありません。大体この制度を復活させたというあるお方は、60億円かけて実施した全国一斉学力テストは、学力の向上のためではなく、ある団体を暴き出すためにやったと述べ、その団体をぶっ壊すとまで言っています。しかも、この発言を撤回しないのであります。制度を始めた張本人が、学力向上のためのテストではないと言い切ってるわけですから、まさに保証つき、これほど確かなことはないのであります。 市長、こんなテストにつき合わされる現場はたまりませんよ。よって、本市は不参加とすべきです。重ねて答弁を求めます。 なお、学力向上を言うなら、少人数学級など条件整備こそ必要であるということを申し添えておきます。 さらに、淀川左岸線延伸部についてです。 市長の答弁は、実現へ向けて検討していきたいというトーンでありましたが、もともとこの道路は阪神高速道路の通行量がふえるという前提に立っての計画であります。先日、道路族の期待を裏切るかのように、国交省、社会資本整備審議会・道路分科会の報告では、2003年から交通量が減少していることが報告され、2005年比で2020年にはプラス12%と予定されていたものがマイナスの1.7%と修正されました。つまり、当初予定より14%も交通量が減るという見通しであり、道路計画の見直しは必至であります。 市長は、本市の負担ばかりを気がかりにされているようでありますが、国・府の負担があったとしても全部市民の税金ですよ、工事費は。そんなローカルな立場では困ります。環境を守るためにも、直ちに計画の中止を求めるものです。答弁を求めます。 最後に、同和行政についてであります。 解放新聞12月1日号は、人文センターの中に解放同盟事務所だけを確保することを求めているのではない。支部が果たしてきた歴史的役割を評価し、被差別部落の中で当事者組織の拠点の設置を支援することを求めるなどと時代錯誤の主張をいまだに述べています。市長の答弁は、こうしたあわよくば人権の名による同和行政を残させようと画策する解同に迎合する答弁であります。何をか言わんやであります。40年間にわたり芦原病院、飛鳥会初め莫大な税を投入し、乱脈の限りを尽くした大阪市が、市民からの信頼を回復し、真の部落問題解決を図るためには、地域に対する一切の特別扱いをなくし、同和行政終結の宣言をする以外にないのであります。 以上、5点について、再度市長の明快な答弁を求め、再質問といたします。 ○議長(多賀谷俊史君) 平松市長。     (市長平松邦夫君登壇) ◎市長(平松邦夫君) ただいまの渡司議員の再質問に対しましてお答えを申し上げます。 まず、資格証明書につきましては、国民健康保険法に基づき、特別な事情もなく長期に滞納している世帯に対して被保険者証の返還を求め、資格証明書を交付することが義務化されており、法の趣旨を十分に踏まえ、実施しております。 今般、資格証明書交付世帯のうち、子供がいる世帯については、世帯の実情把握と納付相談を行うことなどを目的とし、収入を得る機会がない、いわゆる稼得能力のない中学生以下の子供を対象に文書通知を行い、窓口で短期証を交付することとしております。 なお、接触できない世帯には電話や訪問等を行い、子供に短期証が行き渡るよう、きめ細やかな対応に努めてまいります。本来、このような取り扱いについても、国において統一して行うべきものと考えておりますので、今後の国の動向を十分注視してまいりたいと思います。 大阪市立大学第2部のあり方につきましてですが、近年の社会情勢の変化を踏まえ、大学としては、中期計画に基づき、現在の市民ニーズに対応する社会人教育の展開も含めて慎重に検討し、決定された事項でございまして、第2部をどうするかは法人化した大学が主体的に判断することであり、設立団体としては、法人の判断を尊重すべきであると考えております。 学力テストについてでございますが、全国学力・学習状況調査は、教育委員会や学校等が教育及び教育施策の成果と課題を把握し、その改善を図ることなどを目的として実施されており、本市もその趣旨にのっとって参加しております。その調査結果を学習指導の改善に生かすとともに、序列化や行き過ぎた競争につながらないように配慮しつつ、公表することを通して、今後とも市民への説明責任を果たし、市民の御協力を得るようにしてまいりたいと存じます。 教育委員会が策定いたしました大阪市学力向上強化戦略(案)も、施策の方向性は私のビジョンと一致しておりまして、教育委員会ともども、社会総がかりで子供たちの学ぶ意欲を高め、個性や才能を伸ばすよう取り組んでまいりたいと思います。 淀川左岸線の延伸部でございますが、事業費が膨大になることなどから、事業手法や事業主体等決まっておりません。大阪市としては、整備効果や事業可能性などについてのより詳細な検討が必要であると考えておりまして、経済団体や大阪府などが参画する協議会の場で、国への新たな事業制度の創設の要望なども視野に入れながら、関係者で検討を深めてまいりたいと考えております。 最後に、同和行政の終結についてでございますが、地対財特法期限後の事業等につきましては、平成21年度末の見直し完了を目指して全力で取り組んでまいりますとともに、今後も時代に即した実効性のある施策を進め、透明性や公平性・公正性を確保し、適切な行政運営を進めてまいります。 以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。 ○議長(多賀谷俊史君) 27番渡司考一君。 ◆27番(渡司考一君) 自席から発言をさせていただきます。 市長から再答弁をいただきましたが、同じ答弁の繰り返しであり、不十分かつ誠意を欠くものであります。また、まともに答えておりません。 しかし、時間の関係もございます。日本共産党議員団は、後日開かれる決算特別委員会において、市民の暮らしを守る施策を要求して質疑を行うことを表明し、私の質問を終わります。ありがとうございました。 ○議長(多賀谷俊史君) 以上で質問は終了いたしました。 △散会 ○議長(多賀谷俊史君) 本日はこれをもって散会いたします。     午後4時51分散会    ---------------------------------          大阪市会議長   多賀谷俊史(印)          大阪市会副議長  小笹正博(印)          大阪市会議員   西川ひろじ(印)          大阪市会議員   江川 繁(印)◯大阪市会(定例会)会議録(平成20年12月4日)(終)...