平成14年第1回定例会(平成14年3月)◯大阪市会(定例会)会議録(平成14年3月6日)
◯議事日程 平成14年3月6日午前10時開議第1 議案第23号 平成14年度大阪市
一般会計予算第2 議案第24号 平成14年度大阪市
大学医学部付属病院事業会計予算第3 議案第25号 平成14年度大阪市
食肉市場事業会計予算第4 議案第26号 平成14年度大阪市市街地再
開発事業会計予算第5 議案第27号 平成14年度大阪市
駐車場事業会計予算第6 議案第28号 平成14年度大阪市
有料道路事業会計予算第7 議案第29号 平成14年度大阪市
土地先行取得事業会計予算第8 議案第30号 平成14年度大阪市
母子寡婦福祉貸付資金会計予算第9 議案第31号 平成14年度大阪市
国民健康保険事業会計予算第10 議案第32号 平成14年度大阪市
心身障害者扶養共済事業会計予算第11 議案第33号 平成14年度大阪市
老人保健医療事業会計予算第12 議案第34号 平成14年度大阪市
介護保険事業会計予算第13 議案第35号 平成14年度大阪市
市民病院事業会計予算第14 議案第36号 平成14年度大阪市
中央卸売市場事業会計予算第15 議案第37号 平成14年度大阪市
港営事業会計予算第16 議案第38号 平成14年度大阪市
下水道事業会計予算第17 議案第39号 平成14年度大阪市
自動車運送事業会計予算第18 議案第40号 平成14年度大阪市
高速鉄道事業会計予算第19 議案第41号 平成14年度大阪市
水道事業会計予算第20 議案第42号 平成14年度大阪市
工業用水道事業会計予算第21 議案第43号 平成14年度大阪市
公債費会計予算第22 議案第44号 平成14年度大阪市西町外15財産区予算第23 議案第45号 職員の育児休業等に関する条例の一部を改正する条例案第24 議案第46号 職員の給与に関する条例の一部を改正する条例案第25 議案第47号 職員の
特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例案第26 議案第48号 消防職員の
特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例案第27 議案第49号
教育委員会所管の学校の職員の
特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例案第28 議案第50号
教育委員会所管の学校の教員の
特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例案第29 議案第51号
包括外部監査契約の締結について第30 議案第52号 大阪市安全な
まちづくり条例案第31 議案第53号 区の事務所の名称、位置及び所管区域に関する条例の一部を改正する条例案第32 議案第54号
大阪市立人権文化センター条例の一部を改正する条例案第33 議案第55号 大阪市
指定金融機関の指定について第34 議案第56号
大阪市立学校授業料幼稚園保育料等に関する条例の一部を改正する条例案第35 議案第57号
大阪市立デザイン教育研究所条例の一部を改正する条例案第36 議案第58号 大阪市
高等学校等奨学金貸与条例を廃止する条例案第37 議案第59号
大阪市立こども文化センター条例の一部を改正する条例案第38 議案第60号 大阪市
公会堂条例の一部を改正する条例案第39 議案第61号
大阪市立青少年野外活動施設条例の一部を改正する条例案第40 議案第62号
大阪市立青年センター条例の一部を改正する条例案第41 議案第63号
大阪市立市民教養ルーム条例の一部を改正する条例案第42 議案第64号
大阪市立市民学習センター条例の一部を改正する条例案第43 議案第65号 大阪市立大学の授業料等に関する条例の一部を改正する条例案第44 議案第66号 大阪市
文化振興基金条例の一部を改正する条例案第45 議案第67号 大阪市公園条例の一部を改正する条例案第46 議案第68号
大阪市立体育館条例の一部を改正する条例案第47 議案第69号 大阪市
設小売市場条例を廃止する条例案第48 議案第70号
大阪市立工業研究所条例の一部を改正する条例案第49 議案第71号 大阪市
社会福祉研修・
情報センター条例案第50 議案第72号
国民年金印紙購入基金条例を廃止する条例案第51 議案第73号
大阪市立老人福祉施設条例の一部を改正する条例案第52 議案第74号
大阪市立同和地区共同作業場条例の一部を改正する条例案第53 議案第75号 大阪市
国民健康保険条例の一部を改正する条例案第54 議案第76号
大阪市立勤労青少年いこいの家条例の一部を改正する条例案第55 議案第77号 大阪市
大学奨学金貸与条例を廃止する条例案第56 議案第78号 大阪市保健所及び
保健センター条例の一部を改正する条例案第57 議案第79号 大阪市
市民病院事業の設置等に関する条例の一部を改正する条例案第58 議案第80号
大阪市立介護老人保健施設条例の一部を改正する条例案第59 議案第81号 大阪市動物の愛護及び管理に関する条例の一部を改正する条例案第60 議案第82号
大阪市営住宅条例の一部を改正する条例案第61 議案第83号 大阪市
手数料条例の一部を改正する条例案第62 議案第84号 大阪市
屋外広告物条例の一部を改正する条例案第63 議案第85号 大阪市
道路占用料条例の一部を改正する条例案第64 議案第86号 大阪市自転車等の駐車の適正化に関する条例の一部を改正する条例案第65 議案第87号 大阪市
港湾施設条例の一部を改正する条例案
---------------------------------◯出席議員88人(欠は欠席者) 1番 江川 繁君 2番 山中智子君 3番 田中ゆたか君 4番 山崎誠二君 5番 紀野敏明君 6番 加藤仁子君 7番 山下正幸君 8番 欠員 9番 石原信幸君 10番 杉本末広君 11番 土居一雄君 12番 金子光良君 13番 前田修身君 14番 青江達夫君 15番 黒田當士君 16番 柳本 顕君 17番 床田正勝君 18番 大内啓治君 19番 荒木幹男君 20番
福山よしてる君 21番 山本修子君 22番 神原昭二君 23番 鈴木成男君 24番 辻 ひで子君 25番 渡司考一君 26番 稲森 豊君 27番 瀬戸一正君 28番 谷下浩一郎君 29番 長谷正子君 30番 小笠原正一君 31番 永藪隆弘君 32番 松崎 孔君 33番 松岡 徹君 34番 広岡一光君 35番 奥野正美君 36番 新田 孝君 37番 舟戸良裕君 38番 高野伸生君 39番 木下吉信君 40番 坂井良和君 41番
足高將司君 42番 多賀谷俊史君 43番 大西宏幸君 44番 高田雄七郎君 45番 待場康生君 46番 井手勝子君 47番 高橋諄司君 48番 鈴木のり子君 49番 小笹正博君 50番 河本正弘君 51番 仲山忠男君 52番 小西 実君 53番 菅井敏男君 54番 松原恵子君 55番 一色孝之君 56番 山下典嘉君 57番 井上淑子君 58番 船場太郎君 欠59番 新堂庄二君 60番 玉木信夫君 61番 大丸昭典君 62番 田中義一君 63番 石井義憲君 64番 徳田育久子君 65番 改発康秀君 66番 川口 優君 67番 松田 力君 68番 勝田弘子君 69番 福田賢治君 70番 辻 洋二君 71番 石川莞爾君 72番 下田敏人君 73番 矢達 幸君 74番 辰巳正夫君 75番 関根信次君 76番 姫野 浄君 77番 村尾しげ子君 78番 和田充弘君 79番 壷井美次君 80番 辻 昭二郎君 81番 山下喜一君 82番 藤岡信雄君 83番 勝田重春君 84番 森野光晴君 85番 永井 博君 86番 黒田輝夫君 87番 北野禎三君 88番 北山 篤君 89番 太田勝義君 90番 中西建策君
---------------------------------◯職務のため出席した
事務局職員 市会事務局長 竹内輝幸 次長 小西壽昭 議事課長 津田 薫
議事課長代理 友居伸行 議事係長 安部陽一
---------------------------------◯議場に出席した執行機関及び説明員 市長 磯村隆文 助役 關 淳一 助役 土崎敏夫 助役 井越將之 収入役 笹倉和忠 市長室長 岡本 勉
オリンピック招致局長 山田 昇 総務局長 大西史朗 市民局長 室 力松 財政局長 春田健一
計画調整局長 岩本康男
健康福祉局長 福島由堯 ゆとりと
みどり振興局長 寺川 治 経済局長 藤本 司
中央卸売市場長 中村 眞
都市環境局長 赤井仁孝
環境事業局長 柴崎克治 住宅局長 岸野和雄 建設局長 湊 勝比古 港湾局長 仙波 惇 副収入役兼収入役室長 松田芳機
市立大学事務局長 河野 猛 消防局長 本城光一 交通局長 比嘉 昇 水道局長 槇野 勝
教育委員会委員長 西崎建策 教育長 玉井由夫
選挙管理委員会事務局長 岡崎万里子 監査・
人事制度事務総括局長 安田奉之 ---------------------------------
△開議 平成14年3月6日午前10時3分開議
○議長(大丸昭典君) これより
市会定例会会議を開きます。 本日の
会議録署名者を
足高將司君、長谷正子君の御両君にお願いいたします。
○議長(大丸昭典君) これより議事に入ります。
○議長(大丸昭典君) 日程第1、議案第23号、平成14年度大阪市
一般会計予算ないし日程第65、議案第87号、大阪市
港湾施設条例の一部を改正する条例案を一括して議題といたします。
○議長(大丸昭典君) これより質疑に入ります。
○議長(大丸昭典君) 荒木幹男君の質疑を許します。 19番荒木幹男君。 (19番荒木幹男君登壇)
◆19番(荒木幹男君) 私は
自由民主党大阪市会議員団を代表いたしまして、平成14年度
予算案並びに関連諸案件について磯村市長に質問いたします。 21世紀を迎え1年が過ぎましたが、依然として我が国の経済は資産デフレの進行や金融情勢の悪化が消費者意欲の減退と企業活動の萎縮を招くという悪循環を繰り返し、景気の低迷、失業問題など、国民の将来に対する不安は増大する一途であります。このため国においては、来年度を「改革本番の年」として位置づけ、経済、財政、行政、医療、教育など、あらゆる分野でこれまでの構造を抜本的に改革し、新しい社会の仕組みを構築しようとしております。 大阪市におきましても、関西経済の沈滞や失業、犯罪の増加、
少子高齢社会への対応など、課題は山積しており、従来どおりの手法で21世紀の
まちづくりを進めることには限界があるのではないでしょうか。 このような変革の時期に当たって私は、旧来の枠組みを勇断をもって打破し、大胆な発想で新たな制度をつくり上げることが重要であると考えます。とりわけ、関西の活性化のためには、将来を見据えた大阪の再生や活力ある企業の育成、新しい集客魅力の創造、子育て支援を初めとした安全ネットの充実などに待ったなしで取り組まなければなりません。また、市民が希望を持てる大阪を目指して、行財政の構造改革を進めながら
チャレンジ精神を大いに発揮して、効率的かつ効果的な新しい
行政システムをつくる必要があります。このような観点から、以下、幾つかの問題について質問させていただきます。 まず最初に、財政問題についてお尋ねいたします。 国及び地方の財政は国税・地方税とも大幅な減収が見込まれる中で、平成14年度末の見込みで、国は 414兆円、地方も 195兆円という巨額の
借入金残高を抱えるなど極めて深刻な事態となっております。このため国においては、
財政構造改革の第一歩として、平成14年度予算を「
改革断行予算」と位置づけ、国債発行額30兆円以下とする公約を達成するなど、財政の健全化に精力的に取り組んだものとなっております。また地方財政も、14兆 1,160億円という巨額の財源不足を抱える中、財政の健全化を図るため
地方財政計画の規模を初めてマイナスとするなど、抑制基調となっております。 このような中、本市の平成14年度予算編成については、一般会計において市税収入が大幅に昨年度を下回る一方で、市債残高も2兆 6,939億円に上るなど、なお一層厳しい財政状況にあり、加えて外郭団体や埋立事業、市街地再開発事業などについても深刻な収支状況にあるなど、本市全体の財政運営が危惧される中で取り組まれました。 その結果、一般会計の予算規模は、公債費や扶助費などの義務的な経費が高い伸びを示すものの、投資的経費はマイナス14.8%と大幅に前年度を下回り、全体でマイナス 4.6%と過去最大のマイナスとなっております。また、起債の発行額もマイナス 6.7%、起債依存度も 0.3ポイント引き下げて11.5%となり、プライマリーバランスについても改善されるなど、財政の健全化に努められたものと考えます。 地方分権が本格化する中で都市間競争に勝ち抜くためには、歳出構造を抜本的に見直すなど、
財政構造改革に強力に取り組んでいくことが焦眉の急だと考えます。平成14年度予算編成に当たっての市長の基本姿勢をお伺いしますとともに、中期的な財政見通しや財源の確保策をも踏まえた今後の財政運営についての考え方をあわせてお聞きいたします。 次に、
行財政改革についてお尋ねいたします。 新「
行財政改革計画」では、
市長部局等で 2,000人以上の職員の削減を行うなど、市民にわかりやすい明確な目標をあげて取り組んでいくこととされております。人件費を初めとした経常的経費の計画的な削減に努め、行財政運営のスリム化を図ることは不可欠であります。そこで、
市長部局等を初めとして、水道局、交通局を含めた大阪市全体の
職員削減計画を明らかにするとともに、何よりも計画の進行管理が重要でありますので、削減の進捗状況を示しながら、市長をトップとしてその進行管理に責任を持って取り組み、確実に計画の達成を図るべきであると考えますが、市長の御所見をお伺いいたします。 また、
行財政改革の推進に当たっては、市民ニーズをより的確に市政に反映させる仕組みをつくり、地域の実情に応じた柔軟な施策展開を図ることが重要であります。そのためには、市民に最も身近な区役所において市民と協働を進め、市民の要望をより広範かつ的確に把握する必要があります。私がよく知っている若い人たちも地域に関心を持ち、
まちづくりに取り組もうとしておりますが、そうした熱意を市政や区政へ反映させるための役割を区役所が果たしていかなければなりません。そのためには、地域振興や
教育関係等の諸団体はもとより、ボランティアをしている人々やNPO団体といった新たな
市民活動層との交流も深めながら、日常的に地域の状況を区役所として把握するとともに、これらの人々が活用しやすいよう積極的に行政の情報発信を行う工夫を凝らしていただきたい。こうして市民に身近な区における
サービス行政を推進するとともに、一方で、税務事務などシステムを生かした行政の集約化の取り組みも重要であります。 また、高齢者、障害者、母子・児童などにおいて、保健と福祉のニーズを合わせ持つケースも多いので、総合的なサービスを提供するためには、区役所と
保健センターの連携強化が図れるよう早急な体制整備が必要であります。平成14年度に予定されている区役所の機構改革においては、区役所の役割を十分踏まえた上で取り組まなければなりません。とりわけ保健・福祉の連携は引き続き一層強化すべきだと考えます。市長の御所見をお伺いいたします。 さらに、地域における
まちづくりのシステムにも、市民の熱意を反映できる工夫が必要であります。例えば、
まちづくり活動支援制度を活用して各地でさまざまな
まちづくり活動が展開されておりますが、このような市民参加の
まちづくりにおいても、
地域振興町会などの既存組織とは別に、若者を初めとした新たな
市民活動層を中心にして、独自に自分たちの
まちづくりに取り組もうという動きが活発化しております。こうした活動に対しても応援していくべきであると考えますが、市長の御所見をお伺いいたします。 次に、外郭団体の見直しについてお尋ねします。 大阪市においては、外郭団体の見直しは
行財政改革の中でも大きな柱として取り組む必要があり、遅くとも本年度中に具体的な見直し項目を策定した上で、個別の外郭団体の存立意義を再度検証するとともに、整理・統廃合を積極的に推進し、着実にその成果を上げていただきたいと考えております。 また、経営状況の厳しい第三セクターの経営改善が今後の最大の課題と考えますが、
不良債権処理を強力に進めるなど金融情勢が大きく変化する中、東京都の
多摩ニュータウン開発センターが民事再生法の適用を申請するなど、抜本的な対策に乗り出すケースもふえてきております。 大阪市の第三セクターにつきましても、全国の
債務超過額ワースト10に、MDC、ATC、WTCの3社がランキングされております。さきの決算市会において、
経営改善計画以上の改善が進んでいるとの説明がありました。例えば、ATCは市の財政支援を受けながら償却前黒字を 2,000万円計上いたしましたが、この黒字も
借入金残高の 1,265億円に比べると微々たるものです。しかも、現在の低金利でこの状態であります。MDCやATCについては、市の支援も平成15年度をもって終了する予定でありますが、その効果が単に金融機関からの借入金を肩がわりしただけに終われば、公金投入したことの意義を問われることにもなりかねません。大阪市は株主であると同時に、今では多額の市民の財産を貸し付けている債権者でもあり、その立場から平成14年度には現在の
経営改善計画を抜本的に見直す必要があります。ほかの株主や金融機関の協力、市の支援のあり方も含め改めて検討を行い、市として今後取り組むべき方策を明らかにすべきであります。市長の御所見をお伺いいたします。 次に、同和行政についてお尋ねいたします。 大阪市においては、これまで国の特別措置に基づき同和行政を推進してきましたが、その結果、同和地区の住環境や生活実態は今日著しく改善され、
同和対策事業はその目的をほぼ達成したものと考えます。国においては、現行「地対財特法」が本年3月末で法期限を迎え、さまざまな人権課題を解決するための法整備を進めながら、特別措置としての同和対策は終了いたします。こうした国の動向や地域の生活実態の改善状況を踏まえるならば、現行法期限をもって大阪市がこれまで実施してきた
同和対策事業は廃止すべきであり、ソフト面でなお残された課題については一般施策により対応していくべきであります。その際においても、人権に名を借りて特別対策の永続化につながるようなことがあってはなりません。また、一般施策で対応していくに当たっては、市民の理解が得られるよう施策の透明性を確保し、議会への公表も含め、的確にその成果・効果を検証していく必要があると考えますが、市長の明快な御所見をお伺いいたします。 また、
同和向け住宅の入居については、地区内に数多くの空き家がありながら入居が一向に進んでおりません。今後もこのような状況が続くようでは、市民の理解を得ることは困難であります。優先入居の根拠となる国の通達も見直しが予定されており、
同和向け住宅の入居のあり方については抜本的な検討を行い、入居の促進に努めるとともに、管理体制についても検討を加え、適正な入居の確保とより一層的確な管理・運営に努めるべきであります。 さらに、
人権文化センターなど地域内施設については、
行財政改革の趣旨を踏まえ、時代に即応した効果的・効率的な運営を図るとともに、運営体制を強化すべきであります。特に
人権文化センターについては、管理運営の委託を行い、本市からの派遣職員を順次減員し、補充は委託先の人材を活用するとのことでありますが、その際、新たな人材を求めるようなことがあってはなりません。市長の御所見をお伺いいたします。 次に、
都市再生プロジェクトの推進についてお尋ねいたします。 現在国においては、我が国経済を再生するために、その牽引役となる大都市の再生に全力で取り組まれております。大阪は我が国を代表する大都市圏の中枢都市でありながら、その地盤沈下が著しく、我が党ではこの大阪の再生なくして我が国の再生はあり得ないと国に強く申し入れてきたところであり、私は、大阪の再生のためには、民間投資を効果的・集中的に誘導し都心の魅力と国際競争力を高めることと、だれもが安全・安心に暮らしていける住環境を整備することが重要課題と考えます。 こうした観点から、都心部に残された貴重な大規模用地である大阪駅北地区の整備が具体化していくことは大変重要なことであり、関西の英知を結集して関西圏を再生する
リーディングプロジェクトとして民間の力を集中的に発揮させるよう、早期に
まちづくりの
グランドデザインを策定することがぜひとも必要であります。また、全体の
まちづくりを進めるためには、梅田貨物駅機能の移転についての取り組みも必要であります。今後、大阪市として、大阪駅北地区の整備にどう取り組んでいかれるのか、お伺いいたします。 また、快適で安全・安心な住環境の整備に関しては、昨年12月、国において決定された「第3次
都市再生プロジェクト」において密集市街地の緊急整備が取り上げられ、その具体的な整備モデル地区として福島区北西部地区が挙げられ、淀川区三国地区も調査が予定されております。こうした密集市街地の再生は、ぜひとも解決しなければならない都市の課題と考えますが、具体的にどのように取り組もうとされておられるのか、市長の御所見をお伺いいたします。 次に、テクノポート大阪計画の新たな展開についてお尋ねいたします。 新臨海部については、これまで大阪の発展を先導する新しい都市機能の集積を進めてきましたが、今後は、都市の再生に資する機能や既成市街地の機能を高めるための受け皿としての役割を持たせ、大阪経済の一層の発展につながる新たな展開を図る方向で、テクノポート大阪計画の基本的な進め方が示されました。夢洲については、中長期的な需要を見きわめながら検討を進めていただきたいと考えますが、舞洲と咲洲コスモスクエア地区については、大阪の活性化が喫緊の課題となっている現状を踏まえますと、未利用地の有効活用を早急に図っていかなければなりません。 まず舞洲については、スポーツアイランド計画のもと、引き続き民間活力も生かしながらスポーツ機能の充実に努めていく必要があります。一方で、直面している厳しい現状を顧みますと、舞洲の立地特性を生かした土地需要を踏まえ、都市の再生に役立つ施設の立地も含めた一層の土地の有効活用を促進していくべきであります。こうしたことを総合的に勘案した新たな利用計画を早急に策定すべきであります。 また咲洲については、コスモスクエア2期地区の早急な分譲の促進が必要であり、民間の投資意欲をかき立てるような従前の枠組みにとらわれない効果的なインセンティブを導入することが大切であります。例えば、業種や地区・期間などを絞り込んだ上で、土地分譲価格の引き下げや税制面の配慮、さらにはOTS線の運営形態のあり方も視野に入れた料金問題など、思い切った方策を検討すべきと考えますが、市長の御所見をお伺いいたします。 次に、大阪経済の活性化についてお尋ねいたします。 業務中枢機能の東京への一極集中により、都心部の空洞化が進むとともに、工場が地方や海外へ移転し、ものづくり機能が低下するなど、大阪経済はまさに危機的状況に陥っております。企業誘致については、外資系だけではなく国内企業へも対象を広げるとともに、進出企業に対して助成を行うこととされておりますが、誘致活動に当たっては、経済団体や世界的ネットワークを持つコンサルティング会社などと提携し、グローバルな観点から展開することが大切であります。また、空洞化の進む御堂筋などの都心部に海外の有望企業や大学の産学交流の窓口などを誘致し、業務中枢機能を強化する必要があり、そのためには、マーケティングの観点に立ち大阪産業の強みや都市の魅力を再点検し効果的なプロモーションを行うとともに、誘致対象や地域の特性を十分踏まえた優遇策などを導入して、戦略的な企業誘致に取り組むべきであります。 一方、新しい成長産業分野の創出を図る上で、ものづくり産業はその基盤を担うものでありますが、市内の中小製造業は受注の減少や海外とのコストの競争に加え、厳しい資金繰りに直面しており、活性化には民間の活力を引き出すための仕掛けづくりが必要であります。大阪市では来年度、本格的な中小製造業の実態調査を行い、その結果を踏まえて「ものづくり再生プラン」を策定されますが、要はどのように大阪の特色を生かすかであり、その方策についての知恵を絞っていただきたい。例えば、地域の工業会が融資や経営の相談を行ったり、受発注をコーディネートする地域ビジネスセンターとしての役割を担うなど、民間の新たなネットワークづくりを支援すべきであります。さらに、これまで蓄積した技術を活用して新製品の開発や新たな事業分野への進出を支援するため「ものづくりインキュベータ」を構築するなど、大阪のものづくり産業の再生に向けて取り組んでいく必要があります。市長の御所見をお伺いいたします。 次に、雇用施策の推進についてお尋ねいたします。 大手企業の倒産、リストラの増加など、さまざまな要因により、1月の全国の失業率は 5.3%と我が国の雇用情勢は相変わらず厳しく、特に昨年平均の大阪府では 7.2%と全国で2番目に悪い数字となっております。雇用環境の改善を図るためには、積極的かつ効果的な雇用施策を早急に実施することが求められております。当面の対応といたしましては、国の「緊急地域雇用創出特別基金事業」を活用した新規雇用の創出など、現在の厳しい雇用情勢に対して即効性のある施策が必要であります。また、中長期的な対応としては、少子・高齢化による労働人口の不均衡が予測される中、求人・求職者の条件が折り合わないことなどによるミスマッチの解消に向けた施策が必要であります。中でも年齢による雇用のミスマッチ解消については、雇用対策法が改正されたにもかかわらず、なお実効あるものにはなっていないので、国を初め関係機関とも連携して中高年齢者に配慮して取り組むべきであると考えます。 雇用施策を初めとする労働行政は基本的に国が行うべきであり、市としての対応には限界もありますが、地方分権の時代には、市町村も地域の実情に応じ雇用に関する必要な施策を講ずるよう努めなければなりません。大阪市としても、できる限りの特色のある取り組みをすべきと考えます。特にリストラなどにより離職した中高年齢者に対する再就職支援など、大阪市として早急に対応すべきであると考えますが、市長の御所見をお伺いいたします。 次に、国際集客都市づくりについてお尋ねいたします。 USJの開業が大阪に大きな集客効果をもたらしている中、大阪市は、今後5年間の行動計画として「文化集客アクションプラン」をまとめられ、厳しい財政状況のもとでありますが、積極的に取り組まれようとしております。ただ、あまり計画に縛られすぎて、すべてをやり切ろうとしても中途半端に終わり、結局効果が上がらないということにもなりかねません。今後はこれまで整備したハードを生かすソフトが重要でありますが、私は、特にシティプロモーションが今、大阪に一番必要なものだと考えております。パリやニューヨークでさえ世界から多くのビジターを迎え入れるため、プロモーションに数億円を投入しているようであります。文化集客アクションプランの実行に当たっても、まずこれに重点的に投資する必要があります。ただ、この分野は行政が一番不得意とするところであり、民間活力を使って進めなければ意味がありません。本格的なブロードバンド時代の到来に対応した情報発信や、ホテル業界を初め集客に関連する業界を活用して、民間の発想で自由に大阪の売り出しをしてもらうなど、思い切った手法をとるべきであります。 また先日、市長は、このプランを効果的に推進するため、純粋に観光振興に使うことができる安定的・継続的な財源を確保する必要があるとして、法定外目的税としての「観光振興税」の導入について検討を始めていると発表されました。新税の創設については、納税者に負担感を生じるものであり、さまざまな意見があると思いますので、慎重な議論が必要であります。私は、特にその税収がどのような施策に使われ、その施策が観光振興にいかに役立つものであるかということが最も議論すべき点であると考えています。市長の御所見をお伺いいたします。 次に、ワールドカップサッカーの開催と今後のスポーツ施策の展開についてお尋ねいたします。 サッカーは、世界で最も多くの競技人口を持つ国境を越えたスポーツであり、日本中が世界最高のプレーとサポーターの熱狂的な声援に新たな感動と興奮を体験することになると思います。本市でも長居スタジアムを開催地に抱え、これまでワールドカップの開催を心待ちにしてまいりましたが、今後さらに、市民がこぞってワールドカップ開催を歓迎し、盛り上げていこうという雰囲気づくりを積極的に行っていく必要があります。 一方、明石花火大会での雑踏事故やアメリカでの同時多発テロなどがあり、周辺住民の方々は、雑踏による事故、熱狂的なフーリガンやテロによる被害を切実に心配しておられます。また、国内外から5万人にも及ぶ観客等の来場が見込まれており、長居スタジアム周辺の交通渋滞対策にも万全の体制で取り組んでいく必要があります。 さらに、ワールドカップの後、その盛り上がりを今後どのようにつなげていくかが重要であります。ワールドカップでの市民の盛り上がりを起爆剤として、引き続き市民スポーツへの関心を高めるとともに、長期的な視点に立って、スポーツパラダイス大阪の実現に向け明確なビジョンが必要ではないでしょうか。国も、サッカーくじを財源に「スポーツ振興基本計画」を策定されました。大阪市としても、今後取り組んでいく基本的な方針・施策を示したスポーツ振興計画を策定する必要があります。あわせて市長の御所見をお伺いいたします。 次に、安全で安心できる
まちづくりについてお尋ねいたします。 大阪における犯罪の発生状況は非常に深刻であり、特にひったくりの発生件数は、26年連続全国ワースト1という不名誉な記録を更新いたしました。従来、犯罪の防止は警察に負うところが大きかったのですが、最近の犯罪発生の増加状況を見ますと、警察だけではなく、今後は行政を初め市民、事業者が一体となって、防犯に対する取り組みを進めなければなりません。特に、まちの暗さがひったくりなどの犯罪発生の原因の1つとも言われておりますが、私道を含む生活道路の照明灯の増設により犯罪を起こしにくい環境をつくるなど、ハード面の対策を進めるとともに、市民自身が犯罪に対する危機意識を持ち、自己防衛を行うような意識啓発が重要であります。例えば、自警団をつくって巡回を行ったり、モデル地区を設定し特定の犯罪の防止活動を重点的に実施するなど、地域ぐるみでの取り組みを支援する仕組みが必要です。 また、市民が警察に相談しても、なかなか市民の立場に立って考えてもらえないという状況があります。市民が犯罪防止に向けて自主的な活動に取り組むためにも、警察との連携が不可欠であります。そこで、市が市民と警察との橋渡しを行い、警察との連携の強化を図り、地域ぐるみで犯罪防止の取り組みを行える体制の整備が必要であると考えますが、市長の御所見をお伺いいたします。 次に、子育て支援施策の推進についてお尋ねいたします。 大阪市においては、平成13年度末までに保育所の待機児童解消が図れるよう、保育施策を積極的に推進しておられますが、今まさにその年度末を迎え、いよいよその成果が問われる時期となりました。平成13年4月1日の保育所待機児童は 1,484人であり、この解消に向けて大阪市では、公立保育所の受け入れに関して柔軟に対応するとともに、市独自の思い切った取り組みも導入して、受け入れ枠を大幅に拡大されております。しかしながら、平成14年度の一斉入所に向けた新規の申し込みはなお高い水準にあり、特に低年齢児の保育所への入所は依然として厳しい状況にあります。このため、来年度も低年齢児の入所枠を拡大する施策が盛り込まれておりますが、14年度も含めたこれまでの措置により当面の待機児童の解消が図れるのか、お伺いいたします。 また、緊急措置としての受け皿対策も必要でありますが、本来、子育てをすべて保育所入所で賄うことは困難であります。家庭で子育てをしている方々への支援策も重要であり、中長期的な保育ニーズも的確にとらえ、必要な入所枠も見きわめながら、創意工夫を凝らした総合的な対策を講じる必要があります。さらに、公立保育所のあり方についても、費用対効果や公・民の役割分担といった観点から、厳しく見詰め直す必要があると考えます。我が党はかねてより、統廃合や委託化・民営化も視野に入れ、より一層の効率的・効果的な運営が必要であると指摘しておりますが、具体的な取り組みは進んでいるのか、今後の方向性も含めて市長の御所見をお伺いいたします。 次に、教育改革についてお尋ねいたします。 子供を取り巻く環境が大きく変化する中、この4月より完全学校週5日制が始まり、小中学校では新学習指導要領による新しい教育課程が実施されます。大阪市においてはこの動きに対応して先日、「教育改革プログラム」を策定されたところでありますが、私は心豊かでたくましく生きる子供の育成が大切であると考えます。以下、この観点から幾つかお尋ねいたします。 まず、新教育課程では、学習時間は2割減、学習内容は3割減になるということで、子供たちの学力低下が一番心配されます。私は、何よりも子供たちの基礎学力をしっかりと身につけることが重要であると思いますが、この点についてお伺いいたします。 また、総合的な学習の時間の中で、学校が創意工夫を生かした内容で学習プログラムを作成できるようになりました。そこで、大阪には多くの社会教育施設や史跡などがありますので、オール大阪で一致協力し、これらの教育資源を有効に活用できるよう連携強化を図るとともに、子供たちが本物に触れる体験を充実して、将来を担う人材育成に取り組む必要があると考えますが、御所見をお伺いいたします。 次に、学級崩壊や不登校など、さまざまな教育問題を抱える中で、子供たちに真の生きる力を育成するためには、何よりも子供たちを教える教員の資質の向上が極めて重要な課題であると考えますので、いわゆる問題教員に対する人事管理システムを早急に構築して、処分も含めて的確な支援・指導を行うべきであると考えますが、御所見をお伺いいたします。 また、少子化に伴う学校の小規模化や教員の高齢化が進み、学校全体に活気が乏しくなってきたと思います。情熱を持って教育に取り組む若い人材を配置し、学校の教育活動に活力を与えることにより、子供たちの豊かな人間性をはぐくむことが大切であると考えますが、御所見をお伺いいたします。 さらに、完全学校週5日制により、すべての土曜日が休みとなりますが、児童いきいき放課後事業を拡大・充実して、すべての土曜日において、保護者の方も安心できる子供たちの活動の場を確保する必要があると思います。今後の取り組みをお伺いいたします。 最後に、新たな総合計画の策定についてお尋ねいたします。 市長は、来年度から、平成17年をめどに新しい総合計画の策定に着手することを表明されました。大阪を取り巻く情勢を見ますと、情報通信技術が世界の仕組みを大きく転換させ、人・物・情報・資金が地球的規模で24時間交流するグローバル社会が本格的に到来するとともに、中国の市場経済への参入など、アジアの経済状況も大きく変化するものと予想されます。一方、国内的には、あらゆる面での構造改革が進み、我が国は新しい姿に生まれ変わることが見込まれるものの、平成19年以降、全国の人口が減少の時代に入ることは確実視されております。新たな総合計画の策定に当たっては、このような国内外の状況を的確に把握した上で、大阪の確固たる都市戦略を明らかにし、みんなが希望を持って実現に努力できる、大阪にふさわしい明確な目標を示していくことが重要であります。 現行の総合計画は、平成2年に市会で議決された「大阪市基本構想」に基づいて策定されております。基本構想は21世紀中ごろを視野に入れた
まちづくりの目標を示すもので、策定当時は経済的にも極めて好調で、明るい展望が語られ、さまざまな予測が公表されておりました。しかし現在は、どこからも将来の明るい見込みが出ておりません。これからは全く視点を変え、世界から大阪を見詰めてみることも必要であり、世界の知恵を集めるといった発想が重要であります。世界からの視点に立った意見も求めながら、基本構想についても見直しを行うべきと考えます。新しい総合計画は次の時代の大阪の重要な道しるべでありますが、策定に当たっての市長の御所見をお伺いいたします。 以上、各般にわたり質問してまいりました。私は、厳しい時にも常に「人生負けたらあかん」の心意気で頑張ってまいりました。大阪市におきましても、この変革の時代を乗り切った未来には、きっと明るい大阪が実現するものと考えております。磯村市長の明快な御答弁をお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。
○議長(大丸昭典君) 理事者の答弁を許します。 磯村市長。 (市長磯村隆文君登壇)
◎市長(磯村隆文君) ただいまの荒木議員の御質問に対しましてお答えを申し上げます。 まず、財政問題についてでございますが、国及び地方の財政は極めて深刻な状況となっております。本市の財政も、公債費や福祉費などの義務的な経費が増大する一方で、地価下落を反映して固定資産税が減少することなどから、市税収入が昨年度と比較して 400億円もの大幅な減となり、赤字地方債を引き続き発行せざるを得ないなど、なお一層厳しい状況となっております。このような状況のもとではありますが、議員御指摘のとおり、地方分権が本格化し、各都市に個性と創造性が求められる都市間競争の時代を迎えており、その競争に勝ち抜き、基礎的自治体としての責務を果たしていかなければならないと存じております。 平成14年度の予算編成の基本方針でございますが、これまで培ってきた都市としてのハードを生かすため、一層創意工夫を加えた事業を重点的に展開する「ソフト優先の予算」とするとともに、都市再生に向け、財源の重点配分や長期継続事業の早期収束による事業効果の速やかな実現を図ることといたしました。また、市民の安全・生命・財産を守る「安全ネット」を一層充実するとともに、本市が抱える喫緊の課題に対応するなど、だれもが安心して暮らせる
まちづくりを進めることといたしております。このほか、将来の財政負担を考慮して起債の抑制を図り、プライマリーバランスの改善にも努めたところでございます。 今後の財政運営につきましては、社会経済の変化や市民ニーズに対応するため、大阪の特性を生かした「比較優位」となる施策に限られた財源を重点的に配分するとともに、効率的で効果的な
行政システムの早期構築を目指し、徹底した
行財政改革を推進するなど、
財政構造改革に確固たる意志を持って取り組んでまいります。 また、抜本的な財政の健全化を図り、地方分権という時代の要請にこたえた
まちづくりを進めていくためには、自主財源の充実が不可欠であります。地方分権改革推進会議における税源移譲の議論が本格化している今、都市税源の充実に向けた具体案も示しながら、精力的に要望活動を進めていく所存でございますので、市会の皆様方のお力添えをよろしくお願いいたします。
行財政改革についてでございますが、職員数の削減につきましては、新「
行財政改革計画」に基づき、
市長部局等で平成17年度までに職員数の5%、 2,000人以上、水道局で職員数の5%、 120人以上の数値目標を設定しており、交通局では平成13年度を最終年度とする新規効率化計画に取り組むとともに、14年度からは新たに経営改革計画に基づき、18年度までに職員数の約10%、 774人の効率化計画を策定して取り組みを進めております。平成13年度におきましては、
市長部局等で約 380人、全市で約 520人を削減し、14年度におきましては、
市長部局等で数値目標の5分の1、約 400人、全市で約 560人を目途に削減に取り組むこととしております。数値目標の達成には毎年毎年の計画的な取り組みが必要であり、平成14年度以降についても着実な進捗が図れるよう、本市一丸となって取り組んでまいります。 また、新「
行財政改革計画」の推進に当たり、市民との協働を進めるためには、市民に最も身近な第一線の行政機関である区役所において、市民ニーズの的確な把握に努めることは極めて重要であると考えております。これまで市政・区政に多大な協力をいただいている団体はもとより、地域社会に関心を持ち公益活動に取り組もうとするNPOやボランティアの方々や、地域の中で生涯学習や地域スポーツなどの活動を通じて知り合った若い市民の方々などを含めた知縁の団体など、こうした新たな市民層のニーズなどの把握に努めることも重要であり、把握した市民ニーズについては、局・区間の一層の連携を図り、本市施策や事業へ反映できるような仕組みづくりに努めてまいります。 そのためにも、市民との双方向の交流が重要であり、活用しやすい行政情報の提供に取り組むなど区役所機能のより一層の充実強化を目指し、市民の
まちづくり活動の支援等を行う企画調整に関する部門、ホームページなどの情報発信や市民活動等を促進する部門を確立するとともに、保健・福祉の総合的なサービスに向け、
保健センターを区役所へ移管するなど、平成14年4月に区役所の職制改正を実施してまいりたいと考えております。また、保健と福祉の連携強化につきましては、より一層の実効を期すべく、平成15年度の具体化に向け鋭意取り組んでまいります。 次に、市民の
まちづくりに関しましては、これまでの
まちづくり活動支援事業の経験を踏まえ、
まちづくりに関する幅広い学習や情報交換の機会を充実させ、若者を初めとした新たな
市民活動層を含めた多様な人々によるネットワークを形成することが一層重要であると考えております。そこで14年度については、新たに
まちづくりのリーダーを育成する「
まちづくり講座」などの広報啓発事業に取り組むほか、各地の
まちづくり活動に関する情報発信方策など、
まちづくりを活性化するためのさまざまな施策を検討してまいります。 外郭団体の見直しについてでございますが、13年3月に策定いたしました新「
行財政改革計画」において、外郭団体の活用と見直しを引き続き推進することとしており、現在、その具体的な見直し項目の策定に取り組んでおりますが、早急に取りまとめ、整理や統廃合の対象となる個別団体名を明らかにして、見直しに積極的に取り組んでまいります。 また、本市が支援していますMDC、ATC、WTCなどが運営する施設は、地域開発の中核であり、大きな経済波及効果を生む社会的資産であることから、会社の安定的経営が本市の
まちづくりの推進に不可欠な要件となっております。このため、会社の自助努力や本市の経営支援のほか、他の株主や金融機関による支援も含めた
経営改善計画を策定し、その着実な推進に努めているところであります。 しかしながら、長引く景気の低迷に加えて、近年、金融情勢が逼迫し、各社をめぐる社会経済環境は厳しさを増しております。このため、情報収集や指導・調整に必要な体制の強化を図るとともに、外部専門家をまじえたより詳細な経営診断分析を行い、会社の経営努力で対応できる課題や本市との協働で対応できる課題と、それらでは対応できない構造的な課題を明確にし、具体的かつ現実的な対応策を策定する必要があると考えております。今後とも、各社が担う公益的役割を勘案しつつ、社会経済情勢を見きわめ、株式会社として果たすべき責任を明確にさせながら、経営健全化に向けた指導・監督に全力を注いでいく所存であります。 同和行政についてでございますが、本市においては、これまでの施策推進の結果、同和地区の実態は著しく改善されましたが、教育・啓発や就労などの面ではなお課題が残されております。現行法期限である本年3月末をもって、これまでの同和地区及び同和地区住民に限定した特別措置としての
同和対策事業は、その目的を基本的に達成したことから、廃止してまいります。 今後は、昨年10月にちょうだいした本市同和対策推進協議会の意見具申を尊重し、人権行政の一環として同和行政に取り組むこととし、市民の人権意識の高揚や地域住民の自立と自己実現、地域交流の促進など、一般施策を有効・適切に活用して、同和問題の一日も早い解決を目指してまいります。また、一般施策での実施に当たりましては透明性を確保し、的確にその成果・効果を検証する必要があるものと考えております。 現行法期限後の
同和向け住宅の入居につきましては、今後出される国の通達に従い、これまでの優先入居方式を公募方式としてまいります。その実施に当たりましては、市会での御指摘や地域の実情を踏まえて、円滑な移行を図ってまいりたいと考えております。管理体制につきましても、法期限後は一般向け住宅と同様に住宅管理センターで行ってまいります。 地域内施設についてでございますが、
人権文化センターにつきましては平成12年3月に条例改正を行い、人権尊重社会の実現に寄与することを目的に、広く市民が利用できる施設といたしました。その運営に当たっては、施設の設置目的に即し、適正な職員配置に努め、より効果的・効率的な運営を行う観点から、管理運営を委託し、運営体制の強化を図るとともに、本市派遣職員の減員に伴う補充につきましては、御指摘の趣旨を踏まえ、委託先の既存の人材を活用してまいります。他の地域内の施設につきましても、施設の設置趣旨を踏まえ、より効果的・効率的な運営が図れるよう努めてまいります。
都市再生プロジェクトの推進についてでございますが、国際的な都市間競争の中、世界から人・物・情報を集め、新しい発想を生み出し、ビジネスチャンスを拡大することが、都市の重要な課題となっております。大阪駅北地区は京阪神の中心で、交通網のかなめとなる恵まれたところに立地しており、関西の再生に向けて新産業の創出と国内外の企業集積により、経済の活性化を担い、アメニティー豊かで魅力あふれる拠点となるよう取り組みます。 平成14年度末ごろに梅田貨物駅の約6ヘクタールが更地化される予定で、全体の土地利用計画を策定する必要があります。そのため、関西の
リーディングプロジェクトとして、経済界、有識者等、官・民が協調して
まちづくりを考える「(仮称)大阪駅地区都市再生懇談会」を設けますとともに、世界からもまちのコンセプトを募り、平成14年度に全体構想を策定してまいります。また、
まちづくりを広げていくために、梅田貨物駅の機能移転が必要であり、吹田操車場跡と大阪市内で分担して取り扱うという経過に基づき、鉄道建設公団との協議を進めてまいります。 都市の安全性や住環境の向上を図るため、民間活力も導入しながら、密集市街地での
まちづくりを進めていく必要があります。今般、国のモデル地区に位置づけられました福島区北西部地区では、民間による老朽住宅の自主建替を基本に、道路や公園などの公共施設整備とあわせ、沿道の不燃化促進や民間などによる良質な住宅供給に取り組むこととしており、平成14年度は整備計画作成調査を実施いたします。また、淀川区三国地区では、幹線道路の整備とあわせて、その沿道の一定区域の高度利用を促進し、不燃化や延焼遮断効果をより発揮させる「防災環境軸」といった新たな取り組みについて検討してまいります。このように、都心部の活性化、密集市街地の整備などを通じて、21世紀にふさわしい個性と魅力にあふれる都市づくりを進め、大阪の再生に取り組む所存でございます。 テクノポート大阪計画の新たな展開についてでございますが、市域の限られた大阪市がさらなる発展を遂げていくためには、舞洲や夢洲などの新臨海部において、時代のニーズに的確に対応した開発を着実に推進することが重要であります。一方、国においては、日本経済の再生を目指し、都市再生に向けた多角的な取り組みが進められようとしております。大阪市といたしましても、このような国の動きをとらえ、都市の再生や都心部の機能の更新を図る観点から、新臨海部の未利用地を有効に活用し、大阪の一層の発展につながるテクノポート大阪計画の新たな展開に取り組み、局横断的な連携を図りながら、平成14年秋をめどに一定の利用計画を取りまとめてまいります。 舞洲では、スポーツアイランド計画の理念を継承し、市民に親しまれるスポーツ機能等の一層の充実を図るとともに、その立地特性を生かしつつ、スポーツアイランド計画との整合性を保ちながら、流通や環境分野など、都市の再生に資する用地としての有効活用も行ってまいりたいと存じます。具体的な土地利用につきましては、市会に御報告し御意見も賜りながら進めてまいりたいと存じます。 また、咲洲コスモスクエア地区では、現在の厳しい状況を打開するため思い切った方策の検討が重要であり、議員の御提案も踏まえ、開発の促進につながる最も効果的な機能の導入や誘導策について、今後幅広く検討を進めてまいります。 大阪経済の活性化についてでございますが、大阪産業創造館を中心に中小企業の競争力強化やベンチャービジネスの振興に取り組んでおりますが、雇用の創出と市内企業のビジネスチャンスの拡大を図るため、外資系企業に加え国内の成長産業にも対象を拡大し、積極的に企業誘致に取り組んでまいります。 企業誘致策として、成長産業分野の企業立地を促進するため賃料助成制度を創設いたしますが、誘致活動に際しては、大阪外国企業誘致センターの機能を拡充・強化するとともに、経済団体のネットワークや外資系コンサルティング会社のノウハウも活用しながら、国内外においてより的確かつきめ細かなプロモーション活動を展開してまいります。とりわけ都心部への企業誘致に当たっては、御堂筋の活性化を目指す
まちづくりネットワークなど地元組織とも連携して取り組んでまいります。 また近年、大阪駅前などにサテライト型の社会人向け大学院の進出の動きが見られますが、こうした施設や議員御指摘の産学交流の窓口は、都心の魅力を高め、企業立地の促進に寄与するものと考えております。今後、これら大学施設の立地促進策や進出企業への税財政上の優遇策など、効果的な企業誘致戦略を策定してまいります。 一方、新しいビジネスを生み出していくための苗床として、中小製造業の活性化は重要でございます。来年度は、ものづくりインキュベータの1つとして、新規創業者や新分野への進出を目指す中小製造業を育成する「創業支援ラボ」を工業研究所に設置いたしますほか、地域の工業会や業種別組合などが取り組む販路開拓事業や新製品の開発等を助成する制度を創設いたします。さらに、市内製造業の実態調査を踏まえ、御提案の工業会の活用も視野に入れた取引ネットワークづくりの支援やインキュベータの充実など、地域の産業集積の強化につながる「ものづくり再生プラン」を策定してまいります。このような施策を通じて、新たなビジネスにチャレンジする意欲を持った企業が内外から集まる、国際的な「ビジネス創成都市」を目指してまいります。 雇用施策についてでございますが、現下の非常に厳しい雇用状況に対し、中枢都市にふさわしい多様な就業機会を確保し、あらゆる人々がみずからの能力を十分に発揮し、いきいきと働けるまちを目指し、平成14年度につきましては、13の新規事業を含め76の事業で総額96億 8,600万円の予算を計上して、積極的な雇用施策の推進に努めてまいります。 具体には、これまでから推進してまいりました国際集客都市づくりなどによる雇用の創出や、中小企業等既存産業の基盤強化と、新たな産業や成長産業の育成を通じた雇用の確保と創出など、将来を見据えた多様な事業に取り組むとともに、年齢による雇用のミスマッチ解消に向け、改正雇用対策法の趣旨を踏まえ、国や関係機関とも一層連携して、市民や事業主の方々への周知に努めてまいりたいと考えております。 また、当面の対応策といたしましては、国の緊急地域雇用創出特別基金事業を有効に活用し、教育・文化、環境、防犯・安全、福祉、地域振興などの分野において、平成14年度では雇用創出効果の高い26の事業を実施し、約 4,000人の新規雇用を創出いたします。さらに、本市の実情を踏まえた事業といたしましては、就職に際してさまざまな困難を抱えておられる中高年齢者等、就職困難な人たちへの就労支援の充実など、全庁的な雇用施策推進本部のもと総合的に雇用施策を推進してまいります。 国際集客都市づくりについてでございますが、今後は、歴史的・文化的蓄積を生かした魅力づくりに努めるとともに、整備したハードを活用するソフト施策中心の
まちづくりへと移行していく段階に至っております。そこで、このたび「文化集客アクションプラン」の素案を取りまとめ、魅力ある
まちづくり、滞在促進メニューの開発などを柱として、全庁的に連携し、民間活力も十分活用しながら事業に取り組むこととしております。 その中でも、特にシティプロモーションの推進が非常に重要であると考えており、議員御指摘のように、民間の自由な発想を生かしてブロードバンドの普及に対応したコンテンツづくりや、集客関連業界と共同してさまざまな切り口で大阪の情報を世界に発信するなど、新しいプロモーションの形を十分に検討してまいります。 また、観光振興のための法定外目的税につきましては、従来より本市特有の膨大な昼間人口の活動を支える税制の研究を進めてきておりましたが、今回、特に観光ビジターの方々により一層快適に過ごしていただくための施策の基本的財源として、検討を始めたところであります。検討に当たりましては、議員御指摘のように、税収の具体的な使い道を明確にお示しし、税創設の考え方などについて議会を初め、市民・納税者・集客関連業界の十分な御理解を得ることが重要でありますので、今後、幅広く意見をちょうだいしながら議論を重ねてまいりたいと考えております。 ワールドカップに向けた取り組みについてでございますが、大会の成功には市民の理解と協力が不可欠であり、市民がこぞってワールドカップを歓迎し、ともに楽しんでいただけるよう、大阪ドームにおいて大型スクリーンを使って同時中継する「クローズドサーキット」を無料で開催するほか、多彩なイベントや広報活動を展開してまいります。運営に際しては、フーリガンやテロへの対応を含む安全面について、大阪府警察本部、日本組織委員会等の関係機関と十分連携しつつ、万全の対策を講じてまいります。また、周辺住民の生活に配慮しながら、観客の円滑なアクセスを図り道路交通の総量を抑制するため、公共交通機関の利用を周知・徹底させてまいります。 今後のスポーツの振興についてでございますが、これまでの施策の成果をもとに、スポーツパラダイス大阪の理念を市民と共有し、市民とともにスポーツ振興に取り組んでいくことが重要であると考えております。そのため、生涯スポーツの振興や国際競技大会の招致・開催などを柱としながら、今後のスポーツ行政の進む方向と主な施策について示した「本市スポーツ振興計画」を来年度の早期に取りまとめ、市民が生涯を通じて元気で生き生きとした生活を楽しむことのできる生涯スポーツ社会の実現を図っていくとともに、世界に向けての「スポーツ都市大阪」を発信してまいりたいと考えております。 安全で安心できる
まちづくりについてでございますが、近年の大阪の犯罪発生状況は増加・凶悪化の傾向にあり、非常に憂慮すべき事態となっております。犯罪防止には警察による取り組みが最も効果的な対策でありますが、警察だけでなく本市・市民・事業者などが協力して、安全で安心して暮らせる地域社会を形成することが緊急の課題であり、こうした取り組みを推進してまいりますための根拠となる条例を制定すべく、本市会にお諮りしているところでございます。 特に、ひったくりなどの犯罪が多いこともあり、公園の照明灯の増設などにより照度アップを図りますほか、生活道路におけます道路照明灯につきましては、平成14年度には60メーター間隔の整備を終え、15年度からはさらに増設を図りますとともに、私道におけます照明灯につきましても検討を加えるなど、犯罪防止に配慮した都市環境づくりに努めてまいります。 また、共同住宅におきまして自治会等が取り組む防犯対策への支援策といたしまして、エレベーター内の防犯カメラの設置費に対する補助を実施いたしますほか、市民一人一人が犯罪被害に対する危機意識を持ち、自分たちのまちは自分たちで守るという自発的な活動が行われるように市民の意識啓発に努めるなど、ハード・ソフト両面からの取り組みを進めてまいります。 また、犯罪防止施策を総合的・計画的に推進するために「安全な
まちづくり基本計画」を策定いたしますが、計画の策定に当たりましては、地域の実情を踏まえて策定してまいりたいと考えております。さらに14年秋には、本市・市民・事業者・関係機関の代表からなる「安全な
まちづくり推進協議会」を設置し、大阪府警との連携を密にしながら、地域ぐるみの取り組みを進めてまいります。 子育て支援施策の推進についてでございますが、平成13年度当初の保育所待機児童数 1,484名の解消を目指し、平成13年度末を目途に、保育所の新設・増改築といったハード面の対策や、公立保育所の職員配置基準の見直し等によって入所枠の拡大を図るソフト面の対策、さらに新規に、駅前のビルの空き店舗やマンション等を市独自に改修費や賃料補助制度等を創設して、小規模ではありますが利便性の高い保育所に整備する手法も導入して、約 1,600名の入所枠の拡大に取り組んできたところであります。 しかし、女性の社会参加の増大、厳しい経済状況や雇用情勢のもと、保育所入所の新規申し込みはなお高い水準にあり、平成14年度においてもニーズの高い低年齢児を中心に受け入れ枠を上回ることが予想されることから、約 800名の保育所整備を行い、もって喫緊の課題である待機児童の解消を図りたいと考えています。 一方、家庭で子育てしている方に対する支援策につきましても、子育て不安の解消や地域全体で子育てを支援する観点から、子育てのノウハウを蓄積している保育所の機能・施設を活用して、保育所地域子育て支援事業や一時保育等を実施するなど、その充実に努めています。 今後の保育施策は、人口動態や地域の特性等も勘案しながら、中長期的かつ総合的な計画のもとに事業を推進する必要があり、昨年秋に実施した保育ニーズ調査を集計・分析の上、大阪市児童育成計画に反映させ着実に推進してまいりたいと考えています。また、公立保育所の効率的・効果的運営については、保育ニーズに地域的・年齢的な偏在が見られることから、保育所の統廃合を進めるとともに、保育士の配置基準をすべて民間と同様にするなどの見直しに取り組んでいます。今後については、公立保育所のあり方も含めた抜本的な再編整備等も必要と認識しており、さまざまな角度から検討したいと考えております。今後とも、待機児童の解消を含めた保育施策を積極的に推進し、あすを担う子供たちがすくすくと育つまち大阪を実現してまいる所存であります。 教育改革につきましては、後刻、教育委員会よりお答え申し上げます。 新たな総合計画の策定についてでございますが、これからの
まちづくりは、市民・企業・行政が一体となって取り組むことが重要であり、新しい総合計画におきましては、市民を初め広く各界の参画を得ながら、
まちづくりに取り組む共通の目標となる大阪市の将来像をお示ししたいと思います。私の信条は、「日々これ改革である」という静かな改革であります。その積み重ねの上に立って、
まちづくりの目標の実現に向けて、社会経済環境の変化も十分踏まえ、他の都市よりすぐれた大阪の特性を生かしていく「比較優位」の視点や、まちの利便性・快適性を高める「ソフト重視」の視点などを基本に置き、次の時代をリードする大阪の都市戦略を構築し、他の都市に先駆けた独自の
まちづくりを進めてまいります。 交通や情報通信技術の著しい進歩によって、地球全体が1つの経済圏となり交流圏となる本格的なグローバル社会の到来に対応し、活力ある大阪をつくるためには、世界の動向もしっかり視野に入れる必要があります。そのため、総合計画の策定に当たりましては、大阪をよく知る海外の方々などにアドバイザーをお願いし、見過ごされている大阪のよさや課題、目指すべき将来の姿などについて御意見をいただくとともに、このような取り組みを通じ国内外に大阪の
まちづくりをわかりやすく情報発信してまいります。 さらに、
まちづくりの根本となる基本構想の見直しにつきましても、新しい総合計画の策定とあわせて、幅広く御議論いただきながら検討を行い、21世紀における大阪の持続的な発展を確かなものとする新しい総合計画の策定に取り組んでまいります。以上でございます。よろしくお願い申し上げます。
○議長(大丸昭典君) 玉井教育長。 (教育長玉井由夫君登壇)
◎教育長(玉井由夫君) 教育改革についてお答え申し上げます。 本年4月より小中学校で実施されることとなっております新教育課程では、子供たちが個性や能力を生かしてみずから学び続けていく「生きる力」をつけることを目指しております。そこで学習内容を精選し、繰り返し学習することにより基礎・基本の確かな定着を図るとともに、「総合的な学習の時間」などで各教科で身につけた知識を総合的に生かす発展的な学習を行って、学力の充実を図ってまいります。 その1つの方策として、「Let's goプラン事業」を来年度より開始いたします。この事業は他局の協力も得まして、本市の社会教育施設等を授業で活用し、その際の子供たちの交通費を支援してまいります。現在、学校と施設が共同で授業プログラムを開発するなど連携を進めておりますが、子供たちが施設の本物に触れる学習をすることは、大阪を知る貴重な体験となり、事前・事後の指導によって、より学力の定着が図れるものと考えております。 次に、指導力不足教員への支援及び対応につきましては、本市といたしましても、教育改革プログラムに位置づけるとともに、的確な支援・指導を行う体制を早期に整備するよう努めてまいります。そこで来年度より、仮称ではございますが、「教員の資質に関する諮問委員会」を設置し、外部の専門家等の意見も聞きながら、指導力不足等の教員への適切な対応が図れるよう努めてまいります。 また、子供たちの豊かな人間性をはぐくむ「心の教育」を充実させるには、さまざまな年齢層の教員との触れ合いが必要であります。特に若い教員のエネルギッシュな感性に触れたり、感動体験を共有するため、小学校における学級・学校支援事業として若い人材を非常勤嘱託として配置いたします。この事業により、学級や学年、学校全体の活性化が図れるものと考えております。 次に、児童いきいき放課後事業についてでございますが、留守家庭児童も含めた全児童を対象としており、登録児童数が5万人を超えた大きな広がりを持った事業でございます。今後とも、読書活動やゲーム、伝承遊び、スポーツ活動など、図書室や体育館等の学校施設を活用することで安全で楽しい活動を実施いたします。この3月には、幼稚園等を卒園した子供たちに、就学前の期間にいきいき活動を体験してもらい、スムーズな参加に努めます。 また、子育ての充実に資するよう、児童や保護者のニーズを把握するためアンケート調査を実施してまいります。さらに、完全学校週5日制に対応して、平成14年度からはすべての土曜日においても午前9時から午後6時までに拡大して実施するとともに、児童の安全確保のため、嘱託指導員を充実し指導体制を整備いたします。以上でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
○議長(大丸昭典君) お諮りいたします。この際、暫時休憩することに決して御異議ありませんか。 (「異議なし」と呼ぶ者あり)
○議長(大丸昭典君) 御異議なしと認めます。よって暫時休憩いたします。 午前11時20分休憩 午後1時3分再開
○副議長(村尾しげ子君) これより休憩前に引き続き会議を開きます。
○副議長(村尾しげ子君) 田中ゆたか君の質疑を許します。 3番田中ゆたか君。 (3番田中ゆたか君登壇)
◆3番(田中ゆたか君) 私は民主・民友大阪市会議員団を代表いたしまして、本市会に上程されております平成14年度予算並びにこれに関連する諸案件につきまして、磯村市長に対しまして提言と質問を行ってまいります。 御承知のとおり、今、日本は、長引く経済不況と進まぬ構造改革の中で、国民の間には不安と閉塞感があふれています。それは、国民の内閣に対する支持率の低下に見られるように、耳ざわりのよいキャッチフレーズに失望感を持ち始めたあらわれでもありましょう。しかし、私たちは大阪市政に責任ある者として、それらに一喜一憂することなく、着実に生活者の目線で市政運営に携わっていかなければなりません。本市にも肥大化しすぎた大都市の共通した課題が山積しておりますが、磯村市長におかれましては勇断をもってこの難局を打開し、全国政令指定都市の「さきがけ」としてリーダーシップを発揮していただくために、多少耳の痛い提言もあろうと思いますが、十分にお聞きくださいますよう冒頭にお願いいたしまして、質問に入らせていただきます。 まず、財政問題についてお聞きします。 本市の財政状況は、景気の低迷等により市税の大幅な減収が見込まれる中、過去発行した市債の償還費や福祉費、施設の整備に伴う管理運営費などの義務的経費が増加し、財政運営の硬直度合いを示す第1部所要税等比率が94%と、13年度予算の90.4%からさらに悪化しています。現在の経済情勢から見ても、今後、税収入の回復は見込みがたく、 100%を超えるのはもはや時間の問題ではないでしょうか。第1部所要税等比率が 100%を超えるということは、市税等の経常的な一般財源だけでは義務的な経費を賄うことすらできません。地方交付税や臨時財政対策債などの依存財源に頼った予算の姿となっていることも考え合わせると、早急にこのような財務体質の改善に取り組んでいくべきではないでしょうか。 来年度の予算では、将来の財政負担を考慮して事業費や起債の抑制に努めており、一定の評価はしますが、14年度末の市民1人当たりの市債残高は 208万円と過去最高となるなど、依然として借金体質であり、一層の抑制努力をすべきであります。 本市の財務体質の改善を図るためには、何よりも歳入基盤を確立する必要があります。とりわけ、税源移譲などによる税源の充実強化が早急に実現されなければなりません。現在、政府においては、税制の抜本改革のほか、地方税財源の拡充のための具体的な検討が始まっています。税源配分の是正とともに、大都市特有の財政需要に対応した都市税源の充実が図られるよう、本市として、国や関係機関に対して積極的に要望を行わなければなりません。あわせて、自主課税方策の検討についても十分に市民の理解を得ながら進めていく必要があると考えます。これらの点についてお聞きします。 次に、事業評価システムについてお聞きします。 地方分権の時代においては、これまでの意識を改革し、市民に身近なところでいかに質の高い行政サービスを提供するのかという自治体経営の手腕が問われています。このような状況のもとで、本市では事業評価システムを導入していますが、現在実施している事業が十分効果を上げているのか、という視点で市民ニーズや利用者の声などをもとに成果・効果をいま一度点検しなければなりません。また、評価結果を事業の改善や新しい企画立案などに生かすとともに、市民にわかりやすく公表する必要があります。さらに、都市政策に多大な影響を与える大規模な事業については、着手前の段階で事業の必要性や効果を第三者が客観的に評価し、問題となる事業については中止や見直しなど適切に判断することも重要です。 現在、中之島地区で計画中の近代美術館をモデル事業として、外部委員会による評価に取り組んでいるということですが、これまでのハコモノ事業の反省を踏まえながら、行政の透明性を一層向上させ、責任を明確にするという決意で取り組むべきであります。今後、平成15年度の本格実施に向けて、システムの導入効果について十分検証を行い、評価を単なる評価に終わらせることなく、実効性のある事業評価システムを14年度内に構築する必要があると考えますが、どのように取り組まれるのか、見解をお聞きします。 次に、外郭団体の問題についてお聞きします。 現在、本市が25%以上出資している外郭団体は75を数えており、また、各局には局事業を補完する団体が多数存在しており、それぞれの機能や役割は非常にふくそうしている状況にあります。例えば、経済局では7社、港湾局では8社などと多くの株式会社を抱えておりますが、その中には設立から長い年月が経過し役割を果たし終えた団体もあるのではないでしょうか。外郭団体の見直しに当たっては、これら団体の積極的な統廃合を図るとともに、公益性が薄れたものは民間委託を行うなど、少なくとも1局1団体は減らすべきであります。また、幾つかの団体がスポーツ施設や駐車場などの管理運営を行っていますが、経営の効率化の観点からは、事業形態や類似目的の事業については大胆に一元化を推進すべきです。 さらに、多額の負債を抱える第三セクターの問題があります。本市が支援しているATC、WTCなど5社だけでも、平成12年度末の
借入金残高は 3,600億円に及んでいます。本市普通会計のバランスシートのみでは見えてこない第三セクター全体の過重な債務の実態など、その財務内容の全容を明らかにしなければなりません。そのためには、我が会派が常々指摘している第三セクター全体を連結したバランスシートの作成に取り組むことが必要です。さらに、第三セクターの経営が本市財政に与える影響を見きわめるためには、それを本市のバランスシートとも連結させることが必要であり、これらの点を踏まえ、外郭団体全体の経営改善に取り組むべきであります。市長の見解をお聞きします。 次に、区政改革についてお聞きします。 本格的な分権時代に当たっては、市民を主体とした分権型行政運営システムの構築が求められています。そのためには、住民に身近なところで総合的な行政サービスの提供を行うことが極めて重要であり、これまでの行政が市民に参加を促すといった市民参加から、ともに力を合わせる、まさに市民が参画するといった取り組みへの転換が必要ではないでしょうか。こうした市民本位の行政を進めるに当たっては、区役所がシビックセンターとして、これまで以上にその機能を発揮し、一層、市民の信頼を得ることが重要で、市民が区役所がよくなったと実感できる取り組みが必要です。 そのためには、市民の立場に立って、自覚と責任ある職員の姿勢が常に必要であります。区政の担い手は市民であります。丁寧な応対はもとより、区役所は市民の要望を単に局に伝えるだけでなく、市民ニーズを的確に分析し、本市の施策として反映させ、地域社会にその成果を還元していかなければなりません。そのためには、職員の意識改革を区長みずからが先頭に立って推進すべきであります。このような区政の積極的展開を図ることによって、市民との良好なパートナーシップが形成され、市民との協働・参画が可能となると考えますが、市長の見解をお聞きします。 次に、新しい総合計画についてお聞きします。 本市の
まちづくりの目標を示した総合計画は、市政運営の基本となる重要なものでありますが、総合計画といっても市民には実感しにくい課題であります。例えば、「市民とともにつくる21世紀の大阪」というように、市民参加を明確なコンセプトとしてまず掲げ、市民がこれからの大阪について、ともに考えようという機運を盛り上げていくことが重要です。さらに、できるだけ多くの人々がお互いに大阪の将来について議論できるような方法を工夫し、市民が関心を持って参加できるようにすべきです。 その中で、地域住民がみずからのまちの将来について考え、区の特性を生かしながら個性的な
まちづくりを目指すという視点も重要であります。そのためには区民みずからが参加して、区の将来と
まちづくりを議論し、それを計画に反映させていくといったことも必要であります。また、このようにしてつくり上げた計画は、実効性のあるものとしなければなりません。 現行の「総合計画21」は、2005年までの15年間を計画期間としていますが、策定から10年以上を経た今日の状況から見れば、あまりに長過ぎる目標設定であったという気がします。新しい総合計画の策定については、こうした点についても検討を加え、今後の社会経済状況を十分に見通し、計画期間や目標について検討するべきではないでしょうか。また、計画の着実な実現に向けて、短期の年次計画を策定し、予算措置や各局の事業との整合性を図りながら推進していく必要があると考えます。新しい総合計画を策定するに当たっての市長の見解をお聞きします。 次に、大阪駅北地区の整備についてお聞きします。 現在、国際的な地盤沈下が激しい我が国の大都市圏を、21世紀における魅力と活力に満ちた都市を目指して、都市再生が国を挙げて取り組まれようとしています。都市再生に当たっては、これまでのような行政主導で
まちづくりを進めるのではなく、いかに民間の投資を誘発する計画とするかが重要です。 私の地元である大阪駅北地区については、本市の
都市再生プロジェクトとして開発が進められようとしています。このプロジェクトは、21世紀における大阪、ひいては関西のシンボルとなるプロジェクトとして、世界からも注目されるものとなるよう期待が集まっています。そのため、行政の発想だけではなく、民間のニーズと活力を反映した計画としていくことが重要であり、国内はもとより広く外国にもアイデアを求めるべきです。梅田貨物駅22ヘクタールのうち平成14年度末ごろには約6ヘクタールが更地化され、これを契機にいよいよ本格的に始動することになりますが、梅田貨物駅の機能移転も含め、関西の中枢都市大阪の姿を見据えてどう取り組んでいかれるのか、市長の見解をお聞きします。 次に、舞洲の土地利用促進についてお聞きします。 現在、スポーツアイランドである舞洲の一部に都市再生へ向けた整備が検討されているようですが、臨海部の活性化は本市にとって喫緊の課題でもあり、舞洲の活用は極めて重要であります。臨海部においては、USJというプロジェクトファイナンスを活用して成功している事例があります。今後、このような手法も参考にしながら、初期投資のリスク軽減につながる事業用定期借地など、民間の事業展開を促す手法によって未利用地の活用も図れるのではないでしょうか。 一方、スポーツアイランド計画の推進も、スポーツパラダイス構想の実現に向けて、市民の健康やレクリエーション活動にとって重要であり、既存施設の一層の利用促進、施設間のネットワーク化など、ソフト面での施策も重視すべきであります。計画の推進に当たっては、健康・スポーツに関する幅広い民間企業の誘致を進めなければなりません。しかし、現在の厳しい経済情勢のもとにあっては早急な整備は難しいと予想され、本格的な土地利用が開始されるまでの間は、未利用地の早期利用を図る観点から、暫定的であっても、市民がスポーツを気軽に楽しめるグラウンドや広場として整備してはどうでしょうか。これらの着実な取り組みにより、市民に身近な魅力あるスポーツアイランドが実現できるのではないでしょうか。市長の見解をお聞きします。 次に、魅力ある
まちづくりについてお聞きします。 先日発表された「文化集客アクションプラン」の素案でも、今後の方針として、滞在型観光の推進を掲げ、魅力ある
まちづくりや、大阪ならではの魅力を楽しめるようなソフト施策の充実を図るとしています。USJの開業は集客産業に大きな効果をもたらしていますが、これだけに頼っているようでは心もとない限りです。歴史、文化を生かしながら、大阪にしかないような魅力ある
まちづくりに取り組む必要があります。 大阪には個性あるエリアが数多くあり、エリアごとの魅力を取り上げていくことも大切です。私の地元である天神橋筋商店街は、あきんど体験などのメニューを用意し多くの修学旅行生を受け入れるなど、観光魅力の創出に新たな切り口を開いたものと言えます。例えば鶴橋などは、大阪に根づいたコリア文化を体感できるエリアであり、ワールドカップを契機に日韓の相互理解を深める場として活用できると思いますし、商店街も含めたエリア魅力を高めることは、ビジターを受け入れるだけにとどまらず、市民が足を運ぶきっかけとなり、それが商店街ひいてはまちの活性化につながっていきます。ただ、個々の商店街が魅力づくりに取り組もうとしても、アイデアはあるが具体化できない、方向性がわからないといった多くの課題を抱えており、これらをサポートする人材の派遣や特性に応じたきめ細かな支援など、ソフト面の一層の充実が重要であります。 加えて、ビジターにも利用しやすい
まちづくりも欠かせない視点であります。国内の主要な観光都市には、便利な観光タクシーの制度があります。日韓ワールドカップに向けて、ソウルではタクシーと多言語対応の電話案内センターを結んで、ビジターにとって安心できるシステムができると聞いています。本市でもこのようなシステムがあれば、海外ビジターでも商店街で気軽に買い物ができ、安心して観光を楽しめるようになるのではないでしょうか。以上の視点から、魅力ある
まちづくりと商店街活性化につながる取り組みについてお聞きします。 次に、人権施策についてお聞きします。 「人権の世紀」と言われる21世紀を迎え、人権尊重の社会づくりは国際的にも国内的にも大きな潮流となっています。国においては「人権教育及び人権啓発の推進に関する法律」が施行され、その推進のための「基本計画」及び人権侵害の被害者救済などを目的とした「人権擁護法」策定に向けた取り組みが進められています。また今日、市民意識が多様化する中で、人権課題は広がりを見せており、同和問題を初め外国籍住民、障害者、高齢者、子供、女性をめぐる問題に加え、児童虐待、ドメスティック・バイオレンスなど、さまざまな人権課題がクローズアップされてきていますが、こうした問題に対して、より積極的な施策の推進が求められています。 このような中、本市においても、大阪市人権尊重の社会づくり条例や、それに先立ち策定された大阪市人権行政基本方針、大阪市人権教育のための国連10年行動計画に基づき、同和行政を初め総合的な人権行政を推進するとともに、市民の人権意識の高揚や相談機能の確立等、人権施策の具体化を図ることが一層重要となっていると考えますが、市長の見解をお聞きします。 次に、男女共同参画施策についてお聞きします。 我が国では、昭和60年に女性差別撤廃条約を批准し、男女共同参画社会の実現を21世紀の社会を決定する最重要課題と位置づけた「男女共同参画社会基本法」を平成11年に施行し、地方公共団体にその区域の特性に応じた施策を実施する責務を課しています。現在、本市で検討されている男女共同参画社会の実現に向けての条例の制定に当たっては、パブリック・コメントを反映させるとともに、根強い固定的な性別役割分担意識や女性が出産・子育て期に離職する状況、さまざまな人権課題の実態を踏まえ、積極的に格差是正を図ることが必要と考えますが、市長の見解をお聞きします。 また、女性の人権を侵害する重大な問題である夫・恋人からの暴力、いわゆるドメスティック・バイオレンス、DV問題があります。DVの防止と被害者の保護を国と自治体の責務と位置づけた「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」、いわゆるDV防止法が施行されましたが、本市としましても被害者の緊急一時保護や相談など支援策の充実に加え、暴力を生みだすメカニズムの解明や加害男性に対する何らかの取り組みが必要であると考えますが、市長の見解をお聞きします。 次に、子育て支援についてお聞きします。 子育て支援策は乳幼児から思春期までの医療・福祉・教育など多岐にわたっていますが、最も急がれる課題は保育所の待機児童の解消であります。市長は、今年度末までに待機児童を解消するとして、この3年間で約 2,600人の入所枠を拡大されました。また、平成14年度には約 800人の枠拡大の保育所整備をされますが、このことによっても待機児童が依然として解消されずに、入所が厳しい状況にあります。保育所入所枠の拡大は仕事と子育ての両立支援として不可欠であり、その拡充は当然の責務でありますが、予測を上回る高い保育ニーズに対応するために、今後の保育所施策をどうされるのでしょうか。さらに、家庭や地域社会の子育て力の低下への対応と、子供の健全育成についてお聞きします。 核家族化と都市化の進行は、親にとって生活習慣などをお年寄りや近隣から学ぶ機会を減少させ、育児の孤立化から子育て不安や育児ノイローゼを招き、それが児童虐待にエスカレートするケースが多いと言われています。 一方、子供たちは、幼児期から受験戦争と塾通いなど競争社会の中にあって仲間意識が育ちにくく、親や地域の子育て力の低下も相まって、家庭や学校にストレスを抱えての日常が、いじめや不登校、少年犯罪などとなってあらわれているのではないでしょうか。この現状は、すべての子供たちが保育に欠ける状態にあると言っても過言ではなく、地域ぐるみの子育て支援が必要となっています。これら子育て支援策について、市長の見解をお聞きします。 次に、完全学校週5日制と青少年の健全育成についてお聞きします。 これまで段階的に学校5日制が実施されてきましたが、いよいよ4月から完全学校週5日制がスタートします。教育委員会では、社会教育施設の無料開放や「子どものための施設ガイド・タッチ」の配布など、子供たちの体験活動の充実を図るために取り組みを進められてきました。また、完全学校週5日制の実施とともに、新学習指導要領に基づく新しい教育課程が実施されます。新学習指導要領では授業時間の減少に加え、教育内容も3割少なくなっています。保護者の皆さんから、教える内容を3割も減らして学力が低下するのではないか、学校の授業だけで本当に大丈夫なのかという心配の声を数多く聞いています。また一方で、子供が家庭や地域で過ごす時間がふえますが、家で一日中テレビゲームをして過ごしたり、場合によっては問題行動に走る子供が増加するという懸念もあります。これまで以上に子供たちを受けとめ、支えていく学校・地域・家庭の教育力が求められています。 我が会派ではかねてより、地域ぐるみでの学校教育支援や、教育力の向上を目指したネットワークづくりの重要性や、そのための実効性ある仕組みづくりを提案してきました。今後、学校・家庭・地域がこれまで培ってきた連携を活用しながら、さまざまな人が継続的に子供たちをバックアップしていくことが重要です。 一方、本市では、地域住民の身近なスポーツの場として学校体育施設開放事業が行われてきましたが、利用実態を見ると、大人の団体やサークルの利用が多いように思います。完全学校週5日制に対応するためには、新たに休日となる土曜日には子供が利用しやすく、また子供のスポーツ活動を優先するなど、施設を子供中心に開放するべきです。さらに、地域においてはこれまでも、青少年指導員や子供会など、地域の皆さんによって子供たちの健全育成に向けたさまざまな取り組みが進められています。完全学校週5日制の実施に向けて、子供が地域でのびのびとゆとりを持って育つ環境づくりが必要と考えますが、市長の見解をお聞きします。 次に、高齢者施策についてお聞きします。 来年度、大阪市介護保険事業計画及び大阪市高齢者保健福祉計画が一体のものとして見直されることになっています。新しい計画においても、介護保険制度の円滑な運営と基盤整備が引き続き重要な課題でありますが、介護保険導入以来この2年間について、どのように検証・評価されているのか。また、それを踏まえて、どのような視点で計画の見直しに取り組まれるのかお聞きします。 また、サービス量の確保とともに、サービスの質の問題も重要であります。介護保険制度においては、サービスを提供する人材の質は、一義的には事業者が切磋琢磨する中で確保されていくものと思います。しかし、専門性を有する人材の育成や人材の質の向上のための支援は、依然、行政が取り組むべき重要な課題であります。こうした取り組みの現状と今後の方策についてお聞きします。 さらに、高齢化によって今後ますます増加が予想される痴呆性高齢者については、痴呆が進むと日常生活に支障を来す症状が多く見られるようになり、介護する家族の負担も大きく、また、保健・医療・福祉など関連する領域が多岐にわたるなど、大変深刻な問題であります。痴呆性高齢者やその家族への支援は緊急の課題であることから、例えばグループホームの整備や地域で支える仕組みづくりなど、施策の推進を一層図るべきであります。高齢者がいつまでも住みなれた地域で安心して暮らすことができるよう、施策の総合的な推進を図り、よりきめ細かな「安全ネット」の構築を進めなければなりません。市長の見解をお聞きします。 次に、障害者支援施策についてお聞きします。 本市では、大阪市障害者支援プランに基づき施策を推進されていますが、来年度が最終年度であり、ぜひとも支援プランの数値目標を達成されるよう求めます。障害者が地域の中で自立生活していくためには、
まちづくりや住宅確保、就労など、さまざまな支援を必要としており、新たな支援計画を策定し、施策を推進すべきであります。策定に当たっては、障害者の生活実態とニーズを的確に把握し、当事者である障害者の意見を十分に反映し、着実に計画を推進するための数値目標と年次計画を立てるべきです。 平成15年4月には、これまでの措置制度から支援費制度に移行しますが、今後、サービス量や質の確保等を考えると、障害者施策においてもNPO法人や民間事業者の育成が必要です。国においては、小規模通所授産施設の制度を新たに設け運営法人の要件を緩和しました。本市にも家族や支援者の努力でつくられた福祉作業センターが数多くあり、このセンターの小規模通所授産施設への移行を促進するなど支援を図るべきです。市長の見解をお聞きします。 次に、中小企業対策についてお聞きします。 長引く不況により、中小企業の経営環境は一層厳しさを増しています。こうした中、金融機関の
不良債権処理の進展に伴い、「貸し渋り」から「貸しはがし」と言われる状況まで生まれ、数多くの中小企業が健全な事業を営みながらも資金繰りに困っています。国においても貸し渋り対策を強化していく方針が出されておりますが、本市としても中小企業への金融支援と資金調達の円滑化をさらに図っていく必要があります。 一方、経済活動の基盤としてのものづくりは非常に重要であります。近年、中国を初めアジアへの生産拠点の移転が急速に進むなど、その空洞化が懸念されていますが、今日では地球環境問題への関心の高まりや高齢化社会の到来など、社会経済環境の変化によって新たなニーズも生まれてきています。ものづくりの技術を培ってきた中小企業の、環境や福祉といった成長が有望な新分野への進出を支援していくことが、大阪経済の活性化にとって大切ではないでしょうか。 さらに、中小企業が新しい分野へ進出するに当たって、ミクロン単位といった精度が求められるような高度な加工の技術や技能が不可欠であります。ものづくりの現場を担い、卓越した技術により付加価値を高める技術者や技能者が社会的にも認められ、待遇面での地位向上につながるような、いわゆる「マイスターの認証制度」を創設し、こうした人たちの活用や技術の継承などを進めていくことも重要であります。来年度、本市が策定する「ものづくり再生プラン」の中に、こうした観点をぜひ盛り込んでいただきたいと考えます。厳しい経営環境下にある中小企業の活性化策について、市長の見解をお聞きします。 次に、ホームレス対策についてお聞きします。 我が会派は昨年、磯村市長に対し提言を行うなど、ホームレス問題について取り組んできました。市内のホームレスは全国の都市の中でも際立って多く、1万人を超えていると推定されています。公園、道路等公共施設内のテント・小屋がけ状態を放置すれば、地域住民が公園等を利用できないなどの問題があるとともに、ホームレス自身も野宿生活等で健康状態が悪化し、自立が一層困難になると思われます。本市では、ホームレスへの巡回相談の実施や、就労・自立に向けた支援を行う自立支援センターの整備、緊急一時的な宿泊施設である仮設一時避難所の設置などに取り組んでいます。これらの対策はホームレスの自立支援に一定の成果を上げてはいますが、今なおテント・小屋がけはなくなっておりません。今後とも1万人のホームレスを視野に入れ、また国に財政措置の拡充も求めながら、ホームレスの雇用や就業機会の確保などに積極的に取り組むことが必要です。 ホームレス問題は、地方公共団体のみで解決できる問題ではなく、特別法を制定し、国とともに、住宅、雇用、福祉、保健・医療等、各分野を合わせた総合的な対策に取り組むことが重要であります。全国で最大規模のホームレスを抱える本市としては、より積極的な取り組みが求められています。問題解決に向けた取り組みについて、市長の見解をお聞きします。 次に、雇用施策についてお聞きします。 雇用施策については、国においてもさまざまな対策が講じられていますが、1月の完全失業率が全国は 5.3%であり、近畿の完全失業率はさらに厳しい 5.9%となっています。さらに有効求人倍率も、全国が0.51倍であるのに比べ、大阪は0.43倍となっています。今後もますます厳しい状況が続くと予想され、雇用・失業問題はもはや社会問題となっています。今、最も必要なことは、雇用の受け皿を拡大することであります。そのための経済対策や雇用施策を展開しなければなりません。 私どもがこれまで申し上げてきたように、1点目は、雇用拡大につながる中小企業に対する援助とベンチャー企業等への支援であります。2点目に、求人・求職者双方のニーズが合わない、いわゆるミスマッチに対する効果的な対応策、3点目は、厳しい雇用情勢をまともに受けている中高年齢者、障害者などへの就労支援策を実施することです。今回の国の緊急地域雇用創出特別基金事業に当たっては、中高年齢者等に配慮した事業展開を図っていくべきと考えます。また、これらの雇用施策を総合的に推進するための全庁的推進体制の整備についても、この間、強く申し上げてきました。今日の厳しい雇用環境を打開していくため、本市の雇用施策を積極的に取り組む責務があります。市長の見解をお聞きします。 最後に、安全な
まちづくりについてお聞きします。 昨年、大阪府下で発生した犯罪件数は32万 7,000件を超え、ついに全国最多となり、市民生活に大きな脅威を与えています。また、長引く不況による失業率の増加や、ほころび始めた社会保障制度によって社会不安も増大しています。犯罪の防止は警察の責務ではありますが、犯罪の増加に比べ検挙率が低い現実を見る限り、警察に任せるだけでなく、行政と市民、事業者すべてが犯罪防止に取り組まなければなりません。特に、ひったくりや路上強盗は、夜間、人通りの少ない暗い場所で多く発生しており、そうした場所の解消など環境面での対策が必要です。 同時に、ひったくりや路上強盗は青少年による犯罪が多く、犯罪の低年齢化が問題となっています。青少年犯罪の増加原因としては、都市化の進展や核家族化により、地域における連帯感が薄れ、子供を健全にはぐくむ機能や犯罪抑止機能が低下してきていることや、市民自身の犯罪被害に対する危機意識の不足などが考えられます。 本市会に「大阪市安全な
まちづくり条例案」が上程されていますが、犯罪を抑止し被害を減らすためには、市民みずからがしっかりと防犯意識を持ち自分自身の身を守るとともに、子供たちを守り、健全に育て、自分たちのまちは自分たちで守るという意識を持つことが必要であります。そのためには、本市は防犯情報の提供を積極的に行い、市民の危機管理意識を高めるとともに、警察だけでなく行政、市民が一体となって取り組んでいく体制をつくり、市民が自主的に地域ぐるみで防犯活動を行えるような環境づくりを進めなければなりません。安全で安心な
まちづくりについて、市長の見解をお聞きします。 以上、市民の視点に立って市政各般にわたって質問を行ってまいりましたが、磯村市長には市政運営に対する強い決意と明確な答弁をお願いしまして、私の質問を終わらせていただきます。御清聴まことにありがとうございました。
○副議長(村尾しげ子君) 理事者の答弁を許します。 磯村市長。 (市長磯村隆文君登壇)
◎市長(磯村隆文君) ただいまの田中議員の御質問に対しましてお答えを申し上げます。 財政問題についてでございますが、議員御指摘のとおり、本市の財政は税収入が大幅に減少する一方で、公債費や生活保護費などの必須経費が増大しており、それらに一般財源の大半を充当せざるを得ないなど、極めて厳しい状況にあります。 こうした中、14年度の予算編成に当たりましては、ソフト事業に重点を移すとともに、長期継続事業の早期収束や事業の重点化、コスト縮減などに積極的に取り組み、その結果、投資的・臨時的経費はマイナス14.8%となり、起債計上額及び起債依存度とも6年連続でマイナスとするなど、将来の財政負担も考慮し、財政の健全化に努めてきたところでございます。 地方分権が本格化する中、基礎的自治体の責務を果たしながら、各都市が個性と創造性を競い合う「都市間競争」に勝ち抜き、「21世紀のモデル都市」を目指した主体的な
まちづくりを進めていくためには、事業の重点化や職員体制の見直し、民間活力の導入など、
財政構造改革を積極的に推し進める必要があると考えております。また、地方税財源の拡充については、国から地方への税源移譲が基本であると認識しておりますが、特に本市は、約 370万の昼間人口を抱え活発な経済活動が行われており、それらの経済活動を反映した法人所得課税や消費流通課税など、都市税源の拡充が重要であります。 昨年6月の地方分権推進委員会の最終報告以降、国から地方への税源移譲について具体的な検討が進められようとしている中、本市といたしましても、都市税源の充実に向けた具体案も示しながら、その実現に向け国等に対して強く働きかけてまいりたいと考えておりますので、市会の皆様方のさらなるお力添えをお願い申し上げます。 また、課税自主権の活用として現在検討を始めております法定外目的税につきましては、より一層の観光振興の進展を図ることが主たる目的であり、広く意見もちょうだいしながら議論を重ねてまいりたいと考えております。 事業評価システムについてでございますが、行政は常に利用者たる市民のニーズに合った質の高いサービスを提供する義務と責任があるものと考えております。事業評価システムは、こうした認識を浸透させ、事業の成果を点検し事業改善に生かすとともに、企画立案能力を向上させるなど、新しい行政運営のツールとして導入したものでございます。今年度、約 600の主要事業の実績を評価し、これを公表いたしましたが、職員意識の変化や予算案への活用等、一定の導入効果もあらわれており、今後、対象範囲を広げつつ、より的確な評価内容となるよう取り組みますとともに、市民に一層わかりやすい公表となるよう努めてまいります。 また、大規模事業の事前評価は、事業の必要性や効果を計画段階で明確にするものであり、現在、近代美術館を対象に取り組んでおります。今後取りまとめられる外部委員会の意見を尊重して、方針を明らかにし、市民への説明責任を果たすとともに、市政の透明性をより一層高めてまいります。 なお、14年度においても試行実施を行い、評価対象の選定基準などの課題を整理・検討いたします。15年度の本格実施までに評価システム全体における課題を十分精査・検討した上で、事業の改善や見直しも視野に入れ、評価結果が的確に市政に反映できる事業評価システムを構築してまいります。 外郭団体の見直しについてでございますが、現在、見直しの基本方針のもと、具体的項目の策定を行っているところであります。外郭団体の主たる事業が民間でも実施可能である団体や、当初の設立目的をおおむね達成し、自律する見込みがある第三セクターにつきましては、出資を含めた本市の関与を見直すことといたします。また、事業目的や機能が類似する団体につきましては再編整備を図ることとしており、スポーツ施設など同種の施設を複数の団体が管理運営している場合は、市民の利便性の向上と経営の効率化の観点から、その一元化に努めてまいります。見直しに当たりましては、全局にわたる積極的な取り組みが必要と考えており、個々の団体の検証を通じまして、議員御提案の趣旨に見合った成果が上がるよう努力してまいります。 本市との連結バランスシートの作成に関しましては、現在、国における「地方公共団体の総合的な財政分析に関する調査研究会」の報告におきまして、外郭団体は法人の形態や地方公共団体との関係などがさまざまであることから、地方公共団体との連結バランスシートを作成することは「なお慎重な検討を要する課題である」とされており、統一的な作成基準も示されていない状況にあります。しかしながら、外郭団体の全体像を明らかにするための試みとして、第三セクタートータルのバランスシートを作成してまいりたいと考えております。 区政改革についてでございますが、区役所は市民生活に密着した事務事業や
まちづくり、福祉等の地域における総合的な窓口であり、市民に最も身近なシビックセンターとして、ますます重要性を増してきております。新「
行財政改革計画」におきましても、市民の要望を施策等へ反映していくための仕組みづくりに、区役所が重要な役割を担うものとして位置づけてきたところでございます。各種施策等に市民の要望を的確に反映するためには、区役所が施策等の計画段階からかかわり、実施段階におきましても進捗状況と市民の反応を的確に把握し、施策等の効果的な展開に向けて局などとの総合調整を行うなど、新しい仕組みづくりに取り組んでまいります。 さらに、生涯学習やスポーツなど、市民の自発的な
まちづくり活動に対する支援などを通じ、より一層の信頼関係を築き、市民との協働、市民参画を区長みずから先頭に立って推進してまいりたいと考えております。そのためには、市政の第一線で働く区役所職員一人一人がみずからの職責を十二分に認識し、市民の目線に立って行政運営に取り組み、常に結果を出しながら、市政に対する市民の理解を得るようにしてまいることが重要であると考えております。 新しい総合計画についてでございますが、現行総合計画の策定に当たっても、アンケート調査や意見募集などにより市民参加を図っておりますが、新しい総合計画では新たな試みとして、市内の全戸を対象としたアンケートの実施や、市民、企業人、学識経験者などがともに議論する場の設定を検討するとともに、タイムリーでわかりやすい情報発信によって、市民を初め各方面の関心を喚起し、将来の大阪について幅広い御意見をいただきたいと考えております。 地域の
まちづくりについては、現在は市内を5つのブロックに分けて整備方向を示しておりますが、市民との協働による
まちづくりが一層重要となる中で、区において区民の参画を得て議論を行うとともに、ブロック別計画のあり方についても検討いたします。また、総合計画の目標年次の設定についても、現行計画の経験や将来の社会経済動向の見通しなどを踏まえて検討してまいります。 推進方策については、昨年、「いきいき大阪再生プラン」を策定し、優先的・重点的に実施する事業について、3カ年の年次的な取り組みも示しながら推進しております。新しい総合計画では、これをベースに短期計画のあり方についてもさらに検討し、
まちづくりの目標の実現に向けた施策・事業の効果的な推進を図ってまいります。こうした取り組みにより、新しい総合計画を大阪の新しい時代の
まちづくりを先導するにふさわしい計画にしたいと考えております。 大阪駅北地区の整備についてでございますが、魅力と活力に満ちた都市の再生のためには、民間のノウハウや資金等を集中させ、新しい需要の喚起が重要であります。当地区は交通至便で立地条件にも恵まれておりますので、関西の再生を担い、国際的にも21世紀の大阪の玄関口にふさわしい、風格と魅力を持つ拠点として形成されるよう取り組みたいと考えております。また、国の都市再生本部により「民間都市開発投資プロジェクト」の検討対象ともされ、国内外から投資を誘導する計画づくりが必要であります。そのため、経済界や有識者等により、「(仮称)大阪駅地区都市再生懇談会」を設け、
まちづくりの方向性を見据えながら、平成14年度には世界への情報発信も兼ねて、本市で初めて
まちづくりのコンセプトを募る国際コンペを実施し、国内外の幅広いアイデアを取り入れ、全体構想を策定いたします。また、6ヘクタールを契機に
まちづくりを広げていくために、梅田貨物駅の機能につきましては、吹田操車場跡と大阪市内で分担して取り扱うという経過に基づき、鉄道建設公団と協議を進めてまいります。 舞洲の土地利用促進についてでございますが、テクノポート大阪計画を進めています舞洲や夢洲などの新臨海部は、本市の
まちづくりにとって貴重な都市空間であることから、有効に活用していくべきと考えております。特に舞洲につきましては、喫緊の課題となっております都市の再生に資する用地として、一部を利用してまいりたいと考えております。舞洲の未利用地の活用に当たりましては民間活力の積極的な導入を図るため、事業用定期借地などの土地活用のさまざまな手法を取り入れ、企業が進出しやすい条件整備により、投資意欲を高めてまいりたいと考えております。 一方、スポーツ・レクリエーションに対する市民ニーズは今後ともますます増大し、多様化すると思われることから、スポーツパラダイス構想の推進のためにも、スポーツアイランドの既存施設を含めた活用は重要であると認識しております。スポーツアイランドの魅力をより一層高めていくためには、健康・スポーツ関連を初めとする民間企業の誘致が重要ですが、広大な用地であることから、本格的な土地利用が始まるまでの間は市民が幅広く利用できるような広場等に、暫定的な活用を図ってまいりたいと考えております。これらの方策を進めることにより、今後とも市民に親しまれるスポーツアイランドの実現に努めてまいります。 魅力ある
まちづくりについてでございますが、内外のビジターを誘致するためには、大阪ならではの魅力づくりを進めることが重要だと思っております。そこで、大阪城-難波宮エリアでは、歴史のロマンあふれる公園整備やイベント開催などについてハード・ソフト両面から基本計画を策定し、エリア全体の魅力向上を図るとともに、道頓堀川においては、遊歩道整備などを中心としたにぎわいの創出や水上ルート開発に向けた環境づくりを進めてまいります。こうした取り組みを通じて、生き生きとした表情豊かなまちの魅力を高めるとともに、それを世界に向けて発信してまいります。 大阪の新たなエリア魅力の開発につきましては、天神橋筋商店街、千日前道具屋筋商店街を中心とするエリアをモデル地区として、ビジターが大阪の市民文化を体験できる観光メニューを開発し、市民とビジターの心温まる交流が生まれております。今後は、モデル事業の成果やノウハウを生かして、市内の他のエリアにも広げてまいりますとともに、ワールドカップ開催を契機に大阪の多彩なエリア魅力を内外に発信してまいります。 また、商店街が実施する各種のイベント事業を支援するとともに、新年度からは、インターネットを使ったまちの魅力の発信、空き店舗を活用した街かどギャラリーの展開など、さまざまなソフト事業に対する補助や、これらの事業をコーディネートする人材の派遣を内容とする「大阪元気 商店街創出事業」を実施し、商店街の新たな魅力の創出とにぎわいづくりにつなげてまいります。 さらに、ビジターに利用しやすい
まちづくりとして、ワールドカップ期間中は、総合案内本部を中心に言語トラブルの問い合わせに多言語で応じることができるようにいたしますほか、4月から5カ所の観光案内所で、英語に加えてハングルや中国語など多言語による案内体制を整えます。また、公共交通機関へのスムーズな誘導など案内の充実を図ります。さらに、新年度から観光タクシー制度の立ち上げを支援し、そのコース設定に際しては、商店街での買い物を組み込むなど商店街の振興につながるよう取り組んでまいります。 人権施策についてでございますが、議員御指摘のとおり、国においては、人権の擁護に資するため「人権教育及び人権啓発の推進に関する法律」が施行され、さらに人権擁護推進審議会の答申を受け、今通常国会に「人権擁護法案」が提出される予定です。本市におきましても、人権行政基本方針を策定するとともに、人権施策推進本部を設置し、同和問題や外国籍住民、女性、子供をめぐる問題等、さまざまな人権課題に全庁的に取り組んでいるところです。今後は、広がりのある人権課題に対して、基本方針を踏まえた具体的な施策をより積極的に推進していくことが重要であり、同和問題解決のための施策を初め、総合的な人権行政を一層推進してまいります。 さらに、市民に身近な窓口である区役所に人権に係る相談窓口を整備するとともに、これまで本市が設置してきた専門相談機関、国・府の機関やNPO等とのネットワークを構築し、あらゆる人権に係る相談体制の確立を図り、また相談内容を施策にフィードバックするなど、さまざまな人権課題の解決に向けた取り組みを積極的に進め、一人一人の人権が尊重される「国際人権都市大阪」の実現を目指してまいります。 男女共同参画施策についてでございますが、本市では、男性も女性も性別にかかわりなく、それぞれの生き方を尊重しながら生き生きと生活し、個性と能力を十分に発揮できる社会の実現に向け、より一層の取り組みが必要であると考えております。男女共同参画施策は本市すべての施策にかかわるわけですが、条例の制定は行政・市民・事業者の責務を明らかにし、互いに連携・協力してその促進を図ろうとするものであります。今後、男女共同参画懇話会からの意見具申や市民意見、大阪市の地域特性を踏まえまして、施策の推進に実効ある条例を平成14年度のなるべく早期に制定してまいりたいと考えております。 ドメスティック・バイオレンスは、女性の人権を脅かす深刻な問題として早急に施策を講じることが必要な課題であり、被害女性の保護と自立支援に向けて、関係機関と連携した臨機応変な対応が必要であると考えております。平成14年度には一層の市民啓発を図るとともに、緊急一時保護を拡充し、クレオ大阪でのDV専門相談の実施等、関係機関とのネットワークを強化させていきたいと考えております。また、DVの起こる背景、被害者支援のあり方、加害男性の意識改革に向けた働きかけについても調査・研究を進めてまいります。 子育て支援についてでございますが、待機児の解消は仕事と子育ての両立支援の重要な柱として、大幅な入所枠の拡大を図ってまいりましたが、区域によっては待機児の解消は依然として厳しい状況にあります。その一方、入所児童だけでなく、子育て層全体の保育所への期待感も高く、保育所地域子育て支援センター事業や育児相談、さらに一時保育などの利用は年々増加しており、核家族化や都市化を背景とした子育ての困難さをあらわしています。したがいまして、保育所施策としては、ニーズの高い低年齢児の入所枠の拡大に向けた駅前のビル等の活用による分園設置など創意工夫を凝らし、引き続き待機児の解消に努めますとともに、家庭養育の親子を対象とした地域子育て支援センターの拡充など、多様な保育の実現を図ってまいります。 また、子育て支援は保育所だけで完結できるものではなく、例えば昨年10月から全区におきまして本格実施しているファミリーサポート事業や、すべての小学校で実施している児童いきいき放課後事業も校下の実行委員会で運営されており、地域ぐるみの子育て支援が図れるコミュニティーづくりを推進しているところです。児童虐待防止の取り組みにつきましても、身近な地域レベルでの市民参加による子育て支援の安全ネットとして、ぜひとも成功させたいと存じます。今後とも、さまざまな子育て支援策を通じまして、生活魅力都市大阪のあすを担う子供の健全育成に取り組んでまいります。 完全学校週5日制につきましては、後刻、教育委員会よりお答え申し上げます。 青少年の健全育成についてでございますが、学校体育施設開放事業につきましては、地域振興会、体育指導委員、PTAなどで構成される運営委員会により、地域の実情に合わせた利用団体の調整が行われております。本市としては、地域住民が主体的に設立・運営する総合型地域スポーツクラブの育成も視野に入れ、子供同士や親子でも気軽に参加できるスポーツ・レクリエーション活動を実施されるよう、運営委員会の理解と協力を求めてまいります。 また、学校施設等を活用した事業をより充実していくとともに、平成13年度から新たに「ふれあいツアー事業」を実施するなど、子供にかかわる次代の指導者育成に取り組んでおります。さらに、各区の青少年育成推進会議のもと家庭・学校・地域の連携を図り、子供の健全育成や安全確保に向けた取り組みを進め、子供を見守るネットワークづくりの拡充に努めてまいります。今後とも、教育委員会と十分な連携を図り、完全学校週5日制が子供の健やかな成長に生かされるよう、引き続き青少年の健全育成に努めてまいります。 高齢者施策についてでございますが、介護保険制度は国民健康保険制度創設以来の大改革であり、その創設に当たっては、本市としても全力を挙げて取り組み、市民の理解と協力を得て円滑な導入を図ることができたと考えています。介護サービス提供事業者数や給付実績についても、導入当初と比較して着実に増加するなど、おおむね順調に推移しており、特別養護老人ホームなどの介護基盤についても、高齢者保健福祉計画に基づき鋭意整備を図っております。 計画の見直しに当たっては、要介護認定を受けながら介護サービスを利用しておられない方についての分析など、これまでの給付実績の評価を十分に行いながら、より一層高齢者のニーズにこたえてまいります。また、サービスの質の向上のため、介護支援専門員に対する研修や居宅介護支援事業者連絡会の活動支援を行ってきました。平成14年度には「(仮称)
社会福祉研修・情報センター」を開設し、社会福祉に従事する職員等の研修を充実させます。 痴呆性高齢者については、これまでも痴呆性高齢者が受け入れられるよう特別養護老人ホームの整備など各種施策を実施してきましたが、来年度、各区在宅サービスセンターに痴呆性高齢者支援員を配置し、その機能を強化し、関係機関との連携により痴呆性高齢者やその家族等の相談や継続的な見守り支援等を行い、保健・医療・福祉の総合的な支援体制づくりを行います。今後とも、高齢者が人間としての尊厳を保ち自立した生活を送れるよう、本人の意思や心身の状況等に応じた総合的な支援に努めてまいります。 障害者支援施策についてでございますが、平成14年度を目標年度とした大阪市障害者支援プランに基づいて推進しております。障害者支援プランの進捗状況につきましては、各施策において差もありますが、計画年度内には数値目標をほぼ達成できる見込みであります。新「障害者支援計画」の策定に当たっては、国の動向も視野に入れ、
まちづくりや住宅の確保、就労など、障害者の新たなニーズに対応できるよう、障害がある人の意見も伺い、次期計画を策定してまいります。 介護など福祉サービスの提供につきましては、障害者福祉が一層図れるよう、養成研修などを通じNPO法人や民間事業者等の育成を図り、サービスの質の向上とサービスの選択ができるよう基盤整備を図ってまいります。 これまで地域に根差した取り組みを行ってきた障害者福祉作業センター等につきましては、運営の安定を図るため、社会福祉法人化を進め、小規模通所授産施設への移行を促進してまいります。障害がある人が社会経済活動に参加し地域で安心して暮らせるよう、引き続き障害者施策の推進に努めてまいります。 中小企業対策についてでございますが、現在の厳しい経営環境にかんがみ、来年度 5,100億円の融資枠を確保し、制度融資全般の利率を引き下げます。また、大型倒産や金融機関などの破綻により、健全な中小企業までが経営に行き詰まることがないよう中小企業経営支援特別融資を継続して実施し、経営安定対策資金融資の要件を緩和するなど中小企業の資金調達の円滑化に一層努めてまいります。 次に、経済活動の基盤であるものづくり産業が発展していくためには、中小企業が持つ技術を生かして、環境や福祉といった成長分野へ進出できるよう支援していくことが重要と考えております。このため技術面では、工業研究所において環境にやさしい先進材料の研究開発に取り組むとともに、新たに設置する「創業支援ラボ」においても中小企業の新分野への進出を支援してまいります。また、大阪産業創造館において、産学が共同で取り組む環境ビジネスの立ち上げを推進するとともに、ATCエイジレスセンターでは、高齢者向けの新製品開発や販売促進の支援に一層力を入れてまいります。 さらに、新製品・新商品の開発には、高度な技術だけでなく、生産現場を支える技能を持った人材が必要であります。本市では長年の経験とすぐれた技能を持つ技能功労者を表彰してまいりましたが、技能者の一層の地位向上や技能継承の活動を担っていただく観点から「マイスターの認証制度」の創設を今後進めてまいりたいと考えております。 来年度に策定する「ものづくり再生プラン」につきましては、新分野進出支援策の充実やものづくり技能の継承・発展といった観点も含め検討を行い、大阪経済の基盤である中小企業の活性化に積極的に取り組んでまいります。 ホームレス対策についてでございますが、本市におきましては、全市域でホームレスのニーズを把握し、医療、福祉の相談・援助などを行う巡回相談を初め、就労自立を支援する自立支援センターや、公園の適正化を図るための仮設一時避難所の設置など、全国に先駆けて各種事業に取り組んでおります。来年度には、巡回相談員の大幅な増員を図るとともに、新たに自立支援センター3カ所と、大阪城公園に仮設一時避難所を開設して、ホームレスの自立支援に努めてまいります。 また、公共職業安定所や大阪府、NPO等と連携してホームレスの就労による自立に取り組んでおり、今後とも、求人・求職の開拓や雇用創出について関係機関等に一層の協力を求めてまいります。さらに、ホームレスに対応した支援施設や多様な就労先の確保などについて、民主・民友議員団の提言も踏まえながら、より積極的に取り組み、計画的・効果的な対策を推進してまいります。 いずれにいたしましても、国の責務の明確化、全国規模での自立支援事業の実施、地方公共団体が行う緊急対策への国の財政措置、道路・公園等公共施設の管理規定の強化などを柱とする特別法の制定が必要であり、引き続き要望を重ね、ホームレス問題の一日も早い解決に向けて全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。 雇用施策についてでございますが、本市では地域の実情に応じた雇用施策を講じることにより、一人一人の個性や能力を生かした職業生活を実現するため、経済の活性化を図り、就労機会を創出することが必要であると考えております。 まず、中小企業など既存産業の強化とベンチャー企業を初めとする新産業の創造を支援するため、「地域新産業創造プロジェクト」などの事業を積極的に展開し、大阪経済の活性化を図ることにより雇用の確保・創出につなげてまいります。 また、雇用のミスマッチを解消するため労働と職業の相談窓口を開設し、きめの細かい相談事業を実施しますとともに、ホームページや情報誌によりまして、労働・職業情報を幅広く市民に提供してまいりたいと考えております。 さらに、障害者や高齢者など、就職に際し困難な課題を抱える人たちへの福祉施策などを活用した就労支援事業を実施いたしますとともに、特に、国の緊急地域雇用創出特別基金を活用した事業につきましては、厳しい雇用環境にある中高年齢者等の雇用につながるような事業の充実に努めてまいります。 なお、総合的・効果的な雇用施策を推進するために、全庁的な推進体制として「大阪市雇用施策推進本部」を2月25日に設置いたしました。今後は、この推進本部体制のもと、本市の雇用施策を総合的に推進してまいります。 安全な
まちづくりについてでございますが、戦後、日本は諸外国に比べ安全な国として自他ともに認められていました。しかし近年は、その安全神話も崩れ、大阪の犯罪件数の増加は極めて深刻で、市民生活に大きな不安を与えています。市民の多くは犯罪の増加状況は認識しているものの、自分だけは大丈夫という安心感を持っているのではないかと思われます。そうした市民の危機感の希薄さが、犯罪被害の増加の一因ともなっています。 そのため、議員御指摘のとおり、市民一人一人が犯罪に対する危機感を持ち、被害に遭わないように自身で努力するとともに、地域ぐるみで子供たちを守り犯罪をなくしていこうという取り組みを展開することが必要であり、本市といたしましても、こうした市民の取り組みに積極的に支援を行い、官民一体となって防犯活動を進めていかなければならないと考えております。また、犯罪が発生しやすい場所の解消につきましては、道路照明灯の整備や公園灯の増設を行い、犯罪防止に配慮した都市環境づくりに努めてまいります。 本市では、市としても犯罪を許さない、市全体で犯罪防止に取り組むために条例を制定いたしますとともに、防犯施策を総合的・計画的に進めてまいりますために、4月に有識者や市民代表による「安全な
まちづくり有識者懇話会」を設置し、今秋をめどに「安全な
まちづくり基本計画」を策定してまいります。そして、基本計画に基づきまして、安全な
まちづくりに対する情報提供や意識啓発を積極的に行いますとともに、市、警察、市民、関係機関による「安全な
まちづくり推進協議会」を設置し、これらが一体となって施策を展開して、市民が安全で安心して暮らせる
まちづくりの推進に努めてまいります。以上でございます。よろしくお願い申し上げます。
○副議長(村尾しげ子君) 玉井教育長。 (教育長玉井由夫君登壇)
◎教育長(玉井由夫君) 完全学校週5日制についてお答え申し上げます。 新教育課程では、みずから学び考える力を身につけることを重視し、基礎・基本の確実な定着と思考力・判断力などの育成を目指しております。そこで、学習内容を精選し、授業時間の弾力化等を活用した「読み・書き・計算」の反復練習や、きめ細やかな指導など、基礎・基本を確実に習得できるよう各学校を指導いたしてまいります。さらに、校内の授業だけでなく、「Let's goプラン」で本市のさまざまな社会教育施設等を活用して学習活動を行い、学力の充実を図ってまいります。 次に、学校・家庭・地域の連携につきましては、これらが一体となった総合的な教育力により子供の成長をはぐくむことが重要であります。そこで、学校・家庭・地域の教育力を高めるため、平成14年度に小学校区を単位とした小学校区教育協議会「はぐくみネット」の調査研究校を10校程度指定し、地域がさまざまな形で学校教育に対し支援するとともに、人々が子供のために力を出し合い、大阪の未来を担う「なにわっ子」をはぐくむコミュニティーづくりを、子供の意見も反映しながら推進してまいります。以上でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
○副議長(村尾しげ子君) お諮りいたします。この際、暫時休憩することに決して御異議ありませんか。 (「異議なし」と呼ぶ者あり)
○副議長(村尾しげ子君) 御異議なしと認めます。よって暫時休憩いたします。 午後2時20分休憩 午後3時5分再開
○議長(大丸昭典君) これより休憩前に引き続き会議を開きます。
○議長(大丸昭典君) 河本正弘君の質疑を許します。 50番河本正弘君。 (50番河本正弘君登壇)
◆50番(河本正弘君) 私は公明党大阪市会議員団を代表いたしまして、今回上程されています平成14年度大阪市予算並びに予算関連諸案件について質問させていただきます。 先日ホームページを見ていると、「原始東京都庁=巨大恐竜」、「都庁7つの大罪」というタイトルが目に入ってきました。ショッキングなタイトルに引かれて中身を検索すると、「7つの大罪」とは、第1に「伝言ゲームの罪」、つまり情報化されず組織が伝言で動く罪です。第2に「完全縦割り=たこつぼの罪」。第3に「すべてが遅いの罪」。第4に「会議が仕事の罪」。第5に「コスト意識欠落の罪」。第6に「職員の意欲をなくさせている罪」。第7に「顧客つまり市民の側を向いていない罪」といった内容です。 かなり手厳しい内容で、都庁に批判的な勢力のホームページかと一瞬思いましたが、都庁みずからが作成したホームページでした。「7つの大罪」を克服しなければ環境の変化に対応できず、消滅した巨大恐竜のように東京も消滅せざるを得ないという危機感があふれたものでした。ホームページを見ながら、他人事ではない、私たち大阪市も時代の状況に迅速に対応しなければ、21世紀の大阪市政は恐竜と同じ運命を歩みかねないと感じました。 20世紀が国家の世紀とするならば、21世紀は都市の世紀と言われています。ある意味では厳しい都市間競争の時代であり、その中で勝ち抜くには、磯村市長が強調されている大阪の「比較優位」を「圧倒的優位」にまで引き上げることが必要です。つまり、時代を見る先見性のもと、施策、事業の優先順位・重点化を図ることです。そのために重要なのは戦略であり、リーダーシップです。しかし、残念ながら時代と環境の激変の中で、20世紀後半の本市行政は、戦略なき課題対応型の後追い行政の色彩が濃厚であったことは否めません。 磯村市長は年頭のあいさつで、「21世紀のモデル都市・大阪」の実現を呼びかけられました。それはまさに、未来を見据えた新たなる創造都市の建設ではないでしょうか。「創造」をキーワードに、私は7つの視点から質問と提案を行いたいと思います。 まずは、都市の創造です。最も戦略性を持ち、未来への重点的投資が必要な分野です。 天下の台所を謳歌した大阪は、明治初期、人口は40万人から26万人へと衰退しました。しかし、磯村市長が時代の変わり目に大阪は華麗に変身したと指摘されているように、不死鳥のようによみがえりました。紡績を先導役に、そして重化学工業を機関車役にして、昭和12年、1937年までは、大阪は東京を抑えて工業生産高では全国第1位であり、人口も 245万人と日本一の大都市に発展しました。戦後の混乱期も、繊維、家電、鉄鋼、造船といった重厚長大型産業が先導役となり見事に復活したものの、こうした産業の衰退、情報の東京一極集中の中で、大阪の地盤沈下はとどまらない現状です。 その要因は、産業政策が総花的で、地域経済を牽引する産業を戦略的に生み出せなかったことが原因であると考えられます。戦略をもって先を読み、未来に投資していくことが必要であり、例えば、ITやバイオだけではなく都市の静脈産業として重要な環境産業など、今後の経済成長や雇用を担う分野の振興に予算と施策を集中させ、競争力のある新たなリーディング産業を育てなければなりません。 また、ものづくり重視と言っても、世界との競争に勝ち残る強い産業集積の形成が必要です。そのためには、大学が持つ技術などの知的資源を最大限に活用するなど、競争力の源泉である技術力強化の仕組みづくりが不可欠であります。例えば、遊休地を活用できる臨海部において、市立大学を中心に工業研究所、環境科学研究所、バイオサイエンス研究所などと共同して、バイオやナノ、環境などの先端技術共同研究センターを立地させ、地域の魅力づけを行い、多様な研究機関や企業が集積する開発研究の一大拠点を形成することが求められます。 また、誘導策についても、民間の研究機関や企業に対する税財政上の優遇措置を行う「研究開発誘導地区」のような考え方を導入する必要もあります。そこで開発された技術を、大阪市の東部などに集積する中小製造業のものづくりの技術力の強化や、都心部におけるITなどの新しい産業の創出に波及させ、大阪市を科学技術立都にしていくべきであると考えますが、大阪経済再生に向けた戦略について、市長の御所見をお伺いいたします。 21世紀型都市基盤の中核をなす情報通信戦略も、大きく立ちおくれています。例えば、高速道路のインターチェンジのような役割を果たす、情報通信ネットワークのかなめであるIX、インターネット・エクスチェンジは東京に一極集中し、ことしに入ってやっとNTT系とKDDI系の有力IXが大阪に進出したものの、その情報量は東京とは比較になりません。情報インフラの創造はまさに未来への投資であり、一刻の猶予も許されません。 確かに、光ファイバーの幹線網については一定整備されているようですが、事業所や住宅などへの「ファイバー・トゥ・ザ・ホーム化」は、まだ緒についたばかりです。その結果、都心部においても、古いビルはIT化がおくれており、ビジネス・オフィスの利用としては十分なものとは言えず、空き室が目立つ状況であり、大阪経済の活性化を阻害する1つの要因となっています。 大阪の情報化を推進していくため、ビルの改修時においてIT化などに対するインセンティブ施策の導入や、家庭における光ファイバーの整備促進など、来るべき高度情報通信社会に対応した基盤整備の戦略と、各局が一丸となった推進体制が必要であると思いますが、市長の御所見をお伺いいたします。 都市の創造・再生は、新たなるフロンティアの開拓が不可欠であります。大阪の
まちづくりのフロンティアは、これまでベイエリアを中心とした新規開発に重点が置かれてきました。確かに、ベイエリアは大阪にとって貴重な財産であることは言うまでもありません。しかし、都市は既に成熟の時代に入っており、
まちづくりを進めるに当たっては、既存ストックの有効活用、あるいは既成市街地、特に人が住み生活している密集市街地の再生・創造に軸足を置いた取り組みを行う時代を迎えています。大阪市においても、ベイエリアとともに密集市街地をこれからの
まちづくりのフロンティアとして積極的に位置づけ、双眼的な
まちづくりを行うことが大阪に元気を取り戻すための重要なポイントになると思います。 しかし、 3,800ヘクタールに及ぶ広大な密集市街地のすべてを従来の面的な事業手法だけで整備していくことは、財政的にも期間的にも困難なことは明らかであります。そこで、公共投資を有効に使い、民間活力を最大限活用した密集市街地整備手法を、これまでの経験も生かし、関係部局がそれぞれ検討するのではなく、総力を結集した推進体制をつくり、大都市共通の課題の解決策として大阪が全国に先駆けて提案していくことが重要と考えますが、市長、いかがでしょうか。
まちづくりのポイントは、人々が住みたくなるようなまち・魅力ある都市をどう創造するかであります。残念ながら大阪は、暮らしよいまちのランキングでは常に低位であり、その最大の課題は犯罪の発生状況です。近年、大阪における犯罪の発生状況は極めて悪く、大きな社会問題になっています。特に、ひったくりは26年間、自動車の盗難は19年間、それぞれ連続全国第1位で、犯罪総件数においても、昨年東京を抜き、全国第1位という不名誉な記録をつくりました。 都市の再生にはやはり安全なまちが第一条件であり、今回「大阪市安全な
まちづくり条例」を制定し、犯罪防止に向けての取り組みを進めることになりました。安全な
まちづくりを進めるに当たっては、市民への意識啓発を行うとともに、犯罪が起こりにくい都市環境づくりを進めていくことが重要です。特に深刻な問題となっているひったくりや路上強盗、自動車盗難などの対策としては、生活道路の照明灯の間隔を現行60メートルから30メートルにしたり、民間駐車場への防犯設備の設置を補助するなど、犯罪が発生しにくい環境整備が大きな効果をもたらすと考えます。私道の防犯灯の維持管理費の公費負担を含め、市長の御所見をお伺いしたいと思います。 安全という点でさらに重要な問題は防災です。大阪圏においても、南海地震の発生が今後30年以内に40~50%の確率で起きるとの分析が発表されました。阪神・淡路大震災の時にも、被災地と他地域を結ぶ道路や鉄道が寸断され、緊急物資や人員の輸送は海上輸送が重要な役割を果たしました。臨海部に人・物・情報を集積させる基幹的な広域防災拠点を整備する効果は非常に大きいと思います。この防災拠点を在来臨海部に設ければ、内陸のサブ拠点や他地域との河川・海上輸送による連携が可能となり、より安全性の高い防災システムを構築することができます。この基幹的広域防災拠点は、平時には市民の憩いの場や広場、緑地として利用すれば在来臨海部のスポーツ振興、環境改善にも役立つのではないでしょうか。 また、国際集客都市を目指す大阪市にとって、良好な都市景観を形成し、まちの美観を保持することは大変重要なことです。しかし現実には、まちの美観を損ねる張り紙や立て看板、のぼりなどの広告物が氾濫しています。このような違反広告物に対する抜本的な解決策として、大阪市
屋外広告物条例の改正案が本市会に提出されています。その内容を見ると、他の都市の条例や対策と比較しても非常に先進的かつ画期的な内容となっています。しかし、画期的な条例も、具体的な施策を有効活用し、積極的に展開していかなければ、絵にかいたもちに終わりかねません。ぜひともこの条例を有効に活用し、違反広告物解消に向けた市長の決意をお伺いいたします。 第2の問題は、今、喫緊の課題としての雇用問題です。 雇用の創出、まさにそれが現在の大きな課題です。総務省から初めて公表された平成13年の都道府県別完全失業率によりますと、大阪府は 7.2%と沖縄県に次いで全国2番目の高さという非常に厳しい状況になっています。雇用問題は経済の活性化と表裏一体であり、基本的に行政の役割に一定の限界があることは十分承知しています。しかし今は緊急事態です。大阪市としても積極的に雇用施策を行うべきであると考えます。そこでまず、今回取りまとめられた約97億円の雇用施策推進予算のうち、緊急地域雇用創出特別基金を有効に活用していくことが必要であると考えます。平成11年度から実施された緊急地域雇用特別基金についての事業効果なども踏まえ、どのような雇用創出効果を考えておられるのでしょうか。 さらに今回、雇用施策の全庁的な推進本部を先週立ち上げたと聞いています。今後、推進本部において、どのような方向で雇用施策を推進していこうとされているのか。雇用創出手法としては、例えば、本市の事業実施に当たっては、外郭団体に委託している事業の中で民間企業に委託すべきものは委託する、またNPOとの協働を図るべきものはないかなど、事業内容をきめ細かく精査し、雇用創出に努めるべきと考えます。今や雇用問題は、社会問題だけではなく治安問題になりかねません。その危機意識を踏まえ、市長の御所見をお伺いするものです。 第3に、芸術文化と平和の創造です。 21世紀の都市の創造や活性化は、ハードの
まちづくりや経済だけでは、市長が強調されるモデル都市とはなり得ません。紀元前、経済の実利に徹して地中海を支配したカルタゴは、国の滅亡とともに消滅しました。一方、文化の華が咲いたアテネ、ローマは、今日の文明の中に息づいています。大都市には、文化・芸術などの風格とも言うべき都市格が重要です。芸術文化は人々の創造性をはぐくみ、表現力を高め、多様性を尊重する社会をつくります。 芸術文化の創造に対し、「金のない時に文化もない」と言う人もいます。しかしそうでしょうか。1930年代、大恐慌から脱出するためアメリカは、ニューディール政策においてTVAなどの大規模公共事業とともに、もう1つの大きな柱として、文化芸術政策を強力に推進しました。美術、音楽、芸術などの5つのプロジェクトを設け、政府が直接芸術家を雇用するなど、あの大恐慌の中で徹底した文化芸術政策を遂行したのです。その結果、大きな雇用創出効果を生み、第2次大戦後は芸術の中心がパリからニューヨークへ移り、ブロードウェーのミュージカルが今日の繁栄を示し、西海岸ではハリウッドが巨大映画産業都市に成長していく基礎になったと言われています。 残念ながら、大阪市の平成14年度主要事業の概要によれば、文化の振興に約28億円、これは一般会計の0.15%でしかありません。昨年11月末の国会で「文化芸術振興基本法」が成立しました。文化に対する政府の姿勢はこれまで不鮮明でありましたが、この法律によって、「国は文化芸術の振興に関する施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する」と明確に規定されたことは、大変意義深いことであります。文化芸術振興基本法第4条では、国だけではなく地方公共団体の責務として、文化・芸術振興に関し自主的かつ主体的に施策を策定し及び実施する旨、規定されています。大阪市はこの法の精神を受け、どのような方針で今後、芸術文化の振興に取り組んでいくのか、また具体的方針として「文化芸術振興基本条例」の制定も考えるべきであると思いますが、市長の御所見をお伺いいたします。 文化芸術の創造も、多くの人が集い共有できてこそ、本当の文化になります。そのためには集客の戦略が必要であります。先日発表された「文化集客アクションプラン」案では、観光関連団体の統合による強力な推進体制の確立が挙げられ、観光振興・コンベンション誘致などを総合的に展開するため、社団法人大阪観光協会、社団法人大阪府観光連盟、財団法人大阪コンベンション・ビューローの3団体を統合し、新たな推進主体を組織するとされています。3団体を統合し相互に連携した施策展開を図るのは非常に有意義ではありますが、その規模や機能は、パリなど世界の先進的な観光都市にはほど遠いと言わざるを得ません。将来のあるべき姿を念頭に置きながら、例えば、大阪21世紀協会や関西広域連携協議会、関西国際広報センターなどといった、文化・集客・情報発信の機能を果たす他の団体との一体的機能統合も視野に入れたあり方を検討していくべきであると考えますが、いかがでしょうか。 芸術・文化と言えば、スポーツもやはり人生を豊かにするものであり、スポーツそのものを文化としてとらえる視点が重要です。そのような視点を踏まえ、市民のスポーツ振興、競技力の向上、国際競技大会の誘致など、それぞれの分野で大きな柱となる施策を打ち出していく必要があるとともに、その施策を実効性あるものにするには、スポーツ関連外郭団体、競技団体等の役割・機能の明確化が必要ではないでしょうか。 さらに、国際競技大会の招致については、ことしのワールドカップ、来年の世界柔道選手権、それ以降の展望がありません。世界から注目を浴びる大会である世界陸上選手権は、2005年あるいは北京オリンピックの前年の2007年の開催地がまだ決定していません。ぜひ大阪への誘致を検討してはいかがでしょうか。 次に、平和の創造についてお尋ねいたします。 二度の世界大戦や東西の冷戦など、20世紀は結局「戦争の世紀」であったと言わざるを得ません。私たちは、21世紀こそ「平和の世紀」へ創造していかなくてはなりません。最近の国際情勢を見ていると、残念ながら平和への道のりはいまだ厳しいものがあります。このような時にこそ、国連機関、各国政府、NGOなど、幅広い対話を中心とした平和への取り組みが必要であると考えられます。NGOを中心に、軍縮や非核をテーマとした国際的な会議を大阪に誘致することは、スポーツを通じて世界平和の実現に貢献しようとするオリンピック精神にかなうものであります。オリンピックムーブメントの継承を掲げられている磯村市長の御見解をお伺いするものでございます。 第4に、福祉・安全ネットなど、くらしの創造です。 市長はかねてより、ひとが輝く「生活魅力都市大阪」を目指すと表明されてきました。21世紀を迎えて人がさらに輝くため、大阪に住む市民の暮らしを創造していくことが重要です。14年度の予算では、税収動向が厳しく、一般会計の歳出が全体としてマイナス 4.6%と抑制基調にある中、公明党など与党の申し入れを受け、乳幼児医療の通院無料化を就学前6歳児まで拡大するなど、健康福祉費の予算についてはプラス3%、予算全体の約30%と、市民の暮らしに目を向けておられることは評価に値すると考えています。
少子高齢社会への対応など、暮らしに関する課題は数多くありますが、まず、女性の社会進出の中で大きな課題となっている保育所待機児童問題についてお尋ねいたします。市長は昨年の予算市会で、保育所待機児童の解消は保育施策の最重要課題と位置づけ平成13年度末までに解消を図るべく強い決意で取り組むと言明され、この間、駅前保育所など定員枠の拡大を図ってこられました。しかし残念ながら、ことしも数百名を超える待機児童の発生が予想されています。市長はこの状況をどのように認識しておられるのでしょうか。また、今までの手法では限界があり、昨年の我が党の代表質問でも提案した遊休資産を活用した施設整備など、もっと大胆な施策を検討すべきであると思いますが、市長の御所見をお伺いいたします。 一方、高齢者施策では、介護保険と福祉の役割が車の両輪です。介護保険制度が実施されてまもなく3年目に入ろうとしていますが、以前から我々が指摘してきた課題が、より鮮明になってきています。まず、介護保険の利用者が予想を下回っている状況にあり、今後さらに、保険料や利用料のあり方について議論が必要であります。また、現在の介護保険サービスだけでは高齢者のニーズにこたえられず、福祉サービスの充実などが必要です。また、施設サービスと在宅サービスの需給バランスの格差が問題です。やはり現実には施設志向が圧倒的に強く、在宅サービスの魅力を高める施策の柱が必要ではないでしょうか。新しい高齢者保健福祉計画、介護保険事業計画の策定に当たり、こうした課題に対しての市長の御所見をお伺いいたします。 障害者施策については、現行の障害者支援プランは平成14年度が最終目標年度となっており、引き続き新しい計画を策定することになっています。障害者を持つ保護者からは、親亡き後の我が子への不安の声をよく聞きます。障害者施策は就労の問題が重要であり、ライフステージに応じたきめ細かな施策が必要であると考えます。新しい計画を策定するに当たり、市長の御見解をお伺いいたします。 次に、交通バリアフリーの推進についてお尋ねいたします。高齢者や障害者の社会参加は、21世紀の
まちづくりに必要不可欠なものとなっています。平成12年11月「交通バリアフリー法」が施行され、鉄道駅だけではなくその周辺地域も合わせて、車いすや視聴覚障害者が自由に行動できるバリアフリー化を進めることが必要とされています。本市は駅の数が非常に多く、2010年をおおむねの目標とした限られた時間の中で、効率的かつ着実な事業の実施を図るためには、適切な体制づくりと基本構想を策定する地区選定の基準が重要であると考えます。特に鶴橋駅など主要なターミナルについては、早期にバリアフリー化に取り組むべきだと思いますが、市長の御所見をお伺いいたします。 第5に、人の創造です。 都市の創造、21世紀のモデル都市と言っても、ポイントは21世紀を担う人材の創造です。そのかぎは教育です。価値観の多様化の中で、文部科学省もギアを改革に切りかえようとしています。しかし本市の教育行政は、まだギアチェンジにためらいがある印象を受けます。ギアチェンジの1つの視点として、結果平等主義から機会平等主義への転換が提唱されています。 学級崩壊、いじめ、不登校、中途退学など、さまざまな課題が山積する中、学校週5日制がいよいよ4月から完全実施されます。これに対し、公私間の学校・学力格差や地域での教育力への不安も提起されています。問題は、子供たちに生きる力をどうはぐくむかです。全国各地でさまざまな改革案が提起されていますが、中央教育審議会での議論や答申を踏まえ、まず通学区域の弾力化による学校選択制、また、昨年3月の予算市会で玉井教育長が13年度中に方向性を示すと約束された「中高一貫教育制度」については、国の補助金も16年4月設置分までが対象です。16年4月までに設置すべきだと思います。教育委員会としての現時点でのそれぞれの見解を示していただきたいと思います。また、本市高等学校で一部実施されている「年2学期制」について、小中学校で導入するお考えはあるのかどうか、御見解を伺うものです。 国際集客都市を目指す大阪市においては、世界へ大阪をアピールするため、将来を支える子供たちへの英語教育を充実させる必要があります。使える英語、話せる英語を目指し、小中高を通した一貫性のある英語教育のプログラムを確立することが必要であり、その環境づくりが大切であると考えています。この点についても教育委員会の御見解をお伺いするものです。 第6に、市役所自身の自己改革、創造です。 ここまで、都市・産業の創造を初め、文化・平和、雇用、暮らし、そして教育など、21世紀の大阪の再生、創造に関し、さまざまな提案をしてまいりましたが、やはりその担い手である市役所自身の組織・事業の再生、創造が伴わなくては、21世紀のモデル都市を構築することは不可能です。 日本のリーディング都市として、都市経営・都市政策の牽引役となってきた大阪の地盤沈下の責任は、私たち議会も共有しなければなりませんが、市役所総体として20世紀の負の遺産を清算し、21世紀にふさわしい仕組みを考える必要に迫られています。財政状況が極めて厳しい中、まずは本市のすべての事業を見直し、費用対効果、市民サービスの効率的な提供、総花的なフルセット型から戦略的な独自性・個性追求型の施策を展開することが必要です。 その1つの手法として、12年度から試行的に事業評価システムが導入されています。単なる職場の改善運動に終わらせることなく、政策の達成度をチェックし、不要な事業については見直しを行う評価システムとして機能させることが必要であります。そのためには、事業局による自己評価だけではなく、当然、第三者的評価をシステムにビルトインすることが必要と考えます。 また、大規模事業についてマーケットリサーチを行い、事業の必要性や効果を事前に点検する「大規模事業評価」の導入が極めて重要であると考えます。13年度からモデル実施として外部委員会を設置し、事前評価の取り組みを近代美術館を対象に行っていますが、15年度からの本格実施においては、事業の選定基準を定め、その基準に従って、市民生活に多大な影響を与える事業を選択していくことが重要と考えます。 さらに、施設の建設と財政圧迫の大きな要因となっている施設の維持管理について、コスト縮減を図りながら多様化する市民ニーズに的確かつ効率的に対応していく手法として、PFIが注目をされています。PFIは施設の建設から運営までをより包括的に民間にゆだね、契約において発生するリスクを官民で適切に分担するなど、民間のノウハウ等を活用して良質で低廉な公共サービスの提供を目指す新たな事業手法であります。 平成11年7月にPFI法が制定され、他の自治体では既に事業化も始まっています。昨年3月に策定された本市の新「
行財政改革計画」においても、PFIの導入の検討を明記していますが、いまだ具体的な事例がないばかりか、指針さえもありません。PFIは新しい手法であり、導入に際して問題が内在しているかもしれませんが、早急に導入をすべきではないでしょうか。関係する部局から成るプロジェクト的な推進体制を直ちに立ち上げ、積極的に取り組むべきであります。効率的かつ効果的な行政運営を進める観点から、本市におけるPFIへの取り組みに対する市長の見解をお伺いするものです。 平成13年3月に策定された新「
行財政改革計画」では、外郭団体の見直しについて、13年度中に具体的な見直し事項を決定し統廃合の数値目標を設定して取り組むことを明らかにしています。具体的な内容を明確にしていただきたいと思います。また、外郭団体への委託料は平成12年度決算で実に 1,100億円を超える膨大な額に上っており、外郭団体の統廃合だけではなく、委託料についても見直すべきであると考えます。委託料の削減も視野に置き、全面的に調査し、洗い直し、民間やNPOへの委託も含め、最も効率的なあり方を検討すべきではないでしょうか。 次に、人事制度です。 昨年12月末に、国において「国家公務員制度の抜本的改革の大綱」が発表され、この改革を通して行政のあり方自体の変革を目指すものとなっています。具体的には、能力等級を基礎とした新任用・給与制度の確立、新評価制度の導入及び組織目標の設定を初め、民間からの人材の確保や適正な再就職ルールの確立などが示されています。スケジュールとしては、平成18年度をめどに新たな制度に移行することを目指し、平成15年中に改正法案を提出するなどの所要の準備を計画的に進めること、また、地方公務員制度についても、国家公務員制度改革に準じ所要の改革を行うこととされています。 本市においても、職員の持つ能力を最大限に活用することが喫緊の課題であり、そのためには人事制度全般にわたり大胆に改革していく必要があります。とりわけ人事評価制度は、従来の減点主義ではなく、職員が失敗を恐れることなく新しいことに積極的にチャレンジしていく姿勢を高く評価するといったことを基本に据えた評価制度に転換すべきであります。 また国においては、行政内外から重要政策の企画・立案等に従事する職員を「国家戦略スタッフ」として配置できる仕組みを導入するとしております。同様の観点から、大阪市としても戦略スタッフを民間も含めて導入すべきではないでしょうか。本市における今後の人事制度について、どのような観点から、いかにして改革を進めようと考えておられるのか、市長の御所見をお伺いするものでございます。 次に、企画能力の強化についてお尋ねいたします。 地方分権一括法が施行され、さまざまな新しい政策を打ち出す自治体が出てきており、大阪市においても、都市経営戦略に基づき独自の先進的・先駆的な政策を実施し、都市間競争に勝ち抜いていくことが求められています。そのためには、市長の強力なリーダーシップのもとで、その政策決定を補佐するブレーン機能とともに、決定された施策を着実に実施できるよう全市的に調整する機能を充実する必要がありますが、現実には、冒頭にも指摘しましたように、戦略なき課題対応型の後追い行政となった嫌いがあります。 斬新な政策で全国の自治体の先駆けとなるような政策を推進し、我が国の都市行政をリードしていくためには、現在の市全体の企画調整システムを見直し、局の枠組みにとらわれない柔軟な発想で政策を立案し各局の企画部門との連携を図りながら実施していく、戦略スタッフを備えた参謀本部のような部門を新たに整備すべきではないかと考えますが、市長の御所見をお伺いいたします。 市の組織機構に関連し、先日、経済界の一部から、関西活性化のために大阪市と大阪府を統合し「大阪州」を設立すべきとする提言が発表されました。提言の内容は、大阪市を廃止して大阪州に合併させようとするものであり、市町村を中心とした地方分権の基本的な考え方からすれば明らかに逆行しており、また、首長や議会を一元化することによる憲法上の問題もはらんでいるなど、地方分権時代の自治体のあり方とは全く異なっていると思います。 また、提言によれば、大阪市の人口の昼間流入比率が全国一高く、経済活動においても大阪市と周辺諸都市の結びつきが強いことなどから、大阪市域に限定されず同一の経済圏を構成する周辺諸都市を一体としてとらえた行政によって、いわば「グレーター大阪」としての広域大阪都市圏を形成していく必要性が挙げられており、府市合併を行う理由の1つとなっています。確かに、本市と周辺都市がより一層の連携のもと、都市行政を行っていく必要はありますが、そのことがなぜ短絡的に府市の合併という結論に結びつくのかは極めて不可解であります。 本市は、例えば、八尾市との間に行政協定を締結しており、ごみの共同処理や地下鉄の延伸等で成果を上げてきているほか、隣接する都市との間で行政上の問題を解決するための組織として「大阪市隣接都市協議会」を設置して、毎年共同で研究を行うなど、具体的な蓄積を行ってきております。こうした組織を積極的に活用することにより、一層の広域連携を図ることが現実的ではないでしょうか。 また、さらに具体的に広域行政を進めるためには、地方公共団体が広域計画に基づき多角的な事務処理を行う仕組みである「広域連合」などの制度の活用も広く検討していくべきであります。こうした課題を研究していくため、学識経験者などもまじえた機関を早急に設置すべきであると考えますが、市長の御所見をお伺いするものです。 以上私は、「創造」をキーワードに、磯村市長御提案の平成14年度大阪市
予算案並びに予算関連諸案件に対しまして、公明党大阪市会議員団としての提言を行いつつ質問をしてまいりました。市長の前向きな御答弁をお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。
○議長(大丸昭典君) 理事者の答弁を許します。 磯村市長。 (市長磯村隆文君登壇)
◎市長(磯村隆文君) ただいまの河本議員の御質問に対しましてお答えを申し上げます。 大阪経済再生に向けた戦略についてでございますが、これまでの国際集客都市づくりの成果などに立って、国内外の知恵や技術が交流・融合し、新しいビジネスや強い競争力を持った元気な企業が生まれるまち「ビジネス創成都市」を目指してまいります。 大学などの持つ技術を産業に生かし、ものづくり機能の強化を図る観点から、工業研究所が持つ技術や設備機器などを中小企業の新たな事業分野への進出や創業の支援に活用するため、所内に「創業支援ラボ」を設置いたしますほか、市立大学において、産学連携を本格的に推進するためキャンパス内にインキュベータを開設し、教員の専門知識を活用してベンチャー企業の育成に努めてまいります。 また、産業創造館において、産学官の共同研究を事業化に結びつけるためコーディネーターを配置するとともに、技術移転機関である大阪TLOを通じて、大学の研究成果を特許化し民間への移転を進めてまいります。さらに、成長産業の市内への立地を促すため、新たに設ける賃料助成制度を活用し、経済界と連携協力して企業や研究機関の誘致に積極的に取り組んでまいります。 臨海部に開発研究の一大拠点をつくるという御提案は、テクノポート大阪計画の推進のみならず、市内周辺部に立地する製造業の競争力強化や新しい産業の創出にもつながる貴重な提案であります。今後、次代の都市型産業として注目されている環境関連産業を初め、情報技術、バイオテクノロジー、シルバーマーケットといった分野について、大阪における立地適性を調査いたしますとともに、核となる研究機関については、市立大学等の本市研究機関の活用、国や民間の研究機関の誘致、さらには研究テーマや新たな研究の仕組みづくりも含め検討いたします。 また、誘致策につきましては、大阪府の不動産取得税等の軽減措置の活用や、本市独自の税財政上の優遇策、現在国で研究されている「経済特区」構想など、さまざまな角度から検討してまいります。今後とも大阪の都市魅力や産業の強みを生かして、内外から企業や研究機関の誘致に努め、科学技術を活用したリーディング産業の育成に取り組んでまいります。 情報通信基盤の創造についてでございますが、本市ではこれまで第三セクターを活用し、光ファイバーを中心とする情報通信ネットワークの整備に努めてまいりましたが、今後は、ブロードバンド社会の進展に合わせて、事業所や住宅などへのFTTH化などアクセス網の整備が重要となっております。光ファイバーなど情報通信基盤につきましては、新規の通信事業者の参入を促進し、民間活力により整備されることが期待されます。そのため、平成14年度内に鉄道、下水道管渠や道路などの「公共収容空間の開放の方針」を策定し、すべての通信事業者に対して情報公開してまいります。 さらに、既存ビルのIT化やFTTH化の促進につきましては、船場地区の民間活力によるSOHOビル建設の取り組みなども参考にしながら、IT関連企業の集積や事業所・住宅などのアクセス網整備に係る促進方策など、情報インフラの整備促進についての基本方針を平成14年度内に明らかにしてまいります。また本年4月には、こうした地域情報化をより一層推進するために全庁的な推進本部を設置するとともに、基盤整備に係る部会を立ち上げるなど、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。 新たなフロンティアの創造についてでございますが、本市では、密集市街地整備の今後の取り組み方針や防災性の向上を重点的に図るべき地区を示した「防災
まちづくり計画」を策定し、モデル事業を実施しております。市内に広く連檐する密集市街地を効率的に整備していくには、モデル事業で得られた経験を生かし、必要最小限の公共投資と民間による自主更新の適切な誘導を一体的に進めていく必要があります。 その方策としまして、第1に幹線道路の整備に合わせた沿道の不燃化促進による防災骨格の形成、第2に建築規制の緩和や誘導による老朽住宅の自主建替の促進、第3に狭隘道路の解消、これら3点を住民の方々との協働で進めることが基本と考えております。こうした考え方を踏まえ、
まちづくりの面的整備にかかわる局が中心となった庁内連絡会議を積極的に活用し、より具体的な検討を早急に進め、実効性のある整備方策を平成15年度中にも取りまとめてまいります。 魅力ある都市の創造についてでございますが、近年の大阪におきます犯罪の発生状況は非常に深刻な問題であり、今回「大阪市安全な
まちづくり条例」を制定し、安全で安心できる
まちづくりを進めてまいります。 道路照明灯につきましては、安全な
まちづくりの条例制定の趣旨を踏まえ、現在の計画を1年前倒しして、平成14年度には10万灯の道路照明灯の整備が完了いたします。平成15年度以降は、現行で計画しております60メートルの設置間隔を例えば約30メートルにするなど、さらにきめ細かな整備が必要であると考えており、平成14年度には道路照明灯の新たな整備計画を作成してまいります。 維持管理を地元負担でお願いしております街路防犯灯につきましては、認定道路上のものは順次道路照明灯へと今後とも積極的に取りかえてまいります。また、私道の中には多くの市民の方々が利用されている道路もあり、認定道路上の街路防犯灯と合わせて、平成14年度から現状について総合的に調査し、維持管理の負担問題も含めて今後検討してまいります。なお、民間駐車場への支援につきましては、4月に設置予定の「安全な
まちづくり有識者懇話会」におきまして「安全な
まちづくり基本計画」を策定していく中で、市として支援のできる有効策について検討してまいりたいと考えております。 基幹的広域防災拠点についてでございますが、大阪市では、地域防災計画に基づき防災対策を進めておりますが、国においては、大規模災害時での広域連携のための防災拠点整備が
都市再生プロジェクトとして取り上げられたところであります。これを受け東京圏や大阪圏では、大規模災害に対応して基幹的広域防災拠点の整備が検討されております。既に大阪圏では、昨年12月より国や地元自治体などを含めた委員会が設置され検討が始められており、平成14年度内には一定取りまとめがなされるものと考えております。 大阪市の臨海部においては、耐震強化岸壁等の整備を進めているところですが、今後、既成市街地に隣接した立地特性を有する在来臨海部において、御提案の海上・水上輸送の活用や平時での活用を視野に入れた基幹的広域防災拠点について、国等の動きに合わせ検討を進めてまいりたいと考えております。 大阪市
屋外広告物条例の改正についてでございますが、本市では、まちの美観保持と通行の安全確保のため、道路上の違反広告物について全国的に見ても高い頻度で撤去を行っているものの、撤去してもまた出されるイタチごっこ状態となっており、抜本的解消には至っておりません。そのため今回の条例改正では、市民による違反広告物撤去制度の創設や、広告主の責任追及など、全く新しい発想による違反広告物対策を盛り込みました。また、政治活動等を目的とした広告物についても、従来設置を禁止していなかった道路の歩道さくや中央分離帯、道路上の電柱などについて、人の生命・身体の安全を尊重するという観点で禁止場所として追加しました。条例改正後は、道路上に違反広告物を出させないよう関係者に周知徹底を図り、施行後、禁止場所に広告物が設置された場合は、商業広告物であれ、政治活動等を目的とした広告物であれ速やかに撤去し、まちの美観保持と通行の安全確保に努めてまいります。 雇用施策についてでございますが、依然として厳しい雇用状況に対応するため、本市といたしましても積極的に雇用施策に取り組んでまいりたいと考えております。平成11年度から実施された緊急地域雇用特別基金事業につきましては、3年間で約1万 3,000人の新規雇用があり、雇用創出に直接つながる有効な事業であると考えており、大阪市といたしましても国に継続・拡充を要望してきたところでございます。 今回、国が創設した「緊急地域雇用創出特別基金事業」につきましては、推奨事例を参考に、各分野で必要となる雇用創出効果の高い事業といたしまして、例えば、教育・文化の分野では小学校における学級・学校支援事業や、安全・防犯の分野では啓発指導員による放置自転車対策事業などに取り組み、平成14年度は 4,000人、平成16年度までに1万 1,000人の新規雇用の創出を図ってまいります。 本市の雇用施策につきましては、このたび計上いたしました雇用施策の推進予算により、中小企業の育成や新産業の創造により大阪経済の活性化を図り、雇用の確保や創出につなげてまいりますとともに、就職困難者への就労支援や幅広い相談事業などを積極的に進めてまいります。さらに、全庁的な体制で設置いたしました「大阪市雇用施策推進本部」では、本市の雇用施策の総合的な推進を図りますとともに、今後ますます厳しくなると予想される雇用状況に的確に対応してまいりたいと考えております。また、民間部門の活用並びにNPOなどへの支援、協働なども含め、本市としても幅広い雇用創出に向けた検討が必要になってくると考えますので、全庁的な体制の中で取り組んでまいります。 芸術文化の創造についてでございますが、芸術文化の重要性は私も十分認識しております。本市ではこれまで、ハードを中心とした都市基盤整備に積極的に取り組んでまいりましたが、それがほぼ整いましたので、今後は、都市活性化戦略である国際集客都市づくりの大きな柱として、芸術文化を初めソフトを重視した施策に力を入れてまいります。そのため、これまで文化事業に携わり一定のノウハウを蓄積してきている財団法人大阪都市協会に本格的な文化振興財団機能を持たせ、政策を強力に推進できる体制をつくるとともに、十分な活動ができるよう財政面での充実を考えてまいります。 また、芸術文化振興条例につきましては、平成14年度に「文化芸術の振興に関する国の基本方針」が定められますが、本市でも実効性のある条例を目指し、平成14年度に広く関係する有識者等の御意見もお聞きしながら検討を進め、制定できるよう取り組んでまいります。 集客魅力の創造についてでございますが、国際集客都市づくりのためには、ビジターの多様なニーズを的確にとらえるマーケティングと、ニーズに迅速に対応できる体制が不可欠であります。そこで現在、平成15年春をめどに、大阪観光協会など観光関連3団体を統合し、オール大阪での強力な推進体制とすべく、大阪府や経済界などと具体的な協議を進めております。統合に際しては重複事業を整理し、効果的な運営に努めることはもちろん、統合メリットを生かし、アジアを初めとする海外でのプロモーション活動の強化や、ビジターの来阪を促す情報発信の充実を図ってまいります。 また、専門家の採用を基本に、即戦力となる人材の確保や運営責任の明確化を図り、集客のプロ集団として活動できる体制を目指します。将来的には、イベントの企画・運営、情報発信を含む一元的組織を念頭に置きながら、当面、3団体の統合を進め、その後、必要に応じ組織や人材の充実強化を検討してまいります。 スポーツ文化の創造についてでございますが、市民が健康で生き生きとした人生を送るためにもスポーツは欠かせないものであり、スポーツは市民共有の文化であるとの認識に立ちながら、総合型地域スポーツクラブの育成や科学的トレーニングシステムの研究、国際競技大会の招致・開催などを施策の柱として、スポーツパラダイス大阪の実現に向け取り組んでまいります。また、施策の実施に当たりましては、外郭団体や競技団体等のそれぞれが持つ機能を最大限に活用し、また、十分に連携・協力を行うことにより、一層効果的・効率的な施策展開を図ってまいりたいと考えております。 国際競技大会の開催につきましては、そのトップレベルのスポーツシーンは市民に大きな夢と感動を与えるとともに、国際集客都市大阪の実現に寄与するものであり、陸上などの世界選手権レベルの大会のほか、大阪を世界にアピールできるような国際競技大会の招致・開催を検討してまいります。 平和の創造についてでございますが、世界の恒久平和は人類共通の願いであり、そしてすべての人の人権を尊重するとともに、多彩な交流と友好のきずなを結ぶ中でこれを築いていくものであります。21世紀を平和の世紀とするためには、世界平和の基礎となる幅広い国際的な対話と、都市間交流による相互理解を中心とした取り組みが非常に大切であると考えております。 大阪市はこれまでも、ピースおおさかを開設し広く人々に平和を希求する心がはぐくまれるよう取り組むとともに、戦後50年に当たる平成7年には「平和都市宣言」を行っており、平和に向けた国際的な対話の場としてふさわしい都市であります。今後、都市間交流をより一層推進するとともに、国際社会の平和と発展に貢献するためにも、NGOも参加した平和に関する国際的なフォーラムなどの誘致について、議員御提案の趣旨を十分に踏まえ、早期実現に向け最大の努力をしてまいりたいと考えております。 少子化対策についてでございますが、福祉関連予算につきましては「セーフティネット」の視点から、きめ細かな予算といたしました。議員御指摘の乳幼児医療費助成制度の拡充等を求める申し入れも踏まえ、乳幼児医療費助成につきましても、就学前まで拡大したものでございます。 待機児童につきましては、平成13年度中の解消を目指し、年度当初の待機児童 1,484人を上回る約 1,600人の入所枠拡大に取り組んでいます。しかし、乳幼児医療費助成や新婚家庭家賃補助などの成果に加え、マンション建設増とも相まって、子育て層の人口増が顕著な地域が見られること、さらに女性の社会進出の進展や景気の長期低迷等の影響を受け、新規申し込みがなお高い水準にあり、待機児童の解消は厳しく、御指摘のような相当数の待機が予測されます。このため平成14年度も公・民保育所の改築や新設、さらに駅前のビル等の賃貸物件などを活用した保育所整備で、約 800人の低年齢児を中心に枠拡大を行い、平成15年度当初には待機児の解消を図りたいと考えています。なお、今後とも低年齢児を中心に保育ニーズが高まることが予想され、入所枠の拡大に向けて、保育所の思い切った運営手法のあり方や、御提案の遊休資産等の活用、また大阪市立幼稚園の活用も視野に入れて、就学前児童の子育て支援の充実を図ってまいりたいと考えております。 高齢者施策についてでございますが、介護保険事業は市民の理解や事業者の協力を得ておおむね順調に運営していますが、なお制度定着に向けた課題も残されております。高齢者に一層利用しやすくするため、国に改善を要望しつつ、制度の円滑な運営に努め、基盤整備を含め現在の高齢者保健福祉計画の目標達成に向けて全力で取り組みます。 また、介護保険事業との整合性を図りながら、家族の負担を軽減し高齢者の在宅生活を支援するため、介護保険外の公的サービス、NPO、ボランティア、地域の相互支援活動を連携させた施策の拡充を図るとともに、痴呆性高齢者グループホームの整備促進を図ってまいります。保険事業と福祉施策のあり方、在宅と施設のサービスのあり方を念頭に置き、真に支援が必要な方々に効果的な支援ができるよう、新計画の策定に鋭意取り組んでまいります。 障害者施策についてでございますが、障害者施策は障害の種別・程度など状況に応じたきめ細かい施策が必要であります。平成14年度に策定する新「障害者支援計画」では、これまで整備してきた在宅サービスや施設サービスなど、さまざまな社会資源を検証しながら、改めて基礎調査を行い、今日的に必要なサービス量について数値目標を設定しサービス基盤の整備を図ってまいります。 障害者の自立にとって重要である就労につきましては、平成10年の設置以来、知的障害者を中心に 220名以上を企業に就職させている障害者就労支援センターの拡充を初め、障害者が安心して働き続けることができるよう、金銭管理や職場の人間関係等、生活全般を総合的に支援する施策の充実に努めてまいります。また、住みなれた地域で障害のある人もない人もともに生活ができるよう、さらに親亡き後の不安にも対応できるよう、ライフステージに応じた施策の充実に努めてまいります。 交通バリアフリーの推進についてでございますが、関係者から成る委員会を今月末にも設置し、あわせて「ひとにやさしい
まちづくり推進本部」のもとに部会を設け、交通バリアフリーを推進してまいります。駅などのバリアフリー化のうち段差の解消につきましては、国の定めた基本方針を踏まえ、2010年を目標として市営交通のすべての駅についてエレベーター等の整備を進めてまいりますとともに、他の交通事業者に対しても、すべての駅にエレベーター等の整備がなされるよう積極的に働きかけてまいります。 また、本市が交通バリアフリー法に基づく基本構想を策定し、駅から病院などの施設との間を車いすの方や目の不自由な方が自由に動けるよう、駅にエレベーターを設置し、歩道の段差・勾配の改善を行い、また誘導ブロックの敷設を行うなどの整備を関係機関とともに進め、2010年を目標として、駅やその周辺地域を含むバリアフリー化を積極的に進めてまいります。最初に基本構想を策定する地区といたしまして、乗降客数、駅周辺の施設等の観点から、梅田、難波、天王寺・阿倍野の3地区を選定したいと考えております。委員会において3地区の選定について検討を行った後、平成14年度中をめどに、それぞれの地区ごとに基本構想を策定するとともに、基本構想を策定する地区として乗降客数が50万人程度の主要なターミナルを初めとした検討を進めてまいります。 人の創造につきましては、後刻、教育委員会よりお答え申し上げます。 事業評価システムについてでございますが、15年度からの本格実施に向け、今年度明らかとなった課題・問題点を整理し、客観的なデータに基づき事業の成果・効果をはかり、事業改善につなげる事業評価システムを定着させてまいりたいと考えております。また、政策の推進という観点から、それぞれの事業が施策目的との関係において効果的に機能しているのかを第三者の視点で点検することが必要であり、そのためには今後、施策の達成目標の設定などの課題整理を含め、施策的評価の手法について検討してまいります。 大規模事業評価については、事業の計画段階においてその必要性や効果などの検討が適切に行われているかどうかを客観的に点検し、評価結果を事業計画の改善に反映させるとともに、公表を通じて市民への説明責任を果たし、市政の透明性をより一層高める観点から取り組んでおります。現在、計画段階にある近代美術館を対象としてモデル実施を行っているところであり、14年度早々にはその結果を整理し、新たな試行を重ねながら大規模事業評価の課題整理を行い、対象とする事業の種類や事業規模など選定基準を取りまとめ、15年度から本格実施してまいります。 PFIの導入についてでございますが、厳しい財政状況の中、限られた財源・人材を有効活用し、効率的な行政運営を推進していくための有効な手法の1つと考えております。13年度中にその導入検討に必要な手続等を取りまとめたマニュアルを策定いたします。14年度には、計画調整局を中心とした導入検討を支援する庁内体制や学識経験者をまじえた審査体制など、PFI導入に必要な体制を整えてまいります。 また、総合調整会議を活用しながら、大規模な新規の事業からPFI導入についてのモデル的事業を選定し、民間への業務委託範囲、事業効果、リスク分担、契約内容など、事業化に向けての課題を検証していく所存であります。さらに、施設の建設や維持管理を含め事業を包括的に民間に委ねて、民間の創意工夫を発揮させ、コスト縮減や市民サービスの向上が期待できる事業の範囲や規模などをモデル事例で検討し、最適な手法としてPFIを選択する基準づくりに着手してまいりたいと考えております。 外郭団体の見直しについてでございますが、統廃合などの具体的項目を決定し、その推進を図ることとしております。現在、学識経験者などの外部委員の御意見もちょうだいしながら検討を進めておりますが、団体の廃止や出資・出捐の引き揚げ、団体の再編整備など、種々の観点から見詰め直すこととしており、結果としておおむね2割程度の団体が具体的な見直しに該当するものと考えております。平成17年度までに取り組む項目をこの3月末には取りまとめ、強力に推進してまいります。 外郭団体への委託に関しまして、民間でノウハウの蓄積が進んでいる分野においては、その成熟度に応じ、本市や外郭団体の事業の委託先として民間事業者やNPOを幅広く活用することも検討する必要があると存じます。また、外郭団体への委託料につきましても、より一層の経済性や効率性が問われるものと考えており、委託内容や再委託のあり方について調査・検討し、明らかにしてまいりたいと考えております。 人事制度についてでございますが、新「
行財政改革計画」においても、職員の能力が最大限に発揮され意欲を持って職務を遂行できるよう再構築するとしており、その方策の1つとして「庁内公募制」を新たに導入することとしたところでございます。今後は、職員の能力・実績をより的確に評価した人事・給与体系の整備に取り組む必要があると考えており、評価制度については、議員から減点主義という御指摘がございましたが、新しい時代に即応した市政の推進に積極果敢に挑戦する姿勢をより重視する視点も取り入れながら、具体に検討を進めてまいります。 また、行政諸課題へ総合的・戦略的に対応するため、高度な専門知識や能力を有する人材の確保が一層求められることから、内部育成に加え、外部・民間からの有能な人材の登用も、法整備の動向も踏まえ、今後、研究・検討していく必要があると考えております。本市退職者の再就職のあり方についても、より一層適正化を図る観点から今後検討してまいります。いずれにいたしましても、人事制度の再構築に向け、公務員制度改革全般の動きを注視しつつ、早期に実現できるものについては、その具体化に向け速やかに検討を進めてまいります。 企画能力の強化についてでございますが、地方分権の時代においては、各都市はみずからの知恵と能力により、その個性を競い合い都市経営を行うことが求められており、本市においても「比較優位」にあるものを的確に把握し、独自の施策をスピーディーに企画立案する機能の強化がますます必要となってまいります。そのためには、企画調整部門だけでなく大阪市全体の視点からさまざまな課題を的確に調査研究し、トップに対し適宜、適切な提案等を行う部門も充実強化していく必要があります。こうした観点から、企画調整部門の充実とともに、トップマネジメントを補佐する市長室と、市全体の企画調整を担う計画調整局との連携を図ってきたところであり、今後、新たな総合計画の策定等を通じ、これら組織が所期の目的を達成できるよう、より一層組織間の連携強化や機能充実に努め、その機能を検証しながら組織のあり方についても研究してまいりたいと考えております。 都市論についてでございますが、先日発表された議員御指摘の提言は、大阪市を廃止して大阪州に吸収し首長、議会を一本化するものでありまして、議員御指摘のとおり、地方分権の基本的な考え方や住民自治を保障する憲法第92条に合致するとは言いがたいものであります。また、広域的な視点から市町村間の調整等を行う府県行政と、行政サービスの提供を行う市町村行政の役割・目的はおのずから異なっており、それを単に統合することには無理があるとともに、広域都市圏の形成については、垂直合併である府市合併ではなく府県合併による道州制への移行として議論されるべきであると考えております。 さらに、大阪市とその周辺都市との広域連携の一層の推進については、基礎的自治体間の行政協力によって実現すべきものでありまして、議員御指摘のとおり、これまでの隣接都市との取り組みを生かしながら、本市が中心となって連携協力の実が得られるよう、広域連合制度なども含め方策を広く検討してまいります。こうしたことから、学識経験者等の協力を得て、これからの大都市制度や広域連携のあり方についての研究を早急に開始し、その成果を新たな仕組みづくりにつなげてまいります。以上でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。
○議長(大丸昭典君) 玉井教育長。 (教育長玉井由夫君登壇)
◎教育長(玉井由夫君) 人の創造についてお答え申し上げます。 本市におきましても、具体的プランを示した「大阪市教育改革プログラム」を策定し、新しい時代に対応する大阪らしい教育の創造に取り組んでまいっております。 通学区域の弾力化につきましては、学校と地域社会との結びつきの弱まりや学校の序列化、学校間格差の発生などのデメリットは考えられる一方、学校が競争意識を持つことによって教育水準の向上が図れるメリットも考えられるところでございます。学校を活性化させる方策の1つといたしまして、他都市における通学区域の弾力化について個々の状況も踏まえ、研究・議論してまいりたいと考えております。 次に、中高一貫教育につきましては、「大阪市中高一貫教育研究会議」におきまして、これまで3年間にわたり設置形態、学級数、教育課程等を検討してまいりました。平成14年度には新たに「中高一貫教育校設置準備委員会」を立ち上げ、議員御指摘の時期を念頭に置きながら、できるだけ早期に設置できるよう具体的に検討してまいりたいと考えております。 次に、2学期制につきましては、ゆとりの中で「生きる力」をはぐくむ教育を充実する1つの方法であると考えております。2学期制の導入によりまして現行の3学期制よりも時間的ゆとりが生まれ、基礎・基本の定着に向けた繰り返しの学習やさまざまな体験的な活動などについて、さらに充実が期待できますことから、平成14年度より、小中学校におきまして試行的に何校かで実施・研究を始めてまいりたいと考えております。 次に、実践的な英語能力の育成につきましては、小中学校及び高等学校を通じた指導プログラムを示すことが重要でございます。小学校ではこれまで、英会話や国際理解のために派遣してきた外国語指導助手や地域の人材活用をさらに充実いたします一方、中学校や高等学校におきましては実践的トレーニングを集中的に行ってまいります。また、教育研究会等と連携し、英語教育のプログラム作成について研究してまいります。以上でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
◆68番(勝田弘子君) 動議を提出いたします。本日の質疑はこの程度で打ち切り、明7日午前10時より会議を開かれることを望みます。
○議長(大丸昭典君) 68番議員の動議に御異議ありませんか。 (「異議なし」と呼ぶ者あり)
○議長(大丸昭典君) 御異議なしと認めます。よって動議のとおり決しました。
△閉議
○議長(大丸昭典君) 本日の日程は以上で終了いたします。
△散会
○議長(大丸昭典君) 本日はこれをもって散会いたします。 午後4時20分散会 ---------------------------------大阪市会議長 大丸昭典(印)大阪市会副議長 村尾しげ子(印)大阪市会議員 足高將司(印)大阪市会議員 長谷正子(印)◯大阪市会(定例会)会議録(平成14年3月6日)(終)...