平成2年第1回定例会(平成2年3月)◯大阪市会(定例会)会議録(平成2年3月6日)
◯議事日程 平成2年3月6日午前10時開議第1 議案第7号 平成2年度大阪市
一般会計予算第2 議案第8号 平成2年度大阪市
大学医学部付属病院事業会計予算第3 議案第9号 平成2年度大阪市
食肉市場事業会計予算第4 議案第10号 平成2年度大阪市市街地再
開発事業会計予算第5 議案第11号 平成2年度大阪市
駐車場事業会計予算第6 議案第12号 平成2年度大阪市
有料道路事業会計予算第7 議案第13号 平成2年度大阪市
土地先行取得事業会計予算第8 議案第14号 平成2年度大阪市
母子福祉貸付資金会計予算第9 議案第15号 平成2年度大阪市
寡婦福祉貸付資金会計予算第10 議案第16号 平成2年度大阪市
国民健康保険事業会計予算第11 議案第17号 平成2年度大阪市
心身障害者扶養共済事業会計予算第12 議案第18号 平成2年度大阪市
老人保健医療事業会計予算第13 議案第19号 平成2年度大阪市
市民病院事業会計予算第14 議案第20号 平成2年度大阪市
中央卸売市場事業会計予算第15 議案第21号 平成2年度大阪市
港営事業会計予算第16 議案第22号 平成2年度大阪市
下水道事業会計予算第17 議案第23号 平成2年度大阪市
自動車運送事業会計予算第18 議案第24号 平成2年度大阪市
高速鉄道事業会計予算第19 議案第25号 平成2年度大阪市
水道事業会計予算第20 議案第26号 平成2年度大阪市
工業用水道事業会計予算第21 議案第27号 平成2年度大阪市
公債費会計予算第22 議案第28号 平成2年度大阪市西町外19財産区予算第23 議案第29号 大阪市
消費者保護条例の一部を改正する条例案第24 議案第30号
当せん金付証票の発売について第25 議案第31号
大阪市立学校設置条例の一部を改正する条例案第26 議案第32号 大阪市立大学の授業料等に関する条例の一部を改正する条例案第27 議案第33号 大阪市
中小企業融資基金条例の一部を改正する条例案第28 議案第34号 大阪市
設小売市場条例の一部を改正する条例案第29 議案第35号
大阪市立老人福祉施設条例の一部を改正する条例案第30 議案第36号 大阪市
国民健康保険条例の一部を改正する条例案第31 議案第37号
大阪市立栄養専門学校条例の一部を改正する条例案第32 議案第38号
大阪市立看護婦養成施設条例の一部を改正する条例案第33 議案第39号
大阪市立助産婦養成施設条例の一部を改正する条例案第34 議案第40号 大阪市
都市開発拠点整備事業用地取得基金条例の一部を改正する条例案第35 議案第41号
消防手数料条例の一部を改正する条例案第36 議案第42号
水洗便所設置資金貸付基金条例の一部を改正する条例案第37 議案第43号
大阪港振興基金条例案第38 議案第44号 大阪市港営事業の設置等に関する条例の一部を改正する条例案第39 議案第45号 大阪市
港湾施設条例の一部を改正する条例案第40 議案第46号
大阪北港ヨットハーバー条例の一部を改正する条例案第41 議案第47号 大阪市基本構想について
---------------------------------------◯出席議員88人(欠は欠席者) 1番 小玉 滋君 2番 加沢幸治君 3番 一色孝之君 4番
中沢一太郎君 5番 美延郷子君 6番 舟戸良裕君 7番 新堂庄二君 8番 中村好男君 9番 土居一雄君 10番 福田賢治君 11番 勝田弘子君 12番 松田 力君 13番 奥野正美君 14番 辻 洋二君 15番 川口 優君 16番 柳本 豊君 17番 天野 一君 18番 公原賢司君 19番
徳田育久子君 20番 山下典嘉君 21番
大島豊太郎君 22番 小西礼子君 23番 上野節夫君 24番 矢達 幸君 25番 石川莞爾君 26番
小笠原正一君 27番 佐藤ふみ子君 28番 梶本利一君 29番 辰巳正夫君 30番 井出和夫君 31番 物部秀恒君 32番 松村将司君 33番 岡 潔君 34番 岡崎 誠君 35番 浜口晴敏君 36番
大西仙太郎君 37番 北野禎三君 38番 床田健三君 39番 北山 篤君 40番 太田勝義君 41番 改発康秀君 42番 和田充弘君 43番 安楽雅男君 44番 壷井美次君 45番 吉田信太郎君 46番 岩田 章君 47番 村尾しげ子君 48番 寄吉哲司君 49番 加藤正武君 50番 鈴木清蔵君 51番 森下土治君 52番 吉村達雄君 53番 岸本太造君 54番 山下博義君 55番 野村 清君 56番 高橋幸一君 57番 中田捨次郎君 欠58番 黒田輝夫君 59番 多賀谷宏君 60番 山口泰弘君 61番 永井 博君 62番 木下伸生君 63番 足高克巳君 64番 森野光晴君 65番
青木仲三郎君 66番 中井光治君 67番 中西建策君 68番 山川洋三君 69番 森川美代君 70番 沢村信義君 71番 関根信次君 72番 姫野 浄君 73番 上野 弘君 74番 塩田吾一君 75番 四方棄五郎君 76番 小林初江君 77番 奥野修三君 78番 小林和美君 79番 柳井伝八君 80番 仲谷誠夫君 81番 松井義明君 82番 坂井三郎君 83番 辻 昭二郎君 84番 山下喜一君 85番 高野光男君 86番 藤岡信雄君 87番 井上英夫君 88番 勝田重春君 欠89番 加藤 進君 90番 佐野繁雄君
---------------------------------------◯職務のために出席した
事務局職員 市会事務局長 藤田 衛 次長 笹倉和忠 議事課長 秋山正己
議事課長代理 小西壽昭 議事係長
仲村雅信---------------------------------------◯議場に出席した執行機関及び説明員 市長 西尾正也 助役 大多一雄 助役 二宮敏明 助役 大浦英男 収入役 高橋 修 市長室長兼理事 今田 隆 総務局長 森 三郎 市民局長 松尾 彰 財政局長 今川 明 計画局長 佐々木 伸 民生局長 朝田悦次 経済局長 山根節郎
中央卸売市場長 大西凱人
環境保健局長 福住弘雄
環境事業局長 堤 治
都市整備局長 大塚幸太郎 建設局長 玉井義弘 国際花と縁の
博覧会協力部長 香山 博
下水道局長 加藤隆夫 港湾局長 芦見忠志
市立大学事務局長 木村 收 消防局長 十河將博 交通局長 阪口英一 水道局長 藤原啓助
教育委員会委員 難波利三 教育長 福岡康司
選挙管理委員会事務局長 張間昌治
監査事務局長 清水利三
人事委員会事務局長 杉山龍平---------------------------------------
△開議 平成2年3月6日午前10時8分開議
○議長(多賀谷宏君) これより
市会定例会会議を開きます。 本日の
会議録署名者を
中沢一太郎君、壷井美次君の御両君にお願いいたします。
○議長(多賀谷宏君) これより議事に入ります。
○議長(多賀谷宏君) 日程第1、議案第7号、平成2年度大阪市
一般会計予算ないし日程第41、議案第47号、大阪市基本構想について一括して議題といたします。
○議長(多賀谷宏君) これより質疑に入ります。 美延郷子君の質疑を許します。5番美延郷子君。 (5番美延郷子君登壇)
◆5番(美延郷子君) (拍手)私は
自由民主党大阪市会議員団を代表いたしまして、ただいま上程されております平成2年度予算案及び関連諸案件並びに大阪市
基本構想案につきまして質問をさせていただきます。西尾市長並びに
関係理事者に質問させていただきますが、まず最初に、父重忠22年、母よし12年と、長い間お世話になりましたこの伝統ある市会におきまして、経験も浅い私に登壇の機会を与えて下さいました先輩の皆様方に厚く御礼申し上げます。 さて、今世界に目を向けて見ますと、人、物、情報、資金が
地球的スケールで24時間交流し、
地球レベルでの環境保全が言われる中、東西冷戦の象徴と言われたベルリンの壁が取り壊されるなど、まさに新しい時代の到来を強く感じるものでございます。一方、大阪市でも、昨年には記念すべき市制100周年を迎え、さらにことしは市政第2世紀のスタートを飾るにふさわしい国際花と緑の
博覧会開催の年であります。これまで多くの先人が、英知と情熱を傾注して築いてこられた輝かしい歴史と伝統を振り返りながら、新しい時代への第一歩を踏み出していくときであります。近年の国際化や高齢化、
高度情報化など
社会経済情勢の大きな変化に的確に対応し、21世紀に向かって世界に貢献する
国際都市大阪を築き、新しい文化をつくり、市民が生涯を健康で安心して暮らせる町をつくり未来に引き継ぐため、ハード、ソフト両面にわたって施策を展開しなければなりません。私たち市政に携わる者に対して、260万市民から今一番求められているのは、行政の原点に立ち戻った市民への奉仕の精神であると思います。市民への奉仕の精神があってこそ、市長が常々言われる触れ合いとぬくもりのある人間主体の町大阪が実現できるものと確信いたします。このような観点から、私は、大阪市が当面する諸問題について、以下質問してまいります。 まず、大阪市の行政が市民に対していかにあるべきかという観点からお尋ねいたします。昨年、大阪市は市制100周年を迎えましたが、その記念すべき年に、不幸にも一連の不祥事件が発生いたしました。この事件につきましては、連日、新聞やテレビなどで報道され、また、市会におきましても熱心に質疑がなされたところであります。この場で詳細について申し上げることはいたしませんが、今でも機会あるごとにこの事件に関連した報道がなされるなど、市民のこの事件に対する関心は根強いものがあります。私も一議員として、一市民として、この事件には非常に心を痛め、大阪市にとってまさに屈辱的と言えるこの期間、重苦しい気持ちで日々を過ごしたところでございます。言うまでもありませんが、市長を初め、そのもとで働く職員、あるいは我々議員も含めまして、市政運営にかかわる者は、地方自治の本旨に基づいて市民の福祉を増進するために働く責務があります。そして、行政が民主的、能率的、公正に行われるかどうか、そして、市民の福祉が向上するかどうかは、市政運営に携わる者が、それぞれの立場で、
パブリックサービスの趣旨を理解して、職務に精励するかどうかにかかっていると言えるのではないでしょうか。また、この精神が徹底されていたならば、このような不祥事は発生するはずはないのであります。不祥事が相次いだということは、市民への奉仕の精神が欠落していたからだと思います。事件の後、市民の信頼を一刻も早く回復するという観点から、市会と理事者が一体となって、市政運営の刷新を図り、市政の信頼を回復するため
市政運営刷新委員会を設け、緊急提言をまとめられ、それをすでに実行に移されております。これらのことは私は大いに評価いたしておりますし、刷新の効果を望んでやまないものでありますが、先ほども申し上げましたように、やはり基本となる精神が問われなければならないのであります。市民の市政に対する信頼を一刻も早く回復するためには、市を挙げて、いま一度市民への奉仕の精神こそが市政の基本であることを振り返り、市政の刷新に努めなければならないと思いますが、一連の不祥事についての反省点と今後このようなことを二度と生じさせないための市政刷新の展望をお伺いしたいと思います。 次に財政問題についてお尋ねしたいと思います。来るべき21世紀に、真に豊かで国際社会に貢献できる大阪を実現するためには、先人のすぐれた英知とたゆまぬ努力により培われてきました歴史と伝統をしっかりと受け継ぎ、
社会経済情勢の変化に的確に対応するとともに、何よりも市民本位の市政運営に努めることが、私ども市政を担う者の責務であると考えております。今後、本市が、時代の変化に伴った多様で複雑な
市民ニーズに着実にこたえ、西日本の中枢都市として大きく飛躍、発展を続けていくためには、何にも増して財政基盤がしっかりしたものでなくてはなりません。平成2年度の国の予算並びに
地方財政計画におきましては、経費の徹底した
節減合理化に努めながら、積極的に生活環境の整備、向上、地域経済の振興を図ることを基本とされたとのことでございます。一方、本市の財政は、新たな財政需要が増大する中、税収入の大きな伸びは期待できず、
国庫補助負担率の
引き下げ措置が継続されるなど、なお厳しい財政状況にあるとのことでございますが、その中での予算編成、大変な御苦労があったこととお察しいたしますが、平成2年度の予算編成に当たりまして、その基本的な姿勢について市長にお伺いいたします。 次にこれからの町づくりの指針となります新総合計画の問題についてお尋ねいたします。町づくりは、市民の生活環境の整備から、経済、文化などの都市機能の整備に至るまで、幅広い範囲にわたっております。したがいまして、町づくりを円滑に進めていくために、これらのすべてを包括、網羅した総合計画が求められ、その必要性はいつの時代においても変わらないものと考えております。しかし、そうは言いましても時代の背景、策定者の意思や問題意識などが反映され、おのずから、他の時代のものとは異なった特徴を持つことになります。私は、現在という時点が、明治以降の
近代都市づくりの上に、21世紀社会を展望した新たな展開を図っていくべき極めて重要な時期であると思っております。このようなときに当たり、長い歴史の中で常に町づくりの
パイオニアとして歩んで来た大阪市が、その精神を次の新しい町づくりにおいても大いに発揮し、我が国のみならず世界を先導する役割を担っていくことを期待するものでございます。したがいまして、新総合計画は、時代を先取りし内外の都市をリードするにふさわしい計画であってほしいと願っております。このため、いま一度都市とは何か、世界の中で大阪の果たす役割はいかにあるべきかといった点に加えまして、市民の権利と責務、
都市生活者としての意識や行動のあり方などについても十分に考えておく必要があると思うのでございます。こうした観点から見ますと、昨年11月に発表されました草案や、今回提案されている基本構想は、「新しい
都市生活魅力の創造」、「21世紀に向けた
都市づくりの
パイオニア」、「公共心の醸成」など、私どもが期待する問題意識を持ったものになっていると意を強くしているところでございます。そこで、今後の町づくりの最も基本的な指針となる基本構想の提案に当たりまして、21世紀の大阪をどのように展望し、この新しい計画に何を託そうとされているのか、市長の基本的なお考えをお伺いしたいと思います。次に、新総合計画の基本となります人口、経済指標及び計画推進のための財源の確保についてお尋ねいたします。草案では、15年の計画編の中で、人口280万人、就業者数260万人、
経済成長率4.3%程度といった指標が設定されております。これらの指標は、現伏から見れば、今後の町づくりに向けた大阪市の意欲的な姿勢があらわれているものと受けとめているところでございます。私は、都市というものは、多様な人々が住むことによって初めてその活力が増幅されるものであると考えております。人口につきましては、現状にとどまらずに魅力的な住環境の整備に努め、西日本の中枢都市にふさわしい人口を達成していくべきだと考えます。また、経済につきましては、雇用機会を確保し東京一極集中を是正する上からも、大阪の持てる力を最大限に発揮すべきであると考えます。しかし我が国は、今日、経済大国として大いに繁栄してはおりますが、このような成長をいつまで続けることができるのでしょうか。また、その中で、大阪の経済は、今後とも順調な成長を遂げることができるのでありましょうか、一抹の危惧を持つものでございます。草案に示されているこれらの基本指標につきましては、私としてもぜひこうあってほしいと思うのでありますが、その設定に当たってのお考えをお伺いしたいと思います。また、これらの基本指標の帰趨は、大阪市の税収とも密接に関係しております。町づくりは、単に行政だけでなく、市民、企業などの協力によって進められるものですが、その中でも、大阪市の役割は非常に大きく、市の財政の状況が今後の町づくりの進捗に大きな影響を与えることになります。このため、今回の基本構想に基づいた新しい町づくりを着実に進めていくためには、安定した財源の確保に努めることが極めて重要であります。この点につきまして、どのように取り組まれるのか、あわせてお伺いいたします。 次に、大阪市の国際化についてお尋ねしたいと思います。21世紀を目前にして、本市の国際化は急速に進展していると思います。私が昭和62年度の決算市会で開催の実現を強くお願いいたしておりました
PIANCが5月に、また、国際水都首長会議が7月に開催されるなど、
花の万博期間中に数多くの国際会議が予定されております。これらは大阪を世界にアピールする絶好の機会でございますので、ぜひ大阪のよい印象を持って帰っていただけるよう万全の準備で望んでいただくようお願いいたします。一方こういったソフトの分野に対しまして、既に運用を開始したテレポートや関西国際空港の建設など、ハードの分野の整備も着々と進み
国際都市大阪の姿が整備されつつあります。こうした国際化を進めるに当たっては、大阪が常に我が国を代表する大都市として、また国際社会の一員としての自覚のもとに世界に貢献するという心構えが必要であると思います。昨年10月17日に発生いたしました
サンフランシスコ地震のときに、本市が姉妹都市として、いち早くお見舞いをされ、私ども市会も協力させていただきましたが、市民の方々からも6,000万円を超える義援金が寄せられるという心温まることもございました。このようなことにより市民の国際意識が高まり、国際社会の一員としての責務を果たしていくという意識が醸成されるのでございます。世界の我が国に対する交流の評価は、顔が見えない、言いかえますと、日本人の心や文化は理解しにくいと言われております。自動車や電気製品といった物やお金などの経済の分野では国際的な交流は進んでいますが、人や心の交流では、まだまだ不十分であると思います。こうした点で、肌の触れ合う、心の触れ合う交流を積極的に進め、世界に貢献していくこと、とりわけ歴史的、地理的、経済的な面でもきずなの強いアジアなどの開発途上にある国々への貢献が大切であると思います。市制施行以来1世紀の間に本市が蓄積してきた技術、ノウハウを伝えていくこと、あるいは
開発途上国の発展のために人材育成に協力していくこと、これらを国際社会の中で実行していくことが本市のできる国際社会への貢献だと思います。こうしたことを今後、積極的に進めていただきたいと思っていますが、市長の御所見をお伺いいたします。 次に、国際化に当たって大阪港の果たす役割についてお伺いします。いつの時代でも、港は外国との交流、交易の窓口として、その役割を果たしてきました。特に最近は、ゆったりと充実した時間が過ごせる、大型客船によるクルージングの人気が高まっておりまして、大阪港においても「
クイーンエリザベス二世」を初め、大型客船や
国際フェリーが多数入港するなど、新たな国際交流の時代がやってきていると思います。また、ヨーロッパで起こり、古い伝統と格式を誇る
PIANCは、内外からの参加者が1,000人にも上る大規模な国際会議でございます。本年5月にこのような国際会議がアジアで初めて、しかも大阪で開催されることは、本市の国際化に大きく寄与するものであると考えます。さて、大阪港は現在、世界の六つの港と姉妹港、友好港の提携を結んでおりますが、この提携をさらに活用することによりまして、大阪市の国際化の進展に役立つのではないかと考えます。そのよい一例として、昭和62年にメルボルン港との間で開催したダブルハンドヨットレースは、世界初の
太平洋縦断ヨットレースとして、7カ国64艇が参加し、大成功をおさめ、平成2年度には第2回目が開催されるとのことでございます。また本年は、フランスのル・アーブル港との
姉妹港提携10周年、韓国の釜山港とは5周年を迎えます。このような記念すべき年に、本年7月にオープンする予定の
天保山ハーバービレッジなどを活用した国際色豊かな催し物を行い、
市民レベルの国際交流の機会を提供してはどうかと考えます。このように港を舞台として国際的なイベントや会議を開催したり、さらに新たな港との
姉妹港提携を行うことなどにより、大阪市の国際化を推進していくことが重要ではないかと考えますが、今後どのように取り組んでいかれるのかお伺いいたします。 次に、急速に進展する国際化の中で、教育の果たすべき役割についてお尋ねいたします。学校教育、社会教育を問わず、国際社会の中で信頼される日本人を育成することは、教育の果たすべき重要な役割であります。我々日本人が、国際社会の中で調和を保って生きていくためには、まず、外国の人々と話ができることが必要で、そのためにも外国語教育の充実が急務であると思います。しかし、外国語をマスターすることだけではなく、国際社会の中で信頼される日本人として、外国との協力関係をさらに発展させていくためには、もう一歩踏み込んで人々の生活や考え方まで含めた広い意味での文化の相互理解を推進していかなければならないと思います。そういう意味では、海外の学校との交流、各種のスポーツ交流、生徒や教員の海外派遣など、いわゆる国際交流の果たす役割が非常に重要であると思います。一方、国際化を考える場合には、次のようなことも認識しておかなければなりません。それは、ロンドン、パリ、ニュー∃ークなどの国際都市を見ましても、さまざまな人種や民族が同一都市に生活することに起因する諸問題があり、我が国におきましてもボートピープルと呼ばれる難民の受け人れとその教育の問題などがこれからの課題となってくるということです。世界に開かれた国際都市として飛躍していこうとしている大阪市におきましても、このような問題が、近い将来現実のものとなり、対応に迫られるときが来るのではないかと考えられます。そこで、国際化に伴うこのような問題を今後の課題として念頭に置きながら、本市の教育委員会が、これからの国際交流の取り組みをどのように考えていかれるのかお伺いいたします。 次に、国際花と緑の博覧会についてお尋ねいたします。この博覧会は、当初は市制100周年を記念する事業として企画されたものでありましたが、その後、私どもや理事者の皆さんを初め、自由民主党の「花と緑の国際
博覧会開催推進議員連盟」や「花と緑の運動推進本部」により国際博覧会として位置づけられ、今日に至ったものでございます。花の万博は、いよいよあと26日で開幕されようとしています。当初心配された海外からの参加国も現在、78カ国と国際博覧会史上最多となり、さらに我が国の博覧会史上初めて全都道府県が出展参加をするなど、国を挙げて、世界を挙げてこの花の万博の機運が盛り上ってきているところでございます。入場者も2,000万人が想定されており、国の内外から非常にたくさんの方々がこの博覧会においでになり、大阪の町をごらんになられますので、交通渋滞の問題、駐車場問題などについて最後まで努力を続けられるとともに、ホストシティとして楽しい行催事を開催していただくなど、わざわざお越しいただいた大勢の方々に大阪のよい印象を持って帰っていただきたいと思うわけですが、この点についての市長の御見解をお伺いいたします。さらに、この博覧会が成功裏に終わることとともに重要なことは、この世紀のビッグイベントを一過性のお祭りで終わらせることなく、21世紀に向けた大阪の町づくりの大きな契機とすることであると思います。大阪は緑が少ない、市民のマナーが悪いといった、あまり芳しくないイメージを持たれているように見受けられます。現在、博覧会の開催に向けて、環境美化推進運動や違法駐車非常事態宣言など、大阪の町をよくする、美しくするための取り組みをなさっておられます。こうした取り組みを博覧会終了後も強力に進めていただくことが重要であると思います。こういった努力の積み重ねによって、大阪は、花と緑にあふれた美しい町、マナーのよい町として、真に世界に誇れる町となることができるものと考えます。花の万博の開催の意義の一つは、まさにここにあるのであります。イベントというものは、えてして大きければ大きいほど、それを成功に導いていくことに全力が注がれ、その成果を将来の町づくりにどのように生かしていくかといったことが、おろそかになるきらいがあります。花の万博を契機として、自然との触れ合いを深め、人の輪、心の輪を広げようという博覧会の精神が、市民の心に受け継がれ、今後の町づくりの中にその成果として生かされていかなければならないと思うのでありますが、市長の御見解をお伺いいたします。 次に、女性の目から見た身近な問題について、例えば家庭におけるお年寄りの介護、子供の教育、あるいは家事など女性が大きな役割を担っているものについて順次お尋ねしてまいりたいと思います。 まず、高齢者対策についてお尋ねいたします。お年寄り、とりわけ75歳以上の老齢人口の増加に伴いまして、寝たきりや痴呆性など介護の必要なお年寄りが増加していく一方、世帯規模の縮小や女性の社会進出、扶養意識の変化などにより、家庭での介護も難しくなり、その対策は極めて重要な課題となっております。これらの介護の問題については、お年寄りが長年住みなれた家庭や地域社会で生活を続けられることを基本としながら、在宅福祉サービスの充実を積極的に推進していく必要があるものと思います。また、介護をしているのがほとんど女性であることから、女性にとっても深刻な問題となっております。このために女性が介護の担い手であるといった、従来の視点を変えて、介護をしている方を支援する施策を充実するとともに、社会的な介護システムを確立して、高齢化社会での介護問題の解決を図っていくべきではないかと考えます。政府は、高齢者保健福祉推進10カ年戦略を策定して、ホームヘルパーやショートステイ、デイ・サービスセンターなどの在宅福祉対策の緊急整備など、介護対策を強力に推進していくこととしておりますが、大阪市においても、21世紀を展望した高齢化社会対策のビジョンを策定され、お年寄りとその介護をする女性が安心して生活を続けられるよう、在宅福祉の充実を積極的に進めていく必要があると考えますが、市長の御所見をお伺いいたします。 次に、子供の教育についてお尋ねいたします。私は、この大阪で育つ子供たちが地域社会の一員としての自覚を持ち、健やかに成長し、21世紀の大阪の発展に尽くす立派な市民として育ってくれることを、母として女性として心から願っております。現代社会は目覚ましい科学技術の進歩と経済の発展により、物質的な豊かさとともに、情報化、国際化、価値観の多様化など、社会の各方面に大きな変化をもたらしております。しかし、その中で子供たちの置かれている状況は、決して楽観できるものではありません。将来にわたって生き方の基本となる心の豊かさや、社会の変化に主体的に対応できる力が、1人1人の子供たちにしっかりと身についていないのではないでしょうか。また、この物質的に豊かになった社会の中で現在の子供たちは、ややもすると自分本位で老人や弱い立場の人を思いやる気持ちやマナーにも欠けているのではないかと心配しております。厚生省の実態調査によりますと、親の7割近くが子育てに関する悩みを訴えており、家庭教育に自信が持てないとしております。人間としてのあらゆる態度や行動の基礎になる基本的なマナー、いわゆるしつけが家庭で十分行われていないことが問題になっております。同時に、学校においても他人を思いやる心や、物を大切にする気持ちなど道徳心を養う指導が不十分ではないかと思います。家庭と連携しながら、基本的な生活習慣の指導が学校においてもしっかりなされなければなりません。また、子供は学校や家庭、地域といった集団の中で、さまざまな活動を通じて友達を理解し信頼感を高めながら社会性を身につけてともに育っていくものであります。日常接する地域の人々との人間関係を大切にし、地域を愛し、発展させていく指導が求められています。これからの変化の激しい社会では、子供たちが、命を大切にする心や他人を思いやる心など豊かな心を持ち、みずから学ぶ意欲と主体的な学習の仕方を身につけ、たくましく生き抜いていく子供を育てることが重要だと考えます。そして、国際化の進む中で、世界に通用する日本人として育ってほしいというのが、私たち母親の願いであります。こうした子供たちの置かれている現状から、今後の教育に対する方針についてお伺いいたします。 次に、障害者の福祉対策についてお尋ねいたします。昭和56年の国際障害者年を契機といたしまして、障害者の社会参加が広く認識され社会的な関心の高まりと相まって、障害者に対する国、地方の各種の施策も充実されてまいりました。特に、障害児については、これまでの家庭中心の生活から、養護学級や養護学校という集団生活の中で、社会参加への具体的な学習を行なえるようになってきております。しかしながら、障害児が養護学校を修了したあとの生活が大変なのです。最近では、障害者の雇用促進も進んできており、一般企業などに就労する機会も徐々に増えてきておりますが、就職できない重度の障害者も数多くおられまして、こうした就職もできない、地域で自立して生活することも困難な重度の障害者に対する福祉施策の充実が、いま最も必要であり、重要であると考えるものでございます。大阪市では、このような方々による福祉作業センターヘの補助金の大幅な増額やグループホーム制度の導入など、地域で障害者が生活するための施策の充実に努めてこられましたが、いろいろな理由により、地域で生活することが困難な方もおられ、中でも現在、児童福祉施設で成人施設への入所を待っておられる方々が約300人もおられると聞いております。現在、精神薄弱者の入所施設を市内で初めて建設中でありますが、この施設が完成いたしましても、大阪市の補助による精神薄弱者の入所施設は、ようやく3施設230人であります。また、今後、障害者自身や、その保護者の方々の高齢化によりまして、家庭や地域社会で自立して生活することの困難な方々が出てまいりますことを考え合わせますと、どうしても重度の精神薄弱者の入所施設の整備を引き続いて推進していく必要があるのではないかと考えます。例えば花博跡地の周辺でありますとか、南港や北港など新しく土地を造成したところに優先的に土地を確保するなど、環境のよい市有地を積極的に提供し、緑に包まれた温かみのある施設を整備していくべきであると考えますが、今後の精神薄弱者入所施設の整備のあり方について市長の御所見をお伺いいたします。 次に、ごみの問題についてお尋ねいたします。最近、ごみの増量が全国的に著しく、マスコミでもごみについて盛んに取り上げられております。主婦の立場で家庭のごみを見ますと、確かにうなずける点がございます。昔は、家庭のごみといえば台所から出る生ごみ程度でございました。ところが最近は容器や包装材が大変多くなりました。牛乳の紙パック、ジュースやビールの缶、肉や魚のプラスチック容器など、どれをとっても大変便利なもので、市民生活の向上に寄与したことは事実です。しかし、反面、ごみを増やしていることも否めません。また、必要以上の過剰包装もあります。また、私どもの生活が消費指向型に変わってきた点もごみをふやす大きな要素だと思います。子供の服一つをとりましても、昔は兄弟が順次引き継いで着たものです。ところが最近は、粗大ごみを見ましても、まだ使える家具などが捨てられており、ずい分もったいないことだと思います。このような状況を放置していては、そのうちごみ処理に行き詰まってしまいます。そこで、市民みずからが意識を変えて、物を大切にする心をはぐくむようにしなければなりません。そうすれば、日常生活のレベルでおのずとむだがなくなり、ごみが減量されると思います。このためには、行政としても市民に積極的に働きかけ、ごみ処理の窮状と減量の必要性をPRし、日々の生活を見直してもらうよう努力することが大切です。市民1人1人が物を大切にし、もったいないという心でごみを捨てるように、訴えかけていくべきでしょう。そこで、これまでいろいろな広報活動などもやられていると思いますが、何かもっと大々的に取り組んでいく必要があると思いますが、市長の御見解をお伺いいたします。 さて最後に、私の地元の問題として、梅田貨物駅跡地の再開発計画についてお尋ねいたします。大阪駅周辺の整備につきましては、21世紀に向け、国際的な役割を担う大阪の玄関口にふさわしい機能と景観を持った町づくりを進めることが必要であると考えております。大阪駅南側や西梅田地区では、すでに、町づくりが着実に進みつつあります。一方、大阪駅の北側に目をやりますと、梅田貨物駅や貨物線により町が分断され、地域の発展が阻害されてまいりましたが、昭和61年10月、梅田貨物駅用地などが売却予定地として発表されましたので、これらの用地の開発が、町の発展を左右するものと判断するものでございます。大阪市では、昭和62年2月、この地区の開発構想について、大阪駅ターミナル問題懇談会に諮問し、去年7月、その中間報告がまとめられたところでございます。また最近では、この地区について、国土庁などが中心となった調査や国鉄清算事業団の用地処分の方法、あるいは民間の開発構想の提案など、いろいろと新聞紙上をにぎわしております。私は、この地区は、その立地条件、規模などから考えても、活力と魅力あふれる
国際都市大阪の町づくりを進めていく上で極めて重要であり、その開発構想の策定に当たっては、大阪市主導のもと長期的、広域的展望に立ち、周辺地域を含めた総合的な整備とすることが必要であると考えております。今後、この地区の開発構想策定に向けてどう取り組まれるのか市長のお考えをお伺いいたします。 以上、これまでいろいろと質問してまいりましたが、市長の明快なる御答弁をお願いいたしまして私の代表質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(多賀谷宏君) 理事者の答弁を許します。 西尾市長。 (市長西尾正也君登壇)
◎市長(西尾正也君) ただいまの美延議員の市政運営全般にわたる御意見、御質問に対しまして御答弁を申し上げたいと存じます。 まず昨年の不祥事のことでございますが、常々清潔で市民に信頼される市政を心がけでまいった中でのことでありますだけに、市民の市政に対する信頼を著しく損なう結果となりまして、まことに遺憾に存じておるところでございます。先般の事件の起こりました原因につきましては、事件本人の公務員としての資質の問題、公金支出事務にかかるチェック体制が十分に機能しなかったことなどが考えられるわけでございますが、議員御指摘のとおり、公務員は全体の奉仕者であり、市民のために全力を挙げて職務に精励しなければならないという公務員倫理と申しますか、公務の基本精神が欠落していたことが大きいのではないかと思っております。私ども、常日ごろから、そのようなことにも十分意を用いまして、職員の服務規律の確保について努力をいたしておるところでございますが、あのような事件が発生いたしまして、深く反省をいたしておるところでございます。事件発生後、それを起こしました職員はもちろん、監督、責任者などの関係者につきましても、その職責に応じて厳正な対処を行ってまいったところでございますが、市民の市政に対する信頼は、市政の円滑な運営のための基本となるものでございまして、市民の信頼を一刻も早く取り戻すことが、市政運営の任にある者の責務でございますので、今後、二度とこのような不祥事を発生させないために、訓令等により全庁的に公金事務処理体制の検討、チェック体制の強化を図ることはもちろんでございますが、御指摘の公務員倫理や公金に対する、また公務に対する自覚の涵養など、職員の綱紀の保持について、周知徹底を図ってまいったところでございます。また、
市政運営刷新委員会から提言されました、議員と職員の関係の適正化、飲食を伴う会合の整理などを内容といたします緊急提言や会計監理検討委員会において検討されました、事務手続の徹底、ダブルチェックの強化などの改善策につきましても、その趣旨を踏まえ内容の実現に努めてまいっておるところでございます。さらに、定期の人事異動の時期を早めるなど、人事面におましても市政の刷新に努めてまいったところでございます。今後、議員御指摘の市民への奉仕の精神ということを肝に銘じまして、職員が厳正かつ公正な態度で一層職務に精励をいたしまして、また、所属長を初めとする各管理職におきましては、部下職員の指導、監督に一層努力することによりまして、本市一丸となって一日も早く信頼の回復に努めてまいりたいと考えております。 次に、予算編成に当たっての基本的な姿勢についてのお尋ねでございますが、平成2年度は、これまで多くの市民の手によって営々として築かれてまいりました大阪市政が、新たな100年に向けて本格的な第一歩を踏み出す意義深い年でございます。また市政第2世紀目の初頭を飾る花の博覧会も、いよいよ4月1日に開幕されるところでございます。私は、この意義深い年を迎えるに当たりまして、お年寄り、若者、女性、子供たちが安心して楽しく生き生きと暮らせる人間主体の町づくりに、また、国際社会に貢献できる町づくりに意を用いまして、予算の編成に努めてまいったところでございます。ところで、国及び地方の財政は、巨額の借入金残高を抱えるなど、厳しい状況が続いております。本市におきましても、管理運営費などの多額の必須経費に加えまして、
社会経済情勢の変化に対応する新たな財政需要が増大してまいります中で、税収入の大きな伸びが期待できず、
国庫補助負担率の
引き下げ措置が継続されますなど、なお厳しい状況にございます。このような状況のもとでございますが、平成2年度の予算編成に当たりましては、簡素で効率的な行財政運営に努め、税収入を初め国庫支出金、特別債等の確保を図り、限られた財源の重点的、効率的配分、民間活力の活用などに配意しながら、市民本位の市政運営を基本といたしまして、市政第2世紀のスタートを飾る国際花と緑の博覧会を市民の皆様と心を合わせて成功させ、新たな100年に向けて、ふるさと大阪づくり、世界の大阪づくりを進めてまいることといたしたところでございます。 次に、新総合計画についてでございますが、我が国の社会は、約1世紀にわたる近代化、工業化の過程を経まして、いま歴史的に大きな転換点を迎えております。大阪市も市政の第2世紀に向けて新たな一歩を踏み出すなど、大きな節目のときを迎えたわけでございます。このような中で新総合計画は、これからの町づくりの目指すべき方向を明らかにする非常に重要な意義を持つものであると考えております。こうした認識のもとに現行計画の進捗状況を点検いたしますとともに、21世紀社会を長期的に展望し、また市会におきます御議論を初め、総合計画審議会、また市民各界各層からの御意見を踏まえまして、新総合計画づくりに取り組み、今般その基本構想を御提案を申し上げたところでございます。その基本的な考え方といたしましては、都市は、何よりも人間の生活と活動にふさわしい場として整備されなければならないということ、また多様な人、物、情報、文化などを創造し、発信することによって、社会に貢献していくことが、都市発展にとって極めて重要であるという考え方から、人間主体の町、世界に貢献する町を町づくりの基本的な柱といたしまして、この調和、両立を打ち出しているところでございます。このような基本的な観点に立ちまして、まず人生80年代に対応した健康福祉や学習などの総合的な生活システムの構築や多様で良質な都市型住宅地の形成、文化的魅力の向上、アメニティ豊かな環境整備など新しい
都市生活魅力の創造に努めてまいりたいと考えております。また、世界、アジアをつなぐ国際経済ネットワークの中枢拠点づくりや人材育成、経済協力などを通じて世界に積極的に貢献すること、さらには個性豊かな魅力ある町づくりや市民意識の啓発、高揚などによりまして、大阪に対する愛着、公共心を醸成することなどを主なねらいとしながら、住、食、遊のバランスのとれた町づくりを考えておるところでございます。御案内のように、大阪は総合計画を全国に先駆けて策定した実績を持つなど、常に先進的な町づくりに取り組んでまいったわけでございます。それだけにぜひとも町づくりの
パイオニアにふさわしい新総合計画をつくり上げ、これを指針に本当に住みやすく、世界の中で信頼される都市を実現し、後代の人々に引き継いでまいりたいと考えているところでございます。さらに基本指標についてのお尋ねでございますが、私は、大阪が豊かで活力ある都市として発展する上で年齢、世帯規模などの面でバランスのとれた人口構成を持つことが非常に大切であると考えております。その実現には、居住水準や居住環境の一層の向上、魅力ある雇用機会の拡大など、最大限の努力が必要であり、これを前提といたしまして、常住人口280万人と設定したところでございます。経済につきましては、国レベルでは21世紀初頭までは4%程度の成長が続くという見通しが立てられております。また、近畿におきましては、関西国際空港や関西文化学術研究都市など、経済の発展を支える新たな基盤整備の進捗に伴いまして、これまで以上の経済成長が見込まれております。このような中で大阪市といたしましても、金融、交易など国際的な経済機能の充実、中小企業の体質改善やニュービジネスの育成など積極的な産業、経済振興策を推進することを前提といたしまして、21世紀初頭における就業者数を260万人、実質
経済成長率を4.3%程度と設定をいたしたところでございます。また、議員御指摘のように、人口や経済の動向は、大阪市の税財源にも大きな影響を与えますので、この目標の実現は、都市経営的な観点からも極めて重要でございます。この税財政の問題は、根本的には大都市の税財政制度にかかわる事柄でございます。現行の市町村税制を初めとする税財政制度は、昼間流入人口などの大都市特有の財政需要や都市としての成熟化に伴う更新需要など、大都市の財政需要の実態に見合ったものになっておらないわけでございまして、市町村の税収、特に本市の税収の伸びは、長期的に見ますと、総体的に低くなっておるのが現状でございます。したがいまして、現行の市町村税制を初めといたします税財政制度が今日の本市などの大都市の実態に即応したことになることはもちろん、
市民ニーズの多様化、高度化や近畿圏の中枢都市として果たすべき役割の拡大などにこたえ、新しい町づくりを進めてまいりますための財政需要の増大に見合った税財政制度の確立が求められておるところでございます。とりわけ都市の活動を反映する法人所得課税などの充実等、都市税源の拡充による大都市税財政制度の確立を引き続き国に対し強く求めてまいりますことが、これまでにも増して重要なことであると考えられます。議会の皆様の御協力をお願いを申し上げる次第でございます。 次に、国際社会への貢献についての御質問でございますが、議員仰せのとおり、真の国際都市と申しますのは、都市の機能そのものが国際化に対応できるよう整備されているのと同時に、広く世界に貢献することによって、名実ともに国際都市として認められることが肝要であると存じます。また、国際交流、国際協力を進める上で、これも議員のおっしゃっておられますように、心の触れ合う、顔の見える交流、相手のニーズに合った交流や協力が極めて重要であると思います。そうした視点から、姉妹都市交流や国際協力を進めてまいっておるところでございますが、今後ともそういう考え方で取り組んでまいりたいと存じております。姉妹都市交流につきましては、昭和32年、サンフランシスコ市との提携以来、現在8都市と提携をいたしております。市民各層の参加を得て、経済、文化、スポーツ、都市工学など、幅広い分野で交流を重ねてまいっております。このような積み重ねの中で、昨年の
サンフランシスコ地震では、市会の皆様方を初め市民の皆様からすばやく義援金が寄せられ、サンフランシスコ市民を感激させたところでございます。一方、私どもも26日後に開催されます花の万博に、8姉妹都市すべてから庭園、モニュメントなどに参加、出展、支援をいただいております。私は、自治体の行う国際交流は、このように多くの人たちが参加し、広範な分野で信頼関係を築き、そうした人と人のつながり、市民と市民のつながりで、政治、経済情勢に左右されない、安定的な国際関係をつくる一助になることにその意義があると思います。今後とも姉妹都市を中心に積極的に国際交流を推進してまいりたいと考えております。 次に、国際協力についてでありますが、我が国は、経済的地位の向上に伴い、国際社会への寄与が強く期待されております。特に、地理的、歴史的に深いつながりのあるアジア地域への国際協力については、これら諸国や地域の安定と発展に貢献し、世界の平和と繁栄に資するものでもあり、本市におきましても、市制100年の間に蓄積してまいりました都市経営や技術の分野を中心に、専門職員の派遣や研修生の受け入れなど、幅広く協力を行ってまいったところであります。
開発途上国のこうしたニーズは、本市に対する期待も含め、ますます大きくなってくるものと予想されますので、関西の産、官、学が協力いたしまして、平成2年度設立を準備いたしております人材育成協力機関である太平洋人材交流センターヘ出捐をいたしますほか、ビジネスパートナー都市間の交流の推進、国際交流センター事業の活用などを通じまして、技術や人材育成への支援はもとより文化、スポーツを含め総合的な交流を行い、
開発途上国の国々の発展に貢献できますように、今後とも積極的に国際協力を推進してまいりたいと考えております。 次に、都市の国際化の中での港づくりについてでございますが、
天保山ハーバービレッジのオープン時期は、例年行われます港祭りと同時期となりますので、その行事の一環として、姉妹港文化交流を
天保山ハーバービレッジのイベント広場などを活用いたしまして、今、美延議員御提案の
市民レベルでの国際交流の場として提供、活用してまいりたいと考えております。さらにまた各港との
姉妹港提携の5周年と10周年が毎年やってまいりますので、該当する港を中心に各姉妹港、あるいは各国の文化を紹介する姉妹港フェスティバルを継続的に開催いたしたいと考えております。また、南港地区におきましてはこれらのイベントを支援するとともに、いつでも姉妹港及びその国の文化や産物などを知ることができる姉妹港交流のセンターづくりを検討してまいりたいと考えております。姉妹港の交流におきましては、姉妹港会議や技術交流のほか、オーストラリアのメルボルン港のように、国際ヨットレースの開催に当たって相互に協力するなど、さまざまな交流があります。その中でも、サンフランシスコ、メルボルン、ル・アーブル、上海、大阪の5港による姉妹港会議を各年ごとに開催し、各港の事例を相互に学んだり、また、相互協力を確認することなどは、姉妹港交流の実を上げていく上で最もより例であり、今後とも継続し、さらに拡大してまいりたいと考えております。なお、先ほど議員もおっしゃっておりましたメルボルン、大阪ダブルハンドヨットレースにつきましては、来年が2回目の開催となるわけでありますが、今後定期的な国際イベントとして定着するよう努力してまいりたいと考えております。さらに、歴史的に関係が深いアジアニーズ諸国の主要な港湾と新しい
姉妹港提携の準備を進めまして、ビジネスパートナー都市交流ともども、より一層国際交流を深めてまいりたいと考えております。いずれにいたしましても、大阪港におきましては、人、物、情報の国際化への対応を図りつつ、港での国際イベントの開催、さらには姉妹港を中心とする国際交流の拡充に努め、大阪市の国際化を推進してまいる所存でございます。国際化の中での教育の果たすべき役割についていろいろと御意見がございました。御質問もございましたが、この点につきましては、後刻教育委員会からお答えを申し上げたいと存じます。 次に、国際花と緑の博覧会についてのお尋ねでございますが、国際花と緑の博覧会は、先ほど申しましたように、開幕までもう余すところ26日でございます。日一日と近づく開幕に向けまして、地元関西はもとより、全国的にも相当花博ムードが盛り上がってまいったと考えております。この博覧会は、人と自然が調和する潤いのある豊かな社会の創造を目指して開催されるものであります。自然を身近なものとして再認識していただき、自然を愛し、命あるものを大切にする心をはぐくんでいただこうとするものであります。ぜひともこの大阪で開催される花の万博を大成功させたいものと考えております。そのためには2,000万人を超す国の内外からのお客様に楽しい博覧会気分を壊すことなく、よい印象を持ってお帰りいただくことが大事であるとの御指摘もまことに仰せのとおりでございます。本市といたしましては、これも御指摘のとおり、交通の安全と円滑な運行の確保は、この博覧会の成功にとって非常に重要なことであると認識をいたしております。引き続き市民の皆さんの御理解と御協力を得ながら万全を期してまいりたいと考えております。また、私どもホストシティとして「咲くやこの花館」を出展するとともに、市民の皆さんの積極的な御参加を得て、内外からのお客様を温かく歓迎する行催事を実施いたしますほか、美しい町、温かい心で花の万博を合い言葉といたしまして、市民運動と合わせまして、花の万博の成功に向けた市民の心意気を示していただき、世界に誇れるすばらしい都市であるという印象をお持ちいただくように努めてまいらなければならぬと考えております。次に、花の万博の成果は、今後の町づくりの中にしっかりと生かしていくべきであるという御指摘、仰せのとおりでございます。かねがねこの博覧会は、一過性のイベントとして終わらせてはならないと思っております。花の万博は、今も申し上げましたように、自然と人間の共生を目指す、いわば心の万博とも言えるものであります。これを契機に市民みずからが美しい町、また世界に誇れる町をつくるという気持、精神を市民の皆さんの心の中に受け継いでいっていただくということが、一番大切な事柄であろうと考えております。このような視点に立ちまして、博覧会後の鶴見緑地を花の万博の理念を継承した公園として整備いたしますとともに、市域全体におきましても、花と緑の町づくりを推進するため、その展開の拠点となる公園、緑地の充実や水辺などの公共空間を市民の憩いの場として整備し、あわせて市民の健康づくり、スポーツ振興にも寄与できるものとしての環境づくりを進めてまいりたいと考えます。さらには自然を愛する心を高め、広く地球環境の問題に対処してまいりますために、国連環境計画、UNEPの関連施設の誘致を働きかけるなど、花の万博の精神を今後の町づくりに有効に生かしてまいらなければならないと考えております。また、花の万博を開催した都市であるという市民の誇りを柱として、花いっぱい運動の展開や思い出の森づくりなど、これまで以上に積極的な市民参加によりまして、花と緑あふれる町、市民がゆとりと潤いを持って住める町にしていきたいと考えております。その具体的な方策の一つとして、たとえば市民ともども花と緑の町づくり宣言を行うことなども検討してまいりたいと思っております。いずれにいたしましても、人と自然の共生という花の万博の高い理念を、またこの博覧会に対してさまざまな面でお力添えをいただいております市民の皆様方の心を、今後の大阪の町づくりの中にしっかりと生かしてまいらなければならないと考えております。 次に、高齢化社会対策についてでありますが、大阪市におきましても、人口の高齢化が非常に急速に進行しております。お年寄りが長年住みなれた地域社会で、健康で生きがいを持って暮らせる町づくりを進めてまいりますことが、市政の最重要課題であると考えております。中でも高齢化の進行に伴いまして、寝たきりや痴呆症などの介護を必要とするお年寄りが急増していくことが予測されますために、これらの方々に対する施策を重点的に進めてまいらなければならないと存じます。これらのお年寄りの方々に対する介護の問題は、議員仰せのとおり女性の皆さんの肩にかかってくる、女性に深くかかわりを持つ問題でございます。大阪市におきましては、介護を必要とするお年寄りに対する在宅福祉施策といたしまして、ホームヘルパーの派遣事業を初めデイ・サービスやショートステイ事業、さらには入浴サービス事業や日常生活用具の給付事業などを実施しておるところでございますが、今後ともこれらの在宅福祉施策の充実に積極的に取り組んでまいりまして、お年寄りやその御家族のニーズにきめ細かく対応してまいりたいと考えます。特に、お年寄りの身の回りのお世話や家事、介護の援助などを行うホームヘルパー派遣事業につきましては、人材養成や資質の向上を図りながら、大幅な増員に努め、家族の負担軽減を図ってまいりたいと考えております。また、介護を必要とするお年寄りを一時的に特別養護老人ホームでお預りするショートステイ事業の実施個所の拡充を初め、健康チェックや日常動作訓練などを行うデイ・サービス事業や家庭での入浴が困難なお年寄りに対する入浴サービス事業につきましては、大幅にその充実を図ってまいりたいと考えております。さらに介護者のさまざまな悩みごと相談や情報の提供などを行う高齢者総合相談情報センターの建設を進めておるところでございます。今後とも国際化、情報化、さらには女性の社会進出といった社会環境の変化を踏まえた総合的な長期ビジョンを早急に策定いたしまして、お年寄りやその家族の方々が安心して過ごしていただけるよう、在宅福祉の充実に努めてまいらなければならぬと考えております。 子供の教育についての御質問でございますが、議員仰せのとおり、人間性に富み、国際性豊かな変化に対応し得る青少年の健全育成、教育は、市政にとりまして何よりも大切な事柄であると思います。教育委員会と協力をいたしまして、積極的に取り組んでまいりたいと思っておりますが、この方針につきましては、後刻教育委員会からお答えを申し上げたいと存じます。 それから心身障害者の福祉対策についてでありますが、障害者が、その持っておられます能力を生かしながら、地域社会で自立した生活ができるよう援助してまいりますことは、市政にとって大切なことでございます。本市といたしましても、こうした観点に立ちまして、特に一般企業への就労が困難な精神薄弱者のために生活訓練や作業指導などを行っております通所施設の整備を図るとともに、地域社会の理解と協力によりまして、保護者の方々が中心となって運営されております福祉作業センターに対する運営助成も引き続き相当大幅な増額を図ってまいったところでございます。また、精神薄弱者が共同で生活しながら、日常生活に必要な知識や技能を習得するためのグループホーム制度を平成元年度から導入いたしますなど、精神薄弱者福祉施策の充実に努めてまいっております。しかしながら、先ほど議員御指摘のとおり、児童福祉施設に入所している18歳以上の精神薄弱者が約300名おられる現状でありますし、障害者や保護者の高齢化に伴いまして、地域でどうしても生活することが困難な重度の精神薄弱者がおられることも事実であります。こうした重度の精神薄弱者に対しましては、安心して生活できる場であります入所施設の果たす役割はまことに大きなものがございます。このため本市におきまして、これまでに精神薄弱者の入所施設を2カ所整備いたしております。平成元年度からさらに市内に1カ所建設中でございます。今後の入所施設の整備に当たりましては、障害者が安心して生活できる場としての機能とともに、在宅福祉サービス基地としての機能がぜひとも必要となってまいりますので、現在建設中の薄弱者の入所施設におきましては、通所施設やデイ・サービスセンターを併設いたすこともいたしております。なお施設の建設に当たりましては、地域の皆様方の理解と協力がぜひとも必要であります。また、これも議員御指摘のように、用地の確保につきまして、いろいろ難しい状況もございます。議員、具体的に御指摘の御趣旨も十分踏まえまして、用地の確保、また施設の整備に努めてまいりたいと考えております。 次に、ごみ対策についてでございますが、最近、特に大都市を中心にごみの増量が深刻な問題となってまいっております。大阪市も例外ではございません。10カ所の焼却工場はすべてフル稼働の状態でございます。ただいま議員がおっしゃっておりましたように、現代はいわば消費社会であり、物を大切に使おうという気持ちが稀薄になりがちでございまして、これもごみの増量の一因になっておるのではなかろうかと考えられます。したがいまして、市民の皆さん1人1人が、使い捨ての慣習を見直していただくような意識の改革が必要であるという御指摘、全く同感でございます。そこで平成2年度予算案に1億500万円を計上いたしておりまして、これによりまして、大々的なそういう趣旨のキャンペーンを展開をいたしまして、大阪で生活し、また働く皆さんに広くごみの減量を訴えてまいりたいと考えております。ごみというものは、生産、流通、消費の各段階でさまざまな要素がからみ合いながら多くの人々がかかわり合って最終的に発生してまいるものでございます。このために、実際にごみを排出する消費者はもとより、製品をつくる方々、容器を製造する方々、流通に携わる方々、また販売に携わる方々など、社会各層の多くの皆さんに対し御協力を賜りますように積極的に働きかけてまいる必要があると思います。とりわけ主婦の皆様は、買い物などを通して包装や容器類がふえている実情など、よく御存じだと思います。私どもともに手を取り合ってごみの減量に取り組んでいただけることを願っております。具体的な企画につきましては、関係局に策定を急がせまして、新年度できるだけ早い時期にキャンペーンを開始いたしたいと考えております。 最後に、梅田貨物駅跡地の再開発計画についてでございますが、その開発、整備に当たりましては、梅田貨物駅用地、旧大阪鉄道管理局用地はもとより、その周辺地区も含めた大阪駅北地区について一体的に行うこと、考えることが必要であると仰せでございますが、そのとおりでございます。昨年7月には、大阪駅ターミナル問題懇談会から、土地利用や導入、機能、都市基盤整備など、開発整備の基本的な考え方を中間報告として取りまとめていただいたところでございます。この地区につきましては、21世紀に向けて先駆的な役割を担うべき、大阪にとって極めて重要な開発拠点プロジェクトでありまして、長期的な展望のもとに、その立地特性を生かしながら、近畿、西日本だけでなく、世界の経済、文化等との中心的な機能を果たす地区にしたいと考えております。そのためには広域的な観点に立ち、総合的な整備計画のもとに土地利用や都市基盤整備を図り、アメニティ豊かな魅力ある都市空間をつくり上げていかなければならないと考えております。開発、整備に当たりましては、梅田貨物駅の機能、移転などの課題がまだ残されておりますが、今年度から2年間の予定で国土庁、運輸省、建設省の3省庁によります共同調査が始まったところでございます。大阪市もこの調査委員会に参画いたしまして、大阪駅ターミナル問題懇談会からちょうだいいたしております中間報告にございますような考え方を十分反映させてまいりますとともに、関係機関とも協議、調整を進め、開発、整備の具体化に努めてまいりたいと考えております。御協力をお願いを申し上げる次第でございます。 以上でございます。
○議長(多賀谷宏君) 福岡教育長 (教育長福岡康司君登壇)
◎教育長(福岡康司君) 教育の問題につきまして私から御答弁を申し上げます。 まず、国際化の中での教育の果たすべき役割についてでありますが、議員仰せのとおり、それは国際社会の中で信頼される日本人を育成することにあると存じております。そのために、単に外国語を修得することにとどまらず、広い意味での文化の相互理解を積極的に推進していかなければならないわけでございます。現在、本市の小中学校では、外国の学校との姉妹校提携による交流、また中学校、高校では毎年生徒を海外に派遣し、学校訪問やホームステイを通じて、国際的な友好親善を進めております。さらに教職員の海外研修の充実に努めますとともに、海外からの教育視察団の受け入れも積極的に行っております。一方、外国青年の英語指導助手を増員し、英語教育や国際理解教育の充実に努めるとともに、これらの外国青年との交流行事も数多く実施しております。さらに南高等学校では、海外の姉妹校との間で交換留学や相互訪問をする一方、海外から帰国した生徒の受け入れも行うなど、国際交流に努めております。また、姉妹都市、友好都市を中心に、柔道やバレーボールなどのスポーツ交流を行っているところであります。平成2年度には、特に市制100周年を記念いたしまして、8都市から女子バレーボールチームを招待し、交流を一層深めたいと考えております。また一方、議員仰せのように、たとえばボートピープルと言われる難民の受け人れとその教育の問題などが、これからの課題となることも予想されるところでございます。国際化が進むにつれて生ずるであろうさまざまな問題につきましては、国の段階での施策の動向を見きわめる必要が当然ございますが、教育委員会といたしましても、今後このような問題について真剣に受けとめ、念頭に置きながら、国際化時代の教育を進めなければならないと存じておる次第でございます。 次に、子供の教育についてでございますが、議員仰せのとおり科学の進歩や経済の目覚ましい発展が今日の豊かな社会をもたらした反面、ともすれば人間としての心の豊かさが見失われている状況が見られます。今日、真理を求める心や自然を愛し命を尊重し、他人を思いやる心など、心の教育が強く求められておるゆえんでございます。本市におきましては、こうした状況を踏まえ、豊かな心を育てる教育活動を推進することを重点に教育を進めているところでございます。まず自然や人との触れ合い活動として、学校を離れ、友達と共同して生活する自然教室や学校花いっぱい運動、また地域の人たちとともに行う清掃美化などの奉仕活動や地域の歴史や文化を町の古老から学ぶ活動などがあります。こういった活動を通して地域の方々とあいさつを素直に交わす雰囲気が生まれるなど、社会活動のマナー、いわゆる基本的な生活習慣を育成するよう努力しております。また、文化、スポーツなどのクラブ活動や学校行事などを通して上級生と下級生がともに協力し、責任を果たす態度や、ルールを守り公正な態度で接するなど、好ましい人間関係の育成を図っております。個性を生かし切磋琢磨して、たくましく生き抜いていくための基礎となる力を身につける教育活動を推進しているところでございます。さらに急速に進む国際化、情報化社会に向けて生涯にわたって学び続ける自己教育力をつける学習活動を重視して進めております。また、あわせて国際社会に生きる日本人として、幅広い国際感覚やマナーを身につけることを目指しております。今回改定されました教育課程におきましても、人間としての生き方についての自覚を深めるなど、道徳教育の充実が大きなねらいとなっております。したがいまして、今後とも学校生活全般にわたって、道徳心の高揚を図り、みずから学ぶ意欲と主体的な学習の仕方を身につけ、命を尊重する心や豊かな人間関係をより一そう高めるよう努めてまいりたいと考えております。もちろん学校教育の充実が重要なことは、当然のことでありますが、教育は、学校と家庭、地域が連携して、初めて効果を上げ得るものであります。21世紀の
国際都市大阪の発展を担っていく子供たちを豊かな人間性と心身ともに健やかな青少年として育成するため、保護者はもちろんのことでございますが、地域の方々とも十分連携して、より一そう努力してまいる所存でございますので、どうかよろしくお願いいたします。
○議長(多賀谷宏君) お諮りいたします。この際暫時休憩することに決して御異議ありませんか。 (「異議なし」と呼ぶ者あり)
○議長(多賀谷宏君) 御異議なしと認めます。よって暫時休憩いたします。 午前11時30分休憩 午後1時7分再開
○副議長(岸本太造君) これより休憩前に引き続き会議を開きます。
○副議長(岸本太造君) 松村将司君の質疑を許します。 32番松村将司君。 (32番松村将司君登壇)
◆32番(松村将司君) (拍手)私は、公明党大阪市会議員団を代表して、今回上程されている平成2年度予算案及び関連諸案件並びに大阪市
基本構想案について、市長並びに
関係理事者に質問してまいります。 平成2年度予算は、大阪を世界にアピールする国際花と緑の博覧会の開催を迎え、21世紀に向かって新しい時代に対応する活力ある
国際都市大阪の創造を目指す、極めて重要な予算であります。このような認識のもとに、我が党は、市民の切実なる要望にこたえるため、本市行政の全般について、七つの柱と269項目にわたる平成2年度大阪市予算編成に関する要望を行ったところであります。これに対して、西尾市長は、市民本位の市政運営に努めることを基本とし、市政第2世紀のスタートを飾る国際花と緑の博覧会を市民と心を合わせ成功させるとともに、美しい都市景観と文化を創造する触れ合いとぬくもりのある豊かな「ふるさと大阪づくり」を進めるとともに、経済の活性化と新しい時代にふさわしい都市基盤の整備に努め、21世紀に飛躍する世界の大阪づくりを目指した予算とされたところであります。今後とも、厳しい諸般の情勢を克服し市民生活の安定と新たな時代に向かって、健康で明るく希望に満ちた大阪市政の確立を望むものであります。私は、このような観点に立って、以下市長の見解を尋ねてまいります。 まず、初めに財政問題についてお尋ねいたします。平成2年度の国の予算並びに
地方財政計画は、今後の
社会経済情勢の変化に、財政が弾力的に対応していくため、財政改革を強力に推し進めるとともに、経費の徹底した
節減合理化に努めながら、財源の重点的、効率的配分を行い、積極的に生活環境の整備、地域経済の振興を図ることを基本としております。一方、本市の平成2年度の予算案は予算総額3兆2,301億円で対前年比5%増、
一般会計予算は1兆4,288億円、対前年度比7.3%増で
地方財政計画の7%増をやや上回る率となっております。又、投資的、臨時的経費についても、対前年度比12.5%の増と3年連続して10%台を確保していることも特徴の一つであります。特に、財政構造の弾力性を示す経常収支比率は、前年度より5.7%減少し、昭和40年代前半の73.3%にまで低下し、引き続き好転しております。しかし、表面的には、財政状況が好転しているように思われますが、これは、内需の拡大による堅調な景気と物価の安定などに支えられたもので、構造的な改善が図られたとは言いがたいものであります。他方、税収入の大きな伸びがこれ以上は期待できず、加えて、
国庫補助負担率の引下げ措置が継続されるなど、本市財政を取り巻く環境は依然として厳しい中、21世紀を展望した新総合計画に基づき、総合的かつ計画的に新しい町づくりを推進していくとすれば、財政需要は今後、ますます増大するものと考えます。加えて到来する高齢化社会に対応するための福祉施設の充実や社会保障の増大等、社会資本への投下は急激に増加するものと思われます。これらに対処するためには、行政改革を強力に推進するとともに、国庫補助負担金など財源の安定的確保を図り、弾力性のある財政運営を持続していくことがより一層必要とされていると考えているところであります。特に、平成2年度は
国庫補助負担率問題について補助負担率引き下げの暫定期間が終了するという重要な年度であり、国の一方的な補助金カットについて、その復元に向けてねばり強く要望していかねばならないと考えるものであります。また平成元年度より実施の消費税の問題でありますが、我が党は一貫して撤廃を求めてきたところでありますが、平成2年度予算案の中にも昨年に引き続いて企業会計の一部を除いて、その転嫁が見送られていることについては、市長の姿勢を高く評価するものであります。今後も国の動向を見守りつつ、その廃止に向けて強く運動を展開していくものであります。以上の点により、安定かつ弾力性のある財政運営を持続していくためには、今こそ大都市の財政需要に見合った税財政制度の改善を図り、真の地方自治を確立することが最も肝要であると考えるものであります。市長は指定都市のリーダーとして、大部市税財政制度の確立に向けてどう取り組んで行かれるのか、その御決意のほどをお尋ねいたします。 次に、行財政改革について、お尋ねいたします。本市におきましては、従来から積極的に行財政改革を推進され、特に昭和60年には当面の行財政改革についての基本方針を策定され、以後おおむね3年間を実施期間として市長を初め全市一丸となって取り組んでまいったところであります。この基本方針では、国、地方を通ずる行財政改革の推進、具体的に39項目の事務事業の見直しも掲げた簡素で効率的な行財政運営の推進、人事管理の適正化、合区の推進と区政のあり方、事務改善、OA化等の推進など七つの方策が掲げられてあります。しかしながら、実施期間の3年間が経過した現在、その実施状況を見ますと確かに職制の改正、合区の実施など一定の成果はありますものの、文書送達員の見直し、OA機器の導入など、まだ不十分であると言わざるを得ないわけであります。また、基本方針策定以来すでに5年近くも経過しておりますので、今日的な新しい課題の対応も必要ではないかと考えております。行財政改革は決して一過性のものであってはならず、不断に取り組んでいかなければならないものであると考えており、今後も簡素で効率的な組織機構の確立、事務事業の委託、職員の適正配置並びにタイムレコーダーの導入による厳正な職場管理の推進、職員の管理体制の適正化、OA機器の積極的導入による事務の効率化など、事務事業の全般にわたって積極的に取り組んでいただきたいと存じますが、市長の決意のほどをお伺いいたします。 次に、市政刷新について市長にお尋ねいたします。大阪市は、昨年、市制100周年という記念すべき年を迎え、市民とともに盛大に祝い、本年の花の万博開催をスタートとして、市政第2世紀へ第一歩を踏み出したところであります。しかるに、市制始まって以来、初めてともいうべき一連の不祥事が生じ、輝かしい伝統と誇りある市政に大きな汚点を残すこととなったのは、まことに残念であります。我が党としては、議会人として節度を越えたものにあっては、みずから名乗り出て、あるいは氏名公表するなど、厳正な態度で臨むべきであると考えております。市長初め、我々議員はもとより、市政に携わるすべての者が、市民に対し深くおわびするとともに、なぜ、このような事態が起こったのか真摯に反省し、二度とこのような事件が生じないよう、決意を新たに市民に信頼される市政を進めてまいらなければなりません。私は、今回の不祥事の根本的原因は、行政と議員とが本来あるべき緊張関係を欠いたことにあるのではないかと思います。今日、国政はもとより大阪市政においても、政治や行政は強く改革を求められております。そのためには、我々議員1人1人が襟を正して政治倫理を確立していかなければなりません。市長は、今回、不祥事が発生するや直ちに議会と共同して
市政運営刷新委員会を設置され、再発防止のため、当面取り組むべき対応策について、緊急提言がなされるとともに、庁内に設置された会計監理検討委員会からも公金支出の改善策について報告がなされたのであります。私は、市政に対する市民の信頼を一日も早く回復するためにも、これらの提言や報告を早急に実行することが必要であると思います。市民もその実施状況について強い関心を寄せております。そこで、これらの提言や報告の実行も含め、市民の市政に対する信頼を取り戻すために、今後、市政をどのように運営していかれるのか、市長の御決意をお伺いいたします。 次に、文化についてお伺いいたします。現在、策定中の大阪市新総合計画の中でも、文化は都市の魅力と活力の大きな要素であるとして、経済とともに都市発展の両輪と位置づけております。今、大阪はさまざまなビッグプロジェクトの実現に向けて、歴史的にも大きな飛躍の時期を迎えております。それは、言うまでもなく関西国際空港や関西文化学術研究都市の建設であり、大阪テクノポート計画を初めとする大阪ベイエリア開発などの推進であります。これらのプロジェクトは、大阪経済に活力と拡大をもたらすとともに、人、物、情報の国際的な交流の都市として大阪が未来に向けて飛躍するための大きな契機になるものと思います。こうした歴史の転換点を十分に踏まえて、経済の高度化、活性化を背景に文化の振興を図るための諸施策を積極的に講じていくことが極めて大切でありますが、私は、残念ながら大阪の文化に対する取り組みは、いまだ十分であるとは言えないと思うのであります。大阪が国際都市として発展していくためには、文化と経済のバランスのとれた発展を図ることが非常に重要であります。そのためには、例えばコンサートホールや劇場、また、現在検討されようとしている多目的ドームなど、大阪のシンボルともなるような第1級の文化施設から、市民の多彩な文化活動の発表の場となるような地域文化施設に至るまで、ハード面の充実に力を注ぐとともに、すべての市民が多様な文化活動に親しみ、町全体が文化をはぐくむような魅力あふれる町づくりに努めていくことが極めて大切であります。我が国はもちろん、アジアや世界の中で、大阪の果たす役割はますます大きなものとなっており、大阪が世界の芸術、文化の交流の拠点となるとともに、さらに大阪から世界に文化を発信していくことが重要であります。21世紀の大阪の町づくりの中に文化をどのように位置づけていくのか、御所見をお伺いいたします。 次に、生涯学習についてお伺いいたします。今日、人々の関心は物質的な豊かさから心の豊かさを求める方向に比重を高めつつありますが、そのためには、生涯学習の果たす役割が大きいものと考えます。生涯学習は、市民1人1人のより豊かな人生を送ることができるよう、さまざまな学習活動を通して寄与していこうというもので、その内容は読書や独学等の自由で個人的な活動やスポーツ活動、趣味、娯楽等、そこに楽しみや生きがいを見出す活動から、高度で専門的な知識や技術を身につけるものまで、幅広い内容を含んでいます。また、その対象も青少年、婦人、成人、高齢者等すべての層にわたっています。したがって、このような幅広い要請にこたえるために、単に学校教育にとどまることなく、社会教育においても、人々が自由にみずからの願いやニーズに応じて、生涯を通じて学習のできるよう、多種多様な学習の機会や活動の場、さらに指導者やボランティアリーダーの育成等の条件整備を積極的に進めることが必要であります。現在、市としても各種の学校や講座の開催、施設の整備等取り組みを進められておりますが、今日の市民のニーズの高まりや生涯学習の大きな流れの中では、十分なものであるとは言えません。そのような状況の中で、我が党はかねてより、生涯学習の推進には、行政の積極的な取り組みが重要であると主張してまいりましたが、一方、市民の自主性や自発性によることも大切であり、市民や民間の持っている自由な発想や能力を積極的に活用する方向で協力を求めていくべきだと考えます。我が党は、かねてから生涯学習は長期的な展望と265万市民の立場に立って推進することが肝要であると考えています。そのためには本市として協議会を設置し、検討していると承っていますが、生涯学習に関する基本的な考え方を早急に示すべきであると考えますが、市長の御所見をお伺いいたします。 次に、高齢化対策に関してお尋ねしてまいります。国においては、老人保健制度の改正が検討されており、高齢者の入院のあり方や在宅医療の推進など、より良質な医療を供給するシステムづくりが議論されております。世界で最も進んでいると言われる福祉国家のデンマークでさえ、その経験から施設における看護中心から在宅自立生活へと転換が図られており、多種多様なニーズに応じた福祉サービスが要求される昨今、これにこたえる総合的な施策の確立が急務となっております。大阪市では第1次の総合計画の中にも高齢化社会への対応が叫ばれていたにもかかわらず、現在、高齢者の中には帰る家もなく、病院や老人ホームを渡り歩いている人がいるというのが実情ではないでしょうか。今回、政府が打ち出した高齢者保健福祉推進10カ年戦略では、デイ・サービスを現在の約10倍、ショートステイは現在の11.7倍、ホームヘルパーを3.18倍に増加し、また、在宅介護支援センター計画、寝たきり老人ゼロ作戦という方向で対応しようとする、まことに画期的な計画であります。特に、我が党は一昨年の臨時国会において、在宅福祉3本柱の大幅拡充を政府に約束させ、これが10カ年戦略の策定につながったのであります。本市もこれに基づき、思い切った在宅福祉対策を打ち立てる必要があると思われますが、市長の御所見をお伺いいたします。さらに、21世紀は地域医療の時代であるとの観点から考えるとき、痴呆性老人、寝たきり老人を抱える家族に対する支援体制としてボランティアやヘルスリーダーの養成が急務とされているのであります。本市においても、寝たきり老人の予防対策として、老人保健法に基づく事業を実施してきており、それなりの成果も上がっていると思われますが、地域医療の観点から見ますと、体制ができていないと言わざるを得ないのであります。援護を必要とするお年寄りが長く住みなれた地域で生活を営んでいくため、保健、医療、福祉が一体となったお年寄り健康ネットワークの形成が何よりも大切であります。そのための関係機関の緊密な連携も欠かすことのできない条件の一つであり、さらに地域のネットワークが十分な機能を果たすためには、単に公共の施設や、民間の施設などのハード面だけではなく、地域住民の直接参加が絶対不可欠の条件ではないでしょうか。本市では、平成2年度から保健所を中心としたヘルスリーダー育成事業に取り組もうとしております。地域住民に健康管理の必要性を認識してもらい、高齢者を地域でしっかり支えていく意識の醸成を図ることは重要な事業でありますが、将来構想を明確にした上で、どう取り組むのか、市長の御見解をお伺いいたします。次に、痴呆性、寝たきりなど高齢者介護の問題についてお尋ねいたします。平成2年度の予算におきましても、新たに、特別養護老人ホーム2カ所の建設助成を初め、高齢者総合相談情報センターの建設などが組み込まれており、高齢者介護対策に対する一定の評価を行うものでありますが、市民生活における高齢者とその家族の実情は極めて深刻なものがあり、この実態を十分に掌握し的確な対応のための、打開策の確立が急がれるところであります。さらに、すでに要介護老人として、寝たきりや痴呆症の症状を持つ人々は、その多くが特別養護老人ホームに入所を希望しながらも、家庭での介護が限界を超えて待機している状況にあり、特別養護老人ホームの代替として、いわゆる老人病院に入院せざるを得ないという実情が増加する一方であります。確かに、家庭介護の強化は当然必要でありますが、現状では、特別養護老人ホーム入所を希望する人々の大部分は、今まで続けてきた家庭介護そのものが限界に来た上での入所希望であることも深く認識されたいところであります。すなわち、いかに家庭介護を強化しても入所施設の一定数はどうしても拡充しなければならないと思われますので、こうした実態について早急に掌握し、第2次5カ年計画の早期実現に努めていただきたいと考えますが、市長の御見解をお願いいたします。 次に、これからのアジアにおける大阪経済の立場についてお尋ねいたします。我が国はGNPが、世界経済の約7分の1を占める経済大国となり、国際的責務が諭じられている中、大阪は我が国の産業、経済の発展をリードしてきた中核都市であり、大阪が国際社会で何をなし得るかが問われているのではないかと思います。アジア・太平洋地域は、これからの世界経済の成長を牽引すると言われている中で、韓国やシンガポールの経済成長は著しく、とりわけシンガポールは国際金融、観光都市としてひときわ発展しつつあります。さらに、1997年には香港が中国に返還され、東南アジアの経済の中心であった香港の経済機能の行先が注目されている時、歴史的にも経済的にも、アジアとのかかわりの深い大阪は、アジア、太平洋地域の中核経済都市として、これら地域全体のバランスのとれた発展に貢献しながら、国際都市として飛躍を逐げることが必要となっております。そのためには、大阪市が国際交易機能の強化を目指して、アジア・太平洋トレードセンター事業やビジネスパートナー都市提携事業などを推進する一方、独自の金融商品の導入などにより、大阪の国際金融機能を高めるとともに、発展途上国の人材育成に協力し、途上国の順調な社会経済の発展に寄与するために、産業界、学会等と連携しながら進めていくことが重要であります。さらにまた大阪経済を支えている27万の中小企業にとっても国際経済機能を強化することが、大阪の中小企業の振興、発展につながるものであります。また、関西国際空港の開港を3年後に控え、国際化の流れが加速していく中で、大阪経済の活性化と中小企業の振興を図る国際経済機能の強化、充実策について、市長の御見解をお伺いいたします。 次に、大阪港の発展についてお伺いいたします。大阪は古くより大阪湾に注ぐ淀川のデルタ地帯に誕生した河川網と海に接する都市としてその機能をアメニティを十分に生かした産業と文化を発展させてまいりました。いわゆる水の都といわれる水網都市であり、アメニティあふれる親水都市であったわけであります。しかし、重工業の発展により活力を増した大阪は、結果として工業地帯を臨海部に置くことにより、海と居住区は隔離され、しかも船運、海運など交通手段や荷役方法などの変化により、運河や港湾の機能は縮小され、河川や臨港地帯全体の衰退に結びついたわけであります。ところが、時代は再びウォーターフロントの開発による臨海部の見直しが世界的潮流となり、我が国でも東京、横浜、干葉を初めとする臨海部の開発は目覚ましいものがあります。我が大阪でも新興地としての南港北港のテクノポート大阪計画も、このウォーターフロント開発と位置づけられるわけであります。今後は在来臨海地域における大規模、中規模のウォーターフロント開発が期待されるところではないでしょうか。新総合計画の中にも在来臨海地は臨海複合地と位置づけられ、港湾、生産機能の高度化を図り、都市型産業の立地拠点として機能の再編、強化を行い、業務、商業、居住、文化、リゾートとの複合的な再整備を行うべきところとされています。テクノポート大阪計画とともに、この臨海複合地を効果的に機能させることにより、21世紀の大阪はさらに大きな発展と復権が期待できるのではないでしょうか。テクノポート大阪計画が進捗し一定の段階に入ろうとしている今日、さらなる大阪の発展のため、この在来臨海地における開発構想の具体化を望むものであります。さらに、新空港、四国、淡路島、中国地方、兵庫県などのベイエリアの中心拠点としての大阪の位置づけのためにも、こうした新旧臨海地域の調和ある総合計画としての同時進行的開発構想もまた必要ではないでしょうか、市長の御見解をお聞きするものであります。 次に、国際花と緑の博覧会の成功とその後の有効活用についてお尋ねいたします。いよいよ4月1日の開幕まであとわずかとなってまいりましたが、78カ国、53国際機関と国際博覧会史上最大の参加が見込まれるアジアで初めての大国際園芸博覧会、花の万博は、ぜひ大成功させなければならないと考えます。この博覧会は単に庭園の展示のみにとどまらず、自然と人間の共生をテーマに、花と緑と人間生活のかかわりを捉え、21世紀に向けて、より潤いのある豊かな社会の創造を目指すことを基本の理念として開催されるものであります。このビッグイベントを一過性のお祭りで終わらせることなく、その精神を引き続き生かしていくため、博覧会後の市政運営に当たって、次の2点について市長の見解をお尋ねしたいと思います。近年、私達の住む地球の環境の問題が大きくクローズアップされており、フロンガスによるオゾン層の破壊、二酸化炭素などによる地球の温暖化、またさらには酸性雨による森林の枯渇と砂漠化など、深刻な問題を投げかけております。昨年の決算特別委員会において、環境破壊の問題を取り上げ、国連機関の誘致について質問してきたところであります。平成2年度予算に国連機関のUNEPの関連施設誘致に対する調査費が計上され、本格的な取り組みへの第一歩がしるされたのであります。世界に貢献する
国際都市大阪の使命からも、望ましい施設としてぜひ実現していただきたいし、また、本市としても環境問題に対する責務は一段と重きをなすものと考えます。花の万博が終わった後も、この精神を本市の環境行政にどのように反映されようとしているのかお伺いいたします。また、鶴見緑地を我が国を代表する都市公園として整備し、市民が自由に憩い、楽しみ遊ぶなど、心身のリフレッシュや人と人とのコミュニケーションが行われる場として、都市に潤いを与える貴重な空間でなければならないと思います。そのような観点から市長はこれらの問題にどのように取り組んでいかれるのかお伺いいたします。 次に、駐車問題についてお伺いいたします。昨年8月に大阪府警察本部が調査したところによりますと、市内における不法路上駐車台数は、約19万台にのぼっているとのことであります。事態を重く見た西尾市長は、昨年非常事態宣言を出され、監視員の設置等を行い、ある程度の成果を見たものの、根本的な解決にはほど遠いものであります。法律の問題や警察行政がらみであるだけに難しい問題であるとは思いますが、この問題は単に道路通行上の問題だけではなく、市民生活の安全を脅かすまでに至る深刻な問題となっております。一方、車の方は湯水のごとく売られ、昨年は全国で720万台の売り上げを示し、今年度はさらに好況を反映し、10年ぶりに設備投資を行い、さらに10%の売り上げ増が見込まれるとの報道もなされております。はたしてそれに見合う駐車場が確保されているのか、はなはだ疑問であります。単純に考えても、車が増えた分だけ窒素酸化物が増えるということになり、環境衛生上も深刻な問題を提起しております。マイカーの市内流入を防ぐため、例えば、総量規制を行うことやナンバーの偶数奇数日を決めて流入を規制するなど、思い切った対策をとられるお考えがあるのかどうか、市長の御決意をお伺いいたします。また、駐車場の問題について、平成2年度予算で大阪駅前や扇町に大規模な地下駐車場の建設が計画されたことは、一定の評価をするものでありますが、安価で良心的な駐車場の施設は、ガス、電気、水道と同じように、もはや都市基盤整備の一つと捉えるべきであると考えます。したがって、これは都心部に限らず周辺区においても同じ悩みを抱えているだけに、道路や公園の地下、あるいは公共の建物の建て替えに際して、市民が気軽に利用できる賃貸駐車場の設置を考えるなど、総合的な施策を立てるべきであると考えます。また、駐車場に対する助成制度の問題については、最近の地価高騰により、市内の駐車場がマンションに生まれかわるなど、有力な駐車場が消えていく実態が報告されております。さらに、地価高騰による固定資産税の上昇分が賃貸料にはね返るなど、賃貸料の値上げが続くと高い車庫代が払えず、やむなく路上駐車を強いられる人々も多いと聞いています。他の5代都市に比べ、ひときわ不法駐車の多い本市の対策として、何らかの助成措置が必要ではないかと考えますが、市長の御見解をお伺いいたします。 最後に、新総合計画についてお尋ねいたします。今回、提案されております
基本構想案におきましては、人間主体の町、世界に貢献する町を基本的な指針とし、これを受けた五つの町づくりの目標が掲げられておりますが、これらは我が党の理念と相通ずるものであり、高く評価するものであります。町づくりは、人間尊重の精神に基づく、人間中心の視点に立ったものでなければならず、特に都市の主人公である市民に目を向けた、市民のための町づくりでなければならないと思うのであります。この観点から21世紀社会を展望いたしますと、4人に1人が高齢者となる超高齢社会への対応が、最も大きなポイントであろうと考えるところであります。超高齢社会におきましては、高齢者の増加に伴って、福祉に対するニーズがますます高まっていくものと思います。最近、総理府が行った高齢期のライフスタイルに関する世論調査でも高齢化社会に向け、医療福祉対策には69.6%、公的年金などの所得保障には62.8%の人々が政府や地方自治体に力を入れてほしいものとして挙げているなど、21世紀の超高齢化社会に対しては大きな不安を抱いていることが浮き彫りにされており、どちらかといえば、暗いイメージでとられている傾向が強いように見受けられます。このため私は、超高齢社会を不安のない社会、人生80年を通じて、人間としてのトータルな可能性を開花させることのできる、生きがいと活力のある社会、真に人間性豊かな社会にしていかなければならないと思います。大阪は、人間主体の町を目指し、このような視点に立った町づくりの先導的な役割を果たしていただきたいと強く願うものであります。また、21世紀社会は、人、物、情報が、国境や時差を越えて、活発に交流するグローバル社会であり、このような社会の中で、大阪が世界に貢献する町としての位置を獲得できるかどうかが、人間主体の町づくりとともに、極めて重要であると考えます。本市では、国際的な経済、文化、情報通信などの都市機能の強化や人材育成、経済協力、町づくり協力など、国際
都市づくりに向けた取り組みが積極的に進められております。このような町づくりを強力に推進していくことは当然でありますが、そこに住む市民の1人1人が、国際社会の中で生きる一員であるという自覚を持ってこそ、初めて真の国際都市になると思います。私は、市民の中にこのような高い国際感覚を醸成し、こうした自覚ある市民に支えられて、大阪が真の国際社会としての道を歩いていくことを期待しているところであります。これらの点を十分に踏まえていただき、人間主体の町、世界に貢献する町、さらには、これを受けた五つの町づくりの目標の実現に向けて、市長が先頭に立って町づくりを着実に進めていただきたいと思いますが、市長の決意のほどをお伺いいたします。 以上で私の質問を終わりますが、答弁のいかんによっては再質問をさせていただくことをお願いいたします。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(岸本太造君) 理事者の答弁を許します。 西尾市長。 (市長西尾正也君登壇)
◎市長(西尾正也君) 松村議員の御意見、御質問にお答えを申し上げたいと存じます。 まず大都市税財政制度の確立に向けての取り組みについてのお尋ねでございますが、本市におきましては、大都市税財政制度の確立に向けまして、市会の皆様方と私ども理事者が一体となって要望運動を行ってまいったところでございます。この間、事業所税の創設を初め、法人所得課税の充実や道路目的財源の充実など一定の成果を上げることができましたものの、なお、先ほど御指摘のとおり十分とはいえない現状にあります。議員御指摘の
国庫補助負担率の問題につきましても、公共事業関係などの投資的経費につきましては、暫定措置がなお継続されておりまして、依然として厳しい状況が続いております。平成2年度は、この残された暫定措置についても期間が満了することになりますので、補助負担率の復元に向けて、引き続き市会の御協力をいただきながら他の地方団体ともども国に対して強く要望してまいりたいと存じております。また、消費税の問題につきましては、去る2月27日に召集されました特別国会において改めて議論が始められようとしておりますので、引き続き国会の動向を見守ることといたしたいと考えております。いずれにいたしましても、大都市が厳しい財政状況の中で
市民ニーズの多様化、高度化による財政需要の増大にこたえてまいりますためには、行財政運営の改善に努めることはもちろんでありますが、根本的には税等の自主財源の充実強化により、財政基盤の確立を図ることが何よりも必要であると考えております。とりわけ法人所得課税の充実など、都市税源の拡充による大都市税財政制度の確立を国に対して強く求めていくことが、これまでにも増して重要であると考えております。引き続きよろしくお力添えを賜りますようにお願いを申し上げる次第でございます。 次に、行財政改革についての御意見、御質問でありますが、本市におきましては、従来から行財政改革を積極的に推進してまいりまして、特に昭和60年には、大きく七つの項目を柱といたしました当面の行財政改革についての基本方針を策定いたしまして、全市一丸となって積極的に取り組んでまいったところでございます。その結果、職制改正--合区の実施を初め事務事業の見直しやOA化、システム化の推進などにおきましても、一定の成果を上げてまいったと存じております。しかし、先ほど松村議員御指摘の文書送達員制度の見直しなどのように、いまだ成果の上がっていないものもございます。今後、引き続き検討してまいりたいと考えております。 また、21世紀に向かって社会情勢の変化や多様化する
市民ニーズに対応しながら、活力ある市政を実現するためには、新しい課題に対しても積極的に対応してまいらなければならないと考えております。特に、市民本位の市政の実現を図りますためにも、市民の窓口であります区役所や病院などの業務につきまして、機械化の拡大を進めるなど、引き続きOA化、システム化を積極的に推進し、事務の効率化と市民サービスの向上に努めてまいらなければならぬと考えております。また、職員管理の問題につきましては、管理者の職員管理に対する自覚を促してまいることが最も肝要であると考えておりますが、御提案のタイムレコーダーを含め、本市にとってふさわしい勤怠管理制度のあり方につきまして、今後とも調査研究をいたしてまいりたいと考えております。私どもといたしましては、行財政改革を単に一過性のものとして終わらせることのないように、常に新しい視点に立って、時代に即応した簡素で効率的な行財政運営を図りますために、行財政全般にわたる点検を日常、不断に行いまして、今後も引き続き積極的に行財政改革を推進し、市民サービスの向上と市民福祉の増進を図ってまいりたいと考えております。 次に、不祥事についての厳しい御意見でございますが、このたびの不祥事は、常々清潔で市民に信頼される市政を心がけておりました中でのことだけに、市民の市政に対する信頼を著しく損なうこととなりましたことにつきまして、まことに遺憾に存じておるところでございます。このたびの事件にかかわりましては、市民の市政に対する信頼を一刻も早く回復することが必要であるという思いから、また議員と職員の関係も問題とされたということもございましたので、議会と理事者で市政運営の刷新的成果を期するための改善策を検討する
市政運営刷新委員会を設置をいたしまして、さらに公金支出の適正執行、公金の事故防止を目的に、実務レベルで検討を重ねるための会計監理検討委員会を設置いたしたところでございます。そして昨年12月には、
市政運営刷新委員会からは、議員と職員の関係の適正化、飲食を伴う会合の整理等を内容といたしました緊急提言がなされました。また、会計監理検討委員会からは、事務手続の徹底、ダブルチェックの強化等を内容とした公金支出事務にかかる改善策が報告されたところでございます。私といたしましても、議員御指摘のとおり、これらの提言や報告を速やかに完全に実行することが肝要であると考えておりまして、提言や報告が出された後、直ちに全職員にその趣旨の周知徹底を図りますとともに、提言されました会合の廃止や経理担当係長の機能の分化、公金支出事務についての研修などを実施してまいったところでございまして、議会各会派におかれましても、それぞれ御努力されておられるところでございます。今後、二度とこのような不祥事を発生させないために、綱紀粛正について周知徹底を図りますとともに、提言や報告の趣旨を日常的に各職場で生かし実現することで市政の刷新を図り、市民の市政に対する信頼を回復してまいらなければならないと決意をいたしておるところでございます。 次に、文化振興についての御意見、御質問でございますが、議員御指摘のように、大阪ではさまざまな巨大プロジェクトが進められております。大阪市を取り巻く状況は急速に変わりつつあります。こうした巨大プロジェクトの推進と軌を一にして大阪の文化の振興を図り、経済と文化のバランスのとれた発展を図ってまいるということは、まことに大切であり、これら二つの活動が相互に刺激し合い緊張関係を保つことによって、都市の活力が生み出されるものと考えております。豊富な文化的蓄積や活発な文化活動が、都市の個性、魅力となって人々を引きつけて、都市の活力を高めるのでございまして、そのためには市民の多彩な文化活動を基礎に世界的なレベルの文化施設や活動の充実を図り、世界のさまざまな文化との交流を通じて、大阪の新しい文化を創造いたしまして、これを世界に発信していくということが、議員御指摘のとおり、まことに大切なことであろうと思っております。昨年には中之島に科学館がオープンいたしました。また、世界最大級の水族館であります海遊館も、ことしの夏オープンの予定でございます。さらに、大阪の新たな文化的シンボルとなる近代美術館につきましても、基本計画を策定するとともに、市民や美術家の方々の創作活動の発表の場としてのギャラリーも、市立美術館--天王寺の美術館の玄関前の地下に建設してまいりたいと考えております。また、交響楽団の練習場としては、我が国最大の規模となります大阪フィルハーモニー会館を南海電鉄の協力も得て整備いたします。また、多目的ドームにつきましても、建設に向けまして、調査、検討する委員会を設置してまいりたいと存じております。さらに、21世紀の大阪の町づくりを考えるためには、今後の文化振興施策の展開の指針となるような具体的な構想を持つことが大切であります。そのために、現在市民局に学識経験者や専門家の皆さんからなります文化振興施策構想委員会を設置いたしまして、ただいま策定中の大阪市の新総合計画とも整合性を保ちながら、より具体的な文化振興施策構想の策定を進めてまいっているところでございます。議員御提言の趣旨につきましては、貴重な御意見でございます。十分検討してまいりたいと考えております。文化は経済とともに都市発展の両輪と位置づけ、さらに一層文化基盤の整備を図り、文化首都、近畿圏の中枢都市として、我が国及び世界の交流拠点として、国際的な文化都市を目指してまいりたいと考えております。 次に、生涯学習の推進についてでございますが、科学技術の進展、それから高齢化や自由時間の増大、あるいは国際化や情報化など、社会の急激な変化の中で市民の方々の生涯学習への期待や関心がたいへん高まっております。また、そのニーズが多様化してまいっております。私どもも痛感いたしておるところでございます。そのために、従来より学校教育とともに、社会教育の側面から家庭や地域の教育力を高める事業の実施、科学館、地域図書館、スポーツセンター等の学習、文化、スポーツ施設の整備、充実、指導者やリーダーの養成、育成等に努めてまいったところでございます。さらに地域における身近な学習や交流の場として、学校施設を活用した生涯学習ルームの開設、高等学校や大学の開放講座の増設等、新しい学習の場やシステムの開発整備も進めてまいっております。また、現在、生涯学習の観点から広く社会に開かれた学校として、単位制高校の設置についても計画を進めているところでございます。いずれにいたしましても、生涯学習を積極的に推進してまいりますためには、松村議員御指摘のとおり、市民や民間の方々の自由な発想や能力の活用に留意しながら、長期的な展望に立った生涯学習の基本計画づくりが必要であると考えております。そのため、今後生涯学習推進の中核となる総合生涯学習施設や青年の文化、学習、スポーツのための総合的都市型青年施設の基本計画の策定を進めてまいりたいと存じます。さらに、生涯学習施策を全市的な見地から、総合的かつ体系的に推進するため、生涯学習推進会議を設置し、関係各局が行っております関連事業を把握いたしますとともに、民間の事業についても実態調査を行ってまいった次第でございます。平成2年度におきましては、これらの調査結果を踏まえまして、社会教育委員会で協議していただきながら、生涯学習推進会議の中で、民間との連携や協力のあり方も含めた生涯学習ネットワーク構想調査を実施をいたしますとともに、生涯学習推進の基本理念や施策の課題を示す生涯学習推進指針の策定を進めてまいりたいと考えております。 次に、高齢化社会対策についてでございますが、大阪市におきましても、人口の高齢化は急速に進行しており、寝たきりや痴呆症など介護の必要なお年寄りもふえてまいっております。これらの方々が、住みなれた地域や家庭で必要な介護を受け、できるだけ自立した生活を送れるよう福祉施策を充実してまいることは、大阪市政にとっても極めて重要なことでございます。このため平成2年度におきまして、お年寄りの健康チェックや日常動作訓練などを行うデイ・サービス事業を31カ所で実施してまいりますとともに、お年寄りを一時的に特別養護老人ホームでお預りするショートステイ事業も13カ所で実施してまいります。また、お年寄りの身の回りのお世話や家事、介護の援助を行うホームヘルパー派遣事業につきましても、派遣世帯数を大幅に拡大することといたしておりまして、ホームヘルパーは、新たに150名程度確保してまいりたいと存じております。今後とも国が示しました高齢者保健福祉推進10カ年戦略などの動向も十分に踏まえますとともに、大阪市におきましても、長期的な展望に立った高齢化社会対策のビジョンを早急に策定してまいり、総合的かつ効果的な施策の企画及びその実施に積極的に取り組んでまいりたいと存じております。また、寝たきりの予防対策といたしましては、これまでから市民の皆様に健やかな老後を送っていただけますように、保健所を中心に各種老人保健事業の推進に取り組んでまいりました。今後とも、保健所が市民の健康を守る中核機関として、その役割を十分に果たしていくためには、壮年期からの健康づくり対策の充実強化のみならず、お年寄りの切実な健康への願いにおこたえしてまいりますように、これまで蓄積してまいりました知恵と実績を高齢者対策に積極的に活用してまいる必要があると存じております。議員御指摘のとおり、保健、医療、福祉の地域ネットワークが、真に機能を果たしていきます上で、地域の皆様が自主的に御参加いただくことが何と言いましても大切なことであろうかと考えます。このため健康な方から寝たきりの方まですべてのお年寄りが互いに助け合い、励まし合いながら、地域ぐるみでお年寄りを支えていくための住民組織の育成にも取り組んでまいりたいと考えております。このような住民組織を形成する中で、地域において健康づくりを推進するヘルスリーダーにつきましては、成人病全般、また高齢者のヘルスケアについての幅広い知識を身につけ、住民の先頭に立って活動していただく指導者として、市民の方々の中から毎年各区で50名程度の方々に御協力をお願いし、10年後には全市で約1万人の方々にヘルスリーダーとして御活躍をお願いを申し上げたいと考えております。また、寝たきりや痴呆症の方の介護の問題についてでございますが、松村議員御指摘のとおり、家庭での介護が困難なお年寄りに対する特別養護老人ホームの整備は、極めて重要な課題であると私ども考えております。このために、本市におきましては、平成元年度に特別養護老人ホームの第2次整備5カ年計画を策定いたしたところでございますが、従来の第1次5カ年計画の倍増の1,000床の整備を進めてまいっているところでございます。今後とも寝たきりや痴呆症のお年寄りの介護に御苦労されております家族の方々の御要望に十分こたえられますように、この計画の達成に全力を挙げて取り組んでまいる所存でございます。 次に、アジアにおける大阪経済の立場について御意見と御質問でございますが、国際化が急速に進展し、経済のグローバル化が進んでまいります中で、大阪を世界、とりわけ大阪と歴史的にも経済的にもかかわりの深いアジアに貢献する都市としていくためには、国際交易、国際金融、国際協力などの経済機能を充実強化し、アジア、太平洋地域の人、物、金、情報の交流の拠点都市としていくことが重要であると考えておるところでございます。現在、大阪市が推進しておりますアジア・太平洋トレードセンターは、アジア、太平洋地域を初め、世界の商品の卸売センターであり、商品の取引を通して、人、情報、そして文化が交流する拠点でもあり、大阪にいながらにして、中小企業が国際的な事業展開を図れる格好の場となるものであると考えております。平成2年度には、いよいよ建設工事に着手いたしますとともに、中小企業のアジア・太平洋トレードセンターヘの参画をより一層促進いたしますために、中小企業専用ゾーンを建設、運営する事業主体を設立する予定でございます。また、ビジネスパートナー都市提携につきましては、中小企業のアジア、太平洋地域の経済交流のネットワークを築くために、香港、シンガボールを初め、アジアの主要経済都市、5都市と提携をいたしてまいりましたが、平成2年度はジャカルタなどとの提携を目指すとともに、提携都市の代表が一堂に会しまして、今後の経済交流のあり方を討議するビジネスパートナー都市ラウンドテーブルの開催を初めといたしました各種の交流事業を展開してまいります。さらに国際金融機能の強化のため、産、官、学の連携を努めるとともに、発展途上国の人材育成に協力する大阪ビジネスステイ事業などを推進してまいりたいと考えております。関西国際空港の開港を3年後に控えまして、大阪経済を活性化し、中小企業に新たな活躍の場を提供するとともに、大阪をアジアに貢献する都市とするために、国際経済機能をより一層充実強化してまいる所存でございます。 次に、臨海部の開発についていろいろと御意見を承ったところでございますが、現在、策定を進めております新しい総合計画の中で21世紀中葉をにらんだ構想編におきまして、大阪市は既存の都心業務地の再編、強化を図りますとともに、高次な都市機能を集積したテクノポート大阪計画地を中心とした新都心の育成を図りまして、市域の均衡ある発展を目指すことといたしております。また、計画編におきましては、在来臨海部を生産機能や港湾機能の高度化を図り、新しい都市型産業の立地拠点として再編成、再開発を行ってまいりますとともに、既存機能の高度化に伴い生み出される空間を活用いたしまして、従来の機能との調和を図りながら、新しい多彩な文化、リゾートや質の高い居住空間の整備を行ってまいりたいと考えております。現在、大阪市で在来臨海部の開発を進めておりますのは、
天保山ハーバービレッジの開発を初め、弁天町駅前の民間活力による開発でありますとか、さらには先日発表いたしました大正区の北村地区におきます大規模テニス村といいますか、テニスコートなどのプロジェクトでございます。しかし、在来臨海地域の大部分は、企業や個人の所有にかかる民有地が多いわけでございまして、立地する企業の規模や業種も多様でございます。そうした臨海部の再編整備に当たりましては、広域的、長期的、公益的視点から、ウォーターフロントの持つ役割を、機能を積極的に生かしながら、人々が集い、憩える、ゆとりや潤いのある町づくりを目指してまいらなければならないと考えております。松村議員御指摘のように、近年臨海部の再編成は、世界的な傾向となっております。我が国においても同様の動きが各地において見られるところであります。また同時に、広域的な観点から、大阪湾、ベイエリアのあり方を探ることも必要であり、このたび産、官、学によって誕生いたしました大阪湾ベイエリア開発推進協議会に、大阪市も主要メンバーの一員として参画いたしております。ウォーターフロント開発の
パイオニアとして数々の実績も上げております。大阪市といたしましては、大阪湾ベイエリアにあります多くの都市の先導的役割を果たしながら、大阪湾全体の調和ある開発に積極的に貢献してまいりたいと考えております。 次に国際花と緑の博覧会の成功とその跡の有効活用についての御質問でございますが、私ども、開幕を間近に控え、成功に向けて市民の皆さんと一緒に全市を挙げて万全の体制を進めておるところでございます。この花の万博は、2,000万人を超えると予想されるお客様をお迎えする今世紀最後のビッグイベントでございますが、これを一過性のお祭りで終わらせることなく、自然を愛する心を高め、広く地球環境の問題に対処してまいる大きな契機にいたしたいと考えております。花の万博の開催意義を将来にわたって継承していく観点から、国際連合の機関であります国連環境計画--UNEPの関連施設を誘致いたしまして、環境問題の面で世界に貢献してまいりたいと考えておりまして、平成2年度には施設、機能等の調査を行うとともに、国及び関係機関に積極的に働きかけておるところでございます。大阪市では、これまでも市民の皆様の健康を守り、快適に安心して暮らしていただけるよう環境対策を積極的に推進してまいったところでございますが、水や緑、花に代表されるような、やすらぎや潤いのある快適な環境を求める
市民ニーズの高まりに対応することが、今後の大きな課題になっており、花の万博の理念にかなうものであると考えております。このような観点から、従来の公害対策はもちろんのことでありますが、決適環境の創造を含めた中長期的展望に立った総合的な環境プランを取りまとめたいと考えております。また、グローバルな環境問題が論じられております今日、地球環境にやさしいライフスタイルと申しますか、市民、事業者が人間活動と環境との関係について、理解と認識をより深めていただけるような環境教育を充実するなど、今後とも環境行政に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。 なお、博覧会終了後の鶴見緑地整備計画でございますが、学識経験者や市民代表から構成されます鶴見緑地未来計画懇話会においていろいろと検討をいただいておるところでございます。昨年の7月に中間報告として、まず第1に、世界の珍しい花を紹介したり、品評会などを開催する花と緑に関する文化の殿堂、第2に、日帰りであるいは宿泊をして、昼間だけでなく夜間も楽しめる都市リゾートの拠点、それから第3に、国際蘭展や国際造園学会などの国際的なイベントや学術交流ができる国際交流の拠点などを目指して整備を進めるように提言をいただいております。現在、懇話会においてはどのような施設を鶴見緑地に整備していくのが望ましいのかといった具体的な検討を行っていただいておるところでございます。本市といたしましては、近日中にいただく予定になっております最終提言を受けまして、その趣旨を生かして関係方面と十分に協議をし、計画案を作成してまいりたいと考えておりますが、博覧会終了後の鶴見緑地は、中間報告にも言われておりますように、花と緑のあふれる、自然の中で安全かつ快適に屋外活動を楽しめる市民の憩いの場であると同時に、海外からも人々が集い、交流する
国際都市大阪にふさわしい公園にしてまいりたいと考えております。花の万博の理念にもうたわれておりますように、人間は自然の中に生まれ育ち、そして生きていくことが大切であると認識をしており、大都市においては、花と緑をふやすことが重要な施策であると考えております。したがいまして、花の万博を契機として、公園づくりや緑化を一層推進するため、市民の皆様とともに花と緑の町づくり宣言を行うなど、積極的な推進方策を考えてまいりたいと考えております。 駐車問題についての御意見でございましたが、大阪市では花の万博の開催を控えまして、国の内外から大阪を訪れる人を少しでも気持ちよくお迎えするために、市民の皆様の御理解と御協力を得ながら、広報、啓発活動や駐車場整備など、さまざまな駐車対策を実施してまいったところでございます。また、先日議会の御承認をいただきました附置義務駐車場条例の改正や駐車場整備地区の拡大をいたしたところでございます。これによりまして、個々の建物にもより多くの駐車場が備わり、路上駐車の削減に役に立つものと考えております。駐車問題は、単にドライバーのマナーや駐車場の問題だけではなく、自動車の乗り方そのものにもかかわる社会的な問題でもございます。これを解決いたしますためには、市民や企業が自動車の使い方やとめ方を考え直していただけるような総合的な対策を実施していく必要があろうと考えております。議員御提案のマイカーの市内流入の抑制についてでございますが、マイカーの市内流入を防ぐためには、基本的にはやはり車を使わなくても済むように公共交通機関の整備、利便性、快適性を向上させまして、これによってマイカー利用者が自主的に自動車から公共交通機関へ転換して、総量の抑制が図られるということが望ましいわけでございます。このために今後とも公共交通機関の整備、充実に努めてまいらなければならぬと考えております。本年1月に開催されました大阪府交通対策協議会におきまして取り決められましたノーマイカーデーも、企業やドライバーの自発的な協力により、流入してくる車を抑制する取り組みの第一歩として、自動車利用者に公共交通機関への転換を働きかけるものでございます。毎月20日は、マイカー通勤や業務用車両の持ち帰りを自粛する日として、各機関が自主的に取り組んでいこうというものでございまして、この趣旨にのっとり、本市でも効果的な施策を検討いたしております。私どもの地下鉄、バス等でも転換受け入れをいろいろと図っておるところでございます。 次に、道路、公園の地下や公共施設の建設の際の駐車場についてでございますが、基本的には公共用地の有効利用の観点からの検討が必要であると考えておりますが、駐車場の建設に際しましては、地域の実情を勘案しながら、付近の土地利用や公共施設の性格、さらには採算性も考慮する必要がございます。しかし、積極的に整備を進めてまいらなければならぬと考えております。周辺区におきましては、車庫にかかわる路上駐車の問題が大きいと考えられますので、平成2年度におきまして、早急にその実態を把握し、対策を進めてまいりたいと考えております。また、民間駐車場に対する助成制度についてでございますが、民間駐車場は、準公共的な交通施設という性格もございますが、一方営利事業でもありますので、公的な助成を行うに当たりましては、鉄道やバスなど、他の民間の準公共的な交通事業とのバランスでありますとか、助成したことによる政策効果なども十分勘案する必要もあろうかと思います。しかし、昨今の地価の状況などで民間駐車場の経営が極端に難しくなってまいっておるということも、議員御指摘のとおりでございます。本市では地価の抑制策といたしまして、国土利用計画法による監視区域制度を一層強化をいたしまして、昨年の7月から対象面積を300平方メートル以上から100平方メートル以上に引き下げまして、地価の抑制を推進いたしておりますが、御承知のように、まだ予断を許さない厳しい状況でございます。このため駐車対策の中に、民間駐車場が存続し得るような一定の公共性を担保しながら何らかの支援措置を盛り込むことについて、現在検討いたしておるところでございます。 最後に、新総合計画についての御意見でございますが、大阪市における町づくりの基本は、市民生活の一層の向上を図りますとともに、経済と文化を両輪に都市の活力を高め、社会の発展に積極的に寄与していくことであると考えております。新総合計画では、このような考え方に基づきまして、人間主体の町、世界に貢献する町の二つを町づくりの基本的な目標として打ち出しておるところでございます。ここでとりわけ重要な課題となりますのは、議員御指摘のとおり、21世紀の市民生活に極めて大きな影響を及ぼす超高齢社会にどのように対応していくかということでございます。市民1人1人が80年という長い人生を安心して、かつ生き生きと暮らせる真に豊かな社会にしていくことこそ、人間主体の町を実現する上で一番重要な事柄であると思っております。そのために、市民の健康を守る保健、医療や自立した生活を支える福祉サービス体系を、住みなれた地域において整備をいたしまして、また、高齢者も生活しやすい快適な居住環境を創出するなど、市民のだれもが生涯を通して安心して暮らすことのできる条件整備を総合的に進めていくことといたしております。さらに市民がライフステージに応じた多彩な学習、文化、スポーツ活動やコミュニティ、ボランティア活動などを行える人生80年時代にふさわしい、新しい社会システムを構築いたしまして、生きがいに満ちた充実した生涯を送れるようにしてまいらなければならないと考えております。また、真の
国際都市大阪の実現のためには、市民が豊かな国際感覚を持ち、大阪に集まってこられた人々を温かく迎え、支援していく開放的な町をつくっていくことが何よりも必要であろうと思います。このような観点から、学校教育の中での外国語教育や国際理解を高める学習機会の提供、さらには
市民レベルの文化、スポーツ交流、ホームステイ、ホームビジットといった多彩な交流の推進などを通じまして、市民の国際性を涵養するとともに、また世界から集まってみえた人々も家族ぐるみで生活し、活動しやすい町づくりを進めてまいるなど、国際都市としての基礎的な条件整備を早急に進めてまいらなければならないと考えております。私どもといたしましては、新総合計画を速やかに取りまとめまして、21世紀に向けた大阪市全体の市政運営の基本方針といたしまして、本市の行う施策のすみずみに生かし、真に人間主体の町、世界に貢献する町の実現に向けて全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。また、町づくりには市民、企業、国や府などの協力、理解が必要でございます。市民の主体的な参加を初め、各界各層の広範な協力を得ながら、21世紀の大阪づくりに積極的に取り組んでまいる所存でございます。 以上でございます。どうでよろしくお願い申し上げます。
○副議長(岸本太造君) お諮りいたします。 この際暫時休憩することに決して御異議ありませんか。 (「異議なし」と呼ぶ者あり)
○副議長(岸本太造君) 御異議なしと認めます。よって暫時休憩いたします。 午後2時28分休憩 午後3時10分再開