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02月24日-03号

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  1. 大阪市議会 1971-02-24
    02月24日-03号


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    昭和46年第1回定例会(昭和46年2・3月)◯大阪市会(定例会)会議録(昭和46年2月24日)    ◯議事日程    昭和46年2月24日午前10時開議第1 議案第4号 昭和46年度大阪市一般会計予算第2 議案第5号 昭和46年度大阪市大学医学部付属病院事業会計予算第3 議案第6号 昭和46年度大阪市食肉市場・と畜場事業会計予算第4 議案第7号 昭和46年度大阪市宅地造成事業会計予算第5 議案第8号 昭和46年度大阪市市街地再開発事業会計予算第6 議案第9号 昭和46年度大阪市駐車場事業会計予算第7 議案第10号 昭和46年度大阪市土地先行取得事業会計予算第8 議案第11号 昭和46年度大阪市母子福祉貸付資金会計予算第9 議案第12号 昭和46年度大阪市国民健康保険事業会計予算第10 議案第13号 昭和46年度大阪市心身障害者扶養共済事業会計予算第11 議案第14号 昭和46年度大阪市市民病院事業会計予算第12 議案第15号 昭和46年度大阪市中央卸売市場事業会計予算第13 議案第16号 昭和46年度大阪市港営事業会計予算第14 議案第17号 昭和46年度大阪市下水道事業会計予算第15 議案第18号 昭和46年度大阪市自動車運送事業会計予算第16 議案第19号 昭和46年度大阪市高速鉄道事業会計予算第17 議案第20号 昭和46年度大阪市水道事業会計予算第18 議案第21号 昭和46年度大阪市工業用水道事業会計予算第19 議案第22号 昭和46年度大阪市公債費会計予算第20 議案第23号 昭和46年度大阪市都島本通外12財産区予算第21 議案第24号 執行機関の附属機関に関する条例の一部を改正する条例案第22 議案第25号 近畿宝くじ事務協議会規約の一部改正に関する協議について第23 議案第26号 当せん金附証票の発売について第24 議案第27号 大阪市中小企業融資基金条例の一部を改正する条例案第25 議案第28号 大阪市生業資金貸付基金条例の一部を改正する条例案第26 議案第29号 大阪市立助産婦養成施設条例案第27 議案第30号 大阪市立看護婦養成施設条例の一部を改正する条例案第28 議案第31号 大阪市立駐車場条例の一部を改正する条例案第29 議案第32号 水洗便所設備資金貸付基金条例の一部を改正する条例案第30 議案第33号 大阪市港湾施設条例の一部を改正する条例案     ---------------------------------◯出席議員 84人(欠は欠席者)  1番    小郷平八君欠 2番    和田正三君  3番    吉田辰治君  4番    加藤正武君  5番    藤岡信雄君  6番    井上英夫君  7番    改発 弘君  8番    柳井伝八君欠 9番    佐伯三郎君  10番    姫野 浄君  11番    若林伊太郎君  12番    安達喜雄君  13番    仲谷誠夫君  14番    中尾安夫君  15番    安松克己君  16番    岸田政夫君  17番    音在又一君  18番    植田完治君  19番    山下喜一君  20番    天野 要君  21番    高貴伝三郎君  22番    室屋定三君  23番    森下土治君  24番    岸本太造君  25番    内村作二君  26番    山下博義君  27番    栗須 斉君  28番    高橋幸一君  29番    山口武志君  30番    島尾 茂君  31番    隅野源治郎君欠 32番    小林通夫君  33番    中石清一君欠 34番    鈴木清蔵君  35番    高野光男君  36番    井上長栄君  37番    佐々木栄一君  38番    加藤市太郎君  39番    辻 昭二郎君  40番    古山一郎君  41番    沼田喜一君  42番    綱沢靖二君欠 43番    沢村信義君  44番    長沢利治君  45番    山川洋三君  46番    松井義明君  47番    塩田吾一君  48番    上野 弘君  49番    沓脱タケ子君  50番    板並丈夫君  51番    辻  渡君  52番    野口末造君  53番    黒木武好君  54番    高垣松雄君  55番    三原逸三君  56番    奥野修三君  57番    倉川 薫君  58番    大丸志朗君  59番    大西保三郎君欠 60番    美延重忠君欠 61番    行岡忠雄君  62番    長田義一君  63番    坂本 実君欠 64番    柳本松太郎君  65番    勝田真人君  66番    南 常治郎君欠 67番    岡野正雄君  68番    寺西 武君  69番    田中豊栄君  70番    野村 清君  71番    寄吉 極君  72番    吉田 弘君  73番    中田捨次郎君  74番    佐野繁雄君  75番    上田 武君  76番    西風金之助君  77番    伊藤 募君  78番    中村賢三郎君  79番    米沢正実君欠 80番    田中正男君  81番    粟井岩吉君  82番    木下常吉君  83番    森野熊一君  84番    松尾禎一郎君  85番    次田虎雄君  86番    黒田廣一君  87番    坂井三郎君  88番    井上秀之助君  89番    北山 勇君  90番    小林和美君  91番    吉瀬昌幸君  92番    大神 仁君  93番    村田岩雄君  94番    長谷川元一君     ---------------------------------◯職務のために出席した事務局職員              市会事務局長     松浦芳平              次長         榎村 博              議事課長       上羽睦義              議事係長       藤田 衛              委員係長       谷口勝彦      ---------------------------------◯議場に出席した執行機関及び説明員              市長         中馬 馨              助役         下村 進              同          大島 靖              同          中尾正平              収入役        三宅季二 (市長室長)       事務吏員       竹村保治 (公聴部長)       同          圓井東一 (同和対策部長)     同          山上 脩 (万国博覧会協力部長)  同          大槻四郎 (総務局長)       同          久川芳蔵 (財政局長)       同          内山敞義 (総合計画局長)     技術吏員       福山真三郎 (経理局長)       事務吏員       橋本 勝 (民生局次長)      同          稲田芳郎 (経済局長)       同          工藤敏郎 (衛生局長)       技術吏員       中山信正 (清掃局長)       事務吏員       荻野二郎 (土木局長)       技術吏員       近藤和夫 (都市再開発局長)    事務吏員       大重正俊 (公園部長)       技術吏員       加藤一男 (建築局長)       事務吏員       徳山正文 (港湾局長)       技術吏員       叶  清 (市立大学事務局長)   事務吏員       小島 誠 (交通局長)       同          黒田泰輔 (水道局業務部長)    同          山口正和 (消防局長)       消防長        畑中良一              教育長        石川多賀夫              選挙管理委員会委員長 漆原亀太郎(選挙管理委員会事務局長) 事務吏員       米田拾二(監査事務局長)      同          森  光              人事委員会委員長   滝石豊稲(人事委員会事務局長)   事務吏員       林 道彦     --------------------------------- △開議    昭和46年2月24日午前11時12分開議 ○議長(天野要君) これより市会定例会会議を開きます。 本日の会議録署名者を仲谷誠夫君、寺西武君のご両君にお願いいたします。 ○議長(天野要君) 日程第1、議案第4号、昭和46年度大阪市一般会計予算ないし日程第30、議案第33号、大阪市港湾施設条例の一部を改正する条例案、一括して議題といたします。 ○議長(天野要君) これより質疑に入ります。岸本太造君の質疑を許します。24番岸本太造君。 ◆24番(岸本太造君) 私はこのたびご上程になりました昭和46年度大阪市一般会計予算案並びにこれに関連する諸案件に対し、日本社会党大阪市会議員団を代表して、中馬市長並びに理事者各位に質疑をいたしたいと思います。 まず市長は、予算編成の基本方針として、高度経済成長、技術革新の激しい波をかぶった大都市において、公害が多発する一方、経済発展に取り残された人々の援助、経済の優先によって立ちおくれた精神文化の高揚など、なすべき施策が山積されている現状に対し、昭和46年度予算は人間性の回復を目ざし、大阪市を機能的でかつ潤いのある、調和のとれた都市にするよう編成されたと述べておられますが、この予算の内容を見ますと、決してそのように思われないのであります。   (議長退席、副議長着席) ◆24番(岸本太造君) (続)先般わが党が市長に提出いたしました予算編成に関する要望に対して、幾らかの申しわけ程度の、総花的に予算を計上されているが、いずれもが満足のいくものとは言えません。これもひとえに財源の不足に起因するものと思われますが、市長は財源確保について常に対政府、国会などに折衝を重ねてこられ、自動車取得税の配分、市民税法人税割の税率の引き上げなどをかちとられたことは、一歩前進として評価しなければなりません。しかしながらこれでは、まだまだ私たちの要望とはほど遠いものであります。いま大阪における、重要課題は、市民の命と暮らしを守るために、早急な公害防止対策と、都市再開発の促進が要請せられ、公共投資の立ちおくれは寸時もゆるがせにすることのできない情勢にあります。このような立場から、市長は財源確保のため、抜本的な税財政制度の改正を積極的に進めるべきであります。そのために広範な市民運動を組織して、国会に対して強力な運動を進めるべきだと思うが、市長の所信のほどを承りたい。 次に、公害問題についてでありますが、まず第一に西淀川区の現状について知っていただきたい。西淀川区においては、すでに1,351名の公害認定患者を出しております。しかしながら大気汚染はいまなお国の基準を大幅に上回っており、日を追って認定患者が増加する傾向が見られるのであります。一例をあげますならば、先日の学童の集団検診の結果、ぜんそく、気管支炎をわずらっている生徒が昨年よりも増加しており、また、骨がもろくなり、目やにが出るなどの症状が出てきて、人体に対する影響がかなり広範囲にあらわれてきていると思えるのでございます。なお、学校や民家の窓ワク、また高層の水槽--タンクなどが腐食し、そのため戸があかなくなったり、赤水が出たりすることも多くなってきていることは事実であります。過日、公害指定校空気清浄器を取りつけられましたが、いま空気清浄器が、実際において役に立っているとお考えになるでしょうか。現実はそうではありません。空気清浄器を使用するため、窓を締め切るので、夏は暑く、冬は外気を導入するために、かえって教室の温度が3度から4度に下がるのでございます。冬はとても寒くておれたものではありません。なぜ同じやるなら冷暖房式の空気清浄器を設置されなかったのか。この点を取り上げても、全く申しわけ行政がなされていると言っても過言でないのであります。このような公害校の問題は、ただ単に西淀川区だけではありません。此花、港、大正ひいては全市域的に考えられるのではないでしょうか。このような公害の影響を受けている地域住民の真実の叫びは、住める町にしてほしい、緑を取り戻して、澄み切った青空にしてほしいということなのであります。市長は公害に対して非常な努力を重ねられてきていると思いますが、来年度の重点施策として取り上げられた公害予算は、はたしてこれでよいのでしょうか。予算案の内容を見ますと、まだまだ手ぬるいのではないかと思います。同時に抜本的な対策についても、まだまだ欠けているように思えてなりません。この際公害発生源工場に対する原因者負担を明らかにすべきであり、また、現在までこれを放置した政府の責任を追及するとともに、この公害対策についての国の補助金、交付金を大幅に確保すべきであると考えます。また、昨年、公害対策の一環として、原因の究明と徹底した指導を行なうために、公害対策機動隊をつくられましたが、この機動隊の日夜たゆみなき涙ぐましい努力にもかかわらず、本市の権限が制限されている以上、いまだ十分な成果があがっておらないのであります。市長はこの権限移譲の問題に対して、一体どのように考えておられるのか、お聞かせ願いたいのであります。さらに中小企業の公害問題解決については、求人難、設備改善などの経費の負担がかさみ、一方また移転をするにも適当な場所がなく、非常に困っているのが現実であります。この問題について、たとえば公害工場団地を計画的に造成するとか、そういった具体的な計画がないのか、これも承りたいのであります。なお、外島の問題についても、なぜ大阪市が事前に積極的な対策を講じなかったのか、このことについてもお聞かせ願いたいのであります。 次に、市長は先日の予算説明の中で、関西新国際空港の造成も急ぐ必要があると述べられたが、いま公害で悩まされている大阪市民にとって、ジャンボ時代の大型飛行機の騒音公害という新たな公害を引き起こし、これが市民の大きな非難の的になるのではないかと思われる。市長はこの点を十分お考えになった上でのことだと思うが、はっきりとお伺いしたいのであります。 次に、下水道事業についてお尋ねいたします。昨年末の国会において、公害対策の一環として下水道法が改正され、下水処理区域に指定された後、3年以内に水洗化することが決定されております。しかるに大阪市の現状は、下水処理区域に指定された後、10年近くなるにもかかわらず、なお、くみ取り便所が数多く残されておるのであります。わが党はこれらの解決のために、46年度予算に対し、水洗化のため補助金の増額と貸し付け金並びに返済期限の延長を求めたが、来年度に予算化されていないことはまことに残念であります。市長は低所得者、借家人など、水洗便所への切りかえができない諸階層の新下水道法実施に伴う3年以内の水洗化の義務づけに対し、どのような対策を講じようとしておられるのか、具体的な所信を承りたいのであります。 次に、民生、福祉の問題についてお尋ねいたします。産業、経済が著しく発達した今日、人手が非常に不足し、家庭の主婦の労働力まで必要とされ、また、一方では物価の激しい上昇で生活が苦しくなり、そのために共かせぎをせざるを得なくなるということから、保育所の必要性が急速に生じてまいりました。市長は、本年は保育所の建設に15カ所という思い切った施策を講じたかのごとく言われますが、実際問題としては、就学前の幼児13万9,736人に対して、保育所の収容率はわずかその10%に満たないのであります。絶対数が足らないのが現状である。過日、私が大阪市会を代表しましてヨーロッパの視察をした際に、デンマークのグダラダックス市を訪れたのであります。そこはわずか人口7万の小都市ですが、41カ所も保育所が設置され、さらにまだこれでは足らないということで10カ所増設されるという、非常に行き届いた福祉政策をとっている。このようなことから考えてみれば、本市はまだまだ立ちおくれていると言わざるを得ないのであります。しかしながらまた一方では、財源がなく、やむを得ず民間保育所に頼っているのが現状である。そこで市長にお尋ねいたしますが、国の大幅な援助を確保するとともに、さらに民間保育所への助成を今後どのようにはかっていくのか、この点もお伺いいたしたいのであります。 次に、老人福祉については、46年度予算では、弘済院並び信太山老人ホームの増築、老人福祉センター2カ所の建設を考えておられるのですが、それでもなお65歳以上の老人に対して、わずか2.5%、1,841名しか収容できないのが現状であります。これも欧州諸国、フランスでは65%の収容率を誇っております。現在わが国では長い間の家族制度が崩壊し、だんだん核家族化が進みつつあり、将来相当こういった施設が必要であると考えます。老人対策について市長のお考えと、今後の措置を聞かせていただきたいと思うのであります。なお、老人いこいの家については、来年度10カ所の設置を計画されていることはけっこうでありますが、この補助額についても、最近物価の高騰の現状から見て、もっと引き上げるべきだと考えますが、この点もあわせてお聞きしたいのであります。 次に、児童公園の問題であります。市長は緑化対策を積極的に進めておられますが、大阪市の公園、児童遊園地の分布を見ると、非常に片寄りすぎている感じがします。それも区画整理を利用してできたものが多く、したがって市内の密集地には、児童遊園地、公園がない。私は密集地にこそ子供の遊び場が必要ではないかと思うのであります。過日の新聞紙上でご承知のごとく、西淀川区の姫島という密集地に住む3人の子供たちが、川原で遊んでいて水死するというまことに痛ましい事故が起こりました。これなども結局子供の遊び場がないために、このような惨事が生まれたのではないかと考えます。児童公園は密集地にこそ必要であります。来年度の新設にあたっては、できるだけ密集地に重点を置いていただきたいのが私たちの願いであります。この点についてもお伺いいたすのでございます。 次に、今日、都市開発のために墓地が多くつぶされております。このため市民からすみやかな墓地の建設を要望されておるのであります。市長はこれらの問題を解決するために、この際、公園墓地の新設をされる計画があると聞いておりますが、もしあれば具体的にいつごろ実施に移すのか、聞かせていただきたいと思います。 次に、教育関係についてお尋ねいたしたいと思います。教育行政については、先日説明された内容を見ますと、45年度よりかなり大幅に増額されてはおりますが、これもほんとうに重点的な予算計上でなく、総花的な感じを受けるわけなのです。まず義務教育費父兄負担全廃に対しては、父兄負担解消4カ年計画の最終年次として、5億2,000万円を増額したとありますか、内容を見てみますと、実質上あまりたいした増額とは考えられません。それが証拠にいまだに各学校では講堂、プール建設等において、父兄がやむを得ず寄付行為を行なっているのを間々見受けます。これはひとえに本市の予算が少ないことに起因しているのであり、これではたして46年度をもって父兄負担が解消できるとお考えなのか、市長の決意のほどを伺いたい。 次に、戦後教育の高度化に伴い、児童教育の必要性が高まってきております。もはや幼稚園教育は、義務教育の一環としてみなされ、重要視されておるのであります。一般市民の方は子供を入園させるために、寒い夜に徹夜で行列してまで受付を待っているという、深刻な状況を見せておりますにもかかわらず、来年度予算では一園の建設も予算化されていない。これでは全く市民の要請にこたえていないのであります。さらに費用を比較すれば、市立が平均月額2,160円、私立は平均月額5,716円である。市長は父兄負担のアンバランスを解消するために、公立幼稚園の増設と、私立幼稚園に対する助成をもっと積極的にはかるべきであると考えますが、市長のご見解をお聞きしたいのであります。 次に、社会教育についてお尋ねしたいのであります。市長は38年以来、都市再開発に非常に力を注がれ、大阪市政に努力されてきたことは、市民の認めるところであります。しかし人間づくりの施策については、いささかお忘れになっているのではなかろうか。わが国の将来は青少年の双肩にかかっておるのであります。幼児教育から小学校教育中学校教育において、機会均等の原則に基づいて民主的な教育を受けている子供たちが、高校入試においてはその原則が失なわれております。さらに大学入試においては、完全にその原則を破壊されてしまっておるのであります。そういった教育を受けてきた若い人たちは、社会に出て夢も希望もなく、無意識のうちに反社会的な行動をとるようになるのであります。こうした若い人たちの指導を行なうことが最も大事なことではないでしょうか。こうした面から昭和38年に社会教育部が創設されたものと思われますが、その予算たるや実に少ないと考えるのであります。予算が少ないために施設も不十分であり、したがって十分な指導もできず、若い人たちは道をあやまりがちである。都市づくりのみが政治ではなく、将来のりっぱな人間を育成、指導することが最も大事なことではないでしょうか。すなわち文化の向上のために、博物館、体育館、図書館などを建てることも重要でありますが、一方それと同じくして文化活動もやらなければならないと思うのであります。文化活動とは、音楽あるいは絵画、美的感覚を追求する心を養い、すなわち、信念の強い豊かな人柄をつくることに大きな意義があるのであります。こういうことにおいて今後の社会教育を考えていただきたいのであります。 さて、いよいよ来年度、教育青年センターが開設の運びとなるが、ただ単に中央に1カ所建設するのではなく、各区に1カ所ずつの文化活動のできるような青少年会館を建設すべきだと考えるのであります。ところが本年度予算は、そのようなことには全く触れられておりません。全体予算の1%もない現状であることは、まことに遺憾であるのであります。欧米先進国は予算総額の10%以上が社会教育に注がれていることから考えると、まことにさびしい限りでありますが、次代をになう青少年の育成ということに対して、市長はどうお考えになっているのか、お聞きしたいのであります。 次に、市営交通機関について伺いたいと思います。市長は38年以来、大阪の狭い町について将来の交通麻痺を予想し、地下と空間利用の高速鉄道網を促進してこられたが、また一方では、市電の廃止、バスの大幅減車によって、そのために市民の足である市営交通機関が大節に縮減をはかられてきた結果、いま最も通勤、通学者の多い周辺部が、非常に不便を来たしておる現状であります。昨年の予算市会でもわが党が指摘しました新大阪駅を起点とした市内、周辺部を結ぶ地下鉄環状線網の新計画を早期に樹立する必要があると同時に、周辺部におけるバス路線の確保も考えなければならないと思いますが、この点を明確にお答え願いたいと思います。 次に、今日、交通輸送の激化に伴い、市民の一番悩みの種になっているのは、国鉄、私鉄の踏切の問題である。一例をあげますれば、阪神本線の千舟の踏切である。私が過日、市民からの声で早朝から現場に行き、実際に調査いたしましたところ、踏切の状態は3分間にわずか5秒ないし10秒ぐらいしかあいていないのであります。あとは全くあかずの踏切といった現況であります。このことが車の停滞と、通動、通学の非常な困難と、また、事故発生の大きな原因となることは言うまでもありません。国鉄、私鉄の高架化は、市民が最も切実に希望しておるところであります。しかしながら来年度の予算を見てみると、南海本線、近鉄本線、南大阪線、阪神本線、阪急京都線、阪和線を対象として高架化の計画をしておられますが、その予算総額はわずか14億と聞いております。はたしでこれでできるのかどうか、納得ができないのであります。この点を具体的にご説明をお願いしたいのであります。 次に、従来から強く要望のあった東南市民病院の建設については、来年度調査費を組まれておられますが、いつごろ着手され、また、その完成時期はいつごろか、聞かせていただきたいと思います。 また、西成区にある今宮市民病院はすでに老朽化し、雨漏りが激しいたいへんな現状であり、地元市民は長年改築するようにと陳情をしておられますが、この件に関しても何らの返答がない。したがってどのように改築して、どのように市民の期待にこたえるのか、あわせてご答弁を願いたいと思います。 次に、わが国は古くから現在の中国との交易によって、経済的にも文化的にも大いに発展を遂げてきたのであります。しかるに日本の独占資本と、軍国主義による侵略戦争は、中国人民を塗炭の苦しみにおとしいれ、そして破壊をほしいままにして敗戦を迎えたのであります。以来アメリカのアジア侵略のにない手となった現政府と、日本の独占資本は、戦後、政治、経済、文化などに著しい発展を遂げつつある中国の現状に目をおおい、台湾政権との交易と政治的連帯を深めつつある。しかし世界各国は中国の偉大な発展を認め、国交回復は漸次促進されつつある。戦前、大阪は中小企業の町として、中国との通商が最も盛んに行なわれておりました。そういったいきさつからしても、本市が日中貿易再開の先べんをきる重大な使命と役割りがあるのではないかと考えますが、市長のご所信を承りたいと思います。 まだほかにも数点質問があるのでありますが、時間の関係もございますので、一応私の質問を終わらせていただきますが、ご答弁の内容によりましては、再び質問させていただくことをお願い申し上げまして、降壇させていただきます。ご清聴ありがとうございました。(拍手) ○副議長(中田捨次郎君) 理事者の答弁を許します。中馬市長。 ◎市長(中馬馨君) 岸本議員のご質問にお答え申し上げます。 第1番目は財政の問題でありますが、ご承知のとおり今日、大都市財政が非常に不利な状態にあります。さようなことから財政の改善につきましては、今日まで皆さんとともに努力を続けてまいりました。昨日もお答えいたしましたように、その成果はかなりのものになっている。現在の、46年度の税制に引き当ててみると、計算のしかたにもよりますが、242億程度の増収をもたらしているというような数字も出てくるのであります。しかしそれにもかかわらず、経済の成長、貨幣価値の変動等によりまして、法人税あるいは大阪府税である事業税といったようなものは、非常な勢いで自然増収を続けておるのでありまして、さようなことから大阪市の税金は、大阪市内からあがります税金の中の、わずかに11%を確保しているにすぎない。それがややもすれば、これだけの税制改正を繰り返しても、なお11%よりも下がってくるという状態にすらあることは、ご承知のとおりであります。これを府県、市町村の税の伸びについて比較いたしましても、昭和30年度を100といたしまして税の伸びを見てみますと、国税は689%、約7倍近く伸びておるのであります。府県税に至りましては、1,174%、12倍程度にまで伸びておるのであります。それに引きかえて市町村税は、わずかに582%にとどまっている。たいへんな税制上の不利な状態に民主政治の基礎団体と言われる市町村が、財政困窮の状態にあるのであります。これは特に都市問題として今日公害の問題が端的に物語っておりますように、都市民の生活、都市民の生命を守っていくことが非常に重大な今日の問題になっている際に、都市の財源が枯渇しているということは、国家的な面から見ましても、私は大きな問題であると考えるのであります。何としても都市財政の改善、税制の改革というものを今後推進していかなければならない。それはひとり大阪市のためのみでないということで、今日までも努力をしてまいりましたが、これから一そう市民の皆さん、特に市会の皆さんとともに中央に向かって、また、市民世論を喚起して解決をはかっていくことが、都市行政を担当する者の当然の責務であると考えておる次第であります。たびたび申しておりますように、大阪府に45年度で358億の超過財源があるのに対して、大阪市は100億の財源不足ということを政府みずからが発表しているような片寄った税制は、何としても改めていかなければならない。それには市民の理解が必要である。かような意味で岸本議員が言われたように、市民運動と申しますか、市民の深い理解の上に立った税制改正運動は、今後強力に展開していきたいと考えておるのであります。 次に、公害の問題に対して非常に熱意あるご質問があったのでありますが、これは昨日も繰り返しお答えいたしてまいったところでありまして、市会の皆さんとともに46年度の最も重点を置かなければならぬ施策として、努力を続けたいと思うのであります。いろいろと内容についてお話がありましたが、これはそれぞれ担当者からお答えいたしますが、空気清浄器について、これ自身は私は非常な情熱をもって一挙に、1年にしてすべての小学校、中学校、高等学校の教室ごとに入れろということで入れたのであります。せめてものという気持ちでやったのでありますが、それがいろいろな点でまだ十分でないというご指摘がありました。私どもは十分であろうと思ってやっておりません。不十分ながら、何としても少しでもよくしたいという願いをもってやったのでありますが、まあそうした努力を重ねながら、また、いろいろな改善を加えながら、特にひどい西淀川その他公害のひどい地域の市民の方々の生活を守っていくという努力は、真剣にやっていきたいと思うのであります。西淀川の公害対策においても、私どもは全国に先べんをつけた総合公害対策を打ち出したつもりであります。これは市会の皆さんの強力なご支援のもとにそういうような手を打って、全国の公害対策に先べんをつけていきたいというくらいの気持ちでやっておるのでありまして、今後皆さんとともに公害対策にはさらに一段と努力を重ねてまいる覚悟であります。 次に、関西空港に関連して、これも昨日来お話が出ましたから、他の点はお答えいたしましたが、岸本議員のご質問の要点も、騒音の問題をどう考えているかという問題であります。国際空港が大阪湾内のどの部分にきめられるかはまだ発表されていないし、明らかでありませんが、いずれにしても大阪、神戸、また、南の海岸線に沿ってつくられることは、大体において間違いないところであります。これが岸に向かってどの程度の公害を及ぼすか、騒音公害を及ぼすかという問題は、もちろん調査段階において非常に緻密な計算がなされておるのであります。海岸線から市民の居住地域から10キロ程度は離れる必要があるというようなことも言われておるのでありますが、そういたしますと、これも飛行機の走る方向等が非常に大きな影響をもたらしますから、その方向等の関係でも、海岸線の位置づけが検討されるわけであります。海岸線に並行していくならば、騒音公害は非常に少なくなる、そういうことでいろいろと研究されておるのであります。それと一方では、航空機騒音の問題は、単にわが国だけの問題ではない。もっと活発な動きを見せているアメリカ等において、非常な真剣な研究がなされておりまして、アメリカ等でも強い規制を行なって、航空機製造メーカーに対して、騒音を防ぐ飛行機でなければ、今後使うことができないような規制を加えておるのでありまして、これはだんだん飛行機の騒音というものは、少なくなってくるという見通しが立っていると一般に言われておるのであります。たとえばここに資料がありますが、ご紹介申し上げますと、航空機が大型化するにつれてエンジン出力も大きくなるので発生する騒音もまた当然大きくなると考えるのであるが、しかし事実はまさにその逆である。ボーイング747のエンジンの最大出力は76トンであり、ボーイング707の32トンの2.4倍であるにもかかわらず、実測結果によれば、滑走路の延長線上2キロメートルの地点における離陸時の最大騒音は、707型の109ホーンに対して、747型は99ホーンとなっておって、逆に小さい。出力は2倍半であるが、音は逆にそれよりも低い。こういうようにターボファンエンジンというようなものの開発によって、騒音は低くなっている。現に実績もあるのであります。さような研究が非常に真剣に世界的に進められておるのでありまして、この問題は、今後の空港の問題とも関連して、市民の方々の理解を得ながら、検討の対象にしていかなければならぬと思うのであります。いずれにいたしましても、私ども、大阪市民を空港騒音によって悩ますことのないようなことを考えて、これに対処いたしたいと考えていることを申し添えておきたいと思うのであります。 次に、PTAの負担、これは教育長からさらに詳しくお答えいたすと思います。 幼稚園をなぜつくらないかというお尋ねでありますが、これも昨日来申しておりますように、幼稚園につきましては、私どもできるならつくっていきたいが、幸いにして民間幼稚園というものが相当できているということと、一方では幼児の教育で、かつ大阪市が公の負担でやらなければならぬのは負担力の少ない人たちのため、共かせぎをしているような人たちの保育所だと思うのであります。まず保育所をやってその上で幼稚園に及ぶということが市政のまじめな姿と言わなければならない。財政が許すならば、うんとやりたいが、現在では保育所に重点を置いていくということで、その方針をとっていることは、ご承知いただいておるのであます。ここでちよっと数字を拾ってみますと、それなら保育所をどのくらいの勢いでつくってきたかといいますと、41年から45年までに57カ所の保育所をつくっております。これは相当の力を入れているということか考えられますが、横浜がこの間に18カ所、名古屋が18カ所、神戸が20カ所、北九州が10カ所程度でございますから、大阪市は幼児教育としては保育所に相当力を入れてつくっている。ことしは15カ所、そのほかになお数カ所を目標としておるのでありますから、まず幼児教育としては、建設面においては保育所に力を入れる。そして幼稚園につきましては、先ほどご指摘のように本年一挙に幼児1人について1,200円ずつの補助をするという方針をとったのであります。しかしご指摘のように、これらの点についてまだまだ将来に向かって重点を置いていかなければならぬことはもちろんでありまして、今後も努力を続けていきたいと思うのであります。民間保育所への補助という問題も、いま申しましたとおりでありまして、いろいろな形で民間保育についても補助を続けておりまして、これは国の保育費の負担というような問題とも関連して、あわせて対処していきたいと考えるのであります。 老人問題については、私が口をすっぱくして、お年寄りと子供を大切にする市政ということを言っている。市長としては、お年寄りのめんどうを見ていく、人生の晩年が孤独でないような社会風潮をつくりたいということで市民に訴えている。大阪市長として提唱するという一つの大事な仕事のつもりで繰り返しておるのでありますが、現在の施策についても、できるだけ積極的にこれを行なっていきたいと考えて、弘済院の特別養護老人ホーム、あるいは養護老人ホーム等の施設も、他の都市より一歩前進しているというふうに考えておるのであります。なお、ご指摘の老人いこいの家等も、1カ所300万円程度で、金額は少ないのでありますが、しかし本年は一挙に10カ所つくられることを期待いたして、予算を計上いたしたのであります。今後問題があろうと思いますが、大いに充実をはかるという心組みでいきたいと思いますが、本年なお信太山鉄筋老人ホームを増築するようにいたしたことも、すでにご承知のとおりであります。いずれにいたしましても、老人対策というものは、今後非常に重要な大阪市政の政策であるという考え方で推進をはかっていく考えであります。 児童公園についても、大阪市の児童公園の設置状況は、先ほどの保育所と同じように、他と比べて非常に多いと言ってもいいと思うのでありますが、これも単に大阪市自体の問題ではなくて、政府がこの都市化する中において、過密都市の中の子供たち、次の世代を守る重要な政策として、児童公園の5カ年計画を政府は策定すべきであるということを、私自身が先頭に立って、毎年中央政府、総理はじめ皆さんに訴えておる状態であります。しかしこれは残念ながら、児童公園の用地買収費に対する政府の補助が実現いたしておりません。政府は小学校についてすら土地の補助をしていないのだからということで、これはまだ踏み切りがついていない状態であるのでありますが、しかしほんとうに児童公園をつくろうとすれば、ご指摘のように密住地区につくらなければ、ほんとうの効果がない。しかし密住地区に家を取り払ってつくるということは、たいへんなことであります。金がさにおいても、たいへんな金がかかる。また、火災等で焼けたあとをすぐ買収しておくということまでも考える必要があるというようなことで、担当者に命じておるような次第であります。これは政府を促しながら、児童公園の問題、過密都市の密住地帯に児童公園を配するというためには、今後も強く推進してまいりたいと思います。 次は、公園墓地の問題でありますが、これもかねてから土地が得られるならば、早く着手したいということで、周辺に向かって土地を探してきていることも、もうご承知のとおりであります。しかし大規模の土地を入手することが非常にむずかしくて、候補地がたびたび出てまいりますが、交渉を重ねるうちにとんざしてしまうということを繰り返して、まことに遺憾に思っておるのであります。しかし一方ではかなり大規模のものになるから、政府がこれに対する起債を認めなければ、これは土地を買って、それをまた墓地に売り渡していくのでありますから、起債でやるたてまえのものでありますから、起債を認めてもらうような交渉をいたしておるのでありますが、これも政府との話し合いも大体縁故債を認めるという傾向になってまいりました。土地の交渉もいま続けておるのであります。話さえまとまれば、追加というようなことでこれに対処いたしたいと思うのであります。それから東南市民病院をいつ着手するか、これは私ども何としても早くやりたいという気持ちで土地を買収し、その手を打ってきておるのでありますが、しかし事情が非常に変わっておりまして、衛生当局としては現存の病院のお医者さんの確保、看護婦の確保すらも非常な苦労をしている状態、かようなことで間口を広げることは、現在の段階においては困難であるというようなことで、実は足踏みしていることを非常に遺憾に思っておる次第であります。何としても看護婦の養成なり確保、そういうものの見通しを早くつけなければ、また、お医者さんの確保の見通しを早くつけなければいかん。そして東南市民病院の建設にも、できるだけ早く着手するようにいたしたいと考えておるような次第であります。今宮市民病院のことにつきましては、非常に専門的な立場でありますが、衛生当局では、これは総合病院の経営規模として小さすぎるから、単科病院等にもっていくべきではないかということで、検討いたしておるのが現状であります。 最後の中国の問題でありますが、これも昨日各派代表の方々からご質問を受けたところであります。私どもは大阪という土地の歴史と、その地理的条件の上に立ってこの問題は対処していかなければならない。それと一つには、大きく、国の中国との接触という問題を前提とせざるを得ないことは当然でありますが、しかしそうした中において、情勢に立ちおくれない中国との接触というものを、常に考えていかなければならぬというふうに思っておるわけであります。いま大阪港の中国貿易のトン数を調べてみますと、約50万トン程度であります。これももし中国の関係が雪解けになりますならば、大阪との貿易関係というような問題も大きく伸びてくることになるかとも思うのであります。 それから一つ落としました。青少年対策の問題でありますが、これは私どもご指摘のように、今後においてよほど力を入れていかなければならぬというふうに考えます。昨日、道徳教育の問題等のお話も出ましたが、社会の非常な勢いでの経済的発展、これに伴う社会秩序の問題、また、これが非常な強い刺激を与えた青少年に対する影響の問題、社会全体を、私たちは今後よほど微妙な状態にある問題というものを注視しながら、いろいろな対策を考えていかなければならぬと思うのであります。青少年対策の重要なこともご指摘のとおりでありまして、ああして青少年教育センターが難波宮あとの関係で、ややおくれました。この五、六月ごろにはでき上がることになります。これを青少年運動の拠点としていきたい。地域的にさらに分区を考えるべきだということも当然であります。民主社会の非常に重要なものは、集会の場所を持つということが民主政治にとっては非常に重要なことでありますから、漸次、地域的な分区をはかるということも、将来の問題として考えていかなければならないと思うのであります。さらに野外活動センター、これを計画していることは、市会の皆さん方もすでにご承知いただき、ご鞭撻をいただいておるところでありますが、これも現に相当交渉を重ねて、年度内に土地の買収の手続をいたしたいという意気込みで、かなり広い土地を買収交渉中であります。これなどができれば、大阪市民の若い人たちを郊外の林間で活動させることができるかと思うのでありまして、さような努力を続けていきたいと思うのであります。なお、青少年問題についてはいろいろな問題があろうかと思いますが、この文化的な活動を促すことも、青少年に影響するところが大きいのでありまして、昨日も申し上げましたように、大阪の文化の中枢機能を高度化していきたいということで、自然史博物館も大規模なものをつくろうとしております。また小さくは若い人たち、小さい人たちのユースオーケストラを組織する。こういうような文化、スポーツ活動をさかんにすることも、青少年の指導上、非常に有効なものだと思います。総合的にさようなことを考えて推進をしていきたいと考えておりますので、ご了承いただきたいと思います。 ○副議長(中田捨次郎君) 福山総合計画局長。 ◎総合計画局長福山真三郎君) まず公害関係についてお答えいたします。岸本議員ご指摘のとおり、公害というものはこれは原因者がはっきりしておるわけでございまして、あくまでもこの対策は原因者の責任で行なうのが根本でございまして、この点は公害対策基本法にもはっきり書かれておるわけでございます。市といたしましても、工場等に立ち入り検査、あるいは指導いたしておりますのも、企業みずからも改善をしてもらうということで指導をしておるわけでございますが、ただそれだけでは十分でないということで、施設の改善についての融資あるいは移転した場合のあと地の買い上げ、こういうものをわれわれのほうで助成をしておるのが現状でございます。昨年、公害関係法案の大幅な改正が行なわれたのでございますが、こういう改正が行なわれました上には、やはり公害のほんとうの対策を実施していくというのがわれわれのほうの行政体の責任でございますが、やはり本質の責任は国のほうにある。だからその責任を果たすためには、少なくとも実際事務を担当いたします地方行政機関に対しまして、財政的な援助を十分すべきであるということで、私どものみでなく、指定都市連合いたしまして、機会あるごとに国家予算のいろいろな補助金、起債、あるいは地方交付税の算定の問題等について、積極的に要望しておるわけでございます。ところか現状では、まだ補助金あるいは融資についても十分でございません。今後さらにその方面について積極的に働きかけてまいりたい、こういうふうに考えております。 それから権限の問題でございますが、実際に公害行政を実施いたしますには、やはり地域の実情を十分把握している、--実態に即したこまかい点まで行き渡るということになりますと、やはり策一線であります市が担当するということが非常に効果的であるということは当然でございます。ところが現状では主として府県にこの権限がいっておるわけでございます。本市といたしましても、国あるいは府に対しまして、行政の一元化あるいは迅速な処理という点で、常々働きかけておるわけでございますが、条例に関します分につきましては、現在工場のばい煙関係、大気汚染関係だけが府のほうに残って、そのほかは全部市のほうに委任されておるわけでございますが、今後さらにこの行政の一元化と申しますか、やはり第一線のわれわれのほうに権限が大幅に委任されるようにつとめてまいりたい、こういうふうに考えております。 それから中小企業の工場に対する集団化の問題でございますが、ご承知のように中小企業は資力も乏しく、十分な公害施設の整備をするということが、なかなかむずかしい状態でございます。このような場合に、集団的な移転を行なう、あるいは団地をつくるという場合に、現在では公害防止事業団あるいは中小企業振興事業団というものが融資を受けてやっておるわけでございますが、現在大阪市でも45年、46年にかけまして、南港にこの両事業団を利用した団地をつくったのであります。これによりまして、大体シャーリング工場、あるいは鋲螺工場、そういうものが45年、46年に団地としてこのほうに移っていくというような状態になっております。今後こういう方面を進めてまいりたいと思いますが、現在の大阪市の状況からいたしますと、なかなかそういう用地が確保できない。南港にまだ一部ございますが、そういう点につきましては、経済局あるいは港湾局と協力しながらこの問題を解決してまいりますけれども、やはり根本的には大阪市外あるいは近隣府県、こういうところに用地を確保しなければ、なかなか達成できないということで、各府県がやります工場団地をつくります場合にも、大阪の工場が行けるように、そういうふうな用地を確保してもらうように、機会あるごとに要請しておるような次第でございます。 それから外島の問題でございますが、44年5月、面積約40万坪に外島共同開発株式会社としてあの地に関連施設を整備するということになったわけでございまして、私どもが西淀川対策をいたします場合にも、この外島の問題は十分考えて考慮に入れておるわけでございまして、進出予定企業29社がきまりました場合に、これらの工場に対しまして、公害に関する事前調査、事前指導というものを行なったわけでございます。その調査の中で、約6社が大気汚染、公害の面で問題があるというふうに判明いたしまして、しかもその中の3社が非常に急いでいる。あとの3社は47年度以降ということでございますが、3社が急いでおりますので、現在この3社が公害関係の法令によります届出を行なっておるわけでございまして、大気汚染防止条例によります燃焼を伴わない大気汚染防止施設については、これは大阪市のほうに届出が出されておりまして、現在審査をしております。この事実審査をやっておるわけでございますが、大阪府に対しましても、西淀川の防止対策にそごを来たさない、われわれのねらっております公害環境基準が保証されますような、十分な行政指導を行なってもらいたいということを府にも要請し、われわれのほうもわれわれの権限の及ぶ限りにおいては、こういう行政指導を行なってまいりたい、かように考えておるわけでございます。 もう一つ、公害以外でございますが、国鉄、私鉄の踏切の問題が出たわけでございます。先般市長が説明いたしましたように、大阪市内には300くらいの踏切があるわけでございます。しかも非常に交通の量が多くて、早急にやらなければならないというのが150くらいある。京阪その他が一応解消いたしまして、大体18カ所くらい解消いたしましたが、なお緊急を要するものが140カ所くらいございまして、これをやるには、大体1,000億くらいの金がかかるというようなことでございます。本年14億をあげておりますが、これは一応本年から着手するものでございまして、国鉄阪和線、南海、阪神の淀川北岸線のところ、阪急の新庄大和川のところ、近鉄南大阪線の敷津・喜連線のところ、こういう5カ所、3地点と2路線をあげておるわけでございますが、来年度から本格的な工事に入る、こういう考えでおります。140カ所を全部解消するには、昭和60年くらいまでかかるというのが実態でございます。 ○副議長(中田捨次郎君) 近藤土木局長。 ◎土木局長(近藤和夫君) くみ取り便所の水洗化がおくれておる問題でございますが、ご承知のように、ただいま下水道5カ年計画で昭和47年度までに市域内の全戸数70万戸の70%を水洗化するということで、水洗普及に努力いたしておりますが、ただご指摘のように、水洗の区域に早くなりながら水洗化がおくれておるという問題がございます。この大きな理由をあげますと、まず最初にいままで法的強制が十分でなかったこと、さらにまた、地主、家主、借家人の紛争が生ずるような場合がございました。また、家屋等を改築する計画があるために、それまで水洗化の意思がないというような方もおられるわけでございます。それともう一つ、水洗化のための一時的な出費にたえられないというようなケースがございます。このうち法的強制の問題につきましては、ご指摘のように昨年12月の第64国会で下水道法が改正せられまして、処理区域内にあっては、処理開始後3年以内に水洗化の義務が課せられたわけでございます。それと次に一時的な出費負担につきましては、助成金と貸し付け金制度は現在持っておるわけでございまして、現状を申し上げますと、一般的な助成金は4,000円でございます。それから生活保護家庭につきましては、4万円の助成金を考えております。また、貸し付け金につきましては、一般的には大小兼用のものは3万円以内、大小別々のものは3万6,000円以内、さらにまた、月収3,000円以上の生活保護家庭に対しましては、4万円以内の貸し付け金制度があるわけでございます。こういったことで貸し付け金制度、助成金制度を持っておるわけでございます。さらにまた、下水道対策といたしまして、公共下水道との接続工事費の市費負担あるいはまた、一定基準以上の私道の枝管につきましても、公費で布設を行なう、こういうことをやっておるわけでございますが、今後この下水道法の改正を機会に、さらにこういった水洗化区域に早くなりながら、くみ取り便所のままで残っておるというものにつきまして、早く水洗化にもっていくように、鋭意努力をいたしたいと考えておるわけでございますが、方針といたしまして、生活保護家庭、さらにまた、ボーダーライン層と申しますか、困窮家庭につきまして、今後助成金制度あるいは貸し付け金制度の再検討を行ないたい、かように考えておる次第でございます。なおまた、地主、家主、借家人との間の紛争につきましても、強制力はないわけでございますが、今後積極的に仲介の労をとりまして、水洗化の普及に努力をいたしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。 ○副議長(中田捨次郎君) 石川教育長。 ◎教育長(石川多賀夫君) 小中学校におきます父兄負担のご質問でございますが、私どもとしましては、46年度において、経常的経費について当初計画は一応完了する予定をいたしております。もっとも昨日もお答え申しましたように、物価上昇の問題、あるいは教育の内容、方法の高度化による問題等が残るわけでございますが、一応そうした将来的な要因を除けば、46年度において、経常的経費については一応完了する予定を立てております。ところで仰せのような臨時的経費につきましては、これまでのところ、事前協議制をとって、十分ご父兄の方々とお話し合いをした上で、ご好意をお受けしておるのが現況でございます。46年度におきましては、先ほど申しましたように、何はともあれ経常的経費についての解消ということを大きな眼目として進んでまいっております関係上、この点は残っておりますが、この残された臨時的経費の問題につきましては、検討課題として十分調査、研究してまいりたい、かように存ずる次第でございます。 ○副議長(中田捨次郎君) 黒田交通局長。 ◎交通局長(黒田泰輔君) 近年の道路交通状態の悪化に伴いまして、地下鉄を基幹としまして、バスを配する路線網でもって、市民の皆さんの足を確保する、こういう方針でまいってきておるわけでございますが、そのためにただいまご指摘もございましたように、市電を廃止し、トロバスを廃止し、別途財政再建という問題がございまして、地下鉄の伸長とともに、バスの車両を減らしてまいっておることは、ご指摘のとおりでございます。その中で問題が二つありまして、一つの問題は周辺区における足の確保の問題のうち、地下鉄に関する問題、もう一つの問題はバスに関する問題、二つしか輸送手段がございませんので、問題は二つになろうかと思うのであります。地下鉄の問題は、ご案内のように昨年の3月までに、大体乗客の流動というものは求心的な傾向にあるということで、おおむね国鉄環状線内を格子状とし、その他は放射線状に延ばしていこうという姿勢をとったわけでございます。今後周辺部に対しましては、その放射線をしっかりとここ五、六年かかって延ばしてまいりたい、かように考えておるわけでございます。ご指摘の新大阪駅を起点としての環状線の問題でございますが、昨日、長沢議員のご質問に対して若干触れたわけでございますけれども、東部の縦貫をやるということを都市交通審議会でもって市の意見として説明をやっている、こういうことはお答えしたわけでございますけれども、その内容といたしまして、やはり新大阪を起点として南部、長居方面に持っていくことが必要ではなかろうか、こういう考え方で説明をいたしておるわけでありますが、しかし政府の問題につきましては、国際空港の問題も出ておりますし、既設の国際空港もございますし、湾岸道路の問題もございましょうし、いろいろと情勢の変化を来たしてまいると思いますので、そこらの点につきましては、今後の研究課題といたしたい、かように考えておる次第でございます。しかしながら都市交通審議会は、この段階において60年を目途に夏ごろに一応の答申を行なうと思います。当面はその答申が免許の前提に相なると思いますので、その答申をまって事業化してまいりたい、かように考えておる次第でございます。 次に、バスの問題でございますが、ご案内のように昨年度末1,790両、本年度末で1,600両程度に減車する計画になっておりますが、しかし基本的な考えといたしましては、環状線内が地下鉄がおおむね完成しておるわけでありますから、今後は周辺部に力をいたすべきであるという考え方、これはご質問のご趣旨と同じような考えで進めておるわけでございます。したがいまして昨年の64キロの地下鉄の完成、市内の4幹線道路の一方通行の機会をとらえまして、路線網の再編成をいたしました。一応考えられる路線網の完成をいたしまして、比重といたしましては、苦しい中、周辺部に重点を置いたつもりでございますが、なお不十分だとご指摘になっておるのであります。それで本年1月に、お客さんの出発点と到着点について調査をいたしました。近く集計ができまして、私どもの路線配置の参考にできると思いますが、これに基づいて考える場合も、やはりご趣旨に沿って路線の整備につとめてまいりたい、かような考えでおりますので、どうかご了承を賜わりたいと思います。 ○副議長(中田捨次郎君) 24番岸本太造君。 ◆24番(岸本太造君) 自席から発言を許していただきます。詳細にまだお聞きしたいことがありますが、後日の委員会において質問いたしたいと思います。 ◆71番(寄吉極君) 動議を提出いたします。この際暫時休憩せられんことを望みます。
    ○副議長(中田捨次郎君) 71番議員の動議にご異議ありませんか。   (「異議なし」と呼ぶ者あり) ○副議長(中田捨次郎君) ご異議なしと認めます。よって動議のとおり決しました。 暫時休憩いたします。      午後0時26分休憩      午後1時24分再開 ○議長(天野要君) これより休憩前に引き続き会議を開きます。 沓脱タケ子君の質疑を許します。49番沓脱タケ子君。 ◆49番(沓脱タケ子君) 私は日本共産党大阪市会議員団を代表いたしまして、昭和46年度予算案並びに関連案件につきまして代表質問を行ないたいと思います。 まず最初に、中馬市長が去る19日の本会議におきましてなされました予算説明で、25年後を目標とした長期総合計画に基づいて積極的に進めてまいりました本市都市基盤の整備は、かなりの成果をあげ、昨年の万国博を何の支障もなく大盛況のうちに開催することができました。しかしながら、一方急速な経済の成長はさまざまなひずみをもたらし、今日都市行政の最大の課題は、いかにして人間本位の行政を展開していくかにあると言明をしておられます。いまや大阪は、住みよい大阪をという市民の切なる願いとは反対に、年々公害、交通事故、都市災害が激しくなり、市民の生存そのものを脅かす町になっています。大阪の空、空気の汚染度は全国一、政府の環境基準さえ全市的にこえるひどさになっております。地上ではどこでも車がひしめき、昨年1年間に約4万人の人命が殺傷され、さらに交差点、幹線道路の周辺では有害な排気ガス、騒音、振動が人命をむしばんでいるのであります。昔は水の都と言われた大阪の川は、カドミウムや有機水銀などの有害物質を含んだどぶ川と化し、東住吉区加美地区、生野区巽町に発見されましたカドミウム汚染など、土壌の汚染が激しくなり、さらには300万人の飲料水の源をなす淀川の水まで取水を中止することがしばしば起こるほどの汚染度を示しているのであります。その上、火災による焼死者日本一という悲惨な状況も依然として続いております。それに加えて、市民は天井知らずの物価高、住宅難、保育所、子供の遊び場など、思うにまかせぬ住みにくい町になってしまっております。現に大阪市の人口は、この5年間で17万6,000人も減っているのです。なぜこんなことになったのでしょうか。それは、中馬市長が市政を担当して以来、お年寄りと子供を大切になどのキャッチフレーズのもとで、一貫して自民党政府の基本方針であります産業基盤の拡充といわゆる管理中枢機能の向上を目標に、1960年代における自民党の全国総合開発計画を忠実に推進してきた結果であることは明瞭であります。市長は、予算説明でも、急速に経済の高度成長のひずみを反省して、人間性の回復と人間本位の行政が最大の課題だと言っておられます。しかし予算案を見てまいりますと、総額6,600億円余りの中で教育費、民生費等の予算は、市民の中に渦巻く要求から見ればほど遠いものと言わなければなりません。市長は46年度予算案の編成方針で四つの柱を立てておられます。第1に、公害防止と健康で安全な環境づくり、第2に、お年寄りと子供を大切に福祉行政の推進、第3に、次の世代の育成と文化水準の向上、第4に近代都市の再開発と中小企業などを目標として提案しております。 わが党議員団は300万市民の命と暮らしを守るためにさしあたって緊急施策として解決を要する諸問題に集中をして質問を行ないたいと思います。 まず第一に公害対策についてであります。大阪における各種の公害のひどさは、周知のように測定数値は全市的に日本一の汚染度を差し示しています。大気汚染では、唯一の認定地域、西淀川区では、すでに認定公害病患者は1,400人をこしており、12歳以下の子供たちが過半数を占め、50歳以上の罹病者と合わせれば90%にも達するなど、公害のひどさは草木だけではなしに発育盛りの子供まで育ちにくくしているというきびしい状況になっております。中馬市長は、公害対策費32億3,300万円を計上しておられますが、これで大阪の公害防除は、見るべき成果を期待できるのでありましょうか。まず大気汚染についてでありますが、何といいましても、新しい公害発生源をふやさないことが何よりも肝心であります。その立場で市長の所信をお伺いしたいのであります。その一つは、南港における関西電力の火力発電所建設計画をやめさせることであります。その2は、大阪市の南部各区の大気を汚染しております堺・泉北臨海工業地帯への企業誘致を中止し、これ以上公害発生源をふやさないように大阪府に対して厳重に申し入れることであります。その3は、唯一の公害救済法指定、西淀川区の風上にある外島地域の進出企業29社をやめさせることであります。特に西淀川区については、救済法指定地域となると、市長みずから特別対策大綱まで策定をしていながら、そのあとで外島地区を工業地としての用途指定を認め、さらに昨年11月の決算市会で指摘いたしましたように、建築確認を受けないまま不法操業の企業に対して、市長権限を持ちながら見のがし、その点を指摘いたしますと12月28日になってから建築確認を出して進出企業の不法操業を免罪にしたのでありますが、市長はなぜこんなことをしたのか。市長が言う人間本位の市政をほんとうに貫くなら、外島29社の進出をやめさせるべきではないか。以上3点について、まずお伺いをいたしたいのであります。 また、発生源対策の一つとして、尼崎にあります関西電力対策として、兵庫県、尼崎市並びに企業に対して、厳重に防止装置、低硫黄重油の使用、その他必要な規制を申し入れるべきであろうと思いますが、そういう措置はすでに行なったのかどうか、申し入れておられるのであったら、その結果のご報告をお願い申し上げたい。また水質については、大阪市はかつて堂島川、淀川、寝屋川にシアンが検出されたことを隠していたのであります。このようなことは絶対に許されません。大阪の河川汚濁は水質基準の法改正できめられることになったのでありますが、市長の管理河川ではきびしくきめること、府知事に関する河川についてはきびしくきめるように要求する用意があるかどうかを明らかにしていただきたいのであります。 さらに条例制定についてお尋ねしたいのであります。全国的には市独自の条例を持つ都市が出てまいっておりますが、本市は自動車騒音、排ガス規制等を含む市の公害防止条例の制定の意思があるのかどうか、お尋ねいたしたいのであります。 次に、公害対策費の中で被害者救済事業費の予算が減額になっておりますが、この点についてお尋ねをいたしたいのであります。西淀川区における被害者の申請数は、毎回増加の一途をたどっております。また、3年以上区内居住だとか、所得制限、疾病制限等のために、救済法の適用さえ受けられない人たちが、なお多数いるのであります。また、此花区、大正区、港区など、、常時高濃度汚染地域で明らかな公害病患者が多数出ているのであります。大正区の恩加島では生後1年2カ月の赤ちゃんがぜんそくにかかって、入院加療する、退院するとすぐ発作を起こし、両親も医師も困るような実例が出ておりますが、このような被害者は救いの手を差し伸べられずに放置されたままになっているのであります。この公害対策を積極的に進めるというのであるならば、被害者に対して対策をとるべきであると思うが、市長のお考えをお聞きしたい。被害者救済法の適用範囲を拡大して政府に申請をすること、さらに法による適用を待たずに、四日市や尼崎でもすでにやってこられたように、市の責任で医療費、生活補助を行なう用意があるか、市長の所見をお伺いしたいのであります。 次に、公害対策を推し進めるための問題として、仕事量に見合う人員配置がぜひとも必要であります。公害パトロール班3班の増設を提案されております。西淀川区でも3班がフル回転をしている状態でありますが、全市を3班で受け持つのでは、きわめて心細い限りであります。市民は、大気汚染、排ガス、水質汚濁、騒音、振動、悪臭、食品公害に悩まされ、保健所に通報いたしましても、各行政区には担当者が1人で、受付がせい一ぱいで処理に手が回らないのが現状であります。市民の命と健康を守るために抜本的な対策をとるのならば、思い切った職員の増員、配置がなければ、企業の監視、調査、指導など、市民の期待にこたえる施策とならず、かけ声に終わるのは、火を見るよりも明らかであります。人員の拡充強化の方針をお答え願いたいのであります。 次に、市民の命を守る主要施策として、交通安全対策がきわめて重要であります。政府の自動車優先、人命軽視の影響は、道という道が自動車の洪水になり、さらに大阪の特殊な条件が加わって貨物自動車がその6割近くを占めている状態のもとで、依然として交通災害はふえる一方であり、しかも歩行者の被害がふえているのであります。何としても歩行者の安全を守るために、少なくとも5.5メートル以上の道路には歩車道の分離が必要であります。また、事故多発点、あるいは排気ガス公害の激しい地域では、歩行者の専用道路や安全街区の設定を行ない、歩行者天国をつくるべきであります。安全街区の設定を行なう方針があるかどうか。つくる方針があるならば、全市的に何カ所つくっていくのかお聞きしたいのであります。また、先ほども質疑の中でご指摘がありましたが、国鉄、私鉄の市域内の踏切は、交通停滞と交通事故多発の危険がはんらんしています。踏切の安全施設と立体交差を進めることが急務になっておりますが、46年度、14億円の予算化を行なっております。国、私鉄の踏切立体化は何年計画でやり抜く方針なのか。国、私鉄との経費分担が、政府の方針によりますと、90%以上も地元負担になる現状ではきわめて大きな費用を必要とすると思いますが、住民は毎日の危険にさらされ、切実な要求になっている現況から見まして、計画的に早期解決の方針を明らかにすべきであります。まず政府に、国、私鉄の費用分担をも強く要求すべきであると思いますが、対策と方針を明らかにしていただきたいのであります。 次に、緑化対策についてであります。公害対策とあわせて人間の生存そのものに必要な緑は、300万市民ひとしく渇望するものであります。市長は緑化100年宣言を行ない、全国の緑化運動をリードしていると喜んでおるのでありますが、現状は、市民1人当たりの公園面積はやっと1.5平方メートルにすぎず、都市公園法の基準から見ましても、なお半分であります。市長の緑化計画は、大公園の整備が中心になっておりますが、さしあたって、市民にはまず学校園、市営住宅、団地、保育所に対して、市の責任で植樹計画を進めることが緊急に必要であります。また46年度は鶴見緑地に市民園芸村をつくるということを提案されておりますが、どのような計画なのか、お聞きいたしたいのであります。同時に、全市民が緑化への熱意に燃えている実情から考えまして、1カ所の園芸村に限定しないで住宅のまわりへの緑化を促進するということが、きわめて望ましいのであります。そのために、苗圃、園芸農家に必要な援助を与え、苗木をたくさん提供することが必要であります。こういった措置を行なう方針をお持ちかどうか、ご所見を伺いたいのであります。また、大気汚染の激しい地域では、特別な緑化対策が必要であり、緊急に事業の促進が望まれておりますが、具体的な方針をお伺いをいたしたいのであります。 次に、市長は第2の柱として、お年寄りと子供を大切にと福祉行政の推進を掲げております。現在、大阪市の社会福祉事業の実態を見てみますと、老人ホームなどの施設は、収容の必要な老人2,400人に対し施設は3%足らず、民間の経費負担の施設を合わせてやっと7.5%、100人のうち7人弱の老人しか収容できないという貧弱さであります。また、心身障害児の施設も、たとえば推定3,900人いると言われております精神薄弱児に対して、市立の施設は100人中3人しか収容できないのであります。肢体不自由児の施設も少なく、10人のうち1人だけしか収容できないのが現状であります。保育所も依然として少なく、保育の必要な子供約3万人に対して、昭和46年1月、市立保育所は6,781人、民間保育所を含めても約1万4,000人の子供が保育に欠ける結果になるのであります。統計によりますと、去年1年間に4,942人の老人自殺者が出ております。そのうち半数以上が病気のためにさびしく自分の命を断っていることを見ましても、医療費無料化の実現は、切実かつ緊急な課題であります。大阪府の衛星都市では、20市以上が年金の差はあっても、医療費無料化を実現し、また先日、摂津市では70歳以上の老人医療費全額無料化に踏み切っているのであります。老人対策は国の施策待ちというのではなくて、住民の切実な要求にこたえて、実施に踏み切るべきであると思いますが、重ねて市長の見解をお伺いしたいのであります。 次に、母と子の対策では、46年度、15カ所の保育所建設など、例年より一歩前進を示したのでありますが、市民要求から見ますと、なおほど遠いものと言わなければなりません。ことしの1月、入所申し込みの子供たちは、約2倍ないし8倍という全く大学受験並みの競争率で、依然として狭い門であります。住民の要求にこたえる施策として、緊急に大量の建設を促進することが何よりも大切であります。二つ目には、ゼロ歳児保育、特に産後休暇終了時から預かれる保育所をつくることであります。三つ目には、8時から就業の母親が預けられるような長時間保育を全保育所に実施することであります。また、予算案には1日1人、給食費12円から15円と3円引き上げが計上されておりますが、現在の物価高の中で、育ち盛りの子供たちにきわめて冷たい仕打ちと言わなければなりません。3歳児以上の子供たちに毎日完全給食を全保育所に実施することが大切であります。そのために設備と人員配置を行なうことなどが、直ちに実施できる体制をつくることが要求されています。これらの措置を実施するご見解はお持ちなのかどうか、市長のご意見を承りたいのであります。 次に第3の柱として、次の世代の育成と文化水準の向上を掲げ、教育予算は昨年に比して30.7%の増額が計上されております。しかし親たちの期待しておるPTA負担の解消も、プレハブや木造校舎の改築も実現できないのであります。46年度は市長の公約によってPTA父母負担解消の最終年度であるが、5億2,000万円の支出では、市長もお認めになっておるとおり解消できないのであります。本来、地財法によると、住民負担は禁じられているものであります。市長が4年間で完全解消を公約した以上、責任をもって公約を果たすのが当然であります。しかるに、予算編成のときから、完全解消はできないので、47年度に徹底をいたしますなどと、ぬけぬけと言うというような無責任な態度は断じて許されません。不足分はPTA負担で何とかまかなってもらえるであろうという、市民の犠牲によってやろうとする考え方が、市長自身にあるからであります。市長がこんな姿勢だからこそ、全く恥ずかしげもなくギャンブルのテラ銭を長期にわたって学校がもらっていたり、またPTA会費と協力費と2本立てになって父母負担がふえても、知らぬ顔をしているだけでなしに、むしろ一そう助長しているのであります。市長は、市民の要求にこたえるために、断固として義務教育無償の原則を守り、地財法違反をなくするために英断をふるうべきであると思いますが、市長の所見を聞きたいものであります。 次に、校舎の増改築費51億3,400万円についてであります。市教委の報告によりますと、プレハブ68、特別教室不足数348、木造要改築1,746、講堂新設12校、学校新設12校で総事業費120億を要すると言っておりましたが、木造の鉄筋化が46年度、719教室の予算化では要増改築数2,152教室の3分の1にしかならないのであります。公害指定地域の西淀川区では、公害対策として空気清浄器を設置しておりますが、古い木造校舎で、窓はすき間だらけ、天井は破れたままで、その教室へ文明の利器が設置されているのであります。特にこれらの教室の温度は、摂氏3度ないし4度という低さで、しかも暖房もないままで、生徒も教師もぶるぶるふるえている。これで機械をかけると一そう寒くなるのであります。生徒も教師も、空気清浄器よりも、暖房がほしいと言っている、これが次の要求になっているのであります。この実情を見てやむなくPTAは積み立て金でもしてがんばろうということになるのでありますが、教育委員会はそういうことになるのを待っているとしか思われない。このような無責任な態度は、一日も早く解決すべきであろうと思いますが、市長のご所見をあわせてお伺いしたいのであります。教育問題のもう一つの問題は、市教委が不十分ながら実施していた学童保育をやめた理由を明らかにしていただきたいのであります。民生局では児童館2カ所建設が予算計上されておりますが、一体どういうことになったのですか。保育所の必要性と同じくかぎっ子対策としての学童保育の必要性と重要性は、一段と高まっているのは周知の事実であります。教育委員会がやめた学童保育は、46年度から民生局が責任を持つということになったのか、まず行政上の責任所在と今後の方針を明らかにしていただきたいのであります。 次に、中馬市政下の教育行政について若干お尋ねをいたしたいのであります。一昨年4月の11人の教師の処遇に見られますように、また、最近4人の先生に突然研修を命ぜられたということなど、市教委が一部のものの圧力で、教育労働者の民主的諸権利や労働条件の改悪を押しつけ、これに抵抗する教師には不当な処分を行なっております。このような不当な人事を白昼堂々と行なう教育委員会だからこそ、一昨年の不祥事、いわゆる教員異動汚職のように、きわめて根深いものを底流に持っていることを裏書きをしているのであります。不当な教育行政がまかり通る根深さを断ち切り、教育行政、人事行政を公正にするためには、教育委員長が思い切った大なたをふるう必要があろうと思うのでありますが、教育長のご所見をお伺いしたいのであります。 次に、大阪における文化的、社会的教育環境を改善するためにお尋ねをしたいのであります。昭和46年度は、自然史博物館の建設、労働会館の改築などが提案されておりますが、現在、大阪では2,000人以上の収容規模を持つ集会場、ホールなどはきわめて少ないのであります。最近は、東成区民ホール、旭区民ホールの建設が始められておりますが、大阪市政の中でこの分野は全く顧みられなかったといっても過言ではありません。たとえば中之島中央公会堂は、かつて岩本氏の寄付にかかるものであります。中央体育館は、周知のように日本生命の寄付によってできたものであり、福島体育館も区民の多額の寄付によるものであり、東淀川体育館の土地は、財産区の寄付によってまかない、建物だけ大阪市が建設したという歴史が示すように、市内の大集会場、体育館は市民の寄付によってつくられたものばかりで、全額市費で建設したものは、ほとんど見つからないというお粗末さであります。人間性の回復と人間本位の市政を願う中馬市長にお尋ねをいたしたい。せめて大阪市の東西南北に大集会場を建設し、市民の利用に供する意思がないのか、あるのか所見をお伺いしたいのであります。また、数百人収容できる公立の中小ホールを各行政区に建設をし、使用料を安くすることが急務であります。あわせて、それらのホール建設までは区役所の講堂やホールを特別な団体で独占をせずに、夜間も休日も一般の市民が利用できるような態勢を整えて開放することがきわめて大事であります。さらに小中学校の講堂を開放し、社会教育や文化活動に使用できるようにすること、音楽、バレー、演劇等の文化活動の必要な会館、あるいは収容場を建設すること、以上、一括して文化施設の充実についての市長のご所見をお伺いいたしたいのであります。特に他都市と比べまして著しくおくれている分野でありますから、市長の英断を待つものであります。 次に、同和対策事業についてお尋ねをいたしたいのであります。新年度も同和対策事業の積極的な推進をといって32億9,000万円が計上され、昨年に比べて約70%の伸びであります。ここでお聞きをしておきたいのは、住宅、学校建設等を含む同和対策関係予算の総額は幾らになるのかお尋ねをいたしたいのであります。未解放部落住民の完全解放を目ざし、そのために仕事と生活を保障し、住宅建設など生活環境をよくし、自主的、民主的な同和教育を進めるために、必要な予算の増額は大切であります。同時に同和対策費を、未解放部落住民全体の要求と意見に従って公正に使い、不正、不当な支出を行なわないことがきわめて大切であります。この点につきまして、市長の確かなご見解を承りたいのであります。従来から予算の運用に際して公正を欠く諸問題が起きております。たとえば浪速区のAさんは、生業資金の貸し付けを申し込んだが、一昨年4月のいわゆる矢田文書を差別文書と認めないということを理由として貸し付けを断わられ、最終責任を持つ民生局と折衝しても貸し付けを断わっています。また、未解放部落に住む身体障害者に5,000円、老人にも4,000円、生活保護者に4,000円を年末一時金として支給しておるのでありますが、浪速区のMさんは、身体障害者4級の障害者手帳をもって申し込んだのでありますが、もらえなかった。老人のNさんは、4,000円をもらいたいと言って申し込んだのでありますが、これまた断わられた。これらの未解放部落住民の方々は、やむなく大阪市民生局へ折衝に来たが、いまだに支給されていないのであります。また、浪速区の未解放部落に住むBさんは、高校生でなにわ育英費の給与を受けていたが、46年4月から支給を打ち切ると地区役員から通告され、理由をただしますと、解放運動のやり方が足りないからとめると言われて困っておられるのであります。このようなことは、明白に地方自治法第10条第2項に反する行為であります。市長にお尋ねいたしますが、もし市長が法令に基づいて公正な同和対策事業を進める決意を持っているなら、これら具体例のすみやかな解決をはかるご意思をお持ちかどうか、この点について市長のご所見をお聞きしたいのであります。 次に第4の柱として、市長は近代都市への再開発と中小企業振興とうたわれております。あくまで長期マスタープランを目ざして、再開発と産業基盤の整備を推進されています。そこで、この点について二、三お尋ねをしたいのでありますが、長期マスタープランの所要財源総額とその調達の見通し並びに費用分担の区分をあわせてお尋ねをいたしたいのであります。次に、市街地再開発事業の中で、新しく上六、鶴橋両地区の再開発組合事業に対する助成が提案されておりますが、この計画の全貌と総予算、助成金の割合等をお聞かせ願いたいのであります。また、市街地の再開発につきましては、大阪駅前、阿倍野地区の事業を実施し、スプロール化の防止のために周辺部の区画整理を城東区茨田地区、東住吉東部地区、東淀川東部地区、住吉北島地区等をあげておられます。すでに進められてきた都心部のターミナルの再開発は、巨費を投じながら、その地域住民は、長年住みなれた町を追い出され、大阪駅前ビルのごときは、380億もかけてつくったが、1平方メートル72万円という高価のために、3分の1以上があき室になって残っているのであります。ところが、一方スプロール化の進行する周辺部では、子供の遊び場をつくりたいと思ってもあき地もない、火事が起こっても消防車も入らないという過密地域が放置されております。中小商工業者や勤労市民の利用できない住民不在のマンモスビルの再開発のやり方を改め、各地域別に分散している過密地帯をその地域住民の要求と意見に基づいて、住民参加で開発計画を立て、公園、緑地、空地、道路等の整備をし、住みよい町づくりにとりかかるということは、緊急の課題となっております。これに対する積極的な市長のご所見をお伺いしたいのであります。 次に中小企業対策についてでありますが、深刻な不況、倒産が取りざたされているとき、融資等の若干の条件の改善がありますが、中小企業に対しては特別の保護対策が必要であります。大企業には依然として税法上の優遇措置が続けられている中で、市税22%の増税計画は、中小商工業者に対しては、その増税の被害をかぶることになり、加えて公害対策設備改善なども指導強化されるとき、経済基盤の弱い中小商工業者にとっては死活問題であります。したがって、その要求はきわめて激しいものがあります。中小企業対策として、無担保、無保証人の特別融資をさしあたり150万円までに引き上げること。二つ目には、市民税の免税点を4大家族で年所得140万円まで引き上げるように、国に対して要求し、同時に市民税の減免規定を拡大すること。三つ目には、勤労市民に対する固定資産税の免税点を引き上げること。四つ目には、公害対策として中小企業には特別措置を行なうこと。すなわち公害防止施設には長期低利の融資ワクの拡大をはかっていくこと。二つ目には公害防除施設の技術開発を行なうこと。三つ目には移転を要するときには用地のあっせん等を行なうこと。四つ目には公害対策に要する施設、経費について税の減免規定を大幅に拡大すること等が強く望まれているのであります。中小企業保護育成のために市長のご見解をお伺いしたいのであります。 次に物価対策についてでありますが、大阪市は高物価に苦しむ市民生活を守るための物価対策については、当然責任を持たなければなりません。しかるに、従来から市長の責任による公共料金、水道料、バス、地下鉄料金、下水使用料等の引き上げをやってきただけでなく、国民健康保険料金、保育所の保育料、学校給食費など毎年のように引き上げられてまいっております。税金については、固定資産税、都市計画税の毎年の大幅な引き上げがやられ、地代、家賃のはね返りを含めて、直接市民生活の負担増になっているのであります。46年度予算案に計上されている国保料金は、あと5億円を追加すれば、値上がりはとめることができるのです。保育料についても毎年引き上げられて、共働きのお母さんの大きな悩みの種になっております。一般会計から4,600万円ほどを追加すれば据え置くことはできるのであります。物価高、重税に苦しむ市民の暮らしを守るために、市長の物価対策として積極施策をとるべきであります。保育料の据え置きや国保料の据え置きは、京都、東京ではすでに実現しているのであります。大阪では一体どうするのか、市長のご所見をお伺いしたいのであります。同時にまた郵便、電信電話料の引き上げなど、市民生活を圧迫する公共料金の値上げについては、市長として反対の意思を表明し、関係先に申し入れることが必要であると思います。市長にその意思があるかどうかをお伺いしたいのであります。 次に、市の職従業員の問題についてお尋ねいたします。予算の伸びは18.9%でありますが、これの執行に見合う人員増の計画をお聞かせいただきたいのであります。予算の配分がふえ、仕事がふえるが、人はふえないという声は、各局共通の頭痛の種になっているのであります。仕事量に見合う人員配置、これこそ仕事の能率化、市民サービスの向上につながるきわめて大切な施策であります。二、三の実態を見てみますと、水道局では、いま労働組合が市当局の頑迷な態度に対して、長期にわたる戦いを続けております。全く無理のない要求であります。その一つは、3年間も補充していない欠員を補充し、仕事量に見合う予算をふやしてくれということ、二つ目には、すべてが近代化している時代に接客サービスのできるように営業所の建てかえをやってほしいということ、三つ目は、8年間も据え置かれておる諸手当を、その間のベースアップに見合うように引き上げてほしいということ、四つ目は、仕事に見合うように車をふやしてほしいということで、当然の要求であります。ところが驚いたことに、当局はこの要求に対して、現在、水道料は2カ月に1回検針し、2カ月分の集金をしているのでありますが、これを4カ月に1回にして、集金をせずに銀行振り込みにし、集金要員を削減する、当局の方針をのまない限り要求は聞かないというのだそうであります。全くむちゃな話であります。市民に4カ月分の水道料金を一度に支払えということは、市民サービスの向上になりますか。物価高に苦しむ市民は一そう困るだけで、決してサービスどころではありません。このように市民サービスには背を向けて、職従業員には無理なことを押しつけるやり方が、民主的な労務管理、民主的な市政といえますか。市長、当然過ぎる要求を実現し、市民サービスの向上につとめるべきであると思いますが、市長のご所見はいかがですか。また、常に問題になっている交通労働者についてでありますが、70年賃上げがいまなお制度化されていませんが、市長は同じ職従業員の待遇を一日も早く制度化し、一般部局職員との差別待遇をなくす必要がありまます。ご意見をはっきりとお伺いしたいものであります。なお、46年度は、市バスはオールワンマン化され、人員削減は826人に及ぶ計画になっているのであります。女子乗務員をはじめ、削減される人員の処遇をどうするのか、お聞きしたいのであります。すでに学校給食婦に配転されている女子乗務員もありますが、行政上の方針による配転は、本人の納得のゆく部署にすべきであります。三つ目の例は、学校給食調理人に対する処遇についてお聞きしたいのであります。給食調理人は文部省基準によりますと、人員が約250名も不足をし、年休も生休もとれないというままで、労働強化を押し付けられています。さらに驚くことは、人員不足の給食調理人を1人で日曜、祭日、学校休日の日直要員として学校の警備に当たらせているということを市長はご存じですか。業務内容の全く異る婦人が1人で電話の番と火の用心だけしてもらったらよろしいと言われて行なっている日直業務、これで学校の管理に責任が持てると言えますか。一体市長は何を根拠として業務外の任務につけているのか、お尋ねをしたいのであります。特に、婦人の1人の日直は事故が起こりがちで、過日、住吉区のある小学校では、日直中に暴行事件まで引き起こしているのであります。直ちにこの業務は複数制にするか、警備員を採用するか、適切な処置を行なうべきであると思いますが、市長のご所見をお伺いしたいと思います。四つ目の例は、住宅管理関係職員の実態であります。毎年3,500戸から4,000戸と戸数がふえているのに、業務量がふえる一方で人員は少しもふえないために、管理が行き届かない、全市営住宅のあき家戸数の実態さえ把握が困難になってきているのであります。住宅難に悩む市民の期待にもこたえ切れない重大な問題になってきております。これらは個々の実例でありますが、業務量に見合う人員配置、待遇改善、職従業員の安全を守る労務管理を行なわず、合理化、労働強化を押しつけることは、必然的に市民サービスの低下につながるのであります。市長は直ちに必要な措置をおとりになる意思があるかどうかをお伺いしたいのであります。 ○議長(天野要君) 沓脱君に申し上げます。すでに発言時間も経過しておりますので、残余の質疑は簡明にせられ、すみやかに終結せられますようご注意申し上げます。 ◆49番(沓脱タケ子君) (続)最後に市長にお尋ねしたいのは、採択した請願の処理についてであります。市会会議規則第64条によりますと、市会が採択した請願で執行機関において措置することが適当と認めて送付したものについては、送付を受けた執行機関は、その処理の経過及び結果を毎年市会に報告しなければならないと定められているのであります。この4年間に5件の請願が採択されておりますが、一度も報告されていないのであります。5件の採択された請願というのは、日雇労働者健康保険法の内容改善について、二つ目は、医療保険制度における分べんの医療給付適用について、三つ目は、心身障害者の福祉向上について、四つ目は、精神障害者福祉法制定促進について、五つ目は、図書館の本をふやし、自動車文庫と分館増設についてであります。これは市長の議会軽視、あるいは市会会議規則に違反するという重大事であろうと思うのですけれども、報告をされなかった理由をお尋ね申し上げたいのであります。 以上をもって、私の一応の質問を終わります。答弁によりましては再質問の機会を留保させていただいて質問を終わりたいと思います。(拍手) ○議長(天野要君) 理事者の答弁を許します。中馬市長。 ◎市長(中馬馨君) 沓脱議員のご質問にお答え申し上げます。 まず第一番目は、昨日来たびたび出ております公害の問題でありますが、このことに関しては、私ども、46年度の重点施策であることはもちろん、1970年代の重大な問題として読み上げられましたように、人間本位の行政をどうして確立するかということが、今後の重大な問題と考えております。公害の問題にはさらに力を注いでいくことを繰り返しておる次第であります。大阪が元来、煙の都と言われて、本来公害の多い町であったことはご承知のとおりでありますが、これを漸次健康な町へ体質を改善するということで、特に緑化100年宣言などもいたしたのであります。その後もさような考え方を一貫いたしまして、公害の問題にも力を注いでまいったのでありまして、大気汚染なども42年度をピークとして幾らか下がり、現在なお横ばいにある状態でありますが、今後、これらの問題は申すまでもなく、私ども最善の努力を注いでいかなければならぬと考えておるのであります。それから前提として、大阪市政が管理中枢機能を充実することに重点を置いて、自民党政府に追随したがゆえにこういう結果になったというご指摘でありますが、大阪は、一方では日本の2大中枢都市としての機能を果たしていくことが、同時に市民の生活を守っていくゆえんでもあるのであります。これをばらばらに切り離しては考えていないのであります。さようなことで、都市の再開発等に多くの一般財源を振り当てておるのではないかといったような印象を与えるご質問であったのでありますが、これも前にお答えいたしましたように、大阪市の一般財源は、つとめて教育、民生、衛生等に振り当てておることは、数字をあげてもお答えいたしたところでありまして、市民生活関係に一般財源は87.8%充てておるのであります。都市再開発には12.2%で、主として都市再開発に、あるいは公共事業に充てておりますものは、原則として3分の2程度の国庫補助をとってまいっております。これは、とってくることが大阪を豊かにするゆえんだと考えて、できるだけ公共事業を持ってくる方針をとっております。そして、残りの3分の1につきましては、これを起債に求めておる。またその差額については、交付税の対象として認めせしめて、交付税を持ってきておる、さようなことであります。 さらには道路目的税といったものを年々増額させている。これは特定の公共事業用の税収でありますが、これを充てて、一般財源はほとんど充てていないということになっておるのであります。これは、皆さんがよくご検討になれば、明らかなところであるのであります。そうすることが大阪市民の生活を豊かにするゆえんだと考えてやってまいったのであります。さらに、南港に関西電力をつくらないということにつきましては、しばしば繰り返しております。公害のない技術開発ができない限りは、ここには発電所はつくらないということを申し上げておるのでありますし、また堺、浜寺等の公害発生源に対して、大阪市は発言をすべきじゃないかということでありますが、これは当然のことでありまして、大阪府、市は互いに府下一円の公害が、できるだけ少ないことを考えておりますから随時連絡はとっておるのであります。ただ、大阪市がその行政範囲を越えて干渉するという性質のものでもありません。互いに相携えて公害の少なからぬことをはかるということをするのが当然のことと思っておるのであります。そして大阪市といたしましては、堺方面からの公害の影響、尼崎方面からの公害の影響がどういう状態にあるかということを、たえず境界線等で調査をする態勢をとっておることもご承知のとおりであります。西淀の外島の問題につきましては、いろいろと話がありましたが、これも現在の多くの規制の中でできる限りのことをいたして、さらにその上に一般の指導として、ここにさらに公害をふやすというようなことのないような努力を大阪府とともにつとめておるのであります。この事柄には行政の権限の関係があります。さようなものと関連をしながら、できるだけ公害をふやすようなことのないような努力をいたしておるのであります。何かこれについて隠しておったようなお話でおりますが、私ども隠す必要は少しもないのでありまして、いつでも調査をして市民とともに対策を講ずるという態度でありたいと思っておるのであります。それから、市条例をつくるか、つくらないかという問題でありますが、大阪は、現在の段階では、非常に狭い大阪府、市の行政区域の関係、また堺、大阪とは似た関係がありますので、二元的な条例をつくるよりも、いまの段階では大阪府の条例の中に大阪市の意思を反映するということがいいのではないかという考え方でおるのでありますが、将来、必要がある場合には市の条例をつくることもあり得ると考えるのであります。また、西淀だけでなくて、此花、大正等にも公害のひどい地域があるのではないかと、これに対する対策の問題に触れられたのでありますが、これはもちろん西淀だけでなくて、全市的に、公害のひどい地域につきましては発生源について、たとえば西6社との協定を結んだのと同じように、漸次発生源を押えていくというようなこと、その他もろもろの対策については、特に公害のひどいところから力を注いで重点的に推進することが当然であると言わなければならぬと思うのであります。機動班につきましても、さらに本年度は3班ふやしておる。また人員の配置等につきましても、私どもは、これは執行権内の問題でありますから、今後適切な人員配置をして、遺憾のない対処をいたす考え方であるのであります。 次に、交通の安全対策でありますが、これは沓脱さんもご指摘になりましたように、交通事故というものは、全国的には非常な勢いでふえておるのであります。幸いにして大阪では、ふえないだけでなくで、最近はむしろ若干減っておりますことは、喜ばしいことといわなければならぬのであります。しかし、市内で起こります交通事故の傾向を見てみますと、歩行者の被害が非常に大きい数字を--ちょっと手元にありませんが、50%以上が歩行者の事故である。またその中でもお年寄りと子供の事故が五十数%を占めておるというようなことを考えますと、小さい道路の分離帯歩道、あるいは歩道橋といったようなものが、非常に必要であることか痛感されるわけでありまして、さようなことから、予算説明でも申したと思いますが、本年度は十三億数千万円の金を入れて、小さい道路の舗道造成、これを積極的にやることにいたしておるのであります。これは、沓脱議員のご指摘のとおりの方向を積極的にとっておるとご理解をいただきたいと思うのであります。次が国鉄、私鉄の交差点、この問題もたびたびお話が出たところであるのでありまして、14億円を計上して国鉄、私鉄の高架化、立体化をはかっておる、地元負担が90%であるが多過ぎるんじゃないか、国、私鉄の負担をふやすような交渉をいたすべきだということでありますが、これはもちろん私どもの望むところであるのであります。国の方針として、これは大体きめられておるのでありまして、私鉄の関係と道路関係の負担をどうすべきかということは、中央の段階において長らく論議されてきまっておるところであります。地元関係といいますか、公共事業関係で90%前後のものを負担しなければならぬというたてまえになっておることは、われわれの負担という点から、いかにも残念であります。しかし、これについても政府の3分の2の補助をとるといったようなことで、いずれにいたしましても積極的に高架化をはかっていかなければならぬと考えておるのであります。 緑化対策については、沓脱さんも積極的なご意見を述べられたのでありまして、これはともどもに積極的にやっていかなければならぬと思います。ところで、大阪市の一人当たりの公園面積が基準にも満たないじゃないかということであります。基準というのは一応きめておりますが、どこの都市でもはるかにこれに遠いのが日本の都市の実情であることは、もう皆さんが一番よく知っておられることであります。その中で大阪が最も積極的にやってまいっておりまして、8年前には1人当たり1.0平方メートルにすぎなかったものが、今日ではすでに5割程度ふえて1.5平方メートルになっておることも、沓脱さんが数字をあげられたとおりであります。非常な勢いでふえておるのであります。そのほかに、現在の公園面積の中には、毛馬桜之宮公園もまだ入れておりません。鶴見公園も入れておりません。河川敷の運動場公園の造成部分も入れておりません。昭和山も入れていない。南港の7万坪も入れていない。これらを入れますと、これだけでも300ヘクタールあるのであります。これを入れますと、基準の3平方メートルにもなるのでありまして、これはむしろ意外とするほど公園の面積が伸びておるのであります。これは皆さん方に喜んでもらっていいことだと思うのであります。その中で、苗圃、菜園等をつくろうとしておるが、これをもっとつくったらどうかというお話であります。私どもも、もっとつくりたい、漸次そういう方向に進みたいと思っております。 次に、お年寄りの問題についてでありますが、これも各党からすでにたびたび出た問題であるのであります。これを一そう積極化したいことは、すでにたびたびお答えしたところでありまして、今後の方針としてもさようなことで進んでいきたいと思います。 保育所問題について、なお積極的にやるべしというご意見でありました。私ども積極的にやっておるつもりであることは、つい前のご質問にお答えしたところであります。もう一ぺん繰り返しますと、この5年間に大阪市は57カ所つくっております。横浜が18カ所、名古屋が18カ所、神戸が20カ所に比べて、ほとんど3倍になります。東京もそうたくさんつくっておりません。これは、指定都市というものが、財政事情を同じくしておるということで、最も正確な比較ができることによってお答えいたしたことをご理解いただきたいと思います。 PTAの問題についてのお話もありましたが、これもたびたびお答えしたところでありまして、本年度5億2,000万円を計上いたしました。例の4カ年解消計画ならば、本年度は三億数千万円であるのでありますが、その間の物価やいろいろな事情を勘案して、ことし5億2,000万円を計上したのでありまして、これも各会派からもご指摘がありましたように、満足なものとはいえない、しかし、大阪市の財政事情の中でかなり真剣に取り組んでおるということは、4年前に幾らであったかというと、全額が10億にすぎなかったのであります。10億にすぎなかった校費を毎年ふやして15億にする、こういう計画が4カ年解消計画であります。それを実質18億ふやして、現在は19億近くふやしまして、46年度の予算は29億2,800万円となっておるのであります。4年前が10億であったのでありますが、こういうことで大阪市の財政事情の中においてはかなりまじめにPTAの負担の解消、校費の増加をはかっておることをご理解いただきたいと思うのであります。 次に、文化施設の充実について市長の英断を求めるということでありましたが、これはいろいろな機会に申しておりますように、大阪のいわゆる文化中枢機能を充実する必要がある、それは、市民の情操にも、市民の教養にも、また市民の生活を豊かにする上にも重要な施策である、大阪の繁栄のためにも大きく役立つという考え方に立っておるのであります。いろいろとおあげになりました中で、中央公会堂、東淀の体育館、その他集会の場所が、多くは寄付によっておるというご指摘であります。これは、大阪市の税収が非常に少ない、それならばせめて負担力のある人たちの協力を求めてでも市民のサービスを充実すべきだということで、たとえば市大の建設については、約8億の金を財界方面から求めて市大の充実をはかってまいっております。緑化運動についても、大阪城公園に対する木の寄付だけでも2億円の寄付を求めておるのであります。こうした浄財を求めてでも市民サービスを充実するということは、大事な市政であると考えておるのでありまして、これらの施策が寄付によっておることは、むしろ市民の方々から喜んでいただいていい問題だと考えておるのが私の考え方であります。そして、公会堂もつくり得ないことは、私自身非常に残念に思っておりますが、それであればこそ政府の--厚生省の資金を誘致して、厚生年金会館をつくったのでありまして、かようなことで補ってきておるのでありますが、今後においても集会場等はできるだけたくさんつくらなければならないと思うのであります。区役所の講堂を公開の集会場とするという方針を数年前からとり始めたのも、そういう願いからであるのでありまして、今後も各区ごとに集会場等をふやしていくということをいたさなければならぬと思うのであります。それと、沓脱さんが言われましたように--市長の英断と言われましたが、文化施設の充実は、皆さん方のご鞭撻を得ながら、一そういろいろな角度から、ふやしていくことを考えていかなければならぬと考えております。 第10番目に、同和事業について適正な運用をなすべきだというご指摘であります。同和事業につきましては、地元の関係ともよほど密接な連携をとってやらなければ、円満に運営ができ得ないのでありますが、さようなことで地元の協力も得ながら、また一般の意見も聞きながら、できるだけ公正な運用をはかるように心がけていきたい、互いに連絡をとっていきたいと考えております。 次に、再開発の問題でいろいろとご指摘がございました中で、地元住民の方々との密接な連携のもとに公園や道路、区画整理等においても計画をし推進をすべきだということであります。当然のことでありまして、私ども今後再開発をはからていきます、あるいは区画整理を行なっていきます上には、法の命ずるところでもありますから、地元のご意向を十分聞きながらこれを推進していくようにいたす考えであります。 次に、中小企業の問題でありますが、昨年末から今年にかけて景気停滞の状態にありました。中小企業の町大阪としては、非常に重大な情勢にあるということを、私ども考えながら、いろいろな意味で景気刺激策を政府に求めると同時に、地元としてもいろいろな対策を、限られた行政権限内ではありましても、とっていかなければならぬと思うのでありますが、その中で一番有効な中小企業対策は、何といっても金融の問題でありますから、ここ数年来非常に少なかった融資ワクでありましたのを、ほとんど毎年のように100億ずつふやしてまいりました。現在800億になっておるのでありますが、昨年あたりの執行状況を見ると、800億で大体事足りておるというようなことで、ことしは840億の融資ワクにしておるのであります。これも情勢等によって--ほんとうにこの資金がさらに増額を必要とするような情勢を見て、また対応することも考えていくべきであろうと思っておるのであります。 次に、物価対策ということに関連しながら、公共料金のお話が出ました。公共料金の問題については、先般来お答えいたしておるところであります。公共料金という範疇には入らないにしても、国民健康保険の問題、あるいは保育所の保育料の問題等が、法の規制、国の基準等、あるいは大阪市の国民健康保険の条例等によって、自動的にスライドして上がるという問題に対してご意見があったのでありますが、私ども、そうした国の基準等に従って若干の協力は願っておるのであります。国保についても、従来一般会計から12億円ずつの補充をいたしておったのを、ことしは14億円に増額をいたしたのでありまして、さようなことで、一般会計の財源でもできるだけ負担をしていくというたてまえをとった次第であります。 最後に、職従業員の欠員等の問題で過重にならないかというような問題、その他のご意見があったのでありますが、私ども、欠員の補充も今日ではいたしております。一時は、欠員の補充を控えて、できるだけ財政の再建もしなければならぬ、また職従業員にも大いに努力をしてもらわなければならぬということもいたしてまいったのでありますが、今日では事業量も年々ふえるということに即しまして、一方ではいろいろな事務の能率の向上もはかりながら、欠員の補充をやるというたてまえでありまして、ご承知のとおりであるのであります。そうしたことの上に立って職従業員の適正配置等も考えて今後に処していきたいと思いますが、ご指摘の点などを十分念頭に置いて適正な人員配置、また労働過重にならないというようなことは--役所仕事でありますから、めったに労働過重になるようなことはないと考えておりますが、心がけていきたいと思いますので、ご了承願いたいと思います。 ○議長(天野要君) 福山総合計画局長。 ◎総合計画局長福山真三郎君) 公害関係で市長が言われませんでした大阪市内の河川の環境基準の問題についてお答えいたします。私どもも環境基準の設定されるにあたりまして、国のほうの経済企画庁、あるいは大阪府等へ文書並びに口頭で、環境基準の適用範囲の拡大を要望してまいったわけでございます。先ほどお話に出ました大阪市の管理河川についてでありますが、大阪市内の管理河川で、水質保全法に指定されながら、環境基準の指定を受けていないという河川も少しあるわけでございまして、こういう河川につきましては、現在府の条例が審議中でございますので、こういう点も府のほうに申し出まして、今後とも環境基準の設定については、府と一緒になって続けてまいりたい、こういうふうに考えております。 それからマスタープランの所要財源というお話がございましたが、全体のマスタープランについての金は出しておりません。ただ、昨年末までかかりまして、一応昭和50年までの実施計画というのをつくっておりますが、これが大体まとまりましたので、現在、最終的な資金関係をはじいております。まだ作業中でございますが、やはり50年までで1兆5,000億ぐらいのものがかかるのではないかと推定をしております。まだ、財源その他いろいろの問題もございますが、現在作業中でございます。 ○議長(天野要君) 中山衛生局長。 ◎衛生局長(中山信正君) 健康被害者救済関係の経費が、46年度の予算案で減額になっておることにつきましてご質問でございました。確かに、45年度は6,600万円、46年度の現在の予算案が4,800万円でございますので、多少の減額はあるわけでございます。この理由につきましては、昨年、健康被害者救済制度が発足いたしますときに、予算的には十分な余裕を持ったという考え方でやってまいりました。当初から被害者の認定を1,800人というふうに考えてやってきたわけであります。これは制度ができた最初のときからこれだけの患者があるというふうな考え方でやっておったわけでございますが、ご承知のように、本年の1月末で1,400を少しこしたという程度でございます。それで今後の増加の分を見込みまして、実績に合わすような形で計上いたしたような次第でございます。あしからずご了承願いたいと思います。 ○議長(天野要君) 加藤公園部長。 ◎公園部長(加藤一男君) 大阪市の公園、緑地並びに緑化対策について、全体のお尋ねがございましたが、都市の公園の整備目標につきましては、市長がただいま申し上げましたので、その他のことについてお答えいたします。 本市の公園の整備は、大公園に重点を置いているのではないかというご指摘でございますが、公園というものは、大、中、小の公園を、その役割りに応じて、調和のある配置計画のもとに、その整備につとめるべきでございますので、この意味におきましても、小公園についても重点的に建設してまいっております。昭和38年度に272カ所にすぎなかった児童公園が、現在では133カ所増設されて、用地買収費も38年度からいままで20億余を投入してございますが、今後とも重点的に小公園の整備につとめてまいりたいと存じております。 次に、保育所、住宅等の緑化は、市民の身近に目に触れる緑でございますので、これを取り上げないかというご意見でございます。本市の緑化対策は、ひとり公園部だけ行なっている行政ではございませんので、本市の各部局におきましても、それぞれの分野で緑化対策を立てまして、実行に移している実情でございますが、今後とも各局と密接な連携のもとに、この方針のもとにそういう方面の緑化もさらに推進していきたいと考えております。 次に、鶴見緑地の市民園芸村のお尋ねでございますが、計画面積161.9ヘクタールのこの大緑地は、自然を失った市民に自然を取り戻すために、積極的に用地を買収して、自然大植物園を中心とした緑の親子のレクリエーションセンターにするために、今年度から整備に着手しております。そのうちの一角、7.6ヘクタールを、自然を失って土に親しむことのできない市民の方々のために、貸し農園、いわゆる市民園芸村とするために、46年度に1億9,281万円でもって整備を始めることにいたしております。そして1区画、約10平方メートルの分区画、300区画を整備いたしまして、市民の自由な園芸場を70年度の初めに開放することにいたしておりますが、募集方法並びに使用料、使用方法については、目下検討しておる最中でございます。 それから次に公害対策としての樹木に関するお尋ねでございますが、木は大気汚染、ばい煙の防止、騒音防止等に非常に力があるということが、最近の実験でわかってまいりましたので、本市におきましても、公害防除の先兵の樹木の育成を利用いたしまして、遮断緑地、あるいは緩衝緑地等を設けまして、これに公害に強い常緑樹、おもにクスノキ、サンゴジュ、カシ類等を植えまして、しかも植える密度を密にしまして、都市の公害の緩和に役立つように計画してございます。西淀川の公害対策にいたしましても、大野川の遮断緑地、あるいは中島公園並びにその他の2公図を緩衝緑地といたしまして役立てるように植栽計画を立てて本年度より一部着工している次第でございます。 最後に、本市の緑化に市民が一人でも多く参画して、また手軽に木を植える方策としていろいろ検討いたしておりますが、お説のように、市民が手軽にしかも大阪市の土地に合った適切な木を安く入手できる方法として、公園、苗圃の考えがございます。現在、本市におきましても二つの苗圃を持っておりますけれども、このような意味の苗圃をさらに造成いたしたい。先ほど申し上げました鶴見緑地の一角に計画的につくりたいという計画で作業を進めておる次第でございます。 ○議長(天野要君) 石川教育長。 ◎教育長(石川多賀夫君) 第一番目に木造校舎の改築についてお答え申し上げます。44年度より文部省が実施いたしております老朽校舎改築の5カ年計画に呼応いたしまして、木造校舎の整備を重点的に行なっておるわけでございます。昨日も申し上げましたように、校舎の鉄筋保有率は、全国平均をはるかに上回っておるような状況でございますが、しかし今後もなお危険校舎を重点にしながら、必要に応じて準危険校舎も改築してまいりたい、かように考える次第でございます。木造校舎と申しましても、ご承知のように危険、準危険、健全というような区分がございます。したがいまして、ただいま申し上げましたように、木造校舎、それも全部ではなしに、やはり必要の度合いに応じて危険、準危険という順番をとって、漸進的にまいりたい、かように思うわけでございます。昭和46年度の計画といたしましては151教室を予定いたしておるわけでございます。 次に、西淀川区の学校における空気清浄器の問題でございますが、これも昨日ご答弁申し上げましたように、西淀川区が汚染地域でございますので、一刻も早く防御策を講ずることが望ましいというわけで、取り急ぎ一挙に設置いたしたわけでございます。したがいまして、なお今後改善に努力、あるいはくふうすべき点もあろうかと存じます。同時に、ご指摘のように暖房との関連の問題も出てくるとも思います。したがいまして、それらを十分勘案しながら、前向きの形で検討してまいりたい、かように思うわけでございます。 次に、学童保育の問題でございます。これにつきましては、これまでも、一方民生局において行なわれると同時に、教育委員会も不在家庭児童会として、学校施設の一部を利用しまして、両親が共働きの家庭の児童で、特に小学校低学年--一、二年生でございますが、この低学年の生徒を対象に実施してまいったわけでございます。しかし、今後はこうした子供さんだけではなしに、少年全体を対象とする少年健全育成事業として、校庭開放事業の中で取り入れていく所存でございます。したがいまして、これまでやっておることをやめるのではなしに、それを包含した幅広い事業としてやっていきたい、人口稠密の地域、交通事故の多発地域、あるいは公園の少ない地域の学校の生徒さんは全部対象にしなければならぬのではないかというわけで、鋭意検討しながら前向きにやっていきたい、かように存じておる次第でございます。 それから次に、4人の教員の問題でございますが、去る2月1日に研究所の研究員に任命いたしたわけでございます。一昨年9月以来、この4人の先生方には、同和教育の理解を深めてもらうという観点で、地区の実態をふまえて研修をやっていただくために同和教育推進校へ赴任していただいたわけでございます。それ以来、いろいろと現場の学校でやっていただいたわけでございます。それ以来、いろいろと現場の学校でやっていただきましたが、さらに一そう研修を深めてもらうというわけで、教育研究所において研修をやってもらう、同時にテーマを持って、みずからいろいろと研究もしてもらうというわけで、1年間研究員として発令した次第でございます。したがいまして、身分はあくまでも現任校に置いたまま研究員を命じたもので、一般に言う人事異動ではなくて、いわば内地留学と同じような趣旨の研修に類するものでございます。したがいまして、労働条件の改悪といったようなことはございません。ご了承賜わりたいと思います。 それから、給食調理人の問題でございますが、45年度におきましては、人員問題が非常にむずかしい中にありまして、20名の増員をしていただいたわけでございます。また小規模の学校は特に問題がございますので、プール要員制を新たに取り入れまして改善をはかってまいっておりますが、今後もなお一そう努力してまいりたいと存じます。それから、給食調理人の日直問題についてでございますが、これにつきましては、当社の組合交渉の過程におきまして取りきめた事項でございます。したがいまして、危険防止等については、十分現場で注意するようよく指示いたしております。ご指摘の例のないように、今後なお一そう心いたしてまいりたい、かように存ずるわけでございます。 ○議長(天野要君) 大重都市再開発局長。 ◎都市再開発局長(大重正俊君) 都市再開発の問題につきまして私からお答えを申し上げます。 まず鶴橋と上六の問題でございますが、この問題は近鉄の難波乗り入れの影響を非常に心配されまして、鶴橋並びに上六の商店街の方々が、ぜひ自分たちの力で新しい法律に基づく再開発組合を結成して再開発を行ないたい、そういうご要望が数年前からあったわけでございます。私どももそれはまことにけっこうなことだというわけで、現在いろいろとご指導を申し上げておりますか、お尋ねのように、どれぐらいの事業規模でどういう経費の配分になるかといったような事柄は、再開発組合ができますと、それが公共団体としての資格を取得されまして、自分たちの力でどういうビルをつくるか、どういう事業規模にするかということがきめられることになっておりますので、いましばらくお待ちいただきましたら、そういうことは私どもからもお示しできる時期が参るだろうと思います。 それからいま一つ、中心部の再開発と周辺部の問題について、相関連したご質問でございましたが、周辺部の問題につきましてお答え申し上げる前に、まず中心部の再開発の問題につきましてお答えを申し上げますと、なるほど私どもは大きな事業費を投じまして、大阪駅前をやりましたし、またこれから阿倍野の再開発をやろうとしておるわけでございますが、梅田はご存じのとおり大阪市の表玄関でございまするし、また阿倍野は、今後の副都心として再開発しようとしているところでございますので、私どもは、当然やるべき仕事だと思ってやったわけでございます。ただここでご理解をいただきたいのは、事業規模の大きさに関しまして、市税の負担割合を申し上げますと、都市計画道路の事業費に3分の1を市税で持つわけでございまして、事業費のおよそ8割は、起債が財源でございますが、この起債の償還も、市税で償還しないで、ビルの分譲代金で償還するという、いわば独立採算になっておるということをご了承願いたいのであります。 なお、ご心配になりました梅田の分譲状況も、現在では64%程度でございますが、実際に全部のビルの機能が完成しましたのは本年度でございますし、分譲条件、あるいは融資条件等の緩和によりまして、46年度中には大部分が入居できる状況でございます。 それから周辺部対策でございますが、私どもは、現在、戦災関連に始まる区画整理事業を、市の面積の約3分の1についてやっております。現在やっておる事業でも、たとえば新大阪駅、あるいは豊里、下新庄、あるいは西淀川、あるいは北島というように周辺部もやっておるわけでございますけれども、特に東部から北部方面にかけましては、私どもの事業は、十分行なわれておるとは言いがたいのでございます。しかし、2年前から東住吉区東部、城東区茨田、あるいは東淀川の東部地区にかけまして、調査を実行いたしてまいりましたが、たまたま46年度に城東区の茨田地区の認証事業が認められまして、大体46年度から積極的にやってまいる予定でございます。ただ、周辺部対策と申します場合に、これは単に都市再開発局の事業だけではやれなくて、下水の問題もございますし、道路の問題もございますし、住宅の問題もございますので、私どもは先般来、総合計画、あるいは土木、あるいは建築、あるいは経済の関係各局が集まりまして、いろいろと各方面からの検討を続けてまいっておりますが、お話にもございましたように、執行過程におきましては、十分、地元の住民の方々の要望も取り入れまして、できるだけりっぱな計画を策定し、事業を円満にやってまいりたいと考えておりますので、ご了承願いたいと思います。 ○議長(天野要君) 工藤経済局長。 ◎経済局長(工藤敏郎君) 中小企業向けの金融につきましては、市長が述べられましたように、年々そのワクと目標をふやしていっております。特に中小企業の中でも、規模の小さい、資金力の弱い小企業簡易融資につきましては、手軽になるべく迅速に貸せるといったような方法をとる制度を、昭和40年からワク30万円で始めたのでございますけれども、翌41年から50万円にふやしております。昨年、市会の皆さまの強いご要望もございましたので、そのワクを100万円に増額いたしました。現在、その融資後の状況をよく見守っているところでございますが、何ぶんリスクの多い制度でございますので、今後十分、融資--需要の動向だとか、融資後の実情等を十分把握して、すぐというわけにはいきませんが、できるだけご要望に沿うよう検討を続けてまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。 ○議長(天野要君) 内山財政局長。 ◎財政局長(内山敞義君) まず初めに先ほどの同和対策事業費の32億9,000万円以外に、住宅関係、学校関係でどうかということでありましたが、住宅関係で言いますと34億でございます。それから学校関係につきましては、同和対策としての分が画然としない点もございますが、大体26億3,000万円程度になります。 それから第2点に、中小企業対策その他の問題として、市民税の免税引き上げの問題、固定資産税の減免の問題、公害対策としての減免の問題がご質問にございましたが、市民税の課税最低限につきましては、所得税減税と関連をいたしておりまして、41年からずっと毎年引き上げられてきたわけでございます。この問題は、国税の所得税の課税最低限と住民税の課税最低限について差がございまして、差もありながら、それぞれ引き上げてまいりました。今度の国会におきましても、現在提案されております改正案によりますと、住民税では、夫婦、子3人で、45年度では74万円であったものが、86万円まで引き上げられる、所得税になりますと、この課税最低限がもっと多いわけでございます。それから、事業所得者になりますと、青色申告者で45年、70万円であったものが--これは地方税でありますが、46年で77万2,000円になる、白色のほうは50万4,000円であったものが、46年、59万7,000円になるというふうな改正案も提案されておるわけであります。ただ、住民税と国税との課税最低限の差等の問題につきましては、関係方面においていろいろ議論もございます。国税と地方税の性格の問題等もございまして、この夏ごろに予定されております長期税制の答申が出るころでありますが、その辺でも考え方がある程度明らかになるのではないかと思うわけでございます。本市といたしましても、税財政全般の問題の一環として、この住民税の免税点引き上げについて真剣に取り組んでいかなければならないと思っております。なお、本市の独自減免につきましても、大体税制改正のつど軽減になっておるわけであります。今後の動向を見きわめて、これも措置していかなければならない、かように思います。 それから固定資産税の免税点の引き上げでございますが、零細業への配慮につきましては、現行法では一納税者につきまして、課税標準額が、土地は8万円、家屋5万円、償却資産30万円未満である場合には免税とされておるわけであります。固定資産税の問題は、従来の税制調査会の審議過程におきまして、特に土地にかかる税負担のあり方が中心に検討されているところでありまして、その結果、45年度の評価がえに伴いまして、引き続き税負担激変を緩和する調整措置がとられたところであります。固定資産税の免税点の問題につきましては、今後、固定資産税負担の全般のあり方との関連において、税制調査会等において検討されていくべきではなかろうか、かように思っております。 それから、ご承知かと思いますが、勤労者の負担軽減をはかるために、新築住宅に対する固定資産税については2分の1減額の措置が講ぜられているようなこともございます。それから、公害発生源の施設改善に対する減免規定の問題でありますが、これも国税--法人税、所得税でありますが、国税について、特別償却、あるいは繰り延べ等の措置が講ぜられております。固定資産税についても、汚水施設、ばい煙施設等、公害関係法によって規制を受けることに関連する防止施設で、自治省令で定めるものにつきましては、非課税の措置がとられておるものがございますが、なお本市といたしましては、こういう地方税法の非課税規定に該当しない公害防止施設でも、大阪府公害防止条例によって規制を受ける施設にかかるものについては、固定資産税の独自の免除措置を講じておるわけであります。しかしながら、今後公害対策の問題ともあわせ、さらにいろいろ調査、検討していかなければならぬ問題だと思います。 それから3番目に、大阪市会会議規則の第64条にございます採択した請願の処理についてのお話がございました。これは、結論から申しますと、まさに事務処理上の不備と申し上げなければなりません。これはおわびを申し上げなければなりませんが、実は、従前からこの問題についてのこういう形での報告はいたしておりません。そこで、その間におきまして、予算その他のいろいろなケースにおいて、その経過、あるいは結果についてのお話をしてきたかと思うのでありますが、しかし64条に書いてありますように、毎年市会に報告するというふうな形になっておりますので、今後この形について至急検討いたします。同時に、従前、こういう形についての報告をしていなかったことは、まさに事務処理上の不備だと深くおわびを申し上げます。 ○議長(天野要君) 49番沓脱タケ子君。 ◆49番(沓脱タケ子君) それでは時間の都合もありますので、大部分は各常任委員会でさらに慎重審議をしたいと思うのですが、二、三点について簡単にお伺いをしたいと思います。 その一つは再開発についてのお考えなのですが、財源について、一般財源を使っていないということだけを力説されるという点について非常に納得がいかないのであります。というのは、財源さえ自由に入れば何をやってもよいのかということになるわけであります。私どもはその点を申し上げているのではなくて、先ほど市長は、たとえば大阪駅前ビル、あるいは船場センタービル等を、市民生活を豊かにするためにつくってるんだというふうにおっしゃってるんだけれども、大阪駅前ビル等については、まだ入り手がない。しかもその地域の人たちはほうり出されて、周辺部を一そう過密にする対象になっているわけです。スプロール化をふくらせているというふうな関係、つまり再開発法の建物というのは、だれのためにつくられたのかということを問題にしているのであって、その点をはっきりしておいていただきたいのであります。財源の問題だけを申し上げているのではないと言いたいのであります。 もう一つは、たとえば関電の問題なのですが、発生源を新たにつくらせないという問題、これについては、市長は、もういまの状態では断わるということはおっしゃっておられます。議会ではおっしやっておられます。たとえば市長が言明されたら、これが新聞に発表される、並行して関西電力は、市内地域での唯一の用地なのだから、これをあきらめないということが常に言われておる。いまの大阪における公害対策、特に新たな発生源対策としては、ご意思を表明されるとともに、関西電力に対して、関西電力の中での非常な大株主の大阪市として、どのように働きかけて意思の表明をしておられるかという点が問題になるのであります。それから外島の問題も同様でございまして、いまの段階になってから公害の出ないように万全の努力をするというふうなおことばを聞きたくないのであります。すでに西淀川は昨年の2月に公害救済法の指定地域になっておる。それ以後、昨年の7月に、工業用地としての用途指定を、これは市長が承認されているわけです。その中で、先ほども申し上げたように、違法建築をやって、不法操業をしている工場について、これは放置されていたわけです。私どもが指摘をしたら、いつでも確認をできる段階になっておりますというようなことをぬけぬけと決算委員会で言っておったのが、決算委員会が済むやいなや、12月28日になってから--年末ぎりぎりになってから、なぜ確認をおろさなきゃならないのか、こういう市政は、住民の命と健康を守るために--いわゆる市長の人間本位の市政というふうに判断できないという点を、断固として指摘しているのであります。したがって、人間性の回復、人間本位の市政を実現するということであるならば、当然、直ちにこの29社の進出はやめさせるべきであるという点を申し上げているのであります。 もう一点は、同和対策事業についての公正な運営の問題に関してご質問をした中でのご答弁なんですが、少しわかりにくいので簡単にお尋ねをしておきたいのです。つまり所属団体やその住民の思想、信条のいかんにかかわらず、地方自治体からの役務の公平な提供を受けられるという、いわゆる地方自治法10条2項の規定に反するような事態が起こっているということ、つまり不法、不当な事例が起こっているというふうに、市長がお認めになっておるのかどうかという点を明らかにお答えを願いたい。地域とよく相談をして何とか処理しますということですけれども、まず、その点をお認めになっておるのか、おらないのかという点についてはっきりお答えをいただきたい。 以上4点について重ねてお尋ねを申し上げて終わりたいと思います。(拍手) ○議長(天野要君) 中馬市長。 ◎市長(中馬馨君) 第一番目に、財源の問題ではないということで、駅前ビルの例をあげられまして、そしてまだあいてるじゃないかということであります。都市開発の事業というものは、初めから一ぱいになるという小規模のものでは、ほんとうの都市開発にはならない。道路でも、御堂筋の例がよくあげられます。御堂筋は、あんな大きな道路をつくったら町をさびらすんじゃないかと言われたのが、今日、先見の明であったと言われる。町の再開発というものは、相当大規模の、長期の見通しが必要で、いまの時点にだけ合わせるというような行政では、ほんとうの都市の再開発にならない。駅前のビルが1年、2年あいておろうと、これが駅前を改善するならば、それで市民のサービスをしたことになると考えるのであります。駅前が、前のままの雑然たる小さい町であるほうがいいとおっしゃるならば、それは別でありますけれども、あのようにして改善をしたことで、駅前としての機能を高めることになるのでありまして、あそこにおられる人たちの生活をじゅうりんしておるのではないのであります。あの人たちにも協力してもらって、あの中に入ってもらうか、あるいは他に移転してもらうということで、話し合いで事を進めておるわけであります。その点ご了解をいただきたいと思います。 それから関電につきましては、たびたび私の方針を述べております。私の方針は、市の方針として堅持していくつもりであります。新たな公害のない処置がなされない限りは、これをつくらないと言っておることをご信用いただきたいと思います。 外島の問題について、私どもも、やめさせる権限があるならば、やめさせたい。やめさせる法的根拠を持たないところに問題があるのでありまして、今後もさような点については法の適用、また大阪府の権限内に属する処置、私どもが話し合いで指導のできる範囲において、できるだけの努力をして、西淀川区の市民生活を守っていくように真剣な努力をいたしたいということを申し上げておきたいと思うのであります。 ○議長(天野要君) 山上同和対策部長。 ◎同和対策部長(山上脩君) 決算委員会でもすでに再三ご説明を申し上げましたが、同和地区の問題につきましては、非常に複雑多岐にわたっておりまして、昭和28年以来、同促協を通じて実施いたしておるのでございます。ただいまいろいろと具体的な例をあげられまして種々ご指摘いただきましたが、市を、同促を通じて施策を実施するという大阪市の方針は、変わりはないわけでございますけれども、一そう地区住民の解放と福祉向上につながるよう、今後におきましても同促の幹部と相談いたしまして、ご趣旨に沿うよう努力してまいりたい、かように思っております。 それから地方自治法のそれに違反していないかというご質問ででざいますが、同和行政は差別をなくすることでございます。私たちの見解といたしましては、違反していない、こういうことでございます。 ○議長(天野要君) 辻昭二郎君の質疑を許します。39番辻昭二郎君。 ◆39番(辻昭二郎君) 昨日はわが自由民主党議員団を代表いたしまして、井上英夫議員から市政各般にわたってご質問があったのでありますが、私はその第2陣として昭和46年度予算案に対し、幾つかの問題点を取り上げまして、市長の市政に対する方針並びにお考え方を承りたいと存ずるものであります。わが、自民党議員団より、予算編成にあたりましては、17項目にわたり教育、民生、公害、公共事業等、各般にわたる強い要望をいたしてまいったのであります。中には私立幼稚園児に対する思い切った補助金、年額2,000円をはじめといたしまして、苦しい財源難の中で、私たちには、なお、不満足な点はございますけれども、各項目にわたりご努力を賜わりましたことには、心から敬服の念をささげる次第であります。 さて、市民と市政が最も密着しておりますところは、通いなれた区役所であり、各区の保健所と申さなければなりません。予算委員会、各常任委員会、決算委員会におきましても、市民サービスに関して、区の人口数と職員数のアンバランスというものが、たびたび論議されておるところであります。しかしながらいまだその是正は完全には行なわれておらないのであります。例をあげますと、人口最大区から申し上げますと、31万人の人口を擁する東淀川区におきましては、区役所、出張所を含め市民課に属する職員は、45年7月の職員録におきまして、66人であります。人口によってこれを割りますと、1人の職員が4,700人の市民の仕事を分担いたしておるのであります。住吉区におきましては、30万1,300人の人口に対し、職員60人、実に5,000人の市民に対して1人の係員が配置されておるのであります。西成区におきましては、19万4,700人に対し職員が45人、1人で4,330人を受け持っております。一方、北区におきましては、人口5万3,300人、職員が29人、1人で1,840人の区民の仕事に従事いたしておるのであります。さらに大淀区におきましては、4万8,800人の人口で、職員が25人、1人で1,950人の市民に対する仕事をいたしております。さらに南区におきましては、人口が4万9,600人、職員が23人、1人で2,160人の割り当てであります。区によれば、1人の係員に5,000人の区民のサービスを押しつけ、また1人の係員で1,840人の市民サービスを受け持っておる、こういう計算であります。区によれば手厚いサービスができておるけれども、反面、他の区におきましては、3分の1のサービスしか受けていないということになるのであります。これでは公平な区役所の市民業務が行なわれておるか、市民課業務一つを取り上げてみましても、市民側からはまことに納得のいかない問題であります。しかもこれは数字の上での話でございまして、市民相談所の窓口を開放し、さらに市民に親しみを持ってもらおう、こういう努力がなされておりますことは、まことけっこうなことであります。しかし人間は感情の動物でありまして、人員の増員のみでサービスの向上がなし得られておるかというと、決してそうではないのであります。市長の年頭のごあいさつの中にも人情の通う市政を行ないたいとの1項がございます。区役所をたまさか訪れたお年寄りが、勝手がわからず、おどおどした態度で用件先を係員に尋ねましても、その仕事はあっちだ、こっちだとまことにぶあいそうなことばで、2階へ1階へと振り回され、あげくの果て、その苦情が私たち市民代表の議員にまで持ち込まれることが現在でも事実起こっておるのであります。まことに残念であり、この姿では市民サービスの向上を期待することはできないのであります。またその一方、市長の唱えられる緑化100年運動、万国博に際して町を美しくする市民運動、これらの運動は、実に各地区の赤十字奉仕団、民生委員、青少年福祉委員、児童委員、未亡人会、老人クラブ、公園愛護会、市民館後援会、保健所運営委員会等、1人で三十幾つもの公職を兼ね、そしてこれらの仕事に当たっていただいておる方々がたくさんあるわけであります。しかもこの仕事は、とりもなおさず区の行政である最末端の仕事を公共福祉のためにと身を粉にして日夜働いていただいておるわけであります。これらの町の篤志家の力によって区の行政が支えられておるといっても、決して過言でないと思うのであります。言いかえましたならば、本来、区役所がやるべき業務の一端を、これら民間の方々の組織にゆだね、役員に肩がわりをしてもらっておると思うのであります。精神的な奉仕というものは、これはいつの世でもまことにけっこうなことであり、とうといものであります。最近の激増するこれらの方々の仕事量から申し上げますと、赤十字奉仕団、各校下連合団におきましては、専門の事務員を置かなければ、現在の仕事がさばけないのであります。したがってこの経費維持のために町会費を値上げするか、はたまた、役員の寄付金に頼るか、まことに苦労の種になっておるのであります。家業を犠牲にして奉仕するにも、限度があります。それならば、現在のこれらの方々の各運動に対する協力というものを、本来の区役所の業務としてその量を減らしてあげるか、はたまた現在の補助金と申しますか、せめてこれらに要する事務費に見合う手当をするのが当然であると考えるのでありますが、この点はいかがなものか、お聞きをいたしたいのであります。 さらに最近、家庭の主婦に重宝がられて喜ばれているものがあります。それは何かと申しますと、国民健康保険、年金徴収員であります。昭和36年から今日まで約10年の間、非常勤勤務として昼となく夜となく市民宅を訪問し、これらの徴収に当たっておられるわけでありますが、設立された当初は、国民健康保険制度の説明に、口には言えない苦労をされたのを、私たちは身近に知っております。しかしながら何回となく家庭を訪問しておるうちに市民と顔なじみになり、さらにぐちの一つも相談をするような、現在ではまことに親しい間柄になっております。したがいまして区役所の業務の問題、またこれら市民のいろいろな相談までも依頼され、心から喜んでこれの解決のために親切に働いておられるというのが現在の姿で、区役所の出張員というふうな存在になっておるのであります。これらの方々の陳情を聞きますと、神戸、横浜、東大阪、名古屋市等と比べまして、その賃金、退職金等は大阪市はまことに低いといわなければならない、格差があるのが現状でありますが、当局におかれましても、これらの徴収員の現実の姿をしっかりと把握をしていただいて、勤労意欲の向上と、そして働きがいのある職場として、この方々が一そうの勤務をされるような状態をつくるために、特別のご配慮をしてあげるべきでないかということを強く要望いたしますとともに、この機会に所信をお聞かせ願えれば承りたいと考えるものであります。よく地方自治に対して、3割自治であるという嘲笑のことばがあります。地方自治体が財政と行政の両面にはさまれて、自主的な施策ができない。わずか、たかだが3割であるということであります。しかし住民本位の政治をやろうというこの熱情は、このことばとは反対に、わが大阪市政の中に強く生きておると私はかたく信じておるのであります。最近千葉県の松戸市におきましては、市長の市政の出前というアイデアで、現在行なわれておる地方行政のあり方に対する見学者が引きも切らずということであります。例を申し上げますと、現在までは書類を関係各課に回して、少なくとも15や20の判こを押して、工事に取りかかるのに早くて20日、1カ月を要したという事務手続を排しまして、電話一本で市民から要望された簡単な市民サービス、工事については、即戦即決、直ちに仕事にかかるすぐやる課というものをつくって、サービスにつとめておるのであります。上野駅から電車で約20分、東京のベッドタウン、人口25万、この団地に住まいをされている市民の方々、わけても共かせぎの市民のために、駅前のたばこ屋と市が年間契約を結びまして、出勤前に市役所に電話を入れておきますと、戸籍抄本や住民票は、わざわざ会社を休んで市役所の窓口まで行くこともなく、勤務を終わって通勤の帰りにたばこ屋に寄ってその書類を受け取れるという、実に新しいアイデアをこの市長は編み出して、現在実行しておるのであります。私はこれは見習うべきことだと思うのであります。現在までの古いからを破って、各区にサービスカーを配置し、区内を巡回して、このような市民の手間を省けるようなことも考えるべきではないか、そういうことをわが大阪市もいち早く取り入れるべきであるということをご提案を申し上げるのであります。さらに昨年の決算委員会におきまして、わが自民党高野議員より明らかにされました清掃局のごみ1日3回取りの問題であります。これは現に住民不在の市政の一つである。市民には雨が降ろうが、風が吹こうが、留守居のご老人でありましても、ごみの収集時にはポリバケツを表通りの町角まで運搬をさせております。あの重たいポリバケツに入ったごみを持ち出さなければ取らない。こういう仕事を市民には押しつけており、完全な清掃業務というものが行なわれておらない。道路上の不法投棄というものがなかなか解消しないのは、これが一つの原因になっておるのであります。 また、教育委員会におきましても、指導主事が各学校を回って指導、助言もできない状態の地域のありますことは、教育の世界だけにまことに遺憾のきわみであります。教育者の団体も確かに憲法に保障されたものであるかもしれませんが、それは経済的要求の問題、すなわち給与の改定、または勤務条件の改善問題等で、代表者が当局と交渉するとしても、これは当然のことであります。しかし教員組合の阻止によって、指導主事の巡回指導も、すでに2年間も許されないという現状は一体何たることか、この現況に対して市長は何と思われるか、お伺いをいたしたいのであります。教育委員会の見解におきましては、現在までのやや押しつけ的な巡回指導を改めて、これからは各教科のベテラン指導主事というものが、各校の要請に基づいて指導におもむくことに改善をしたと言われておるのであります。そういう考え方、そういう学校指導主事のあり方というものは、一体何によって変わったかということは、私はまことに不可解なのであります。大阪市政は市民本位であるべきであります。教育は子供本位でなくてはなりません。住民不在、子供そっちのけの教育行政などは、断じてあるべきはずはないのであります。予算の数字にあらわれていない行政の指導面に、現在何か欠けているのではないか。土性骨のある大阪市とは申しますけれども、このバックボーンの一部が間違っているのではないか。特に申し上げたいのは、権力をもって接する人々に対する職員の態度には、今後大いに反省すべきものがあります。これすなわち、市民の人間性の回復にもつながるのであります。どうか今後市職員の精神面の指導に全力をあげていただきたい。現在、事業は人なりと言われております。民間企業におきましては、まず新入社員の精神教育、そしてまた会社の方針に全社員が一致協力の態勢をとるための精神教育というものを、最重点問題として取り上げておるのであります。この点市長の所信を承りたいと存ずるのであります。 次に、市庁舎建設についてお伺いいたします。決算委員会におきまして市民への奉仕、行政の管理面からも具体的な数字を申し上げ、将来の構想をすみやかに市民に対して明らかにしていただきたいと市長にご提案を申し上げたのであります。今日、住友生命ビルには経理局、都市再開発局は市街地改造ビルに、総務局の分室、衛生局、土木局の一部はニュー大成ビルに、大阪プールにも間借りといったようなタコ足行政では、管理の上からも実に非能率であるばかりでなく、職員の士気の弛緩を招く原因にもなりかねないと思うのであります。しかもこれにより市民の受ける迷惑というものも、決して少なくないのであります。市長の施政方針に従いまして、各局、部長はもちろん、職員が一糸乱れず、打てば響く体制をとりながら、行政のむだを省き、市民の利便を考えた窓口の一本化、そしてまた、事務の合理化というものを大胆に推し進めておるところに、日進月歩の社会情勢におくれない大阪市の姿が確立できるのであります。そのときにこそ初めて明るい大阪市の発展、血の通ったサービス本位の大阪市政の確立が実現できるのではないでしょうか。財政面から考えましても、年々上昇する人件費、建築資材等を考慮いたしましても、決断がおくれればおくれるほど、高くつくのであります。たとえば50億の建築費も、年2割の増高を見込んでまいりますと、5年後には104億を必要とするのであります。先ほど申しました千葉県松戸市の市長は、この点に着眼をされまして、市道の舗装工事におきましては、10年の年次計画を繰り上げ、わずか1年間で全舗装を完成いたしました。しかも小中学校におきましては、体育館を建設するのに1枚の設計図をもとにいたしまして、11校を1年間で片づけ、完成をさせました。金融機関から借金をしても、そのほうが将来そろばんをおいたならば、安くつくと市長みずから話をしておるのであります。この意欲と積極性が現在の大阪市にぜひ必要なのではないか。世論並びにムードの盛り上がりを待つと市長は答弁されたのでありますが、この際、将来の計画について明確なるご答弁をお願いいたしたいと思うのであります。 次に、都市計画事業に関してお伺いいたします。交通戦争とも言われる都市交通機能は、ますます悪化の一路をたどるおそれが十分にあります。過日、日本自動車工業会の発表によりますと、モータリゼーションの急ピッチの進行というものは、44年3月、17.3%の自家用車を持っていた人が、45年3月には22.1%といよいよ20%の大台に乗り、5世帯に1台の乗用車が持たれた時代が参ったのであります。所得100万円以上の国民の中で、車を持っている人はすでに77%に達しました。なおも悪いことに、これらの人々の購入目的は、まず通勤であり、商用であり、3番目に位するのが通学のためであります。こういう目的のために車が購入されておるということを考えましたときに、昼間流入人口を持つわが大阪市としましては、市外からの車の乗り入れを禁止するような時代がやってくるのではなかろうか、必ずそういう時代がやってくると私は思うのであります。それに対処するためにも、都市計画道路の早急な事業化というものを急がなければならないのでありますが、現在まで道路指定をしながら、長いのは30年、40年の間この事業が実現しておらない現状にかんがみまして、予定地に土地を持ち、住まいする市民の側からいたしますと、鉄筋化はもちろんのこと、改築、増築もままならず、今後の計画も立たないまま放置され、計画が一日も早く進行されんことを首を長くして待っておるのであります。ことばをかえて申しますと、市は机上で1本の計画路線を勝手に引いて、私有財産の自由を束縛したのみならず、いつ事業化されるのですかと聞いてみたところで、確としたものが答として返ってこない。現在まですでに40年、大阪市はまことにけしからぬという強いおしかりが出るのも、私はもっともであると思うのであります。ここでお聞きをいたしたいと思いますことは、理事者側といたしましても、事業決定のめどがつくまで、ある程度私有財産の使用権の拡大を認めるか、しからずんば事前買収を進めるか、まことに不合理な現在の姿を今後いかなる形で対処されようとするのか、お聞きいたしたいのであります。 次に、公害の問題について1点触れさせていただきたいと思います。わが党井上議員より公害問題で質疑があったのでありますが、私はその上にさらに現在の河川、大阪港などの汚濁に関しての発生源について考えてみたいと思うのであります。その対策の一つとして、下水道整備費百数十億の計上がなされておるのでありますが、いまの下水道整備で汚濁の発生源を食いとめたと考えるならば、これはたいへんなことであります。すなわち、処理場より流出後の河川への不法投棄を見のがしてはならないと思うのであります。不法投棄されました汚物が川底に沈み、腐食しながら港に流れ出ておるのであります。このヘドロ発生源を今後どう処理なされるつもりか。河川への不法投棄、そしてその対策を考えずしてヘドロ防止のできないことを知ってもらいたいのであります。この点につきまして、理事者はどうお考えになっているのか、お伺いをいたしたいのであります。 次に、住宅関係の問題を取り上げたいと思います。予算書によりますと、公営住宅4,300戸、改良住宅715戸等、総じて6,800戸建設の予算計上があるでありますが、この建設にあたり用地確保の問題であります。最近、都市周辺部の地価の値上がりと、まとまった土地が順次減少して、今後の用地確保は次第に困難になるのではないかと推察をいたすのであります。したがって既設の簡易木造住宅の立体化以外には、当分市民が要望するところの公営住宅建設が不可能になるのではないか。もちろん広域行政推進の見地から、衛星都市編入の暁は別といたしましても、まことに今後至難な問題になるのではないか。現在すでに建てかえの対象になっておる住宅は5,016戸であります。さらに貸し付け停止団地内には、あき家となっておるものが216戸、しかもくぎづけにされて3年以上経過するものが17戸、2年から3年までが28戸、1年から2年にならんとするもの126戸、1年未満が45戸であります。そこで私はお尋ねをいたしたいのであります。私の知っておる人で、過去20回にわたり市営住宅の申し込みをしましたが、くじ運が悪く入居できません。この方は6畳のアパートで8,500円の家賃を現在まで払っております。かりに10年とその期間を計算いたしますと、102万円になります。一方運よく公営住宅に当選されまして入居された市民は、6畳、4畳半の簡易木造住宅で、いまだ家賃1,000円前後のところがたくさんあります。しかも部屋の間取りは6畳、4畳半であります。これを10年で計算をいたしますと、家賃12万円の負担であります。10年間でもその差額というものは、市営住宅に入居できた幸運な人と、そして熱望しなから入居がかなえられない人とでは、実に90万円の家賃負担の格差が出ておるのであります。しかも一方では、大阪市の市民に対する市民税は、これは同等であります。ただ、くじ運が悪かったという一言で片づけるには、あまりにも差別された市の行政であると私は考えるものであります。不公平行政の一つなのであります。しかしながらこれら希望する市民全体が入居をして満足をしていただくのには、あと何年待てばよいのか、これは気の遠くなる話であります。既設木造住宅が立体化されるならば、現在3倍近くの熱望する市民が救われるわけであります。したがって当局といたしましては、建てかえ団地を年次ごとに明確化する必要がありはしないか。また絶対数不足の今日、たとえ1軒といえども、3年間ほうっておく手はないのではないか。入居される方には、建てかえ時の協力を強い条件として結んで入居していただく有効適切な方法を考えるべきではないかと思うのであります。また入居の希望を満たされない、実に気の毒な市民の心を世論の背景としまして、市は熱意を持って現居住者に対し、理解と協力を求める努力を私は一段と強化をする必要があると思うのであります。これがひいては市周辺部の過密化に対する一つの施策にもなりましょうし、ドーナツ化現象の緩和にもなり、しかも入居された人々は職場にも近く、交通の問題、小中学校の児童の定着等、まことに大阪市行政の中での重大な問題であると思うのであります。この点のお考え方を伺いたいと思うのであります。 次に、公共工事の施行についてお伺いをいたしたいと思います。ここ5年間の予算編成から、年度末までの1年間を通じ発注されます工事というものが、ややもすれば下半期に集中されるきらいがあるのであります。土木事業におきましては、その数字から拝見いたしますと、まことに適切な努力のあとかうかがわれるのであります。残念ながら建築工事につきましては、いまだその悪弊が改善されておらないのであります。これは工事をやるほうからいいますと、一時に公共事業というものが集中することによって、より割り高な賃金となり、そしてさらに悪条件のもとでこの工事を完成しなければならないことを押しつけられるということになるのであります。たとえば学校、幼稚園、保育所等の改築の場合、旧校舎の取りこわしにつきましては、一応校庭の閉鎖をしなければなりません。また、ダンプカーの出入りというものも、授業中でありましたならば、児童に対する危害というものも大いに考えなければなりません。しかしながらこれらの取りこわし工事がもしも夏休み中に行なわれておりましたならば、これらの授業に対する妨害、児童に対する傷害などは、まず心配はないのであります。ところが現実におきましては、これらの工事が2学期が始まってから、あるいは3学期中に工事が開始されるということが間々あるのであります。道路に関してもそうであります。夜間作業になりましたならば、当然賃金は5割増であります。それだけ工費が高くつけば、市の投入予算もおのずから増大するのは必至であります。12月の末を境にいたしまして、国家予算が編成されます。この中央との折衝を見合いながら、市の各局から財政局に対して、予算の要求がなされております。そして財政局との折衝の結果、内示があり、さらに現在の予算が組まれておるのであります。今回の予算市会に提出されておる段階におきましても、すでに公営住宅4,300戸、さらにまた校舎建設小中学校普通教室357、特別教室81、管理室96、校舎改築165、特別教室6というように、どの区のどの学校に、どのような教室を幾つ建てるかということは、もうすでにきまっておると思うのであります。しかるに4月1日から施行されるこの予算というものは、工事の発注、契約の締結、工事の着手というようになるのは、早くて秋、おそければ年を越えるというふうなことになる。一体どこで時間を食われるのか、私はその点を明確に承りたいと思うのであります。資料によりますと、当初予定していた用地の取得が、地主との話し合いがつかず、また、地域的な問題にはばまれて妥協点に達しない。ものによれば理解のできる点もあるのでありますが、しかしながら用地はすでに確保され、ほかには何の問題がないにもかかわらず建設がおくれ、ついには新学期までに校舎が完成をしない。また、つゆどきまでにぜひとも必要な下水というものが、その時期には工事が完了しない。市長は苦しい予算を切りさいて、思い切ってこれらの事業に投入をして進めながら、タイミングがずれたために、市民に心から喜んでもらえないというふうな事態が生じておることは、まことに残念であります。46年1月26日付建設省建設事務次官名で、日本住宅公団、道路公団をはじめ八つの公団並びに都道府県知事に対し、建設省所管事業遂行についての通達が出されておるのであります。その1項には、工事の早期発注に備えて、これに要する用地の取得及び実施設計の作成を極力促進すること。なお、継続工事についても、上記の施行を促進されたい。2項、優良な地元業者を活用するため、発注標準を順守し、中小工事に対しては中小建設業者の受注の機会を確保すること。4項、優良な工事成績をあげた中小建設業者に対しては、積極的に受注の機会の増大をはかる等、その育成に配意すること。さらに加えて、特段の配慮をされたく、命により通達するとあるのであります。私は全く当を得た通達であると存ずるのであります。40年から5年間の数字によりますと、好転はいたしており、努力のあとは認められるのでありますが、しかしながらなお、そういう事態が発生しておる今日、さらに一そうのご努力をお願いいたしたいと思うのであります。大阪市の近辺の都市におきましては、市域内で生産される製品は、他都市の業者からは絶対に購入をしない。あくまでも地元産業育成のために、地元業者最優先の立場をとっておるところが多いのであります。大阪市におきましても、戦後、中学校の収容対策、小学校の急増対策に奔走しておりました当時、小学校の校舎建設というものは、幾度入札を繰り返しても、業者は落札をしなかったのであります。なぜかといいますと、これらの建設事業を請け負った場合には、利益どころか、やれば必ず赤字が出るという苦しい時代があったのであります。そこで大阪市は近在の中小業者に懇請をいたしまして、どうにかこうにかこの小、中学校の急増対策は切り抜けてまいりました。それから時は移り、建設関係はブームになりました。東京オリンピック、大阪での万国博、しかし現在では不況の風が吹いておるのであります。下水事業、水道事業にいたしましても、二つか三つに分けて発注いたしますならば、大阪市の中小企業者というものは指名の対象になるのでありますが、これを一つの工事として発注をいたします場合には、大手業者の仕事量になり、中小企業者は締め出しを食うのであります。かつて、わが大阪市の発展に出血の協力を惜しまなかった市内の中小企業が、この問題において現在でもややもすれば大きな圧迫を受けておるのであります。そうであるのにこの中小企業というものは、納税義務者として大きな協力をしてくれている、この現状を考えますときに、大阪市におきましては、中小企業育成に対する格段のあたたかい配慮というものが、あってしかるべきであると思うのであります。大企業に発注するならば、なるほど工事の監督はらくでありましょう。そしてまた災害が起こったときにも、その補償問題で心配は少ないでありましようけれども、しかしこの問題は市長のおっしゃる中小企業育成の面から見ても、大いに考えるべき問題であると思うのであります。また、産業廃棄物に関しまして、硬質塩化ビニールの板もの、パイプ等、製造工程におきまして、必ず不良品が出てまいるのであります。このきれ端というものが大阪だけで月3,000トンから3,500トンが再生され、各方面においてこれが使用されております。ところがこの廃品ともいうべき材料を回収する業者というものが、現在非常に少なくなりつつあります。 ○議長(天野要君) 辻君に申し上げます。すでに発言時間も経過しておりますので、残余の質疑は簡明にせられ、すみやかに終結せられるよう、ご注意申し上げます。 ◆39番(辻昭二郎君) (続)家庭から出てまいりますごみは、もしもこの回収業者というものがなくなってしまった場合、全部が清掃局のじんあい処理にゆだねられるのであります。塩化ビニールの燃焼時に発生する有毒ガスというものは、公害の2次製品であります。しかるに現在ネコか犬しか通らないような路地の奥に入れる水洗便所の排水管、強度の面からはこれら再生ビニール管で十分であるにもかかわりませず、日本工業規格に該当するビニール管を大阪市は指定して、これらの面からも中小企業に対する締め上げを行なっておるのであります。鉛の管でいける水道管を、腐食をしないからといって、かねの水道管を押しつけておるのと同じではありませんか。中小企業振興のため、血の通った市政を行なうべきであると考えますが、以上市長のご所見と、さらに公共事業の施行に関し、建築局長のご所見をお伺いいたしたいと思うのであります。これをもって私の質疑を終わらせていただきたいと存じます。(拍手) ○議長(天野要君) 理事者の答弁を許します。中馬市長。 ◎市長(中馬馨君) 辻議員のご質問にお答え申し上げます。 第1番目には、区役所、保健所等、第一線窓口の職員の配置がばらばらになっておるのではないか、かなり大きい区において人員が少なく、その担当が非常に大きいことになっておるという点のご指摘があったのであります。この点については、いまその数字をお聞きしながら、この対策について一そうわれわれ緻密な事務量等の計算をする必要があると存じたのでありますが、もちろん総務局においては、こうした事態を絶えず注視しながら、人員の配置をやっておるのであります。しかし中心区等の人口の減少の速度がかなり早くて、それに応じて人員を直ちに減らしていくということはなかなかむずかしくて、惰性に流れておるという点もあると思うのであります。よく事務量等も考えて、適正配置を考えるということにいたしたいと思うのであります。ただ、人口だけでまいりませんのは、中心区等においては、昼間流入人口というものがかなりいろいろな事務量をもたらしておる。また、納税の関係等は中心区は非常に大きなものがあるというような事情もあるのでありますが、しかしそれらの諸要素を十分総合的に検討して、適正な配置を考えていきたいと思うのであります。そうしたことから人情の通う市政といいますか、窓口において市民の方々に不愉快な、不親切な印象を与えることを避けなければならない、これは私ども十分心していかなければならぬと思うのであります。私が就任いたしまして以来、一貫して職従業員に求めておるところは、金も要らないことだから、何とか窓口の親切化をはかってもらいたいということを、一人一人、係長を発令する際にも繰り返しておるような次第であります。さような観点からいたしましても、適正配置また能率の高いサービスができるような努力をいたしたいと考えます。そのために市民の日赤、婦人会、民生委員、その他の団体の方が非常によく協力していただいておるのであります。これは大阪市の非常に特色ある自治運営の方式であると言われておるのでありまして、私ども、市民の旺盛な自治精神の上に立つご協力に感謝いたしておる次第であります。しかしそれに甘えて、あまりにも事務量が多いのではないかということは、特に辻議員もここにご指摘になったところであります。私ども、この点につきましても、過重な負担を押しつけることのないような配慮、また、その他の団体に対するいろいろな配慮を十分いたしていくように心がけていきたいと考える次第であります。 次いで、国民健康保険、年金徴収員の人たちに対する非常な配慮あるご質問があったのであります。ご指摘のように、大阪市の国民健康保険年金徴収員の人たちは、非常にまじめな勤務をいたしてくれておるのであります。その待遇の点について、先般来いろいろな口頭折衝が行なわれていたのでありますが、私も口を出してその改善をはかった次第であります。ほかの都市との比較においても、現在、結果としては悪くないことになっておると思うのでありますが、さらに十分注意をいたしていくことにいたします。 第3番目に、事務の能率、また、ある種の市長が行なっておる市民サービスの方式を引例されてのお話がありましたが、これだけの大都市でありますから、簡単に試みるということもなかなかむずかしいのでありますけれども、しかし役所事務というものは、ほうっておくとマンネリズム、従来の惰性でいくということになりやすいのでありまして、大阪市は戦前から事務改善運動というので、非常に注視された全国的に実績を持っておるような都市でもあります。絶えず事務の改善にみずから反省してつとめるということをいたしておるのでありまして、ただいまもコンピューターをどうして市の事務の中に取り入れていくかということについて、真剣な検討をいたしておるのであります。これだけ人手が全国的に不足する時代になりますと、だんだん人手を省き、税金に値する高能率の行政ということを絶えず心がけなければならぬのであります。事務能率の点からも、また、市民の方々への親切なサービスという点からも、いろいろご指摘の点など、十分心して今後に処していきたいと考える次第でございます。 次に、そうしたことに対しての職員の態度、これが非常に重大だというお話がありました。私ども心がけてはおるつもりでありますが、なお一そう引き締めていきたい。これにはいろいろな意味で--窓口の親切化について、それぞれの所管局長はもとより、課長、係長、また、一般職従業員の間に徹底した市民サービスの考え方を持つような努力が必要であると思いますので、研修会、講習会をいたしております。これは皆さん方のご同意を得て、かなりりっぱな研修所を持っておるのであります。そこで非常にひんぱんに事務講習会などをやっておる。この大阪市の事務講習会は、周辺都市の職員を預かって教育をいたしておるのであります。大阪府下の各都市は、大阪市に委託をして事務講習を受けておる。また、その他遠隔の地からも大阪市の事務講習を受けさせてもらいたいというような希望が出ておるような状態であります。そういうようなものを通じて職員の執務の態度等の問題も、適当な指導をいたしていきたいと考えるのであります。 次いで、市庁舎の問題であります。これは皆さんとともにこれをどうするか、まことに大きな問題であるのであります。これをつくるについては百数十億の金が要るのでありまして、これはご指摘のように早くつくったほうが安いという事情はありましょうが、しかしいまこれだけの大きな金を入れるということは、その他の市民サービスの金をやはりさかなければならぬということにもなるのでありますが、おくれた場合には同時に税収等もふえておるのでありますから、時期の問題が直ちにそう大きく関係するわけではないのでありますけれども、現状というものは事務能率、市民サービスの点からいけば、まことに遺憾な点が多いのでありまして、さような点と、ばく大な財政経費を要するという点をあわせて今後に処していかなければならない。そういうことであまりにも大きな金でありますから、市民の方々の十分な理解を得なければならない。そのためには、こうした公の議場でこの問題が繰り返し論議され、また、研究される。そういうことを通じて市民の方々の理解も深まり、その必要度に対する認識も徹底して、できるだけ早い機会に着手するということにいたしたいものだと思っておるのであります。その場所等についても、もう皆さん方からいろいろな督励を受けておることでありまして、研究を重ねてきておることはご承知のとおりであります。この現在の場所がよいのか、あるいはNHK前の体育館の場所がよいのか、それらの問題を検討してまいったのであります。現在の場所は、自動車時代に処して敷地等が狭すぎるのではないかというようなことが問題になっておったのでありますけれども、最近の技術をもってするならば、それを克服できるのではないかということも、いろいろと検討の結果出ておるのであります。また、しかし、もっと起債等が大きく得られるためには、他の方法があるのではないかというような提案をされる方もあるような状態でありまして、この問題は私ども皆さんとともに真剣に検討しながら、その時期はいつがよいかということは別といたしまして、皆さんとともに検討し、事務能率、市民サービス、それと大阪市の財政、三者をかみ合わせて対処していくようにいたしたいと思いますので、その点ご理解を賜わりたいと思うのであります。 次に、都市計画事業について、計画決定をして事業化しないために、計画を決定された市民の人たちが非常な迷惑をしておるのではないかという問題であります。これは都市計画事業において絶えず起こる事情でありまして、公のために忍んでもらわなければやむを得ないという考え方の上に立っておるのでありますが、しかしそれが非常に大きな迷惑をかけておるということで、ご承知のとおり、そうした計画決定の場所においても、木造であるとか、鉄骨の建物等ではよろしいということで、幾らか緩和をしておるのでありますが、それにしても非常なご迷惑であります。そこで43年に新都市計画法ができまして、これによって土地の買い取り請求権というものもできたのでありますが、そういう新しい法の精神に従って、また国の財政の裏づけ等の問題も関連して、新しい法律にのっとった今後の対策を考えて、少しでも都市計画決定について市民の方々のご迷惑を緩和するような努力をいたさなければならないと思うのであります。 次に、公害の問題について、下水事業だけで片づくと思っていたら間違いだぞというご指摘は、たしかにそう私どもも感ずるのであります。かなりの不法投棄が川に向かってなされておる、やはりこれは私ども十分これを防止する努力をいたさなければならぬと考えるのであります。 さらに住宅の問題につきましては、ご指摘の点全く同感でありますが、担当局長から詳しくお答え申し上げることにいたします。 それから公共工事の施行に当たって、中小業者に対する配慮をもっと徹底してやるべきであるというご指摘であります。これは次官通牒が出ておりますが、その次官通牒の意味するところは、先般来、大蔵大臣がしばしば言明してまいりましたように、景気がこれ以上沈滞することを防がなければならない。年度末等においてできるだけ公共事業を執行して、景気の陥没を防ぐというような考え方で、次官通牒を出しておるものと思うのであります。そうしたことから中小企業の人たちに、公共事業等の30%は少なくとも請け負わせるべきであるというようなことが内容になっておるように思うのであります。そういう感覚で大阪市の実情を調べてみますと、幸いに大阪市では、いわゆる中小企業という範疇に属する建築業関係の人たちが、40%は当たっております。政府が求める30%をはるかにこえておるのであります。そしてその通牒が意味するように、できるだけ仕事を早く請け負いにおろして、景気を少しでも刺激していくという点からいたしまして、これはそういうつもりで最近契約を急いでおるのであります。現在までに本年度予算の60%以上は、すでに発注済みのようであります。しかし辻議員がご指摘のように、役所の仕事は予算が成立いたしまして、政府の認証を待たなければならない。その上で設計をやらなければならない。また、そのときに土地の入手に着手しなければならない。役所の仕事でありますために、多くは予算が成立してから、何もかも一緒に着手するということのために、年度の前半は準備期間であり、ようやく秋ごろから契約にかけられるというため、年度末に集中する欠点があるのであります。これをできるだけ緩和しなければならぬということで、市の内部としてはかなり心がけて、学校用地等については先行入手をしておるというような措置をいたしております。あるいは開発公社等による土地の先買いというような方法を講じて、できるだけ平均して年間仕事ができるような努力もいたしておるのでありますが、もう全国の公共団体というものが、おしなべて年度末に集中するうらみがあるのであります。この点は、本年のような景気刺激を要するようなときには、何としても少しでも早く契約にかけて、3月、4月、5月というときに、仕事が少しでも多く民間業者の手に渡るようにつとめていかなければならぬと考えるのであります。それからジョイント・ベンチャー方式--共同請負方式で、大きな工事も中小企業の人たちが合体してやれば、請け負わせることができるという方式、これもたしか次官通牒にうたっておるというお話でありますが、これは大阪市も昨年の7月以来、実行に移しておるところであります。そういうことも十分活用して、中小企業の町である大阪というものの上に立った公の仕事の執行をいたしていきたいというふうに考えて、ご指摘の点に全く同感であることを申し上げたいと思うのであります。 その他の問題につきましては、それぞれ局長からお答えいたすことにいたします。 ○議長(天野要君) 徳山建築局長。 ◎建築局長(徳山正文君) 先ほどのご質問の中で、木造の市営住宅の建てかえのことにつきまして、ご答弁申し上げたいと思います。 木造の市営住宅の建てかえ事業は、ご承知のように住居の環境整備と建物の不燃化、それと先ほどご指摘のありましたように、土地の高度利用によります住宅建設戸数の飛躍的な増加ということを目的といたしまして、市街地の再開発に寄与するところが多いものでございます。現在まで約4,200戸の老朽した木造住宅を建てかえしてまいりました。なお1万7,000戸ほどの木造住宅がございます。 それでわれわれといたしましては、耐用年数の経過いたしました老朽住宅が約5,000戸ございますので、この5,000戸を中心にいたしまして、早急に建てかえを積極的に実施いたしたい、かように思っておる次第でございます。以上のような趣旨から建てかえ事業を推進するために、昭和25年度建設以前の木造住宅の団地につきましては、あき家ができましたときに、これを貸し付けすることを停止いたしております。これの目的は、建てかえ事業が非常に困難でございますので、あき家にしておくということが建てかえ事業の促進の一つの原因ともなってまいりますので、われわれとしては、従来から建てかえをする段につきましては、あき家をそのまま貸し付け停止をしておるということでございます。どうかその辺の事情をご賢察、ご了承願いたいと思うわけでございます。 なお、先ほど市長からご答弁がございましたが、建築局関係におきます事業の早期発注につきましては、ご質問のご趣旨全くそのとおりでございまして、われわれとしても従来から早期発注に努力をいたしております。さらに努力をいたしたいと考えます。 ○議長(天野要君) これをもって質疑を終結いたします。 ○議長(天野要君) ただいま議題となっております諸案件は、お手元に配付いたしております各常任委員会審査付託表のとおり、各常任委員会に付託いたします。     --------------------------------- △(イメージ)各常任委員会審査付託表 △(イメージ)各常任委員会審査付託表 △(イメージ)各常任委員会審査付託表      --------------------------------- △閉議 ○議長(天野要君) 本日の日程は以上で終了いたしました。 △散会 ○議長(天野要君) 本日はこれをもって散会いたします。   午後4時23分散会     ---------------------------------大阪市会議長  天野 要(印)大阪市会副議長 中田捨次郎(印)大阪市会議員  仲谷誠夫(印)大阪市会議員  寺西 武(印)◯大阪市会(定例会)会議録(昭和46年2月24日)(終)...