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03月06日-02号

  • "都市施設整備事業会計予算"(/)
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  1. 大阪市議会 1969-03-06
    03月06日-02号


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    昭和44年第1回定例会(昭和44年3月)◯大阪市会(定例会)会議録(昭和44年3月6日)    ◯議事日程    昭和44年3月6日午前10時開議第1 議案第6号 昭和44年度大阪市一般会計予算第2 議案第7号 昭和44年度大阪市大学医学部付属病院事業会計予算第3 議案第8号 昭和44年度大阪市食肉市場・と畜場事業会計予算第4 議案第9号 昭和44年度大阪市宅地造成事業会計予算第5 議案第10号 昭和44年度大阪市都市施設整備事業会計予算第6 議案第11号 昭和44年度大阪市都市開発資金会計予算第7 議案第12号 昭和44年度大阪市母子福祉貸付資金会計予算第8 議案第13号 昭和44年度大阪市国民健康保険事業会計予算第9 議案第14号 昭和44年度大阪市心身障害者扶養共済事業会計予算第10 議案第15号 昭和44年度大阪市市民病院事業会計予算第11 議案第16号 昭和44年度大阪市中央卸売市場事業会計予算第12 議案第17号 昭和44年度大阪市港営事業会計予算第13 議案第18号 昭和44年度大阪市下水道事業会計予算第14 議案第19号 昭和44年度大阪市路面交通事業会計予算第15 議案第20号 昭和44年度大阪市高速鉄道事業会計予算第16 議案第21号 昭和44年度大阪市水道事業会計予算第17 議案第22号 昭和44年度大阪市工業用水道事業会計予算第18 議案第23号 昭和44年度大阪市公債費会計予算第19 議案第24号 昭和44年度大阪市東寺町外11財産区予算第20 議案第25号 大阪市区役所附設会館条例の一部を改正する条例案第21 議案第26号 近畿宝くじ事務協議会規約の一部改正に関する協議について第22 議案第27号 当せん金附証票の発売について第23 議案第28号 大阪市中小企業融資基金条例の一部を改正する条例案第24 議案第29号 大阪市農業金融基金条例を廃止する条例案第25 議案第30号 大阪市生業資金貸付基金条例の一部を改正する条例案第26 議案第31号 大阪市設質舗条例の一部を改正する条例案第27 議案第32号 大阪市国民健康保険条例の一部を改正する条例案第28 議案第33号 大阪市市民病院事業の設置等に関する条例の一部を改正する条例案第29 議案第34号 水洗便所設備資金貸付基金条例の一部を改正する条例案第30 議案第35号 寝屋川北部広域下水道組合規約の変更に関する協議について第31 議案第36号 寝屋川南部広域下水道組合規約の変更に関する協議について第32 議案第37号 大阪市港湾施設条例の一部を改正する条例案--------------------------------------◯出席議員 85人(欠は欠席者)      1番    小郷平八君      2番    藤岡信雄君      3番    吉田辰治君      4番    加藤正武君      5番    高野光男君      6番    井上英夫君      7番    改発 弘君    欠 8番    柳井伝八君      9番    中尾安夫君      10番    塩田吾一君      11番    若林伊太郎君      12番    安達喜雄君      13番    仲谷誠夫君      14番    佐伯三郎君      15番    安松克己君      16番    岸田政夫君    欠 17番    吉村義照君      18番    植田完治君      19番    山下喜一君      20番    中山正暉君      21番    鈴木清蔵君      22番    室屋定三君      23番    森下土治君      24番    岸本太造君      25番    内村作二君      26番    山下博義君      27番    栗須 斉君      28番    高橋幸一君      29番    山口武志君      30番    島尾 茂君    欠 31番    高貴伝三郎君      32番    小林通夫君      33番    中石清一君      34番    隅野源治郎君      35番    音在又一君      36番    井上長栄君      37番    佐々木栄一君      38番    加藤市太郎君    欠 39番    辻 昭二郎君      40番    古山一郎君      41番    沼田喜一君      42番    綱沢靖二君      43番    沢村信義君      44番    長沢利治君      45番    山川洋三君      46番    松井義明君      47番    和田正三君      48番    上野 弘君      49番    沓脱タケ子君      50番    板並丈夫君    欠 51番    辻  渡君      52番    野口末造君      53番    黒木武好君      54番    高垣松雄君      55番    三原逸三君      56番    長谷川元一君    欠 57番    倉川 薫君      58番    大丸志朗君      59番    天野 要君      60番    美延重忠君    欠 61番    行岡忠雄君      62番    長田義一君      63番    坂本 実君      64番    柳本松太郎君      65番    勝田真人君      66番    南 常治郎君      67番    岡野正雄君      68番    寺西 武君      69番    田中豊栄君      70番    野村 清君      71番    寄吉 極君      72番    吉田 弘君      73番    中田捨次郎君      74番    佐野繁雄君      75番    上田 武君      76番    西風金之助君      77番    伊藤 募君      78番    中村賢三郎君      79番    米沢正実君      80番    田中正男君      81番    粟井岩吉君      82番    木下常吉君    欠 83番    森野熊一君      84番    松尾禎一郎君      85番    次田虎雄君      86番    黒田廣一君      87番    坂井三郎君      88番    井上秀之助君      89番    北山 勇君      90番    大西保三郎君      91番    吉瀬昌幸君      92番    大神 仁君    欠 93番    村田岩雄君      94番    大井満利君--------------------------------------◯職務のために出席した事務局職員          市会事務局長         松浦芳平          議事課長           榎村 博          議事係長           谷口勝彦          委員係長           永安茂夫--------------------------------------◯議場に出席した執行機関及び説明員          市長             中馬 馨          助役             下村 進          同              大島 靖          同              中尾正平          収入役            三宅季二 (同和対策部長) 事務吏員           浅羽富造 (総務局長)   同              石川多賀夫 (財政局長)   同              内山敞義 (総合計画局長) 技術吏員           福山真三郎 (経理局長)   事務吏員           久川芳蔵 (民生局長)   同              関 重夫 (経済局長)   同              工藤敏郎 (衛生局長)   技術吏員           藤野保次 (清掃局長)   事務吏員           荻野二郎 (土木局長)   技術吏員           大塚 清 (区画整理局長) 事務吏員           大重正俊 (建築局長)   事務吏員           徳山正文 (港湾局長)   技術吏員           叶  清 (市立大学事務局長)事務吏員          小島 誠 (交通局長)   同              黒田泰輔 (水道局長)   技術吏員           長谷川寛一 (消防局長)   消防長            畑中良一 (市長室長)   事務吏員           竹村保治 (公聴部長)   同              円井東一 (万国博覧会協力部長)同            藤井弘巳 (公園部長)   技術吏員           加藤一男 (選挙管理委員会事務局長)事務吏員       米田拾二 (監査事務局長) 同              森  光          教育委員会委員長       岸本準二          教育長            柏原好光          人事委員会委員長       滝石豊稲 (人事委員会事務局長)事務吏員         佐々木政憲-------------------------------------- △開議 昭和44年3月6日午前11時21分開議 ○議長(黒田廣一君) これより市会定例会会議を開きます。 本日の会議録署名者を大神仁君、小林通夫君のご両君にお願いいたします。 ○議長(黒田廣一君) 日程第1、議案第6号、昭和44年度大阪市一般会計予算ないし日程第32、議案第37号、大阪市港湾施設条例の一部を改正する条例案、一括して議題といたします。 ○議長(黒田廣一君) これより質疑に入ります。 中山正暉君の質疑を許します。20番中山正暉君。 ◆20番(中山正暉君) (拍手)私は、ただいまから自由民主党議員団を代表いたしまして、本市会に提案をされております昭和44度予算案に関しまして、質疑を試みんとするものでございます。 昭和44年は、4を二つ合わせたしあわせの年であるという話がございますが、本年は、第1に恵まれない人々とお年寄りや子供を大切に、次の柱が、次の世代の育成と暮らしの安定、向上のために、その次が住みよい健康な環境をつくる、4番目の柱として、長期計画に基づく積極的な都市開発の推進と万国博関係事業の総仕上げというふうになっております。総予算額が5,471億。私は、この数字を読み返して、5,471--こよない、万国博の前年ではありますが、一般の弱い立場の人々に対するこよない愛情をひめてある予算案であると思います。私ども自由民主党といたしましては、おおむね歓迎の意をもってこの予算を迎えようといたしておる次第でございます。 私は、筆頭質問者でございますので、本市の基本的な市政につきまして、大まかな、基本的な問題に触れてみたいと存ずる次第でございます。 まず税財政問題であります。日本では、地域ブロック別に見ると、税負担率と財源還流率とは、かなりきれいな逆相関になっておりまして、大都市大阪は、都市としての筆頭として一番多くの税負担率を示し、財源還流率が極度に低く大阪の公共施設が大阪の経済力に比して相対的に少ないことを意味しております。大都市では、住民に多くの便益を与えるために、近代的な都市施設への巨大な投資を必要としているのでありまして、だれがその費用を負担するかという資金調達の前提を無視して、都市整備の対策は成り立ち得ないのであります。経済政策の基本方針は、民間部門の需要を一部押えつつ、他方では公共部門の供給力を大いに増大させ、両方の効果を合わせて需要と供給のアンバランスを緩和することに置かれるべきでしょう。その方法としては五つございます。まず税金を取るということ、第2には、建設公債や債券を買ってもらうということ、第3は、公共料金を引き上げるということ、第4は、中央政府に財源還流率を高めてもらうということ、第5は、公共部門の仕事の中の適当なものを民間部門ないし公社のようなものに移すことによって画期的な技術革新を期待すること等で、以上のいずれをも欲しないという提案をなすことは、過密を放置し、お金でなくて肉体で苦痛を支払うことになるのは、常識でございます。特定の受益者に対するサービスの赤字を、税金だけで穴埋めするのは不合理ではありますが、企業は交通公害、過密など受益に応じて負担すべきものを負担しないばかりか、その原因をつくっておるのでございます。このような不合理を是正するために、利益と負担がバランスするような受益者負担制度を確立すべきでありましょう。集積する利益を享受する企業に対しては、特別な負担を求めるなど、都市づくりに協力する義務を強化すべきであると思うのでございます。そして、都市施設を必要とする工場、事務所などについては負担を重くし、大都市への安易な集中を押える方策をとらなくてはなりません。わが国の西日本中枢都市としての大阪市は、大阪財界と呼ばれる法人の町でございます。市内から上がる法人所得関係のうち、72%は国税、大阪府税が23%、大阪市に帰属するものは、わずかに5%となっております。大阪市に90万の昼間流入人口がありますが、流入人口のために財政需要が非常に大きいのに、負担力大なる事業所を市内に持ち、住居を市外に持つ人々は、大阪市内で大きくもうけて、まことにびろうな話でございますが、昼間の排泄物と紙くずを残し、府県に税金を納める大きな自動車を乗り回して、路面電車やバスやトロリーバスのじゃまをして交通局の赤字を増大させ--現在300億円と言われておりますが、そして道路に穴をあけて、料飲税を府に納める交際費を使い、市の衛生局の管理監督のもとに、食いものの大阪と言われるくらい日本一のうまいものを食い、郊外の家に帰って寝るだけでその町に税金を払うという、全く矛盾もひどい状態が続いておるのでございます。中央政府は、大都市から吸い上げた財源を、地方交付税その他の形で後進的な地域に厚く配分する制度となっており、日本は世界の主要国の中でも、中央政府の財源と地方政府の財源とがほぼ同じくらいの大きさであるという点で、地方への還流がきわめて多い国の一つなのでありますが、後進地域は貧困の悪循環を持っており、中央政府からもらった財源を産業開発には使わず、後進地域ほど地方財政支出の中で教育費の占める比率が高くなる傾向があるのでございまして、教育された人間の雇用機会が少なく、意欲あり、能力ある若者ほど地方に失望し、先進地域への脱出をはかるのであります。大都市では、公共部門において政府の財源還流率が少なく、これに対して民間部門においては、人口流入と資金流入とが非常に大きいので、公共施設の供給力のおくれと民間の公共サービスヘの需要の大きな伸びなどが、経済原理的には需要と供給のアンバランスに悩まなければならなくなっております。後進地域では、さきにも述べたごとく、公共部門において財源還流率は多く、学校施設、社会資本や教育費においては格差を縮小しましたが、しかし公共部門の伸びに比べて民間部門の伸びが弱いため、このアンバランスから人材や基幹労働力の大流出が起こり、主体的要因での格差は解消されずに、むしろ拡大していく傾向にあるのでございます。政府、国会関係には、政府与党内に大都市出身の議員が非常に少ないということもあって、間違った議論が幅をきかしております。それはどういうことかと申しますと、過密都市への公共投資を拡大するよりはむしろ抑制して、その余力の分を後進地域の公共投資へ回せば、後進地域の格差も縮小し、その上後進地域で人口と産業が吸収できるようになるから、大都市の過密も少なくなり、一石二鳥であるという間違った通説なのであります。後進地域では民間部門の自己革新が、そして大阪市域のような過密地域では、公共部門を民間の力をもかりて飛躍的に増大させることが、いままさに取り組むべき地域開発政策の基本方向であると思うのでございます。ところが現実はいかがでありましょう。衆参両院の地方行政委員会では、4年連続の附帯決議がつき、その具体化が44年度と明示され、また税制調査会の長期答申でも税源強化、特に大都市に対する税制上の措置の必要性が強調されておりながら、第61回国会に提案されている地方税法の改正案によりますと、指定都市要望の法人所得課税の拡充、大都市税制特例の実施、道路目的財源の拡充、特に地方道路譲与税の配分是正という3本の柱のうち、わずかに地方道路譲与税の配分是正がはかられるようになったのみであります。私は、ここで市長にお伺いいたしたいのでございますが、大都市税財政の確立について、成算がありやいなや、また税財政運動の45年度以降に持ち越されたものについての今後の見通しについて承りたいのであります。次に、国においては1兆2,000億にのぼる自然増収が見込まれ、毎年の平均経済成長率10%という世界一の高度経済成長を誇る今日、租税特別措置法を存続させる必要があると思われるかどうか。ちなみに、租税特別措置による大阪市の減収額は、有価証券の譲渡所得の非課税等、貯蓄契励によるもの22億、価格変動準備金等内部留保の充実によるもの2億、合理化機械の特別償却等、技術の振興及び設備の近代化によるもの1億、輸出割り増し償却等、産業の助成によるもの1億、その他社会保険診療報酬の所得計算の特例2億等、合計28億にのぼる減収となっておるのでございます。その他、地方税法の非課税規定等による減収額は、市民税分4億、固定資産税及び都市計画税分10億、電気ガス税8億、合計21億の多額にのぼるのでございます。これらを再検討することを税財政運動に取り入れるお考えはないか。そして最も実現性の多い端的なものとして、諸情勢の中で根本的な税制改正への壁が厚く困難な事情があるならば、この際これを打開する方策であり、制度改正を促す促進剤として、地方税法第669条によって許されている法定外普通税として新税を創設するか、あるいは既存の税について超過課税を行なって、やむにやまれぬ大都市財政の実情を表明する決意はないのか、その辺のところを聞かせてほしいのでございます。新税としては、特に職住乖離の人口動態を反映させて、本市の昼間流入人口激増に伴う財政需要が増大している実態並びに本市市域内における経済活動に伴う受益を勘案して、たとえば通勤者について、個人負担ではなく企業負担による入市者雇用税なり、激増する自動車の市内乗り入れに対する自動車入市税のような新税を設けることを検討してはどうかと思うのですが、いかがでございましょうか。また超過課税としては、国と地方を通じて、税源再配分による法人所得課税の拡充を実現させるために、ます本市独自の条例改正によって行ない得る制限税率までの課税、すなわち超過課税を行なうぐらいの姿勢を示して決意のほどを世間、中央に知らしめてはと思うのですが、これまたいかがなものでございましょうか。すなわち、経済界の理解と協力を得て、法人税割りの税率を現行の8.9%から制限税率の10.7%まで引き上げれば、約30億円近い増収が見込まれると聞き及んでおります。私どもは、決して独占資本の味方ではない。そしてまた、独占資本というものは、現在は存在しない。松下幸之助氏でも現在の持ち株は、たったの16%であると聞いております。われわれの要望を実現し、かつ都市問題の早期解決の財源確保の促進剤的方策として、また中央政府への働きかけについて、経済界の強力な支援を得る手段として、財界にもわれわれの窮状をほんとうに理解していただくために、何とかこの辺で方策をとらなければならないと思うのであります。この点について市長の率直な所信をお聞きしたいと思うのでございます。 次に、広域行政についてお伺いをいたします。東京より大阪のほうが高い数字を示しておりますものには、第1に人口密度がございます。第2には商店当たりの卸売販売高、第3は工場密度、第4は全就業人口中の第2次産業人口の比率、商業機能で強いこと以外はあまり自慢になるものはありません。東京偏重はますますひどくなっているのでございます。そこで、税財政制度を確立しなければならないという急務と表裏一体となって、何がなんでも実現をしなければならない大問題は、市域拡張の問題でございます。これは市長が最初に立候補をなさったときからの大きな公約でもあったわけです。このことは、市長はよもやお忘れではないと思います。市長さんとはけたが違い、小さな存在でしかない私ではありますが、わが大阪市を愛する心はどちらが大きいか。ここへ出せるものなら、ひとつ比べてみたいと思うくらいですが、私にとっても広域行政実現は大きな公約でもあり、一面願いでもあったわけでございます。機会あるごとに一日も早くぜひやっていただきたいと申し上げてまいりました。しかし、もうあれから6年の月日が経過をいたしております。ケネディ大統領は、在職期間わずかに2年10カ月--いなずまの2年10カ月と言われたが、それでもあれ以来、世界の政治のムードは確かに変動いたしました。先日、市長から広域行政に関する職員研修会におけるご講演の冊子をいただいたのですが、あれを読ませていただいているうちに、私は奇異の感にさえうたれた--ふしぎな思いにさえうたれたのであります。それは、新聞、テレビなどお書きになるものすべてに、たいへんな情熱で市域拡張論を主張しておられるのに、市会には何のお働きかけもないどころか、私の再三にわたる、かってやりました質問には、適当な機会がまだ来ない、市会の意思がわからないと、表向きとはまるで違ったご返事しかいただけなかったのでございます。しかし、先ほど市長さんからいただいた冊子の中にある文句から、ある方法をこのことに関して私にとらせる決心をさせるおことばがあったのでございます。それは22ページの最下段から引用しますと、広域行政に関して、「私は5年前から」--昭和43年10月にお書きになっておりますので、いまから6年前ですが、「いろいろな機会に個人的に言っておるわけです。機が熟したならばという人もいるが、機は熟さすべきである。機が熟するのを待っておっては、政治家は無為無策ということになる。地域の問題については、郷愁というものがあって、保守的になりがちであるから、心ある政治家、行政家がただ従来のしきたりにまかすべきでないという先覚者的な努力をしなければ前進はない。」とおっしゃっているのです。私は、このおことばに勇気を得ました。ピストルを持っているのに、だれも引き金に手をかけない、この状態を打破するために、私が引き金を引くという光栄ある役割りをさせていただきたいと思います。それは、この話題が今日以上にあと戻りをしないための歯どめとして、自民党所属議員全員のご賛同を得て、正規の手続により議長に提出し、計画土木委員会に送付していただくため、万国博を機会に吹田市と、また長い間行政協定で放置されている八尾市とも、またその他周辺諸市と合併促進に関する決議案をここに提案をいたしたいと思うのでございます。大阪府はぜひ、阪奈和と言わず、兵庫県も含めるぐらいの大きな規模の拡張をしていただきたいと念願いたしております。それが成功したら、引き続き尼ケ崎、神戸、明石ぐらいまで、大阪市は--気の早い話ではございますか、次の市域拡張の目標にしなければならないと思います。大阪神市を形成するべきで、それでこそ前例のない、未来へ向かって進みつつある日本の知識産業文明時代に対応し、西日本のかなめとしての責務を果たせますし、温帯に長細く横たわる日本列島の地形の上からも、また2大都市としての伝統を守るためにも、また東京が持つ東日本後背地としての北海道、東北、北陸、東海の半分、大阪が持つ西日本後背地としての東海の半分、中国、四国、九州に分けて比較してみても、西日本後背地のほうが高い経済力を示している点から言っても、早くから開けて蓄積の多いことから見ても、当然の成り行きであろうと思われないでしょうか。これこそ東京の副都心に成り下がった大阪の帰死回生の道であり、1横綱1大関時代から再び東西両横綱として、世界の土俵でひとつ人気をさらっていただきたいと思うのでございます。市長もおっしゃっておられるように、府市一体化なんてまことにスケールも小さく、適当ではありません。泉南の山奥や能勢の谷間は大阪である必要はないのです。こんなところで冗談を言っては何ですが、府、市を合わせるなんて、これがほんとうの不しあわせだと思うのであります。周辺の市と合併すること、これがほんとうの大阪市のしあわせである。道一つで他市と区別され、こちらは下水道使用料を市民が払っているのに、向かいの都市は、大阪市の下水道を使用して、住民はただで下水を使っている。生野区、東成区の東部にはそういうところがあるそうです。一貫した道路行政がない。したがって川には橋も満足にかからない。吹田市で行なう万博に、地方自治法上の寄付または補助行為だと言って、30億出しておる。寄付や補助は余裕のある金持ちが行なうべきであって、ぎゅうぎゅう言っている本市が出すのは、まことに筋違いなものであると思います。赤字が初年度20億見込まれるから、万博会場行きの高速鉄道は江坂まで、その先は民間会社がやって、万博後は20億で取りはずすとは、まことにむだな話でございます。吹田が大阪市なら、そのままで行けるだろうと思います。そこに鉄道を引く会社も3キロの間に駅もつくらない。それは中国縦断道路の上に駅をつくっている。どうしても取りはずさなければならないような段取りにしている。万国博が済んだら、ほかの線に損失がいかないように20億で取りはずす。最初の年に20億の赤字が出る--どうしてこういう計算が成り立つのか、その点ふしぎでならないのでございます。し尿くみ取り料も大阪市は50円、他都市はその倍、下水道使用料は今回上げても一番安いし、水道も府下では本市の倍になっている。1ダースなら安くなるというのは、昔から言われているあたりまえのことでございます。広域行政で防げるロスは、枚挙にいとまがないのでございます。自由民主党幹事長の田中角栄氏は、東京--大阪550キロを3時間で結ぶ時代に新しい廃藩置県を考えてはどうかということでございます。現在の都道府県は100年前の行政区画である、加えて都道府県の財政支出の50%は人件費である、いわば一種の中間搾取団体であるともいえる都道府県区画は必要なものだろうか、木を見て森を見ずということばがある、私たちは何とかして森を見る能力と知恵を持ちたいものである--これは昨年2月の「文芸春秋」に、日本列島改造の青写真の中で述べておられるのでございます。市域拡張論に対し、ご異論のある方もおられるかもしれませんが、いささかの勇み足は、青年に与えられた特権としてお許しのほどをお願いし、大きな見地からの決意のご披瀝あるものと、ご答弁を大いにご期待申し上げる次第でございます。 引き続きまして、水道関係についてご質問申し上げたいと思います。本年度の市長の予算説明の中で気になる数字があるのでございます。それは水道局に関する件で、44年度18億6,000万円の赤字予算を計上していることです。ずばり、値上げはあるのかということでございます。大阪出身の原田運輪大臣と菅野経企庁長官との私鉄運賃値上げ問題にも見られるように、政府は物価対策として公共料金抑制措置に徹しているようであるのでございますが、これに対する本市の態度、また将来の見通しをお伺いいたしたいのでございます。水道事業財政は、40年度の料金改定以来、一時的には改善されましたが、その後の利益の推移を見ますと、40年度7億2,700万円、41年度3億500万円、42年度1億9,500万円というように減少し、わずか3年しかもたずに、また43年度現在予算においては6億2,500万、44年度では、さきに述べた18億6,000万の赤字の見込みとなっておるのでございます。流域の下水道、その他いろいろな災いが、淀川の汚染をきたしたものと存ずるのでございますが、このことに関して、そのよって来たる原因と今後の見通しについて、ご見解を承りたいと思います。またここで、特に自民党議員団として、去る2月15日、浪速区日本橋において水道管敷設工事に伴い、ガス中毒死事故を惹起した件に関しまして、中毒死をされました一家4人の方々には、私は党を代表して心からご冥福をお祈りいたしたいと思います。8人の、中毒患者となられた方々には、一日も早くご回復をあそばされるよう願いながら、今後は水道局が強力に指導するとともに、かかる事故が再発しないよう、業者の指導監督には十分意を用いられ、当該工事は水道局発注による請け負い工事であり、請け負い業者の重大なる不注意によることは、歴然たるものでありますので、被害者に対する補償については、業者が誠意をもって行なうように強く要望をいたすものでございます。 引き続きまして、幼稚園関係についてご質問申し上げたいと存じます。市民の幼児教育問題に関して、いささかお尋ねをしてみたいと存じますが、近年、幼稚園教育の重要性が認識され、急激に就園率が上昇してまいりました。全国平均では47%でありましたが、本市では、文部省が7カ年計画で目標にしている63.5%を大きく上回る77%を示しているのでございます。現在、私の知るところでは、5万の子供たちが幼稚園教育を受けておるのであります。これに対する施設としては、大阪市立幼稚園約60園、私立幼稚園約160園、計220園で幼い市民の教育が行なわれておるのでございます。三つ子の魂百までとか、スズメ百まで踊り忘れずとが、わが国にも幼児教育の重要性を物語たることわざが幾つも存在をしておるのでございます。これは世界的な傾向で、諸外国においても注目されるところとなってまいりました。早期教育に目ざめた若い世帯層の積極的な考え方もあり、義務制の小、中学校は別として、高校への進学率より幼稚園の就園率が上回っておることは、その重要性を何よりも如実に示しておるものと思われます。しかし、公立、私立の格差は、いろいろな形で存在しておるようで、早々と漢字まで教える私立の幼稚園もあります。それが教育心理学的に見て、最近では性善、性悪説は通用しなくなって、人間は白紙であるという白紙説が、教育心理学上の通説になっておると聞いております。白紙状態にある幼児に対して、いいことなのか悪いことなのか、公立に比べて3倍近い私立の幼稚園が厳然と存在することのほかに、そののちに、本市の責任において義務教育が行なわれるという前提をつくり上げる過程としても、あながち放置することはできないと思うのでございます。私立幼稚園存在の意義をどのように認識しているのか。幼児教育全般に関して、基礎的にどう考えておられるのか。独立園を1園つくると1億円と言われます。併設幼稚園は2,500万円と言われるのですが、ともかく幼児教育の大半の責任を50年にわたって持ってもらっている幼稚園経営者は、公私立の適正配置に関しても、でき得る限り長期の見通しが立てられるよう、教育内容と経営方針に対して適切な指導と助言がなされてしかるべきではないかと思う。そういう目的のために、公私立幼稚園の連絡機関を設置するお考えはないのか。ことに公立幼稚園と私立幼稚園の間には、特に教育費の格差が著しく、公立幼稚園の偏在という、市民の期せざる原因により、私立幼稚園に通園させている父兄の中には、市民として公立幼稚園創設、維持管理費の全部を負担をしながら、その恩恵には浴すことができず、全く別途に自費による幼児教育を行なわしめ、その負担において他人の子弟を低廉な費用で教育を施していることとなる。これでは税の不平等な負担であり、市民としての平等な権利を享受できないことになっているのであります。公立は年8,000円、私立は年3万6,000円--公私の格差を是正するため、義務教育に応じた父兄負担の軽減をなす助成方法として、44年度は600万の予算ができておるようでございますが、この過程を通じてご抱負を承りたいと思うのでございます。 次に、幼稚園を卒業いたしまして小学校へ参るのでございますが、教育問題に関して、先生たちのデモでの発言も、また全学共闘の急進分子の発言も、総評、地評のオルグたちの、いわば職業革命者たちの発言も非常に共通したことを言い合わしているが、このことをまず考えていかなければならないと思います。さらに大切なことは、日教組に対する攻撃だけでなく、教育の正常化を考えるにあたって、私どもは自己批判をしなければならない。政府並びに自治体の文部行政内部に巣くう官僚主義や、およそ教育を扱うにはふさわしくない軽薄な事なかれ主義について大切な関心が薄らいでしまっていると思うのであります。さらにまた、現実に子供たちが今日受けている教育が、およそ世界に類例を見ない、いかにいいかげんなものであるかについての注目が怠られるようなことになっておるのでございます。このほうが、はるかに大きな問題であると思うのでございまして、こうして私どもが議論をしている間にも、子供たちはどんどん成長しているのでございます。今日の子供たちが受けている教育では、国家観念や家庭生活の秩序の尊重が欠けている。そして子供たちに与えられている心のよりどころとしては、社会ということばがこれにかえられている。家庭も社会であり、学校のクラスも社会であり、町も村も府も市も国家も、世界すらも社会であるわけです。このような種々雑多な社会を、子供たちの未熟な頭の中にばく然と秩序なく詰め込むことは、かえって社会人としての素養と品格をつくりにくくしておるのであります。それは、かえって子供たちにとっては残酷な仕打ちであり、統一した意思と精神をおのずから養わせる道とはならないのでございます。それゆえに、一部の子供たちは社会を斜めに見て、社会をよくするには社会の仕組みを変えなければならないという考え方に引きずられていきやすい。やがては空虚な社会革命に情熱を燃やす方向に向かい、そして他方、大学紛争の中の一般学生の無為無策に見られるごとく、その他の者たちは、このむずかしい社会を突きつけられて、これを把握し得ないでいる子供のほうが最近は多くなっていることも争えない傾向であると思うのでございます。思うとおりにいかないのは、自分の周囲の社会が悪いからで、それで自分が悪くなると自分自身に言いきかせているようでございます。このように、社会ということばを判断のよりどころとして教えるためには、社会の中で、その子供たち自身が生活を送っている具体的な社会における生き方を教えていくことが肝要で、そうした意味で、家庭生活における生活のあり方、国家観念の正しい植えつけ方は、子供の判断を健全に成長させていくために、欠くことのできない要素であると思うのでございます。その意味で、3月ほど前に、国家観念を神話を通じて教えたいという文部省の小林調査官の通達に対しまして、本市の教育長は、それに批判的であるような言辞を弄しておられるような一節が新聞紙上にありました。私は、これは誤解であると思います。このことに関する教育長の弁明もお聞きしたい。また神話がなぜ悪いのか。考えてみますと、キリスト様が処女の胎内より生まれたという、現在の科学では信じられない事実をもとにして世界は回っているのでございます。また、お釈迦様が摩耶夫人のわきの下から生まれた。東洋は、今日までこの思想で回ってきました。歴史のないアメリカは、宇宙へ打ち上げるロケットに、ギリシャ神話のアポロという名前を使っております。私どもは、敗北主義を通して自分の国に自信を持たせないでおこうとする連中の口車に軽々と乗らないようにしなければならない。私どもが気がついたときには、この議場には、一つの党の議員しかすわっていない状態ができるのではないか。教育思想に関しましては、自由主義の国であろうが、共産主義の国であろうが、何の変わりもないことでございまして、終戦後の日本だけが突拍子もない教育を押しつけられているまでのことなのです。ちなみに、ソ連や中共の小学生がどのような教育を受けているかと申しますと、ソビエト連邦の生徒守則では、まず冒頭に、「すべての生徒は次のごとき義務がある」として、「教養のある文化的な市民となり、かつソビエトの祖国にできる限りの利益をもたらすために、忍耐強く、根気強く知識を身につけること」となっているのでございます。自分の国にでき得る限り利益をもたらすためとは、祖国愛を高く持つことを義務づけているのであり、中共が1955年2月につくった生徒守則の冒頭にも、祖国のため、人民のためというお定まりのことばがあるのでございます。これでもわかりますように生成の過程にある児童に正しく国家観念を植えつけることは、自由、共産、いずれの国においても共通するところであり、かりそめにも国歌を教えない小学校とか、国旗尊敬の気風を養わない学校とか、国の代表を敬愛する観念を避けようとする学校などというものは、世界じゅうに、日本をおいては見出すことができないのでございます。子供が人品の高い人となるのに必要なことは、やはり教えであり--「教育」という字は、「教学」と「徳育」の2字をとっておりますが、教えは、先に生まれた人々の、ことに慈愛の中に育てられた親に対する態度に出発することは、古今東西何の変わりもないはずであります。法秩序の大切なことを説く為政者、それにさからう先生、これを見ている子供たちは、法秩序と国家秩序についての正しい観念が、十分には教えられていないので、先生たちの子供の前で行なわれている闘争が、子供たちに一体どのように映っているでありましょうか。考えるだけでもそらおそろしいことなのでございます。終戦直後の占領政策の申し子である新教育は、美辞麗句による表向きの看板は幾ら並べ立てられていても、要は人間形成の過程を破壊するために置かれたものにすぎなかったのでございます。占領軍が去ったあとの文部行政責任者は、なすべき大きなつとめを怠っておったのです。抽象的な教育基本法それ自体は、決して間違っているとは思っておりません。具体的に指示すべき法律が極端に抽象的であるということは、逆に抽象的なきれいな表看板を掲げておきさえすれば、その内容や中身は何を持ってきても通用してしまうという大きな欠点があることに気がつかなかったのです。新教育によって何らか美しいものが生まれるであううという錯覚と安逸をむさぼってしまっていたから、ここに大学問題に至るまでの大きな問題が生まれてまいったのでございます。自由主義国も共産主義国も、行政権の秩序ある確立--治安の維持と国防をもって国家の存立の基本となっているのでございます。新教育では、個人の自主、自由が高らかにうたわれているのをよいことにして、教育には国家権力の介入があってはならないという思想を発展させ、教育の自主性と教育行政の確立とは相いれないという考え方で一般の錯覚を呼び起こして煙幕を張り、その中でまんまと革命教育を実行しているのが現状でございます。国民は、選挙で多数者が可とする政党に、税金の使途をゆだねているのであり、その税金を使うにあたって、政府が末端にまで行政秩序を整えることは、当然の義務であると考えられるのでございます。占領軍撤退後、政府が怠慢を重ねていた間に、日本の教育界は占領時代よりもさらに無政府状態に突き進み、日教組がこの間隙を突いて急速に教員たちの関心を集めてしまい、文部省よりも政府よりも、日教組をこそ頼りにしていくべきだという観念を植えつけさせてしまったのでございます。今日の日教組の組合員は五十四、五万人と言われている。そして、もともと労働組合を結成する資格を持たない教師たちが、地方公務員法によってつくることを得た教職員団体を日教組と呼び、みずから労働組合だと名乗り出してしまった。総評という労働組合の連合体に加盟してしまっているのは、労働組合としてであるそうでありますが、このこと自体全くおかしな法律違反であり、これに目をつぶって長く傍観してきた政府の落ち度も、この際に反省されなくてはならない。昭和26年に起草され、昭和27年、日教組新潟大会で決定された有名な教師の倫理綱領は、日教組の憲法であり、一切の行動基準であり、戦後の教育勅語であります。この倫理綱領は、前書きのあとに1から10までの項目に分け、その第1は、「教師は日本社会の課題にこたえて青少年とともに生きる」という表題に、次のような説明文がついているのであります。「平和の擁護、民族の独立、搾取と貧乏と失業のない社会の実現は、われわれに課せられた歴史的課題であり、民主主義を信ずるわれわれの不動の念願である。青少年は、各人の個性に応じて、この課題の解決のための有能な働き手となるように育成されなければならない。日本の青少年が自由と幸福をかちとる道はこれ以外にはない。教師は青少年とともに生活し、この必要にこたえるための学習を組織し、指導する。教師はみずから深い反省に立って勉学し、努力する。」と書かれてあります。これは大したことはないのでございますが、この倫理綱領は、約3,500字ぐらいにまとめられているが、この解説書が別にあるんです。「解説、教師の倫理綱領」というのが出されております。このほうは2万8,000字で、原本の9倍。綱領の読み方、ことばの意味のとらえ方などが懇切丁寧に書いてある。別に、「新しく教師となった人々に」というのも出ているのでございます。それらによって、先ほどの文章を翻訳をしてみます。「ソ連、中共のごとき平和勢力の擁護、資本主義からの民族の独立、階級闘争の立場に立つ社会主義社会の実現は、われわれに課せられた唯物史観による歴史の必然性--資本主義社会が爛熟して、やがて社会主義社会、共産主義社会となるという、その必然性であり、民主主義を信ずるわれわれの不動の念願である。青少年は、各人の個性に応じて、階級闘争の立場に立つ、社会主義の実現の課題の解決のための有能な働き手となるように育成されなければならない。日本の青少年が自由と幸福をかちとる道は、階級闘争の立場に立つ社会主義社会の実現以外にはない。教師は、このような意味で育成されなければならない青少年とともに生活し、階級闘争の立場に立つ社会主義実現の必要にこたえるための学習を組織し、指導する。教師は階級闘争の立場に立つ社会主義社会実現のために、正しく青少年を育成しているかいなかについて、深い反省に立って勉学し、努力する。」この大胆さは、教育の場での中立もなければ、児童が平等の立場で学問の自由を享受する余地もない。まして教育の自主性は完全に影をひそめてしまっているのでございます。倫理綱領については、まだあとにたくさん持っておりますが、時間もわずかしかないようでございますので、あとは省略いたします。 本市の教育について、先ほど申しましたように、国家観念に立つ教育をはばむということは、どういうことか。これについて、私は、教員の態度というもの、また今回のPTAの負担の軽減の問題に関しても、いろいろの問題がその中に内在をしていると思います。たとえば、先生に対する感謝金は、先生に対する報謝として、PTA協議会が正面切って感謝金として取り上げなければならないのかどうか。先生方の中には--ここに持っておりますが、学校図書館利用指導手引きというものを持って努力をしておられる方がございます。 あとは個条的に申し上げますが、一方通行問題というものが、この自動車の激増に対して起こってまいっております。松屋町筋あたりは、一方通行に非常な反対をいたしておりますが、これに対しまして市長は、本市の太閤秀吉以来の商人を守るという精神に立って、どういうことを考えておられるのか。3,600億円という巨費を投じて築港・深江線をつくるのも、まさか一方通行で事をおさめる安易な考え方からではなかったか。心斎橋の商店街の通りが、左側通行や右側通行に決してならないのと同じでございます。そういう考え方から、今回の一方通行の問題に関して、市長の所見を伺いたいと思うのでございます。 また大学問題は、昨年、私どもの思惑とは全く違う、誤解を生む結果になってしまいました。私が質問をいたしましてから5日たった後に新聞に取り上げられて、とんでもない方向にはめられていったのでございます。そのことに関しては、時間がございません。 また、万国博関係の準備状況その他に関しまして、市長のご答弁をお願いいたしたい。たとえて申しますならば、衛生局にお伺いいたしたいのは、万国博の医療体制でございます。外国人が100万人来ると言われておりますが、この外国人がもし病気になった場合--市会からも外国に旅行されて病気になられた方々のご経験を伺いましても、ことばがわからないということは、ご本人の苦痛を倍加するということであります。100万人来る外国人に対する医療問題について、私は市長にもお伺いをいたしたい。 そして本市は消防不能地域も多くあると聞いております。そういう場所に対しては、国会で都市再開発法ができまして、3分の2の賛成があれば市街地改造に踏み切ることができるのでありますが、そういうように、民間の力に頼るという一つの意味からも、これをいかに指導していくかということをお伺いいたしたいと思うのでございます。 また市長は、大阪に見るべきものがないということを嘆いておられるのでございますが、私は、大阪城の中に西洋風の城があることさえおかしいと思うのであります。大阪城を完全な形に復元をするのは、ピラミッドの工事よりも規模が大きいと言われております。大阪の開発を最初に手がけられた石山本願寺が大阪城の始まりだそうでございますが、その次に発展をさせました太閤秀吉の銅像ぐらいを大阪城前に建ててはどうか。 最初の問題に力が入り過ぎましたので、あとが個条的になりまして申しわけがないのでございますが、新大阪駅に東大阪の住民を結びつけるための城東貨物線の複線電化の問題はどうなっておるのか。そしてまた、西日本の住民を新大阪駅に結びつけるためには、5号線の支線をつくって、そして淀川北岸線を通じ、今度大阪駅裏側に変わります阪急の路線敷のあきましたところに、それを敷設してはいかがか。外環状の意味にもなるかと存じます。 以上、粗雑でございますが、本市の市政に関しまして、質問を試みた次第でございます。すべて税財政が基本になっておると存ずるのでございますが、何とぞ適切な、また大きな希望の持てるご答弁をお願いいたしたいと存じます。ご清聴ありがとうございました。(拍手) ◆34番(隅野源治郎君) 動議を提出いたします。この際昼食のため暫時休憩せられんことを望みます。 ○議長(黒田廣一君) 34番議員の動議にご異議ありませんか。    (「異議なし」と呼ぶ者あり) ○議長(黒田廣一君) ご異議なしと認めます。よって動議のとおり決しました。 暫時休憩いたします。   午後0時8分休憩   午後1時9分再開 ○議長(黒田廣一君) これより休憩前に引き続き会議を開きます。 先ほどの中山君の質疑に対する理事者の答弁を許します。 中馬市長。 ◎市長(中馬馨君) 中山議員のご質問にお答えいたしたいと思います。 第1番目に、今日の都市行政上最も重大な問題である税財政の問題についてのご質問があったのであります。    (議長退席、副議長着席) ◎市長(中馬馨君) (続)ご承知のとおり、終戦以来の地方財政というものは、非常に苦しい状態にあります。なかんずく、府県との対比においても、市町村の財政が漸次悪化して、今日に至っておるのでありまして、大都市財政というものが、非常な陥没状態にあることについては、市会の皆さんとともに過去6年にわたって、中央にも訴えてまいったのであります。幸いにして、中央あるいは学界等の認識もかなり深まってまいりまして、先ほど中山議員ご自身がご指摘になりましたように、国会においても衆議院、参議院は4年間にわたって、繰り返して大都市財政拡充の必要を、附帯決議を付してもらっておるようなわけであります。また、税制調査会も3回にわたって大都市財政の拡充の必要を答申をしておるのであります。また、それにもかかわらず遅々たるものではないかというような意味のご質問もあったのであります。その点、税制というような問題は、関連するところが非常に複雑でありますので、私どもが意図するように、短時日にこれを実現することができないのが今日の実情であります。しかし、振り返ってみますと、この数年間にも固定資産税の負担調整の処置がとられることによりまして、その処置が全然なかった状態と比較すると、約50億円の増収をもたらしておると言えると思うのであります。また軽油引取税の配分是正が行なわれまして、これも道路目的財源としてかなりの増収をもたらしております。道路目的財源といたしましては、石油ガス税があり、昨年、自動車取得税が新たに創設されるというようなことで、昨年との対比においても約30億円の増収を得て、そういう意味においては今年度の予算を幾らか編成しやすくしてくれたというような状態であるのであります。しかし、大都市の税財政の根本的改正は、皆さんとともに私どもが具体的に税目を上げて主張いたしておりますように、何としても法人税割りの配分というようなものが行なわれなければ、ほんとうに都市の性格に応じた税財政の確立はできないのであります。申し上げるまでもなく、都市--特に大都市は、法人の町であります。ことに大阪は東京と並んでわが国の巨大な中枢都市として非常に大きな管理機能を持っておるのでありまして、ここには大会社の法人が無数に存在をしているのでありますが、そうした法人からの税収というものがあることによって、ほんとうに産業の基盤を整えることもできるわけであります。法人税割りの配分がえについての対策というものも、今後といえども主張していかなければならないと思うのであります。 それから先ほど具体的にご指摘になりました租税特別措置の存続について、その必要ありと認めるかというような質問もありましたが、これはご承知のとおり、これまた、少額貯蓄とか、あるいは住宅の減免とかいうような国民大衆の負担の軽減をはかったものもあります。しかし、さようなもの以外に、産業政策等による特別措置というものは、これは国家の政策として行なわれるものであって、地方団体に及ぶべきでないということを、絶えず中央に向かって要望をいたしておることは、ご承知のとおりであります。考え方としては、今後も一貫してさような考え方を主張し続けたいと思うものであります。 それから税制改正がなかなか実現しないとするならば、むしろ積極的に法人税等の超過課税をすることによって政府にも刺激を与え、そして税制改正を促すことがいいじゃないかというような意味のご質問もあったのであります。これは一応考えられる問題であるのであります。しかし、実は私どもは、現在の税制の配分は非常に不公平であると思うのであります。府県においては--具体的な例を申しますと、大阪府においては、昭和43年度に150億円の超過財源があるが、大阪市においては43億円の財源不足があるということを、政府みずからが数字を発表しておるようなさなかにあって、その配分が適正でないままにしておいて、新たに市内の法人に重い追加課税をするということは、いかにも不合理でありますので、税制の適正化をはかって、しかる上でさらに積極的に都市行政を行なうための超過課税をするということは考えられるが、現状のままで超過課税をすることは適当でないと考えておるようなわけであります。その上に、大阪は何といっても中小企業の町でありますから、法人としても、中小の法人が非常に多いのであります。大阪に限ってそれらの法人に重い課税がなされるということは、市民に対する課税という点からも避けていきたい、そして何としても政府に向かって税制の改正を、今後も迫っていかなければならないと思うのであります。 さらに、受益者負担の考え方を将来入れるべきではないかというご質問であったかと思うのでありますが、受益者負担の過去の例では、これもご承知のとおり、御堂筋の地下鉄をつくります際には、かなり大幅な受益者負担金をとったのであります。また、下水道につきましても、戦前においては受益者負担金をとっておったのでありますが、今日の大阪の市民生活の実情からいたしますと、非常に困難な事情にあるのであります。地主、借地人、借家人といったものが複雑にからんでおりまして、今日の状態では、実際上適用することは困難であるという考え方に立って、下水道に対する受益者負担金等も控えておるようなわけであります。しかし、今後も法律の改正等を通じてならば、公平なる負担という立場から受益者負担金の制度を検討もし、実施に向かって努力もいたすべきものだと思っておるようなわけであります。 さらに中山議員は、入市税、あるいは入車税というようなものを取って、都市の財政を充実するということも考えられるのではないかとご質問になりました。大阪にはご承知のとおり、日々90万をこえる流入人口があるのでありますが、それは先ほどのお話のように、大阪市内で大きな所得をあげながら、大阪には納税をしていないのでありますから、これらの人たちにどのようにして市の負担をなさしめることができるか、これは日本の場合だけではなくて、外国の大都市においても起こっておる問題でありまして、アメリカのフィラデルフィアでは入市税的なものを取っておる例があるのであります。私どもの姉妹都市のサンフランシスコも入市税的な税について、いま審議中であるようであります。しかし、わが国の憲法のもとにおいては、この入市税というものは不可能であろうというようなことを、われわれ今日まで検討の結果申しておるようなわけであります。しかし、入市税につきましては、建設省が市内への自動車の乗り入れをチェックするような意味において、試案を発表いたしてもおるようなわけでありますが、これらの問題は、将来の都市行政の運営上の問題として研究をし、検討を加えていってしかるべきではないかと思う次第であります。 次に、広域行政の問題についてご質問があったのであります。交通が非常な発達をいたしまして、従来の市町村の単位はあまりにも狭過ぎるというようなことで、市町村合併促進法が十数年前から実施されましたので、1万余りありました市町村は3,000余り--3分の1に減ってまいっておるのであります。さらに政党関係等では、第2次の市町村合併促進法を提出すべきだというような論議もなされておるわけでありまして、市町村の区域というものは、だんだん大きくなりつつあります。第1次の合併促進法の結果といたしましても、全国の都市は非常に広域な都市になります。奈良や和歌山すらも、大阪市の203平方キロよりも広い状態であります。大阪市が東京に次いで日本第2の巨大な都市でありながら、その市域の面積は、たしか156番目であったと思うのであります。まことに不自然な市域にとどまっておるのが大阪だと言わなければならないのであります。しかし、大阪の問題は、単に広域行政というような問題以前の問題だと思うのであります。広域行政ということばは、一つの中核都市があって、その周辺に向かってメトロポリタンエリアとして有機的に連絡を持った都市圈をいかに行政するかという点にあるのでありますが、大阪の場合は、すでに社会経済的に完全な一つの単位の家屋連檐の都市でありながら、それが幾つかの行政に分かれてばらばらの行政が行なわれておるのであります。都市行政に最も必要なものは、統一性と計画性であると言われておるのでありますが、統一性もなく、計画性もないばらばらの行政が行なわれておるのが現状でありまして、これは将来に非常な悔いを残すものだと心配をいたしておるのであります。しかし、このような自治体の合併--市域の拡張というようなものは、相手のあることでありますから、短兵急にこれを実現することはむずかしいのでありまして、毎年繰り返しておりますように、世論が漸次熟することによって、実現の時が近ずいてくると考えなければならないのであります。先ほどわざわざお読み上げになりましたように、機が熟すればということばは、無為無策のことばだと常に言っておるのでありまして、私どもは常に機を熟せしめる努力をしなければならないと思うのであります。私は、個人的にはいろいろな機会に、大阪の将来としては地域の拡張をし、さらに阪奈和合併、あるいは遠い将来としては府県の廃止というような方向に進むべきであるということを世論にも訴えておるようなわけであります。今後も皆さんとともにそうした問題を検討しながら、また世論にも訴えながら、合理的な市域拡張、能率の高い、そして健康な町づくりに向かって進めていきたいと思う次第であります。その中で、八尾、吹田等の合併は、もうすぐにでも急いだらどうかという問題がありました。これもまた、私ども大阪市としては、先方の周辺都市の意思によっては受け入れるという態勢を整えながらも、相手のあることでありますので、市民を代表する市長の立場、またそれぞれの都市の世論というようなものを考えて、今後に処していかなければならないと思うのであります。非常にデリケートな問題でありますから、今後皆さんとともにさらに研究を続けながら、遠い将来の大阪の姿を頭に描いて行政を推進していく考えでおります。 第3番目に水道の問題についてご質問がありました。水道は、大阪は第8次の拡張事業を43年度で完了いたしまして、市民には十分な水を供給し得ておるのであります。しかし、水需要の増加傾向に対しては、これもまたあらかじめ備えなければならないということで、44年度から第9次の拡張事業に着手することにいたしました。こうして新たな投資を繰り返していきますと、元利償還等にばく大な経費を要することになるのでありまして、そうしたものに対しては、どうしても市民の協力を得ながら健全な運営をしていかなければなりません。もちろん政府に向かっても、低利債の発行であるとか、あるいは償還期限の延長ということも求めながら、一方では市民の協力も求めなければならないと思うのであります。しかし、物価問題も非常にやかましい際でもありますので、市民生活に及ぼす影響等を考えて、いつの時期にどうやるかという問題は、よほど慎重でなければならないと思うわけであります。ただ幸いに、大阪の水道料金は、これまた先ほど周辺都市との比較において中山議員が述べられましたように、この周辺の都市の半分であります。大阪が130円であるのに対して、ほかの都市は大部分が200円から400円ぐらいの料金であるのであります。十分なる水を供給するためには、市民の方々にもある程度の協力はお願いすることができるのではないかと思っておるような次第であります。 学校の問題については、教育委員会からお答えするのが適当であろうと思うのであります。 次に、一方通行の問題についてもお尋ねがあったのでありますが、これはご承知のとおり、昨年の11月29日に大阪府の交通安全対策審議会において、一方通行の問題が諮問されたのであります。ですから、いまその審議会において、審議の過程にあるのでありまして、ここでいろいろと研究をしてもらうのは、非常にけっこうなことだと思うのであります。私どもも、大阪市内が非常に交通が混雑をして、交通麻痺を起こすような状態でありますから、ほんとうに有効な手段であるならば、これを受け入れるのにやぶさかではないのであります。しかし、道路管理者としての大阪の立場、また基礎的な地方団体として市民生活の全面に責任を負わなければならない大阪市の立場としては、産業に及ぼす影響、市民生活に及ぼす影響等をも十分に検討をしながら、この問題には取り組んでいかなければならないかと思うのであります。審議会とも、また皆さんとも連絡を密にしながら対処していきたいと考えておるわけであります。これは審議過程にあるわけでありますが、2月8日に5者会談--相協力して大阪の交通問題に当たろうではないかという5者会談が開かれて、それぞれの行政団体としても、この問題に取り組むことになったわけであります。大阪市としてもこれがいかようにあるべきかという結論を出すことについて、皆さんとともに真剣な研究をいたさなければならぬと考えております。 それから次に万国博の準備状況等についてお尋ねがあったのでありますが、万国博の準備は順調に進んでおりますとお答えできると思うのであります。大体ご承知のところでありますけれども、お尋ねがありましたから、今日の状態をご報告いたしますと、参加国が63カ国になりました。香港を含んで63カ国でありますが、今後の動向といたしましては、3月中にもう4カ国ぐらい参加をしてくれるであろうと思うのであります。さらに増加いたしまして、大体70カ国と見込めるのではないかと思っております。参加国の起工式も、現在は51館行ないまして、会場建設は着々と進められておるのであります。当初おくれがちだと心配されました点も、この分ならば十分会期に間に合うというふうに考えておるような次第であります。 それから万国博事業は、これまた皆さんはご承知くださっておりますように、昨今あたりの概数で言いますと、大阪市が担当するものは約2,000億、大阪府が担当するものが850億程度であります。われわれがなさなければならない万国博関連事業は、まことに多いのでありますが、築港・深江線、御堂筋線、あるいは地下鉄、高速道路というようなものも、大体計画どおり進んでおりますから、万国博時には、いろいろなものがすべて完成をして、万国博を迎えることができる見通しであります。 市民運動については、先般も、大阪はまだ何といっても、東京や名古屋に比べると、どことなくほこりっぽいじゃないかと指摘をした人があります。私どもの町は、産業活動の活発な工業都市でありますから、トラック等も多くて、よほど努力をしなければ、こざっぱりとした感じを出すことはむずかしいのでありますが、昨年来の非常に熱心な市民の方々のご努力によって町はかなりきれいにもなってまいりました。これからの1年間は、ほんとうの活動期に入るものと思うのでありますが、松原委員長をはじめ委員の方々も非常に積極的な活動をされておるのであります。感謝をいたしておるような次第であります。 それから万国博の中で特に外人に対する医療対策が手ぬるいのではないかというご質問がありました。これには十分注意をいたしておりまして、会場内の救護施設といたしまして、診療所3カ所、応急手当て所6カ所を設けることにいたしております。そして、そこで応急処置をしまして、病院に収容をする必要のある外国人の患者等は、大阪市内では淀川キリスト教病院、神戸市内では神戸回生病院、京都市内では日本パプティスト病院というように、病院もきめておるようなわけでありまして、さような点も準備を進めております。 それから大阪には、たくさんの外人を迎えても見せる場所も非常に少ないのでありますが、大阪城こそ、大阪が観光資源として非常に重要なものとしておるのでありまして、この城内の整備のことについてもお話がありました。はっきり聞き取れませんでしたが、あの洋式ビルが不調和だという意味もあったのかと思いますが、これなども遠い将来には撤去すべき性質のものだと思っております。やはり日本様式の建物であるべきだと思うのでありまして、不調和を感じておるわけであります。一方では、射撃場を撤去いたしまして、あそこを公園にいたしますから、大阪城がほんとうに中央公園らしい姿になってまいるわけでありまして、これはご同慶にたえない次第であります。あそこに太閤さんの銅像などをつくったらどうかというようなお話でありましたが、これは太閤さんでなくても、大阪の歴史を伝える銅像、あるいは大阪の町に潤いを与えるすぐれた芸術的な価値のある彫刻というようなものを、漸次町に配すべきだということを皆さんとともに前から申し上げておるわけであります。靭公園に野村家から寄付された銅像が一つふえました。また近く大阪城にも一つ、民間の銀行からりっぱな彫刻が寄付されて、配されることになりました。そういうことで城内にも潤いのある、また歴史をしのぶことのできるような施設をだんだん考えていかなければならないかと思うのであります。 それから城東貨物線のことについてお尋ねがありました。これも、国鉄外環状線につきましては、44年1月東大阪市高井田付近、約2キロにわたって高架工事を着手いたしました。築港・深江線との立体交差の必要もありまして、2キロにわたって高架工事を着手いたしたのであります。このようにしてだんだん環状線の電化という方向に向かっておるわけでありまして、原田運輸大臣にも促進連盟に対しても、去る2月5日に強く、私ども関係市長が打ちそろって陳情もいたしたような次第であります。国鉄といたしましては非常に財政が苦しい中で、10カ年計画を立てようといたしておるのでありますが、10カ年計画の中にぜひ入れて完成をしてもらうように陳情を続けておるわけでありまして、これは、そういう10カ年計画の中に入れてもらえるものと思っておるようなわけであります。 それから最後に、阪急電車のあと地等を利用した交通機関のことについてお尋ねであったかと思うであります。この地下鉄等の交通機関につきましては、万博までに67キロを完成いたしますが、万博後の交通機関はいかにあるべきか、地下鉄の建設をどうすべきかということは、ことしから真剣に将来計画を練らなければならぬと考えておるのであります。地下鉄のことにつきましては、ご承知のとおり昨年の暮れからこの正月にかけて、政府予算編成過程で、元利償還の3分の2は国において負担してもらいたいということを強く要請をいたしまして、皆さん方にも非常に活躍をしていただきました。大阪選出の国会議員の人たちにも非常に努力をしていただき、6大都市のすべての国会議員にも立ち上がってもらったのであります。そうした結果、都市問題の最も重大な問題である都市交通は、結局は地下鉄による以外にない、その地下鉄の経営を健全化しなければ都市問題は解決しないのだというようなことで、政府もこれに動かされて、大蔵大臣、自治大臣、運輸大臣3人連名の、45年度において実現につとめるという覚え書きがなされたようなわけであります。こうしてもし3分の2に近い補助が実現いたしますれば、今後の地下鉄建設計画は、また新たな基盤の上に立って積極化することができるわけであります。しかし、そうした大幅な補助がなければ、今後地下鉄の経営は中心部においてすらもたいへんな赤字が出る状態でありますから、周辺に向かって延ばすことが消極的にならざるを得ないと思うわけであります。今後皆さんとともに、地下鉄建設に対する政府の大幅な補助についての運動を続けていきたいと思うのであります。 非常に不徹底なお答になったかと思いますが、残った問題については、担当者からお答えいたします。 ○副議長(寺西武君) 柏原教育長。 ◎教育長(柏原好光君) 教育委員会から第1点として幼児教育の問題についてお答え申し上げたいと思います。 人間が生まれまして3歳になる時点で、脳の中枢の感情を支配するところができるというようなことから、幼児教育をできるだけ早くからやれというようなご意見が非常に強いわけでございまして、その点につきましては、私ども同感でございます。ただ、小学校の教育と幼稚園教育との関連から考えまして、3歳から教育すべきであるか、あるいは4歳からすべきであるかは、多少解明すべき問題が残っておるわけでございまして、教育委員会といたしましては、5歳児1年保育を中心として、現在やっておるわけであります。先ほどご指摘のございましたように、大阪市内におきます幼稚園は、私立のほうが公立の2倍半もあるというようなことで、市民の子弟の幼児教育につきましては、私立の幼稚園に負うところが非常に多いわけでございます。そういった意味におきまして、私立の幼稚園と十分連絡をして、指導、助言をすべきであるというお話がございました。私も同感でございまして、先般来、この点につきましても、教育委員会として積極的にご援助できるところはしたいというような考えを持っておるわけでございます。それから44年度予算は、従来の私立幼稚園関係の助成以外に600万円計上いたしておりますが、これは、私立幼稚園の研究、あるいは先生の研修の費用に使用してもらうような意味で、大阪市の私立幼稚園連合会に600万円を助成しようというようなことで予算を計上いたしておるわけであります。先ほどご指摘のありましたように、公私立の幼稚園にやるについて費用が非常に差があるということの問題につきましては、具体的には私立幼稚園へやっておられる父兄に対する助成金の問題になろうかと思うのでございますが、この問題は、大阪市の幼児教育の基本的な問題に関係いたします非常に大きな問題でございますので、この点につきましては、引き続き研究させていただきたいと存じます。 それから第2番目は、現在の教育のあり方についていろいろとご意見を承ったわけでございますが、私どもの基本的な考え方といたしましては、憲法なり教育基本法をふまえて、第1には人間教育--これは具体的には道徳教育と同和教育でございます。それから第2番目には適性と能力に応じた教育、第3番目には大都市の実態に即した教育諸条件の整備というようなことでやっております。憲法、教育基本法の内容といたしましては、第1番目には人権の尊重であります。第2番目には主権在民であります。第3番目には平和であります。第4番目には真理の尊重であります。このような基本的な原則をふまえて今日までやってまいりましたが、今後もこういった考えでいきたいと存じております。ご指摘のございましたような正しい家庭教育、正しい国家観の養成ということは、私もきわめて必要なことと存じます。 それから次に神話について弁明せよというお話でございました。これは実は小学校の指導要領の案の問題に関連いたしまして、私の部屋に市政記者の方が一、二名見えたときに、雑談の中でいろいろ申し上げておったのですが、たまたまあのような形で記事になったわけでございます。それで、ご承知のように神話というのは、8世紀の初頭に古事記、日本書紀を中心として集大成されたものでございまして、古代人の考え方なり生活というものが、その中にありありと見られるような、きわめて貴重な文化遺産でございます。ただ、私どもが学校の現場で神話を取り扱います場合に、神話と史実を混同してはいけないということと日本の神話が日本だけであって外国にはないという考え方はいけないということがございます。つまり、ご承知のように比較神話学というのもございますように、各国の神話はいろいろ共通するものもございますので、そのようなことを頭に入れて学校で神話を取り扱うべきではなかろうか、こういうように申したわけでございますので、よろしくご了承願いたいと存じます。 ○副議長(寺西武君) 20番中山正暉君。 ◆20番(中山正暉君) あえて再登壇をする必要もないのでございますが、私は市長の答弁を拝聴いたしておりまして、非常に消極的である感じがした次第でございます。私どもの大大阪は、金の卵を生むアヒルでありますのに、もはや生むものが銀になり、銅になろうといたしております。それに、再び金を生むかもしれないそのアヒルに、粗食に耐えろということで、悪いえさを与えようといたしておられるような、何ともいえない失望を感じる。第一、44年度の予算案を審議しようというこの市会におきまして、やらないことははっきりやらないとおっしゃる、どうしてもやらなければならないのではないかと思うことについては、調査、研究……。自分でも消極的であるということを最後のほうで申されたように思いますが、私はそういうことでは大大阪の市長さんとして--私は、市長に好意を持っておるということを自認しておるものでございますが、しかし政治の場として、与えられた仕事を、ただその目の前だけを処理していけばいいというのではなしに、何としても市長は、積極的な姿勢に変わってもらいたい。税制の改革にいたしましても、市会のわれわれに許された範囲でできる処置を何かとればいいのではないか、直接それに持っていけというのではなしに、それを通じて、てこにしてわれわれの大阪市が有利に展開をするような感覚を政府に与えることができないだろうかという、私の一市会議員としての情熱--昼間の多忙からつい夜中にものを書くようになるのでございますが、私が懸命に作文をしてまいりまして申し上げた情熱をも、くみ取っていただいていないということに大きな失望を感じるのであります。先ほど申し上げました、市長さんがお書きになりましたものの中にも、守山市と名古屋市の例が書いてありました。守山市と名古屋市とが合併をするときに、世論は反対ではないかという話があったのでございますが、条例をつくって世論調査をしてみたら、何と八十四、何%の賛成があって、一ぺんに守山市と名古屋市は合併をすることになったということが、市長さんご自身が言われた中にあるのであります。私は、ここでお伺いをしたいのは、私が先ほど申し上げましたように、歯どめの意味で提案をするために、広域行政に関する決議案が、この市会で成立いたしましたら、市長は態度をいかにおきなめになるであろうか、その点をひとつもう一度お伺いしてみたいと思います。私は、ちょうちんを持って足元を照らしながら進むことも--目先のことをあからさまにしていくのも、確かに政治家の一つの行き方とは存じますが、市長は、以前の理事者側としての官吏の生活が、あまりにも身につき過ぎているのではないかと思うのであります。うしろを振り向きながら、絶えず真うしろに人がついてきていないとものごとができないと考えていらっしゃるのか。もっと遠くを照らす燈台になってほしい。そしてその光で大阪市民を導くような大市長であっていただきたいという念願を持っておるわけでございます。私は、はっきり申しまして、失望をいたしました。私は、市長にお願いをするというか、市長、こうやりましょうと言う意欲すらそがれてしまったような感じがいたすのであります。市長は、笛吹けど踊らず--市長に笛を吹かれて私どもが踊ってこそ当然であるのに、私どもが懸命に笛を吹いておるのに、市長に踊っていただけない。まことに残念な気もいたしますが、私は一市民として、そして議員として失望いたしました。私は、先ほど申しました諸論に基づきまして、今後とも大阪市発展のために努力いたしたい、かように考えます。 続きまして、先ほど一つ申し忘れましたが、市内の高架鉄道の問題でございます。いま平面道路と交差をしておる高架鉄道の問題でございまして、これは日韓条約の批准の国会の際に、この余波を受けましてとうとう流れてしまいました。国鉄、私鉄合わせて、大都市の市内で平面交差をしている軌道を高架化しようという高架化公団法が、確かに国会に出ておったと思うのでございます。淀川にも橋をかけなければいけない。たとえば猪名川のところの与党の代議士は、選挙区に帰らなくても当選をする。天草には5本の橋がかかったが、淀川のようなところには、戦後たった2本の橋しかかかっていない。この矛盾を感ずるのでございますが、それにも増して交通の大きな隘路となっておりますのは、市内の国鉄、私鉄の平面交差をしている路線でございます。この高架化を、大阪市の運動の大方針の一つに取り上げていただけないだろうか。何とかひとつこの問題も、大きな問題として取り上げていただきたいと思います。市域拡張、税財政の問題に関しまして、市長にご答弁をわずらわしましても同じことだろうと思いますので、ひとつ再質問の趣旨をよろしくおくみ取りいただきたいと思います。また市長も、市長としての微妙なお立場もあることは、理解できないこともございませんが、先ほどもおっしゃいましたように、機が熟すのを待っておってはいけないという意味で、心にひめておられることがありましたら、堂々と主張をしていただく市長になっていただきますようにお願いいたします。要望も兼ねまして再登壇をさせていただきました。どうぞよろしくお願いいたします。(珀手) ○副議長(寺西武君) 中馬市長。 ◎市長(中馬馨君) 中山議員のただいまの非常な情熱、意欲に敬意を表するものであります。私がやや消極的だというご指摘でありますが、私自身は、私こそ積極的だと思うぐらいでありまして、市域拡張の問題でも、これだけ積極的に市長みずからがものをしゃべり、ものを書く例は、過去にもないぐらいでありまして、私はむしろ市会や一般市民の間から、逆にそういう情熱が盛り上がってくることを期待いたしておるのであります。また税制改正の問題についても、すでに6年前から、その前にはなかったグラフ等をつくって政府に訴え続けてきて、日本の中央における都市問題に対する認識も幾らか変え得たと思っておるのであります。さようなことでありますから、中山議員のいまの積極的な意欲というものは、まことにありがたいことであります。そうした気持で--さらに一段と情熱を持って、先頭に立ってもらうことを期待いたしまして、私の答弁を終わります。 ○副議長(寺西武君) 福山総合計画局長。 ◎総合計画局長(福山真三郎君) ただいま立体交差の問題が出たわけでございますが、おっしゃいますとおりに、街路が整備されましても、平面交差でございますと、それが障害になるわけでございまして、古くから私鉄が発達いたしました大阪だけに、この問題が非常に大きいわけでございます。いま大体計算いたしましても、これを全部立体化いたしますのには、約1,000億円かかるのではないかと思います。今後の重点は、やはりこれにも注いでいかなければならないのであります。それで、いまの街路事業の中でこれをやっていくということになりますと、この問題は、なかなか片づかないということで、私どもも建設省に対しまして、一般街路とは別に何と申しますか、立体交差あるいは連続立体の別ワクをつくって、これを促進するようにしてもらいたいということで、現在話を進めておりますが、今後、積極的にこの問題に取り組んでいきたい、かように考えておりますので、ご了承願いたいと思います。
    ○副議長(寺西武君) 吉瀬昌幸君の質疑を許します。91番吉瀬昌幸君。 ◆91番(吉瀬昌幸君) (拍手)私は大阪市会公明党を代表いたしまして、昭和44年度一般会計予算並びに関連案件について質問をいたします。 本年度予算案は、総額5,471億円という膨大な原予算であり、中馬市長は、 1.恵まれない人々とお年寄りや子供を大切に、2.次の世代の育成と暮らしの安定向上のために、3.住みよい、健康な環境づくり、4.長期計画に基づく積極的な都市再開発の推進と、万国博覧会関連事業の総仕上げを目標として編成されたものであります。 本年度の5,471億円の予算総額は前年度の原予算額と比較すれば935億500万円で、21%増の大型予算であると説明されております。そこで全体を大別してみますと、 1.市民生活維持向上費、 1.産業に基盤を置く都市整備費、 1.その他に分類して、それの増加歩合を見まするに、まず市民生活維持向上費は18%増となり、 産業に基盤を置く都市整備費は、27%増となっております。次にその他の予算が19%増となっており、市長がかねがね子供とお年寄りを大切にしたいと言われながらも、大衆福祉政策と産業を基盤とする政策との予算格差が9%もあるという事実については、市長の本意が大衆福祉に重点を置くのか、それとも産業の発展にあるのか、疑わざるを得ないのであります。願わくは、大衆福祉予算実現に向かって、市長の一大決断を促すものであります。 最初に公債費会計について質問いたします。整理会計である公債は年々増加の一途をたどり、年間の最終的整理は、公債という負債により補てんされております。このことは、市財政の負債の増加を意味し赤字財政が年々その額を大きくしているということであります。本年も904億9,602万円の予算計上額でありますが、これを43年度当初予算額795億9,461万円と比較しますと、109億141万円の増額が見込まれております。今後さらに増加の一途をたどるならば、いつか市財政の最悪事態を招くおそれもあると危惧するものであります。現在大阪市公債の引き受け市場は、好んでその受け入れをしているのではなく、事実はただ義務的にやむを得ず引き受けているのにすぎないというのが現状であります。ゆえに本市公債の引き受け市場は、年々縮小されつつあるということであり、この点を見通した上で、公債発行、増額予算されたのかどうか、お答えを願いたいのであります。 次に、周辺区の人口過密対策についてであります。大阪市の人口のドーナツ現象については、いまさら説明を要しないと思いますが、総合計画局がまとめた本年1月1日現在の人口推計によりますと、昨年に比べて人口が増加しているのは、東住吉区、住吉区、東淀川区、城東区の4区のみであります。人口密度を見ますと、生野区の2万7,100人をトップに西成区、東成区などがそれに続き、周辺区の人口の過密化現象傾向が依然として続いております。このような人口の過密化に対する行政の立ちおくれは、まことにひどいものがあります。たとえば住吉区の三稜中学は、生徒数2,324人、学級数54というマンモス校となっており、この5年間に学区内に2小学校が新設され、5小学校をかかえる大学区となっております。このままでは、5年後になりますと3,200人にふくれあがるであろうと言われております。このためグラウンドでは、サッカー、野球を禁止するという珍現象が起きているのであります。教育委員会はこの解決策として、分校新設を立案されたが、分校敷地1万2,000平方メートルの買収のめどがつかないままで、計画から一歩も進んでいない状況であります。しかし計画がある以上、現在の校舎改築は行なわれず、施設整備費はスズメの涙ほどになっているのであります。したがいまして、プールの浄化、整備、講堂修理、図書館整備、ピアノ購入などは、すべてPTA負担となり、年間500万円が親の肩にかかり、住民の出費はかさむ一方であります。東淀川北部では、下水暗渠が敷設されても下水処理場がないため、水洗にしたくてもできないという地区もあります。また、昨年12月16日早朝、東成区深江4丁目で起こった火事のため、親子5人が焼け死にましたが、これも周辺の過密が生み出した悲劇であります。東成区には、終戦直後できた計画によって、幅20ないし30メートルの道路を碁盤の目のようにつくることになっておりますが、現状では1万近い工場が密集し、道路の新設は夢となっています。このような問題は、周辺区の至るところで見られるのでありまして、このほか交通機関、道路をはじめ社会教育施設等にすべての点でおくれているのであります。本来平等であるべき市民が、受ける利益に格差のあることは、市政の根本理念にもとると思うのでありますが、市長の周辺区に対する基本的な考え方と、具体的な施策についてお伺いするものであります。 次に教育問題であります。PTA負担の軽減につきましては、次の世代をになう青少年のため、緊急に解決すべき問題であります。しかしながら昭和44年度は、4億円余の予算が計上されたにすぎず、最近の物価高騰を考えると、父兄負担は依然として軽減されないのであります。むしろ手をかえ品をかえて父兄から諸経費が徴収され、父兄負担は増額された傾向にあります。義務教育に関しては、一切の費用が無償であるというのが憲法の精神であります。本市は昭和46年に父兄負担の全廃を目ざしているのでありますが、この際、父兄負担禁止条例を制定する考えはないか、お伺いするものであります。 次に入学準備金貸付制度の創設についてお伺いいたします。ゲバ棒に明け暮れた大学入試も、国立一期校の試験が無事に終わり、いよいよ本格的な入学シーズンを迎えました。すでに町のあちらこちらでは、大学や高校に合格した人たちの喜びの声が聞かれます。しかしながらその陰に、入学金の準備に悩む人たちもたくさんおります。今年の文部省の推定では、中学校を卒業し、高校へ進学する人は143万人ということであります。大阪における中学校から高校への進学率は実に八十数%にのぼり、42年度の統計では、全日制高等学校への志願者数は、延べ6万5,162人となっています。一方市内の大学生も、42年度は6万6,596人に達しております。いまや高校教育は、準義務教育と言われる時代であります。高校だけはどんな無理をしてでも出してやりたいというのは、親の共通した願いであります。しかし中には経済的に苦しく、希望の高校進学もやむなく断念しなければならない人も少なくないのであります。憲法で保障された教育の機会均等の上からも、希望する人はだれでも高校教育は受けられるようにしたいというのが、子を持つ親の共通した願いであります。埼玉県戸田市が全国に先がけて、今年から入学準備金貸付制度を実施しておりますが、本市においてもそうしたあたたかい配慮をすることこそ中馬市長の言われる次代の青少年の健全育成に大きく寄与することになると思うのであります。高校進学希望者に最高5万円、大学進学希望者には最高10万円を無利子で貸し付け、卒業後50カ月払いで償還するという、画期的な入学準備金制度を1日も早く実現させてほしいと思うものであります。本市においては、かかる制度を実施する気持ちがありや否やをお尋ねする次第であります。 次に公害問題であります。大気汚染対策といたしまして、重点実施地域を拡大し、自動車排気ガス、モニタリングステーション1カ所の増設等の積極予算を計上されたことは、まことに時宜を得たものと深く敬意を表するものであります。ところで工場ばい煙については、ほとんど配慮が見られないことは、非常に遺憾に思う次第であります。最近、四日市ぜんそく等の、工場ばい煙による大気汚染によって、市民の健康が著しくむしばまれる現象は、大きな社会問題となっています。産業の育成と、市民の健康維持という二つの命題をいかに解決するかということが、為政者に課せられた大きな課題であります。大阪市立大学経済学部公害問題研究会の調査によりますと、工場ばい煙による大気汚染の被害は、公共建物被害1億9,000万円、企業被害29億9,000万円、家計に関する被害129億9,000万円、総計161億7,000万円にのぼっております。これは一世帯当たり年間1万4,060円の被害負担となるのであります。現行の大気汚染防止法に基づく具体的な施策といたしましては、煙突の高さを規制するのみであります。しかしながら煙突をいくら高くしても、ばい煙の絶対量に変化はないのであります。このまま無為無策でばい煙の絶対量を自然の推移にまかせ続けるならば、やがて1日に4,000人の死亡者を出したロンドンの二の舞をこの大阪でも引き起こすことは必至であります。ばい煙公害の発生源については、燃料重油が問題であります。ばい煙は炭素等の粉じん、亜硫酸ガス、一酸化炭素等々非常に有害な物質を含んでおります。これを水洗筒を通してシャワーの中をくぐらせることにより粉じんは洗い落され、亜硫酸ガス、一酸化炭素等も相当量水にとけて、著しく浄化されるのであります。これはすでに一部の工場で実験証明済みであります。しかもこの工程に要するコストは非常に低廉で、水は工業用水または汚水処理場の浄化水を使用すればよいわけであります。そこでさらに一歩を進めて、ばい煙脱硫装置の設備費に補助金を出すなど、積極策を講ずることを提唱したいのであります。政治は人間のために行なうものであって、人間の健康を守ることが一切の施策に優先することは、何人も異論を差しはさむ余地はありません。公害の問題は、いまの社会において重大な問題であり、なかんずく大気の汚染を浄化する施策に対し、積極的な予算措置を強く要望するものでありますが、市長のお考えを聞かせていただきたいのであります。 次に市営住宅の建設についてお伺いいたします。本市は43年度に3,900戸の住宅建設計画を立てられて工事を進められたのでありますが、残念ながら年度内の完成見込み数は2,344戸であります。44年度の繰り越し見込み戸数は、1,556戸にも達しております。この繰り越し分の完成見込みは、今年6月末日に352戸、9月末日には200戸、12月末日に1,004戸となっております。しかるに44年度は低所得者向き住宅4,000戸の建設計画を立てられているのであります。43年度分ですら、おくれおくれになっている住宅建設が、44年度分もおくれることは明らかであろうと思われるのでありますが、住宅難にあえぐ市民の窮状を思うとき、市当局は本気で計画戸数を完成させる確信があるのかどうか、まことに疑わしく思う次第であります。また市民の中には、老朽住宅をかかえながら建てかえ資金がなくて困っている人もたくさんおります。一たび地震、風水害が起これば、倒壊の危険すらある老朽住宅があるのであります。これらの人たちに老朽住宅の建てかえ資金を優先的に融資する制度を考えてはどうかと思うのであります。このように住宅問題は重大な市民の悩みであり、この解決のために住宅局を新設して、住宅に関する諸問題を一掃すべきであると存じますが、市長のお考えをお聞かせ願いたいのであります。 次に児童手当制度の問題についてお伺いいたします。過日、東京、大阪、名古屋の団地の主婦を対象にアンケート調査が行なわれました。主婦たちの意見は、子供はほしいが、現実には2人までだという声が圧倒的でありました。いわゆる生活に食い込む養育費、教育費の割合が高く、子供はほしいが2人までという意見に集約されたのであります。現在日本においては子供が何人いようと、教育費も養育費もすべて個人の負担となっています。しかし外国の側を見ますと決してそうではなく、全額でないにしても、教育費、養育費の一部を負担している国が62カ国にも及んでいるのであります。これが児童手当制度と言われるものであります。福祉国家で知られるスウェーデンにおきましては、子供1人当たり月額5,200円、フランスでは第2子には5,150円、第3子以降には月額約7,700円も支給されているのであります。日本と同じく第2次世界大戦で敗北を喫した西ドイツですら、第2子2,250円、第3子4,500円、第4子5,400円、弟5子6,300円の児童手当が支給されているのであります。また、わが国と生活水準が似ているイタリアでさえ、3,300円を支給されております。自由主義諸国で国民総生産が世界第3位という経済発展を遂げた日本で、児童手当制度が実施されていないというのは、世界の七不思議の一つと言われても過言ではありません。ところで政府に対して公明党は、常任委員会及び本会議を通じて児童手当制度の実現を迫ってまいりましたが、いまだに実現の糸口をつかめないのが現状であります。しかるに最近の各地の動きを見てみますと、全国各市の地方自治体が独自で児童手当制度の実施に踏み切ろうとしている点であります。43年度から千葉県市川市、新潟県三条市が実施したのを皮切りに、今年の4月からは30市をこえる地方自治体が独自の児童手当制度を実施することになっております。支給額、支給対象等に多少の差はありますが、次代をになう青少年を養育するために、勇躍スタートしようとしているのであります。関西関係ではこの4月から兵庫県の芦屋、西宮、尼崎それに和歌山の4市が実施することになっております。いずれも第4子以上を対象に、月額1,500円から1,000円を支給しようというものであります。さて、中馬市長は、44年度予算の編成にあたって、四つの目標を掲げておられます。その第1は、恵まれない人々とお年寄りや子供を大切に、であり、第2は、次の世代の育成と、暮らしの安定向上のためにであります。これらの目標を掲げられた中馬市長は、なぜ児童手当制度を実施されないのか、非常に不思議に思う次第であります。4月から児童手当を実施する三十数市の地方自治体も、決して財政的に余裕があるとは思えませんが、勇断をもって次代をになう青少年の健全な成長を願って実施するのであります。名実ともに日本第1の大阪市が児童手当制度を実施すれば、市民はどれだけ中馬市政を誇りに思うかもしれないのであります。市長は市独自の児童手当制度を実施するご意思があるのかどうか、あるとするならば、いつから実施されるのか、明確なるご答弁をお願いするものであります。 次に大阪東部の交通革命とも言える外環状線の建設についてお伺いいたします。 最近の自動車の交通量の激増ぶりは、目にあまるものがあります。交通停滞は市内で1日に70回、80回を数え、都市交通は完全に麻痺寸前であります。国鉄の内環状線も朝夕の通勤ラッシュは文字どおり通勤地獄さながらの状態であります。大都市大阪市として、これらの通勤、通学難の解消、交通麻痺の解消をはかるために、地下鉄の建設、バス輸送網の整備拡充に力を入れておられることは、まことに喜ばしい限りであります。ところでいま、大阪市の重要課題として登場してまいりましたのは、外環状線の建設であります。外環伏線の建設計画は、国鉄関西支社が中心となって計画を進めているのでありますが、これが実現にかける市民の期待は、いやが上にも高まっております。外環状線と申しますのは、国鉄吹田操車場を起点に、新大阪、放出を経由し、八尾市の竜華操車場に至る城東貨物線と、竜華操車場を起点に国鉄阪和線の杉本町に通ずる阪和貨物線を複線電化し、客車を運行させる計画であります。吹田操車場から杉本町間、全長27.3キロメートルは、国鉄の貨物輸送にとってもなくてはならぬ交通の要路でもあります。当初貨物専用線として、昭和6年に誕生して以来、約40年近くになるのでありますが、現在に至りようやく時代の脚光を浴びるようになったのであります。それというのも、人口増加が東部へ東部へとドーナツ現象を起こし東大阪一体が膨大な人口をかかえるようになったからであります。大阪市の交通網を考えてみまするに、内環状線を中心に、近鉄、京阪、南海など各私鉄が放射線に延びております。しかしながら東大阪を南北に縦断する交通機関は皆無であります。心ある市民は、もし外環状線ができたら、どんなに便利になるかわからないと口ぐせのように言っておるのであります。すでに昨年4月の参議院予算委員会、今年2月末の衆議院予算委員会の分科会でも問題にされ、中曽根前運輸大臣、原田運輸大臣も建設の推進を約束しているのであります。さて外環状線が建設された場合、一番利益を享受するのは大阪市民であります。この点を考えますとき、大阪市としても、この問題をなおざりにし、手をこまねいているべきときではないと思うのであります。促進連盟の会長たる中馬市長におかれては、外環状線の建設に対し、国鉄や関係当局に強く働きかけると同時に、最大の努力をすべきではないかと思う次第であります。今後、外環状線建設に対して、どのような姿勢で臨まれるのか、また強力な働きかけをする意思がありや否や、お伺いするものであります。 次に交通遺児手当の創設についてお伺いいたします。私の知っている一例を初めにご紹介申し上げたいのであります。名前をA君としておきましょう。A君の父親Tさんは、一昨年7月交通事故にあい即死、母親もそれから1カ月後買い物に行った帰り、横断歩道を渡っていたときに、信号無視の車にはねられて、不幸にも両親ともに亡くなったのであります。あとに残ったのはA君をかしらに2人の幼児でありました。親族が集まって、3人の身の振り方を相談したのであります。妹や弟と離ればなれになるのはいやだ。いつでも3人一緒にいたいと叫ぶA君、お兄ちゃんと一緒でなければいやと泣き叫ぶ妹、しかしなから3人の願いはむざんにも踏みにじられ、離ればなれに親類の家に引き取られてしまいました。妹は遠い北国の岩手県、弟は神奈川県の叔父さんの家、A君は東京大田区の母親の実家に預けられました。いまA君の願いは、早くおとなになりたい、そうしたら妹や弟と一緒の家に住めるということであります。こうした交通事故で親を失い、将来への希望を奪われた交通遺児は、総理府陸上交通安全調査室の調べでは、全国で小学生1万7,056人、中学生1万1,275人、合計2万8,331人もあるのであります。小学生以下の幼児の数を含めますと、全国的には膨大な数字にのぼるのであります。大阪府下の交通事故発生件数は、42年度7万9,557件、死者742人、重軽傷者5万9,541人に対し、43年度は死者数がわずか31人だけ減り、711人になりましたが、交通事故発生件数8万8,741件、重軽傷者7万982人と大幅にふえておるのであります。したがって交通遺児はますます激増するのは、火をみるよりも明らかであります。これに対し東京都をはじめ、近郊では京都府、尼崎市、伊丹市などが4月から交通遺児手当制度を発足させ、東京都は月額1人2,000円を支給することにしております。本市においても、これからの交通遺児に対し、手当を支給するか、激励金を与えるなど、何らかの施策が急務であると思うのであります。中馬市長におかれては、交通遺児手当制度を実施する意向があるかどうか、明確なるご答弁をお願いするものであります。交通戦争の悲劇は交通遺児の問題だけでなく、さまざまな形で悲劇を生んでおります。私の知っているK子ちゃんは、交差点で横断中に乗用車にはねられ頭を強く打ち、1カ月の重傷を負いました。お母さんは料理屋の仲居として働き、細々と生計を営んでおりましたから、たちまちにして、治療費、生計費に事欠き、交通事故後、数日にして地獄の生活に突き落されたのであります。現在法律によって自賠責保険があり、自動車の所有者が加入し被害者に賠償金を支払う制度ができております。しかし実際に、自賠責の保険金がおりるまでに2カ月から3カ月、ひどいときには半年もかかるのであります。その間被害者は、交通事故による痛手と経済苦という二重の苦しみを受けるわけであります。こうした被害者を救済する制度として、昨年8月、京都府で初めて交通事故被害者生活つなぎ資金融資制度が誕生いたしました。これが全国的な話題を巻き起こし、大阪府、和歌山県、尼崎市などで4月から実施される運びになっています。この制度は、最高10万円を限度として被害者につなぎ融資を行なうもので、交通戦争のきびしい大阪市にあっても、ぜひとも実施すべき制度ではないかと思います。市長のお考えをお聞かせ願いたいと思います。 次に交通災害共済制度についてお伺いいたします。本市は10月実施をめどに交通災害共済制度を実施することとし、予算に3,000万円が計上されております。全国的な規模で実施されている交通共済につきましては、ご承知のとおり直営方式、損保方式、生協方式の3種類があります。いずれも一長一短があるわけでありますが、傾向としては直営方式を実施する市町村が最も多いというのが現状であります。かねてから公明党は委員会でこの問題を取り上げ、交通共済の実施を迫ってまいりました。今回新年度予算案で正式に発表された現在、再度お尋ねしたいと思うのであります。まず第1点は、交通共済は、直営、損保、生協のうち、いずれの方式で実施されるのかということであります。これまでの委員会でのご答弁では、生協方式で実施する線が濃厚であるやに承っております。しかし神戸市においては、生協方式で掛け金600円を徴収しながら、41年4月からスタートしておりますが、市のPR不足から135万人の市民のうち、わずか5%である6万人の加入者しかありません。このため神戸市は赤字を訴えておるのであります。市当局におかれては、この点もよく検討されているのかどうかお尋ねするものであります。第2点は、3,000万円の予算の使途についてお伺いいたしたいと思います。市が本腰で取り組むとすれば、これだけの予算でほんとうに足りるのかどうか、懸念するものであります。 以上2点について明確なるご答弁をお願いするものであります。 次に大阪の道頓堀川のエアーレーション実験の見通しについて、お伺いいたします。 よごれ切った大阪の道頓堀川を美しくしようという住民の願いが高まって、本市は南区久左衛門町の大黒橋下でエアーレーションによる浄化実験を着々進められていることに対して、深く敬意を表するものであります。産業公害のあおりを受けて、ボーフラもわかず魚も住まなくなって十余年にもなる道頓堀川に、魚を放流しようという画期的な実験に大阪市民は深く期待しているのであります。聞くところによりますと、油とメタンガスで鼻をつくにおいが消え、黒かった水も淡い褐色に変化しているということであります。水中の溶存酸素量も逐次ふえ、春先きにはプランクトンも発生するやに聞いております。養魚技術であるエアーレーションの実用化は、道頓堀川から悪臭を取り去り、死の川をよみがえらせることになるのであります。市民はいまや万博までに市民の象徴ともいうべき道頓堀川、ここにほんとうに魚が住めるだろうかという点に、大きな期待を持って見つめております。万博時に世界各国の知名人が大阪をおとずれ、よごれ切った道頓堀川を見つめたら、さぞかし残念がることでありましょう。市として本腰を入れて、エアーレーションの実用化を急ぐべきではないかと思う次第であります。さらに今後の見通しとして、万博までに魚が住む道頓堀川にする確信がありや否やをお伺いするものであります。 次に水道局関係についてお伺いいたします。 市民生活における水資源の確保は、必要欠くべからざる問題であります。市水道局では、第8回拡張事業を完遂し、44年度から第9回拡張事業を実施するべく、予算42億円を計上されております。これは水資源の確保をはかる上から、適切な計画であると思うものであります。しかしながら、同予算案には、年間18億5,900万円の赤字を計上しているのであります。この赤字に対し市当局は、いかなる財源で補てんしようとお考えになっているかを承りたいと思うのであります。市長はまさか受益者負担でまかなおうとは、ゆめゆめお考えになっていないだろうとは思いますが、お考えを明らかにしていただきたいと思います。 次に末端道路の舗装についてお伺いいたします。 昨年の予算市会の答弁で土木局長は、道路舗装の進捗率について昭和42年末で延長57%、面積にして67%、43年度予算を執行して延長64%、万博までには舗装普及率を80%までもっていきたいと言われていますが、43年度に7%しか延びていないのに25億円の同一予算で、44年度に16%も普及率を伸ばすことはどのように考えても実現できるとは思えないのであります。この点についての見通しをお伺いいたします。 次に市民病院事業会計についてお伺いいたします。市民病院事業会計の本年度予算額は33億5,500万円で、施設の改善、医療設備の充実をはかられることになっています。この建設改良事業の一環として、本市は城北市民病院に救急医療センターを完成させることになっております。まことにけっこうなお話であります。大都会の大阪市は、繰り返し申し述べますとおり、交通事故発生件数も年々激増し、市政百年の大計の上に立った病院事業を推進する意味で、北、十三、今宮、住吉、桃山の全市民病院も救急指定病院として指定し、救急医療センターをつくるべきであると思いますが、市長のお考えをお伺いするものであります。 最後に公明党議員団は、かねてから阿倍野霊園2万1,000坪を他に移転させて、そのあと地を市行政のために十分活用すべきであることを主張してまいりました。さて本年度の都市開発資金会計に計上された36億2,000万円のうち27億円は、工場等の移転あと地及び都市施設用地などの買収に使われることになっております。仄聞するところによりますと、この買収土地面積は、2万7,000坪であるそうであります。この点を考え合わせたとき、阿倍野霊園2万1,000坪を他に移転し、あと地を有効に活用し、大阪の都市再開発をはかることが時宜を得た方法であると思うのであります。しかしこの阿倍野霊園に郷愁を抱くお年寄りの方も多いことでしょうし、移転の前途には難問が山積することは必至でありましょう。しかし過密の極に達した市街地の計画的な整備を推進する上からも市が勇断をもって取り組むに足る事業であると確信するものであります。市長の明快なるご答弁をお願いするものであります。 長時間にわたり、ご清聴をいただきありがとうございました。(拍手) ○副議長(寺西武君) 理事者の答弁を許します。中馬市長。 ◎市長(中馬馨君) 吉瀬議員からのご質問にお答え申し上げます。 第1番目に、今年の予算編成は万国博覧会総仕上げに極端に片寄ることなく、大衆の市民生活に十分な配慮をしようとしたと言っているが、はたしてそうかということで、数字をあげてご指摘になったのであります。私ども昨年来、特に万国博覧会という異常な大事業を行ないますだけに、ご指摘のような市民生活を圧迫する現状をもってしてはならないということで、昨年の予算編成にもさような配慮をいたしたつもりであるのであります。今年は実質上万博の仕上げ予算でかさまざるを得ないのであります。しかし万国博関係の事業は巨額の国家の補助を受け、また地元負坦分については、できるだけ起債に仰ぐという方針をとりまして、一般財源はできるだけ市民生活に振り当てるというような努力をいたしたのであります。これは非常に意識的にそうした努力をいたしたわけでありまして、本年度の予算につきましては、前年度に比しまして、一般財源が123億ふえておるのであります。123億増加いたしましたその財源は、115億は住宅であるとか、学校、下水、社会福祉、衛生、清掃、市民生活等の事業を推進する分にその増額分を充てたのであります。123億中115億を充てまして、町の再開発、万国博仕上げに一般財源の増額分を振り当てたのは、8億であるのであります。どうして再開発、万国博総仕上げの予算にその程度で済んだかと申しますと、これは先ほど申しました国庫補助、起債等のほかに、先般の市長説明でも申しましたように、道路目的財源が幸いにして本年度30億ばかりよけいに増収をもたらしているというようなことで、一般財源を大衆の生活に振り向けるということができたと思うのであります。その点ご了承をいただきたいと思うのであります。 第2に、市の周辺部対策というものが不十分である点をご指摘になりました。私どもも大阪の周辺部というものが比較的低湿地であり、最近急激に建物等が建つことによって、湧水を抱くたんぼなども少なくなって、生活環境が逆に悪化する傾向については、昨年来非常に心配をいたしまして、これに対する最も有効な対策は下水処理事業であるということで、昨年の秋、皆さん方のご議決を得て、710億円の5カ年計画を打ち立てて、真剣に本年度から取り組むことにいたしておるのであります。まず下水を整備することによって下水の布設された道路の舗装が可能になってまいります。今年は先般の説明でも申しましたように、できるだけ周辺部に重点を置いた下水、道路等のことを進めていく考えであります。また区画整理等につきましても、従来、区画整理はできるだけたんぼのうちにやるのが理想であります。周辺部等を含めて言うと、府下の衛星都市はいまにして区画整理をやられるべきであると言っておるのでありますが、大阪市の場合には、そういう点が残念ながら立ちおくれておりまして、しかもやらざるを得ない新大阪駅付近、あるいは大阪駅付近といったようなところは、非常に困難な家が密集する状態になって、区画整理事業を行なわざるを得なかったのであります。まことに巨額の金をここに投じました。政府の認証対象もここに集中させざるを得なかったのであります。さようなことで、周辺部の区画整理事業等がその必要を認めながら十分手が伸ばせなかったうらみは率直に認めなければならないと思うのであります、そこで本年度は茨田東部、あるいは住吉東部での区画整理事業に手をつけることにいたしまして、政府とも折衝し、調査費を計上し、翌45年度からこれに着手することといたしたのであります。また保育所等の配置も、できるだけ周辺部に持っていきたいというふうに考えておりますが、大阪市の職員の組織においても、積極的に周辺部の問題について取り組み、横の連係をもはかることといたしておるのであります。 第3番目に、PTA負担軽減の問題につきまして、一挙に父兄負担を禁止する意思はないかというご意見であったのであります。私どもも大阪市の財政にして、ほんとうに都市の実態、実力に応じた財政力を確保することができるならば、こうした問題等は市みずからの手によってやりたいと思うのであります。ご承知のとおり、財源をかせぎながら市政を運営している実情であります。一挙にそこまで行き得ない。しかし4年間にはPTA負担を解消するという計画を立てて、その第2年目、今年も4億1,000万円をふやすことにいたしたのであります。来年もふやし、再来年からはなくなるということになります。もちろん貨幣価値やその他の事情を加味していかなければならぬことになると思うのであります。 次に大学、高等学校へ入学する場合の入学準備金等を考慮する必要があるのではないかという点のお話がありました。それから奨学金制度等、これまた大阪で初めてやっておるわけでありますが、一昨年、要保護世帯の子供たちにして高等学校へ行こうとする者は、育英資金的な学校成績に重点を置くことなく、貧困家庭のやがて柱となる者に高等教育を受けさせる意味で新たな奨学金制度をつくったこともご承知のとおりであります。今後もそういう考え方で、負担力のない学生、生徒等には、いろいろ対策を練っていきたいものだと思うのであります。 次に公害対策について、発生源工場の移転等の措置をとったのはけっこうだというおほめをいただいたのであります。金額は3億円程度でありますが、小工場にして周辺に非常なめいわくをかけているといったような工場もございますから、さようなところは勧奨して、移転されたならば、そのあと地を買い上げるというようなことにも手をつけることにいたしたのであります。今後この措置は現実の状態に応じてさらに拡充していく必要があるかと思います。また一方、都市開発資金は、大都市が公有の土地を持つことなくして、都市再開発の推進はできないということで、これも大阪側の主張で、政府に都市開発資金制度をつくらせたこともご承知のとおりであります。年々金額もふえて、今年は27億円くることに大体見込みをつけておるのであります。これも大阪が提唱したがゆえに、資金の大部分、かなり大きな部分を政府は大阪に割り当ててくれるわけであります。これなどもできるならば、公害発生のはなはだしい工場等が郊外に向って移転することを希望します場合には、この資金をも役立てるように考えていきたいと思っておるような次第であります。 それから大阪の大気の汚染度--実はけさも市内と府下を含んで発表いたしておりましたが、昨年に比べていくらか亜硫酸ガスの濃度が少なくなったという結果が出ておるのでありますが、これは一つには大阪市といたしましても、大工場等にも立ち入り検査をいたしております。そして脱硫原油の使用についても勧奨いたしております。また工場の改善等につきましても、融資をはかることにいたして協力を求めております。もちろん大企業はそうした資金の融通等がなくても、自発的にやる力を持っております。そういうことを今後は一そう積極的に本年度あたりから乗り出さなければならぬかと思うのであります。そうした中で、非常に空気の悪い地帯の小学校の問題が気にかかるのであります。それでいま福小学校に空気清浄機を取り付けて、試験をいたしておりますが、これもかなり有効ではないかと思われます。有効であるならば、さらにこれをふやしていくというようなこともいたさなければならぬということで、いま検討をいたしておるところであります。 次に住宅問題でありますが、これも6,300戸程度であります。日本の国民生活の上で住宅問題が最も緊急を要する問題であることは申すまでもないところでありますが、これはいわゆる国の公営住宅の補助主義がとられておりますので、国の補助なくしては一般住宅は建てても成り立たない。どうしても国の政策に制約を受けざるを得ないのであります。このようなことで、国の住宅政策の伸びに応じて伸ばすといったような考え方でありますが、大阪市としてはそのほかに住宅供給公社をしてできるだけ積極的に分譲住宅、賃貸住宅をつくらしめるということで、この面に積極方針をとろうといたしておるわけであります。けさの新聞にも出ておりました大淀区内の住宅なども、特色のある住宅を建てようといたしておるのであります。また住宅公団の大阪支所が非常によく協力してくれまして、従来は土地の安い郊外へ郊外へと公団住宅を建てたのを、前にも申しましたように職住直近の政策ということで、建てる敷地さえあれば、できるだけ市内に建てようということで、市内に土地を求めておるのであります。これに土地を提供するあっせんをしながら、市内に相当の負担力のある市民を定住させるような住宅政策を推進していきたいと考えております。 次に児童手当の問題、これは公明党が非常な熱意を持ってこういうことを考えていただいていることは、非常にありがたいことだと思うのであります。もう全国的に児童手当の問題を考えなければならぬ段階にきていることは、ご指摘のとおりであるのであります。しかしこの種のものは、国家的な立場でやることが適当である。小さい町村等においては比較的できやすいのでありますが、東京、大阪とかいったような巨大な都市においては、よほど大がかりな調査をし、むしろ国をしてやらしめるという方針をとることが適当であると思って、政府に向かってわれわれはこれを要請しておるような次第であります。もちろん民生局といたしましては、児童手当の問題だけでなく、社会問題一般について、常に社会調査を怠ってはならないわけであります。児童手当等の問題については、今後も社会調査をしながら、この施策の資料を整えるようにいたしていきたいと思っております。今年はこの面におきましては、ご指摘のように身体障害者、精薄者、こういう人たちの家庭が非常に暗いので、これに相当重点を置かなければならない、今年はそうした気持ちでこの面に力を置いたわけであります。 次の外環状線複線電化の問題は、先ほど中山議員にもお答えいたしたのであります。この促進連盟の会長が私、大阪市長ということで、隣接の関連ある市長と相携えて熱心に推進をいたし、大阪選出の国会議員の人たちも、吉瀬さん自身ご存じのとおり、非常に積極的に各党派をこえて活動をしていただいておるのであります。ただ問題は、国鉄がご承知のようなたいへんな赤字の状態でありまして、新線に手をつける余裕なしとして、数年前からもうやりそうだ、もうやりそうだと言いながら、なかなか現実の問題として手をつけ得ない状態であります。国鉄財政の実情を知ると、またやむを得ないと思われるふしもないではない。しかし国鉄は、東京周辺の通勤、通学輸送には、非常な力を入れているではないか、なぜ大阪にもっと積極的でないかということを言いながら、先ほどお答えいたしましたように、せめて用地の買収からでも手をつけてもらいたいということで、新大阪駅周辺の敷地、吹田の敷地、そして東大阪の立体交差の工事に着手をしてもらったようなわけであります。今後は皆さん方の力をかりながら、この問題の推進につとめたいと考えております。 次に交通遺児手当の問題、これも望ましいことであるのでありますが、私どもは本年はいろいろと問題も多いので、やや慎重にかまえておりましたが、交通災害共済制度を実施することにいたしました。まず本年はこれで交通事故の人たちのつなぎ融資的な機能を果たしていきたいと思っているようなわけであります。 次に道頓堀川の浄化の問題であります。大阪の町づくりには、環境を整備するというような問題でも、一つは木を植える、緑化が非常に大きな環境を整えることになります。子供の遊び場をつくってやることも大きな仕事であります。しかし水の都のやわらかさ、潤いというもの、これを取り戻すことが大阪の市民生活に、情操的にも非常によい影響を与えるというようなことから、私どもは河川の浄化にはかなり真剣に取り組もうとしておるのでありますが、これも昨年皆さん方がご協力下さった下水処理事業が徹底するならば、河川はみなよくなる。この堂島川の水質を見ましても、意外によくなっておるのであります。それは中浜、今福、放出の下水処理場ができたことによると思われるのであります。そういうことで、下水処理事業を進めながら、大阪の水の美しさを取り戻していきたい。城北運河につきましても、護岸のところに大きな下水管を入れて、汚水を放出しないことになりますから、これもいつも言っておりますように、フナぐらい泳げるようにもっていきたい。それから東横堀川も道頓堀川の上流として、道頓堀川と同じように護岸をして、ここに両岸に芝生を植え、公園をつくるということを進めている。本年の予算にもそれを計上しております。西長堀のあの堀も漸次埋めていくことを44年度予算には計上いたしておるのであります。 それから水道の問題でありますが、これも中山議員からご質問があったところであります。私どもは公営企業を運営するにあたっては、できるだけ企業の合理化をはかっていかなければならない。また政府に協力を求められるものはできるだけ求めていかなければならぬと考えておりますが、しかし水道事業のごときは、やはり原則が独立採算の原則の上に立っておるのであります。これをただ安易に上げないでおけばいいとかいうようなやり方でいきますと、赤字を累積して、一度に上げて消費者たちにかえって大きな負担感を持たせるというようなことにもなるのであります。他の都市等と比べて安いのを、赤字が大きくならない間に少し上げて、健全な水道経営をやって、水の心配をしてもらわないようにすることのほうが、市民生活に忠実な行き方でないかとも思うのであります。しかしこの問題は物価問題との関連において非常に微妙なものでありますから、皆さんと今後ともご相談をしながら対処していくべき問題だと考えておるのであります。 それから末端道路についてもお話がありましたが、これもおかげで、末端道路の舗装も大蔵省あたりから特別起債を認めてもらうというようなことにも成功しました。末端道路の舗装がここ二、三年来、進んでまいっていることもご承知のとおり、ここ五、六年前は年間六、七億円でありましたのが25億円、昨年は追加して28億円であります。こういうことで末端道路の舗装もピッチを上げることができるようになりました。今後についても、さらにこの問題は市民の日常生活に影響するところが大きい問題であります。ご指摘のように、うんと力を入れていくようにいたしたいと思う次第であります。 以上概略お答えいたしました。    (副議長退席、議長着席) ○議長(黒田廣一君) 内山財政局長。 ◎財政局長(内山敞義君) 公債会計の資金の償還問題及び元利償還費の財政に対する負担度合いの問題についてお尋ねがありましたのでお答え申し上げます。 資金の消化状況でございますけれども、たしかにいまお話のございましたように、金融の情勢によって非常に違います。41年などのときには、消化については当方としてほとんど何らの処置もせずして消化できたというような時代もございました。また42年後半以後については、いろいろ都市銀行以外のところにも要請をいたしまして、消化をしているという事実がございます。最近においてはややまた実績も出てまいりまして、容易になってまいりました。特に本市の場合には、そういうふうに縁故債の発行につきましての消化について相当の実績を出しておりますと同時に、指定金融機関4行と都市銀行11行、いわゆる15行でシンジケート団を結成いたしておりますので、本市の発行いたします分につきましての消化は、最後のとどめまでつけておりますから、心配はいらないのではないか、かように思っております。 それから第2点の元利償還費の財政に対する負担の問題でありますが、ご承知のように本市の発行いたします起債というものは、現在におきましては、全部政府の許可を受けることになっております。政府の許可の条件といたしましては、当然にその団体における行政水準の向上の問題から一つの許可としてきめるということと、もう一つは、その団体の財政力というものと元利償還費の度合いというものを、やはり十分に見きわめて許可をすることになっておるのであります。許可基準といたしましては、一応標準税収入と地方交付税、要するに一般財源というものに対して、過去3カ年間の元利償還費の比率が20%以内であるということをきめているわけでありますが、本市の場合はこれに照しましても10%前後でございます。今後109億増加いたしますけれども、その中にはいろいろ今後の折衝にゆだねなければならないものがあると存じますが、一応政府の許可方針にのっとって組んでおりますので、許可される限りにおいての発行される起債の消化、あるいは財政負担というものについては、現在のところ問題はないのではなかろうか、かように考えております。 ○議長(黒田廣一君) 関民生局長。 ◎民生局長(関重夫君) ただいま交通災害共済制度の方式についてお尋ねがあったのでございます。三つの方式がございますけれども、大阪市といたしましては、大阪市のいろいろな事情をよく検討いたしまして、結論といたしましては生協方式、生活協同組合の方式によるということにいたしたわけでございます。なお、神戸等の例をお引きになりましたけれども、これは私どものほうで十分検討いたしまして、神戸の例は踏まないというつもりでございます。 それから3,000万円で足りるのかというお話でございますが、これは事務費等できるだけ節約をいたしまして、それでやってまいりたい。ただ万一給付等に支障を生じました場合には、その分は市のほうから融資をしていただくということでやってまいりたいと存じておるわけでございます。 ○議長(黒田廣一君) 藤野衛生局長。 ◎衛生局長(藤野保次君) 救急医療設備の必要性につきましては、仰せのとおりでございます。城北市民病院以外の市民病院につきましても、救急病院にする意思はないかとのことでございますが、ご承知のように救急病院につきましては、運営上非常に困難な問題がたくさんございますので、目下のところ全市民病院を救急の指定にするというようなところまで考えてはおりませんが、逐次内容を整備いたして、一応の急患の受け入れができる程度にしていきたいと存じております。実際昨年1年間の救急取り扱い数は、5,200件にものぼっているのでございます。 以上簡単でございますか、ご答弁といたします。 ○議長(黒田廣一君) 荻野清掃局長。 ◎清掃局長(荻野二郎君) 阿倍野の墓地の移転の問題につきまして、お答え申し上げます。 阿倍野の墓地につきましては、お話がございましたように面積は約2万坪でございます。現在石碑の数が約1万6,000ございます。大体明治の初めごろから設立されたものでございまして、現在あの地域におきまして、阿倍野墓地が立地条件の上においても、環境の上におきましても、適当であるとは言えなくなっております。それとお話にありましたように、都市の再開発という面におきましても障害になっているあの墓地を移転しましたあと地を再開発に役立てるということは、当然考えていかなければならないことだろうと思っております。そのためには新規に墓地を建設するということが必要なわけでございます。この新規墓地、新規霊園の建設につきましては、現在大阪の市民の方から墓地についての需要が非常に高くなっております。年間大体2,300件くらいあろうかと思います。こういった市民の方の需要に応ずるためにも、新規霊園を建設しなければならない、そういったことで新しい40万坪か50万坪程度の大きな公園墓地を構想として持っておるわけでございます。現在、郊外に適当な用地を物色中でございます。この公園墓地、霊園につきましては、用地費の問題がございます。それから霊園なり、公園墓地としての立地条件、交通上の問題、それから造成工事がむずかしいかどうか、造成効果、こういった点につきましても、あわせて現在調査検討中でございます。44年度には調査費がついておりますので、用地の選定に真剣に取り組みまして、そういった新規霊園の早期建設とあわせまして、阿倍野の墓地をはじめとする市内の市設の霊園の移転ということについて、早期実現いたしますように努力したい、かように考えております。 ◆34番(隅野源治郎君) 動議を提出いたします。本日の質疑はこの程度で打ち切り、明7日午前10時より会議を続行せられんことを望みます。 ○議長(黒田廣一君) 34番議員の動議にご異議ありませんか。    (「異議なし」と呼ぶ者あり) ○議長(黒田廣一君) ご異議なしと認めます。よって動議のとおり決しました。 △閉議 ○議長(黒田廣一君) 本日の日程は以上で終了いたします。 △散会 ○議長(黒田廣一君) 本日はこれをもって散会いたします。   午後3時5分散会--------------------------------------大阪市会議長  黒田廣一(印)大阪市会副議長 寺西 武(印)大阪市会議員  大神 仁(印)大沢市会議員  小林通夫(印)◯大阪市会(定例会)会議録(昭和44年3月6日)(終)...