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平成23年第3回定例会(第11号 9月27日)

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  1. 豊島区議会 2011-09-27
    平成23年第3回定例会(第11号 9月27日)


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    平成23年第3回定例会(第11号 9月27日) 平成23年豊島区議会会議録第11号(第3回定例会)   平成23年9月27日(火曜日)  議員定数 36名  出席議員 36名       1  番    西 山 陽 介       2  番    根 岸 光 洋       3  番    古 坊 知 生       4  番    橋 本 久 美       5  番    古 堺 稔 人       6  番    関 谷 二 葉       7  番    石 川 大 我       8  番    村 上 典 子       9  番    高 橋 佳代子       10  番    辻     薫       11  番    中 田 兵 衛       12  番    小 林 弘 明       13  番    磯   一 昭       14  番    細 川 正 博
          15  番    森   とおる       16  番    儀 武 さとる       17  番    藤 本 きんじ       18  番    永 野 裕 子       19  番    中 島 義 春       20  番    島 村 高 彦       21  番    星   京 子       22  番    河 原 弘 明       23  番    竹 下 ひろみ       24  番    村 上 宇 一       25  番    渡 辺 くみ子       26  番    小 林 ひろみ       27  番    大 谷 洋 子       28  番    山 口 菊 子       29  番    木 下   広       30  番    此 島 澄 子       31  番    堀   宏 道       32  番    本 橋 弘 隆       33  番    里 中 郁 男       34  番    吉 村 辰 明       35  番    垣 内 信 行       36  番    河 野 たえ子  欠席議員 なし ──────────────────────────────────────── 説明のため出席した者の職氏名       区  長    高 野 之 夫       副区長     水 島 正 彦       政策経営部長  吉 川 彰 宏       総務部長    齋 藤 賢 司       施設管理部長  上 村 彰 雄       区民部長    永 田 謙 介       文化商工部長  東 澤   昭       図書館担当部長 鈴 木   達       清掃環境部長  鈴 木 公 一       保健福祉部長  大 門 一 幸       健康担当部長  佐 藤 正 俊       池袋保健所長  村 主 千 明       子ども家庭部長 山 根   斎       都市整備部長建築住宅担当部長)               鮎 川   傑       土木部長    亀 山 勝 敏       会計管理室長  桐 生 建 樹        ─────────────────       教育長     三 田 一 則       教育総務部長  齊 藤 忠 晴        ─────────────────       選挙管理委員会事務局長               若 林 弘 司        ─────────────────       監査委員事務局長               西 澤 茂 樹 ────────────────────────────────────────  職務のため議場に出席した事務局職員の職氏名       事務局長    陣野原 伸 幸       議会総務課長  城 山 佳 胤       議会担当係長  七 尾   弘 ────────────────────────────────────────   議事日程 ・会議録署名議員の指名 ・一般質問 ────────────────────────────────────────   会議に付した事件 ・会議録署名議員の指名 ・一般質問   竹下ひろみ議員「豊島区の将来像(5)」   木下 広議員「人に優しい街“としま”めざして」   森 とおる議員「区民のいのちとくらしを守るために」   藤本きんじ議員「月2日の勤務でも23万4千円から28万2千円、選挙管理委員の     月額報酬見直しを!」   古坊知生議員「豊島新時代到来。新しい発想と具体的な行動で大転換を!」 ・会議時間の延長 ────────────────────────────────────────   午後1時2分開議 ○議長(里中郁男) これより本日の会議を開きます。 ───────────────────◇──────────────────── ○議長(里中郁男) 会議録署名議員をご指名申し上げます。19番中島義春さん、21番星京子さん、22番河原弘明さん、以上の方にお願いいたします。 ───────────────────◇──────────────────── ○議長(里中郁男) これより一般質問を行います。  発言通告に基づき、順次これを許可いたします。  まず、23番議員より、「豊島区の将来像(5)」の発言がございます。   〔竹下ひろみ議員登壇〕(拍手) ○23番(竹下ひろみ) 私は、自由民主党豊島区議団を代表して、一般質問を行います。  今年も昨年に引き続き猛暑となりました。震災以降の節電を反映して、各企業や家庭においても節電節電と、この二文字を毎日幾度となく目にし、耳にしたのではないでしょうか。エコの観点からは、壁面緑化やよしず、ほうきなど、日本の日常での昔からの先人の生活の知恵を見直す機会ともなり、節電で高まった様々な関心事を、冬に向けて、またいろいろな場面でも応用していきたいものです。  自然災害が各地で頻繁に起き、猛威を振るっています。今年、日本に接近する台風は、南海上でのろのろ進み、勢力が衰えないまま北上するのが特徴で、9月21日に起きた記録的な豪雨も、台風15号と秋雨前線が日本列島で重なった結果でした。本区においては甚大な被害はなかったと聞いておりますが、地下の車庫や倉庫が浸水した被害が2件、倒木が10件ほど、また電車が運行を見合わせた夕方のラッシュ時には、約5,000人が池袋駅に滞留するなど、都市の災害に対する脆弱さも浮き彫りになりました。また、強風であおられて壊れたビニール傘の路上放置が約2,400本と、過去最高の回収であったということで、土木部の職員の皆さんが対応に追われたと聞いています。大変お疲れさまでございました。地震のみならず、自然災害の脅威を改めて認識し、私たちの日常生活の安全・安心は、まず自然災害から身を守ることであり、災害時にいち早く正しい情報を共有し、冷静な判断をするとともに、やはり常識ある行動で、共助の精神を忘れてはならないと、改めて心いたしました。  さて、野田新政権発足から早3週間がたちました。詩人の相田みつをさんの言葉を引用した演説や、小まめなおじぎなどから、「人柄は悪くなさそう」とか「普通の感じ」など、国民のほとんどが、心の底流では震災復興と景気回復に期待感を抱きながらも、これまでの民主党政権のありさまから、ただただシニカルに、いわゆる皮肉を込めた冷ややかな態度で静かに見守っているのが現段階であります。  一昨年の9月に起きた政権交代での高揚感を持った政治家たちが、例えば最近では、国対委員が自分の意思どおりに事が進まないと見るや幹事長に辞表を提出したりと、こうも短期間で信念さえも惜しげもなく手放そうとしている様子に、野党の立場である私たちでさえも気が抜けてしまいます。震災後の急速な円高など、六重苦とも言われる問題が山積する中、政策運営を脱線させることなく、日本の復旧・復興の早期実現を即実行していくべきだと一言申し述べて、質問に入らせていただきます。  私は豊島区の将来像(5)と題し、1、平成22年度決算について、2、安全・安心のまちづくりについて、3、造幣局周辺のまちづくりについて、4、子どもの予防接種の充実についての質問を行います。  初めに、平成22年度決算について質問いたします。さて、今定例会は決算議会でもあります。決算審査は、これまでの成果を十分に検証することで、新しい年度の事業展開にどのように生かし、また新しい年度の予算にどのように反映させていくのかという、大変重要な審査の場であると認識しております。先般の高野区長の招集あいさつの中では、22年度決算について、冒頭で述べられておられます。22年度決算については、形式収支は25億8,100万円の黒字、実質収支も15億700万円の黒字ということであります。また、財政健全化法に基づいて、四つの財政健全化判断指標が監査委員の審査に付されましたが、その意見をつけての審査報告も受けました。それらはいずれも早期健全化基準を下回っておりますので、まずは本区の財政は健全財政の範囲にあるものと評価をいたします。高野区長が長きにわたり、財政再建、そして財政健全化に努力してこられた成果は、既に様々に、そしてその過程も含め実感をしているところであります。一方では、黒字幅が3年連続して減少し、公債費比率が9.5%、経常収支比率は86.7%と、ともに悪化したということですが、景気の先行きが不透明な中で、今後も本区の健全財政が安定的に継続していけるのか、今後、財政が硬直化して、以前のように財政面で大変苦しい状況に戻ってしまうのではないかと、正直申しますと心配で、気になるところであります。また、平成22年度一般会計決算の特徴では、今回の決算の特徴を3点にまとめておられます。そこで、それぞれの項目について、順次質問をしてまいりたいと存じます。  まず、第一の特徴して挙げられている、財源対策を講じての黒字決算についてお尋ねをいたします。資料では、黒字幅が3年連続して減少してきているということ、また財政調整基金の取り崩し10億円を講じての黒字決算であること、そして5年ぶりの財源対策であるとしています。昨年度と比較いたしますと、今回の表現は、黒字は黒字だけれども少々心配もあると私は感じ取った次第です。一方、以前に、実質収支比率は3%から5%の間が適正値であるとお聞きいたしました。今回の実質収支の率は2.3%ということですから、15億円でも少な目ではないかと考えます。また、3年連続で減少したことについても述べておられますが、その辺も気になるところであります。さらに10億円を貯金から下ろしたので、ようやく15億円の黒字が出たとも受けとれます。表現を変えますと、実際の黒字は5億円程度しかなかったともいえますので、薄氷を踏む思いという表現は大げさかもしれませんが、全く心配のない黒字決算ではないように受け止めました。そこで、今回の決算について、財源対策を講じての黒字と評価しておられますが、この評価について、改めてお聞かせください。  次に、2番目の特徴に負の遺産の解消を挙げられておられます。土地開発公社の長期債務をすべて解消されたということは、まさにこの間の高野区政の血のにじむような健全化の努力の結果でもあり、私たち自民党豊島区議団も区長の姿勢を全面的に支持し、ともに歩んできたことを自負しているところであります。負の遺産の解消と財政健全化という視点から見れば、この22年度は、豊島区政の歴史に残る年になるとも言えるのではないでしょうか。思い起こせば、当時私は予算委員の一人でしたが、平成20年第1回定例会の予算特別委員会の審査において、高野区長は、いわゆる隠れ借金を、ご自身の任期の残り3年間ですべて繰上償還するという方針を打ち出されました。区長の並々ならぬ決意は、この長期債務の完全解消に向けての計画を大いに加速させたといえるでありましょう。そして、このことが契機となり、将来負担比率は大幅に改善に向かい、実質公債費比率の指標も若干よくなったと評価しております。しかし一方では、経常収支比率は19年度以降、4年連続して悪化していることもまた事実であります。私の単純な頭で考えますと、まさに財政の硬直化の最たる原因である借金を、都合168億円も返済しているのに、硬直化の指標である経常収支比率は悪くなるというのは矛盾しているように思えてなりません。もちろん、分母と分子の関係がいろいろあるとは推測いたしますが、特にこの間は、区民税も都区財政調整交付金も収入額が下がる一方ですから、歳入の規模に影響される分母はどんどん小さくなることから、結果的に数値は大きくなり、おのずと悪化してくるというのも理解ができます。しかしながら、借金返済にこれだけ力を注ぎ、人件費もかなり圧縮してきた経緯を見ますと、なぜと疑問を持つのは私だけではないと思います。そこで伺います。大きな借金返済をしてきているのにもかかわらず、経常収支比率が悪化するという結果をどのように分析しておられるのか、わかりやすくご説明をいただきたいと存じます。  最後に、3番目の特徴として、「進む財政の硬直化」と心配な言葉が出てまいります。経常収支比率は、ついに80%台の後半になってしまったわけですが、平成16年度の85.7%、その前年の平成15年度が87.2%という前例がありますので、80%台の後半というのは6年ぶり、7年ぶりということになります。区民税の15億円減少ということも述べられておりますが、歳入の伸び率がこの先も厳しく、なおかつこのまま義務的経費が伸びていくと推測すると、ますます経常収支比率は悪化するという懸念があります。人口規模の似ている目黒区でも、現在、大変なご苦労をされているようであります。歳入は減る、支払わなければならない経費は増える、結果、財源不足ということになります。簡単には解消できないような巨額な財源不足を前にして、区民サービスの低下もやむを得ないということで、ただただ経費の削減のみに専念しなければならない苦しい状況であるとも聞き及んでおります。私はこの話を聞いたとき、本区がかつて味わったあの苦しい財政状況へと後戻りすることも覚悟しなければならないのかと、まさしく対岸の火事ではないという心境であります。  そこで最後に、今後の財政運営の見通しについてお尋ねをいたします。この先、特に歳入の上昇が見込めないような厳しい場合には、義務的経費を初めとして、毎年必ず支払わなければならない様々な経費もありますから、どのような財政運営をお考えなのか、特別な財源対策があれば、それも含めてお聞かせください。豊島区の財政運営が適正で健全で安定したものであってほしいと願うのは私だけではありません。高野区政がこれまで幾多の困難を行財政改革によって乗り越え、区財政の建て直しをなし遂げてきた経験と、手がたい財政運営の成果が実りつつあったこの時期に、様々な社会状況、経済状況の影響を受けざるを得なかった現実を、私たちは真摯に受け止め、岐路に立っている今だからこそ豊島区の将来像をしっかりと描き、日本一の高密都市に住む豊島区民の一人一人の幸せを描いていかなければならないと思います。その積み重ねが高野区政の評価へとつながり、決算議会や予算議会の議論が価値あるものとなっていくと思います。これからも区民の理解と周知を図りながら、堅実な財政運営を継続されることを切に願いまして、次の質問に移ります。  次に、安全・安心のまちづくりについて伺います。本区では、現在、豊島区暴力団排除条例の制定などを検討しており、条例の骨子案に対するパブリックコメントが行われています。安全・安心まちづくりの根幹ともいえる条例となることから、暴力団排除などに関しての高野区長のお考えをお聞きしたいと存じます。近年の暴力団情勢では、殺人やけん銃発砲事件等の凶悪犯罪に加え、暴力団関係企業などを隠れみのとした金融、証券、建設、不動産等のあらゆる業界に進出し、悪質巧妙な資金獲得が行われていると聞いております。これらはまさしく日本経済の中心地である東京の経済活動がターゲットにされているということであり、東京にとっては潜在的な脅威となっているのであります。これらの東京をねらった動きは、全国的な暴力団員の減少傾向の中で、都内の暴力団員が増加している要因ともなっていると聞いておりますし、本区においても、十数年前には池袋などの繁華街で暴力団が闊歩したり、暴力団抗争事件などがあったとも聞いております。暴力団対策については、平成4年の暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律、いわゆる暴対法といわれる法律が施行となってからは、随分鎮静化されました。そしてこの度、東京都では、10月1日から東京都暴力団排除条例が施行されますので、この条例の施行により、実質的な暴力団排除、暴力団の孤立化が図られるものと期待するところであります。本区での取り組みとしては、平成21年に豊島区生活安全条例を改正し、マンション等の共同住宅からの暴力団排除条項を加え、警察、行政、区民が一体となった暴力団排除の環境の整備や、区の入札契約等からの暴力団排除を行ってきました。そこで、日本でも有数な繁華街を抱える豊島区としては、一日でも早く暴力団排除条例の制定を進めるべきであり、充実した内容ある条例をつくっていただきたいと思います。そこで伺います。現在、検討されている豊島区暴力団排除条例はどのようなものなのか、その特徴についてお聞かせください。また東京都暴力団排除条例と本区の条例との関係についてもお聞かせください。  次に、暴力団排除条例は、各都道府県すべてにおいて既に制定されていると聞いておりますが、都内においても府中市を初め、各区でも制定に向けた取り組みがなされていると聞いております。社会全体が暴力団排除に関して、暴力団は絶対に許さないという機運の高まりを感じているところであります。豊島区暴力団排除条例が制定されることにより、区民や事業者の意識や行動の変化が必要不可欠となりますが、今後、新条例の施行に向けて、どのような準備を講じていこうとお考えなのか。また現時点で考慮しなければならないことなどがありましたら、その点についてもお聞かせください。  次に、客引きの規制等に伴う豊島区生活安全条例の一部の改正について伺います。豊島区生活安全条例は、平成12年に制定され、条例制定後は、警察の犯罪抑止対策を初め、区民、事業者等による自主防犯パトロール等の安全・安心まちづくり活動が強化されてきたほか、平成14年の場外車券場問題、平成18年の風俗案内所規制、そして平成21年の暴力団排除条項の追加と改正を重ねながら、本区の治安対策の柱として運用されてきました。また、これによって区内の犯罪件数が減少傾向となる結果となり、区民の体感治安も向上してきていると感じております。しかしながら、繁華街周辺での風俗営業等の客引きや路上スカウト行為が依然として横行し、その実態も悪質化するなど、区民や来街者に多大な迷惑や不快、不安等を及ぼしていると聞いておりますし、過去、池袋などの繁華街を歩いていると、執拗な客引きに遭い、あまりのしつこい客引き行為に大変嫌な思いをした経験をお持ちの方も多いと思います。この客引き等の問題については、法律や東京都の条例改正で規制されてきてはいるものの、実質的には十分な対応策にはなっていないとの指摘もあります。そのような状況下においても、池袋駅西口周辺では、地元の町会や商店街が中心となり、環境浄化パトロール団体が2団体組織され、定期的なパトロール活動が行われています。昔から、「怖い」「汚い」「暗い」の3Kと呼ばれてきた池袋は、地元の方々の息の長い地道な活動により、格段に改善されてきております。改めて地元の皆様に敬意を表したいと存じます。そして、客引きの規制等を盛り込んだ今回の条例改正の効果は、従来の環境浄化活動の経緯や実績からも大いに期待するところであります。  そこで伺います。初めに、改正条例の必要性と目的や特徴についてお聞かせください。次に、改正条例の内容は、客引き等の違反行為について、重点地区を定め、その地区内であらかじめ指定された環境浄化パトロール隊の方々が違反行為者に対して指導することができることを検討されておりますが、重点地区はどのような区域を設定するのでしょうか。設定方法とあわせてお聞かせください。また民間の方々による指導では、様々なトラブルの発生が懸念されますので、その予防策と環境浄化パトロール団体がない地区の取り組みはどのようになるのかもお聞かせください。改正条例は、まさしくWHOセーフコミュニティの認証に向けた施策の一つでもあります。当然、取り締まり機関である警察との連携も十分に強化していかなければなりませんが、今後の警察との協力体制についてお聞かせください。さらに、条例の改正を実のあるものとするため、治安対策に関しては豊島区自身についても体制の充実強化が必要なのではないでしょうか。豊島区暴力団排除条例の制定に対する意気込みと合わせて、高野区長のお考えをお聞かせください。安全・安心のまちづくりは一朝一夕でできることではないことはご承知のとおりであります。高野区長のリーダーシップを発揮し、区民への周知を徹底させ、地域の皆さんの協力を仰ぎ、警察などとの連携を図りながら、区民生活のさらなる安全・安心につながる条例になることを期待して、この質問を終わります。  次に、造幣局周辺のまちづくりについて伺います。高野区長は、平成20年6月の副都心線開業の際に、池袋の将来像として、池袋副都心・グランドビジョンを示されました。副都心線の開業は、長年の念願であったと同時に、都心部や湾岸エリアの街並みが急速に変貌する中で、都市再生が進む新宿、渋谷の両副都心と池袋副都心が地下鉄で結ばれることから、当時、地元を含め、池袋が通過駅になってしまうのではないかと大きな懸念を抱いたことはいまだ記憶に新しいところであります。そして、私は、このグランドビジョンをそうした懸念を払拭させる力強い区長のメッセージとして受け止めている一人でもあります。本区においては、都市間競争に打ち勝つためにも、ただ新宿や渋谷の真似をするのではなく、池袋副都心の個性と存在感を発揮しながら、3副都心が連携し、互いに発展していく道を選択したと認識しています。また、平成22年6月には、グランドビジョンをより具体的なまちづくりへと展開するため、池袋副都心整備ガイドラインを策定しました。さきの豊島副都心開発調査特別委員会でも報告があったように、池袋副都心交通戦略の策定も間近であります。池袋副都心が目指す将来像を描き、大きく変貌する交通環境とまちづくりを融合し、それぞれが連携することを的確にとらえたプランとなっており、池袋副都心は着実に前進しているのだと実感しているところです。  また、このガイドプランでは、これまで漠然とイメージしていた池袋の街をエリア別にしたことで、まちづくりの方針が一層明確になりました。例えば、池袋の中心であり続けている池袋駅周辺の池袋ターミナルエリア、サンシャインシティやライズシティ、新庁舎整備の計画地、造幣局を含む比較的新しい池袋の拠点である東池袋エリア、そして池袋副都心全域を包み込むにぎわい交流エリア、特にアゼリア通りからグリーン大通りを結ぶエリアは、にぎわいと交流の骨格となる緑豊かな池袋の顔として、今後、池袋の都市軸となることでありましょう。中でも東池袋エリアは、東池袋四丁目の再開発が完了すると同時に、新庁舎整備を含む再開発事業がいよいよスタートしたことや、環状5の1号線や補助81号線の都市計画道路事業が進展するなど、現在最も活発な都市の更新、さらに新しくなるという意味でありますが、展開されているという感じです。また、その東池袋エリアの中でも極めて重要な役割を担うのであろうと期待できるのが、造幣局東京支局の今後であります。造幣局東京支局の持つ広大な敷地は、都心部の中では最後に残された貴重な土地といえるでしょう。この土地の特徴の一つは、副都心の顔を持つ高層の建物と狭小道路と木造住宅とが密集する地域に接する場所に位置していることであります。この地区では防災性や住環境の改善を進めていますが、今般の東日本大震災の教訓を受け、さらなる都市防災機能の向上にスピード感を持って推し進めていかなければならないことを踏まえると、東京支局敷地の有効活用が可能となれば、地域住民のみならず、本区全体の安全・安心の拠点となることは間違いありません。本年6月に開催された豊島副都心開発調査特別委員会では、豊島区が進めるまちづくりの進捗に合わせて、国における独立行政法人の各種計画等にその趣旨が盛り込まれていく経緯や、今後の目標とするスケジュールや造幣局に対する東京支局の移転を含めた有効活用を求める要望書の提出などについての報告がありました。そこで伺います。本年5月20日に提出した、高野区長から造幣局理事長あての要望書では、東京支局の移転を含めた幅広い選択肢も視野に入れた有効活用の検討について協力を求めていますが、まず、この要望書を提出するに至った経緯をお聞かせください。  次に、要望書に対する造幣局の具体的な対応はどのようなものなのか、また造幣局再編整備に関する検討状況についてもお聞かせください。また、今後の目標スケジュールについては、区と造幣局との間で本年度に中間合意を、平成24年度には最終合意を目指すということでありますが、中間合意と最終合意では何を決めていくのか、詳細についてお聞かせください。さらに、この目標スケジュールどおりに事業化に向かうには、いくつかのハードルがあると思います。一番高いハードルは財源問題と認識していますが、どのようにクリアしていくお考えなのか、またほかにはどのようなハードルがあるのか、現時点でのお考えをお聞かせください。  最後に、これは質問ではありませんが、私はこの度の造幣局周辺のまちづくりを進める上で、地域の将来像をぜひ視野に入れて考えていただきたいと思うのです。隣接する地区の再開発を一緒に進めてほしいと言っているのではありません。防災公園を中心とした不燃化市街地を形成していくことは、単に都市を更新するのではなく、高度な防災都市をつくり上げていくことであり、この敷地をどのように有効活用するのかで地域の将来にも大きな影響を及ぼしますので、本区として優先して取り組むべき課題であると認識しています。造幣局周辺の街並みや道路整備は、進捗の状況に違いはあるものの、着実に進んでいます。しかしながら、街の更新によって様々な課題も見えてまいりました。また、いまだに街の更新という動きに至っていない地区もあります。街は、そこに人が住み、生活を営み、育むことで街の顔をつくり上げていきます。地域住民や次代を担う子どもたちがいつまでもこの街に住み続けることができるような、住んでいてよかったと思えるような都市の更新をぜひ実現していただきたいと願っています。また、私自身もこのことをしっかりと肝に銘じたいと思っています。
     次に、子どもの予防接種の充実について伺います。予防接種は感染症対策上、極めて大きな役割を果たし、感染症の発生や蔓延を防止することで、国民の健康保持、または増進など、公衆衛生の向上を図るための重要な手段の一つです。長期的観点から、ワクチンで疾病を予防することで医療費の削減と社会的生産性の損失を減らすことが可能であります。特に、子どもの健康を守る施策としても、少子化対策の一翼を担うといっても過言ではない重要な施策と認識しています。しかしながら、日本の現状は、重篤な副反応の問題などが背景となり、予防接種の公的な推進について、慎重な対応が求められてきた経緯があります。我が国の予防接種制度は、いわゆる先進国、中進国の中では最低のレベルであるとの評価もあり、専門家の間では、日本の予防接種に対する常識は世界の非常識であり、間違っていると言われるほどであり、日本と世界のギャップを感じています。欧米での疾病の概念は、「かからない、うつさない」ですが、日本は「かからない」が主体になっていると言われています。何のワクチンでも、接種する目的が疾病にかからないために予防接種をするのが日本で、疾病にかからないようにして、なおかつ他人にうつさないために予防接種するのが欧米の発想なのです。また欧米では、ワクチンで防げる疾病は、まず国が予防接種を行い、一次予防に力を注ぎます。それによって重大な副反応や不慮の事故が起きた場合などは、国が責任をとるという制度になっています。日本の場合は、ご承知のように、定期予防接種と任意予防接種では保障制度が異なりますので、任意で受けることは即ち自己責任の範疇であるという見解から、いわゆる「受けたい方は受けなさい」的な予防接種になっているのです。それが世界とのギャップと言われる由縁なのであります。ワクチンの先進国と言われる米国においては、ワクチン接種が集団生活の中での最低限のルールの一つとされており、ワクチン接種を済ませていない子どもの入園や入学について、拒否できるなどとなっています。それと比較すると、日本のワクチン接種についての認識が甘いのではないかと指摘されるほど、ワクチン接種に対する正しい理解が不足し、いわゆるワクチン後進国などと言われてしまうのであります。具体的には、欧米諸国では、ほぼすべての予防接種が無料で制度化、つまり法定接種とされているのに対し、先程述べたように、日本では法定接種と任意接種に区別されていることです。このような現状の中で、本区では子どもの予防接種について、予防接種法で定められている定期予防接種に加え、22年度からヒブワクチンの接種が一部助成対象となり、今年度からは小児用肺炎球菌ワクチンの任意接種に対する一部助成が開始されるなど、高野区長の英断を大いに評価するところであります。そこでお尋ねいたしますが、今年度導入されたこれらのワクチンの実施状況はどのようになっているのでしょうか。また、今後はさらに、ヒブワクチン、小児用肺炎球菌ワクチンの全額助成を導入すべきではないでしょうか。財源措置も含めお考えをお聞かせください。  さて、国においては、現状を踏まえ、厚生科学審議会感染症分科会の予防接種部会では、ワクチンの評価に関する小委員会を設置し、本年3月の報告書の中で、水ぼうそうワクチンとおたふく風邪ワクチンの効果についての検討結果を発表しています。水ぼうそうワクチン並びにおたふく風邪ワクチンともに、ワクチン接種による中和抗体陽転率は約90%以上と良好であり、特に2回接種効果や集団免疫効果についても外国の事例を高く評価しています。また、医療経済的効果について、両ワクチンとも、ワクチン接種にかかる費用よりも、ワクチン接種によって削減が見込まれる当該疾病にかかる医療費と、回避が見込まれる生産性損失等との合計が上回り、将来的には、水ぼうそうワクチンについては1年当たり約362億円の費用低減が、おたふく風邪ワクチンについても1年当たり約290億円の費用低減が期待できると推測しています。そこで伺います。このように予防接種法の見直しについて国が検討していますが、検討状況と今後の推移について、区としてどのような見解であるのかお聞かせください。水ぼうそうは感染力が強く、毎年100万人の患者が発生し、4,000人程度が重症化により入院し、さらに20人程度が死亡しており、水ぼうそう予防接種は、その重症化防止と死亡率の減少、先天性水痘症候群、重篤な新生児水痘、さらに帯状疱疹の患者数の減少と重症化の軽減も期待されるとしています。また、おたふく風邪は予後は良好ですが、無菌性髄膜炎の合併が多く認められます。合併する難聴は難治性で、その頻度は年間で約600名あり、そのうちの約15%が両側性で、日常生活に支障を来たしています。おたふく風邪は、発症すると特異的な治療法がなく、ワクチンが唯一の予防法であり、これらの発症予防と、重症化の軽減におたふく風邪ワクチンは有効であります。  さらに私たち自民党豊島区議団が注視しているのは、水ぼうそうとおたふく風邪の予防接種については、国の検討結果を待たずに独自で助成をしている自治体が少なくないという点であります。既に23区では10区が助成の対象としています。冒頭で、世界とのギャップについて述べましたが、日本国内においてもワクチンギャップがあるということをご存じでしょうか。ワクチン助成の違いからくる不平等のことです。国はそれを知りながら、国費でワクチン事業を進めようとしていないために、結局国から都へ、そして区へ下りてくるというのが現状なのであります。ワクチン助成について、同じ東京23区内だけに限ってみても、任意予防接種の公費助成の金額が異なります。例えば、小児用肺炎球菌ワクチンの自己負担がゼロ円の方もいれば、豊島区在住の方のように、自己負担を1回につき7,000円近く、2カ月から7カ月未満の乳児の保護者は4回分、2万8,000円の自己負担を強いられることになり、同じ国内に住みながら負担差が生じます。このことがワクチンの接種を控える大きな要因となり、問題となっているのであります。多くの予防接種を任意接種として自費で受けているお子さんもいますが、費用負担がネックとなり、受けられないお子さんも多数いると聞いております。同じ国内に居住しながら、ワクチンを無料で受けられる子どもと、有料であるがために受けられない子どもがいる。このような不平等があっていいのでしょうか。そこで伺います。自民党豊島区議団としては、毎年一定の流行となっている水ぼうそうワクチンとおたふく風邪ワクチンについて、国の検討を待たずに、ぜひ早期に豊島区として全額助成を行い、予防接種の推進を図る第一歩とすべきと考えますが、いかがでしょうか。予算がないことは承知しています。ではなぜ、あえて全額助成にしなければならないのか。その理由は、一部助成では接種率の向上にはつながらないからなのであります。全額助成だからこそ、対象者が受けやすくなり、予防接種の本来の目的である、集団の中で疾病を発生させず、蔓延させないという目的が達成できるのであります。国民全体の免疫水準を維持するためには、予防接種の接種機会を安定的に確保するとともに、社会全体として一定の接種率を確保することが重要となることから、ぜひとも前向きなご答弁をお願いしたいと存じます。  以上をもちまして、私の一般質問を終わります。ご清聴、誠にありがとうございました。(拍手)   〔高野之夫区長登壇〕 ○区長(高野之夫) ただいまの竹下ひろみ議員のご質問に対しましてお答え申し上げます。  初めに、22年度決算についてのご質問のうち、まず、財源対策を講じての黒字とした評価についてのご質問にお答えいたします。ご指摘のとおり、計算上は、財源対策を講じずとも、わずかに黒字にはなりますが、23年度中の財政運営を考えたときに、特に3月11日の東日本大震災を踏まえ、様々な緊急対応のために補正財源を確保するべく一定の剰余金が必要であり、基金の取り崩しをせざるを得ないと判断をいたしました。一方、財源対策の内容を考えますと、5年前より以前は、土地売却や基金の運用、臨時・特例的な職員給与の削減など、いわゆる特別な財源対策が続いておりました。財源対策としての財政調整基金の取り崩しは、平成15年に9億4,000万円取り崩したとき以来、7年ぶりですが、不況下においては、むしろ取り崩すことが制度上想定されているわけでございます。したがいまして、以前の特別な財源対策とは質的に異なることは確かであり、この取り崩しをもちまして、区財政が以前と同様の危機的状況に戻ったとまでは認識しておりません。しかしながら、財政調整基金の現在高は、22年度末時点で61億円しかないという状況を踏まえますと、予算段階より4億1,300万円の縮減はいたしましたが、10億円の取り崩しをせざるを得なかったという点におきましては、この黒字を手放しで喜ぶのではなく、大いに緊張感をもって今後の運営に当たるべき状況にあると認識しております。  次に、経常収支比率悪化の結果分析についてのご質問にお答えいたします。確かに、通常の起債の繰上償還であれば、その定時償還分もだんだんと減ることにより、公債費比率も経常収支比率も、大きく改善されてまいります。しかしながら、土地開発公社の長期債務は通常の起債ではなく、統計上はこの時点での土地購入経費と同じにみなされまして、義務的経費である公債費ではなく、投資的経費として処理されてしまいます。その結果、この借金返済の努力は、公債費比率にも経常収支比率にも全く影響をいたさないわけでありまして、裏を返せば、過去の指標は実質的にはもっと悪かったということも言えるわけでございます。この長期債務が178億円という膨大な規模であっただけではなく、不透明かつ不適切なものであったということを、改めて認識していかなければなりません。そこで、経常収支比率悪化の要因についてでございますが、ご指摘のとおり、一つは景気の悪化を反映しまして、分母に当たる特別区交付金などの歳入が4年連続して減少したことであり、一方では、分子に当たる扶助費などの経費が増加したことであります。確かに、景気低迷による収入の減少や、扶助費の増加などによりまして、特別区全体で数値が悪化しておりますが、本区はまだ23区の平均値に届いておりません。したがいまして、今後も人件費や公債費削減のための努力を続けるとともに、そのほかの経常的経費につきましても、再び増分主義に陥ることのないように、常に新陳代謝を促すような取り組みが必要であると考えております。  次に、歳入上昇が見込めない場合の財政運営についてのご質問にお答えいたします。現時点では、かつてのような財政危機であるとは考えておりませんし、今後につきましても、土地開発公社の大きな支払いはなくなり、多少は基金もたまり、また人件費の削減だけでなく、この間の起債抑制の効果として、今後ようやく公債費が減少していくものと思っております。そして、景気の上昇により歳入環境が改善されていくならば、区財政も財源対策の必要ない状況にまで回復するものと考えております。しかしながら、日本経済の先行きは、大変不透明でございます。ご指摘のように、さらなる景気悪化、あるいは不況の長期化があると想定すれば、歳入の減少と扶助費の増加にどこまで耐え得るか、非常に難しい局面があることは事実でございます。何より不況下に最も活用すべき財政調整基金が、目標値の半分程度、23区平均の3分の1弱しかないということが第一の不安要素でございます。さらに東日本大震災を踏まえた新たな需要も付け加わってまいりました。したがいまして、現時点におきましても危険水域の一歩手前であるとの認識を強く持ち、そのような歳入環境が見込まれる場合にも区民サービスの低下を極力もたらさないように、早目早目の対策を立てていく必要があると考えております。その際、あらかじめ決まっている特別な財源対策はございません。基本は、行財政改革のさらなる徹底と、これまでの改革による一定の成果をより効果的に活用することであると思っております。  次に、安全・安心まちづくりについてのご質問のうち、暴力団排除条例についてのご質問にお答えいたします。  まず、条例の特徴でございますが、本条例案には四つの特徴がございます。一つ目は、暴力団排除を目的とした独立した条例の制定であるということであります。現行では、豊島区生活安全条例暴力団排除条項を規定しておりますが、暴力団排除に特化した条例を制定することにより、区の強い姿勢を示すことができるというものでございます。二つ目は、暴力団排除活動のさらなる機運の醸成を図るというものでございます。「暴力団を恐れない」「暴力団に資金を提供しない」「暴力団を利用しない」「暴力団と交際しない」の基本理念を掲げ、区及び区民等の責務を規定することによりまして、区民、事業者、警察等との協働による安全・安心まちづくりに向けた暴力団排除の機運を高めていくというものでございます。三つ目は、東京都暴力団排除条例を補完するというものであります。東京都暴力団排除条例において規定されている内容について、基本的な義務等について、あえて区においても同様の義務を規定するほか、都のみに課している義務について、区においても同様の義務を規定するというものでございます。四つ目は、豊島区の地域特性を踏まえた独自の規定を盛り込んでいるということでございます。区内のマンション等の居住世帯が約8割を占める本区においては、マンション等の居室を暴力団の事務所や犯罪のアジトに使われていることが懸念されることから、虚偽の養子縁組みにおける措置や、共同住宅所有者等の責務等の規定など、東京都暴力団排除条例をさらに踏み込んだ内容となっております。  次に、東京都暴力団排除条例と本条例の関係についてのご質問にお答えいたします。先程申し上げましたとおり、本条例は、東京都暴力団排除条例を補完するとともに、地域特性を踏まえた課題として、都の条例で補えないところを区の条例で規定するというものでございます。東京都の条例、区の条例と分けて運用するのではなく、双方の条例が暴力団排除に関する一体的な条例であるとの考え方に基づいた運用を図っていくことが重要であると考えております。  次に、本条例の施行に向けた準備についてのご質問にお答えいたします。本条例の施行に当たっては、社会対暴力団の構図の下、草の根的な暴力団排除活動を展開するため、区民、事業者、警察等との協働による安全・安心まちづくりを主眼とした暴力団排除の機運の醸成を図るための広報啓発活動を積極的に行っていきたいと考えております。その周知方法といたしましては、ホームページや広報としまはもとより、不動産業界のほか関係団体等に対する各種講習会等を通じまして、区内全域にわたり周知の徹底を図っていきたいと考えております。  次に、現時点で考慮しなければならないことについてのご質問にお答えいたします。本条例の制定に当たっては、何よりも区民や事業者の方々のご意見を十分に聞いた上で、その声を反映することであると考えております。そのため、条例の骨子案等の検討に当たっては、豊島区生活安全協議会や、その下に設置されております青少年健全育成部会、住宅街対策部会、繁華街対策部会において、地元の方々と十分な議論をしてまいりました。また、今月21日から来月21日までの1カ月間、パブリックコメントで、区民等の方々に対しまして、ホームページ等により広く条例の骨子案を公表し、意見を募っているところであります。そのほか、チラシを作成し区役所内の各窓口に置くほか、豊島区内の商店会や経済四団体に対して周知依頼を行っております。今後、これらのパブリックコメントにより提出された意見等を十分に考慮した上で、最終的な条例案を第4回区議会定例会に提出いたしたいと考えております。  次に、生活安全条例の一部改正についてのご質問のうち、まず、改正条例の必要性、目的、特徴についてのご質問にお答えいたします。ご指摘のとおり、日本でも有数な繁華街を抱えている本区では、例年、犯罪件数も減少し、最も多かった平成15年に対して、昨年中の刑法犯認知件数では、約4割近く減少しております。体感治安も向上してきております。しかしながら、有害環境の一つでもある客引きと路上スカウト行為は、区民の皆様や来街者の方々に不安、不快感を与えているのが現状であります。そこで、本改正条例では、WHOセーフコミュニティの認証取得に向けた区民と事業者と行政機関との協働による安全・安心まちづくり活動を目的として、警察110番の苦情の多い業種を対象とした必要な規制を行うとともに、違反行為者に対する指導権限の一部を環境浄化団体等に委託するなど、効率的かつ効果的な環境浄化対策を展開して、地域力の向上を図り、悪質な客引き等の撲滅に努めてまいりたいと考えているものであります。  次に、条例が定める重点地区と、その設定方法についてのご質問にお答えいたします。重点地区につきましては、本区においても繁華街と呼ばれる地域として、重点的な客引き等の撲滅対策を推進していく必要性のある地区を指定しようと考えております。警察110番の苦情状況では、客引きが多数いて迷惑、通行の妨害、しつこい、強引、逆引きに伴うトラブル等の理由が挙げられます。場所別で見ますと、主に、池袋駅周辺のほか、大塚・巣鴨駅の一部地域に集中している傾向にあります。今後、以上申し上げた地域等について、警察との協議を十分に行った上で、豊島区生活安全協議会において、区民の方々とのご意見を十分聞いた上で決定していこうと考えております。  次に、民間の方々による指導に伴うトラブルの予防策についてのご質問にお答えいたします。本改正条例では、あらかじめ指定するものに指導権限の一部を委託するとしております。この権限は、その責任までも委託することができないことから、一部を委託することになるわけであります。したがいまして、民間の方々に指導するに当たっては、あくまでも区の責任により職員を必ず立ち合わせるなど、その指導監督の下に行っていきたいと考えております。また、指定した方々には事前講習会等を徹底するなどして、トラブル防止には十分な配慮を行っていきたいと考えております。いずれにいたしましても、実際の現場でのお話を申し上げますと、池袋西口地区での環境浄化団体パトロールの活動では、客引きに対する指導の際、何ら指導権限がないことから、何を根拠に指導するのか等のトラブルがよくあるわけでございます。そのような意味においては、環境浄化団体に条例の制定により指導権限が与えられることで、トラブルは少なくなるのではないかと思います。  次に、環境浄化パトロール団体等がない地区の取り組みについてのご質問にお答えいたします。ご指摘のとおり、いざ重点地区が設定したが、指導する者がいなければ、本改正条例についても実効性のないものとなってしまいます。あらかじめ指定する者には、現在までのところ環境浄化団体のほか、青色パトロール車などのとしま安全・安心パトロール隊に委託することを考えております。したがいまして、そのような地区については、当面、としま安全・安心パトロール隊による指導を考えております。そのほか今後は、地元警察とタイアップをしながら、町会や商店会に対する環境浄化団体の設立等についての働きかけを行っていきたいと考えております。  次に、今後の警察との協力体制についてのご質問にお答えいたします。先日、第20回セーフコミュニティ世界会議に出席するために、スウェーデンとノルウェーを訪問してまいりました。また、現地では既にWHOセーフコミュニティの認証を取得している二つの都市も視察してまいりました。この訪問を通じて、安全・安心なまちづくりのためには、警察の協力が不可欠であることを実感いたしました。現在も、警察とは良好な関係を築いておりますが、今後とも、さらなる連携を強化し、協力体制の構築を図ってまいりたいと考えております。  次に、治安対策に関する体制の充実強化についてのご質問にお答えいたします。この度の条例の制定と改正に当たっては、WHOセーフコミュニティの取り組みの中で、区民・事業者の方々からご提案をいただき、条例の骨子案等の検討に当たっては、豊島区生活安全条例協議会等において、地元の方々から熱心なご意見等をちょうだいいたしました。私自身、これらの過程において、地元の方々の安全・安心なまちづくりに対する一生懸命な姿に感銘を受けました。まさしく、本区におきましても、地元の方々の熱い思いを背負い、安全・安心創造都市への実現に向け、治安対策担当課のみの体制だけではなく、各部局の壁を取り除き、また関係団体との連携の強化を図り、全庁を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。このような取り組みによりまして、豊かな地域力に支えられた安全・安心なまちづくりを推進していく所存でございます  次に、造幣局周辺のまちづくりについてのご質問のうち、まず、造幣局理事長あての要望書を提出した経緯についてのご質問にお答えいたします。  平成19年当時、政府が進めております独立行政法人の見直し議論の中で、造幣局東京支局を含めた資産の有効活用方策が検討されておりました。その際、東京支局については、昭和50年代から地元も交えて公園化を要望してきた歴史や、文化的な価値である造幣局が所有する巧の技を、何としても区のまちづくりに活用できる道筋をつけるべく、平成19年10月に、私から造幣局理事と運営に対する1回目のお願いとして要望書を提出いたしました。これが現在検討を進めているまちづくりの契機となっているわけであります。本年5月の要望書の提出につきましては、東京支局周辺で再開発事業や都市計画道路の拡幅が進展する中で、東日本大震災の教訓を受け、これらのまちづくりと一体となって、防災公園と不燃化市街地の整備による都市防災機能を早急に高める必要があると痛感をしたことが背景でございます。このため、東京支局には、この地に残っていただくだけではなく、移転するという選択肢の幅を広げ、まちづくりに貢献いただくよう、再度お願いするに至ったものであります。  次に、要望書に対する造幣局の具体的な対応と検討状況についてのご質問にお答えいたします。区から造幣局に対して要望書を提出した後、6月21日には、造幣局、日本郵政、サンシャインシティ、UR都市機構、区を構成メンバーとする東池袋まちづくり協議会を開催し、今後のまちづくりの方向性の検討に加え、東池袋地区の再編整備に関する合意形成に向けた調整を行うため、造幣局、UR都市機構、区の3者による部会の設置を決定し、事業化に向けた具体の検討を行うことといたしました。現在、区では、造幣局東京支局敷地に関して、防災公園の位置や区域、市街地整備部分の導入機能や事業手法など、事業計画案の検討を行っております。また同時に、周辺との機能連係や、具体的な整備のあり方など、良好な開発を誘導していくための指針となるまちづくりガイドラインの策定に向けた基礎検討を進めております。こうした区の検討状況については、随時造幣局に伝えており、造幣局は区の要望や検討状況を踏まえ、移転候補地の調査業務を既に発注し、東京支局の移転も含めた検討を開始しております。年内には移転の可能性に関する一定の方向性が示されるものと考えております。今後、区及び造幣局による検討の進捗に合わせ、先程申し上げました部会を開催し、関係者間の合意形成を精力的に進めてまいりたいと思います。  次に、造幣局との中間合意と最終合意の内容についてのご質問にお答えいたします。本年度中に中間合意、24年度には最終合意を目指していることについては、既に区議会にご報告をいたしておりますが、その内容につきましては、中間合意では造幣局から示される移転の可能性に関する検討結果を踏まえ、造幣局東京支局が移転した場合を想定した事業の区域や手法、事業スキームなどを確認し、最終合意では移転跡地のまちづくり計画、事業施行者、実施スケジュールなどを確認する予定となっております。  次に、財源を含む事業化に向けた課題についてのご質問にお答えいたします。現在、進めております東京支局敷地を活用したまちづくり検討では、おおむね敷地の3分の1を防災公園、3分の2を防災公園と連携できる不燃化市街地と公開空地とする計画であります。1ヘクタールを超える防災公園を区の施設として整備いたしますので、用地取得や整備に多額の経費を要することになります。区としては、癌研跡地で活用した防災公園街区整備事業を予定しており、UR都市機構が土地取得から整備を行い、区は分割で公園を買い取ることで区財政の影響を平準化してまいります。また、財源以外の大きな課題としては、防災公園以外の敷地を生かして、良好な不燃化市街地に誘導し、地域の防災性や快適性を高めていくことでございます。そのため、市街地整備については、地区計画等の都市計画を定めて、市街地再開発事業などの事業制度の活用も検討しながら、良好な民間開発へと誘導してまいりたいと考えております。また、市街地整備を着実に進めていくためには、堅実な事業計画を組み立てて実現可能なプランとしていかなければならないことも今後の重要な課題でございます。したがいまして、さきにも申し上げましたように、区が造幣局東京支局敷地を含めた東池袋地区のまちづくりの具体化を検討することと並行して、造幣局では移転候補地の検討が進んでおりますので、現時点では、平成25年度の事業化を目指す目標スケジュールに沿って、関係者間ででき得る最大限の努力をしてまいりたいと思います。  私からの答弁は以上でございますが、そのほかの質問につきましては、池袋保健所長から答弁いたさせます。   〔村主千明池袋保健所長登壇〕 ○池袋保健所長(村主千明) まず、子どもの予防接種の充実についてのご質問のうち、22年度から助成対象となったワクチン接種の実施状況についてのご質問にお答えいたします。ヒブワクチンにつきましては、2カ月以上5歳未満のお子さんを対象に、最大4回まで1回3,000円の助成を行っております。実績としては、乳児を中心に、22年度は3,958件、今年度に入ってからは毎月件数が増えており、4月から7月までに既に1,411件となっており、昨年度をかなり上回るものと思われます。23年度から開始した小児用肺炎球菌ワクチンにつきましては、ヒブワクチンと同様、2カ月以上5歳未満のお子さんを対象に、最大4回まで1回3,000円の助成をしております。やはり毎月件数が増加しており、4月から7月までの実績は1,348件で、ヒブワクチンとともに当初予算の見込みを大幅に上回るペースとなっております。これは二つのワクチンとも、23年4月生まれのお子さんから、個別通知を行っている効果が現れているものと考えております。  次に、ヒブワクチン、小児用肺炎球菌ワクチン接種に対する全額助成導入についてのご質問にお答えいたします。ご指摘のように、全額助成は保護者の経済的負担をなくすことで、より多くの方に接種していただくことは大変望ましいと考えております。財源としては、今年度まで国の子宮頸がん等ワクチン接種緊急促進事業により、おおむね2分の1の補助金があり、来年度についても継続する方向で検討されると聞いておりますが、補助が継続されたとしても、一般財源もかなりの増額が必要となります。ヒブワクチン、小児用肺炎球菌ワクチンの全額助成につきましては、国の補助及び区の財政状況を勘案しつつ検討してまいりたいと考えております。  次に、国の予防接種法の検討状況及び今後の推移に関する区の見解についてのご質問にお答えいたします。厚生科学審議会感染症分科会予防接種部会では、予防接種制度の見直しについて検討が進められております。本年7月に中間的な状況の整理がなされ、その中で、ヒブ、小児の肺炎球菌、HPV、水痘、おたふく風邪を含む7種類について、医学的・科学的な観点では接種を促進していくことが望ましいとされています。しかし同時に、制度の継続的な実施のための費用負担のあり方や、公的関与の程度などについて引き続き検討を要するとされ、厚生労働省では、来年の通常国会に予防接種法改正案提出を目指していると聞いております。区といたしましては、これらの動向を注視し、適切に対応してまいります。  次に、水ぼうそうワクチン及びおたふく風邪ワクチン接種に対する全額助成導入についてのご質問にお答えいたします。ご指摘のとおり、水ぼうそうもおたふく風邪も、予防接種による効果及び安全性は高く、先程申し上げました国の検討会の中でも接種を促進すべきワクチンとされております。水ぼうそうとおたふく風邪は保育園などでの集団感染も発生しており、感染予防対策を進めることは重要であると考えられることから、国の検討も踏まえつつ、来年度から先行して、区独自に助成を行ってまいりたいと考えております。なお、ご指摘のような全額助成による予防効果は十分理解しておりますが、他の予防接種とのバランスもあるため、当面一部助成で実施していきたいと考えております。  以上をもちまして、竹下ひろみ議員のご質問に対する答弁を終わります。 ──────────────────────────────────────── ○議長(里中郁男) 次に、29番議員より、「人に優しい街“としま”めざして」の発言がございます。   〔木下 広議員登壇〕(拍手) ○29番(木下 広) 私は、公明党豊島区議団を代表しまして、「人に優しい街“としま”めざして」と題して、1、平成22年度決算と今後の行財政運営について、1、行政のICT推進と区民生活向上について、1、介護保険制度について、1、障害者支援策について、1、その他について質問をいたします。  質問に入る前に、台風12号、15号、豪雨によりまして、本州各地は甚大な被害に襲われました。亡くなられました方のご冥福をお祈りするとともに、被災者の皆様に心からお見舞いを申し上げます。近畿地方の防災担当者は、東南海地震の津波の対策で海ばかり見ていたら、いきなり後ろから山津波に襲われ、全く想定外だったと述べておられました。想定外の天災が重ねて発生している今年は、防災対策元年として長く歴史に刻まれます。いつ起こるかわからない自然災害に対して、住民の生命、財産を守る防災対策は行政の重要な努めです。区長が目指す安心・安全な豊島区づくりに、私どももさらに取り組んでまいりたいと思います。  最初に、平成22年度決算についてお伺いいたします。先程、竹下決算委員長から、ボリュームのある質問がありましたので、私からは大まかな点を何点か質問をさせていただきたいと思います。平成23年8月の内閣府の月例経済報告によれば、日本の景気動向を、東日本大震災の影響で依然として厳しい状況にあるものの持ち直している、海外景気の懸念に加え、為替、株価の変動によっては景気が後退するリスクも考えられるとしています。また、2011年4月から6月期の国内総生産・GDPの速報値では、前期比0.3%の減、年率換算では1.3%の減となり、我が国のマイナス成長は3期連続となっております。こうした国内外の経済動向を勘案しますと、今後、本区にも特別区民税や財政調整交付金の歳入の影響が非常に気にかかるところであります。平成22年度の決算は、ご案内のとおり、土地開発公社の隠れ借金をゼロにして、財政の健全化を決断されたことに大いに評価するところでありますが、まず、当該年度の決算について、どう総括をされたのか伺います。また同決算を踏まえた次年度以降の財政見通しについて、どのように認識し取り組んでいかれるのか伺います。今決算の一般会計の実質収支は15億725万円の黒字、単年度収支は11億4,500万円の赤字、実質単年度収支は42億3,700万円の大幅な赤字となりました。普通会計の財政指標、財政力指数は0.52ポイントで、収支均衡を図る実質収支比率は2.3%と、前年に比べ1.7ポイントの大幅な減となっており、土地開発公社の隠れ借金の返済という要因はあるものの、平成22年度の決算では財政の硬直化が進んでいるように見受けられます。今後の区財政の健全化を図る上で、本区の基本的なお考えをお聞かせください。また、大震災後の来年度以降の財政運営を考えた場合、一層の行政コストの削減に取り組む必要があると考えます。私どもは以前から行財政改革の重要な視点として、行政評価制度について、より有効な評価、活用を主張してまいりました。今後の行財政改革と行政評価について、今後どう位置付け、取り組んでいかれるのか伺います。また、区民の方から外部評価との声も依然としてあるところから、外部評価の方向性についてのご意見も伺います。  当該年度の新規事業は一般会計で53事業、国保事業、後期高齢者事業を合わせると56の新規事業が計画されましたが、当初予算に対して執行率が極端に低いものが見受けられます。新規事業はその年度の最重要課題であると考えられるところから、当該年度の新規事業についての総括をお聞かせください。今後も厳しい財政状況での新規事業は、より区民に理解されるものではなくてはなりません。新規事業の政策立案から実施、検証までの管理についてしっかり掌握し、取り組んでいただくことを、強く望むところであります。  続いて、大きな項目の2点目、ICTを活用した区民サービスについて、特に全国各地で進展しつつある自治体クラウドの活用の観点から、何点か伺います。  情報システムの集約と共同利用を推進し、さらにデータセンターの活用などにより、自治体クラウドの活用が急速に進んでおります。自治体クラウドを推進するメリットとしては、各地方自治体におけるシステム運用経費の削減を図ることができるとともに、データのバックアップが確保されることで、災害に強い基盤の構築ができること、また将来的な行政の広域化に向けた先行した事務統合ができることや、小さな自治体でも大きな自治体と遜色のない行政サービスを行うことが可能になるなどが挙げられます。本区においても、災害情報システムのクラウド活用が着実に進んでおり、今後の展開に大きな期待が寄せられております。そこでまず、本区の行政情報のクラウド化の進行状況と現状について伺います。さらに、個人情報など大切な区民の情報を外部データセンターと接続し、送受信していくわけですので、センターにおける情報の安全管理と、データの送受信についての安全管理は最も重要なポイントとなります。本区では、行政情報公開・個人情報保護審議会などで専門の有識者や区民の方にもご参加いただき、適切に対応されていることは承知しておりますが、情報化の進展とともに悪質な犯罪者との攻防は技術革新の日進月歩とともに、危機管理の対応が望まれます。今後のクラウド化を視野に入れた情報の安全管理に向けての本区の取り組みをお聞かせください。また、クラウド化を図るということは、今まで各部署でまちまちで管理されていたワードやエクセル、JPEG画像などの情報の共有化を図ることが前提となります。当然、国の行政情報データの標準化、他自治体との動きをにらみながらの作業になることは承知しておりますが、他自治体では既に独自にデータ情報の共有化を図り、福祉・介護サービスの簡素化に寄与しているところもあります。本区の情報の共有化の現状と今後の取り組みをお聞かせください。  続いて、ICTを活用した事例として、Eメールを活用した区民意識調査の推進について伺います。区の施策について、区民の意向をいかに多く正確に吸い上げることができるかという点は、今後もさらに重要になってきております。本区においては、広報課で様々なツールを活用して、区民の声を吸い上げるご努力をいただいておりますが、現状は、区政へのご意見は月々約100件前後であり、区がテーマを絞って積極的に区民のご意見を伺う意見公募手続き=パブリックコメントは、例えば、今年1月に実施した豊島区がん対策推進計画についてのテーマでは、郵便13件、Eメール3件、持参2件の結果となっており、また、さきの副都心委員会で報告のあった池袋副都心交通戦略についてのパブリックコメントでは、メール4件、ファックス2件、郵送1件、持参が2件となっており、施策に対する区民の意見聴取としては甚だお粗末と言わざるを得ません。ICTを有効に活用し、アンケート、区民意向調査をさらに進めることにより、より多くの区民の声を反映することが可能となります。人口約7万人弱の埼玉県北本市では、早くから情報システムの活用に取り組んでこられ、ICTを活用したインターネットモニター制度という200名の登録者による市民アンケートを平成21年から実施しております。不定期ですが大体年3回程度、テーマは企業誘致について、介護保険制度について、ワークライフバランスについてなど、多岐にわたっております。北本市の場合、登録者には年に一度500円の図書券を贈呈されております。10万円の経費で200名の方の生の意見が聞けるメリットに加え、登録された方が市政に関して積極的に調べるようになり、市民と行政の協働が大きく図られているとのことです。また、人口約47万人の千葉県市川市でも、数千名の方を事前に登録してEメールで意向を調査するe−モニター制度が市政に役立っています。放置自転車に関する意見や食育に関するもの、今年8月には、市立幼稚園の廃園に関するテーマでは1,300名の意見募集をし、「財政状況が厳しい中、園児減少により公費負担の多い公立幼稚園については、廃園や統廃合を含めた公費負担の適正化を検討する必要があると思いますか」との問いに、約60%の方が統合や廃園を検討すべきとの結果が出たそうです。また、セブンイレブンでの証明書発行事業をテーマとしたところ、1,900名を意見募集し、このサービスが住基カードを必要とするところから、年齢、男女、職種別の住基カードの取得状況や、カードを持っていない方の理由も吸い上げることができ、今後の住民台帳制度への有効なデータとして活用されています。本区でも、今後は北本市、市川市のICTを活用したより多くの区民の声を吸い上げる取り組みを実施すべきだと考えますが、お考えをお聞かせください。また、ICTを活用した住民サービスの一環として、税・国保料などを、いつでも、どこでも収納できる窓口を広げる住民サービスが一層望まれているところであります。コンビニ収納が本区でも大変に大きな成果を上げておりますが、さきに紹介した北本市、市川市では、税・国保料等の収納の一元化の活用が図られ、現年度分の収納に大きな成果を上げておられます。特に北本市は、平成18年からクラウドを活用して、国保・税収納・徴収システムを稼働しており、市川市も地元銀行と提携して、税・国保等を支払うお客様の収納体制強化と、債権管理を一元的に行っております。また、医療・介護分野においても、市川市、北本市では、クラウド方式を活用した在宅の医療サービス、在宅介護サービス、介護予防のそれぞれのデータを情報共有するシステムづくりに取り組み、福祉・介護の分野にも活用が進んでいるところであります。そこで伺います。本区においての、納めていただく区民に対してより便利な身近な収納体制の取り組みと、今後の展開を伺います。また、クラウドを活用した収納の一元化と福祉・医療分野などへの検討状況と、今後の計画を伺います。ICTを有効に活用して、納税者であるお客様にとって、より親切な収納体制づくり、高齢社会の医療・介護支援に取り組んでいただきたいと思います。  ICT関連の最後に、既に再三にわたり提案をしております、ツイッターによる区政情報提供サービス、Wi−Fiやエリアメールを活用した区民への災害情報提供サービスについて、現状と今後の取り組みをお聞かせください。私もツイッターやフェイスブックで毎日つぶやいて、時には厳しいご批判を受けながら、住民の生の声を伺っております。防災協定都市の岩手県一関市の勝部市長さんは、ツイッターで、震災直後から震災の復興について、市の動向や、またご自分の行動などを発信されておりました。区民の方からは、災害時の情報提供ツールとして、ツイッターやエリアメールを活用した情報提供をどうしてやらないのかと、お叱りのツイートが多くあります。国民のICTによる情報収集は急速に進展しつつあり、今まではどちらかというと若い方が主体のものと思われていた傾向がありますが、最近では私のツイッターにフォローする方は定年を超えた方や50歳代の方々が半分以上おります。企業などでいろいろな経験を重ねた方が、ICTという新しい技術で各種情報のやりとりをしております。行政として、そのような区民に対して、正確でタイムリーな情報を提供していくこと、そしてより多くのメニューをそろえて情報提供していくことこそ大切ではないでしょうか。本区のICTを活用した住民サービスのさらなる充実を強く要望いたします。  続いて、大きな項目の2点目、介護保険制度について伺います。介護保険制度が創設されて12年目を迎えました。当初からのキャッチフレーズ、「介護保険は走りながら考える制度」そのままに走り続け、今回も抜本改革にはほど遠いものの、地域密着をさらに強化されたものとして、現在、全国の自治体が平成23年の介護保険事業計画及び高齢者保健福祉計画改定作業に向けて策定に取り組んでおられます。第5期計画期間においては、団塊の世代と言われる昭和22年から24年生まれの方々が65歳になります。区は今後の長寿社会を見据えた計画とするため、高齢者を取り巻く課題、高齢者のニーズ把握を行い、解決する方策と目指すべき目標を定めるため、郵送によるアンケート調査を行いました。7,677名に対して回収率68.6%という中で、見えてきた課題と私たち公明党が介護総点検を行った際に吸い上げた介護保険事業者や利用者の声を反映する具体的な提案なども含めて質問をいたします。  今回の介護保険法改正は、高齢者が地域で自立した生活が営めるよう、医療、介護、予防、住まい、生活支援サービスが切れ目なく提供される地域包括ケアシステムの実現に向けた取り組みを進めることに大きなポイントがあります。この地域包括ケアシステムというのが、介護保険の範囲を超え、医療や地域でのコミュニティまで及ぶ壮大なネットワークをつくり上げるものであり、介護保険制度改正の中で語られるのも不自然だとの意見もあり、介護保険法改正とセットで議論されるのであれば、保険給付の仕組みというものが組み込まれるところです。この地域包括ケアシステムは、自治体独自のシステムとして、地域住民と協力してつくるものであり、保険給付以外の保健・福祉・医療の対応が求められます。そして、これらは高齢者総合相談センターがトータルケアの要となります。  そこで、平成24年4月1日の施行を目指した本区の取り組み状況を伺います。まず初めに、高齢者の見守り強化についてであります。この度の調査結果などから見える本区のひとり暮らし高齢者の実態と地域社会とのつながりを、どのように認識しておられるのか伺います。ひとり暮らし高齢者の孤立化が進行する中で、孤立した高齢者は地域で発見されず、支援が届かずに孤立死の危険性が高まってきております。調査では高齢者総合相談センターを知らないという人がほぼ半数でしたが、介護保険というツール、高齢者総合相談センターという資源をいかに活用するか、地域の信頼関係を形成する取り組みをどのように展開するかが大きな課題であります。平成22年第4回定例会で、高橋議員が24時間安心見守りのシルバー交番の実施を提案し、この4月から要望するすべての人が利用可能な安心センサー付き緊急通報システムの見守りが可能となりましたが、この申請状況とこれらのシステムで緊急搬送された方がどの程度おられるのか伺います。本区の8カ所の高齢者総合相談センターは、平成20年に完全民営化を図り、既に委託の事業者にお願いしております。そこで、このトータルケアの要としての役割をどのように果たしていかれるのかもお伺いいたします。また、墨田区では区内8カ所の地域包括支援センター内すべてに見守り相談室が開設されております。高齢者の孤立を防ぐには、いくつもの網が必要で、網の目が多ければ多いほどそこから漏れる人が少なくなると言われております。本区での実施についてお考えを伺います。また調査結果を見ますと、今後充実してほしい活動については、地域の高齢者同士の交流、仲間づくりの活動が51%となっており、加入されていない方が89.8%を占めているという実態の中で、「高齢者クラブを知らない」が39%、「加入の仕方がわからない」が11.1%でした。広報で頻繁に周知しているようでも、活字からはなかなか情報が伝わっていない方も多いのではないでしょうか。そこで、元気で意欲のある地域の高齢者の方に、支援ボランティアとして高齢者施策のPR役、ガイドさんをやっていただいてはいかがでしょうか。介護支援ボランティアは、主に介護施設に行かないとできませんが、身近な地域でのこうした取り組みであれば参加しやすいのではと考えますがいかがでしょうか。  2点目に認知症対策の推進について伺います。本区でも、認知症になっても住み慣れた地域で安心して暮らせるまちづくりのため、認知症サポーター100万人キャラバンキャンペーンで、現在、23名のキャラバンメイトによるサポーター講座が持たれ、これまでの受講者は2,206名となっておりますが、今後はこうした方々もネットワーク協力者として登録し、活動していただけるような取り組みが必要だと考えます。各地では、商店や鉄道事業者を初め、タクシーやバスドライバー、またおもてなしの真髄を極める宿として、ホテルや旅館組合など、様々な方々がサポーターになっており、お店や車に貼れるオレンジシールなども活用されております。そこで、今後の認知症高齢者の増加傾向を考えますと、他地域の取り組みも参考にしながら、区の職員を初め、区を挙げて、さらにこのサポーター率アップの取り組みに力を入れるべきと考えます。また、高齢者の権利擁護の推進役として、せっかく育成されたキャラバンメイトの方々の起用を考えるべきと思いますが、いかがでしょうか。  3点目に、医療と介護の連携の強化を目的として、単身・重度の要介護者等に対応できる24時間対応の定期巡回・随時対応サービスや複合型サービスが創設されますが、本区での取り組みについて伺います。今後、医療と介護が必要な人の在宅での生活を支える施策として、介護職員がたんの吸引などの医療行為をできるようになるという在宅ケアの重要な施策ですが、24時間対応にしても既存の居宅介護支援事業所とのすみ分けや、居住環境が果たして24時間の訪問介護に適しているか、利用料の負担については、深夜22時から早朝6時は昼間時間帯の50%加算となることから、利用料を心配する区民が少なくありません。利用者の負担は極力抑えるべきであると考えますが、これについての区のお考えを伺います。  4点目に、介護が必要になっても自宅で生活したいという人が約5割おられます。毎年6月の高齢者住宅入居を希望される方々が多く、その倍率は高まる一方です。このことからも、本区の今日の礎を築いてくださった先輩方の孤立化を防ぎ、安心して住み続けていただくためには、やはり医療・介護を考慮した安心・安全の住宅の供給が必要だと思われます。東京都も、医療・介護のニーズに対応した住宅施策のモデルとして、東京都医療・介護連携型高齢者賃貸住宅の第1号を日野市に建設し、足立区にも、社会福祉法人が運営する複合施設「あやせコミュニティパーク」をモデル事業として建設され、私たち公明党豊島区議団も視察してまいりました。しかし、いずれも利用料が割高なのがネックとなっております。今回の介護保険改定に当たっては、住宅課も部局の垣根を越え連携を密にして、高齢者の住まいについて検討することとなっておりますが、今後の取り組みについて伺います。また、それでも在宅では対応し切れない方々がたくさんおられ、社会的入院も許されず、療養型病床も満床の中、特養やグループホームの建設は待ったなしの状態です。現在、進行中の建設計画では、様々な困難な課題があることも十分承知しており、関係者のご努力には敬意を表しますが、1,000名を超える特養待機者と待機者のご家族の祈りにも近いご相談を多く受けているのも事実であります。区としては、大局に立った一層のご努力をいただき、官・民、そして地域が協働し知恵を出し合い、一日も早く特養を整備していただけますよう強く要望いたしますが、いかがでしょうか。ご見解をお伺いいたします。  最後に、介護保険料の改定についてであります。第4期の保険料改定の際、区は介護給付準備基金を取り崩して第1号保険料の上昇を抑えてきた経緯もあります。保険料額については国からの通達に時間を要するようですが、今回の改定により様々な対応を行っても、なお5,000円を大きく上回る自治体も出てくることが予想され、心配をされております。あわせて、平成24年度より住民税の年少扶養控除の廃止により、同居している家族への課税によって介護保険料が上がる場合もあります。保険料の設定については特例的に平成24年度に限り都道府県に設置されている財政安定化基金の一部を取り崩して、第1号保険料の軽減に当てることができるようになっておりますので、基金の取り崩しにより負担を抑えるよう強く要望いたしますが、区のお考えを伺います。また、介護人材の確保とサービスの質の向上が大変重要です。今回の特例措置において、予算的に解決されていない問題が残されております。それは、介護職員処遇改善交付金の取り扱いです。介護サービス従事者の待遇改善として喜ばれている制度ですが、この部分を介護報酬本体に組み入れると、さらに第1号保険料が上昇する可能性があります。この点については、厚生労働省において、年末の予算編成に向けて取り扱いが決定される予定ですが、今後の人材確保に関わる難問題です。現在、平成23年度までの基金を積んで対応しており、さらに別途の財源を確保して、引き続き基金事業を継続することも必要と考え、国の動向が心配されます。いずれにしましても、今回の地域包括ケアシステム等の改正により、安心して暮らせるようにご努力をいただきたいと思いますが、この点についての区のお考えを伺います。  続いて、大きな項目の3点目、障害者施策について伺います。障害者自立支援法の改正により、10月1日から同行援護が制度として新設されることになりました。重度視覚障害者の方の外出時における支援が移動支援事業から同行援護に移行するというものです。制度改正により、今までと同じサービスを受けても自己負担が増える方が出てくると考えますが、本区として、このような方の支援についてお考えをお示しください。また、地域生活支援事業については、自治体の考え方や財政状況によって違いが出てきており、利用者には大きな課題となっております。例えば、平成23年度の予算委員会で取り上げました移動支援については、プールなどへの移動の付き添いは可能でも、プールの中までは制約されるということでありました。そのほかにも、自宅から自宅のみの利用しか認められなかったり、利用者の社会参加を真に考えた制度としては不十分であったと言わざるを得ません。また、利用対象年齢についても制限を設けていない自治体があることを考慮すると、今後、誰もが気軽に社会参加できる制度となるよう十分に検討し拡充すべきと考えますが、お考えを伺います。  さらに、豊島区重度心身障害者の日常生活用具給付について伺います。先日、我が会派の議員が豊島区内で筋ジストロフィー患者の二人の息子さんを在宅介護されているご夫妻からお話を伺う機会がありました。在宅酸素療法を行っており、人工呼吸器による酸素供給の停止が生命の危機に直結するため、毎日、バルスオキシメーターと呼ばれる動脈血中酸素飽和度測定器を使って、肺機能が正常であるかどうかのバイタルチェックをされているそうであります。バルスオキシメーターは、体を傷つけることなく、指にはめて簡単に測定可能な装置です。現在、バルスオキシメーターは、国においては難病特定疾患の方には給付されておりますが、難病指定のされていない筋ジストロフィーの患者さんは対象外となっております。そこで調査したところ、東京23区のうち、11区が筋ジストロフィーの患者さんを含む人工呼吸器装着者に、日常生活用具として、または独自の施策として給付しております。豊島区においても同様に日常生活用具として給付するとともに、日常生活用具給付全体の見直しが必要であると考えますが、ご見解をお聞かせください。さらに65歳になると、自立支援法から介護保険法に移行されますが、それぞれの法律の定義が違うため、介護保険法に移行すると自立支援法のときよりも十分なサービスが提供されない事態も出てきております。実際に移行する際には何度も話し合いが行われ、そのサービスの必要性を訴えることが大変であったと伺ったこともあり、障害者の方々は大変不安を感じていらっしゃいます。本区として、障害者の安全・安心の生活を守るためにどのように取り組んでいかれるのか、お考えを伺います。私どもは、障害者の方やそのご家族の皆様方から、多くの声をいただいております。今後、制度そのものがどうなっていくのかということもありますが、大切なことは、障害者の皆さんの今の生活をどう守っていくのかという視点であります。特に、区の裁量で行える支援策については、利用者の声も伺いながら柔軟に対応し、実態に即したサービスとなるよう取り組むことが重要であると考えます。今後の取り組みについて伺います。  最後に、その他として、災害時の学校施設の考え方と放射能対策についての2点について伺います。「学校施設の防災機能の向上のために」と題した国立教育政策研究所文教施設研究センターの「避難所となる学校施設の防災機能に関する調査研究」報告書には、様々なアンケートや現地調査を取りまとめて、学校施設の防災機能の向上について提言をしております。公明党豊島区議団では、阪神・淡路大震災で甚大な被害を受けた兵庫県が取り組んだ、学校施設防災機能の事例を確認するために、神戸市の鷹取中学校を視察しました。神戸市では、学校の建て替え時に、耐震性の向上と防災拠点としての機能強化に取り組みました。機能強化の一つとしては、まずプールの耐震化、雨水、プールの水、井戸水の利用を掲げました。特にトイレ設備については、阪神・淡路大震災のときに断水により使用できなかったこと、配水管が破損して屋上プールの水が空になり、トイレの水として供給できなかったこと、仮設トイレの数が不足していたため、校庭に穴を掘ってトイレとして使用したことなどの課題が浮き彫りになりました。そして、このような困難な状況下でトイレを我慢してしまうストレスから、飲食を控え体調を崩す避難住民の方がいたなど、トイレ機能の確保は大変重要な課題であるとされております。その対策として、同校の施設整備では、雨水を貯蔵する枡を設置し、災害時の仮設トイレの排水用の水として活用し、マンホールと直結してスムーズに流せるように、災害用トイレシステムを導入しておりました。このシステムの採用理由としては、震災時に道路が寸断してバキュームカーによる収集が困難になり、衛生上の問題が生じたり、くみ取り式仮設トイレが女性から敬遠されたことや、幸いにして下水道本管の基本的機能は確保できたことなどにあります。本区でも、学校施設に隣接した区道などをマンホールトイレとして利用できるようにしていますが、排水用の水の確保などを考えると、学校施設改修時に災害用トイレシステムなどを整備する必要があると考えます。あわせて複数の対策を組み合わせて柔軟な対応を求めていくことも必要だと考えますが、本区での検討状況と、今後どのように取り組んでいかれるのか、お聞かせください。また、新規改築校には学校プールの水を有効に活用するために、プールの耐震性向上を図るため、ステンレス仕様のほか、アルミ仕様や強化プラスチック仕様など様々導入されていると伺っております。今後の改築校でも、耐震性が十分な仕様を採用すべきであると考えますが、いかがでしょうか。また、既存校は多くがコンクリート仕様であり、今後の既存プール施設の改修でも耐震性向上を図るべきと考えますが、いかがでしょうか。お考えをお聞かせください。  また、東日本大震災の被害を踏まえた学校施設の整備について、文部科学省は検討会を立ち上げて緊急提言を取りまとめて、今年7月に公表しております。そこでは、学校施設の安全性の確保、地域の拠点としての学校施設の機能の確保、電力供給の減少等に対応するための学校施設の省エネルギー対策の方策が示されております。学校施設の安全性の確保では、特に注目する課題として、非構造部材の耐震化について多くの学校施設において非構造部材、即ち柱、梁、壁、床等の構造設計の主な対象となる部材以外の天井材、内・外装材、照明器具、設備機器、窓ガラス、家具等の被害が発生したことに触れております。構造体の耐震化だけでなく、非構造部材の耐震化も速やかに実施する必要があり、特に致命的な事故が起こりやすい屋内運動場の天井材等の落下防止策を進める必要があると提言しておりますが、今年の第2回定例会で此島議員が天井の耐震構造などについて質問しておりますが、その他の部分についての非構造部材の耐震性の状況と今後の取り組みをお聞かせください。また、既に行われている防災機能向上のための取り組み事例の一つとして、避難所としての防災機能を重視した中学校の改築計画を行った新潟県長岡市立東中学校では、学校改築に伴い防災機能を強化するため、地域開放を行っているゾーンと避難施設ゾーンを重ね合わせることで、平常時から地域住民が施設になじみ、いざ災害時の避難所となった場合のイメージを共有できるようにしました。例えば、避難住民が使用する屋内スペースを1階に集約して、外部からの支援物資の搬入や足腰の弱い避難者の受け入れを容易にしたとのことです。このほかにも多くの事例があります。避難所としての学校の防災機能の向上について、本区としてもこれまでも様々な検討、取り組みがなされ、防災機能の向上に努めてこられたことは認識しておりますが、東日本大震災後、状況は大きく変化しております。今後、どのように施設整備に取り組むのか、基本的なお考えをお聞かせください。また、学校が本来果たすべき役割を果たした上で、災害時の地域住民の応急避難場所としての役割を担っていくためには、あらかじめ、学校長、教育委員会と防災担当部局との間でお互いの役割分担を明確にしながら、防災機能の向上を図っていく必要があると考えます。東日本大震災でも学校施設が避難所として利用される中で、様々な救援体制の対応に学校長や学校関係者が忙殺され、本来の教育業務に支障が出るという課題があったことが報告されております。災害時の応急避難場所としての学校施設の基本的なあり方について、本区のお考えをお聞かせください。  最後の最後に、放射能対策について伺います。まず、具体的な質問に入る前に、原子力発電に関する高野区長の基本的なお考えをお伺いいたします。大震災から半年、福島第一原子力発電所の事故による被害の甚大さ、深刻さが明らかになってきております。また、世界各国へ大きな衝撃を与え、国民の意識も大きく変化をしてきております。一方、原発事故の収束に向けた対策が懸命に進められており、先日の野田首相の国連演説では、年内をめどに原子炉の冷温停止状態を達成すべく全力を挙げることが表明されております。原子力発電の問題は、今後のエネルギー政策のみならず、環境政策、経済政策などとも密接に関連し、大震災が我々国民に突きつけた深く大きな課題であります。この間、放射能の影響に対する対策に陣頭指揮をとり、私ども議会を初め様々な声を聞いてこられた高野区長は、今、原子力発電について、どのように考えていらっしゃるのでしょうか、基本的なご認識をお示しください。  さて、放射能をめぐる混乱や被曝への不安は、今なお続いております。原因の一つは、健康への影響は不確かな点が多く、専門家の間でも意見が分かれている点であります。また食の安全という点では、食品から規制値以上の放射性物質が検出され、消費者の不安が収まらないことが挙げられます。今こそ正しく考え、行動をとるための判断材料を提供することが国の責務であることを強く感じます。その上で、各自治体においても、区民に対してできる限りの正確な情報を提供していく必要があります。そこで、8月1日に開催された豊島区放射線に関する特別講習会の実施状況を踏まえ、引き続き国や区としての放射能対策について、区民の皆様にご理解と安心をしていただくためのセミナーや出前講座などの開催を提案いたしますが、いかがでしょうか。ご見解をお聞かせください。  次に、学校給食についてですが、豊島区においては厚生労働省が定める放射性物質に関する暫定基準値を上回る食材は、出荷制限等の規制により市場に流通していないとの基本的な考え方に基づき対応していると伺っております。しかしながら、区民の中には、この暫定基準値が安全基準を示すものではないとして、学校などの給食の安全を保証するために、食材などの独自測定を要望する方もおられます。実際、23区では杉並区が給食の食材などに含まれる放射能を測定できる検出器を導入することを発表しております。本区としては、こうした食材等の測定に対しどのように考えておられるのかお聞かせください。子どもたちを放射線のリスクから何とかして守りたいという保護者の気持ちや考え方、行動は、十分に理解するところです。今後とも科学的根拠に基づき、迅速な情報提供とともに、適切かつ機敏に検討・判断を行い、子どもたちが安心して学校生活を送れるように取り組まれることをお願い申し上げます。  以上で、私の一般質問全部を終了いたします。ご清聴、誠にありがとうございました。(拍手)   〔高野之夫区長登壇〕 ○区長(高野之夫) ただいまの木下広議員のご質問に対しましてお答え申し上げます。  まず、平成22年度決算と今後の行財政運営についてのご質問のうち、平成22年度決算の総括についてのご質問にお答えいたします。ご指摘のとおり、土地開発公社の長期債務を解消したことは、22年度決算における最も重要な点であると認識しております。この長期債務の解消は、財政健全化指標であります将来負担比率の大幅な改善にも表れております。また、新公会計制度に基づくバランスシートにおきましては、純資産比率や社会資本形成の世代間負担比率などの指標の改善に大いに寄与しております。一方、決算では、いまだ歳入環境の大幅な改善がないことが大きく影響いたしまして、財源対策が5年ぶりに必要であったこと、あるいは経常収支比率の悪化に見られますように、財政の硬直化が進行しているということが今後に向けた課題となっております。  次に、決算を踏まえた次年度以降の財政見通しについてのご質問にお答えいたします。現時点では、今後の経済の先行きが不透明で、歳入見通しを立てることが大変困難でありますが、極めて厳しくなると考えております。ご指摘のとおり、政府の経済見通しにおきましても、持ち直しているとしながら、様々な下振れのリスクを掲げておりますし、本区におきましても、23年度の区民税や特別区交付金が当初予算額を下回る見込みが確実視されておりまして、こうしたことからも今後の歳入の状況を大変懸念しております。したがいまして、22年度末で61億円となっている財政調整基金の活用だけでは、到底乗り越えられないことも想定しなければならず、早目に対策がとれるよう備えてまいりたいと思っております。  次に、財政健全化を図る上での基本的な考え方についてのご質問にお答えいたします。歳入の減少や扶助費の増加などによりまして、この間、財政の硬直度を示す経常収支比率が4年連続して悪化しており、また、特別区全体も同様の事情で悪化しておりますが、本区の比率はまだ特別区の平均値を上回っております。本区がなかなか特別区の平均に至らない主な原因は、毎年60億円もの公債費を支出せざるを得ないということにあるわけであります。公債費比率が依然として特別区の中で22位であることも、それが端的に表れているわけでございます。したがいまして、土地開発公社の長期債務を解消し、債務改革の第一段階をなし遂げたばかりでございますが、財政の弾力性の回復のためには、第二段階の債務改革として、334億円に上る起債残高の大幅な縮減がどうしても欠かせないわけでございます。今後も1人当たりの実質的な借金をゼロにするという目標の達成を、財政健全化の基本的に据え、最大限の努力をしてまいりたいと考えております。  次に、今後の行財政改革と行政評価の位置付けと取り組みについてのご質問にお答えいたします。行政評価につきましては、平成12年度の試行を経て、平成13年度より本格的に導入をいたしました。本年度は、本格導入から数え10年目を迎えましたので、まさに区切りの年であり、これまでの10年間の成果の検証を行うとともに、より実効性のある評価システムの確立を目指してまいりたいと考えております。本区の行政評価制度の運用については、すべての事務事業について総点検する手法を採用し、評価結果を予算編成や実施計画の策定、組織及び定員管理、ビルド・アンド・スクラップの取り組みなどに最大限の活用をしておりますが、絶え間ない行財政改革を進めるための、今や不可欠の自己点検システムであると認識しております。  次に、外部評価の方向性についてのご質問にお答えいたします。外部評価につきましては、本区においても平成17年度から19年度の3年間にわたり実施し、それ以降は内部評価システムの確立に力を注いでまいりました。外部評価の導入は、他の自治体に先駆けて取り組みましたが、その効果は私たちの考えるような成果が上がらなかった結果、十分に検証した上で廃止したことはご承知のとおりと思います。しかし、近年では有識者や公募区民の方だけではなく、無作為抽出により選出した住民の皆様に評価をいただく、これまでにない住民参加型の外部評価も生まれており、現在の本区に最もふさわしい外部評価の仕組みを十分検討した上で、早期に新たな外部評価を実施してまいりたいと考えております。  次に、平成22年度新規事業の総括についてのご質問にお答えいたします。新規に行う事業の意義については、まさにご指摘のとおりであると考えております。ご指摘いただいた、著しく執行率が低い事業については、行政評価と連動させながら、事業スキームの改廃も視野に入れて、当初の政策目的が実現されるよう、事業の進捗管理をしてまいりましたが、潜在的な区民ニーズ需要は高いと思われた事業が経済状況等の影響を受けやすかったり、事業の周知方法等が不十分であったものがあるなど、新規事業の予算付けにはより一層の慎重さが求められていると改めて認識をいたしました。とりわけ、財政状況が極めて厳しい中で、財源を有効に生かせる事業を見極めながら、こうしたことのないよう精査した上で新規・拡充事業を打ち出すことで、区民福祉の向上という政策目的を十分に達成することができるよう取り組んでまいりたいと考えております。  次に、行政のICT推進と区民生活向上についてのご質問のうち、まず、クラウド化を視野に入れた情報の安全管理の取り組みについてのご質問にお答えいたします。  総務省や東京都総務局で複数の自治体が同一システムを利用する自治体クラウドの構築を図っておりますが、それを待たずとも、単独の自治体で外部データセンターの資源を使ってシステムを構築するプライベートクラウドであっても、ご提案いただきましたクラウド活用のメリットは享受できるものと考えております。ご指摘を踏まえ、外部データセンターを利用する場合には、セキュリティ要件を最重要項目として選定を進め、また、通信回線につきましては、その時々において最も信頼できる回線を選択するとともに、データの暗号化など、セキュリティを確保しつつ、危機管理を高める推進計画をつくってまいりたいと考えております。  次に、情報の共有化の現状と今後の取り組みについてのご質問にお答えいたします。ご指摘にありますように、本区ではこれまで部署ごとにシステムを導入してきましたので、それぞれの情報を共有化することは非常に困難な状況にあります。情報の共有化につきましては、平成19年度に策定しました情報システム再構築ガイドラインの中で、現行の業務システムを再構築するに当たっては、共通EUCシステムという統一された仕様でデータを管理、加工、利用できる仕組みを構築することとしました。昨年度、それにのっとりシステムを構築しましたので、今後はその活用を広げていくことで情報の共有化が推進されるものと考えております。  次に、ICT利用により区民の声をより多く集めるための取り組みについてのご質問にお答えいたします。現在、本区では、ICTを活用した公聴活動を様々行っておりますが、ご指摘のとおり、参加者数があまり伸びておらず、より多くの区民の方々の声を吸い上げる新たな仕組みが必要であると認識しております。このため、平成19年度と平成20年度の2年間、インターネットを活用した政策e−モニター制度を試行的に実施いたしました。この取り組みでは、無作為抽出方式で参加者を募るという新たな手法を取り入れたことにより、普段あまり区政に意見を言う機会のない方々の参加の掘り起こしや、区政に対する関心や理解を深めるきっかけとしての効果が認められたわけであります。そこで、この手法を活用いたしまして、現在進めておりますWHOセーフコミュニティの認証取得に向けての意見募集では、インターネット上で相互にご意見を出し合っていただくことも考えております。この取り組みにつきましては、今定例会にWHOセーフコミュニティ認証取得事業経費として補正予算を提出させていただいておりますが、WHOセーフコミュニティに対する区民の皆様の理解を一層広げていかなければと考えております。また、この取り組みの成果を踏まえまして、インターネットモニター制度についても継続的な仕組みづくりを図ってまいります。  次に、区民により身近な収納体制と今後の展開についてのご質問にお答えいたします。本区においては、ご案内のとおり、平成21年4月より、コンビニエンスストアにおいて住民税や国保料等の支払いができるサービスを開始いたしました。今後はさらに利便性を拡大すべく、既に国保料において実施しておりますヤフー公金によるクレジットカード納付を、区民税においても今年度中に実施いたします。さらに携帯電話を利用した払い込み方法であるモバイルレジについても、同じく今年度中に実施してまいります。収納方法の拡大のコストも考えなければなりませんが、今後もマルチペイメントネットワークやマルチメディアキオスクによる納付などの区民が払いやすい環境の整備に努めてまいります。  次に、クラウドを活用した収納の一元化と福祉・医療分野への検討についてのご質問にお答えいたします。税・国保料などの収納一元化については、前に述べた情報システム再構築ガイドラインにおいて、システム共通基盤上に共通収納システムを開発することが計画されており、ICTを活用することで、効率的でセキュリティの担保された一元化の仕組みを検討することとなっております。また、福祉・医療分野については、第2次行政情報化実施計画の中で、総合保健福祉システムを、平成26年稼働に向けて来年度より開発に着手することとなっております。さらに、保健・医療・福祉の総合的な情報管理の検討についても計画をされており、この度のご指摘を踏まえ、今後構築する税と国民健康保険の共通収納システムや総合保健福祉システムがクラウドコンピュータになじむかどうかも検討いたします。  次に、ツイッターによる区政情報提供サービス及びWi−Fiやエリアメールを活用した災害情報提供サービスについてのご質問にお答えいたします。今回の東日本大震災を契機に、災害等緊急時の情報発信のあり方が大きな課題となっておりまして、本年4月5日には、内閣官房、総務省、経済産業省の連名による、国、地方公共団体等公共機関における民間ソーシャルメディアを活用した情報発信についての指針が発表され、ツイッター等ソーシャルメディアの活用の動きが各自治体で広がっております。本区におきましても、緊急時等の情報発信手段として、多様なメディアの活用を図ってまいりたいと考えており、ツイッターの導入についても検討しているところでございます。ツイッターにつきましては、即時性や簡便性、情報波及性といった面で優れている反面、リツイートされた情報を管理する体制が整っていないと、誤った情報が流布する危険性もはらんでおりまして、東日本大震災の際も、ツイッター上で多くのデマ情報が流れたと聞いております。災害時広報のあり方として、即時性とともに、情報の正確性を確保することも重要な課題であり、ツイッターの利点を生かしつつ、そうした課題をどのようにクリアしていくか、運用のあり方も含めてさらに検討してまいります。  また、Wi−Fiにつきましては、無線環境でインターネットを通じてリアルタイムに情報が提供でき、大地震の当日も問題なく通信を確保できていたことから、特に災害時における活用の可能性が高いと考えております。今年度、池袋駅におきまして、タブレット型の端末、データカード等を使用した通信訓練を試験的に実施する予定です。エリアメールにつきましても、現在、対応機器がドコモのみに限定されている状況ですが、他社も参入するという情報もありますので、そうした市場動向等も踏まえながら、活用のあり方を検討してまいりたいと考えております。いずれにいたしましても、ICT技術の急速な進歩に伴い、メディアの多様化が進む中で、来街者も含めた幅広い方々に災害情報を幅広く提供していくために、活用できる情報発信チャンネルを増やしていく必要があると考えております。このため、今月1日に設置いたしました災害対策本部の下に、防災情報基盤整備検討部会を設け、各情報発信メディアの特性を比較検証しつつ、その運用方法も含めて活用のあり方を検討してまいります。  次に、放射線対策についてのご質問のうち、原子力発電に関する私の基本的な認識についてのご質問にお答えいたします。この度の原発事故による影響は、ご指摘いただいたとおり、極めて甚大な大変深刻なものであると受け止めております。またその影響は、被災地のみならず日本各地に広がり、世界各国へも及んでおります。私は、これまで電力の確保に当たりましては、再生可能エネルギーの比率を高め、CO2削減に寄与する方向でエネルギー政策が推進されるべきであり、その際には我が国の経済活動等へも十分に配慮すべきであると考えてまいりました。この基本的な考え方は今も変わらないものでありますが、その中で原発の位置付けを考慮いたしますと、原発に依存した電力供給は段階的に減らしていくことが望ましいと考えております。もちろん、経済活動や国民生活、技術革新などの様々な要素を考え合わせた上で原発への依存度を段階的に減らしていくべきであり、ただ単に脱原発という考え方には直ちに賛同するということはございません。今後、原子力発電の安全水準の向上への取り組み、国のエネルギー関連計画の策定などが予定されておりますので、その動向を注視しますとともに、太陽光発電など再生可能エネルギーの普及拡大、電力に過度に頼らないライフスタイルへの移行促進など、自治体としての責務を果たせるよう最大限の努力をしてまいりたいと思います。  私からの答弁は以上でございますが、そのほかの質問につきましては関係部長から、教育委員会の所管に属する事項につきましては教育長から答弁申し上げます。   〔大門一幸保健福祉部長登壇〕 ○保健福祉部長(大門一幸) まず、介護保険制度についてのご質問のうち、アンケート調査結果から見えるひとり暮らし高齢者の実態と地域社会とのつながりについてのご質問にお答えいたします。ご指摘の介護保険アンケート調査は、第5期介護保険事業計画の策定に当たり、高齢者のニーズや地域の課題を把握するために、昨年1月に実施いたしました。本区の高齢者人口におけるひとり暮らし高齢者の割合は、本年1月1日現在、37.7%でありまして、22年度の国勢調査の、全国におけるひとり暮らし高齢者の割合である15.6%をはるかに上回っておりまして、このことは本区の特徴でもあります。この調査において、高齢者に質問した項目の中で、近所づき合いの程度を聞いておりますが、「あいさつをする程度の人がいる」と「つき合いはない」という回答が38.8%を占めております。また、ひとり暮らし高齢者のうち、昼間「いつも一人である」と回答した人の割合は72.3%にもなります。このような結果からは、ひとり暮らし高齢者の地域社会におけるつながりは、決して強いものとはいえないと認識いたしております。こうしたことから、現在、アウトリーチ事業を積極的に展開し、ひとり暮らし高齢者が地域で安全かつ安心して暮らしていけるよう、見守り体制の強化を図っているところでありますが、なお一層施策の充実に努めてまいりたいと考えております。  次に、緊急通報システムの申請状況及び救急搬送についてのご質問にお答えいたします。区では、ひとり暮らし高齢者が多い実情を踏まえ、緊急通報システムの利用要件を本年4月より緩和いたしました。これまで、前年比約75%増の65世帯の新規利用申請を受け付けておりますが、さらにPRに努め、利用者の増加に取り組んでまいります。また、救急搬送につきましては、幸いなことに8月末まで実績はありませんが、このシステムの新たなサービスとして、緊急時対応のみならず、専門職による健康や医療等についての相談機能を加えた結果、利用者からの相談にも適切な対応が図られており、このような新たなサービスによる安否確認にも大いに期待を寄せております。  次に、高齢者総合相談センターのトータルケアの要としての役割についてのご質問にお答えいたします。ご案内のとおり、今般の介護保険法の改正による地域包括ケアシステムを構築するためには、高齢者総合相談センターが高齢者の実態把握、総合相談等を通じて、多様なサービスのコーディネートを行うことが不可欠であると考えております。このため、区といたしましては、本区の高齢者総合相談センターがその役割を十分に果たすための指導、支援をこれまで以上に行い、各センターとの緊密な連携と機能強化に努めてまいります。  次に、シルバー交番設置事業の実施についてのご質問にお答えいたします。昨年来実施してまいりましたひとり暮らし高齢者等実態調査の結果を踏まえ、今年度はアウトリーチ事業を各高齢者総合相談センターにおいて本格的に展開しております。区は、この事業の推進と地域における見守り体制の構築を目的として、本年4月より見守り支援事業担当を各センターに配置いたしました。まさにご指摘のシルバー交番設置事業を活用した取り組みに着手したところであります。今後、その事業展開を注視し必要に応じた支援をしていくとともに、事業を推進する中で高齢者総合相談センターの認知度の向上も図ってまいります。  次に、介護ボランティアの活用についてのご質問にお答えいたします。高齢者がボランティア活動を通じて社会参加や地域貢献を行うための支援は、精神的にも身体的にも元気な高齢者を増加させるための重要な取り組みと考えております。区は、高齢者元気あとおし事業など、自らの意思で地域貢献を行う元気な高齢者を支援しておりますが、ご指摘のとおり、これらの事業の活動対象は、施設での活動や介護予防事業の補助などが中心となっております。区といたしましては、元気高齢者の社会参加をさらに促すための仕掛けといたしまして、さきに申し上げました見守り体制の整備に伴う見守り協力員としての活動や、ご指摘の施策のPR役などの活動につきましても、これらの事業の対象となるよう、その仕組みを検討してまいりたいと考えております。  次に、認知症対策の推進についてのご質問にお答えいたします。この度の介護保険法改正においても、認知症対策は重要な柱の一つとして位置付けられております。また、区は平成18年度以来、2,000名を超える認知症サポーターを養成してまいりましたが、この養成講座には、区の職員はもちろんのこと、町会などの地域の方々に加え、地元の金融機関やサービス業を中心とした一般企業などからの参加者も増加しており、その裾野は着実に広がりつつあると認識しております。区といたしましては、ご指摘の点も踏まえ、今後さらに多くのサポーターを養成するとともに、次のステージとしての認知症支援者養成講座への参加を促すなど、スキルアップとサポーターの積極的活用などを促進してまいります。また、キャラバンメイトにつきましても、スキルアップや情報共有などによる支援を積み重ね、その知識、経験を高齢者の権利擁護の推進にも活用してまいりたいと考えております。こうした事業展開により、認知症になっても安心して暮らせる地域づくりに取り組んでまいります。  次に、定期巡回・随時対応サービス及び複合型サービスの取り組みについてのご質問にお答えいたします。今回新たに創設された24時間定期巡回・随時対応サービスは、単身・重度の要介護者であっても、在宅を中心として住み慣れた地域で生活を継続できるよう制度化されたものであります。また、複合型サービスは、居宅介護と訪問看護などのサービスを組み合わせることで、より柔軟なサービス提供が可能となり、加えて医療ニーズの高い要介護者への支援も充実させることが可能となるものであります。いずれのサービスも重度の要介護高齢者の在宅生活を支える重要なサービスであると認識しております。しかしながら、現時点では介護報酬やサービスの利用限度等の詳細が示されておりません。このため、今後国から詳細な内容が示された段階で本区の実情を踏まえながら、ご指摘のような利用に対する負担額のあり方や、既存の居宅介護支援事業所とのすみ分けなどについて、ご指摘の趣旨を踏まえ、前向きに検討してまいりたいと考えております。  次に、医療・介護を考慮した安心・安全の住宅の供給についてのご質問にお答えいたします。改正後の介護保険法の柱となっております、地域包括ケアシステムの構築に当たっては、介護サービスの充実強化を図る観点から、特養ホームなどの介護拠点の緊急整備とともに、24時間対応の定期巡回・随時対応サービスの創設など、在宅サービスの強化策が示されております。それと合わせて、高齢期になっても住み続けることのできる高齢者住まいの整備が、国土交通省と厚生労働省との連携により取り組まれることになっております。この住まいに関する考え方の重要な視点の一つは、「ニーズに応じた住宅が提供されることを基本とする」ということでございます。即ち、福祉の前提として、まず、住まいの重要性が位置付けられているのであります。そのための法制度の整備として、高齢者の居住安定確保に関する法律が本年4月に改正され、10月20日から施行となります。改正の趣旨は、不足する高齢者に適した住まいへの対応や、複雑な高齢者の住まい確保の制度を簡略化するものであります。この改正により、錯綜していた高齢者住宅の制度をサービス付き高齢者向け住宅に一元化し、国の民間事業者への補助制度により整備が促進されることになりました。現在のところ、サービス付き高齢者向け住宅の整備・推進に関しては、東京都における取り組みの方向についての詳細が示されておりませんが、今後、制度の普及啓発並びに住宅の確保に向け、保健福祉部と都市整備部との連携を強化してまいります。なお、ご指摘のサービス付き高齢者向け住宅の利用料は、近傍同種の住宅の家賃と同等となるように規定されております。ご質問にあります綾瀬の施設につきましても、近傍同種の住宅を勘案してのものと思われます。今後、区といたしましては、サービス付き高齢者向け住宅について、一定の要件を満たした場合において建設費の補助や低所得世帯への家賃助成の検討を進めたいと考えております。また現在、住宅課で進めております空き家実態調査の結果が来年3月頃にまとまり次第、これを踏まえまして、空き家の所有者に対し、高齢者向け住宅への転用の意向を確認するとともに、空き家の活用手法の一つとして提案していきたいと考えております。また、単身で要介護度が高い場合などには、在宅での生活を継続できないこともあります。特養ホームやグループホームの整備には様々な困難もございますが、喫緊の課題と考えておりますので、近隣のご理解、ご協力を得ながら地域に喜ばれる施設となるよう全力を傾けてまいります。  次に、介護保険料の改定に伴う負担軽減についてのご質問にお答えいたします。平成24年度から26年度までの3カ年の第5期介護保険料につきましては、高齢化の進展に伴うサービス受給者の増加等により、一定の増額は不可避であると考えざるを得ない状況にあります。こうした中で、ご指摘のとおり、介護保険料の急激な上昇を緩和するため、今回の法改正により、都道府県が設置する財政安定化基金について、その一部を取り崩すことができることとなりました。現在、東京都におきましては、年内を目途に基金の取り崩しのあり方を整理する方向で検討が進められていると聞いております。財政安定化基金からの交付額につきましては、今後、決定されるものでございますが、交付金は法の定めに基づき、確実に保険料の増加の抑制に充ててまいります。また、今期、第4期中におきまして積み立てが見込まれる介護保険給付費準備基金につきましても、保険料の軽減財源として活用し、可能な限り保険料の上昇を抑制してまいりたいと考えております。  次に、地域包括ケアシステム等の改正による取り組みについてのご質問にお答えいたします。今回の改正は、介護保険法施行後、平成18年に続く大きな改正でございます。改正内容には急速な高齢化の進行に伴い、高齢者が要介護状態になっても可能な限り住み慣れた地域において継続して生活できるよう、とりわけ地域包括ケアシステムの構築に向けた取り組みが多岐にわたって盛り込まれております。この地域包括ケアシステムの構築に際しては、医療との連携強化、介護サービスの充実強化、予防の推進、多様な生活支援の確保や権利擁護、そして高齢期になっても住み続けることのできる高齢者住まいの整備の五つの視点による取り組みが包括的、継続的に行われることが不可欠であります。区といたしましては、今後、この五つの視点に基づき、豊島区の地域特性や実情等をも踏まえ、医療や介護のみならず、福祉サービスを含めた様々な生活支援サービスが日常生活の場で適切に提供できるよう、地域における体制の充実強化を図り、高齢者が安心して心豊かに生活できる地域包括ケアシステムの実現に向け、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。  次に、障害者施策についてのご質問のうち、法改正により自己負担が増加する方への支援についてのご質問にお答えいたします。ご案内のとおり、障害者自立支援法の改正により、本年10月1日から、重度視覚障害者の外出時における支援が、移動支援事業から同行援護に移行いたします。同行援護への移行によって利用の範囲が拡大いたしますが、ご指摘にありますように、ケースによっては自己負担額が従前より増える場合がございます。これは、移動支援事業において本区独自の減免措置をとっていることによるものでございますが、視覚障害者に対する支援を今までどおり継続していく観点から、移行によって生ずる自己負担額の増加分を助成する制度を本年10月1日から創設いたします。なお、同様に自己負担額の増加が生じてしまう区はいくつかございますが、このような助成制度を創設いたしますのは豊島区のほか1区のみであり、他区に先駆けての実施となります。  次に、地域生活支援事業の拡充についてのご質問にお答えいたします。障害者の社会参加につきましては、ご指摘のとおり、今後とも積極的に支援すべきであると考えております。このため、知的障害者の移動支援事業のあり方につきましては、この間、鋭意検討を重ねてまいりました。その結果、本年10月1日から、プールの中での利用を認めるとともに、起点・終点のいずれかが自宅の場合は利用ができるようにいたします。また、利用対象年齢の緩和につきましても、利用者のご意見を伺いながら、サービス事業者と協議を進めてまいります。  次に、日常生活用具給付の見直しについてのご質問にお答えいたします。バルスオキシメーターは、体内の酸素供給の状況を計測する機器でございますが、ご指摘のとおり、人工呼吸器装着者にとりましては大変重要な装置でございます。その必要性については、かねてから検討をいたしてまいりましたが、その他の用具類のいくつかも含め、来年4月1日から日常生活用具として給付できるよう見直しを図ることといたしました。  次に、自立支援法から介護保険法への移行時のサービスについてのご質問にお答えいたします。65歳になり、障害者自立支援法から介護保険法の適用に移行した際に、ご指摘のように、障害の重い方は必要なサービスに欠ける場合が生じてまいります。そこで本区では、障害程度区分6かつ要介護5の全身性障害者で肢体不自由1級の身障手帳所持者、または同等のサービスを必要とする方に対しまして、いわゆる上乗せ給付を実施いたしております。給付の認定に際しては、ケースワーカーがご事情をお伺いさせていただきますが、常に障害者の皆様のお気持ちに沿った話し合いを心がけていきたいと存じます。  次に、実態に即したサービスとする取り組みについてのご質問にお答えいたします。ご指摘のとおり、障害者施策の特徴は、支援対象が多様であることと、ご家族の負担についても個々の配慮が必要である点にございます。そのためにも、区の裁量を生かした実態に即した柔軟な施策が求められております。区といたしましては、利用者の声を真摯に受け止め、障害者の皆様の現在の生活をしっかりと守っていけるようなサービスを、適切かつ迅速に提供できるよう努めてまいりたいと考えております。  私からの答弁は以上でございます。   〔齋藤賢司総務部長登壇〕 ○総務部長(齋藤賢司) 放射線対策についてのご質問のうち、まず、放射線対策についてのセミナー等の開催についてのご質問にお答えいたします。大気や水、土壌、食品などの放射能汚染に対する区民の皆様の関心や不安が高まっていましたため、放射能に関する正しい知識を身につけ、少しでも不安を解消していただけるよう、8月に「豊島区放射線に関する特別講習会」を開催いたしました。講習会では、区内の放射線測定の結果につきましてご報告をいたしますとともに、講師に放射線の専門家でございます聖徳大学教授の林徹先生をお招きいたしまして、「食品・環境の放射能汚染とその影響について」の講義を行いました。会場は、ほぼ満員となりまして、講義の後の質疑では、多数の質問が寄せられるなど、放射能汚染とその影響に関する区民の皆様の関心の高さを改めて実感したところでございます。ご指摘のとおり、今もなお小さなお子様を抱える保護者の方々から、放射能汚染に対するご心配の声をいただいております。このような状況に対応するためにも、今後も引き続きホームページなどでの放射能に関する適切な情報の提供に努めますとともに、ご提案にございましたセミナーや出前講座など、早期に開催できるよう取り組んでまいりたいと存じます。  次に、給食食材に含まれる放射能測定についてのご質問にお答えいたします。食材についての放射性物質の検査は、原子力災害対策本部が定めました「検査計画、出荷制限等の品目・区域の設定・解除の考え方」を踏まえ、厚生労働省が示しました地方自治体の検査計画に基づきまして、各都道府県で計画的に現在実施されています。その結果、厚生労働省が定める放射性物質に関する暫定規制値を上回る食材は、国による出荷制限等の規制を受けることになりまして、市場には流通していないと考えてございます。したがいまして、市場に流通している食材は、安全性が確保されているものと考えております。しかしながら、出荷制限の扱いとなった食材が市場に流通していたこともありましたため、小さなお子様の保護者の方々の不安を少しでも解消できるよう、現在、旧食の献立表や給食だよりなどを活用いたしまして、給食食材の生産地の公表に努めているところでございます。給食食材の放射性物質の検査につきましては、保護者の方々から切実なご要望をいただいているところでもございますので、国や東京都などの対応並びに出荷制限などの規制を受ける食材の状況等を十分に考慮いたしまして、検査機関への委託による方法なども含め、その実施に向けて検討してまいります。今後も、放射能汚染に対する不安を解消するため、諸状況の変化に迅速かつ的確に対応し、児童・生徒が安心して学校生活を送ることができるよう取り組んでまいります。  私からの答弁は以上でございます。   〔三田一則教育長登壇〕 ○教育長(三田一則) 引き続きまして、教育委員会の所管に属する事項に関するご質問に対しましてお答え申し上げます。災害時の学校施設の考え方と放射線対策についてのご質問のうち、まず、マンホールトイレなどの整備についてのご質問にお答えいたします。学校は、災害時の救援センターに位置付けられているということから、災害時におけるトイレの確保は、学校施設整備の重要な課題であると受け止めております。東日本大震災では、マンホールトイレによる対応は衛生面でも、プライバシーの確保の面においてもすぐれていると報告されております。本区におきましては、現在、南池袋小学校、千登世橋中学校、明豊中学校に設置しており、今後、西池袋中学校、目白小学校など改築に際して整備を進めてまいります。また、未整備の学校につきましては、校庭の大規模改修時に、設置場所、下水道管の配置など条件を整えて導入を推進してまいります。学校における災害用トイレシステムにつきましては、ご指摘のとおり、一つの対策だけではなく、複数の対策を組み合わせて柔軟に対応できるよう整備をすることが重要だと認識しております。したがいまして、防災課とも連携をしながら、断水や停電、下水道管の破損などにも対応できるように、校舎内のトイレや組み立て式の簡易トイレ、マンホールトイレなどの整備を図ってまいります。  次に、プールの耐震性の向上についてのご質問にお答えいたします。今後の改築校におけるプールの整備につきましては、ステンレスや強化プラスチックの仕様を採用し、十分な耐震性を確保してまいります。既存の鉄筋コンクリートプールを有する19校のうち14校につきましては、内側にシート防水を施し、耐震性を高めております。残りの5校につきましても、今後のプール改修の際、同様の整備を行い、耐震性のさらなる向上に努めてまいります。
     次に、天井以外の非構造部材の耐震性についてのご質問にお答えいたします。天井以外の非構造部材につきましては、年に一度実施する法定点検の中で、内装材、照明器具、空調機などの取りつけ状況の安全確認、強化ガラスの使用や教具の転倒防止策など、耐震性と安全の確保に努めているところでございます。本年7月に文部科学省から通知された東日本大震災の被害を踏まえた学校施設の整備についての趣旨を踏まえ、さらに非構造部材の耐震対策の強化に努めてまいります。  次に、学校の防災機能の向上についてのご質問にお答えいたします。今回の東日本大震災では、学校の防災機能を強化することの必要性が、改めてクローズアップされました。学校を改築する際には、救援センターとしての機能を最大限発揮できるよう計画しております。例えば、一時避難所となる体育館には冷暖房を設置し、近くにトイレやシャワー室、更衣室を配置するように配慮しております。避難所運営の拠点となる会議室や和室などの地域開放施設は、1階から直接出入りできるよう、動線を確保しております。さらに、バリアフリー化を行い、高齢者や障害者の方々が安心して使用できるように考慮しております。今後とも、大震災の被害状況を調査・研究し、関係各課と連携しながら、学校の防災機能の向上に努めてまいります。  次に、教育委員会と防災担当部局の役割についてのご質問にお答えいたします。避難所である救援センターにつきましては、原則として区長部局が設置し、地域住民が主体となって救援センターに配備された区職員と学校の支援の下で運営することとされております。従前からこうした役割分担がありましたが、東日本大震災の当日は、帰宅困難者などが学校に集まり始めた時点では、区の職員配備が間に合わず、学校の教職員が対応する状況が生じました。こうしたタイミングのずれにつきましては、反省点として受け止め、小・中学校の校長会を初め、防災関係各課とともに地域防災計画を見直し、役割分担の明確化や円滑な避難所運営のあり方につきまして、再度、調整を始めているところでございます。  以上をもちまして、木下広議員のご質問に対する答弁を終わります。 ───────────────────◇──────────────────── ○議長(里中郁男) この際申し上げます。  議事の都合により、暫時休憩いたします。   午後3時43分休憩 ───────────────────◇────────────────────   午後4時7分再開 ○副議長(島村高彦) 休憩前に引き続き会議を開きます。  議長の都合により副議長の私が議長職を務めますので、よろしくお願いいたします。 ───────────────────◇──────────────────── ○副議長(島村高彦) この際申し上げます。  本日の会議時間は、議事の都合により、あらかじめこれを延長いたします。 ───────────────────◇──────────────────── ○副議長(島村高彦) 一般質問を続けます。  次に、15番議員より、「区民のいのちとくらしを守るために」の発言がございます。   〔森 とおる議員登壇〕(拍手) ○15番(森 とおる) 私は、日本共産党豊島区議団を代表して、「区民のいのちとくらしを守るために」と題し、次の4点について一般質問を行います。第1に、消費税増税に反対することについて、第2に、区民需要にこたえる財政運営について、第3に、生活保護制度について、第4に、中小業者支援策についてです。区長の明快な答弁を求めます。  第1の質問、消費税に反対することについてです。今月、野田内閣が発足しました。野田首相は、復興増税の具体化の検討を行うとともに、社会保障と税の一体改革に基づく消費税増税法案を2012年の通常国会に提出することを所信表明演説で表明し、10%に増税しようとしています。今、区民がおかれている状況は、景気悪化と歴代政府による社会保障の切り捨てや、相次ぐ庶民負担増により、極めて深刻です。収入が上がらないのに今年の国民健康保険料が2倍以上になったという自営業者。会社が倒産し、寮を出されたため、収入を失うと同時に住まいまで失ったという若者。親の収入が減ったために学費を払えないという学生。生活費がなく猛暑でもエアコンを我慢しているといった高齢者。若者から高齢者までの各階層がこのような中、消費税が増税されたら日本経済に決定的な打撃となることは火を見るよりも明らかです。とりわけ被災者に対し、さらに負担を押し付けるものです。そこで質問します。区長はこの間、国の問題だとして反対を表明してきませんでした。ここできっぱり消費税増税反対の意思表示をすべきと考えますが、いかがでしょうか。答弁を求めます。  次に、第2の質問。区民需要に応える財政運営についてです。今定例会では、2010年度決算の審査が行われます。区は、一般会計決算で、1、財源対策を講じての黒字決算、2、負の遺産の解消、3、進む財政の硬直化、以上、三つの特徴を挙げています。区は、予算編成時には景気悪化による区民税の減収、都区財政調整交付金の減収を見込み、財源不足を生じているとして厳しい区財政であると強調していました。ところが年度途中には、土地開発公社の長期債務の残高33億5,000万円の全額繰上償還を行ったにもかかわらず、実質収支は15億円の黒字です。これまで高野区政は財政難を口実に徹底したリストラ、合理化、区民犠牲を押し付けてきました。区民の財産である施設や土地を売却し、保育園民営化や指定管理者制度導入や、窓口業務委託等と一体で進める職員削減、児童館、ことぶきの家の廃止、修学旅行や移動教室の助成費カット、生活保護世帯の入浴券、障害者タクシー券、寝たきり高齢者のおむつを削減してきました。さらに、特別養護老人ホームは、この6年間1カ所も建設されることなく、待機者は1,200名を越えました。認可保育所に至っては、増やすどころか1カ所減らしてしまい、待機児童は4月時点で171人まで増加してしまいました。区民からは「夫の仕事が激減し働きに出たいが保育所が空いていない」「いくつも特別養護老人ホームに申し込んでいるが一向に入れず、家族介護はもう限界」などの切実な声が後をた絶ちません。このように、区民にはお金がないと言っては我慢を押し付け、区民の切実な要求に背を向け続けてきたのです。区長は、この状況で財政健全化はほぼ達成された、将来の区民負担も軽減されたと言います。我が党は、財政健全化したというならば、福祉や営業、教育など、あらゆる分野において削ったサービスをまず復活・拡充させてから言うべきであると、区長の姿勢を質してきたのであります。  そこで質問いたします。前回定例会において区長は、我が党の一般質問に対し、区民福祉の水準は改革当時とは形、姿は変わっているが、格段に充実していると答弁しました。緊急通報システムは、慢性疾患がなくても利用できるようになりました。ところが、月2,315円の自己負担がついたため、8月までの申請はわずか12件だけです。半分に削った生活保護世帯の入浴券は、母子家庭のみ復活など、わずかばかりです。その上、特養ホームの待機者、保育園の待機児は増え続けているではありませんか。これで格段に充実したなど、臆面もなくよく言えたものです。格段に充実したとは、一体何を指して言っているのでしょうか。お答えください。また区長は、2014年度には実質的借金ゼロを目指すとしていますが、今定例会の招集あいさつでは、24年度の予算編成を目前にした今後の財政運営には非常に厳しい舵取りが必要になるものと認識しているといいました。この状況でどのようにして3年後に達成しようとしているのでしょうか。先程述べたように、これまで以上に区民サービスを削り、区民犠牲を押し付けなければ達成できるものではありませんが、とんでもないことです。今こそ区民の切実な願いに応えた財政運営に直ちに改めるべきと考えますが、いかがでしょうか、答弁を求めます。  続いて、区民の切実な声に応える財政運営にするために看過できない問題として、新庁舎計画の資金計画について取り上げます。新庁舎計画について、我が党区議団は、民間分譲マンションとの合築で庁舎機能が担保されるのか、建物、敷地等の区分所有者間の管理、修繕、建て替えに必要な管理規約がないまま建設が進められること、区分所有により区の土地がわずか6分の1になってしまうこと。東日本大震災発生により超高層マンション購入が控えられるという影響が出ていることなどを再三指摘し反対してきました。そして、資金計画についても多くの問題を抱えています。区は、区財政の負担を抑えた新庁舎整備であると計画を進めています。3年前、新庁舎整備の検討のまとめでは、10億円の黒字と言っていたのに、その2年後の推進計画では37億円の赤字と、わずか2年の間に47億円もの財政負担が生じました。また、計画の財源である現庁舎地等を50年間、定期借地し、25年分を一括受け取りするとしていましたが、その期間の延長もあるとしています。さらに年間の賃料は、9億円から7億3,000万円と1億7,000万円も下がりました。土地の価格、不動産市況に大きく左右される、不安定な資金計画です。しかも、肝心の定期借地の公募すら始まっておらず、全く財源の保証のないまま机上の空論で進められており、到底常識では考えられない計画です。このままでは庁舎は完成したが、財源は確保できなかったということになりかねません。先週の副都心開発調査特別委員会で、我が党が、経済状況が厳しい中で借りたいという企業はあるのかと質したところ、区長は、資産価値のある土地であり、相手がいなければ池袋全体が沈没する、25年の一括受け取りが35年になるかもしれないができる、大丈夫という答弁をしました。そこで質問します。このようにあいまいで不透明な資金計画では、結局見込んでいた収入が得られず、区民に負担を強いることになります。区長は大丈夫だと言うならば、その根拠を明確に示すべきですが、いかがでしょうか。今月21日の新聞各紙では1面で基準地価がまた下落したと報道しました。東京都圏は住宅地、商業地ともに、全国平均よりも下落が拡大しました。昨年、区が発表した資金計画は、現時点でどうなっているのか、いくらで借り手がつくのか、不安は募るばかりです。区は、資金計画について繰り返し調査し、その都度公表し、区民の納得を得なければなりません。この点を指摘すると、地価の調査をするには専門機関に依頼しなければならない、金がかかるとして、調査は来年度行うとしました。しかし、今後の区財政は厳しいと言っているのに、将来の区財政を左右する資金計画をあいまいにしたまま進められることは許されません。区民に直ちに現時点の資金計画を公表すべきと考えますが、いかがでしょうか。景気や土地の価格、不動産市況に左右される不安定な資金計画であり、区民の財産である現庁舎地を投げ捨てるようなものです。このように、区財政に多大な影響が及び、将来に禍根を残すような計画はやめるべきです。答弁を求めます。  以下、区民需要に応える財政運営に転換し、直ちに実現すべき緊急策について、具体的に2点取り上げます。一つ目は、特別養護老人ホームの増設についてです。妻の介護をしている男性は、小規模多機能型居宅介護施設を利用しながら、自宅で老老介護を続けていましたが、認知症が進んだため限界になり、高い費用を払って埼玉の病院に入院させなければならなくなりました。毎週3回、一日3時間かけて見舞いに行っていますが、いつまで続けられるかわからない。早く近くの特養ホームに入れるようにしてほしいと訴えます。また、介護老人保健施設を3カ月ほどで移動しながら、特養ホーム入所を待っている人もいます。これではまともな介護保険制度とはいえません。高過ぎる保険料と利用料、必要な介護の取り上げ、介護労働者の過酷な労働条件と低賃金、中でも深刻な施設不足と待機者の急増により、家族介護の現場に耐えがたい苦しみを負わせています。特養ホームの待機者は、今年6月末時点で1,242人、そのうちAランク待機者は438人と増え続けています。にもかかわらず区長は、この6年もの間、1カ所も建設せずに待機者を放置し続けてきました。我が党区議団は、これまでも重ねて特養ホームの増設を求めてきました。その結果、ようやく区は後期の基本計画に2015年までに200床の整備をしたいと示しました。しかし、区自ら緊急度が高いと判断しているAランクの待機者が438人もいるではありませんか。区は、グループホームや小規模多機能型居宅介護施設の整備を推進するといいます。しかし、これらの施設を利用している方でさえ、特養ホーム入所を希望しており、それぞれの機能や性格が違うのです。せめてAランク待機者を解消する計画に改めるべきです。誰もが安心して老後を過ごせる社会は、世代を超えた区民の願いです。そこで質問します。第2回定例会の一般質問で、我が党が、民間誘致の手法ではことごとく建設できなかったことを指摘したところ、区は質の高いサービスの提供、安定的な経営を確保できる社会福祉法人が多数育ってきていると答弁しました。そうであるならば、それはどのような法人なのか、具体的に示すべきですが、いかがでしょうか。千川小学校跡地と旧中央図書館用地と2カ所の土地が確保できていながら計画は一向に進みません。しかも、計画が具体化してから民間事業者を公募すると言いますが、それではいつまでたっても建設は進みません。一刻も早く待機者を解消するためには、やはり区が自ら検証すべきですが、いかがでしょうか。400人以上のAランク待機者を解消するには、200床整備では不足です。区は、グループホームや小規模多機能型居宅介護施設の整備を推進すると言いますが、こちらも開設が進んでいるとは言えません。しかも、先程述べたように位置付けが違うのです。特養ホーム待機者解消策とは切り離すべきであります。今、述べたように、200床で足らないのは明白な事実です。200床を上乗せし、400床とする計画にすべきです。答弁を求めます。  実現すべき緊急策の二つ目は、国民健康保険についてです。6月、区役所から届いた国民健康保険料の通知を見て、値上げに驚きと怒りの声が広がっています。なぜ所得が増えないのに保険料が値上げになるのかという当然のものです。夫婦で自営業を営みながら3人の子育て中の女性は、国保料が2倍以上、月額4万円を超えました。これまでもやりくりが大変だったのに、国保料の値上げは本当に困ると訴えます。これまでは、扶養家族や障害者、社会保険料など、各種控除を反映した住民税方式だったものが、今年度から基礎控除のみを差し引いた所得を算定基礎とする旧ただし書き方式に変更したことによるものです。経過措置をとりましたが、2年限りです。この変更により最も問題なのは、住民税非課税なので、これまでは均等割のみだった世帯に新たに所得割が賦課された世帯が1,766世帯もあることです。住民税非課税世帯という最も収入の少ない世帯に影響が出たのです。これまでも高過ぎる国保料に滞納者が急増していることが社会問題となっていましたが、ますます追い討ちをかけることになります。国保料を払えなければ、保険証の取り上げが、今回の値上げでますます増えていくことになります。そこで質問します。今回の国保料の値上げは、生活に困っている区民に大打撃を与えるものです。第2回定例会一般質問で、我が党渡辺議員が、資格証発行の中止と、区独自の国保料助成制度の創設を求めたのに対し、区長は冷たく拒否しました。区長は、住民税非課税世帯に新たに所得割が賦課されている実態をどのように考えているのでしょうか。区長が決断すれば、直ちに実現できるのです。せめて住民税非課税世帯で新たに所得割が賦課された世帯の所得割分を助成すべきと考えますが、いかがでしょうか。答弁を求めます。  次に、第3の質問、生活保護制度についてです。生活保護受給世帯が急増し、全国の受給者が200万人を超えました。その背景には、歴代政府による社会保障改悪と相まって、長引く不況とリーマンショック、そして倒産、リストラ、派遣切りの横行で、雇用がない状況が続いていることが挙げられます。本区における受給者は、昨年度、月平均で6,833人に上り、10年間で倍増しています。区は、豊島区における生活保護行政の現状と方向性についてをまとめました。その中に、単身高齢者の被保護人員が増え、東日本大震災に伴う経済状況の悪化により、就業できない困窮者が増加するなど、生活保護への影響が懸念されるとあります。今後ますます経済が冷え込み、雇用悪化、年金支給額の引き下げなどが進めば、生活保護受給者が増えることになります。今、必要なことは、誰もが困ったときに、最後のセーフティネットとして生活保護制度の強化が必要になっているのです。ところが、これに逆行して制度改悪の議論が急ピッチで進められています。国と地方が負担する生活保護予算の増加を背景に、指定都市市長会が、昨年10月、生活保護制度改革を提案し、厚生労働省と非公開・密室で、制度改悪の協議を今年5月末から始めました。これに並行して厚労省は、社会保障審議会生活保護基準部会を設置し、4月から検証を開始しました。議論されている中身の問題点の一つは、保護期間を限定する有期制を導入しようとしていることです。これは、働ける稼働年齢層の受給者に対し、期間を設定した集中的かつ強力な就労支援を実施するとしながら、就労に至らない場合は、3年から5年ごとにほぼ廃止を検討するというとんでもないものです。今の雇用状況で有期制が導入され生活保護が打ち切られたら、後にはセーフティネットはなく、死につながりかねないということです。もう一つは、医療費の一部自己負担です。これがもしも導入されたら、医療費の捻出が困難になり治療できず、症状が悪化し、自立から遠ざかる悪循環になります。このような議論は、まさに生存権を保証した憲法25条違反です。生活保護の事業費は、現在、国が4分の3、残りを地方自治体が負担しています。この負担分が地方自治体に重くのしかかっていることが問題なのです。この負担を受給者に押し付けようと、厚労省と指定都市市長会が密室会議を行うなど、本末転倒です。地方自治体の責務として、生活保護受給者激増という原因をつくった国に対して負担を求めることが筋ではないでしょうか。そこで質問します。区長は、国と指定都市市長会が非公開・密室で生活保護制度改悪を進めている動きについて、どのような見解を持っているのでしょうか。このようなやり方は間違いです。地方自治体の長として、生活保護制度改悪反対を表明すべきと考えますが、いかがでしょうか。歴代政府による悪政が被保護世帯を増加させていることが原因です。にもかかわらず、地方自治体に財政負担を強いる仕組みが根本的に間違っているのです。区長は、豊島区として、国に対し全額負担するよう強く申し入れをすべきと考えますが、いかがでしょうか。答弁を求めます。  生活保護の二つ目は、ケースワーカーの増員についてです。まさか自分が生活保護になるとは思っていなかった、仕事が見つかるまでの短期間のつもりが採用している会社は1社もなかったとか、倉庫などのハードなアルバイトばかりで病気の再発が心配など、不安を抱える受給者が増えています。金銭的な面から人間関係が疎遠になり、自信を失い、精神的な疾患になった人も増えています。このように、様々な問題を抱え、増え続ける受給者に対して、区は一人一人きめ細かい対応をしなければなりません。ところが、生活福祉課の職員数が大幅に不足しています。本区の今年8月における被保護世帯数は6,115世帯、それに対してケースワーカーは60名です。ケースワーカー1人当たり100世帯以上を受け持っていることになります。社会福祉法第16条により、被保護世帯80世帯に対し1人の配置が標準数とされており、これに照らすと17名が不足していることになります。このことは、ケースワーカーの業務、訪問活動などにはっきり影響が出ています。現場からも、すべてに目が行き届かない、忙し過ぎて肉体的にも精神的にもきついなどの声が上がっています。先程取り上げた生活保護行政の現状と方向性についてを見ると、様々な角度から分析した結果が示されています。しかし、肝心のケースワーカーについては、これまでの人員数の推移という分析はありません。そこで質問します。今後も受給者の増加が見込まれます。一人一人が多種多様な問題を抱えている受給者に対応するために、ケースワーカーの大幅増員計画を示すべきと考えますが、いかがでしょうか。また、配属されたばかりの新人職員に研修などの学習機会を増やすべきです。答弁を求めます。  生活保護の三つ目は、自立支援策についてです。8月、総務省が発表した完全失業率は、4.7%と2カ月連続で悪化し、有効求人倍率は0.64倍です。今、受給者がハローワークで仕事を見つけるのは、極めて困難です。受給者の中には、長期間就労できずに前向きな考え方ができなくなったり、あきらめたりして意欲を失っているなど、様々なケースがあり、それぞれに見合った粘り強い対応が必要です。このような受給者に、人とふれあい、周りから自分が必要だということを実感できるように意欲を喚起することが重要です。また、履歴書の書き方や面接の受け方など、就労に向けた懇切丁寧なアドバイスも大事なことです。現在、区が行っている自立支援策は、生活福祉課に自立支援担当係を設置し、非常勤職員を雇ったり、事業委託などで進めたりしています。そこで質問します。長期にわたり自立支援センターや簡易宿泊所生活を続けている受給者が見受けられますが、本人が希望し、お金の管理等に問題がなければ早急にアパートで自立した生活ができるようにし、意欲を引き出すことが大事であると考えますが、いかがでしょうか。また、区が実施している支援策については、非常勤や事業委託ではなく、経験のある区職員により一層の強化を図るべきと考えますが、いかがでしょうか。今の雇用状況では、ハローワークに行っても簡単に仕事が見つかるものではありません。区内企業などと連携し、区が雇用創出に積極的に取り組むことが必要と考えます。そうすることによって、区内の経済活性化にも貢献できるものと考えます。いかがでしょうか、答弁を求めます。  次に、第4の質問、中小業者支援策についてです。一つ目は、住宅リフォーム助成についてです。区内の雇用を担い、地域経済を支える中小業者の経営が危機に瀕しています。バブル経済崩壊以降、東日本大震災発生まで、打撃の連続です。そこへ急激な円高が追い討ちをかけ、大手企業が仕事をとるために激しい価格競争になっています。中小業者は、これまで必死に踏みとどまってきたがもう耐えられないと苦境に立たされており、中でも中小建設業者は、経済の疲弊が深刻で仕事が欲しいと切実な要求を強めています。新築住宅着工件数は大幅に減少している一方で、設備の改善、バリアフリーや断熱、特に耐震などの住宅リフォームへの要求が高まっています。このように、住宅リフォーム需要をすくい上げ、区内の中小建設業者への仕事に結びつけるため、住宅リフォーム助成は、区民からも、建設業者からも求められています。秋田県では、屋根・外壁の張りかえや塗装、水回りの改修、太陽光発電・給湯機器の設置などを対象に助成しており、助成金額に対する経済波及効果を24倍と推定しています。岩手県宮古市では、使いやすい制度にするために工夫を凝らし、総工費20万円以上の住宅リフォームに対して一律10万円の補助金を支給しています。市内業者に施工を依頼することを条件とし、畳かえやクロス・障子の張り替え、窓や壁の断熱工事など幅広い工事を保証対象としています。この影響は雇用にも反映しており、建築・土木技術者などの求人倍率が半年の間に倍以上に伸びたとされております。各県区市町村に制度導入が広がっており、区民からは、ぜひ豊島区でも実現してほしいという声が高まっています。我が党は、中小業者支援策の一つとして、再三にわたりこの問題を議会で取り上げてきました。本年第1回定例会一般質問の答弁では、緊急経済対策の一つとして2年程度これを行い、当面の区発注工事の追加に代わる経済振興策にすることも必要なのではないかと考えており、夏頃までには実施の当否を固めるとありました。しかし、実施されたのは耐震改修助成のわずかばかりの拡充にとどまり、しかも耐震改修に限定されているため、住宅リフォーム助成にはほど遠いもの、緊急経済対策に期待した区民は肩透かしを食わされました。その後は、これまでどおり住宅マスタープラン重点プロジェクト推進事業の中での検討結果で判断するというもので、一向に前に進みません。そこで質問します。区は、新たな助成制度を検討するとしていながらも、空き家対策のための調査結果を出すとか、借家のバリアフリー化の促進を含めるなどと言い訳ばかりで、結論を先送りにしています。しかし、こうしている間にも中小業者は廃業、倒産が目の前に迫り、危機に瀕しているのです。緊急支援策は待ったなしです。直ちに住宅リフォーム助成を実施すべきであると考えますが、いかがでしょうか。答弁を求めます。  中小業者支援策の二つ目は、公契約条例についてです。自治体が公共工事、公共調達や業務委託を発注する際に、受託する事業者との間で結ぶ公契約は、入札による競争激化により、落札価格が大幅に下がり、それが下請け業者の請負単価や労働者の賃金引き下げに直結しています。下請け労働者からは、仕事がない、あっても賃金が安くて生活できないなど、多くの悲痛な声が上がっています。とにかく仕事をとの思いから、公共工事、業務委託を低価格で入札せざるを得なくなり、その結果、官製ワーキングプアがつくられる構図が広がっています。低価格の入札の影響はこれにとどまらず、工事の仕上がりや事業の運営内容にも表れてきます。区民にとっても、安かろう悪かろうでは困るのです。今、公契約における適正な価格・単価の確保と、中小業者の受注機会の拡大は切実な課題になっています。世界では、ILO公契約条約94号、公契約における労働条項に関する条約が59カ国で批准されていますが、日本政府は賃金などの労働条件は労使で決められているので、国が介入するのは適切ではないとして世界の流れから取り残されてきました。この間、千葉県野田市と川崎市で条例がつくられ、相模原市、多摩市、国分寺市、日野市、吹田市など各地に同様の動きが広がっています。地方自治体として、地域に根差した地域産業政策として、地域資源を大事にしたまちづくり、仕事起こしに役割を発揮することが求められています。それと同時に、発注者である区の公的責任も問われています。ところが区は、この間、労働条件は企業内の労使間の問題であり、公共契約であっても労働条件に関与することは適切ではないと言ってきました。これは、公共事業の現場で過酷な労働条件下におかれている区内労働者の実態を見ようともしない無責任な態度です。そこで質問します。公共事業で官製ワーキングプアをつくってはなりません。公契約における契約内容の適正化を図り、労働者の賃金をきちんと確保することが求められています。直ちに公契約条例を制定し、区として公的責任を果たすべきと考えますが、いかがでしょうか。答弁を求めます。  以上で、私の一般質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。(拍手)   〔高野之夫区長登壇〕 ○区長(高野之夫) ただいまの森とおる議員のご質問に対しましてお答え申し上げます。  まず、消費税増税に反対することについてのご質問にお答えいたします。政府税制調査会による2012年度の税制検討が開始されたところでございます。今後の高齢化に伴う医療費や社会保障費の増大が避けられない中、国民が安心できる社会保障制度を築き、一方で閉塞している経済状況を打開するためにも、加えて東日本大震災の復興に充てる財源を捻出するためにも、税体系全体の抜本的な改革を行うことは、避けて通ることのできない課題であると認識しています。これまでも繰り返し申し上げてまいりましたが、消費税を含む税制全般のあり方については、今後、国が示す歳入歳出両面からの財政再建の方針と社会保障制度の全体像、そして震災復興への行程等を踏まえ、国民的な議論の中で行われるべき選択であるとの考えに変更はございません。したがいまして、私が反対の意思を表明する考えはございません。  次に、区民需要に応える財政運営についての質問のうち、区民福祉の水準についてのご質問にお答えいたします。住民福祉の増進を図ることは、地方自治体の責務であり、私は全身全霊をかけて取り組んできたと自負しています。身の丈を超えた社会資本を整備し、過度なサービスを提供することは、結果的に行政のバランスを失し、財政破綻につながることでサービスそのものを維持することができなくなるわけであります。このことを私たちは身をもって経験し、健全な財政運営の下でのみ住民福祉を充実を図ることができるということは、ご理解いただいているものと考えております。土地開発公社の長期債務の完済により、将来の区民負担は軽減され、さらに行財政改革の成果として、人件費の削減や公債費の縮減によって得られた財源は、新たな、そして切実な区民需要に充ててきましたし、また、今後も同様の姿勢を堅持することが可能となるのでございます。刻々と変化する社会状況を勘案しつつ、新しい需要に対応すべく全庁を挙げて施策の展開を図る中で、破綻を目前にした当時の区の状況や他の自治体の水準等を比較勘案する中で、さきの定例会での一般質問には自信を持って答弁を申し上げたものでございます。あたかも手をこまねいているかのようなご指摘でございましたが、特別養護老人ホームの建設や待機児童対策についても、可能な限りの対応を講じているところでございます。今後もこれまでと同様に、安全・安心創造都市の実現に向けて邁進してまいりたいと考えております。  次に、区民の切実な願いに応えた財政運営についてのご質問にお答えいたします。実質的借金をゼロにするという目標は、貯金を増やし、借金を減らすということであり、即ち、来年度以降の区民にできるだけつけを回さないということでございます。確かに、歳入環境が大きく改善されない中では、この目標達成は容易ではないと思っております。しかしながら、目の前の区民の切実な行政需要に応えることと、将来の区民の切実な需要に応えられる余地をきちんと残すことは、どちらも大変重要なことでありまして、どちらかだけをとるということはないと考えております。むしろ、目の前の需要を満たすことだけに邁進し、バランスを欠いたかつての財政運営によって、結果的には区民サービスの削減という厳しい選択まで追い込まれたということが本区の財政再建の歴史であったということを、皆様方もよくご存じのことと思います。また23区を見ても、実質的借金がある区は7区しかなく、本区が掲げている目標の水準はようやく普通の特別区になろうという程度のものでございます。したがいまして、二度と同じ徹を踏まないためにも、過去に学んだ将来負担の軽減という目標をしっかりと堅持してまいります。目標達成のため、区民に犠牲を押し付けるということではなく、厳しい中にあっても現在と未来のバランスのとれた区民のための財政運営をすることが最大の使命であると考えておりますし、最後までそのために最大限の努力をしてまいります。  次に、新庁舎資金計画についてのご質問のうち、まず、財源確保の根拠についてのご質問にお答えいたします。議会において多数の議員の方々のご同意を得ました昨年12月第4回定例会の豊島区役所の位置に関する条例の一部を改正する条例の審議の基となりましたのは、新庁舎整備推進計画でございます。この中で、第3章の整備手法、資金計画の基本方針として、「副都心という恵まれた立地条件に着目し、区が保有している土地を活用して庁舎整備の財源を賄うことを大前提として、区民に最も負担をかけない整備手法・資金計画を組み立てます」としております。また、第6章の資金計画の中では、「実際に現庁舎地の活用、事業者を公募する時期は先になりますので、経済状況や不動産市況等による資産活用額は変動しますが、その変動に対しては、定期借地の地代の一括受け取り年数を変更することで対応します」と明記しています。土地資産を活用する以上、資産額は社会状勢・経済状況により変動することは大前提の上で計画を進めているわけであります。また、現庁舎は池袋駅から至近で、池袋副都心の中心に位置をして、明治通りにも広く面して、かなりまとまった土地であり、商業、オフィス、ホテル、住宅といった多様な用途に対応できる立地にあり、民間事業者から見ても評価の高い土地ではないかと思います。このようなことから、一括受け取りの年数は変わることはあるかもしれませんが、資金計画の基本方針は変わることはございません。  次に、計画の公表についてのご質問にお答えいたします。繰り返しになりますけれども、土地の評価額は、社会状勢・経済状況により刻々と変動いたします。変動する評価額に一喜一憂してもあまり意味がないと考えます。したがいまして、推進計画の活用スケジュールに明記しております方針どおり、平成25年度後半を予定している公募時期に合わせ、資金計画を含めた現庁舎地の活用計画をお示ししてまいりたいと考えております。  次に、計画はやめるべきとのご質問にお答えいたします。庁舎基金として積み立てたお金はすべて運用し、これ以上また借金することもできず、しかし刻々と建物は老朽化・劣化していく中での建設計画であります。そもそもこの手法は、区が保有する土地を活用することにより、区民への負担がないよう、他の手法とも比較検証した上で最も有効な方法であることから推進しているものでございます。土地活用による資金計画は不動産市況に左右されるといっても、この方法をとらなければ、すべての財源は資金や起債、つまり借金の活用になるわけであります。結果として、すべての区民の皆さんの税負担にお願いすることになるわけでございます。区財政に多大な影響が及ぶとか、計画をやめるべきとの主張は、一面的な見方ではないでしょうか。これまでも申し上げましたように、様々な状況・手法を比較検証した上で、区民の皆様のご負担が最も少ない方法であると判断したからこそ、様々な困難を乗り越えて、この段階にたどり着いたものであります。現在、進めている計画をやめることは全く考えておりません。  次に、特別養護老人ホーム増設についてのご質問のうち、まず、社会福祉法人についてのご質問にお答えいたします。現在検討しております2カ所に関しましては、区内外の複数の事業者から高い関心が寄せられており、公募となればぜひ参加したいという事業者ばかりでございます。いずれも豊富な事業実績を有し、信頼できる法人でございます。しかしながら、今後、公募に向けて一つ一つのステップを踏む必要がありますので、現時点で特定の法人の名前をお示しすることはできません。  次に、区が建設することについてのご質問にお答えいたします。特養ホームの運営と建設は密接な関連がございますので、計画段階から社会福祉法人の主体的な取り組みが重要と考えております。したがいまして、区が直営で整備する考えはございません。引き続き、実績のある社会福祉法人の誘致を図ってまいりたいと思います。  次に、400床計画とすることについてのご質問にお答えいたします。特養ホームについては、まず、現在取り組んでおります200床を整備することが最大の課題と認識しており、それに向けて全力を傾注しているところでございます。そして、これが実現した後、改めてその後の整備方針について検討してまいりたいと思います。なお、あわせて認知症高齢者グループホームや小規模多機能型居宅介護施設の整備を推進するほか、サービス付き高齢者向け住宅などの整備も含め、より地域に密着した形で福祉の充実が図られるよう努めてまいります。  次に、住民税非課税世帯に賦課されている国民健康保険料の所得割分への助成についてのご質問にお答えいたします。ご指摘のとおり、今年度から国民健康保険料の賦課方式を、住民税方式から旧ただし書き方式に変更いたしました。変更の理由といたしましては、従来の住民税方式は医療費の増大が続く中、中間所得者層に負担が集中するという問題を抱えていたこと、また、旧ただし書き方式は、全国の約98%の自治体が採用していたため、住民税方式では医療保険制度の広域化の流れに適応できないという課題があったことがございます。また、先ごろ、国からも国民健康保険料の賦課方式を、平成25年度より旧ただし書き方式に一本化するという方針が示されましたが、特別区といたしましては、この流れに対応した移行となっております。住民税非課税世帯で新たに所得割が賦課された世帯の所得割分を助成すべきとのご質問でございますが、旧ただし書き方式は住民税方式よりも幅広い層に所得割が賦課され、より多くの方々に公平に保険料をご負担をしていただくことになり、健全な国保財政を維持していく観点からも、ふさわしい賦課方式であると考えております。また、賦課方式を変更したことに伴い、住民税非課税世帯を含めた保険料を減額するための経過措置を既に実施しております。このようなことから、新たに住民税非課税世帯に対する助成を行う考えはございません。  なお、私からの答弁は以上でございますが、そのほかの質問につきましては副区長から答弁申し上げます。   〔水島正彦副区長登壇〕 ○副区長(水島正彦) 生活保護制度についてのご質問のうち、制度の改正についてのご質問にお答えいたします。国は生活保護制度の本格的な見直しを視野に、本年5月より国と地方の協議を開始いたしました。その中では、誰が参加しているかなど非公開とされている部分もありますが、その概要については厚生労働省のホームページに公開されており、密室・非公開なものではなく、一般に周知されているものと理解しております。また、制度見直しについては、今後の議論を注視してまいりたいと考えております。一方、区はこれまでも特別区長会を通じ、生活保護制度の抜本的な改革を求めており、生活保護費の全額国庫負担も含めた要望をしておりますので、現時点において国に対して申し入れを行う考えはございません。  次に、ケースワーカーの増員についてのご質問のうち、まず増員計画についてのご質問にお答えいたします。生活保護受給者については、平成21年度に見られた急激な増加は鈍化しているものの、ご指摘のとおり、現在も高齢化の進展等により、変わらず増加の傾向にございます。したがいまして、区といたしましては、今後の生活保護世帯数の推移等を十分に見極める必要がありますが、来年度に向け必要な増員は図ってまいりたいと考えております。  次に、新人職員への研修についてのご質問にお答えいたします。ご指摘のとおり、生活保護行政は大変難しい仕事でありますので、新人職員に対する研修は極めて重要であると認識しております。これまでも新人職員については、前期・後期の新任研修はもとより、自立支援研修等の専門研修を実施しておりますが、今後とも研修の充実に一層努めてまいります。  次に、自立支援策についてのご質問のうち、まず、アパートでの自立した生活についてのご質問にお答えいたします。ご質問にもありますとおり、生活保護を受給している方が意欲を持って就労し、一日も早く自立した生活を送っていただくことは大変重要であります。したがいまして、区といたしましても、就労意欲を喚起するプログラムの実施や、金銭管理の行い方など、個別の課題の解決を図ることなどを通して、アパートでの自立生活が送れるよう、その方その方に合った自立支援策を進めているところであります。  次に、区職員による自立支援策の強化についてのご質問にお答えいたします。現在、区が行っている自立支援策をさらに進めていくためには、ケースワーカーによる支援を基本としつつ、専門性を備えたNPO法人や専門知識をもった非常勤職員の活用が極めて有効と考えており、今後ともそれらの専門性を生かした手法、人材を生かし、より効果的に事業を展開してまいりたいと考えております。  次に、区内企業と連携した雇用創出についてのご質問にお答えいたします。現在区では、生活保護受給者の就労支援については、非常勤の就労支援専門員を数名雇用し、求人情報の探し方や面接の受け方等についてのきめ細かい指導を行うとともに、ハローワークの就労支援ナビゲーターとも緊密な連携を図っており、またこれらの取り組みにより一定の成果を上げております。今後さらにご指摘のような手法も含め、雇用機会の拡大につなげるよう努めてまいります。  次に、中小企業支援策についてのご質問のうち、まず、住宅リフォーム助成の実施についてのご質問にお答えいたします。区では、現在、中小企業支援のために、制度融資や信用保証料補助に加え、震災対応の特別融資制度は信用保証制度をいち早く創設し、実施しているところであります。経営上のサポートにつきましても、としまビジネスサポートセンターにおいて、企業・事業者の方々の経営上の課題解決や具体的な販路拡大のサポートを行っております。また、企業商談会「ビジネスネット」は、地域金融機関や他機関の協力を得ながら、これまでの企業交流会的要素を一新し大商談会とすることで、販路拡大や商談成立を強力に支援するものであります。さらに、緊急経済対策の一環として、本年6月より、緊急性の高い建物の耐震改修工事に重点を置き、助成限度額を100万円に増額するとともに、施工を区内事業者とすることで助成限度額をさらに50万円上乗せする制度拡充をいたしました。これによりまして、区内事業者に発注される総工事費は1億円に上ると見込んでおります。ご指摘にあります住宅リフォームの助成につきましては、これまでも再三ご質問をいただいておりましたが、新たな助成制度として住宅マスタープラン重点プロジェクト推進事業の中で総合的に検討していくとお答えしているところでございます。空き家の有効活用を推進する方策として、今年度行う空き家実態調査により、区内の空き家の状況が明らかになりますので、こうした結果を踏まえて住宅リフォーム助成の必要性を検討していく予定です。  以上のとおり、本区は中小企業支援に包括的に取り組むとともに、区民にとりまして特に緊急性の高い耐震改修工事に区内事業者が参入できる方策を講じてまいりましたので、現段階でさらなる緊急経済対策としての住宅リフォーム助成を実施する考えはございません。  次に、公契約条例の制定についてのご質問にお答えいたします。公共工事等における一般競争入札の拡大など入札改革が進む中、低入札価格による競争が増え、これが下請け業者やそこで働く労働者の賃金の低下を招いていると言われています。このような状況を改善するため、一部の自治体では契約の相手方に対し、公共事業に従事する労働者の賃金について、条例等で定める最低額以上の賃金の支払い義務について定める公契約条例を制定する動きが見られます。ご指摘のように、厳しい経済情勢が続く中、区内中小業者の受注機会を確保することは極めて重要であると考えております。このようなことから、本区では、昨年、建設工事や清掃業務などの委託契約において、区内事業者に優先発注するという区内事業者取扱制度を導入いたしました。また、ダンピング対策や適正価格での契約を推進するため最低制限価格や、低入札価格調査制度における調査基準価格の算定方法の見直しを行うとともに、130万円以上の工事等請負契約などについて、基本的に最低制限価格を適用するなど、最低制限価格の適用案件の拡大を図ってまいりました。さらに、区内事業者の受注機会を拡大するため、可能な限り分離分割発注に努めているところであります。こうした取り組みが、結果的には一定の賃金水準の確保に働くものと考えております。賃金等の労働条件は、それが自治体との契約に基づく労働であるか否かを問わず、労働基準法等の関係法令に反しない限り、個々の労使間で取り決められるべきであり、公契約条例を制定し、発注者という立場で関与することは難しいと考えております。しかし、公共事業に従事する労働者の賃金の適正化等の確保については配慮が必要なことから、引き続き、野田市などでの公契約条例の運用の状況や、他の自治体での検討経緯を注視しながら研究を進めるとともに、区内事業者取扱制度等の充実と適正な運用を行い、区内中小業者の受注機会の確保と適正価格での契約の確保に努めてまいります。  以上をもちまして、森とおる議員のご質問に対する答弁を終わります。   〔森 とおる議員登壇〕 ○15番(森 とおる) 再質問を行います。  国民健康保険制度について行います。区長の答弁では、国民健康保険料が旧ただし書き方式になったことによって、中間所得層の保険料が下がるからいいんだというご発言でした。ところが、この国民健康保険料は、これまでも高過ぎる、ここに問題があるわけで、払えない方がどんどん急増しているわけなんです。中間所得層が下がったとおっしゃいますけれども、私はそうは思っていないのですが、その分が特に低所得者層に負担がいっているということになるわけではないですか。そこで、区長は、その層は住民税非課税世帯でも、所得割がついても経過措置があるから大丈夫だと、こういうご答弁をされたのですけれども、もともと所得割がなかったのに、そこにさらに所得割がついてしまった。経過措置があるからといっても、値段が上がっている、保険料が上がっているということに変わりがないんです。そこで再質問しますが、そういった層を、これまでも高い保険料を払ってきた、そういった低所得者層に対して、保険料が上がっても仕方がないんだという答弁なわけなんです。そういうご答弁でいいのかどうなのか、これについて質問いたします。いかがでしょうか。   〔高野之夫区長登壇〕 ○区長(高野之夫) 森議員の再質問にお答えいたします。  先程もお答えいたしましたけれども、賦課方式に変更したことに伴って、住民税非課税世帯を含めた保険料を軽減するための経過措置、既に実施しているとお答えして、今、ご質問ではもともとの保険料が上がっているからという形のご質問であります。これに対して、こういう方法で旧ただし書き方式に、こういう移行によってこのような形が生じているわけでありますけれども、最善の努力を幅広い層に、所得を公平にするようにという形の中で対応しているわけでございます。ちょっと答弁にはならないかもしれないですけれども、要するに、ご主張と私たちの答えとがもともとかみ合わないわけでございまして、この辺はご理解をいただきたいと思います。 ──────────────────────────────────────── ○副議長(島村高彦) 次に、17番議員より、「月2日の勤務でも23万4千円から28万2千円、選挙管理委員月額報酬見直しを!」の発言がございます。   〔藤本きんじ議員登壇〕(拍手) ○17番(藤本きんじ) 自治みらい豊島区議団の藤本きんじです。質問に先立ちまして、平成22年度決算について少々触れさせていただきます。平成22年度は、世界的な金融危機の経済的影響がまだ払拭し切れず、雇用環境も改善しない中、111歳の都内最高齢者の男性がミイラ化した状態で発見され、所在不明高齢者の問題が大きく取り上げられるなど、社会全体がどこか閉塞感を感じるような印象の年でした。豊島区においても、長引く景気の低迷により、財政調整基金を10億円取り崩し、5年ぶりの財源対策を講じての決算となりました。実質収支は15億円のプラスですが、実質単年度収支では42億円のマイナスとなり、土地開発公社の長期債務34億円の繰上償還を含めて考えても、実質的に9億円のマイナスとなります。歳入においては、特別区民税が15億円の大幅な減少となり、歳出においては生活保護費など扶助費が20.3%、44億円も増加し、ここにも不況の影響が色濃く出ています。また、東日本大震災の影響なども考えると、今後も扶助費はさらに増加するものと考えられます。持続可能な安定した財政を目指す上でも、きめ細かい歳入の確保、歳出の削減、不要不急な事業、施策の選別や、優先順位を徹底的に見直すことが必要です。そのような観点も含め、本日の一般質問では、「月2日の勤務でも23万4千円から28万2千円、選挙管理委員月額報酬見直しを!」と題し、誰が考えても勤務実態と報酬額が妥当性を欠くと考えられる選挙管理委員の月額報酬を日額報酬に改めるべく提案をさせていただきます。また、その他として、選挙管理委員の費用弁償について提案をさせていただきます。  今回、改選後初めての一般質問となります。私自身、さきの統一地方選挙では大変厳しい状況でありながらも、多くの皆様からご信託を賜り、再びこの壇上へ上がらせていただきました。その職責の重さを胸に刻み、引き続き誠心誠意働かせていただく所存です。よろしくお願いいたします。  さて、今回提案をさせていただきます選挙管理委員の月額報酬の見直しについては、改選前の平成22年度第3回定例会においても取り上げさせていただきました。高野区長からも様々な角度から慎重に検証する必要があり、当面裁判での判決や他の自治体の動向を慎重に見守りたいと答弁もいただきました。あえて今定例会において取り上げさせていただくにはもちろん理由があります。その理由の第1点目は、前回区長が慎重に見守ると答弁されました、判決や他の自治体の動向について大きな変化があったことです。2009年の大津地裁、2010年の大阪高裁に続き、今月15日には仙台地裁においても、仙台市の非常勤行政委員約30人について、勤務の実情は常勤職員とはかけ離れており、月額報酬は著しく不合理として違法性を認め、月額報酬の支出差し止めを命じました。差し止めの対象は、月額報酬8万1,000円の市議会議員選出の監査委員を除く監査委員の有識者29万8,000円と、人事委員会、市選挙管理委員会、教育委員会の各委員長24万3,000円、委員20万3,000円、区選挙管理委員長12万1,000円、委員10万1,000円、それぞれの月額報酬です。判決の事実及び理由について、そもそも行政委員の報酬規定を定めた地方自治法203条の2第2項の本文では、「前項の職員に対する報酬はその勤務日数に応じてこれを支給する。ただし条例で特別の定めをした場合はこの限りではない」としており、日額報酬が原則であることを示しています。対象となる非常勤職員の職務内容及び勤務態様等の具体的事情を考慮し、月額報酬等を適用することが相当といえる特別の事情があるか否かを判断する。つまり法令で定める原則の例外規定を設けてでも月額報酬とする、条例で特別の定めをするほどの理由があるか否かが問われるものでした。結果、各委員の職務内容、性質や勤務態様に照らせば、月額報酬制をとるのを相当とするような特別な事情はなく、日額報酬原則に矛盾、抵触して、著しく妥当性を欠く状態を判断をされました。  また今回の判決では、もう一つの側面として、「多くの地方公共団体において財政的困難に直面している社会情勢の変化を前提としつつ、当該職務の内容を性質や勤務態様、地方の実情等に照らし、月額報酬とするような特別な事情はなく、日額報酬の原則に矛盾、抵触して著しく妥当性を欠く状態」と、地方公共団体の財政状況にも踏み込んだ理由が述べられています。私なりに裁判長、裁判官の思いを理解すると、地方自治体においても今まで以上に社会情勢に敏感になり、その変化に迅速に対応し、財政状況と住民感情を適切に判断した税金の支出をするべきであるとの思いが込められているものと理解いたします。そして、もう一方の他の自治体の動向についてですが、都道府県においては、すべての行政委員の報酬を日額制にした静岡県や山口県を初め、月額と日額の併用性や一部日額制を導入、採用するなど、現在検討中を含めると、その割合は8割以上になると考えられます。政令指定都市でも、札幌市、浜松市、名古屋市、相模原市など、次々に見直しが進んでいます。区市町村においても同様、新宿区を初め宇部市や名張市などは、既に日額制を実施しており、多くの自治体でも見直しが進んでいます。  理由の第2点目は、現在の選挙管理委員の任期が今年度、平成24年3月28日で満了となることです。例年、改選後の第1回定例会の最終日に、選挙管理委員及び補充員の選挙が行われます。新しい委員が選任された後に報酬体系を変更することはあまり望ましいことではありません。選挙の前に日額報酬の金額等をしっかりと見直し、新しい報酬体系を整えておくことが必要であると考えます。  以上の2点が今定例会で提案をさせていただく理由です。改めて裁判の判決もあるように、日額報酬制が原則である豊島区選挙管理委員の月額報酬制を見直し、日額制に改めるべきであると提案いたしますが、区長のご見解を伺います。  日額報酬の金額については、算出の根拠や考え方が、各自治体によって様々です。豊島区に一番近く、自治体の状況も似ているお隣の新宿区では、委員長3万5,000円、委員3万円と決められました。その算出の根拠を調べたところ、新宿区内部の附属機関の委員の日額報酬が2万円であることより、選挙管理委員の職責を考慮し50%加算した金額とし、また都道府県で日額制を導入している各自治体の金額を超えないこと。さらに選挙などで一番忙しい月の出勤日数が7日から8日であることより、月8日出勤した際、以前の月額報酬24万7,000円とほぼ同額となるよう割り返した。また、委員長については、委員より重責な分約15%加算したというものでした。仮に新宿区と同額とした場合の財政的な影響について試算をすると、平成22年度の場合、豊島区選挙管理委員長の月額報酬は28万2,000円、年収は338万4,000円、同委員は23万4,000円、年収は280万8,000円で、4人の合計額は1,180万8,000円となります。出勤日数は、委員長が年49日、月平均4.08日、委員が45日、月平均3.75日です。一番多い月は7月で、委員長7日、委員6日、一番少ない月は8月と10月で委員長、委員ともに2日です。委員長の出勤日数49日に3万5,000円を乗ずると、171万5,000円で、現在の338万4,000円から引くと、その差額は166万9,000円となり、同様に計算すると委員3人分の差額は437万4,000円となり、合計604万3,000円の財政効果が毎年出てきます。  住民感情や今後の豊島区の財政状況を考えるとき、私はこのようなきめ細かい歳出の見直しという観点も必要であると考えます。また、仙台地裁の判決理由の中にもあるように、多くの地方公共団体において財政的困難に直面している社会情勢の変化を前提としつつという観点も含め、その職務や勤務態様、地域の実情をかんがみ、選挙管理委員の報酬体系を見直す必要もあると考えますが、区長のご見解を伺います。  覚えている方も多いかと存じますが、本年の1月、報道各社が「病欠の選管委員に140万円」と伝えました。元杉並区議の選挙管理委員が病気で入院し、勤務していないにもかかわらず、月額報酬約24万円が半年間支払われたというものでした。また、今月10日にも兵庫県宝塚市で、同様に3月から半年間で1日しか勤務していない元市議の委員に、月額報酬7万1,100円が現在も支払われているというものです。誰でも病気やけがで休むこともあるのではないかと思われる方も多いかと存じますが、仙台地裁の「当裁判所の判断」という項に「地方自治法204条が常勤職員に対して給料を支給する旨定めつつ、非常勤職員に対しては地方自治法203条の2が報酬を支給する旨定めていることに照らせば、ここにいう報酬とはいわゆる生活給としての意味を有するものではなく、勤務に対する反対給付としての性格を有するもの」と判断されています。また、地方自治法第182条の5で示されているように、選挙管理委員は政党色の強い行政委員です。豊島区議会議員36名の投票による選挙で選ばれる方々です。一部に議員の天下り場所であるとの批判があるのも事実です。そのために、職務や報酬への批判につながっているものと考えられます。今回の質問のタイトルにもありますように、例年、8月や10月などは2回程度しか委員会が開かれていません。選挙のあるなしなど年度によって勤務日数は多少前後しますが、月2日の勤務でも23万4,000円から28万2,000円の月額報酬が本当に適切な金額であると考えられるでしょうか。区長のご見解を伺います。  次に、2点目、その他として、選挙管理委員の費用弁償について伺います。豊島区の監査委員、教育委員、選挙管理委員は、区議会議員同様、豊島区行政委員会の委員の報酬及び費用弁償に関する条例第7条2項に基づき、委員が会議に出席するため又は公務のため特別区の存する区域内を旅行したときは、日額旅費として3,000円の費用弁償が支給されています。当然、公務であることが大前提です。平成22年度の場合、選挙管理委員長に49日分14万4,000円、各委員に45日分12万9,000円、合計で53万1,000円が支給されました。私は昨年の9月、23区の行政委員の費用弁償の金額と、その支給基準について調べさせていただきました。そのうち20区について、おおよその状況がわかりました。5,000円を支給している区が9区、3,000円が6区、4,000円が2区、2,500円が1区、杉並区は実費弁償、墨田区は支給していないということでした。各区金額は様々ですが、公務の範囲や支給の基準などについては、慣例的に判断をしているようで、文書等で定められた基準は特別にありませんでした。その中で1点、特筆すべきことは、調査した20区のうち豊島区も含まれていますが、豊島区の教育委員会だけが、公務の範囲や支給対象になる例、ならない例などを具体的に示し、豊島区教育委員会教育委員の費用弁償支給に関する基準を平成19年に定めていました。選挙管理委員会は、平成22年7月20日、前選挙管理委員の葬儀に際し、これを公務と判断され、当時の選挙管理委員長が葬儀に出席したことで費用弁償の支給を受けています。公務の範囲と支給の基準を改めて見直し、選挙管理委員においても教育委員会同様、豊島区選挙管理委員選挙管理委員の費用弁償支給に関する基準をつくるべきであると提案をいたしますが、いかがでしょうか。ご見解を伺います。  以上で、一般質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。(拍手)   〔高野之夫区長登壇〕 ○区長(高野之夫) ただいまの藤本きんじ議員のご質問に対しましてお答えいたします。  選挙管理委員月額報酬見直しについてのご質問のうち、まず、選挙管理委員の月額報酬制を見直し、日額制に改めることについてのご質問にお答えいたします。ご指摘のように、行政委員会委員の月額報酬を違法とする判決が、一昨年の大津地裁、昨年の大阪高裁に続き、今月15日には仙台地裁において出されたことは承知しております。また、これらの判決を契機として、月額制の見直しを求める動きが広がりを見せているものと認識しております。しかしながら一方では、練馬区選挙管理委員の報酬支出差止請求訴訟において、昨年3月に原告側の請求が棄却となる東京地裁判決が出されており、また同様に、東京都選挙管理委員報酬支出差止請求訴訟でも、昨年9月の東京地裁並びに本年2月の東京高裁のいずれの判決におきましても、原告側の訴えが棄却されるなど、裁判所の判断は分かれております。23区では、ご指摘いただいたように、新宿区が昨年12月に選挙管理委員の報酬を日額制に改めておりますが、世田谷区では昨年12月に選挙管理委員報酬の日額制への変更についての議員提出議案が否決されております。以上のような状況をかんがみますと、本区といたしましては、選挙管理委員の報酬につきましては、大阪高裁判決が上告中であると聞いておりますので、引き続き最高裁の判断や他の自治体の動向を慎重に見極めてまいりたいと考えております。なお、検討する場合には、選挙管理委員だけでなく、他の行政委員も含めてその報酬のあり方を総合的に検討してまいりたいと思っております。  次に、職務や勤務態様、地域の実情をかんがみて報酬体系を見直すことについてのご質問にお答えいたします。毎年、区議会議員の報酬や区長、副区長の給料の額などのあり方を審議する豊島区特別職報酬等審議会の答申を参考としながら、行政委員会委員の報酬額につきましては、豊島区教育長・常勤監査委員給料等検討委員会において、その都度検討をしております。報酬等審議会における審議は、区財政の状況はもとより、社会経済情勢、区民生活の実態など、様々な要素を勘案し、特別職の給料等の額のあり方について、十分に議論をされております。また、同様に、教育長・常勤監査委員給料等検討委員会におきましても、行政委員会委員の報酬決定に当たっては、従来から区財政の状況はもとより、委員としての職務内容、職責の重さ等も勘案しながら、慎重な検討を行っております。したがいまして、選挙管理委員の報酬体系の見直しの必要性につきましても、先程と同様に、判決や他の自治体の動向などの動きを見ながら判断してまいりたいと思っております。  次に、現行の月額報酬額の妥当性についてのご質問にお答えいたします。先程触れました練馬区選挙管理委員の報酬支出差止請求訴訟の東京地裁判決では、「選挙管理委員会が管理及び執行をすべきとされる事務は、相当程度に広範囲で専門性の高いものといえ、その内容においてもその性質等においても多様なそれらの職務を受けて、その時々における勤務の態様等も異なっており、会議に出席して表決等をすることに尽きるものとはいい難く、専らこれに着目しその日数に応じてその報酬を支給するといった方法によることは、その職務の内容や勤務の態様等の具体的実情に必ずしも沿うものではないと解し得る事情がある」としております。また、東京都選挙管理委員に係る東京地裁並びに東京高裁の判決でもそれぞれ同趣旨の内容が述べられております。このことから、現行の月額報酬額の妥当性については、必ずしも問題があるとは現時点では考えておりません。  次に、選挙管理委員の費用弁償支給に関する基準の制定についてのご質問にお答えいたします。ご指摘のように、選挙管理委員の費用弁償につきましては、定例会、臨時会、特別区選挙管理委員会連合会等の会議、研修、啓発活動、各種選挙の執行管理等の業務に従事する以外に、どのような場合が支給対象となる公務か明確な基準は設けておりません。したがって、ご指摘の案件につきましては、委員会を代表して弔意を表すことが公務であると委員会で協議の上、決定したため、費用弁償を支給したものでございます。費用弁償の対象となる公務の範囲と支給に関する具体的基準の制定につきましては、区民への情報公開の観点からも重要であると考えますので、ご提案の趣旨を十分に踏まえて、教育委員会の例も参考としながら検討してまいります。  以上をもちまして、藤本きんじ議員のご質問に対する答弁を終わります。 ──────────────────────────────────────── ○副議長(島村高彦) 最後に、3番議員より、「豊島新時代到来。新しい発想と具体的な行動で大転換を!」の発言がございます。   〔古坊知生議員登壇〕(拍手) ○3番(古坊知生) みんなの党・無所属刷新の会幹事長を務めます、古坊知生でございます。私は、「豊島新時代到来。新しい発想と具体的な行動で大転換を!」と題しまして、1、議会制民主主義と二元代表制のあり方について、2、事前復興ビジョンの推進について、一般質問いたします。高野区長を初め、理事者の皆様の前向きな答弁を期待いたします。  さて、まず冒頭に、新しい会派が結成いたしましたことを皆様にご報告申し上げます。旧みんなの豊島の3名と、旧無所属まことの会1名、そして旧豊島刷新の会1名が合併して5名で会派を結成し、会派名は「みんなの党・無所属刷新の会」となりました。数合わせだとか、野合だとかいう批判があるようですが、私たちは、時に熱く国政を語る議会ではなく、豊島区の問題や地域の課題を議論する豊島区議会でありたいと思っています。地域の問題を議論していくならば、必ず一致点が見出せるとの強い確信を私たちは持っております。先輩諸氏のご心配が杞憂だったと思っていただけるよう、むしろどの会派よりも団結力があるところを見せていく覚悟でございますので、ぜひ温かい目で見ていただきますようよろしくお願い申し上げます。私たちは一期生4人、二期生1人という議会経験の浅いメンバーですが、里中議長が推進する議会改革のスピードを加速させるべく、区民の立場に立って発言をしてまいります。私たちの共通認識は、「議会を変えよう」であります。即ち、与党・野党という発想ではなく、一つ一つの問題に是々非々で臨むという、本来あるべき議会のあり方を目指すことです。私たちの行動は、今までの慣例主義、そして前例主義の議会においては奇異なものとして映るかもしれません。しかし様々な地方議会の改革について学び、また地方分権の時代の流れを考えたときに、将来を見据えてどんどん提言をし、具体的な行動をして、模範的ないわゆる政策集団として議会の大転換をしてまいりたいと決意するものであります。  さて、本題に入ります。最初に、区長に対して議会制民主主義と二元代表制のあり方という根本的な質問をさせていただきます。昨今、地方議会において、首長と議会の対立が度々報道されるようになってきました。鹿児島県の阿久根市における竹原前市長と市議会、そして名古屋市の河村たかし市長と市議会、そして大阪府における橋下府知事と大阪府議会、あるいは大阪市の平松市長と市議会。これらすべての共通項が首長と議会の対立であり、それは裏を返せば、全国において今まで首長と議会の対立がほとんどなかったことを物語っていると私は思います。近年まで首長を中心とする執行部が提出する議案に対して、地方議会は99%を超える確立で賛成をしてきているとの報告を聞いたことがあります。そのような状況から、地方議会は役所の追認機関に成り下がっているという批判も聞かれるようになってきました。首長の独裁を防ぐ、あるいは暴走をとめるためのチェック機関としてあるべき議会の姿が失われた結果として、長い間地方行政は首長のやりたい放題というのが実情でした。だからこそ、さきに挙げた首長と議会の対立が新鮮に感じ、大きくクローズアップされたのだと思います。  言わずもがなではありますが、日本における地方議会は議会制民主主義の形態をとっております。例えば、ここ豊島区においては、26万7,000名を超える区民が一堂に会して区の方針を決めていくという、いわゆる直接民主制は不可能ですから、選挙によって選ばれた議員が区民の代表として議会を構成し、議会において区の方針を決定していく、いわば間接民主制の形態をとっています。首長と議会の関係性、即ち双方とも選挙によって選ばれた民意であるという二元代表制のあり方についてどのように考えるかということが重要であると私たちは考えます。そこで区長にお尋ねします。  首長と議会の本来あるべき関係性について、つまり二元代表制について、区長はどのようにお考えでしょうか。先程、「与党・野党という発想ではなく」と述べさせてもらいました。与党とは何でしょう。与党とは、私的に申し上げれば、首長の政策や施策にもろ手を挙げて賛成し推進する立場の議員のことをいうと認識しております。首長選挙において、各党各会派は候補者を推薦し、その候補者が区長になったときには全面的にバックアップするという意味で、議会における審議が馴れ合いになっているという批判が聞かれます。議員の都合ではなく住民の目線で議会運営を行ってほしい、しがらみなく是々非々で臨んでほしいとの声を尊重するために、私は今回の区長選挙において、豊島刷新の会に対して受けた高野区長からの推薦の要望を丁重にお断りしました。4年前の区長選挙のときには、正直初めての選挙で、まだ地方議会のなんたるかも知らず区長を推薦いたしましたが、4年間いろいろな研修会に参加し、地方議会の改革に造詣の深い講師の方々から、東京23区が特に議会改革が遅れているとの言葉を聞いたりしながら地方議会を勉強してきた中で、首長と議会の関係を区長選のときから正していかなければとの思いがあったからであります。区長選のときに特定の候補者を推薦すると、その行動に縛られてしまい、区長部局の施策一つ一つに対して是々非々で審議に臨めないと思うからです。区長選における各党各会派の推薦は、議会が形骸化する原因の一つであると私は考えております。今回の選挙において、区長はどのような思いで各党各会派に対して推薦を依頼したのでしょうか。選挙に勝ちたいという気持ちはよく理解いたしますが、例えば、東京都の石原都知事においては、選挙のときに公党に推薦をもらったりしておりません。最近の首長選挙においてもそのような事例をたくさん見ることができます。私は、この形こそ首長と議会との適度な緊張関係を担保する方策であり、今後はこの流れが主流になると考えております。そのようなことも踏まえて先程の答弁をお願いいたします。  次に、首長と議会が対立しているときの解決策として、前段に挙げた、地方自治体の首長は住民からのリコールを使い、議会を解散させ自分を支持する候補者を擁立し、議会における過半数を占め、自分の意のままの状況をつくろうとしました。選挙の結果はおおよそ首長の筋書きどおりであり、地元の有権者は首長を支持する議員で過半数を占める議会を、すべてではありませんが選択をしました。そこにおいては、本来の首長と議会の適度な緊張関係という構図はなく、むしろ先程私が述べた役所の追認機関になるという危険性が高いことが指摘されています。名古屋市の河村市長と市長与党、あるいは大阪府の橋下府知事と知事与党との現在のこのような関係性について、区長のお考えをお聞かせください。また、仮の想定でありますが、区長が是が非でもなし遂げたいと思っている施策に対して、議会がノーを突きつけたとき、区長は議会を解散させる方法を選択しますか。そのことについてもお考えをお聞かせいただきたいと思います。  豊島区と豊島区議会においても、馴れ合いという観点では例外とはいえないと私は思います。前区長の任期が終わり、高野区長が誕生するとき、豊島区の財政は深刻な状況でした。バブル崩壊によってもたらされた財政収支の悪化に対して、抜本的な対策をとることができず、200億円近くもあった新庁舎建設基金は底をつき、負債は膨らむ一方で区財政が崩壊の一歩手前までになっていたのは周知の事実です。問題は、前区長の時代においてそのような財政状況であるにもかかわらず、議会が何のチェックも果たせなかったということであります。区民からしてみれば、赤字をどんどん膨らませてしまって行政サービスを低下させてしまった区も議会も同じように責任が問われる立場ではないでしょうか。もちろん議会には予算の提出権はありませんが、このままの予算を通していけば、豊島区の財政が危機的な状況になるという思いがあったなら、予算案にノーを突きつけて、区長部局に再考を促すことはできたはずです。それをせずに区長部局の出す予算案をそのまま通してきたことに今日の豊島区長を初めとした財政当局のご苦労があるのであり、以前から私はこのことについて非常に問題視しております。一部の会派の方々は反対したようでございますが、これも馴れ合いがもたらした結果と私は考えております。  私たちは、区長部局のやることなすことに何が何でも反対であると言っているのではありません。正しいことには賛成し、間違っていると思われることには反対したいという当たり前のことを申し上げております。豊島区議会が、過去の失敗にかんがみて、是々非々の対応をとり、本当に区民に近い立場で請願や陳情に対応し、議員提出の政策条例が制定される議会にしていきたいものです。既にスタートしている議会改革検討会におきましても、私たちは議会基本条例の制定を求めてまいります。その中に、議員定数の削減であったり、政務調査費や費用弁償のあり方であったり、議会や委員会における議論のあり方、それから情報公開のあり方についてもしっかり議論してまいりたいと思います。ほかの地方議会では既に導入されている本会議における一問一答形式の質問や、議員同士の議論についても積極的に取り入れ、区民の皆様にもっと開かれた議会を目指したいと思います。そのために、私たち、一期生と二期生だけの若いメンバーでありますが、よき伝統は尊重しながらも、前例や慣例にとらわれることなく時代にあった改革を提言していきたいと決意しております。これから区長を初めとした執行部の皆様と、適度な緊張関係を保ちながら議論してまいりたいと思っておりますので、区政のさらなる発展のためにお互い努力していきたいと思います。  2番目の質問は、事前復興ビジョンの推進についてです。先日、首都大学東京の名誉教授である中林一樹先生をお招きし、「震災復興に備えて」と題しまして講演会が開催されました。私はこの夏、多くの勉強会や研修会に参加してきましたが、ある勉強会で先程の中林先生のお話を聞き、その考え方に目からうろこが落ちるぐらい驚き感銘を受けた者の一人です。今回、豊島区主催の講演会でさらに復習させていただき、また多くの議員の方々や役所の幹部の方々が聞かれたことは大変よかったと思っております。言わずもがなではありますが、事前復興ビジョンとは、被災後の復興まちづくりを円滑に進めるために、日ごろのまちづくり活動等であらかじめ地域の方が話し合って決めておく被災後の都市の復興方針のことを言います。大災害が起きてからではなく、起きる前に街がどのように被災するかを推測し、その被害を最小限に抑えるための予防策を講じていることが新しい斬新な発想であると思います。今年3月11日に起こった東日本大震災の例を見ても、復興どころか復旧すらままならない状況は周知の事実です。もちろん、政府の復興関連予算の裏付けがなかなか見えず、地方自治体が前に進めないということも一因ではあると思いますが、多くは地域それぞれに特有の状況があり、住民のコンセンサスを得るのに多くの時間が費やされているというのが現実であると思います。だからこそ、災害がくる前に、時間をかけて住民の方々と復興について話し合いをし、コンセンサスを得ておくという事前復興の考えは非常に有効的に思えるのです。そこで質問いたします。まず、この事前復興という概念について、区はどのように認識しているのでしょうか、お答えください。  次に、東京都においてもこの考え方の基に、いろいろな施策となって展開されているようでありますが、豊島区の取り組みは他区と比較してどのような状況であるのか、教えてください。豊島区の具体例としては、上池袋地区において震災復興まちづくり訓練の実施があります。その報告も一部受けておりますが、実際、参加された地域の方々の反応について教えていただきたいと思います。私は、何よりも街を歩いて被害をイメージすることによって防災の意識がさらに高まること、そして自分たちの街は自分たちで守ろうという意識が高まるという点において、事前復興という考え方に魅力を感じております。しかし反面、いいことばかりでもないと思います。私が考えるに、首都圏直下型大地震が30年以内に70%の確率で起こると言われていますが、このような大災害は明日くるかもしれませんし、30年後にくるかもしれません。事前復興ビジョンを決めても、実際の災害が10年後、あるいは20年後、もしかしたら30年後に起こるかもしれず、そのときにはそのようなビジョンは使用不可能なものになってしまうかもしれないという不安です。年月がたてば、地域住民の構成メンバーも替わり、考え方も変わり、何よりも街自体が変化していることが予想されるからです。また防災に対する地域の考え方の違いもあるので、すべてこの手法を浸透させていくということに温度差が生じるのではないかという不安です。もちろん強制は難しいと思いますが、一度お話を聞いてみるぐらいの価値はあるのではないかと私は思います。この事前復興ビジョンや震災復興まちづくり訓練を推進しようと、各地で区政連絡会等を利用して、このことについて説明がされております。私の所属する第12地区においても、先日の区政連絡会でその説明がありましたが、ちょうど案件が多くて説明の時間を多くもらえず、中途半端な説明に終わってしまった感が否めませんでした。担当者を責めているわけではありません。せっかく町会長さんが集まる区政連絡会において、その意図するところが伝わり切れなかったことが大変残念だと感じたのです。上池袋での実施の経験から、事前復興という考え方を推進していく上での課題について、区はどのように考えているでしょうか。また、今後の広報やPRにさらに工夫が必要かと思いますが、お考えはありますでしょうか。そして具体的に東京都の方でも、いわゆるグランドデザインを描くことになると思うのですが、震災復興における豊島区の考えと東京都の方向性を一致させることはどのように担保されているのでしょうか。答弁をお願いいたします。  東日本大震災の被災地の皆様のご苦労は想像を絶するものがありますが、東京に住む私たちは多くの教訓を得たのではないでしょうか。今まで遠いものとしてとらえていた行政や議会ではありますが、その行政や議会が動かなければ、行動しなければ、物事は回らないということです。「たかが政治、されど政治」なのです。我々議員もそのことを肝に銘じながら行動しなければなりません。災害が起きてから議会を招集している時間はそうはないと思われます。むしろ議会においても事前に、災害時において現行の条例では対応し切れないことについての整備や改正など、あらゆることを検討しなければならない状況であることは誰が見ても明らかです。我々議会も努力しますが、区においても早目に阪神・淡路大震災や東日本大震災の教訓を生かすべく問題点を整理し、災害時に整備していない条例のゆえに、問題にぶつかってしまう人が現れないように対策を講じてもらいたいと思います。  先日、文成小学校において、都内発となるり災証明発行のための訓練が行われ、区職員を初め、250名の参加者で会場が埋まったとの報告を受けております。災害が発生したら速やかに住家被害調査を行い、可及的速やかに罹災証明を発行することが、被災者の生活再建のために大変重要なことであると認識しております。マグニチュード7.3規模の東京湾北部地震が発生したと仮定したとき、豊島区においては7,000棟を超える全壊・焼失が想定されていますが、罹災証明を迅速に、そして公平に、しかも大量に発行する体制が必要です。そのようなこともあって今回の訓練の実施になったのだと理解しておりますが、今回の訓練の成果と学習した課題についてお知らせください。  ところで、豊島区においては9月1日付で人事異動が行われ、新しいセクションが誕生しました。総務部防災計画担当課長です。この新設の課は何を目指しているのか、そして、なぜあえて防災課と切り離してまで新設されたのか、ご説明いただきたいと思います。特別委員会においても、防災対策特別委員会から、防災・震災対策特別委員会に名前を変えたいとの申し出があったと聞いております。そこにおける区の考え方をお聞かせください。  今年は大震災、大津波、そして台風による水害等、なすすべもない自然の圧倒的な力というものをまざまざと見せつけられた年でした。まだ今年は終わっていませんが、これからも日本列島に住む限りにおいて、災害に真正面から立ち向かっていかなければならない私たちです。この国を愛し、豊島区を愛すればこそ、この国に、豊島区に住みたいと思うのが自然な思いです。であるならば、その自然災害による被害をできる限り少なくするのが人間の英知であると私は思います。起こってからでは遅いのです。起こる前にできる限りのことをやっておくという事前復興の考え方を、セーフコミュニティという観点からも、豊島区がさらに積極的に広げてもらうことを期待いたしまして、私の一般質問のすべてを終わります。
     ご清聴、誠にありがとうございました。(拍手)   〔高野之夫区長登壇〕 ○区長(高野之夫) ただいまの古坊知生議員のご質問に対しましてお答えいたします。  まず、議会制民主主義と二元代表制のあり方についてのご質問のうち、首長と議会の本来あるべき関係性についてのご質問にお答えいたします。地方自治体においては、国の議院内閣制とは異なり、住民から直接選挙で選ばれた首長と議員がそれぞれ民意を代表する二元代表制をとっております。この制度は、首長と議会が相互に対等な立場で、緊張関係を保ちつつ、それぞれの役割を適切に果たすことで区民本位の行政を実現することを目的としているわけであります。しかし現実には、ご質問にもありますように、阿久根市や名古屋市など、首長と議会の対立が激化し、市民不在と言われるような事態も発生しており、二元代表制の機能そのものが制度疲労を起こしているとも言われております。首長と議会の関係のあり方については、地方分権改革がスタートした当初から課題とされておりましたが、国では、昨年、地方行財政検討会議において具体的に検討する動きも出始めております。私は、先程のお話のように、自治体の長も議会の議員も区民から直接選挙で選出されているがゆえに、首長と議会の間で政策決定をめぐる議論は大いに交わすべきであると考えていますが、それはあくまで区民の福祉向上を前提としたものでなければならないわけであります。区政が停滞するなど区民に不利益が及び、区政への信頼が失墜するような事態は絶対に起こすべきではないと考えております。言うまでもなく、首長と議会はともに区政運営の両輪として、区民が望む区政を展開することがその責務でございます。私は、区長就任以来、この12年余り、この考えを常に念頭に置きつつ、豊島区の厳しかった破綻寸前に追い込まれた財政状況を、お互いに共通認識を持って乗り越えてくることができたと思います。改めて振り返ると、私は、執行機関である首長と議決機関である議会がそれぞれの機能を適切に果たし、バランスのとれた関係を構築し、協働する関係こそが区民に信頼される区政のあるべき姿であると考えております。  次に、区長選挙における各党各会派への推薦依頼についてのご質問にお答えいたします。私は、区長とは一政党の立場で区政を進めるものではないと考え、今回の選挙に当たりましても、無所属で立候補したわけでございます。何か私が選挙に勝つために、豊島刷新の会に媚を売っているように発言をされましたが、私は、お互いに豊島区が目指す将来像を同じ方向性を持っていく姿勢を求めての政策協定であります。ご推薦をいただいた各党各会派、政策協定をし、その中には厳しい条件や厳しい課題もありますが、豊島区政発展のために、お互いに理解し協力していくためのものでございます。その協定の基本は区民の立場で、区民の目線で区民から信頼されることであります。各会派から推薦を受けたから議会が形骸化するとか緊張感が失われる、あるいは議会が役所の追認機関となると主張されておりますけれども、今までの区長がどういう区政運営をしてきたかは別として、少なくとも私は、区長就任してからこの12年間は、常に区民の代表である議会の声を十分に聞き、特に政策協定を結びお互いに同じ目的を持つ会派の方々の意見を十分に生かしていく区政を進めてまいってまいりました。この難局を乗り越えて難しい舵取りができたのも、推薦をいただいた方々の大きな力ではないかと思っております。人間関係というのは、お互いに理解し協力してこそ、大きな力が発揮できるのではないかと思います。今、豊島区は大きな転換期にきております。つまらないメンツにこだわったり、目先のことにとらわれることなく、将来に向かってどう進むべきかが問われているときではないかと思っております。今までもそうでありましたけれども、これからも常に区民の目線で区民の立場に立って、議会とともに間違いのない区政を進めてまいりたいと思います。  次に、首長と首長与党との関係性についてのご質問にお答えいたします。大阪府、名古屋市の首長と首長与党の議会関係については、各種のマスコミを通じて概略を承知しております。極めて個性的な首長の誕生を契機に始まった関係だと思います。私も、初めて区長になった就任当時は、改革派区長とも言われたこともございました。今でもあらゆる可能性について挑戦をしております。常に申し上げておりますけれども、豊島区の将来のために、住みよい街であり、元気で輝く街をつくり上げていくことが目的であります。特に近年は、地方分権の進展によって、長の権限や仕事のやり方の自由度が増えてまいっております。長による自治体の格差が拡大していくのではないかと思っております。今後の区政運営に対しては、これらの大阪、名古屋等々には、参考にできることがあれば大いに取り入れていきたいとは考えております。けれど、今の状況では、私は考えを一つにすることはないと思います。  次に、議会の解散についてのご質問にお答えいたします。地方自治法第178条は、議会が長の不信任を議決した場合、長に議会を解散する権利を認めています。しかしながら、私が是が非でもなし遂げたいと思っている施策が仮にあり、それに対して議会が全面的にノーを突きつけた場合でも、私は議会の解散という方法によらず、区長選を臨むに当たって先程もお話ししましたけれども、政策協定等を結んだ各会派を中心として十分に話し合い、納得できる結論を見出すことではないかと思っておりますので、それだけに、議会解散など、私の想定には全くございません。  次に、事前復興ビジョンの推進についてのご質問のうち、防災対策調査特別委員会の名称変更を申し入れた、区の考え方についてのご質問にお答えいたします。委員会の名称につきましては、議会の権限に属する事項でございまして、私が意見を述べる立場にないことは承知しておりますが、ご質問をいただきましたので、お答えを申し上げます。区は、東日本大震災を経験し、地震対策だけではなく、放射能対策、電力不足への対応、さらには復興に向けた対策の充実を図ることの重要性を痛感しております。そこで、今後3年間をめどとして、総合的な震災対策を推進するべく、私をトップとした震災対策推進本部をつい先日9月1日設置し、本格的な震災対策の検討に着手したところでございます。この本部の設置につきましては、9月14日に開催されました防災対策調査特別委員会でご報告申し上げたところでございます。委員会の名称変更の検討は、このような区の動きに危機感を持って対応されたものと理解をしておりまして、議会におかれましても区と同様の認識をお持ちになっているものと強く受け止めております。  私からの答弁は以上でございますが、他の質問につきましては関係部長から答弁いたさせます。   〔鮎川 傑都市整備部長登壇〕 ○都市整備部長(鮎川 傑) 事前復興ビジョンの推進についてのご質問のうち、まず、事前復興についての区の認識についてのご質問にお答えいたします。震災対策には、災害予防、応急対応、復旧・復興の3段階があります。災害予防は地震が起きても被害を出さず、また広げないために、災害に強い都市づくりに取り組むことです。応急対応は迅速な対応で区民の生命と財産を守り、発生する被害を軽減させることです。復旧・復興では間接被害を軽減し、いち早く生活を再開させ、さらには現在より災害に強い都市に再生していくことです。こうした一連の対策を日常から真剣に取り組んでいくことが、総合的な震災対策につながるものと考えております。中でも、阪神・淡路大震災や、東日本大震災の教訓から明らかなように、都市の復興は混乱した状況の中からスタートしなければならず、莫大な財源と時間を要します。また住民との合意形成が不可欠な大変に難しいまちづくりでもあります。したがいまして、本区の震災復興の基本理念として、地域協働復興と事前復興という二つの柱を掲げておりますので、想定される首都直下地震が発生する前に、地域との協働で震災に見舞われた後の復興まちづくりの方針を打ち出していくことは、一日も早く復興をなし遂げる最善の方策であると認識しております。  次に、事前復興に関する他区との比較についてのご質問にお答えいたします。事前復興の取り組みは、震災復興マニュアルの策定を契機に、震災復興条例の制定、復興訓練の実施へとつなげてまいります。23区では、既に17区がマニュアルを策定し、15区が何らかの形で震災に関する条例を制定しております。本区は、マンションの林立や密集など、高密度都市特有の難しい課題があり、将来をも見据えて慎重に対応したことから今年度の策定になりましたが、東京都が平成21年に定めた区市町村震災復興標準マニュアルに準拠しております。この標準マニュアルは、復興に関する都と区市町村の役割分担を規定しているものですので、本区は東京都との明確な役割の下に対策を講ずることができる、実効性の高いマニュアルを策定いたしました。また、震災復興条例につきましては、先日の議員協議会でご説明いたしました震災対策推進本部の検討事項としておりまして、平成24年度を目途に制定していきたいと考えております。  次に、上池袋地区震災復興まちづくり訓練での参加者の反応と、事前復興を推進する課題、今後の周知についてのご質問にお答えいたします。訓練参加者からは、訓練を通した震災に関する意識や地域コミュニティの向上、震災復興の実効性を高める条例の制定、震災を想定した日常のまちづくりの展開などのご意見をいただきました。震災復興まちづくり訓練の実施により、改めて地域の弱点を見詰め直し、発災後を見据えて今から事前に準備しておく大切さをともに学ぶことができたと考えております。こうした貴重なご意見は、今後の事前復興の展開へとつなげていかなければなりません。事前復興を推進する課題としてこれから取り組んでまいりますことは、生活・産業編を加えた復興マニュアル全編の完成、復興マニュアルの内容を担保し、事前に規制内容などを区民にお示しするための条例の制定、そして区の職員はもとより、区民の皆さんとともに震災への備えを持続していく復興訓練の実施、さらには被災後の都市の復興方針を事前に想定しておく事前復興ビジョンの策定であります。  9月期の区政連絡会では、震災復興に関する出前講座の実施についてご案内をさせていただきました。時間の関係で十分にご説明できなかった内容につきましては、ぜひとも出前講座にご参加いただき、その中で十分に対応させていただきたいと考えております。また、今回の出前講座は12月までの実施となっておりますが、その後の継続につきましても検討しているところです。出前講座を通じて、区民の皆さんと震災復興に関する情報を共有し、地域復興を考えていくことを第1ステップとして、次なるステップである復興訓練の実施へと結びつくよう努めてまいります。  次に、震災復興に関する東京都と豊島区の方向性についてのご質問にお答えいたします。先程も申し上げましたとおり、本区の震災復興マニュアルは、都区の役割分担を定めた東京都の標準マニュアルに準拠し、復興のプロセスや施策を整理しております。また、上池袋地区での復興まちづくり訓練の成果を、マニュアルの地域協働復興の項目に生かしたものです。したがいまして、震災復興に関しては、東京都と連携して対応することが可能であることに加え、区として、地域と連携していく素地を築いているものと考えております。  私からの答弁は以上でございます。   〔齋藤賢司総務部長登壇〕 ○総務部長(齋藤賢司) 事前復興ビジョンの推進についてのご質問のうち、まず、り災証明発行システム実証実験で得られた成果と課題についてのご質問にお答えいたします。この実験の成果は、大きく3点あったと考えております。まず一つ目は、区民の皆様に、地震発生後の住家被害調査、罹災証明の発行、各種支援制度等につきまして模擬体験していただくことができた点でございます。参加した区民の方は50人程度でしたが、これまでの初動対応の訓練とは一味違う、生活の再建について考えていただく機会になったものと考えております。二つ目として、東京都主税局、東京消防庁などとの関係機関と連携して訓練を行った点も重要な成果でございました。特別区におきましては、固定資産税の台帳は東京都主税局が、火災調査の結果は東京消防庁が保有しております。罹災証明の発行に不可欠なこれら台帳類を複数の行政機関が保有しているため、これらを有機的に結びつけ、効率的に罹災証明を発行する仕組みが重要でございます。今回の試験では、三者が協力して情報を共有した上で、罹災証明を発行することができました。さらに三つ目といたしまして、区においては、防災課だけではなく、区民部、保健福祉部、都市整備部など、幅広い部局が結集して訓練を行った点も大きな成果でございました。大地震が発生し復興する場合には、防災関係部局だけではなく、全庁一丸となった対応が不可欠ですが、この訓練は格好のシミュレーションの機会となりました。このように、大きな成果を上げた反面、残された課題もございます。まず訓練の継続でございます。区民の皆様、職員ともに実践的な罹災証明発行訓練、あるいはその後の都市復興に向けました復興まちづくり訓練等を継続的に実施し、復興に向けた意識、震災対策の充実強化を図ってまいる必要がございます。また、行政機関同士の連携に関するルールづくりも重要ですし、個人情報を適切に保護しながら、台帳をスムーズに共有するためのルールづくりも欠かせません。罹災証明の発行に係る被災者台帳システムは、今年度中にも東京都版の改修作業が終了する見込みとなっておりますので、今後、関係機関同士の連携や情報共有のためのルールづくりを進めまして、来年度以降、本区での導入、習熟に向けた訓練の実施等を進めてまいりたいと存じます。  次に、防災計画担当課長を新設した理由についてのご質問にお答えいたします。東日本大震災の被害は、被災地のみならず首都圏にも及び、物資不足、計画停電、放射能汚染、風評被害など様々な事態が生じました。大震災から半年が経過し、区はこれまで数々の緊急対策を講じてまいりましたが、複合的な様相を呈する震災の影響に的確に対応していくためには、中長期的な視点に立った対策を講じていくことが必要となっております。一方、今後発生が予想される大地震への対策も急務となっておりまして、区民の安全・安心を守るためには、これまでの震災対策を改めて検証し、新しい震災対策を計画的かつ総合的に進めていかなければなりません。また、大震災後、区議会第2回定例会の一般質問におきまして、震災対策に関するご質問をちょうだいいたしましたが、その数は60項目にも及び、これらの課題へも早急に取り組む必要があると考えております。とりわけ、防災対策の根幹となります地域防災計画の見直しを初め、帰宅困難者対策、災害時の区の業務継続計画の策定など、膨大でかつ喫緊の課題である防災・震災関連の計画及び方針策定を行う必要がございますため、この専管組織として、総務部に防災計画担当課長を設置したものでございます。このことによりまして、これまでの防災課は、急務となっております防災関連施策の拡大、充実、強化に力を注ぐ体制となるものでございます。一方、震災の影響は区政全般に及び、今後も長期間にわたって区政運営のあり方を左右するものとなっております。そこで、区長を本部長といたします震災対策推進本部を設置いたしまして、新設いたしました防災計画担当課長がその事務局を所掌することといたしました。こうした組織改正によりまして、区の総力を挙げて区民の安全な生活を確保を図る庁内体制を整備いたしまして、引き続き震災対策に万全を期してまいります。  以上をもちまして、古坊知生議員のご質問に対する答弁を終わります。 ───────────────────◇──────────────────── ○副議長(島村高彦) 以上で、本日の日程全部を終了いたしました。  本日は、これをもって散会といたします。   午後6時15分散会...