平成30年 第1回 定例会-02月22日-02号平成30年 第1回 定例会
平成30年第1回定例会 大田区議会会議録 第2号
2月22日(木曜日)
出席議員(48名)
1 番 田中一吉 2 番 松原秀典 3 番 高瀬三徳
4 番 安藤 充 5 番 岸田哲治 6 番 大森昭彦
7 番 松原茂登樹 8 番 伊藤和弘 9 番 塩野目正樹
10 番 押見隆太 11 番 鈴木隆之 12 番 伊佐治 剛
13 番 深川幹祐 14 番 長野元祐 15 番 渡司 幸
16 番 高山雄一 17 番 松本洋之 18 番 岡元由美
19 番 勝亦 聡 20 番 広川恵美子 21 番 秋成 靖
22 番 玉川英俊 23 番 田村英樹 24 番 大橋武司
25 番 小峰由枝 26 番 椿 真一 27 番 田島和雄
28 番 末安広明 29 番 大竹辰治 30 番 清水菊美
31 番 藤原幸雄 33 番 菅谷郁恵 34 番 黒沼良光
35 番 金子悦子 36 番 福井亮二 37 番 荒尾大介
38 番 山崎勝広 39 番 黒川 仁 41 番 松原 元
42 番 岡 高志 43 番 荻野 稔 44 番 三沢清太郎
45 番 犬伏秀一 46 番 野呂恵子 47 番 奈須利江
48 番 湯本良太郎 49 番 北澤潤子 50 番 馬橋靖世
○大森 議長 事務局長に諸般の報告をさせます。
〔
佐藤事務局長朗読〕
1 議案の追加送付について
2 執行機関の欠席について
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29総総発第12443号
平成30年2月20日
大田区議会議長 大 森 昭 彦 様
大田区長 松 原 忠 義
議案の追加送付について
平成30年第1回大田区議会定例会に付議する次の議案を別紙のとおり追加送付します。
第37号議案 大田区
職員定数条例の一部を改正する条例
第38号議案 職員の退職手当に関する条例の一部を改正する条例
第39号議案 大田区
介護保険条例の一部を改正する条例
第40号議案 大田区
指定地域密着型サービスの事業の人員、設備、運営等に関する基準を定める条例の一部を改正する条例
報告第10号 訴訟上の和解に係る専決処分の報告について
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29総総発第12527号
平成30年2月22日
大田区議会議長 大 森 昭 彦 様
大田区長 松 原 忠 義
執行機関の欠席について(通知)
平成30年2月9日付け29総総発第12419号で通知した平成30年第1回大田区議会定例会における執行機関の出席者のうち、福祉部長 中原賢一は、家族の急病のため、2月22日及び23日の会議を欠席します。
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○大森 議長 質問に入ります。
鈴木隆之議員、勝亦 聡議員、菅谷郁恵議員、
三沢清太郎議員、
玉川英俊議員、小峰由枝議員、奈須利江議員、松原 元議員、犬伏秀一議員、渡司 幸議員、高山雄一議員、深川幹祐議員、
湯本良太郎議員、福井亮二議員、黒川 仁議員、野呂恵子議員から通告がありますので、順次これを許します。
まず、11番
鈴木隆之議員。
〔11番
鈴木隆之議員登壇〕(拍手)
◆11番(鈴木隆之 議員)
自由民主党大田区民連合の鈴木隆之でございます。本日は会派を代表し、本区の財政や教育、まちづくりなど、区政全般にわたって質問をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
現在の我が国は、これまでのアベノミクスの施策の実施により、政権発足時に比べて、GDPは名目、実質ともに増加しており、企業収益は過去最高を記録するとともに、就業者数の増加、賃上げなど、雇用・所得環境は大きく改善し、経済の好循環が実現しつつあります。
こうした中で編成された国の来年度予算では、看板政策である人づくり革命や生産性革命などの対応に加え、高齢化を背景として、医療、年金など、社会保障費は歳出全体の3分の1に膨張しております。その一方で、歳入においては、バブル期以来の高い税収を見込んでおり、一般会計総額は97兆7000億円余と、好景気に裏づけられた過去最大規模の予算となっております。引き続き、地域の隅々まで経済の好循環の効果がさらに行き渡るように、しっかりと施策を推進してほしいと考えております。区におきましても、こうした国の方向性をしっかり見据えながら、72万区民の生活向上に向けて、しっかりと必要な施策を打っていかなくてはなりません。
そこでまず、平成30年度予算案についてお伺いいたします。区においては、平成29年度7月付けの副区長名の通知が出され、そこでは「平成30年度は、『おおた未来プラン10年(後期)』の総仕上げの年に当たることから、目標達成に向け、確実に施策を推進するとともに、昨年度策定した『大田区実施計画』を踏まえ、今後の区政の方向性を見定めていく極めて重要な年となる。そのため、平成30年度予算については、『暮らしてよし、訪れてよし、地域力あふれる 国際都市おおた』の実現につながる取り組みを確実に進めるとともに、さらなる未来に向け、力強い一歩を踏み出す予算」と位置づけております。この基本方針を受けて、今般予算案が取りまとめられたわけでありますが、そこでお伺いいたします。このように、重要な意味を持つ平成30年度予算について、区長はどのような点に留意して予算編成をされたのでしょうか。
予算編成において、来年度の歳入をいかに適切に見積もるかは非常に重要なポイントです。主要な財源である特別区税や特別区交付金については、納税義務者の増や雇用・所得環境の改善等を受けて、平成29年度比で増収を見込んでおります。一方で、昨年末にまとめられた国の税制改正大綱の中で、地方消費税の清算基準の見直しが決定をされました。具体的には、地方消費税の都道府県間の清算に用いる基準について、
小売年間販売額及びサービス業対
個人事業収入額の算定に用いる統計データのカバー率を、現行75%から50%に変更し、統計カバー外となる50%の代替指標を、これまでの従業員数と人口から、人口のみとするものでございます。区は、今回の地方消費税の見直しによる影響をどのように捉えていますでしょうか。
区は、平成に入ってバブル経済の崩壊と
リーマンショックという二つの大きな景気変動を経験いたしました。この時期は非常に厳しい財政運営を迫られたわけでありますが、区は基金の取り崩しや特別区債の発行で、この局面を乗り越えてきました。そうした対応ができたのは、特別区税等が好調なときに、基金を計画的に積み立てるとともに、特別区債の発行を抑制してきたからこそであります。地方交付税が交付されない区にとって、景気変動にも揺るがない強固な財政基盤を築くために、基金と特別区債の果たす役割は非常に大きいということであります。
今回の平成30年度予算案を見ますと、財政基金の取り崩し額は115億円となり、前年度当初予算と比較しまして、44億円の増となっております。また、
公共施設整備基金の取り崩し額は52億円で、前年度比13億円増、特別区債発行額につきましても、30年度は66億円、前年度比22億円の増となっております。いずれも単年度の予算としては、ここ近年で非常に大きな額となっております。区は、今後の基金及び特別区債の活用について、中長期的にどのような見通しを持っているのでしょうか。
法人住民税の一部国税化が行われている中、先ほど触れました
地方消費税清算基準の見直しが強行されるなど、国のいわゆる
税源偏在是正措置が区財政に大きな影響を与えております。非常に厳しい状況の中で、区長は大変な苦心をされて予算を編成されたであろうと想像できるところであります。
こうした
大都市狙い撃ちとも言える不合理な措置については、特別区を中心とした東京が置かれている状況、具体的には待機児童の解消や高齢者対策の推進、
首都直下型地震への備え、東京2020オリンピック・
パラリンピック競技大会に向けた準備など、取り組むべき喫緊の課題が山積していること、また、こうした課題への対応が妨げられることになれば、日本を引っ張る東京全体の失速につながり、結果として我が国の成長の足かせにもなりかねないことについて、国に対し強く訴えていくことが重要だと考えます。そして、自治体間で財源を奪い合うことは決して建設的なものではなく、今求められているのは、全国各地がともに発展、成長しながら共存共栄を図ることであり、特別区
全国連携プロジェクトなどを通して、特別区が全国各地域の活性化に資する取り組みに積極的に参画していることを発信していくことが重要であります。
一方で、区民生活は現在進行形で進んでおります。主張すべきところはしっかりと主張しつつも、区としては、平成30年度はもちろんのこと、その先々も含めて、どんなに厳しい状況下に置かれても、区民ニーズにはしっかりと応えていかなくてはなりません。区は、こうした区財源を取り巻く厳しい状況下において、今後どのように区政運営を進めていくお考えでしょうか。
区長もご認識されているとおり、平成30年度は「おおた未来プラン10年(後期)」の最終年度ということもあり、しっかり結果を出さなければならず、しかも、区民が日々の生活の中で実感できるような成果を出さなければならないと考えております。区におかれましては、平成30年度はこれまで以上に区民生活を取り巻く様々な課題に果敢に対応していただくことを強く求めまして、これ以後は具体的な課題の質問に移ります。
まずは、公民連携の取り組み方針についてお尋ねします。近年、民間企業のノウハウを活かし、地域の活性化につなげる公民連携の手法を導入する自治体が増えております。高齢社会の進行で
社会保障関係経費は増え続け、一方では施設の老朽化により
公共施設整備費に莫大な投資が見込まれている中、全国の自治体には、いかにサービスの質を維持したまま、または従来よりも向上させながら、その反面、財政負担を圧縮するか、その手腕が問われております。増え続ける歳出を目の当たりにし、持続可能な行政運営の可能性を模索する今、我々は自前による提供が当然と考えられているこれまでの
行政サービスの姿をリセットして考えるべきではないでしょうか。
近年、本業で培ったノウハウを活かして社会課題に取り組もうとする企業が増えております。契約関係における発注元と委託先という従来の発想から抜け出し、彼ら民間企業の姿勢を
行政サービスに取り込むことができるか否かは、それぞれの自治体の手腕であります。例えば、渋谷区の
公民連携制度や、世田谷区も今年度、
官民連携担当課を設置し、民間の力を活用し公共サービスのさらなる充実を目指しています。これらの取り組みに共通するのは、公民連携のための指針や専用窓口を設け、民間と庁内の連携体制を整えるとともに、公民連携への自治体の取り組み姿勢を対外的に強く打ち出しているところであります。
こうした中、本区を見ますと、
指定管理者制度を導入し、公共施設の運営で民間企業を活用しているケースは散見されますが、区として民間企業とどのように連携を進めていきたいのか、その全体像が示されておりません。平成30年度予算案では、拠点公園における
官民連携推進の調査委託費が計上されておりますが、これは都市公園法の改正により公園内に収益施設を設けた民間事業者が、その収益により公園の維持管理ができるようになった、
公民連携推進における、いわゆる
Park-PFI制度の活用を見越したものだと思われます。このように、民間企業がビジネスを成り立たせつつ、CSR、いわゆる企業の社会的責任の観点から行政需要に応えている取り組みこそが、今後大田区が取り組むべき公民連携のあり方だと考えます。
そこで伺いますが、公園のような公共施設の運営や維持管理、さらには施設の設計、整備の段階から民間企業と連携するメリットを区はどのように見込んでいるのでしょうか。また、区は公民連携の必要性についてどのように考えており、今後いかに取り組んでいくつもりなのでしょうか、お聞かせください。
次に、区の働き方改革について質問します。今通常国会の冒頭、安倍総理は施政方針演説で働き方改革の断行を宣言し、また、区は昨年2月、大田区
スマートワーク宣言を行い、松原区長みずからが全庁的に働き方改革へ取り組むとされました。この取り組みは意識改革、業務の効率化、事務事業の見直しを3本柱とし、より効率的で効果的な仕事につなげ、区民満足度の向上を図るとうたっております。
働き方改革は、かけ声による単なる長時間労働の圧縮ではありません。日々の業務を見直さないまま、例えば、残業はするな、生産性は向上しろと指示をするのであれば、そのしわ寄せは当然職員に及びます。業務の見直しについて言えば、大田区は「新
経営改革推進プラン」のもと、業務のスリム化に取り組んでいると思います。しかし、3年前のプラン策定以降、実際のところどのような成果が得られたのでしょうか。業務がスリム化されていれば、
スマートワーク宣言を行う必要はなかったのではないでしょうか。
さらに言えば、大田区の
ワークスタイルは旧態依然としたところがあり、国や都、他の地方自治体が率先して取り組んでいる
テレワーク制度の導入や、
ペーパーレス化をにらんだICTの活用、服務規程の見直しなどが遅々として進んでいないようにも見えます。働く環境を向上させることは、現職員の生産性と
区民サービスの向上につながるのみならず、20年後、30年後の大田区を担う優秀な人材を確保するための呼び水でもあります。働き方改革は、いわば人材確保のための自治体間競争でもあります。これに真剣に取り組まなければ、自治体としての大田区は、区内の企業や組織にとって、そのモデル、見本ともなるべき区役所像から遠ざかっていくことになりかねません。
区は、
スマートワーク宣言以降、具体的な働き方改革の方策を示しておりませんが、この間の取り組み、現在取り組んでいること、そして、今後どのような長期的経営的な視点を持って取り組んでいくのでしょうか、お聞きいたします。
次に、教育について質問いたします。先日の定例会初日、所信表明において、小黒教育長の教育行政に対する思いをお聞かせいただきましたが、質問として3点ほどお聞きいたします。
昨年12月22日、小黒教育長が新教育長に就任され、本区として新たな
教育委員会制度がスタートしたところであります。小黒教育長は、指導主事、指導課長として大田区の教育行政に携わってこられましたが、平成25年に大田区を離れ、稲城市の校長、大学教授を歴任され、再びこの大田区の教育行政に携わることとなりました。しかし、その間、子どもたちを取り巻く環境は大きく変化してきております。平成26年には、教育委員会の教育目標に掲げる理念、「基礎学力を習得する」、「豊かな情操と公共の精神を養う」、「健やかな心身を育む」、「心豊かに生活できる地域社会を実現する」という四つの理念を実現するための実施計画であります「おおた教育振興プラン2014」が策定されました。また、平成27年には新たな
教育委員会制度になり、順次新制度へ移行していく中で、大田区では任期の関係で新制度移行が23区でも最後の時期となりました。
既に施行から数年が経過をしており、ご承知のことと思いますが、この新制度は首長による大綱の策定や総合教育会議の設置、また教育長と教育委員長を一本化し、責任の所在を明確にすることなどが目的とされています。総合教育会議では、首長が公の場で教育政策を議論することが可能となり、政治的中立性はしっかりと確保されながらも、首長の思いが教育行政に反映されることになります。地域の民意を代表する首長との連携の強化が制度改革の目的の中に盛り込まれているように、だからこそ我々は正しい首長を選んでいかなくてはいけないということは、私も様々な場面で述べてきたところであります。
小黒教育長は、先に述べました教育振興プラン2014をどのように評価、分析をされているのか見解をお聞かせいただくとともに、想像を超えるスピードで変化する時代にあって、平成30年までの教育振興プラン2014の次の世代の次期教育振興プランをどのように考え、大田区の子どもたちをどのように育てていきたいのか、また、子どもたち本位の教育委員会のあるべき姿も含め、教育長のお考えをお聞かせください。
政府が掲げる一億総活躍社会の実現のために、先に述べました働き方改革の中で、労働市場に参加していない女性や高齢者に積極的に進出をしてもらい、労働人口の確保につなげる取り組みが進められております。特に、女性の社会進出が目覚ましい現代において、国の取り組みとも相まって、保育環境の整備は重要な課題となっております。保育園とは本来、親が働いている、病気の状態にある等の理由により、家庭において十分に子どもを保育できない場合に、家庭にかわって子どもを保育するため、児童福祉法に位置づけられた児童福祉施設、いわゆる福祉であります。今も昔も、親子の絆にとって大切な乳幼児期の子育ては家庭で行うことが望ましいと考えますが、今の時代は保護者の子育てに対する考え方も過去に比べ変化してきております。
私が保育園の相談を受けるときに必ず保護者に聞くことが3点ほどあります。なぜ保育園でないとだめなのか、保育園以外の保育サービスをどこまで知っているか、なぜ幼稚園ではだめなのかであります。幼稚園と保育園では時間の制限が決定的に違いますが、その他の2点を明確に答えられない保護者が多いのも事実です。私は、働くためにはまず保育園という親の意識を変えていく必要があるのではないかと考えます。労働時間の形態や労働環境の多様化が進み、様々な働き方が生まれる中で、子どもの保育環境も時代に即したものに対応することと同時に、保護者の保育園に対する意識を同時に変えていかなければ、根本的な解決には至らないと考えておりますが、ご見解をお聞きいたします。
また、住宅地域における保育所整備については、そこで生活している住民の理解が不可欠であります。子どもの声や送迎時の交通量など、近隣住民の生活環境の変化に対する不安も大きいと感じます。今年度の久が原地区における保育所整備では、昨年の第2回定例会において陳情も出され、地域への理解を得るのに大変苦慮した経緯がありました。これからは駅前や商業地域だけではなく、閑静な住宅街である第一種低層居住地域等にも建設に踏み切らなくてはいけない場面も今後出てくると考えられますが、今回のこの経緯をモデルケースとして、今後の同様の地域での整備の参考にすべきと考えますが、区の見解をお聞かせください。
続いて、まちづくり関連の質問をいたします。
まず、中央防波堤埋立地の帰属問題について伺います。昨年10月29日、議会側からの招集請求に基づき開催された第2回大田区議会臨時会において、大田区議会は境界確定に関する訴えの提起のための議案を、慎重審議のうえ、全会一致で議決いたしました。当日は初の日曜議会として開催し、傍聴席に入りきらないほどの区民が訪れました。この問題に対する区民の関心の高さを改めて実感したところであります。大田区は翌日の30日、直ちに東京地方裁判所に訴状を提出し、去る1月26日には第1回口頭弁論が行われたところです。口頭弁論では、大田区の訴状とともに、被告の答弁書が陳述され、今後いよいよ法廷の場で双方が主張、反論を行っていく段階となりました。大田区が丁寧に主張を尽くせば、おのずと結果はついてくるものと確信をしております。
大田区の将来に大きな影響を及ぼす境界確定訴訟について、今後の見通しと松原区長のお考えをお聞かせください。
次に、羽田空港跡地整備に関してお聞きします。羽田空港跡地第1ゾーンの整備については、UR都市機構による土地区画整理事業も順調に進んでいるようであります。都市基盤施設の整備に続き、いよいよ来年度は第一期事業が着工される大きな節目となります。羽田空港は様々な歴史的背景の中で、皆で力を合わせて国や東京都と粘り強く議論を続け、平成22年の「羽田空港まちづくり推進計画」という一つの到達点を迎え、さらに現在、未来に向けて歩みを続けております。このような歴史を念頭に置きながら、新たな時代にふさわしいまちづくりを進めていく必要があると考えております。
さて、本事業を着実に進めていくためには、先ほど申し上げた「羽田空港まちづくり推進計画」において明記されているとおり、事業用地となる国有地を区が公共随契により取得することが前提となります。既に昨年の9月には関東財務局が国有財産処理方針を決定し、跡地第1ゾーンの事業用地について、区に対する時価売り払いを適当とする方針を示したところであります。
一方でこの間、公共随契を中心とする国有財産の管理処分手続き等の見直しが進められ、国有財産の取得については、より厳格な手続きが求められているとも聞いております。このような中、区が公表した平成30年度の当初予算においては、跡地第1ゾーンの取得に係る費用が計上されていないようであります。たとえ厳格になったとはいえ、国において定められた手続きは適切に踏んでいくことが当然であると考えますが、事業の進捗に影響することはないのかお伺いをいたします。
次に、羽田空港の機能強化については、あと2年に迫った2020年東京オリンピック・
パラリンピック競技大会に向けて、より具体的な動きが見えてくる時期と考えます。区内でも、昨年11月1日に、国による第4フェーズの説明会が開催されていますが、引き続き丁寧な情報提供が求められることに変わりはありません。同時に、大田区は空港所在自治体であり、その限りでは空港による騒音影響などの、いわば今現在の課題を持っております。平成28年6月には、区議会はじめ大田区、東京国際空港移転騒音対策連合協議会が同時に国土交通大臣宛てに要望書を提出しておりますが、そこでは機能強化に加え、左旋回の廃止やヘリコプターの騒音影響改善など、今現在の課題についての具体的な対応を求めております。
先ほど申し上げましたように、跡地の整備を進めている大田区にとって、区長が言う羽田空港との共存共栄の関係を築くうえでも、騒音影響など、今現在の課題への対応は極めて重要であり、とりわけ左旋回の廃止については、長年にわたる取り組みでありながら実現に至っておらず、区議会からも繰り返し強く廃止を求めてきたところであります。国土交通省は、平成28年8月、議長宛てに回答書を示していますが、そこでは、現行課題への対応は最優先であるとし、特に左旋回については「機能強化の本格実施に先立って廃止する」としています。しかしながら、その後の廃止に向けた具体的な動きについては承知をしておりません。
このような状況を踏まえ、左旋回の廃止、ヘリコプター騒音など、今現在の課題への区としての対応状況及び今後の見込み等についてお伺いをいたします。
次に、新空港線についてお聞きいたします。区内の東西交通の分断解消を目指し、これまで30年以上検討が進められてきた新空港線ですが、一昨年の4月、鉄道新線の整備において重要な意味を持つ交通政策審議会の答申第198号において、新空港線が高く評価されてから間もなく2年がたとうとしております。昨年9月には大田区をはじめ、新空港線の早期整備着手を望む関連18市区長が連名で小池知事に対して要望書を提出しました。一つの路線に対し、これほど多くの自治体が整備を望んでいる路線はまれであり、新空港線に対する期待とその整備効果が高いあらわれであると感じております。鉄道整備のように効果が広域に及ぶ事業については、東京都との連携が不可欠であり、これからも東京都との連携を深め、それぞれの役割を全うしながら、整備実現へ向けた具体的な取り組みを進めていただきたいと思っております。
さて、本年1月26日に公表された東京都の平成30年度予算案では、交通政策審議会答申第198号において、事業化に向けて検討などを進めるべきとされた新空港線を含む6路線に係る事業等の財源として、来年度から新たに(仮称)東京都鉄道新線建設等準備基金の創設が盛り込まれました。あわせて、これら6路線の調査検討を行うための調査費8000万円も計上されています。これまで区長は、新空港線に対する我が党の質問に対し、「関係者での協議を進めている」との答弁にとどまり、具体的な成果が目に見えておりませんでしたが、今回示された東京都の予算案は、新空港線を含む6路線の実現に向けた東京都の前向きな姿勢のあらわれと捉えており、この間の関係者間協議の成果にほかならないと受け止めております。こうした東京都の動きと連携し、区としてもこれまで以上に積極的に新空港線の事業を推進していく必要があると感じております。
そこでお聞きいたしますが、区にとって後押しとなるような東京都の予算案が示され、区の30年来の悲願である新空港線の実現が目前に迫っていると感じる今、整備主体設立に向けて残されている課題と、その解決に向けた区長のご決意を伺います。
続いて、平成30年度予算案に関連し、福祉政策について伺います。
初めに、地域包括支援センターの機能強化について伺います。昨年4月に国立社会保障・人口問題研究所が公表しました日本の将来推計人口によると、我が国は長期の人口減少過程に入っており、今から11年後の2029年に人口1億2000万人を下回った後、2065年には8800万人になると推計され、約2.6人に1人が65歳以上、国民の4人に1人が75歳以上の超高齢社会になるとされております。一方、出生数は減少を続け、生産年齢人口は11年後の2029年に7000万人を割り、2065年には約4500万人と推計され、現役世代1.3人で1人の高齢者を支える社会の到来が想定されております。
本区の高齢化率も上昇傾向にあり、介護保険制度創設時の平成12年度の16.4%から平成29年度には22.7%となっております。団塊の世代が75歳以上となる2025年が目の前に迫る中、地域に住む高齢者の方がいつまでも住み慣れたまちで安心して暮らし続けることができるよう、医療、介護、介護予防のほか、住まいや生活の支援などが一体的に提供される地域包括ケアシステムを構築することは、まさに住民に一番身近な基礎的自治体の重要な責務であると言えます。
区が現在策定中の「おおた高齢者施策推進プラン」では、日常生活圏域をこれまでの区内四つの地域庁舎の管轄地域から、より身近な18特別出張所管轄地域に設定し、よりきめ細やかな地域ケア会議による地域課題の把握や、関係者による連携協力の体制づくり、見守りサロン活動など地域住民が主体となる生活支援の輪づくりなどを、高齢者の暮らしの総合的支援を担う地域包括支援センターを中核として、一層きめ細かく推進していくとされております。そのための具体策として、「大田区公共施設等総合管理計画」などに基づきながら、地域の実情に応じて、地域包括支援センターを区民に身近で地域のシンボルである特別出張所の中に順次移転し、高齢者の総合相談、元気維持、介護予防を一体的に行う、地域力を活かした支援体制の構築を進めていくことは評価できるものと考えます。
地域包括支援センターには、大田区らしい18地域それぞれの日常生活圏域の特性を活かしながら地域課題を把握して、地域住民とともに地域のネットワーク構築をしつつ、個別サービスのコーディネートも行う中核機関としての役割が求められております。これからは、行政だけでなく住民主体の活動の活性化も重要な課題であり、そのためにはボランティアなどの担い手を発掘、養成すること、サロン活動や自主的な介護予防活動などを担う人材育成とその活動支援、地域のフレイル予防の普及啓発などが重要となるため、区は来年度から(仮称)地域支え合い強化推進員を地域包括支援センターにモデル配置することとしております。
こうした様々な取り組みを新規予算案として盛り込んでおられますが、地域包括支援センターの機能強化の先に描く、本区の高齢者施策の将来像をお聞かせください。
次に、地域共生社会に向けた取り組みについて伺います。地域包括支援センターや地域福祉課には、高齢者のみに限らない、複雑で多様な相談が多く寄せられている現状もお聞きしております。例えば、老老介護、育児と親の介護のダブルケア、障がいのある子と要介護状態の親の同居、閉じこもりや家庭内での虐待、ごみ屋敷問題などは、いわゆる制度のはざま、既存の制度やサービスでの対応が難しく、早期の解決が困難な課題と言えます。こうしたことからも、高齢者のための地域包括支援センターの機能強化に加えて、障がい者のための相談支援事業所のほか、地域の子育て支援拠点や民間団体などの社会資源相互が、縦割りではなく、相互に連携をとりながら協働型の相談支援体制を構築していくことが、今後より一層大切になってくると考えます。
国では、平成28年7月、地域共生社会という新しい地域福祉の概念を公表し、その実現に向けた検討を開始いたしました。地域共生社会は高齢者、障がい者、子どもなど全ての人々が、一人ひとりの暮らしと生きがいをともにつくり、高め合う社会と定義され、現在、国は、高齢者を地域で支えるための地域包括ケアシステムをより進化させ、困難を持つあらゆる人を地域で支え合うための仕組みづくりを進めようとしております。
私は、福祉がサービスを受ける側と支える側の二つに分かれるのではなく、地域のあらゆる住民や関係機関がそれぞれに役割を持ち、支え合いながら自分らしく活躍できる地域コミュニティを形成し、公的な福祉サービスと協働して助け合いながら暮らすことのできる地域社会が、まさに地域共生社会であると考えております。
来年度から四つの地域福祉課に新たに設置される予定の地域包括ケア推進担当は、こうした地域のネットワークづくりや地域包括支援センターを支援、指導し、よりよい地域福祉のコミュニティをつくり上げていく役割が期待されます。地域ぐるみの取り組みに向け、その推進役を設置する組織整備を今回行ったことは、限られた区の人材や資源の中で大いに評価できるものと考えますが、地域包括支援センターや地域の関係機関などの社会資源の緊密な連携のもとで、大田区の地域共生社会の実現に向けた歩みを着実に進めていかれることを強く要望いたします。大田区らしい地域力をいかに強めていくかが、これからの地域共生社会づくりの大きな軸、柱となるものと考えますが、今後の区の展望を伺います。
最後に、国際都市を標榜する本区の目指すべき国際化に向けて質問いたします。
大田区はセーラム市、中国北京市朝陽区、大連市とそれぞれ姉妹都市、友好都市、友好関係協力都市を締結しております。定例会初日の区長挨拶の中でも触れておられましたが、今年、江戸時代からの鎖国状態から開国、日本の近代化の重要な時期と評される明治維新を経て150年を迎える節目の年であり、諸外国との関係を見つめるよい時期であると考えます。
中国においては、2017年に国交正常化45周年、2018年には平和友好条約40周年をそれぞれ迎え、記念すべき年となっております。2017年における訪日中国人数は735万人と、韓国や台湾を含む東アジア4都市からの訪日客の70%を占めるまでになっております。安倍首相も本年の春節に向けたメッセージにおいても、これからの日中関係のさらなる発展を表現するなど、両国が期待を持てる内容となりました。
大田区は、中学生や青少年の海外派遣をはじめとした人材育成事業、海外ビジネスに意欲ある中小企業者に対しての後押し、そして大田区を訪れる外国人旅行者ヘの積極的な情報発信、日常生活面での相談や外国語サポートなど、多岐にわたる施策を実施しております。しかし、2020年を前に、羽田空港の発着便数の増加や羽田空港跡地整備を控えており、まだまだ海外との関係は深化し、国際化が発展していくものと思います。それらを見越して、区長も「国際都市おおた宣言」をされたと思っておりますが、今年を海外との交流を大きく前進させる節目の年、いわば国際都市元年とでも位置づけ、まずは区長みずからが北京市朝陽区などを訪問し、本区の姿勢や観光、文化、スポーツ、産業などをPRし、互いの都市問題解決に向けた話し合いを進めていくべきと考えますが、いかがでしょうか。
区内のヒトやモノ、いわば大田の地域資源をよくご存じの松原区長だからこそ様々なマッチングが可能で、幅広く諸都市友好関係が築いていけるものと思います。我々自民党も後押しをしてまいりますので、今の日中関係の回復傾向あるよい潮流に乗り、国際交流を超えた積極的な外交を期待したいと思いますが、ご所見をお聞かせください。
以上、多岐にわたり質問をいたしました。大田区の未来を見据えた力強いご答弁を期待し、私の全質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○大森 議長 理事者の答弁を求めます。
◎松原 区長 鈴木議員の代表質問に順次お答えをしてまいりたいと思います。
まず、平成30年度予算編成に関するご質問でございますが、区はこれまで、「おおた未来プラン10年(後期)」に基づき、区民生活向上に必要な事業を着実に推進してまいりました。一方で、社会経済状況や人口構成が変化を続ける中、区は、未曽有の高齢社会への備えや子どもを取り巻く環境整備等、国を挙げての重要課題にこれまで以上に柔軟かつ迅速に対応することが求められています。また、実効性の高い防犯・防災対策、東京2020オリンピック・
パラリンピック競技大会開催を契機とした、にぎわいあふれるまちづくり、国際都市おおたの魅力発信などに加え、大きな転機を迎えております羽田空港跡地や新空港線整備についても、その取り組みの加速化が求められております。
私は、このような認識のもと、四つの重点課題を軸に、積極果敢に課題解決に取り組むという強い決意をこの予算に込めました。具体的には、保育サービス定員1000名の拡充に向けた認可保育所等の整備や「子どもの生活応援プラン」の推進、不登校対策の拡充など、次代を担う子どもたちの育ちを切れ目なく応援する取り組みを進めてまいります。また、老人いこいの家を中心とした介護予防の拠点づくりや振り込め詐欺対策の充実等を通して、高齢者が安心して暮らせるまちづくりに取り組むとともに、新スポーツ健康ゾーンの整備やビーチバレー教室の実施などにより、あらゆる世代が元気に活躍できる施策を推進してまいります。
さらに、「蒲田-大森-臨海部-羽田空港周辺」の連携を軸に、池上駅周辺や多摩川線沿線の整備などを着実に進めることで、地域力を存分に活かした、にぎわいと安らぎのあるまちづくりにつなげてまいります。新空港線や羽田空港跡地整備については、目指す姿の具現化に向けた取り組みをより一層進めるとともに、区内産業の活性化に向けては、国際競争力の強化に資する次世代産業のクラスター形成支援を充実すること等により、世界に輝く国際都市おおたの創造・発信に取り組んでまいります。私は、本予算をもとに、「暮らしてよし、訪れてよし、地域力あふれる 国際都市おおた」の実現に邁進してまいります。
次に、地方消費税の清算基準の見直しに関するご質問でございますが、国は、「日本全体が人口減少の局面にあり、東京一極集中の傾向が加速している」として、地方創生を実現するという大義名分のもとに、都市と地方の税源の偏在の是正を進めております。今般、平成30年度税制改正において、
地方消費税清算基準の不合理な見直しが強行されました。この結果、特別区長会の試算によりますと、本区への影響額は約25億円の減収を見込んでおります。
区では、待機児童対策や未曽有の高齢社会への対応、老朽化した公共施設の改築など、大都市特有の課題が山積しており、それらについては喫緊の対応が求められております。地域間の税収格差の是正は、本来、地方交付税で調整されるべきであり、大都市を狙い撃ちし、地方自治体間に不要な対立を生むような制度は到底容認できるものではありません。去る2月16日には、特別区長会はこうした
税源偏在是正措置に断固反対する緊急共同声明を発表したところでございます。今後とも、私は、特別区長会の副会長として、地方税財政制度の本来あるべき姿を目指して、他の自治体と連携しながら、国に対し精力的に声を上げてまいります。
次に、基金及び特別区債に関するご質問でございますが、区財政は現状において健全性を堅持しているものの、今後の見通しとしては、歳入は、地方消費税の清算基準の見直しや法人住民税の一部国税化など、地方税の不合理な偏在是正措置が拡大される見込みでございます。一方、歳出は、公共施設の更新時期が集中すること等による維持・更新経費の増、少子高齢化社会の進行等による
社会保障関係経費の増が続くことから、継続的な財源不足が生じることが想定されます。特に公共施設の更新費用については、平成28年度から20年間で約3300億円余を見込んでおり、一つの大きな山を迎えます。こうした状況にあっても、複雑化、高度化する区民ニーズに的確に応えるには、限られた財源を効果的・効率的に配分することを基本としつつ、金利などの社会情勢を踏まえ、これまで蓄えてきた基金や特別区債の発行余力を活用していくことが重要であります。今後も、先々の見通しをしっかり持って、健全で持続可能な行財政運営を進めてまいります。
次に、今後の区政運営の進め方に関するご質問ですが、平成30年度は、雇用・所得環境や企業収益の改善等を反映して、特別区税や特別区交付金の増収を見込んでおりますが、海外経済の不確実性や金融資本市場の変動等により、景気の先行きは不透明な状況でございます。また、国による
税源偏在是正措置の拡大についても今後の大きな懸念要素となっております。こうした厳しい状況においても、区は、72万区民の皆様の暮らし向上に向けて、必要な事業を着実に進めていかなければなりません。そのためには、大田区の目指すべき将来像をしっかり持った上で、各事業の必要性、緊急性を検討し、限られた財源を効果的・効率的に活用していくことが大変重要です。私は、こうした財政運営の考え方を基本に、平成30年度は、大田区の未来を担う子どもたちや超高齢社会に向けての対応はもとより、区民の安全・安心、東京2020オリンピック・
パラリンピック競技大会、空港跡地におけるまちづくりなど、様々な区政課題に対し的確に応える予算を編成いたしました。平成30年度は、本予算をもとに、大田区の未来につながる取り組みを着実に進めることで区民の皆様の期待に応えてまいります。
次に、公民連携に関するご質問ですが、高齢社会への備えや子どもを取り巻く環境の整備など、地域社会の課題を解決するためには、民間事業者との幅広い連携やネットワークづくりが重要となっております。区はこれまでも、地域力を活かした区民協働、区内の教育機関との包括協定などに基づく連携、防災・防犯等の個別分野における団体・企業との連携など、公民連携の取り組みを進めてまいりました。民間企業との連携につきましては、企業の持つアイデアやノウハウ、資源等を活用することで、多様なニーズに応える、より満足度の高い
区民サービスの提供が可能になるものと考えます。一方、企業にとっては、社会貢献活動を通じて企業価値の向上が期待できることから、企業が社会的責任として取り組む社会貢献、いわゆるCSRに加え、企業の本業を通して社会的課題の解決に当たる、いわゆるCSVなどの取り組みが活発化しております。今後は、さらなる地域力の向上を目指し、公民連携の取り組みをより積極的に推進していくため、大田区の地域特性に合った公民連携のあり方について一層の検討を重ねてまいります。
次に、働き方改革に関するご質問ですが、職員が意欲と能力を十分に発揮して生産性の向上を図るとともに、仕事と生活の調和がとれた働き方を実現することは、
区民サービスのさらなる向上のために必要不可欠であります。区では、昨年2月の
スマートワーク宣言後、まずは職員一人ひとりの意識改革を図る取り組みとして、20時退庁、ノー残業デーの実施はもとより、働き方改革に関する管理職講演会や職層に応じたマネジメント研修を行ってまいりました。また、業務の効率化に向け、会議のスリム化、資料の簡素化や進行管理の効率化などを行うとともに、事務事業の見直しにも取り組んでまいりました。現在、スマートワークに関する職員意識調査を実施し、この間の取り組みの成果を検証しております。今後は、検証結果を踏まえ、これまでの取り組みをさらに推進するとともに、時差出勤制度の導入やICTの活用などの様々な方策を検討し、職員が働きやすい環境を整備することで、組織全体の仕事の質や生産性の向上を図ってまいります。
次に、今後の保育環境、保護者の子育て意識に対する区の見解についてのご質問でございますが、子ども・子育て支援法第2条では「基本理念」として、「子ども・子育て支援は、父母その他の保護者が子育てについての第一義的責任を有するという基本的認識の下に、家庭、学校、地域、職域その他の社会のあらゆる分野における全ての構成員が、各々の役割を果たすとともに、相互に協力して行われなければならない。」と規定されております。乳幼児期は、基本的な生活リズムを整え、人格形成の基礎を培い、親子の情緒的な交流や信頼関係がその後の子どもの成長の糧となる大切な時期であります。このようなことから、区では、来年度の認可保育園の利用に際し、親子の愛着形成に特に大事な0歳児の時期の子育てを支援するため、育児休業予約制度を実施いたします。また、多様な働き方が進む中で、保育相談に来られる保護者に対しましては、保育サービスアドバイザーなどがこれまで以上に、認可保育園のほか、多様な保育サービスや幼稚園における預かり保育等も紹介し、それぞれの働き方に応じた選択肢を提供してまいります。引き続き、様々な子育て支援情報を積極的に提供し、そのご家庭に合った子育て支援につなげ、子どもたちが健やかに成長できる環境づくりを進めてまいります。
次に、住居専用地域における保育所整備についてのご質問ですが、現在、区は、待機児解消のため、精力的に保育所整備を進めておりますが、閑静な住宅地が多い調布地区では、依然、用地確保や地域の理解を得ることが困難な状況にあります。保育所整備に当たりましては、近隣住民の皆様に対する丁寧な説明が大切であり、整備の必要性をご理解いただくとともに、住民の皆様の様々な不安を取り除くための配慮が不可欠であります。
今年度、久が原地区における保育所整備では、計画を見直してほしい旨の陳情をいただき、その後、地域の方々と特別出張所も加わった話し合いを何度も重ねた結果、来年度の開設に至った経緯がございます。区は、今回の事例を通して、地域への説明の手順やタイミングと、事業者任せにせず積極的な行政のかかわりの重要性など、多くのことを学びました。今後は、この貴重な経験をモデルとして、自治会・町会、特別出張所などと連携を密にしながら、整備困難な住居専用地域における保育所整備に、より一層丁寧に取り組んでまいります。
次に、中央防波堤埋立地の帰属問題に関するご質問でございますが、区は、区議会の皆様の全会一致により、境界確定の訴え提起のための議決をいただき、昨年10月30日、東京地方裁判所に訴状を提出いたしました。訴状では、当該係争地域での大田区民による海苔養殖の歴史的沿革や、中央防波堤埋立地と大田区空港臨海部との一体的なまちづくりの必要性について丁寧に主張しております。先月26日に行われた第1回口頭弁論に続き、次回、第2回口頭弁論は本年4月27日と指定されております。今後の裁判において、大田区の考え方が認められるよう万全の準備を進めてまいります。公平公正かつ合理的な境界を確定するため、引き続き、区民の皆様、区議会の皆様のご理解とご協力をよろしくお願い申し上げます。
次に、羽田空港跡地第1ゾーンの整備の進捗状況についてのご質問ですが、議員のお話にございましたとおり、本事業の着実な推進に向けては、事業用地の取得が大前提となります。また一方で、国有財産の管理処分手続き等も見直しが進められており、現在、それに伴う変更点等を確認しながら、鋭意手続きを進めているところでございます。引き続き、事業スケジュールを踏まえ、迅速かつ適切に手続きを進め、事業に係る予算案が確定次第、議会にお諮りさせていただきたいと考えております。
次に、左旋回の廃止、ヘリコプター騒音など、羽田空港に係る現在の課題についてのご質問でございます。議員お話しのとおり、現在の課題への対応につきましては、区民への影響も大きいことから、最優先に取り組むべき課題として捉えており、この間、継続して国に対して強く申し入れを行い、課題解決に向けた取り組みを促してまいりました。特に、A滑走路北向き離陸左旋回の廃止につきましては、平成28年7月には「機能強化の本格実施に先立って廃止する」との国の回答を得ておりますが、廃止の時期が明確に示されておりません。また、ヘリコプターの騒音につきましても、平成28年7月に「深夜・早朝時間帯については、現行経路から空港上空を通る経路に変更する」との回答を得ておりますが、実施時期や変更後の経路が示されておりません。したがいまして、平成29年5月に改めて国に要望書を提出し、左旋回の廃止時期、ヘリコプターの変更後の経路等を明確に示すよう申し入れており、引き続き早期の回答を強く求めてまいります。
次に、新空港線に関するご質問でございますが、東京都が示した平成30年度の予算案には、新空港線を含む6路線に係る事業などの財源として基金の創設が示されており、区の長年の悲願である新空港線の実現がすぐそこまで来ているという手応えを私も感じているところでございます。現在の課題ですが、本事業は都市鉄道等利便増進法の活用を想定しておりますので、その補助対象事業範囲と地方負担分の都区費用負担割合を早急に固める必要がございます。また、都市計画事業としての位置づけも重要でございます。これらに関して、現在関係者間で鋭意協議を進めており、合意形成が図られた後、整備主体を速やかに設立いたします。今年度予算において、整備主体である第三セクターに対する出資金を計上しておりますが、状況次第では次年度にずれ込む可能性もあるため、来年度予算案にも同額を計上させていただいております。新空港線の早期整備着手に向け、私が先頭に立ってこれまで以上に邁進してまいります。
次に、地域包括支援センターの機能強化の先に描く将来像についてのご質問でございますが、大田区の人口は、今後、介護や支援のニーズが高まる75歳以上の高齢者が急増すると見込まれております。区は、「おおた高齢者施策推進プラン」において、地域包括ケアシステムの深化・推進をすることとしました。このため、地域包括ケアシステム構築の基本的な単位について、区全域を第一層に位置づけ、三層構造による重層的な支援を行う推進体制の整備を図ります。各日常生活圏域は、地域包括支援センターと特別出張所が連携しながら、高齢者を支える地域づくりを進める役割として機能強化を推進します。第二層の基本圏域を担う地域福祉課は、複数の地域包括支援センターに対する機能強化型地域包括支援センターとしての体制を強化します。こうした取り組みにより、相談から適切な支援に切れ目なくつなぐ仕組みを進めることができます。加えて、地域ぐるみで我が事として支え合い、高齢者が安心して暮らすことができる地域が形成されるものと考えます。将来像としては、地域力があふれ、世代や分野を超えて丸ごとつながる、豊かな大田区が実現するものと確信をしております。
地域共生社会実現に向けた今後の展望に関するご質問ですが、国は、住民一人ひとりの暮らしと生きがい、地域をともにつくっていく社会を目指して、地域力の強化を掲げております。こうした国の取り組みは、私が区長就任当初から掲げる「地域力が区民の暮らしを支える おおた」の実現と、まさに目標を一にするものと考えております。地域力が根づき、多様な主体が地域で活躍する本区においては、地域力をさらに向上・発展させていくことが大田区ならではの地域共生社会の実現のために大変重要と考えております。区といたしましては、公的な福祉サービスの着実な提供に加え、地域課題の解決に取り組む専門性の高い関係機関や団体とともに、解決事例を積み重ねることにより、困難を抱える個人や世帯を包括的に支援できる基盤を醸成してまいります。また、高齢者、障がい者、児童、まちづくりなど、各分野における支援のネットワークを横断的につなげ、区民の皆様とともに支え合いの地域づくりに取り組んでまいります。
次に、国際化に関するご質問でございますが、今年は明治150年、先人たちの築き上げてきた現代社会はグローバル化が進み、今では海外に暮らす日本人も約134万人、在留外国人数約238万人、本区でも約2万3000人の外国人区民が住民登録され、年々増加傾向にあり、日常生活の様々な場面での国際化の進展を実感しております。議員お話しのとおり、こうした状況を見越しつつ、昨年3月に「国際都市おおた宣言」を行い、国内外に区としての姿勢を発信しました。今年4月には、この宣言に込めた「観光」「多文化共生」「産業」の大田区らしさの三つの要素を伸張させることを目的に、国際都市おおた協会をスタートさせ、区民とともに国際化時代にふさわしいまちづくりを進めていく予定でございます。私は常々、海外諸都市との交流は、国際都市としてのあり方や存在感を高めると同時に、相互理解や協力関係を促進し、平和な社会につながっていくものと考えております。今後も機会を見ながら、率先して諸都市との外交に努めてまいります。
なお、中国との関係につきましては、朝陽区、大連市とも節目の時期を捉えながら、これまで築いてきた青少年交流を基本に関係の発展を図ってまいりたいと思います。私からは以上でございます。
◎小黒 教育長 私からは、「おおた教育振興プラン2014」と今後の教育委員会の運営に関するご質問にお答えします。
まず、「おおた教育振興プラン2014」の評価についてのご質問でございますけれども、プランは、「意欲を育み、未来を拓く」を目標に、大田区教育委員会が掲げる理念を実現するための実施計画でございます。このプランの特色は、学力や体力などについての成果指標を設定し、着実に達成していくところにあります。これは教育の質の向上に挑戦する教育委員会の積極果敢な姿勢を示すものでございます。成果指標を明確にした総合的な教育施策のプランは、他の区市においてはまれなものであり、高く評価しています。具体的な成果として、大田区学習効果測定における目標値の達成、学ぶ意欲の高まり、確かな学力の定着など、子どもの成長と変容が実感できるところでございます。これらの成果は、オール大田として目標を共有し、教育委員会と学校はもとより、区長部局や関係機関、そして地域との連携が円滑に行われた結果、もたらされたものと考えております。
次に、次期教育振興プランの策定方針に関するご質問でございますが、スマートフォンの爆発的な普及や人工知能、いわゆるAIをはじめとする技術革新が子どもたちの生活を大きく変化させております。次の教育振興プランにおきましては、変化の大きな時代を切り拓く課題解決能力、考えの違いを尊重しながら共通性を見出していくコミュニケーション能力、知識基盤社会においてイノベーションを図る創造力、思考力、表現力などの資質・能力を育成する施策を充実させてまいります。また、豊かな感性や人間性の育成など、不易な教育施策につきましても引き続き充実を図りたいと考えております。殊に、子どもたちが生まれ育った大田区をふるさとと感じ、未来の大田区をつくっていく教育の仕組みの充実を図っていきたいと思っております。教育委員会は、引き続き、教育の目的である子どもたちの人格の完成と社会の形成者としての資質・能力の育成を図るために、教育の中立性をしっかりと確保しながら、区長との連携を一層深めるとともに、学校現場や保護者、地域の方々をはじめ区民の方々のご意見を聞きながら、子どもの健全な育成のために着実に教育施策を遂行してまいります。以上でございます。
○大森 議長 次に、19番勝亦 聡議員。
〔19番勝亦 聡議員登壇〕(拍手)
◆19番(勝亦聡 議員) 大田区議会公明党の勝亦 聡です。大田区が直面する様々な課題について質問をいたします。理事者の皆様、よろしくお願いいたします。
まず、2018年度東京都予算案に(仮称)東京都鉄道新線建設等準備基金が計上されました。今後、都議会で議論されるところではありますが、この準備基金により新空港線「蒲蒲線」の事業が大きく加速することを期待しております。東京都と連携のもと、事業のさらなる推進を区当局に要望いたします。
平成30年度予算編成について質問をいたします。
平成30年度
一般会計予算は2787億7600万円余、前年度当初予算と比較し169億1700万円余の増、率にして6.5%の増となっております。東京23区を見てみると、増加率の平均は2.7%増、前年度当初予算と比較してマイナスとしている港区、中央区、そして江東区もある中で、本区は増加率で第6位と上位につけており、積極予算であると見受けられます。
今回の予算編成に込めた区長の意気込みを改めてお聞かせください。
歳入における特別区税と特別区交付金を見てみると、ここ10年と比較して最高額となっています。景気回復と区内人口の増加により税収は上向いていると言えますが、その一方で、財政基金繰入金が前年度比で44億円増加しており、切り崩した財政基金の30年度末残高の見通しは前年度末より96億円減額することになります。
税収は上向いているのに財政基金を取り崩す意図や妥当性についてお聞かせください。
税収は上向いているといっても手放しで喜んでいるわけにはいきません。かつて、アメリカ合衆国のケネディ大統領は、「太陽が出ている間に屋根は修理しなければならない」と議会で訴えました。この言葉は、景気回復に浮かれることなく改革を進めてこそ、持続可能な成長が可能となるということを意味しています。本区においても、公共施設の更新、生産年齢人口の減少、ふるさと納税の増加、法人住民税の一部国税化、地方消費税の配分見直しなど、予断を許さない財政状況であります。
区が抱える構造的な課題に対してどのように改革を進めようとしておられるのか、区長のお考えをお聞かせください。
今回の予算は、「暮らしてよし、訪れてよし、地域力あふれる 国際都市おおた」の実現に向けた着実な取り組みを進めるものとして、四つの重点課題を掲げ、優先的に取り組むといたしました。大田区の取り組みがリーディングケースとなる先進的な項目も数多く含まれております。その意欲的な予算について何点か質問いたします。
「健康・福祉・医療の充実、スポーツ、環境対策」の分野では、新スポーツ健康ゾーンの整備にもさらに力を入れていくとしています。しかし、そこでネックとなるのが、対象地域へのアクセスのしにくさです。このことは区民の多くからも指摘を受けております。
スクエアなまちづくりを整備する上からも、アクセスのしやすさは非常に重要と考えます。その解決に向け、区はどのように取り組まれる予定か、お聞かせください。
また、「安全・安心の確保、魅力あるまちづくり」の分野では、燃えない・倒れないまちづくりの推進に多くの予算が割かれております。耐震診断、耐震改修や建物の不燃化は息の長い事業であるかもしれませんが、なかなか進んでいないのではないかとの指摘もあります。
耐震化、不燃化の事業の加速化と今後の見通しについてお聞かせください。
次に、中小企業支援策についてお聞きいたします。
政府による2018年度税制改正大綱が決定をいたしました。その内容は、生活者の目線に立った様々な改正でありますが、その中に中小企業の世代交代を円滑に進めるための事業承継税制の拡充があります。これは、中小企業の後継者不足による廃業増加に歯止めをかけるため、高齢化する経営者の引退が集中すると見込まれる今後10年間、税制の優遇措置を拡大することによって集中的に中小企業を支援し、円滑な世代交代を後押しする制度であります。
具体的には、中小企業の株式を受け継いだ場合の相続税の猶予割合を現行の80%から100%に拡大し、後継者の負担を実質ゼロにいたします。また、納税猶予を続けるための条件として、現在は5年間で平均8割の雇用維持が必要とされており、達成できなければ全額納付しなければなりません。これが事業を継ぐ上で二の足を踏む要因の一つとなっているため、この要件を緩和いたします。さらに、納税猶予の対象範囲を拡大いたします。例えば、経営者の父親だけでなく、母親からも株式を相続する場合や、複数の子どもが相続する場合も猶予できるようにいたします。このほか、承継後の納税負担の軽減も図ります。事業の引き継ぎ後に会社を譲渡・解散する場合、現行では引き継いだ時点の株価に基づいて納付額を計算していますが、猶予期間中に株価が下がる可能性もあるため、譲渡・解散時の株価で税額を再計算する仕組みを導入いたします。
公明党は、この事業承継を見直す必要性について、2025年までに70歳を超える中小企業・小規模事業の経営者が全国で約245万人に上り、その半数は後継者が決まっていない実情を指摘し、黒字なのに事業をやめてしまい、技術が途絶え、雇用も移らざるを得ない状況になることを防ぎたいと主張してまいりました。今回の事業承継税制拡充に対し、三村明夫日本商工会議所会頭は、「今後は事業承継への取り組みが重要だ。過去5年間で姿を消した全国で40万社の中小企業のほとんどが、後継者不足などによる廃業で、その半分が黒字だった事実を見過ごすわけにはいかない。来年度から自民、公明両党のご支援で事業承継税制が抜本拡充され、使い勝手のよい制度に生まれ変わる。周知を図り、計画的な事業承継を促すことが非常に大事だ。引き続き協力をお願いしたい」とコメントを寄せています。
そこでお聞きいたします。区は、区内の中小企業における事業承継や廃業の問題についてどのように捉え、認識しているのか、お伺いをいたします。
また、事業承継税制拡充により、区内中小企業にとってどのような事業承継促進への効果があると考えているのか、お伺いをいたします。
区においても、この事業承継税制拡充をより多くの中小企業経営者に広報し、区内のものづくりをはじめとする企業が元気に発展的に持続していくことを望みます。ぜひ、国と連携し、事業承継の推進に努めていただきたいと考えますが、区の見解をお示しください。
次に、地方消費税の配分変更についてお伺いをいたします。
国は、都市部と地方の税収格差を是正するために、消費税のうち各都道府県に配分されている地方消費税の配分基準を見直すことを予定しております。現在、消費税率8%のうち、地方消費税に当たる1.7%が地方に配分されており、2015年度の地方消費税は合計で約5兆円に上ります。現行の配分基準は、税収の75%を都道府県ごとの消費税額の割合に応じ配分し、17.5%を人口に応じて配分しております。今回の基準見直しでは、消費額に応じた割合を50%に引き下げ、人口に応じた配分割合を50%に引き上げます。この制度は2018年4月から適用となり、2016年度に約6300億円あった東京都への配分額は1000億円以上減額になる見通しです。また、それに伴い、本区への減額は約25億円と伺っております。
本区は、この地方消費税減額による影響をどのように捉えているのか伺います。
それに加えて、地方自治体間に生じる税源の偏在を是正するために、国は地方財源である法人住民税の一部を国税化し、交付税の原資とするなど、地方税を地方自治体の財源調整に用いる動きを進めています。しかし、地方自治体の必要財源は国が責任を持って確保すべきであり、地方税の国税化による再配分は地方税の根本原則をゆがめるものと言わざるを得ません。特別区は国が進める税源偏在是正の動きに対し、様々な場面で特別区の考えを訴えています。このように、地方と都市部の格差是正や東京ひとり勝ちの是正は今後さらに進んでいくのではないかと考えられます。
そういった意味でも、自治体の自主財源確保の考え方が重要になってくるのではないでしょうか。我が会派は、これまで自主財源の確保について訴えてまいりました。交付税に頼らない自主財源確保について、本区はどのような見解をお持ちなのか伺います。
次に、家庭ごみの収集についてお伺いをいたします。
家庭ごみの収集は、廃棄物の処理及び清掃に関する法律によって、各区がその事業の一切を担うこととされております。しかし、例えば遺品回収業者や、俗に言うまちの便利屋さんが家庭ごみまで回収してしまう事例があるようです。これは明らかな違法行為であります。また、区民の皆さんも、この法律を知らないためか、ちゅうちょなく家庭ごみの処分をその方たちに依頼しているのが現状ではないでしょうか。時には、その回収業者さんがテレビに出演し、あたかも社会貢献をしているかのような報道がなされているのも違和感を覚えます。
質問します。まず、本区はこのような状況を認識しているのか、していないのか、お伺いをいたします。
先ほども触れましたが、一般の事業者が家庭ごみの処分を引き受けてしまう。また、区民が引き取りをお願いしてしまうことへの違法性を一般的に認識していない現状が見受けられます。そして、家庭ごみの回収を業者にお願いすることにより高額な金額を請求され、トラブルになったり、そのごみが不法投棄されてしまったりと、様々な課題が含まれているようです。
ぜひ、この課題解決方法を考えるべきと思いますが、区の見解をお示しください。
この課題は他の22区でも同様ではないかと推察いたします。そこで、この課題解決のため、23区の合議体で議論されるべきと考えますが、所見を伺います。
次に、区役所の人事と精神障がい者雇用について伺います。
平成29年12月発行の「大田区人事白書」を拝見いたしました。白書の初めには、大田区では、職員定数の推移や給与、勤務時間制度など、人事行政のあらましを区民の皆さんへお知らせするために、平成17年度から「大田区人事白書」を毎年公表しています。今年度の人事白書は、平成28年度中の動きを中心に、大田区の人事行政のあらましとしてまとめたものです。区は、新たに行政需要に的確に対応するため、重点的に取り組む事業を集約した「大田区実施計画」を平成29年3月に策定しました。平成26年3月に策定した「おおた未来プラン10年(後期)」の実効性をより高めることを目的に、「地域力」と「国際都市」を区政の柱に捉え、行政資源の「選択と集中」を図りながら本計画を進めているところです。
また、日本社会全体で働き方改革に取り組んでいる中、
区民サービスのさらなる向上とワーク・ライフ・バランスの実現に向け、平成29年2月に「大田区
スマートワーク宣言」を行いました。限られた勤務時間の中で、質の高い仕事を行い、最大の効果を発揮するため、全庁一丸となって働き方改革に取り組んでいます。職員一人ひとりが「国際都市おおた」を推進する職員として意識を高めるとともに、新たな課題や多様化・複雑化する区民ニーズを的確に捉え、各施策をより力強く推進することが求められています。「引き続き『未来のおおたをめざし、チャレンジを続ける職員』の育成を進め、多様な人材の活用と組織力の強化を通じて、
区民サービスの向上に努めていきます」とありました。まさに、様々な角度で区民に奉仕する区職員育成への取り組みであると確信をいたしました。
その上で、いくつか質問をさせていただきます。平成29年度試験区分と採用区分で事務Ⅰ類は71名、Ⅲ類は9名、経験者2級職は8名、経験者3級Ⅰは4名、身障選考は3名となっておりました。私は、新規採用事務は、まず現場である区民と接する部署を経験させることが重要であると考えておりますが、この白書には職員の配置や人事異動についての考え方の記載がないようです。基本的な考えなどありましたらお知らせください。
次に、服務規程の中で、職員の営利企業等への従事制限、地方公務員法第38条により、職員は、任命権者の許可を受けなければ、営利を目的とする会社その他の団体の役員等を兼ね、若しくは自ら営利企業を営み、又は報酬を得ていかなる事業若しくは事務にも従事してはならないとされています。この趣旨は、職員が兼業や自営を行うことによって、職務専念義務が損なわれるおそれが生じるため、職務の公正性を確保できなくなるおそれが生じるため、職員の品位の維持ができなくなるおそれが生じるため、これを未然に防ぐため、勤務時間の内外を問わず兼業を原則として禁止し、これらのおそれがない場合に例外的に許可するものです。
大田区においては、政府が実施する各種統計の調査員または調査指導員、大学等の講師への兼業許可が多く、次いで無報酬の公益財団の役員等への兼務があります。また、平成16年度に規定を整備し、自営業(不動産等の賃貸業)についても、兼業の許可を必要とすることとしましたとなっています。
兼業を許可する、または許可しないと判断する、いわゆる物差しをお示しください。
障がい者雇用について、このような記事がある新聞に掲載をされておりました。東京都は平成30年度入庁の正規職員採用で初めて精神障がい者の合格を発表いたしました。都は、これまで精神障がい者の採用は非常勤職員のみの採用としており、また、知的障がい者も同様でありました。今年度から受験対象に精神障がい者と知的障がい者も加えられ、都による障がい者枠の合格者は35人で、内訳は身体障がい者12人、精神障がい者23人、知的障がい者は今回ゼロ。障がいのある方は、入庁後、資料の収集管理など、主に事務作業を担う部署に所属する予定で、障がい者雇用は、改正障害者雇用促進法に基づき、本年4月から法定雇用率が引き上げられます。その算定基礎に現在の身体、知的のほか、精神障がい者も含まれるようになるため、障がい者雇用の必然性が全国で高まっているとありました。
本区では、これまでなかった精神障がい者1級に対し、自民、公明の要望どおり手当の支給に踏み切るなど、障がい者福祉に前向きに取り組んでいることは大変評価に値すると考えております。本区は、これまで障がい者の雇用については、障害者の雇用の促進等に関する法律に基づき雇用を行ってまいりました。人事白書によると、その雇用率は、25年度は2.41%、26年度は2.44%、27年度は2.50%、28年度は2.71%、そして29年度は2.61%となっており、その雇用率を定める法令では、民間企業は障がい者雇用率2.0%、国と地方公共団体では2.3%となっております。しかし、特別区においては独自に雇用率3.0%を目標にしています。
先ほどもお示ししましたように、来年度から障がい者雇用の法定率に新たに精神障がい者も含まれるようになります。本区においても、東京都の取り組みを参考に、精神障がい者雇用を積極的に取り組んでいただきたいと考えますが、区の見解をお知らせください。
次に、防災についてお聞きをいたします。
先日、一部の幹事長を除き、議長を中心に幹事長会メンバーで東松島市議会へ親善訪問調査を行ってまいりました。初日は防災集団移転団地やスマート防災エコタウン、そして防災備蓄倉庫を視察いたしました。特に印象に残ったのは、鷹来の森運動公園内にある防災備蓄倉庫でありました。この倉庫は、市内人口の約50%の3日分に当たる食料や飲料水を備蓄しています。主な備蓄量は、食料8万7000食、飲料水8万7000リットル、その他資機材を備蓄することが可能となっています。今回、この備蓄倉庫について説明をいただいたのは、この施設を管理している絆管理事務所の責任者の方でありましたが、大震災を経験している中での様々な備蓄でありますので、備蓄に対してのきめ細やかな知恵が多く活かされていると実感をいたしました。
その一つに、備蓄品をかびや箱の破損から守るパレットの存在があります。このパレットは、物資の運搬を効率よく行えるとともに、床との間に空間ができることにより、かびなどから物資を守ります。また、段ボールを破損やつぶれ、湿気から守るため、箱の内部に段ボール片を入れ、上部や側面を二重構造とし、さらに梱包機を使い、PPバンドで固定することにより、つぶれにくくする手法がとられておりました。
今後、高い確率で起こると言われている
首都直下型地震に備え、災害時における相互応援に関する協定を結んでいる東松島市から学ぶことは大変多いと思います。本区が備蓄している備蓄品にはこのような手法がとられているのか、区の取り組み状況を伺います。
また、本区は東京湾に面しております。羽田地域や大森南地域など、海辺に隣接している地域での津波対策などはどのように捉えているのか、お伺いをいたします。
本区の防災訓練は、現在、年に数回、町会単位などで行われております。防災で重要なのは、自助、共助、公助、そして最近は近助と言われるように、近隣や家族の助け合いが重要と言われています。そういった意味でも、防災訓練は近隣が集い合い、顔見知りになるだけでも重要であると言われています。
しかし、最近の防災訓練参加者は、どの地域も固定化されているのが現状ではないでしょうか。区として参加者の裾野を広げる施策についてどのように考えているのか、お示しください。
防災訓練は、読んで字のごとく、災いを防ぐ、災害を防ぐ訓練であります。しかし、現在の防災訓練の内容から見ると、ほとんどが地震が起きてからの対応を訓練しています。それは、消火器で火を消したり、煙を体験したり、地震を体験したりするものです。先ほどお示ししたとおり、重要なキーワードは「近助」でありますので、現在の防災訓練を否定するものではありません。
質問します。防災訓練を含め、地震による被害を最小限にとどめるための見解がありましたらお示しください。ぜひ、そのような考え方について訓練の主催者にも働きかけていただきたいと思います。
次に、大田区のブランド力についてお聞きいたします。
先日、民間企業が年1回発表している地域ブランド調査の結果を拝見いたしました。この調査は2006年にスタートし、今回が12回目で、調査対象は2017年4月末現在、全国にある791市と東京23区及び地域ブランドへの取り組みが熱心な186の町村を加えた計1000の市区町村、そして47都道府県としています。調査項目は、各地域に対して魅力度など全78項目の設問に関して実施し、地域のブランド力を、消費者が各地域に抱く魅力を数値化しています。また、魅力の要因を観光、居住、産品など他の項目結果から分析できるように設定しています。調査はインターネットアンケートで実施し、全国から約3万人の回答を集めています。回答者の年齢は、20代から70代の消費者を男女別、各年代別、そして地域別に、ほぼ同数ずつ回収しています。具体的な調査項目は、外から見た視点として認知度、魅力度、ドラマや映画、ポスターやチラシなどの情報接触経路、ご当地キャラクターなど情報接触コンテンツなど、また、内から見た視点で愛着度、自慢度などとなっています。
2017年の都道府県ランキングは、1位が北海道、2位が京都府、3位が東京都で、また、1000市区町村魅力度ランキングでは、1位は京都市、2位は函館市、3位は札幌市と続きます。東京23区の状況は、22位で渋谷区、24位で新宿区、36位で港区、47位で品川区、そして世田谷区が50位と続きます。100位以内には目黒区、千代田区、中央区、文京区がランキングをされておりました。残念ながら、大田区は100位以内にはランキングされてなく、私が調べる限り、何位なのか不明でした。私が所属しているオリンピック パラリンピック観光推進特別委員会での所管事務報告の中にも一部報告がありましたが、世界的に有名で、ブランド力がある羽田空港が、大田区の一部であると認識されていないのがその要因の一部ではないでしょうか。
今回、本区は、大田区ブランディング・シティプロモーション戦略検討会議を立ち上げ、大田区のブランド力向上を目指すと伺っております。大田区のブランド力を上げ、大田区のイメージをさらに向上させるための区の思いをお聞かせください。
次に、区有施設の利用についてお聞きをいたします。
区有施設を利用する際、その施設予約に様々なツールがありますが、その一つにうぐいすネットがあります。私もうぐいすネットを利用している一人でありますが、先日、パソコンの前に座り、うぐいすネットを利用しようとしたところ、利用時間に制限があることに気づきました。働き方が多様化する中、インターネット予約に利用制限があるのはいかがなものかと考えます。
費用対効果などを考え、24時間対応にするまでもないとは考えますが、夜間の予約締め切り時間を現在の時間より延長すべきと考えますが、見解をお示しください。
また、先ほど区有施設をよく利用すると申しましたが、インターネットからうぐいすネットに接続した際、抽選締め切り日や予約の開始日に、画面の展開が遅く、つながりにくい状況が発生しています。うぐいすネットを利用される方の利便性向上のため、画面の展開が遅く、つながりにくい状況を改善すべきと考えますが、所見を伺います。
次に、京急蒲田駅周辺の喫煙についてお聞きをいたします。
大田区初のペデストリアンデッキができた羽田空港の玄関口、京急蒲田駅前周辺に最近たばこのポイ捨てが多いと相談をいただきました。この方はボランティアで毎日のように駅前にポイ捨てされたたばこの吸い殻の清掃をしていただいております。国が行っている観光施策により、蒲田駅周辺でもキャリーバッグを持ち、移動する外国人を最近よく見かけます。そして、何よりも2020東京オリンピック・パラリンピックに向け、今後ますます大田区、そして蒲田に多くの外国人が訪れていただくことが期待をされておりますが、このポイ捨てされたたばこの吸い殻を見たらどのように思われるでしょうか。
京急蒲田駅周辺は人の往来も激しく、先ほど申し上げたとおり、たばこのポイ捨てもたくさんあります。国の動向を見据えながら、将来的には喫煙禁止区域指定も視野に入れ、たばこのポイ捨ての取り締まりを強化すべきと考えますが、区の見解をお示しください。
次に、新教育長の教育方針についてお聞きをいたします。
まず、小黒仁史新教育長の大田の教育にかける思いを改めて伺います。小黒新教育長は、東京福祉大学教育学部特任教授、稲城市立若葉台小学校統括校長、大田区教育総務部指導課長、大田区立入新井第一小学校長などを歴任されております。教育行政に経験豊富で、その手腕を我が会派としても大きく期待しているところであります。経歴にもあるとおり、他の自治体の校長先生も歴任され、本区と他区の教育への取り組みを客観的に比較できる見識をお持ちであると推察いたします。
本区の教育は、他の自治体と比べ、どのような点で優れているか、また、どのような点に課題があるか。例えば、私も本年第2回定例会で取り上げましたが、教員の長時間労働など学校の教育の要である教員の負担軽減といった課題など、その所見をお知らせいただき、その課題克服のために何が必要か、お考えを伺います。
大田区にとって教員畑出身の教育長は数年ぶりと伺っております。大田区の未来は今いる子どもたちに託すしかありません。最後に、小黒新教育長の手腕に大いに期待を申し上げ、大田区議会公明党の代表質問といたします。ありがとうございました。(拍手)
○大森 議長 理事者の答弁を求めます。
◎松原 区長 勝亦議員の代表質問に順次お答えをさせていただきたいと思います。
まず、平成30年度予算編成に関するご質問でございますが、平成30年度は、「おおた未来プラン10年(後期)」の総仕上げの年に当たるとともに、昨年度策定した「大田区実施計画」の実現に向け、区政の新たな課題にも果敢に取り組んでいく重要な年となります。こうした認識のもと、私は、このたび一般会計規模で2787億7000万円余となる攻めの予算を編成いたしました。具体的には、待機児解消に向けて、認可保育所等27か所の整備を進めるとともに、小中学校における不登校児童・生徒の支援体制の拡充や、全12校の校舎改築を進めるなど、安心して産み育て学べる環境づくりに取り組んでまいります。また、身近な地域での介護予防の拠点づくりに取り組むとともに、新スポーツ健康ゾーンの整備や東京2020オリンピック・パラリンピックの気運醸成などを通して、あらゆる世代が生涯を通して健やかに安心して暮らせるまちづくりを進めてまいります。さらに、「蒲田-大森-臨海部-羽田空港周辺」や、全国初となる勝海舟記念館の整備を推進するなど、にぎわいと安らぎのあるまちづくりを進めてまいります。羽田空港跡地や新空港線の整備を着実に進めるとともに、国際都市おおた協会の設立、シティプロモーション事業の推進などを通して、大田区の魅力や強みを発信してまいります。私は、本予算に基づく取り組みを確実に進めることで、72万区民の皆様の期待に応えてまいります。
次に、財政基金に関するご質問でございますが、区は、待機児童対策や学校改築など子どもを取り巻く環境整備、超高齢社会への対応、防犯・防災対策といった区民生活に直結する課題が山積しており、これらの課題については、時機を逸することなく的確に対応していくことが重要でございます。そのため、平成30年度歳出予算においては、各事業の必要性、緊急性を精査した上で、これらの重要課題解決につながる経費を見積もりました。一方で、歳入予算の編成に当たりましては、法人住民税の一部国税化やふるさと納税に加え、地方消費税の清算基準見直しという新たな減収要素が加わりました。こうした厳しい状況の中、必要な財源の確保に当たりましては、既存事業の見直し、経常経費の節減等に努めつつ、財政基金の繰入額や特別区債の発行額を増額することで対応をいたしました。今後も引き続き、基金や特別区債を有効に活用しながら、区民生活の向上に資する事業を着実に推進してまいります。
次に、大田区が抱える構造的な課題についての改革の進め方に関するご質問でございますが、
社会保障関係経費のさらなる増加や公共施設の機能更新が集中することなどにより、区の行財政を取り巻く状況は今後厳しくなるものと考えております。区は、このような構造的な課題を克服し、大田区基本構想に掲げる区の将来像の実現に向けて、たゆまぬ努力を続けていかなければならないと思います。私は区長として、財政の健全性を維持しつつ、着実に地域課題を解決していくために、引き続き事務事業の見直しを進め、限られた行政資源を効果的・効率的に配分し、施策の最適化を図ってまいります。区の有する行政力を最大限に発揮するとともに、民間事業者のノウハウを活用した公民連携の推進など、不断の改革を進め、持続可能な行財政運営に努めてまいります。
次に、新スポーツ健康ゾーンへのアクセス向上に向けた取り組みについてのご質問でございますが、区は、「空港臨海部グランドビジョン2030」や「おおた都市づくりビジョン」の中で、内陸部から臨海部や羽田空港への交通アクセスの整備・拡充を重要課題と位置づけております。また、本年3月に策定予定の「大田区交通政策基本計画」の中でも、大森・平和島地区から埋立島部、羽田空港間のアクセス交通の充実や、コミュニティサイクルの拡充などを基本的な施策と位置づけております。今後はスクエアのまちづくりの実現に向け、主要駅と空港臨海部をつなぐバスなどの公共交通の充実や、多様な移動手段の導入の可能性等、具体的な検討を鋭意進めてまいります。
次に、耐震化・不燃化の事業についてのご質問ですが、区は、平成18年度に耐震化助成事業を導入して以来、制度の改善に努めており、今年度からは、特定緊急輸送道路沿道の建築物に対する助成制度を大幅に拡充いたしました。引き続き、建物所有者に拡充した助成制度の利用を働きかけ、目標とする沿道建築物の耐震化率90%に向けて鋭意取り組んでまいります。
また、不燃化特区制度を活用した老朽建築物の除却や建て替え費用を助成する事業を大森中地区に導入以来、羽田二・三・六丁目地区などに順次拡大し、不燃化を促進してまいりました。昨年末までの助成実績は74件となっております。中でも、火災危険度の高い羽田三・六丁目地区では、道路拡幅事業を進めており、今年度からは用地折衝業務を委託し、取り組みを加速させています。今後も、様々な手法を駆使して、区内建築物の耐震化・不燃化を強力に推進してまいります。
次に、中小企業の事業承継や廃業の問題に関するご質問でございますが、大田区が誇るものづくり産業の競争力は、技術力が高く、多様なニーズに柔軟に対応できる中小企業の集積が源になっております。その集積の維持・強化のためには、区内企業の事業承継や廃業への対応が重要でございます。特に、議員お話しの黒字企業の廃業につきましては、区内でも全国と同様な傾向にあり、廃業の前に事業承継を促進する必要があります。一方、区内の事業を承継した若手経営者が区内産業を盛り上げようとする取り組みや、キャリア教育との積極的な連携を進めています。区といたしましては、このような若手経営者の取り組みを後押しすることで、次世代の経営者にとって経営しやすい環境を醸成してまいります。
次に、事業承継税制の拡充による区内中小企業への効果に関するご質問ですが、事業承継において資産の承継は重要な要素であり、今回の拡充は大きな後押しになると期待をしております。区内製造業の大半を占める小規模企業では、株式の譲渡に係る税負担が大きくなると円滑な事業承継に支障をきたすことになります。今回の拡充は、格段に税負担が軽減され、さらに経営環境にも一段と配慮した制度となっていることから、区内企業による事業承継につながるものと期待をしております。また、円滑な事業承継は次の世代による新たな取り組みや経営革新のきっかけとなる効果も期待できることから、区といたしましては、企業の皆様の新たな挑戦に対する支援に引き続き取り組んでまいります。
次に、国と連携した事業承継の推進に関するご質問でございますが、事業承継の推進は我が国の産業における大きな課題であり、国をはじめとする関係団体と区が連携してこの問題に取り組んでいくことが重要であります。事業承継の推進においては、経営や技術・技能などの知的財産も重要な要素でございます。準備期間を確保するため、経営者による早期の着手が求められます。区は今年度、「大田の工匠 技術・技能継承」を開始し、区内企業の技術・技能継承や若手人材育成を促進しているところでございます。こうした事業を通して、国をはじめとする関係機関の事業承継に係る取り組みの周知に努めるとともに、産業団体や金融機関と連携し、多様な成功事例を区内企業の経営者に知っていただき、事業承継に関する意識の啓発と準備の早期着手を促進してまいります。
次に、地方消費税交付金の減額に関するご質問でございますが、国は都市と地方の税源の偏在の是正を進めており、平成30年度税制改正において
地方消費税清算基準の見直しが強行されました。今後、消費税率10%段階では約34億円の減収が見込まれるなど、区財政に与える影響は看過できるものではなく、このような不合理な制度改正は断じて容認することはできません。地域間の税収格差の是正は、本来は地方交付税で調整するべきです。私は特別区長会の副会長として、他の自治体と連携しながら、引き続き国に対し強く働きかけをしてまいります。
次に、自主財源の確保に関するご質問でございますが、区はこれまでも、区税等の収納率向上に向けた継続的な取り組みはもとより、ホームページのバナー広告や本庁舎におけるデジタルフロア案内、証明写真機の設置による収入など、自主財源の確保に努めてきたところでございます。一方で、議員お話しのとおり、国がさらに進めようとしている不合理な税源偏在是正の動きも踏まえますと、自主財源の確保は今後ますます重要となっております。そのような状況の中、平成30年度予算案では、一例として、仮称でございますが、勝海舟記念館の整備・運営に当たって、クラウドファンディングや寄付キャンペーンイベントによる自主財源の確保について検討する内容を盛り込んでおります。こうした手法により、大田区で生まれ育った方や関心を持っている方などが、大田区への寄付行為を通じて、さらなる寄付文化の醸成につながるよう取り組みを進めてまいります。今後も、収納対策の強化に加え、様々な歳入確保の取り組みを通じて自主財源の確保に努めてまいります。
次に、遺品整理等を営む事業者が家庭廃棄物を回収してしまう事例があることについてのご質問でございますが、事業者の一部には、法令に反し、家庭廃棄物を回収することに加え、高額な費用を請求する悪質な事業者が存在し、被害にあわれた区民からの情報が、わずかではありますが、区に寄せられております。これらの違法行為は誠に遺憾であり、許されるものではないというふうに認識をしております。
これらの違法行為の問題解決に関するご質問でございますが、これらの課題の解決を図ることは、廃棄物の適正処理を推進する上において非常に重要であります。区は、区民に対する被害を未然に防ぐため、区報、区ホームページ等を通じて不用品回収業者の違法性について周知しております。また、違法に回収された不用品は不法投棄につながる可能性が高く、東京都の関連部局におきまして不用品回収業者に対する指導等を実施しております。今後につきましても、様々な媒体や機会を通じ、より多くの皆さんに周知徹底するとともに、東京都をはじめとする関係各機関と情報を共有し、廃棄物の適正処理に向けて積極的に連携してまいります。
次に、23区共通の課題として、23区の合議体で議論されるべきとのご質問でございますが、遺品整理により発生する廃棄物等の家庭廃棄物の取り扱いにつきましては、東京二十三区清掃協議会の専門部会における様々な検討課題の一つとして議論されております。当該家庭廃棄物につきましては、区にその処理責任があることから、それらの処理過程において、一般の事業者が法令等に反する対応がないよう注意する必要があると考えております。区といたしましては、区民、事業者、区が連携して目指す循環型社会の実現に向けて、全ての家庭廃棄物が適正に処理されるよう、より一層普及啓発に取り組んでまいります。
次に、新規採用事務職員の配置や人事異動の基本的な考えに関するご質問ですが、採用後おおむね10年間は、多様な職務知識と地域への視野を広げることを目的に、3か所程度の職場を経験できるようジョブローテーションを実施しています。また、配属先においては、基礎的な業務や区民と接する機会の多い業務に充て、一日も早く区民感覚を身につけられるよう指導しております。その後は、それまでに習得した知識、経験、能力を活かせる適材適所の配置をすることにより、多様化する区政課題の解決に取り組んでいます。次代を担う若い職員が、地域の声を真摯に受け止め、区民の期待に応えられる職員になるよう、計画的な配置管理をしてまいります。
職員の兼業を許可する物差しに関するご質問ですが、職員の兼業は、議員のお話のとおり、職務専念義務や職務の公正性の確保及び職員の品位維持を図ることを目的に、地方公務員法により制限されております。その上で、特別区人事委員会規則では、「職員の占めている職と当該営利企業との間に特別の利害関係又はその発生の恐れがなく、かつ、職務の公正円滑な執行に支障がない場合その他法の精神に反しないと認められる場合に限り許可する」と規定しております。これを受け、区においても、兼業許可の判断基準として「職員の兼業許可に関する事務取扱規程」を定め、兼業を許可しない場合を列挙する形で規定しております。今後も、兼業の許可については、法令の趣旨に則り適切に判断してまいります。
次に、区の職員採用における精神障がい者雇用に関するご質問ですが、障害者の雇用の促進等に関する法律が改正され、障がい者雇用率の下限が、地方公共団体では、平成30年4月1日から2.3%が2.5%に、さらに平成33年4月までには2.6%に変更されます。また、雇用率算定の基礎となる障がい者の中に精神障がい者を含むこととされました。このことを踏まえ、特別区人事委員会は、平成30年度から精神障がい者、知的障がい者を受験資格に追加し、職員採用選考を実施することとしました。区は、平成30年度から精神に障がいのある方に就労機会を提供し、企業就労につなげるチャレンジ雇用の開始を予定しております。今後、この事業を含めて、東京都や他自治体等の取り組みを参考にしながら対応してまいります。
次に、災害用備蓄品等の管理についてのご質問ですが、災害発生後に迅速にかつ的確に備蓄品を運搬するためには、平常時の管理方法が重要であります。議員お話しのとおり、被災経験のある東松島市から備蓄品の管理など学ぶべきことが多いと感じております。区は、東松島市など被災自治体への視察や災害時の協力協定締結団体と協議し、南六郷、京浜島、蒲田本町などの地区備蓄倉庫へは少人数で荷物の積み下ろしができるパレットを順次導入しております。また、物資搬送拠点として京浜島に増設する備蓄倉庫は、パレットの導入を前提としております。東松島市の責任者の方には、区の備蓄倉庫を見ていただき、梱包用のラップによる保管方法などのアドバイスをいただき導入しています。今後も、災害時の物資運送体制を確立するため、適切な備蓄品の管理に努めてまいります。
次に、津波対策についてのご質問ですが、東京都が公表した「首都直下地震による東京都の被害想定」によりますと、津波の高さは区内最大1.58メートルとされております。水門閉鎖の状況では、沿岸部の防潮堤を超えることは想定されておりません。しかし、水門が閉鎖されない状況では、大森南の一部の地域において津波の浸水被害が想定されています。区は、ハザードマップの作成や津波一時避難施設の指定、呑川河口等への水防監視カメラの設置など津波対策に取り組んでおります。現在、東京都が区と連携して、貴船水門、旧呑川水門、北前堀水門、南前堀水門を廃止するとともに、防潮堤を整備して津波被害防止に取り組んでいるところです。今後も引き続き津波対策を進めてまいります。
次に、防災訓練についてのご質問ですが、幅広い世代に防災訓練に参加していただくことは、防災意識の向上に非常に重要なことです。今年度の総合防災訓練では、防災への関心があまり高くない方や、子育てなどの理由により長時間の参加が難しい方などにも参加しやすいものとしました。親子で一緒に楽しめるようなペーパークラフトなどの子ども向けのコーナーや、興味を持った方がいつでも自由に参加できる要配慮者の支援体験など、イベント型の訓練を実施いたしました。本訓練に参加していただいた方からも、「防災に興味を持った。楽しい訓練だった」との声もいただきました。今後、地域の防災訓練などへの参加につながるものと考えております。引き続き、総合防災訓練の内容を充実させるとともに、地域における防災訓練を支援し、参加する区民の裾野を広げ、防災意識の向上に取り組んでまいります。
次に、地震による被害軽減についてのご質問ですが、地震による被害を最小限に抑えるためには、区民一人ひとりが日頃から災害に備え、みずからが家具の転倒防止や食料、生活必需品の備蓄など、しっかりと準備しておくことが重要です。区は、マンション防災などの各種防災講習会や防災講話をはじめ、区報においても日常生活でできる自助の取り組みを特集するなど、事前の予防策について啓発に取り組んでおります。議員お話しのとおり、地域の防災訓練におきましては、区内各所において実施され、自治会・町会の中で身近な方々が多数参加されており、地域の防災力向上には欠かせないものです。この訓練においても、様々な被害軽減策を内容に加えることは非常に効果のあるものと考えます。今後も、防災訓練の実施方法や内容について、消防署など関係機関と連携し充実をしてまいります。
次に、大田区のブランド力を上げ、大田区のイメージをさらに向上させるための区の思いについてのご質問ですが、区内にはそれぞれの地域に魅力的な地域資源が多く存在しています。これらの魅力的な地域資源を多様な手法を通じて区内外に広く発信していくことは、区のブランド力向上や区のイメージをさらに向上させていく上で大変重要であると考えております。区におけるシティプロモーションの取り組みに当たっては、区民の皆様の地域への愛着心や誇りを高めると同時に、区のイメージの明確化や認知度の向上、回遊性の向上を目的とし、さらなる定住化の促進や地域経済の活性化につながるようなプロモーションを進めてまいりたいと考えております。世界的な認知度を持つ羽田空港をはじめとして、区の誇れる歴史、文化、自然、産業、食といった魅力を総合的にブランディングし、大田区が誇れるもの、大田区ならではのもの、大田区らしいものなど、大田の魅力を戦略的にプロモーションするための手法を検討しております。今後も、区民や関係団体と連携し、シティプロモーションの取り組みを進め、「暮らしてよし、訪れてよし、地域力あふれる 国際都市おおた」の実現を目指してまいります。
次に、うぐいすネットの利用時間延長についてのご質問ですが、システムの利用時間につきましては、バックアップの時間を確保する目的から、午前8時30分から午後8時30分までとしております。現在、うぐいすネットの利用者登録数は4万件を超えており、年間の抽選申し込み件数は約201万件、空き施設の予約申し込み件数は約28万件と年々増加傾向にあります。こうした利用状況と利用者の利用延長を求める声を踏まえ、来年度に予定しておりますシステム機器の更改に合わせて利用時間の延長を検討しております。今後も、さらなる区民の利便性向上のため、システム運営の改善に努めてまいります。
次に、うぐいすネットの利便性向上に関するご質問ですが、現在、うぐいすネットを使って施設予約等ができる施設は、集会施設と公園施設を合わせて59施設あり、集会室や野球場等の室場数は291か所となっております。利用者登録数が年々増加傾向にあり、多くの利用者がシステムにアクセスする抽選の締め切り日や空き室予約の開始日にはつながりにくい状況が発生しております。今後も利用者数の増加が見込まれることから、システムの回線を強化し、つながりやすい環境とできるよう検討をしてまいります。
次に、京急蒲田駅周辺におけるたばこのポイ捨ての取り組みについてのご質問でございますが、東京2020オリンピック・パラリンピック開催を契機に、羽田空港の玄関口である京急蒲田駅やJR蒲田駅周辺の良好な地域環境づくりをさらに推進すべきものと考えております。その中でも喫煙する方々のマナーの向上については、粘り強く啓発と指導を行うことも重要でございます。区は、昨年6月から、JR蒲田駅東西口の路上喫煙禁止地区において、啓発指導員による重点的な巡回指導を取り組んでおりますが、来年度は京急蒲田駅西口周辺やJR蒲田駅周辺にエリアを拡大し、年末年始を除く通年での実施を図り、啓発指導をさらに強化することを検討しております。現在、喫煙に関する法令整備について国や東京都において議論がなされております。区といたしましては、地域の方々のご意見をお聞きしながら、国や東京都の動向も見極めて、路上喫煙禁止地区の拡大等を含めた取り組みを検討し、国際都市にふさわしい清潔で美しい大田区の環境づくりに努めてまいりたいと思います。私からは以上でございます。
◎小黒 教育長 私からは、まず大田区の教育にかける思いについてお答えいたします。
教育は未来への最大の投資であるということが言われます。教育の充実こそが豊かな人間社会をつくり出していく根幹であり、その中でも大田区が担っている義務教育こそが人間の基盤づくりであると考えております。どの子も将来にわたって伸びていく義務教育の充実が大田区の将来を築くことにつながると考えております。現代社会は急速に変化し続けており、グローバル化の中で国際競争も激化しています。大田区の子どもたちが踏み出す将来の社会がどのような状況になっているかを正確に予想することは極めて困難です。しかし、どのような社会にあっても、大田の子どもたちがみずからの能力を活かして暮らしを立て、人を愛し、社会に貢献する人間となるよう育てることが大切です。そのために、みずから課題を発見し、解決に向けた見通しを立てて行動する、生きる力を身につけさせることが重要であると考えております。私は、大田の教育が子どもたちの意欲と課題に立ち向かう勇気を育み、よりよい社会をつくり出す力となるように全力で取り組んでまいります。
次に、大田区の教育の優れている点や課題に対するご質問でございますけれども、他の自治体にない大田区の教育の優れた点としてまず挙げられるのは、地域の方々が学校を支え、地域ぐるみで子どもを育てているということでございます。都市化や少子化に伴い、地域コミュニティの結びつきが希薄になっている中、大田区では、学校支援地域本部、青少年対策委員会、自治会・町会等による地域行事をはじめ、様々な活動が活発に行われております。地域力を活かした教育が子どもたちの社会性と自己肯定感を育むよい機会になっていると感じております。
また、教育の課題といたしましては、教員の長時間勤務が挙げられます。充実した教育を実践するためには、教員が子どもにしっかり向き合い、指導の質を高めることが不可欠です。教員が子どもとしっかりと向き合い、質の高い指導に専念するためには、教材研究を行ったり、指導方法を工夫することが大切ですが、新たなマンパワーも必要と判断しております。そこで、平成30年度予算案におきまして、教員の負担軽減として、副校長の業務の一部を補助する副校長補佐を全小中学校に配置するほか、単独で部活動指導に当たることができる部活動指導員を配置するための経費を計上いたしました。副校長補佐には、給食費の納入、教員が担っている業務の一部についても担当させることで、多くの教員の負担軽減になるよう配慮してまいります。学校が元気で、教員が奮闘する環境づくりを目指すことで、「おおた教育振興プラン2014」の最終年度が実りあるものになるよう、最大限の努力を重ねてまいります。以上です。
○大森 議長 会議が長くなりましたので、おおむね20分程度休憩といたします。
午後3時4分休憩
――
――――――――――――――――――
午後3時25分開議
○大森 議長 休憩前に引き続き会議を開きます。
この際、会議時間を延長しておきます。
質問を続けます。33番菅谷郁恵議員。
〔33番菅谷郁恵議員登壇〕(拍手)
◆33番(菅谷郁恵 議員) 日本共産党の菅谷郁恵です。
まず、平和の問題で質問します。
平昌オリンピックが25日まで開催されています。韓国と北朝鮮が共同で入場した際、会場は総立ちの大歓声でした。国際オリンピック委員会バッハ会長は、「多様性の中での結束は分断しようとする力よりも強い」という言葉も感動的でした。対話による第一歩に広がってほしいと強く思いました。
昨年は、核兵器禁止条約の締結、ICANのノーベル平和賞の受賞など歴史的な前進がありましたが、唯一の被爆国が核兵器禁止条約に反対しています。松原区長も、昨年の第4回定例会党区議団の代表質問、「平和首長会議に参加しているのですから、核開発、保有、実験、使用、使用の威嚇を違法化している核兵器禁止条約に賛同すべき」に対して、「日本政府は国連総会などを通じて、核兵器保有国と非核兵器保有国とが合意できる現実的、実践的な核軍縮・不拡散の取り組みを着実に進めている」と理解を表明されましたが、核軍縮、核不拡散ではなく、核廃絶こそが北朝鮮からも核兵器をなくしていくことなのです。アメリカ大統領トランプ氏は、前オバマ大統領の核廃絶の方針を転換し、日本政府が早速支持したことは、平和の願いに逆行し、大変危険です。
日本政府が核兵器禁止条約の締結に反対する方針を転換し、推進の先頭に立つよう求めた署名や意見書などを求める地方議会の意見書可決が157地方議会に広がっています。東京では、江戸川区長は署名に応じ、多摩市長は「今後も平和首長会に参加するものとして、この条約が核保有国やその同盟国を含む全ての国の条約締結を促進することは明らか」と表明、墨田区長、板橋区長、国分寺市長、狛江市長なども賛同しています。
松原区長は、核兵器禁止条約の締結を求める署名活動に取り組んでいる平和首長会議の立場に立つことを求めます。お答えください。
また、安倍首相はこれまで、秘密保護法、安保法制(戦争法)、共謀罪など憲法違反の悪法を数の力で次々と押し通してきました。憲法に基づく政治、立憲主義が土台から壊される異常事態です。その総仕上げとして、憲法9条改定を剥き出しにしています。昨年5月3日、憲法9条改憲を打ち出し、年頭の挨拶、国会施政演説でも年内の憲法9条への第3項として自衛隊を書き込むことに執念を燃やしています。これは新法が優先されますから、9条1項、2項の空文化に道を開き、海外での武力行使が無制限になるものです。地域を歩くと、「戦争は絶対にだめ」「私は女学校に行ってもっと勉強したかったの。でも、学徒動員で行けなかった」など、この日本の国がどうなってしまうのか心配の声です。日本世論調査会の調査では、9条改定は「必要ない」が53%、改憲の国会論議は「急ぐ必要はない」67.2%に上り、国民多数は改憲を望んでいないことは明らかです。憲法制定後70年間、どの国とも戦争をせず仲よくできたのは憲法9条があるからです。
そこで質問します。憲法第2章「戦争の放棄」、9条「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決手段としては、永久にこれを放棄する。」、2項「前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。」とあります。区長は、大田区の平和都市宣言「平和憲法を擁護し核兵器のない平和都市であることを宣言する」の立場で、憲法9条を改憲しないよう国に求めることです。お答えください。
次に、予算関連についてです。
今議会は、再来年度改選前の骨格予算が残されているとはいえ、区長や我々議員の任期4年の4年目、また、松原区長みずから任期を3期とする条例からして総仕上げの予算を審議することになります。今、国の予算審議が行われていますが、国の考えが大田区に大きく影響します。第2次安倍政権発足から5年、大企業の内部留保は400兆円を超え、一握りの超富裕層の資産は3倍になる一方、労働者の実質賃金は年額15万円減少、実質家計消費は20万円減少しました。年収200万円以下の働く貧困層は1100万人を超えて広がっています。アベノミクスがもたらしたのは格差拡大と貧困悪化だったのです。先日発表した昨年10月-12月の国民所得統計で、GDPは前期に比べ実質で0.1%の低い伸び率、国民の所得の伸び悩みが消費を冷やしています。
国の来年度予算案には、1300億円も社会保障費の自然増を削り、生活保護の削減、医療では75歳以上の窓口2割負担や診療報酬全体で1%の引き下げ、介護では、中重度者を在宅に戻し、軽度者の介護外しが提案されており、さらに介護保険料、後期高齢者保険料、国民健康保険料の値上げなど、区民の暮らしに直接影響する負担増が押し寄せています。
この間、地域を歩くと、印刷会社の奥さんは「やっと9月期の決算が終わり、消費税を払いました。この消費税がなかったらどんなに助かるか。機械を買いかえたいけれども、設備投資もできない。これが消費税10%になったらやっていけない。何とかしてください。従業員もいるので、やめるにもやめられない。我々夫婦2人は給料は出ません。年金で何とか食べています」と切実な声です。消費税の引き上げ、国保、介護など社会保障の切り捨てから区民の命、暮らし、営業を守る地方自治体の役割に立って、国の悪政に真正面から反対し、撤回するよう求めることです。
特に、生活保護の生活扶助の最大5%削減は、2013年の最大10%削減に続く大改悪です。今回の削減では、子どもの数が多い世帯ほど削減額が大きくなり、都市部に暮らす夫婦と子ども1人世帯の場合、年3.6万円、夫婦と子ども2人世帯では年10.8万円の削減です。2013年の削減分と合わせると、年37万円もの減額になります。削減の理由を、生活保護を利用していない低所得世帯の生活水準が下がったから、それに合わせて引き下げるとしていますが、アベノミクスが失敗したことをみずから認める発言ではありませんか。また、安倍首相は施政方針演説で「生活保護世帯の子どもたちへの支援を拡充します」と述べましたが、やろうとしていることはまるで逆のことです。生活保護費の削減で介護保険料、保育料、就学援助費など約47項目に区民への影響が出ます。削減額160億円は、思いやり予算など米軍経費の増加分195億円でおつりが来ます。
地域の80歳を超えたひとり暮らしの女性は、お風呂のないアパート暮らし、年金が一月1万7000円、もう少し頑張るとスーパーで働いています。医療費がかかると病院に行くのもためらっています。本来ならば生活保護の対象になる収入の方々が、ぜいたくだ、遊んでいるなどとバッシングを恐れ、申請を諦めています。日本共産党志位和夫委員長は、2月5日、国会の予算委員会で、憲法25条に照らすならば権利であり、生活保護ではなく、生活保障法に名前を変えることを提案しました。
健康で文化的な生活を営む権利の憲法25条を区民の手に取り戻すためにも、区長は国に生活保護費の引き下げをやめることを求めることです。お答えください。
次に、大田区の2018年度予算案についてです。
区は、予算編成の基本的な考え方として、「『暮らしてよし、訪れてよし、地域力あふれる 国際都市おおた』の実現につながる取り組みを確実に進めるとともに、さらなる未来に向け、力強い一歩を踏み出す予算を編成しました」と述べています。新年度予算案は、歳入歳出総額2787億7647万円余、前年度比169億円余、6.5%増と過去最大です。
今回の予算案では、認可保育園の24か所増設、保育士人材確保、特養ホームの増設、認知症グループホームの整備費補助、障がい者総合サポートセンター新館で重度心身障がい者児の短期入所受け入れ、障がい者の移動支援拡充、リフォーム助成拡充、消防団の分団小屋増設、諏訪橋、三木橋など橋梁の整備、JR大森駅東口下りエスカレーター設置など、党区議団も要望し、区民の皆さんの声が反映しているものであり、評価します。
しかし、区民生活を守る健康・福祉分野、大田区の基盤とも言える中小企業を応援する予算になっているかということです。予算案の第1の問題点は、4年前の消費税増税が住民の暮らしを圧迫している中、4月から国保、介護、後期高齢者保険料など社会保障費の値上げが予定されており、さらにこの間、区民生活を支えてきたあらゆる分野の施策を縮小・廃止し、自治体として持ち込んではいけない受益者負担を理由に、区民へ相次ぐ値上げで負担増を押しつけていることです。
新年度の予算編成方針でも、「目下の喫緊の課題解決とともに、区民目線に立った事業の見直し・再構築を行うことによる『選択と集中』をオール大田で一丸となって取り組む必要がある」とし、昨年4月から施設使用料2000万円、小中学校給食費総額1億4000万円、学童保育料、9月から保育料の総額1億7000万円値上げを進め、さらに新年度は臨海斎場火葬料の値上げを進めようとしています。
さらに新年度予算案では、健康診査では、前年度から1億3593万円余、6.8%の減で、そのうち胃がん検診1979万円余、5.4%減、大腸がん検診2547万円、14.3%減、子宮頸がん検診416万円余、15.9%減、前立腺がん326万円余、33.1%減となっており、自己負担の一部導入後、受診者が減るばかりです。また、アスベスト検診は35人分、わずか32万円の予算では全区民対象となっていません。これでは区民の命と健康を守る予算案になっていません。
耐震診断、耐震改修は前年度2億1000万円余、20.2%減に続いて、1億2036万円余、14.4%減と大幅減になりました。区民指定保養施設は2年前に補助金1000円と宿泊日数の削減で、3年前に比べ53%になり、使う人が少なくなっていると予算を減らしています。伊豆高原学園は「以前の伊豆高原荘は風情があってよかった。今は合宿所みたい」と言われています。中小企業のまち、ものづくりのまちと言われている大田区の産業経済費の予算は昨年より4億9000万円余増えていますが、総額42億円、構成比1.5%で、産業のまち大田区としてのあまりにも小規模の予算です。
今こそ住民の暮らしと福祉を守るという地方自治体の原点に立った予算編成に改めるため、事業の廃止・縮小による住民負担増からの転換を求めます。お答えください。
アスベスト検診では、区の姿勢の転換を求めます。大森南の宮寺石綿理化工業の寮で暮らしていた女性は、母親と夫をアスベストで肺がんで亡くし、ご本人も胸膜プラークがあります。若い頃、就職試験ではいつも不合格、結核の診断で大変な生活でした。環境省は平成27年から石綿ばく露の検診を国が試行調査することにし、手を挙げれば国は認めるとしています。大田区は救済法での患者が多い自治体ですから、試行調査に手を挙げて、全区民対象に検診を実施すべきです。
区内中小企業の支援では、区内の印刷業者の方から「前は大田区からの仕事もあったのよね。区報の注文も全く仕事が来なくなってしまった。データを持っている業者が強いと思うけど、大田区の仕事は区内の業者に回してほしい」と、今の区の考え方が安ければよかろうになっていて、区内業者の育成や仕事起こしに目が向いていないのではないでしょうか。
今定例会に党区議団は
中小企業次世代人材確保支援条例を提出しました。これは区内の町工場に行くと、人材の確保、育成に大変苦慮しているからです。大田区は中小企業全数調査に基づいて、2015年3月、大田区ものづくり産業実態調査を発表しました。従業員3人以下では「後継者がいない」が8割と調査結果が示しているにもかかわらず、区は手だてをとっていないので、党区議団は条例を出し喚起を促したのです。S工機会社では、「六郷工科高校から採用して大変助かっている」と社長の声です。今月1月1日号の区報1面は、地元大森西の町工場のご家族です。いい表情ですね。息子さんで3代目になります。後継者育成に本気で大田区が取り組むことです。
また、特に区民の皆さんからも、建設業の皆さんからも高い評価をいただいている住宅リフォーム助成制度は、今年度当初予算を6000万円に増額し、5期に分けて申請するようになりました。しかし、5回目の申請日、12月1日初日には、早朝から列をなし、午後2時には完了してしまったと聞きました。「大きい会社が五、六件持ち込まれると、うちまで回ってこない」などの声が聞こえてきます。来年度予算も6400万円に増額していますが、経済波及効果が大きく、地域経済振興のためにも予算の増額と申請改善を求めます。
区民の命と健康を守ることや、区内中小企業対策や地域経済振興のために本気で取り組む予算にすべきです。お答えください。
第2の問題点は、不要不急の大規模開発事業に多額の税金投入で推進しようとしていることです。新年度の予算編成方針でも「羽田空港跡地や新空港線整備については、今後の取り組みの加速化に向けて、大きな転機を迎えている」として、大規模開発推進の姿勢です。新空港線では、第一期工事の総事業費は1260億円で、前年度に続いて当初予算から10億円の積み立てで総額48億円余となり、さらに整備主体の設立経費として1億8000万円です。新空港線「蒲蒲線」は、第1に、いまだに東京都と大田区の負担割合が決まらないこと、第2に、出資金がどこまでになるかわからないこと、第3に、第三セクターは今年度設立するとしていたのが実施できず、メンバーが誰になるかわからないことなど、問題が山積みで区民に説明がつきません。新空港線「蒲蒲線」計画は、多摩川線各駅は素通りで、蒲田の発展や区民の利便性にも向上しません。
また、蒲田駅周辺地区の整備で、蒲田駅周辺中長期整備推進業務委託、耐火・耐震化を図るとして建て替え推進を進めようとしています。羽田空港跡地における成長戦略拠点の形成として4億6313万円余を計上しました。空港跡地第1ゾーンの第一期事業予定地約5.9ヘクタールに鹿島建設を代表とするグループが、総延べ床面積12万5400平米規模の施設を建設するため、大田区は用地取得を3か年実施計画で新年度予算に計画しています。そのために空港対策積立基金172億円積み立てています。現在、国との調整で当初予算に用地取得費は入りませんでしたが、今後、新年度で予定されています。
羽田跡地約200ヘクタールについては、1945年9月21日、米占領軍による48時間以内に強制退去させられた歴史的経過が根底にあり、1981年8月、三者合意の確認書で「都が取得する」、「地元に配慮する」となっていますし、2008年5月1日にも松原区長は東京都に要望しています。また、当初の約200ヘクタールが77ヘクタールへ、さらに53ヘクタールから16.5ヘクタールへと大きく縮小され、区民の利用できる多目的広場はわずか2ヘクタールになりました。
このような経過から、用地取得に区民の多額の税金を使うべきではありません。計画は変更して、16.5ヘクタールは当初の構想のように区民のための広場として使うべきです。お答えください。
これら大規模開発計画に積立基金と区税投入を進め、大規模開発に拍車をかけています。このような多額の税金投入の大規模開発優先の計画は中止することです。お答えください。
第3の問題点は、一層の民営化と非常勤職員の配置や臨時職員を活用しようとしていることです。組織・職員定数の基本方針で外部化の再検証を挙げているものの、簡素で効率的な組織整備で一層の民営化と適切な非常勤職員の設置及び臨時職員の活用を進めようとしていることです。松原区長になって、2009年、区立幼稚園全廃、区立保育園拠点園18か所残す構想、児童館や学童保育の民間委託、図書館や障がい者施設の
指定管理者制度など、経費削減とサービス向上を理由に進めてきました。特に保育園では、松原区長になって10年間で私立認可保育園を52園つくり、定員4563人増えましたが、園庭のないビルやマンションの中が多く、株式会社はゼロから27園に増え、今後の計画でさらに増えます。
今、保育士の確保が困難になっています。国や東京都、大田区は、保育士が集まらない状況の中で、保育従事職員宿舎借り上げ事業や保育士応援手当など処遇改善策を出しましたが、それでも他業種の賃金と比べて低く、今年の4月からの民間委託する保育園でも保育士確保に苦労しています。一方、昨年の区立保育士募集30人に5倍を超える応募ですから、区立保育園をわざわざ民間委託することはやめて、区立は区立のままで残すことです。
また、新年度予算案では、学校教職員の負担軽減として、副校長先生の補佐、部活動の指導員など非常勤職員で対応となっています。これまでも小中学校の読書教育司書、スクールカウンセラー、保育園、学童保育など非常勤の採用を強めていますが、正規職員を採用すべきです。民間委託や
指定管理者制度で働く職員は不安定、低賃金の非正規労働者が多く、自治体みずから官製ワーキングプアをつくり出しています。
職員確保や保育の質を確保するために、保育園の民営化は中止すること、必要な職員は正規職員にして採用することを求めます。お答えください。
次に、予算と関連してお聞きします。
まず、児童福祉費の分野では、待機児童対策として認可保育園整備費は28億円余で、認可保育園24施設をはじめとした27施設、1000人定員を増やすので評価できますが、まだまだ足りません。先日2月9日に保育園入園の可否の通知が届けられました。不承諾の通知を受けた子どもの親から「4月から職場に復帰できない」、「働かなければならないから預けたのに求職中は点数が上がらない。私たちの生活の厳しさをもっと知ってほしい」など相談が多く寄せられています。松原区長は、大田区10か年基本計画「おおた未来プラン10年」で保育園待機児童解消の目標を平成30年としていましたが、その後の実施計画で区民に約束を1年間先延ばしたことは問題です。また、昨年1100人の定員増をしても不承諾の通知が届いているのですから、党区議団が繰り返し指摘しているように、認可保育園を希望しても入れなかった数に応じた計画を持たないから待機児童を解消できないのです。
まず、今年4月の申込者数と保留数、待機児童数をお知らせください。次に、待機児童を出さないために、不承諾の数を目標にして認可保育園の増設を進めることです。そのために、母子手帳申請のときに保育園入園希望を調査するなど、実態に合った目標を設定し、来年4月には待機児童ゼロにすることです。お答えください。
党区議団は、国有地や都有地の空き地を積極的に活用して、認可保育園や特養ホームをつくるように求めてきました。今回、鵜の木にある水道局の駐車場に認可保育園の増設は評価できるものです。このたび、大森西五丁目の大森消防署山谷出張所が移転し、2月26日に落成式、3月に移転地での新調査事務が開始になります。この山谷出張所の跡地には、保育園をつくってほしい、高齢者が集える場所をつくってほしい、また、地域の方から以前、高齢者の住宅をつくってほしいという陳情が出されています。新庁舎移転後には普通財産となり、東京都財務局が所有することになるとのことです。
区民のため、区が保育所等使用目的を決定して、約200坪のこの土地を区が活用できるよう東京都に求めることです。お答えください。
次に、大田区は2008年まで区立幼稚園がありましたが、現在私立幼稚園のみ、8834人の子どもたちが通っています。今、私立幼稚園では預かり保育の人数が増え、長時間受け入れています。また、特別に支援の必要な子どもたち、31園で183人の子どもたちの受け入れがされているとのことです。しかし、補助額が年間1人当たり30万円では、特別に支援の必要な子どもを受け入れたくても職員の確保が困難とも聞いています。
区立幼稚園が廃止されて9年になりますが、私立幼稚園での特別に支援の必要な子どもたちの受け入れのためには、幼稚園教諭確保のための人件費加算を求めます。また、私立幼稚園でも人材不足は深刻です。保育士と同じように、月1万円出ている処遇改善手当と宿舎借り上げ制度の創設を求めます。お答えください。
次に、2018年度から制度の枠組みが大きく変わる国民健康保険制度についてです。
4月から都道府県広域化がスタートするため、大田区では2月17日、国保運営協議会で区長より諮問が出され、異議なく答申されました。国民健康保険制度は、協会けんぽ、組合健保に加入していない方々を受け入れている国民皆保険制度を支える重要な基礎となる制度です。最近の数字として、2月1日の国会質疑では、国保、協会けんぽ、組合健保それぞれが加入者1人当たりの所得に対する保険料負担の割合は、国民健康保険は10.0%、被用者保険である協会けんぽは7.6%、組合健保5.8%、つまり国保加入者は組合健保の1.6倍、協会けんぽの1.3倍と重い負担になっています。
また、国保制度発足時1965年と直近の加入世帯の職業構成割合は、農林水産、自営業が約7割を占めていたものが、現状は農林水産業、自営業約2割、無職年金暮らし、非正規雇用を合わせると約8割です。また、65歳から74歳の割合では、市町村国保が4割と高い比率で、医療費では協会けんぽ、組合健保の倍を超えるものの、平均所得は半分となっており、国保加入者の負担が重くなっています。
政府は、世論と運動や地方からの要請を受け、国保料の算定に当たり、国からの財政支援を計上し、区市町村がこれまで行ってきた国保会計への法定外繰り入れの継続を認めるなど、都道府県に対し国民健康保険料が新制度導入によって高騰することがないよう、激変緩和対策を行うことになりました。東京都は、市町村や特別区長会などの申し入れや世論の反映で14億円の法定外繰り入れを行いましたが、1人当たりに計算すると、わずか年400円です。区の繰入額は約30億円ですが、まだまだ足りません。国保加入者の所得が改善しないもとで、高齢者や非正規雇用者への国保料の負担は生活をますます圧迫するものです。
2月17日、大田区国民健康保険運営協議会で答申した金額は1人当たり平均12万1988円、前年度より3547円の負担増です。介護分は年平均3万3191円、前年度より2232円増です。これ以上の負担増にしないよう国、東京都に求めるとともに、国民健康保険料はさらなる一般財源から繰り入れをして、大田区が保険料の引き下げを行うことです。お答えください。
日本共産党の倉林明子議員は、昨年12月5日の国会質問で、地方六団体などから出ている子どもの医療費助成にかかわるペナルティーの解消について質問しました。自治体が子ども医療費助成を行うと国保への交付金が減らされるペナルティーについて、政府は来年度から未就学児については減額調整を見直すとしました。見直しを知らせる厚労省の通知には、見直しにより生じた財源はほかの少子化対策に充てるようにと書かれていますが、倉林明子参議院議員の質問に、「自治体がさらなる医療費助成の拡充に活用することを禁止するものでない。自治体みずから適切に判断していただくことを想定した通知だ」と答えています。
大田区は、このペナルティーの一部解消で生じた財源約4054万円でさらなる年齢の拡大の一部に使うこと、また、国に対して、就学児以降もペナルティーを解消し、減額調整を見直すよう求めることです。お答えください。
次に、介護の問題です。
2015年に続き、介護保険2017年改革は、要支援1・2の方々への予防給付を自治体が独自に実施する新総合事業へ変更する内容です。既に地域の方々から「ヘルパーさんの派遣が受けられなくなる」「アパートの2階に住んでいる。おむつを使うようになって、45リットルのごみ袋にいっぱい入った重いごみを自分で持って階段を下りてごみ出しするのは無理」「ご近所の方に頼みなさいって言ったって、誰に頼むのよ」「500円出せば来てくれるって言っているけど、ごみを集めに来る時間までに来れないって」、また、「週1回デイサービスに行って歩行の訓練と自転車こぎをしていたの。やっぱり歩くのが大変になっているからデイサービスに行くのは大切」など、要支援1・2が介護からの追い出しによって、利用者や事業者にとって、もう既に混乱が始まっています。
国の介護保険制度2017年改革では、第1の柱、介護保険制度の持続可能性の確保として、現役並み所得者の利用料3割負担や介護納付金に対する総報酬割導入、第2の柱は、地域包括ケアシステムの深化・推進として、自立支援・重度化防止に向けた保険者機能の強化などの二つの柱で具体化されています。この背景には、第1に、利用料3割化など給付と負担の見直し、第2に、病床削減の受け皿として地域包括ケアを構築し、入院から在宅へ、医療から介護へ、介護からボランティアへの医療・介護の一体改革、第3に、これまで高齢者のみを対象としていた現在の地域包括ケアを、障がい者、子どもも含め、全世代に対応する地域包括ケアに転換させる福祉のあり方の見直しの三つの政策があります。2016年、政府が打ち出した「我が事・丸ごと」地域共生社会構想です。福祉領域における公的給付を住民全体の互助に置き換えていくものであり、新たな全世代型地域包括ケアが位置づけられました。
さらに国は、自立支援の名のもとに、生活援助の介護報酬引き下げ、利用回数の多い頻回利用者は地域ケア会議にかけるなどして利用削減をさらに狙っています。また、要介護1・2に認定された人を介護保険から外すことを2019年末までに検討するとしています。国の改悪に立ち向かうことが大田区に求められます。
まず、保険料の問題です。介護保険料の値上げは高齢者の生活を圧迫します。先に述べたように、介護保険料を納めているのに介護外しで介護が受けられない高齢者が出てきます。大田区は第6期事業で約5億6000万円基金を繰り入れたものの、特別会計第2次補正で20億円残すことが明らかになりました。20億円あれば低所得者の支援や介護保険料引き下げの負担軽減ができます。
2018年度から第7期介護保険事業が策定され、大田区では新たな介護保険料がこの議会に提案されます。介護保険制度が始まった2000年から3年ごと毎回引き上げられ、基準額3070円から6000円にほぼ倍の値上げです。保険料の値上げをしないことを求めます。お答えください。
次に、特養ホーム待機者の問題です。老老介護、80歳の親を50歳の息子が介護するなどという言葉が使われています。とっても元気があった80歳の奥さんが、母親、姉や弟を相次いで亡くされ、うつ状態が激しくなりました。2年ぐらいは自宅で訪問介護を利用しながら、ご主人が見ておられましたが、せっぱ詰まって有料老人ホームに奥さんを入所させました。「あと2年ぐらいは貯金を取り崩してもつかもしれないけど、特養ホームに入りたい」、同じように「自宅では見きれなくなった。どうしようもなくなって、息子に少し手伝ってもらって有料老人ホームに入れた。入所金300万円、月23万円かかる。特養ホームに入れないか」「国民年金でも入れるようなところはないか」など相談が相次いでいます。特養ホームの増設は待ったなしです。
党区議団は、常に特養ホーム増設で待機者ゼロにすることを提案していますが、国有地、都有地、区有地の確保を大田区が進めることです。また、区の資料、要介護4の場合では、今年4月開設予定のケアホーム千鳥含む区内特養ホーム18か所のうち9か所は月額利用料金12万8760円から16万5990円で、とても高い金額になっています。減免制度の拡大を国に求めるとともに、大田区としても独自に支援することを求めます。お答えください。
次に、子どもの問題です。
安倍首相は消費税増税分の一部を教育無償化に使うことを総選挙に掲げましたが、生産性革命、人づくり革命を柱に今後の経済政策を行うとして、幼児教育の無償化の実施時期は、消費税率引き上げの時期との関係で増収額に合わせ、2019年4月から一部をスタートし、2020年から全面的に実施とするなど許せないものです。「子どもの貧困」という言葉がメディアで注目されるようになって4年、なぜ貧困なのか改善されないまま、国は子どもの貧困対策の推進に関する法律や大綱を作成、しかし、その背景にある親の所得の低さ、親がワーキングプアの状態であるのに親への所得再配分政策がないまま進んでいるので、子ども食堂、無料塾など学習支援、フードバンク等、善意に頼ることで解決にはなっていません。雇用政策や社会保障政策での解決が求められるものです。
また、国の奨学金を返せず自己破産するケースが、借りた本人だけでなく親族にも広がっていることが報道されました。荒川区では返済免除要件の緩和が行われ、卒業後、区内に5年間在住、うち2年間区民税を納めた場合、返済を免除するなど支援策が広がっていますので、さらなる大田区の拡充を求めます。
大田区では、小学5年生とその保護者全員にアンケートを行い、「おおた子どもの生活応援プラン」を発表しました。東京都も首都大学東京と協力し子ども実態調査を行い、子どもの2割以上が生活困難層がいることを明らかにしました。「1日の食事は学校の給食だけ」「それなら週1度でもおいしい食事を」と子ども食堂がニュースで流れます。日本共産党の星見都議は、親の長時間労働などで孤食を強いられている子どもたちが増えていることを捉え、子ども食堂支援強化を求め、都知事は「子ども食堂のような取り組みが進むよう、しっかり支援していく」と答えて、1月に予算化しています。4月から、支援の内容は、子ども食堂に東京都が自治体を通じて10分の10補助、1回1万円、年24万円という内容です。東京都が補助することを関係者に周知徹底することを求めます。
区長は定例会挨拶で、子ども食堂について、「区は、『社会的包摂』のもと、世代や立場を超えて、身近な人間同士が支え合う温かい支援の輪を広げるとともに、子どもと保護者の自立を支援する取り組みを進めてまいります」と述べています。各子ども食堂の実情をよく聞いて、大田区としても運営費補助をして応援することです。お答えください。
卒業、入学のシーズンを迎えました。「子どもが区立中学生になるので制服の購入に行ったら、制服上下、夏服、ベスト、ネクタイ、かばん、体操着などで9万円かかって払いきれず、後で払うことにして帰ってきました」と、びっくりしていました。大田区では、区立小学校、中学校の就学援助の入学準備金の前倒し支給を踏み出したことは区民の皆さんからも喜ばれており、そして党区議団は6年前から提案しており、大きく評価するものです。貧困対策としてもとても大切です。
しかし、入学準備金の支給額、小学1年生2万3210円、中学1年生2万6120円では全く足りません。豊島区などのように増額することを求めます。また、国は生活保護費を削減しようとしており、就学援助が影響を受けます。子どもの貧困が社会的な問題になる中で、国の引き下げは許せませんし、区は、これまで行ってきたように、子どもたちに影響が出ないようにすることです。さらに、生活保護基準の1.3倍や就学援助費の中に眼鏡、部活動費、教材費など来年度予算に大田区が拡充することを求めます。お答えください。
以上で質問を終わります。(拍手)
○大森 議長 理事者の答弁を求めます。
◎松原 区長 菅谷議員の代表質問に順次お答えをさせていただきたいと思います。
まず、平和首長会議に関するご質問ですが、区は、昭和59年に世界の恒久平和と人類の永遠の繁栄を願い、平和都市宣言をいたしました。平和都市宣言の趣旨を実現するため、これまでも平和都市宣言記念事業「花火の祭典」をはじめとする様々な事業の取り組みを進めております。また、平和都市宣言を行った大田区の区長として平和首長会議に出席しております。平和都市宣言を行った区の責務は、区民の皆様とともに平和の尊さについて考え、次の世代に語り継ぎ、平和な世界を築いていくことであります。引き続き、平和都市実現のため、基礎自治体としての立場で平和関連事業に取り組んでまいります。
次に、平和都市宣言を行っている立場で国への働きかけに関するご質問ですが、昭和59年、区は平和都市宣言をいたしました。平和都市宣言の中では、「平和という人類共通の願いをこめて大田区は平和憲法を擁護し核兵器のない平和都市であることを宣言する」と憲法擁護についてうたっております。その上で、区は、基礎自治体として平和関連事業に取り組むことこそが区の果たすべき重要な責務であると考え、平和都市実現に向け着実に歩みを進めてまいります。
次に、生活保護制度に関するご質問でございますが、本制度は、全ての国民に対して健康で文化的な最低限度の生活を保障する第三のセーフティネットとして、社会保障制度の一つに位置づけられております。生活保護費の見直しに当たりましては、国において、国民の消費動向等、社会経済情勢を総合的に勘案したうえで、国民の最低生活を保障しつつ、自立の助長をより一層図る観点から検討されております。大田区におきましては、引き続き生活保護行政を適切に実施してまいります。
次に、平成30年度予算編成における事業の廃止・縮小に関するご質問でございますが、様々な区政課題を解決していくためには、限りのある財源を効果的・効率的に配分していくことが必要であります。そのため、区は平成30年度予算編成において、区民目線に立った事業の見直し・再構築を行うことによる「選択と集中」をオール大田で一丸となって取り組みました。具体的には、「生涯を通して誰もが健やかに、安心して暮らせるまちづくり」など、優先すべき四つの重点課題を掲げ、一般財源への影響を踏まえた新規要求事業等の財源捻出、施策評価区長ヒアリングと予算の連動、経営改革の取り組み、部間連携の強化といった視点を持って、選択と集中を徹底した予算編成を行いました。本予算をもとに、平成30年度も引き続き区民生活の向上に資する各種事業を着実に推進してまいります。
次に、平成30年度予算における区民の健康・福祉や産業振興などに関する取り組みについてのご質問ですが、区は、平成30年度予算編成に当たって、優先的に対応すべき四つの重点課題を掲げ、区民生活や区内経済を守るための事業に取り組むことにしております。健康・福祉・医療の分野では、未曽有の高齢社会の進展を踏まえ、地域ぐるみのフレイル予防や、大田区国民健康保険第2期データヘルス計画に基づく保健事業を実施し、平成30年度は新たにかかりつけ医の検査データ活用による特定健康診査を実施いたします。産業分野では、商店街エリアサポーター事業として、商店街活性化の専門家が商店街や個店グループの課題に合わせた専門家集団を派遣し、コンサルティング等を行うことで、エリア全体の活性化につなげる取り組みを実施してまいります。また、工業集積の維持・強化に向けて、区内で操業を希望する企業が事業規模の拡張や事業の高度化のために行う工場の新設・移転等にかかわる経費の助成について、さらに使いやすいものといたします。その結果、平成30年度一般会計歳出予算における福祉費は、前年度当初予算比で約57億円、産業経済費は約5億円の増額となっております。
区民サービス向上のためには、ハード・ソフト両面から限られた財源をバランスよく配分することが重要でございます。こうした視点から、福祉・医療分野や産業振興に向けた取り組みにとどまらず、今後も引き続き区を取り巻く様々な分野における課題に対して積極果敢に取り組んでまいります。
次に、羽田空港跡地についてのご質問にお答えいたします。跡地第1ゾーンの取得に関しましては、これまで何回かご説明申し上げているところでございますが、跡地については、昭和56年に当時の運輸省、東京都、大田区、品川両区により、東京都が取得する方法と時期について、関係機関との調整を踏まえ別途協議する旨、確認されておりましたが、その後、平成22年10月に国土交通省、東京都、地元区である大田、品川の三者で構成された羽田空港移転問題協議会により「羽田空港跡地まちづくり推進計画」が策定され、それまでの議論を踏まえ、「第1ゾーンについては、主に大田区が過去の経緯を踏まえて取得する方向で検討する」とされたものでございます。
また、跡地利用におきましても、この「羽田空港跡地まちづくり推進計画」に基づき、区が平成27年7月に策定した「羽田空港跡地第1ゾーン整備方針」など、これまでの経過、計画等を踏まえ、世界と地域をつなぐ新産業創造・発信拠点を形成するという理念のもとに事業を進めているところでございます。区といたしましては、引き続き、2020年のまちづくり概成を目指して跡地第1ゾーンのまちづくりを進めてまいります。
次に、平成30年度予算編成に関するご質問でございますが、区は、平成30年度予算編成に当たり、限られた財源を有効に活用する「選択と集中」の考え方を基本に、「次代を担う子どもたちの育ちを、切れ目なく応援する取り組み」、「まちの魅力を磨き、世界に輝く国際都市おおたを創造・発信する取り組み」など、四つの重点課題を設定し、特に優先的に取り組むこととしております。具体的には、待機児童の解消や超高齢社会への備え、様々な産業振興施策など、区政を取り巻く喫緊の課題に積極的に対応してまいります。あわせて、公共施設の機能更新や羽田空港跡地をはじめとしたまちづくりなど、にぎわいと活力の創出に向けた取り組みを進めることで、区民生活のさらなる向上につなげてまいります。このように、平成30年度は、これまでに引き続き、ソフト・ハード両面において、区民の皆様にとって必要な施策を着実に推進することで、「暮らしてよし、訪れてよし、地域力あふれる 国際都市おおた」を実現してまいります。
次に、区立保育園の民営化と正規職員に関するご質問でございますが、区立直営園につきましては、拠点園として特別出張所管内におおむね1園の計18園を残し、順次民営化していく方針に変更はございません。また、区の保育士については、今後も退職者の状況を踏まえ、計画的な採用を行い、役割や業務に応じた必要な人員を適切に配置してまいります。
次に、認可保育園の申請状況とその数に見合う整備についてのご質問でございますが、現在、一次申請分の結果が出た段階でございますが、申込者数は5332人、保留数は1756人となっております。なお、待機児童数につきましては、二次申請結果などに基づき算定いたしますので、現時点では未確定でございます。施設整備に当たりましては、申請状況や待機児童数などに加え、新たに妊娠届を出された方の就労状況や地域分布などを分析したうえで計画をしております。引き続き、認可保育園をはじめ小規模保育所などを組み合わせた整備を進めながら、待機児童解消を目指してまいります。
次に、大森西地区の都有地活用についてのご質問でございますが、平成29年4月の大森西地区の待機児童数は42名と、特別出張所別では4番目に多い地区となっております。これを踏まえまして、平成29年度は大森西地区に2施設86名分の定員拡充を図りました。また、平成30年度においても新たな開設に向けた計画を進めているところでございます。東京都は、平成28年9月に待機児童解消に向けた緊急対策として都有地活用推進本部を設置し、各自治体に対し都有地活用の情報提供を行っています。東京都全体で活用された6件のうち、1件が鵜の木の都有地となっております。引き続き、お話しいただいた物件に限らず、東京都と連携を図りながら、必要に応じた都有地活用を検討してまいります。
次に、国民健康保険料についてのご質問でございますが、平成30年度から、制度改革により、国保の財政基盤を強化するため財政赤字に見合う公費が投入され、都道府県が区市町村とともに保険者となって財政運営の責任主体となり、制度の安定化を図ります。新しい仕組みによる区市町村ごとの納付金額と標準保険料率が公表されております。納付金額や標準保険料率は医療費水準や所得水準に応じて算出されるため、区にとっては厳しい数字が東京都から示されております。区は、国民皆保険の基盤を支える国民健康保険事業を責任を持って運営する保険者として、この状況に真剣に向き合っていかなければならないと考えております。
平成30年度の特別区国保料につきましては、納付金方式の導入を踏まえた料率を検討し、国保制度改革による将来的な方向性に沿い、新しい方式に段階的に移行すべく、原則的に23区統一で対応してまいります。平成30年度の特別区共通基準に基づく保険料率の算定では、国と東京都の激変緩和措置に加え、特別区独自の激変緩和措置を行います。激変緩和措置の期間を目途に、法定外繰り入れの縮減・解消を段階的に行ってまいります。国、東京都に対しては、23区として財政支援を求めております。特別区共通基準に基づく国民健康保険料率の算出に当たりましては、被保険者が減少する中で医療費が増えている状況のもと、被保険者の皆様の過大な負担とならないよう、十分に検討を重ねたものでございます。一般会計からの繰り入れを増やすことによる独自の保険料の引き下げは考えておりません。
次に、子ども医療費助成制度の年齢拡大についてのご質問ですが、国保制度の見直しによる財源は、さらなる医療費助成の拡大ではなく、妊娠期から子育て期までの切れ目のない子育て支援体制の拡充に充てるべきとされております。区における子どもに対する医療費助成は、これまで国制度の6歳までの一部負担金の減額に上乗せをして、15歳までの窓口負担額を全額助成するとともに、所得制限を撤廃するなど医療費助成制度の拡充に努めてまいりました。また、ひとり親家庭や障害、難病など、真に必要な家庭の18歳までの児童に対しては、他の制度において医療費助成が行われております。このようなことから、区の子ども医療費助成制度における年齢の拡大は考えておりません。なお、子ども医療費助成に係る国保の減額調整措置の廃止については、既に全国知事会、全国市長会が自治体の総意として国に要望しているところでございます。
次に、第7期介護保険事業計画の介護保険料についてでございますが、介護保険料は、介護保険事業計画の期間中における要支援・要介護認定数や介護保険施設の整備状況などから、保険給付費及び地域支援事業費の見込み額を推計し、保険料を算出しております。第7期介護保険事業計画においては、介護サービスを必要とする方の割合が高まる75歳以上の高齢者が大幅に増加しております。こうした介護需要の増加に伴う介護給付費の自然増とともに、介護報酬の0.54%の引き上げや、介護給付費等に対する第1号被保険者の負担割合が22%から23%に拡充される等の上昇要因を踏まえ、介護給付費等は1650億円を見込んでおります。一方、保険料の上昇を最小限に抑制するため、介護給付費準備基金の活用や高所得段階における基準額に対する比率の引き上げ等を行い、保険料基本月額を6000円に設定し、今定例会に大田区
介護保険条例の一部を改正する条例案を提出いたしました。今後とも、保険料と公費を財源とした介護保険事業の安定的な制度運営に努めてまいります。
次に、特別養護老人ホームについてのご質問ですが、区は、第6期介護保険事業計画に基づき、3年間で4施設225床の特別養護老人ホームを開設しました。さらに、現在、2施設159床の準備を進めております。これらの整備は、国有地の情報を区が事業者に提供するなど、用地確保に向けた支援を行いながら進めたものです。利用料金については、低所得の方を対象に、その所得に応じた自己負担額が定められ、差額分は介護保険の制度として給付されています。また、国の制度として社会福祉法人が実施する利用者負担軽減制度の対象者に対して、区はさらに負担軽減策を上乗せすることで自己負担額の軽減を図るとともに、制度参入法人への助成も実施しております。区は、これらの軽減制度を継続してまいります。