また、推進計画に基づき、国土交通省、東京都、大田区は、十分に連携を図りながら施設の立地を促進するものとするとも記されており、当区としましては、この推進計画を踏まえ、空港跡地のまちづくりを進め、この7月に
羽田空港跡地第1ゾーン整備方針の策定に至ったものでございます。
羽田空港跡地のまちづくりの結果として、羽田空港を擁する大田区が、そのポテンシャルを区の発展に生かすということが求められます。
また、都も含めた広域的な波及効果が考えられることから、国や東京都などとも連携したまちづくりを進めてまいりたいと考えてございます。
◆奈須 委員 大田区は歴史的経緯というわけですけれども、中身は本当に歴史的経緯を踏まえていると言えるのでしょうか。大田区はみずから行うというわけですが、それでは果たしてできるでしょうか。
大田区が9月29日の東京都
都市再生分科会で、羽田の沖合拡張に伴い生じた内陸側の跡地の
都市計画素案を示したと報道されました。記事では、いつの間に沖合展開と呼ぶようになった空港の沖合移転が、とうとう沖合拡張に変わってしまっていますが、日本経済新聞ですから、経済界の要請がより濃くあらわれているのかもしれません。
さて、跡地で行われる
土地区画整理は、道路、公園、河川などの公共施設等を整備改善し、土地の区画を整えて宅地の利用の増進を図る事業です。現時点で、跡地の所有権は裁判で係争中で確定していませんが、大田区は跡地を購入するとし、当然大田区も施工者になれますが、
区画整理事業はURにさせると言います。
一地権者であれば、権利関係もシンプルで調整も必要ありませんから、大田区が粛々と道路・公園・広場など公共施設を整備すればいいと考えますが、施工者としてURが加わることによる余計な手数料で、区民の負担が大きくなりはしないでしょうか。
仮に、
区画整理事業のノウハウをURに頼らなければならない大田区の手に余る事業であれば、それこそ東京都や国に跡地は任せるべきではないでしょうか。
しかも、
通常区画整理は、大田区民の意見を求めた後、
都市計画審議会に諮って素案ができ上がり、それを東京都に提出する流れですが、新聞報道にあったように、大田区は、区民に意見を求めてもいなければ、
都市計画審議会にもかけていない計画を素案として、直接東京都に提出しています。
私も委員である大田区
議会羽田空港対策特別委員会にも、この件については、委員会資料が配付されたばかりで、跡地の
区画整理事業について次回詳しく大田区から説明を受けることになっている段階で、大田区の
都市計画手続を経ないことすら説明されていません。跡地の
開発計画素案がこれまでの手続と比べれば、大田区民、
都市計画審議会、大田区議会との合意形成がないまま、大田区が勝手につくった計画ということになります。
この間、まちづくりにおける住民参画の仕組みは、法改正を経ながら少しずつ整ってきていますが、今回の跡地開発における、この時代に逆行する流れに大きな衝撃を受けています。
なぜこのようなことが起きたかと言えば、
区画整理事業における
都市計画手続の省略、
国家戦略特別区域法の21条、
国家戦略特別区域会議や特定事業として特区内で海外投資を呼び込める整備をする事業を
内閣総理大臣に申請し、認定されれば、
都市計画決定や変更が行われたとみなすを使った規制緩和が行われているからです。
国家戦略特区法は、規制緩和による経済政策を推進させるための法律で、TPPの既成事実化と私は位置づけてきました。TPPは、国と国との間の条約ですが、国内で発効するためには法整備が必要だからです。
意思決定の仕組みは、これまでの
議会制民主主義とは大きく異なり、法で民間事業者が過半数以上と定められている
国家戦略特別区域諮問会議と、規制緩和により経済利益を受ける民間事業者が、都度民間議員として加わることのできる特区ごとに設置された
国家戦略特別区域会議に、大きな権限が与えられています。
この仕組みを提案した
人材派遣会社パソナの会長竹中平蔵氏は、法律論上は難しい問題を含んでいるとしながらも、ミニ独立政府ができたと発言しています。
私は、特区の地方自治体に適用する法律は、その自治体の住民投票によって過半数の賛成がなければ制定できないという、憲法95条違反であると考えています。確かに規制緩和により投資利益の回収期間が短期化し、投資先が拡大し、
投資コストスパンが減るのは投資家や事業者にとっては大歓迎で、跡地の
都市計画決定など民主主義の
合意形成手続も、無駄な規制と捉えられるのかもしれません。
しかし、今回この
区画整理事業など
都市計画決定手続や旅館業法、医療機器認可など規制緩和を求めたのは、経済利益を追求する民間事業者ではなく、70万人の区民の福祉の責務を担う大田区です。
そこで伺います。跡地の都市計画案が東京都に提出されたと聞いていますが、大田区
都市計画審議会での審議を経ていません。特区の仕組みを使い、何が規制緩和されたか、このことによる事業者のメリットとは何か、区民のメリットとは何かをお答えください。
また、今後
都市計画審議会にかけるべき事案が、規模が大きく、事業者の利益の大きな住民に影響のあるものほどかけられなくなる可能性があります。大田区は、都市計画における大田区
都市計画審議会を無用と考えているのでしょうか。
◎中村
空港基盤担当課長 土地区画整理事業を実施する場合には、あらかじめ、その施行範囲について都市計画の決定が必要となります。
都市計画法の特例措置は、
特別区域計画に記載し、
内閣総理大臣の認定を受けることにより、都市計画の決定がなされたとみなすものでございます。
そこで、先月29日に、
東京圏国家戦略特別区域会議のもとに設置された東京都
都市再生分科会が開催され、都市計画法の特例などについて審議していただきました。
当該特例を活用した場合でも、大田区
都市計画審議会に諮問し、審議会に審議していただくことになっております。また、都市計画にかかる住民への説明会の開催や都市計画案の公告・縦覧及び意見書の提出など、住民の意見を適切に反映できるようになっております。
当該特例の活用により、事業をスピーディーに展開していくことで、産業交流など、地域の活性化をもたらすまちづくりを着実に進めていくことが可能となります。
◆奈須 委員 けさ、大筋合意と報道されているTPPには、一旦行った規制緩和を戻すことができない
ラチェット条項が含まれていると言われています。このままTPPが締結されれば、
都市計画手続の簡素化が定着してしまうわけです。
百歩譲って、事業者が
区画整理事業の簡素化を求めたとしても、大田区は住民の立場で行動すべきで、それが不可能だとしても、申請前に大田区として何らかの形での合意形成をすべきではなかったのでしょうか。
そこで気になるのが、
増便飛行ルート変更のもとになっている、
首都圏空港機能強化と
国家戦略特区との関係です。
羽田空港D滑走路建設時に行われた
環境アセスメントですが、今回の増便と
飛行ルート変更に伴う環境影響は、法が定める空港の新設でも延長でもないから、行わないそうです。
そこで伺います。D滑走路の建設の際、
環境アセスメントを行ったことにより大田区民にとってどのようなメリットがありましたか。また、そのときどれぐらいの期間が
環境アセスメントに費やされたでしょうか。
◎近藤 環境・
地球温暖化対策課長 環境アセスメントでございますけれども、
環境影響評価法と東京都
環境影響評価条例に基づいて、大規模な開発事業を実施する際に、あらかじめその事業が環境に与える影響を予測、評価し、その結果を事業内容の決定に反映させるものでございます。
これにより、回復困難な環境の喪失が起こることを未然に防止し、現在及び将来の区民の健康で文化的な生活を確保することとされております。D滑走路の
環境影響評価法の手続は、平成16年10月から平成18年6月まで、およそ1年9か月でございました。
◆奈須 委員
D滑走路建設に伴う
環境アセスメントの際に、当時の大田区長は、例えば大気汚染について、硫黄酸化物、ベンゼン、ダイオキシンなどを測定項目に加えたり、
航空機騒音測定地点として、城南島、西六郷、調布地域を新たに加えるなどの意見を都知事に回答することで、区民の健康や生活環境を守ろうとしたことがわかります。
環境アセスメントの地方自治体の意義がここにあるわけですが、それでは
首都圏機能強化小委員会で2020年以降に検討とされ、さまざまな場面で声が上がっている第5滑走路建設の
環境アセスメントはどうなるのでしょう。
区画整理事業の合意手続さえ無駄な規制と捉え、償却するのは特区ですから非常に心配です。
国家戦略特区を検討する初回、平成25年のワーキンググループの資料には、
都市計画手続、
環境アセスメントの簡素化が盛り込まれています。しかもこの資料は、
国家戦略特区を提案した竹中平蔵氏が取りまとめています。さらに調べてみたところ、平成26年東京商工会議所が
国家戦略特区に対し、次のような意見を述べている文書を見つけました。
首都圏空港における国際線需要が、2012年度から2022年度の10年間で約6から8割増加する見込みで、2022年度には約75万回の容量の限界に達する見通しとなっている。そうした中、2020年
東京オリンピック・パラリンピックを見据えて、羽田空港の5本目の新滑走路建設に向けた検討がなされていたが、
環境アセスメント等に要する時間から、2020年までの建設は難しい状況になっている。こうした状況に鑑みて、羽田空港の新滑走路など、東京の
国際競争力強化に直結する重要な基盤については、地元住民や環境への配慮もしつつ、
環境アセスメント等を迅速に実施し、早期整備を図ることが望ましい。また、現状において羽田空港の容量をさらに拡大するために、都心上空の飛行の解禁や官制方式の見直し、アクセスを含め
利用者ニーズに応じた空港の深夜における魅力、利便性向上などあらゆる方策を検討し、実行に移すことが期待される。
羽田空港新滑走路等の整備を前提に、増便、さらに新滑走路の
環境アセスメント等の迅速化を求めているわけです。
2020年まで
環境アセスメント実施は難しいから、羽田空港の増便と
飛行ルート変更は、都心上空飛行の解禁や官制方式を見直すこと、深夜便を飛ばすことなど、あらゆる方策をとって実行してくださいという発言は、品川区は、ホームページで公表していた新滑走路設置まで現状の飛行ルートの増便での対応はできないのかと呼応しているように見えます。
そこで伺います。第5滑走路建設ということになった場合、
環境アセスメントは行うのでしょうか。
◎近藤 環境・
地球温暖化対策課長 仮定の話なのでお答えしかねますが、法令によれば、
環境影響評価法では、飛行場に関して、第1種事業では滑走路長2,500メートル以上、第2種事業では滑走路長1,875メートルから2,500メートルのものが対象となります。
また、東京都の
環境影響評価条例では、滑走路の新設は全て対象になります。
これらに該当する場合には、対象事業を実施する事業者が
環境アセスメントを行うことになります。
◆奈須 委員 現行の法令であれば、2,500メートル以上の滑走路の新設などがあった場合には、
環境アセスメントが行われるということになるわけです。
国家戦略特区の仕組みから言えば、特区内で規制緩和による事業を行い、利益を得ようとする事業者が提案し規制緩和が進むのですから、第5滑走路建設時に
環境アセスメントが迅速化・簡素化されてしまわないか、非常に心配です。
規制改革という言葉の使い方からして、規制を無駄なものと捉え、規制をなくすことをよしとする風潮になっていますが、総務省の規制の事前評価の実施に関する
ガイドラインを引用するまでもなく、規制は、社会秩序の維持、生命の安全、環境の保全、消費者の保護など、行政目的のため国民の権利や自由を制限し、または国民に義務を課すものです。だからこの
ガイドラインでも規制の新設や改廃にあたっては、発生する効果や負担を予測することで規制の必要性やあり得る影響について、国民や関係者に関して情報を提供して、説明責任を果たす必要があると言っています。
それでは、この跡地の
区画整理事業の手続の簡素化をはじめ、特区を使った規制緩和による区民への影響を大田区が示したでしょうか。そもそも大田区や行政は何のため、都市計画、衛生、防火、医療などの規制を行い、どのようなまちづくりを目指しているのでしょう。
そこで伺います。区政の根幹にかかわる重要な問題ですから、本当は区長に答えていただきたかったわけですが、今日は区長がご出席でないということですから、区長がお答えいただけると非常にありがたいのですが、今まで指摘をさせていただいてきたこの特区による規制緩和、撤廃による区民生活への影響、デメリットというものをどう踏まえて、今回の特区の跡地の開発であったり、あるいは先日新聞報道もされました民泊の規制緩和といったものについて取り組んでいるのでしょうか。デメリット、メリットをどう踏まえて評価しているのか、お答えください。
◎今井 政策課長
国家戦略特区の目的は、経済社会の構造改革を重点的に推進し、産業の国際競争力を強化するとともに、国際的な経済活動の拠点を形成することです。
特区にはさまざまなメニューがありますが、その中で、大田区の施策の方向性に合致し、区の施策を効果的に推進するものにつきまして、区として主体的に提案をしております。
まず、空港跡地の活用につきましては、おおた未来プランや大田区
企業立地促進計画などに基づき、
区内ものづくり企業の集積・維持・発展とともに、区内経済の活性化はもちろん、広域的な波及効果が期待できるため、特区制度を活用しながら区として推進しております。
課題としましては、効果的な事業手法の導入などによって、区内経済にいかに波及させていくかといったことなどがあります。
医工連携の提案につきましては、区内に存在しております革新的な医療器具が広く使われるようになれば、多くの命が救われるとともに、その製造にかかわる
区内ものづくり企業も新たなビジネスチャンスを得ることができると考え、医工連携を推進する立場から、区として進めているところです。
薬事承認の短縮による安全性の確保につきましては、安全性と有効性が監督官庁によって確認できた場合に限られますので、あくまで安全性が確保される仕組みを前提として提案するものです。
旅館業法の特例につきましては、
外国人来訪者が増え、宿泊施設の不足が見込まれる中、安全性や衛生面に配慮した滞在施設を提供することで、地域の活性化や観光の振興につなげていくことができるものと考えております。
課題としましては、区民への十分な周知や宿泊業に関する実態を把握するとともに、違法性に懸念のある事例について、立入調査や警察・
消防等関連機関との連携などによりまして、的確に対応し、安全・安心と、今後増加する外国人等の滞在施設を確保する環境づくりを進めることが課題と認識しております。
このように特区の活用につきましては、区民生活の影響を考慮しながら、特区の仕組みを最大限活用し、区民福祉の向上を図っていくことが重要と考えております。
◆奈須 委員 先ほども質問の中で触れましたように、総務省の
ガイドラインに書いてあることを言うまでもなく、規制というのは、社会の秩序や生命、安全、環境の保全ということをやっているわけですね。だから、法律、条例があって、規制を緩和するということは、規制の一部をなくしたり、あるいは撤廃したりするということですから、どういうことが起きるかと言えば、無法地帯をつくるということになるわけです。
それを経済のためとおっしゃっているわけですけれども、では、これまで法で守られてきた社会の秩序や生命の安全、環境の保全といったことはどうなるのかということをきちんと大田区が考えた上で、特区による規制緩和を進めていかなければ、区民生活は、そのことによって誰からも守られない状況になってしまうのではないかという懸念があるわけですが。それを周知すればいいというのは、これまで法令によって行政が行わってきたことに対する全面否定ではないかと、私は考えます。
医工連携といいますが、医療機器の認可が早まることによって安全性がどうなるのか、あるいは医療機器をどんどん使うことによって、それが医療費に転嫁をされ、国民の医療費負担が増えるのではないかといった議論はたくさん行われているわけですね。
こういったことがあるので、私のほうでも、今回の旅館業法の特例について大田区が条例をつくることで、民泊に懸念される安全や安心が解消できるのかということについて考えてみました。あるいは現在営業している旅館業者の皆さんが、事業の振興や売り上げ増につながっていくのかということです。
厚生労働省の旅館業法の概要によれば、旅館業というのは、宿泊料を受けて人を宿泊させる営業で、生活の本拠を置くような場合、例えばアパートや間借り部屋などは貸部屋業・貸し家業であって、旅館業には含まれないとなっているのです。
ところが、皆様ご存じのように、一方で旅館業法というのは、
簡易宿泊所営業や下宿営業を対象としています。川崎の簡易宿泊所の火災で明らかになったように、これらは低所得者や
生活保護受給者の、仮という言葉がついていますけれども、住まいとなっているのが実態なわけです。
民泊と
オリンピック開催を引き合いに、外国人の観光客のためにというわけですけれども、旅館業法の対象となりながら、安全面や衛生面、プライバシーなど、さまざまな問題があることが明らかになっているドヤと呼ばれる簡易宿泊所などは、政令市である川崎市でも指導し切れずに、死亡者を10名も出す火災を起こしてしまったという悲惨な出来事に至っています。
これをさらに大田区で規制を緩和して、どれほどの観光客が旅行中の、最低でも7泊、京都や北海道など人気の滞在先もあるわけですが、大田区を滞在先に選ぶのでしょうか。
一方、今年7月に
国家戦略特区法の改正で、外国人の在留資格要件が緩和されました。これによって、直接雇用されたフルタイムの
外国人労働者が最長で3年間、在留資格なしで働けるようになるのです。
8月27日の日本経済新聞がトップで扱った
外国人家事代行の記事で注目すべきは、
外国人労働者をパソナなど
人材派遣業者が担うことを想定するとともに、労働者の派遣先での住み込みを禁じて、
人材派遣会社が住居を確保する規定を盛り込みました。
今後、ほぼオリンピックまでの3年間、
外国人労働者はパソナなど
人材派遣会社を通じてしか日本で働けず、
人材派遣会社が用意したところにしか住めないルールになっています。となると、旅館業法の緩和は、旅館業を営んでいらっしゃる方たちのためというより、特区を提案した竹中平蔵氏が会長を務める
人材派遣会社などとの関係で見たほうがよいのではないでしょうか。
安い労働力と位置づけられた
外国人労働者が、住居費、社会保険を含めた
総額人件費コストとして管理される一連のシステムが見えてきはしないでしょうか。確かに雇用する企業にとっては、さらなるコストの軽減につながるかもしれませんが、日本の雇用環境はどうなるのでしょう。こうした状況があるわけですけれども、こうした影響も踏まえて、この特区についての規制緩和の問題を取り上げるべきだと思いますが。
繰り返しお伺いしますが、評価はどうなっているのでしょうか。
◎今井 政策課長 特区制度は、さまざまなメニューがありますが、大田区が関係しているメニュー・提案事業につきましての評価は、先ほど申し上げましたとおりです。
◆奈須 委員 今後この制度が進むにあたって、今ご答弁をいただいたこと、私の疑問点についても明らかになっていくのではないかと考えます。
○松原〔秀〕 委員長 次に、改革、質疑願います。
◆湯本 委員 本日は、都市整備費についてお伺いをいたします。
大田区を取り巻く環境は、羽田空港の国際化に伴い、大きく変わりつつあります。空港機能の強化に合わせて、物流機能の強化、そして港湾機能の強化を図り、都市機能の強化を国策として、あるいは東京都の施策としてさまざまに進められております。
また、大田区としても、
オリンピック開催を契機として
スポーツ環境の充実や観光都市としてのまちづくりを目指すなど、国や都の動向に注視をしながら、区の新たな可能性を模索しているように、昨今の大田区政の計画や予算・決算を見て、私は感じております。
私たちの住む大田区を10年後、20年後、どのようにすべきなのか、そのような会話を大田区民の皆さんと交わすことが多いのですが、その会話の中で、壮大な計画に胸が躍りながらも、日々の生活を送る者の視点で見ると、新たな環境を創造することにより、さまざまな生活環境の変化に対して、その変化が必ずしも私たちにとって好ましい変化ではないということも考えられるわけであります。
その一つの問題に交通渋滞がございます。この交通渋滞についてお伺いをいたしたいと思います。
平成26年度空港臨海部まちづくり・交通ネットワーク等調査報告書概要に目を通すと、平成24年度から2か年度で、新たな土地利用の誘導方針と交通ネットワ一クの整備方針を検討し、実現可能な施策案の立案を目的とするとしております。
この中に重点プロジェクトと位置づけられたものが三つあり、その一つ目が流通センター駅周辺地区とされており、二つ目は大森ふるさとの浜辺公園周辺地区とされております。
この二つのゾーンは、いずれも環状七号線沿いにあります。環状七号線、通称「環七」と呼ばれておりますが、環七は、大森・目黒・世田谷方面、または品川方面や横浜方面へと車両による移動をする際に多くの方々が利用し、臨海部ヘのアクセス道路と言えるのが環七となります。
この環七を通り、市街地へと向かうと、環状七号線と交差する国道15号がございます。環七は東西への移動の主要幹線道路であり、国道15号は南北への移動を行うための主要幹線道路であります。言うまでもなく、主要幹線道路が交差をする大森東交差点は、以前より慢性的な渋滞箇所となっておりました。
大田区が国や東京都へ働きかけて、一時期改善がなされたこともございましたが、以前にはなかった臨海トンネルが完成をし、平成24年2月にはゲートブリッジが開通をしました。葛西、千葉方面からの行き来をする通行車両が増えました。
また空港の国際化により便数が増えたことや港湾機能の強化により、大井ふ頭を含め、東京港からの物流車両の増加など、交通渋滞は以前にも増して深刻な状況となっております。
今後の計画に目を向けると、大田区の重点プロジェクトも一定の影響を与えるとは考えられますが、中央防波堤の埋め立て後の活用や、オリンピックにおけるお台場、有明、豊洲の活用を考えると、その交通量に与える影響は非常に大きなものがあると考えますが、今後の東京臨海副都心の変化が大田区に与える影響をどのようにお考えになるのか、お伺いをいたします。
◎西山 まちづくり管理課長 東京港臨海部には、既に大規模な物流倉庫が集積しておりまして、今後、建て替えによります機能強化・施設更新に伴い、大型車両の増加が懸念されるところでございます。
また、
東京オリンピック・パラリンピックに向けて、低未利用地の開発が進展することに伴いまして、さらなる交通負荷が想定されているところでもございます。
区としましても、区臨海部及び内陸部における主要幹線道路の慢性的な交通渋滞の緩和、それに伴う周辺環境への負荷の軽減は、重要な課題と認識しているところでございます。
◆湯本 委員 大森東の交差点に関して言うと、都としては、これは整備が終了した箇所であると位置づけておりますが、その整備計画に
東京オリンピックの開催や羽田空港の国際化は想定をされていたのかどうか。つまり計画を立てた段階で、このような社会変化が起こることが盛り込まれていたのかどうか、この点をお伺いいたします。
◎西山 まちづくり管理課長 大森東の交差点についてでございますが、環状七号線と国道15号線が交差する地点でございます。都市計画法に定めます都市計画施設として、整備が進められてきたところでございます。
都市計画道路の整備計画につきましては、東京が目指す将来像の実現に向けまして、経済成長による交通量の増加や人口の動向、災害への備えなど、将来の需要も含めた広域的な観点から策定されているところでございます。
なお、大森東交差点を含む環状七号線及び国道15号線につきましては、昭和21年に
都市計画決定され、整備が進められてきたといったことを勘案いたしますと、計画時におきましては、今回の
東京オリンピックの開催など、羽田空港の国際化については、想定されていなかったものと考えられます。
◆湯本 委員 この計画が実行されたとしても、今お答えをいただいたように、今ある変化、ここ5年、10年の間に変わったことに対しての想定というのは、盛り込まれていないということがわかると思います。
さまざま手を尽くして、物理的に可能・不可能といったことはあろうかと思いますが、しかしこの状況を放置するわけにはいかないと思いますし、地元大田区として、こういうことが盛り込まれていない中での計画があり、それが実行されたから、それで終わりと言われてはちょっと困るということをしっかりと述べていただきたいと、私は考えております。
しつこいようですが、そのことも踏まえて、大森東の慢性的な交差点の渋滞状況の改善のために、大田区として、さらなる改良を加えるための働きかけを関係各所に行うお考えはあるでしょうか。
◎明立 都市基盤管理課長 さらなる交差点の改良については、交通管理者である大森警察署と環状七号線の道路管理者である東京都建設局第二建設事務所に対して、短期的な渋滞対策として改良する工夫ができるかどうか、相談をしてまいりたいと考えてございます。
◆湯本 委員 ぜひ力強く推進をし、また区民の皆さんの実情というものをお訴えいただければと思います。
次に、臨海副都心のさまざまな計画がございます。多くの計画が一つ一つ形になっていったときに、臨海部と内陸部という言い方が適切かどうかはわかりませんが、いわゆる大田区の区民の皆さんがたくさん住んでいらっしゃるところ、このアクセスポイントというものが、実は今、非常に限られた箇所になっております。
大森方面から環七を使うルートと、羽田方面から環八を使うルートの2か所に限定をされております。そもそも内陸部と臨海部を結ぶ結節点の数、アクセスポイントが少ないといった状況があると思いますが、これを増やしていくということに対して、お考えをお伺いいたしたいと思います。
◎西山 まちづくり管理課長 国や都におきましては、東京港臨海部における道路整備としまして、この間、首都高速道路・中央環状品川線や国道357号の大井環七立体交差など、道路の整備を進めてきたところでございます。
しかしながら、今後予想されます国際物流貨物のさらなる増大、東京港の機能強化に対応するためには、首都圏臨海部の広域道路ネットワークはより一層の整備が求められているところでございます。
区としましては、今後もさまざまな機会を捉え、国や都などの関係機関に対して、交通・物流ネットワークの拡充に寄与する道路整備を働きかけてまいります。
◆湯本 委員 今、国道357号線の話に触れていただきましたけれども、国道357号線が神奈川方面にきちんと一般道で開通をすれば、神奈川方面に抜ける車は、環七または第一京浜を通らずに通行することができます。
また、産業道路、大師橋の渋滞解消にもつながると思いますが、この計画は現状どうなっているのか、お聞かせ願いますでしょうか。
◎西山 まちづくり管理課長 国道357号線につきましては、東京・神奈川の臨海部における広域ネットワークの根幹をなす路線として位置づけられているところでございます。
多摩川のトンネルが早期整備されることによりまして、湾岸部から内陸部への流入交通量が抑制され、環状七号線、環状八号線及び産業道路など、区内の交通渋滞の緩和が期待されるところでございます。
なお、多摩川トンネルの整備につきましては、昨年9月、国や大田区を含む関係自治体で構成します、羽田空港周辺・京浜臨海部連携強化推進委員会の場において、事業着手に向けて必要な調査・設計が終わり次第、2015年度(平成27年度)内に事業着手すると確認されているところでございます。
◆湯本 委員 ぜひこの計画を一刻も早く完成ができるように、大田区としても、関係機関にしっかりと働きかけを行っていただきたいと思います。
また、都市計画道路の整備計画を見ていると、放射18号線というものがあります。これは昭和島から大森南を抜けて、産業道路につながる道であります。
この道がしっかりと整備をされれば、まさに今言われていたアクセスポイントの少なさが解消されることにもつながりますし、昭和島を中心にさまざま、今、大田区も計画を盛り込んでおります。まさにこの計画を形づくっていく上で、この整備計画を大田区として推進していく立ち位置をとっていくべきだと思っております。
また、大森東の自治会連合会からも、意見要望が上がっております。この計画を実行していくことに対して、大田区の考えをお伺いいたします。
◎西山 まちづくり管理課長 現在、都市計画道路の整備につきましては、都と区市町村の協働のもとに、第4次事業化計画の策定に向けた検討を進めているところでございます。その計画におきましては、将来都市計画道路ネットワークの検証により必要が確認された都市計画道路、事業の継続性や現実性、事業費などを踏まえて、総合的な判断のもとに優先的に整備する路線を決定してまいります。
また、先ほども申し上げましたが、空港臨海部と内陸部の交通ネットワークにつきましては、その充実・改善は重要な課題と認識しているところでございます。
今後も関係機関との連携をさらに図りながら、粘り強く取り組んでまいります。
○松原〔秀〕 委員長 以上で、第7
款都市整備費の審査を終結します。
これより、第8款環境清掃費の審査に入ります。
この款には、自民、次世代から通知がありますので、順次これを許します。
それでは、自民、質疑願います。
◆渡司 委員 自由民主党大田区民連合、渡司幸でございます。
多摩川の環境保全について伺います。
環境学習の場として、今年度は「水辺の楽校」の活動などを通じて、多くの子どもたちが多摩川の自然に触れることができました。NPO法人多摩川とびはぜ倶楽部のご協力や、環境マイスター講習など、地域の皆さんとの区民協働の活動は、大田区の自然環境の保全やESD持続発展教育にも大きな力となることと期待をしております。
私自身も、青少年対策地区委員会のメンバーとして、また、多摩川とびはぜ倶楽部のサポートメンバーとして、小学校の子どもたちと多摩川の大師橋干潟での環境学習を幾度となく体験をさせていただきました。野鳥やカニ、植物など、想像を超える豊かな生態系に毎回新鮮な驚きを感じ、身近な環境資源として大切にしていきたいと強く感じております。
そこで、多摩川の環境保全に対しまして質問をさせていただきますが、芦原や干潟の保全は、大田区の貴重な教育資源・環境資源の維持という観点からも、非常に重要であると考え、環境保全を推進していただきたいと思いますが、大田区としてのお考えをお聞かせください。
◎近藤 環境・
地球温暖化対策課長 多摩川河口の大師橋干潟は、東京湾に残された貴重な財産であり、大田区環境基本計画においても、国や都、環境活動団体との連携のもとで、豊かな自然環境を適切に保全する場所の一つとして位置づけています。
この干潟は、羽田水辺の楽校が観察会やごみ拾いなどの保全活動を実施するだけでなく、区内外の小中学校、青少対の体験学習の場としても活用されています。
区では、環境保全活動を行う水辺の楽校に対し、活動拠点の整備をはじめ、広報活動を支援しております。
今後もこのような支援を継続するとともに、今年度から環境清掃部で始めた養成講座を修了された環境マイスターに活躍していただきながら、環境保全や環境学習を進めてまいります。
◆渡司 委員 多摩川の干潟や河川敷で、大人も子どもも一緒になって、植物・生物などを観察しているときの生き生きとした表情は、教科書やインターネットでは決して学ぶことのできない体験型学習として、ESD持続発展教育、また生涯学習へとつながる貴重な経験になると思います。私自身、これからも大切に取り組んでまいりたいと思いますので、ぜひ大田区も、東京都、国交省とも連携をしていただき、大田区の自然を守っていっていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
次に、温暖化対策について伺います。
大田区では温暖化対策の一環として、太陽光によるソーラー発電設備への助成を行っていますが、ソーラー発電の普及スピードについて、現在の大田区の目標に対しての実績は現在どのようになっておりますでしょうか。
◎近藤 環境・
地球温暖化対策課長 おおた未来プランにおいては、太陽光発電システムの設置件数を平成30年度までに3,000件とする目標を掲げております。現在の設置実績は2,552件、進捗率は85.1%となっており、順調に推移しているところでございます。
◆渡司 委員 ぜひ、昨年度同様に、大田区住まいづくリフェア、またさらにはエコフェスタワンダーランドなどのイベントで積極的に制度のご紹介をしていただくなど、普及と周知に努めていただきますよう、よろしくお願いをいたします。
また、ソーラー発電システムだけではなく、環境に対する負荷が少なく、省エネ効果の高い環境保全型地域熱供給システムなどの新しい熱供給システムなども、特別区内では推進をされています。例えば、隅田川の豊富な河川水を利用した、箱崎地区熱供給センターの取り組みや、東京スカイツリー地区の地中熱を利用した地域熱供給システムなど、大規模再開発のとき未利用エネルギーの活用など、環境に配慮した開発が進められています。
そこで、大田区においても、大規模再開発、空港跡地の開発など、大きな開発プロジェクトの中で先駆的な自治体の取り組みを積極的に調査・研究し、温暖化対策としてのエネルギーの効率的な活用について、あわせて検討をしていく必要があると感じておりますが、いかがでしょうか。
◎近藤 環境・
地球温暖化対策課長 委員ご指摘のとおり、地球温暖化の原因となる温室効果ガスを大幅に削減するためには、区民一人ひとりの実践行動に加えて、大田区のまちづくり全体をエネルギー効率の高い低炭素型のまちに発展させていくことが必要です。
大田区環境基本計画では、蒲田駅、大森駅周辺の基盤施設整備を進める際には、省エネルギー機器の導入等、環境に配慮したまちづくりに取り組むこととしております。
また、羽田空港臨海部周辺のまちづくりでは、エネルギーの効率的な利用をはじめ、緑づくりや都市基盤整備など、総合的に低炭素なまちづくりについて検討をしております。
◆渡司 委員 大田区役所エコオフィス推進プラン第4次計画など、平成12年度の第1次計画より大田区の職員の皆さんが省エネ意識を高め、温暖化対策に取り組んでいらっしゃることに関しても、心より敬意を表したいと存じます。
この間、培われた省エネ、環境マネジメントの理念をぜひ大きく区政に生かしていただき、世界中から大田区のエネルギー施策を視察に来るくらいの大きな成果を目指していただきたいと考えますので、どうかよろしくお願いをいたします。
最後に、学校教育の中での環境学習について伺います。
現在、環境学習の面では、小学校4年生の社会科の授業の中で、ゴミの処理や資源のリサイクルについて学んでいると思いますが、省エネ行動やESD持続発展教育など、ぜひ環境清掃部がリード・ご提案をしていただき、学校の先生方の負担の少ない出前授業や夏休みのワークショップ・イベントなどによる小中学校での環境学習のさらなる発展に対してもご支援をお願いしたいと考えますが、いかがでしょうか。
◎近藤 環境・
地球温暖化対策課長 環境清掃部では、学校における環境学習を支援するために、小学校4年生を対象とした、ごみ処理や資源リサイクルに関する冊子を作成し、配付しております。その冊子を活用して、清掃事務所では出前型の環境学習を実施し、学校からは好評を得ております。
今後は、環境活動団体や環境マイスター等と連携を図りながら、学校における環境学習の支援を検討してまいります。
また、毎年小学校を会場として、エコフェスタワンダーランドを開催しております。地域から考える地球の未来をテーマに、子どもたちが楽しみながら学び、環境に関心を持てるように、約30の団体・NPO・企業が協働して、環境工作、環境クイズや展示など行います。
今年度は、東調布第三小学校にて、11月15日に開催いたします。
今後も教育委員会をはじめ、関係部局と連携して内容の充実を図りながら、事業を強化して進めてまいります。
◆渡司 委員 今後も教育委員会とよく連携をしていただき、子どもたちへの環境学習を地域を巻き込みながら推進をしていただき、環境への意識の高さも誇ることのできるアジアのリーダーとして、自信を持って大田区の国際化を進めてまいりたいと思います。
以上で質問を終わります。
○松原〔秀〕 委員長 次に、次世代の審議に入りますが、犬伏委員の質疑に際しまして、資料の掲示を許可いたしましたので、ご了承願います。
それでは、犬伏委員、質疑願います。
◆犬伏 委員 次世代の党の犬伏でございます。
前の党首が自民党に行ってしまって、いささかさびしい思いをしておりますけれども、頑張りたいと思います。
さて、今、委員長からご許可をいただきました、こちらの資料は何だとお思いでしょうか。これは実は羽田旭町の鹿島建設が持っておりましたものを三井住友信託銀行が信託をして、そして三井不動産が受益者になった、この土地の30メートルメッシュ、一つが30メートル。グレーのところは基準値を超える物質が出なかったところ、グレーのところだけが普通の土壌であったというところです。鉛が出たり、フッ素が出たり、ヒ素が出たり、セレンが出たり、六価クロムが出たりという、大変な調査資料であります。
どれぐらい出たかというと、土壌汚染対策法による指定基準、鉛は溶出量で基準の4.1倍、含有量で17.3倍、フッ素は溶出量で38.8倍、ヒ素は溶出量で14倍、六価クロムは溶出量で1.84倍、いずれも第二溶出基準以内。つまり第二溶出基準というのは、ここにセメントか何かで、またはアスファルトで封じ込めてしまえばいいよという基準ですから、そもそもここは合同製鉄の跡地ですから、出ないほうが不思議なのですけれども、これだけ大きな土地の中に、これだけの基準値を超えている重金属が出ているという事実を大田区としてはご存じなのでしょうか。
◎近藤 環境・
地球温暖化対策課長 現時点におきましては、区としては情報を得ておりません。
◆犬伏 委員 現在ということは、将来はご存じになる。仕組みとして、これだけの大きな工場の跡地が、所有権が実質的には移転をされたという中で、どういう段階で大田区がこういう事実を知る機会が得られるのですか。
◎近藤 環境・
地球温暖化対策課長 有害物質に汚染された土壌からの健康被害を防止するために、3,000平米以上の土地の開発については、土壌汚染対策法と環境確保条例により東京都が指導をしています。
区には法例に規定はありませんけれども、土壌汚染の情報を得た段階で必要と判断した場合には、東京都と連携し、土地の所有者や開発事業者に対して、地域の声を伝え、説明を求め、区民の皆さんの安心を確保するように努めてまいります。
◆犬伏 委員 そうすると、法令上は区が積極的に調査に入ったり、どうなっているのだということは、今の段階ではできないという理解でよろしいわけですね。
そうは言っても、2万坪の土地、近くには都営住宅であるとか、保育園、小学校等がある区民が住んでいる場所でありますから、法令上の仕組みがないにしろ、事業者にヒアリングをするとか、それからさらには、東京都と情報を常に共有することが必要だと思うのです。
この隣接地には、ご存じのように、荏原製作所の跡地がありまして、ここは鹿島が建設工事を行いましたけれども、残念ながら、このときもアスベストの含有残土を一般の土として千葉県に搬出して、大問題になったことがありました。
今回も当然事業が始まれば、土壌改良をするということになろうかと思いますが、鹿島があれだけ大騒ぎをしても、いまだにヤマト運輸の表土には有害物質が相当入っている土がある。あまりにも量が多過ぎて、手をつけられないということが、まことしやかに地元ではうわさをされているわけでありますから。
どうかこれだけの広大な土地でありますので、東京都と情報を共有しながら、地域住民の健康被害がないように注視して、場合によっては法令上強制権はないにしても、業者を呼んで、しかるべき指導をするということが重要だと思うのですが、いかがでしょうか。
◎近藤 環境・
地球温暖化対策課長 直接の指導の権限は、区にございませんけれども。委員ご指摘のとおり、東京都と情報の連携をしながら、区民の安心を確保できるように適切な対応はしていきたいと思っております。
◆犬伏 委員 先ほど私が具体的な数字を申し上げました、例えばフッ素は溶出量で基準値の38.8倍、鉛は含有量で17.3倍という、大変大きな基準値を超える数字が出ているわけですけれども。具体的にこの数字というのは、周辺の住民の方に対する健康被害を及ぼす可能性のある数字なのでしょうか。
◎近藤 環境・
地球温暖化対策課長 改めて、まだ詳細なことがこちらのほうで把握できておりませんけれども、情報を集め、確認しまして、その点についても、適切に対応できるように対応してまいります。
◆犬伏 委員 私が差し上げたのでは、資料の信ぴょう性に疑義が残るかと思いますけれども、委員会が終わりましたら差し上げますので、ぜひ精査をしていただければと思うわけであります。
それから、我が党から2名の衆議院議員が復党された自由民主党の委員から、本件施設計画についてご質問がありました。大田区は、知らないというご答弁をされたわけでありますけれども、これだけ広大な土地の取引で、事前に地元の自治体に何も相談がないというのは、いささか不自然だと思うのですが、何か接触とか相談とかはなかったのですか。
◎浦瀬 空港臨海部調整担当課長 区は、土地所有者から、当該地の土地取引にかかわる事前の相談については受けておりません。
◆犬伏 委員 登記簿を閲覧しましたところ、本件土地は鹿島建設株式会社を委託者、三井住友信託銀行を受託者、三井不動産株式会社を受益者とした信託契約という取引が行われております。
信託期間は、平成37年2月末日までとなっており、信託設定日より10年間であります。10年間で減価償却ができる建物は、物流倉庫であるとか、工場では10年では償却できないだろうと。とすれば、信託の受益者である三井不動産という会社は、子会社に三井不動産商業マネジメント株式会社という会社を有しており、アウトレットパーク木更津、横浜ベイサイド、ラゾーナ川崎などを運営している会社であります。
短期投資として、また臨空港というロケーションからして、アウトレットパークを想起するのが一般的だろうなと。当該地は工業専用地域でありますけれども、先ほど来話題になっている国の戦略特区で、工業専用地域に商業施設を建築するということは容認しているのでしょうか。
◎浦瀬 空港臨海部調整担当課長 先日の答弁でも申し上げましたが、当該地は都市計画マスタープランでの土地利用方針や、大田区企業立地促進基本計画(第2次)において、大田区の強みであるものづくり産業の再構築を図り、経済の活性化につなげることを目的とした重点立地推進エリアに位置づけているところでございます。
これらを踏まえ、区は
羽田空港跡地の整備とも連携を図りながら、都市計画法と関係法令を遵守し、地域の活性化に寄与する開発計画となるよう、事業者に指導してまいります。
◆犬伏 委員 工業地域に特別養護老人ホームを建てたり、今度は病院を建てようという話もあるし、要は都市計画というのは、確かに利用計画もあるわけですけれども、大田区の事業者、もしくは大田区民の利便にかかわることであれば、柔軟に対応するという姿勢が求められていると思いますので、事業者の動向を注視しながら、ぜひ大田区の理にかなった計画を勧奨していただきたいと要望をしておきます。
次に、清掃費に移らせていただきます。
実は先日、カラス対策の網かごを、大変見ばえのいいステンレスの開け閉めができるごみ入れに変えたマンションのオーナーが、私のところに飛び込んできまして、20万円もして設置したのに、蒲田清掃事務所は事前に相談がないから、ここからはごみを持っていかないのだと。どうしたらいいだろう、20万円をどぶに捨てることになってしまうと。壊せと言われたと言って、担当者に来ていただいたのですけれども、ここは収集できないと。
大体、あけまして、高さが40センチメートルぐらいの壁があるのです。そこからとると、蒲田清掃事務所が言うには、腰痛になるというのです。ところが、カラス対策のかごがありますね、もっと高いのですね。何でアルミだと腰痛になって、カラス対策のかごだと腰痛にならないのか、大変不思議な気がしたのですけれども。
平成12年に、ご存じのように、都区制度の改革で、清掃職員が都の職員から区の職員になった。このときに、清掃労組は大騒ぎをしましたね。黙っていても、昇任試験がなくても1,000万円を目指してしまうような制度を残せとか、さまざまな高待遇を残せ。そのときに、小松さんという立派な助役がいらっしゃって、清掃労組と助役会の会長同士でやり合って、多分、年間23区で数百万の削減をした。
私は、今回のステンレスのを嫌だというのは、清掃労組のわがままではないかと思っているのですけれども、何でこんな立派なものを、たかだかこれぐらいの高さを持っていけないと言い張るのか、教えてください。
◎井上 環境清掃管理課長 効率的で安全にごみを収集するために、ごみボックスの設置にあたりましては、清掃事務所に事前にご相談をいただくようお願いをしているところでございます。
ごみボックスの設置につきましては、その設置場所、また周辺の道路状況、ごみボックスの形状、衛生管理などを事務所で確認させていただいた上で、設置をさせていただいているところでございます。
◆犬伏 委員 区民一般が事前にそういうものをつくるとき、清掃事務所に聞かなければいけないというのは、ほとんど知らないと思うのです。であれば、できることと、できないことというのは、40センチメートルぐらいのものをとることが労働強化だとか言っている、シーラカンスみたいな組合にごまをすることはないのですよ。
例えばお隣の品川区は、今ごみ収集を民間委託している部分が相当あります。品川区は、笑ってしまうのですけれども、作業員に聞いたのですけれども、不燃物のとり忘れがありますという電話がかかってきた。慌てて取りにいったら、水ようかんの缶が3個とり忘れだったと、これでもいい。それから、マンションの管理人が寝坊をしたので、出し忘れました。それでもとりに行く。実は、昨日寝坊して出せませんでした、今日も行く。これは全部民間の、いわゆる雇上会社の日雇いの作業員がすっ飛んでいっているのです、品川区では。公務員は行っていないのだけれども。
このように、あまりわがままを言うのだったら、公務員の収集をやめてしまって、民間に全部委託してしまえばいいと思う。民間の作業員が日雇いで、日給1万円ですよ。仕事がない日はあぶれたと言って、もらっているのです。
こういう中で、今回のステンレスのものが、組合のわがままかどうかというのはわからないけれども。どう考えても、常識で考えると、こんなものはとれるだろうと思うのです。どうか、もし組合のわがままだとしたら、おまえらそんなことを言っていると、公務員がいらなくなってしまうぞということをよく言っていただきたい。
次に、戸別収集と有料化についてお尋ねをしたいと思うのですが。今申し上げた品川区というのは、全部戸別収集をしているのです。だから、ごみの分別もうまくいっているし、人の問題もあるわけですけれども、そろそろ戸別収集、それから、残念ながらというか、事業系ごみだけではなくて、個人宅のごみも一部受益者負担で有料化することがごみの量を削減すると思うのですが、この辺の検討はいかがでしょうか。
◎井上 環境清掃管理課長 戸別収集につきましては、利用する区民にとって排出しやすく、また排出者が明確になるために、適切なごみの分別を促す効果や不法投棄に対する抑制効果を期待できるところもございます。
しかしながら、その一方で、職員が各戸を戸別に回るため、作業効率が大幅に下がることになります。また、区内全域で実施するためには、収集車両の台数を増やす、また作業員も大幅に動員することが必要でございます。また、現在高齢者のみの世帯、障がい者のみの世帯等、集積場への排出が困難な世帯に対しましては戸別に対応しておりますので、必要に応じてこの制度を活用していただきたいと考えております。
また、家庭ごみの有料化につきましては、ごみ排出量に応じた公平な費用負担とごみ減量化への意識啓発も期待できます。しかしながら、一方で、家庭ごみの有料化は区民の方々に直接的な負担を強いる施策であり、実施にあたっては、区民の皆様のご理解とご協力が何よりも必要であると考えております。
いずれにせよ、戸別収集や家庭ごみの有料化については、まずごみ減量、経費削減のための施策を十分に実施した上で、検討をしていくことが重要であると考えております。
◆犬伏 委員 ごみ収集というのは、大変な、ありがたいお仕事です。おまえやれといっても、とてもできないお仕事を皆さんにやっていただいていることには感謝しつつも、やはり区民の目線とお役所の目線というのは、ずれが感じられてしまいますので、その辺のところをよくお考えいただく。
それから、もう一つは、今おっしゃったように、有料化ということもある程度検討をしていかなければ、限りある財政の中で厳しいのかなと思って、質問を終わらせていただきます。
○松原〔秀〕 委員長 以上で、第8款環境清掃費の審査を終結します。
これより、第9款教育費の審査に入ります。
この款には、自民・公明・共産・民主・次世代から通知がありますので、順次これを許します。
それでは、自民、質疑願います。高山委員。
◆高山 委員 自由民主党大田区民連合の高山雄一です。
教育費の中の体力推進事業について、お伺いをさせていただきます。
子どもたちの体力は、昭和60年ごろと比較すると、依然低い水準となっております。
大田区では、子どもの体力向上のために、昨年6月に体力向上推進委員会を設置し、本年の2月に報告書としてまとめております。報告書では、区民の意識の向上、外遊びや運動・スポーツの推進、早寝・早起き・朝ごはんの推進、日常生活における身体活動の推進の四つの柱を示しています。
この中で、特に区民の意識の向上、外遊びや運動・スポーツの推進についてお伺いをさせていただきます。
まずは、区民の意識の向上について、昨年度の取り組みと、その成果について教えてください。
◎菅野 指導課長 報告書の「区民の意識を高める」では、小学生駅伝大会など、イベントで楽しさを伝える仕組みづくりなどを掲げております。
小学生駅伝大会では、昨年12月に大田スタジアムにおいて、初めて全校参加で実施し、各校の日ごろの活動が充実したことや、当日も保護者も含め約4,700人が参加し、体力向上ムーブメントにつながったと考えております。
また、本年度より体力向上モデル校を2校から12校に拡大し、体育・健康教育授業地区公開講座を実施するなど、学校の取り組みの充実とともに、体力の意義の理解や生活習慣及び運動習慣の確立について、保護者や地域の方々の意識が高まっているという報告を受けております。
◆高山 委員 小学生駅伝大会は、昨年度初めて大田スタジアムにおいて、全小学校対象で行ったということでありますが、今後の方向性について教えてください。
◎菅野 指導課長 今後の方向性につきましては、昨年度の成果を生かし、全校での早朝ランニングや、中休み及び昼休みにおける運動の推進など、各小学校における体力向上に関する取り組みを一層強化するとともに、運動の楽しさや重要性について啓発に努めてまいります。
また、小学校第5、第6学年の全児童に体力向上に関する標語を募集し、体力向上の気運を高めてまいります。さらに、中学校の運営ボランティア、チアリーディングの応援参加など、小中連携により駅伝大会の充実を図ってまいります。
◆高山 委員 そうしますと、今年度も昨年同様、引き続き大田スタジアムで全小学校対象で実施するということでよろしいのでしょうか。
◎菅野 指導課長 今年度も全小学校を対象に、大田スタジアムにおいて12月26日、土曜日に、各30校の2部構成で実施をいたします。第1部は午前11時スタート、第2部は午後2時スタートの予定でございます。
コースは、スタジアムの内と外で周回コースを設けます。多数の保護者や地域の方に応援いただけるよう、スタジアム内の座席も開放いたします。
◆高山 委員 1人でも多くの児童が駅伝大会の選手になることを目標として努力をすれば、それが学校全体のレベルアップ、体力向上につながっていくことと思いますので、小学生駅伝大会が10回、20回と続き、大田区として一層誇れる大会になるよう、発展させていただきたいと思います。
また、先ほどの説明で、本年度から体力向上モデル校を2校から12校に拡大したことによって、学校の取り組みが充実をしたり、保護者や地域の方々の意識が高まっているとの説明がありました。
今後さらにモデル校を増やして活動を広めていけば、より効果が上がることが予想されますが、このことについて区としての見解をお示しください。
◎菅野 指導課長 外部の有識者を迎えた体力向上推進委員会において、本区の児童・生徒の体力は全国や東京都と比較すると、依然として課題があり、特に体力の2極化が低学年から始まっているとの指摘がありました。このことから、体力向上モデル校を指定し、体育学習の充実と保護者・地域への啓発に取り組んでいるところでございます。
今後は、モデル校の成果を検証し、子どもたちのさらなる体力向上の施策の充実に努めてまいります。
◆高山 委員 ぜひよろしくお願いいたします。
次に、外遊びや運動・スポーツの推進についての取り組みと成果を教えてください。お願いいたします。
◎菅野 指導課長 外遊びや運動・スポーツの推進では、これまで夏のわくわくスクールやさまざまな地域行事による外遊びの伝承の推進、中学校での部活動における外部指導員の協力による活動の充実を行っております。
現在、小学校の体力向上モデル校に体育学習指導補助員を派遣し、小学校低学年の時期から運動遊びの楽しさを味わわせるなど、子どもの運動習慣づくりに取り組んでおります。
このような取り組みにより、各学校からは、児童・生徒の運動・スポーツに親しむ力や意識が高まり、進んで体を動かす児童・生徒が増えているという報告を受けております。
◆高山 委員 今、説明をいただいた体育学習指導補助員とは、具体的にはどのような方なのでしょうか。また、体育学習指導補助員が小学生低学年に運動遊びの楽しさを教えるのは、体育の授業中だけということなのでしょうか。
最近では、中休みや昼休みに外で遊ぶ子どもたちが少なくなってきていると聞いております。可能であれば、休み時間なども子どもたちと一緒に外で遊んでもらい、外遊びの楽しさも教えてもらえれば、さらに効果があるのではないかと考えますが、区としての見解をお示しください。
◎菅野 指導課長 体育学習指導補助員として指導補助にあたっているのは、教員免許状を取得している者や、体育を専門として教員を目指している大学生及び大学院生にお願いをしております。
また、指導補助につきましては、原則として体育の授業中ですが、休み時間や放課後などでも児童と一緒に運動遊びをしたり、運動に関する話をしたりすることもございます。児童が低学年の時期から運動遊びの楽しさを味わうことは、運動習慣づくりに大変有効なものと考えております。
◆高山 委員 1人でも多くの児童に運動遊びの楽しさを味わってもらえるように、今後も取り組んでいただきたいと思います。
児童・生徒の教育は、知育・徳育・体育で構成されており、心身ともに調和のとれた人格の完成を目指して行われることが基本です。
その中の体力は、人間のあらゆる活動の源であり、物事に取り組む意欲や気力といった精神面の充実にも深くかかわり、人間の健全な発達・成長を支え、健康的で充実した生活を送る上で大変重要だと、体力向上推進委員会の報告書にも記載されています。
子どもたちの体力向上についての取り組みは、単に運動・スポーツの振興だけでなく、学力の向上や豊かな人間性の構築にもつながっていくことと考えますので、今後の大田の発展のためにも、子どもの体力を向上させていく総合的な取り組みをお願いいたします。
以上で、質問を終了いたします。
○松原〔秀〕 委員長 深川委員。
◆深川 委員 自由民主党大田区民連合の深川幹祐でございます。
教育費について質問をさせていただきます。
今年で31回目となる大田区立中学校生徒海外派遣が行われました。それにつきましては、大田の教育10月1日号にも載せられているわけでございます。
本年度は、7月24日から8月4日までの12日間、アメリカ合衆国とドイツ連邦共和国に各中学校から2名の代表生徒、計56名をそれぞれの国に28名ずつ派遣をいたしました。
また、9月27日に報告会が行われ、私も出席をさせていただきました。出発前の結団式の顔と違って、喜びに満ちた、そしてとても成長をした姿を見せてくれました。
今年の海外派遣前の6月に個人的にドイツを訪問し、在ドイツ大使館中根大使やハンブルク領事事務所の安沢所長を尋ねました。昨年度までご対応いただきましたハンブルク領事事務所の深川所長が定年で退官をされ、新しい所長になっておりましたので、今までの大田区の子どもたちや議会とブレーメン州、ハンブルク州との交流について概要説明をさせていただきました。
まず、今年の概要についてお知らせをいただきたいと思います。
◎菅野 指導課長 現地では、7月30日、木曜日に、在ハンブルク領事事務所を訪問し、安沢所長から、現地の歴史や気候、領事事務所の仕事内容、現地在住の日本人の様子などについてご講義いただきました。また、安沢所長は派遣生全員からのドイツと日本に関する質問に対して、一つ一つ丁寧にお答えいただきました。
そのほか、ブレーメン市庁舎及び州議会の訪問、職業訓練所でのお菓子づくりや木工作業、マルティンスホフでの障がい者の方と自動車部品の組立作業などで体験・交流するとともに、それぞれの体験場所とマルクト広場で合唱を披露し、温かな拍手をいただきました。
このように、生徒たちは海外派遣でなければ得られない貴重な経験をすることができました
◆深川 委員 安沢所長も、快く大田区の子どもたちを受け入れてくださって、本当に感謝に堪えない次第であります。
実は、今年度中に在ハンブルク領事事務所は、ハンブルク総領事館に最格上げをされます。来年度の海外派遣では、総領事にお目にかかり、ぜひとも子どもたちには、また一段と進んだ意見交換をする機会をつくれればと思っております。また、そういった橋渡しも引き続きやらせていただきたいと思っております。
日本では、軍艦島や韮山反射炉などが世界遺産登録をされましたが、時を同じくして、ドイツ、ハンブルクのシュパイヒャーシュタット、コントルハウス地区及びチリハウスも世界遺産に認定をされました。
来年度は、事前学習の中で、世界遺産について学ぶ機会を増やすべきと考えますが、いかがでしょうか。
◎菅野 指導課長 顕著な普遍的価値を持つ建築物や遺跡などの世界遺産に触れさせることは、さまざまな国の文化の理解を深める上で大変意義のあることでございます。
今回の海外派遣におきましても、平成16年に世界遺産に登録されたブレーメンの市庁舎とローラント像のほか、ミュンヘンのニンフェンブルグ城やマリエン広場の見学等を実施してまいりました。
このほか、海外派遣の趣旨に基づき、先ほど申し上げました各機関への訪問や作業体験、現地の高校生との交流、ブレーメン大学への訪問など、ものづくりや人々との触れ合いなどの体験や交流活動を実施しています。
限られた期間の中で本事業の充実のため、今後ともよりよいプログラムとなるよう努めてまいります。
◆深川 委員 間もなく迎える区政70周年にあたって、今までの海外派遣経験者を含めて、事業を検証してはどうかと思います。
先日、大田区職員の採用フォーラムに参加した区の職員から、エピソードをいただきました。
そこに参加した方の中に、中学生のときに海外派遣に参加し貴重な経験ができました。大田区に感謝していますという学生さんがいたということであります。本当にうれしい限りであります。これからの時代を担う世代のためのとても価値のある事業だと思うわけであります。
ぜひとも、海外派遣経験者にできるだけ多く声かけをするとともに、関わられた多くの関係者の皆さんにお集まりをいただき、現在の状況や今後のことについて議論をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
◎菅野 指導課長 海外派遣の経験者から、海外派遣の経験がその後どのように生かされたか、大田区にどのような形で還元されたかなどの経験などをお聞きすることは、本事業の改善・充実に有効であると考えます。
今後、海外派遣経験者に呼びかけ、情報を収集するとともに、中学生に直接お話しいただく機会を設定することなどを検討してまいります。
◆深川 委員 先ほど申し上げましたように、31回目を迎えておりますので、その当時14歳だったと考えると、45歳ぐらいに、第1期生の方がなられているということでございます。
そういった意味で、会社で、中堅から、それから上に登っていくところに初代の方がいらっしゃるということでありますので、ぜひそういった方々に話を伺って、1人でも大田区の子どもたちがますますよくなるように、そして国際都市が一歩でも二歩でも進めるように、活動をしていただきたいということをお願い申し上げまして、質問を終わります。
○松原〔秀〕 委員長 鈴木委員。
◆鈴木 委員 自由民主党大田区民連合、鈴木隆之でございます。
昨日、私の地元の松仙小学校というところで、自治会対抗のふれあい久が原大運動会というのがございました。
ここに、オリンピックのメダリストのエリック・ワイナイナ選手がスペシャルゲストで来てくださいまして、子ども達と走り方教室をした後、みんなでグラウンドを回ったりとか、その後は各選抜チームで5人1組になって、駅伝形式のマラソンリレーを行いました。
私も自治会選抜チームということで、たすきをつけて走ったのですけれども、何せ同じ走る相手がワイナイナ選手のほかに、雪谷高校の陸上部ですとか、大森第十中学校の野球部、あと男女の陸上部、そうした中で私たちが走ったわけでありまして、最年長が久が原特別出張所の長沼所長、私が2番目に年長者ということで、大したことのないコースだろうと思っていたら、41歳になるとこんなにも体力が落ちるのかなと思いまして、本当に情けない思いをしながら走った次第であります。多分この放送を見ながら、特別出張所の皆さんは笑っているのかなと思いますけれども、本当に皆さん、どうもすみませんでした。
子どもたちもテレビでしか見られないようなオリンピック選手と一緒に走ったり、本当にいい経験になったのかと思っております。地域の大人たちと子どもたちが一緒につくり上げる教育の場というのをこれからももっともっとつくっていきたいと思いまして、本日の教育費を質問させていただきます。
本日は、小中連携・一貫教育に関してから始まりまして、何点か質問をさせていただきます。
国会で改正学校教育法が成立をいたしまして、2016年度から、小中一貫教育ができます義務教育学校というのができます。
これは、既存の小中学校を義務教育学校として、各市区町村の教育委員会がそれをつくることができるということで、2016年度に向けて、小中連携と小中一貫の取り組みが加速をしてくると思っております。
ただ、さまざまに、先駆的な例も踏まえまして問題となっているのが、メリットとしては、小学校から中学校に上がるときの、いわゆる中一ギャップの解消につながるのではないか。それと、学年の低い子どもたちと年長者が互いに連携をとり合うことによって、幼い小学校1年・2年・3年の子たちも、お兄ちゃん・お姉ちゃんの勉強とか、一緒に遊んだりしていると、さらに高い専門知識のようなものに関心を寄せたりと、いいこともたくさんある中で、固定的な人間関係が9年間続くわけでありますので。
私の友人で、小中一貫とは全く関係がないのですけれども、小中の私立に行った人間が、私の親しい友人でおります。小学校に入って、中学校に入って、9年間私立でカリキュラムを終えて、高校は通常の3か年の高校に行ったのですけれども。
そのときによく彼が言うのは、9年間ずっと一緒にいたから、ものすごくなかよくなったと。信頼関係も築けたし、とてもすばらしい9年間だったと。だけれども、9年を終えて、普通の3か年の学校に行ったときに、小中を別々の学校を出て、今までどおりのように高校に入ってきた人たちと、あまりにも世界観が違ったということをよく言っております。
どちらがいい悪いというのは全く関係がなく、ただその彼が言うには、ものすごく人間関係は構築できたけれども、高校から一緒になった仲間たちは非常に大人に見えたということは言っておりました。これは小中の私立学校ですので、今回の連携、一般教育とは若干毛色が違うのですけれども。
これからさらに加速するであろう大田区の小中一貫の連携、一貫教育に向けまして、今の区の見解をお示しください。
◎菅野 指導課長 義務教育の9年間を通じて、小中学校の教員が共通の認識のもとに、一貫性のある継続的・系統的な指導を目指す小中一貫教育は、重要であると認識をしています。
特に、指導の一貫性を確保することは、子どもの学ぶ意欲の向上や学習習慣の確立、確かな学力の定着に有効であると考えます。
また、思いやりの心を培うことや自己肯定感を高めることなど、豊かな心の育成についても、9年間の体系化した指導はより効果的と考えます。
本区では、小中学校ともに学区域を基にした指定校制度をとっており、また地域力も高いことから、中学校区を中心とする施設分離型の小中一貫教育を推進しております。
今後は、おおた教育振興プラン2014を踏まえて、大田区小中一貫教育プログラムの見直しを図り、小中一貫教育を一層充実させてまいります。
◆鈴木 委員 通常の6か年の小学校ですと、高学年になると、本当に感受性の豊かなとき、お兄ちゃん・お姉ちゃんになったなと思いまして、入学式などに私も呼ばれて、参加をさせてもらいますと、1年生の子を6年生が手を引いて入ってくるのですが、本当にこの数年間でこんなにも大人になって、こんなにも顔つきがたくましくなるのか。
そして高学年の子どもたちは、入学してきた子どもたちは面倒見なければいけない、守らなくてはいけないという高い意識を持つと思います。
ただ、これが小中一貫になったら、まるでなくなるのかと言ったら、決してそうではないと思いますし、非常に小学校から中学校の移行する期間というのは、子どもたちにとっても大事な時期でありますので、この辺はぜひとも検証をしながら、慎重に進めていっていただきたい。
国は推進の立場をとっていますけれども、大田区としてのここの明確性というものをしっかりとお示しをしていただきたいと思うのと同時に、今回の小中一貫に関しては、一つ懸念されるのが、安易な学校の統廃合というのも懸念されていると聞いております。
本区の公共施設の整備計画の中でも、これから世代間構成が複雑になってくる中で、大田区のこれからどんどん建て替えが必要になってくる公共施設の維持管理が難しくなってきてまいります。さまざまな施設が、正確性の違う施設が複合化をされるという事案もこれから多く発生するわけであります。
今、所管の総務財政委員会で、あくまでも工事案件として報告をいただいた志茂田小学校・中学校がございます。これは地元の同僚議員に話を聞きますと、志茂田小・中学校の建て替えに関しては、もともと隣接をしていた学校が同一の敷地内に移ると、複合化をするということで、さほど今までとあまり変化もないので、地域の方たちは戸惑いはないと聞いておりますが。ただ、一部からは、何かこの動きというのが、大田区のこれからの小中連携・一貫に何かかかわってくるのですかということも、実際に耳にしたことがあります。
今回の志茂田小学校と中学校の建て替え、せっかく建て替えをして、すばらしい施設に建て替えるわけでありますから、これを単に複合化だけではなく、小中一貫・連携に向けた多角度からの検証というのをぜひとも行っていっていただきたいと思いますし。モニタリングも含めまして、志茂田小・中学校の今後の動きというのはどのような計画がありますでしょうか。
◎菅野 指導課長 志茂田中学校に進学する児童は、志茂田小学校のほかに、西六郷小学校や仲六郷小学校がございます。本区では、小中学校ともに学区域を基にした指定校制度をとり、地域力を学校教育に生かしております。
今後も中学校区を中心とする施設分離型の小中一貫教育を推進してまいりますが、志茂田小・中学校の改築を機に、さらに校区の小中一貫教育を充実させてまいります。
◆鈴木 委員 さまざまな小中連携の形があると思います。ご答弁にもありましたように、松原区長が標榜する地域力、中学校区を中心としてこの地域力を最大限に生かして、今後の連携に取り組んでまいると。それはそれで大田区の一つの特色であると思います。
先進事例は参考にしながら、それを単にまねるだけではなく、大田区独自の子どもたちを育てるこれからの教育の方向性というものをしっかりと検証をして、かつ慎重に進めていっていただきたいと思っております。
今度は子どもたちの安心・安全な通学路の確保に関しまして、5月の連合審査会のときに私も取り上げたのですけれども、今、不審者情報がメールで一斉配信されまして、5月に私が質問をしたのは、ある不審者が発見をされて、その児童が保護者に連絡をし、保護者から学校を経由して、最後は本庁舎に来て、危機管理のメールが流れるといった一連の流れになっておりまして、学校から行政へ連絡が来て、それからの配信は90分だったので、これはなかなかスピーディーだと思うのですけれども。
土日を挟んでしまうと、学校を間に挟むと、なかなかスピーディーな連携が難しいということで、実際に発見から配信までが丸2日かかってしまったという事例が報告をされました。
当時その改正に向けて動いてまいるというご答弁をいただきましたけれども、半年たった現在でどのような進捗があったか、お聞かせください。
◎久保田 生活安全・危機管理担当課長 区民安全・安心メールの不審者情報は、子どもの安全を守ることと地域における防犯活動の参考としていただくことを目的として、発信しております。
現在、不審者情報発信の体制は、事案が発生した際に、児童または保護者から学校等へ連絡し、学校等において事実の把握をした上で、防災課へ連絡が入り、執務室に配備している専用端末を使用し、その時点から約1時間をめどに、警察への事実確認を行った上で不審者情報を発信する流れとなっております。
土日に事案が発生した場合は、学校が休みのため、保護者からの連絡が月曜日になり、防災課に連絡が入るまでに時間を要しております。
休日を挟んだものを含めて、事案発生からメール発信までの時間短縮につなげる取り組みとして、学校から防災課への報告様式を短時間で作成できるよう改善し、また、学校には、保護者から連絡が入り次第、区へ報告をいただくよう周知しております。
さらに、小中学生の全保護者に対しては、学校への連絡を速やかに行っていただくよう、協力の依頼文を配付しております。
今後、さらに迅速に区民に情報発信ができるよう、検討を続けてまいります。
◆鈴木 委員 改善が図られたということで、本当に子どもたちは大人が守っていかなくてはならない。注意喚起ですから、この配信がスピーディーなことに越したことはありません。現状に甘んずることなく、これからもどうやってスピーディー、かつ正確な配信ができるのかということは、現場の皆さんはこれからもしっかりとご協議をいただければと思っております。
私が区議会議員に当選を8年、9年前にしまして、当時を思い起こすと、初めて取り組んだ活動というのが、子どもがランドセルにつけている防犯ブザーにかなり不具合があるということで、近隣の保護者から相談を受けました。それを相談しましたところ、今日、清水監査委員がおいでですけれども、当時学務課長でいらしたときに、その件をすぐに引き受けてくださいまして、本当に早い時間で調査をして、大田区内で相当数の不具合のあるものが見つかりました。そして、業者の選定や機種の選定も含めて対応を図っていただいて、その後はあまりそのような不具合が聞かれなくなったということであります。
子どもが安心して自宅から学校、そして友達の家・遊び場を経由して、それを子どもたちが見守りながらも、そうした最大限防げる予防策というのはこれからも講じてまいりたいと思っておりますので、これからも最大限のご協力をよろしくお願いいたします。
続きまして、(仮称)大学入試希望者学力評価テストに関してお伺いをいたします。
今、行われております大学入試センター試験ですが、これが2020年から、仮称ですけれども、大学入試希望者学力評価テストというものに変わるとなっております。2020年、先のことだと思っても、あと5年なわけでありまして、計算が違っていたら申しわけないのですけれども、今、小学校6年生か中学1年生ぐらいの子たちが、新しい制度での試験を受ける世代になってくると思います。
今回は、今までの既存の大学入試センター試験は、マークシート方式だったのに加えて、記述式が増えるということで、より思考力や判断力、表現力が適切に評価をできるように長文を読んで読解力も含めて、さまざまに出題の形式が変わってくると言われております。