社会保険庁の平成13年度の事業年報を見ると、足立区では
国民年金保険料の未納者は約5万5,000人にもなっています。区も区民の
受給権確保に努めたいと答弁していましたが、掛け金が毎年上がれば、未納者がさらに増大することは明らかです。老後の安心どころか、生活の糧を奪うことではありませんか。これで、どうして持続的で安定的な年金制度といえるのでしょうか。社会保障としての年金制度の改悪は、国民の生存権をも侵害する重大な改悪と考えます。
区長は、住民の命と暮らしを守る自治体の長として、今回の改定について憲法25条の立場からどう考えているのか、見解を伺いたい。
二つ目は、有事法制の問題です。
自民、公明の政府は、昨年成立した
武力攻撃事態法の内容を具体化したものとして、
有事法制関連の7法案と3条約案件を国会に提出し、5月21日、衆議院で民主党の賛成も取りつけて採決を強行しました。
これらの法案は、米軍に武器や弾薬、燃料を提供し、米軍と自衛隊の軍事行動に公共施設を提供し、優先使用を認めるものです。また、海上規制や捕虜等に関する条約は、日本が戦争をすることを前提にしたものです。さらに、国民保護と称して、国民の権利を制限し、訓練などを通して戦争への協力体制を確立するというものです。これは、日本が攻撃されていない段階でも発動できるもので、まさに戦争法です。
昨日、区長は「外国の攻撃から国民を守るために、国や自治体、国民の協力を定めたもの」「国の存立の基本を定めておくことは当然」と言い、「区の責務として区民の安全確保、避難、誘導のため
国民保護計画を策定する」などと述べました。しかし、
国民保護法案は、
政府~都道府県~市区町村へとトップダウンで、住民の避難など大変な仕事はすべて
地方自治体に押しつけるものです。
地方自治体の自主性は無視され、首相などの要請や指示に従って活動することが義務づけられます。住民の生活や権利が犠牲にされ、住民の安全や福祉、環境を守るべき
地方自治体の役割や職員の仕事が無視されることになります。自然災害に備える訓練と有事・戦争に備える訓練とは全く異質なものであります。戦争は、私たち国民が努力すれば防げます。何よりも戦争をしない努力こそ、いま求められているのではないでしょうか。
区長は、2003年第2回定例会で有事法制に関する質問に、「今後、議論となる
国民保護法の動向など具体的な状況を注視しながら、必要があれば、
特別区長会または
全国市長会を通して意見を表明する」と答えていますが、
国民保護法を含む具体的な法案が提出されたもとで、住民の安全や福祉、環境を守るべき自治体の長としてどう行動しようとしているのか、改めて見解を伺います。
第2は、
介護保険料や利用料の負担軽減についてであります。
ことし1月、
厚生労働省は、来年度の
介護保険法本格見直し実施に向けて、
介護制度改革本部を設置し、7月にも報告をまとめようとしています。そこでは、
保険料増収のため、被保険者の20歳への引き下げや、
障害者支援費制度との統合。保険給付の範囲について要支援や要介護1を介護保険から外し、予防プランでの対応。特養ホームなど施設の
利用者負担の見直しと在宅の
利用料負担の見直しが検討されています。また、
財政制度等審議会は、
介護サービス費用本人負担を2割または3割負担とすることを提言にまとめるなど、一層の
国民負担増が懸念されます。
昨年11月、
全国市長会は、
介護保険制度に関する要望書を提出し、国の低
所得者対策については、保険料及び利用料の軽減策が十分でない。抜本的に検討し、国の制度として財政措置を含めて総合的・統一的な対策を講じることを要求し、足立区もこの立場に立っていることを答弁しています。そうであるならば、区は保険者としてできることはやるのが当然であります。
そこで、まず、利用料の
負担軽減策について伺います。
いま、
介護保険サービスを利用している高齢者の実態は本当に大変です。少ない
年金受給者ならなおさらです。東京都の
生計困難者に対する
介護サービス利用者負担軽減措置事業に基づいて、区は
生計困難者の
利用料負担軽減を進めています。区はこの制度をどのように評価しているのか、まず伺います。
また、この都の事業は2004年度末までの期限措置となっていますが、都に事業の継続を求めるべきと思うがどうか。また、区独自にでも事業の継続を図るべきと思うがどうか、答弁を求めます。
4月1日現在、区内の
介護保険サービス事業所で
利用者負担軽減措置を実施しているのは、訪問介護は109中46、訪問入浴は12中7、訪問看護は30中9、通所介護は48中16、通所リハは11中4、
短期入所生活介護は12中7、
短期入所療養介護は10中3、訪問リハはゼロというのが
区内事業所の実態です。このように、
事業者負担があるため、対象となるサービスを受ける生計困難な利用者のすべてが軽減策を受けることができない仕組みとなっています。そこで、利用促進のための
事業者負担分を区が保証すべきと思うがどうか、答弁を求めます。
次に、保険料の
負担軽減策についてであります。
ご主人を亡くしたKさんは93歳、
ひとり暮らしで介護度4、
寝たきり状態です。国民年金は月額2万3,500円、ここから
介護保険料2,400円が天引きされています。
介護サービス利用料は月平均1万5,000円です。Kさんは、葬式費用にと蓄えてきた貯金を取り崩し生活しています。ヘルパーさんの介護だけでは生活できず、他県に住む退職した息子さんが泊まり込みで世話をしていますが、この息子さんの負担も本当に大変です。住民税免除の方や所得のない人などが
介護保険制度から排除されないようにと、我が党が繰り返し要求してきた保険料の
負担軽減策が、昨年4月からスタートし、その第一歩が踏み出されています。
現在、区が低所得者の
介護保険料負担軽減策を行っている理由は何か、まず答弁を求めます。
2003年度から2005年度までの第2期
介護保険事業計画における
介護保険料設定で想定していた
生活困難者対策適用予想人数は、合計で2,350人、このうち第2段階では2,200人としていました。しかし、ことし3月末、第2段階の
保険料負担軽減措置を適用されている人数は733人であります。この第2段階の
保険料負担軽減措置を実際に適用されている人数は、区の予想より大幅に少ない、この原因はどこにあると見ているのか、伺います。
先の第1回定例会で、我が党は
預貯金要件の緩和については、収入だけに着目した一律減免は適当でないという、いわゆる
厚生労働省の3原則にかかわるものではないことを指摘しました。区は、答申を尊重して決めたので、現在、預貯金の要件緩和は考えていない。必要があれば
地域保健福祉推進協議会に諮問すると述べています。
来年度は
保険料見直しを検討する年であり、2006年度からの第3期
介護保険事業計画とあわせて
地域保健福祉推進協議会に諮問することは可能であります。これに向けて
預貯金要件を見直し、大幅に緩和すべきと思うがどうか、答弁を求めます。
次に、
特別養護老人ホームの運営について伺います。
4月30日の
地域保健福祉推進協議会では、施設の責任者などから「黒字だから減らすと
厚生労働省の言い方なのですが、施設を運営している以上は赤字を出すわけにはいきません」「必死になって節約してちょっと残ると黒字だから減らす。全国の特養は本当に困っている」「正規職員がやめると、かわりにフリーターでやっている」などの発言があり、他の方も「都税事務所が固定資産税を課税すると言ってきている、まるっきり踏んだり蹴ったり、これから特養運営はどうなるのか」、「これを区はどう受けとめてくれるのか」など、率直に出されていました。そこで伺います。
特別養護老人ホームの介護報酬が下がり、さらに
介護保険法の見直しにおいて、給付抑制の立場から施設運営への逆風が懸念されています。
特別養護老人ホームが安心して運営できるよう、運営補助の復活など助成制度を拡充する考えはないか。
また、公設民営の特養ホームを運営する法人への運営補助について、2000年度4億1,340万円を基準に、毎年20%ずつ削減し、2005年度末で廃止の予定でした。しかし、2002年10月に足立区
高齢者福祉施設連絡会から出された公設施設(
特別養護老人ホーム)
運営補助金の継続の請願が議会で採択された中で、減額に歯どめがかかりました。
ことし2月の
介護保険専門部会などで、区は現在支援体制を継続する予定と述べています。同時に、新たな補助制度を構築したいとも言っていますが、具体的にどのように考えているのか、答弁を求めます。
また、同じ足立区
高齢者福祉施設連絡会から、東京都に対して要請してほしいとして出された
特別養護老人ホーム運営補助金に関する請願も議会で採択されました。民設民営の
特別養護老人ホームに対する都の
経営支援補助についても継続を要請すべきと思うがどうか、答弁を求めます。
第3は、
子育て支援の施策についてであります。
昨年、政府は
次世代育成支援対策推進法を制定し、自治体と企業に行動計画の策定を義務づけました。足立区はこの
モデル自治体であります。同時に、
改正児童福祉法では、待機児童の多い自治体に
待機児童解消の保育計画を義務づけており、また、地域の
子育て支援事業が法定化されました。
伺いますが、政府は
地方自治体に、
子育て支援強化のため
次世代育成支援計画をつくれと言いながら、
保育所運営費など
子育て支援にかかわる補助金を削減しているのは、国の方針に逆行するものと思うがどうか、答弁を求めます。
足立区は
保育所入所待機児が最も多い自治体の一つです。区は保育所の
定員弾力化と称して詰め込み、子どもと保育士にしわ寄せ、また、
児童福祉法のただし書きを理由に、
認可保育所以外の方法、つまり、保育料が高い
認証保育所や保育室、保育ママなどでの
臨時的措置で待機児を解消するとしてきました。しかし、
認可保育所入所の
待機児童数は、昨年509人、今年度502人となっており、
待機児童解消にはなっていません。
こうした事態を招いている原因の一つは、
認可保育所増設で
待機児童解消を図ろうとする区の姿勢が全く見えてこないことであります。区は、
次世代育成支援行動計画の中で解消計画を示すと言ってきましたが、これまでの
臨時的措置を計画に入れただけで、抜本的な解消策である
認可保育所の増設・数値目標は全くありません。そこで伺います。
次世代育成支援行動計画に
認可保育所増設の数値目標がないのはなぜか。また、区は大規模開発にあわせて
認可保育所設置の方向を示していますが、それさえ計画に入っていないのはなぜか、答弁を求めます。
5月6日、都の
児童福祉審議会は、
認可保育所に都が独自に行っている
都加算補助の削減や公立保育園の
民営化推進などを盛り込んだ最終報告書を都知事に提出しましたが、これはいまでさえ安定した運営が困難になっている私立の
認可保育園に追い打ちをかけるものです。
伺いますが、国の
公立保育所運営費負担金が廃止され、都負担金もなくなっている中で、
公立保育所の民営化を進めることは、区がこうむる国庫補助の削減の痛みを民間に肩代わりさせ、乗り切ろうとするものではないのか、答弁を求めます。
東京都が行ってきた職員の経験年数に基づく
サービス推進費補助は、質の高い保育を確保する上で欠かせないものでした。ところが、都はこの
私立保育園への支援・補助を大幅に削減しています。これでは、いままでの
私立保育園での質の高い
保育サービスを提供することが困難になることは目に見えています。伺います。
民間福祉施設サービス推進費補助をもとに戻し、改悪を行わないように都に求めるとともに、
区立保育所の
民営化計画はやめるべきと思うがどうか、答弁を求めます。
先の定例会で設置された足立区
子育てサービス利用者負担適正化審議会について、昨日、区は「在宅の
子育て世帯と
保育所利用者との間で不公平感を生じないような料金体系、また、保育料について、従来の応能負担に加えて、応益負担を組み合わせた料金体系を構築したい」などと答弁しています。
もともと保育事業とそれ以外の
子育て支援事業は、目的も施策の内容も別のものです。それぞれに必要で、それぞれに一層の充実が求められており、片方を削って片方に回せばいいというものでは決してありません。国や
地方自治体は、保育に欠ける子どもを保育する義務があると
児童福祉法に定められ、そのため予算措置もとられており、行政の責務とされているものであります。いま、女性の社会進出や夫のリストラなど、収入減で母親が働かなければならない状況も増えています。また、子どもへの虐待問題など、子育ての不安も広がっています。そこで伺います。
保育所に預けたくても入れず、保育に欠ける状況が放置されていることを解消するための子育て施策のあり方こそ検討すべきであり、
子育て世帯への負担増となる保育所の
保育料値上げの検討はやめるべきだがどうか、答弁を求めます。
第4に、学校の少人数学級についてであります。
区は児童・
生徒一人ひとりに基礎的、基本的な内容を確実に定着させ、確かな力を身につけさせることを教育改革第2ステージの目指すところと言っています。しかし、区はこれまで学校選択の自由化、開かれた学校づくり、二学期制など、次々と熱心に議会に報告するのに、こと少人数学級についての検討結果の報告は全くありません。子どもたちの学力向上でも、学校生活の面でも、少人数学級の効果が明らかになっている中で、全国の実践から学ぶべきではないでしょうか。
今、少人数学級は、国民的な運動の広がりを示しています。現在、区も認めているように、全国43道府県で実施されるところまで広がっています。関東甲信越では、少人数学級の未実施は東京都だけとなっています。
少人数学級の実施校での実践報告として、山形県の第4回少
人数学級編制研究会報告もその一つです。3年間の実践に基づく
追跡調査アンケートは、少
人数学級編制が実施された4つの学年の児童2,890人、保護者2,506人、実施した学校長66人、全学年の担任598人から回答が寄せられています。その効果と教訓をまとめたものであります。
保護者は「教育効果は上がっているか」との問いに、「上がっている」は平成14年10月の41%から、平成15年12月では54%に上がっています。児童の回答では、「毎日の学習はどのように変わったか」の問いに、「先生の丁寧な指導」が67%から78%へと伸びています。また、「毎日の学級生活はどう変わったか」の問いでは、「係の仕事に頑張る」が69%から75%と大きな変化。ここでは少人数学級が特別活動の領域にも効果が見られると評価されています。
学校長の回答では「子どもの姿から感じる教育効果」の問いに「欠席の減少」43%から70%と大きく伸び、また、「学級のまとまり」では、67%から80%となったのも大きな特徴です。担任からの回答は「少人数学級で向上したと思われる基礎・基本」の問いに「学ぶ意欲」が43%から67%と大きく伸びたこと。このように、3年間の実践での教訓、効果が示されています。
ところで、昨年11月、文部科学省は少人数指導のための教職員の定数加配を少人数学級に振り替えることを認め、各
都道府県教育委員会に希望校の調査を依頼しました。
都教育委員会は、区市町村には連絡もせずに、該当なしと返答しています。
区教育委員会は、都の対応に遺憾の意を表明しています。そこで伺います。
区教育委員会は、少
人数学級実施についての
希望校調査が来たらどのように答えるのか、答弁を求めます。
区教育委員会は、
文教委員会などで少人数学級について、都と同じ立場だとも述べていますが、これは都に実施権限があるからということか。あるいはまた、都が実施に踏み出さないから、区も実施しないということなのかどうか、答弁を求めます。
現在、区は特別講師の採用と配置を行っています。この特別講師を活用すれば、少人数学級の実施は可能です。我が党の
予算組み替え案にも示したように、例えば少人数学級の第一歩として段階的に小学校1学年から35人学級で実施すれば、約8,000万円の予算で踏み出せます。特別講師を活用した少人数学級に直ちに踏み出すべきと思うがどうか、答弁を求めます。
第5に、
住宅リフォーム助成の創設についてであります。
区の
住宅基本条例は、第1条の目的で、「区民の住生活の安定及び向上を図り、もって生活の豊かさを実感できる住宅及び住環境の実現に寄与すること」とうたい、また第9条では、「区は、区民の継続した居住及び住生活の安定を図るため、区民自ら居住するための住宅の建設、購入又は整備を行えるよう適切な支援を行うことができる」と規定しています。
ところが、区は2002年12月
住宅改良助成条例を改定し、これによって
自己用住宅についての対象工事としていた増築、改築、改修を、高齢や障害による身体機能の低下に対応した改良や家族構成の増加による改良に後退させました。また、共同住宅、マンションについても、廊下、階段、屋上、給配水管などを対象工事としていたのに、廊下、階段の工事のみと、大幅に制限しました。改定した条例に
耐震診断費の助成を加えたものの、耐震改修を対象工事から除外し、さらに、助成金額の点でも
戸建て住宅、共同住宅、それぞれ限度額を大幅に引き下げています。この結果、条例改定前の98年度から2000年度の3年間での利用は150件でしたが、その後、事業凍結を経て、条例改定後の2003年度の利用はわずか3件となってしまいました。
区民の住環境を整え、安心して安全に住めるようにすることは、区政の重要課題であります。
住宅改良助成事業は、区のこうした基本姿勢の具体化の一環であると考えています。
伺いますが、条例改定後、一般区民の
住宅改良助成事業の利用が極端に少なくなったことは、こうした基本理念の実現の方向に逆行する事態だと思うがどうか、答弁を求めます。
区民が自ら住む住宅を改良するときに助成することは、
住宅基本条例第9条にいう、住宅の整備のための支援を行うことであり、区民の住環境の整備促進に寄与するものと思うがどうか、答弁を求めます。
また、事業凍結前の98年度から2000年度の3年間の予算総額は4,663万円、助成額は1割でしたから、工事総額は約4億6,630万円にもなります。経済波及効果は大きなものでした。伺いますが、
住宅リフォーム助成は、区内業者の育成支援や仕事確保につながり、経済効果を生み出すものと思うがどうか、答弁を求めます。
住宅基本条例に基づき、
住宅改良助成事業を発展させ、新たに
住宅リフォーム助成制度を創設すべきと考えます。そこで、次の施策を実施すべきと思うがどうか。区内業者の施工による住宅リフォーム、マンションのリフォームを含め、助成すること。自己資金による場合も助成の対象とすること。耐震診断とともに耐震補強工事も対象にすること。
最後に、地域商店街の振興策についてであります。
今年2月に丸井がオープンしました。ある商店主は、通行している人の3割が丸井の袋を下げていると語っていましたが、丸井のオープンは千住地域の商店街に大きな影響を与えています。伺います。
先の第1回定例会で、区は「丸井出店に伴う来街者数や動向を把握し、今後の商店街活性化支援策の立案資料とするために歩行者通行量調査を実施する」と述べていますが、いつ、どのように行うのか。
昨年第2回定例会で、区は「商店街の空き店舗対策事業としてコミュニティ施設活用商店街活性化事業を推進している」と答えていますが、商店街を活性化するために、今年度の商店街空き店舗対策の計画はどのようになっているか、答弁を求めます。
また、柳原のある商店会は、60店の会員が、今では約半数の30店に減っています。この1年間だけでも5店が消えており、不動産屋さんのテナント募集の張り紙がシャッターに張られています。商店街は相次ぐ大型店の出店による衰退を何とか食い止めようと、必死で頑張っています。
例えば柳原のある商店は、東京都の輝け店舗支援事業を活用し、お休み所をつくって頑張っています。これまで都は、「商店街支援」、「個店支援」、「人材育成」を商店街振興の三つの柱として位置づけ、その一つとしていた個店支援事業を1年で打ち切ってしまいました。この問題について、都議会で、我が党の質問に都は「今後も各個店に対しても振興ができるよう区市町村とも協議していく」と答えています。そこで伺います。
区は個店支援策についてどのように考えているのか。また、区は個店支援策について東京都と協議をすべきと思うがどうか、答弁を求めます。
千住地域の大型小売店出店は、イトーヨーカ堂やダイエーのトポス、駅ビル・ルミネ、そして丸井と続き、地元の商店街ではこれ以上の大型店は困るとの声があります。ところで、北千住駅東側の日本たばこ社宅跡地の活用について、足立区は日本たばこと都市基盤整備公団と勉強会を行っていると聞いております。区はどのような考え方で臨んでいるのか答弁を求めて、この場からの質問を終わります。ありがとうございました。
○田中章雄 議長 鈴木恒年区長。
〔鈴木恒年区長登壇〕
◎鈴木恒年 区長
鈴木秀三郎議員の代表質問のうち、有事法制に関するご質問にお答えいたします。
有事法制につきましては、昨年6月に成立した武力攻撃事態対処法の成立から1年が経過し、今国会に
国民保護法関連7法案等が提出され、参議院で審議されております。
自民党の新井ひでお議員の代表質問にもお答えいたしましたが、国民の生命の保護と国民生活への影響を最小にする
国民保護法案は、我が国が外国から攻撃を受けた場合に備えて、国の国民保護に関する基本指針、
地方自治体の
国民保護計画、指定公共機関等の業務計画などを、あらかじめ定めておくことなどを骨子としたものでございます。
私は、こうした事態が起こることがないよう願うものでありますが、平素から国家存立の基本である国の備えのための法的手続をあらかじめ定めておくことは当然のことと考え、東京都の計画策定等の推移を見ながら、足立区としての国民保護に関する計画の準備を進めてまいりたいと思っております。
他の質問には、参与よりお答えいたします。
◎佃朝明 区民部長 年金改革についてお答えいたします。
年金改革関連法案につきましては、6月5日、国会で成立いたしました。今回の年金制度改革は、国民年金及び厚生年金保険について、社会経済と調和した持続可能な制度を構築し、国民の制度に対する信頼を確保することを目指したものであります。
具体的には、少子化が進む中、将来の所得や賃金の変動に柔軟に対応し、長期にわたり年金財政を安定させることであります。加えて、将来の現役世代の負担が過大とならず、適正な給付水準を確保するとしております。
このような大きな枠組みの中で、限られた資金をいかに配分し、多様な生き方や働き方、女性と年金の問題、次世代育成支援などに対応した制度としていくことが主な内容となっております。
今後は、区民の皆様に内容の周知を図ってまいります。
次に、
介護保険料と利用料の軽減についてお答えいたします。
まず、介護保険利用料の負担軽減につきましては、東京都の
生計困難者に対する
介護サービス利用者負担軽減措置事業は、国制度を拡大した独自の軽減措置として評価しております。昨年7月から法施行時の訪問介護サービスの本人負担が、3%から6%に変更になりました。この制度適用により、利用者の負担が3%に据え置きとなり、利用料軽減として有効な対策と位置づけております。
次に、この事業は制度施行時の激変緩和措置として実施されたものであります。したがいまして、区独自で継続することは考えておりません。
また、本事業は国や東京都の補助事業と連動した事業であり、国や都の枠を超えて区独自に実施することは考えておりません。
次に、
介護保険料の負担軽減につきましては、収入や蓄えの少ない、いわゆる生活困難者対策として実施しているものであります。
適用されている人数が見込みよりも少ない原因は、まず、申請主義であり、また、収入のみでなく資産状況も要件にあることによります。今後も、区広報紙及び65歳以上の方全員にパンフレットを郵送するほか、保険料通知書郵送の際の封筒裏にも案内を載せるなど、さまざまな手段を講じて周知に努めてまいります。
次に、
預貯金要件の緩和につきましては、
介護保険制度について国が抜本的な改正を検討しているところであります。低
所得者対策についても検討課題に上がっており、それらを注視しながら、新
介護保険制度において区独自の軽減措置が必要である場合には、要件見直しも含めて検討してまいります。
◎石川義夫 福祉部長 私からは、
特別養護老人ホームの運営費補助と
子育て支援施策についてお答えします。
まず、
特別養護老人ホームの運営費補助についてお答えします。
介護報酬が減額になり、都市部の
特別養護老人ホームの経営が厳しい状況にあることは、理解しているところでございます。しかしながら、財政状況が厳しい中、数多くの入所希望者の期待に応える新規施設の開設に財源を投与すべき状況であり、新たな運営費補助については考えておりません。
次に、旧公設
特別養護老人ホームについての運営費補助についてでございますが、ご指摘のように、議会の請願採択を受け、現在も運営費補助を継続しております。今後は、補助のあり方について一層実態に見合い、かつ良質な介護を誘導する内容にするよう検討してまいります。
次に、東京都の民設民営の
特別養護老人ホームについての経営費支援についてですが、この継続につきましては、これまでも都に要望してまいりました。これからもそうしてまいりたいと思います。
次に、
子育て支援施策についてお答えいたします。
国の負担金である公立
保育所運営費の一般財源化に当たりましては、補助金の削減に見合う税源移譲等の財政措置が講じられると伺っております。実際どれだけ影響があるかは不透明な部分もございますが、今後の
子育て支援施策の実施には、影響は少ないものと考えております。
次に、数値目標についてでございますが、厳しい財政状況の中で、
認可保育所を区が主導で計画的に設置していくことは難しいと考えております。したがいまして、財政上の裏づけのない数値目標を示すことは困難な状況でございます。
次に、大規模開発にかかわる
認可保育所の設置につきましては、区としましても積極的に取り組んでまいりますが、開発事業者のスケジュール等に不確定要素が多く、そのため、計画に取り込んでいくのは厳しい状況と考えております。今後、日程等、事業の詳細がもう少し具体化してから検討してまいりたいと思います。
次に、
公立保育所の民営化についてでございますが、現在ある
公立保育所の民営化を進めることは、新たな雇用を創出し、多様な
保育サービスを供給するとともに、それにより生み出される財源と人的資源を、
保育サービスだけでなく、さまざまな
子育て支援施策に投入していこうとするもので、国庫補助の削減を民間に肩代わりさせるものではございません。今後とも計画に基づき、民営化を進めてまいります。
また、民間社会福祉施設サービス推進費助成の再構築につきましては、東京都と施設代表者の間で最終合意に達し、平成16年4月1日より施行されていると伺っております。
次に、足立区
子育て支援サービス
利用者負担適正化審議会についてお答えします。
急激な少子化の進行を踏まえ、限られた家庭だけでなく、すべての子育て家庭における児童の養育を支援する施策が、今、強く求められています。地域における
子育て支援施策を充実強化するために適正な
利用者負担はどうあるべきなのか、審議委員の皆様に十分論議いただけるよう、努力してまいります。
また、子育て施策のあり方についても、審議会の中で各方面から論議されていくものと考えております。
◎佐野宏明
都市整備部長 私からは、
住宅改良助成事業につきまして、お答えいたします。
区民の住環境を整え、安心して安全に住めるようにするため、行政が一定の支援をしていくことは重要と考えます。このために、厳しい財政状況下ではありますが、バリアフリー化の助成等、限られた予算を最大限に住宅政策に生かせる視点に立った施策としてスタートさせたものでありますので、
住宅基本条例の基本理念に沿ったものと考えております。
次に、区民の住環境の整備促進については、環境整備指導要綱により住宅の整備条件を整え、総合的な魅力あるまちづくりを進めることにより、「住んでよかった 住みつづけたいあだち」の実現を図ってまいりたいと考えております。
このことが、区内の住宅市場を活性化し、区内業者の方々への仕事確保につながることと思われますので、多額な費用をかけないで経済波及効果を生み出すことが期待されるところでございます。
次に、
住宅改良助成事業は、住宅政策の中で総合的に検討し、昨年スタートしたばかりでありますので、現在は制度を活用していただくよう普及に努めているところでございます。
このため、ご提案の区内業者の施工による住宅リフォームへの助成や、耐震補強工事への対象拡大は考えておりません。
また、自己資金への助成の提案については、この事業が手持ち資金の不十分な方々に対してご支援申し上げる趣旨でありますので、対象にすることは考えておりません。
次に、北千住駅東口にある日本たばこ産業の敷地の活用についてでございますが、この敷地は営業所、スポーツ施設、社宅等を合わせて約3.3ヘクタールと、大規模な敷地でございます。北千住駅東口周辺は、駅前広場や都市計画道路の整備、大踏切への対応、商店街の振興等、まちづくりのさまざまな課題がございます。
検討会の中では、現在のところ集合住宅や道路整備などを中心に検討が進められております。
区としましては、日本たばこ産業や都市基盤整備公団の協力を得て、東口周辺の都市基盤整備や商業の振興を図り、地元の活性化につなげていきたいと考えております。
◎坂本寛文
産業経済部長 私からは、地域商店街の振興策についてお答えいたします。
お尋ねの歩行者通行量調査につきましては、丸井への来客数が平準化する本年9月期に調査の実施を予定しております。本調査では、平成13年度に実施した前回調査と同一の地点に加え、新たにペデストリアンデッキから町への流れの状況もあわせて調査し、駅から地域への回遊実態も把握する予定であります。
次に、商店街空き店舗対策の計画につきまして、まず、学童保育需要が現在も引き続き高い東和地区や花畑地区の商店街において、本年度末の開設を目途に具体的な検討をしています。
この空き店舗を活用したコミュニティ施設の整備に当たっては、地域のニーズや学童待機児の実態、事業主体としての商店街やNPO等の力量などを総合的に考慮する必要があり、その他の地区についても調査中であります。
柳原の「お休み所」については、個店の活性化が商店街の活性化につながった一例として、一定の成果があったと認識しております。しかしながら、商店街の活性化が主目的であるとはいえ、個店の財産形成に都や区の補助金を投入することに対する否定的な意見があることも事実です。
したがいまして、区では特に商店街の空き店舗を活用した「お休み所」といった、コミュニティ施設による商店街活性化の方策として、今後もコミュニティ施設活用商店街活性化事業を積極的に推進していく所存であり、都に対しても同旨の事業についての充実を、課長会等を通じて求めてまいりたいと考えております。
◎江口由紀夫
教育改革推進担当部長 私からは、少人数学級の実施についてお答えいたします。
教育委員会としましては、学級編制については生活集団として40人学級を維持しながら、学習集団として少人数指導に力を注いでまいりました。現時点で調査があった場合には、少人数指導の充実を図っていく方向で回答してまいりたいと考えております。
次に、都と区の立場についてお答えいたします。
現在、
都教育委員会では、40人学級を維持しつつ少人数指導を充実させるという方針を示しておりますが、
区教育委員会は学級を学校生活の場である生活集団としてとらえ、授業の場である学習集団については、学級という概念にとらわれずに弾力的に考え、少人数指導等を進めております。
今後も、
都教育委員会の動向を見守りながら、
区教育委員会の判断で対応していきたいと考えております。
最後に、特別講師による少人数学級の実施についてお答えいたします。
区の特別講師は、少人数指導の充実のために区で採用しており、少人数学級への対応については考えておりません。
○田中章雄 議長 21番
鈴木秀三郎議員。
◆
鈴木秀三郎 議員 今、本当に、まともに通告を検討していただいているのかなというような、ひどい答弁だなと聞いたのですが、改めて、引き続き全体として聞いていきたい。
ただ、例の
有事法制関連の問題では、区長は本当に法案の出されている内容を、七つの法案、そのほかもありますけれども、内容をご存じなのかなと、今までのあれを大きく変える危険性があるわけです。そこで、トップダウン方式で首相よりの指示、国の指示でそのまま追従してやるということについて非常に心配がある。そういう立場で提起しているのですけれども、答弁を聞いていると、全くそういうことが、ごらんになっていないのでないかと思えてなりません。
ただ、年金の問題では、私は憲法25条、今、本当にひどい状況になっているのに、安定的な、あるいは一定の水準を確保するとか何か答弁がありましたけれども、区長が、私聞いているわけですけれども、憲法25条の立場から見て、あの改正が、改悪ですよね、本当にひど過ぎると、3万円か4万円の国民年金、現在よ、そういう人たちが15%これから下がっていくわけですよ。そういう点で生存権が侵害されていると、憲法25条の立場から見てどうなのかと聞いているので、いろいろありますけれども、その点、答えていただきたい。再答弁をお願いします。
私は区長に聞いているんです。
◎佃朝明 区民部長 国民年金制度は、そもそも自営業者を対象に始まった年金制度でございまして、老後生活の一部を補助していく仕組みでございます。確かに、年金だけでは生活補助できない方につきましては、他の社会保障制度を活用して対応していく方法があろうかと考えます。
◆
鈴木秀三郎 議員 憲法の立場から見てどうなんだと聞いているのですよ。
○田中章雄 議長 21番
鈴木秀三郎議員に申し上げますが、もう少し再質問の内容をはっきりと申し上げないと。
◆
鈴木秀三郎 議員 今回の政府案が、憲法25条の立場から見てどう考えているんだと、そこが区長の見解としてどうなんだと聞いているわけです。そこがはっきりしないんです。
もう一度お願いします。
◎佃朝明 区民部長 先ほどご答弁申し上げましたとおり、今回の改革の中身の大きな枠組みでは、今後、限られた資金をいかに配分するとか、多様な生き方や働き方、女性と年金の問題等々、それに対応できる制度としていくということでの改革内容になっておりますので、ただいま
鈴木秀三郎議員のご指摘のその中で、この対応はされていくものと考えております。
○田中章雄 議長 次に、38番野中栄治議員。
〔野中栄治議員登壇〕
◆野中栄治 議員 私は、足立区議会民主党を代表し、通告の順に従い質問を行います。
質問に入る前に一言申し上げます。
159回通常国会も今月16日までの日程で行われていますが、年金国会となることを多くの国民は期待していたものと思います。抜本改革を約束していた政府与党は、ふたを開けてみれば、抜本的改革にはほど遠い、国民に負担増と給付の切り下げ案で、国民に痛みを押しつけるものでした。
私ども民主党は、昨年の総選挙で抜本改革案を示し、今国会でも対案を示し、多くの国民も、当然議論が深まり改革が果たせるものと、将来に安心できる年金法が成立するものと、国民は大きな期待を持って国会論議を見守っていたに違いありません。
しかし、国会中盤以降、閣僚や国会議員の国民年金未納・未加入問題が浮上し、未納者の責任を追及することも一方では必要ではあると思いますが、国会議員でさえ未納・未加入が発生してしまうような、わかりづらい制度そのものが根本的な問題であり、その改革のために議論すべきであったにもかかわらず、改正しなければならない制度を放置したまま、去る4月25日衆議院厚生労働委員会で与党単独で可決、5月11日衆議院本会議で可決されたのであります。
参院厚生労働委員会の審議でも、現行制度の欠陥は明らかになり、抜本的に改めるべきとの認識は国民共通なものへと高まりを帯びてきました。さらには、審議が進むにつれ、政府案の根幹となっている厚生年金の保険料を段階的に引き上げ18.3%で固定するという案についても、確固たる財源見通しがないことや、給付も50%が確保されないこともが、坂口厚生労働大臣の答弁から明らかになりました。
ほかにも未納・未加入問題、年金積立金の運用の失敗やグリーンピアなどに象徴されるような無駄遣い問題等々、政府与党は審議を深め、国民の年金不信を払拭すべき責任にあるにもかかわらず、審議を放棄・拒否し、去る3日の委員会において、前代未聞の極めて許しがたい抜き打ち強行採決という手段をもって審議の幕を閉じてしまったのであります。
国民の7割が政府与党案に対し廃案を求めていたことは、世論調査でも示されているにもかかわらず、まして野党の質問を途中で打ち切ってまで、これほど急いで成立させなければならない理由は何なのでしょうか。説明責任が問われるべき重大問題であると同時に、今後ますます年金不信、政治不信を深めていってしまった政府与党の責任は大であると指摘します。
足立区としても、区民に対して、あらゆる施策について説明責任を怠らないよう努力することは当然でありますが、我々議会とも十分審議を深めることを強く申し上げ、質問に入ります。
最初に、新基本構想策定に当たって、その基礎的なことについてお伺いをいたします。
足立区が新基本構想を策定するに当たり、私はこれまで幅広い区民の意見が反映できるシステムを確立することが必要であると主張し、そのモデルケースとして三鷹市での取り組みを申し上げてきました。坂田
政策経営部長は、それ以上のものをつくり上げたいと述べてこられました。その取り組みにおいて、まず、足立区新基本構想策定区民委員会を立ち上げ、構想の素案づくりを依頼し、この素案を継承させながらの足立区基本構想審議会を組織し、本年4月答申を得るに至りました。私は、区民委員会、審議会に参加していただいた方々に、改めて敬意を表する次第であります。
さて、この答申を踏まえ、区当局は新基本構想並びに基本計画をただ今策定中であると承知いたしておりますので、その策定に当たっての基礎的な考え方にのみ絞り、以下、お聞きをいたします。
一つ、足立区では既に鈴木区長のもと、三つの構造改革戦略を掲げ実践中であります。この三つの構造改革戦略は新たな基本構想、基本計画づくりのベースとなるべきことではないかと考えるところでありますが、いかがでありましょうか。
二つ、今後は、基本構想、基本計画の作成までとし、昨年度より実施計画は作成されておりませんが、それで行政としての使命、一体感が保たれるものでありましょうか。個別施策が一人歩きする感も否めないところであります。まして、包括予算制度のもとでは、なおのことのように思うのであります。常に基本構想、基本計画、実施計画との整合性が図られた上で、行財政運営が行われていかなければならないものと思うのでありますが、いかがでありましょうか。
三つ、平成4年に策定された基本構想において、足立区の人口規模を70万人と定めた経緯があります。それをもとに基本計画、実施計画が立てられ、行財政運営が行われてきたと解釈しております。新基本構想においては、足立区の人口規模は何人と定めるのでありましょうか。
四つ、現在、ベルモント市との姉妹都市を提携し、各種有意義な活動を展開していることは認めるところであります。今後とも国際交流、国際社会に貢献する活動を更に広めることも重要な課題ではないだろうかと考えます。
こうした視点を新基本構想に掲げ、例えばアジア圏域など、新たなる都市の選定を行うべきと考えますが、いかがでありましょうか。
五つ目は、土地利用基本構想についてお伺いいたします。
都市基盤整備も、この間、随分進捗してきたと見ています。それでもまだ既設、新設の駅周辺整備、残された都市計画道路の整備、地価下落が誘発しているマンション建設といった課題も存在しています。また、バブル期に先行取得してきた公有地の未利用地の有効活用といった課題もあります。これらの課題に今後どう取り組むのかの方向性を定める必要があります。その基本構想をお示しください。
次に、学力向上策についてお伺いいたします。
2002年にスタートした新学習指導要領のポイントは、大きく分けて完全週5日制と総合的な学習の時間の導入でありました。このことは、
教育委員会、学校現場、家庭、地域にさまざまな問題を投げかけました。これまでの学校教育という概念を、国民総体に変革を求める結果となったと言っても過言ではないでしょう。同時に、学習時間の削減に伴う基礎学力の低下が、国民に大きな関心を呼び起こし、一時は社会問題化したこともありました。
子どもたちの土曜日の受け皿づくりが議論となり、体育館、校庭等の土曜開放、そこで遊ぶ子どもたちを見守るためのPTA役員等の新たな活動体制づくり、一方、サタデースクールの組織化、または、子どもたちの塾通いへと拍車をかける等々の動きが起きたことも、きのうのように記憶に残っている出来事でありました。
以来、今日、教育の再生が望まれているとはいえ、その進展は急ピッチで展開されています。これにはさまざまな背景があろうかとは思いますが、国際社会、情報社会が叫ばれ、少子化、核家族化が進行する中で、青少年、児童をめぐる余りにも悲惨で深刻な事件が続発し、子どもも大人も、周りとのコミュニケーションがうまくいかず、人間関係が希薄化し、真・善・美といった判断力さえ損なわれ、生きる力さえも喪失してしまっている現代を、教育の再生に求めてきているのではないかと思うのであります。
足立
区教育委員会も、新学習指導要領を先取りするかのごとく、2000年度に教育改革推進担当部を設置し、教育改革に取り組んでいます。開かれた学校づくり、学校選択の自由化、地域学習の推進といったテーマに始まり、五反野小における民間人校長の任用と理事会制の創設、小・中学校二期制の導入等々、まさしくいとまのない改革を実施してきています。
そして、「教育立区・あだちをめざして」とする第二次教育改革を進めています。その第1弾が、昨年11月学力向上検討委員会を発足させ、その検討結果を今年2月まとめ上げ、学力向上推進会議に報告したのであります。このことは、本年第1回定例議会の中で議会側にも説明があったところであります。現在、学力向上推進会議において具体的方策が議論されている最中であろうとは思いますが、私は、検討委員会から出された報告をもとに質問を行います。答弁に当たっては、推進会議での議論がどのように交わされているのかをも含め答弁いただけるならば、ありがたいと思う次第であります。
質問の第1は、今日の教育改革の第一義は、「ゆとりある教育の実現」ではなかっただろうかと思っています。しかし、この報告を読む限り、児童・生徒へのゆとりが感じられないのであります。余りにも学力向上という目的だけが追求をされ、報告の学力についての項目で述べられていることが、ややもすると忘れられてしまうのではないか、その結果、20世紀時代の教育指針と化してしまうのではないかと、危惧を感じるのであります。
具体的に申し上げますならば、学力向上の取り組みについての項で述べている学力向上に関する調査の実施についてであります。
私はこれまでも、教育改革を進めるに当たっては、児童・生徒の学力調査は必要だ。その結果をもとに、どう改革を行うか検討すべきと主張してきたことを思えば、調査の実施に当たっては異論を唱えるものではありません。しかし、この報告では、毎年行う必要があると述べています。そうだろうか。もし必要とするならば、いま国・都が実施している定着度調査が区教委に何一つ報告されていないものを開示させ、それと連動させることによって実態を把握することを追求してはどうかと考えるのであります。そして、試験のための勉強という古い作風を払拭することです。
第2は、報告にあります指導方法等の改善、充実ということについてお伺いいたします。
ここでは、教職員の資質向上を求めている項であると解釈いたしました。そこでは優れたベテラン教師への顕彰制度として、マイスター認定制度を設立するとあります。文部科学省も、教員を表彰することは、教員評価の改善の一環として、教員の意欲を高め、資質能力の向上に資するといった効果が期待できるといった観点から、各
都道府県教育委員会における表彰等実施状況について、調査を行っているという動きも承知しておりますが、私は、教師への顕彰、表彰する意義が本当にあるのだろうか、といった疑問を持つ一人であります。
なぜなら、教師として自分の専門分野、得意分野を日々研鑚に努めることが当然の職務であると考えるからであります。そのために区小研、区中研、十年経験者研修制度等があり、その他、民間研修機関等も用意されています。こうした機会、制度を積極的に活用、受講するよう区教委として奨励することは良しとしても、教員個人を顕彰、表彰することに意味があるとは思えません。
また、長い間にわたって論争が繰り広げられてきた教員の評価システムについても、既に改善され定着してきているではありませんか。その中で教員一人ひとりの能力や実績等が適正に評価され、それが配置や処遇等に適切に結びつけてきているではありませんか。私は、こうした施策を充実、強化させていくことで、報告が求めていることが十分果たし得るものと考えます。
同時に、このマイスター認定制度は二期制のメリットさえも損なってしまうのではないかと、恐れさえ感じられてなりません。見解を求めます。
第3は、学校経営コンサルタント制度を導入するということについてであります。
特色ある学校づくりを議論する過程において、学校長の経営感覚ということについて、また、校長の権限強化といったことについて議論されてきました。それは、校長の自主性とリーダーシップが発揮されることを期待してのことであったと理解しています。今後とも期待し続けることに変わりありません。しかし、報告では、現状分析をどう行っているかは定かではありませんが、学校経営コンサルタント制度を創設するとあります。
私は、この制度をすべての学校長に適応するとは思いませんが、もし適応校と指定された学校長はどう受け止めるでありましょうか。私は、こうした制度を創設するよりも、文部科学省が推奨している学校組織マネジメント研修を取り入れ、まず実施してみることではないか、その結果を見極めた上で判断してもよいのではないかと考えます。見解を求めます。
次に、新田小・中学校の改築計画構想について伺います。
足立区2ブロック第9地区まちづくりについては、平成4年度に特定住宅市街地総合整備促進事業の指定を受け広域調査が実施され、翌年3月に、その結果が新田まちづくり基本構想としてまとめ上げられたという経緯があります。以後、区行政としても本格的な事業へと進展させてきたのであります。既に12年になろうとしております。
多くの問題を抱えた本事業ではありますが、地域住民の知恵と理解力が困難な問題を一つひとつ乗り切っている中で、事業も順調に進んでいると言えます。特に幻の都市計画公園といわれた2ヘクタールにも及ぶ広大な一帯に居住する134世帯の住民が、将来に向けたまちづくり協定を策定したことは、驚くべき英断を下したと感激しております。
また、道路新設・拡張に関しても、地権者及び借地人の理解と協力にも頭が下がる思いであります。区長も一度機会をつくっていただき、まちづくり連絡会においでいただいて、ねぎらいの一言でもいただけますならば、ありがたいと思うほどであります。
そこで、今後の最大の課題は新田小・中学校の移転改築であります。いま新田まちづくり連絡会学校部会において、学校施設づくりについて議論を重ねている最中にあります。とりまとまり次第、区教委に提言してまいるものと思いますが、今後、区教委において策定される基本構想、基本計画に十分反映してくださることを期待いたすものであります。こうした新田まちづくり連絡会との議論を加味しながら、以下の質問について区教委の見解をお聞きいたします。
今や学校施設に対するニーズはさまざまであります。児童、生徒の学習の場であることはもとより、教育内容の変化に伴って、健康と安全、あるいはゆとりと潤い等々が施設づくりに求められています。また、災害時の避難所となることは言うまでもなく、バリアフリー化し、地域コミュニティの場となること等々に十分配慮された学校施設づくりが求められています。
そこで、お伺いいたしますが、これらの機能を十分満たすには膨大なエネルギーを消費することが予測されます。そこで、環境に配慮した施設づくりが求められてきます。文部科学省は、平成9年から、児童、生徒の環境教育にも役立つ学校施設の整備、充実を促進するため、経済産業省、農林水産省とも連携し、エコスクール推進事業を実施しています。エコスクールとして整備された施設は、環境教育の生きた教材としても活用することができ、環境教育の向上が図られるとしています。新田小・中学校改築構想に、エコスクールの実現化を目指すべきと思うがどうか、見解を求めます。
2点目は、現在、将来において学校施設はコミュニティの拠点としての機能が必要であり、その要素はますます強くなっています。新田まちづくり連絡会の議論の中で、3,000所帯の住宅ができることによって、あるいは一方で地域コミュニティに著しく変化が生じてきているといわれている今日にあって、「新しい町、古い町といった二極化した新田にしてはならない。そのためにも新設される学校を核にした、しっかりしたコミュニティづくりをしていこう」と話し合われてきています。3,000所帯の入居者を迎え、地域におけるさまざまな活動を行っていくに当たって、地域コミュニティの形成は欠かせない課題であることを、新田住民は深く理解いたしております。よって、区教委においても、これらの課題を背負った新田地区であることを十分意識され、学校施設の複合化ということについても視野に入れた、改築構想を練り上げていただきたいと要請いたす次第であります。そこには、福祉サービス施設、あるいは地域における総合的な生涯学習の機能を持たせた施設等々を整備することであると考えます。
以上、答弁を求め、私の質問を終わります。ありがとうございました。
○田中章雄 議長 鈴木恒年区長。
〔鈴木恒年区長登壇〕
◎鈴木恒年 区長 野中栄治議員の代表質問にお答えいたします。
そのうち新基本構想と新基本計画に関する質問にお答えいたします。
ご質問のとおり、新基本構想と新基本計画は、構造改革戦略を包含したもので、特に社会の構造改革の分野を中心に、より長期的視点ですべての政策分野を含んだものとなると考えております。
しかし、構想や計画に構造改革戦略の中の財政と区政の構造改革をすべて盛り込むことは難しい面もあります。今後、(仮称)構造改革戦略推進プランといったものを策定しまして、特に行政改革につながる分野につきまして、引き続き積極的に推進していく必要があると考えております。
他のご質問につきましては、参与から答弁をいたさせます。
◎坂田道夫
政策経営部長 私からは、基本構想関連のご質問にご答弁申し上げます。
まず、実施計画につきましては、従来の実施計画がローリング計画として毎年の見直しを行っていたため、長期的事業の進行管理に向かない等の点から、財政課が策定する中期財政計画で進行管理を行っていくこととしております。これにより、長期的スパンで財政計画とリンクした事業管理が可能になると考えております。
この中期財政計画も、基本構想と同じサイクルで見直しを図ることにより、基本構想、基本計画との整合性を図ってまいります。
続いて、人口推計でありますが、国立社会保障・人口問題研究所の人口推計によりますと、平成27年の足立区の人口は57万人余、平成42年には48万5,000人へ減少すると予想しております。
この背景には、少子化による人口減少及び社会移動による流出減などがあるものと考えられます。
しかし、政策的に人口増を図るような手段を講じることにより、人口推計を増へ転じることも可能であります。むしろ、単に人口推計を受け入れるのではなく、足立区として目指す人口規模を示し、その達成に向けた総合的な施策を展開すべく、現在、検討を進めておりますが、今回の新基本構想、新基本計画におきましては、おおむね現状維持と想定しております。
続きまして、土地利用構想に関しましては、現在、基本構想の中にどう盛り込むか、その盛り込む内容について検討中でございます。
その中では、審議会の答申にありますように、今後の膨大な都市更新需要を考慮し、基本的スタンスは「つかうまちづくり」に置きつつも、都内でも有数と推定される有効活用可能な土地資源の活用や防災上の課題解決を図る方向性等を示してまいりたいと考えております。
その具体的内容につきましては、新基本計画の中に盛り込む予定であります施設配置の基本的な考え方や、今後、新基本構想や新基本計画に沿って改定、策定される個別計画の中でお示ししたいと考えております。
◎坂本寛文
産業経済部長 私からは、新たなる国際交流についてお答えいたします。
ベルモント市と姉妹都市提携を結び今年度で20周年を迎え、8月には区民交流使節団が同市を訪問し、足立公園開設式典等記念イベントに参加する予定です。ベルモント市とは従来からの区民交流に加え、経済交流も視野に入れた事業の展開を図っていきたいと考えております。
新たなる都市との交流につきましては、特定の都市に限定せずに、区民の交流状況の推移を確かめながら考えてまいります。
◎内藤博道 教育長 私からは、新田の学校改築構想についてお答えをいたします。
初めに、エコスクールの実現化についてでございますが、限りある資源の有効利用や自然環境等に配慮した施設づくりは、公共施設が率先して実践していくべきと自覚しております。したがいまして、新田地区における学校建設に際しましても、省資源、省エネルギーに配慮することはもちろんですが、施設自体が環境教育の教材として活用されるよう検討を進めてまいります。