板橋区議会 2024-03-22
令和6年第1回定例会-03月22日-04号
〃 第14 〃 第 4号 令和6年度東京都板橋区
後期高齢者医療事業特別会計予算
〃 第15 〃 第 5号 令和6年度東京都板橋区
東武東上線連続立体化事業特別会計予算
〃 第16 〃 第29号 令和6年度東京都板橋区
一般会計予算に対する修正動議
〔
議会運営委員会報告〕
日程第17 本会議等の運営方法の検討について
午前10時00分開議
出席議員 46名
1番 ひはら みちこ議員 2番 近
藤タカヒロ議員
8番 しいな ひろみ議員 9番 坂 田 れい子議員
10番 木 田 おりべ議員 11番 一 島 ひろし議員
12番 横 川たかゆき議員 13番 長 瀬 達 也議員
14番 大 野 ゆ か議員 15番 井 上 温 子議員
17番 小 柳 しげる議員 18番
内田けんいちろう議員
19番 間 中りんぺい議員 20番 いがらし 学議員
21番 実 正やすゆき議員 22番 小 野 ゆりこ議員
23番 大 森 大議員 24番 石 川 すみえ議員
25番 山 内 え り議員 26番 中 村とらあき議員
27番 山 田たかゆき議員 28番 寺 田 ひろし議員
29番 わたなべ一 美議員 30番 岩 永 きりん議員
31番 くまだ 智 子議員 32番 荒 川 な お議員
33番 いわい 桐 子議員 34番 田中しゅんすけ議員
35番 田
中やすのり議員 36番 いしだ 圭一郎議員
37番 さかまき常 行議員 38番 おばた 健太郎議員
39番 五十嵐 やす子議員 40番 竹 内 愛議員
41番 小 林 おとみ議員 43番 元 山 芳 行議員
44番 大 野 治 彦議員 45番 鈴 木こうすけ議員
46番 成 島 ゆかり議員 47番 中 妻じょうた議員
48番 高 沢 一 基議員 51番 川 口 雅 敏議員
52番 佐々木としたか議員 53番 田 中 いさお議員
54番 し ば 佳代子議員 55番 おなだか 勝議員
職務のため議場に出席した事務局職員の職氏名
区議会事務局長 五十嵐 登
区議会事務局次長 森 康 琢
〃 議事係長 龍 野 慎 治 〃 調査係長 服 部 亮
〃 書記 飯 野 義 隆 〃 書記 高 橋 佳 太
〃 書記 高 瀬 渉 〃 書記 安 部 詩 織
〃 書記 鈴 木 琢 真 〃 書記 石 川 実 生
〃 書記 小 林 隆 志 〃 書記 横 山 愛
〃 書記 土 屋 太 功
地方自治法第121条の規定に基づく説明のための出席者
区長 坂 本 健 副区長 尾 科 善 彦
教育長 中 川 修 一 常勤監査委員 有 馬 潤
政策経営部長 篠 田 聡 総務部長 田 中 光 輝
法務専門監 辻 崇 成 危機管理部長 三 浦 康 之
区民文化部長 林 栄 喜 産業経済部長 平 岩 俊 二
健康生きがい部長 宮 津 毅 保健所長 鈴 木 眞 美
福祉部長 久保田 義 幸
子ども家庭部長 関 俊 介
子ども家庭総合支援センター所長 資源環境部長 岩 田 雅 彦
佐々木 三 良
都市整備部長 内 池 政 人
まちづくり推進室長田 島 健
土木部長 糸 久 英 則 会計管理者 代 田 治
教育委員会事務局次長 地域教育力担当部長雨 谷 周 治
水 野 博 史
政策企画課長 吉 田 有 財政課長 大 森 恒 二
総務課長 荒 井 和 子
△開議の宣告
◎事務局長(五十嵐登) ただいまの出席議員数は46名でございます。
○議長(
田中やすのり議員) これより本日の会議を開きます。
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△
会議録署名議員の指名
○議長(
田中やすのり議員) 本日の
会議録署名議員をご指名申し上げます。
山 内 え り 議員
成 島 ゆかり 議員
以上、お二人の方にお願いいたします。
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△各委員会報告、質疑、討論及び付託案件の採決
△
健康福祉委員会報告
○議長(
田中やすのり議員) これより日程に入ります。
日程第1から第10までを一括して議題といたします。
健康福祉委員長から提出された議案第30号外9件に対する審査報告書は、朗読を省略し、委員長から審査の結果について報告があります。
健康福祉委員長 石川すみえ議員。
◆石川すみえ 議員 議長。
○議長(
田中やすのり議員)
石川すみえ議員。
〔参 照〕
健康福祉委員会審査報告書
本委員会に付託の事件は、審査の結果、下記のとおり決定したので、会議規則第72条の規定により報告します。
記
┌──────┬─────────────────────────────┬─────┐
│ 事件の番号 │ 件 名
│議決の結果│
├──────┼─────────────────────────────┼─────┤
│議案第30号│東京都
板橋区立福祉園条例の一部を改正する条例
│原案可決 │
├──────┼─────────────────────────────┼─────┤
│〃 第31号│東京都板橋区
児童福祉施設の設備及び運営に関する基準を定める
│原案可決 │
│ │条例の一部を改正する条例
│ │
├──────┼─────────────────────────────┼─────┤
│〃 第32号│東京都板橋区
指定障害児通所支援の事業等の人員、設備及び
運営│原案可決 │
│ │に関する基準を定める条例の一部を改正する条例
│ │
├──────┼─────────────────────────────┼─────┤
│〃 第33号│東京都板橋区
指定障害児入所施設の人員、設備及び運営に関する
│原案可決 │
│ │基準を定める条例の一部を改正する条例
│ │
├──────┼─────────────────────────────┼─────┤
│〃 第34号│東京都板橋区
国民健康保険条例の一部を改正する条例
│原案可決 │
├──────┼─────────────────────────────┼─────┤
│〃 第35号│東京都板橋区
指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び
運│原案可決 │
│ │営の基準に関する条例の一部を改正する条例
│ │
├──────┼─────────────────────────────┼─────┤
│〃 第36号│東京都板橋区
指定居宅介護支援の事業の人員及び運営の基準に
関│原案可決 │
│ │する条例の一部を改正する条例
│ │
├──────┼─────────────────────────────┼─────┤
│〃 第37号│東京都板橋区
指定地域密着型介護予防サービスの事業の人員、
設│原案可決 │
│ │備及び運営並びに
指定地域密着型介護予防サービスに係る
介護予│ │
│ │防のための効果的な支援の方法の基準に関する条例の一部を
改正│ │
│ │する条例
│ │
├──────┼─────────────────────────────┼─────┤
│〃 第38号│東京都板橋区
指定介護予防支援の事業の人員及び運営並びに
指定│原案可決 │
│ │介護予防支援に係る介護予防のための効果的な支援の方法の
基準│ │
│ │に関する条例の一部を改正する条例
│ │
├──────┼─────────────────────────────┼─────┤
│〃 第39号│東京都板橋区
国民健康保険条例の一部を改正する条例
│否決 │
└──────┴─────────────────────────────┴─────┘
令和6年3月18日
健康福祉委員長 石 川 すみえ
議 長 田中 やすのり 様
──────────────────────────────────────────
少数意見報告書
2024年3月18日の
健康福祉委員会において留保した少数意見を、会議規則第71条第2項の規定により、下記のとおり報告します。
記
1 事 件
議案第34号 東京都板橋区
国民健康保険条例の一部を改正する条例
2 意見の要旨
本議案は、2024年度の
国民健康保険料を引き上げるものである。この改正により、新年度の医療分の1人当たり保険料は13万1,496円で、前年度比1万1,831円もの負担増である。最高限度額は2万円増の106万円と過去最高額であり、今回の改正で、加入者のほとんどの保険料が引き上げとなる。
本議案に反対する第一の理由は、国保広域化以降、最大の値上げ幅であり、国保加入者へさらなる負担増となるからである。今回の値上げ幅は、2018年の国保広域化以降、最大の値上げ幅になっている。さらに
国民健康保険料は、どの医療保険よりも高く、例えば、年収200万円の35歳夫婦と10歳、5歳の4人世帯では、年間2万6,535円もの値上げで、21万7,061円の保険料は年収の1割を占める保険料になっている。同じ世帯で協会けんぽの保険料と比べても約11万7千円も多く、2倍もの差が生じている。
国民健康保険の加入者は、社会保険への移行対象が増えたこともあり、減少し続けている。そのため、加入者は、高齢者と働くことが難しい人や自営業、非正規雇用など、経済的には厳しく、医療をより必要としている人の健康保険という構造である。板橋区の国保加入者の84%が年収200万円以下の世帯で、低所得者が多く、今でも高すぎる保険料にさらに負担増を押し付けるべきではない。
第二の理由は、国保料を引き上げない努力や軽減策の拡充を行うことができたはずだからである。国の
激変緩和措置期間終了の2024年度は、都への納付金が100%になる予定を、コロナの医療費増分と基金の取り崩しで98%に抑えた結果となった。しかし、今回の負担増総額は約19億円である。板橋区の一般会計から
国民健康保険事業特別会計への繰入金は、最も多く繰り入れた2016年の91億円と比べても33億円も下がっている。消費税増税やコロナ、物価高は低所得の人ほど影響が重く、そうした人への値上げとならないようにさらに一般会計からの繰り入れを行うことはできたはずである。本来なら減らし続けた国庫負担こそ引き上げて、保険料負担を軽減すべきで、自治体が一般会計から繰り入れる努力をなくせと国が求める削減計画こそ撤回すべきである。同時に、子どもの均等割への軽減は、多くの自治体で実施する努力が広がっている。区として、できる努力をもっと行うべきである。
反対する第三の理由は、国庫負担こそ引き上げるべきだからである。保険料が上がり続ける要因の一つが加入者の減少である。法改正によって働いている人の
社会保険加入対象が拡大され、国保から社保へ移行する人が増加している。今年秋には、さらに対象の拡大が進むことを考えれば、加入者が減少していくことによって、保険料が上がり続けることは明らかである。しかし、そのことへの国からの財政支援は何もない。また、平均年齢もどの健康保険よりも高く、最も多い年齢層が65歳から74歳で、その年齢層が後期高齢に移行すれば、
国民健康保険そのものが成り立たなくなる。国保制度が始まった時は、低所得者の多い国保は公費で賄う必要があるとして45%だった国庫負担を引き下げ続けてきた国の責任は重大である。全国知事会も特別区長会も、国に対し
国庫負担引き上げを求めている。議会を挙げて、加入者への
保険料引き上げではなく、
国庫負担引き上げこそ求めていくべきである。
以上の理由で、本議案に反対する。
2024年3月18日
健康福祉委員 いわい 桐 子
議 長 田中 やすのり 様
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少数意見報告書
2024年3月18日の
健康福祉委員会において留保した少数意見を、会議規則第71条第2項の規定により、下記のとおり報告します。
記
1 事 件
議案第39号 東京都板橋区
国民健康保険条例の一部を改正する条例
2 意見の要旨
本議案は、
国民健康保険に加入する世帯のうち、子育て世帯の保険料負担を軽減するため、現在実施されている未就学児に係る均等割額5割減額の対象を、18歳に達する日以後の最初の3月31日までの子どもに引き上げるものである。
本議案に賛成する第一の理由は、収入のない子どもにまで課されている保険料の軽減を直ちに実施すべきだからである。
国民健康保険だけが、生まれたばかりの赤ちゃんも含めて収入のない子どもの保険料として「均等割額」を課している。そのため、子どもの人数が多い人ほど収入は増えていなくても保険料が高くなる構造であることは、大きな課題と指摘され続けてきた。
そもそも、収入のない子どもにまで頭割りして保険料を求める仕組み自体が問題で、子どもの均等割保険料は廃止すべきである。その分、国庫負担で課題を解消すべきである。少なくとも収入のない子どもは6歳まででいいはずがない。しかも、中学生・高校生の時期は、教育費が家計を圧迫する時期で、家庭にとっても負担軽減が必要な時期で、それは待ったなしの状況である。
第二の理由は、板橋区として負担軽減に踏み出すことができるからである。2022年度から就学前の子どもの均等割に対する5割減額が、国によって開始された。それは、子どもにまで保険料を課すことで保険料が上がっている課題を認めたものである。それを受けて、全国では18歳まで対象を拡大する自治体が増加しており、把握しているだけでも5つの自治体が実施している。さらに18歳までの均等割保険料を全額助成している自治体も5つに発展している。中には、非正規雇用の若者の支援を22歳までに広げている自治体もある。
厚生労働省は、2022年の事務連絡通知で、自治体が上乗せしてさらなる軽減や免除の「条例は定めることができない」と回答している。しかし、すでに実施している自治体が広がっているように、国が定める算定・賦課の基準を自治体が条例で変えることはできないが、国の基準に基づいて各世帯の国保料を算定・賦課した上で、その一部または全額にあたる額を自治体が公費で補助し、実質的な独自軽減を行うことは可能である。それは、同通知で「明確に法律違反とは言えないものの、適切ではないと考えている」との答えにあるように、厚労省の考えに過ぎない。
第三の理由は、区として軽減する財源はあるからである。
国民健康保険事業特別会計への
一般会計繰入金である、義務的経費を除く「その他
一般会計繰入金」は、2022年度決算で約19億8千万円である。2010年の約57億9千万円と比べて約38億円も減少している。子どもの均等割5割減額を18歳まで拡大するために必要な保険料額は約1億2千万円であり、区として軽減に充てる財源は十分あると考える。全国知事会も特別区長会も国に対して対象拡大を求めているように、本来であれば国がやるべきと考えるが、低所得世帯の多い国保世帯にとっては、国の実施を待っていられない。必要性を認識しているなら、国が実施するまで、区として実施すべきである。
以上の理由で、本議案に賛成する。
2024年3月18日
健康福祉委員 いわい 桐 子
議 長 田中 やすのり 様
──────────────────────────────────────────
〔
石川すみえ議員登壇〕(拍手する人あり)
◆石川すみえ 議員 ただいまから、3月18日に開催いたしました
健康福祉委員会における審査の結果につきまして、ご報告申し上げます。
初めに、児童福祉法の改正等に関連し、一括して審査いたしました議案第30号「東京都
板橋区立福祉園条例の一部を改正する条例」、議案第31号「東京都板橋区
児童福祉施設の設備及び運営に関する基準を定める条例の一部を改正する条例」、議案第32号「東京都板橋区
指定障害児通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準を定める条例の一部を改正する条例」及び議案第33号「東京都板橋区
指定障害児入所施設の人員、設備及び運営に関する基準を定める条例の一部を改正する条例」につきましては、いずれも全会一致をもちまして、原案のとおり可決すべきものと決定いたしました。
次に、
国民健康保険条例の改正に関連し、一括して審査いたしました議案第34号「東京都板橋区
国民健康保険条例の一部を改正する条例」及び議案第39号「東京都板橋区
国民健康保険条例の一部を改正する条例」につきまして、ご報告いたします。
初めに、議案第34号につきましては、「被保険者の負担軽減が考慮された妥当な改正である」として原案に賛成との意見と、「被保険者のさらなる負担増につながるため、保険料を引き上げるべきでない」として原案に反対との意見があり、表決の結果、賛成多数をもちまして、原案のとおり可決すべきものと決定いたしました。
次に、議案第39号につきましては、「区として子育て世帯に対する
保険料負担軽減措置を速やかに拡充すべき」として原案に賛成との意見と、「区単独で実施するのではなく、国に対し制度改正を求めるべき」として原案に反対との意見があり、表決の結果、賛成少数により否決すべきものと決定いたしました。なお、それぞれの議案について、1委員より少数意見が留保されたことを申し添えます。
次に、厚生労働省令の改正に関連し、一括して審査いたしました議案第35号「東京都板橋区
指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例」、議案第36号「東京都板橋区
指定居宅介護支援の事業の人員及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例」、議案第37号「東京都板橋区
指定地域密着型介護予防サービスの事業の人員、設備及び運営並びに
指定地域密着型介護予防サービスに係る介護予防のための効果的な支援の方法の基準に関する条例の一部を改正する条例」及び議案第38号「東京都板橋区
指定介護予防支援の事業の人員及び運営並びに
指定介護予防支援に係る介護予防のための効果的な支援の方法の基準に関する条例の一部を改正する条例」につきましては、いずれも全会一致をもちまして、原案のとおり可決すべきものと決定いたしました。
以上をもちまして、本委員会の報告を終わります。
○議長(
田中やすのり議員) 次に、少数意見の報告は、報告書を配付してありますので省略いたします。
──────────────────────────────────────────
△
健康福祉委員会報告に対する討論、採決の動議
○議長(
田中やすのり議員) これより質疑に入ります。
ただいまの報告に質疑がありましたら、ご発言願います。
◆長瀬達也 議員 議長。
○議長(
田中やすのり議員) 長瀬達也議員。
◆長瀬達也 議員
健康福祉委員会報告に対する質疑を省略し、議案第34号については討論の上、その他のものについては討論を省略し、直ちに表決するよう動議を提出いたします。
○議長(
田中やすのり議員) 長瀬達也議員の動議のとおり決することにご異議ございませんか。
〔「異議なし」と言う人あり〕
○議長(
田中やすのり議員) ご異議がないものと認めます。
よって、
健康福祉委員会報告に対する質疑を省略し、議案第34号については討論の上、その他のものについては討論を省略し、直ちに表決を行うことに決定いたしました。
──────────────────────────────────────────
△議案第34号に対する討論
○議長(
田中やすのり議員) これより議案第34号「東京都板橋区
国民健康保険条例の一部を改正する条例」について討論を行います。
通告がありますので、順次、発言を許します。
初めに、いわい桐子議員。
◆いわい桐子 議員 議長。
○議長(
田中やすのり議員) いわい桐子議員。
〔いわい桐子議員登壇〕(拍手する人あり)
◆いわい桐子 議員 ただいまから、日本共産党板橋区議会議員団を代表し、議案第34号「東京都板橋区
国民健康保険条例の一部を改正する条例」に反対する立場で討論を行います。
本議案は、2024年度の
国民健康保険料を引き上げるものです。この改正により、新年度の医療分の1人当たり保険料は13万1,496円で、前年度比1万1,831円もの負担増です。最高限度額も2万円増の106万円と過去最高額となり、加入者のほとんどが引上げとなります。
本議案に反対する第1の理由は、もともと高過ぎる
国民健康保険料がさらに高くなるからです。国の
激変緩和措置期間終了の2024年度は、東京都への納付金が100%になる予定を、コロナの医療費増分と基金の取崩しで98%に抑えたものの、2018年の
国民健康保険広域化以降、最大の値上げ幅です。例えば、年収200万円の35歳夫婦と10歳、5歳の4人世帯では、年間2万6,535円もの値上げです。21万7,061円となり、保険料が年収の1割をも占めています。同じ世帯で、協会けんぽの保険料と比べても約11万7,000円も多く、2倍もの差が生じています。区の国保加入者の84%が年収200万円以下の世帯で、低所得者が多く、今でも高過ぎる保険料にさらに負担増を押しつけるべきではありません。
第2の理由は、国保料を引き上げない努力や軽減策の拡充を行うことができたからです。この間、国が自治体の繰入金削減方針を掲げて強い圧力をかける下で、板橋区の一般会計から
国民健康保険事業特別会計への繰入金は、2022年度決算額が約59億円で、最も多く繰り入れた2016年の約91億円と比べても32億円も減少しています。新年度の保険料の負担増の総額は約19億円です。新たな負担増とならないように、さらに一般会計からの繰入れを行うことはできたはずです。値上げに賛成した委員は、23区統一保険料だと言いますが、23区で統一保険料に参加していない区は既に3つあり、独自で保険料を軽減することは可能です。子どもの均等割への軽減は、全国では、5割軽減の対象拡大だけではなく、18歳までを対象に全額免除に踏み切る自治体も増加しています。区は、対象拡大ができない理由に、厚生労働省の通知や赤字補填額が増えるなどと言っています。しかし、区が言う2022年の厚労省事務連絡は、明確に法律違反とは言えないものの、適切ではないと厚労省の考えを述べているにすぎません。また、国は、特別な事情があるときは、独自に軽減できるとした
国民健康保険法第77条による独自軽減は、赤字補填額の対象にはしないと回答しています。もはや
国民健康保険料の高さは限界です。暮らしの困難さを解消するために、何らかの独自軽減策に踏み切るべきです。
最後に、国庫負担こそ引き上げるべきと訴えます。保険料が上がり続ける要因の1つが加入者の減少です。
社会保険加入対象が拡大され、国保から社保へ移行する人が増加しており、今後さらに加入者の減少が見込まれています。しかし、その影響に対する国の財政的支援策は何一つありません。
国民健康保険は、高齢者や働くことが難しい人、自営業、非正規雇用など、経済的には厳しく、より医療を必要としている人です。制度開始時は、低所得者の多い国保は、公費で賄う必要があるとして45%だった国庫負担を引下げ続けてきた国の責任は重大です。全国知事会も特別区長会も国に対し国庫負担引上げを求めています。議会を挙げて、保険料の引上げではなく、国庫負担の引上げこそ求めていくことを呼びかけて、本議案に反対し、討論を終わります。(拍手する人あり)
○議長(
田中やすのり議員) 次に、一島ひろし議員。
◆一島ひろし 議員 議長。
○議長(
田中やすのり議員) 一島ひろし議員。
〔一島ひろし議員登壇〕(拍手する人あり)
◆一島ひろし 議員 ただいまから、板橋区議会自由民主党議員団を代表して、議案第34号「東京都板橋区
国民健康保険条例の一部を改正する条例」について、委員会決定「原案可決」に賛成の立場から討論を行います。
本議案は、板橋区
国民健康保険事業を運営するために
国民健康保険料率を改定するもので、被保険者委員、医療担当者委員、被用者保険委員及び中立的な立場である公益委員で構成されている板橋区
国民健康保険運営協議会への諮問を経ております。結果としては、保険料率は増額されることとなります。この増額については、区民に対して重い負担となり心苦しいところではありますが、23区統一の保険料率という観点と、保険料率についても可能な限り被保険者の負担軽減も考慮した上で算出され、
国民健康保険制度を維持する上でも必要な改正だと認識しております。
国民健康保険制度については構造的な問題、すなわち保険料の負担能力が高くない人が多く残る一方、高齢者の増加により医療費が増額する状態を抱えています。この支出と収入のバランスが合っていないという状態で制度を維持するためには、保険料の値上げは致し方ないという状態です。しかしながら、この状態のままでは、今後さらに保険料率は引き上げられることが推定されます。
国民健康保険制度の維持について、保険料値上げ以外の方策として、一般会計の繰入れ、収納率の向上があります。このうち一般会計の繰入れについては、その財源は税金ですので、社会保険の加入者は、保険料と税金の二重払いということになり、不公平であり適切ではないと考えます。また、収納率の向上については、そもそも保険料の負担能力が低い人の割合が多いという状況の中で保険料が値上がりするので、収納率はむしろ悪化すると予想されます。
このように、制度の見直しは喫緊の課題です。現実的な対応として、都や国へ働きかけ、制度の抜本的な見直しを要求することが考えられます。この点、特別区長会から都や国に対して、
国民健康保険制度の構造的課題を抜本的に解決するための具体策を提示するよう、特別区の意見も踏まえ、国へ働きかけることとの要望が出ております。また、板橋区議会自由民主党議員団としても厚生労働省へ要望を伝えております。残念ながら解決に向けた動きはまだありませんが、引き続き制度改正を訴える必要があると考えます。
このように、課題については認識しつつ、今回の議案については、委員会決定の「原案可決」に賛成いたしまして、私の討論を終わります。(拍手する人あり)
○議長(
田中やすのり議員) 以上をもって、討論を終わります。
──────────────────────────────────────────
△議案第34号の採決
○議長(
田中やすのり議員) 続きまして、議案第34号「東京都板橋区
国民健康保険条例の一部を改正する条例」について、起立表決を行います。
議案第34号に対する委員会報告は原案可決であります。委員会報告のとおり決することに賛成の方はご起立願います。
〔賛成者起立〕
○議長(
田中やすのり議員) ご着席願います。
起立多数と認めます。
よって、議案第34号は、委員会報告のとおり原案可決と決定いたしました。
──────────────────────────────────────────
△議案第39号の採決
○議長(
田中やすのり議員) 次に、議案第39号「東京都板橋区
国民健康保険条例の一部を改正する条例」について、起立表決を行います。
議案第39号に対する委員会報告は否決であります。委員会報告のとおり決することに賛成の方はご起立願います。
〔賛成者起立〕
○議長(
田中やすのり議員) ご着席願います。
起立多数と認めます。
よって、議案第39号は、委員会報告のとおり否決と決定いたしました。
──────────────────────────────────────────
△議案第30号、第31号、第32号、第33号、第35号、第36号、第37号及び第38号の採決
○議長(
田中やすのり議員) 次に、お諮りいたします。
議案第30号「東京都
板橋区立福祉園条例の一部を改正する条例」、議案第31号「東京都板橋区
児童福祉施設の設備及び運営に関する基準を定める条例の一部を改正する条例」、議案第32号「東京都板橋区
指定障害児通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準を定める条例の一部を改正する条例」、議案第33号「東京都板橋区
指定障害児入所施設の人員、設備及び運営に関する基準を定める条例の一部を改正する条例」、議案第35号「東京都板橋区
指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例」、議案第36号「東京都板橋区
指定居宅介護支援の事業の人員及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例」、議案第37号「東京都板橋区
指定地域密着型介護予防サービスの事業の人員、設備及び運営並びに
指定地域密着型介護予防サービスに係る介護予防のための効果的な支援の方法の基準に関する条例の一部を改正する条例」及び議案第38号「東京都板橋区
指定介護予防支援の事業の人員及び運営並びに
指定介護予防支援に係る介護予防のための効果的な支援の方法の基準に関する条例の一部を改正する条例」については、委員会報告のとおり決定することにご異議ございませんか。
〔「異議なし」と言う人あり〕
○議長(
田中やすのり議員) ご異議がないものと認めます。
よって、議案第30号、第31号、第32号、第33号、第35号、第36号、第37号及び第38号については、委員会報告のとおり決定いたしました。
──────────────────────────────────────────
△
予算審査特別委員会報告
○議長(
田中やすのり議員) 次に、日程第11から第16までを一括して議題といたします。
予算審査特別委員長から提出された議案第1号外5件に対する審査報告書は、朗読を省略し、委員長から審査の結果について報告があります。
予算審査特別委員長 間中りんぺい議員。
◆間中りんぺい 議員 議長。
○議長(
田中やすのり議員) 間中りんぺい議員。
〔参 照〕
予算審査特別委員会審査報告書
本委員会に付託の事件は、審査の結果、下記のとおり決定したので、会議規則第72条の規定により報告します。
記
┌──────┬─────────────────────────────┬─────┐
│ 事件の番号 │ 件 名
│議決の結果│
├──────┼─────────────────────────────┼─────┤
│議案第 1号│令和6年度東京都板橋区
一般会計予算 │原案可決 │
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│〃 第 2号│令和6年度東京都板橋区
国民健康保険事業特別会計予算 │原案可決 │
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│〃 第 3号│令和6年度東京都板橋区
介護保険事業特別会計予算 │原案可決 │
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│〃 第 4号│令和6年度東京都板橋区
後期高齢者医療事業特別会計予算 │原案可決 │
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│〃 第 5号│令和6年度東京都板橋区
東武東上線連続立体化事業特別会計予算│原案可決 │
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│〃 第29号│令和6年度東京都板橋区
一般会計予算に対する修正動議
│否決 │
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令和6年3月19日
予算審査特別委員長 間中 りんぺい
議 長 田中 やすのり 様
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〔間中りんぺい議員登壇〕(拍手する人あり)
◆間中りんぺい 議員 ただいまから、予算審査特別委員会の審査結果につきまして、ご報告申し上げます。
本委員会は、区長から提出された予算議案5件及び小柳しげる議員外6名から提出された
一般会計予算に対する修正動議について審査を行いました。
初めに、3月7日及び8日は、分科会において審査を行いました。7日は、企画総務、区民環境、健康福祉の3分科会が開かれ、企画総務分科会では、所管の
一般会計予算、同予算に対する修正動議及び所管の
東武東上線連続立体化事業特別会計予算を、区民環境分科会では、所管の
一般会計予算及び同予算に対する修正動議を、健康福祉分科会では、所管の
一般会計予算、同予算に対する修正動議、所管の
国民健康保険事業、介護保険事業及び後期高齢者医療事業の3特別会計予算をそれぞれ審査いたしました。8日は、都市建設、文教児童の2分科会が開かれ、都市建設分科会では、所管の一般会計予算、同予算に対する修正動議、所管の介護保険事業及び東武東上線連続立体化事業の2特別会計予算を、文教児童分科会では、所管の一般会計予算及び同予算に対する修正動議をそれぞれ審査いたしました。
また、3月14日、15日及び19日の委員会では総括質問を行いました。14日は、自民党の横川たかゆき委員、山田たかゆき委員、元山芳行委員、川口雅敏委員、15日は、公明党のさかまき常行委員、田中いさお委員、民主クラブのおばた健太郎委員、高沢一基委員、19日には、民主クラブの中妻じょうた委員、共産党の小柳しげる委員、山内えり委員、いわい桐子委員、日本維新の会の小野ゆりこ委員、いたばし未来の井上温子委員、参政党の坂田れい子委員、無所属議員しいなひろみ委員の順番で行いました。
以上の日程を経て審査を終了し、引き続いて表決に入りました。
初めに、議案第29号「令和6年度東京都板橋区
一般会計予算に対する修正動議」について表決を行ったところ、賛成少数により、否決すべきものと決定いたしました。
次に、議案第1号「令和6年度東京都板橋区
一般会計予算」について表決を行ったところ、賛成多数をもちまして、原案のとおり可決すべきものと決定をいたしました。
次に、議案第2号「令和6年度東京都板橋区
国民健康保険事業特別会計予算」、議案第3号「令和6年度東京都板橋区
介護保険事業特別会計予算」、議案第4号「令和6年度東京都板橋区
後期高齢者医療事業特別会計予算」及び議案第5号「令和6年度東京都板橋区
東武東上線連続立体化事業特別会計予算」について、一括して表決を行ったところ、いずれも賛成多数をもちまして、原案のとおり可決すべきものと決定いたしました。以上、本委員会の審査結果について、ご報告申し上げます。
最後に、日本経済は緩やかに回復しているものの、現下の物価高騰や社会経済の情勢の変動を考慮すると、区の財政状況は楽観視できる状況にはございません。そのため、理事者各位におかれましては、引き続き、持続可能な自治体運営を着実に進め、区政を発展させることができるようご尽力いただきたいと存じます。
また、各委員から審査の過程で示された提案、要望などを十分に検討され、今後の区政運営に生かされるようお願いを申し上げまして、本委員会の報告を終わります。
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△
予算審査特別委員会報告に対する討論、採決の動議
○議長(
田中やすのり議員) これより質疑に入ります。
ただいまの報告に質疑がありましたら、ご発言願います。
◆長瀬達也 議員 議長。
○議長(
田中やすのり議員) 長瀬達也議員。
◆長瀬達也 議員
予算審査特別委員会報告に対する質疑を省略し、討論の上、直ちに表決するよう動議を提出いたします。
○議長(
田中やすのり議員) 長瀬達也議員の動議のとおり決することにご異議ございませんか。
〔「異議なし」と言う人あり〕
○議長(
田中やすのり議員) ご異議がないものと認めます。
よって、
予算審査特別委員会報告に対する質疑を省略し、討論の上、直ちに表決を行うことに決定いたしました。
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△議案第1号、第2号、第3号、第4号、第5号及び第29号に対する討論
○議長(
田中やすのり議員) これより議案第1号「令和6年度東京都板橋区
一般会計予算」、議案第2号「令和6年度東京都板橋区
国民健康保険事業特別会計予算」、議案第3号「令和6年度東京都板橋区
介護保険事業特別会計予算」、議案第4号「令和6年度東京都板橋区
後期高齢者医療事業特別会計予算」、議案第5号「令和6年度東京都板橋区
東武東上線連続立体化事業特別会計予算」及び議案第29号「令和6年度東京都板橋区
一般会計予算に対する修正動議」について、一括して討論を行います。
通告がありますので、順次、発言を許します。
初めに、小林おとみ議員。
◆小林おとみ 議員 議長。
○議長(
田中やすのり議員) 小林おとみ議員。
〔小林おとみ議員登壇〕(拍手する人あり)
◆小林おとみ 議員 ただいまより、日本共産党板橋区議会議員団を代表し、議案第1号「2024年度東京都板橋区
一般会計予算」、議案第2号「同
国民健康保険事業特別会計予算」、議案第3号「同
介護保険事業特別会計予算」、議案第4号「同
後期高齢者医療事業特別会計予算」、議案第5号「同
東武東上線連続立体化事業特別会計予算」に反対する立場から、また、議案第29号「同
一般会計予算に対する修正動議」に賛成する立場から討論を行います。
区長提案の2024年度当初予算は、総額で3,719億4,500万円、前年度比5.0%の増とするものです。一般会計は、納税義務者数の増などによる特別区民税の増、法人住民税や固定資産税の増などによる特別区交付金の増などにより、税収増となっています。基金は、総額で2022年度末1,144億円から155億円積み上げて1,299億円と過去最高になりました。財調基金は32億円積み上げて307億円です。2024年度板橋区予算は、10年間の板橋区の基本構想と基本計画の最後の2年間の仕上げをしていくと同時に、2026年度からの次期基本構想・基本計画の策定に着手をする予算と位置づけられています。区民生活はこの10年、どういう状況だったでしょうか。実質賃金は、直近10年間で24万円も減少し、1996年のピーク時からは64万円も落ち込み、30年前の水準に逆戻りです。こんな国は先進国では日本だけです。一部の株価のつり上げや、大企業を中心とした賃上げのムードづくりが行われていますが、国民生活全体に行き渡るものにはなっていません。人件費削減と増税、社会保障の負担増を国民に押しつけ続けた政治に最大の原因があります。基本構想・基本計画の策定に向けて、今こそ
憲法に定められた地方自治の本旨に基づいて、住民の福祉の増進のために全力を尽くす板橋区の姿勢が示されなければなりません。2024年度板橋区予算は、そうした役割にふさわしいものになっているでしょうか。
反対する第1の理由は、物価高騰対策が弱者、低所得者への支援策になっていないということです。長期にわたる経済の停滞と、暮らしの困難によって家計が疲弊しきっている下に襲いかかった物価高騰は、区民の暮らしに深刻な打撃を与えています。板橋区民の納税義務者の56.8%が課税標準額で200万円以下です。550万円以下を合わせると85%を占め、この1年間で10%近く増えています。女性や高齢者が収入を得るために新たに働き始めている実態が反映しています。この層への支援こそが求められています。2024年度
一般会計予算に示された物価高騰対策は52億円としていますが、新規の対策は打ち出されてはいません。いたばしPayが消費喚起策として盛り込まれていますが、キャッシュレス決済、デジタル化に区民を誘導する役割を果たすものの、利用できない区民、事業者は、取り残されたままになっている事業です。原材料費の高騰やインボイスの導入で苦しむ中小・小規模事業者が求める固定費への直接支援策などが打ち出されていません。給付金は、国の1回きりの定額減税頼みになっています。学校給食の無償化をいつまで物価高騰対策にしておくのでしょうか。義務教育無償化は、
憲法に基づき子どもの教育を受ける権利を保障するものです。さらなる義務教育の完全無償化に向けて、私費負担をなくす対策に踏み出すべきです。物価高騰の下で、低所得者、生活困難者への支援をあらゆる分野で底上げをしていくという視点がありません。災害対策での公的責任の拡充が求められます。備蓄物資を各家庭で3日分用意するように言われていますが、低所得者、高齢、子育て世帯等には、災害備蓄のために経済的な支援が必要です。避難所では、誰に対しても拒むことなく物資を供給すると言いますが、避難所で全ての人に供給できないからこそ3日分の各家庭での備蓄を求めているのではないですか。各家庭での備蓄の支援を拒む理由にはなりません。また、木造住宅の耐震化助成の対象が新耐震基準まで広がりましたが、耐震化が必要な木造住宅は1万1,700戸と言われている中で、旧耐震以前の木造住宅への助成額の引上げ等の支援策が打ち出されていないのは問題です。生活支援の底上げに最も必要なのは、住まいの確保です。非正規雇用が多い青年層や単身女性などに対する家賃助成を実施すべきです。区営住宅の2023年度の応募倍率は、家族向け一般で5.7倍です。入居したくても入居できない状況です。区は、能登半島地震の被災者の受入れについて、区営住宅の提供は考えていない。区の居住者の申込み倍率が高い数値で推移しているため、公平性を考えると提供は難しいと答弁しています。そもそも公営住宅が足りず、常に空きがない状態で、まちづくり推進住宅を廃止し、それに代わる仕組みも構築されていません。環境対策も生活支援の視点が必要です。板橋区は、区内住宅の断熱改修助成を令和元年度は50件の想定に53件、令和2年度、20件の想定に27件行われていたにもかかわらず、効果が少ない、申請がないなどとして、令和2年度に終了してしまいました。しかし、板橋区民の78.7%が集合住宅に住んでおり、そのうち17万7,000世帯は賃貸住宅です。助成事業を復活、拡充するべきです。国や都の助成で十分とする姿勢は問題です。
国民健康保険料は、前年度より1万1,831円もの値上げで、広域化以降、最大の上げ幅です。後期高齢者医療は、1人当たり平均で年6,514円の値上げです。経済的に厳しく、医療をより必要としている人の健康保険で負担増を続けることは許されません。介護保険は、第9期の計画のスタートに当たって、保険料が基準額で487円の値上げで、制度開始から3倍にもなっています。訪問介護事業所の介護報酬の引下げが行われ、廃業に追い込まれる事業所が生まれているというのに、支援策が打ち出されていません。特別養護老人ホームの整備計画は、807人もの待機者がいるにもかかわらず、100名を1か所整備するだけの計画です。このままでは、施設にも入れず、在宅での支援も受けられず、保険料だけは取られていくという、保険あって介護なしの状態が一層深刻になる事態です。
反対する第2の理由は、区が行う事業で、低賃金、非正規労働が拡大し、命を守るセーフティネットが脆弱になっているということです。保育、教育、介護、障がい者支援などの仕事の多くが会計年度任用職員や委託、派遣などの職員によって担われています。学校現場では、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー、スクール・サポート・スタッフ、学力向上専門員、学校生活支援員、時間講師など、1,000名近い会計年度任用職員が働いています。東京都のスクールカウンセラーは250名もの雇い止めが行われています。専門性や継続性や公平性が求められる業務で、様々な資格を持った職員が継続して働き続けられる保障がない雇用状態でいいのでしょうか。また、不登校の子どもたちが1,000名に上っています。不登校の子どもたちに寄り添い、また、障がいを持つ子どもたちの成長・発達を支え、多忙化を極める教員を補佐するなど、どの職種も学校運営に大きな役割を持つ存在です。様々な学びの場の選択肢を広げることと同時に、学校の在り方そのものが問われていると受け止めて、子どもに関わる教員の増員、専門職の正規化を行うべきです。学校現場だけではなく、区の様々な分野で専門性や継続性を求められる仕事を多くの会計年度任用職員が担っています。処遇改善と正規化への道を開くべきです。国が進める子ども・子育て新制度や介護保険制度、障害者自立支援制度の下では、福祉の仕事が時間単位の価格に置き換えられて、低賃金、不安定な雇用が広がり、担い手不足が深刻な状況になっています。保育園では、公定価格による実人員分の運営費で園を運営することは困難です。安全、適切な保育をするためには、定数の1.5倍プラス一、二名の正規職員が必要というのは業界の常識です。そのためには、公定価格に含まれる人件費を必要な人員で配分する以外にお金は生まれません。低賃金、非正規で人員を確保する以外に方法はないではありませんか。今年4月から保育園の保育士配置基準が76年ぶりに改定されますが、保育士不足の中で、全ての園で対応できる保障はなく、区は実態もつかんでいません。保育士不足を生んでいる原因が、子ども・子育て新制度による保育士の賃金を低く抑える仕組みにあることを強く指摘しなければなりません。私立保育園への保育士の確保のための賃金引上げの支援を行うべきです。一方で、公立園では、4月から改定された保育士配置基準が実現します。区が直営で行うからこそできることです。公立保育園の新たな民営化方針が打ち出されていますが、板橋区の保育水準を守るために、民営化方針は撤回すべきです。介護や障がい者支援の事業所で働く人たちの賃金も低く抑えられたままです。ヘルパーの高齢化が進み、成り手がいないなどの原因は、女性が行う家事労働の延長線にこうした労働が位置づけられているからです。命を守るケア労働、エッセンシャルワーカーの存在の重要性がコロナ禍で浮き彫りになったにもかかわらず、月9,000円程度の国の報酬加算しか行われず、区としての支援策が打ち出されていません。一部児童館への指定管理者制度の導入が打ち出されていますが、板橋区は、地方行革に関する国への報告書で、児童館は、庁内他部署との連携が強いため、直営で運営すべきと回答しています。にもかかわらず、当面一部とはいえ児童館への指定管理者制度の導入は矛盾しています。i-youthなど、中高生の居場所づくりを含め、子どもたちへの支援は直営で行うべきです。自転車駐車場への指定管理者制度の導入によって、シルバーの労働人員は99人削減され、労働時間は50.2%も減少しました。区とシルバー人材で最低賃金を改善しても、再委託先まで及ぶ保障はありません。高齢者の就労を後退させた自転車駐車場への指定管理者制度の導入は見直すべきです。新年度、新規の業務委託119件、新たに委託を拡大するものが65件に及んでいます。区の様々な分野での計画づくりや実態調査の委託、工事の設計・調査、工事、修繕、施設整備の委託、管理業務や事業の委託、IT関連のシステム改修等々、そこで働く人々の賃金、労働条件は、区の行政水準に直結するものです。公契約条例の制定に消極的で、チェックリストでよしとする姿勢は許されません。行政のあらゆる分野で委託化、民営化が進められることによって、区民、利用者と直接関わる現場から区職員が遠ざけられていくことは、区職員の自治体職員としての専門性が大きく後退することになります。公務労働は、区民生活を守るセーフティネットです。専門性を持った職員の増員、育成、男女平等や障がい者雇用を促進するための職員定数の抜本的な改善が行われていません。
反対する第3の理由は、行財政運営が、引き続き人件費削減、施設の総量抑制などの経営革新計画に固執し、開発優先、基金積立て優先になっており、住民参加が保障されていないからです。新たな基金及び起債活用方針は、今後10年間で、義務教育施設整備基金は毎年25億円、公共施設整備基金は22億円を積み増し、さらに、財政調整基金は標準財政規模のおおむね20%から30%を確保するとしています。これにより、現在307億円の財政調整基金は400億円まで積み上げることが可能になります。しかし、基金積み上げの根拠とされてきた公共施設等のベースプランは計画どおりには進まず、集約・複合化を進めるエリアマネジメントの方針は撤回され、4つの再開発計画を前提とした整備計画に姿を変えようとしています。どんな景気の後退局面でも施設整備計画は計画どおり進める。そのための基金を積み上げるという姿勢は、一見将来を見据えているように見えて、実は、区民生活そのものを将来にわたって充実させていく計画を抑制的なものにしてしまっています。なぜなら、区民生活に関わる事業では、人件費削減と施設の総量抑制、官から民への構造改革が貫かれているからです。現実的には、財政運営において基金積み上げが優先されて、区民生活が後回しにされていくのです。結果として、今年度は、1年間で155億円も積み上げ、基金残高は総額で1,299億円、新年度の
一般会計予算の50%にもなります。過去最高に上っています。区民生活の苦難が広がっても、基金だけは積み上げられていくという異常な事態です。板橋区は、経営革新計画によって、これまでいこいの家を廃止し、ふれあい館を有料化し、児童館を12館廃止し、区立の特別養護老人ホームを民営化するなどしてきました。今後2年間でさらに14の事業を計画事業に位置づけています。その中には、区立保育園の民営化、職員定数の削減、使用料・手数料等の改定、民間活力の活用、区民集会所の在り方検討などが示されています。官から民へ、自己責任、新自由主義による行政運営の徹底です。福祉事務所の再編整備が行われますが、障がい者支援はワンストップにならず、障がい者支援の後退につながっています。手話相談員は、本庁舎と健康福祉センター2か所に移ることになり、福祉事務所にはいなくなることも明らかになりました。施設の面積を増やさず人員増もしないやりくりだけの再編は、福祉の向上にはつながりません。しかも内部検討だけで、住民、利用者などの声も反映されていません。福祉事務所を5か所に増やす方針を持つべきです。福祉事務所のケースワーカーの1人当たりの世帯数は80世帯としていますが、ケースワークを行わない面接相談員も含まれており、実際には、1人当たり86.6世帯になっていることが明らかになりました。区が行った福祉事務所職員に対するアンケート調査でも、本来の自立支援のためのケースワークの時間が足りないということが示されており、ケースワーカーの増員をの声に応えていません。小中学校の適正規模適正配置の検討では、1学級当たり小学校は20人から30人、中学校は30人から35人を適正規模としていた考え方をやめて、学級規模は明記しないという事務局の結論を初めから前提として議論が行われて、答申が出されています。これでは、教員の増員や大規模校の解消には全くつながりません。志村小学校・志村第四中学校の小中一貫校計画では、今年度14億6,200万円の改築経費が予算化されました。秋以降の工事着工が予定され、総事業費は100億円とのことです。志村小学校をなぜ廃校にしなければならないのか、住民や区民の納得を得られないままの強行です。3月11日の最後の検討会で、地元の町会長さんからもいまだ納得していないという発言があり、また、出席した教育長は、用意した文書を読み上げてさっさと退席したと怒りの声が広がっています。住民、区民の声を聞かない統廃合計画は許されません。4つの再開発事業に約70億円の予算が計上されました。しかし、昨年度も大きな執行残となっています。大山駅前広場の用地取得は5%、東上線連続立体化事業では、都施行の1号線から4号線も、区施行の5号線から6号線も、いずれも用地取得率はゼロ%です。2021年12月の事業認可後、2年3か月が経過していますが、進捗しておらず、住民合意が進んでないことの表れです。再開発事業がまちづくりに大きな影響を与えるにもかかわらず、住民の声が反映されず、行政需要への対応は後追いです。児童数の増加に対応するために、そもそも狭い板橋第六小学校が6階建ての改築を迫られる事態です。大山小学校を廃校にした区の責任は重大です。区は、新年度予算を重点戦略をバージョンアップ!未来創造積極予算と銘打っていますが、従来の延長線上の構造改革を進める予算では、貧困格差がさらにバージョンアップし、公的責任が縮小、後退する予算と言わなければなりません。失われた30年の責任の一端を、こうした区の行財政運営が担ってきたことへの反省が必要です。政策転換が求められていることを強く指摘します。
最後に、予算修正についてです。家具転倒防止器具の設置助成の拡充、ひとり親家庭家事援助者派遣事業の対象拡大、1か月児及び産婦健診の助成実施、個人住宅・集合住宅の窓の断熱改修費補助、木造住宅耐震化助成率、限度額の引き上げ、小中学校就学援助費の拡充で、いずれも区民生活を支え、底上げするために必要なものです。総額2億6,837万円の修正です。
一般会計予算の0.1%、基金総額の0.2%で実現できます。議員各位におかれましては、議員の議案提案権に基づく予算修正の意義を十分にご理解いただき、ご賛同いただきたいと思います。
最後に、本年3月末日をもって退職されます73名の区職員の皆様の、長年のご苦労に心から感謝を申し上げます。本当にありがとうございました。
以上をもちまして、2024年度板橋区当初予算に反対する討論を終わります。ご清聴ありがとうございました。(拍手する人あり)
○議長(
田中やすのり議員) 次に、田中しゅんすけ議員。
◆田中しゅんすけ 議員 議長。
○議長(
田中やすのり議員) 田中しゅんすけ議員。
〔田中しゅんすけ議員登壇〕(拍手する人あり)
◆田中しゅんすけ 議員 ただいまから、自由民主党議員団を代表し、議案第1号「令和6年度東京都板橋区
一般会計予算」及び議案第2号から議案第5号までの4特別会計について、原案のとおり可決することに賛成の立場から、また、議案第29号「令和6年度東京都板橋区
一般会計予算に対する修正動議」に対しては反対の立場から討論を行います。
初めに、本年1月1日に能登半島を襲いました能登半島地震におきまして、お亡くなりになられた方々、そのご家族、ご親族、関係者の方々に対しまして、心よりお悔やみを申し上げますとともに、被災された皆様にお見舞いを申し上げます。また、今もなお、被災地におきまして救済と復旧・復興支援等の活動にご尽力をされている全ての方々に深く敬意を表します。
我が国の経済は、長い間苦しんできたデフレからの脱却ができるかどうかが決まる、日本の未来にとって極めて重要な1年であり、政府による各種政策、物価上昇に負けない賃上げを実現するための取組など、緩やかな景気の回復は見込まれていますが、今もなお生活を直撃する物価の高騰は収まる気配が見られず、依然として厳しい状況が続く区民生活への支援策は急務であります。また、日本の少子化は極めて深刻な状況にあり、令和5年の国内出生数が過去最少の75万8,631人との速報値が発表され、政府は異次元の少子化対策を講じることとしており、当然のことながら板橋区でも地域経済の活性化、少子化対策などは喫緊の課題となり、堅調な歳入環境にある今、的確な対応が強く求められています。令和6年度は、板橋区基本計画2025を締めくくる最後の実施計画、いたばし№1実現プラン2025改訂版の初年度となり、コロナ禍により滞っていた施策をしっかりと巻き返し、次の10年先、20年先につながる重要な予算であると考えています。令和6年度予算を概括すると、一般会計では、予算総額が対前年比で6.6%の増、2,530億円となり、歳入では、特別区民税が納税義務者数の増とともに、1人当たりの所得額が増えることによる増収が見込まれ、企業業績の回復基調による特別区交付金も増額を見込むなど、堅調な歳入環境にあり、このことで区政課題の解決を図る積極的な予算編成が可能になったものと考えます。ただし、懸念材料として、従来から指摘されております国の地方創生の推進、税源偏在是正の名目で行われている不合理な税制改正です。これにより、本来得られたはずの154億円を超える財政を失っており、経済状況・景気が悪化した際、板橋区政が耐えられるのか、危惧されるところでもあり、必要な支出にはスピード感を持って対応しつつも、財政規律を緩めることなく、財政基盤の強化に努めていくべきであると考えます。板橋区が示す財政運営指針では、収支均衡を基本とすることを財政規律として掲げていますが、令和6年度は、財政調整基金から25億2,266万7,000円を繰入れています。収支均衡を最優先に予算を編成したのではなく、学校給食費の無償化やいたばしPayを通じた経済対策など、区民生活への支援を見据えた必要な措置として向き合った結果であるものと受け止めており、持続可能な財政運営に向けたものだと評価します。歳出の特徴としては、新型コロナウイルス感染症が感染症法上5類へ移行されたことから、前年比と比べ衛生費が32億円、27.2%の大幅な減となりましたが、再び新たな感染症が蔓延するようなことが危惧された際には、保健所が主体的な役割を果たすことは当然ですが、坂本区長が先頭に立ち、全庁を挙げた体制で機動的な対応がなされることを強く要望いたします。また、福祉費の構成比は若干下がったものの、予算額としてはおよそ61億円の伸びを見せております。近年の特別区交付金の増収により経常収支比率は改善しているところですが、依然として義務的経費は伸びており、財政の硬直化は続いているものと考えます。
国民健康保険事業特別会計をはじめとした社会保障制度に関する負担増について、その中身を精査することはもとより、制度の見直し、改善を国に働きかけるなど、板橋区としての役割を確実に果たしていただきたいと考えますし、我々区議会議員としても、議会全体で取り組み、向き合っている姿勢を示さなければなりません。
まずは、当初予算について、新たないたばし№1実現プランで示された、東京で一番住みたくなるまちへの取組としている重点戦略、総額290億7,200万円について述べさせていただきます。初めに、SDGs戦略です。ここでは188億7,500万円が計上されており、3つの戦略で最も多い予算額になっています。戦略の方向性は啓発から実践へであり、少子化対策・子育て支援充実として、産後ドゥーラ派遣のほか、既存の産後ケア事業を見直し、新たな通所型を加えるなど、執行結果を次の事業展開につなげたものであると理解しています。また、昨年の第4回定例会の一般質問でも自民党として強く要望しました学校給食の無償化を率先し表明したことなどは、子育て世代に寄り添った事業展開がなされたものと評価いたします。さらにこの戦略には、ユニバーサルデザインの充実として、東武東上線東武練馬駅、下赤塚駅、成増駅における可動式ホーム柵整備補助を計上するなど、安心・安全な環境の実現が期待されるところです。しかし、惜しむらくはゼロカーボンへの取組です。SDGsでは、貧困、飢餓、環境、経済など、現在の課題を17の目標として掲げられていますが、気候変動問題は全ての課題につながっており、板橋区として、再エネ100%電力の導入やプラスチックごみの再資源化のほか、公共施設のLED化に取り組むとしておりますが、これらの施策だけでは、2050年までのカーボンニュートラルへの実現は困難であり、本庁舎周辺公共施設の再編方針の中の旧保健所の跡地活用の進捗だけを一例として考えるだけでも危機感が募ります。今こそ全庁を挙げた取組が必要であり、より多角的なアプローチで新たな施策を推進し、区民・事業者が一体となって向き合える踏み込んだ計画を強く要望いたします。さらに、学校部活動の地域移行推進については、本格実施に向けた関係者への協議が始まりますが、現行の部活動が公費負担による公的な制度だったものが、新たな事業に移行することで受益者負担が生じることとなりますので、経済的に困窮する生徒への支援など、多くの課題への対策が求められます。
次に、DX戦略です。ここでは43億3,200万円が計上されています。スマートスクールの土台となるGIGAスクールにかかる経費や、最も力を入れるべきDX人材確保・育成などのほか、これまでの事務の効率化をさらに推し進めるために必要な経費となっております。また、このDX戦略には、キャッシュレス推進事業として、いたばしPayによる事業者支援が含まれており、戦略の方向性が示しているデジタルを変革へを実現すべく、消費喚起・地域経済活性化を通じた行動変容が見込まれ、新技術や価値が暮らしをさらに豊かなものとし、商店街の活性化への寄与も期待されています。マイナンバーカードの導入は、現時点で8割程度と聞いておりますが、さらなる普及、利活用について、まだまだ改善の余地があるものと捉えています。マイナンバーカードが持つポテンシャルが十二分に発揮できれば、事務効率の向上はもとより、区民サービスへの充実など、大きなメリットが生まれるはずですので、スピード感を持って取り組んでいただきたいところです。
3つ目は、ブランド戦略です。ここでは73億8,400万円が計上されているものの、大部分が板橋駅、大山駅、上板橋駅付近の再開発事業によるものです。再開発事業は、一朝一夕で結果が出るものではありませんが、板橋区のイメージに直結するものであり、このまちづくりが板橋区の未来へとつながり、誰もが住みたくなる板橋として選択をしていただけるまちにつくり上げなければなりません。ブランド戦略として、魅力を愛着と誇りへという表現を用いており、昨年実施された区民意識意向調査では、板橋区に誇りを感じると回答した方が、前回の調査と比べ4.9ポイント上昇し47.3%になったことは、取組への理解が深まっているのではと考えられます。まちづくりだけでなく、スポーツ、文化、各種交流事業を通じて、多くの区民の方々が板橋のよさを誇らしげに語れるまちになることを期待しております。そのための情報発信、広報の充実が不可欠であると考えます。読んでもらえる広報紙、検索しやすい板橋区の公式ホームページ、SNSによる適時適切な情報発信など、手段の充実はもちろん、その質、伝わる仕組みについて、常に改善を図っていく必要があります。また、ふるさと納税により失われた財源を板橋のいっぴんを活用して取り返す取組を予定されているとのことですが、全国に板橋の魅力を知っていただける機会でもありますので、ぜひとも事業を拡大し、地域経済の活性化に貢献できる取組にすることを要望いたします。
締めくくりとして、防災対策について触れさせていただきます。板橋区では、13年前に発災した東日本大震災を教訓とし、当時の3月11日を風化させないためにも、毎年3月の第2日曜日に総合防災訓練を開催しています。企画総務分科会や予算総括質問の際にも多くの議員が能登半島地震に触れ、今もなお9,000人を超える方が避難生活を余儀なくされている現状を捉え、首都直下型地震を念頭に置きながら板橋区への対策について質疑が交わされました。防災訓練の重要性は誰もが認識しており、日頃の準備次第では、その被害を極小化できることは周知のとおりであり、災害が起き得る状況と被害を想定し、規模・用途に見合った訓練を実施することが求められています。区としても、本年度、地域防災計画が改定され、板橋区として対応できることには限りがあることに言及し、区ができることには限界あり!自助・共助でつくり上げよう災害に強い板橋と踏み込んだ表現をしなければならない今こそ、訓練内容を吟味し、参加への呼びかけや訓練時間も含め、改善すべきものであると考えます。
続いて、
国民健康保険事業特別会計、介護保険事業特別会計、後期高齢者医療事業特別会計、東武東上線連続立体化事業特別会計について申し上げます。
国民健康保険事業特別会計は554億6,000万円で、前年度に比べて0.7%の減となっております。ここには、少子高齢化が進む我が国での
国民健康保険の制度的な課題が含まれており、被保険者数が、後期高齢者医療制度への移行者の増加、社会保険の適用拡大などの理由により、年々減少する一方で、保険給付費総額は減少したものの、1人当たりの被保険者負担額は増え続けています。また、
国民健康保険加入者への負担軽減策としての財政支援は限界となっていることから、積極的な健康診断の受診をはじめ、各種疾病の発症予防、早期発見、早期治療、重症化予防に取り組み、被保険者の健康を維持することで医療費を抑制し、保険料軽減を目指していくことが重要であります。板橋区としてこの課題に向き合い、制度の抜本的な見直しに対する行動を起こすことを強く要望するとともに、自民党議員団としても協力をしてまいります。次に、介護保険事業特別会計は475億1,800万円で、前年度から2.5%増となっております。今回は第9期の事業計画に基づき、今後3か年の給付見込みによる保険料が決定されたところです。今回も介護給付準備基金の投入、所得段階の見直しを行うなど、保険料の急激な上昇に対処しておりますので、介護サービスが必要な方が適切に利用できるよう事業の執行に努めることを要望いたします。次に、後期高齢者医療事業特別会計については151億9,000万円となり、前年比6.6%の増であります。令和6年度の予算編成に当たっては、保険料の2年に1度の改定がありましたが、今回も審査支払手数料や葬祭費などの区市町村負担分を10割とする特別対策を継続し、保険料の上昇を抑えています。また、医療保険制度改革で出産一時金への支援金が加算されるなどの複雑化する保険制度について、区民の方々への理解が得られるよう説明責任を果たしていただければと思います。東武東上線連続立体化事業特別会計は7,700万円で、前年比76.6%の増となっております。事業の進捗規模に合わせた会計規模であると認識しておりますが、着手に時間がかかっているように感じます。用地取得など、着実に事業を進めていただけるよう要望いたします。
また、令和6年度一般会計予算に対する修正動議についてですが、一部の事業については共感ができる内容もありましたが、積算根拠に対する理解は深まりませんでした。したがいまして、議案第29号は、委員会の決定どおり否決すべきものと考えます。
最後に、区から示された当初予算案が、単年度の編成とはいえ、毎年各部署で事業の内容や必要性が点検され、ほかの所管との重複を確認し、新たな事業との調整がなされたものを政策部門が主体となって取り組まれたものだと捉えておりますが、より一層、区民の方々への丁寧な説明と、議会への詳細な報告と対応をお願いいたします。
結びに、長年にわたり板橋区政の伸張発展にご尽力いただき、本年3月31日をもって勇退される職員の皆様に、心から感謝を申し上げます。
以上、令和6年度の
一般会計予算及び4特別会計予算については原案可決に賛成し、また、
一般会計予算の修正動議には反対する意を表しまして、自由民主党議員団を代表しての討論を終わります。ありがとうございました。(拍手する人あり)
○議長(
田中やすのり議員) 次に、いしだ圭一郎議員。
◆いしだ圭一郎 議員 議長。
○議長(
田中やすのり議員) いしだ圭一郎議員。
〔いしだ圭一郎議員登壇〕(拍手する人あり)
◆いしだ圭一郎 議員 まず初めに、1月1日に発生した能登半島地震により、お亡くなりになられた方々に深く哀悼の意を表するとともに、被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。
それでは、ただいまより板橋区議会公明党を代表し、令和6年度の「東京都板橋区
一般会計予算」、「
国民健康保険事業特別会計予算」、「
介護保険事業特別会計予算」、「
後期高齢者医療事業特別会計予算」、「
東武東上線連続立体化事業特別会計予算」の原案を可決することに賛成の立場から、また共産党提出の「
一般会計予算に対する修正動議」には反対の立場から討論を行います。
世界情勢は、一昨年2月に勃発したロシアによるウクライナ侵略、また、昨年10月のイスラム組織ハマスによるイスラエル攻撃から始まった武力紛争により、国連安全保障理事会の機能不全があらわになりました。また、世界的に拡大する経済格差や気候変動への対応も深刻となっております。日本経済は緩やかな回復が続くと期待されております。今年の春闘も大企業の満額回答が続き、連合が15日公表した回答の第1回集計によると、平均賃上げ率は5.28%と前回より大きく上回りました。中小企業も人手不足から賃上げに前向きな動きが期待できます。一方、懸念材料は、外需の先行き不透明感が強く、中国の不動産不況が重荷となる可能性や、先進7か国で唯一昨年マイナス成長見通しのドイツも低迷が続く予想であり、アメリカは金利が当分高止まりし、経済の軟着陸に不安が残るなどが挙げられます。板橋区の経済情勢を見ると、納税義務者数の増加などによる特別区民税の増収や、企業業績の回復基調による特別区交付金の増となり、堅調な歳入環境が見込まれます。しかしながら、現下の物価高騰や社会経済情勢の変動を考慮すると、区の財政状況は楽観視できる状況ではありません。板橋区は、前例にとらわれない創意工夫により、区政課題の解決に向けて積極的な予算編成を行いました。それでは、令和6年度予算の主要事業について、板橋区基本計画2025の3つの基本目標に沿って意見と要望を申し上げます。
まずは、未来をはぐくむあたたかいまちについてであります。第1に、子ども家庭支援事業について申し上げます。我が会派が強く求めてまいりました産後ドゥーラ派遣が新規事業としてスタートいたします。これまでの産後ケア事業の宿泊型、訪問型に加え、新たに通所型が加わり、さらにはベビーシッター事業の継続など、いたばし版ネウボラ事業がさらに拡充・強化され、妊産婦、子育て世代の多様なニーズに対応が可能となることを高く評価いたします。今後は陳情で採択されている1か月児健康診査についても特別区で議論を深め、足並みをそろえて実施できるように、板橋区からも積極的に取り上げていただくことを要望いたします。また、国は今年から発達障がいなどを早く発見し、安心の就学につなげることを目指す5歳児健診の助成を開始しました。本区においても、これまでの5歳児健康診査に加え、医師会と連携を密に図り、速やかに実施されることを求めます。第2に、ヤングケアラー支援について申し上げます。令和6年度区議会公明党予算要望でも、ヤングケアラーの専門相談、支援窓口の部署を明確にし、支援体制を構築するよう求めていたヤングケアラー支援が、このたび実施されることに感謝と高い評価をいたします。実施内容に示されているように、専門のアドバイザーと関係機関のサポートや関係機関同士のスムーズな連携体制づくりを進め、早期発見を図るとともに自覚を持ちにくいヤングケアラーへの周知・啓発を徹底していただくことを求めます。第3に、ひきこもり支援について申し上げます。板橋区では、これまでもひきこもりの悩みを抱えているご家族やご本人のための個別相談と家族教室を行ってきましたが、新たに居場所づくり事業のひきこもりピアサポーターやひきこもり求人・社会参加の場の開拓を行う事業について高く評価いたします。ひきこもり経験者が寄り添いながら居場所を確保したり、社会参加につなげるために開拓員を配置し、一般雇用に限定しない求人や社会参加の場の開拓を行うことは、ひきこもり本人にとって何よりも心強いことであり、不安解消の一助となることが期待できます。今後は、ご家族を含めたさらなる支援の充実を図っていただくことを要望いたします。
次に、いきいきかがやく元気なまちについてであります。第1に、ふれあい館運営個別相談会について申し上げます。区内5か所のふれあい館において、マンツーマン形式のスマートフォン操作に関する相談会を実施することを高く評価しております。昨年の私の決算総括質問においても、予約なしのスマホ相談会など、高齢者のスマホ活用を支援する取組の実施について質問をさせていただきました。このシニアのスマートフォン個別相談会は、週3回、1日4時間、1人30分程度で、年間延べ5,600人を想定しているとお聞きしております。その他、DX戦略として、敬老入浴事業の二次元コード利用やいたばしPayポイント還元事業、付随する健幸ポイント事業などの普及に向けて、積極的な高齢者への利用促進に向けた個別相談会などのさらなる充実を求めます。第2に、板橋ブランド戦略事業について申し上げます。今年度から、板橋の産業ブランド力強化を目指し、産業見本市の開催期間を1日間延長し3日間に拡充することになりました。企業や教育機関と連携し、ものづくり体験や社会課題・地域課題解決を目的とした学ぶ機会を創出し、将来的な人材確保に向けた子ども向けイベントを実施するという新たな試みを高く評価いたします。未来を担う子どもたちが区内産業に興味を抱き、区内産業に多くの人材が羽ばたくことを期待いたします。併せて、これまでも取り上げてきましたが、板橋のいっぴんの認定商品の拡充や販路拡大及びふるさと納税の返礼品などへの追加の確実な実施を求めます。また、以前、我が会派のさかまき区議が提案した、都内最古の記録として残っているヒイル酒、いわゆる東京ビール発祥の地が板橋だということを強力に発信し、クラフトビールを新たな板橋の地域資源ブランドとすることも再度求めておきます。
次に、安心・安全で快適な緑のまちについてであります。第1に、資源収集プラスチックについて申し上げます。4月から区内全集積所において、プラスチックごみを資源として分別回収をし、回収したプラスチックは、中間処理した上で再商品化することになりました。これまで燃えるごみなどとして処理されてきた要らなくなったプラスチック製品に、効率的な分別・回収・リサイクルを進める仕組みを設けることは、SDGs未来都市としての責務であり、高く評価いたします。気候変動や海洋プラスチックなどの環境問題に積極的に取り組み、持続可能な社会を実現するためにも、区民への分かりやすい説明と周知並びに先行自治体の課題などを分析し、分別回収事業者や中間処理業者との意思疎通を良好に保ちながら、ゼロカーボンシティ実現を目指すことを要望いたします。第2に、万全な備えの安心・安全について申し上げます。石川県で最大震度7の揺れを観測した能登半島地震から間もなく3か月が経過します。今回の地震で浮き彫りになったのは、被災者の生活支援であります。一例を挙げますと、市や町が設置した指定避難所では、地区による格差と人手不足が課題となっております。本区は、災害物資拠点の整備として、管理委託による防災備蓄物資の管理業務を行うことになりました。支援物資の効率的な管理、実効性のある防災体制の構築が期待でき、区民の生命・安心・安全に向けた取組として高く評価いたします。その上で、有事に備え災害協定を締結している各種団体に対して、いま一度実効性のある締結内容の見直しを求めます。また、つながりやすい通信手段や水、食料の確保など、非常時でも自治体が業務を続ける上で特に重要な6要素を全て網羅している約4割の市区町村である板橋区でもありますが、さらなる6要素の質の向上に向けて取り組んでいただくことを要望いたします。第3に、予防接種について申し上げます。板橋区では、おたふくかぜについては、現在1回についての費用の助成を行っておりますが、令和6年度から2回目の接種についても費用の助成を行うことになりました。私も令和元年度決算調査特別委員会で、しっかり免疫をつけるために2回分の接種費用を助成するべきと求めておりましたので、今回の英断に心より感謝を申し上げます。さらに、現在小学校6年生から高校1年生相当の女子のみが対象となっている子宮頸がんワクチン接種事業について、我が会派が要望した同学年の男子へ拡大し、ヒトパピローマウイルスの感染予防をすることに高く評価いたします。HPV感染は男女間で感染を繰り返すため、男女にワクチン接種をすることで感染の広がりを抑えることが期待できます。対象者への周知拡大と、副反応が生じた際の相談体制の充実を要望させていただきます。また、高齢者用肺炎球菌の定期接種の公費助成の対象が、これまでは65歳以上の方を対象に5歳刻みの年齢でしたが、令和6年度からは原則65歳のみが対象となってしまいます。ホームページや広報いたばしでの周知のみならず、区内の病院や薬局、高齢者施設などからも対象者へ情報発信をするように強く働きかけていただくことを要望いたします。第4に、まちづくりについて申し上げます。高島平地域は、区とUR都市機構の共同事業や、区が行う高架下空間活用事業の推進、さらには、民・学・公連携事業としての協働まちづくりを推進しています。大山町クロスポイント周辺再開発は、令和6年度で工事が完了する予定です。大山町ピッコロスクエア周辺地区再開発は、昨年9月に組合が設立され、令和7年度に権利変換計画認可を予定しております。板橋駅周辺地域は、組合施行の西口地区再開発事業、個人施行の板橋口地区再開発が計画され、板橋口地区については既に工事が着手されております。上板橋駅南口駅前地区は、共に組合施行となる東地区再開発事業と西地区再開発事業が計画され、東地区については、今月末で既存建物の除却工事が完了し、令和6年度に工事着手を目指す予定となっております。西地区については、令和6年度中に組合を設立する予定であります。いずれの事業におきましても、まちのにぎわいの創出や商店街の活性化、コミュニティの核となる拠点整備であり、重要な事業であります。一つひとつ丁寧な説明と、区民の声にアンテナを研ぎ澄まして対応し、東京で一番住みたくなるまちを目指していただくことを求めます。次に、広大な河川敷を有する板橋区として、かわまちづくりに防災の視点をプラスした板橋区かわまちづくり基本構想ITTA(イッタ)KAWAMACHI PROJECTを発表されたことを高く評価いたします。我が会派が2022年に作成したいたばし希望トータルプランでも、荒川河川敷が魅力ある板橋区の新たなシンボルになれるよう、オートキャンプ、テントサウナ、SUPなど、アウトドアを楽しむエリアの設置や、スケボーパーク、ドッグランなどの敷地の広さを生かしたエリアの設置を求めております。また、多くの人が利用できるトイレや更衣室の整備、交通アクセスの改善などを図り、東京で唯一の河川敷ライブフェスティバルの開催などを提言しております。令和6年度の基本計画策定の際は、これらの設置を前向きに検討していただくことを強く要望いたします。
次に、共産党提案の
一般会計予算に対する修正動議についてですが、今回示された予算は、区が示した総額予算案に対して僅か0.11%の修正案であります。示された事業自体は否定いたしませんが、既に区が示されたその他の事業と今回の修正事業に至った根拠理由が不明確であり、新たに追加予算として示された事業においては、制度の内容などを議会や特別区長会などでしっかりと議論されるべきものであります。また、委員会での質疑や資料要求などを通して判断をし、共産党提出の修正動議は反対をいたします。
最後に、今年度をもちまして、杉山達史
健康生きがい部長寿社会推進課長、浅賀俊之健康生きがい部国保年金課長、鈴木香奈子子ども家庭部援助課長をはじめ73名の方が退職となります。長きにわたり板橋区民のために、伸張発展にご尽力いただきました皆様に心より感謝を申し上げます。
以上で、板橋区議会公明党を代表しての討論を終わります。ご清聴ありがとうございました。(拍手する人あり)
○議長(
田中やすのり議員) 次に、くまだ智子議員。
◆くまだ智子 議員 議長。
○議長(
田中やすのり議員) くまだ智子議員。
〔くまだ智子議員登壇〕(拍手する人あり)
◆くまだ智子 議員 ただいまより、民主クラブを代表し、「2024年度東京都板橋区
一般会計予算」及び「
国民健康保険事業特別会計予算」、「
介護保険事業特別会計予算」、「
後期高齢者医療事業特別会計予算」、「
東武東上線連続立体化事業特別会計予算」の原案を可決することに賛成の立場から、また、共産党提出の「修正動議」には反対の立場から討論を行います。
まず初めに、本年元日に発生しました能登半島地震によってお亡くなりになられました方々に心からお悔やみを申し上げますとともに、被災された多くの方々にお見舞いを申し上げます。
さて、新型コロナウイルス感染症は、昨年5月に5類感染症に位置づけられました。地域の様々な行事が再開し、以前のようなにぎわいを取り戻しつつあります。板橋区の予算については、特別区民税の増収、企業業績の回復基調による特別区交付金の増加など、堅調な歳入が見込まれるところです。一方で、ウクライナ、ロシアの関係悪化は3年目に入り、また昨年10月からの中東の情勢や物価の上昇など、先行きの見通せない状況となっております。日経平均株価は34年ぶりの史上最高値を更新したとはいえ、賃金の上昇は物価の上昇に追いつかず、実質賃金は22か月連続減少となりました。格差が広がっていることが懸念され、区民の福祉の向上のためにさらなる施策を実行することが望まれます。2024年度の当初予算は、前年度と比較して6.6%増の2,530億円です。歳出は、プラスチック再資源化に伴う資源収集経費や小中学校の改築工事などにより157億5,000万円の増額です。歳入については、特別区税で13億2,200万円、特別区交付金で63億円の増収が見込まれますが、歳出規模の増大により、財政調整基金から25億2,300万円を繰り入れる見込みになっています。
それでは、2024年度予算の主要事業について、予算審査特別委員会の議論で明らかになったことを踏まえながら意見と要望を申し上げます。まずは、子ども・子育ての事業についてです。少子化が進む中、子育てしやすいまちのための施策が求められていますが、物価高もあり、子育て世帯の生活はより厳しいものになっています。そのような背景のある中、産前産後支援事業の導入や通所型の産後ケア、宿泊型の産後ケアの利用料金の引き下げなど、子育て支援のさらなるてこ入れは大変重要な施策であり、高く評価いたします。また、社会問題となっているヤングケアラーに対しては、昨年度の調査結果を基に、新たに専門のアドバイザーを設置して早期発見と支援を推進していくとのこと、こちらも大いに期待いたします。子育てのしやすさのためには、働きながらどんなときにも安心して仕事ができる環境を整えることも重要です。病児・病後児保育を小学校低学年まで利用を拡大するとともに、どの地域に住んでいても同様に利用できる地域差の少ない病児保育を検討することを求めます。また、板橋区には現在休日保育がありません。周辺自治体では実現しているこの休日保育についても、働く方の負担に配慮しながら実現に向けて検討していただけるよう要望いたします。給食費無償化については、大変すばらしい施策だと評価しております。所得や子どもの人数によって制限をかけることなく、板橋区の子どもたち全てが対象となることはすばらしいものです。昨年の9月に開始されたときには、都立の支援学校は対象になっておりませんでしたが、昨年度の補正予算で対象となり、また、アレルギーのあるお子さんも対象になりました。給食費の無償化は、子育て世帯への支援の意味もありますが、子どもの権利という観点もあります。板橋区に住んでいる全ての子どもたちにとっての恒久的な施策となるよう、今後、国や都に対して引き続き要望することを求めます。部活動の地域移行についても期待いたします。教員の働き方改革の視点もありますが、どの子も希望するスポーツや文化的活動をする機会が継続的に得られるようにするために、積極的に進めてほしいと思います。2024年度はシンポジウムの開催を予定しています。部活動の地域連携・地域移行は、指導員として地域の方の協力なしでは実現できないことです。区民の皆様と今後の部活動の在り方について、共に考えていけるようなシンポジウムの開催を望みます。部活動の地域移行に関しては、子ども、教職員、保護者に対して、かなり幅広いアンケートを行うことによって進めています。この進め方についても評価いたします。今後も引き続き、学校、地域、保護者、生徒との情報共有に努めながら進めていくことを要望いたします。次に、小中一貫型学校についてです。板橋区では、現在のところ小中一貫教育を推進する方針です。この方針自体には同意いたしますが、その設置には十分な施設面積の確保を求めます。小学校・中学校には設置基準がありますが、小中一貫型学校に関しては現在基準がありません。小中一貫型学校を進めるのであれば、まずは設置基準を設け、基準に基づいた計画をしていくことを求めます。児童・生徒の学ぶ権利を子どもの視点からも配慮していただくようにお願いいたします。教科センター方式に関しては、現在まで採用してきた学校の検証をしっかりと行い、その結果を踏まえた上で、改めて施設基準などを厳密に考えていただけるようお願いいたします。また、魅力ある学びのためには、十分な教職員が確保できていることは大前提です。正規職員の採用がままならぬ現状の中、板橋区独自の予算を拡充し、学校支援人材を最大限確保することを検討してください。
次に、福祉事業についてです。現在板橋区では、3つの福祉事務所で様々な対応を行っています。今後は、現在の3つの福祉事務所の体制から、区内全域を1つの福祉事務所で所管する体制への転換を計画しています。包括的な対応を目指すという点では評価いたしますが、全ての区民に対して福祉が行き渡るような体制の構築が実現できるよう、細かい部分まできちんと目を配っていただくようにお願いいたします。旧保健所跡地に関しては、一旦立ち止まって計画を構築することにはなりましたが、福祉のまちづくり構想から外れることなく、本庁舎北館、グリーンホール、情報処理センターを含めた施設へ、各部署の配置を計画していただくことを要望いたします。予防接種については、2024年度から東京都の補助も利用しながらHPVワクチンの男性への接種が開始することになっております。HPVワクチンに関しては様々な意見がありますが、公衆衛生上、多くの人が接種を受けることは望ましいことだと考えますので、評価いたします。正しい情報を伝えた上で、おのおのが選択をし、接種を受けることが大切です。接種を望む人が金銭的な負担の心配をせずに受けられるような体制づくりをしていただけるようお願いいたします。
次に、まちづくりについてです。高島平では、広く住民の要望を取り入れつつ、公共施設、東京都交通局、URがお互いにしっかりと連携し、さらには民間活力も導入しながらにぎわいのまちづくりをしてください。区内では、複数の再開発事業の計画が進んでおります。再開発事業では、アスベスト対策も含めて安心・安全に留意し、再開発組合のみならず地域住民や事業者の皆さんに丁寧な説明を続けていくことを要望いたします。かわまちづくりには、大いに期待しております。2024年度はトイレや更衣室、2025年度以降はスポーツ施設やカフェなどを設置し、さらには、水害時には命を守る場所としての機能も備えるという大変魅力的な壮大な計画です。しかし、アクセスの面では大きな課題を感じます。関連各所と連携しながら課題を解決し、積極的な情報発信をしながら進めていくことを要望します。
次に、区政経営についてです。板橋区では、2023年4月1日以降に締結する案件に対し、板橋区が発注する契約に係る労働環境の確認に関する要綱の適用を開始しました。契約に対して、適正な履行と労働環境の整備に配慮した調達の推進のために、大変重要なものと評価しております。現在は要綱となっておりますので、この要綱を基に実施した結果を検証し、関係者の意見も積極的に取り入れながらさらに実効的な施策となるよう、公契約条例の制定を強く要望いたします。職員の確保については、民間委託や指定管理者制度で人件費を圧縮するだけでなく、区民サービス向上のために必要な事業が確実に実行できるよう、また、板橋区役所で働く職員を適材適所に配置するためにも正規職員の確保に努めてください。
次に、
介護保険事業特別会計予算についてです。2024年2月29日の本会議にて議案第26号が可決成立しました。これにより、この3年間の介護保険料が基準月額で480円の値上げとなります。冒頭にも申し上げましたが、昨今の物価上昇は著しく、物価上昇に賃金の上昇が追いついていないため、実質賃金は下がり続けています。年金で生活している方々に関しては、収入が上がることは望めず、家計への打撃は計り知れません。予算案には賛成いたしますが、基金を効果的に活用しながら、できる限り保険料を上げない方向で引き続き検討することを望みます。
最後に、共産党提出の修正動議について述べさせていただきます。修正動議に上がっています事業の一つひとつに関しては理解いたしますが、その予算の多くが財政調整基金の取崩しが前提となっているように見受けられます。財政調整基金は、急激な経済の変動や緊急の財政需要などに対して取崩しを行うこととなっておりますので、継続的な事業においては、一時的な歳入の変動に左右されない財政基盤の確立が必要だと考えます。そのため、2024年度東京都板橋区
一般会計予算に対する修正動議については反対をいたします。
終わりに、長きにわたり区政の発展に貢献され、ご尽力いただきました73名の退職される職員の皆様に、心から感謝を申し上げまして、民主クラブを代表しての討論を終わります。(拍手する人あり)
○議長(
田中やすのり議員) 次に、大森 大議員。
◆大森大 議員 議長。
○議長(
田中やすのり議員) 大森 大議員。
〔大森 大議員登壇〕(拍手する人あり)
◆大森大 議員 日本維新の会の大森 大です。ただいまから、日本維新の会板橋会議員団を代表し、「令和6年度東京都板橋区
一般会計予算」及び「
国民健康保険事業特別会計予算」、「
介護保険事業特別会計予算」、「
後期高齢者医療事業特別会計予算」、「
東武東上線連続立体化事業特別会計予算」の原案を可決することに賛成の立場から、共産党提出の「修正動議」には反対の立場から討論を行います。
初めに、能登半島地震で甚大な被害を受けられた全ての被災者の方々に、心からお見舞いを申し上げます。このたびの震災は、私たちに多くの重要な教訓を残しました。少子高齢化が進む地域特有の課題とともに、避難所へ向かう人々が必要な物資を求めた姿は、自助の重要性を改めて私たち認識させました。また、SNSを通じて拡散した不確かな情報が社会問題にまで発展したことは、情報の取扱いについても深く考えさせられる出来事でした。特に心を痛めたのは、ペットと共に避難しようとした多くの方が、同伴避難が許されず、やむなく車中泊を余儀なくされた事実です。家族同然の大切な存在を守るための選択がさらなる混乱を生じてしまう現実に、私たちは真摯に向き合う必要があります。これらの課題は決して人ごとではありません。板橋区においても同様の災害が発生することを想定し、今回の教訓を生かした対策・備えを区民一人ひとりが行っていくことが求められます。そして、私たち区議会議員や行政は、今後の災害対策において、能登半島地震で浮き彫りになった様々な課題を教訓として、区民の安全と安心を守るために全力を尽くさなければなりません。
一方で、残念なことに、最近の自民党国会議員を中心としたスキャンダルは、国民の怒りを買い、特に政治資金パーティーをめぐる裏金疑惑は、政治と金に対する不信感をさらに高めています。私たち板橋区においても、区内選出の国会議員がこれらの渦中にあることは、区民の怒りを大きくしており、この状況を重く受け止めなければなりません。今こそ区長や区議会議員といった私たち政治家が身を引き締めて信頼回復に向けて努めるべき時です。具体的な対策としては、報酬のカットという身を切る改革を実施することも必要不可欠です。実際、私たち日本維新の会は既にその一歩を踏み出していますが、皆様方におかれましても、これに続いていただきたく、強く願っています。このような身を切る改革を進めることで、区民の信頼を取り戻すだけでなく、行政職員の方々にも私たちの改革への本気度を感じ取っていただけるはずです。それこそが真の意味での改革を前に進める原動力となります。政治と金の問題に対する厳しい視線は、私たち政治家にとって改革を推し進める貴重な機会でもあります。この機会を生かして、区民の皆様に信頼される政治を取り戻し、よりよい板橋を築いていこうではありませんか。その上で、本予算案に賛成する理由を3点ほど挙げさせていただきます。
まず第1に、行政DX・自治体DXの推進です。近年、デジタル化は、社会のあらゆる面で進行しており、行政サービスの質を高め、効率化を図るためにもこの流れは避けて通れません。私たち板橋区は、行政DX・自治体DXの推進において、全国の自治体の中でも上位に位置する実績を有しています。これは各種民間調査においても明らかであり、区の取組がほかの多くの自治体にとっても参考となるほどの進展を見せています。このような背景の下、今年度予算では、さらなる行政サービスのデジタル化を重点化しています。特にいたばしPay及び行政ポイント付与事業の推進は、本予算案に賛成する大きな理由の1つです。令和4年度に導入されたいたばしPayは、その導入以来、ユーザー数10万9,000人、加盟店数1,300店舗、流通総額61億円に達するなど、地域経済において顕著な成果を上げています。この成功は、単にデジタル化を推進しただけでなく、地域経済活性化とキャッシュレス決済の利用促進に大きく寄与していることを示しています。いたばしPayの成功は、板橋区のデジタル化推進の象徴とも言える取組であり、そのさらなる発展に向けた予算配分は、我々が今後もテクノロジーを駆使してよりよい区政を目指す上で非常に重要です。
次に、賛成理由の第2点として挙げさせていただきたいのは、防災対策の強化です。能登半島地震を受けて区民の間で高まっている防災に対する関心に応える形で、区長の重点施策として位置づけられた防災対策のさらなる強化が進められたことは、高く評価いたします。先ほども申し上げましたが、能登半島地震の経験から学ぶべき重要な教訓の1つは、災害時における自助の必要性です。家庭での備え、地域コミュニティの強化、そして災害情報の正確な理解といった自助努力は、私たちの災害への対応能力を大きく向上させます。これらの努力は、個々人の安全はもちろん、地域全体のレジリエンスを高める上で欠かせないものです。このため、板橋区としても自助の必要性をより一層区民に伝え、その実践を促す施策の展開が求められます。具体的には地域コミュニティの結束を促す施策、正確で迅速な災害情報の提供方法の改善などが考えられます。また、家庭での非常食や備品の備蓄を促すために、江東区や世田谷区では、防災カタログギフトの配布を行うことが決定したということです。こうした施策や緊急時におけるコミュニケーション手段の確保に関する指導などを強く推進していっていただきたいと思います。
賛成理由の第3点として、産前産後事業の導入をはじめとする少子化対策について、ようやく本腰を入れたと評価できるからです。産前産後のサポート体制の充実は、子育て世代の負担軽減と安心感の提供に直結し、結果として出生数の向上にもつながる可能性があります。これらの施策を長期的な視野に立って計画されている点を評価します。もっともこれだけではまだ足りないというのが現実です。例えば、出産費用の無償化や学用品の無償化は、子育て家庭にとって大きな支援となり得ます。これらは他区では既に先行して導入されており、多くの家庭から好評を得ています。板橋区もこれらの施策を参考に、さらなる少子化対策の充実を図っていただきたいと思います。
続いて、意見を2点述べさせていただきます。まず第1に、事務事業評価の徹底についてです。品川区では、全事業にわたる事務事業評価を行い、その結果を踏まえて学用品無償化を実現しました。これは、事務事業評価が行政の無駄削減においては極めて重要であることを示す好例です。行政の効率化と資源の最適な配分は、税金の有効活用を図り、区民にとって実質的な恩恵をもたらします。現在、板橋区でも歳出が増加傾向にあり、少子高齢化が進む中で、義務的経費の増加が大いに予想されます。このような状況の下で、歳出改革を進めるためには、事務事業評価の全事業化と厳しい審査が不可欠です。全事業にわたる評価を行うことで、必要性の低い事業や重複する事業を見極め、削減あるいは再編することが可能になります。品川区の事例から学び、板橋区でも事務事業評価の徹底を図ることを強く要望いたします。
2点目として、特別会計に関する改革の必要性について述べさせていただきます。特に
国民健康保険事業、介護保険事業特別会計及び後期高齢者医療事業特別会計については、高齢化の進展により事業規模の拡大が予想されるため、改革が急務です。この改革の第一歩として、マイナンバーカードの普及とマイナ保険証の活用を推進することが重要です。マイナンバーカードやマイナ保険証の活用により、医療サービスの利便性を向上させるとともに、不正利用の防止や医療費の適正化にも寄与することが期待されます。先日、我が党は、医療制度の抜本的な改革案医療維新を発表しました。急速に進む高齢化に伴う医療費の増大という課題に対し、持続可能な医療制度の構築を目指すものです。具体的には、世代間の公平性の確保と医療の質向上のための窓口負担改革、医療産業の生産性向上に向けた診療報酬体系の見直しなど、聖域なき改革を打ち出しています。こうした大胆な改革によって、最小の負担で最大の構成を実現し、全ての国民に質の高い医療を提供できる体制の確立を目指すべきです。板橋区におかれましても、この医療維新の理念を参考に、区民の健康と安心のために、積極的な改革を進めていただきたいと思います。
議論を重ねた結果、我々はこの予算案に賛成することにしましたが、その決断に至るまでは、一抹のためらいがありました。確かにこの予算には、区民の生活を向上させ、将来への重要な投資を支援する多くの要素が含まれています。しかし、区政改革、特に歳出削減の面での進展が見られない現状には懸念を抱かざるを得ません。歳出の増加は、短期的な問題解決にはなり得るかもしれませんが、長期的な財政健全化という大局的な視点から見た場合、十分な改革の進捗を示しているとは言い難いのが現実です。より効率的かつ革新的な区政運営を通じて、持続可能な財政構造へと移行することを強く望みます。
共産党の提案する修正動議については、明確に反対の立場を取ります。この動議が提案する2億6,000万円の歳出増に対し、その資金の大部分を財政調整基金から捻出しようとするアプローチは、財政の健全性を損なうものです。このような短期的視野に立った資金調達は、将来的な財政負担を増大させるおそれがあり、財政改革の観点から見ても適切な手段とは言えません。
以上の理由から、この予算案への支持を表明しつつも、その実施に当たっては、区の財政運営を厳しく注視し続けることが必要だと考えます。私たち日本維新の会の目標は、財政の健全化を進めながら、真に必要とされるべきところに適切な予算が配分されることです。この予算が板橋区にとってよい方向への一歩となることを期待しつつ、改革の進捗には引き続き注意深く目を光らせていく所存です。区政改革が積極的に前進し、より持続可能で明るい未来を築くための努力を今後も続けていくことを望みます。
最後になりましたが、今年度をもちまして、杉山達史
健康生きがい部長寿社会推進課長、浅賀俊之健康生きがい部国保年金課長、鈴木香奈子子ども家庭部援助課長を含め、73名の方々が退職となりました。長きにわたり板橋区民のためにご尽力いただきました皆様に、日本維新の会区議団を代表いたしまして、心より感謝を申し上げます。今後のご健康とますますのご健勝をお祈り申し上げ、私からの討論を終わります。ご清聴ありがとうございました。(拍手する人あり)
○議長(
田中やすのり議員) 次に、大野ゆか議員。
◆大野ゆか 議員 議長。
○議長(
田中やすのり議員) 大野ゆか議員。
〔大野ゆか議員登壇〕(拍手する人あり)
◆大野ゆか 議員 ただいまから、いたばし未来会議を代表し、「令和6年度東京都板橋区一般会計」及び4特別会計歳入歳出予算に賛成、「修正動議」に反対の立場から討論を行います。
令和5年度に新型コロナが5類に移行し、経済も動き出し、お祭りや行事など、私たち区民の暮らしも明るさを取り戻した1年でした。報道では、大企業でベースアップが進んでいると聞きますが、区内の中小企業の方にお話を聞くと、ベースアップは行えないとの声も多く、生活者の視点では、物価高が続いて区民の生活は苦しい状況が続いていると感じます。このような区民生活に及ぼす影響も鑑み、区民の安心・安全を最優先に、生活や地域経済に影響する緊急課題に対して、スピード感を持って的確に対応していく姿勢は評価しております。一般会計は、前年度と比較して6.6%増の2,530億円で、障害者自立支援法に基づく自立支援給付金の増、プラスチック再資源化に伴う資源収集経費増、区営住宅や小中学校の改築工事などを補充するため、各基金から35億円の繰入れを行い、前年度比で157億5,000万円の増額となっています。歳入については、特別区税で13億2,200万円、特別区交付金で63億円の増収が見込まれるものの、歳出規模の増大により、財政調整基金から25億2,300万円を繰り入れております。令和6年度は、いたばし№1実現プラン2025改訂版の着実な実現のための重点戦略3本の柱を掲げております。
以後、3つの柱に沿って検証しますが、総じて申し上げたいのが、区民が実際に利用するイメージを持って制度設計をぜひしていただきたいということです。一例を挙げますと、令和6年度に支援が強化されるひきこもりなどの若者支援についてです。相談員の設置や就業体験などの充実など、様々な施策が検討されています。しかし、最初の一歩が踏み出しにくい若者が、その場所まで果たしていたどり着けるでしょうか。豊島区で若者支援を手がけているNPO法人サンカクシャさんに視察に伺った際に、自立につながる支援は、まずは一緒にゲームなどを楽しんだり、いつでも安心して過ごせる空間・環境を通しての信頼関係構築が不可欠ということを知りました。また、地域で安心して就業できるように、地域活動などにも同行し、地域全体で見守れる体制を整えているとのことでした。予算をつけて担当者を配置し、情報提供をする方法ではなかなかできないことです。このように、実際に利用する方々のハードルになるものをイメージしながら、時には民間や地域の力も借りながら制度をつくっていただきたいです。
それでは、検証を始めます。第1の柱は、SDGs戦略です。188億7,500万円の予算案です。防災について、令和6年1月1日に発生した能登半島地震を機に、区民の防災への意識が高まっているタイミングで、次世代の安心・安全のための防災対策強化が掲げられていることは評価いたします。先日実施されました板橋区総合防災訓練も各町会の多くの方々が参加されていました。一方で、働き世代、子育て世代の参加者が顕著に低く、実施がされることすら知らない方々もいました。有事の際に機能する共助の意識を地域で育むためにも、町会LINEを活用した情報発信など、全ての当事者に情報が届く仕組みを検討いただけたらと思います。また、産前から切れ目のない子育て支援を強化する動きも高く評価いたします。ぜひ妊産婦が利用しやすいシステム構築をお願いします。スマホ1つで完結するサービス整備が不可欠です。板橋区では、母子モを利用して子育て応援アプリを運用しています。児童館のイベントがウェブ予約できるようになったのは、第一歩としてすばらしいです。一方で、相談受付などは外部リンクに飛び、電話が必要なところもあります。民間の利便性のよいアプリに慣れている子育て世代にとってはハードルになり得ます。令和6年度は、電子申請システムLoGoフォームの推進が掲げられております。母子モとLoGoフォームなど、多くても2つのシステムを使って申請完了ができるように、ぜひ早急な整備を期待しております。産後ケア事業については、通所型産後ケアの導入、宿泊型産後ケアの拡充がされたことを評価いたします。一方で、3月7日時点の施設一覧を確認すると、板橋区内の施設は、通所型は12件中3件、宿泊型は13件中3件のみとなっております。産後ケアを受けたいと願うお母さんにとって、我が子を連れて電車やタクシーに乗って出かけていくことは、想定する荷物や心の準備も増えて1つのハードルになり得ます。ぜひ板橋区内の施設の増設を要望いたします。板橋区内で通所型産後ケア事業を考えている事業者さんもいらっしゃいます。ぜひそういった方からご相談があった場合には、前向きに取り組んでいただきまして、環境整備に努めてください。
第2の柱は、デジタルトランスフォーメーション、DX戦略です。43億3,200万円の予算案です。デジタル化の推進でよりよい行政サービスを提供するという動きは評価いたします。特に行政手続について、令和6年度、令和7年度、ともに25手続ずつをオンライン化していくことを期待しております。利用者数が12万人にも達したいたばしPayは、ポイント還元キャンペーン期間と平常時の利用者数の推移をしっかり検証してください。私の周りでは、ポイント還元キャンペーン時のみいたばしPay、それ以外はPayPayなどのほかの決済サービスを利用されているという方の話もよく耳にします。貴重な税金を投入して構築しているサービスですので、加盟店、区民に支援金を払わずとも持続可能性があるのか、検証を求めます。環境エコポイント、健幸ポイントの申込みも全て一括でスマホで完結できるようにするなど、利用増進に向けた取組が必須と考えます。また、デジタル活用でスマートシティを推進、高齢者対応型スマート東京推進プロジェクトですが、少し方向性に疑問を感じています。そもそもスマートシティとは、区民にどんな利益をもたらす構想なのでしょうか。今のプロジェクトで区民が認識できる仕組みになっているのでしょうか。区立施設、例えば熱帯環境植物館のプロジェクションマッピングについては、その企画がどのようにスマートシティにつながっているのか、ぜひ利用者の声も含めて検証と説明を求めます。どんな都市を目指すのか、明確にしてください。高島平エリア仮想空間水害避難訓練についても、ただ緊迫感のあふれる避難体験をするだけではなく、その先の実際の避難行動計画や日々の備えにつながる仕組みがないと意味がありません。今年度は8,100万円余りの予算がついている事業です。ぜひ区民が納得し、スマートシティであることを実感できるよう活用していただくことを求めます。
第3の柱は、ブランド戦略です。73億8,400万円の予算案です。この項についても課題を感じます。絵本のまちと再開発が2つの柱と考えております。ブランド戦略とは、一言で言えば広報戦略です。世の中の全ての企業や商店街が苦労し、尽力しているように、いいものができたから必ず売れるというのではなく、まずは知ってもらい、好感を持ってもらい、買う選択肢に入る。板橋区で言えば、魅力的なまちづくりをしながら、区民にも区外にも分かりやすく伝え、住みたいと思う選択肢に入る。そのためには誰に何をどう伝えるのか、コミュニケーション戦略が必要で、それがブランド戦略ではないでしょうか。絵本のまち板橋については、令和6年度3,800万円の予算で絵本のまち板橋推進を行うとともに、ユネスコ創造都市加盟に向けた検討を行うとされています。ユネスコ創造都市に加盟できたとしても、区民が実感を持ったブランド力になるのでしょうか。絵本のまちが区民の中になかなか根づいていないのは、実感がないからです。区民まつりでの絵本のまちひろばなど、様々な方法で絵本のまち板橋の浸透に努力されている姿勢は評価しております。一方で、絵本のまちひろばでの板橋らしさはどこにあったのでしょうか。ひろばでは、板橋で作られた絵本展も開催されていましたが、どの辺りが審査基準なのか、製本技術なのか、明確ではなく残念でした。私の周りの子育て世代の仲間に話を聞くと、絵本のまち板橋に実感がないという声が大半です。区民まつりについても、休憩場所も少なく、人が多く、待ち時間も長いので、1回で行かなくなってしまったという話も耳にします。区民まつりでの絵本のまちひろば以外での方法も検討する必要があります。ブランド戦略推進調査特別委員会でもお伝えしましたが、区や民間の施設内に絵本を設置した小さな絵本館については、より推進し、暮らしの中に絵本が根づく取組を期待します。コミュニケーション戦略を用いながら、誰にどのように絵本のまち板橋を浸透させていくのか、ぜひ受け手をイメージして深く検討していただくことを望みます。次に、まちづくり計画についてです。現在板橋区では、高島平地域、大山駅周辺地区、板橋駅西口周辺地区、上板橋駅南口駅前地区などで再開発事業が進められています。まちの方からは、期待の声よりも不安の声のほうが多く聞こえてきます。近隣では、北区の十条駅で再開発により39階建てのタワーマンションが2024年10月に完成予定、今後、赤羽駅でも再開発が始まる予定です。現在のタワーマンション中心の再開発では、どのまちでも同じような景観が出来上がります。まちの差別化はどのように行うのでしょうか。若い世帯の定住化や交流人口の増加はどのように実現するのでしょうか。そもそもまちの魅力とは、区役所がつくるのではなく、既に板橋区の中にある人々の暮らしや風景そのものではないでしょうか。まちづくり協議会など様々な協議会は、公募はあるものの、町会や商店街のメンバーでないとなかなか入っていけない敷居が高い仕組みです。実際に住んでいる方、まちを魅力的にしていきたいという方々の声はしっかり拾えているのでしょうか。区が積極的に拾っていく姿勢が必要です。また、住んでいただきたい方々をより細分化して、イメージして、まちごとにターゲットを絞る必要があるように感じます。例えば、大山駅では、商店街が好きな方、多世代交流や人と人とのコミュニケーションに魅力を感じる方などが興味を持っていただく可能性があります。その方たちがどんな仕組みや施設があることを望むのか、深く熟議していく機会を設けてみてはいかがでしょうか。今あるものに目を向け、コミュニケーション戦略を踏まえた区民が自分の住むまちに誇りを持てるブランド戦略を求めます。
以上、3つの柱を中心に述べてまいりましたが、既存の事業をよりバージョンアップさせた令和6年度予算に賛成し、加えて、今後必要なタイミングで、補正予算等で必要な施策を区民の立場に立って進めていただくよう要望します。
国民健康保険事業特別会計においては、そもそもの事業の形に限界がある点、保険料や扶養の有無など、社会保険との負担の差が大きく課題があります。社会保険では、子どもは扶養に入り保険料はかかりません。一方で、
国民健康保険では、扶養という概念がないために子どもも保険料の支払い対象になります。均等割保険料の軽減は未就学児まで、以降は全額負担がかかります。
国民健康保険加入者には、低所得者の方も多く加入されています。また、高所得者にとっての負担額も社会保険と比較すると2.5倍から3倍ほどの負担になります。大変不合理な制度です。令和7年度に向けた特別区長会案の中にも
国民健康保険制度の充実は記載がされております。今後、
国民健康保険については、国や他自治体の状況も注視していただいて、持続可能な仕組みづくりをご検討いただきたく存じます。
また、議案第29号「修正動議」については、賛同する点も多くあるものの、さらに検討したい項目もあり、今回は反対をさせていただきます。
最後に、本年3月をもって退職される73名の職員の皆様へ、長年のご尽力に心から敬意と感謝を申し上げます。
以上で、いたばし未来会議を代表しての討論を終わります。ご清聴ありがとうございました。(拍手する人あり)
○議長(
田中やすのり議員) 以上をもって、討論を終わります。
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△議案第29号の採決
○議長(
田中やすのり議員) これより表決を行います。
初めに、議案第29号「令和6年度東京都板橋区
一般会計予算に対する修正動議」について、起立表決を行います。
議案第29号に対する委員会報告は否決であります。委員会報告のとおり決することに賛成の方はご起立願います。
〔賛成者起立〕
○議長(
田中やすのり議員) ご着席願います。
起立多数と認めます。
よって、議案第29号「修正動議」は、委員会報告のとおり否決されました。
──────────────────────────────────────────
△議案第1号の採決
○議長(
田中やすのり議員) 次に、議案第1号「令和6年度東京都板橋区
一般会計予算」について、起立表決を行います。
議案第1号に対する委員会報告は原案可決であります。委員会報告のとおり決することに賛成の方はご起立願います。
〔賛成者起立〕
○議長(
田中やすのり議員) ご着席願います。
起立多数と認めます。
よって、議案第1号は、委員会報告のとおり原案可決と決定いたしました。
──────────────────────────────────────────
△議案第2号、第3号、第4号及び第5号の採決
○議長(
田中やすのり議員) 次に、議案第2号「令和6年度東京都板橋区
国民健康保険事業特別会計予算」、議案第3号「令和6年度東京都板橋区
介護保険事業特別会計予算」、議案第4号「令和6年度東京都板橋区
後期高齢者医療事業特別会計予算」及び議案第5号「令和6年度東京都板橋区
東武東上線連続立体化事業特別会計予算」について、一括して起立表決を行います。
議案第2号、第3号、第4号及び第5号に対する委員会報告はいずれも原案可決であります。委員会報告のとおり決することに賛成の方はご起立願います。
〔賛成者起立〕
○議長(
田中やすのり議員) ご着席願います。
起立多数と認めます。
よって、議案第2号、第3号、第4号及び第5号は、委員会報告のとおり原案可決と決定いたしました。
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△
議会運営委員会報告
○議長(
田中やすのり議員) 次に、日程第17を議題といたします。
議会運営委員長から提出された調査事件に対する継続調査申出書は、朗読を省略し、委員長から調査の経過について報告があります。
議会運営委員長 佐々木としたか議員。
◆佐々木としたか 議員 議長。
○議長(
田中やすのり議員) 佐々木としたか議員。
〔参 照〕
閉会中継続調査申出書
本委員会は、調査中の事件について、下記により閉会中もなお継続調査を要するものと決定したので、会議規則第70条の規定により申し出ます。
記
1 事 件 本会議等の運営方法の検討について
2 理 由 今会期中に調査を結了することが困難であるため。
令和6年3月21日
議会運営委員長 佐々木としたか
議 長 田中 やすのり 様
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〔佐々木としたか議員登壇〕(拍手する人あり)
◆佐々木としたか 議員 ただいまから、2月6日、20日、28日及び3月21日に開催いたしました議会運営委員会における調査の経過につきまして、ご報告申し上げます。
初めに、2月6日の委員会において、今定例会中に設置されました「予算審査特別委員会の運営」につきまして、全会一致をもちまして、決定をいたしました。
次に、今定例会中に議論いたしました諮問事項について、ご報告いたします。
最初に、「陳情の参考送付について」の諮問事項を議論いたしました。委員より、「区民以外のかつ郵送で提出された陳情には、区政に深く関係しているとは言い難い内容も含まれる」という意見や、「陳情として議会に提出されている以上は、審議すべきである」などの意見があり、これらの意見を踏まえた議論を継続して行うことに決定いたしました。
次に、「討論のあり方について」の諮問事項を議論いたしました。委員より、「討論は審議に直接関わっている当該委員会の委員が行うことが望ましい」との意見や、「本会議に出席する全議員に討論を行う権利は付与されている」などの意見があり、これらの意見を踏まえた議論を継続して行うことを決定いたしました。
次に、「意見書等の提出に関する陳情の取扱いについて」の諮問事項を議論いたしました。委員より、「全会一致だけではなく、賛成多数により意見書等を提出することも検討すべきである」などの意見があり、これらの意見を踏まえた議論を継続して行うことを決定いたしました。
最後に、調査事件につきましては、全会一致をもちまして、別途議長宛て、継続調査の申出を行うことに決定いたしました。
以上をもちまして、本委員会の報告を終わります。
──────────────────────────────────────────
△
議会運営委員会報告に対する採決の動議
○議長(
田中やすのり議員) これより質疑に入ります。
ただいまの報告に質疑がありましたら、ご発言願います。
◆長瀬達也 議員 議長。
○議長(
田中やすのり議員) 長瀬達也議員。
◆長瀬達也 議員
議会運営委員会報告に対する質疑・討論を省略し、直ちに表決するよう動議を提出いたします。
○議長(
田中やすのり議員) 長瀬達也議員の動議のとおり決することにご異議ございませんか。
〔「異議なし」と言う人あり〕
○議長(
田中やすのり議員) ご異議がないものと認めます。
よって、
議会運営委員会報告に対する質疑・討論を省略し、直ちに表決を行うことに決定いたしました。
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△調査事件の採決
○議長(
田中やすのり議員) これより表決を行います。
お諮りいたします。
委員会からの申出のとおり、調査事件を継続調査に付することにご異議ございませんか。
〔「異議なし」と言う人あり〕
○議長(
田中やすのり議員) ご異議がないものと認めます。
よって、申出のとおり、調査事件を継続調査に付することに決定いたしました。
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△閉会の宣告
○議長(
田中やすのり議員) 以上をもちまして、本日の日程はすべて終了いたしました。
これをもちまして、令和6年第1回東京都板橋区議会定例会を閉会いたします。
午後0時12分閉会
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以上相違なきを認めここに署名する
会 議 録 署 名 議 員
議 長 田 中やすのり
25番 山 内 え り
46番 成 島 ゆかり...