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  1. 荒川区議会 2019-09-01
    09月09日-01号


    取得元: 荒川区議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-12
    令和元年度定例会・9月会議荒川区議会会議録(第一日)=============一、日時 令和元年九月九日 午前十時一、場所 荒川区議会議場一、出席議員(三十二名)  一番 久家 繁君  二番 小坂英二君  三番 夏目亜季君  四番 宮本舜馬君  五番 山田晴美君  六番 相馬ゆうこ君  七番 北村綾子君  八番 小林行男君  九番 横山幸次君  十番 斉藤邦子君 十一番 小島和男君 十二番 鎌田理光君 十三番 町田 高君 十四番 中島義夫君 十五番 菅谷元昭君 十六番 明戸真弓美君 十七番 茂木 弘君 十八番 小坂眞三君 十九番 並木一元君 二十番 斎藤泰紀君二十一番 北城貞治君二十二番 志村博司君二十三番 河内ひとみ君二十四番 藤澤志光君二十五番 竹内明浩君二十六番 清水啓史君二十七番 山口幸一郎君二十八番 増田峰子君二十九番 森本達夫君 三十番 菊地秀信君三十一番 松田智子君三十二番 保坂正仁君一、欠席議員(なし)一、出席説明員区長  西川太一郎君副区長  佐藤安夫君副区長  北川嘉昭君総務企画部長  五味智子君財政担当部長  宮腰 肇君区政広報部長兼全国連携担当部長  米澤貴幸君管理部長  梅原一彦君区民生活部長  阿部忠資君地域文化スポーツ部長  古瀬清美君産業経済部長  石原 久君環境清掃部長  池田洋子君福祉部長  片岡 孝君健康部長  石原 浩君健康推進担当部長  東山忠史君子育て支援部長  青山敏郎君防災都市づくり部長  松土民雄君再開発担当部長都市計画担当部長  松崎保昌君会計管理部長会計管理債権管理担当部長  丹 雅敏君総務企画課長  小林直彦君教育長  高梨博和君教育委員会事務局教育部長  三枝直樹君選挙管理委員会委員長  小林清三郎君代表監査委員  齋藤暢生君一、職務のため出席した事務局職員事務局長  濱島明光庶務係長  小原 実議事係長  伊藤智徳主任主事  染谷沙織主事  堀川光佑主事  山本麻由来主事  松元 翼企画調査係長  細井貴洋議事日程 令和元年九月九日 午前十時開議第一               一般質問について           午前十時開議 ○議長(茂木弘君) ただいまより九月会議を開きます。 初めに、九月会議の会議期間は、本日から十月十一日までの三十三日間といたします。 この際、区長より発言の申し出がありますので、これを許可いたします。   〔区長西川太一郎君登壇〕 ◎区長(西川太一郎君) 令和元年度荒川区議会定例会・九月会議の開会に当たりまして、一言御挨拶を申し上げさせていただきます。 九月会議には、平成三十年度荒川区一般会計歳入歳出決算など重要な案件を多数御提案申し上げております。どうぞよろしく御審議を賜りますようお願いを申し上げます。 暑い夏が終わって、議員各位も日ごろの御活動でお疲れも若干残っておられる方もおいでになるかもしれません。御健康には十分御留意いただき、区民のために御活躍を賜りますよう僣越ながらお願いを申し上げ、開会に当たっての挨拶といたします。 ○議長(茂木弘君) 出席、欠席議員数を報告いたします。出席三十二名、欠席なしでございます。 九月会議の会議録署名人を定めます。本件は、会議規則第百二十条の規定により議長より御指名申し上げます。        四番   宮 本 舜 馬 議員        十五番  菅 谷 元 昭 議員        二十三番 河 内 ひとみ 議員 以上、三名の方にお願いいたします。 日程第一、一般質問について。 ―――――――――――――――◯――――――――――――――― △一般質問について ○議長(茂木弘君) 一般質問の通告がありましたので、順次発言を許可いたします。 十四番中島義夫議員。   〔中島義夫君登壇〕 ◆十四番(中島義夫君) 自由民主党の中島義夫でございます。 令和元年、歴史あるこの年に、令和徳仁天皇であります浩宮様と同じ昭和三十五年に生まれましたこの私が、誕生日月であります九月会議の一般質問ができますことに心から感謝申し上げますとともに、この機会をくださいました自由民主党の先輩議員並びに同僚議員の皆様に厚く御礼申し上げ、質問に入りたいと存じます。 それでは、大きく三項目の質問をいたします。区長をはじめ、関係理事者におかれましては、簡潔かつ積極的な御答弁をお願いいたします。 まず初めに、認知症対策の推進について。 令和元年六月、政府は認知症施策推進関係閣僚会議を開き、二〇二五年(令和七年)までを対象期間とする認知症施策推進大綱を決定いたしました。これは現行の認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)にかわるもので、成果指標や目標を充実させるとともに、共生と予防を車の両輪として、認知症施策を推進する内容となっております。 この大綱については、認知症の予防に関し、現時点ではエビデンス、このエビデンスとは、臨床結果や科学的根拠などの証拠などですが、この点が不十分であることや、認知症になったのは予防の取り組みをしなかったといった誤った理解により、これらの患者が落第者のようにみなされるとの懸念が示されたことなどから、決定の過程において、原案に示された有病率の数値目標が削除されたことが報道され、世間の耳目、つまり見たり聞いたりで注目されたわけであります。 そうした内容の見直しを経て決定された大綱では、認知症の発症をおくらせ、発症しても希望を持って日常生活を過ごせる社会を目指し、これらの患者や家族の視点を重視しながら、共生と予防を車の両輪として施策を推進していくことを基本的考え方と示しているわけであり、つまり大綱において予防とは、認知症にならないという意味ではなく、発症するのをおくらせる、また、発症しても進行を緩やかにするという意味であり、通いの場における活動の推進など、正しい知識と理解に基づいた予防を含めた備えとしての取り組みに重点を置き、結果として七十歳代での発症を十年間で一年おくらせることを目指すとしているわけであります。 六十五歳以上の高齢者のうち、認知症を発症している人の割合は推計一五パーセントで、二〇一二年(平成二十四年)時点で約四百六十二万人に上ることが厚生労働省研究班の調査で明らかになっており、その数が二〇二五年(令和七年)には七百三十万人へ増加し、六十五歳以上の五人に一人が発症すると推計されているわけであります。しかも、高齢になるにつれて認知症を発症する割合は増加すると予想されており、八十五歳以上では五五パーセント以上の方が発症するとも言われているわけであり、人生百年時代と言われている今日、まさに国民病とも言える状況であります。 認知症とは、脳細胞の死滅や活動の低下によって認知機能に障害が起き、日常生活や社会生活が困難になる状態を言います。引き起こす原因はさまざまで、その発症過程により、アルツハイマー型、脳血管性認知症、レビー小体型などの種類に分類され、かつては「痴呆症」と呼ばれていましたが、二〇〇四年十二月に厚生労働省の用語検討会において「認知症」と言うようになったわけであります。きのうの夕食は何を食べたのか思い出せないのはまだ大丈夫であります。きのうは夕食を食べていないとなったら要注意であります。 この認知症については、現時点で予防や治療が難しいことから、新たな大綱に示されたとおり、認知症になるのを少しでもおくらせるとともに、発症してもその進行を緩和し、希望を持って日常生活が送れる方向へ導かなくてはいけないのであり、そうした視点のもと、区の認知症対策についてお伺いいたします。 まず、この対策については、自由民主党荒川区議会議員団としても注目してきたわけで、特に区内八カ所の地域包括支援センターに配置されている認知症地域支援推進員は、自由民主党の働きかけで実現した取り組みであり、認知症サポーター養成講座や専門相談の重要性についても我が党が訴え、さらなる推進を要望してきたところであります。 そして、新たな大綱では、新オレンジプランを継承し、今後も認知症に関する正しい理解の促進、そして、早期発見や早期対応などを進めるとともに、介護予防に資する通いの場への参加率を八パーセント程度に高めるほか、本人や家族のニーズと支援をつなぐ仕組みづくりなども言及してきたわけであります。 そこで、区としてこれまで実施してきた認知症施策の現状を踏まえ、新たな大綱に示す共生社会を実現するために、この対策をどのように推進していくのか、基本的な方向性や具体的な施策の展開についてお伺いいたします。 次に、大綱で示されたもう一つの車の両輪である予防の取り組みや医療とケア、介護サービスや介護支援についてお伺いいたします。 認知症になるのをおくらせる、なってしまっても進行を緩やかにするためには、何が発症を早めるのかを知ることが鍵になると思うわけであります。 二〇一七年(平成二十九年)七月に出された英国の医学雑誌ランセットに認知症の発症リスクを高めるさまざまな危険因子のうち、本人が意図すれば改善可能な九つの危険因子というものが掲載されました。この九つの危険因子には、高血圧や肥満、糖尿病や喫煙、そして運動不足など、日常生活に起因するものや社会的孤立や気分が落ち込む抑鬱などが挙げられ、こうした危険因子を持つ人が持たない人に対してどのぐらい認知症になりやすいのかを示した相対リスクを見ると、難聴と抑鬱が一・九倍と最も高くなっており、次いで高血圧、肥満、喫煙、社会的孤立が一・六倍となっているわけであります。こうしたリスクをいかに回避していくのか、区として、できるだけハイリスクの方をつくらない、リスクが高い状況を改善してもらう、そのために何ができるのか考え、実践していくことが必要ではないでしょうか。 高血圧や肥満、そして喫煙については、これまでも健康部を中心に対応してはおりますが、難聴のような聴力低下になると、言葉によるコミュニケーションがとりにくくなり、ひいては他者との関係がわずらわしくなったり、家に閉じこもりがちになったりと、生活の質の低下や社会性の喪失となり、社会的孤立のリスクの増大にもつながりかねないわけであり、専門的なことはわかりませんが、年齢が上がるにつれて認知症の有病率が高まることを考えれば、高齢者の聞こえにくさが改善できれば認知症のリスクの軽減や認知症になるのをおくらせることの一助になると思います。 そこで、補聴器を使うことはもちろん有効な方法ですが、区が助成制度などを検討するとした場合には、補聴器をきちんと使っていただける環境づくりが不可欠です。それは、専門医による診断を受け、その処方に基づいて購入し、そして調整等を有資格者である専門家にやってもらうことのできる仕組みを整えることが求められます。これには医師や関係機関などの全面的な協力を得ることが必要であり、一朝一夕に具体化できるものではないと思います。 一方、日本耳鼻咽喉科学会では、昨年から補聴器相談員診療情報提供書を作成し、それに基づき販売店で補聴器を調整する流れを確立しており、これが医療費控除を受けられるようになったと伺っております。また、補聴器そのものの技術も革新してよりよくなっていますので、これを考えれば、区として検討する価値があるのではないでしょうか。 そうした点も含め、区として今後の認知症の予防対策についてどのように取り組んでいくのか、具体的な施策を含め、区としての考えを伺います。またあわせて、認知症になった方への医療とケア、介護サービスと介護者への支援に関する今後の施策や展開も御答弁いただきたいと思います。 次に、地震と水害等の対策と避難所についてお伺いいたします。 この件につきましては、以前、予算に関する特別委員会でも質問した部分が一部ございますが、どれだけ進化したのか確認したいと思います。 政府の地震調査研究推進本部は、今後予想される地震の揺れの強さや確率をまとめた二〇一八年版の全国地震動予測地図を公表いたしました。今後三十年以内に震度六弱以上の揺れが起きる確率は、北海道道南東部、首都圏、東海から四国の太平洋側で高くなっていると公表しております。東京を中心とする関東地方の南部では、二百年から四百年に一度、関東大震災と同じレベルの巨大地震が起こっております。 首都圏は、北米プレートの下にフィリピン海プレート、さらにその下に太平洋プレートが沈み込む三重構造になっており、プレート同士がこすれたり衝突したりして地震を起こしやすい地域であります。過去には一七〇三年の元禄地震、マグニチュード七・九から八・二と言われている地震や一九二三年関東大震災、マグニチュード七・九など巨大地震が起きており、首都直下地震の可能性も指摘されている状況であります。 日本の都市の多くは、織田信長や豊臣秀吉が活躍した時代に海運より交易を行い、商業地域を含む広い城下町を建設するために海沿いの沖積平野、この沖積平野とは主に河川による平野の一種であり、河川によって泥や砂などが積もり重なった堆積作用によって形成される平野のことで、この沖積平野を埋め立てて開発されたため、洪水や高潮に対して脆弱であり、南海トラフ地震による津波の被害も受けており、一七〇七年の宝永地震や一八五四年の安政南海地震では、津波による大きな被害が発生した歴史があります。そして、現在でも多くの都市が沿岸の平野部にあり、もともと河川の河口に砂や粘土質の土が堆積して形成された平野は地盤が柔らかく、揺れやすい性質を持っており、首都圏と同様に名古屋を中心とする東海圏や大阪を中心とする関西圏の平野部でも確率が高くなっている状況であります。 そして、首都圏では、首都直下地震と大規模水害という大きく二つの災害が予想されます。昨日からけさにかけて台風十五号が関東地方に上陸しました。各地区でかなりの被害も出たようでございます。また、先月の八月二十八日には、九州地方をはじめ各地で線状降水帯による豪雨災害が発生し、九州北部のある地域では、人間の首や肩まで水位が上がり、約七十五万人に避難指示が出ました。そして、工場から大量の油が流出という二次災害も起こってしまったわけであります。 この豪雨災害につきましては、この場をおかりいたしまして、心よりお見舞いを申し上げます。 一方、地震のほうでは、二万一千人もの方が命を失い、行方不明者も大勢出てしまった東日本大震災から八年以上が経過いたしました。東日本大震災では、避難所運営における課題や大量の廃棄物処理の問題、自助や共助の強化の必要性など、多くの取り組むべき課題が提起されました。区では、近年、来るべき大規模災害に備え、地域防災計画に基づく実施推進計画や受援・応援ガイドラインや災害時給水方針などを定め、体制の充実や強化を進めてはいますが、今後は東日本大震災の教訓をもとに、災害に直面した区民の生活に密接にかかわる災害廃棄物などの処理に関する具体的な方針なども明確にする必要があると考えます。 また、震災発生当時は非常食や飲料水を買いそろえていた人も多かったようですが、最近は防災意識が薄れつつあるのが現状であり、継続的な意識啓発を実施していくことも重要と考えます。 近年、日本を襲う大地震は確実にふえ続けています。日本列島に住む私たちは、地震や水害、火山噴火などの自然災害から逃れることはできません。中でも東海から西日本の太平洋岸沖で発生するであろう南海トラフ巨大地震とともに心配されているのが首都直下地震であり、三十年以内に確実に起こるとも言われているわけであります。 そこで、まず、首都直下地震や水害などの大規模災害の危機が迫る中、荒川区としてどのような考え方のもと、準備や対策を進めていくのかについて御答弁をお願いいたします。 次に、災害が起こった場合に避難所を開設します。災害救助法では、応急期において、被災者の支援に関し避難所を設置し、炊き出しや職員の給与、飲料水の供給などを行うよう定められています。また、この災害救助法に基づいて、それぞれの自治体で災害に備え、避難所は一次避難所、二次避難所、さらに福祉避難所の三つに分け、それぞれの避難所に適した公的施設が割り当てられています。 まず一次避難所ですが、災害により住居が損壊や火災などで使用できなくなった被災者に対し、宿泊や給食などの救援・救助を実施するために設置する施設で、主に小中学校や公立高校などが使用対象になり、二次避難所は一次避難所に避難した高齢者や障がい者のうち、一次避難所で避難生活を継続することが困難な方を優先的に避難させる施設で、一次避難所開設後に確認された要介護一から三に認定されている在宅高齢者、障がい者及び支援者、妊産婦、乳児及びその保護者を優先的に避難させ、多くの市区町村では名称は異なりますが、ひろば館やふれあい館などが該当すると思います。 そして、福祉避難所は、災害によって住居など損壊や火災などのために使用できなくなった高齢者や障がい者のうち、要介護度や障がいの程度が高く、一次や二次避難所での避難生活が困難な避難者を避難させるために設置する施設で、これは要介護四から五に認定されている在宅高齢者や障がい者及び支援者が対象で、高齢者施設や障がい者施設などが該当するとなっているわけであります。 このように各避難所はそれぞれの役割を持ってはいますが、過去の災害発生時には福祉避難所に一般の区民が押し寄せ、本来避難すべき高齢者や障がい者が避難できなかったという事例があったとも聞いております。 そこで、各避難所の定められた役割に応じて、いかに各避難所の間で避難者を誘導するかについてもしっかりとした体制を整備し、訓練なども実施するべきと考えますが、いかがでしょうか。 実際に東日本大震災では、岩手、宮城、福島の東北三県だけではなく、茨城、千葉などにも避難所が開設されました。震災直後、東北三県では、約四十万人が避難所に避難し、震災後一週間後には約三十七万人、二週間後には約二十一万七千人、三週間後には約十四万二千人ほどまでに減少はしましたが、最終的に避難所が閉鎖されたのは七カ月後であったのは事実であります。法律的に開設されるのは七日間としています。一週間だけ避難する場合と何カ月も滞在する場合では、求められるものも大きく違ってくるわけであります。 避難所での生活が何カ月も続いてしまうのは、次の避難先が用意されていない部分も一つの問題点であります。災害救助法では、次の避難先として考えられるのは応急仮設住宅でありますが、法律でもその着工は二十日以内となっており、東日本大震災でも必要とされる応急仮設住宅が全て完成したのは六カ月後でありました。区ではこの対策をどう考えているのか、お伺いいたします。 そして、避難所の避難者一人当たりの面積については、内閣府の防災ガイドラインでは示されていませんが、都内のある自治体の避難所管理運営マニュアル策定ガイドラインによると、避難所の総面積に対して、三・三平米当たり最大四名となっており、総面積であるので、この中には通路、受付、倉庫、トイレなどが含まれるので、最悪の場合、一人が占有できる場所は〇・五平米、これは一メートル掛ける〇・五メートルほどになってしまうとされており、大人が横になって寝るのも難しい状況であります。 スフィア・プロジェクトは、人道支援の現場で活動するNGO(非政府組織で国際協力に携わる組織)が最低限守らなければならない指標であり、人道憲章をそのよりどころとしているものであり、二〇一一年に改定されたスフィア・ハンドブックの内容では、難民や被災者の居住環境に関して、基準には快適な温度、新鮮な空気、プライバシーや安全と健康を確保できる十分な覆いのある空間を人々が有していると記載されております。 難民キャンプより狭いスペースでの避難生活が何とかできるのも、我慢強く、思いやりのある、自分勝手ではなく、しっかりと行列を守ることができる日本人だからできることで、海外であったとしたら暴動が起きるのではないでしょうか。 人口密集度が全国自治体の中で第三位である荒川区において、特に発災初期の段階で避難スペースを完全に確保することが難しいのであれば、せめて間仕切りや段ボールベッドを適切に設置するとともに、授乳スペースを設置するなど、快適な生活環境とプライバシーの確保を行うべきと考えますが、いかがでしょうか。 そうした中、避難のために応急仮設住宅を新たに建設するといったシステムが避難所生活の長期化につながっているのが現状であり、被災地はともかく、全国的に見れば、避難先として必要とされるに十分な空き家が総務省の統計局の平成二十五年土地統計調査では、総住宅数六千六十三万戸のうち、空き家は八百二十万戸もあり、五年前から六十三万戸もふえています。全国で空き家率が高いのは山梨県と四国の四県が高く、共同住宅では東京や神奈川県が高くなっている状況であります。 こうした空き家を東日本大震災からみなし仮設住宅として借り上げる制度が本格化しました。しかし、これを首都圏に例えてみますと、一九二三年に発生した関東大震災では、東京市の人口が約二百三十万人であった当時でさえ、七十八万人が広域的な避難を行ったとされています。これは現在の巨大災害においても同様であろうと思うわけであり、特に人口の密集する大都市部で巨大災害が発生した場合は、避難所不足プレハブ応急仮設住宅の供給能力が限界に達し、数多くの避難所が区市町村の境界を超え、広域的な移動をせざるを得ない現状があると思われます。 しかし、このような避難所の設置や運営も、また応急仮設住宅の建設も、主体となるのはそれぞれの自治体であります。荒川区として、どのような避難所の開設運営や長期化の対策を考えているのか、また、空き家の活用や区外である広域避難を想定しているのかをお伺いいたします。 最後に、行政改革と公共施設マネジメントについてお伺いいたします。 我が自由民主党区議会議員団では、これまで区民ニーズに適切に対応する事業を積極的に推進していくためには、健全な行財政運営が必要不可欠であり、そのためには行財政改革の一層の推進が必要と質問し、区からもサンセット方式の導入をはじめ、積極的に取り組む旨の答弁をいただいてはおりますが、今回はこの行財政改革を公共施設マネジメントの視点からお伺いいたします。 人口減少と高齢化の時代を迎えた我が国にとって、公共施設とインフラ老朽化への対応が切迫している状況であります。私が生まれた一九六〇年代は、人口が増加し、人口の流動化により都市に人口が集中し、税収がふえ、小中学校や図書館、各公共施設が一斉に整備されました。しかし、これらの施設が二十年から三十年を経過し、改修や更新の時期となったとき、バブル崩壊の影響で税収が減少し、維持・更新ができないまま建物寿命の五十年が経過しました。この深刻な状況により公共施設のマネジメント、企業でいえば経営管理の必要性が認識されたわけであります。 一つの例を出せば、二〇一二年に起きた中央自動車道笹子トンネルでの天井崩落事故では、九名が亡くなり、約四億円の損害賠償という判決がありました。この崩落の一時間前に私はこのトンネルを通過しているわけであります。もし一時間遅ければ、今、この場に私はいないわけであります。 このような事例は、公共施設やインフラの老朽化に適切な対応をしないと人命を奪うことになるとともに、管理している職員にも刑事責任がかかる可能性があるわけであります。 この老朽化に対応することは、財源を確保できれば問題ありませんが、圧倒的に不足しているのが現状であります。 我が国でも、五十年前には合計特殊出生率三以上の人口増加と、年一〇パーセント程度の高度経済成長という国民全体が明るい未来を信じていました。それだけに現在、拡充から縮小しながらも機能は充実させるという新しい手法が必要になっているにもかかわらず、行政の意思決定を担う幹部職員や議員の大半は、老朽化と縮小の時代におけるマネジメントの経験がないために、有効な対応策を打ち出すことができないのであります。 二〇一四年四月に総務省が全自治体に対して、三年以内に公共施設等総合管理計画を策定するよう要請し、ほとんどの自治体で取り組みが始まりましたが、その内容は実態把握の白書作成、つまり実情報告書とその実態に応じた総面積圧縮のための施設の統廃合を軸とした計画策定であり、多くの自治体が白書を作成し、公共施設の再配置の計画策定に取り組んではいますが、計画は網羅的で、どこから手をつけてよいのか悩んでいる状況であります。 進捗が順調でないのは、取り組みが施設総面積の縮減という目標設定に縛られ過ぎていることや、計画策定のために庁内調整に時間と労力をかけて面積縮減や再配置への割り当てを各部局と調整する議論ばかりが先行し、計画策定疲れが生じていることも原因の一つであります。 計画策定が従来型の総合計画的な手段のため、施設再配置をどの施設から始めるのかという選択の意思決定が進まないのも問題の一つであります。なぜなら、拡充の計画であれば大きな抵抗がないため、複数の計画を同時に進めることが可能ですが、縮小に向けた計画実践には、どの部局も消極的にならざるを得ない現状にあります。どの程度の縮小や廃止にするのか、統廃合ならどの施設同士を組み合わせるのかという選択が多く存在することに加え、既にある施設には利用者が存在するために、その利用者の反発が予想され、計画どおりの進捗が期待できないという事情もあるわけであります。つまり、前に述べたように、拡充の時代の発想と手法の経験しかないので、縮小しながらも機能は充実させるという発想に至らないのであります。 そこで、公共施設のマネジメントを推進する際に重要なのが新公会計制度との連動であります。特に固定資産台帳によって老朽化度を正確に把握し、事業実施優先度について判断することが重要であります。 建物の老朽化は、躯体部分は税法上で五十年程度の減価償却期間が設定されていますが、通常の整備費の三〇パーセント以上を占める電気や空調、給排水などの設備は十五年から二十年程度の減価償却なわけで、施設の経過年数だけで老朽化を判断するのではなく、建物の躯体部分と諸設備の減価償却額をもとに、固定資産台帳によるデータを整備し、最も資産価値が低くなるような更新の時期を見きわめる必要があり、さらに複式簿記や発生主義の会計制度を導入すれば、施設運営の直接経費に施設整備の減価償却や退職引当金、社会保険料の雇用主負担などを含めた人件費を加えたフルコストが明確になることで、利用者の受益と納税者の負担とを客観的な数値で分析できるようになるわけであり、設備更新等の投資事業も単式簿記とは違った経費分析となるわけであります。 例えば、わかりやすい数字でいいますと、二十年間の償却期間を設定した一億円の設備投資を金利一パーセントの地方債発行で行った場合には、毎年五百万円の減価償却費と百万円の金融費用の利子とで合計六百万円の費用計上となり、これまでの単式簿記の現金主義会計では、歳入予算に起債による一億円を計上し、歳出予算に一億円の事業費を計上するので、予算が一億円の増額となり、一億円の予算を計上することは、財源不足の折に大きな決断となります。しかし、毎年六百万円の費用計上となれば、必要な設備投資を合理的、機械的に行うことに対する心理的な抵抗は薄らぐ可能性もあるわけであります。 もちろん、純資産の変動やキャッシュフロー、将来の税収などを吟味して、適切な投資管理を行う必要はあるものの、必要な投資に対する合理的な判断を促す可能性は高くなるわけであります。 荒川区の人口動向、二〇六〇年まで横ばい傾向、老年人口もさらに進行することを踏まえても、財源的に拡大が難しいことは論を待たないわけであります。まず、区の限りある財源を有効に活用し、真に必要な区民サービスを提供していくためには、公共施設マネジメントをはじめとしたより一層の行財政改革の推進が必要であると思いますが、区の御認識をお伺いいたします。 次に、公共施設マネジメントについて具体的にお伺いいたします。 公共施設のマネジメントは、更新のための財源の確保が主たる目標であり、ここで改めて述べるまでもないですが、公共施設の更新を計画するに当たっては、ありとあらゆる手法を使って、可能な限り財源の確保を行うことが大前提となるわけであり、特に新たな施設の建設においては、その機能の充実度に目を奪われがちになるが、区の財政に及ぼす影響も極めて大きいことから、慎重に取り扱うべきと思うわけであります。そして、既存の公共施設を対象としたマネジメントについては、面積削減は主要なメニューにはなりますが、それだけではなく、経費の節減や資産売却による財源確保も含まれ、統廃合は縦割りの管理運営体制や利用者を前提にすると、その指標の多様性も含めて、短期かつ簡単に実施することは極めて難しいわけであります。しかし、財源確保という観点からは、資産の遊休部分の活用や包括委託管理によってかなりの財源を確保することができるわけであり、施設の使用面積や利用時間に余裕があれば、最大限に活用して資金を稼ぐことや、民間でできる仕事は合理的な方式で徹底的に代行させることで相当の財源が確保できるわけであります。 幾つかの例として、神奈川県秦野市の場合、市庁舎の駐車場にコンビニを誘致して賃借料を稼ぐとともに、利便性を向上させ、夜間でも人が出入りするので防犯にもよいと近隣住民に好評であります。また、千葉県流山市では、市内の数十カ所の施設の保守点検作業委託を一本の契約に包括することで、数千万円単位の経費削減が可能になるだけでなく、大手ビルメンテナンス業者に所属する電気主任技術者などの専門家の活用によって、安全管理上も大きなメリットがあったわけであります。 白書作成や施設再配置の計画策定は机上のものであり、このように実際の施設の統廃合は、拡充型の発想が転換されない限り時間がかかるわけであり、したがって、財源確保ができる実践を行うことが先進事例となることを認識する必要があるわけであります。 そこで、公共施設のマネジメントを進める上で前提にしなければならないのは、ほとんどの公共施設は稼働率が低く、利用者も限定されている実態であります。例えば、使われているように見える学校施設も、土日、休日や夏休みなどの長期休暇や夕方から夜間は使われていない場合が多く、利用時間と面積を計算すれば、稼働率は一〇パーセント程度に過ぎず、特に屋外の学校プールは天候に左右されるので一パーセントにも満たないと思われます。これは一つのアイデアですが、屋内温水プールを中心部の一カ所に確保し、地区ごとの何校かで共有するなど、コスト的にも指導内容からも有意であると思います。 また、他の市区町村の無作為抽出で施設利用のアンケート結果では、ほとんどの自治体のデータでは最も使われている図書館でも一五パーセント程度で、他の施設は数パーセントの利用状況となっており、約七〇パーセントの住民はどの施設も利用していないという結果が出ている自治体もあるわけであります。つまり、公の施設は一〇パーセント程度の住民が利用している経費を九〇パーセントの利用していない住民が税金で負担している状況もあるわけであり、このような利用実態を客観的な数値で示した上で、施設の合理的な配置が必要となってくるわけであります。荒川区が必ずしも同じ状況ではないとは思いますが、例えば学校施設に多くの機能を統合するのも一つの方法であると思います。 私のホームページで掲載しているアイデアとして、区内の一地域に小学校が二校あり、中学校が一校あるとします。この三校をそれぞれ建て直すとなると莫大な予算が必要であります。そこで、この三校の中心部に位置する学校敷地に小中一貫校を建設し、この学校の中に図書館やひろば館またはふれあい館などを統合し、残りの二校の敷地には、余裕があれば地域体育館や高齢者施設などを建設すれば理想ではありますが、予算がなければ、とりあえず災害のための広場にしておけば費用がかからないわけであります。 このようなパターンも考慮しつつ、利用規制を緩和して、二十四時間の利用や適正な料金設定を検討し、これまで部局ごとに管理していた施設を総合的に管理運営するのが行政のプロであり、全体の奉仕者としての公務員の役割ということになるわけであります。 これまでの施設概念を見直し、機能統合を軸に縦割りを超えたマネジメントを行わないと、最も基本的な行政サービスであり、経費の増大が予想される福祉や医療、教育や災害対策やインフラ維持の財源が不足することになるわけであり、公共施設の維持管理は財源を生み出し、効率的、効果的行政サービス革新の可能性を持った行財政改革の極めて有効な手法となると考えますが、区の御見解を伺います。 以上で第一回目の質問といたします。よろしくお願いいたします。   〔区長西川太一郎君登壇〕 ◎区長(西川太一郎君) 日本体育大学の理事として大変すばらしい才能を発揮してこられたことをつとに承知をいたしております私としては、中島議員の御質問は大変鋭いものだと答弁に入る前に敬意を表したいというふうに思います。 全部について私から答弁を申し上げることはできませんので、初めに、地震、また、水害への対策に対するお尋ねに答弁を申し上げます。 私は、これまで災害で一人の区民の皆様のお命を、すなわち犠牲者を出さないという強い決意のもとに、燃えない、また、燃え広がらないまちづくり、防災関係機関との連携体制の強化、地域力を最大限に生かした共助による取り組みなど、防災対策に全力で取り組んでまいりましたというふうにいろいろなところで申し上げておりますが、昨今、全国的にさまざまな災害が多発する中、これまでにも増して、区民の皆様のお命を守るための対策を充実・強化していくことが何より大切であると改めて強く決意をいたしているところでございます。 その具体的な取り組み、災害の発生時に最も重要となる情報の収集・発信を迅速かつ的確に行うために、災害情報システムを更新して、大幅な機能の強化を図ることにより、区民の確実な避難誘導につなげるほか、防災行政無線の拡充や防災ラジオ等の導入によって、情報発信力を充実することを強化するべきだと努力をしてきたつもりでございます。 また、防災課の本庁舎への移転によりまして、災害発生時のより迅速な初動体制を確保いたしますとともに、災害対策本部訓練の定期的な実施と不断の見直しを行うことで、災害対応体制を強化、充実してまいったつもりでございます。 さらに、大規模な水害発生時の避難方法の開発や避難場所の確保なども大変重要であり、国や都、関係機関等と調整を進め、避難体制の整備を図ってまいったつもりではございますが、議員御指摘のただいまの御質問を伺いながら、今後もこれらの取り組みにとどまらず、議会の議員の皆様に御理解、また、御協力をいただきながら、さらなる防災対策の充実強化に努め、区民の皆様が安心して生活していただける災害に強い荒川区の実現に向けて、全力で取り組んでまいります。 次に、行財政改革に関する御質問にお答えを申し上げます。 区では、これまで歳出の抑制や財源の確保、人員の削減等を中心とした行財政改革に加えて、事業の選択と集中による費用の適切な配分によりまして、区民サービスの向上や人材育成等に取り組んでまいったつもりでございます。 さらに、平成二十八年度から新公会計制度を導入し、行政評価において、フルコストを用いた分析を行い、常に事業の見直しを行ってまいったつもりでございます。 一方で、新たな病院の誘致でございますとか、将来的な学校及び庁舎の建て替え等、ますます増大する行政需要に対して、必要な財源を確保していくために、このたび御提案いただきました、縮小しながらも機能は充実させるという発想は、ハード面に限らず、ソフト面でも大変改善を促す重要なものであると存じ、これらをしっかり検討していきたい大変重要な視点であるというふうに存じております。 区といたしましては、議会の議員方の御協力をいただきながら、引き続き区民の皆様の幸福実現に向けて、さらなる行財政改革の推進に全力で取り組んでまいりたいと存じます。 これ以外の御質問に対する御答弁は、関係理事者からさせていただきますことを御理解いただき、答弁とさせていただきます。   〔副区長佐藤安夫君登壇〕 ◎副区長(佐藤安夫君) 認知症対策の推進に関する御質問にお答えいたします。 本年六月に閣議決定された認知症施策推進大綱では、認知症の人が暮らしやすい社会を目指す「共生」と、発症や進行をおくらせる「予防」を車の両輪として示しており、区としてもこの大綱の方針に沿って施策を推進していく予定でございます。 両輪のうちの一つである「共生」を実現するには、まずは認知症への理解を深めることが重要であると考えております。区では、御本人や御家族、周囲の方々が認知症を正しく理解し、適切に対応できるよう、講演会のほか、認知症サポーター養成講座を学校や地域団体、事業所などさまざまな場所で開催し、累計で一万四千人を超える方に受講していただきました。今後もさまざまな機会を捉えて普及を進めるとともに、サポーターとなった方が実際に活動できるよう、ステップアップ講座を実施してまいります。あわせて、区内十六カ所で開催いただいている認知症カフェも活動が充実するよう引き続き支援をしてまいります。 また、御党からの御提案を踏まえ、各地域包括支援センターに配置した認知症地域支援推進員については、サポーター養成から認知症カフェへの支援のほか、認知症に対する個別相談を年間八千件以上受けるなど活動しており、今後もこれらの活動を継続しながら、認知症御本人が参加できる場所づくりについて、関係機関と連携をとりながら支援し、地域での認知症への理解を推進してまいります。 認知症の予防については、ランセット国際委員会が発表した本人が意図すれば改善できる認知症の危険因子と、認知症施策推進大綱の前身である新オレンジプランに記載されている危険因子の多くは重複しており、御指摘の難聴と社会的孤立については、双方に記載がございます。 これまで認知症の危険因子への対応については、健康部を中心に生活習慣病の予防を進めてきたほか、社会的孤立の解消のための居場所づくりなどを行ってまいりました。また、高齢期の難聴への対応については、障害者手帳を取得し、補装具として補聴器の給付を受けていただくよう御案内してきたところであり、御質問にありましたとおり、区が認知症対策として助成等を行うとした場合には、補聴器の必要性への医師の関与や購入後の調整及び訓練等に係る専門家の支援など、効果的な活用につながる仕組みづくりが不可欠であると考えております。 区といたしましては、今後、こうした仕組みづくりを前提として、他自治体等の例も参考にしながら、高齢期の難聴対策にとって必要な支援等について研究を進めていきたいと考えております。 加えて、認知症の方への医療やケア、介護者への支援につながる取り組みとして、今年度から認知症の進行に伴う徘徊や鬱などの行動心理症状を軽減する東京都医学総合研究所が開発した「日本版BPSDケアプログラム」を区内事業者が活用できるよう支援を開始いたします。 二〇二五年には、認知症の人の数は約七百万人になると予想されており、今後も認知症対策の推進に努めてまいります。   〔区民生活部長阿部忠資君登壇〕 ◎区民生活部長(阿部忠資君) 避難者の生活環境の確保に関する御質問にお答えいたします。 過去の大規模災害発生時には、避難所における生活が長期化したことにより避難者の身体的、精神的な負担が大きくなり、さまざまなトラブルが発生したという事例がございました。このため、多様な手段を組み合わせて、避難者の良質な居住スペースの確保と早期の住宅の提供を図ることが重要であると認識してございます。 避難所につきましては、一次避難所となる小中学校等だけでなく、二次避難所となるふれあい館やひろば館等、また、福祉避難所もあわせて活用し、居住スペースを確保してまいります。その際には、議員御指摘のとおり、避難者が混乱することなく、本来避難すべき避難所に適切に避難することができるよう、各避難所間での移送や誘導体制を整備し、各避難所間における訓練を実施するなど、対応体制を強化してまいります。 また、協定締結団体から段ボールベッドや間仕切り等の供給を受けて、各避難所に設置するとともに、テントや教室等を活用して授乳スペース等を確保することにより、できる限り快適な生活環境とプライバシーの確保に努めてまいります。 これと並行いたしまして、避難所における生活が長期化しないように、可能な限り早期に避難所での生活を解消するため、住宅の確保を進めてまいります。住宅の応急危険度判定を実施し、安全と判定されれば引き続き居住していただくとともに、建物に損壊があっても住宅を修理することにより居住することが可能と判断された住宅につきましては、都と連携して応急修理を実施し、自宅で生活を送ることができるようにしてまいります。 また、都と連携して、民間住宅の空き室や空き家、宿泊施設をみなし応急仮設住宅として借り上げて活用するとともに、応急仮設住宅の建設を行い、必要となる住宅数を確保いたします。 さらに、区の校外施設等を避難施設として活用するほか、災害時相互応援協定締結自治体や東京都災害対策本部、特別区支援対策本部に対して避難者の受け入れを要請し、広域的な避難につきましても実施してまいります。 区といたしましては、議員御質問の趣旨を十分に踏まえ、災害発生時における区民の皆様の良好な生活環境を早期に確保することができるよう、関係機関との連携や体制整備のさらなる推進に努めてまいります。   〔総務企画部長五味智子君登壇〕 ◎総務企画部長(五味智子君) 公共施設マネジメントに関する御質問にお答えいたします。 区では、これまでふれあい館や文化施設、福祉施設等における指定管理者制度の導入による民間活力の活用や、国家戦略特区制度による公園用地の活用、公共施設の順次建て替えに伴う建設コストの削減等、さまざまな手法により公共施設の効率的な維持管理運営を行うとともに、国や都の補助金の獲得や区有地の売却などにより必要となる財源確保に努めてまいりました。 さらに、区では、公共施設等の安全性や効率性の確保を目指し、平成二十九年三月に公共施設等総合管理計画を策定いたしました。本計画においては、事後保全型から予防保全型の維持管理に移行することによる老朽化への対応、人口推移や社会情勢等を適切に把握することによる変化する行政需要への対応、事業の効率化等による財政状況への対応という三つの考え方に基づき、公共施設の管理や整備、更新を行い、区民ニーズに応じた行政サービスを継続的に提供することとし、施設類型ごとの基本的な方針を示しました。 このたび議員から御指摘いただきました他自治体の例もございますように、各施設のマネジメントを行う中で、施設の統合、再配置、複合化等の手法を活用し、施設の規模の縮小を図りながらも、その機能を充実させるという考え方は、区における人口の上昇傾向がおさまる二〇五五年以降を視野に入れた公共施設のあり方を検討する上で大変重要であると認識しております。 区といたしましては、今後、各施設における個別施設計画や具体的な施設の建設計画の策定に当たっては、組織の縦割りに陥ることなく、長期的スパンで施設の機能及び管理の統合や複合化等の観点から、他自治体の先進的な手法も参考に、十分に検討してまいります。 ○議長(茂木弘君) 残余時間一分三十秒ほどでございます。 ◆十四番(中島義夫君) それでは、自席で失礼いたします。 初めの認知症に対しましては、すぐ対応できる内容かと思いますが、二番目の地震、それから、避難についての質問、三番目の行財政改革や公共施設のマネジメントにつきましては、長期の計画が必要であると思います。これは荒川区の職員と我々議員が一丸となって対応していかなければいけない。千里の道も一歩からでありますが、努力して、それが五百里で達成できるように頑張っていただきますようお願いいたしまして、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。 ○議長(茂木弘君) 九番横山幸次議員。   〔横山幸次君登壇〕 ◆九番(横山幸次君) 私は、日本共産党荒川区議会議員団を代表いたしまして質問をいたします。 この議会は、安倍政権が国民の声も、また、暮らしや経済の状況も全く無視する形で、財界の強い要請を受けて消費税大増税を強行しようとする直前に開かれています。 消費税増税については、直前になっても過半数の国民が増税反対の声を挙げています。それは区民も含めたリアルな暮らしの実感です。 小売、卸売の販売額は八カ月連続のマイナス、七月のスーパーや百貨店の売上も大幅に減少しています。実質賃金も何と六カ月連続減少です。増税前に駆け込み需要が起こるどころか、駆け込む体力すら残されていないのが現実ではないでしょうか。こうした現実から目を背けることは、地方自治体として許されません。区民の暮らしと地域経済を守る地方自治体として、今からでも消費税増税中止を求める声を挙げるべきと考えますが、区長の見解を伺います。 荒川区は、消費税は社会保障の安定的な財源であり、将来の国民の生活の安定に資する、中長期的には地域の安定につながるとの認識を示し、増税を容認し続けてきました。既に三十年、消費税は存在し、増税をされてきました。そもそも諸外国と違い、日本の消費税はほぼ全ての商品とサービスの流通過程にかかるために、家計支出に占める生活必需品の割合が高い低所得者層に負担が重くなる極めて逆進性の強い税です。また、社会保障財源を消費税に求める限り、際限のない増税か、社会保障の削減か、こうした最悪の選択の道しか残されていません。 安倍政権は、増税は社会保障のためと言ってまいりましたが、今回も既に介護保険利用料の原則二割負担や要介護一、二の保険外しなど給付の削減、負担増の準備を既に始めているではありませんか。低所得者層が多い荒川区の場合、特段に消費税増税が区民生活と地域経済に深刻な影響を与えるであろうことは明らかであります。 応能負担と生活必需品、最低生活費には税をかけないという民主的な税制の原則に立ち返るべきです。消費税にかわる別の財源はあります。所得税の累進性と最高税率の問題や金融所得への課税、法人税の税率や大企業向け優遇税制などの見直しこそ求められると思います。社会保障財源を極めて逆進性の強い消費税に求めることを肯定し続ける限り、区民の暮らしの区内中小業者の大変さに寄り添えないと考えますが、区の認識を伺います。 次に、子どもの貧困問題への本気の取り組みについて伺います。 日本の子どもの貧困率は一三・九、パーセント七人一人、母子世帯では二人に一人という極めて高い水準のままであります。荒川区の場合はどうでしょうか。区当局による区内の子どもの貧困率を示す数字はありません。そこで、私は、区民の総所得金額段階別世帯数を使って単純に所得の中央値の半分以下の線、これはある時期の数字ですが、百二十二万円で区切って試算をしてみました。十八歳以下の子どものいる世帯の約二五パーセント、ひとり親世帯では六〇パーセント以上が相対的貧困状態にあると推計される結果を得ました。あらあらでありますが、こうしたことをやはりきちんと見ていくことが必要だと思います。全国平均は上回っていると推測されます。 子どもの貧困対策法が改正され、子どもの貧困対策大綱の見直しが行われています。また、国は来年度、統一指標で子どもの貧困全国調査を実施するとしています。また、今回の法改正によって、各区市町村も子どもの貧困対策計画の策定が努力義務とされました。 荒川区は、全国の自治体に先駆けて、子どもの貧困・社会的排除について調査研究を行い、子どもの貧困対策を区政の課題に掲げて十年を経過いたしました。しかし、荒川区における子どもの生活実態についての詳細の調査はまだ行われておりません。子どもの居場所づくりや子ども食堂への支援、学習支援が始まったことは重要だと思います。しかし、子どもの貧困は、その世帯の貧困問題であり、そうした施策の限界も指摘をされています。子どもの実態に立った施策の検証と今後の対策が必要であると感じます。 この間、東京都だけでなく、都内の基礎自治体でも子どもの生活実態の調査が始まっているようであります。国の調査内容がどういったものかはまだ不明ではありますが、荒川区の子どもの実態に立った対策を進めるため、区としての実態調査が求められているのではないでしょうか。 我が党区議団は、この間繰り返し実態調査と貧困率削減目標も含めた子どもの貧困対策の計画の策定を求めてまいりました。この際、全国調査待ちになることなく、区独自の子どもの生活実態調査を実施するとともに、その結果も踏まえ、子どもの貧困対策計画を区として策定すべきと考えますが、お答えください。 区は、我が党区議団の指摘も受けて、直近の子ども子育てニーズ調査で初めて子どもの生活実態の調査項目を入れました。この調査は部分的な抽出調査であり、対象も就学前と就学後だけに限られているものですが、子どもの貧困を見る指標として注目されている物質的剥奪指標にかかわる項目も入っています。 結果を何項目か見ると、子どもを取り巻く厳しい実態が浮かび上がってまいります。食料が買えなかった六・八パーセント、衣類が買えなかった一〇・五パーセント、家族旅行に行けない一一・六パーセント、学習塾に行けない九・六パーセントなど、いずれも「よくあった」、「時々あった」、「まれにあった」、この経験の合計でありますが、さまざまな時点でそうした事態に子どもたちが直面をしたことは事実であります。 子どもたちの生活の苦しさやその社会で当たり前の生活ができない物質的剥奪が現に起こっていることが可視化された点は重要です。問題は、この数字をどう見るかであります。まずこうした子どもたちの物質的剥奪の区内でのあらわれについて、どう区は認識し、どういった対策を検討しているのかをお聞かせください。 義務教育をはじめ教育にかかる費用が極めて大きな負担となり、子育て世代の家計を圧迫しています。就学援助の要保護世帯や準要保護世帯の中でも、学校に毎月納付するお金がその中で賄われることはなく、上回っているわけであります。また、ボーダー層は全く支援の手が差し伸べられておりません。荒川区としてすぐにでもできる子どもの貧困対策としては、就学援助の対象拡大や学校給食の公費負担拡大から無料化への取り組み、これを区の政策判断として決断することも必要です。幼保の給食費の公費負担を実施したこととも相通じるものであると思いますが、最近ではお隣北区が来年度から学校給食を第二子半額、第三子以降無料にすることを決めたようであります。義務教育の家庭の経済的負担を思い切って軽減し、完全無償化への道を地方自治体から発信していくことの意義は、子どもの貧困対策にとっても極めて重要です。 そこで、当面、子どもの貧困対策の観点からも、就学援助を生活保護基準の一・五倍に引き上げるとともに、給食の無料化に向けた具体的な検討を開始することを求めます。 ひとり親家庭、とりわけ母子家庭は極めて厳しい状況に置かれていることは皆さん方共通の認識だと思います。その中でも居住の貧困が大きな課題になっている、こんなふうに私は感じます。 直近の二〇一五年国勢調査で、区内母子世帯の七割が借家、うち五割近くが民間借家であります。これは全国平均や二十三区と比べてみても高い数値となっています。 また、荒川区は、二〇一六年、児童育成手当受給対象世帯の調査を行っております。これを見させていただきますと、ひとり親家庭では税、社会保障料込みで年収三百万円未満の低所得層が六割以上、民間賃貸住宅居住が先ほど言いましたように四割以上います。そのうち収入に占める家賃とローンの負担率を比較してみますと、ほぼ七割が二〇パーセントを超えております。 母子家庭の場合、収入に占める家賃負担率は、民間住宅の場合、こちらはもっと高くて三〇パーセント以上となっている数値が出てまいりました。家計で最も大きな負担となっています。東京都の子どもの生活実態調査では、家賃負担率が収入の二〇パーセントを超えると、家計の赤字や衣類や食料が買えなかった経験の比率が高くなっていることが調査で実証されています。低所得ほど負担率は高く、住宅の質も劣悪な場合が多く、子どもの成長や学習に与える弊害の大きな要因となっています。 実は私に届いた匿名でありますが、母子家庭のお母さんのメールには、母子家庭で養育費もなく、毎日の生活に苦労している。小学校の子ども二人を育てていく中で、賃貸アパートの家賃を払うのは極めて厳しい状況、都営住宅が抽せんなのは重々承知しています、もう少し母子家庭にも手を差し伸べてください、こんな声がつづられておりました。 家賃は二DKで七万三千円、収入はわかりませんが、大きな負担だと思います。区独自の母子世帯支援は、サポート事業や休養ホームなどありますが、独自の経済的支援は見られません。家賃に関しても、住みかえ時の保証委託料最大五万円ぐらいであります。実態と支援に大きなずれがあるのではないでしょうか。最も困難な暮らしを強いられているこうしたところにこそ、支援の手を差し伸べるべきだと思います。 そこで、住宅は人権の立場で、まず都営住宅の所得基準に該当するひとり親世帯への家賃助成を検討し、実施してはどうでしょうか、お答えください。 次に、幼保無償化と保育の質の確保について伺います。 この十月から幼児教育・保育無償化が国の制度として始まりますが、給食費は実費負担の制度であります。負担の大きい〇-二歳児は対象外であり、無償化というより部分的な補助制度に近いものであります。 今回、区として、食材費を公費負担としたことは評価をいたします。しかし、財源が消費税増税分としていることや、待機児童対策、保育士の処遇改善など、後送りになっていることはやはり大きな課題として重大です。 今回の制度改正に伴って、全ての子どもの幸せ、最善の利益という視点から、区としての課題は多くあります。その第一は、十月の制度実施に伴って、必要のある全ての子どもたちが認可保育園に入れることができる措置をとることが児童福祉法の定めとあわせて強く求められていると思います。 これまでも児童福祉法は、必要な全ての対象児童に対して保育を実施する責務を地方自治体に課しています。今回、全所得階層の別なく、保育料を三歳から五歳を無料したことは、法の要請に加えて、公平性の観点から見ても、希望者全員の認可保育園入園が強く求められると思います。認可保育園に入れない事態を絶対につくらないことが大前提となっています。 そこで、来年四月に認可保育園希望者全員の受け入れを確保するための対策を講ずることを強く求めます。 一方、保育料も一番高く負担の大きいゼロ歳から二歳児に基本的な支援は今回ありません。子どもの貧困対策の観点から見ても、やはり大問題です。 これまでも非課税世帯は無料でしたが、特に住民税課税のボーダーラインの皆さんの負担軽減はやはり必要ではないでしょうか。このままでは、消費税増税の負担によって格差が広がるだけであります。国も三歳から五歳児の給食費実費負担で以前より負担のふえる年収三百六十万円以下の給食費を無料にいたしました。子どもの貧困解消に取り組むには、ここへの支援をぜひ取り組んでいただきたい。そのため、当面最も保育料の負担が重く、育児でも大変な〇-二歳児の世帯のうち、せめて年収三百六十万円以下について、区独自に無料にするとともに、政府に対し〇-二歳児無償化の実施を区として求めるべきであります。 また、今回の幼保無償化は、低所得層に恩恵は少なく、子育て世代への全体的な経済的支援の拡大がやはり求められると考えますが、認識を伺います。 同時に、荒川区として保育の質を確保し、充実させることは極めて重要となっています。保育の質は保育環境整備、とりわけ保育士の十分な体制確保と経験の蓄積、専門職としての力量の発揮が大事であります。 荒川区の認可保育園は、こども園も含めて五十三園のうち、私立園が七五パーセント、近年、株式会社の参入も相次いでいます。公設民営、私立の各保育園の収支状況の一覧を見せていただきました。社会福祉法人では、おおむね人件費の比率が七割から五割台、国の言っている基準に大体適合しております。株式会社では五割から六割台が多く、中には、ちょっと驚くのでありますが、四割台、三割台というところもあります。なぜそうなっているのか、そこで保育の質は確保されているのか、本当に心配であります。 さきの文教・子育て支援委員会で、その理由の一つとして、株式会社、法人などが新規に保育園を開設する際に経験豊かなベテランの保育士や経験のある方々たちを新規園に振り向ける、その結果として、経験年数の少ない保育士、また、新規採用の方がふえて人件費比率は下がるという趣旨の御答弁をされました。新規開設のために子どもたちが置き去りにされていないのか、区は指導検査を二年に一回程度、巡回指導をそれぞれ二名の体制で行っているようですが、それで足りるでしょうか。当面、区として認可保育園の質を確保するために、区の認可保育園への指導検査は最低限年一回実施するとともに、保育従事者の人件費比率が五割を切る保育園の実態把握と必要な改善措置を強く指導することを求めます。お答えください。 次に、来年七月開設予定の児童相談所について伺います。 この問題では、児童相談所を身近な基礎的自治体につくることの意義はどこにあるのか、何が必要なのか、改めて確認していかなければなりません。 荒川区の児童虐待にかかわる相談件数は、東京北児童相談所と荒川区の子ども・子育て支援センター合わせて年間約五百件と言われます。この数字は二十三区の各区と比べてどんな状況なのか、相対的に少し比率も高いのではないかと、私もこんな感じもいたします。 荒川区は予防的支援を重視するとしています。妊娠から出産、その後、子育ての全過程に切れ目なくかかわりを持てるのは基礎的自治体の強みだと私も思います。その強みを本当に生かすためには、基礎自治体らしい児童相談所の理念をしっかり据え、人口当たりの児童福祉司や児童心理司など配置基準だけでなく、荒川区の地域特性、子育て世代の実態に見合った手厚い人的配置を思い切って行うことが必要です。 また、子育て支援を行う拠点園が地域にどうしても必要です。荒川区は、妊娠届から産後三カ月にかけて、健康部で助産師による「ゆりかご面談」を実施、必要があれば、地区担当の保健師につなぐなどしているようです。大事だと思います。 同時に、今回の計画では、児童相談所とこれまでの子ども家庭支援センターの相談体制を一元化するとしています。これは当然です。しかし、現在の子ども家庭支援センターを児童相談所の建物内に移すとしています。これでは、地域の子育て支援の拠点が統合されてしまいます。機能として一元化することと身近で気軽に立ち寄れる拠点が大事です。拠点としての子ども家庭支援センター機能を児童相談所内とともに、当面最低限、東西に二カ所設置することなども検討されなければいけないと思います。ここを中心に、保健所、各保育園、学校、学童クラブ、各ふれあい館などでの児童事業、福祉事務所、子ども食堂、また、図書館などで行う事業の中で自然な形で必要な支援につなげることができる、これが重要です。そして、児童相談所内に配置された児童福祉司など専門職員がそうしたところに直接出かけていくことも基礎自治体ならではの取り組みだと思います。そうした事業展開をぜひ進めていただきたい。 そのため、児童相談所の開設では、予防的支援を一層重視し、気軽に交流・相談できる子ども家庭支援センターの役割を生かし、妊娠、出産から切れ目のない相談と支援を身近なところで受けられる子育て支援の拠点を全地域に整備することを改めて求めます。そのため、健康部など関連部署で必要な体制の強化なども進めていくことを求めたいと思います。 加えて、人的配置では、児童福祉司の増員、弁護士などの専門職員を常勤で配置するとともに、開設後の専門職員の確保、養成のシステムを確立していただきたい。お答えください。 児童相談所の開設の基本理念は、児童福祉法や子どもの権利条約に基づき、権利の主体が子どもであり、子どもの最善の利益を守ることとなっています。この基本理念を広く区民で共有し、発信していくことが大事だと思います。そのため、児童相談所開設を契機に生きる権利、育つ権利、守られる権利、参加する権利など明確にした(仮称)子どもの権利条例の制定を求めます。お答えください。 次に、認知症の人も家族も地域で安心して暮らすための支援についてです。 認知症高齢者は四百六十二万人とされ、軽度認知障害の人も四百万人と推計され、高齢者の三人から四人に一人は認知症か軽度認知障害という状況です。 荒川区の場合、要支援、要介護認定者の約八割が軽度の認知障害も含め、何らかの認知障害を有している、こんな結果もあります。決して他人ごとではありません。住みなれた地域でその人らしく暮らす環境づくりが必要です。 同時に、認知症の人とその家族の皆さんが置かれた状況は厳しいものがあります。公益財団法人である認知症の人と家族の会が昨年実施した介護保険の困りごとアンケートでは、回答者の過半数から介護保険に困っていることがあると回答、利用料の負担が重くなるなど経済的な影響の回答も四割に及んでいます。また、介護保険で利用できるサービスに限界があり、専ら家族任せになっている深刻な実態も明らかになりました。 認知症の人の暮らしは、医療、介護だけでは解決できない課題も含まれています。こうした状況から、認知症の高齢者に対応する公的介護サービス、介護基盤を大幅に拡充するとともに、認知症の早期発見、診断、初期の相談と家族への支援から終末期のケア、看取りまで切れ目なく治療と支援を行う医療、保健、福祉の連携体制が必要だと思います。そのための第一歩として、認知症とその家族の困ったこと、ニーズなどの調査を実施してはいかがでしょうか。初期相談から負担の軽減をはじめとする家族支援まで、切れ目のない治療と支援を一層充実することを強く求めます。 介護予防・日常生活総合事業が始まって四年目となりました。この間をみますと、実態の調査や問題の洗い出しが必要だと感じております。例えば、対象者の増加数に反比例して、訪問介護利用者数、率が減少しています。一方で区が独自に行っているおうちでリハビリ、お元気ランチなどの利用もふえておらず、横ばい状態です。調べてみましたら、二〇一八年二月時点の対象者全体で要支援、要介護、またこれに類する方たち約二千八百九十人のうち、約五割近くが何らかのサービスを受けておりません。本当に必要がないのか、本人の状態を無視したサービス取り上げはないのか、経済的な要因はないのかなどしっかり調査検証を行い、必要なサービスがきちんと届く対策が求められています。 こうした軽度者への介護サービスは認知症対象として、早期発見、早期治療の入り口にもなります。軽度者の方が支援を受けることで、地域で自立した生活や社会的なかかわりができることにもつながります。そこで、介護予防・日常生活総合事業の対象者でサービスを利用していない人の実態をつかむとともに、認知症対策に逆行する軽度者からのサービス削減を行わないこと、これを区に求めます。 また、今、国が計画している要介護一・二の介護保険外しや利用料の原則二割負担導入、これもやはり認知症の遅延には逆行しています。やはりきちんと政府に対してやめるよう求めるべきと思いますが、お答えください。 次に、区内産業振興についてです。 この間、区は、製造業、商業などの事業所調査を行ってきました。どの調査結果を見ても、区内産業は極めて厳しい状況に置かれています。区の産業振興基本条例、国の中小企業憲章という原点に立ち返った取り組みが今、求められていると思います。 中小企業憲章は、中小企業について、社会の主役として地域社会と住民生活に貢献し、伝統技能や文化の継承に重要な機能を果たす、小規模企業の多くは家族経営形態をとり、地域社会の安定をもたらす、国家の財産とも言うべき存在、こう高く位置づけております。こうした精神に立った中長期の産業振興策を今、策定するべきときだと思います。 ウイーンに伝統工芸技術の職人さんを派遣されました。たまたま若手の方たちが顔を合わせる機会があったようであります。聞きますと、そこでお礼の品をつくろうというので相談をした、指物、木版、漆、寄席文字、こうした技能が合わさって、小さな名刺入れができたそうであります。 小さな出来事ですが、異なった技術や技能の出会いで新しいものができる可能性を示している一つの小さな出来事だと思います。荒川区の物づくりとして、大量生産、大量消費でなく、いいものをつくり、いいものを長く使う、大企業ではできないものを目指してはどうでしょうか。そのため、歴史的に集積した区内の物づくりにかかわる技術や技能を区としてもう一度つかみ直し、データ化して蓄積し、その出会いと新たな創造の機会をサポートすることで新しい製品開発などの糸口を見出すことができるのではないでしょうか。 そのため、当面、歴史的に集積した区内産業の技術、技能を生かした物づくりの新たな創出に向けた新たな支援や場の提供を検討することを求めます。 また、この間、大変喜ばれてきた製造業等の経営力向上支援事業、設備投資補助でありますが、これについて私も繰り返し申し上げています。さらにバージョンアップさせて、区内の仕事起こしや区内企業育成にもつながるよう、区内事業者を使った設備投資の補助率を思い切って引き上げること、また、拡充することを求めます。お答えください。 最後に、滞納処分についてです。 税金や保険料滞納の機会を捉えて区民の困窮した暮らしを立て直すきっかけにはできないでしょうか。区は、税や保険料の滞納処分の際、年金や給料が振り込まれたと同時に預金債権として差し押さえる手法をとっております。催告しても相談に来ない、仕方なく差し押さえるとのことです。 徴税は義務です。徴税業務の大変さはよくわかります。しかし、差し押さえても相談に来ないまま債権が換価される方はそのままになっているようであります。給料や年金を原資とする預金債権を差し押さえられた区民がその後どうなっているのでしょうか。やはり想像力を働かせることが必要です。 税、保険料の滞納を区民の生活困窮と捉えて、訪問も含めた接点を持ち、問題解決に当たるため、関係部署で必要な人員体制もとってアウトリーチなど暮らし応援の体制をつくることを求めます。 以上で第一回目の質問を終わります。   〔区長西川太一郎君登壇〕 ◎区長(西川太一郎君) 横山議員の御質問にお答えを申し上げます。 まず、私からは、児童相談所の開設に関する御質問にお答えさせていただきます。 現場に最も近い自治体が権限と責任を持ち、今、まさに助けを必要とする全ての子どもさんたちや御家庭に手を差し伸べて御支援させていただけるように、特別区の児童相談所の設置に向けて、これまで準備を進めてまいりました。 先月末には、荒川区を児童相談所の設置市に指定する政令が公布されたことは、御承知のとおりであります。特別区の長年の悲願とでも申し上げられると思う児童相談所の設置に向けて、大きな一歩を踏み出すことができたと思っております。 荒川区の児童相談所は、基礎自治体としての多様な取り組みに子どもと家庭の状況を見きわめる専門的な視点、予防的な対応を加えた新しい児童相談の体制の構築を目指しております。 今年度から母子保健分野と子育て支援分野が連携、協力して進めている子育て世代包括支援センター機能をさらに充実、拡充させて、妊娠期から子育て期までの切れ目のない御支援を推進してまいります。 また、区内十九カ所に設置しております子育て交流サロンのさらなる充実や、地域に根差した保育園の子育て支援機能のさらなる強化などによりまして、区民に身近な区ならではの総合的な支援を行い、家庭の問題を深刻化させない予防的な対応を充実させてまいりたいと思います。 私は、荒川区の子どもは荒川区が守るという環境を実現させて、全てのお子様たちが、その家庭が安心して健やかに暮らしていける、こういうことを引き続き全力を挙げて取り組んでまいりたいと決意を強くいたしているところでございます。 横山議員のこれ以外の御質問につきましては、関係の理事者から答弁を申し上げさせていただきます。   〔産業経済部長石原久君登壇〕 ◎産業経済部長(石原久君) まず、消費税に関する御質問にお答えいたします。 消費税は社会保障の安定的な財源であり、将来の国民の生活の安定に資するものであることから、結果として地域経済の安定につながっていくものと理解しています。 したがいまして、消費税の制度設計につきましては、社会保障と税の一体改革の中で、国がその責任のもとにおいて行うものであり、議論がなされるものと認識しております。 区といたしましては、区民の暮らしと地域産業に寄り添うため、専門家による経営相談やきめ細やかな融資を行うとともに、経営力強化のための補助金などにより引き続き支援してまいります。 次に、区内物づくり産業に関する質問にお答えいたします。 区では、これまでMACCプロジェクト専属コーディネーターにより事業者のニーズをくみ取り、新製品、新技術開発の支援を行うとともに、企業間のマッチングを行っております。また、企業の後継者育成のための勉強会をきっかけに、企業同士のコラボレーションによる新製品も生まれるなど、新たな事業活動も見られるようになっております。 区といたしましては、今後もMACCプロジェクトを推進していくとともに、東京都が実施する伝統工芸職人とデザイナーのマッチング事業など他の支援機関等の施策の活用も検討しながら、高い付加価値を持った製品の創出につながるような支援に取り組んでまいります。 最後に、設備投資の補助に関する質問にお答えいたします。 区では、平成二十六年度から設備更新を目的とした補助を開始しました。そして補助金を受給する際には、区内事業者からの購入を働きかけるとともに、二社以上の見積もりを原則義務づけ、多くの事業者の取引機会の創出を図ってまいりました。今年度からは、生産性向上に着目した制度に衣がえし、補助金受給の要件を緩和いたしました。 区といたしましては、本制度について、今後ともニーズに合わせて適時適切に運用してまいります。   〔子育て支援部長青山敏郎君登壇〕 ◎子育て支援部長(青山敏郎君) 子どもの貧困問題に関する御質問にお答えいたします。 本年六月、子どもの貧困対策推進法が改正されたことに伴い、国は今後、共通項目を用いて都道府県別の全国調査を実施する予定とのことです。 一方、区においては、現在改定作業中の第二期荒川区子ども・子育て支援計画に子どもの貧困対策計画を包含することとしており、昨年九月に実施した調査において、都の事例を参考に、世帯年収に関する項目や家賃の滞納経験など家計の逼迫に関する項目、経済的な理由により習い事や塾に通わせられないなど子どもの体験の欠如に関する項目を設け、子どもの生活実態の把握に努めたところでございます。 その調査結果を受け、区といたしましては、引き続き子どもの居場所づくりの実施場所の拡大をはじめ、食事の提供や学習支援の充実、英語検定に係る受験料補助の実施のほか、スクールソーシャルワーカーや子ども家庭支援センターのケースワーカーによる家庭訪問等を通して、個々の家庭状況に応じた支援につなぐなど、生活困難の状況にある子どもに寄り添った支援を進めていくこととしております。 今後とも、子どもたちが希望を持って暮らしていける社会とするため、子どもと家庭への支援の推進を図ってまいります。 次に、ひとり親家庭の家賃助成に関する御質問にお答えいたします。 区では、新たな住宅マスタープランにおいて、ひとり親家庭を住宅確保に配慮を要する区民として位置づけ、自立に向けた居住支援を図ることとしております。 また、全てのひとり親家庭を対象に実施したアンケート調査の結果、民間の賃貸住宅から転居する際の支援を要望する意見があったことなどを踏まえ、家賃等の債務保証料を助成する事業を平成二十九年度から開始したところです。 この事業実施後も子どもの就学環境等への配慮から、近隣で転居したいが物件が限られるとの声も寄せられていることから、区といたしましては、引き続き、ひとり親家庭に寄り添い、区内で安定した居住環境を確保できるよう努力してまいります。 次に、来年四月に認可保育園希望者全員受け入れを確保するための対策に関する御質問にお答えいたします。 区では、子どもを産み育てやすい地域社会を築いていくため、保育環境の整備に努めているところでございます。 待機児童の解消については、区の重要課題と認識しており、これまで都市公園や鉄道敷地を活用した認可保育園の整備に加え、認証保育所、保育ママへの支援など、さまざまな手法を駆使して保育施設の整備を進め、十五年間で三千人を超える保育定員の拡大を図ってまいりました。その結果、平成三十一年四月時点の待機児童数は四十五人となっており、前年度に比べ三十五人減少しておりますが、引き続き保育需要や保育利用率の動向に留意しながら、保育施設を整備していくことが必要と考えております。 区といたしましては、十月から幼児教育・保育の無償化が実施されることも踏まえ、子育て家庭ができる限り希望する保育サービスを受けることができるよう、引き続き保育の質の向上と保育定員の確保に努めてまいります。 次に、幼児教育・保育の無償化に関する御質問にお答えいたします。 このたびの国による幼児教育・保育の無償化制度は、消費税引き上げによる安定財源を活用して、社会保障を全世代型へ抜本的に変えるとともに、幼児期の教育・保育の重要性にかんがみ、子育てを行う家庭の経済的負担の軽減を図ることを主な目的として実施されるものと認識しております。 対象者については、対象者を三歳から五歳までの子どもは全世帯、ゼロ歳から二歳までの子どもは住民税非課税世帯としておりますが、区では、国の制度の対象外とされたゼロ歳から二歳までの課税世帯については、都の補助を活用して、第二子の保育料を第一子の年齢による制限を撤廃し、全て半額といたします。 御質問のゼロ歳から二歳までの無償化対象者の拡大につきましては、国が社会保障を全世代型へとする方針を掲げていることから、慎重かつ丁寧な議論が必要と考えており、国や都の動向を引き続き注視しつつ、区としての対応を検討してまいりたいと考えております。 次に、認可保育園の指導検査に関する御質問にお答えいたします。 認可保育園等に対する指導検査は、都が児童福祉法に基づき以前より実施しているものであり、区の指導検査については、平成二十七年四月の子ども・子育て支援法の施行に伴い、保育園の質の確保、給付費等の適正化を図るため、新たに権限が与えられたものでございます。 平成三十年度においては、区内の約半数の認可保育園に対して指導検査を実施し、保育園の質の確保を図っており、さらに区独自に園長、副園長経験者が定期的に保育園を巡回し、園の保育内容について助言を行う巡回指導の取り組みも行っているところです。 区といたしましては、保育の質を高めるため、指導検査と巡回指導を車の両輪として、今後も必要なチェックに努めていく考えでございます。 次に、保育従事者の人件費に関する御質問にお答えいたします。 区では、公定価格における処遇改善等加算や保育士等キャリアアップ補助金など国、都の制度及び補助金を活用し、保育従事者の処遇改善を図る取り組みを進めてまいりました。各園における人件費比率につきましては、保育園の運営形態や勤務している保育士の経験年数等の状況により異なるため、適切な人件費比率を一律に定めることは難しいところですが、保育の質をはかる指標の一つであると認識しております。 区といたしましては、運営事業者から提出される決算書や実績報告書について分析を行い、でき得る限り把握するとともに、指導検査や指定管理者に対する実績評価を通じて、保育園における職員配置や勤務体制、賃金の支払い状況などを厳密に確認し、保育園における保育士の処遇水準の確保について今後も取り組んでまいります。 次に、児童相談所の職員確保等に関する御質問にお答えいたします。 区立児童相談所に配置する職員につきましては、子どもを第一に考えた対応に必要な人員体制を整備できるよう、関係部署と検討を進めております。 弁護士につきましては、現在子ども家庭支援センターにおいて既に指導助言をいただいている弁護士に加え、児童相談所における助言、経験等を有する弁護士を複数名確保し、常時協力を得られる体制とすることとしております。 また、児童相談所開設後も専門職員を安定的に確保するため、庁内人事のあり方や養成の方法について関係部署と検討を行うとともに、本年五月から都と区市町村が合同で開催している東京都児童相談体制等検討会において、都内全体の相談体制の強化に向けた効果的な人材交流、人材育成の方策についても検討を進めているところです。 区といたしましては、区立相談所がさまざまな御家庭の支援をしっかりと行えるよう全力で準備を進めてまいります。 次に、子どもの権利条例に関する御質問にお答えいたします。 子どもの権利については、特別区の児童相談所設置を可能とする法改正が行われた平成二十八年における児童福祉法の改正の中で、基本理念として子どもの権利に関する条例が規定され、法律の整備が行われたことから、条例制定の必要性は低いものと考えております。   〔教育委員会事務局教育部長三枝直樹君登壇〕 ◎教育委員会事務局教育部長(三枝直樹君) 初めに、就学援助に関する御質問にお答えいたします。 就学援助は、学校教育法の規定に基づき実施しているもので、経済的な理由により就学が困難と認められる御家庭に対し、就学に必要な費用の一部を援助し、教育の機会均等を図るものでございます。 荒川区では、就学援助の認定基準を生活保護基準の一・二倍としており、突然の失業や病気による家計の急激な逼迫など、おのおのの家庭の状況にも十分配慮した対応を行っております。したがいまして、現時点でさらなる対象者の拡大を行う考えはございません。 次に、学校給食費に関する御質問にお答えいたします。 学校給食費につきましては、学校給食法により給食を受ける児童または生徒の保護者が負担することとされており、給食に使用する食材に係る費用につきましては、保護者に御負担いただいております。 荒川区においては、就学援助における給食費の支給に加え、小中学校全校に米の現物給付を実施したり、食材や献立などを工夫した食育推進給食を提供する小中学校に対して補助金を交付したりすることで、給食内容の充実と保護者の負担軽減を図っております。 学校給食の無償化につきましては、自治体独自の施策として実施するのではなく、国や都の施策として広域的に実施することが望ましいと考えております。 教育委員会といたしましては、今後も子どもたちの健やかな成長のため、学校生活の支援の充実に努めてまいります。   〔福祉部長片岡孝君登壇〕 ◎福祉部長(片岡孝君) 認知症の人も家族も地域でともに安心して暮らすことができるための支援に関する御質問にお答えいたします。 認知症の人やその家族の実態把握と切れ目のない支援につきましては、認知症地域支援推進員を配置したことで地域へのサポートが充実し、オレンジカフェの増設や本人や家族の講話を内容とした教室の開催など、認知症の人や家族が集い、話し合い、情報交換のできる機会をふやすことができたことから、今後もこのような集いの場などを生かしてニーズ等の把握に努め、あらかわ認知症ケアパスの見直しを図りながら、切れ目のない認知症対応施策を推進してまいります。 次に、介護予防・日常生活支援総合事業の対象者のサービス利用につきましては、地域包括支援センターの職員が総合事業の対象者の状況を把握しており、自立支援を目的として、認知症の予防や発症をおくらせるための適切なプランのもと、サービス利用が必要な人にはその人に合わせたサービスが利用いただけているものと認識しております。 また、御質問にありました軽度者への生活援助サービス等に関する給付のあり方や利用者の負担割合につきましては、現在、国の社会保障審議会の介護保険部会において検討されているところでございます。 区といたしましては、介護保険制度の持続可能性の確保と地域包括ケアシステムの推進に向けて、国の動向などについて注視するとともに、必要な事項につきましては、国や都へ要望してまいりたいと考えております。   〔区民生活部長阿部忠資君登壇〕
    区民生活部長(阿部忠資君) 住民税及び国民健康保険料などの滞納者への対応に関する御質問にお答えいたします。 区では、税や保険料など定められた納期限までに納付がない場合は、督促状や催告書の送付、電話や訪問などによる納付催告等を実施し、親切、丁寧な納付相談を行ってございます。 しかしながら、相談に来ていただけない方や連絡がとれない方など納付が見込めない場合もございます。中には悪質な場合もあり、納期内納税者や被保険者間の公平性を確保するために、地方税法や国税徴収法等にのっとった滞納処分を行っている状況でございます。 滞納処分の際には、財産等の調査を実施し、資産や収入の状況把握に努めた上で、個々の事情に即して対応してございます。また、滞納者の中には、病気や失業などさまざまな理由により滞納している方もいることから、生活実態や収入の状況等を詳細にお聞きした上で、関係部署と連携し、仕事・生活サポートデスクや生活保護につなぐなど、区民に寄り添う体制を構築しております。 区といたしましては、引き続き、納税者や被保険者の御事情を丁寧に伺いながら適正な滞納処分を行い、納期内納税者や被保険者間の公平性を確保してまいります。 ○議長(茂木弘君) 残り三十秒ほどです。 ◆九番(横山幸次君) 自席より失礼いたします。 御答弁いただいた中、区民の実態がどうかということから出発した議論がもっともっと必要だということを感じます。このほかのことにつきまして、これも関連して、この後開催される決算に関する特別委員会で十分な議論をさせていただきたいと申し上げて、質問を終わります。 ○議長(茂木弘君) この際、議事の都合により休憩をいたします。   午前十一時五十二分休憩   午後一時開議 ○副議長(菊地秀信君) 休憩前に引き続きまして会議を開きます。 二十七番山口幸一郎議員。   〔山口幸一郎君登壇〕 ◆二十七番(山口幸一郎君) 公明党荒川区議会議員団を代表いたしまして質問させていただきます。 公明党は結党以来、人間主義という理念に基づき、地域で暮らす一人一人に光を当て、きめ細かな福祉を展開してまいりました。その歴史は、最後まで人間らしく生きる、個の尊厳を守り、支え合いを根幹に据えた福祉社会の実現の歴史と言っても過言ではありません。 私は、福祉、介護の現場にて十六年半勤務してまいりました。現場の声をもとに、地域福祉の発展はもとより、区民生活の全般にわたり全力で働いてまいる決意でございます。 本日は、地域福祉に関するテーマを中心に、以下の五項目について御質問いたします。 まず第一項目として、地域包括ケアシステムの確立について、以下の二点を伺います。 一点目は、住民主体の活動への支援についてです。 見守り、栄養改善、孤立支援といった自立支援や介護予防を区民主体で行っている活動がサロンです。このサロンには多くのボランティアの方々が携わり、高齢者の皆様が安心して楽しく過ごせるように運営されています。地域包括ケアシステムがより実用的に機能するためには、このような区民主体の活動が必要不可欠です。 また、高齢者の身近な場として高年者クラブがありますが、会員の超高齢化に伴い、会長の後任を立てられない等の理由により、九十団体以上あった数は現在では七十七団体に減少しています。 介護保険法が改正され、これまで国が実施していた介護予防の事業が区の事業となりました。これによって、地域の実情に応じて住民等の多様な主体が参画し、多様なサービスを実現することで、地域の支え合い体制づくりを推進することが可能になったのです。 具体的には、改正された介護保険法には、さきに述べた荒川区のサロンや高年者クラブのような活動を支援するため、介護保険制度のサービスとして位置づけることができるとされています。しかしながら、荒川区においては、このような住民主体の活動への支援について、ボランティア保険の加入のほか、社会福祉協議会との協働によるふれあい粋・活サロンの運営費等に対する補助等を行ってはいますが、住民主体の活動を介護保険制度のサービスとして位置づけはしておりません。そのため、ボランティアの方々への費用負担が介護保険制度では保障されていない状態となっています。 高齢者に直接サービスを提供する方々の介護保険法による位置づけを明確にし、モチベーションを維持するためにも支援策を進めるべきと考えますが、区の見解を伺います。 二点目は、身近な地域で交流する通いの場への参加率の向上についてです。 荒川区では、荒川ころばん体操、荒川せらばん体操、あらみん体操といったオリジナル体操が小学校区よりも多い区内二十六会場で実施され、その取り組みは厚生労働省のホームページ上でも、これからの地域づくり戦略の好事例として全国的にも大きく紹介されており、私も区民の一人として誇りに感じております。 しかしながら、これだけにぎわいを見せているものの、体操事業への参加率は高齢者人口の三パーセント程度にとどまっています。こうした低い数値となっているのは、現状では区が主催するころばん体操教室の参加者数のみの集計となっていることによる部分もありますが、今後はさまざまな通いの場等への参加率を一層向上させていくことが必要であります。 そこで、以下の二つについて伺います。 一つ目は、小学校圏域で通える身近な場所づくりについてです。 閉じこもりや虚弱状態にある高齢者の日常的な行動範囲はいわゆる小学校圏域と言われており、近くのコンビニくらいまでなら買い物に出かけますが、それ以外の外出はほとんどしない状況にあります。社会的な孤立や閉じこもりが重なることで、健康に負の相乗効果をもたらすことが研究調査でも明らかとなっており、身近な距離に外出できる場所をつくっていくことが非常に重要です。 地域包括ケアシステムについての協議、検討は、区内八圏域に分けられた各協議体で地域連携推進会議が開催され、医療、介護の専門職をはじめ、民生・児童委員や各町会長も出席し、地域の課題に対して住民参画の具体的な協議が行われていますが、実際に高齢者が通うことができる範囲に必要な社会資源を整備していく上では、大枠の研究ではなく、より身近な範囲において整備していくべきです。 ころばん体操等の既存事業は継続しつつ、自宅から五分から十分で歩いて通える小学校圏域をキーワードに、小単位の活動をたくさん用意していくことが有効であると考えますが、区の見解を伺います。 二つ目に、広報等の工夫による新規参加者の拡大と参加意欲の向上についてです。 通いの場への参加率を向上させる上で、適切な情報提供は非常に重要です。事業に参加できていない人の声を伺うと、「活動自体を知らない」との言葉が多く聞かれます。区報への掲載やふれあい館等での情報掲示など、現在でも情報発信はされておりますが、区報を熟読したり、ふれあい館等に出入りする人は既に意識が高い人と言えます。 私自身も行政から指定管理を受けた高齢者福祉センターで勤務した経験がありますが、参加者の顔ぶれの偏りの課題があることが現場の実情で、地域には積極的に活動する人と情報すら知らずに閉じこもり状態にある人の二極化があります。 新規参加者を拡大していくためには、意識が高くない人にも目に入る工夫が必要であると考えます。具体的にはスーパーや商店街、郵便局や薬局など、区民の日常生活動線を考えて広く広報し、高齢者だけでなく、むしろ若い人の目にも入ることで世代間交流へとつながる発展性が生まれます。 また、参加意欲の向上への取り組みとして、みずからの介護予防等の取り組みに関するポイント制度の導入を提案いたします。 荒川区においては、平成二十六年度からいきいきボランティアポイント制度を導入していますが、登録者数は年々増加しているものの、高齢者人口の約一パーセント程度にとどまっており、また、継続的に活動できている方は登録者の三割程度の状況です。 例えば、広島市では、御自身の健康づくり、介護予防に取り組む活動には一ポイント、健康診査、がん検診等には二ポイント、地域の支え手となるボランティア活動には四ポイントを付与し、一ポイント百円に換算され、最大一万円の奨励金を支給しています。 荒川区においても、既存のボランティアポイント制度に加え、みずからの介護予防に取り組むことにもポイントを導入し、一層の活動意欲向上を図るべきと考えますが、これらについての区の見解を伺います。 次に、第二項目として、認知症バリアフリーについて伺います。 本年六月十八日に認知症施策推進関係閣僚会議において、認知症施策推進大綱が取りまとめられ、認知症になっても住みなれた地域で自分らしく暮らし続けられる「共生」を目指し、認知症バリアフリーの取り組みを進めていくとの方針が示されました。 共生とは、認知症の人が尊厳と希望を持って認知症とともに生きることであり、また、認知症があってもなくても、同じ社会でともに生きるという意味です。 そこで、区の認知症バリアフリーに関する取り組みに関して、以下の二つについて伺います。 一つ目は、認知症サポーターの段階的な活躍についてです。 荒川区においては、平成十九年度より認知症サポーター養成講座が区内各地で開催され、開催年度四百三人だった認知症サポーターは、現在では一万三千人を超え、毎年着実に増加しています。 たとえ認知症になっても、住みなれた地域で自分らしく暮らし続けられる共生社会を築くために、これだけ多くの区民の皆様が認知症を理解し、見守っていただいていることは本当に心強いことです。 今後の課題は、たくさんのサポーターの方々を地域での具体的な活動にいかに結びつけるかにあり、個々のサポーターの点を結び、線とし、さらに面へと広げていくことが重要であると考えます。 例えば、京都府綾部市では、「受講して終わりにしない認知症サポーター養成講座」に取り組んでおり、最初の段階の認知症サポーターは認知症の理解者として、地域での高齢者とのエピソードをハッピーカードに記入し、支援が必要な高齢者への情報収集につなげており、次の段階のシルバーサポーターは高齢者福祉の理解者として、成年後見制度や悪質商法についても研修受講し、店舗や企業ではシルバーサポート店として店頭にステッカーを掲示、さらには二十時間の研修を修了したゴールドサポーターは高齢者福祉の実践者として、ケアマネと専門職との連携や、高齢者の生活を支える自主活動を続々と誕生させ、地域の支え合いの担い手として活躍しています。 荒川区においても、認知症サポーター養成講座の修了者を対象に、ステップアップ講座の実施や認知症カフェの運営スタッフとして活動されている方も多数おり、評価すべき取り組みですが、実際には活動できていない人も少なくはなく、非常にもったいなく感じます。 都心において、近隣関係の希薄化が課題である中、下町情緒があり、人のつながりに対する意識が高い荒川区民の皆様の強みを生かし、サポーターが段階的に活躍できるメニュー充実や、継続的な意識づけや交流を行うべきと考えますが、区の今後の取り組みについて伺います。 二つ目は、親子で取り組む認知症サポーターの拡大についてです。 さきにも述べたように、認知症サポーター数は順調な拡大を見せておりますが、今後はさらに年齢層の拡大にも取り組むべきと考えます。 認知症バリアフリー社会を築くためには、多世代にわたるサポーターの育成や若年層が認知症対策の主体者としての意識づけが大切です。 例えば、滋賀県長浜市では、市内全小中学校で認知症サポーター養成講座を実施しており、小学六年生児童が講座後の翌月の授業参観日に紙芝居や寸劇、クイズ、親子が一緒に話し合うグループワークなどが全て子どもたちの手によって進行されています。 荒川区においても、既に小中学校での認知症サポーター養成講座が実施されていますが、さらに発展させて、小学生が保護者に認知症を伝える授業など親子で取り組む認知症サポーターの拡大に取り組むべきであると考えますが、区の見解を伺います。 第三項目として、包括的な支援体制の構築について伺います。 現代社会における課題は多様化、複雑化しており、住民の孤立、困窮、介護といった生活課題に総合的に対応する行政力と地域力が求められています。 就職氷河期世代の就労問題、引きこもり、八〇五〇問題、自殺対策など、これまでの制度の縦割りで対応していくには限界があり、全庁が一体となった包括的な支援体制が必要とされています。 昨年四月の改正社会福祉法では、包括的な支援体制の構築が市区町村の努力義務となりました。 そこで、以下の二点について伺います。 一点目は、伴走型支援の人材強化についてです。 区民の皆様の中には、さまざまな問題を抱えていても、それをどの窓口に相談してよいかわからず、手探り状態で区役所に相談に来る方も少なくありません。 ところが、先日、私が区民の方に同席して窓口に伺い、その方が担当者に質問した際に、それはこの窓口の所管ではないため、お答えできませんとの回答をされてしまいました。確かに的外れな質問だったかもしれませんが、目の前にいる人は困っているのだということを前提にすれば、もう少し別の対応ができたのではないかと思います。 大切なことは、困りごとそのものではなく、困りごとを抱えたその人に着目し、当事者に伴走する支援であることが包括的な支援体制を構築する上での基本です。 どんな相談も宙に浮かないようワンストップで対応し、複数の相談機関にナビゲートすることができる人材育成が急務の課題であり、非常勤職員も含めた全職員への研修実施が必要であると考えますが、区の見解を伺います。 二点目は、高齢者の住居確保に関する見守り体制の人的支援策についてです。 これまで荒川区においても、高齢者の住みかえや住居確保のために、さまざまな経費負担等のインセンティブ措置を講じてきましたが、なおも住居確保に課題が残っており、その背景には、家主の多くが単身高齢者や高齢者のみの世帯の入居者に対して不安感を持っている現状があります。 高齢者の住居確保について、国はサービスつき高齢者向け住宅の整備に取り組んでいるものの、都心部は用地確保の問題や土地代が高いことから入居金が高く、利用できる所得層が限られるなど、一般賃貸住宅に頼らざるを得ない状況にあります。 地域では、急な階段があるアパートの二階に住み、階段を四つんばいになって上り下りしながら、一階の住居に転居したくても貸し渋りがあるために、転倒事故のリスクがある非常に危険な住環境に住み続けている高齢者も少なくありません。 また、荒川区において緊急通報システムの設置を行っていますが、固定電話回線がない場合には設置ができず、支援を必要としながらも利用できていない方がいます。 例えば、文京区は、住居確保に関するインセンティブ措置のほかに、入居住宅には区の負担で緊急通報装置を設置するとともに、入居者に対しては日常生活の支援を行うライフサポートアドバイザーによる安否確認を実施し、家主の不安感の軽減を図り、高齢者等の入居支援を行っています。 この課題を現実的に前に進めるためには、金銭的な支援だけでなく、見守り、安否確認といった人的支援策や固定電話回線がない方でも緊急通報システムを利用できる改善策が必要であると考えますが、区の見解を伺います。 次に、第四項目として、介護人材確保について伺います。 地域福祉の発展において、専門職の人材確保は当然の課題でありますが、皆様も御存じのとおり、介護人材の確保は難航を極めています。 私も介護現場の管理職としてこの課題に直面した経験がありますが、ハローワークに求人を出していても全く人が来ない状況、そのため、二十万円から三十万円かけて高額な求人広告を出しても反応はほとんどなく、人材紹介会社に頼らざるを得ませんが、その際の紹介手数料は理論年収の二〇パーセントから三〇パーセントが相場で、特に難しいと言われている介護現場での看護師等の確保ではそれ以上となり、職員を一人採用するに当たって百万円近い手数料を必要とすることも珍しくありません。 介護業界全体にわたる人材の不足の中、その取り組みは一事業所の努力だけでは解決できない状況にあり、荒川区における取り組みについて、以下の二点を伺います。 一点目は、行政が主体となった介護人材確保・定着への取り組み強化についてです。 深刻な介護人材不足の中、近年は行政が強力にバックアップする自治体もふえてきており、自治体間での介護人材獲得競争が激化しているため、荒川区においても他区にまさる魅力を創出していかなければ、貴重な人材を流出させてしまう危機的状況にあります。 例えば、川崎市では、人材の呼び込み、就労支援、定着支援、キャリアアップ支援を行政主体で実施しており、さらに都内でも東京都が行う介護人材への支援策に加え、各区でも人材確保の施策が進んでいます。 荒川区においても、介護職のイメージアップイベントや福祉のお仕事相談会、採用力向上や職場改善、環境改善の支援策、資格取得支援、家賃補助制度など行政主体の積極的な取り組みをすべきと考えますが、今後の区の見解を伺います。 二点目は、離職率の原因ともなっている書類作成業務の負担軽減についてです。 介護業界は離職率が高いことが慢性的な課題ですが、過重労働による離職は必ずしも肉体労働による腰痛等の身体的トラブルだけに限らず、むしろ介護文書作成による過重労働が大きな原因にあると私も現場にいた一員として深く痛感します。 総務省も、介護現場における文書作成は過重労働であると認めており、利用者の日々の記録はもとより、加算報酬など介護報酬算定や指定申請・更新に必要となる膨大な書類作成業務は、介護現場における慢性的な超過勤務の根本原因であると断言できます。 近年、その介護文書作成業務の簡素化への検討が行われつつありますが、介護事業者への実地指導や行政監査は全て書類で審査されるため、書類不備は報酬返還に直結する重大問題であり、書類の簡素化に対しては、民間の単独判断ができないのが実情です。介護現場の書類作成を過重労働にするかどうかは、行政の判断次第とも言えます。 厚生労働省は、本年六月二十日の社会保障審議会において、介護文書、介護分野の文書に係る負担を軽減するための専門委員会を立ち上げることを決定し、介護の文書量を来年には半減する方針を掲げています。 荒川区においても、この介護文書の簡素化については、行政と民間事業者が積極的に連携した上での対策を講じるべきであると考えますが、区の見解を伺います。 最後に、第五項目として、住みやすく美しい景観のまちづくりについて伺います。 住みやすく美しい景観のまちづくりは、区民一人一人が豊かな生活を送るための大切な要素であると私は考えます。この景観まちづくりに関する区のお考えをお尋ねするとともに、以下の二点についてお伺いします。 一点目は、京成ガード下の用地活用や景観の改善についてです。 京成電鉄のガード下は、耐震補強工事以降、一部は保育園や民間施設等に活用されていますが、その大部分は金網で覆われており、地域の皆様からは無機質で殺伐とした雰囲気を感じるとの声が聞かれており、用地の有効活用や景観の改善が求められています。 そこで、以下の二つについて提案します。 一つ目は、さくらバス停留所の待合スペースとしての活用です。 京成町屋駅付近のさくらバス停留所には、雨天時のほうが利用客は多い状況です。しかし、バスを待つ間の雨宿りできる場所がないため、傘を差して並ぶ人が長蛇の列となり歩道をふさぐため、他の通行者にも影響が出ています。 バス停の後方には京成ガード下の空き地があり、そのスペースを雨宿りができる待合スペースにできないかとの地域の要望があります。地域の声をもとに用地を有効活用すべきと考えますが、区の見解を伺います。 二つ目は、街なか花壇づくり事業への活用です。 無機質な景観を改善するために、街なか花壇づくり事業として、ガード下の用地を活用し、ボランティア活動をしたいとの地域住民の声があります。先にも述べたとおり、これからの地域づくりには住民主体の活動が期待される中、このような声があることはとても心強いことです。景観の改善にもつながる重要な取り組みになると考えますが、区の見解を伺います。 二点目は、放置された空き地の適正管理についてです。 地域には何年も空き地のまま適正な維持管理がされずに、雑草に覆われているような土地も目立ちます。私有地であるため区が介入できないとのことですが、夏場などは草むら化した空き地に大量の虫が発生し、近隣住民から被害の声が挙がっています。行政に訴えても、所有者の特定に時間がかかり、結果的に放置状態になっており、見かねた地域の方がその私有地の草刈りをしてくださっている状況があります。 また、そういった管理されていない空き地にはごみが投げ入れられるなど、治安を心配する声も後を絶ちません。行政指導の徹底や区による空き地の買い上げも含め、放置された空き地の適正管理をすべきと考えますが、区の 見解を伺います。 以上で一回目の質問を終わります。(拍手)   〔区長西川太一郎君登壇〕 ◎区長(西川太一郎君) 山口議員の御質問に答弁を申し上げます。 初めに、地域包括ケアシステムにおける区民主体の活動への支援はどうあるべきかということを踏まえてのお尋ねでございます。 国では、団塊の世代が七十五歳となる二〇二五年を目途に、全国で地域包括ケアシステムを構築すべく、専門的サービスが効果的に提供されるよう、住まいと介護予防・生活支援の分野について、重点的に施策を展開するとしております。 とりわけ、生活支援は、従来の専門職や公共によるサービスに加えまして、地域のさまざまな課題を住民の皆様や近隣企業などにも共有していただき、ともに考え、その解決に向けたサービスを創造し、より御高齢者の本意に沿ったものとして提供していくことを目的といたしておるものであることは、山口議員も十分御承知だというふうに思います。 地域コミュニティの強化は、区の事業との関係性が非常に高い取り組みとなっておることも御承知のとおりだと思います。 区では、平成二十七年度の法改正によりまして、生活支援体制整備の事業が開始されたことを受けまして、区民主体で活動している地域資源等の情報を収集いたしますとともに、地域課題を含めて発信を行うほか、昨年度からはこの事業を地域包括支援センターにも拡充し、サロン等の送迎ボランティアの派遣を開始するなど、積極的に推進しておることは御存じだというふうに存じます。 人生百年時代とも言われるわけでございますが、こういう中で御高齢者の意欲的な能力に応じて、地域の担い手として活躍していただけるような体制づくりは、極めて重要になってくると存じます。 地域包括を始める際のサポートや、御質問の介護保険制度に規定されるサービスへの位置づけを含む活動をする方々の意欲的な取り組みの向上につながり、その方々御自身も、また、周りの方々も、こうした意識の開発によって活性化がさらに向上していくのではないかというふうに思います。 包括的な支援方法につながる検討を行っていくことは、山口議員の御指摘のとおりだと存じます。一生懸命、区でもこの問題に取り組んでいきたいというふうに思います。 次に、住みやすく美しい景観のまちづくりに関しての御質問でございますが、まちの景観は、人々の暮らしや町並みをはじめ、地域の歴史または風土、文化などとの積み重ねにより形づくられてきたものでございまして、良好な景観の形成は、区民お一人お一人が大切にしていきたいと、生き生きとしたものにしたい、こういうお気持ちは、私もいろいろなところで直接御要望を伺っており、豊かな生活を送ることの基礎であり、地域づくりやまちづくりにつながるものであるというふうに存じます。 区では、こうした認識のもと、平成二十四年に景観条例を制定し、景観計画を策定いたしたのでございますが、この計画では、新しい息吹の中にも下町らしい雰囲気の醸し出せる、そうした風景をつくることを基本目標に掲げ、これまで都電や隅田川、日暮里台地を軸に、都電沿いのバラの植栽でございますとか、隅田川スーパー堤防の建設等、それぞれの所管官庁に働きかけを行い、こうしたことの整備に努力をいたしてきたところでございます。 一方で、植栽等もただ派手派手しくするのではなくて、秩序ある規制をきちんと行い、周辺との調和というものを推進して、美しい町並みをつくっていくことは必要だと存じます。 こうした取り組みを区だけが行うのではなくて、区民の皆様と協働して進めていくということは、景観まちづくり軸を実施するなど、将来の担い手の育成にも欠かせない大事な視点だというふうに存じます。 今後も、ただいまの御質問の趣旨を大事に、順次整備を進めてまいります。 そして、その一つの例としては、宮前公園をはじめとするスーパー堤防の拡張、地域の建築物の整備等により、区民の皆様が我がまちに誇りを感じていただけるような、荒川区らしい魅力ある将来像をしっかり構築していくために、区民共通の資産だという認識を多くの方々にお持ちいただき、これらを維持発展できるように区が全力で御協力を申し上げ、責任を感じてそれらに取り組んでいく必要がきょうのご質問のとおりであろうというふうに存じます。 これ以外の御質問につきましては、関係の理事者から答弁を申し上げます。どうもありがとうございました。   〔福祉部長片岡孝君登壇〕 ◎福祉部長(片岡孝君) 身近に通える居場所づくりと参加者の拡大等に関する御質問にお答えいたします。 地域包括ケアシステムの充実には、住民主体の多様な活動を推進し、地域全体で高齢者の暮らしを支えていく仕組みが重要であると認識しており、平成三十年度から地域活動を支援するコーディネーターを地域包括支援センターに配置しております。 現在、歩いて行ける距離の通いの場としては、区内にふれあい粋・活サロンやころばん体操、高年者クラブの活動など区が把握している活動に加え、地域の方々の自主的な活動が数多く実践されているものと認識してございます。 区といたしましては、それらの情報を集約し、分析を行い、不足している地域資源があれば、それをできるだけ身近な場所で充足していけるよう支援してまいります。 また、集約した情報を共有することによって、さまざまな選択肢が広がるとともに、新規参加者の拡大にもつながると考えております。そのため、区では、区報やホームページでの周知のほか、実際に地域活動している方の話を聞くことができる報告会の開催や、その活動をみまもりステーションが作成している「みまもり通信」に掲載し、銀行や郵便局、薬局、各種商店などで配布をしております。こうしたことが地域活動者の意欲の向上にもつながっておりますため、今後も継続してまいりたいと考えております。 また、地域活動者の意欲向上策の一つとして実施しているボランティアポイント制度は、定期的に住民の皆様への説明を行いながら、参加者の拡大を進めてきているところでございますが、御提案の趣旨を踏まえ、今後、制度の運用方法等についても研究してまいります。 区といたしましては、引き続き地域包括ケアの強化を図るため、区民主体の活動への支援を充実してまいります。 次に、認知症サポーター等に関する御質問にお答えいたします。 ことし六月の認知症施策推進大綱にありますように、認知症サポーターには、応援者から一歩踏み出し、自分のできる範囲で認知症の方や家族へ直接手助けができるような活動が期待されております。 区では、サポーター養成講座の受講後に実施しているステップアップ講座で、座学だけではなく、サポーター同士のグループワークの発表などより活動につながる意識づくりを心がけており、昨年度は認知症カフェなどの体験日を設けることで、より活動がイメージしやすくなったとの御意見をいただいております。 今後も認知症サポーター養成講座に加え、ステップアップ講座を受講された方々が認知症の方やその家族への具体的な支援を知り、より実践に近いことを体験していただくことで、実際の活動につながるような講座となるよう工夫してまいります。 また、親子で取り組む認知症サポーターの拡大につきましては、小中学校や高校で実施することによって、受講した後に児童・生徒が家庭で話題にすることで、家族への普及啓発とともに、若年から高齢者まで幅広い年齢層の方々に認知症への理解を促進していただくことにつながるものですので、さらに拡大できるよう関係機関に働きかけてまいります。 次に、高齢者住宅の確保に関する見守り体制等の人的支援策の御質問にお答えいたします。 住みなれた地域で継続して生活することを目的とする地域包括ケアシステムの構築のためには、住宅の確保は大変重要な要素の一つです。そこで、区では、これまでも高齢者の住宅確保のため、区営住宅事業のほか、民間賃貸住宅への入居支援として、高齢者民間賃貸住宅入居支援事業、高齢者住み替え家賃等助成事業、高齢者住宅契約貸主助成事業を実施してまいりました。また、高齢者が安心して生活を送れるよう、緊急通報システムを含む見守りネットワーク事業を展開しており、事業登録者は現在五千人を超え、相談件数も毎月千件を超えております。 そうした中で、見守り体制の拡充につきましては、今後も高齢者のみ世帯の増加等に伴い、その需要は高まっていくと思っておりますので、人的な見守りを行政主体のサービスだけで対応していくことが困難になると考えているところでございます。 そのため、区といたしまして、まずは賃貸住宅の家主の不安の軽減等につながるよう、緊急通報システムについて、現在の運用を工夫することで、固定電話がないお宅でも利用できるよう検討を行ってまいります。そして、こうした機器の活用を含め、今後の地域における高齢者の見守りにつきましては、区の特徴である下町の助け合う文化や地域包括支援センターと一体となった高齢者見守りステーションでの活動を推進しながら、御相談のありました他区の制度も参考に研究を進めてまいります。 次に、介護事業者への支援に関する御質問にお答えいたします。 区内で介護サービスを提供する事業者は、比較的規模の小さい事業所が多いため、安定した運営ができるよう、国や都と役割分担をしながら、区としても側面的な支援を行っているところでございます。 一つ目の御質問にあります介護人材の課題につきましては、介護職のイメージアップを通じた職員の確保、キャリアアップを通じた職員の定着を目的として、これまで区報特集号の発行や資格取得の助成制度、事業者向けの研修等を実施しております。しかし、有効求人倍率や離職率がいずれも高い状況を踏まえ、今年度新たに求人情報の掲載支援を行っており、次年度は事業者向けの研修メニューに職員マネジメント等の管理者向け内容を計画するなど、さらに支援を充実してまいります。 次に、書類作成業務の負担軽減に関する御質問につきましては、介護事業者連絡協議会と毎月行う意見交換の中でも要望を受けているところでございます。そのため、区では、必要な点検項目は維持しながらも、例えば昨年度は生活援助の頻回プランに対する届出書を可能な限り簡略化したほか、本年度は実地指導項目の見直しに着手するなど、事業者の負担軽減の実現に向けて継続的に検討しているところです。 区といたしましては、引き続き人材確保や事業者の負担軽減を検討するとともに、必要に応じて国や都へ現場の意見を伝えていきたいと考えてございます。   〔区政広報部長米澤貴幸君登壇〕 ◎区政広報部長(米澤貴幸君) 窓口サービスに関する御質問にお答えします。 区では、来庁者の御相談に適切に応じるとともに、総合的な案内窓口としてコンシェルジュ的な役割を担う総合相談窓口を区役所本庁舎一階に設置し、さまざまな御用件で来庁された方を目的に応じて各窓口に御案内しております。一日平均三百六十件の御案内や御相談等に対応するため、マニュアルの整備や係内研修、窓口では二人体制でサポートを行い、適切に対応しているところでございます。 また、土地建物の名義変更や自動車の抹消手続、公証役場の所在地など区の業務以外のことであっても、パソコン等で調べ、できる限り御案内できるよう努めております。特に手続の多い転入や死亡に関しては、関係する窓口一覧表を用いて説明し、必要な手続を確認しながら、来庁者に窓口一覧表をお渡しすることで、各窓口での手続がスムーズに行えるよう取り組んでいるところでございます。さらに、高齢者やお体の不自由な方など、来庁者の状況によりましては、職員が同行し、窓口へ御案内をしております。 御質問の趣旨も踏まえ、非常勤職員を含めた全職員への接遇研修を継続的に行うなど、区民対応に関する職員の意識改革に取り組み、来庁者に寄り添った窓口サービスの向上を図ってまいります。   〔都市計画担当部長松崎保昌君登壇〕 ◎都市計画担当部長(松崎保昌君) 京成電鉄の高架下に関する御質問にお答えいたします。 京成電鉄の高架下につきましては、高架橋の補強工事が完了した平成二十九年以降、京成電鉄において活用が進められており、町屋駅から花の木区間等で整備が進んでおります。 この高架下の活用に当たり、区は、これまで京成電鉄に対し、地域の活性化、地域課題の解決、にぎわいの創出につながるものとなるよう要望してきており、これを受け、京成電鉄では保育園、駐輪場といった公益施設を整備するとともに、歩道が狭隘になっている区間の商業店舗開発におきまして、店舗をセットバックして歩行者の通行空間としても利用できるような整備が行われたところでございます。 現在の高架下のうち、あいている場所につきましては、新たな活用について協議を進めているところであり、議員御指摘のコミュニティバスの待合スペースにつきましても、高架下の活用策の一つとして検討を進めているところでございます。 また、景観に配慮した取り組みにつきましては、区としても同様の認識であり、これまでの京成電鉄との協議において、周辺景観と整合性が図られ、周辺環境が悪化することのないような配慮等について、京成電鉄に働きかけているところでございます。 御指摘の高架下に街なか花壇を設置する御提案につきましても、日照時間等の課題はございますが、その可能性について京成電鉄と協議してまいります。 区といたしましては、今後も高架下が景観に配慮し、地域に資するものとなるよう、京成電鉄に積極的に働きかけてまいります。   〔環境清掃部長池田洋子君登壇〕 ◎環境清掃部長(池田洋子君) 放置された空き地の管理に関する御質問にお答えいたします。 御質問のとおり、空き地の維持管理は所有者等が行うこととなっております。しかしながら、雑草に覆われるなど適切に管理されていない空き地は全国的にも問題となっており、区内でも毎年十五件ほどの情報や苦情が寄せられております。 区では、衛生上の不安など周辺住民の皆様からの声を受け、平成十九年度に空き地の管理の適正化に関する指導要綱を策定し、空き地の状態が良好でない場合には、関係機関とも連携し、所有者等の調査、指導を行うことで解決を図ってまいりました。 今後、火災のおそれや不法投棄、さらには害虫や臭気の発生など周辺住民の生活環境に深刻な被害が生じる場合は、良好な生活環境の確保に関する条例に基づく勧告や命令も見据えて対応する必要があると強く認識しております。 引き続き、区民の皆様の声を丁寧に受けとめながら、空き地の不良状態の早期解決を図り、環境の整備に取り組んでまいります。 ○副議長(菊地秀信君) 山口議員、残り三十秒です。 ◆二十七番(山口幸一郎君) では、自席から失礼いたします。 おおむね前向きな御答弁をいただいたと思っております。ありがとうございます。 特に今回、地域包括ケアシステムを中心にしましたが、一朝一夕に答えが出るところではございませんけれども、ぜひ今後とも区民の声、また、現場の声をしっかりと把握しながら、具体的に前に進めていただければと御要望いたしまして、質問を終了いたします。ありがとうございました。 ○副議長(菊地秀信君) 二十五番竹内明浩議員。   〔竹内明浩君登壇〕   〔副議長退席、議長着席〕 ◆二十五番(竹内明浩君) 民主ゆいの会、竹内明浩です。 本日は、四点にわたり質問をいたします。積極的かつ前向きな答弁をよろしくお願い申し上げます。 私は、二〇一一年、東日本大震災という大規模な災害の年に議員になったこともあり、これが非常に強い動機となって、荒川区の防災対策をみずからの議員活動としての最重要課題と位置づけ、三期目も引き続き防災に注力していきたいと考えております。 防災とは、文字どおり、地震、台風、火事などの災害を未然に防ぐ取り組みと、いざ災害が起きてしまったときに被害を最小限に抑える取り組みに分けられますが、いずれも防災意識への高さが取り組みの積極さに反映すると考えます。 東日本大震災以降、進化する災害に対し、防災意識は全体として高まってはいるものの、その具体的な対策には温度差があると感じております。これはある意味当然のことであり、対策に積極的ではないからといって即座に非難するつもりもございません。というのも、防災とは、そもそも備えであり、多くの予算がかかるにもかかわらず、予算を使わずに不用額になったほうが喜ばしいという矛盾を内包する課題であり、備えに注力する余り、行政や区民の日常的な営みやその向上が滞ってしまうのもまた問題でございます。両者のバランスと優先順位という現実的な判断で取り組まなくてはならないと考えております。 また、どんなに取り組んでも、もうこれで十分とはなり得ないという、答えも終わりも見えないのが防災という取り組みの悩ましい点でもございます。そんな中でも、かつてのつらい経験から目をそらさず、冷静にその災害を分析し、答えを出そうとしてきた行政並びに防災にかかわる専門機関が作成してきたガイドラインを軽視せず、一定の備えはきちんとしていかなければならないと考えます。特に社会の財産ともいうべき子どもたちの命を守る備えに関しては、優先順位を上げるべく、声を大きくしてまいりたいと考えております。 それでは、まず初めに、小中学生へのさらなる防災意識向上について伺います。 現在、首都直下地震が今すぐにでも発生するかもしれない状況にあり、最近では地球温暖化の影響による大規模水害が各地で発生している中、区全体の地域防災力をより一層高めることが求められている状況下で、地域の大人のみならず、新たな地域防災の担い手としての防災ジュニアリーダーの育成等、さまざまな取り組みを行っております。 例えば区内中学校十校における防災部、尾久西小の防災クラブにおいては、町会、消防署と連携した地域活動にも積極的に参加するなど、顔の見える関係づくりを行うなど、その活動が定着し、確実に地域防災力向上に寄与していると感じております。 しかし、今後発生することが予想される災害に対応するため、さらに地域防災の若い担い手をふやしていくことが必要であると考えます。防災部以外の中学生や小学校高学年の児童にも防災意識の啓発を行い、一人でも多くの地域防災の担い手をふやす取り組みを行っていくべきと思います。 そこで、必要な装備をそろえ、実践的な訓練などに参加させるなど、防災意識の啓発を図るべきと考えますが、教育委員会の見解を伺います。 また、二点目として、年々進化する災害に対し、マンパワーが不足し、災害対応能力が低下する事態が懸念されております。特に首都直下型地震等の発生が危惧される中、大規模災害時に発生した初期災害から自分たちのまちを守るのは地域に住む住民であり、災害に強いまちづくりを目指すには、区民一人一人の防災・災害対応能力の向上が必要不可欠であり、その向上のためには、平時から地域住民に対して適切な指導やアドバイスができる人材が必要です。 自助、共助について深い知識と技術を有し、いわば防災の知恵袋としての人材、それが防災士であると私は思います。この防災士が各地域で活躍することが、結果的に地域防災力の向上につながると考えます。 防災士は、防災と危機管理に寄与することを目的に、平成十五年に創設されました。公的な財政支援によるものではなく、純然たる民間自立の発想と民間パワーによる努力によって、地域防災力の向上に貢献することを目的としております。 自助、共助、協働を原則とし、さまざまな場面で防災力を高める活動が期待される民間資格であり、自発的な防災ボランティア活動を行うものです。また、資格取得に当たっては、決して安くない受講料を払い、丸々二日間の座学、図上訓練を行い、最終試験をクリアして資格を取得。言ってみれば、防災意識が非常に高い人たちが資格をとりに行っているとも言えます。この人たちの力をかりない手はないと考えております。 八月末現在、全国では十七万七千二百六十九名、荒川区においても二百十一名の防災士登録者がおります。最近では、地域での防災リーダー的存在の消防団も充足率が低下している中、その解決策として、東京都知事からも機能別団員制度の創設を諮問されている状況を考えますと、地域の防災力維持向上のためにも、人材の確保が急務であると考えます。 そこで、住民への普及啓発活動、防災力向上が担える人材としての防災士に光を当て、活躍の場を創設、提供していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。見解を伺います。 三点目として、平成三十年にブラッシュアップされた荒川区地域防災計画が防災関係機関へも周知されていることとは思いますが、さらなる周知の徹底が必要であると思わざるを得ない状況を実感しております。例えば、大規模震災時の一時避難場所はもちろんのこと、緊急医療救護所の設置箇所等、知っておいたほうがいい情報がまだまだ周知されていないと感じております。ぜひ区としてもできる限りの側面支援として、防災機関並びに住民へのさらなる情報提供、共有を図っていただきたいと思いますが、御所見を伺います。 最後に、荒川区の今後の観光施策について伺います。 東京都の調査によると、平成三十年の訪都外国人旅行者は前年比三・四パーセント増の一千四百二十四万人、日本人旅行者は同二・五パーセント増の延べ五億三千六百五十万人、観光消費額は、外国人約一兆一千九百六十七億円、前年比五・四パーセント増、日本人が約四兆八千三百九十四億円、同二・八パーセント増と公表されております。 今月九月二十日から開幕するラグビーワールドカップでは、三十万から四十万人のラグビーインバウンドが予想され、そして、来年の二〇二〇オリンピック・パラリンピック大会開催期間中には、一日当たり最大九十二万人の観戦客が東京都を訪れると予測されております。 一部観光地におけるオーバーツーリズムの課題が指摘されるものの、インバウンド対応による地域経済の活性化策は極めて重要であると考えます。飲食や土産購入の物消費であれ、目に見えない特別感のある体験の事消費であれ、受け入れ側にとっては外国人とのコミュニケーションをいかに図ることができるかが重要であります。 例えば、佐賀県では、日本語と外国語のバイリンガル表記による指差し観光ガイド「ゆびコミュ」を発行しております。都においても、飲食店における外国語メニュー作成支援を実施し、荒川区でもインバウンド対策として接客マナー研修などを行っております。 今後も飲食店をはじめとする受け入れ側の店舗等のニーズを把握するとともに、区内への外国人旅行者の数、傾向、目的などの実態を分析し、特に外国人とのコミュニケーション支援を強化すべきと考えますが、御所見を伺います。 また、これまでも観光協会の設立や日本版DMOについて議会で質疑が行われています。二十三区で観光協会を有しないのは、荒川区のほか、杉並区、江戸川区の三区のみとなっている現状や、墨田区は地域DMOの登録をするなど積極的な取り組みを進めております。 先進区の事例を参考にしながら、失敗例をきちんと精査し、成功例を荒川区にカスタマイズして具現化する、まさしく「後出しじゃんけんは負けない」、この論理で民間の力を取り入れ、地域と協力しながら観光地域をつくり出す地域DMOを視野に入れた観光施策の展開をとるべきと考えますが、見解を伺います。 私は、これまで機会を捉えて、区内の活性化のために、シェアサイクルなどさまざまな視点から観光振興策を提案してまいりました。荒川区には我がまちのために尽力してくれる有為な人材が大勢いらっしゃいます。また、地域資源もあります。こうした力を結集して、今後も荒川区をさらに盛り上げていく観光振興策を積極的に展開していくべきと考えますが、西川区長の御所見をお伺いいたします。 以上、四点にわたり質問いたしますので、前向きな御答弁、どうぞよろしくお願い申し上げます。(拍手)   〔区長西川太一郎君登壇〕 ◎区長(西川太一郎君) 竹内議員の御質問に答弁申し上げます。 まず私からは、区の観光振興の施策に関する御質問にお答えを申し上げます。 観光は、経済面での効果はもとより、国内外の人々との草の根の交流の契機にもつながり、さらには地域の人々がみずからのふるさとにより大きな誇りを抱いていただき、愛着を持ってくださることができる地域社会を強力につくっていくことにもつながるものであると考えております。 竹内議員も不肖の観光に関するいろいろな取り組みについて、いろんな場所で出会い、微力でございますが、私が観光問題にはかなり努力をしているということを承知していただいているお一人であるというふうに思い、これからも下町の人情などを最大限活用し、積極的な施策を展開してまいりたいというふうに思います。 具体的には、荒川マイスターでございますとか、伝統工芸技術の保存会の方々、また、商店街の皆様などと、ここ数日も具体的には南千住でありますとか、熊野前でありますとか、区内で活躍されている方々と連携を図り、モノづくり見学体験スポット事業でございますとか、あらかわの伝統技術展など区の観光資源を活用したさまざまなイベントを開催し、地域のにぎわいの創出に努めております。 また、にっぽり電車まつりでございますとか、下町花フェス、そして、今年度新たに始まりました、メキシコ発祥でありますラテンのお祭りでございます「シンコデマヨ」などが区内各地域の志ある方々によって開催され、区内各地域でにぎわいの創出のために御尽力、御貢献をいただいているお姿に接して、大変ありがたく存じている一人でございます。 荒川区といたしましても、これらのイベント等に対しまして、できる限り御支援をさせていただきながら、私は、区のにぎわいをさらに創出していくための大変大事なことだというふうに思い、地域の皆様とのさらなる連携が必要不可欠であると考えております。 区といたしましては、引き続き、人材発掘も含めて、あらゆる地域資源を活用し、観光振興施策を展開していくことを地域の皆様とともに努力し、御支援をしていきたいというふうに思います。 最後に、御許可をいただいておりますので、具体的に所属と御尊名を申し上げますが、京都大学教授でございます先生が三ノ輪の商店街が大好きでいらっしゃいまして、東京においでになりますと、必ず惣菜やお菓子を三ノ輪の商店街でお買い求めになり、京都大学にお帰りになる、こういう先生方が、本当に荒川区の商店街はすばらしい、何でもそろう、こういうふうに喜んでいただいておりますこともこの機会に御紹介を申し上げ、努力をこれからもしてまいりたいというふうに思います。 御質問、ありがとうございました。   〔教育委員会事務局教育部長三枝直樹君登壇〕 ◎教育委員会事務局教育部長(三枝直樹君) 区立小中学校へのさらなる防災意識の向上に関する御質問にお答えいたします。 区教育委員会といたしましても、地域の防災力を高めるためには、防災部の取り組みに加えて、各小中学校における防災意識向上のための取り組みをより一層充実させることにより、防災の担い手のすそ野を広げることが大変重要であると考えております。 このような認識のもと、各小中学校で全校を挙げて毎月実施している避難訓練においては、幼稚園や保育園との合同訓練の実施や消防署や消防団と連携したD級ポンプの活用推進など内容の充実に努めてまいります。 さらに、地域の防災訓練やあらBOSAIへの参加など、区や地域の防災事業への参加も促してまいります。 今後も、竹内議員御指摘の趣旨も十分に踏まえつつ、児童・生徒の防災意識の向上に積極的に取り組むとともに、そのための環境整備にもしっかりと努めてまいります。   〔区民生活部長阿部忠資君登壇〕 ◎区民生活部長(阿部忠資君) まず初めに、防災士に関する御質問にお答えいたします。 区では、これまで災害時における共助の要として、昭和五十七年に荒川区防災区民組織の育成及び指導に関する要綱を定め、防災区民組織を中核とした地域防災力の整備及び推進を図ってまいりました。また、平成二十二年度には、荒川区地域防災リーダー養成講習会運営要領を策定し、消防署と連携、協力し、講習会を通じて防災リーダーの育成に努めてございます。 さらに、平成二十三年度からは、東日本大震災の教訓を踏まえ、地域防災力の向上を重点に、防災区民組織を実施主体とした発災対応型の実働による避難所開設・運営訓練を実施しており、防災リーダーの活躍の場として、その充実にも努めているところでございます。 防災士は、防災に関する十分な意識と一定の知識・技能を習得したことを日本防災士機構により認定される民間資格であり、自助、共助、協働を原則として、社会のさまざまな場面において防災力を高めるための活動が期待されております。 区といたしましては、今後、区内で防災士の資格を取得した方と情報共有を推進し、町会との連携のあり方など、地域防災力の担い手として協働に向けた環境づくりを検討してまいります。 次に、防災情報の共有に関する御質問にお答えいたします。 荒川区地域防災計画は、災害予防をはじめ、災害応急対策及び災害復旧・復興対策等、住民の生命、身体及び財産を災害から守るため、区及び防災関係機関の処理すべき事務等を示しております。区民にとっても災害への事前の備えや発災時の行動など自助や共助について多くの有用な情報が含まれております。 区では、これまで震災時の一時避難所や緊急医療救護所の位置など、区民にとって有用な情報について、区報やホームページのほか、防災地図や防災アプリなどを通じて周知啓発を図ってまいりました。 また、避難所開設・運営訓練や防災イベント、防災講話等を実施する際には、支援協力いただく消防団をはじめとした防災関係機関の方や訓練等に参加する区民の皆様に、防災にかかわる有用な情報について積極的に説明し、理解促進に努めるとともに、直接意見交換も行ってございます。 区といたしましては、今後も消防団員をはじめ区民の皆様に対して、あらゆる機会を通じて防災に関する情報提供をより一層積極的に行い、情報の共有に努めてまいります。   〔産業経済部長石原久君登壇〕 ◎産業経済部長(石原久君) 今後の観光施策に関する御質問にお答えいたします。 まず、コミュニケーション支援につきましては、現在、宿泊事業者及び飲食店を対象に、多言語対応のメニュー表の作成などに対して支援を行っております。今後も、都の専門家派遣事業等も活用しながら支援を行ってまいります。 次に、外国人観光客の区内全域での実態調査につきましては、今後その必要性について慎重に検討してまいります。 最後に、地域DMOを視野に入れた観光施策の展開につきましては、区内の多様な関係者と今後もより一層連携を図りながら、観光施策のさらなる展開を図ってまいります。 ○議長(茂木弘君) 十二番鎌田理光議員。   〔鎌田理光君登壇〕 ◆十二番(鎌田理光君) 自由民主党荒川区議会議員団の鎌田理光です。 初めてこの本会議の場で質問をさせていただきます。まずはこのような機会をつくっていただいた自由民主党の諸先輩方に感謝を申し上げます。 私は、この五年間、荒川区内で活動させていただく中で、多くの区民の方々と接してまいりました。そして、経済面や人間関係の面などで厳しい状況に置かれている方々とも間近で接することも多くあり、そうした方々のために何かお役に立つことはできないかとの思いが強まり、荒川区のために頑張る決意をいたしました。そうした政治家を志した初心を忘れずに、一生懸命、区民のためにできることを一つずつ積み上げてまいりたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。 それでは、質問に入らせていただきます。 私からは、大きく四点にわたり御質問させていただきます。 質問の一点目として、児童相談所の開設についてお伺いいたします。 このテーマについては、かねてから自由民主党として、子どもたちの命と安全を守る観点からしっかりと準備に取り組むべき旨、この本会議の場をはじめ、さまざまな機会を捉えて繰り返し主張してまいりました。 先月三十日に、荒川区を児童相談所の設置市に指定する児童福祉法施行令を改正する政令が公布され、いよいよ来年七月からの区児童相談所の開設が正式に決まりました。そのようなタイミングでもありますので、改めてこの機会にお伺いしたいと思います。 残念ながら、いまだに全国的に虐待事件が後を絶ちません。ことし一月に千葉県野田市で発生した十歳の女の子の尊い命が失われた痛ましい事件は、社会に非常に大きな衝撃を与えました。当時、区議会議員を目指す身であった私としても、住民の生命・安全を守る自治体の対応一つで貴重な命が左右される事実に触れ、改めて行政の責任の重さを痛感いたしました。そして、この事件をきっかけに、子どもにかかわる全ての大人たちが手を携えて、しっかりと子どもたちを見守るという機運が社会全体に広まったものと感じていました。しかし、その期待とは裏腹に、その後も虐待事件が相次ぎ、先月末に発覚した鹿児島県出水市の事件でも、亡くなった四歳の女の子に関し幾つものSOS信号があったにもかかわらず、行政が適切に対応できず、最悪の結果となってしまいました。 未来ある子どもたちの夢や希望を我々大人の不作為により奪うことは、すべきではないと思います。そのために、住民の生活に最も近い存在である基礎自治体が中心となって、地域ぐるみで子どもを確実に見守る体制を構築することが必要だと考えています。それには、子どもを守る強力な権限を持つ児童相談所の機能が不可欠であり、区立児童相談所の設置に向けて、さまざまな努力を積み重ね、精力的に取り組んできた区の姿勢は、基礎自治体として本来あるべき姿だと思います。 さて、区立の児童相談所の設置については、今月四日の文教・子育て支援委員会において御報告を受けました。人口二十一万人余りの荒川区が児童相談所をいち早く設置することは、区内の子どもたちの安全を確保し、健やかな成長支援につながることはもちろんのこと、全国六十近くある中核市における児童相談所設置の呼び水にもなり、子どものきめ細やかな見守り体制が全国に広がるという効果もあると思います。 また、荒川区と歩調を合わせて児童相談所の設置を検討してきた世田谷区と江戸川区が来年四月の開設を目指す中、荒川区が七月開設としたのは、東京都の児童相談所を利用している子どもや家族への影響が生じないようにするためだと伺っております。来年四月から開設までの三カ月間、都と区が協力しながら、現在の利用者の家庭訪問や面接を行い、丁寧に引き継ぎを行っていくとのことであります。 先ほど触れた鹿児島県の事件や昨年の目黒区の事件では、転居に伴い、児童相談所間で情報共有がうまくできずに痛ましい結果につながりました。国の方針においても、児童相談所間の引き継ぎは大きなリスクを伴うため、慎重に行うべき旨が示されています。 荒川区の児童相談所は、子どもとその家族のためにつくるものだと思います。当事者のことを一番に考え、丁寧な引き継ぎ期間を設けた区の判断は高く評価をしたいと思います。 我々自由民主党はかねてより、児童相談所の開設に当たり、人材の確保と育成、財源の確保、そして庁内関係部署や関係機関との十分な連携体制の構築の三つの観点から、必要かつ十分な取り組みを行ってほしい旨要望してまいりました。 人材の確保、育成の観点では、現在、所長を含め経験豊富な職員の採用や他自治体での研修派遣で実績を積むなど、さまざまな観点から取り組まれていることを所管委員会において確認いたしました。そして、我々が申し上げてきた常時相談できる弁護士の確保についても、複数名確保し、常時協力を得られる体制を整備する旨の方針についても確認させていただきました。人材の確保、育成は児童相談所を支える屋台骨ですので、今後もしっかり取り組んでほしいと思います。 また、財源問題については、現在、東京都と協議中とのことでありますが、児童相談所を運営する以上、当然のことながら、児童相談所本体の運営経費に加え、児童相談所設置市事務に要する経費についても、東京都が確実に財源措置を行うよう、しっかり協議を進めていってほしいと思います。そして、子どもにかかわるあらゆる庁内関係部署、関係機関が十分に連携し、児童相談所と一体となって子どもの支援を行う体制の構築に関しては、区が基礎自治体としての強みを生かして児童相談所運営する根幹の部分であることから、最も留意すべき点だと考えております。 中でも特に重要なのは教育委員会や学校だと思います。児童相談所が対象とする十八歳未満の子どもの人口は現在三万一千人ほどで、このうち、区立小中学校の児童・生徒数は一万一千九百人と三八パーセント余りを占めています。区立幼稚園の園児も含めると実に四割を占めることとなり、区の教育委員会、学校における取り組みは極めて重要であると考えています。 野田市での事件では、学校と教育委員会の不適切な対応が問題となったことは記憶に新しいと思います。また、特別区が児童相談所設置に取り組む大きなきっかけとなった平成二十二年の江戸川区の事件は、学校、児童相談所、子ども家庭支援センター間の連携不足により子どもの支援が十分にできなかった事例であったと伺っています。 これらの反省を忘れずに、いま一度原点に立ち返り、区が児童相談所を設置する意義をしっかりと見つめ、児童相談所とともに関係機関、関係部署が主体的に子どもの支援に取り組む体制をしっかりと構築していってほしいと思います。特に学校や教育委員会における児童虐待への対応の重要性に関して、教育委員会としてどのように認識しているのか、見解をお伺いいたします。 また、一時保護された児童・生徒は、安全は確保されるものの、学校に通学できない場合もあり、時間がたつにつれて学習におくれが出てしまうことが考えられます。教育委員会として学習機会の確保に向けて検討する必要があると思います。見解をお伺いいたします。 そして、児童相談所の開設まであと十カ月と迫る中、国や東京都との調整をはじめ、これまで児童相談所の開設に向けて御尽力されてきた西川区長に改めて区立児童相談所の設置に向けた決意をお伺いしたいと思います。 質問の二点目は、教育の充実に向けた取り組みに関してお伺いいたします。 まず初めに、これから求められる学力に関してお伺いいたします。 子どもたちが社会に出たときに、みずからの力を十分に発揮して、これまで誰も経験したことのない未知の問題を解決していける力を育むにはどういう教育が必要なのか考えたときに、まず、社会に出てから直面する問題の多くは、唯一の正解が存在しないということを理解する必要があると考えています。その上で、答えが存在しないのではなく、無数にある答えから一つの答えを自身で選ぶというプロセスを覚えることが重要であるのではないかと思います。 私自身、大学では哲学を専攻していた経緯もあり、こうした考え方、プロセスは何よりも重要だと思っています。大学生時代に感じていたことは、答えが存在しないと考えている人は、どうせ答えなんてないからと突飛な発言や根拠のない大言壮語に走りがちであるという点でした。しかし、無数にある答えから自身で一つを選択するとなると、そこには、なぜそれを選んだかという理由が必要になり、さらには自身が選んだ答えに責任も生まれます。 子どもたちの教育に置きかえてみると、こうした思考のプロセスは、進めていけばいくほど、前提となる知識の大切さも感じられるようになり、学習意欲も高まり、基礎学力の向上の相乗効果も期待することができるのではないかと思います。 学校教育のうちから、自身が持つ知識や論理的な思考から答えを選択し、違う答えを選択した人とどちらの答えがより円滑に問題を解決し得るかを議論する経験を積んでいくことが、社会に出てから課題に直面したときの本当の武器になると考えています。 荒川区では、学校教育ビジョンにおいて、道徳教育の推進を教育施策の柱として重点項目に位置づけています。平成三十年から道徳が教科化され、答えが一つではない課題について、自分自身の問題として捉えさせ、考え、議論させることで、物事を多面的・多角的に考える力が育まれる効果が期待されています。 こうした効果をより大きなものとするためには、子どもたち同士が活発に話し合い、他者の考えや意見を聞き、自分はどうすべきか、自分に何ができるのかを判断し、その実行する手だてを考えようとする力が自然と身につくようにしていく授業の実践が求められていると思います。 来年度以降、小中学校における新学習指導要領が順次全面実施となります。これから児童・生徒に求められる学力について、教育委員会としてどのように考えているのか、見解をお伺いいたします。 次に、あらかわ寺子屋の充実についてお伺いいたします。 これからの社会を生き抜いていくためには、今、申し上げた自分なりの物の考え方を習得することが最も重要な能力であると考えていますが、未来ある子どもたちの持つさまざまな可能性を引き出していくために、基礎的で基本的な学力を定着させることも学校教育の大きな役割の一つであると思います。 そして、そうした取り組みの一つに、区が平成二十六年度から区内全小中学校で実施しているあらかわ寺子屋事業があると思います。あらかわ寺子屋事業は、教員経験者を含む教員免許を持っている方や教員志望の学生などを指導員やアシスタントとして、子どもたちの学習支援を行っていると伺っています。 参加している子どもたちからは、わからないことを気軽に聞くことができるとの声などを聞いており、教育効果としても、指導員などが積極的に子どもたちとかかわることで、よりきめ細やかな指導ができ、成果も上がっているようであります。こうした取り組みはこれからも着実に実施してほしいと思います。 一方で、事業を継続して実施するに当たっての課題としては、指導員などの人材の確保にあると伺っています。教員を志望する学生も年々減少し、人材確保に苦労している学校もあると伺っています。 教育業界全体を見渡してみると、多様な事業者が参入し、対象年齢の拡大やICTの活用等により、サービス内容も多様化している状況にあります。例えば、こうした民間事業者の有する人材確保やコンテンツのノウハウを活用することなども考えてもいいのではないかと思います。こうした取り組みについて、教育委員会の見解をお伺いいたします。 また、小学校から中学校に進学した子どもたちの中には、急速な学習環境の変化から、学習に対して戸惑いが生じたり、学習意欲が低下したりすることがあると伺っております。科目別担当制などの授業スタイルの変化などに対応できないことをきっかけとして、学習意欲だけでなく、中学校生活全体にも影響を及ぼしてしまうケースもあるようです。 こうした子どもたちには、なるべく早い時期に学習の支援をしていく必要があるものと考えます。こうした問題意識のもと、教育委員会では、今年度から中学校二校をモデル校として、中学一年生を対象とした夏休み期間中の補充学習の実施を開始したと伺っています。まだ開始して間もなく、その効果検証は今後に委ねられていると思いますが、こうした地道な取り組みも重要であると思います。効果検証をしっかり行いつつ、こうした取り組みを拡大していくことも必要だと思います。こうした取り組みについて、教育委員会の見解をお伺いいたします。 質問の三点目として、創業支援の充実についてお伺いいたします。 平成二十八年の経済センサスの結果を見ると、全国三百五十九万社を数える企業のうち、従業員数が二十人以下の小規模事業者は全体の約九割を占める三百五万社であり、その数はこの二年間で二十万社、そして十年間で六十万社減少している状況にあります。この数字を見ても、小規模事業者を取り巻く環境は非常に厳しい状況であることがわかります。 こうした傾向は、区内産業全体の九割以上を小規模事業者で占める荒川区でも同様であり、区内全体の事業所数は九千六十社と、十年前と比べて三千社近く減少しています。区内の商店街を見渡してみても、空き店舗が点在し、住宅に入れかわってしまう例がふえてきているようにも感じます。 申し上げるまでもなく、産業はまちの活力の源であり、住・商・工が混在して町並みが形づくられてきた荒川区では、特に重要な経営資源であると考えています。 事業を畳まざるを得ない原因としては、将来性や収益性の観点と並び、経営者の高齢化や後継者が見つからないことにより事業承継が進まないという現状にあることは、区が実施したモノづくりセンサスや商業事業者訪問支援事業調査の結果でも読み取れます。区内事業者が培ってきた事業や技術、ノウハウ、設備など貴重な経営資源は、次の世代に確実に引き継いでいく必要があると思います。 こうした点について、区では、企業相談員による助言や専門家派遣などを通じて早期の経営改善や後継者探し、育成の取り組みなどの支援を行っているとのことですが、年々減少が続く区内産業の状況に加え、事業承継には一定の準備期間を要することを考えると、もはや一刻の猶予もない状況だと認識しています。こうした状況を踏まえ、これまで以上に金融機関とも綿密な連携を図り、加速度的なスピード感を持って事業者支援に当たってほしいと思います。 こうした取り組みとともに、区内産業の再興のために必要なのは、次世代を担う経営者、創業希望者の掘り起こし・育成だと考えています。 創業支援については、ことしの六月会議においても、我が党の明戸議員から、創業希望者の掘り起こしにつながる拠点づくりに関する提案をさせていただきましたが、私からは少し視点を変えてお伺いしたいと思います。 昨年六月の東京商工リサーチの調査によれば、都内における創業は年間約四万社あり、このうち、荒川区の増加率は、飲食業の増加などにより二十三区の中でもトップの二二パーセントとの結果でありました。創業が盛んな都内にあって、荒川区の意外なポテンシャルの高さを示す事例であると思います。創業する業種にもよると思いますが、事業化を支援する環境次第でさらにそのポテンシャルを伸ばすことができるのではないかと考えています。 一般的に、創業時の最大の課題は資金調達にあるとされています。多くの創業者は自己資金や知人などによる出資金、金融機関からの借入金で創業時の資金を賄っています。この創業時の資金調達の高いハードルを少しでも低くしてあげることができれば、より多くの創業を志す人の背中を押してあげることにつながると考えています。 こうした取り組みの参考となるのが、区内の金融機関である城北信用金庫が四年ほど前に全国の信金に先駆けて仕組みを構築したクラウドファンディングの取り組みだと思います。インターネットを活用して資金調達を行う仕組みであるクラウドファンディングは、多くの人から手軽に資金調達をすることが可能な仕組みです。こうした取り組みは、資金調達のみならず、販路拡大やPR効果も期待でき、城北信用金庫では、平成三十年度実績で十五件でクラウドファンディングを実行し、目標額四百万円の設定に対し、千人を超える支援者が集まり、目標を達成した件数は十件で、最終的に一千万円を調達できたとのことであります。 また、世間の話題となった取り組みとしては、昨年、制作経費三百万円の半分の資金をクラウドファンディングで調達し、三十億円を超える大ヒットとなった映画も生まれるなど、夢のある話も現実のものとなっています。既に取引用の専用サイトも多く存在するなど環境は整っています。小さなアイデアの種をもとに、創業を考えている事業者がこうした仕組みを活用し、手軽に資金調達ができるようになれば、区内産業の活性化にもつながると思います。 区としての支援策としては、クラウドファンディングを利用する際の経費などを助成する仕組みなどが考えられると思います。こうした手段を含め、創業しやすい環境を整備することにより、区内産業の活性化につながる取り組みを推進することについて、区の見解をお伺いいたします。 質問の四点目として、地域の安全対策についてお伺いいたします。 まず初めに、交通安全対策についてお伺いいたします。 警察庁の統計を確認しますと、かつて交通戦争とまで言われていたほどに全国的に多発していた交通事故は、平成十六年をピークに一貫して減少傾向にあります。しかし、飲酒運転などの悪質運転により幼い子どもをはじめとする尊い命が奪われる事故や、高齢者などによる運転ミスによる事故などが後を絶たない状況にあります。 また、都内で発生した交通事故の内訳としては、自動車事故が六割、自転車事故が二割という状況であり、歩行中や自転車を運転している高齢者が事故に巻き込まれる事例も多く、中には高齢者が無理に横断していて事故に遭われる事例も多く含まれているようです。 事故防止に向けて自動メーカーの技術的な開発も進んでいるようでありますが、今後、高齢社会がますます進んでいく中で、交通事故の発生件数を減らしていくには、さらなる周知啓発やよりわかりやすいサイン表示など、警察とも連携を図りながら、これまで以上にきめ細やかな配慮をしていく必要性が高まっていると思います。 さて、荒川区内における交通事故の状況は、平成三十年の一年間で四百二十件程度と文京区に次いで二番目の少なさだったとのことであります。これは区や警察、地域が連携してさまざまな取り組みを進めてきた成果であると評価しています。 また、交通事故全体としては減少傾向にあるものの、坂が少なく、自転車利用に便利な地形が広がる荒川区では、自転車の交通事故の割合も多いと伺っております。 実際に昨年における自転車が関与する交通事故は二百三十件ほどで上昇傾向にあり、その割合は事故全体の五五パーセント程度を占めるまでに至っています。都内全域でも同様の傾向が見られ、そのような状況を踏まえ、東京都では、この九月開会の都議会で条例改正を提案し、来年四月からの自転車保険の加入の義務化を目指しているとの報道がなされています。 私の身近なところでも、落車の事故で顔に消えない傷が残ったり、見通しの悪い路地で歩行者と衝突し、当たりどころが悪く、相手の目が見えなくなったりした事例も存じ上げております。この事例は私と同年代の知り合いの話でありますが、区内では、子育て中の女性が自転車の前と後ろに子どもを乗せて走ったり、高齢者がふらつきながら車道を走っていることが多く見受けられます。私自身、これまで何度もヒヤリとした経験があります。 現在、東京都が導入を検討している自転車保険の義務化は、不慮の事故への対応として有効な取り組みであると考えておりますが、あくまでも事故後の対応が主眼となります。より効果を上げていくには、こうした動きとあわせて、事故が起こらないように未然に防止していく取り組みを組み合わせて行うことが極めて重要になってくると思います。 例えば、ブレーキのついていない改造された自転車や信号等を守らないロードバイクの取り締まりの徹底はもちろんのこと、保険加入のタイミングで普及啓発を重点的に行うことも重要だと考えます。 また、自転車安全整備士がいる自転車販売店で適正な点検・整備を受けるともらえるTSマーク制度を積極的に活用することも考えられます。 TSマークには、毎年自転車を点検することで安全な自転車が区内に普及するというメリットがあり、自動的に自転車保険もつくため、事故の未然防止と保険の義務化の両方の面から有意義な制度だと思います。 TSマークの取得のために、区民が自転車販売店に来店する機会などを捉えて、交通ルール、マナーを普及啓発していってはどうでしょうか。そして、より多くの区民に取得をしてもらう仕掛けとして、区が助成制度を設けることなども考えられると思います。 さらに、荒川区で現在試行的に実施しているシェアサイクル事業では、近隣区間で行き来する機会も生じますので、近隣区と連携・協力して、電動自転車の注意等の講習などを実施することも考えられます。 今、一例としてるる申し上げてきたことを含め、増加傾向にある自転車事故を一件でも減らすことにより、区民の安全を守る取り組みをさらに推進していくべきと考えますが、西川区長の御見解をお伺いいたします。 次に、まちづくりの視点からお伺いいたします。 荒川区は、区域の六割以上が木造住宅密集地に囲まれるなど地域危険度が高い地域が多い状況にあります。そうした状況の中で、「災害で一人の犠牲者を出さない」という強い決意の西川区長とともに、自由民主党としても多くの提案を行い、防災に強いまちづくりを強力に推進してまいりました。具体的には、不燃化特区制度の活用による荒川二・四・七丁目地区、町屋・尾久地区の老朽木造建築物の除却や固定資産税の減免制度をはじめ、永久水利施設整備や主要生活道路の拡幅整備、防災スポットの新規整備、公園、児童遊園の拡張整備などを積極的に推進し、老朽木造建築物の撤去や主要生活道路の拡幅では確実な進捗が見られます。 こうした成果を重ねてきたことについて、我が党としても高く評価をしております。その一方で、私が住んでいる南千住地域などでは、細く入り組んだ道も多く、曲がり角に電柱があることで、車は何度も切り返しをしなければならず、電柱には車がこすった傷が数多く見られる現状もあります。 また、地元の素盞雄神社では、節分祭や桃まつり、天王祭、夏にはラジオ体操等、一年を通して行事が多く、地元の子どもたちが集まる場となっていますが、その周辺には大型のスーパーマーケットもあり、搬入用のトラックの出入りが多く、電柱で視界が制限されていることもあり、危険な状況も見られます。 また、お祭りでおみこしを出す際も、垂れた電線を木の棒で直接押し上げて通ったり、電線や電柱の関係でこれ以上進めないと判断すると、ターンする道幅もないため後ろ向きに進んだりと、そういう状況でもあります。区民の安全のため、また、神社等の伝統行事を絶やさないためにも、まちづくりの観点からできることを引き続き積極的に応援していきたいと考えております。 さて、今、幾つか地元の事案に触れさせていただきましたが、防災に強い都市づくりの取り組みの一つに無電柱化の推進が挙げられると思います。無電柱化の推進に関しては、自由民主党としても、中島議員をはじめこれまで繰り返し主張してきた経緯があり、私自身としても、四月の区議会議員選挙において選挙公約に挙げさせていただいた取り組みの一つであります。 無電柱化は美しい町並みや安全に歩行できるスペースの確保、そして何よりまちの防災機能の強化を図る観点から、ぜひとも進めてほしい施策であると考えています。 七月の建設環境委員会において、区から荒川区無電柱化推進計画の策定について御報告があり、今後十年の間に優先的な整備や整備に着手すべき路線として、都市計画道路や不燃化特区内で拡幅整備を進めている主要生活道路、宮前公園周辺のほか、荒川総合スポーツセンター周辺道路など十路線が挙げられていました。 荒川総合スポーツセンターは大幅な機能充実を図った上で来年四月にリニューアルオープンする予定であり、その後、八月から開幕する東京二〇二〇パラリンピック大会のシッティングバレーの公式練習会場に使用されると伺っております。こうしたことも一つのきっかけとして、荒川総合スポーツセンターは、これまで以上に区内外から多くの人が訪れる施設になると考えております。 また、荒川工業高校を含めた周辺一帯は広域避難場所に指定されており、いざというときに周辺から多くの人々が避難してくる場所でもあり、避難路としての安全性を高めておく必要がある面もあります。 こうしたことを踏まえ、荒川総合スポーツセンター周辺道路で無電柱化を推進することは必要なことであり、早期に進めていくべきと考えます。 また、昨年九月の台風において、区内では大きな被害はなかったものの、荒川総合スポーツセンター周辺道路の桜に倒木が見られました。春を鮮やかに彩る風物詩となっており、長らく地元に愛されている桜並木でありますが、植栽されてから長い年月がたっていることもあって、劣化も進んでいるものと思います。無電柱化の実施に合わせて、地元の意見を聞きながら順次植えかえの検討もお願いできればと思います。この点を含め、無電柱化を推進していくことについて区の見解をお伺いいたします。 以上、大きく四点にわたり御質問させていただきました。区理事者におかれましては、積極的かつ前向きな答弁をお願いできればと存じます。 以上で私の一回目の質問とさせていただきます。(拍手)   〔区長西川太一郎君登壇〕 ◎区長(西川太一郎君) 自由民主党の鎌田理光議員の御質問に御答弁を申し上げます。 初めに、児童相談所の開設に関する御質問にお答えを申し上げます。 私は、若いころ、アメリカでアーサー・シュレジンジャージュニアもお父さんも親子二代ハーバード大学やニューヨーク大学の歴史学者であり、日本においでになったときは私が先導役で、北海道から九州まで四カ所ご案内し、講演をしていただいたという若いころの思い出があります。 この先生は、「子どもは未来社会の守護者である」という名言を私どもに教えてくださった方であります。子どもが大人になって社会を構築していく、そのためには、未来社会を守ってもらう子どもたちを大人がしっかり育てていかなければならないという意味であります。 私は、この教えに接して、本当にすばらしい信念であるなと、こういうふうに思って、政治家になってからも、長年拳々服膺してきた貴重な哲学であります。 さて、児童相談所というものをぜひ身近なところで、東京二十三区の自治体が東京都から分けていただいて、そして、身近なところで子どもさんたちを守っていくべきであると考え、数ある地方自治体の中で荒川区が地方の先頭に立って、児童相談所の設置市に指定していただく政令を公布していきたいということをずっと国や東京都にお願いをしてまいりましたが、先月三十日、遂に荒川区が全国でも極めて早い時期に児童相談所設置市として指定をいただく政令が公布されましたことは、この議場においでの議員方全てが御承知いただいていることだというふうに思います。 来年七月に区立児童相談所を開設し、余すところ十カ月でございますけれど、特別区で児童相談所を開設し、設置するトップランナーとして、荒川区がこのことに可能性を持ったと、まさに身の引き締まる思いであります。そんな時期に、ただいまの御質問をいただきました。 そこで、開設に向けて弁護士の先生や児童精神科のお医者様など専門職の確保や、子どもさんたちの声をしっかりと受けとめることができる職員諸君を育成していきたいというふうに思っております。 ぜひ、党派を超えて、区議会の議員方の御支援を賜りますようお願いを申し上げたいというふうに思います。 児童相談所として、庁内のさまざまな部署との連携を強化し、里親の御家庭への御支援でございますとか、児童養護施設の誘致によるお子さんたちの生活の場の確保、障がいのあるお子様たちへのきめ細かな対応というもの、地域の拠点となるすばらしいものを、保育園またはいろんな教育機関との連携を着実に進めて、地域全体で全てのお子様たちを見守り、育てていく環境を充実させていく決意でございます。 ただいま鎌田議員の御指摘のように、たくさんのやるべきことはございます。学校と区立児童相談所が連携を持って、子どもに寄り添って、一緒に成長していただく重要なパートナーだというふうに思っております。教育委員会とも認識を一にしながら、強固な連帯体制の構築に全力で取り組んでまいります。 先般、私が会長職として最後をお務め申し上げました区長会でも、同僚の方々、地域を超えて児童相談所の開設に向けて万全の準備を進めてきたという認識を多くの同僚、中には数少ない先輩議員区長からもおめでとうというふうに言っていただく機会に接することができたことを御報告申し上げます。 次に、交通安全対策について触れさせていただきます。 区長就任以来、交通安全対策について、安全・安心なまちづくりの礎となるという強い思いで、区内三警察署をはじめ、地域の皆様と連携を強力にしながら進めてまいりました。この結果、区内における本年七月末現在の交通事故件数は二百九件と、東京二十三区で最も少ない件数となりました。これは町会を中心に地域の皆さん、もちろん区議会議員方の御尽力、御協力あってのことでございますが、全国交通安全運動をはじめ、警察と連携した啓発活動など、言わずもがなの取り組みでございますが、これらが成果を上げたことだというふうに思います。 全国でまだ相次ぐ悲惨な交通事故の発生を受けて直ちに実施いたしました保育園のお散歩ルートの安全点検でございますとか、自転車事故対策として実施をいたしました自転車事故防止重点対策路線の整備でございますとか、園児、保護者や御高齢者の交通安全のための講話を聞いていただくことや、自転車の実技講習会、次々と新しい対策を講じて、事故防止に努めておるわけでございます。 しかしながら、事故の件数は減少したものの、自転車や御高齢者、また、お子さんたちの事故の割合は依然として高いものであります。こうしたことをしっかりと認識しながら、ぜひ安全・安心の荒川区づくりにさらに区議会議員の御尽力、町会長の皆様や多くの心ある区民の皆様の御尽力をいただいて、しっかり努力をしていきたいというふうに思います。 御質問のTSマーク制度への助成をはじめ、子どもから御高齢者まで、楽しみながら交通ルールを学んでいただける、そういうことも含めて、より努力をしてまいりたいと存じます。 御質問をいただきました中に御答弁を申し上げなければいけないことも多々ございますが、これ以外の御質問の答弁は関係理事者から申し上げさせていただきたいというふうに思います。 大変答弁が長くなりましたことをおわび申し上げます。どうもありがとうございました。   〔教育長高梨博和君登壇〕 ◎教育長(高梨博和君) 初めに児童相談所との連携に関する御質問にお答えいたします。 区民に身近な区立の児童相談所を設置することは、子どもたちが抱える問題を迅速に解決し、健全な成長を図ることに大きく寄与するものであると考えており、教育委員会といたしましても、これまで以上に学校と児童相談所が一体となった児童相談体制の充実が必要不可欠であると認識してございます。この考え方に基づき、児童相談所開設に向けて、学校・区児童相談所連携会議を設置し、教育委員会と子育て支援部とが相互に連携して協議を深めているところでございます。 加えて、今年度より教育委員会、子育て支援部の実務者と各学校の生活指導主任をメンバーとするワーキンググループを立ち上げ、児童相談所への通告のマニュアルや一時保護に向けたルールづくりなど、開設後の運営が円滑に行えるように努めてございます。 今後、ワーキンググループで検討した内容について、連携会議で協議を重ね、学校と児童相談所とがより一層連携を密にし、子どもや保護者の支援に努めてまいります。 御指摘いただきました児童相談所に一時保護された児童・生徒の学習機会の確保につきましては、教育委員会としても重要な課題であると考えてございます。一時保護中の児童・生徒の学習支援や当該児童・生徒が通学する場合の安全確保などの対応について、関係部署と十分に検討してまいります。 教育委員会といたしましては、今後も子ども家庭支援センターをはじめ、関係部署と密接な連携を図りながら、区立児童相談所の開設に向けて万全の体制を整えてまいる所存でございます。 続きまして、児童・生徒に求められる学力に関する御質問にお答えいたします。 これからの激しい変化が予想される社会において、子どもたちにはみずからの人生を切り開く力が必要とされております。そのためにも、知識や技能はもちろんのこと、自分で課題を見つけ、みずから学び、主体的に判断し、行動し、よりよく問題を解決する資質や能力としての確かな学力が求められてございます。 この確かな学力を育むため、新学習指導要領では、主体的・対話的で深い学びの視点に立った授業を充実させていくことが重要であると示されてございます。 鎌田議員御指摘のとおり、道徳の授業におきましても、子どもたち同士の話し合い活動を積極的に取り入れながら、物事を多面的・多角的に考える力を身につけていくことが大変に効果的であると認識してございます。 教育委員会といたしましては、新学習指導要領の全面実施に向け、道徳科をはじめ、全ての教科で教員の一方的な講義や教え込みの事業ではなく、子どもたち自身が考え、議論し、他者とかかわりながら課題を解決する授業を通して、子どもたち一人一人に確かな学力を確実に身につけられるよう小中学校の教育内容の充実を図ってまいります。 次に、あらかわ寺子屋の充実に関する御質問にお答えいたします。 教育委員会では、あらかわ寺子屋事業として、区内小中学校の始業前や放課後等の時間を活用して補充学習を継続的に行ってございます。教員免許を持つ補充学習指導員や学習の補助に当たるティーチングアシスタントが授業のつまずきを克服するための補充学習を実施したり、タブレットパソコンを活用したドリルコンテンツによる学習を取り入れたりするなど、子どもの学習状況に応じて各校で工夫を重ねて指導を行っておるところでございます。 一方、鎌田議員御指摘の指導員の確保につきましては、本事業の課題として教育委員会といたしましても認識してございます。事務局では、これまでも連携しております大学の事務局に補充学習指導員等、人材確保に向けて募集を依頼するなど取り組んできたところでございますが、大学生や地域の方々が指導に当たることのできる時間と寺子屋の実施時間が合わないなどの理由から、人材の確保が難しいといった実態もございます。 現在、小学校一校をモデル校として、試行的に業務委託の手法を取り入れ、民間事業者のノウハウや人材の活用を図ってございます。 今後、モデル校での取り組みを検証し、民間人材の積極的な活用も視野に入れた本事業の拡大について検討してまいります。 次に、中学一年生の基礎学力向上に関する御質問にお答えいたします。 文部科学省による学習基本調査では、中学一年生になり、学習上の悩みとして、上手な勉強の仕方がわからないという回答が大幅に増加する実態が明らかになってございます。小学校時点における学習上の課題を解決しないまま中学校生活を送ることは、学習理解や学習意欲の低下といった深刻な状況にもつながりかねません。 そのため、区教育委員会では、御党からのかねてからの御提案を踏まえ、中学生の早い時期で学習面でのつまずきを解消することを目的として、中学一年生を対象に、民間事業者を活用した夏休み中の補充学習指導を本年度より中学校二校でモデル事業として開始いたしました。 受講後に参加生徒を対象に実施したアンケートでは、自分の力になった、英語が苦手だったが、改めてやるとできるようになってうれしかったなど、自己の基礎学力が向上したとの回答が得られてございます。また、参加して勉強が楽しくなった、夏休み中自主勉強しようと思ったなどの回答もあり、補充教室が学習意欲の向上にも効果が出てございます。 さらに、民間事業者の人材を活用することで、部活動の指導や新学期の準備に取り組んでいる教員にとりまして、業務の負担軽減にもつながってございます。 今後、モデル校の成果について十分な効果検証を行い、御提案にありました各中学校への拡大についても検討するなど、生徒の基礎学力と学習意欲の向上に向けて全力を挙げて取り組んでまいります。   〔産業経済部長石原久君登壇〕 ◎産業経済部長(石原久君) クラウドファンディングに関する御質問にお答えいたします。 区では、これまで地域経済の活性化に向け、ビジネスプランコンテストや専門相談窓口の設置、事務所等を開設する場合の賃料補助、起業家交流会の開催など、近隣自治体や地域金融機関とも連携した総合的な創業支援を展開してまいりました。特に資金調達の面では、信用保証料の全額補助、融資メニューの中でも最大の利子補給を行い、創業を積極的に支援してまいりました。 国内のクラウドファンディングの市場規模は、民間の研究所の調査結果によりますと、この二年間で約十倍となっており、資金調達の手段として急速に拡大しております。これは、クラウドファンディングを活用することで、通常の融資等では集めにくい少額の資金や製品開発資金を得られるだけでなく、新製品の販売開始前や新店舗オープン前にPR、テストマーケティング、そして新規事業のファン獲得といった効果があるからと考えられます。 東京都では、二年前から日本政策金融公庫や主要なクラウドファンディング七事業者と連携し、クラウドファンディングを活用する事業者の支払手数料の二分の一、上限三十万円を補助する支援を実施しております。 区といたしましては、このような実態を踏まえ、創業につながるクラウドファンディングの活用について、東京都の事例も参考にしながら、手数料の一部補助の具体化に向け、検討してまいります。   〔防災都市づくり部長松土民雄君登壇〕 ◎防災都市づくり部長(松土民雄君) 無電柱化の推進に関する御質問にお答えいたします。 区では、これまで都市計画道路などの新設道路に加え、ゆいの森あらかわ周辺道路のような歩道のない道路につきましても無電柱化を進めており、防災や交通安全、景観の向上といった観点から、既設の道路や歩道がない道路につきましても、さらに無電柱化を推進していくため、荒川区無電柱化推進計画を策定したところでございます。 鎌田議員御質問の荒川総合スポーツセンター周辺道路につきましては、災害時には広域避難場所である荒川工業高校一帯に安全に避難するための重要な路線であることに加え、平常時には荒川総合スポーツセンターの改修により利用者が増加すると考えられるため、本計画では優先的に無電柱化を実施する路線として位置づけております。 こうした考えのもと、本路線につきましては、無電柱化やバリアフリー化を実現し、災害に対する地域の安全性や道路通行の快適性を向上させるため、道路改良の基本設計を昨年度実施いたしました。 また、本年度は道路の詳細設計と電線共同溝の基本設計及び地下埋設物調査のための試掘工事を予定しております。来年度以降は電線共同溝の詳細設計を実施し、地下埋設物の支障物移設工事や電線共同溝の本体工事及び道路の整備工事を順次実施し、早期の完成を目指して取り組んでまいります。 また、議員御指摘のとおり、高齢化した桜の更新につきましては、区といたしましても、その必要性は高いと認識しております。したがいまして、今回の無電柱化などの道路改良工事の機会を捉え、地元の皆様の御意見をお聞きしながら、何年かに分けて計画的に植えかえを実施していくよう検討してまいります。 今後につきましても、御質問の趣旨を踏まえ、安全で快適な歩行空間の創出や災害に強い安全・安心のまちづくりを実現するため、無電柱化を積極的に進めてまいります。 ○議長(茂木弘君) それでは、以上で本日の質問は終わります。 以上をもちまして本日の日程は全部終了いたします。 お諮りいたします。本日はこれをもって散会いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(茂木弘君) 異議ないものと認め、そのように決定いたします。 次回の本会議は、九月十一日午前十時から再開いたします。 本日はこれをもって散会いたします。まことにお疲れさまでございました。   午後三時十六分散会...