• 周術期(/)
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  1. 荒川区議会 2017-11-01
    11月28日-01号


    取得元: 荒川区議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-12
    平成29年度定例会・11月会議荒川区議会会議録(第一日目)==============一、日  時   平成二十九年十一月二十八日 午前十時一、場  所   荒川区議会議場一、出席議員(三十名) 一番 瀬野喜代君 二番 小坂英二君 三番 小林行男君 四番 安部キヨ子君 五番 横山幸次君 六番 斉藤邦子君 八番 小島和男君 九番 町田 高君 十番 中島義夫君 十一番 菅谷元昭君 十二番 明戸真弓美君 十三番 茂木 弘君 十四番 若林清子君 十五番 小坂眞三君 十六番 服部敏夫君 十七番 並木一元君 十八番 斎藤泰紀君 十九番 北城貞治君 二十一番 鳥飼秀夫君 二十二番 志村博司君 二十三番 斉藤裕子君 二十四番 藤澤志光君 二十五番 竹内明浩君 二十六番 清水啓史君 二十七番 森本達夫君 二十八番 菊地秀信君 二十九番 松田智子君 三十番 吉田詠子君 三十一番 保坂正仁君 三十二番 中村尚郎君一、欠席議員(なし)一、出席説明員 区長 西川太一郎君 副区長 佐藤安夫君 副区長 北川嘉昭君 総務企画部長 五味智子君 財政担当部長 宮腰 肇君 区政広報部長兼  全国連携担当部長 米澤貴幸君 管理部長 梅原一彦君 区民生活部長 三枝直樹君 地域文化スポーツ部長 池田洋子君 産業経済部長 石原 久君 環境清掃部長 古瀬清美君 福祉部長 片岡 孝君 健康部長 倉橋俊至君 子育て支援部長 青山敏郎君 防災都市づくり部長 松土民雄君 再開発担当部長兼  都市計画担当部長 松崎保昌君 会計管理部長兼  債権管理担当部長 石澤 宏君 総務企画課長 丹 雅敏君 教育長 高梨博和君 教育委員会事務局  教育部長 阿部忠資君 選挙管理委員会委員長 田代 貢君 監査委員 小川秀行君一、職務のため出席した事務局職員 事務局長 濱島明光 庶務係長 小原 実 議事係長 幸野佳紀 主任主事 染谷沙織 主任主事 早坂利春 主事 肥塚喜史 主事 堀川光佑 企画調査係長 西 智行議事日程 平成二十九年十一月二十八日 午前十時開議第一               一般質問について   午前十時開議 ○議長(鳥飼秀夫君) ただいまより十一月会議を開きます。 なお、十一月会議の会議期間は、本日から十二月十三日までの十六日間といたします。 この際、区長より発言の申し出がありますので、これを許可いたします。   〔区長西川太一郎君登壇〕 ◎区長(西川太一郎君) 開会の御挨拶を申し上げます前に一点御報告を申し上げさせていただきます。 去る十一月二十日、天皇皇后両陛下に御出席を賜り、内閣総理大臣、衆議院議長、参議院議長、最高裁判所長官などの御出席をいただいたもとで、みずからの創意工夫によりすぐれた施策を実施し、地方自治の充実、発展に寄与した区市町村として荒川区が「地方自治法施行七十周年記念総務大臣表彰団体表彰」という大変名誉ある賞をいただきました。区議会議員の皆様をはじめ、これまで区政に携わってくださいました全ての皆様、そして、区政を支えてくださった区民の皆様にこの場をおかりして改めて御報告と御礼を申し上げる次第でございます。 区議会の皆様におかれましては、どうか今後ともよろしく御指導、御協力を賜りますようお願い申し上げます。 私は、これからも一つでも区民の笑顔がふやせるよう、職員の諸君とともに区政に邁進してまいります。 それでは、平成二十九年度荒川区議会定例会・十一月会議の開会に当たり、一言御挨拶を申し上げます。 本十一月会議には、荒川区営住宅条例の一部を改正する条例など重要な案件を御提案申し上げております。どうぞよろしく御審議を賜りますようお願い申し上げます。 ○議長(鳥飼秀夫君) 出席、欠席議員数を報告いたします。出席三十名、欠席なしでございます。 十一月会議の会議録署名議員を定めます。本件は、会議規則第百二十条の規定により議長より御指名いたします。        二番   小 坂 英 二 議員        十二番  明 戸 真弓美 議員        三十一番 保 坂 正 仁 議員 以上、三名の方にお願いいたします。 日程第一、一般質問について。───────────────○─────────────── △一般質問について ○議長(鳥飼秀夫君) 一般質問の通告がありましたので、順次発言を許可いたします。 十九番北城貞治議員。   〔北城貞治君登壇〕 ◆十九番(北城貞治君) 質問に先立ちまして、一言申し上げます。 さきの衆議院議員選挙におきまして、自民、公明の連立政権維持・継続が支持されたわけであります。同時に、私ども自由民主党に対しまして、より丁寧な、そしてより謙虚な政治運営が求められた結果であろうと思っております。 あくまでも私見であります。もし国民の方々がおかしいと思ったことをおかしいと思えなくなったときに自民党は衰退するだろうと思っております。そして、私たち自由民主党荒川議会議員団は、小坂眞三団幹事長を中心にしまして十三名、それぞれの地域でそれぞれの関係の中で区民の方々から三百六十五日、その声をみずからの肌で感じながら政策としてくみ上げ、そして政策提言を行い、実現を図るために最善の努力をさせてもらっております。 そして、そのような行動理念に基づきまして、去る十月五日に十の重点項目と十二分野・五十八項目から成る「平成三十年度予算に関する要望書」を西川区長に提出させてもらったところでございます。どうぞ来年度の予算に関しましては、これらの実現ができまするよう強く要望しておきます。 それでは、そのような予算要望を踏まえまして、自由民主党荒川議会議員団を代表しまして、八項目にわたりまして質問いたします。 まず最初にお伺いしますのは、中村尚郎副議長が長年求め続けられてこられました新公会計制度を活用し、さらなる行政改革を進めるべきという観点からお伺いします。 時代の変化とともに増大する行政需要に的確に対応していくためには、健全な財政運営が大前提であることは論を待ちません。健全な財政運営を果たされているか否か、財政運営の適正化の指標としまして、平成二十五年の予算に関する特別委員会における締めくくり総括質疑で申し上げましたが、我が党は健全な財政運営の目安としまして、一つが起債の活用は、実質公債費比率の五パーセント程度を目安にし、起債残高の歳出に占める割合を三〇パーセント台で維持すること、二つ目は、財政調整基金の残高は、標準財政規模の一〇パーセント以上を確保すること、三つ目は、経常収支比率は九五パーセント程度を上限とすること、四つ目は人件費比率は二〇パーセント台前半以内に維持することを提案しております。 直近の平成二十八年度決算におけるこれらの財政指標の数値を見ますると、いずれも我が党が提案した水準の範囲内であり、まさに引き続き健全な財政状況を維持しながら、さまざまな行政需要に的確に対応されていることは大いに評価されるべきものであります。 さて、いち早く公会計改革に取り組まれてきた荒川区においては、平成二十八年度から複式簿記・発生主義会計による新公会計制度が導入され、今までの公会計では把握できなかった資産、負債などのストック情報や将来の債権債務、減価償却費などを含めた各事業ごとのフルコストの情報の把握が可能となり、より精緻な行政コストの把握ができるようになったわけであります。 すなわち、さきに述べた実質公債費比率や経常比率等の指標に加え、行政評価に財務諸表を取り入れることにより、さまざまな角度から財務分析を行い、行政改革をさらに推し進めるためのツールが整ったと考えております。 例えば、これまでの保育園の民営化を議論する中では、園児一人当たりに係るコストを明確に把握することは困難でありましたが、今回の新公会計制度導入により、施設の減価償却費や退職手当引当金等、これまで潜在化しているコストが把握できるようになったわけであります。 区においては、さきの決算に関する特別委員会におきまして、我が党の中島義夫議員からの質問に対し答弁されておりましたが、保育サービスのコストを園児一人当たりの一般会計ベースで比較しますると、区立保育園は私立保育園の約二倍かかっていることがわかりました。 このように具体的に出てきた数値を分析し、今後の保育園はどのようにあるべきか、民営化の進め方、保育料のあり方等をベースにしっかりと議論する必要があると考えております。 保育園はあくまでも一例でありますが、このように新公会計制度を活用し、財務諸表の数値をしっかりと分析検討し、さらなる行政改革を進めるなど、今後の行財政運営を図るべきと考えますが、区の見解をお伺いいたします。 次に、新公会計制度導入を契機とした職員の意識改革、人材意識につきましてお伺いします。 今回の新公会計制度の導入は、荒川区の職員のコスト意識の向上、政策形成能力の育成にとって大きなきっかけになるものであります。まずは管理職が率先して新公会計制度の導入の意義を深く認識するとともに、自分の所管する分野については、財務諸表を読み解き、そこから課題を見つけ、新たな事業の創出や見直し等ができるようになる必要があると考えます。 管理職がそのような目標を持ち努力をすることで、部下の職員一人一人もおのずと自分の担当する事務を発生主義の視点を加えたさまざまな視点から分析し、課題解決をしていくことができるようになるのではないでしょうか。 荒川区の職員が組織の隅々まで、そのような意識を持ち、新公会計制度を十分に活用しながら、区民サービスの向上につなげていける体制を目指すべきと考えますが、区の見解をお伺いします。 続きまして、基金等を活用した中長期的な財政運営について、私の考えを述べておきたいと思います。 さきに述べましたように、区の財政状況がここまで改善したのは、私ども自由民主党荒川議会議員団が主張し続けてきた徹底した行政改革に区が熱意を持って取り組んできた結果であると評価しております。西川区長就任直後の平成十六年度決算と現在の平成二十八年度決算とを比較する中で、最も端的な変化を申し上げるならば、基金残高が百七十五億円から三百二十七億円と百五十二億円増加したのに対し、負債残高は三百六十億円から百九十八億円と百六十二億円減少し、実質三百十四億円の改善が出されたことであります。 財政調整基金については、あまり積み立てずに使うべきというような乱暴な議論も聞かれますが、この間、リーマンショックにより急激な景気後退等に伴って財政調整基金交付金が大きく落ち込んだ際も、区が行政水準を安定的に維持することができたのは、そうした事態に備えて積み立てられてきた財政調整基金があったからにほかなりません。必要なサービスをしっかり提供しながら、備えも着実に行ってきたこれまでの区の努力を高く評価したいと思います。 このように財政調整基金は、財政環境の変化に耐え、安定的な財政運営を維持するために極めて重要な基金でありますが、どの程度、積み立てておくべきかは、年度の一般財源総額の大きさでありまする標準財政規模の比較でしばしば論じられております。 平成十六年度末の四十四億円は、当時の標準財政規模の八・五パーセントでしたが、平成二十八年度末の百六十八億円は、同年度の標準財政規模の二八・四パーセントに及んでおり、財政運営の安定性が着実に高まっていると言えます。 一方、区の財政力に目を転じますると、いわゆる財政力指数は〇・三前後で長年変化しておりません。自主財源の根幹をなす特別区税は、平成十六年度の百十一億円から平成二十八年度百六十七億円と緩やかに増加してまいりましたが、一般財源の多くを依存財源である財政調整交付金によって確保せざるを得ない財政構造は、一朝一夕に変わるものではありません。 こうした荒川区の財政基盤の脆弱性を踏まえますると、本区の財政調整基金の適正規模は、一般的に適正と言われている水準よりも高目に確保しておくべきであり、私見を申し上げるならば、二二パーセント程度を上限の目安として捉え、これを超える額は公共施設整備等義務教育施設のための特定目的基金に回していくべきではないかと考えております。 なぜならば、同基金の資金需要は、将来の改築あるいは建て替えだけにとどまらず、例えば大規模改修により長寿命化できる公共施設を精査して対応するにも、公共施設等整備基金の積み増しが必要であり、学校の大規模改修や避難所となる学校体育館の空調設備なども大きな資金需要として義務教育施設整備基金の積み増しが必要だと考えるからであります。 当然、両基金の活用だけでは賄い切れない財源については、これまで同様、起債の併用が不可欠になるでしょうが、起債額を抑制する意味においても、施設整備基金をより計画的に、より確実に進める上においても、施設整備のための両基金の積み増しが重要と考えますが、区の見解をお伺いしておきます。 次に、区内小中学校及び生涯学習センター体育館への空調設備の設置について、より具体的にお伺いします。 ここで改めて申し上げることもありませんが、学校施設は子どもたちの学習・生活の場であるとともに、住民に身近な公共施設であり、災害時には地域住民の避難所としての役割も果たすことから、必要な機能を整備していくことが極めて重要だと考えております。 実際に災害時において、多くの学校施設が身近で重要な避難所として、大勢の地域の方々に利用されておりましたが、実際には多くの課題もあり、その中でも学校体育館には空調設備が必要であることが指摘されております。 災害は、いつ、どこで起こるかわかりません。もし真夏や真冬に大震災が発生し、学校体育館に避難が必要になった場合、空調設備がない状況では、高齢者の方々や小さい子どもたちをはじめ、避難される方々が耐えられるのかどうか、極めて深刻な問題であります。 学校体育館の空調設備の設置につきましては、かねてより自由民主党荒川議会議員団は大きな課題として、あらゆる機会に強く要望してまいりました。本年二月の予算に関する特別委員会の総括質疑におきましても、最初に提案されました故・守屋誠議員の遺志を引き継ぎ、早期に進めるよう求め、区からも前向きな答弁をいただいたところでございます。 空調設備については、さまざまな方式がある中で、今月二十一日に自由民主党荒川議会議員団では、二十三区で導入実績のある文京区と台東区を視察してまいりました。 台東区では、ガスヒートポンプエアコン方式の空調設備を導入しており、体育館一校当たりの平均設備整備費は約二千三百万円であり、工事による体育館の閉鎖期間は約二カ月でありました。加えて、一台につき土台から含めて約一トンの重量がある非常に大きな室外機を二台設置する必要があるなど、この方式においては、室外機の設置場所の確保など、短期間で導入することは難しいとの印象を持ちました。また、動力源が都市ガスであるために、現に東日本大震災では、その復旧に一カ月強の期間を要したように、震災時のライフライン復旧までの対応が懸念されます。 一方、文京区においては、大風量による体育館内の空気を循環させることのできる設置型の冷暖房機を導入しており、視察した学校の年行事においても効果を発揮したと伺っております。この方式であれば、室外機もコンパクトで設置場所を選ばず、工事期間も一カ月以内と短いことから、一括導入が可能である上にコストも相当抑制できるという印象を持ちました。 視察検証を踏まえますると、文京区で導入する方式を用いて、早期に全校体育館への設置を実現すべきと考えます。導入するに当たりましては、避難所となる学校体育館は生涯学習センター体育館を合わせて三十五カ所ありますが、それぞれの学校で空調効果に差が生ずることのないように、異なる状況下での早期の検証を踏まえた上で、学校トイレの洋式化改修以上のスピード感を持って短期間で全校に設置すべきと考えますが、教育委員会の見解と決意をお伺いしておきます。 次に、手話言語条例の制定についてお伺いします。 昨年の十一月会議におきまして、我が党の茂木弘議員から、聴覚障がい者にとって手話は音声言語と対等の言語であるということを正しく理解し、広く広める視点から、手話を言語として明確に位置づけ、手話がより一層広がるよう積極的に取り組むための手話言語条例の制定に対する質問がありました。そして、私は、本年二月の予算に関する特別委員会の総括質疑におきまして、条例制定の具体的な予定について質問し、区から早期に区議会への上程を目指すとの答弁をいただいたところでございます。 その後、区では、条例制定に向けまして準備を進めていることと思いますが、条例制定に当たっては、障がい当事者の意見などを時間をかけて丁寧に聞き取り、その思いを生かしていくことが最も重要なことであると考えております。すなわち、障がい当事者が条例制定過程に参加し、当事者と行政がともに考え、思いを十分に盛り込んだ手づくりの条例の制定を進めるべきでありましょう。 荒川区聴覚障害者協会におきましても、一つ、荒川区で手話言語条例を制定しよう、二つ、荒川区聴覚障害者協会の会員の皆さんと一緒につくろう、三つ、どんな荒川区にしたいですかの三つのスローガンを掲げ、手話言語条例の制定に向けての勉強会を開催していると聞いております。必ず当事者と行政がともに考えるすばらしい手づくりの手話言語条例が制定できると確信いたします。早期実現を前提としながらも、ともに考える時間の確保を考慮しますると、時期としては平成三十年度六月会議の上程を目指すのが適切であると考えますが、区の見解をお伺いしておきます。 あわせて、区にお願いしておきたいのは、聴覚障がい者にとって命とも言える手話を広く区民の皆様に広げるためには、条例の実効性を担保する取り組みが今から必要であります。条例制定の取り組みと並行して、平成三十年度の予算案にはぜひとも手話言語条例の実効性がより高まるための具体的な事業を企画し、そのために必要な経費を盛り込んでいくべきと考えます。 例えば、自治体の窓口にタブレット端末を配置し、テレビ電話機能により遠隔にいるコールセンターの手話通訳者が画面越しに通訳を行うことで聴覚障がい者と自治体職員のコミュニケーションを円滑に進める仕組みである遠隔手話通訳サービスを導入している自治体もあると聞いております。荒川区でも導入を検討してみてはいかがでございましょうか。 また、タブレット端末を活用するのであれば、外国語に対応する仕組みもあわせて検討することで、さらなるタブレットの有効活用を図ることができると考えます。タブレット端末の活用は、あくまでも一例でありますが、区の見解をお伺いしておきます。 次に、地域包括支援センターの機能強化についてお伺いします。 地域包括支援センターは、申し上げるまでもなく、権利擁護、総合相談、介護予防ケアマネジメント、包括的・継続的ケアマネジメントを四つの柱として、社会福祉士、保健師、主任ケアマネジャーの専門職員が配置され、それぞれの専門性を発揮し、チームで解決することを前提として体制づくりがなされております。 昨年度から、私は平成二十七年度九月会議で提案した認知症地域支援推進員が配置されたことにより、認知症に関する啓発と本人や家族に対するケアに関する業務などが追加され、介護サービスについての最初の窓口の機能のみならず、高齢者本人はもちろんのこと、家族や地域住民の頼れる相談窓口としてますます重要な存在になっていることは論を待ちません。 そして、団塊の世代全てが要介護リスクの高まる七十五歳を超える二〇二五年を見据えたとき、地域包括ケアシステムをさらに推進していくことが必要不可欠であります。そのためには、これまで以上に地域包括支援センターが機能を発揮し、地域で活躍できるようにしなければなりません。 しかしながら、現実の問題としまして、区民からのさまざまな相談への対応、関係機関との調整、行政関係の会議、地域の会議、成年後見や虐待ケース、ケアマネジャー後方支援、さらには区からの委託による介護予防事業など多くの業務を抱え、現行の体制ではあれもこれもと手に負える量ではないというのが現実ではないでしょうか。それがゆえに地域包括支援センターの職員が持つ専門性が生かされていない状況であると思えてなりません。 また、職員の採用や雇用継続の困難さも言われております。そのような状況の中で、地域包括支援センターの職員の方は日々悩みながら懸命に仕事に向き合っているのが実情であります。頭の下がる思いであります。 ますます重要となる地域包括支援センターの機能を強化する上においても、そのような職員の方の御努力に報いるためにも、地域包括支援センターの課題を整理し、課題解決に向けて行政が支援していくことが必要であります。 あくまでも私見でありますが、課題対応策について何点か述べておきます。 まず一つ目の課題は、専門性の高い権利擁護関係は社会福祉士、医療ケアが必要な方は保健師が担当するのが適当であるにもかかわらず、現状では最初に相談を受けた職員が継続し、相談等に対応する条項もあり、必ずしも適切な専門職に対応になっていない場合があります。そして、二つ目の課題は、書類作成等の事務処理を含め、地域包括支援センターの業務が繁忙のため、本来はセンター業務マネジメントする役割を担っているセンター長がその機能を発揮できず、その結果、専門職で対応しなければならないケースも専門職以外で対応し、対応が後手になることもあります。同様に、チームとしての対応ができない場合があります。ほかにも職員間での対応ケース数に差が出てしまう場合があります。 これらの対応策につきましては、一つは、センター長地域包括支援センター全体の業務をマネジメントや他の職員への支援等を行うための時間を確保できるよう人員体制の強化を図るための支援であります。そして、二つ目は、高齢者みまもりステーションと地域包括支援センターの契約を一体化し、センター長の業務調整等により職員間でのケースの情報共有等業務のやりくりをしやすくすることであります。そして、三つ目の課題は、認知症支援推進員地域包括支援センターの業務を兼務できない仕様となっており、結果として認知症の個別対応が行えない地域包括支援センターもあるということであります。この対応策につきましては、認知症地域支援推進員についても、地域包括支援センター業務を兼務できるようにすることで、より地域包括支援センターの運営の自由度を高めることでとないでしょうか。 そして、総合的な対応策につきましては、一つはボランティアの活用であります。具体的には、閉じこもり予防のための外出支援については、一部をボランティアが担うことで、専門職はより専門性を生かした対応に重点を置くことができ、そしてボランティア地域包括支援センターの業務を一部を担うことで、地域包括支援センターと地域とのかかわりが深まるとともに、支援されるほうはボランティアの介在によって地域とのかかわりが生まれ、ひいては地域ぐるみで高齢者の孤立防止に取り組めるという相乗効果が生まれます。 なお、花の木ハイム荒川におきましては、関係近隣九町会で組織され、そして、服部敏夫議員吉田詠子議員と私が顧問をさせてもらっておりまする「共に支えあうやまぶき会」、これを参考にしたらばどうでございましょうか。 そして、二つ目でございますけれども、地域包括支援センターの圏域を細分化することであります。 第七荒川区高齢者プランの素案では、地域包括支援センターの圏域をこれまでの五圏域から地域包括支援センターの設置状況に合わせて八圏域に見直されております。高く評価をしたいと思います。今後も高齢者人口の推移や環境の変化に応じて柔軟に見直しをしてもらいたいと思います。 そして、地域包括支援センターの機能強化は、将来にわたり介護保険制度の持続可能性を高め、あわせて健全な区財政を維持していく上にも欠かせないと考えております。つまり介護費用の抑制には第七荒川区高齢者プランでも重点としている介護予防と重点化予防に力を注ぐことが不可欠であり、それらの推進に重要な役割を担うのが地域包括支援センターであります。こうした視点も含めて、地域包括支援センターの機能強化の重要性について、どのように認識され、先ほど申し上げた課題解決に向けてどのように具体的に対応されるのか、区の見解をお伺いします。 次に、さきの決算に関する特別委員会におきまして、我が党の町田高議員より質問がありました老朽長屋の建て替えや除却への対応について改めてお伺いします。 平成二十五年度住宅・土地家屋統計調査によりますると、区内の住宅総数九万七千六百二十戸のうち長屋は千二百八十戸あると推計され、長屋一棟とした見た場合に四百棟から五百棟あると言われております。これらの長屋は、戦後から昭和三十年代にかけて数多く建設されており、老朽化による劣化や損傷が進み、また、現在の耐震基準も満たしていないにもかかわらず、建て替え等の更新が一向に進んでいないのが現状であります。 建て替え等の更新が一向に進んでいない最大の理由は、権利者、すなわち、お隣からの同意を得るのはもちろんでありますが、同意が得られたとしても、お隣の壁や柱の補修費用といった新たな費用負担が発生するなど、資金面にあることは論を待ちません。もちろん長屋一棟単位での建て替えや除去に対する区の助成制度があることは承知しております。しかし、長屋の権利者同士が同時期に建て替えや除却を行うことは、個々の事情もあり極めて難しいことも現実であります。 実際に長屋にお住まいの方から、お隣の同意が得られたのに、単独ではそれらの助成制度を活用することができないといった声が私どものところに寄せられております。これではせっかく建て替えや除却の意向を持っているのにまちの安全性を高める機会を逃すことにもなりかねません。老朽長屋の解消に向けまして、助成制度を建物の状況に合わせて柔軟に運用できるような荒川区独自のルールづくりを早急に進めるべきと考えますが、区の見解をお伺いしておきます。 次に、荒川区芸術文化振興基金についてお伺いします。 本年六月、文化芸術振興基本法が改正され、文化芸術基本法が成立しました。六月におきまする与野党の対立の影に隠れてほとんど注目されなかった法律でありますが、私は今後の文化芸術の振興の面では、極めて重要な法律であると思えてなりません。 すなわち、一つには、新法は文化芸術の固有の価値あるいは伝統文化の継承を大切にしつつも、初めて文化芸術を観光、まちづくり、国際交流、福祉、教育、産業など、さまざまな分野の施策と有機的に結びつけていく必要性を明確にし、法律の範囲に取り込んだからであります。 二つには、文化芸術を担う団体への期待であります。旧法では国の役割に重きを置いておりましたが、新法は文化芸術団体の自主的かつ主体的な活動の重要性に言及し、文化とは国が上から号令をかけるものではなく、個々の文化芸術団体の主体的な取り組みの中から生み出されるとの認識を明確にしたからであります。 私ども荒川区は、いち早くそのような理念を明確にし、自民党荒川区議会議員団の強い要請に応え、一昨年、荒川区芸術文化振興基金を創設し、今年度から基金を活用した事業が実施されているところであります。先ほど申し上げましたように、伝統文化の継承を前提としながらも、幅広い関連分野との連携を視野に入れた総合的な文化芸術施策の展開が求められる今日、現在の基金の活用状況及び今後どのような理念でどのように活用されるのか、区の見解をお伺いしておきます。 先ほど芸術文化基本法の趣旨は、文化芸術の振興にとらわれず、観光、まちづくり等の分野を含めて総合的に推進していくことであること述べさせていただきました。そのような流れから、私が地域資源の一つとして以前から申し上げてきた太田道灌についてお尋ねいたします。 太田道灌といえば、周知のように、江戸城を築いた室町時代の武将であります。太田道灌は関東一円にゆかりがあり、各地に史跡等が多く存在しております。川越市は川越城を太田道灌が築いており、市役所前には立像があります。伊勢原市は、太田道灌の墓所があり、毎年、伊勢原道灌まつりを開催しております。このほかにも太田道灌の菩提を弔っている寺社も各地に存在しております。特に太田道灌とは切っても切れない山吹伝説は、都内においては荒川区のほか、新宿区にもゆかりがあると言われております。 荒川区には、日暮里駅前には東京荒川ライオンズクラブが寄贈しました太田道灌像があります。そして、来年の五月には、同じく東京荒川ライオンズクラブの寄贈によりまして、山吹の里の少女像が日暮里駅前のイベント広場に寄贈される予定でございます。そして、西日暮里四丁目の「道灌山」という地名や泊船軒の山吹の塚、そして本行寺、太田道灌にまつわる史跡等が数多く存在しております。 これまで、区は、太田道灌を観光資源と認識はしつつも、有効に活用できていなかったのが現状ではないでしょうか。日暮里の活性化策として、さらに荒川区の文化力の向上においても、太田道灌をテーマとし、ゆかりのある自治体等とも連携したイベントの開催など、新たな誘客策に取り組むべきと考えますが、区の御見解をお伺いします。 以上で第一回目の質問を終わります。   〔区長西川太一郎君登壇〕 ◎区長(西川太一郎君) 北城貞治議員の御質問にお答え申し上げます。 初めに、新公会計制度について御答弁を申し上げます。 私は、常々、地方自治体を運営していくためには、職員の意識改革を図り、経営力を強化するとともに、区民の皆様への説明責任を果たすことがまことに肝要であると考えてまいりました。 このような認識のもと、区では、平成十九年に自治体公会計改革宣言を行いますとともに、平成二十年には総務省方式改訂モデルによる財務諸表を作成し公表するなど、いち早く公会計改革に取り組んでまいりました。 こうした取り組みの中で、本区の包括年次財務報告書が行財政運営に関する情報をバランスよく開示、説明していると評価され、早稲田大学パブリックサービス研究所のグッド・パブリック・ディスクロージャー賞を受賞いたしました。 その後も、この報告書を改善いたしますとともに、公会計情報を行政評価に適用するための分析活用の幅を広げてまいりました。そして、昨年度からは、より情報が精緻な分析によって可能になりますように、日々仕訳による本格的な複式簿記を導入し、このたび新たな公会計制度による初めての決算を取りまとめたところでございます。このことにより、これまでの取り組みに加えて、事業別、施設別にもストック情報やフルコスト情報を明らかにできるようになりました。 今後も、この取り組みを推進し、活用していくことによりまして、説明責任を確実に果たし、経営の視点に立って職員の意識改革に取り組むことをしっかりやってもらうように、直近、厳命を発したところでございます。 私は、真の費用対効果を見きわめまして、限られた財源を重点的かつ効果的に配分するなど、行財政運営の効率化、適正化を推進し、幸福実感都市あらかわを実現してまいります。 次に、私から北城貞治議員手話言語条例の制定につきまして答弁をさせていただきます。 聴覚障がい者の皆様にとって、手話は音声言語と同様に、生活していく上で必要な情報を得るため、そしてコミュニケーションを図るために不可欠のものであります。これまで大切に守り育ててまいりました言語であると私は認識をいたしております。 幼少時から私の家には個人的に言語が御不自由であった方を何人か私の暮らしのお世話をいただいたような貴重な経験を積んでまいりました。したがいまして、私はこの問題には人一倍敏感に対応しなければいけないと思っている一員でございます。 世界的な動きに目を転じますと、平成十八年、国連総会で採択されました障害者の権利に関する条約におきまして、手話が言語として位置づけられました。また、国内では、平成二十三年に改正された障害者基本法において、日本で初めて手話の言語性を認める法的な裏づけがなされました。私ども地方自治体におきましても、手話言語条例の制定に向けた動きが広がっております。 荒川区におきましても、これまで聴覚障がい者のコミュニケーションが円滑に行われますよう、さまざまな御支援を積極的に行ってまいりました。今般、さらに一歩前進するための取り組みといたしまして、北城貞治議員の御質問の手話言語条例、大変意義深いものと認識をいたしておりまして、現在、制定に向けた準備を進めております。 条例制定におきましては、これらを通じて手話が大切な言語であると宣言し、より多くの方に御理解いただくこと、そして、手話を普及するための具体的な取り組みを推進すること、心のバリアフリーが着実に区民の皆様の中に浸透していくように進めていきたいと考えております。 今後も、障がいの有無によって分け隔てられることのない、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に向けて、全力で取り組んでまいりたいと存じます。 これ以外の御質問につきましては、関係理事者から御答弁を申し上げます。   〔総務企画部長五味智子君登壇〕 ◎総務企画部長(五味智子君) 新公会計制度を活用した行政改革についての御質問にお答えいたします。 議員御指摘のとおり、今後、新公会計制度を活用した行政改革をさらに推進していくためには、複式簿記の導入や財務書類の作成にとどまるのではなく、これらを行財政運営にいかに生かしていくかが重要であると考えております。例えば、例に挙げられました保育サービスの園児一人当たりのコストの分析は、フルコストを用いた比較によってより明確化され、これまでの区の民営化に関する取り組みの有効性が実証されたものと考えているところでございます。 このように、財務諸表の数値を活用し、事業の見える化を図ることで、改善や見直しにつなげてまいりたいと考えております。今後も効率的かつ効果的な事業運営を進め、区民サービスのさらなる向上に努めてまいります。   〔会計管理部長石澤宏君登壇〕会計◎管理部長(石澤宏 君) 新公会計制度導入を契機とした職員の意識改革についての御質問にお答えいたします。 区では、公会計情報の活用に取り組んでまいりましたところ、昨年、日々仕訳の本格的な複式簿記の新公会計制度を開始し、このたび初めての財務諸表を作成したところでございます。 この取り組みを議員の御質問のとおり、事務事業の評価や見直し、施設の維持管理、さらに予算に反映させるなど、区政のマネジメントサイクルに結びつけることで、区の行財政運営をこれまで以上に効率的、効果的に行うことができると考えております。そのために、財務諸表から得られる情報を読み解き、使いこなせるよう、職員研修等を鋭意実施し、職員の能力開発に努めてまいります。 区といたしましては、この機を捉え、管理監督者が率先して主体的に新公会計制度の活用に取り組むことで、経営の視点を持って区政課題への対応に努めるという職員の意識改革を促進し、区民サービスの向上を目指してまいります。   〔財政担当部長宮腰肇君登壇〕 ◎財政担当部長(宮腰肇君) 基金等を活用した中長期的な行財政運営についての御質問にお答えいたします。 「入るを量りて出を制す」という言葉がございますが、これは現在にも通ずる行財政運営の要諦と言えます。しかし、現実には「入るを量る」にも、各種制度の変更や経済の動向に税収等が左右されるため、財源には予測困難な変動がつきものであります。 財政調整基金は、まさにそうした財源の変動に備えて一般財源として積み立てておくものであります。このため、一般財源の多くを特別区財政調整交付金に依存している荒川区にとって、みずからの意思で安定的な財政運営を維持していくための重要な財源手段となる財政調整基金の残高については、区といたしましても、一般的な水準より高目に確保しておく必要があろうかと考えております。 一方、公共施設や義務教育施設につきましては、御質問のとおり、改築や長寿命化に向けた大規模改修などが控えており、起債額を健全な範囲内に保ちながら、それらの膨大な資金需要に対応していくためには、両基金並びに特別区債等管理基金への積み増しが必要不可欠と考えているところであります。 財政調整基金を適正に保ちつつ、必要な特定目的基金の積み増しを行うべきとのこのたびの御提案は、まさにそうした私どもの考えと軌を一にするものと承りました。現在、新年度予算の編成中でありますが、御質問の趣旨を十分に踏まえながら、中長期的な視点に立った適切な行財政運営に努めてまいります。   〔教育長高梨博和君登壇〕 ◎教育長(高梨博和君) 学校体育館への空調設備の設置に関する御質問にお答えいたします。 学校体育館は、非常災害時には避難所として中心的な役割を担うものとして、平時の児童・生徒の安全確保を含め、防災機能の強化は極めて重要でございます。その中で、学校体育館への空調設備の設置につきましては、昨年四月に発生した熊本地震において、多くの学校施設が避難所として大勢の方々に利用される中、その重要性が改めて指摘されております。 教育委員会では、これまで関係部署と連携しながら、さまざまな空調方式を研究し、他自治体における設置事例を調査するなど、効率的かつ効果的な空調設備の導入に向けた検討を重ねてまいりました。 御質問にございますとおり、ガスヒートポンプ方式につきましては、冷暖房機能が高く、作動音も静かでありますが、工期が長く、動力源となる都市ガスは震災時の復旧に時間を要し、また、耐震性の高い中圧管を活用する場合には多額の工事費を要するといった面がございます。 一方、電気を動力源とする設置型の冷暖房機につきましては、コストが安価で工期が短いことから、学校体育館への全校導入を早期に実現する上では大変有効であると認識しておりますが、大規模な施設への導入が開始されて間もないことから、効果についての実証データは限られており、議員御指摘のとおり、検証が必要であると存じます。 災害時の避難所という観点からは、早期の全校導入の視点は欠かせないものであり、体育館の規模や状況に応じた空調効果等の検証結果を踏まえ、可能な限り早期設置が実現できるよう、スピード感を持って全力で取り組んでまいります。 教育委員会といたしましては、引き続き関係部署と連携を図りながら、教育環境のさらなる充実を図るとともに、学校施設の安全性や防災機能の一層の強化に努めてまいります。   〔福祉部長片岡孝君登壇〕 ◎福祉部長(片岡孝君) 手話言語条例の具体的な準備に関する御質問にお答えいたします。 区では、条例制定に向けた過程として、障がい当事者から御意見をいただき、ともに考えていくことが最も重要なことであると認識してございます。 このような考えのもと、区では、聴覚障がい者団体や手話通訳者の皆様を交えた検討会を設け、手話に対する強く熱い思いをいかに広く区民の皆様に伝えていくことができるのか等について議論を深めてまいりました。 区では、幸福実感都市を目指す荒川区らしい温かみのある条例制定を目指し、今後も障がい当事者等との対話を重ね、御質問の趣旨を踏まえて準備を進めてまいります。 そして、条例制定の目的は、手話を言語とする方が気兼ねなく手話でコミュニケーションが図れる地域づくりを進めることにあります。区といたしましては、あらゆる機会を通じて手話を区民の皆様に浸透させる機会の拡大を図ることが重要であると考えておりますので、御提案のタブレットを活用した手話通訳サービスにつきましても、導入に向けて検討を進めてまいります。 今後とも、手話をはじめ障がいに対する理解を促進するための事業を積極的に進め、障がいのある方もない方もともに笑顔で安心して暮らせる地域社会の実現を目指してまいります。 次に、地域包括支援センターの機能強化に関する御質問にお答えいたします。 急速な高齢化や人口減少等が進行する中にあって、いかに介護保険制度を安定的に運営していくのかは、我が国にとって、そして保険者である区市町村にとって喫緊の課題であります。そのため、区では、第七荒川区高齢者プランにおいても、介護予防と重症化予防の推進を全面に打ち出し、その取り組みの中心に地域包括支援センターを位置づけております。 一方、地域包括支援センターは、御指摘のとおり、専門性を十分には生かし切れていない部分もございます。今後、議員御提案の趣旨を踏まえ、区からの委託等を見直し、業務の効率化を図るとともに、センター長がチームリーダーとして、また、ボランティア等と日常生活に支援が必要な高齢者とのマッチングを行う生活支援コーディネーターとして十分に機能できる体制を整備し、あわせて日常生活圏域につきましても、柔軟に見直しを行ってまいります。 区といたしましては、御紹介をいただいた事例を含め、地域包括支援センターが地域とのかかわり合いをさらに深め、介護予防や重症化予防の活動の推進役を十分に果たせるよう、今後ともセンターの機能強化に努めてまいります。   〔都市計画担当部長松崎保昌君登壇〕 ◎都市計画担当部長(松崎保昌君) 老朽長屋の建て替えや除却への対応に関する御質問にお答えいたします。 区では、平成十七年度に木造建物耐震化推進事業を創設し、旧耐震基準で建築され、大規模な地震によって倒壊のおそれがある住宅の耐震化を支援するため、補強や建て替え費用の助成を行ってまいりました。加えて、平成二十五年度からは、木造住宅密集市街地における不燃領域率向上のスピードアップを図るため、不燃化特区制度を導入するなど老朽建築物の建て替えや除却費用にかかわる助成制度の充実を図ってまいりました。 御質問の老朽長屋につきましては、住戸ごとに権利者が異なり、権利者それぞれの事情から個々に建て替えや除却や行う意向があることは、区といたしましても認識しております。しかしながら、現行の助成制度では、建物一棟単位でなければ活用できないといった状況でございます。 この問題につきましては、さきの決算に関する特別委員会における御党からの御質問をきっかけに、東京都とも相談しながら、現在検討を進めているところでございます。区といたしましては、一定程度の安全性を確保しながら、老朽長屋の建て替えや除却を一戸単位でも進めることができる柔軟な制度運用について、今後も引き続き検討を進めてまいります。   〔地域文化スポーツ部長池田洋子君登壇〕 ◎地域文化スポーツ部長(池田洋子君) 芸術文化振興基金に関する御質問にお答えいたします。 御質問にもありましたように、本年六月の文化芸術基本法の改正は、芸術文化施策の後押しとなる重要な法改正であったと認識しております。御提案をいただき創設いたしました荒川区芸術文化振興基金につきましては、未来を担う子どもたちへの良質な芸術文化の提供、伝統文化や伝統技術を次世代に伝える取り組みの推進、東京オリンピック・パラリンピック開催に伴う文化プログラムの実施の三つを柱として活用を図っております。今年度は教育委員会と連携した小中学校での和楽器等の充実など、伝統文化教育に対して基金を活用しているところです。 また、新たな事業への活用といたしましては、六月にサンパール荒川において二千名もの御来場をいただいた子ども文化体験フェスタ、八月の東京藝大学音楽学部による親子コンサート、さらに来年二月には、障がい者の方々のアート展を実施するほか、三月には区民ミュージカルを支援する予定です。 基金の活用は、子どもたちが伝統文化や質の高い芸術に直接触れる機会をふやし、日ごろの成果を発表する場を創出するなど、子どもたちの創造力を高めることにつながっております。 今後とも、文化団体連盟をはじめ区内関係団体の皆様の御意見を踏まえ、基金を効果的に活用し、観光や産業、まちづくりなど、新たな視点からさまざまな分野との連携を深め、総合的に芸術文化の施策を推進してまいります。   〔産業経済部長石原久君登壇〕 ◎産業経済部長(石原久君) 太田道灌をテーマとした新たな誘客策の取り組みについての御質問にお答えいたします。 御質問にもありましたように、区におきましても、太田道灌とゆかりのある地名や史跡が区内に残っていることから、荒川区にとって貴重な地域資源であると認識しております。その文化的な価値は高いものであり、先般、荒川ふるさと文化館の協力を得て、区報Jr.で太田道灌に関する記事を四回にわたって連載したところでございます。 議員の御提案にもありますように、今後新たに日暮里駅前にある太田道灌像を中心として、区内各所にある太田道灌ゆかりの史跡等を結び、また、川越市や伊勢原市などの太田道灌ゆかりの地域とも連携した取り組みを日暮里地域で行えるよう引き続き検討してまいります。   〔北城貞治君登壇〕 ◆十九番(北城貞治君) 八点にわたる質問に対しまして、前向きな御答弁、本当にありがとうございます。 まず、新公会計制度による財務諸表の活用の件についてでありますけれども、この活用によりまして、コスト意識の向上と同時に、政策形成能力の向上、あるいは、もう一つ大切なことは、区民の皆様への説明責任の向上であると思っております。 そして、ぜひお願いしたいことは、説明するに当たっては、紋切り型の説明ではなく、そしてまた、専門用語の羅列ではなくて、わかりやすい言葉を使って説明をしてもらいたいと思っております。そして、わかりやすく説明をするためには、その事案に対しまして、熟知をしていなければ、わかりやすい説明ができません。したがいまして、わかりやすい説明をすることによりまして、説明側の能力も増すであろうと、こんなふうに思っております。私自身もこれを契機に一から勉強させてもらいたいと、こんなふうに思っております。 そして、もう一つであります。学校体育館及び生涯学習センター体育館への空調設備の設置についてであります。 今、高梨教育長から本当に力強い御答弁がありました。心強く感じました。願わくば、平成三十年度一年間をもって検証していただき、その翌年、平成三十一年度一年間をもって全校導入を果たしてもらいたいと自民党荒川区議会議員団を代表しまして強く要請をしておりますので、どうぞともども区長部局のほうも御留意のほどお願い申し上げます。 そして、福祉関係で二つほど質問させてもらいました。手話言語条例、国におきましては、手話言語法の制定が遅々として進んでおらないのが現実であります。しかしながら、荒川区におきまして、来年の六月会議において手話言語条例を制定することによりまして、それが先導的な役割を果たしまして、国の手話言語法制定への道にもつながっていくと確信しておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げたいと思っております。 これはあくまでも一般論であります。どのようなすばらしい政策を構築しましても、相手に寄り添う気持ちがなければ、実りある政策の実行はできません。福祉部には、相手に寄り添う気持ちを学ぶ現場があります。福祉部で経験されたことは、必ず今後の行政運営につきまして、はかり知れないほどの大きな力が発揮できると、こんなふうに思っておりますので、どうぞ福祉部関係の方々、頑張ってもらたいと期待をしております。 そして、太田道灌の関係でございます。 昨日、西川区長も同席をしていただきましたある会で、太田道灌十八代子孫の太田資暁様とお会いすることができました。本日太田道灌公の質問をするというような報告をさせてもらいましたところ、大変喜んでおりました。そして、いかなる協力もするというような言葉もいただいておりますので、この際、御報告を申し上げたいと、こんなふうに思っております。 今後、自由民主党荒川議会議員団は、今ある施策につきましても、しっかりと点検を行い、改善すべき施策につきましてはしっかりと指摘し、改善を求め、直面する課題につきましては、愚直に立ち向かい、学校体育館の空調設備の政策提言のように、あらゆる具体的な政策提言を求めながら、その実現に向けまして、最善の努力をさせてもらいたいと思っております。そして、同時に、費用弁償の廃止、政務活動費の大幅削減、通年議会の導入を主導したように、今後も議会改革を主導しながら、全力で西川区政を支えますることを披瀝させてもらいまして、私の質問を終了いたします。御清聴まことにありがとうございました。
    ○議長(鳥飼秀夫君) 二十八番菊地秀信議員。   〔菊地秀信君登壇〕   〔議長退席、副議長着席〕 ◆二十八番(菊地秀信君) 公明党荒川区議会議員団を代表し、質問いたします。西川区長をはじめ関係理事者の皆様には、前向きな御答弁を賜りますようお願い申し上げます。 質問の第一は、教育改革の推進についてです。 先月の解散総選挙で公明党は、国づくりの基本は人づくりであり、人への投資が未来を開くという考えから、幼児教育から大学を含む高等教育までの大胆な教育無償化を公約といたしました。 公明党は、結党前から教科書無償配布を実現するなど、半世紀もの間、教育負担の軽減に取り組んできました。返済不要の給付型奨学金は今年度からスタートし、幼児教育の無償化についても、その対象を広げるなど、枚挙にいとまがありません。 戊辰戦争に破れた長岡藩は、見舞いとして送られた米百俵を藩士に分配せず、学校を設立しました。教育への投資は、教育こそ人材を育て、国やまちの反映のもととなるという、この米百俵の精神に通ずるものです。 荒川区も未来を開く子どもたちのため、ゆいの森あらかわや全国に先駆けたタブレットパソコンの導入など、積極的に教育への投資を行ってまいりました。これからも子どもたちが安心して教育サービスを受けることができる環境整備に全力を尽くすことを要望させていただきます。 そこで、教育改革の推進について、四点質問いたします。 一点目は、誕生学の実施校の拡大についてです。 いじめを防止するためには、人をいじめるという卑劣な行為に至った側の心の変革をもたらさなければなりません。そのためには、人権の尊重や生命の尊厳といった他者を思いやる気持ちを育んでいく必要があります。 私は、四年前の本会議において、赤ちゃんと触れ合うことから命の大切さを学ぶ誕生学を通して心の教育を推進するべきであると訴えてまいりました。その後、区立尾久西小学校では、小学校五年生を対象とした誕生学の授業が実施され、命の尊さを実感する貴重な体験となったことがホームページにも記載されております。 少子化や人とのつながりが薄れている社会にあって、赤ちゃんに接する機会が減っている子どもたちにとっては価値あるひとときであったに違いありません。また、この授業を受けた子どもたちが大人になり、親になったときには、児童虐待の防止にもつながると私は考えております。 誕生学の実施校を拡大し、荒川区の全ての子どもたちがこの教育プログラムを体験できるようするべきであると考えますが、区の見解を伺います。 二点目は、SNSを活用したいじめ相談窓口の設置についてです。 いじめ対策において防止策とともに重要なことは、対応策です。私がいじめによる自殺などの重大事態に対応するため、いじめ対策機関を条例設置するよう求めたのはちょうど一年前の本会議でした。その後、荒川区教育委員会は、荒川区いじめ問題対策連絡協議会等の設置に関する条例を本年四月一日より施行し、その姿勢を評価いたします。 今回の提案は、そのような重大事態に至る前にいじめを早期発見・解決するための対策として、多くの若者がなれ親しむLINEなどのSNSを活用するというものです。 最近の若年層の交流手段は、音声通話よりもネット上でのメッセージをやりとりするSNSを活用したものが圧倒的に多くなっております。長野県では、LINEアカウント「ひとりで悩まないで@長野」を開設し、県内の全中高生十二万人に学校を通じて案内資料を配布しました。そうしたところ、二週間で前年度一年分の電話相談件数二百五十九件を大きく上回る五百四十七件もの相談が寄せられました。このような事例は、滋賀県大津市や千葉県柏市など他の市区町村にも広がっております。 SNSをめぐっては、そのやりとりがいじめにつながったり、思わぬ事件に巻き込まれたりと負の側面があることは確かです。しかし、その活用の仕方次第でいじめの早期発見、解決にも結びつくことができます。荒川区の現在のいじめ相談窓口の現状と今後のSNSの活用について伺います。 三点目は、体罰をなくす指導の徹底についてです。 平成二十八年度、都内公立学校の体罰調査が行われ、区立尾久八幡中学校において体罰事例が一件報告されました。その昔は、情熱を持った教師が生徒たちを殴り、荒れた学校を立て直すというテレビドラマもありましたが、教育現場に限らず、暴力は許されることではありません。 先日、世田谷区の中学生がジャズトランペット奏者日野皓正氏に指導を受け、成果を発表するイベントがありました。これは体験学習の一環として世田谷区教育委員会が主催するもので、十三年目を迎えるものです。このコンサートの中、男子生徒が身勝手な演奏を続けたため、日野氏が壇上で生徒の髪をつかみ、往復ビンタをするという様子が情報番組で放送されました。 これがもし会社の上司と部下の間で行われれば、それはパワハラであり、場合によっては暴行罪や傷害罪ということにもなります。私も十年間、教育現場におり、言うことを聞かない生徒について悩んだ経験がありますが、どんな生徒に対しても暴力を振るったことはありません。 子どもの権利条約が日本で批准されており、二十年が経過しております。区教育委員会は、体罰事例について、子どもは劣った人間ではなく、一人の人間であるとの考えに立ち返り、厳正なる対応と再発防止に努めることを求めます。 四点目は、教員の多忙化解消についてです。 文部科学省による公立小中学校教員の実態調査では、一カ月の時間外勤務が月八十時間を超える教員が小学校で約三割、中学校で約六割に上るなど、十年前の前回調査より過酷な勤務実態が明らかになりました。 私は、今回で七回目となる一般質問の全てで教育改革の推進を質問の第一とし、あらゆる場において教員の多忙化解消について訴え抜いてまいりました。それは、より高い教育サービスを提供するためには、教員が真に子どもに向き合う時間を確保し、いじめや不登校、さまざまな問題行動に対応できる環境づくりが重要であると考えるからであります。 教員の年齢構成は、団塊の世代など多くのベテランが退職し、若手の割合が高くなっています。経験の少ない若手はどうしても準備に時間がかかり、部活動の顧問を任されるなど日々の授業をこなすだけで精いっぱいというケースも少なくありません。そこで重要になってくるのが、職員室の中の担任とも言われる経験豊富な副校長の役割です。調査や報告、文書管理や教職員の勤怠管理、施設管理の窓口として、鍵の貸し出しや業者対応など事務に追われる副校長を補佐する職員が区立第三瑞光小学校と第六瑞光小学校には配置されています。まずはこの副校長補助職員を拡充することが問題解消の糸口です。 また、教員のスキルアップを目的として行われる校内研修は、主に授業研究に充てられますが、この研修自体が負担の増大につながっています。この校内研修の時間を業務改善をテーマとした話し合いの時間として活用し、業務の厳選や行事の削減、統合、教員間の連携などについて協議すれば、教員の働き方改革はどうすれば可能になるのかなど、その学校に合った内発的な見直しも実施されるものと考えます。 以上、二点について区の見解を伺います。 質問の第二は、子育て環境の充実についてです。 私たち公明党は、待機児童対策や子育て支援政策の充実に全力を尽くしてまいりました。区役所の窓口では、荒川区は保育園に入りやすいと聞いて引っ越してきましたという声をたくさん聞きます。実際に人口も増加傾向で、働き盛りの子育て世代が増加していることから、平成二十九年度一般会計で特別区民税は前年度から三億円増の百六十三億円と荒川区の税収は増加しております。 これから本格的な少子高齢社会を迎えるに当たって、それを乗り越える鍵となるのが高齢者福祉の支え手である働き盛り世代です。そのことに早い段階から着目し、教育・子育て施策の充実へ大胆に取り組み、子育て世代の人口増、そして税収増という結果を出した西川区長の先見性を高く評価する次第であります。 これからは増加したファミリー層が安心して子どもを育てられる環境整備に力を入れていくべきであると考えます。まずは子育て政策、子育て環境の充実に対する御見解を伺います。 次に、具体的に子育て環境の充実について、三点質問いたします。 一点目は、児童相談所設置準備の推進についてです。 荒川区では、児童福祉法改正により特別区にも児童相談所を設置できる権限が与えられたことを受け、平成三十二年四月に区独自の児童相談所を設置する予定となっています。 児童相談所は、児童虐待の増加に対応する施設として注目されていますが、その相談内容は、児童の非行や不登校などの育成相談、障がい児や発達のおくれなどの障がい相談、両親の離婚や里親の紹介などの養育相談など多岐にわたります。 ひとり親家庭の子どもたちの二人に一人が貧困状態にあると言われる一方、周りから貧困家庭であると見えないのが子どもの貧困問題です。その見えづらさに対応するため、最も身近な自治体である区に児童相談所が設置されることは、荒川区の子育て環境を充実させる上で大変に重要であり、早い段階から設置準備に取りかかり、他区に先駆けて開設するという区の姿勢を評価いたします。 虐待被害を受けた児童を名ばかりの親から守ることはもちろん、親が経済的な理由で子どもを育てる状態にない場合や、心身の健康状態により子どもを育てたくても育てることができない場合への対応など、困っている区民に寄り添う機関となるよう準備を進めていただきたいと思いますが、区の見解を伺います。 二点目は、幼稚園・保育園における感染症の予防についてです。 インフルエンザは十一月ごろから感染者が出始め、ピークは一月から二月と言われています。これからの時期は手洗いやうがい、マスクの着用、アルコール消毒などの日常的な感染症予防対策が大切になってきます。抵抗力の弱い子どもたちは、幼稚園や保育園といった集団生活のなかで感染することが多く、両親共働き家庭の場合は、子どもの看病のために仕事を休まなくてはならない場合もあり、問題は深刻です。 感染症予防対策で大きな成果を上げているのが名古屋市と静岡市です。子どもたちの過ごす教室などに次亜塩素酸という成分が入った液体をスプレーで散布し、除菌を行ったところ、インフルエンザに感染する子どもたちが激減しました。次亜塩素酸自体の効果は、厚生労働省の委託試験先である国立医薬品食品衛生研究所でも認められており、そのスプレーは既に商品化されています。また、その安全性と除菌力については、羽鳥慎一の「モーニングバード」やナイツの「ヒット商品会議室」など情報番組でも紹介され、全国の自治体に広がっているところです。四十度以上の熱にうなされ、関節や筋肉の痛みに苦しむ子どもの姿は見るに堪えません。 荒川区の幼稚園や保育園においても、ただいま紹介しました次亜塩素酸の成分を含むスプレーを使用した感染症の予防を実施するべきであると考えますが、区の見解を伺います。 三点目は、公共施設の整備と活用についてです。 我が家にはことしめでたく七五三のお祝いを迎えた長男と、やっと言葉らしき声を発するようになった次男がいることから、パパ友、ママ友といった同世代の区民からの要望が私のもとに多く寄せられます。ここでは、その中から幾つか要望・提案させていただきます。 公衆トイレの改修・除却については、「トイレの菊地」と言われるほど粘り強く要望してまいりましたが、今年度までの改修・除却の実績を見ても、遅々として進まない状況です。これは私個人の要望ではなく、公明党区議団としての要望であり、来年度予算要望書にもしっかりと明記させていただいております。 多くのお客様を区外からお招きする二〇二〇年を目前に、古い、くさい、汚いと言われるような公衆トイレを放置していてよいはずはありません。昨年度の決算に関する特別委員会では、防災都市づくり部長から、十年かかるものを八年、五年と短くする計画を立て、実行したいと思っているとの答弁がありました。その後、西川区長からも力強い前向きな答弁があったことを鮮明に覚えています。本件については、今後の展望と具体的な計画について関係理事者より明解な答弁をいただくよう求めます。 また、公園や児童遊園の砂場について、猫などのふん対策として柵を設置するべきであると指摘しておりました。子どもは砂遊びが大好きで、子ども同士で自然とコミュニケーション能力が磨かれ、一緒に一つのものをつくることで協調性が生まれます。子どもの感性を高める絶好の場所が砂場であり、思い切って安心して遊ぶことができる環境づくりを進めるよう要望いたします。 子どもを連れて出かけるときに荷物の多さは、子育て世代の共通の悩みです。外出先でミルクをつくるためにはさまざまなグッズが要ります。服が汚れないことはないので、着がえも要りますし、かえのおむつも何枚か持ちます。ティッシュやハンカチ、ウエットティッシュ、お菓子やおもちゃにヘルメット、パンパンのリュックを背負い、子どもを追いかけるのが私の子守デーです。力の弱い女性であれば、その負担は大きく、その荷物の一つがかえた後のおむつです。 現在、荒川区の公共施設には、おむつ交換台がありますが、かえた後のおむつは持ち帰りとなっています。スリムタイプの紙おむつ専用ダストボックスも開発されておりますので、導入されるようお願いいたします。 最後に、区内の公園でボール遊びのできる場所は現在七カ所ありますが、全体的にまだ足りないという声が依然としてあります。あらかわ遊園運動場などがあいている時間帯を開放すれば、子どもたちにボール遊びをさせることができると指摘してありましたが、その見通しはいかがでしょうか。 以上、四点について、区の見解を伺います。 質問の第三は、にぎわいあるまちづくりについてです。 本年九月、年間訪日外国人旅行者数がこれまでで最も早く二千万人を突破しました。これは昨年よりも四十五日も早い記録で、過去最高であった昨年より二割近くふえていて、ことしは三千万人を伺う勢いです。また、観光客と同様、消費額も順調にふえていて、ことしの上半期は初めて二兆円を超え、一年間で四兆円を上回る見通しです。 安倍政権において、観光は地方創生の柱、成長戦略の切り札であり、観光庁を所管する公明党の石井国土交通大臣は、二〇二〇年、訪日外国人旅行者数四千万人の新たな目標の達成に向け、観光先進国の実現に取り組んでいます。 成田空港から京成スカイライナーで三十六分という東京の玄関口である荒川区においても、区外から積極的に人を呼び込み、まちの活力に結びつけていくべきです。まずはにぎわいあるまちづくりに対する御見解を伺います。 次に、具体的ににぎわいのあるまちづくりについて四点質問いたします。 一点目は、荒川区観光協会の設立についてです。 その地域の観光振興のため、さまざまな事業の企画、立案、運営に当たる組織が観光協会です。日本各地にあるそれぞれの観光協会は、地方自治体や交通事業者、観光事業者、ほかの観光業界などと連携し、情報発信においても、ホームページや機関誌の発行、メールマガジンの発行など、工夫を凝らした取り組みを行っております。 荒川区では、あらかわ観光ツーリズム連絡協議会が下町あらかわらしさのある観光協会の設立を目的として活動していますが、この協議会が設立された当初とは時代も変わり、区内でも観光やまちの活性化に資する取り組みを行っている団体もふえました。特に観光分野については、まちを思い、まちのために尽くしてくれる方々の協力は欠かすことができません。区の職員は、どちらかというと後方支援やパイプ役となって、その活動を後押しするような形が望ましいと思っております。 二〇二〇年を前にして、二十三区内で観光協会がない区は、荒川区を含めて数える程度です。まずは区が音頭をとって、荒川区を活性化させたいという思いのある団体を結びつけながら、観光協会設立に向けて動き出すべきであると考えますが、区の見解を伺います。 二点目は、バラを区の花として制定することについてです。 都電沿いに咲き誇るバラの花、そしてバラの鉢を買い求める人の行列、さらにはバラ関連の商品が並ぶブース、あらかわバラの市は年を追うごとに盛況ぶりが増し、来年いよいよ第十回目を迎えます。 バラの市はボランティアグループあらかわバラの会の皆様をはじめ、多くの区民に支えられ、今や下町の名物のホウズキ市や朝顔市と肩を並べる勢いのイベントとなっております。 また、尾久地域に知と文化の拠点として整備されている宮前公園は、先行整備した一部エリアを一般開放してから一年がたち、保育園や尾久図書館が新設されます。図書館、保育園、隅田川を結ぶエリアがガーデンエリアであり、ガーデニング専門家の意見を取り入れ、バラを中心とした植栽が設けられる予定です。このように、区民に親しまれるバラをにぎわいあるまちづくりのため、これからもより多くの場所で活用していくべきではないでしょうか。 荒川区では、現在、区の木をサクラ、区の花をツツジとしています。ツツジに加えてバラを区の花に制定するべきであると考えますが、区の見解を伺います。 三点目は、受動喫煙防止対策を推進する店舗の奨励についてです。 国では、受動喫煙防止に向け、健康増進法改正を検討していますが、全面禁煙か分煙かという規制のあり方をめぐり、調整が難航していると言われています。基本的な考えにとどめ、後は自治体の取り組みに委ねるという弱気な姿勢も見受けられます。 荒川区においても、昨年の福祉・区民生活委員会で受動喫煙防止についての陳情を審査しました。たばこの害について訴える規制推進派と経営が成り立たなくなることを危惧する飲食店やたばこ業界といった規制反対派が真っ向からぶつかり合いました。 受動喫煙を防止することの重要性は理解しているが、生業としている方々にとっては死活問題であり、両者の主張が互いの陳情を趣旨採択とさせる理由となる結果でした。 今、複数の自治体で「空気もおいしいお店」といったネーミングで、受動喫煙防止対策を実施している飲食店等にステッカーを交付し、その自治体のホームページで紹介するなどの取り組みが行われております。荒川区においても、受動喫煙防止対策を推進する店舗を奨励する取り組みを実施し、他人のたばこの煙を吸わされることのない環境づくりを進めるべきであると考えますが、区の見解を伺います。 四点目は、もんじゃを通した都市間交流の実施についてです。 御当地グルメでまちおこしのB-一グランプリ、一昨日は西日本大会が兵庫県明石市で開催されました。このイベントを企画運営するのが愛Bリーグというボランティアでまちおこしに取り組む団体のネットワークです。 私は、三年前の夏に当会事務局長の俵慎一さんと食事をする機会があり、荒川区のもんじゃをまちおこしに活用するにはという質問をしてみました。その答えが他地域との連携でありました。 荒川区では、東京商工会議所荒川支部がもんじゃマップを発行したり、新たな出会いのきっかけにもんじゃをテーマとしたまちコン・もんじゃコンを実施するなど企画を行ってきました。 区外に目を転ずれば、中央区の月島もんじゃや群馬県の伊勢崎もんじゃ、栃木県の足利もんじゃなど、もんじゃでまちおこしを行っている地域もあります。これらの取り組みについて、互いに内容を紹介し、もんじゃを通して都市間交流を深めるもんじゃサミットを実施してはいかがでしょうか。 また、例えば、そのサミット開催日を「もんじゃの日」と定めれば、もんじゃにより親しみを持つきっかけをつくることもできます。 埼玉県吉川市では、ナマズでまちおこしを行っており、七月二日を「ナマズの日」として注目を集めています。もんじゃの日は家族でもんじゃを囲み、一家団らんのひとときを過ごす日となれば、家族間のコミュニケーションも深まります。 以上、二点について、区の見解を伺い、私の質問を終わります。   〔区長西川太一郎君登壇〕 ◎区長(西川太一郎君) 菊地議員の御質問にお答え申し上げます。 初めに、子育て環境の充実に関する御質問にお答えを申し上げます。応援団として傍聴席においでの小さいお二人にもできるだけ易しく答弁をいたしますので、御理解をいただきたいと思います。 私は、「子どもは未来社会の守護者である」というアーサー・シュレジンジャーという、親子二代にわたってアメリカの歴史学の鼻祖であるバンクロフトの子孫であるこの二人の学者、特にジュニアは日本においでになり、四回、札幌市から九州地方まで講演をされました。私は当時、若かったものでございますから、この方の追っかけをやらせていただいて、そのときにお子さんたちが健やかに育っていただくこと、これはまさに「子どもは未来社会の守護者である」というシュレジンジャー博士の定義のとおり、いずれ大人になって地域社会の発展に必要不可欠な力を発揮していただくためには、幼児における子育て環境の充実が基礎自治体にとって最重要の課題の一つであるという認識をそのころから持つようになりました。 喫緊の課題であります待機児童対策につきましては、対策という言葉はあまり好きじゃないですが、これまで国家戦略特区の活用をはじめ、国有地の取得や賃貸物件の転用などによる保育所の整備、拡充、保育士確保のための荒川方式と呼ばれる奨学金制度の創設など、職員や議員各位のお知恵をいただきながら、あらゆる手法を用いて保育定員の拡大に努めてまいりました。区長就任以来、二千六百二十三人の定員拡大を実現し、来年度にはさらに二百七十二人分を拡大いたす予定でございます。 また、新生児全数訪問や安心子育て訪問、宿泊型産後ケア事業でございますとか、産後支援ボランティア事業などによる切れ目のない支援を、在宅育児家庭の親子同士が交流できる子育て交流サロンの拡大、三万冊の絵本の蔵書を備えるゆいの森あらかわの開館、日本一と評価の高い学校図書館の整備、子どもさんたちの生きる力を育む自然体験学習の充実、都内唯一の区立遊園地でございますあらかわ遊園の開園七十周年に向けた大規模改修の計画策定など、子育て環境の充実に力を注いでまいったところでございます。 これからも区民や地域団体の御協力をいただきながら、安全安心のまちづくりを進め、お子様たちを産み育てやすい環境の整備に取り組む所存でございます。 続いて、にぎわいあるまちづくりについての御質問をいただきました。 私は、まちのにぎわいの創出は、その先にある区内産業の活性化につながり、区民の地域に対する愛着や誇りを高めることにもつながっていくと考えております。それは極めて重要な取り組みであると考えております。 区では、これまで平成十九年と平成二十八年の二度にわたる荒川区観光振興懇談会からの提言に基づきまして、食文化などの新たな観光資源の発掘、観光案内所などの受け入れ態勢の整備、観光情報の発信や花を活用したイベントの開催などに取り組んでまいりました。 具体的には、観光ボランティアガイド養成講座は、今年度第十二期生を迎え、その卒業生は区を訪れる方々に対しまして、きめ細かな観光案内を提供していただいております。 また、モノづくり見学体験スポット事業は、三十二の事業所に御協力を得まして、モノづくりのまち荒川のPRを担っていただいております。さらに、日暮里駅構内に設置しました観光案内所では、外国人観光客を含む多くの方々に御利用いただいているところでございます。 このように、区内外から訪れる方々に荒川区ならではの丁寧なおもてなしを行うことが区のイメージアップにつながって、ひいては区を訪れる方々のリピーター化になることにつながると考えております。 二〇二〇年には東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会が開催されます。私は、さらに荒川区に人が集い、にぎわいあるまちづくりについて引き続き取り組んでまいりたいと存じます。 これ以外の御質問につきましては、関係理事者から御答弁を申し上げますが、一言公明党に御礼を申し上げたいと思います。 それは、先般、銀座の日本橋の大きなデパートの社長、四丁目までの商店会長、この方々が私をお訪ねくださいまして、あの日本橋側にかかっている橋の上に高速道路があるのは極めて邪魔であると。あれを東洋経済の側から一般道路におろして、先の中央区のもっと海寄りのところからまた高速道路に戻すようにすれば、道路元標も生きるし、観光スポットとしても大変重要であるという御注文をいただきました。早速、石井啓一国土交通大臣にお会いして、このことをお伝えしたところ、つい数日前に石井国土交通大臣が記者会見でこれを実現してくださることを御答弁いただきました。菊地議員のお力もあったと感謝を申し上げたいと思いますが、特別区長会会長といたしましては、大変うれしく存じているところでございます。   〔教育長高梨博和君登壇〕 ◎教育長(高梨博和君) 私からは、教員の多忙化解消に関する御質問のうち、まず初めに、副校長補助職員の拡充につきましてお答えいたします。 教育委員会におきましても、学校教育のより一層の充実を図る上で教員の負担軽減は喫緊の課題であると認識しております。 議員の御質問にもありましたように、東京都の学校マネジメント強化モデル事業を活用し、今年度から副校長の業務の軽減を図るため、小学校二校に非常勤の事務職を配置する取り組みを開始いたしました。 本モデル事業を開始した学校からは、副校長が学校全体を見通し、事務の効率化や若手教員の授業指導など本来業務に集中できるようになったとの報告が寄せられております。 東京都では、来年度、本事業を拡大する方針を示しており、私ども教育委員会といたしましても、引き続き都と連携を図りながら、教員の多忙化解消に向けて積極的に学校を支援してまいります。 次に、業務改善に向けた校内研修についてお答えいたします。 教員の多忙化の原因の一つに学校業務が旧来の進め方で踏襲されており、環境の変化に柔軟に対応し切れていなかったり、業務マニュアル等の整備ができていないことが課題となってございます。 このような課題を克服するため、業務改善に向けた各教員の資質向上を図り、組織態勢の改善に取り組む貴重な機会として、現在におきましても、校内研修や職種別、職層別研修を計画的かつ効率的に実施しておるところでございますが、今般の御質問の趣旨を踏まえ、校内研修のさらなる活用などを通して、全ての教職員が共通理解のもとで業務改善の取り組みが推進され、教員が子どもに向き合う時間を確保できるよう、学校現場を支援してまいります。   〔教育委員会事務局教育部長阿部忠資君登壇〕 ◎教育委員会事務局教育部長(阿部忠資君) 教育・子育てに関する御質問のうち、まず初めに、誕生学についてお答えいたします。 誕生学につきましては、議員御指摘のとおり、昨年度から尾久西小学校において親子学習会として実施しており、児童は人の誕生や成長、命の尊さを実感するとともに、改めて自分を今日まで育ててくれた家族に感謝の気持ちを抱く貴重な機会となってございます。 教育委員会といたしましては、尾久西小学校の実践を参考にし、校長会と相談しながら、実施校の拡大に向けて取り組んでまいります。 次に、SNSを活用したいじめ相談等に関する御質問にお答えいたします。 教育委員会では、いじめは深刻な人権侵害であるとの認識のもと、平成二十七年にいじめ防止基本方針を定めるとともに、本年四月には議員からの御提案を踏まえ、荒川区いじめ問題対策連絡協議会等の設置に関する条例を設置して、いじめの防止等に取り組んでございます。区立全小中学校におきましても、基本方針を策定し、学校全体を挙げて組織的に取り組んでございます。 また、いじめの相談窓口につきましては、教育相談室において電話で相談に応じる「子どもの悩み一一〇番」を開設するとともに、直接窓口でも悩みや問題等の解決に向けて親身になって取り組んでいるところでございます。 SNSを活用したいじめ相談につきましては、既に実施している自治体において相談件数が増加した一方、児童・生徒の心情を正確につかみにくいことや短文のやりとりでいじめの実態が十分に把握できないといった課題も挙げられてございます。また、国でも、現在、SNSを活用したいじめ相談について検討しております。 教育委員会といたしましては、今後、国の動向や他自治体の実施状況を見きわめながら検討してまいります。 次に、体罰をなくす指導に関する御質問にお答えいたします。 体罰は、学校教育法において明確に禁止されており、決して行ってはならないものであると強く認識しております。 教育委員会では、これまで体罰事案があった場合には、体罰を起こした教員及び校長、副校長に対して、都教育委員会からの処分を踏まえて厳格に指導し、厳正に対処してまいりました。 また、日ごろから校長会等を通して全教職員に対して指導するとともに、各教員の職層に応じて、体罰及び服務事故防止に関する研修や怒りの感情をコントロールすることをねらいとした研修を毎年開催しており、このほか、七月及び八月を体罰防止月間と定め、校内研修会を実施するなど、指導啓発に努めております。 教育委員会といたしましては、引き続き体罰防止及び再発防止に向けて指導を徹底し、二度と体罰が起きない風土づくりに向けて全力で取り組んでまいる所存でございます。 最後に、幼稚園や保育園における感染症予防に関する御質問にお答えいたします。 多くの園児や集団生活を送る幼稚園や保育園では、感染症が発生しやすく、広がりやすい環境であり、特に注意が必要であると認識しております。感染症予防といたしましては、平常時からこまめな手洗いやうがい、室内の適度な加湿と換気等を実施し、感染症を未然に防ぐことができるよう努めており、また、発症時にはガイドラインやマニュアルに基づき、広域的に感染が拡大しないよう対策を徹底しております。 御紹介いただきました感染症予防対策につきましては、他自治体における実施状況を参考に、医師会や学校薬剤師会、また、各園長会とも相談しながら検討してまいります。 今後とも、園や家庭、行政、関係機関が協力しながら、幼稚園や保育園における良好な衛生環境の維持に取り組んでまいります。   〔子育て支援部長青山敏郎君登壇〕 ◎子育て支援部長(青山敏郎君) 児童相談所に関する御質問にお答えいたします。 区では、平成三十二年度の開設に向け、子ども家庭支援センターの機能のより一層の充実を図り、子どもに関するあらゆる相談に寄り添い、対応できる相談体制の構築に取り組んでおります。 児童相談所には、福祉や心理の専門家、弁護士などさまざまな観点から子どもや家庭の悩みを受けとめる人材を配置することとしており、現在、専門職の採用や都の児童相談所への職員派遣を実施するなど、人材の確保・育成とともに、学校など地域の関係機関等との連携のあり方の検討や児童相談所の施設設計を進めているところでございます。 区といたしましては、地域の子育て家庭が安心して相談できる児童相談所を目指し、社会的擁護の体制整備とあわせ、尽力してまいります。 次に、おむつを捨てられるごみ箱の設置に関する御質問にお答えいたします。 御質問の使用済みおむつ専用のごみ箱を公共施設に設置することにつきましては、子育て家庭の外出支援となり得る一方、ごみ収集までに衛生上問題の生じない保管方法や保管場所など、十分な検討が必要と思われます。 このようなことから、区といたしましては、区民の皆様や公共施設の管理者などからいろいろな御意見をお聞きしてまいりたいと考えております。   〔防災都市づくり部長松土民雄君登壇〕 ◎防災都市づくり部長(松土民雄君) 公衆トイレの改修・除却に関する御質問にお答えいたします。 現在、区が管理する公衆トイレは八十二カ所あり、維持管理につきましては、適宜修繕等を実施するとともに、街なかぴかぴかトイレ事業等により快適なトイレの環境整備に努めております。 しかしながら、老朽化の進行や特定の地域では配置の偏在等の課題があるものと認識しているところであります。そのため、昨年度は七カ所のトイレにおきまして、特別清掃を実施し、今年度は三カ所のトイレで建て替えや改修を行うなど、トイレ環境の向上に努めているところであります。 今後につきましても、老朽化が著しいトイレから建て替え・改修等に着手するとともに、中長期的な視点を持った改修方針を定め、公衆トイレの整備を鋭意計画的に進めてまいります。 次に、公園・児童遊園の砂場柵の設置に関する御質問にお答えいたします。 砂場柵につきましては、犬や猫の侵入を効果的に防ぎ、砂場の衛生状況を良好に保つことができる方策の一つであると考えております。今後も砂場の衛生管理に努めるとともに、砂場柵につきましても、利用者からの要望や汚れの状況、利用の頻度、周りの遊具との一定の間隔を考慮しながら設置に取り組んでまいります。 最後に、区の花「バラ」の指定に関する御質問にお答えいたします。 都電沿線のバラにつきましては、沿線約四キロメートルにわたり植栽されており、見ごろの五月には色とりどりの華やかなバラが咲き乱れ、来年で十周年を迎える荒川バラの市は区を代表するイベントとして定着してくるなど、荒川区の観光資源となっております。 区の花の指定につきましては、以前から御質問をいただいておりましたことから、シダレザクラ祭りなどの緑化事業の際にバラの指定に関するアンケートを実施し、多くの区民の方々から好意的な回答をいただいております。今後につきましても、区民や区議会の皆様の御意見をさらにお聞きしながら、検討してまいりたいと考えております。   〔地域文化スポーツ部長池田洋子君登壇〕 ◎地域文化スポーツ部長(池田洋子君) 区営運動場の開放に関する御質問にお答えいたします。 区では、荒川区スポーツ推進プランにおいて、子どもたちのスポーツ活動の充実を重点プロジェクトの一つに掲げ、子どもたちの体力向上を図るさまざまな事業を積極的に進めております。御質問をいただきました区営運動場につきましては、多くのスポーツ団体に御利用いただいておりますが、平日には利用のない時間帯もありますので、ボール遊びなどができるよう開放することは、施設の有効活用にもつながるものと考えます。 施設の開放につきましては、安全管理の面や子どもたちが実際に利用できる時間かどうかなどの課題もあることから、試行による検証を踏まえるなど、さらに検討していきたいと考えております。   〔産業経済部長石原久君登壇〕 ◎産業経済部長(石原久君) まず、荒川区観光協会の設立に向けた取り組みについての御質問にお答えいたします。 区におきましては、平成十六年度に観光振興課を設置し、行政として観光振興事業を積極的に展開しております。こうした中、さらに観光協会を設立するためには、行政ではできない民間的発想に基づく事業展開が求められます。 これまで観光協会の設立につきましては、関係団体、事業者などとの検討を重ねてまいりましたが、残念ながら民間主導での機運は高まっておらず、現時点での設立は難しいものと認識しております。 区といたしましては、今後、荒川区観光振興懇談会の場に関係団体等にお越しいただき、ヒアリングを行うなど意見集約に努め、その結果を施策に反映できるよう引き続き努力してまいります。 次に、もんじゃを通じた都市間交流の実施についての御質問にお答えいたします。 荒川区内には約六十のもんじゃ店があり、区内全域に広く点在しております。もんじゃを活用した地域の活性化についての取り組みは、御質問にもございましたとおり、民間主導で取り組んでおり、区はこうした取り組み等に対して積極的に支援を行っているところでございます。 議員の御提案のもんじゃサミットの開催やもんじゃの日の制定につきましては、新しい発想と受けとめさせていただいております。区といたしましては、もんじゃを食文化として積極的に活用している自治体との連携も視野に入れつつ、民間主導でのもんじゃを活用した地域の活性化の取り組みについて、引き続き積極的に支援してまいります。   〔健康部長倉橋俊至君登壇〕 ◎健康部長(倉橋俊至君) にぎわいのあるまちづくりに関する御質問のうち、受動喫煙防止対策を推進する飲食店の奨励についてお答えいたします。 喫煙は、本人だけでなく、周囲にも受動喫煙という形で健康に害を及ぼすことが明らかとなっており、さまざまな疾患との因果関係が表明されております。 これまでも、区は飲食店に対し、食品衛生講習会における営業者への受動喫煙防止対策の啓発や満点メニュー提供店舗の禁煙・喫煙の別表示等を実施しているところでございます。 今回御提案いただきました、他人のたばこの煙を吸わされることのない環境づくりのために区内店舗の取り組みを紹介することにつきましては、今後の国や都の動向を勘案しつつ、他自治体の取り組みも参考とさせていただきながら、関係部署と連携し、情報の把握や提供の方法等を検討してまいります。 ○副議長(中村尚郎君) この際、議事の都合により休憩をいたします。   午前十一時五十四分休憩   午後一時開議 ○議長(鳥飼秀夫君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 六番斉藤邦子議員。   〔斉藤邦子君登壇〕 ◆六番(斉藤邦子君) 日本共産党荒川区議会議員団を代表して質問をいたします。 第一は、地域から核兵器廃絶と多文化共生を取り組むことについてであります。 ことしのノーベル平和賞は、国際NGO「核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)」に決定し、十二月十日に行われる授賞式には、国際会議などで核廃絶を訴える活動を続けている被爆者サーロー節子さん、日本原水爆被害者団体協議会代表委員田中煕巳さん、事務局次長の藤森俊希さん、そして、広島・長崎両市長が出席することになっています。 ICANは、核兵器の非人道性を広く世界に普及する意識啓発活動に熱心に取り組み、ことし七月に採択された核兵器禁止条約の国連会議の交渉では、市民社会と各国政府の共同のために積極的に貢献をいたしました。核兵器を歴史上初めて違法化した核兵器禁止条約そのものと、条約の採択に当たってICANの活動が高く評価されたものであります。 平和首長会議は、二〇一六年の第六回国内加盟都市会議総会で「ヒロシマ・ナガサキの被爆者が訴える核兵器廃絶国際署名」に対し、平和首長会議として賛同・協力することにした総括文書を採択いたしました。この署名を紹介している自治体がふえ、ホームページからも署名用紙がダウンロードできるようになっています。 平和都市宣言を行っている荒川区、平和首長会議に参加している荒川区です。荒川区でもヒバクシャ国際署名を区民に広く知らせ、署名の推進を荒川区として取り組むことを求めます。お答えください。 十一月一日現在、区内の永住・定住外国人は一万八千六百人、韓国・朝鮮、中国の方が六八パーセントですが、ベトナム、ネパール、フィリピン、ミャンマー、タイ、アメリカ、フランス、イギリス、バングラディシュ、実に七十九カ国の人々が荒川区で暮らし、年齢では五十代までが八割となっています。当然、区内の保育園、幼稚園、学校でも外国人がふえています。第九中学校の夜間学級では三十二名中二十五名、八割近くが外国人で、日本語などを学びながら働いています。 区内には日本語学校もあり、一九八五年創立の赤門会では八十カ国以上、二万人以上が卒業し、常時約四十以上の国・地域から来る約千七百名の留学生が学んでいるそうで、最近はベトナムや欧米からの学生がふえているといいます。区内の学生寮は四百名入居可能で、多くの学生が区内で生活しています。 自治体には住民、そして滞在者の福祉と安全を守る役割があります。外国人との暮らしと文化の交流で地域から平和を発信すること、外国人の日々の生活での困りごとにも応えられる、また、日本の慣習やルールも理解してもらえる共生のまちづくりを進めたいと思います。 川崎市では二〇〇五年に全国に先駆けて、「川崎市多文化共生社会推進指針」を策定、外国人会議を設置し、市政への参加を討議し、住民投票条例に外国人の投票権を認めるなど多文化共生が積極的に進められています。 荒川区の生活便利帳は、中国語、英語、ハングル語の三種類、戸籍住民課の日常業務遂行のために非常勤で中国語二名、ハングル語一名が対応しています。毎月一回、中国語、韓国語、そして英語での区民相談日があるようです。その他の部署での外国人対応はどうなっているのでしょうか。 お隣台東区は、通訳コールセンターが区内外国人と区職員とのやりとりを英語、中国語、韓国語、ポルトガル語、スペイン語の五カ国語でリアルタイムに翻訳するビデオ通訳サービスを導入しています。荒川区でも情報の多言語化、内容の見直しや外国人向け情報相談コーナーの設置の検討など、情報提供の拡充をまず行うことを求めます。 また、区に届出がある宿泊施設はホテルが十、旅館が十一、簡易宿泊所が三十九です。民泊は把握できていませんが、何カ所か見受けられます。日暮里駅などスーツケースの外国人も多く、ホテルラングウッドなどイスラム圏の宿泊もふえているように感じます。西日暮里一丁目にある、主に外国人観光客向けのゲストハウスの会社は、荒川四丁目でも十二月にオープンと言われています。せっかく訪れた外国人と住民の間でのトラブルもなく、住んでよし、訪れてよしの理念に沿った観光政策も進めなければなりません。 荒川区として、今後の施策を検討するに当たって、東京都での統計なども研究し、外国人観光宿泊者の実態を把握すること。 災害や病気、緊急時の対応です。我が家でもフランス・レユニオン島在住の息子家族の日本訪問で子どものぐあいが悪くなったとき、英語、フランス語で病状を伝え、適切に対応してもらえる病院を探すのが大変でした。フランスでは、医者は「○○です」と病気を断定することが多いようで、様子を見ましょうの言葉にドクター不信になったり、必ず検査をして、その場ですぐにわかるシステムがあるようで、結果は一週間後というのも納得できなかったようでした。そうした国の違いも含め、緊急時に対応できる信頼のおける連絡窓口の紹介をホームページに載せる、ホテルなど宿泊施設に病気や災害時のためのパンフレットを置くなど必要な情報提供の体制をつくること、以上、答弁をお願いします。 次の質問は、消費税増税の中止についてです。 荒川区景況調査速報では、一年前と比べて景気回復を実感しているかの問いに、製造業と小売業では「感じていない」が約六六パーセント、卸業では七五パーセントとなっています。景気回復の実感についての意見では、「チラシをポスティングしても反応がほとんどない」「受注額がふえても経費がかさみ、利益が残らない」「減量の品薄や為替の影響もあり、仕入れ価格が高騰。売値に転嫁できない」「原材料の仕入れ価格が上昇傾向にもかかわらず値上げ要求が強い」「受注工事が月によって差があり、近ごろ見積もりの件数が減っている」など、区内業者の大変さが率直に語られています。 私が住む荒川二・四・七丁目の商店の推移を記憶でこの三十年間たどってみました。八百屋さんは六店舗が二つ、お米屋さんは四店舗が一つ、魚屋さんは引き売りのお店も含め五店舗、肉屋さんも四店舗がゼロになってしまいました。銭湯は五つもありましたが、今は一つです。 コツ通り商店街の杉山六郎さんは、東京新聞地域情報紙に「平成三年には百四十九店、平成二十三年には百十店、ここ二、三年で急激に廃業する店がふえ、現在の加盟店は六十五店になってしまった」と語っています。運営資金も大変な中、商店街ににぎわいをと毎年六千人、七千人が参加する盆踊りを開催するなど頑張っていらっしゃいます。「来春は南千住商店連合会では江戸文化をテーマにした大きなイベントを開催します。元気でやります」と結んでいました。 一自治体でできることは現在本当に難しいかもしれませんが、必死で頑張っている中小企業、商店の方への支援に知恵を出し、業者の守り手にならなければなりません。 消費税の増税は、暮らしに重大な打撃を与え、ますます区内業者を苦しめます。東京国税局ホームページで同じ形式で比べられる税務署別消費税課税状況では、荒川税務署で消費税五パーセントの平成十七年では八千五百二十七件、二百十五億六千四百万円、直近の平成二十七年では六千四百八十六件、二百八十一億円、個人、法人ともに企業の減少がある中で消費税の増税の影響がわかります。 安倍政権は、財界の要求に応えて、大企業には法人税率の引き下げ、さらには大企業が利用する優遇税制の結果、大企業の実質法人税負担率は一二パーセント程度になり、中小企業の一九パーセントより低くなっています。結局、消費税増税は大企業、富裕層の減税の穴埋めに使われ、国の税収入のトップが消費税となるいびつな財政構造になってしまいました。消費税頼みでは社会保障や教育の拡充も財政健全化の展望も開けません。 地域産業振興のためにも、不公平税制をただすとともに、暮らしの底上げが必要です。政府に対し、大企業、富裕層の優遇税制を抜本的に改め、消費税一〇パーセント増税の中止を求めること、お答えください。 質問の第三は、子育て世代の実態に即した保育の実施についてです。 量と質の両面から子育てを社会全体で支えますと二〇一五年からスタートした子ども・子育て支援新制度ですが、新年度も保育園待機児解消のための引き続きの対策強化が必要です。新年度には、南千住五丁目、荒川七丁目、西日暮里一丁目、六丁目、四つの保育園が開園し、二百七十二名の定員増になりますが、昨年の状況から見て特に日暮里や東尾久地域など待機児解消が図れるのか心配です。新制度のもとでも、「市町村は保育を必要とする場合において当該児童を保育所において保育しなければならない」区の保育実施義務があります。保育園増設についての見解を求めます。 待機児解消の一つとして、今年度、通園を一年間限定した一歳、二歳の定期保育を実施しました。新規開設園は四歳、五歳の新入園児がほとんどありませんから、あいている部屋を利用した定期保育実施は、特例的運営ができると思います。しかし、既存園では保育士の確保はできませんので、あきスペースの利用での受け入れで結局は通常クラスに入れての保育になってしまいます。 保育の規制緩和で定数の一三〇パーセント受け入れなどを実施してきた上に、事実上さらなるクラス人数の拡大になってしまいます。現場をあずかる保育士も大変です。子どもたちのゆとりある保育を確保することにも逆行してしまいます。やはり区としての責任を持つ緊急待機児園への検討が必要ではないでしょうか。来年度に向けて待機児解消緊急措置についても見解を伺っておきたいと思います。 荒川区は、一歳の誕生日を迎えるまで、八時半から十七時までの保育時間しか認めていません。しかし、新システムでの保護者の勤務時間で一日八時間までの保育短時間認定と一日十一時間の保育標準時間認定に区分をいたしました。フルタイムなのにゼロ歳だからという理由で保育標準時間十一時間を認定しないことに理解が得られるでしょうか。 育休中で来年の四月職場復帰を予定しています。ファミサポ、ベビーシッターにお迎えを頼めば高額の出費です。長時間保育を実施している認証保育所はあちこち行きましたが、単願が条件だったり、申し込みがいっぱいでキャンセル待ちです。フルタイム勤務をあきらめ、短時間勤務に変更せざるを得ない方、育休を延長せざるを得ない方もいます。皆さん悩んでいますとメールもいただき、お話を伺いました。子育てしやすい荒川区と聞いて引っ越してきたのにと残念がっている方もいます。お迎えのために一時間以上かけて祖父母が通っている御家庭もありました。関係者の合意形成も進めながら、ゼロ歳児の保育時間の見直しを進めること、お答えください。 本来、利益を出す事業ではない分野に規制緩和で株式会社の参入を認めた結果ですが、認可保育園の中に株式会社運営の比率が高まっています。財務省財政制度等審議会は、私立の保育園と幼稚園、認定こども園について、収入に占める利益の割合を示す利益率が全産業平均を上回るとして、保育所、幼稚園への公費支出を減らすよう検討を要請しています。利益率について、荒川区として分析し、見解を示す必要もあるのではないでしょうか。 全産業と比較して賃金が十万円も違うと言われ、処遇改善が始まりましたが、それでもまだその差は縮まっていません。公費支出削減の理由にされてはたまりません。 区内私立保育園の支出に対する人件費割合は、社会福祉法人が八〇パーセント以上なのに対して、株式会社運営は六〇パーセント、五〇パーセント台、五〇パーセントを切るところもあります。実際に保護者から、「一生懸命でよい先生が多いのですが、系列園の応援に行ったり来たりもしています。公立保育園に比べて保育士の配置が少ないように思う」と率直な声も寄せられています。 子どもたちの命と育ちに直結します。やはり保育運営指針も策定し、具体的に収入に対する人件費比率を引き上げ、保育士の配置や給与引き上げなど処遇改善への指導を行うべきであります。お答えください。 園庭のない保育園の外遊びの保障については、前回の本会議でただしましたが、園庭のあるところも含め、秋の運動会の場所の確保に大変御苦労されています。各地域ごとの調整を園任せにせず荒川区が行うことを求めます。お答えください。 次に、ゼロ・一・二歳児の待機児解消の一翼を担い、荒川の保育を支えている認証保育所や保育ママへの支援についてです。 荒川区でも新制度のもとで保育ママから認可施設の家庭的保育園へ移行したところがあります。この家庭的保育園には、保育内容の支援、休業代替、三歳児入園のための連携施設の設定が義務づけられています。経過措置がありますが、二〇一九年度までには連携保育園の決定が必須となります。新システムの認可保育施設ではありませんが、東京都認証保育所とグループ型家庭的保育、荒川区保育ママについても、保育所行事への参加や卒室後の児童の受け入れなど後方支援がやはり必要だと思います。 横浜市は、連携施設受諾促進加算として月額約二十三万円を出していますが、民間保育園に依頼するのであれば、連携施設補助を創設すること、そして、連携園については基本的には公立が行うこと、お答えください。 また、認証保育所も十五年、二十年が経過し、改修が必要になりますが、代表が六百万、七百万円と自腹を切って行っているのが現状です。そして、一人で三人を見るのが基本となっている保育ママは、トイレにも行けない、お散歩も一人では到底無理です。認証保育所の改修費や保育ママの補助者雇用の区独自の補助を行うこと、お答えいただきたいと思います。 質問の第四項目は、提案された第七荒川区高齢者プランについてです。 改定介護保険関連法や新年度予算に向けた財務省、厚生労働省案では、介護保険財政の削減メニューがメジロ押しとなっています。介護報酬は、通所介護、訪問介護、特別養護老人ホームなど基本部分での引き下げをしようとしています。住みなれたところで暮らし続ける上で大変重要なサービス、洗濯や調理などを行う生活援助については、一日当たりの報酬に上限をつける、さらに回数制限を求める仕組みを設ける方針も示しました。 また、認定率削減や給付費抑制ができた自治体に予算を加算する優遇策を既存の調整交付金で実施しようとしています。自治体に対する財政的ペナルティが申請、認定調査や要介護認定審査会、地域ケア会議などで実態をよくつかんで必要な介護を考えるのではなく、できるだけ軽くしようと誘導されかねません。自立支援と卒業の名でサービスの打ち切りを進めることにもなります。 また、「我が事・丸ごと地域共生社会」の名のもとに、地域資源の開拓が言われ、結局は福祉に対する公的責任が大幅に後退しかねません。第七高齢者プランを政府の方針どおりに進めるのか、それとも憲法二十五条の精神に基づき、公的責任を抜本的に拡充するのか、区としての基本姿勢をまず伺っておきたいと思います。お答えください。 要介護認定調査では、「トイレにははって行きます」「布団は上げられないので敷きっぱなしです」と答えたら、「できる」になってしまい、要支援になりましたと九十歳の方からお電話をいただきました。要介護認定調査は、身体能力や記憶・理解度、入浴、食事、移動などの介助の方法、麻痺や徘徊など日常生活の障がいの程度など、できる、できない、介助が必要など七十四項目をチェックいたします。 調査員テキストを見ますと、下半身に麻痺があっても上半身が動くのだから「寝返りはできる」、背もたれやクッションに寄りかかっていれば座っていられるのだから「座ることは支えがあればできる」、名字だけ、しかも旧姓でしか答えられない、「できる」、歩行ができず電話で品物を注文して自宅に配達してもらっている、これは「介助なし」とするなど、事例が示されていて、びっくりいたしました。軽度者の介護保険外しとあわせて、介護認定を低く抑えるための調査マニュアルになっているのではないでしょうか。要介護認定に対する区としての認識を伺います。 第七荒川区高齢者プランの基本理念は、「健康づくりで元気に」「自立目指して」「ともに支え合って」、基本目標は、「地域の連携と支援によって安心して住み続けることができるまち」となっています。地域のきずなを生かし、地域資源を発掘・整理し、ニーズに合わせたサービスの提供が強調され、結局は公的責任がないがしろにされるのではないか心配です。住民の協力ももちろん必要ですが、行政のサービスの土台がしっかりしていて成り立つものです。 元気で長生き、もし介護や医療ケアが必要になったときにも、在宅でも施設でも病院でも身近な地域で安心して最後まで人間らしく暮らすことができることが区民みんなの願いです。区が目指す三十分以内で必要なサービスが提供される地域包括ケアシステムの姿が描かれていますが、住みなれた地域で安心して暮らせる多様な住まい方はまだ残念ながらありません。重度の方が入所待機が短くなってきたと言いますが、区内ではなく、遠くの施設でも仕方なしという話です。短期入所や訪問介護、通所介護を組み合わせても家族の負担は大変です。不安や困りごと相談一手に任されている荒川区の窓口、地域包括支援センターは大忙しです。この現状をどう改善していくのか具体的にしなくては、高齢者の人間の尊厳を守る計画にはなりません。 施設も在宅もその供給量の抜本的な引き上げ計画を持つこと、そして、国の予算の見直しを求め、介護保険料の値上げは行わないこと、お答えください。 介護保険導入後、それまで区民を支えてきた高齢者福祉施策は縮小・廃止されてきました。老人福祉手当、福祉電話、シルバーカーの支給、六十五歳の新規心身障がい者福祉手当の支給、在宅介護者一万円ギフト券支給などなどです。今、改修も困難な老朽家屋で暮らす方、生活、病気、家族関係など複雑な問題を抱える高齢者もふえています。今の介護保険や高齢者・障がい者福祉、生活保護では対応し切れないこともあります。どうしたら少しでも人間らしい暮らしの手助けになるのか、この姿勢を常に持ち、使えるサービス、制度がないから仕方がないで済ませず、知恵を出すことが必要です。そして、区民の実態から必要なことを検討し、制度化していくことです。 政治は、住民の暮らしの中にあるのです。貧困、社会的孤立など処遇困難な高齢者の支援を老人福祉法に基づいて総合的に進めること、検討を求めます。 質問の最後は、東京女子医科大学東医療センターの移転についてです。 いよいよ第四コーナーを回ってしまったのではないでしょうか。足立区は東京女子医科大学東医療センターの開設に向け、九月六日には医師会、歯科医師会、薬剤師会、地元町会長、東京女子医科大学、足立区による東京女子医科大学東医療センター整備及び運営に関する協議会を開催し、新病院の目的、規模、機能、今後のスケジュールを検討しています。 東京都からは九月十五日付で足立区に対して江北四丁目の土地活用について意向調査がありました。足立区は福祉インフラ整備としては活用しないが、大学病院用地と区立学校及び公園用地として活用したいと要望書を提出しています。また、九月二十日、十月四日に地域住民に対する都市計画説明会を行い、十二月までの都市計画決定と土地売却に関する仮契約を済ませたいと報道されています。 しかし、区民と議会の要望に即して、荒川区は何をしているのか、全く動きが見えません。改めて区としての今後の対応を明確にお答えいただきたいと思います。 これで第一回の質問を終わります。   〔区長西川太一郎君登壇〕 ◎区長(西川太一郎君) 斉藤邦子議員の質問に答えます。 まず私からは、今後の保育園増設の必要性と新年度の待機児童解消のための対策に関するお尋ねに答弁を申し上げます。 未来の社会を守ってもらうために、子どもを私たちが明るく健やかに育ってもらうことができるまちを目指して、区長就任以来、子育て環境の整備に全力で取り組んでまいりました。とりわけ、増大する保育需要への対応に向けましては、国家戦略特区制度による都市公園内のへ保育所の整備などにより、これまで二千六百二十三人の定員拡大を実現し、平成二十六年四月には、待機児童の実質ゼロを達成いたしました。 しかしながら、共働き世帯の増加や区の子育てに対する取り組みが高く評価されたことによるファミリー層等の転入増加、そして、保育利用率が二十三区で最も高くなっていることなどから、本年四月の待機児童数は百八十一人となり、今後もさらに保育需要は増加することが見込まれております。 このため、区といたしましては、国有地を活用した保育園の整備など、今後、区内の各地域に私立認可保育園を四園増設し、平成三十年度に向け、保育定員を二百七十二人ふやすことといたしております。さらに、民間ビルの活用などの交渉を精力的に進め、保育園の定員の拡大に努めておるところでございます。 私は、未来を担うお子さんたちが安全で快適な環境のもと、健やかに成長できますように、今後も待機児童ゼロの実現を目指すとともに、保育の質の向上と保育環境の充実に取り組んでまいります。 これ以外の御質問につきましては、関係理事者から答弁を申し上げます。   〔総務企画部長五味智子君登壇〕 ◎総務企画部長(五味智子君) まず初めに、ヒバクシャ国際署名に関する御質問にお答えいたします。 平和首長会議が平成二十八年八月に日本原水爆被害者団体協議会等からヒバクシャ国際署名への賛同・協力の依頼を受け、第六回平和首長会議国内加盟都市会議総会において、平和首長会議のヒバクシャ国際署名への賛同・協力の一環として、平和首長会議に寄せられた「『核兵器禁止条約』の交渉開始等を求める市民署名」とヒバクシャ国際署名で集められた署名をともに国連に提出することとしたことは承知をしております。平和首長会議の活動を区民の皆様に周知する方法につきましては、調査、研究をしてまいります。 次に、東京女子医科大学東医療センターに関する御質問についてお答えいたします。 御質問にございました足立区や東京都の動きにつきましては、把握しているところでございます。区といたしましては、さきの決算に関する特別委員会で申し上げたとおり、万が一東京女子医科大学東医療センターが移転した場合においても、引き続き地域医療体制の維持や災害拠点病院の確保を図るとともに、地域活性化のために新たな病院の誘致についての検討、そのための関係機関等との実務的な協議を進めているところでございます。 今後も、区民の生命と健康を守る基盤である医療体制の確保に向け、あらゆるケースを想定し、万全を尽くしてまいる所存であります。   〔地域文化スポーツ部長池田洋子君登壇〕 ◎地域文化スポーツ部長(池田洋子君) 情報の多言語化に関する御質問にお答えいたします。 現在、区では、御質問にございましたように、在住する外国人の方向けに生活に必要な手続や日本の習慣をまとめた冊子の配布のほか、区民相談所では、外国語による相談日を設けており、また、区の窓口に相談が寄せられた際には関係各課が連携を図り、相談所管につなぐ、あるいは専門の機関を紹介するなどの対応を行っております。 さらに、国際交流協会では、毎月、生活のミニ情報をまとめ、日本語教室等で配布しているほか、消防署と連携した外国人向け防災講座などを行い、好評をいただいております。最近はさまざまな国の方々がお住まいになり、抱える悩みや困りごとも多様化していることから、ニーズを捉え、的確な情報を提供するとともに、窓口におきましても、よりきめ細やかな対応を行ってまいります。 区といたしましては、今後とも言語、文化、宗教、生活習慣などの違いを理解することで、多様な価値観をお互いに認め合える共生のまちづくりを推進してまいります。   〔産業経済部長石原久君登壇〕 ◎産業経済部長(石原久君) まず、荒川区の外国人宿泊者の実態把握についての御質問にお答えします。 区では、過去二回、平成十九年度の観光振興懇談会と平成二十八年度の観光案内所の設置の際に、主に南千住地域と日暮里地域の宿泊施設や宿泊施設利用者等に御協力をいただき、アンケート調査を実施いたしました。現在では、日暮里観光案内所において、来日の目的や宿泊先からの訪問先等の把握を行うなど、議員御指摘の外国人観光宿泊者を中心に外国人観光客の実態把握に努めております。来年六月に施行される予定の住宅宿泊事業法では、届出の窓口を区に設置し、事業者は宿泊台帳の管理が規定されていることから、個人情報に配慮しつつ、これらも有効に活用しながら、引き続き実態把握に努めてまいります。 次に、消費税の増税中止を求めることについての御質問にお答えします。 消費税の増税は、高齢化で毎年ふえ続ける社会保障の安定的な財源を確保し、特定の世代に負担が偏ることのないような形で、将来にわたって社会保障を支えていくことを目的としております。したがいまして、消費税による負担の増加は、将来の国民の生活の安定に資するものであり、結果として地域経済の安定にもつながっていくものと理解しています。 これに加え、政府は、「人づくり革命」と位置づけ、高齢者だけでなく、子育て世代への投資と社会保障の安定化をバランスよく充当する「全世代型」の社会保障への転換を目指すとしています。 区といたしましては、このような国の動向を注視しつつ、消費税増税が中小企業の経済活動に過大な負担となることのないよう、区内事業者の経営力の向上、新製品・新技術の開発、販路の開拓や次世代への円滑な事業承継など、引き続き中小企業の経営基盤の強化に向けた支援をしてまいります。   〔子育て支援部長青山敏郎君登壇〕 ◎子育て支援部長(青山敏郎君) 子育て世代の実態に即した保育の実施に関する御質問のうち、初めに、ゼロ歳児の保育時間に関するお尋ねにお答えいたします。 区では、現在、区内の全ての認可保育園におけるゼロ歳児の乳児の保育時間につきましては、午前八時三十分から午後五時までの九時間としており、満一歳を迎えた日から十一時間保育を利用できることとしております。これは子どもの最善の利益を保障し、子どもの健やかな成長には心の安定が必要との観点から、ゼロ歳の間は家庭の中で保護者とでき得る限り接する時間を長くとってほしいという思いからこのような取り扱いとしております。 しかしながら、近年、出産後早期に職場復帰をされた方からは、ゼロ歳児における保育時間を延長してほしいという要望がふえるなど、保育ニーズの多様化が進んでいることから、区では保育時間の見直しについて、これまで検討を重ねてきているところでございます。 現在、子どもの安全を確保するための人員体制や十一時間保育を開始する月齢、補食の提供などの利用条件について、既に事業者と調整を進めている中で、事業者からは保育士の現状維持にも大変苦労している厳しい現状を聞いております。 区といたしましては、今後も引き続きこうした運営事業者の意見や区民のニーズを十分に踏まえながら検討を進めてまいりたいと考えてございます。 次に、保育士の処遇改善に関する御質問にお答えいたします。 現在、待機児童対策として各地で進んでいる新たな保育園整備に伴い、保育士の不足が東京都において深刻な状況となっており、保育士の確保と定着を図るため、その処遇改善にしっかりと取り組む必要があるとの認識は、区と事業者間で共有されているものと考えております。 区では、これまで、区内の私立認可保育園に勤務する保育士の処遇改善について、国の公定価格の処遇改善加算や東京都のキャリアアップ補助制度を活用して、一人当たり月額約三万円の賃金改善を行ってまいりました。また、保育士の宿舎を借り上げる事業者に費用の一部を補助する事業を開始するとともに、荒川方式の保育士奨学金制度の創設など、保育士の経済的な負担軽減を通じて保育士の処遇改善に努めてきたところでございます。 このような保育士の処遇改善に対する取り組みが全国的にも進められてきた結果、ニッポン一億総活躍プランに基づき国が実施した平成二十八年度の実態調査によれば、保育士の賃金について一定の改善が見られているところでございます。 御質問の私立認可保育園における人件費比率につきましては、各園に勤務する保育士の年齢構成や勤続年数の違いなどから差異は生じ得るものと考えております。 区では、毎年、各園から提出される決算書や各種処遇改善事業の実績報告に基づき、各園における人件費比率をはじめ、保育士の配置状況や個人ごとの保育士賃金の改善状況について確認を行うとともに、都や国による指導検査等の機会を通じて、バランスのとれた職員配置や保育士賃金のさらなる改善について要望するなど、必要に応じ指導しているところでございます。 区といたしましては、今後も引き続き事業者への適切な補助の執行や指導、監督等を通じて、保育士の確保と定着が図られるための処遇改善に努めてまいります。 次に、保育園の運動会の場所確保の調整に関する御質問にお答えいたします。 保育園の運動会につきましては、毎年秋に開催される園児の家族等の観覧も多い特別な行事となっております。そのため、園庭の有無にかかわらず、運動会の開催日を順延できない保育園におきましては、小中学校の校庭だけではなく、雨天時における開催場所として、体育館の会場の確保があわせて必要となっております。 これまで、保育園が運動会の開催会場として、区立小中学校の校庭や体育館等を予約する場合には、それぞれの保育園が日程調整を行ってまいりました。近年、保育園数の増加に伴い、認可保育園が集中している地域では、それぞれの園の運動会開催希望日と学校の校庭・体育館の利用予定との調整を個別に行うことが困難な状況となっております。このため、今年度の状況を踏まえ、区では来年度から各園と学校とのマッチングを支援することとしており、今後、学校、教育委員会との連携を図りながら、保育園の運営支援に努めてまいります。 次に、認証保育所の施設改修補助に関する御質問にお答えいたします。 区は、これまで認証保育所に対しましては、通常の運営費補助に加え、保育従事者の健康診断費や蔵書の充実のための助成など、区独自のさまざまな補助を実施し、支援の充実に努めてまいりました。 御質問の施設改修のような大規模な助成につきましては、認証保育所が東京都の認定する認可外保育施設であることから、一義的には東京都において実施すべきものと考えており、区としては、施設改修の補助について、東京都が実施するよう要請していく必要があると考えております。 次に、保育ママへの補助者雇用補助に関する御質問にお答えいたします。 区は現在、子ども・子育て支援新制度において新たに位置づけられた家庭的保育事業への移行を希望する保育ママの支援を行っているところでございます。 家庭的保育事業は、保育を必要とするゼロ歳児から二歳児までの子どもを対象に定員五人以下の少人数で実施する区の認可事業で、保育者の居宅等において家庭的な雰囲気のもと、子どもの発達段階に応じたきめ細やかな保育を行うものであり、現行の保育ママ制度に近い内容の事業となっております。 この新制度における運営費の中には、補助者雇用の加算が盛り込まれていることから、家庭的保育事業への移行に伴い、実現が図られるものと考えております。 最後に、家庭的保育事業の連携施設の設定に関する御質問にお答えいたします。 家庭的保育事業については、保育の内容に関する支援や代替保育の提供、卒園時の受け入れなどの連携協力を行う保育所を設定することが義務づけられており、事業者はみずから連携施設を確保することが必要となります。 この連携施設の設定については、平成三十一年度までの経過措置が設けられておりますが、他自治体の例を見ましても、事業者による連携施設の確保がなかなか進んでいない状況がございます。 区といたしましては、利用児童に対する保育が適正かつ確実に実施されるよう、引き続き他自治体の状況を注視していくとともに、国の方針等を踏まえながら、必要な支援を検討してまいりたいと考えております。   〔福祉部長片岡孝君登壇〕 ◎福祉部長(片岡孝君) 第七荒川区高齢者プランの策定に当たっての基本姿勢に関する御質問にお答えいたします。 国は、法改正の中で地域包括ケアシステムの深化・推進と介護保険制度の持続可能性の確保を掲げ、自立支援、重度化防止に向けた取り組みの方向性を示したものと認識してございます。 区では、これを受け、第七荒川区高齢者プランについて、区の今後三年間の高齢者福祉施策及び介護保険事業の取り組むべき事項を整理し、二〇二五年を見据えた計画として策定を進めており、介護予防、重症化予防や生活支援の取り組みを推進することで、介護が必要になっても住みなれた地域で安心して暮らせるまちづくりを目指してまいります。 次に、要介護認定調査に関する御質問にお答えいたします。 要介護認定調査では、全国共通の認定調査員テキストに沿って、七十四項目にわたる評価を行います。 これまでも区では、申請者のお体の状況や生活の実態等を可能な限り正確に反映するため、できる、できないといった単純な評価だけでなく、周辺情報に関する特記事項も記録し、介護認定審査会の審査における参考資料としてまいりました。今後も引き続き、申請者の状態を正確に反映できるよう認定調査を進め、適正な要介護認定に努めてまいります。 次に、施設と在宅サービス供給量及び介護保険料に関する御質問にお答えいたします。 介護保険につきましては、後期高齢者及び要介護認定者の増加に伴い、施設サービス、在宅サービスのいずれも必要量が一定上昇していくことが見込まれます。区では、必要量の見込みに加え、国の指針や制度改正の影響等を踏まえ、介護保険事業に係る費用を詳細に推計し、介護保険料を適切に算定してまいります。 なお、国に対しましては、これまでも地域包括ケアシステムの推進及び介護保険制度の維持可能性の確保に向けて、さまざまな機会を捉え、要望を行ってきたところであり、引き続き必要な事項につきましては適宜要望をしてまいりたいと考えてございます。 最後に、処遇困難な高齢者の支援について、自治体が責任を持って対応すべきとの御質問にお答えいたします。 区民の生活や健康を守るセーフティーネットの役割を果たすことは、区民の生活を身近で支える基礎自治体の責務であり、現在、福祉部をはじめ、健康部、子育て支援部など庁内全体が連携して対応を行っております。 国が推進しております地域共生社会でも、住民みずからが身近な場所で主体的に行政などと協働して課題を解決していくことが必要であり、市町村は地域住民からの課題のための相談に対応し、その支援を包括的に提供する体制を整備するよう努めるものとされました。 区といたしましては、老人福祉法のみならず、関連法令にのっとり、個別ケースワークの中で課題解決を図ってまいりました。今後も先行自治体の例を研究し、取り入れるべきものがあれば、取り入れてまいりたいと考えてございます。 ○議長(鳥飼秀夫君) 一分少々です。 ◆六番(斉藤邦子君) 答弁ありがとうございました。 ヒバクシャ国際署名は、後世の人々が生き地獄を体験しないように、生きている間に何としても核兵器のない世界を実現したいと、平均年齢八十歳を超えた被爆者の方々が始めました。二〇二〇年国連総会を期限にして行っておりますので、もう時間もあまりないので、ぜひ区長さんの区としての取り組みの御決断を改めて求めておきたいと思います。 そして、ゼロ歳児の保育時間の見直しはとても切実です。心の安定ということですけれども、二重保育の実施などということになれば、子どもたちの負担はさらにふえることになります。ぜひ、なかなか難しい課題もあるかもしれませんが、荒川区しかゼロ歳保育の制限時間はやっていませんので、ぜひとも早目の検討をお願いしておきたいと思います。ありがとうございました。 ○議長(鳥飼秀夫君) 二十五番竹内明浩議員。   〔竹内明浩君登壇〕 ◆二十五番(竹内明浩君) 民進党荒川区議会の竹内明浩です。本日は三項目にわたり質問いたします。 まず初めに、高齢者のためのコンシェルジュについて伺います。 日本全体の高齢化や核家族化が進み、元気な高齢者が多くいる一方、介護や支援を必要とする高齢者が確実に増加をしております。 ここ荒川区でも、六十五歳以上の高齢者が五万人を超え、そのうち高齢者のみの世帯が約八千世帯、ひとり暮らしが一万八千世帯を超え、合わせて二万六千世帯が高齢者のみで暮らしております。高齢者のみで生活しているとふだんの何気ない日常生活の中でちょっとした困りごとが出てきます。例えば、庭にある高い木の枝を切る、部屋の電灯をかえる、カーテンを取りかえる、ごみ出しや日常の買い物など、若いころには普通にできていたことが難しくなり、無理をしたために事故につながり、けがや入院、最悪の場合、それが原因となって寝たきりになったり、場合によっては区外の施設に入所しなければならない可能性が十分にあります。 荒川区が現在策定の第七荒川区高齢者プランで掲げている「可能な限り住みなれた地域で継続して生活できる社会」を着実に推進していくためには、こうしたリスクを回避し、取り除いてあげる必要があると思います。 これまでは、親子で暮らしていれば日常生活のちょっとした手助けは若い世代が行い、高齢者のみの世帯や高齢のひとり暮らしの方であれば、社会福祉協議会やシルバー人材センターのサービスを活用し、対応しておりましたが、今後さらに高齢者のみの世帯が増加していくことを考えると、日常の頼みごとを解決する体制が必要であると考えます。そのためには、まず各地域に人と人、人とサービスを結びつけていく、ホテルにいるようなコンシェルジュのような人材を配置することが重要だと考えます。まずはサービスを提供する人材を発掘、育成し、活動拠点となり得る社会資源、空き家等を確保し、それと同時に高齢者のニーズを把握し、そのニーズに対し、どのようなサービス提供ができるのかを調査し、次の段階としては、そのサービスを必要としている人に周知、サービスのマッチングやそのサービス提供を行うことができれば理想的であると考えております。 高齢者が必要とするサービスが必要なときに受けられるような拠点の整備やさまざまな地域資源のサービス等を結びつけられるコンシェルジュ的人材を配置することによって、高齢者が住みなれた地域で生活が継続できると考えますが、区の見解を伺います。 次に、二項目目として、空き家を解消した安全なまちづくりと今後の方向性について伺います。 荒川区は、平成二十七年七月から平成二十八年三月にかけて、防災上、防犯上の観点から空家等対策の推進に関する特別措置法に基づき、区内全域の空き家実態調査を行い、平成二十九年一月に荒川区空き家対策計画として策定されました。調査時には九百七十一棟あった老朽化空き家が本年六月時点では九十三棟減少し、八百七十八棟とのことでした。確かに区役所近辺を歩いていても、空地がふえたなと実感できるほど着実に成果を上げております。所有者情報等が不十分な状況下での取り組みに対し、当局の地道な御努力の結果として大変評価するものであり、今後さらなる老朽化空き家の解消に向けた取り組みに期待するとともに、今後の方向性について伺います。 また、自治体における空き家対策は、危険な老朽空き家の除去など応急対策のほか、活用策、予防策の面からの取り組みも重要だと考えております。 昨年、一般質問において空き家の活用策として地域活性やにぎわい創出の観点から、また、公的スペースとしての地域交流の場として空き家を活用すべきと質問させていただきましたが、活用できる空き家について今後どのような取り組みを行っていくのか伺います。 また、本日は、空き家にならない、させない予防策について伺います。 身寄りのない単身高齢者がますます増加していく、そうした状況の中で、将来、空き家がさらにふえることが予想されております。それを防ぐためにも、例えば予防対策の一つとしてのリバースモーゲージの周知をさらに推し進めるべきであると考えております。 このリバースモーゲージは、一九八一年、東京都武蔵野市が最初に導入いたしました。その後、大手民間銀行もリバースモーゲージを導入しましたが、活用例が少ないのが現状です。 このリバースモーゲージが普及しない理由としては、利用できる方は自己所有の土地つき戸建て住宅を所有している方が対象であること、また、制度のリスクや相続に関係する問題の理由からリバースモーゲージの普及はおくれております。 実際、自治体でのこの制度を行っている東京都社会福祉協議会、窓口は各区の社会福祉協議会ですが、問い合わせをしたところ、荒川区において平成二十九年度の実績はゼロ件、過去に利用された件数もほんの数件ということでした。しかも、利用された方の全ての人がこの制度を積極的に活用したものではなく、年金等の現金収入がなく生活に困っている世帯であり、生活保護を受給する前段階の緊急的な措置であるとのことでした。 現金収入も乏しい高齢者でも自宅を所有し、担保にすることにより、住みなれた地域、家で生活を続けることを可能にする高齢者向けの在宅福祉政策の側面が強い制度の一つであると言えます。やはりここに自治体が積極的に取り組む意義があると思っています。 このリバースモーゲージは、高齢者にとって自分の財産は自分で自由に処分、管理し、自分自身の老後生活を送る、高齢者の自立を実現させる、そして、空き家にならない、させない予防策の一つとしての両側面から、この制度を積極的に周知すべきと考えますが、見解を伺います。 最後に、地域実情に応じた自転車活用施策の充実についてお聞きします。 昭和三十年ごろ、ここ荒川区は名実ともに自転車のまちと言われておりました。自転車産業の基地として、西の堺市、東の荒川区とまで言われていた最盛があったとお聞きしております。その時代には、セキネ自転車、ゼブラ自転車等のブランドメーカーを筆頭に、自転車関連企業が約三百社近くあったそうです。今では、その面影もなく、寂しい限りです。そればかりか、自転車といえば、自転車盗難防止対策、放置自転車対策、運転マナーアップの向上施策など、自転車対策としてマイナスのイメージが先行しているように思うのは自分だけでしょうか。そうではなく、マイナスのイメージを払拭し、自転車をその機動性、利便性を生かしたにぎわいのまちづくりとしての区内商業振興策、観光振興策の一助にするべきと考えております。 尾久地域、町屋地域、荒川地域、日暮里地域、南千住地域に点在している商店、観光スポットを点ではなく、面として充実させるには、やはり機動性のある自転車の活用、具体的にはシェアサイクルが有効であると考えております。本年で第四回目を迎えた荒川区にぎわい創出事業「下町花・フェス!」が本年九月二十五日から十月十五日かけて開催されました。後援は荒川区、主催者は区内商業・企業の方々で、この事業は「人がつながる 街が笑う」をコンセプトに開催されております。協力店は荒川区七十一店舗、北区二店舗、足立区六店舗の小店、この事業における商店は商いの店ではなく、小さい店を指しております。観光スポット四カ所をめぐるスタンプラリー形式の事業となっております。最近、主催者側とお話をする機会があったので、お話をお聞きすると、この事業の課題は、開催地が広域に広がるため、移動手段としての自転車があれば、区内はもちろん、区外からもさらにお客様を呼ぶことができるとの声もいただきました。 ここで、東京都が支援するICT技術を活用した自転車シェアサイクルの普及促進事業の状況を見ますと、千代田区、中央区、港区、新宿区、文京区、江東区、渋谷区の七区が相互乗り入れ可能な自転車シェアリング(シェアサイクル)広域事業を実施しております。その他の区としては相互乗り入れはしていないものの、大田区、練馬区、品川区の三区も取り組みを始めております。 この事業は、利用手続が簡単で、通勤や業務、観光など多様な目的で自転車が共同利用される仕組みを整備し、区市町間の連携を促進することを最大の目的とし、効果としては、CO2 削減効果だけではなく、まちの回遊性向上や地域活性化の効果も期待されております。この事業の運営主体はNTTドコモとその子会社のドコモバイクシェアであり、実施主体は各区となっております。現在、自転車の貸し出し、返却場所となるポートが三百三十三カ所、シェアサイクル用自転車約四千台、登録会員数約二十万人となっております。また、東京都も参加する市区町村に対し補助金の支援も行っております。 また、国会においては、自転車活用推進法が平成二十八年十二月に衆議院・参議院とも全会一致で成立、本年五月一日に施行されました。この法律は、自転車の活用を総合的、計画的に推進し、基本方針としての自転車専用道路等の整備、シェアサイクル施設の整備、国民の健康の保持・増進、交通安全にかかわる教育及び啓発、観光来訪の促進、地域活性化の支援等々十四項目の施策を重点的に検討・実施、市区町村においては、区域の実情に応じ、計画を定めるよう努めるとなっております。 そこで伺います。この自転車活用推進法に対する荒川区としての見解、そして、自転車のまち荒川区の復活のため、環境にも優しく、地域活性化の効果が期待できる自転車活用施策の充実としてのシェアサイクルの施設整備の要望をいたしますが、御見解を伺います。 以上、三項目にわたり質問いたします。ぜひとも前向きな御答弁をよろしくお願い申し上げます。(拍手)   〔区長西川太一郎君登壇〕 ◎区長(西川太一郎君) 竹内議員の御質問にお答えを申し上げます。 まず、私からは、空き家を解消した安全なまちづくりに関するお尋ねに答弁を申し上げます。 空き家の存在は、地震による建物の倒壊や事故等による火災の発生、衛生や景観の悪化につながるおそれがあるとされ、まちの連担が途切れ、地域コミュニティのつながりを阻害する要因となりますことから、区が最優先で取り組むべき課題の一つであると認識いたしております。 そのために、私は、平成二十四年度から危険な老朽空き家住宅除却費用の一部を助成させていただくなど、区独自の制度を開始するなど、他の自治体に先駆けていち早く空き家対策に取り組んでまいりました。 特に国土強靱化国会議員連盟の視察を一番先に荒川区が受けまして、適正な管理がなされていないままの老朽化が進んでいる空き家に対して、「危険老朽空き家ゼロ作戦」として、不燃化特区における空き家所有者への積極的なアプローチをはじめ、区が寄附を受け、除却を行う制度の創設、除却費用の全額助成という促進策を順次拡大してまいりました。 さらに、本年一月に策定いたしました空き家等対策計画において、地域コミュニティの活性化につながる空き家の流通・活用の促進を基本方針の一つに位置づけておるところであります。 この方針に基づきまして、譲渡所得の特別控除制度の周知や、空き家バンク制度の導入による中古住宅の流通の促進や地域の活性化等に寄与するような活用策の検討とともに、住みなれた我が家に引き続き住むことができますように、住宅リフォーム等への御支援にも取り組んでいるところでございます。 私は、空き家の除却や活用等のさまざまな対策を総合的かつ計画的に推進することが、区民の皆様が安全で安心して暮らすことができるまちの実現に向けて、今後も全力で取り組んでまいりたいと存じます。 かつて竹内議員が荒川青年会議所の委員長をお務めのときに、懇談会で空き家の除却についての御示唆をいただいたことを今でもはっきりおぼえています。これは、竹内議員が国会議員が視察の際に見に来た国会議員の方々からいろいろな御示唆を受けたときにお立ち会いをいただいたようでございまして、大変有益な御指摘をいただいております。そこで、我々は、空き家の譲渡も含めて、管理関係の整理、こういうものをきちんとやっていきたいと思います。 どうしても申し上げたいことは、実際に区役所からまっすぐに出た、今のゆいの森あらかわの少し手前の地域である物件があって、そこは相続によって持ち主が奈良県のほうにお住まいであって、その方を探したり、いろんなことでなかなか難しい問題がありました。 こういうようなことが存外、荒川区には、郊外に持ち主がおいでになって、借家、借地の形態が依然として残っております。これをしっかり整理していくことが優先課題だと思っております。きょう御質問でいただきました御示唆に従って努力をしてまいります。 これ以外のことにつきましては、関係理事者から答弁を申し上げます。ありがとうございます。   〔福祉部長片岡孝君登壇〕 ◎福祉部長(片岡孝君) 高齢者のためのコンシェルジュに関する御質問にお答えいたします。 御質問にございました高齢者のコンシェルジュは、地域福祉活動へ区民の参加を誘い、支え合う関係づくりを進める役割を担うものと認識してございます。現在、こうした役割で区内全域を担当する生活支援コーディネーターを高齢者福祉課に一名配置しており、ふれあい粋・活サロンに行きたくても行けない方へのつき添いを地域の方に担っていただけるよう、個別のマッチングを行い、そのノウハウの蓄積を進めているところでございます。 今後、より身近な地域包括支援センターにコンシェルジュ的な役割を持たせ、担当地域のニーズのよりきめ細やかな把握と新たなボランティアの発掘や個別のマッチングの仕組みを構築する予定としてございます。 区といたしましては、可能な限り住みなれた地域で継続して生活できるよう、高齢者が必要とするサービスが必要なときに受けられる地域づくりを推進してまいります。   〔都市計画担当部長松崎保昌君登壇〕 ◎都市計画担当部長(松崎保昌君) 空き家の活用の促進に関する御質問にお答えいたします。 区では、本年度、地域活性化施設に空き家を改修する場合には、その費用の一部を助成する事業の実施を予定しています。さらに、空き家バンクの制度の導入に向けて現在検討を進めているところであります。 区といたしましては、地域の活性化やまちの魅力向上につながる施策を今後も進めてまいります。 次に、空き家化の予防に関する御質問にお答えいたします。 空き家化の予防につきましては、空き家の所有者への情報発信や啓発をはじめ、空き家に関するさまざまな相談に対して専門家が無料で対応する相談会を開催しております。 御提案がありましたリバースモーゲージ制度につきましては、有効なシステムであると認識しておりますが、土地価格の変動リスクや推定相続人の同意が必要となるなど、さまざまな課題があるとともに、その認知度が低いのが実情であります。 区といたしましては、リバースモーゲージ制度をはじめとするさまざまな対策の周知に努めるとともに、空き家化の予防に向けて関係部署とも十分に連携しながら取り組んでまいります。   〔産業経済部長石原久君登壇〕 ◎産業経済部長(石原久君) 地域実情に応じた自転車活用施策の充実についての御質問にお答えします。 自転車活用推進法は、自転車による交通の役割の拡大、環境への配慮、健康の増進等を基本理念として制定されたものと認識しております。自転車シェアリングの活用につきましては、民間事業者におきましても、コンビニエンスストアチェーン、通信事業者、自転車製造販売事業者の三者が自社それぞれが持つ企業特性を活用し、自転車シェアリングを協業で行うと先般公表いたしました。 今後、自転車の活用策につきましては、法の趣旨を踏まえ、また、このような民間事業者の動向も注視しながら、自転車シェアリングの導入の可能性について、関係所管とも連携して調査研究を行ってまいります。 ○議長(鳥飼秀夫君) 二十三番斉藤裕子議員。   〔斉藤裕子君登壇〕 ◆二十三番(斉藤裕子君) あらかわ元気クラブの斉藤裕子です。 ことしもはやお酉様の季節となりました。三点にわたって質問いたしますので、当局の真心のこもったお答えをお願いいたします。 ネット社会の今日、震災などの災害時に人心を惑わすデマ、流言蜚語への情報対策はますます重要な課題となってきました。最近の事例も踏まえ、当局のお考えを伺います。 ネット社会の拡大がとまりません。かのアメリカでは、「自分の信じたいことが真実だ」というフェイクニュースが大統領選挙などでも平然と横行しています。事実と異なる情報を打ち消すのは本当に厄介な課題になりました。震災などの災害時に人心を惑わすデマ、流言蜚語に対する対策は喫緊の課題と捉える必要がありますが、災害対策の担当部局はそうした問題意識をお持ちでしょうか。 具体例を挙げて質問いたします。 昨年六月の熊本大地震では、「朝鮮人が毒を入れた」とのツイートが流れました。かつて一九二三年の関東大震災で経験した事件と同様です。ヘイトスピーチなどに見られる昨今の排外主義の台頭も背景にあると危惧されます。当局はこの事実関係を把握しているのか、伺います。 吉村昭先生の著書「関東大震災」には、朝鮮人虐殺の震撼とする状況が描き出されています。吉村先生らしく、綿密な取材と調査に基づき、事実をリアルに示した歴史的な価値のある記述です。 吉村先生は、この本の後書きで「私の両親は東京で関東大震災に遭い、幼児から両親の体験談になじんだ。殊に私は、両親の口から漏れる人心の混乱に戦慄した。そうした災害時の人間に対する恐怖感が、私に筆をとらせた最大の動機である」と書いていらっしゃいます。 私の質問時間で多くを紹介することはかないませんが、吉村先生は、「第二の悲劇 人心の錯乱」と題した部分で、「朝鮮人来襲説」「自警団」「列車輸送」「新聞報道」と各章にわたって実に多くのページを割いてこの事件を書いています。 「当時の時代背景に関して、日露戦争勃発後、日本は大陸からの軍事的脅威を緩和させるため朝鮮を重視し、明治三十七年二月に日韓議定書を締結した。この議定書は、日本が朝鮮を従属させる第一歩となったが、強圧的な日本の態度に朝鮮国内の日本に対する反感は高まった。さらに日本政府は、強大な武力を背景に朝鮮を保護国とすることを企て、伊藤博文を初代統監とする統監府を設けて、内政を全て掌握してしまった。そして、明治四十三年八月には、最後の手段として強引に朝鮮を日本領土として併合したのである。このような日本政府の行為は、朝鮮国民を憤激させ、朝鮮各地に暴動が発生したが、日本政府は軍を派遣してその鎮圧に努めさせた。日本政府は朝鮮を領有することに成功したが、朝鮮人の憎悪は募るばかりで、伊藤博文がハルビン駅で安重根に射殺される等、各種の事件が続発した。日本の為政者も軍部も、そして一般庶民も、日韓議定書の締結以来、その併合までの経過が朝鮮国民の意志を完全に無視したものであることを十分に知っていた。また、統監府の過酷な経済政策によって、生活の糧を得られず、日本内地へ流れ込んできていた朝鮮人労働者が平穏な表情を保ちながらも、その内部に激しい憤りと憎しみを秘めていることにも気づいていた。そして、そのことに同情しながらも、それは非圧迫民族の宿命として見過ごそうとする傾向があった。つまり、日本人の内部には朝鮮人に対して一種の罪の意識が潜んでいたと言っていい」と書かれています。大変鋭い洞察ではないでしょうか。 当時政府が行った調査によれば、このとき殺された朝鮮人は、東京などの一府六県で六千名以上、東京だけでも約一千七百名以上に上ると記されています。ところが、この問題で東京都の小池知事は、朝鮮人虐殺の事実については歴史家の判断に委ねたいとして、ことし九月、墨田区の都立横網公園での朝鮮人犠牲者追悼式典に追悼文を送りませんでした。事実は事実であって、歴史家が判断するものではありません。東京を中心に起きた歴史の事実を認めない態度は、政治家としても、行政のトップとしてもふさわしくないと私は思います。 荒川区は、吉村文学の真価を今日に生かす立場で、ここはひとつ、西川区長にぜひ小池知事にこの本を進呈していただいて、ぜひお読みいただくように注意を喚起していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。 ところで、私は、今から十四年前、関東大震災から八十年目の節目に当たる二〇〇三年(平成十五年)に今回と同じ質問をいたしました。吉村昭先生の「関東大震災」を紹介し、建物の安全性や耐震補強といったハード面での取り組みに加えて、流言蜚語の防止というソフトの面でも、この「関東大震災」を教訓にする必要がある。関東大震災時は新聞などもデマを広める役割を果たし、住民は自警団と化して、罪もない人々を引き立て、殺りくする側に回った。しかし、中には命がけで災難に遭った人たちを助けた日本人もいた。私は、尾久のある人から同様の体験談を聞いた。こうした非常時の経験をかみしめておくことが大切ではないかとして、常日ごろから住民のリーダーとなって活動する地域の方々と一緒に研修や啓発を行うことも大切ではないのかと質問しました。しかし、当時の柳澤地域振興部長は、「関東大震災時に発生したパニックの背景は、情報を伝えるラジオがなく、うわさが拡散したが、現在はテレビやラジオ、インターネット等、さまざまなマスコミ手段により瞬時に正しい情報が世界の隅々まで行き渡る状況になった。」間違った情報も瞬時に行き渡りますよね。「パニックなどが起きないよう万全を期す」と答弁し、「かつてのような流言蜚語は流れることはないと信じているところでございます」とお答えになりました。 私は、現代の流言蜚語も二十一世紀の流言蜚語も残念ながらあるだろう、住民の中の不安を払拭する取り組みをお願いしたいとしつこく押し問答いたしましたが、予想どおり、ネット社会となった現代にも流言蜚語はありました。 そこで重ねてお願いいたしますが、区が行う防災訓練や日ごろ区と連携して活動している消防団、防災団体、町会などの団体と懇談する機会を捉え、デマや流言蜚語に対する情報対策として、抽象的ではなく、関東大震災での朝鮮人虐殺を例に挙げて具体的な研修や啓発を行い、区民に対して再発防止の働きかけを行っていただきたいと切に思いますが、いかがでしょうか。 次に、荒川区の区民サービスをよくするために、非正規職員の処遇改善と現業職員採用に関する国の政策や見解に荒川区はどう対処していくつもりか伺います。 五月十一日、地方公務員法と地方自治法の一部改正法が成立しました。二〇二〇年四月には、会計年度任用職員制度が導入されます。 この間、荒川区でも正規職員の退職不補充の方針を進めた結果、多くの非常勤職員が採用され、日々の職務を担っていますが、まず、現在在籍する全臨時・非常勤職員の人数は何人か伺います。 この法改正は、社会問題となってきた非常勤職員の処遇改善につなげることが可能です。会計年度任用職員の導入について、区として現時点でどのように受けとめ、日程を含めどう対応しようとお考えか、伺います。 また、今回の法改正で現在の非常勤職員の任用が法律上明確化されました。今後は勤務実態や職務内容を判断し、六層の非常勤給与体型を持つ荒川区として、今の処遇を低下させない方法で希望する非常勤職員の方については、フルタイムで任用するお考えはありませんか。 現在、非常勤職員の退職手当はフルタイム勤務者にしか支給されません。ゆいの森あらかわをはじめ、区立図書館のサービスを一手に担う非常勤職員は、週四日勤務の非フルタイムという規定になっています。フルタイム任用になれば、退職手当を支給することが可能となります。 また、今回の法改正は、一時金についても条例を制定すれば非常勤職員にも、常勤と同等ではありませんが、一定額の支給が可能となりました。全世代での深刻な所得の減少を食いとめ、日本を生活できる賃金の国にするための転換点となるよう、現場での運用を心がけてほしいと思います。そのことが職員のやる気を上げ、さらなる区民サービスにつながることは言うまでもありません。 この間、行財政改革は一定の役割を果たしてきました。しかし、「行革」といえば、区民の支持が得られ、「職員削減」と叫べば票がふえる時代は過去のものとなりました。今は官民を問わない非正規労働が生み出した全世代の貧困化という弊害を克服することが課題となってきました。 区民サービスの最前線で常勤職員同様に働く非常勤職員の処遇改善に荒川区の予算を割くことは、必ずや区民に支持されるものと思います。新たな時代認識のもとで、知恵を使って法改正を運用し、荒川区の人材に適切な投資をお願いいたします。 さて、十月二十三日、東京都区政課は、総務省からの指摘事項として、技能労務職(現業職員)の採用について、清掃職員など新規採用が増加しているが、引き続き退職不補充を基本とし、民間活力導入などで業務の見直しを進めるよう指示を出しました。 この文書には「地方公務員に対する住民の厳しい目が注がれている中」などとありますが、住民の厳しい目なら私たち地方議員にも注がれております。現場のやっていることがいかにも不適切だといわんばかりの国の態度はどうなんでしょうか。地方自治体のやることにいちいちくちばしを入れ、指図する国のやり方をどう思いますか。 コストの面や民間の派遣労働者の非定着性、技量に問題があるサービス面をあわせて考えますと、かたくなに直営職員の不採用の原則を守ることには限界があります。 多様化する区民サービスへの対応や震災時、オリンピック等でも直営職員の力が再評価されてきました。熊本地震の瓦れき処理では、直営の地域と民間事業者の地域では、直営職員が応援に入ってもなお一カ月の差がつき、市長は職員に感謝を表明したとの現地報告を聞きました。もともと偽装請負が問題視されてきた指揮命令系統がこうした非常時には決定的に機能しなくなるということもわかります。 総務省は、退職不補充をいまだに金科玉条にしているようですが、時代の要請の変化に加えて、行き過ぎた民営化のなかで再度、直営職員を必要とするようになった現場での判断を尊重すべきではないでしょうか。 国の認識は、現場での状況変化などの実情を踏まえないものだと思いますが、当局はどうお考えですか。 最後に、変質する介護保険の現場で問題となっている幾つかの点について当局の見解を伺います。 来年は介護報酬改定の年に当たります。一旦始まった介護業界の人手不足はとどまることを知らず、依然として低賃金と人手不足の悪循環が続いています。 現場にはさまざまな問題も山積しているようで、私は会派の広聴会で高齢者、障がい者の在宅生活を支えて働く訪問介護ヘルパー、訪問看護師、ケアマネジャーから実情の一端を聞きました。 まず、二十四時間型の定期巡回サービスの現状と問題点について伺います。 二〇一二年四月から、二十四時間の訪問介護・看護を行う定期巡回・随時対応サービスが導入されました。サービス提供時間は二十分未満、二十分以上三十分未満、三十分以上一時間未満と短く区分され、早朝や夜間のサービス提供も可能です。ヘルパーや看護師が利用者の自宅を定期的に短時間巡回するさまは、まさに地域の病院か病室かです。 定期的な短時間訪問で、薬を飲んだり、排せつをサポートしてもらえるので助かると歓迎する利用者がいる一方で、こうした形態のサービスで夜間・早朝を乗り切ることが困難な利用者もいます。 病院ではなく、自宅での看取りを望む終末の高齢者がふえ、医療的ケアも在宅でやると言いますが、これを可能にするには、医療的なケアに熟練したヘルパーや緊急状況の判断を下すことができるスキルの高い看護師の人材確保が欠かせません。ましてや二十分、三十分では十分な対応ができないケースが多いのが現状です。 経験不足のヘルパーからSOSが入って応援に入ったけど、医療的なスキルがなければ危険な状態だった。時間不足で十分なケアができず、利用者さんにごめんなさいと伝え、後ろ髪を引かれながら帰ったこともある。終末の利用者こそ、在宅で時間をかけて手厚いケアをしてあげるのが本当じゃないのかと毎日悩んでいる。このサービスを売り物にするある大手事業所の訪問ヘルパーからは、プロとしてのやるせない思いとこうしたサービスが主流になることを危惧する悲痛な意見がありました。当局はこうした現状をどうごらんになりますか。 さらに、介護保険制度に対する利用者の誤った認識やモラルの問題も依然としてあるようです。 訪問するヘルパー、看護師に対するとんでもない態度もあり、これだから耐えられなくて仕事をやめる人がふえて、人手不足に輪がかかるんだなと思わされました。 両手が使えるのに、ここを洗え、あそこを洗えと要求する利用者。私は、「御自分でできますよね」と拒否するけれど、新米のヘルパーやおとなしそうな人には強要してやらせる。「私はあなたの妻でも愛人でも使用人でもない」と言ってやりたいとあるヘルパーは怒り心頭です。議場の皆さん、そうなってはいけませんよ。 また、他の利用者の訪問の最中に何度も電話をかけてくるので、「必ず伺うので少しお待ちください」と伝えると、「おまえ、金もらってやっているんだろう」と怒鳴る。「私はあなたからお金をいただいていません。介護保険という制度の中で仕事をして給料をもらっているので」と思わず言い返した。訪問先の利用者さんに「お聞き苦しくてすみません」と謝ると、「あなたの言うとおりですよ。御苦労さま」と言ってくれて、ちょっと気が休まったという話もありました。 彼女たちはこういう日常の中で働いているわけです。改めて利用者に対する介護保険制度の趣旨説明、とんでも勘違いに対する啓発が必要ではないかと思いますが、当局はどう思われますか。見解を伺います。 さらに、小池知事の地元・豊島区で国家戦略特区を使って突然実施することになった混合介護についても疑問と異論が出ておりました。 これは、介護保険制度に位置づけたヘルパーさんを使用人かお手伝いさんがわりにする話でもあり、こういうことが豊島区をモデルに広がるととんでもないことになるので、今のうちに当局の見解をただしたいと思います。 介護保険サービスと保険外サービスを同時一体的に提供する混合介護については、問題が多く、安易に進めるべきではないというのがこれまでのスタンダードな見解です。現在は、保険内の時間と保険外の時間とがきっちり区分けされていますが、混合介護はこれを弾力化して条件を緩やかに緩和するという規制改革です。介護保険を受けている本人以外の家族の分についても、洗濯、掃除、買い物、調理等を行うことができるようになり、介護保険の趣旨から大きく逸脱します。家族全体の家事を依頼するなら、家政婦さんを雇うのが筋でしょう。 介護保険外の指名料や集中時間帯の割増料金等を上乗せして収入増を見込む狙いですが、同居人が元気でも家政婦がわりに利用するのではないかという懸念や指名料が払える利用者に偏り、指名料が払えない要介護高齢者にはヘルパーが派遣できなくなる可能性もあります。そして、本当にヘルパーの賃金が上がるのかは全く不透明。また、混合介護の弾力化を許せば、所得の再配分にも反します。 豊島区でのモデル事業については、都の担当部局でも十分な検討は行われていなかったようです。さまざまな問題点を考慮し、慎重に検討するよう東京都に申し入れていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。 これで終わります。   〔区民生活部長三枝直樹君登壇〕 ◎区民生活部長(三枝直樹君) 災害時における情報対策についてお答えいたします。 災害時におきましては、区民に対し、正確な情報を迅速に提供していくことが極めて重要であり、区では、さまざまな媒体を活用し、区民に対し、情報を発信していくこととしてございます。また、近年の地震や水害等の災害時には、一般市民によりツイッターなどのSNSを通じて数多くの情報が発信されておりますが、その中には不正確な情報などが含まれることがあり、さきの熊本地震におきましても、こうした誤った情報が発信されていたことについて把握しているところでございます。 一般市民から発信される情報につきましては、それらの情報を正確に識別していくことが必要となりますが、そのためには発信される膨大な情報を迅速に収集、選別していく必要があるほか、誤った情報をどのように修正していくかなどの課題もございます。 現在、官民におきまして、膨大なSNSの発信情報から必要な情報を効率的に抽出する方策に関して研究、開発が進められており、区といたしましても、こうした動向を注視してまいりますとともに、今後も正確かつ迅速な情報発信の徹底に努めてまいります。 また、区民の方々に対しましても、区報や各種の防災訓練等、さまざまな媒体や機会を活用して、過去に起きた事例なども紹介しながら、災害時に飛び交う情報の中にはデマや誤った情報が含まれている可能性があることや、信頼できる正しい情報に基づいて行動することの大切さ等について啓発を進めてまいります。   〔総務企画部長五味智子君登壇〕 ◎総務企画部長(五味智子君) 熊本地震における情報発信に関する御質問にお答えいたします。 熊本地震の発生後、ツイッター上に外国人に関する差別的言動が確認されたことは把握しております。このことは、特定の外国籍の人々に対する差別的言動であると同時に、匿名性とインターネットの特性を利用した重大な人権侵害であります。 区では、これまで人権問題の正しい理解のため、講演会やパネル展示などを行ってまいりました。今後も人権意識のさらなる普及啓発活動等に取り組んでまいります。   〔地域文化スポーツ部長池田洋子君登壇〕 ◎地域文化スポーツ部長(池田洋子君) 吉村昭先生の文学館を所管する立場から御質問にお答えいたします。 文学館では、人間の本質と時代の真実を追求した作品群とともに、先生を御紹介しています。自筆メモには、「史実に忠実、私の揺るぎない姿勢」とあり、それは吉村文学の根幹をなす大きな魅力の一つです。 また、御令室の津村節子先生はマスコミの取材に対し、「吉村は余白を空想で埋めることをしなかったので、書いた内容は絶対に信用している」ともおっしゃっています。 御質問の著書「関東大震災」は、極限状態における集団の疑心暗鬼が狂気となって襲いかかる人間そのものに対するおそろしさを描いた作品でもあります。都知事に関する件につきましては、申し上げる立場にないと認識しておりますが、区ではこれからも吉村昭先生が示してくださった真実を見つめる視点の大切さを多くの方々に広く伝えてまいります。   〔管理部長梅原一彦君登壇〕 ◎管理部長(梅原一彦君) まず、非常勤職員制度等に関する御質問にお答えいたします。 区では、業務の性質や内容等を踏まえて、多様な人的資源を活用し、効果的で効率的な執行体制を構築してまいりました。その中で、現在、七百二十五名の非常勤職員を配置しているほか、年間延べ三百名程度の臨時職員を活用しております。 会計年度任用職員制度は、非常勤職員の法的位置づけを明確化し、任用、手当、支給等の環境整備を図るものです。この間、区は他自治体に先駆け、各種の処遇改善を行ってまいりましたが、法改正に対応するため、特別区全体として御質問の雇用形態も含め、制度設計に向けた論点整理を行っているところであります。区といたしましては、平成三十二年に向けて鋭意準備を進めてまいります。 次に、技能労務職の採用に関しましては、総務省の意見を受けとめつつ、各自治体の実態に即して自律的に判断すべきものと認識しております。 区におきましては、行財政改革の取り組みの中で、技能労務職は退職不補充を原則に、事業の見直しと民間活力の導入を図っているところでございます。引き続き効率的で効果的な区民サービス提供の視点から、業務実態を踏まえつつ、最適な執行体制を確保してまいります。   〔福祉部長片岡孝君登壇〕 ◎福祉部長(片岡孝君) まず、二十四時間巡回サービスに関する御質問にお答えいたします。 夜間や早朝に訪問介護を利用される方は、主に介護度の高い方が多く、手厚い支援が必要であると認識しております。そのため、区では、これまでも介護事業者に対し、ターミナルケアや医療連携に関する研修等を実施しており、引き続き本人や家族に寄り添ったより適切な支援ができるよう支援してまいります。 次に、介護保険制度の周知に関しましては、社会的良識を含めた利用に当たっての留意点などを利用者に御理解いただくことが重要でありますので、引き続き周知啓発に努めてまいります。 最後に、混合介護に関する御質問にお答えいたします。 混合介護は、豊島区が特区制度を活用して、来年八月のモデル事業開始を目指して準備を進めている段階にございますので、現段階におきまして、区といたしましては、今後の状況を注視してまいりたいと考えてございます。 ○議長(鳥飼秀夫君) 以上で本日の質問は終わります。 以上をもちまして、本日の日程は全部終了いたしました。 お諮りいたします。 本日はこれをもって散会したいと思いますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(鳥飼秀夫君) 異議ないものと認め、そのように決定いたします。 次回の本会議は、明日十一月二十九日午前十時から再開いたします。 本日はこれをもって散会いたします。まことにお疲れさまでした。   午後二時四十分散会...