令和 6年 6月 定例会(第2回) 東京都北区議会会議録第九号(第二回定例会) 令和六年六月十日(月)(午前十時
開議)----------------------------------- 出席議員(四十人) 一番 山中りえ子 二番 佐藤つかさ 三番 濱田知明 四番 福田光一 五番 加藤みき 六番 佐藤こと 七番 さいとう尚哉 八番 安達しんじ 九番 せいの恵子 十番 宇都宮ゆり 十一番 永井朋子 十二番 野口将人 十三番 坂口勝也 十四番 すどうあきお 十五番 くまき貞一 十六番 佐藤かずゆき 十七番 金田よしあき 十八番 平田りさ 十九番 仲田みずき 二十番 本田正則 二十一番 野々山 研 二十二番 山崎たい子 二十三番 近藤光則 二十四番 宮島 修 二十五番 ふるたしのぶ 二十六番 小田切かずのぶ 二十七番 坂場まさたけ 二十八番 松沢よしはる 二十九番 石川さえだ 三十番 永沼かつゆき 三十一番 花見たかし 三十二番 赤江なつ 三十三番 青木のぶえ 三十四番 うすい愛子 三十五番 青木博子 三十六番 いながき 浩 三十七番 大沢たかし 三十八番 竹田ひろし 三十九番 渡辺かつひろ 四十番 戸枝大幸 出席説明員 区長 山田加奈子 副区長 中嶋 稔 (し
ごと連携担当室長事務取扱) 副区長 犬飼 武 政策経営部長 藤野浩史
デジタル推進担当部長 馬場秀和 (
DX推進担当課長事務取扱) 総務部長 小宮山庄一 (新
庁舎整備担当部長兼務) 危機管理室長 松田秀行
地域振興部長 雲出直子 区民部長 加藤富男
生活環境部長 銭場多喜夫 福祉部長 村野重成 健康部長 尾本光祥 (健康部参事(
地域保健担当)兼務) (健康部副参事(
地域保健担当)兼務) (北区保健所長兼務) (
保健予防課長事務取扱)
子ども未来部長 筒井久子
まちづくり部長 寺田雅夫
拠点まちづくり担当部長 小野村弘幸 土木部長 岩本憲文 総務部 総務課長 内山義明 教育委員会 教育長 清正浩靖
教育振興部長 倉林 巧 議事日程 第二号日程第一 第三十八号議案 東京都北区
赤羽イノベーションサイト条例日程第二 第三十九号議案 東京都北区手数料条例の一部を改正する条例日程第三 第四十号議案 東京都北区
大気汚染障害者認定審査会条例の一部を改正する条例日程第四 第四十一号議案 東京都
北区立児童発達支援センター条例の一部を改正する条例日程第五 第四十二号議案 東京都北区
ジェイトエル開設に伴うテーブル、
椅子等既製備品の
購入契約日程第六 第四十三号議案 東京都北区
ジェイトエル開設に伴う
受付カウンター、
書架等造作備品の
購入契約日程第七 第四十四号議案 東京都北区
ジェイトエル開設に伴う
UVプリンター外の
購入契約日程第八 第四十五号議案
特別養護老人ホーム清水坂あじさい荘大
規模改修工事に伴う厨房機器の
購入契約日程第九 第四十六号議案 王子小・王子桜中学校の児童生徒増に伴う
厨房機器購入契約日程第十 第四十七号議案
仮称区営シルバーピア栄町
新築電気設備工事請負契約日程第十一 第四十八号議案
仮称区営シルバーピア栄町
新築機械設備工事請負契約日程第十二 第四十九号議案 旧
十条台小学校校舎等解体工事請負契約日程第十三 第五十号議案 旧
神谷中学校校舎等解体工事請負契約日程第十四 第五十一号議案 区画街路三号線
下水道整備工事(一工区)
請負契約日程第十五 第五十二号議案 令和六年度東京都北区
一般会計補正予算(第二号)
○副議長(近藤光則議員) おはようございます。 これより本日の会議を開きます。 この際、会議時間の延長をしておきます。 質問に入ります。 十六番 佐藤かずゆき議員。(拍手) (十六番 佐藤かず
ゆき議員登壇)
◆十六番(佐藤かずゆき議員) 公明党の佐藤かずゆきです。本日は、大きく六点質問させていただきます。 まず、若者世代の定住化支援について伺います。 日本の将来を考えるとき、その最重要課題が少子高齢化であることに異を唱える方は少ないと思います。そのために、政府をはじめ各自治体においても様々な少子化対策を実行しています。 過日公表された人口戦略会議の報告書において、十年前に
消失可能性都市とされていた豊島区がその状況を脱した旨の報道がありましたが、根本的に少子化の問題が解決したわけではなく、北区も同様ですが、
ブラックホール型と例えられたとおり、二十代から三十代の女性が他の自治体から転入することで人口の減少が食い止められている状況です。 先週の代表質問でも質疑がありましたが、この危機的な少子化の状況を変えるために、北区としては子ども・子育て世代の施策とともに、若者世代に対してどのような施策を考えているのか、まず教えてください。 ところで、出生率とは、一人の女性が一生の間に産む子どもの人数のことです。五十年前の出生率は二・一四でしたが、昨年は過去最低を更新する一・二〇となりました。 ただ、
完結出生児数、つまり夫婦が設ける子どもの人数で見ると、五十年前は二・二〇でしたが、二〇二一年は一・九〇と、こちらも過去最低でしたが、出生率と
完結出生児数の推移を見て分かることは、出生率に比べて
完結出生児数の減少幅は緩やかであること、つまり少子化に大きな影響を与えている要因の一つは婚姻数の減少だということにほかなりません。 婚姻数が減少しているといっても結婚したくない若者が増えているわけではありません。国立社会保障・
人口問題研究所の調査によれば、十八歳から三十四歳の未婚者のうち、いずれ結婚するつもりと回答したのは男女ともに八割を超えます。それにもかかわらず婚姻数の減少は続いています。 結婚しない理由の一つに経済的負担を挙げる若者は少なくありません。つまり、結婚したくてもできないのです。バブル崩壊、
リーマンショックを経て、所得の上昇は停滞しているのに対して、大学の学費は一年間当たり二十万円から三十万円程度上昇しています。そのため、現在では大学に進学する学生の約半数が奨学金を利用し、個人の借入総額の平均は約三百十万円にもなっているとの調査結果もあります。 奨学金が無利子の第一種奨学金だったとしても、この三百十万円を定額返還方式で返そうとすると、毎月約一万四千円の返済を十八年間も続けなければいけません。 加えて、結婚費用の目安としては、全国銀行協会によれば約二百万円が必要。結婚情報誌の調査では、新婚旅行も含めて平均四百十五万円かかったとのデータもあります。これでは三百万円の借金を返済しながら、結婚して家庭を持ち、子どもを育てるイメージを描くことは容易ではありません。 したがって、少子化対策として重視すべきことの一つに婚姻数を増やすことがあり、特に
ブラックホール型と評された自治体においては、若者世代や婚姻世帯の定住化を進めることが大切です。 北区では、男女ともに、毎年十九歳から二十五歳の各年齢層で進学、就職に伴うと思われる多くの転入があります。その若者の多くが、社会人となって半年を過ぎると奨学金の返済に直面します。そして、経済的負担を減らすため、結果として三十代からは男女ともに転出超過となっていきます。 そこで、北区の少子化対策の一つとして、若者世代が定住することの促進のために、一定年数以上北区で住民税を納付している区民を対象にした、北区独自の
奨学金返還支援制度を創設していただきたいと思いますが、区としての考えをお聞かせください。 また、北九州市ではこの四月より、若者世代の市外への流出を防ぎ、若者が魅力的だと感じるまちづくりを行うために、Z世代課を新設し、地域の若者の声を吸い上げる取組を開始しました。 二十代、三十代で独身の区民からは、十八歳までの子どもや、子育て世代、高齢者に対しては様々な支援があるのに、自分たちの世代に向けての支援がほとんどないといった声も多く耳にします。 日本の若者の幸福度が低いことは度々報道されていますが、それは将来に対する不安が大きいことが要因になっているとも言われています。若者が安心して住み続けられる北区であるためにも、このような若者世代の声を吸い上げる取組も行っていくべきではないかと思いますが、区としての考えをお聞かせください。 次に、高齢者の肺炎予防について伺います。 二〇二二年の総務省の報告によると、六十五歳を超えると肺炎による死亡リスクは急激に上昇し、肺炎死亡者の約九八%が六十五歳以上の高齢者とのことですが、北区での肺炎死亡者のうち、高齢者の割合について教えてください。 高齢者の場合、基礎疾患を持っている方が多いため、免疫力の低下から感染症にかかりやすく、罹患した場合には重症化して肺炎を発症しやすいことは、このコロナ禍の数年間で広く知られています。 肺炎を発症しやすい高齢者に対し、北区では
肺炎球菌ワクチンの定期接種や
インフルエンザワクチンの予防接種に対しての助成を行っていますが、昨年度の高齢者の接種状況について教えてください。 肺炎を引き起こす
ウイルス感染症として、今注意喚起されているのが
RSウイルスです。この
RSウイルスは、二歳までにほぼ全員が感染し、生涯を通して繰り返し感染すると言われていますが、免疫力が低下した高齢者が感染すると重症化して肺炎発症のリスクが高まります。 これまでは
予防ワクチンや
治療薬がなかったために、診察では検査もされないことも多かったのですが、高齢者が重症化するリスクの高い重点感染症として国が
ワクチン開発を支援してきた結果、昨年九月に世界初の成人・高齢者向けの
RSウイルスワクチンが日本でも承認され、今年の一月から接種が可能となっています。 高齢者の肺炎予防として、肺炎球菌や
インフルエンザと同様に大変重要なワクチンと考えますが、まだ世間に広く認知されていない感染症のため、まずはこの
RSウイルス感染症について区民への周知と高齢者における感染予防への注意喚起を行っていただきたいと思いますが、区としての考えをお聞かせください。 また、この
RSウイルスワクチンは、現段階では任意接種のワクチンとなるため、接種費用は二万円以上と非常に高額なワクチンです。高齢者の方が肺炎に罹患することにより介護費用や医療費が増加するのを防ぐために、国が重点感染症と位置づけて優先的に開発したワクチンなので、高齢者の方が少しでも接種しやすくなるように接種費用の補助を検討していただきたいと思いますが、区としての考えをお聞かせください。 次に、
カスタマーハラスメント対策について伺います。 現在、大きな社会問題になっていることの一つに
カスタマーハラスメントがあります。顧客からの度を超える要求や、暴力的・侮蔑的な言動による要求がそれに当たります。 東京都では、企業の顧客だけでなく、行政の窓口を利用する住民もハラスメントを行う対象として、この秋に全国初となる
カスタマーハラスメント防止条例の制定を目指しています。 そこで伺いますが、北区の行政窓口等においてハラスメントと認定できるような事例について区としては確認しているでしょうか。また、確認している場合に、その内容や件数には何か傾向は見受けられるでしょうか、併せて教えてください。 他区では、窓口業務でトラブルになった際に、区民が職員の名札を見て、名前と顔を覚えた。ネットにさらしてやると脅迫するケースも複数確認されており、そのことに対して強く不安を感じた職員もいました。 職員の
メンタルヘルスケアのためにも、
カスタマーハラスメント対策は重要だと思いますが、区としてはどのような対策を行っているのでしょうか。 また、今後の対策強化について区としての考えをお聞かせください。 次に、SNS時代における国語力の強化について伺います。 先ほど、
カスタマーハラスメント対策に関して質問しましたが、この
カスタマーハラスメントに代表されるように、現在の社会には不寛容さが急速に広がっていることを強く感じます。この不寛容さを生み出している原因としてよく言われるのが、SNSにおけるエコーチェンバーや
フィルターバブルです。 自分と同じような価値観、考え方のユーザーをフォローすることにより、偏った情報ばかりに囲まれる環境、また自分好みの情報ばかりが示される環境は、共感が多い、大変居心地のよい空間かもしれませんが、それゆえに共感できないものについては即座に無視、排除する対象となります。 現在、多様性を認める社会が求められていますが、居心地のよい空間に閉じこもるのではなく、多様性を認めつつ、自らが存在する世界を広げていくために大切なことは、共感できない他者をどう論理的に理解していくかという点にあると考えます。 そして、その方法について、私たちは義務教育の国語科目で学ぶことができるはずです。国語教科書の文学作品では、自分には理解できない他者の言動にも、そこには理論が存在していること。また、評論文では、読者を説得する文章の論理をたどることで他者に対する理解が可能となることが学べます。特に文学作品においては、短時間で正答を導く効率性ではなく、語り手の意図が何なのか深く考えることで、言葉が人にどのような影響を与えているのかについて気づくことができます。 教員の方々には、ぜひ生徒にこの気づきを導く授業を行っていただきたいと切に望みますが、若い教員の方々の多くは授業を行う経験やスキルを積み重ねる前に、本来は主な業務ではない保護者対応や事務処理に追われて疲弊し、授業の準備のために十分な時間を使うことができない状況は大変残念でなりません。 スマホ使用率が八割近くに急増する中学生の国語力を強化するために、国語科の若手教員の
授業力スキルを向上させる取組を望みますが、区としての考えをお聞かせください。 次に、防災対策について二つ伺います。 まず、
感震ブレーカーについて伺います。 今年一月の能登半島地震で、輪島市では、朝市通りで発生した大規模火災により約二百四十棟が燃える被害が生じました。この火災の原因として消防庁では、建物内の配線が地震で破損し、ショートや接触不良により発生した可能性があるとしています。 これまでにも、阪神大震災や東日本大震災で発生した原因が特定できた火災のうち、電気火災の割合は六割を超えます。 そのため北区では、
不燃化特区地域を対象に
簡易型感震ブレーカーの配布を行っていますが、
感震ブレーカーを普及させる必要性は不燃化特区以外の地域や耐火構造の集合住宅等でも変わりはありません。なぜなら、電熱器具等の可燃物への接触や電気配線の損傷による出火の危険性は木造建築物でも耐火構造の建築物でも同じであり、住民の財産・生命が脅かされる危険性に変わりはないからです。 さらに、地震に伴う大規模停電が発生した場合、復旧に当たっては電気設備等に異常がないか確認を行いますが、その際には各家庭のブレーカーが遮断された状態であることが望ましく、そのことが電力復旧の早期化につながります。 このことから、区内の全世帯に
感震ブレーカーを配布する取組を行うべきだと思いますが、区としての考えをお聞かせください。 また、北区では、
簡易型感震ブレーカーの設置が困難な高齢者世帯は、防災・危機管理課へ申し込み、無償で設置してもらえますが、このことを知らない高齢者の区民が多数います。この高齢者世帯への
感震ブレーカー設置支援について、区としてはどのような周知を行っているのかについて教えてください。
感震ブレーカーには様々な種類がありますが、そのタイプにより機能が異なります。
感震ブレーカーに対する意識が高まっている今、設置に当たっての正しい知識を区民に対して周知していく必要があると思いますが、区としてはどのように考えているのかを教えてください。 また、
感震ブレーカーの普及が進むにつれ、悪質な訪問販売が行われるおそれもあります。こちらに対する対策についても併せて教えてください。 次に、木造三階建住宅への耐震補助について伺います。 今年度、北区では木造住宅の耐震化促進について対象を大きく拡大していますが、三階建の木造住宅については対象外となっています。これは、三階建では構造計算が行われた上で施工されているからだと思われますが、木造三階建住宅の強度低減率は、二〇〇八年に大幅に強化されて現在に至っているため、二〇〇八年以前に着工された木造三階建住宅も対象に含めるようにしていただけないでしょうか。区としての考えをお聞かせください。 最後に、東田端地域の
落書き消去対策について伺います。 東田端地域では、上野駅より尾久駅にわたるJR宇都宮線・高崎線の高架部分があり、近年、その壁面やガード下への落書きが増加しています。 一枚の割られた窓ガラスをそのままにしているとさらに割られる窓ガラスが増え、地域全体が荒廃していくとされる割れ窓理論のとおり、東田端地域における治安悪化への不安を感じている区民が多数います。 JR東日本に対して落書き消去の要望を出しましたが、一度、弊社社員のほうで、現地にて被害を受けている具体的な範囲、規模など確認し、その後の対応について検討してまいりますとメールでの回答があった後も落書きは残ったままです。 落書きの消去は建築物の所有者が行うものとなっていますが、被害者である所有者が費用負担しなければいけないために腰が重くなるのも理解できなくはありませんが、地域の景観が荒れていくことに住民は不安を募らせています。 同様にJRのガード下に落書きの被害が多発していた渋谷区では、民間施設の落書き消去が進まないことから、区が費用を負担し、三年計画で対策に取り組み、延べ約一万二千平方メートルの落書きを減らすことに成功しました。 ぜひ東田端地域のガード下及び壁面の落書き消去に、区として対策に取り組んでいただきたいと思いますが、区としての考えをお聞かせください。 以上で質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。(拍手) (
山田加奈子区長登壇)
◎区長(
山田加奈子区長) ただいまの佐藤かずゆき議員からのご質問について、私からは
カスタマーハラスメント対策についてお答えをさせていただきます。 窓口等における
カスタマーハラスメントの実態については、統計上の数値は持ち合わせておりませんが、窓口で大声を出す、カウンターをたたくなどの行為や、必要以上に長時間の対応を余儀なくされる事例は少なからずあると認識しています。 こうした
カスタマーハラスメントに対しては、職員の
メンタルヘルスケアの観点からも、職員一人に抱え込ませることなく組織的な対応が必要と考えており、原則、係長級以上を対象に
悪質クレーマー等への対応のための
不当要求等対応研修を実施しておりますが、窓口職場の職員など、対象の拡大も検討してまいります。 国においては、
カスタマーハラスメント対策の強化に向けた法改正の検討や、東京都における条例制定の検討が進んでいますので、これらの動向を注視し、区民への啓発も含め、区としての適切な対応を引き続き検討してまいります。 以上で私のお答えとさせていただきます。 この後、引き続き所管の部長からご答弁申し上げます。ありがとうございました。
◎
子ども未来部長(
筒井久子子ども未来部長) (説明員) 私からは、若者世代の定住化支援について、順次お答えさせていただきます。 まず、北区の少子化対策についてです。 少子化の背景には、出会いの機会の減少、仕事と子育ての両立など、様々な要因が複雑に絡み合っていることが指摘されています。 また、令和四年度に実施した二十五歳から三十九歳の区民へのニーズ調査では、子育ての不安として経済的不安が最も高くなっています。 こうした状況を踏まえ、少子化の進行に歯止めをかけるためには、若者世代の経済的基盤の確立、妊娠期から子育て期までの支援の充実など、総合的な施策の推進が重要と認識しています。 区では、若者世代への支援の一つとして、
キャリア教育等の推進や若者の就労支援事業への誘導強化の検討などに取り組んでいるところです。まずは、こうした取組を推進しながら、二十代、三十代の若い世代がそれぞれの希望に応じて子どもを産み育てられるよう、支援の在り方や主体も含め調査研究を深めてまいります。 次に、若者の声を聞く取組についてです。 区ではこれまで、若い世代の意見や要望を区政に反映させるため、
中学生モニターや
高校生モニターを実施し、区政推進に若い感性を取り入れてまいりました。 一方で、若者世代も含めて、これからは幅広い世代からの意見や要望をあまねく聞いていくこと、そしてそれを区政に反映していくことが重要であると考えております。 そこで、
オンライン等の活用など、若者世代にも親和性のある手法による広聴事業など、広聴の在り方も含めて検討しているところです。 以上、お答え申し上げました。
◎
教育振興部長(
倉林巧教育振興部長) (説明員) 私からは、若者世代の定住化支援に関するご質問のうち、初めに、奨学金の返還支援についてお答えします。 若い世代の方が北区に住み続けていただく仕組みの一つとして、奨学金制度を活用した支援を行うことは有効な施策と考えています。 区では、若者層の定住化と大学等の進学に伴う経済的負担の軽減を目的とした制度の導入に向けて、他自治体における先行事例を調査研究するなど、制度設計を進めてまいります。 意欲のある若者の学びを支援し、定住化の促進を図ることができるよう、効果の高い仕組みの構築を目指してまいります。 次に、SNS時代における国語力の強化についてです。 国語科は、適切に表現し、正確に理解する能力を育成し、伝え合う力を高めるための中核となる教科であり、子どもたちの表現力の育成に効果があると認識しています。 教員の授業スキルを高めるためには、研修・研究の時間の確保と、それを支える体制整備が必要です。 教育委員会ではこれまでも、管理職やベテラン教員による指導や、元管理職の教育指導員による訪問指導を行うなど、教員の授業スキルの向上に向けた取組を行ってきたところです。 今後も、教員の働き方改革をさらに推し進め、若手教員をはじめ、全ての教員が授業スキルをさらに高めるための時間を確保できるよう、さらなる体制の整備にも努めてまいります。 以上お答えしました。
◎健康部長(
尾本光祥健康部長) (説明員) 私からは、高齢者の肺炎対策についてお答えいたします。 まず、
肺炎球菌ワクチン接種の状況と周知の徹底についてです。 北区の肺炎死亡者のうち六十五歳以上の高齢者の占める割合は、二〇二二年の肺炎死亡者百八十七名のうち九八・四%でした。高齢者は、加齢により免疫機能が低下し、基礎疾患を持つ割合も増え、病院や高齢者施設で集団生活を送ることもあるため、肺炎の罹患率や重症化率、死亡率などは他の世代と比べ高いとされており、その感染対策は重要であります。 また、北区では感染予防のために
高齢者肺炎球菌ワクチンの
定期予防接種や高齢者の
インフルエンザワクチンの
予防接種助成を行っております。接種状況は、本年四月一日での
高齢者肺炎球菌ワクチンの接種率が五一・六%、昨年度の高齢者の
インフルエンザワクチンの接種率は五九・四%でした。 今後、その効果や副反応などを十分に周知し、希望する区民が受けやすい接種としてまいります。 次に、
RSウイルスに関する感染予防の周知についてであります。
RSウイルス感染症は、高齢者肺炎の四%を占めるとされ、その比率は大きくないものの、高齢者施設での集団感染や、免疫状態が十分でない乳幼児・高齢者などが感染すると重症化することがあり、対応や感染予防に注意が必要な感染症です。 区では、ホームページで、
RSウイルス感染症の症状、
治療、感染予防、ワクチンなどについて広く周知し、感染相談や高齢者施設向け研修会などでも啓発を行っているところであります。 今後とも、分かりやすく効果的な周知啓発を行い、適切な感染対応、予防に努めてまいります。 次に、
RSウイルスワクチン接種費用の補助についてです。
RSウイルスワクチンは、新たに薬事承認され、感染予防や重症化予防などの効果や接種の安全性が確認されております。 現在、国の審議会でこのワクチンが予防接種に用いられた際の効果、安全性、対象者、経済性、公的予防接種とするのかなどの検討がなされているところであります。 区独自の
RSウイルスワクチン費用の助成については、国の予防接種動向も注視しながら、研究をしてまいります。 以上、お答え申し上げました。
◎危機管理室長(松田秀行危機管理室長) (説明員) 私からは、防災対策についてのご質問のうち、
感震ブレーカーの普及についてお答えいたします。 初めに、区内全世帯への
感震ブレーカーの配布についてです。 分電盤に設置するタイプの
簡易型感震ブレーカーは、一定震度以上の地震発生時に住戸全体の電気供給を遮断することから、通電火災の防止に有効であり、区としても不燃化特区内の木造住宅にお住まいの世帯への配布のほか、毎年発行する防災用品あっせんのご案内などでその普及に努めているところです。 ご提案の全戸配布につきましては、東京都が昨年度から、木造密集地域を対象に開始した
感震ブレーカー配付事業が、今年度も継続される予定と聞いているため、その進捗も注視しつつ、引き続き普及に向けた取組を進めてまいります。 次に、設置支援事業の周知についてです。 区では、六十五歳以上の高齢者のみで構成される世帯及び避難行動要支援者名簿に登録されている方を対象として、家具転倒防止器具及び
簡易型感震ブレーカーの取付け支援事業を行っており、区のホームページへの掲載のほか、区役所、地域振興室、区民事務所、高齢者あんしんセンター、防災センター等の窓口にチラシや申込書を設置し、周知を行っています。 また、本年五月に公開した北区防災ポータルでは、トップページにある「大震災への備え~防災知識と北区の助成制度~」の項目から取付け支援事業を含む様々な助成制度をご案内しております。 支援を必要とする方に情報が行き渡るよう、今後も様々な機会を捉え事業の周知を図ってまいります。 次に、設置に関する正しい知識の周知と悪質な訪問販売対策についてです。 地震発生時の火災を防止するため、
感震ブレーカーの設置に関する正しい知識の周知は重要であると認識しています。 区が配布している
感震ブレーカーは、接着固定タイプで取付工事の必要がない簡易なものですが、分電盤のタイプによっては設置できる機器が異なるため、ご自宅の状況に合わせた適切な機器の取付け方について、チェックシートや説明書でご案内をしております。区のホームページにも掲載しているところです。 また、区内在住・在勤の方が、区と覚書を締結した事業者から割引価格で
感震ブレーカー等の防災用品を購入できる防災用品あっせん事業を実施しており、区民が悪質な訪問販売で被害を受けることがないよう、引き続き、本事業の周知を図ってまいります。 以上、お答え申し上げました。
◎
まちづくり部長(寺田雅夫
まちづくり部長) (説明員) 私からは、防災対策についてのうち、木造三階建住宅の耐震助成についてお答えいたします。 区では、今年度から木造民間住宅耐震化促進事業について、助成対象の拡充や地域要件、高齢者世帯の加算要件などの見直しを行いました。 木造三階建住宅については、木造二階建に比べ築年数が新しい住宅が多く、建築確認申請時に提出される構造計算書により、地震に対する安全性は確認されていると認識しておりますので、早急に助成対象とすることは考えておりませんが、引き続き、使いやすい制度となるよう検証してまいります。 最後に、東田端地域の落書き対策についてお答えします。 東田端地域ガード下等の落書きにつきましては、既に所有者であるJR東日本から対応を検討するとの回答を得ているとのことですので、区からも状況を確認するとともに、できるだけ早期に対応していただけるよう、積極的に働きかけてまいります。 以上、お答え申し上げました。
◆十六番(佐藤かずゆき議員) 丁寧なご答弁ありがとうございます。 私のほうから、幾つか要望等を述べたいと思います。 まず、若者世代に対する、経済基盤の支援ということで、これは本当に大切なことだと思います。 若い人に、大学を卒業して初任給を聞くことがあったときに、私のときの初任給とほとんど変わらない金額にちょっと驚きもしました。それだけ日本がこの何十年間、所得水準が上がっていないということだと思います。 また、東京都の最低賃金、千百十三円ですけれども、アメリカのカリフォルニアのロサンゼルスの最低賃金、十六ドルだそうです。計算しやすく一ドル百五十円としても、アメリカのロサンゼルスの最低賃金は二千四百円ということなんですね。日本と倍以上の格差があると。 今、海外からの観光客、すごく増えて、オーバーツーリズムが問題になっていますけれども、これは円安だから来ているのではなくて、もともと日本が安くて来やすいところに、さらに円安でよりリーズナブルなところになっているというのが非常に大きい状況だと思うので、そういったところで、特に若者世代、こちらに対するまず経済基盤の確立をしっかりしていかないと、本当に少子化というのはなかなか解決しない状況だと思いますので、ぜひ区のほうでも様々な若者世代に対する経済基盤を安定させる取組をお願いしたいと思います。 そして、
肺炎球菌ワクチンの昨年度の接種状況についてありましたけれども、北区のほうで今年度まで
肺炎球菌ワクチンの定期接種、こちらの枠拡大を行っていたんですけれども、今年度限りというふうに伺っています。こちらのほう、状況によってはまた来年度以降も、まだまだ聞いたところ約五二%、半分近くの方が受けられていないような状況ということなので、ぜひとも延長を引き続きやっていただけるように、こちらのほうは要望させていただきたいと思います。 一点質問なんですけれども、
カスタマーハラスメント対策について、こちらのほうで窓口の対応として組織で取り組んでいくものとして、係長以上の研修の枠を拡大していくということでありましたけれども、実際にそういった
カスタマーハラスメントと見受けられる、そういった状況に対応された職員の方について、何かカウンセリングだとかそういったことを実施されているのかどうか。これは一点、質問させていただきます。 あと、国語科の若手教員のスキル向上の取組なんですけれども、ご答弁の中でもありました、国語というのは様々な教科の中核となる大切な教科だと思います。その中で、正解を求める生徒が非常に増えていると思うんですね。すぐに、一体これは正解なのか間違っているのか。 そこではなくて、本当に深掘りして、登場人物がどういう感情でその言葉を発しているのか。そういったところを本当は時間をかけて取り組んでいくことが、言葉の大切さというのを一人一人が認識していく大切な機会になっていくと思います。 例えは非常に悪いかもしれないんですけれども、今SNS時代で、例えばLINEなんかのやり取りは本当に会話なんですね、文章ではなくて。その中でばかという一言があったときに、そのばかの後ろにひそむのが喜怒哀楽のどのばかなのか。 小説の中でばかという言葉が出てきたときに、その前段階での登場人物の気持ちを読み取ることによって、うれしいばかなのか、悲しいばかなのか、怒っているばかなのか、そういったことが読み取れると思うんですけれども、LINEの中でのばかはどのばかなのか、かけられた人によっても発信者と全く逆の方向で捉えてしまうケースが多々あるので、そういったところで本当に相手の気持ち、また自分の発するこの一言が相手にどう伝わるのかというのを考える、そういう大切な機会にするのがこの国語だと思いますので、北区のほうでも、ぜひとも教育指導のほうで、元管理職の方で、今英語、理科、数学において北区教育アドバイザーという形でされているかと思うんですけれども、こちらのほう、先生に教えるスキルがある方、管理職の方だけとは限らないと思いますので、そういったところで本当に教え方のうまい先生、そういう先生を活用する取組をぜひ行っていただきたいと思います。 そして、
感震ブレーカーについては、こちら本当に全戸に配布することが大切だと思います。集合住宅、マンションに住んでいても、自分の部屋が燃えてしまった場合に、本来自宅避難できる方が自宅避難できずに避難所で避難生活をしなければいけない状況になってしまいますので、
感震ブレーカーの設置、これは全戸にぜひ進める取組をしていっていただきたいと思います。 東京都のほうで、昨年度配布したのはコンセント型で、幾つか種類がありますけれども、アース線につなぐタイプではなくて、本当にコンセントに差して、その先の器具だけ電気を止める、そういうタイプ、非常に簡単な、それによって全戸の電気が止まるわけではないので、まずはそういったところ、先ほどもありましたけれども、区民に対して、正しい知識を設ける、またコンセント型でアースにつなぐタイプでも、分電盤に漏電ブレーカーが設置されていないと全戸の電気が遮断されるわけではないので、そういったところで、うちはコンセント型でもアースにつないでいるからこれで電源が落ちるんだと勘違いされる区民の方がいると、特に分電盤、古い住宅では更新されずに漏電ブレーカーがついていない住宅も多数あると思いますので、そういったところでも、こちらの正しい知識を周知する、そちらの施策のほうにも併せてぜひお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
◎総務部長(小宮山庄一総務部長) (説明員)
カスタマーハラスメントの窓口対応をした職員に対するカウンセリングのご質問でございますが、通常は、まず職場において上司等がフォローを行うということになってございます。 ただ、希望があればあるいはまた職場のほうで必要だというふうに感じれば、職員課のほうで保健師において対応させていただいているというところでございます。 以上でございます。
◆十六番(佐藤かずゆき議員) ありがとうございます。 (副議長退席、議長着席) 窓口で暴言を吐かれた、また長時間対応を迫られた、そういったこと、その場は、上司の方に温かい言葉をかけていただいて、表面上は何ともないかもしれないんですけれども、心のほうは外から見えないので、そちらが心の中に傷となって、後々思い出して、そういったカスハラを行うような人ではない人が窓口に来たときも、それ自体で恐怖を感じてしまうというような、いわゆるPTSDのような傷になることも考えられますので、ぜひともそういった対応をされた方には丁寧にカウンセリングのほうを行っていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。 以上です。(拍手)
○議長(大沢たかし議員) 六番 佐藤こと議員。(拍手) (六番 佐藤こと議員登壇)
◆六番(佐藤こと議員) 日本維新の会の佐藤ことです。 学校提出書類のデジタル化について、小一の壁対策について、不登校支援について、子どもの水辺の事故予防について、防災士資格取得助成制度についての大きく五つのテーマで質問させていただきます。 まず、学校提出書類のデジタル化について伺います。 私には、今年の四月から保育園に入園した一歳児と小学校二年生の二人の子どもがいます。年度初めの四月には、保育園と小学校への提出書類をたくさん記入したのですが、あまりの書類の多さに改めて驚きました。複数の書類に住所や氏名、緊急連絡先、親の就労先の住所や電話番号など、同じような内容を何度も何度も記入しなければならず、昨年も記入したのになと思わざるを得ませんでした。 特に、自宅から学校までの通学経路の手書きの地図は、保護者にとって大きな負担となっています。保護者によっては、兄弟分が毎年必要になるからと、書いた地図をコピーしてストックしている方や、グーグルマップやヤフー地図のようなウェブ上の地図サービスを活用し、印刷をして貼り付けている方など、少しでも負担が少なくなるようそれぞれ工夫をしています。 しかし、プリンターを持っている家庭ばかりではありませんし、また、共働き家庭が増えている昨今、仕事と育児の両立に追われる中、このような書類作成は貴重な時間を奪うものとなっています。 学校提出書類の記入や、このような手書きの地図が保護者の負担になっていることについて、区はどのように認識しているか、伺います。 保護者からは、そもそもこの地図って何に使われているのと疑問の声を多くいただいています。多くの学校で家庭訪問がなくなり学校での個人面談になっており、教員が家庭を訪問する機会はほとんどありません。また、災害時にも学校が一時避難所に指定されていることが多く、教員が通学経路をたどって子どもを迎えに行くことも想定しづらいです。 通学経路の安全確認は重要ですが、手書きの地図の提出が最善の方法なのかは疑問です。手書きの地図が具体的にどのような場面で必要となっているのか、用途についてお聞かせください。 もしこの通学経路の地図を活用する機会がないのであれば、提出書類から手書きの地図を廃止してもらうことはできないでしょうか。保護者の負担軽減のため、必要性の低い書類は思い切って見直すべきだと考えます。 滝野川地区の小学校では、学校から白地図を配布し、ルートを赤ペンで記入する形式を採用している学校もあると保護者から伺いました。このような事例があることを校長会などでご共有いただけないか、伺います。 また、そもそも学校提出書類を毎年度手書きで記入することも見直していただきたいです。変更がある点だけ申請するような形も含め、家庭状況調査票など、学校に提出する全ての書類のオンライン申請など、デジタル化を進めていただきたいと考えます。 オンラインでの提出を可能にすることで、保護者の負担軽減だけでなく、教職員の事務作業の効率化にもつながります。デジタル化は避けて通れない流れであり、教育現場からも積極的に推進していくべきです。今後の区の考えを伺います。 次に、小一の壁対策についてお伺いします。 小一の壁とは、子どもが保育園から小学校に進学する際に、保護者が直面する様々な困難や課題を指します。具体的には、小学校の授業時間は保育園の保育時間に比べて短いこと、待機学童の懸念があること、学童の預け時間が保育園と比較して短いこと、夏休みや冬休みなどの長期休暇中は終日の預け先が必要なこと、そして小学校の登校時間が遅いため保護者が出勤時間に間に合わないことなどが挙げられます。 こういった新しい困難や課題がある一方で、職場からは、未就学児よりも手がかからなくて楽になっただろうと思われ、規則上、小学生以降は時短勤務や時差出勤などの制度が利用できなくなるなどのケースも多いことを伺っています。共働き家庭にとって、小学校入学は喜ばしいことである一方で、子育てと仕事の両立の難しさが増す節目でもあるのです。 この中でも、特に私が区内の保護者から多くお声をいただくのが早朝の送り出しの問題です。保育園の保育開始時間は七時台からある一方で、小学校の登校時間は八時台となることが一般的です。自宅に子どもを一人残して出勤することには不安があり、このままでは離職するしかないという保護者の悲痛な声が届いています。出勤時間に合わせて子どもを学校に送らざるを得ず、校門の前に子どもが何十分も立って待っているケースも実際にあります。 このような、いわゆる小一の壁を区として認識しているか、伺います。 小一の壁対策の一つとして、大阪府豊中市では今年度から、市内全ての小学校で朝七時に校門を開放し、登校時間まで児童を預かることになりました。見守り員を配置し、豊中市内のこども園が始まるのと同じ時間から校内で朝の見守り体制を整えることで、早朝から出勤する共働き世帯など様々な働き方に対応しているとのことです。市内全校三十六校で、予算規模は約七千万円が計上されています。 東京都三鷹市ではシルバー人材センターへの委託、八王子市では放課後子ども教室事業の派生として地域ボランティアへの委託、神奈川県大磯町では学童を運営している事業者への委託などの方法で、早朝の時間帯に体育館や校庭などの開放を行っています。 こういった取組により、働く親が安心して子どもを預けられる環境を提供し、小一の壁を乗り越える一助となっています。 北区でも、早朝の体育館や校庭開放の取組を検討できないか、区の見解を伺います。 次に、不登校支援についても質問させていただきます。 文部科学省の調査によると、全国の小・中学校における不登校児童生徒数は約二十九万九千件に上り、過去最多を更新しました。北区においても、不登校児童生徒数は年々増加傾向にあり、深刻な状況となっています。 不登校の要因は多岐にわたり、一人一人に寄り添ったきめ細やかな支援が求められます。不登校支援として、区立中学校において校内別室指導設置校が、既存の三校に加えて、本定例会で審議される補正予算の中で、さらに四校が増加されたことを大変うれしく思います。 しかしながら、校内別室でも同じ学校の先生が指導することに対して、教室に戻らないといけないのではないかというプレッシャーを感じてしまう生徒も中にはいらっしゃると伺っています。学校に行きづらさを感じている子どもたちにとって、学校とは異なる環境で過ごすことが安心感につながる場合があります。 民間団体やNPOには、不登校支援に特化した専門的なノウハウや人材が蓄積されており、学校とは違った視点からのアプローチが可能です。子どもたちは、教員とは異なる立場の大人と関わることで新たな刺激を受け、自己肯定感を取り戻すきっかけになることも期待できます。また、民間との連携により教員の負担を軽減し、よりきめ細やかな指導を行える体制を整備することにもつながります。 急増する不登校児童・生徒に対し、学校だけで対応するには限界があります。多様な選択肢を用意し、社会全体で不登校支援に取り組む必要があると考えます。 校内別室の設置が進んでいることを評価しますが、校内別室や適応指導教室ホップ・ステップ・ジャンプ教室の運営について、板橋区のように、民間団体との連携の可能性を検討できないか、伺います。 また、近年、私立中学校に進学した子どもたちの不登校が増加しています。北区から私立中学校に通う子どもであっても、区内在住の子どもたちであることに変わりはありません。学校選択の多様化が進む中、行政としても私立中学校の生徒への支援を拡充していく必要性を感じます。 私立中学校に進学した子どもたちの不登校が増加していることを区として認識しているか、伺います。 私立中学校の不登校増加の背景には、様々な要因が複雑に絡み合っています。受験を突破するために必死に勉強した子どもたちが、中学受験の塾の厳しい指導や親の期待に疲れてしまった、学力的に取り残されてモチベーションを失ったなどの理由から、入学後に学習への意欲を失ってしまうケースがあるのです。 また、私立中学校特有の人間関係の悩みから不登校に陥る生徒もいます。部活や学校行事が盛んな一方で、独自の校風になじめない子どもたちは孤立感を深めてしまいます。しかし、このような私立中学校に在籍する生徒は、区立中の生徒と比べると支援がなかなか届きづらい状況にあるようです。 例えば、東京都から二万円、北区が一万円上乗せしているフリースクール等利用者等支援事業について、私立の児童・生徒は対象外となっていました。また、適応指導教室や校内別室指導教室も利用することができません。学校からも、うちは私立だからと門前払いされ、相談する場所がないと嘆く保護者の声を耳にします。 子どもを取り巻く環境が複雑化する中、教育の公私間格差を放置することは許されません。同じ北区に住む子どもたちなので、在籍にかかわらず同様の支援を受けられるようにしてあげてほしいと思います。 そこで伺います。 東京都のフリースクール助成は今年度から、研究事業ではなく給付事業となり、詳細は六月上旬に発表されるとのことですが、東京都が対象を区立小・中学生から私立校在籍生にも広げた場合、北区独自のフリースクール助成の上乗せ分について、都の条件に準じて私立校在籍児童生徒へ拡大していただけるのでしょうか、お考えをお聞かせください。 また、フリースクールだけではなく、居場所の選択肢はできるだけ多くあることが望ましいと考えます。北区の適応指導教室の利用対象は、区立小・中学校の児童・生徒に限定されています。しかし、台東区では、生活指導相談学級の入級対象に、区内在住で私立学校に通う児童生徒が含まれています。足立区のチャレンジ学級も、対象は区内に住所を有していることのみのようです。 不登校の背景は多様化しており、学校の設置主体による支援格差は望ましくありません。私立中学校の生徒も、経済的な理由からフリースクールに通えない子どももいます。居場所を必要としている全ての子どもたちに平等に支援を届けるための仕組みづくりが急務だと考えます。 私立在籍児童・生徒が適応指導教室を利用できるようにすることを検討できないか、伺います。 今後、北区では、校外別室指導教室を、まずは児童館三館で開始するということも伺っており、校外別室は私立在籍児童・生徒にとっても重要な居場所の選択肢になるのではないかと考えています。北区における校外別室指導教室の今後の展開を伺います。 次に、子どもの水辺の事故予防に関する質問です。 令和五年、夏季の水難事故における中学生以下の死亡・行方不明者は十六名、警察庁が発表している令和四年の年間の小学生の交通事故死は九名ということで、交通事故を上回るほどの事故リスクが推認されるところです。交通事故を学校における安全教育で大きく減らしてきたのと同様に、水難事故も教育の力でなくしていくべきではないでしょうか。 近年、気候変動の影響か、猛暑が続いています。熱中症対策としてWBGTが採用されており、WBGT三十一度以上の日は水泳の指導を実施しないという判断がされているものと認識しています。 昨年第三回定例会の個人質問でも、水泳指導が予定よりも少ない回数しか実施できていないことを指摘しました。今年も同様の状況が起き得ることを懸念しております。 また、学校教育の中では、平成二十九年度の学習指導要領改正によって、小学校高学年に安全確保につながる項目が新設されました。背浮きを教える、着衣泳でスピードを競わせないなどです。 しかしながら、公益財団法人日本ライフセービング協会の調査によると、プールと水着で背浮きによって三十秒呼吸を確保できた児童は三割強にとどまったということです。流れのある川や波のある海では背浮きによる呼吸確保はさらに困難になります。 プールでの水泳指導が実施できない日があることが容易に予想できること、また学習指導要領にある背浮きでは川や海での呼吸確保が難しいことを踏まえ、別の方法で子どもたちの水辺での事故を予防できないかと考え、二点提案いたします。 一点目は、ライフジャケットの着用についてです。 岐阜県のホームページには、ライフジャケットを着用することは、ぜいたくどころか最低限の水難事故リスク対策、関東地方整備局のホームページには、川のシートベルトといった発信がされており、香川県では令和四年度から、小学校の水泳の授業にライフジャケットを導入しています。ライフジャケットを各学校、または教育委員会で購入し、ライフジャケットを活用した水泳指導を区立学校で実施することについて見解を伺います。 二点目は、eラーニングの活用です。 水辺の事故予防教材については、令和二年に現役の教員が作成し、文部科学省、スポーツ庁、消費者庁、海上保安庁ほかが推奨するeライフセービングが公開され、昨年九月の時点で約四百万回閲覧されています。 この動画教材で学んだ上でプールでのライフジャケット実技体験を行うと、ライフジャケットを正しく着て活用できるかという質問に、九割以上が肯定的な回答するということです。また、動画教材で学び、教室で着用体験をする場合でも、約八割が活用できると回答するそうで、教室での着用体験にも一定の有用性があります。 プールでの実技体験は指導する先生の負担が大きいということであれば、雨天や熱中症アラート等でプールでの水泳指導ができない日に、eラーニングの教材を用いて事故予防の授業を教室で行うことはできないか、見解を伺います。 最後に、防災士資格取得助成制度についてお伺いします。 今年一月一日に発生した能登半島地震は、私たちに多くの教訓を与えてくれました。 防災の基本は、まず自助にあります。災害発生時に全ての区民を区役所や消防、自衛隊で助けることは残念ながら不可能です。発災直後は、自分の身は自分で守らなければいけません。このことがまだ区民に十分に認知されているように思えません。 私は、二年前に防災士の資格取得のため、二日間講習を受け、試験を受けました。事前課題のテキストもかなりのボリュームだったので、それだけでも大変勉強になりました。 二日間の講習の中では、様々な専門家の方にお話を伺ったり、AEDの実技も行われたりと有意義なものでしたが、その中で何度も繰り返されていたのが自助の重要性でした。しかし、防災士の資格取得には約六万円かかり、なかなか一般の方が気軽に講習を受け取得することは難しいかもしれません。 大きな災害があったときに、北区の一人一人が自助の重要性を知らずに、事前の心構えがなければ、それぞれの安全を守ることもできず、共助も機能しません。また、本当に公助を必要とする方へ支援が届かず、被害が大きくなることも考えられます。 予算を取って、防災士を増やすことで、北区の災害による被害を最小限に抑えられると考えます。一般の方の防災士取得をサポートするため、目黒区や豊島区のように、防災士資格取得助成制度をつくることができないか、区の見解を伺います。 町会や自治会を基盤とする自主防災組織が地域防災の中で非常に重要な役割を担いますが、その町会や自治会の高齢化や固定化も問題になってきています。 町会や自治会へのDX支援が始まっていますが、こういった助成制度をうまく活用し、地域の担い手を発掘していくべきではないでしょうか。中野区では、中野区防災リーダー事業という取組もありますし、こうした他の自治体の取組も参考にしていただきたいと思います。 以上、五つのテーマについてご質問をさせていただきました。区長並びに関係理事者の皆様には、明快かつ前向きなご答弁をお願いいたします。(拍手) (
山田加奈子区長登壇)
◎区長(
山田加奈子区長) ただいまの佐藤こと議員からのご質問について、私からは、防災士資格取得助成制度についてお答えをさせていただきます。 NPO法人日本防災士機構が認定する防災士については、防災に関する一定の知識・技能を修得した方であり、社会の様々な場で防災力を高める活動が期待されております。 一方で、防災士と地域の防災活動への継続的な関わり方などについて、地域防災力を高めるための効果的な連携方法などを整理していく必要があることから、ご提案の防災士認定に係る費用の助成制度につきましては、まずは地域と防災士との連携方法等について、他自治体の取組を調査研究してまいります。 なお、北区では、災害時における自助の重要性について、防災訓練や防災セミナーなどの様々な機会を捉え、区民の皆様への周知啓発に努めているところです。 以上で私のお答えとさせていただきます。 この後、引き続き所管の部長からご答弁申し上げます。ありがとうございました。
◎
教育振興部長(
倉林巧教育振興部長) (説明員) 私からは、初めに、家庭状況調査票などの提出書類のデジタル化についてお答えいたします。 家庭状況調査票など年度当初に提出していただく書類が多いことは、教育委員会としても認識しています。 通学路の地図は、登下校時における事故発生時の補償などに使われるため、即座の廃止に至らないものもありますが、白地図を配布する例を校長会で共有するなど、即応できるものから順次見直してまいります。 また、教育委員会では、出欠確認や保護者への連絡等で一人一台端末、きたコンを活用するなど、教育DXを進めているところですが、提出書類のデジタル化につきましては、データの受送信及び保管に関するセキュリティの確保などの課題もあることから、校長会等の意見も踏まえながら今後検討してまいります。 次に、小一の壁に関するご質問にお答えします。 保育園等の登園時間と学校の登校時間に差があることから、朝の送り出しにおいて課題があることは認識しています。 一方、早朝の学校体育館、校庭開放については、子どもたちの安全確保や学校施設の管理運営上の問題に加え、経常的に多額の経費も必要となることから、現時点においては難しいものと考えています。 こうした保護者に対する支援は、北区だけでなく国全体の課題であり、育児と介護の両立など、働く方のニーズが多様化する中で、厚生労働省が進めている働き方改革など、休業制度等を含めた制度全体の中で課題の解決を図るものと考えています。 次に、不登校支援についてです。 校内別室指導支援員配置事業は、昨年度から新たに開始した事業であり、その効果を十分に検証した上で、運営方法について検討する必要があると考えています。 一方、適応指導教室については、令和八年度の児童相談所等複合施設への移転を見据え、運営方法を含めた事業の在り方の中で、引き続き検討してまいります。 私立中学校における東京都全体の不登校生徒数は、令和四年度現在、令和元年度比で約一・四倍に増加しており、公立学校の状況とともに注視していく必要があると認識しています。 そうしたことから、今年度から新たに開始する校外別室支援員配置事業については、私立在籍児童・生徒も対象として実施を予定していますが、適応指導教室は現在、公立学校の通級の位置づけとしているため、現時点においては、対象指導者を私立在籍児童・生徒に拡大することは考えておりません。 なお、校外別室支援員配置事業については、導入後の利用状況なども含め、その成果を十分検証した上で、今後の展開について検討してまいります。 また、東京都フリースクール助成制度については、現時点において詳細を把握していないことから、区独自の上乗せ補助の対象者を拡大することは考えておりません。 次に、子どもの水辺の事故予防についてです。 水泳の事故防止に関する指導は、全区立小学校において必ず行っています。 小学校等の高学年においては、学習指導要領を踏まえ、着衣のまま水に落ちた場合の対処方法を学ぶ、着衣泳を積極的に行っています。 また、中学校においては、岩井臨海学園の校外学習において、実際の海で、生徒がライフジャケットを着用し、ライフセーバーから身の安全を確保する体験指導を実施していることから、現在の区立学校における水泳の事故防止に関する指導は十分に行っていると認識しています。 一方、ライフジャケットを学校ごとに購入し、実際に着用する授業の実施については、事故予防の観点から有効だと考えますが、購入経費や保管場所等の観点から、今後の研究課題とさせていただきます。 また、eラーニングについては、校園長会をはじめ、保健体育科や体育科の教員、及び初任者が参加する体育実技研修会で、教材案として紹介させていただきます。 以上、お答えしました。
◆六番(佐藤こと議員) ご答弁ありがとうございました。 二点要望をさせてください。 一点目が、学校提出書類のデジタル化についてなんですけれども、きたコン等で教育DXを進められているということで、今後、データの受送信であったりセキュリティの問題がクリアになり次第、ぜひ進めていただきたいと思います。 特に、提出自体が負担ということではなくて、毎回毎回同じ内容を記入しなければいけないということが負担として大きいと思っています。これはデジタルでしたら容易に解決できる部分かと思いますので、その観点でぜひ検討いただけたらと思います。 もう一点は、不登校のところで、私立中学生、私立在学生へのフリースクール助成の上乗せ分についてなんですけれども、これはまだ東京都のほうの詳細が出ていないので検討をまだしていないということだと思います。詳細が出次第、ぜひご検討いただけたらと思っています。 私立に在籍している子どもでも北区の子どもたちですし、在籍にかかわらず支援が増えていくということが非常に重要だと思っています。 学校での校内別室であるとか適応指導教室については、様々難しい部分があると思うんですけれども、この助成については簡単に、予算が取れれば進められる部分かなと思いますので、ぜひ東京都が対象を広げた際には、区でも独自の上乗せ分について検討をいただきたいということを強く要望しておきます。 以上です。ありがとうございます。
○議長(大沢たかし議員) 三十三番 青木のぶえ議員。(拍手) (三十三番 青木のぶえ議員登壇)
◆三十三番(青木のぶえ議員) 私からの質問は大きく四点です。 一、地域公共交通について、二、区立中学校の服装の規定・標準服について、三、不登校対策について。四、純石けんの使用についてです。 一番目の地域公共交通について三点伺います。 北区では一昨年に、誰もが安心して快適に地域公共交通で移動しやすいまちづくりを目指して、議員提出議案の東京都北区地域公共交通基本条例が制定されました。 SDGsターゲット十一の二、二〇三〇年までに脆弱な立場にある人々、女性、子ども、障がい者及び高齢者のニーズに特に配慮し、安全かつ安価で容易に利用できる輸送システムを提供する、この具体化を明示した条例としては全国初のようです。 北区地域公共交通計画の下、浮間の地域ルートにおいて、今年三月から電気式のコミュニティバスの試験運行が開始されました。続いて、堀船地域でのデマンド交通の実証実験開始が間近となり、少しずつ進んできていることをうれしく思っています。 しかし、いまだに鉄道や路線バスが対応できない公共交通機能を向上すべき地域は残っています。新たなコミュニティバスの導入計画では、地域の優先度の評価視点が五つあります。その中に高齢者の移動を支援する視点が入っています。高齢化が加速しており、高齢者の支援は非常に重要ですが、ターゲットにあるように、脆弱な立場にある人々、女性、子ども、障がい者、そういった方々も今後、調査対象に含めることを提案します。見解を伺います。 二点目、コミュニティバス新規路線の導入の時期ですが、現計画ですと、滝野川西地域は、優先度として四番目で、二〇三〇年以降から計画の検証等が始まる予定で、大分先のこととなります。 北区には高低差が大きいという地形の特徴がありますが、滝野川西地域は、七つの地域の中でも最も大きい高低差があり、移動の負担が大きい地域です。 調査結果でも、コミュニティバス導入を希望し、利用の意向がある方が七地域の中でも非常に多いことが分かります。早期導入の要望の声は数多く寄せられています。 そこで質問します。 新規路線の導入または現路線の拡充、デマンド交通の実証実験など、もう少し前倒しで進めるよう求めますが、考えをお聞かせください。 三点目、区内には道幅が狭くコミュニティバスが通るのも難しいところがあります。板橋区が検討しているようなワゴン車を使い、路線バスと同様に、決まったルート決まった時刻で運行する乗合タクシーの導入について、見解を求めます。 次に、大項目二番目として、区立中学校の服装の規定・標準服についてです。 四つの側面から伺います。 まず、費用面です。 制服、現在は標準服と呼ばれていますが、もともとはステータスでもあり、戦後は私服も高く、比較的安かった標準服が経済的だと保護者に受け入れられ、教師も指導がしやすいと、双方の利益が合い、広がったと聞いています。 しかし、昨今、標準服は安価とは言えず、上下ワンセットが約三万五千円、夏服、冬服にシャツほかで合計七、八万円、さらに体操着やかばん、上履きなどがあります。 標準服で見た目を統一することで貧富の格差をなくすことができると言われていますが、物価高騰で経済的に苦しい家庭が増えています。登校に必要とされる高い標準服等による保護者への経済的負担が子どもたちの学ぶ権利を妨げてはいけません。義務教育は無償というのが原則の中、実際には選択の余地がないかのように当たり前に負担を強いることが適切だとは言えないと思います。見解を伺います。 次に、多様性の尊重の視点からです。 一昨年六月の定例会で、我が会派のうすい愛子議員が制服の自由選択を求めて質問した際、区からは、区立小・中学校の全てにおいて女子児童・生徒がスラックスを選べるなど、標準服を自由に選択できるようになっていますとの答弁がありました。 しかし、ある区立中学校では、女子生徒は自由にネクタイや、男子と同じスラックスは選択できないと相談を受けました。校長にお尋ねしたところ、女子はリボンで、理由を言って申し出れば個別でネクタイを認める。 さらに、女子がスラックスを希望する場合、女子用スカートと同じチェック柄の生地で作られたスラックスとし、男子のグレーの生地のスラックスは選べない。理由は、業者が在庫を抱えることになるからとのことでした。ほかにも、女子の下着は白など、現在でもまだ残っている規定もあると聞いています。 今年四月に制定された北区子どもの権利と幸せに関する条例には、大切な子どもの権利として、年齢、性別、性の在り方などにより差別をされないこととあります。自由に選択できず、性別による差別、多様性は認められていないこれらの状況の早急な改善を求めます。お考えをお伺いします。 次に、健康上の観点からです。 標準服は、体温調節が難しいと言われています。服装規定には、シャツの下には肌着を着用する、指定した色のスクールセーターはワイシャツの上に着用を認める、シャツはズボンの中に入れるなど、事細かに規定されています。 昨年の夏も猛暑が続きましたが、シャツの裾をズボンの中に入れることで猛暑時の上半身の体温が四度ほど高くなるという科学的調査の結果があります。熱中症対策、健康上の配慮は必要です。また、環境に合わせた衣服の調節がしにくい、アトピー性皮膚炎や感覚過敏のある子どももいます。 こういったことから、標準服を積極的には着用したくない、服装規定を非常に窮屈、厳し過ぎると感じている子どもたちがいますし、不登校の原因の一つにもなっています。いかがお考えでしょうか。 次に、子どもの権利の視点からです。 子どもたちが学校にどのような服装で通学するかは自己決定権、表現の自由として本来自由なはずですが、学校のルールではそれが認められないような状況があります。 指定された標準服を着ていかなければ教室に入れないのではないかというようなイメージを、もし子どもたちに抱かせているとしたら、行き過ぎた規制であり、何よりも子どもたちの教育を受ける権利を奪うことにもなりかねません。 個別の事情を抱えた子どもに対して配慮する学校も多数あるとは思います。しかし、個別対応を望んでいても言い出せないケースや、自分は特殊なのかと思い悩む、自分だけ特別扱いをしてもらいたいわけではないと個別対応自体に抵抗を感じる子ども、個別に希望を言って一蹴された子どももいます。 一昨年六月にこども基本法が成立し、子どもの権利擁護や意見を表明する機会の確保等が法律上位置づけられました。北区子どもの権利と幸せに関する条例には、自分の意見、考え、気持ちなどを表明し、及びそれが尊重されることとあります。子どもの権利の視点から見解を伺います。 また、一昨年改定された文科省の生徒指導提要には、学校が特殊なルールを設けるのであれば、合理的理由や教育的理由を必ず明らかにしないといけない、説明する責任が学校にはあると確認されました。生徒の権利を過度に制限しないために非常に重要だと思います。 昨年、板橋区は、板橋区立学校校則の見直しに関するガイドラインを作成しました。校則見直しの取組方法とし、少なくとも年一回は学級活動の授業等の中で児童・生徒が主体的に話し合う場をつくること。留意事項として、性の多様性を尊重、健康上の問題、合理的な理由を説明できない内容や曖昧な内容等を挙げています。 板橋区には、標準服、私服、体操着から自由に選択して登校できる区立中学校があります。髪型や服装などの細かい規定を廃止し、生徒が教員と話し合って決める取組を進めています。私服について特に規定は設けず、学校での学習をはじめとする学校生活に適しているものとしています。標準服を購入した保護者は二割で、体操着や普通のTシャツ、ポロシャツなど私服登校が多いそうです。保護者の指定品購入での費用負担は大分軽くなっているようです。 また、コロナ禍の三年間、衛生的にという観点からジャージ登校となっていて、ほぼ標準服を着なかったある区の中学校でも問題は起きなかったと聞いています。標準服の必要性が薄くなっていて、最近はポロシャツで通える学校もあるようです。 標準服着用、服装規定は義務だと思っている保護者、生徒が多いです。精神的負担、経済的負担が軽減される選択肢であるということが分かるためにも、義務ではないという事実を入学説明会などで説明することを求めます。見解を伺います。 規則を厳しくすれば管理はしやすくなり、その背景には今の教員の常態化している長時間労働があります。ゆえに働き方の改革に取り組むことも必要です。 また、学校の内外で保護者や地域の人も一緒にできることを行い、補い合いながら、子どもの成長を支えていけるようになることが重要だと考えます。 次に、大項目三、不登校対策についてです。 昨年十月、文部科学省の発表で、小・中学校における不登校の児童・生徒数は三十万人で過去最多となり、病気などによる長期欠席者を含むと四十六万人、全体の五%の小・中学生が年度内に三十日以上学校に行っていないということが明らかになりました。 さらに、NPO法人カタリバが二万六千人に行った実態調査では、中学生のうち、部分登校や教室外登校など不登校傾向の中学生は一三・二%、推計四十二万人で、八人に一人が不登校、あるいは不登校傾向にあることが見えてきました。 北区では、校内別室指導が昨年九月より小・中学校六校で順次始まり、今年はさらに四校と三つの児童館でも居場所として始まる予定で、不登校支援自体は少しずつ充実してきています。しかし、さきの調査結果からは、不登校支援の利用率は一五・八%と、あまり利用されていないようです。 昨年九月より、校内別室指導が始まっている学校では、教員や保護者、生徒が自分の学校で校内別室指導が行われていることを知らず、結果的に利用ができず残念だったということを聴きました。 準備段階から、支援員の募集ほか、多くの時間と労力をかけ、必要な子どもが利用できるようにと開設されました。全教職員、全生徒に確実に情報が届くよう、様々な方法で周知をする必要があると考えます。 不登校傾向の中学生は八人に一人だとすると、決して特別なことではありません。設置場所や詳細については個別になりますが、全生徒に存在を知らせることが重要と考えます。 なぜかというと、教室以外にも行かれる場所があると分かるだけでも安心すると思われるからです。そして、オープンにして、決してネガティブなことではないと感じれば、利用もしやすくなると思います。 また、調査から、不登校の子どもを持つ世帯の半数が収入、障がい、言語、保護者自身の不登校経験など、何らかの困難を抱えているという現状も見えてきました。不登校の子を持つ保護者が孤立しがちだとの懸念があります。 さらに問題なのは、子どもが不登校になって学校とのつながりがなくなり、貧困などの課題を抱えた家庭が福祉のセーフティネットからこぼれ落ちてしまうことです。実際にも見聞きしています。地域の人皆が情報を持っていれば、孤立した子ども、親に気づいたとき伝えることができます。 そこでお尋ねします。 開設している六校の周知はどのようにしているのでしょうか。これから開設する学校、児童館について、周知はどのようにする予定でしょうか。教職員、全児童・生徒に確実に情報が届くよう、様々な方法で周知をする必要があると考えますが、見解を求めます。 情報が得られにくい孤立した保護者もいます。地域の中からも情報が得られるよう、例えば子ども食堂、ホームページなどあらゆる場所、方法で情報が届くことを求めますが、お考えを伺います。 最後に、大項目四、純石けんの使用についてです。 純石けんの定義に関して、いわゆる無添加石けんとは、香料など添加物一種類だけが含まれていないものでも無添加石けんと呼ばれています。それに対して、ここでいう純石けんとは、香料や着色料、酸化防止剤、化学物質由来の合成界面活性剤、全てが無添加で、純粋な石けんの成分だけでできているものです。 石けんというと固形石けんをイメージしやすいですが、それ以外にも液体の純石けんがあり、手洗い用や食器洗浄用、洗濯用もあります。 純石けんは、安全面としては、天然素材の純粋な石けん成分のみで無添加のため、肌への刺激が少なく、アレルギーなどの心配がなく、安心して使えると言われています。 環境面では、使用後は石けんかすとなり、排水後、小魚が食べたり微生物が素早く分解して自然に返るので、環境にあまり負荷をかけないと言われています。 昨年六月定例会において、一昨年施行の北区環境基本計画を基に以下質問をいたしました。 区有施設や保育園・幼稚園、小・中学校などで純石けんの使用の要望について、及び区民のエコ等の関心を高められる取組がより必要と考え、意気込みを伺いました。 ご答弁では、区有施設等での石けんの導入については、他自治体の事例を研究していく、区民の環境に関する意識の向上を図るため、様々な施策を実施し、区民がエコ等の興味や関心を広げ行動変容につなげられるよう取り組んでいくとのことでした。 この間、区民の方々が保育園や学校へ熱心に働きかけ、純石けんを使用する保育園、学校が増えていると聞いており、区民の皆様に感謝しています。それとともに、行動変容につながるよう、区が様々な施策を実施し取り組まれてきたことを評価しています。 そこで質問いたします。 区有施設について、その後の研究の状況等をお伺いします。 多摩市は、グリーン購入法を基に純石けんを使用しているようです。グリーン購入法とは、国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律で、気候変動や環境汚染等環境問題を念頭に、環境負荷の少ない持続可能な社会を構築することを目的としています。グリーン購入とは、環境負荷ができるだけ小さいものを選び、環境負荷の低減に努めている事業者から優先的に購入することです。 ほかにも幾つかの区で純石けんを使用しているようです。江戸川区は二〇〇〇年に、洗剤、洗浄剤について、より安全性が高く環境にやさしい製品、石けんの使用を促進することを目的に石けん使用指針を定め、適用対象を出先機関を含む区内全ての組織・施設としています。 北区においても、区民が利用する庁舎や指定管理、または事業委託を含めた区有施設において、グリーン購入の観点からも環境負荷の少なく、安全性がより高いとされる純石けんを導入することを要望いたします。見解を伺います。 以上で私からの質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。(拍手) (
山田加奈子区長登壇)
◎区長(
山田加奈子区長) ただいまの青木のぶえ議員からのご質問について、私からは、地域公共交通についてのご質問のうち、滝野川西地域への新たな公共交通導入の前倒しについてお答えをさせていただきます。 北区では、本年六月から実施する堀船地区でのデマンド型交通実証実験の検証結果等を踏まえ、地域の特性やニーズに応じて、より適切な地域公共交通を導入するため、北区地域公共交通計画を見直すこととしております。 そのため、今年度から検討を開始する赤羽西地域以降の新規導入につきましては、計画見直し後の取組となりますので、現時点での導入前倒しの検討については考えておりません。 以上で、私のお答えとさせていただきます。 この後、引き続き所管の部長からご答弁申し上げます。ありがとうございました。
◎土木部長(岩本憲文土木部長) (説明員) 引き続き、私からは、地域公共交通についてのご質問のうち、コミュニティバス導入の地域優先度に脆弱な立場にある人々、女性、子ども、障害者の方々も今後調査対象に含めることについてです。 北区地域公共交通計画では、高齢者だけでなく、誰もが安心して快適に移動できるよう、主要駅までの距離や坂道の割合など様々な指標で地域の優先度を評価しております。 また、移動が困難な方々につきましては、新たな公共交通の導入に伴う運行計画を作成する際に、広く区民の皆様の意見を聴取する中で、要望等を伺うこととしております。 次に、ワゴン車を使った定時定路線の導入についてです。 北区地域公共交通計画では、バス車両が運行できないような箇所に対する、交通手段として、小型乗り合い交通を取組施策として位置づけており、今年度からタクシー車両を使ったデマンド型交通実証実験を堀船地区で実施いたします。 なお、定時定路線型は運行形態の一つであり、堀船地区では区域運行を採用しておりますが、小型乗り合い交通の導入に当たっては、地域の特性やニーズに応じて運行形態を選定いたします。 以上、お答え申し上げました。
◎
教育振興部長(
倉林巧教育振興部長) (説明員) 私からは、区立中学校の服装の規定・標準服についてお答えします。 学校の標準服は、協調性を養うとともに、学校の伝統や校風を大事にする心情の醸成を促すものとして、最終的には各校長の権限において適切に判断されるべき事柄です。 この上で、標準服の費用面については、保護者への過度な負担とならないよう、教育委員会としても、必要に応じて指導を行うこととしています。 また、多様性の尊重の視点については、性別にかかわらず、標準服を選択できる学校が増えており、改めて各学校に対して必要な周知をしてまいります。 標準服を原因として不登校となったケースは把握しておりませんが、心身の健康上の理由から標準服の着用に課題がある場合は、各校において保護者との話し合い等の機会を設け、個別に対応をしています。 子どもたちが自ら意見を表明し、それが尊重されることは当然のことと考えています。 一方、学校生活において、一定のルールの中で協調性や社会性を養うことは重要な学びの一つであると考えています。 標準服の着用をもって、行き過ぎた規制であるとは捉えておりませんが、新入生保護者説明会における取扱いについては、校長会とも協議をしてまいります。 次に、不登校対策についてです。 昨年度から実施している校内別室指導支援員配置事業の周知に当たっては、今年度、改めて教育広報紙くおんに掲載するほか、ホームページやSNS等を活用して広く周知をしてまいります。 なお、児童・生徒を含めた学校関係者に対しては、校園長会等や学校を通じて周知をしているほか、教育相談などを受け付けた際に、個別にご案内しています。 また、今年度新たに開始する校外別室指導支援員配置事業については、現在、事業の詳細について検討を進めています。 事業の実施に当たり、周知の際には、ご意見も踏まえ、幅広く周知をしてまいります。 なお、現時点における事業の検討状況については、所管の委員会でご報告させていただきます。 以上、お答えしました。
◎
生活環境部長(銭場多喜夫
生活環境部長) (説明員) 最後に、私からは、純石けんの使用についてお答えいたします。 純石けんは、使用者の手肌にも刺激が少なく、あまり環境負荷をかけないと言われていることは承知しています。 現在、本庁舎で使用している石けんは純石けんではありませんが、植物由来であるパーム油を原料とし、自然環境への負荷が少なく、使用者の手肌にも刺激の少ない石けんを使用しております。 なお、その後の研究の状況につきましては、ご紹介にあった自治体を含め情報収集に努めているところですが、多くの組織・施設において環境に配慮した製品を導入しているものの、純石けんの使用にまでは至っていないと伺っております。 区としましては、現時点で本庁舎等での純石けんの使用は考えておりませんが、庁舎等利用者の状況や用途に応じ、引き続き、環境負荷等にも配慮した石けんを使用するよう努めてまいります。 以上、お答え申し上げました。
◆三十三番(青木のぶえ議員) ご答弁いただきました。 まず、標準服についてなんですけれども、指定の学用品の無償化には予算が必要ですが、標準服や体操着などの見直しに関して柔軟な対応をしていくということであれば予算は必要なく、保護者の経済的負担は軽くなると思います。そういったことも踏まえて、実際にもう少し柔軟に選択できるとか、より相談をしやすくなるような対応というか取組について、お考えをもう一度お伺いしたいと思います。 もう一点が石けんについてなんですけれども、区内で一部調べましたところ、殺菌剤や酸化防止剤、着色料が含まれている石けんが使用されているところがあります。過敏な人は反応が出る可能性は否定できません。また、厚労省は、無添加のシンプルな石けんで感染予防ができるというふうにも言っています。 アレルギーのあるお子さんや皮膚の弱い方など様々な区民の方が多く訪れる庁舎や区有施設等では、より安全でシンプルな石けんが望ましいと考えます。 また、二十三区の下水道は、そのほとんどが雨水と生活排水が一緒に流れる合流式の下水道なので、雨量によって河川や海に垂れ流しになるおそれがあります。そのため、環境面でもやはり過剰で余計な添加物、化学物質が入っていないシンプルな石けんのものがよいと考えます。ここは要望といたします。 以上です。
◎
教育振興部長(
倉林巧教育振興部長) (説明員) 標準服につきましては、最終的には各校長の権限において適切に判断されるべき事項と考えてございます。 先ほどの答弁の繰り返しになって恐縮なんですけれども、教育委員会としては、標準服の着用そのものが、過度な規制に当たっているというふうには考えていないというのがまずベースとしてございます。 そうした中で、標準服を実際にこれから選定する際には、費用面については保護者の負担とならないよう当然に配慮していく必要があるだろうと考えてございます。 また、これも先ほどの答弁の繰り返しですけれども、個別にご相談等々が必要な事案についてはしっかり対応させていただいていると、このように考えてございます。 周知の仕方につきましても、先ほど申し上げたとおり、校長の権能において進めているというところがございますけれども、教育委員会として、学校園長会を通じて、その際に本議会でのやり取り、こうしたものも紹介をしながら、いろいろと話し合いをしてまいると、このように考えてございます。 以上です。
○議長(大沢たかし議員) 議事の都合により、休憩します。 再開は一時です。 午前十一時三十六分休憩----------------------------------- 午後一時開議
○議長(大沢たかし議員) 休憩前に引き続き会議を再開します。 質問を続けます。 二番、佐藤つかさ議員。(拍手) (二番 佐藤つかさ議員登壇)
◆二番(佐藤つかさ議員) 私からは、高齢者虐待対応、北区の介護予防・日常生活支援総合事業、介護保険料減額申請の三点について質問いたします。 まず、高齢者虐待対応を問います。 本年四月より、高齢者虐待防止対策に関して、事業者が義務化になりました。虐待には身体的虐待、介護・世話の放棄、心理的虐待、性的虐待、経済的虐待などがあります。介護職員は高齢者と密接になる機会が多い仕事であるため、比較的虐待に陥りやすい職業であると言えます。 三月に発行された東京都北区高齢者虐待防止マニュアルの副題には、誰も被害者にならない・させないためにと記載されております。虐待には、介護職員が高齢者に対して行うものと、高齢者自身が介護職員に虐待するものと、大きく二つあると思います。高齢者虐待防止マニュアルには、高齢者が虐待を受けた場合への対応ですが、介護職員の人権や介護職員が虐待を受けた場合の配慮に欠けているのではないかと考えます。 私は、訪問介護やデイサービスを長年経営していましたので、要介護者自身が介護職員に対して暴力やセクハラ、いわれなき泥棒扱いなどの事例をたくさん見てきました。介護職員は、これらに耐えて訴えることもなく、ただただ我慢しています。 北区も事業所も守ってくれないのであれば、介護職員は介護の現場を去るしかありません。そして、介護の仕事は誰も従事しなくなることでしょう。介護職自身が虐待を受けない、誰もが被害者にならない、させないためのマニュアルづくりにしていかなくてはならないのではないでしょうか。そこで質問いたします。 北区は、虐待の事実確認をどのようにして行っていますか。虐待と疑われた職員が事実確認を行ったが、実は虐待でなかった場合、北区は本人にどのように報告しますか。現場では介護職員自身が要介護高齢者から虐待を受けることも多いです。心身に深い傷を受けた介護職員には、北区はどのように対処するのでしょうか。 二番目に、北区の介護予防・日常生活総合事業について質問いたします。 四月より新しい介護保険制度がスタートいたしました。介護保険には要支援者を対象とした介護予防・日常生活支援総合事業(以下「総合事業」という。)があります。介護予防・生活支援サービスには、介護予防訪問型サービスや介護予防通所型サービスがあり、要支援一・二、事業対象者が利用します。 要支援の介護予防訪問型サービスや介護予防通所型サービスの基本報酬額は、自治体独自の判断で決めることができます。北区の場合、総合事業の基本報酬額が近隣の板橋区や練馬区より一〇%以上安いので、昨年度は一般質問や健康福祉委員会で、四月の改定で引き上げるように何度も要望いたしました。 今回、介護予防通所型サービスは、事業者評価加算や運動器の機能向上加算が廃止になりました。要支援一が対象の通所型サービス一は、北区の場合、月額包括単位ではなく一回当たり四百六単位です。月四回の場合、合計千六百二十四単位になります。板橋区は、月額千七百四十四単位、練馬区は千七百九十八単位で月額包括単位です。比較すると、やはり一〇%以上、北区は安くなっております。 厚生労働省が定める基準は、通所型サービスの場合、要支援一は、一回四百三十六単位であります。多くの自治体は厚生労働省が定める基準で、しかも月額包括単位です。北区はあまりにも他自治体と違っています。厚生労働省が定める基準に違反しているのではないでしょうか。 訪問型サービスはより深刻です。北区の基本方針は、家事援助中心を新設して二百四十八単位から二百二十単位に引き下げました。しかも月四回の場合、八百八十単位でしかなく、板橋区の千百七十六単位、練馬区の千百四十一単位の月額包括単位と比較して、二〇%以上も安くなっております。多くの自治体は月額包括で月四回の場合、一回二百八十七単位、包括単位数として千百四十八単位が基準となっております。 厚生労働省の通知で、介護予防・日常生活総合事業に係る第一号事業支給額の額を市町村が別に定める場合の取扱いについて(周知)、令和六年三月十五日発では、適切な設定について自治体に求めています。このように安い単位では、北区の訪問介護事業者の経営が成り立っていきません。四月の総合事業の基本報酬の改定では、自主的に介護予防事業所の支払われる報酬の引下げになります。特に予防訪問サービスの二百二十単位は、訪問介護事業所の実情を無視していると言えます。 そこで質問です。 全国の訪問介護の四割以上は赤字経営であり、閉鎖、廃業は昨年度は過去最高です。北区の過去三年間の通所介護及び訪問介護の閉鎖、廃業は何件ありましたか、年度別でお答えください。 このままでは訪問介護事業所の経営ができず、あえて要支援の予防訪問サービスを行わない事業者が増えています。北区いきいき生活援助サービスとか、介護予防通所サービスを行う事業所が近くにはどのぐらいあるんでしょうか。 次に、生活援助中心の予防訪問サービス、二百二十単位、予防通所サービス四百六単位の科学的な根拠って何でしょうか、教えてください。 板橋区、練馬区は事業対象者が増えております。しかし、北区は事業対象者がほとんどいません。第九期もこのままでいいのか、考えをお聞かせください。 生活援助中心の予防訪問サービスは、所要時間四十五分でよいのか、教えてください。そもそも総合事業の報酬が低過ぎます。北区独自のサービスとしての加算などを新設できないか、お尋ねします。 三番は、介護保険料の減額申請についてのお尋ねです。 介護保険料減額申請制度とは、北区が生活困窮者対策として、住民税非課税世帯の高齢者が申請することで認定された場合、介護保険料が年額一万円から二万円程度安くなる制度であります。令和四年度の減額認定者は僅か三十五人でした。 昨年、認定を受けている高齢者がもっと多くの生活困窮高齢者に利用してもらいたいので、減額認定の申請受付期間を延長してくださいと、健康福祉委員会に陳情しました。しかし、陳情は不採択となり、私は本会議で不採択の反対答弁を行いました。現在、その方と一緒に減額申請の説明会を区内各地で開催しております。 厚生労働省の令和四年度国民基礎調査によると、住民税非課税世帯は六十代後半には二一・四%ですが、七十代前半には三一・六%、後半には三九・四%の世帯が非課税となっております。また、八十代以上になると四四・七%、約半数の世帯が住民税非課税世帯に該当しています。 北区に当てはめると、人口三十六万、二十一万世帯、六十五歳以上人口が八万五千人、高齢世帯を五万人として三〇%を住民税非課税世帯に当てはめた場合、約一万五千世帯が対象となります。 申請対象者は、一、介護保険料を滞納していない、二、世帯収入が生活保護基準の一・一五倍以下、三、三百万円以上の預貯金がない、四、住民税非課税世帯の扶養を受けていないなどであります。北区の場合、単身世帯では約十二万円、二人世帯では十七万円があれば対象となります。 特に深刻なのは女性高齢者ひとり暮らしです。女性高齢者ひとり暮らしは、女性高齢者全体の四三%であり、月額平均年金受給額は十万円以下となっており、相対的貧困率を下回っております。古い都営住宅にお住まいの女性高齢者ひとり暮らしは、減額申請すれば、ほとんど対象となるはずであります。しかし、減額認定制度があるにもかかわらず、毎年三十人程度しか利用していません。少なくとも対象となる高齢者は一万人ぐらいいると推測されます。 このように条例が整備されているにもかかわらず、認定者が極端に少ないのは、行政の不作為ではないでしょうか。実際、各地の説明会に行って、あまりにも制度が周知されていないことに驚いております。昨年は継続申請受付期間が二週間しかなく、広報もほとんどされていませんでした。ホームページでもクリックして五回しなければたどり着かず、申請用紙もダウンロードできません。介護保険料のパンフレットも記載が分かりづらいです。 この減額認定制度のない自治体は、東京二十三区のうち台東区と江戸川区だけであります。他の自治体では毎年、百人単位で認定されています。北区の認定者数三十五人は恥ずべきことであると思います。 そこで質問します。 今年度、介護保険料係は減額を申請する方に対して、昨年と違った工夫をしていますか。 令和五年度及び六年度の四月、五月の問い合せ者や、減額認定者の人数を教えてください。 以上です。ありがとうございました。(拍手) (
山田加奈子区長登壇)
◎区長(
山田加奈子区長) ただいまの佐藤つかさ議員からのご質問について、私からは、高齢者虐待対応についてのご質問のうち、虐待の事実確認の方法についてお答えをさせていただきます。 虐待の事実確認については、ご質問にあった北区高齢者虐待対応マニュアルに記載されているとおり、被害者や他の利用者への面接、通報内容の事実確認、事業所における各種記録の確認を行いますが、詳細につきましては、今後の調査に影響が出るおそれがあるため、公表すべきものではないと考えております。 以上で私のお答えとさせていただきます。 この後、引き続き所管の部長からご答弁申し上げます。ありがとうございました。
◎福祉部長(村野重成福祉部長) (説明員) 引き続き、私から高齢者虐待対応についてお答えいたします。 まず、調査結果の加害者本人への報告についてです。 要介護施設従事者等による高齢者虐待の調査及び改善に向けた指導は、虐待を受けた高齢者の保護とともに、当該施設等における適正な運営を確保することを目的として実施するもので、高齢者虐待の調査終了後、内容の確認・評価を行い、その結果を事業者に通知するものです。そのため、調査結果にかかわらず、加害者への報告はありません。 次に、介護職員が要介護高齢者から虐待を受けた場合の対処についてお答えいたします。 北区高齢者虐待対応マニュアルは、法律に基づき高齢者虐待への対応方法を定めたもので、高齢者から介護職員へのハラスメント行為等は対象としておりません。 国は、高齢者から介護職員へのハラスメント対策を強化するため、令和三年度の報酬改定において、事業所内のパワーハラスメント及びセクシュアルハラスメント等について、必要な措置を取ることを義務づけるとともに、利用者から受けるハラスメント防止対策を講じることも推奨しています。 このような中で、区では、令和五年度に介護現場におけるハラスメント調査を実施し、事業者の要望に応じて、利用者からのハラスメントがあった場合の法的対応や、職員を守る方法に関する研修を実施し、対応文例も配付しています。 また、今後、職員へのハラスメントの未然防止のため、利用者や家族に向けた啓発にも取り組んでまいります。 次に、介護予防・日常生活総合事業について、順次お答えいたします。 初めに、北区の過去三年間の通所介護及び訪問介護事業所の閉鎖、廃業の件数についてです。 訪問介護及び通所介護事業所については、指定権が東京都にあり、閉鎖、廃止件数も区では把握しておりません。 区が指定する地域密着型通所介護事業所に限ると、令和三年度から五年度の廃止届出は十三件となりますが、中には事業譲渡などで重複したものもあり、事業所の数としては七事業所となります。 次に、北区の要支援者及びいきいき生活援助サービス、予防訪問介護事業を行っていない訪問介護事業者の割合についてお答えいたします。 本年四月三十日現在の要支援者認定数は六千六百九十八人です。いきいき生活援助サービス及び予防訪問介護事業を行っていない事業者数や割合は、訪問介護事業所の指定権が東京都にあるため、把握はしておりません。 なお、本年四月一日現在、いきいき生活援助サービスの指定をしている事業所は四十一か所、予防訪問介護事業所は七十八か所となります。 次に、予防訪問サービス、予防通所サービスの単位についてです。 本年四月の北区における総合事業の報酬改定は、基本的に国が示した総合事業サービス単位表に合わせたものとなっています。 予防訪問サービスの基本報酬は二百四十八単位でしたが、国は、回数による区分を統合し標準的な内容の訪問サービスとして二百八十七単位を設定し、また生活援助中心のサービスは二百二十単位で、今回新たに設定しています。 また、予防通所サービスは、国は要支援一の基本報酬は入浴介助を包括し四百三十六単位としています。一方、区では独自に入浴介助加算を三十単位で設定していることから、これを差し引いた四百六単位を要支援一の予防通所サービスの基本報酬として設定しています。 次に、事業対象者の現状に対する区の考え方についてお答えいたします。 総合事業における事業対象者は六十五歳以上の高齢者となりますが、日常生活の中で相談事が生じた際は、高齢者あんしんセンターに相談することが一般的な流れとなります。相談では、訪問型サービスや福祉用具の貸与などを希望することが多いこと、相談者の状態について専門的立場からのアセスメントが、介護予防ケアマネジメントを実施する際、重要であることから、要介護認定の申請につながるケースが多くなっています。 区としては、介護保険事業と総合事業を適切に活用することが重要と考えており、現在の取組の大幅な変更は考えておりません。 なお、次期介護保険事業計画では、総合事業の対象者の増加につながる改定が見込まれていることから、まずは区の総合事業の体制の見直しが課題になると認識しています。 次に、家事援助が中心のサービスの所要時間についてお答えいたします。 予防訪問サービスにおける家事援助中心サービスは、この四月の国の改定において新たに設定されたもので、国の改定に合わせ区でも新設しています。 このサービスについての国の考え方は、二十分から四十五分の生活援助は百七十九単位、四十五分以上は二百二十単位です。一方、予防訪問サービス、一回当たりのサービス提供時間は六十分以内としていますが、単位数は二百二十単位で、国の考えと整合性の取れたものとしています。 なお、区では四十五分以上との設定はなく、サービス提供時間が四十五分以内の場合も二百二十単位となります。 次に、北区独自のサービスとしての加算などの新設についてお答えします。 総合事業における独自加算は、自治体の実情に応じて設定するもので、北区では入浴介助加算を設定していますが、現時点でこれ以上の加算の設定は考えておりません。 最後に、介護保険料減額申請についてです。 まず、減額を申請する方に対する工夫についてです。 令和五年度中に減額承認をした方への申請書の送付について、申請期間に余裕を持たせるため、申請時期を一か月前倒しするとともに、申請時期によって異なる減額する額や期間のほか、対象となる収入の目安も記載しています。 次に、減額認定者の人数です。 減額承認の実績は、令和五年度は三十二件、今年度の審査はこれからとなりますが、五月末で二十四件の申請をいただいております。 なお、二十三区における介護保険料の減額認定ですが、令和四年度に百人を超えた認定を行っている区は四区、一方、三十人未満の区は減額制度がない区も含めて、九区と確認しております。 以上、お答えいたしました。
◆二番(佐藤つかさ議員) ありがとうございます。 以下は要望になります。 令和六年度の補正予算は、介護予防型訪問サービス費が五千七百万円、介護予防型通所サービス費が約三千万円、介護予防マネジメント費が約千八百万円減額されました。介護予防・生活支援サービス事業費が年間約十億円なので、その一割の一億円が補正予算で削減されたことになります。介護保険給付費の全体が三百四十億円なので、介護予防・生活支援サービス事業費は僅か三%であります。令和三年度は、歳出が十一億円ありましたので、これらは削減の一途であります。 北区では約七千人の要支援者がいて、多くは介護予防・生活支援サービス費を利用しております。北区の介護予防通所型サービス費の入浴加算は三十単位であります。事業者に入るお金が三百円で、その一割が利用者さんの自己負担となります。 入浴サービスを例に挙げてみますと、入浴は、ただ高齢者がお風呂に入ってもらうだけでなく、介護事業所職員は衣服の着替え、皮膚の健康確認、浴室にて洗身、洗髪、タオルで拭いて髪の毛を乾かす。介護職員は、真夏の暑い中でも汗だくで作業しております。 北区では、要支援者の入浴サービスや訪問サービスをお断りする事業者が増えていると私は聞いております。なぜそうなるのでしょうか。理由は要支援者のサービスを行うと、事業者が赤字になるからであります。そして、要支援者の利用者の多い、頑張っている事業者から閉鎖や倒産が行われています。 予算が使われなくなって一割以上、前年度から補正予算で削減されている事業は、私は異常だと考えます。この原因は、北区の安過ぎる総合事業の報酬額の特殊性にあるのではないでしょうか。 一方で、北区の地域包括ケアシステムが崩壊されようとしております。地域包括ケアシステムの最前線を担っているのは、まぎれもなく訪問介護員やホームヘルパーさんたちです。近年、訪問介護員の離職が増え、訪問介護事業者の経営が成り立っていかなくなっています。 私は、以前ケアマネをしたときに、古い都営住宅でひとり暮らしの高齢者に週一回か二回ヘルパーさんの訪問で命が救われた、生活が整ったという事例をたくさん見ています。北区はそれらをたった二百二十単位で行わせようとしていいのでしょうか。このままでは約七千人の要支援者は、介護予防サービスを受けることができず、介護難民となってしまいます。近い将来、北区の訪問介護事業者がなくなってしまうかもしれません。 そして要望です。 見守りの合計十五というのがあるんですけれども、見守りを含めた二百八十七単位を基準に訪問型サービスができるように配慮していただきたいということと、昨年度は予算が一億円余ったのであれば、その一億円で介護事業者や、そこで働く介護職員に支給していただきたい。北区はコロナで苦しいときに、利用者に臨時給付金を何回もしてくれました。そのご恩は忘れておりません。今年度も事業者や介護職員の生活を安定させるために使っていただきたいと思っています。 もう一つ、介護保険料減額認定制度は区民に分かりづらいです。例えば北区の介護保険料のお知らせという見開きのカラーパンフレットがあります。肝心の第一段階から第三段階までの所得の方の保険料率に軽減前と軽減後という言葉が記載されてあります。 軽減とは、消費税が一〇%になったときに国が行った公的な軽減のことであります。北区が軽減させたわけではありません。パンフレットに載せる必要があるのでしょうか。他の自治体も調べましたが、国の軽減を載せているのは北区だけだと思います。必要なのは、減額対象者であるか否かであります。毎年の七月に配布される介護保険料納付通知書で対象者は把握できます。 日本年金機構の年金生活者支援給付金のように、対象者は通知書に減額申請書を同封できないでしょうか。これも要望であります。 最後に、四月より介護保険料が六年ぶりに上がりました。北区の介護保険料は六千二百九十円です。介護保険料が高い自治体として、大阪市は九千二百四十九円、低い自治体としては、埼玉県鳩山町の四千三百円が挙げられます。 鳩山町の高齢化率は約五〇%近くになります。この十年間、保険料四千円前後をキープしている鳩山町は、鳩山モデルと呼ばれる健康づくり、介護予防の取組を強化しております。その結果、介護保険の認定率が一二%と低く抑えられています。 一方、北区は二二%以上の認定率であります。この違いは私が思うには、自治体の介護予防の取組と考え方の違いであると思っております。介護予防が充実すれば、介護保険を利用しなくても元気な高齢者が増えていきます。北区の七千人の要支援者と事業対象者の方たちに、悪化させない介護予防の取組を、結果的には介護保険を安くする近道であると考えますので、ぜひ北区の介護予防の取組をより一層、改正していただきたいと思います。 以上です。ありがとうございました。
○議長(大沢たかし議員) 二十二番 山崎たい子議員。(拍手) (二十二番 山崎たい子議員登壇)
◆二十二番(山崎たい子議員) 私は、大きく三点、一つに、給付型奨学金の実施など、高等教育の負担軽減について、二つに、北区の若者支援について、三つに、災害対策について、区長、教育長に質問します。 初めに、給付型奨学金の実施など教育費の負担軽減について伺います。 北区では来年度、北区独自の給付型奨学金をスタートさせる計画となっています。私は、昨年の第四回定例会個人質問の中で、検討していただきたい内容について、幾つか提案させていただきました。 それは現在、国が二〇二〇年に制度化した給付型奨学金と学費の減免をセットで実施する大学等修学支援制度が、所得制限や成績要件などにより、利用できるのは学生一割にも満たない非常に限定的な制度であるため、例えば年収三百八十万円未満の低所得層に対する区としての上乗せ給付や、世帯年収六百万円など、中間層まで対象を拡大すること、さらには、奨学金の返済に対する北区の支援を提案しました。ぜひ新事業に反映されるよう、重ねて要望します。 その後、国は、こども未来戦略を発表し、三人以上の子どもを育てる多子世帯に対しては所得制限を設けず、来年、二〇二五年度から入学金を廃止、授業料を国公立大は年五十四万円、私立大は年七十万円を上限に補助する、短大や専門学校も含めると発表しました。 しかしながら、子どもが三人以上でなければ対象外、兄弟の組合せによっては受けられない場合もある、同じ子どもが四年間受けられるわけでもないなど、依然、限定的な施策を脱し切れていません。 加えて、今年三月の中央教育審議会では、国公立大の学費を年百五十万円に上げるべきだとの意見が出され波紋を呼んでいます。そこで質問です。 高等教育無償化の実現に向けて、国に対し教育予算を増やし、入学金の廃止、学費の値下げ、給付型奨学金の大幅な拡充、貸与型奨学金の減免を実施し、多くの学生が対象となるよう求めてください。 次に、生活保護世帯出身の大学生などへの給付型奨学金の実施について伺います。 令和三年度の厚生労働省の発表によれば、全世帯の大学進学率七五・二%に対し、生活保護世帯の場合は三九・九%と、いまだ大きな開きがあります。その要因の一つに、現状の生活保護制度では、子どもが大学などへ進学した場合、その子どもは世帯分離しなければならず、世帯の生活保護費が減額となる現状があるためです。 例えば両親、もしくは母と本人、中学生の兄弟のモデルケースの場合、二人親家庭で月三万九千八百七十円、ひとり親家庭では月四万八千二百四十円の生活保護費の減額となります。厚生労働省による生活保護世帯出身の大学生などの生活実態の調査でも、こうした状況が進学を考える際に影響したとの回答が六一%を超え、生活保護世帯の子どもの高等教育の進学に当たり、国の制度が大きな壁になっています。 こうした課題がある中、世田谷区では今年度より、生活保護世帯出身の若者の進学支援及び中退防止を図るとして、区としての給付型奨学金制度をスタートさせました。 給付内容は、学費として上限五十万円、教材費や通学交通費は実費とし、中途退学した場合も返還は不要、生活保護のケースワーカーと連携し、高校を卒業する予定の子どもや、既に大学などの高等教育に在籍している若者に周知し、申請手続をサポートする体制としています。 また、世田谷区ではせたがや若者フェアスタート事業により、児童養護施設や里親の元を巣立った若者に対し、退所後のアパート生活に対する家賃補助や給付型奨学金を実施しています。そこで質問です。 北区でも生活保護世帯出身の大学生や、児童養護施設を巣立つ若者などへの給付型奨学金を実施するよう求めます。 給付型奨学金制度の最後の質問は、中小企業人材確保のための奨学金返還支援事業についてです。 本制度は、東京都が人手不足の中小企業の人材確保を支援するため、奨学金の貸与を受けている大学生などが建設、IT、ものづくり分野の中小企業に技術者として就職した場合、その奨学金返還の負担を軽減する事業です。五月現在の登録企業数は、都内全体で八十件、北区内でも数件の企業がエントリーしています。 本制度に係る助成費用は、東京都と企業が二分の一ずつ負担することになるため、中小企業にとっては人材確保のメリットの一方で、企業としての負担がハードルにもなると考えます。 そこで、中小企業人材確保のための奨学金返還支援事業を活用した北区の中小企業に対し、区が登録企業の負担額の一部を補助するよう求めます。お答えください。 大きく二つ目の質問は、北区の若者支援についてです。 初めに、民間法人と連携し、若者の相談、居場所、住まい、就労の支援を行うことについて伺います。 私はこの間、様々な理由で親を頼れない、家に居場所がない、不安定雇用や就労環境で自立が難しいなど、困難を抱える少女や若者への相談支援に区として積極的に取り組むよう求め続けてきました。 先月五月二十六日には、日本橋タワー二十七階にあるサイボウズにて開催された特定非営利活動法人サンカクシャの五周年企画にも参加してきました。 同法人は、十五歳から二十五歳くらいまでの親を頼れない若者の生きていくための基盤として、日中はもちろん、夜でもくつろげる、安心できる居場所の提供や、若者とつながる相談、ユーチューブ公式チャンネルなど情報発信、また、シェアハウスや個室シェルターなど、住まいの支援、さらには、働きたいけれども働けない、何をしたらいいか分からないという若者の社会に出て働くためのサポートなどに取り組んでいます。 北区にも活動場所があり、私自身も何度か居場所やシェアハウスにお訪ねし、学んだことを議会でも取り上げてきました。 五周年企画で挨拶された代表の荒井佑介さんは、子どもの貧困対策や支援については、法律の制定やSDGsの流れもあり、行政をはじめ地域や企業においても取組が進み、世論形成も進んできている。一方で、十五歳以上、十八歳以上の若者への支援については根強い自己責任論もあり、まだまだ定着していないのではないか。傷つきや悩みを抱え、働くこと、自立までに時間のかかる若者、親や身近な大人を頼れない若者が生き抜いていけるように、これからも地域や企業の方とネットワークをつくり連携しながら、一人一人の若者に丁寧に寄り添い、安心できる居場所、一緒に働く場を共につくっていきたいと語っていました。 私は、そのお話を伺って、北区においても、どんな若者にとっても頼れる人がいる北区、まち全体で若者を応援する北区を民間の皆さんとも連携しながらつくっていけたらと改めて感じたところです。 翻って、他区においては、足立区や板橋区で十五歳からおおむね四十九歳までを対象に、就労支援を中心とした若者サポートステーションが運営され、さらに昨今では、若者が気軽にアクセスしやすいチャット、メール、LINEを活用しての相談や、Wi-Fi環境も整えたフリースペース、居場所の確保を入り口に、若者と関わるスタイルで、令和四年度には、大田区の若者サポートセンターフラットおおた、荒川区の若者相談わっか、豊島区の子ども若者総合相談アシスとしま、令和五年度に中野区で子ども・若者支援センターを開設するなど、取組が進められています。 そこで、北区においても若者の相談、居場所、住まい、就労の取組など、地域や民間法人、企業の力もお借りし、総合的に検討を実施すべきと考えますが、北区の現状と今後の取組について考えをお聞かせください。 次に、不登校や生きづらさを抱えている若者への包括的性教育について伺います。 私は先日、さいたま市若者自立支援ルームの取組を伺ってきました。同支援ルームは、さいたま市がNPO法人へ運営を委託し、おおむね十五歳から三十九歳までの若者を対象に、安心できる居場所の提供や社会的な体験活動を行い、生きづらさを抱えた若者の個別支援、セーフコミュニティをつくっている場所です。 お話を伺った所長さんは、ここで出会う若者の多くは、様々な事情を抱えている。例えば経済的貧困、面前DV、ネグレクト、虐待など、子ども期を健康に生きる権利や発達が保障されてこなかったり、アルバイトや就労も難しい、発達障害の可能性もあるが、診断を受けたことがない、母親からの教育虐待により、女はうるさい、女は駄目とジェンダーバイアスを持っている若者もいる。 現在、学校では性加害・性被害に遭わないよう、生命の安全教育も始まっているが、不登校やひきこもりなどにより、そうした機会が得られない。さらには、学校を卒業してから、その機会がないという子ども・若者に対して、同支援ルームでは、体と性や多様性について、デートDVや暴力についてなどワークショップを行ったり、結婚についてどう思うか話し合い、ルーム女子会と称し、お勧めナプキンのプレゼンをするなどに取り組み、参加している若者が変化し、成長している様子を紹介してくれました。 そこで、北区においても、不登校や生きづらさを抱えている子ども・若者が、自分自身を大切に生きることができる力を身につける包括的性教育を、学校以外の場でも取り組んでいただくよう求めます。お答えください。 大きく三つ目の質問は、災害対策の拡充について四点質問します。 初めに、地区防災計画策定支援事業についてです。 北区では、今年三月に北区地域防災計画を改定し、感染症対策や多様な視点を踏まえた避難所運営について、また避難についても在宅避難や避難所以外の安全な場所への分散避難の対応、さらには、大規模水害を想定した避難行動の基本方針など、風水害対策に関連して、より実効性の高い計画としたところです。 そして、今年度より令和八年度までの三か年をかけて、区内全十九か所の自主防災組織の合議体である地区防災会議を対象に、それぞれの地区の特性を生かした地区防災計画を策定、支援する事業を進めることとなっています。 私は、こうした地区ごとの計画策定の過程そのものが、防災について学びを深める機会でもあり、顔の見える関係で共生のコミュニティをつくる機会にもできるのではないかと考えます。 そこで、地区防災計画策定に当たり、町会・自治会や消防団はもちろんのこと、医療・介護関係者や障がい団体、PTAや子育て関係者、商店街や事業所など、その地域に関わる住民や各種団体の方々の幅広い住民参加や交流ができるよう進めていただきたいと考えますが、北区はどのように取り組もうとされているのか、お聞かせください。 次に、高齢者や障がいをお持ちの方など、避難行動要支援者への個別避難計画支援について伺います。 北区では、避難行動要支援者への個別避難計画を策定するために、令和五年度より担当職員を配置し、当事者、家族はもちろんのこと、医療機関や介護事業者、ケアマネや民生委員などと連携しながら、計画策定を進めてきていただいていることに敬意を表します。 初めに、現在までの計画策定の進捗状況についてお聞かせください。さらには、避難先への移動支援について、タクシー会社からの協力のほか、高齢者や障がい当事者の方が日常利用している事業所のご協力も検討されていると伺っていますが、その後の進捗状況や課題についてもお聞かせください。 三つは、木造民間住宅の耐震化促進事業の運用改善についてです。 本事業は、家屋の倒壊を防ぎ、安心で災害に強いまちづくりを促すため、今年度予算でも条件が拡充されたものです。二〇〇〇年の新耐震基準以前、いわゆるグレーゾーンと言われている期間まで対象を拡大、及び高齢者世帯の加算要件の拡充、さらには耐震建替え工事事業を北区全域に広げたもので、補助額としては百万円から百五十万円という内容で、会派としても事業の促進を望んでいます。 初めに、同制度の周知状況と現在までの受付、実施状況をお聞かせください。 この間、区民の方から、ほかの区では補助額の部分を区から事業者への償還払いとしており、区民の立場からすると、その百万円分を事前に用意する必要がなくなるので経済的にも非常に助かるとの要望をいただきました。使い勝手がよくなることで、制度の使いやすさにもつながると考えます。 そこで、木造民間住宅耐震化助成における事業者への償還払い制度を取り入れていただくよう求めますが、いかがでしょうか。 最後は、熱中症対策についてです。 近年、猛暑による熱中症予防のため、熱中症警戒アラートで注意喚起が行われています。五月二十一日、気象庁が六月から八月も平均気温は全国的に高くなる見込みと発表し、今年の夏も熱中症などから区民の命を守ることが重要です。 厚生労働省も熱中症ガイドラインを示し、その予防対策の一つとして、適切なエアコンの活用を呼びかけていますが、生活保護利用者や低所得者、年金生活者などは、保護費や年金の引下げ、物価や電気代の高騰などにより、経済的理由でエアコンが使えない、または使用を控えてしまう実態があります。 先日、私が相談を受けた高齢の方も、エアコンが壊れていたが買うことができず、熱中症で倒れて救急車で運ばれた。いっとき寝たきりだったが何とか回復することができたと話してくれました。回復されて本当によかったと思う一方、エアコンが使えず命を落とすことがあってはならないと、改めて思いを強くしました。 北区では、熱中症予防の一つとして、区有施設を活用した涼みどころを設置し、今年度も増設の予定ですが、長時間や夜間は利用できず、施設まで行くことが難しい方もおられます。 そこで、他区で実施している低所得者などへのエアコンの設置費や購入費助成に踏み出していただくよう求めます。また、生活保護においては、世帯合計八千円までは収入認定しないとの規定も生かし、生活保護利用者や低所得者世帯へ電気代補助を行うよう求めます。 以上、区長、教育長の温かい答弁を求め、私の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。(拍手) (
山田加奈子区長登壇)
◎区長(
山田加奈子区長) ただいまの山崎たい子議員からのご質問について、私からは、災害対策の拡充についてのご質問のうち、地区防災計画策定支援事業についてお答えをさせていただきます。 北区では、今年度より令和八年度までの三か年をかけて、区内全十九地区の地区防災会議を対象に、地区防災計画の策定支援に取り組んでまいります。計画策定に当たっては、地区防災会議をはじめとした防災関係団体等によるワークショップを開催し、その中で参加者同士による意見交換を行うなど検討を深めながら、計画の策定を進めていく予定です。 なお、ワークショップへの参加団体等につきましては、計画策定の主体となる地区防災会議にて構成を検討し、決定していくこととなっております。 以上で私からのお答えとさせていただきます。 この後は、引き続き所管の部長からご答弁申し上げます。ありがとうございました。
◎福祉部長(村野重成福祉部長) (説明員) 引き続き、私から、災害対策の拡充についてのご質問のうち、避難行動要支援者の個別避難計画支援についてお答えいたします。 まず、個別避難計画の策定の進捗状況についてです。 区では、昨年度、いわゆる優先度Aに該当する方で計画作成が必要な方、百九十一名を対象に、区職員が自宅を訪問、計画作成を進め、百四名の計画を作成し、うち八十名から計画について承諾をいただいたところです。 今年度は、要介護三、障害支援区分四など、いわゆる優先度Bの候補者を対象に行った事前の調査の結果、計画作成が必要な方は三百二十二人で、五月に計画作成を委託する福祉サービス事業所などに向けた説明会を四回開催しています。七月以降、委託を受けた事業所が自宅を訪問し、優先度Bの方の計画作成を進めてまいります。 次に、タクシー会社、高齢者や障害者が日常利用する事業所との協力についてです。 車両で移動する際、車椅子やストレッチャーのまま乗車しなければならない高齢者や障害者については、主に区内特養併設の高齢者在宅サービスセンターが所有する車椅子などにも対応できる車両の活用について協力を依頼し、おおむね内諾を得ているところです。 また、通常の車両に乗車ができる方については、災害時協定を締結しているタクシー会社に協力をお願いし、同じく内諾を得ているところです。 今後は、使用する車両の見込み数の精査、各事業者との協力体制の構築に向けた具体的な手続の検討が必要と考えています。障害者生活介護施設が所有する車両の活用については、今後、荒川等、大規模水害時を想定した高台への避難訓練を実施する中で検証するとともに、各生活介護施設と意見交換してまいります。 次に、熱中症対策についてお答えいたします。 まず、低所得者などへのエアコン設置費等の助成についてです。 国が示した生活保護世帯におけるエアコン購入に関する基本的な考え方では、社会福祉協議会の生活福祉資金貸付の活用が示されており、区においても、低所得世帯の方には北区社会福祉協議会の貸付をご案内しています。現時点で低所得世帯等へのエアコン設置費助成については考えておりませんが、一方で令和五年度以降、幾つかの区において、低所得世帯等を対象とした助成が開始されていることは承知しています。 今後、先行区の実施状況や未実施区の今後の動向など、調査研究してまいります。 次に、生活保護利用者や低所得者世帯への電気代補助についてです。 区では、これまでエネルギー・食料品価格等の物価高騰による負担感が大きい住民税非課税世帯や均等割のみ課税世帯への給付を実施し、今後は、所得の減少などにより、令和六年度に新たに非課税となった世帯などへの給付を予定していることも踏まえ、低所得者世帯等への電気代補助を行うことは考えておりません。 なお、区では猛暑対策として、今年度から公共施設のロビーに加え、民間事業者の店舗を活用した涼みどころを増設するとともに、昨年度より一か月前倒しし、六月から開始、開設しております。 以上、お答え申し上げました。
◎
まちづくり部長(寺田雅夫
まちづくり部長) (説明員) 私からは、引き続き、災害対策の拡充についてのうち、木造民間住宅の耐震化促進事業の運用改善をについてお答えいたします。 木造民間住宅耐震化促進事業については、北区ニュース四月二十日号及び北区ホームページで周知を行っています。 今後、助成対象となる住宅へパンフレット等の全戸配布を行うなど、さらなる周知に努めてまいります。 なお、五月末時点の申請受付状況は、耐震診断七件、補強設計一件、耐震建替え工事三件となっています。 本事業につきましては、今年度から制度の拡充見直しを行っていますが、引き続き使いやすい制度となるよう検証してまいります。 以上、お答え申し上げました。
◎
教育振興部長(
倉林巧教育振興部長) (説明員) 私からは、給付型奨学金の実施など、高等教育の負担軽減に関するご質問にお答えいたします。 初めに、高等教育無償化の実現に向けて国に求めることについてです。 国では今年度、貸与型奨学金の減額返還制度の見直し等を図るとともに、来年度から、多子世帯の学生等の授業料無償化に向けて取組を進めることとしています。 区といたしましては、引き続き、経済的に困難を抱える若者の進学支援のさらなる拡充について、機会を捉えて国に求めてまいります。 次に、生活保護世帯出身の大学生や児童養護施設を巣立つ若者などへの給付型奨学金を実施することについてです。 区では、若年層の定住化と大学等の進学に伴う経済的負担の軽減を目的とした制度の導入に向けて、他自治体における先進事例を調査研究するなど制度設計を進めています。意欲ある若者の学びを支援できるよう、対象要件や給付条件など、具体的な内容につきましては、国の動向も注視しながら検討に着手しているところです。 以上、お答えしました。
◎
地域振興部長(雲出直子
地域振興部長) (説明員) 引き続き、私から、中小企業人材確保のための奨学金返還支援事業についてお答えします。 区では、中小企業の人材の採用や定着に関する課題解決につなげるため、セミナーとコンサルタントを通じた支援に取り組んでいます。ご紹介いただきました東京都の中小企業人材確保のための奨学金返還支援事業は、現段階において都内全体の登録企業数は限定的であるため、引き続き他自治体の動向を注視するとともに、関係機関等と連携しながら、制度の周知等に努めてまいります。 以上、お答えいたしました。
◎
子ども未来部長(
筒井久子子ども未来部長) (説明員) 次に、私からは、北区の若者支援についてのうち、民間法人と連携し、若者の相談、居場所、住まい、就労の支援を、についてお答えいたします。 親や身近な大人を頼れない若者への支援は、セーフティネットとしても重要であると認識しております。区では、これまで子育て支援等におきましても、必要に応じて民間法人も含め、関係機関と幅広く連携や協力などを行ってきたところです。若者を支援する区内で活動をしている団体があることは把握しており、情報交換を行ってまいりました。 また、区では、本年三月に策定した北区子ども・子育て支援総合計画2024において、ハローワーク等関係機関と連携した若者の就労支援事業への誘導強化の取組を検討することとしています。 さらなる若者支援の取組については、支援のニーズや支援の在り方、支援の主体も含め、他自治体の事例も含め、研究課題とさせていただきます。 以上、お答えいたしました。
◎総務部長(小宮山庄一総務部長) (説明員) 最後に、私から、不登校や生きづらさを抱えている若者への包括的性教育についてお答えさせていただきます。 身体や生殖の仕組みのほか、人間関係、ジェンダーの理解、健康と幸福のためのスキルなど、幅広い内容を学ぶ包括的性教育は、自他の人権を尊重する意識を形成するための取組の一つであり、子どもや若い世代に限らず、多様な世代の方々に必要な取組であると考えております。 そこで、区では、これまでも広く区民の皆様の人権尊重意識の向上を図るため、人権意識の啓発や各種相談窓口の周知等に努めてまいりました。 また、教育委員会と連携して、学校教育の場での包括的性教育も推進しているところです。 なお、不登校の児童や生徒への対応につきましては、限られた時間の中で基礎学力の習得や、居場所づくり等の様々なアプローチが必要と聞いておりますので、引き続き教育委員会と意見交換を進めてまいります。 以上、お答えさせていただきました。
◆二十二番(山崎たい子議員) ご答弁をいただき、ありがとうございます。幾つか要望と再質問をさせていただきます。 まず、区長から、最初に地区防災計画の策定支援について、ワークショップでの参加型の取組を進めていくと、その主体は防災会議ときちんと話し合っていくというご答弁をいただきました。 そういう住民の皆様の幅広い参加で、より密の濃い内容となるように、改めて要望しておきたいと思いますが、先行地区になるのは堀船地区というふうに伺っておりますが、その地域の医療関係者の方々からも、日頃から様々な防災訓練の中で、ぜひこういうトータルな話し合いを医療関係者としても、しっかりコミットして対応していきたいんだというご要望や意見も常日頃いただいているので、ぜひ先行地区の堀船のところからも、そうした幅広い皆さんの参加をお願いしたいと要望しておきます。 次に、高齢者、障がい者の方の個別避難計画のところなんですけれども、進捗をお答えいただきありがとうございます。 それで、今年度は介護度三などのBと言われている方々に福祉サービス事業所の協力でつくっていくということなんですが、Aの人は区の職員の方々も訪問されたということなんですけれども、Bの方々は民間の事業所の皆さんが中心で主体でつくっていくということになると思うんですけれども、この方々に依頼していく作成経費は一件当たり幾らになるのかということを、再質問でお聞かせいただきたいと思います。 それから、私の問題意識としては、今、出ているBの人、介護度三という方たちなんですけれども、C以降になるのは要介護二以下の方になると思うんですが、要介護二の方であっても車椅子の方とか、認知症の
治療をされている方なども入っておられますし、このC以降の方々は、自分たちでマイ・タイムラインを作成していくというくくりの中に入っていくと思うんですが、そのこと自体が、やはりまだまだ自分でつくっていくというのが困難な方々がいるんじゃないかなというふうに想像します。 なので、そういう方に対しても、福祉サービス事業所の方々が要介護二であっても、やっぱり自分たちが作成経費を補助してもらいながら、フォローしていく必要があるのではないかなというふうに思った人については、ボーダーな方に対してフォローすべきじゃないかなと思うんですけれども、これについてトータルに再質問、お願いいたします。 それから、熱中症対策のところなんですけれども、今回、区として涼みどころ四十か所増設で、既にホームページでもご案内が出されていて、半分以上は子ども施設で新設されたということなので、これは子どもと親子ということで、高齢者の方は利用がなかなか難しいという状況かなというふうに受け止めております。 皆さん、心配されているんですけれども、六月から電気代が値上げになってくるということで、引き続き物価の高止まりということもあり、お金がなくてエアコンが買えないとか、なかなか使いづらいという形での健康被害は何としても防いでいくべきではないかという問題意識で質問したんですけれども、本来であれば、私は今年度も非課税世帯、または非課税相当の方々に昨年と同様、そういうエネルギー価格高騰に伴う給付金をするべきだというふうに私は思っています。新たになった人だけじゃなくて、昨年に続いてまたやるべきではないかというふうにすごく思うんですよね。 なので、この電気代補助も入ってくるんですけれども、この前、全員協議会のときにも、予算が決定してたった二か月しかたっていないのに、今年度末の財政調整基金の残高が四十億円も増額になったということが、今議会の補正の中で報告があったので、こうした財源をしっかり、こういう暮らしの支援に充てるべきではないかなというふうに考えております。 区は今のところ、そこをする考えはないということなんですけれども、こうした財源も生まれたので、ぜひ再検討してほしいというふうに思いますが、この点、再質問させていただきます。 それから、給付型奨学金のところについてなんですが、今、区として制度設計中ということなので、あまり詳しい内容については、ここではなかなか述べづらいかなというふうには思って伺ってはおりました。 ただ、中小企業の人材確保のための奨学金返還支援のところは、制度の周知に努めていただけるということで、ぜひ積極的に周知していただき、実績を上げてほしいなというふうに思っているんですけれども、この奨学金の返済のところの支援について、私は昨年度の質問でも医療・介護とか、教育分野の人材確保が厳しいところなどについて提案をしたんですが、今回はそれに加えて建設やものづくりについても述べさせていただきました。 今年度から千葉県と千葉市で教員採用者の奨学金返済の支援を行うという制度が始まって、応募者が殺到したというふうに報道されています。なので、今回の議会でも専決処分という案件の中で、北区の奨学資金貸付金の返還が滞っているということで、北区が裁判に訴えたというのが五件報告になっているんですけれども、今、若者世代としては、奨学金の負債額が十兆円近く上っているというふうに言われているので、今、学生さんや、その親御さんたちは、全国で大なり小なりそういう奨学金とか教育の負担、すごく重くなっているということと、そのことが少子化の最大の要因になっているというふうに、もうこれ明らかになっていて、まさにこの間の政治の失策による少子化なんだということを、私たちは本当に真剣に受け止めなければならないというふうに思っています。 私はここでちょっと、国に対してもっとしっかり要望してほしいということで質問もしたんですけれども、意外に答弁がさらっとしているかなと思ったので、つい言ってしまいたくなるんですが、国の今、教育予算四兆円に対して軍事防衛予算は約八兆円ということで、二倍になってしまったんですよ、ついに。 ついに二倍になって、たしか二〇〇四、五年のときは教育予算のほうが上回っていたのに、今や教育予算の二倍を軍事予算が占めているということで、その一方で、また国立大学の学費の値上げなんかも出てきちゃったりして、とんでもない話だなと思っているんですけれども、こうした税金の使い方を改めて、一刻も早く教育費の無償化、給付型の奨学金の大幅拡充に、国にしっかり一刻も早くやってくれということを決意を込めて求めてほしいし、北区の来年、新年度の事業も、ぜひいいものとして提案していただきたいなということを重ねて求めておきたいと思います。 あと、今回プラスした生活保護世帯に係る若者への奨学金支援は、これはもう進学率の低下に明確に影響している社会的格差ですよね。なので、これは放置することは絶対にいけないというふうに思っていて、国の改善を待たずに、自治体としても、もう既に例えば世田谷区とか始めているところ紹介しましたけれども、北区もぜひ踏み出してほしいと。人数にしても五十人いかないぐらいの人数だと思います。年間の予算も区の財政力からすれば、そう大きな予算ではないと思いますので、住宅支援などと組み合せて総合的な施策として、ぜひ検討していただきたいと思います。これは要望しておきます。 それから、若者支援のところなんですけれども、区としてはセーフティネットは重要だと。それで、キャリア教育とか就労支援の取組も誘導して強化を進めていくというお話で、これは問題、課題意識を持っていただいているということで受け止めるんですけれども、今回ここで強調したのは、そういう就労や社会参加をしていく前提で、若者自身一人だけでは、なかなか踏み出していくことができない。そのモチベーションを自分の中に広げていくためにも、安心できる他者との関係性が必要な若者がいるということを、私は今回の質問で強調させていただきました。 なので、これはもしかしたら、若者と共にコミュニティを再生していく、また、就労や仕事をつくっていくというポジティブな面として捉えて、みんなで若者を中心に、北区をいいまちにしていくという一つのすばらしい事業になるんじゃないかなって、そういう若者の力を貸していただきながら、みんなでつくっていけたらいいなという前向きな事業として、ぜひ北区で構築してほしいなというふうに思っているんですね。 先ほど私が紹介した法人などについては、区のほうでお話も伺っていただいたということで、非常に心強く思ったわけなんですけれども、その法人のみならず、ほかにも様々な取組をしている法人もあるし、他自治体では既に先行して、何区もいろんな形で踏み出しておられますし、何よりも当事者である若者自身の方々の声などを積極的に聞く機会を持っていただいて、求められる相談や居場所、必要な就労を北区として一緒につくり上げていただきたいというふうに思うんですけれども、この進め方についてその当事者参加というか、団体の意見も十分聞きながら、区としてつくり上げていく方向性について、ぜひその点を踏み出してほしいと思いますが、ここ再質問させていただきたいと思います。よろしくお願いします。
◎福祉部長(村野重成福祉部長) (説明員) それでは、私から、まず初めに、個別避難計画の委託料の件についてお答えさせていただきます。 五年度に作成に着手した優先度Aですが、こちらは福祉専門職等に同行していただく形で、区の職員が計画をつくっていると。この優先度Aにおける作成単価一件七千円としたところでございますが、優先度Bについてはご紹介もありましたとおり、福祉事業所のほうで調査から作成までしていただくといったこともございますので、こちらの単価のほうは、一件一万円としているところでございます。 次に、要支援二などの方で、要は優先度のAやBに該当しない方での作成といったご質問だったかと思います。 北区では現在、優先度AまたはBの方についての、この作成というものに注力をしているところでございます。一方で、現時点で、このAあるいはBに該当しない方から、計画の作成などについてご要望がある、そういった可能性もあると思いますけれども、それは各事業所などを通じてご連絡をいただければ、まず、その計画の対象とできるかどうかはここではお答えできませんが、どのような対応ができるか、そういったことについての相談はさせていただきたいと思います。 なお、この同じようなケースとなりますが、本人の状況変化に伴って、今後、優先度の区分が変わったり、支援者の交代があったりと、そういったものも想定されるところでございます。そうしたものを想定いたしまして、七年度以降はそういった状況の変化、こういったものをいわゆる更新ということになると思いますけれども、どのように進めていくかなどを検討していきたいと考えているところでございます。 それから、電気代の助成のところでございますが、これにつきましては区といたしましては、これまでも独自の助成も含めて給付実施してきましたけれども、地方創生交付金などの財源確保した上で実施しているものでございます。 また、電気代などの価格高騰の影響というのは、例えば区内の事業者など広範囲に及んでいて、これらに対応する施策については様々な状況を踏まえ、その中で判断されていくものと考えてございます。 以上です。
◎
子ども未来部長(
筒井久子子ども未来部長) (説明員) 若者の支援について今後の進め方、方向性等についてのご質問にお答えをさせていただきます。 議員からご紹介のあった団体等につきまして、私もホームページ上の情報ではありますけれども、確認をさせていただいたりしておりまして、本当に困難な状況にある若者の方に対して、寄り添った形での支援をされている団体だなというふうに認識をしているところでございます。 北区におきましては、例えば子ども家庭支援センター等でも、個別のケースに応じて必要な対応というのは、現状もさせていただいているというところではございます。様々議員からもご提案をいただいたところでございますけれども、今後、いただいたご意見なども参考に、他自治体の事例なども十分研究をさせていただきたいというように考えております。 以上でございます。
◆二十二番(山崎たい子議員) 若者支援のところ、前向きに受け止めていただき、ありがとうございます。ぜひ積極的に取組を進めていただきたいと思います。 それから、給付金のところは、財源も私、提案させてもらいましたけれども、今年度補正も含めてぜひ前向きに検討していただけるよう、強く強く求めて、私の質問を終わります。(拍手)
○議長(大沢たかし議員) 二十一番、野々山 研議員。(拍手) (二十一番 野々山 研議員登壇)
◆二十一番(野々山研議員) 私は、山田区長に、赤羽駅周辺地区まちづくり基本計画の策定について質問いたします。 現在、二か年にわたる基本計画の策定作業が行われています。昨年七月に開かれた第一回策定検討会から検討を重ね、五月十四日に開かれた直近の第五回検討会では、中間報告を取りまとめることが主要な議題となっていました。しかし、この検討会では、事務局である区が提案した中間報告案に対し、検討委員からの意見が相次ぎ、結果として中間報告を決定することができませんでした。 学識経験者である検討会会長は議事のまとめとして、五つの点で問題があったとして、中間報告の再検討を提案、事実上、事務局案は撤回を余儀なくされることになりました。五つの問題点とは、一、説明不足、二、時間不足、三、評価方法は見直しが必要、四、シナリオの絞り込みは早過ぎた、五、中間報告決定プロセスに市民参加が必要というものです。 北区ホームページでの結果の公開は会開催後、一か月以内をめどとなっているため、第五回検討会の議事録や資料はまだ公開されておらず、事務局が提案した中間報告案がどういうものだったのか、委員からどんな意見が出されたのか、なぜ中間報告が決定に至らなかったのかは、ここ議場にいる議員の皆さんを含め、ほとんどの区民が知りません。 そこで、検討会を傍聴した立場から、第五回検討会での議論に焦点を絞り、基本計画策定の在り方について、以下、大きく五点質問いたします。 第一に、中間報告の取りまとめについてです。 検討会では、これまで五つのシナリオ、七つのパターンの案を対象に検討が行われてきました。シナリオ一、二は、市街地再開発によらず現状の町並みを残す修復型まちづくりの案、シナリオ三、四、五は、市街地再開発による大規模な建て替えの案です。今回、中間報告、事務局案が決定の合意に至らなかった要因の一つに、七つの案に対する評価の確定と絞り込みを事務局が急ぎ過ぎたということがあるのではないでしょうか。 事務局案は、それぞれの案を三十項目の個別ミッションごとに丸、バツ、三角で評価し、それを点数化して総合評価を導き出すというものでした。これに対し委員からは、自分たちが住むまちを丸、バツ、三角で単純に評価するのはいたたまれない、点数をつけて案を絞り込むというやり方は聞いていない、事務局案が送られてきたのは、ゴールデンウイーク前で、これに対する意見シートが送られてきたのは、検討会の一週間前、こんな短い時間では意見を書くこともできないなどの意見が出されました。 そもそも評価方法の詳しい説明もなく示された事務局案を、ごく限られた時間で読み込み意見をまとめるのは困難であり、検討会当日に意見を出さなければ、事務局案の評価を確定し、中間報告を公表するという取りまとめ方に対し、これでは事務局が一方的に評価したと言われても仕方がないのではとの指摘が出たのは、当然と言わなければなりません。 会長が説明不足、時間不足だったという以上、七つの案への評価を確定することは時期尚早です。事務局案は一旦白紙に戻して、会長の提案に従い、次回の検討会で中間報告の取りまとめ方から再検討すべきではないでしょうか。お答えください。 大きな第二の質問は、個別ミッション、すなわち評価の視点についてです。 事務局案では七つの案を評価するに当たり、三十項目の個別ミッションを設けています。しかし、何をどういう基準で比較検討するのかという評価の視点は、本来それ自体が検討会での議論に付されるべきものです。だからこそ会長のまとめでは、評価方法そのものの再検討が必要とされたのです。 そこで、検討会で出された意見を踏まえ、以下、個別ミッションとその評価の在り方について、区の考え方を伺います。 一つに、立体図を示して七つの案を比較検討することです。検討会では、中間報告で七つの案が平面図で示されているが、区民に分かりやすくするために立体図で示してほしい、さきに開かれた第一地区の事業説明会に出たが、再開発ビルの予想図を見て圧迫されそうになった、十条駅前の三十九階建ては異様な光景だと思ったなどの意見が出ました。平面図では、まち全体の景観がどう変わるのかが伝わってきません。七つの案それぞれを立体図で示して、比較検討することが必要と考えますが、いかがですか。 二つに、文化的、歴史的視点での評価です。 事務局案では、修復型まちづくりのシナリオ一、二の評価が低くなっていることに対し、委員から、景観や文化、歴史は古くなるほどよくなるという面もあるが、古いイコール評価が低いとなっているのではないか、赤羽小学校や商店街を赤羽の顔として、もっと評価すべきでは、区が助成金を出して個別建て替え、共同建て替えを促進すれば、古い商店街の耐震化も早く進むのではないかなどの意見が出ました。 学校や公園、商店街など、今ある赤羽の財産について、文化的、歴史的な視点で評価することが必要ではないでしょうか。区長のお考えをお聞かせください。 三つに、タワーマンションの弊害についての評価です。 事務局案の点数配分は、ある委員が、再開発する側に有利な採点と評したように、市街地再開発によるシナリオ四やシナリオ五の一、五の二に高い評価が与えられています。 一方、タワーマンション建設については、景観への影響とともに、学校とマンションを一体にするのはいかがなものか、分譲マンションの多くは投資家が買って賃貸に出すので、どれだけ地元民として根づくのか、第一地区の説明会でも、風害の影響はないと言われたが疑問だなど、心配の声も出ていました。 昨今、樹木の伐採やCO2の排出、長周期地震動、水害時の孤立、将来的な廃墟化のおそれなど、超高層建築の問題点が各方面から指摘されています。市街地再開発によるまちを一新するメリットだけではなく、タワマン建設に伴う弊害も評価として考慮すべきと考えますが、いかがですか。お答えください。 四つに、財政面からの評価です。 事務局案には七つの案について、どれだけのコストがかかるのかの情報や評価がありません。現在、建築資材や人件費の高騰で、北とぴあの大規模改修が中止、区民施設の建設にも黄色信号が灯っています。第一地区の再開発事業への補助金も、当初の五十七億円から七十五億円へと膨れ上がっており、この先、第二、第三地区が具体化すれば、どれだけの税金が投入されることになるのか、心配している区民も少なくないと考えます。評価の視点として、財政面からの検討は絶対不可欠ではないでしょうか。 五つに、シナリオ五の三、すなわち市街地再開発の中で、赤羽小学校を地区外に移転させる案の評価についてです。 事務局案で五の三は、ミッションの二と三において、学区域内に移転先となる適地がないため、評価対象外とされています。このことに触れて、
教育振興部長の委員は、学区域外に移転となれば、別の学区域の子どもに影響が出ることとなり、学校を統廃合する場合の協議のように、二、三年かけた議論が必要になるかもしれないと発言しました。 赤小移転を採用するならば、隣接校との学区域の調整に時間がかかり、基本計画策定期限の来年三月までに結論を出すのは難しくなるのではないでしょうか。その場合、策定期限を延ばすのか、五の三を除外するのか、区の考えをお尋ねします。 六つに、赤羽小学校と赤羽会館の合築についてです。 これはミッション三、公共施設の効果的・効率的な更新策の検討の前提として出てきている問題です。第四回検討会では、会長から直々に赤羽会館の複合化は、計画の前提なのか。合意が取れているのかと問われ、事務局は、公共施設再配置方針が区の考え方、区の思いは資料にしっかり反映させていると答えています。しかし、多くの委員の中で合築は合意となっておらず、なぜ初めから合築ありきなのか、戸惑いもあるのではないでしょうか。 そこで、赤羽小学校と赤羽会館を合築する、しないの判断は、区の考えを前提とするのではなく、検討会自身の議論に委ねるべきではないでしょうか。お答えください。 七つに、個別ミッションの見直しを検討会の中で行うことです。 これまで紹介してきたように、今回の検討会の中で出された様々な意見を踏まえ、個別ミッション、すなわち評価の視点自体の見直しを検討会の中で行うことを求めます。区長の見解をお示しください。 大きな第三の質問は、基本計画に地域住民、子どもの意見を反映させることについてです。 これまで五回の検討会が開かれてきましたが、検討されている七つの案について、地元住民をはじめ、学校や商店街関係者など、地域住民が意見を述べる機会は一度もありませんでした。中間報告を決定するプロセスに市民参加を位置づけることが必要という会長の指摘を受け、この先、後半の地域住民の声を中間報告や基本計画案に反映させるための真摯な努力を求めるものです。 その一つは、地域住民の声を聞く場の保障です。 今回の事務局案のような評価を確定した中間報告が出されれば、地域住民の意見を聞かないまま、基本計画を一つの方向に誘導することになります。地元の住民団体からも要望書が提出されていますが、中間報告を決定する前に、区として地域住民の声を聞く場を保障することを求めます。 二つに、子どもの意見の聴取です。 この四月に施行された北区子どもの権利と幸せに関する条例は、子どもを権利の主体として尊重するとともに、子どもに関係あることについて、子どもにとって最もよいことは何かを第一とすることを基本理念とし、子どもの意見表明権を保障しています。基本計画の策定検討においては、その中心に赤羽小学校や赤羽公園など、子どもたちの学びや遊びの場があり、その更新は、子どもたちにとっても極めて重要な関心事です。 そこで、子どもの権利と幸せに関する条例に基づき、当該地域の子どもたちの意見を聴取し、中間報告の策定に反映させるよう求めます。 三つに、赤羽駅東口地区まちづくり全体協議会への働きかけです。 当初の予定では、基本計画の策定検討が開始される前に、協議会がまちづくり提案をまとめ、検討会に提示することになっていました。しかし、昨年九月の総会で幹事会案が否決された後は、協議会の活動が事実上休止状態となり、現在、会長、副会長からは、中間報告が出るまで、検討会での推移を見守るとする趣旨の通知が出されていると聞いています。 まちづくり協議会では、これまで長期にわたり地域住民による議論が積み重ねられてきました。その成果をしっかりと検討会の議論に反映させるため、区として協議会に対し、まちづくり懇談会を開催し、改めてまちづくり提案の取りまとめを行うよう強く働きかけてください。区の見解を問います。 大きな第四の質問は、情報公開についてです。 まちづくりにおいては、住民合意とともに情報公開が最も重要な課題となります。基本計画の策定検討でも、情報公開を拡充するための手だてとして、以下三点、提案いたします。 一つに、検討状況の周知です。 現状では、検討会の議事録や資料が公開されるまでに一か月の時間を要し、地域住民への周知が遅れ遅れになっています。区はこれまで赤羽駅周辺地区まちづくりの情報を知らせる赤羽PRESSを二回発行し、対象地域へのポスティングを行ってきましたが、検討が佳境に入る今後は、少なくとも検討会が行われるごとに、その結果や内容を広く地域住民に広報すべきです。検討状況の速やかな周知のために、赤羽PRESSなどの媒体を通じて、広く地域住民へ発信することを求めます。 二つに、検討会のオンライン配信です。 赤羽のまちづくりには多くの地域住民が関心を持っており、検討会の傍聴を希望する区民も多数に上ります。ところが、毎回の検討会は傍聴の定員が三十人に限定されており、それ以上の応募者があったときには、抽せんを行うことになっています。希望者の中には、定員が限定されていることから、応募自体をちゅうちょする方もいらっしゃいます。傍聴の制限は取り払うべきではないでしょうか。 区長は、今年の年頭挨拶で、駅周辺のまちづくりについて、多くの方々の意見と理解を得られるよう、会議のオンライン配信を活用していくと表明しました。 そこで、人数を制限することなく全員が検討会を傍聴できるようにすること。また、会場に行かなくてもオンラインで検討会を視聴できるようにすることを求めます。 三つに、教室型による中間報告、説明会の開催です。 区は、第五回検討会で、中間報告が決定されていれば、七月に中間報告説明会を開催する予定で、その説明会はオープンハウス形式が想定されていました。オープンハウス形式というのは、参加者の都合に合わせて会場に足を運べるメリットがある一方、説明は一人一人に対し個別となるので、まとまった説明を受けて、全体の場で質疑応答をしながら理解を深めていく教室型と比べ、双方向での情報交換がしにくいというデメリットがあります。 今後、中間報告が公表される段階になったときに、説明会を行う際は、オープンハウス形式のほかに教室型説明会も併せて複数回実施することを求めます。 最後の質問は、今後の検討スケジュールについてです。 第五回検討会で中間報告がまとまらなかったことも一因に加わり、基本計画の策定作業は、当初の予定より遅れている状況です。事務局である区として、今後の基本計画策定検討スケジュールをどう考えているのか、お答えください。 以上で私の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。(拍手) (
山田加奈子区長登壇)
◎区長(
山田加奈子区長) ただいまの野々山 研議員からのご質問について、私からは、赤羽駅周辺地区まちづくり基本計画の策定についてのご質問のうち、中間報告の取りまとめについてお答えをさせていただきます。 七つの案への評価は、これまでの検討会の議論を区が事務局として整理して委員に示したものであり、評価を行って案を絞り込むことについては、検討委員の皆様からおおむねの理解をいただいていると認識しており、これまでの検討を踏まえた事務局案を白紙に戻すことは考えておりません。 なお、第五回検討会において、検討会の会長からご指摘がございました課題については、事務局である区として真摯に受け止め、今後の検討に生かして、丁寧に検討を着実に進めてまいりたいと考えております。 以上で、私からのお答えとさせていただきます。 この後、引き続き所管の部長からご答弁申し上げます。ありがとうございました。
◎
拠点まちづくり担当部長(小野村弘幸
拠点まちづくり担当部長) (説明員) 私からは、引き続き、赤羽駅周辺地区まちづくり基本計画の策定についてのご質問に順次、お答えさせていただきます。 初めに評価の視点、個別ミッションについてです。 まず、立体図ですが、立体図は本来、敷地計画や建築計画がないと描くことが難しいものです。これまでの検討は、それ以前の考え方の整理であるため、立体図を示しての検討は行っておりません。 次に、文化的、歴史的な視点ですが、これまでの検討会の中で赤羽のよさの継承という視点での検討も行っております。 次に、タワーマンションに関する評価ですが、周辺地域の生活環境という評価の視点において、建物整備に伴う周辺地域に対する日影や風害の影響評価を行っております。 次に、財政面からの検討ですが、本検討会ではまちの課題から導かれる、目指すべきまちづくりの方向性の検討を中心に行っています。 なお、今後検討が進む中で、区の責任において財政面の検討もしっかり進めてまいります。 次に、赤羽小学校の対応ですが、検討会では現在地を含めた重点区域内で改築した場合と、学校を移転して改築した場合の両面からの課題整理と評価を行ってまいりましたが、第五回検討会における委員からの意見も踏まえ、さらなる課題整理等を行って、引き続き検討する必要があると考えております。 次に、赤羽小学校と赤羽会館の合築ですが、公共施設等総合管理計画では、学校などの建て替え等の際には、可能な範囲で周辺施設と集約化、複合化を図ると定める一方、地域の実情や区民ニーズに合わせて見極め、方針を検討していくこととしており、公共公益施設の再配置の現状や課題を区民と共有し、ご理解をいただきながら、区として判断するものと考えております。 次に、評価の見直しですが、評価の視点や評価内容については、これまでの検討会で検討して設定したものであり、第五回検討会での委員の意見も踏まえた必要な修正等を行った上で、今後の検討に生かすべきものと考えており、評価の視点自体を見直すことは考えておりません。 次に、まちづくり基本計画に地域住民、子どもの意見を反映させることについてです。 まず、地域住民の声を聞く場を設けることについては、赤羽駅周辺地区まちづくり基本計画策定検討会には、地域の諸団体の代表の方も検討委員として参加しており、検討会の場でご意見をいただいております。 また、区としては、これまでの検討会の議論の経過のまとめの報告について、幅広く区民の意見を聞いてまいりたいと考えています。 子どもたちの意見を聴取することについては、赤羽駅周辺地区まちづくり基本計画の策定に当たっては、赤羽小学校の児童をはじめ、子どもたちの声をしっかり聞いていくこととしており、子どもたちが意見を出しやすい適切な時期を捉えて、そのような場を設けてまいりたいと考えております。 まちづくり協議会への働きかけにつきましては、協議会幹事会としては、まちづくり基本計画の検討が進んでいることを踏まえ、その検討会がまとめる中間報告の公表を待って、何らかの活動を行うほうが望ましいと判断しているものと理解しており、区としては、協議会の意向を尊重するとともに、検討会の委員でもある協議会の会長とは、引き続き必要な情報交換等を行ってまいりたいと考えております。 次に、情報公開についてです。 赤羽駅周辺のまちづくりについては、区は、これまでも赤羽まちづくりだより赤羽PRESSやホームページなどを活用した情報発信に努めてまいりましたが、今後ともそのような媒体などを活用して、積極的な情報発信に努めていきたいと考えております。 次に、傍聴人の人数制限とオンライン配信についてです。 赤羽駅周辺地区まちづくり基本計画策定検討会では、できるだけ広い会議室を確保し、その中で用意できる座席等を最大限活用した傍聴人定員を設定しておりますが、用意できる会場も限られますので、無制限とすることは難しい状況にございます。 オンラインによるライブ配信につきましては、区民参画や、開かれた区政を推進するという観点から、引き続き、対応について検討させていただきます。 これまでの議論と取りまとめの報告につきましては、一人一人に丁寧な対応ができるオープンハウス形式が望ましいと考えており、そのような実施形態を予定してございます。 最後に、今後の検討スケジュールについてです。 第五回検討会では、これまで進めてきた三つのミッションによる評価の整理と取りまとめの考え方について、事務局である区から説明し、ご議論いただきました。今後は、これまでの検討会の議論を尊重した上で、改めて委員の皆様とまちづくりの課題を再確認し、これまで以上に事務局からの丁寧な説明も行い、検討会の正副会長とも十分な意見交換を行ってまいります。そして、本年中には区民の皆様に検討会の議論の経過のまとめを報告できるよう、引き続き検討を進めてまいりたいと考えております。 以上、お答えさせていただきました。
◆二十一番(野々山研議員) 再質問をさせていただきたいと思います。 まず、区長のほうから中間報告の取りまとめについて、おおむね理解を得ているというお話がありました。もちろん検討会に集まっている委員の皆さんは、提案を受けてみんなで協議して、よりよいまちづくりの方向をまとめていきたい。そのために幾つかある評価の案の中で評価をして、それを絞り込んでいくということ、全体は理解をされていることだと思うんですね。 そこをおおむね理解ということで言うなら分かるんですけれども、ただ、今回第五回でいきなり中間報告をまとめて、これ点数で全部ね、何点何点、総合評価ABCと、これ出せば、大体これで評価確定ということで区民の皆さん、受け止めるんじゃないかと思いますし、そういう性急、早急なやり方について、かなり検討会の中で意見が出たんだと思うんです。そういうやり方もそうですし、修正が必要だというふうに部長おっしゃいましたけれども、評価項目、これについてもこれでいいのかという意見がかなり出ましたよね。 ですから、検討会会長の最後の五つの問題点があったという、自戒を込めてのご発言のように私は受け止めましたけれども、こういうやり方で進めてはいけないんだなという、そういうことでの第五回の取りまとめになったと思うんですね。そこは出発点としての認識を共有したいと思います。 幾つかお聞きしたいんですけれども、まず、財政面からの検討なんです。今、建設コストが高騰していて、これは先週の代表質問でも、我が会派の野口議員からお尋ねをしましたが、これから再開発も多大な経費がかかっていく。それに対して代表質問の答弁では、保留床の処分価格も上昇する傾向だというふうにおっしゃっています。 しかし、これも今はまだ価格に転嫁できるかもしれませんけれども、大手ディベロッパーの声を紹介しましたが、これまで成り立つと考えていた再開発事業を見直さざるを得ないおそれもある。事業完了まで見通せないリスクは常にあると、今時点でなっているわけですね。今のところ建設コストが落ち着いてくる見通しはありませんし、こういう財政に糸目をつけないというやり方をしていたら、大変なことになると思います。 また、代表質問の答弁で、補助金を見込んだ資金計画を作成し事業を進めるというお答えもありましたけれども、市街地再開発は、税金依存のまちづくり手法と言っても過言ではないと思います。税金依存度六八%の事業もあれば、十条西口では四七%と、約五割が税金によって支えられている。これ自治体財政にも影響を与えるのは必至だと思います。 一方、修復型のまちづくりというのは、改善型再開発とも呼ばれていて、現状の改善に重きを置いた再開発事業の一つで、道路の拡張や建設物の建て替えなどを中心に、段階的、継続的に改善や修復を積み重ねながら、地区全体の居住水準を向上させること。地区全体を一気に取り壊して更地にし、新たなものに置き換えるスクラップ・アンド・ビルドに対置する方法と言えるというふうに説明がされています。 今、市街地再開発に投入される巨額の税金の一部を、これを個別建て替えや共同建て替えの補助に振り向ければ、一番街やOK横丁、シルクロード、赤羽小学校、こうした町並みを残しながら、財政負担を大きく減らしながら防災のまちづくりをすることが可能だと思います。ですから、これ七つの案検討しているんですけれども、どのまちづくりの方向がいいというにとどまらず、こうした財政負担はどうなのか、本当に大丈夫なのかという検討を、きちんと検討会では行うべきだと思いますが、再度、質問をさせてください。 それから、二つ目に、赤羽小学校と赤羽会館の合築の問題なんですけれども、お答えのあった公共施設再配置方針、これは私もよく承知をしております。この方針の評価は別として、こういう方針を持っていて、学校改築の際には周辺の公共施設を取り込んで、合築できないかどうかという検討を区がしているということは重々承知をしています。 しかし、今回、検討会に出てきた資料の中で、あらかじめ赤羽小学校と赤羽会館は合築が前提というふうにも取れる内容となっています。ですから、ここは再質問では、今この赤羽小学校と赤羽会館の合築は、庁内でどこまで検討が進んでいるのか、これをお聞きしたいと思うんです。ふれあい館や図書館、ティーンズセンターなどと合築するのとは違って、赤羽会館はその内包している施設もかなり面積が広いわけで、それを赤羽小学校と合築することを前提で進んでいいのかということを今、庁内でどこまで議論が進んでいるのかということをお答えください。 それから、次に、今後の説明会なんですけれども、オープンハウス型が望ましいので、そういうことを考えているというお答えでしたが、オープンハウス型、大いにやってください、それはいいんですよ。ただ、オープンハウス型と併せて教室型、きちんと質疑応答ができ、みんなの前で理解が深まるというやつも併せて行うということを求めたので、ここの答弁をもう一度お願いします。 再質問、もう一点だけ最後に、市民参加についてお聞きします。 中間報告が今後の方向のまとめという言い方になっているので、これ中間報告のことだと思うんですけれども、今後のその方向のまとめ、あるいは、基本計画案を当初でいえば年度末ですか、ここで計画している基本計画、中間報告の次の基本計画を立てる上では、いろんな意見を聞いていく、子どもの意見も聞くというお答えだったように思うんです。 しかし、今回、第五回検討会では、中間報告を出す前に、会長は市民参加のプロセスを入れることが必要だというふうに指摘をしたんですね。だから中間報告、今ここで決定しないで延期しろと。冒頭にも述べましたが、中間報告が出て、ここで点数化して、これは絞り込もうということになれば、絞り込まれる前の案の段階、これがいいと言った人の意見を言う場がなくなってしまうんですね。ですから、この中間報告、あるいは今後の方向性のまとめ、これを出す前に近隣住民や関係住民、子どもたちの声を聞く場をつくることが必要ではないかというふうに思います。 部長のほうから、検討会自身が様々な立場の方の集合体で、これ自体が市民参加だというふうにおっしゃいました。それはもちろん否定しませんし、住民の声を一定代表している方々が集まって、検討会の場に出てくださっている。しかし検討会は、区の職員も含めて二十人ですよね。二十人の市民参加で、みんな決めていくのかという話なんですよ。 少なくとも赤羽にお住まいの関係住民、地域に住んでいらっしゃる方、来訪者の方、あるいは商店街利用者の方、赤羽小学校の学校に通っている子どもたち、これ合わせれば、この万の単位下らない方が関与していると思うんですよ。そういう方々の意見を、これを聞かないまま、検討会二十人で全部決める、これはもう検討委員の方にも物すごい負担になると思うんですよ。ですから、ここのところ中間報告を出す前に、きちんと区民の意見を聞く場、子どもの意見を聞く場を持ってほしいということです。 一つ、その上で提案しますけれども、検討委員の皆さんが多様な意見を聞き、中間報告に向けた自らの意見をまとめるための機会として、検討会による広聴会、あるいは検討会による住民懇談会、検討委員の皆さんに地元の意見を聞いてほしいという、そういう場を開催すること、これならできるんじゃないかと思いますが、お答えください。 以上、四点お願いします。
◎
拠点まちづくり担当部長(小野村弘幸
拠点まちづくり担当部長) (説明員) 四点でよろしいですか、四点でいいですね。そうしましたら、四点ということですので、一番初めに財政面の話ということでご理解でよろしいですか。 財政負担につきましては先般、様々野口議員のときにも申し上げました。市街地再開発事業、これは駅周辺のまちづくりを進める上では、非常に重要な施策だと思ってございます。それを進めるに当たって、一定程度の費用負担というのは、これは決まったものについて区が負担していくという流れでございますので、このような事業が進めば、当然にかかってくるものでございます。 また、今回の赤羽駅周辺まちづくりの基本計画検討会では、現時点では、まだそのような具体的な案が出ていない中で、財政面の負担等について評価できるものは何も持ってございません。したがいまして、今後、話が進んでいく中で、区としてしっかり責任を持って、財政面のことについては検討してまいりたいと考えているところでございます。 続きまして、合築の前提かというお話でしょうか。 こちらについて庁内でどこまで検討が進んでいるのかというお話でございますが、こちらにつきましては、赤羽小学校もこの赤羽駅周辺地区まちづくり基本計画策定検討会に当たって、第一回目の検討会のときに、皆様方にもお話をさせていただいてございます。 検討会では、赤羽駅周辺地区で事業化の動きがある市街地再開発事業を契機とした当該計画区域を中心に、一つ、望ましい土地利用と施設整備の方向性、二つ、同事業により影響を懸念される赤羽小学校の教育環境の確保・充実策、三つ、駅周辺で経年により更新時期を迎えている大規模公共公益施設の効率的・効果的な更新策、これらを駅東口の一層魅力あるまちづくりを進める視点から検討を行うというふうに三つの視点で、今回検討を進めているという状況でございまして、赤羽小学校とどのようなものを合築するかについては、今後の検討になりますが、これまでも学校改築におきましては、様々な公共施設を一体で整備してきた事例もございますので、そういうようなことも含めて、庁内でしっかり検討するという状況でございます。 続きまして、次は、教室型形式のお話でございましょうか。 こちらにつきましては、先ほど申し上げましたとおり、やはり一人一人に丁寧な説明を行っていくというのが望ましいだろうというのが私ども事務局の考え方でございまして、一方で、東十条をはじめ、ほかの地域でも説明会、中間のまとめの報告会というようなものを一定程度やらせていただいたりしております。そんな中で一定程度の結論が見えた段階で、どのような形で行うかということは、今後検討が必要になりますが、まずはオープンハウス形式でやらせていただきたいというのが私どもの考え方でございます。 続きまして、市民参加について中間報告を出す前にということで、お話ございました。 方向性について、区民の意見を聞いてほしいということでございますけれども、先ほど本質問のほうでも申し上げましたとおり、委員からも二十人委員がいるということでございました。その六割、町会・自治会、それから商店街の方でございます。 一般的に考えて、区のほうの様々な検討会等を行っている中で、かなりの規模の町会・自治会を代表した方、商店街を代表した方、参加していただいてございます。このような方は、町会・自治会を代表して来られていると。当然、私どもが考えている検討内容等についてもフィードバックしていただいて、町会等でもご議論いただくと。また、その意見を吸い上げて、上げていただくというような立場で参加していただいているものと理解してございますので、当然、代表の方に参加していただくことで、私どもとしては市民参加を求めているということで考えてございます。 ご質問のほうの答弁は以上とさせていただきたいと思いますが、質問の前提で、様々五回の検討会について、議員のほうからも傍聴した立場でということでご紹介いただきましたが、私どもの認識と若干そごがあるところもありますので、議場の皆様方も聞いていて、そんなに事務局ひどいことしているのかというふうに思われた方もおありと思いますので、ちょっと幾つか、私のほうから見解を述べさせていただきたいと思ってございます。 まず、一つ、事務局案は撤回を余儀なくされることとなったというふうなご指摘をいただきました。この間、この件につきましては、事務局案の作業に当たりましては、会長が事務局とコンサルで相当時間をかけて何度もやり取り、やり直ししてつくってきたものであって、ここまでやっている区はありませんと。まちづくり協議会の提案を受けて基本計画をつくることがうまくいかなかったという背景もあって、再開発についてもいろんな意見がある中で参考になる事案もない中で、積極的にやっていただいたことは評価していると、感謝したいと言っていただいております。シナリオを絞り込んでいくこと、そのために比較評価しなければならないことは、委員の皆様にも十分ご理解をいただいていることと思うと。 ただ、以下の五点と、先ほど議員からもご紹介ありました、このような問題があったので、このままでは中間報告はできない。そういう判断をされたということで、事務局案の撤回を余儀なくされたと、そのような認識は持ってございません。 もう一点、それから事務局が一方的に評価したと言われても仕方ないのではと指摘が出たんだけれども、当然と言わなければならないと、議員の評価でございました。会長、副会長、このように述べております。会長は、これまでの検討会の議論の内容をなるべく客観的、機械的点数という形でまとめたのは、その途中で恣意的な内容が入らないように、なるべくこれまでの議論の内容、もともとの評価を大事にしながら、どうにかして複数のシナリオを比較評価しようと思ってつくってきたもの。案の絞り込みについては説明し、納得していただいてきた。評価方法はこれが思いつく最善の策だったというふうに述べられております。 もう一人の副会長さんも、評価方法は一般的なもの、これを上回る提案はないというふうに述べていただいております。事務局が一方的に評価したという、ご指摘は当たらないものと考えてございます。 それから、もう一点でございます。 評価の視点は、本来それ自体が検討会での議論に付されるべき、会長のまとめでは評価方法そのものの再検討が必要とされたというふうにおっしゃっております。 ミッションや評価項目、そのメリット、デメリット、こちらにつきましては、第二回から第四回の資料で説明させていただき、委員からもご意見をいただきまして、必要に応じた修正を加えてきたものでございます。第五回検討会の場で丸、バツ、三角、また点数化させていただいたことにつきましても、第四回の中では、そのような方向性というものは示させていただきました。 確かに点数化については事前に説明をしてございませんでしたが、会長や副会長もシナリオを絞り込むときには、思いつく他の最善の手段がないとおっしゃっておりまして、事務局としても、委員の皆様に議論していただくためには、何らかの考え方を示さないと議論にならないため、あらかじめ事務局案として説明したものでございます。 評価内容につきましては、委員の意見も踏まえて修正もあると会長も言ってございますので、今後の検討に当たりましては、そのような視点を持ってしっかり評価してまいりたいと考えておりますので、評価の視点自体を見直すことは考えておりません。 私のほうからは以上でございます。
◆二十一番(野々山研議員) 質問にお答えいただくだけでなく、区としての見解をお示しいただいたので、それに対しても私も見解を述べさせていただきたいと思います。 今、部長のほうから三点ありましたけれども、まず、事務局案が撤回を余儀なくされたという評価なんですけれども、これ区として事務局案を出して、第五回検討会でこれを決定するということで臨まれたことは確かだと思います。それに対して、紹介したような様々な意見が出て、結論として、これが決定に至らなかった。決定に至らなかっただけでなくて、会長のほうから五つの問題点が指摘されたということ、これしっかり受け止めていただきたいと思うんですよ。 私は、事務局が事務局としてしっかり準備をして時間をかけて議論していること。それから、コンサルが入っていますよね。コンサル、会長含めて一生懸命時間かけてやっているということに対しては、深く感謝をいたします。ただ、その時間をかけて出てきたものについての評価が、これそのまま通ったのかどうかということは現実の問題として、これ通らなかったし、これは多くの委員の方からの意見で、会長が修正をせざるを得なくなったということなので、そこのところをしっかり受け止めていただきたいと思います。 それから、これでは事務局が一方的に決めたと言われても仕方ないのではないかという発言を紹介しました。これは、この中間報告に対して、この第五回で議論しますよと。そのために委員の方は、事前にこれを読み込んで、評価シートに事務局案の評価に対してもし意見があるならば、全部丸、自分の評価を書いてください。三十項目ありますから、三十項目全てに意見があるとすれば、シート三十枚に全部自分の評価を書いて、それに対して区の評価はこれ違うんじゃないかと書いて、その理由を書いて、用意してこいということを宿題として出したんですよ。 それが、あの検討会の場で皆さん、書いてこられたんですかと。事前に書いた人も出した人もいる。しかし、事前に出したものは、事務局の案に反映されていないわけですよね。だから事前に意見くれと言っておいたにもかかわらず、意見を出した人の意見が中間報告の事務局案にも反映されていない。結局これは委員に意見を求めているように思うけれども、評価をしているのは事務局自身じゃないかと。これ一方的だ、勝手だというような意見が出てくる、これは私は当然だと思いますよ。もし意見があるならこの場で言いなさいと。この場で意見が出なかったら、もうこの評価確定しますよ。これやっぱりやり方は非常に横暴じゃないでしょうか。 それから、検討項目について、必要に応じた修正を行ってきている。たしかに議論した次の会で、ここは修正しましたというのが出ていますよ。だけれども、文化的な視点が入っていないじゃないか、歴史的な視点が入っていないじゃないか、これ何でタワマン建てるというところだけいい点になるのかというね、そういう意見が検討会の中で出たわけですよ。 だから、これももともとは事務局が一回から四回までの中で三十項目のミッション決めて、これに従ってどうですかってやっているんだけれども、そこに載っていないものについて、それ自体をもっと議論する時間を取るべきじゃないでしょうか。家に持って帰って宿題でやってきてくださいという話ではないと思います。そういう点は、私のほうからも、きちんとご意見として言わせていただきたいと思います。 いずれにしても、今、各地の駅前でタワーマンション誘致する市街地再開発計画、もう東京どこでもやっていますよ。だけれども、どこでも地元住民との利害の対立が生まれています。千本ものを樹木を伐採する、神宮外苑の再開発、象徴的な例だと思います。 赤羽でも紹介したようにタワマンに圧迫されるとか、十条の三十九階建ては異様などの声も出ています。これから子どもが減っていく少子化、建設コストの高騰、あえて赤羽に千戸の分譲マンションを呼び込む必要性があるのかということは、私は問いたいと思います。 今、北区としては、もちろんマスタープランとか、これまで積み重ねもありますが、今の時代に合わせたまちづくりの方向性、そのものを再検討する時期に来ているのではないかと思います。 最後に、もう一回、お聞きしたいんですけれども、二十人の検討委員で六割が地元の方だから市民参加なんだと、これが。そんなことで本当にまちづくりいいんですかと。じゃ、そこに住んでいる方、子どもたち、商店やっている人たち、ここから追い出されていく、そういう人たちのことはいいんですかと。そういう人たちのことまで全部その二十人のうちの六割の地元代表の方が責任を負って、町会を代表して意見を述べてくださるんですかということですよ。 ゴールデンウイークに地元住民の皆さんたちが、自主的な住民懇談会やりました。五十一人が参加をして意見を出してもらったら、事務局案と全く反対の評価になりました。ですから、いろんな意見があるということを踏まえて、それを二十人の検討委員に全部代弁させるということは、これ市民参加ではないし、そういうやり方自身にちゃんと市民参加のプロセスを入れていかなければならないというのは、会長の取りまとめだと思いますので、これ二十人の検討委員で本当に市民参加が実現されているのかということを最後にお尋ねして、質問を終わります。
◎
拠点まちづくり担当部長(小野村弘幸
拠点まちづくり担当部長) (説明員) 市民参加についての考え方、議員と私どもの考え方でそごがあるのかなというふうに思ってございますが、中間報告の内容についても、若干誤解があるのかなと思ってございます。 これまで中間報告、第一回の検討会の中でも何を報告するかというのは申し上げてきました。それまでの検討の経過、まとまってきた内容と大まかな考え方、それから、今後の検討の方向性などを中間報告として出すんだというふうに申し上げてきております。評価を確定させるなどということは、どこにも言ってございません。一定の方向性を示した上で、今後の議論に進めるというのは中間報告の段階でございます。 したがいまして、今回、中間報告という言い方はさせていただいてございませんが、これまでの議論の経過のまとめも含めて、しっかり報告をさせていただいて、それについては、地域の皆様方に広く意見を求めていくというのが、私どもの考え方でございますんで、それ以前に、そのような場を設けることは考えておりません。 以上でございます。
○議長(大沢たかし議員) 議事の都合により休憩します。 再開は三時三十三分です。 午後三時十二分休憩----------------------------------- 午後三時三十三分開議
○議長(大沢たかし議員) 休憩前に引き続き会議を再開します。 質問を続けます。 八番 安達しんじ議員。(拍手) (八番 安達しんじ議員登壇)
◆八番(安達しんじ議員) 日本維新の会北区議員団の安達しんじです。 今回は、サイバーセキュリティについて、ITのさらなる利活用について、教育と少子化対策について質問させていただきます。 初めに、サイバーセキュリティについてです。 昨今、世間を騒がせているインターネット上の脅威としては、なりすまし詐欺が挙げられます。ニュースや昨今の国会でも時々取り上げられるため、ご存じの方もいらっしゃるとは思いますが、これらの脅威について解説します。 なりすまし詐欺と一言でまとめておりますが、様々な種類のなりすまし詐欺があり、SNS型投資詐欺、ロマンス詐欺の二つが最近は特に目立っています。SNS型投資詐欺はフェイスブック、インスタグラム、そのほか、LINE、ウェブサイト上の広告等をきっかけに、犯人から別の投資グループに招待され、外貨や暗号資産への投資を進められ、投資専用アプリ等を通じ、指定口座への送金を指示されるといった流れになります。ここでなりすましと呼ばれるのは、これらの広告では、有名人をかたっているということが多いためです。特に、前澤友作さんをかたった偽広告はニュースとなりました。 また、我々政治家としても対岸の火事ではなく、私が目測した範囲では、四月に行われた東京十五区の衆議院議員補欠選挙において、某国政政党の候補者をかたり、投資詐欺を思わせるリンク先に誘導させようとする不審SNSアカウントも確認しました。 また、ロマンス詐欺については、SNSやマッチングアプリを通じて知り合った相手より、結婚や交際を申し込まれる。その後、結婚後の生活のために投資をしないか。家族が入院するためお金が必要だ。また、海外在住者をかたっている場合は、国の治安情勢が悪くなって大変等の理由で、指定口座への送金を指示されるといった流れになります。 これらのトラブルが急増しており、国民生活センターが五月二十九日に注意喚起をしています。なりすまし詐欺の一種であるSNS型投資詐欺、ロマンス詐欺に対し、北区としても既に一部媒体で注意喚起をし始めていますが、今後も様々な媒体で一層の注意喚起を区民にすべきと考えますが、いかがでしょうか。 続きまして、役所内のセキュリティ対策を中心に質問していきます。 国会で様々な議論を呼んだ地方自治法の改正についてですが、地方公共団体に大きく影響する内容となっております。今回は、このうち、地方公共団体は、サイバーセキュリティの確保の方針を定め、必要な措置を講じることとするという趣旨について注目したいと思います。 北区情報化基本計画2020の改定が迫ってくる時期でもありますが、地方自治法の改正の趣旨を踏まえ、また、仮に改正されなかったとしても方針を定めていくべきだと考えますけれども、北区ではどのようにサイバーセキュリティの方針を定めていくのか、策定プロセスや策定時期についてご教示ください。 少しミクロの内容にも言及していきます。 既に廃止・移転された地方自治体のウェブサイトで使われていたドメインが、悪用されるケースが散見されています。出品や取引自体は違法ではありませんが、鳥取県など、かつて自治体で使われていたドメインがオークションに出品されるなどの事例が発覚しており、また、秋田県大館市の子育て支援事業サイトに使われていたドメインを手放した結果、アダルトサイトに転用してしまったケースもあります。 なぜ、中古ドメインがこのように使われるかといいますと、省庁や自治体のドメインに限らず、中古のドメインは、第三者が再取得した後も検索サイトでは多数アクセスされたという実績が残り、検索結果の上位に表示されやすくなるためです。 北区におきましては、大半のウェブサイトが「city.kita.tokyo.jp」の配下に集約されています。しかしながら、一部の指定管理者の運営するウェブサイトや一部の区立学校が運営しているウェブサイトなどは、必ずしもその配下にあるわけではありません。もちろん指定管理者や学校の自主的な情報発信は尊重し、区としても後押しすべきでしょう。 本件の対策としましては、公的機関しか取得できないドメインを使うということが挙げられますが、公的機関用ドメインは手続に手間がかかり、急なサイト立ち上げには不向きというデメリットもあるため、これを強いることには議論が必要です。私としては、サイトを放棄するにしても、一から十年程度ドメインを保持する指針をつくるあたりが妥当かと考えます。 いずれにしましても、区及び区に関係するウェブサイトのドメイン管理について徹底すべきであると考えますが、区の対応を伺います。 また、セキュリティの指針に関して細かい質問となってしまいますが、時々、区職員からのメールの添付ファイルや、区のウェブサイト上に掲載されているファイルにおいて、拡張子がdoc形式であることが見受けられます。これは古いバージョンのオフィス系ソフトウエアのファイルですが、マクロの有無が判断しづらく、例えば、一時的に流行しました、エモテットのようなマルウエアの普及に悪用される傾向がありました。 そういったことから、xlsファイルやdocファイルなどを利用しないというルールを設けることでリスクを軽減できると考えますが、いかがでしょうか。あわせて、区のウェブサイトの更改の際に、当該ファイルを見つけ次第、拡張子の修正をしていくことについてもご検討いただきたく思います。 ITのさらなる利活用についての質問に移ります。 まず生成AIについてです。昨年の第二回定例会で、生成AI、ChatGPTの活用について、今後どのように考えているかとの質問があり、これに対する答弁は、導入に当たっては目的や方針、対象範囲などを明確化した上で、適切なルール策定やシステム構築を進め、職員が安心して使いこなすことができる環境整備が必要であるとのことでした。 墨田区では、昨年八月から九月にかけて、生成AIの利活用について職員のワーキンググループで全庁実験をし、その結果、令和六年度予算には、生成系AIの利活用がはっきりと明記されています。また、千代田区におきましては、生成AI活用方針および活用ガイドラインを公開し、使用する際の注意点だけではなく活用の具体的なシーン、またプロンプトのテンプレートまで記載されており、さらには、ウェブサイト上には、ガイドラインの随時アップデートについても言及されております。 北区における生成AI活用の進捗状況について、ご教示ください。 町会・自治会活性化推進事業についても質問します。 これまで、町会・自治会のデジタル化の推進として、Wi-Fi環境整備などの補助を中心に行われてきました。今年度予算においても、さらなるデジタル化支援に向けて、公式LINEの年間費用補助、支援アドバイザーの派遣や地域活動のデジタル化に関する講習会など、様々な試みが計上されており、某町会長からも期待していると伺っております。 ただ、町会・自治会が利用したいオンラインサービスは、公式LINEだけではありません。三月に行われました北区の地域活動のデジタル化推進作戦会議におきましては、地域活動のICT化の様々な事例が提示されました。具体的に言いますと、登壇者より、オンライン会議ツールでおなじみのZoomを使ってみようという提言のほか、町会費をPayPayで払えるようにすると会費集めが楽になるかもしれない。Nottaを導入すれば議事録作成が効率化できるなど、様々なアイデアが提示されました。 今回提示されたサービス以外にも、今後も未知なる有用なサービスが誕生する、あるいは勉強会で紹介されることは多々あり得るでしょう。町会・自治会のデジタル化推進のための助成は、使えるオンラインサービスに、より幅を持たせることが大事ではないかと考えますが、いかがでしょうか。 続きまして、高齢者のためのデジタル活用についてお伺いしたいと思います。 北区の一世帯当たりの人員の推移を見ると、平成十三年に二・〇七人/世帯でしたが、その後も減少し続け、令和三年には一・七七人/世帯となりました。現在、ひとり暮らしの北区民は増えております。自ら選んで結婚しない人、また結婚してもパートナーに先立たれてしまう人、子どもがいらっしゃる方でも独立してしまい身近にいなくなってしまった人など、今現在がどのような家族形態であっても、老後おひとりさまとなって孤立し、孤独になるケースは想定しなければなりません。 昨年の第二回定例会で、高齢者の見守りに関して見守り電球について質問しましたが、今回もそのようなシステムを活用した見守りについても質問します。残念ながら提供業者のサービスの一部変更、需要不足等の原因で、今年度は高齢者見守り・緊急通報システム事業費の予算が縮小することとなりました。その代わりとして人海戦術、もしくは地域を巻き込んだ形での独居高齢者の見守りは継続、強化されるかと思います。 確かに、機械よりも人による見守りのほうが温かみがあり、フレキシブルな面もあるでしょう。ただし、超高齢化社会をこれから迎え、高齢者が増え、福祉分野での働き手が減るだろう状況において、人海戦術による見守りは持続可能なやり方だとは思えません。また、訪問員が訪問したお宅から暴力や罵声を受けるというリスクも、依然として残るのも事実です。 お気持ちとしては、人による見守りの需要のほうが多いかと思いますが、いずれはシステムによる見守りを再度本気で検討することも必要になってくると思われます。そのときを見越して、人海戦術ではなくシステムを利活用する見守りについて、継続的に調査研究をお願いしたいと思いますが、区の見解をお伺いします。 高齢者のためのデジタル活用についての質問を続けます。 高齢者が倒れた場合や亡くなった場合に、残された人がご本人や財産の処遇をどのようにするかの指針が示されているのが遺言書、終活ノート、エンディングノートです。北区でも、高齢者あんしんセンターなどでエンディングノートの配布を行っています。しかし、完全おひとりさまの場合、せっかく書いておいたエンディングノートの保管場所が分からなくなることがあり、それに伴って、万が一の際の対応方法、親族やお墓の所在地、財産に関する希望が分からなくなる問題が起きております。 この解決策として、私は、独居高齢者の終活関連情報をデータベース化し、役所が管理することを提案します。あまり聞いたことのない突飛な話のように聞こえるかもしれませんが、横須賀市のわたしの終活登録は、先行事例として参考になるかと思います。また、このタイミングで発案した理由としましては、北区情報化基本計画2020の改定を見越し、住民のどのような情報を役所が管理するべきなのか、検討していただきたいためです。 改めて質問を整理しますと、横須賀市などを参考に、独居高齢者の終活関連情報のデータベース化について調査研究いただけませんでしょうか。それに伴い、区が管理すべき住民情報についていま一度整理していただければと思いますが、いかがでしょうか。 そのほかにも、ITの推進に関して幾つかコメントをしていきたいと思います。 区では、まず書かない窓口の実現に向けて動き出していると思います。やがては全ての手続のオンライン化を目指すわけですが、そもそも無駄な手続そのものをなくす、無駄な報告書作成をなくすということも重要です。また、これまでの窓口の手続では、書類の不備があった場合は窓口で指摘され、窓口を通過したということは、申請に問題がなかったこととほぼ同等な状態だったわけです。しかし、これからはオンライン化が進み、提出した後で申請の内容の不備が見つかり、差戻しが発生することも多々想定されます。区民に対し、差戻し後のフォローも必要になってくるでしょう。 このように、デジタルによる根本的な業務変革についても、今後議論を深めていきたいと思いますので、よろしくお願いします。 教育と少子化対策に関する質問をいたします。 現在、学校教職員の働き方改革が進んでおります。土日も幾分か休みやすくなり、これまでよりも働きやすい状況になったことはよいことでしょう。また、保護者の共働きが進んでいることにより、保護者がこれまで以上に多忙化し、PTAの在り方、活動の仕方についても、時折議論が発生しております。 これまでは、課外活動など子どもたちの様々な体験は、教員や保護者の努力によって支えられている部分がありました。しかし昨今の状況を鑑みると、教員や保護者の努力だけでは、子どもたちの課外活動の充実には限界が見えつつあるように思われます。部活動の地域移行の動きも始まっておりますが、子どもたちの体験機会の充実のためには、地域の個人、団体の力をより活用し、区としても、あるいは教育委員会としても、地域の協力者に一層支援をしていく方向性を明確に打ち出すべきと考えますが、見解を伺います。 区内の小・中学生に配布されている、きたコンの使用についても伺います。 きたコンは、学習支援ツールとしての側面のほか、学校と保護者の間の連絡ツールとしても活用されています。区内の区立学校で児童の欠席についても、連絡帳といった紙媒体からデジタルで連絡できるように進んでいることは喜ばしいことです。しかし一方で、そのほかの使われ方はあまり積極的に活用されていないというのが現状でございます。そのためお伺いします。区からのお知らせや区の後援行事のお知らせを、きたコンを利用して保護者にお伝えすることはできないでしょうか。 最後に、二十歳のつどいに関する質問をいたします。 私は、少子化対策の一つとして、未婚化対策の重要性を時折主張しておりますが、同窓会も一種の未婚化対策の起爆剤になるのではないかと注目しております。例えば岡山県奈義町、そして岡山県では未婚化対策の一つとして同窓会支援を打ち出しております。様々な婚活イベントを民間が開いておりますが、一期一会の出会いをものにするというのは、初対面の人ともフレンドリーに会話できる人以外にとって非常に難易度が高いです。 同窓会というのは新規の出会いではなく再会であり、共通のバックグラウンドがあるということで、会話の難易度も比較的低いです。また、同窓会は学校とも密接に関わることであり、民間だけでは踏み込みにくい領域でもあります。もちろん、同窓会において結婚につながる出会いは副次的な要素の一つにすぎないので、大々的にそれを打ち出す必要性はないでしょうし、むしろ、学友との友情を深める、故郷を懐かしむといったことが主たる意義となるでしょう。 さて、それらを踏まえて伺うのですが、今年一月に行われた二十歳のつどいにおけるあの子と会える談話室の状況、利用者の感想などがあればお聞かせください。また、二十歳のつどいそのものを強化する、もしくは同窓会支援について検討に値するか、お考えをご教示ください。 それでは、私の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。(拍手) (
山田加奈子区長登壇)
◎区長(
山田加奈子区長) ただいまの安達しんじ議員からのご質問について、私からは、ITのさらなる利活用についてのご質問のうち、生成AIの庁内活用推進についてお答えをさせていただきます。 北区の業務への生成AIの活用は、業務の在り方を大きく変革する可能性を秘めている一方で、様々なリスクも指摘されているものと認識しています。このため、活用に当たっては職員が特性を理解し、正しく利用することが重要であると考えています。 東京都をはじめとする他自治体の取組では、文書作成のアイデアの創出などにおいて、業務効率化の効果を発揮している傾向にあるとともに、ガイドラインの作成など、職員が安全かつ効果的に活用する環境整備に取り組んでいるものと認識しています。 区といたしましては、まず今年度中のトライアル実施に向けた検討を進め、職員が実際に生成AIを利用する機会を設け、効果を測定した上で、今後の方針を決定してまいりたいと考えております。 以上で私からのお答えとさせていただきます。 この後、引き続き所管の部長からご答弁申し上げます。ありがとうございました。
◎
地域振興部長(雲出直子
地域振興部長) (説明員) 私からは引き続き、ITのさらなる利活用についてのご質問のうち、町会・自治会活性化推進事業における、さらなるデジタル化支援についてお答えいたします。 今年度から開始する、町会・自治会を対象としたWi-Fi環境整備等支援事業では、町会・自治会会館へのWi-Fi環境の整備のほか、LINEをはじめとするSNSやウェブサイトの開設・維持に係る経費など、幅広く助成対象とする予定です。 今後も引き続き、町会・自治会のご意見を踏まえながら、ICTを活用した地域情報の発信や交流の促進など、町会・自治会活性化への取組を支援してまいります。 以上、お答えいたしました。
◎福祉部長(村野重成福祉部長) (説明員) 私から引き続き、ITのさらなる利活用についてのご質問のうち、高齢者のためのデジタル活用についてお答えいたします。 初めに、システムを利活用する見守りについてです。 区は、見守りが必要な高齢者に対し、民生委員や高齢者あんしんセンター、町会・自治会による声かけサービスや高齢者定期訪問など、地域で支え合う見守りを実施しています。また、常時見守りを必要とするひとり暮らしの高齢者や高齢者のみの世帯を対象に、三百六十五日二十四時間の見守りが可能な、高齢者見守り・緊急通報システム事業を実施しています。高齢者の見守りについては、人による見守りも大切であると捉えています。 一方、見守りについては、他自治体においても様々な取組があることから、先進的な取組や新たな手法も含め、研究してまいります。 次に、独居高齢者の終活関連情報のデータベース化についてです。 区では、平成二十九年度から高齢者の終活を支援するため、エンディングノートを配布し、活用を進めています。しかし、身寄りのない高齢者の場合、作成したエンディングノートが十分に活用できないケースがあることは、課題であると認識しています。 横須賀市のわたしの終活登録事業は、こうした終活に関わる問題の解決に資するものと捉えていますが、一方で、個人情報の管理や更新手続などの課題があると考えています。今後、国における支援制度の検討状況や他自治体における取組、その効果など、高齢者の終活の支援について引き続き研究してまいります。 以上、お答えいたしました。
◎危機管理室長(松田秀行危機管理室長) (説明員) 私からは、サイバーセキュリティについてのご質問のうち、なりすまし詐欺についてお答えいたします。 区では、ホームページやメールマガジンにおいて、なりすまし詐欺に対する注意喚起を行っており、四月二十日発行の北区ニュースにおいて、SNS型投資詐欺に対する注意喚起を行ったところです。また、消費生活センターで実施をしている消費者力レベルアップ講座においても、なりすまし詐欺を含む投資詐欺などに対する注意を呼びかけています。 今後については、今月二十日発行の北区ニュースにおいても注意喚起を行う予定としており、町会・自治会の掲示板に掲示していただく、SNS型投資詐欺に対する注意喚起ポスターの準備も進めています。 九月には、東京都消費生活総合センターと連携し、悪徳商法被害防止キャンペーンを実施する予定となっており、高齢者や若者向けに、区内の町会・自治会や福祉施設のほか、図書館や文化センターなどにポスターやリーフレットを配布し、投資詐欺に対する注意喚起を行ってまいります。 引き続き様々な機会・媒体を通じて、なりすまし詐欺に対する積極的な注意喚起を行うなど、区民の皆様が被害に遭わないよう広報啓発に取り組んでまいります。 以上、お答え申し上げました。
◎
デジタル推進担当部長(馬場秀和
デジタル推進担当部長) (説明員) 私からは、セキュリティに対する区の様々な指針に関するご質問のうち、初めに、区におけるサイバーセキュリティ方針の策定についてお答えいたします。 このたびの地方自治法の改正案は、地方自治体のサイバーセキュリティ方針の策定に関して、各自治体の判断に委ねられていたものが全自治体に策定を義務づける改正であると認識しています。 北区では、平成十六年の北区情報セキュリティポリシーの策定以降、総務省のガイドラインの改正に合わせ、必要な改正を行っています。地方自治法の改正案では、総務大臣が地方自治体に対しサイバーセキュリティ方針の策定の指針を示すとしており、区といたしましては、指針の提示があり次第、CIO補佐官の助言の下、必要な改正を行ってまいります。 次に、古いバージョンの拡張子を使用するファイルを利用しないルールの設定と、区のホームページリニューアル時の対応についてお答えいたします。 古いバージョンのファイルの取扱いについては、現在、北区情報セキュリティポリシーには定めがございませんが、区が保有するファイルにはセキュリティ対策を実施しており、ウイルスの拡散につながる状態にはないと考えています。一方で、CIO補佐官からは、庁外に電子メールを送付する際には、セキュリティや利便性の観点から、新しいバージョンに変換したほうがよいとの助言を得ていることから、今後順次、対応するよう庁内に周知してまいります。 あわせてホームページリニューアルの際においても、順次新しいバージョンのファイルへ変換するよう、庁内に周知してまいります。 以上、お答え申し上げました。
◎政策経営部長(藤野浩史政策経営部長) (説明員) 続いて私からは、区及び区に関係するウェブサイトのドメインの管理の徹底についてお答えします。 現在、区公式ホームページのリニューアルに向けた作業を行っておりますが、リニューアルに当たっては、サイトの安全性を高めるためcity.kita.tokyo.jpというドメインを使用しているページについては、地方自治体、公共団体だけが利用可能なドメインlg.jpを取得する予定です。 区立小・中学校や指定管理者など、その他のサイトで使用するドメインについては、事業終了後や使用を取りやめた後に流出することのないよう、流出した際の危険性を周知するなど、ドメイン管理の徹底を図るよう注意喚起を行ってまいります。 以上、お答え申し上げました。
◎
教育振興部長(
倉林巧教育振興部長) (説明員) 私からは、教育と少子化対策についてのうち、子どもの体験機会の充実のための地域連携について、まずお答えします。 北区では、これまでも、教育現場における体験学習をはじめ、飛鳥山博物館や図書館における各種事業など、青少年委員会や町会・自治会、関係団体の皆様と連携して、子どもたちに様々な機会の提供に努めています。 また、事業を展開していただく地域や各種団体とは協定を締結し、費用の一部を助成するほか会場の提供を行うなど、区長部局とも連携しながら、様々な支援を行っているところです。 また、年度末に策定した北区教育ビジョン2024においても、家庭と地域等との連携・協働による地域教育力の向上を取組の方向に掲げ、地域との連携・協働を推進することとしています。 引き続き、地域の皆様や様々な団体等と連携し、区として必要な支援を行いながら、子どもたちの体験機会の拡充に努めてまいります。 次に、きたコンのさらなる利活用についてです。 一人一台端末きたコンの導入から三年が経過し、日々の出欠確認や児童・生徒及び保護者への連絡、文書のデジタル配布など、学習以外の活用が各学校で積極的に行われています。こうした学校、保護者等間における情報共有のデジタル化につきましては、ICTリテラシーの程度による特定の教員への負担集中や、保護者間のデジタルデバイドに留意しつつ、紙資源の削減や学校事務の効率化の観点から、より一層推進してまいります。 なお、区からのお知らせや、地域の行事等の周知につきましては、子どもの権利と幸せに関する条例の施行に伴い、子どもの意見表明及び参加の促進を図る観点から、きたコンを活用したデジタル配布等、利便性や即応性が高い方法について現在検討しているところです。 次に、二十歳のつどいについてです。 あの子と会える談話室の状況については、企画運営している北区青少年委員会から毎年多くの参加があり、友人同士の久しぶりの再会を喜んでいただけているなど、大変好評をいただいていると聞いています。二十歳のつどいについては、新たに二十歳となった青年の前途を祝福し、成人としての自覚を促す機会として実施しているところですが、引き続き、新成人の思い出に残るような事業として、北区青少年委員会と緊密に連携して実施してまいります。 なお、岡山県奈義町のような同窓会支援については、考えてございません。 以上、お答えしました。
◆八番(安達しんじ議員) 様々なご回答ありがとうございました。 おおむねいい回答がいただけたと思っておりますので、今回の再質問につきましては割愛させていただきます。ありがとうございました。
○議長(大沢たかし議員) 三十四番、うすい愛子議員。(拍手) (三十四番 うすい愛子議員登壇)
◆三十四番(うすい愛子議員) 大きく三点伺います。 大きく一つ目は、ギャンブル依存症についてです。 アメリカのメジャーリーグで活躍する選手の元通訳者がアメリカ連邦検察に訴追された事件によって、日本でも、連日ギャンブル依存症がメディアで報じられるようになりました。 日本国内では、ギャンブル依存症の問題は深刻であり、コロナ禍によって、若年層を中心に違法なオンライン賭博も広がっています。 ギャンブル依存症とは、ギャンブルをやめたくてもやめられない状況に陥り、本人や周囲の人たちの健全な生活機能に支障が生じる精神疾患の一つです。世界保健機関WHOは、依存症を精神に作用する化学物質の摂取や快感、高揚感を伴う行為を繰り返し行った結果、さらに刺激を求める抑えがたい渇望が起こり、その刺激を追求する行為が第一優先となり、刺激がないと精神的・身体的に不快な症状を引き起こす状態と定義しています。 依存症と聞くと、いまだに意志の弱い人、だらしがない人といったイメージが抱かれがちですが、ギャンブル依存症も含め、依存症は誰にでも起こり得る可能性のある病気であり、意思や気持ちの問題ではどうにかなるものではありません。 依存症の回復に必要なことは、何よりも適切な
治療と支援です。ギャンブル依存症も含め、依存症は否認の病とも言われており、自ら依存症とは認められず、当事者が適切な
治療を受けられないことが多くあります。北里大学医学部精神科には、ギャンブル障害専門外来が設置されており、ホームページでは、ギャンブル障害ギャンブル依存症は、近年では薬物依存と同様に脳の機能変化に伴う医学的な障害と整理されつつあるとの記載があります。 ギャンブル依存症の大半は、好きでギャンブルをやっているわけではありません。もちろん、最初は好きでギャンブルをやっていたとしても、ある段階からは、やめたいと思っていながらやめられなくなっているのです。その感覚が依存症でない人からすると分かりにくいのだろうということは、自身の祖父、父、夫がギャンブル依存症という三代目ギャンブラーの妻であり、自身もギャンブル依存症、買い物依存症当事者でもある、公益社団法人ギャンブル依存症問題を考える会代表、田中紀子さんが、著書ギャンブル依存症の中で記しています。 ギャンブル依存症当事者も、まさか自分がそんなふうになるとは思わなかったと、信じられない気持ちでいる方が多いそうです。さらにギャンブル依存症は、厄介なことに知的なゲームという側面もあります。どんなギャンブルでも、あの場面でこうしておけばよかった、次はこうしようと対策を考えたり、事前に予想したりするのに大変な時間を費やすそうです。また、そういったことを考えることで、ドーパミンが大量に分泌され、それも快感となり、ギャンブルに関わる思考をやめられなくなってしまいます。 パチンコ、競馬、競輪、競艇、オートレース、カジノ、マージャン、スポーツベッティングと、公営を含め数あるギャンブルの中で、どういったギャンブルにはまるのかの違いもありますが、ギャンブル依存症には、論理的で分析や理屈好きな人が多く、そのため、ギャンブル依存症とはイメージしにくいような、いわゆる知的な、一般的にお固いと言われるような職業、例えば公務員や弁護士や医師等に就いている人が依存症になることも多いと言われています。 自分の意思に反して、気がつけば行き着くところまで行ってしまったという感覚、やめる気はあるし、やめたいのにやめられなくなるとは、ギャンブル依存症の当事者も全く想像はしていなかったはずです。脳のメカニズムは巧妙で、おかしいと気づいていても、様々な理屈をつけてしまい歯止めをかけさせなくしてしまうのです。 依存症当事者への支援として、北区は、依存症等専門医相談を月に一回、各健康支援センターで行っていますが、こうした健康支援センターのご相談の中に、ギャンブル依存症のご相談は今までどの程度あったのでしょうか。実績も併せてお示しください。 政府は、二〇一八年、ギャンブル等依存症対策基本法を制定し、その第六条では地方公共団体の責務として、第三条の基本理念にのっとり、ギャンブル等依存症対策に関し、国との連携を図りつつ、その地域の状況に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する、とあります。北区として、今後この法律にのっとりどのような取組をしていくのか、区の見解をお示しください。 また、ギャンブル依存症が原因で就労が困難になったり、生活困窮に陥ったりして生活保護を受ける方もいますが、そうした方や、ギャンブル依存症の可能性がある方を適切な支援につなげることが必要ではないでしょうか。区の見解を伺います。 日本にギャンブル依存症の自助グループができたのは一九八九年、今から三十五年前です。厚生労働省ホームページでも紹介がありますが、ギャンブラーズ・アノニマスGAと呼ばれています。GAとは、ギャンブルをやめたいと思う人たちのためのグループで、依存症の当事者の家族や友人のためのグループとしては、ギャマノンというものがあります。 ギャンブル依存症は、依存症という病気であることを理解してもらえず、人間性の問題といまだに捉えられてしまうことが多いため、適切な医療機関や自助グループを利用するという発想が浮かびにくく、支援につながりにくい現状があります。依存症は、薬を飲んで寝て回復するような病気ではありません。だからこそ、自助グループのミーティングに参加することが最良の選択になる場合が多いそうです。 依存症への偏見が多い今の日本社会においては、どこを頼れば適切な支援にたどり着けるのかという情報が、つかみにくいという現状があります。だからこそ、公民連携を掲げている北区としても、積極的に自助グループ等と連携を図っていただきたいと考えます。いかがでしょうか。 会社員や公務員が起こす横領や窃盗、訴訟事件の動機には、ギャンブル依存症が隠れていることが多々あります。職場に最も直接的に被害をもたらす依存症は、ギャンブル依存症であると言えるかもしれません。ギャンブル依存症を原因とした横領事件が起こると、その人のみならず、関係する部署の上司が処分されたり、場合によっては管理責任が問われたりすることもあるからです。 ギャンブルによる職場に影響した事件の例を挙げると、マクドナルドの社員が七億円横領してFXに使った事件や、香川県まんのう町の元会計室長が、借金の返済やギャンブルに総額二千九百万円近くを横領して逮捕された事件などがあります。職場でギャンブル依存症が理解されれば、相談しやすくなったり、周りが適切な支援へつなげたりすることによって横領事件が防げるかもしれませんし、それだけでなく、早期発見と早期回復によって人財を失わずに済むかもしれません。 繰り返しになりますが、ギャンブル依存症をはじめとする依存症は、依存になり得る行為を繰り返すうちに、それをコントロールする脳の機能が弱まってしまう、誰にでもなる可能性がある病気です。どんな病気もそうですが、病気になった人の原因を特定することは難しいことです。例えば、同じような生活習慣で同じような食事をしている人の中にも、がんになる人、ならない人がいるように、ほかの人と同程度にギャンブルをたしなんでいる人の中に、ギャンブル依存症になる人、ならない人がいます。 北区役所の職場内で、一人一人がギャンブル依存症を理解することで、本人の適切な
治療へつなげられることはもちろんですが、横領事件等起きる前に未然に防ぐことや、気づくことができるかもしれません。庁内で、一人一人のメンタルヘルスの問題として、また理解を進めるためにも、研修等が必要ではないでしょうか。 さらに、区民の方で、ギャンブル依存症の自覚があるような当事者の方は、自ら健康支援センターの依存症の相談をしに行くことができるかもしれませんが、当事者の家族の方、また多重債務の問題を抱えている方、結婚した相手が依存症で離婚を考えている方など、問題は多岐にわたるため、各課の窓口の方たちが偏見なく、正しい知識と理解を深めることが重要と考えます。そのためにも、研修やマニュアル等を庁内で配ったりすることが必要と考えます。 さらに、健康支援センターや関連する窓口に、自助グループや家族の会のリーフレット等を置くことなど、情報提供が必要であると考えます。これらについて、区の見解をお示しください。 ギャンブル依存症の当事者のいる家庭では、カードを持ち出され勝手に使われたり、貴重品を持ち出して勝手に換金されたりということが起こります。結婚指輪を質屋に入れられたという話はあるあるだそうで、祖父母からもらった子どものひな人形を質屋に入れられた、ブランドバッグを勝手に売られたということもあるそうです。ギャンブル依存症は、もともとお金にだらしがないということではなく、ギャンブル依存症という病気により、ギャンブルを行うためには手段を選ばなくなってしまい、お金を工面するためには何でもしてしまうと言えるかもしれません。 そのため、お子さんがいるご家庭では、児童手当の使い込みに困ってしまう方が多いと言います。離婚をしたり、別居したりできていれば、世帯分離されているため振込は変更可能ですが、離婚を望んでいない方たちが使い込みで苦しめられている現状があります。北区では、担当窓口に受給者名義を夫から妻へ変更したい旨を相談したところ、所得の高い方が受給者になるため変更できないの一点張りであり、住民票を移して、再度窓口へ相談しに行っても同様だったそうです。 児童手当法では、家庭等における安定に寄与するとともに、次世代の社会を担う児童の健やかな成長に資することを目的としており、受給者責務にも、これをその趣旨に従って用いなければならないと明記されています。 確かに、受給者資格は、監護及び生計同一要件を満たす父母等が複数いる場合には、原則として、まず所得の状況を考慮することになっています。ただ、その他の事情も踏まえて、総合的に当該児童の生計を維持する程度の高いものに該当するものを判断し、受給者を決定することになっています。 令和四年三月十八日の児童手当遺棄の認定基準についてでは、遺棄調書において、暴力行為、犯罪、離婚、多重債務、アルコール依存症、薬物依存症と並んで、ギャンブル依存症の項目もあります。こうした養育要件の具体的な考え方は、令和四年七月十九日版の児童手当Q&A集でも示されており、受給資格者がギャンブル等依存症である場合等においても示されています。 さらに、伊丹市ではホームページに、受給者にギャンブルなどの依存症疾患がある場合は、配偶者等の口座に振り込むことが可能である旨の記載があり、福岡県等は、全国ギャンブル依存症家族の会の正会員であることの証明や診断書があれば、名義変更を可能としています。北区の見解を改めて伺います。 ギャンブル、賭け事、賭博、言い方は様々ですが、これらは刑法で禁じられています。ただし、その例外として公営ギャンブルがあり、パチンコ等は風営法で遊技とされています。ただ、日本ではあまりにもギャンブルが身近過ぎることや、コロナ禍以降、公営ギャンブルがスマホで手軽にできてしまうことも相まってか、日本では違法となるオンラインカジノが急増しています。オンラインカジノというと、山口県阿武町の新型コロナウイルス臨時特別給付金の四百六十三世帯分に相当する四千六百三十万円が、誤って一人の口座に振り込まれ、その後、オンラインカジノに使われてしまった事件も記憶に新しいのではないでしょうか。 オンラインで手軽にギャンブルができてしまうこと自体の問題はもちろんありますが、北区として、こうした問題の啓発を強化することを求めます。例えば北海道等では、ギャンブル等依存症対策基本法において、毎年五月十四日から五月二十日は、ギャンブル依存症等問題啓発週間と定められているため、ホームページを設けたり、パネル展を開催したり、リーフレットを作成したりしています。北区としても、北区ニュースやホームページに掲載することを求めますが、いかがでしょうか。 また、オンラインで手軽にできてしまうため、区内の児童・生徒へ向けての啓発や教育の機会が必要と考えます。見解をお示しください。 さらに、警察庁や消費者庁で作成しているポスターがあります。こういったものを利用して、様々な区内事業者や機関と連携して、オンラインカジノが違法であること、犯罪であることの啓発強化に努めていただきたいのですが、いかがでしょうか。見解をお示しください。 大きく二つ目、LGBTQ当事者の権利平等に向けて、北区パートナーシップ宣誓制度のさらなる改善を求めて伺います。 長崎県大村市では、今年五月二日、同性カップルの住民票にて、男性同士の同性カップルに対し、続柄欄に夫(未届)と記載した住民票を交付しました。これまで男女間の事実婚として利用していた表記を同性カップルにも適用した形です。大村市では、昨年二〇二三年からパートナーシップ宣誓制度を導入しています。市民課は、取扱いについて市でも確認し、申請者に寄り添った対応をしたということです。 自治体の多くは、いまだに同性同士の続柄は同居人となっており、兵庫県明石市、埼玉県久喜市、そして世田谷区などは縁故者といった状況ですが、戸籍上男性の同性カップルであれば夫(未届)、女性の同性カップルであれば妻(未届)という記載が可能であるということが、大村市の事例で明らかになりました。 北区は、二〇二二年からパートナーシップ宣誓制度を行っており、この間、差別や偏見をなくす取組を進めてきました。さきの予算特別委員会でも取組の一部を紹介し、取組については評価しています。北区としても、同性カップルが異性のカップルと同様に夫婦であるとしての続柄の記載を、大村市の事例のように変更すべきと考えますが、いかがでしょうか。 権利の平等という観点、また、近年の判決等の判断も踏まえて、区の見解をお示しください。 また、昨年の第四回定例会、立憲クラブ代表質問で、同性パートナーの遺族補償や公正証書補助等伺いましたが、答弁において、パートナーシップ宣誓制度の居住要件の変更や、ファミリーシップ制度として運用することについては、制度の趣旨を踏まえた上で、様々な角度から調査研究していく必要があるということでした。何か制度を変更する上で障壁となることや、世田谷区等ほかの自治体でできて、北区でできない特段の理由があればお示しください。 さらに、この利用を考えている同性カップルのご相談で一番多いものが、何に北区のパートナーシップ宣誓制度が役に立つのか、利用できるのかということです。区のホームページ上には東京都の外部リンクが貼ってありますが、あれは、北区も含め東京都全域の自治体が、東京都パートナーシップ宣誓制度ができた際にできることを列挙した一覧です。 北区はそれから更新されているものと思いますし、何より、あそこから北区のものを見るのは、区民目線で言うと手間です。品川区、また、ここ最近パートナーシップ宣誓制度を始めたような自治体では、その自治体でパートナーシップ宣誓制度を利用できる行政サービス一覧を掲載しています。ぜひ北区も、区民へ分かりやすい掲載方法にすることを求めますが、いかがでしょうか。 最後に、本年四月一日に施行された、困難な問題を抱える女性への支援に関する法律に関して、インターセクショナリティの視点から伺います。 そもそもインターセクショナリティとは、マイノリティ女性の文脈で使用され、複合差別・交差的な差別と訳されますが、人種、エスニシティ、ジェンダー、性的指向、性自認、障がい、貧富、階級等による差別が組み合わさり、相互に作用することで、その一つのアイデンティティや状況による差別だけではない、複合的な差別や抑圧が生じることを指す言葉です。 この考え方は、アメリカの黒人女性のブラック・フェミニストの中で生まれたものです。アメリカ法学者キンバリー・クレンショーは、人種と性の交差点を脱周縁化するの中で、インターセクショナリティは二つの差別の合計ではないと指摘します。 つまり、例えば障がいがある女性は障がい者として差別され、それに加えて女性としても差別されるのではなく、障がいがある女性としても差別を経験するということです。これは障がいをセクシャリティや性自認、人種に置き換えても言えることです。私の女性としての経験は、あなたの経験とは違うかもしれないという前提を受け入れること、理解することが肝要です。 法律の基本理念として、女性の抱える問題が多様化するとともに複合化し、そのために複雑化していることを踏まえ、困難な問題を抱える女性がそれぞれの意思を尊重されながら、抱えている問題及びその背景、心身の状況等に応じた最適な支援を受けられるようにすることとあります。こうした理念とはすばらしいのですが、今回の法律で危惧していることの一つには、具体的な計画及び支援の場において、恣意的に女性の困難を序列化することによって、様々な困難に直面している女性たちへの支援が周縁化され続けてしまうのではないかということです。 さらに、今回、政府の基本的な方針の中で、性自認が女性であるトランスジェンダーの者については、ほかの支援対象者にも配慮しつつ関係機関等とも連携して、可能な支援を検討することが望ましいとされています。まるで、トランスジェンダー女性は女性ではない、別枠であるかのようにも読める文章であり、わざわざこうした文章を記載すること自体が差別の証左のように思えますが、可能な支援を検討した結果、可能な支援がないと判断されて、支援の場から追い出す根拠とならないか、危惧しています。 北区は、東京都に先んじてパートナーシップ宣誓制度を開始し、さらに北区独自のアライバッジをつくり、LGBTQアライとしての表明をしています。そうした中で、トランスジェンダー女性への支援を行わないことは杞憂であるかとは思いますが、区としての見解を改めてお示しください。 また、本年第一回定例会、青木のぶえ議員の質疑の中で、東京都北区困難な問題を抱える女性支援調整会議を設置するとのことでした。この会議体において、区内の専門的な知識を持つ団体はもちろんのこと、インターセクショナリティの視点に立って、広く区民の声、当事者の団体の声を聞くことを強く求めます。見解をお示しください。 以上、壇上からの私の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。(拍手) (
山田加奈子区長登壇)
◎区長(
山田加奈子区長) ただいまのうすい愛子議員からのご質問について、私からは、LGBTQ当事者の権利平等へ向けてのご質問のうち、同性カップルの住民票の続柄についてお答えをさせていただきます。 住民票は全国共通の法的基盤となる公証制度であり、同性カップルに対する住民票の続柄については、総務省から各自治体に通知している住民基本台帳事務処理要領において、同居人と記載するよう示されているところです。 現在総務省では、長崎県大村市の事例を受け対応を検討することとしており、北区といたしましてはその検討状況を注視してまいります。 以上で私の答えとさせていただきます。 この後引き続き、所管の部長からご答弁申し上げます。ありがとうございました。
◎総務部長(小宮山庄一総務部長) (説明員) 私からは、引き続きLGBTQ当事者の権利平等へ向けて、北区パートナーシップ宣誓制度等のさらなる改善を求めてのご質問のうち、ファミリーシップ宣誓制度に変更しない理由と、宣誓者が利用可能な行政サービスのホームページでの周知についてお答えいたします。 ファミリーシップ宣誓制度については、制度の趣旨を踏まえた上で、様々な角度からの調査研究が必要なことから、これまでも特別区全体及び近隣自治体の実施予定や実施状況の把握に努めてきました。しかしながら、特別区でも導入区が二区と少数にとどまっており、参考事例が少なく、研究が進まない状況が続いていますので、引き続き調査研究が必要であると考えています。 次に、ホームページでの周知についてです。 以前は、区単独で作成した宣誓者が利用可能な行政サービスをホームページに掲載しておりましたが、東京都パートナーシップ宣誓制度の開始を機に、双方で交付している宣誓書受領証等の相互活用を開始したことから、北区で宣誓した北区在住の方と、東京都で宣誓した北区在住の方の双方が同様の内容を確認でき、かつ利用可能な民間事業等が掲載され、内容が充実している東京都のホームページにリンクを貼る周知方法に変更したものであり、引き続き分かりやすいホームページづくりに努めてまいります。 次に、ギャンブル依存症についてのご質問のうち、ギャンブル依存症をテーマにした研修の実施やマニュアルの配布、リーフレット等の窓口への配架についてです。 ギャンブル依存症をはじめとする様々な依存症についての知識は、内部統制の側面や区民対応の視点からも大切と考えています。これまでも、区民等からの相談に対応する保健師など、業務において必要性のある職員については、東京都の研修などを受講し対応のノウハウを身につけており、今後もそうした研修への参加を促してまいります。 また、自助グループ等が作成するリーフレットについては、健康支援センターをはじめ、貧困、多重債務などの相談窓口の物理的な状況や、当該団体からのご提供の可否を確認した上で、配架を検討してまいります。 次に、困難な問題を抱える女性支援法について、インターセクショナリティの視点からのご質問のうち、トランスジェンダー女性への支援についてお答えします。 区では、庁内全ての部署において、トランスジェンダー女性であるかどうかにかかわらず、お一人お一人の状況を踏まえた対応や支援を行っております。引き続き、性別にとらわれず、全ての区民の皆様が安心して暮らせるよう、個別の状況に応じた対応や支援を行ってまいります。 以上、お答えさせていただきました。
◎健康部長(
尾本光祥健康部長) (説明員) 私からは、初めにギャンブル依存症に関するご質問のうち、当事者への相談支援についてお答えいたします。 健康支援センターの依存症等専門医相談では、アルコールや薬物などの依存症に関して、毎年三十人前後のご相談を受けております。相談内容は複数以上の要因にわたる場合も多く、ギャンブル依存を主とするものは年間数件程度と捉えておるところであります。 ギャンブル等依存症対策基本法に基づき東京都が策定したギャンブル等依存症対策計画では、正しい知識の普及啓発とともに、三か所の都立精神保健福祉センターを依存症相談拠点として定めております。当該計画では、各区の保健センター等も身近な窓口として役割を担うこととされており、本区の健康支援センターでは、保健師や専門医による個別相談のほか、区内医療機関や東京都が指定する依存症専門医療機関を紹介するなど、管轄する東京都精神保健福祉センターとも連携して、相談支援に当たっておるところです。 また、ギャンブル依存は就労に影響し、生活困窮にもつながることがあることから、生活保護受給者の中には依存症が疑われる例もあると考えられます。医療・保健相談につなぐべき事案については、引き続き関係部署と情報共有の上、連携を図り、適切に対応してまいります。 なお、ギャンブル依存に限らず、依存症等の相談支援に当たりましては、必要に応じて自助グループ等を案内しているところであります。 次に、違法なオンラインカジノについてであります。 ギャンブルをはじめ、依存症に関する啓発については、今後とも機会を捉え区のホームページ等への掲載を行うとともに、教育委員会とも連携し、注意喚起を図ってまいります。また、国の関係機関の動向あるいは注意喚起の資料等も確認しながら、必要な啓発に努めてまいります。 以上、お答え申し上げました。
◎
子ども未来部長(
筒井久子子ども未来部長) (説明員) 次に、私からは、ギャンブル依存症の家族や周囲への支援と理解についてのうち、児童手当の名義変更についてお答えいたします。 児童手当の受給資格者がギャンブル等依存症である場合などにおける養育要件については、こども家庭庁の指針やQ&Aに基づいて総合的に判断し、適切な対応をしているものと認識しています。今後も引き続き、こうした課題についての共通認識を形成しつつ、適切かつ寄り添った窓口対応に努めてまいります。 以上、お答えいたしました。
◎
教育振興部長(
倉林巧教育振興部長) (説明員) 私からは、教育委員会の立場から、違法なオンラインカジノについてお答えします。 教育の分野においては、高等学校の保健体育科の指導内容の一つとして、学習指導要領に位置づけられているものです。一方、スマートフォンゲームなどにおける課金などについての問題もあることから、北区においては、保健体育や道徳、情報活用教育の場など、機会を捉えて子どもたちに注意喚起を促しています。 今後も、区長部局と連携を図りながら適切に対応してまいります。 以上、お答えしました。
◎福祉部長(村野重成福祉部長) (説明員) 最後に私から、女性支援調整会議の設置のご質問についてお答えいたします。 区では、困難な問題を抱える女性への支援に関する法律に定める困難な問題を抱える女性の早期発見及びその適切な支援を図るため、また、区内の関係機関や団体、支援に従事する方などが連携、情報共有しながら支援を適切かつ円滑に行うため、女性支援調整会議を設置することとし、本年三月に要綱を制定しました。 現在、支援調整会議の委員の人選をはじめ、会議の開催に向けた準備等を進めているところです。今後設置する支援調整会議では、当事者との接点を有する民間支援団体や弁護士などに委員を依頼し、様々な意見をいただく予定です。 以上、お答え申し上げました。
◆三十四番(うすい愛子議員) ご答弁いただきました。幾つか再質問させていただきたいと思います。 まず、ギャンブル依存症についてです。 北区としての取組としては、今までヘルシータウン21の中には記載は見つかったんですけれども、健康支援センターのほうでもそもそも毎年三十人、月一の開催なので三十人前後ということで数件あるかないかということでした。今後は、なるべくヒアリングも重ねて、どういった依存症の問題があるかということは、区のほうで把握していただきたいなと、これは要望します。 それから、法律にのっとった取組に関してです。 先日、都議会でもギャンブル依存症に関する質疑が行われました。その中で、東京都の計画を改定していくということもありましたので、ぜひそれも踏まえて北区も、さらにギャンブル依存症に対する対策を進めていっていただきたいと思います。この点に関して、例えば、先ほども述べましたヘルシータウン21とかには、アルコールや薬物依存ほどは記載がないんですけれども、今後、具体的に計画に盛り込むことを検討していただけるかどうか、これ、一点質問します。 それから、リーフレット等は物理的な状況を見て配架の検討をしていただけるということで、これはよかったなというところです。保健師さんたちを本当にヒアリングしていく中で、ノウハウがたくさんあるんだなということは理解しましたので、ぜひとも庁内できちんと連携を図って、今後ともそこはつなげていただきたいなと、これも要望いたします。 名義変更のところなんですけれども、これ寄り添った窓口対応をしていくということで、今までそういったことは把握していない、ギャンブル依存症による名義変更を申請したということは、把握していたのかしていなかったのかというところを一点確認したいのと、個別対応になった場合、やっぱりほかの自治体でもどういった資料が必要かというところは、ある程度考えて求めると思うんですよね。その最低ラインみたいなところも検討していただけるのかというところも伺いたいです。 あと、大きく二つ目のところの質問です。 大村市長は、市民の相談内容に応じて自治体職員が考えて対応したということは、いい対応をしたと考えているとおっしゃっていました。これは初めての事例だというようなことで、ニュースで大々的に報じられましたが、もともとというよりも、それより少し前に鳥取県倉吉市などでは昨年の十月から、希望があれば未届けにできるという対応をしているそうです。今回のニュースを受けて、京都府与謝野町、福岡県古賀市などは前向きに検討ということで、あと、栃木県鹿沼市は市長がもう明言をしていて、七月から記載が可能になっています。 私も、その自治体の事務処理要領がということは存じています。ただ、その事務処理要領を、注意書きをしたりして変えている自治体も多くあるかなと思うので、せめて縁故者にしたりとかできないのか。二十三区では、墨田区、世田谷区、渋谷区、杉並区、国立市、場合によっては港区、昭島市などが縁故者にしています。そういった状況についてと、あとそこは、北区はせめてできないのかというところを伺います。 それから、ファミリーシップ宣誓制度にしてほしいという趣旨では、私はないつもりで質問したんですけれども、そのような内容に変更してほしいというか、きちんと内容を充実させてほしいという質問でした。確かに二区しかありませんが、ファミリーシップ的な内容にしているところとか、あと世田谷区もファミリーシップ制度にする前は、結構内容を充実させながら名称の変更を図ったというところがあると思います。なので、少しずつブラッシュアップしていくことは可能と考えるので、それについて何かご答弁あればお願いしたいなと思います。 ホームページは分かりやすい掲載を求めるということで。 あと最後、困難を抱える女性支援法についてなんですけれども、個別に対応していくということで、ありがとうございます。ぜひ本当に寄り添った対応をしていただきたいなというところは思っておりますし、具体的な困難が生じるかというところも、きちんと把握と想定をしていただきたいということは、これは要望にとどめます。 では、以上再質問をお願いします。
◎健康部長(
尾本光祥健康部長) (説明員) ギャンブル依存症に対する東京都の取組が、計画を新たにされたというところで、それをヘルシータウン21に取り込むかというところでございます。 ヘルシータウン21には、こうしたギャンブル依存の方々に対しても、都と関係機関と連携して支援していくということが書かれているはずでございますけれども、その部分で、きちんと表明されていることだと思います。必要な、今そのものを変えてはいきませんけれども、取り組んでいきます。
◎
子ども未来部長(
筒井久子子ども未来部長) (説明員) 児童手当の名義変更についての再質問にお答えいたします。 先ほどもご答弁申し上げたように、窓口等においては状況の聞き取りなど適切な実態の把握に努め、対応させていただいているものというように認識をしているところでございます。 ご紹介のあった方について、ちょっと時期等につきましては明確ではございませんけれども、今回ご質問いただいたことに関して確認を取っているところでございますが、ギャンブル依存症といったような言葉でのご相談というところでは、把握をしていないというような状況ではございます。 区といたしましては、相談者に寄り添ったというところでございますけれども、様々な状況を話しやすいような環境づくり、こういったところには、引き続き努めてまいりたいと考えております。 また、二つ目の個別の対応の最低ラインというところでございますけれども、こちらは北区独自のものということではなくて、国で示されているQ&A、こういったものを踏まえての対応ということで考えているところでございます。 以上です。
◎区民部長(加藤富男区民部長) (説明員) 私のほうからは、同性パートナーの住民票の続柄の再質問についてお答えさせていただきます。 答弁でもございましたが、まず、総務省から各自治体に通知している住民基本台帳において、事務処理要領におきましては同居人と記載するよう示されているところでございます。そういった中で議員ご紹介のとおり、世田谷区などそういったところで、申出があれば縁故者と表記するということについては承知しているところでございます。 本来、縁故者につきましては遠い親戚、遠縁や国内の転入外国人パートナーというのが一般的でございます。しかしながら、こういった大村市の状況また世田谷区のほうの取組など、国のほうでもそういったことを注目しており、今後、国の見解を注視するとともに、ほかの二十三区の動向等も、情報共有したいというふうに考えているところでございますので、現時点ではまだ、そういったことは考えていないところでございます。 以上です。
◎総務部長(小宮山庄一総務部長) (説明員) 私からは、パートナーシップ制度のブラッシュアップについてのお尋ねにお答えさせていただきます。 現在、二十三区でも十三の区でパートナーシップ宣誓制度を導入してございますので、この十三区の状況については研究していきたいと思います。よろしくお願いいたします。 以上でございます。
◆三十四番(うすい愛子議員) まず、各種計画に盛り込んでいくことは検討ということで、お答えとしては書いてあるので、きちんと進めていくということでご答弁いただいたかなと思います。 名義変更の児童手当の件です。 恐らく、分からないですけれども、ギャンブル依存症に対しての知識とか理解があまりなかったことで、起こっているのかなということも考えられますし、こども家庭庁のほうとかからQ&Aとか本当に示されているので、その中では最新というか、令和五年五月十九日のものでは最後のほうに参考として、父は相当額の所得でもあるがその大半は家計外支出で消費していて、母が内職と実家からの援助で生計を維持している場合、家計の主体者は母として差し支えないかというような問合せに対しても、差し支えないというところで回答が来ています。 だから、本当にこういった例もあるとおりなので、きちんと寄り添った対応をしていただきたいということは、重ねて要望いたします。 権利平等の件、LGBTQ当事者の権利平等の件に関してですが、本当は、大村市でいうと、担当課の方たちが寄り添った対応をしたいということで市長に言って、そういうふうな流れになったという形ですし、本当は区長の判断で北区もできることかなと、もしくは職員課の皆さんがそうしたらいいよねということで区長へ話して、判断していただけるようなことなのかなということも思っております。 なので、ぜひとも本当に北区はパートナーシップ宣誓制度を始めていますし、なるべく自治体の範囲内で、裁量で行ったということを大村市長もおっしゃっていましたので、裁量内でできることはできる限りしていただきたいということは要望しておきます。 そして最後に、この全ての質問の中で私の根幹としては、偏見や差別をなくしたいと思うからこそ質問いたしております。そこについては、北区も基本計画や様々な計画の中でも、そういう方向性については北区も同様かなと私も思っておりますので、引き続きこういった質疑を重ねてまいりますし、北区のほうにも温かい対応を求めて、私の質疑を終わります。 ありがとうございました。(拍手)
○議長(大沢たかし議員) 以上で質問を終わります。-----------------------------------
○議長(大沢たかし議員) これより議事日程に入ります。 日程第一から日程第十五までを一括して議題といたします。 (書記朗読)
△日程第一 第三十八号議案 東京都北区赤羽イノベーションサイト条例
△日程第二 第三十九号議案 東京都北区手数料条例の一部を改正する条例
△日程第三 第四十号議案 東京都北区
大気汚染障害者認定審査会条例の一部を改正する条例
△日程第四 第四十一号議案 東京都
北区立児童発達支援センター条例の一部を改正する条例
△日程第五 第四十二号議案 東京都北区
ジェイトエル開設に伴うテーブル、
椅子等既製備品の購入契約
△日程第六 第四十三号議案 東京都北区
ジェイトエル開設に伴う
受付カウンター、
書架等造作備品の購入契約
△日程第七 第四十四号議案 東京都北区
ジェイトエル開設に伴う
UVプリンター外の購入契約
△日程第八 第四十五号議案
特別養護老人ホーム清水坂あじさい荘大
規模改修工事に伴う厨房機器の購入契約
△日程第九 第四十六号議案 王子小・王子桜中学校の児童生徒増に伴う厨房機器購入契約
△日程第十 第四十七号議案
仮称区営シルバーピア栄町新築電気設備工事請負契約
△日程第十一 第四十八号議案
仮称区営シルバーピア栄町新築機械設備工事請負契約
△日程第十二 第四十九号議案 旧十条台小学校校舎等解体工事請負契約
△日程第十三 第五十号議案 旧神谷中学校校舎等解体工事請負契約
△日程第十四 第五十一号議案 区画街路三号線
下水道整備工事(一工区)請負契約
△日程第十五 第五十二号議案 令和六年度東京都北区
一般会計補正予算(第二号) (議案は会議録末尾に掲載)
○議長(大沢たかし議員) 本案に関し、理事者の説明を求めます。 (
山田加奈子区長登壇)
◎区長(
山田加奈子区長) ただいま一括上程になりました、第三十八号議案から第五十二号議案までの十五議案についてご説明申し上げます。 まず、第三十八号議案は、東京都北区赤羽イノベーションサイトを設置するため、第三十九号議案は、既存の建築物に対する制限の緩和に係る認定申請手数料の新設を行うほか所要の改定を行うため、第四十号議案は、組織改正に伴う規定の整備を行うため、第四十一号議案は、児童福祉法等の一部改正に伴う規定の整備を行うため、それぞれ提出申し上げた次第であります。 次に、第四十二号議案から第四十四号議案までの三議案は、東京都北区
ジェイトエル開設に伴う各購入契約を締結するため、第四十五号議案は、
特別養護老人ホーム清水坂あじさい荘大
規模改修工事に伴う厨房機器の購入契約を締結するため、第四十六号議案は、王子小・王子桜中学校の児童生徒増に伴う厨房機器の購入契約を締結するため、第四十七号議案及び第四十八号議案は、
仮称区営シルバーピア栄町新築に伴う各設備工事の請負契約を締結するため、第四十九号議案は、旧十条台小学校校舎等解体工事の請負契約を締結するため、第五十号議案は、旧神谷中学校校舎等解体工事の請負契約を締結するため、第五十一号議案は、区画街路三号線
下水道整備工事(一工区)の請負契約を締結するため、それぞれ提出申し上げた次第であります。 次に、第五十二号議案、東京都北区
一般会計補正予算(第二号)についてご説明申し上げます。 歳出予算といたしましては、校内別室指導教室設置校の拡充や、バーチャル・ラーニング・プラットフォーム事業の開始に向け、不登校対策費を増額したほか、東京都の補助金を活用してHPVワクチンの男性接種を開始するため予防接種費を増額するなど、二十二事業を計上いたしました。 歳入につきましては、特定財源として国庫支出金、都支出金、寄付金、諸収入を見込んだほか、一般財源は、補正総額を特定財源が上回ったため財政調整基金繰入金を減額いたしました。 この結果、今回の補正予算額は、歳入歳出同額の四億九千五百四十七万千円となり、補正後の予算額は、一千八百五十一億一千百三十三万千円となります。 このほか、債務負担行為の変更二件を行っております。 以上が提出議案の概要です。よろしくご審議くださいますようお願い申し上げます。
○議長(大沢たかし議員) お諮りします。 日程第一から日程第十五までの十五議案については、いずれも付託事項表のとおり、所管委員会に審査を付託したいと思います。ご異議ありませんか。 (「異議なし」と呼ぶ者あり)
○議長(大沢たかし議員) ご異議ないと認め、そのように決定します。----------------------------------- 議案付託事項表(令和六年第二回定例会) 企画総務委員会第三十八号議案 東京都北区赤羽イノベーションサイト条例第三十九号議案 東京都北区手数料条例の一部を改正する条例第四十号議案 東京都北区
大気汚染障害者認定審査会条例の一部を改正する条例第四十一号議案 東京都
北区立児童発達支援センター条例の一部を改正する条例第四十二号議案 東京都北区
ジェイトエル開設に伴うテーブル、
椅子等既製備品の購入契約第四十三号議案 東京都北区
ジェイトエル開設に伴う
受付カウンター、
書架等造作備品の購入契約第四十四号議案 東京都北区
ジェイトエル開設に伴う
UVプリンター外の購入契約第四十五号議案
特別養護老人ホーム清水坂あじさい荘大
規模改修工事に伴う厨房機器の購入契約第四十六号議案 王子小・王子桜中学校の児童生徒増に伴う厨房機器購入契約第四十七号議案
仮称区営シルバーピア栄町新築電気設備工事請負契約第四十八号議案
仮称区営シルバーピア栄町新築機械設備工事請負契約第四十九号議案 旧十条台小学校校舎等解体工事請負契約第五十号議案 旧神谷中学校校舎等解体工事請負契約第五十一号議案 区画街路三号線
下水道整備工事(一工区)請負契約第五十二号議案 令和六年度東京都北区
一般会計補正予算(第二号)-----------------------------------
○議長(大沢たかし議員) お諮りします。 閉会中に受理した請願・陳情は、いずれも付託事項表のとおり、所管委員会に審査を付託したいと思います。ご異議ありませんか。 (「異議なし」と呼ぶ者あり)
○議長(大沢たかし議員) ご異議ないと認め、そのように決定します。----------------------------------- 請願・陳情付託事項表(令和六年第二回定例会) 企画総務委員会六第六号 ガザ地区における即時停戦の実現とガザ市民への緊急支援の実施を日本政府に求める意見書提出に関する陳情六第八号 ガザ地区におけるイスラエルの攻撃から市民のいのちを救うよう求める意見書提出に関する陳情 区民生活委員会六第五号 年金制度における外国人への脱退一時金の是正を求める意見書提出に関する陳情 健康福祉委員会六第七号 地域医療を守るために、令和六年度診療報酬改定の再検討を国に求める意見書提出に関する陳情-----------------------------------
○議長(大沢たかし議員) 以上で本日の日程全部を終了しました。 お諮りします。 六月十一日より委員会審査のため休会し、六月十九日午前十時、本会議を開会したいと思います。ご異議ありませんか。 (「異議なし」と呼ぶ者あり)
○議長(大沢たかし議員) ご異議ないと認め、そのように決定します。 ただいまご着席の方々には改めて通知しませんので、ご了承願います。 本日はこれをもって散会します。 お疲れさまでした。 午後四時五十一分散会...