○副議長(小田切かずのぶ議員) ご異議ないと認め、そのように決定します。
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○副議長(小田切かずのぶ議員) 代表監査委員石井 稔さんに、決算審査等講評の報告を求めます。 (石井 稔代表監査委員登壇)
◎代表監査委員(石井稔代表監査委員) ただいまから令和二年度決算審査の講評を行います。大変恐縮でございますけれども、座らせていただきたいと思います。よろしくお願いします。 令和二年度各会計歳入歳出決算審査及び各基金運用状況審査並びに財政健全化審査について、順次、ご報告申し上げます。 初めに、各会計歳入歳出決算審査について申し上げます。 決算審査は、決算書及びこれに関する付属資料、帳簿類に基づき、予算の執行が的確かつ効率的に行われているか、計数に誤りがないか、関係法令に違反していないかを主眼に審査いたしました。 その結果、決算書をはじめ、関係帳簿類の計算は正確で、収支は命令に符合しており、事務手続に法令違反はなく、適正に執行されておりました。 令和二年度予算は、北区経営改革プラン2020に基づく歳入確保と歳出抑制、基金と起債の効率的な活用などにより、必要な財源を確保し、北区中期計画(令和二年度~四年度)にわたって、各種計画に掲げられた事業の構築やレベルアップを図るとともに、新型コロナウイルス感染拡大への対応など喫緊の課題へ対応を行うものでありました。 それぞれの事務事業は予算編成方針に沿い、計画的かつ効率的に遂行されたものと認められ、区政の着実な前進を評価することができます。 北区基本計画2020の着実な推進と新型コロナウイルス感染症対策など、変化する社会情勢に的確に対応するためには、これまで以上に適切な対応を求められる課題は多岐にわたっています。 特別区民税の増収や着実な基金への積立てなどにより、計画事業の実現に向けた財政対応力は高まっているものの、法人住民税の交付税原資化が拡大されるなど、不合理な税制改正等により、貴重な財源が奪われており、また、社会保障費の増大、公共施設の更新需要や計画事業の推進など、今後、歳出需要が増大することが予想されているため、財源の確保が不可欠となっています。 経営改革プラン2020の項目に基づき、内部努力の徹底と官民の役割分担のさらなる見直しや、公共施設の再配置等に取り組み、より効率的・効果的な予算執行に努めていただきたいと思っております。 次に、基金運用状況審査についてご報告いたします。 各基金の運用状況については、運用調書の審査を行いました。また、例月出納検査において、随時、各基金の運用状況を把握いたしました。その結果、適正に管理・運用されていることが認められました。 特に、マイナス金利下においても、適切な預託先に基金を預け、管理されておりました。今後も引き続き、適正な管理・運用に努められますようお願いいたします。 次に、財政健全化審査について申し上げます。 財政健全化判断比率の基礎となる書類が適正に作成されているか、算定に誤りがないかを主眼として審査いたしました。 その結果、書類は適正に作成されており、算定に誤りはありませんでした。財政健全化判断比率は基準を下回っており、北区の財政が健全であることが認められました。 以上、ご報告のとおり、決算審査、基金運用状況審査、財政健全化審査については、いずれも適正なものでありました。 ただ、若干、気がついた点がありますので、次のとおり意見として述べさせていただきます。 それは、新型コロナウイルス感染症対策と今後の財政運営についてです。 昨年来、新型コロナウイルスが流行し、多くの感染予防策が実施され、各種事業の中止や縮小、学校や施設の休止、利用自粛など影響は多岐にわたりました。 施設の休止や利用自粛に伴う指定管理者への損失補填や特別定額給付金の給付など臨時に発生した事業の事務処理について、政策経営部の通知のもと、統率された適正な事務処理が行われていることを評価しております。 現在も、ワクチン接種をはじめとする感染症対策や各種の支援策などに取り組んでいただいておりますが、長期化するコロナ禍が区の財政に影響することが懸念され、当面、停滞感の強い状況が見込まれる中で、財政運営に当たっても、引き続き、内部努力の徹底、基金と起債の効果的な活用、事業の重要性、緊急性の精査など財政の柔軟性を維持する取組をお願いいたします。 最後に、区政の発展は健全な財政運営があってこそ成し遂げられるものであります。職員一人一人が自覚と緊張感を持ち、将来にわたり持続可能な健全財政の体質づくりに邁進されることを期待しております。 私たち監査委員は、その使命を重く受け止め、区政が公正かつ効率的に運営されるよう、これからも監査業務に万全を期してまいります。 今後とも、皆様方のご理解、ご協力をお願い申し上げます。 以上でございます。
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○副議長(小田切かずのぶ議員) これより質問に入ります。 二十五番 石川さえだ議員。(拍手) (二十五番 石川さえだ議員登壇)
◆二十五番(石川さえだ議員) 自由民主党議員団を代表して、花川区長、清正教育長に大きく五点お伺いいたします。 まず初めに、新型コロナウイルスに罹患されている方に対し、お見舞いを申し上げますとともに、保健所長をはじめ、職員の皆様には昼夜問わず、対応に当たっていただいていることに心から敬意と感謝を申し上げます。 それでは、質問に入ります。 新型コロナウイルス対策についての一つ目として、保健所支援についてです。 現在、新型コロナウイルス感染症は第五波という極めて厳しい状況にあります。特に、従来株よりもはるかに高い感染力を持つデルタ株の猛威により、全国の自宅療養者数は十三万人を超え、北区は第五波の八月ピーク時では、自宅療養者数は千百人、入院待機者数は三十九人と危機的な状況となりました。 九月六日時点では、自宅療養者数四百七十人、入院待機者数はゼロとのことで、ピークは過ぎたものの、依然として高水準の感染者数が続いており、引き続き、これまでにない災害レベルの感染状況にあるとの認識で対応する必要があります。 そこで、これまで以上に保健所支援体制の強化、特に、保健所医師や保健師、職員の業務の軽減について早急に考えなければなりません。 現在、全庁を挙げて保健所支援を行っていますが、発生届の受理から患者への連絡を早急に対応するためには、庁内の支援だけでは限界があると考えます。そして、第五波のピークが過ぎても、次の脅威に備える必要があります。 そこで、保健所の業務を軽減するための支援策として、書類の簡素化や、神奈川県が今月八日から行っているスマートフォンを使った、陽性者が自ら行う初動調査の情報を入力するシステムの導入を東京都へ求めるべきです。 さらに、初動調査の業務は専門職以外の職員でも対応が可能であるため、外部委託にし、場所の確保のためには、公共施設の提供を求めますが、見解をお伺いいたします。 次に、保健師による疫学調査についてです。 保健所業務の逼迫のため、保健師からの疫学調査の連絡に何日も日数を要しています。以前からの提案として、積極的な保健師への支援を求めていますが、ここでも、一般職員を柔軟に投入するなどのサポートについて、現在どのように行っているのか、見解をお伺いいたします。 次に、入院待機者についてです。 入院待機者は、中等症Ⅱ以上のため、急変や重症化するリスクが高く、特に疾患がある単身者への手厚いフォローアップ体制が必要です。また、全国では、入院先が見つからずに自宅療養中に亡くなるという事例も出ており、入院待機ステーションの設置が進められています。 その他の支援策として、品川区が先行して行っている夜間の遠隔診療を各区で順次開始していくという東京都の方針が示され、夜間のフォローアップが期待されています。 北区では、八月下旬より訪問看護ステーションの協力の下、入院待機者への健康観察が始まりました。医師、看護師、薬剤師との連携により、入院までの間、フォローを行っていますが、さらなる強化策として、看護ステーションの協力を広げる必要があるのではないでしょうか。今後の入院待機者へのフォローアップ体制の強化について、区の見解をお伺いいたします。 また、自宅療養者、入院待機者に対して手厚いフォローアップをすることで、心理的な不安による緊急性の低い救急要請が減り、救急から保健所医師への昼夜を問わない連絡を抑えることができると考えます。 そこで、保健所医師への業務緩和策として、救急から保健所医師への入院調整のための連絡体制の改善を東京都に要請するよう求めます。 さらに、一つの案として、救急要請があった場合は、まず、酸素ステーションに患者を運び、酸素吸入後、状態が安定したら帰宅してもらい、状態が安定していない場合は、そこで待機をしてもらうことにより、救急隊から保健所医師への連絡の負担軽減と、救急隊自身の負担軽減にもつながると考えられ、この体制を東京都へ求めるよう要望いたしますが、区の見解をお伺いいたします。 次に、自宅療養者に対する抗体カクテル療法の運用についてお伺いいたします。 厚労省は八月二十五日に、抗体カクテル療法の外来での使用を認める方針を打ち出しました。この改正により、入院ベッド数が限られる中、入院しなくても治療ができるようになり、自宅療養者への対応が可能となりました。 そこで、北区での抗体カクテル療法の実施について、どのように考えているのか、あわせて、医師会との連携についてもお伺いいたします。 また、現在、入院待機ステーションを東京北医療センター内に設置しているとのことですが、今後、そのような施設の設置の見通しをお伺いいたします。 次に、ワクチン接種についてお伺いいたします。 現在、ワクチンの接種率は、国民全体では四八・三%、北区では四五%となっています。国は十一月上旬には希望者が全て打ち終わるとの見通しを立てています。北区のワクチン供給は、九月一日から十月二十一日までのフェーズでは三万三千回分、十月一日から十一月二十一日までのフェーズでは三万二千回分が供給予定となっており、この供給により、接種者割合の見込みは、高齢者で八四%、十二歳から六十四歳までは五七%となっています。 現在、ワクチン供給量は、対象者の六三%を確保していると伺っていますが、区としての接種率の目標値はどのように考え、それに向けて今後どのように取り組むのか、あわせて、国の方針では、三回目の接種についての検討をしていますが、区の見解をお伺いいたします。 そして、引き続き、国、東京都へワクチン供給をスムーズに行うよう強く求めます。 次に、妊婦へのワクチン接種についてです。 北区でも、九月一日の予約から妊婦への優先接種が始まりました。そこで、対象者全ての確保はできているのか、パートナーの優先接種についてはどのように考えるのか、あわせて、陽性者の妊婦についての対応もお聞きいたします。 さらに、未接種の高齢者、障害者やその家族など、リスクの高い方についても、優先枠をつくるべきだと考えます。世田谷区では、知的障害者、精神障害者、身体障害者、難病の方向けに障害者専用の予約と接種会場を設けており、きめの細かい取組がなされています。 そこで、リスクが高い方へも、妊婦と同じように特別枠を設けること求めますが、区の考えをお示しください。 また、限られたワクチンを決して無駄にしないために、ワクチンロスZEROコールセンターの活用が重要であります。現在のZEROコールセンターの対象者は、保育士などのエッセンシャルワーカーですが、対象者の接種が進んでいるため、その範囲を区民へと広げるべきだと考えますが、区の見解をお伺いいたします。 次に、区立小・中学校等の感染対策についてです。 第五波の感染拡大により、十代以下の子どもたちの感染が増えており、東京都が示した十代以下の感染者数を週ごとに示したグラフでは、七月十三日から二十二日までの一週間では千百四十七人でしたが、八月十三日から十九日までの一週間では四千八百四十六人と、一か月で約四倍とのデータが出ており、子どもたちの中でもデルタ株が猛威を振るっています。デルタ株から子どもたちを守りながら、学びも止めないための今まで以上の対策が重要です。 そこでまず初めに、夏休み期間における児童・生徒の感染者数の増加について、区の見解をお伺いいたします。 次に、九月以降の学校運営の考え方についてです。 文科省からは、夏休み明けの
学校再開の考え方について、学びの確保が重要だとして、一斉休校は要請せず、感染予防の徹底を求める通達がされ、東京都からは、感染状況を踏まえた分散登校やオンライン授業の活用などが通知されました。 それにより、夏休み後の判断は各自治体へと任され、夏休み延長や分散登校、短縮授業やオンライン授業導入などの様々な措置が取られました。二十三区内でも、文京区や渋谷区、足立区などでは、夏休みの延長や時差登校、港区、荒川区では、オンライン授業の取組がなされています。 北区では、九月一日から通常どおりの
学校再開がされましたが、
学校再開について、夏休み延長や分散登校など、どのような議論がされたのか、お伺いいたします。 また、今後の感染拡大について、あらゆる事態を想定し、準備することが重要であると考えます。感染を心配して登校できない児童・生徒への対応として、オンライン授業の導入などの今後の方針についてお伺いいたします。 文科省は、学校閉鎖や学級閉鎖をする際の判断の基準となるガイドラインを策定し、教育委員会に通達しました。そこで、区では判断基準をどのように考えているのか、お示しください。 次に、区立小・中学校、区立こども園、幼稚園、区立保育園の教職員のワクチン接種率とワクチン接種が済んでいない教職員への対応について、子どもを守るために、定期的なPCR検査を求めますが、区の見解をお伺いいたします。 大きく二点目の質問は、公契約条例検討費についてお伺いいたします。 今定例会補正予算にて公契約条例検討費十一万千円が計上されました。公契約条例については、今まで様々な議論がされており、昨年の第四回定例会企画総務委員会において、北区における公契約条例の制定に関する検討を進める件についての陳情が出されました。 委員会審査では、自由民主党議員団の意見として、課題の調査研究を進める点という趣旨については採択をしています。 基礎自治体が目指す公共事業の目的は、需要を創出し、景気を押し上げる経済対策であり、幅広く地域産業の育成を目指すことにあると考えます。 現在、公契約条例は二十三区内では九区制定されていますが、北区としては、他区の状況に流されることなく、課題をしっかりと解決し、区内企業、労働者、どちらも守る制度確立をすることが、北区が目指すべき姿であると考えます。 そこで質問いたします。 区は公共事業の在り方についてどのように考えるのか、また、区内業者の保護育成について、区の見解を伺います。 次に、各建設業団体より指摘を受けている積算基準の課題、支店業者の実態把握、分離発注の仕組みなどの諸課題解決について、区の見解をお伺いするとともに、今後さらに各団体の意見を丁寧に聞くよう強く求めますが、いかがでしょうか。 次に、労働報酬下限額の適用対象となる契約金額の適用範囲については、全ての契約を対象とすることには、受注者側の事務負担につながる可能性があり、人的余裕のない中小企業には大きな負担となります。適用範囲についてはしっかりと研究することを求めます。 次に、労働報酬下限額、いわゆる最低賃金の決め方について、区はどのように考えるのか。二十三区の状況を見ますと、公契約条例の導入をしている全ての区で、国の定めた最低賃金を上回る賃金が設定されていますが、国とは異なる賃金水準を定めることによる区内事業者全体の影響はどのように考えるのか、お伺いいたします。 また、受注者側に求める書類に関しては、事業者側の負担にならないよう簡素化するべきでありますが、その仕組みについてどのように考えるのか。あわせて、現在求めている工事書類の簡素化についても強く要望いたします。 最後に、区内企業、労働者、北区がそれぞれウィン・ウィンの関係となり、公契約条例の真の目的が達成されるよう強く求めますが、区の見解をお伺いいたします。 次に、大きく三点目の質問として、男女共同参画推進事業費についてです。 今定例会補正予算に男女共同参画推進事業費二十八万七千円が計上されました。九月五日で閉幕した東京オリンピック・パラリンピックは、多様性と調和がコンセプトの一つとして掲げられ、あらゆる人々がお互いの人権を尊重し合い、共に力を合わせて生きていく共生社会の実現をスポーツ競技を通して世界中に発信しました。 それは、日本のみならず、世界中に感動を起こし、多様性社会へとまた一歩近づくきっかけになったのではないでしょうか。 我が自由民主党議員団としても、全ての人が生きづらさを感じたり、差別される社会であってはならないと考えております。 そこで、多様性社会の実現に向けては、まず地ならしが必要であり、多様性社会を受け入れられない区民からは理解されないことも想定しなければなりません。 また、多様性の一つとして、性的少数者の人権を尊重する社会の形成については、渋谷区が全国で初めて制定した渋谷区男女平等及び多様性を尊重する社会を推進する条例で、区民から四千件を超える苦情が入ったことも軽視できない事実です。まずは、理解増進に向けた周知啓発活動を積極的に行い、区民の理解が深まり、受け入れられる意識を成熟させる必要があると考えます。 そこで質問いたします。 多様性社会を進める社会づくりについて、区の見解をお伺いいたします。 また、これまでに性の多様性の施策についてどのような調査研究をされてきたか、お伺いいたします。そして、性の多様性について、普及啓発を今後どのように進めていくのか、区の見解をお伺いいたします。 次に、客引きによる迷惑行為についてです。 これまでも我が会派では、幾度にわたり本会議等で、赤羽駅周辺での悪質な客引きの迷惑行為について取り上げてきました。長年、赤羽駅周辺には多くの客引きの姿や片言の日本語で声をかける女性店員などの客引き行為が見受けられ、地元住民からも多くの相談を受けています。 また、赤羽警察署に寄せられた赤羽駅周辺での客引き行為に関する苦情は、今年だけでも昨年の二倍に当たる二百件に上るとのことで、この苦情の多さは、近隣住民や商店街、赤羽駅を利用する多くの人が客引きや客待ち行為を不快や不安に感じていることの表れではないでしょうか。 今年四月三十日に性風俗営業等に係る不当な勧誘、料金の取立て等及び性関連禁止営業への場所の提供の規制に関する条例、いわゆる、ぼったくり防止条例が改正施行となり、北区では、赤羽一丁目と赤羽南一丁目が新たな指定区域として追加されました。 そこで、この条例改正に続き、悪質な客引き行為をさらに取り締まるためには、客引きを防止する条例の制定が必要であると考えます。平成十四年から警視庁が都内の盛り場と指定する区域では、十二区三市にて、既に客引き防止条例が施行されております。 盛り場区域で条例が制定されていない区域は、赤羽、小岩、町田の三区域のみとなっています。条例施行後は、指導員から客引き行為者に対し、指導、警告、勧告等の手順を踏んだ行政指導ができ、従わない場合は氏名の公表と五万円以下の過料が科されるということで、実際に客引き行為の減少や抑止力につながり、その効果が見込まれています。 そこで質問いたします。 赤羽駅周辺の実態を受け、区として、区民の安全・安心を守る認識についてどのように考えているのか。さらに、現在の悪質な客引き行為に対し、赤羽警察署と北区でどのように連携しているのかお伺いいたします。そして、客引き行為等を防止する条例の制定を求めますが、区の見解をお伺いいたします。 五つ目の質問は、教育、子育て支援についてです。 「子育てするなら北区が一番」を掲げている北区にとって、これまでの子育て施策の充実に対するご努力は評価いたします。 しかし、年々変化する子育てニーズに対応するためには、就労家庭の支援として保育所整備など待機児童解消と並行して、在宅育児の支援を一層強化することも非常に重要であり、多くの子育て世帯を応援することになると考えます。 しかしながら、現在の在宅育児支援策では、子育て拠点整備やアウトリーチ型の支援について十分とは言えない状況です。乳幼児期の親と子の関わり合いは大変重要であり、ここから心理的な信頼関係や絆が生まれます。これが他者とのコミュニケーションの第一歩となり、愛着関係を基盤に、自立心やその後の人間関係、社会性の発達につながります。 人格形成で一番大切なかけがえのない時間を親が愛情をかけてゆっくりと慈しむことのできる環境づくりを手助けすることが政治や行政の役割だと考えます。 北区子ども・子育て支援計画2020の調査では、北区の在宅育児の数は四千七百四十六人と、全体の約三割となっています。その中のニーズ調査では、育児の不安を持つ人が多く、親子同士の交流の場が少ないという回答が多く見られました。 在宅での育児は核家族化も進んでいることから、孤独になりがちです。母親が一人で行う子育ては孤立化しやすく、時に、子育てに自信がなくなってしまう方や、大きな不安感に襲われる方もいます。 また、保護者だけでなく、子ども自身も様々な人と関わる機会が少なくなってしまうことも懸念されています。 そこで、そのような孤立化を防ぐための居場所として、子育て拠点となる子どもセンターが非常に重要な役割を持つ場所になります。子どもセンターを利用することで、母親の不安を少しでも取り除き、心身ともに子育てしやすい環境を整えることが子どもの発達にもつながります。 六月の文教子ども委員会にて、令和三年九月で、区内全小学校へ放課後子ども総合プランが導入されることに伴い、令和五年度までに全児童館が子どもセンターへの移行を目指し、機能強化を図るとの報告を受けました。 子どもセンターは在宅育児支援の中心として位置づけられ、今後、移行される児童館も含め、サービスの集約化が期待されます。 妊産婦から乳幼児親子、就学前親子が子どもセンターに来れば、子育てに関する総合的な支援が受けられる子ども版の地域包括支援センターが必要だと考えます。 そこで、今後の子どもセンターの役割について、区の見解をお伺いいたします。また、各子どもセンターの機能強化策として、現在、各課で行っている子育て支援サービスを子どもセンターに集約し、プレママ教室、乳幼児クラブ、親育ちサポート事業等の各事業、乳幼児健診、相談業務、子育て支援コーディネーター配置などの体制づくりを求めます。 さらに、子ども家庭支援センターと各子どもセンターが連携を深めて、課題を抱える親子への支援を行うなどの体制づくりについても、区の見解をお伺いいたします。 次に、子どもセンターの補助的な役割を担うのは、子ども・子育て支援新制度の中で位置づけられている、地域の実情に応じ、民間の力を導入した地域子育て支援拠点事業です。 この事業の実施箇所は全国で年々増えており、令和元年では七千五百七十八か所となっています。北区子ども・子育て支援計画2020の基本方針でも、まちぐるみでの子育ての支援を掲げており、地域と行政が協働し、子育て支援をする環境づくりを目指すとしています。 期待される効果としては、民間ならではの柔軟な発想で、母親のための支援事業が行われていることです。北区の子育て応援サロン「ほっこりーの」では、保健師や保育士の資格を持つ先輩の母親が不安や悩み、相談を聞いたり、母親同士の情報交換ができる場や一時預かり、就労支援まで様々な支援を行っています。 この取組は、商店街の空き店舗や民家を使った誰でも気軽に足を運べる場所で行われているのも特徴です。 しかし、現在、子育て支援拠点としての行政との連携はなく、補助金支援もされていないため、独自で事業を展開しています。 そこで、このような民間の資源を積極的に取り入れ、行政だけでは足りない支援を補い、各地域に充実した子育て拠点を広めていく体制づくりを求めます。 さらに、行政と民間団体、地域住民の活動が連携、協働し様々な支援が総合的につながる体制づくりを今後どのように進めていくのか。また、このように在宅での子育ての支援の在り方や重要性について、北区基本計画や子ども・子育て支援計画の改定の際に位置づけていくべきだと考えますが、区の見解をお伺いいたします。 次に、子育て世代包括支援センター事業についてお伺いします。 児童虐待を未然に防ぐための支援は、子育て世代包括支援センター事業の充実にあると考えます。母子保健と子育て施策が連携することで、妊娠から育児、教育に至るまで、寄り添った切れ目のない支援を行うことができます。 さらに、効果的な子育て支援や虐待防止策を充実させるには、健康支援センターと子ども家庭支援センターが中心となって、関係機関である児童発達支援センター、児童館、子どもセンター、医療機関、児童相談所などをつなぎ、取組や情報を共有、活用することが必要です。それには、専任の担当者を設ける必要があり、国のガイドラインでは、全体を包括する役割のコーディネーターとして位置づけられています。 現在、健康支援センター、子ども家庭支援センターとでそれぞれの担当者がおり、連携をしていますが、横串を通すための専門のコーディネーターが必要です。 これらの体制づくりについて、区としての現状認識と今後の方針について見解を伺います。また、コロナ禍で母親のSOSが見えにくい中、不安や悩みを抱える妊産婦に対して、子育て世代包括支援センター事業ではどのようなアプローチを行っているのかお示しください。 最後の質問は、子ども条例制定についてです。 現在、国では、子どもが真ん中の考えの下、こども庁の創設を検討しており、子どもの視点に立った社会の実現を目指し、大きくかじが切られようとしています。 「子育てするなら北区が一番」を掲げる花川区長にとっても、子育てや教育など、子どもに関わる施策は非常に重要なものではないでしょうか。 現在、コロナ禍により、子どもが犠牲になる虐待や事件も急増し、子どもの権利がさらに脅かされている状況にあると言えます。私たち大人は、全ての子どもが誰一人取り残されることなく、今を安心して生き、将来への希望を持って、伸び伸びと健やかに育っていく環境を整備する責務があります。 そこで、子どもの視点や子どもの目線を取り入れた、子どもの育ちを取り巻く環境の整備を、地域特性を踏まえながら総合的に進め、子どもの生きる権利と育つ権利を十分に保障することが必要です。 北区においても、今こそ、子どもの権利を尊重する規範が必要であり、将来にわたり、区と区民とが一体となって、子どもの権利を大切にするという姿勢を条例として明らかにするべきであると考えます。 そこで、北区版子ども条例を制定することを提案いたします。区長の決意及び教育長の見解をお聞きいたします。 子どもたちのかけがえのない大切な命を区長が先頭に立って守ることを強く望みます。 以上、花川区長、清正教育長の積極的な答弁を期待して質問を終わります。 ご清聴ありがとうございました。(拍手) (花川與惣太区長登壇)
◎区長(花川與惣太区長) おはようございます。 答弁に先立ち、このたびの西日本から東日本にわたる集中豪雨により被害を受けられた皆様に心からお見舞い申し上げます。 それでは、ただいま自由民主党議員団を代表して、石川さえだ議員から、新型コロナウイルス感染症対策についてをはじめ、公契約条例検討費についてや男女共同参画推進事業費に関して、そして、客引き等による迷惑行為について、さらには、教育、子育て支援についてまで、区政の広範な分野にわたり、大変貴重なご意見、ご提言を頂戴いたしました。誠にありがとうございました。 それでは、順次、お答えを申し上げます。 初めに、新型コロナウイルス対策についてのご質問に順次お答えをいたします。 まず、保健所支援についてです。 保健所の業務軽減策として、書類の簡素化やスマートフォンによる症状等の入力につきましては、国が新たに開発したクラウドシステムである新型コロナウイルス感染者等情報把握・管理支援システム、略称、HER-SYSの活用が行われ、濃厚接触者や無症状者を中心に、延べ三千六百人以上に利用いただいています。 また、東京都においても、自宅療養者フォローアップセンターにおいて、SNSによる独自システムを開発し、活用しているところです。 今後とも、重症化リスクのある陽性者への積極的な支援等、保健所の負担軽減につながるさらなる改善を国や東京都に求めてまいります。 次に、患者発生時の初動調査の外部委託についてです。 感染症法に基づく積極的疫学調査は、本来、保健所の保健師等が専門性に基づいて実施しておりますが、現在、保健所業務が逼迫していることから、第五波では、特段の対応として、軽症患者のうちで、基礎疾患やリスクファクターを持たない方々等に限定して、保健師のサポートの下に、事務職員が対応しています。 八月の土曜、日曜には延べ八十人以上の事務職員により、全庁を挙げて対応し、約八百人の患者に対して調査を実施いたしました。 これ以外の中等症患者、小児、高齢者、基礎疾患を有する者等につきましては、引き続き保健師が調査を行っています。 記録の整理など、調査に関連した業務を含め、マニュアル化できる部分について、外部委託や臨時職員、派遣職員等のさらなる活用などにより保健所業務の軽減に努めてまいります。 次に、保健師による疫学調査についてです。 区は、新型コロナウイルス感染症の発生動向に応じて、他部署の保健師の応援を行い、人材派遣会社の保健師の活用も行っています。また、保健師以外でも対応可能な事例については、衛生監視員や事務職による調査を行うなど、全庁的な応援体制の強化を図ってまいりました。 今後も感染症の発生の動向に応じて、柔軟かつ積極的に調査体制の確保に努めてまいります。 次に、入院待機者のフォローアップ体制についてです。 第五波の感染拡大による深刻な病床逼迫により、北区でも入院待機者が最大四十人近くまで増加し、入院待機者への保健師による頻回な健康観察は、保健所業務を逼迫させる一因となりました。 こうした状況を解消するため、八月下旬から開始した区内訪問看護ステーションと医療機関等の協力に基づく、入院待機者や重症化リスクのある自宅療養者に対する医療的な健康観察、症状悪化時等の必要に応じた訪問看護、訪問診療により、保健所業務の軽減化と区民の命を守る安全・安心な医療体制を強化いたしました。 なお、ご協力いただいている訪問看護師や協力医師の負担を軽減し、この取組を継続させる上でも、より多くの機関の協力が必要と考えます。 引き続き、訪問看護ステーション連絡協議会や北区医師会を通じて協力を求めてまいります。 次に、保健所医師への業務緩和策です。 感染症法の規定から、患者の勧告入院については、保健所の医師が判断することになっているため、救急要請された救急隊からは、帰宅後も、休日、深夜、未明に至るまで、保健所医師に連絡が入っており、保健所医師が疲弊する原因となっています。 東京都福祉保健局と東京消防庁は、各区保健所の昨年来からの要請に基づき、呼吸不全を伴う病態である中等症Ⅱよりも重い患者の場合には、各区の保健所の判断を待たずに、速やかに医療機関に搬送するよう、新型コロナ患者の搬送基準を先週に改定しましたが、救急要請のうち多数を占める軽症及び中等症Ⅰについては、引き続き、保健所医師が搬送の要否を確認することとしており、問題の抜本的な解決には至っていません。このため、東京都に対して、引き続きの改善を求めてまいります。 次に、救急要請に際しての酸素ステーションの活用についてです。 現在の東京都の酸素ステーションは、軽症患者の救急搬送時に一時的に使う施設型酸素ステーション一か所と、中等症患者の入院待機に使う病院型等の酸素ステーション六か所が予定されています。 ご提案の方法については、東京都の運用により実現されるものと考えており、効率的、効果的な実施を求めてまいります。 次に、抗体カクテル療法の運用についてです。 抗体カクテル療法については、重症化リスクのある軽症患者に重症化を防止する効果があるとされております。区内のコロナ病床を有する四つの医療機関においては、既に自院の入院患者等への投与が始められております。 区としては、自宅療養者の安全・安心な療養体制を確保する観点から、重症化リスクのある自宅療養者に症状が発現してから速やかに投与される仕組みを北区医師会及びコロナ病床を有する医療機関と検討中であり、今週には、病診連携による北区版の体制を開始する予定です。 次に、入院待機ステーションについてです。 東京都は、入院治療が必要にもかかわらず入院待機となった患者を一時的に受け入れる施設として、酸素投与や投薬治療が可能な医療機能を強化した宿泊療養施設、TOKYO入院待機ステーションを医療機関等の協力のもとに展開しています。 その施設が東京北医療センターにも設置されたと承知しており、自宅療養をする区民への支援の一助となると期待しております。 今後の設置の見通しについては公表されておりませんが、さらなる増強が望まれます。 次に、新型コロナウイルス感染対策のうち、ワクチン接種についてお答えをいたします。 まず、接種率の目標値と、それに向けた取組についてお答えいたします。 北区は区民の安全・安心を確保するため、全てのワクチン接種を医療機関で行い、多くの医療機関の協力により、国が目標とした全国で一日百万回接種を上回る接種体制を構築し、七月には希望する高齢者への接種をほぼ達成することができました。 一方で、ワクチン供給量が当初の予想を下回ったため、現在は、ワクチンの供給量に合わせて接種体制を再構築している状況で、東京都が試算した職域接種における北区民への接種推計量と合わせると、十月中には、対象となる区民の八割が接種できるワクチンが供給される見込みです。 今後とも、国及び東京都にワクチン供給の促進を要請し、十一月までに希望する全ての区民への接種完了に向けて取り組んでまいります。 なお、三回目接種については、国の動向を注視するとともに、実施される場合は、医師会や医療機関との連携により、全力を挙げて対応してまいりたいと考えています。 次に、妊婦の優先接種についてです。 出産を控えた妊婦の感染リスクへの懸念が高まっていることから、妊娠中の方のワクチンを確保した上で予約を優先的に受け付け、九月中に一回目の接種を受けていただけるよう取り組んでいます。 なお、ワクチンの供給量が限られた現状においては、接種の対象を本人のみとさせていただいています。 次に、未接種の高齢者、障害者等リスクの高い方に対する優先枠の設定についてです。 一部の区民に優先枠を設定するという方法は、今後のワクチン供給量が限られている現状では、慎重な判断が求められます。 そのため、今後の予約開始日に合わせて、北とぴあ、滝野川会館、赤羽会館の三か所で予約支援を実施し、リスクの高い方にも迅速に予約を確保していただくことで、希望する全ての区民の接種を促進してまいります。 次に、新型コロナウイルスに感染した妊婦の療養支援についてです。 新型コロナウイルスに感染した妊婦は、妊娠へのリスクがあることから、要入院患者として東京都に入院調整を依頼しています。 しかし、多くの入院待機者が発生した時期は、妊婦であっても自宅療養を余儀なくされるケースがあり、不安を抱える妊婦への療養支援の必要性や、急変時の分娩受入れ体制の確保が課題となりました。 そうした中、区では、八月下旬から実施している訪問看護師による自宅療養者の健康観察の対象とし、妊婦の療養支援を行っています。 一方で、先日開催された城北ブロック周産期連携会議における協議においても、かかりつけ産婦人科医による頻回な遠隔診療を行うこととなり、また、区内医療機関における正期産の分娩が可能となりました。 さらに、緊急に母体救命処置が必要な妊産婦を必ず受け入れる、いわゆるスーパー総合周産期センターの運用により、専用分娩室等が確保されるなど、新型コロナウイルスに感染した妊婦への強力な療養支援体制が確保されたところです。 今後も、不安を抱える妊婦に寄り添い、安全・安心に療養できる体制確保に努めてまいります。 次に、ワクチンロスZEROコールセンターの対象者についてです。 ワクチンロスZEROコールセンターでは、区内接種施設で生じた残余ワクチンを区内の介護・障害福祉サービス事業所の従事者や保育士などが優先して接種できるよう仲介をしてきたところです。 現在、案内の対象としてきた従事者については、残余ワクチンの有効利用及び様々な接種機会の整備により、希望する方への接種がおおむね終了している状況です。 今後は、残余ワクチン接種の対象を広げるなどして、限られたワクチンを決して無駄にせず、有効に活用することを検討してまいります。 次に、公契約条例検討費のご質問に順次お答えいたします。 まず、公共事業の在り方、区内業者の保護育成についてです。 公共事業は、単に住民の方々の安全・安心の確保及び利便性向上のための都市基盤整備だけでなく、事業を通じた雇用の創出、地域産業の活性化につなげていくことが大きな目的の一つであると認識しております。 区は、公正性、経済性の確保を前提としつつ、今後も地域維持の担い手である区内事業者への発注を進めてまいります。 また、公契約条例に関しても、区内事業者の保護育成の考え方について十分検討してまいります。 次に、工事案件の諸課題についての区の見解及び関係団体の意見を丁寧に聞くべきとのご質問です。 区では、適正な予定価格を設定するため、積算に際しては東京都の積算基準を準用して工事積算内訳書を作成し、必要な経費を含めて適正な積算を行っております。 また、支店業者の実態把握については、競争入札参加資格の継続の際に義務づけている届出の情報をもとに、営業状況の把握を行うとともに、直接訪問し、実態調査を行っております。今後も、実態調査等により、営業状況の把握に努めてまいります。 さらに、工事等の発注に当たっては、案件の内容、規模、工期、特殊性等の観点から総合的に判断して、可能な限り専門性を持つ事業者に分割して発注を進めてまいります。 今後とも、地域事業者団体との丁寧な意見交換を通じ、緊密な連携を図ってまいります。 次に、労働報酬下限額を適用する契約の範囲についてです。 公契約条例は、区が契約する全ての契約を対象とするものですが、そのうち労働報酬下限額を適用する契約は特定公契約とし、先行実施の各区においても、それぞれ基準額を定め、それ以上の案件を対象としております。 北区においても、この基準につきましては、一定程度の金額以上の案件とし、各区の状況を参考に、事業者の方々の事務の負担も考慮しながら検討してまいります。 次に、国の定めた最低賃金を上回る額を労働報酬下限額として定めることの影響についてです。 各区とも、労働報酬下限額の決定については、審議会において、公的機関が定める地域の最低賃金等を踏まえ、審議、決定をしております。 おおむねその金額について、工事にあっては、国が決定する公共工事の工事費の積算に用いるための労務費の単価を、また、委託にあってはパートタイム会計年度任用職員の単価を参考として決定しています。 各区の聴取結果からしますと、区で定める労働報酬下限額が国の定める最低賃金を上回ることについての影響は小さいものと考えております。 次に、受注者側に求める提出書類についてです。 各区の状況を調査いたしますと、賃金の台帳を作成し、契約当初及び一定の期間ごとに提出を求める方式と、区の定めた労働条件等の遵守に関するチェックシートの提出を契約時に求める方式の二つに大別することができると認識しております。 いずれの方式も同程度の効果を期待できると考えておりますが、特定公契約の基準金額と同様、各区の状況を参考に、事業者の方々の事務の負担も考慮しながら検討してまいります。 次に、区内企業、労働者、区がウィン・ウィンとなり、条例の真の目的が達成されるよう強く求めるとのご要望についてです。 公契約条例は、発注者である区と受注者である事業者がおのおの対等な立場における合意に基づき契約を締結していることを基礎として、労働者の適正な労働環境の確保にとどまらず、区内産業及び地域経済の活性化、公共工事の品質の確保に資することを目指すものと認識しており、ご質問、ご要望の内容を受け止めて、検討を進めてまいります。 次に、男女共同参画推進事業費についてのご質問にお答えいたします。 まず、多様性社会を進める社会づくりについての区の見解についてです。 区では、多様性を認め合い、誰もがいきいきと輝き続けられる差別のない地域社会の実現を目標としています。そのため、将来を担う子どもたちをはじめ、幅広い世代の区民への普及啓発を中心に、事業を長期的に展開しているところです。 次に、性の多様性に関する理解促進などについて、どのような調査研究を行ってきたか。また、今後どのように普及啓発を進めていくかについてです。 これまで、性的少数者の人権尊重に関する施策の一つであるパートナーシップ宣誓制度の導入について、先行する自治体を参考に、制度内容や課題について調査検討をしてまいりました。 今後、パートナーシップ宣誓制度の開始に合わせて、制度の周知はもちろん、区民の皆様に対して、性的少数者についての理解促進に取り組んでまいります。 次に、客引きによる迷惑行為について順にお答えをいたします。 初めに、区民の安全・安心を守る区の認識についてです。 区といたしましては、区民の皆様はもとより、区内で働き、学び、そして訪れる皆様も含め、誰もが快適で平穏な生活ができる地域社会をつくることが重要な責務と考えております。 そこで、東京都北区生活安全条例を制定し、条例を具体化した生活安全推進プランを策定し、犯罪情勢の変化や区民の皆様の意向等を踏まえながら、青色防犯パトロールや、ながら見守り活動など、警察、消防等の関係機関や事業者の方々、そして、区民の皆様等と相互に連携し、安全で安心なまちを目指して取り組んでおります。 次に、悪質な客引き行為に対する赤羽警察署との現在の連携についてです。 平素からの情報共有や共同での啓発活動はもとより、六月下旬からは順次、客引き苦情の多い商店街において、区と赤羽署等で作成した警戒プレートを掲示するとともに、注意を喚起する音声アナウンスを放送し、さらには、区が委託する警備員と赤羽署員で、帯同を原則とした徒歩による定時巡回をするなど、より連携して取り組んでおります。 加えて、七月十六日には同署のほか、警視庁本部からの参加も得て、赤羽駅周辺において、悪質客引き撲滅キャンペーンを行うなど、違法な客引きの防止に向け、さらなる連携の強化を図っております。 次に、客引き行為等の防止条例の制定を求める、についてお答えいたします。 区ではこれまで、都内をはじめ、先行自治体の客引き等の防止条例についての研究や条例制定に向けた検討を継続してまいりました。 このたび、これらの研究・検討に関して一定の成果が得られたこと等を踏まえ、赤羽駅周辺を重点と位置づけ、区内全域における良好な都市環境の実現と健全な商業の発展を目指し、客引き等の防止に関する条例の制定に向け、取組を進めてまいります。 次に、教育、子育て支援についてのうち、子育て世代包括支援センター事業についてお答えをいたします。 初めに、体制づくりについてです。 北区の子育て世代包括支援センターでは、健康支援センターと子ども家庭支援センターが連携し、妊娠期から子育て期までの切れ目のない支援体制を構築しています。 支援体制の構築に当たっては、年に三回、子育て世代包括支援センター事業運営会議を開催し、各事業の実績や課題、新規事業の情報共有や連絡調整の在り方などについて協議を行っています。 運営会議では、区の保健師が母子保健事業と子育て支援事業などをコーディネートする役割を担っており、事業が円滑に連携できるように調整しています。 今後も、妊産婦や乳幼児とその保護者に対して、必要な支援が適切に行える体制の整備に取り組んでまいります。 次に、妊産婦に対するアプローチについてです。 妊産婦に対する支援の流れとしては、まず、母子健康手帳交付時に、はぴママたまご面接を実施し、産後は、乳児家庭への全戸訪問を行うことで妊産婦の状況を把握しています。 はぴママたまご面接時に、より専門的な支援が必要とされた対象者については、健康支援センターの保健師が個別に支援プランを作成し、子ども家庭支援センターが行う、はぴママひよこ面接につなげており、面接の結果、状況に応じて保健師による継続的な支援や児童相談所への情報提供など、必要な支援に結びつけています。 また、健康支援センター、子ども家庭支援センター、児童発達支援センターの保健師で、定期的に母子保健連絡会を開催し、支援を必要とする全ての妊産婦の情報を共有するとともに、対応困難な事例について検討を行っています。 さらに、コロナ禍においては、はぴママたまご面接やはぴママひよこ面接で、オンラインによる面接を導入するなど、多くの方に面接を受けていただける機会を確保しました。 今後も、母子保健施策と子育て支援施策との包括的な支援を通じて、妊産婦に対する切れ目のない支援を提供し、育児不安や虐待の予防に取り組んでまいります。 次に、子ども条例の制定に向けた私の決意について申し上げます。 私は、これまで区政の先頭に立ち、時代の要請に合わせ、様々な施策を展開してまいりました。 その中でも、三つの優先課題の一つである「子育てするなら北区が一番」は、就任後間もない頃から、誰もが安心して子どもを産み育てることができる北区の実現を目指して掲げ続けてきたものであり、二十三区初となる子ども医療費助成制度の創設をはじめ、保育所や学童クラブの待機児童解消に向けた取組のほか、産後デイケア事業など様々な取組を推し進めてきたところです。 また、教育分野においても、教育委員会と連携し、「教育先進都市・北区」の実現に向け、歩みを進めてまいりました。子ども条例の制定については、これから始める新たな基本構想の策定に向けた議論も踏まえ、教育委員会とも連携して検討を進めてまいります。 北区に住まう全ての子どもたちが誰一人取り残されることなく、今を安心して生き、将来への夢と希望を持って健やかに育つことができる北区を区議会の皆様や区民と共につくり上げていく決意は変わりません。 以上、お答え申し上げました。 これからも区政運営に全力を傾注し、より一層、安全・安心で区民に期待される北区を目指して、創意工夫と努力を重ねてまいりたいと存じます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
◎教育長(清正浩靖教育長) 私からは、まず、新型コロナウイルス感染症対策についてのご質問のうち、小・中学校の感染対策についてお答えいたします。 初めに、夏休み期間における児童・生徒の感染者数増加についてです。 本年度に入り、児童・生徒の感染者数は、四月と五月は十人程度、六月は五人未満でしたが、七月は三十人弱と増え始め、夏休み期間中の八月には百三十人以上に急増しました。 これは新型コロナウイルスが従来株より感染力の強いデルタ株への置き換わりが急速に進み、十代以下の児童・生徒への感染が急拡大したことによるものであると理解しています。 次に、九月以降の学校運営の考え方についてです。 北区では、児童・生徒等の学びの保障と心身の健康維持を図るためには、通常どおりのカリキュラムによる授業時数の確保や給食の提供などを行って、学校等の運営を継続することが大切であると考え、夏季休業日の延長や分散登校は行わず、感染症対策を徹底した上で、夏季休業明けから通常授業を実施することといたしました。 なお、八月中の感染拡大の状況を見る限り、夏季休業期間を数日程度延長したとしても、感染状況が大きく改善することは望めず、その間の児童・生徒の居場所の確保も必要となると考えられること、また、分散登校を行った場合には、授業時数が減ることによる学習進度の遅れや、二部授業による教員の負担増、小学校における学童クラブとの接続など、様々な課題が懸念されることなどから、北区ではいずれの対応も行わないことと判断いたしました。 次に、感染を心配して登校できない児童・生徒への対応としてのオンライン授業導入の方針についてお答えいたします。 現在、感染を心配して登校できない児童・生徒に対しては、教科書やドリルなどの補助教材に加え、北区が独自に導入したeライブラリやスタディサプリ等のオンライン教材を活用し、家庭学習に取り組む単元を指示するとともに、グーグルミートや電話連絡等による児童・生徒の健康状態の確認や心のケアに努めています。 学校教育にあっては、児童・生徒の主体的、対話的で深い学びが求められており、一人一人が見通しを持って粘り強く取り組むとともに、教職員や子ども同士の対話を通して、自己の考えを広げ、深めることが大切です。 このような学習を進めるためには、オンラインで行う場合であっても、一方的な授業の配信ではなく、双方向型の対話的な学習とする必要があると考えており、既に、北区立小・中学校の中でも、取組を進めて成果を上げている学校もあります。 教育委員会としては、そのような先行事例を各校で共有し、全校で実践していけるように推進してまいります。 次に、学校全体の臨時休業や学級閉鎖をする際の判断基準です。 文部科学省では、これまで、児童・生徒の学びの保障や心身への影響等の観点から、地域一斉の臨時休業は慎重に検討する必要があり、また、学校の一部、または全部の臨時休業の要否は、学校設置者が保健所と相談して判断するとの考えを示していましたが、本年八月二十七日付で送付されたガイドラインには、初めて具体的な基準が示されました。 このガイドラインには、同一の学級において、複数の児童・生徒等の感染が判明した場合などには、学級閉鎖とする旨の考え方が示されており、これは感染者が発生した場合にあっても、可能な限り学校での授業を継続できるよう、学校内の集団の最小単位である学級を基本に考えるという点で、学びの保障に資するものと考えています。 そのため、本区においても、これまでは感染者が発生した場合には、学年閉鎖を基本に対応してまいりましたが、今般の文部科学省ガイドラインを踏まえて考え方を見直し、学級閉鎖を基本とした新たな判断基準を作成し、今月から対応しています。 なお、新たな判断基準の詳細につきましては、本定例会の所管委員会でご報告させていただきます。 次に、教職員等のワクチン接種状況とPCR検査についてです。 新型コロナウイルス感染症のワクチン接種については、体質や持病など様々な理由から、必ずしも全ての方が接種を望んでいるわけでないものと理解しています。 区立小・中学校では、週一回以上、児童・生徒と接する機会のある時間講師なども含めた教職員等の接種率は、本年八月末現在で二回終えた人が約六五%であり、一回目の接種予約を含めた割合は約七九%です。 また、保育園では、八月二十四日現在で、一回目の接種予約を含めた割合は約八六%、学童クラブ及び放課後子ども教室では、八月末現在で約八五%となっています。 このような状況において、教職員等や保育士などは、日々、児童・生徒や園児と活動を共にするため、感染の拡大防止を図るとともに、保護者等の不安を少しでも和らげることが求められています。 そのため、感染予防の効果や副反応のリスクなどを周知した上で、ワクチン接種の勧奨を行うとともに、現下の感染拡大状況を踏まえた区独自の緊急対応として、ワクチン接種が二回済んでいない教職員等や保育士などを中心に、今月と来月の二回、PCR検査を実施いたします。 また、感染者が発生した学校、保育園、学童クラブ及び放課後子ども教室では、その都度、同様の対応を行うこととしています。 なお、PCR検査実施の詳細につきましては、所管委員会で報告させていただきます。 次に、教育、子育て支援に関するご質問にお答えいたします。 まず、子どもセンターの機能強化策についてです。 教育委員会では、本年八月に、区長部局を含めた関係部課長と小学校長で構成する、放課後子ども総合プラン等検討会を設置しました。 この検討会では、放課後子ども教室と学童クラブのさらなる一体的運営とともに、今後の子どもセンター化の推進について検討することとしています。 同検討会のもとに設置する作業部会には、さらに児童館長等も加わり、平成二十六年八月に策定した子どもセンター事業計画の考え方を基本としながら、より効果的な施設運営や地域の子育て拠点としての機能強化について具体的な方策を取りまとめていく予定です。 また、サテライト方式による乳幼児クラブや出張ひろば事業、アウトリーチ型の見守り事業など、子ども家庭支援センターや保育園とさらに連携を深めた事業についても検討課題の一つとしています。 ご提案の在宅育児に対する多岐にわたる支援事業の連携や集約化、コーディネーターの配置については、子どもセンターが担うべき役割を整理する中で、同センターが実施することの効果や実現性を検討してまいります。 次に、民間団体、地域住民との連携、協働による体制づくりについてです。 地域子育て支援拠点事業は、厚生労働省の補助制度を活用して、在宅育児を支援する拠点を設置、運営する事業です。 この補助制度の活用に当たっては、社会福祉法人やNPO法人、民間事業者が自治体からの委託を受けて、拠点を運営することも認められています。 北区でも、こうした制度を活用したいというNPO法人等から既に相談を受けていますので、まずは担い手として想定されるNPO法人等の皆様と事業実施のために、区と民間団体の双方に必要となる諸条件について話合いを進めてまいります。 なお、在宅育児への支援をはじめ、子育て世代の多様なニーズに対応していくためには、こうした民間団体や地域住民の皆様との協働、連携が不可欠であるため、当該補助制度の活用に限らず、様々な手法について調査研究を重ね、実現可能と思われる事業については、実施に向けた検討を進めてまいります。 次に、在宅での子育て支援の在り方や重要性についてです。 在宅による子育ては、核家族化の進行や地域のつながりの希薄化に伴い、育児の孤立感や不安感を招きやすく、子育ての負担感も大きいと言われています。 北区としては、子ども・子育て支援計画において、子育て家庭を支援する地域づくりを施策目標に掲げて、子どもセンターや子ども家庭支援センター、保育園などで、在宅で子育てをする保護者などが孤立しないように、様々な支援を実施するとともに、交流の場づくりを推進しているところです。 また、子育て支援に当たっては、在宅による子育てと働きながらの子育てのいずれの選択をしても、子どもと子育ての当事者が行政や民間団体、地域コミュニティから十分なサポートが得られる地域づくりを目指していく必要があると認識しているところです。 今後の北区基本計画や子ども・子育て支援計画の改定に当たっては、貧困対策など必要不可欠な施策を着実に展開するとともに、在宅による育児をはじめ、様々な環境にある子育て世代へのさらなる支援の充実や新たな事業の企画、立案について検討を進めてまいります。 次に、子ども条例の制定についてです。 子ども条例や子どもの権利に関する条例は、二十三区中四区が制定しており、現在検討中の区もあると伺っています。 北区においては、児童の権利に関する条約の基本的な理念を北区教育・子ども大綱や北区子ども・子育て支援計画などに反映しています。 八月に開催した子ども・子育て会議において、東京都や他区における子ども条例制定の動向を報告したところ、各委員からは、子どもの人権をどのように守っていくかは非常に大事なことである、条例をつくったから劇的に何かが変わるわけではないがつくるプロセスに価値がある、子ども自身が自分の権利を知ることが大事である、など様々なご意見をいただきました。 今後、新たな北区基本構想の策定を契機として、教育委員会においても、教育や子育て分野の様々な計画を見直すことが想定されています。 こうした大きな節目に合わせて、区長部局とも協議した上で、また、議会にもご意見をいただきながら、条例の制定について検討を進めてまいります。 以上、お答え申し上げました。
◆二十五番(石川さえだ議員) 前向きで丁寧なご答弁をいただきました。ありがとうございます。 特に、子ども条例については、区長から力強い答弁と、教育長からのお考えをいただきました。ぜひとも、子ども条例制定に向けて、北区でも進めていっていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。 子育て支援については、今回、在宅育児支援を取り上げましたけれども、今現在子育てをしている、またはこれから子育てをする若い世代に寄り添った、そういう人たちを応援する北区であってほしいと思っております。 その他、各答弁につきましては、様々ございましたけれども、今後の決算特別委員会で会派として質問させていただきたいと思っておりますので、再質問はいたしません。 今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。 以上で質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○副議長(小田切かずのぶ議員) 十一番 坂口勝也議員。(拍手) (十一番 坂口勝也議員登壇)
◆十一番(坂口勝也議員) 質問に先立ち、七月三日の静岡県熱海市の土石流並びに八月の西日本を中心とした記録的大雨による災害でお亡くなりになられた方々のご冥福をお祈り申し上げますとともに、被害に遭われた皆様にお見舞い申し上げます。 それでは、公明党議員団を代表して、花川区長、清正教育長に大きく四点質問いたします。 初めに、新型コロナウイルス感染症対策について伺います。 昨年一月に感染が報告されてから一年八か月、その間、お亡くなりになられた方々のご冥福と、罹患された皆様、今なお後遺症で苦しんでいる方々にお見舞い申し上げます。 また、最前線で奮闘されている医療従事者をはじめ、この困難を乗り越えようとされている全ての皆様に敬意と感謝を申し上げます。 現在の新型コロナウイルス感染状況は、医療体制を逼迫し、自宅や宿泊療養者の容体急変に対応できる医療体制の確保が急務であります。 北区でも、いわゆる第五波においては、連日百人を超える感染者の方が出るなど、保健所も昼夜分かたず多大な業務にご努力いただいておりますが、感染者数の急増で陽性者等の対応も緊迫した状況が今なお続いています。 感染者の大幅な増加により、陽性になった方からは、保健所からの連絡がなかなかなく不安であったとの声もいただいており、第五波における陽性者、同居家族等濃厚接触者への対応状況と課題、また現在、宿泊療養や入院が困難な状況もあると伺っており、自宅や宿泊療養、入院の状況並び課題について伺います。 あわせて、今後、区民の命を守るために、様々な課題に対し、区としてどういった対策を行っていくのか、さらに、八月十七日には、新型コロナに感染した自宅療養中の妊婦が入院できずに自宅で出産し、新生児が亡くなった痛ましい事案があり、早急に必要な方が入院や宿泊療養できる体制整備が重要と考えます。区としての見解と、都や国の今後の対応状況について伺います。 保健所では、自宅療養者の急変を防ぐため、パルスオキシメーターを貸与いただいていますが、その貸与基準や現状、また配食の状況並びに重症化を防ぐ抗体カクテル療法が宿泊療養や外来で可能になったと伺っており、その効果と現状について伺います。 さらに、保健所の体制も逼迫している状況が続いており、人員、スペース確保のため、九月一日から王子健康支援センターの移転を行いましたが、今後、新たな変異株など拡大局面も見越したさらなる体制強化、保健所職員のリスク管理も検討しておく必要があると考えます。区の見解を伺います。 次に、ワクチン接種について伺います。 区内のワクチン接種も、医療機関、医師会の協力の下、本年五月十日、七十五歳以上の方から接種が始まり、現在は十二歳以上の全ての区民の方が対象で、未曽有のワクチン接種ということで、まさに走りながら考えるという難しい状況であったと推測しますが、今後のため、区民の皆様のためにも、以下、伺います。 一、当初、高齢者の予約において、コールセンターもつながりづらい状況で、いわゆるデジタルディバイド、インターネット予約ができない方が多くいらっしゃいました。区はどのように捉えていますでしょうか。 また、予約相談、代行は六月七日から地域振興室で始まりましたが、早期の開設が必要だったのではないでしょうか。見解をお示しください。 二、七月十二日の対象年齢四十歳から五十九歳の方の予約、七月二十六日の十二歳以上の予約については、全て短時間で予約が満杯となり、予約枠に対しての対象年齢等の絞り込みも必要ではなかったでしょうか。 さらに、八月二十八日には予約が取りやすい状況であり、今後、ワクチン接種の普及啓発が重要になってくると考えます。若者へのインセンティブも含め、区の考えをお示しください。 三、各医療機関の残余ワクチン接種については、六月八日より、区内介護事業所従事者並びに障がい事業所従事者の接種が始まり、その後、教員、保育士の方等が対象となりました。 しかし、当日では、勤務の状況もあり、難しいとの声も伺っており、区はどのように考えておりますでしょうか。また、介護、障がい従事者、教諭、保育士等の方々、インフラを担う方々については、キャンセル待ち接種でなく優先接種も必要ではなかったでしょうか。区の考えをお示しください。 四、区内六十五歳以上の高齢者で、八月二十四日時点で接種が済んでいない方は一万三千三百六十九人となっています。区では、接種済みでない方への対応も行っていただいており、状況について伺います。また、江戸川区では七月から、荒川区では八月十日から訪問接種チームをつくり、在宅要介護者など希望者を対象に巡回接種を開始しており、区においても調査の上、必要があれば訪問接種を行うべきと考えます。区の見解を伺います。 五、国よりアストラゼネカ製ワクチンの接種の意向確認があったと伺っており、品川区、武蔵野市や川口市などは接種を行いますが、区の決定について見解をお示しください。 また、今後のワクチン接種において、モデルナ製が供給された場合の対応や三回目の接種の話も出ており、来年以降の見通しと本年の総括を踏まえた接種体制を構築すべきと考えますが、いかがでしょうか。 続いて、困窮者支援について伺います。 コロナ禍で、失職や収入が減少した方々に生活福祉資金、緊急小口資金と総合支援資金の特例貸付けを行っており、延長と増額で最大二百万円まで拡充されました。両資金とも住民税非課税、課税対象基準個人百万円以下、世帯二百五十五万円以下であれば返済が免除されますが、それ以上だと減額や免除はありません。 一年半を超えるコロナ禍で、大変厳しい状況が続いており、借りた方の経済状況に応じて、返済の免除、または減額を国に要望できないでしょうか。区の見解を伺います。 次に、第五波においては、区内の小・中学校、保育園で多くのコロナウイルス感染者の報告がされており、十二歳未満はワクチン接種できない現状を踏まえ、さらなる感染対策の強化も必要と考えます。区としてどのように考えておりますでしょうか。 また、小学校の宿泊学習、中学校の修学旅行について、昨年はコロナウイルス感染拡大に伴い中止となりました。本年も、緊急事態宣言中については一旦中止と発表されましたが、保護者の方から貴重な体験となる宿泊学習を実施してほしいとの声があり、公明党議員団は自由民主党議員団と申入れを行い、教育委員会から、中止ではなく延期にして、緊急事態宣言解除後に実施するということになりました。現時点での教育委員会の見解と状況について伺います。 続いて、大きな二点目、誰一人取り残さない北区のためにから、初めに公契約条例について伺います。 今定例会において、本年第二回定例会での我が会派の提案も踏まえ、公契約条例制定に向け着手する補正予算が上程されており、公契約条例は、一般的には、適正な労働環境の確保、入札契約事務の適正化、区内事業者の受注機会の確保が言われております。 北区においては、さらに、区内に拠点を置く事業者を育成していく観点を主眼に置いた条例にすべきと考えますが、区の見解を伺います。 また、事業者にとっては、賃金に関し、書類提出に関する事務負担の増大が懸念されます。事務量の負担増大を抑制する在り方も検討すべき、さらに、中小企業者に配慮した工事金額等の適用範囲も検討すべきと考えます。区の考えをお示しください。 また、地域経済を支える事業者の安定化が図れる公契約条例にすることが重要ですが、事業者からは、公契約条例に発注者である行政と受注者である事業者の関係が対等平等であることをうたってもらいたい、年度途中における設計変更や追加工事の費用を計上してもらえないなどの事例があり柔軟な協議をお願いしたい、間接経費の算定が低く抑えられている、多くの事業者が落札しても、利益が僅かであり、時として赤字覚悟で落札する場合があるなどの声を伺っており、公契約制度制定に関して、入札・契約制度の問題点を明らかにし、改善に向け一致点を見いだしていただきたいと考えます。区の見解を伺います。 次に、パートナーシップ認証制度について伺います。 今定例会において、我が会派が求めてきたパートナーシップ認証制度の策定に向けた補正予算も上程されており、導入自治体では、公正証書の提出を求める自治体もあり、金銭負担も発生するため、宣誓方式で行うべき、また、届出についてはプライバシーに配慮し、さらに多くの自治体で、受理証明書、携帯用カードに通称名を使用することができますが、区の考えを併せて伺います。 宣誓した方が受けられた民間サービスは、パートナーが家族として認められ、面会や手術の際の同意の機会が得られた、自動車保険で家族として認められた、パートナーが生命保険の受取人になれた等の声があります。 今後、区において宣誓した場合、利用できる公的サービスは何が考えられるでしょうか。また、制度開始とともにサービスも開始すべき、特に公営住宅への入居を可能とする自治体も増加してきており、北区も区営住宅の入居も検討すべきと考えます。 さらに、パートナーシップ認証制度の区民への周知、理解が重要ですが、併せて区の見解を伺います。 水害対策について伺います。 今夏も、八月の記録的大雨により、西日本各地に甚大な水害、土砂災害の被害が起こり、北区においても、一昨年の台風十九号においては、岩淵水門(上)水位観測所で戦後三番目となる最高水位となり、荒川も避難判断水位A.P.プラス六・五〇メートルを超え、あと少しで氾濫危険水位A.P.プラス七・七〇メートルまで到達するという切迫した状況になりました。区においても、その教訓を生かし、様々に検討いただいており、以下、質問をいたします。 一、本年五月、災害対策基本法改正により、避難情報が大幅に改定され、区において、今後の避難情報の発出時に、どのような変化、影響があると考えておりますでしょうか。また、変更の意味合いも含め、区民の皆様に周知すべき、さらに、高齢者等避難については、河川の氾濫が懸念される場合、早期に発出すべきと考えます。区の見解を伺います。 二、一昨年の台風十九号の際には、様々な情報により混乱した場面もあり、区は正確な情報を区民に周知する義務があります。防災行政無線は、避難情報を広く区民に伝えられるツールでありますが、豪雨や気密性が高い住宅の増加等により、放送内容が聞き取りにくい状況になります。 そこで、他の多くの自治体では、防災行政無線の内容をリアルタイムで転送できるメール配信やホームページへの転送も行っており、区においても導入すべきと考えますが、いかがでしょうか。 また区では、本年三月より荒川が氾濫した場合に何メートルまで浸水するという浸水深表示シールを低地部の区施設に掲示いただいておりますが、浸水危険地域では、よりリアリティな表示、表現が求められ、一人一人の水害対策の具体的な行動、マイ・タイムラインの行動を促すことが求められているのではないでしょうか。 その上で、浸水深表示シールに、国の荒川3D洪水ハザードマップのQRコード添付や水害の発生に備えて事前に作成しておく避難行動計画であるマイ・タイムラインを早期に推進すべきと考えます。区の見解を伺います。 三、避難情報、警戒レベル三の高齢者等避難への変更もあり、要配慮者の自力では避難できない方への具体的な支援がより重要だと考えます。 現在区では、令和四年度に北区大規模水害避難行動支援計画の策定を予定しており、内容についてお示しください。 また、一昨年の台風十九号では、埼玉県加須市では、市が用意したバス十台、延べ十五回輸送で広域避難場所へ九千人が避難、茨城県境町では、バス会社と協定を結び、公用車とバスで輸送をしております。 区においても、自力で避難できない要配慮者の公用車やバス等を利用した避難支援も行うべきではないでしょうか。また、低地にある高齢者福祉施設等など避難の在り方の検討も重要だと考えます。併せて、区の見解を伺います。 四、台風十九号の際、荒川下流域の洪水被害防止に貢献したとされるのは、埼玉県にある荒川第一調節池で、過去最大の約三千五百万立方メートルを貯留し、我が党の岡本みつなり衆議院議員は、さらなる安全対策として、荒川第一調節池に渇水のためにためている水を大雨の際、事前に放流できるよう国会で提案し、本年二月から新たに最大二百五十九万トンの洪水をためられる運用が開始したと伺っております。 北区議会においても、国に対して、令和二年第一回定例会において、荒川第二、三調節池の早期完成と、完成前においても早期運用の意見書を提出しており、段階的運用が具体化したとのことで、内容についてお示しください。 また、区内の堤防決壊の危険な箇所と言われるJR東北本線荒川橋梁部分のかさ上げ工事の進捗状況について伺います。 次に、通学路の安全確保について伺います。 本年六月二十八日、千葉県八街市で下校途中の小学生の列にトラックが突っ込み、男女五人が死傷した大変痛ましい事故がありました。 岡本みつなり衆議院議員は、北区議会自由民主党議員団と共同で、七月十九日、花川区長に、通学路の交通安全確保に向けた着実かつ効果的な取組の推進を求める要望を行い、その中で、教育委員会、学校、PTA、土木部、警察署による合同点検の実施等を求めておりますが、現在の実施状況について伺います。 また、区内小学校校門前道路で何らかの理由で、いまだスクールゾーンになっていない箇所もあり、再度確認を行うべきと考えます。区の見解をお示しください。 続いて、三歳児の目の屈折検査について伺います。 屈折検査は専用機器で遠視や乱視などの程度、斜視の有無も確認することができ、簡単な検査で弱視のリスクが判定できます。厚生労働省は二〇一七年、三歳児健診で視力検査が適切に実施されるよう、都道府県などに対して文書で連絡、それによると、子どもの目の機能は六歳までに完成するため、三歳児健診で異常を見逃してしまうと視力を回復できないことがあると言い、これに対し、三歳児健診で弱視を発見できれば、矯正眼鏡などの方法で就学までに治癒することが期待できます。 弱視は、子ども五十人に一人いるとされ、三歳児健診で屈折検査を行う市町村は三割程度にとどまっています。 そこで伺います。国は来年度、三歳児で屈折検査を受けられるよう専用機器の購入費を補助するとのことで、区においても、ぜひ三歳児の屈折検査を導入すべきと考えますが、いかがでしょうか。 次に、人工呼吸器の在宅使用者向け非常用電源について伺います。 常時、人工呼吸器を使用している在宅の障がい児・者や難病患者等の方は、災害等による長時間の停電発生時に発電機があるかどうかで命の危機に直面いたします。近年の台風、大雨等により、非常用電源の購入費を補助する自治体が増えてきております。埼玉県鴻巣市では、本年度より、障がい者の日常生活用具の購入を補助する制度の対象品目に人工呼吸器用の自家発電機、外部バッテリーを追加、一台当たり十万円を上限に九割を補助しています。 足立区でも、昨年度から補助事業を開始しており、そこで伺います。区内医療的ケアのお子さんをお持ちの保護者の方からも、非常用電源装置の購入費の補助を、との声も伺っており、ぜひ区においても補助事業を行うべきと考えます。区の見解を伺います。 最後に、高齢者の方等の住宅確保の支援について伺います。 公明党議員団として、他区で行っているような民間の居住支援法人と協定を結んで、見守りサービスや家財整理など、貸主さんの不安を払拭できるようにすべきと提案してまいりましたが、本年六月に協定を締結していただいたと伺っており、内容について伺います。 また、本年より、区において、居住支援法人が行う高齢者等の見守り・補償サービスの一部を助成する事業が開始されると伺っており、併せてお答えください。 平成二十九年十月の改正住宅セーフティネット法の施行に伴い、高齢者、障がい者や子育て世帯等入居を拒まない賃貸住宅の登録制度と改修費や家賃の低廉化等の補助を受けられる住宅確保要配慮者専用住宅の登録制度が始まりました。 区において、なかなか登録が進んでいない現状も伺っており、ぜひ、住宅確保要配慮者のためにも、登録数を増やしていただきたいと考えますが、登録数と登録を増やしていくための課題、今後の区の取組について伺います。 さらに、国において、令和四年度より、セーフティ住宅登録制度のスキームを活用したUR賃貸住宅に長年住み続けた高齢者の家賃減免制度が始まると伺っており、具体的には、北区において、UR賃貸住宅を家賃補助つきのセーフティネット住宅に位置づけた上で、国と地方公共団体による経済的支援を行うというもので、ぜひ北区においても、高齢者の居住安定のためにも、UR賃貸住宅の高齢者家賃減免制度を導入すべきと考えます。区の見解を伺います。 大きな三点目、北区におけるデジタルトランスフォーメーション推進について伺います。 デジタルトランスフォーメーションとは、ICT、情報通信技術の浸透が人々のあらゆる面でよりよい方向に変化させることの意味で、本年五月十二日、国において内閣直属のデジタル庁を九月一日に新設することを柱とするデジタル改革関連六法が成立しました。 北区においても昨年度、情報政策課にICT戦略担当を設け、AI、人工知能等先端技術を活用した取組を推進していただいており、介護保険業務でRPA、パソコンによる定型作業を自動化するソフトウエアシステムを活用した業務を開始するとのことで、内容と進捗状況について伺います。 愛知県豊橋市では、ケアマネジャーの負担軽減と介護サービスの適正化に寄与するAIを活用したケアプラン作成を二〇二〇年度から本格運用しています。AI活用のケアプラン作成の手順は、まず、ケアマネが介護認定調査項目七十四項目と主治医意見書の内容を入力し、AIは蓄積されている過去のビッグデータに基づきプランを提示。ケアマネは自身が訪問調査した利用者の現状や要望などを踏まえて、AIプランを修正し、最適なプランを提案できるというものです。 さらに、今年度より介護報酬改定でケアマネジャーがAIを活用したケアプランを作成した場合、より多くの在宅サービス利用者を扱えることになっています。区においても、ケアマネの負担軽減や人材確保の観点からも、AIを活用したケアプラン作成に取り組むべきと考えます。区の見解を伺います。 成立したデジタル改革関連六法のデジタル社会形成整備法では、マイナンバーカードの利便性の向上、普及促進及びオンライン手続の推進等がうたわれており、北区においても、マイナンバーを利用した子育てに関する電子申請も行っていただいており、そこで伺います。 申請内容の現状と電子申請を今後さらに拡大すべき、また、埼玉県白岡市では、マイナンバーカードを利用し、スマートフォンから住民票の写しの請求や転出の届出ができるサービスを始めましたが、区民の利便性向上のためにも、区も取り組んではいかがでしょうか。併せて伺います。 本年三月以降、北区でも一部医療機関でマイナンバーカードが健康保険証として利用できるようになり、十月からは本格運用の予定となっています。転居しても健康保険証として引き続き利用でき、マイナポータルで特定健診情報や薬剤情報、医療費が見られ、確定申告の医療費控除ができるようになります。 また、さきのデジタル社会形成整備法において、今後、スマートフォンにマイナンバーカードを搭載できるようになり、さらなる利便性の向上が期待されます。 そこで、区民の皆様へマイナンバーカードの健康保険証として利用できるメリットを含め、さらなる周知徹底を求めますが、見解を伺います。 成立したデジタル改革関連六法の地方公共団体情報システムの標準化に関する法律では、今まで統一されていなかった住民基本台帳や選挙人名簿の管理、年金や介護など十七業務について、地方自治体の情報システムを二〇二五年度末までに統一する目標を掲げています。 区にとっても大変重要で、大きな改革になると考えますが、北区のデジタルトランスフォーメーション推進とともに、デジタル庁のような区長部局直属の専管組織をつくり、取り組んでいく必要がある、また、CDO、最高デジタル責任者などの外部人材登用も検討すべきと考えます。区の見解をお示しください。 最後に、大きな四点目、希望と感動の東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックを終えてについて伺います。 七月二十三日に開幕した第三十二回オリンピック競技大会、八月二十四日に開幕した東京二〇二〇パラリンピック競技大会は、アスリートの熱い戦いが日本と世界に感動を与えました。 さらに、北区ゆかりのアスリートの活躍や北区で事前キャンプを実施したハンガリー柔道協会とフェンシング連盟の選手の方々もメダルを獲得するなど、大変喜ばしいものでした。 そこで伺います。ハンガリー柔道協会とフェンシング連盟の皆様と、当初予定していた区民との交流ができず、大変に残念でありましたが、その中でも、志茂子ども交流館での子どもたちとの交流や、北とぴあでの報告会など、大変有意義であったと考えます。 平成三十年から続いたハンガリーとの交流をぜひ何らかの形で継続すべきと考えますが、区の見解を伺います。 今回の東京オリンピックでは、スケートボードや空手、スポーツクライミング、サーフィンの四競技十六種目の新競技も追加になり、特にスケートボードでは、十三歳の日本選手が日本史上最年少金メダルを取るなど、五つのメダルを獲得する快挙を成し遂げています。 そこで伺います。我が会派として、区民の方からの声をもとに、以前から要望しておりますスケートパーク場や、今回、オリンピックの新種目となったバスケットボールの3x3などの場所を区内に整備できないでしょうか。 今回の東京オリンピック・パラリンピックは、味の素ナショナルトレーニングセンターを擁する「トップアスリートのまち・北区」にとって大変意義ある大会であったと考えます。 今回の歴史を後世に伝えるため、また、北区の魅力を内外に発信するためにも、レガシーとしての東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック記念施設を東京都や国と連携して整備できないでしょうか。区の考えをお示しください。 以上で質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。(拍手) (花川與惣太区長登壇)
◎区長(花川與惣太区長) ただいま公明党議員団を代表して、坂口勝也議員から、新型コロナウイルス感染症対策をはじめ、誰一人取り残さない北区のためにや、デジタルトランスフォーメーション推進について、さらには、希望と感動の東京オリンピック・パラリンピックを終えてまで、幅広く多岐にわたり、大変具体的なご意見、ご提言を頂戴いたしました。誠にありがとうございました。 それでは、順次お答えをさせていただきます。 初めに新型コロナウイルス感染症対策について、順次お答えします。 まず、区の現状と課題のうち、陽性者等への対応と療養、入院の状況についてです。 いわゆる第五波は、六月上旬から始まり、従来の第一波から第四波に比べて急激な増加となり、八月第三週には、区内の週間の新規発生患者数が過去最大の九百五十八人となりました。第五波の特徴は、ワクチンやPCR検査により、高齢者の感染、死亡、高齢者施設や医療機関でのクラスターが減った一方で、ピーク時の新発生患者数の多さ、そこに至る増加スピードの速さ、子どもの感染の増加、四十代や五十代での重篤な患者の増加などがあります。 その結果、入院医療や宿泊療養施設が逼迫し、自宅で待機、または療養をせざるを得ない患者が増加しました。 北区保健所では、これらの陽性者及び同居家族への自宅療養支援等を精力的に実施いたしましたが、急激な患者数の増加には十分に対応できず、一時的にではありますが、重症患者への対応を優先した結果、軽症の自宅療養者への連絡に数日間の遅延が生じました。こうした遅延は、全庁的な応援体制等により、現在は解消されており、新発生の患者については、医師からの発生届の受理から、一両日中に保健所から連絡できています。 入院や宿泊療養の現状については、重症患者の入院、転院は引き続き逼迫した状態にあり、妊娠、透析、認知症、障害の合併患者等の場合には、入院調整に数日を要することもありますが、中等症患者については、届出当日か翌日には入院できる状況にあります。また、宿泊療養の対象者も、届出翌日までには処遇されています。 現在の課題としては、新発生患者数が引き続き高い水準にあるため、自宅療養となっている患者が急速に重篤となる場合に備えた自宅療養者への支援体制の強化が優先課題となっています。 次に、早急に必要な方が入院や宿泊療養できる体制についてです。 新型コロナウイルス感染症は、軽症と思われていた方が急に悪化することがあるため、透析患者など、早急に入院医療が必要な方が速やかに入院できる体制をあらかじめ確保することが大切です。 このため、国や東京都は、広域的な観点からの病床確保や入院待機ステーションの設置などの取組を進めているところです。 区としましては、こうした患者さんの急変を早期に発見し、迅速に対応できるよう、訪問看護や訪問診療の体制の充実に取り組んでまいります。 また、新型コロナウイルスに感染した妊婦につきましては、妊娠へのリスクがあることから、要入院患者として、東京都の入院調整を依頼しています。 しかし、多くの入院待機者が発生した時期は、妊婦であっても、自宅療養を余儀なくされるケースがあり、不安を抱える妊婦への療養支援の必要性や、急変時の分娩受入れ体制の確保が課題となりました。 そうした中、区では、八月下旬から実施している訪問看護師による自宅療養者の健康観察の対象とし、妊婦の療養支援を行っています。 一方で、先日開催された城北ブロック周産期連携会議における協議においても、かかりつけ産婦人科医による頻回な遠隔診療を行うこととなり、また、区内医療機関における正期産の分娩が可能となりました。 さらに、緊急に母体救命処置が必要な妊産婦を必ず受け入れる、いわゆるスーパー総合周産期センターの運用により、専用分娩室等が確保されるなど、新型コロナウイルスに感染した妊婦への強力な療養支援体制が確保されたところです。 今後も、不安を抱える妊婦に寄り添い、安全・安心に療養できる体制確保に努めてまいります。 次に、パルスオキシメーターの貸与についてです。 パルスオキシメーターは血中酸素濃度等から判定された重症度、重症化するリスクの有無、本人の希望などを基準に貸与しており、九月八日現在で、三百六十九台が貸出し中です。 また、配食サービスについては、本人の希望に基づき、一般的な食品については、東京都のフォローアップセンターが配給し、北区保健所は宗教食等の特殊な食品について配給するなど連携して実施しており、保健所からは、一回当たり七食分を単位として、同日現在で百六十一人に配付いたしました。 今後とも、様々な方法で自宅療養者への支援の充実に努めてまいります。 次に、抗体カクテル療法の効果と現状についてです。 抗体カクテル療法については、重症化リスクのある軽症患者に重症化を防止する効果があるとされています。区内のコロナ病床を有する四つの医療機関においては、既に自院の入院患者等への投与が始められています。 区としましては、自宅療養者の安全・安心な療養体制を確保する観点から、重症化リスクのある自宅療養者が、症状が発現してから速やかに投与される仕組みを北区医師会及びコロナ病床を有する医療機関と検討中であり、今週には、病診連携による北区版の体制を開始する予定です。 次に、保健所の体制強化やリスク管理についてお答えいたします。 区は、これまでも新型コロナウイルス感染症の発生動向に応じて、保健師をはじめ、衛生監視員や事務職など全庁的な応援により、体制強化を図るとともに、事務スペースの確保に努めてまいりました。 感染症の発生動向やリスク管理の観点も含め、保健所の体制整備が重要と認識していることから、引き続き、感染拡大の局面に対応できる体制を確保してまいります。 次に、ワクチン接種について、順次お答えいたします。 まず、当初の高齢者のワクチン予約についてです。 高齢者のワクチン接種の予約は五月六日に開始しましたが、コールセンターにつながりづらい状況が続く中で、インターネットでの予約もできない方が多くいたことはご指摘のとおりです。 区では、高齢者の優先予約期間を予約開始日から七月上旬とし、接種を希望する方は、優先予約の期間内にはおおむね予約ができるものと見込んでいましたが、電話がつながらず、インターネットも使えないことから、予約ができていない方がいるとの声が区に寄せられました。 これを受けて、区では六月初旬に、高齢者あんしんセンターの職員等が地域振興室等において、高齢者を対象とした予約代行などの支援を行いました。区といたしましては、できる限り速やかな対応をしたところですが、接種を希望しながらも、インターネットに不慣れであるなど、お一人では予約ができずにいる方を支援するため、今後の予約開始日に合わせて、北とぴあ、滝野川会館、赤羽会館の三か所で予約代行などの支援を実施します。 次に、新型コロナウイルス感染症対策のうち、ワクチン接種についてお答えいたします。 まず、これまでの予約開始時における対象年齢等の絞り込みの必要性についてです。 当初の計画では、重症化リスクの高い年代から段階的に予約を受け付ける方法を予定しておりました。しかしながら、国の大規模接種会場での接種及び職域接種が年齢の制限なく開始されたことから、中途から全年代を対象とすることといたしました。 一方、最新の予約開始日の状況では、予約が埋まるまで一定の時間を要するようになっているため、今後、希望者が減少する状況も予想されます。 そのため、ご指摘の若者を含め、未接種の区民にできる限りの方法で接種の有効性について周知を図り、一層の勧奨に努めることといたします。 次に、アストラゼネカやモデルナの活用についてです。 これまで、アストラゼネカは八月初旬、モデルナは八月十九日に国から最初の意向調査がありました。北区は、これまでの供給状況から、ワクチン種別にかかわらず、区市町村へ供給されるワクチンの総量はほぼ同じとなっていることから、申込みを控えてきました。 一方で、ファイザー社製ワクチンの供給量の見通しが明らかとなったため、今後は国からの意向調査が示されれば、他のワクチンによる増強についても前向きに検討してまいります。 次に、これまでの接種体制の総括と来年以降の見通しについてです。 北区は区民の安全・安心を確保するため、全てのワクチン接種を医療機関で行い、多くの医療機関の協力により、国が目標とした全国で一日百万回接種を上回る接種体制を構築し、七月には希望する高齢者への接種をほぼ達成することができました。 一方で、ワクチン供給量が当初の予想を下回ったため、現在は、ワクチン供給量に合わせて、接種体制を再構築している状況で、東京都が試算した職域接種における北区民への接種推計量と合わせると、十月中には対象となる区民の八割が接種できるワクチンが供給される見込みです。 今後とも、国及び東京都にワクチン供給の促進を要請し、十一月までの希望する全ての区民への接種完了に向けて取り組んでまいります。 さらに、今後の予約開始日に合わせて、北とぴあ、滝野川会館、赤羽会館の三か所で予約支援を実施し、リスクの高い方にも迅速に予約を確保していただくことを支援いたします。 また、今後はさらなるワクチンの確保を図りながら、接種方法の工夫や充実に努め、希望する全ての区民が接種できるように取り組んでまいります。 また、来年以降の見通しについては、ワクチン種類の拡充、未接種者への勧奨や追加接種等の予想される課題について、医師会や医療機関との連携により、引き続き、全力を挙げて対応してまいりたいと考えています。 次に、区内接種施設で生じた残余ワクチンを区内の介護・障害福祉サービス事業所の従事者や保育士などへ接種してきたことについてです。 残余ワクチンは、接種予約者の急なキャンセルにより発生することから、接種を希望する事業所では、勤務体制から当日の対応は困難との声もありますが、残余ワクチンを無駄にしないという趣旨をご理解いただけるよう、丁寧な説明に努めています。 なお、残余ワクチンの有効利用及び様々な接種機会の確保を進めたことにより、接種の対象としてきた従事者については、希望する方への接種がおおむね完了している状況です。 引き続き、限られたワクチンを無駄にすることなく、公平公正な接種に努めてまいります。 次に、在宅要介護者の訪問接種についてです。 接種施設に行くことができない方の対応については、北区医師会と協議し、区内の訪問診療を行う医療機関に訪問診療時に接種を行っていただいております。 また、接種施設に行くことのできない在宅療養者から相談を受けた際には、北区医師会の協力により、往診接種を行う体制が確保されております。 次に、困窮者支援についてお答えいたします。 社会福祉協議会が実施している緊急小口資金や総合支援資金といった、コロナ禍での特例貸付けに関しては、現在も国において、感染症の影響や特例貸付けの動向等を踏まえて検討が行われており、先般も、申請受付期間が八月末から十一月末まで延長されたところです。 また、返済についても、返済が始まるまでの期間が令和四年三月末まで延長されるとともに、免除に関しては、世帯員のうち、借受人と世帯主の住民税が非課税であれば対象とされました。 国においては、適宜必要な措置が講じられていると認識しており、今後も国の動向を注視するとともに、感染拡大による影響への対応について必要な事項は、区長会等を通じ、国や東京都に要望してまいります。 次に、誰一人取り残さない北区のためにのご質問のうち、公契約条例に関して、順次お答えをいたします。 初めに、条例は区内事業者育成の観点を主眼に、とのご質問です。 区は、これまでも、区の公共工事や物品購入に当たり、公正性、経済性の確保を前提としつつ、区内業者優先の方針に基づき、地域維持の担い手である区内業者への発注を拡大してまいりましたが、これは区内事業者育成の考え方に基づくものです。 公契約条例の目的の一つである地域産業の活性化を果たすためには、区内事業者の育成が不可欠であることから、条例制定に当たっては十分検討をしてまいります。 次に、条例の制定に当たって解決すべき課題についてのご質問です。 まず、事務量の負担増大を抑制する方法の検討です。 先行各区の状況を調査いたしますと、賃金の台帳を作成し、契約当初及び一定の期間ごとに提出を求める方式と、区の定めた労働条件等の遵守に関するチェックシートの提出を契約時に求める方式の二つに大別することができると認識しております。 いずれの方式も同程度の効果を期待できると考えておりますが、各区の状況を参考に、事業者の方々の事務の負担も考慮しながら検討してまいります。 また、中小事業者に配慮した工事金額の適用範囲の検討についても、一定程度の金額以上の案件とし、受注者に求める提出書類と同様、各区の状況を参考に、事業者の方々の事務の負担も考慮しながら検討してまいります。 次に、入札・契約制度の課題解決についてです。 工事における設計変更が生じた場合には、必要に応じて、契約金額または工期の変更を適切に実施してまいります。また、最新の実勢価格を適正に反映した積算に努めてまいります。 契約の発注者である区と受注者である事業者とは、もとより対等であるとの考えに基づき、今後とも、事業者団体の声を大切にしながら、入札・契約制度の改善に取り組んでまいります。 次に、パートナーシップ宣誓制度についてです。 区では、第六次アゼリアプランに基づき、性的少数者の人権と生活向上を目指し、取組を進めてまいりました。 このたび、性的少数者の人権尊重に関する施策の一つとして、パートナーシップ宣誓制度の導入について、具体的な検討を開始することといたしました。 現時点の検討案といたしましては、まず、宣誓の際に提出していただく書類につきましては、費用負担にも考慮し、公正証書の提出は求めない考えであります。また、届出に際しては、個室を用意するなど、プライバシーに配慮してまいります。 なお、通称名の使用など詳細につきましては、当事者のご意見なども踏まえて、今後検討してまいります。 宣誓した場合に利用できる公的サービスについて、現時点で確実に予定されているものはありませんが、制度の開始に向けて、公的機関に対し、制度の趣旨を十分に説明し、理解を求めてまいります。 区営住宅の入居につきましても、使用者の資格要件に関する条例改正を視野に、運用上の課題整理を含め、様々な角度から検討してまいります。 また、パートナーシップ宣誓制度の開始に合わせて、制度の周知はもちろん、区民の皆様に対して、性的少数者についての理解促進に取り組んでまいります。 次に、水害対策に関するご質問にお答えいたします。 初めに、避難情報についてです。 本年五月の災害対策基本法改正の大きなポイントは、警戒レベル四に対応した避難情報について、避難勧告が廃止され、避難指示に一本化されたことと考えております。 区としましては、今回の改正により、避難情報の曖昧さが解消され、区民の方々に避難のタイミングと災害の発生リスクが高まっている状況を分かりやすく伝達することができるようになったと捉えております。 法改正の内容については、北区ニュース、ホームページによる広報に加え、町会・自治会の掲示板にチラシの掲出等を行っているところですが、今後も防災訓練や防災に関する講話を行う際など、機会を捉え、適宜周知に努めてまいります。 また、水害では、河川の氾濫と土砂災害の発生が住民の方々に大きな被害をもたらすと考えておりますが、いずれも発生が懸念される場合には、空振りを恐れず、早い段階で高齢者等避難などの避難情報を発令するように取り組んでまいります。 次に、情報発信等についてです。 まず、防災行政無線の内容をホームページやメールに自動的に取り込むシステムの導入についてです。 現在、北区における防災行政無線、ホームページ、メールマガジンについては、それぞれ個別の作業を行い、情報を発信しています。 また、ホームページやメールマガジンでは、防災行政無線よりも詳しい内容での発信を行う機会が多くあります。 そのため、ご提案のシステムを導入した際には、無線の内容をそのまま発信した後に、区民の方には、同じような内容の情報を続けて発信する場合が生じるといった課題もあると捉えております。 しかしながら、一つの作業により、同時に複数の形態での情報発信を可能にする取組は、緊急時において効果が期待できることから、区といたしましては、今後、先行自治体へのヒアリングを行うなど、研究を進めてまいりたいと考えています。 次に、浸水深表示シールへの荒川3D洪水ハザードマップのQRコードの添付につきましては、お住まいの方々が水害発生時の被害について、実感を持ってご理解いただける有効な手法と認識しております。 しかしながら、浸水深表示シールの地点ごとに異なるQRコードを作成し、添付する必要があること等から、今後の研究課題とさせていただきます。 マイ・タイムラインにつきましては、今年度、区では作成支援講座の開催回数を増やす計画としており、新型コロナウイルスの感染状況を注視しながら、積極的に取組を推進してまいります。 次に、要配慮者等への避難支援についてです。 北区では、このたび、令和四年十月の策定を目指し、北区大規模水害避難行動支援計画の策定に着手したところです。本年七月開催の所管委員会で報告を行ったとおり、本計画は、荒川等の氾濫を伴う大規模水害発生のおそれがある場合において、低地部から高台へ自力での避難が難しい要配慮者等の逃げ遅れゼロの実現を目指すことを目的に策定するものです。 内容といたしましては、共助、公助の支援方針を整理し、類型化した要配慮者ごとに適した支援者とのマッチングについての考え方を示すほか、個別避難計画の策定方針と活用策、要配慮者に適した避難施設の在り方などを盛り込んでいく予定です。 さらに、要配慮者が利用する福祉施設等における避難に当たっての課題等を整理し、どのような避難確保計画を策定したらよいかといった点についても検討を行うこととしております。 次に、要配慮者の避難支援のために、バス等車両を活用することは、区としては必要な取組と考えております。コロナ禍の影響のため、実施には至っておりませんが、災害時における緊急輸送協力に関する協定を締結している区内のタクシー、バス事業者との訓練等を通じて、実際に大規模水害発生のおそれが生じた際には、適切な支援を行うことができるよう取組を進めてまいります。 次に、荒川下流域の洪水被害防止のうち、荒川第二、第三調節池についてです。 荒川流域は、都内の沿川人口密度が全国一級水系中、最も高く、大規模氾濫が発生した場合には、短時間で広範囲の人口集中地域が浸水するとともに、多数の家屋倒壊等の被害、ライフラインの長期停止、さらには経済活動への波及的影響も懸念されています。 国では、荒川流域の治水安全度向上を図るため、抜本的な対策として、総容量約五千百万立方メートルの調節池の整備を進めており、令和八年の出水期までに、荒川第二調節池下流部の囲繞堤、仕切堤、排水門、池内水路を整備し、既存の横堤を活用することで、段階的な効果の発現を目指しており、これにより、約一千二百万立方メートルの洪水調節容量を確保することが可能となると聞いております。 次に、JR東北本線荒川橋梁部の堤防かさ上げ工事についてです。 現在、国において、荒川水系河川整備計画に基づき、戦後最大洪水であるカスリーン台風と同規模の洪水等が発生しても、災害の発生を防止、または軽減を図ることを目標として、堤防整備等の整備を実施しております。 JR東北本線荒川橋梁部の堤防については、本年五月にかさ上げ部の地盤改良が完了し、七月末には周辺堤防と同程度の高さを確保したと聞いております。 今後、令和三年度末の完成を目指し、のり面のブロック張りや階段等を整備すると聞いており、区としても、河川管理者、東京都、沿川区等で構成される荒川水系大規模氾濫に関する減災対策協議会等において、取組の方針、状況等を共有し、減災対策に取り組んでまいります。 次に、屈折検査についてです。 北区の三歳児健診における視覚検査では、絵の指標を用いて、保護者が視力検査を行い、その結果に基づき、医療機関での精密検査の必要性を判断しています。 三歳児健診で視覚検査の一環として、屈折検査を行うことは、弱視のリスクを判定し、視覚異常を早期に発見することで治療につなげることができる有効な手段であると認識しています。 国では、屈折検査を三歳児健診に導入するよう全国の市区町村に促す方針を固め、検査機器を購入する市区町村への補助制度を創設すると聞いていますが、実施に向けては、検査に当たる人員や場所の確保、医師会をはじめとする関係各所との調整が必要になります。 今後、国の動向を見据えるとともに、他区の状況も参考にしながら検討してまいります。 次に、人工呼吸器の在宅使用者向け非常用電源についてお答えいたします。 在宅人工呼吸器使用者にとって、長時間の電源喪失は命の危険に直結するものであり、区としても、停電時の電源確保は重要であると認識しています。 ご案内のあった足立区は、障害者総合支援法に基づく日常生活用具購入費助成の対象品目に、人工呼吸器用の自家発電機や蓄電池等を追加し、非常用電源の確保を支援しています。 また、東京都の在宅人工呼吸器使用者療養支援事業においても、自家発電機の購入費の助成をしていますが、対象品目への蓄電池の追加が検討されていると聞いています。 区といたしましては、東京都の検討状況、他区の実施状況も見ながら、日常生活用具購入費助成の対象品目の拡充など、在宅人工呼吸器使用者の非常用電源確保に係る支援について検討してまいります。 次に、高齢者等の住宅確保についてお答えいたします。 初めに、居住支援法人との協定と高齢者の見守り・補償サービスの一部を助成する事業の内容についてです。 本協定は、住宅確保要配慮者の居住支援に係る各種事業の実施及び普及促進や情報共有などにおいて、区と関係団体が連携して取り組むことにより、居住支援に関する課題の解決を図ることを目的としています。 協定の相手先は、東京都宅地建物取引業協会北区支部及び全日本不動産協会東京都本部城北支部並びに東京都が指定した居住支援法人のホームネット株式会社で、本年六月二十八日に締結しました。 また、本協定に基づく連携の一環として、本年八月から、高齢者の見守り・補償サービスの一部を助成する事業を開始いたしました。 住宅確保要配慮者の入居後の孤独死や遺品整理等に対する賃貸人の不安や懸念を軽減し、円滑な入居を推進するため、見守り機器設置契約時の初回登録料の一部を区が賃貸人に対して助成するものです。 次に、住宅確保要配慮者専用住宅の登録数を増やしていくための課題と区の今後の取組についてです。 区においては、住宅確保要配慮者専用住宅の登録がなく、東京都全体でも約六百戸と実績が上がらない現状にあります。 その要因として、不動産業界からは、住宅確保要配慮者以外への広告、媒介ができなくなることや、家賃低廉化補助の条件となっている礼金、更新料等の徴収禁止の規定などが商機の制限や収入低下につながるおそれがあるとの意見が出ているところです。 区としましては、これまでも、住宅確保要配慮者専用住宅の登録数を増やしていくため、特別区住宅担当課長会などを通して、制度の要件緩和と補助の拡充などを国に要望してまいりました。引き続き、効果的な支援を行うよう要望してまいります。 次に、UR賃貸住宅における高齢者家賃減免制度を導入すべきと考えるが、区の見解をとのご質問にお答えいたします。 国の令和四年度の予算概算における要求概要では、UR賃貸住宅について、家賃の入居者負担軽減に対する支援を強化すると示されています。 区としましては、高齢者の居住安定の一環として、UR賃貸住宅における高齢者家賃減免制度の導入など、住み慣れた場所で安心して生活を続けることができるよう、今後の国及び東京都並びにUR都市機構の動向を注視し、適切に対応してまいりたいと考えています。 次に、デジタルトランスフォーメーション推進についてお答えいたします。 初めに、介護保険におけるRPAシステムを活用した業務についてです。 区では、要介護認定や高額介護サービス費などの申請書に記載された内容を
介護保険システムへ登録する事務にRPAシステムを導入し、試験的な運用を行ってきましたが、
介護保険システムとのデータ連携や、帳票の読み取り精度に課題があります。 RPAは定型的な事務の省力化を図る上で有効なツールと捉えており、本格運用に向け、課題解決に取り組んでまいります。 次に、AIを活用したケアプランの作成についてです。 国の調査研究事業では、ケアマネジメント業務におけるAIの活用は、業務効率化などに一定の効果が得られたとしています。一方で、AIによるケアプランは、過去の事例のデータなどに基づき提案が行われるため、実情にそぐわないプランが提案されるケースがあると指摘されています。 国はこの点を今後の課題としていますが、ケアプラン作成へのAIの活用は推進することとし、現在、民間事業者によるシステム開発も進められています。 区としましては、国の動向や民間事業者によるシステム開発状況等を注視するとともに、先行自治体における導入の効果や課題など、情報収集に努めてまいります。 次に、マイナンバーカードを利用した電子申請の内容と今後の拡大について、さらに、区民の利便性向上のための区の取組についてです。 北区におけるマイナンバーカードを利用した電子申請は、マイナポータルのぴったりサービスにおいて、児童手当等の現況届や、児童手当等の額の改定の請求及び届出など子育てに関する十三件の手続が利用できます。 令和二年度においては、九十六件の申請を受け付けました。また、特別定額給付金の申請については、一万八百六十二件受け付けました。 北区では、マイナンバーカードの機能の一つであるマイナポータルを行政手続のワンストップサービスに活用することを掲げており、また、昨年十二月、国が策定した自治体デジタルトランスフォーメーション推進計画の重点取組事項として、自治体の行政手続のオンライン化も示されています。 こうした状況を踏まえながら、電子申請メニューの拡大、推進を図ってまいります。 なお、マイナンバーカードを利用した独自サービスにつきましては、今後、区民ニーズを幅広く捉えながら、他自治体の取組なども参考に検討してまいります。 次に、マイナンバーカードの健康保険証として利用できるメリットを含め、さらなる周知徹底を、についてお答えをいたします。 本年十月より、マイナンバーカードの健康保険証としての本格運用が予定されております。また、令和三年二月、国が示したマイナンバーカードのロードマップ案では、今後、カード機能のスマートフォン搭載の実現や、運転免許証との一体化など、さらなる利便性向上が計画されています。 今後、医療機関等の環境整備状況を見極めながら、適切な時期を捉え、健康保険証として利用できるメリットや利便性の向上など、各種マイナンバーカードの機能についてさらなる周知に努めてまいります。 次に、専管組織の設置とCDOなどの外部人材の登用についてお答えいたします。 本年七月に公開された自治体デジタルトランスフォーメーション推進手順書では、地方自治体に対して、組織体制の整備、職員の育成、外部専門人材の確保など、デジタルトランスフォーメーション推進体制の構築とともに、自治体情報システムの標準化、共通化、行政手続のオンライン化など、様々な取組の推進が求められています。 北区においても、外部専門人材をCIO補佐官として登用を図り、北区版デジタルトランスフォーメーション推進方針の策定に対する提言や助言、各種取組に対するアドバイス、職員研修の講師を担っていただくことを想定し、令和四年度の任用に向けて準備を進めております。 なお、組織の在り方につきましては、北区版デジタルトランスフォーメーション推進方針を策定する中で、情報政策課ICT戦略部門の強化や再編を含め、十分に検討してまいります。 次に、希望と感動の東京オリンピック・パラリンピックを終えてのうち、ハンガリーとの交流をぜひ何らかの形で継続すべきとのご質問についてお答えいたします。 区では、平成三十年度にハンガリー柔道及びフェンシング両競技団体と事前キャンプ実施に係る覚書を締結し、この間、受入れ準備を進めるとともに、学校や児童館、地域団体との連携により、選手等による小学校訪問や柔道教室、メッセージ交換、オンライン交流会など様々な交流を行ってきました。 また、東京二〇二〇オリンピック競技大会終了後は、多くのホストタウンが交流を断念する中、国のルールに基づき、徹底した感染症対策のもと、選手との対面での交流会や報告会を実施しました。 フェンシングでオリンピック三連覇を達成した金メダリストのシラギ・アーロン選手をはじめとしたハンガリー選手の活躍もあり、交流会や報告会に参加した子どもたちは、世界のトップアスリートとの対面に目を輝かせ、交流を楽しんでいました。 世界のトップアスリートとの交流は、国際理解の促進はもとより、夢や希望を持ち、目標に向けて挑戦することの大切さを伝え、子どもたちの目を世界へと向ける好機であったと認識しています。 区としましては、今後もハンガリー両競技団体の意向を尊重しつつ、国際大会等における選手関係者の来日の機会を捉えての交流など、引き続き、「トップアスリートのまち・北区」として、スポーツを通じた交流を検討してまいります。 次に、スケートパーク場やバスケットボールの3x3などの場所を区内に整備できないかとのご質問です。 東京二〇二〇オリンピック競技大会における日本代表選手の活躍はすばらしく、とりわけ新競技、新種目として採用されたスケートボードや3x3バスケットボールなど、アーバンスポーツにおける若手アスリートの活躍は目覚ましいものがありました。 今回の日本代表勢の活躍を機に、今後、若い世代を中心に、競技人口のさらなる増加も想定されるところです。 現在、スケートパーク場については、二十三区中六区で施設整備が行われており、競技会場となった有明アーバンスポーツパークの跡地利用についての検討も進められていると聞いています。 施設の整備に当たっては、競技形態を踏まえた敷地の確保や安全対策、音への配慮、マナー啓発など、幾つかの課題があると認識しておりますが、他自治体での整備事例も参考にしつつ、今後の競技人口や競技ニーズの動向等も踏まえながら、区内での整備の可能性について検証を進めてまいります。 最後に、国や東京都と連携したレガシーとしての記念施設の整備に関するご質問にお答えいたします。 東京二〇二〇大会はコロナ禍での開催となりましたが、連日、熱戦が繰り広げられ、多くの勇気と希望、感動が届けられました。何よりも、国を超え、選手が健闘をたたえ合う姿には、私も胸が大変熱くなり、パラリンピックでは、人間の可能性は無限であるとも感じました。区民の皆様の心にも深く刻まれたことと思います。 特に、日本代表選手団の多くは、西が丘にある味の素ナショナルトレーニングセンターを拠点として大会へ臨み、オリンピックでは史上最多のメダルを獲得、パラリンピックでは、前回大会の倍以上のメダルを獲得しました。 区としましては、この熱戦の記憶を後世に伝えるとともに、「トップアスリートのまち・北区」を区内外へ広く発信していくことが大変重要であると認識しています。 オリ・パラ共用施設である味の素ナショナルトレーニングセンター・イーストに併設されている見学コースには、日本代表選手のユニフォームやスポーツ用具などが展示されています。 この見学コース内の展示物については、東京二〇二〇大会関連の展示へ一部変更を検討していると、施設管理者である独立行政法人日本スポーツ振興センターから伺っています。 一方で、施設内の展示可能なエリアは限られており、新たな展示エリアを設けるといった対応は難しく、また、新たな施設の整備も難しいとも伺っています。 区としましては、引き続き、国や東京都、関係機関と連携しながら、味の素ナショナルトレーニングセンター一帯が東京二〇二〇大会のレガシーを伝え、北区の魅力を区内外へ発信する地域となるように努めてまいります。 以上、お答え申し上げました。 いただきましたご意見、ご提言などを踏まえて、これからも区民生活の安定と向上のために、より一層努力を重ねてまいりたいと考えていますので、どうぞよろしくお願いいたします。
◎教育長(清正浩靖教育長) 私からはまず、新型コロナウイルス感染症対策についてのご質問のうち、小・中学校、保育園での感染対策の強化についてお答えいたします。 七月下旬以降、東京都内の感染拡大に合わせ、区立小・中学校や区内保育園における感染者数も急増しています。このような状況もあり、学校の夏休み終了に当たり、教育委員会から区立学校や区内保育園に対し、北区版ガイドラインなどを踏まえた基本的な感染症対策の徹底を図るよう、再度の周知を行うとともに、保護者の皆様にも同様に、家庭内での対応について協力を呼びかけました。 一方、教職員や保育士などは、日々、児童・生徒や園児と活動を共にするため、感染拡大防止を図るとともに、保護者等の不安を少しでも和らげることが求められています。 そのため、感染予防の効果や副反応のリスクなどを周知した上で、ワクチン接種の勧奨を行うとともに、区独自の緊急対応として、ワクチン接種が二回済んでいない教職員等を中心に、今月と来月の二回、PCR検査を実施するとともに、感染者が発生した学校や保育園においても、その都度、同様の対応を行う取組を開始することといたしました。 また、保健所の体制が非常に逼迫した状況の中、学校や保育園で感染者が判明した際には、教育委員会の各所管課が学校や保育園から提出された資料に基づき、濃厚接触者となる可能性のある方等の調査や特定を速やかに行うこととし、施設内でのクラスター発生につながらないような迅速な対応に努めることとしています。 次に、小・中学校の宿泊行事についてです。 区教育委員会の所管する宿泊行事につきましては、まん延防止等重点措置の適用や緊急事態宣言が発出されている場合などは中止とし、中止となる場合は、可能な限り宿泊を伴わない代替活動を設定することとしていましたが、国からも、最終学年の宿泊行事については、特段の配慮を求められていることもあり、小学校六年生の日光高原学園については中止ではなく、延期としたところです。延期の時期は、二月中旬から三月上旬であり、現在、実施に向けて準備を進めています。 また、中学校三年生の修学旅行については、実施の可否は学校の判断になりますが、緊急事態宣言等の期間中でも実施可能となるよう、学校と新幹線が発着する駅までの往復に貸切りバスを利用することができることとしました。 しかしながら、新型コロナウイルス感染症に係る緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の適用が全国各地で行われている現下の厳しい状況を踏まえ、今月実施する予定だった一校については、宿泊場所等の代替日程確保が難しいことなどから、既に中止を決定しており、今後、同様の学校が出る可能性もあると考えています。 なお、修学旅行等の中止や延期に伴うキャンセル料等については、保護者の負担になることがないよう、適切に対応してまいります。 次に、誰一人取り残さない北区のためにのご質問のうち、通学路の安全確保についてです。 千葉県八街市での交通事故を受けた通学路の合同点検につきましては、文部科学省からの通知に基づき、現在、学校が把握した危険箇所のリストを精査し、区長部局や区内三警察署と協議した上で、点検箇所を決定し、合同点検を順次行っています。あわせて、ご指摘いただいたスクールゾーンになっていない箇所については確認してまいります。 なお、点検結果やその後の対応につきましては、一定程度まとまった段階で、所管委員会にてご報告させていただく予定です。 以上、お答え申し上げました。
◆十一番(坂口勝也議員) ご丁寧な答弁をありがとうございました。 まず、オリンピックについてはNTCを擁する北区ということで、この機を逃さないで、ぜひ事業を展開していただきたいなというふうに要望いたします。 また、新型コロナウイルス感染症対策ですが、現在、減少傾向というふうにも言われておりますが、今こそ、今後に向けての体制をしっかりと取っていくべきという観点からご質問をさせていただきました。 区として、また来なければいいんですけれども、新たな変異株等で第六波が来た場合を見越してしっかりと取り組んでいただきたいと要望いたします。 危機管理で重要なのは、想像力と構想力というふうに言われますので、花川区長を先頭によろしくお願いいたします。 あと、誰一人取り残さない北区のためには、今重要な課題と区民の皆様の声をもとに質問させていただきましたが、私も決算特別委員会の委員でありますので、一つ一つ確認と議論をさせていただければと思います。 最後のデジタルトランスフォーメーションについては、国は、六十秒以内に手続が完了する世界ということで、それを目指し、今後五年で自治体のシステムも全て標準化するというすごいスピード感を持った改革が今後進んでくると思います。 区においても、しっかりとした体制づくりから始めて、デジタル社会の構築に取り組んでいただきたいと要望いたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○副議長(小田切かずのぶ議員) 議事の都合により、休憩します。 再開は午後二時五分です。 午後一時六分休憩
----------------------------------- 午後二時五分開議
○議長(名取ひであき議員) 休憩前に引き続き会議を再開します。 質問を続けます。 十九番 山崎たい子議員。(拍手) (十九番 山崎たい子議員登壇)
◆十九番(山崎たい子議員) 区議会議員の山崎たい子です。日本共産党北区議員団を代表し、質問いたします。 今議会には、長年懸案だった公契約条例やパートナーシップ制度実施に向け、ついに補正予算が計上されました。関係者の皆様からも喜びの声が寄せられています。区民の期待に応えられる北区政実現に向け、日本共産党も引き続き努力を重ねていく決意です。 質問の第一は、新型コロナウイルス感染から区民の命を守るため。 初めに、医療、保健所体制の強化について伺います。 緊急事態宣言中の五輪開催は、国民への矛盾したメッセージとなり、自粛を重ねてきた人々の意識に明らかに変化をもたらしました。PCR検査は世界で百四十三位、ワクチン接種も行き渡らず、感染力の強いデルタ株により、第五波の感染爆発は政治の人災と指摘されています。 北区でも、八月に入り、感染者数の累計は五千人を突破、九月十日現在、八千九百七十二人と約一か月余で四千人も急増し、保健所業務は逼迫、区内も都内もコロナ病床は満床となり、党区議団へも保健所や医療機関にも連絡がつかない、救急車を呼んでも入院できないとの悲痛な声や、医療機関からも、往診による点滴や在宅では保険外の高濃度酸素吸入を行いながら命をつないだとの懸命な対応も伺っています。 戦々恐々の中、八月十七日、党区議団は、池内さおり前衆議院議員、曽根はじめ都議会議員とともに、花川区長へ医療提供体制の強化など、緊急の申入れも行いました。 直近で北区の自宅療養者は四百七十名、その一割強が看護師などの対応が必要だと保健所からの報告であり、今議会の補正予算には、入院待機の方への訪問看護師による健康観察、必要に応じての訪問看護と医師による往診体制に約一億円が計上されました。区民の不安に応える区の対応と意を強くしています。 しかし、一方で本来、入院治療が必要な方が都内で七百人を超えて、救急搬送先がなかった、中には自宅で命を落とすという痛ましい事態は、国民皆保険制度の下、繰り返してはなりません。北区は決してあなたを見捨てない、全力で区民を守る、との姿勢を今こそ示すときです。 そこで、以下三点質問します。 一、国に対し、原則自宅療養方針の撤回を求め、国、東京都と連携し、臨時の医療提供施設、入院待機ステーションの設置、宿泊療養施設の確保、陽性者に対する血液検査・ウイルス検査、CT検査などによる早期診断体制の確立と抗体カクテル療法など、重症化予防を進める医療連携体制を構築するよう求めます。 二、そのために北区がイニシアチブを取り、北区医師会や区内の中小病院とも連携したコロナ医療に関する定期的な情報共有の場を設け、風通しよく、医療連携ができるようにすること。 三、保健師など専門職を増員し、保健所体制を抜本的に強化するよう求めます。お答えください。 二つ目に、学校や幼稚園、保育園などの運営について伺います。 感染力の強い変異株は、これまで感染しにくい、重症化しないとされてきた子どもや親世代にも感染を広げ、子ども・子育て会議への北区の報告では、八月に入り、小・中学校の在籍数で百名以上、学童クラブやわくわく☆ひろばで十五件、保育園では、職員・幼児で六十九人が感染し、八月末で、学校が五か所、保育園が二十六園で休業となりました。 党区議団は、八月三十日、北区教育委員会に対し、小・中学校や幼稚園の再開、保育園などの運営に向け、感染対策の強化について申入れを行いました。 教育長からは、感染リスクを抑え、学びを止めない。子ども同士のつながりや給食の確保も含め、子どもたちにとって、学校が安心・安全な居場所となるよう全力を尽くしたいとお答えいただき、保護者向けにも教育委員会としての取組が伝えられています。その上で、党区議団へ寄せられた保護者や教職員の声をもとに、学校などの運営に関して、以下四点質問します。 一、教室、保育室でのエアロゾル感染防止のために、短期間での全換気と子どもへの不織布マスクの着用を重視し、必要に応じ、マスクを支給すること。 二、感染症対策や陽性者が出た場合の対応について、職員研修や対応ガイドラインを整備し、必要な人員、体制を確保すること。 三、子どもたちが受け身ではなく、学校行事や授業の進行など、自分たちの意見が反映できるよう、新型コロナウイルスと感染の仕組みを学ぶ機会を保障すること。 四、復活した学校や保育園休業の際の保護者への休業等対応助成金・支援金の周知を図るとともに、臨時の子どもの預かりについて対応するよう求めます。 三つ目に、PCR検査の拡充について伺います。 政府の新型コロナ対策分科会メンバーの国立病院機構三重病院の谷口院長は、危機的状況を打開するため、いま一度重要なのは、検査で無症状感染者を発見、保護し、感染源を減らす対策。唾液のPCR検査や抗原キットを使い、事業所や自宅、学校などでの検査を実施し、陰性であれば感染対策をして活動する。陽性であれば自宅待機してもらう。そうやって、感染伝播の鎖を一つ一つ断ち切ることだと強調しています。 北区では、高齢者、障がい者の入所施設について、定期的なPCR検査が実施され、ワクチン接種と併せて、現状でクラスター発生が抑えられており、今議会にも継続のための補正予算が計上されました。加えて、入所施設以外の介護、保育、学校現場からもPCR検査拡大の要望は強く寄せられています。 そこで、以下三点質問します。 一、高齢者や障がい者の通所施設、訪問介護や福祉用具事業所、ケアマネジャーへも定期的検査を拡大すること。 二、教職員、保育士などへの定期的PCR検査の実施と、家庭に検査キットを配付し、簡易検査を勧めること。 三、学校などで陽性者が出た場合、濃厚接触者を狭めず、実態に応じ、学級・学年など広範なPCR検査を行政検査として実施すること。また、幼稚園、保育園でも同様とするよう求めます。 四つ目に、ワクチン接種の推進についてお聞きします。 ワクチンについては、国際的にも当初の集団免疫の効果は低いが、個々の重症化予防に効果が高いと言われています。北区においては、高齢者の接種率が八割を超えましたが、国のワクチン供給体制の不足により、五十代以下世代への接種率は、いまだ十分でない状況です。 そこで、一、今後のワクチン供給や接種率向上、接種目標との関係など今後の取組、見通しをお示しください。 また、党区議団へのワクチン相談から、障がいや暮らしの困難を抱えている方、外国籍の方など接種の希望はあるが、予約が取れず、何らかのサポートが必要な方々がいらっしゃると感じています。 二、北区として、困難を抱える方へのワクチンサポートにきめ細かく取り組んでいただきたいと考えるがどうか。お答えください。 質問の第二は、貧困・格差なくし、気候危機打開、公正で持続可能な社会を求めてです。 コロナパンデミックにより、資本主義、新自由主義の限界がより一層浮き彫りになっています。格差拡大を見ても、日本の億万長者、一千億円以上の資産を保有している数十人の資産額の推移は、アメリカの雑誌フォーブスのデータによると、コロナ禍の一年間で十二・二兆円から二十四・四兆円と二倍の資産を増やしています。 その一方で、追い詰められているのは非正規労働者です。雇用の調整弁として七十五万人が職を失い、シフトや仕事が減ったという実質失業者は百五十万人。そのうち九十万人は女性で、子どもの貧困、ひとり親家庭が一層の困難を抱えています。若者も非正規雇用は二人に一人。アルバイトが減り、世界一高い学費で、文部科学省の調査でも休学、退学を余儀なくされた学生は五千八百人。全国各地の大学でフードバンクに多くの学生が集まる状況です。 こうした不公正な現状、一人一人の生存権が脅かされている状況は、自己責任によらない、社会の構造的問題、政治の制度設計によるものです。憲法第十三条、個人の尊厳や、第十四条、法の下の平等にも照らし、国、地方自治体を挙げて格差をなくし、公正な社会を目指す必要があると考えます。そこで、住民の暮らしに一番身近な北区が区民の暮らしを改善するため、以下四点、国に求めてください。 一つは、税金の集め方です。 世界では、富裕層が、我らに課税を、と主張し、アメリカのバイデン大統領は、法人税引上げを提案しました。 日本においても、優遇されている大企業の法人税を引き上げる。消費税については、コロナ禍で世界の六十を超える国が税率を下げています。日本でも直ちに五%へ減税すること。 二つに、暮らしを直接支援する速やかな現金給付や賃金引上げです。 一人十万円の特別定額給付金や、ひとり親家庭、低所得子育て家庭に対する継続的な特別手当、事業者への持続化給付金、家賃支援給付金の再支給、月次支援金の拡充、さらには非正規雇用をはじめ、全国一律最低賃金を千五百円に引き上げること。 三つ目に、若者への支援についてです。 先日も、コロナ禍で仕事が減少し、子どもの大学学費が工面できず困ったと、せっぱ詰まった親御さんからの相談を受けました。コロナ禍の困難なときだからこそ、若者が未来を切り開くため、豊かに学問を探求する時間が保障されるべきです。 そこで、大学などの学費は半額に。給付型奨学金の大幅拡充。緊急対策として、奨学金返済免除や学費の支払いを卒業後へ繰延べ。また、教育費税額控除を新設し、大学、専門学校などに通う扶養者がいる場合に適応することを求めます。 四つ目に、高齢者の尊厳を守るために、後期高齢者医療保険における窓口の二割負担や、消費税を財源とした病床の削減は中止すること。 以上、四点を国に求めてください。 五つ目に、北区独自の暮らし・営業支援についてです。 今議会に提案されている補正予算では、会派でも予算組替えなどで提案したプレミアム付区内共通商品券の拡充、増額などが示されました。あわせて、さきに述べた若者や子育て世帯、非正規雇用や事業者への現金給付的支援について、区としても実施するよう求めます。お答えください。 六つ目に、北区基本構想に関わって伺います。 新型コロナウイルス感染症は、人間の経済活動、資本の論理、利益優先の活動が地球規模での自然や環境破壊をもたらした結果と指摘され、気候危機、猛暑、豪雨、スーパー台風と同様に、人類が地球の中で生き抜けるのか、岐路に立たされています。 北区も二〇五〇年までにCO2排出ゼロ、北区ゼロカーボンシティを宣言しましたが、気候危機を止めるためには、今後十年間、二〇三〇年までに脱炭素、省エネ・再エネの実効性ある取組を電力や産業、交通、まちづくり、住宅など、あらゆる分野での改革が迫られます。今年度から進めている、今後二十年を見据えた北区基本構想の策定は、こうした点からも非常に重要です。 新自由主義路線の北区版とも言える北区経営改革プランは、規制緩和と民営化による官製ワーキングプアの推進、住民立ち退き、文化や環境を壊す道路計画や駅周辺の再開発など、今こそ根本から見直すべきと考えます。 そこで質問です。 北区基本構想策定に向け、誰もが個人としての尊厳を持ち、生きられる公正な社会、ジェンダー平等、多様性が生きる北区の推進、脱炭素、省エネ・再エネへの転換で、自然との共生を第一に考える環境都市北区などを大きな視点に据え、区民との十分な議論を保障し、策定すべきと考えますが、区長の考えをお聞かせください。 質問の第三は、介護、保育などケアに手厚い北区を求めてです。 コロナ禍で、感染リスクに身をさらしながらも、社会を支える人々に世界各国で光が当たっています。医療・介護、保育、スーパーや輸送業者など暮らしの維持に必要不可欠なエッセンシャルワーカーと呼ばれる人たちです。 けれども、日本では、家事、育児、介護、看護など、多くは女性が家庭の中で無償で多くなってきたものであり、日々の営みを支えるケア労働にもかかわらず、低賃金や不安定雇用で、あまりにも社会的評価が低いままです。 北区で、今月から始まるスペースゆう主催の、北区さんかく大学の連続講座のテーマは「ケアとジェンダー」、サブタイトルは「ケア役割のジェンダー不平等を見直し、新たな可能性を模索する」で、私は非常にタイムリーな企画だと期待が膨らんでいます。 そこでお聞きします。 ケアとジェンダー連続講座に寄せる北区の意気込みをお聞かせください。 次に、介護職、保育士の処遇改善、制度の充実を求め質問します。 最初に介護職です。 現役ヘルパーの声を紹介します。年収は百五十万円以下が約七割。コロナ禍で職を失った四十代の女性が訪問介護事業所で働き始めたが、この仕事では生活できないと職場を去ることになった。人手不足で有給休暇を一度も取ったことがない。この二十年間、賃金はほとんど上がっていない。このままでは、ヘルパーは本当に死に絶えてしまう、と。 国の二〇一九年度調査でも、全産業の平均賃金より、いまだに九万円低い。二〇二〇年度の有効求人倍率は約十五倍、平均一・一倍と比べ、人材不足の深刻さが際立っています。若い世代が就職せず、六十代、七十代のヘルパーが現場を支えているのが実態です。 介護事業所の経営も、コロナ禍で人手不足に拍車がかかり、一段と余裕がなくなり、東京商工リサーチは介護事業所の倒産、休廃業が過去最高のペースで推移と報告しています。 淑徳大学社会福祉学科の結城康博教授は、人手不足の流れを変えないと、介護保険はサービス提供サイドから壊れてしまう。仕事に応えるだけのお金を投入してほしいと語っています。 そこでお聞きします。 コロナ手当支給など、北区独自の助成や住居借り上げ補助など家賃負担の軽減、大学などと連携した返済免除の奨学金創設、コロナ禍における介護事業所への減収補填を行うよう求めます。 また、今年度改定の要支援者に対する総合生活支援事業の報酬については、基本単価をベースに、国基準を超える引上げを行うよう求めます。お答えください。 次に、保育について質問します。 北区の会計年度任用保育士の声を紹介いたします。コロナ禍の一年半、感染に気を配りながらの保育で緊張が続いているが、月の報酬は約二十三万円、手取りで十七万円程度。家賃負担を考慮すると、都内での生活は本当に大変。北区は子育て支援に力を入れているが、現場で働く保育士の待遇改善もしてほしい、と。 OECDが二〇一八年に九か国を対象に行った保育に関する調査では、保育士や幼稚園教諭などの勤務状況について、日本は仕事にかける時間が最も長く、週で約五十時間、最も少ないアイスランドでは週三十三時間と大きな開きがある上に、給料でも日本はワースト二位で満足度が低い結果となっています。 さらに、国の保育士配置基準は四十年以上、全く変わらないまま。例えば三歳児は二十人に一人、四歳児以上は三十人に一人と、個々の子どもにきめ細かく寄り添える状況にはありません。 その上、認可保育園は十一時間開所でシフト勤務。正規保育士のほか、非正規や短時間パートなど、国基準の一・八倍の保育関係者が働いているのが実態です。コロナ禍の下、保育園登園の自粛や定員未充足などにより、各月の在籍児童数を基本とする公定価格の給付費では、保育士を確保しながらの保育園運営は非常に厳しい状況になっています。 そこで質問します。 一、北区の会計年度任用保育士の給与引上げ、私立保育園保育士を含めたコロナ手当の支給を求めます。 二、私立保育園理事長園長会の要望にもある、保育士確保のための補助単価の引上げや保育士配置に要する経費補助を行うこと。 三、保育士配置基準の見直し、保育士の事務労働を加味した労働時間を基本とするよう国に求めてください。 質問の第四は、社会的養護が必要な子ども・若者への支援についてです。 私はこの夏、子どもの居場所ピノッキオが主催した、みんなの児童相談所を考える会に参加し、昨年から開設された江戸川区の児童相談所の取組を学ぶ機会を得ました。 お話を伺い、身近な基礎自治体である区が、住民も含め関係機関との顔の見える関係性の中で、児童相談所を運営できるよさを改めて感じることができました。そして何より、子ども自身が自らSOSを発し、リュックを背負い、児童相談所に足を運ぶ状況も生まれていると聞き、子どもにとっての安心と信頼、居心地のよい場所となっていることに感銘を受けました。 一方、課題としては、運営に区独自の経費負担がある。一にも二にも職員の確保、育成があるとお聞きし、二十三区全体でも共有化し、取り組むことが必要だと改めて感じました。 そこで質問します。 一、先行自治体の取組について、どのような前進面や課題があると認識しているか。また、北区の取組にどう生かしていくのか、検討状況をお聞かせください。 次に、里親制度について伺います。 社会的養護の必要な児童の大半は施設での処遇が行われていますが、家庭での養育をどう広げていくか、里親の取組はどの自治体も大きな課題です。 さきにご紹介した江戸川区では、担当副参事を置き、事業を推進。家庭での養育を十年後には現在の五倍とする目標を持ち、児童相談所開設に合わせ、里親ステーションを開設、独自ホームページの立ち上げ、民間里親養育機関とも連携し、普及啓発、里親の開拓や支援に取り組んでいると伺いました。 私自身の受け止めでも、日本は親になることの責任やプレッシャーが大きい中で、制度を広げていくためには、自分でもできるかもしれないと感じられる学びや支援が必要と感じています。 江戸川区では、チーム養育という在り方や、ファミリーホームの誘致、週末・季節限定の里親事業、区職員も実践できるよう里親休暇も制度化したと伺いました。そこで、北区の里親制度の取組についても、現状と課題をお聞かせください。 三つ目に、民間支援団体との連携について伺います。 江戸川区では、これまで女性相談、DV相談の一部を女性と子どもを支援しているNPO法人に委託してきました。児童相談所開設に当たっても、虐待とDVは表裏一体との立場でNPO法人と連携し、地域の中で孤立しているDV・虐待家庭への支援に取り組んでいます。 今後に向けては、虐待通報があってから駆けつけ、相談という待ちの支援ではなく、DVの認識がない母親、子どもへの影響についての情報提供、母親の気持ちに寄り添ったカウンセリングやアウトリーチの活動がますます求められるとの提起もありました。 そこでお聞きします。 北区でも、虐待やDVなど女性と子どもを一体に支援している民間団体とも連携し、地域の中に気軽に相談し話せる居場所、十八歳以上の若年女性も含め、北区のアウトリーチ相談や安心の居場所づくりを進めていただくよう求めます。 四つ目に、児童養護施設などで暮らした子ども・若者の施設退所後の支援について伺います。 今年五月、厚生労働省は、児童養護施設などで暮らした子どもが進学や就職で退所した後の全国実態調査を初めて実施しました。その結果、施設を退所した年齢は十八歳が六割と最も高く、その後、施設や公的相談機関からサポートを受けたのは六割あったものの、五人に一人はサポートは受けていないと回答。困っていることや不安なことについては、生活費や学費、将来のことがいずれも三割を超え、月々の収支では、収入と支出が同じ、支出のほうが多く赤字だとの回答を合わせると五割を超え、生活に困窮する実態が浮き彫りになりました。 今後、利用したいサポートについては、奨学金や生活費の貸付けなど金銭面の支援や住居や食事面での支援、悩みやメンタルヘルスの相談、退所者同士が交流できる場や催しなどの回答が寄せられています。 そこでお聞きします。 北区でも、児童養護施設退所後に頼れる家族がいない困難を抱えた若者に対し、学費や生活費など、経済面や住まい、健康面など重層的な支援を具体化、検討するよう求めます。お答えください。 最後の質問は、フェミサイドをなくすために、です。 国連の女性に対する暴力特別報告者は、性別を理由にした女性の殺害をフェミサイドと定義し、女性に対する暴力の最も極端な形態であり、女性に対する差別と不平等の最も暴力的な兆候であるとしています。 二〇二一年八月六日夜、小田急線内で男性が見ず知らずの乗客に刃物で切りつけ、重軽傷を負わせた事件が起こりました。犯人は、幸せそうな女性を見ると殺してやりたいと思うようになったとの報道から、女性を狙った憎悪犯罪、フェミサイドだと言われています。 私自身も、この事件報道に接し、女性という属性で命が狙われるとしたら、自分や家族の身にも起こることだと戦慄を覚えました。また、事件後に声を上げた女性たちに対し、インターネット上でも男性中心に批判が上がっている状況にも、社会の中にある構造的な性差別を容認するカルチャーを感じました。 日本には、女性への暴力やDVについて、禁止条項や法的拘束力を明記した法律がいまだに制定されていません。これは、日本社会がジェンダー差別に基づく暴力、加害を日常に生み出すことにつながっていると認識しています。 私は、二〇一八年の区議会本会議で、二〇一一年に欧州評議会が採択したイスタンブール条約、女性に対する暴力及びDVの防止と撲滅に関する国際人権条約を取上げました。この条約で、女性に対する暴力は、女性と男性の間に歴史的に存在する不平等な力関係の表れであり、従属的な立場を女性に強要する決定的な社会機構の一つである。女性は家庭や社会生活において、暴力を受けずに自由に生きる権利があり、障がいや性的マイノリティなど、いかなる属性にあっても差別されてはならないとしています。 こうした立場に立って、女性への差別、暴力や女性憎悪を個人の問題としてとどめることなく、政府や自治体が社会全体の問題として、フェミサイドは許さないとの声を上げることが重要だと考えます。 そこで伺います。 北区が性暴力やDVに加えて、フェミサイドについても、女性に対する暴力をなくす運動として啓発に取り組むよう求めます。 以上で質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。(拍手) (花川與惣太区長登壇)
◎区長(花川與惣太区長) ただいま日本共産党北区議員団を代表して、山崎たい子議員から、新型コロナウイルスから区民の命を守るためにをはじめ、貧困・格差なくし、気候危機打開、公正で持続可能な社会を、や介護・保育などケアに手厚い北区を、に関して、そして社会的養護が必要な子ども・若者への支援について、さらには、フェミサイドをなくすためにまで、区民に身近な広範にわたる分野におきまして、ご意見、ご提言をいただきました。誠にありがとうございました。 それでは、順次お答えをさせていただきます。 初めに、新型コロナウイルスから区民の命を守るためにのご質問に順次お答えをいたします。 まず、医療保健所体制の強化のご質問のうち、原則自宅療養方針の撤回についてです。 国の新型コロナウイルス感染症対策本部は、八月三日に事務連絡、現下の感染拡大を踏まえた患者療養の考え方についてを発出し、入院させる必要がある患者以外は、自宅療養を基本としたところであり、引き続き入院治療が必要な患者は、入院勧告の対象としております。 また、入院させる必要がある患者の判断は、診療した医師の臨床的診断を踏まえて適切に行っております。 次に、国や東京都と連携して、入院待機ステーションなどの医療提供施設や、宿泊施設を確保することについてです。 東京都は、入院治療が必要にもかかわらず、入院待機となった患者を一時的に受け入れる施設として、酸素投与や投薬治療が可能な医療機能を強化した宿泊療養施設、TOKYO入院待機ステーションを医療機関等の協力のもとに展開するほか、宿泊療養施設の確保に取り組んでおります。 入院待機ステーションについては、東京北医療センターにも設置されたと承知しておりますが、各種施設の今後の設置の見通しについては、公表されておりません。 医療提供施設等の整備は、区としても、さらなる増強を望むものであることから、引き続き東京都へ要望してまいります。 次に、陽性者に対する血液検査など早期診断については、入院待機者や重症化リスクのある自宅療養者に対する医療的な健康観察、症状悪化時等の必要に応じた訪問看護、訪問診療により必要に応じて実施することとなります。 次に、抗体カクテル療法など、重症化予防を推進する医療連携体制の構築についてです。 抗体カクテル療法については、重症化リスクのある軽症患者に、重症化を防止する効果があるとされております。区内のコロナ病床を有する四つの医療機関においては、既に自院の入院患者等への投与が始められております。 区としましては、自宅療養者の安全・安心な療養体制を確保する観点から、重症化リスクのある自宅療養者が、症状が発現してから速やかに投与される仕組みを、北区医師会及びコロナ病床を有する医療機関と検討中であり、今週には病診連携による北区版の体制を開始する予定です。 次に、コロナ医療に関する情報共有の合議体についてです。 北区では、地域感染症医療体制協議会を平成二十八年に設置し、区内全ての病院、医師会、歯科医師会、薬剤師会に参加していただき、区内外の感染症医療体制について協議を重ねてきました。 特に、新型コロナウイルス感染症対策が喫緊の課題となった令和二年一月以降は、計十三回にわたって開催し、毎回夜半まで熱心な協議をいただいており、その成果は、区内の新型コロナ外来やPCR検査センターの設置、診療検査医療機関の指定、新型コロナワクチン接種体制の構築などに現れているところであります。 二次医療圏単位での協議については、区西北部地域医療構想調整会議などにおいて、適宜実施されております。 次に、保健所体制の抜本的な強化についてお答えいたします。 保健所の体制については、新型コロナウイルス感染症の発生動向に応じて、保健師など職員の応援を行っています。今後も保健所職員の体制整備が重要と認識しており、引き続き専門職を含め、必要な人員の確保に努めてまいります。 次に、PCR検査の拡充について順次お答えいたします。 まず、高齢者や障害者の通所施設などへの定期的検査を拡大することについてです。 区では、本年二月より、高齢者入所施設等の従事者に対し、一斉・定期的なPCR検査を実施しており、陽性患者を早期に検知し、重症化リスクの高い高齢者などが入所する施設へウイルスを持ち込まない、広げない対策を徹底しています。 一方、通所訪問系事業所については、東京都の共同事業を活用し、感染の疑いのある要介護者などに接触した従事者への緊急的なPCR検査を適宜実施できる体制を構築しています。 次に、学校で陽性者が出た場合のPCR検査についてです。 学校や幼稚園で陽性者が出た場合の対応については、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、逼迫する保健所業務軽減のため、国及び東京都から学校等における陽性者発生時対応方法変更の方針が示されました。 今後、当面の期間は、教育委員会と保健所が連携し、教育委員会が主体的に調査を行い、感染拡大防止に取り組んでまいります。 濃厚接触者につきましては、二週間の自宅待機と出席停止となるため、調査に基づき必要な対象者を適切に指定してまいります。また、調査の結果、必要と判断した場合には、既に実施しているとおり幅広くPCR検査を実施してまいります。 保育園につきましても同様に、教育委員会と保健所が連携し、教育委員会が主体的に調査を行い、感染拡大防止に取り組みます。濃厚接触者の指定とPCR検査については、調査に基づき適切に実施してまいります。 次に、新型コロナウイルスから区民の命を守るためにのうち、ワクチン接種の推進についてお答えをいたします。 まず、今後のワクチンの供給や接種率向上、接種目標との関係など、今後の取組、見通しについてです。 北区は、区民の安全・安心を確保するため、全てのワクチン接種を医療機関で行い、多くの医療機関の協力により、国が目標とした全国で一日百万回接種を上回る接種体制を構築し、七月には希望する高齢者への接種をほぼ達成することができました。 一方で、ワクチン供給量が当初の予想を下回ったため、現在はワクチンの供給量に合わせて接種体制を再構築している状況で、東京都が試算した職域接種における北区民への接種推計量と合わせると、十月中には対象となる区民の八割が接種できるワクチンが供給される見込みです。 今後とも、国及び東京都にワクチン供給の促進を要請し、十一月までに希望する全ての区民への接種完了に向けて取り組んでまいります。 また、今後の見通しについては、予想されるワクチン種類の拡充、未接種者への勧奨や追加接種等の課題について、医師会や医療機関との連携により、引き続き全力を挙げて対応してまいります。 次に、予約などに困難を抱える個人に対する、きめ細かな取組についてです。 今後の予約開始日に合わせて、北とぴあ、滝野川会館、赤羽会館の三か所で予約支援を実施し、リスクの高い方にも迅速に予約を確保していただくことを支援いたします。 また、接種の希望はあるが、予約を取るまでには至らない方に対しては、今後はさらなるワクチンの確保を図りながら、接種方法の工夫や充実に努め、希望する全ての区民が接種できるように取り組んでまいります。 次に、貧困・格差をなくし、気候危機打開、公正で持続可能な社会を、について順次お答えをいたします。 まず、法人税引上げと消費税減税について、国に対応を求めることについてです。 法人税は、収益力の拡大に向けた投資や、継続的・積極的な賃金の引上げを可能とする環境を整えるため、国において総合的な判断がなされ、現在の税率になったものと理解しています。 また、消費税は、持続可能な社会保障制度を構築するため、社会保障と税の一体改革において、税率引上げによる増収分は、社会保障財源に活用するとされ、北区においても、子育て、長生きを中心とした様々な政策の実現に最大限の活用を図っています。 こうしたことから、法人税の引上げや消費税率五%への引下げを国に求めることは考えておりません。 次に、現金給付や賃金引上げを国に求めることについてです。 まず、ひとり親家庭やひとり親世帯以外の低所得の子育て世帯を対象とする支援については、特別区長会より、子育てを行う世帯の経済的負担軽減のため、都市部の生活実態を踏まえた、ひとり親家庭への支援の充実のほか、子どもの貧困問題を解消するための手当の創設など、金銭給付等の施策を行うよう国に対して要請しています。 また、事業者に対する支援についても、新たな生活様式に対応した事業継続等支援や融資等の相談体制の強化のほか、労働者に対する収入の確保や雇用体制の確保等の施策を継続的に講じることなどを、特別区長会として、国に対して求めています。 一方、最低賃金については、本年六月に閣議決定された経済財政運営と改革の基本方針2021において、早期の経済回復を図るために、より早期に全国加重平均千円とすることを目指すとしており、今年度は過去最大の引上げ額となっています。 区といたしましては、今後の国における動向を注視してまいります。 なお、区民一人当たり十万円の特別給付金の再支給を国に求めることについては、考えておりません。 また、現時点において、区独自の現金給付による暮らし、営業支援の実施は予定しておりませんが、引き続き、区民・区内事業者の動向等を注視しながら、区としての対応についての検討を行うとともに、国や東京都に対しては支援策の継続や拡充について、必要に応じて要望してまいります。 次に、高齢者の尊厳を守るためにのうち、後期高齢者医療保険の医療費窓口の二割負担についてです。 本年六月に成立した改正高齢者医療確保法では、現行制度で一割負担の後期高齢者のうち、一定の所得基準以上にある方を対象に、二割負担とする新たな制度が令和四年度後半に施行される予定です。なお、施行から三年間は、急激な負担増を抑制するための配慮措置も行われます。 区としましては、今後、団塊の世代が七十五歳に達することで、より一層、後期高齢者の医療費が上昇していく中において、所得状況に応じたご負担をいただくことは、やむを得ないものと考えています。 次に、消費税を財源とした病床の削減を中止するよう国に求めることについてです。 新たな病床機能の再編支援では、中長期的な人口減少、高齢化の進行を見据えつつ、良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制確保や持続可能な医療体制の維持といった観点から、地域医療構想調整会議等の合意を踏まえて行われるものと認識しています。 引き続き、東京都や区内関係機関と協力連携し、誰もが必要な医療を身近な地域で安心して受けられる体制の確保に努めてまいります。 次に、北区基本構想についてのご質問にお答えいたします。 基本構想は区の将来像を定め、進むべき方向性を示す、まさに区民の憲章ともいうべきものです。区の新たな将来像を定めるに当たっては、北区のこれまで歩んできた歴史はもとより、現在の基本構想の役割と意義を十分に踏まえた上で、今後の人口動向や区民ニーズを的確に把握する必要があります。 また、ご指摘いただきました、尊厳を持ち生きられる公正な社会、ジェンダー平等、多様性や環境共生社会の推進の視点だけでなく、AI・DXといった技術革新、SDGsの実践など、区政を取り巻く環境の変化を見過ごすことがあってはならないと考えています。 こうした環境の変化や課題を的確に捉えた上で、基本構想の策定に当たっての将来像や、それを達成するための基本目標については、激しい時代の変化の中にあっても色あせることのない普遍的な価値について、定める必要があると考えています。 あわせて、区民の皆様からの幅広い意見やアイデアを構想策定に活用するため、区民ワークショップや区政モニターなどを実施し、基本構想を策定してまいります。 次に、ケアとジェンダー連続講座による北区の意気込みについてです。 北区さんかく大学は、男女共同参画の歴史的背景、社会の仕組み、情勢など幅広い知識を学ぶことによって、区民の意識を高めるとともに、男女共同参画社会の実現に資する人材の育成を目的とし、毎年ジェンダーの視点に基づき時宜にかなったテーマを取上げ、実施しております。 今回は、これまで多くの女性が担ってきた家事、育児、介護などのケア労働にスポットを当て、男性は仕事、女性は家事、育児という性別役割分担意識から、男女がともに仕事と家庭の分野で責任を担うことが重要であるという視点に立ち、講座を通じ、意識啓発を図ってまいります。 引き続き、北区さんかく大学などの事業を通じて、男女共同参画社会の実現のために、地域で活躍できる人材の育成に取り組んでまいります。 次に、介護職や保育士の処遇改善、制度の拡充を、についてお答えいたします。 初めに、コロナ手当支給など、介護職への北区独自の助成等についてです。 国では、令和三年度の介護報酬改定において、原則全てのサービスについて、基本報酬を引き上げるとともに、新型コロナウイルス感染症に対応するための特例的な評価として、四月から九月まで、基本報酬に〇・一%の上乗せをすることとしています。 また、東京都では、新型コロナウイルス感染による緊急時のサービス提供に必要な介護人材の確保や、感染症が発生した施設等の職場環境の復旧及び改善に係る経費等を補助しています。 区では、国や東京都が実施する支援について、区内の事業者専用のホームページ等を活用し、周知を図っているところです。 特別区長会では、国や東京都に対し、毎年、介護人材の確保・定着及び育成に関する継続的な施策の実施を要望しています。また、国に対しては、新型コロナウイルス感染症対策の充実強化として、介護施設等の従事者に対し、慰労金の給付を行い、処遇改善を図ることも要望しています。 今後も、特別区長会などを通じて、国、東京都に対し、介護人材の確保・定着について必要な要望を行ってまいります。 次に、要支援者等に対する総合生活支援の報酬単価の国基準を超える引上げについてです。 区が行う介護予防・日常生活支援総合事業の報酬は、基本分と身体介護・入浴介助加算分に分けて設定しています。 本年四月、国から新たな基準が示されたことを受け、区では北区ケアマネジャーの会など、各関係団体のご意見を聞きながら報酬の改定を行い、基本分と身体介護・入浴介助加算分の配分を見直すとともに、国が示す基準に合わせた引上げを行いました。 そのほか、口腔機能、運動機能の向上や栄養改善、事業所評価に係る加算については、国の基準を超える区独自の上乗せを行っています。 なお、改定の詳細については、本定例会の所管委員会でご報告をいたします。 次にフェミサイドをなくすために、女性に対する暴力をなくす運動の啓発についてお答えいたします。 男女がともに個性と人格を尊重し合う社会をつくるためには、固定的な性別役割分担意識を解消するとともに、暴力は重大な人権侵害であるとの認識のもと、あらゆる暴力の根絶に向け取り組むことが重要です。 区では、これまでもスペースゆうにおいて、女性に対するあらゆる暴力の防止に向けた情報提供や講座など普及啓発に努めており、令和元年度には、ホワイトリボンキャンペーンの一環として、男性の立場、視点から暴力防止に取り組む意識啓発講座、フェアメンになろうを開催しました。 区といたしましては、男女ともに犯罪の被害者にも加害者にもならないためにも、引き続き、暴力を許さない社会形成に向けた普及啓発に努めてまいります。 以上、お答え申し上げました。いただきましたご意見、ご提言を踏まえ、これからも区政の推進に向けて全力を傾けてまいりたいと存じますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。
◎教育長(清正浩靖教育長) 私からは、まず、新型コロナウイルスから区民の命を守るためにのご質問のうち、学校や幼稚園、保育園などの運営についてお答えいたします。 初めに、教室、保育室での短時間の換気、不織布マスク着用の重視、必要に応じたマスクの支給についてです。 教室、保育室での換気につきましては、北区版のガイドラインでも徹底を求めており、各校・園において適切に対応しています。また、不織布マスクについては、夏季休業明けの学校宛ての通知及び保護者向けのお知らせにおいて、その着用を推奨しており、各校・園では不織布マスクの予備を用意し、必要に応じて子どもたちへの配付も行っています。 なお、二歳未満のマスク着用は推奨されておらず、二歳以上であっても、子どもに着用させる場合には、熱中症等に十分注意するよう周知徹底を図っています。 次に、感染症対策や陽性者が出た場合の対応についてです。 北区教育委員会では、区立小・中学校、幼稚園、認定こども園向けのガイドラインと区立保育園、学童クラブ向けのガイドラインを作成し、それぞれの施設に対し、感染症対策や陽性者が判明した場合の対応を周知してきました。また、学校での感染症対策等の人員、体制の確保については、教職員の過度の負担とならないよう検討してまいります。 保育園においては、私立保育園や指定管理園に対し、保育園が実施する感染症対策への補助事業を設け、感染症対策の徹底を図りながら、運営を継続していくために必要な経費を補助しています。区直営保育園においても、会計年度任用職員の配置の充実を図っています。 次に、子どもたちが新型コロナウイルスと感染の仕組みを学ぶ機会の保障についてお答えいたします。 新型コロナウイルス感染症については、養護教諭が作成した保健だより等を用いて学級活動等の時間に活用して、感染を防止するための対策や心構え、差別や偏見につながらないような指導を児童・生徒に対して行っています。また、小学校第六学年体育の保健領域及び中学校第三学年の保健体育の保健分野において、感染症の予防について学習しています。 さらに、令和二年三月に文部科学省から出された「改訂「生きる力」を育む中学校保健教育の手引」追補版では、中学校保健体育(保健分野)において、新型コロナウイルス感染症を扱う指導事例が示され、より具体的に学習を進めています。 児童・生徒がこのような機会を通して感染症について学ぶことで、コロナ禍における自分の学習や生活の在り方について考え、主体的に感染のリスクを避けた行動を取ることや、学校行事や授業における自校の方針や対策を理解し、今後の新しい生活様式について自ら考えられる力を身につけていくよう、引き続き各学校で取り組んでまいります。 次に、休業等対応助成金・支援金制度の周知と、臨時の子どもの預かりについてお答えいたします。 国が実施してきた新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応助成金・支援金制度については、八月一日以降を対象に再開することになったと認識しており、今後、詳細が分かり次第周知してまいります。 なお、学校や保育園が休業した際には、家庭における健康観察を基本としつつ、仕事を休むことが困難な保護者に対しては、ベビーシッター利用支援事業や、ファミリー・サポート・センター事業を案内しています。 次に、教職員等のPCR検査と家庭への検査キット配付についてです。 新型コロナウイルス感染症のワクチン接種については、体質や持病など、様々な理由から必ずしも全ての方が接種を望んでいるわけでないものと理解しています。 区立小・中学校では週一回以上、児童・生徒と接する機会のある時間講師なども含めた教職員等の接種率は、本年八月末現在で二回終えた人が約六五%であり、一回目の接種予約を含めた割合は約七九%です。また保育園では、八月二十四日現在で、一回目の接種予約を含めた割合は約八六%、学童クラブ及び放課後子ども教室では、八月末現在で約八五%となっています。 このような状況において、教職員等や保育士などは、日々、児童・生徒や園児と活動を共にするため、感染の拡大防止を図るとともに、保護者等の不安を少しでも和らげることが求められています。 そのため、感染予防の効果や副反応のリスクなどを周知した上で、ワクチン接種の勧奨を行うとともに、現下の感染拡大状況を踏まえた区独自の緊急対応として、ワクチン接種が二回済んでいない教職員等や保育士などを中心に、今月と来月の二回PCR検査を実施いたします。また、感染者が発生した学校、保育園、学童クラブ及び放課後子ども教室では、その都度、同様の対応を行うこととしています。 PCR検査実施の詳細につきましては、所管委員会でご報告させていただきます。 なお、検査キットを用いた簡易検査は、専門家から症状がない者を対象にすると、精度が落ちると指摘されており、また、文部科学省は、具合が悪くなった子どもは、検査キットによる検査より、すぐ帰宅させることが原則との見解を示しています。 そのため、児童・生徒に体調不良があった際は、これまで同様、登校しないようにするとともに、毎朝の検温や風邪症状等の確認など児童・生徒、家族の感染対策を引き続き進めていくこととしており、現時点で、家庭に対する検査キットの配付は考えておりません。 次に、貧困・格差をなくし、気候危機打開、公正で持続可能な社会を、のご質問のうち、若者への支援についてお答えいたします。 国は、新型コロナウイルス感染症の拡大による影響で、アルバイト収入の大幅な減少により、学費等の支払いが困難な学生を対象に、奨学金を貸与する制度や、事業主から休業させられたが、休業手当を受けることのできなかった学生アルバイト等を支援する制度を実施しています。 また、昨年四月からは、大学等における修学の支援に関する法律の施行により、真に必要な低所得者世帯に対し、大学などの入学金、授業料を減免するほか、給付型奨学金を拡充する制度も開始されました。教育に関する支援や負担を軽減する税制度としては、教育資金の贈与に関する優遇措置や、特定扶養控除制度があるものと認識しています。 区としては、経済的に困難を抱える若者の進学を支えるため、大学等における修学を支援する奨学金制度の拡充や、貸与型奨学金における無利子貸付のさらなる拡充について、引き続き全国市長会を通じて、国に対して求めてまいります。 次に、介護職や保育士の処遇改善、制度の拡充をのうち、保育士の処遇改善やコロナ手当の支給、補助制度の拡充についてお答えいたします。 区といたしましては、保育士が良好な勤務条件や職場環境で勤務することは、とても重要なことと考えています。また、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、感染予防策の徹底などにより、保育士への業務負担は増していると認識しています。 こうした状況を踏まえ、区では昨年度から、保育園が実施する感染症対策への補助事業を設け、私立保育園や指定管理園などへ補助しています。 この事業では、感染症対策の徹底を図りながら、運営を継続していくために必要な経費として、消毒液等の備品購入費のほか、非常勤職員を雇い上げた場合の賃金や、感染症対策業務の実施に伴う職員手当なども対象にしています。 また、私立保育園や指定管理園に対しては、保育士確保や処遇改善に資するものとして、保育士宿舎借上げ支援事業や保育士等キャリアアップ補助などを実施するほか、保育補助者雇上げ強化事業など、保育士等の職員配置に要する経費を補助しています。 今後も私立園長会と意見交換しながら、国や東京都の補助制度を積極的に活用し、保育士確保や処遇改善に向けた支援策を検討してまいります。 なお、会計年度任用職員の保育士給与を引き上げることは考えていませんが、引き続き、保育士確保や、さらなる処遇改善を図るための支援を、全国市長会を通じて国へ要望してまいります。 次に、保育士配置基準の見直しを国に求めることについて、お答えいたします。 保育士の配置基準につきましては、国が子どもの安全を確保し、保育サービスの質を維持するために必要となる保育士の配置数を定めたものです。区では、国が定めた基準により運営していますが、一部の歳児においては、区独自の基準を設け、職員配置の充実を図っています。 区といたしましても、保育士の勤務条件の緩和や業務負担の軽減を図るために、基準を適切に見直すことは必要なことと考えており、引き続き全国市長会を通じて、国へ要望してまいります。 次に、社会的養護が必要な子ども・若者への支援についてお答えいたします。 初めに、児童相談所の先行自治体の取組についての課題や、区の検討状況についてです。 令和三年四月現在、特別区の中で四区が児童相談所を設置しました。先行区においては、東京都からの引継ぎ事務、職員の育成など様々な課題がある一方で、これまで以上に住民が児童相談所を身近に感じて相談がしやすく、虐待等の未然防止につながっていると聞いています。 区は、令和二年七月、児童相談所等複合施設基本構想を策定し、現在、基本計画策定に向け、検討を進めています。児童相談所開設に向け、他自治体の視察やヒアリングを通して、課題を把握するとともに、他自治体へ計画的に職員派遣を行うなど、職員の育成に努めてまいります。 また、派遣職員の現場での経験を定期的な意見交換会などを通じて把握し、今年度策定予定の基本計画等に生かしてまいります。 次に、里親制度についてです。 区は東京都北児童相談所と連携し、里親制度の普及啓発に取り組んでいます。月に一度、里親に関心がある方を対象にした養育家庭相談日を設けるとともに、年に一度、里親による養育体験発表会を行っています。 東京都によると、北区の里親登録者数は、令和三年四月現在、十八人と、平成三十年度に比べ二倍に増加しましたが、登録者数は必要な子どもに対して十分とは言えません。また、里親を普及・定着させる上で、里親ならではの子育ての悩みを相談する環境として、里親同士のつながりも必要です。 そのため、今後とも児童相談所設置に向け、里親全般を支援するフォスタリング業務について民間活用を検討するとともに、近隣区と連携し、共同で里親サロンを開催するなど、普及啓発を推進してまいります。 次に、民間団体との連携についてです。 子ども家庭支援センターにおいて、子どもの虐待や養育困難等の通告を受けて調査を進めると、複雑な家庭環境の背景にDVが認められる事例があります。その場合、子ども家庭支援センターでは、スペースゆうのDV相談などと連携し、必要に応じ、シェルターを運営する民間団体を紹介するなど、関係者で情報共有を図っています。 また、関係機関が連携し、継続的に関わるとともに、当事者同士の横のつながりをつくり、居場所となるピアグループの存在が欠かせないものと認識しています。 今後も先行区の取組を注視するとともに、個人情報の取扱いにも留意した上で、民間団体との連携も含め、相談しやすい環境づくりを検討してまいります。 次に、施設退所後の支援についてです。 区には児童養護施設が一か所あり、現在もショートステイ事業を委託するなど、連携して事業を進めています。児童養護施設退所後の課題として、自立に向けた支援・相談体制の充実が挙げられますが、区内の児童養護施設のヒアリングによれば、退所後も困ったことの相談ができる環境構築が一定程度できていると認識しています。 今後とも、区内の児童養護施設と定期的に意見交換を行うとともに、国や東京都等が実施する施策を注視し、必要な支援の在り方について検討してまいります。 以上、お答え申し上げました。
◆十九番(山崎たい子議員) 質問項目たくさんに及びまして、ご丁寧なご答弁いただいてありがとうございました。 このあと、健康福祉委員会とか決算特別委員会もあるので、絞って要望と再質問させていただきたいと思います。 区長のほうから、北区医師会、また区内病院と連携して重症化予防を進める抗体カクテル療法を自宅療養者へ実施できる北区版病診連携体制を取っていくということとか、東京北医療センターのほかに、入院待機ステーションの増強についてもご答弁いただいたのは、前進というふうに受け止めております。 ただ、医療については、やはり国との関係では七十五歳以上の方の窓口二割負担とか、ベッド削減とか、コロナ禍にあってすら、そういう全体を抑制していこうとする中、本当に医療逼迫ということが根底にあるということを言わなければならないというふうに思っております。医療現場は、ただでさえ通常診療でも、減収の中、今ぎりぎりで運営している、感染者は高止まりということで、仮に新型コロナの患者さんを受入れていくというときにあっても、医療機関の中で、通常の診療でレッドゾーンをつくって、また対応する看護師も通常より二倍、三倍と必要になりますので、スタッフも確保して、通常診療と並行して新型コロナ医療を実施するというのは、本当に大変だということなんです。 なので、日本医師会、東京都医師会が提案されているように、国、東京都が責任を持って、医療スタッフを確保して、臨時の医療施設なども設置して集中的に治療が行える医療体制、これも含めて今後についてしっかり検討していく、速やかに動きが取れるようにしていくということを、北区からも力強く要望していただきたいということを重ねてお願いしておきたいと思います。 それから、保健所も健康推進課の保健師がほぼほぼ兼務で業務に当たっておられて、それでも手が回らずに、全庁を挙げて管理職の皆さんも応援に入って、区民対応に奮闘したということで、私は頭が下がって、感謝を申し上げたいんですけれども、こういう応援体制をいつまでも続けるわけにはまいりません。この一年半、保健所長をはじめ、保健所の職員の皆さんも相当に疲労がたまっているんじゃないかと私もすごく心配しています。 何としても、全庁を挙げて人的体制の強化、これは答弁でも、その方向で取り組みたいというふうにおっしゃっていただいたので、しっかり人をつけて対応してほしいというのを重ねてお願いしたいと思います。 あと、ワクチンのところも、質問に対して区内三会場で予約代行を行って、個別フォローを丁寧にしていただけるということで、これもすごくよかったなというふうに思ったんですが、私自身の実感では、生活保護の方とか、ひとり親の方、不安も抱えながら、やりたいけれども、まだやれていないという人を私のつながりでも結構フォローしました。 今だと、キャンセル待ちを見ながら対応するような形になってしまうんですけれども、それでもこの間、一日で何十とキャンセルが出るようになってきたので、運よくご案内することもできるんですが、直接区民とつながっている生活福祉課のケースワーカーさんとか職員からも、できているかどうかということも声をかけてほしいと思うんですけれども、この点きめ細かな取組ということで再質問させていただきたいと思います。 それから、PCR検査のところも、今回、北区独自で学校、保育園に対して、今月と来月やっていただけるということで、これもすごくうれしく思いました。 ただ、ワクチンを二回接種していない人という条件がついたので、これはそう言わないで、みんなにやってほしいというふうにすごく思います。これは今出たばかりなので、要望にとどめておきますけれども、ぜひそういうふうにしてほしいなと。 あと、訪問介護とか、通所系の高齢者、障がい者の施設等の皆さんからもPCR検査の希望が強く、介護保険運営協議会でも、現場からとても強い声が出されていました。 先ほどの答弁では、東京都のメニューを活用して取り組んでいるというふうにお答えいただいたんですけれども、これは一人当たり二万円上限の補助の活用の中身なのか確認させていただきたいんですが、ほかの区だと、そういうことをやるときに、こういうことをやっていますと割とちゃんとホームページに紹介して、こういう点でもやっていますよとご案内があるんだけれども、北区は控え目なのか、そういうことはあまりしていないという感じなので、その辺の周知と取組も、もう一度確認させてください。 それから、ケアとジェンダーのところは、全体に関わって保健所、医療、障がい、福祉、介護、保育、児童養護、女性支援や学校など、現場で働く人たちの地位向上と処遇改善ということで、私は今回少し意識して質問させていただきました。全体としては、人への処遇のところ、思い切ってぐっと前に出ていくというところで、手応えとしては、もうちょっと欲しいというふうにすごく思ったところなんですけれども、せめてコロナ禍の下、コロナ手当ぐらい最低限しっかり出してくれというふうに思うわけなんですが、その中で、おやっと思ったのは、感染症対策費に人件費が充てられるということで答弁があったので、もしそうなんだったら、どれぐらいの実績があるのかとか教えていただけますか。 実際に、現場であんまり聞いたことがないんですよ。保育園の現場でも、介護福祉士の現場でも、コロナ手当を出しましたというふうに、喜びの声をあまり聞いたことがないので、どういうふうになっているのかというのをお聞かせください。 それから、最後なんですけれども、区民生活に関わるところなんですが、とにかく保障してほしいという声があり、もう皆さん、暮らしも営業も逼迫しても耐えられないという状況になっているので、とりわけ事業者の方からは、二回目の持続化給付金を、条件を緩和して困っている人全てに届けてほしいと。あと、一時支援金とか月次支援金も十万円では少ないよと、固定経費にもならないとか、あと、月次支援金は対象月から二か月以内に申請しなければいけないというので、間に合わないという話も聞いたりします。あと今、不備ループという言葉が有名なんですが、書類が足りないからと、不備だ不備だと何回も突き返されて、結局もらえていないというようなことで、制度の枠組みをつくっても、十分に届かない制度というのが非常にもどかしいと。何のために制度をつくっているのか、せっかくつくってもらっているのに、喜ばれないという悲しい事態だと思うんですが、こうした事業者の方々の窮状を北区でも細かく聞いていただいて、丁寧にフォローしていただくということを、ぜひ区でも取り組んでほしいと思うんですけれども、この点、再質問させてください。 以上です。
◎健康福祉部長(村野重成健康福祉部長) (説明員) まず、生活保護の方のケースワーカーとの相談ということですけれども、ケースワーカーのほうでは、日常的にいろいろな相談を受けているという状況でございます。その中で当然、こういったワクチン接種の相談もあるかと思います。そういった相談を受けた場合、実際にあったかどうかというところまでは、私は把握してございませんけれども、そういった相談を受ければ、通常それぞれ所管課のほうにつなぐようにしてございますので、ワクチン接種につきましても、例えば、どうやれば予約できるのかとか、そういった中では予約支援というものがありますよとか、そういったところにつなぐことで、支援にはつながっているというふうに考えてございます。 それから、共同事業のPCR検査のところですけれども、議員ご指摘のとおり上限二万円、一人一回が条件の事業ということになります。周知がどうなっているのかということでございましたが、ホームページによる周知というものは、現在しております。 以上でございます。
◎子ども未来部長(早川雅子子ども未来部長) (説明員) 私からは、保育園の非常勤職員の賃金に充てられるといったようなお話について、お答えをさせていただきます。 これまで私立保育園、指定管理園に対しまして、マスクであるとか消毒液の支給に対する経費について、国や東京都の補助を活用しまして、一園五十万円で、三回、四回ほど実施をしているかと認識しております。これについてはマスク等の購入だけではなくて、非常勤職員を雇い上げた場合、その方の賃金に充てることができる、職員手当なども対象にしているといった事業になっております。 ただ、残念ながら、支給をしたという実績を、私立保育園からも聞いたことはございません。給与規程に位置づけなければならないというようなことが課題になっているのかなと思っておりますけれども、今後もこうしたことを活用できるというところ、周知には努めてまいりたいと思っております。 以上でございます。
◎健康福祉部長(村野重成健康福祉部長) (説明員) 先ほどの周知のところでございますが、直接事業所のほうにご案内させていただいたということになります。 すみません。訂正いたします。
◎政策経営部長(中嶋稔政策経営部長) (説明員) 最後の事業者の状況等についての区の把握状況でございますが、融資の場合、また様々な手当の申請等の中で、事業者の状況をつかんでいる部分はかなりございます。そうした中で、区として対応できる部分はどういったところがあるのか、そういったことに関しては、それぞれの所管課と政策経営部等でも話してございます。 ただ、一般的な話で、現在、国、都、また区としてできるような支援は行っているところですが、現在の様々な支援に加えて、さらに区から直接的な何かの支援ができるかというと、現在では難しい状況かと思ってございます。 様々な事業者の状況を把握した中で、できる限り国、都への要望等を含めて対応していきたいと思ってございます。 以上です。
◆十九番(山崎たい子議員) 保育のところの子ども未来部長からのお答えで、制度はあっても実績がないというお話でありました。一園五十万円ぐらいだと、人件費にはなかなか充てがたい金額だし、給与規定も関わっているのであれば、かなり面倒な状況でもあるので、そういうことにも使えますよという中身ではあるけれども、ないということで、やはり機能していないということだと思います。その中でも活用できる園には、さらに周知していただきたいんですが、やはり分かりやすくシンプルに手当という形で、押しなべて皆さんに、ちゃんと賃金アップという形になるような対応というのが、これは北区だけではなく、国、都全体だと思うんですけれども、必要だというふうに改めて感じました。 それから、PCR検査のところは、やはりワクチンは、これから引き続き進んでいくというふうに期待は持ちたいんですが、それでも免疫力がずっと継続されるわけじゃなく、やはり対応の力も落ちてくるし、その点では、ワクチン一本打法と誰か言っていましたけれども、それだけじゃなく、検査とか補償とか、そういうことを複合的にちゃんと対応していかないと、新型コロナ感染を抑えられないという点では、実際PCR検査だと、日本はやらなさ過ぎという状況です、国際的に見れば。東京都だけでも、一日最大で九万件以上の検査能力があるのに、まだ実績としては二、三万件程度ということなので、やはり検査能力に応じて、しっかり検査体制を広げて、感染の実態を科学的にきちんとつかんで、抑え込んでいくという、公衆衛生アプローチの基本をきちんと貫いてほしいということを求めたいというふうに思います。 あと、最後の、区民の皆さんの窮状のところは、私も国の比較で言うと恐縮ですけれども、例えば、たった一人の陽性者が出たときに、ロックダウンで徹底的に感染拡大を抑え込んだニュージーランド、三十代の女性が首相で頑張っているところですけれども、国民にステイホームをしていただくことが最大の感染対策だということで、それで働いてもらっているんだという位置づけで、全ての企業に最大で百六十五万円の一時金、あと賃金の助成もフルタイムで約四十万円、パートでも二十六万円という形でしっかり出して協力していただく、こういう暮らしや営業を支える十分な保障があってこそ、感染対策として自粛に協力できるんだということをやっている国もあれば、やらない国もあるということで、これは政府や自治体がきちんと区民、国民に向けて対応するべきだということを申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。これからも、共に頑張っていきたいと思います。ありがとうございました。(拍手)
○議長(名取ひであき議員) 三十四番 赤江なつ議員。(拍手) (三十四番 赤江なつ議員登壇)
◆三十四番(赤江なつ議員) 新型コロナウイルス感染症によってお亡くなりになった方々に、心からのお悔やみを申し上げます。また、現在闘病中である方には、できるだけ早くのご回復をお祈り申し上げます。医療現場をはじめ、様々な現場で、この非常時を支えてくださっている方々に、心からの感謝を申し上げます。 質問に入ります。 新型コロナウイルス感染症対策をめぐる諸課題について伺います。 今、東京は未曽有の第五波にあり、いまだ非常時、災害時であると言われています。国、東京都が様々な対策を打ってきましたが、ワクチン接種体制を含め、最後は各地元自治体に任せるというのが、新型コロナウイルス感染症の危機にあって目立つ特徴となっています。 きちんとした科学的知見に基づく政治的イニシアチブが多くの場面で不在の中、PCR検査抑制論、GoToキャンペーンや東京オリンピック・パラリンピック開催など責任の在りかは曖昧という、ふわふわとした雰囲気を大変懸念しております。 この重大な局面で、北区の判断で預かっている多くの人々の命や生活、未来が左右されるということをいま一度確認し、区議会も全力で支えるということを、この場の皆様と改めて共有したいと思います。 現在、東京都はご存じのとおり、緊急事態宣言下にあります。陽性者の増加と、それによる医療の逼迫の状況は少しよくなったかのようですが、医療につながれない人々はまだまだ多いとの報道が続いています。そしてこの間、自宅療養中に急激に病状が悪化し、そのまま亡くなる方も出ていました。 東京都で、医療が逼迫するかなり前から、変異株等の情報を含め、たくさんの警告がなされていたにもかかわらず、医療につながれず、自宅で放置されなければならなかった人々が出た、また、その間、一般医療にも支障が出たということは大変大きな衝撃であり、第五波が終わり、第六波が来たとしても、繰り返されてよいことではありません。 以下、質問いたします。 現在の北区の新型コロナウイルス感染症の状況について、また今後予想される状況について教えてください。 北区の自宅療養中及び治療につながるのを待っている方たちの実情について伺います。人数、重症、中等症Ⅰ・Ⅱ、軽症といった症状の度合いなどを教えてください。 適切な医療につながれるようにしていく対策はどのようなものか、また今後、改善すべき課題があれば教えてください。加えて、食料や水などの配付はどのような状況でしょうか。 北区の在宅訪問医療の状況及び課題について教えてください。 北区での保健所の業務、医療の逼迫の度合いについて教えてください。 先月、八月二十七日、新型コロナウイルス感染症は空気感染が主な感染経路であることを前提として、いまだ様々な方法が残されており、それらによる感染拡大の阻止は可能であると訴える声明が出されました。東北大学の本堂 毅准教授と、高エネルギー加速器研究機構の平田光司氏がまとめ、感染症の専門家や医師ら三十二人が賛同者として名を連ねています。 世界保健機構(WHO)や米国疾病予防管理センター(CDC)は、今年の春には既に空気感染(エアロゾル感染)について認めていますが、昨日、九月十二日の毎日新聞によると、国としては、主な感染経路は飛沫感染と接触感染という立場のままのようです。 デルタ株が今や感染の主流となり、また空気感染が主たる感染経路であるという指摘もあります。新型コロナウイルス感染症対策のアップデートは職場や家庭、飲食店などではどのようにされるべきでしょうか。 デルタ株により、子どもたちへの感染が増えたと言われています。現在の北区での子どもたちの感染状況はどのようなものでしょうか。また、子どもたちの入院の受入れ先が限定されていると聞いていますが、状況を教えてください。 そして、次の質問は、ぜひ区長にご答弁いただきたいと思います。 子どもたちは学校などの施設で、不織布マスクを使うべきと考えますが、何度でも洗って使えるウレタン、布製のマスクに比べてお金がかかります。まず、一時的にでも不織布マスクを配付することを要望いたします。前向きなご答弁をお願いいたします。 次に、ワクチン接種予約システムについてです。 今までの区のワクチン接種予約システムは、残念ながら不平等なシステムだったと言わざるを得ません。ワクチンの供給量などにより違いはありましたが、コールセンターに電話がつながりにくく、予約ができるまでに百回近く電話をすることはよくあったようです。 インターネットからの予約も、こうした手続に慣れている人、慣れていない人、家族や友人などが手伝った人、そうしたサポートがなかった人によって、予約が取れるかどうかに明らかに違いが出ていました。 初期に予約が取れた高齢者の接種会場では、車で家族が会場の出入口まで送迎する姿が多く見られ、サポートの厚さが、ワクチン接種ができるかどうかの差を生んでいることを痛感させられました。 今年度は、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種予約が日本全国どこでも初めての試みであったため、様々な不備は仕方がなかったとは思います。しかし、このワクチン接種の予約のしやすさの格差は、今後改善されていかなければなりません。北区のワクチン接種予約システムの課題と、今後の改善策についてお伺いします。 また、九月九日にワクチン接種予約枠の追加日について、区立小・中学校に通う小学六年生から中学三年生の保護者へメール配信がされました。これは大変すばらしかったと思います。ここで述べさせていただきます。 次に、新型コロナウイルス感染症とワクチンに関する情報の周知について、お伺いいたします。 まだ町なかでウレタンマスク、布製マスクを着用している方をよく見かけます。また、高齢者の方に多いですが、ワクチンも打ったし、気をつけて友人とお茶をしているといったお話も耳にします。デルタ株の感染のしやすさなどを考えると、広報をいま一度充実させることは意味が大きいのではないでしょうか。お伺いします。 マスクの種類を不織布のものを用いることについて、広く広報していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。 ワクチン接種が終わった高齢の方を中心に、マスクを着用しない人を見かけます。ワクチン接種後も自身が感染するブレークスルー感染のおそれがあること、また無症状での感染により、ほかの人に感染を広げる可能性もあります。こうしたリスクについて、ぜひ積極的に広報することを要望いたします。いかがでしょうか。 ファイザー製等メッセンジャーRNAワクチンの接種後、副反応で若い男性に心筋炎が見られるということについて、広報することを要望いたします。 激しい運動との関連による急な体調悪化も指摘されています。先月の段階では、北区のワクチン接種会場では、接種当日の運動は避けてくださいとのご指示がありましたが、一週間などの長い期間で運動を避けるようにとの周知をすべきだと考えますが、いかがでしょうか。 厚生労働省は、ファイザー製とモデルナ製の新型コロナウイルスワクチンの接種後に、心筋炎や心膜炎が疑われる症状の報告が、八月八日時点で延べ七十二件あったことを公表しています。非接種者より発生頻度が高い可能性があるとのことです。 米国疾病予防管理センター(CDC)の管理するワクチン有害事象報告制度(VAERS)のサイトでは、八月三十日に心筋炎についてのデータが公表されています。男性では、十二歳以降の思春期及び若年世代に加えて四十代でも、未接種の場合に想定される頻度を超過した心筋炎の事例数が報告されており、女性でも十代から二十代で同様に、未接種者で想定される頻度を超過していることが報告されています。 接種後の運動に関して厚生労働省は、ワクチンを受けた当日は激しい運動や過度の飲酒などは控えましょうとしており、CDCは情報が可能になり次第、公開されるとしています。 その一方で、シンガポール保健省は、七月初旬に新しいガイドラインを公表し、ワクチン接種を受ける全ての人、特に未成年の若者と三十歳未満の男性に対して、接種後一週間は激しい運動を回避するよう勧告しています。これは、シンガポール国内でのワクチン接種後の十六歳の男性が、負荷の大きなウエートトレーニングをしているときに心不全で倒れた事例と、そのほか若い男性を中心に心臓に問題が出るケースが数件確認されたためです。 ぜひ、区民の安全を最大限に考慮した区独自の広報のご検討をお願いいたします。 先日、小さいお子さんをお持ちのお母様からお問合せがありました。ワクチン接種時に利用できる託児所はあるかというものでした。北区では設置されていないものの、墨田区や港区、文京区などが託児サービスを行っており、評判もよいようです。 じっとしていられない小さい子どもを連れてのワクチン接種は、簡単ではありません。ワクチン接種が終わっていない大勢の人が利用する場所で、子どもたちがハイハイで動き回ったり、あちこちに触れて、その手を口に運んでしまうなどのリスクがあります。また、接種後の待機時間にも、十五分、または三十分、子どもたちがおとなしく保護者に抱かれていてくれるとは、ぐっすり眠っていない限り考えにくいことです。 また、大きな接種会場では、換気は考慮されているとはいえ、無防備な小さい子どもを連れていくのは、保護者として避けたい気持ちもあると思います。限られた会場で構わないので、託児所を設置することを要望いたします。「子育てするなら北区が一番」とうたう北区の前向きなご答弁をお願いいたします。 子どもたちを守る新型コロナウイルス感染症対策について、お伺いをいたします。 先ほども触れましたように、現在の新型コロナウイルスはデルタ株へほぼ置き換わっていること、空気感染が主な感染経路であるとの指摘もあります。 北区では、子どもたちを守るための対策のアップデートは十分になされている状況でしょうか。学校、学童クラブ、わくわく☆ひろば、幼稚園、保育園などでの感染対策を、単に感染拡大を防ぐ対策ではなく、一人一人の子どもたちの健康を守ることに重点を置いた対策として、充実させていただきたいという思いから質問いたします。 国と東京都から、新型コロナウイルス感染症対策の一環として、学校にそれぞれ抗原検査キットと、PCR検査キットが送られてくるとのことです。こうした検査キットの数、使用条件等を教えていただけますか。また、こうした国と東京都からの検査キットは、発症者が出た場合に、感染拡大を防ぐためのものであると理解をしています。感染を予防する観点からの検査キットの使用ができるよう、東京都に働きかけていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。 現状の配付方法や使用条件では、検査キットの出番はあまりなさそうだと伺っており、このことは大変残念だと感じています。ぜひ前向きなご見解をお聞かせください。 八月二十日付の文部科学省からの通知には、「気候上可能な限り、常時換気に努めること。また、エアコンは室内の空気を循環しているだけで、室内の空気と外気の入れ替えを行っていないことから、エアコン使用時においても換気は必要であること。さらに、十分な換気ができているか確認するためには、換気の指標として、学校薬剤師等の支援を得つつ、CO2モニターにより二酸化炭素濃度を計測することが考えられること(学校環境衛生基準では、千五百ppmを基準としている)。」とあります。 ぜひ、北区でも換気のためのCO2モニター及びサーキュレーターの各教室への導入を求めます。どのようにお考えになりますか。 四日市市でCO2モニター、摂津市でCO2モニター及びサーキュレーター、北九州市でCO2モニター及びサーキュレーターを市内の学校に配付しています。松戸市教育委員会でもCO2モニターを購入しています。また、外国の事例ではありますが、イングランド教育省では、三十万台のCO2モニターを約三十七億円かけて学校に配備することを八月に発表しています。 さて、先ほどワクチンに関する広報についての箇所でも、心筋炎について述べました。ワクチン接種後の運動を厚生労働省が推奨する一日控えるのではなく、一週間と学校では考え、体育や部活動などで激しい運動をしないようにご配慮いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。 マスクは、不織布のものを着用することを、学校の特に教室内では徹底すべきだと考えますが、ご意見を伺います。 十二歳以上の児童・生徒及び教職員、保育士、幼稚園教諭、学童クラブ、わくわく☆ひろば職員のワクチン接種状況について教えてください。この接種状況をどのように分析されますか。また、課題があれば教えてください。 長引くコロナ禍で、子どもたち、教職員、保育士、幼稚園教諭、学童クラブ、わくわく☆ひろば職員など、多くの方々のストレスが高まっていると思われます。心理的ケアを充実させていただきたいです。現在取られている方策、また課題があれば、それも教えてください。 学びを止めないこと、子どもたちの居場所を守ることはとても大切です。ただ、子どもたちの心身の健康を守るためには、従来の接触感染と飛沫感染対策では不十分である状況に移行している今、感染対策もそのままで進めていくことはできません。また、子どもたちが新型コロナウイルスに感染して無症状であっても、後遺症がないということでは必ずしもありません。 ぜひ、今、子どもたちに感染症状が出ないということだけでなく、これから成長していく子どもたちの健康を守るという観点でも、より適切な感染対策を臨機応変に取れるように準備していただきたいと思います。 次に、発達障がいについて、今回は、学校教育の中でも通常級の子どもたちの観点から質問いたします。 発達障がいという言葉は、以前に比べ随分広く知られるようになりました。しかし、まだじっとしていられない多動性のイメージが強いのではないでしょうか。その実情への理解は、まだあまり進んでいないのではないかと感じます。 発達障がいは主に三つに分類されます。自閉症スペクトラム障害、注意欠如・多動症、学習障がいです。 自閉症スペクトラム障害は、自閉症やアスペルガー症候群、広汎性発達障害などが合わせられた診断名です。主な特徴は、社会的コミュニケーションや対人関係の困難さ、限定された行動、興味、反復行動です。感覚に関する過敏性や鈍感性を伴うこともあります。 注意欠如・多動症は、不注意、集中力がない。多動性、じっとしていられない。衝動性、思いつくと行動してしまう。といった症状が見られる障がいで、ADHDとも呼ばれます。 学習障がいとは、全般的な知的発達に遅れがないけれども、聞く、話す、読む、書く、計算・推論する能力に困難が生じる発達障がいのことです。 この三つの要素が人によって異なった重なり方をします。また、知的障がいを併存している人もいます。感覚過敏や、反対に刺激への反応が鈍い感覚鈍麻のある人も多いです。そのほか、言語発達遅滞や発達性協調運動障害、てんかん、チックなどの併存が見られる場合もあります。 このように発達障がいはかなり複雑で、医師によっても診断が変わってくる可能性があるそうです。 二〇一二年の文部科学省のアンケート調査の結果では、通常学級に在籍する発達障がいの可能性のある児童数が全体の六・五%、十五人に一人とされています。これは教職員対象のアンケートだったので、発達障がいと診断を受けている子どもたちだけでなく、その傾向を持つグレーゾーンの子どもたちも含まれていると考えられます。 そして、発達障がいの子どもたちは生まれつきの脳機能の偏りから来る特性と、自分を取り巻く環境のミスマッチから、つらい気持ちを抱えてしまいがちです。自信の喪失、対人関係のトラブルなどに遭いやすいと言われています。そこから抑鬱や強迫性障害などの精神疾患や、暴力などの二次障がいを抱えてしまうことも多いです。不登校や引きこもりなど、様々な社会的課題とも密接に関係している可能性が分かってきています。生きづらさという言葉とも重なる部分が多いように感じます。 障がいを持つ方たちへの合理的配慮という考え方は、かなり社会に広く浸透してきたと思います。それでも様々な障がいがあり、その当事者に出会って、その障がいの特性やそれぞれの方の困り事を知って初めて、合理的配慮が可能になっていくということが、まだまだ多いと私自身、日々感じています。発達障がいは見えているようで、なかなか見えてこない障がいで、実は様々な工夫で、そこにある困り事を軽減したり、二次障がいを予防したりできる可能性があると思います。 質問いたします。 小・中学校の校長、副校長、教職員の方々に発達障がいについての知識をさらに深めていただき、子どもたちの教科学習や学校生活での対人関係や、様々な体験からの学びをより実りあるものにするためにも、発達障がいに関する研修をより充実させることを要望いたします。 発達障がい及びグレーゾーンの児童・生徒たちが、より学習しやすい環境を、GIGAスクール構想で一人一台ずつ配付されているクロームブックなどのICT機器を利用して整えることを要望いたします。具体的には、クロームブック内蔵のカメラでの板書や資料などの撮影の許可、クロームブックをノート代わりに使うことの許可、授業で配付したプリントをダウンロードできるようにすることなどです。 たとえ許可が書面でされていても、例えば実際の教室で子どもたちから、板書を撮影する行動に出るのは勇気がいったり、注意欠如の特性から、すっかり忘れてしまったりすると思います。やはりそのルールがクラスで共有され、日常の一部になることが必要だと思われます。ぜひ温かいご答弁をお願いいたします。 最後に、北区の豊島地区と足立区新田地区を結ぶ新田橋の架け替え工事と、豊島側の道路の拡幅事業について質問いたします。 新田橋の架け替え工事は、現在、仮橋を架けている途中で止まっているとお伺いしています。現在の状況と今後のスケジュールをお示しください。新田橋の豊島側の道路拡幅事業についても、長くそのままになっており、既に立ち退かれた方もいると思います。計画の状況を教えてください。 こうした事業の状況がどうなっているのかは、近隣住民の方たちになかなか見えてきません。まずは周知のための看板などを取りつけることを要望いたします。いかがでしょうか。もちろんチラシなどを併用していただいてもいいのですが、チラシだけですと、近隣の方には伝わっても、新田橋を利用するけれど橋近くに住んでいない方には、状況が分かりにくいからです。 二〇一一年に最初の住民説明会が行われた新田橋の架け替え工事ですので、近隣住民の方たちにしたら、初めて話を聞いてから既に十年が経過しています。ぜひ、新田橋の近隣住民や利用者の方々に寄り添いつつ、事業を進めていただくようお願いいたします。 以上、新型コロナウイルス感染症対策、子どもたちの発達障がい、そして地域の課題である新田橋について伺ってきました。温かく前向きなご答弁を再度お願いして、私の質問を終わります。 ご清聴ありがとうございました。(拍手) (花川與惣太区長登壇)
◎区長(花川與惣太区長) ただいま立憲クラブを代表して、赤江なつ議員から、新型コロナウイルス感染症をめぐる諸課題についてをはじめ、発達障害について、さらには、新田橋架け替え工事及びその付け替え道路の拡幅事業についてまで、大変具体的なご意見、ご提言を多岐にわたり頂戴をいたしました。誠にありがとうございました。 それでは、順次お答えをさせていただきます。 新型コロナウイルス感染症対策をめぐる諸課題について、お答えをいたします。 まず、北区の現在の状況と今後の動向についてです。 北区においても、いわゆる第五波は六月上旬から始まり、従来の第一波から第四波に比べて急激な増加となり、八月第三週には、区内の週間の新規発生患者数が過去最大の九百五十八人となりました。 第五波の特徴は、ワクチンやPCR検査の普及により、高齢者の感染、死亡、高齢者施設や医療機関でのクラスターが減った一方で、ピーク時の新規発生患者数の多さ、そこに至る増加スピードの速さ、子どもの感染の増加、四十代や五十代での重篤な患者の増加などがあります。 その後は、増加傾向は止まりましたが、現在も高い水準で推移しており、今後も高止まりや再度の感染拡大が懸念される状況です。 次に、自宅で療養や待機している方々についてです。 まず、自宅療養をされている方の人数は、九月五日現在で四百七十七人、入院待機されている方は、九月三日現在で四人です。 次に、重症度分類と症状の度合いについてです。軽症は、血中酸素飽和度が九六%以上の方で、呼吸困難は見られません。中等症Ⅰは、血中酸素飽和度が九五から九四%の方で、軽度の呼吸困難が見られます。中等症Ⅱは、血中酸素飽和度が九三%以下の方で、呼吸困難があり、酸素投与が必要です。重症は、呼吸不全のために、集中治療室で人工呼吸器を使った医療が必要な状態です。 次に、適切な医療につなげる対策につきましては、年齢やリスクファクターの有無から重症化しやすい患者を把握し、電話や家庭訪問による健康観察により、早期に病態の変化に気づいていくことが重要です。 今後に改善すべき課題といたしましては、限りある医療資源での対応には限界があることから、社会全体で感染拡大を抑制していくことが重要です。 また、配食サービスについては、本人の希望に基づき、一般的な食品については、東京都のフォローアップセンターが配給し、北区保健所は宗教食等の特殊な食品について配給するなど、連携して実施しており、保健所からは、一回当たり七食分を単位として、同日現在で百六十一人に配付いたしました。 なお、水道を利用できないなど特別な状況を除いて、水の配付は想定していません。 次に、在宅訪問医療の状況及び課題についてです。 第五波の感染拡大による深刻な病床逼迫により、北区でも入院待機者が最大四十人近くまで増加しました。 こうした状況から、八月下旬から開始した区内訪問看護ステーションと、医療機関等の協力に基づく、入院待機者や重症化リスクのある自宅療養者に対する医療的な健康観察、症状悪化時等の必要に応じた訪問看護・訪問診療により、区民の命を守る安全・安心な自宅療養体制を強化いたしました。 なお、ご協力をいただいている訪問看護師や協力医師の負担を軽減し、この取組を継続させる上でも、より多くの機関の協力が必要と考えます。引き続き、訪問看護ステーション連絡協議会や北区医師会を通じて、協力を求めてまいります。 次に、保健所及び医療の逼迫についてです。 いわゆる第五波に際しては、発生患者数の規模が極めて大きく、また増加速度が極めて急激だったため、入院医療や宿泊療養施設が逼迫し、自宅で待機または療養をせざるを得ない患者が増加しました。 北区保健所では、これらの陽性者及び同居家族への自宅療養支援等を精力的に実施いたしましたが、急激な患者数の増加には十分に対応できず、一時的にではありますが、重症患者への対応を優先した結果、軽症の自宅療養者への連絡に数日間の遅延が生じました。こうした遅延は、全庁的な応援体制等により、現在は解消されております。 次に、デルタ株に対する感染対策についてです。 東京都の変異株モニタリング調査によると、現在、都内の新型コロナウイルス感染の九〇%以上はデルタ株と考えてられています。デルタ株の感染経路は、今までどおり飛沫感染と接触感染ですが、従来に比べて感染力が強いことから、より一層の注意が必要です。 職場、家庭、飲食店における感染症対策については、換気のよい環境をつくること、三密や大声を避けること、マスク着用と手洗いを行うことといった従来どおりの基本的な対策をより徹底して行うことが引き続き重要です。 次に、子どもたちの状況についてであります。 まず、感染状況については、第五波のピークである八月十四日からの一週間で、北区内の十歳未満の子どもは五十一人の感染が報告されました。また、第五波の始まった六月当初から八月末までの累積では、二百八十一人となっています。 次に、子どもたちの入院についてです。 小児は、高齢者に比べて重症化することは少ないですが、小児科の入院受入れ施設自体が少ないため、新型コロナの場合にも、小児の入院の受入れ病院は限られています。このため、入院が必要な小児患者には、東京都が広域の入院調整を行っております。 次に、新型コロナウイルス感染症をめぐる諸課題について順次お答えをいたします。 まず、ワクチン接種の申込方法についてです。 ワクチンの供給量が限られている状況において、接種を希望する方の利便性と公平性に最大限配慮し、コールセンターでの予約、ウェブサイトからの予約、サテライト医療機関での個別の予約の三つの方法で行ってまいりました。 実際に運用する中で、コールセンターの回線数には限りがあること、ウェブサイトからの申込みでは、デジタル機器の習熟が必要なこと、かかりつけ医からの申込みは、大量の予約は不可能であることなど、それぞれに課題があることが明らかになりました。 こうした課題については、コールセンターの増員や新たな予約システムの導入等により、順次改善を図ってきました。今後は、さらに使用しやすい予約体制の構築に努めてまいります。 次に、感染予防方法の普及啓発についてお答えいたします。 ご指摘の、効果のあるマスクの素材やワクチン接種後の対応など、新型コロナウイルス感染症対策における新たな知見も明らかとなっております。このため、今後とも最新の情報について、北区ニュースやSNSなど様々な媒体を用いて、広報に努めてまいります。 あわせて、ワクチン接種についての効果や、副反応等に関する正確な情報の普及も接種医療機関等と連携しながら行ってまいります。 ご提案の接種会場での託児所設置についてですが、北区では、センター運営を含め、全ての接種を医療機関に委託実施していることから、大変難しい状況です。ご意向に応じて、区の施設で実施している一時預かり保育やベビーシッター利用支援事業などをご案内してまいります。 次に、新田橋架け替え工事及びその付け替え道路の拡幅事業について、順次お答えをいたします。 まず、現在の状況と今後のスケジュールについてです。 新田橋の架け替え工事は、仮橋の架設が一部完了しており、現在、仮橋にスロープを設置するため、用地交渉を進め、関係権利者と合意したところです。 今後、仮橋スロープの設計、工事を行い、企業者の添架管の移設、本橋の架け替え等、順次工事を進め、おおむね十年後の完成を目指しています。 また、道路拡幅事業につきましては、新田橋から庚申通りまでの区間を二つに分け、関係権利者の皆様と用地交渉を進めてまいります。 次に、事業の周知についてです。 本事業につきましては、近隣住民や利用者の皆様に事業へのご理解、ご協力をいただけるよう、進捗状況等について周知看板の設置などを検討してまいります。 以上、お答え申し上げました。頂戴いたしましたご意見、ご提言を踏まえて、これからもより一層、安心して住みやすいまちを目指して、さらなる努力を重ねてまいりたいと存じます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
◎教育長(清正浩靖教育長) 私からは、まず、新型コロナウイルス感染症対策をめぐる諸課題についてのご質問のうち、学校施設での不織布マスク配付についてと、教室内で不織布マスク着用を徹底することについてお答えいたします。 不織布マスクについては、夏季休業明けの学校宛ての通知及び保護者向けのお知らせにおいて、その着用を推奨しており、各校・園では、正しいマスクの着用方法を指導しています。また、各校・園では不織布マスクの予備を用意し、必要に応じて子どもたちへの配付を行っています。 次に、子どもたちを守る新型コロナウイルス感染症対策についてお答えいたします。 まず、国と東京都から送られてくる検査キットについてですが、国から送られてくる検査キットは、抗原定性検査を行うものであり、症状がある場合に有用とされていることから、教職員が出勤後に体調に変調を来した場合で、直ちに帰宅して医療機関を受診できないときに使用するものとされており、一箱十回分のキットが九十六箱配付される予定です。 東京都から送られてくる検査キットは、学校で感染者が判明した場合、保健所による濃厚接触者の特定が行われない場合に、感染者と接触した者等に対してPCR検査を実施するものです。 この東京都の検査キットは、感染者が判明した都度、保護者からの検査同意書の徴取、東京都への必要検査数の報告、東京都から学校への検査キットの送付、学校から対象者への検査キットの配付、検体の採取と検査キットの郵送、検査結果の学校への通知という手順で行われ、検査結果が判明するまでには、相当の日数を要するものではないかと考えられます。 なお、国と東京都のいずれの検査も、正式な判定には医療機関の受診が必要となります。また、感染予防の観点での検査キットの使用については、国や東京都の動向を注視してまいります。 次に、CO2モニターとサーキュレーターの各教室への導入を求めることについてです。 教室での換気については、国の衛生管理マニュアルでは、可能な限り常時二方向の窓を同時に開けて換気を行うよう求めており、廊下側と窓側を対角に開けることにより、効果的に換気できるとしています。 学校においては、このマニュアルに基づき教室での換気を行っています。十分な換気の確認については、CO2モニターを活用する意義について、学校へ情報提供を行ってまいります。 次に、ワクチン接種後の体育や部活動における運動制限についてお答えいたします。 ワクチン接種後の副反応は個人差が大きく、体育や部活動における運動を制限する期間を一律に定めることは難しいと考えます。厚生労働省は、ワクチン接種当日の激しい運動を控えるよう示していますが、翌日以降については、健康状態を個別に判断し、対応するものと認識しており、学校では生徒の状況に合わせた十分な配慮をしています。 次に、児童・生徒や教職員等のワクチン接種についてお答えいたします。 まず、児童・生徒の接種状況については、調査や確認をすることにより、差別や偏見を助長するおそれがあり、人権上の配慮から調査を行っていません。 次に、教職員等の接種状況は、区立小・中学校では週一回以上、児童・生徒と接する機会のある時間講師なども含めた教職員等の接種率は、本年八月末現在で二回終えた人が約六五%であり、一回目の接種予約を含めた割合は約七九%です。 また、保育園では一回目の接種予約を含めた割合は、八月二十四日現在で約八六%、学童クラブ及び放課後子ども教室では、八月末現在で約八五%となっています。 新型コロナウイルス感染症のワクチン接種については、体質や持病など、様々な理由で接種を受けることができない人もいると認識しています。 一方で、児童・生徒と接触する機会の多い教職員や、保育士等につきましては、感染防止や保護者の不安解消を図る上でも、ワクチン接種を受けることが望ましいと考えています。 なお、ワクチン接種は強制ではないため、接種勧奨に当たっては慎重に対応してまいります。 次に、児童・生徒及び教職員等への心理的ケアについてお答えいたします。 児童・生徒については、全小・中学校に週二日間、スクールカウンセラーを配置し、心理カウンセリングを行っています。また、小学校第五学年、中学校第一学年を対象とした全員面接を実施するとともに、気になる児童・生徒には意図的に声かけをして、面接を実施するなど、児童・生徒の心の変化を捉え、対応しています。 教職員に対しては、スクールカウンセラーが必要に応じてカウンセリングを実施するとともに、メンタルヘルスに関する校内研修を実施しています。 保育園、学童クラブ及び放課後子ども教室の職員につきましても、日々の感染症予防策を実践することによる不安や緊張等から、ストレスを抱え込まないよう、職員間のコミュニケーションを深めることや、施設長を中心とした職員のメンタルヘルスに努めてまいります。 次に、発達障害についてのご質問にお答えいたします。 初めに、小・中学校管理職、教職員を対象とした発達障害に関する研修の充実化についてです。 発達障害に関する教職員の理解と知識向上については、例年、初任者研修や、三年次研修、中堅教諭等資質向上研修をはじめとする職層研修、特別支援教育コーディネーター研修会、教育相談研修などにおける発達障害をテーマとした研修などを実施しています。 障害の特性などに関する理解や、特別支援教育に関する基礎的な知識、個に応じた分かりやすい指導内容や指導方法の工夫は、全ての教師に求められる専門性であると考えています。 今後とも、発達障害の理解と知識を深めるため、オンライン研修による参加機会の向上なども含めた研修の充実に努めてまいります。 次に、発達障害やグレーゾーンの児童・生徒に対するICT機器を活用した学習環境の整備についてです。 ICT機器は、障害の状態や特性及び心身の発達の段階等に応じて活用することにより、各教科等の学習の効果を高めたり、障害による学習上、生活上の困難を改善・克服するための指導の効果を発揮することができるとともに、合理的配慮の観点でも必要不可欠なものになると考えています。 そのため、現在も様々な障害等を抱えて、授業中の板書に時間を要する児童・生徒や、やむを得ず授業を欠席せざるを得なかった児童・生徒に、教員がGIGAスクール構想の学習用端末を活用し、板書の内容をカメラで撮影して配信し、手元で画面を見ながらノートに書き写せるよう、必要な配慮や対応を行っている学校もあります。 このような取組について、特別支援教育に関する研修等において、各学校の教員が共有し、よりよい支援方法等を考えるとともに、引き続き発達障害等の児童・生徒に対する学習用端末等のICT機器の様々な活用方法等について、研究してまいります。 以上、お答え申し上げました。
◆三十四番(赤江なつ議員) たくさんあった質問に一つ一つお答えいただきました。 まず、CO2モニターとサーキュレーターにつきまして、再質問させていただきます。 政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身会長が提言をされた会場で、その提言が始まる前に、ここはCO2モニターはあるのかとスタッフに声をかけていらしたんです。ない、じゃあ、つけておいてくださいとスタッフに話しかけていらっしゃいました。 それをインターネット配信で見ていて、重要なんだなと私は思ったわけなんですけれども、そういう意味でCO2モニター、それから空気を動かすということでサーキュレーター、これはやはり必要なのではないかなと思っています。 港区立港南中学校の事例なんですけれども、保健室で一台のCO2モニターを貸出ししているそうです。予算の問題があるとするならば、こうした方法は取れないでしょうか。そうすることによって、子どもたちの意識も高まっていくし、予算も節約できるかと思います。 それから、ファイザー製等メッセンジャーRNAワクチン接種後の運動などの状況について伝えていくべきということに対しては、接種医療機関と協力していかれるというお答えでしたが、これはぜひよろしくお願いいたします。 やはり自分の気になったことをそこで尋ねるんですけれども、本当にそれで十分なんだと思ってしまいがちなところがあります。もし、運動を避ければ、心筋炎が避けられたなんていうことがあったら、本当にいろんな方々が報われないかと思います。ぜひよろしくお願いいたします。 それから、小さい子どもを連れた方への託児所サービスですけれども、難しいということで、すごく残念なんですが、これは東十条区民センターなんかだったら、そこの和室でベビーシッター事業など、利用ができるというような場所をつくっていただけたら、本当はいいのかもと思いますが、いかがでしょうか。 私自身は、決算特別委員会の委員ですので、再質問はここまでにしまして、引き続き、決算特別委員会の場で議論させていただきます。 まずは、お答えをお願いいたします。
◎教育振興部長(小野村弘幸教育振興部長) (説明員) 私からは、学校の教育における環境測定等のCO2モニターの使用についての再質問にご答弁させていただきます。 CO2モニターについては、答弁でも申し上げましたが、十分な換気の確認という意味で効果があるだろうというふうなことは、私ども教育委員会も認識しているところでございます。 ご提案いただいたような港区の事例等も、まさにそういうことかと思いますが、各学校において、ふだんの予算令達の中でCO2モニターを買っている学校もあるというふうには聞いてございます。各学校に一台ないし二台あれば、ご提案いただいたような貸出し方式、また教職員なり、学校の用務職員なりが定期的に教室を巡回して、そのような換気測定というようなことも可能かなというふうに思ってございますので、そのあたりにつきましては、校園長会等で情報共有を図って、必要な対応を求めてまいりたいというふうに考えてございます。 以上です。
◎保健所長(前田秀雄保健所長) (説明員) ご質問いただきましたワクチン接種施設に託児施設を設置するということでございますけれども、まず繰り返しになりますが、運営については医療機関に委託させていただいておりますので、そうした新たな対応は、なかなか難しいと考えているところでございます。 また、感染症対策という観点からも、むしろそうした非常に混み合ったところにお子様をお連れになるよりは、やはりお宅で託児される、あるいは保育専門のところに行かれるというほうが安全ではないかと考えていますので、ぜひそういったものをご利用いただければと考えるところでございます。
◆三十四番(赤江なつ議員) 今、ご答弁いただきましたCO2モニター、どうぞよろしくお願いいたします。 そして、託児施設については、そういったところに連れてくると、感染が危ないのではないかという、専門家からのご指摘ということで、受け止めさせていただきます。 ありがとうございました。終わります。(拍手)
○議長(名取ひであき議員) お諮りします。 本日はこの程度で散会し、九月十四日、午前十時、本会議を開会したいと思います。ご異議ありませんか。 (「異議なし」と呼ぶ者あり)
○議長(名取ひであき議員) ご異議ないと認め、そのように決定します。 ただいまご着席の方々には改めて通知しませんので、ご了承願います。 本日はこれをもって散会します。 午後四時三十六分散会...