豊島区議会 2015-10-22
平成27年決算特別委員会(10月22日)
平成27年決算特別委員会(10月22日)
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│ 決算特別委員会会議録 │
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│開会日時│平成27年10月22日(金曜日)
│場所 │議員協議会室 │
│ │午後 1時30分〜午後 4時28分 │ │ │
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│出席委員│河原委員長 西山副委員長
│欠席委員 │ │
│ │ ふるぼう委員 小林(弘)委員
藤澤委員 │ │ │
│ │ 松下委員 森委員 ふま委員
芳賀委員 │ │ │
│ │ 星委員 永野委員 儀武委員
島村委員 │ │ │
├────┤ 中島委員 村上(宇)委員 里中委員 ├─────┤ │
│18名 │ 大谷委員 渡辺委員 │なし │ │
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│列席者 │ 村上(宇)議長(委員として出席) 辻副議長 │
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│説明員 │ 高野区長 水島副区長 渡邉副区長 三田教育長 │
│ │ │
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│ 齊藤政策経営部長 佐藤企画課長
松崎セーフコミュニティ推進室長 │
次に、採決の方法でございますが、会計ごとに分けて認定番号順に行います。なお、意見が分かれていないことが意見開陳の中であらかじめ確認できれば簡易採決といたします。
以上でございます。
○河原弘明委員長 以上、小委員会の決定どおり運営をしてまいりますので、御協力をお願いいたします。
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○河原弘明委員長 これより意見開陳を行います。最初に、自民党豊島区議団にお願いいたします。
○星京子委員 私は、自由民主党豊島区議団を代表いたしまして、決算特別委員会に付託されました認定第1号から認定第4号、すなわち平成26年度
一般会計歳入歳出決算及び3
特別会計歳入歳出決算の認定に賛成の立場から意見を述べさせていただきます。
初めに、本決算の前提となります平成26年度予算につきまして、その基本的な認識を申し上げ、その上で決算について意見を述べさせてもらいたいと思います。
平成26年度当初予算は、個人消費や大企業を中心とした企業収益の改善等を背景に緩やかな景気回復の動きが見られたものの、消費税増税が景気を下押しするリスクを抱え、さらには地方法人課税の見直しに伴う法人住民税の一部国税化など、特別区の財政に多大な影響を及ぼす要素を将来に控え、より一層計画的な財政運営が求められる中で編成されました。
こうした中で、財源の効果的な活用を図るため、引き続き、全庁挙げての全事業の総点検に取り組むなど、無駄のないスリムな行財政を堅持してきた結果、平成20年度予算以来6年ぶりに財政調整基金の取り崩しをせずに編成した堅実な予算となった一方で、新たな区民要望に可能な限り積極的にこたえるため、5つの重点分野として待機児童対策、高齢者の孤立防止対策、防災力の向上、そして新庁舎の整備、副都心の再生を掲げ、未来への投資と安心に重点的に取り組んだ積極型の予算でありました。
まず待機児童対策の分野では、待機児童ゼロを目指し、小規模保育所や認証保育所、さらに保育ママや臨時保育所などの児童の受け入れ枠を拡大するため、予算の大幅な拡充を図るとともに、新たな私立保育所の整備や既存の保育所の改築による定員の増員など、積極的に事業を展開するものでありました。
高齢者の孤立防止対策の分野では、
コミュニティソーシャルワーク事業や在宅医療推進事業などの拡充を図るとともに、地域包括ケアシステムの構築に重要な役割を担う地域ケア会議の運営事業や要介護になっても在宅で自立した生活ができるよう支援する家族介護支援事業を新たに展開するものでありました。
また、防災力の向上の分野では、高密都市としての安全・安心基盤の確保に向け、東京都の木密地域不燃化10年プロジェクトに基づく不燃化特区推進事業を新たに3地区で実施するとともに、帰宅困難者対策協議会の強化事業や一時滞在施設の整備事業の拡充を図るものでありました。
さらに新庁舎の整備の分野では最高レベルの区民サービスの提供のため、総合窓口やコールセンターの導入のほか、デジタルサイネージシステムの構築や災害対策の司令塔機能を支える総合防災システムの構築など、区役所の概念を変えるさまざまな機能の具現化を図るものでありました。
副都心の再生の分野では、旧庁舎跡地周辺に新たなにぎわいを創出するため、豊島区新ホール整備事業や庁舎周辺道路整備事業を展開するとともに、造幣局跡地に災害対策機能を備えた防災公園を整備するため、
造幣局地区まちづくり推進事業を新たに開始するものでありました。
重点的な取り組みにつきましては、以上申し述べたとおりでありますが、景気の回復によりますこの一般財源歳入の増収に支えられた面はあったものの、平成26年度当初予算は6年ぶりに財源対策を講じることなく編成したことに加え、財政調整基金に約9億円の積み立て予算を計上し、その結果、財政調整基金の残高が過去にない110億円を超える目途がつくなど、安定的な財政運営を行っていくための将来を見据えた予算でありました。
それでは、平成26年度予算についての以上のような認識に基づきまして、平成26年度決算につきまして順次意見を申し上げます。
最初に、
一般会計歳入歳出決算について意見を申し上げます。
一般会計につきましては、歳入決算額が1,323億5,300万円、歳出決算額は1,295億7,900万円となり、歳入歳出ともに過去最大の決算規模となりました。歳入歳出の差引額から繰越明許費の財源8億円を控除した実質収支額は19億7,400万円の黒字であります。この実質収支額から前年度の実質収支額26億5,600万円を差し引き、財政調整基金の減少額93億4,100万円を加味した、いわゆる実質単年度収支はマイナス100億2,300万円という非常に大きな赤字となっております。
今回の平成26年度決算におきまして歳入と歳出がともに過去最大の決算規模となり、また、実質単年度収支が100億円を超える大幅な赤字となったのは、平成26年度中の補正予算で計上された新
庁舎保留床等購入経費136億円と
庁舎等建設基金運用金償還金110億円、合わせて246億円に上る多額の支出をしたこと、この一時的な特殊要因によるものとのことでありました。
この点につきましては総括質疑の中でも取り上げさせていただき、特殊要因が人件費比率や公債費負担比率などの財政指標に及ぼした企業や特殊要因を除いた場合の試算などについて確認をさせていただきました。
なお、新
庁舎保留床等購入経費の支出年度と旧庁舎跡地の活用収入の歳入年度にずれが生じていたため、一時的に基金を活用しての対応となったわけでありますが、高野区長がかねてから公約として掲げられていたとおり、借金をすることなく新庁舎の保留床等の購入が実現した今回の平成26年度決算は、これまでの間、積極的に取り組んでこられた財政健全化の成果が如実にあらわれ、まさに意義深い決算であったと高く評価をしております。
続いて、個々の内容について申し述べます。
平成26年度の歳入総額でありますが、前年度から26.3%のプラス、歳出総額については8年連続で増加し、26.9%のプラスとなっています。
歳入の面では特別区民税が納税義務者数の伸びや収納率の向上などにより増となったことで、特別区税全体では前年度に比べて1.2%、3億6,900万円のプラスとなり、特別区財政調整交付金も3.7%、10億7,200万円のプラスとなりました。また、地方消費税交付金についても昨年4月からの消費税率8%に引き上げられた影響により、前年度から18.1%、8億400万円のプラスとなりました。
歳出の面では人件費が前年度と比べ1.0%のプラス、2億400万円の増、扶助費については4.3%、11億6,000万円の増、一方、公債費については21.0%のマイナス、9億4,300万円の減となりました。
また、投資的経費については新庁舎の保留床等を購入したことに加え、3校の学校改築が重なったことなどにより前年度と比べ168億1,900万円、134.1%の大幅なプラスとなりました。
次に、主要な財政指標であります。まず財政構造の弾力性を示す経常収支比率については前年度より1.0ポイント改善して78.8%となり、2年連続で適正水準の範囲内である70%から80%の中におさまった上、3年連続で23区平均を下回ったとのことであります。この点について総括質疑において、経常収支比率の改善理由をお聞きしましたが、やはりこれまでの間、高野区長が先頭に立って財政の健全化に向けた懸命な御努力を積み重ねられたことが財政構造のスリム化に結びついたものと改めて認識した次第であります。
さらに財政健全化法に基づく健全化判断比率について、実質公債費比率が前年度より2.8ポイント改善してマイナス0.9%になるなど、区財政が確実に健全化しつつあることが明確に伺えます。
こうしたことを踏まえまして我が会派は、構造改革を着実に推し進めるとともに、過去の教訓を踏まえて豊島区の将来について常に先を読み、積極的に負の遺産の解消を図ってこられた高野区長の先見の明と、これまでのさまざまな御努力に改めて深く敬意をあらわすとともに、その揺るぎない信念に基づく卓越した決断力と実行力を高く評価するものであり、今後も引き続き、豊島区のさらなる発展のため御努力を期待するものであります。
それでは引き続き、款別に若干の提言を含め、意見を申し上げさせていただきます。
まず議会費、総務費についてであります。
マイナンバー制度は、公平公正で便利な社会を構築するための重要な制度であると考えております。行政手続の簡素化や効率化が図られるとともに、
行政構造のスリム化に結びつくものであり、区民の皆様の利便性の向上につながる制度であるととらえております。しかしながら、日ごろ地域で区民の皆様と接する中、特に高齢者の方々の間ではなかなか理解が進んでいないように感じております。これまでもさまざまな形で制度の周知を行っていただいていることは理解しておりますが、今後も引き続き、きめ細かな説明を行っていただき、他の自治体ともしっかりと歩調を合わせ、スムーズにマイナンバー制度がスタートできるように御尽力をお願いいたします
総合防災システムに関して、たとえ多額の経費をかけてシステムの構築がなされても、それを活用する職員の育成もしっかりと終えたところが本当のゴールであり、すべての職員がシステムを使いこなせるようになればこそ、本当に画期的なすばらしいシステムになると思います。災害や震災は、いつ起こってもおかしくない状況でありますので、全庁一丸となって万全な体制を整えていただくようお願いいたします。
帰宅困難者対策については、一時滞在施設や備蓄物資が十分に足りていないという現状がありますので、さまざまな事業所などの連携をさらに深めていただきながら、区として引き続き体制を整えていただくよう切に要望いたします。
セーフコミュニティについては、本区が安全・安心創造都市を標榜するに当たり、非常に大切な要素であると認識しております。現在、熱心に活動していただいている方々のみならず、区全体、区民全体への周知についても積極的に行っていただきながら、平成29年の再認証に向け、万全な準備をお願いいたします。また、安全・安心創造都市に関連いたしまして、青色防犯パトロール車による巡回や繁華街・暴力団対策などの取り組みについても引き続き精力的に活動を行っていただくように要望いたします。
国際アート・カルチャー都市構想については、本区の発展のため、また、本区の明るい未来を築くため、大変有意義な取り組みであると思っておりますので、セーフコミュニティの認証とともに、車の車輪と位置づけ、区民の皆様にいつまでも住み続けたいと思ってもらえる豊島区、そして訪れた方々にこのまちに住んでみたい、このまちに携わってみたいと思ってもらえる豊島区となることを目指して精いっぱい御努力いただくようにお願いいたします。
ワーク・ライフ・バランスについては、官民連携のもと、女性の働き方改革を積極的に進めていただき、女性が安心して働き続けられる環境づくり・まちづくりを行っていただくよう強く要望いたします。
次に、福祉費、衛生費についてであります。
障害者のグループホームの整備に関しては、障害者の方々の高齢化、そして重度化や親亡き後を見据えると、住みなれた地域で生活することは今後ますます重要になってくると思いますが、グループホーム整備をするに当たっては地域の方々の理解をいただくとともに、働く人たちに過度な負担がかからないように配慮をお願いいたします。
シルバー人材センターについては、高齢化が進展する中、高齢者の方々の生きがいをつくり、また、高齢者の方々が経済的にも豊かになっていただくことは本当に大切なことだと思っております。仕事の新規開拓にも積極的に取り組んでいただきながら、高齢者の社会参加の促進と地域社会の活性化を目指していただきたいと思います。
女性が暮らしやすいまちづくりのさらなる推進を図るために立ち上げました、としまF1会議からの提案を受けて、新庁舎に子育てインフォメーションを設置していただきましたが、保育園のみならず、子ども家庭支援センターや幼稚園など、子どもに関する施設は多数存在します。これらの施設の横のつながりを密接にしていただき、子どもや子育て世代の人のための施策を積極的に推し進めていただくよう切に要望いたします。
高齢者の孤立を防止するため、ひとり暮らしの高齢者等のアウトリーチ事業や見守り訪問事業などを有効に活用し、地域の高齢者の潜在的な需要や問題等を早期に発見しながら高齢者の生活の安全を確保していただくようお願いいたします。
路上生活者対策については、来年4月、池袋一丁目に自立支援センターが開設されるとのことですので、このことをきっかけに一人でも多くの方が自立に結びつくよう綿密な就労支援をお願いいたします。
危険ドラッグについては、豊島区内での販売店舗はなくなりましたが、今後は危険ドラッグそのものを撲滅させるため、警察や地域の方々と密接に連携しながら、区としても引き続きの御尽力を強く要望いたします。
そして、認知症高齢者対策については、高齢化が進む中、区民の関心も高く、喫緊の課題であると認識しております。ぜひとも本年2月に打ち出した認知症戦略7つの柱を推進しながら、高齢者が安全・安心に暮らし続けることができる社会を実現していただくようお願いいたします。
在宅医療に関しては、これを推進していくためには医療と介護の連携が必要不可欠であり、医療と介護の相互理解を促進するための人材育成が大変重要になると思います。地域で人材を育成し、ICTなどを活用して情報共有を進め、医療や介護を初めとした生活支援が一体的に提供される地域包括ケアの構築を目指していただくようお願いいたします。
ひとり親家庭への支援については、子どもが希望のある未来を描くことができるよう、しっかりとサポートできる体制づくりを行っていただくことを切に要望いたします。また、認証保育所の保育料負担軽減補助については、我が会派からも区に強く要望し、大幅に増額をされております。引き続き認証保育所、認可保育所ともに良質な保育が提供できるよう支援をお願いいたします。
次に、清掃環境費、都市整備費、土木費であります。
池袋駅西口のまちづくりについては、再開発事業に向けた地元区民の皆様の活発な活動が随分と展開されているように思いますが、池袋駅周辺の都市再生を進めるに当たり、東口ばかり先行して開発をされているのではという声をよく耳にすることも事実でございます。特定都市再生緊急整備地域の指定を受けたことを絶好のチャンスととらえ、地元区民の皆様の声にも耳を傾けていただきながら、池袋駅西口の飛躍的な発展を目指し、積極的かつ着実な取り組みをお願いいたします。
都市計画道路補助第173号線については、これまでの間、懸命な御努力のもと、整備に当たっていただいていることは理解しておりますが、地元の協議会の提言を可能な限り取り入れていただきながら、安全で快適な道路空間の確保のため、一日も早い事業完了を目指していただくよう強く要望いたします。
無電柱化に関しては、防災面のみならず、景観の向上という観点からも非常に有用でメリットの多い施策であると思っております。もちろん急速にとは申し上げませんが、徐々に、そして確実に推し進めていただければと思います。
南池袋二丁目地区街区再編まちづくりについては、池袋駅の西口・東口ともに新庁舎という豊島区のシンボルを抱える地区として価値の高いまちづくりを行っていく必要があると考えておりますので、新たなにぎわいの拠点として意義のある開発を期待しております。
旧庁舎跡地の活用についても池袋副都心で新庁舎に続く重要なプロジェクトであり、この地でにぎわいをつくることで面的な回遊性と活性化が図れるものと思っております。今回の事業者の提案は、池袋副都心のにぎわいの創出に大変有意義であり、提案内容の実現に向け、積極的に進めていただくようお願いいたします。
資源持ち去り防止対策に関しては、巡回パトロールによる持ち去り行為への指導、警告を一層強化していただくことで貴重な資源の持ち去りの根絶につながることを期待します。
木密地域不燃化10年プロジェクトについては、首都直下地震の切迫性を踏まえた集中的かつ重点的な取り組みであると認識しております。区としてもしっかりとしたリーダーシップを発揮していただき、区民やまちづくり協議会など地域団体と協働しながら、着実に防災まちづくりを進めていただくよう強く要望いたします。
次に、文化商工費、教育費についてであります。
公立学校については、地域とのつながりの中で、さまざまな学びや気づきを得られるところが大きなセールスポイントだと考えております。本年8月に開催された校長先生によるプレゼンテーションも行われた小学校入学相談会や中学校説明会が大変好評だったとのことでございます。そのような機会をふやしていただきながら、引き続き区民に選ばれる魅力ある学校づくりに向けた積極的な取り組みをお願いいたします。
漫画の聖地、トキワ荘の関連事業については、南長崎地域のまちづくりの活性化だけではなく、国際アート・カルチャー都市づくりを進めていく上でも大変重要な取り組みであると思っております。トキワ荘関連の事業を着実に実行し、地元の方々とタッグを組んで世界じゅうの人を魅了するにぎわいあふれる南長崎地域、そして豊島区を実現していただきたいと思います。
スポーツ施設の整備については、子どもの運動能力の低下が問題となっている昨今、子どものころから運動・スポーツに触れて好きになることが大人になっても運動・スポーツを継続することにつながり、生涯を通じた運動習慣を身につける上で極めて重要と考えております。だれもが気軽に体を動かすことができる環境づくりという観点からもスポーツ施設の整備に御尽力をお願いいたします。
子どもの学力の向上に関しては、基礎学力の向上こそが子どもたちの将来の可能性を広げ、ひいては将来の国を背負う礎となるわけですから、この豊島区においても子どもたちの学力のさらなる向上のため、引き続き一生懸命取り組んでいただければと思います。
インバウンドの推進については、国も取り組みを進めております。地域に活力を与える有効な施策だと思っております。国家戦略特区や特定都市再生緊急整備地域の指定を機に、今後はインバウンドの視点を持って外国人の方々にも魅力的だと思ってもらえるような世界に開かれたインターナショナルな豊島区、日本を引っ張っていく豊島区をぜひつくっていただきたいと思います
商店街の活性化については、商店街自体の力の低下が行く行くはまち全体の衰退にもつながってしまうという危惧がありますので、さまざまな方策を講じながらも区も一体となって商店街の活性化に取り組んでいただくよう切に要望いたします。また、産業振興については、プレミアム商品券や商店街の活性化等の施策を行っていただいておりますが、区内この基幹産業を中心として新規企業の支援や貴重な伝統文化を継承していく伝統工芸のような産業の育成も含め、短期的、長期的な視点から支援計画を立てていただきたいと思います。
インターナショナルセーフスクールの活動は、子どもたちにとってもふだんは学べない、みずから考えて自分の危険を回避するという生き抜く力をしっかりと養っていくための大切な取り組みであると思いますので、今後ともぜひ推し進めていただきたいと思います。
次に、公債費についてであります。
従前と比較して借り入れる際の利子が大幅に引き下がっているという要因もありますが、やはり近年、新規の起債の発行を可能な限り抑制してきたことが公債費の縮減の大きな要因であります。今後につきましても将来の豊島区にとって必要不可欠な公共施設についてはしっかりと建設しつつ、起債の発行額を綿密にコントロールしながら、トータルでバランスのとれた財政運営を継続していただくことをお願いいたします。
次に、歳入でございます。
狭小住宅集合住宅税については、ゆとりある住宅及び住環境を実現するということが課税の根拠となっております。本税が法定外、こちらの普通税であることは承知しておりますが、今後とも引き続き狭小住宅集合住宅の税収をすぐれた住環境の整備のために活用していただきたいと思います。
また、特別区民税を初めとする公債権はもちろんですが、私債権についても万全の収納対策を講じることで着実に歳入を確保していただくことも強く要望いたします。
次に、特別会計でございます。
国民健康保険事業会計については、年々伸び続ける医療費の増大が課題となっておりますので、重症化の予防対策やジェネリック医薬品の普及、レセプト点検のさらなる充実など、あらゆる方策を講じることで医療費の適正化を推し進めていただくよう強く要望いたします。
また、3つの特別会計は共通の要望を申し上げます。収納対策でございますが、保険料を支払う意思がありながら支払いが困難な方々に対しては、引き続き、きめ細かな納付相談をお願いするとともに、支払い能力を有する滞納者に対しては毅然とした態度で厳格な収納対策を講じることで、それぞれの制度が持続可能で、安定的な制度運営となるよう御尽力をお願いいたします。
以上、
一般会計歳入歳出決算及び特別会計決算に対する意見を申し上げましたが、総じて見ますと、平成26年度決算は、人件費や公債費を引き続き抑制しながら、さまざまな区民需要に可能な限り積極的にこたえたすばらしい決算であったと評価しております。また、経常収支比率や実質公債費比率などの財政指標は大きく改善するなど、区財政の健全化の歩みをさらに推し進めた決算であったという点でも高く評価するものでございます。
しかしながら、23区における本区の財政状況を踏まえると、債務の負担は依然として重く、財政調整基金の残高も新庁舎の保留床等の購入のために一時的に取り崩した110億円分を加味いたしましても23区の中ではまだまだ上位に位置しているとはいえない現状がございます。さらには高齢化の進展に伴う扶助費、医療給付費、介護給付費などの増大、老朽化した区有施設の大規模改修への対応、学校の改築などの課題に加え、今後は旧庁舎跡地周辺整備や造幣局跡地公園整備を初めとする重要かつ大規模な施設建設事業も数多く控えており、この数年間は、まさに豊島区の将来がかかっている極めて大切な時期であります。したがいまして、今後の財政運営に当たっては、さらなる経費節減や事務事業の見直しを行うとともに、財政調整基金の積み増しなど、さらに盤石な財政基盤を構築する努力を継続しながら、効果的な財源の投入に一層御尽力をされること切に要望いたしまして、平成26年度の決算審査に当たっての意見開陳といたします。
なお、このたびの決算特別委員会の委員長を務められました河原弘明議員、また、副委員長を務められました西山陽介議員の公平かつ的確な委員会運営には感謝申し上げます。
最後になりましたが、この決算審査に当たりまして、私どもの資料請求に対しまして迅速かつそして的確に対応していただきました理事者の皆様並びに職員の皆様に改めて深くお礼を申し上げます。ありがとうございました。
以上をもちまして、自由民主党豊島区議団の意見開陳を終わります。
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○河原弘明委員長 次に、公明党にお願いいたします。
○中島義春委員 公明党の中島義春です。どうぞよろしくお願いいたします。
私は、公明党豊島区議団を代表いたしまして、平成26年度一般会計決算並びに国民健康保険事業会計、後期高齢者医療事業会計、介護保険事業会計の3特別会計決算を認定することに賛成する立場から意見を開陳いたします。
初めに、円滑公平な運営に努められました正副委員長の労に感謝申し上げます。また、理事者の皆様には資料要求を初め、事前調査に快く応じていただき、私どもの質問に対し、その意を酌まれ、丁寧に御答弁いただきましたことに心から感謝申し上げます。ありがとうございます。
さて、平成26年度決算に当たり、私ども公明党は、1、区民の目線に立った行政運営がなされているか、2、豊島区を取り巻く時代の変化に的確に対応した事業展開となっているか、3、安定的・持続可能な財政運営がなされているか、4、セーフコミュニティ国際認証都市としての安全・安心の取り組みがなされているかを主眼に慎重かつ厳正に審査に臨みました。
平成26年度予算について高野区長は5つの方針を述べられています。1、最高レベルの行政サービスを提供できる新庁舎整備。2、造幣局地区まちづくり、木密不燃化特区事業を通して安全・安心創造都市づくり。3、旧庁舎跡地を活用しての文化とにぎわい発信拠点の整備、池袋副都心再生。4、福祉について待機児童対策は私立認可保育所の整備により定員枠の拡大を図り、スピード感を持って推進し、平成29年度までに待機児童ゼロを達成。最後に5として、豊島区ブランドとしてのフクロウと桜を官民協同で発信と述べられております。
さらに高野区長は豊島区ならではのオンリーワンの魅力を高め、10年後、20年後を見据えた住みたいまち、訪れたいまちを推進する大きな一歩を踏み出す年であると抱負を述べられました。私どもも高野区長と同じく、この予算は新庁舎整備を初めとして、池袋副都心の再生や待機児童解消など消滅可能性都市から将来に向け持続発展する都市へ変化する、そのスタートとなる予算と認識いたしております。
それでは、平成26年度予算について簡単に確認の意味も含めまして触れさせていただきます。
まず総予算規模でありますが、一般会計と3つの特別会計を加えた平成26年度の総予算規模は1,623億9,000万円、対前年度比4.8%の伸びとなり、すべての会計がこれまでで最大の予算規模となりました。このうち一般会計予算は1,080億8,600万円、対前年度比5.7%の伸びとなり、過去最大であった平成5年度の予算を21年ぶりに上回っております。
主な歳入では、特別区民税が258億2,700万円となり、特別区財政調整交付金は、普通交付金を285億円と見込み、特別交付金の15億円と合わせて300億円を計上いたしました。また、消費消費税交付金は平成26年4月からの消費税率のアップに伴い12億500万円増、30.6%プラスとなる51億4,600万円を計上し、特別区債は、目白小学校、池袋第三小学校、池袋本町小中連携校の改築が重なったことなどにより53億3,700万円、94.1%の増の発行となりました。起債依存度は2.2ポイント上昇し、4.9%となりました。そして154事業、46億円を超える新規拡充事業を盛り込み、区民の皆様にとって喫緊の課題に可能な限り積極的に取り組むとともに、安心・安全創造都市の実現に取り組まれました。また、平成20年度の予算以来、実に6年ぶりに特別の財源対策を講じることなく予算を編成することができ、堅実な予算ともなっております。
あわせて、当初予算編成時点の財政調整基金の平成26年度末残高は111億1,200万円と見込んでおり、本区にとって初めて100億円を超える見通しとなりました。平成26年度予算は、盤石な財政運営に向けて、将来を見据えた予算でもありました。
そして平成26年度事業を一部紹介しますと、安全・安心については駅周辺防災対策として、帰宅困難者対策を防災対策基本条例に基づき着実に充実・強化、また、災害時要援護者の地域との名簿共有、福祉分野では生活困窮者対策として生活保護に至る前の段階で適切な支援を行い、自立促進が図られるようなモデル事業を展開、また、健康施策では歯と口腔の健康に関する教育プログラムを策定、子育て施策では、認証保育所保育料の負担軽減補助事業の拡充、教育では、いじめ防止対策推進条例を制定し、いじめ根絶を目指す。参加と協同については、区民ひろばが本格実施され10年、すべての小学校区単位に設置され、協同のシンボルとしてさらに進化。文化商業施策では創業支援の充実。染井村が発祥の地と言われるソメイヨシノなどの恵みがある。人と自然が共生する都市を目指す。まちづくりでは空き家対策を初めとする住宅対策に取り組み、住生活の安定を図る等々いまだ大丈夫と言い切れない財政の中、多様な区民ニーズにこたえながら、新庁舎を初め、周辺まちづくりの布石となる予算であり、将来に向けた安全・安心創造都市推進の予算案として我々も了としたところであります。
平成26年度予算全体について、以上のような認識に基づきまして、決算について意見を申し上げます。最初に、
一般会計歳入歳出決算について意見を申し上げます。
一般会計については、歳入が1,323億5,300万円、歳出は1,295億7,900万円で、前年度と比較すると歳入は275億7,300万円の増で26.3%のプラス、歳出は275億400万円の増で26.9%のプラスとなっており、それぞれ過去最大の決算規模となりました。歳入から歳出を引いた形式収支は28億円、翌年度へ繰り越すべき財源を差し引いた実質収支は25億円の黒字となりました。しかし、新庁舎保留床等購入のために財政調整基金を110億円取り崩したことが影響し、実質単年度収支は100億円の大幅な赤字となりました。
平成26年度繰入総額は、前年度と比べ276億円の大幅な増となる1,324億円となりました。これは財政調整基金を110億円取り崩して庁舎等建設基金運用金の償還をした上で、新庁舎保留床等購入の財源として庁舎等建設基金を110億円、公共施設再構築基金を26億円それぞれ取り崩して歳入したことが主な要因です。
また、特別区民税が課税人口の伸びや収納率の向上により、前年度より7億円増となったこともあり、使途が制限されない一般財源歳入は前年度比で17.5%のプラス、121億円増となる810億円となりました。この中には財政調整基金の取り崩しによる一時的な歳入110億円も含まれています。一般財源は、2大財源である特別区税、特別区財政調整交付金でその大半を占め、平成26年度の2大財源合計額は605億円でした。これは直近のピークである平成20年度の600億円を6年ぶりに上回り、リーマンショック以降の景気後退局面を脱したとも言えます。
歳出面では、前年度に比べ26.7%、272億円のプラスとなる1,293億円となっています。歳出規模が拡大したのは、数多くの補正予算を計上したこともあり、また、歳入でも申し上げましたが、新
庁舎保留床等購入経費136億円と、それに関連し、
庁舎等建設基金運用金償還金110億円を支出したことが主な要因であり、これまでのピークであった平成4年度の1,076億円を大きく上回る過去最大の規模となりました。
歳出における人件費では、定員管理計画に基づき、計画的に職員数の削減に取り組んできた結果、平成26年度は203億円となり、人件費のピークであった平成12年度に比べ、27.8%の減、79億円のマイナスとなっています。区民サービスの低下を招くことなく、定数削減に努められる現場の方々の御努力を大いに評価いたします。しかし、毎年の人件費比率は23区平均より高く、本年は新庁舎関連で歳出規模が大きく膨らんだ結果、23区平均17.3%を下回り、15.7%で数字上は下がったように見えますが、特殊要因を除いた試算値では19.4%と依然高い状態が続いています。人件費は行政コストのウエートが高く、その削減への取り組みは区民の最も関心の高いところです。さらなる推進をお願いいたします。
公債費は、特別区債の発行を抑制した効果があらわれ、前年度比マイナス26.9%、12億1,300万円減の33億円にまで減少しました。一方で扶助費においては、新たに設けられた臨時福祉給付金及び子育て世帯臨時特例給付金5億7,700万円の給付事業のほか、保育緊急対策や高齢化の進展に伴い、前年度と比べて4.3%増、11億6,400万円のプラスとなる279億円となりました。また、繰出金は医療給付費や介護給付費などの増の影響で今後も100億円を超える状態が定着し、さらに増加することが想定されます。扶助費と繰出金を合わせた決算額の構成比は29.9%と一時的に小さくなっていますが、歳出規模拡大の一時的要因を除いた場合の試算値は36.9%と依然高い数値となっています。深刻化する高齢化への対応、さらに近年伸びが顕著な子育て支援や生活保護費の動向などを踏まえますと、その財源の確保が課題となっています。
総括質疑でもお聞きしましたが、扶助費と特別会計への繰出金については、今後ますます増加する見込みであることから、抜本的な対策が求められます。引き続き、地方自治体として国に対する要望など手を打っていく必要があると思います。そして徹底して効果的な取り組みをお願いいたします。
また、保留床等購入経費136億円の財源について、全額基金を活用することで対応可能となり、そのことを決断するに至るまでの経緯と当時の基金の残高状況について詳細にお尋ねをいたしました。今後も引き続き、厳しい財政運営に直面することも視野に入れ、財政調整基金を初め、各種基金への計画的な積み立てと運用を求めるものであります。
主要な財源指標については公債費負担比率が前年度から2.3ポイントマイナスとなる3.9%となり、平成4年度以来22年ぶりに23区平均値を下回りましたが、これは財政調整基金の多額な取り崩しなどが要因であり、この一時的な要因を除いた試算値は4.5%となり、依然として23区平均値を上回る状況となっています。
一方、経常収支比率については、人件費や公債費の歳出抑制の効果があらわれ、前年度から1.0ポイント改善して78.8%となり、2年連続で適正範囲の70%台を維持し、3年連続で23区の平均値を下回る好結果となりました。
我が会派は、平成26年度決算が将来の豊島区を見通し、積極的に無駄の削減を図り、財政面においても、区民サービスにおいても、必要な手を的確に対応してこられたことに評価するものであります。
高野区長が就任された平成11年当時は、借金と貯金の差が836億円という23区最悪とも言える区財政の状況からスタートされ、徹底した行財政改革を断行して経費削減を果たし、この16年間で区を大きく変貌させてきました。平成11年当時、新庁舎を初めとして、新しく生まれ変わろうとしている豊島区を、これはだれが想像したでしょうか。確かなことを言えば、高野区政の施策の方向性が多くの区民に理解され、支持されてきたゆえに現在があると思います。しかし、これからが本番です。将来にわたる安全・安心の豊島区構築に向け、過去を教訓としつつ、身の丈に合った財政運営を心がけ、計画的な起債の発行と基金の積み立てを行い、選択と集中で効率的な財源の投入をお願いいたします。
それでは、引き続いて、款別に若干の提言を含めまして、意見を申し述べさせていただきます。
議会費、総務費では、議会改革の確認として、前期最後の定例会で不断の議会改革に取り組む決議を全議員一致で可決した事実は重く、今後も絶え間ない改革の推進を期待するものであります。
新庁舎開庁時よりサテライトスタジオを利用し、週5日の生放送を通し、開かれた区政の情報発信をしている。より区民の皆様に区政が身近になるようテレビでの広報活動の拡大のために放送スケジュールをホームページやとしまテレビの番組ガイドブックだけではなく、広報としまや回覧板などに載せていただけるように要望いたします。
区民の自主防災体制の強化としての街頭消化器ですが、建物の取り壊しや建て直し等で街頭消火器が未設置になっているところがふえています。今後、木密地域不燃化10年プロジェクト等もあり、まちが大きく変化していく中で保守・点検をしていただき、今まで設置してあった場所には再設置してもらえるよう要望いたします。
地域防災訓練は発災時の初動対応を中心とした訓練、合同防災訓練は救援センター開設運営に特化した訓練と的を絞ったことは大きく評価できます。今後については、さらに住民の生活実態に合った訓練として、隣接区における合同訓練を開始できるように取り組んでいただくよう要望いたします。
また、公明党女性委員会は、女性防災会議を立ち上げ、女性の視点を生かした防災対策を提言しています。既に国の中央防災会議には3割以上の女性委員が登用されています。豊島区においては女性委員はいまだ18.8%です。3割を目指すよう要望します。また、町会等の防災訓練に角度を変えた防災訓練として、女性だけの防災訓練などの開催を提案いたします。
年々増加している非常勤職員の処遇については、より適切に対応し、効果的な行政運営を推進していただくよう要望いたします。
福祉費、衛生費では、発達障害就労支援については個人差があり、課題解決には難しさがあります。専門的な知識のある方が、きめ細かくサポートができる相談体制が必要です。就労希望のある方が一人でも多く希望どおりの就職ができる相談体制の充実を望みます。
地域猫の活動の目的は、野良猫を排除するのではなく、猫も命あるものとし、地域の問題としてとらえ、猫を適正に管理しながら共生していくことです。活動がスムーズにできるよう地域の方々や関連機関である区の他部署や警察に対して周知徹底を要望いたします。
ハクビシン対策については、平成21年度当時は、保健所は豊島区にはハクビシンはおりませんという反応でした。ここに来て毎年ハクビシンについての相談が50件を超えてきます。環境部門と連携して東京都の補助金等を活用した積極的な対応を要望いたします。
がん対策は、公明党が強く推進してきました。国の検討会で、胃がん検診に内視鏡検査を導入することが正式に打ち出されました。がん対策先進区の豊島区は、他区に先駆け内視鏡検査が導入されるよう医師会等への粘り強い働きかけを要望いたします。また、今後、大腸がんが増加することが予想されます。特定検診のお知らせの封筒に大腸がん検診のお知らせをもっとわかるようにレイアウトを考えてもらえるように要望いたします。
地域における見守り、支え合いは、今後の高齢社会や子育て支援にとって欠かせないものとなり、実質的に効果のある対策について検討を重ねていただくよう強く要望いたします。また、そのためにも区民にとってわかりやすい窓口、すなわち情報を集約し、関係者の情報共有が速やかに可能となる機関を設置するよう求めます。
清掃環境費、都市整備費、土木費では、ポイ捨て防止の路上喫煙禁止啓発シールは時間がたつと汚くなくなるので点検していただき、張りかえをお願いいたします。あわせて耐久性のよいシールを要望いたします。
区内の良質な賃貸住宅に住みかえを希望する子育てファミリー世帯に対して、年収及び最低居住水準などの基準により家賃の一部助成が受けられない世帯が多い。区民住宅ソシエの借り上げ期間満了による税投入が少なくなるので、それら財源を活用するなどして住宅対策の拡充を強く要望します。
空き家・空き地及び敷地内の樹木等のいまだ解決できない課題については、指摘させていただいたとおりであり、適切な条例改正について早急な取り組みを要望いたします。
高齢者の居住支援・公的保証人制度について、不動産会社にとって使えるところと使えないケースがあり、実績が全く上がっておりません。より多くの方が利用できる保証制度の確立を強く要望いたします。また、安心住まいの提供は、高齢者、障害者、ひとり親家庭が対象。168戸中107戸が活用され、しかし、空き家が多くあります。ミスマッチの解消に取り組むことを要望いたします。
高齢者や障害者、そして子育て世帯等に対するコミュニティバス等の移動の支援は、地域の活性化や住みやすいまちづくりという観点から需要の高い政策と考えられます。よって早急に具体的、効果的な事業について実現できるように取り組まれたい。
区有道路の管理・改修について、公明党の要望で空洞調査が実施されました。全長283キロのうち100キロを調査済み、結果100カ所の危険と思われる箇所をファイバーカメラによるスコープ調査で詳細に確認し、緊急を要する箇所40カ所の改修が既に終わっております。従来の発生対応型から予防保全型に軸足を移し、ライフラインの関係者と区道管理者との調整会議にて効率的な管理運営改修に取り組んでいただくよう要望いたします。
街灯については2020年までに水銀灯の解消が義務づけられています。適切な対応を望みます。また、行きどまりの私道の明るさを確保することについては、特に開発行為によって住宅街が形成されるところの街路灯設置は業者義務となっております。しかし、対応しない業者も散見されるところでありますので、関係部署との連携と指導の徹底を要望いたします。
公衆トイレは、地域で活動し、また、そこを訪れる人にとって欠かせないものであり、その自治体の政策姿勢を如実に反映する象徴ともなります。地域とともに歩む姿勢を明確に示すためにも、また、訪れたいまち、女性に優しいまちづくりのためにも、その改善に力を尽くしていただけるよう強く求めるものであります。
文化商工費、教育費では、公衆浴場については65歳以上の方に年26回まで100円で入浴できるお達者カードがあります。北区、千代田区、中野区では隣接区の公衆浴場でも使用できる補助券があります。本区のお達者カード、もしくは補助券も利便性を高める上から隣接区で使用できるよう要望いたします。
区内企業支援や創業支援については、その底上げを図るためにも業種間や地域間の関連性も精査しながら、加えて関連性のある企業・産業を区内に呼び込み、新たな産業も生み出すという観点から取り組んでいただくよう要望いたします。
高齢の方が日常的、定期的にスポーツに取り組むことは生活習慣病の防止や介護予防にも有効です。スポーツ施設を区民がより使いやすいものとするため、小銭を持たずに手軽に利用できるフリーパス、65歳以上が使用できる新たなフリーパス会員を設けることを要望いたします。
2001年に公明党のリードで成立した子ども読書活動推進法により学校の読書環境が充実してきました。公明党の訴えで学校司書は平成25年度から全校配置へと拡大されてきました。現在、小・中学校では3週間に4日、1日6時間の配置が実施されていますが、読書環境充実には3週間で4日は余りにも少ない。さらに拡充することを要望いたします。
公明党は、区民の命を守る政策として、一貫としてがん対策を推進してきました。特に子どものころからの正しい知識の習得の重要性を訴え、豊島区がん対策推進条例策定の折には、条例文の第5条に教育委員会と協働し、健康教育の一環として、児童・生徒及び保護者に対して、がんの予防に関する普及啓発を図ることが明記されました。がんに関する授業は、教科書にない区独自のプログラムのため、今後も引き続きがん教育の推進を力強く推し進めていただきたいことを要望いたします。
アレルギーの生徒の給食は、除去食、もしくは弁当持参となっています。新1年生の給食の始まりが入学式の翌日から始まる小学校と入学式より10日後に始まる小学校があり、学校間による格差があります。教育委員会からの指導、アドバイスを要望いたします。
いじめの早期発見、学級経営に有効なハイパーQUを年2回に拡充されたことは大いに評価いたします。今後は、具体的な結果事例を通しながら全教員がアンケート結果を使いこなせるようスキルアップに努められたい。
特別会計では、ネットやSNSを活用した介護、医療、看護等の多職種連携による患者、要介護者の情報共有システムは他自治体においても大きな効果を上げていることから、早急な実現を望み、その上で患者・要介護者の容体に合った効果的な面談による連携支援を要望するものであります。
国保の電子レセプトによる成人病重篤前の健康指導について、平成25年に広島県呉市の例を引いて電子レセプトを活用して重篤化予防を提案させていただきました。平成26年度から糖尿病予防について重篤化にならない取り組みを立ち上げたことを評価いたします。また、医療費の抑制だけでなく、重篤化にならない成人病予防、健康施策としてICTを活用した2次、3次予防につなげる取り組みを要望いたします。
以上、
一般会計歳入歳出決算及び特別会計決算に対する意見を申し述べさせていただきました。
最後に、繰り返しになるかもわかりませんが、財政運営のお願いを申し上げ、終わりたいと思います。
平成25年度決算では平成2年度以来23年ぶりに貯金が借金を上回るまでに財務体質は改善されましたけれども、平成26年度決算では一時的とはいえ、貯金と借金のバランスは再び85億円の借金超過状態となりました。平成27年度末には191億円が歳入され、再び貯金が借金を上回る見込みですが、将来の安定的な財政運営を確保するためにも貯金と借金のバランスを保つことが大変重要であります。
また、扶助費や繰出金の増加傾向は今後も続くと予想されますし、施設の改築・大規模改修の需要への対応もしなければならず、例えば公共施設等総合管理方針によれば、今後30年間の建物の改修・更新経費は、1年当たり40.9億円と推計されています。さらには今後、さまざまな大型施設建設事業が数多く控えており、投資的経費の増大が見込まれます。
義務的経費と一般行政経費に充当された一般財源が標準財政規模の範囲内となる身の丈に合った財政運営を目指しながら、振り返ってみますと平成17年〜平成21年度は5年連続で身の丈の範囲内でしたけれども、平成23年度、平成24年度は身の丈を超過しております。景気の動向次第では身の丈超過はあっという間です。したがいまして、今後、一般行政経費等への過度のしわ寄せが起きないよう、増大が見込まれる投資的経費への対応として、引き続き起債を計画的に発行し、将来への負担を抑え、機会あるごとに基金へのさらなる積み増しに努められることを望むものであります。
平成26年度決算は、新庁舎整備という100年に一度と言われるようなプロジェクトが含まれ、また、国際アート・カルチャー都市に向けた文化都市としての未来に向けての出発の決算であり、私ども公明党区議団も新生豊島づくりに高野区長とともに、区民と一緒に築いていくことをお約束いたしまして、平成26年度の決算審査に当たっての公明党の意見開陳といたします。御清聴ありがとうございました。
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○河原弘明委員長 次に、日本共産党にお願いいたします。
○渡辺くみ子委員 私は、日本共産党豊島区議団を代表し、2014年度一般会計決算並びに国民健康保険事業会計決算、後期高齢者医療事業会計決算、介護保険事業会計決算の認定に反対の立場から意見を述べます。
討論に先立ち、資料要求に時間を割いて準備をしていただきましたこと、心から感謝を申し上げます。今後の貴重な資料とさせていただきます。理事者の皆様からも職員の皆様によろしくお伝えくださいますようお願いをいたします。
さて、この決算年度、安倍首相はアベノミクスで日本経済の好循環実現などと言いました。しかし、4月からの消費税の8%増税の後、GDPはマイナス成長を続け、ことし4月から6月期にもマイナスに転落しました。個人消費の落ち込みは大きく、その背景には賃金や雇用の改善のおくれがあります。異常な円安と物価上昇、大企業減税と消費税増税、雇用や農業規制緩和などで日本経済と国民の暮らしはずたずたにされてきました。大企業の利益は記録的に増加を見せても、労働者の所得や雇用は改善せず、消費の拡大も鈍いままで、区も認めているように、区民の生活も厳しい状態が続いています。
ところが、安倍首相はこれらに何ら反省することもなく、ことし9月、今後3年間の経済政策、アベノミクス第2ステージと銘打って、突然新3本の矢を打ち出しました。この中では出生率の回復や介護職離職者ゼロなどを挙げていますが、非正規雇用を拡大し、介護報酬を大幅に引き下げる、社会保障制度の全面改悪を進めるなどしておきながら、一体何を言っているのかと言わざるを得ません。さらに戦争法案の強行で国会の内外で批判の声に圧倒される中、安倍首相には国民の声に耳を傾ける姿勢は全くありません。安倍首相が経済政策で批判をそらそうとすること自体、主権者である国民を無視するものであり、許せることではありません。
では、都政はどうでしょうか。舛添知事は、保育園の待機児童解消という目標の実現に向け、区市町村を支援していく。特養ホームについても整備目標達成に向け、区市町村や事業者を支援していくとしています。また、都有地等を活用した福祉施設設備についても具体的に地元自治体と相談をしながら進めることを表明しており、これらは保育や特養の拡充への第一歩であります。
しかし、あらゆる世代に貧困が広がっている問題、とりわけ高齢者の貧困について、知事は、社会保障制度はさまざまな軽減措置がとられており、都も独自に低所得者対策を実施しているとして、何らの対策の強化を進める立場を示していません。
このような中で区民の生活はどうでしょうか。我が党は決算年度2014年区政アンケートを実施し、2,200人の方から回答を寄せていただきました。その結果、この1年で生活が苦しくなったが53%、よくなったはわずか3%でした。生活が苦しくなった理由に、税金、保険料の負担増を挙げている人が65%と一番多く、これ以上の負担にはもう耐えられないが77%にもなっています。安倍政権のもとでの増税、そして年金や生活保護費の削減など、社会保障切り捨てが区民の日常に大きく影響しているということです。こういう中だからこそ、区民に寄り添う区政運営が求められています。
さて、2014年度決算について、我が党は審査に当たり、第1に深刻な区民生活を支えるものになっていたかどうか、第2に自治体本来のあり方にのっとった財政運営が行われていたかどうか、第3に開発優先で区民不在のまちづくりを進めていないかどうかの3つの観点で審査を行ってきました。以下、主なものを挙げ、討論をいたします。
では、第1の観点、過去最大規模の決算と言っていますが、深刻な区民生活を支えるものになっていたかどうか。1つ目は、保育園の待機児問題です。
2014年2月、区長は遅きに失したとはいえ、認可保育園の5園増設、300人から500人の定員増を表明しました。子ども・子育て支援新制度に向け、ニーズ調査を行い、その需要を認識し、認可保育園の確保が必要と考えたと言いますが、2015年4月の待機児童は、新定義で209人、旧定義で548人でした。保育所増設、整備の規模と速度が親の希望に追いついていない。需要にこたえたものになっていないということです。待機児童が増加した2010年から2014年の5年間の23区の認可保育園の増設状況を見てみますと、練馬区は32、世田谷区は30、大田区は26、江東区は24、お隣の文京区も21ふやしています。この間、豊島区はたったの3園しかふやしてきませんでした。23区の中で最低です。保育所入所基準指数20点以上の待機児童数は84人にも上ります。夫婦がフルタイムで共働きの場合、どちらかが仕事をやめるか、休職をせざるを得ない大変深刻な事態です。非常勤、派遣労働など、不安定雇用が広がる中、子どもの貧困、子育ての困難がますます深刻になる中で、子どもの発達と保護者の就労を同時に保障する保育所の果たす役割は、これまで以上に重要になっています。区立や社会福祉法人の認可保育園を大幅に増設すべきです。
2つ目は、特養ホームについてです。
本年6月末の特養ホーム待機者数は453人で、4月の「千川の杜」開設によって、それまでの306人から減るどころか逆に1.5倍に増加しました。11月に「桑の実園」が開設されますが、同様に新たな申し込みが予想され、このように申し込みの増加が見込まれる中、早急に整備計画が必要と考えています。
ところが、区は「緊急性の高い待機者は一定程度解消する見込み」として、「では一定程度の解消とは何人の待機者を指すのか」とただすと、「数字は持っていない」と開き直る始末です。土地がないなどと言いわけをせず、直ちに区内増設の整備計画に取り組むべきです。また、この間指摘してきましたが、申し込み方法の1年ごとの更新は、きちんとした待機者数が反映されません。改善するよう改めて求めるものです。
3つ目は、救援センターです。
昨今、次々と予測を超える大災害が起き、災害を防ぐ対応の重要性、緊急性が改めて問われています。同時に、被災後、仮設住宅で数カ月間、数年間生活をせざるを得ない状況など、被災後の対応の重要性も改めて浮き彫りになっています。
本区では新庁舎で最新鋭の総合防災システムを導入し、災害情報の機能強化がなされています。しかし、救援センターは全く不十分です。マグニチュード7.3の地震が発生した際、区民の避難生活者数は3万4,115人と試算されていますが、救援センターの収容可能数は2万958人です。この間、我が党が指摘してきた福祉救援センターに関して、ことし4月に11カ所の施設と協定が結ばれ、また、手話通訳では2団体と協定が結ばれました。さらに補助救援センターの位置づけも明らかになってきました。しかし、救援センターは33カ所のままで、人口に対する収容人数は何と8%、23区最下位です。北区は47%、新宿区は21%、渋谷区でも17%。本区の8%は余りにも低過ぎます。委員会審査で担当理事者は収容規模の基準が違う等の発言をしていましたが、足りないことは事実です。早急に対策の具体化を求めるものです。
4つ目は、高齢者インフルエンザワクチンとがん検診についてです。
安倍政権のもとでの社会保障の切り捨ては、今後1年当たり3,000億円から5,000億円のさらなる削減を打ち出しています。その中で医療費抑制政策も顕著ですが、その主なものは受診抑制です。本来、医療費を抑制するための最大の施策は、早期発見、早期治療であり、これらはかつての沢内村の経験や現在では日の出町でも実証されています。国が予防医療にまず取り組むべきです。
さて、高齢者インフルエンザワクチン接種は、内容が3価から4価に拡充され、同時に自己負担が2,200円から2,500円となりました。高齢者は毎年年金が引き下げられ、保険料などが引き上げられる中で大きな負担であります。高齢者の健康管理とインフルエンザの蔓延化を防ぐためには区独自でも補助を拡充すべきであります。
検診センターでがん検診が行われていますが、我が党は、胃がん、肺がんの検診の同日実施を強く求め、その結果、ことし4月から週1日、午前8時半から午前9時半の30分で1日あたり7、8件実施されるようになりました。しかし、区民からは指定日や時間が少な過ぎるとの声が上がっており、区は企業検診等の関連で日程の拡充は困難な部分があるが、検討するとしました。区民の命と健康を守る上で早急に拡充を具体化することを求めるものです。
5つ目に住宅修繕・リフォーム事業経費についてです。
住宅修繕・リフォーム事業は、予算500万円に対して実績は3件、20万8,000円です。執行率は4.2%と極めて低いものです。我が党は、モデル事業で実施した際、所得制限を緩和し、区民にも事業者にも歓迎される事業にすべきと指摘してまいりましたが、区は事業を拡充するどころか、今年度の予算はほぼ半額に削減しました。結果、上半期の執行状況は低いままです。所得制限を大幅に緩和すべきです。制度が活用されれば建設職人の区内業者の育成、支援にも有効であります。
6つ目は、中小企業、商店街支援策についてです。
買い物難民の深刻さが増しています。商店街がシャッター通りとなり、お店がなくなる、特に生鮮3品の購入は深刻です。現在、宅配制度を活用している人も多くいますが、単身の高齢者にとって突然近くの店舗がなくなれば、まさに買い物難民となります。しかし、区の商業施策にはこれらに対応するものはなく、担当課でも認めています。また、店舗からすれば、道路建設や再開発事業等で住民がいなくなれば商売が成り立たない状況で廃業となっています。まさにまちづくりがまち壊しにつながっているということです。
他区では宅配制度等支援策に取り組んでいる状況もあります。地域の状態に合った施策を検討すべきで、また、商店街に位置する特定整備路線、特に172号道路、73号道路等は商店街対策を含めたまちづくりに取り組むべきであります。
7つ目は、住宅対策です。
我が党は、住まいは人権の立場から区営住宅、福祉住宅などの公営住宅の拡充を求めてまいりましたが、区は公営住宅を新たに直接供給するのではなく、既存の賃貸住宅の利活用へと住宅供給のあり方を移行すべきと答弁しています。しかし、住宅マスタープラン重点プロジェクト推進事業の進捗状況を確認すると、空き家、空き室の活用は、建築基準法、消防法などで利活用できず、豊島区居住支援協議会は立ち上げて3年になりますが、実績はひとり親世帯入居支援1件だけです。これでは住宅確保要配慮者や安くて良質の住宅に入りたいと願う区民に対してこたえることはできません。また、安心住まいの提供事業は入居率が60%台です。さらに生活保護受給者が入れない事例を示し、改善を求めたところ、生活保護受給者の入居も可能であることが確認されました。安心住まいの提供事業は基準を緩和して大幅に拡充すべきです。
8つ目は教育費で、まず私費負担についてです。
行財政改革プラン2004で修学旅行等の交通費補助をばっさりと削減しました。この間、就学援助の部分的な拡大など、我が党の指摘で一定の拡充への努力は認めますが、私費負担を含め、保護者負担は大変深刻です。10月13日、OECDは子どもの幸福度、日本は貧困率で下位と調査結果を発表しました。また、昨年暮れ、NHKの番組でも子どもの貧困問題が取り上げられ、6人に1人、貧困率は16.3%と過去最悪の記録となっています。本区では子育て支援の拡充など、新たな組織をつくり、検討を開始したとのことですが、行財政改革でばっさり削った義務教育の補助金は復活していません。修学旅行や移動教室の意義を区は豊かな人間性の育成事業と位置づけており、教育上も大事な位置を占めていることがわかります。今回、教育委員会から検討するとの答弁がありました。保護者はどんなに生活が厳しくても子どもにだけはと頑張っています。そもそも本来、義務教育は無償であるべきです。今、少子化が言われる中で、未来を担う子どもたち一人一人が大きく成長できるよう整備するのが教育委員会の使命であります。
教育費の2つ目は、巣鴨北中学校の改築、仮校舎・朝日中学校についてです。
区は学校を改築するに当たっては、仮校舎の確保を第1に挙げています。巣鴨北中学校改築に伴う仮校舎の旧朝日中学校舎の延べ床面積は2,991平米で、巣鴨北中の6,068平米の約半分、運動場は1,900平米で北中の約6,000平米に比べて3分の1です。区はプールについては巣鴨体育館のプールを午前中に使用、テニス部や野球部、サッカー部などの活動は総合体育場や西巣鴨体育場などを定期的に貸し切りで使用、給食は旧真和中学校でつくり運ぶとしています。しかし、仮校舎といえども生活し、学ぶ教育環境、条件が悪くなることは許されません。生徒の教育環境、条件整備に全力を挙げるべきであります。
また、子どもの自転車使用におけるヘルメット着用普及啓発事業についてです。現在、交通対策課で子どもを対象にした2,000円の補助制度が計上されています。この間、教育委員会はインターナショナルセーフスクール認証取得指定校として、朋有小学校の児童だけに3,000円の補助制度を実施しました。我が党は、児童は差別するものであり、すべての児童に等しく3,000円を補助すべきと主張してきました。ところが、教育委員会はすべての児童に拡充するどころか、朋有小学校においても既に80%が取得したとして3,000円の補助制度打ち切りました。これではインターナショナルセーフスクール認証取得のためのヘルメット着用普及啓発事業であったと言わざるを得ません。交通対策課の事業としてでも、引き続き学童を含め3,000円の補助を実施すべきです。
以上、過去最大の決算規模といい、実質単年度収支は黒字としながら、区民の暮らしを直視し、切実な要望にこたえるものになっていません。
次に、第2の観点、自治体本来のあり方にのっとった財政運営が行われていたかどうかについてです。
2014年度の一般会計歳入決算額は1,323億5,300万円、歳出は1,295億7,900万円で過去最大の決算規模となっています。区は、この理由は新庁舎建設による保留床等購入費経費136億円が歳入歳出予算を大きく伸ばしたこと、また、庁舎等建設基金の一般会計運用金の償還金110億円も歳入歳出決算額の伸びの要因としましたが、我が党の森委員の質問で、新庁舎の保留床等購入経費関連がなかったとしても過去3番目の決算規模であることが明らかになり、実質単年度収支は10億円の黒字となっています。
そして区は今決算の特徴として、第1に財政健全化に向けた積極的な取り組みにより人件費と公債費の圧縮効果があらわれ、財政構造の体質が一層改善されたこと、第2に社会保障関連経費が過去最大の決算額386億4,000万円となり、増加に歯どめがかからないという評価、第3に2015年5月に新庁舎開設に向け準備を進めたことの3点を挙げています。
区はこれまで財政難を口実に区民サービスを後退させるさまざまな行財政改革を行ってきました。我が党は国の行革方針に従い、区民の切実な需要を切り捨て、その一方で大型開発に邁進するもの、区民とともに真に財政再建に取り組むべきと主張してきました。では、過去最大の決算で財政を立て直したと言っていますが、それが区民にどのように還元されたのか、今後どのようにしようとしているのかが今決算では大きく問われるものです。
まず、区民サービスがどうなってきたかについてです。職員体制についてです。区は財政再建の柱に正規職員の削減を挙げ、大きな成果を上げていると言います。しかし実際はどうでしょうか。高野区長は、ピーク時に比べて1,125人減らした、人件費比率も19%減らしたと胸を張っています。2015年4月の職員は1,970人です。非常勤職員は521人、臨時職員は911人、再任用職員は125人、合計で3,527人です。その他、業務委託で働く人が1,100人です。この間、保育園の民営化、指定管理者制度の導入、業務の外部委託化などで、その結果、正規職員を削減し、不安定雇用を大幅にふやしてきたということです。
新庁舎の総合窓口は、効率的で漏れのないワンストップサービスが最大の売りでした。ところが、区民からは3時間待たされたなど苦情が相次ぎ、余りにも待ち時間が長過ぎるので、窓口業務の改善を求める陳情が第3回定例会に提出される始末です。また、業務委託事業者が個人情報の流失、流用などあってはならないことが起こっています。まさに大幅に拡大している業務委託業者の管理、監督責任が問われる重大問題です。しかも、非常勤、臨時職員は賃金が安いのです。結局、このような職員削減は、区みずから官製ワーキングプアをつくり出すとともに、業務の継続性、安定性、公平性を担保できず、区民サービスの低下を招いているのであります。
次に、財政難を理由に削減され続けたままの生活保護制度の法外援護についてです。行財政改革プラン2004で区は生活保護の法外援護をばっさりと削減しました。我が党は一貫して法外援護の復活を求め、財政再建ができたのであれば復活をと主張してきました。しかし、区は今決算の予算審査で、区独自の福祉は見直しを行ってきた。お金ができたら回復するというものではなく、制度の中で適正な範囲を見直すべきではないかと判断したとして、担当課でも生活扶助費に組み込まれているものとの答弁を繰り返しています。しかし、2005年度の予算審査で、当時の担当理事者は、削減の撤回を求めた我が党委員の質問に、風呂券なりタクシー券がなくなることはどうなんだということを問われれば、いいとは思っていませんが、5年後、10年後、20年後の区民の福祉の、最大限の福祉の向上に資するようにしたいと考え、決断したと答弁をしています。要は、適正な範囲の見直しなどではなく、財政難の中で長期的視点に立って廃止を決断したということです。ところが、10年近くたったら適正範囲の見直しをしたとして削減理由を変えているのです。
委員会審査で私の質問に高野区長は、現場を見て政治的判断をする、大きな課題として受けとめ検討すると答弁をしましたが、この10年間、全く復活をしようとしてきませんでした。まさに財政難を口実にして区民サービスを切り捨て、区民に負担増を強いてきたということです。これは区政運営そのものの変質であります。改めて法外援護の復活を求めるとともに、自治体本旨の立場で区政運営をすることを強く求めるものです。
次に、新庁舎開設準備に関してです。区は今決算の特徴に2015年5月に新庁舎開設に向け準備に進めたことを挙げています。では、開設をされた新庁舎はどうでしょうか。ことし5月の開設以降、委員会審査で他会派も指摘をしていましたが、コールセンターを含め、さまざまな問題点が区民から指摘されていることが明らかになりました。そこで我が党は、新庁舎が最大の売りにしている環境に優しい庁舎について述べます。
民間の分譲マンションとの合築の新庁舎は、計画時から環境に優しい庁舎がうたい文句でした。ビル全体が樹木で庁舎部分を囲むエコヴェールは葉っぱだと説明をしています。大がかりなエコヴェールの太陽光パネルの発電量を調べたところ、5カ月間でたったの44万円です。家庭の屋根に設置した太陽光パネルの発電量とさほど違いはありません。区は費用対効果は劣っていると認めたものの、エコヴェール設置の費用は全体の工事費に含まれているのでわからないと無責任な態度です。
旧庁舎と維持管理費を平米当たりで比較したところ、ことしと昨年の8月で、下がって当然の光熱水費が変わらず、警備・清掃・設備・管理は逆に1.4倍と膨らんでいます。植栽管理に至っては、実に9.3倍と大きく膨らんでいますが、これは豊島の森・グリーンテラスの3年間の維持管理費4,568万円が含まれているからです。これだけの維持管理コストをかけた公園はありません。高野区長は、子どもたちがあれだけ喜んでいると答弁していますが、つぎ込んだコストをそれぞれの学校や身近な公園に振り向ければ、子どもたちは毎日のように環境を学ぶことができ、区民にもすばらしい公園を提供することができます。区民は多額の費用が今後もかかり続ける新庁舎の環境を評価はしていません。
次に、新庁舎開設に関する財政運営はどう行われてきたかについてです。まず財政調整基金についてです。本決算年度の財政調整基金残高は35億円ですが、新
庁舎保留床等購入経費の110億円を取り崩して充てたことが特殊要因としているので、実際には145億円です。前年度残高の102億円から43億円の増額、これは過去15年間を見ても一番増額したことになります。先ほども述べたように、行革で削減をした区民サービスは復活をせず、国の悪政のもと、区民生活を支えようともせず、しゃにむに基金にため込み、新庁舎保留床購入費に回したということです。
さらに歳入に関してです。今決算年度は2つの増税による歳入増がありました。1つが東日本大震災復興増税の名で、区民税1人当たり年額500円を引き上げたことによる7,000万円の増収、使途は区の防災・減災事業に充てることになっており、10年間続くものです。もう一つは、消費税が8%に引き上げられたことによる地方消費税交付金増収分8億円です。これは社会保障の財源に充当することになっています。いずれも増税によってこそ実行できる政策に使われることが限定されるものであるはずですが、区は一般会計に入るので具体的な使途を明らかにする必要性はないと答弁をしています。要は、防災や社会保障ではなく、何にでも使うことができるということで、例えば財調基金に積み増しされてもわからないということではないでしょうか。こうした大幅な積み増しされた財調基金は新庁舎の支払いに使われたのであります。
では、今後どのような財政運営をしようとしているのかについてです。旧庁舎跡地の活用に関して、新庁舎整備費を捻出する目的で、旧庁舎跡地と公会堂の土地は、東京建物、サンケイビル、鹿島建設といった大企業に70年間、実質的には76年間、191億円で定期借地をするとしています。当初、区は庁舎建設に関する資金計画について50年間で総額401億円入るとしていました。しかし、大幅に悪化したのであります。我が党は当初から不動産市況にゆだねる資金計画は必ず足元を見られることになると言い続けてきたのであります。結局、公会堂の土地は、これらの企業に豪華劇場ホールを建てさせ、区が買い取るとし、現時点で75億円、しかも区は今後の値上げを否定していません。その結果、現段階では差し引きすると実際に企業から区に入ってくるのは116億円で、新
庁舎保留床等購入経費141億円を賄えなかったということになります。区長は、税金を使わずに庁舎を建てるという約束を守らず、それどころか事実上、大企業に区民の貴重な財産を売り渡すことと同様ではないでしょうか。
以上、財政構造の体質が一層改善されても区民サービスには還元されず、大企業優先の大型開発、そのために基金をため込むという区長の財政運営、区政運営の姿勢が明確になったのであります。
次に、第3の観点、開発優先で区民不在のまちづくりを進めていないかどうかについてです。第1に旧庁舎跡地等周辺整備についてです。先ほど財政運営でも指摘しましたが、旧庁舎跡地等周辺整備事業はまちづくりの観点でも問題であります。豪華劇場ホールは確実に集客があるといった担保がありません。70年もの長きにわたり、負担は区民が背負い続けるということになります。また、現公会堂とは異なり、料金が高くなるなど、商業ベースに重点が置かれるために、区民がこれまでのように使うことはできません。公会堂のかわりは区民センター建てかえ後、産業プラザと一体になる新区民センターの8階、9階部分に500人の平土間のホールが用意されることになっています。500人がエレベーターを使えば何往復するのか、どれだけの時間がかかるのか、区はシミュレーションをしていません。にもかかわらず、低層階は建物の顔だとか、費用がかかるだとか、勝手に理由をつけ、8階、9階にしているのであります。では、2階、3階の顔の部分に何ができるのか。区民センター部分はすべてトイレです。女性用トイレが30ブース以上、そのほかにも化粧室やフィッティングまであります。各フロアにもトイレは設置しているにもかかわらずです。30ブースの数が妥当かどうかは別にして、女性トイレの増設そのものに反対するものではありません。しかし、池袋駅周辺ばかりではなく、区内の公園や区有施設等のトイレの改修、増設問題にも取り組むべきであります。また、旧庁舎跡地に30階建て超高層オフィスや8つの劇場をつくり、国際アート・カルチャー都市のシンボルとして文化にぎわう拠点になると言いますが、現実には大企業のもうけのために区民の大切な財産である旧庁舎跡地と公会堂の土地を差し出したものであります。
2つ目は、池袋駅東西デッキについてです。池袋駅東西デッキ構想ができて40年間計画が具体的ならなかったものが、急に2020年に着工するとしました。理由はビックリガード沿いに西武鉄道が建てる20階建てオフィス商業ビルにデッキをつなぐためで、高野区長も間違いないと答弁しています。まさに旧庁舎跡地計画同様、まちづくりの一環だから大企業のために税金を使うことは構わないという高野区長の姿勢が明らかになりました。区民の実態を見ようともしない、池袋ばかりに集中した税金投入は、財政破綻への道としか言いようがありません。
3つ目は、造幣局地区まちづくりについてです。来年度は造幣局東京支局が埼玉に移転し、区の防災公園整備が1.7ヘクタール、民間による大学などの誘致と商業施設を含んだ住宅が市街地整備区域として1.5ヘクタール、これらをURが主体に進めることになっています。我が党は、これまで区民とともに防災公園整備を求めてきました。区はURや近隣事業者だけで計画を固めたため、区民がこうしたい、ああしたいという意見はほとんど取り入れられません。区は、ワークショップを5回開催したと言いますが、説明会に参加した方々から、このワークショップに参加した方でさえ、意見を聞いてもらえなかったなどの声が上がっているのです。委員会質疑で、我が党が区民が納得して合意したのかとただすと、区は肯定できないのであります。区民の声を聞こうとしない区の姿勢の最たるものです。これから区民が将来にわたり使い続ける大事な土地です。区民の合意なく計画を進めることなどあってはなりません。
4つ目は、南池袋二丁目市街地再開発事業についてです。当該地は2003年にしゃれたまちなみ再生地域の指定に向け、各地域にコンサルを派遣、2004年に指定を受け、A地区、B地区、C地区に区分けし、A地区に区が庁舎を含む再開発事業を行ってきました。しかし、2012年度からはC地区のみコンサル料が予算化をされ今日に至っています。
2004年の副都心委員会で、区は、B地区にはまちづくり協議会が立ち上がり、非常に積極的にこのBゾーンを何とかしたいという声が上がっているとしていました。しかし、B地区での会合では開発賛成の方と反対の方が言い争う状況になり、2014年度以降、会合は開かれていません。
また、C地区では開発問題が浮上してから空き家が目立つようになり、東池袋四丁目地区同様、治安が不安という声が上がっています。区は10月27日にまちづくり協議会を発足するとしていますが、ここには地権者として住友不動産が入り、また、野村不動産もかかわっており、事業参入を目的とするディベロッパーが既にかかわっているということです。
本来まちづくりは住民が中心となり、時間をかけて行うものであります。まちづくりで近隣間のコミュニティを壊すものであってはなりません。ディベロッパーの儲けの対象にするものでもありません。担当理事者は、まちづくりはまちの課題を権利者の総意で解決するもの、区としても解決策を持ちながら地域の皆さんと解決していくと答弁しています。また、高野区長もまちづくりは一朝一夕ではできない、まちや社会情勢の変化も取り入れながら、基本的には区民の皆さんの声を十分に聞いて進めるものと答弁しました。住民主体のまちづくりにするよう改めて指摘をしておきます。
まちづくりの最後は、木密不燃化10年プロジェクトについてです。特定整備路線の6路線の事業総額645億円です。権利者、借家人の数を尋ねても、東京都が公表していないので区は掌握していませんと答えるのみです。道路に係る権利者や借家人は立ち退きを迫られているのに掌握をしていないなどとは本当に無責任です。用地測量は全体で8割程度、補助81号線、巣鴨から西ヶ原地域は6割にとどまっており、うまくいっていないのであります。都は代替地の確保もできていません。区が進めているまちづくり、地区計画の検討、素案、原案の説明会の参加者も少ない、これで本当にまちづくりと言えるのか。このまちに住み続けたいという住民の願いにどうこたえるのか。都も区も住民の声を聞くべきであります。住民を追い出し、商店街、町会を分断し、公園をつぶす特定整備路線、まちづくりは認めることはできません。
以上、3つの観点で決算を見てきましたが、区民にさらなる負担を押しつけてきた財政運営であったこと、区民不在、大企業優先のまちづくりは自治体の本旨を変質させるものであることを指摘し、一般会計決算の認定に反対するものであります。
次に、3特別会計について述べます。最初に、国民健康保険会計についてです。この年も1人当たりの保険料は9万8,465円から10万3,103円へと大幅な値上げをしました。保険料滞納者が約3割にもなります。短期証交付は6,695人、資格書の交付は2,853人、23区で第3位です。差し押さえも681人です。区の徴収強化に対し、国保課に相談に行くのも怖いという声が寄せられています。高過ぎる保険料の最大の理由は、国庫負担を4割台から2割台に減らしたためです。国民健康保険は社会保障であります。医療を受ける権利を保障するためには払える国保料にすべきです。保険料を引き下げるために国が国庫負担率をもとに戻すとともに、区も一般会計からの繰り入れを十分行うことは当然であります。
次に、後期高齢者医療保険制度に関してです。今決算期は保険料の改定に当たり、均等割額が2,100円増、所得割率が0.79%の増、1人当たりの平均保険料は4,118円増で9万7,098円となりました。この結果が保険料が上がって大変という区民アンケートの声にもあらわれています。未納率は1.33%で、23区では一番低い状態ですが、高齢者は有病率も高く、医療を受けるために何としても払うと最優先で支払っているというのが実際です。
短期証は21件で23区中11番目ですが、発行していない区は4区あります。担当課では短期証でも一般の保険証と同様に扱っている、所在地の不明等の高齢者に対しているとしていますが、差し押さえは4件あり、23区中18番目、差し押さえを実施していない区は14区です。豊島区は厳しい対応をしているということです。
来年度は特例軽減を廃止する動きがあり、保険料も10万円を超えるとも言われています。しかし、今保険料が上がれば高齢者がますます厳しい状況に置かれ、未納者が増加することは明らかです。区としても特例軽減の存続を国に強く求めるべきです。そもそも区民の声が通らない広域化による運用で、また、高齢者を切り離した後期高齢者医療制度そのものを廃止すべきと考えます。
最後に、介護保険事業会計についてです。今年度から保険料が大幅に引き上げられ、月平均600円の引き上げ、所得階層は16段階になり、高額所得者は3.3倍まで引き上げられ、区民の負担増は今年度7億2,300万円にもなっています。保険料の滞納者は毎年増加しており、2015年6月現在3,000人を超えています。さらに安倍政権のもとで介護報酬の引き下げ、要支援の保険給付外しが行われ、本区では来年度からですが、介護予防給付として総合地域支援事業に移行することになります。
介護報酬の引き下げは、マスコミ報道でも事業者の倒産率は過去最高と言っています。本区でも在宅介護事業者への団体による調査で収入が減ったが58%あり、その対応に雇用で賃金の見直しを33%、非正規中心が50%、欠員補充なしが50%と大変深刻です。担当課は、区内では現在倒産はないとのことですが、介護保険制度の改悪は区民にも、事業者にも本当に深刻です。ちなみに介護保険導入前の1999年度の区の高齢者施策は約77億円でした。それが2014年度は約7億円です。結局、区財政による高齢者福祉を大幅に削減し、反対に保険料として区民負担が大幅にふえたということです。2000年に介護の社会化といって導入された介護保険制度ですが、保険料はどんどん上げられ、しかし、まともな介護は受けられない。さらに介護保険事業者も働く職員も厳しい状況に置かれている。本当にひどいと言わざるを得ません。
よって、3特別会計に関しても認定に反対をいたします。
以上で、意見開陳を終わります。
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○河原弘明委員長 次に、民主ネットにお願いいたします。
○永野裕子委員 私は、民主ネット豊島区議団として、2014年度、平成26年度一般会計、国民健康保険事業会計、後期高齢者医療事業会計、介護保険事業会計の決算に賛成の立場から意見開陳をいたします。
初めに、私ども会派の質問に対し、高野区長を初め、理事者の方々が答弁に御対応いただいたこと、資料要求に対して関係各所の方々がお忙しい中迅速に対応してくださったことに心より感謝を申し上げます。
平成26年度当初予算は、5つの重点分野を据え、すなわち待機児童対策、防災力の向上、高齢者の孤立防止対策、副都心の再生、新庁舎の整備を重点分野として立てられた予算でした。年度内に10次にわたる補正が組まれ、建築費への対応、消滅可能性都市対策、新庁舎建設に関する対応等、適宜行政課題に対する迅速な対応を行った会計となっています。このうち新庁舎整備に関連する新
庁舎保留床等購入経費136億円と
庁舎等建設基金運用金償還金110億円が計上される一時的な特殊要因により、財政評価が難しい数値のあらわれ方になりました。しかし、主な財政指標、いずれも基準値を下回っており、特殊要因を除いても、いずれも健全数値におさまっております。
基金残高につきましては、昨年審議しました平成25年度決算では23年ぶりに預金が借金を上回ったとの説明が強調されましたが、平成26年度は新庁舎保留床購入のため、財政調整基金110億円、公共施設再構築基金26億円を取り崩したために基金残高102億円減の134億円になり、負債残高は微増の219億円で、再び85億円債務が超過した状態となっています。
これについて、区財政の推移と現状では、平成27年度末には、旧庁舎跡地活用収入191億円が歳入され、再び貯金が借金を上回る見込みですとの説明が添えられています。数値的な事象は説明のとおりではありますが、今年度末に歳入される191億円は、本区保有不動産で最も価値のある土地の70年分の地代相当額であり、民間の財務諸表であれば、当該年度以外の収入は前受け賃料等で負債勘定に計上される性質のものとなります。お金に色はついていませんが、あくまで前受けした収入であるという意識は持ちつつ、今後の財政計画を立てていく必要があると考えます。
このような課題は、昨年度もさまざまな議論を投げかけました公会計制度の活用等により、会計の二面性に着目して、より実態に即した財政評価、長期ビジョンの構築を工夫していただきたいと要望いたします。
いずれにいたしましても高野区長就任以来、区民の皆様の協力のもとに財政健全化に努められ、職員の皆様におかれましても不断の御努力により取り組まれた成果が数値にあらわれていることは高く評価させていただき、財政悪化に陥った過去の経験を忘れることなく、将来ビジョンに生かされることを望みます。
以下、順次款別に意見を申し述べます。
まず総務費について申し述べます。
新庁舎における総合窓口業務については、高齢者への丁寧により寄り添った対応を望みます。特に混乱時には待機時間が長く、ざわついていることもあり、順番が来たことがわかりにくい状況が生じているようです。適切な配慮を望みます。
帰宅困難者対策については、池袋駅周辺混乱防止対策等積極的な展開が進みつつあります。しかし、当該対策は本区のみで行えることではなく、現場の主導的な役割は基礎自治体が果たしつつ、企業等の民間との連携、国・都からの財政支援も不可欠であります。企業等においては自身の管理下・責任下における対策を講じることが必須であり、その誘導と連携を東京都の条例に即した形で進めていくことが重要であると考えます。
とりわけ現場において課題となるのは、移動途中や観光等で来訪し、一時滞留者となってしまう方への対策であると考えます。備蓄については区が計画的に整備することと企業等の整備・協力が着実に行われればある程度カバーできると考えますが、一時滞在施設の確保はなかなか進んでおらず、さらに積極的な協力要請が必要であると考えます。
地域区民ひろばの運営については、財政難の折、施設の整理統合の発想から出発し、平成17年度のモデル実施をスタートして、今年度で10年が経過しました。10年を経過したといっても地域区民ひろばのあり方は年を経るにつれ、さまざまな活用の可能性が広がり、セーフコミュニティステーションとしての機能やCSW(コミュニティソーシャルワーカー)との連携による地域の安全・安心づくりの事業展開など、多種多様な行政課題のアプローチの拠点となっています。
地域区民ひろばの運営は自主運営化を促しており、当該年度には5地区において自主運営に移行しています。地域のことは地域でという方向は地方自治の理念にもかなったものではありますが、一部の方たちへの過度な負担とならないかが懸念材料でもあります。これまでの10年を実績と見るだけでなく、まだまだ発展途上の可能性を秘めた事業ととらえ、公の事業を担う拠点としての重要性にかんがみ、適切な距離感の支援で行政が関与していくことを望みます。
衛生費について申し述べます。
豊島区歯と口腔の健康づくり推進事業について、3歳児の虫歯罹患率を低くすることを目標として、現在実施の1歳6カ月健診、2歳児歯科相談を実施しておりますが、さらに1歳児の離乳食開始児を対象とした歯科検診を検討されたく要望します。
がん検診は区が行う健康増進のための重要な事業です。各種がん検診率を向上させ、早期発見、早期治療につなぐために未受診者へのアプローチが重要です。民間事業者の取り組みも参考にしつつ、一層のがん検診の啓発に取り組まれることを望みます。
本区ではさまざまな健康・予防施策が行われていますが、レセプト等でその効果を分析し、区民の意識啓発に生かすことを要望します。
予防接種事業については、平成25年4月からはヒブ、小児用肺炎球菌、HPVの3種のワクチン、平成26年10月からは水痘、高齢者肺炎球菌の2種のワクチンが定期接種化されました。定期予防接種が拡大することは重要かつ必要なことですが、一方で、予防接種法の実施義務者が基礎自治体の長となっていることから、一般財源負担が急激に増加している状況です。平成25年からの3種のワクチンの定期接種化による一般財源の増加額は約1億8,000万円に上り、平成26年度途中からの2種の定期接種化とインフルエンザワクチンの定期接種化による年間の負担増は約1億6,000万円となります。今年度からは高野区長の英断により、B型肝炎ワクチンへの全額助成が豊島区医師会の事業を引き継ぎ、国の定期接種化を前倒しする格好となって始まりましたが、当該事業費は3,000万円余となっています。
国の予算の中では一般財源化されており、地方交付税の中に算定されていますが、不交付団体である東京都の自治体においては国の財源は入っていない状況です。実施については地域的事情を反映できるように地方自治体の裁量の余地を残すことは否定しませんが、感染症予防は国防ともとらえられるべきものであり、命、健康を守る施策に自治体の財政力による差を生じさせるべきではなく、社会的免疫を確保するという予防接種事業本来の趣旨からしても財源については国が責任を持つべきであると考えます。引き続き国への財源負担の要請を各地方自治体と連携の上、強く行うべきと考えます。
おたふくかぜ予防接種は、WHOが定期接種化すべきと勧告している予防接種の一つですが、国における定期接種化が具体化しておらず、現在区では一部助成を行っています。財源の問題もありますが、助成割合による接種率の差は明白です。より接種率向上のための検討を行うよう要望します。
清掃環境費、都市整備費、土木費について申し述べます。
「グリーンとしま」再生プロジェクトは、平成21年に学校の森植樹としてスタートし、翌平成22年からいのちの森植樹として毎年1万本、10年間で10万本植樹を目標に行われています。平成28年度までの植樹本数は5万7,053本、堅調に目的を達成できているかのような数値の報告となっていますが、狭小な本区において植樹場所を確保するのは難しく、ここ数年は大半を苗木配布をもってかえているのが現状です。本区の空地が少なく、日本一の高密都市である状況にかんがみるといたし方ないと理解しますが、事業当初の目的は区内への植樹であるので、配布した苗木についても区内での植樹に活用されるように誘導を望みます。
平成18年から始まった緑のカーテン事業は、狭小な本区にあって壁面緑化やヒートアイランド対策等の副次的効果もねらった事業であり、定着してきました。事業存続拡大には緑のカーテンを一つのツールとしてコミュニティ形成等にも積極的に活用するなど、さらなる工夫を望みます。
植樹や緑被率の数値目標を追うには限界がある本区において、緑の質、在来の生物多様性に着目した施策展開は環境都市としまを標榜するからには重要な視点であると考えます。
新庁舎の屋上庭園、豊島の森整備を視野に専門家に委託し、区内の環境・生態調査を行った成果物は地域の自然環境を保全し、子どもたちに引き継いでいくために重要なデータとなります。調査対象地域を広げ、駒込地区や長崎地区の調査を行い、当該年度から行われた豊島区の生きもの情報共有事業により区民と共有していくことは今後も地道に引き継がれる事業としての展開を望みます。
マンション施策についてです。本会計は平成16年の狭小住戸集合住宅税の導入等、マンションに関連したさまざまな地域課題が生じていることに着目した施策が行われてきました。平成18年の中高層集合住宅の建築に関する条例の改正あたりから課題への対策的な施策にとどまらず、マンションを地域のインフラとしてとらえ、防災や災害時のための地域貢献、コミュニティ形成等地域全体としての課題解決に向けた施策の方向に向かっていることは高く評価させていただきます。
平成25年7月にマンション管理推進条例が施行され、区内全分譲マンションを対象に管理状況報告書が届け出義務となっています。届け出状況は約6割とのことで、未届けマンションへはマンション名公表等の罰則規定もありますが、未届け理由の把握、問題の所在調査等未届けマンションに対するアプローチや実態把握が重要であると考えます。
また、本条例は管理のみならず、防災・地域コミュニティに着目した規定も盛り込まれ、努力義務を含む義務を課す内容が盛り込まれています。これを実効性のあるものとするとともに、政策目的にかなった支援・誘導策を講じることも重要です。義務に対する支援策として用意されたマンション専門家派遣事業は執行率が12%と低く、分譲マンション建てかえ・改修アドバイザー派遣事業もAコース、Bコース各1件と活用されていない状況です。ニーズを的確にとらえ、活用されやすい事業としての工夫を望みます。
巣鴨・駒込地区の不燃化特区まちづくり事業の推進については、借家人組合加入者も多い地域であり、地主が一切応じない状況があります。特に、駒込七丁目地域地権者との問題が大きな課題となっています。東京都の事業、木密不燃化10年プロジェクトを進める観点からも立ち退きを必要とする方々への情報提供等も含め、東京都との連携の上、きめ細やかな対応を要望します。
駒込六丁目ソメイヨシノ桜の星公園に隣接の事業団代替地の臨時的な活用については、地域の声を受け入れ、開放の検討をされることを要望します。
文化商工費、教育費について申し述べます。
公衆浴場への支援については、保健衛生上も地域になくてはならないものとして公衆浴場の廃業を食いとめるために積極的な支援を望みます。
子どものための文化体験プログラムは、旧朝日中学校にあるにしすがも創造舎を拠点とするNPO法人2団体が子どもたちの感性を引き出す参加型の事業として定着してきました。同2法人は本区のみならず、幅広く活動する法人ではありますが、本区が文化政策を展開するに当たり、地域に根差した文化事業の展開を牽引する担い手として誘致し、にしすがも創造舎が法人の主たる事務所の登記地ともなっています。巣鴨北中学校の建てかえに関連して、今後拠点が旧真和中学校に移転となり、その後の拠点は未定となっていますが、これまでの経緯を踏まえて地域に根差した子どもたちのための文化事業が継続されるよう配慮を望みます。
としま未来文化財団に委託している事業の中に、東京音楽大学の協力のもとに行われてきた庁舎ロビーコンサートがあります。旧庁舎での最後のロビーコンサートは第176回が1月28日に行われて幕を閉じ、今年度は8月4日、10月8日に新庁舎としまセンタースクエアにおいて庁舎ランチタイムコンサートとして引き継がれ、実施されました。新庁舎でのリニューアル実施に当たり、ベビーカーでそのまま入れたり、小さなお子様連れでも気軽に来れるような形での実施の提案をさせていただいたところ、迅速に対応していただき、ベビーカースペースの確保や幼い子がはえるようなクッションフロアの提供も行われました。第1回目からそのスペースは小さなお子様連れの方に利用され、第2回目のときにはベビーカーでの参加者が3倍以上になるなど効果が出ていることを評価します。行政が行う文化事業はふだん文化を享受しにくい対象にこそ積極的に提供されるべきものと考え、特に未就学児に対して良質の文化事業を提供することに今後も力を入れていただきたく要望します。
学校ICT環境整備事業経費について申し述べます。平成21年度の国の補正予算の活用により急遽購入した1,300台のパソコンが入れかえとなり、タブレットパソコンの導入が進んでいます。モデルチェンジの展開の速さやメンテナンス等にかんがみ、電子機器はリースが基本であり、平成21年度の国誘導の予算消化のための電子機器の大量購入は今後慎重であるべきことを改めて申し述べます。
学校ICTの環境整備には、児童・生徒の学習効果の向上と教職員等の校務の軽減の大きな2つの目的があり、校務の面については当初なかなか進まなかった状況がありますが、校務支援システムの運用等も始まり、効率化に寄与していることを評価いたします。学校ICT環境整備の活用には多額の投資が行われており、十分な活用と効果の検証をしっかりと行われるように望みます。
款をまたがっているテーマについて申し述べます。消滅可能性都市対策に関連する事業についてです。当該年度5月に国の日本創成会議から23区唯一の消滅可能性都市との指摘を受けて、区は迅速にかつ柔軟にその対応策を講じたことを高く評価させていただきます。
その1つとして、としま鬼子母神プロジェクト事業が実施され、妊孕力啓発セミナーが行われました。妊孕力という言葉の打ち出し方や卵子の老化という言葉がおどる事業のあり方には注意が必要であると考えます。女性がみずからのライフプラン形成をしやすいように、妊娠・出産にまつわる正確な知識を得ることは非常に大切なことですが、まさに直面している世代に対しては、ともすると過度なプレッシャーを与えたり、かえって妊娠・出産をちゅうちょすることにもなりかねず、情報発信のあり方はその派生効果を十分に吟味して行う必要があると考えます。
妊孕力啓発セミナーの講師を行った国立成育医療センターの斎藤英和氏が座長を務める少子化危機突破タスクフォースの中での議論においても知識啓発は若年層から、特に中学生からが有効との議論もなされています。
今年度西巣鴨中学校、駒込中学校では、総務省ICT健康モデル事業を活用した産学官連携事業として、夢をかなえるための美人レッスンが行われました。これは思春期のやせ過ぎが骨粗鬆症や筋力不足、出生体重低下の原因になること、女性ホルモンと身体状態の関係を解説し、基礎体温をはかって自分の体のリズムを知ることなどの講義が行われ、NHK「クローズアップ現代」でも取り上げられました。
以前、女子栄養大学が坂戸市との連携により行っている葉酸プロジェクトについて取り上げ、提案をしたときにも、若年層からの体づくりの重要性を指摘しましたが、骨量を高めること、葉酸の摂取、体を温めること、卵子の数は胎児のときに決まることから、妊娠中の母体の状態が次世代、次々世代にも影響しかねないことなどの正確な知識を早い段階からみずからの問題として伝えることが重要であると考えます。
本区では学校医会の尽力により中学校での骨密度測定なども既に行われています。関係各所の協力を得ながら学校教育との連携により、女性が自分自身の体を知り、大切にしながらライフプラン形成に資する地域としての支援、地域の妊孕力の向上を展開するべきと考えます。
特定非営利活動法人イシュープラスデザインがことし10大経済圏在住、有職女性1万人を対象に行った調査によると、働く女性の半数が理想とする子どもの数を達成できておらず、いわゆる産み控えの傾向が見られました。出生率も合計特殊出生率にかわり、希望出生率という言葉が使われるようになりました。希望した人が希望する数の子どもを授かることができるようなハード・ソフト両面での環境整備が重要であると考えます。女性のライフステージに応じた行政としての適切な支援のあり方を関係各課連携のもとに全庁挙げてさらに御尽力いただきたく要望いたします。
聴覚障害者に関する施策として、手話通訳派遣・手話講習会事業が行われていますが、登録通訳者数や派遣件数は減少の傾向にあります。聴覚障害者の情報取得・コミュニケーションに関する権利を保障し、日常生活をサポートする意味において重要かつニーズの高い事業と考えます。より円滑な運営となるよう工夫を望みます。
聴覚障害者協会からかねてより手話通訳者の技術向上や手話通訳派遣の拡大を望む声があります。手話の取得には多くの時間や根気が必要となります。手話通訳者を目指す方のモチベーションの向上に資するような活躍の場の確保と待遇等の保証も必要と考えます。平成28年4月から障害者差別解消法が施行されます。これは平成20年に発効した障害者権利条約の理念にのっとり、障害者の人権を尊重し、障害を理由とする差別を解消するために行政機関等に具体的な措置等を定める内容となっています。ポイントとなるのは不当な差別的取り扱いの禁止と障害者への合理的配慮の義務があります。合理的配慮には情報取得やコミュニケーションに関する保障も重要な事項として位置づけられており、今後の行政からの情報発信やイベント等にも手話通訳を積極採用することが必要と考えます。
障害者権利条約は国際人権法に基づく人権条約です。障害者施策は福祉的措置の観点から行われることが多かったものの、障害は人にあるのではなく、生きにくくなる要素社会にあるという観点を基本の立ち位置として基本的なインフラ整備を行うことが重要です。聴覚障害者に限らず、あらゆる障害者に対する配慮を行政施策の視点に積極的に組み入れる必要があると考えます。
諸支出金の運用金償還について述べます。
庁舎等建設基金運用金償還金111億1,033万円が計上されています。これは平成6年から平成14年にかけて行われた運用金の繰り戻し金です。基金は地方自治法241条で目的に応じて設置できること、目的によらない処分はできないこと、運用についても厳格な規定が定められています。基金の設置目的外の一般会計の財源不足に対応する繰りかえ運用は多くの自治体で見受けられますが、条例上の定めがある場合を除いては年度内に処理すべきものとの規定があります。
豊島区庁舎等建設基金条例は、昭和63年に制定・施行されていますが、第5条が平成5年に一部改正されており、いわゆる繰りかえ運用の規定が入っており、区長は、財政上必要があると認めるときは確実な繰り戻しの方法、期間及び利率を定めて基金に属する現金を歳計現金に繰りかえ、または、豊島区一般会計歳入歳出予算の定めるところにより、歳入に繰り入れることができるとなっています。この規定にあるように、確実な繰り戻しの方法、期間及び利率の定めがあったかどうかは定かではありませんが、このような運用は地方公共団体の法務実例等でも年度を超えて行うことは不適正と解されており、長年にわたる巨額の運用が行われていたことは違法性のないことは確認されているものの、異常な状態であったことは間違いないと言えます。
また、総務省自治財政局からの自治体一般への事務通達では年度を超えた目的外運用の適正化を図ること、会計年度超える運用については、地方自治法施行規則第16条の2に規定する財産に関する調書等により実態を反映した情報開示を行うことが通達されています。この間、本区において区民や第三者が会計書類を見て実態を把握できる状態にあったかは疑問です。
当該決算年度と今年度の第2回定例会、補正予算での運用金償還金71億3,855万1,000円並びに運用金利子相当額3億3,430万5,000円により完全な清算をすることができ、庁舎建設等基金条例の廃止に至ったことは、高野区長就任以来の財政健全化、庁舎建設への関係各位の努力によるものと高く評価するものです。そして長年の問題処理の清算できたこの期だからこそ、改めて平成6年から行われた、いわゆる運用の区政運営に起因する問題点と事務処理上の問題点を検証し、今後の区政において二度と同じ轍を踏まないように総括するべきであると考えます。
歳入について申し述べます。本区では財政調整基金のほかに12の特定目的基金が設置され、基金利子が計上されていますが、本区の基金運用実態は、いずれも指定銀行による普通預金と定期預金がほとんどで、わずかに短期の国債購入による運用が見られるのみとなっています。これまでは基金の資産運用の余裕もなかったのが現実ですが、今後の財政計画では、基金残高300億円を維持することを目標としており、減債基金等の長期に保有し、処分の計画が立てやすいものについては、より有利な資産運用を行うべきであると考えます。
平成14年のペイオフ解禁時に多くの自治体では基金の運用を中心とした公金運用を積極的に行っており、国の通達においても普通預金に限定せず保管すべきとの方向が示されております。専門的な第三者を活用したリスクマネジメントと適切な情報開示に留意しつつ、公金運用のあり方を研究すべきと考えます。
また、土地等貸付料が計上されていますが、近年の区有財産の資産活用により、定期借地契約が増加傾向にあります。平成24年度からは定期借地契約による多額の保証金も保管するに至っています。区有財産の賃貸借契約による保証金は、預かり金の性質のため歳入には計上されず、歳入歳出外現金として把握されていますが、定期借地契約によるものは法令の定めにより最低50年の長期にわたって保管されるものです。当該決算年度末の残高は約1億6,000万円に上っています。今年度末には旧庁舎跡地活用による保証金が7億円弱計上される予定となり、定期借地契約による補償金は8億円余の残高となります。これらは歳入歳出外現金のため、決算資料にも掲載されず、議会で目に触れることも少ないものですが、多額の現金を最低50年という長期にわたって保管することから、さきに述べた基金の資産運用と同様に、安全かつ有効な運用について研究し、適宜情報公開すべきと考えます。
国民健康保険事業会計については、滞納者への家庭訪問、電話催告、休日夜間訪問等の対応が行われていますが、個人情報への配慮は十分に行い、収納相談に丁寧に応じられるよう要望します。
高齢者へのジェネリック薬品の勧奨については、主治医が中心となって指導するよう関係各所の連携を密に図られるよう要望します。
以上、個別の施策について意見を申し述べてまいりました。
審議の中では厳しい意見も申し上げましたが、議会における決算審議の意義は、当該年度の事業内容、予算の執行状況の結果の確認にとどまらず、そこから次の予算編成や将来的な区政運営に生かすべく議論をすることであると考え、ただの数字や事実の確認にとどまらず、そこから何を読み取るのかを大切に審議をさせていただいたつもりです。
二元代表制の緊張感を持ちつつ、双方に知恵を出し合って建設的な議論を行い、区政の長期的ビジョンに反映させていくことが今日の行政と議会とのあり方に求められていると考えます。
地方分権が叫ばれて久しく、都区の事務配分の協議も長年前向きな方向が示されていませんが、基礎自治体が自治権拡充の本気度をより示していかなくてはなりません。また、居住地や投資先としては選択のシビアな行政評価にこたえるためにも基礎自治体がさらなる行政経営能力を高めることが重要であると考えます。目指すべき基金残高を達成し、将来の施策に備え、改めて今後の財政計画を緻密に行っていただきたいと要望します。
今後、旧庁舎跡地周辺の整備等さらなる大きな課題が待ち構えています。当該年度の評価を反映しつつ、新たな需要にもこたえていかなくてはなりません。持続可能な自治体としての継続的な経費のあり方も長期的なビジョンを持った上で判断しなくてはならないと考えます。
以上、数々意見・要望を申し述べましたが、平成26年度決算は予算の執行状況、具体的施策の実施状況等審査した結果、一般会計、3特別会計ともに状況に応じた適正な執行が行われたものと判断し、各会計決算認定に賛成をさせていただきます。
御清聴ありがとうございました。
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○河原弘明委員長 午後4時を回る見込みですが、皆様御協力をお願いいたします。
続きまして、豊島刷新の会にお願いいたします。
○ふるぼう知生委員 豊島刷新の会、ふるぼう知生でございます。私は、今回4年ぶりに決算特別委員会の委員となり、審議に参加いたしました。4年前の決算特別委員会と比較すると、豊島区の財政状況の大きな変化に隔世の感があります。そして区議会議員という立場で区民を代表して役所の理事者の皆様と真剣に議論をすることができたことは本当に議員冥利に尽きるなと改めて感銘を受けたところでございます。
本委員会に臨むに当たりまして、私はテーマを定めて質問をいたしました。今回は、自分がさきの区議選で掲げたみずからの公約を直接区にぶつけてみようということでありました。その中でも中心は議会改革、少子化対策、子育て支援、教育改革であります。そのような観点から平成26年度豊島区
一般会計歳入歳出決算及び3
特別会計歳入歳出決算において審議し、考察してみました。以下に私の考えを述べるものであります。
まず総括的に申し上げますと、平成26年度においては歳入歳出とも過去最大規模の決算額となりましたが、これは新庁舎整備における基金等のやりくりによりまして生じた特殊な事情と言えるもので、財政健全化判断比率やほかの財政指標におきしても、平成26年度の特殊な事情を差し引いても健全段階という位置づけになったことは、財政運営の健全性が保たれていると評価できるものであります。
長年、負の遺産として課題となっておりました豊島区の厳しい財政状況も豊島区のたゆまぬ努力で財政健全化が達成されたようでございます。豊島区は今や新庁舎建設を成し遂げたという大きな実績とともに、新しいステージに上がったと感じます。すなわち時代のニーズに合った形で行政サービスの新規拡充を図りながら、全体として極力サービスの質を維持していく。そして全国的な課題であります老朽化した公共施設の整備という問題で区民の皆様に対してしっかりと説明責任を果たしながら果敢に実行し、さらには将来経済状況が厳しくなったときの税収減に備えて基金を積み増すという、より困難を伴うステージであります。そのためには毎年行われている事務事業評価をともすれば、甘くなりがちな身内の判定のみにゆだねるのではなく、定期的に第三者も含めた評価を行い、無駄をあぶり出し、毎年身の丈に合った財政という根本的な原理原則をしっかりと遵守していくことが重要だと思います。
そして平成26年度において使途目的が明確になっている増収分が2件あります。区民税の均等割額の増税分と消費税増税分でありますが、一般会計に含まれているので、使途目的にかなった形で適正に使われたのかわかりにくい部分もあります。これについては今後も可能な限り説明責任を求めるものであります。
総括についてはこのように評価をし、次は、私の掲げているテーマに沿って評価及び要望をさせていただきたいと思います。
まず私の公約の第1は、議会改革です。議員定数の大幅削減、議員報酬の適正化、政務活動費の抜本的な見直し、さらには費用弁償費の廃止等をうたっております。議員がまずみずからを律することなくして役所の皆さんに対して厳しいことを求めることはできないと信じるからであります。この部分は議会サイドにおいて決定することですので、今回は言及しませんでしたが、本委員会では関連する事項として議長交際費について言及いたしました。決算額やその使途において年度ごとに大きなばらつきがあります。議長としての交際費なのか、一議員個人としての交際費なのか疑問の残るところでありますので、区議会事務局においては議長交際費についてより厳密な使用規定を定めるべく御検討をお願いいたします。
さらに議会が区民の代表であると言えるのは、少なくとも投票率が50%を超えたときであろうというのが私の考えですが、投票率の向上は民主主義という制度をより確かなものにするためにとても重要な視点です。公職選挙法が改正され、18歳まで選挙年齢が引き下げられました。国の公職選挙法のさらなる改正を見据えながら、有権者の立場に寄り添った方法、例えば最寄りの駅に期日前投票所を設置するとか、幼少の子ども連れであっても一緒に投票することができるようにするといった方法により、確実に投票率向上につながります。選挙をすることを幼児期から体験してもらうことによって選挙に必ず行く有権者づくりに貢献できると思いますので、その実現に向けての豊島区のさらなる努力を期待いたします。
そして私の公約の第2は、少子化対策、子育て支援、教育改革です。その趣旨はこのまま何の対策も講じなければ高齢者の福祉の支え手である若者がいないまちになってしまうという危機感です。お年寄りの方々がお元気で文化的な生活を楽しめるということは本当にすばらしいことであり、医学の進歩と合わせ、助け合いという日本人の民族性、国民皆保険制度という政策のおかげもあり、現在日本は世界に誇れる長寿大国になっております。
しかし、一方で若者がいなければ福祉は成り立ちませんし、消費が減少傾向をたどり、経済が発展する余地がなくなります。私は、1期生のときからこの主張をずっと続けておりますが、東京23区の中で唯一、消滅可能性都市というレッテルを張られた豊島区であればこそ、政策的に優先順位が高い政策だと考えます。そのために地方自治体で何ができるかということですが、国が希望出生率という言葉を使うようになりました。産めよ、ふえよという言葉を使うことは女性の皆さんに多大なるプレッシャーを与えることになるからです。このような女性の立場に寄り添った言葉が出てきたことは何よりですが、言葉を明示した以上、政治には責任が伴います。国もそのような方向性になっている今、豊島区としても少子化対策、子育て支援、教育改革という考え方を最優先にしてもらいたいものであります。
まだ国の制度設計がなされてない以上、豊島区として打ち出せることには限界があるとは思いますが、例えば少子化対策ということであるならば、国民健康保険制度の中の出産育児一時金において2人目以降の子どもには増額することも検討してもらいたいと思います。価値観が多様化している昨今、結婚を望まない方々もいらっしゃいます。結婚しても子どもを産まない、あるいは産めないという方々もいらっしゃいます。そのような中で一人でも多くの子どもを産んでもらうためには、子どもを既に一人産まれた御夫婦にさらにもう一人産んでいただけるような環境づくりをバックアップしてあげることだと思います。そのためには家庭の経済的な負担を軽減することが一番望まれていることではないでしょうか。働き方の問題もありますから、そのことだけで少子化の問題は解決できるものではありませんが、もう一人欲しいなと思っている御夫婦の背中を押してあげる効果はありますし、何よりも豊島区が未来ある子どもについてそのように対応してくれているという強いメッセージを与えることができると思うのです。
子育て支援という意味では、豊島区においても国の平成29年4月までに待機児童ゼロを目指すという方針にのっとって対策を強力に推し進めてもらっています。供給が需要を喚起し、需要が供給を呼ぶという状況にあり、なかなか待機児童の人数が減らない現状ではありますが、できる限り保護者の方々の御要望にこたえられるように、地域における実情も考慮しながら対策をさらに講じていただきたいと思います。
教育改革という点でいうと、私の視点は家庭における教育費の負担軽減であります。自分自身も3人の子育てをしながら感じることは、1人の子どもに普通に教育を与え、一人前の社会人として成長させるためには教育費に想像以上にお金がかかるということであります。公教育においては教材費や教職員の人件費についても区民として心配することがないということは本当にありがたいことだと思いますが、さらに負担の軽減を図る政策をとってもらいたいと思います。例えば小学校・中学校の給食費や林間学校にかかる経費、修学旅行費、さらには中学校の標準服に関しても検討の余地はあると考えます。子育てや教育に特化して応援している豊島区だということをアピールする上でも必要な施策であると思いますので、御検討をお願いいたします。
関連して、未来ある子どもたちのためにということであれば、福祉費や衛生費の款別審査でも申し上げましたが、子宮頸がんワクチンの問題が挙げられます。厚生労働省がこのワクチン認可をしてから、本区でも接種が始まりましたが、全国で余りにも副反応報告が多く、定期接種になってから2カ月後に積極的勧奨を中止するという状況になっている前代未聞のワクチンであります。ワクチン接種適齢期の生徒や保護者の方々からしてみると、ワクチンを接種すべきなのかそうでないのか判断がつきにくく、行政としては中途半端な対応になっております。であればなおさら私が前から主張しておりますように、リスクの全くない、そしてそれをすれば子宮頸がんになることはほぼ完全に防ぐことのできる定期的な健康診断の受診率を高めることに力点を置くことが望まれます。行政としては幾ら豊島区でこのワクチンによる健康被害を受けた人がいないからといって推進派の方々の意見にのみに耳を傾けるのではなく、ワクチンの副反応が報告された方々の体験談も聞きながら、両方の意見に耳を傾け、適切な対応をしていただくようお願いいたします。
また、いろいろな地方自治体でも実施を始めております、過去において子宮頸がんワクチンを接種したすべての女性の方々に対する健康調査を行うことも再度御検討をお願いいたします。
その他の視点といたしまして、私の地元に関連し、空き家対策について具体的な場所も挙げて質問をいたしました。長年にわたって地域の足かせになっている問題ですので、速やかな解決を希望いたします。
そして本区に本部を置く精神医療クリニックの現場において繰り広げられていると疑われております貧困ビジネスと精神疾患患者への人権じゅうりんの実態に対する解明も要望いたしました。複数の課にまたがる案件ですが、いまだに狭い部屋に住まわされ、生活保護費もそのクリニックに管理されて自由を拘束されている患者の方々が大勢いるようであります。豊島区もその舞台となっておりますので、東京都とも連携して早急な解明と問題の解決を強く要望いたします。
さらには旧庁舎跡地利用と並列に考えられている豊島区の2大プロジェクトの一つ、造幣局の跡地利用についても言及いたしました。防災公園の部分はよいとしても、残りの市街地整備区域や木密地域の解消に資する施設の計画が余りにも平凡過ぎて華がなく、これでにぎわいが本当に創出されるのか、そして近隣の商店街に活性化をもたらすことができるのか非常に疑問であり、地元の方々の御意見を踏まえながら計画の見直しも求めるものであります。
以上、主に私の公約に沿っていろいろと述べてまいりましたが、区職員の皆様の働き方についても少し述べておかなければなりません。豊島区においてはワーク・ライフ・バランスという考え方を区民に奨励しておきながら、豊島区役所内において5億7,000万円を超える超過勤務手当を出しているということには矛盾を感じざるを得ません。業務の内容ゆえなのかもしれませんが、金額が課ごとにかたよっているというところもありますので、現場の責任者である課長が人材の配置や仕事の分担等もしっかり目配りしながら、残業が多くならないように適正に対応し、職員の方々がより働きやすい職場にしていただけるようにお願いいたします。
歳出削減においては、さきに述べたような議会改革のための具体的な行動をもって議会側も率先して取り組まなければならないと思います。そしてその上で、豊島区も区民から預かった税金でありますから、コストカットの意識を徹底させ、一円たりとも無駄にしない歳出をさらに目指してもらいたいものです。
歳入についても雑収入の欄を見れば細かいものでも積極的に得ようとする意思を感じることができますので、今後もその努力を継続することをお願いいたします。
以上、さまざまな観点から私の中でのテーマに基づき語ってまいりました。平成26年度
一般会計歳入歳出決算及び3
特別会計歳入歳出決算におきまして、課題はいろいろと見え隠れいたしますが、方向性においては価値観を共有するところも多いのではないかと考えており、これらすべての決算の認定に賛成を表明させていただきます。
今回の決算特別委員会におきまして、区長を初め、副区長、そして教育長、また、理事者の皆様には私の質問に対して真摯にわかりやすく御答弁いただき、また、私の資料請求に対して迅速かつ的確な資料を御用意いただきまして本当にありがとうございました。時間がなく、資料請求して答えていただいたすべてのことについて質疑応答することはできませんでしたが、今後の議会活動に必ず生かしていきたいと考えております。
また、公平公正な運営をしていただきました河原委員長、西山副委員長にも心から感謝を申し上げます。
今後も高野区長を先頭に身の丈に合った健全財政を継続しながらも、山積した課題については区民に対する説明責任を果たしながら乗り越えてもらい、さらには豊島区が東京23区の中でも、特に少子化対策、子育て支援、教育という分野においても選ばれる自治体になるために果敢にチャレンジをしていただきますように、そして子ども、父母、祖父母の3世代が支え合い、助け合い、家族の笑い声が響き合う、そんな豊島区を実現すべく努力していただきますことを重ねて要望いたします。
二元代表制の中で区民の皆様から負託を受けた私も議員として区政全般にわたって今後もしっかりとチェックをし、かつさまざまな提言をさせていただくことを表明させていただきまして、私の意見開陳とさせていただきます。御清聴まことにありがとうございました。
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○河原弘明委員長 それでは最後に、無所属元気の会にお願いいたします。
○小林弘明委員 無所属元気の会、小林弘明でございます。このたびは真摯に御答弁いただきました区長を初め、また、理事者の皆様、本当にありがとうございました。また、公平公正な運営に努めていただきました河原委員長、西山副委員長、ありがとうございました。
それでは、意見開陳をさせていただきたいと思います。
今回の決算に当たって感じたことを述べさせていただきたいと思います。今回の各款別審査において私はさまざまな質問をさせていただきました。各事業に対しては、これまでの一般質問や各委員会での答弁、あるいは成果報告書をもとに今年度はどうであったのか、また、どこまで事業が達成できたのかを含め、質問させていただきました。
その中でさまざまな事業に対して、さまざまな委員からも御答弁いただきましたが、目標の数値に達していない事業やその原因として区民に対しての周知が足りないものなど、まだまだ改善する余地があるのではないかと感じることも多々ありました。
そこで、全庁的な観点から、各課ともに国際アート・カルチャー都市構想に対する事業の展開の意識をいま一度再度確認して共有していったらいいのではないかという部分も感じました。なぜならば、せんだっての高野区長の答弁でいただいたのですが、その言葉にあった、まさに豊島区にぎわいの創出、これが今、豊島区のさまざまな分野でかぎとなって発言されております。
にぎわいの創出を通じて、どのようにして豊島区のブランド力につなげていくのか。それがどうなっていくのか。私も日ごろより議員活動を通じて最も重要なことなのではないかと未来に対して考えております。
特に、その中で豊島区の漫画・アニメは国際アート・カルチャー都市構想の中でもキラーコンテンツとなり得るものと考えられており、これをもっと豊島区としては活用していかない手はないのではないかと感じました。
そこで区民に対しての周知や豊島区のブランドイメージの向上のためにも、もっともっと積極的に漫画やアニメを活用していく必要があるのではないかと各款別の中で考えておりました。そのような観点から、豊島区として区民への周知が必要な事業、例えば各事業におけるその重要性や啓発、協力、区民の方々に広く理解してもらうことや今回質疑させていただいた執行率が低い、各種検診率の問題など、このような啓発活動にこそまさに漫画・アニメを活用して周知していくことは重要なのではないでしょうか。
豊島区でも行ったリノベーションまちづくり関連事業についても質疑の中で、空き家はたくさんありますが、不動産オーナーや地権者がなかなか見つかりにくい、また、理解されにくい、そういうような答弁もありました。このようなことも他の自治体の例で挙げますと、リノベーション啓発事業の先例となる北九州市では、このリノベーションまちづくりがどのようなものなのか、広く市民の方、ひいては地権者に対して漫画を通して啓発や報告レポートを作成して理解を深めるようなこともしているそうです。
また、地域のコミュニティで言えば、町会や商店街のコミュニティ形成、10人に1人が外国人という豊島区だからこそ、外国人との交流に関しても共存共栄のためのルールやマナー、また、その意義や意味を理解してもらう手助けの一つとして漫画を活用したマナーブックやコミュニティブックのようなものの作成なども非常に効果的なのではないでしょうか。
そのほかにも区の施設に導入をふやしているデジタルサイネージの広告板、漫画、アニメーションを活用した周知、広報することによって、さらにもっとたくさんの区民の目を引き、告知できるのではないでしょうか。漫画やアニメが豊島区全体の区民サービス、まちにあふれていることで、漫画・アニメの聖地豊島区としてのブランド力の向上、区民の理解、国際アート・カルチャー都市の推進のためにつながるのではないかと考えております。
豊島区が支援している現代版トキワ荘・紫雲荘を初め、豊島区発祥の漫画家の育成、クリエーターの育成、豊島区のアート・カルチャー都市構想の推進にも資することにつながるのではないでしょうか。そうした観点から、行政への理解推進や各種啓発事業にも漫画やアニメを積極的に活用していくことが今決算でもやはり目標や数値予定に達しなかった事業、あるいは周知という意味で答弁の中でまだ行き届いてないといった啓発に必要な事業にとって理解度を上げることにつながるのかと感じております。漫画、アニメといえば豊島区ということ自体の結びつきが、まだまだ区民の方に低いというのも感じております。来街者への豊島区漫画、アニメのPRは当然力を入れてやっていく必要があると思いますが、その前提として豊島区はどうして漫画、アニメなのか、区民としてもっと知っておかなければいけない、知っていただく必要があるのではないかとも感じます。
椎名町駅が新しくなり、また、トキワ荘のお休みどころの開設など、普及にも努めていただいておりますが、それに対してもまだまだ認知が足りてないのも現状です。さらに豊島区に住んでいる子どもたちがトキワ荘や紫雲荘、例えば子どもたちに人気のキャラクターでもある仮面ライダーは石ノ森章太郎、そしてドラえもんは藤子不二雄、その方がこの豊島区のトキワ荘に住んでいたということやほかの漫画家の歴史的な背景、たくさんの漫画家がこの豊島区に住んで、描いて、作品を世に送り出しているんだよということをもっと豊島区の子どもたちに理解してもらえるような教育も重要なのではないでしょうか。豊島区と漫画のつながりについて、豊島区の公立小学校、中学校において豊島区の歴史的な背景を含め、そのような場をしっかり持っていただいたり、そのようなレポートを出していただける環境も重要なのだと考えております。
豊島区育ちの子どもたちがこの先、高校、大学と進んだとき、自分のふるさとからはこんなにたくさんの漫画の人たちがいたんだ、そのような歴史的背景を、また歴史を周りの方に語れるのは非常に重要なことです。それこそが豊島区のブランド力向上、ひいては未来の豊島区のにぎわいの創出にもつながるのではないかと考えます。ぜひともこの点を全庁的に取り入れていただくことを強く要望いたします。そして冒頭でも言いましたが、にぎわいの創出はイコール来街者の増加だけではなく、豊島区に暮らしたい、豊島区に住み続けたい、そこまで思ってもらえるような施策に結びつけていかなくてはいけないと感じております。その点についても今決算委員会でも質問させていただきましたが、にぎわいの創出したことで、いかに区民にとってメリットがあり、区民サービスが充実するということが非常に重要なことではないでしょうかという質問をさせていただきました。広告スキームの導入、歳入の増加に結びつけるモデルをしっかりと構築することも大事だということも提言させていただきました。
ブランド力を向上させ、その豊島区の価値を経済的付加価値としてしっかり歳入に転換する、そして収入源としてうまく取り上げることで来街者がたくさん来るようになって収入も上がり、きちんと区民サービスに使われているよと、区民にとってプラスになるんだよというところまで行うことができて、本当の意味で豊島区に住んでみたい。住み続けていきたいというまちになるのではないでしょうか。
私は、豊島区生まれ、豊島区育ちとして非常にまちはにぎわってきたけれど、区民サービスが向上していないということでは、それは意味がないことだと感じております。確かに来街者には魅力的になるかもしれません。利便性もよくなるかもしれません。でも、一番大事なことは、ここに住み続けている豊島区民にとって、このにぎわいの創出がさまざまな面で区民サービスの向上にしっかりとつながっていくんだよと胸を張ってしっかりとわかりやすく説明できるような環境整備にしていただくことが本当の意味で大事ではないでしょうか。その点も再確認した上で、これから行われるさまざまな旧庁舎跡地、また、造幣局跡地も含め、にぎわいを創出する施策に関しては豊島区民にとって本当の意味で誇りとなり、豊島区に住んでいてよかったなと思えるようなものになっていただけることを強く要望します。以上、今年度決算審議を通じた改善の要望を提言させていただきました。豊島区無所属元気の会は、平成26年度の
一般会計歳入歳出決算、そして3特別会計決算の認定について賛成いたします。
以上で、意見開陳を終了いたします。御清聴ありがとうございました。
───────────────────◇────────────────────
○河原弘明委員長 それでは、各会計決算について順次採決をいたします。
最初に、認定第1号、平成26年度豊島区
一般会計歳入歳出決算の認定について採決いたします。
本案について、これを認定すべきものと決定することに賛成の方は挙手願います。
〔賛成者挙手〕
○河原弘明委員長 挙手多数と認めます。
よって、認定第1号は認定すべきものと決定いたしました。
────────────────────────────────────────
○河原弘明委員長 次に、認定第2号、平成26年度豊島区
国民健康保険事業会計歳入歳出決算の認定について採決いたします。
本案について、これを認定すべきものと決定することに賛成の方は挙手願います。
〔賛成者挙手〕
○河原弘明委員長 挙手多数と認めます。
よって、認定第2号は認定すべきものと決定いたしました。
────────────────────────────────────────
○河原弘明委員長 次に、認定第3号、平成26年度豊島区
後期高齢者医療事業会計歳入歳出決算の認定について採決いたします。
本案について、これを認定すべきものと決定することに賛成の方は挙手願います。
〔賛成者挙手〕
○河原弘明委員長 挙手多数と認めます。
よって、認定第3号は認定すべきものと決定いたしました。
────────────────────────────────────────
○河原弘明委員長 次に、認定第4号、平成26年度豊島区
介護保険事業会計歳入歳出決算の認定について採決いたします。
本案について、これを認定すべきものと決定することに賛成の方は挙手願います。
〔賛成者挙手〕
○河原弘明委員長 挙手多数と認めます。
よって、認定第4号は認定すべきものと決定をいたしました。
───────────────────◇────────────────────
○河原弘明委員長 ここで高野区長よりあいさつがございます。
○高野区長 ただいま平成26年度一般会計並びに3特別会計の決算につきまして認定をいただきました。衷心よりお礼を申し上げます。
本決算特別委員会は、区議会の御支援、御協力のもと、ともに血のにじむような努力を重ねて実を結んだこの新しい庁舎での初めての決算特別委員会でございました。本委員会は、区政の政策に対する評価、施策の展開や事業のありよう等について真摯かつ活発な御議論をいただきました。心から感謝を申し上げる次第であります。このように議会からいただく御意見、御提案等は、さらなる区政の進展に向けて私たち職員にとってのエネルギーの源であると認識をしております。本日ちょうだいをいたしました各委員からの御意見、御提案等につきましては、一つ一つ重く受けとめて、来る平成28年度の予算編成等にも反映できるよう鋭意努力をしてまいりたいと思います。
本委員会は8日間に及ぶ長丁場で、連日熱心な御討議をいただきました。委員各位への質疑に私を初め担当理事者からは誠心誠意の答弁を差し上げたつもりでございますが、必ずしも的確な答弁でなかった点、多々ございました。大変申しわけございません。何とぞお許しをちょうだいしたいと存じます。
また、委員会の運営に御尽力をいただきました河原弘明委員長、そして西山陽介副委員長には大役大変御苦労さまでございました。加えて厳正に審査をいただきました委員の皆さんには心より感謝を申し上げまして、私のごあいさつとさせていただきます。ありがとうございました。
○河原弘明委員長 決算特別委員会の閉会に当たりまして、正副委員長から一言ごあいさつをさせていただきます。
長丁場の決算特別委員会お疲れさまでございました。新庁舎での初めての決算特別委員会ということで感慨深いものもございました中、つたない運営でございましたけれども、委員の皆様方、そして区長、両副区長、教育長、そして理事者の皆様方の協力を得まして、本日この時間を迎えることができました。
昨年の決算特別委員会もこの運営の側で携わらせていただきましたけれども、今回改めて委員の皆様方の豊島区に対する思いを感じることができました。それぞれ立場、立ち位置は違いますけれども、アプローチの仕方、それぞれまたそれも変わってきます。しかし、その中に豊島区に対する思いがしっかりと込められた委員会、質疑ではなかったかと感じたところでもございます。この今回の質疑が将来の豊島区にいかに生かしていくことができるか。それが我々の使命だと思っておりますので、その期待を込めまして、この委員会を閉じさせていただきたいと思います。
これからも一生懸命皆さんとともに、この豊島区の繁栄に向かって尽力をしていきたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。お疲れさまでございました。
続きまして、副委員長よりごあいさつをさせていただきます。
○西山陽介副委員長 河原委員長のもと、今回の委員会におきましては延べ120回の質疑がございました。そのような中で、運営に際しまして委員各位の皆様に御協力いただきまして、ただいま採決までできましたことに対しまして心より感謝申し上げます。
また、高野区長を初めとしまして、総勢102名の理事者の皆様に御参加、また、御答弁等いただきました。心より感謝申し上げたいと存じます。
今後、この審査を通しまして、安全・安心な持続可能都市へと力強く前進されますことを大いに御期待申し上げまして、ごあいさつとさせていただきます。ありがとうございました。
○河原弘明委員長 以上で、決算特別委員会を閉会いたします。
午後4時28分閉会...