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平成23年第4回定例会(第15号11月29日)

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  1. 豊島区議会 2011-11-29
    平成23年第4回定例会(第15号11月29日)


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    平成23年第4回定例会(第15号11月29日) 平成23年豊島区議会会議録第15号(第4回定例会)   平成23年11月29日(火曜日)  議員定数 36名  出席議員 36名       1  番    西 山 陽 介       2  番    根 岸 光 洋       3  番    古 坊 知 生       4  番    橋 本 久 美       5  番    古 堺 稔 人       6  番    関 谷 二 葉       7  番    石 川 大 我       8  番    村 上 典 子       9  番    高 橋 佳代子       10  番    辻     薫       11  番    中 田 兵 衛       12  番    小 林 弘 明       13  番    磯   一 昭       14  番    細 川 正 博
          15  番    森   とおる       16  番    儀 武 さとる       17  番    藤 本 きんじ       18  番    永 野  子       19  番    中 島 義 春       20  番    島 村 高 彦       21  番    星   京 子       22  番    河 原 弘 明       23  番    竹 下 ひろみ       24  番    村 上 宇 一       25  番    渡 辺 くみ子       26  番    小 林 ひろみ       27  番    大 谷 洋 子       28  番    山 口 菊 子       29  番    木 下   広       30  番    此 島 澄 子       31  番    堀   宏 道       32  番    本 橋 弘 隆       33  番    里 中 郁 男       34  番    吉 村 辰 明       35  番    垣 内 信 行       36  番    河 野 たえ子  欠席議員 なし ────────────────────────────────────────  説明のため出席した者の職氏名       区  長    高 野 之 夫       副区長     水 島 正 彦       政策経営部長  吉 川 彰 宏       総務部長    齋 藤 賢 司       施設管理部長  上 村 彰 雄       区民部長    永 田 謙 介       文化商工部長  東 澤   昭       図書館担当部長 鈴 木   達       清掃環境部長  鈴 木 公 一       保健福祉部長  大 門 一 幸       健康担当部長  佐 藤 正 俊       池袋保健所長  村 主 千 明       子ども家庭部長 山 根   斎       都市整備部長建築住宅担当部長)               鮎 川   傑       土木部長    亀 山 勝 敏       会計管理室長  桐 生 建 樹        ─────────────────       教育長     三 田 一 則       教育総務部長  齊 藤 忠 晴        ─────────────────       選挙管理委員会事務局長               若 林 弘 司        ─────────────────       監査委員事務局長               西 澤 茂 樹 ────────────────────────────────────────  職務のため議場に出席した事務局職員の職氏名       事務局長    陣野原 伸 幸       議会総務課長  城 山 佳 胤       議会担当係長  七 尾   弘 ────────────────────────────────────────   議事日程 ・会議録署名議員の指名 ・一般質問 ────────────────────────────────────────   会議に付した事件 ・会議録署名議員の指名 ・一般質問   村上宇一議員「活力ある元気な豊島区」   高橋佳代子議員「区民の生命を守る安全・安心な豊島区をめざして」   小林ひろみ議員「区民要望にそった来年度予算編成とするために」   山口菊子議員「人々が活き活きと暮らせる豊島区のために」   関谷二葉議員「健康で安全・安心なまちを目指して」 ・会議時間の延長 ────────────────────────────────────────   午後1時2分開議 ○議長(里中郁男) これより、本日の会議を開きます。 ───────────────────◇──────────────────── ○議長(里中郁男) 会議録署名議員をご指名申し上げます。32番本橋弘隆さん、34番吉村辰明さん、35番垣内信行さん、以上の方にお願いいたします。 ───────────────────◇──────────────────── ○議長(里中郁男) これより一般質問を行います。  発言通告に基づき、順次これを許可いたします。  まず、24番議員より、「活力ある元気な豊島区」の発言がございます。   〔村上宇一議員登壇〕(拍手) ○24番(村上宇一) 自由民主党豊島区議団を代表して、一般質問をいたします。  私が議員になりまして9年目を迎えました。この間、私は常に活力のある元気な豊島の実現を目指し、精力的に活動してまいりました。そこで、今回も「活力ある元気な豊島区」と題しまして、一つ目に、都市計画道路補助73号線、82号線について。二つ目に、小中校舎一体型連携校について。三つ目に、参加と協働のまちづくりについて。4番目、その他の一般質問をさせていただきます。  さて、本年も自然災害が地球規模で数多くございました。日本では1月から3月は大変な寒さでありました。そのような中で、3月11日の東日本大震災と福島第一原子力発電所の事故が重なり、日本中が驚愕し悲しみに打ちひしがれました。また、最近ではタイの大洪水の被害や、徳之島での竜巻の災害と、これまでの自然災害の事故には枚挙に暇がございません。しかし、どの災害にも人々の支援の輪が大きく広がり、日本国民の人を思う優しい心根がうれしく、まだまだ捨てたものではないなと感じております。この災害において、不幸にしてお亡くなりになられた方々には、心からのお見舞いを申し上げます。と同時に、いまだに避難生活を余儀なくされておられる皆様には一日も早い復興を願ってやみません。そして、私たちの先祖が遠大な理想の下に、道義国家の実現を目指して歩んだ歴史を振り返りながら、これからも理想の国づくりの思いをしっかりと受け継いでいく覚悟を新たにしたものです。  それでは、早速質問に入りたいと思います。まず、都市計画道路の早期実現についてお伺いいたします。池袋本町には、西に山手通り、南に川越街道、東にはJR埼京線、北には東武東上線と、四方を幹線道路と鉄道で囲まれた中で、地震によります建物倒壊や火災の危険性を示す総合危険度が3から5ランクを示すように、災害の危険な地区となっております。このため区では、池袋本町地区を対象として、平成7年度から16年度まで、防災生活圏促進事業を展開してまいりました。この事業は、震災時の市街地大火を防止するため、ハード、ソフトの両面から防災まちづくりを進め、震災時に逃げないで済むブロックとして、防災生活圏を形成していくものです。事業期間内には、小・中学校に防災井戸広場や5トン貯水槽を整備したほか、平成11年度には、あわせて6,000平米の土地を取得し、このうち4,000平米は池袋第二小学校及び文成小学校の統合校と、池袋中学校の小中連携校の用地としての活用が検討されるなど、今につながる一定の成果を上げました。  また、平成17年度からは、国の事業制度を取り入れた居住環境総合整備事業へと移行し、平成26年度までを計画期間として、引き続き地域の防災性を高める事業展開が行われております。この事業では、本年度内に都の清掃車庫跡地の約4,000平米を公園用地として区が取得する予定であり、一歩一歩、着実に防災まちづくりが進んでおります。さらに、平成20年5月には東武東上線下板橋駅の構内開発計画が発表され、東武鉄道と日本大学による医療をテーマとした新しいまちづくりの検討が始まったのです。しかし残念ながら、諸般の事情により、この検討はなかなか進んでいないようであります。実現に向けた今後の展開を強く期待しておるところでございます。こうした区の取り組みに加え、民間のまちづくり事業が進展することは、地元の議員として深く感謝を申し上げる次第であります。しかしながら、脆弱な都市構造そのものを抜本的に強化するまでには至っていないのが現状です。特に、震災対策の面では、近い将来発生が予測される首都直下型地震への備えを万全にしていかなければなりません。  本年7月に区が策定した震災復興マニュアル(都市・住宅復興編)に基づいて、区の担当課は、10月から連日、地域への出前講座を開催しております。我が地元の池袋本町宮元町会も、この出前講座に申し込み、38人が参加して講座を受けたところです。震災復興に関して一連の流れをお聞きすることは地元の方々も初めてのようで、区の意図する事前復興の考え方は、皆さんによく伝わったと思います。地域危険度が高い池袋本町地区でありますから、発災による壊滅的な被害を受ける可能性が非常に高いことになり、今から事前の対策をとる必要性を強く感じております。地域のまちづくりとしても、震災対策としても、さらに一歩進めた施策展開が必要であると痛感しております。そこで伺います。脆弱な都市構造を抜本的に強化していくためには、都市計画道路の整備が不可欠であります。8年前に、平成27年度までの計画期間で第三次事業計画路線の整備が進んでおります。この路線選定の際、池袋本町地区補助73号線と補助82号線を指定していただけるよう、東京都知事と豊島区長あてに地元町会の総意で要望書を提出したものの、残念ながら路線指定に至らなかった経緯があります。この経験を踏まえ、平成28年から予定される次期事業化路線の選定には、ぜひとも指定を受け、池袋本町地区まちづくりを大きく発展させていかなければならないのであります。また、南は現在、勤労福祉会館のところで中断しておりますが、目白通りまで約750メートルの早期着工を、強くあわせてお願い申し上げます。  そこでまず、池袋本町地区の都市計画道路補助73号線と補助82号線の事業化の必要性について、高野区長のお考えをお伺いいたします。また、これまでの事業化計画路線の経緯、そして現在の第三次事業計画路線の選定方法、さらに次期事業化計画路線の選定に向けたスケジュールについてお聞かせください。  次に、都市計画道路事業は、まちづくりと一体的に進めていくことが必要であると考えます。本区においても、東池袋地区では、都と区が連携して、補助81号線道路整備と、沿道まちづくりを一体的に進める事業を実施しております。東京都においても、高度防災都市づくりを目指しており、補助73号線の事業化の際には、池袋本町地区でも沿道まちづくりとセットで一体的な事業展開をすることが、事前復興対策にも不可欠であります。そこで、東池袋地区で実施している一体開発誘発型街路事業について、この事業の目的や地区要件等の制度概要、補助73号線で適用する場合の課題と、適用に向けた想定されるスケジュール、制度適用による事業効果について、お聞かせください。  次に、池袋本町地区の校舎一体型小中連携校について、お伺いいたします。池袋第二小学校と文成小学校を統合し誕生する統合新校と、池袋中学校の改築計画につきましては、平成20年に、豊島区立小・中学校改築計画の前期計画として位置付けられました。池袋第二小学校は、平成20年に開校90周年を祝い、また、文成小学校は平成25年に開校60周年を迎えます。ともに長い歴史を持ち、地域に愛されてきた学校を統合するためには、地域の方々の真の理解と協力がなければ実現されません。池袋中学校の改築とあわせたこの計画が、池袋本町地区の地域の皆様に受け入れられたのは、次代を担う子どもたちのことを思い、また地域コミュニティの核、防災拠点としてさらに充実した学校にしたいとの思いがあったことと推察いたします。ところが、平成22年に入り、この改築計画に大きな変更がありました。当初の計画では、現在の池袋第二小学校の8,000平米の敷地と、保育園仮園舎、プレーパークの4,000平米の敷地を合わせた約1万2,000平米の場所に池袋中学校の新校舎を建設し、池袋中学校の跡地である約1万平米に、池袋第二小学校と文成小学校を統合した新校を建設する計画でした。ところが、この改築計画が変更され、現在の池袋第二小学校の敷地に池袋中学校を建てる予定だったところに、校舎一体型の小中連携校を建設し、池袋中学校の跡地を中学校のグラウンドとする計画に変更されました。この件について関心のある方からは、これまでの改築計画が変更されたことについて説明を受けていないとか、唐突であるなどの意見を伺っております。学校を改築するに当たっては、地域の方々の理解が不可欠であります。そこで伺います。今回の計画変更について、どのように地域や保護者の方々に周知を図ったのか、計画変更の経緯についてお聞かせください。また、地域の皆様からは、区内初の試みであり、バレーボール大会が開けるような体育館や、サッカー大会ができる運動場の整備、さらには50メートルプールが欲しいなど、まさに地域の声は地域のみならず、豊島区全体の財産となる学校整備を期待しているのであります。そこで伺います。このように、小・中学校の幅広い交流や地域の連携の充実も期待されるとの声が大きく、部活動や地域開放、スポーツ大会等の開催や、さらにはオリンピック出場を目指す子どもたちの育成など、スポーツ振興を推し進めるとともに、木造密集地域である本町の特徴を生かし、防災力の強化を視野に入れた施設の充実を図るなど、今回のご提案は大変期待が大きいと考えますが、区の基本的な考えと、池袋本町地区における小中連携校を建設する意義と効果についてお聞かせください。また、建設について具体的な施設の内容と、救援センターとしての位置付けはどのようになるのか。今後のスケジュールについてもお聞かせください。  さて、本町地域と上池袋地域の境には、池袋第一小学校がありますが、池袋中学校が学区域でありますから、新しくできる連携校にスムーズに子どもたちが入学し、池袋中学校に通うことができるかなど、危惧する声も聞かれます。もちろん、そのようなことがあってはならないのですが、教育委員会のこれまでの説明では、小中一貫教育プログラムを策定し、池袋第一小学校とも連携を図りながら、新しくできる小学校の子どもたちと同様の効果を担保するとしています。いわば、ソフト面といえるこの小中一貫教育連携プログラムの具体的な内容が地域の皆さんには周知されていないのではないかと思います。そこで伺います。小中一貫教育連携プログラムのねらいと具体的な内容をしっかりとお聞かせください。池袋本町地区の小・中学校の敷地は広く、都心では貴重な財産であります。この敷地を有効に活用し、子どもたちの教育環境を高め、地域コミュニティの核となる学校整備を切に望んでおります。学校には、卒業生はもちろんのこと、地域にとっても特別な思いがあり、大切な存在であります。地域住民は、学校を拠点としてその場所に住み続けるのであります。50年、100年たっても素晴らしい学校、地域の誇りとなることを願ってやみません。今回の改築計画を実施し、小・中学校の独立性を担保しながら一体的に建設することにより、21世紀を生きる子どもたちの教育環境の一層の充実とコミュニティの活性化、さらには高い防災機能を兼ね備えた素晴らしい学校ができることを期待するとともに、改築計画を粛々と進めるためにも、地域の皆様のご理解とご協力を得られるよう、今後ともこれまで以上に誠意をもって取り組んでいかれることを要望いたしますが、教育委員会のご見解をお聞かせください。  次に、参加と協働のまちづくりについて伺います。豊島区は、基本構想の中の方針の冒頭に、あらゆる主体が参画しながらまちづくりを実現していくことを挙げています。参加と協働を進める仕組みとして、平成18年に、豊島区自治の推進に関する基本条例を制定しました。この条例では、地方分権改革の流れや区民活動の広がりなどの時代背景を受け、多くの区民にご参加いただき、自治基本条例区民会議や、自治推進条例検討委員会、さらには超党派の議員で結成された区議会自治基本条例調査研究会など、様々な会議体での議論を経て制定されたものです。当時、我が会派の堀議員が、この条例に対する取り組みのすさまじいばかりの迫力に圧倒されたことを、今でも思い出します。今改めて、本区における自治の最高規範となる自治の推進に関する基本条例を読み返しますと、基本理念として、地域の課題には住民自らが主体的に取り組み、多様な区民や事業者が協働してまちづくりに取り組むことが謳われております。素晴らしい理念ですが、実行する難しさについては、ここにおられる皆様なら誰もが経験をされていることと拝察いたします。  近年、マンション建設の増加やライフスタイルの多様化、さらにはプライバシー保護への過剰な反応など、地域の絆が希薄化していると言われております。ここ本区においても例外ではなく、地縁団体である町会、自治会への加入率の横ばい、あるいは低下の状況にあり、私も何人かの町会長さんから、最近、地域のために汗を流す人が少なくなったという声を聞きました。そうした中で、本区が昨年の6月に実施した、協働のまちづくりに関する区民意識調査における近所とのつき合いの程度についての設問では、「今後はお互いに相談し合うような生活面での協力関係ができる程度を希望する」と回答した区民が、「現在そうした関係にある」と答えた方の倍近い数になっております。近隣との良好な関係を望む区民の姿が伺えます。また、3月11日に発生した東日本大震災の教訓によって、地域の絆の大切さが再認識されたのではないでしょうか。私は、参加と協働における参加とは、地域の人々のために自らやれることを、どんなにささいなことでも積極的に、まずは行動実践に当たることだと思っております。知恵のある人は知恵を、体を動かせる方は体を、もちろんお金のある人はお金を出していただければ大変喜ばれます。自分たちの街をよくしたいと同じように思う人たちができることをすればよいのです。そこには、主役も脇役もありません。一人一人がジグソーパズルのピースのようなもので、地域の欠けているものを一つずつ埋めていって、みんながそろったときに愛する我が街が素晴らしい輝きを発揮し、これこそが街の絆づくりだと思っております。  このように、参加と協働は、実践することが何よりも大切です。区長がよく、「区民の目線に立って」ということを話されておりますが、この言葉には、初の民間出身者である高野区長ならではの重みがあり、区長のそうした意識が一人一人の職員に浸透してきた結果、現場レベルでこれだけのこれだけの協働事業を実現できたものと考えております。区が平成20年に、文化芸術創造都市として表彰されたことは、まさにオール豊島としての参加と協働がもたらした大きな成長と高く評価いたします。そうした実績を積み重ねてきた本区が目指す、参加と協働の集大成が、WHOによるセーフコミュニティとしての認証であると私は考えます。  さて、そこで私が住む池袋本町地区でありますが、ご承知のとおり、池袋本町地区は、上池袋地区とともに参加と協働、さらにはセーフコミュニティという区の重要政策において、三つの大きな役割を担っております。一つ目には、豊島区の自治推進に関する基本条例に謳っている、参加と協働のまちづくりを推進するため、地域における協議会のあり方を検証するモデル地区であること。二つ目には、セーフコミュニティにおける面的な取り組みについての実践、検証を行うモデル地区に指定されていることです。三つ目に、区内に18ある区民ひろば運営協議会の中で、区民ひろば池袋本町運営協議会が初めてNPO法人の認証を取得して、区民ひろばの自主運営に取り組み、他の地区の見本となっていることであります。北池袋モデル地域協議会は「かみいけ・いけほんつながり隊」と名称を変えて活発な活動を続けており、今年の池袋本町ふれあいまつりでは、メンバーの方々がおそろいのピンクのジャンパーを着て大勢参加されていました。出展ブースも大にぎわいであったと記憶しております。また、区民ひろば上池袋で実施された区民ひろば祭りも同様に出展され、こちらも大盛況であったと伺っております。そこで伺います。「かみいけ・いけほんつながり隊」のこれまでの活動の成果をどのように評価されているのか。また、活動を通しての課題や今後の支援策をお聞かせください  次に、セーフコミュニティに関してお聞かせください。本年9月に、区内の経営者が殺され現金を奪われた事件は、記憶に新しいところであります。痛ましい事件の発生は地元の青年が犯人だったと、これもまたショッキングな結末でありましたが、この検挙に至るきっかけとなったのは防犯カメラであったと聞いております。防犯カメラの持つ効果が、防犯のみならず検挙にも結びついたことが実証されました。池袋本町全域もひったくりや不法投棄の犯罪が発生していることから、安全・安心なまちづくりを目的として、街全体を挙げて、30台の防犯カメラを設置することを考えております。本区は、セーフコミュニティの認証に向けて、予防効果を高める施策に取り組まなければなりません。そこで伺います。防犯カメラの具体的な効果と設置する際の留意点、また、区として、今後区民や事業者に防犯カメラを普及していくためにどのような取り組みを行っていくのか、お聞かせください。さて、本年6月に行われました、WHOのセーフコミュニティ認証センターによる事前審査では、池袋本町と上池袋の区民ひろばにおいても審査が行われました。区民との協働による安全・安心に対する様々な取り組みが紹介されるとともに、「かみいけ・いけほんつながり隊」を初めとする多くの団体が展示ブースを設け、審査委員に対して熱心に説明をされておりました。審査委員による講評では、地域住民が主体となって活動、運営されている区民ひろばが、他国ではあまり例を見ないものとして、高い評価と関心の深さをいただきました。本区では、区民ひろばを、地域におけるセーフコミュニティの拠点と位置付けておりますが、区民ひろばにおける安全・安心に関するこれまでの取り組みの実績と、今後の展開についてお聞かせください。来年は区制施行80周年を迎えます。セーフコミュニティの認証取得とあわせて、区民の皆様とともにお祝いすることになり、これを契機として、本区はさらなる発展を遂げていくものと確信しております。  最後に、再確認の意味で、区政における参加と協働の重要性について、区長のご見解をお伺いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。ご清聴、誠にありがとうございました。(拍手)   〔高野之夫区長登壇〕 ○区長(高野之夫) ただいまの村上宇一議員のご質問に対しましてお答えを申し上げます。  まず、都市計画道路早期実現についてのご質問のうち、池袋本町地区の都市計画道路補助73号線、補助82号線の事業化の必要性についてのご質問にお答えいたします。都市づくりにおいて、都市計画道路を整備することで得られる効果は多岐にわたりますが、特に重要な項目といたしましては三つあると思います。その第1点目は、自動車交通の円滑化であります。交通煩雑の緩和によりまして、物流等の経済活動の向上や、アイドリングの減少による沿道環境、さらには地球温暖化対策への効果などが期待できるわけであります。2点目は、防災性の向上であります。大規模な市街地火災の延焼防止、消防活動等の救援・救護活動や避難路の確保、防災拠点とのネットワーク化など、重層的な防災機能が備わります。そして3点目は、まちづくりの大きな契機となることではないかと思います。本年3月に開通した補助172号線は、池袋駅周辺の交通混雑解消の一助となり、平成15年に決定した地区計画が功を奏して、池袋の新たな街並み景観、駅前を通過することなく利便性の向上を生み出すなど、都市計画道路事業による飛躍的な効果を目の当たりにすることができたわけでございます。こうした三つの基本的な認識の下で、池袋本町地区の現状をとらえますと、とりわけ防災性の向上とまちづくりの契機の面から、都市計画道路の事業化は極めて重要でございます。本区では、東日本大震災を教訓とした、総合的な震災対策の検討に着手する中で、震災復興を見据えた堅牢な都市構造を構築するまちづくりの必要性を痛感しているところでありまして、池袋本町地区で進めている防災まちづくりの実効性をさらに高めるためにも、地域の皆さんの意向を十分に踏まえつつ、補助73号線及び82号線の事業化に向けた環境づくりに積極的に取り組んでまいりたいと考えております。  次に、これまでの事業化計画路線の経緯についてのご質問にお答えいたします。東京都では、都市計画道路の計画的かつ効率的な整備に向けて、おおむね10年間で着手、または完成すべき路線を選定しました第一次事業化計画を、昭和56年に策定しました。この計画は、全国で初めて計画期間と目標を明確にして、秩序ある道路ネットワークの形成を図る画期的なものでございまして、事業化を予定しない都市計画道路の区域内における建築制限の緩和の取り組みも行われ、これは全国の先駆けとなったものでございます。平成3年には第二次事業化計画が策定され、平成12年度までの計画期間でありましたが、バブル経済の崩壊という未曾有の経済情勢の急激な悪化の中で、都市計画道路の着手が進まず、計画期間を平成15年度に延長しております。平成16年には第三次事業化計画が策定され、平成27年度までの計画期間の中で、区内では5路線、8区間が位置付けられています。このような経過がございまして、補助172号線や173号線などのように、事業化計画に位置付けられていることで、着実に都市計画道路の整備が進むものと認識しております。
     次に、第三次事業計画路線の選定方法についてのご質問にお答えいたします。事業化計画路線の選定に当たりましては、まず、目指す都市づくりの中で、都市問題に対応した都市計画道路の必要性についての検証が行われ、その上で広域的な課題に資する路線と、地域的な課題に資する路線に分けて評価が行われております。広域的な課題に資する路線は、区と区を連携するネットワークを築き、首都東京が目指すべき活力、安全、環境、暮らしなどの将来都市像を踏まえて設定した評価項目によりまして選定されております。また、都市課題を解決するため、整備の緊急性が特に重視されているものとなっております。一方、地域的な課題に資する路線については、地域の課題を踏まえ、区のマスタープラン等との整合性を図りながら選定されておりまして、これはまさしく、池袋本町地区に当てはまるものと考えております。防災性や安全性、快適性を効果的に向上していくために、平成25年度を目途に、改定作業を進めている本区の都市計画マスタープランでの位置付けを明確にしながら、選定に向けて取り組んでまいりたいと考えております。  次に、次期事業化計画路線の選定に向けた動きと想定スケジュールについてのご質問にお答えいたします。第三次事業化計画の期間は平成27年度まであり、4年を残しておりますので、現時点で次期事業化計画に関する具体の検討はなされていないと聞いております。したがいまして、想定されるスケジュールにつきましては明確になっておりませんが、第三次事業化計画を策定した例から申し上げますと、計画を策定する約2年前から、東京都と特別区の関係部課長による検討組織が発足し、1年前には計画の中間まとめが行われておりますので、次期事業化計画の具体的な検討は、余裕を見ましても、平成25年度頃から開始されるのではないかと想定され、早目早目の対応が重要であると考えております。  次に、一体開発型街路事業の制度概要についてのご質問にお答えいたします。一体開発型街路事業の目的は、都市計画道路の整備をきっかけといたしまして、建物の共同化などの沿道まちづくりを同時に進めることで、ご指摘のとおり、本区では平成16年度より、東京都と共同で、東池袋四・五丁目地区の補助81号線沿道において、街区単位の共同化コーディネート、沿道まちづくり協議会の活動支援、道路整備にあわせた地区計画や用途地域の見直しなど、周辺と一体となって取り組んできております。そして、その成果として、昨年7月には、沿道で待望の共同化ビル第1号が完成し、地域の老朽化建物の除却、共同化による不燃化を実現いたしました。現在もその他の共同化ビルの実現に向けて、地域ごとの懇談会等で地権者の意向を尊重しながら合意形成に取り組んでおりますが、地域の合意形成が事業の成否を左右するものでありまして、池袋本町地区についても、全く同様ではないかと思います。  次に、事業適用の課題と適用する場合の想定スケジュールについてのご質問にお答えいたします。事業適用に際しましては、まず、地域住民の皆さんにこの制度を理解していただくとともに、事業化への地元意向を把握し、街路事業の認可をスムーズに取得することが求められているわけであります。そのために、皆さんの協議の場である沿道協議会を設立し、または並行して東京都、区及び民間事業者との役割分担を決定しておくことも大切なポイントになるわけでございます。想定されるスケジュールは、一般の街路事業と同様でありますが、地域の皆さんとまちづくりに関する合意形成をあわせて行っていく必要から、通常より、踏まなければならないステップが多くなるわけであります。  次に、制度適用による事業効果についてのご質問にお答えいたします。この制度を適用することにより、池袋本町地区の街に様々な防災上の効果をもたらします。まず、沿道の建物が耐震・不燃建築物に建て替わることにより、地域の防災性が飛躍的に向上いたします。また、沿道に共同化ビルを建築することなどにより、道路に係る地権者の皆さんも、引き続き近隣に住み続けることができるわけでありあす。さらに、地区計画制度や東京都の新防火制度を活用することにより、地区全体の防災性の向上や、居住環境の改善が期待できます。このように、防災上の効果が大変大きい事業であり、今後の大地震への有効な対策となるため、都市計画道路の整備とあわせて、沿道の皆さんとの共同によるまちづくりについても、積極的に検討をしてまいりたいと思います。  次に、参加と協働のまちづくりについてのご質問のうち、まず、「かみいけ・いけほんつながり隊」についてのご質問にお答えいたします。「かみいけ・いけほんつながり隊」は、豊島区自治の推進に関する基本条例に規定された、地域における協議会のあり方を検証するため、池袋中学校区をエリアに、北池袋モデル地域協議会として、平成22年2月にスタートいたしました。現在、31団体、42名の方々にご参加をいただきまして、区も事務局として積極的に関わり合いながら、今日まで全体会と役員会、課題別の部会など、合計63回もの会合を重ねてまいりました。池袋本町ふれあいまつりや、上池袋区民ひろばまつりなど、地域のイベントにも積極的に参加されていますが、つながり隊の活動がきっかけとなって、上池袋と池袋本町の商店街をつなぐ初めてのスタンプラリーが始まり、地元NPOによります高齢者の買い物支援など、地域の支え合いづくりに対する取り組みも、さらに発展しつつあると伺っております。  また、地域の交通事故を減らす取り組みとして、GISを活用した交通安全気づきマップを作成し、池袋中学校と池一、池二、文成の三つの小学校すべての保護者に配付されたことも大きな成果と認識しております。現在、活発にご議論をいただいております池袋本町地区校舎一体型小中連携校についてのあり方の検討を初め、つながり隊の活動は、団体や地域の垣根を越えて協働の実績を積み重ねているものと、その成果を高く評価いたしますとともに、多忙な委員の皆様方に、改めて敬意を表したいと存じます。  つながり隊の課題といたしましては、委員全員を対象にしたアンケートでは、上池袋と池袋本町の共通課題を見い出しにくいこと、委員への負担が多いことなどが評価できなかった点として挙げられております。共通課題に対するご指摘は、鉄路による分断の影響はもちろんでありますが、中学校区というエリア想定が、自分たちの街というイメージよりも広いことも要因の一つと考えております。また、成長の著しい区民ひろば運営協議会の存在も、地域における協議機能や地域活動の担い手育成など、つながり隊の活動と重なる部分も多く、地域における協議会のあり方を検証する上で、整理が必要な課題であると認識しております。今後の支援策につきましては、幸いにも委員からは、新しい交通安全マップづくりや、両地域が連携したイベント等の開催による絆づくりなど、継続に向けた意欲的な発言が多く聞かれております。当地区の活動は、参加と協働のモデルとして他の模範となるため、区といたしましては、地域のご意見を尊重しつつ、新年度に向けて、部会の再編成も視野に入れるなど、さらなる活性化に向けて積極的に支援してまいりたいと思います。  次に、防犯カメラについてのご質問にお答えいたします。防犯カメラの効果といたしましては、犯罪企図者への威嚇効果による犯罪の抑止や、防犯カメラが撮影した映像の効果による犯罪被疑者の検挙、客引き行為等の有害環境浄化のほか、ひったくり、通り魔、放火等、連続性の高い犯罪の被疑者の検挙といった一時的な効果があります。そのほか、これから派生する地域住民への安全・安心感の醸成、自主的な防犯意識や防犯機運の高揚、地域住民の規範意識とマナーの向上や、犯罪のない環境から享受される地域振興の街の活性化等といった二次的な効果が期待されております。その上で、設置・運用するに当たっては、防犯カメラの設置の必要性と、設置することに伴う被侵害法益との比較均衡の下で、人権等に十分に配慮することが要求されます。いわゆる防犯カメラの目的の正当性、客観性かつ具体的必要性、設置状況の妥当性、設置及び利用による効果の期待、使用方法の相当性等に問題がないか、よく吟味する必要がございます。  この度、村上宇一議員が、池袋本町地区に約30台の防犯カメラを設置にご尽力をいただいております。このことは、本区の地域見守り助成事業で、町会・商店会等、地域全体が連携してパトロール活動を行うことを条件として、広い区域において費用の負担を少なく防犯カメラを設置することができるというものであります。この事業は、防犯に対する地域力を高める上で大変有効かつ効果的なものとして、犯罪抑制効果の高い事業と考えております。今後、この事業の普及に関しては、区政連絡会での周知啓発活動のほか、犯罪発生状況等を踏まえて、個別具体的に、地域に対しまして、事業普及に関する働きかけを積極的に行ってまいりたいと考えております。本年9月に発生した悲しく痛ましい事件を二度と起こすことがないよう、行政として最善の努力をしていく所存でございます。  次に、区民ひろばにおける安全・安心に関する取り組みについてのご質問にお答えいたします。主な取り組みといたしましては、機能面では今年度、区民ひろばにAEDを新設・増設し、すべてのひろばに配置いたしました。また、セーフコミュニティ・ステーションとしての位置付けの普及啓発を図る看板、ポスターの設置をするとともに、安全・安心マップや安全・安心情報掲示板により、不審者情報、災害情報等の提供をしております。事業面では、新規に子育て世代向けへの事故予防、高齢者の家庭内での転倒予防、視覚障害者への支援、うつ病対策の学習講座などを実施しております。また、社会福祉協議会のコミュニティソーシャルワーカーによる各種相談の開催など、地域福祉の視点からもひろばの事業を総合的に充実させております。今後の展開でございますが、セーフコミュニティの重点テーマに関する情報、学習機会の提供、事業の実施に加え、地域防災計画における補助救援センター機能の充実を図ってまいりたいと思います。10月に区民ひろば5会場で、セーフコミュニティ活動の周知と理解を深める目的で、区民ひろば運営協議会の方々と懇談会を開催いたしました。皆様からは、地域の安全・安心への強い思いや、災害対策などについて、熱心なご意見をちょうだいいたしました。地域への愛着、誇り、そして次世代へつなぐ安全・安心で住みよいまちづくりへの強い思いは、セーフコミュニティの取り組みを進める大きな原動力でございます。地域で暮らす人々の強い絆と支え合いの輪を再生させ、地域の課題を克服していくための拠点として、今後も区民ひろばを成長させてまいります。  次に、区政における参加と協働の重要性についてのご質問にお答えいたします。豊島区で生まれ育った私は、この街を愛する気持ちなら誰にも負けないとの自負を持ち続け、常に区民の皆さんの目線で考え、行動してまいりました。豊島区長に就任以来は、財政健全化に向けた改革の連続でございましたが、そうした中でも、これまで豊島区が活力を失わず、そうして成長し続けてこられましたのも、様々な場面における数多くの方々との協働のおかげと、今、改めて思うのでございます。特に、街の活性化は、あくまでその地域を愛する人々が主役であり、行政の役割はそうした方々に対する活躍の場やきっかけの提供が何よりも大切と考えております。これだけ価値観が多様化する中で、成り立ちや活動の目的が異なるもの同士が協働していく上では、時に、主義主張や利害の対立がございますし、一定の成果を上げるまで時間がかかることもございます。しかしながら、ご質問の「かみいけ・いけほんつながり隊」や区民ひろば運営協議会の活動が示すとおり、地域を愛する心、街をもっとよくしたいという共通の思いがあれば、やがてはぶどうの房のように、数多くの成果が実るものと私は信じております。ご案内のとおり、地域の絆や人と人とのつながりの大切なことは、東日本大震災の教訓によりまして、日本各地で見直され、豊島区におきましても、現在、総合的な震災対策の構築に取り組んでいるところでございます。そうした状況下におけるWHOセーフコミュニティの認証取得へのチャレンジは、まさにオールとしまによる参加と協働の集大成であると認識しております。認証の取得はゴールではございません。これから永遠に続くことになる世界へ誇る安全で安心な豊島区の実現に向けた区民の皆さんとの共同作業の新たなスタートではないかと思います。初心を忘れることなく邁進することをお約束いたしまして、区政における参加と協働の重要性に対する私の思いを述べ、お答えとさせていただきます。  なお、私からの答弁は以上ですが、教育委員会の所管に属する事項につきましては、教育長から答弁申し上げます。   〔三田一則教育長登壇〕 ○教育長(三田一則) 引き続きまして、教育委員会の所管に属する事項に関するご質問に対しましてお答え申し上げます。  豊島区初の校舎一体型小中連携校についてのご質問のうち、まず、計画変更の経緯についてのご質問にお答えいたします。この計画変更につきましては、戦後63年間続いた教育体制が見直され、平成18年12月に教育基本法、翌年6月に学校教育法が抜本的に改正され、地方自治体に小中の学びの連続性を柱の一つとする教育振興基本計画の策定が義務付けられたことを根拠としております。その内容が明らかになったのが、平成20年3月に学校改築の前期計画が策定された後の同年7月であったため、当該計画に教育振興基本計画の方針が十分反映されておりませんでした。こうした状況を踏まえ、平成22年3月、本区では今後10年間の教育振興基本計画となる豊島区教育ビジョン2010を策定いたしました。その中で、重点施策として、学びの連続性を重視した小中一貫教育連携プログラムの推進を位置付け、改めてその方針を反映させた前期改築計画を作成するに至った次第でございます。ご指摘のとおり、池袋本町地区の小・中学校につきましては、活用方法により、校舎一体型小中連携校を建設できる十分な敷地と広い校庭を確保することができることから、小中一貫教育連携プログラムの重点的な研究、実践の場として整備することといたしました。計画の変更につきましては、教育ビジョン2010を具体化する目的で設置いたしました、教育課題推進検討委員会におきまして、幼・保・小・中一貫教育プログラムについて協議を重ね、同時に、学校改築を円滑に進めることを目的として設置いたしました、小・中学校改築推進委員会において検討を進めてまいりました。その後、平成22年11月に開催された教育委員会で、小・中学校改築計画の一部変更について決定し、同年12月の子ども文教委員会において報告いたしたところでございます。その後、平成23年2月発行の教育だよりや、ホームページにより、広く地域や保護者の方々に周知してまいりました。本年3月下旬に地域説明会を予定しておりましたが、震災の影響で6月に開催が延びてしまいました。また、5月にはPTA会長や町会長などが委員となっている地域協議会の下に、「かみいけ・いけほんつながり隊」と名付けた地域文教部会を組織し、改築のための話し合いやワークショップ、研修などを行っております。7月には、池袋本町地区の児童・生徒、保護者や地域の方々にアンケート調査を実施し、多くの賛成意見も含め、約1,200人の方々から様々なご意見を寄せていただきました。  次に、基本的考え方と意義と効果についてのご質問にお答えいたします。この校舎一体型の小中連携校の基本的な考え方は、他の地方自治体で実施している、例えば義務教育9年間を年齢段階に応じて4年、3年、2年のように分け、特別のカリキュラムを作成し実施するというものではございません。現行の学習指導要領にのっとり、小学校6年、中学校3年に分け、同じ敷地内に小学校と中学校の校舎を併設するものであります。意義といたしましては、小・中学校のそれぞれの独立性を担保することを重視し、9年間の学びと子どもの育ちの連続性を焦点に当て、小・中学校の連携、交流プログラムが充実できるようにすることにございます。また効果としては、9年間を見通した児童・生徒の学力や体力の向上と豊かな人間性の育成を図ることができ、21世紀の教育課題に対応した先進的な施策であると考えております。  次に、施設の内容と救援センターとしての位置付けと今後のスケジュールについてのご質問にお答えいたします。本区の校舎一体型施設につきましては、校舎を併設することで共有部分を活用し、小中の連携交流を効果的に行うことができるよう計画してございます。例えば、図書室やランチルームなどを共有化することにより、児童・生徒が一堂に会して交流、連携したり、幅広く蔵書に目をやり、知的好奇心を高めることが期待できます。さらに、蔵書の一元的管理が可能となります。また、池袋中学校の校庭が1万平方メートルを超えることから、公式のサッカー場、野球場、200メートルトラックなど、多機能を有するグラウンドとして整備することができます。グラウンドには、休憩室やシャワールームを設置し、生徒や区民のさらなる利便の向上を図るとともに、体育館やプールについても、今より広いスペースの確保が可能となります。広い校庭や体育館につきましては、大規模なスポーツ大会や各種行事など、様々な利用に供することができます。さらに、体育館、会議室等の施設を地域開放ゾーンとして集約し、学習機能とのゾーニングを工夫することにより、活用の幅が広がります。ご指摘のとおり、学校施設は、教育の拠点であると同時に、地域のコミュニティ、防災の拠点でもあります。救援センターに関しましては、これまで以上に防災機能の充実を図り、併設型の校舎としても現在の小・中学校の延べ床面積を上回る学校施設になりますので、救援センターとしての収容能力が向上いたします。また、体育館の冷暖房化、非常用電源設備やマンホールトイレの設置など、防災設備の機能の強化を図ることができます。さらに、高齢者や障害者の方々が避難生活ができるよう、施設のバリアフリー化を進めてまいります。中学校の広い校庭は、災害時に池袋本町地区の延焼防止の機能を発揮するとともに、緊急仮設住宅を効率的に建設できる用地ともなります。一方、平時においては、大規模な防災訓練の実施施設となるなど、地域の防災拠点として大きな機能を発揮できると考えております。今後のスケジュールでございますが、「かみいけ・いけほんつながり隊」において、建設構想を作成し、平成24年3月に区長への提言を予定しております。この提言を基に、平成24年度に基本設計、25年度に実施設計を行い、平成26年度から着工する予定でございます。  次に、小中一貫教育連携プログラムについてのご質問にお答えいたします。学習指導要領では、発達段階に応じた学校間の円滑な接続を重点として取り上げ、幼稚園と小学校、あるいは小学校と中学校との相互連携を強化することの必要性が示されております。本区が目指しております小中一貫教育連携プログラムは、区内の小・中学校を八つのブロックに分け、すべての学校が各地域の特色を生かしながら実践していくことをねらいとしています。少子化社会の中でモデルなき時代を生きる子どもたちを取り巻く、接続に起因する問題を、各学校が連携することで解決しようとするものであり、一部の学校区において推進するものではございません。池袋中学校連携ブロックにおきましては、既に池袋中学校を中心に、池袋第一小学校、池袋第二小学校、文成小学校、4校の教員間で連携推進委員会を組織し、連携プログラムの実施に着手しております。具体的な例では、小学校6年生の児童が、中学校の部活動に体験参加する部活動交流があります。今年度、東京都の代表として、東日本学校吹奏楽大会に出場し、銅賞を獲得した吹奏学部の演奏に感動し、池袋第一小学校など3校の小学生も、自分もやってみたいと目を輝かせておりました。今後、中学校の教員が小学校に出向き、教科の専門性を生かした授業をしたり、小学校の教員が中学校に出向いて、生活指導や教育相談に積極的に協力したりするなど、小学校と中学校の教員が互いに力を合わせ、小・中学校の教育活動の改善・充実に努めてまいります。教育委員会といたしましては、すべての連携ブロックで、ICTによる学習指導の改善・充実、英語活動・英語教育の充実、学校図書館を活用した読書活動の充実などをテーマに、実践的な研究を重ねることを通して、小・中学校9年間の学校教育の質的向上を推進してまいります。  次に、地域への計画の説明についてのご質問にお答えいたします。ご指摘のとおり学校改築に当たりましては、学校関係者はもとより、地域の皆様のご理解とご協力が不可欠でございます。現在、「かみいけ・いけほんつながり隊」の地域文教部会で行っている検討内容につきましては、かわら版の発行やホームページの掲載などにより、広く周知するとともに、区政連絡会に定期的に報告し、ご意見を求めているところでございます。今後も引き続き、地域の皆様のご意見に誠心誠意対応し、聞く耳を持ち、英知を結集して21世紀を生きる子どもたちにふさわしく、学ばせたい学校、地域の誇れる学校を建設してまいる所存でございます。  以上をもちまして、村上宇一議員のご質問に対する答弁を終わります。 ──────────────────────────────────────── ○議長(里中郁男) 次に、9番議員より、「区民の生命を守る安全・安心な豊島をめざして」の発言がございます。   〔高橋佳代子議員登壇〕(拍手) ○9番(高橋佳代子) 公明党の高橋佳代子でございます。私は、公明党豊島区議団を代表いたしまして「区民の生命を守る安全・安心な豊島をめざして」と題し、1、セーフコミュニティについて、1、安全・安心なまちづくりについて、1、自転車対策について、1、住宅施策について、1、その他として放射能対策について、一般質問をいたします。未曾有の東日本大震災から8カ月が過ぎ、復興への取り組みはまだまだ長い道のりが予想されます。本区にとっては、区民の生命と財産を守るさらなる安全・安心のまちづくりが求められるところであります。  初めに1項目めとして、セーフコミュニティ認証取得へ向けての取り組みについて、2点にわたり質問をいたします。1点目として、セーフコミュニティの重点テーマの一つである、自殺、うつ病の予防について伺います。現在、全国で自殺による死亡者が13年連続で3万人を超えており、本区においても毎年60名から70名もの方が自殺で尊い命を亡くされております。中でも、特に15歳から44歳の死因の1位が自殺であるとの報告を受けております。そして、自殺者の5人に1はうつ病という状況の中、うつの早期発見、早期治療の推進が重要であることは言うまでもありません。そこでまず、本区の自殺・うつ病についての現状分析と課題についてお聞かせください。また、本区には、自殺・うつ予防のための対策委員会が設置をされております。豊島区医師会や労働基準監督署、警察署、また区民に身近な民生委員や社会福祉協議会等が網羅された先駆的な委員会であります。この委員会がネットワークを生かし、どのように有効に機能していくかが豊島区の取り組みのかぎになると考えます。本区のお考えを伺います。  私ども公明党豊島区議団は、先日、「こころのものさし」として、うつ病と心のケアに先駆的な取り組みをしている長野県木曽町の「NPO法人きぼうのにじ」における取り組みを視察してまいりました。同理事長の中村博保氏は、うつ病などで悩み苦しんでいる方々をいかに見つけ出してフォローするかが大きなポイントであるとし、一般健康診断や特定健診と同時に行う、心の健康診断を推進されております。静岡済生会総合病院の榛葉俊一先生は、医療メーカー、システムサービスによるプロジェクトチームをつくり、心拍変動によるうつ病リスクチェックシステムを開発されました。視察では、デモ機によるプレゼンテーションが行われましたが、診断に要する時間は5分程度です。国は、労働安全衛生法の一部を改正する法律案の中で、メンタルヘルス対策の充実・強化として、医師または保健師による労働者の精神的健康の状況を把握するための検査を行うことを事業者に義務付けるとしています。しかしながら、現在行われている問診では、うつ病と診断されることを恐れて、なかなか正直に答えることができないのも現実であります。また、ストレスがたまり心の力が弱まっている方こそ、うつ病に移行してしまう前に、早期発見、早期治療が必要であると考えます。国のメンタルヘルス対策の充実・強化の動きに対応すべく、また、セーフコミュニティにおける効果測定の観点からも、特定健診等に心の健康診断としての心拍変動によるうつ病リスクチェックシステムの導入を提案いたしますが、本区としてのお考えをお聞かせください。  次に2点目として、豊島区の国際化に向けて伺います。平成24年度は、豊島区は区制施行80周年を迎えることになります。この記念すべき節目の年に、高野区長は、セーフコミュニティの認証取得を実現させようとされております。来年2月の本審査を踏まえ、5月中には必ずや朗報がもたらされるものと、私どもも確信しております。我が会派といたしましても、この国際認証の取得を大きな推進力として、区民生活の安全・安心を高めていくよう、さらに全力で取り組んでいく決意でございます。そして、この国際認証を取得するということは、豊島区が東京都初の認証都市として国内はもちろん、国際的にも一定の役割を果たしていくことが必要であります。  高野区長は、先日の招集あいさつの中で、第6回アジア地域セーフコミュニティ会議が明年11月に豊島区で開催されることが決定したと述べられました。大変大きなWHOの公式行事でありますが、具体的にどのように開催されるのかお考えを伺います。本区は、アジア地域を中心とする外国人住民の割合が高く、スポーツや観光、自転車など、国際交流に取り組んでまいりましたが、将来に向けて成長著しいアジア地域とのつながりや、交流をさらに魅力あるものとすることは、豊島区の発展にとって大変重要なことであると考えます。現在、豊島区基本計画には、多文化共生という項目はありますが、国際化、グローバル化という視点が弱いのではないかと感じております。もっと積極的な姿勢があっていいのではないでしょうか。80周年から始まる新たな10年では、より積極的な国際化政策が重要になると考えます。私は、来年度のセーフコミュニティ認証の実現を豊島区の国際化を飛躍的に推進する絶好の機会として位置付け、国際都市づくり宣言や、国際交流都市宣言などを行い、グローバルな視点から政策や都市づくりのビジョンを同時に示していく必要があると考えますが、高野区長のお考えをお聞かせください。  次に、2項目めとして、安全・安心なまちづくりについて、2点にわたり質問いたします。まず1点目として、木造住宅密集地域対策についてであります。居住環境整備事業の進捗が遅く長期化しております。その原因としては、居住者自身の高齢化や複雑な土地権利関係、狭小敷地等の問題に加え、道路そのものが少ないだけでなく、狭あい道路や行き止まりの道路が多く、接道条件が満たせない等の理由によって、建て替えが進みにくい状況にあります。居住環境総合整備事業地区内での不燃領域率の推移についてお伺いいたします。また、原因をどのようにとらえていますでしょうか、お聞かせください。23区の中でも、本区は狭い地域に人口が密集している最も高い高密都市であり、木造住宅密集地域の課題解決に向けてモデルになり得るだけの先進的な取り組みをしなければならないと考えます。  東京都は、木密地域不燃化10年プロジェクトを掲げ、本格的に力を入れて災害に強いまちづくりへの取り組みを開始しようとしています。先日、同プロジェクトのキックオフイベントが開催されましたが、その概要についてお伺いいたします。この木密地域不燃化10年プロジェクトについては、先日の都議会決算特別委員会での長橋都議会議員の質問に対し、東京都は、「年明けから順次、現被災体験者と木密地域の現場に出向いて意見交換の場を設け、震災の怖さ、自助、共助の重要性を伝えていくとともに、現場住民の生の声を聞いていく」と答弁しております。本区は自ら地域の課題を整理し、一定の案を東京都に積極的に示すぐらいの気構えが必要であると考えますが、いかがでしょうか。先日の決算特別委員会でも、積極的にモデル地区に手を挙げるよう要望しましたが、本区のお考えを伺います。  先程も述べましたが、木密地域において建て替えが進まない一因として、建て替えることによって十分な建築面積、容積が失われるために建て替えられないという事情があります。これは建て替えの際に、建築基準法上の容積率、建ぺい率、斜線制限といった形態制限や二項道路の拡幅、接道規定等の要件を適用することにより、建て替え後に十分な居住面積や建物容積を確保できない場合は、敷地が道路に有効に接しておらず、建て替え自体が行えない場合があります。このような課題に対し、本区のご認識を伺います。現在、まちづくり協議会は、大きなブロック単位で行われておりますが、より細かい地域に分け、その地域特有の共通課題を取り上げ検討することができるような分科会を設置してはいかがでしょうか。そこで、住宅の共同化や地域内にある代替地の活用を地域住民に積極的に紹介するなど、建て替えの促進につなげられると考えますが、お考えを伺います。今、私たちは東日本大震災を経験し、震災に対する危機意識についてはますます高くなってきております。木密地域に住む区民は、我が身に迫る危険性を自らの問題として認識されておりますが、高齢化に伴い課題も多くありますので、今後の丁寧な災害に強いまちづくりを期待いたします。  次に、2点目として、空き家・老朽家屋対策について伺います。平成20年10月1日現在の住宅・土地統計調査によれば、全国の総住宅戸数は5,759万戸となっており、そのうち人が住まない空き家は756万戸と、住宅全体の空き家率は13.1%と、過去最高を更新しました。個人等の家屋は本来所有者が管理するものであって、自治体が関わるのは建築規制業務や消防規制業務が主なもので、これらの規制権限を行使する特別な事態が発生しない限り、自治体が関与する例は極めて少ないのが現状であります。しかしながら、長年放置された家屋等は、老朽化すると倒壊の危険性が高まり、ごみの不法投棄を助長し、火災発生の恐れも出てきます。そこまでの状態になると、近隣住民や町会等から苦情が寄せられるようになり、本区としても放置するわけにはいかなくなります。建物所有者がわかれば適正な管理をお願いすることができますが、所有者が不明で連絡がとれなかったり、処理を拒否する場合には現在では対応に限界があります。また、建物登記簿上の所有者が既に死亡している場合もあり、解決に向けた法的困難さを私自身も痛感しております。  国土交通省は、平成21年7月2日、土地政策の中長期ビジョン報告を発表しました。それによると、空き家・空き地等に対する取り組みの必要性が政策課題として提示されております。各自治体が対応に苦慮していることから、自治体が円滑で実効的に対応できる方策の検討が必要であること。相続等により所有者が不在・不明で管理が困難である不動産の問題についての検討が重要であることが示されております。  本区は今年度、空き家について今後の有効活用の可能性も含んで、実態調査を実施されております。数字的にはその調査結果を待つとして、現在本区では空き家についてどれだけの苦情が寄せられているのか。また、現在の対応方法と区の認識について伺います。現在、全国の様々な自治体でも空き家・老朽家屋について特色ある取り組みをされております。例えば、埼玉県所沢市では、昨年10月に空き家等の適正管理に関する条例が施行されました。住民からの相談を受けて市が調査し、管理不全とみなした場合は市長名で所有者に文書を送付して対応を勧告することができます。勧告に応じない場合は、期限を決めて再度改善を命令し、正当な理由なく命令に応じない場合は、該当する空き家前に所有者の氏名、住所を記した看板を設置するというものであります。また、緊急を要する場合は、警察などの関係機関に市長が措置を要請する内容も盛り込まれております。条例施行から1年がたちますが、所有者の氏名の公表が抑止力になり、その前段階でほとんどが解決していると伺いました。  一方、足立区では、11月から都内初の老朽家屋等の適正管理に関する条例が施行されております。条例では、該当する空き家に対して、第三者機関の意見を求めた上で、区が所有者に解体などの勧告を行うとしています。所有者が解体に応じる場合は、木造で上限50万円、非木造では同100万円を助成する制度も設けられ、解体促進を図っております。全国の取り組みを見ていると、行政処分による解決策と財政支援による解決策の二つの軸によって行われております。私も、これまで多くの空き家についてのご相談を区民から受けてまいりました。建物については、建築審査課に相談をし、近隣への生活環境悪化の苦情については環境課にもご相談をしました。しかしながら、やはり現状では対応には限界があり、所有者が知らん顔を続ければ、雑草やごみの処分等で苦労するのは近隣住民であります。やはり、区が適切に対応するための根拠となる条例の制定が不可欠であると考えますが、いかがでしょうか。本区のお考えを伺います。  次に、3項目めの自転車対策について、自転車走行時の安全対策とマナー啓発並びにこれを目的とした条例制定についてお伺いいたします。本質問に関しては、平成23年第1回定例会の島村議員の一般質問において、高野区長よりセーフコミュニティの検討の重要政策の一つであると認識の下、目玉政策としてご提案を生かして、新規条例制定の方向で積極的に検討するとの答弁をいただいております。そこで、既に9カ月が経過した現在、条例制定に向けどのように取り組んでいるのか、お聞かせください。特に、前回質問で述べた、自転車利用者・小売業者の責務、小・中学校における交通安全教育の義務化、商店街が実施する事故防止策への支援、自転車損害保険の加入促進が具体的になされるように、本条例に明示していくのかどうか、お答え願います。  また、本年10月25日に、警察庁より各都道府県警察に対して、良好な自転車交通秩序の実現のための総合対策の推進について、通達が行われました。しかしながら、巷ではマスコミ等の影響により、この通達によって自転車が歩道を通行してはいけないかのように解釈されている向きがあります。当然、車両である自転車は、車道通行が原則でありますが、通達にもあるように、たとえ3メートル未満の道路であっても、歩行者の通行量が極めて少ないような場合や、車道の交通量が多く、自転車が車道を通行すると危険な場合、そして13歳未満の子どもや70歳以上の高齢者が利用する場合については、自転車で通行することができるのであります。要するに、歩道においては歩行者が優先という当然のルールを守っていくということが求められているだけです。そもそもこうした通達が下されるのも、前回質問で述べたように、自転車利用者のマナーが極めて低下していることに起因しているのは論を待ちません。即ち、マナーやモラルの問題であって、この警察庁の通達が自転車利用者を締め出すものではないと考えます。  したがって、本区の条例においては、自転車利用者に対し、自分勝手な走行を戒め、他を思いやる必要性を具体的に発信していただきたいのであります。例えば、前回も島村議員が申し上げたように、歩行者がいる横断歩道を猛スピードで横切ったり、歩道上で自分の進路を確保するためにベルをけたたましく鳴らしたり、あるいは右側走行のまま全く速度を落とすことなく右折したりなど、自分のことしか考えないような自転車利用を禁止する記載を具体的に条文に明記する必要があると考えます。なぜなら、マナーやモラルの欠如に加え、今日の自転車利用者の中には、道路交通法などの基本的な規則に対し、無関心、あるいは単に知らない人が多いと感ずるからであります。事実、警察庁のデータによれば、自転車乗用中に死傷した者の約3分の2に何らかの法令違反が認められるとのことです。事故が起きれば、相手だけではなく、当然自分も大変な思いをすることになり、他の人の安全に配慮することは自分の安全確保につながることを徹底して発信すべきと考えますが、いかがでしょうか。  また現在、小学生への自転車安全教室は、PTA主催で開催されております。しかしながら、放課後開催のため、児童の出席率にも限界があり、より多くの児童に対して安全な自転車の乗り方やマナーを徹底して伝えるのであれば、学校側が主催し、授業時間内で行うことが望ましいと考えます。以前、我が会派からの要望について、教育長からは、検討するとの答弁をいただいておりますが、お考えを伺います。  次に、行政側として推進すべき対策として、警察庁通達にもある自転車の通行環境の整備であります。今後、各警察署と道路管理者との間で、車道における自転車通行帯等の整備が進められていくことと思いますが、これまでも各地域より、歩道上の自転車通行帯設置などの要望がありましたが、幅員の不足などの理由でいま一つ進展していない状況にあります。今後、本区としては、自転車利用の安全対策として、警察や関係団体とどのように連携を図り、自転車走行環境の向上にどのような方策を進めていくのか、お考えをお聞かせください。本来、自転車は基本的なルールさえ守って利用すれば、健康と環境に優しい乗り物であり、安全・安心のまちづくりにとっても欠かせない移動手段となるはずです。今後の取り組みを大いに期待いたします。  次に、4項目めとして、住宅施策について伺います。住宅施策については、区民の生活を守る最も根幹になる施策であると認識しております。また、時代の流れに応じて区民ニーズも変化しているため、私どもは、このニーズをとらえて持続可能な住宅施策を講じていかなければなりません。ソシエは民間事業者からの20年借り上げを行い、実施している事業でありますが、27年から順次契約期限が満了となる建物が出てきます。空き室については、現在、被災者に提供されている部屋もあり、私どもが提案しました施設型保育ママに転用されているケースもあります。しかし、区の借り上げ契約が終了するのも目前でありますし、近傍家賃とさほど差がない中で、今以上の入居者は到底見込めないのが現実であります。これまでのように、単発で施設型保育ママへと個別に転用していくのではなく、今後は本格的な空き室の転用を施策としてしっかり検討し、方向性を示す必要があると考えますが、いかがでしょうか。お考えを伺います。  また、ソシエについては、家主からの借り上げ契約が終了すると、家主と居住者との直接契約になります。しかしながら、ソシエの家賃については、現在、スライド家賃を凍結しており、直接契約となった場合、区の補助金は全くなくなるわけですから、当然家賃が上がるということになります。そうした場合の措置等、今後の契約期限後のソシエのあり方については、今から家主と十分協議し、居住者に不安を与えないよう方策を示すべきであると考えますが、いかがでしょうか。  さらに、安心住まい提供事業については、一棟借り上げの場合、足の不自由な高齢者は2階の居住は困難であり、2階に空き室が出てしまうなど、区民ニーズに合致していない実態があります。これらの施策については、区民の生活を守るために最優先で取り組まれてきた事業であることは十分認識しておりますが、より予算を有効に活用し、区民ニーズに合った施策とするために、今後の抜本的な制度のあり方も含めて、住宅施策の展開については、しっかり審議会等で検討する必要があると考えますが、本区のお考えを伺います。また、住宅マスタープランによると、公共住宅等の供給量について目標量が示されております。区営住宅は、建て替えや都からの移管により、25年度末には276戸との目標が掲載されておりますが、残すところあと55戸であり、現在の進捗状況について伺います。さらに、高齢者向け優良賃貸住宅については、25年度末で104戸との供給目標が示されておりますが、国の制度が変わり、東京都が優良賃貸住宅制度そのものは維持されたものの、今後の本区としての考え方について、お伺いします。  現在、住宅マスタープラン重点プロジェクトを推進するため、空き家実態調査を実施されております。空き家の活用については、高齢者住宅へ転用するモデル事業を、以前、我が会派から提案させていただきました。介護保険法改正の中でも、高齢者の住まいについては大きな柱の一つととらえられており、また、高齢者の居住安定確保に関する法改正では、様々あった高齢者の住宅をサービス付き高齢者向け住宅に一元化するというものであります。ハード面では、空き家活用については調査結果を待つとして、ソフト面でのサービスについては、早急に取り組む必要があると考えます。例えば、区内既存の高齢者優良賃貸住宅をモデルとし、24時間の見守りと外からの介護等のサービスを提供し、サービスシステムの課題等を検証して、今後の施策展開に生かされてはいかがでしょうか。お考えを伺います。また、区民の住宅施策を展開する住宅課については、今後ますます福祉的要素が強く求められるようになります。そうした意味からも、渋谷区では都市整備に合った住宅課を解体し、福祉部門で事業を展開するようになったと伺っております。本区も都市整備部と保健福祉部が協議会を立ち上げて、これからの施策展開を検討するとの答弁をいただいておりますが、どこまで実際に連携され、検討が行われているのか、お伺いいたします。また、住宅を福祉部門に移行する他区が出てきていることをどのようにとらえ、本区として今後どのように取り組んでいくのか、お聞かせください。  最後に、その他として、放射能対策について質問いたします。最初に、先日開催されました放射能セミナーについて伺います。当日参加された方から感想を伺ったところ、特別講演において、科学的なデータに基づいての現状分析と、今後の具体的な取り組みが示され大変によかったと語っておられました。講師の野口邦和氏は、福島第一原子力発電所の事故以来、被災地で原発事故の現状や放射能汚染、放射線被曝とどう向き合ったらよいかについて取り組んでこられ、科学論争はデータに基づき行われるものであると主張されていることからも、参加された区民の方からは一定の理解が得られたものと評価しております。今回のセミナーにつきましては、第3回定例会で我が会派より提案をし、早速開催していただいたことは高く評価させていただきます。また、子育て中の保護者からは、開催時間が昼間の時間帯であればもっと参加できたのではないかとの声も伺えました。そこで、今回のセミナーについて、区としてはどのようにとらえられていらっしゃるのか、今後の区民への正しい情報提供と意識啓発について、どのように取り組まれていくのか伺います。  次に、特別講演を受けての区の放射能対策について伺います。野口氏は講演の結論として、また、当日の資料にも示されているとおり、ここ、五、六年間外部線量と内部線量を可能な限り低くする努力をしようではないかとの見解を示され、今後は、外部線量については高濃度の汚染場所を探し出し除染をすることと述べられておりましたが、本区の今後の対応についてお考えをお示しください。また、内部線量については、食品の放射能監視体制を一層強化し、消費者は、食品の安全な選び方、放射性セシウムの落とし方、食べ方を工夫するとの具体的な取り組みを示されました。現在、給食食材の検査も始まっておりますが、今後本区としてどのように取り組まれるのか、お聞かせください。  以上で、私の一般質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。(拍手)   〔高野之夫区長登壇〕 ○区長(高野之夫) ただいまの高橋佳代子議員のご質問に対しましてお答えいたします。  セーフコミュニティについてのご質問のうち、うつ病の予防についてお答えいたします。まず、自殺・うつ病の現状分析と課題についてでございますが、ご指摘のとおり、自殺による死亡率は、本区においても、全国や東京都と同様に高い状況が続いておりまして、15歳から44歳の死因の第一位となっております。自殺率を年代別に見ますと、全国的に中年男性で高く、本区でも同様の傾向がございます。一方、本区では20代の女性でも自殺率が高いという特徴があり、消防署の救急搬送データの分析から、自殺未遂で搬送された方も、他の年代に比べ、20代で非常に多いことがわかっております。自殺は、経済的問題、職場や家族の問題、健康問題などからうつ病へと、自殺の要因が連鎖した末に死に追い込まれるといわれております。また、自殺未遂者は再度自殺を図るリスクが高いといわれております。このようなことを踏まえますと、多様な問題に関する相談窓口が連携し、問題の連鎖を断ち切ること、また本区の特徴である若年層の自殺未遂者が再度自殺行為に及ばないよう防ぐことが大きな課題ではないかと認識しております。  次に、対策委員会の活用についてのご質問にお答えいたします。自殺・うつ病の予防対策委員会は、自殺の要因に関する区役所の各部署と警察署、労働基準監督署、東京都精神保健福祉センター、医師会、民生・児童委員、地域生活支援センター、社会福祉協議会にご参加をいただき、現状認識の共有や、対策への意見交換が進んできております。このような様々な相談窓口や関係機関が問題を抱えた人に気づき、適切な支援につながるネットワークが有効に機能していくことが、自殺要因の連鎖を防ぐために大変重要であると考えております。そのような支援の必要な人に気づき、つなげる役割を担う人をゲートキーパーと呼び、ゲートキーパー養成講座を実施しており、これまで民生委員等300人以上の方に受講をしていただいております。今後、区役所の各種相談窓口担当者に、ゲートキーパー養成講座の受講を積極的に勧めるとともに、関係機関向けのマニュアルも作成し、対策委員会に参加していただいております大勢の関係機関のネットワークの充実を図ってまいります。  次に、リスクチェックシステムの導入についてのご質問にお答えいたします。うつ病や自殺対策は大変重要な課題であると認識いたしており、本区においても区民の安全・安心を向上させるセーフコミュニティの重点施策として取り組みを強化しております。また、うつ病対策や自殺対策の効果判定についてもセーフコミュニティ活動の一環として把握してまいります。ご指摘の、心拍変動によるうつ病リスクチェックシステムにつきましては、大変興味深い取り組みではございますが、専門医師の関与が必要なことや、特定健診のような一斉実施による評価等が不確定であることから、現段階での導入は困難であると考えております。しかしながら、ご指摘のように既に専門の医療機関における導入実績もございますので、導入の効果などについて今後とも大いに関心を持って見守ってまいりたいと考えております。  次に、国際化についてのご質問のうち、まず、第6回地域アジア地域セーフコミュニティ会議についてのご質問にお答えいたします。セーフコミュニティは国際的な認証制度であり、その認証を取得することは豊島区が世界のネットワークの一員として名を連ね、一定の役割を果たすことを意味しております。セーフコミュニティでは、毎年世界会議と大陸レベルの地域会議を交互に開催しておりまして、私が9月にスウェーデンを訪問した際に参加したのは、第20回の世界会議でございます。来年は地域会議の年であり、今年の6月以降、アジア地域でも開催都市を選定する作業が始まりました。一時は台湾も開催地として名乗りを上げておりましたが、来年度の認証取得を目指す豊島区、箕輪町、小諸市が協力して、日本初の開催に向けた働きを進めた結果、東日本大震災からの復興を応援するということも含めて、日本で開催が決定しました。この国際会議は、WHOアジア地域セーフコミュニティネットワークの公式行事であり、アジア地域、そして国内のセーフコミュニティを広げていく上で大変重要な位置付けを担うものでございます。9月の北欧視察で世界代表であるレイフ・スヴァンストローム氏にお会いをした際にも、東京での開催に大きな期待を寄せていただき、スウェーデンからの参加をお約束いただきました。また、日本を代表して開催するだけに、その責任も重いわけでございまして、既に9月末から、箕輪町、小諸市とともに、学識経験者の参画を得た実行委員会を組織し、精力的に準備を進めているところでございます。国際会議の日程は、ちょうど1年後の11月28日から30日の3日間でございます。1日目の開会式には東京芸術劇場で2,000人規模で行い、これに続くテーマごとの分科会は300人規模で、サンシャインシティを会場として開催する計画であります。世界218の認証都市からは、100名程度の参加を想定しております。  さて、来年2月2日から4日には2年の準備期間を踏まえ、WHO認証センターの審査員が来日し、いよいよ本審査が行われます。そして、5月中には審査結果が発表される予定であります。また、朋有小学校が挑戦しておりますセーフスクールについても、5月に事前審査が予定されております。これらの認証取得が実現した暁には、国内外の関係者が一堂に会する11月の国際会議の開会式において、区制施行80周年の記念事業として、セーフコミュニティとセーフスクールの認証式典を同時に行い、区民の皆さんとともに、その喜びを分かち合いたいと考えております。また、様々なテーマについての発表、あるいは意見交換を行う分科会では、研究者や専門家だけでなく、国内の自治体関係者や予防活動を実践する区民の皆さん、そして議員の皆様にも幅広くご参加いただけるよう、すべての会場において同時通訳を入れる予定でございます。このような大規模な国際会議は、豊島区としても初めての経験であり、会議の企画、発表者の人選、参加申し込みのシステム、移動手段、宿泊や飲食関係の手配、招聘者への対応など、言語の問題も含め、課題が山積しております。しかし、今回の国際会議は、地域を挙げた豊島区の安全・安心への取り組みを国内外にアピールする絶好の機会でございまして、区民の皆さんと力を合わせて精一杯のおもてなしができるよう、準備を整えて、必ずや成功をさせたいと思います。豊島区の国際交流に新たな1ページを加えるべく、地域を挙げて取り組みたいと思いますので、議員の皆様におかれましても、格別のご協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げる次第でございます。  次に、グローバルな視点からの政策や都市づくりのビジョンについてのご質問にお答えいたします。ご指摘のとおり、本区は住民の7.1%を占める外国人登録者のうち、アジア地域を中心とする外国人住民の割合が高くなっております。ともに暮らし、地域をつくっていくという多文化共生の考え方とともに、今後はより広い視点からアジア各国はもとより、世界の国々と国際的なつながりを強めることは本区の発展にとって大変重要な課題であると考えております。平成20年度、本区は文化庁長官表彰を受賞し、文化芸術創造都市として評価をされましたが、これに先立つ平成18年と20年の2回にわたって、私は文化政策懇話会の座長でありました、福原義春氏のご紹介によりまして、日本各地の文化創造都市と、フランス各都市の代表による文化対話会議にも出席し、パネルディスカッション等を行いました。その中で印象的であったのは、いずれの都市も都市政策全般にわたるマクロの視点から文化政策をとらえ、その先にある明確な都市ビジョンのあり方を考えようとしていることでありました。今や私たちの社会生活は、特定の国や地域の中だけで完結するのではなく、異なる社会経済体制、異なる文化との間の関係に拡大し、情報化の進展の中、国境を越えて人や物、資金、サービス、情報等の流通が急速に拡大しつつあります。そうした中、環境問題を初め、産業、福祉、教育、安全・安心な都市づくり等、共通する社会的課題について、国際的な都市間の交流と対話の中で解決の道筋を明らかにしていくことは、極めて重要な視点であると考えております。来年度、友好都市である大韓民国ソウル特別市東大門区とは、交流10周年を迎えます。さらに、来年11月には、アジア地域セーフコミュニティ会議が開催される運びとなっており、国内外からより多くの皆さんが本区を訪れることが想定されます。より一層、交流を推進するとともに、ご提案のございました国際都市づくり宣言等につきましては、今後さらに幅広い国々や都市との交流を積み重ねる中で、検討してまいりたいと考えております。  次に、安全・安心なまちづくりについてのご質問のうち、木造住宅密集地域対策についてのご質問にお答えいたします。まず、居住環境総合整備事業地区内の不燃領域率についてでございますが、現在、事業中の3地区の不燃領域率は、平成18年度調査時点で、東池袋五丁目が49.6%、上池袋三丁目が54.9%、池袋本町三丁目が46.5%となっており、平成13年の調査より、それぞれ2.6%、13.7%、3%改善をしておりますが、区の地域防災計画では60%を目標としていることから、現状はまだ低い水準でございます。この原因としては、任意の道路拡幅に係る地権者の合意形成に時間がかかり整備が遅れていること、地域の高齢化による建て替え意欲の減退、建て替え資金の不足等により、老朽木造住宅の建て替えが進んでいないことが挙げられます。  次に、木造地域不燃化10年プロジェクトのキックオフイベントの概要についてのご質問にお答えいたします。今月6日に都庁で行われました講演会には、木密地域のまちづくりに取り組む町会や、まちづくり協議会のリーダーの皆さんが多く参加し、防災の専門家である山村武彦先生の講演や、阪神・淡路大震災で被災した神戸市長田区のまちづくり協議会の方の体験談が披露されました。参加者の皆さんは、地震の危険性を再認識し、東京都が目指す木密住宅の整備促進のため、住民意識の向上という目的については、共通認識が得られたようでございます。  次に、東京都への地域課題提案についてのご質問にお答えいたします。区は、長期間にわたり、木密地域の現場に入って事業を推進してきており、地域の課題は十分認識しております。今後も、区が自ら先頭に立って木密地域の整備促進のために取り組んでいく覚悟でございます。今回、東京都の側面支援を受けられる絶好の機会ですので、年明けに予定されている本区へのヒアリング時には、高齢の地権者への移転支援などの地域課題について、東京都に具体的な提案を行ってまいります。  次に、建て替え促進に係る課題についてのご質問にお答えいたします。ご指摘のとおり、木密地域では、狭あい道路に接する敷地や道路に接しない、いわゆる無道路地が多数存在し、単独の敷地では建物の再建築ができずに、不燃化・耐震化が進んでおりません。このような地域では、燃えにくい、安全・安心のまちづくりのために、面整備による共同化を検討することが不可欠でございます。しかし、この事業は都市計画事業と異なり、強制力がない、任意の事業でございますので、地権者の意向が十分に反映される反面、思うように事業が進捗しないのが現状でございます。このような制度としての課題がございますけれども、今後も丁寧に地権者の合意を得ながら、個々の案件の実情に合わせた支援を行ってまいります。  次に、まちづくり協議会における分科会の設置についてのご質問にお答えいたします。地域の課題がおおむね共通である場合には、大きなブロック単位で協議会を開催するほうが効果的な議論になると考えられますが、固有の課題を抱える地域につきましては、ご提案のように、範囲を限定して、分科会等で集中して議論することも友好であると考えます。今後も地域の実情に即した課題について協議会の皆さんとの協働による検討を行いまして、老朽建物の除却・建て替えにつなげることによりまして、倒れない・燃えない、安全・安心のまちづくりを進めてまいりたいと思います。  次に、空き家・老朽家屋対策についてのご質問にお答えいたします。まず、空き家・老朽家屋に寄せられる苦情及び対応方法についてのご質問にお答えいたします。本区では、空き家そのものに対する苦情件数は把握しておりませんが、苦情が寄せられる老朽家屋の改善の指導をした件数は、平成20年に11件、平成21年度17件、平成22年度9件で、これら合計37件のうち、空き家の割合は51%の19件でございました。区の認識といたしましては、長引く景気の低迷や東日本大震災の影響のほか、単身高齢者の世帯が多い本区の実情を踏まえますと、今後は空き家に限らず、修理等が行き届かず、周辺の方が不便を抱く家屋の増加も懸念されるため、効果的な対策を引き続き検討する必要があると認識しております。現在の対応方法は、家屋の所有者等が不明の場合、近隣への聞き込みや法務省など関係機関に問い合わせを行い、親族を含む関係者を特定いたしまして、維持管理を徹底するよう助言・指導をしております。これらは他の自治体でも行う一般的な指導方法ですが、これに加えて、区独自の取り組みといたしまして、建物の所有者自ら改善することが困難な場合、応急資材の貸出要綱、老朽建築物等に係る改善措置資金貸出要綱に基づいて、応急措置における必要な資材や資金の貸し出しが可能となる仕組みとなっております。さらに、家屋が著しく保安上危険な場合、建築基準法に基づき勧告や命令ができる制度になっております。  次に、条例制定についてのご質問にお答えいたします。今後、土地・建物の所有者の高齢化に伴い、管理や維持保全が行き届かないケースの増加が懸念されます。ご指摘いただきましたとおり、老朽家屋や管理が不十分な空き地では、土地や建物の登記簿上の所有者が不明の場合も多く、迅速な対応が図れないため、関係機関からの情報開示など、連携した対応が図れる仕組みづくりが不可欠になるものと考えております。こうしたことから、安全・安心なまちづくりの一環として運用の改善と実態の把握に努めるとともに、既に同様の条例が制定されている区もございます。こうした先進事例を参考にしながら、警察や消防など各関係機関との連携を強化しつつ、現行制度の検証を含めて、条例の制定について積極的に検討をさせていただきます。  なお、私からの答弁は以上でございますが、その他の質問につきましては関係部長から、教育委員会の所管に属する事項につきましては教育長から答弁申し上げます。   〔亀山勝敏土木部長登壇〕 ○土木部長(亀山勝敏) 自転車対策についてのご質問のうち、まず、自転車の安全対策・マナー対策を目的とした条例制定についてのご質問にお答えいたします。条例につきましては、他の自治体の事例を参考に、現在、たたき台を作成し終えたところでございます。これまで自転車利用者の責務はもとより、区、自転車小売業者、その他関係団体等についての責務や役割を明確にする方向で検討を進めてまいりました。セーフコミュニティの自転車利用の安全対策委員会でも検討いたしましたが、今後はご提案の内容を生かすべく、自転車協議会や交通安全協議会等の意見も聞きながら細部を詰め、平成24年第2回区議会定例会へのご提案を目指してまいります。  次に、安全マナー・モラルに関する発信策についてのご質問にお答えいたします。条例においては、自転車利用者に対し、自分勝手な走行を戒め、他を思いやる必要性を具体的に発信されたいとのご指摘をいただきましたが、自転車利用者の果たすべき責務として、道路交通法などの法令の遵守、さらには自転車を運転する上で守らねばならない具体的な行為を明記したいと考えております。また、事故が起きれば被害者のみならず、自分自身も悲惨な状況になるということ配慮し、賠償保険等の加入に努めるなどの内容も盛り込んでまいる所存でございます。自転車の安全利用の一層の促進とマナー・モラルに配慮した発信策となるように、内容を精査してまいります。  次に、警察や関係団体等との連携についてのご質問にお答えいたします。自転車走行環境の向上のため、区内で新たに整備される都市計画道路など、幅員の広い道路につきましては、交通管理者、道路管理者と協議の上、可能な限り、歩行者と自転車を区分して通行させるような整備に取り組んでまいります。その他の生活道路に関しましても、整備、補修すべき場所や内容を精査の上、歩行者、自転車双方の安全性に配慮した魅力ある空間づくりを目指してまいります。また、鉄道駅周辺で行っております放置自転車クリーンキャンペーンの中では、今後も警察及び交通安全活動推進委員の協力を得まして、自転車安全利用啓発活動を実施し、利用者のマナー向上に努めてまいります。さらに、警視庁では、自転車の安全ルート推奨マップの作成を、都内の各警察署に指示したところでございますので、区といたしましてもこうした取り組みを活用し、所轄の警察署と連携を図りながら、自転車利用者に対する安全な走行環境の情報提供にも努めてまいります。  私からの答弁は以上でございます。   〔鮎川 傑都市整備部長登壇〕 ○都市整備部長(鮎川 傑) 住宅施策についてのご質問のうち、まず、ソシエの空き家の活用策についてのご質問にお答えいたします。現在、ソシエの空き室は49戸となっています。このうち、施設型保育ママに転用した住宅が4戸、また、東日本大震災の応急仮設住宅として30戸提供しております。空き室対策につきましては、これまで傾斜家賃の凍結や不動産事業者へのあっせんの依頼、子育てファミリー世帯の家賃助成の適用などの施策を講じるとともに、近隣相場より割高となった住宅に対するオーナーへの家賃減額のお願いを行ってきました。しかし、こうした空き室対策を講じても、空き室の増加傾向に歯止めがかからない状況となっております。ご指摘いただきました本格的な空き室の転用とその方向性を示すことにつきましては、区民住宅制度の見直しにかかることですので、住宅対策審議会でのご議論が必要となります。審議会のご議論の状況を踏まえ、関係法令の精査や、居住者、オーナーの意向をお聞きしながら、早い段階で可能性を検証し、可能な限り転用を行うことで有効活用を図ってまいります。  次に、ソシエ家主との契約協議についてのご質問にお答えいたします。ソシエの借り上げ期間につきましては、平成27年度に7棟131戸、平成29年度に8棟170戸が満了となります。借り上げ期間が満了しますと、区から家主にソシエの借り主の地位が承継されることとなりますので、現在、ソシエの入居されている方々は、引き続きの入居が保障されております。この場合の使用料につきましては、家主と借り主との協議により決まってくることとなります。区としましては、現在、居住している方の居住継続が可能となるように、早い段階で家主と協議を行い、居住者の不安の解消を図ってまいります。  次に、施策展開に関する審議会などでの検討についてのご質問にお答えいたします。現在、安心住まい提供事業により提供している住宅180戸のうち、空き室は31戸となっています。このうち東日本大震災の応急仮設住宅として、10戸を提供しております。安心住まいの提供事業は、立ち退きなどにより住宅の確保に緊急を要する高齢者等を対象とし、区が借り上げた民間アパートを提供することで居住の安定確保に寄与してきました。平成19年度から退去者が新規の入居者を上回るようになり、空き室が生じてきました。この空き室に対しても、区は借り上げアパートのオーナーに家賃を支払っているところです。また、制度発足から20年が経過し、契約更新期を迎え、2年間の更新を行った借り上げアパートも増えており、老朽化が目立つ物件も増えております。こうした状況を踏まえ、今後はより効果的な制度の抜本的な見直しが必要であると考えています。ご指摘にございますように、制度の見直しに際しましては、住宅対策審議会に現状を報告し、審議会の中でも制度のあり方をご議論いただく予定です。  次に、区営住宅供給の進捗状況についてのご質問にお答えいたします。住宅マスタープランにおいて、公営住宅の供給目標を定めていますが、区営住宅については、平成25年度までにあと55戸の供給開始を目標としています。現在のところ、55戸は都営住宅池袋本町三丁目アパートを東京都から移管を受け、新たな区営住宅として、供給開始を行う予定で考えております。移管に際しては、建て替え時移管制度を基本とし、区の財政負担が少ない方策を検討しており、目標の平成25年度までに移管の目途が立つように、東京都と積極的に協議・調整を進めてまいります。  次に、高齢者向け優良賃貸住宅についてのご質問にお答えいたします。高齢者向け優良賃貸住宅制度は、本年10月の高齢者住まい法の改正により、サービス付き高齢者住宅制度に統合されました。東京都は、ご指摘いただきましたとおり、既存の高齢者向け優良賃貸住宅を東京都高齢者優良賃貸住宅という独自の制度として存続させ、建設や家賃の補助を継続しております。本区の住宅マスタープランでは、高齢者向け優良賃貸住宅は平成25年度までに104戸の供給を計画しており、目標まで40戸となっております。このうち、現在建設中の住宅21戸が平成24年度中に供給開始予定ですので、残りは19戸となっています。目標達成に向け、今年度も事業者募集を行い、数社と事業に向けて具体的な協議を行ってきましたが、制度改正の影響から実現に至りませんでした。来年度は、東京都高齢者優良賃貸住宅制度を活用し、改めて事業者募集を行いますが、既に複数の事業者から問い合わせが寄せられてきておりますので、平成25年度までの供給目標の達成に向け、さらに努めてまいります。  次に、サービスシステムの課題検討についてのご質問にお答えいたします。ご提案いただきました既存の高齢者向け優良賃貸住宅を対象に、見守りや介護等のサービスの提供を一体的に行う施策は、高齢者住宅の供給促進を地域包括ケアシステムの構築と合わせて進めることとなる点で有意義であると考えております。また、この施策をモデル的に先行し、課題を検証することで、今後の施策展開に生かしていく視点も必要であると考えています。高齢社会を迎え、地域包括ケアシステムの構築は、我が国においても最重要課題の一つとなっています。実現には乗り越えなければならない課題が山積しています。本区において、ご提案の取り組みを行うことについても、福祉サービスのニーズ把握、事業者への参加意思の確認や住宅の管理運営を行う事業者とサービスの提供に当たる事業者の調整など、実現に向けて様々な課題が挙げられます。また、区独自の事業を行うに際しては、国や東京都が行う同様の施策との制度上のすり合わせも行う必要があります。したがいまして、今後、まずは事業者への参加意思の確認のためのヒアリングや、関係部署との課題整理など、実現化に向けた土台づくりを行い、着実に解決に向けて取り組んでまいります。  次に、保健福祉部との連携についてのご質問にお答えいたします。昨年度に住宅施策と福祉施策との連携のため、都市整備部と保健福祉部で高齢者住まいの施策に関する連絡会を発足させ、施策の情報共有を図ってまいりました。今年度に入り、ケア付き住宅の見学会やUR都市機構の運営するアパートの活用可能性の検討、民間ビジネスホテルにおける高齢者施設の転用の可能性の検討を行うなど、より緊密な情報共有と施策の可能性を探ってまいりました。高齢者人口の急増が確実に見込まれる中、住宅施策と福祉施策の連携は重要課題でありますので、連絡会における情報共有と施策の可能性の検討を地道に行っていくことで、具体的な施策につながる努力を続けてまいります。  次に、住宅行政を福祉部門に移行することについてのご質問にお答えいたします。ご指摘のとおり、渋谷区では8年前に都市整備部局にあった住宅課の機能を分割して、その一部の機能を福祉部局に移行させたと承知しております。特に近年、住宅施策は福祉的要素が強くなってきている面がございます。その一方で、現在行っている空き家実態調査や子育てファミリー家賃助成など、福祉的要素が強くない施策もあります。また、組織を所管ごとに分割することで、一元的な施策が行えなくなるデメリットも挙げられ、組織の検討は住宅施策をより効果的に行える視点からの検討が必要となります。当面は、現在検討している住宅施策と福祉施策との連携をより強化していくことで、一体的なサービスの提供を目指してまいります。  私からの答弁は以上でございます。   〔齋藤賢司総務部長登壇〕 ○総務部長(齋藤賢司) 放射能対策についてのご質問のうち、まず、区民への正しい情報提供と意識啓発についてのご質問にお答えいたします。放射能に関する正しい知識を身につけていただき、少しでも区民の皆さんの不安を解消していただけるよう、8月に続きまして、11月に2回目となります豊島区放射能に関するセミナーを開催いたしました。そのセミナーでは、区内の放射線測定や、給食の放射性物質の測定結果についてご報告するとともに、講師に放射線の専門家である日本大学准教授の野口邦和先生をお招きし、「放射能汚染とどう向き合うのか」と題し、講義を行いました。先生のご講義は、科学的なデータを用いながらも大変わかりやすくご説明をいただきましたので、参加された方々の理解も進んだのではないかと評価いたしております。一方、セミナーの参加者は約100名と、前回の半数程度の人数でございました。このことにつきましては、前回と同様の平日の夜間の設定であったことや、同様の周知方法等を行ったことを考慮いたしますと、これまでの取り組みによって、区民の皆さんに放射能に関する正しい知識の普及ですとか、不安の解消が一定程度図られてきたのではないかとも考えております。また、セミナーでは、区の取り組みについての意見、要望を表明したいがあまり、会議の進行を妨げる場面も見られました。先生への質問につきましても、相当の知識を既に有し、行政への強いご要望など、一定の考えをお持ちの方々の発言が目立った状況も見受けられました。こうしたことから、セミナーの趣旨などを考慮いたしますと、これからの区民の皆さんへの正しい情報提供や意識啓発につきましては、セミナーの実施だけではなく、広報等の充実による周知に加え、新たな取り組みを検討する必要があるのではないかと考えております。  次に、高濃度汚染場所の除染についてのご質問にお答えいたします。これまで空間放射線量につきましては、6月から小・中学校、保育園など区内89カ所での測定や、10月からの全公園158カ所の測定など、おおよそ区内全域で空間放射線量の計測を実施してまいりました。これまでの測定結果を見ますと、本区では特定の地域において、高放射線量が検出されるといった、いわゆるホットスポットの存在は確認されておりません。一方、さらに局所的に高放射線量が検出されるポイントの存在につきましては、現時点では否定することはできない状況にございます。東京都におきましては、11月に都有施設における局所的な放射線量の調査を実施しておりますが、その調査では、局所的な汚染は存在するものの、放射線量については、その地点からの距離に応じて大幅な減衰が認められたとの結果が示されました。このため、高濃度の放射線量が検出された場所及びその近接する範囲での滞在時間などを考慮いたしますと、必ずしも健康に大きな影響を及ぼすものではないと考えられます。しかしながら、小さなお子さんの保護者の方々を中心に、学校や保育園など各施設の側溝など高濃度の放射線量が危惧されるポイントの放射線量の測定や、高放射線量が検出された場合の対応を求める切実なご要望もございますので、施設における詳細な測定の実施に向け、具体的に検討してまいります。  次に、食品の放射能対策についてのご質問にお答えいたします。食品に含まれる放射性物質は、現在、生産地の都道府県での計測が徹底されており、その検査結果は厚生労働省が集約して公表しております。また、東京都では、この検査に加え、都民の食品の安全・安心を一層確保するため、11月から、小売店に流通しております生鮮食品と加工食品を、抜き取りで検査を行っております。この検査は、子どもが継続して摂取する食品を中心に、毎週20から30品目選んで行われておりまして、結果は東京都のホームページで公表されております。こうしたことから、区といたしましては、市場に流通している食品については、安全性が確保されているものと考えております。しかしながら、小さなお子さんの保護者の方々を中心に、すべての保育園、小・中学校での給食食材の検査を求める切実なご要望を多数いただいておりますので、その実施に向けまして、具体的に検討をしてまいります。また、今後も生産地や都の測定結果などを注視し、食の安全を見守りつつ、少しでも区民の食品への不安を解消するため、食品衛生の講習会や広報としま、ホームページなど、あらゆる機会をとらえ、放射性セシウムが付着した食品を取り除く調理方法など、放射性物質に関する情報提供に努めてまいります。  私からの答弁は以上でございます。   〔三田一則教育長登壇〕 ○教育長(三田一則) 引き続きまして、教育委員会の所管に属する事項に関するご質問にお答えいたします。自転車対策についてのご質問のうち、自転車安全教室の実施についてのご質問にお答えいたします。豊島区では、児童・生徒の交通事故の中で自転車事故が多く、昨年度は9件、今年度は既に10件発生しております。ご指摘のとおり、自転車事故の防止に向けては、自転車安全教室に多くの児童を参加させることが重要であると認識しております。しかしながら、自転車教室の実施は教育課程上の位置付けが難しいため、多くの学校ではPTA主催で自転車安全教室を実施しております。そのため、参加する児童数に偏りがあり、ルールやマナーの定着ができない現状でございます。セーフスクール認証取得を目指す朋有小学校では、今年度、PTAと学校が共催し、としま土曜公開授業を活用して、全児童が参加する自転車安全教室を実施いたしました。講習を修了した児童には、運転免許証が交付され、安全運転への自覚と責任を引き出し、保護者にも安全意識を高める有効な機会となりました。今後は、PTAと学校が共催という形で、としま土曜公開授業などを活用し、多くの児童が自転車安全教室に参加できるよう、各学校に働きかけてまいります。  以上をもちまして、高橋佳代子議員のご質問に対する答弁を終わります。 ───────────────────◇──────────────────── ○議長(里中郁男) 次に、26番議員より、「区民要望にそった来年度予算編成とするために」の発言がございます。   〔小林ひろみ議員登壇〕(拍手) ○26番(小林ひろみ) 私は、日本共産党豊島区議団を代表して、「区民要望にそった来年度予算編成とするために」と題し、一般質問を行います。第1に、来年度予算編成について、第2に、安心して介護が受けられるようにするために、第3に、池袋本町地区校舎一体型小中連携校についてです。  第1に、来年度予算編成についてです。3月11日に発生した東日本大震災、福島第一原発事故災害は、日本社会と国民に甚大な被害をもたらしました。今なお、先の見えない不安と苦しみの生活が続いています。とりわけ、福島原発事故はいまだ収束の見通しも立たず、放射能汚染は豊島区にも影響を及ぼしています。東日本大震災と原発事故は、これまでの政治のあり方を根本から問うものとなり、国民、住民の命と暮らしを守ることこそ、政治と行政の最大使命であることが示されました。一刻も早い被災地の復興と原発事故の収束、原発からの撤退、社会保障の充実や暮らしの安定が求められています。ところが、9月1日に発足した野田政権は、財界直結、自公との事実上の大連立、そして社会保障と税の一体改革の名による社会保障改悪と消費税大増税の道を突き進もうとしています。一体改革は、憲法25条のいう国や自治体の責任を放棄して、公的扶助を削減・縮小して国民の自助努力に置き換えることを打ち出しているのです。また、社会保障の重点化・効率化を強調し、機能の充実は給付の重点化と同時に行うという考え方が原則だとしています。そもそも憲法は、平和のうちに生存する権利と社会保障を重視しています。そして憲法は、税金は能力に応じて支払うもの、応益負担原則といいますが、としており、国税、地方税、目的税ともいえる社会保険料などは、すべて応能負担によって課すことになっているのです。その使い道も平和と社会保障のために使われることを前提にしています。今回の社会保障と税の一体改革は、憲法の視点が全く欠けています。国民が安心して生存できるためには、憲法の理念に合致する税財政の実現が重要なのであります。この立場から、豊島区来年度予算編成について見てみます。豊島区は、今、来年度予算編成の依命通達で、来年度は財政調整交付金も特別区民税収入も大きな増加は認めないなどとして、最新の収支見通しでは最大56億円程度の財源不足が生じると見込まれており、さらなる経費の大幅な圧縮や、各種基金取り崩しなどの財源対策の実施を迫られることは必至であると述べています。我が党は、2010年度決算については、やるべきことをやらずに、前倒しで借金返済を優先し、国や都の言いなりで補助金削減を容認し、財源確保してこなかったこと、区民の切実な要求に応えるものになっていなかったこと、不要不急の大型開発を進め区民にしわ寄せをしてきたことから、認定に反対をいたしました。こんな財政運営をしていたら、区民生活も豊島区財政も、明るい展望は見えてきません。そこで質問します。まず、来年度予算編成に当たっては、自治体の本旨である福祉の増進を第一に据え、区民の実情をよく見て、特養ホームや保育所の待機者をなくすなど、困っている区民の要望に応える施策を最優先に取り組むべきです。答弁ください。そして、必要な財源は区長自ら掛け合ってでも、国や都に求めてしっかり確保することが区長の責任です。不当な国や都の財源圧迫をはねのけるべきです。区長の見解をお聞かせください。  来年度予算編成について、必ずやるべきことについて、4点伺います。まずは保育園の待機児解消についてです。保育園の待機児童は増え続けています。保育指数が満点である20点でも入れない状況が出ています。これ自体、大問題なのです。保育園の待機児解消のため、区は第一次保育計画、第二次保育計画をつくってきましたが、待機児童は減るどころか毎年増え、今年4月は171名となりました。10月1日現在はゼロ、1、2歳児を中心に219名にもなっています。待機児童の解消がうまくいかないのは、現在の保育計画が認可保育園の増設には全く消極的で、唯一の認可保育園の新設も民間任せ、それもJR大塚駅ビルの中につくるというものだからです。さらに、緊急策も保育ママや認証保育所といった小手先の対策であり、これでは真の待機児解消はできません。我が党は以前から、根本的な解決である認可保育園の増設を求めてきました。第3回定例会で区長は、保育計画を見直し、速やかな待機児童解消を図っていきたいとしましたが、認可保育園をつくらずに一体どうやって待機児解消するのでしょうか。  認可保育園をつくるにはお金がかかりますが、豊島区の子どもたちを健やかに安全に育てる、子育て支援のためには、必要な税金を使うのは当然のことではありませんか。緊急策としては、未利用地の活用では、巣鴨第一保育園の前の土地を使って分園とすることが決まりましたが、これももっと早くやっておくべきだったのです。一人一人の保護者にとって、保育園に入れないことは切実な問題です。産休明けや育休明けに保育園に入れなければ、正規社員の仕事を失うこともあります。失業中の人にとっては働けない、生活の糧を得ることができないということです。また、1歳児も、5年もたてば小学校に入学してしまうのです。5年計画では遅過ぎますし、現在の保育計画、認証保育所なども含めた300人分の受け入れ枠の拡大では足りないのは明らかです。そこで質問します。現在も219人もの待機児童がいます。来年は、認可保育園の定員が40名程度増えると聞いていますが、まだ足りません。一体どうするつもりなのか、具体的な緊急策についてお答えください。区長は基本計画で待機児ゼロを掲げましたが、本気でゼロにするなら、認可保育園をつくるしかないのであります。国有地、都有地を含め、未利用地をさらに活用し、認可保育園増設を基本とした保育計画に抜本的に見直すべきです。答弁ください。  民主党政権は、地域主権改革を掲げ、待機児解消のためだと言って公的責任を投げ捨てる、子ども・子育て新システムを進めようとしています。これは待機児解消にも役立たないばかりでなく、長年、豊島区の保護者や保育関係者、区民の運動で積み上げてきた保育水準を低下させるものです。ところが政府は、来年の通常国会に法案を提出するつもりです。保育というのは子どもを育てることであって、単純に預かればよいというものではありません。豊島区の保育の質を下げ、待機児解消にもつながらない、子ども・子育て新システムに明確に反対すべきです。答弁ください。  必ずやるべきことの二つ目は、特別養護老人ホームについてです。現在、豊島区は、区内2カ所で特養ホームをつくることを検討しています。千川小学校跡地と、旧中央図書館用地です。千川小学校跡地には、特養、保育園、その他をつくるために、考える会で検討を進めています。ところが、来年度から始まる第5期介護保険事業計画案には、具体的な特養ホームの増設はありません。これでは、今後3年間、特養ホームができないということです。9月末現在、特養ホームの待機者は1,238名、区が緊急度が高いと認めたAランクは445名です。点数の付け方があり、要介護度4とか5でも、同居で介護をする人がいるとAランクになりません。寝たきりの妻を介護する高齢の夫は、自分がいるからAランクにはならないので、特養に入れないと嘆いています。タクシー運転手をしている息子が1日置きに介護している高齢者も、Aランクにはなりません。老老介護や家族介護の大変な状況に、打つ手がないのであります。困ったときに区に相談に行くと、ケアマネジャーや地域包括支援センターに相談するよう言われますが、結局、特養には入れないのです。施設の利用ができるかどうかはケアマネジャーの腕次第などという話がありますが、とんでもありません。施設自体が足りないのが問題なのです。  第3回定例会の我が党の質問に、区は、「まずは現在取り組んでいる200床を整備することが最大の課題と認識し、これが実現した後、改めてその後の整備方針について検討する」と答弁しています。そうこうするうちに、特養には入れないまま、多くの高齢者が困難な生活をしながら亡くなっていくのであります。特養建設は1年2年かかることを考えると、先を見越して具体的な土地を探していく必要があります。例えば南大塚の巣鴨母子寮跡地について、我が党は保育園の増設を求めてきましたが、特養ホームについても検討する必要があります。そこで質問します。現在、計画中の特養ホーム2カ所について、第5期介護保険事業計画に盛り込み、直ちに具体化すべきです。答弁ください。また、区は特養だけでなく、グループホームや小規模多機能を進めていくのだと言いますが、これまた思うようには増えていませんし、機能も違うのです。1,200人を超える待機者のうち、せめて、区が緊急度が高いと認めたAランクの人たちが入れるためには、特養ホームは最低でも400床は必要です。いかがかお答えください。そして、早期に土地を見つけて具体化を進めるべきです。答弁ください。さらに、特養ホームが足りないから必要な人たちが入れないのです。区は保険者として、区民に必要な介護サービスを提供する責務があります。特養ホームに入所できないで困っている方々に対し、区として親身になって相談に乗り、必要な施設を紹介するなど、具体的に援助することを求めます。いかがかお答えください。  必ずやるべきことの3番目に、がん検診の無料化について伺います。決算特別委員会で理事者は、来年度からすべての検診項目を無料にするために、予算計上する予定と答弁しました。無料化に向け大きく前進しました。まず、具体的にいくらの予算で行うのか、お聞かせください。また受診率向上のためには、無料化とともに身近な医療機関で受診できることが大事です。がん検診を身近な医療機関で受けられるようにすべきですが、いかがでしょうか。さらに現在、乳がんと子宮頸がん、前立腺がんの検診は2年に1度となっています。今年度は子宮頸がんは20歳以上で偶数年齢の区民、乳がんは40歳以上で偶数年齢の区民ということです。ある方から、せっかく検診を受けようと思ったが、来年までできないと聞いて受ける気がそがれたと言われました。これらのがん検診を毎年受けられるようにすべきですが、いかがでしょうか。答弁ください。  必ずやるべきことの4番目は、東日本大震災、福島原発事故による放射能対策です。我が党の要求で、放射能対策は地域防災計画の中に盛り込まれることになりました。保護者が心配している学校、保育園給食の食材については、豊島区は保育園9園、小学校9校、中学校3校を年内で測定しますが、我が党の、全園全校ですべきとの指摘に、実施状況を見て判断すると答弁しています。また、この間、我が党は、豊島区に対しきめ細かく放射能測定をするよう求めてきて、ようやく全小・中学校、全公園、全保育園での測定が行われるようになりました。しかし、各学校、公園の真ん中1カ所で測るやり方であり、マイクロスポットと言われる雨どい、側溝遊具周辺、落ち葉のたまった場所などでの測定はしていません。現在、我が党区議団は、公園などを中心に独自に測定を行っています。幸いにもまだ特別高線量のところはありませんが、やはり側溝や落ち葉のたまった場所で線量が高い傾向があります。11月16日に豊島区が行った放射能に関するセミナーで、講師の日本大学歯学部准教授の野口邦和氏も、これからは公園の真ん中ではなく、線量が高いと言われる場所を測定することが大切と話されたそうです。世田谷区では、原発由来ではないが、区道や民有地で高い線量が測定され、他の区でも年間累積被曝量が1ミリシーベルトを大きく超える地点が存在していることから、保護者や区民の不安は解消されていません。現在、23区ではいくつかの区が放射線量測定器の貸し出しを行っています。そこで質問します。まず、豊島区として、全小・中学校、児童館など、また保育園や幼稚園(私立も含む)など、子どもが利用する施設を中心に詳細に測定し、高線量ポイントの発見に努めるべきです。その際、年間累積線量が1ミリシーベルト以上の場所については、情報公開するとともに、即座に適切な除染措置をとることが必要と考えます。答弁ください。また、豊島区として放射線量測定器を購入し、区民への貸し出しをすべきですが、いかがでしょうか。さらには、給食の放射線量測定については、全小・中学校、保育園で行い、また一度きりではなく、回数も増やすべきです。その際、費用面や結果が早くわかることも考えれば、区で測定器を購入することを検討すべきです。改めて質問します。答弁ください。  第2に、安心して介護が受けられるようにするために、区がやるべきことについて質問します。今年6月に成立した改正介護保険法は、医療と介護の連携強化、介護人材の確保とサービスの質の向上、高齢者の住まいの整備等、認知症対策の推進、保険者機能の充実、保険料の上昇の緩和を謳っています。一見、よさそうに見えますが、高過ぎる利用者負担問題、要介護認定問題、支給限度額問題、不足している特養ホーム、介護労働者の処遇改善、さらには公費負担割合や国庫負担の引き上げといった、制度の根本的な問題解決には着手していません。
     まず、高過ぎる保険料の引き下げについて伺います。厚生労働省は昨年11月、第5期介護保険料の基準値が月額5,000円を超えそうだとして、様々なサービスの縮減を検討しました。今回、法律に盛り込まれた介護予防・日常生活支援総合事業は、特に軽度の利用者のサービス切り捨てにつながる内容です。今年10月31日、厚生労働省は、公費は5割の大枠は守りながらプラスアルファの公費を投入して、低所得者の保険料を軽減する制度を新設する意向を示したそうです。しかしながら、制度の抜本的な改善ではない上、軽減には厳しい条件がついて全額免除もしないなど、限定的な見直しにとどまっています。保険料がとめどなく上がるという制度の根本的な欠陥に対し、国の負担をせめて30%に増やすなど、国が財政負担をすると同時に、自治体も一般財源を使って保険料を下げなければなりません。豊島区の基準月額保険料は、現在、3,867円です。これが5,000円になったら1,200円もの大幅値上げとなります。多くの高齢者は、介護保険料を年金から天引きされるので、実際の生活費が減るということです。高齢者の置かれている状況は大変深刻です。年金は上がらないで下がる、住宅費は高い、国民健康保険料や後期高齢者医療保険料は上がり続け、さらには医療費の負担も増える、そんな状況にさらなる介護保険料の値上げは過酷過ぎます。高過ぎる保険料を払えない高齢者には、利用料負担が増えるというペナルティーが課せられます。  そこで質問します。まず、現在のところ、保険料はいくらになると見込んでいるのでしょうか。最大限、介護給付費準備基金や財政安定化基金を活用するのは当然のことであります。答弁ください。高過ぎる介護保険料に悲鳴が上がっています。国に対し、介護保険の国庫負担分を増やすことを強く求めるべきです。答弁ください。また、今こそ一般財源を使っての豊島区独自の保険料減免制度を実施すべきときです。答弁願います。  介護の質問の第2は、サービスの低下を許さないことについてです。民主党政権は、自公政権が国費でつくった介護労働者の賃上げのための交付金、介護職員の処遇改善交付金も廃止し、賃金維持の財源は保険料と利用料アップで国民に転嫁しようとしています。それでも財源が足りないと、利用者への不十分な給付をさらに削減する方向を打ち出す始末です。高額所得者なるものの介護保険サービスの利用料を2割に引き上げる、介護保険施設の相部屋の入所者の居住費の値上げなど、大幅な利用者負担増が検討されています。また、高齢者の在宅生活を支える生活援助について、基本的な提供時間を、現行の60分未満から45分未満へと25%も切り縮める動きも浮上しています。政府は時間短縮の根拠として、洗濯は平均16.6分などの調査を挙げていますが、16分で終わる洗濯機はないのです。机上の計算であります。生活援助の公費負担を増やさず、利用者や国民の負担増とサービス削減で賄うやり方は許せません。区は、第2回定例会で、我が党の質問に、「介護職員の処遇改善交付金は、24年度の特別区長会としての国への要望で取り上げている」と答弁しました。区長会でやっていると言っていたものの、結局政府は交付金を廃止する方向で進めているのであります。そこで質問します。処遇改善交付金については、区長の責任であらゆる手立てをとり、存続させるべきです。答弁ください。生活援護のヘルパーの基本的な提供時間の短縮は、高齢者へのケアがますます難しくなると同時に、ヘルパーの働きがいを奪い、離職を加速させることにもつながります。このようなサービス低下に明確に反対を表明すべきですが、いかがでしょうか。  介護の質問の第3は、第5期介護保険事業計画についてです。現在、豊島区では第5期介護保険事業計画の策定にとりかかっています。介護保険事業計画推進会議で検討された内容が、11月14日の保健福祉審議会に素案として出されました。内容を見ますと、介護予防サービスについての今後の見込み量や地域密着型サービスの見込み量が入っていません。特養ホームの利用者見込みは、現在の暫定値ということですが、増えていないし、具体的な特養数も入っていません。そして、多くの区民に関係のある介護保険料の金額が出ていないのであります。今後の予定では、12月に介護保険事業計画推進会議で計画素案を検討し、その後、地域保健福祉計画についてパブリックコメントを行うことになっています。ただでさえパブリックコメントは寄せられる意見が少なく、また、いくら意見を言っても区の考え方は変わらない制度で大問題なのですが、今回のように、区民にとって一番関係がある介護保険料や特養ホームなど、具体的な内容のない計画について、意見を求められても意見の言いようがありません。保険料が決まらないのは厚生労働省が介護報酬などの数字を出すのが遅いからというのが区の主張です。しかし、暫定の保険料を出している区もあるではありませんか。区民にとって第5期介護保険事業計画がどうなるかは大きな問題です。特に、大幅値上げとなる介護保険料について、区民の意見を聞かないで決めてしまうやり方は許せません。そこで質問します。第5期介護保険事業計画策定に当たっては、区民の意見を幅広く聞き、利用者や介護保険事業者などの実態に合わせ、よりよい介護ができるように改善していかなければなりません。まず、介護保険料の見込みを出し、また、必要なサービスを盛り込んだ介護保険事業計画案を区民に説明した後、パブリックコメントにかけるのが筋ではないでしょうか。スケジュールを見直すべきですが、いかがか答弁ください。  介護に関する最後の質問は、地域包括支援センターについてです。Aさん50代の男性は、正規社員で働きながら、高齢の両親と同居しています。家事全般をやっていた母親が手を骨折、入院してしまいました。80代の父親は家事などしたことがなく、外出もほとんどしない。Aさんも平日は朝早くから夜遅くまで働きくたくたで、たまの休みは疲れきって寝ています。食事はパンやインスタント食品を買ってきて父親に食べさせていました。Aさんは高齢者総合相談センター、つまり地域包括支援センターに行きましたが、同居の家族がいるなら家事援助はできないと言われてしまい、事情も聞いてもらえず、父親の要介護認定の申請もせずに帰ってきてしまいました。知人から紹介されたケアマネジャーに相談、同居の家族がいても事情によって家事援助を受けられることを知り、改めて介護認定を申請し、要支援1となりました。我が党は、同居者のいる場合の生活支援について、何度も繰り返し質問しておりますが、なかなか改善されません。私も昨年の第4回定例会で質問したところであります。介護事業者、ケアマネジャー、地域包括支援センターが同じ認識に立つように、豊島区が責任を持って指導しなければなりません。また、改正介護保険法の下での地域包括支援センターの役割は、ますます大きくなっていきます。現在、各地域包括支援センター1カ所当たりの高齢者人口は、少ないところは5,087名、多いところは7,623名、職員数は7名から9名の体制です。豊島区は、2011年にアウトリーチのため、補助金を増やすなどしましたが、職員の数は2006年と比べて平均で1.62倍にしかなっていません。新宿区では2010年度から地域包括支援センターの職員を倍増しています。豊島区でも日中独居の高齢者を含め、アウトリーチ事業は引き続き、本当にきめ細やかな対応が必要となり、そのためには人手が必要です。また、調査に協力いただいた民生委員さんからは、地域包括支援センターと協力するといっても、豊島区は12地区になっているのに地域包括支援センターは違うのでやりにくいなどという声も出ています。新宿区では考え方として、出張所管轄区域ごとに地域包括支援センターを設置しています。今年、第1回定例会での我が党の質問に、区は、「各センターごとの高齢者人口のバランスや地域特性、またこれらを勘案した区内におけるセンターの必要数などの問題も視野に入れ、基幹的な役割を担う組織のあり方について、引き続き検討してまいりたい」と答弁しています。そこで質問します。改めて、地域包括支援センターごとの対応がばらばらにならないためにも、センターを支える基幹的なセンターを区の直営で設置すべきです。答弁ください。そして、相談を受ける地域包括支援センターで、区として明確に同居者がいる場合の家事援助については、家族の状況を確認した上で、活用できる場合があることを明言し、相談者に対して親身に対応していただきたい。答弁をお願いします。また、どう考えても、今のままでは地域包括支援センターは足りません。もっと増やしていくべきです。いかがでしょうか。  第3に、池袋本町地区校舎一体型小中連携校について伺います。豊島区は2008年7月、豊島区立小・中学校の適正化第二次計画及び豊島区立小・中学校改築計画を発表しました。その中では、池袋本町地区の小・中学校について、まず池袋第二小学校と文成小学校を統廃合し、あいた池袋第二小学校の跡地と防災ひろばの土地に池袋中学校の校舎を建て、その後。池袋中学校跡地に新小学校の校舎を建てる計画でした。ところが、昨年11月、区は新小学校と中学校を一体で建てる計画変更を決定しました。池袋本町地区校舎一体型小中連携校と言っています。これにより、小中連携による中一ギャップの解消、小中一貫教育連携プログラム実践の場、土地の有効活用、新校舎の仮校舎期間の短縮、建設費の削減などができるといいます。我が党は、学校統廃合については、通学距離が伸びる、学区域が広くなり地域の目が届きにくくなる、教職員の数が減り、子どもにきめ細やかな指導ができなくなる、ただでさえ校庭面積が狭いのにさらに詰め込みになる、などのことから反対をしてきました。それとあわせて、今回の池袋本町地区校舎一体型小中連携校は大きな問題があります。  今年6月の地域説明会では、「池袋中学校は校舎の前に校庭がないので、教職員の目が届きにくい」とか、「池袋第一小学校は校舎一体型の学校とは別の独立した小学校、連携は大丈夫か」などの意見が出ています。また、7月にかみいけ・いけほんつながり隊地域文教部会が行った建設に関するアンケートの中では、「小・中学校の校舎を一体にする利点がわからない」「池袋第一小学校の生徒数が減少しないか、統合小学校の生徒との間に溝ができないか、小学校と中学校は別々に運営されるべきと考える」「小学校の校庭が今より狭くなるのはおかしい、学びの場として中学校へのステップアップが必要だ」などの意見が出されています。また、小学校の統廃合について、仮校舎が狭いことや通学距離が長くなることについて心配する声も寄せられています。今回の池袋本町地区校舎一体型連携校について、教育委員会は、ここだけ小中連携校になるのではない、全域でやるのだと言う一方で、議論の中ではせっかく一体校舎になるのだから、豊島区の進める連携プログラムを引っ張っていくような学校にしようといっている、教育委員会としてリーダー的な学校になってもらいたいとしています。公教育、特に義務教育は、そこに住むすべての子どものために、どの子も等しい教育を受ける権利があるという立場に立って、行政はその条件整備に全力を尽くすべきです。ところが、豊島区では、隣接校選択制を実施しています。人気のある伝統校や、校舎を新築した学校などに子どもが集中していることは、教育委員会も課題であると認識しています。ただでさえ新校舎になれば子どもが集中する傾向がありますが、その上、教育委員会も力を入れた特別な学校、今、問題になっている中一ギャップを解消するという学校なら、希望者が増えることは当然予想されるではありませんか。  また、多くの人が心配しているのは、途中から入ってくる形になる池袋第一小学校の子どもたちのことです。一体どのようにしてこの心配をなくしていくのでしょうか。一体、豊島区が検討している小中一貫教育連携プログラムとは、どのような内容なのでしょうか。小学校と中学校が連携をとって教育を進めるのは当然のことですが、いわゆる小中一貫教育となると問題があります。この間、品川区で行われている一貫教育では、6、3制度ではなく、4、3、2制度をとっており、結局中学校の内容を前倒しで教え、競争をあおり、また小学校5、6年生が最高学年として成長するための生活指導が貧相になっていく、などの問題が出ています。品川のある校舎一体型小中一貫校では、私立の中学校へ行く子どもの数が増えているというデータもあります。小中一貫校を進めようという人もいますが、本当に子どものためになっているのか、疑問があります。そこで質問します。教育委員会は、教育ビジョン2010の中に位置付けられている、小中の一貫教育連携プログラム作成について、池袋中学校区を実践の場としていきたいとしています。しかし、豊島区の他の中学校区では、一体型校舎は物理的に難しいと思われます。池袋本町の一体型の校舎の実践をどうやって他の中学校区で生かすというのでしょうか。答弁ください。また、今回の校舎一体型では、池袋第一小が途中から入ってくる形になってしまいます。ここに対する問題をどう解決するつもりなのか、答弁ください。  今回の池袋本町地区校舎一体型小中連携校については、地域の問題であるとともに、豊島区全体の教育に関わる問題だと思います。しかし、このような計画が進んでいることは知られていません。そして、このような学校は、外から見れば区内でも特別の学校、エリート校としか見えません。このような校舎一体型小中連携校が地域の子どもたちにとって本当にいいものになるのか、甚だ疑問です。今、進められている校舎一体型小中連携校は、拙速に進めず、見直すことを求めます。答弁ください。  以上で、質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。(拍手)   〔高野之夫区長登壇〕 ○区長(高野之夫) ただいまの小林ひろみ議員のご質問に対しましてお答え申し上げます。  来年度予算の編成についてのご質問のうち、まず、区民要望に応える施策についてのご質問にお答えいたします。ご指摘の特別養護老人ホームの整備や、待機児対策については、現在、喫緊の課題として取り組んでおりますし、区民の実情を十分に把握して要望にお応えすることは、区長として当然の務めであると考えております。今後も、真に区民の皆さんのための財政運営を行う視点から、将来の区民の皆さんへツケを残さないよう、十分にバランスを考えながら、目前の区民需要に、精一杯お応えしてまいります。  次に、財源確保についてのご質問にお答えいたします。これまでも私は、必要な財源を確保するために、国や都に対する多くの要望や意見表明を積極的に行ってまいりました。それは、区長会や全国市長会を通じて、毎年なされる施策の要望への意見提出にとどまらず、あらゆる機会をとらえて様々な形で行ってきております。前回定例会において、生活保護行政への提言の成果の例を挙げられておりましたが、ほかにも23区で唯一、二つもの新税の同意を国から取り付けて、現在で狭小住戸集合住宅税の収入による財源確保、放置自転車対策に対する民間鉄道会社の大きな協力を引き出した実績など、国や都に対する毅然とした取り組みで財源確保に努めてまいったわけでございます。これからもしっかりと主張してまいりますが、何もかも都や国に依存しようとする陳情行政の姿勢ではなく、何より豊島区の財政自主権を拡大し、自律的な運営を強化することが、区民を守るための財政運営に最も大切な姿勢であると考えております。  次に、保育園の待機児解消についてのご質問のうち、まず、具体的な緊急策についてのご質問にお答えいたします。待機児解消を目的として、300人の受け入れ枠の拡大を内容とする現在の保育計画は、認可保育所の新設や、改築・改修と、認証保育所の誘致の2本柱で構成しております。このうち認可保育所の改築・改修等による受け入れ枠の拡大には一定の時間がかかることから、短期間で整備が可能なもう一方の認証保育所の誘致をまず進めて、受け入れ枠の拡大を図るとともに、また、300人枠外の施策として、臨時保育所、保育ママ等の施策を実施し、待機児の解消に努めているところでございます。平成22年度版保育計画は、現在、計画期間の2年目でありますが、これまでの実績は、保育計画に掲げる事業で122人、計画外事業で64人、合計186人の受け入れ枠の拡大を図り待機児解消につなげてまいりました。以上のような実績でありますけれども、平成24年度では認可保育所で約40人の拡大を図るほか、様々な方法で、約140人程度の枠拡大を図るべく、現在調整をしているところでございます。年度末で、さらに受け入れ枠の拡大を図るべく努力してまいります。  次に、保育計画の見直しについてのご質問にお答えいたします。保育計画の見直しについては、現在、そしてこれから先の待機児数の見込みなどを視野に、今定例会中には新計画の報告ができるよう、現在、最終的な調整を行っているところでございますが、新計画での枠はおおむね440人程度にしたいと考えております。しかし、認可保育所の増設を基本とした抜本的な見直しは、中長期的な本区での人口や、保育需要の動向をなどを考えますと、現時点では取り組む必要はないものと考えております。したがいまして、国や都有地の活用も考えられません。  次に、子ども・子育て新システムについてのご質問にお答えいたします。新システムについては、昨年6月に基本制度案要項が示され、今年7月に中間取りまとめが行われ、現在、次期通常国会への法案提出の準備が進められているところでございます。新システムは、子ども・子育てを社会全体で支える仕組みに抜本的に見直すという視点から検討が進められており、子ども・子育て支援の第一義的な責任を持つ地方自治体の立場からも、大きな関心を持って見ているところでございます。ただ、保育システムの利用に関する利用者と、事業者との間の公的契約における市町村の関与の仕方や、総合施設に関する認可基準と地方公共団体の裁量の範囲、また、子ども・子育て支援事業における地方公共団体の裁量の範囲など、まだ検討課題も多く、何よりもシステム全体を支える財源のあり方や、国、都道府県、市町村及び事業主の負担のあり方がまだ固まっておらず、システムの事業主体となる事業者ばかりでなく、実施主体と位置付けられている区市町村の立場からも、大きな懸念材料となっております。したがいまして、システムに対する評価はまだ難しく、システム全体に関する今後の検討内容を注視しつつ判断してまいりたいと考えております。いずれにいたしましても、単純に賛成、反対ということではなく、十分な議論と検討の上で、よりよいシステムにしていくことが重要であると考えております。  次に、特別養護老人ホームについてのご質問のうち、まず、介護保険事業計画における具体化についてのご質問にお答えいたします。高齢者が可能な限り住み慣れた地域で自立した日常生活が営めるよう取り組むとともに、重度の要介護者を支えるケアを実現するために、特別養護老人ホーム、介護専用型有料老人ホーム等の整備を促進する必要があることは、改めて申し上げるまでもございません。こうした認識については、第5期の介護保険計画の素案の中でも記載しております。ご質問に際し、保健福祉審議会の資料として提出いたしました、第5期介護保険事業計画素案につきましては、来月12月2日の介護保険事業計画推進会議におきまして、検討していただく前の調整中の段階のものであり、目標数などは調整中の部分も多くあるわけです。特養ホームについては、2015年を目途とした基本計画の中で、200床の増床を図ることとしており、本来なら、そうした具体的な記載をすることが望ましいと考えておりますが、現在、2カ所の候補地につきまして、地域との調整を図っておりますことから、素案には目標値を記載しなかったところでございます。推進会議を経てパブリックコメントに向けまして、基本計画での目標値を介護保険事業計画の中でも示してまいりたいと思います。  次に、増床についてのご質問にお答えいたします。400床は必要とのご指摘ですが、前回の定例会での一般質問の際にもご答弁申し上げたとおり、特養ホームについては、まずは現在取り組んでおります200床を整備することが最大の課題と認識しており、それに向けて全力を傾注しているところでございます。これが実現した後、在宅サービス等の状況も勘案し、改めてその後の整備方針について検討してまいります。  次に、入居できない方への援助についてのご質問にお答えいたします。現在においても、在宅サービスが多様化している中で、特養ホームが選択肢の一つとして大きな意義を有していることに変わりありませんが、各地域包括支援センターを中心とする相談あるいはケアプランの作成の際には、個別のご事情にもよく耳を傾け、具体的に援助しておりますことから、今後もより満足度の高い相談や援助に向けて、介護事業者等とも力を合わせてまいりたいと思います。  次に、がん検診の無料化についてのご質問のうち、まず、具体的にいくらの予算で行うかについてのご質問にお答えいたします。さきの決算特別委員会での区側の理事者がお答えいたしましたが、24年度からはすべてのがん検診無料化を実施するため、新年度予算を調整中でございます。受診者数の増減により、無料化に要する経費は変動いたしますが、現在、有料となっている肺がん、乳がん、前立腺がん検診の無料化に要する経費は、24年度で約2,000万円程度と想定いたしております。  次に、がん検診を身近な医療機関で受けられるようにすべきことについてのご質問にお答えいたします。ご指摘のように、がん検診受診率の向上には、受診しやすい環境整備が大変重要でございます。既に大腸がん、前立腺がん、子宮頸がん及び乳がん検診の触診については、区内の指定医療機関で受診が可能でございます。しかしながら、胃がん、肺がん及び乳がんマンモグラフィー検査については、高度な検診機器が必要でありまして、現在は豊島健康診査センターで実施しております。また、これらのがん検診は一定以上の検診精度を確保するために、専門医師のクロスチェックによる読影体制が必要であり、当面は現状の受診方法を変更することは困難であると考えております。  次に、子宮頸がん、乳がんなどのがん検診を毎年受診できるようにすべきとのご質問にお答えいたします。ご指摘のように、子宮頸がんや乳がん検診がなぜ毎年受診できないのか、また、今年受診したかったのになぜ来年にならないと受診できないのかといったご意見は、担当課にも多数寄せられております。しかしながら、多額の税を投入して実施するがん検診につきましては、死亡率の減少効果が科学的に実証されている検診方法に基づき、国が検診の指針を定めております。区が実施するがん検診の種類や実施間隔、対象年齢につきましても、こうした科学的根拠に基づく国の指針どおりの実施が重要ではないかと考えております。また、子宮頸がん、乳がん検診には23年度予算ベースで約1億6,000万円の経費を要しており、こうした経費を2倍に増額することは、現下の厳しい財政状況では極めて困難でございます。したがいまして当面は、子宮頸がん、乳がん検診につきましては、国の指針どおりの偶数年実施を行ってまいりたいと思います。  私からの答弁は以上ですが、その他の質問につきましては関係部長から、教育委員会の所管に属する事項につきましては、教育長から答弁申し上げます。   〔齋藤賢司総務部長登壇〕 ○総務部長(齋藤賢司) 放射能対策についてのご質問のうち、まず、詳細な測定と除染措置についてのご質問にお答えいたします。これまで、学校や保育園など、子どもを対象とする89カ所の施設や、区内の全公園158カ所で、各施設の砂場等での測定も含め、区内全域に及ぶ空間放射線量の測定を行ってまいりました。その結果は、いずれも年間累積被曝量1ミリシーベルトを超えると考えられる測定の値は検出されませんでした。このような状況から、本区においては一定の広さ、規模を有し、特定のエリアで高い放射線量が測定されるといった、いわゆるホットスポットは存在しないことが結論付けられると考えております。今後は、保護者の皆さんから、強いご要望をいただいておりますので、改めて学校や保育園等の各施設において、側溝などの雨水が集中する場所などでの空間放射線量の測定について実施できるよう、検討してまいります。なお、測定を実施する場合には、当然のことながら、これまでどおり測定結果につきまして、ホームページや安全・安心メールなどで随時公表してまいります。また、高い放射線量が検出された場合には、必要な対策を講じてまいります。  次に、測定器の区民への貸し出しについてのご質問にお答えいたします。空間放射線量の測定器につきましては、機器への一定の習熟や専門的な知識が必要であると考えております。また、測定の結果やその影響の大きさから、区におきましては、専門的な知見を有する職員が対応しているところでございます。したがいまして、区民の皆さんへの放射線測定器の貸し出しにつきましては、区内の測定の結果、また、区のこれまでの取り組みなどから、区民の方による計測の必要性は低いのではないかという点も考慮いたしますと、実施は困難であると考えております。  次に、給食食材の放射線量測定についてのご質問にお答えいたします。市場に流通している食品につきましては、厚生労働省による出荷制限等の規制があるため、基本的には安全が確保されているとの認識に変わりはございません。しかしながら、現在実施している給食食材の放射性物質の測定につきましては、小さなお子様の保護者の方々を中心に、すべての小・中学校、保育園に拡大して実施してほしいという強いご要望をいただいておりますので、その実施に向けまして、具体的に検討してまいります。なお、各施設での測定を複数回実施すべきとのご提案につきましては、生産地における検査の実施などから、市場に流通している食品は安全が確保されているとの基本的な認識の下、現時点では実施する必要はないと考えております。また、給食食材の放射線検査機器の購入につきましては、食品の放射能測定器は極めて高価格でございまして、機器の習熟なども必要となりますため、給食食材を直営で検査する体制を整備することは、極めて困難であると考えております。  私からの答弁は以上でございます。   〔大門一幸保健福祉部長登壇〕 ○保健福祉部長(大門一幸) 次に、安心して介護を受けられるようにするためについてのご質問のうち、まず、介護保険料についてのご質問にお答えいたします。保険料の見込みについてでございますが、介護保険の月額の基準保険料は、3年間の必要なサービスの給付の見込み額を1号被保険者の延べ人数で割った数値が基本となりますが、さらに1号被保険者の負担割合、地域加算などを加えた介護報酬額、介護給付費準備基金の取り崩しなどを加味するほか、負担の公平性や、低所得者に配慮した所得段階別の保険料設定などの政策判断を加えて設定することになります。こうした中、第5期の保険料につきましては、近年の給付費の高い伸び率や、1号被保険者の負担割合が20%から21%になったこと、また介護職員の処遇改善による約2%増や、地域加算が15%から18%に設定されたことなどから、財政安定化基金の区への交付金を活用するとともに、現在ある約5億円の準備基金を全額投入しても、5,000円を上回る金額を設定せざるを得ない状況にあります。しかしながら、現時点においては、国から介護報酬額の具体的な数値が示されてないことや、国の財政安定化基金の取り扱いが示されていないため、保険料の見込みについてはお示しできない現状にありますことをご理解いただきたいと存じます。  次に、国庫負担分の増加要望についてのご質問にお答えいたします。高齢化の進行に伴い、給付費が増加する中、介護保険料の上昇を抑制するためには、区といたしましても、国庫負担の割合を引き上げる必要があると認識いたしております。これまでも調整交付金相当分についての別枠化による国庫負担の増について、毎年のように要望しており、いまだ実現に至っておりませんが、今後とも全国市長会等を通じ、粘り強く要望してまいります。  次に、区独自の保険料減免制度についてのご質問にお答えいたします。介護保険制度では、介護保険料の全額免除、収入のみに着目した一律の減免、保険料減免分に対する一般財源の繰り入れといった方法で1号被保険者への減免を行うことは適当ではないとする3原則がございますので、一般財源を投入しての区独自の減免制度を創設する考えはございません。  次に、介護サービスについてのご質問のうち、まず介護職員の処遇改善交付金についてのご質問にお答えいたします。介護従事者処遇改善臨時特例交付金は、平成21年度の介護従事者の処遇改善のための介護報酬改定に伴い、平成21年度から23年度までの3カ年における介護保険料の上昇分を抑制するために交付されたものでございます。本区におきましては、ご質問にもありますとおり、平成24年度に向けて、国に対し、同交付金の継続等について要望してまいりました。介護従事者の処遇改善につきましては、介護保険制度の根幹に関わる全国的な課題であり、区が単独で対応すべきものとは認識してございませんので、国の動向等を見ながら、引き続き特別区長会等を通じて要望してまいりたいと考えております。  次に、ヘルパーのサービス提供時間についてのご質問にお答えいたします。生活援助の見直しにつきましては、現在まで厚生労働省で様々な調査・分析を行っております。見直しに当たりましては、利用者のニーズに対応して、効率的にサービスを提供することにより、利用者の利便性や負担に配慮するとともに、事業者においてはより多くの利用者へのサービスの提供を可能にする観点から、実態に即した見直しが行われていると聞き及んでおります。しかしながら、まだ検討の段階であり、国からは明確な方針が示されておりますませんので、この問題につきましては、今後の推移を見ながら対応してまいりたいと考えております。  次に、パブリックコメントの実施に当たってのスケジュールの見直しについてのご質問にお答えいたします。第5期介護保険事業計画につきましては、各年度における介護給付費等対象サービスの種類ごとの見込み量など、法の定める掲載事項を盛り込み、地域保健福祉計画の分野別計画としてパブリックコメントを行うものでございます。先程、特養ホームについてのご質問に対する区長答弁にもございましたように、今月14日開催の保健福祉審議会の段階では、見込み量等の数値を記載できませんでしたが、来月2日開催予定の介護保険事業計画推進会議での審議を経て、パブリックコメントを行う時点では、可能な限りの数値を掲載する予定でございます。これらを基に、計画期間に当たる3カ年の事業費の見込み額と、その背景にあるサービスの見込みをお示しし、保健福祉の総合計画である地域保健福祉計画と合わせ、介護保険制度のあり方も含めて、利用者並びに区民のご意見をいただきたいと考えております。なお、介護保険料につきましては、法で定める事項でないことも踏まえ、第4期までの介護保険事業計画と同様に、今回の改定においても、計画本体には保険料額を直接掲載することはいたしません。これは、先程もご答弁申し上げましたとおり、介護報酬額の具体的な数値等が示されていない中、本区においては不確定な段階で他区が行っているような暫定的な見込み額を公表することについては、かえって区民の皆様に混乱をもたらしかねないと考えるためでございます。しかしながら、確かに事業との密接な関連がございますので、今後、条例改正並びに介護保険事業会計の予算案のプロセスの中で、保険料額が算定できましたら、様々な機会を通じて区民の皆様にもお知らせする予定でございます。こうしたことから、介護保険事業計画を含む地域保健福祉計画に関するパブリックコメントにつきましては、可能な限り詳細な内容を掲載するとともに、計画どおり進めてまいります。  次に、地域包括支援センターについてのご質問のうち、まず、基幹的なセンターを区の直営で設置することについてのご質問にお答えいたします。ご案内のとおり、本区におきましては、平成18年に地域包括支援センターを設置以来、地域の高齢者のトータルケアを担う最前線のセクションとして、相談、権利擁護、ケアマネジャー支援など、多岐にわたる高齢者支援の業務を行ってまいりました。加えて、今年度からはアウトリーチ事業の本格実施に伴い、センターへの期待がさらに高まっております。区は、平成20年に全センターを委託化した際に、各センターとの情報共有や、指導・助言、機能の維持・向上を目的として、基幹的な役割を担う地域包括サポート係を設置いたしました。各センターには、今後の高齢者人口の増加とそれに伴う多様な対応やサービスの充実が求められることから、統括機能のさらなる強化と、より一層のセンター支援を図っていくことが重要と考えております。こうした観点から、基幹的な役割を担う組織のあり方や、現場感覚を持ち続け、広い視野で適切な指導・監督を行える人材育成を図るための方策につきまして、今後、前向きに検討してまいりたいと考えております。  次に、相談者への対応についてのご質問にお答えいたします。同居家族等がいる場合の生活援助については、厚生労働省の通知により、適切なケアプランに基づき、個々の利用者の状況に応じて具体的に判断されるべきものであるとされておりますので、地域包括支援センター等に対して、改めてこの内容の周知徹底を図るとともに、相談者の立場に立った対応について指導してまいります。  次に、センターの増設についてのご質問にお答えいたします。高齢化の進展に伴い、センター設置時に比較して、高齢者数はおよそ1.1倍に、相談件数は2倍となっており、センター圏域ごとの人数や件数については、その差異が大きくなっていることはご指摘のとおりであります。現在進めております地域保健福祉計画の改定作業の中でも、本区における必要なセンター数や圏域の設定、各センターの職員数などを検討項目としておりますが、特に圏域が広く、高齢化率も比較的高い西部地域におけるセンター設置の必要性は、区としても対処すべき重要な課題として認識いたしております。いずれにいたしましても、この問題につきましては、今後の各圏域の高齢者数と要介護の出現率との関連や業務量の推移、さらには現在実施中のアウトリーチ事業の内容も十分勘案しながら、前向きに検討してまいりたいと考えております。  私からの答弁は以上でございます。   〔三田一則教育長登壇〕 ○教育長(三田一則) 引き続きまして、教育委員会の所管に属する事項に関するご質問にお答えいたします。池袋本町地区校舎一体型小中連携校についてのご質問のうち、まず、他の中学校区での実践活用についてのご質問にお答えいたします。本区が目指しております小中一貫教育連携プログラムは、区内の小・中学校を八つのブロックに分け、すべての学校が各地域の特色を生かしながら実践していくことをねらいとしており、一部の学校区において推進するものではございません。池袋中学校連携ブロックでは、近隣の池袋第一小学校、池袋第二小学校、文成小学校の、1中学校、3小学校、計4校により構成されております。このブロックでは、池袋第二小学校と文成小学校の統合新校と池袋中学校とが併設された校舎の建設が予定されており、こうした環境の持つスケールメリットを生かしながら、池袋第一小学校も含めた教育連携を推進していく予定でございます。今後、池袋中学校連携ブロックを含め、各ブロックで得られた成果を共有できるよう、情報交換の機会やリーフレットの作成なども予定しており、小中一貫教育連携プログラムへの理解が広がり、深まるよう、見える・わかる・できる化してまいります。  次に、池袋第一小学校からの進学者についてのご質問にお答えいたします。池袋本町地区に建設予定の校舎は、現行の学習指導要領に則り、同じ敷地内に小学校と中学校の校舎を併設するものであります。本区においては、現行の6・3制は堅持し、9年間の学びと育ちの連続性を視野に入れた小中一貫教育連携プログラムの推進を目指しており、品川区などが取り組んでいる教育特区に基づく独自のカリキュラムや教員配置をする小中一貫校とは異なるものでございます。したがいまして、池袋中学校連携ブロックの小学生は各小学校を卒業し、同じ条件で池袋中学校へ同時に進学するものでございます。  次に、連携校の見直しについてのご質問にお答えいたします。校舎一体型の小中連携校につきましては、小中の学びの連続性を柱の一つとする国の教育振興基本計画作成方針に基づく、豊島区教育ビジョン2010の重点施策として計画したものでございます。9年間の学びと育ちの連続性を重視し、小・中学校の連携・交流を図ることにより、児童・生徒の学力や体力の向上と、豊かな人間性の育成を目的としており、21世紀の教育課題に対応した先進的な施策であると考えております。今後とも、保護者や地域の皆様からご意見をいただきながら、次代を担う教育の拠点、地域コミュニティや高い防災機能を備えた拠点として、池袋本町地区校舎一体型小中連携校の改築を進めてまいります。この計画につきましては、見直しを決定してから、これまで保護者や地域の皆様に丁寧に説明し、多くの方々から賛同をいただいております。したがいまして、計画の見直しは考えておりませんが、今後とも様々なご意見に、誠意をもって対応してまいります。  以上をもちまして、小林ひろみ議員の質問に対する答弁を終わります。   〔小林ひろみ議員登壇〕 ○26番(小林ひろみ) 1点だけ、再質問させていただきます。  介護保険料については、いろんな事情があるので、年末までのパブリックコメントにはかけないで、来年決まった後に、様々な方法で知らせていくというのですが、では一体、具体的にどうやってやるのかということについて、お伺いします。なぜなら、やはり今、多くの区民が、さっき聞いたように、介護保険料が5,000円ぐらいになるだろうということについて、大変不安を持っているのです。だけれども、そういうことについて、結局来年になって、議会に全部条例が提案されました、で、なってしまったら、もう、区民が意見を言う場がないわけです。はっきり言えば、では1月の段階で全部、介護保険料について皆さんにお知らせをして、例えば議会で条例がかかる、その前にはちゃんとお知らせできるのかどうか、そういう点について大変疑問があって、この間の経過で言えば、介護保険料の改正については、もう議会の途中で条例を提案したり、最終日に提案をしたり、そういうことでやっているわけですから、そういうところも含めて、改めて伺いたいと思います。  それから、もう1点。そういうことについても、今回、パブリックコメントをやるなら、その前にまず説明会を開いて、こういう案ですがどうですかということを区民に知らせて、そこで質疑を受けて、そして改めてパブリックコメントを私はやるべきだと思っているのです。そうでなければ、あの案についての具体的な質問ということが、やはり明らかにされない中で、意見がなかなか言えないと思うんです。  この2点について伺いたいと思います。よろしくお願いします。   〔大門一幸保健福祉部長登壇〕 ○保健福祉部長(大門一幸) ただいまの小林ひろみ議員の再質問に対して、回答いたします。まず、保険料につきましては、これは先程答弁申し上げましたとおり、この暫定の保険料自体が、必要な情報を基に、それに政策判断を非常に加えなければ実際に出てこないというスキームになってございます。これは極めてやはり慎重に対応しなければならない問題でございまして、暫定でどの程度の幅で、ある程度の額を出すということになりますと、それが実際の、正式な保険料と乖離が生じてまいりますと、まさに区民への混乱、それから多大な不安や迷惑をおかけするということがございますので、公表している区もございますけれども、本区においては慎重に対応してまいりたいと考えております。一方、国からの情報が非常に遅れていまして、その情報を基に保険料を算出するとなると、やはり条例提案ぎりぎりになるのではないかと。いわゆる手続き的に、来年の第1回定例会の上程の時期ぎりぎりになるのではないかと思っていまして、したがって、その前の段階で区民にお知らせするというのは、なかなか難しいのかなと考えてございます。いずれにしても、算定し次第、これは実際にホームページで公表するほか、もっと区民に直接ご説明できる場所として、区民ひろばとかそういったところを活用し、あるいは出前講座等をやって、丁寧に説明をしていきたいなと考えてございます。  また、パブリックコメントにつきましては、これはご案内のとおり、12月15日から来年の中旬にかけてやります。これも、本当にぎりぎりの段階で今、調整をしておりまして、これをパブリックコメントにかけて、その意見を集約して2月に整理をし、そして3月に答申というスケジュールの中で、ぎりぎりの中でやっておりますので、いずれにいたしましても、区民への情報提供はその間に、できる範囲でやっていきたいと考えてございます。  以上でございます。 ───────────────────◇──────────────────── ○議長(里中郁男) この際、申し上げます。  本日の会議は、議事の都合により、あらかじめこれを延長いたします。 ───────────────────◇──────────────────── ○議長(里中郁男) 議事の都合により、暫時休憩いたします。   午後4時43分休憩 ───────────────────◇────────────────────   午後5時7分再開 ○副議長(島村高彦) 休憩前に引き続き会議を開きます。  議長の都合により副議長の私が議長職を務めますので、よろしくお願いいたします。 ───────────────────◇──────────────────── ○副議長(島村高彦) 一般質問を続けます。  次に、28番議員より、「人々が活き活きと暮らせる豊島区のために」の発言がございます。   〔山口菊子議員登壇〕(拍手) ○28番(山口菊子) 自治みらい豊島区議団を代表し、社民党の山口菊子が一般質問をさせていただきます。  早いもので、2011年が間もなく終わろうとしています。私は、4月に6期目の当選をさせていただきました。初一念というのが私の心するところですが、議員という立場に慣れることなく、今期も精一杯活動したいと考えております。  今年3月11日、議会では予算特別委員会が開催されていましたが、私は竹岡健康学園の修了式に出席しているときに、東日本大震災が起こりました。区民センターが長く強く揺れ続けていたことを、私は忘れることができません。自然に対する恐れといったものを、お互いに感じたのではないでしょうか。明治大学の総長であった岡野加穂留さんが、「明日の天気は変えられないが明日の政治は変えられる」という著書を書かれています。確かに自然に対峙することはできませんが、人々の暮らしを守るために、備えるべき施策はたくさんあると思います。「人々が活き活きと暮らせる豊島区のために」と題し、1、財政問題について、2、放射性物質対策について、3、子どもの健やかな成長のために、4、区民との協働について、以上の質問をさせていただきます。高野区長の明快なご答弁を期待させていただきます。  まず、財政問題です。池袋の街を歩いていると、繁華街の店舗の入れかわりが早く、にぎわいもいま一つの印象があります。実際に商店街の方々からは景気の悪さが続いているとため息が聞こえております。池袋駅近くのテナントビルでは、契約更新の時期を前に解約の申し出があって大変だと、これもテナントビルのオーナーから聞いています。高野区長もビルの広告看板が埋まっていないことを危惧されておりました。また、私どもの会派で各種団体から予算要望に関するご意見を伺う会を行ったときも、業界団体からは、仕事なく厳しいという悲鳴に近い声を伺っております。障害のある方々の団体など、福祉関係者からは、福祉予算が削られることがないようにしてほしいと切実な声も伺っております。豊島区だけでなく、全国的にも経済状況の厳しさが伝わってきます。非正規雇用の拡大による若年層の収入が不安定であること。そもそも仕事がないということで生活保護が増加していることを見ても明らかです。リーマンショック以降の経済の冷え込みが回復しないうちに、東日本大震災という大きな打撃もあり、円高など、これからの日本の経済の動向は決して楽観できないものがあることは誰もが感じていることです。そのような中で、豊島区は来年度予算の編成作業が行われているところですが、具体的な編成作業について、いくつかの質問をいたします。  10月19日付で、水島副区長名で各部局長あてに、平成24年度予算編成についてという依命通達が出されています。そこでは、今後の財政環境について現時点で確かな見通しを持つことは困難と、厳しい状況が示され、「最大56億円程度の財源不足が生じると見込まれており」と書かれています。これは大変な事態です。1991年、豊島区は経常収支比率が97.3%になり、23区の中で財政状況ワースト3に入りました。そんなどん底の中で高野区長が初当選され、毎年繰り返し行財政改革を進められてきました。区民の皆様のご協力をいただきながら、高野区長の知恵をたゆみない努力の結果として、土地開発公社の長期債務を完済し、ようやく安定的な財政運営を実現することができました。財政の安定化というのは、実に地味な事業でありますが、それをなし遂げた高野区長の業績は、豊島区の歴史に残るものであることは言うまでもないことです。まだゆとりがある状況ではありませんが、将来に少し希望が見えてきたと思うのです。しかしながら、今日の状況はいささか厳しいものがあります。そこで、新年度予算編成に向けて豊島区は緊迫感を持って予算枠配分方式の下に予算案の編成を行うとありますが、この緊迫感について、まずお尋ねいたします。56億円の財源不足は、各部局の努力によって圧縮はされるでしょうが、極端な圧縮は難しいと思います。時習小学校跡地を帝京平成大学に売却したような、かなり大掛かりな財源対策が必要になるのではないかと危惧いたしますが、都区財政調整における交付金の予測や、税収見込など、歳入面からその緊迫感の度合いをまずご説明いただきたいと思います。  今までにも、様々な施策の洗い直し、見直しが行われてきました。これ以上削れないといった施策ばかりとは思いますが、依命通達の中でも、大胆な発想の転換や、事業の一つ一つについて徹底的な検討をすべきことが書かれてあるように、改めて事業の検証が必要だと思います。そして、継続してきた事業については、時のアセスといったことも必要なのではないかと思います。今年度の新規事業として、喜寿・米寿の方々へのお祝いや、金婚式などのお祝いがありますが、地域の方々の声を伺うと、いただいてうれしいけれど、ほかにお金を回してあげなくていいのかしら、あるいは、お祝いもいいけど老人肺炎球菌ワクチンを半額でなく無料にしてくれる方がありがたいなどと、豊島区の財政を心配される、または他の施策を望まれるご意見も少なからずありました。こうした給付型の施策については、賛否両論、多様な声があるものです。今までも行財政改革の度に、とりあえず命に関わること以外は見直す方針が出されていたと思います。行政評価について、毎年行われていますが、ぜひ施策の評価もしっかりと区民の方々から聴取をするなど、検証方法を工夫していっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。お尋ねをいたします。手間のかかる手法ではありますが、区民の皆様の声を集める工夫をしていただきたいと思います。  さらに、56億円程度の財源不足となると、各部局の知恵と工夫を重ねても限界があると推測されます。財政調整基金からの繰り入れが予想されますが、ようやく積み重ねたとはいえ、豊島区の財調基金は、他の区に比べても多いとはいえません。さらに、次年度以降も経済状況の先行きが見えず、そのために備える必要もあります。財源対策としてどのようなことを考えていられるのでしょうか、お尋ねいたします。  そして、枠外予算として施設改修経費が上げられています。既に決定している学校の改築、老朽化した施設の改修などは間違いなく進めていかねばなりませんから、枠外予算は当然のことであると思います。今まで計画してきた保育園の改修などを含め、齟齬なく進められていくのかという点について、改めてお伺いいたします。また、本区が取り組んでいる重要施策であるセーフコミュニティの認証を目前に控えておりますが、区民の命を守る様々な施策を推進していくためにも、財政問題は極めて重要です。来年の11月には、アジア地域セーフコミュニティ会議が開催されることになっています。セーフコミュニティが認証されても、施策を展開する予算が不足しては元も子もないということになりますが、その点についてはいかがでしょうか。また、せっかくの国際会議についても同様ですが、いかがでしょうか。さらに来年は区制施行80周年ということで、記念すべき年になります。記念イベントは必ずしも豪華にする必要はないと思いますが、何らかのお祝いをするとなれば、相応の経費がかかります。こういったものは、政策的経費として別枠で用意されるものでしょうが、こうした節目の事業に対する予算について、どのように考えられているのでしょうか、お尋ねいたします。  税制論議が国会で行われていますが、今後の税のあり方は予断できず、また、介護保険制度の第5期を目前にして、いまだに介護報酬が決まっておらず、一方で介護保険料が全国的に月1,000円程度の負担増になると言われております。区民の皆様の直接的な負担増を少しでも少なくしていかなければなりません。また、様々な施策の見直しについても、区民の皆様のご理解をいただかなければなりません。そのためには、早目に区の財政状況を、広く区民の皆様にお伝えしなくてはならないと思います。この点についての区の姿勢をお伺いいたします。厳しい財政状況にあっても、区民の皆様の命・暮らしを守るという、行政として当たり前のことですが、実に大変であり、区民の皆様の目には映りにくいものです。そのような地味な作業ではありますが、ぜひ高野区長の知恵と工夫を最大限に生かして、新年度予算編成を行っていただくよう期待をいたします。  次に、放射性物質対策について質問いたします。3.11以後、私たちはいまだかつて経験したことのない事態の中におります。私は7月に福島県の被災地に行き、海沿いの相馬市や南相馬市の津波被害の状況のすさまじさに言葉を失い、本来なら田植えを終えて青々とした水田であるはずの田は、荒れ果てたままで、人影の見えない飯舘村、ここでの線量計の数値は豊島区の数値を軽く100倍を超えているのに愕然といたしました。今、被災された方々が寒い冬を迎えておられる状況に胸が痛みます。地震と津波被害だけでも極めて大きなものでありますが、重ねて福島第一原子力発電所の事故は依然として収束が見えないどころか、廃炉まで30年もかかるという実態です。また、放射性物質の汚染地域の広さは、200キロ以上も離れた東京のみならず、北海道から西日本まで及ぶという、実に広域になっています。豊島区は学校や保育園、幼稚園、公園などの放射線量の測定や、給食食材の測定も行っており、ホットスポットと言われる放射線量の高い場所は現在のところは見つかっておりませんが、お子さんを持つ保護者の方々の不安は大きいものがあります。  10月に社民党と子どもを放射能から守る全国ネットの皆様との意見交換会を行いましたが、お子さんを持つお母さんたちの、子どもを放射能から守りたいという切実な声は当然のことだと思います。東京近県のホットスポットを抱える自治体の対応のあり方など、たくさんのご意見を伺いました。多くは国の放射性物質対策の不十分さを訴えるものでしたが、自治体の対応の不備も訴えられておりました。豊島区も含め各自治体は遭遇したことのない事態に右往左往というのが実態ではないでしょうか。豊島区で線量計を購入するとき、総務部長が、「私は十分な専門的な知識がないから購入する機器の精度が具体的にわからず、担当者にわかりやすく説明をしてもらい判断した」と話されていましたが、ことほど左様に、区民の皆様の安全・安心のために、区の職員も苦労していると私は思いました。同時に、区内の保育園の保育士や学校の養護教諭からも、保護者からの問い合わせも多く、現場としての対応の仕方に苦慮しているという声も聞きました。保育園については、決算特別委員会で私どもの会派の石川議員から質問をし、保育園課長から前向きの答弁をしていただいていますが、学校についても同様に、教職員がきちんと対応できる体制にしていただきたいと思います。  また、清掃工場で焼却灰から高い放射線量が出たと報告があった後、7月に、私は二十三区清掃一部事務組合に出かけ、事実経過を聞いてまいりました。清掃工場では放射性物質を焼却してはならないことになっているので、放射線量の測定をすることは想定していなかったのが、下水道の汚泥から高い線量が出たということで、もしや清掃工場でもということで測定をしたと説明を受けました。したがって、二十三区清掃一部事務組合も、他の自治体と同じように放射性物質を取り扱う専門家はおらず、試行錯誤が続いているのだということがよくわかりました。放射性物質対策については、原因が福島第一原子力発電所であることから、その責任は東京電力にあります。また、原子力発電を推進してきた国にもその責任はあり、自治体が放射性物質対策をすることや、区民の命を守る施策についても、国や東京電力が経費も含め明確な手法などを用意すべきであることは言うまでもありません。しかし、現状はあいまいなままです。  私は、10月に豊島区が主催する前に、日本大学の野口邦和先生のお話を伺う機会がありましたが、暫定規制値については、これは我慢値である、つまり、この程度で我慢してくださいという数値であって、安全だという数値ではないことを認識して、それを前提として屋外活動をするか否か、食品なら食べるか否かなどを判断するしかないと話されていました。まさに放射能のリスクはあるということが前提のお話でした。このような状況の中で、今後、豊島区が放射性物質対策をどのように取り組んでいくのでしょうか。さきに述べたように、福島原発の廃炉まで30年かかると言われ、アメリカのスリーマイル島の事故、チェルノブイリ事故が依然として終結しない状況にある中で、3月の事故直後のような高いレベルの放射性物質ではなくなっているとはいえ、自然界に存在している放射性物質と原子力発電所から発生した放射性物質とは、明らかに違います。また、同じように被ばくしても、がんになる人、ならない人もあります。ヘビースモーカーがすべて肺がんになるということではないのと同様で、個人によって感受性が異なるのは当然です。だからといって、微量だから大丈夫ということはあり得ません。病院等で放射線を扱う医師や技師は、年に一度は必ず放射能に関わる健康診断を行っています。このように、放射性物質は元来危険なものであることを忘れてはなりません。そして、福島原発の様子を見る限り、今後どのような事態が生じるかわからないのが実態です。実際、広域的な汚染が進み、魚介類のストロンチウムの汚染や、蓄積されたセシウムなど、課題は次々と出てきています。豊島区としては、放射線量の測定をかなり長い期間、というより永遠に続けていかなければなりませんが、その測定について、もっと拡大していくことも早急に検討しなければなりません。秋が深まり、落ち葉がたくさん集められています。多くは清掃工場へ持ち込まれますが、セシウムなどが蓄積されたまま放置されるような状況も想定されます。そうした場合の対策や、今までに現出していないような事態、例えば除染が必要な状況になったとき、どのように除染するか、その除染した汚染物質の処理の仕方など、様々な事態に対応した基本指針や、基本マニュアルなどが必要だと思います。豊島区として、基本指針・基本マニュアル、あるいは放射性物質対策基本計画などをつくるべきだと思いますが、いかがでしょうか。  イギリスのリーズ市では、1988年に初版が出版され、1995年に再販された「原子力防災マニュアル・放射能雲の下のリーズとブラッドフォード」という本がつくられています。ヘイシャム原発からリーズ市とブラッドフォード市は83キロメートルから90キロメートル、セラフィールド放射性廃棄液処理施設から135キロメートルから146キロメートルという場所に位置します。リーズ市議会とブラッドフォード市議会の委託を受けて、リーズ市が、原子力発電所などの事故に備えてどのように危険を回避するか、具体的にわかりやすいマニュアルをつくったものです。原発やその関連施設の不慮の事故に備えているというのはなかなか素晴らしいことだと思います。このように、外国とはいえ、自治体で原発事故などに備えた先例もあります。既に日本は原発事故が起こってしまいましたが、今後の不測の事態などに備えて、豊島区としての取り組み方針は必要だと考えます。積極的なご答弁を期待いたします。  また、この度は、宮城県女川町の大震災による廃棄物・木くずの受け入れについて、被災自治体と二十三区清掃一部事務組合などが基本協定を結びました。廃棄物が放射性物質で汚染されているのではないかと区民の皆様の関心が高まっています。二十三区清掃一部事務組合の放射性物質対策を行うための体制は、私が一組に出かけた7月より整備されているのでしょうか。区民の皆様が安心していただけるようになっているのでしょうか、お尋ねいたします。清掃工場は二十三区清掃一部事務組合が運営していますので、運営を共同で担っている豊島区として、清掃工場での焼却や焼却灰の取り扱いなども国の指針は出ているとはいうものの、二十三区清掃協議会や二十三区清掃一部事務組合(議会については議長になりますが)、特別区長会など様々な機関を通じて、区民の皆様の不安が生じないような取り組みをしていっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。二十三区清掃一部事務組合は、法的には独立した特別地方公共団体ですから、ともすれば遠い存在のようになりますが、清掃事業は悲願と言われた自治権拡充の結果として23区が担うことになった事務なのですから、豊島区としてしっかりと関与していっていただきたいと思います。子どもを放射能から守りたいと思うのは、子どもを持つ親たちすべての願いであり、すべからく豊島区民の願いだと思います。ぜひ積極的な取り組みをしていただきたいと思います。  次に、子どもの健やかな成長のために質問いたします。毎年、区立小・中学校の入学式と卒業式に私たち議員はお招きをいただいています。私のように子育てを卒業した者にとって、子どもたちの晴れ姿を見ることができるのはうれしいことです。こういうことを、まさに議員特権だと言えるかもしれません。子どもたちの晴れやかな顔を見ながら、私は子どもたちが事故や事件に巻き込まれることなく健やかに成長してほしいと願っています。そして同時に、事故や事件の加害者にならないでほしいと願っています。どんな凶悪犯罪者であっても、小さなかわいい子ども時代があったはずです。  最近、区内で悲惨な事件がありました。容疑者として逮捕された一人は、区内の小・中学校の卒業生であったと聞いています。そして、その家庭は和やかな家庭とは程遠く、とても好ましくない環境だったということも聞きました。子育ての責任は間違いなく保護者にあることは言うまでもありません。しかしながら、虐待や子育て放棄が現実にあること、また所得格差の広がりの中で貧困家庭が増えていることも事実として存在しています。さらに、特別支援学級に行くほどでない発達障害など、様々な障害を持った子どもも増えています。とりわけ、貧困については定時制高校の教諭から聞いたのですが、私の育った昭和20年代から30年代のように、みんなが貧しく、でも世間には金持ちもいるのだと何となくわかっていた時代と違い、現在は社会全体が豊かになっており、家電製品もどの家庭にもあり、服装も価格の違いはあっても同じようで、外見からは貧困であることがわかりにくくなっていることも、実は不幸なことなんだということです。実際には、塾へ行くこともできず進学もままならない状況にある子どもが少なからずいます。そうした子どもたちに、豊島区も手をこまねいているだけでなく、社会福祉協議会で、今年の夏休みには、家庭の所得が厳しい子どもたちのために勉強会を開催するなどの施策を行っていますが、まだ十分とはいえません。そうした厳しい環境にある子どもたちの支援が急務となっています。そうした背景から、教育ビジョン2010では、スクールソーシャルワーカーの配置を検討すると明記され、現在、改定中の地域保健福祉計画でも、コミュニティソーシャルワーカーと同列で、スクールソーシャルワーカーの必要性が明記されています。先日開催されたスクールソーシャルワーカーに関するシンポジウムで、豊島区の教育センター所長がパネラーとして参加し、来年度に導入するための検討を重ねていると発言していました。  そこでお尋ねいたします。スクールソーシャルワーカーの導入についての検討はどのような状況なのでしょうか。また、スクールソーシャルワーカーについて、学校現場ではどのように受け止めているのでしょうか、お尋ねいたします。家庭環境が好ましくない、あるいは貧困といったことは、最近始まったことではなく、学校の教諭たちが取り組んでこられた歴史があると思います。しかしながら、私の目から見ると、かつては考えられなかったのですが、非常勤の教諭が増え、常勤教諭が少なく、その常勤の先生方の負担が大きくなっていると思えるのです。時間的にも忙しい常勤教諭に、発達障害だけでない様々な障害の子どもたちへの対応や、厳しい環境の家庭の子どもたちのフォローなど、すべてを託すのは難しいのではないかと思えるのです。既に子どもたちの不登校や心の問題については、スクールカウンセラーが大きな成果を上げているように、教諭以外に専門的な資格を持つスタッフを必要としていると思います。いずれも教育現場では先生方との連携が重要であり、スクールソーシャルワーカーが学校現場できちんと受け入れられるような体制も必要だと思うのです。厳しい財政状況にありますが、ぜひ少しでも早くスクールソーシャルワーカーの導入を進めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。また導入に当たっては、スクールソーシャルワーカーの人材が重要になると思います。一定の資格さえあれば誰でもよいということにはなりません。相応の経験を積んだ人材であることが好ましいわけで、全国的にもたくさんの人材があふれている状況ではないと思います。そうした的確な人材についてはどのように検討されているのでしょうか、お尋ねをいたします。子どもたちの健やかな成長のために、あらゆる手法を駆使していかねばならないと思います。積極的な取り組みを期待させていただきます。  最後に、区民との協働に関する課題について質問いたします。9月に、私ども自治みらい豊島区議団は、釧路市の生活保護行政について視察にまいりました。被保護者の稼働率が全国的平均よりも高いということで、生活保護行政が評価をされています。市の担当者の努力もありますが、そこで大きな役割を果たしていたのがNPO法人地域生活支援ネットワークサロンで、こちらも全国的に有名なNPO法人です。もともとは障害のあるお子さんを持つ保護者が子どもたちの居場所をつくることから始まったということで、児童デイサービスなど、子育て支援事業を大きく展開していますが、法律外の福祉サービスも行っており、そのほかに焼き芋屋や岩盤浴など収益事業を行い、生活保護の被保護者の就労支援で大きな役割を果たしていました。NPO法人というのは、本来、運営資金を収益事業や寄附金などで自らが調達するものですが、この地域生活支援ネットワークサロンは、市の受託事業も含め、相応の収益を上げて職員の給与もきちんと支払うという、NPO法人の本来のあり方を示していました。  豊島区内にもたくさんのNPO法人があります。その活動は実に多様で、様々な活動が展開されております。介護保険や指定管理者などは、事業に参入するためには何らかの法人格が必要であり、株式会社や社会福祉法人といった法人を設立するには規模が小さいといった事業者の多くが、NPO法人格を取得するようになっています。そして豊島区では、区民との協働ということで、地域の身近な施設運営や管理や、あるいはまちづくりを進める目的で、区民の皆様に委ねる手法として、区が推進する形でNPO法人を設立しています。  大明小学校跡地の活用に当たっては、地域の皆様に運営していただくために区が主導してNPO法人を地域の方々につくっていただき、現在はみらい館大明として、極めて順調な、というより見事な運営をされています。きちんと収益を上げることができ、職員の社会保険の加入なども行われています。設立に当たっては、区がお手伝いをしたものの、自立した法人となっています。また、NPO法人ゼファー池袋まちづくりも同様に、区が設立を推進した法人です。私も会員ですが、2回目の総会までは区の担当者がお手伝いをしていましたが、その後は自立しています。区がお手伝いをやめたとき、ゼファーの方から、去年までは区の人が手伝ってくれたけど、今年は手伝ってくれないから大変だと話されていたのを思い出しますが、なかなかNPO法人というものをご理解いただくのに時間がかかったように思います。もちろん現在では、収益事業の検討も具体的に始まっていて順調な運営が行われています。そして最近では、区民ひろばの運営協議会の一つが、区が推進することによってNPO法人化を果たしています。  そこでお尋ねいたしますが、今後、区民ひろばの運営に関して、各地の運営協議会を法人化させていくのでしょうか。もちろん、各地の区民ひろばの状況は多様であり、運営の手法を一律なものにしていくことはあり得ないと思いますが、どのような方針を区は持っているのでしょうか。区民ひろばの位置付けは、地域のあらゆる人々が集い、活動する場であり、11月25日号の広報としまに特集されていたように、セーフコミュニティの地域拠点としての位置付けもされている重要な施設です。現在、ボランティアで運営に関わる方々は、町会の役員、高齢者クラブの役員、民生・児童委員、青少年育成委員などで、それぞれの活動母体を持っておられます。区民ひろばを活動主体とされている方はほとんどいらっしゃらないのではないかと思います。そうした方々はアクティブで気働きもあるので、積極的に関わっておられます。しかし、区の職員がいるから何とか運営されているのであって、ソフト、ハード面のいずれにしても、全面的に区民ひろばを担おうということになると、本来の母体の活動もおろそかにできず、荷が重いという声がたくさん聞こえてきます。そして、一部だとは思いますが、親しいお仲間だけで運営されていて入りにくいといった声も、いくつかの区民ひろばから聞こえてきます。こうした声は、区の側にも届いていると思いますが、いかがでしょうか。  順調に自主運営に移行していく区民ひろばもあるでしょうが、NPO法人となると、その法人の運営の責任も加わります。なかなか容易ではないと考えます。初めに述べたように、区が主導してつくられたNPO法人が、本来のあるべき姿としてのNPO法人の活動をしていくには、関わる方々がNPO法人というものをきちんと理解していただかなければなりません。ボランティアとは違い、自らの運営資金、専任職員の人件費などを賄うだけの活動が求められます。区の受託事業だけでよいのか、そういったことも課題だと思います。  釧路のNPO法人地域生活支援ネットワークサロンの場合は、もともとの活動があり、その活動を展開していくために法人格を取得していき、法人の運営のためには、学卒、新規採用の職員を雇用していくといった運営が行われています。NPO法人は、営利目的ではなくてもまさに組織として運営、というより経営手腕が必要になっています。このように、民間が自らの活動のために法人格を取得する場合と、区民ひろばのように地域の施設の運営を行政が委ねる手段として法人化する、つまり行政が主導していくのでは、その存立基盤がいささか弱いのではないかという危惧があります。区民との協働ということはとても大事なことですが、まだ歴史は短く発展途上であることは言うまでもありません。そして区民ひろばの存在も大事なものです。地域の方々で運営されるというのは素晴らしいことです。しかし、区の施設である以上は、公共サービスや公的責任という面も忘れてはならないと思いますが、この点についての区の考え方をお尋ねいたします。また、運営をNPO法人に委託するとなると、将来的には指定管理のように数年の期限をつけて契約し、競争入札という手法も視野に入ってくるのでしょうか。地域住民の運営という前提条件を満たしていれば、地域に別のNPO法人ができて、運営したいと手を挙げないこともないわけで、このような場合は地域に禍根を残すようなことはあってはならず、なかなか大変なことですが、こうしたことも区は想定されているのでしょうか、お尋ねをいたします。  区民ひろばは、運営を担う区民の方々に重荷にならないような配慮が必要であり、公共施設である以上は公的サービスという面も備え、公平な運営も行われなくてはなりません。そうしたバランスのよい施設として、区民ひろばが存在価値を大きくしていくことを期待していますが、豊島区としては、区民ひろばのよりよい運営のために、一層の支援をしていただきたいと思います。  以上で、私の一般質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。(拍手)   〔高野之夫区長登壇〕 ○区長(高野之夫) ただいまの山口菊子議員のご質問に対しまして、お答え申し上げます。  財政問題についてのご質問のうち、まず、新年度予算編成に向けた緊迫度合いについてのご質問にお答えいたします。ご指摘のとおり、56億円という財源不足額は、一般財源歳入がおよそ600億円程度である本区の予算において、大変大きな金額であると認識しております。財源不足の主たる要因は、現下の経済状況を反映した歳入環境の悪化にあります。何よりも最近のEUにおける深刻な財政と、金融の危機を初め、多くの懸念材料があり、今後の景気回復に確かな見通しを持つことが極めて困難になっております。このような状況の下で、現時点では、来年度の区税と都区財政調整交付金は、平成23年度の当初予算の水準とほぼ同程度と見込んでおります。今年度の当初の予算編成に、基金活用など35億円程度の財源対策が必要であったことから、ほぼ同規模の財源対策が引き続き必要となる厳しい状況でありまして、第3回定例会におきまして、危険水域の一歩手前と申し上げましたように、これまでにない緊張感を持って予算編成に臨んでいるところでございます。  次に、行政評価の検証方法についてのご質問にお答えいたします。行政評価については、現在、事業を実施する職員自らが責任を持って評価するという観点から、内部評価の仕組みをとっております。しかしながら、ご指摘のとおり、区民の皆様のご意見を区政に取り入れることは極めて大切であり、平成17年度から平成19年度にかけまして行った外部評価の実施から、来年で5年を経過いたしますことから、区民の皆様にも参加していただける、新たな評価システムを早期に構築したいと考えております。また、枠配分方式の予算編成は、今回8回目になります。この間、平成17年度の予算の編成から導入し、平成18年度には2回の編成作業を踏まえて、一定の検証作業を行い、人件費を含めた枠配分や決算剰余金についてのインセンティブの導入などの課題を認識しておりました。今回、改めてご質問をいただいたことを機に、ご指摘いただきました継続事業の根本的な再検討を含め、無駄のない真に効率のよい区民のための本当の予算になっているかどうかについて、聖域なくすべての事業の総点検を行ってまいりたいと考えております。  次に、財源対策についてのご質問にお答えいたします。歳入環境が厳しい時期には、何よりも年度間の財源調整を図ることを目的とした財政調整基金が財源対策の役割を果たすわけでございます。しかしながら、本区の財政調整基金の残高は平成22年度末で61億円にすぎず、ご指摘のとおり、23区の中では目黒区に次いで2番目に低い残高であります。さらに、今年度末の残高は53億円となる見込みであり、このまま推移すれば本来の調整機能を失い、次年度以降、まさに危険水域に突入する恐れもあると考えております。不透明な先行きの歳入水準を考えますと、予算の執行段階において可能な限り財政調整基金の残高を回復する努力を払いつつ、他の特定目的基金も可能な限り活用するのが財源対策の基本だと考えております。しかしながら、他の基金も決して潤沢ではないことから、歳入、歳出の両面において総点検をしながら、次年度以降の対策を早目に練っていく必要があると考えております。かつてのように、長期にわたって特別な財源対策に依存する状態や、再び膨大な借金を抱える状態に、決して後戻りすることのないよう取り組んでまいりたいと思います。  次に、施設改修経費についてのご質問にお答えいたします。既存施設の老朽化は、年を追うごとにその深刻の度合いを増しており、これに、ご指摘のとおり、待機児対策に伴う施設整備や東日本大震災を踏まえた耐震対策など、喫緊の需要が加わりまして、投資的事業全体の需要は、大変大きなものになっております。したがいまして、現在のような歳入水準が続く場合、現有の施設をすべて十分にメンテナンスしていけるのかどうか、中長期的で総合的な視点から施設の総点検が不可欠となっております。将来にわたって施設サービスを安定的に、継続的に提供していくために、いま一度、財政面からの施設サービスの身の丈を見詰め直し、財源の担保を持った、しっかりとした中長期の計画をつくっていかなければならないと考えております。そのためにも、区民の皆様に、区有施設についての現状と課題についてご説明いただけるよう、施設全体の状況や改修などの課題について、施設白書など様々な形で広く情報をお示ししてまいります。当面、厳しい歳入状況の下で、改修を含む投資事業の先送りが想定されますが、その際にも小・中学校の建て替えや保育園の計画などの優先度を十分に認識しながら、慎重に検討してまいります。
     次に、セーフコミュニティ認証取得に係る予算についてのご質問にお答えいたします。セーフコミュニティの認証は、安全・安心創造都市を目指す本区にとって、ゴールではなく、むしろ新たなスタートというべきものでございます。したがいまして、その認証にふさわしい自治体として、限られた財源の中においても区民の安全・安心のための施策は最優先で取り組むべき施策であると認識しております。また、国際会議においても、その開催自体の重要さもさることながら、その場において、日本の豊島区という自治体が安全・安心のための施策をしっかりと続けることを、まさに世界に向けて公約するわけでありますので、施策の選択と集中において、セーフコミュニティに関する施策の優先度はなおさら高くなるものと考えております。いずれにいたしましても、安定した財政運営の下で、区民の安全・安心のための施策を持続的に展開していくために、今後も最大限の努力をしてまいりたいと思っております。  次に、区制80周年に係る予算についてのご質問にお答えいたします。区制施行80周年への取り組みにつきましては、豊島区が自ら80歳の誕生日というべき記念すべき節目を祝うと同時に、豊島区の将来に向けた新たなスタートの年になるような取り組みにしたいと思っております。予算編成上は、ご指摘のとおり、政策的経費を中心に具体的な事業を鋭意検討中でありますが、区民の皆様の心に残るような周年の記念事業になるよう、より多くの区民の皆様の参加をいただきながら、進めてまいりたいと考えております。  次に、財政状況の区民周知についてのご質問にお答えいたします。ご指摘のとおり、早目に財政状況について、多くの情報を区民の皆様に提供することが何より肝要であり、財政白書の改定を初め、情報の積極的な提供に取り組んでまいります。また、予算編成の結果だけではなく、編成の過程を公開していくことについても、積極的に取り組んでまいりたいと考えており、来年度予算編成の過程についても、早速、可能なところからホームページへ掲載してまいりたいと思います。来年度予算の編成と並行して、聖域なく事業の総点検を進めてまいりますが、様々な見直しの中でも、区民へのサービス水準を一律に低下させるような措置は、最後の手段であると考えております。仮に、サービス低下についてのご協力をお願いしなければならない場合には、説明責任を十分に果たし、ご理解を得ると同時に、まずは徹底的な内部努力をしてからという姿勢をこれからも堅持してまいります。  改めて申し上げるわけでありますが、私が初めて区長就任時のあの苦しみは忘れることはできないわけであります。毎年毎年、予算編成に際して厳しい越年のことを思い浮かべ、二度と繰り返すことなく、しっかりと後ろを振り返り、甘えることなく堅実な区政を推進してまいりたいと思います。  私からの答弁は以上でございますが、そのほかの質問につきましては関係部長から、教育委員会の所管に属する事項につきましては教育長から答弁申し上げます。   〔齋藤賢司総務部長登壇〕 ○総務部長(齋藤賢司) 放射性物質対策についてのご質問のうち、基本指針・基本マニュアル等についてのご質問にお答えいたします。本区では、区民の方々の不安を解消するため、6月から小・中学校、保育園など、区内89カ所の空間放射線量の測定を実施し、また10月から、全公園158カ所の空間放射線量の測定や、給食の放射性物質の検査など、様々な取り組みを行い、さらにはその拡大について検討しているところでございます。これらの測定結果につきましては、これまでのところ、健康には大きな影響がないものとして判断されておりますが、今後の諸状況の変化に迅速に対応できるよう、区内の東西、中央地域の3カ所で空間放射線量の定点測定を継続実施し、モニタリングをしているところでございます。ご指摘のとおり、今後の状況変化によっては、これまで現れなかった事態への対応が必要となることも想定されますので、放射性物質の除染方法などをあらかじめ定めておくことが重要であると認識いたしております。国では、10月21日に文部科学省から、放射線測定に関するガイドラインがようやく示されたところでございます。本区におきましても、ご提案の趣旨を十分踏まえ、放射性物質への対策につきまして、ガイドライン等の策定に向け、早期に取り組んでまいります。なお、現在見直しを進めております地域防災計画におきましても、放射能対策についての内容を反映させていただく予定でございます。  私からの答弁は以上でございます。   〔鈴木公一清掃環境部長登壇〕 ○清掃環境部長(鈴木公一) 東京二十三区清掃一部事務組合の放射性物質対策についてのご質問にお答えいたします。まず、清掃一組の体制の整備についてでございますが、放射性物質に汚染された恐れのある焼却灰等の取り扱いを検討するため、放射線障害防止検討委員会を設置いたしました。この委員会には、外部の専門家にも参画をいただき、本年10月、清掃一組独自の放射線障害防止指針及び同実施細則を策定いたしました。また、各清掃工場の焼却灰等の放射能濃度の測定につきましても、項目を排水、排ガスにも拡大し、数値の公表をしているところでございます。豊島区といたしましても、区民の皆様に正確な情報をお知らせし、安心していただくことが肝要と考えております。今般の女川町からの災害廃棄物の受け入れにつきましても、ホームページ、広報紙など、様々なメディアを通じて、正確な情報をお伝えしてまいります。ご指摘のとおり、清掃一組は法的に独立した特別地方公共団体でございますけれども、各特別区がその設立母体となっております。豊島区といたしましても、実務レベルを含め、様々な協議体、調整機関等において、適時適切に意見を申し述べることで、今後とも積極的に関与してまいります。  私からの答弁は以上でございます。   〔永田謙介区民部長登壇〕 ○区民部長(永田謙介) 区民との協働に関する課題についてのご質問のうち、まず、区民ひろば運営協議会の法人化についてのご質問にお答えいたします。地域区民ひろば条例は、原則として運営協議会が自己決定・自己責任により区民ひろばの運営を行うことを定めており、また、区から運営協議会に運営の一部を委ねることができると定めています。これらに基づき、区は自主運営ガイドラインを策定し、自主運営に関する基本的な事項を定め、自主運営の適正化、移行の円滑化を図っています。ガイドラインでは、委託契約の安定性、運営責任の明確化などを図るため、運営協議会にはNPOなどの法人格を取得していただくこととしています。ほかに、地域区民ひろばの設立理念に賛同する、既に活動を行っているNPO法人と運営協議会が協定を結んでいただく形態もお示ししていますが、各ひろばの状況は多様ですので、ガイドラインに固執することなく、自主運営の形態については、運営協議会の意向を尊重して進めてまいります。  次に、区民ひろばに関する意見についてのご質問にお答えいたします。運営協議会の委員の皆様の荷が重いとの声ですが、現在も大変なご負担をおかけしていることは十分認識しております。また、自主運営化した後のご心配ももっともなことと考えております。自主運営化した運営協議会には、運営の方針や事業計画の決定、人事管理等を行っていただきますが、区からの委託料で事務局スタッフ等を雇用していただきますので、運営協議会の負担は現在より大きく増えることはないと考えております。なお、施設の保守管理や改修工事、光熱費の支払い等は、区が引き続き担うことになります。また、区民ひろばの運営に入りにくいという区民の声ですが、現在のところ、区には届いておりません。むしろ、各運営協議会とも積極的にメンバーを募っている状況だと認識しております。しかしながら、ひろばは、あらゆる人々の集う地域コミュニティの拠点ですので、ご指摘のようなことがないように、区としても十分に留意してまいります。  次に、区民ひろばの自主運営への移行に係る課題についてのご質問にお答えいたします。区民ひろばは、公の施設を使用した地域コミュニティの拠点であり、自主運営化した後もこの点は変わりありません。したがって、委託先の運営協議会には、公的責任について十分認識していただく必要があると考えております。このため、区では、さきにお示しした自主運営ガイドラインのほか、自主運営マニュアルを策定し、区民ひろばで行う公共サービスのレベル維持や公金、個人情報の取り扱い、緊急時の対応などの公的責任について、詳細に運営協議会にお示ししております。また、地域区民ひろば課職員による支援や研修の実施で適正な運営が図られるように努めております。一方、区といたしましては、地域の方々の手によりNPO法人化した運営協議会には、NPO法人としての自主的な活動をし、存立基盤を確固としたものとしていただきたいとの思いもございます。区では、現在、NPO法人の役割、運営責任についての理解を深めるため、運営協議会に区民活動センターより相談員を派遣する支援をしておりますが、今後は、運営協議会向けの講演会、セミナーを開催するなど、さらに啓発に努めてまいります。  次に、区民ひろばの運営委託手法についてのご質問にお答えいたします。現行の地域区民ひろば条例は、運営の委託先としては運営協議会を定めております。また、運営協議会の設置は、区長の承認を必要としております。したがって、競争入札等の手法は考えておりません。また、各ひろばの運営協議会は、その立ち上げの準備段階から相当の期間にわたり検討を重ね、活動を行ってきた団体でございますので、他のNPO法人から手が挙がった場合も新規参入はあり得ないと考えておりますが、運営協議会の希望があれば、協定を結んでいただいて、運営のご協力をいただく場合もあると考えております。  私からの答弁は以上でございます。   〔三田一則教育長登壇〕 ○教育長(三田一則) 引き続きまして、教育委員会の所管に属する事項に関するご質問に対してお答えいたします。放射性物質対策についてのご質問のうち、保護者からの問い合わせに教職員がきちんと対応できる体制についてのご質問にお答えいたします。放射線測定に関しましては、保護者などから、これまで150件を超える意見や問い合わせが教育委員会に寄せられ、各小・中学校や幼稚園にも同様の相談が多数ございました。こうした状況を受けて、様々な局面に各小・中学校、幼稚園が適切に対応できるよう教育委員会から20通を超える通知文を出すとともに、毎月の定例校長会、園長会、相談・連絡の機会をとらえ、Q&Aの作成・配付や相談窓口の明確化など、組織的な対応を進めてまいりました。具体的には、豊島区や東京都の放射線測定の方針、移動教室の行き先の変更、プール指導における留意事項、給食や落ち葉の取り扱いなど、学校と教職員が適切に判断し、行動できるようマニュアル化した指針を発信し、丁寧に対応してきたところでございます。この間、空間線量や給食食材の放射線測定の実施・公表により、相談の件数は減少傾向にございます。しかし、今後も学校に様々な声や相談が寄せられることが想定されます。したがいまして、ご指摘のように引き続き教職員が適切に対応できるような体制づくりを支援してまいります。  次に、子どもの健やかな成長のためについてのご質問のうち、まず、スクールソーシャルワーカーの導入についてのご質問にお答えいたします。ご指摘のとおり、複雑で厳しい家庭環境にある子どもたちへの支援は、学校教育の域を超えて、必要かつ急務であると受け止めております。スクールソーシャルワーカーの導入につきましては、子どもに関わる様々な問題解決のために、家庭と学校、地域、関係機関とをつなぎ、子どもの置かれた現状の改善を図る上で、極めて重要であると考え、教育ビジョン2010にも配置の検討を明記したところでございます。スクールソーシャルワーカーの学校現場での受け止めについてでございますが、最近の事例を見ますと、学校教育の域を超える複雑な問題、例えば医療や福祉のサポートが必要なものも増えてきており、誰か専門的な人の力を借りたいという現場の声が上がってきているのが現状でございます。しかし一方で、本来、子どもの問題は、どんなに多忙であっても、学校が組織を挙げて、一体となって解決に当たることが原点であると考えます。重要なことは、学校がスクールソーシャルワーカーの役割を十分理解し、組織をつなぐ人材としての認識を持って、ともに力を尽くして問題解決に当たっていくことと捉えております。その認識について、学校現場はまだ十分とはいえず、今後、正確な情報提供と啓発が必要であると考えております。  次に、スクールソーシャルワーカーに適する人材についてのご質問にお答えいたします。スクールソーシャルワーカーには、教育はもとより、心理や福祉に精通し、学校、家庭・地域や関係機関をつなぎ、子どもの置かれた環境に能動的に働きかけ、問題解決に当たることのできる資質・能力を有する人が適任であると考えております。教育委員会では、今年度、モデルケースとして、学校の困難な事案に対応して、1名のスクールソーシャルワーカーを配置し、一定の成果を上げたところでございます。こうした経験を踏まえ、平成24年度より本格的にスクールソーシャルワーカーの導入を検討してまいります。今後、学校現場での受け入れ体制づくりや実施の方法及び適切な人材確保についても検討し、子どもたちが健やかな成長を図れるよう努力してまいります。  以上をもちまして、山口菊子議員のご質問に対する答弁を終わります。 ──────────────────────────────────────── ○副議長(島村高彦) 最後に、6番議員より、「健康で安全・安心なまちを目指して」の発言がございます。   〔関谷二葉議員登壇〕(拍手) ○6番(関谷二葉) 私は、みんなの党・無所属刷新の会、関谷二葉でございます。今回は、「健康で安全・安心なまちを目指して」とのタイトルで一般質問を行います。具体的なテーマとしては、今回は自転車で走れるまちづくりとして、豊島区の自転車施策について述べます。  質問に入る前に、今回の質問で自転車をテーマに取り上げる背景について、述べたいと思います。本年10月25日に、警察庁より、良好な自転車交通秩序の実現のための総合対策についてという通達が出されました。この通達のポイントは、自転車の車道通行の明確化と、それを実現するための道路環境の整備といえます。道路環境の整備については、自転車走行のために自動車の車線を減らす、パーキングメーター等を撤去するなどの点が明記されており、従来の自動車優先の道路交通体系から自転車優先へ転換する方針が示されたものとして、大きく評価できます。しかし、警察庁がいかに意気込んだとしても、単独でこの流れを広げることは難しいと思われます。その意味で、実際に道路整備を行い、利用者である住民と日常的に深く接している地方自治体の役割は大きいと思われます。自動車優先から自転車優先への流れを大きく広げるためにも、地方自治体の自転車施策を改めて見直す必要があると考えて、今回の質問で取り上げる次第でございます。  それでは、質問に入ります。内容は次の2点です。まず第1点目に、自転車利用者を対象とした自転車運転免許制度について、第2番目に、車道における自転車走行空間の設置に向けての社会実験の実施についての2点を質問いたします。  まず第1の質問です。自転車利用者を対象とした自転車運転免許制度について述べたいと思います。以下、自転車運転免許制度に対する自治体等での取り組みの状況。そのメリットと問題点。豊島区が取り組むべき内容への提案の順で述べたいと思います。まず最初に、自転車運転免許制度に対する自治体等での取り組みの状況についてです。個別の学校等、小さい単位での取り組みは以前から各地であったようですが、自治体が認める制度として正式に実施したのは荒川区が最初とされています。荒川区では、より住みよい社会を目指す荒川の心推進運動の一環として、2002年7月より制度を導入いたしました。この制度は、区だけでなく、区内の警察署、町会・PTA・青少年対策地区委員会等と協力して実施するもので、講習・筆記試験・実技指導を経て自転車運転免許証が発行されます。免許取得までの過程を通じて、安全な自転車の乗り方や交通ルール、自転車マナーについて学び、自転車事故を未然に防止し、社会ルールを守る地域社会を実現することが目的とされています。効果・評価については様々な見方があるようですが、一定の参加者がある以上、相応の効果が期待できるため、荒川区の導入後、足立区、町田市、武蔵村山市を初め、北九州市、大阪府池田市など、全国で多くの自治体が同様な制度を取り入れ始めています。  次に、メリットと問題点について述べたいと思います。メリットとしては言うまでもなく、自転車利用者の質の向上がまず挙げられます。免許証取得という目標に向かって、講習、試験、実技という学習作業を行う以上、自転車を利用する上でのルールや知識を再認識し、利用に伴う責任を自覚する貴重な機会となります。メリットはこれだけでなく、制度導入によりその自治体自体が自転車社会の改善に積極的な姿勢を示していることにもなるので、自治体のイメージアップにも結びつくといえると思われます。しかし今後、より大きな効果が期待できるのかという観点から冷静に見た場合、これらの制度にも改善点という意味での問題点があります。以下、問題点を3点申し上げます。  まず1点目で、取得する対象の中心が小・中学生と高齢者であることです。学校を一つの中心として地域の人間に広げていく以上、この点はやむを得ないかもしれませんが、最も利用者の多い高校生から50代までが現実に主要ターゲットになっていないことは問題があるといえます。2番目に、免許の取得率が低いことです。どの自治体でも一定の効果はあるものの、自転車利用者全体から見ると、取得率は低いといえます。3点目に、免許取得者の持続的な効果という点で限界があることです。講習や試験は1回限りのイベント的な要素が強いといえるため、一度取得した後のフォローがほとんどなく、取得者への効果が期間の経過とともに薄れていく可能性が大きいと思われます。  最後に、豊島区が取り組む内容への提案について述べたいと思います。今述べました問題点を踏まえまして、豊島区が新たに取り入れるべき要素として、2点提案し、ご意見を伺います。  第1点目に、免許取得と連動させたインセンティブの導入です。さきの問題点に見られる、利用の多い年齢層も含めて取得率が低いのは、取得による実際のメリットが感じられないからではないでしょうか。何らかのインセンティブを取り入れれば、この点が大いに改善できる可能性があります。インセンティブとして効果的と考えられるものとして、まず駐輪場の利用割引があります。これは実際に駐輪場を利用する層にとっては具体的な魅力になりますし、放置自転車をより減らす効果も期待できます。このほか、新規自転車購入に当たっての補助等も考えられます。これも頻繁に自転車を利用する層にとっては確実な魅力になりますし、補助によって新たに自転車を購入する自転車販売店を区内店舗に絞るなどの工夫をすれば、商店街活性化にも結びつくと思われます。  第2点目に、免許制度を有効期間を設けた更新制度とすることです。問題点で述べたように、一度取ったら終わりとしてしまうと、効果は極めて限定的になります。例えば2年ごとの更新を必要とするようになれば、前回の取得時の後でのルール改正等にも対応できることになります。免許更新に伴う再講習等によって、新たな内容を認識させることで、一度きりではない、生きた免許になることが期待できます。以上の点を踏まえまして、セーフコミュニティを掲げる豊島区としても、制度導入を視野に入れていただけないでしょうか。ご意見を伺います。  次に、二つ目の質問は、車道における自転車走行空間の設置に向けての社会実験の実施について述べたいと思います。以下、豊島区のこれまでの社会実験への取り組みについて、自転車走行空間設置に向けた豊島区の課題、今後、社会実験に取り組むに当たっての提案の順で述べます。まず、豊島区のこれまでの社会実験への取り組みについて述べます。豊島区において、平成13年度に社会実験が行われたことは、先駆的な試みとして大いに評価すべきものと考えます。特に民間融資からの積極的な提案を区が取り上げ、隣接する板橋区と連携することで、相乗効果・面的な効果を挙げようとした試みは、住民参加の視点に加え、広域的な自治体連携にも結びつく可能性がある点で、大きな意義があったと思われます。しかし、その後の自転車施策への影響という点で考えると、もう一歩踏み込んだ実験が豊島区内で行われてもよかったのではないかと私は考えております。豊島区内で行われた内容は、歩道上での自転車走行帯の設置と駐輪場への誘導などが主でしたが、特に、歩道上への自転車走行帯の設置については、歩道幅員の大きい、条件のよい歩道上への補完的な措置といった面が強く、一般道に関する自転車、道路施策の参考になるような実験材料としての発展性の点で限界があったと思われます。率直に言って、このような感想を持ちました。  次に、自転車走行空間設置に向けた豊島区の課題について述べます。新設の都市計画道路や、国道、都道など、歩道幅員の大きい道路に対しての自転車走行空間の確保は容易であり、こちらのケースでは進めるべきです。しかし豊島区での問題は、それ以外の道路面積としては圧倒的に大きい歩道幅員の小さい道路や歩道のない道路があります。自転車は利用者各自の自宅からスタートする乗り物である以上、必ず通過しなければならないこれらの道路についての有効な対策が求められるのではないでしょうか。歩道の狭い道路や歩道のない道路などで自転車・歩行者双方にとって、いかに安全な形で自転車走行空間を確保できるかは、冒頭で述べた警察庁の通達に対する対応の意味でも重要であり、これが豊島区にとっても大きな課題だと考えます。  最後に、今後、社会実験に取り組むに当たっての提案について述べたいと思います。社会実験のテーマとしては、ただいま豊島区の課題の箇所で申し上げたように、課題への対応という意味で、区内の歩道幅員の小さい道路・歩道のない道路に対しての自転車走行空間の設置としてはいかがでしょうか。平成19年に同様の社会実験に取り組んだ世田谷区の例を見ると、歩道に新たに自転車走行空間を設けることが困難なため、車道部分にブルーのカラー舗装を施し、ブルーゾーンとして車道部分の歩道側に自転車走行空間を確保しました。車道幅員3メートルを確保した上で、ブルーゾーンの幅は45センチとし、側溝部分と合わせて、自転車専用の幅として1メートルを確保しています。このような車道・自転車道の設定条件で見た場合、もし豊島区内で実験を行うとして、候補となる道路はかなりあると思われます。ルートの選定に当たっては、今後の自転車施策、道路施策の参考材料となるよう、むしろ自転車・自動車・歩行者ともに通行量が比較的多い道路を選定するのがよいと考えます。例えば、自動車の一方通行道路としての東通りや、片側一車線の道路としての立教通りなどが考えられます。実験の内容としては、これらの道路の車道部分に自転車走行空間を確保した上で、自転車の誘導・走行マナーの徹底のほか、自転車の円滑な走行を確保する上で、自動車の速度規制や原則駐車禁止措置の徹底等が必要になると考えられます。その上で、自転車・自動車の利用者や歩行者だけでなく、道路周辺の商店街・住宅街の声も踏まえまして、今後に向けた検証・評価の実施を希望いたします。質問の第1点で述べた自転車運転免許の取り組みと連動させると、より全区的な取り組みに発展すると思われます。以上を踏まえまして、様々な可能性を考慮して、再度、車道における自転車走行空間の設置に向けての社会実験の実施を改めて提案し、ご意見を伺います。  以上、健康で安全・安心なまちを目指して、自転車で走れるまちづくりを質問いたしました。これをもちまして、私の一般質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。(拍手)   〔高野之夫区長登壇〕 ○区長(高野之夫) ただいまの関谷二葉議員のご質問に対しまして、お答え申し上げます。  まず、自転車利用者を対象とした、運転免許制度についてのご質問にお答えいたします。区内では、セーフスクールの認証取得に取り組んでおります朋有小学校におきまして、従来より、学校とPTAで開催している自転車教室を受講した児童に対しまして、免許を発行しております。また、目白警察が平成22年度から管内の小学校で主催している自転車教室では、受講した児童から申請がありますと、自転車講習終了証を発行しております。これらは現在、区のセーフコミュニティの取り組みとの連携を図りながら行っていきたい事業であり、小学生が自転車の安全な乗り方を学び、交通安全意識を高める上で、大変有効であると考えておりまして、区といたしましては、今後ともこれらの取り組みを積極的に支援をしてまいります。一方、最も利用者の多い世代がターゲットになっていない、あるいは免許の取得率や効果の持続性に限界がある等々のご指摘でございますが、区といたしましては、免許証の発行のみならず、自転車の安全利用の促進のために、様々な啓発活動に力を入れていく必要があるものと考えております。今後とも、どのような方策が有効なのかを、警察や学校、交通関係団体等と連携をとりながら検討してまいりたいと思います。また、自転車運転免許の取得と連動させた駐輪場の利用割引や、新規自転車の購入補助といったインセンティブの導入を視野に入れるべきではとのご意見でございますが、現在、区立の駐輪場では、生活保護を受けられている方や、障害をお持ちの方々についての減免制度はございます。しかしながら、特定の利用者に対象を拡大するには、公共施設の使用料の負担のあり方そのものを議論する必要がありまして、慎重に対応したいと考えております。なお、自転車の購入に対する補助金につきましては、厳しい区の財政状況では大変困難でございますが、児童・生徒が自転車走行時に着用するヘルメットの購入に対しましては、セーフコミュニティの重要テーマでもありますので、何らかの支援をしたいと考えております。さらに、免許を更新制にしてはどうかとのご意見もいただきましたが、自転車利用に当たってのマナーの再認識や、最新の知識を習得させる上でも、免許制度のあり方を検討していく中で、貴重なご提案として受け止めさせていただきます。  次に、車道における自転車走行空間の設置に向けての社会実験についてのご質問にお答えいたします。区では、池袋西口の劇場通りにおいて、仮設の自転車走行レーンを設置した社会実験を行い、その後、広い歩道幅員を活用した自転車走行空間の整備に、これまで取り組んでまいりました。歩道上での自転車走行帯の設置については、補完的な措置といった面が強いのではないのではとのご指摘がございましたが、区といたしましては、池袋駅至近で、かつ交通量も多い状況の中で、安全な空間を整備できたと自負しております。また、歩道幅員が狭い、もしくは歩道のない道路においても、いかに自転車・歩行者双方にとって安全な空間を確保するかが大きな課題であるとのご指摘につきましては、全くそのとおりでございまして、本区としても同様な認識を持っております。いずれにいたしましても、幅員の狭い生活道路での自転車事故も多く発生しておりまして、区といたしましてもできる限りの安全対策を様々に工夫していきたいと考えております。なお、こういった狭い道路において、自転車走行空間の設置による実験を行うことは、特に車や人の流れが煩雑な本区においては、大変難しいかと思います。様々な角度から交通管理者、道路管理者とも協議を行いまして、自転車走行環境の改善に向けた方策の検討をしてまいりたいと思います。  以上をもちまして、関谷二葉議員の質問に対する答弁を終わります。 ○副議長(島村高彦) 一般質問を終わります。 ───────────────────◇──────────────────── ○副議長(島村高彦) 以上で、本日の日程全部を終了いたしました。  本日は、これをもって散会といたします。   午後6時28分散会...