平成18年度決算は、歳入歳出とともに、前年度より微減となりましたが、歳入の面では、税制改正や景気回復の影響によりまして、特別区税や
財政調整交付金などの一般財源を増加するとともに、歳入総額に対する起債の依存度は、
減税補てん債の未発行などにより、1.5%と大きく引き下がり、歳入環境は、質的にも大きく改善しております。
一方、歳出の面では、
生活保護費の増大などにより、扶助費が6.3%の伸びを示したものの、人件費を初め、物件費や繰出金など
一般行政経費が大幅に削減された結果、引き続き経常的経費が抑制されております。また、主要な財源指標につきましても、財政構造の弾力化を示す
経常収支比率は、前年度より1.9ポイントも改善する75.9%、
公債費比率は、前年度より0.8%の改善となる8.8%と、いずれも、適正水準の範囲にまで回復しており、区財政は確実に健全化しつつあることが伺えるのであります。
このように、平成18年度決算は、歳入の改善と、これまでの構造改革による歳出抑制の徹底が図られた結果、区財政が健全化に向けて確実に改善したことを明確に示すとともに、このような緊縮財政にありながらも、将来の豊島区の発展を目指して、魅力と価値を生み出す
まちづくりを積極的に推進したことが明確に表れた決算でありました。
我が
自由民主党豊島区議団は、構造改革を着実に押し進めてきた理事者の皆様のこれまでのご努力に対し、深く敬意を表しますとともに、高野区長の揺るぎない信念に基づく卓越した決断力と実行力を高く評価するものであります。
それでは引き続き、款別に、若干の提言を含め、意見を申し上げたいと存じます。
まず、
議会費総務費についてでありますが、職員2,000人体制を目指し、
指定管理者制度の導入など民間委託を拡大することによって、
区民サービスの担い手は、正規職員から非正規職員へと大幅に移行しつつあります。そこで、職員との身分の格差がモラルの低下を招き、引いては、
区民サービスの低下につながることのないように、今後とも一層の
職員能力開発と意識の向上に努められるよう要望いたします。また、地方分権の進展に伴い、議会の役割はますます重要となります。区民に開かれた議会を実現するためにも、議会情報の公開につきましては、区民に見やすくわかりやすい区議会だよりの
紙面づくり、ホームページによる迅速な会議録の掲載などとともに、今後、議会中継の早期実現に向けて、積極的な対応を要望いたします。また、新
庁舎整備計画につきましては、本庁舎地の資産活用により、東池袋全体の活性化とさらなる発展につながる計画とし、区民が利用しやすく、機能的な庁舎であるとともに、将来の財政負担を生じないような新庁舎整備をお願いいたします。
次に、福祉費、衛生費についてであります。昨年、施行された
障害者自立支援法による、身体、知的、精神の3障害の一元化を契機として、障害者の自立のための施策の充実と授産施設等における運営の安定化のための製品開発と販売の拡張など、一層の支援を賜りますよう要望いたします。児童福祉では、保育園の待機児解消に早急に取り組むとともに、特に、年々深刻化する児童虐待の防止に向けて、今後とも、早期発見と迅速な対応にご努力いただきますようお願いを申し上げます。また、
子どもスキップの開設に当たりましては、保護者の理解を得ながら、地元の方々とも十分な連携を図り、順次進めていただきますよう要望いたします。また、
高齢者クラブの会員数が年々減少し、廃止に追い込まれる状況が続いておりますが、地域力の衰退につながる憂慮すべき事態と受け止めております。高齢者が地域で活躍の場を見出し、生きがいを持って活動ができるように、行政のきめ細かな支援をお願いいたします。
次に、
文化商工費、
清掃環境費であります。来年3月に予定されているもの
づくりメッセの開催に当たりましては、本区の
ものづくり産業の優れた技法や伝統工芸など、特徴を区内外にもアピールするとともに、次世代を担う
子どもたちの注目を集めるような、日本一となることを願っております。また、秀山荘の
指定管理者については、今年度で撤退するとのことで、誠に残念であります。そこで、今後の
事業者選定に当たりましては、長く安定的に運営ができる事業者の選定を心がけるとともに、区民の健康増進を図る上からも、区民のための保養所の充実を要望いたします。
次に、来年度からの
廃プラサーマルリサイクルの実施に当たりましては、廃棄物の発生抑制の観点から、3R活動の徹底を図るとともに、区民意識の高揚に向けた環境教育を含め、積極的な対応をお願いいたします。
次に、
都市整備費、土木費、教育費についてであります。池袋駅を中心とした将来の開発計画につきましては、現在、
鉄道事業者や百貨店などの事業者を含めた
検討委員会で協議が行われております。
東西デッキ構想、災害対策を含めた
地下コンコースの整備、さらには、駅舎の
バリアフリー化などの諸課題を抜本的に解決する総合的な
計画づくりに向けて、積極的な対応を要望いたします。また、平成21年度の大塚駅
南北自由通路の完成後、1,000台規模の
自転車駐輪場の整備が、平成23年度の開設を目標に計画されております。そこで、
放置自転車ワースト記録の常連となっている大塚駅の汚名返上を目指して、駅周辺の
放置防止対策の強化に加え、商業施設への指導や利用者のマナーの向上などにも積極的に取り組まれますよう、お願いをいたします。
教育費については、学校の適正配置と
隣接校選択制により、各学校で特色ある教育内容と魅力ある
学校づくりへの取組みが進んだ面はありますが、一方で、敷地の諸条件や校舎の老朽化などに加えて、今後の改築計画によっては、学校間の格差がさらに大きく広がる懸念があります。そこで、
学校改築計画の検討に当たりましては、地域のコアとなる学校を街づくり全体の課題として捉え、関係部局との連携を図りながら、諸課題を十分に配慮した上で、教育環境の整備に努めていただきすようお願いをいたします。また、最近、
子どもたちの学力の低下や生活態度の乱れなどが深刻化しており、
ゆとり教育の弊害ではないかとの指摘もございます。確かな学力の定着、
問題解決能力の向上、規律ある生活態度の確立などに力を注ぐとともに、専門性の向上や学校経営への参画などの面で、教員の資質の向上にも取り組んでいただき、教育豊島の再生に向けまして、一層のご努力をお願いいたします。
次に、公債費についてであります。
資金調達方法の新たな方策と、区政への住民参加の促進を目的とした豊島ふれあい債は、今年で5年目の発行となりましたが、来年度から
満期一括償還が始まることを踏まえますと、来年度以降の発行につきましては、一括償還が一般会計に与える影響や金利の上昇による将来負担などを十分に考慮の上、慎重に判断されることを望みます。
次に、特別会計についてであります。
介護保険制度については、
認定審査基準の適正化を図る法改正に伴い、厳格な審査基準の適用により、介護度が変更することとなった区民から不満の声が多く寄せられております。これは、公平・公正な制度を維持する上からも、判断基準の同一化が求められるとともに、利用者への情報提供による十分な説明を心がけて、利用者の納得と理解が得られるような調査と審査を切望いたします。また、
介護保険制度を利用されない家族介護のケースにつきましては、家族の負担軽減策の充実を図るとともに、
介護保険料だけを払ってサービスを使っていない方についても目を向け、バランスのとれた多面的な制度の充実を検討されるようお願いをいたします。
以上、
一般会計歳入歳出決算及び
特別会計決算に対する意見を申し上げましたが、総じて見ますと、平成18年度決算は、長いトンネルから抜け出し、
財政健全化の道筋も明確となって、ようやく未来に明るい展望を見出すことができる決算と評価しております。これまでの8年間の改革の歩みは、確かに長く厳しい道のりでありました。しかしながら、一方では、構造改革を進める過程で、これまで継続してきた事務事業の意義と効果を改めて検証し、存続するための有効性を見極めるなど、将来に向けて施策全体の再評価を行う契機となったこともまた事実であります。今回の決算審査では、行革によって廃止した事業の復活を求める意見もございましたが、景気回復を理由とする安易な事業の復活は、再び歳出の膨張に向かう危険性をはらんでおり、慎重な判断が必要であります。平成18年度決算では、ようやく、収支均衡型の財政運営ができるまでに回復したとはいえ、将来の負債総額は依然として重く、高齢化による扶助費、医療費、
介護給付費などの増大が大きな課題となっている中で、学校改築など
老朽化施設への対応には、今後、多くの一般財源の投入が必要であります。しかしながら、的確に応えるための財源の見通しは、いまだ、定まってはおりません。そこで、これからの財政運営に当たりましては、経費節減や事務事業の見直しに継続的に取り組み、しっかりとした足固めを今後も持続しながら、将来に向けた戦略的な施策の展開については、確実に成果を生み出す施策に重点を絞り、効果的に財源を投入していくことが重要であります。そのためには、景気回復に浮かれて、安易に財布の紐をゆるめるのではなく、堅実な財政運営を今後も継続していくとともに、区民にも納得した理解を得られるように、広く周知徹底をした取組みにもご尽力いただきますよう、切に要望いたします。
最後に、2016年に行われるオリンピック・パラリンピック競技大会の東京招致につきましては、本区の将来の発展につながるまたとない契機になり、次世代を担う
子どもたちに感動と喜びを伝え、明るい社会づくりの一翼となるものと考えますので、高野区長を中心として、区内外にも積極的に働きかけていただきたいと要望いたしまして、平成18年度の決算審査に当たっての意見開陳といたします。
なお、今回の決算審査に当たり、私どもの資料要求に対し、迅速かつ的確に対応していただいた理事者の皆様並びに職員の皆様に、改めて御礼を申し上げます。誠にありがとうございました。
以上で、
自民党豊島区議団の意見開陳を終わります。
────────────────────────────────────────
○
小林俊史委員長
次に、民主・区民にお願いいたします。
○山口菊子委員
民主・区民豊島区議団として、2006年度、平成18年度一般会計決算、国民健康保険事業会計決算、老人保健医療会計決算、介護保険事業会計決算、従前居住者対策会計決算の認定に、賛成の立場で意見開陳をいたします。
初めに、私ども会派のつたない質問に対し、区長を初め、理事者の方々が真摯に答弁をしてくださいましたことに感謝を申し上げたいと思います。ありがとうございました。
2006年度は、高野区長が2期8年目の区切りである年であり、厳しい財政状況を脱するための
行財政改革を積み重ねた結果として、区長の言葉を引用すると、負の遺産を克服するための改革から、未来を切り開くの改革へと、軸足を移す予算でありました。決算の結果としては、前年度よりマイナスになっていますが、区の借入残高は着実に減少をし、基金残高も増加しました。
経常収支比率が98%を超え、23区でワースト3に入る厳しい状況から、ようやく、バランスのとれた会計になってきたといえます。導入されて、2年目の枠配分予算方式については、財政が厳しい時期でもあり、
区民サービスの上で、効果があったのか否かの評価が、いま一つ、具体的に見えてはいませんが、答弁の端々に区民要望に十分応えられない苦しさが見えておりました。
一般会計歳入では、定率減税の縮減などの税制改定による影響で、人口増に加えて、課税人口の増加による特別区民税の増額があり、さらに、景気回復による企業収益の増加に伴う法人住民税の増収による特別区
財政調整交付金の増額がありましたが、
減税補てん債が発行されず、特別区債が減じているために、前年度よりマイナスとなりました。特別区民税の増収は、区民の皆様の負担の上にあったことになります。税制度は、豊島区が決めるものではありませんが、区民負担の増大という背景は、忘れてはならないと思います。狭小住戸集合住宅税は減少しておりますが、その課税目的を再度確認し、5年間という期限が迫っている条例について、その内容を改めて検討しなくてはならない時期になっていると思います。
款別に、若干の意見を申し上げます。
議会費では、議会図書室については、リファレンス機能など充実したものにすべきであり、現状は、図書室の名に相応しいとは言えないのではないでしょうか。また、議会の情報公開を進める上で、議会のインターネット中継を具体的に検討すべきです。
次に、総務費ですが、人件費については常に議論になりますが、職員2,000人体制の目標と、具体的な仕事の質の量とについては、必ずしも明確になっていません。職員定数が減じられている一方で、非常勤職員や臨時職員が増えている職場の中で、労働の格差も生まれています。自治体は、直接住民と接する仕事が多く、マンパワーの質の向上が求められています。一人一人の職員の研修が重要であり、その充実をしていただきたいと思います。また、人件費削減が
区民サービスの低下とならないように、どの職場のどの仕事をどのように変えていくのか、丁寧な検証が必要ではないでしょうか。また、
指定管理者制度や民営化についても、事業の安定的な継続のために、同様に丁寧な取組みをすべきでしょう。広報掲示板の企業広告募集が図られましたが、実際には進捗しておらず、一層の取組みが求められます。日本各地で、地震が発生し、大きな被害が出ております。防災対策も怠りなく、効果的な施策を実現していかなければなりません。区民ひろばは、定着に時間がかかる事業です。また、自主運営を継続していくのは大変なことです。地域の理解を得られるような行政努力を重ねなくてはなりません。
福祉衛生費では、まず、
生活保護費の中での住宅費については、現実に見合った金額となるように、国に対して制度の改正を求めていくべきではないでしょうか。高齢者の見守り事業については、本来的には、よい事業ではありますが、具体的には進んでいるとは言えません。事業の検証と広報について、検討を行っていく必要があります。特養ホームの待機者は、依然として1,000人を超えており、療養型の病院ベット数が制度的に減少している上に、今後、医療制度改革によって、入院日数の減少が図られることになっており、特養ホームの新たな需要に応えた施策が必要です。遅くならない時期に、特養ホームの誘致などを行うべきです。
障害者自立支援法が始まりましたが、この制度は、利用者の負担が生じるなど、従来の障害者施策とは大きく変わりました。障害のある方々が安心して暮らせるように、安定したサービス提供をしていくことに努めていただきたいと思います。保育園については、育児休業明けの需要に十分応えられる状況にはありません。少子化が進む中で、子育て支援策の充実が求められています。エイズ知ろう館は、現下の社会の情勢の中で、役割は大きく、一層の活用をしていくべきです。健康診査センターについては、区民にとって身近な健診場所として有用であり、その経営と区からの補助金のあり方など、わかりやすい説明が区民に求められています。
文化商工費では、地域の商店街の存在は、高齢化の中で重要なものになっています。しかしながら、厳しい規制緩和によって、地域の中小の商店は、存続が難しくなっています。商工振興条例に沿って、商店街活性化に向けて、具体的な施策の実現が必要です。また、中小企業者への支援もさらに進めていかねばなりません。観光振興プランに関する予算が未執行となりましたが、外来者にとって好ましい街は、住む者にとっても心地よいはずです。一層の取組みをしていただきたいと思います。としま未来文化財団の事業と文化商工部の事業の仕切りが、区民にとってわかりにくく、二重行政と受け取られかねない状況も見えております。検証を行う必要があるでしょう。ヤミ金、サラ金被害は、依然として続いており、相談事業の実績の活用など、施策の充実を図るべきです。
次に、
清掃環境費ですが、環境施策は高野区長の重点政策でもあり、庁内に横断的なプロジェクトチームをつくって施策の検討をすることは今後も継続的に行い、具体的な結果を出すべきでしょう。また、都市再生に向けても、環境への配慮をきちんと行うべきです。ごみ減量に向けて、廃油リサイクル、乾電池回収、蛍光管回収など、手間も経費もかかる事業については、常に処理費用などを検証していくべきです。また、不法投機の解消に向けた具体的な施策についても検討を進めるべきです。豊島清掃工場に事故がありましたが、速やかな情報伝達のためにも、工場の運営主体である23区一部事務組合への情報組合の情報アクセスについては、区民にとってもっとわかりやすいものにすべきです。
次に、
都市整備費ですが、池袋東西デッキや池袋駅周辺整備など、
都市再生事業が進められておりますが、防災やバリアフリーの視点からも進めるべき事業ですが、具体的な財政問題についての課題は大きく、民間との連携を密にし、しっかりとした裏付けを持って取り組むべきでしょう。また、都市計画道路172号、173号と、池袋駅前広場とのアクセスについては、連携を持ったものとすべきです。癌研病院跡地の開発については、民間事業といえ、公共的な性格を持つ事業であり、地域との関わりについては、区もきちんと対応すべきです。
次に、教育費ですが、学力テストの問題について、大きな社会問題になっていますが、
子どもたちの健やかな成長と基礎学力の学びにとって、有意義なものとなるようにすべきです。また、予算決算の委員会の度に議論をされていることですが、学校の改築は、財源問題の壁が大きいとはいえ、公平の観点からも着実な実施計画をつくらなくてはなりません。
基金については、
財政調整基金が増していることは、いざというときの備えとしては好ましいことですが、区民需要に応えるための自主財源としての活用とのバランスは、、しっかり検証していただきたいと思います。また、庁舎建設基金については、実際には、残高がないという状況で、区民への説明責任という面での表現方法については、検討していただきたいと思います。
国民健康保険事業会計では、税制改正によって保険料が増額になり、低所得の所帯には、負担が大きくなりました。収納努力によって収納率が向上したことは、評価されますが、一方で、資格証明書や短期資格証の発行については、社会保障制度として医療を保障していくことの重大さという点も見逃せません。分割払いなどの手法も含め、滞納にならないために、早めの相談の必要についての広報も必要でしょう。来年度から実施されることになっている後期高齢者医療制度では、豊島区は保険者にはなりませんが、高齢者の負担が大きくなることが決まっており、窓口相談を含め、日常的な対応は、区が行うことになりますから、職員の適切な対応を期待いたします。
介護保険制度が2006年度の改定で保険料負担が改定をされ、介護認定を初め、サービスについても変わり、多くの高齢者の方々に影響がありました。介護報酬も下がり、事業者にも同様に多くの影響がありました。介護保険課の苦情受付は大変だったことだと思います。国の制度であり、区としての裁量が及ばず、介護を受ける方々にとっても、介護を提供する事業者にとっても、厳しい状況になっています。また、特定高齢者などわかりにくい言葉も多く、サービス内容の変更は、利用者にとっては困惑するばかりです。国に対して、介護の実態に合った制度にしていくために、区としての要望は、日常的に上げていかなければなりません。窓口では、今後も区民に対し、わかりやすく丁寧な対応をしていただきたいと要望いたします。また、事業者に対しては、不正のないように今後も指導を続けていただきたいと思います。
2006年度決算は、数字を単純に見れば黒字ということになりましたが、区の財政全体を見れば、
行財政改革の様々な取組みによって、健全化されたとはいえ、依然として債務は大きく、厳しい財政状況に変わりはないと言えます。高齢化がますます進み、非正規雇用の拡大で所得格差が広がる傾向も変わりなく、国民所得の推移は楽観できません。また、今後の経済状況も好調と言われながらも、地域の声は必ずしもよいものではありません。区民の皆様が未来に希望を見出せるようにするのが政治であり、そのために、区長も議員も職員も一致して、人に優しい、住みやすい豊島区を実現していかなければなりません。この
決算特別委員会の質疑が、今後の区政運営に着実に生かされることを願い、意見開陳といたします。
────────────────────────────────────────
○
小林俊史委員長
次に、公明党にお願いいたします。
○此島澄子委員
私は、公明党豊島区議団を代表いたしまして、平成18年度一般会計決算並びに国民健康保険事業会計、老人保健医療会計、介護保険事業会計、従前居住者対策会計の4
特別会計決算を認定することに、賛成する立場から意見開陳をいたします。
さて、18年度決算は、区長が評価されたとおり、平成16年度では、薄氷を踏むがごとき決算、17年度では、堅実な財政運営に向かっていることが明確に表れた決算、そして、今回の18年度は、
財政健全化に明確な区切りを付けることができた決算と、次第に明るさを増し、
財政健全化に対する確信が高まった決算と言え、ここに至るまでの高野区長を初めとする行政執行部と職員の皆様のこれまでのご労苦に敬意を表するものであります。
私ども公明党は、予算編成当時は在籍しなかった新人議員2人を交え、18年度決算の審査に当たり、今後の人口減少社会や少子高齢低成長時代を迎える中で、自立した分権社会を担う行政の果たすべき役割を踏まえ、1、区民の目線に立った行政運営となっているか、2、時代の変化に適応した事業展開となっているか、3、事業の改善、見直しなど行政の質の向上に取り組まれているかなどを主眼に、慎重かつ厳正に審査に望みました。理事者の皆様には、資料要求を初め、事前調査に快く応じていただきましたことに心から感謝し、御礼申し上げます。
さて、18年度は、この年からスタートした新基本計画に基づき、福祉と教育を基本としつつ、文化、健康、都市再生、環境など、86事業の具体的な実現に向けて取り組まれました。さらに、これからの変化が激しい時代に対応した行政経営システムを構築し、新たなニーズに対応できる行政体力を回復するため、
行財政改革プラン2004に続き、2005を推進し、限られた財源を効果的・効率的に活用するため、選択と集中、スクラップ・アンド・ビルドの考え方を基本としながら、見直す部分と新たな部分を併せ持つ内容となりました。
このような改革の努力と区民の協力により、実質単年度収支が3年連続黒字となり、区財政は確実にかつての危機的な状況を脱し、健全化に向かうこととなりました。とはいえ、今後の財政運営につきましては、減少傾向にある長期債務の返済もまだしばらく続く中で、高齢化と経済の低成長社会がもたらす生活保護の増加や医療・介護の給付に伴う繰出金はますます増加していくことは間違いありません。また、老朽化した施設の維持管理経費はもちろんのこと、特に急がれる学校を初めとする公共施設の再構築には多額の財源を必要とするなど、多くの課題を抱えております。ゆえに、
財政健全化への道のりは、道半ばであり、絶えざる
行財政改革に取り組みながら、的確に区民の需要に応えるという困難に挑戦していかなければなりません。その点を区民にも十分理解をしていただく努力が必要であると思います。
以下、款別に要望も交え、意見を申し述べます。
まず、議会費、総務費ですが、職員の人事におきましては、担当部署により、変えがたい貴重な能力を持ち得た職員がおります。ゆえに、仮に非常勤という立場にあっても、
区民サービスの向上を考え、年数を重ねながら、培った専門分野や経験を生かせるように配慮されたいと思います。また、今の時代は、職員の柔軟な想像力を生かせる組織、管理者が望まれます。人は石垣、人は城と言われるように、人が生かせる組織運営をしているところが、常に様々な取組みに勝っていける強い組織になると考えます。さらに、職員の様々な研修が行われておりますが、特に、
区民サービスの基礎・基本となる接遇研修には、力を入れていただきたく要望いたします。行政のスリム化、行政コストの削減という観点で、民間活力との協働により、民間委託や民営化、また、
指定管理者制度の活用などが25の施設で行われてまいりました。その財政効果額は、外郭団体の経営合理化を含めると、3億8,000万円と見ており、評価いたしますが、その運営についてはどうなのか、区民の声はどうなのか、よく検証し、チェック機能の強化と配慮を望みます。また、この度の秀山荘に見られるような事業者の撤退という状況等が生じた場合、
区民サービスに支障を来すことのないように、また、財政効果が損なわれないようにお願いをいたします。広告掲載料や区有施設における歳入確保は高く評価するところであります。公共施設の再構築におきましても、この観点を視野に入れながら取り組んでいただきたいと思います。本区の治安対策の取組みは、高く評価いたしますが、今後、より多くの区民が参加できる防犯体制の仕組みをつくり上げていただきたいと思います。
福祉費、衛生費ですが、子育て支援策として、子ども医療費の助成を18年10月から拡充し、さらに、現在は、中学3年生まで無料としていただきましたが、子育て世代にとって何よりもありがたい事業と喜ばれ、感謝されております。また、保育園の民営化を初め、様々な保育事業に取り組まれ、多様な保育ニーズに応えていただきました。子ども権利条例のパンフレットもやっと印刷されたところでありますが、小学生には、わかりやすい形でのご案内を工夫されること要望しておきます。75歳からの介護予防につきましては、区民ひろばでの開催など、より身近に参加できるようお願いいたします。
豊島健康づくり大学は、豊島の健康21を実現し、ひいては、予防医学の観点から医療費の削減にも資するものであります。区民が生活習慣病の予防事業に幅広く取り組まれるようお願いいたします。
文化商工費のあうるすぽっとにつきましては、文化の力をもって、まちを活性化していけるような企画運営が要望されます。区民にとっては、主に鑑賞をするための施設とのご答弁がありましたが、鑑賞するホールは池袋にも数多くあることから、区民に歓迎される企画運営となるよう切望いたします。商店街の装飾灯につきましては、助成金が10年前に比べ激減してきたところに、会員の減少で、その負担が大きくのしかかっております。これは商店街のためだけでなく、地域を照らす街灯ゆえに、助成の拡充に努力されたいことを要望いたします。
清掃環境費につきましては、家庭ごみの有料化に向けての答申を受けて、モデル事業の実施をされましたが、様々な課題の検討を重ね、区民から理解されることが大切であります。また、廃プラスチックサーマルリサイクルの本格導入を控え、不適性な搬出、不法投機を予防するため、ごみ集積所へのごみ出しマナーの啓発活動の強化に努力されるよう要望いたしました。
都市整備費、土木費、教育費につきましては、東長崎駅や大塚駅におきまして、バリアフリー法から駅まち一体改善事業など、様々な補助の併せ技とも言える事業により、例えば、東長崎においては、区の負担が何と、3,000万円という感動するような財源で完成する運びとなり、地元住民にとっても、価値ある
まちづくりを推進していただきました。後は、その名のとおり、まちの活性化へとつなげたいものであります。
学校教育におかれましては、小学校英語教育の充実、普通教室の冷房化や環境整備、
特別支援教育の推進、安全・安心対策事業など、魅力ある
学校づくりや、生きる力を育む教育の推進に努力されました。新中央図書館は、私どもの要望を取り入れていただき、児童書コーナーの設置も大変喜ばれております。また、学校図書館の図書購入費におきましては、23区の中でも22番目と低いことから、その整備に努力されたく要望いたします。人を育てるという最も崇高な教育の世界で、今、多くの課題を抱えておりますが、今後も豊島の教育ビジョンの実現に向けて、ご努力をお願いいたします。
最後に、特別会計の介護保険につきましては、低所得者への支援は、当然取り組まれねばならない課題でございますが、同時に、保険料の公正な支給、すなわち、不正事業者の排除にはご努力をお願いいたします。課長自ら現場に通い続けた努力は、マルサの女ならぬ行動でありますが、今後は、さらなる調査員の拡充を望みます。
以上、款別に意見を申し上げましたが、特に申し上げたいことは、今後、ますます多様化すると思われる区民の事情に対応するためにも、部局間の連携をさらに強化していただきたいということであります。問題に直面した区民にとっては、その多くが初めての出来事であり、どこに相談を持ちかけても受け止めてもらえる体制が完備されていることが重要であります。
また、区の現状や施政方針、事業の目的、効果といったものをより多くの区民に理解してもらう努力、工夫を重ねていただきたいということであります。例えば、冒頭にも述べましたが、危機的な財政状況から抜け出したとはいえ、いま、だ巨額の債務を抱えながら、社会補償費や医療費もしっかりと確保しなければならず、老朽化した公共施設の改築にも取り組まなければなりません。さらにいえば、本区がかつて掲げた
財政健全化計画における歳出抑制部門においては、この4年間での達成率が49.7%に過ぎず、46億円もの歳出超過となっております。これだけを捉えれば、財政が厳しい中で、無計画な歳出を行ったと見られますが、実態としては、実施計画に基づいて、経費削減に取り組む一方で、新規拡充事業を4カ年で累計218事業、事業費ベースで73億円も計上していることが要因となっております。言い換えれば、財政が厳しい中で、計画を変更しても
区民サービスに応えようとした本区の取組姿勢を伺うことができるのであります。こうした事実を背景に、どのように区民に理解を求めていくかが、今後の大きな課題となると実感しております。
急速に進む少子高齢化、長期にわたる経済の低成長という時代にあって、国も地方も厳しい行財政経営を迫られております。様々な改革を改悪と呼ぶのは簡単なことであります。今を、そして、将来を生きていくことができる社会にするために、改革は絶対的に必要であります。その上で、その改革によって影響を受ける人たちに対し、具体的な救済策を施していかなければならないと思います。極めて困難ではありますが、避けては通れないことでございます。そして、こうした困難を乗り越えていくためにも、行政対区民という枠組みだはなく、行政も区民も、ともに同じ方向に向かってスクラムを組むという体制を築いていくことが強く求められるのではないでしょうか。この協働の体制をつくり上げるための取組みもまた困難な作業でありますが、実現に向け、総力を結集されることを期待するとともに、私どもも最大限の協力させていただくことをお誓いし、公明党の意見開陳とさせていただきます。ありがとうございました。
────────────────────────────────────────
○
小林俊史委員長
次に、日本共産党にお願いいたします。
○森とおる委員
私は、日本共産党豊島区議団を代表して、2006年度一般会計決算並びに国民健康保険事業会計、老人保健医療会計、介護保険事業会計の3
特別会計決算の認定に反対の立場から討論を行います。なお、従前居住者対策会計には、賛成いたします。
討論に入る前に一言お礼を申し上げます。お忙しい中、我々の資料要求に対応をいただきましたことに深く感謝申し上げます。ありがとうございました。
それでは、討論に入ります。2006年度は、どのような1年であったでしょうか。小泉内閣による構造改革の荒波が国民に襲いかかり、定率減税の半減や老年者控除の廃止、公的年金控除縮小、125万円老齢者非課税制度廃止等で、特に高齢者への増税が激しくなり、住民税が数倍から十倍となり、それに連動して、国民健康保険料、
介護保険料等も引き上げられ、これ以上は、払い切れないという悲鳴が全国から寄せられ、まさに、驚くべき負担増でした。一方で、空前の利益を上げている財界大企業に対しては、相応の税負担を求めるどころか、逆に、減税措置を行い、政府は、好景気はいざなぎ景気の最長記録更新と発表しましたが、格差と貧困の広がりが大きな社会問題となっています。村上ファンドの後ろ楯を行っていた大手企業の存在や、個人投資していた日銀総裁問題などともに、勝ち組・負け組とか、ワーキングプア、ネットカフェ難民などという言葉が一時的な社会的風刺に終わることなく、メディアで頻繁に登場し、教育格差、医療格差と、その国民不安はとどまることを知りません。増税路線は、今年度においても、定率減税廃止等により、さらに追い打ちをかけるものとなり、国民生活は大変厳しい状況下に置かれたままとなっています。
内閣府が先月発表した国民生活に関する世論調査結果によると、日常生活に悩みや不安を感じているが69.5%で、2年連続過去最高を更新し、不安を感じないが29%と過去最低となりました。項目別では、老後の生活設計の不安が、53.7%とトップです。このように、相次ぐ負担増による国民の怒りが、参議院選挙の自民党歴史的敗退という結果をもたらしたのです。政府の新行革指針に基づき、各自治体は、行革の集中プランを作成しました。豊島区においては、
行財政改革プラン2004、2005がこれに該当する計画であります。区は計画作成において、2004年9月当初には、財政が逼迫し、収支見通しが大変厳しいものとして、後年度の財源不足への対策としていました。その金額は、2005年度が、66億5,000万円、2006年度が、86億4,000万円とされていました。こうした発表に、多くの区民から、いつになったら区財政が好転するのか、これ以上のサービス切捨てはやめてほしいという切実な声が続出しました。
ところが、1年経過した2005年8月には、4年間で、不足額が215億円と下方修正され、わずか半年後の2006年2月には、4年間で、90億円となりました。この90億円には、基金の積増しと負債償還が含まれており、実際には財源不足はないのです。こうして見ると、まさに、区が財政難を描き出し、それを口実に、
区民サービスを削減するための手段としてきたことがわかります。行革プランによって様々な
区民サービスを切捨ててきたことにより、区民の暮らしは、ますます深刻です。生活保護世帯の増加や就学援助を受ける世帯の増加、相次ぐ増税・負担増により今日を生きることが精一杯で、明日への希望を見出すことができないという区民が急増しています。今こそ、区は、本来の自治体としての役割を果たすべきです。
そこで、日本共産党区議団は2006年度決算の審査に当たり、第1に、区民生活に根差した展望ある財政運営を行ったか、第2に、切実な区民需要に応え、
区民サービスを低下させていないか、第3に、不要不急な開発・浪費を進めようとしていないかどうかの観点で審査に望みました。
最初に、第1の観点である区民生活に根差した展望ある財政運営を行ったかどうかについてです。区長は、2006年度決算について、実質単年度収支がプラス17億円と、3年連続黒字となった理由を次のように述べました。増税と人口増、特別区交付金増による歳入増加と
行財政改革プラン推進による歳出抑制によるものというものです。ただ、単に黒字になっただけではありません。この間の財政運営を見ると、貯金に当たる基金残高は、2005年度に55億円増加し、2006年度にさらに33億円増加しました。中でも、
財政調整基金は、2006年度末までの2年間で、7億円から64億円へと急激に積み増しました。今年度も積増しを進め、現在、74億円に膨れ上がりました。区は、目標の第1段階の62億円は達成できたので、当面、100億円、さらに、23区平均である140億円まで視野に入れると述べています。借金返済に当たる負債償還は、2005年度が78億円、2006年度が実に97億円であり、基金の積立と負債償還が急速に進んだことを示しています。
我が党は、基金のすべてを否定しているわけではなく、将来需要を見据えた上で、大事な施策を実施するための基金は必要であると考えます。しかし、区は、これまで財政難を理由に行革プランを強行し、区民の大切な財産である区有施設の売却、低所得者や高齢者、子ども、中小業者とありとあらゆる
区民サービスを削減・廃止してきました。貯金は多く、借金は少ないに越したことはありません。しかし、黒字になっているのであれば、困った区民の救済策、緊急性のある施策を優先すべきであり、基金のため込みや借金返済を優先すべきではありません。
次に上げる財政運営の問題点は、枠配分方式です。他会派の委員からも出されたように、区民の切実な需要を奪うための手法です。区全体が黒字となっても、区長が各部署の予算を締め付けている以上、必要なサービスを拡充することはできません。どうしても拡充する際は、別の施策を削減しなければならないというしわ寄せが起こっています。1つの事例が、寝たきり高齢者紙おむつ支給事業を大幅削減したところ、受給者から怒りの声が殺到したために、担当部署は一部復活するための予算を捻出するのにも、別の事業である寝具類洗濯乾燥事業等を削減しました。
もう1つの事例が、公園緑地課は、予算削減指示を受け、区民に危険を及ぼさない施策の中から、仕方なく公園の清掃・管理の予算を削減せざるを得ませんでした。その結果、南池袋公園の障害者用トイレの扉の故障が1カ月以上も気づかれずに放置され、利用者が危険にさらされる事態になったことは、本委員会でも指摘したところです。このように、枠配分方式は、区民の生命を脅かすものであり、ただちに撤廃すべきです。
次に、第2の観点である切実な区民需要に応え、
区民サービスを低下させていないかどうかについて述べます。1つ目は、住民税軽減策についてです。自公政権の税制改悪は、区民の生活を直撃しています。当該決算年度の2006年度は、5,900人が非課税から課税世帯に変わりました。多くの区民が、所得税だけではなく、住民税の負担が増えました。その結果、歳入では、特別区税の伸び率は、7.4%、額では、17億9,000万円の増となっています。さらに今年は、定率減税の全廃、住民税のフラット化により、負担増は一層拡大され、区民は22項目もの負担増となっています。この間、我が党は区民の負担軽減のため、住民税の軽減策の実施を一貫して求めてきました。その結果、区は
介護保険料の見直し、その他、一般施策の軽減方法の検討等を来年度の予算編成に向け行うことを明らかにしました。早急に具体化することを改めて求めます。しかし、これだけでは根本的な解決にはなりません。住民税そのものの減税策が必要なのです。しかし、区長は、一律かつ無条件に当該税負担を講じることのないようとする総務省通達を理由に、実施しないと冷たい答弁を繰り返しています。区長は、区民の実態を認識していると言っていますが、これでは認識していないのと同じです。住民税減税は、川崎市や名古屋市など複数の自治体で実施しており、区長の政策的判断で実施可能なことは既に明らかになっています。豊島区でもただちに実施すべきです。
2つ目は、生活保護の問題についてです。区民の生活は本当に深刻です。生活保護世帯は、2006年度4月が3,689世帯で16.2パーミル、今年4月は3,896世帯で17.3パーミルとなっており、この1年で200世帯以上も増加しています。まさに、自公政権の社会保障切捨ては、貧困と格差拡大をつくり、生活保護層を増大させているのです。委員会審査でも取り上げましたが、50代のAさんは、病気の妻を連れ、わらにもすがる思いで、生活福祉課を訪れ、相談、3カ月という目安で部屋を提供された時は、本当にありがたい、救われたと思ったそうです。しかし、その後の対応に、Aさんは、人間として扱われなかったと、深く傷ついた思いと怒りを訴えています。
私たちに寄せられる相談の多くは、今日の生活にも困っている、一生懸命節約に努め、貯金を崩して、生活してきたが、もうどうにもならないと言った切実なものが多く、話を聞くだけでも胸が痛むことばかりです。区に相談に行くと、制度そのものがよくわからない、門前払いをくらった、もう二度と行きたくないという相談が多くあります。生活保護を申請するというのは、その人の人生にとっても大きな問題で、それだけに勇気のいることであり、職員一人一人の対応は、大変重要な意味を持っています。
社会福祉法では、職員1人当たりの標準担当件数を80件と定めています。しかし、豊島区では、平均88件で、これでは、親身になって相談に乗ることはできません。北九州の餓死事件など、生活保護からの排除による死が大きく社会問題化していますが、生存権保障に基づいた行政の関わりこそ、今、求められています。職員削減ばかりを進めるのではなく、必要な配置を確保すべきです。ただちに職員を増やすべきです。
3つ目は、高齢者福祉の問題についてです。この3年間だけでも、生活保護受給者が年20人から22人、孤独死しています。緊急通報システムは、2005年度は75台設置されましたが、2006年度は53台、今年7月末現在、23台です。運営要綱によると、設置対象となる基準の中には、生命の危険、あるいは、障害が残ることが予想される慢性疾患があるものとしています。また、障害者では、身障手帳2級以上としています。Bさんは、肺気腫があり、さらに、1年半前に身障手帳5級に認定された視覚障害者です。高齢者になっての失明状態で、症状は徐々に進行し、現在では、白い杖を持ち、介助を受け、歩行訓練をしています。アパートのひとり暮らしで、不安があるため、緊急通報システムの申請をしようとしましたが、肺気腫でもボンベを使用していないのでだめ、身障手帳5級もだめと断られたそうです。担当理事者は、必要と思われる人には設置可能と言い、その後、Bさんには設置されることになりましたが、窓口での運用を厳しくしている結果ではありませんか。そもそも、この間、ハローテレホンの廃止、配食サービスの縮小、介護度の低い人からのヘルパー取り上げなど、安否確認を含め、高齢者への施策の削減が孤独死を招いている1つの原因ではないでしょうか。
4つ目は、
障害者自立支援法についてです。
障害者自立支援法が実施されて、1年半が経過しました。原則1割という応益負担が余あまにも重いため、改善を求める世論の声に押されて、国は今年に入り、特別対策を実施せざるを得なくなりました。しかし、これで問題が解決したわけではありません。障害を持つ子どもが年齢を重ねるに連れて、親も同様に年をとり、70歳、80歳となった高齢者が子どもの世話をしている家庭にとっては、特に大打撃となっています。また、体の一部である車いすや杖、補聴器等の補装具までもが1割負担となり、使い勝手のよい改良品が出ても、我慢して古いものを使い続けなければならない方も出てきています。そして、ほぼ全員が無料で利用できていた福祉作業所は有料となり、労働に対する工賃を上回ってしまいました。この実態のどこに自立という言葉が当てはまるというのでしょうか。このままでは、施設利用を減らしたり、中止したりして、外出を控えるとか、趣味に使うお金を減らさなければならない等、自立を阻害される厳しい実態が進むことは明らかです。また、通所施設等の報酬が大幅に削減され、施設は収入減への対応として、利用者、職員への犠牲回避の努力を必死に続けていますが、苦渋の選択を余儀なくされて、利用者が楽しみにしていた行事の廃止、職員賃金引下げや職員からパートへの切り換えによる人員不足も深刻化しています。このままでは、施設そのものの存続が脅かされ、運営できなくなってしまい、利用者が行き場を失いかねない状況が迫りつつあります。誰もが好き好んで障害を持ったわけではありません。
障害者自立支援法は障害者の日常を顧みず、お金がなければ生きていけない希代の悪法です。私の質問に対する答弁にもあったように、区が現場の大変な実態を認識しているならば、一層の負担軽減策を実施し、障害者本人と家族に対して、ぬくもりのある手を差し伸べるべきです。
5つ目は、住宅についてです。区が関与する住宅の中で、居住水準を満たし、比較的低家賃の福祉住宅や区営住宅は絶対数が不足しているため空きが少なく、毎回、応募倍率は大変高くなっています。区民からは、公営住宅入居の要望が強く、住宅さえ確保できれば何とかなるのにという声が後を絶ちません。住宅基金があり、区有地は貸付売却予定地がいくつもあります。建設費用のみなら補助金もつくため、区の持ち出しは多額ではありません。ただちに、需要に応え、建設計画を立て、進めるべきです。また、住替え家賃助成制度等、削減した住宅施策についても復活すべきです。
6つ目目は、子どもの支援策についてです。まず、保育園についてです。少子化子育て支援と言いながら、相変わらず待機児は多く、2006年度は152名と、2004年、2005年度と比較すると、50名前後待機児が増えています。また、今年度は9月1日現在で、既に、83名となっています。区は、待機児解消は重要課題であると言いながら、4月は、おさまっている、待機児のいる施設もあれば欠員が多い施設もあると発言しました。しかし、今年度、4月で既に、待機児は48名で、毎年年度末には3桁を超えています。また、9月1日現在、ゼロ歳児は44名、1歳児でも21名が待機児となっています。しかも、今年度の待機児数のカウントの仕方に、認証保育所などに入所している場合、待機児数から除外する新定義なるものを導入しました。認証保育園には、認可保育園の待機で利用している場合も多く、これは、あまりにも姑息なやり方です。このようなやり方は認められません。我が党は一貫して定員構成の見直しを求め、特にゼロ歳、1歳児枠の拡大を求めてきました。ただちに、待機児解消に取り組むべきです。
次に、全児童クラブスキップの問題です。今年2月に開設したスキップ朋有は、学童クラブで105名、スキップの登録者数は450名を超え、学童クラブもスキップも、毎日、それぞれ、70人から80人の
子どもたちが利用しています。常勤者は館長1人で、とにかく安全に
子どもたちが生活できるようにと、スタッフが必死で頑張っています。しかし、保護者が願う、以前行われていた成長記録となる連絡帳の記載などは、とてもできないという状態です。しかも、驚いたことに、事業実施経費は年間23万円のみ、どの館も一律です。これで、学童クラブとスキップ、
子どもたちのトイレットペーパーなどの衛生費、本などの備品、学童クラブのおやつ代を賄うとなっています。理事者は足りなければ補足できると言いましたが、この間、請求はないということです。とにかく職員には使うなと強調していれば、必要でも差し控えてしまうのです。理事者は額の検討を約束しましたが、必要に応じて増額すべきです。また、障害児対応では、2面枠を外すために要綱の見直し等を早急に進めることを強く求めます。今のやり方は、
子どもたちによい環境を確保しているとは言えません。
子どもの権利の施策については、この条例の制定時から自民党の猛烈な反対があり、区長が制定前に修正、廃止も1つの選択肢と無責任な発言を行いました。許されない発言です。条例を可決するまでの過程において、子どもの権利を守るため、多くの区民が何度も議論を重ねてきました。にもかかわらず、施策を見直したために、執行率46%になってしまったのです。到底、認めることはできません。
子どもたちが希望を持ち、次代を担って生きていくことを願い、しっかりと取り組むべきです。
7つ目は、商店街振興策についてです。かつては、商工豊島と言われておりましたが、今の商店街は、差はありますが、それぞれ落ち込みが激しく、あるところは、シャッター通りになったり、別のところは、コイン式駐車場になったりしており、閑散とした状況です。政府が大企業優遇策の規制緩和を進めたことによる打撃が大きく、24時間営業は、コンビニだけではなく、大手スーパーも導入しています。酒、たばこ、米、薬など、大手が至るところで販売するため、昔ながらの商店が廃業に追い込まれてしまいます。さらに、区が大幅に商工関係経費を削減したため、中小事業者の廃業に歯止めがかかりません。区長は、後継者不足問題、具体的な決定打がないと言います。しかし、区長自ら削減した施策を復活することで、多くの事業者が経営を立て直すことができるのです。商工関係経費を大幅に増やし、実情に応じた施策を展開することが必要です。
8つ目は、教育費の私費負担についてです。子どもを持つ家庭では、教育の私費負担が増え続け、中学校3年生では、15万円を超えています。就学援助を受ける世帯が増え、決算年度の2006年度は、中学生で27.1%と、実に、3世帯に1世帯が就学援助を受けています。この年度は、税制改悪が行われた年ですが、資料では影響なしとなっています。理事者の答弁で、収入そのものが低く、影響を受けるだけの収入がない世帯であることが改めて明らかになりました。就学援助の基準は、生活保護世帯の収入の1.2倍未満と大変厳しいものです。さらに、生活保護の母子加算が今年から3年間で廃止されます。これでは、ますます認定の基準が下がります。認定基準はさらに引き上げるべきです。豊島の教育によると子ども1人当たりの教育費は年々下がっています。財政課長は、2005年度は、大規模改修で多かったと言いますが、この間、修学旅行の交通費の半額補助や移動教室の交通費補助などを削ってきました。義務教育であるにもかかわらず、先程も述べたように、自費負担は増え続け、反対に、子ども1人当たりの教育費を減らしているのです。副区長は、教育費を増やすと約束をしました。来年度予算での具体化を、改めて強く要望します。
9つ目は、清掃問題についてです。9月19日、豊島清掃工場の焼却炉がボイラー損傷で緊急停止しました。情報の錯綜もあり、区民は不安をぬぐい去れません。原因究明調査中で、いまだに運転再開の目処は立っておりません。多くの区民から反対の声がある廃プラスチックサーマルリサイクル計画が進み、プラスチックごみをどんどん燃やせば、さらに焼却炉に負荷がかかり、危険が増すことになります。
清掃一部事務組合から出される案件は、廃プラサーマルにしろ、今区議会に提出された事業系ごみの値上げにしろ、区長会等を経て、区議会に提案される形式となっていますが、大きな問題があります。事業系ごみの値上げは、中小企業の経営をますます悪化させるものであり、決して認められないものです。また、区議会で議決される前であるにもかかわらず、区長会の承認があたかも値上げの決定事項であるかのごとく、区は7月から9月にかけて商店街、区政連絡会等で説明しました。意見を聞くならまだしも、こういうやり方は間違いです。
ここまで、切実な区民需要に応えてきたかどうかについて述べてきましたが、ここで
指定管理者制度導入によって、
区民サービスにどのような影響を及ぼしているかについて述べます。
区は、2005年度から体育施設を、それまでの委託方式から
指定管理者制度に改めて、管理運営を民間事業者に広げました。区の当時の言い分は、民間の力を活用し、効果的・能率的な管理が実現でき、サービスレベルが上がり、財政効果も期待できるというものでした。巣鴨体育館の管理運営は、ナスが行っています。プールの水底や壁がぬるぬるするようになったとか、シャワー室や更衣室周辺が不潔になったなど、清掃面の改善を求める声がいまだに寄せられます。また、区はプールの監視体制を2名以上としておりますが、巣鴨体育館では、1名のみのときがあります。管理運営が始まるや否や、プール利用者から指摘がなされ、昨年起こった、民間が管理していた富士見の市営プールの死亡事故以後も、私が昨年の決算委員会、今年の予算委員会と再三取り上げても、監視員体制は改善されませんでした。ナスによる契約不履行とも言えるやり方自体が問題ではありますが、区がそれを放置し、管理監督を怠っていることがさらに大問題です。
指定管理者制度は、ほかの自治体に先がけて、体育施設に導入され、2年半が経過しましたが、区は、この制度に対する事業評価を一向に示しません。まさに、無責任であり、隠蔽体質ととられても仕方のないことです。政策経営部は、制度導入で多額のコスト削減ができていること、いわゆるよい評価についてだけ公表します。しかし、全体像が明らかにならないことにより、コスト削減とサービス向上が両立できているのか、本当に区民の利益が守られているのか等、判断することができません。また、評価が示されていないことが、それぞれの担当課と
指定管理者との関係が一体とならない要因となっているのです。区民にとって悪影響が起こってないか、すべてを明らかにし、全体の評価をただちに示すべきです。秀山荘を運営していた民間事業者の撤退発表は、何の前触れもありませんでした。その運営の進捗を公開することが重要なのです。巣鴨体育館のプール利用者は、生命が脅かされております。これらの実態をすべて明らかにして、改めるべきは改め、直営に戻すことを含めた見直しを図るべきです。
続いて、第3の観点である不要不急な開発・浪費を進めようとしていないかどうかについて述べます。今定例会の招集あいさつで、区長は、未来への改革の本格化として、地価の上昇について、グリーン大通りが都内第2位となったとして、これは、池袋副都心における都市再生の成果を象徴する数字であり、まちの価値や魅力の向上が地価にも表れた結果であると述べました。しかし、地価の上昇は税金、地代、家賃等の上昇となり、区民にとって住み続けることを困難にするものです。今、国は都市間競争をあおり、バブルの再燃をねらっています。区長の都市再生は、まさにこれに沿った形で進められようとしています。未来戦略推進プラン2007において、重点政策の1つとして、都市再生が大きく位置付けられ、LRT、東西デッキが盛り込まれており、その力の入れ方は尋常ではありません。その効果としては、訪れたい街としての評価が高まり、来街者や中間人口が増加するとされていますが、古くから住み続けている区民にとって、利益となるものではなく、多額の税金が必要となる大型開発を盛り込んでいる都市再生を、多くの区民は望んでいません。区長は、都市間競争に打ち勝つ戦略的な
まちづくりの方向性を示すものとして、戦略プランが目指す街の姿を、文化と品格を誇れる価値あるまちと表現しますが、渋谷、新宿、六本木など人が集まるまち、大規模なビルが乱立し、住民が追い出されるまち、金持ちしか住めないまちとの競争に打ち勝つとは、一体どういうことなのでしょうか。勝っても負けても過剰な税金が投入されることになります。一旦進めたら後戻りできない計画ばかりです。
これまで区は、資金投入については、民間の活力を生かして、税金を使わない手法を研究しながら進めるといってきたにもかかわらず、方向転換し、税金投入してでも、
まちづくりをすると私に答弁しました。切実な区民需要には応えず、大型開発の都市再生には積極的姿勢です。安心して住み続けたいという区民の願いとは、かけ離れたものとなっています。
東池袋四丁目第1地区再開発事業が終了し、あうるすぽっとがオープンしました。そもそも、本事業は、フジタが中心となって進め、区の負担はないと言ってきました。この地域の多くの住民が追い出され、民間企業の撤退や縮小で事業は頓挫し、我が党は一貫して反対してきたにもかかわらず、結局、多額の税金が投入されることになりました。計画段階では、多目的施設やコンサート会場等、様々な用途に使える交流施設になると言ってきました。ところが、区は、区民の意見をろくに聞くこともせず、舞台芸術というごく限られた用途に限定してしまい、批判の声が区民に広がっています。さらに、利用料金は公会堂の倍近く、来年のスケジュール表を見ると、大手劇団で予約がほとんど埋まり、区民は大手で埋まっている間の歯抜け部分と、わずか10日前後確保された区民枠しか残っていません。私が、区民の利用が主な目的でなければならないはずと質すと、区長は、区民には舞台芸術を鑑賞していただきたいと述べました。区長の独自の文化を押し付けられる区民は、たまったものではありません。文化、文化と言って、区民の使えない施設に多額の税金を投入することは認められません。
LRT整備構想については、建設費が38億から48億円かかり、車両購入費が1車両2億円以上で、4編成必要として10億円近くかかり、毎年の経費は2億円から4億円の行政支援が必要としております。区は公共交通だと言い張りますが、池袋駅東口からグリーン大通りを通過し、雑司が谷までのわずか900メートルの距離を、誰が公共交通などと認めるでしょうか。決して、区民の足とは言えません。東西デッキについては、
鉄道事業者や百貨店が推進するのであればまだしも、区が積極的に介入する事業ではありません。区が関与することで、先程も述べたように、東池袋四丁目地区再開発の事例同様に、
区民サービスを削りながら、莫大な税金を投入するという過ちを繰り返しかねません。
以上、これまで述べてきた理由で、一般会計決算の認定について、反対するものであります。
次に、3特別会計について、順次、意見を述べていきます。まず、国民健康保険事業会計についてです。2006年度は、所得割は、前年度より下げていますが、均等割が、1,200円上がりました。均等割のみ世帯は、今まで、加入世帯の概ね50%前後で推移してきました。ところが、2006年度は、44.2%と、50%を大幅に下回り、3万4,976世帯となりました。2005年度より約4,400世帯も減っています。減額世帯も2005年度に比べると、6,020世帯も減り、2万3,474世帯となりました。当然これは、税政改悪の結果です。均等割の値上げは、もともと所得の低い世帯に影響が重くなるものですが、2006年度は、値上げだけにはとどまらず、非課税から課税世帯になった世帯に二重に負担を押し付けました。本当にひどいものです。国民健康保険の性格上、加入者の半分は低所得者層なのです。2006年の2月の資格証は、1,860世帯でしたが、2007年2月には、2,567世帯と、707世帯も増えています。区は、今期収納率目標を83.5%と掲げていましたが、実際には、81.62%となっています。今までも、高過ぎる保険料に、今度は、収入が変わらないのに、所得割までかかり、払えない世帯が増えた結果です。資格証明書、短期被保険者証は、それまで、発行することができるという規定だったのに、小泉内閣のもとで、2005年に改悪され、義務付けられました。法律で発行を義務付けた自公政権が一番悪いのですが、それでも国保は、社会保障、命にかかわる制度ということで、資格証をできるだけ出さないようにしている自治体がたくさんあります。23区でも、ゼロのところはありませんが、北区などは2桁で、各区でばらつきがあります。しかし、豊島区は、いつも4桁の、多い方の区です。区民の命と健康を切り捨てていると言わざるを得ません。今、マスコミでも資格証明書問題を取り上げるようになりました。厚生労働省ですら、資格証は実情を十分勘案して交付するように指導をしていると言わざるを得ないのです。さらに、来年、2008年4月からは、65歳以上74歳までの人の保険料を年金から天引きからすることになっています。区民に負担を強いて、区民の命と健康を守る保険証を取り上げてきた国保会計決算は認められません。
次に、老人保健医療会計について述べます。自公政権のもとで、医療改悪法が強行採決され、今決算年度の10月から、70歳以上の高齢者について、窓口負担が引き上げられ、現役並の収入があるとされた世帯は3割負担となりました。さらに税政改悪で、現役並みの収入が2006年8月から520万円以上に引き下げられ、対象世帯も増えました。療養病床に入院する70歳以上の高齢者の食費・居住費を患者負担にし、高齢高額医療費の限度額も引き上げが行われ、予算額に対する医療諸費の執行率は89.1%、老人医療給付費は、21億8,000万円もの不用額を出しています。この分が高齢者負担となったのです。さらに、今後、療養ベッドを大幅に削減すること、後期高齢者医療制度など、ますます、高齢者の負担増を進めています。認められません。
最後に、介護保険事業会計について述べます。基盤整備についてです。特別養護老人ホームの待機者数は、7月時点で1,035名、そのうち、Aランク待機者は、281名となっており、また、増加傾向にあります。供給不足は明白で、いつ入所できるかわからない状況です。区は常に増設は重点課題と言いつつも、具体的計画は出てきません。また、待機者への対応についても不十分であり、特養ホーム入所を待ちながら、ひたすら我慢している方、入院している方、入院先すら見つからない方、様々なケースがあります。本人も家族も、気が休まるときはありません。区民の願いに応え、ただちに、区が責任を持って建設すべきです。
保険料については、この年は31.9%と大幅な値上げがされました。基準額で、月額3,307円から4,363円となり、保険料の区分が7段階になりました。また、税政改悪で、一定の激変緩和措置はありますが、4,606人が、保険料区分が2段階も3段階も上がりました。今回の補正予算では、実質収支決算額で5億8,000万円の残となりました。なぜこんなに残額が増えたのでしょうか。理事者の説明では、保険料が増額し、反対に給付費が大きく予算を下回ったとのことです。保険料収入増は、保険料の引上げと税政改悪の影響です。そして、給付費については、2005年度に行われた制度開始5年目の見直しで、介護度の軽い人からヘルパーの取上げや介護ベットなど給付制限が行われ、居住支援部分の残額が3億4,000万円、施設関連費では、施設利用料の自己負担化等で5億円の残となりました。新予防給付へ移行した人、軽介護の人など、多くの人のヘルパーが減らされました。新制度導入時、理事者は、本人の状況などを見て決める、必要があれば、今のように派遣することもあると言いましたが、実際には介護度2度の人でも、同居者がいることを理由に、次々と生活支援型のヘルパーを取り上げています。削減は、ひどいものです。その上、残額のうち2億9,000万円を基金に積み増し、基金の総額は、9億円を超しています。これだけの金があれば保険料の引下げ、削減したヘルパーサービスの復活は、十分可能です。このような介護保険会計決算には、反対します。
以上、3特別会計の決算認定に反対することを述べ、私の討論を終わります。ご清聴ありがとうございました。
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小林俊史委員長